1 - 一般社団法人 日本建設業連合会

1.平成22年度事業報告
(1)会員の増減異動
会員数
正会員
138社
特別会員
5社
( 平 成 23 年 3 月 31 日 現 在 )
年度内増減異動について
入
会
なし
退
会
大末建設㈱
[平 成 22 年 4 月 30 日 付 ]
小牧建設㈱
[平 成 22 年 7 月 31 日 付 ]
真柄建設㈱
[平 成 23 年 3 月 31 日 付 ]
会 員 名
(㈱を省略)
(五十音順)
○正会員
アイサワ工業
青木あすなろ建設 あ お み 建 設
淺川組
淺沼組
新井組
荒井建設
安藤建設
池田建設
勇建設
石黒建設
石山組
伊藤組土建
岩倉建設
岩田地崎建設
植木組
植村組
梅林建設
大木建設
大林組
大林道路
大本組
岡谷組
奥村組
奥村組土木興業
オリエンタル白石
ガイアートT・K
加賀田組
鹿島建設
鹿島道路
加藤組土建
株木建設
北野建設
九鉄工業
共立建設
クボタ工建
熊谷組
京王建設
京急建設
広成建設
公成建設
交通建設
鴻池組
五洋建設
坂田建設
札建工業
佐藤工業
三軌建設
三幸建設工業
シーエヌ建設
ジェイアール東 海 建 設 島 田 組
清水建設
新谷建設
西濃建設
西武建設
錢高組
仙建工業
相鉄建設
第一建設工業
大旺新洋
大成建設
大成ロテック
大鉄工業
大日本土木
大豊建設
大和小田急建設 竹中工務店
竹中土木
多田建設
田中組
田辺建設
TSUCHIYA
坪井工業
鉄建建設
東亜建設工業
東亜道路工業
東海興業
東急建設
東鉄工業
東洋建設
徳倉建設
戸田建設
飛島建設
中山組
奈良建設
南海辰村建設
西田工業
西松建設
日特建設
NIPPO
日本国土開発
日本道路
ノバック
間組
橋本店
ハンシン建設
ピーエス三菱
久本組
菱中建設
廣野組
深 田 サルベージ建 設 福 田 組
冨士工
フジタ
不動テトラ
北都組
本間組
前田建設工業
前田道路
松井建設
松尾建設
松尾工務店
松村組
松本建設
馬淵建設
丸磯建設
丸彦渡辺建設
丸山工務所
三井住友建設
宮坂建設工業
宮 地 エンジニアリング み ら い 建 設 工 業 村 本 建 設
名工建設
森組
森本組
矢作建設工業
ヤマウラ
山田組
ユニオン建設
横河工事
吉川建設
吉田組
寄神建設
ライト工業
日立造船
三井造船
り んかい日産建設 若 築 建 設
○特別会員
新日鉄エンジニアリング 住 友 金 属 工 業
JFE エンジニアリング
(平成 23 年 3 月 31 日現在)
(2)事業概要
わが国経済が依然として回復の兆しを実感できない状況にある中、民間建設
需要の低迷に加え、公共工事関係費が前年度比で約18%減となった平成22
年度の建設業界は、まさに危機的状況に直面したと言っても過言ではない。
こうした逆境を打開するため、当協会は、景気対策や雇用対策の的確かつ迅
速な実施を関係方面に繰り返し訴えるとともに、わが国の土木建設業界を先導
する企業集団としての責務を果たすため、
「魅力ある建設企業群の実現」を目指
し、事業計画に示した諸活動を積極的に展開した。その重点課題は以下の3点
である。
第一は、
「社会基盤整備の役割に関する積極的な情報発信」である。わが国の
更なる発展、今の我々が享受している安全・安心な暮らしを次世代に確実に引
き継いでいくためには、今後も継続的な社会基盤整備が不可欠であるという基
本認識のもと、今日の生活基盤や経済基盤を築くために、建設企業がこれまで
に果たしてきた重要な役割を再認識し、各種広報活動や現場見学会などを通じ
て、自らの役割を社会に主張し続けていくことが大切である。
このような観点から、機関誌、ホームページ、学生向けフリーペーパーのほか、
各種イベントを通じて、社会基盤整備の意義やそれを担う建設企業の役割などの
情報を、大人から子供まで積極的に発信した。特に22年度は、
「100万人の市
民現場見学会」について、参加者200万人達成を記念したイベントを全国で実
施した。
第二は「魅力ある建設企業群の実現に向けた活動」である。魅力ある建設企
業群を実現するためには、企業として健全で持続的な発展が可能となるよう適
正な利益を確保できる仕組みが不可欠である。そのため、当協会では、入札・
契約といった建設生産システムの入口段階の問題から、工事途中における設計
変更、更には検査・支払・評価といった出口段階に至るまで、会員企業が抱え
る諸問題の解決に向けた取組みを展開した。
まず協 会自 体が自 ら 積極的 にその改善に取組むことを前提とした上で、
毎年5、6月に国土交通省との共催により開催している「公共工事の諸課
題に関する意見交換会」において、総合評価方式の改善や建設現場における
生産性向上と適正利益の確保などの課題について意見交換を行うなど、受発注
者双方が対等な立場で議論できる意見交換の場を積極的に設け、より良い
制度の構築に取組んだ。
また、協会活動を支える根幹である委員会活動では、引き続き会員ニー
ズに的確に対応した活動を推進した。
第三は「わが国の経済社会の活性化に貢献する活動」である。欧米諸国は公
共投資を含む内需拡大策によりデフレからの脱却を図っており、急速な成長を
遂げたアジアの各国は存在感を高めている。こうした世界経済の構図の中で、
わが国は長引く円高と内需低迷により、国内企業の工場等の海外立地が加速し、
内需と国内雇用がますます低下する悪循環に陥りつつある。
当協会は、こうした状況を打開するための方策として、高速道路、新幹線、
リニア新幹線、ハブ空港、ハブ港湾、ソーラー発電、クリーン型エネルギー事
業など、採算性を確保し、流通コストやエネルギーコストを減少する、
「成長促
進型の公共事業」の推進による景気浮揚と内需主導型の経済成長を提唱し、国
土交通大臣との懇談会など、あらゆる機会を捉えて、その実現を強く訴えた。
また、当協会は、昭和24年4月に設立以来、土木分野の中心的な団体とし
て、社会資本整備の一翼を担うとともに、建設業の健全な発展のために活発な
活動を展開して、様々な成果をあげてきた。しかし、わが国の経済社会と建設
業界が大きな転換期を迎えつつあることから、建設業団体としての諸活動をよ
り強力に展開し、建設産業に対する国民の信頼をより確かなものにするために、
平成22年4月の総会において、日本建設業団体連合会、建築業協会との合併
を提案し、「三団体統合の検討に当たっての土工協の基本方針」を決議した。
そして、この基本方針に基づいて合併に向けた検討を行い、22年12月2
日には合併契約書の締結に至り、同12月17日には臨時総会を開催して、三
団体の合併に対する会員の総意を得て、国土交通省に合併認可申請を行った。
この間、新団体のあり方、新団体名、新定款の作成、団体活動の中心となる委
員会組織の再編・整備、会費制度や諸規定の見直しなどを行い、本年4月1日
には、新たな「社団法人日本建設業連合会」が誕生した。
以上の重点課題を含め、当協会は、22年度の事業計画に基づき、以下のよ
うな事業活動を行った。
なお、3月11日の東日本大震災の発生後、当協会は直ちに関係機関との連
絡体制を構築して会員への的確な情報伝達を行ったほか、東北支部の体制強化
を図るなど、本・支部が一体となった支援体制を確立して、復旧活動に協力し
ている。
1 公共事業の円滑な実施
総合評価方式が国から地方へと広く普及する中、同方式の更なる改善や多様
な調達手段の活用など、入札制度の改善に関する検討を中心に、公共事業の円
滑かつ効率的な実施に向け、以下の活動を行った。
(1)「公共工事の諸課題に関する意見交換会」の開催
国土交通省との共催で行っている「公共工事の諸課題に関する意見交換会」
を22年度も継続して開催した。
国土交通省各地方整備局および北海道開発局、内閣府沖縄総合事務局、地
方公共団体や各高速道路会社、独立行政法人等の出先機関等と当協会本・支
部の関係者が出席し、事業執行上の諸課題について意見交換を実施した。な
お、22年度からは新たに鉄道・運輸機構にも北海道、関東、北陸、関西の
4地区での参加が得られた。
22年度の意見交換会における協会側からの提案テーマは以下のとおり。
<協会側提案テーマ>
①総合評価方式の改善
②民間の技術力を活かした発注方式の積極的な導入拡大等
③実効性のある低入札防止対策の導入・実施
④建設現場における生産性向上と適正利益の確保
・設計変更の円滑かつ確実な実施
・出来高に応じた請負代金の適正な支払
・受発注者のコミュニケーションの促進
以上の提案テーマに基づく意見交換のほか、当協会の三つの重点課題につ
いても活発な意見交換を行った。
意見交換会の結果は、国土交通省に報告するとともに、当協会で対応を図
るべき課題については、各委員会活動に反映して、それぞれ取組んだ。
(2)総合評価方式の改善
公共投資の削減に加え、民間設備投資も大幅に冷え込み、市場規模が急激
に減少する中、建設市場は過当競争に陥り、公共工事の受注競争は調査基準
価格のぎりぎりを狙う厳しい価格競争となる状況が続いている。このため、
現状の総合評価方式の課題を踏まえ、技術評価に有意な差が付く評価項目や
評価方法の改善に向け、21年度に引き続き実態把握を目的として調査研究
を行った。
また、国土交通省に設置された「総合評価方式の活用・改善等による品質
確保に関する懇談会」の検討テーマのうち、「入札・契約制度等の透明性確
保に関するアンケート調査」や「高度技術提案型総合評価落札方式に関する
アンケート調査」などに協力するとともに、公共工事委員会各社の回答を踏
まえ、総合評価方式等の改善に向けた課題を整理した。
(3)低価格入札等への対応
国をはじめ高速道路会社、鉄道・運輸機構等の関係機関、および地方公共
団体の低入札防止対策に関する制度等を調査するとともに、会員会社の低価
格入札の実態の把握に努めた。このうち、地方公共団体については、発注方
針や制度上の課題を含め、各支部を中心に実態を調査するなど調査研究を行
った。
(4)高速道路会社との意見交換会
高速道路会社と実務者レベルの意見交換会を、引き続き、本部と各支部が
連携を図りながら、適宜、本部あるいは支部主催により開催した。本部主催
の意見交換会は、7月に東日本高速道路㈱、12月に首都高速道路㈱および
中日本高速道路㈱とそれぞれ開催した。
意見交換会では、会員会社から高速道路会社発注工事の現場を対象に実施
したアンケート調査により課題を抽出し、入札・契約制度や、設計変更の適
正化をはじめとする現場管理の運営上の課題を中心に意見交換した。
(5)新たな発注方式に関する調査研究
国土交通省において新たに試行された二段階選抜方式等について、選抜方
法、望ましい適用工事などに関する調査研究を行った。
また、国土交通省に設置された「国際的な発注・契約方式の活用に関する
懇談会」における設計・施工におけるコンソーシアムの導入の検討に際して、
国土交通省からの意見照会やヒアリングにおいて、実態を踏まえたコンソー
シアムの形態等について意見具申した。
(6)PPP、PFIによる社会資本整備の調査研究
PPP、PFIによる社会資本整備の事業化の可能性や条件整備など、官
民が協働で取組むことができる仕組みについて調査研究を進めるため、国土
交通省におけるPPP、PFI、あるいは海外展開に係る委員会などの検討
経過について情報収集した。
(7)指名停止措置に関する検討
近年、総合評価方式の定着とともに、高度な技術力を活用する発注方式の
普及に伴い、入札手続き期間は長期化し、技術提案に伴う施工会社の負担(マ
ンパワー、コストなど)も増加している。一方、指名停止措置は、手続き中
の工事は入札参加取消しの措置を受けることから、従前に比べ企業経営に与
えるリスクが大きくなっている。
こうした現状を踏まえ、指名停止措置に伴う入札参加取消しの考え方を整
理し、発注者に対して、本来の趣旨に則った運用を要望するために、指名停
止や入札参加取消し措置の事例を調査し、分析を行った。
(8)支払ボンド等に関する検討
国土交通省が設置した「新たな下請代金債権保全策検討委員会」の議論に
合わせて、支払ボンドや信託方式における元請業者への影響など、具体的な
債権保全策に関する課題を抽出し、適宜、国土交通省と意見交換した。
(9)CALS/ECに関する検討
国土交通省直轄工事において全面実施されている電子納品は、他の発注機
関へも拡大しつつあるが、例年実施している当協会の調査結果では、改善さ
れるべき課題はまだまだ多い。このため、国土交通省との意見交換会の場を
通じて実態報告をするとともに、課題解消のための提案を行った。その結果、
22年9月に同省が改定した「工事完成図書の電子納品等要領」、「電子納
品等運用ガイドライン【土木工事編】」等において電子納品の簡素化が図ら
れ、当協会の意見が大きく反映される結果となった。
また、21年3月、新たに策定された「国土交通省CALS/ECアクシ
ョンプログラム2008」に関して、具体的な活動の母体となるCALS/
EC推進会議に複数の委員を派遣し、アクションプログラムの各目標につい
て意見具申を行った。
(10) マクロ経済計量モデルを活用した調査研究
(財)建設経済研究所に調査を継続して委託し、マクロ経済計量モデルを
使った建設投資見通し、および経済成長戦略として公共投資の役割と効果に
ついて調査研究を行った。
2 請負契約制度の改善
契約形態の多様化や国際化に対応し、建設工事の合理的かつ適正な施工
を図るため、国際的な標準に沿った契約方式である設計・施工一括発注方
式の円滑な実施、施工プロセスを通じた検査の導入による、検査・監督の
効率化・簡素化に向けた検討を行った。
(1)設計・施工一括方式の改善
設計段階に遡って、施工業者のノウハウを活用する設計・施工一括方式に
ついて、公告段階から施工段階における課題を収集・分析し、本発注方
式 の プ ロ セ ス 全 体 にお け る 受 発 注 者 の リス ク 分 担 お よ び 運 用の あ り 方
について検討を行うとともに、国土交通省が20年3月に作成した「設計・
施工一括及び詳細設計付工事発注方式実施マニュアル(案)」に関する問題
点や改善方策を検討した。
これらの検討を踏まえ、リスク分担の明確化やその前提条件、特記仕様書
への具体的な記載例など、運用の改善に向けた調査研究を行った。
(2)工事請負代金の適正な支払いの推進
国土交通省においては、出来高に応じた請負代金の適正な支払いやその
前提となる検査の抜本的な改善を図るため、22年度から「施工プロセス
を通じた検査」が本格的に導入されている。その実態を把握するため、会
員会社が受注した案件における、品質検査員導入によるプロセス検査、監
督員と品質検査員の役割分担、既済部分検査や出来高部分払い、設計変更
の状況などに関するヒアリングおよびアンケート調査を実施した。
また、従前より「施工プロセスを通じた検査」と類似の取組みを実施し
ている高速道路会社についてもその内容を調査し、課題を整理した。
(3)技術者制度に関する検討
昨今の公共事業の減少や団塊世代の技術者の退職等により、若手技
術者の育成が喫緊の課題となっていることを踏まえ、会員会社の監理
技術者資格保有者数などの現状を把握し、若手技術者の資質や技術力
の向上に向けた方策の検討を行った。
あわせて、「監理技術者資格者証の交付廃止」や「監理技術者講習
の義務化廃止」に代わる方策について検討を行い、当協会の意見を取
りまとめ、国土交通省が設置した技術者制度検討会へ提出した。
(4)公共工事請負契約に関わる国等の委員会への対応
(財)日本建設情報総合センターの「電子入札コアシステム」や「コ
リンズ・テクリス」の運用改善に向けた検討委員会へ参加し、両シス
テムの改善提案を行った。
また、現在、法務省の法制審議会民法(債権関係)部会で行われている
民法改正に向けた検討状況について情報収集を行うとともに、民法改正に
伴う建設業への影響について検討を行った。
3 積算の適正化と資材対策の推進
現場における生産性向上と適正利益の確保に関する検討、工事における採
算性の向上、民間の技術力を活用した発注方式の活用、主要建設資材の動向
把握、鉄道工事における契約積算上の課題の改善など、幅広い調査研究活動
を展開した。
(1)現場における生産性向上と適正利益の確保に関する検討
建設現場において生産性の向上を図り、工事品質と適正利益を確保するた
めの一環として、22年度から国土交通省直轄工事で本格導入が始まった総
価契約単価合意方式について、単価合意の実態を調査して、設計変更や支払、
新規工種の追加などの円滑化につながる単価合意のあり方を検討した。
また、設計変更や工事一時中止ガイドラインの活用状況、設計変更審査会・
三者会議・ワンデーレスポンスの実施状況のフォローを行うとともに、設計
変更書類の作成に係る受発注者の役割分担のルール作りや工事情報共有シス
テムのあり方などに関する実態調査を実施して、より双務性の高い設計変更
のあり方を検討した。
(2)工事の採算性改善への取組み
下水道の再構築工事をはじめとするリニューアル工事については、施設を
運用しながら更新していくという工事特性が積算に十分反映されておらず、
低採算となる工事が多いことから、その原因把握を行った。
また、設計内訳書の一式計上は、施工上の条件明示が不十分で、応札に当
たって見積りや発注者への質問に多大な労力を要するなど、受発注者双方の
負担となっている。このため、実態調査を行い、22年11月に開催した下
水道意見交換会議(国土交通省、日本下水道事業団、地方公共団体と建設業団
体との間で毎年開催)において改善を要望した。
そのほか、設計者と施工者の情報共有による設計と施工の品質向上を目指
し、(社)全国上下水道コンサルタント協会と意見交換を行った。
(3)公共工事における新技術活用に関する調査研究
21年度の技術開発・工事一体型調達方式による発注案件に応札した企業
に対し、国土交通省が実施したフォローアップ調査に協力したほか、今後の
当該調達方式の実施拡大に向け、適用対象となる開発技術とその技術の活用
の場となる工事の具体案や、課題、問題点、要望などを取りまとめ、国土交
通省に提出した。
また、22年度発注工事のフォローを行い、当該調達方式が受注者に新技
術を開発するインセンティブがより強く働く発注方式となるよう改善策を検
討した。
(4)鉄道工事の契約・積算上の課題の改善
鉄道建設工事の収支採算性の確保、発注者と受注者間における契約・積算
関係の適正化に向け、請負工事アンケート調査および現場ヒアリング等を引
き続き実施し、これに基づき契約・積算関係に係わる改善事項を分析、整理
し、関係機関と意見交換を行った。
鉄道・運輸機構発注工事における共通仮設費、現場管理費の経費率改定、
場所打ち杭掘削機の使用機種の見直し等において一定の成果が得られた。
(5)主要建設資材の地区別市況と需給動向調査
全国9都市における主要建設資材の動向を毎月調査し、これを公表するこ
とを通じて関係方面への理解浸透に努めた。
(6)主要資材の需給動向への対応
主要建設資材の今後の価格動向や各機関発行資料への掲載価格と実
勢価格 の乖 離等 につ いて、(財)建設物価調査会、(財)経済調査会と意
見交換を行うとともに、鋼材を取扱う商社へヒアリングを実施し、各種鋼材
製品の生産量・価格動向等について情報収集を行った。
4 技術開発と維持管理技術の推進
土木建設市場に対する新たな建設需要の創造のためや、建設需要の動向の変
化にそった広範囲な土木建設技術の開発・促進のために、諸活動を実施した。
(1)コンクリート施工技術の向上に関する調査研究
コンクリート構造物の品質を確保し耐久性向上を図るためには、施工の各
プロセスにある品質阻害要因を把握し、排除することが必要である。
最近の10年間はコンクリートの初期欠陥排除の調査研究に取組んできた。
20年3月のコンクリート標準示方書の改定を踏まえて、平成5年に刊行し
た「コンクリート構造物の耐久性を向上させるための施工Q&A」の大幅な
修正を行い、最新の技術情報を取入れ若手から中堅の技術者用テキスト「コ
ンクリート構造物の品質向上のための施工Q&A」を作成した。
11月に東京と大阪、2月に仙台と名古屋、3月に札幌でコンクリートセ
ミナーを開催した。
(2)今後の技術開発の方向性に関する調査研究
わが国の建設技術は、交通網の整備、居住環境の整備、エネルギーの確保
等の社会の要請に応えるべく創出された各種の国家プロジェクトを遂行する
過程で産・官・学が協力して取組んだ技術開発の成果であった。
しかし、近年は建設市場の縮小による厳しい経営状況や制度の変化により、
技術開発への投資意欲の減退が建設業界の問題として認識されている。
こうした中で、これからの社会資本整備の要請に応えるためには、技術開
発は重要な意味を持つものであり、社会の要請に応えるために必要な技術開
発の「方向性」、「手法」、「制度」等について調査研究を行った。
(3)技術の伝承を担う後継者確保に向けた調査研究
21年度、土木構造物の建設技術の変遷を調査し、今後とも社会資本整備
に不可欠で、かつ廃れる恐れのある主な土木技術を抽出し、将来に向けて如
何に伝承するか、その対応策について調査研究し報告書として取りまとめた。
一方、技術を伝承するためには、それを担う優秀な後継者の建設産業への
入職を図るあるいは増やす必要がある。
22年度は、土工協の関係委員会とも連携・協働して“あくまで土木技術の
活用を主眼として、魅力ある土木業界を取戻す”、結果として入職者を増や
す活動に向けた対応策について検討を行った。
(4)地球環境技術に関する調査研究
地球温暖化対策や自然エネルギーの利用に関し、建設業が取組むべき技術
と課題について、建設業界内外の環境分野に関連する有識者、先駆者を講師
とした勉強会をはじめとして、建設業界が低炭素社会の構築などに対して果
たす役割、新たなビジネスの可能性、必要となる技術についての調査研究を
実施している。
22年度は、「アニマルパスウェイ」、「海洋バイオマスエネルギー」、「環
境共生都市開発」等に関する取組みについて具体の状況を把握した。
(5)最新のテーマに関する技術研修会の実施
建設技術者が最新の建設技術に関する知識を修得することを目的に、昭和
55年より国土交通省の後援のもと、(財)全国建設研修センターとの共催
により、建設技術研修を開講している。22年度は、21年度に引き続き「コ
ンクリート構造物の維持管理・補修」研修を11月24日~26日の3日間、
「土壌・地下水汚染対策と浄化事例」研修を12月8日~10日の3日間に
わたり開催した。
また、当協会主催による「新技術・新工法講習会」を12月10日に開催し
た。
さらに、現場研修会を「鹿児島3号新武岡トンネル新設(2期)工事」の
現場で11月19日に開催した。
5
電力建設技術の調査研究
電力の安定供給に向けた廉価で高品質の施設建設に資するため、電力土木施
設に関する技術調査、発注者である電力関係者との連携強化や意見交換などを
実施し、今後必要とされる電力施設建設技術の方向性について調査研究を行っ
た。
(1) 電力施設建設技術に関する調査研究
①「電力土木構造物における健全性調査・診断および補修技術」の発
刊
電力土木構造物の健全性評価およびその対策が重要な課題となっている
ことから、電力土木構造物の調査・診断・補修技術について目的別に分類
した上で、個々の技術を体系化するための調査を行った。
電力施設の維持更新の実態把握、調査・診断技術の事例収集等を踏まえ、
会員会社の保有する多様な補修・補強技術の分類、整理を行い、
「電力土木
構造物における健全性調査・診断および補修技術」を取りまとめ、発刊した。
この成果の概要版を活用し、23年2月に(社)電力土木技術協会主催
の「第53回電力土木講習会」において、電力会社技術者等の聴講者を対
象に成果の発表を行った。
②講演会の実施
22年4月に、電気事業連合会の担当者を招いて、平成22年度供給計
画の概要について聴講し、意見交換を行った。
また、22年12月に、(財)電力中央研究所の担当者を招いて、「電中
研における土木・環境分野の研究―現状と将来課題―」について聴講、意見
交換を行った。
③技術研修会の実施
22年10月に、北海道電力㈱が建設中の京極水力発電所新設工事を見学
し、現場担当者等と施設建設に関する技術的課題について意見交換を行った。
また、22年11月に、東京電力㈱が建設中の浮島太陽光発電所(仮称)
建設工事を見学し、現場担当者等と施設建設に関する技術的課題について意
見交換を行った。
(2) 先端技術情報の収集
22年7月に、独立行政法人宇宙航空研究開発機構地球観測センターを見
学し、広い分野にまたがる先端技術の収集と活用策の検討および施工技術に
関する研究の一環として、地球観測衛星を用いた衛星リモートセンシング技
術、地球観測衛星から送られてくる画像データ処理等に関する先端技術につ
いての意見交換を実施した。
(3) 関係団体との連携
(社)電力土木技術協会など関係団体に委員を派遣し、活動の企画、立案に協
力しながら、電力各社が求める最新のニーズの把握に努めた。
6 鉄道建設事業の効率的な推進
鉄道建設事業の推進のため、発注者との意見交換の実施、鉄道建設技術の維
持向上、技術の承継等のため、以下の活動、調査研究を行った。
(1)発注者との意見交換の実施
鉄道建設を取巻く内外情勢を踏まえつつ、鉄道建設事業の進め方、契約、
積算等に関する諸課題の改善に向け、鉄道・運輸機構幹部と意見交換を実施
した。
(2)鉄道施工技術に関する調査研究
RCラーメン高架橋の過密配筋問題等の解消に向け、21年度から引き続
き、鉄道高架橋の設計・施工における技術課題の抽出と対策について調査研
究を行った。
また、トンネル施工技術について、長大トンネルの環境保全技術に資する
換気方式の調査研究を行った。
(3)鉄道建設工事技術者の育成
鉄道建設工事現場技術者の技術力の向上、鉄道固有技術の伝承を図るため、
「鉄道建設工事技術講習会」を全国7箇所で実施し、約820名が受講した
(会員外約70名を含む)。
(4)設計図書類等の適正化に関する調査研究
工事発注から完成までの間の契約制度、設計図書、設計変更実務等の諸課
題について改善項目の抽出を行い、契約制度および契約条項の的確な運用に
向けた調査研究を進めるとともに、課題の改善に向けて検討した。
(5)海外鉄道整備方策の調査研究
PFI方式で建設された鉄道の運営、維持管理の実態を把握するため、台
湾高速鉄道の現地視察調査を行い、その結果を報告書に取りまとめた。また、
わが国の新幹線や都市鉄道建設技術を海外鉄道事業で活用するための諸方策
の検討に資する国内外の情報収集を行った。
(6)鉄道建設事業活動に関する諸情報等の提供
22年度の鉄道交通講演会「21世紀の環境新時代を拓く」を1月28日
に経団連会館にて開催し、(社)海外鉄道技術協力協会高木常務理事による
「近隣諸国の高速鉄道整備の動向と日本」および京都大学大学院工学研究科
中川教授による「新たな高速鉄道時代にむけて」についての講演を受けた。
当日は会員会社のほか国土交通省、鉄道・運輸機構、鉄道事業者および関係
団体から300名を超える参加を得た。
7
海洋開発建設事業の計画、設計、施工に関する調査及び研究
わが国は、国土面積では世界で60位程度であるが、排他的経済水域等のわ
が国が管理する海洋面積では世界6位の海洋国家である。こうした優位性を活
かした国づくりを進めるため、20年3月には、海洋基本法に基づく海洋基本
計画が閣議決定され、海洋に関する基本方針と集中的かつ総合的に推進する施
策を明確化し、新たな海洋立国を目指すことが国家目標として打ち出されてい
る。
こうした情勢を踏まえて、海洋基本計画に基づく海洋の利用と保全のための
諸課題や、空港プロジェクト等に関する諸技術の課題について検討を行うとと
もに、プロジェクトの推進制度や事業手法等に関する調査研究に取組んだ。ま
た、これらの調査研究活動の成果が広く活用されるよう、印刷物の配付や協会
ホームページにより情報発信に努めた。
(1) 海洋基本計画に基づく主要な課題に関する調査研究
海洋基本計画では、海上輸送の確保、海洋の安全の確保、沿岸域の総合的
管理、離島の保全等、関係機関が連携して集中的に実施すべき施策が12項
目に分けて記述されている。
これらを踏まえ、当協会の関わりが深い項目、もしくは建設分野としての
関与を深めるべき項目として選定した洋上プラットフォームの建設技術、海
面上昇等地球温暖化対策、マリンバイオマス等海洋資源開発、東アジアの海
上輸送路問題について検討し、その成果を「海洋開発技術に関する調査研究
報告書」として取りまとめた。
引き続き、わが国港湾が国際競争に勝ち抜くための方策、再生可能エネル
ギーの活用方策、沿岸域の総合的管理を進めるための方策等に関する検討を
行った。なお、調査研究に当たっては、海洋に関する問題が、極めて広範で、
様々な分野との関わりを有するため、有識者や関係機関との意見交換等を積
極的に行った。
(2) 海洋開発建設技術に関する調査研究
海洋開発プロジェクトを円滑に実施し、あるいは新たなプロジェクト
を具体化するためには、様々な技術課題の解決や、新技術の活用が求められて
いる。
これらに効果的に対応し、優れた海洋開発技術を提案するため、沖合
海洋における課題に着目して、沖ノ鳥島の保全と利用可能性に関する調
査研究を行うとともに、海洋の管理という新たな視点に立った離島の役
割に関する調査研究を行った。このうち、離島の問題については、土木
学会の海洋開発委員会と連携して検討を行った。
(3) 空港建設技術に関する調査研究
増大する航空需要に対処するとともに、わが国の国際競争力の強化を図る
ためには、今後とも拠点的な空港の整備と機能の向上が不可欠である。
首都圏においては、成田空港の滑走路延長と羽田空港の再拡張事業の効果
を見込んでも、近い将来には再び需給が逼迫するといわれている。また、福
岡空港や那覇空港など、既に需給が逼迫している空港や、中部空港のように
将来を見据えた拡張計画の検討が求められている空港もある。
こうした情勢を踏まえ、経済的、効率的な空港の建設技術を提案するため、
羽田空港に着目して、主にストックの有効活用の観点から、処理容量拡大策
について検討を行い、その成果を「羽田空港の処理容量拡大策に関する調査
研究報告書」として取りまとめた。引き続き、羽田空港の容量拡大に向けた
課題や、国際・国内ターミナル連絡交通システム、ターミナル用地拡張策及
び空港分野におけるPPPの可能性等に関する検討を行った。なお、調査研
究にあたっては、航空管制や空港運用に関する有識者や関係機関との意見交
換等を積極的に行った。
(4) その他の活動
現地調査や外部講師による講演会等を行い、海洋の建設技術について情報
の収集に努めるとともに、レポートの配付等により、関係機関に対して調査
研究成果を積極的に情報発信した。また、海洋資源・産業ラウンドテーブル
に参加するなど、関係機関との意見交換を積極的に行うとともに、関係機関
からの技術協力等の要請にも積極的に対応した。
8 安全・衛生・労働対策および公衆災害防止対策の推進
建設工事に携わる関係者の労働災害・職業性疾病の防止、現場環境の改
善および交通・地下埋設物・火薬類に係る公衆災害防止のための諸対策の
着実な展開を図るため、以下のような調査研究、啓発活動等を行った。
また、発注機関および行政機関等の外部団体が主催する各種の委員会・検討会
等にも委員を積極的に派遣、そこで決定された対策等を会員会社に周知し、会
員会社の安全衛生に対する意識向上に努めた。
(1)労働災害防止への取組み
労働災害の防止対策について、なお一層の推進・定着を図るため、6月を
「平成22年度災害防止対策特別活動」月間と定め、活動要請文書の発信、
活動実施要領、趣旨リーフレットを作成し、会員会社の作業所等に配布した。
22年度の活動テーマは、墜落災害、重機災害、土砂崩壊災害の三大災害
の防止とし、各地方整備局等の発注工事を対象に現場パトロールを8現場で
実施した。
(2)職業性疾病防止への取組み
トンネル工事における粉じん障害防止対策については、20年に厚生労働
省が策定した第 7 次粉じん障害防止総合対策の徹底を図っている。なお一層
の展開を図るため、10月を「平成22年度粉じん障害防止対策推進強化月
間」と定め、会員会社の全トンネル工事現場を対象に活動要請文書を発信、
活動実施要領、ポスター・リーフレットを作成配布するとともに、国土交通
省、鉄道・運輸機構等を発注先とする現場を全国8箇所でパトロールを行い、
粉じん障害防止活動を展開した。
(3)過重労働・メンタルヘルスへの取組み
19年に策定した「新たな活動方針」の中で示されている「働く人が生き
生きと仕事のできる建設ものづくり体制の構築」に向けて、
「現場環境改善に
向けた問題点の整理」を実施した。
会員会社を対象に実施した「施工現場における労働時間に関するアンケー
ト調査結果」で、現場従事者の長時間労働の実態を把握した。長時間労働は
発注者への提出書類が多いことや適正な工期設定がなされていないことな
どが主因であるため、この解決に向け個別現場に対してのヒアリング項目等
の検討を行った。
(4)交通・地下埋設物・火薬類に係る公衆災害防止への取組み
交通・地下埋設物・火薬類に係る公衆災害防止のため、各種事故防止対策
の調査研究、建設工事現場の点検・指導、事故防止対策の優良事業場表彰、
支部に対する指導等の諸活動を強力に実施した。
また、各地の高速道路会社の現場において、各社の要請に応えて合同安全
パトロールの実施に協力し、事故防止の徹底に努めたほか、春秋の全国交通
安全運動等の安全に関する公的活動に積極的に協賛した。
教育広報活動については、交通安全懸垂幕、地下埋設物安全旬間ポスター
等を作成配付するとともに、現場用教育資料として「建設工事交通事故防止
対策指針」、「地下埋設物の事故防止のための留意事項と事故例」、「火薬
類の盗難と発破事故事例集」等の改訂を行った。
また、ホームページに会員企業に役立つ情報を提供するとともに、内容の
充実に努めた。
講習会については、本部において、本・支店安全担当者および現場管理者
を対象に開催したほか、支部の各種事故防止講習会にも本部専門委員を講師
として派遣するなど、安全意識の高揚と事故防止対策の徹底に努めた。
また、現場点検結果に基づき、現場の要望事項等について、地下埋設物管
理者の理解を得るため、地下埋設物対策部会において、意見交換会を実施し
た。
9 鉄道工事における事故防止活動の推進
鉄道工事に伴う現場の安全確保、第三者災害の防止、環境保全を図るため、
工事現場の安全パトロールを実施するとともに、安全標語の募集、安全ポスタ
ーおよび安全図書の作成配布等を通じて、工事現場職員や作業員の安全意識の
高揚を図り、鉄道工事現場における災害防止に努めた。
(1)鉄道工事現場安全パトロールの実施
鉄道工事現場の安全対策や現場作業員指導実態等の把握および推奨、改善
事項の水平展開を目的として、10月および11月に鉄道・運輸機構北陸新
幹線第二建設局管内の北陸新幹線(富山地区)建設工事現場(4工区)、北
海道新幹線建設局管内の北海道新幹線建設工事現場(2工区)において安全
パトロールを実施し、その結果を踏まえて両局幹部との意見交換会を開催し
た。
(2)列車運転阻害事故防止パトロールの実施
列車運転阻害等の事故防止を目的として、12月にJR東日本東京工事事
務所所管の東北縦貫線建設工事南工区において、夜間作業を対象に現場パト
ロールを実施し、その結果を踏まえ、同工事事務所幹部との意見交換会を開
催した。
(3)安全、環境保全標語の募集
安全意識の高揚の一環として、安全、環境保全標語の募集を行った。会員
会社をはじめ協力会社の社員、作業員および関係発注機関の職員から約53
00点の応募があり、選考委員会において15点の入賞作品を選定するとと
もに、最優秀作品をもとにした安全ポスターを作成して、会員会社や鉄道工
事の発注者に配付した。
(4)安全関係図書類の作成
鉄道建設工事の事故防止を目的に、鉄道・運輸機構、JR各社等の協力を
得て、「鉄道建設工事事故事例集」の編集作業を行った。23年6月に発刊
し、現場教育、現場管理実務教本として会員会社等に配布する。
10 海上における建設工事の安全環境対策の推進
海上における建設工事に伴う各種災害の予防と公害防止、環境保全に係る諸
対策の着実な展開を図るため、大規模海洋工事地区に設置している地区協議会
と連携して、以下の点検、調査研究等を行った。
(1)地区協議会工事現場の点検、指導および表彰
11月に東京港新海面処分場建設工事および北九州港新若戸道路沈埋トン
ネル部建設工事の2地区協議会の5工事現場を対象に現場点検を実施し、必
要な指導を行った。また、現場点検実施に伴って、3共同企業体等および協
力会社の団体3社、個人3人に対し、3月に委員長表彰を行った。
(2)地区協議会未設置工事現場への点検等の支援
9月、10月に小名浜港東港地区臨港道路航路部桟台工事、神戸港六甲ア
イランド地区航路・泊地等浚渫(附帯施設)工事(第1工区)および広島港
港湾環境整備工事(出島21-1工区)の3工事現場を対象に現場点検を実
施し、必要な指導を行った。
(3)現場教育資料の作成
現場の安全環境対策に役立つ教育資料として、海上工事の交通安全対策、
公衆災害・労働災害防止対策および公害防止・環境対策に関する工事現場向け
のポケット版リーフレットを担当部会ごとに新規作成した。
(4)研修会の実施
海洋開発工事に関する知識の向上を目的として、11月に国土交通省港湾
局から講師を迎え研修会を実施した。
(5)地区協議会に対する情報の提供、安全環境活動への支援
地区協議会に対し、国土交通省等関係省庁からの海洋工事に関係する通達
等を配布したほか、「全国安全週間」等安全行事の実施および地区協議会分
会への新規加入に際し、標語ビラ、ポスター、懸垂幕等の安全広報資料を配
付した。
(6)IMSBCコード未掲載貨物に対する規制強化への対応
23年1月1日から、固体ばら積み貨物の海上輸送に関して、運送貨物の
品目の制限等規制が強化されたことから、それに先立ち、建設業界が扱う建
設資材の事前査定の申請手続きを関係団体と協力して行い、会員会社へ周知
した。
11 環境対策の推進
日建連、建築協と合同で策定している「建設業の環境保全自主行動計画第4
版」のフォローアップを行うなど、関係団体と連携し、環境に係る課題への的
確な対応を図った。
(1)環境保全対策に関する調査研究
①生物多様性と建設業の係わりの検討
建設業界としての生物多様性に関する具体的な取組み事例をパンフレッ
トとして取りまとめ8月に会員会社等へ提供し、市民現場見学会等で活用
した。
また、生物多様性に関連する法令、持続可能な利用に関する取組み事例
を収集、整理するとともに、今後の方向性についての検討を行い、
「生物多
様性と建設業の係わり ~生物多様性の保全および持続可能な利用の実践
~」を取りまとめた。
②「環境保全の技術・手法に関する事例集 2010年度版」の発行
21年度までに会員会社が開発した環境保全に関する技術・手法を追加
収集し、自然再生、環境創造などの分類により整理した「環境保全の技術・
手法に関する事例集2010年度版」を作成した。
③環境保全に関する作業所での取組み事例の収集
作業所における環境保全の参考に供するとともに、地域、一般市民にわ
かりやすく継続的にPRできるツールとして活用するため、会員会社が行
っている環境保全に関する取組み事例の調査を行った。
④パンフレット「土木技術で環境を守る、創る」の配布
18年度に作成したパンフレット「土木技術で環境を守る、創る」を引
き続き積極的に活用し、土木事業における環境の保全と修復についての理
解の促進に努めた。
(2)公害防止、建設副産物対策の推進
①工事現場における公害防止ならびに建設副産物対策の調査・研究
会員会社に対し、関東甲信地区の公共建築工事現場における公害(苦情)
ならびに建設副産物処理状況の調査を実施し、分析、研究するとともに、
現場点検実施の基礎資料とした。
②公害(苦情)ならびに建設副産物処理状況の調査の分析、報告書作成
21年度に実施した、道路・鉄道工事における公害(苦情)ならびに建
設副産物処理状況調査について、
「現場調査ならびに点検結果」として報告
書を作成し、会員会社に配付した。
③工事現場の点検、指導および優良事業場の表彰
6月に道路・鉄道工事(13現場)、11月に公共建築工事(13現場)
の点検、指導を実施した。優良事業場の表彰は該当なしとなった。
④講習会の実施
6月と11月に国土交通省、環境省や東京都から講師を招き、公害防止
と建設副産物対策に関する環境対策講習会を都内で開催した。
また、9月には水戸市において茨城県土木部および生活環境部より講師
を招き、建設副産物対策講習会を開催した。
⑤教育資料の改訂、啓発用ポスターの作成
建設廃棄物適正処理、建設副産物リサイクルに関する2冊のテキスト、
質疑応答事例を見直し改訂版を5月に発行するとともに、工事現場啓発用
のポスターを作成した。また、関係法令改正に伴う各種手引きおよびリー
フレットの見直しについても検討に着手した。
⑥関係機関との意見交換の実施
道路・鉄道工事の現場点検結果等を踏まえ、関東地方整備局企画部と意
見交換会を実施した。
(3) 建設副産物処理に関する調査研究等
①建設廃棄物処理業者の選定方法や選定のポイントの検討
「優良な処理業者」とは何かについて検討を重ね、
「優良業者の選定に
関する検討結果報告書」としてまとめた。
②建設泥土の再生利用促進に向けた活動
国、地方公共団体および関係団体に対し、建設泥土の再生利用に関す
る各種通知の定着状況についてのアンケート結果報告書を説明し、今後
の課題等について、共通の認識の形成に努めた。
③建設汚泥の呼称変更問題の検討
「建設泥土(仮称)」への呼称変更の必要性や留意点について強くアピ
ールした。あわせて、土質分類上の泥土を「泥状建設発生土(仮称)」と
することが適当であるとの提案を行った。
④建設発生土の適切な処理、処分に関する検討
改正土壌汚染対策法施行(平成22年4月1日)を受け、パンフレッ
ト「汚染土壌の取扱いについて」を改訂し2月に発行した。
⑤廃棄物混じり土の取扱いに関する取組み
建設工事に伴う廃棄物混じり土の取扱いについて検討し、国土交通省
担当部局との意見交換を行った。
⑥その他
・関係機関、団体との意見交換の実施
・処理施設等の視察
12 経営企画に係る課題の調査研究
公共事業費の削減、民間設備投資の低迷など、建設企業の経営は依然として
厳しい状況である。このような情勢の下で、魅力ある建設企業群の実現に向け、
企業経営上の諸課題を検討するとともに、コンプライアンスの徹底等について、
以下の活動を展開した。
(1)経済社会におけるゼネコンの役割の検討
わが国の建設市場は、規模の縮小のみならず、質的にも大きく変化してい
ることを踏まえ、欧州の建設企業の経営状況等を参考として、「「脱・請負」
とグローバル化」を内容とする、「建設市場の変化に対応したビジネスモデ
ルの提案」を取りまとめ、公表した。
(2)経済社会を活性化する方策の検討
わが国の将来の姿を想定しつつ、経済社会を活性化するための方策につい
て、日本を元気にする3つの処方箋としてまとめ、社会の架け橋として貢献
する建設企業について4つの方向性を示す、「日本を元気にする処方箋」を
取りまとめ、公表した。あわせて、この内容が、国土交通省成長戦略や政府
の新成長戦略に反映されるよう必要な対応を図った。
(3)コンプライアンス徹底への取組み
独占禁止法見直しの動向等について、日本経済団体連合会や関係団体との
情報交換を行った。
13 広報活動の推進
公共投資の削減が続く中、わが国の発展のためには更なる社会資本整備が必
要との認識のもとに、社会資本整備の意義や建設業の役割について、社会の理
解を促進するための情報を積極的に発信するとともに、協会活動の内容を周知
するためのPR活動に取り組んだ。
(1) 「100万人の市民現場見学会」の展開
「土木の魅力」を新たなテーマに「来て、見て、感じてみよう!土木の魅
力!」をキャッチコピーとして、全国的に現場見学会を展開し、8月末には
参加者200万人を達成した。11月18日の「土木の日」、湯西川ダム本
体建設工事現場において、現場見学会を兼ねた「参加者200万人達成記念
イベント」を開催した。
(2)機関誌「CE建設業界」の内容充実
業界活動と密接に関連するテーマを適時適切に取上げながら、以下のとお
り内容の充実を図った。
① 社会資本整備の理解促進に向けた取組み
「100万人の市民現場見学会」の参加者200万人達成に向けて、
5月号で参加者と現場担当者による座談会、11月号でマスコミと参
加者の執筆による特集を行うとともに、10月号では女性の視点から
見た建設をテーマとした座談会、12月号では名画に描かれた土木施
設をテーマとした対談を掲載した。
② 建設業界をめぐる新たな動きの特集
建設業界をめぐる新たな動きを紹介するため、8月号で「PPP/PF
I」に関する対談、9月号で「海外のインフラ整備と日本企業進出状況」
に関する執筆原稿を掲載した。
③ 委員会成果の紹介
委員会成果を紹介するため、7月号で経営企画委員会の「日本を元気に
する処方箋」をテーマとした座談会、6~9月号で海洋開発委員会の研
究成果を掲載した。
(3)学生向けフリーペーパーの発行
土木系の学生向けにゼネコンの仕事内容や土木の魅力をPRするため、フ
リーペーパー「Pilastro」を7月、3月を除く10回発行した。全
国の61大学、28高専に16000部を配布しており、学生等からの意見
も反映して内容充実に努めた。
(4)マスコミへの対応
理事会終了後にマスコミとの記者会見を定期的に開催し、適宜見解等を表
明した。また、マスコミ等の取材対応、記者との懇談等を通じて広報に努め
た。
(5)地域における広報活動の強化
支部との連携を密にし、支部広報誌の充実、「100万人の市民現場見学
会」および「200万人達成記念イベント」の開催など、支部の広報活動に
際し、支援等を行った。
(6)三団体による広報活動
日建連、建築協と連携して、建設産業のデータ集「建設業ハンドブック
2010」を発行した。また、東京の科学技術館において「建設フェスタ
2011」を開催した。さらに、建設WEBサイト「BUILDUP!」の
内容充実に協力した。
(7)土木への理解を深めるための広報
「土木の日」(11月18日)および「くらしと土木の週間」に際し、土
木学会をはじめとした関係団体と協力して、各種イベントを広く全国的に展
開した。
(8)新団体発足に向けての取組み
日建連および建築協と連携して、新団体における広報活動のあり方や新団
体の広報誌、ホームページ等について検討を行った。
(3)会議
〔総会〕
○
平成22年度通常総会
平成22年 4月23日(木) 15時00分
出席者
会員総数
141名のうち
出席者
39名
委任状提出者
91名
合計
130名
議決事項
第1号議案
第2号議案
第3号議案
第4号議案
第5号議案
ホテルニューオータニ 本館1階 鶴の間
平成21年度事業報告
平成21年度決算報告
平成22年度事業計画
平成22年度収支予算
役員選任
役員選任(選任された理事は以下のとおり。)
理事(2名)
理
事
近藤 晴貞
理
事
○
平成22年度臨時総会
平成22年12月17日(金) 13時40分
出席者
会員総数
139名のうち
出席者
47名
委任状提出者
81名
合計
128名
議決事項
第1号議案
第2号議案
合併決議
合併契約承認
谷田海
孝男
ホテルニューオータニ 本館1階 鳳凰東・中の間
第3号議案
理事補充選任
報告事項
新団体における会費制度の基本方針
〔公共工事の諸課題に関する意見交換会〕
○
公共工事の諸課題に関する意見交換会
・各地区の地方整備局、都道府県、政令指定都市、高速道路会社等
【関西地区】
平成22年5月17日(月)13時00分 大阪合同庁舎1号館 第1別館2階 大会議室
【関東地区】
同
5月18日(火)15時30分 浜離宮建設プラザ 10階 会議室
【中部地区】
同
5月19日(水)13時00分 KKRホテル名古屋 3階 芙蓉の間
【四国地区】
同
5月24日(月)13時00分 高松サンポート合同庁舎 13階 1306・1307号会議室
【東北地区】
同
5月28日(金)13時00分 KKRホテル仙台 2階 蔵王の間
【北海道地区】
同
5月31日(月)13時00分 KKRホテル札幌 5階 丹頂の間
【中国地区】
同
6月 4日(金)13時00分 KKRホテル広島 1階 孔雀(中)
【北陸地区】
同
6月 7日(月)13時30分 ANAクラウンプラザホテル新潟 3階 飛翔
【九州地区】
同
6月10日(木)13時00分 KKRホテル博多 2階 シリウス
〈土工協本部提案テーマ〉
Ⅰ土工協の活動方針について
1)土工協の広報活動
2)「100万人の市民現場見学会」と参加者200万人達成について
3)日本を元気にする処方箋 中間とりまとめ
Ⅱ意見を交換するテーマについて
1)入札前の対策
①総合評価方式の改善
②民間の技術力を活かした発注方式の積極的な導入拡大等
③実効性のある低入札防止対策の導入・実施
2)入札後の対策
①設計変更の円滑かつ確実な実施
②出来高に応じた請負金額の適正な支払
③受発注者のコミュニケーションの促進
〔高速道路会社との意見交換会〕
○
高速道路会社との実務者レベルの意見交換会
【東日本高速道路株式会社】
平成22年 7月30日(金)15時00分 東日本高速道路㈱ 15階 会議室
【首都高速道路株式会社】
平成22年12月21日(火)13時00分 首都高速道路㈱ 10階 大会議室
【中日本高速道路株式会社】
平成22年12月22日(水)14時00分 中日本高速道路㈱ 15階 会議室
〈意見交換会提案テーマ〉
Ⅰ設計変更への適切な対応や発注条件の明示など、現場管理全般に関する
問題について
〔下水道工事関係発注機関との意見交換〕
○
平成22年度下水道意見交換会議
国土交通省、日本下水道事業団、地方公共団体(東京都、長野県、横浜
市)
平成22年11月10日(水)12時00分 東京ジョンブル ロベリアホール
〈土工協重点要望事項テーマ〉
Ⅰ下水道工事における工事品質と適正利益の確保
①実効性ある低入札防止対策の導入・実施と総合評価方式の拡充
②下水道工事における適正な利益の確保
Ⅱその他
〔鉄道・運輸機構との意見交換会〕
○
平成22年度鉄道・運輸機構との意見交換会
平成22年 6月18日(金)12時00分 メルパルク横浜 7階 望洋の間
〈意見交換会提案テーマ〉
Ⅰ請負工事の採算性の改善について
Ⅱ鉄道・運輸機構発注工事の国交省積算要領での試算結果について
Ⅲ施工体制確認型総合評価落札方式の改善要望
Ⅳ設計変更に係る改善要望
Ⅴ積算等に係る改善要望
平成22年 9月16日(木)14時00分 鉄道・運輸機構理事会議室
〈意見交換会提案テーマ〉
Ⅰ委員会研究成果の発注計画での活用について
Ⅱ施工体制確認型総合評価落札方式の改善要望
Ⅲ積算等に係る改善要望
Ⅳ設計変更に係る改善要望
〔その他の主要会議〕
○
国土交通省政務三役と建設業四団体会長との懇談会
平成22年12月20日(月) 7時45分 ホテルオークラ 別館12階 ケンジントンテラス
〈土工協要望事項〉
Ⅰ社会資本整備のグランドデザインの早期確立
Ⅱ内需主導型の成長に向けた「成長確認型公共事業」の推進
○
支部長会議
平成22年12月 2日(木)14時30分 ホテルニューオータニ 本館1階 芙蓉の間
〈協議事項〉
Ⅰ三団体の合併について
Ⅱ本・支部の活動状況および意見交換について
○
本・支部事務連絡会議
平成22年 7月 8日(木)15時00分 東京建設会館 6階 土工協特別会議室
〈協議事項〉
Ⅰ平成22年度「公共工事の諸課題に関する意見交換会」のまとめについて
Ⅱ三団体合併について
Ⅲ本部から支部への連絡事項について
Ⅳその他
○
本・支部事務連絡会議
平成22年11月11日(木)15時00分
〈協議事項〉
Ⅰ三団体合併に関する動向
東京建設会館 6階 土工協特別会議室
Ⅱ平成22年度支部長会議について
Ⅲ本部から支部への連絡事項について
Ⅳその他
〔講習会等〕
○
○
○
○
コンクリートセミナー
平成22年11月 9日(火)13時00分
平成22年11月25日(木)13時00分
浜離宮建設プラザ 10階 大会議室
建設交流館 8階 グリーンホール
新技術・新工法講習会
平成22年12月10日(金) 9時20分
東京電業会館 地階 大会議室
鉄道建設工事技術講習会
平成22年 8月 5日(木)
平成22年 8月31日(火)
平成22年 9月10日(金)
平成22年 9月14日(火)
平成22年 9月29日(水)
平成22年10月 6日(水)
平成22年11月 2日(火)
平成22年11月 5日(金)
札幌すみれホテル 3階 ヴィオレ
ハーネル仙台 2階 松島の間
新潟グランドホテル 5階 常磐の間
愛知県産業労働センター10階大会議室
チサンホテル新大阪 2階 チサンホール
福岡県中小企業振興センター 2階 大ホール
浜離宮建設プラザ 10階 大会議室
浜離宮建設プラザ 10階 大会議室
9時30分
9時30分
9時30分
9時30分
9時30分
9時30分
9時30分
9時30分
鉄道交通講演会
平成23年 1月28日(金) 15時30分
経団連ホール
(4)叙勲・褒章・大臣表彰受章者名簿
(会員関係、他団体推薦を含む)
(国土交通省の受賞者名簿による)
(敬称略、肩書は受章当時による)
○
○
22年春の叙勲(22年5月)
瑞宝重光章
半谷 哲夫
元・鹿島建設㈱
副社長
瑞宝中綬章
田尻 文宏
角田 直行
元・住友金属工業㈱ 専務執行役員
元・鹿島建設㈱ 専務取締役
瑞宝小綬章
佐藤 一夫
元・大成建設㈱
顧問
22年秋の叙勲(22年11月)
瑞宝中綬章
佐々木 徹
元・(社)日本土木工業協会 専務理事
清水 令一郎 元・佐藤工業㈱ 副社長
白兼 保彦
元・(社)日本土木工業協会 監事
徳岡 康夫
元・㈱熊谷組 専務執行役員
瑞宝小綬章
大橋 義彦
櫻井 正憲
鹿島道路㈱ 顧問
元・(社)日本海洋開発建設協会
瑞宝単光章
伊藤 信男
稲毛 晃
髙橋 修三郎
元・東亜道路工業㈱ 班長
鹿島道路㈱ 横浜支店工事部技術担当部長
㈱NIPPO 施工指導担当課長
常務理事