抗不整脈薬の排泄経路、透析性、投与量(Vaughan Williams分類) 本表に示したデータは編集時点の添付文書や文献調査によって得られた情報を簡潔に収載しています。そのため本データが普遍的ではない可能性があることに留意し、詳細は最 新の添付文書や最新の文献情報を確認してください。 透析患者または 薬剤名 10≦CCr<50mL/min 主要消失経路 通常常用量 透析性 10mL/min<CCrの至適用 の至適用量 一般名 商品名 量 維持量:200-600mgを分1 肝(腎15-40%) 硫酸キニジン錠・末 - 常用量 常用量 キニジン硫酸塩 ~3 150~200 mg 分 1~2(20 100-150 ジソピラミド リスモダンカプセル 300 mg 分 3 ≦CCr<50mL/min) 、100 リスモダンR 禁忌 300 mg 分 2 腎50-60% ± mg 分 1 (CCr< ジソピラミドリン酸塩 リスモダンP静注 50-100mg/回 100 20mL/min) シベンゾリンコハク酸 Ⅰa 塩 シベノール錠 腎60% 肝40% - 肝(腎17-31%) - 1日300mgより投与をはじめ、効果が不十 分な場合には450mgまで増量し、1日3回 に分けて経口投与 50 mg を1日1~2回 25 mg 分 1 、透析患者は禁 忌 1回1.4mg/kg 適宜減量 適宜減量、透析患者は禁忌 シベノール静注 ピルメノール塩酸塩 ピメノールカプセル 1 回0.25~0.5 g 3~6hr 毎 アミサリン錠 プロカインアミド塩酸塩 アプリンジン Ⅰb メキシレチン塩酸塩 リドカイン塩酸塩 ピルシカイニド塩酸塩 Ⅰc アミサリン注 アスペノンカプセル アスペノン静注用 メキシチ-ルカプセル メキシチ-ル点滴静注 静注用キシロカイン サンリズムカプセル サンリズム注射液 タンボコール錠 フレカイニド + 肝 - 肝 ± 肝 - 腎90% ± 肝50~70% 腎 30~50% - 1回100mgまで 300〜450 mg分 3 常用量 半減期が延長し血中濃度も 上昇するため2/3に減量 添付文書参照 1回50-100mg、300mg/hrまで 150~225mgを分3 腎機能正常者と同じ。ただし連続投与時には腎機能低下により定常状態の 活性代謝物(親化合物よりも活性は弱い)の血中濃度は、腎機能正常時に 比べ2倍高値になるため、要注意 25~50 mg 分 1~2 25 適宜減量 最大用量1.0mg/kg 100~200 mg 分 2 50~100mg 分 1 プロノン錠 肝 - アセタノール 腎36% - 1日200~400 mgを分 1~2 1日25~100 mgを分 1 アテノロール テノーミン 腎90% + アルプレノロール塩酸塩 スカジロールカプセル 不明 不明 75-150mgを分3食後 アロチノロール塩酸塩 アロチノロール塩酸塩錠 肝 - 10~20mgを分2(最大30mg) 常用量 エスモロール塩酸塩 ブレビブロック注 肝(腎10%未満) - 0.15mg/kg/min 常用量 カルテオロール塩酸塩 ミケラン錠・細粒 腎60-70% - 腎90% - 50%に減量 1日10~30 mgを 分 1 慎重投与 GFR 31~50mL/min: 30~60 mg 分 1 30~60mg/分1 1日1回1.25~5mg 60〜70%に減量 1日5~15mg を分 3 ナドロール ナディック錠 ビソプロロールフマル酸 塩 ピンドロール メインテート錠 腎50% - カルビスケン錠 腎35-54% + ブフェトロール塩酸塩 アドビオール錠 不明 不明 1日5~15mg を分 3 肝 - 30~120mg分3 30~120mg分3 1回2~10mgを、麻酔時に は1~5mgを徐々に静脈内 インデラルLAカプセル プロプラノロール インデラル錠 インデラル注 メトプロロール セロケン/ロプレソール 肝 - ランジオロール 注射用オノアクト 肝(腎8.7%) + 肝 - アミオダロン塩酸塩 Ⅲ 100~200mgを1分間に50~ 1 回200~400mg を 12h 1 回200~400mg を12~24h 100mgの速度で静注(注入総 毎 毎 量1,000mgまで) 常用量 40-60mgを分2~3 50%に減量 30~50%に減量 Ccr 30 mL/min 未満の場 25 mg 透析後(週3 回)分 1 合投与間隔を延ばす 薬物動態データがほとんどなく不明 アセブトロール塩酸塩 Ⅱ 腎50-60% (活性代謝物:80%) 100~150mgを分2~3 1 回0.25~0.5 g 12h 毎 1 回0.25~0.5 g 12~24h 毎 50mg/日から開始し、最高 1.0~2.0mg/kgを10分間かけて静注(1日150mgまで) 100mg/日 常用量 1回150mgを1日3回 タンボコール静注 プロパフェノン塩酸塩 200mgを分2 ニフェカラント塩酸塩 ソタロール塩酸塩 アンカロン錠 アンカロン注 シンビット静注用 肝(腎28-37%) - ソタコール錠 腎80% + ジルチアゼム塩酸塩 ヘルベッサー注 肝 - ベプリジル塩酸塩水和物 ベプリコール錠 肝 - Ⅳ ワソラン静注 5~10mg/日 30-120mg分1 30~120mg分3 1/3-1/2から開始 1/3-1/2から開始 常用量 常用量 常用量 添付文書参照 維持量として200 mg 分 1 ~2 添付文書参照 常用量を慎重投与 常用量を慎重投与 慎重投与 単回0.1mg/kg/5min 維 持0.15-0.2mg/kg/hr 1/3~2/3に減量 禁忌 5mL以上の生理食塩液又 はブドウ糖注射液に用時 溶解し静注 常用量 1日100-200mgを分1-2 常用量 120~240 mg 分 3 ワソラン錠 ベラパミル塩酸塩 30〜50%に減量 薬物動態データがほとんどなく不明 1日60~120mgを分2~3(最 大240mg/日) 単回0.3mg/kg/5min 維持 0.4mg/kg/hr 80-320 25%に減量 慎重投与 週3回透析後に30-6025%量 を40~60hr毎 肝 - 1回5mgを、必要に応じて生食 常用量(非腎CL低下するため1/2に減量という報告もあ る) 又はブドウ糖で希釈し、5分以 上かけて徐々に静注する ただし上記の用量設定は使用目的、病態の重症度などによって症例毎に定めるべきものであり、普遍的でないことに留意されたい。 アプリンジン、シベンゾリン(透析患者に禁忌)、フレカイニド、プロカインアミド、プロパフェノン、メキシレチンなどの抗不整脈薬およびカルベジロール(適応なし)、ピンドロール、ブプ ラノロール、プロプラノロール、ペンブトロール、メトプロロールなど、β遮断薬の多くはCYP2D6によって代謝されるため、強力なCYP2D6阻害薬であるシナカルセト(レグパラ®)、パロ キセチン(パキシル®)、キニジンなどによって、血中濃度が急上昇する可能性がある。特にアプリンジン、プロパフェノンは代謝酵素が飽和して非線形の薬物動態を取るため、併用 時にはこれらの抗不整脈薬の血中濃度のモニタリング(TDM)を実施することを推奨する。 無断転載を禁じます(熊本大学薬学部附属育薬フロンティアセンター・平田純生 2014年12月作成)
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