ヒューマン・ヘルスケア企業をめざして アニュアル・レポート 2014 エーザイはWHOのリンパ系フィラリア症制圧活動を支援しています。 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 CONTENTS 2 5 6 6 8 9 11 12 13 連結財務ハイライト 自然資本 セグメント別の情報 38 ・地球環境に配慮した事業活動 財務資本 16 39 ・財務戦略 40 ・ROE 経営 グローバルな環境変化とグローバル・ビジネス・マトリクス体制への移行 42 ・株主還元 43 ・株式の状況 2 大ブランド企業からマルチブランド企業へ エーザイ独自のビジネスモデル 14 21 35 ・エーザイのパートナーシップ展開 37 ・社会的責任への取り組み 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー(編集方針) 外部環境と戦略 12 14 34 ・社員 社会・関係資本 ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 アリセプト® 44 ハラヴェン® 18 BELVIQ® 19 医薬品アクセス向上への取り組み− DEC 錠のプライスゼロ提供 エーザイを構成する6 つの資本 知的資本 21 ・研究開発体制 23 ・パイプライン 23 ・神経領域 主要開発品の状況 24 コーポレートガバナンス 44 46 47 52 53 54 コーポレートガバナンスの体制 社外取締役インタビュー 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 54 56 国内・海外ネットワーク 会社概要 Fycompa® 25 次世代アルツハイマー型認知症治療剤の開発 26 ・がん領域 主要開発品の状況 (一般名) 28 レンバチニブ 29 ・血管・免疫反応領域 主要開発品の状況 29 ・消化器・肝臓領域 主要開発品の状況 30 ・オープンイノベーションと先端技術導入 30 ・知的財産の保護・強化 製造資本 31 ・生産体制(デマンドチェーン) 人的資本 32 ・グローバルなマーケティング体制 財務情報の詳細は 「決算短信」 をご参照ください。 http://www.eisai.co.jp/pdf/ir/repo/2014Q4_51.pdf 「環境・社会報告書」 について エーザイは、企業市民として 「企業の社会 的責任(Corporate Social Responsibility: を実践し、広く社会の信頼を獲得し CSR)」 ていくことが重要であると認識しており、そ の活動をまとめ 「環境・社会報告書」 を2001 年より作成しています。 詳細については http://www.eisai.co.jp/social/esreport/index.html をご参照ください。 将来予想に関する記述とリスク要因 このアニュアルレポートにおいて提供される資料ならびに情報は、現 在における予想、目標、評価、見通し、リスクを伴う想定などの不確実 性に基づくものを含んでいます。従って、様々な要因の変化により、将 来予想などが実際の結果と大きく乖離する可能性があります。リスクや 不確実性には、一般的な業界ならびに市場の状況、金利、通貨為替変 動といった日本および国際的な経済状況が含まれています。 エーザイグループの連結業績を大幅に変動させる、あるいは投資判 断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは、次の通りです。なお、 これらのリスクは、本資料作成日現在において判断、予想したものです。 海外展開におけるリスク、新薬開発の不確実性、特定の製品への依 存に関するリスク、他社とのアライアンスにおけるリスク、医療費抑制 策、後発医薬品に関する競合・訴訟、知的財産に関するリスク、副作用 発現のリスク、法規制に関するリスク、訴訟に関するリスク、工場の閉 鎖または操業停止、使用原材料の安全性および品質に関するリスク、 外部への業務委託に関するリスク、環境に関するリスク、ITセキュリティ および情報管理に関するリスク、金融市況および為替の動向に関する リスク、内部統制の整備等に関するリスク、災害等に関するリスク。 1 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 ステークホルダーズの皆様へ 代表執行役 CEO 内藤 晴夫 世界の医薬品市場では、グローバルに進展 動におけるさらなる適正性と高い透明性の確 とニューロロジー(神経) の2 領域のグローバル による2 大ブランド企業から、複数 フェックス® 」 する高齢化、新興国・開発途上国の経済発展 保が成長の絶対的基盤となることも論を待ちま ビジネスユニットと、日本、米州、アジアおよび のグローバルブランドによる成長をめざすマル に伴う各国の疾病構造の類似化、メディカルプ せん。 EMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニ チブランド企業への転換を果たしてまいります。 ラクティスの標準化、新薬審査期間の短縮や承 このような環境においては、各国の状況を勘 ア) の4リージョンとのマトリクスによるグロー かかる戦略を掲げ、2015 年 3 月期は、2016 認医薬品数の増大などにより、グローバルに事 案し、グローバルに統一された戦略のもとで早 バル・ビジネス・マトリクス体制を導入いたしま 年3月期より成長軌道に復するための投資の時 業機会は拡大しております。一方、医薬品価格 期にブランドを育成し、患者様価値を最大化す した。この体制のもと、これまで事業の柱であっ グローバルブランドの誕生・ 機と位置づけ、1) を中心とした医療費抑制策の推進や知的財産 ることが重要となります。このため、当社グルー たアルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト 」 プロダクトクリエーションの加速、3) 育成、2) に関する様々な議論が高まると同時に、事業活 プでは、2014 年 5月より、オンコロジー(がん) とプロトンポンプ阻害剤「パリエット® /アシ アジア・ストラテジックマーケットの拡大の3つ ® 2 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 たします。 アジア事業では、成長を加速するため、さら なる基盤強化に取り組んでまいります。 「アリセ 、 「パリエット® 」 や末梢性神経障害治療剤 プト® 」 といった主力製品に加え、新製 「メチコバール® 」 、 「 Fycompa® 」 の拡大により、 品「ハラヴェン® 」 主力市場である中国、韓国を中心に堅調な成長 の課題に積極的に資源投入を行います。 化をめざします。また、自社創製の新規結合型 「レン 出に取り組んでいます。2015 年3月期は、 を果たしてまいります。インドチャイナ (タイ、ベ は、すで 自社創製の抗がん剤「ハラヴェン® 」 選択的チロシンキナーゼ阻害剤「レンバチニブ バチニブ (一般名)」 のグローバル申請、トロン トナム、ミャンマー、カンボジア、ラオス) やインド に世界 54カ国で承認を取得しており、2015 年 (一般名)」 は良好な試験結果に基づき、甲状腺 ボポエチン受容体作動剤「 avatrombopag 」、 ネシアについては、将来のコア市場に育成する 3 月期は早期ラインでのシェア向上に加え、グ がんを適応とした承認申請を、日本では2014 のグローバ オレキシン受容体拮抗剤「 E2006」 ため、積極的に資源投入を行います。 ローバルな新規上市国の拡大により、患者様ア 年6月、米国・欧州でも2014 年8月に達成しま ルでの 開 発 加 速、ならびに 「ハラヴェン 」、 また、ロシア、ブラジル、中東、メキシコ、カナ クセスの最大化をはかります。自社創製のてん した。2015 年3月期は、世界最大マーケットで 、 「 BELVIQ ® 」の適応拡大、新剤 「 Fycompa® 」 ダ、オーストラリアの6 つの国/地域をストラテ は、世界39カ国で承 かん治療薬「 Fycompa® 」 ある米国を中心に、これらのグローバルブラン 形の開発に積極的な資源投入を行ってまいり ジックマーケットと位置づけ、自社販売または 認取得済みであり、2015 年 3 月期は米国での ドの誕生・育成に向けて積極的に資源投入を ます。また、当社のパイオニア領域である認知 ローカルパートナーとの提携による患者様貢献 情報提供活動の強化、グローバルな新規上市 行ってまいります。 症治療においては、グローバルで神経変性疾 の拡大をめざしてまいります。 国の拡大などにより、てんかん治療のゴールド 当社グループは、研究開発活動をプロダクトク 患領域に強みを持つBiogen Idec Inc.との連 一方、当社グループは、新興国や開発途上国 スタンダードとしての地位確立をめざします。 リエーション (製品創出活動) と定義し、アンメッ 携により、次世代アルツハイマー型認知症治療 における医薬品アクセスの向上に積極的に取り 2013 年6月に米国で13 年振りの肥満症治療薬 ト・メディカル・ニーズを充足する医薬品を一日 剤であるBACE 阻害剤「 E2609」、および抗 組んでおります。これらの国々は、貧困や医療 は、2015 年 3 月期 として上市した 「 BELVIQ 」 も早く患者様にお届けするという使命を明確に ベータ ア ミ ロ イド プ ロ トフィブ リ ル 抗 体 システムの不整備などから、必要な医薬品が必 は疾患啓発活動をより積極的に行い、大型製品 し、新たな医薬品を生み出すイノベーションの創 の創出に向けて取り組みを加速い 「 BAN2401」 要とされる患者様のもとに届かないという医薬 ® ® 3 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 品アクセス問題を抱えております。当社グルー プは、医薬品アクセス向上への取り組みを単な る社会貢献ではなく、経済成長や中間所得層の 拡大による将来の新たな市場形成への長期的 な投資と捉え、企業理念であるヒューマン・ヘ 理念に基づき積極的かつ持続的 ルスケア (hhc ) に行っております。 その一環として、顧みられない熱帯病の一つ 国の経済状況や保険制度、患者様の所得水準な ると考えております。2016 年3月期より成長軌 皆様への説明責任を果たし、持続的な株主価 であるリンパ系フィラリア症を制圧するため、そ どを考慮して患者様が購入しやすい価格政策(ア 道に復するため、グローバルブランドの育成、 値の向上に努めてまいります。 の治療薬である 「ジエチルカルバマジン ( DEC ) を実施して フォーダブル プライシング ポリシー) プロダクトクリエーションの加速、アジア・スト 引き続き、hhc 理念のもと、持続的な企業価 錠」22 億 錠 を2020 年 まで 世 界 保 健 機 関 おります。近年、インドやアセアン地域において ラテジックマーケットの拡大などに積極的に資 値向上をめざしステークホルダーズ各位の負 に 「プライスゼロ (無償)」 で提供する契 ( WHO ) を上市するにあたり、アフォーダブ 「ハラヴェン 」 源投入を行います。また、配当につきましては、 託に応える所存です。今後ともご支援を賜りま 約を締結しております。2013 年 10 月には、自 ル プライシングを実現する新たなビジネスモデル DOE8%レベルを維持し、今後も資本コストを すようお願い申し上げます。 社インド・バイザッグ工場で製造した 「 DEC として、同一国内において患者様の所得水準に 上回る安定配当を行う方針です。当社は、積極 錠」 の出荷を開始いたしました。他の顧みられ 合わせた複数の価格設定政策 (ティアード プラ 投資と安定配当を両立する健全な財務状況を ない熱帯病、結核、マラリアに対する新薬開発 を導入いたしました。 「ハラ イシング ポリシー) 確保しております。2015 年3 月期においてNet にも取り組んでおり、これらを専門とする国際 が貢献する患者様数を大幅に拡大し、 ヴェン® 」 DERは0.1レベル、自己資本比率は55%レベル 的な非営利団体や研究所などとのパートナー 持続可能なビジネスモデルを実現いたします。 にまで改善する見込みです。自己資本は5,000 シップを積極的に推進しております。 株主価値を最大化するための財務戦略とし 億円を超え、安定配当をサポートできる実力を また、アジア各国において、当社が創出した革 ては、成長回帰のための積極投資、安定配当方 備えております。グローバルIR 戦略として、タ 新的新薬を早期に患者様にお届けするため、各 針、グローバルIR 戦略の3つの施策が重要であ イムリーかつフェアに情報を開示して投資家の ® 2014 年 8 月 代表執行役 CEO 4 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイが取り扱う主な製品と開発中の化合物 【医療用医薬品】 ルネスタ®(一般名:エスゾピクロン) ■ 神経領域 Sunovion Pharmaceuticals Inc.(大日本住友製薬(株)の米国子会 社) によって創製された、非ベンゾジアゼピン系のGABAA 受容体作動 連結売上高に占める売上高構成比 88.4%(2014 年 3 月期) アリセプト®(一般名:ドネぺジル) アルツハイマー型認知症治療薬 自社創製のアルツハイマー型認知症治療薬です。神経伝達物質アセチ ルコリンの分解酵素を阻害し、アルツハイマー型認知症の進行を抑制し ます。世界 90カ国以上で承認されています。 * 詳細は14-15 ページをご参照ください。 メチコバール ®(一般名:メコバラミン) 末梢性神経障害治療薬 自社創製のメコバラミン (生体内補酵素型ビタミンB12)製剤であり、 傷ついた末梢神経を修復する作用があります。末梢性神経障害治療 薬として日本やアジアで広く使われています。 不眠症治療薬 剤です。日本では、エーザイが独占的開発・販売権を獲得して開発を 進め、2012 年 4 月に上市しました。 開発中の化合物 BAN2401 アルツハイマー型認知症治療剤/ヒト化抗ベータアミロイド プロトフィブリルモノクローナル抗体 ( Aβ) Aβプロトフィブリルを除去することで、アルツハイマー型認知症の進 行を抑 制することが期 待される薬 剤です。エーザイは、BioArctic Neuroscience ABとのライセンス契約により、全世界におけるアルツ ハイマー型認知症を対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利 を獲得しています。 * 詳細は25 ページをご参照ください。 開発中の化合物 Aloxi®(一般名:パロノセトロン) 制吐剤 E5501 / AKR-501(一般名:avatrombopag ) 急性ならびに遅発性のがん化学療法に伴う悪心・嘔吐( CINV )予防 と、術後の悪心・嘔吐( PONV )予防の両適応を持つセロトニン3 受容 体拮抗剤です。2008 年 1 月の MGIファーマ社買収に伴い、エーザイ が米国で販売しています。 アルツハイマー型認知症治療剤/ BACE 阻害剤 AMPA 受容体拮抗剤 エーザイが次世代経口アルツハイマー型認知症治療剤として開発して いる、自社創製のBACE 阻害剤です。アミロイド前駆体タンパク質のβ サイト切断酵素であるBACEを阻害しAβを減少させることで、病態の 進行を抑制することを期待しています。 自社創製のAMPA 受容体拮抗剤であり、部分てんかんの併用療法に 加え、全般てんかんの適応取得をめざした開発を進めています。欧 州、米国など、39 カ国で承認されています。 * 詳細は24 ページをご参照ください。 BELVIQ®(一般名:ロルカセリン) 肥満症治療薬 Arena Pharmaceuticals, Inc. 創製の新規化合物であり、選択的に 脳内のセロトニン2C 受容体を刺激することにより摂食を抑制し、体 重を減少させると考えられています。米国では 、肥満症治療のため の処方薬として13 年振りに承認され、2013 年 6 月に上市しました。 * 詳細は25 ページをご参照ください。 E2006 不眠症治療剤/オレキシン受容体拮抗剤 自社創製の不眠症治療剤として開発中です。覚醒状態を維持するオレ キシン受容体に拮抗することで、自然な睡眠の誘発を期待しています。 ■ がん領域 * 詳細は18 ページをご参照ください。 リリカ®(一般名:プレガバリン) 痛治療薬 Pfizer Inc.が開発し、世界 100カ国以上で承認されている 痛治療薬 です。日本においては、ファイザー株式会社とエーザイが共同プロモー ションを行っており、本薬に関連する適正使用情報を提供しています。 ハラヴェン®(一般名:エリブリン) 抗がん剤/微小管ダイナミクス阻害剤 自社創製の抗がん剤であり、54カ国で承認を取得しています。クロイ ソカイメン由来のハリコンドリンBの合成類縁体で、微小管の伸長を阻 害し細胞周期を停止させることで抗腫瘍活性を示します。乳がんをは じめ、各種固形がんに効果を期待しています。 * 詳細は16-17 ページをご参照ください。 トロンボポエチン受容体のアゴニストで、血小板増加を促進させる経口 の新規化合物です。血小板減少を示す病状への効果を期待しています。 開発中の化合物 E7080(一般名:レンバチニブ) 抗がん剤/新規結合型選択的チロシンキナーゼ阻害剤 自社創製の新規結合型選択的チロシンキナーゼ阻害剤です。甲状腺が んでの開発に加え、肝細胞がん、非小細胞肺がんなどの複数のがん種 を対象に臨床試験が進行中です。 * 詳細は28 ページをご参照ください。 ■ その他 パリエット (米国名:アシフェックス 、 一般名:ラベプラゾール) ® 【一般用医薬品】 連結売上高に占める売上高構成比 3.6%(2014 年 3 月期) チョコラBBシリーズ 口内炎・肌あれに効き目のあるシリーズで、第 3 類医薬品、指定第 2 類 医薬品、指定医薬部外品、栄養機能食品など多数のラインナップを えています。 E2609 Fycompa®(一般名:ペランパネル) 血小板減少症治療剤/トロンボポエチン受容体作動剤 Chocola.com: http://www.chocola.com/product/index.html ® プロトンポンプ阻害剤 自社創製のプロトンポンプ阻害剤です。胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性 食道炎、ヘリコバクター・ピロリ除菌などの適応症で、世界 100カ国以 上で承認されています。 ワーファリン (一般名:ワルファリン) 【診断薬】 連結売上高に占める売上高構成比 1.0%(2014 年 3 月期) 診断薬事業は、エーザイの100%子会社であるエーディア (株) が担っ ています。エーザイとの連携により、診断と治療に関する情報と製品を お届けし、早期診断、早期治療、ならびに治療効果のモニタリングに貢 献することをめざしています。 経口抗凝固剤 ビタミンKに拮抗し、血液凝固因子の産生を阻害することにより抗凝固 作用を示します。日本では、1962 年の上市時より、成人における血栓 塞栓症の治療および予防として一般的に広く使用されています。 ヒュミラ®(一般名:アダリムマブ) ヒト型抗ヒトTNFα モノクローナル抗体 関節リウマチをはじめとする自己免疫疾患の炎症反応に関わる中心的 なタンパク質であるTNFα (腫瘍壊死因子α) を中和します。日本、韓 国、台湾では、エーザイとアッヴィ合同会社が共同開発および共同プ ロモーションを行っています。 【ジェネリック医薬品】 連結売上高に占める売上高構成比 3.9%(2014 年 3 月期) ジェネリック医薬品事業は、エーザイの100%子会社であるエルメッド エーザイ (株) が担っています。患者様貢献に加え、医療従事者の皆様 にも喜ばれる 「付加価値型ジェネリック医薬品」 を開発し、エーザイM Rとの連携の上、医療関係者の皆様へきめ細やかな情報提供活動を 行っています。 エーザイ製品について詳細はこちらから http://www.eisai.co.jp/products/index.html 開発中の化合物については23-29 ページもご覧下さい。 5 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 2014年3月期の実績 連結財務ハイライト 財務指標(日本基準) 億円 2014/3 2013/3 2012/3 2011/3 2010/3 2009/3 2008/3 2007/3 <損益計算書項目> 売上高 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6,004 5,737 6,480 7,689 8,032 7,817 7,343 6,741 売上原価 *1 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1,882 1,741 1,734 1,678 1,607 1,525 1,188 1,093 売上総利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4,122 3,996 4,746 6,011 6,424 6,293 6,155 5,648 研究開発費 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1,305 1,204 1,251 1,450 1,791 1,561 2,254 1,083 販売費及び一般管理費 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2,105 2,087 2,537 3,430 3,769 3,814 3,723 3,512 営業利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 711 705 957 1,131 864 918 177 1,053 経常利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 649 656 900 1,052 797 826 189 1,105 当期純利益(損失) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 330 483 585 674 403 477 (170) 706 キャッシュ・インカム*2 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 836 1,007 1,077 1,200 1,264 1,190 1,069 976 営業活動によるキャッシュ・フロー . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 857 732 906 1,232 1,079 1,050 732 812 投資活動によるキャッシュ・フロー . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 262 217 (26) (588) (698) (550) (4,764) (552) 財務活動によるキャッシュ・フロー . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . (1,148) (818) (780) (680) (492) (310) 3,754 (406) フリー・キャッシュ・フロー *3 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 664 545 714 1,003 529 593 (4,159) 286 <キャッシュ・フロー計算書項目> 損益計算書 研究開発費は、アルツハイマー型認知症治療剤として開発中のBACE 阻害剤「 E2609」 および抗ベータアミロイドプ 2014 年 3 月期の売上高は、成長ドライバーである抗がん剤「ハラヴェン® 」 、ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体 「ヒュミラ® 」 、 痛治療薬「リリカ® 」等が伸長し増収となりました。プロトンポンプ阻害剤「パリエット® 」 (米国製品名「ア シフェックス® 」 ) の売上高は914 億 11 百万円(前期比 15.7%減) 、アルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト® 」 の売 上高は827 億 48 百万円(同 12.2%減) となりました。がん関連領域製品の売上高は、1,008 億 81 百万円(同 0.5%増) 「 BELVIQ® 」 のグローバルでの開発・販売権獲得 *6 に伴う一時金支払い等により、前期から8.4%増加しました。販売 となりました。また、てんかん領域製品の売上高は、AMPA 受容体拮抗剤「 Fycompa® 」 も貢献し、244 億 7 百万円(同 と大幅に伸長しました。セグメント別には、中国をはじめとするアジア医薬品事業が前期比 40.6%増、日本 48.3%増) 医 薬 品 事 業のジェネリック医 薬 品が同 19.3 %増と売 上 高の増 加を牽引しました。なお、DNAメチル化 阻 害 剤 「 Dacogen® 」 の権利譲渡 *4 に伴う収入は、売上高に計上しています。 *1 売上原価には返品調整引当金繰入(戻入)額を含めて表示しています。 *2 キャッシュ・インカム ロトフィブリル抗体「 BAN2401」に関する共同開発・契約締結 *5 に伴う契約一時金を受け取る一方、肥満症治療薬 成長投資・事業開発、配当支払、借入返済等に使用可能なキャッシュの総額であり、企業の成長性・戦略を検証する尺度であると考えています。 算式:当期純損益+有形・無形固定資産減価償却費+インプロセス研究開発費+のれん償却額+減損損失(投資有価証券評価損含む) 費および一般管理費については、米国で新製品への積極的な投資を行う一方、共同販促に係る提携費用の減少等に より、売上高比率は35.1%(前期は36.4%) と改善しました。 以上の結果、営業利益は増益となりました。一方、当期純利益は特殊要因としてグローバルでの構造改革に伴う特 別損益の計上および復興特別法人税の1 年前倒し廃止に伴う税金費用の増加があり、減益となりました。 *3 *4 *5 *6 フリー・キャッシュ・フロー =(営業活動によるキャッシュ・フロー ) –(資本的支出等) http://www.eisai.co.jp/news/news201416.html http://www.eisai.co.jp/news/news201410.html http://www.eisai.co.jp/news/news201363.html 6 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 億円 財務指標(日本基準) 2014/3 2013/3 2012/3 2011/3 2010/3 2009/3 2008/3 2007/3 <貸借対照表項目> 総資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9,455 9,902 10,047 10,463 11,019 11,482 11,239 7,921 自己資本 *1 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5,068 4,694 4,168 4,042 4,159 4,280 4,489 5,525 研究開発費比率(%). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 21.7 21.0 19.3 18.9 22.3 20.0 30.7 16.1 自己資本当期純利益率( ROE ) ( %). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6.8 10.9 14.3 16.4 9.6 10.9 (3.4) 13.2 総資産利益率( ROA ) ( %). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3.4 4.8 5.7 6.3 3.6 4.2 (1.8) 9.2 <経営指標> 自己資本比率(%). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 53.6 47.4 41.5 38.6 37.7 37.3 39.9 69.7 負債比率( Net DER ) (倍) *2 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 0.14 0.27 0.38 0.49 0.62 0.63 0.64 ー 純資産配当率( DOE ) *(%). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8.8 9.6 10.4 10.4 10.1 9.1 7.4 6.4 ( EPS ) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 株当たり当期純利益(損失) 115.6 169.4 205.3 236.5 141.6 167.3 (59.8) 247.8 3 円 1 株当たり配当金( DPS ). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 150.0 150.0 150.0 150.0 150.0 140.0 130.0 120.0 (キャッシュEPS ) 1 株当たりキャッシュ・インカム *4 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 293.1 353.5 377.8 421.3 443.7 417.8 375.8 342.7 貸借対照表 国際会計基準( IFRS ) への移行について 2014 年 3 月期末の資産合計は、9,455 億円(前期末差 447 億 48 百万円減) となりました。現金及び預金と有価 エーザイは、企業理念であるhhc 理念のもと、日本、米州、欧州、アジアなどの広範な地域で医薬品事業を展開 証券の合計は主に社債の償還により減少し、受取手形及び売掛金は米国における減少が影響しました。また、有 しています。このような状況を踏まえ、財務情報の国際的な比較可能性の向上により、国内外の株主・投資家など 更等に伴い、それぞれ減少しました。 日本基準に替えて国際会計基準( IFRS: International Financial Reporting Standards ) による連結財務諸表の 形固定資産は美里工場の事業譲渡 *5 や資産効率化等により、繰延税金資産は将来減算一時差異の解消や税率変 負債合計は、4,345 億 59 百万円(同 813 億 86 百万円減) となりました。主な減少要因は、社債の償還および長 期借入金の返済、退職給付に係る負債に関する会計基準の変更によるものです。 純資産合計は、為替変動による海外子会社純資産の円換算額の増加等により5,109 億 41 百万円(同 366 億 37 百万円増) となり、自己資本比率は53.6%(同 6.2 ポイント増) となりました。また、負債比率( Net DER ) は、有利 子負債の減少に加え、自己資本が増加したことにより、前期末に比べ 0.13 ポイント改善し0.14 倍となりました。 *1 自己資本=純資産−少数株主持分−新株予約権 *2 負債比率( Net DER )=(有利子負債(借入金+社債)−現預金ー有価証券)/自己資本 *3 純資産配当率( DOE )=配当性向( DPR ) 自己資本当期純利益率( ROE ) の様々なステークホルダーズの皆様の利便性を高めることを目的として、2015 年 3 月期の第 1 四半期より、従来の 開示を行っています。 財務諸表等、詳細な財務情報は、決算短信をご参照ください。 http://www.eisai.co.jp/pdf/ir/repo/2014Q4_51.pdf (キャッシュEPS ) =キャッシュ・インカム 期中平均株式数(自己株式控除後) *4 1 株当たりキャッシュ・インカム *5 http://www.eisai.co.jp/news/news201372.html 7 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 2014年3月期の実績 セグメント別の情報 薬粧 -日本 その他 3.6% 2014 年 3 月期決算の概要[日本基準] 3.1% EMEA 医薬品事業 5.4% アジア 医薬品事業 です。 「ヒュミラ® 」 の売上高は287 億 69 百万円 (同19.2%増) 、 「ハラヴェン® 」 の売上高は64 億 、ファイザー株式会社と共同販促を展開している 「リリカ® 」 の共同販 24 百万円(同17.2%増) (同40.2%増) といずれも二桁成長となりました。一方、 「アリセプ 促収入は194 億 32 百万円 ト® 」 の売上高は650 億 50 百万円 (同10.2%減) 、 「パリエット® 」 の売上高は473 億 46 百万円 (同5.4%減) とそれぞれ減収となりました。 日本 医薬品事業 セグメント別 売上高 9.7% 日本医薬品事業 (医療用医薬品、ジェネリック医薬品、診断薬) 売上高は3,106 億 79 百万円 (前期比0.9%増) 、セグメント利益は1,546 億 63 百万円 (同 となりました。売上高の内訳は、医療用医薬品が2,812 億94 百万円 (同0.3%減) 、 11.4%増) ジェネリック医薬品が234 億 7 百万円 (同19.3%増) 、診断薬が59 億 76 百万円 (同0.2%減) 51.7% アメリカス 医薬品事業 26.5% セグメント別売上高 日本 医薬品事業 . . . . . . . . . アメリカス 医薬品事業 . . . . . . うち、米国 医薬品事業 . . . . アジア 医薬品事業 . . . . . . . . EMEA 医薬品事業 . . . . . . . . 薬粧 -日本(一般用医薬品等). その他の事業 . . . . . . . . . . . . 連結売上高 . . . . . . . . . . . . . 2013 年 3 月期 ....... ....... ....... ....... ....... ....... ....... ....... 3,078 1,533 1,530 413 258 211 244 5,737 構成比(%) 53.7 26.7 26.7 7.2 4.5 3.7 4.3 100.0 2014 年 3 月期 3,107 1,589 1,583 580 325 215 188 6,004 構成比(%) 51.7 26.5 26.4 9.7 5.4 3.6 3.1 100.0 前期比(%) 100.9 103.6 103.4 140.6 125.9 102.2 76.7 104.7 (注)外部顧客に対する売上高です。 セグメント別利益 日本 医薬品事業 . . . . . . . . . アメリカス 医薬品事業 . . . . . . アジア 医薬品事業 . . . . . . . . EMEA 医薬品事業 . . . . . . . . 薬粧 -日本(一般用医薬品等). その他の事業 . . . . . . . . . . . . 事業計 . . . . . . . . . . . . . . . . . 研究開発費 . . . . . . . . . . . . . 親会社の本社管理費等 . . . . . 連結営業利益 . . . . . . . . . . . . 海外売上高 2013 年 3 月期 ....... ....... ....... ....... ....... ....... ....... ....... ....... ....... 1,389 357 78 20 39 117 1,999 1,204 91 705 構成比(%) 69.5 17.8 3.9 1.0 1.9 5.9 100.0 2014 年 3 月期 1,547 303 128 41 43 59 2,119 1,305 103 711 輸出を含む海外での売上高は2,437 億円であり、海外売上高比率は40.6%となりました。 構成比(%) 73.0 14.3 6.0 1.9 2.0 2.8 100.0 前期比(%) 111.4 84.9 165.0 201.5 111.1 50.1 106.0 108.4 113.5 100.9 億円 増減額 29 56 52 168 67 5 △57 267 億円 増減額 158 △54 50 20 4 △59 120 102 12 6 アメリカス医薬品事業(北米、中南米) 売上高は1,589 億 14 百万円 (前期比3.6%増) となりました。また、セグメント利益は、新製 (同15.1%減) となりました。 品への投資を積極的に行ったことにより、302 億62 百万円 「アシフェックス® 」の売上高は2013 年 11月の独占販売期間満了の影響を受け377 億 11 百万円 (同26.6%減) 、 「アリセプト® 」 の売上高は39 億 35 百万円 (同64.3%減) 、 「ハラヴェン® 」 (同14.7%増) となりました。2013 年6月に米国において上市した の売上高は133 億51 百万円 の売上高は25 億 23 百万円となりました。なお、 「 Dacogen® 」 の権利譲渡に伴う収 「 BELVIQ® 」 入は、アメリカス医薬品事業の売上高に計上しています。 アジア医薬品事業(中国、韓国、台湾、インド、アセアン等) 売上高は580 億 41 百万円 (前期比40.6%増) 、セグメント利益は127 億 89 百万円 (同65.0% (同45.6%増) 増) となり、全社の成長を牽引しました。そのうち、中国の売上高は318 億2 百万円 と大幅に伸長しました。 の売上高は119 億63 百万円 (同48.2%増) 、 「ヒュミラ® 」 の売上高は67 億99 「アリセプト® 」 百万円 (同38.8%増) 、 「パリエット® 」 の売上高は56 億95 百万円 (同32.0%増) 、 「ハラヴェン® 」 (同376.5%増) となりました。 の売上高は4 億98 百万円 EMEA 医薬品事業(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア) 売上高は324 億 63 百万円 (前期比25.9%増) 、セグメント利益は40 億 50 百万円 (同101.5% 増) となりました。 (同61.1 %増) と大幅に伸長しました。また、 「ハラヴェン® 」の売上高は86 億 74 百万円 の売上高は13 億 87 百万円 (同156.9%増) となり、てんかん領域の成長に貢献し 「 Fycompa® 」 「パリエット® 」の売 上 高は、それぞれ、17 億 98 百 万円 (同 ています。一 方、 「アリセプト® 」 、6 億58 百万円 (同75.3%減) となりました。 34.2%減) 薬粧事業(日本) 売上高は215 億11 百万円 (前期比2.2%増) 、セグメント利益は42 億86 百万円 (同11.1%増) (同7.4%増) となりました。 となりました。チョコラBBグループの売上高は119 億81 百万円 8 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 企業理念 エーザイは、いち早く企業理念を定款に明記した会社です。 2005 年、エーザイは企業理念そのものを会社の定款に盛り込みました。定款の第1 章第 2 条には、理念が明記され、現在では、企業理念がエーザイの社員一人ひとりに浸透し、 共有されています。その上で、企業理念の実現をめざして様々な取り組みを続けています。 エーザイは、医療の主役が患者様とそのご家族、生活者であること 企業理念 を明確に認識し、そのベネフィット向上を通じてビジネスを遂行する ことを企業理念に掲げています。 この理念を一言に集約したものをhhc(ヒューマン・ヘルスケア) 理 念と呼んでいます。社員一人ひとりが患者様の傍らに寄り添い、患者 様の目線でものを考え、言葉にならない想いを感じ取ることが重要 であると考えています。そして、すべての社員が就業時間の1%を患 者様とともに過ごすことを推奨しています。 の文 エーザイの企業理念ロゴとして使われている手書きの 「hhc 」 字は、近代看護教育の生みの親であるフローレンス・ナイチンゲール (1820 ∼1910 年、英国) の直筆のサインからデザインしたものです。 「たとえば、ナイチンゲールだったら、どうするだろう」 私たちは、彼女の直筆の文字をモチーフにしたこのマークを見る たびに、いつも自分たちに問いかけています。 エーザイの依って立つ基盤、実現したい姿を株主の皆様と共有して、 患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する 定款 第 2 条 本会社は、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのべネフィット向上に貢献する ことを企業理念と定め、この企業理念のもとヒューマン・ヘルスケア (hhc )企業をめざす。 ② 本会社の使命は、患者様満足の増大であり、その結果として売上、利益がもたらされ、この使 命と結果の順序を重要と考える。 ③ 本会社は、コンプライアンス (法令と倫理の遵守) を日々の活動の根幹に据え、社会的責任の遂 行に努める。 ④ 本会社の主要なステークホルダーズは、患者様と生活者の皆様、株主の皆様および社員である。 本会社は、以下を旨としてステークホルダーズの価値増大をはかるとともに良好な関係の発展・ 維持に努める。 1.未だ満たされていない医療ニーズの充足、高品質製品の安定供給、薬剤の安全性と有効性 を含む有効性情報の伝達 事業運営にあたるために、2005 年6月の株主総会において定款の一 2.経営情報の適時開示、企業価値の向上、積極的な株主還元 部変更を行い、株主の皆様のご賛同を得て企業理念を条文として設 3.安定的な雇用の確保、やりがいのある仕事の提供、能力開発機会の充実 けました。 のマークは、ナイチンゲールの直筆サインをもとにデザインされたものです。治療する側の hhc(human health care ) 発想だけでなく、ベッドの上にいらっしゃる人びとの視線で医療を見つめることの大切さ。みずから志し傷ついた人の 看護に身を捧げた彼女の行動のあり方に、エーザイの想いが込められています。 9 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイは、CSRやCSVから進化した hhc というビジネスモデルのもとで日々活動しています。 エーザイの使命は、患者様満足の増大です。売上 、利益はあくまでその結果であり、この 「使命と結果の順序」 が重要だと考えています。患者様満足の増大を企業の唯一の使命と するhhc というビジネスモデルのもと、エーザイは日々活動しています。 エーザイでは、医療の主役である患者様と生活者の皆様のベネ フィットを向上するための活動をhhc 活動と呼んでいます。hhc 活動 とは、特定のプロジェクトではなく、日々の業務活動そのものです。 hhc 理念は、社員一人ひとりが日常業務のhhc 活動の中で実現すべ きものなのです。 例えばCSR(Corporate Social Responsibility) は、ビジネスや企 業価値に必ずしも寄与しない支援などの慈善活動や社会貢献活動も 含む企業の社会的責任をさすとも解釈されます。また、CSV( Creating Shared Value)は、社会価値と経済価値を同時に実現するという一 歩進んだビジネスモデルと言われています。 一方、エーザイが掲げるhhc 理念は、患者様貢献という社会価値 創造を唯一の使命としています。エーザイは、定款の第 1 章第 2 条に おいて、 「本会社の使命は、患者様満足の増大であり、その結果とし て売上 、利益がもたらされ、この使命と結果の順序を重要と考える」 と規定しています。経済価値と社会価値を同時追究する経営モデル とは異なり、まず、利益創出ではなく、患者様満足の増大という社会 価値創造を唯一の目的として掲げ、継続的な組織変革と活動を繰り 返しながら、結果として売上や利益である経済価値を創出する経営 モデルがhhc です。 hhc 理念を、一人の想いだけでなく共通の価値観として認識し、 それぞれの日常業務の中で具現化するために、社員一人ひとりが各 部門・組織におけるhhc 活動に日々取り組んでいます。 CSR: Corporate Social Responsibility • 価値は「善行」 CSV: Creating Shared Value • 価値はコストと比較した 経済的便益と社会的便益 hhc: human health care • 価値は共通善 • シチズンシップ、 • 企業と地域社会が共同で • 地域社会ニーズに合わせ • 任意、あるいは外圧によって • 競争に不可欠 • 競争にこだわりを持たない • 利益の最大化とは別物 • 利益の最大化に不可欠 • テーマは、外部の報告書や • テーマは企業ごとに異なり、 フィランソロピー、持続可能性 個人の嗜好による • 企業の業績やCSR 予算の 制限を受ける • 例えば、フェアトレードで 購入する 価値を創出 内発的である • 企業の予算全体を再編成する • 例えば、調達方法を変えて 品質・収穫量を向上させる 企業が共同で価値を創出 • 利益は目的である共通善の 結果として得られる • テーマは企業ごとに 共有される • 企業の日常業務予算として 組み込まれている • 例えば、バリューチェーンに 顧客ニーズをインプット 出典:Micheal E. Porter: Creating Shared Value, Harvard Business Reviewなどよりデロイト CSR / CSV 作成 利益創出よりも大義である経営目標を掲げて組織を変革し、経済価値と社会価値を同時追求する経営モデル ( CSV ) から、 hhc は社会価値創造を唯一の目的とし、結果として経済価値を創出します。 10 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイの価値創造のプロセスとフロー(編集方針) エーザイでは企業理念の実現を通して企業価値の向上をはかるために、顧客、株主、地域の皆様など幅 一方、事業活動によりどのようにして価値が創出されるのかといった 価値創造のフロー については、 広いステークホルダーズの皆様との信頼関係の構築に努め、 「患者様価値」 「株主価値」 「社員価値」 の最大 バランスト・スコアカード*2の4つの視点(学習と成長の視点、顧客の視点、内部ビジネス・プロセスの視点、 化、ならびに企業の社会的責任の遂行を経営における重要課題と捉え、企業活動を展開しています。 財務の視点) に基づき、最終的には財務の視点にフォーカスした形で把握することで、投資家・株主の皆 企業活動により創出された価値は、 「資本」 として蓄積され、ビジネスモデルを通じて増減し、変換されま 様への企業価値向上のルートを説明する形をとっています*3、*4。 す。ここでいう資本は、財務的な資本だけでなく、組織が利用し、影響を与えるあらゆる資源および関係を 以上より、本レポートでは、IIRCのフレームワークとバランスト・スコアカードを包含した、新しい価値 総称しています。本レポートでは、IIRC( International Integrated Reporting Council 、国際統合報告評 創造のプロセスとフローのモデルを取り入れました 議会) が2013 年 12月に公表したフレームワーク* に則り、エーザイの資本を6つに分類(知的資本、製造 果の連続順 資本、人的資本、社会・関係資本、自然資本、財務資本) し、解説します。 基づき、エーザイの持続的な価値創造について説明します。 1 また、資本を投入して事業活動を行い、付加価値を創出し、インプットした以上に資本を増加させるプロ セスを、 価値創造のプロセス として本レポートでは捉えています。この考え方は、IIRCのフレームワーク に準拠しています。 図表 1 図表 2 図表 1 *1 IIRC, 2013, The International IR Framework , International Integrated Reporting Council *2 Kaplan, Robert. S. and Norton David. P., 1996, Using The Balanced Scorecard as a Strategic Management System , Boston, MA: Harvard Business Review, January-February, 1996 *3 Jensen, Michael C., 2002, Value Maximization, Stakeholder Theory, and The Corporate Objective Function . Business Ethics Quarterly 12(2) *4 Porter, M.E. and M.R.Kramer.2011, Creating Shared Value , Harvard Business Review, June pp8-31 エーザイの価値創造のプロセスとフローのモデル * 図表 2 資本(ストック) の増加 6 つの資本( IIRCのフレームワークをベースに定義) • 知的資本:パイプラインや知的財産など知識ベースの無形資産 • 製造資本:製品の生産またはサービス提供に利用される設備 • 人的資本:人財の能力や経験およびイノベーションへの意欲 • 社会・関係資本:共通善を目的とし、社会やステークホルダー ズと信頼関係を築く体制 • 自然資本:企業活動を支え、企業活動により影響を受ける環 境資源とプロセス • 財務資本:企業活動を行うために使用できる資金のプール 4つの視点(バランスト・スコアカードをベースに定義) • 学習と成長の視点:企業理念であるhhc 理念の実現のために、 変革と改善を可能にする社員や組織の能力をいかに向上、持続 するか • 顧客の視点:患者様の満足のためにどのように行動すべきか • 内部ビジネス・プロセスの視点:ビジネスモデルのどこが秀で るべきか、またはどこを変革すべきか • 財務の視点:財務的に成功するため、および企業価値を高め るためにどのように行動すべきか 「管理会計の視点から見た統合報告」 『 企業会計』、2014 年 5 月号 * 伊藤和憲、2014 年、 。これはエーザイの企業理念に基づく目的と結 とも合致したものといえます。本稿では、この価値創造のプロセスとフローのモデルに IIRCフレームワークに基づく 企業理念 hhc(ヒューマン・ヘルスケア) 価値創造のプロセス 基づく価値創造のフロー 自然資本 製造資本 学習と成長の視点 人的資本 人的資本 顧客の視点 内部ビジネス・ プロセスの視点 リスクと 機会 戦略と 資源配分 財務の視点 財務資本 実績 顧客満足 知的資本 バランスト・スコアカードに 製造資本 社会・関係資本 ストック ビジネスモデル 知的資本 目的 顧客の創造と維持 ガバナンス ストック 企業理念に基づく 目的と結果の連続順 社会・関係資本 自然資本 事業活動 結果 売上、利益、… 財務資本 見通し 出典:嶋口充輝氏の理論に基づき作成 11 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 外部環境と戦略 グローバルな環境変化とグローバル・ビジネス・マトリクス体制への移行 医薬品市場の環境変化と事業機会の拡大 グローバル・ビジネス・マトリクス体制への移行 図表 1 医薬品の世界同時開発は今や一般的となっています。臨床試験は複数のリージョンで実施され、世界 グローバル化が進展する世界医薬品市場において、国単位でポリシーや戦略を立てることは、大きな で同時に承認申請がなされるようになっています。また、価格や保険償還で世界市場はつながっています。 リスクを負うことになります。各国の状況を勘案し、グローバルに統一されたブランド戦略のもとで製品 一国でつけられた価格は、国際的な価格参照スキームのもとで全世界に影響を及ぼします。加えて、メディ 価値を最大化することが重要となります カルプラクティスも標準化が進んでいます。著名な学会には多くの専門医が一堂に会し、同じプレゼンテー このため、エーザイは、2014 年5月より、オンコロジー(がん) とニューロロジー(神経) の2 領域のグロー ション、同じデータを参照します。著名な医学雑誌は、国境を越えて多くの医師に読まれています。また、 バルビジネスユニットと、日本、アメリカス、アジアおよびEMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア) 世界の主要機関における全体的な傾向として、承認医薬品数は増加し、新薬審査期間は短縮傾向にあり の4リージョンとのマトリクスによる、グローバル・ビジネス・マトリクス体制を導入しました ます グローバルビジネスユニットは各リージョンと密接に連携し、リージョンや国の現場知と経験に基づい 図表 2 。 このような環境変化のもと、製薬産業における事業機会はグローバルに拡大していると考えられます。 図表 1 。 図表 3 。 て統合されたブランド戦略を立案、実施します。また、CEOをチェアマンとするグローバルビジネスコミッ ティのもと、グローバルビジネスユニットおよびリージョンにまたがる様々な課題解決をはかります。 この体制のもと、グローバルブランド戦略とローカルマーケティング力の相乗効果を最大化し、企業理 念であるhhc 理念の実現、イノベーションの創出、アクセスの拡大に取り組んでいきます。 図表 1 グローバル・ビジネス・マトリクス体制への 移行の背景 図表 2 FDA 、EMA 、PMDA 承認数と審査期間の推移 承認数 *1 ・世界同時開発が Common Practiceとなっている ・世界の市場は価格政策/保険償還でつながっている ・メディカルプラクティスの標準化が進行している ・審査当局、保険償還当局は国際連携を強めている ・Universal Health Coverageはグローバルに拡大する したがって、国ごとのバラバラな戦略は様々なリスクをもたらす 図表 3 グローバル・ビジネス・マトリクス体制 グローバルビジネスコミッティ 平均審査期間 *2(中央値) (月数) 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 FDA 24 20 21 30 39 10.9 12.0 9.9 10.0 10.0 アメリカス EMA 10 21 15 25 35 13.1 13.6 13.9 15.4 15.9 PMDA 34 25 33 38 45 19.1 24.1 20.0 12.1 10.1 エーザイ アメリカス グローバル オンコロジー オンコロジー ビジネスユニット 延べ承認数/ 審査期間の平均 68 66 69 93 119 14.4 16.6 14.6 12.5 12.0 *1 出典: 承認数は、FDA( U.S. Food and Drug Administration )のホームページ参照、EMA( European Medicines アメリカス ニューロロジー EMEA* EMEA グローバルブランド戦略のもとに展開することが重要 を参照 *2 医薬産業政策研究所 リサーチペーパー・シリーズ No. 62(2014 年 1 月) また、FDAとPMDAの平均審査期間はNMEでのカウント、EMAの平均審査期間は全品目でのカウント アジア 日本 日本 オンコロジー オンコロジー オンコロジー hhc ユニット EMEA アジア ニューロロジー 日本 グローバル 地域包括 ニューロロジー hhc ユニット ビジネスユニット ニューロロジー は、2008-2009 年はEvaluatePharmaに基づき社内推計、2010-2012 年はEMAホームページ参照、PMDA Agency ) (独立行政法人 医薬品医療機器総合機構) は医薬産業政策研究所 リサーチペーパー・シリーズ No.62(2014 年1月) 各国の状況を勘案し、統一された アジア * 欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア エーザイ 12 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 外部環境と戦略 2大ブランド企業からマルチブランド企業へ これまでのグローバル事業の柱としてエーザイを支えてきたのは、アルツハイマー型認知症治療薬「ア また、地域的には日米欧などの先進諸国に加え、高 リセプト 」 とプロトンポンプ阻害剤「パリエット /アシフェックス 」 の2 大ブランドです い成長力を示しているアジアにおいて事業のさらなる ® ® ® 図表 1 。 図表 1 2 品の合計売上高は、ピーク時の2010 年 3月期には4,708 億円、連結売上高の50%以上を占めていま 基盤強化をめざしていきます。また、ロシア、ブラジル、 した 中東、メキシコ、カナダ、オーストラリアの6つの国/地 図表 2 。しかし、2 品ともに日米欧で独占販売期間が終了したことから売上高は減少し、2014 年 3 エーザイは、再び成長軌道へ回帰するため、新たなグローバルブランド育成に取り組んでいます。抗が け、新たな事業展開に取り組んでいきます。 ん剤「ハラヴェン 」 、てんかん治療薬「 Fycompa 」 、肥満症治療薬「 BELVIQ 」 のさらなる成長と拡大、 大きなポテンシャルを持つグローバルブランド、アジ 抗がん剤「レンバチニブ (一般名) 」 、血小板減少症治療剤「 avatrombopag(一般名) 」 、不眠症治療剤 アビジネスおよびストラテジックマーケットでの急成長 ® ® 「 E2006」 のグローバルでの早期上市・拡大を実現してまいります。これらのグローバルブランド 図表 1 図表 3 売上高比率推移 100 7,817 8,032 7,689 6,741 6,000 5,002 5,330 54% 55% 6,013 58% 63% 80 6,480 64% 59% 5,737 59% 6,004 60 56% 20 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 3月期 アリセプト (左軸) パリエット /アシフェックス (左軸) その他(左軸) 2 品合計構成比(右軸) ® 。 ® 図表 4 ビジネスモデルの変革が必要 グローバルブランド、アジアビジネス、ストラテジックマーケットで 2019 年 3 月期 4,000 億円レベルのアップサイドの貢献 (億円) ストラテジックマーケット 4,000 ストラテジック マーケット レンバチニブ (一般名) 2019 年 3 月期 目標売上収益レベル 250 億円 3,000 アジアビジネス avatrombopag (一般名) 2019 年 3 月期 目標売上収益レベル 1,200 億円 E2006 29% 2,000 ® 図表 4 40 35% 0 のブランドを確立することこそが成功への となる 2,000 42% 4,000 現在開発中の化合物 (%) 10,000 7,343 プサイドの貢献を見込んでいます 注力しているグローバルブランド すでに上市されている薬剤 2 品合計売上高ピーク 2010 年 3 月期 4,708 億円 8,000 世界市場において同時にかつタイムリーにそれぞれ 。 図表 2「アリセプト® 」 、 「パリエット® /アシフェックス® 」 の (億円) マルチブランド企業 を果たし、2019 年3月期までに4,000 億円レベルのアッ 図表 3 による成長をめざすマルチブランド企業へ転換するために、製品価値極大化に向けた資源の投入と事業 体制の変革を推進していきます (アリセプト 、パリエット® /アシフェックス® ) 域を戦略的に重要なストラテジックマーケットと位置づ 月期の2 品合計売上高は1,742 億円となりました。 ® 2 大ブランド企業 ® アジア ビジネス 1,000 グローバルブランド 0 0 2019 年 3 月期 目標売上収益レベル * グローバル ブランド 2013年 3月期 2014年 3月期 2015年 3月期 2016年 3月期 2017年 3月期 ハラヴェン® Fycompa® BELVIQ® レンバチニブ アジアビジネス ストラテジックマーケット 2018年 3月期 2,850 億円 2019年 3月期 avatrombopag E2006 * グローバルブランドの目標売上収益には、ストラテジックマーケット、アジアビジネスの目標売上収益との重複分約 300 億円を含む 13 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイ独自のビジネスモデル アリセプト® アルツハイマー型認知症治療薬のゴールドスタンダード 世界 90 カ国以上で承認取得(2014 年8月現在) 2013 年に英国ロンドンで開催された 「 G8 認知症サミット」 では、日本における認知症に対する先 進的な取り組みが紹介され、大きな注目を浴びました。日本では、2025 年までに新たな治療法を確 立するための取り組みや、新しい認知症ケアと予防のモデルづくり、また、介護者のQOL(クオリティ・ ニーズの高い認知症治療分野 オブ・ライフ) を向上させるための取り組みが行われています。 世界保健機関( WHO ) の認知症報告書による患者数の推移予測によると、全世界で高齢化の進 エーザイは、アルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト® 」 を柱に認知症薬物治療の道をグローバ 展に伴い認知症の患者様は著しく増加し、特に新興国ではこれから患者様が増えることが予測され ルに切り拓いてきました。認知症治療のパイオニアとして、引き続き 「アリセプト® 」 の価値最大化と、 ています。 次世代治療薬の開発に取り組んでいきます。 学習と成長の視点 日本国内における約 312 万人 *1 のアルツハイマー型認知症患者様のうち、薬物治療が施されていない (エーザイ社内推計) 。エーザイでは患者様とそのご家族のベネフィッ 患者様は約200 万人いらっしゃいます だけができることを徹底的に追究しています。 ト向上のために、引き続き 「アリセプト® 」 エーザイでは、国内事業活動の大きなテーマの一つとして、2008 年より、認知症になっても安心して 暮らせるまちづくり活動を推進しています。認知症領域のリーディング企業の責務として、社員が認知症 サポーター *2 の資格を取得することを奨励しており、MRをはじめとした多くの社員が同資格を有し、地 域社会の一員としての貢献に努めています。2014 年 2月には、エーザイ本社のある東京都文京区の協力 のもと、役員ならびに社員を対象とした認知症サポーター養成講座を実施し、約 700 名の社員が参加し ました。 *1 全国10 市町における65 歳以上の住民計9,000 人を対象に行われた厚生労働科学研究費補助金事業の研究報告で、認知症患者様462 万人の うち67.6%がアルツハイマー型認知症と推定。 *2 認知症サポーターとは、家庭や職場で認知症に理解のある人を増やすため、厚生労働省と全国キャラバン・メイト連絡協議会が始めたボラン ティア制度です。認知症サポーター養成講座の受講者を 「認知症サポーター」 と称し、2013 年末までに、全国で475 万人が養成されています。 携し、患者様にやさしい 「まち」 を実現することです。病気の早期診断や治療へのアクセスが十分に確保さ れ、寝たきりになる方がひとりでも少なくなるようなまちづくりをめざしています。 の開発・販売から得た経験を活かし、認知症になっても安心して暮らせるまちづくりに 「アリセプト® 」 向けて一般の方々を対象とした、認知症フォーラムの開催、介護マニュアルの作成、地域ネットワークづ くりの支援などに取り組んできました。 現在、多くの社員が、全国各地で医療のみならず介護・福祉の面から地域が抱える課題の把握に努め、 課題解決に向けた取り組みを展開しています。 ■ 介護マニュアルの作成(米国) 保健・医療・福祉関係の方々と協力し、介護に携わる方々を対象としたマニュアルを作成しています。 ■ イエローブレスレット普及活動(中国) 認知症の方のために連絡先を明記できるブレスレット5 万個を製作し、医療機関を通じて無償で配布する 活動を展開しています。認知症の方々を見守るまちづくりにつながる活動として、中国のメディアにも取り上 顧客の視点 ■ まちづくり げられました。 ■ 適応症と剤形による価値の創造 エーザイでは、国内の事業活動の大きな目標の一つとして、認知症になっても安心して暮らせるまちづ 日本では、1999 年に 「アリセプト® 」 を上市して以来、今日に至るまで、 くりを掲げています。 様々なニーズに合致した製剤としてフィルムコート錠、細粒剤、口腔内崩 エーザイの考えるまちづくりとは、医療・介護の専門家や行政・自治体、そして地域の住民の方々が連 壊錠、ゼリー剤、ドライシロップ剤を開発してきました。現在、さらなる患 14 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 者様貢献をめざし、高用量製剤やパッチ製剤を開発中です。 適応症についても、日本では2007 年に高度アルツハイマー型認知症の新効能・新用量追加の承認を 取得し、軽度から高度までのすべてのステージのアルツハイマー型認知症患者様の治療に貢献すること が可能となりました。また、2013 年 10月には、アルツハイマー型認知症、血管性認知症と並んで3 大認 知症に位置づけられるレビー小体型認知症についても、効能・効果の追加申請を行いました。ダウン症 候群の退行様症状を対象としたフェーズⅡ試験も日本で実施中です。 財務の視点 「アリセプト® 」 は、1997 年の米国での上市以来、長年主力製品としてエーザイを支えてきました。ピー ク時の2010 年 3月期には、グローバル売上高は3,228 億円、連結売上高に占める割合は40%でした。し かし、米国で2010 年、欧州で2012 年に特許が満了したため、ジェネリック医薬品の影響を受けて大幅に 「アリセプト® 」のグローバル売上高は827 億円(前期比 売上が減少しました。2014 年 3月期における 、連結売上高に占める割合も14%に低下しています 88%) 図表 1 。 は、現在においてもエーザイの主力製品であることに変わりはありません。日本 しかし、 「アリセプト® 」 国内においては、欧米同様にジェネリック医薬品の影響はあるものの、認知症治療のパイオニアとしての 内部ビジネス・プロセスの視点 の売上高を確保しました。また、ア アドバンテージを活かし、2014 年 3月期には650 億円(前期比 90%) エーザイでは、患者様の受診行動やニーズを熟知し、患者様満足を充足することにフォーカスした活 ジアでは、日米欧と同様、多くの国々ですでに特許満了を迎えていますが、疾患啓発活動や適応拡大、新 「地域 動を強化するため、2014 年 4月より、国内医薬品事業のビジネスモデルを抜本的に見直しました。 となりました 剤形の開発などの取り組みが奏功し、2014 年 3月期の売上高は120 億円(前期比 148%) では、各地域の患者様の受診行動に密着した活動を展開していますが、未だに多数の 包括hhc ユニット」 を最重要品目と位置づけて取り組み 未治療の認知症患者様がいらっしゃる現状を踏まえ、 「アリセプト® 」 図表 2 。日本、アジアでの取り組みを通じて、2015 年 3月期のグローバル売上収益は755 億円となる見 通しです。 を行っています。 図表 1 売上高に占める 「アリセプト® 」 の割合 図表 2「アリセプト® 」リージョン別売上高構成比 14% 2% 欧州 9% 40% 2010 年 3月期 アジア 2014 年 3月期 日本 2010 年 3月期 29% アジア EMEA 2% アメリカス 5% 14% 日本 2014 年 3月期 北米 60% 連結売上高 売上高 「アリセプト® 」 8,032 億円 3,228 億円 連結売上高 売上高 「アリセプト® 」 6,004 億円 827 億円 売上高 3,228 億円 売上高 827 億円 79% 15 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイ独自のビジネスモデル ハラヴェン® 天然物の力と高度な有機合成技術力にこだわった自社創製の抗がん剤 「ハラヴェン® 」 は、海洋生物「クロイソカイメン」 に存在する、ハリコンドリンBという強い抗腫瘍活性 を持つ天然物に由来します。600kgのクロイソカイメンから単離できるハリコンドリンBはわずか 図表 1 「ハラヴェン® 」 の発明・発見の経緯 Me 12.5mgと非常に希少な天然物です。エーザイは高度な有機合成技術を駆使して、ハリコンドリンBの HO (一般名:エリブリン) として商業的に合成することに成 構造を医薬品として最適化し、 「ハラヴェン® 」 HO の合成は、極めて難度が高く、 『現代 功しました。分子量が大きく複雑な構造をしている 「ハラヴェン® 」 有機合成化学の最高傑作』 とも評されています 図表 1 。 O O H H O H O O H O H H H Me O 海洋生物「クロイソカイメン」 O H O Me O O O OO O O ハリコンドリンB 医薬品として最適化 乳がんの適応症で2010 年 11月に米国で承認を取得し、2014 年 8月時点で世界 54カ国にて承認を 「ハラヴェン® 」 (一般名:エリブリン) 取得しています。 HO H2N ・分子量:826 ・不斉炭素:19 個 ・全合成工程数:62 工程 MsOH MeO O O H O H O O Me O O H O O ● 不斉炭素 図表 2「ハラヴェン® 」 の乳がんにおける現在の適応(2014 年 8 月現在) 学習と成長の視点 乳がんの診断・治療は、新しい技術や薬剤の開発により年々進歩していますが、転移性乳がん治療に おいては、依然として高いアンメット・メディカル・ニーズが存在しています。エーザイは、がん患者様と そのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上に、より一層貢献していきます。 そのためには、患者様の想いを知ることが重要であり、研究開発や生産など、どの部門の社員であっても、 乳がん患者様や過去に乳がんを患った経験がある方々との交流といった活動を積極的に行うことで、患 者様視点に立ったビジネスを意識し、日々の業務を推進しています。 顧客の視点 図表 2 局所進行性・転移性乳がんで、最初に行われ 日本 手術不能又は再発乳癌 ます。ファーストライン治療が効かない場合、ある 米国 局所進行性・転移性乳がんサードライン以降 の抗がん剤で 「セカンドライン治療」 を行います。 欧州 局所進行性・転移性乳がんセカンドライン以降 * る抗がん剤治療を 「ファーストライン治療」 といい いは治療後にがんが再発した場合は、別の種類 同様に、セカンドライン治療の次に行う治療を 「サードライン治療」 と呼びます。 図表 3「ハラヴェン ■ 適応拡大、新製剤開発による患者様貢献の拡大 現在の乳がんでの適応は H HO が届き、集中的に攻撃することで安全性・有効性が ム製剤という、より効率的にがん細胞に 「ハラヴェン 」 高まると期待される新しい製剤の開発を進めています 図表 3 。 http://www.eisai.co.jp/news/news201437.html 」 の開発状況 乳がん ネオアジュバンド 軟部肉腫 リポソーム製剤 乳がん アジュバンド HER2 ネガティブ乳がん ファースト/セカンドライン(米国) フェーズⅠ試験 フェーズⅡ試験 いいただけるように現在臨床試験を実施しています。また、非小細胞肺がんや軟部肉腫など、乳がん以外 ® 詳しくはこちら 非小細胞肺がん の通り地域ごとに異なっていますが、より早期の乳がん治療にもお使 のがん種でも開発を進めています。軟部肉腫は2016 年 3月期に申請を予定しています。この他、リポソー ® * 欧州の早期ラインでの適応は、2014 年 6 月に取得しました。 フェーズⅢ試験 より早期の乳がんや 他のがん種への適応拡大で 患者様貢献の拡大をめざす 16 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 ■ マグノリアプロジェクト 乳がん患者様の生活を支援するために行っているエーザイの活動の一つに、2012 年に米国で始まった 「マグノリアプロジェクト」 があります。これは、乳がん患者様とそのご家族に栄養豊かな食事をお届けす ることで、乳がん患者様の日常生活のストレスを緩和し、愛する人と有意義な時間を過ごしていただくこ とをめざした活動です。800 名を超える患者様がプログラムに登録し、感謝の声が多数届いています。また、 約 200 名の社員が食事の配達ボランティア登録をしており、患者様と直接交流を持つことで、社員が患者 様の想いに触れ、モチベーション向上にもつながっています。2013 年 12月、欧州でも本プロジェクトの 財務の視点 2014 年 3月期の 「ハラヴェン® 」 の売上高は前期比128%の289 億円で、がん関連領域の売上高(1,009 億円) の29%を構成しています。2015 年 3月期は、乳がん治療の早期ラインでのシェア拡大と上市国の 拡大等により、グローバル売上収益は390 億円に伸長する見込みです。 エーザイでは、乳がん患者様への貢献拡大とさらなる適応症の拡大への取り組みにより、長期的に 「ハ のグローバル売上収益 1,000 億円レベルの達成をめざしています ラヴェン® 」 図表 4 。 一環として、がん患者様のための料理本を、がんサバイバーの夫を持つシェフ、看護師、栄養士と協働し て作成し、英・独・伊、3カ国語版を各国で配布しています。 図表 4「ハラヴェン® 」 グローバル売上収益 詳しくはこちら http://magnoliamealsathome.com/ 内部ビジネス・プロセスの視点 ■ マーケティングの体制 2014 年5月に発足したグローバル・ビジネス・マトリクス体制のもと、エーザイグローバルオンコロジー のマーケティング活動を展開しています。2014 年 7月時点では、米国 ビジネスユニットが 「ハラヴェン® 」 が 「ハラヴェン® 」 を中心としたオンコロジー では約120 名、日本では約130 名の専門MR(医薬情報担当者) 製品の情報提供活動を行っています。 ■ 天然物由来のユニークな作用メカニズムの追究 「ハラヴェン® 」 は、乳がんの治療に広く使われている抗がん剤とは異なる様式で微小管の伸長を阻害す る、新規作用機序の微小管ダイナミクス阻害剤です。最近では前臨床試験などから、がんの転移抑制効 果を示唆する研究結果も得られています。また、新たな生理活性を示すハリコンドリン類の天然物、なら びにエリブリンの周辺化合物をさらに探索し、画期的な新規分子化合物を創出することを企図した 「ハリ コンドリン研究室」 を2014 年 4月に新設しました。 天然物由来のユニークな作用と可能性を追究し、さ らなるエビデンスの創出に邁進しています。 1,000億円 (億円) レベル 1,000 800 600 390 400 226 289 200 2013年 3月期 実績 2014年 3月期 実績 日本 アメリカス アジア 2015年 3月期 目標 EMEA * 2013 年 3 月期、2014 年 3 月期は日本基準の数値 17 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイ独自のビジネスモデル BELVIQ® FDAが 13 年振りに承認した新規肥満症治療薬 食事/運動療法における ウェイトマネジメントの薬物補助療法 巨大市場へ新たに挑戦し、パラダイムチェンジのパイオニアへ 待ち望まれた新薬「 BELVIQ® 」 「 BELVIQ 」 は、選択的に脳内のセロトニン2C 受容体を刺激することにより、満腹感を亢進し、食 ® 事全体の摂取量を減らす効果があると考えられています。Arena Pharmaceuticals, Inc.(以下、アリー ナ社) が創製し、2013 年 6月米国で上市しました。 た合併症を引き起こす可能性があり、肥満または過 BELVIQ® 体重の増加は大きな社会問題となっています。本剤 の処方対象となるのは、肥満を判定する指数BMI(ボ ディ・マス・インデックス) *1 が30 以上、または少なく とも一つ以上の合併症(高血圧、脂質異常症および2 肥満症とは 米国疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention) によると、米国の成人 の 3 分の2 以上は肥満または過体重であるとされ、肥満の割合は、1980 年から2010 年にかけて2 倍 以上(約15%から約36%) に増加しています。肥満または過体重は、糖尿病、脂質異常症、高血圧症といっ 型糖尿病など) があり、かつBMIが27 以上の成人患 運動療法 継続的 体重減少 食事療法 者様*2です。 の2 乗] *1 BMI =[体重( kg )][身長( m ) 「過体重」 とし、BMI30 以上を 「肥満」 とし *2 成人では BMI25 ∼ 29.9を ています。 上市以降、本薬の情報提供活動体制を積極的に強化しており、2014 年 7月時点では約 600 名のMR(医 学習と成長の視点 肥満症治療の市場は、大きなアンメット・メディカル・ニーズが存在し、疾患啓発や薬剤の適正使用の により培った疾患啓発活動などの経験を活用し、肥 促進が非常に重要です。エーザイは、 「アリセプト® 」 満症領域での患者様貢献を果たすべく、新市場に挑戦しています。 薬情報担当者) が全米約 90,000 名の医療関係者を対象として情報提供活動を行っています。 財務の視点 エーザイでは、巨大市場である米国において医師への肥満症治療の意義を訴求するとともに、生活者 顧客の視点 の方々への疾患啓発を加速し、長期的には本薬の売上収益 1,000 億円レベルの達成をめざしています。 米国子会社のエーザイ・インクでは、患者様支援の拡大と疾患啓発のために、本製品上市に合わせて を立ち上げました。 「 BELVIQ 」 の詳細な製品情報や患者様 情報提供サイト ( http://www.belviq.com/ ) ® の自己負担を軽減するためのプログラムに関する情報を掲載しています。 また、患者様向けにテレビコマーシャルの放映や雑誌広告の掲載も行っています。保険カバレッジの向 上にも取り組んでおり、2015 年 3月期末に70%レベルのカバレッジをめざしています。 内部ビジネス・プロセスの視点 2013 年 11月、アリーナ社と締結した独占的商業化に関するライセンス契約を変更し、ライセンス対象 地域をこれまでの米州21カ国から欧州、日本、中国を含む全世界(韓国、台湾、オーストラリア、ニュージー ランド、イスラエルを除く) に拡大することに合意しました。これらライセンス対象地域において、エーザイ はアリーナ社とともに肥満症の適応での本薬の承認取得に向けた開発、申請作業を推進し、承認取得後 を米国だけで にはエーザイが独占的販売権を有することとなります。エーザイは、将来的に 「 BELVIQ® 」 なくグローバルに展開するための準備を進めていきます。 さらに、禁煙等の新適応、1日1 回製剤の開発等を積極的に追究することでウェイトマネジメントに加え、 2014 年5月に発足した新しいビジネスモデルであるグローバル・ビジネス・マトリクス体制のもと、エー のマーケティング活動を展開しています。 ザイグローバルニューロロジービジネスユニットが 「 BELVIQ 」 ® 適応拡大のプラットフォームとして期待しています。 18 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイ独自のビジネスモデル 医薬品アクセス向上への取り組み−DEC錠のプライスゼロ*1提供 世界には1日2 米ドル以下で生活する人が約 24 億人いると推定され *2、これらの人々の多くは有 リンパ系フィラリア症治療薬のプライスゼロ提供、リーシュマニア症やシャーガス病といった顧みら 効な治療法があるにもかかわらず、必要な治療を受けたり、薬剤を入手したりできない状況にあり れない熱帯病やマラリアなどの新薬開発などがあります ます。貧困や医療制度の未整備などの事情により、必要な医薬品が必要とされる患者様のもとに届 エーザイでは、開発途上国および新興国の人々の健康福祉の向上に貢献し、これらの国々の経済 かないことを医薬品アクセス問題といい、エーザイは医薬品アクセスの改善をグローバル規模での 保健医療向上のための大きな課題の一つとして考え、中長期的視点に立った取り組みを展開してい ます。具体的には、患者様が購入しやすい価格での製品提供や、顧みられない熱帯病の一つである 図表 1 。 発展や中間所得層の拡大に寄与することは、将来の市場形成等に向けた長期投資と位置づけています。 今回は、2013 年 10 月よりプライスゼロ提供を開始した、リンパ系フィラリア症治療薬「ジエチルカ に関する活動にフォーカスして紹介します。 ルバマジン (略称:DEC )100mg 錠」 2012 年、エーザイは世界製薬大手 13 社の一員として、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、世界保健機関 DEC 錠は、自社工場であるインド・バイザッグ工場で生産し、2013 年10月にプライスゼロの新製品として、 、米国および英国政府、世界銀行、および顧みられない熱帯病( Neglected Tropical Diseases: ( WHO ) 初出荷しました。以降、7 年間にわたって、感染リスクにさらされている2 億 5,000 万人の人々に向け、22 の蔓延国政府とともに、過去最大の国際官民パートナーシップを構築し、2020 年までにNTDs10 NTDs ) 億錠のDEC 錠を提供していきます。 疾患の制圧に向けて共闘していくという共同声明「ロンドン宣言」 を発表しました。本宣言のもと、リンパ (無償) を設定。開発途上国、新興国における医薬 *1 患者様アクセス向上を企図した価格政策の一つで、所得水準を考慮した結果、プライスゼロ 系フィラリア症制圧の大きな障害となっている、蔓延国における高品質なDEC 錠の枯渇を解決するために、 *2 The World Bank. Poverty Overview http://www.worldbank.org/en/topic/poverty/overview 品マーケットを創造し、将来の中間所得者層を育成するための長期投資 エーザイが無償提供する契約をWHOと締結しています。 図表 1 医薬品アクセス向上をめざしたビジネスモデル インプット 知的資本 • 新薬としての高品質な製品提供 製造資本 • インドのバイザッグ工場 • インド立地のメリットを活かした 低コスト生産体制 社会・関係資本 • WHOとの提携 • 官民パートナーシップへの参画 * 財務資本 • 原価・販売管理費等の投入 • 新興国への長期投資 事業活動(アウトプット) ● リンパ系フィラリア症治療薬 DEC 錠の無償提供 ● 患者様が購入しやすい価格設定 (アフォーダブルプライシング) や、所得別段階的価格設定(ティ アードプライシング) による製品 提供(例:インドにおける 「ハラ ® の提供) ヴェン 」 への参画 ●「ロンドン宣言」 ● GHIT Fundや国際的非営利団 体( DNDi 、セービンワクチン研 究所) 、ブラジルの国立機関など とのパートナーシップ * ● 疾患啓発活動 * 36 ページをご参照ください。 アウトカム 知的資本 • エーザイブランドの拡大 • NTDsやマラリアに対する新薬開発 * 社会・関係資本 • 新興国への本格進出 • 新興国での健康福祉や医薬品アクセス の向上 • 経済成長や中間所得者層の拡大 自然資本 • 医療システムや貧困の改善による経済 活動の効率化 財務資本 • ローマージン・ハイボリューム型での 長期的な利益創出 • バイザッグ工場の機械稼働率向上で の原価低減 もっと詳しく 「顧みられない熱帯病( NTDs ) 」 とは リンパ系フィラリア症、シャーガス病、デング熱など、WHOが 「人類の中で制圧しなければならない熱帯病」 と 定義している17 の疾患のことを指します。世界 149 の国と地域で蔓延し、感染者数は約 10 億人にものぼり、深 刻な社会問題になっています。貧困による劣悪な衛生環境などが主な原因となって蔓延していきますが、感染に よる身体障害が労働力や生産性の低下を招き、貧困から脱出できない原因にもなっています。開発途上国や新 興国では、NTDsの蔓延が経済成長の妨げともなっており、国が抱える重大な課題の一つともいえます。 リンパ系フィラリア症とは リンパ系フィラリア症は、フィラリアという寄生蠕虫 (ぜんちゅう) を病原体とし、 蚊に媒介されて人に感染する病気です。感染するとリンパ系機能障害を引き起こし、 痛みと身体の一部に異常肥大を伴うリンパ浮腫や象皮病など重篤な身体障害を 発症します。現在、世界中で約1 億2,000 万人が感染しており、14 億人以上の人々 が感染リスクにさらされています。治療には3 種類ある駆除剤のうち、適切なも のが使われますが、そのうちの一つであるDEC 錠の高品質な製剤は世界的に供 給不足状態にあり、本疾患の制圧に向けた大きな障害となっています。 CDC 19 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 たな治療法の早期開発にも取り組んでいます。既存の抗フィラリア薬と比較して、治療期間の短縮やより優 学習と成長の視点 DEC 錠の無償提供に関するWHOとのパートナーシップは、NTDsの制圧に向けて日本の製薬企業が 薬剤を無償提供するパートナーシップをWHOと組む初の事例です。この取り組みを通じてエーザイは、 WHOとの良好な関係性の構築や、NTDs 領域の新薬開発、新興国へのエーザイ製品供給など、様々な経 験や実績を積んできました。 高品質なDEC 錠を安定して提供するための製剤開発では、エーザイのバイザッグ工場の開発チームが、 日本の探索・製剤研究チームの協力を得て独自の製造方法を確立しました。そして2013 年 8月、申請か を取得しま ら10カ月という短期間で、NTD 薬として世界で初めてWHOより事前認定( Prequalification ) した。事前認定とはWHOが要求する高い品質基準を満たす医薬品であることの証明です。 エーザイは、リンパ系フィラリア症制圧へ、高い誇りとモチべーションを持って取り組んでいます。 顧客の視点 によ れた治療結果が期待される新薬の開発プロジェクトは、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund) り、助成金交付対象として採択されています。 エーザイはリンパ系フィラリア症の2020年までの制圧目標達成に向けて、患者様とそのご家族のベネフィッ ト向上のため、様々な活動を行っていきます。 内部ビジネス・プロセスの視点 DEC 錠の生産は、世界各国のエーザイ生産拠点の中でも、特に高いコスト競争力をベースに、高品質 かつ低製造コストの医薬品の供給が可能であるインド・バイザッグ工場にて行っています。バイザッグ工 場では、日米欧向け製品と同じ設備とcGMP* 運用下で、7 年間で22 億錠という莫大な量の生産計画にお いても、安定して高品質の製品が製造されます。製造されたDEC 錠は、WHOとのパートナーシップを通 じて、WHOの集団投薬プログラムに従い、世界26カ国の感染リスクにさらされている人々に届けられます。 リンパ系フィラリア症の治療薬であるDEC 錠の高品質な製剤は、世界的に供給不足の状態にあります。 しかも、NTDsに苦しんでいるような世界最貧国・地域においては、たとえ1 錠1 円であっても薬剤を購入で * cGMP:米国食品医薬品局( FDA )が定めた医薬品の製造管理および品質管理に関する基準 財務の視点 きないという現実があります。エーザイは、それぞれの国や地域の実情に合わせた価格で薬剤を提供する エーザイは、リンパ系フィラリア症のような貧困の原因にもなっている病気を アフォーダブル プライシングに取り組んでおり、プライスゼロで提供することもエーザイの企業理念に合致 患うことがなくなれば、経済活動に従事できる人が増えて中間所得層も増加し、 するものと捉えています。 将来、良好なマーケットが形成されると考えています。また、DEC 錠は、プライ また、リンパ系フィラリア症のように、蔓延地域で感染リスクにさらされている人々に予防・治療的に集 スゼロで提供していますが、提供する製品(錠剤) や梱包にはエーザイのロゴマー 団投与をして制圧する疾患は、症状がある患者様が対象ではないため、 「これはどういう病気で、なぜ薬 クが入っていますので、コーポレートブランドの認知向上が期待されます。また、バイザッグ工場で製造 を服用しなければならないのか」 という教育も必要となります。エーザイでは、単に薬剤を供給するだけで することによって、工場全体の機械稼働率が上がり、他の製品の製造コストが下がるという効果もあります。 なく、コミュニティー全体の意識を向上するための取り組みも行っています。その一つとして、インド・バイ エーザイにとってDEC 錠のプライスゼロ提供は、慈善活動や社会的責任といった位置づけではなく、 ザッグ工場の社員60 名が、ムンバイ近郊のヤラダ村において、リンパ系フィラリア症の予防および治療の 開発途上国および新興国の人々の健康福祉に貢献し、これらの国々の経済発展や中間所得層の拡大に ための集団投薬のサポートを行いました。治療薬配布のサポートとともに、病気についての情報や予防方 寄与することで、将来の市場形成を実現する長期的投資と位置づけています。 法などを説明したパンフレットを配布、さ 引き続き、グローバルヘルスにおける課題に積極的に取り組み、世界の患者様とそのご家族のベネフィッ らに患者様約 30 名を含む村民の方々を ト向上にエーザイは貢献していきます。 対象に、消毒液やコットン等のセットを寄 エーザイの医薬品アクセスへの取り組み紹介 贈しました。 WHO/Bangladesh さらに、エーザイは、フィラリア症の新 サイトを見る http://atm.eisai.co.jp/ パンフレットはこちら http://www.eisai.co.jp/pdf/company/atm1.pdf 動画で見る http://www.eisai.co.jp/company/atm/activities/21.html 20 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイを構成する6つの資本 知的資本 研究開発体制 重点領域へ研究開発資源を集中的に投入 より創出された候補化合物は、開発研究のステージへ進みます。ここでは、世界各国における医薬品申請・ エーザイでは、特定の領域に資源を集中させることで、先端技術や医療現場の動向など基礎から臨床 承認取得へ向けて、候補化合物の物理化学的・生物学的性質の把握と評価、品質や安全性の保証、大量 までの最新情報をいち早く把握するとともに、それら豊富な情報を基盤に研究開発の成功確率を高めて、 合成・製造などの工業化研究が行われます。続いて、大部分の開発研究を経た候補化合物は、臨床研究 継続的に成果を上げようとしています。 へ進み、フェーズⅠ試験からフェーズⅢ試験に至る3 段階の臨床試験を経て、国による承認を得たものが 特に、今なお十分な治療法が確立していない疾病が多くある 「神経領域」 と 「がん領域」 を重点領域と 新薬として発売(上市) されます。開発部門は、企画・推進および評価、新規医薬品の製造販売承認の取 して研究開発資源を集中的に投入し、これらの領域を中心に有用性の高い新薬を生み出す努力を続けて います 図表 1 。 得を担い、育薬部門は、製造販売後の安全性情報の収集やEBM( evidence-based medicine:科学的 根拠に基づいた医療) に資するエビデンスの創出を担っています 図表 2 。 創薬研究とは 研究開発からプロダクトクリエーションへ ります。探索研究は、創薬プロセスの上流に位置し、有用性の高い新規化合物の探索・創出をはじめ、最 ン」 と定義しています。2009 年 7 月に従来の研究開発体制を刷新し、患者様の生命・生活の質を改善す 新技術による創薬研究へのアプローチや社外リソースを活用した基礎研究も行っています。探索研究に る革新的な新薬を創出する (=プロダクトをクリエーションする) ため、患者様志向をより強めた活動を 創薬研究とは文字通り、薬を創り出す研究で、 「探索研究」 「 開発研究」 「 臨床研究」 の3つの段階からな 図表 1 重点領域 ニューロサイエンス (神経領域) 図表 2 探索研究 開発研究 探索合成 リード化合物最適化 原薬供給/治験薬製造 薬物動態 物性 一般薬理 安全性 バイオマーカー 製造販売後 臨床試験 安全性研究 薬物動態 薬効薬理研究 一般薬理 バイオマーカー 申請 非臨床研究 探索研究∼承認 適応拡大・新製剤開発研究 審査 生物学的評価 in vitro /in vivo 臨床導入 新薬候補 使用成績調査 フェー ズⅢ試験 スクリーニング フェー ズⅡ試験 (乳がん、甲状腺がんなど) アイデア ターゲット 育薬(上市後) 臨床研究 プロセス研究 製剤化研究 物性分析研究 フェー ズⅠ試験 神経変性疾患 (アルツハイマー型認知症など) その他の神経疾患 (てんかんなど) 創薬プロセスと研究活動 オンコロジー (がん領域) エーザイは、これらの 「探索研究」 「 開発研究」 「 臨床研究」 の研究開発活動を 「プロダクトクリエーショ 承認 相互作用試験 配合変化試験 安全性 データベース構築 21 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 展開しています。 CFUには、技術機能領域を担当する5 つのユニットがあります。PCUの創薬活動を技術機能から推進させる役割 を担い、そのためにグローバルクラスの研究能力を獲得し、維持しています。 プロダクトクリエーションの体制(エーザイプロダクトクリエーションシステムズ ( EPCS) ) • プロダクトクリエーション本部 を持ち、一日でも早く患者様に新薬を届けるという一つの目的のもとでプロダクトクリエーション本部と の推進をコントロールします。 EPCSは3 つの構成要素からなります 図表 3 。以下の各ユニットが、画期的新薬の創出に向けた責任 ともに密接に連携し、生産性の向上をめざしています。 グローバルに展開するEPCS 体制 エーザイは、日本、アメリカス、欧州、アジアの各リージョンで探索研究、開発研究、臨床研究を展開 ( PCU ) • プロダクトクリエーションユニット PCUには、創薬領域を担当する5 つのユニットがあります。各ユニットでは、担当疾患領域における革新的新薬候 補の発明発見から承認に至るまで、一連のプロセスをタイムリーに進行することにすべての責任を負います。 ( CFU ) • コアファンクションユニット 図表 3 コーポレートポートフォリオ、予算管理、ユニット間調整、人事といった全ユニットのプロダクトクリエーション活動 EPCS 体制 しています。EPCSは、各ユニットの目的に応じてグローバルにリージョンを横断する組織を形成してい ます。エーザイは、様々な知と想いを交流させることで、革新的新薬の創出に向けて邁進しています 図表 4 。 図表 4 EPCS のグローバル新薬創出体制 プロダクトクリエーション本部 チーフプロダクトクリエーションオフィサー チーフイノベーションオフィサー チーフクリニカルオフィサー プロダクトクリエーションユニット ( PCU ) 5 創薬領域 コアファンクションユニット ( CFU ) 5 技術機能領域 ニューロサイエンス&ジェネラルメディシン PCU (脳・神経領域等) ネクストジェネレーション システムズ CFU (化合物ライブラリー、スクリーニング) オンコロジー PCU (がん関連領域) バイオマーカー&パーソナライズドメディシン CFU (バイオマーカー ) モルフォテック PCU (抗体) バイオファーマシューティカル アセスメント CFU (薬物動態、安全性等) カン PCU (セルバイオロジー ) ファーマシューティカル サイエンス&テクノロジー CFU (原薬、製剤、分析等) ジャパン/アジア クリニカル リサーチ PCU (日本・アジアにおける臨床研究) グローバル レギュラトリー アフェアーズ CFU (薬事) より少ないコストで新たなイノベーションを創出 神経領域の創薬 ヨーロッパナレッジセンター (英国) 創薬グローバル本部& 神経・炎症・がん研究の創薬 がん研究の創薬 アジア臨床研究拠点 筑波研究所( 城) ( Pharmaクラスター) 小石川ナレッジセンター(東京) H3 Biomedicine Inc. (米国) 原薬の製造施設 インドナレッジセンター (インド) 神経・炎症・がん研究 の創薬産官学クラスター カン研究所(神戸) がん研究の創薬 ボストン研究所 (米国) アメリカ臨床研究拠点 Eisai Inc. (米国) 製剤の製造施設 川島(製剤研究) (岐阜) 探索研究拠点 臨床研究拠点 原薬研究拠点 原薬の製造施設 鹿島(原薬研究) ( 城) 製剤研究拠点 抗体研究拠点 抗がん剤の製造施設 Research Triangle Park ( RTP ) (製剤研究) (米国) 抗体による創薬 モルフォテック (米国) 22 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイを構成する6つの資本 知的資本 パイプライン 神経領域 アルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト® 」 は、2013 年 10月に日本にてレビー小体型認知症に関す 日本では事前評価相談を経て、2016 年 3 月期中に部分てんかんと全般てんかんを併せて申請を行う予 る追加適応の申請をしました。 定です。 は、部分てんかん適応で、2014 年 8 月現在で承認取得国数 自社創製のてんかん治療薬「 Fycompa 」 は、フェーズⅡ試験の主要評価項目で良好な結果を取得 自社創製のオレキシン受容体拮抗剤「 E2006」 は39カ国となりました。全般てんかんでは欧米で2014 年 8 月に追加適応の申請を行いました。また、 したため、2015 年 3月期の第 4 四半期にフェーズⅢ試験を開始する予定です。 ® 主要開発品の状況 (2014 年 8 月現在) 製品名/開発品コード (一般名) 概要 自社品/導入品 剤形 開発状況 地域 神経伝達物質のアセチルコリンを分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼを阻害す ることにより、脳内アセチルコリン濃度を高め、アルツハイマー型認知症( AD ) の認知症症状 の進行を抑制します。軽度および中等度のAD 治療薬として、すでに世界 90 カ国以上で承認 されており、米国、日本、カナダ、中南米やアジアの一部の国などでは高度 AD にも承認され ています。 自社品 経口剤 レビー小体型認知症(効能追加) 日本 Fycompa / E2007 (ペランパネル) * 24 ページ参照 グルタミン酸受容体のサブタイプであるAMPA 受容体へのグルタミン酸の結合を選択的に阻 害します。部分てんかんの併用療法に加え、全般てんかんの適応取得をめざした開発を進め ています。欧州、米国およびカナダなど、39カ国で承認を取得しています。 自社品 ゾネグラン/ E2090 (ゾニサミド) 幅広い抗てんかんスペクトラムを有し、忍容性の高いてんかん治療薬です。成人部分てんかん を対象に単剤および併用療法および小児部分てんかんを対象に併用療法の適応を取得してい ます。 自社品 経口剤 メコバラミン (生体内補酵素型ビタミンB12)製剤であり、傷ついた末梢神経を修復する作用が あります。すでに末梢性神経障害治療剤として広く使われており、新たに、筋萎縮性側索硬化 症( ALS )治療薬をめざしています。 自社品 注射剤 アリセプト/ E2020 (ドネペジル) E0302 (メコバラミン) Inovelon/Banzel / E2080 (ルフィナミド) BAN2401 * 25 ページ参照 E2006 E2609 * 25 ページ参照 BELVIQ / APD356 (ロルカセリン) 貼付剤 経口剤 経口剤 プロトフィブリルに対するヒト化 IgG1 抗体です。神経毒性を呈するこ 導入品 注射剤 ベータアミロイド ( Aβ) とが報告されているAβプロトフィブリルを除去することで、アルツハイマー型認知症の進行を ( BioArctic Neuroscience AB ) 抑制することを期待しています。 新規作用機序の睡眠導入剤です。覚醒状態を維持するオレキシン受容体に拮抗することで、 自社品 覚醒状態を鎮め、自然な睡眠の誘発を期待しています。 フェーズⅢ 申請 中国 2014 年度予定 高用量製剤〈 23mg 錠〉 (用法・剤形追加) 日本 2014 年度予定 ダウン症候群の退行様症状(効能追加) 日本 パッチ製剤( E2022、剤型追加) 帝国製薬との共同開発 日本 部分てんかん 日中ア 全般てんかん (効能追加) 米欧 部分てんかん小児適応(効能追加) 米欧 部分てんかん小児適応(効能追加) 欧州 筋萎縮性側索硬化症( ALS ) 日本 レノックス・ガストー症候群の小児適応 (効能追加) アルツハイマー型認知症 米欧 米欧 日本 経口剤 不眠症 米国 自社品 経口剤 アルツハイマー型認知症 米国 セロトニン2C(5-HT2C )受容体アゴニストで、脳内のセロトニン2C 受容体を選択的に活性化 させることにより、食事の摂取量が減少し、体重が減少します。 米国で承認されています。 導入品( Arena Pharmaceuticals Inc. ) 経口剤 肥満症 日本 承認 2013 年 10 月 高度アルツハイマー型認知症(効能追加) ( Aβ) の産生を抑制することで、アルツハイマー BACEという酵素を阻害し、ベータアミロイド * フェーズⅡ試験とフェーズⅢ試験を通した計画で行っています。 フェーズⅡ 2015 年度予定 2014 年 8 月 日ア 新規構造のトリアゾール誘導体で、過剰電荷を帯びている脳内ナトリウムチャネルの活動を調 導入品 節します。小児から発症する重篤な難治性てんかんの一つであるレノックス・ガストー症候群 ( Novartis AG ) の併用療法に係る適応で、日本、欧州、米国で承認を取得しています。ブランド名は、日本、欧 州では 「イノベロン ( Inovelon )」、米国では 「 Banzel 」 です。 型認知症の進行を抑制することを期待しています。 フェーズⅠ 2015 年度予定 2013 年 10 月 Ⅱ/Ⅲ* 2014 年度予定 23 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 Fycompa® てんかんとは いわゆる難治性てんかんの患者様は、全てんかん患者様の約30%存 てんかんは、様々な精神機能・身体機能に影響を及ぼす発作が生 在すると推定されています。このように、てんかんはアンメット・メディ 39カ国で承認され、欧州およびカナダでの上市に続き、2014 年 1月 じる疾患です。てんかん発作には、けいれんや意識消失、ぼうっと カル・ニーズが高い疾患であり、てんかん発作を抑制する新たな作用 には米国でも上市されました。日本・アジアではフェーズⅢ試験が 一点を見つめる状態、唇鳴らし、手足の痙動など、様々な症状が伴 機序を持つ新薬が強く望まれています います。 年齢を問わず、一生のある時期に0.5 ∼ 2%の人がてんかんを発 症すると言われています。てんかんの患者様数 *は、日本が約 100 万 図表 1 。 併用療法として、2012 年7月に欧州委員会より承認を取得して以降、 進行中です。 ファースト イン クラスのてんかん治療薬「 Fycompa 」 ® 全般てんかんについては、その約 60%を占める最も一般的かつ を有するてんか 重篤な発作型の一つである強直間代発作( PGTC ) エーザイが創製した 「 Fycompa® 」 (一般名:ペランパネル) は、既 ん患者様を対象としたフェーズⅢ試験で主要評価項目を達成しまし が約 240 万人、米国が約 220 万人、世界中で5,000 人、欧州( G5) 存のてんかん治療薬とはまったく異なる作用機序を持つファースト た。2014 年 8月に米国、欧州の各当局に、本剤の難治性 PGTCに対 万人超と報告されています。 イン クラスの新規薬剤です。 する併用療法への適応拡大に向け申請しました。 てんかん発作は、一時的に脳内の神経細胞に過剰な電気的興奮 日本では、部分てんかんの患者様を対象としたフェーズⅢ試験(335 新規作用機序の新薬に高いニーズ が起こることによって生じます。この際、神経伝達物質であるグルタ 試験)結果をもって、事前評価相談を経て、2016 年 3月期中に部分 は、 ミン酸が発作を誘発することが報告されています。 「 Fycompa 」 てんかんと全般てんかんを併せて申請を予定しています。 てんかんの治療は薬物治療が中心で、てんかん発作を抑制するた 高い選択性を持ってグルタミン酸の受容体の一種であるAMPA 受容 てんかんは小児の患者様も多いため、部分てんかんの小児患者 めの様々な薬剤が存在します。てんかんと診断されるとてんかん治 体の活性化を阻害し、神経の過興奮を抑制する、非競合型 AMPA 受 様を対象にしたフェーズⅡ試験も実施しています。 療薬の単剤療法で治療を行いますが、発作抑制効果が十分でない場 容体拮抗剤です。 エーザイは、てんかん領域を重点疾患領域と位置づけ、 「 Fycompa®」 合には、他の単剤療法に切り替えます。しかし、約30 ∼40%の患者 てんかんは、発作のタイプによって、てんかん全体の約 60%を占 のほか、本領域に豊富な製品ラインナップを有しており、複数の薬物 様は、2 種類の単剤療法を試みても発作を抑制できないことが報告 める部分てんかんと、約 40%を占める全般てんかんに大別されます 治療オプションを提供することで、てんかん患者様とそのご家族の多 * 出典: Decision Resources ® されており、その場合には併用療法に移行します。ところが、どの薬 剤を用いても、発作を十分にコントロールできないてんかんもあり、 図表 1 図表 2 。 様なニーズの充足とベネフィット向上に引き続き貢献していきます。 は12 歳以上のてんかん患者様の部分発作に対する 「 Fycompa® 」 部分てんかんの治療の流れ 1 単剤療法 2 単剤療法 (他剤への切替) 図表 2 3a 単剤療法 (他剤への切替) 3b 併用療法 4a 併用療法 (併用薬の追加) 4b 併用療法 (併用薬の切替) 4c 併用療法 (併用薬の追加) PGTC 以外の 切替 追加 併用療法 (その他併用薬 への切替) 切替 てんかんの種類とその割合 全般てんかん 約 30%の患者様は既存の 薬物療法ではコントロール不十分 その他 4% 16% 部分てんかん 追加 57% 新規作用機序を持つ薬剤である Fycompa®により 患者様貢献の最大化をめざす 強直間代発作 ( PGTC ) 23% 出典: Hauser WA, et al . Epilepsia 24 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 次世代アルツハイマー型認知症治療剤の開発 病態の進行を止める新薬として開発中の 2 つのプロジェクト および脳脊髄液中のAβの顕著な減少が確認されています。 エーザイはアルツハイマー型認知症( AD ) 治療薬のゴールドスタン もう一つは、Aβの凝集体であり神経毒性活性を有するAβプロト 共同販促契約を締結しました。最適なパートナーシップを組むこと を創製した企業として、次世代のAD 治 ダードである 「アリセプト® 」 で、ADの早期 フィブリルに対するモノクローナル抗体「 BAN2401」 で、開発の成功確度を高め、次世代 AD 治療薬をより早く患者様の 療薬を開発し、患者様にお届けすることを使命と考えています。その 治療をコンセプトにフェーズⅡ試験を進めています ために、AD 発症後の認知機能の低下の抑制にとどまらず、病態の進 これらの臨床開発では、AD 治療薬開発におけるエーザイの豊富 図表 2 「 E2609」 と「 BAN2401」 に関する共同開発・ Biogen Idec, Inc.と 。 もとへお届けできるように、AD 治療薬の創出力をさらに強化してい ます 図表 3 。 行自体を止める薬剤(疾患修飾剤) の創出に注力しています。現在、 な経験を踏まえ、成功確度を上げるために独自の様々な工夫をして 将来に向けた探索研究においては、国内のみならず英国のロンド ( Aβ) を標的とした ADの病因の一つとされているベータアミロイド 図表 1 。 2つのプロジェクトが進行中です います。例えば、軽度認知障害( MCI )∼軽度 ADの患者様を対象と ン大学や米国のジョンズ・ホプキンス大学とのオープンイノベーショ し、有用性が期待される新しい評価尺度(コンポジットスコア) を自社 ンを推進するとともに、社内のユニット連携からも有望な種が生ま で、アミロイド前駆体タ 一つは自社創製のBACE 阻害剤「 E2609」 で開発し、それを用いて評価を行います。また、より短期間で効果を れてきています。AD 発症に関わると考えられる種々の仮説に基づ ンパク質のβサイト切断酵素であるBACEを阻害することでAβの総 検証できる独自の試験デザインも取り入れています。 いた新たな疾患修飾剤などについても鋭意研究中です。 量を低下させると考えられており、フェーズⅠ試験ではヒトの血漿中 さらに、2014 年 3 月には、神 経 変 性 疾 患 領 域 に 強 みを 持 つ 図表 1 AD の進行過程 図表 2 AD 発症の15 ∼ 20 年以上前から患者様の脳内ではベータアミロイド ( Aβ) の沈着が始まっていることが知られています。このAβが ADの原 ADの原因 アミロイド仮説 アミロイド前駆体タンパク質 (APP) E2609 γセクレターゼ APPの内側を切る タウ介在神経障害 E2609 BAN2401 臨床症状 15 ∼ 20 年 認知症 「 E2609」、 「 BAN2401」 の開発を進める • エーザイ主導のもと、 社で分担 BAN2401 • 承認取得・上市後の売上高はエーザイに計上され、共同販促地域に Aβの中で最も 毒性が高いのが オリゴマー/プロトフィブリル オリゴマー/ プロトフィブリル • 自社創製のBACE 阻害剤 • 経口投与 • フェーズⅠ試験結果で、健康成人のAβ量を顕著に抑制 • 現在フェーズⅡ試験準備中 認知機能低下 軽度認知 障害 ( MCI ) ベータアミロイド (Aβ) 次世代AD 疾患修飾剤(「 E2609」、 「 BAN2401」) に関する共同 開発、共同販促契約をエーザイとBiogen Idec, Inc.で締結 • 申請および承認取得はエーザイが行い、研究開発費用等の費用は両 モノマー シナプス機能障害 脳萎縮 神経細胞の機能障害 神経細胞死 APPの外側を切る βセクレターゼ (BACE) 因ではないかという仮説が 「アミロイド仮説」 です。 Aβ沈着 図表 3 と 「 BAN2401」 Aβを標的とする「 E2609」 おける利益は両社で分配 • エーザイはBiogen Idec, Inc.より契約一時金、共同研究の進 およ び売上高達成に応じたマイルストン支払いを受領 • Biogen Idec, Inc.の開発しているAD 治療剤の共同開発、共同販促 に係るオプション権を保有 フィブリル • BioArctic Neuroscience ABから導入した抗 Aβプロトフィブリル抗体 • 神経毒性が最も高いAβプロトフィブリルに対して高い親和性と選択性 • 現在フェーズⅡ試験実施中 老人斑 • エーザイは、日本における共同開発、共同販促に係るオプション権を 行使し、Biogen Idec, Inc.より一定の一時金を受領するとともに、日 本における上市時にマイルストン支払いを受領(2014 年 5 月6 日にオ プション権行使) 詳しくはこちら http://www.eisai.co.jp/news/news201410.html http://www.eisai.co.jp/news/news201422.html 時間の流れ 25 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 がん領域 エーザイの抗がん剤の研究開発は1987 年、筑波研究所に研究グループが組織されたことに始まります。 取得国数は54カ国となりました。非小細胞肺がんを対象としたフェーズⅢ試験が日本、米国、欧州、アジ また、がん領域製品をグローバルに展開する事業および技術基盤を獲得するため、2007 年にがん治療 アにおいて進行中です。 用抗体の研究開発を専門とするモルフォテック社を買収、さらに翌 2008 年、がん領域の事業を専門とす 抗がん剤「レンバチニブ (一般名) 」 は、放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がんを対象としたフェー るMGIファーマ社を買収し、がん治療に対して多面的なアプローチを行っています。 ズⅢ試験結果において、統計学的に顕著な有意差をもって主要評価項目を達成しました。そして2014 年 は、乳がんに係る適応で、各国で順次承認を取得し、2014 年 8月現在で承認 抗がん剤「ハラヴェン 」 6月に日本で、同年 8月に米国・欧州で承認申請を行いました。 ® 主要開発品の状況 (2014 年 8 月現在) 製品名/開発品コード (一般名) 概要 ハラヴェン/ E7389 (エリブリン) クロイソカイメン由来のハリコンドリンBの合成類縁体で、微小管の伸長を阻害し細胞周期を 停止させることで抗腫瘍活性を示します。乳がんをはじめ、各種固形がんに効果を期待して います。乳がんに関する適応で 54 カ国で承認を取得しています。 自社品/導入品 剤形 開発状況 地域 自社品 注射剤 乳がんセカンドライン (効能追加) 欧州 乳がんサードライン 中国 HER2 陰性乳がん 米国 非小細胞肺がん (効能追加) 日米欧ア ファースト/セカンドライン (効能追加) 肉腫(効能追加) フェーズⅠ フェーズⅡ フェーズⅢ 申請 米欧ア 日本 E7080 (レンバチニブ) * 28 ページ参照 新規結合型選択的チロシンキナーゼ阻害剤です。各種固形がんに効果を期待しています。 自社品 経口剤 膀胱がん (効能追加) 米欧 リポソーム製剤(剤形追加) 欧州 甲状腺がん 日米欧ア 肝細胞がん 日米欧中ア 子宮内膜がん 米欧 メラノーマ 米欧 グリオーマ 米国 非小細胞肺がん (単剤、サードライン) 米欧 非小細胞肺がん ( RET 転座) 日米欧ア 注射剤 米欧 葉酸受容体α ( FRA ) に対するヒト化 IgG1 抗体です。FRAが過剰発現しているがん腫に対し て抗腫瘍効果を期待しています。 自社品 腎細胞がん MORAb-003 プラチナ感受性卵巣がん 日米欧ア 注射剤 米欧 Tumor endothelial marker 1( TEM-1)/エンドシアリンに対するヒト化IgG1 抗体です。エン 自社品 非小細胞肺がん MORAb-004 メラノーマ 米欧 大腸がん 米欧 肉腫 米欧 (ファルレツズマブ) ドシアリンを発現しているがん腫に対して抗腫瘍効果を期待しています。 * フェーズⅠ試験とフェーズⅡ試験を通した計画で行っています。 承認 2014 年 6 月 Ⅰ/Ⅱ* 2014 年 6 月(日本) 8 月(米欧) Ⅰ/Ⅱ* 26 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 がん領域 製品名/開発品コード (一般名) 概要 MORAb-009 ( amatuximab ) E7820 E7016 ONTAK / E7272 ( denileukin diftitox ) ディーシー ビーズ/ E7040 E7438 自社品/導入品 剤形 開発状況 地域 自社品 注射剤 中皮腫 米欧 自社品 経口剤 大腸がん 米欧 自社品 経口剤 メラノーマ 米国 インターロイキン2( IL-2) の受容体結合部分とジフテリア毒素の融合タンパク製剤であり、 自社品 細胞表面上の IL-2 受容体と特異的に結合し、細胞内に移行したジフテリア毒素がタンパク 質合成を阻害します。すでに米国で CD25( IL-2 受容体の構成要素)陽性の皮膚 T 細胞リン パ腫治療薬として承認を取得しています。 経口剤 メラノーマ (効能追加) 米国 メソセリンに対するキメラ型 IgG1 抗体です。メソセリンを発現しているがん腫に対して抗腫瘍 効果を期待しています。 血管内皮細胞の接着分子であるインテグリンα2 の発現抑制作用により血管新生を阻害し ます。 ポリADPリボースポリメラーゼ ( PARP ) は DNA 修復に関与する酵素です。PARP 阻害剤は 腫瘍細胞のDNA 修復を阻害することによって抗腫瘍効果をあらわし、DNAに損傷を与える 化学療法や放射線療法の効果を増強することを期待しています。 架橋化ポリビニルアルコール高分子からなる親水性の球状微粒子であり、注入用カテーテ 導入品 ( Biocompatibles ルを通じて目標とする血管を選択的に塞栓するための血管塞栓用ビーズです。 微細で均一な球状の粒子であるため、血管径や腫瘍の大きさ等の対象範囲に合わせた持続 International plc) 的な塞栓効果が期待できます。日本において、肝細胞がん患者様に対する肝動脈塞栓療法 を使用目的として承認を取得しています。 EZH2 阻害剤 * フェーズⅠ試験とフェーズⅡ試験を通した計画で行っています。 導入品 ( Epizyme, Inc.) 血管 塞栓材 経口剤 多血性腫瘍に対する血管塞栓療法 (効能追加) 血液がん、固形がん フェーズⅠ フェーズⅡ 日本 米国 フェーズⅢ 申請 2014 年度予定 Ⅰ/Ⅱ* 承認 27 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 レンバチニブ (一般名) 自社創製の新規結合型分子標的抗がん剤 床研究の段階から、生存期間の延長効果を評価するというユニーク 適応拡大の追究 レンバチニブ (一般名) は、エーザイが創製した新規の選択的チロ な評価系を作り、新薬候補の化合物を絞り込んでいったことは、結 シンキナーゼ阻害剤で、分子標的抗がん剤として開発しています。 果的に複数のキナーゼをバランスよく阻害するレンバチニブの創出 ジアにおいて940 症例という大規模な国際共同治験を実施しており、 受容体チロシンキナーゼは、細胞増殖において重要な役割をして につながったと考えています。そして、研究開始から約 3 年と比較的 2017 年 3月期の承認申請をめざしています。 いると考えられています。多くの種類がある中で、レンバチニブは5 短期間で候補化合物が決まり、2005 年には最初の臨床試験を開始 非小細胞肺がんについては、2つのフェーズⅡ試験が進行中で、2 種類の受容体チロシンキナーゼ ( VEGFR 、FGFR 、PDGFR 、RET 、 しました。臨 床 開 発 は、開 発 スピードの 向 上 を企 図して、SFJ 種類以上の化学療法剤による前治療歴がある患者様を対象とした を選択的に強く阻害している点で、他のチロシンキナーゼ阻害 KIT ) Pharma Ltd.やQuintiles Inc.といったパートナーシップも活用しな では、良好な結果が得られ、ASCO2014 単剤療法の試験(703 試験) 剤と異なります。特にVEGFRに加えてFGFRも同時に阻害すること がら、多くのがん種でグローバルに展開しています。 で発表されました。もう一つのフェーズⅡ試験では、RET 融合遺伝子 は大きな特徴です 図表 1 。 レンバチニブはこれらの分子の阻害により、がん細胞の増殖に関 わる信号や、がん細胞に酸素や栄養を与える血管をつくる信号をブ ロックし、抗がん作用を発揮します 図表 2 。またレンバチニブが阻害 する分子は、様々ながんとの関連が報告されていて、多種のがん治 療へのポテンシャルを有する薬剤としても期待されています。 甲状腺がん以外では、肝細胞がんで、日本・米国・欧州・中国・ア という染色体異常を伴なう非小細胞肺がんに対して特に効果が期待 甲状腺がんでの承認申請 されることから、遺伝子診断実施により対象となる患者様を限定し 甲状腺がんを対象としたフェーズⅢ試験では、レンバチニブ投与 となっています。この試験は、エーザイの個別化 た試験(209 試験) 。 群ではプラセボ群に比して、統計学的に顕著な有意差をもって無増 医療への取り組みの先駆けとしても期待されています を延長する効果が示されました (第 50 回米国臨 悪生存期間( PFS ) 他 にも、メラノーマと 子 宮 内 膜 がんでは、Proof of concept で発表) 。その結果を受けて、2014 年 6月 床腫瘍学会( ASCO2014) 図表 3 ( POC ) *を達成しています。 には、放射性ヨウ素抵抗性の分化型甲状腺がんを適応とした承認申 レンバチニブ創製の経緯 請を、世界に先駆けて日本で行いました。米国・欧州でも2014 年 8 エーザイは、レンバチニブによるがん治療の可能性を引き続き追究 1999 年、血管新生阻害メカニズムを持つ新薬をつくるプロジェク 月に承認申請を達成しました。そして、2015 年 3月期から2016 年 3 し、がん患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向 トとして研究がスタートしました。当時、この分野ではすでに複数の 月期の日米欧グローバルでの承認、上市を見込んでいます。 上により一層貢献することをめざしています。 企業が新薬の創製に向けた研究を実施していました。そうした状況で、 : 創薬概念の検証。想定した作用メカニズムの有用性を臨床の * Proof of concept( POC ) 場で検証すること。 エーザイはスピードと成功確度を意識した研究を行いました。前臨 図表 1 レンバチニブの標的分子 図表 2 レンバチニブの作用機序 図表 3 5 種類の受容体チロシンキナーゼを強く阻害 VEGFR FGFR 子宮内膜がん POC* 達成 レンバチニブ がん細胞の増殖に関わる 信号をブロック がん細胞の 増殖を抑制 PDGFR RET KIT レンバチニブの開発状況 メラノーマ POC* 達成 非小細胞肺がん 703 試験:良好な結果 209 試験:順調に進行中 肝細胞がん 304 試験:順調に進行中 甲状腺がん 承認申請達成 2014 年 6月:日本 2014 年 8月:米欧 日本発の 低分子分子標的薬を グローバル申請・上市へ レンバチニブ 酸素や栄養をがん細胞に与える 血管をつくる信号をブロック 血管新生の阻害 フェーズⅡ試験 フェーズⅢ試験 申請 28 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 血管・免疫反応領域 血小板減少症治療剤「 E5501 (一般名:avatrombopag ) 」 は、手術が予定されている慢性肝疾患における血小板減少症を対象としたフェーズⅢ試験を日米欧、アジアで開始しました。 主要開発品の状況 (2014 年 8 月現在) 製品名/開発品コード (一般名) 概要 E5501 / AKR-501 ( avatrombopag ) トロンボポエチン受容体のアゴニストで、血小板増加を促進させる経口の新規化合物です。血 小板減少を示す病状への効果を期待しています。 タンボコール (フレカイニド) 手術が予定されている慢性肝疾患における血小板 日米欧ア 減少症 地域 特発性血小板減少性紫斑病( ITP ) 米欧ア C 型肝炎に対するインターフェロン療法の実施お 米国 アトピー性皮膚炎 日本 よび開始に支障をきたす血小板減少症 自社品 経口剤 小児用細粒製剤(剤形追加) 日本 免疫細胞の血管外浸出による炎症部位への集積等、免疫反応のダイナミクス決定に重要な役 自社品 割を果たしているフラクタルカインを標的とした、自社創製のヒト化モノクローナル抗体です。 注射剤 自己免疫疾患/炎症性腸疾患 日本 注射剤 リウマチ 米欧 完全ヒト化 IgG1 モノクローナル抗体で、リウマチ等の自己免疫疾患への効果を期待してい ます。 MORAb-022 開発状況 経口剤 外用剤 心筋のナトリウムチャネル遮断作用によって頻脈性不整脈を抑制します。成人における頻脈 性不整脈(発作性心房細動・粗動、心室性) および小児における頻脈性不整脈(発作性心房 細動・祖動、発作性上室性、心室性) の適応を有しています。 E6011 剤形 自社品 細胞内情報伝達物質サイクリックAMPの分解酵素であるホスホジエステラーゼ 4 の働きを阻 害します。アトピー性皮膚炎の諸症状を抑える治療薬となることを期待しています。 E6005 自社品/導入品 自社品 自社品 フェーズⅠ フェーズⅡ フェーズⅢ 申請 承認 2015 年度申請予定 2014 年 1 月 Ⅰ/Ⅱ* * フェーズⅠ試験とフェーズⅡ試験を通した計画で行っています。 消化器・肝臓領域 プロトンポンプ阻害剤「パリエット® 」 は、2013 年 8月、日本におい 製造販売承認を取得し、上市しました。また、2013 年 11月、日本に 請を行いました。PPI 抵抗性逆流性食道炎に対する維持療法を対象 てヘリコバクター・ピロリ除菌用3 剤併用パック製剤として一次除菌 おいて低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の としたフェーズⅢ試験を日本で開始しています。 、二次除菌用「ラベファイン パック」 について、 用「ラベキュア パック」 再発抑制に関する効能・効果の追加および5mg 錠の剤形追加の申 ® ® 主要開発品の状況 (2014 年 8 月現在) 製品名/開発品コード (一般名) 概要 パリエット アシフェックス/ E3810 (ラベプラゾール) 自社品/導入品 プロトンポンプ阻害作用に基づき、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、ヘリコバクター・ 自社品 ピロリ除菌などの承認を取得しています。 剤形 経口剤 開発状況 低用量アスピリン投与時における胃潰瘍または十 日本 二指腸潰瘍の再発抑制および 5mg 錠 (効能追加) (剤形追加) PPI 抵抗性逆流性食道炎に対する維持療法 (効能追加) (cinitapride) 消化管神経叢に存在する5-HT2 および 5-HT4 受容体を刺激することによりアセチルコリン 導入品 の遊離を増大させ、上部消化管運動を改善します。また抗ドーパミン作用も有し、ドーパミ ( Almirall, S.A. ) ン受容体を阻害することによりアセチルコリンの放出抑制を解除し上部消化管機能を改善し ます。 地域 経口剤 フェーズⅠ フェーズⅡ フェーズⅢ 申請 ヘリコバクター・ピロリ除菌用3 剤併用パック製剤 日本 (剤形追加) 日本 機能性ディスペプシア (効能追加) 日本 機能性ディスペプシア 中国 承認 2013 年 8 月 2013 年 11 月 29 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイを構成する6つの資本 知的資本 オープンイノベーションと先端技術導入 産官学連携によるプロダクトクリエーション 創薬のターゲットや種となる化合物、さらにはユ カン研究所は、関西イノベーション国際戦略総合 研究所と幹細胞の応用研究について、その一部を紹 介します。 図表 1 略と創薬戦略に沿って、特許など、知的財産に関す 級のバイオクラスターを拠点とする地の利を活かし、 るスクラム型オープンイノベーションを促進し、神経 1. 知的財産活動 大学や病院などの医師・研究者との密接な協働によ 変性疾患領域などにおける新たな治療薬の創出に 知的財産部は、国内外創薬拠点に知的財産担当 者を配置し、エーザイプロダクトクリエーションシス と連携して戦略的な特許出願を行い、その権利化に 注力しています。さらに、開発中および上市後の医 薬品については、患者様のベネフィット向上につな がるよう、ポテンシーを最大限に引き出し、新製剤、 新医薬用途、新投与形態などの研究を行って、得ら れた成果を特許権で保護しています。 iPS 細胞をはじめとする幹細胞の創薬への応用につ 3. ライセンス関連活動の事業への貢献 図し、様々な取り組みを開始しています。中でも不整脈 動を展開しています。特に、海外創薬拠点を含めた 収益を上げることよりも、事業収益を確保する手段 いても、創薬の成功確度の向上と開発期間の短縮を企 許、商標、意匠、著作権などの知的財産に関わる活 のリスクを細胞レベルで評価する技術においては、ヒト グローバルな知的財産活動においては、連携強化に としての特許化に重点をおいています。 期的に情報を共有し、意思決定を行っています。ま する病気の治療薬については、積極的にライセンス クトへの貢献が開始されています 図表 2 。また、有望 な研究拠点との共同研究も進行中であり、化合物の有 効性評価への応用をめざしています。 努め、各拠点の知的財産部門の各担当者間でも定 た、特許出願や先行技術調査などでは、事業部や創 薬現場と密接に連携して活動しています。エーザイ ヒト幹細胞を使い生体外で心臓の動きを再現 した評価系を独自に確立、化合物評価を実施 るために積極的に国内外特許出願を行っています。 に則した作業を重視しています。これらの活動と並 許出願の要否や出願国については、各発明の重要性 エーザイでは、創薬活動により得られた成果を守 一方、リソースを効果的に運用すべく、海外への特 行して、2010 年3 月期から実施している体系的知的 を充分に評価しながら決定しています。 めざした、様々な側面からの基盤づくりにも取り組 5. 商標 財産研修をはじめとして、知的財産経営への変革を 2. 創薬活動と知的財産戦略 エーザイの収益の大部分は、医師の処方に基づき 心臓の心電図に相当する心筋細胞塊の電位を測定・解析 活動を実施しています。 技術や有望化合物の導入時には、関連組織と連携し んでいます。 MED64 System 一方、医薬品アクセスが困難な地域で特異に発生 4. 特許 合い、着実な権利化による保護やコンプライアンス ヒト幹細胞( ES 細胞) から 分化させた心筋細胞 エーザイは、特許権そのもののライセンス料から ネットワーク企業については、各企業の主体性を尊 重しつつ、後方支援を進めています。さらに、新規 ヒト幹細胞を使用した心血管系リスク評価系 拍動する心筋細胞塊 有望化合物についても、上市後の医薬品が適切に保 テムズなどの各グループと緊密に連携しながら、特 幹細胞を用いた細胞評価系を確立し、すでにプロジェ 図表 2 護されるよう、各プロダクトクリエーションユニット る諸活動を戦略的に進めています。 つなげていきます。 株式会社カン研究所新研究施設外観写真 者様へ安定して医薬品を届けるために欠かすことの できないものです。そのためエーザイでは、製品戦 ました 図表 1 。神戸医療産業都市という日本最大 プロダクトクリエーションユニットの一つであるカン います。さらに創薬活動を進めた結果、見出された 研究規模拡大のため2014 年に新研究施設へ移転し イノベーションを活用したビジネスモデルが構築さ は年々重要性を増しています。ここでは、エーザイの 独自に開発した技術や製品を法的に保護し、有効 活用することは、企業が持続的に成長・発展し、患 て神戸市からの指定を受け、研究技能の強化および れています。エーザイにおいても、社外との関係性 知的財産の保護・強化 特区における特定国際戦略事業への進出法人とし ニークな創薬技術を幅広く社外から取り込みながら 生産性や成功確度の向上をはかるという、オープン エーザイを構成する6つの資本 知的資本 患者様が服用する医療用医薬品です。これら医療用 医薬品の初期創薬活動における、遺伝子、タンパク 質、スクリーニング方法などの成果を特許出願して エーザイは、すべての医薬品について患者様に支 持される商品名を開発し、それらを商標権によって 保護しています。また、マーケティング部門と連携し て、ブランド戦略をグローバルに展開しています。 30 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイを構成する6つの資本 製造資本 生産体制(デマンドチェーン) デマンドチェーンとは ロセスにおいて万全の体制で品質確保に努めてい エーザイでは、製品の生産、供給を行うだけでな く、患者様の視点に立ち、患者様のデマンド (需要) を積極的に捉え、生産活動・製品改良を進めるグ ローバル体制をとっており、これをデマンドチェーン ます。 む世界の国々に、高品質な製品を患者様が購入しや すい価格で安定供給することを企図し、2012 年に、 従来の各工場を中心としたマネジメント体制から、 サイトをベースとした生産活動から グローバルな製品群別のユニット体制へ マネジメント体制に移行しました 図表 1 。 る製品一つひとつが患者様の生命に直結していると グローバルな安定供給体制 組んでいることを示しています。世界各地で医薬品 を待つ患者様がいる限り、高品質な医薬品を安定供 給し続ける使命と責任があり、その目的を達成する ために、製剤研究から生産、流通までのすべてのプ グローバルに供給する製品については複数拠点 生産拠点単位で最適化を 重視した生産体制 制を構築しています。 竣工年:1997 年 調達 原薬 製剤 包装 製剤 製剤 調達 原薬 製剤 包装 包装 包装 グローバル向け製品 調達 原薬 製剤 包装 日本・アジア向け製品 調達 原薬 製剤 包装 *3 新製品(バイオ製剤・抗がん剤以外) *1:鹿島 *2:バイザッグ *3:川島、サンノーバ、ハットフィールド、ノースカロライナ、ボゴール、蘇州、ボルチモア 竣工年:2009 年 患者様満足 包装 抗がん剤 原薬 *2 製剤 患者様ニー ズ 原薬 原薬 城県) 医療用医薬品に加え、エルメッドエーザイの販売 するジェネリック医薬品、一般用医薬品、医薬部 外品、化粧品などの製造を行っています。顆粒 剤、散剤、錠剤(糖衣錠、フィルムコート錠、OD 錠を含む) 、液剤、軟膏、クリーム、ローションな ど、多種にわたる剤形の製造が可能です。 * エーザイ株式会社は美里工場における事業を2014 年 3 月31 日に武州製薬株式会社へ譲渡しましたが、 注射剤については製造施設を武州製薬株式会社より リースバックし、製造を継続しています。 原薬のグローバル生産拠点。工業化研究機能お よび原薬生産機能が併設されており、開発段階 の早い時期から商業生産を想定した原薬生産プ ロセスを検討しています。また、製造プロセスの 改善により品質向上、安定供給、環境保全を達 成してきました。 固形剤商業生産機能に加え、抗がん剤やバイオ医 薬品などの注射用無菌製剤の商業生産ラインと治 験薬製造ラインおよび、それに付随する製剤研究 の 機能を有しています。抗がん剤「ハラヴェン® 」 生産サイトとして日米欧をはじめ世界各国で製造 承認を取得し、グローバルに供給を行っています。 バイザッグ工場(インド) 竣工年:2009 年 ハットフィールド工場(英国) 製品群別にエンド・トゥ・エンドを実践する グローバルな生産体制 調達 竣工年:1989 年 ノースカロライナ工場(米国) 世界の人々に高品質な医薬品を安定して供給する体 製品群別 ユニット サンノーバ株式会社(群馬県) 海外工場 での生産が可能な体制を確立し、有事においても、 バイオ製剤 *1 竣工年:1984 年 各工場中心のマネジメント体制から製品群別のグローバルマネジメント体制へ 図表 1 医療用医薬品(フィルムコート錠・細粒剤・カプ セル剤など) およびビタミンE 原薬を製造し、国内 外へ供給しています。製剤棟内は、自動搬送シス テムをはじめ、包装ラインのロボットアームによ る自動箱詰めシステムなどを導入しています。 鹿島事業所( すべては患者様とそのご家族、そして生活者のた めに独自のデマンドチェーン展開によって、これから も高品質な医薬品を安定供給していきます。 いう認識を社員一人ひとりが持ち、日常業務に取り 竣工年:1966 年 製品群別に形成されたユニットによるグローバルな とつながっている。」 これはエーザイが掲げる品質方針であり、製造す 川島工園(岐阜県) エーザイの生産部門は、新興国・開発途上国を含 と呼んでいます。 「我々の造る一錠、一カプセル、一管が患者様の命 国内工場 ハットフィールド工場は包装機能および固形製剤 の生産機能を有しており、多様性を極める欧州地 域において、特に少量・多言語包装に強みを有す る製造拠点です。 「 Fycompa® 」 といったグローバル 「ハラヴェン® 」 製品については欧州のみならず中東、アフリカ、 米州、アジア各国への供給を開始し、グローバル な生産基地としての役割を担っています。 ボゴール工場(インドネシア) 主にインドネシア市場向け医療用医薬品の製造・ 包装を担う製造拠点です。 竣工年:1987 年 ボルチモア工場(米国) 蘇州工場(中国) 竣工年:1998 年 主に中国向け医療用医薬品の製造ならびに包装 を行っており、拡大する中国市場へ高品質な製品 を安定供給する役割を担う製剤製造拠点です。 2014 年3月期に注射剤生産施設の増設を開始 し、新工場で生産する注射剤は、アジア、中南米な どの新興国への供給も視野に入れており、グロー バルな生産拠点としての一翼を担います。 医療用医薬品の原薬生産ならびに製剤生産や原 薬研究機能を併せ持った工場。原薬をグローバル に供給し、製剤は日本を含む先進国および、新興 国や開発途上国への供給する拠点としての役割を 担っています。エーザイのめざすアフォーダブル プライシング ポリシー(患者様が購入しやすい価 格の設定) において重要な役割を果たす拠点です。 竣工年:1995 年 脳内留置用の抗悪性腫瘍剤「ギリアデル® 」 を製造 し、グローバルに供給を行っています。日米欧を 含む世界各国から製造サイトとしての承認を受け ている工場です。 31 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイを構成する6つの資本 人的資本 グローバルなマーケティング体制 エーザイの事業活動は、日米欧などの先進国だけでなく、新興国・開発途上国にも拡大しています。エー ロジー領域、ならびに 「ヒュミラ® 」 「リリカ® 」 「ルネスタ® 」 などの新製品群による患者様貢献の拡大を果 (日本、 ザイでは、グローバル・ビジネス・マトリクス体制のもと、グローバルブランド戦略と4リージョン たしていきます。 のローカルマーケティングの相乗効果により、患者様貢献を果たしていきま アメリカス、アジア、EMEA ) す 図表 1 。 日本医薬品事業 また、日本医薬品事業では、医療用医薬品事業、ジェネリック医薬品事業、診断薬事業の3 事業が連 携し、予防から診断、治療、ケアにおける様々な医療ニーズにお応えするために活動を行っています。 図表 2 日本国内は、地域医療における医療・介護連携の進展、行政と地域が一体となった地域医療体制の アメリカス医薬品事業(北米、中南米) 米国では、 「がん」 および 「中枢神経」領域にフォーカスした組織体制のもと、抗がん剤「ハラヴェン® 」、 整備など、患者様を取り巻く環境が著しく変化しています。この変化の中で、エーザイが確実な成長を果 を中心としたがん関連製品や、 がん化学療法に伴う悪心・嘔吐および術後の悪心・嘔吐治療薬「 Aloxi® 」 たすためには、患者様の受診行動やニーズを熟知し、患者様満足を充足することにフォーカスした活動 13 年振りにFDAが承認した、新規メカニズムを有する肥満症治療薬「 BELVIQ® 」、2014 年 1 月に上市し を強化する必要があります。2014 年 3 月期より国内医薬品事業のビジネスモデルを抜本的に見直し、認 などのブランドを主軸として事業を展開しています。2015 た自社創製のてんかん治療薬「 Fycompa® 」 知症や関節リウマチなどの慢性疾患を居住地域で治療されている患者様に特化した活動を推進する 「地 年 3 月期は、 「ハラヴェン® 」 「 BELVIQ® 」 「 Fycompa® 」 の将来の成長を加速するために積極的な投資を 域包括hhc ユニット」、がん治療を代表とする急性期疾患を広域な医療圏の中で治療をされている患者 行い、乳がん患者様への貢献の拡大、肥満症患者様への治療機会の提供、てんかん患者様へのアンメッ の2 ユニット体制に転換しました。患者様の特性や 様ニーズの充足をめざす 「オンコロジーhhc ユニット」 ト・メディカル・ニーズの充足をはかっていきます。 ニーズに沿った情報の提供により、患者様満足をより専門的かつ効率的に追究していきます。この新体 また、カナダにおけるグローバルブランドの拡大や、ブラジル、メキシコなどの中南米での事業展開に による未治療の認知症患者様への貢献、 「ハラヴェン 」 をはじめとするオンコ 制により、 「アリセプト 」 向けた準備も進めています。 ® 図表 1 ® 4リージョン体制 図表 2 アメリカス(北米、中南米) EMEA(欧州・中東・アフリカ・ロシア・オセアニア) 日本医薬品事業 3 事業連携による患者様満足の追究 医療用医薬品事業 オンコロジー hhc ユニット 日本 地域包括 hhc ユニット アジア (中国・韓国・台湾・インド・アセアンなど) 診断薬事業 ジェネリック医薬品事業 32 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル アジア医薬品事業 ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 大を契機に、さらなる患者様貢献の拡大を果たしていきます。てんかん領域では、 「 Fycompa® 」 を含め 図表 3 1960 年代から事業活動が始まったアジア事業は、現在急進拡大を遂げています。主力市場の中国、韓 」 「 Zebinix® 」 「 Zonegran® 」 ) を上 て4つのてんかん治療薬(「 Inovelon®(北米でのブランド名:Banzel® ) 「パリエット® 」 「メチコバール® 」 などの主要製品が、特許満了後も売上 国が順調に成長し、 「アリセプト® 」 市しています。欧州地域でのてんかん領域におけるリーディングカンパニーになることをめざし、今後も や 「 Fycompa 」 などの新製品の拡大と積極的な資源投入 収益を伸ばしています。今後は、 「ハラヴェン 」 積極的に患者様貢献を果たしていきます。 ® ® により、2019 年 3月期には売上収益 1,200 億円レベルをめざします。また、患者様が購入しやすい価格政 策(アフォーダブルプライシングポリシー) 、同一国内において患者様の所得水準に合わせた複数の価格政 ストラテジックマーケット (ロシア、ブラジル、中東、メキシコ、カナダ、オーストラリア)図表4 策(ティアードプライシングポリシー) を広く適用し、患者様貢献を拡大していきます。 エーザイでは、ロシア、ブラジル、中東、メキシコ、カナダ、オーストラリアの6 つの国と地域を戦略的に 成長著しいインドチャイナ (タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、ラオス) 、およびインドネシアへも 重要なストラテジックマーケットと位置づけ、自社販売またはパートナーシップにより、患者様貢献の拡 進出を果たしており、積極的な資源投入により将来のコア市場への育成をめざしています。 大をめざしていきます。 を上市し、2015 年 3 月期には、てんかん治療薬 ロシアでは、2014 年 3 月期に抗がん剤「ハラヴェン® 」 EMEA 医薬品事業(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア) 「 Zonegran® 」 「 Exalief(欧州でのブランド名:Zebinix® )」 「 Inovelon® 」) の上市を 4 製品(「 Fycompa® 」 EMEAは、英国をリージョナルヘッドクォーターとし、生産工場、探索研究、臨床研究、マーケティン 達成し、事業基盤の確立に取り組んでいきます。 グ機能を集約したナレッジセンター(ハットフィールド) を中心に、欧州、中東、アフリカ、ロシアにオセア メキシコおよびブラジルでは、がん領域、てんかん領域、肥満症領域での患者様貢献をめざし、2015 ニアを加えた医療用医薬品の市場展開を行っています。 年3月期中の自社販売開始に向けた準備を進めています。カナダではすでに上市している5 製品(「ハラヴェ 「がん」 と 「てんかん」領域にフォーカスした事業展開を行っています。がん領域の主力製 EMEAでは、 「 Fycompa® 」 「 Aloxi® 」 「 Banzel® 」 「 Gliadel® Wafer 」) の販売を強化していきます。中東では 「ハラ ン® 」 は、EMEA32カ国で上市しており、今後もさらなる上市国の拡大をはかってい 品である 「ハラヴェン® 」 と 「 Fycompa® 」 の上市国を順次拡大しています。オーストラリアでも、2015 年 3 月期中の 「ハラ ヴェン® 」 きます。また、2014 年 6 月に欧州委員会より承認を取得した、より早期の転移性乳がん治療への適応拡 「 Fycompa® 」 の上市に向け、準備を進めています。 ヴェン® 」、 図表 3 アジア医薬品事業 売上収益の目標 図表 4 1,200億円レベル (億円) 1,200 600 100億円レベル (億円) 100 1,000 800 ストラテジックマーケット 売上収益の目標 80 580億円 675億円 60 40億円レベル 40 400 20 200 2014年3月期 実績 2015年3月期 * 2014 年 3 月期実績は日本基準の数値 予想 2019年3月期 目標 18億円 2014年3月期 実績 * 2014 年 3 月期実績は日本基準の数値 2015年3月期 予想 2016年3月期 目標 33 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイを構成する6つの資本 人的資本 社員 エーザイでは、定款において社員を主要なステークホルダーと位置づけ、安定的な雇用の確保、やりが いのある仕事の提供、能力開発機会の充実に努めています。企業理念であるhhc 理念を実現する上で、社 (2) グローバルリーダーの育成 エーザイでは、hhc 理念をグローバルに実現 員を大切な財産と考えており、社員一人ひとりが持てる力を最大限発揮できる環境の整備をしています。 するため、グローバルリーダーの育成に努めて なお、エーザイでは人材を 「人財」 と表現しています。 います。トップ候補者を育成する選抜プログラム グローバル人財育成支援プログラム をはじめ、日本、米国、欧州、アジア ( E-GOLD) (1) ダイバーシティの推進 トップマネジメント グローバルリーダー での 中 堅 リーダーを 育 成 するプ ロ グ ラ ム や、日本での若手リーダー育成プログ ( E-elite) エーザイ・ダイバーシティ* 宣言 、経営学修士(MBA)取得のた ラム ( E-STAR) エーザイは、企業としての存続を懸けてダイバーシティの推進をはかっていきます。 * ダイバーシティ:性別、国籍、文化、地域、年齢、学歴、キャリア、ライフスタイルなど、社員一人ひとりの多様 な考え方や価値観をビジネスに活かすことをさしています。 選抜型リーダーシップ開発プログラム はじめよう、 エーザイ・ダイバーシティ エーザイでは、hhc 理念実現という全社員共通の目的のもと、社員一人ひとりの多様な考え方や価値観 を尊重することによりイノベーションを起こし、患者様貢献を実現していくことが、めざすダイバーシティ の姿と考えています。 すべての社員が自らの個性と能力を最大限発揮して活躍するため、社内ウェブサイトや組織別研修を通 じてダイバーシティの考えを浸透させるとともに、社内事例を紹介することで、多様な価値観を活かす組 織風土の醸成に取り組んでいます。新任管理職・組織長研修では、ダイバーシティの推進を目的としたプ ログラムの導入や、女性のキャリア促進を目的とした選抜プログラムを実施しています。また、社内で活躍 する様々な社員を積極的に紹介し、キャリア促進ならびに仕事と家庭の両立を支援しています。 エーザイでは、国籍や性別に関係なく最適な人財が経営に参画しています。また、6 名の外国人執行役、 2 名の女性執行役が活躍しています。米国、欧州、アジアではいずれも管理職の40%以上を女性が占めて います。米国子会社エーザイ・インクでは、2014 年4月1日からプレジデント兼COO(最高業務執行責任者) に女性が就任しました。激しい環境変化の中、地域や文化の違いを尊重しながら、エーザイならではのダ イバーシティを推進し、世界の患者様貢献につなげていきます。 めの留学派遣など、様々な研修プログラムを実 施しています。2014 年 3月期は、国境を越えた 人財交流の機会を全部門に提供できるよう環 境を整え、業務を通してグローバルビジネスを 執行役・執行役員 E-GOLD エーザイリーダー 対象:シニアマネジメント ディレクター E-elite ポテンシャルリーダー E-STAR ポテンシャルプレーヤー 対象:ミドルマネージャー 対象:未来のマネージャー 学ぶ研修プログラムを構築しました。幅広い職 種において、より多くの社員が能力開発を行う ことにより、エーザイの成長を支えるグローバ ルリーダーの育成を推進しています。 選抜型リーダーシップ 開発プログラム (3) やりがい、働きがいを感じる環境づくり エーザイでは、社員一人ひとりがhhc 理念の実現にやりがいを感じる職場づくりをめざしています。 hhc 理念の実現に対する社員のやりがいを最大化するとともに、社員の成長を促進し、その結果として患 者様とそのご家族への貢献を実現していくという好循環をつくり上げていきます。 2012 年4月に65 歳定年制度を導入しました。また、2013 年4月には、女性の活躍を推進するための就 労環境整備の一環として、短時間勤務を選択した外勤者が希望に応じてフレックスタイム制を選択できる ようにしました。すでに、フレックスタイム制や裁量労働制など職種に合わせた柔軟な勤務制度、育児・介 護・看護のための休暇、休職制度や短時間勤務制度などを充実させていますが、社員がやりがい、働きが いを実感できるよう、今後も就労環境整備に取り組みます。 社内用啓発ウェブサイト 「 WONDERLAND 」 社内用啓発冊子「 PLEDGE 」 34 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイを構成する6つの資本 社会・関係資本 エーザイのパートナーシップ展開 現代の製薬産業に求められる成長戦略は、イノベーションの強化と医薬品アクセスの向上です。エーザイ テクノロジーベスト パートナーシップ という理想を実現したいと考 は、これらを追究する中で、 「 Performing Better with Less Resources 」 えています。Resourceの中で最も重要なものは時間であり、短期間に、効率性・生産性を上げていくと いう経営努力が必要となります。同じインプットからよりよいアウトプットを、より少ないインプットで同 新専門領域 展開* 新市場 形成 リージョナルベスト パートナーシップ じアウトプットを得る上では、効率性・生産性の向上が欠かせません。 エーザイでは、パートナーシップはビジネスの効率性・生産性を向上する上で極めて有効な手段と考 臨床開発 加速 えています。エーザイが展開しているパートナーシップモデルは多岐にわたりますが、最先端のサイエン フランチャイズ 強化 と、各リージョン スや技術を最大限に活用することを目的とした 「テクノロジーベスト パートナーシップ」 の2 でのリソースの効率的活用と製品価値最大化を目的とした 「リージョナルベスト パートナーシップ」 新薬 創出 つに大別されます。エーザイは、今後もパートナーシップを有効に活用し、グローバルに患者様満足の 増大を追究していきます。 アクセス拡大 * 新専門領域展開:フランチャイズ領域以外の化合物の価値最大化をめざしたパートナーシップ 主なテクノロジーベスト パートナーシップ(2014 年8月末現在) ■ 臨床開発加速に向けたパートナーシップ ■ 新薬創出に向けたパートナーシップ Epizyme, Inc.(米国) Roche Molecular Systems, Inc.(米国) Quintiles Inc.(米国) BioArctic Neuroscience AB(スウェーデン) 6種の抗がん剤候補化合物の開発に関する戦略的提携 新規ヒト化モノクローナル抗体「 BAN2401」 の全世界にお けるアルツハイマー型認知症を対象とした研究・開発・製 造・販売に関する独占的ライセンス エピジェネティック酵素 EZH2 をターゲットとする遺伝的起 因によるリンパ腫やその他のがん治療に関する研究、開発、 販売に関するグローバルな戦略的提携 エピジェネティクスに関連するEZH2 の遺伝子変異を同定 するコンパニオン診断薬の共同開発 SFJ Pharma Ltd.(英領ケイマン諸島) 抗がん剤「 E7080」 (一般名:レンバチニブ) の甲状腺がん に係るフェーズⅢ試験に関する共同開発 FORMA Therapeutics, Inc.(米国) Biogen Idec, Inc.(米国) スクリーニング・プラットフォームに関する研究提携と、そ の成果化合物に関するライセンス ( Aβ) 1. BACE 阻害剤「 E2609」、および抗ベータアミロイド に関する共同開発・共 プロトフィブリル抗体「 BAN2401」 同販促 2. Biogen Idec, Inc.が開発しているアルツハイマー型認知 および抗tau 抗体の共同 症治療剤抗Aβ抗体「 BIIB037」 開発・共同販促に関するオプション権の取得 PRISM BioLab(日本) CBP /カテニン阻害剤と類縁化合物に関する共同研究 FORMA Therapeutics, Inc.の化合物ライブラリーおよび 帝國製薬(日本) アルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト 」貼付剤(開発 中) の日本におけるライセンス ® ロンドン大学(英国) 神経疾患の新規治療法の開発に向けた創薬研究 開発 ジョンズ・ホプキンス大学(米国) 神経領域における創薬研究の共同研究 Verastem, Inc.(米国) がん幹細胞を標的とするWntシグナル阻害剤の創出に向け た共同研究 ■ 新専門領域展開に向けたパートナーシップ 参天製薬(日本) エーザイが保有する化合物について、参天製薬が眼科領域に おける優先的評価および交渉に関するオプション契約を締結 35 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 主なリージョナルベスト パートナーシップ(2014 年8月末現在) ■ 新市場形成に向けたパートナーシップ Arena Pharmaceuticals, Inc.(スイス) 肥満症治療薬「 BELVIQ® 」 (一般名:ロルカセリン) の韓国、 台湾、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエルを除く 全世界における独占的販売供給 ■ フランチャイズ強化に向けたパートナーシップ AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG(ドイツ) その他 日本、台湾、韓国 ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体注射剤「ヒュミラ® 」 (一般名:アダリムマブ) の日本、台湾および韓国における開 発、販売、および共同販促 Novartis AG(スイス) ニューロロジー グローバル ( 一般名:ルフィ てんかん治療薬「 Inovelon® / Banzel® 」 ナミド) の全世界における開発および製造・販売に関するラ イセンス 大日本住友製薬(日本) ニューロロジー 北米、欧州、アジア ( 一般名:ゾニサミド) の北 てんかん治療薬「 Zonegran ® 」 米、欧州、アジアにおける製造・販売に関するライセンス 契約 味の素製薬(日本) その他 日本 (一般名:リセドロン酸ナト 骨粗鬆症治療薬「アクトネル ® 」 リウム) の日本における販売 Pfizer Inc.(米国) オンコロジー 米国 (一般名:ダルテパリン) の米 血液凝固阻止薬「 Fragmin® 」 国における販売 ニューロロジー 日本 ( 一般名:プレガバリン) の日本におけ 痛治療薬「リリカ® 」 る共同販促 Ligand Pharmaceuticals Inc.(米国) オンコロジー 米国 CD25 陽性皮膚浸潤性 T 細胞リンパ腫治療薬「 ONTAK® 」 (一般名:デニロイキンディフティトックス)等、抗がん剤 4 品目の製品買収 Sunovion Pharmaceuticals Inc.(米国) ニューロロジー 日本 ( 一般名:エスゾピクロン) の日本 睡眠導入薬「ルネスタ® 」 における独占的な開発および販売に関するライセンス ミノファーゲン製薬(日本) その他 日本、アジア 肝臓疾患用薬・アレルギー用薬「強力ネオミノファーゲン (グリチルリチン酸、グリシン、L-システイン (配合 シー ® 」 (グリチルリチン酸、グリシン、DL剤)) および 「グリチロン® 」 メチオニン (配合錠)) の日本およびユーロアジア地域の未発 売国における独占的な開発・販売権ならびに中国を含む ユーロアジア地域の既販売国における独占的な販売権の優 先交渉権取得のライセンス Helsinn Healthcare S.A.(スイス) オンコロジー 米国、カナダ (一般名:パロノセトロン) の米国・カナダ 制吐剤「 Aloxi® 」 におけるライセンス (2008 年 1 月28 日付 MGIファーマ社買 収に伴う承継) オンコロジー 米国 ( 一般名:パロノセ ネツピタント (一般名) と制吐剤「 Aloxi® 」 トロン) を含む制吐剤配合剤の米国におけるライセンス シンバイオ製薬(日本) オンコロジー セービンワクチン研究所(米国、非営利組織) 日本、シンガポール、韓国 (一般名:ベン 1. 抗がん剤「トレアキシン® / Symbenda® 」 ダムスチン) の日本における共同開発および販売に係る独 占的ライセンス 2. シンガポールおよび韓国の2カ国を対象とした開発・販 売に係る独占的ライセンス BIAL-Portela & Ca, S.A.(ポルトガル) ニューロロジー 欧州 ( 一般名:エスリカルバゼピン) てんかん治療薬「 Zebinix® 」 の欧州における販売ライセンスおよび共同販促 Orion Corporation(フィンランド) オンコロジー ニューロロジー 中国 (トレミフェン) とパーキンソン 乳がん治療薬「 Fareston® 」 (セレギリン) の中国における包括的 病治療薬「 Eldepryl® 」 販売提携 PharmaSwiss S.A.(スイス) オンコロジー 中東欧 抗がん剤「ハラヴェン® 」の中東欧地域における販売提携 シャーガス病およびリーシュマニア症のワクチン開発に向 けて、エーザイが創製したワクチンアジュバント (ワクチンの 免疫効果を高める物質) である 「 E6020」 および本化合物の 関連情報をセービンワクチン研究所に提供 Drugs for Neglected Disease initiative ( DNDi ) (スイス、医薬品研究開発パートナー) 顧みられない熱帯病に関する医薬品研究開発パートナー、 DNDi とシャーガス病に対する新しい治療薬の臨床開発に関 する提携およびライセンス契約を締結し、共同開発を実施 オズワルドクルス財団(ブラジル、国立研究機関) エーザイが創製した化合物について、マラリアや顧みられ ない熱帯病の治療薬の開発プロジェクトを選定し、共同研 究開発を実施 グローバルヘルス技術振興基金( GHIT Fund ) (日本、公益社団法人) 開発途上国特有の感染症に対する新薬の創出を推進する 日本発の官民パートナーシップ。エーザイを含む日系製薬 企業 5 社、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、日本国政府がパー トナーシップを組み、共同で資金を拠出 Tuberculosis Drug Accelerator( TBDA ) (国際的パートナーシップ) ■ アクセス拡大に向けたパートナーシップ 世界保健機関( WHO ) (スイス、国連専門機関) 顧みられない熱帯病の一つであるリンパ系フィラリア症の 制圧に向けたWHO のプログラムを通して、インドのバイ ザッグ工場で製造する治療薬ジエチルカルバマジン ( DEC ) 22 億錠を制圧目標の2020 年まで無償で蔓延国に提供 世界知的所有権機関( WIPO ) (スイス、国連専門機関) WIPO へ加盟する機関は熱帯病治療薬やその候補化合物等 に関する知的財産などを無償で提供し、世界の研究者らとと もに知見を共有してオープンイノベーションを促進。エーザイ は、7 つの候補化合物の情報をデータベースに提供 結核に対する革新的な創薬をめざし、ビル&メリンダ・ゲイ ツ財団が資金を提供し、製薬会社、研究機関により共同設 立されたパートナーシップ。参画する各製薬会社と情報を 共有しながら早期に新治療法を創出することをめざす リバプール熱帯医学研究所( LSTM ) (英国、非営利研究機関) 、 リバプール大学(英国) リンパ系フィラリア症の原因となるフィラリアに寄生し、そ の増殖を助長するボルバキア菌に注目した新規フィラリア 駆虫薬創出に向けた共同研究を、GHIT Fundの助成金を 受けて実施 36 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイを構成する6つの資本 社会・関係資本 社会的責任への取り組み 社会貢献活動 年表彰されています。2014 年 3 月期は、国内部門では、難病患 療への従事において顕著な功績をあげた医療功労者の顕彰事業への協賛など、主に医学の発展に寄与す 厳しい自然条件との戦いを強いられる現場での地域医療に長年 エーザイは、内藤記念くすり博物館の無料公開、医療・医薬研究活動支援財団の運営支援、長年の医 る社会貢献活動に取り組んでいます。 者様のケアや在宅医療の向上および離島・山間・豪雪地帯など 取り組んでこられた16 名の方々が受賞されました。また、海外部 門では、災害時援助で衛生指導に尽力された1 名の方が受賞され 内藤記念くすり博物館 ました。 1971 年に創業者の内藤豊次によって創設された内藤記念くすり博物館(岐 詳しくはこちら 阜県) は、日本初の医薬に関する総合的な博物館として、医薬に関する収蔵 * 主催:読売新聞社 http://www.eisai.co.jp/social/program.html#awards 後援:厚生労働省、日本テレビ放送網 資料約65,000 点、収蔵図書約62,000 点のうち約2,000 点を展示しています。 エーザイhhc ホットライン 無料で公開しています。併設する薬用植物園は、600 種類の薬草・薬木を育 しています。エーザイ製品の有効性、安全性など基本的な情報を親切、丁寧にご説明させていただくと共に、 当博物館は、医療に関する研究の発展や医薬に関する知識の普及をめざし、 成し、一般に公開しています。2014 年 3 月期は、約 34,000 人の方々が来館 患者様・生活者そして医療関係者の皆様方へ、365日年中無休・フリーダイヤルでお問い合わせに対応 内藤記念くすり博物館 されました。 詳しくはこちら http://www.eisai.co.jp/museum/ 公益財団法人内藤記念科学振興財団 エーザイ創業者の内藤豊次とエーザイの寄附をもとに1969 年に設立され、疾患の予防と治療に関す る自然科学の基礎的研究を奨励し、学術の振興および人類の福祉に寄与することを目的に、毎年第一線 で活躍する研究者に対し助成金などを贈呈しています。2014 年 3 月期は、科学振興賞と科学奨励金な ど総件数 267 件、総額 5 億 3,215 万円の助成金等が贈呈されました。 詳しくはこちら http://www.naito-f.or.jp/ 公益財団法人医療科学研究所 医療および医薬品に関する経済学的調査・研究、医薬品などに関する研究開発・生産・流通などに ついての調査・研究を行い、医療とその関連諸科学の学際的研究・調査を推進することでわが国の医療 と福祉の発展に寄与することを目的とし、エーザイ創業 50 周年記念事業の一環として、1990 年に設立 されました。研究成果を機関誌「医療と社会」 に発表するほか、研究会やシンポジウムを開催し、専門家 によるディスカッションの場を提供しています。 詳しくはこちら 貴重なお問い合わせ情報を社内で共有し、患者様、医療関係者の皆様の潜在的な想いにお応えするために、 様々な取り組みを行っています。 詳しくはこちら http://www.eisai.co.jp/inquiry/product/hotline.html 研究倫理審査委員会 厚労省指針「臨床研究に関する倫理指針」 および、厚労省・文科省・経産省合同指針「ヒトゲノム・遺伝 子解析研究に関する倫理指針」 文科省「ヒトES 細胞の使用に関する指針」 「ヒトiPS 細胞又はヒト組織幹細 胞からの生殖細胞の作成を行う研究に関する指針」 に基づき倫理審査委員会を設置しています。 詳しくはこちら http://www.eisai.co.jp/social/genome/index.html 医療機関等との関係性に関する情報公開 エーザイでは、日本製薬工業協会で定める 「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」 、 「企 業活動と患者団体との関係の透明性ガイドライン」 に基づき、指針を策定いたしました。エーザイは、製薬 協の方針に従い、基本的に製薬協が策定したガイドラインと同様の対応を行います。 詳しくはこちら http://www.eisai.co.jp/social/disclosure/index.html http://www.iken.org/ 医療功労賞 エーザイは、hhc 理念と合致した重要な社会貢献活動として、1986 年より医療功労賞 *に協賛してい ます。困難な環境のもと、長年にわたり医療に従事し、献身的に活躍されている医療従事者の方々が毎 エーザイは、社会的責任投資指数である、 「 Dow Jones Sustainability Asia Pacific Index」 (米国: ダウ・ジョーンズ社) や 「 FTSE4Good Global Index」 (英国:FTSEインターナショナル社) の対象銘 柄に選定されています (2014 年 8月現在) 。 37 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイを構成する6つの資本 自然資本 地球環境に配慮した事業活動 エーザイでは、世界の多くの人々のヘルスケアに貢献するグローバル企業として、医薬品の研究開発、 製造、流通、販売、使用、廃棄の各段階で環境負荷を低減することは大きな社会的使命であると考えてい ます。 「 ENW* 環境方針」 図表 1 に基づく環境保全に関するマネジメント体制のもと、すべての役員および 従業員が環境基本理念を共有し、地球環境に配慮した事業活動を展開しています。資源の投入と環境へ の負荷を定量的に把握するとともに、廃棄物削減とリサイクルの推進、化学物質の適正な管理と使用量削減、 環境教育に取り組んでいます。 また、 「環境・社会報告書」 を毎年発行して、環境保全に関するマネジメント体制や具体的な管理活動実 績などについて公表しています。なお、環境負荷低減のため、冊子は制作せず、ホームページ上への掲載 のみとしています。 :エーザイ株式会社および子会社と関連会社で構成されている企業グループ * ENW( Eisai Network Companies ) TOPICS エーザイでは、日本の主要生産拠点、蘇州工場(中国) およびバイザッグ工場(インド) にてISO 14001 認証を取得するなど、グループ全体で環境保全活動を展開しています。 事業所における環境保全活動 ■ バイザッグ工場(インド) バイザッグ工場は、事業活動に伴う環境負荷低減にも積極的に取り組んでおり、2012 年 3 月に ISO14001 認証を取得しました。また、環境・健康・安全に対する積極的な取り組みが評価され、イン ド産業連盟より 「環境・健康・安全優秀賞 2012」 を受賞しています。 ■ 蘇州工場(中国) 環境・社会報告書の掲載サイト http://www.eisai.co.jp/social/esreport/index.html 蘇州工場は、2009 年 ISO14001 認証を取得しており、社員の環境教育に力を入れるとともに、環境 保全を重視した事業活動を展開しています。 図表 1 ENW 環境方針 「 ENW 環境方針」 は、 「 ENW 企業行動憲章」 に基づいて、ENWの環境保全活動の基本理念と具体的な行動指針 9 項目を 示しています。国内ENWでは、この方針に基づき、積極的かつ継続的な環境保全活動を展開しています。 環境基本理念 ENWは、地球環境の保護を重視した企業活動を行い、環境保全に努めます。 環境行動指針 1. かけがえのない地球環境を守るため、従業員一人ひとりが「自然の尊さ・大切さ」に思いをめぐらせ、企業活動を行います。 2. 製品の研究・開発から製造、流通、販売、使用、廃棄に至る全ての段階において、環境保全を最優先します。 3. 環境管理体制を整備し、環境保全活動を推進します。 4. 環境関連法、規則および協定の遵守はもとより、さらに厳しい自主基準を定めて活動します。 5. 科学技術の進歩を積極的に採り入れ、最先端の環境負荷低減技術を確保します。 6. すべての企業活動において、省資源・省エネルギ−、廃棄物削減および再利用に努めます。 7. 環境に影響を及ぼす化学物質の使用量削減、除去を推進し、環境汚染の未然防止に努めます。 8. 全従業員が環境基本理念を共有するとともに、各職場で求められる専門性強化をはかる教育訓練を計画的かつ継続的 に実施します。 9. 環境保全に関する方針、目標、プログラムおよび実績などの情報を、積極的に開示します。 ■ 川島工園(日本) 川島工園は、木曽川の中洲にあたる岐阜県・川島地区に、緑 にやさしい公園工場として1966 年に開所しました。40 年前に 創業者がこの地のクロマツに惚れ込み、インダストリアルパーク をここにつくりたいと思ったことが始まりです。 「木を一本切っ たら、三本植えよ」 という創業者の想いは、今でも従業員に引き 継がれています。川島工園のコンセプトは、 「 All for Patients and Nature 」であり、患者様のため、そして自然と地域の生活 者の皆様との共生のために活動しています。 「工園」 としている 処理場で浄化された排水が流れ込む3つの池 と美しい緑が広がる川島工園内の日本庭園 のも、自然や地域への環境面での配慮を欠かさない生産活動 を行うことの表明であり、それを実現している誇りでもあります。工場排水は徹底的に処理し、工園内 の日本庭園に放出します。また旧川島町の町木であるクロマツは、現在そのほとんどが工園内で維持・ 管理され、環境保全に寄与しています。なお、1999 年にISO14001 認証を取得しています。 38 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイを構成する6つの資本 財務資本 財務戦略 2016 年 3月期から成長軌道に復するエーザイの 「 Resilience 」 (レジリエンス:回復力、復活力) を支え 「アシフェックス® 」 の エーザイは、2015 年 3月期においては日本国内における薬価改定、米国における る財務戦略マップを策定しています 。この戦略は、持続的な株主価値向上を果たすため 「成長回 物質特許満了の影響を受けますが、積極投資と安定配当を支えるための健全な財務状況、 「 Strong 帰のための積極投資」 および 「安定配当方針」 、そしてそのエクイティ・ストーリーを伝える 「グローバル Balance Sheet 」を確保しています。2014 年 3月期において、Net DERは0.14と前期の半分レベルにま IR 戦略」の3つの柱で構成されています。 で改善しました。Net Debt / EBITDAは0.61と1 年以内にすべての債務を返済できる水準となっていま 戦略投資では、グローバルブランドの育成、プロダクトクリエーションの加速、アジア・ストラテジック す。自己資本比率はMGIファーマ社買収後初めて (2007 年 3月期以来の)50%超となりました マーケット*1の拡大、さらにはM&Aなどに積極的に資源投入を行い、その成果により 「 2016 年3月期以降、 Debt Capacity(負債調達能力)は約 2,000 億円となり、戦略投資を充分に賄える水準となっています。 成長軌道に復する」 ことを企図しています。戦略投資にあたっては、リスク調整後ハードルレートを用いた 自己資本は5,000 億円を超え、配当のKPI*であるDOE8%レベル、安定配当150 円をサポートできる実力 「投資採択基準 VCIC: Value-Creative Investment Criteria 」 により NPV* とIRR* スプレッドに基づく を備えていると考えています。 価値創造を担保していきます。2015 年 3月期は、大多数の株主の皆様のご要望でもある150 円配当を維 エーザイでは、こうした 「 Strong Balance Sheet 」 によって成長投資と安定配当を両立し、グローバル 持し、株主価値を堅守することを予定しています。また、 「安定配当」 は、2016 年 3月期以降の増益への IR 戦略としてタイムリーかつフェアに情報を開示して投資家の皆様への説明責任を果たし、持続的な株 経営陣の自信を示すアナウンスメント効果、つまり 「シグナリング効果」 も勘案しています。 主価値の向上に努めていきます。 * ストラテジックマーケット:カナダ、メキシコ、ブラジル、ロシア、中東、オーストラリア *2 Net Present Value:正味現在価値 * Key Performance Indicators:主要業績評価指標 2 図表 1 3 1 図表 1 * Internal Rate of Return:内部利益率 3 エーザイの Resilienceを支える財務戦略マップ 図表 2 Strong Balance Sheet 図表 2 (億円) 成長回帰のための積極投資 安定配当方針 ・グローバルブランドの育成 ・プロダクトクリエーションの加速 ・アジア、ストラテジックマーケットの拡大 ・M&Aおよびパートナーシップ ・150 円の配当維持 ・資本コストを上回るDOE8%レベル グローバル IR 戦略 資本コスト低減を企図 5,192 3,882 69% 69% 70% 5,000 億円超 2,889 3,000 Strong Balance Sheet 2013 年 3 月期 VCIC 実績 実績 4,159 0.63 0.62 4,042 ▶ 0.14 ▶ 0.1レベル Net Debt / EBITDA*2 1.04 ▶ 0.61 ▶ 0.6レベル 自己資本比率 47% ▶ 54% ▶ 55%レベル 成長軌道へ復す 4,168 54% 0.49 2,696 37% 2,564 38% 39% 1,982 47% 0.38 0.27 1,266 1,000 0 シグナリング効果 持続的な株主価値の向上 * Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization:利払い前税引き前償却前利益 50 41% 1,571 見通し 0.27 * Net Debt Equity Ratio:純負債比率 4,694 4,280 2015 年 3 月期 Net DER(倍)*1 2 40% 2,000 2014 年 3 月期 4,489 0.64 68% 成長投資と安定配当を両立する 価値創造を担保 する投資採択基準 1 5,068 自己資本 Debt Capacity 2,000 億円レベル 2016 年 3 月期以降 66% 4,195 100 5,525 4,596 5,000 4,000 ( Value-Creative Investment Criteria ) (%) 6,000 0.14 725 2003年 3月期 2004年 3月期 2005年 3月期 2006年 3月期 2007年 3月期 2008年 3月期 2009年 3月期 自己資本(左軸) 1 ネット有利子負債 *(左軸) 自己資本比率(右軸) Net DER(倍)*2 *1 ネット有利子負債=有利子負債ー(現預金+有価証券) *2 Net DER:Net Debt Equity Ratio=[有利子負債−(現預金+有価証券)]/自己資本 2010年 3月期 2011年 3月期 2012年 3月期 2013年 3月期 2014年 3月期 0 。 39 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイを構成する6つの資本 財務資本 ROE経営 2013 年はアベノミクス効果により、国内株式市況は活況となりました。さらに国内株式市況を活性化 マージンの向上については、グローバルブランド (ハラヴェン® 、BELVIQ® 、Fycompa® 、レンバチニブ (一 するため、安倍政権の成長戦略の一つとして、海外投資家の日本株への投資を推進することが挙げられ 般名) ) の育成、アジア・ストラテジックマーケットの拡大を行い、かつ効率的なオペレーションを実現す ており、その一つの策として日本取引所グループ ( JPX ) と日本経済新聞社が共同し、グローバルな投資基 ることにより利益の確保をめざすと同時に引き続き費用効率化を推進していきます。財務レバレッジ利用 準であるROE(自己資本当期純利益率) を重視した新しい株価指数「 JPX日経インデックス400* 」 の算出 については、財務の健全性を確保しつつ最適資本構成を追究します。一方、ターンオーバーの改善として が2014 年1月6日より開始されました。これにより、近年投資家の関心度が高まってきた 「 ROE 経営」 に、 は、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル) 管理による運転資本のコントロールに加えて、土地や有 さらなる注目が集まっています。 価証券などの資産売却、棚卸資産の圧縮などの資産の効率化を積極的に行っています。 エーザイでは、 「 ROE 経営」 への社会の関心が現在より低い状況にあった2000 年代初頭から、持続的 2015 年3月期は、2016 年3月期以降の成長回帰を企図し、成長ドライバーであるグローバルブランド、 な株主価値の創造に関わる重要な指標としてROEを掲げ、 「 ROE 経営」 に取り組んでいます。 「 ROE 経営」 アジア・ストラテジックマーケット、主力研究開発テーマに積極的に投資しており、ROEは2014 年 3月期 では、売上高利益率(マージン) 、財務レバレッジ、総資産回転率(ターンオーバー) を改善することにより と比べて低下する見込みです。しかし、2016 年 3月期以降は成長回帰を実現してROEを向上させ、中長 図表 1 期視点で持続的な株主価値の向上を実現していきたいと考えています 、中長期的にグローバル水準のROEおよびEquity Spreadをめざしています。 。 図表 2 「 JPX日経インデックス400」 の銘柄に採用されています (2014 年 8 月現在) 。 * エーザイは、 図表 1 ROE の分解要素 図表 2 ROE の年次別推移[ 2004 年 3 月期∼ 2014 年 3 月期] (%) 過去 10 年の平均 ROE*1 (12.3%) 20 16.4 14.3 15 12.4 ROE = マージン 効率的オペレーションに よる営業利益率の改善 財務レバレッジ 財務健全性のため中期目標 Net DER 0.3 以下に コントロールしつつ 財務レバレッジを活用 ターンオーバー 運転資本管理や 固定資産の 現金化による 資産効率の向上 12.6 13.0 13.2 10.9 10 9.3*2 株主資本コスト (8%) 5 0 10.9 9.6 2004年 3月期 2005年 3月期 2006年 3月期 2007年 3月期 2009年 3月期 ( CoE ) Equity Spread(%)=ROE- 株主資本コスト 株主価値創造の代理変数 過去 5 年平均 ROE 12.1% – CoE 8% = Equity Spread 4.1% 過去10 年平均ROE 12.3% – CoE 8% = Equity Spread 4.3% * 株主資本コストを8%と仮定しています(リスクフリーレート2%+リスク 。 プレミアム6% ) 2010年 3月期 2011年 3月期 2012年 3月期 2013年 3月期 2014年 3月期 *1 2008 年 3 月期の実績は含まれておりません。 *2 早期希望退職者募集による特別損失計上額の影響を除いた数値 の影響があり、参考数 ** 2008 年 3 月期の実績は、特殊要因( MGIファーマ社買収) 値として適切な数値ではないため削除 40 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 また、株主価値の評価指標の一つとして、PBR(株価純資産倍率) が挙げられます。PBRは、株価を企 業の資産面から評価する指標であり、会計上の純資産(簿価) に対して何倍の市場価値(時価総額) を創 出しているかを表します。さらにPBRは、PER(株価収益倍率) とROEの積に分解することができます 図表 3 。 図表 3 PBR の分解要素 図表 4 PBR の年次別推移(2004 年 3 月期∼ 2014 年 3 月期) (倍) 4 3 知的資本 製造資本 2 人的資本 市場付加価値 = PBR PER ROE IRにより資本コスト低減と マージンの向上 財務レバレッジの活用 ターンオーバーの改善 成長ストーリー浸透を めざす 社会・関係資本 自然資本 1 財務資本 純資産(会計上の簿価) 0 2004年 3月期 2014年 3月期 エーザイでは 「 ROE 経営」 への取り組みだけでなく、PERの向上にも取り組んでおり、明確な資本政策 国内企業のPBRは、2014 年3月期はいわゆるアベノミクスが奏功したこともあり改善傾向にあるものの、 の提示による株主資本コストの低減およびタイムリーかつフェアなIR 活動に努めています。この点につい 未だに1 倍台となっており、過去 10 年間を見ても、国内企業のPBRは欧米レベルの半分程度の1 倍が標 て、2014 年 6月19日付のSMBC日興証券の中沢安弘アナリストのレポートにて、 「エーザイのPERは業 準レベルとなっています。 界平均を10%以上上回る。その理由は、明確な資本政策や巧みなIR 活動が投資家に高く評価されている しかし、エーザイでは2000 年代初頭より 「 ROE 経営」 に取り組んでいることから、日本の標準レベルで からであり、これをIRプレミアムと呼ぶ」 と報告されています。 ある1 倍を大きく上回っています 引き続き、投資家の皆様から高い評価をいただける、ひいては持続的な株主価値向上につなげること 図表 4 。 つまり、会計上の純資産(簿価) を上回る市場評価(時価総額) となっており、その差額である市場付加 価値を中長期的に創出しています。 ができるIR 活動をめざしていきます。 41 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイを構成する6つの資本 財務資本 株主還元 剰余金の配当等に関する基本方針 1 剰余金の配当については、健全なバランスシートのもと、連結業績、連結純資産配当率 *( およ DOE ) 配当金および連結純資産配当率( DOE ) の推移 (円) びキャッシュ・インカム*2 を総合的に勘案し、株主の皆様へ継続的・安定的に実施しています。 200 と、資本効率を示す自己資本当期純利益率 DOEは、株主の皆様への利益配分を示す配当性向( DPR ) の2 つの要素から構成され、エーザイの掲げる株主価値の創造に資する指標です。また、連結純 ( ROE ) 10.1 1 株当たりの配当金(左軸) DOE(右軸) 資産に対する配当の比率を示すことから、バランスシートマネジメントを反映する指標となっています。 6.4 5.3 なお、自己株式の取得は、市場環境や資本効率などに鑑み、適切な時期に実施します。 100 *1 純資産配当率( DOE )= 配当性向( DPR ) 自己資本当期純利益率( ROE ) *2 キャッシュ・インカム 成長投資、株主還元、借入返済等に使用可能なキャッシュの総額であり、企業の成長性・戦略を検証する尺度と考えています。 算式:当期純利益+有形・無形固定資産減価償却費+インプロセス研究開発費+のれん償却額+減損損失(投資有価証券評価損含む) 会決議とすることを定款に定めています。2014 年 3 月期の期末配当金は、株主の皆様への継続的・安 定的な配当という基本方針に基づいて、1 株当たり80 円とし、中間配当金の1 株当たり70 円と合わせ、 となり、DOEは8.8%となりました。 年間配当金は1 株当たり150 円(前期と同額) 130 140 (%) 9.6 8.8 150 150 150 150 150 120 配当性向 (%) ROE( % ) 8 6 4 50 0 10 90 56 配当について エーザイは委員会設置会社であり、剰余金の配当に関しては機動的に行うことを目的として、取締役 3.7 10.4 9.1 7.4 150 10.4 2 2005年 3月期 2006年 3月期 2007年 3月期 2008年 3月期 2009年 3月期 2010年 3月期 2011年 3月期 2012年 3月期 2013年 3月期 2014年 3月期 29.0 40.6 48.4 − 83.7 105.9 63.4 73.1 88.6 129.8 12.6 13.0 13.2 (3.4) 10.9 9.6 16.4 14.3 10.9 6.8 0 (注)2008 年 3月期はMGIファーマ社買収に伴い発生したインプロセス研究開発費の影響などにより当期純損失となったため、配当性向は表示しておりません。 株主総会 IRに関する活動状況 ます。また、株主の皆様からの活発なご発言を頂戴し、質疑応答に努めています。すべての株主の皆様が それに合わせてアナリスト・機関投資家向けの決算説明会を年 4 回実施しています。さらに、エーザイの 株主総会において十分な説明を行うことを旨とし、議長自らが事業報告や経営方針について説明を行い 適切に議決権を行使できる環境を整備するため、株主名簿管理人の議決権行使サイトや議決権電子行使 プラットフォームを採用するとともに、内容を充実させた招集ご通知を、日本語版、英訳版ともに当社ウェ ブサイトに掲載しています。 IR 担当執行役のもとにIR 部を設置し、IR 専任担当者を配置しています。四半期決算を実施しており、 戦略について説明するために、決算説明会とは別に毎年1 回インフォメーション・ミーティングを開催して います。また、投資家との対話の機会も積極的に設け、国内だけでなく、海外の投資家にも定期的に個別 訪問をしています。その他、個人投資家の皆様を対象とした説明会も適宜実施しています。 ホームページには株主・投資家の皆様向けのサイトを設けています。定款をはじめ決算短信・参考資料、 アナリスト・機関投資家向け説明会資料を掲載するとともに、説明会の動画も日本語および英語にて発表 後すみやかに配信しています。また、業績や研究開発の概況を取りまとめた業績ハイライト・研究開発状況、 アニュアルレポート、年間 IRスケジュール、株式諸手続き・株価状況、決算公告・電子公告なども掲載して います。 詳しくはこちら http://www.eisai.co.jp/ir/index.html 42 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイを構成する6つの資本 財務資本 株式の状況(2014年3月31日現在) 発行可能株式総数(普通株式) 1,100,000,000 株 エーザイが相互に株式を保有する事業法人の状況 株主数 月末時点で、エーザイが株式を相互保有する上場事業法人 21 社の保有するエーザイ株式の合計は10,893 千株(発行 発行済株式の総数 エーザイは、企業連携が高まり、企業価値向上につながることを株式を相互に保有する基本としており、2014 年 3 296,566,949 株(うち自己株式数 11,202,048 株) 106,981 名 済株式の総数に対する比率 3.67%) であり、そのうち、主要な業種である卸売業、医薬品、医用電子機器関連の事業 大株主の状況 株 主 名 総議決権数に対す る所有割合(%) 持株数(千株) 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) 日本生命保険相互会社 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 株式会社埼玉りそな銀行 ジェーピー モルガン チェース バンク 385147 エーザイ従業員持株会 株式会社みずほ銀行 公益財団法人内藤記念科学振興財団 ステート ストリート バンク ウェスト クライアント トリーティー ザバンクオブニューヨーク133522 18,649 14,845 13,659 8,300 6,188 5,640 5,398 4,207 3,902 3,894 6.53 5.20 4.78 2.90 2.16 1.97 1.89 1.47 1.36 1.36 金融機関(銀行等) 金融商品取引業者(証券会社) その他法人 外国法人等 個人・その他 自己株式 合計 株式数の所有者別構成比の推移 37.8 2012年3月期 37.5 2013年3月期 37.1 金融機関(銀行等) 0.2 0.1 1.0 0.5 98.3 0.0 100.0 前年増減(名) 15 8 23 24 11,076 − 11,146 50 43.9 2011年3月期 2014年3月期 185 56 1,075 545 105,119 1 106,981 25 0 2010年3月期 (名) 株主数 (%) 34.9 個人・その他 (千株) 株式数 (%) 103,530 10,664 23,668 68,279 79,222 11,202 296,566 34.9 3.6 8.0 23.0 26.7 3.8 100.0 28.4 25.0 26.7 外国法人等 その他法人 自己株式 19.0 2013 年 3 月期 2014 年 3 月期 11,470,897 11,202,048 株 主 名 △ 6,366 △ 844 48 2,206 5,225 △ 268 株式数(株) 前事業年度末における保有株式 ① 取得株式 単元未満株式の買取 ② 処分株式 ストックオプション (新株予約権) の権利行使 ③ 業績連動型株式報酬制度の導入に伴う第三者割当 ④ 単元未満株式の買増 ⑤ 当事業年度末における保有株式(①+②−③−④−⑤) 取得または処分価額 の総額(百万円) 11,470,897 − 8,732 35 171,800 105,400 381 11,202,048 584 358 1 − 8.1 8.1 株価推移 m (%) 80 3.9 2.0 3.9 3.2 8.0 3.9 3.9 23.0 8.0 3.8 3.6 エーザイ株価 TOPIX 160 120 3.9 3.6 m (%) − 22.3 金融商品取引業者(証券会社) 2012 年 3 月期 11,585,988 前年増減(千株) 7.5 15.1 2011 年 3 月期 11,608,283 自己株式の取得、処分等および保有 100 20.8 33.1 2010 年 3 月期 11,629,379 (注)2014 年 3月期の 「会社法第 459 条第 1 項第 1 号の規定による定款の定めに基づく取締役会決議により取得した自己株式」 はありません。 75 20.4 自己株式の状況 最近 5 年間の自己株式数の推移(単位:株) 自己株式数 の総数に対してその有する株式の数の割合が高い上位 10 株主を示しています。 *1 発行済株式(自己株式を除く) ですが、議決権がないため表中に記載していません。 *2 自己株式は、11,202 千株(3.77%) の報告を受けておりますが、当事業年度末の株主名簿で確認できない場合、または保有株式数が上 *3 当事業年度末までに以下の大量保有報告書(変更報告書) () 内の保有割合は、自己株式を含んだ発行済株式の総数に対する割合です。 位 10 株主に該当しない場合は、表中に記載していません。なお、 を2011 年4月25日現在で保有(2011 年5月6日付大量保有報告書) ① 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ他4 社の共同保有として、14,855 千株(5.01%) ② ウェリントン・マネジメント・カンパニー・LLPとして、15,062 千株(5.08%) を2012 年 5月31日現在で保有(2012 年 6月5日付大量保有報告書) 株主構成 法人で69.2%を占めています。なお、純投資目的で保有している株式はありません。 0 2011年3月期 2012年3月期 2013年3月期 2014年3月期 最高値(円) 2010年3月期 3,675 3,425 3,385 4,405 4,675 最安値(円) 2,620 2,743 2,832 3,070 3,600 折れ線グラフで示したエーザイ株価および TOPIXは、2009 年 4 月1日をそれぞれ 100として示しています。 新株予約権等の状況については、 「第 102 回定時株主総会招集ご通知」 をご参照ください。 http://www.eisai.co.jp/ir/stock/meeting.html 43 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 コーポレートガバナンス コーポレートガバナンスの体制 企業理念であるhhc 理念を実現していくためには、長期的な視野のもと企業施策を実行することが重 数を社外取締役として経営の公正性と透明性をはかるとともに、取締役会の経営の監督機能を強化しま 要です。そのような企業施策の実行は、株主の皆様の信頼があって初めて可能となります。このため、エー した。その後も継続して経営の質を高め、株主、顧客、社員などのステークホルダーズのベネフィット向上 ザイは、常に最良のコーポレートガバナンスを追究し、その充実に継続的に取り組んでいます。 に資するコーポレートガバナンス体制の強化に取り組んできました。 エーザイは、株主の皆様の権利を尊重し、経営の公正性・透明性を確保するとともに、経営の活力を増 大させることがコーポレートガバナンスの要締であると考えています。 図表 1 と 図表 2 に、エーザイのコー 図表 3 ポレートガバナンスの基本的な考え方と仕組みを示しました。 、社外取締役の選任、コーポレートガバナンス委 2000 年 6 月:執行役員制度の導入(取締役の員数を22 名から10 名とした) 員会の設置 コーポレートガバナンス体制の変遷 エーザイでは、コーポレートガバナンスが企業価値最大化の礎になると考え、14 年前の2000 年 6月に 実施した社外取締役選任を皮切りに、コーポレートガバナンスを強化してきました 図表 3 。2004 年 6月 には、株主総会において定款を変更し、委員会設置会社に移行しました。移行に伴ない、取締役の過半 図表 1 エーザイのコーポレートガバナンスの基本的な考え方 コーポレートガバナンス体制強化の変遷 図表 2 2001 年 3 月:コーポレートガバナンスガイドライン制定(随時改正) 2003 年 6 月:取締役会の議長と代表執行役社長兼 CEOを分離 2004 年 6 月:委員会設置会社に移行、社外取締役を過半数選任、執行役へ業務決定を大幅に委任し、取締役は経営の監督 に専念 2005 年 6 月:取締役会の議長を社外取締役とすると同時に定款に企業理念を規定 2006 年 2 月:社外取締役独立委員会設置 2006 年 5 月:社外取締役の独立性の要件を開示 2007 年 5 月:コーポレートガバナンスガイドラインの開示、取締役会/各委員会の規則の開示 エーザイのコーポレートガバナンスの仕組み 株主総会 ①株主の皆様との関係 株主の皆様の権利を尊重する。 会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。 営の監督機能を発揮する。 取締役会の過半数は、独立性・中立性のある社外取締役とする。 執行役を兼任する取締役は、代表執行役 CEO1 名のみとする。 経営の監督機能を明確にするため、取締役会の議長と代表執行役CEOとを分離する。 監査委員会監査 1. 当社は委員会設置会社とする。 2. 取締役会は、法令の許す範囲で業務執行の意思決定を執行役に大幅に委任し、経 監査委員会 (5 名:社外 3 名、社内 2 名 委員長:社外) 業務決定の大幅委任 業務執行の監督 株主の皆様を含む当社のステークホルダーズとの良好・円滑な関係を構築する。 ②コーポレートガバナンスの体制 3. 4. 5. 6. 取締役会 11 名(社外 7 名 * 、社内 4 名) 議長:社外取締役 株主の皆様の平等性を確保する。 監査委員会監査 1. 2. 3. 4. 指名委員会 (3 名:全員社外) 報酬委員会 (3 名:全員社外) 取締役会事務局 経営監査部 執行部門 代表執行役 CEO 指名委員会および報酬委員会の委員は、全員を社外取締役とし、監査委員会の委 員は、その過半数を社外取締役とする。 執行役会 会計監査人 会計監査 * 2014 年 8 月現在、社外取締役 7 名のうち、外国人取締役 2 名、 女性取締役 1 名 内部統制担当執行役 コーポレートIA* 部 * IA:Internal Audit 内部監査 7. 指名委員会、監査委員会および報酬委員会の各委員長は社外取締役とする。 8. 財務報告の信頼性確保をはじめとした内部統制の体制を充実する。 社外取締役独立委員会 (7 名:全員社外) 執行役 各部門・国内外子会社 内部統制システムの整備・運用 44 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 エーザイのコーポレートガバナンスの特徴 間をかけてその内容を確認し、事務局を指揮して各取締役に議案の事前説明を行っています。また、取締 エーザイのコーポレートガバナンスシステムの機軸は、委員会設置会社であることを最大限に活用した 事を運営しています。 ①経営の監督と業務執行の明確な分離 経営の監督機能と業務執行機能の明確な分離にあります。 過半数が社外取締役で構成される取締役会は、執行役に業務執行の意思決定権限を大幅に委任する ことで、経営の監督に専念しています。これにより、執行役は業務執行の機動性と柔軟性を高めることが でき、内部統制の構築による自律性の確保と併せ、経営の活力を増大することができます。このような体 制のもと、取締役会では、執行役の業務執行状況を確認するとともに、業務執行や意思決定のプロセス など、内部統制の状況について株主の皆様や、社会の視点で、その妥当性を点検しています。 さらに、経営の監督と業務執行を明確に分離するため、取締役会の議長を社外取締役としています。 取締役会の議長は、取締役会が株主の皆様をはじめとするステークホルダーズにとって公正で適切な判 断ができるよう、議題の選定や年間のテーマ設定を吟味するとともに、上程する議案について充分な時 役会においては、多様なバックグラウンドを持つ取締役から様々な知見に基づく意見を引き出すよう、議 ②社外取締役の独立性・中立性の確保 エーザイのコーポレートガバナンス体制を実効的に支えるのは、取締役会の過半数を占める独立性・ 中立性のある7 名の社外取締役の存在です。エーザイの指名委員会は社外取締役のみで構成し、指名委 員会は自ら定めた 「社外取締役の独立性・中立性の要件」 を厳格に運用して、社外取締役候補者の選任を 行っています。 ③継続的なコーポレートガバナンス充実への検討の仕組み エーザイでは、最良のコーポレートガバナンスを実現する指針として、コーポレートガバナンスガイドラ インを制定し、開示しています。本ガイドラインの第 26 条には、取締役会の職務の執行について、毎年、 取締役会 組織 人員 任務など 取締役会 11 名 ①経営の基本方針、執行役の選任など、法令、定款および取締役会規則で定められた 重要事項の決定を行う。 ②指名委員会、監査委員会および報酬委員会からの報告ならびに執行役からの報告 に基づき、取締役および執行役の職務の執行を監督する。 社外取締役 7 名 社内取締役 4 名 議長:社外取締役 a )指名委員会 組織 人員 任務など 指名委員会 3名 ①取締役の選任および解任に関する株主総会議案の内容を決定する。 ②独立性のある社外取締役を選任するために、 「社外取締役の独立性・中立性の要件」 を定める。 ③指名委員会の職務を執行するために必要な基本方針、規則および手続き等を定める。 社外取締役 3 名 委員長:社外取締役 b )監査委員会 組織 人員 任務など 監査委員会 5名 ①取締役および執行役の職務執行の監査を実施する。 ②株主総会に提出する会計監査人の選定および解任ならびに会計監査人を再任しな いことに関する議案の内容を決定する。 ③会計監査その他法令により定められた事項を監査する。 ④取締役と執行役の職務執行の監査に必要な事項に関し、取締役、執行役、使用人お よび会計監査人から適時・適切に報告を受けるとともに、会計監査人およびコーポ レートIA 部と必要な情報共有を行うなど、監査の質の向上と効率的な監査の実現に 努める。 ⑤監査委員会の職務を執行するために必要な基本方針、規則および手続き等を定める。 ⑥監査委員会の決議および監査委員の指示に基づき職務を遂行する経営監査部は、 監査の客観性を確保するために、業務の指揮命令および人事評価などについて執 行役からの独立性が保障される。 社外取締役 3 名 社内取締役 2 名 委員長:社外取締役 取締役会が自己レビューを行う旨を規定しています。取締役会はこれに従い、本ガイドラインに沿った活 動が実際に行われてきたかの点検を実施しています。また、定期的に、社外取締役のみのミーティングを 開催し、コーポレートガバナンスの状況やあるべき姿を議論する場を設け、取締役会における実りの多い 議論につなげるとともに、必要に応じて本ガイドラインの改正も実施しています。 c )報酬委員会 組織 人員 任務など 報酬委員会 3名 ①取締役および執行役の報酬等の内容に係る決定に関する方針および個人別の報酬 等の内容を決定する。 ②取締役および執行役の報酬等を決定するにあたり、その客観性を確保するために、 社外の調査データ等を積極的に取り入れるとともに、報酬等の決定プロセスの妥当 性についても審査し、これを決定する。 ③報酬委員会の職務を執行するために必要な基本方針、規則および手続き等を定める。 社外取締役 3 名 委員長:社外取締役 2014 年 3 月期における取締役会と各委員会の活動状況については、第 102 回定時株主総会招集ご通知をご参照ください。 http://www.eisai.co.jp/ir/stock/meeting.html また、エーザイのコーポレートガバナンスガイドライン、取締役会規則、指名委員会規則、監査委員会規則、報酬委員会規則、 コーポレートガバナンス報告書および企業価値・株主共同の利益の確保に関する対応方針は、以下のホームページに掲載しています。 http://www.eisai.co.jp/company/governance/cgregulations.html なお、コーポレートガバナンス報告書では、監査体制、役員報酬(報酬の算定方法の決定方針など) 、内部統制システム、社外 取締役の独立性・中立性の要件についても公開していますので、ご参照ください。 45 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 コーポレートガバナンス 社外取締役インタビュー 鈴木 修 社外取締役 監査委員会委員、社外取締役独立委員会委員長 Q 社外取締役に就任されて2年が経過しましたが、エーザイという会社をどうご覧になりますか? の議長を務めています。エーザイは、コーポレートガバナンスを機能させるための形式要件をしっかり A:私は、本業の弁護士業務を通じてエーザイ社員と接する機会があったため、エーザイについては と具備する先進企業ですが、実際の事業運営においても、コーポレートガバナンスが機能しています。 以前から一定の理解がございました。しかし、エーザイのような規模の大きな企業の役員を務める エーザイには、他の組織から独立した 「経営監査部」 という部署があり、日々厳格な社内監査を行っ のは初めてであり、社外取締役を2 年間務める中で様々な発見がありました。 ています。私が所属している 「監査委員会」 と経営監査部は様々な情報や意見の交換を行っており、質 第一に、エーザイが様々なステークホルダーから愛される存在であることを社外取締役として肌 の高い内部監査の実施につながっていると認識しています。経営監査部の真 な活動は、不正や事 で感じています。株主総会において、ある株主様が挙手をして 「私はエーザイのファンです」 と公言し、 故などを抑止する大きな力につながっていると思います。 エーザイに対する激励の言葉をかけてくださる場面を目の当たりにし、私は感銘を受けました。また、 社員の方々はグローバルに活躍されている方が多いですが、皆さんが嬉々として働いている印象が この2 年間でより強くなりました。 また、エーザイはコーポレートガバナンスの先進企業というイメージがありましたが、形式だけで なく、実際の運営も実にうまく機能している会社であることがわかりました。 Q エーザイのコーポレートガバナンスについて、どのような印象をお持ちですか? A:エーザイは、2004 年 6月に委員会設置会社に移行し、コーポレートガバナンスに関して継続的な 充実をはかってきました。また、社外取締役が取締役会の過半数を占めているだけでなく、取締役会 Q 社外取締役の視点から、エーザイが今後、さらに企業価値、ステークホルダーズの価値を向上 させるには何が必要だとお考えですか? A:エーザイは今、ビジネスの大きな転換期を迎えています。アルツハイマー型認知症治療薬「アリセ プト® 」 とプロトンポンプ阻害剤「パリエット® /アシフェックス® 」 という2 大ブランドに依存するビジ ネスから、複数のグローバルブランドによる成長をめざす 「マルチブランド企業」 への転換を進めてい ます。ブロックバスターを生み出すことが難しくなってきている中、多くのブランドを育てて地道に収 益を積み上げていくことは正しい戦略であり、エーザイはこの転換を加速していく必要があります。 私自身も、社外取締役の立場からエーザイの転換を後押ししたいと考えています。 46 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 役員一覧 取締役(2014 年 6月30日現在) 内藤 晴夫 代表執行役 CEO 再任 泉 徳治 太田 清史 取締役議長 指名委員会委員長 社外取締役独立委員会委員 再任 社外 報酬委員会委員 社外取締役独立委員会委員 独立 再任 社外 独立 608,162 株 所有する当社株式数 1,394 株 所有する当社株式数 945 株 1975 年 10 月 1983 年 4 月 1983 年 6 月 1985 年 4 月 1985 年 6 月 1986 年 6 月 1987 年 6 月 1988 年 4 月 2003 年 6 月 2004 年 6 月 2006 年 1 月 入社 研開推進部長 取締役 研究開発本部長 常務取締役 代表取締役専務 代表取締役副社長 代表取締役社長 代表取締役社長兼 CEO 取締役兼代表執行役社長( CEO ) 財団法人内藤記念科学振興財団(現公益財団法人内藤記念科学振興財団) 理事長(現任) 2014 年 6 月 取締役兼代表執行役 CEO(現任) 1963 年 4 月 1973 年 4 月 1995 年 7 月 1996 年 11 月 2000 年 3 月 2002 年 11 月 2009 年 2 月 2009 年 3 月 2009 年 4 月 2010 年 6 月 東京地方裁判所判事補 金沢地方裁判所判事 浦和地方裁判所長 最高裁判所事務総長 東京高等裁判所長官 最高裁判所判事 東京弁護士会登録 TMI 総合法律事務所顧問(現任) 当社コンプライアンス委員 当社取締役(現任) 、社外取締役独立委員会委員(現任) 、指名委員会委員、 報酬委員会委員長 2011 年 6 月 当社取締役議長(現任) 1970 年 4 月 1987 年 12 月 1997 年 6 月 2002 年 6 月 2005 年 4 月 2008 年 4 月 2010 年 7 月 2011 年 6 月 株主の皆様へ 現代製薬産業の使命は、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を理解し、患者様価値の向上に貢献 する製品の創出、安定的な供給、情報の提供、アクセスの向上をはかることと考えております。 大グローバリゼーションの時代に世界の各地でこの使命を果たし、株主の皆様の負託にお応え する所存です。 株主の皆様へ エーザイは、主力製品の特許満了に伴い、中枢神経やがんの領域を中心とした広範な製品群 の供給に軸足を移してきております。また、新しい地域を加えた市場のグローバルな拡大へと歩 を進めております。これまで以上に成長力を持った企業へと変革する上において、最も重要なこ とは、次世代認知症治療薬をはじめとする先端医薬品の継続的な開発であり、そのための研究 開発費の適正配分・効率的使用とオープン・イノベーションの促進であると考えます。 私は、株主の皆様の視点に立って経営監督の責任を果たし、企業価値の向上に寄与したいと 考えております。 そして、より多くの患者様とそのご家族への貢献を第一義とする企業理念の推進に、一層力を 尽くしてまいります。 株主の皆様へ 技術の進歩と社会のグローバル化によって国々の発展や高度化が進む一方で、複雑で難解な 問題の対応が必要となってきています。とりわけ人間をはじめとした地球上の様々な生物が存 続の危険にさらされ続けています。そのような中での医療への取り組みは世界共通の熱望であ り、それに従事する人たちの使命は一層重くなってきています。 当社の経営理念である 「ヒューマン・ヘルスケア」 の考えに基づいた企業活動の推進とコンプ ライアンス実行の観点で取締役会での審議を行い、さらには当社の方々とのコミュニケーション によって社会に貢献するよう尽力してまいります。 取締役会、委員会での活動状況 取締役会において、代表執行役 CEOとして、関連する決議議案の提出にあたり、詳細内容の 説明をし、課題を説明して報告事項の報告を行うとともに、取締役からの質疑等に対し、適宜自 らの意見を添えるなどして、回答しております。 取締役会、委員会での活動状況 取締役議長として、取締役会の議題を選定し、会議において議案を解説し、発言をうながし、 意見をまとめるなどの議事運営を行うとともに、法律家としての豊富な経験・知識ならびに経 営に関する高い見識と監督能力に基づき、説明を求め、意見等を適宜述べております。 出席率 取締役会 100%(10 / 10 回) 出席率 取締役会 100%(10 / 10 回) 取締役会、委員会での活動状況 取締役会において、企業経営者としての豊富な経験・知識ならびに経営に関する高い見識と 監督能力に基づき、説明を求め、意見やアドバイスを適宜述べております。また、指名委員長と して事務局を指揮し、指名委員会の事前準備、議事運営を行い、その結果を取締役会へ報告し、 取締役会で質疑等に回答しております。また、報酬委員として、報酬委員会で各種の提案をし、 他の委員の質疑に回答し、また他の委員の意見等に対し、説明を求め、意見等を適宜述べており ます。 所有する当社株式数 2013 年 3 月 株式会社野村電子計算センター(現株式会社野村総合研究所)入社 同社取締役 同社代表取締役副社長 同社取締役副会長 株式会社アルゴ 21(現キヤノンITソリューションズ株式会社)代表取締役社長 キヤノンITソリューションズ株式会社相談役 キヤノンMJアイティグループホールディングス株式会社取締役 当社取締役(現任) 、指名委員会委員長(現任) 、報酬委員会委員(現任) 、 社外取締役独立委員会委員(現任) キヤノンMJアイティグループホールディングス株式会社顧問(現任) 出席率 取締役会 100%(10 / 10 回) 47 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 松居 秀明 監査委員会委員 出口 宣夫 グレアム・フライ 指名委員会委員 報酬委員会委員 社外取締役独立委員会委員 再任 再任 所有する当社株式数 35,946 株 所有する当社株式数 再任 社外 独立 所有する当社株式数 21,457 株 108 株 1970 年 3 月 1999 年 10 月 2001 年 6 月 2004 年 6 月 2005 年 6 月 2007 年 6 月 2008 年 6 月 2010 年 6 月 入社 企業倫理推進部長 執行役員、企業倫理・広報・法務担当 執行役、企業倫理・法務・IP・環境担当 常務執行役、企業倫理・法務・IP・環境担当 専務執行役、内部統制・コンプライアンス・知的財産担当 代表執行役専務、内部統制・コンプライアンス・総務・知的財産担当 代表執行役副社長、社長補佐、チーフコンプライアンスオフィサー兼 人事労務担当 2010 年 11 月 エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社代表取締役社長 2011 年 6 月 エーザイ企業年金基金理事長 2012 年 6 月 取締役(現任) 1972 年 8 月 1993 年 5 月 1995 年 12 月 1998 年 9 月 2001 年 10 月 2004 年 7 月 2008 年 9 月 2012 年 6 月 株主の皆様へ 製薬企業はグローバル化が加速して事業活動に伴う各種のリスクがますます増大し、コーポ レートガバナンス体制のさらなる充実が求められています。 このような経営環境のもと、いち早く経営のモニタリングを重視した取締役会形態をとってき た当社が、社会的に存在価値のあるグローバル製薬企業として発展し、存続し続けられるよう、 私は独立的な非業務執行の取締役として、リスク管理分野を中心とした体制の整備に貢献しま す。また、これらの経営モニタリング活動を通じて経営の透明性、公平性を一段と高め、幅広く 多様な株主の皆様との共同の利益の向上に向け、邁進する所存です。 株主の皆様へ 私の役割は、社会や株主の皆様の目線で、当社が高い企業価値を持ち続けている存在である ことを、しっかりと見守っていくことにあると考えています。 当社は、飛躍する科学のもとで積極的に新たな挑戦を行い、これまでなかった新規の薬剤を 社会に提供していくことが期待されています。 また、透明で合目的な意思決定や企業運営が適正になされる仕組みとして、実効性の高いコー ポレートガバナンス体制を確立し、継続して強化に取り組んでいくことが求められています。 私は取締役として、当社の様々な活動が、ヒューマン・ヘルスケア (hhc )理念の実践ならびに 的確な社の仕組みの整備・運用で期待と責務にお応えするなど、企業価値向上へ向けて努力が 積み重ねられていることを確認し、経営の監督機能を果たしてまいる所存です。 株主の皆様へ エーザイは、患者様と株主の皆様の価値向上に貢献することを基本理念として掲げています。 取締役会の機能は、社の戦略の方向性と執行部門の業務執行が、この理念に従っているかどう かを吟味し、保証することです。この機能は、既存の主力製品が物質特許満了を迎え、将来の成 長を生み出す新製品群への転換期にある当社において、より重要性を増してきています。 私は、これまでの2 年間の取締役の経験を活かし、社のコーポレートガバナンスと経営の監督 が有効に機能し、株主の皆様と社の価値向上が果たせるよう、引き続き尽力する所存です。 取締役会、委員会での活動状況 取締役会において、社内での豊富な経験ならびに経営に関する高い見識と監督能力に基づき、 説明を求め、意見やアドバイスを適宜述べております。また、監査委員として、日常から経営監 査部を指揮し、監査活動の質を高め、監査委員会において実施した監査活動の説明を行うとと もに、自らの意見を適宜述べております。 取締役会、委員会での活動状況 取締役会において、社内での豊富な経験ならびにコーポレートガバナンスに関する高い見識 と監督能力に基づき、説明を求め、意見やアドバイスを適宜述べております。また、コーポレー トガバナンスに関する事項、取締役会の運営等に関して、提案や意見具申等を行っております。 取締役会、委員会での活動状況 取締役会において、英国外交官としての豊富な経験・知識ならびに経営に関する高い見識と 監督能力に基づき、説明を求め、意見やアドバイスを適宜述べております。また、指名委員およ び報酬委員として、両委員会で各種の提案をし、他の委員の質疑に回答し、また他の委員の意見 等に対し、説明を求め、意見等を適宜述べております。 1971 年 1995 年 1997 年 1997 年 2000 年 2001 年 2002 年 2002 年 2004 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 3月 4月 6月 7月 6月 6月 6月 6月 6月 1月 4月 6月 6月 6月 入社 経営計画部長 取締役 エーザイ厚生年金基金(現エーザイ企業年金基金)理事長 取締役兼執行役員 取締役兼常務執行役員 取締役兼専務執行役員 管理担当 代表執行役専務 最高財務責任者( CFO ) CJ 担当 財務・経理本部長 取締役(現任) 監査委員会委員(現任) 出席率 取締役会 100%(10 / 10 回) 出席率 取締役会 100%(10 / 10 回) 英国外務省入省 同 極東/太平洋部長 同 北アジア/太平洋局長 同 駐マレーシア英国大使 同 経済審議官 同 駐日英国大使 ロンドン大学東洋アフリカ学院理事(現任) 当社取締役(現任) 、指名委員会委員(現任) 、報酬委員会委員、 社外取締役独立委員会委員(現任) 2014 年 6 月 当社報酬委員会委員長(現任) 出席率 取締役会 100%(10 / 10 回) 48 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 鈴木 修 パトリシア・ロビンソン 監査委員会委員 監査委員会委員 社外取締役独立委員会委員長 再任 社外 山下 徹 社外取締役独立委員会委員 独立 再任 社外 独立 新任 社外 所有する当社株式数 271 株 所有する当社株式数 219 株 所有する当社株式数 0 株 1977 年 1977 年 1987 年 2010 年 2012 年 1995 年 2000 年 2002 年 2004 年 2013 年 1971 年 1999 年 2003 年 2005 年 2007 年 2012 年 2013 年 2014 年 4月 4月 4月 6月 6月 第二東京弁護士会登録 ユアサハラ法律特許事務所入所 ユアサハラ法律特許事務所パートナー(現任) 株式会社ヤマダコーポレーション社外取締役 当社取締役(現任) 、監査委員会委員(現任) 、 社外取締役独立委員会委員長(現任) 7月 5月 4月 4月 6月 ニューヨーク大学助教授 カリフォルニア大学バークレー校客員助教授 一橋大学大学院国際企業戦略研究科客員助教授 一橋大学大学院国際企業戦略研究科准教授(現任) 当社取締役(現任) 、監査委員会委員(現任) 、 社外取締役独立委員会委員(現任) 4月 6月 6月 6月 6月 6月 6月 6月 独立 日本電信電話公社入社 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ取締役 同社常務取締役 同社代表取締役副社長執行役員 同社代表取締役社長 同社取締役相談役 三井不動産株式会社社外取締役(現任) 当社取締役(現任) 、指名委員会委員(現任) 、報酬委員会委員(現任) 、 社外取締役独立委員会委員(現任) 2014 年 6 月 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ相談役(現任) 株主の皆様へ エーザイは製薬会社として、医療機関等を通じ、患者の方々に有効かつ安全な医薬品を安定 的に供給するという高い社会的使命を世界的規模で有しております。この意味で、取締役会が 過半数を超す社外取締役で構成されるという、日本企業としては極めて先進的なエーザイのガ バナンス体制は重要なものと考えます。 私は、2 年間の当社における社外取締役の経験をとおして、現在のエーザイのガバナンス体制 株主の皆様へ エーザイは、患者様、株主の皆様、および社員、それぞれの価値向上に焦点をあてた企業理 念を有しています。そして、コーポレートガバナンスの取り組みにおいて日本企業でも先端をい く会社です。特に、私は、エーザイが企業としての透明性とオープンマインドを有していることを 強く認識しました。また、組織開発論とリーダーシップ論の観点から、内藤 CEOはまさに思慮 取締役会、委員会での活動状況 取締役会において、法律家としての専門知識ならびに経営に関する高い見識と監督能力に基 づき、説明を求め、意見やアドバイスを適宜述べております。また、監査委員として、監査委員 会において監査計画の立案、調査結果とその対応等に関して説明を求め、意見等を適宜述べて おります。さらに、社外取締役独立委員会の委員長として事務局を指揮し、同委員会の事前準 備、議事運営を行い、その結果を取締役会に報告、提案し、取締役会で質疑等に回答しており ます。 取締役会、委員会での活動状況 の重要度を再確認いたしました。引き続き、エーザイの社外取締役として、取締役会のガバナン ス機能が有効に発揮されるよう尽力いたします。 出席率 取締役会 100%(10 / 10 回) 深いリーダーと見ています。エーザイがグローバルに企業価値とステークホルダーズの価値を 向上し続けることができるよう、引き続き、経営の監督に力を注ぐ所存です。 取締役会において、企業戦略や企業組織論に関する専門知識ならびに経営に関する高い見識 と監督能力に基づき、説明を求め、意見やアドバイスを適宜述べております。また、監査委員と して、監査委員会において監査計画の立案、調査結果とその対応等に関して説明を求め、意見 等を適宜述べております。 出席率 * 取締役会 100%(8 / 8 回) *パトリシア・ロビンソンは、2013 年 6 月21日開催の第 101 回定時株主総会において、新たに取 締役に選任され、就任いたしましたので、2013 年 6 月21 日以降に開催した取締役会の出席状 況を記載しております。 株主の皆様へ 人類がこれまで経験したことがない超高齢化社会を迎え、また、世界人口が 70 億人から90 億人へと急速に膨張する現代において、 「患者様とそのご家族のベネフィット向上を企業理念に 定め、ヒューマン・ヘルスケア (hhc )企業をめざす」 エーザイの社会的役割と責任、そして、世の 中からの期待は大変大きいものがあると思います。 私は、社外取締役の一人として、コーポレートガバナンスの向上に努めるとともに、長年培っ てきたIT 分野の専門知識と、経営者としての経験を活かし、社会に貢献するエーザイのさらなる 発展に尽力したいと考えております。 49 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 西川 郁生 新任 社外 直江 登 独立 所有する当社株式数 0 株 1990 年 1993 年 1995 年 2001 年 2007 年 2012 年 2014 年 2014 年 9月 1月 7月 8月 4月 4月 6月 6月 センチュリー監査法人(現新日本有限責任監査法人)代表社員 国際会計基準委員会( IASC ) 日本代表 日本公認会計士協会常務理事 企業会計基準委員会( ASBJ )副委員長 企業会計基準委員会( ASBJ )委員長 慶應義塾大学商学部教授(現任) 日本電産株式会社社外監査役(現任) 当社取締役(現任) 、監査委員会委員長(現任) 、 社外取締役独立委員会委員(現任) 2014 年 6 月 雪印メグミルク株式会社社外監査役(現任) 株主の皆様へ グローバル化された医薬品マーケットを前に、エーザイは、収益の柱をより多く、より早く確 立するための先端的な医薬の開発競争の只中にあります。今後とも開発活動がエーザイの社会 貢献のための生命線と考えられます。 そのような中にあって、エーザイは企業理念を追求する活動を通じ、経営の透明性や公正性 を大切に考えている企業でもあります。私は、より適切な財務報告のあり方を追求してきた私自 身の長年の知見を活かし、エーザイの経営上の転換期において、社外取締役としてコーポレー トガバナンスの一翼を担います。その上で、経営の透明性と公正性のさらなる向上に努め、株主 の皆様をはじめとするステークホルダーズの方々のために貢献する所存であります。 新任 所有する当社株式数 8,008 株 1978 年 4 月 2005 年 4 月 2005 年 6 月 2005 年 6 月 2007 年 4 月 2008 年 4 月 2010 年 6 月 2011 年 4 月 2011 年 6 月 2013 年 4 月 2013 年 4 月 2013 年 10 月 入社 医薬事業部副事業部長 執行役 医薬事業部長 日本事業本部副担当 日本事業本部医薬統括部長 上席執行役員 エーザイ・ジャパン プレジデント 常務執行役 執行役 エーザイ・ジャパン アライアンス担当 エーザイ・ジャパン オンコロジーhhc ユニット デピュティプレジデント兼 戦略企画推進部長 2014 年 6 月 取締役(現任) 株主の皆様へ 私は、当社の企業理念の実現を通して、企業価値および長期的な株主価値の向上のために最 善を尽くす所存です。私は、これまでの長い医療用医薬品の営業経験において、当社製品の提 供を通じて患者様へ貢献することで当社企業価値の最大化に邁進してまいりました。今後は、 社内取締役としてこれまでの経験を活かすとともに、業務・会計監査やコーポレートガバナンス の知見を広げ、経営の監督ならびに意思決定に貢献し、株主の皆様の期待にお応えしたいと考 えております。 社外取締役の選任理由および独立性・中立性については、コーポレートガバナンス報告書をご参照ください。 http://www.eisai.co.jp/company/governance/cgregulations.html 50 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 執行役(2014 年 6月30日現在) 代表執行役 CEO 内藤 晴夫 代表執行役 CPCO 兼 CIO エーザイプロダクトクリエーションシステムズ チーフプロダクトクリエーションオフィサー(兼) チーフインフォメーションオフィサー(兼) CEO 特命担当 林 秀樹 代表執行役医療政策担当 総括製造販売責任者(兼) グローバル緊急対応・グローバルバリュー & アクセス・ 医療政策担当(兼) CEO 特命担当 土屋 裕 代表執行役 CFO チーフフィナンシャルオフィサー(兼) 国内ネットワーク企業担当(兼) CEO 特命担当 清水 初 代表執行役アジア・リージョン プレジデント アジア・リージョン プレジデント (兼) CEO 特命担当 本多 英司 専務執行役 エーザイデマンドチェーンシステムズ プレジデント 浅野 隆文 専務執行役 チーフタレントオフィサー(兼) 人財開発本部長(兼)総務・環境安全担当 岡田 安史 常務執行役 ゼネラル カウンセル (兼)知的財産担当(兼)法務部長 高橋 健太 常務執行役 チーフメディカルオフィサー(兼) コーポレートメディカルアフェアーズ本部長(兼) グローバルセーフティボード委員長 エドワード・スチュワート・ギリー 常務執行役 アメリカス・リージョン プレジデント (兼) エーザイ・インク チェアマン & CEO 松江 裕二 常務執行役 (兼) EMEAリージョン プレジデント エーザイ・ヨーロッパ・リミテッド プレジデント & CEO(兼) エーザイ グローバルオンコロジービジネスユニット プレジデント ガリー・ヘンドラー 執行役 エーザイグローバルオンコロジービジネスユニット デピュティ プレジデント (兼) (兼) アジアオンコロジー担当(兼) レンバチニブ グローバルリード 薬粧事業担当 アイヴァン・チャン 執行役 エーザイプロダクトクリエーションシステムズ チーフイノベーションオフィサー 大和 隆志 執行役 エーザイ・ジャパン オンコロジー hhcユニット プレジデント 甲斐 康信 執行役 エーザイプロダクトクリエーションシステムズ ジャパン/ アジア クリニカルリサーチ創薬ユニット プレジデント 井池 輝繁 執行役 エーザイ・ジャパン プレジデント (兼) 地域包括 hhcユニット プレジデント 松前 謙司 執行役 エーザイプロダクトクリエーションシステムズ チーフクリニカルオフィサー(兼) ニューロサイエンス & ジェネラルメディスン創薬ユニット プレジデント リン・クレイマー 執行役 デピュティチーフフィナンシャルオフィサー(兼) チーフIR オフィサー(兼) IR 部長 柳 良平 執行役 コーポレートアフェアーズ担当(兼) ガバメントリレーションズ部長 佐々木 小夜子 執行役 チーフコンプライアンスオフィサー(兼) 内部統制担当(兼) コンプライアンス・リスク管理推進部長 朝谷 純一 執行役 エーザイグローバルニューロロジービジネスユニット プレジデント フランク・シリエロ 執行役 エーザイ・インク プレジデント & COO サジ・プロシダ 51 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 コンプライアンス・リスク管理 エーザイは、コンプライアンスを 「法令と倫理の遵守」 と定義し、経営の根幹に据えています。また、内部 統制を 「事業活動を適正かつ効率的に遂行するために、社内に構築され運用されている体制およびプロ セス」 と定義し、 「内部統制ポリシー」 を役員および全従業員で共有しています。あわせてチーフコンプライ アンスオフィサー兼内部統制担当執行役を任命し、コンプライアンスおよびリスクに対する意識向上と対 応力強化をめざして、コンプライアンスと内部統制の整備をグローバルに推進しています。 コンプライアンス・カウンターの活用 コンプライアンス・カウンターは、法律の解釈などコンプライアンスに関して判断に迷った場合や、自分 自身の行動や上司、同僚の行動がコンプライアンスに則っているか疑問を感じた場合など、役員および全 従業員の身近な社内相談窓口として設置されています。男女雇用機会均等法、個人情報保護、著作権、 公務員倫理規程、業界の自主規制など様々な分野の問い合わせ、相談に活用されています。また、弁護 士による社外カウンターや社外相談員が運営する社外相談窓口を設置し、コンプライアンスを充実するた コンプライアンスの推進 めの環境を整備しています。 のコンプライアンス推進担当者と連携し、グローバルにコンプライアンスの推進活動を行っています。コン リスク管理の推進 コンプライアンス・リスク管理推進部が、世界の各リージョンの推進担当部署および各部署、各ENW*1 プライアンス推進活動は、国内外の弁護士やコンサルタント等社外専門家で組織されたコンプライアンス委 員会により、客観的なレビューを定期的に受けています。また、コンプライアンス委員会はチーフコンプラ イアンスオフィサーに適切に助言および勧告を行っています。 ジメントサイクル (事業目標の達成を阻害するリスクの識別、評価、対応、モニタリング) の活性化をはかり、 内部統制全般の整備を支援しています。また、日本、米州、欧州、アジア他の地域または会社ごとにCSA エーザイは、役員および従業員一人ひとりが、常にコンプライアンスに則った を推進する組織もしくは担当者を設置し、リスク管理の支援をとおしてグローバルに内部統制の推進を行っ 企業活動を行っていくことを確たるものとする上で、コンプライアンス意識の全 ています。 従業員への浸透が不可欠であると考えています。 このため、ENW 企業行動憲章と、行動指針をとりまとめた 「コンプライアンス・ 高品質な内部監査の実施 ハンドブック」 をすべての役員および従業員向けに作成し、 エーザイは、内部統制担当執行役のもと、コーポレートIA*2 部が ENW 企業の内部監査部門と連携し、 18カ国語で発行しています。携帯用「コンプライアンス・ 内部監査を実施しています。 カード」 と併せて全従業員で共有しています。また、新任 コーポレートIA 部は、hhc 理念およびコンプライアンスに基づいて業務活動が適正かつ効率的に行わ 組織長に対して、コンプライアンスに則った組織マネジメン コンプライアンス研修会、e −ラーニング、メールマガジ れていることを、客観的に評価しています。また、内部監査で発見された課題に対する改善状況を、継続 携帯用コンプライアンス・カード ンの配信など、様々な媒体を駆使した教育研修を継続して実施し、コンプライアンス・ コンプライアンス・ハンド ブックのトップページ マインドの醸成に取り組んでいます。 ENW 企業行動憲章は以下のホームページに掲載しています。 http://www.eisai.co.jp/philosophy/mission.html 役を対象にしたインタビューによる全社的な重要リスクの把握、および②全 ENWの組織長を対象にCSA ( Control Self-Assessment:統制自己評価) を実施しています。CSA 活動では、これにより、リスクマネ コンプライアンス意識の浸透 トの実践について研修を実施しています。 コンプライアンス・リスク管理推進部では、日常的な業務リスクの低減に取り組む仕組みとして、①執行 的に確認しています。 コーポレートIA 部は、リスクの重要度を念頭に内部監査計画を策定するとともに、監査活動を定めら れた方法に従い行うことにより、内部監査の品質を確保しています。また、社内における監査活動の継続 的な改善と外部機関による定期的な評価により、グローバルスタンダードに対応した高品質な内部監査 の実施に努めています。 :エーザイ株式会社および子会社と関連会社で構成されている企業グループ *1 ENW( Eisai Network Companies ) *2 IA:Internal Audit(内部監査) 52 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 リスク情報 事業等のリスク 当社グループの連結業績を大幅に変動させる、ある いは投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリ スクは、次の通りです。なお、これらのリスクは、本レ ポート作成日現在において判断、予想したものです。 (1)海外展開におけるリスク 当社グループは、米州、欧州、アジア等において製品 の生産・販売活動を展開しています。グローバルな事 業活動を展開する上で、法的規制、政情不安や事業環 境の不確実性などのリスクを完全に回避できる保証は ありません。このようなリスクに直面した場合、当該国 における収益が当初の見込みを達成できない可能性 があります。 (2)新薬開発の不確実性 医薬品候補化合物は、有効性や安全性の観点から 開発を中止する可能性があります。 また、臨床試験で良い結果が得られた場合であって も、製品開発中に施行される承認審査基準の変更に より、承認が得られない可能性があります。開発の不 確実性による新薬開発の遅延、中止などの理由で、将 来に期 待していた収 益が得られない可 能 性があり ます。 (3)他社とのアライアンスにおけるリスク 当社グループには、販売促進活動において、他社と 業務提携を行っている製品があります。これら提携企 業との良好な協力関係が保たれなくなった場合、売上 収益が減少し業績に重要な影響を及ぼす可能性があ ります。また、製品買収や製品・開発品の導入などに 伴う不確実性により、将来に期待していた収益が得ら れない可能性があります。 (4)医療費抑制策 日本では医療費抑制策の一環として、通常 2 年ごと の医療用医薬品の薬価改定や、ジェネリック医薬品使 用促進などの施策がとられています。欧米、アジアの 国々などにおいても、医薬品の薬剤費低減への圧力は 年々高まっており、売上収益を減少させる要因となり ます。 ジェネリック医薬品に関するリスク (5) 先発医薬品の特許には期限があります。通常、先 発医薬品の特許が切れると同成分のジェネリック医 薬品が上市されます。また、特許期間内であっても、 米国のようにジェネリック医薬品の申請が可能な国 もあります。ジェネリック医薬品の低価格での販売に より、市場シェアが低下する可能性があります。 (6)知的財産に関するリスク 特許の不成立や特許成立後の無効審判、または取 得した特許を適切に保護できない場合、想定より早く 他社の市場参入を招き、売上収益が減少する可能性 があります。また、当社グループの事業活動が第三者 の知的財産権に抵触した場合、当該第三者から権利 行使を受け、これにより収益性の悪化、事業計画の変 更等が生じ、業績に重要な影響を及ぼす可能性があり ます。 (7)副作用発現のリスク 製品に重大な副作用が発現した場合、販売の停止、 製品の回収等の措置により、業績に重要な影響を及ぼ す可能性があります。 (8)法規制に関するリスク 医薬品事業は、薬事規制や製造物責任等の様々な 法規制に関連しており、法規制の制定や改定により業 績に重要な影響を及ぼす可能性があります。法規制 に適合しない場合、製品の回収さらには製品の許認 可の取り消し、あるいは賠償請求を受ける等の可能性 があります。 (9)訴訟に関するリスク 現在関与している訴訟または将来関与する訴訟の 結果が 、業績に重要な影響を及ぼす可能性があり ます。 ります。また、個人情報を含め多くの情報を保有して いますが 、万が一の事故等によりその情報が社外に 流出した場合、信用を大きく失うことで業績に重要な 影響を及ぼす可能性があります。 (10)工場の閉鎖または操業停止 技術上の問題、使用原材料の供給停止、インフルエ ンザ等のパンデミック、火災、地震、その他の災害等 により工場が閉鎖または操業停止となる可能性があ ります。この場合、製品の供給が妨げられ、業績に重 要な影響を及ぼす可能性があります。 金融市況および為替の動向に関するリスク (15) 市場性のある株式等を保有しているため、株式市 況の低迷によってはこれらの株式等の売却損や評価 損が生じ、また、金利動向によって退職給付債務の増 加など業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 さらに連結売上収益の多くを外貨で占めているため、 連結子会社業績の円換算において外国為替変動の影 響を受けます。また、輸出入取引においても外国為替 変動が業績に重要な影響を及ぼします。 (11)使用原材料の安全性および品質に関する リスク 使用する原材料の安全性および品質に懸念が発生 した場合、使用原材料の変更はもちろんのこと製品の 回収、販売停止等を実施し、業績に重要な影響を及ぼ す可能性があります。 (12)外部への業務委託に関するリスク 当社グループでは研究や製造などの一部を外部へ 業務委託しています。何らかの原因で業務委託先が 操業停止し、当社グループへの業務の提供が妨げられ ることがあった場合、業績に重要な影響を及ぼす可能 性があります。 (13)環境に関するリスク 当社グループ所有の事業所が環境汚染の原因と判 断された場合、事業所の閉鎖等の法的処置が講じら れる可能性があります。また、周辺地域への補償責任 や環境改善に要する費用は、業績に重要な影響を及 ぼす可能性があります。 (14)IT セキュリティおよび情報管理に関する リスク 当社グループでは業務上、各種 ITシステムを駆使し ているため、システムの不備やコンピューターウィル ス等の外部要因により、業務が阻害される可能性があ (16)内部統制の整備等に関するリスク 当社グループは、金融商品取引法に基づく財務報告 に係る内部統制の評価および監査の基準ならびに実 施基準に準拠し、財務報告に係る有効な内部統制シ ステムを整備し、その適正な運用につとめます。しか し、内部統制が有効に機能せず、あるいは予期しない 内部統制上の問題により、多大な損失が発生した場 合には、業績に重要な影響を及ぼす可能性があり ます。 (17)災害等に関するリスク 地震、台風等の自然災害および火災等の事故災害 等、各種災害の発生により、事業所・営業所等が大規 模な被害を受け、当社グループの活動に影響を及ぼす 可能性があります。また、災害により損害を被った設 備等の修復のために多額の費用が発生し、業績に重 要な影響を及ぼす可能性があります。 53 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 会社情報 国内・海外ネットワーク 本社 〒112-8088 東京都文京区小石川4-6-10 TEL: 03-3817-3700(大代表) 7 Eisai Laboratórios Ltda. City of São Paulo, State of São Paulo, at Rua Doutor Cardoso de Melo, No 1628 and 1644, Vila Olímpia, Brazil 04548-005 8 Eisai Laboratorios S. de R.L. de C.V. 海外の主な事業所 Paseo de la Reforma 342 piso 26, Col. Juarez, Delegacion Cuauhtemoc, C. P. 06600, Mexico, D. F. TEL: 52-55-2881-6786 米州 1 Eisai Inc. 100 Tice Boulevard Woodcliff Lake, New Jersey 07677, U.S.A. TEL: 1-201-692-1100 FAX: 1-201-746-3201 2 Eisai Inc. / Research Triangle Park( RTP ) 900 Davis Drive, P.O. Box 14505 RTP, North Carolina 27709, U.S.A. TEL: 1-919-941-6920 FAX: 1-919-941-6931 3 Eisai Inc. / Andover Site (Research Laboratory) 4 Corporate Drive, Andover, Massachusetts 01810, U.S.A. TEL: 1-978-794-1117 FAX: 1-978-794-4910 欧州 300 Technology Square, 5th floor, Cambridge, Massachusetts 02139, U.S.A TEL: 1-617-252-5000 FAX: 1-617-252-5098 6 Eisai Limited 6925 Century Ave, Suite 701 Mississauga, Ontario L5N 7K2, Canada TEL: 1-905-361-7130 FAX: 1-732-791-1212 Strawinskylaan 1141, Toren C, 11e, 1077 XX Amsterdam, The Netherlands TEL: 31-20-575-3340 FAX: 31-20-575-3341 t Eisai S.r.l. Via dell Unione Europea 6/B San Donato Milanese( MI ), 20097, Italy TEL: 39-02-518-1401 FAX: 39-02-518-14020 0 Eisai Ltd. European Knowledge Centre, Mosquito Way, Hatfield, Hertfordshire AL10 9SN, U.K. TEL: 44-845-676-1400 FAX: 44-845-676-1401 y Eisai Pharma AG Schaffhauserstrasse 611, 8052 Zurich, Switzerland TEL: 41-44-306-1212 FAX: 41-44-306-1280 u Eisai AB Visiting address: Svardvagen 3A, 182 33 Danderyd, Sweden Postal address: Box 23060, 104 35 Stockholm TEL: 46-8-501-01-600 FAX: 46-8-501-01-699 = Eisai GmbH 5 H3 Biomedicine Inc. e Eisai B.V. C/Arturo Soria 336, 3a Planta, 28033 Madrid, Spain TEL: 34-91-455-9455 FAX: 34-91-721-0506 European Knowledge Centre, Mosquito Way, Hatfield, Hertfordshire AL10 9SN, U.K. TEL: 44-845-676-1400 FAX: 44-845-676-1401 European Knowledge Centre, Mosquito Way, Hatfield, Hertfordshire AL10 9SN, U.K. TEL: 44-845-676-1400 FAX: 44-845-676-5050 210 Welsh Pool Road, Exton, Pennsylvania 19341, U.S.A. TEL: 1-610-423-6100 FAX: 1-610-423-6199 Tour Manhattan, 5-6 Place de I Iris, 92095 Paris La Défense 2 Cedex, France TEL: 33-1-47670005 FAX: 33-1-47670015 r Eisai Farmacéutica S.A. 9 Eisai Europe Ltd. - Eisai Manufacturing Ltd. 4 Morphotek, Inc. w Eisai S.A.S. Lyoner Strasse 36, D-60528 Frankfurt am Main, Germany TEL: 49-69-6658511 FAX: 49-69-6658525 q Eisai GesmbH Saturn Tower, Leonard-Bernstein-Strasse 10 A-1220 Wien, Austria TEL: 43-1-5351980-11 FAX: 43-1-5351980-80 i Eisai Farmacêutica, Unipessoal Lda. p Limited Liability Company Eisai Business Center Lotte Plaza 8, Novinsky blvd., Moscow 121099, Russia TEL: 7-495-580-7026 FAX: 7-495-580-7028 アジア [ PT Eisai Indonesia Sentral Senayan II, 12 Floor, Jl. Asia Afrika No. 8, Senayan, Jakarta 10270, Indonesia TEL: 62-21-5795-1994 FAX: 62-21-5795-1995 ] Bogor Factory JI. Lanbau Desa Karang Asem Barat, Kecamatan Citeureup, Kabupaten Bogor, 16810, Jawa-Barat, Indonesia TEL: 62-21-875-3202 FAX: 62-21-876-4886 \ Eisai( Singapore ) Pte. Ltd. 152 Beach Road #15-05/08, Gateway East, Singapore 189721 TEL: 65-6296-6977 FAX: 65-6296-6577 a Eisai Clinical Research Singapore Pte. Ltd. 152 Beach Road #15-05/08, Gateway East, Singapore 189721 TEL: 65-6297-6624 FAX: 65-6297-6328 s Eisai( Malaysia ) Sdn. Bhd. Lagoas Park, Edifício 5A, Piso 6, 2740-244 Porto Salvo, Portugal TEL: 351-21-487-55-40 FAX: 351-21-487-55-48 Lot 6.1, 6th Floor, Menara Lien Hoe No. 8, Persiaran Tropicana 47410 Petaling Jaya, Malaysia TEL: 60-3-7803-9096 FAX: 60-3-7803-0060 o Eisai SA/NV d Eisai( Thailand ) Marketing Co., Ltd. Square de Meeus 40, 1000 Brussels, Belgium 6th Floor, GPF Witthayu Tower A, 93/1 Wireless Road, Bangkok 10330, Thailand TEL: 66-2-256-6296 FAX: 66-2-256-6299 f HI-Eisai Pharmaceutical Inc. 1 2 3 90- 20th Floor, Multinational Bancorporation Centre, 6805 Ayala Avenue, 1226 Makati City, Philippines TEL: 63-2-887-1047 FAX: 63-2-887-5172 54 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 国内事業所 g Eisai Korea Inc. 10F Revessant, 147-17 Samseong-dong, Gangnam-gu, Seoul 135-878, Korea TEL: 82-2-3451-5500 FAX: 82-2-3451-5599 8 川島工園 コミュニケーションオフィス 〒501-6195 岐阜県各務原市川島竹早町 1 TEL: 0586-89-3115 FAX: 0586-89-3848 1 札幌 〒003-0021 北海道札幌市白石区栄通 4-3-1 h 衛采製薬股份有限公司 9th Floor, No. 18, Chang An E. Road, Sec. 1 Taipei, Taiwan TEL: 886-2-2-531-4175 FAX: 886-2-2-531-0063 j 衛材(中国)薬業有限公司 39th-40th Floor, Park Place, No.1601, Nanjing Xi Road, Shanghai City, 200040 China TEL: 86-21-2419-2888 FAX: 86-21-2419-2881 k 衛材(中国)薬業有限公司(蘇州工場) Bai Yu Road #32 Suzhou Industrial Park, Suzhou, Jiangsu Province, 215021 China TEL: 86-512-6761-3211 FAX: 86-512-6761-8640 l Eisai( Hong Kong ) Co., Ltd. Room 2007, Fortress Tower, 250 King s Road, North Point, Hong Kong, China TEL: 852-2516-6128 FAX: 852-2561-5042 9 鹿島事業所 TEL: 011-851-6171 FAX: 011-853-3523 〒314-0255 2 仙台 〒989-3121 宮城県仙台市青葉区郷六字龍沢 26-3 0 筑波研究所 TEL: 022-226-2111 FAX: 022-226-1107 〒300-2635 ' Eisai Pharmatechnology & Manufacturing Pvt. Ltd. Eisai Knowledge Centre Ramky Pharma City (SEZ), Plot Nos. 96, 97, 98, 124 & 126 Parawada -531 021, Visakhapatnam District, Andhra Pradesh, India TEL: 91-8924-660777 FAX: 91-8924-660759 k 城県つくば市東光台 5-1-3 TEL: 029-847-5900 FAX: 029-847-8489 3 東京 〒163-1023 東京都新宿区西新宿 3-7-1 新宿パークタワー 23F 国内の主な関係会社 4 名古屋 〒461-0001 愛知県名古屋市東区泉 2-13-23 エーディア株式会社 TEL: 052-931-1311 FAX: 052-932-5547 〒101-0032 東京都千代田区岩本町 1-10-6 TMMビル6F 5 大阪 TEL: 03-3865-4311 FAX: 03-3864-5644 サンノーバ株式会社 TEL: 046-248-2655 FAX: 046-248-5909 〔厚木センター 〕 〒243-0213 神奈川県厚木市飯山字台地堂 3039-1 TEL: 046-248-2654 FAX: 046-247-9559 〔北房センター 〕 〒716-1401 岡山県真庭市五名 1850 TEL: 0866-52-2210 FAX: 0866-52-4220 〔札幌センター 〕 〒006-0832 北海道札幌市手稲区曙 2 条 4-4-25 〒730-0037 広島県広島市中区中町 7-22 住友生命広島平和大通りビル9F 7 福岡 株式会社カン研究所 TEL: 078-306-5910 FAX: 078-306-5920 ※上記のほか、全国 58カ所にコミュニケーションオフィスがあります。 8 〒112-0012 東京都文京区大塚 3-11-6 大塚 3 丁目ビル8F 〒103-0027 東京都中央区日本橋 2-13-10 日本橋サンライズビルディング 5F 〒650-0047 兵庫県神戸市中央区港島南町 6-8-2 TEL: 092-731-6709 FAX: 092-731-6735 ブラッコ・エーザイ株式会社 エルメッド エーザイ株式会社 TEL: 03-3980-6633 FAX: 03-3980-6634 〒810-0004 福岡県福岡市中央区渡辺通 4-1-36 BiVi 福岡 6F TEL: 03-5978-1941 FAX: 03-5978-1965 TEL: 03-5319-3381 FAX: 03-5319-3387 〒170-0013 東京都豊島区東池袋 3-23-5 TEL: 082-244-1212 FAX: 082-246-6853 株式会社サンプラネット 〒112-0012 東京都文京区大塚 3-5-10 住友成泉小石川ビル8F 〒370-0426 群馬県太田市世良田町 3038-2 TEL: 0276-52-3611 FAX: 0276-52-1341 6 広島 ' エーザイ物流株式会社 〒243-0213 神奈川県厚木市飯山字台地堂 3039-1 TEL: 011-688-0205 FAX: 011-688-0335 TEL: 03-5325-0150 FAX: 03-5325-0194 TEL: 06-6448-9001 FAX: 06-6448-9011 1st Floor, B-Wing, Marwah Centre Krishanlal Marwah Marg, Andheri( East ), Mumbai 400072, MH, India TEL: 91-22-6131-1311 FAX: 91-22-2857-9720 城県神栖市砂山 22 TEL: 0479-46-1155 FAX: 0479-46-1095 〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島 3-3-3 中之島三井ビルディング 10F ; Eisai Pharmaceuticals India, Pvt. Ltd. ] 工場・研究所 0 エーザイフード・ケミカル株式会社 TEL: 03-3548-3560 FAX: 03-3273-2084 55 PAGE Eisai Co., Ltd. ANNUAL REPORT 2014 エーザイ独自のビジネスモデル ステークホルダーズの皆様へ エーザイが取り扱う主な製品と 開発中の化合物 2014 年 3 月期の実績 企業理念 エーザイの価値創造のプロセスとフロー (編集方針) 外部環境と戦略 エーザイを構成をする6つの資本 コーポレートガバナンス 役員一覧 コンプライアンス・リスク管理 リスク情報 会社情報 会社情報 会社概要(2014年3月31日現在) 設立 資本金 商号 従業員数 本社所在地 発行済株式総数 1941 年(昭和 16 年)12 月6日 エーザイ株式会社(英文名:Eisai Co., Ltd. ) 〒112-8088 東京都文京区小石川4-6-10 TEL: 03-3817-3700(大代表) 定時株主総会 6月 上場証券取引所 東京 証券コード 4523 監査法人 有限責任監査法人トーマツ 44,985 百万円 4,003 名(単体)、10,419 名(連結) 296,566,949 株 株主数 106,981 名 株主名簿管理人 三菱 UFJ 信託銀行株式会社 米国預託証券保管・代理人 JP Morgan Chase Bank, N.A. 公告方法 電子公告 http://www.eisai.co.jp/fr/index.html ただし、やむを得ない事由が生じた場合は、 日本経済新聞に掲載する。 お問い合わせ先 〒112-8088 東京都文京区小石川 4-6-10 エーザイ株式会社 IR 部 TEL: 03-3817-5327 FAX: 03-3811-6032 http://www.eisai.co.jp ホームページには会社案内、ニュースリリース、IR 情報、患者様向け情報などを掲載しています。 56
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