28Q-pm082 ニューキノロン系抗菌薬であるノルフロキサシン結晶多形の光安定性評価 1 1 ◯木暮 晃士 1 , 寺岡 麗子 1 , 森田 真也 1 , 北河 修治( 神戸薬大) 【目的】ニューキノロン系抗菌薬であるノルフロキサシンは、光に対して不安定 であるため、第 15 改正日本薬局方には「遮光して保存する」と記載されている。 一方、ノルフロキサシンには数種の結晶形が存在することが知られているが、こ れら結晶形間の光安定性の相違については報告されていない。そこで、今回は無 水物結晶である A 形と B 形について、光照射下での外観変化、FT-IR スペクトル及 び固体 UV/Vis スペクトル測定を行い、 2 種類の結晶形の光安定性を比較評価した。 【方法】文献を参考にして結晶多形(A、B 形)を調製し、粉末 X 線回折と DSC で結 晶形を確認した。各多形を打錠し、D65 ランプ搭載の光安定性試験装置で、 3500 lx、 25℃で光照射を行い、錠剤表面の IR スペクトルを FT-IR 正反射法を用いて測定し た。また、錠剤の外観変化はカラーリーダーで測色し、色差(ΔE*ab)を求めた。さ らに、光照射前に固体 UV/Vis スペクトルを硫酸バリウムを対照にして測定した。 【結果・考察】各多形について固体 UV/Vis スペクトル測定を行った結果、A 形及 び B 形はそれぞれ、280-400 nm と 280-370 nm に光吸収を示したことから、A 形の 方が可視光に対する感受性が高いことが推測された。一方、光照射下の外観変化 は、20 時間後のΔE*ab 値が A 形は 27.79、 B 形は 20.77 まで上昇したことから、 いずれの結晶形も着色しやすいが、A 形の方がより速く外観変化が起こることがわ かった。また、FT-IR スペクトルにおける光照射前後のカルボニル基のピークから 求めた残存率は、66 時間後に A 形は 80.7%であったのに対して B 形は 97%であった。 これらの結果から、A 形の方が光に対して不安定であったが、これは、可視部領域 の光の放射量が多い D65 ランプ下では、B 形より A 形の方が長波長側の光をより多 く吸収するため、分解を受けやすかったと考えられる。
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