賢く・不動産業者を活用する

「賢く・不動産業者を活用する」
(「空室を作らない為に」
その3)
賃貸オーナー様にとって一番大事なことは「空室を作らないこと」です。
通常、賃貸オーナー様
は、入居者を自分で捜す人は少なく、ほとんどが仲介業者に入居の斡旋を依頼されるでしょう。
特に、少子高齢化時代・人口減少時代になるこれからは、放っておいたら空室が増える時代に
なりますので、自分の部屋を優先的に埋めてくれる業者を見分けることが重要になります。
んな業者に依頼したら良いのでしょうか?
ど
また、どんな頼み方をしたらいいのでしょうか?
(1)まず、自分の空いた部屋を、入居者のつもりで見てみましょう。
出来れば、息子
・娘さんを連れて見に行けば、玄関前に蜘蛛の巣があり、ゴミ置き場は汚いし、ド
アを開ければ、部屋中に下水溝の臭いが充満しているのが判ります。
の住みたくない!」と思うでしょう?
か?
「こんな所
そんな状態で、借りる人が居ると思います
・・・「どうしたら、そこに住みたい、と思う部屋に出来るか?」考えるで
しょう。
そのことが賃貸オーナー様のあるべき原点です。
「入居者に借りて頂
き、賃料を頂き、始めて賃貸収益物件から収益を得ることが出来る」のです。
(2)「どうすれば、少ない費用で、住みたくなる部屋に出来るか?」考えて、考えて、
その部屋の良い所を強調して、リフォームと飾り付けをしましょう。 この項は「中
古賃貸物件を生き返らせるリフォームと管理の仕方」を参照下さい。
(3)さて、自分の物件の長所と欠点を知り尽くしたら、入居者を案内してくれる業者選
びです。
まず、自分の物件のある地域の業者を全部回って、自分の物件の案内を
してくれるように頼んで回ることです。
そうすれば、どこが入居者を集める力が
ある業者か、何となく判るでしょう。
(4)どんな業者が入居者を集める力があるのでしょうか?
①
インターネットが充実していること。
今や賃貸入居希望者の90%がインターネットを見て、どこの地域のどこの業者に
見に行くかを決めますので、インターネットの充実度が重要です。
「物件が豊富で、内容が人を引きつけ、見てみたくなる工夫に満ちていること」が
重要です。 例えば、駅近・築浅・コンビニ近く・南向き、という表現ではなく、
「電車を見てから間に合う近さ 」「ふかふかの布団に眠れる南窓 」「カップラーメ
ンが丁度食べられる3分以内に大型コンビニと定食屋があるので独身貴族になれま
す」等々と便利さを強調する。 例えば、「寝っ転がれる和室」「自転車で10分でデ
ィズニーにいける部屋」「窓からディズニーの花火が毎晩見える」「100mの位置に
子供を遊ばせる広い児童公園」「オートロックなので、押売や不審者をシャットア
ウトできて安心」等々で、「見てみたくなる情報発信」をすることが大事です。「ど
んな素晴らしい部屋でも、見てくれる人が居ないと決まらない!」からです。
②
情報誌や店頭広告が充実していること。
インターネット以外でも、紙媒体の広告方法も充実していることが大事です。
店頭に置いておく「賃貸情報誌」は、その街に住む人が持ち帰り、住み替えを考え
て下さいます。 店頭広告は、①同様に「人を引きつけ、一寸見てみたくなる工夫
に満ちて」いなければなりません。 店頭広告の紙が黄色くなっていたり、内容が
1週間以上変わらなければ、その店に入る人は居ないでしょう。 その店の動きが
感じられる、新鮮な情報に満ちていなければなりません。 オーナー様自身がその
店に行けば、貴方の大切な部屋をどれほど熱心に案内して決めてくれる人達かが判
るでしょう。
③
駅前の一等地に案内所を開設していること。
インターネットの普及で以前よりは案内所の重要性は薄れましたが、本当に借りよ
うとする人は、今でも必ず現地に見に行き、いろいろ比較しながら借りる部屋を決
めます。
ですから、駅に降りたら、一番近い目につく業者の店舗に立ち寄って様
子を探ります。
駅前の一等地で、多くの来店客を捕まえることができるのです。
(5)ここで、反応の良い募集広告の作り方を考えます。
①
お客様の感情を揺り動かす広告を作ることが大事です。 お客様は 、「そこに自分
が住みたいかどうか」という感情で広告を見ていますので、キャッチコピーで興味
を引き、ボディーコピーで引き込むことです。
例えば 、「貴方の好きなようにリフォームします!」「貴方の好きなようにコーデ
ィネートして、自分らしい空間を演出して下さい!」と広告します。
どうせ壁クロスは変える予定なら、クロス見本を用意して、お客様に選んでもらえ
ば良いだけで、そんなに費用はかさみません。 また、「中古賃貸物件を生き返ら
せるリフォームと管理の仕方」を参照していただけば判るように、部屋の模様替え
や飾り付けができるように工夫して貸せばいいのです。
②
広告の中に、手書き文字を多く入れることです。
特に強調したい部分に○印やア
ンダーラインを引き、目を引きつけて、人の手が加わって頑張っていることを感じ
させて、感情を引き出すのです。
③
そこに住むことで、どんなメリットがあり、どんな楽しい生活ができるのか、あり
ったけの表現をすることです。 お客様は、自分が出すお金よりも、多くのメリッ
トを感じた時に「買いたい!」「借りたい!」と言って頂けるものだからです。
(6)物件情報は広く公開する。
良い部屋を作り、良い広告を作っても、それが効果的
にお客様の目に触れなければ効果は出ません。 では、どうすれば貴方の物件を効
果的にお客様の目に触れるようにすることができるでしょうか?
五つが考えられます。
それには次の
①地域の不動産業者全てを回り、入居募集の依頼をする。
②インターネットで公開する。 ③情報誌に掲載する。 ④FAXで情報を公開する。
⑤マイソクを利用する。
①
地域の不動産業者全てを回り、入居募集の依頼をすることが重要です。
通常、オーナー様は、知り合いや、管理を任せている業者一社に、案内を頼んでい
らっしゃるでしょうが、それでは、情報は広く公開されません。 なぜなら、仲介
業者は、仲介手数料を収入源としますので、他業者に情報を公開したら、自分の手
数料が半分になってしまうので、できれば直接自分で決めようとして、情報を公開
しないからです。
②
「オーナーが直接店頭に行ったら、迷惑がられるのではないか?」
心配ご無用です。
業者にとってオーナー様は大切なお客様ですので、どこでも大
歓迎です。
多くの業者に頼んでおけば、それだけ多くのお客様の目に触れて、決
まりやすくなります。
③
「入居者の管理を任せている業者が居るので、他業者には頼みにくい」とお考えの
場合、「素直に他業者にも広く入居依頼をしたい旨を伝える」ことが大事です。
オーナー業が 、「入居率×年間賃料=年間収入」である以上 、「空室を早く埋める
のが商売道の鉄則」です。
「早く入居者を決めて、年間賃料を確定させたい」の
で「他業者にも入居者仲介を依頼する」が、「入居者の管理は今まで通りにお願い
したい」と伝えればいいのです。
入居者がなかなか決まらないのに、もし、それ
でも貴方の物件情報の公開を不服とするのであれば、自社の利益の為にオーナー様
を犠牲にしているのですから、今後の入居者管理も他の業者に変えた方が良いでし
ょう。 この場合、オーナー様から案内依頼を受けた業者は、全員仲介手数料が1
ヶ月分頂けるので、頑張って決めることになりますので、決まりは早くなります。
オーナー様からの仲介手数料は、決めた業者に対して支払うだけですので、オー
ナー様の手数料が増えることはありません。
④
なお、「入居者管理を任せている業者が、信頼できる業者で、入居斡旋も良くやっ
てくれている場合」には、「仲介依頼はその業者一社のまま」で「この地域の他業
者への情報の公開をして下さい」とお願いすることもできます。
その場合は、仲
介手数料1ヶ月分を、元着け業者と客着け業者で半月分づつ分けることになり、オ
ーナー様の手数料が増えるわけではありません。
⑤
以上により、自分で全部の仲介業者を回って、具体的に案内を依頼し、やってみて
一番熱心に、効率よく案内して決めてくれる業者を見つけるのが良いでしょう。
そして、案内を頼む信頼できる仲介業者が1社または数社見つかった場合、その業
者を通じてインターネットで公開、情報誌に掲載、FAXで情報を公開、マイソクの
利用等々はやってくれます。 前述しましたように、仲介業者は、仲介手数料を収
入源としていますので、上記広告にかかる経費として広告料を支払えば、大いに喜
び頑張って広告してくれることになります。 この広告料としては通常1ヶ月分く
らいが相当とされています。
専門業者に広告料を払って、広く自分の物件情報を
広告してもらい、早く入居者を確定して賃料を手にするのは、賢い仲介業者の利用
法の一つです。
(7)「入居したくなる部屋も作った」「広告宣伝もした」「仲介業者も選んだ」それでも
決まらない時どうするか?
① 「家賃を下げずに、敷金・礼金の条件を緩和する」
入居者は、入居時に、「礼金2ヶ月 」「敷金2ヶ月」「仲介手数料1ヶ月 」「前家賃
1ヶ月」「引っ越し代1ヵ月」合計7ヶ月分の入居一時金が必要になる。
部屋だと¥49万のお金が必要となれば、大変です。
7万の
そこで、この入居一時金を安
くすることができれば、入居を決めやすくなります。
「礼金¥0」「敷金¥0」「仲介手数料¥0」「フリーレントで賃料1ヶ月分タダ」
にしたらどうでしょう?
それなら引っ越し代だけあれば借りられます!
どうしても空室が埋まらない時は、賃料を下げるのではなく、上記のように入居一
時金を下げることで入居者を確保する方法が有効です。
②
「敷金」は、国交省のガイドラインでほとんど返さねばならなくなりましたので、
敷金を預かるよりも、滞納賃料には「MAG保証契約」で24ヶ月間の滞納賃料保証を
受けることで対応できます。 詳しくは「賢い賃貸管理のあり方」を参照下さい。
③
「礼金」は、入居が決まりにくい地域では諦めましょう。
④ 「フリーレント」は、例えば、大学入学が決まった学生が、1月に探しに来た場合、
実際に入居する3月からの賃料で良いから、契約だけ1月にしてもらう、というや
り方です。 それなら、気に入った人は契約しやすいでしょうし、オーナー様も良
い入居者に確定するので安心でしょう。
⑤
仲介手数料は、国交省の告示では「貸主・借主双方から1ヶ月分の支払を受けるこ
とができるが、同意があれば、どちらか一方からのみ1ヶ月分の支払いを受けるこ
ともできる」とされています。
そこで、空室が多い場合は、オーナー様から1ヶ
月分の仲介料を頂けば、入居者からの仲介料は¥0にできるわけです。
その上、仲介業者は、仲介料を収入源としていますので、オーナー様から1ヶ月分
の手数料が出るのなら、その上広告料まで出してくれたら、そのオーナー様の為に
必死になって入居斡旋をすることになること必定です。
仲介料タダで「早く決め
てくれ!」と怒るよりも、「仲介料1ヶ月分と広告料1ヶ月分出すから、早く決め
てくれ!」と言う方が、良い入居者が早く決まって得ではありませんか?
⑥
以上のように、入居一時金を緩和する場合、入居者にメリットが多いので、「契約
の終期を、2年後とせずに、2月末とか3月10日まで」として、次の案内の時にお
客様が多い時期に明渡し・案内ができるようにすることと組み合わせると、次の空
室対策になります。
⑦
更に、若い入居者は、お金の余裕がありませんので、カーテン、電話、テレビ、ベ
ット、冷蔵庫、洗濯機等々を備え付けて、すぐ入れるようにしておくのも、「賃料
を下げずに空室を埋める」対策の一つになります。
⑧
また、当社では禁止しておりますが、即効性のある空室対策として、「謝礼」があ
ります。契約ができたら、小額の商品券などで謝礼をします。サラリーマンの担当
者は、どこの部屋よりも先に案内してくれますので効果抜群です。
(8)以上の他、入居者に「賃料を下げないで、できれば上げて、空室を埋める」方法
として、「掃除の仕方」「案内時の部屋の整え方」「入居のしおり」「部屋の鍵」
「オーナーからの手紙 」「入居者に入居者を紹介してもらうシステム 」「入居者に
住み続けてもらうサービスシステム」「賃料以外にアパートに稼がせるシステム」
「失敗しないアパート建設の仕方」等々賢いオーナー様になって、不動産業者を
上手に利用し、「賃料を下げずに、空室を埋める賢い賃貸経営術」を次回にも書く
予定です。
今日はこれまでにて失礼します。
2007年8月18日記