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SCIENCE TRANSLATIONAL MEDICINE
2012 年 6 月 6 日号ハイライト
ヒト胎児の全ゲノムシーケンシング
ヒト胎児の全ゲノムシーケンシング
Whole Genome Sequencing of a Human Fetus
研究者らは、ヒトの胎児の母親と父親から得たDNAサンプルを用いて、胎児の全ゲノム
配列を再構成した。この結果は、羊水穿刺や絨毛生検などの侵襲的方法に代わりうる非
侵襲的検査によって、あらゆる単一遺伝子疾患(メンデル遺伝病)について胎児を出生
前に評価できる可能性を開くものである。メンデル遺伝病は 3,000 種類にわたり、合わ
せて新生児の 1%が罹患している。これら疾患の大部分は、目立たない小さな遺伝子変
異によって引き起こされる。今回Jacob Kitzmanらは最新の技術を用いて、妊娠第 2 トリ
メスターのヒト胎児の全ゲノムシーケンシングを行った。この結果、遺伝した変異と新
規の変異という 2 種類の遺伝子変異が特定された。母親のゲノムには数百万の遺伝子変
異が含まれており、これらは母親がその両親から受け継いだゲノムの部分に集まってい
た。これら一群の変異は「ハプロタイプ」と呼ばれる。Kitzmanらの方法により、各染
色体上でハプロタイプがどのようにグループを成しているかを明らかにすることができ、
またこの情報に基づいて、胎児が母親から遺伝された変異を特定することができる。新
規変異は、母親の血中における血漿DNAの情報を用いて計算解析により特定された。用
いられた方法は改善の余地があるが、本研究により、近い将来にメンデル遺伝病につい
て非侵襲的かつ包括的な出生前スクリーニングが実施可能となる可能性が示唆される。
Article: "Noninvasive Whole-Genome Sequencing of a Human Fetus," by J.O. Kitzman; M.W.
Snyder; M. Ventura; A.P. Lewis; R. Qiu; L.E. Simmons; H.S. Gammill; M.J. Bamshad; E.E.
Eichler; J. Shendure at University of Washington in Seattle, WA; M. Ventura at University of
Bari in Bari, Italy; H.S. Gammill at Fred Hutchinson Cancer Research Center in Seattle, WA; C.E.
Rubens; H.K. Tabor; M.J. Bamshad at University of Washington School of Medicine in Seattle,
WA; C.E. Rubens at Global Alliance to Prevent Prematurity and Stillbirth, an initiative of Seattle
Children's in Seattle, WA; D.A. Santillan at University of Iowa Hospitals and Clinics in Iowa
City, IA; J.C. Murray at University of Iowa in Iowa City, IA; H.K. Tabor at Seattle Children’s
Research Institute in Seattle, WA; E.E. Eichler at Howard Hughes Medical Institute in Seattle,
WA.