画像診断で使われる画像処理技術(2) ¾画像間演算 ・時間差分 ・エネルギー差分 ・加算処理 ・積算処理、割算処理 ¾サブトラクション処理 ¾その他 差分処理 経時差分処理(サブトラクション) 過去画像 現在画像 経時差分画像 1 Warping: (画像の変形) 胸郭の形状は、 通常、過去画像 と現在画像では 異なっているの が普通であるか ら画像の変形 (warping)が必 要である。 経時差分(Temporal subtraction)を胸部写真に応 用する場合は、血管造影と違って、引き算に使う 2枚の画像の撮影間隔が非常に長いので、対象と なる肺野の画像上の位置や形の変動が大きい場合 が多く、技術が必要:画像変形技術(warping) テンプレートマッチングと呼ばれる、類似 パターン探索法を用いる エネルギー差分法 :energy subtraction Two shots method, 2回曝射法 2つの異なるエネルギー(例えば、120kV の高圧と60kVの低圧)を照射する方法。 One shot method 1回曝射法 1回のX線照射ではあるが2枚のIP間に金 属フィルタを挿入することによってX線エ ネルギーを分離する方法。 2 I L = I 0 L exp(− μ bL xb − μ tL xt ) I H = I 0 H exp(− μ bH xb − μ tH xt ) Q L = − μ bL xb − μ tL xt + c L I L = I 0 L exp(− μ bL xb − μ tL xt ) I H = I 0 H exp(− μ bH xb − μ tH xt ) QL = − μ bL xb − μ tL xt + c L QH = − μ bH xb − μ tH xt + c H QL, QHに、それぞれ重み係数wL,wHを積算して減算を行う と、Qsubの画像が得られる。 Qsub = wH QH − wL QL = ( wL μ bL − wH μ bH ) xb + ( wL μ tL − wH μ tH ) xt + wH c H − wL c L Single exposure: one shot method The first practical subtraction technique uses a single exposure detected by two receptor plates separated by a filter. Q H = − μ bH xb − μ tH xt + c H QL, QHに、それぞれ重み係数wL,wHを積算して 減算を行うと、Qsubの画像が得られる。 Qsub = wH QH − wL QL = ( wL μ bL − wH μ bH ) xb + ( wL μ tL − wH μ tH ) xt + wH c H − wL c L Dual Energy Subtraction (two-shot method) The two exposures are taken 200 milliseconds apart, one at 60-80kVp and the other at 110-150kVp. Standard image Soft tissue image Bone image 3 Dual Energy Subtraction 加算処理:2枚の写真をたし合わせ 累積加算処理 ・コンポジット(積算処理) Bone image コンポジットとは同じ画像を何枚も撮影し、重 ねていくことをいう。この際に加算で積み重ね ていくことを積算ともいう。 天体写真は、15~30枚の画像を撮影して、それら をコンポジット処理することにより、ノイズ低減を行 う。 Standard Soft Tissue リカーシブ・フィルタ(recursive filter) 医療分野では、DSA画像のノイズを減ら すため用いられる。 リカーシブ・フィルタ(recursive filter) リカーシブ:recursive, 再帰的,巡回的 リカーシブフィルタは、現在の画像に、ある重み 付けをした(時間的に)過去の画像を加算するこ とによりノイズを低減させる処理である。 巡回型フィルタ このリカーシブフィルタ処理を強くするとノ イズ低減効果が大きくなるが、動きの速いも のはボケでしまう。 リカーシブフィルタは、一種の時間フィルタ である。DR,DSA撮影では、よく用いられる。 4 連結成分のラベリング 2値画像のラベリング処理は,抽出した領域の特 徴を調べたり,個数を数えたりすることの基本 になるからです. ラベリング処理とは,つながっている領域に番号 を付けていく処理です. つまり,画像中に孤立した領域が何個あるのかを 数えたり,ある番号のついた領域がどんな形を しているのかを調べるのに有効な処理です. ラベリングの手法の基本方針 (1)画像を走査して,ラベルがついていない画素を見つけ, ついていなければ新しい番号(ラベル)を付ける (2)見つかった画像の連結性を調べて,つながっているが画 素には同じ番号(ラベル)をつける. (3)新しくつけたラベルの連結性もしらべて,連結があれば, 同じ番号をつける (4)この操作を,ラベルがつけれなくなるまで続ける (5)そうしたら,また最初に戻り,ラベルのついていない画 素を見つけ,そこに新しいラベルをつけて繰り返す. (6) 画像全部が終われば終了 4連結と8連結 ラベリング(4近傍) 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 3 3 3 3 3 3 3 3 5 ラベリング(8近傍) 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 データ圧縮 可逆圧縮 (Lossless) 圧縮には元の形に完全に戻せる圧縮方法 非可逆圧縮 (Lossy) 元の形と似たレベル程度まで戻せる が、完璧に戻せない圧縮方法。 JPEGなどの画像圧縮には、主に非可逆圧縮が用 いられる。非可逆圧縮の場合、圧縮率と品質は 反比例の関係にあります。圧縮率を高めてデー タ量を小さくすれば品質は下がりますし、品質 を上げるとデータ量は小さくできない。 •可逆圧縮: 圧縮する際に元の情報を失わない よう、再計算して展開すれば元の情報が得られるよ うな圧縮の仕方。 •非可逆圧縮: 画像の詳細な部分、特に人間 の知覚があまり鋭くないような細部の要素を捨て て圧縮する仕方。 •圧縮率: 元データに対して圧縮後のデータが どれぐらい小さくなったか 。 非 可 逆 可 逆 GIF / 256 色 / 34K JPEG / 圧縮率 75% / 16K 6 画像圧縮の手法 ランレングス法 データが連続して続く場合、それぞれの繰 り返し回数を記述する方法である。Aが8文 字続く場合は、‘AAAAAAAA’の代わりに ‘A8’とする。図1の場合では、圧縮前の データは16文字で構成されているが、圧縮 後では同じ物を7文字で表現でき、半分以下 になる。 ハフマン法 ハフマン法 データ領域を見ると、頻出する文字とそうでない文 字がある。頻出する文字が現れるというのは情報量 が少ないので、そこに少ないビット数を割り当て、 あまり出現しない文字を表現するのに多くのビット を割り当てる。この方式では圧縮によりテーブル部 とデータ部の2つに分かれる。 7 2009年国試問題 2005年国試問題 原画像(6A)と次式とで示される処理画像(6B)を別に示す。 次式で表される画像処理法はどれか。 g(x,y)=f(x,y)+k[f(x,y)-fa(x,y)] G(x,y)=f(x,y)+k[f(x,y)-fs(x,y)] 正しいにはどれか。 ただし、g(x,y)は処理後の画像、f(x,y)は原画像、 fa(x,y)は原画像の平滑化画像、kは強調係数とす る。 1. 積分処理 2. ボケマスク処理 3. ダイナミックレンジ圧縮処理 4. 経時的サブトラクション処理 5. エネルギーサブトラクション処理 ただし、g(x,y)は処理画像、f(x,y) は原画像、 fs(x,y)は平滑画像、k は強調係数 イ 正解:2 2005年国試問題 9797-5 画像処理について空間フィルタでなく、時間 フィルタに属するのはどれか。 1. グラディエントフィルタ(gradient) 2. スムージングフィルタ (smoothing) 3. メディアンフィルタ (median) 4. ラプラシアンフィルタ (Laplacian) 5. リカーシブフィルタ (recursive) 正解 5 次式で表される画像処理法はどれか。 g(x,y)=f(x,y)+k[f(x,y)-fa(x,y)] ただし、g(x,y)は処理後の画像、f(x,y)は原画像、 fa(x,y)は原画像の平滑化画像、kは強調係数とす る。 1. 積分処理 2. ボケマスク処理 3. ダイナミックレンジ圧縮処理 4. 経時的サブトラクション処理 5. エネルギーサブトラクション処理 正解:2 8
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