[成果情報名]露地ネット系メロンの収穫時期と果肉の軟化程度 [要 約]露地ネット系緑肉メロン「アンデス」では、果実糖度が出荷基準に達した後、収穫が 遅れると、著しく果肉の軟化が進み、水浸状となりやすい。露地ネット系白肉メロン「グ ランドール1号」では、果実糖度が出荷基準に達した後も果肉の軟化は進みにくい。 [部 署]山形県庄内総合支庁産業経済部農業技術普及課・産地研究室 [連 絡 先]TEL 0234-91-1250 [成 果 区 分]普 [キーワード]メロン、糖度、果肉硬度、「アンデス」、「グランドール」 -----------------------------------------------------------------------------------------[背景・ねらい] 本県の露地ネット系緑肉メロンの主力品種である「アンデス」は、出荷後に果肉が水浸状となり果 実全体が軟化する症状の発生が大きな問題となっている。原因として、果実肥大期の高温や収穫の遅 れなどが指摘されているが、因果関係は明らかとなっていない。一方、白肉メロンである「グランド ール1号」は果実糖度が高く、日持ち性も高い点で生産現場での期待が高い。そこで、両品種につい て、収穫時期が果実品質に及ぼす影響および貯蔵後の果肉硬度や糖度を検討した。 [成果の内容・特徴] 1. 「アンデス」は、果実肥大期の温度条件に関わらず、適期に収穫すれば収穫後の果肉硬度の変化に 差は見られない。一方、果実肥大期の気温に関わらず、収穫が遅れた場合は、収穫後の果肉の軟化 が早く進み、収穫7日後には果肉が水浸状となる。(表1、写真1) 2. 「アンデス」は、果実糖度が出荷基準(15Brix%)に達した後、収穫が遅れると、糖度は1ポイン ト程度しか上昇せず、果肉の軟化が著しく進む。このため、試し割り等で糖度の上昇を確認した後 は速やかに収穫する必要がある。また、収穫後も果肉硬度の低下は継続する。(図1、図2) 3.「グランドール 1 号」は、「アンデス」よりも果実糖度が高くなり、また、果実糖度が出荷基準に 達した後も糖度上昇は続き、果肉硬度の低下も緩慢である。また、収穫後の果肉硬度も低下しにく い。(図1、図2) [成果の活用面・留意点] 1.露地ネットメロンの収穫日は、試し割りによる糖度測定や交配日からの日数と積算気温により、 適切に判断し、収穫が遅れないようにする。 2.表1の高温条件とは、トンネル栽培と同じ定植時期の作型で、ハウスで栽培した結果である。こ の場合、交配から収穫までの平均気温は 2.2℃の差であった。 [具体的なデータ] 表1 「アンデス」の収穫後の果実糖度と果肉硬度の推移(H22) 3果調査 z y 備考 果実糖度 果肉硬度 -1 (Brix%) (g・3mmψ ) 当日 15.9 0.37 x 高温条件で肥大 3日後 16.2 0.41 u 7日後 15.8 0.24 適期で収穫 10日後 15.1 0.29 当日 16.5 0.34 w 通常条件で肥大 3日後 15.4 0.28 u 7日後 15.7 0.22 適期で収穫 10日後 14.4 0.15 当日 16.2 0.29 x 高温条件で肥大 3日後 12.2 0.22 v 7日後 12.8 0.18 果肉水浸状 3日遅れで収穫 10日後 調査中止 当日 欠測 欠測 w 通常条件で肥大 3日後 16.1 0.28 v 7日後 15.0 0.24 果肉水浸状 3日遅れで収穫 10日後 調査中止 z ATAGO PR-101で測定。 y 藤原 果実硬度計KM-1(針頭:円筒形3mm径10mm高)で測定 x w ハウス栽培で肥大 トンネル栽培で肥大 v u 収穫適期から3日後に収穫 収穫適期に収穫 適期区 収穫 7 日後の果肉状態 栽培概要など(H22) 供試品種: 「アンデス」 播種日:平成 22 年 4 月 15 日 定植日:平成 22 年 5 月 6 日 保温方法:高温条件はハウス被覆 通常条件はトンネル被覆 栽植距離:うね幅 2.7m 株間 60cm(60 株/a) 整枝着果:子づる 2 本、片側誘引 1 株 4 果どり 施肥量(kg/10a):8.0-16.0-16.0(N-P-K) 堆肥施用量:1.0t/10a 貯蔵方法:直射日光があたらない 作業舎に常温で保存 果肉糖度(Brix%) 14.0 アンデス 12.0 グランドール 16.0 14.0 12.0 10.0 6.0 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 アンデス 1.0 グランドール アンデス グランドール 7.0 10.0 果肉硬度(kg/5mmψ) 果肉糖度(Brix%) 16.0 果肉硬度(kg/5mmψ) 写真 1 18.0 18.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 アンデス グランドール 0.0 0.0 44日 図1 3 日遅れ区 47日 50日 53日 56日 収穫時期(交配後日数)が果肉硬度(下段) と果実糖度(上段)に及ぼす影響(H23) 図2 収穫日 収穫 収穫 (交配後47日) 3日後 6日後 収穫後の果肉硬度(下段)と果実糖度(上段) の推移(H23) 栽培概要など(H23) 供試品種:「アンデス」 、 「グランドール1号」 播種日(定植日) :平成 23 年 3 月 4 日(4 月 1 日) 保温方法:内張りカーテン+大型トンネル 栽植距離:うね幅 2.7m、株間 60cm(60 株/a)整枝着果:子づる 2 本、片側誘引、1 株 4 果どり 施 肥 量: N-P2O5-K2O (kg/10a) 8.0-16.0-16.0 堆肥施用量:1.0t/10a サンプルの果実は、収穫当日に山形大学農学部で果肉硬度、Brix%を測定した。 果肉硬度は、果肉中心部から 14mm の位置を測定し、測定機器はレオメータ CR-200 で行った。 [その他] 研究課題名:庄内の気象に適応したメロンの新品種導入試験 研究期間:平成 22 年~24 年度 研究担当者:古野伸典・伊藤聡子 予算区分:県単 発表論文等:未定
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