10 - 日本経済研究センター

日 本 経 済 研 究 セ ンタ ー
Japan Center for Economic Research
http://www.jcer.or.jp
Table of Contents
2011/10
アジア企業、インド市場で攻勢強める―中国・台...
2011/10
インドの対外関係を多面的に分析―今年度のアジ...
2011/10
成長戦略、「脱常識」の視点で―野田新政権に望...
2011/10
スイス中央銀行の無制限介入―国際通貨制度の大...
2011/10
欧州ソブリン危機、4つのシナリオ
2011/10
脱“草食系資本主義”への戦略を
2011/10
サマー・ダボスに見る中国の思惑
2011/10
伊達氏以来の歴史が生んだ被災地復興
2011/10
インドの有力財閥と多彩なリーダーたち―国民生...
2011/10
米住宅市場、家賃上昇の「怪」
2011/10
2020年の産業動向 輸出の増加により、加工...
2011/10
【ピックアップ】東日本大震災の不動産市場への...
2011/10
10−11月のセミナー(東京・大阪)
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2011年10月号
インド、強まる外資吸引力
アジア企業、インド市場で攻勢強める
―中国・台湾企業も続々と対印投資
山田 剛
長引くインフレに対応した印中銀(RBI)の金融引き締めの継続や原油高、土地収用ト
ラブルに労働争議、はては政治家や官僚による相次ぐ汚職スキャンダルと、インド経済の高
成長路線にはやや先行き不透明感も出てきたが、アジア企業は家電や電子機器、自動車をは
じめインフラ関連事業まで活発なインド事業を展開している。最近目立つのは、対印投資を
手掛けるアジア企業の顔ぶれが多様化してきたことだ。先行する韓国勢を猛追するように、
中国や台湾の企業も投資を拡大。日印経済連携協定(CEPA)が今年8月に発効する中、
日本企業も再び対印進出を加速させている。
当センターは今年度のアジア研究プロジェクトのテーマを「インドと世界」とし、同国の
対外経済関係を多面的に分析している。今回は同プロジェクトの中間報告も兼ねて、インド
市場を巡るアジア企業間の競争が一段と激しくなっている状況をまとめた。
先頭を走る韓国
日本より一足早い2010年1月にインドとの経済連携協定(CEPA)を発効させた韓
国の企業は、すでに家電や自動車などの分野でインド市場における大きな存在感を発揮して
いる。
韓国・ポスコが東部オリッサ州で計画している年産1200万トンの大型一貫製鉄所建設
は用地取得や環境規制への対応が難航しているが、LG電子、サムスン電子の2社は現地化
とスピード経営、そして積極的な広告戦略などでブランドイメージの確立に成功。それぞれ
インドの家電市場で売上1位と3位を確保している。
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2011年(歴年)の売り上げ目標を前年比25%増の2000億ルピー(1ルピー=1
.75円)に掲げたLG電子インディアは、法人向けビジネス機器や電子レンジの販売を強
化。デリー首都圏と西部マハラシュトラ州の工場の生産能力も大幅に増強する計画を立てる
一方、新型3Dテレビの販促キャンペーンなどに計30億ルピー(1ルピー=約1.75円
)を投じる予定だ。
サムスン電子インディアも、同様に前年度比40%増、約2200億ルピーの売り上げを
目標としている。すでに家電やエレクトロニクスの分野では韓国勢同士の熾烈な競争も日常
化しているうえ、液晶テレビではソニーの逆転を許し、エアコン市場でも低価格機種の投入
などで攻勢をかける日系メーカーにシェアを奪われつつあり、競争は一段と激化している。
現代自動車も2010年度、前年比2桁増の約36万台をインド国内で販売し、シェア4
5%をもつ王者マルチ・スズキを追撃している。韓国企画財政部によると、EPA発効の効
果もあって2010年の印韓貿易額は前年比44%の大幅増となっており、今後自動車部品
や電子機器などの分野でも関税引き下げの効果が期待されている。
インドは中国にらみ台湾に接近
近年インドでの動きが急速に活発化しているのが台湾企業だ。パソコン大手・エイサーは
タタ・ドコモ向けネットブックやスマートフォンの新機種をすでに大量投入。スマートフォ
ンやモバイルPC、タブレット端末などに強いエーサスは4月、デリーに3Dゲーム機など
の専門店をオープンし、ブランドイメージの浸透を図っている。スマートフォン・携帯情報
端末(PDA)メーカーのHTCも、タブレット端末や新型携帯電話などを次々とインド市
場に投入している。
7月には台湾の携帯電話向けチップ設計大手の聯発科技(メディアテック)が、インドの
モバイル通信付加価値サービス企業スパイス・デジタルに2000万ドルを出資。インドの
ハイテク分野における台湾企業の投資戦略が鮮明になってきた。
台湾貿易センター(TAITRA)は昨年から、インドで消費者向けIT機器の販促キャ
ンペーンをスタート。人気映画女優ララ・ダットを起用するなど話題性も十分だ。
パソコンやPDA、IT関連だけでなく、台湾の繊維業界も制汗、クール素材などの高機
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能製品をインドに紹介、市場への浸透を目指している。
すでにインドの有力シンクタンク・印国際経済関係研究所(ICRIER)は台湾の中華
経済研究院と印台自由貿易協定(FTA)に関する共同研究会を開設している。FTAには、
中国の存在を念頭に置くインド側がより熱心という背景もあるが、台湾企業からは合成ゴム
や鉄鋼などの分野でインドとの合弁事業を模索する動きもある。印台の貿易額は10年に前
年比55%増の約64億ドルに達し、11年も上半期だけで44億ドルに到達している。双
方が掲げる「2015年までに100億ドル」という目標も前倒しでの達成がほぼ確実だ。
不動産・インフラに強いASEAN企業
インドが「ルック・イースト政策」の柱と位置づける東南アジア諸国からも、対印投資は
活発だ(文末図参照)。ASEANとは2010年にFTA(AIFTA)が発効。11年
5月に印・フィリピン間で発効し、AIFTAの未発効はカンボジアだけとなった。ASE
AN加盟国との2国間FTAも、タイ(04年、アーリーハーベスト)、シンガポール(0
5年)、マレーシア(11年7月)と相次ぎ発効しており、目下タイ、インドネシアとの早
期の本FTA締結がインド側の課題だ。
双方の投資案件ではインドからASEANが医療、金融、エネルギー、消費財などの部門
で多く、ASEANからはインドの不動産・インフラ開発への投資が中心を占めている。
シンガポール企業では西部ハジラ、カンドラなどで港湾整備を受注したPSAインターナ
ショナル、IT都市バンガロールなどのニュータウン開発を中心にインド18都市で180
ものプロジェクトを手がけるジュロン・インターナショナル(裕廊海港)、チェンナイやハ
イデラバードなどでITパーク建設を進めるアセンダスなどが知られているが、チャンギ・
エアポートは現在、西ベンガル州ドゥルガープール、パンジャブ州ルディアナなどで新空港
建設を手がけている。
こうした中、シンガポールの政府系投資期間GICは今年4月、商都ムンバイにインド初
のオフィスを開設。インドビジネスを本格化させる構え。ジュロンも東部オリッサ州での港
湾開発プロジェクトに関心を示している。
マレーシアは今年7月に印馬経済連携協定(CECA)を発効させたばかりだが、2国間
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貿易は2010年度、前年度比26%の増加を記録し100億ドルの大台に乗った。両国は
2015年までにこれを150億ドルに増やすという目標を確認している。CECAではコ
ンピューター・エンジニア、会計士、医師、看護師などの資格相互認証と受け入れ環境整備
などもカバーされており、サービスを軸とした経済交流にも期待が集まっている。
マレーシアでは、製造業もインド市場を重視しており、同国の自動車メーカー、プロトン
のムハンマド・タヒール社長は今年1月、インド進出への意欲を表明している。
ASEAN諸国には、英植民地時代からの伝統で、300万人以上の在外インド人(NR
I)あるいはインド系住民が暮らしており、これがインドとの経済協力にとって大きな優位
性を持つ背景となっている。
中国企業も貿易から工場・JV進出へ
そして、インド市場では後発ながら、ASEAN企業を猛追するように最も活発にインド
事業を展開しつつあるのが中国企業だ。通信機器大手華為技術(ファーウェイ)が昨年末、
5年間で総額20億ドルにのぼるインドでの投資計画を発表したのに続き、同年末には温家
宝・中国首相が約300人のビジネス界幹部らとともに訪印。総額160億ドルの商談をま
とめた。
印中2国間の貿易額は過去5−6年で倍々ゲームに近いペースで急増。2010年(歴年
)は前年比45%の大幅増の617億ドルに達し、目標よりも2年早く600億ドルの大台
を達成した。しかも最近は中国企業による工場建設や合弁事業などが相次ぎ発表されており、
印中経済関係は貿易だけでなく投資でも拡大・強化し始めた。
今年2月には中国の商用車大手・北汽福田汽車(フォトン)がインドで投資額3.8億ド
ル、年産10万台の組立工場を建設する計画を表明。4月には西部マハラシュトラ州と進出
をめぐる覚書に調印した。中国自動車メーカーの対印進出は、インドで小型商用車の生産計
画を明らかにしている米GMと上海汽車(SAIC)の合弁企業・上汽通用五菱汽車に続く
2社目の事例となった。さらに6月には江淮汽車(JAC)がインドでの商用車生産を開始
する意向を表明した。
このほかにもベアリング最大手のZWZベアリングスが今後2−3年以内にインドに工場
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を建設する計画を表明。5月には重機大手の三一科技(SANY)は自動車産業が集積する
マハラシュトラ州プネー郊外に工場を完成させたばかりだ。
そして9月には世界最大級の貸付規模を持つ中国工商銀(ICBC)が商都ムンバイに初
の支店を開設した。ICBCでは、インドに進出する中国企業への融資だけでなく、中国か
ら通信機器やインフラ資材などを輸入するインド企業に資金を貸しつけるコーポレート・バ
ンキングにも重点を置くが、将来的にはインド富裕層を狙ったプライベート・バンキングや
投資銀行業務などにも進出したいとしている。
5−6年前までは中国企業による対印投資にインド政府の許可がなかなか出ず、これが外
交問題に発展するケースが多かったが、最近では印政府の方針変化もあって手続きが透明化。
中国からの投資案件が相次ぎ具体化している。電力や道路建設などのインフラ部門ではすで
に中国企業による受注が目立っており、インド政府からもインフラ整備において、低コスト
で仕事が早い中国企業に期待する声が高まっている。中国側も港湾などのインフラ整備事業
に強い関心を示している。このほか、医薬品や鉄鋼などの分野でも印中協力の潜在力が指摘
されている。
航空業界ではまだ印中間の直行便の本数が限られているが、中国国際航空(エア・チャイ
ナ)は9月から、成都経由のムンバイ−北京路線を開設した。海南航空もコルカタ−深セン
便の開設を計画している。
この一方で、印産業界にはなお安価な中国製品の大量流入を警戒する声が多く、貿易不均
衡も深刻だ。1962年の印中武力衝突で中国の実力を思い知ったインド国民には心理的な
警戒感もくすぶる。印中EPAの締結には中国側が強い意欲を示しており、双方に共同研究
会も設置されているが、実際の交渉開始にはまだ時間がかかりそうだ。
日本勢の進出も再び加速
日本勢の対印進出も活発化している。2000年4月から今年3月までの対印直接投資(
FDI)の累計額は52.76億ドルで世界第6位。10年度単年度で見れば米国を超え、
事実上のタックスヘイブンであるモーリシャスやシンガポールに次ぐ位置につけた。
11年に入って、現地法人や合弁企業設立、インド企業の買収など主要な対印事業拡大案
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件だけでもすでに40件近くに達している。日本企業の進出形態は最近、デリー首都圏から
東部コルカタ周辺、西部ムンバイ周辺、そして南部チェンナイ郊外へと各地に拡大しつつあ
り、これまで自動車・部品が中心だった業種も鉄鋼、家電、医薬、金融、消費財へと多様化
している。日本企業の対印進出もいよいよ本格化し始めたと言えるだろう。
(日本経済研究センター主任研究員)
−−−
◆アジア研究報告書
「インド・中国―大海アジアの巨象と巨龍」(2010年12月)
http://www.jcer.or.jp/report/asia/detail4120.html
「インド―新たな成長ステージへ」(2009年12月)
http://www.jcer.or.jp/report/asia/detail3942.html
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2011年10月号
インド、強まる外資吸引力
インドの対外関係を多面的に分析
―今年度のアジア研究、「インド3部作」の締めく
くり
牛山隆一
日本経済研究センターでは2011年度のアジア研究プロジェクトとして「インドと世界」
をテーマとする研究会(座長・浦田秀次郎日本経済研究センター特任研究員、早稲田大学大
学院教授)を立ち上げ、今春以降、議論を重ねている。同プロジェクトでは09年度に「イ
ンド―新たな成長ステージへ」、10年度に「インド・中国―大海アジアの巨象と巨龍」の
タイトルで報告書を作成した。今年度は3年に及ぶインド研究の仕上げとして、国力の増大
につれ世界への影響力を強めるインドの実像に迫り、日本の産業界や政府関係者に対してア
ジア戦略立案に役立つ有益な情報を提供したい。
高まる国際プレゼンス
世界では今、世界2位の人口12億人を抱えるインドへの関心が一段と高まっている。2
008年秋のリーマンショックに端を発した国際金融危機。その影響で欧米経済が不振に陥
った中で、世界経済の牽引役としてアジア新興国の存在感は増した。代表格が、内需を支え
に堅調な成長を続ける中国、そしてインドだった。足元の印経済は中国と同様、インフレ懸
念が台頭し、成長持続とのバランスに腐心しているものの、国民所得上昇に伴う中間層の拡
大など中長期の成長力に対する期待は依然大きい。
こうしたなかで韓国企業などに比べ対印事業で後塵を拝していた日本企業も続々と現地に
乗り込み、内外企業と激しい市場争奪戦を繰り広げ始めた。インドに近い東南アジアに行け
ば、印経済の吸引力をより実感できる。ビジネス拠点シンガポールではインド事業を管轄す
る地域本部を開く多国籍企業が目白押しだ。シンガポール政府も地元企業とスクラムを組ん
でインフラ整備などで対印進出に拍車を掛けており、「ルック・ウエスト」の風潮が強まり
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2011年10月号
ばかり。「インドを成長のバネに」(リー・クアンユー元首相)が合言葉だ。
企業の対印進出を後押しする環境は急ピッチで整備されつつある。象徴的な事例が、自由
貿易協定(FTA)・経済連携協定(EPA)の構築だろう。インドは昨年1月に韓国と東
南アジア諸国連合(ASEAN)、今年8月に日本との間でそれぞれ発効させ、その数は合
計7件に達した。相手はいずれもアジアの国・地域である。現在、欧州連合(EU)やペル
シャ湾岸の湾岸協力会議(GCC)とFTA交渉を進めているほか、オーストリアとも始め
る予定であり、世界経済との結びつきが益々強まるのは確実だ。
経済発展による国力の増大を映し、インドは国際的な発言力も高めている。中国やロシア
などと「BRICs」の枠組みで欧米に物申すことが増えているほか、G20 や世界貿易
機関(WTO)、温暖化ガス削減の国際枠組み作りでの言動も注目される。国際通貨基金(
IMF)によれば、インドの総人口は2025年に約14億6000万人に増え、中国を追
い抜いて世界最大となる。購買力平価ベースの国内総生産(GDP)では2012年に日本
を上回る見通しだ。外国の政府や企業、国際社会にとって、インドが益々大きな存在となる
のは疑いない。
インドの対外関係の全体像に迫る
こうした現状を踏まえ、当センターは今年度のアジア研究でインドの対外関係を幅広く分
析する。具体的には国際機関・組織での動向に加え、日中米欧ASEANといった相手国・
地域別の、貿易や投資、政府協力といった経済関係を主な分析対象とする。例えば、日印間
ではEPA発効後の企業の動向、印ASEAN間ではASEANに蓄積された工業部門を活
用する形で双方を結ぶ生産ネットワークが出来つつあるかといった問題などを考察する。
激動する国際情勢下にあって、インドの対外関係も急速に変貌している。当センターは今
回の研究を通じ、メディアやインターネットなどの断片的な情報では把握・理解が難しいイ
ンドの対外関係の全体像を、最新かつ詳細な情報・データ収集に基づいて分析、提示したい。
それは対印事業の強化に力を入れる日本企業、さらに対印関係をアジア政策の主要な部分と
位置付ける政策当局者にも貴重な情報になるであろう。
研究会の座長は、昨年度に続き浦田氏が務め、小島眞、朱炎の両拓殖大学教授、近藤正規
・国際基督教大上級准教授の専門家3氏に、当センターの山田剛、可部繁三郎、牛山の各主
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2011年10月号
任研究員を加えた計7人のメンバーで構成する。報告書は今年12月末までに完成・出版す
る。研究会は今年4月以降、既に5回開かれ、各メンバーによる担当分野のプレゼンテーシ
ョンが一通り終わった。毎回の活発なディスカッションを通じ、メンバー間の問題意識、現
状認識は共有されつつある。さらに突っ込んだ情報・データ収集、考察が求められる場合も
少なくなく、報告書の完成に向けメンバーは更なる作業が必要となる。
冒頭述べたように、今回の研究はインドを対象とする3部作の締めくくりとなる。第1弾
の印経済の詳細分析、第2弾の中印比較分析を経て、最後はインドの対外関係に視点を広げ
た。このように重層的な分析に取り組んだのは、日本とインドの結びつきが一段と強まって
いるにもかかわらず、日本国内においてインド情報がなお不足しているとの認識に基づく。
3部作がまとまることで当センターのインド研究には一区切りがつくが、今後も主要な研究
対象であることには変わりない。
(日本経済研究センター主任研究員)
−−−
◆アジア研究報告書
「インド・中国―大海アジアの巨象と巨龍」(2010年12月)
http://www.jcer.or.jp/report/asia/detail4120.html
「インド―新たな成長ステージへ」(2009年12月)
http://www.jcer.or.jp/report/asia/detail3942.html
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新井淳一の先を読む
成長戦略、「脱常識」の視点で―野田新
政権に望むこと
海のほか何も見えないときに、陸地がないと考えるのは、すぐれた探険家ではない(フラン
シス・ベーコン 学問の進歩 岩波文庫)
野田新内閣がスタートした。党内融和を第一に内閣と党を固め、震災からの復興に加え、
財政再建と経済成長の両立や日米関係を基軸にした外交が政策課題という。世論調査でも高
い支持率。無難な船出である。
その新内閣に吟味してもらいたい言葉がある。英国の思想家フランシス・ベーコン(15
61∼1626)の警句である。失われた20年の中で「日本丸」は大海を漂流中だ。活力
ある経済、陸地はまだ見えない。だが、陸地が見えないことと陸地がないことは全く別。新
内閣が漂流する日本経済に陸地はないと考えて手を打つのか、あると信じて行動するのか。
それによって中長期的な日本経済の姿が全く違うものになる。
行動力は伴うのか
たとえば、成長戦略。新政権では政官民で構成する「国家戦略会議」が主導する。鳩山、
菅の両政権では経済界や官界との間に意図的に距離を置いた結果、「日本丸」の舵が定まら
なかった。それを考えれば、日銀総裁や経団連、連合などの首脳も加わる今回の戦略会議の
設置は評価できる。
しかし、ここでの議論が格差の是正、ひずみの解消、少ないパイの配分など、従来路線の
延長での議論だけに終わっては意味がない。菅内閣の「最小不幸社会」と同様、不幸の押し
付けに終わってしまう。少子高齢化やエネルギー制約という成長へのマイナス要因を念頭に
置いたうえで、それでもどうしたら「日本丸」の活力を取り戻せるかの議論を始めるべきな
のである。陸地があるという思いがまず大切なのだ。
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2011年10月号
エネルギー制約への対応も同様である。新政権は安全確保を前提に既存の原発を使いなが
ら次第にその比率を下げ、一方で風力や太陽光などの自然エネルギーの比率を高めるという。
資源の乏しい「日本丸」の究極の悲願は「化石燃料依存からの脱却」。新政権の目指す方向
もこれに沿ったものだけに、それ自体は妥当なところだ。
しかし、問題はこれを実現するための行動力である。当然ながら、生半可な姿勢で実現は
不可能だ。国民負担の増大や産業界が嫌う新たな規制の導入も必要になる。国民や産業界が
嫌がることを真正面から訴えることができるのか。それには新政権が本気で「化石燃料から
の脱却」という新しい陸地を求めないといけない。それでないと全ては中途半端で終わって
しまう。
未来を予測するに当たって常識はほぼわれわれを裏切る。現実的な方法は当然と思われるこ
とを疑ってかかることだ。(ジョージ・フリードマン 100年予測 早川書房)
「常識」と「脱常識」という観点から再びこの問題を考えてみたい。「常識」で考えれば、
日本経済の成長力は次第に細っていく。労働力人口はすでに減少局面に入った。設備投資も
国内より海外にという企業が増えている。潜在成長力も現時点では1%。新政権が震災から
の復興と次の拡大局面へ全力投球したとしても、米欧景気の低迷長期化などから、底上げさ
れる日本の成長率はコンマ以下だろう。「日本丸」のエンジンの再活性化は、短期的にも中
長期的にもむずかしいというのが「常識」なのである。
では「常識」にとらわれないでモノを見たら「日本丸」の違った姿が浮かぶだろうか。結
論をいうならば、「浮かぶ」ともいえるし「浮かばない」ともいえる。情けない結論で恐縮
だが、要は政策次第。TPPへの参加によるヒト、モノ、カネの大胆な開放や規制の緩和に
よるサービス分野の生産性の拡大、台頭するアジア経済との共存などの政策を着実に実行す
れば、先行きの姿が違ったものになる。問題はそれができると見るかできないと見るかで、
答えが違ってしまうからなのである。
「常識」が覆されてきた歴史
実は、歴史に見る日本や世界の経済の姿は、「常識」通りに進んでいたわけではない。む
しろ、「脱常識」というか、「非常識」というかはともかく、歴史上での「常識」はこの二
つに負けてばかりいるのである。将来予測における多数説がよく間違うということだ。例を
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2011年10月号
あげてみよう。
1970年代末に中国が30年以内に世界第2位の経済大国になると予測したら、多分、
世界で笑い飛ばされていたと思う。同じころの英国、労働党政権で経済は「大いなる沈滞」
にあった。誰がその時点で「英国経済が活性化し90年代初めから15年を超える連続上昇
を続ける」と思っただろうか。当時の「常識」は中国も英国も将来性の乏しい国だったので
ある。
歴史の針を少し後戻りさせよう。1950年代半ば、敗戦国の日本とドイツがそれから1
0年余の間に世界第2位と第3位の経済大国になるとの予想は、当時は「常識」ではなく、
むしろ「非常識」に近いものだった。戦後日本を詳細にルポした作家ジョン・ダワーの「敗
北を抱きしめて」(岩波書店)にこんなくだりがある。米国のダレス国務長官はパーティの
席で日本の大蔵省高官に向かって「日本には米国がほしいものを作る力はない。買うとした
らせいぜいパーティ用の紙ナプキンぐらい」と言ったのだ。この場合は「常識」が通らない
で本当によかったと思うのは、私だけだろうか。
マクロだけでなくミクロ・レベルでも「常識」は敗北の歴史だ。IBMがコンピュータ事
業を手がけようとしたときのこと、世界的に権威のあるマーケティング会社の予測は「世界
におけるビジネス・マシーンとしてのコンピュータ需要は40台」。これこそ金字塔的な「
常識」の敗北である。
日本でもひとつ例をあげよう。元首相の宮沢喜一回顧録にある話だ。1960年代半ば、
ケネディ・ラウンドで乗用車の関税が問題になったとき、通産大臣の宮沢は「日本は自動車
を米国などから買えばよい」といって当時の通産省幹部から強くたしなめられた。宮沢を含
め当時の「常識」は日本が後年、乗用車で世界を席巻すると見ていなかった証拠であろう。
むろん、日本経済がこれから10年、20年の間に、かつてのような活力を取り戻せるか
どうかは正直、何とも言えない。人口減少下での成長は極めて困難なことは事実だから、今
回は「長期衰退」という「常識」が勝利をおさめるかもしれない。しかし、反面では、歴史
が「常識」通りに動いてこなかったことも峻厳たる事実である。財政再建、社会保障の充実、
エネルギー制約からの解放など、課題先進国の日本である。成長の恵みは最大に活用しなけ
ればいけない。今回もまた数々の歴史の痕跡が示すように「常識」が外れてくれるとうれし
いのだが。
(日本経済研究センター会長)
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2011年10月号
岩田一政の万理一空
スイス中央銀行の無制限介入
―国際通貨制度の大変革につながる可能
性
スイスの中央銀行であるスイス国民銀行は、アメリカ国債が格下げになり、ユーロ危機が
深まるなかで、2011年9月6日に1ユーロ=1.2スイス・フランの水準に為替レート
をペッグした。ユーロに対する下限のみへのペッグであるが、ユーロ危機・ユーロ安が続く
限り、スイス国民銀行は、事実上、「無制限の介入政策」に乗り出したことを意味している。
ヒルデブランド・スイス国民銀行総裁は、このユーロに対する下限値の導入について、「
大規模に過大評価された為替レートは、景気後退とデフレをもたらすリスクがある」と説明
した。スヴェンソン・スウェーデン中央銀行副総裁は、プリンストン大学教授の時代から、
為替レート目標を低い水準に設定することにより、日本はデフレを克服することが可能であ
ると論じているので、今回のスイスの措置に凱歌をあげていよう。
スイス・フランは、ユーロに対して、2007年以降、大幅な増価を示してきた。ちなみ
に、2007年に1ユーロは1.5スイス・フランであったが、一時は1ユーロが0.8ス
イス・フランに達するまで増価した。下限値の導入は、市場に驚きを与え、スイスの為替レ
ートは、即時に8.7%減価し、1ユーロ=1.2スイス・フランになった。
量的緩和政策と先物市場での介入政策の組み合わせ
これより1ヶ月前の8月11日には、スイス国民銀行は、量的緩和政策を大幅に拡大し、
中央銀行の当座預金残高を1200億スイス・フランから2000億スイス・フランへと引
き上げた。この当座預金残高の規模は、名目GDP(2009年に約5000億フラン)の
約4割に相当する。日本の経済規模に引きなおすと、200兆円もの当座預金残高に相当す
る。
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2011年10月号
7月の日本銀行の当座預金残高は、30兆円であるから、経済規模で比べるとスイスの量
的緩和の度合いは、6∼7倍ということになる。もっとも、スイスには、名目GDP規模を
はるかに上回るUBSやクレディスイスなどの大銀行が存在するため、中央銀行の名目GD
P比率での当座預金残高は、他国の中央銀行よりも大きいのが常である。しかし、1200
億スイス・フランから2000億スイス・フランへの800億スイス・フランの増加は、円
に換算すれば約8兆円であるが、スイスの経済規模を日本に引き直してみれば、80兆円の
増加であり、やはり巨額である。
スイスでは、中央銀行に為替レート介入の権限がある。スイス国民銀行は、これまでも量
的緩和の拡大を実施するとともに、為替スワップ取引を通じて先物市場で介入を行ってきた。
この結果、目標レンジが0−0.25%である政策金利(3カ月ものLIBOR)は、9月
11日にほぼゼロになった(9月9日には0.00667%)。政策金利は、ゼロコンマ以
下3桁と2001−2006年の日本の量的緩和に類似した水準まで低下し、先物イールド
は、マイナスになった。
デフレ克服と介入政策
スイスは、日本と似て、伝統的に物価上昇率は低く、金利も低い水準で推移してきた。1
980年以降、物価上昇率は、しばしばゼロ以下になった。1986年、1998年、20
02年、2004年に、一時的であるが、物価上昇率はマイナスになった。
当時、副総裁であったヒルデブランド氏が訪日した折に、同氏から「スイスでは、物価上
昇率目標を日本銀行と同様に0−2%としているが、実際には1%を目標にしている。0%
を目標と考えている人は、余程、経済学を知らないか、または、頑迷固陋な人であろう」と
いう話を聞いたことがある。また、スイス国民銀行理事であったコーリージュネーブ大学教
授からは、物価上昇率が1%あれば、デフレのリスクにも十分対処しえるとの議論を聞いた
ことがある。
しかし、2009年には、3月から10月までデフレが続いた。一時は、1%程度のマイ
ナスとなり、かつての日本と同じ水準まで物価上昇率が下がったことを興味深く見守ってい
た。
スイス国民銀行は、「デフレ克服と国際競争力低下を阻止する」との旗を掲げて、200
15
2011年10月号
9年3月から2010年5月にかけても大規模な介入を行った。介入の結果、外貨準備は4
30億ドルから2300億ドルへ1900億ドルも拡大した。この結果、11月に物
価上昇率は0%となり、スイスは、拡大的な金融政策と大規模な介入政策の組み合わせによ
って、デフレを克服することに成功した。
他方で、スイス・フランの高騰は止まらず、介入に伴う損失は、200億ドルにも達し
た。巨大な損失によって、ヒルデブラント総裁を始め、スイス国民銀行は、世論の批判にさ
らされることになった。
私は、デフレ克服という課題が達成された事実に照らしてみれば、この批判は正当なもの
であるとは思わない。日本では、介入にともなう巨額の損失発生は、1980年代以降、聞
き慣れた話だからである。
下限値へのペッグの帰結
他方で、ユーロ危機は、さらに深まっている。ドイツのショイブレ財務相は、ギリシャが
デフォルトする2つのシナリオを検討し始めたと伝えられた。一つは、ギリシャがデフォル
トしてもユーロ圏にとどまるケース、もう一つは、一時的にユーロを離脱し、自国通貨ドラ
クマを再導入するケースである。いずれの場合も、他国、とりわけ、スペイン、イタリアへ
の波及を阻止するためのクレジット・ラインの創設など欧州金融安定基金の役割は一層重要
になる。
また、9月のドイツの最高裁判所の判決は、ドイツ政府による周辺国への支援措置が違憲
であるとのドイツの学者の訴えを退けた。しかし、今後の支援措置は、事前にドイツの下院
予算委員会の承認が必要になること、また、他国に負担を与える恒久的な条約メカニズムは
設立しないこととした。
後者の恒久的な条約メカニズム設立を認めないことに関する解釈については、なお議論の
余地がある。厳しく解釈するとユーロ共同債の発行のみならず、2013年に予定されてい
る恒久的な「欧州安定メカニズム(ESM)」に対するドイツの参加も認められないことに
なる。このことは「ユーロの終わり」を意味しよう。もちろん、ドイツが憲法を改正すれば
話は異なってくる。ドイツでは、憲法は議会の3分の2の多数決で改正することが可能なの
でこれまでもしばしば改正されてきた。
16
2011年10月号
いずれにしても、ユーロ危機が克服されない限り、スイスには投機的な資金の流入が続き、
スイス国民銀行は、固定された為替レートに対する投機的な動きとの闘いを続けざるをえな
いであろう。外貨準備は、無制限の介入により増大を続けよう。現実に、スイス国民銀行は、
目標とする2000億スイス・フランを上回る資金を供給している。9月5∼9日には25
34億スイス・フランに達する資金供給を行っている。場合によっては、スイス・フラン建
て預金へのマイナス金利など資本規制にも乗り出さざるを得ないかもしれない。
1978年にもスイス国民銀行は、投機的な資金流入に対して、1ドイツ・マルク=0
.78スイス・フランにペッグしたことがある。その際、公定歩合をマイナスにした。その
後、スイスの物価上昇率は、ゼロ近傍から上昇し始め、1980年代はじめには7%にも達
した。7月の国内の物価上昇率は0.5%であるため、当面は問題ないとしても、先行きイ
ンフレ・リスクも当然予想されよう。
スイス・フランのユーロ・ペッグと目標相場圏
今回のスイス・フランのペッグ制度への回帰は、国際通貨制度の大きな変革につながる可
能性がある。すでにユーロは、急落局面に入っている。2001年には1ユーロが88円に
まで低落し、日米欧の協調介入が実施された。
他方、ドルの名目実効為替レートは、2002年以降、減価トレンドにあり、1970年
以降の最低値を更新している。スイス・フランに対しても、2002年には1ドル=1.
7スイス・フランであったが、足元では1ドル=1.1スイス・フランとパリティ(等価)
水準近くまで低下している。
ユーロ財政危機が、金融部門での危機へとフィードバックし、ユーロのみならずドルが、
急落するようになれば、国際通貨制度全体の安定性を維持することが困難になろう。
かつて日本は、1985年のプラザ合意以降の円急騰に対して、1987年2月にルーブ
ル合意によって「為替レートの現行水準近傍」(ルーブル合意前日は、1ドル=153円)
での安定を図ったことがある。また、2003年から2004年にかけての財務省による3
5兆円規模の大規模介入の際には、暗黙の目標レートは、1ドル=110−120円のレ
ンジであった。
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2011年10月号
円の更なる急騰を回避し、国際通貨制度の安定性を確保するために、9月下旬のG20財
務相・中央銀行総裁会合に向けて、為替レートの国際的な調整のための準備を開始すべきで
はないだろうか。目標レンジとしては、先陣を切ったスイス・フランとユーロの関係を出発
点に、ルーブル合意での為替レートの現行水準近傍を見習うとすれば、「1ユーロ=1.2
スイス・フラン=1.3ドル=105円」(1ドル=80円程度)となる。
(日本経済研究センター 理事長)
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2011年10月号
深尾光洋の金融経済を読み解く
欧州ソブリン危機、4つのシナリオ
9月16日時点のギリシャ国債の市場利回りは10年もので22%に達し、同じユーロ建
てのドイツ国債を20%も上回っている。この金利で借り入れを継続すると、利払い負担だ
けでGDPの3割を超える計算になり、欧州内の他国やIMF(国際通貨基金)からの低利
借り入れが実行されない限りデフォルトは避けられない状況にある。本稿では、ギリシャ危
機の今後の展開について、いくつかのシナリオを提示してみる。
ギリシャはデフォルトせずユーロ圏にとどまる場合
ユーロ圏諸国が設立したEFSF (European Financial Stab
ility Facility)とIMF が金融支援を継続してギリシャの資金繰りをつ
ければ、当面ギリシャはデフォルトを避けることができる。しかし、ユーロ加盟後のギリシ
ャの賃金・物価上昇率が高すぎたため、ドイツ、オランダなどユーロ圏中心国に対する国際
競争力が失われており、経常収支赤字が継続する可能性が高い。民間部門の信用力低下によ
り、政府がEFSFなどからの対外借り入れをさらに継続して資金調達する必要がある。
このシナリオでは、ドイツなどのEU中心国からの長期間にわたる支援が必要になる。し
かしEFSFなどによる支援の継続・拡大は、最近のドイツ憲法裁判所の判決によりドイツ
政府が独断で行うことができず、連邦議会の承認が必要になる。ドイツでギリシャ支援継続
に対する反対世論が高まると、以下のシナリオに突入する。
ギリシャはデフォルトするがユーロ圏にとどまる場合
ギリシャ政府は相当大幅な債務のカット(デフォルト)を実施する。これにより、ギリシ
ャ国債を保有する銀行などギリシャ国内の金融機関が大きな損失を被る。ギリシャの預金保
険機構はギリシャ政府の一部であり、銀行破綻から預金者を十分保護することは不可能にな
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2011年10月号
る。さらにドイツ、フランスなど欧州の他の銀行やECB(欧州中央銀行)、EFSFもギ
リシャ政府やギリシャ系銀行のデフォルトにより損失を被る。ギリシャだけのデフォルトで
あれば、ギリシャ以外の民間銀行の損失の規模も限られており、自己資本による損失の吸収
は可能と思われる。しかしギリシャのデフォルトと金融危機により、ポルトガル、スペイン
など他のPIIGS諸国においても、国債価格の下落や銀行取り付けが発生する可能性が高
い。経済規模が小さいポルトガルはともかく、スペインないしイタリアに金融危機が波及す
ると、EFSFではとても支援しきれない規模となる。この結果、EU中心国の金融システ
ムも重大な危機に直面する。
ギリシャがデフォルトしても、ユーロ圏にとどまる場合、少なくとも当面は、ギリシャ産
業は高コスト体質を引きずり、競争力を失った状況が続く可能性が高い。この結果、ギリシ
ャの経常収支赤字が続き、IMF、EFSFなどからの金融支援を比較的長期間継続する必
要が生ずる。ギリシャ政府の破綻は深刻な不況を発生させ、ギリシャ人のEU域内他国への
移住が増加する。このシナリオでも、ドイツは相当の期間ギリシャなどEU周辺国への支援
を継続する必要が生ずるため、世論の反対が強まる可能性が高い。ギリシャの競争力回復を
急ぐためには、次のシナリオが必要となる。
ギリシャがユーロ圏を離脱する場合
ギリシャは旧通貨であるドラクマを強制的に再導入して、政府債務や銀行部門、企業・家
計部門のユーロ建て債務を全てドラクマ建てに強制転換し、ユーロに対してドラクマを大幅
に切り下げる。このドラクマ転換により、国内の貸し出し契約や雇用契約も強制的にドラク
マ建てに切り替えられる。政府債務の通貨を強制転換することは、デフォルトに相当する。
またこれは、民間契約を強制的に書き換える措置であり、ギリシャ憲法上の問題が発生する
かもしれない。国内においては、ドラクマに換えてユーロを導入した時も同じ措置を行って
いるため、実施できる可能性が高い。しかしEFSF、ECB、IMFなど国際機関や他の
政府が保有するユーロ建てギリシャ債権をドラクマ建てに切り替えることには大きな困難が
予想される。またギリシャ国内で流通するユーロ紙幣やコインを強制的にドラクマに切り替
えることは非常に困難だと予想される。
ドラクマの切り下げにより賃金・物価水準をユーロ圏に対して引き下げることが可能とな
る。しかしユーロで計った賃金・物価の引き下げに伴って、インフレが発生する懸念が高い。
インフレは、政府の税収を増大させ財政バランスを好転させる。これにより実質的な政府債
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2011年10月号
務のカットが発生する。しかし国際機関や外国政府が保有するギリシャ政府のユーロ建て債
務をドラクマ建てに切り替えられない場合には、ドラクマ切り下げによりギリシャ政府債務
はドラクマで計って増大し、政府債務GDP比率はむしろ悪化しうる。ギリシャ国内の銀行
には、通貨切り下げによる損失は発生しない。しかし再切り下げを恐れてドラクマ建て預金
が流出する可能性が高い。
ギリシャ国債を保有するギリシャ以外のEU金融機関は大きな為替差損を被る。また、ポ
ルトガル、スペイン、イタリアなどで国内金融機関からドイツなどの切り下げがないと予想
される金融機関への大規模な資金シフトが予想される。ギリシャに続いて他のPIIGS諸
国がユーロ圏から離脱すると、ユーロ圏中心国の金融機関や政府の損失は拡大する。しかし、
継続的な金融支援の必要性は低下する。
ドイツ、オランダ、フィンランドなどによるハードユーロの導入
ギリシャがユーロ圏から離脱するのではなく、ドイツ、オランダなどユーロ圏内で競争力
が強い国が、新通貨ハードユーロを導入して、PIIGS諸国などソフトユーロ諸国に対し
て切り上げる場合が考えられる。これには新たに共同で中央銀行を設立する必要があるうえ、
EU条約の改正は困難を極めるだろう。PIIGS諸国は競争力を回復でき、輸出増加、輸
入減少で景気も回復しうる。しかしハードユーロのソフトユーロに対する切り上げ幅が大き
くなる可能性があり、金融機関などの為替差損も巨額になり得る。
(日本経済研究センター 研究顧問)
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2011年10月号
小島明のGlobal Watch
脱“草食系資本主義”への戦略を
野田佳彦政権の課題は東日本大震災からの復旧・復興と同時に、ちょうど20年前のバブ
ル景気の崩壊後に歴代政権が先送りしてきた日本経済の新しい成長・発展戦略を断行するこ
とである。日本は様々な課題に他の諸国に先行して直面する「課題先進国」だという発想は
正しい。しかし、現実には、各国に先駆けて課題克服に取り組むのではなく、問題を「先送
り」してきた。そうでなければ、「失われた10年」がいつの間にか「失われた20年」に
なってしまうこともなく、とっくに新しい発展モデルが構築されているはずである。バブル
崩壊後の期間を「失われた」と受け身で、あるいは他人ごとのように議論するのではなく、
「失う必要もなかった」失政の10年、20年だったと猛省し、政府も企業も、ともかく決
断し、行動すべきである。
大震災からの復旧・復興はマクロ的な経済活動水準という点では、確実に達成できる。復
旧・復興のために財政が大規模に緊急出動しているし、ミクロのレベルでも企業がいわゆる
現場力を存分に発揮し、生産設備の復旧が急ピッチで進んでいるからだ。そのため、国際通
貨基金(IMF)など国際機関も、日本経済のV字型に近い回復を予測する。
短期的には、おそらく、そうした回復が可能だろう。過去最大の落ち込みを見せた鉱工業
生産指数はすでに大震災前の水準を取り戻しつつある。そのこと自体は立派な成果である。
しかし、問題は、その後である。さんざん先送りされてきた新しい成長モデルが構築され実
現されなければ、日本経済は大震災前の状況、つまり経済停滞のトレンドに戻ってしまうだ
けである。
現状維持の発想は衰退招く
野田新首相は就任前に『文藝春秋』誌(2011年9月号)への寄稿「わが政権構想」で、
「少子高齢化や経済停滞など、大震災前からの課題が幾重にも重なって、危機となって押し
寄せている」と指摘し、第1の危機は「国内産業の衰退」、第2の危機は「電力・エネルギ
22
2011年10月号
ー問題」だと述べている。その通りである。
問題はこの2つの危機に、どういう発想で取り組み、いかに速やかに政策を決断、実行す
るかである。「国内産業の衰退」については、いまある産業と産業構造を維持、保護すると
いう発想を捨てたほうがいい。
なぜなら、それはさらなる衰退への選択だからだ。日本のバブル景気が崩壊した1991
年はまさに世界経済が停滞から大発展に転換する歴史的な大分水嶺の年だった。日本が大停
滞の中で失った10年、20年に世界中が高い成長を達成しようと制度改革を競い合いあっ
た。同じ1991年にソ連が崩壊し、冷戦が終焉したことが世界を転換させた。インドが同
年、改革・開放政策を断行、翌年には中国が改革を一気に加速させた。各国は優良な資本を
海外から呼びこもうとし対内直接投資の誘致合戦を繰り広げた。この間、日本はそれとは対
照的に、必要な制度改革を先送りし続けた。
世界的な変化と改革の時代にあって、変化しない、現状維持をするという選択は相対的な
後退の選択でしかない。
“草食系”?を示唆する症候痈
みなさんは、次の事実をどう理解しますか。
事実①:上場企業の2011年3月末の手元資金(現預金と短期保有の有価証券などの合
計)は1年前より4%増え、約52兆円で過去最高。企業貯蓄は国内総生産(GDP)比で
8.4%。
事実②:全国銀行の預金残高と貸出残高の差は2010年末で150兆円となり、過去最
高預貸率は過去最低の73%で、10年前より25ポイント低下。余剰資金は国債購入に向
けられ、銀行の国債保有残高は140兆円を超え過去最高だ。
事実③:上場企業数が2010年末に3646社となり、前年末より93社減少。
事実④:企業の新規開業(起業)は、近年、廃業数を下回り、総企業数の減少が続く。
23
2011年10月号
事実⑤:日本企業の資本ストックの使用年数が米国よりも長くなり、設備が高齢化してい
る。
ほかにも検討していただきたい事実が多くある。覇気のない若者達を「草食系」だといっ
たりする。だが、日本経済全体が草食系になりつつあるかもしれない。だとすれば、新政権
の課題は、「脱“草食系”」ではないか。
産業空洞化が心配だからといって企業の生産の海外移転を食い止めるという発想だけでは、
結果として産業の衰退を加速する。元気よく成長・発展している国にはそんな消極的な発想
はない。
世界経済フォーラム(WEF)がマイケル・ポーター教授らの協力を受けて作成している
世界競争力ランキングにおいては、「国の競争力」は「次々に競争力のある企業、産業をダ
イナミックに創りだす能力」で決まるとされている。個々の企業が内外条件の変化に応じて
生産を海外移転することは企業としての合理的な経営選択である。企業の海外移転抑制より
も国内に新しい企業・産業が創出され、また海外企業が日本にもっと参入するような状況を
作ることが重要ではないか。外国資本の参入は国内産業に刺激を与え、活性化させる。
経済産業省の某OBが次官現職時代に外国資本性悪論を唱え、話題になった。成長戦略を
議論する同省自体が、対内投資誘致で成長する世界のダイナミズムに背を向ける内向きの草
食系になったのではないかと気になる。
経済連携協定(EPA)や環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐった議論でも、輸出機
会の側面ばかりが重視されがちである。輸入面から国内の草食系企業を刺激し覚醒させる効
果もある。対外投資と輸出だけでなく、対内投資と輸入も新成長戦略のなかで活用していい。
黒いネコでも青いネコでも、日本国内に雇用と付加価値を生み出し、税収をもたらすネコ
こそがいいネコである。
脱“草食系”の問題については機会を捉えてさらに点検してみたい。みなさんの意見も歓
迎します。
(日本経済研究センター研究顧問)
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2011年10月号
竹中平蔵のポリシー・スクール
サマー・ダボスに見る中国の思惑
今年も9月14日から3日間、中国大連市で「サマー・ダボス」が開催された。温家宝首
相のスピーチで始まった会議では、顕在化する欧州のソブリンリスク問題、アメリカの経済
減速と国債格付け問題、さらには先進工業国の困難のなかで新興国がどのような役割を果た
せるかなど、広範な問題が議論された。
同会議は、あくまで一民間団体である世界経済フォーラム(WEF)の会議だ。しかしW
EFがここまで存在感を持つと、その政治的な側面にも着目する必要が生まれてくる。以下
では、そうした点について議論したい。
温家宝首相の指導力
サマー・ダボスが最初に開かれたのは、2007年9月のことだ。したがってこの会議は、
今回でまだ5回目を迎えたにすぎない。またサマー・ダボスと呼ばれるが、正式名称は、「
ニュー・チャンピオンのための年次総会」である。サマー・ダボスという言葉は、これを開
催する中国のサイドで、積極的に定着させた感がある。
1月にスイスで開かれるダボス会議のような影響力ある国際会議を自国でも開催したいと
いうことは、多くの国が考えることだ。中国では、海南島で開かれるボアオ会議(中国版ダ
ボス会議)がその役割を果たすと考えられてきた。筆者も2002年のボアオ会議に参加し
たことがあるが、当時の朱鎔基首相らも参加する盛大な会議だった。しかし“ウィナー・テ
イク・オール”と言われるように、こうした新しい会議は、結局はダボス会議を凌ぐものに
はなりえない。温家宝首相は、中国版ダボス会議の代わりに、ダボス会議そのものを中国で
開催するという方向で強いリーダーシップを発揮したのである。
当時WEFでは、毎回同じ国で会議を開くのはどうか、という声もあった。私自身も、日
本を含むアジアの国で持ち回りにできないか提案もした。しかし結局は温首相自らが先頭に
25
2011年10月号
立って、毎年中国で開催することを既成事実化したのである。それを受けて中国の開催都市
(大連と天津が交互に開催)は、「サマー・ダボス」という名称を積極的に使った。WEF
自身は、そうした言い方を殆どしないにもかかわらず、このサマー・ダボスという表現が定
着したのである。
ここまで5回の会議を通して、一つ強く感じたことがある。それは、中国政府はサマー・
ダボスを国内のグローバル教育に活用しているという点だ。どの国もそうだが、日常生活に
追われる人々は、なかなかグローバル経済を肌で感じることが難しい。この点は、相当に大
規模の企業人やジャーナリストについても同様だ。サマー・ダボスには、実に多くの中国人
経営者とジャーナリストが招かれている。一部には、中国に偏重しすぎているという批判も
あるほどだ。しかし、こうした会議への参加を通して、中国が世界の中に調和を持って参加
していかねばならないことを、多くの人々が感じることだろう。中国という巨大な国が抱え
る難しさを考えると、多くの人々に「世界」を感じさせる機会を持つことは、極めて重要だ。
この点は、日本に欠けている重要な機能とも言える。
中国の世界戦略
以上のように、サマー・ダボスは国内のグローバル教育の機会という側面を有している。
しかし、あくまでそのメインの機能は、中国の主張を世界に発信する機会に同会議を活用す
ることである。だからこそ過去5回、すべての会議に温家宝首相が参加し、冒頭のスピーチ
を行っている。首相は会場でスピーチする以外に、選ばれた起業家や専門家と非公式の会議
を持つ。中国指導者の生の声を聞くことによって、世界の経済リーダー達は中国への理解を
大きく深めることになる。
その点で今回のサマー・ダボスでは、中国から一つの明確な主張があったように思われる。
温家宝首相が切り出し、その後多くのセッションで中国関係者が言及した点だ。
具体的にそれは、中国がこれまで巨額の外貨準備を有しアメリカの財務省証券(TB)に
投資してきたことの方針転換である。TBではなく、アメリカの企業への投資を拡大させる
という内容だ。かつて日本の橋本総理が、日本の外貨準備の構成に触れ、アメリカのTBを
減らすというニュアンスの発言をしただけでニューヨークの相場が動いたことがあった。そ
れを考えると、中国が本気でそのような行動に出た場合のアメリカの反応は、極めて強硬な
ものになると考えねばならない。
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2011年10月号
中国のこうした主張は一見唐突のように見えるが、なかなかよく考えられた戦略である。
まず、現状の欧米の財政赤字問題は極めて深刻であり、これが世界経済を揺るがせている。
アメリカの場合、政府がここまで財政規律を緩めてしまった背景に、中国の資金が安易にT
Bを買い支えるという仕組みがある。具体的に、アメリカの政策金利が引き上げられても、
国債利回りはほとんど変化してこなかった。これは、TBに対する大量の買い資金が中国か
ら供給されるからに他ならない。要するに、TBを容易に買わないという中国の姿勢がアメ
リカの財政に規律を与える、という大義名分が存在するのだ。
一方で中国の資産戦略から見ると、中期的にはやがて自国の経済成長率が低下し資産所得
に依存する状況がくることを考えると、資産のポートフォリオを収益性の高いものにシフト
しておくことは、極めて重要である。これはある意味で、成長力が高い間に戦略的な資産運
用の準備ができなかった日本を反省材料にしているのかも知れない。
実はここ数年、日本企業のダボス会議参加が増加している。これ自体大変好ましいことだ。
こういう場を通じて世界の変化を感じ、一方で日本の主張を展開することが不可欠だ。しか
しそれは裏を返せば、いよいよ日本企業が本気で日本より海外に目を向けているという証左
でもある。会議に参加する日本企業のマインド・セットから、日本への想いが消えては困っ
たことになる。
(日本経済研究センター 研究顧問)
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2011年10月号
小峰隆夫の地域から見る日本経済
伊達氏以来の歴史が生んだ被災地復興
8月末に北海道の伊達市を訪問する機会があった。この地で、歴史的な地域間の結びつき
が今回の大震災の被災地支援に結びついた例を実見してきたので、今回はこれを紹介しよう。
伊達市と亘理町
北海道の伊達市は、北海道の中では雪が少なく温暖な気候で知られ、「北の湘南」と呼ば
れている。これまで道内外からの移住者の受け入れに力を入れてきており、北海道の外から
も「老後は北海道の自然の中で暮らしたい」という人が移住してくる。
それで人口は増えたのかが気になるが、結果として近年の人口はほぼ横ばいである。しか
し、その中身を見ると、減少要因は自然減(高齢者の死亡数の増加)によるものであり、社
会的移動という面では人口増要因(流入人口が流出人口よりも多い)だというから立派なも
のである。
さてこの「伊達」という名前の由来だが、これは、明治3年(1870年)に仙台藩の一
門亘理伊達氏の第14代当主伊達那成が家臣団を率いて北海道開拓のため、現在の伊達市一
帯に移住してきたことによる。この縁があるので伊達市は従来から宮城県の亘理町と姉妹都
市として交流を続けてきた。
その亘理町が今回の大震災、特に津波で全町の47%が浸水するという大被害を受けた。
同町はイチゴの生産では東北地方随一の生産額を誇っていたのだが、このイチゴ生産地も塩
水に浸かって壊滅的な被害を受けた。
北海道の伊達市は、大震災発生以来何度も現地に調査団を派遣して復旧支援の方策を探っ
ていたのだが、その中で出てきたのが、亘理町のイチゴ生産農家を伊達市で受け入れようと
いうプランである。伊達市は、ビニールハウスや住居を提供し、日当も支給することにした。
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2011年10月号
このプランは既に実現し、動き始めている。7月には4世帯が伊達市に移住し、私が当地
を訪問した8月下旬には、第2次移住者の2世帯が来訪していた。
歴史がつないだ復興
私は現地を訪問し、既に生産活動を開始しているビニールハウス(写真)を見学してきた。
関係者の話を聞き、宿舎も見てきた。そうした経験も踏まえて感じたことは次のような点だ。
第1は、地域間の歴史的なつながりが生きたということだ。既に述べたように、伊達市と
亘理町は歴史的なつながりがあったために、かねてから交流があった。今回の移住も、こう
したこれまでの交流があったからスムースに実現したのだと思われる。
これは経済的には「情報の非対称性が小さかった」ということであろう。かねてから交流
があったから、お互いのことを良く知っていた。だからこそ伊達市側は市民の同意も得られ
やすく、思い切って有利な移住条件を提示することができた。一方、亘理町の人々も、これ
まで親戚感覚があったので、安心して移住を決意できたのだと思う。事実、移住してみたら
親戚がいることを知ったという人もいたという。
第2は、このことは、被災地支援についても自治体レベルでの個別支援が有効であること
を示しているとも言えるだろう。被災地支援というと、どうしてもオールジャパンで助ける
というのが基本になる。これには、同じ国民なのだから、全被災地を公平に助けるのが筋だ
からという意識が作用するからだ。
しかし、今回の伊達市と亘理町の例が示すように、個別自治体が特定の自治体を支援する
という方式には、きめ細かく対象を絞り込んだ思い切った支援が可能になるというメリット
もあることが分かる。そうした意味からも、今後も、平時において自治体間のネットワーク
を緊密にしておくことが重要であろう。
第3は、ここでも企業の「現場力」が発揮されているということだ。今回の大震災では、
企業のサプライチェーンが破壊され、当初はその復旧に相当の日時を要すると考えられてい
た。しかし、震災後は関係企業が力を合わせて人的・技術的支援を行った結果、驚くほど速
くサプライチェーンが復旧しつつある。
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2011年10月号
伊達市のイチゴ農家支援に際しても、温度調整設備付きのビニールハウスを無償で貸与し
たのは民間企業であり、宿舎も北海道電力が従業員用の社宅をこれまた無償で提供したもの
だった。
第4は、やはり放射能への不安は相当大きいということである。今回の第2次移住者の中
には、移住をためらった世帯もあったというが、その時決め手になったのが、幼児を抱える
母親の強い決意だったという。この母親は、放射能が子供たちに与える影響を考慮して強く
移住を主張したのだという。
第5は、「自分の能力を生かして働く場がある」ということの重要性である。私を案内し
てくれた移住イチゴ農家の方は「もうこうしてどんどん生産活動を始めているんです」とと
ても嬉しそうに説明してくれた。作業している人々の表情も明るく、再び生産活動が可能に
なったことを心から喜んでいるようであった。
被災地では当面、復興のための公共事業などによる雇用機会が増えるだろう。しかし、そ
れは本来短期的な雇用であり、基本的には各人の経験と能力に応じた継続的な雇用機会を創
出していくことが大きな課題になるだろう。更には、無理に被災地での雇用機会を作り出す
よりは、ここで紹介した例のように、他の地域で雇用を生み出していった方が得策な場合も
あるかもしれない。
最後に第6は、被災地以外の地域で「震災を機に新たな地域産業の芽が生まれる」という
ことが実現するのかもしれない。
伊達市がイチゴ農家の移住を積極的に受け入れたのは、イチゴ生産が新たな地域産業の活
性化に寄与するかもしれないという希望があったからだ。本土と北海道との季節的なずれを
生かせば、イチゴが品薄となる夏場に北海道イチゴを出荷し、それが新たなブランドとなっ
ていくことも考えられる。
北海道の伊達市を舞台として、人々の善意、民間企業の協力、そして伊達氏以来の同門意
識という歴史の結びつきが被災地のイチゴ生産の復活につながったのである。
(日本経済研究センター 研究顧問)
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2011年10月号
31
2011年10月号
山田剛のINSIDE INDIA
インドの有力財閥と多彩なリーダーたち
―国民生活に密着、経済成長支える
国営企業とともに長年インド経済を支えてきたのが多くの有力財閥だ。日本ではタタ、リ
ライアンスぐらいしか知られていないが、これらのほかにもインドには長い歴史を持つ多く
の財閥がある。いずれも強烈な個性のオーナー経営者を戴き、鉄鋼、自動車、家電から金融、
日用品、携帯電話まで、ありとあらゆる製品やサービスを通じてインド人の生活に密着して
事業を維持・拡大してきた。最近ではインド経済の多面的展開に歩調を合わせるように海外
展開や積極的なM&A(合併・買収)、多角化や新事業への参入などに取り組んでいる。主
な財閥の横顔を紹介していこう。
図表「インドの有力財閥とその概要」はホームページ「山田剛のInside India」
の会員限定PDFでご覧ください。
http://www.jcer.or.jp/international/insideindia.html
総帥の引退まであと1年余
明治維新と同じ1868年に創業したのがパルシー(ペルシャから渡来したゾロアスター
教徒)財閥の雄、タタ・グループだ。英植民地時代、インド人であることを理由にムンバイ
の高級ホテルへの立ち入りを拒否された創業者ジャムセドジー・タタが「それなら私がだれ
でも利用できるホテルをつくってみせる」と一念発起、1903年に完成したのが今もムン
バイの中心地に建つ有名なタージ・マハル・ホテルだ。タタ・グループは現在、IT(情報
技術)から、鉄鋼、自動車、ホテル、紅茶、時計、家電まで100社以上を傘下に収めるイ
ンド最大の企業グループに成長した。
現在のグループ総帥で持ち株会社タタ・サンズの会長を務めるのがラタン・タタ氏(73)。
2012年12月に「定年」を迎えるタタ氏は独身のため、グループ内では後継者の選定作
業が続いているが、今なお有力候補の名前は出ていない。タタ氏自ら「私があと20歳若け
32
2011年10月号
れば…」と思わず本音を漏らすほど、人選は難航を極めているようだ。
タタ氏の下でグループは大きく躍進。特にここ数年は英蘭コーラスや英ジャガー・ランド
ローバーの大型買収に代表されるように海外事業を相次ぎ拡大。1台20数万円という超低
価格車「ナノ」の販売も軌道に乗り、トップ交代の花道は整っている。
1966年創立。大ヒットしたインド映画「グル」のモデルにもなった豪腕経営でのし上
がったディルバイ・アンバニ氏(02年死去)が一代で築き上げたのが、石油精製や化学繊
維などを中核とするリライアンス・グループだ。一族のルーツは多くの有力商人を輩出した
西部グジャラート州にある。事業は長男ムケシュ氏(53)、次男アニル氏(51)によっ
て継承されたが、グループの主導権をめぐって兄弟が対立。インド株式相場が下落し政府も
強い懸念を表明した骨肉の争いの末、重化学工業部門などをムケシュ氏、エンタテインメン
トや金融・サービスなどの部門をアニル氏が継承して05年にグループは2つに分裂した。
現在もエネルギー事業などでのテリトリーを巡り互いに非難するなど、争いはくすぶってい
る。
ムケシュ氏が昨年、地上27階・総工費10億ドルの大邸宅を完成させると、アニル氏も
同様の豪邸を着工するなど、兄弟は今もなお激しいライバル心を燃やしている。多くの財閥
が分割相続で衰退していく中、2つのリライアンスは例外的に売上や株式時価総額を大きく
伸ばしている。この原動力こそ2人の強烈なライバル意識なのだろう。
名門「ビルラ」の後継者
かつてはタタと並び称され、国父マハトマ・ガンジーのパトロンとしても知られたビルラ
・グループは、ヒンドスタン・モータースなどを抱えるC・K・ビルラなど複数のグループ
に分かれた。その中でも米企業の買収や小売部門の拡張など積極的に事業展開しているのが、
若手財界人の代表格でもあるクマール・マンガラム・ビルラ氏(43)率いるアディティヤ
・ビルラ・グループ。傘下には大手セメント会社グラシムやアルミニウム精錬大手ヒンダル
コなどを抱え、インド産業界に大きな存在感を発揮している。ビルラ氏は名門ロンドン・ビ
ジネススクールを経て会計士となったが、早世した父アディティヤ氏の跡を継いで1996
年に29歳の若さでグループ会長に就任した。
ビルラや後述するバジャージは「マルワリ」と呼ばれる西部ラジャスタン州マルワール地
33
2011年10月号
方出身の商人コミュニティーに属しており、インド財界で一大勢力を形成している。その商
才とネットワークはしばしば「インドの近江商人」にたとえられる。
日本の江戸時代中期の享保年間に当たる1736年創業、インドでも最も古い財閥の一つ
が、タタと同じパルシー一族が率いるワディア・グループだ。英東インド会社の資材調達で
成長したワディアはまず造船業で事業を拡大。英軍艦「ミンデン号」の建造なども手がけた
が、現在では繊維大手のボンベイ・ダイングや大手菓子メーカーのブリタニア、格安航空会
社ゴー・エアウェイズなどを傘下に持つ。グループの総帥がヌスリ・ワディア氏(65)。
ムンバイ中心部の大地主としても知られ、母親はパキスタン建国の父ムハンマド・アリ・ジ
ンナーの娘。また、アドバニ元副首相らインド人民党(BJP)幹部との親交も深く、タタ
一族とも遠戚に当たる。
ゴドレジ・グループも同じパルシー一族の有力財閥。もともとは金庫や鍵のメーカーだっ
たが、現在では家電や日用品、農業資材・農村スーパーなどに多角化している。グループを
率いるアディ・ゴドレジ氏は(69)は17歳で渡米し、米マサチューセッツ工科大(MI
T)で学んだ。帰国後、グループ経営に参画すると米国仕込みの合理主義者ぶりを発揮して
大規模なリストラと経営効率化を推進した。ここ数年はアフリカ、アジアなどで日用品メー
カーを相次ぎ買収するなど積極果敢な業容拡大に取り組んでいる。グループ内では息子や娘、
親族が要所を固め、有力な補佐役である従兄弟のジャムシード氏は家電のゴドレジ・アンド
・ボイスなどを率いている。
スクーター、三輪タクシーで成長
二輪車やオートリキシャ(三輪タクシー)の有力メーカーとして知られるバジャージ・オ
ートを中心に成長したのがバジャージ・グループだ。傘下には自動車関連メーカーだけでな
く、消費財や金属、電気機器、生損保など多岐にわたる企業を抱え、グループ従業員は3万
6000人を数える。会長のラフル・バジャージ氏(73)は米ハーバード・ビジネス・ス
クール卒で、45年以上にわたってグループに君臨してきた。1980年代にはインド最大
のスクーター・メーカーとして繁栄を誇ったが、息子でバジャージ・オート会長のラジーブ
氏の主導でスクーター生産からの撤退を決めた。
バジャージと同様、自動車を中核事業とするのがマヒンドラ・グループ。多目的車大手マ
ヒンドラ・アンド・マヒンドラ(M&M)は、韓国・双龍自動車の買収などで知られる。グ
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2011年10月号
ループ企業は農業、IT、レジャー・ホテル、ロジスティクスから不動産まで、これも非常
に多彩だ。グループ会長のケシュブ・マヒンドラ氏(86)は米ペンシルバニア大で学び、
約50年間の長きにわたって会長の座を守り続け、甥のアナンド氏が副会長として彼を支え
ている。
ケシュブ氏はインド経営大学(IIM)アーメダバード校理事長など公職を歴任、貧困層
向け医療を支えるマヒンドラ基金を創設するなど社会事業にも力を注いだが、1984年に
起きた印中部ボパールの有毒ガス漏出事故当時、加害企業であるユニオン・カーバイド社の
インド法人会長を務めていたためその責任を追及され、2010年に有罪判決を受けた。
(日本経済研究センター主任研究員)
35
2011年10月号
現地発・米国経済を読む 田原健吾
米住宅市場、家賃上昇の「怪」
2008年の金融危機後の米国経済の回復は今なお非常に緩慢で、経済が「日本化」して
いる、あるいは「日本病」にかかっているという懸念が再び聞かれるようになっている(※
1) 。日本はバブル崩壊後、90年代から00年代にかけて、「失われた10年」とも呼
ばれる長期にわたる低成長とデフレ傾向を経験した。長期金利が歴史的低水準にまで下がり、
それでもバランスシート調整の必要から、需要が喚起されないという米国経済の現況は、確
かにバブル崩壊後の日本の姿と共通した点が多い。住宅市場では販売価格が現在も弱含み、
ローンの延滞率もピークは越えたものの、8%台と高止まりしたままだ。日本の経験を振り
返ると、バブル崩壊後、住宅価格は10年以上も下落が続いた。
マンハッタンで前年比10%上昇
ただし、家賃の動きを見ると、日本の経験とはやや異なる兆しもうかがえる。この夏、ニ
ューヨークで住む部屋を探した際、家賃はせいぜい横ばいか多少下がっているのではないか
と期待していた。しかし不動産ブローカーによれば、「住宅の売れ行きはよくないが、家賃
の方は最近上がっている」という。念のため調べてみると、確かに4−6月期の家賃は、マ
ンハッタン平均で前年同期比10%近くも上昇していた(Citi Habitats調べ)。
住宅価格が低迷する中での家賃の上昇は、ニューヨークに限った話ではなく、全国各地の
都市で見られている。消費者物価指数で確認すると、家賃は金融危機後、いったん下落した
後、10年半ばから再び上昇し始めている(文末図1参照)。家賃が横ばいでなく上昇して
いることは、住宅市場の先行きにとって明るい兆しとも見える。貸借市場の需給が引き締ま
れば、現在の低金利の下で、住宅購入を検討する家計も増えるだろうし、あるいは貸家の建
設も選択肢に入ってくる可能性も高まる。
日本では90年代半ばから現在に至るまで、家賃は横ばい傾向が続いている。米国で日本
とは異なる現象が見られる要因として、まず人口の増加が考えられる。日本では90∼95
36
2011年10月号
年には年率0.3%程度しか増加しておらず、現在では減少に転じている。一方で米国は、
やや減速はしてきたものの、現在も0.9%程度の人口増加率を維持している。人口動態は、
住宅市場のみならず、もちろん経済全体の潜在成長率を規定する重要な要因である。
家計の苦境を投影
コンファレンスボードのゴールドステイン氏は、これまでの政策による影響もあると指摘
する。米国では、持ち家(ホームオーナーシップ)を促す政策が、少なくともクリントン、
ブッシュ政権までは行われてきた。その中で、1986年の税制改正により、消費者ローン
全般に対して適用されていた税額控除が、2軒目までの住宅ローンのみに対象が狭められた。
その結果、持ち家へのインセンティブが強まり、逆に貸家の供給は相対的に減少した。さら
に政策による住宅購入の後押しに加え、低金利や結果的にバブルの醸成につながったサブプ
ライムローンによる貸付条件の緩和等もあって、持家率は90年代半ばから2000年代半
ばにかけて64%から69%にまで上昇した(図2)。
しかし08年の金融危機以降、多くの家計が債務の返済あるいは厳しい雇用・所得環境に
直面し、新たに住まいを探す際に持ち家より借家を選び、家を所有していた場合もその家を
売り払って借家に入らざるをえなくなるという状況が生じた。そうした貸家需要への揺り戻
しの結果、住宅価格が下落し続ける中で、貸家の空室率は低下し、家賃が上昇ないし高止ま
りするという現象につながっている。
政策は持ち家・借家併存へシフト
住宅バブル崩壊の反省を踏まえ、もはや持ち家は皆が目指すべきアメリカンドリームでは
なく、借家の方が望ましい場合もあると、政府は認識を改めている。その上で、かつてのよ
うな持ち家の推進一辺倒ではなく、賃借の推進にも動き始めた。今年2月にオバマ政権が議
会に提出した住宅金融市場に関する改革案では、低中所得者の住宅購入と賃借の支援をとも
に強化する方針が示された。また米連邦住宅金融局(FHFA)は、住宅公社の保有する差
し押さえ物件の処理方法について、賃貸への転用も含め検討している。住宅を長期間、空き
家のまま放っておくと、損傷が進みやすく、修理が必要となるため、機会費用の意味でも、
実際に生じる費用の意味でも、貸借の促進は合理的である。このような取り組みがうまくい
けば、住宅販売市場の早期回復に資する可能性はある。
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2011年10月号
しかし住宅販売及び住宅投資が回復軌道に乗るまでには、時間がかかりそうである。全米
不動産協会(NAR)によれば、中古住宅の在庫は約370万戸にも及ぶ。さらに、この統
計には含まれず、ゆくゆくは市場に放出される差し押さえ在庫等を含むいわゆる「隠れ在庫」
は、ブルームバーグ社推計によれば400万戸を超える規模だ。一方で、雇用・所得環境の
回復ペースが非常に緩慢な中、消費者マインドは慎重であり、住宅需要の伸びにも当面は限
界があろう。足元の家賃の上昇トレンドから住宅市場の明るい展望を導き出すことは、もち
ろん出来ない。
米国と日本の間には制度や人口動態等の経済構造に違いがあるため、日本のような10年、
20年といった経済の停滞が米国で続く可能性は低いとみられる。ただし、先述したとおり、
金融危機後、バランスシート調整に直面している点は、90年代の日本と共通している。ラ
インハート氏・ロゴフ氏の研究 (※2)によれば、戦後の各国の金融危機の経験を振り返
ると、平均的にみて住宅価格は6年間下落、失業率は5年間近く上昇が続いている。米国も
「失われた10年」はないとしても、回復まではまだ途半ばと見た方がよさそうである。
※1 Economist, 2011年7月30日号、Financial Times
, 2011年8月20日付・30日付、Wall Street Journal, 2
011年8月13日付など。日経センターの経済百葉箱第42号(2011年1月)でも米
国の「日本化」現象を概観した上で、慎重な見通しを示している。
http://www.jcer.or.jp/report/econ100/index4118.html
※2 Carmen M. Reinhart & Kenneth S. Rogoff
(2009), “This Time is Different: Eight C
enturies of Financial Folly” Princeton Un
iversity Press.
(日本経済研究センター研究員、米コンファレンスボード出向)
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2011年10月号
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2011 年 10 月号
研究リポート(サマリー)
2020 年の産業動向
第 37 回改訂中期経済予測(2011-2020 年)
輸出の増加により、加工産業の伸びは堅調
-エネルギー構造の転換は卸売業、運輸業へプラスに寄与
2011 年 9 月 22 日発表、中期予測班
当センターが 2011 年 6 月に公表した第 37 回改訂中期経済予測(以下、改訂見通し)で
は、主に国内の全原発が停止した場合の、国内総生産(GDP)ならびに GDP を構成する需要
項目(民間消費支出や設備投資など)といったマクロ経済の見通しを示した。今回は、同
改訂見通しを産業連関表に反映し、2020 年までの産業別の国内生産額と従業者数の予測を
見直した。全原発が停止した場合でも、加工型産業への影響は少なく、生産は増加基調を
維持する。また原発を火力代替することで、化石燃料輸入が増えるため、関連の商社や海
運が活性化する見通しだ。
<ポイント>
① 輸出の増加に牽引され、2010-2020 年においても加工産業の生産増加は継続。
② 原子力発電の火力代替によって燃料輸入が増加する結果、卸売、運輸業で
は生産の増加が見込まれる。
③ 人口減少の影響をうけて、農林水産業、製造業、建設業を中心に従業者数
は引き続き減少が継続するものの、医療・介護を中心としたサービス業で
は雇用の増加が期待される。この株価水準は企業業績や財務状態、あるい
は金利水準と比較して歴史的にも割安と判断することができる。
<今後 10 年間の生産・雇用の変化>
詳細は
http://www.jcer.or.jp/research/middle/detail4225.html をご参照ください。
40
2011 年 10 月号
セミナーリポート
東日本大震災の不動産市場への影響
2011 年 9 月 14 日開催
松村
徹・ニッセイ基礎研究所不動産研究部長
安全重視で選別・二極化進む―物流セクターに成長期待
<要旨>
東日本大震災により不動産市場では、企業のオフィス選びや個人の住宅選びにおいて、要求水準が高
度化するなど意識・行動の変化がある。地盤の強さや安全対策の観点からより物件の選別が進み、地価
の二極化が進むだろう。特に浦安市や仙台市など液状化した住宅価格・マンション価格の動向が今後の
焦点となる。
不動産市場の需給への影響は限定的と言えるが、その背景には足元の生産や消費の回復がある。不動
産市場は景気動向に左右されるので、注意して見ていく必要がある。
セクター別に見ると、オフィスセクターは東京一極集中リスクの高まりから、企業のオフィス需要に
懸念がある。震災・原発事故は、外国人観光客を激減させ、とりわけ東京の商業・ホテルセクターに影
響を与えた。一方、物流セクターは、被災施設からの代替需要の発生、新規の投資や開発が活発で、今
後有望である。
※詳細は
http://www.jcer.or.jp/seminar/sokuho/index.html#20110914
をご参照くださ
い。
41
2011 年 10 月号
最近掲載のセミナーリポート
開 催 日
9 月9 日
9 月7 日
8 月 30 日
タ イ ト ル
講 師
野田新政権と日本政治の課題
「ガバナンス回復の条件―破壊から
の再構築を」
芹川洋一・日本経済新聞社論説委
員長
<シリーズ>新興国と日本④
戦略的パートナーとしての日越関係
―メコン経済圏の発展も視野に
「日本は対越投資・援助を強化せよ
―ベトナム市場の重要性に注目すべ
き」
欧州経済と世界のクレジット市場を展
望する
「脆弱な地合い避けられず」
HP 掲載項目
服部則夫・オフィスハットリ代表、元
駐ベトナム大使
中空麻奈・BNP パリバ証券クレジット
調査部長
7 月 21 日
企業の危機管理を問う ―東海・東南
海・南海大地震に備えて
「最悪被害を想定した防災計画を」
7 月 12 日
原発問題と再生可能なエネルギーを
探る
「原子力一辺倒の政策を転換」
大島堅一・立命館大学国際関係学
部教授
7 月8 日
日韓主要産業の国際競争力
「韓国企業躍進、FTAが支えに
―成果主義経営が迅速な決断生む」
深川由起子・早稲田大学政治経済
学術院教授
河田惠昭・関西大学社会安全学部
長/人と防災未来センター長
(注)タイトル欄の上段はセミナータイトル、「 」内は抄録の大見出し。
詳細は以下のサイトをご覧下さい。
(聴くゼミ:音声)http://www.jcer.or.jp/seminar/kikusemi/index.html
(読むゼミ:抄録)http://www.jcer.or.jp/seminar/sokuho/index.html
42
ピッ
ピックアップセミナー
東京
11月14日 12:00 ∼ 13:30
東京
*会費:3000円(当日ご持参ください) *会場:日経東京本社ビル6階・セミナールーム2
11月28日 13:30 ∼ 15:00
*会場:日経東京本社ビル6階・セミナールーム2
会員会社・部長昼食会
高齢化とグローバル化の
もとでの震災復興
消費重視の成長戦略
櫨 浩一・ニッセイ基礎研究所研究理事、
チーフエコノミスト
清家 篤・慶應義塾大学商学部教授、 慶應義塾長
公益社団法人
日本経済研究センター
〒100-8066 東京都千代田区大手町1−3−7 日本経済新聞社東京本社ビル11階
総務・事業本部
総 務 グ ル ー プ
経 理 グ ル ー プ
会 員 グ ル ー プ
事業グループ
(セミナー)
03(6256)7710
03(6256)7708
03(6256)7718
03(6256)7720
研究本部
予 測 ・ 研 修 グ ル ー プ
研 究 開 発 グ ル ー プ
国際・アジア研究グループ
広 報 ・ 企 画 グ ル ー プ
03(6256)
7730
03(6256)
7740
03
(6256)
7750
03
(6256)
7713
グローバル研究室
中 国 研 究 室
ライブラリー(茅場町支所) 〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町2−6−1 日経茅場町別館2階 03(3639)
2825
大阪支所 〒540-8588 大阪府大阪市中央区大手前1−1−1 日本経済新聞社大阪本社8階 06(6946)
4257
03(6256)7732
03
(6256)7744
参加ご希望の皆様へ
会場の席数に限りがございますので、当センターホームページ(http://www.jcer.or.jp/)または裏面のFAX申込書
で事前お申し込みをお願いします。
セミナーの日時は講師の都合などで変更する場合もありますので、当センターホームページでご確認ください。
■会費
■場所
■入場
会員無料(会員証をご提示ください)
一般は1回8,000円
東京:日本経済新聞社東京本社(東京都千代田区大手町1 3 7)
日経茅場町カンファレンスルーム(東京都中央区日本橋茅場町2 6 1)
大阪:日本経済新聞社大阪本社8階・日 経 セ ン タ ー 会 議 室(大阪府大阪市中央区大手前1 1 1)
(地図はホームページをご覧ください)
先着順(セミナー開始の30分前より受付を始めます)
■お問い合わせ(電話) 東京:
(03)6256−7720/大阪:
(06)6946−4257
東京
10月3日 14:00 ∼ 15:30
東京
10月7日 14:00 ∼ 15:30
*会場:日経東京本社ビル6階・セミナールーム2
日銀10月短観ポイント説明会
10月3日公表の日銀短観で示される企業の景況感や下期
の経営計画の動向について、8月25日の当センター短期経
済予測公表後の内外経済情勢とも関連付けながら解説しま
す。
*日英同時通訳付き
*会場:日経茅場町カンファレンスルーム
AEPR特別セミナー
変わりつつある北朝鮮と世界
対外強硬路線を加速する北朝鮮では、格差、腐敗、社会
的地位などにおいて大きな社会変動が進行しています。当
センターが発行しているAsian Economic Policy Review
(AEPR)の次号執筆者の一人である北朝鮮研究の大家が、
脱北者1600人の証言を踏まえて、現在の情勢と世界へ及ぼ
愛宕 伸康・日本経済研究センター短期経済予測主査
す影響について論じます。
マーカス・ノーランド・ピーターソン国際経済研究所副理事長、シニアフェロー
ジョンズ・ホプキンス大学Ph. D。エール大学、ジョンズ・
ホプキンス大学、米大統領経済諮問委員会シニア・エコノミス
トなどを歴任
東京
10月6日 12:00 ∼ 13:30
東京
10月13日 14:00 ∼ 15:30
*会場:日経東京本社ビル6階・セミナールーム2
*会費:3000円(当日ご持参ください) *会場:日経東京本社ビル6階・セミナールーム2
大阪
10月14日 14:00 ∼ 15:30
*会場:日経大阪本社ビル8階・日経センター会議室
会員会社・部長昼食会
債務問題と欧州経済の展望
ギリシャへの追加支援や危機国支援枠組みが合意された
≪日経センター金融研究説明会≫
復興対策・原発問題への金融面からの
政策提言
後も、ユーロ安定策についての模索が続いています。EU
生産活動は予想以上の回復を見せていますが、債務を残
への加盟国やユーロ採用国が拡大したがゆえに、各国は経
したまま住宅や事業所を失った被災者・被災企業への金融
済的な調整コストを抱えています。長く欧州を研究されて
支援、原発事故に根ざす賠償など、課題は山積しています。
いる浜氏が欧州経済の先行きについてお話します。
二重ローン解消に政府はどこまで手を貸すべきなのか、賠
償原資は誰がどのように負担すべきかを考えます。東北の
浜 矩子・同志社大学大学院ビジネス研究科教授
1975年一橋大学経済学部卒、三菱総合研究所入社。ロンドン
駐在員事務所長、経済調査部長、政策・経済研究センター主席
研究員などを経て、2004年から現職
インフラ復興に向けた民間資金活用策も提案します。
岩田 一政・日本経済研究センター理事長(東京会場のみ)
平田 英明・日本経済研究センター副主任研究員、法政大学経営学部准教授
東京
10月18日 18:30 ∼ 20:00
東京
*会費:会員無料・一般2000円 *会場:日経東京本社ビル2階 SPACE NIO
<第5回 イブニング・マーケット・セミナー>
日本化のその先を読む
日経ヴェリタスとの共催セミナーも5回目となりました。
といっても、世界の金融・資本市場は一段と混迷の度を深
め、日本化(ジャパナイゼーション)への懸念も語られて
います。その最先端を走る日本の今後をどうみるか、バー
クレイズ・キャピタル証券の森田チーフストラテジストを
招き、議論します。
10月28日 13:30 ∼ 15:00
*会場:日経東京本社ビル6階・セミナールーム2
主張する豪州
―政治経済情勢の変化と
アジア・太平洋地域での役割
豪州のギラード政権は、日本や米国とともに資源の輸出
先として中国を重視する姿勢を打ち出しており、米軍基地
の受け入れ論議やTPP、豪州・韓国FTAなどとともにそ
の外交政策が注目されています。エネルギー需要の増大や
領海問題などの不安定要因を踏まえ、その存在を主張し始
めた豪州の政治・経済についてわかりやすく解説します。
森田 長太郎・バークレーズ・キャピタル証券 チーフストラテジスト
寺田 貴・早稲田大学アジア研究機構教授
慶應義塾大学経済学部卒。日興リサーチセンター、日興証券、
日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券を経て、
2007年から現職
オーストラリア国立大学院博士号取得。シンガポール国立大
学人文社会科学部助教授、早稲田大学アジア研究機構准教授を
経て、2008年から現職
東京
10月24日 13:30 ∼ 15:00
東京
*会場:日経東京本社ビル6階・セミナールーム2
*会場:日経東京本社ビル6階・セミナールーム2
<シリーズ>新興国と日本⑥
2012年の中国経済―軟着陸は可能か
中国のGDPは2010年に日本を抜き、米国に次ぐ世界第2
位に躍り出ました。ただ、足元では食料品を中心としたイン
フレと不動産バブルが懸念され、当局は金融引き締めに動
き、生産は減速の様相を見せています。中国経済研究の第
一人者である関氏に来年の中国経済を展望してもらいます。
関 志雄・野村資本市場研究所シニアフェロー
1979年香港中文大学卒、86年東京大学大学院博士課程修了、
経済学博士。香港上海銀行、野村総合研究所、経済産業研究所
を経て、2004年から現職
東京
10月26日 14:00 ∼ 15:30
*日英同時通訳付き
*会場:日経茅場町カンファレンスルーム
11月1日 15:30 ∼ 17:00
日銀短観の現状と課題
―リーマン危機後の経験を踏まえて
短観は、企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運
営に資することを目的に実施する統計調査です。1957年に
開始されましたが、リーマン破綻後の金融危機の広がりを
受け、幾つか課題も明らかになりました。短観の総括を担
当する小早川氏に、中長期的にみた標本設計面での課題や
統計精度向上に向けた取り組みをご紹介いただきます。
小早川 周司・日本銀行調査統計局経済統計課長
1990年一橋大学経済学部卒、97年英国オックスフォード大学
経済大学院博士課程修了。日本銀行ニューヨーク事務所駐在、
OECD経済局勤務などを経て、2010年から現職
東京
11月9日 13:30 ∼ 15:00
*会場:日経東京本社ビル6階・セミナールーム2
<シリーズ>新興国と日本⑦
グローバルな金融危機を展望する
インド進出企業のための税務・会計
日系企業の進出が再び加速するインドは巨大市場として
欧米での財政危機から金融システム不安が懸念されてい
のチャンスがある一方、複雑な間接税体系など、ビジネス
ます。政府債務はどの水準まで安全で、先進国にはどれだ
を展開する上で多くの問題もあります。新しく導入される
け財政的余地があるでしょうか。欧州周辺国が債務不履行
間接税制度や、物品・サービス税の一本化への対策、
「LLパ
に陥った場合主要国へどう波及し、長期的な成長はどうな
ートナーシップ制度」など、公認会計士としてインドで日系
るでしょうか。IMF出身の初代韓国銀行チーフエコノミス
企業をサポートする岩瀬氏が、実例を挙げながら解説します。
トが、債務問題と金融市場の安定性について展望します。
岩瀬 雄一・Fair Consulting Indiaマネージングディレクター、
金 俊逸・韓国銀行経済研究院長、チーフエコノミスト
ソウル大学経済学部卒、ブラウン大学経済学博士。韓国開発
研究院、国際通貨基金(IMF)シニアエコノミストなどを経て、
2011年から現職
公認会計士、税理士
2000年あずさ監査法人東京事務所入所、米国会計基準・日本
会計基準監査業務、株式公開業務に従事。07年10月KPMGイン
ド事務所赴任を経て、11年1月から現職
東京
11月14日 12:00 ∼ 13:30
大阪
10月7日 14:00 ∼ 15:30
*会場:日経大阪本社ビル8階・日経センター会議室
*会費:3000円(当日ご持参ください) *会場:日経東京本社ビル6階・セミナールーム2
会員会社・部長昼食会
高齢化とグローバル化のもとでの
震災復興
大震災からの復興を考える時、福澤諭吉の言った、科学
という意味の「実学」、正しい判断力という意味の「公智」
、
困難な人を思いやるという意味の「徳心」という概念は示
唆に富みます。少子高齢化と経済のグローバル化という大
きな構造変化のもとで復興を実現するカギは、付加価値生
産性の向上です。今後の方向性を示していただきます。
清家 篤・慶應義塾大学商学部教授、慶應義塾長
TPPの本質と日本の成長戦略
「例外なき自由化」を提唱するTPPですが、実際には
各国の事情によって例外が多く存在しています。TPPへの
参加にはメリットがあるのか、また、本当に日本の成長に
寄与するのでしょうか。今後の対外政策も含め吉野氏に展
望していただきます。
吉野 文雄・拓殖大学海外事情研究所教授
1989年早稲田大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。金
沢工業大学国際問題研究所客員研究員、高崎大学講師などを経
て、2003年から現職
慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程修了。同大学商学部
教授、商学部長などを経て、2009年から現職。東日本大震災復
興構想会議委員
大阪
10月20日 14:00 ∼ 15:30
*会場:日経大阪本社ビル8階・日経センター会議室
東京 11月22日 14:00 ∼ 15:30
*会場:日経東京本社ビル6階・セミナールーム2
大阪
11月24日 14:00 ∼ 15:30
日本企業の生き残り策を探る
*会場:日経大阪本社ビル8階・日経センター会議室
東日本大震災の影響や常態化する円高など、日本の企業
経営には厳しい環境が続きます。日本経済の空洞化も懸念
日経センター短期経済予測説明会
予測期間:2011年10−12月期∼2014年1−3月期
される中、日本企業は今後どう生き残りを図ればいいので
しょうか。中小企業動向や新しい技術の芽についても詳し
い真田氏に海外の経済情勢も含めて解説いただきます。
真田 幸光・愛知淑徳大学ビジネス学部教授
愛宕 伸康・日本経済研究センター短期経済予測主査
東京
1981年慶應義塾大学法学部政治学科卒、東京銀行(現東京三
菱銀行)入行。ソウル支店主任支店長代理、ドレスナー銀行東
京支店企業融資部長などを経て、2004年から現職
11月28日 13:30 ∼ 15:00
*会場:日経東京本社ビル6階・セミナールーム2
大阪
11月10日 14:00 ∼ 15:30
*会場:日経大阪本社ビル8階・日経センター会議室
消費重視の成長戦略
東日本大震災の痛手から立ち直ろうとしている日本経済
景気点検講座
は、海外経済の変調と円高の波に襲われています。海外の
需要に依存する成長戦略が問題で、人口が減少するために
今後は増加しないと考えられてきた消費を重視する戦略こ
そが、日本経済復活のカギを握っているというお話をして
いただきます。
「景気点検講座」は日本銀行大阪支店のご協力で、5月
と11月に景気を定点観測するセミナーです。経済動向や物
価情勢の現状・見通しなどタイムリーな情報を、日本銀行
の担当者が解説します。(
「聴くゼミ」「読むゼミ」資料の
櫨 浩一・ニッセイ基礎研究所研究理事、チーフエコノミスト
ホームページ掲載は致しません)
1981年経済企画庁(現内閣府)入庁、92年ニッセイ基礎研究
所入社、2011年から現職
菅野 浩之・日本銀行大阪支店営業課長
大阪
11月17日 14:00 ∼ 15:30
大阪
*会場:日経大阪本社ビル8階・日経センター会議室
11月22日 10:40 ∼ 12:40
*会員、一般とも入場無料
*会場:神戸大学出光佐三記念六甲台講堂(神戸市灘区六甲台2−1)
*定員:400名(先着順受付、定員になり次第締め切り)
韓国のFTA戦略と経済動向
韓国経済はリーマンショックから目覚ましい回復を見せ
日経センター・神戸大学景気討論会
ました。ウォン安に加え産業のグローバル化に積極的に取
日本とアジアの今後の
経済見通しについて
り組んだ結果とも言えますが、財政問題等により先進諸国
経済が軒並み不調に陥る中、今後の推移が注目されます。
EU、米国などとのFTAを締結し、輸出主導に特化する韓
債務問題で低迷する先進国に比べ、東アジアは世界経済
国経済の光と影について展望していただきます。
の成長を牽引する役割を一層強めています。日本とアジア
の景気見通しと経済発展について、神戸大学と共催で活発
奥田 聡・日本貿易振興機構アジア経済研究所動向分析研究グループ長
な議論を行います。
1992年UCLA経済学修士。1985年アジア経済研究所入所、対外
経済政策研究院(韓国)招請研究員などを経て、2011年から現職
講師(順不同)
東京
10月1日 13:30 ∼ 16:30
*日英同時通訳付き
*会費:会員無料、非会員3000円、学生1000円(当日学生証をご提示ください)
*会場:日経茅場町カンファレンスルーム
「働きたい会社−従業員価値を高めるには」研究会
特別講演会・ディスカッション
松林 洋一・神戸大学大学院経済学研究科教授
金京 拓司・神戸大学大学院経済学研究科教授
飯塚 信夫・神奈川大学経済学部准教授
可部繁三郎・日本経済研究センター主任研究員
司会)羽森 茂之・神戸大学大学院経済学研究科教授
不確実な時代の人材戦略
不確実性が増し、労働市場が流動化する中、能力の高い
人材の育成・確保が難しくなっています。企業はどのよう
にヒトを活かせばよいでしょうか。米国を代表する研究者
が打開策を提案し、日本の実務家と学者を交えて今後の人
仙台
10月31日 13:30 ∼ 16:00
*参加費無料
*会場:ホテルメトロポリタン仙台 3階 曙の間(仙台市青葉区中央1−1−1)
*定員:200名(先着順受付、定員になり次第締め切り)
材戦略について議論します。
基調講演
ピーター・キャペリ・ペンシルベニア大学ウォートン・スクール教授
パネルディスカッション
ピーター・キャペリ・ペンシルベニア大学ウォートン・スクール教授
清家 篤・慶應義塾大学商学部教授、慶應義塾長
加藤丈夫・元富士電機会長
司会)守島基博・一橋大学大学院商学研究科教授
ピーター・キャペリ・ペンシルベニア大学ウォートン・スクール教授
コーネル大学卒、オックスフォード大学労働経済学博士号取
得。マサチューセッツ工科大学、イリノイ大学などを経て現職
日本経済研究センター・仙台日経懇話会共催
シンポジウム
東北復興の具体像を考える
日本経済研究センター「希望と成長による地域創造研究
会」では今年度、震災復興を大きなテーマに据えています。
東日本大震災からの復旧・復興の状況や阪神・淡路大震災
の経験を踏まえつつ、水産業など産業再構築のあり方、経
済特区の導入や地元自治体への権限委譲の問題などを議論
し、東北復興の姿・方策を現地、仙台で具体的に探ります。
東京
10月20日 13:30 ∼ 15:30
*会 場:日経東京本社ビル3階・日経ホール
*お申し込み:ホームページ(http://www.jcer.or.jp/)から
*申 込 締 切:10月6日
特別講演「震災からの復興状況と今後の課題」
村井 嘉浩・宮城県知事
パネルディスカッション「東北の産業復興の方策を探る」
景気討論会
パネリスト)
日本経済研究センターと日本経済新聞社が、東京で開く、
井上 明久・東北大学総長(宮城県震災復興会議副議長)
定例の「景気討論会」で東日本大震災からの復興と日本経
伊藤 克彦・仙台空港ビル社長
済、世界経済の行方をテーマに議論します。
貝原 俊民・ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長
(前兵庫県知事)
講師) 桜井 正光・リコー会長
岡本 義行・法政大学大学院教授
日本経済研究センター地域創造研究会副主査
中島 厚志・経済産業研究所理事長
三輪 裕範・伊藤忠経済研究所所長
岩田 一政・日本経済研究センター理事長
司会) 岡田 直敏・日本経済新聞社東京本社編集局長
モデレーター)
小峰 隆夫・日本経済研究センター研究顧問
地域創造研究会主査
法政大学大学院教授
03(6256)7925
大阪のセミナーは… 06(6947)5414
東京のセミナーは…
日本経済研究センター
Japan Center for Economic Research
2011年10 • 11月の催し
TOKYO
月
日
1
3
6
7
曜日
土
月
木
金
木
18
火
11 14
22
28
月
日
7
10 14
20
10
17
11 22
24
http://www.jcer.or.jp/
FAX ご希望のセミナーに○をしていただき、必要事項を
ご記入のうえ、このページをお送りください。
セミナー名
参加希望
「働きたい会社−従業員価値を高めるには」研究会 特別講演会・ディスカッション
不確実な時代の人材戦略
ピーター・キャペリ 氏 ほか
日銀10月短観ポイント説明会
愛宕伸康
会員会社・部長昼食会
債務問題と欧州経済の展望
浜 矩子 氏
AEPR特別セミナー
変わりつつある北朝鮮と世界
マーカス・ノーランド 氏
≪日経センター金融研究説明会≫
復興対策・原発問題への金融面からの政策提言
岩田一政・平田英明
<第5回 イブニング・マーケット・セミナー>
日本化のその先を読む
森田長太郎 氏
<シリーズ>新興国と日本⑥
2012年の中国経済―軟着陸は可能か
関 志雄 氏
水
グローバルな金融危機を展望する
金 俊逸 氏
金
主張する豪州―政治経済情勢の変化とアジア・太平洋地域での役割
寺田 貴 氏
火
水
月
日銀短観の現状と課題―リーマン危機後の経験を踏まえて
小早川周司 氏
<シリーズ>新興国と日本⑦
インド進出企業のための税務・会計
岩瀬雄一 氏
会員会社・部長昼食会
高齢化とグローバル化のもとでの震災復興
火
日経センター短期経済予測説明会
予測期間:2011年10−12月期∼2014年1−3月期
月
消費重視の成長戦略
OSAKA
月
ホームページ
*詳細はホームページをご参照ください。*■は会員限定セミナーです。 ご希望のセミナーに○をしてください。
10 13
24
26
28
1
9
ホームページまたはFAXでお申し込みください。
清家 篤 氏
愛宕伸康
櫨 浩一 氏
*詳細はホームページをご参照ください。*■は会員限定セミナーです。 ご希望のセミナーに○をしてください。
曜日
金
金
セミナー名
参加希望
TPPの本質と日本の成長戦略
吉野文雄 氏
≪日経センター金融研究説明会≫
復興対策・原発問題への金融面からの政策提言
平田英明
木
日本企業の生き残り策を探る
真田幸光 氏
木
景気点検講座
菅野浩之 氏
木
韓国のFTA戦略と経済動向
奥田 聡 氏
火
木
日経センター・神戸大学景気討論会
日本とアジアの今後の経済見通しについて
日経センター短期経済予測説明会
予測期間:2011年10−12月期∼2014年1−3月期
10 •11月のセミナー参加申込
愛宕伸康
会 社 名
所属・役職
氏 名
TEL
*皆様の個人情報は上記セミナーに関する確認のほか、
日経センターの事業のみに使用いたします。
Mail
FAX
公益社団法人
日本経済研究センター
Japan Center for Economic Research
http://www.jcer.or.jp
設立
目的
事業開始 1963年12月23日
内外の財政、金融、経済、産業、経営等の諸問題に関する調
査、研究を行い、あわせて会員相互の研修を図り、日本経済
の発展に寄与することを目的としています。
事業
役員
2010年(平成22年)4月1日(公益社団法人としての登記日)
代表理事
会長
新井 淳一
代表理事
理事長
岩田 一政
理事
喜多 恒雄
杉田 亮毅
長谷川 閑史
深尾 光洋
御手洗 冨士夫
南 直哉
八代 尚宏
吉川 洋
監事
田村 達也
本田 敬吉
上記の目的に沿って、主に次のような事業を展開しています。
1
内外の財政、金融、経済、産業、経営等の諸問題に関する調査、研究
2
経済予測・分析・研修
3
セミナー・討論会・研究会等の開催
4
ライブラリー・情報サービス
5
研究奨励金の交付
会員
普通会員、アカデミー会員(自治体、大学)、特別会員、名誉
運営
会費、寄付金などで運営しています。
会員で構成してい ます。
研究顧問
大竹
小島
小峰
竹中
深尾
名誉顧問
金森 久雄
香西 泰
日本経済研究センター 直通電話番号
総務事業本部
事務局
研究本部
総務グループ 03(6256)7710
予測・研修グループ 03(6256)7730
役員秘書 03(6256)7700
研究開発グループ 03(6256)7740
経理グループ 03(6256)7708
国際・アジア研究グループ 03(6256)7750
会員グループ 03(6256)7718
広報・企画グループ 03(6256)7713
事業グループ 03(6256)7720
会報編集 03(6256)7713
グローバル研究室 03(6256)7732
中国研究室 03(6256)7744
文雄
明
隆夫
平蔵
光洋
事務局長
事務局長補佐
兼総務
事業本部長
金子 豊
石塚 慎司
研究本部長
猿山 純夫
大阪支所長
府川 浩
茅場町支所 03(3639)2825
茅場町支所長
長坂 秀子
大阪支所 06(6946)4257
会報編集長
牛山 隆一
ライブラリー
所在地
東京・大手町
茅場町支所 (ライブラリー) 大阪支所
〒100-8066
〒103-0025
〒540-8588
東京都千代田区大手町1-3-7
日本経済新聞社11階
東京都中央区日本橋茅場町2-6-1
日経茅場町別館2階
大阪府大阪市中央区大手前1-1-1
日本経済新聞社8階
T E L: 03(6256)7710
FAX: 03(6256)7924
T E L: 03(3639)2825
FAX: 03(3639)2879
T E L: 06(6946)4257
FAX: 06(6947)5414
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や研究レポート、会報などの情報を
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