報告書 - 東京都市町村職員研修所ホームページ

目
次
刊行にあたって
担当講師論評
自治体政策と条例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
特別講師
宮住
哲也
政策法務演習(立法法務)を担当して ・・・・・・・・・・5
特別講師
赤羽
紘
研修報告書
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 ・・・・・・・・13
動物との共存に関する条例グループ
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例 ・・・55
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例グループ
研修資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・113
- 001 -
刊行にあたって
政策・法務研修「政策法務演習(立法法務)」は、自治体を巡る政策課題の理
解を深め、政策形成能力の向上を図るとともに、政策の条例化を中心とした法
務能力を高めることを目標とした研修です。立法目的・立法事実を明確にした
上で条例の内容検討へと移り、仮要綱の作成、整合性・適法性等の確認を済ま
せ、そして条文化へと移る、といった条例作成の過程をひととおり経験します。
本書は、平成 21 年度の7月から1月にかけて実施した同研修の成果をまとめ、
報告書として刊行するものです。
例年、時機に適った事柄を研修テーマとして取り上げています。平成 21 年度
は「動物との共存に関する条例」と「高齢者が安心して暮らせるまちづくりに
関する条例」の2テーマでした。研修生はテーマに対して広い視野から検討し、
必要な情報について粘り強く調べ、研修生間で協力しながら条文をまとめ上げ
ていきました。
また、研修最終日に設けた発表会は、研究成果を活かし、内容の濃い充実し
たものとなりました。研修生の努力の結晶を、この度、報告書という形で多く
の方に知っていただけるに至り、大変嬉しく思います。
本書は、研修内容の記録という役割にとどまらず、さまざまに活躍される自
治体職員の方々の実務上の指南書としても活用いただけるよう心がけて編集い
たしました。構成市町村はもとより、関係各位それぞれにお役立ていただけま
したら幸いです。
最後になりましたが、研修生の努力と熱意に敬意を表するとともに、ご指導
いただいた先生方、ご協力いただいた各自治体の方々、そして長期にわたって
研修生を派遣してくださった職場の皆さまのご理解とご支援に感謝申し上げま
す。
平成 22 年3月
東京都市町村職員研修所
- 003 -
平成21年度
政策・法務研修「政策法務演習(立法法務)」
担当講師論評
自治体政策と条例
政策法務演習(立法法務)を担当して
- 005 -
自治体の政策と条例
(担当講師
宮住
哲也)
自治体の政策と条例
高齢者が安心して暮らせる
まちづくりに関する条例グループ担当
特別講師
1
宮住
哲也
自治体の政策と条例
自治体は、その区域において、地域住民の公共的課題を解決するための自
立した「地方政府」である。この公共的課題を解決するための達成手段が自
治体政策となる。政策とは社会の現実あるいは社会状況に応じて、さまざま
な問題が生じ、課題が発生してきて、これに対してなんらかの対策の必要性
が認識され、その対策を立案することである。その政策のうちで、新たに法
的な手段や手法や技術を必要とし、かつ、これを利用して対処しようとする
ものが、法政策(自治体の場合は条例化)ということになる。
分権改革後は、自治体の役割と政策責任が明確となり条例制定の範囲も広
くなり、自治体職員の政策形成能力と法務能力が重要となってきている。そ
のために、本件政策法務演習(立法法務)は、あるテーマのもとで、自治体
が解決すべき問題として具体的な政策課題を取り上げ、この課題を検討し政
策案を策定する。政策案は政策課題の目的を前提として一定の価値を実現す
るための手段、技術、手順等を中心に形成していく。そして、形成された政
策案の政策形成過程を踏まえ条例案を策定していく。
また条例案策定過程の中には、政策案の中から条例案の内容となるものと
そうでないものとを分離し、選択し法的観点から検討し、整理していくこと
や条例の形式に表現していくことも含まれる。
このような演習を行うことにより、自治体職員に求められる政策形成能力
及び立法能力を高めることが図られる。
-1-
自治体の政策と条例
2
(担当講師
宮住
哲也)
条例案作成の基本事項
自治体の政策の条例化にあたり、条文化までの基本事項について整理した。
研修の実際の手順である。
(1)情報収集
条例化の対象となっている事柄を調査して、その実態や問題点などの把握
を行う。資料・情報を広く収集する。各種の調査・統計資料、政府諮問機関
の答申・報告書、マスコミ報道、専門家・研究者の意見、関係法令・判例な
ど。
また、先進自治体の取り組み状況調査や視察も不可欠である。
(2)立法目的の確定
条例化にあたっては、まず立法目的を明確にする必要がある。現地調査の
結果、資料・情報の分析などに基づいて、何のために条例を制定するのかを
確定することである。その際、なぜ規則や要綱でなくてはならないのか、計
画や予算措置だけでは対応できないのか。つまりなぜ条例に根拠を求めるの
か等々、議論・検討を経て確定する必要がある。
(3)立法事実の明確化
条例化の必要性・合理性の裏付けとなる社会的・経済的・科学的な事実を
「立法事実」というが、調査結果、収集した資料・情報分析などによって立
法事実を明らかにしなければならない。条例を必要とする社会的背景、条例
を必要とする事実上の根拠、条例目的とそれを実現するための強制手段との
整合性、住民の理解・納得、人材・権限・財源上からの可能性などについて
の検討が必要となる。
(4)要綱の作成
次にどのような項目を条例に盛り込むかを検討整理して、項目ごとにその
内容を簡潔に記述した要綱案を作成する。ここでは、関連する法律との整合
性、自治体計画との整合性などの検討が必要である。
-2-
自治体の政策と条例
(担当講師
宮住
哲也)
(5)条文化
確定した要綱に基づいて、条例の形式を整え、正確・明瞭・平易な表現に
配慮していくべきである。条例の目的を周知し、住民の理解を得るためには
不可欠なものである。
3
テーマの趣旨
「高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例」
「高齢社会」とは、65 歳以上人口の全人口に占める比率が 14%以上、21%
未満の社会をいい、14%未満の社会は「高齢化社会」、21 パーセント以上の
社会は「超高齢社会」と呼んでいるようである。日本においては 2007 年(平
成 19 年)に 65 歳以上人口が 21.5%に達している。上記の区分によれば、既
に「超高齢社会」に突入している現状がある。この現状の中で次のような問
題が提起されている。
①
65 歳以上の高齢者のいる世帯について見ると、2008 年(平成 20 年)
現在の世帯数は 1,978 万世帯であり、全世帯の(4,796 万世帯)41.2%を
占めていて、また高齢者のいる世帯に占める単独世帯・夫婦のみの世帯
については増加傾向となっている。
②
上記の実態の中で、子どもや孫との付き合い方も希薄化が進んでいる。
例えば子どもや孫との付き合い方について、60 歳以上の高齢者の意識は
子どもや孫とは、「いつも一緒に生活できるのがよい」が 34.8%「とき
どき会って食事や会話をするのがよい」が 42.9 パーセントとなっている。
③
将来的には一人暮らし高齢者、特に都市部における高齢者が大幅に増
加する見込みとされている。
④
最近において社会問題化してきているのが「孤独死」「孤立死」と呼
ばれるものである。定義は多少幅があるようであるが、「社会的関係が
絶たれていて、死後、しばらく発見されなかった死」とされている。
以上のような状況の中で自治体に打つ手が求められている。
4
基調講義
テーマに基づいて、「高齢者が安心して暮らせるまちづくり」と題した立教
大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授高橋絋士氏の基調講義を受けた。
-3-
自治体の政策と条例
5
(担当講師
宮住
哲也)
グループの検討
「高齢者が安心して暮らせるまちづくり」を自治体の責務とし、住民にも
地域社会の一員であることから積極的に地域活動に取り組む責務があるとし、
具体的に高齢者を一人にさせないための施策を展開した。困窮した高齢者が
孤立に陥らないコミュニティづくりや、地域の実情に応じた見守りシステム
など、地域の取組を促進し、新たな居場所や地域社会とのつながりを持てる
ソフトな環境整備事業を検討・展開している。
-4-
政策法務演習(立法法務)を担当して
(担当講師
赤羽 紘)
政策法務演習(立法法務)を担当して
動物との共存に関する条例グループ担当
特別講師
1
赤 羽
紘
研修のねらい
本年度のテーマは、① 動物との共存に関する条例 ② 高齢者が安心して暮
らせるまちづくりに関する条例 の2つであった。
演習内容は、上記のテーマをもとに、自治体が果たすべき施策を既存の法
体系との整合性を図りながら総合的に検討し、条例化することにある。
研修のねらいとしては、条例化の手順をマスターすること以上に政策形成
能力の向上を図ることとしている。
設定されたテーマを踏まえて自治体のあるべき姿を掲げ、これに対して
あるがままの姿(現状)をぶつけて、取り組むべき課題を抽出し、解決策と
しての政策案を策定する。そして、その政策案を実現するために必要とされ
る法的根拠としての条例を整備してみるということである。
2
グループの編成
本年度の研修生は 11 人であった。
2つのグループにすることとし、アンケートによって希望するテーマのグ
ループに分かれた。
「動物との共存に関する条例」グループは5人、「高齢者が安心して暮ら
せるまちづくりに関する条例」グループは6人となった。
平成 21 年7月1日にスタートし、平成 22 年1月 22 日の成果発表会までの
7か月で臨時の回も含めて延べ9回から 10 回にわたる研修を実施した。
3
テーマの趣旨
「動物との共存に関する条例」
動物の顔やしぐさを見て癒されるという人は多い。ペットを飼っていたり、
地域の動物が癒しの対象となる場合もある。
しかし、無責任な飼い主の不適切なふん尿処理等によるトラブルや飼い主
-5-
政策法務演習(立法法務)を担当して
(担当講師
赤羽 紘)
のいない動物への餌やり等による騒音やふん尿被害も起きている。
飼い主のいない動物への餌やりを禁止しようとする動きも見られる一方で、
地域ぐるみで動物を適正に管理し、見守ろうという試みもある。飼い主のい
ない猫に、周囲の理解を得たうえで去勢・避妊や餌やりをし、動物と地域の
共存・共生を図ろうとするといった取り組みである。
こうした地域の動物に関する諸問題を地域コミュニティ上の課題として見
つめ直し、市民の立場で解決を目指すことが求められているといえよう。
自治体は動物との共存に関してどのような働きかけができるのか検討し、
どのような政策によって市民を誘導し、啓発し、規制するのか 条例化を
検討する。
4
基調講義
冒頭で、テーマについて外部講師を招いて基調講義を受けた。
「動物との共存について」・・・ 社団法人日本愛玩動物協会 山崎いく子
動物愛護とは何か/動物愛護の歴史/動物愛護関係法令/動物トラブル
事例に学ぶ といった中から「中庸の精神」を養い、「動物を適正に扱う
ことを通じてよいまちをつくっていくこと」が大切であり、結局は「正し
い理解と知識に基づいた人材づくり、そしてその活動を何処まで支援でき
るか」であると締めくくられた。
5
グループの検討
まず『動物と人』についてブレーンストーミングを行い、現状把握・問題
の発見・課題の設定と問題解決のプロセスに従って検討を進めていった。
大きな柱を「被害防止」と「モラル・マナーの向上」でくくり、犬と猫を
ターゲットに絞った。これにより、理念的な条例ではなく、具体的な条例を
目指すこととした。
そして、マナー違反には誘導で、ルール違反には規制をすべしとし、この
問題における行政の立つべきスタンスを確認した。
本テーマについては、「動物の愛護及び管理に関する法律」と「東京都動
物の愛護及び管理に関する条例」が既に施行されており、言わんとするとこ
ろはほとんど網羅されていた。
-6-
政策法務演習(立法法務)を担当して
(担当講師
赤羽 紘)
しかしながら、読み込んでいくと法や都条例の規定は、ある程度抽象的か
つ包括的であり、実効が上がっているとは言い難いものであった。
そこで、具体的な対策をいかに実現させるかについて検討し、誘導手法と
規制手法の両方を採り入れた条例とした。そして、「被害防止」のための規
制を守らない者には罰則を科すこととしたのである。
このグループは、当初5人でスタートしたものの実質的には4人となって
しまい、各メンバーは少し寂しい思いもしたようだが、理想的なグループ討
議が展開され、進められた。これまで数多くのグループ討議に携わってきた
が、これほど素晴らしいグループ討議は初めてであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
以上、今年度の政策法務演習(立法法務)の概要を述べてきましたが、日
常業務を抱えながらも熱心に研修に取り組んでいただいた研修生の皆さんに
敬意を表します。ここで得たものを研修だけに終わらせることなく、今後、
それぞれの現場で活かして欲しいと思います。
最後に、研修生を送り出していただいた各自治体の関係者の方々に感謝
いたします。
-7-
平成21年度
政策・法務研修「政策法務演習(立法法務)」
研 修 報 告 書
動物との共存に関する条例
高齢者が安心して暮らせる
まちづくりに関する条例
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平成21年度
政策・法務研修「政策法務演習(立法法務)」
動物との共存に関する条例
グループ研修報告書
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
武蔵野市
太田
敦子
調 布 市
久野
綾子
小 平 市
藤田
将史
稲 城 市
石田
愛貴
東京都六都競艇事業組合
小倉
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暢久
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例の策定にあたり
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例の策定にあたり
近年、ライフスタイルの多様化や核家族化などに伴い、ペットを家族同様に
思い、また、ペットに癒しを求めて飼う人々が増えている。公正取引委員会が
発表した「ペット(犬・猫)の取引における表示に関する実態調査報告書」に
よると、ペット生体市場の規模が 1,365 億円に達することがわかり、ペットと
ともに暮らすことは、私たちの生活に定着してきているといえる。
一方、ペットの鳴き声や悪臭などによる近隣間の動物を巡るトラブルや、飼
い主による遺棄や虐待事件などが全国的に発生している。動物に関する行政へ
の苦情内容においてもその最も多い苦情は「犬・猫」に関するものであり、
「ふ
ん尿」、「鳴き声」、「収容」などに関する相談が後を絶たない。
問題の一例として、猫の収容問題にスポットをあて、ノラ猫について考えて
みよう。
ノラ猫というのはもちろん飼い主のいない猫のことであるが、飼い主がいな
いということは要するに責任の所在がどこにもないということである。
ノラ猫がいたずらをして人に迷惑をかけると、責任をとる人間がいないので、
悪いのは全て猫のせいになってしまう。ノラ猫が本来から野生の存在であるな
らば人間の管理など必要のない話だろうが、ノラ猫は野生動物とは違う。ノラ
猫のルーツは、飼い猫である。ノラ猫は、人間が飼育することを放棄したため
に、やむを得ず人の生活圏で共存することとなった、かわいそうな存在である。
一方、可愛いからという理由で、ノラ猫に餌だけあげてふん等の後始末をし
ない人は後を絶たない。結果、ノラ猫のふんで自分の家の敷地内を汚された怒
りは猫だけではなく、餌をあげた人にも及ぶ。実際に、ノラ猫への餌やりを巡
る隣人の刺殺事件まで起こっている。そんな恐ろしい事件に発展してしまうの
はもちろん稀なケースだが、動物を巡って人と人とのトラブルが起きているこ
とは確かである。
今回、私たちのグループが検討した「人も動物も暮らしやすいまちづくり条
例」は、そうした状況の打破に主眼がある。
世の中には動物を飼っている人、動物を飼っていない人、動物販売を生業と
している人、そして行政と、さまざまな立場が存在する。私たちのグループは、
問題の解決に向けて、それぞれの立場が理想的な連携をとっている体制につい
て考えてみた。
まず、第一に大切なのは、それぞれの立場が責任ある行動をすることである。
-1-
- 13 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例の策定にあたり
その上で、お互いの立場を理解し、協力し合うことが重要である。
動物に対する接し方、動物の適切な飼い方等は、従来はルールやマナーの問
題とされてきた部分が多かったが、動物を巡るトラブルが相次ぐようになった
現代においては、もはや市民同士だけでは解決が難しい事態に至っており、行
政が介入をしていくことも免れないと考えた。
そこで、トラブルの解決に向けて行政が関わるにあたり、既に他の法令等で
規定をされている部分を踏まえた上で、これから行政が関わっていくべきこと
は何か、行政が乗り出す意義はどこにあるのかを考えつつ、動物、とりわけ「犬・
猫」に関するトラブルの解決を第一の課題と考え、なかでもノラ猫、つまりか
わいそうな猫を減らすことに一つの主眼を置いて、人も動物も暮らしやすい社
会を実現することを目的とした条例を策定することとした。
以下、成果物としての
「人も動物も暮らしやすいまちづくり条例」
「人も動物も暮らしやすいまちづくり条例(逐条解説)
」
次に、検討の概要と条例への思いを語った
「発表会におけるパワーポイント資料」
そして、
「グループ演習記録」
最後に、
「メンバーの感想」
の順に報告する。
-2-
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人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
○○市は多摩の中心部にあり、比較的野生動物の少ない地域である。近年、
住宅の密集化により、地域の動物を巡ったトラブルが発生している。このトラ
ブルを地域コミュニティ上の課題として見つめ直し、解決を目指すことが求め
られている。
自分とは異なる存在への理解と関心を高めて、動物との適切なかかわり方を
促進し、すべての市民及び動物にとって豊かで暮らしやすい環境の確保を図る
ため、この条例を制定する。
(目的)
第1条
この条例は、近年増加している犬、猫等の動物によるトラブルを防止
し、もって人も動物も暮らしやすい社会を実現することを目的とする。
(定義)
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各
号に定めるところによる。
(1)
飼い主
動物の所有者(当該所有者以外の者が飼養管理するときは、そ
の者を含む。)をいう。
(2)
飼い猫
飼い主のいる猫をいう。
(3)
地域猫
特定の飼い主はいないが、地域住民によって共同で飼養されて
いる猫をいう。
(4)
ノラ猫
飼い猫及び地域猫以外の猫をいう。
(5)
動物販売業者
(6)
市民等
市内で動物を販売することを業としている者をいう。
市内に居住し、若しくは滞在し、又は市内を通過する者をいう。
(教育及び研修会)
第3条
市は、次世代を担う子どもたちに対し、動物との共生について考えさ
せる教育を行うものとする。
2
市は、市民に対し、動物への敬意及び思いやりを持つこと並びに責任を持
って接することを促進するための研修会を行うものとする。
(登録制度)
第4条
市は、飼い猫及び地域猫の登録制度を設けるものとする。
-1-
- 15 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例の策定にあたり
(去勢、不妊手術等への助成)
第5条
市長は、登録された飼い猫又は地域猫に、去勢又は不妊手術等を講じ
た飼い主に対し、予算に定める範囲内で助成を行うものとする。
(ノラ猫の捕獲及び駆除)
第6条
市長は、ノラ猫に関しては、捕獲の対象とすることができる。ただし、
ノラ猫が人の生命、身体若しくは財産を侵害し、又は侵害するおそれのある
場合で、通常の方法によっては捕獲することが著しく困難であると認めると
きは、これを駆除することができる。
(トラブル解決)
第7条
市長は、地域における犬、猫等の動物によるトラブルを解決するよう
努めるものとする。
(動物販売業者の責務)
第8条
動物販売業者は、動物の販売に当たり、飼い主のマナー向上のための
研修会を行わなければならない。
(飼い主の責務)
第9条
飼い主は、飼養管理する動物のふんにより公共の場所等を汚したとき
は、他人に迷惑を及ぼさないよう当該ふんを持ち帰らなければならない。
2
飼い主は、飼養管理する動物の尿により公共の場所等を汚したときは、他
人に迷惑を及ぼさないよう水をかける等適正に処理しなければならない。
(市民等の責務)
第10条
市民等は、ふん尿被害等によるトラブルをなくすため、ノラ猫その他
の飼い主のいない動物には、餌やりをしてはならない。
(飼い猫及び地域猫の登録等)
第11条
猫の飼い主になった者は、速やかにその旨を市長に届け出なければな
らない。地域猫にあっては、共同で飼養している地域住民の代表者が届け出
なければならない。
2
市長は、前項の規定による届出があった場合は、猫鑑札を交付するものと
する。
3
飼い主は、交付された猫鑑札を、常に確認できるよう飼い猫及び地域猫の
首輪等に装着しなければならない。
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人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
(紛争処理機関)
第12条
市長は、第7条の地域における犬、猫等の動物によるトラブルを解決
するため、○○市犬、猫等トラブル処理委員会(通称「ワンニャントラブル
処理委員会」。以下「委員会」という。)を置く。
2
委員会は、5人以内の委員で組織する。
3
委員の任期は、3年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期
間とする。
4
その他、委員会の運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(委任)
第13条
この条例に規定するもののほか、この条例の施行について必要な事項
は、規則で定める。
(罰則)
第14条
第9条の規定に違反して、動物のふん及び尿を適正に処理しなかった
者は、2,000円の過料に処する。
2
第10条の規定に違反して、ノラ猫その他の飼い主のいない動物に餌やりを
行った者は、5,000円の過料に処する。
附
則
この条例は、平成22年4月1日から施行する。
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人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
逐条解説
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例(逐条解説)
(前文)
○○市は多摩の中心部にあり、比較的野生動物の少ない地域である。近年、
住宅の密集化により、地域の動物を巡ったトラブルが発生している。このトラ
ブルを地域コミュニティ上の課題として見つめ直し、解決を目指すことが求め
られている。
自分とは異なる存在への理解と関心を高めて、動物との適切なかかわり方を
促進し、すべての市民及び動物にとって豊かで暮らしやすい環境の確保を図る
ため、この条例を制定する。
【解説】
前文は、この条例の立法趣旨を明らかにしたものである。
動物の顔やしぐさを見ていると癒されるという人も多い。ペットを飼ってい
たり、動物園へ見に行ったりするほか、飼い主のいない、地域にいる動物が対
象となる場合もある。街の中にいる猫やスズメ、ハト等を住民が楽しそうに眺
めている姿はほほえましく、心の和むものである。しかし、騒音やふん尿被害
といった地域の動物を巡ったトラブルも発生している。
そこで、人と動物との共生を目指すために、動物を巡るトラブルを地域コミ
ュニティ上の課題として見つめ直し、解決を目指すこととし、すべての市民及
び動物にとって豊かで暮らしやすい環境の確保を図るため、この条例を制定し
た。
(目的)
第1条
この条例は、近年増加している犬、猫等の動物によるトラブルを防止
し、もって人も動物も暮らしやすい社会を実現することを目的とする。
【解説】
本条は、条例制定の目的を定めるものである。
動物を巡るトラブルのなかでも、私達の生活に密接に関わっている犬、猫を
中心としたトラブルを防止することで、人も動物も暮らしやすい社会を実現す
ることを目的とするものである。
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人も動物も暮らしやすいまちづくり条例の策定にあたり
(定義)
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各
号に定めるところによる。
(1)
飼い主
動物の所有者(当該所有者以外の者が飼養管理するときは、そ
の者を含む。)をいう。
(2)
飼い猫
飼い主のいる猫をいう。
(3)
地域猫
特定の飼い主はいないが、地域住民によって共同で飼養されて
いる猫をいう。
(4)
ノラ猫
飼い猫及び地域猫以外の猫をいう。
(5)
動物販売業者
(6)
市民等
市内で動物を販売することを業としている者をいう。
市内に居住し、若しくは滞在し、又は市内を通過する者をいう。
【解説】
本条は、この条例で使用する用語を定義している。
「飼い主」は、動物を飼養管理する者のモラル・マナー等の責任を明確化す
るため、所有者に限定しないこととした。
「市民等」は、飼い主のいない動物への餌やりによるトラブルを防止するた
め、市内に住所を有する者に限らず、市内に居住・滞在、市内を通過する者も
含むこととした。
(教育及び研修会)
第3条
市は、次世代を担う子どもたちに対し、動物との共生について考えさ
せる教育を行うものとする。
2
市は、市民に対し、動物への敬意及び思いやりを持つこと並びに責任を持
って接することを促進するための研修会を行うものとする。
【解説】
本条は、動物を飼養管理する者のモラル・マナー等向上のため、自分とは異
なる存在への理解と関心を高めて、動物との適切なかかわり方を身につけても
らうべく、市が責任を持って、子どもたちには教育を、市民には研修会を実施
することを定めたものである。
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人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
逐条解説
(登録制度)
第4条
市は、飼い猫及び地域猫の登録制度を設けるものとする。
【解説】
本条は、犬の場合は狂犬病予防法を根拠として登録義務があるにも関わらず、
猫の場合は登録制度が無いことから、○○市が独自に登録制度を設けることを
定めたものである。この登録制度を設けることにより、飼い猫及び地域猫とノ
ラ猫を判別することが可能となる。
また、飼い主の社会的責任の自覚向上が期待できる。
(去勢、不妊手術等への助成)
第5条
市長は、登録された飼い猫又は地域猫に、去勢又は不妊手術等を講じ
た飼い主に対し、予算に定める範囲内で助成を行うものとする。
【解説】
本条は、ノラ猫の問題を解決するため、去勢・不妊手術の推進を目的とした
助成制度を設けることを定めたものである。限られた予算を有効に使うため、
助成は登録された飼い猫又は地域猫に限ることとし、予算に定める範囲内で助
成を行うこととした。
(ノラ猫の捕獲及び駆除)
第6条
市長は、ノラ猫に関しては、捕獲の対象とすることができる。ただし、
ノラ猫が人の生命、身体若しくは財産を侵害し、又は侵害するおそれのある
場合で、通常の方法によっては捕獲することが著しく困難であると認めると
きは、これを駆除することができる。
【解説】
本条は、増え続けるノラ猫によるふん尿被害等の問題を解決するため、ノラ
猫を捕獲・駆除することができるよう定めたものである。捕獲を原則とするが、
ただし書きに規定する場合には、駆除も可能とした。ただし書きの文言につい
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人も動物も暮らしやすいまちづくり条例の策定にあたり
ては、東京都動物の愛護及び管理に関する条例(平成18年東京都条例第4号)
第26条(野犬の駆除)を参考にした。
本条があることにより、第11条第1項の実効性が担保される。
また、実際にノラ猫を捕獲・駆除することにより、ノラ猫の頭数減少を目指
している。
(トラブル解決)
第7条
市長は、地域における犬、猫等の動物によるトラブルを解決するよう
努めるものとする。
【解説】
本条は、地域における犬、猫等の動物による住民間のトラブルを、市長が解
決するよう努めることを定めたものである。
(動物販売業者の責務)
第8条
動物販売業者は、動物の販売に当たり、飼い主のマナー向上のための
研修会を行わなければならない。
【解説】
動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)第8条「動物の販
売を業として行う者は、当該販売に係る動物の購入者に対し、当該動物の適正
な飼養又は保管の方法について、必要な説明を行い、理解させるように努めな
ければならない。」との規定を受け、本条で、動物販売業者の役割を具体的に定
めたものである。
(飼い主の責務)
第9条
飼い主は、飼養管理する動物のふんにより公共の場所等を汚したとき
は、他人に迷惑を及ぼさないよう当該ふんを持ち帰らなければならない。
2
飼い主は、飼養管理する動物の尿により公共の場所等を汚したときは、他
人に迷惑を及ぼさないよう水をかける等適正に処理しなければならない。
- 21 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
逐条解説
【解説】
本条は、犬、猫等の動物によるトラブルを防止するための飼い主の役割を定
めたものである。
苦情の中でも圧倒的に多いふん尿問題を解決するため、第1項で、ふんにつ
いては持ち帰らなければならないと定めたものである。第2項では、尿に水や
砂をかける等適正に処理しなければならないと定めたものである。
本条の規定に違反すると、第14条(罰則)第1項が適用される。
(市民等の責務)
第10条
市民等は、ふん尿被害等によるトラブルをなくすため、ノラ猫その他
の飼い主のいない動物には、餌やりをしてはならない。
【解説】
本条は、犬、猫等の動物によるトラブルを防止するための市民等の役割を定
めたものである。
無責任な餌やりは、ノラ猫その他の飼い主のいない動物の増加につながるこ
とになる。飼い主のいない動物によるふん尿被害等のトラブルの減少、ひいて
はノラ猫に代表される捨てペットの減少を目的とし定めたものである。
(飼い猫及び地域猫の登録等)
第11条
猫の飼い主になった者は、速やかにその旨を市長に届け出なければな
らない。地域猫にあっては、共同で飼養している地域住民の代表者が届け出
なければならない。
2
市長は、前項の規定による届出があった場合は、猫鑑札を交付するものと
する。
3
飼い主は、交付された猫鑑札を、常に確認できるよう飼い猫及び地域猫の
首輪等に装着しなければならない。
【解説】
本条は、第4条の規定を具体的に定めたものである。飼い猫及び地域猫の登
録を義務化し、届出があった場合は、猫鑑札を交付する。この登録があって、
- 22 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例の策定にあたり
はじめて第5条の去勢・不妊手術の助成が受けられる。一方、本条第3項に違
反した場合は、第6条の捕獲・駆除の対象となる。
この猫鑑札は、現在の最新技術であるマイクロチップでさえ、技術の進歩に
より今後どうなっていくのか不明である。そこで、猫鑑札の具体的な仕様は、
規則で定めることとした。
(紛争処理機関)
第12条
市長は、第7条の地域における犬、猫等の動物によるトラブルを解決
するため、○○市犬、猫等トラブル処理委員会(通称「ワンニャントラブル
処理委員会」。以下「委員会」という。)を置く。
2
委員会は、5人以内の委員で組織する。
3
委員の任期は、3年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期
間とする。
4
その他、委員会の運営に関し必要な事項は、規則で定める。
【解説】
本条は、第7条の規定を具体的に定めたものである。○○市犬、猫等トラブ
ル処理委員会の役割としては、飼い主、動物販売業者又は市民等から相談、要
望又は苦情があった場合、委員会の中で審議し、客観的な判断を下すことによ
り、トラブルの解決を図ることである。
第1項は、紛争処理機関の設置を定めたものである。第2項は、委員の人数
を定めたものである。第3項は、委員の任期と補欠委員の任期を定めたもので
ある。第4項は、前3項以外の委員会の運営に関し必要な事項を規則に委任し
たものである。
(委任)
第13条
この条例に規定するもののほか、この条例の施行について必要な事項
は、規則で定める。
【解説】
本条は、この条例の施行について必要な事項を、施行規則に委任する規定で
- 23 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
逐条解説
あり、主なものとして次の事項を想定している。
・第5条に定める助成の範囲や手続方法
・第11条に定める登録の手続方法
・第14条に定める過料の徴収方法
(罰則)
第14条
第9条の規定に違反して、動物のふん及び尿を適正に処理しなかった
者は、2,000円の過料に処する。
2
第10条の規定に違反して、ノラ猫その他の飼い主のいない動物に餌やりを
行った者は、5,000円の過料に処する。
【解説】
本条は、第9条及び第 10 条の規定の違反者に対し、この条例の目指すまちづ
くりをより実現性のあるものとするため直接処罰の過料とするものである。
また、地域猫の定義づけ、去勢、不妊手術の助成制度及び猫の登録制度を併
せて制定することにより本条の罰則に対する市民の理解を得ようとするもので
ある。
本条第1項は、第9条第1項及び同条第2項の規定を守らなかった飼い主に
対し罰則を定めたものである。
人の場合、軽犯罪法(昭和 23 年法律第 39 号)第1条第 26 号で 30 日未満の
拘置又は1万円未満の過料という規定があること及び千代田区が条例で定めた
禁止地区での喫煙に関する規定が 2,000 円である等のことから過料の金額を定
めたものである。
本条第2項は、第10条第2項の規定を守らなかった市民等に対し罰則を定め
たものである。
ノラ猫をなくすことがこの条例全体のなかでの重要ポイントであるので、本
条第1項の過料より高く設定したものである。
附
則
この条例は、平成22年4月1日から施行する。
- 24 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 発表用スライド資料
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 発表用スライド資料
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
人も動物も暮らしや
動物との共存グループ発表
グループメンバー
・武蔵野市
・調布市
・小平市
・稲城市
・東京都六市
競艇事業組合
- 25 -
動
グループメンバー
太田
久野
藤田
石田
敦子
・武蔵野市
綾子
・調布市
將史
・小平市
愛貴
・稲城市
・東京都六市
小倉 暢久 競艇事業組合
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 発表用スライド資料
人と動物を巡る状況
犬1252万頭 + 猫1300万頭
日本の世帯数 4906万
家庭の2軒に1軒が犬か猫
のどちらかを飼っている!
動物を巡る状況
動物関連の苦情件数の推移
(苦情・件)
35000
30000
25000
20000
15000
10000
5000
0
平成14
15
16
17
18
(年度)
東京都福祉保健局資料より
- 26 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 発表用スライド資料
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 発表用スライド資料
みんなが困っている問題とは・・・みんなが困っている
・ふん尿被害が発生している
・ふん尿被害が発生してい
・飼い主にモラル・マナーの欠如が見られる ・飼い主にモラル・マナーの
・エサだけあげて、その他の世話をしない人がいる
・エサだけあげて、その他の
・飼えなくなったらペットを捨てる人がいる ・飼えなくなったらペットを捨
・ノラ猫が増加している
・ノラ猫が増加している
・・・など
猫等の苦情等
苦情等内容件数(合計)
猫等の苦情等
平成17年度 平成18年度 平成19年度
7,167
7,245
5,661
苦情等内容件数(合計)
2,039
2,162
514
226
640
231
身体・器物の被害
522
541
383
身体・器物の被害
5
訳 不適切な取扱い虐待
105
130
1
収容に関する相談
2,581
2,560
117
訳 不適切な取扱い虐待
その他
1,180
981
ふん尿
内 臭気・羽毛
鳴き声
1,796
ふん尿
平成17
7,1
内 455
臭気・羽毛
163
鳴き声
1,849
収容に関する相談
898
その他
横浜市資料より
- 27 -
2,0
5
2
2,5
1,1
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 発表用スライド資料
犬の苦情等
苦情等内容件数(合計)
野犬等保護
内 放し飼い
ふん尿
鳴き声
身体・器物の被害
訳
不適切な取扱い・虐待
登録・注射に関すること
その他
平成17年度 平成18年度 平成19年度
6,678
7,090
7,279
565
539
546
707
536
441
1,806
1,843
2,048
338
215
167
1,785
1,095
337
178
86
2,749
822
314
213
182
2,850
685
横浜市資料より
問題を放置すると・・・
ノラ猫の増加
たった1年で
生活環境の悪化
・住民間のトラブル増
・動物への虐待増
・市への苦情増
・・・など、
新たな問題が発生
- 28 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 発表用スライド資料
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 発表用スライド資料
これらの問題を解決するには これらの問題を解決
1
ふん尿被害対策
ふん尿処理監視員を置く 。ふんの後始末をしなかったら罰則 。猫
用公衆トイレ設置
ふん尿
用公衆
2
教育・啓発
飼い主のマナー向上のため研修会を行う 。
幼いときから動物との共生について考えさせる教育を行う。
飼い主
幼いと
3
免許・講習
ペット飼育の免許制度導入。講習を受講し試験に合格しないとペッ
トを飼育できない 。
ペット飼育のため講習を義務化
ペット飼
トを飼
ペット飼
4
禁止・制限
ほえる犬の夜間、早朝の散歩禁止 。夜間の放し飼い禁止。
大型犬等、おさえきれない場合は散歩させない。飼わない。
飼育頭数の制限
ほえる
大型犬
飼育頭
5
猫の受け入れ先整備
地域猫ステーションを設置。猫好きな人はここの猫をお世話する。
その他の猫を屋外飼育してはいけない。
ノラ猫は捕獲し、猫カフェに入れる。 行政で猫カフェ経営。
増えすぎたりして被害を及ぼす恐れのある猫は捕獲し、即売会・交
換会にかける 。
地域猫
その他
ノラ猫
増えす
換会に
6
その他
飼い猫に首輪など飼い主が分かるようなものを義務化
去勢、不妊手術に対する助成を行う(鳴かなくなる、数が増えない)
駆除、野良狩り 。ノラへのエサやり禁止or罰則
猫の室外飼い禁止 。ペットを捨てた人は罰則を設ける 。
飼い猫
去勢、
駆除、
猫の室
1
2
3
4
5
6
理想的な連携体制
動物取扱業者
○ 動物の適正な飼養と保管
○ 購入者等への説明責任
○ 飼い主への助言
ふん尿被害対策
教育・啓発
免許・講習
禁止・制限
猫の受け入れ先整備
その他
理想的な連携体制
飼い主
提供・説明・助言
○ 終生にわたる適正飼養
○ 地域社会のルールの遵守等
購入・相談
動物取扱業者
○ 動物の適正な飼養と保管
○ 購入者等への説明責任
○ 飼い主への助言
提供・説明・助
購入・相談
相互理解
情報提供
協力
情報提供
監視指導
市
民
○ 動物飼養への理解
○ 動物愛護活動への参加等
指導・啓発
犬・猫の登録
相談等
情報提供
協力
情報提供
監視指導
市
協 力
行
○
○
○
○
○
協 力
政
犬の狂犬病予防注射
犬・猫の登録
地域に密着した苦情・相談対応
動物愛護推進員やボランティアに対する地域の取組支援
啓発活動
- 29 -
民
○ 動物飼養への理
○ 動物愛護活動へ
行
○
○
○
○
○
政
犬の狂犬病予防注射
犬・猫の登録
地域に密着した苦情・相談対応
動物愛護推進員やボランティアに対
啓発活動
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 発表用スライド資料
理念・目的(前文・第1条)
共 生
動物
人



飼い主のモラル・マナーの促進
犬・猫等のトラブル防止
豊かな生活環境の確保
教育及び研修会(第3条・第8条)
幼いときから・・・
大人になっても・・・
生涯にわたって動物との共生について学び続けることが重要
飼い主になるときは尚更
- 30 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 発表用スライド資料
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 発表用スライド資料
登録制度(第4条・第11条)
現行法規
犬
効 果

有り

猫
登録制度(第4条・第
無し

ペットを飼い主のもとに返す 現行法規
ことができる。
有り
⇒ 【捨て猫の防止】犬
飼い主の社会的責任の自覚
向上が期待
⇒ 【モラル・マナーの向上
無し
猫 】
飼い猫・地域猫とノラ猫との
区別
助成制度(第5条)
マーキングの抑制

発情に伴うケンカの減少
メスを追いかけて脱走する危険の回避
⇒【ノラ猫の増加防止】
- 31 -

マーキングの抑制
⇒【尿の臭いの軽減

⇒【鳴き声等の騒音の抑制】


去勢又は不妊手術の
⇒【尿の臭いの軽減】


助成制度(第5条)
去勢又は不妊手術の効果

効 果
発情に伴うケンカの減少
⇒【鳴き声等の騒音の

メスを追いかけて脱走す
⇒【ノラ猫の増加防止
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 発表用スライド資料
捕獲(第6条)


登録されていないノラ猫を捕獲・駆除することにより、
問題の解決を図る。
長期的には、猫にとっても幸福なこと。
トラブル解決(第7条・第12条)
・○○市犬、猫等トラブル処理委員会
(通称「ワンニャントラブル処理委員会」。)を置く。
ワンニャントラブル
処理委員会
○ 5人以内で組織
○ 任期3年
○ その他は、規則で定める
説明・助言・指導
飼い主
動物販売業者
相談・要望・苦情
- 32 -
市民等
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 発表用スライド資料
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 発表用スライド資料
ふん尿の適正処理(第9条・第14条①)
ふん尿の適正処理(第
ふん尿の処理
ふん尿の処理
違反
ふんは持ち帰る
 尿は水をかけるな
どを行う
罰則
違
ふんは持ち帰る
2,000円の過料
 尿は水をかけるな
どを行う


餌やり(第10条・第14条②) 餌やり(第10条・第
餌やりの禁止
×
違反
餌やりの禁止
罰則
×
5,000円の過料
- 33 -
違
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 発表用スライド資料
おしまい
ご清聴ありがとうございました。
- 34 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
演習記録
「人も動物も暮らしやすいまちづくり条例」作成グループ演習記録
1日目:平成 21 年7月1日(水)
【午前】自治立法総論(講義)
東京都市町村職員研修所
特別講師
宮住
哲也
赤羽
紘
氏
政策形成過程と条例(講義)
東京都市町村職員研修所
特別講師
氏
【午後】基調講義
テーマ『高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例』
立教大学大学院 21 世紀社会デザイン研究科
教授
高橋
紘士
氏
2日目:平成 21 年7月2日(木)
【午前】基調講義
テーマ『動物の共存に関する条例』
社団法人日本愛玩動物協会
常任理事
山崎
いく子
氏
【午後】グループ演習(立法目的の作成)
▽議事概要
◎自己紹介及び役割分担の決定
司会:藤田(小平市)、書記:石田(稲城市)
◎現状把握・問題の発見・課題の設定
◆『動物と人』についてブレーンストーミングを行い、以下の点が挙がった。
1
被害系
①騒音被害が発生している。
・鳥(ニワトリ等)の鳴き声がうるさい。
・犬を散歩する人の話し声がうるさい。
音の被害
・猫の鳴き声がうるさい。(特にさかりのとき)
②ふん尿被害が発生している。
・犬のふんの後始末をしない人がいる。
・公園の砂場にふんがあるときがある。
・鳥のふん
-1-
- 35 -
においの被害
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
演習記録
③その他の被害も発生している。
・ゴミ置き場が荒らされる。
・カラスに攻撃される。
・犬にかまれた。
④感染症が拡大する危険性がある等、衛生問題がある。
2
モラル・マナー系
①飼い主にモラル・マナーの欠如が見られる。
・飼い主のマナーが悪い。
・ペットが人間のがん具となっている。
・エサだけあげて、その他の世話をしない人がいる。
・パッと買ってパッと手放す、無責任な飼い主が増えてきた。
・動物との共生のため「何をしてはいけないか」ということを考えない人
の存在
・人間のその時々の都合のいいように扱われている。
・飼えなくなったらペットを捨てる人がいる。
・その場だけ良くて、あとの責任を持たない。
・猫に首輪をつけている人が少ない。
・動物(地域猫)は自らが守るという考えをもつ人の増加
②過剰な愛護が見られる。
・むやみに猫にエサをあげる人がいる。
・ある程度所得が無ければペットを飼えない時代
3
地域力が衰退している。
4
ペットを飼うと良い効果がある。
5
ペットを飼う環境が整備されていない。
6
ペットを飼う人が増加している。
7
毎年多くの動物が処分されている。
8
元来、動物が好きな人とそうでない人がいる。
9
猫には登録制度がない。(規制がない。)
10
ノラ猫が多くなりすぎると、他の生態系に影響を与える。
11
猫はどんどん増える。
12
動物虐待事件が起きている。
13
野生動物が住宅街に入ってくるようになった。(人間社会への侵入)
-2-
- 36 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
14
演習記録
中国の広東省広州市では、飼い犬は1世帯につき1頭との制限がある。
3日目:平成 21 年8月7日(金)
グループ演習
◆『条例立案の目的』について検討
<方向性>
・両極端なものを考えていくと落としどころが見えてくるか?
・他の法律で対処すべきものは、条例で考えなくていいだろう。(虐待)
・大きな柱としては、「被害防止」・「モラル・マナーの向上」の2つか?
マナーに関する事柄は条例でなくてもいい。モラルに反することを条例
で検討すべき(規制 or 誘導)。
・ワニ、トカゲなどは「モラル・マナーの向上」でくくれる。犬・猫に絞
られてくるか。
・理念的な大きな条例とするのか、具体的な小さな条例とするのか?
→具体的な小さな条例を目指す。
◆『対策』についてブレーンストーミングを行い、以下の点が挙がった。
1
ふん尿被害対策
・ふん尿処理監視員を置く。
・ふんの後始末をしなかったら罰則
・猫用公衆トイレ設置
2
教育・啓発
・飼い主のマナー向上のため研修会を行う。
・幼いときから動物との共生について考えさせる教育を行う。
3
免許 or 講習
・ペット飼育の免許制度導入…講習を受講し試験に合格しないとペットを
飼育できない。
・ペット飼育のため講習を義務化
-3-
- 37 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
4
演習記録
禁止・制限
・ほえる犬の夜間、早朝の散歩禁止
・夜間の放し飼い禁止
・大型犬等、おさえきれない場合は散歩させない。飼わない。
・飼育頭数の制限
5
猫の受け入れ先整備
・地域猫ステーションを設置。猫好きな人はここの猫をお世話する。その
他の猫を屋外飼育してはいけない。
・ノラ猫は捕獲し、猫カフェに入れる。
・行政で猫カフェ経営
・増えすぎたりして被害を及ぼすおそれのある猫は捕獲し、即売会・交換
会にかける。
6
その他
・飼い猫に首輪など飼い主が分かるようなものを義務化
・去勢、不妊手術に対する助成を行う。(鳴かなくなる。数が増えない。)
・駆除、野良狩り
・ノラへのエサやり禁止 or 罰則
・猫の室外飼い禁止
・ペットを捨てた人は罰則を設ける。
◆次回までの宿題
・「被害防止」、「モラル・マナーの向上」への対策を考えてくる。
-4-
- 38 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
演習記録
4日目:平成 21 年9月 14 日(月)
グループ演習
◆『対策の実現性』について検討・・・実現可:○、実現困難:×
1
ふん尿被害対策
・ふん尿処理監視員を置く。→×
歩きタバコ禁止のようにエリア限定な
ら大丈夫だが、自治体全域を監視する
ことは困難
・ふんの後始末をしなかったら罰則→○
罰則を科すためには現行犯の必
要があると思われるが、そのため
の人員確保が困難である。また、
野良の場合は飼い主がいないので、
罰則を科すことができない。そも
そも、ふんの後始末をしないのは、
野良のほうが圧倒的に多いはず。
・猫用公衆トイレ設置→× 設置場所、設置数、管理方法等を考えると困難
⇒野良を減らすことが一番!
2
ただし、抑止力として条文には載せるか?
教育・啓発
・飼い主のマナー向上のため研修会を行う。→○
すぐできる(実効性に
疑問あるが・・・)
・幼いときから動物との共生について考えさせる教育を行う。→○
3
免許 or 講習
・ペット飼育の免許制度導入。講習を受講し試験に合格しないとペットを
飼育できない。→×
子どもはペット飼育できないの?
1自治体のみで効果ある?
・ペット飼育のため講習を義務化→×
ただし、罰則として講習を受講さ
せるのは良いかも。
4
禁止・制限
・ほえる犬の夜間、早朝の散歩禁止→×
-5-
- 39 -
「ほえる」の定義が困難
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
演習記録
・夜間の放し飼い禁止→×
そもそも夜間は外に出さないのでは?
・大型犬等、おさえきれない場合は散歩させない。飼わない。
→×「おさえきれない場合」の定義が困難
・飼育頭数の制限→×
頭数の基準を定めることが困難
⇒規制ではなく、誘導の方法が望ましい。
5
猫の受け入れ先整備
・地域猫ステーションを設置。猫好きな人はここの猫をお世話する。その
他の猫を屋外飼育してはいけない。→×
・ノラ猫は捕獲し、猫カフェに入れる。→○
・行政で猫カフェ経営
→○
・増えすぎたりして被害を及ぼすおそれのある猫は捕獲し、即売会・交換
会にかける。→○
民間活力をうまく活用できないか?
6
その他
・飼い猫に首輪など飼い主が分かるようなものを義務化→○
・去勢、不妊手術への助成を行う。(鳴かなくなる。数が増えない。)→○
・駆除、野良狩り→○
・ノラへのエサやり禁止 or 罰則→○
・猫の室外飼い禁止→×
外にいても飼い猫と分かれば良い。
・ペットを捨てた人は罰則を設ける。→○
・動物に関する紛争処理機関の設置→○
◆『何を条例に盛り込むか』
上述の『対策の実現性』についての検討を「別表1」にまとめ、検討した。
業者の「おいしいとこ取り」で後始末は行政という構図を何とかできないか?
-6-
- 40 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例 演習記録
別表1
実現の 実現
対象動物
可能性 方法
1 ふん尿被害対策 ふん尿処理監視員を置く。
2 教育・啓発
3 免許or講習
4 禁止・制限
猫
その他 条例化
責務
×
ふんの後始末をしなかったら罰則
○
猫用公衆トイレ設置
×
飼い主のマナー向上のため研修会を行う。
幼いときから動物との共生について考えさ
せる教育を行う。
ペット飼育の免許制度導入。講習を受講し
試験に合格しないとペットを飼育できない。
規制
ペット
○
○
○
○
市民
○
誘導
ペット
○
○
○
○
行政
(業者)
○
誘導
ペット
野良
○
○
○
○
行政
×
ペット飼育のため講習を義務化
×
ほえる犬の夜間、早朝の散歩禁止
×
夜間の放し飼い禁止
×
大型犬等、おさえきれない場合は散歩させ
ない。飼わない。
×
飼育頭数の制限
×
地域猫ステーションを設置。猫好きな人はこ
5 猫の受入先整備 この猫をお世話する。その他の猫を屋外飼
育してはいけない。
6 その他
犬
×
ノラ猫は捕獲し、猫カフェに入れる。
○
誘導
野良
×
○
×
×
行政で猫カフェ経営
○
誘導
野良
×
○
×
×
増えすぎたりして被害を及ぼすおそれのあ
る猫は捕獲し、即売会・交換会にかける。
○
誘導
野良
×
○
×
×
飼い猫(地域猫含む)に首輪など飼い主が
分かるようなものを義務化(罰則なし)
○
同意
ペット
○
○
△
○
行政
去勢、不妊手術に対する助成を行う。(鳴か
なくなる。数が増えない。)
○
誘導
ペット
野良
○
○
△
○
行政
(業者)
駆除、野良狩り
○
誘導
野良
○
○
△
○
行政
ノラ(地域猫除く)へのエサやり禁止or罰則
○
規制
野良
○
○
○
○
市民
室外飼い禁止
×
ペットを捨てた人は罰則を設ける。
○
規制
ペット
○
○
○
×
動物に関する紛争処理機関の設置
(業者との利害調整含む)
○
誘導
ペット
野良
○
○
○
○
- 41 -
行政
(業者)
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
演習記録
5日目:平成 21 年 10 月 14 日(水)
グループ演習(要綱の作成)
◆目的(案)
各人から案を出してもらう。
①この条例は、市及び市民等の責務を明らかにすることにより、犬、猫等の動
物によるトラブルを解決し、また市民の生命の尊さを学び、他者への思いや
りを育むような環境を整え、人・動物が共存し、住みやすい街づくりに寄与
することを目的とする。
②この条例は、動物による被害及び動物に関する紛争を防止するため、市民・
行政それぞれの責務を明らかにすることにより、生命の尊さを知り、他者を
思いやる心を育み、すべての市民が住みよいまちづくりを行うことを目的と
する。
③この条例は、動物愛護精神に基づき、動物の扱いに関する必要な事項を定め
ることにより、動物への思いやりと共感を育み、よりよい人間関係を構築し、
市民と動物が将来にわたって安全に安心して暮らせるまちづくりを目指すこ
とを目的とする。
④この条例は、自分とは異なる存在への理解と関心を高めて、動物とより充実
した関わり方を促進するために、市、事業者、市民等の責務を明らかにする
ことにより、地域の動物に関する諸問題を解決し、豊かな生活環境を保全す
ることを目的とする。
⑤この条例は、犬及び猫をめぐる隣人とのトラブル、被害を防止し、生命の尊
さを学び、他者及び動物への思いやりと共感を育み、また市民や行政等の責
務、役割を明らかにすることにより、地域の動物に関する諸問題を解決し、
すべての市民及び動物にとって豊かで住みやすい環境の確保を図ることを目
的とするものである。
◆検討の中で、立法趣旨としての「前文」を置こうということになった。
◆また、前回の一覧表をもとに、実現可能性があるもので、条例化できる事項
をならべた。
結果は、以下「条例要綱(10 月 14 日)」のとおり
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例要綱(10 月 14 日)
○○市は多摩の中心部にあり、比較的野生動物の少ない住宅地である。近年、住宅の密
集化により、地域の動物を巡ったトラブルが発生している。これらの諸問題を地域コミュ
ニティー上の課題として見つめ直し、市民の立場で解決を目指すことが求められている。
- 42 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
演習記録
自分とは異なる存在への理解と関心を高めて、動物とのより充実した関わり方を促進し、
すべての市民及び動物にとって豊かで住みやすい環境の確保を図るため、この条例を制定
する。
(目的)
第1条
この条例は、市、事業者、市民それぞれの責務を明らかにすることにより、近年
増加している犬、猫等の動物によるトラブルを防止し、解決することを目的とする。
(定義)
第2条
ノラ
事業者
犬
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
猫
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
動物
・・・・・・・・・・・・・・・・・
地域猫
・・・・・・・・・・・・・・・・
(市の責務)
第3条
市は、次世代を担う子どもたちに対し、動物との共生について考えさせる教育を
行う。
2
市は、市民に対し、より充実した動物との関わり方を促進するための研修会を行う。
第4条
市は、飼い猫(地域猫含む)に首輪など飼い主が分かるようなものを制度化する。
第5条
市(市長)は、ノラに関しては、捕獲及び駆除の対象とする。
第6条
市長は、去勢、不妊手術に対する助成を行う。
第7条
市長は、動物に関する紛争処理機関を設置する。
(事業者の責務)
第8条
動物販売業者は、動物の販売にあたり、飼い主のマナー向上のための研修会を行
わなければならない。
(飼い主の責務)
第9条
飼い主は、ふん等の後始末をしなければならない。
(市民の責務)
第 10 条
市民は、ノラ(地域猫除く)へのエサやりをしてはならない。
(罰則)
第 11 条
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(紛争処理機関の設置)
第 12 条
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 43 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
6日目:
演習記録
平成 21 年 10 月 21 日(水)(自主グループ演習)
グループ演習(条例案の作成)
◆条例タイトルの候補として、以下のものが挙がった。
・安全で快適な○○市の生活環境の整備に関する条例
・ワンニャントラブル防止条例
・犬、猫等の動物によるトラブル防止条例
・「ワンニャン達との」豊かな生活を守るための条例
・動物とのより充実した関わり方を促進する条例
・すべての市民及び動物にとって豊かで住みやすい環境を確保する条例
・人と動物との共生(共存?)に関する条例
・ワンニャン達と仲良く暮らすための条例
・動物との住みよい環境づくり条例
・動物と仲良く暮らすための条例
・人も動物も暮らしやすい環境づくり条例
・人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
◆前回作成の条例要綱をもとに条例案としての条文化をした。
結果は、以下「条例案(10 月 21 日)」のとおり
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例案(10 月 21 日)
○○市は多摩の中心部にあり、比較的野生動物の少ない住宅地である。近年、住宅の密
集化により、地域の動物を巡ったトラブルが発生している。このトラブルを地域コミュニ
ティー上の課題として見つめ直し、市民の立場で解決を目指すことが求められている。
自分とは異なる存在への理解と関心を高めて、動物とのより充実した関わり方を促進し、
すべての市民及び動物にとって豊かで住みやすい環境の確保を図るため、この条例を制定
する。
(目的)
第1条
この条例は、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)及び東京
都動物の愛護及び管理に関する条例(昭和54年条例第81号。以下「都条例」という。)の
目的を達成するとともに、近年増加している犬、猫等の動物によるトラブルを防止し、
もって動物と仲良く暮らすことのできる社会の実現を目指すことを目的とする。
- 44 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
演習記録
(定義)
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定める
ところによる。
(1)
飼い主
動物の所有者(当該所有者以外の者が飼養管理するときは、その者を含む。)
(2)
飼い猫
飼い主のいる猫
(3)
地域猫
特定の飼い主はいないが、地域住民によって共同で飼養されている猫
(4)
ノラ
(5)
動物販売業者
(6)
市民等
飼い猫でもなく地域猫でもない猫。いわゆるノラ猫
市内で動物を販売することを業としている者
市民及び市内に勤務若しくは在学又は滞在し、又は市内を通過する者
(市の責務)
第3条
市は、次世代を担う子どもたちに対し、動物との共生について考えさせる教育を
行う。
2
市は、市民に対し、より充実した動物との関わり方を促進するための研修会を行う。
第4条
市は、飼い猫及び地域猫の登録制度を設ける。
第5条
市長は、ノラに関しては、捕獲及び駆除の対象とすることができる。
第6条
市長は、都条例第5条第3項の規定により措置(去勢、不妊手術等)を講じた者
に対し、助成を行うものとする。
第7条
市長は、地域における犬、猫等の動物によるトラブルを解決するよう努めるもの
とする。
(動物販売業者の責務)
第8条
動物販売業者は、動物の販売にあたり、飼い主のマナー向上のための研修会を行
わなければならない。
(飼い主の責務)
第9条
飼い主は、ふん及び尿を適正に処理しなければならない。
(市民等の責務)
第10条
市民等は、ノラへの餌やりをしてはならない。
(飼い猫及び地域猫の登録等)
第11条
飼い猫の飼い主になった者は、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。
なお、地域猫については、共同で飼養している地域住民の代表者が届け出なければなら
ない。
2
市長は、前項の規定による届出があった場合は、猫鑑札を交付するものとする。
3
飼い主は、交付された猫鑑札を、常に確認できるよう飼い猫及び地域猫の首輪等に装
着しなければならない。
- 45 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
演習記録
(紛争処理機関)
第12条
市長は、第7条の地域における犬、猫等の動物によるトラブルを解決するため、
○○市ワンニャントラブル処理委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
2
委員会は、5人以内の委員で組織する。
3
委員会は、犬、猫等の動物によるトラブルの調停を行う。
4
その他、委員会の運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(委任)
第13条
この条例に規定するもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で
定める。
(罰則)
第14条
第9条の規定に違反して、ふん等の後始末をしなかった者は、2,000円の過料に科
する。
2
第10条の規定に違反して、ノラへの餌やりを行った者は、5,000円の過料に科する。
附
則
この条例は、平成22年4月1日から施行する。
7日目:平成 21 年 11 月 18 日(水)
午前中:法制執務面からの条例案チェックを受ける。
(講師:八王子市総務部法
制課長
小峰修司氏)
午後:グループ演習(条例案の修正)
午前中指摘を受けた点について、一つずつ確認をしながら修正をしていった。
結果は、以下「条例案(11 月 18 日)」のとおり
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例案(11 月 18 日)
○○市は多摩の中心部にあり、比較的野生動物の少ない地域である。近年、住宅の密集
化により、地域の動物を巡ったトラブルが発生している。このトラブルを地域コミュニ
ティ上の課題として見つめ直し、
解決を目指すことが求められている。
自分とは異なる存在への理解と関心を高めて、動物との適切なかかわり方を促進し、
すべての市民及び動物にとって豊かで住みやすい環境の確保を図るため、この条例を制定
する。
- 46 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
演習記録
(目的)
第1条
この条例は、
近年増加している犬、猫等の動物によるトラブルを防止し、
もって動物と仲良く暮らすことのできる社会を実現することを目的とする。
(定義)
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定める
ところによる。
(1)
飼い主
動物の所有者(当該所有者以外の者が飼養管理するときは、その者を含む。)
をいう。
(2)
飼い猫
飼い主のいる猫をいう。
(3)
地域猫
特定の飼い主はいないが、地域住民によって共同で飼養されている猫をい
う。
(4)
ノラ猫
飼い猫及び地域猫以外の猫をいう。
(5)
動物販売業者
(6)
市民等
市内で動物を販売することを業としている者をいう。
市内に居住し、若しくは滞在し、又は市内を通過する者をいう。
(市の責務)
第3条
市は、次世代を担う子どもたちに対し、動物との共生について考えさせる教育を
行うものとする。
2
市は、市民に対し、動物への敬意及び思いやりを持つこと並びに責任を持って接する
ことを促進するための研修会を行うものとする。
(登録制度)
第4条
市は、飼い猫及び地域猫の登録制度を設けるものとする。
(ノラ猫の捕獲及び駆除)
第5条
市長は、ノラ猫に関しては、捕獲
の対象とすることができる。ただし、
ノラ猫が人の生命、身体若しくは財産を侵害し、又は侵害するおそれのある場合で、通
常の方法によっては捕獲することが著しく困難であると認めるときは、これを駆除する
ことができる。
(去勢、不妊手術等への助成)
第6条
市長は、登録された飼い猫又は地域猫に、去勢又は不妊手術等を講じた飼い主に
対し、予算に定める範囲内で助成を行うものとする。
(トラブル解決)
第7条
市長は、地域における犬、猫等の動物によるトラブルを解決するよう努めるもの
とする。
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人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
演習記録
(動物販売業者の責務)
第8条
動物販売業者は、動物の販売に当たり、飼い主のマナー向上のための研修会を行
わなければならない。
(飼い主の責務)
第9条
飼い主は、ふん及び尿を適正に処理しなければならない。
(市民等の責務)
第10条
市民等は、ノラ猫への餌やりをしてはならない。
(飼い猫及び地域猫の登録等)
第11条
飼い猫の飼い主になった者は、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。
なお、地域猫については、共同で飼養している地域住民の代表者が届け出なければなら
ない。
2
市長は、前項の規定による届出があった場合は、猫鑑札を交付するものとする。
3
飼い主は、交付された猫鑑札を、常に確認できるよう飼い猫及び地域猫の首輪等に装
着しなければならない。
(紛争処理機関)
第12条
市長は、第7条の地域における犬、猫等の動物によるトラブルを解決するため、
○○市ワンニャントラブル処理委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
2
委員会は、5人以内の委員で組織する。
3
委員会は、犬、猫等の動物によるトラブルの調停を行う。
4
その他、委員会の運営に関し必要な事項は、規則で定める。
(委任)
第13条
この条例に規定するもののほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で
定める。
(罰則)
第14条
第9条の規定に違反して、ふん及び尿を適正に処理しなかった者は、2,000円の過
料に処する。
2
第10条の規定に違反して、ノラ猫への餌やりを行った者は、5,000円の過料に処する。
附
則
この条例は、平成 22 年4月1日から施行する。
- 48 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
演習記録
8日目:平成 21 年 12 月 17 日(木)
午前中:グループ演習(条例の完成)
午後: パワーポイント作成
次回までにパワーポイントを分担して作成する。
9日目:平成 22 年 1 月 14 日(木)(自主グループ演習)
午前中:パワーポイント作成
午後:逐条解説作成
発表の役割分担を決める。
次回までに発表の読み原稿を作成する。
10 日目:平成 22 年 1 月 22 日(金)
午前中:グループ発表リハーサルと最終確認
グループ発表及び質疑応答
午後:講師講評
質疑応答及び講評を踏まえ逐条解説完成
報告書作成
2月 15 日までに報告書の修正及び追加をする。2月 22 日までに報告
書を完成させ研修所に提出する。
- 49 -
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
研修を終えて
動物との共存グループ
研修を終えて・・・
自治法務課という部署に所属し日々例規と関わってはいますが、案から条例
を作り上げるという経験は初めてでした。迷うことも多かったし、苦労もあっ
たけれど、この研修を通じて多くのことを学べました。グループのメンバーそ
れぞれが自分の意見を出し、全員で悩み、どうすればよりよいものができるか
知恵を絞りました。そうしてついに条例が完成したときにはなんとも言えない
充実感と達成感を得ることができました。これも常に指導くださった先生方、
グループのメンバーの皆さまのおかげです。本当にありがとうございました。
武蔵野市
太田
敦子
私は、政策法務の知識や経験が乏しく、苦手意識があるまま参加をさせてい
ただきました。もちろん、条例を政策の段階から制定していくことは初めての
経験でした。ある課題について、どのような問題があり、解決をするためにい
かに条例を制定するかというプロセスは大変学ぶことが多くありました。
また、グループのメンバーが意見を出し合い、全員で議論し、悩み、野球で
いえば「全員野球」のごとく全員の知恵を集結した「条例」の完成は、なんと
もいえない達成感があり、グループのメンバーや講師をとおして学んだ多くの
ことも、今後の業務において貴重なものになると思います。
最後になりましたが、講師の方々、研修所のスタッフ、グループのメンバー
皆さまに感謝いたします。ありがとうございました。
調布市
-1-
- 50 -
久野
綾子
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
研修を終えて
職員の人数が少ないため1人で仕事をすることが多いので、今回の研修のよ
うに 1 つものを複数人で 1 からつくりあげるという作業は、大変でしかも時間
のかかるものでした。そんな中、グループのメンバーの協力、また講師の先生
方からのアドバイスを受けなんとか最終日を終えることができました。
半年間、ほんとうにありがとうございました。
東京都六市競艇事業組合
小倉
暢久
この研修は、問題がどこにあり、それを解決するためにはどんな方法が考え
られるか、といったことから始まり、条例作成まで一連の流れを学ぶことがで
き、とても勉強になりました。
今回、我々のグループは幸か不幸か少人数でしたので、全員が一致団結して
あたることができました。良いメンバーにめぐり合い、議論できたことは、と
ても貴重な経験となりました。皆さま、ありがとうございました。
議論を進めていく中で、ポイントとなるべき所で的確なアドバイスをしてく
ださった講師のおかげで良い結果を残すことができました。
また、研修所のスタッフの方々にもメールのやりとり等で大変お世話になり
ました。ありがとうございました。
最後になりましたが、この研修に参加するにあたり、職場の皆さまにご迷惑
をおかけしました。この場を借りまして、お礼申しあげます。
小平市
-2-
- 51 -
藤田
將史
人も動物も暮らしやすいまちづくり条例
研修を終えて
-3-
- 52 -
平成21年度
政策・法務研修「政策法務演習(立法法務)」
高齢者が安心して暮らせるまちづくり
に関する条例グループ研修報告書
高齢者が安心して暮らせる
まちづくりに関する条例
- 53 -
調
布
市
飯田
義幸
狛
江
市
加藤
謙司
東久留米市
後藤
博栄
武蔵村山市
外園
元紀
稲
城
市
小関
一宏
瑞
穂
町
佐藤
真治
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例の策定にあたり
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例の策定にあたり
現在、日本は超高齢化社会に突入しており、高齢社会白書の「高齢化の推移
と将来推計」によると、日本の総人口が減少していく中で着実に高齢者の占め
る割合は増加し、今から40年後の2050年には、高齢化率は32.3%にまで高まる
ことが示されている。
平成15年住宅・土地統計調査の「高齢者のいる世帯の推移」の現状からは、
平成10年から15年の5年間で一人暮らしの高齢者の数は、4割近く増加し、ま
た、厚生労働省の2007年国民生活基礎調査では、在宅介護の3分の1が老老介
護という報告もある。
今後もこの増加傾向は続くと見られる中、都市部などにおいて、地域から孤
立した状態で高齢者が死亡する「孤独死」や老老介護で疲れ果てた末の無理心
中など悲惨な現実も見られる。今年で阪神・淡路大震災から15年を迎えたが、
そこでも復興住宅での孤独死の問題がクローズアップされていた。
この様な事態を放置しておけば、高齢者、特に一人暮らしの高齢者が置かれ
る状況は、ますます深刻なものとなる。年をとるに従い、気力体力の衰えから
近所づきあいが減り、家に閉じこもりがちになり、家族もいないため体を動か
さず、張り合いもなくなるという「悪循環」に陥るという状況が加速される。
一方、国は高齢社会対策を総合的に推進し、経済社会の健全な発展と国民生
活の安定向上を図ることを目的として、平成7年に「高齢社会対策基本法」を
制定した。この法律を受け、地方公共団体も、国及び民間組織と連携しながら
高齢社会対策として就業及び所得、健康及び福祉、学習及び社会参加、生活環
境などの施策について取り組んでいるところである。
しかしながら、現実は個人レベルまできめ細かい対策が講じられていないの
が現状である。そこで我々は、
「高齢者をひとりにさせないためには」をキーワ
ードに、職場・家族・地域といった社会とのつながりが希薄になりがちな高齢
者を、私たち一人ひとりが、将来自らにも関わる問題として受け止め、高齢者
を一人にさせないという共通意識が重要であると考え、議論してきた。
-1-
- 55 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例の策定にあたり
ポイントとして、施設の整備など「ハード面」からでなく、「ソフト面」か
ら地域のコミュニティ意識を高めることを重視し、行政だけでなく市民及び地
域の団体が相互理解のもとに協力連携して具体的に事業を実施することにより、
高齢者が地域とのつながりを感じながら、いきいきと安心して暮らすことので
きるまちづくりを目指す条例を策定することとした。
-2-
- 56 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
目次
第1章
総則(第1条―第6条)
第2章
計画の策定及び推進(第7条―第9条)
第3章
高齢者をひとりにさせない施策(第10条―第15条)
第4章
雑則(第16条)
附則
第1章
総則
(目的)
第1条
この条例は、高齢者の孤独感を解消し、高齢者が安心して暮らせるま
ちづくりについて、基本理念を定め、市、市民及び地域活動団体の責務を明
らかにすると共に、必要な施策の基本的事項を定めることにより、高齢者が
安心して暮らせる社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定め
るところによる。
⑴
市民
市内に居住する者、市内で働く者及び市内で学ぶ者をいう。
⑵
高齢者
⑶
地域活動団体
65歳以上の市民をいう。
市内の自治会、町内会及び市内外のボランティア組織等
をいう。
(基本理念)
第3条
高齢者が安心して暮らせるまちづくりは、市、市民及び地域活動団体
がそれぞれの責務について、相互理解のもとに協力連携して、次に掲げる事
項を基本理念に据えて推進するものとする。
⑴
高齢者への敬意を忘れず、高齢者が地域との「つながり」を感じながら
いきいきと暮らせるまちを目指すこと。
⑵
「我が市から孤独死は出さない」という意識の高揚を図ること。
⑶
高齢者に対し積極的にかかわり合い、
「つながり」を大切にしてコミュニ
ティの形成を図ること。
⑷
2
高齢者が、自らの知識、経験及び技能を発揮できる場の提供を図ること。
高齢者が安心して暮らせるまちづくりの推進は、基本的人権その他の権利
を尊重して行わなければならない。
- 57 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。
)に基づき、高
齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する総合的な計画を策定し、これを
実施しなければならない。
2
市は、市民及び地域活動団体に対し、自発的な活動を促進するための適切
な情報の提供を行うものとする。
3
市は、市民及び地域活動団体が相互に有機的な連携を図ることができるよ
うにするために、必要な措置を講ずるものとする。
(市民の責務)
第5条
市民は、基本理念に基づき、地域社会の一員であることを自覚し、積
極的に地域活動に取り組み、互いに協力し合いながら、高齢者が安心して暮
らせるまちづくりを推進するよう努めなければならない。
2
市民は、市がこの条例に基づき実施する施策に協力するよう努めなければ
ならない。
(地域活動団体の責務)
第6条
地域活動団体は、地域において高齢者が安心して暮らせるまちづくり
の必要性、方策について理解を深め、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを
推進するために、地域の実情に応じた自主的な活動に取り組むよう努めなけれ
ばならない。
2
地域活動団体は、市がこの条例に基づき実施する施策に協力するよう努め
なければならない。
第2章
計画の策定及び推進
(実行計画)
第7条
市長は、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進するため、高齢
者が安心して暮らせるまちづくり実行計画(以下「実行計画」という。
)を策
定するものとする。
2
実行計画は、市地域福祉計画、老人福祉計画及び介護保険事業計画との整
合性を図るものとする。
(実態調査)
第8条
高齢者の生活実態を把握するため、市長が任命した職員(以下「調査
員」という。)が実態調査を行うものとする。
2
市長は、前項の実態調査に基づき、ひとり暮らしの高齢者及び高齢者のみ
- 58 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
の世帯の台帳(以下「台帳」という。)を作成するものとする。
3
台帳は個人情報保護条例に基づき取り扱うものとする。
4
調査員は、調査活動に従事するときは、身分証を携帯し、自分の身分を明
らかにしなければならない。
(推進会議)
第9条
市長は、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進するため、市長
の附属機関として、高齢者が安心して暮らせるまちづくり推進会議(以下「推
進会議」という。)を置く。
2
推進会議は、市長の諮問に応じて、実行計画の推進に関する事項について
審議し、答申する。
3
推進会議は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する委員10人以内をもっ
て組織する。
⑴
公募による市民
⑵
学識経験者
⑶
地域活動団体の代表者
⑷
関係行政機関の職員
4
推進会議の委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠け
た場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5
推進会議の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を
退いた後も同様とする。
第3章
高齢者をひとりにさせない施策
(事業)
第10条
市長は、基本理念に基づき、ひとり暮らしの高齢者又は高齢者のみの
世帯に対し、次の事業を行うものとする。
ふれあい訪問事業
⑵
健康体操事業
⑶
緊急通報システム事業
⑷
高齢者能力活用事業
⑸
その他実行計画に基づく事業
2
⑴
前項に定める事業は、高齢者に対して地域活動団体が行う独自の福祉支援
活動を妨げるものではない。
(ふれあい訪問事業)
第11条
高齢者の孤独感を解消するため、身上等に関する相談、声かけ及び広
- 59 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
報等の情報提供等の訪問活動を実施するものとする。
2
前項の訪問活動に従事する者は、市長が任命した職員(以下「訪問員」と
いう。)とする。
3
訪問員は、訪問活動に従事するときは、身分証を携帯し、自分の身分を明
らかにしなければならない。
(健康体操事業)
第12条
高齢者の健康の保持増進及び高齢者同士の交流を促進するため、健康
体操事業を実施するものとする。
(緊急通報システム事業)
第13条
高齢者の安全の確保と精神的な不安を解消するため、緊急通報システ
ム事業を実施するものとする。
(高齢者能力活用事業)
第14条
高齢者の豊かな経験や能力を活用するため、高齢者能力活用事業を実
施するものとする。
(連絡会)
第15条
市長は、福祉支援活動を実施している地域活動団体とのネットワーク
づくりのため、情報交換連絡会(以下「連絡会」という。)を組織し、相互の
連携に努めるものとする。
2
連絡会の庶務は、福祉部○○課において処理する。
第4章
雑則
(委任)
第16条
この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、
規則で定める。
附則
この条例は、平成22年4月1日から施行する。
- 60 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
第1章
逐条解説
逐条解説
総則
(目的)
第1条
この条例は、高齢者の孤独感を解消し、高齢者が安心して暮らせるま
ちづくりについて、基本理念を定め、市、市民及び地域活動団体の責務を明
らかにすると共に、必要な施策の基本的事項を定めることにより、高齢者が
安心して暮らせる社会の実現に寄与することを目的とする。
【解説】
本条は条例制定の目的を定めるものである。
この条例においては、高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する基本理
念を定めている。一人暮らしの高齢者、働く機会のない高齢者、地域との交流
がない高齢者等の孤独感を解消するために、市、市民及び地域活動団体の責務
を明らかにし、必要な施策の基本的事項を定めることにより、高齢者が安心し
て暮らせる社会の実現に寄与することを目的としている。
(定義)
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定め
るところによる。
⑴
市民
市内に居住する者、市内で働く者及び市内で学ぶ者をいう。
⑵
高齢者
⑶
地域活動団体
65歳以上の市民をいう。
市内の自治会、町内会及び市内外のボランティア組織等
をいう。
【解説】
本条はこの条例で使用されている用語を定義している。
第1号では市内に住所を有する者に限らず、市内に在勤、在学の者も含め、
広く地域社会の一員である者を対象とした。
第2号では国連の世界保健機関(WHO)の定義による。
第3号では市内外の団体に関わらず、地域活動に取組む団体を対象とした。
- 61 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
逐条解説
(基本理念)
第3条
高齢者が安心して暮らせるまちづくりは、市、市民及び地域活動団体
がそれぞれの責務について、相互理解のもとに協力連携して、次に掲げる事
項を基本理念に据えて推進するものとする。
⑴
高齢者への敬意を忘れず、高齢者が地域との「つながり」を感じながら
いきいきと暮らせるまちを目指すこと。
⑵
「我が市から孤独死は出さない」という意識の高揚を図ること。
⑶
高齢者に対し積極的にかかわり合い、「つながり」を大切にしてコミュ
ニティの形成を図ること。
⑷
2
高齢者が、自らの知識、経験及び技能を発揮できる場の提供を図ること。
高齢者が安心して暮らせるまちづくりの推進は、基本的人権その他の権利
を尊重して行わなければならない。
【解説】
本条は、高齢者が安心して暮らせるために、市、市民及び地域活動団体がそ
れぞれの責務を実施するにあたり、高齢者に対する基本理念に据えて推進する
よう、定めたものである。
(市の責務)
第4条
市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する総合的な計画を策定し、これ
を実施しなければならない。
2
市は、市民及び地域活動団体に対し、自発的な活動を促進するための適切
な情報の提供を行うものとする。
3
市は、市民及び地域活動団体が相互に有機的な連携を図ることができるよ
うにするために、必要な措置を講ずるものとする。
【解説】
本条は基本理念に基づき、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進する
ための市の責務を定めるものである。
市は、総合的な計画を策定し、実施するだけでなく、市民及び地域活動団体
に対し、活動を促進し、有機的な連携を図るための必要な措置を率先して行う
ことを定めている。
- 62 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
逐条解説
(市民の責務)
第5条
市民は、基本理念に基づき、地域社会の一員であることを自覚し、積
極的に地域活動に取り組み、互いに協力し合いながら、高齢者が安心して暮
らせるまちづくりを推進するよう努めなければならない。
2
市民は、市がこの条例に基づき実施する施策に協力するよう努めなければ
ならない。
【解説】
本条は基本理念に基づき、市民が地域社会の一員であることを自覚し、高齢
者が安心して暮らせるまちづくりを推進するために、積極的に地域活動に取り
組むよう、責務を定めている。
(地域活動団体の責務)
第6条
地域活動団体は、地域において高齢者が安心して暮らせるまちづくり
の必要性、方策について理解を深め、高齢者が安心して暮らせるまちづくり
を推進するために、地域の実情に応じた自主的な活動に取り組むよう努めな
ければならない。
2
地域活動団体は、市がこの条例に基づき実施する施策に協力するよう努め
なければならない。
【解説】
本条は基本理念に基づき、地域活動団体が高齢者が安心して暮らせるまちづ
くりの必要性、方策についての理解を深め、推進するために、地域の実情に応
じた自主的な活動に取り組むよう、責務を定めている。
- 63 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
第2章
逐条解説
計画の策定及び推進
(実行計画)
第7条
市長は、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進するため、高齢
者が安心して暮らせるまちづくり実行計画(以下「実行計画」という。
)を策
定するものとする。
2
実行計画は、市地域福祉計画、老人福祉計画及び介護保険事業計画との整
合性を図るものとする。
【解説】
本条は、第4条第1項に規定する実行計画の策定について定めたものである。
第2項は、実行計画の策定にあたっては、高齢者福祉に関する各計画と矛盾
及び抵触することのないように、整合性を図ることを定めたものである。
(実態調査)
第8条
高齢者の生活実態を把握するため、市長が任命した職員(以下「調査
員」という。)が実態調査を行うものとする。
2
市長は、前項の実態調査に基づき、ひとり暮らしの高齢者及び高齢者のみ
の世帯の台帳(以下「台帳」という。)を作成するものとする。
3
台帳は個人情報保護条例に基づき取り扱うものとする。
4
調査員は、調査活動に従事するときは、身分証を携帯し、自分の身分を明
らかにしなければならない。
【解説】
本条は、前条に定める実行計画を策定するための基礎資料として、ひとり暮
らしの高齢者及び高齢者のみの世帯の実態を把握するため、実態調査を行うも
のである。
第2項は、前項で行った調査結果を取りまとめ、台帳を作成することを定め
る。台帳としてまとめることにより、第3章に定める各事業及び実施計画に定
めるその他の事業の実施及び推進に活用する。
第3項は、市長が個人情報保護条例に基づき、台帳を適正に管理することを
定めたものである。
第4項は、調査客体が安心して調査に協力していただけるよう、調査員が調
査活動に従事するときは常に身分証を携帯することを定める。調査員は、調査
客体から身分証の提示を求められたときは、速やかにこれを提示しなければな
- 64 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
逐条解説
らない。
(推進会議)
第9条
市長は、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進するため、市長
の附属機関として、高齢者が安心して暮らせるまちづくり推進会議(以下「推
進会議」という。)を置く。
2
推進会議は、市長の諮問に応じて、実行計画の推進に関する事項について
審議し、答申する。
3
推進会議は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する委員10人以内をもっ
て組織する。
公募による市民
⑵
学識経験者
⑶
地域活動団体の代表者
⑷
関係行政機関の職員
4
⑴
推進会議の委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠け
た場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5
推進会議の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を
退いた後も同様とする。
【解説】
本条は、第7条に定める実行計画を効果的に実施及び推進するため、市長の
附属機関として推進会議を設置するものである。
第2項は、推進会議が審議する内容について定める。
第3項は、推進会議の構成員を定める。委員の構成は、活発な議論を期待し、
公募による市民及び高齢者福祉に関わる各分野の者とした。委員の数を10名以
内としたのは、活発な議論及び円滑な会議運営に最も適した人数であると想定
したためである。
第4項は、委員の任期を定めたものである。
第5項は、委員の職務上知り得た秘密の漏えい禁止を定めたものである。委
員が職を退いたあとも同様である。
- 65 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
第3章
逐条解説
高齢者をひとりにさせない施策
(事業)
第10条
市長は、基本理念に基づき、ひとり暮らしの高齢者又は高齢者のみの
世帯に対し、次の事業を行うものとする。
ふれあい訪問事業
⑵
健康体操事業
⑶
緊急通報システム事業
⑷
高齢者能力活用事業
⑸
その他実行計画に基づく事業
2
⑴
前項に定める事業は、高齢者に対して地域活動団体が行う独自の福祉支援
活動を妨げるものではない。
【解説】
本条は、第3条の基本理念を具体化した実施事業について定めるものである。
ひとり暮らしの高齢者又は高齢者のみの世帯に対して行う、4つの具体的な事
業と、第7条の実行計画で定められる事業について、実施することとする。
本条の実施事業については、すでに同様な事業を実施している地域活動団体
の活動を妨げるものではないが、事業が重なる場合が考えられるため、第15
条に定めている連絡会にて、相互の調整を図っていくものとする。
(ふれあい訪問事業)
第11条
高齢者の孤独感を解消するため、身上等に関する相談、声かけ及び広
報等の情報提供等の訪問活動を実施するものとする。
2
前項の訪問活動に従事する者は、市長が任命した職員(以下「訪問員」と
いう。)とする。
3
訪問員は、訪問活動に従事するときは、身分証を携帯し、自分の身分を明
らかにしなければならない。
【解説】
本条第1項は、第3条の基本理念『高齢者への敬意を忘れず、高齢者が地域
との「つながり」を感じながらいきいきと暮らせるまちを目指すこと。』を具体
化した事業を規定したものである。
第2項は、本事業に従事するものの任命について規定したものである。
第3項は、任命した職員の責務について規定したものである。
- 66 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
逐条解説
(健康体操事業)
第12条
高齢者の健康の保持増進及び高齢者同士の交流を促進するため、健康
体操事業を実施するものとする。
【解説】
本条は、第3条の基本理念『高齢者に対し積極的にかかわり合い、
「つながり」
を大切にしてコミュニティの形成を図ること。』を具体化した事業を規定したも
のである。
(緊急通報システム事業)
第13条
高齢者の安全の確保と精神的な不安を解消するため、緊急通報システ
ム事業を実施するものとする。
【解説】
本条は、第3条の基本理念『「我が市から孤独死は出さない」という意識の高
揚を図ること。』を具体化した事業を規定したものである。
(高齢者能力活用事業)
第14条
高齢者の豊かな経験や能力を活用するため、高齢者能力活用事業を実
施するものとする。
【解説】
本条は、第3条の基本理念『高齢者が、自らの知識、経験及び技能を発揮で
きる場の提供を図ること。』を具体化した事業を規定したものである。
(連絡会)
第15条
市長は、福祉支援活動を実施している地域活動団体とのネットワーク
づくりのため、情報交換連絡会(以下「連絡会」という。)を組織し、相互の
連携に努めるものとする。
2
連絡会の庶務は、福祉部○○課において処理する。
【解説】
本条は、地域活動団体とのネットワークづくりのため、情報交換連絡会の設
置について規定したものである。
福祉支援活動を実施している地域活動団体と連携を図ることによって、同様
- 67 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
逐条解説
な事業の重複を防ぎ、事業の充実が図れ、利用者にとってより良い事業の実施
を目指すものである。
第4章
雑則
(委任)
第16条
この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、
規則で定める。
【解説】
本条は、この条例の施行について必要な事項を、施行規則に委任する規定であ
り、主なものとして次の事項を想定している。
実態調査に関する必要な事項
推進会議の組織及び運営に関する必要な事項
実施事業の運営に関する必要な事項及び利用するにあたっての手続
附則
この条例は、平成22年4月1日から施行する。
- 68 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
高齢者が安心して暮らせるまちづくり
平成21年度
政策法務演習(立法法務)
2グループ
グループメンバー

調 布 市 飯田 義幸

狛 江 市 加藤 謙司

東久留米市 後藤 博栄

武蔵村山市 外園 元紀

稲 城 市 小関 一弘

瑞 穂 町 佐藤 真治
- 69 -
発表用スライド資料
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- 70 -
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- 71 -
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高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
発表用スライド資料
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
齢社会対策基本法 高齢社会対策基本法
制定
 平成7年制定
たって社会的活動に参加する機
生涯にわたって社会的活動に参加する機
される公正で活力ある社会
会が確保される公正で活力ある社会
充実した生活を営むことができ
健やかで充実した生活を営むことができ
社会
る豊かな社会
得・健康・福祉・学習・
 就業・所得・健康・福祉・学習・
・生活環境
社会参加・生活環境
キーワード
キーワード
者をひとりに
高齢者をひとりに
せないためには
させないためには
- 72 -
発表用スライド資料
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
ポイント
ハードに頼らない
ソフト面での対策
条例の構成

第1章 総則

第2章 計画の策定及び推進

第3章 高齢者をひとりにさせない施策

第4章 雑則
- 73 -
発表用スライド資料
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
目的(第1条)
発表用スライド資料
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
目的(第1条)
基本理念
孤独感の解消
・高齢者の孤独感の解消
安心して暮らせるまちづくり
・高齢者が安心して暮らせるまちづくり
安心して暮らせる社会の実現
高齢者が安心して暮らせる社会の実現
本理念(第3条) 基本理念(第3条)
の敬意を忘れず、高齢者が地域
 高齢者への敬意を忘れず、高齢者が地域
ながり」を感じながらいきいき
との「つながり」を感じながらいきいき
るまちを目指す
と暮らせるまちを目指す
から孤独死は出さない」という
 「我が市から孤独死は出さない」という
揚を図る
意識の高揚を図る
- 74 -
発表用スライド資料
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
基本理念(第3条)


高齢者に対し積極的にかかわり合い、
「つながり」を大切にしてコミュニティ
の形成を図る
高齢者が、自らの知識、経験及び技能を
発揮できる場の提供を図る
市の責務(第4条)

総合的な計画の策定

市民・地域活動団体に対し、情報提供

有機的な連携のための措置
- 75 -
発表用スライド資料
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
発表用スライド資料
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
民の責務(第5条)市民の責務(第5条)
地域活動に取り組む 積極的に地域活動に取り組む
する施策への協力

市の実施する施策への協力
動団体の責務(第6条)
地域活動団体の責務(第6条)
情に応じた自主的な活動
 地域の実情に応じた自主的な活動
する施策への協力

市の実施する施策への協力
- 76 -
発表用スライド資料
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
責務(第4条~第6条)
力
報
市
供
高齢者
協
力
力
情
提
協
協
市民
地域活動団体
情 報 提 供
実行計画(第7条)
地域福祉計画
実行計画
老人福祉計画
介護保険事業計画
- 77 -
発表用スライド資料
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
発表用スライド資料
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
態調査(第8条) 実態調査(第8条)
生活実態を把握

高齢者の生活実態を把握
を基に台帳作成

調査結果を基に台帳作成
施・推進に活用
事業の実施・推進に活用
進会議(第9条) 推進会議(第9条)
の推進に関する事項の審議
 実行計画の推進に関する事項の審議
(10人以内)
よる市民
験者
動団体の代表
政機関の職員

構成委員(10人以内)
・公募による市民
・学識経験者
・地域活動団体の代表
・関係行政機関の職員
- 78 -
発表用スライド資料
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
事業(第10条)

ふれあい訪問事業

健康体操事業

緊急通報システム事業

高齢者能力活用事業

その他実行計画に基づく事業
ふれあい訪問事業(第11条)
訪問活動を実施
 身上等に関する相談
 声かけ
 広報等の情報提供
高齢者の孤独感の解消
「つながり」を大切にする取り組み
- 79 -
発表用スライド資料
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
発表用スライド資料
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
体操事業(第12条)
健康体操事業(第12条)
会を増やす
って足腰を鍛える
外出の機会を増やす
 体操によって足腰を鍛える

りがちな高齢者を外出させる
閉じこもりがちな高齢者を外出させる
づくり
きっかけづくり
システム事業(第13条)
緊急通報システム事業(第13条)
に設置

台帳を基に設置
例・・・
応電話
 24時間対応電話
の利用状況監視システム
 生活家電の利用状況監視システム
出さない」ための取り組み
「孤独死は出さない」ための取り組み
- 80 -
発表用スライド資料
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
高齢者能力活用事業(第14条)
高齢者の豊かな経験・能力の活用
 趣味・特技を活かせる場

生きがいの創出
「知識・経験・技能を活かす」取り組み

連絡会(第15条)

情報交換連絡会
地域活動団体とのネットーワークづくり
相互連携の強化
- 81 -
発表用スライド資料
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- 82 -
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高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
演習記録
■演習記録■
1日目
平成 21 年7月1日(水)
【午前】○オリエンテーション
○講義「自治立法概論」
講師:東京都市町村職員研修所特別講師
宮住哲也氏
○講義「政策形成過程と条例」
講師:東京都市町村職員研修所特別講師
赤羽紘氏
【午後】○基調講義(公開講義)
テーマ:「高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例」
講師:立教大学大学院 21 世紀社会デザイン研究科教授
2日目
高橋紘士氏
平成 21 年7月2日(木)
【午前】○基調講義
テーマ:「動物との共存に関する条例」
講師:社団法人日本愛玩動物協会常任理事
山崎いく子氏
【午後】○グループ演習
◆
自己紹介
◆
担当決め
小関
書記
加藤(今回担当)
◆
司会
「高齢者が安心して暮らせるまちづくり」の現状について話し合い
各自が現状と考える項目をすべて出し、KJ法によりまとめた。
・詐欺にあわない社会
⇒△啓発(本質的には警察の仕事)
・バリアフリーの社会
⇒○
・一人暮らしのサポート必要
⇒○見回り、声のかけ合い、(介護保険など制度あり)
・総論
⇒○
・自立支援
⇒○ソフト面
・高齢化社会になってよいこととは?!
・高齢者中心の社会
・ソフト面での対策
- 83 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例 演習記録
・老老介護
⇒×
・コミュニティの活性化
⇒○ソフト面
・認知症(詐欺・コミュニティへリンク)
⇒×
・公共交通の整備
⇒○
・生活関連サービスの提供(民間に任せる)
・夫婦の問題
・個人問題
・自分勝手・元気(エネルギーのはけ口・死ぬまで働く・「年寄り扱いするな」
コミュニティへリンク)
・学校教育・道徳
◆
立法目的の確定―なぜ条例を作るのか
・条例化の目的(立法目的)
・地域社会の自治力の向上
3日目
◆
平成 21 年8月7日(金)
前回のおさらい【現状のまとめ】
・高齢者の一人暮らしが多い。
一人暮らしの高齢者の増加、家族と一緒に暮らせない高齢者など
・高齢者だけの世帯が増えている。
高齢者だけの世帯の増加、老老介護など
・高齢化率が上がってきている。
団地等の総高齢化、20XX 年には2人に1人で高齢者を支える。
・自立できない高齢者が増えている。
1人で○○できない。
・高齢者が暮らしにくいまちが多い。
バリアフリーに対応していない。駅にエレベーターがない。家の近くにバス
停がない。歩道がなく歩きづらい。
・近所づきあいがない。
- 84 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
演習記録
家から出ない人が多い。話し相手がいない。近隣住民との挨拶がなく知ら
ない。子どもが近くにいない。
・活動の場がない。
老人クラブの減少、健康増進の政策がない。高齢者の集まる場がない。
・元気で楽しんでいる。
意外と元気な高齢者が多い。退職後農業を楽しんでいる。昔より元気な高
齢者が多い。
・将来の不安
年金の不安、退職金は夫婦で半々、趣味や生きがいがなく退職によって、
老いまっしぐら
・詐欺が多い
振込み詐欺の多発、オレオレ詐欺
・認知症の増加
・宅配サービスの不足
◆
現状を放置した場合、問題となるかどうか!?
→
課題
→
「問題」=「目標」と「現状」とのギャップ
「目標」:高齢者が安心して暮らせるまちづくり
◆
どのように解決すべきかについて項目分けを行う。
(ア:個人・家族
イ:私的契約・市場サービス
ウ:社会的な支援を必要と
し公共的に解決すべき)
・認知症の増加
→
詐欺が多くなる。交通ルールを守れない。(ウ)
・詐欺が多い
→
経済的に困難になる。(ウ)
・将来の不安
→
日々の生活に絶望して自殺者が増える。(ウ)
・宅配サービスの不足
→
買い物に行けず身の周り品の不便が生じ健康状態の悪化するおそれ(イ)
・高齢者だけの世帯が増えている。
→
老老介護が増える。(ウ)
- 85 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例 演習記録
・高齢者の一人暮らしが多い。
→
安否確認が出来なくて孤独死が増える。
・高齢化率が上がってきている。
→
医療費・年金受給者・社会保障費の増、現役世代の負担増、
高齢者の負担も増(ウ)
・近所づきあいがない。
→
安否確認が出来なくて孤独死が増える。(ウ)
・日常生活に支障がある。
→
自立できない高齢者が増える。(ウ)
・高齢者が異動しにくいまちが多い。
→
怪我をするおそれ・外に出るのが億劫になり引き困る。(ウ)
・活動の場がない。
→
外に出る楽しみが減り、引きこもる人が増える。(ウ)
・交通ルールを守れない。
→
交通事故に遭うことが増える。(ウ)
・生活必需品の揃う店が近所にない。
→
買い物に行けず身の周り品の不便が生じ健康状態の悪化するおそれ(ウ)
・年配者を敬う教育が不足している。
→
高齢者を粗末に扱う人が増える。(ウ)
・元気で楽しんでいる。
→
◆
問題なし。・ギャップなし。
自治体が自ら取り組むべき問題(課題)を選択する。
・犯罪被害から経済的に困難にならないためには
→
警察
・高齢者を粗末に扱う人を増やさないためには
→
国
・自殺者を増やさないためには
→
自治体
・老老介護が増えないためには
→
自治体
・現役世代・高齢者の負担を増やさないためには
→
国
・孤独死を増やさないためには
→
自治体
・自立できない高齢者を増やさないためには
→
自治体
・引きこもる人を増やさないためには
→
自治体
・交通事故に遭うことを増やさないためには
→
警察
- 86 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
◆
演習記録
選択した課題について政策立案の方向性を決定し、グループの課題(テー
マ)をまとめる。
・自殺者を増やさないためには
・老老介護が増えないためには
【グループの課題】
・孤独死を増やさないためには
・自立できない高齢者を増やさないためには
・引きこもる人を増やさないためには
◆
高齢者をひとりに
させないためには
原因に対して、【打つ手】を考え、【行政が手の打てるものか】を検討し、
手の打てるものはその問題点を抽出する。
原因:子どもが独立したために 1 人になってしまった。
→【打つ手】:独立させない。
→
×(手が打てない。)
→
×(手が打てない。)
原因:夫、妻、友人との死別
→【打つ手】:死なせない。
原因:病気がちのため外に出られない。
→【打つ手】:出る気にさせる。
→
×(手が打てない。)
原因:体力の衰え、体が不自由なため、病気がちのため外に出られない。
→【打つ手】:外に出す。
→
○(手が打てる。)
【問題点】
・体力の衰え・体が不自由
・病気がちのため外に出られない。
原因:地域交流がない。
→【打つ手】:交流させる。
→
○(手が打てる。)
【問題点】地域交流がない。
原因:悩みを相談する相手がいなくて塞ぎ込む。
→【打つ手】:相手を作る。
→
○(手が打てる。)
【問題点】悩みを相談する相手がいない。
原因:協調性がなく周囲にとけこめない。
→【打つ手】:周囲にとけこませる。→
×(手が打てない。)
原因:働く機会がないから
→【打つ手】:機会をつくる。
→
○
【問題点】働く機会がない。
- 87 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例 演習記録
原因:孤独が好きだから
→【打つ手】:孤独を嫌いにさせる。→
×(手が打てない。)
原因:介護施設が充実しているから(個室が多い。)
→【打つ手】:大部屋にする。
◆
→
×(手が打てない。)
問題点に対する『対策』(根本的な対策)
【問題点】
【対策】
・体力の衰え・体が不自由
・病気がちのため外に出られない。→
出る気にさせる。
⇒
・地域交流がない。
→
交流させる。
⇒
・悩みを相談する相手がいない。
→
→
◆
訪問事業を充実させる
機会を作る。
⇒
4日目
町内会・自治会の活動を支援する。
相手を作る。
⇒
・働く機会がない。
訪問事業を充実させる。
雇用を促進する。
平成 21 年9月 14 日(月)
前回のおさらい
現状の把握
→放置した場合の問題
→自治体が自ら取り組むべき問題(課題)の選択
→政策立案の方向性の決定
→グループの課題の設定
→原因に対する打つ手の検討
→行政が手の打てるものかの検討と問題点の抽出
→問題点に対する対策の検討
◆
前回検討した「対策」について、具体的にどのようなことができるか自由
討論を行った。
→
「訪問事業を充実させる」ことを大きな目的とし、仮要綱を作成する
こととした。
※
次回までに、各自の考えで仮要綱を作成してくることとなった。
- 88 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
5日目
演習記録
平成 21 年 10 月 14 日(水)
◆
各自作成した仮要綱を発表した。
◆
方向性について、理念条例とするか、個別具体的(訪問事業の充実)な施
策の条例とするか。
◆
⇒
理念条例
たたき台として、以下のとおり条例要綱をまとめた。
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例要綱(たたき台)
条例化の理由(立法事実)
ひとり暮らしの高齢者が増加し、安否確認が取れず孤独死するといったケー
スが増えている。これを未然に防止するため、訪問による安否確認等といった
訪問事業の充実を図り、高齢者が安心して暮らせるまちづくりの実現を目指す。
(目的)【案1】
第1条
この要綱は、高齢者の精神的孤独感を解消するため、高齢者に対する
訪問事業の充実を図ることにより、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを
実現することを目的とする。
(目的)【案2】
第1条
この条例は、高齢者の精神的孤独感を解消するため、高齢者をひとり
にさせない施策を展開し、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを実現する
ことを目的とする。
(定義)【案1】
第2条
この要綱において高齢者とは、ひとり暮らし高齢者又は高齢者のみの
世帯をいう。
(定義)【案2】
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定め
るところによる。
⑴
市民
市内に住居する者、市内で働く者又は学ぶもの。
⑵
高齢者
ひとり暮らしの高齢者又は高齢者のみの世帯
⑶
事業者
市内で事業活動を営む者をいう
(市の責務)
第3条
市は、次の各号に掲げる責務を果たさなければならない。
⑴
訪問事業の拡充に関する総合的な施策の策定及び実施
⑵
市民及び事業者に対し、自発的な活動を促進するため、適切な情報の提
- 89 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例 演習記録
供を行う。
⑶
市民及び事業者が相互に有機的な連携を図ることができるようにするた
めに必要な措置を講じる。
(市民の責務)
第4条
市民は、次の各号に掲げる責務を果たさなければならない。
⑴
市が実施する訪問事業の充実に関する施策に協力する。
⑵
近隣の高齢者に注視し、声かけ等を行うよう努める。
(事業者の責務)
第5条
事業者は、次の各号に掲げる責務を果たさなければならない。
⑴
市が実施する訪問事業の充実に関する施策に協力する。
⑵
自ら進んで訪問事業の充実に取り組む。
(実行計画)
第6条
市長は、訪問事業の充実を図るため、高齢者が安心して暮らせるまち
づくり実行計画(以下「実行計画」という。)を策定する。
2
実行計画は、市地域福祉計画、老人福祉計画及び介護保険事業計画との整
合性を図らなければならない。
(推進会議)
第7条
市長は、この条例による訪問事業の充実を推進するため、高齢者が安
心して暮らせるまちづくり推進会議(以下「推進会議」という。)を置く。
2
推進会議は、実行計画の推進を図るものとする。
3
推進会議は、実行計画に関し、市長に意見を述べることができる。
4
推進会議は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する委員 10 人以内を持っ
て組織する。
市民
⑵
事業者
⑶
識見を有する者
⑷
関係団体の代表者
⑸
行政機関の代表者
5
⑴
前各号に定めるもののほか、推進会議に関し必要な事項は、市長が別に定
める。
(財政上の措置)
第8条
市は、訪問事業の充実を図るため、必要な財政上の措置を講ずるよう
努めるものとする。
- 90 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
演習記録
(委任)
第9条
この要綱に定めるもののほか、この条例の施行に関する必要な事項は、
市長が別に定める。
◆
たたき台をもとに、詳細をさらに検討した。
(目的)
・
訪問事業の充実という言葉を、目的の中からは、外した方が良いのでは?
⇒
濁すような形で載せてもよいのでは?表現の違いで、特に入れたとしても
問題はないのではないか?
・
「高齢者に対する訪問事業の充実を図ることにより」を「高齢者をひとり
にさせない施策を展開し」に変更した。
(目的)
この条例は、高齢者の精神的孤独感を解消するため、高齢者をひとりにさせ
ない施策を展開し、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを実現することを目
的とする。
(定義)
・
介護保険制度については、特に問題なければ外す。
⇒
「・・・高齢者のみの世帯」まで。
・
高齢者とは?年齢を入れるのか?
⇒
規則の中に入れるので、ここで年齢区分を決める必要はない。条例の中で
は、別途規則に定めると載せておく。
・
「市民」「事業者」について定義しておく。
⇒
「市民」:市内に住居する者、市内で働く者又は学ぶもの。「事業者」:市
内で事業活動を営む者をいう。
・
地域活動団体:市内の自治会、町内会及びボランティア組織等をいう。
(定義)
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるとこ
ろによる。
⑴
市民
市内に住居する者、市内で働く者又は学ぶもの
⑵
高齢者
ひとり暮らしの高齢者又は高齢者のみの世帯
⑶
事業者
市内で事業活動を営む者をいう
⑷
地域活動団体
市内の自治会、町内会及びボランティア組織等をいう
- 91 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例 演習記録
(市の責務)
・⑴訪問事業
⇒あえて言わない。
総合的な施策は、
⇒高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する総合的な施策の策定及び実施
・⑵⇒
OK
・⑶⇒
OK
・⑷財政上の措置
(市の責務)
第3条
⑴
市は、次の各号に掲げる責務を果たさなければならない。
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する総合的な施策の策定及び
実施
⑵
市民及び事業者に対し、自発的な活動を促進するため、適切な情報の提
供を行う。
⑶
市民及び事業者が相互に有機的な連携を図ることができるようにするた
めに必要な措置を講じる。
⑷
第1号の施策を実施するにあたり、必要に応じて財政上の措置その他の
措置を講ずるものとする。
(市民の責務)
・訪問事業の充実を読み替える
⇒高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する総合的な施策に協力する。
・⑴市民は、地域社会の一員であることを自覚し、積極的に地域活動に取り組
み、互いに協力しあいながら、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを
推進するよう努めなければならない。
・⑵市がこの条例に基づき実施する施策に協力するよう努めなければならない。
(市民の責務)
第4条
⑴
市民は、次の各号に掲げる責務を果たさなければならない。
地域社会の一員であることを自覚し、積極的に地域活動に取り組み、互
いに協力しあいながら、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進する
よう努めるものとする。
⑵
市がこの条例に基づき実施する施策に協力するよう努めるものとする。
- 92 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
演習記録
(事業者の責務)
・商店街の段差がある場合は、段差の解消⇒バリアフリー新法との関連
(事業者の責務)
第5条
事業者は、次の各号に掲げる責務を果たさなければならない。
⑴
地域社会の一員であることを自覚し、積極的に地域活動に取り組み、互
いに協力しあいながら、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進する
よう努めるものとする。
⑵
市がこの条例に基づき実施する施策に協力するよう努めるものとする。
(地域活動団体の責務)
(地域活動団体の責務)
第6条
地域活動団体は、次の各号に掲げる責務を果たさなければならない。
⑴
地域活動団体は、地域において高齢者が安心して暮らせるまちづくりの
必要性、方策について理解を深め、地域の実情に応じた高齢者が安心して
暮らせるまちづくりを推進するための自主的な活動に取り組むよう努める
ものとする。
⑵
地域活動団体は、市がこの条例に基づき実施する施策に協力するよう努
めるものとする。
(実行計画)
他の市における計画:市高齢者福祉計画
法律:老人福祉法第 20 条の8
老人福祉のための事業を年間○○確保し実行し
なければならない。
(実行計画)
第6条
市長は、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを図るため、高齢者が
安心して暮らせるまちづくり実行計画(以下「実行計画」という。)を策定す
る。
2
実行計画は、市地域福祉計画、老人福祉計画及び介護保険事業計画との整
合性を図るものとする。
- 93 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例 演習記録
(推進会議)
訪問事業の充実
⇒
高齢者が安心して暮らせるまちづくり
(推進会議)
第6条 市長は、この条例による高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進す
るため、高齢者が安心して暮らせるまちづくり推進会議(以下「推進会議」
という。)を置く。
2
推進会議は、実行計画の推進を図るものとする。
3
推進会議は、実行計画に関し、市長に意見を述べることができる。
4
推進会議は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する委員 10 人以内を持っ
て組織する。
⑴
市民
⑵
事業者
⑶
識見を有する者
⑷
地域活動団体の代表者
⑸
行政機関の代表者
5
前各号に定めるもののほか、推進会議に関し必要な事項は、市長が別に定
める。
(財政上の措置)⇒市の責務の第4号の中へ
第4条第1号の施策を実施するにあたり、必要に応じて財政上の措置その他の
措置を講ずるものとする。
(助成)
・市長は、市民及び事業者が、高齢者が安心して暮らせるまちづくりの推進を
図るために施策を実施する事業者、その他これに類する取組を促進するための
必要があるときは、助成その他の経済的支援を講じることができる。
・助成対象事業:訪問事業、ラジオ体操事業、スタンプラリー事業
(助 成 の 対 象 )
市長は,社会福祉協議会に対し、その行う事業に要する費用のうち規則で定
めるものについて、予算の範囲内において、助成することができる。
◆
以上を踏まえ、条例要綱を作成した。
- 94 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
6日目
演習記録
平成 21 年 10 月 23 日(金)(自主グループ演習)
【午前】
◆
条文に事業を盛り込む内容を検討した。
・目的に対する具体的な事業の裏付けが欲しい。
・事業を章立てで表記?
→
第7条の後に増やす。
・盛り込む場合どの程度の具体性?
→予算が計上できる程度のものが必要(講師)
・第2条の定義について、ここでは「高齢者」をひとり暮らしに限定せず、事
業の部分で限定すべき
第1条の目的について、
「まちづくり」の表現ではソフトだけでなく、ハードも
包含するイメージになってしまう。
→
ソフトに特化した内容に合致するようにしたい。
→
目的を受けた「基本理念」を設け、ソフトである事を明確にする。
⇒2グループ(事業を考えるグループ、基本理念の内容と条文全体を考えるグ
ループ)に分かれて作業することとする。
事業を考えるグループ
・訪問事業を具体的にして行く。
⇒実態調査・訪問事業(活動)・連絡会設置の3本柱
・実行計画の後に、訪問事業の概略を規定する。
・章立てとした方が作りやすい。
・○○訪問事業を実施する。
・対象者:ひとり暮らしの高齢者又は高齢者のみの世帯
第2章
高齢者ふれあい訪問事業
(事業内容)
第9条
市は、基本理念に基づき、ひとり暮らしの高齢者又は高齢者のみの世
帯に対し、高齢者ふれあい訪問事業(以下「訪問事業」という。
)を実施す
る。
2
事業内容は、高齢者の実態調査及び訪問事業、連絡会を実施する。
3
市が実施する訪問事業は、地域活動団体が実施する訪問事業を妨げるもの
- 95 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例 演習記録
ではない。
(実態調査)
第 10 条
2
市は、訪問事業を実施するにあたり、実態調査を行なう。
市は、前項の実態調査に基づき、ひとり暮らしの高齢者及び高齢者のみの
世帯の台帳(以下「台帳」という。)を作成する。
(訪問事業)
第 11 条
市は、前条の○○台帳に基づき、訪問事業を実施する。
(連絡会)
第 12 条 市は、訪問事業を実施している地域活動団体とのネットワークづく
りのため、連絡会を設置する。
基本理念等を考えるグループ
・3人で基本理念案を考えた後、まとめる。⇒胎内市の条例を参考に第1項第
1号~第4号及び第2項の基本理念を作成した。
(基本理念)
第●条
高齢者が安心して暮らせるまちづくりは、市、市民、事業者及び地域
活動団体(以下「市及び市民等」という。
)がそれぞれの役割について、相
互理解のもとに協力連携して、次に掲げる事項を基本理念に据えて推進する
ものとする。
⑴
市及び市民等は高齢者への敬意を忘れず、高齢者は地域との「つながり」
を感じながら(イキイキと暮らせる/誰もが住み続けたいと思える)まち
にすること。
⑵
市及び市民等は「我が市から孤独死は出さない」という意識の高揚を図
ること。
⑶
高齢者に対し、市及び市民等が積極的に関わり合い、「つながり」を大
切にしてコミュニティの形成を図ること。
⑷
高齢者が、自らの知識、経験及び技能を発揮できるコミュニティの形成
を図ること。
2
高齢者が安心して暮らせるまちづくりの推進は、基本的人権その他の権利
を尊重して行わなければならない。
- 96 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
演習記録
【午後】
両グループの案を合わせ、細かい点の確認を行う。
◆
・「事業者」の削除
・第3条
基本理念
・第9条
訪問事業
・第10条
実態調査
・第11条
訪問活動
・第12条
連絡会
等の文言
確認後、以下のとおり条例(案)を作成した。
◆
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例(案)
第1章
総則
(目的)
第1条
この条例は、高齢者の精神的孤独感を解消するため、高齢者をひとり
にさせない施策を展開し、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを実現する
ことを目的とする。
(定義)
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定め
るところによる。
⑴
市民
市内に居住する者、市内で働く者又は学ぶ者をいう
⑵
高齢者
⑶
地域活動団体
65歳以上の市民をいう
市内の自治会、町内会及びボランティア組織等をいう
(基本理念)
第3条
高齢者が安心して暮らせるまちづくりは、市、市民及び地域活動団体
がそれぞれの役割について、相互理解のもとに協力連携して、次に掲げる事
項を基本理念に据えて推進するものとする。
⑴
高齢者への敬意を忘れず、高齢者が地域との「つながり」を感じながら
イキイキと暮らせるまちを目指すこと
⑵
「我が市から孤独死は出さない」という意識の高揚を図ること
⑶
高齢者に対し積極的に関わり合い、
「つながり」を大切にしてコミュニテ
- 97 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例 演習記録
ィの形成を図ること
⑷
高齢者が、自らの知識、経験及び技能を発揮できる場の提供を図ること
2
高齢者が安心して暮らせるまちづくりの推進は、基本的人権その他の権利
を尊重して行わなければならない。
(市の責務)
第4条
市は、基本理念に基づき、次の各号に掲げる責務を果たさなければな
らない。
⑴
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する総合的な計画を策定し実
施する。
⑵
市民及び地域活動団体に対し、自発的な活動を促進するための適切な情
報の提供を行う。
⑶
市民及び地域活動団体が相互に有機的な連携を図ることができるように
するために、必要な措置を講ずるものとする。
⑷
第1号の計画を実施するにあたり、必要な措置を講ずるものとする。
(市民の責務)
第5条
市民は、基本理念に基づき、次の各号に掲げる責務を果たさなければ
ならない。
⑴
地域社会の一員であることを自覚し、積極的に地域活動に取り組み、互
いに協力し合いながら、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進する
よう努めるものとする。
⑵
市がこの条例に基づき実施する施策に協力するよう努めるものとする。
(地域活動団体の責務)
第6条
地域活動団体は、基本理念に基づき、次の各号に掲げる責務を果たさ
なければならない。
⑴
地域活動団体は、地域において高齢者が安心して暮らせるまちづくりの
必要性、方策について理解を深め、高齢者が安心して暮らせるまちづくり
を推進するために、地域の実情に応じた自主的な活動に取り組むよう努め
るものとする。
⑵
市がこの条例に基づき実施する施策に協力するよう努めるものとする。
第2章
計画の策定及び推進
(実行計画)
第7条
市長は、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進するため、高齢
者が安心して暮らせるまちづくり実行計画(以下「実行計画」という。
)を策
- 98 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
演習記録
定する。
2
実行計画は、市地域福祉計画、老人福祉計画及び介護保険事業計画との整
合性を図るものとする。
(推進会議)
第8条
市長は、この条例による高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進
するため、高齢者が安心して暮らせるまちづくり推進会議(以下「推進会議」
という。)を置く。
2
推進会議は、実行計画の推進を図るものとする。
3
推進会議は、実行計画に関し、市長に意見を述べることができる。
4
推進会議は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する委員10人以内をもっ
て組織する。
市民
⑵
識見を有する者
⑶
地域活動団体の代表者
⑷
行政機関の代表者
5
⑴
前各号に定めるもののほか、推進会議に関し必要な事項は、市長が別に定
める。
第3章
高齢者ふれあい訪問事業
(訪問事業)
第9条
市は、基本理念に基づき、ひとり暮らしの高齢者又は高齢者のみの世
帯に対し、高齢者ふれあい訪問事業(以下「訪問事業」という。)を実施する。
2
事業内容は、高齢者の実態調査、訪問活動及び連絡会を実施する。
(実態調査)
第10条
前条の事業を実施するにあたり、市長が任命した職員(以下「調査員」
という。)が実態調査を行う。
2
市長は、前項の実態調査に基づき、ひとり暮らしの高齢者及び高齢者のみ
の世帯の台帳(以下「台帳」という。)を作成する。
3
前項の台帳は個人情報保護条例に基づき取り扱うものとする。
4
調査員は、調査活動に従事するときは、身分証を携帯し、自分の身分を明
らかにしなければならない。
(訪問活動)
第11条
市は、高齢者の精神的孤独感を解消するため、身上等に関する相談、
声かけ及び広報等の情報提供等の訪問活動を実施する。
- 99 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例 演習記録
2
前項の訪問活動に従事する者は、市長が任命した職員(以下「訪問員」と
いう。)とする。
3
訪問員は、訪問活動に従事するときは、身分証を携帯し、自分の身分を明
らかにしなければならない。
4
市が実施する訪問事業は、高齢者に対して地域活動団体が行う独自の福祉
支援活動を妨げるものではない。
(連絡会)
第12条
市は、福祉支援活動を実施している地域活動団体とのネットワークづ
くりのため、連絡会を設置する。
2
前項の連絡会の庶務は、福祉部○○課において処理する。
第4章
雑則
(委任)
第13条
この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関する必要な事項は、
市長が別に定める。
7日目
平成 21 年 11 月 18 日(水)
【午前】
○法制執務面からの条例案チェック
八王子市 総務部 法制課長
小峰 修司
氏
【午後】
○グループ演習
◆議事概要
本日の進行目安:
午前中のチェックを受け、条例のもみ直しを行う。
◇膨らます事業案
「基本理念」の4項目に基づいて事業案を出す。
第3章で列記する。
訪問事業…3号「つながり」を大切にする。
実態調査は訪問事業に組み込む。
- 100 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
健康体操教室…1号「いきいきと暮らせる」
市内26会場
週1回を半年間
⇒外出の機会が増える。
足腰が鍛えられ転倒予防
緊急通報システム…2号「孤独死は出さない」
コミュニティ活用事業…4号「知識 経験 技能をいかす」
例
趣味、特技をいかせる場を
◇実態調査について
実行計画の基礎資料として実施するものとした方が良い。
⇒第7条(実行計画)の後ろに持ってくる。
実態調査の目的:
実行計画の策定に資する。
◇修正箇所
・条例名は3字、見出しは1字あける。
目次
・新規追加
第1条(目的)
・「精神的」を削除する。
・目的を一つにまとめる。
第2条(定義)
・「をいう」の後に「。」を付す。
・「又は学ぶ者」
⇒
「及び市内で学ぶ者」
第3条(基本理念)
・「役割」
⇒
・「イキイキ」
「責務」
⇒
「いきいき」
- 101 -
演習記録
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例 演習記録
・「関わり合い」
⇒
「かかわり合い」
・「高齢者が、自らの」
⇒
(そのまま)
第4条(市の責務)
・「あたり」
⇒
「当たり」
・各号列記から項立てとする。
・「基本理念」
⇒
「前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)」
第5条(市民の責務)
・各号列記から項立てとする。
第6条(地域活動団体の責務)
・各号列記から項立てとする。
第7条(実行計画)
・「策定する。」
⇒
「策定するものとする。」
第8条(実態調査)
・実態調査の項目をここに挿入(第10条から)
・実態調査の目的記載
・「行う。」
⇒
・「前項の台帳」
「行うものとする。」
⇒
「台帳」
第9条(推進会議)
・「この条例による高齢者」
・「前各号」
⇒
⇒
「高齢者」
「前各項」
・「識見を有する者」
⇒
「学識経験者」
・「市長の附属機関」挿入
・「諮問、審議、答申」挿入
・「行政機関の代表者」
・「別に定める。」
⇒
⇒
「関係行政機関の職員」
「規則に定める。」
- 102 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
第10条(事業)
・事業をふれあい訪問事業だけでなく、4事業とする。
・「市は」
⇒
「市長は」
・「事業内容」
⇒
・「実施する。」
「訪問事業の内容」
⇒
「実施するものとする。」
・独自の福祉支援活動を妨げない規定を挿入する。
第11条(ふれあい訪問事業)
・見出しを「訪問活動」
・「市は」
⇒
⇒
「ふれあい訪問事業」とする。
・「精神的」
「市長は」
⇒
(削除)
・「実施する。」
⇒
「実施するものとする。」
・独自の福祉支援活動を妨げない規定を削除する。
第12条(健康体操事業)
・新規追加
第13条(緊急通報システム事業)
・新規追加
第14条(高齢者能力活用事業)
・新規追加
第15条(連絡会)
・「市は」
⇒
「市長は」
・連絡会の名称を「情報交換連絡会」とする。
・文言の修正
第16条(委任)
・「施行に関し」
⇒
・「市長が別に定める」
「施行について」
⇒
「規則で定める」
- 103 -
演習記録
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例 演習記録
附則
・新規追加
以上を踏まえ、条例(案)を修正
◆
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例(案)(修正版)
目次
第1章
総則(第1条―第6条)
第2章
計画の策定及び推進(第7条―第9条)
第3章
高齢者をひとりにさせない施策(第10条―第15条)
第4章
雑則(第16条)
附則
第1章
総則
(目的)
第1条
この条例は、高齢者の孤独感を解消し、高齢者が安心して暮らせるま
ちづくりについて、基本理念を定め、市、市民及び地域活動団体の責務を明
らかにすると共に、必要な施策の基本的事項を定めることにより、高齢者が
安心して暮らせる社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定め
るところによる。
⑴
市民
市内に居住する者、市内で働く者及び市内で学ぶ者をいう。
⑵
高齢者
⑶
地域活動団体
65歳以上の市民をいう。
市内の自治会、町内会及びボランティア組織等をいう。
(基本理念)
第3条
高齢者が安心して暮らせるまちづくりは、市、市民及び地域活動団体
がそれぞれの責務について、相互理解のもとに協力連携して、次に掲げる事
項を基本理念に据えて推進するものとする。
⑴
高齢者への敬意を忘れず、高齢者が地域との「つながり」を感じながら
いきいきと暮らせるまちを目指すこと。
⑵
「我が市から孤独死は出さない」という意識の高揚を図ること。
⑶
高齢者に対し積極的にかかわり合い、
「つながり」を大切にしてコミュニ
- 104 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
演習記録
ティの形成を図ること。
⑷
2
高齢者が、自らの知識、経験及び技能を発揮できる場の提供を図ること。
高齢者が安心して暮らせるまちづくりの推進は、基本的人権その他の権利
を尊重して行わなければならない。
(市の責務)
第4条
市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する総合的な計画を策定し、これ
を実施しなければならない。
2
市は、市民及び地域活動団体に対し、自発的な活動を促進するための適切
な情報の提供を行うものとする。
3
市は、市民及び地域活動団体が相互に有機的な連携を図ることができるよ
うにするために、必要な措置を講ずるものとする。
(市民の責務)
第5条
市民は、基本理念に基づき、地域社会の一員であることを自覚し、積
極的に地域活動に取り組み、互いに協力し合いながら、高齢者が安心して暮
らせるまちづくりを推進するよう努めなければならない。
2
市民は、市がこの条例に基づき実施する施策に協力するよう努めなければ
ならない。
(地域活動団体の責務)
第6条
地域活動団体は、地域において高齢者が安心して暮らせるまちづくり
の必要性、方策について理解を深め、高齢者が安心して暮らせるまちづくり
を推進するために、地域の実情に応じた自主的な活動に取り組むよう努めな
ければならない。
2
地域活動団体は、市がこの条例に基づき実施する施策に協力するよう努め
なければならない。
第2章
計画の策定及び推進
(実行計画)
第7条
市長は、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進するため、高齢
者が安心して暮らせるまちづくり実行計画(以下「実行計画」という。)を策
定するものとする。
2
実行計画は、市地域福祉計画、老人福祉計画及び介護保険事業計画との整
合性を図るものとする。
- 105 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例 演習記録
(実態調査)
第8条
高齢者の生活実態を把握するため、市長が任命した職員(以下「調査
員」という。)が実態調査を行うものとする。
2
市長は、前項の実態調査に基づき、ひとり暮らしの高齢者及び高齢者のみ
の世帯の台帳(以下「台帳」という。)を作成するものとする。
3
台帳は個人情報保護条例に基づき取り扱うものとする。
4
調査員は、調査活動に従事するときは、身分証を携帯し、自分の身分を明
らかにしなければならない。
(推進会議)
第9条
市長は、高齢者が安心して暮らせるまちづくりを推進するため、市長
の附属機関として、高齢者が安心して暮らせるまちづくり推進会議(以下「推
進会議」という。)を置く。
2
推進会議は、市長の諮問に応じて、実行計画の推進に関する重要事項につ
いて審議し、答申する。
3
推進会議は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する委員10人以内をもっ
て組織する。
⑴
公募による市民
⑵
学識経験者
⑶
地域活動団体の代表者
⑷
関係行政機関の職員
4
推進会議の委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠け
た場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5
推進会議の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を
退いた後も同様とする。
6
前各項に定めるもののほか、推進会議の組織及び運営に関し必要な事項は、
規則に定める。
第3章
高齢者をひとりにさせない施策
(事業)
第10条
市長は、基本理念に基づき、ひとり暮らしの高齢者又は高齢者のみの
世帯に対し、次の事業を行うものとする。
⑴
ふれあい訪問事業
⑵
健康体操事業
⑶
緊急通報システム事業
- 106 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
高齢者能力活用事業
⑸
その他実行計画に基づく事業
2
⑷
演習記録
前項に定める事業は、高齢者に対して地域活動団体が行う独自の福祉支援
活動を妨げるものではない。
(ふれあい訪問事業)
第11条
高齢者の孤独感を解消するため、身上等に関する相談、声かけ及び広
報等の情報提供等の訪問活動を実施するものとする。
2
前項の訪問活動に従事する者は、市長が任命した職員(以下「訪問員」と
いう。)とする。
3
訪問員は、訪問活動に従事するときは、身分証を携帯し、自分の身分を明
らかにしなければならない。
(健康体操事業)
第12条
高齢者の健康の保持増進及び高齢者同士の交流を促進するため、健康
体操事業を実施するものとする。
(緊急通報システム事業)
第13条
高齢者の安全の確保と精神的な不安を解消するため、緊急通報システ
ム事業を実施するものとする。
(高齢者能力活用事業)
第14条
高齢者の豊かな経験や能力を活用するため、高齢者能力活用事業を実
施するものとする。
(連絡会)
第15条
市長は、福祉支援活動を実施している地域活動団体とのネットワーク
づくりのため、情報交換連絡会(以下「連絡会」という。)を組織し、相互の
連携に努めるものとする。
2
連絡会の庶務は、福祉部○○課において処理する。
第4章
雑則
(委任)
第16条
この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、
規則で定める。
附則
この条例は、平成22年○月○日から施行する。
- 107 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例 演習記録
次回(12月17日)作業内容
以下の作業を分担して行う事とする。
・報告書作成
・逐条解説作成
・パワーポイント作成
・「策定にあたり」作成
8日目
◆
平成 21 年 12 月 17 日(木)
作業を分担し、
「報告書」
、
「逐条解説」、
「パワーポイント」
、
「策定にあたり」
を作成した。
「逐条解説」と「パワーポイント」の内容を確認しながら相互の調整を図
◆
ると共に、条例(案)についても整合性を図るため、随時修正を行った。
・第2条⑶「ボランティア組織等」の前に「市内外の」を入れる。
・第9条2項
「重要事項」の「重要」を削る。
・第9条6項を削る。
9日目
◆
平成 22 年1月 22 日(金)
発表会
会場
:
309 会議室
プログラム
9:00~10:30
発表準備
10:45~11:15
グループ発表(動物との共存に関する条例グループ)
11:15~11:30
質疑応答
11:30~12:00
グループ発表(高齢者が安心して暮らせるまちづくり
意見交換
に関するグループ)
12:00~12:15
質疑応答
意見交換
- 108 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
感
感想
想
調布市
飯田義幸
私は今、高齢者福祉に関する仕事をしているということもあり、
「高齢者が安
心して暮らせるまちづくりに関する条例」のテーマを希望しました。実際に他
の自治体の方と一緒に一から条例をつくる作業をやってみると、日常業務では
気づかないような視点についても活発な意見交換ができ、とても刺激になりま
した。条例をつくるためには単に条文を考えるだけではなく、まずは現状を把
握し、あるべき姿とのギャップを埋めるために、どのような政策を立案したら
良いか、ということを考えるプロセスが大切であることを学ぶことができまし
た。今回の研修で得た経験を、今後の業務に活かしていきたいと思います。
最後に、7か月に及ぶ研修の間、御指導いただきました講師の方、研修所の
職員の方、そしてグループの皆さま、本当にありがとうございました。
狛江市
加藤謙司
「高齢者の福祉」について、日々業務の中、または新聞記事・ニュース等で
目にしますが、この研修により、改めて考えさせられました。人間に限らず、
生き物はみな生まれたら必ず老いて死ぬものです。生活する中で我々は、そう
いったことに特段注意しながらは、生きていません。しかし、自らが将来老い
たことを想定して、考えてみるのも大変興味深いものでした。老いたら、何が
できるのか?また、何をしてもらいたいのか?さらに、老いる前の今の自分に
は、何ができるのか?家族が、地域が、行政が、すべきことは何か?老いても
安心して暮らせるためには??ここでは、7月よりテーマに沿ってグループみ
んなで、考え、議論し、途中苦しいこともあったけれど、大変有意義でした。
みんな「皆勤賞」だったのもすばらしい!皆さんありがとうございました。
- 109 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
東久留米市
感想
後藤博栄
半年間に及ぶ長丁場の研修でしたが、今思えばとても短く感じます。1か月
に1回程度のペースで研修をこなし、条例が出来上がっていく様は、感動的で
あり、充実感がありました。とくに、講師の先生、グループの方々とともに議
論を重ね、試行錯誤しながら条例を作成したことは、業務では体験できない貴
重な経験となりました。このメンバーで研修ができたことに感謝いたします。
また、研修所のスタッフの皆さまにも大変お世話になりました。この場を借り
て感謝申し上げます。ありがとうございました。
武蔵村山市
外園元紀
ひとつのテーマから、自治体が果たすべき施策を検討し、条例化するという
ことで、7か月にも及ぶ長期の研修(1年の内のたった9日間ぐらいかもしれ
ませんが・・・。
)を無事終えることができました。これには、快く研修に送り
出してくれた職場やお世話になった研修所の先生や職員の皆さん、一緒に条例
を作り上げたメンバーの協力があったためで、心から感謝いたします。
紆余曲折しながら、条例を作り上げたという大きな達成感と、班のメンバー
と交流が深めることができたメリットは大きいですが、最近はどこの市町村も、
職員減により、一人ひとりの仕事量が増えているため、今回の研修期間につい
ては、少し疑問を感じました。もっと、少ない日数で実施してもらいたいです。
いずれにしても、研修の内容については、今後の業務に大いに役立つものだ
ったと感じています。また、今回制定した条例は、より具体的な検討を行えば、
今すぐにでも実現できる条例となっているので、条例策定に参考にしてもらえ
たら幸いです。
- 110 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
稲城市
感想
小関一弘
今回の政策法務演習(立法法務)では、大変貴重な経験をさせて頂きました。
当初はテーマの包含する範囲の広さに、議論をしていても雲をつかむ様で、途
方に暮れそうにもなりましたが、メンバー6人全員で何とか曲がりなりにも一
本の条例を作る事が出来、受講して良かったと思っております。
また一方で私は研修担当として、研修所に受講者を送り出す側でもあるので
すが、この様な長期にわたる研修の酸いも甘いも噛み分けた今、より敬意と愛
情を込めて研修所へ送り出せそうな気がしました。
最後に約半年の間、同じグループの皆さんや宮住講師には大変お世話になり
ました。ありがとうございました。
瑞穂町
佐藤真治
今までの日常業務の中では、条例をつくる機会がなかったことに加え、高齢
者に関する知識もあまりなかったので、研修の内容についていけるかどうか非
常に不安に思っていました。しかし、グループのメンバーに恵まれ、楽しくグ
ループ議論もできましたし、どこかの市町村にマネされちゃうんじゃないの?
ってくらい立派な条例ができて、本当に有意義な研修にすることができたと思
います。
今後、仕事で、条例、要綱、規則などつくるときがくるかもしれないので、
そのときにはこの経験をいかしてがんばりたいと思います。全部で9回という
長丁場の研修で正直しんどかったですが、グループのメンバー、講師の方々に
は本当にお世話になりました。ありがとうございました。
- 111 -
高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
感想
- 112 -
研 修 資 料
・ 研修時間割表
・ 研修概要
・ 研修テーマ
- 113 -
研 修 時 間 割 表
平 成 21 年 度 政 策 ・ 法 務 研 修 「 政 策 法 務 演 習 ( 立 法 法 務 ) 」
研修室 : 311研修室ほか
9:00 9:15
12:15
オリエ 自治立法概論(講義)
ンテー 東京都市町村職員研修所:特別講師:宮住 哲也
昼休み
ション 政策形成過程と条例(講義)
東京都市町村職員研修所:特別講師:赤羽 紘
13:15
9:00
昼休み
13:15
16:30
グループ演習
東京都市町村職員研修所:特別講師
宮住 哲也・赤羽 紘
12:15
13:15
3日目 8 月 7 日 ( 金 )
9:00
グループ演習
東京都市町村職員研修所:特別講師
宮住 哲也・赤羽 紘
12:15
4日目 9 月 14 日 ( 月 )
9:00
グループ演習
東京都市町村職員研修所:特別講師
宮住 哲也・赤羽 紘
12:15
5日目 10月14日(水)
9:00
グループ演習
東京都市町村職員研修所:特別講師
宮住 哲也・赤羽 紘
9:00
12:15
1日目 7 月 1 日 ( 水 )
2日目
6日目
12:15
テーマ「動物との共存に関する条例」基調講義
社団法人日本愛玩動物協会
7 月 2 日 ( 木 ) 常任理事 山崎 いく子
平成22年
8日目 1月22日(金)
16:30
同左
昼休み
13:15
16:30
同左
昼休み
13:15
16:30
同左
昼休み
昼休み
13:15
16:30
グループ演習
東京都市町村職員研修所:特別講師
宮住 哲也・赤羽 紘
9:00
グループ演習
東京都市町村職員研修所:特別講師
宮住 哲也・赤羽 紘
12:15
13:15
9:00
発表会
東京都市町村職員研修所:特別講師
宮住 哲也・赤羽 紘
12:15
法制執務面からの条例案チェック
八王子市総務部法制課長
11月18日(水) 小峰 修司
7日目 12月17日(木)
16:30
テーマ「高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関
する条例」基調講義(公開講義)
立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科
教授 高橋 紘士
昼休み
昼休み
13:15
16:30
報告書作成等
東京都市町村職員研修所:特別講師
宮住 哲也・赤羽 紘
※上記日程表は、現時点での予定です。変更する場合もありますのでご容赦ください。
-連絡事項-
1
持
ち
物
事前配布テキスト、資料
2
出
席
簿
311研修室前に置きます。
3
休憩時間
午前10時30分~午前10時45分
午後 0時15分~午後 1時15分
午後 2時45分~午後 3時00分
4
そ
他
体温調節のできる服装でお越しください。
5
担
当
教務課 研修第一係 中川
TEL
042-384-6444
FAX
042-384-7042
[email protected]
e-mail
URL
http://www.tskweb.jp
の
- 115 -
16:30
同左
研
修
概
要
政策法務演習(立法法務)
ア 目
標
自治体を巡る政策課題の理解を深め、政策形成能力を高めるととも
に、政策の条例化を中心とした法務能力の向上を図る。
イ 対
象
原則として採用後5年以上の職員
ウ 演習テーマ
①動物との共存に関する条例
②高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
エ 研修日数
8日程度(月2回程度)
オ 科
目
科
方
法
9:45
・テーマに関する基調講義
・自治立法概論
・政策形成過程と条例
講
義
政策法務演習
42:15
・政策課題の研究
・条例化の演習
・報告書の作成
・研修成果の発表
演
発
習
表
計
52:00
基
目
調
講
義
時間
内
- 116 -
容
研修テーマ
① 動物との共存に関する条例
90 年代末頃から、癒しという言葉がマスコミでよく使われるようになった。
音楽を聴いたり、お香をたいたり、森林浴をしたりというように、生活に癒し
の要素を取り入れる工夫は人によりさまざまである。
動物の顔やしぐさを見ていると癒されるという人も多い。ペットを飼ってい
たり、動物園へ見に行ったりするほか、飼い主のいない、地域にいる動物が対
象となる場合もある。街の中にいる猫やスズメ、ハト等を住民が楽しそうに眺
めている姿はほほえましく、心の和むものである。
しかし、地域の動物をめぐったトラブルも発生している。飼い主のいない動
物に餌をやることが騒音や糞尿被害につながり、近隣住民の苦情を招く。これ
を防ぐため、餌をやること自体を条例で禁止しようとする動きも見られる。
一方で、地域ぐるみで動物を適正に管理し、見守ろうという試みもある。飼
い主のいない猫に、周囲の理解を得たうえで去勢・避妊や餌やりをし、動物と
地域の共存・共生を図ろうとするといった取り組みである。地域におけるコミ
ュニケーションの形態として興味深い例であろう。
いずれの判断をするにせよ、地域の動物に関する諸問題を地域コミュニティ
上の課題として見つめ直し、市民の立場で解決を目指すことが求められている。
自治体は動物との共存に関してどのような働きかけができるのか検討し、条例
化することによって、政策法務能力を鍛える。
- 117 -
② 高齢者が安心して暮らせるまちづくりに関する条例
わが国においては、平均寿命が延伸している一方、若年人口は減少し、少子
化が進行している。これらを背景として、65 歳以上の高齢者人口が総人口に占
める高齢化率は急速に上昇している。昭和 45 年に高齢化率が7%を超えると、
平成6年には 14%に達し、現在は全人口の5人に1人が高齢者となるに至って
いる。高齢化は今後も進行し、平成 25 年には4人に1人、平成 47 年には3人
に1人が 65 歳以上になると、内閣府がまとめた高齢社会白書は伝えている。
高齢者が感じている生活面の不安はさまざまである。阪神・淡路大震災後の
仮設住宅における独居者の死を通じ、近年、高齢者の孤独死が社会問題として
広く知られるようになった。平成 19 年時点において、高齢者のいる世帯は全国
に 1,800 万世帯を超えるが、そのうち 22.4%が単独世帯である。また、夫婦の
みの高齢世帯も 29.5%を占めており、高齢者が高齢者を介護する老老介護に頼
らざるを得なくなることも想像に難くない。
高齢者を巻き込んだ事件・事故も、全体として増加傾向にある。交通事故や
振り込め詐欺、消費トラブル等から高齢者の生活を守るためには、親族の手助
けだけに委ねることなく、自治体や地域住民、関係団体等が役割を果たすこと
が重要である。
地域の結びつきの弱体化が指摘されている中、高齢者についても例外ではな
く、親しく交流している近隣住民がいないという高齢者は増加傾向にある。社
会活動参加や就労への意欲を持ちながら、それらが実現していない高齢者も多
くいるといわれている。高齢者の尊厳を保ち、充実・安心した暮らしを送るこ
とができる地域社会の実現のために、自治体に何が求められているのか考察し、
条例化することを通じて政策法務能力を鍛える。
- 118 -
研修後記
暑い7月初旬から始まった、平成 21 年度「政策法務演習(立法法務)」も、
気がつけば、夏から冬と季節が移り変わり、1月下旬の発表会を終え、本報告
書の発行をすることになりました。
半年という長い研修期間中、参加してくださった研修生の皆さんは、忙しい
業務とバランスを取りつつ、研修をお互いに協力し合い、時には意見をぶつけ
合いながら、最終的には、それぞれの班で条例という形にまとめていただきま
した。今回のテーマは、参考となる既存の条例はあまりなく、言わば無から有
を作り出す要素が大きかったと思います。研修生は、苦労しながらもテーマに
対し、果敢に挑んでいました。団体も異なり、様々な部署に所属する研修生が
集まっていただいたからこそ、いろいろな切り口から物事を捉え、斬新なアイ
ディアを出し合い、活発な議論を交わし、そこから一歩進んだ深い考えが産み
出されることになったと思います。
こうした努力と創造の過程を経て、条例が出来上がったことは、日常担当さ
れている業務とは異なり、とても貴重な経験になったことと思います。私も研
修担当として、研修生の皆さまに関わらせていただき、真剣に調べる姿や活発
に議論をし合う姿にとても感銘を受けました。
また、研修の内容に加え、グループ演習を介した他団体の研修生との交流も、
有意義な機会であったのではないでしょうか。研修生の皆さまが、この研修に
参加された経験を、今後の業務で活用していただき、更なる飛躍を遂げていた
だくことを心より願っております。
最後になりましたが、研修担当として行き届かないところもあったかと思い
ます。この場をお借りし、お詫び申し上げます。
また、ご指導いただいた担当講師やご登壇いただいた講師、そして長期にわ
たる研修をやり遂げた研修生の皆さまに、厚く御礼申し上げます。
平成 22 年3月
東京都市町村職員研修所
研修第一係
中川
- 119 -
貴裕
平成 21 年度
政策・法務研修
政策法務演習(立法法務)研修報告書
平成 22 年3月 31 日
東京都市町村職員研修所
〒183-0052
東京都府中市新町2-77-1
TEL
東京自治会館
042-384-6444
この報告書は、下記ウェブサイトでもご覧いただけます。
URL
http://www.tskweb.jp
- 120 -