霞ヶ関検定におけるプラットフォーム環境の構築

東京国際大学商学部 情報システム学科/情報ビジネス学科
2015 年度卒業研究会予稿集
霞ヶ関検定におけるプラットフォーム環境の構築
12140039 能島 翔太 (河村 一樹ゼミナール)
東京河村一樹研究室では、3 年生の演習で課題解決型学習として大学周辺地域の知識をより多くの学生へ
知らせることを目的とした、霞ヶ関検定の開発を行った。その中で、学習から受験までを、e-learning および
CBT 方式で行うことができる環境を、実現させるためのプラットフォーム環境を構築した。
1. はじめに
近年の情報技術の進化により、各個人がコンピュー
タやスマートフォン等の情報端末を所持する時代とな
った。これらのツールを活用することで、学習スタイル
の変化にも注目されることとなった。
従来の学習スタイルはノートや教科書といった教材
を用いて受講する、もしくは独学で勉強をする、ある
いは板書や紙媒体が中心となり、決まった時間や場
所で、机上で行うのが一般的である。e-learning にな
ると学習者は机に向かう必要もなくなり、場所や時間
の制約を受けずに学習を行うことが可能である。
従来の受験スタイルは、決まった会場に出向きマー
クシートや記述式での試験であったが、CBT 方式で
は、自宅等のコンピュータで指定された期間で受験
する事が可能である。
2. プラットフォーム構築
受験や学習はもちろんであるが、検定の情報発信
や、申し込み・教材案内なども構築をする上で、行う
必要がある。
2.1 Facebook ページの利用
今回の検定の情報発信は Facebook ページを利用
することとした。無料かつ簡単に Web サイトを作成す
ることができ、タイムライン形式での更新が可能であ
る。検定の PR や受験者の申し込み案内、動画教材
や受験案内をアナウンスできる。また合格者発表(個
人情報になるので受験番号のみ)もここに記載するこ
とで、受験者が合否を知ることが可能になっている。
2.2 YouTube の利用
対策教材は動画形式となっており、今回は作成し
た動画を YouTube にアップロードすることで視聴を
可能とした。Facebook ページで動画のリンクを掲載
しており、受験者は検定対策を行うことが可能である。
動画は地理・統計が 9 分 46 秒、飲食・商店街が 3
分 8 秒、歴史・行事が 3 分 2 秒、交通・教育が 10 分
15 秒となっており、合計で約 26 分での学習が可能
である。
2.3 Google Drive 及び、Google アプリの利用
Web ブラウザ上で扱うことが可能であるアプリケー
ションを Google が提供している。コンピュータにソフ
トウェアを新たにインストールすることを必要としない
ため、環境やスペック等による制限を受けない。
申し込みやアンケート、実際の受験画面などは、
Google フォームを利用することで実現した。
フォームで入力されたデータは Google スプレッドシ
ート形式として Google ドライブ(クラウド上のドライブ)
に保存される。合否結果の判定はスプレッドシート上
で関数を用いることで可能とした。
図1.霞ヶ関検定の全体像
3. 対策教材および問題の作成
YouTube にアップロードする教材を作成する必要
がある。今回はパワーポイントで表示するスライドの
作成、CeVIO Creative Studio S でのナレーションの
作成、Windows Live ムービー メーカーでの動画作
成となる。
3.1PowerPoint を用いたスライド作成
動画に表示する教材は、PowerPoint のスライドを用
いて作成を行う。学習者が理解しやすく、興味を持っ
て学習できるスライドの作成が必要となる。スライドに
は文字の他に画像なども取り入れることで、より分かり
やすい教材の作成が可能である。最終段階で、各ス
ライドを JPG 画像形式で書き出しを行い、動画作成
に必要な素材が完成となる。
3.2 合成音声を用いたナレーションの作成
学習を行う際、動画再生のみでは説明が不十分で
あり、理解し難い教材となってしまうため、ナレーショ
ンが必要となる。今回は合成音声ソフトウェアである
CeVIO Creative Studio S を利用し、テキストを読み
上げ、WAVE 音声形式として書き出しを行い、動画
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作成に必要な素材が完成となる。
3.3対策教材動画作成
動画を作成するにあたって必要な素材が収集でき
たため、表示する画像と音声を同期する作業を行う。
今回は Windows Live ムービー メーカーを利用した。
各画像素材の表示時間を指定し、その時間に合わ
せて音声を再生できるよう、動画の作成を行う。学習
者が無理なく理解できる速度に合わせた教材動画を、
作成する必要がある。作成が完了すると WAV 形式
の動画ファイルが作成され、YouTube へのアップロ
ードが可能となる。
4. 受験者アンケート
霞ヶ関検定を受験した後、合否発表のメールが送
信される。そこに Google フォームで作成したアンケ
ートを答える URL が記載されており、受験者は検定
問題の改善のためアンケートに答えることが可能で
ある。
4.1問題難易度
受験者の学習時間や、理解度にバラツキがあること
が把握できるが、「予想していたよりも難しかった」の
回答が36%と大多数なこともあり、難易度がやや高
めだったとも言える。
表 1「霞ヶ関検定」の問題難易度の比率
4.2 受験者の興味・関心
受験者が大学周辺の地域への興味や関心がどうあ
るかによってバラツキがあると思われる。しかし出題
問題の内容の作成段階で、受験者がより興味を引く
問題を作成することは可能である。現状でも、ある程
度の興味がある内容は含まれていたと思われ、次回
実施する場合、よりその点を課題として考える必要が
ある。
表 2「霞ヶ関検定」の興味・関心の比率
4.3 e-Ⅼearning と CBT 方式を利用した感想
今回 e-Ⅼearning による学習と、CBT 方式による受
験を取り入れたことにより、「手軽に受検できて便利
だ」という回答が多くあり、実際に効果を実感した。各
個人がコンピュータやスマートフォン等の情報端末を
所持している現代では有効な教育手段であるといえ
る。
表 3 e-Ⅼearning と CBT 方式の感想の比率
4.4 動画教材による学習効果
「とても役に立った」が少ない部分が目立つが、「少
しは役に立った」が過半数なため、教材作成におい
ても比較的良い結果となった。次回実施する場合は、
より学習ポイントがわかりやすくする等、課題として考
える必要がある。
表 4 動画教材による学習効果の比率
5 今後の改善点
漢字には音読み・訓読みがあるため、合成音声を
利用する場合は、ナレーションの読み間違いを防ぐ
ため、漢字部分をカタカナに変更し、入力する等を
実施することが必要となる。これにより正常にナレー
ションが作成可能となる。
動画教材での画像とナレーションの同期ずれが生じ
ていたため、動画作成時にスライドと音声を予め把握
しておき、作成する等の対策が必要となる。
検定受験者が現状では少数であるため、今後は検
定のプロモーション方法を考える必要がある。
謝辞
今回のプラットフォーム構築にご協力及び、ご
指導・助言下さった東京国際大学商学部情報ビ
ジネス学科の河村一樹先生、(株)ハンテンシ
ャの加藤大様に感謝の意を表します。
参考文献
1) e ラーニングとは e-Learning の意味や利点、学習
教材や LMS システムについて解説
http://satt.jp/dev/e-learning.htm
2) Facebook ページ活用 実践ガイド
http://web-tan.forum.impressrd.jp/l/5878
3) YouTube 動画のアップロード
https://support.google.com/youtube/answer/574
07?hl=ja
4) Google Apps の使い方
http://www.appsupport.jp/category/