PDF版1591Kb - 京都ビオトープ研究会

 いのちの森
No.4
1 9 9 9 年度調査報告
2000 年 4 月 30 日
京都ビオトープ研究会
いのちの森モニタリンググループ
は じ め に:4 年目の報告にあたって
森本幸裕
そのとき、思わず拍手があがった。2000 年 3 月の
モニタリング報告会で、あたらしくグループに加わ
られた真田さんが、いのちの森にカワセミがやって
きた、と報告されたときのことである。なんと、ヒ
ヨドリとの諍いをビデオに収めたとのことである。
いのちの森には多様な生息環境をつくるということ
で、カワセミの崖と名付けられた裸地のり面が作ら
れたのだが、開園当初は私たちのだれもが、こんな
に早くやってきてくれるとは予想していなかった。
京都駅から歩いて 15 分、かつての広大な JR 操車
場が京都市の梅小路公園に生まれ変わって4年目に
して鳥のスターが現れた、といっても過言でないだ
ろう。面積 10ha 余りの梅小路公園は、ゆるやかな地
形が印象的な芝生広場と緑と水と館が美しい日本庭
園、それにエコロジーパークとして整備された「い
のちの森」からなる。いのちの森は都心にもともと
の自然をとりもどそうという、いわゆる復元型のビ
オトープである。ここは東、北、西の三山からもっ
とも遠い位置にあって、京都ではもっとも非自然
的、非生物的空間だったところである。いま、各地
で「ビオトープづくり」が盛んになりつつあるが、こ
れほどなにもない都心に、まとまった生き物主体の
空間が整備されたことは全国にも例を見ない。
ふつう、公園緑地は市民の利用が大前提だが、こ
こでは、むしろ生物が主人公の空間であって、人間
の方は控えめに観察させてもらうだけという奇妙な
場所である。そのために、日本庭園入園料を支払っ
た方だけが入園できるように整備され、厳密に観察
園路を設定し、単なる通りすがりの利用はできない
仕掛けとなっている。空中の林冠を散歩する樹冠回
廊はなかなか好評である。
ところが、
「自然の復活」といっても、もともとの
自然とはいったいなになのか。どのように設計すれ
ばいいのか。うまく施工できるのか。それから、は
たして自然性が回復していくのだろうか。実は疑問
だらけである。いま流行の学校ビオトープとか、韓
国でも始まった学校ビオトープなども 2,3 見て回っ
たが、そのコンセプトや実態は千差万別である。生
態学者はもとより、造園や緑化を専門としてきた
方々のなかにも、その一面を見て批判されるかたも
いる。
自然を「手を加えない」という意味でとらえて「自
然でない」という意見もあるが、厳密に考えれば自
然はもうどこにもない。このような批判に対して、
わたしたちのボランティアグループは貴重な記録を
集積しつつある。生態学会でもこのごろ里山を
フィールドにしたり、アグロエコロジーとかいっ
て、農村を対象とする人がでてきて、いわゆる二次
的自然をそれだけで劣ったものと見る見方が少なく
なったのはいいことである。さらに都市だって生き
物はいるし、いのちの森のように条件を整えれば、
かなりのポテンシャルを持っているのではないだろ
うか。
いわば 3 次的自然というべきかもしれないが、こ
うした復元自然について偏見をもたずにきちんとし
た記録をとることが大事なのは、言うは易く、行う
は難しい。いっぱいいる生き物をみな同定するのは
たいへんだし、役所の予算もつかない。こんななか
で、町に自然を取り戻すことに貢献できることを喜
びとして、手弁当で集まった方々にまず敬意を表し
たい。
グループの方々のおかげで、初年度からいくつ
も、興味深い生き物のドラマに巡り会うことができ
た。そして、今度のレポートからも、たいへんダイ
ナミックな初期遷移の実態が伺える。なお、このレ
ポートのデジタル版(pdf)も作成中である。これは
写真がカラーであるし、カワセミ飛来のビデオを掲
載予定である。
http://rosa.envi.osakafu-u.ac.jp/biotope/からダウンロー
ドできるのでご覧戴きたい。これらの編集には、い
のちの森のホモ・サピエンスともいわれる田端敬三
君にお世話になった。
最後になったが、(財)京都市都市緑化協会の
方々、特に芹田氏と稲垣氏にはいろいろ便宜を図っ
ていただいたことに感謝したい。行政の国民に対す
るアカウンタビリティ(説明責任)が強調される時
代となったいま、緑地整備といえども、免罪符には
ならない。生き物空間の保全施策はともすれば後回
しとなりやすいが、今後、さまざまな都市内の空間
にこうした生き物が主体の空間を整備する事業が進
展しないと、いのちの森も孤立したままとなってし
まう。
本報告書を通して、
「都市の復元型ビオトープ」の
意義の一端を明らかにし、都市のエコロジカルな再
編へのささやかな力になれば幸いである。
目 次
はじめに「4 年目の報告にあたって」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
いのちの森のフロラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
稚樹の生育状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
昆虫:陸生昆虫・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
「いのちの森」で記録された鳥・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
「きのこ」分野調査報告 - その 1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
「きのこ」分野調査報告 - その 2 変形菌類・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
「いのちの森」の景観モニタリング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48
関連報告:京都市内孤立林における木本植物の多様性と
その保全に関する景観生態学的研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51
関連報告:市街地の孤立林における野ネズミの生息状況・・・・・・・・・・・・・・・・・53
「いのちの森」からの発信記録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55
地図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56
名簿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57
表紙写真:ヤマユリ(撮影 田中安代)
裏表紙写真:ゴマダラチョウ(撮影 夏原由博)
いのちの森のフロラ
中村進、北川ちえこ、森本幸裕、佐藤治雄、宮本水文
森本淳子、田中安代、大薮崇司、村上健太郎、Aaron Isgar
田端敬三、故選千代子、柏原一凡、濱谷信介
本調査は、1996 年 4 月に京都市下京区梅小路公園
内に開設された「いのちの森」
(面積約 0.6ha)にお
ける植物相の変化を経時的に追跡することにより、
市街地に全く新しく造成された緑地がどの様に自然
性を獲得していくか、そのプロセスをフロラの面か
ら評価することを目的としている。そのためには、
開設当初に植栽された植物の定着状況と、埋土種子
の発芽や開設後に外部から侵入した植物の消長の 2
点に留意した調査が必要である。そこで、1996 年に
2 回、1997 年度からはほぼ毎月 1 回フロラ調査を行
い、「いのちの森」の植物相の経時変化を調べた。
・原色日本植物図鑑 草本編・木本編 保育社
・日本イネ科植物図譜 平凡社
・山渓ハンディ図鑑 1 野に咲く花 山と渓谷社
・山渓ハンディ図鑑 2 山に咲く花 山と渓谷社
分類体系は従来のエングラーの体系より新しいク
ロンキストの体系に従い、学名もこの体系を取り入
れた「朝日百科 植物の世界」に従った。また、上
記図鑑に掲載のない植物(例えば園芸種など)の学
名についても「朝日百科 植物の世界」を参考にし
た。シダ植物については、
「日本のシダ植物図鑑1∼
8 巻」(東京大学出版会)を参考にした。
1.調査方法
1996 年度は 10 月 20 日にフロラ調査、12 月 21 日 2.結果
に植栽された樹木の照合調査を行った。1997年度は 1996年度におけるフロラ調査は10月にただ1回行
4 月 19 日から 1998 年 1 月 16 日までの 9 回、1998 年 なっただけであるため、この年度の結果について
度は 3 月 21 日から 1999 年 2 月 19 日までの 10 回、本 は、それ以降の結果と直接比較はできないが、1997
年度は4月11日から2000年1月13日までの9回、
「い 年以降はほぼ同程度の精度の調査を行っているた
のちの森」のフェンスで囲まれた区域内にあるシダ め、年度ごとの比較が可能である。今回は、植栽と
植物以上の全ての植物についてのフロラ調査を行 それ以外の植物について、木本と草本に分けて調査
い、園内の植物相の経時変化の把握に努めた。本調 結果を考察してみる。
査では、園内をできる限りくまなく歩き、そこで確
認した植物(植栽を含む)の種名を記録した。見つ (1)植栽
けた植物は証拠として押し葉標本にし、大阪府立大 (a)木本
学緑地環境保全学研究室に保存している。本年度は これまでに 40 科 115 種が植栽されており、このう
昨年度に引き続き、開花時期も記録した。また、個 ち、
「いのちの森」の開園時には 40 科 110 種が植栽
体数の少ない植物については、地図上に場所を記入 されたと思われる。植栽出来高図の記載と実際に植
した。この他、1997年より5月と10月に1回ずつ行っ 栽されている植物を照合し、種名の確認をしたが、
ている観察会での観察記録や、1997年に佐藤と森本 以下に挙げる木本は、植栽出来高図の記載と異なっ
淳子がそれぞれ行った木本の芽生え調査の結果も含 ていることが判明した。
めた。昨年度からは、田端が木本の芽生えの多くと ・ヒョウタンボク sp. → ウグイスカグラに混
植栽樹木全てにナンバリングを行ない、それをもと じって植栽
にして植栽出来高図との照合調査を行った。同定に ・トウネズミモチ →ネズミモチに混じって植栽
は主として次に挙げる図鑑類を利用した。
・コムラサキ → ムラサキシキブに混じって植栽
・マルバハギ → ヤマハギに混じって植栽
・原色日本帰化植物図鑑 保育社 ・ツクシハギ → ヤマハギに混じって植栽
・フジ → ヤマフジに混じって 植栽
・オオシマザクラ → ヤマザクラの台木が 成長
したものと思われる
・セイヨウサンザシ → サンザシに混じって植栽
・トキワサンザシ → ピラカンサとして植栽
・タチバナモドキ → ピラカンサとして植栽
・ウラジロノキ → アズキナシとして植栽
・ガクアジサイ → ヤマアジサイとして 植栽
・トウゴクミツバツツジ → ヤマツツジに混じっ
て植栽
・アズマシャクナゲ → ホンシャクナゲとし
て植栽
・ヤマハンノキ → ハンノキに混じって植栽
(ハンノキは 2 本のみ)
・ミツバアケビ → アケビに混じって植栽
この他、ケヤキは明らかに開園時に大木が植栽さ
れているにもかかわらず、植栽出来高図には全く記
載がなかった。逆に、植栽出来高図にあるカルミア
とビヨウヤナギは、全てフェンスの外側に植栽され
ているため、このリストからは省いた。
開園以降に植栽された木本は、次の 5 種である。
◎ 1997 年度かそれ以前(2 科 2 種)
ヒメシャラ・
(トゲナシ)テリハノイバラ(ノイバ
ラに混じって開園時に植栽されていた可能性もあ
り)
◎ 1998 年度(3 科 3 種)
ゴマギ・ゴンズイ・コファイ
これまでに植栽された木本のうち、ミツバウツ
ギ・ザクロ・マメガキ・サルナシの 4 種は、これま
でに1度も記録がなく、植栽後枯死したと思われ
る。また、ヤブデマリは 1996 年、ヒメシャラは 1997
年に記録したのみで、この2種も枯死したと思われ
る。また、サンショウとヤブニッケイは本年度の記
録がないが、調査時の記録漏れの可能性がある。こ
の2種を含めて、現在園内には 38 科 109 種の木本が
植栽されている。
(b)草本
これまでに 29 科 56 種が植栽されており、このう
ち、
「いのちの森」の開園時には 18 科 34 種が植栽さ
れたと思われる。植栽出来高図の記載と実際に植栽
されている草本を照合し、種名の確認をしたが、以
下に挙げる草本は、植栽出来高図の記載と異なって
いることが判明した。
・タイワンホトトギス → ホトトギスとして植栽
・ガマ → ヒメガマに混じって植栽
・セイタカヨシ → ヨシとして植栽
植栽リストにあるアジュガは、全てフェンスの外
側に植栽されているため、このリストからは省いた
開園以降に植栽された草本は、次の 22 種である。
◎ 1997 年度(5 科 5 種)
サワギキョウ・ハンゲショウ・オオバギボウシ・
ホテイアオイ・シマヨシ
◎ 1998 年度(11 科 15 種)
クガイソウ・
(ツタンカーメンの)エンドウ・シャ
クヤク・トキワイカリソウ・ハス・フタリシズカ・
シュンラン・ショウキズイセン・
ユウスゲ・カンゾウ sp.・ムスカリ・スイセン・ム
ラサキツユクサ・ショウブ・クリハラン
◎ 1999 年度(2 科 2 種)
ギボウシ sp. ・タマスダレ
これまでに植栽された草本のうち、ネザサ1種は、
これまでに 1 度も記録がなく、植栽後枯死したと思
われる。オニユリは1996年・97年と記録がなく、1998
年に再び植栽されたが、本年度は記録できなかっ
た。コウホネ?も 1997 年しか記録できなかったた
め、両種とも枯死したと思われる。また、1998 年に
植栽されたエンドウ・フタリシズカ・ムラサキツユ
クサは本年度の記録がなく、これらも枯死したと思
われる。以上より、現在園内には 27 科 50 種の草本
が植栽されている。
(2)植栽以外
(a)木本
これまでに次の 22 科 34 種を記録した。
◎ 1996 年度(3 科 3 種)
エビヅル・クズ・コアカソ
◎ 1997 年度(11 科 14 種)
マルバアオダモ・ヤツデ・ヤマウルシ・ヤマハゼ・
ヌルデ・ネコハギ・ニガイチゴ・ナワシロイチゴ・
ヒメヤシャブシ・ヒメコウゾ・
アキニレ・アオツヅラフジ・シュロ・ヒノキ
◎ 1998 年度(8 科 8 種)
キリ・センダン・クマヤナギ・アオハダ・ナガバ
モミジイチゴ・ウツギ・クロバイ?・ツノハシバミ
◎ 1999 年度(9 科 9 種)
タニウツギ・トネリコ sp.・ハゼノキ・サルスベリ・
ハリエンジュ・バイカウツギ・タンナサワフタギ・
ヤマグワ・ヤマコウバシ
この34種のうち、ナガバモミジイチゴ・ツノハシ
バミ・ウツギ・タニウツギ・バイカウツギ・タンナ
サワフタギ・ヤマコウバシ・クマヤナギの 6 科 8 種
は、いずれも植栽木の根元から生えており、植栽木
とともに埋土種子として園内にもたらされたと思わ
れる。また、ヤマウルシ・ヤマハゼ・ヌルデ・ハゼ
ノキ・センダン・アキニレ・シュロの 4 科 7 種は、本
地域に飛来する鳥類の糞に混ざっていた種子によ
り、園内にもたらされた可能性が高いと思われる。
これら以外の種も、園内に搬入した土とともに埋土
種子としてか、前述のいずれかの方法で園内にもた
らされたと思われる。これら34 種の木本は、いずれ
も枯死することなく生育している。
記録した 34 種のうち、帰化植物はシュロ 1 種で
あった。本種は近年都市部で非常に増加しているこ
とが知られており、都市部の温暖化(ヒートアイラ
ンド現象)と種子散布するヒヨドリなどの鳥の都市
部での増加が、その原因として考えられている。ま
た、逸出種はトネリコ sp. ・ハゼノキ・サルスベリ・
ハリエンジュの4種で、いずれも本年度に記録した。
帰化種・逸出種を除くと、新たに記録した種は 1997
年以降は徐々に減少している。
の 224 種のうち、ジシバリ・トキンソウ・ナギナタ
コウジュ・アメリカイヌホオズキ・コミカンソウ・
ヒレタゴボウ・スズメノエンドウ・ツボスミレ?・
オトギリソウ・ハナビシソウ・ヒメウズ・ヤマヌカ
ボ・ギョウギシバの13種は、これ以降は記録できな
かった。
◎ 1999 年度
56 科 234 種を記録した。このうち、帰化種は 18 科
63種、逸出種はシマカンギク・シュッコンバーベナ・
ニラの3科3種で、帰化種と逸出種を合わせると、記
録種の 28.6%であった。この年新たに見つかった草
本は、19 科 29 種で、このうち帰化種は 3 科 3 種、逸
出種はシュッコンバーベナ 1 科 1 種であり、帰化種
と逸出種を合わせると、記録種の 13.8%であった。
記録した草本の種類数は年度ごとに増加している
が、増加の割合は小さくなっている。また、帰化種
と逸出種の割合も徐々に減少している。新たに記録
した草本の種類数も徐々に減少しており、帰化種と
逸出種の割合もやはり減少している。木本でも新た
に記録した種類数は減少しており、これらのことか
ら、園内の環境は開園当初に比べてかなり落ち着い
てきたのではないかと考えられる。
(b)草本
これまでに 62 科 281 種を記録した。
◎ 1996 年度
秋季 2 回の調査で 28 科 75 種を記録した。このう
ち、帰化種は 7 科 16 種、逸出種はシマカンギク・チ
ダケサシ・ケイトウ・イネの 4 科 4 種で、帰化種と
逸出種を合わせると、記録種の 26.6%であった。こ
の年に記録した 75 種のうち、アメリカネナシカズ (3)希少種
ラ・チダケサシ・ケイトウ・イネ・オヒシバ・クグ いのちの森で記録した植物のうち、植物に関する
ガヤツリの 6 種は、これ以降は記録できなかった。 レッドリスト(日本の絶滅のおそれのある野生生物
◎ 1997 年度
の種のリスト)で準絶滅危惧(NT)に指定されてい
50 科 196 種を記録した。このうち、帰化種は 18 科 る植物は、ヒメシャガ1種であり、
「近畿地方の保護
59 種、逸出種はサクラソウ sp.・ダイコン・サンシ 上重要な植物−レッドデータブック近畿−」に記載
キスミレ・ニラの 4 科 4 種で、帰化種と逸出種を合 されている植物は、コムラサキ、ミツガシワ、シモ
わせると、記録種の 32.1%であった。この年新たに ツケ、ヒメシャガ、カキツバタ、ヤマユリ、ウチワ
見つかった草本は、42 科 130 種で、このうち帰化種 ドコロ、ニラ、トチカガミの 7 科 9 種であった。ヤ
は 17 科 44 種、逸出種はサクラソウ sp.・ダイコン・ マユリは本年度初めて開花株を記録したが、植栽木
サンシキスミレの 3 科 3 種であり、帰化種と逸出種 とともに球根がもたらされて、開花するまで気がつ
を合わせると、記録種の 36.1%であった。また、こ かなかったものと考えられる。ウチワドコロは1997
の 130 種のうち、マメカミツレ・チチコグサ・ダン 年度より数株が植栽木の根元から生えているのを記
ドボロギク・メナモミ・ヒキオコシ・タツナミソウ・ 録したが、本種も植栽木とともに埋土種子としても
チョウジタデ・サクラソウ sp.・ダイコン・サンシキ たらされたと考えられる。本種の近畿での確実な産
スミレ・ナガハグサ・カワラスガナの 12 種は、これ 地は滋賀県のみであり、注意して保全する必要があ
以降は記録できなかった。
ると思われる。トチカガミは 1997 年に「ガマの池」
◎ 1998 年度
一面に広がり、多数の花を咲かせていたが、昨年度
55 科 224 種を記録した。このうち、帰化種は 17 科 はこの「ガマの池」では全く見られず、その下流に
63 種、逸出種はシマカンギク・ハナビシソウ・ニラ ある「カキツバタの池」で小さな株が数株見られた
の 3 科 3 種で、帰化種と逸出種を合わせると、記録 だけであり、本年度は残念ながら全く記録できな
種の 29.5%であった。この年新たに見つかった草本 かった。今回の調査カテゴリーの範囲外であるが、
は、23 科 47 種で、このうち帰化種は 7 科 10 種、逸 「ショウブの池」で 1997 年と 1998 年にシャジクモ科
出種はハナビシソウ 1 科 1 種であり、帰化種と逸出 のシャジクモ?を確認したが、本種も本年度は記録
種を合わせると、記録種の23.4%であった。また、こ できなかった。この両種については、水草の除去作
業の影響が強かったのではないかと考えられる。ニ
ラは野生のものではなく、栽培種が逸出したものと
思われる。それ以外の 5 種は全て植栽によるもので
ある。
3.参考文献
・原色日本帰化植物図鑑 保育社
・原色日本植物図鑑 草本編・木本編 保育社
・日本イネ科植物図譜 平凡社
・山渓ハンディ図鑑1 野に咲く花 山と渓谷社
・山渓ハンディ図鑑2 山に咲く花 山と渓谷社
・日本のシダ植物図鑑 1∼8巻 東京大学出版会
・朝日百科 植物の世界 朝日新聞社
・近畿地方の保護上重要な植物−レッドデータブッ
ク近畿− 関西自然保護機構
・植物版レッドリスト 環境庁
表1. いのちの森のフロラ
種名
キク科
ジシバリ Ixeris stolonifera
ニガナ Ixeris dentata
トキンソウ Centipeda minima
ブタクサ Ambrosia artemisiifolia
カワラヨモギ Artemisia capillaris
ヨモギ Artemisia princeps
シラヤマギク Aster scaber
ノコンギク Aster ovatus
イナカギク Aster semiamplexicaulis
ヒロハホウキギク Aster subulatus
ヨメナ Aster yomena
アメリカセンダングサ Bidens frondosa
コセンダングサ Bidens pilosa
ノアザミ Cirsium japonicum
アレチノギク Conyza bonariensis
オオアレチノギク Conyza sumatrensis
マメカミツレ Cotula australis
ベニバナボロギク Crassocephalum crepidioides
シマカンギク Dendranthema indicum
ノジギク Dendranthema occidentali-japonense
アメリカタカサブロウ Eclipta alba
ダンドボロギク Erechtites hieracifolia
ヒメジョオン Erigeron annuus
ヒメムカシヨモギ Erigeron canadensis
ハルジョオン Erigeron philadelphicus
ヒヨドリバナ Eupatorium makinoi
ハキダメギク Galinsoga quadriradiata
ハハコグサ Gnaphalium affine
チチコグサ Gnaphalium japonicum
チチコグサモドキ Gnaphalium pensylvanicum
タチチチコグサ Gnaphalium purpureum
ウラジロチチコグサ Gnaphalium spicatum
アキノノゲシ Lactuca indica
トゲチシャ Lactuca scariola
ヤブタビラコ Lapsana humilis
フキ Petasites japonicus
ノボロギク Senecio vulgaris
メナモミ Siegesbeckia pubescens
セイタカアワダチソウ Solidago altissima
オニノゲシ Sonchus asper
ノゲシ Sonchus oleraceus
シロバナタンポポ Taraxacum albidum
カンサイタンポポ Taraxacum japonicum
アカミタンポポ Taraxacum laevigatum
セイヨウタンポポ Taraxacum officinale
オオオナモミ Xanthium occidentale
オニタビラコ Youngia japonica
96
97
98
99
備考
植栽年度
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帰化
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帰化
植栽(播種)
帰化
帰化
植栽
帰化
帰化
帰化
帰化
逸出
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帰化
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帰化
帰化
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帰化
帰化
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初年度
初年度
帰化
帰化
帰化
帰化
帰化
帰化
植栽
帰化
帰化
植栽(播種)、帰化
帰化
初年度
初年度
種名
スイカズラ科
ウグイスカグラ Lonicera gracilipes
スイカズラ Lonicera japonica
ヒョウタンボク sp. Lonicera sp.
ガマズミ Vivurnum dilatatum
(キミノガマズミ Vivurnum dilatatum f. xanthocarpum )
ムシカリ Vivurnum furcatum
ゴマギ Vivurnum sieboldii
ヤブデマリ Vivurnum plicatum var. tomentosum
タニウツギ Weigela hortensis
アカネ科
ヒメヨツバムグラ Galium gracilens
ヤエムグラ Galium spurium var. echinospermon
クチナシ(八重) Gardenia jasminoides
ヘクソカズラ Paederia scandens
キキョウ科
ホタルブクロ Campanula punctata
サワギキョウ Lobelia sessilifolia
キキョウソウ Specularia perfoliata
キツネノマゴJusticia procumbens
ゴマノハグサ科
マツバウンラン Linaria canadensis
ウリクサ Lindernia crustacea
アメリカアゼナ Lindernia dubia
アゼナ Lindernia procumbens
ムラサキサギゴケ Mazus miquelii
トキワハゼ Mazus pumilus
キリ Paulownia tomentosa
オオカワヂシャ Veronica Anagallis-aquatica
タチイヌノフグリ Veronica arvensis
ムシクサ Veronica peregrina
オオイヌノフグリ Veronica persica
クガイソウ Veronicastrum sibiricum ssp. Japonicum
モクセイ科
マルバアオダモ Fraxinus sieboldiana
トネリコsp.
ネズミモチ Ligustrum japonicum
トウネズミモチ Ligustrum lusidum
ヒイラギ Osmanthus heterophyllus
オオバコ科
オオバコ Plantago asiatica
ツボミオオバコ Plantago virginica
シソ科
トウバナ Clinopodium gracile
クルマバナ Clinopodium micranthum
カキドオシ Glechoma hederacea
ホトケノザ Lamium amplexicaule
ヒメオドリコソウ Lamium purpureum
ヒメジソ Mosla dianthera?
(シソ Perilla frutescens )
レモンエゴマ Perilla frutescens var. citriodora
ヤマハッカ Plenctranthus inflexus
ヒキオコシ Rabdosia japonica
タツナミソウ Scutellaria indica
ナギナタコウジュ Elsholtzia ciliata
クマツヅラ科
コムラサキ Callicarpa dichotoma
(シロシキブ Callicarpa dichotoma )
ムラサキシキブ Callicarpa japonica
クサギ Clerodendrum trichotomum
シュッコンバーベナVerbena rigida
ムラサキ科
ハナイバナ Bothriospermum tenellum
キウリグサ Trigonotis peduncularis
ミツガシワ科
ミツガシワ Menyanthes trifoliata
ネナシカズラ科
アメリカネナシカズラ Cuscuta pentagona
ヒルガオ科
コヒルガオ Calystegia hederacea
ヒルガオ Calystegia japonica
ナス科
アメリカイヌホオズキ Solanum americanum
ヒヨドリジョウゴ Solanum lyratum
イヌホオズキ Solanum nigrum
96
97
98
99
備考
植栽年度
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植栽
植栽
ウグイスカグラとして植栽
植栽
ガマズミとして植栽
植栽
植栽
植栽
初年度
初年度
初年度
初年度
初年度
初年度
98
初年度
植栽
初年度
植栽(1997/09/?)
帰化
97
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帰化
帰化
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帰化
植栽
98
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逸出
植栽
ネズミモチとして植栽?
植栽
初年度
初年度?
初年度
○
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帰化
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帰化
帰化
植栽
初年度
帰化
逸出
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ムラサキシキブとして植栽
ムラサキシキブとして植栽
植栽
植栽
逸出
初年度
初年度
初年度
初年度
植栽
初年度
カワラヨモギに寄生、帰化
○
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帰化
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種名
ナス科
テリミノイヌホオズキ Solanum photeinocarpum
キョウチクトウ科
テイカカズラ Trachelospermum asiaticum
セリ科
ミツバ Cryptotaenia japonica
チドメグサ Hydrocotyle sibthorpioides
ノチドメ Hydrocotyle maritima
セリ Oenanthe javanica
ヤブジラミ Torilis japonica
オヤブジラミTorilis scabra
ウコギ科
ウド Aralia cordata
タラノキ Aralia elata
ヤマウコギ Eleutherococcus spinosus
ヤツデ Fatsia japonica
キヅタ Hedera rhombea
フウロソウ科
アメリカフウロ Geranium carolinianum
ゲンノショウコ Geranium thunbergii
カタバミ科
カタバミ Oxalis corniculata
ムラサキカタバミ Oxalis corymbosa
オッタチカタバミ Oxalis stricta
ミカン科
ウンシュウミカン Citrus unshiu
キハダ Phellodendron amurense
カラタチ Poncirus trifoliata
サンショウ Zanthoxylum piperitum
センダン科
センダン Melia azedarach var.subtripinnata
ウルシ科
ヌルデ Rhus javanica
ハゼノキ Rhus succedanea
ヤマハゼ Rhus sylvestris
ヤマウルシ Rhus trichocarpa
カエデ科
イロハモミジ Acer palmatum
イタヤカエデ Acer pictum
ミツバウツギ科
ゴンズイ Euscaphis japonica
ミツバウツギStaphylea bumalda
ブドウ科
ノブドウ Ampelopsis glandulosa var. heterophylla
ヤブガラシ Cayratia japonica
ツタ Parthenocissus tricuspidata
ヤマブドウ Vitis coignetiae
エビヅル Vitis ficifolia
クロウメモドキ科
クマヤナギ Berchemia racemosa
トウダイグサ科
エノキグサ Acalypha australis
コニシキソウ Euphorbia maculata
オオニシキソウ Euphorbia nutans
アカメガシワ Mallotus japonicus
コミカンソウ Phyllanthus urinaria
モチノキ科
イヌツゲ Ilex crenata var. crenata
モチノキ Ilex integra
タラヨウ Ilex latifolia
ソヨゴ Ilex pedunculosa
クロガネモチ Ilex rotunda
ウメモドキ Ilex serrata
アオハダ Irex macropoda
ニシキギ科
ツルウメモドキ Celastrus orbiculatus
ニシキギ Euonymus alatus
ツルマサキ Euonymus fortunei
マサキ Euonymus japonicus
マユミ Euonymus sieboldianus
ミズキ科
ミズキ Cornus controversa
ハナミズキ Cornus florida
ヤマボウシ Cornus kousa
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備考
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帰化
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植栽
初年度
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植栽(播種)
初年度
植栽
初年度
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植栽
植栽
初年度
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植栽
初年度
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植栽
植栽
初年度
初年度
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植栽
植栽
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初年度
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植栽
初年度
植栽
植栽
初年度
初年度
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帰化
帰化
植栽
初年度
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植栽年度
帰化
帰化
帰化
植栽
植栽
植栽
植栽
初年度
初年度
初年度
初年度
逸出
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植栽
植栽
植栽
植栽
植栽
植栽
初年度
初年度
初年度
初年度
初年度
初年度
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植栽
植栽
植栽
植栽
植栽
初年度
初年度
初年度
初年度
初年度
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植栽
植栽
植栽
初年度
初年度
初年度
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種名
アカバナ科
ヒレタゴボウ Ludwigia decurrens
チョウジタデ Ludwigia epilobioides
アレチマツヨイグサ Oenothera biennis
コマツヨイグサ Oenothera laciniata
ザクロ科
ザクロ Punica granatum
ミソハギ科
サルスベリ Lagerstroemia indica
アリノトウグサ科
オオフサモ Myriophyllum aquaticum
グミ科
アキグミ Elaeagnus umbellata
マメ科
シナガワハギ Melilotus officinalis
クサネム Aeschynomene indica
ヤブマメ Amphicarpaea bracteata ssp. edgeworthii var. japonica
アレチヌスビトハギ Desmodium paniculatum
ツルマメ Glycine max ssp. soja
マルバヤハズソウ Kummerowia stipulacea
ヤハズソウ Kummerowia striata
ヤマハギ Lespedeza bicolor
メドハギ Lespedeza cuneata
マルバハギ Lespedeza cyrtobotrya
ツクシハギ Lespedeza homoloba
ネコハギ Lespedeza pilosa
ムラサキウマゴヤシ Medicago sativa
エンドウ Pisum sativum
クズ Pueraria lobata
ハリエンジュ Robinia pseudoacacia
コファイ Sophora microphylla
コメツブツメクサ Trifolium dubium
ムラサキツメクサ Trifolium pratense
シロツメクサ Trifolium repens
カラスノエンドウ Vicia angustifolia
スズメノエンドウ Vicia hirsuta
カスマグサ Vicia tetrasperma
ヤマフジ Wisteria brachybotrys
フジ Wisteria floribunda
ネムノキ科
ネムノキ Albizzia julibrissin
バラ科
キンミズヒキ Agrimonia pilosa var. japonica
ウラジロノキ Aria japonica
ヤマザクラ Cerasus jamasakura
オオシマザクラ Cerasus speciosa
サンザシ Crataegus cuneata
セイヨウサンザシ(ポ−リ−) Crataegus laevigata
ヘビイチゴ Duchesnea chrysantha
ヤブヘビイチゴ Duchesnea indica
ビワ Eriobotrya japonica
(ヤエ)ヤマブキ Kerria japonica f. plena
ウワミズザクラ Padus grayana
カナメモチ Photinia glabra
オヘビイチゴ Potentilla sundaica var. robusta
タチバナモドキ Pyracantha angustifolia
トキワサンザシ Pyracantha coccinea
ノイバラ Rosa multiflora
テリハノイバラ Rosa wichuraiana
(トゲナシテリハノイバラ Rosa wichuraiana )
クサイチゴ Rubus hirsutus
ニガイチゴ Rubus microphyllus
ナガバモミジイチゴ Rubus palmatus
ナワシロイチゴ Rubus parvifolius
ワレモコウ Sanguisorba officinalis
ナナカマド Sorbus commixta
シモツケ Spiraea japonica
ユキノシタ科
チダケサシ Astilbe microlpylla
ユキノシタ Saxifraga stolonifera
ベンケイソウ科
コモチマンネングサ Sedum bulbiferum
メキシコマンネングサ Sedum mexicanum
アジサイ科
ウツギ Deutzia crenata?
96
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備考
帰化
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帰化
帰化
植栽
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逸出
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帰化
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植栽
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帰化
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初年度
ヤマハギとして植栽?
ヤマハギとして植栽?
初年度
初年度
帰化
植栽(ツタンカ−メンのエンドウ)
98
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逸出
植栽
98
帰化
アカクロ−バ−として植栽(播種)、帰化 初年度
シロクロ−バ−として植栽(播種)、帰化 初年度
帰化
○
○
○
植栽
ヤマフジとして植栽
初年度
初年度
植栽
初年度
アズキナシとして植栽
植栽
植栽(ヤマザクラの台木?)
植栽
サンザシとして植栽
初年度
初年度
初年度
初年度
初年度
植栽
植栽
植栽
植栽
初年度
初年度
初年度
初年度
ピラカンサとして植栽
ピラカンサとして植栽
植栽
植栽?
植栽
初年度
初年度
初年度
97?
97
植栽
植栽
初年度
初年度
初年度
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逸出
植栽
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帰化
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初年度
植栽
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初年度
帰化
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植栽年度
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種名
アジサイ科
ガクアジサイ Hydrangea serrata
バイカウツギ Philadelphus satsumi
トベラ科
トベラ Pittosporum tobira
サクラソウ科
コナスビ Lysimachia japonica
サクラソウ sp. Primula sp.
ヤブコウジ科
ヤブコウジ Ardisia japonica
ハイノキ科
タンナサワフタギ Symplocos coreana
クロバイ Symplocos prunifolia
エゴノキ科
エゴノキ Styrax japonicus
カキノキ科
カキノキ Diospyros kaki
マメガキ Diospyros lotus
ツツジ科
ドウダンツツジ Enkianthus perulatus
アセビ Pieris japonica
トウゴクミツバツツジ Rhododendron wadanum
モチツツジ(八重) Rhododendron macrosepalum
ヤマツツジ Rhododendron obtusum var. kaempferi
アズマシャクナゲ Rhododendron sp.
シャシャンポ Vaccinium bracteatum
リョウブ科
リョウブ Clethra barbinervis
アブラナ科
ナズナ Capsella bursa-pastoris
タネツケバナ Cardamine flexuosa
カラクサナズナ Coronopus didymus
ダイコン Raphanus sativus
イヌガラシ Rorippa indica
スカシタゴボウ Rorippa islandica
ヤナギ科
ネコヤナギ Salix gracilistyla
ウリ科
アマチャヅル Gynostemma pentaphyllum
カラスウリ Trichosanthes cucumeroides
キカラスウリ Trichosanthes kirilowii var. japonica
スミレ科
ツボスミレ? Viola arcuata?
ヒメスミレ Viola confusa ssp. minor
タチツボスミレ Viola grypoceras
スミレ Viola mandshurica
(シロガネスミレ Viola mandshurica f. hasegawae )
サンシキスミレ Viola sp.
シナノキ科
シナノキ Tilia japonica
オトギリソウ科
オトギリソウ Hypericum erectum
ミゾハコベ科
ミゾハコベ Elatine triandra
マタタビ科
サルナシ Actinidia arguta
ツバキ科
ヤブツバキ Camellia japonica
サザンカ Camellia sasanqua
ヒサカキ Eurya japonica
ヒメシャラ Stewartia monadelpha
ボタン科
シャクヤク Paeonia lactiflora
タデ科
ミズヒキ Antenoron filiforme
オオイヌタデ Persicaria lapathifolium ssp. nodosum
イヌタデ Persicaria longiseta
ボントクタデ Persicaria pubescens
ミゾソバ Persicaria thunbergii
ヒメツルソバ Polygonum capitatum
イタドリ Reynoutria japonica
スイバ Rumex acetosa
アレチギシギシ Rumex conglomeratus
ギシギシ Rumex japonicus
エゾノギシギシ Rumex obtusifolius
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備考
植栽年度
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ヤマアジサイとして植栽
初年度
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植栽
初年度
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逸出
植栽
初年度
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植栽
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植栽
植栽
初年度
初年度
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植栽
植栽
ヤマツツジとして植栽?
植栽(園芸品種)
植栽
ホンシャクナゲとして植栽(園芸品種)
植栽
初年度
初年度
初年度
初年度
初年度
初年度
初年度
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植栽
初年度
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帰化
逸出
植栽
初年度
植栽
植栽
スミレとして植栽?
逸出
初年度
初年度
初年度
植栽
初年度
植栽
初年度
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植栽
植栽
植栽
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初年度
初年度
初年度
97?
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植栽
98
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帰化
帰化
帰化
種名
96
ナデシコ科
オランダミミナグサ Cerastium glomeratum
ツメクサ Sagina japonica
ミドリハコベ Stellaria neglecta
ノミノフスマ Stellaria alsine var. undulata
ウシハコベ Stellaria aquatica
コハコベ Stellaria media
スベリヒユ科
スベリヒユ Portulca oleracea
ヒユ科
ヒナタイノコヅチ Achyranthes bidentata var. tomentosa
○
ケイトウ Celosia cristata
○
アカザ科
(シロザ Chenopodium album var. album )
○
アカザ Chenopodium album var. centrorubrum
ヤマゴボウ科
ヨウシュヤマゴボウ Phytolacca americana
カバノキ科
ヒメヤシャブシ Alnus pendula
ヤマハンノキ Alnus hirsuta var. sibirica
○
ハンノキ Alnus japonica
ツノハシバミ Corylus sieboldiana
ブナ科
クリ Castanea crenata
○
(コジイ Castanopsis cuspidata var. cuspidata )
○
スダジイ Castanopsis cuspidata var. sieboldii
○
シリブカガシ Lithocarpus glabra
○
クヌギ Quercus acutissima
○
カシワ Quercus dentata
○
アラカシ Quercus glauca
○
シラカシ Quercus myrsiniefolia
○
ウラジロガシ Quercus salicina
○
コナラ Quercus serrata
○
ヤマモモ科
ヤマモモ Myrica rubra
○
イラクサ科
カラムシ Boehmeria nivea
コアカソ Boehmeria spicata
○
クワ科
ヒメコウゾ Broussonetia kazinoki
ヤマグワ Morus australis
アサ科
カナムグラ Humulus japonicus
○
カラハナソウ Humulus lupulus var. cordifolius
ニレ科
ムクノキ Aphananthe aspera
○
エノキ Celtis sinensis
○
アキニレ Ulmus parvifolia
ケヤキ Zelkova serrata
○
ケシ科
ハナビシソウ Eschscholzia californica
ツヅラフジ科
アオツヅラフジ Cocculus trilobus
アケビ科
アケビ Akebia quinata
ミツバアケビ Akebia trifoliata
ムベ Stauntonia hexaphylla
メギ科
トキワイカリソウ? Epimedium sempervirens var. sempervirens?
ナンテン Nandina domestica
○
(シロミナンテン Nandina domestica var. leucocarpa )
キンポウゲ科
ウマノアシガタ Ranunculus japonicus
タガラシ Ranunculus scleratus
キツネノボタンRanunculus silerifolius
ヒメウズ Semiaquilegia adoxoides
スイレン科
コウホネ? Nuphar japonicum?
ヒツジグサ? Nymphaea tetragona?
ハス科
ハス Nelumbo nucifera
ドクダミ科
ドクダミ Houttuynia cordata
○
ハンゲショウ Saururus chinensis
97
98
99
備考
○
○
○
○
帰化
○
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植栽年度
逸出
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帰化
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ハンノキとして植栽
植栽
初年度
初年度
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シバグリとして植栽
スダジイとして植栽
植栽
植栽
植栽
植栽
植栽
植栽
植栽
植栽
初年度
初年度
初年度
初年度
初年度
初年度
初年度
初年度
初年度
初年度
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植栽
初年度
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植栽
植栽
初年度
初年度
植栽(植栽図に記載なし)
初年度
○
逸出
○
○
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○
植栽
アケビとして植栽?
植栽
初年度
初年度
初年度
○
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植栽
植栽
ナンテンとして植栽
98
初年度
初年度
○
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植栽
植栽
初年度
初年度
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植栽
98
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植栽
97
種名
センリョウ科
フタリシズカ Chloranthus serratus
クスノキ科
クスノキ Cinnamomum camphora
ヤブニッケイ Cinnamomum japonicum
ヤマコウバシ Lindera glauca
クロモジ Lindera umbellata var. umbellata
タブノキ Machilus thunbergii
モクレン科
ホオノキ Magnolia hypoleuca
ラン科
シュンラン Cymbidum goeringii
ネジバナ Spiranthes sinensis var. amoena
ヤマノイモ科
カエデドコロ Dioscorea quinqueloba
ヤマノイモ Dioscorea japonica
ウチワドコロ Dioscorea nipponica
オニドコロ Dioscorea tokoro
サルトリイバラ科
サルトリイバラ Smilax china
アヤメ科
ヒメシャガ Iris gracilipes
シャガ Iris japonica
カキツバタ Iris laevigata
キショウブ Iris pseudocorus
ニワゼキショウ Sisyrinchium atlanticum
ユリ科
ニラ Allium tuberosum
カンゾウ sp. Hemerocallis sp.
ユウスゲ Hemerocallis middendorffii var. esculenta
オオバギボウシ? Hosta sp.
ギボウシsp. Hosta sp.
ヤマユリ Lilium auratum
オニユリ Lilium lancifolium
ヤブラン Liriope platyphylla
ヒガンバナ Lycoris radiata
キツネノカミソリ Lycoris sanguinea
ショウキズイセンLycoris squamigera
ムスカリ Muscari sp.
スイセン Narcissus tazetta var.chinensis
オオバジャノヒゲ Ophiopogon planiscapus
アマドコロ Polygonatum odorantum var. pluriflorum
ナルコユリ Polygonatum falcatum
ヤマジノホトトギス Tricyrtis affinis
タイワンホトトギス Tricyrtis formosana
タマスダレ Zephyranthes candida
ミズアオイ科
ホテイアオイ Eichhornia crassipes
コナギ Monochoria vaginalis
ガマ科
ヒメガマ Typha australis
ガマ Typha latifolia
イネ科
アオカモジグサ Agropyron ciliare
カモジグサ Agropyron tsukushiense
ヤマヌカボ Agrostis clavata
ヌカボ Agrostis clavata ssp. matsumurae
コヌカグサ Agrostis gigantea
ナンカイヌカボ Agrostis sp.
スズメノテッポウ Alopecurus aequalis var. amurensis
メリケンカルカヤ Andropogon virginicus
コブナグサ Arthraxon hispidus
トダシバ Arundinella hirta
ヒメコバンソウBriza minor
イヌムギ Bromus catharticus
ノガリヤス Calamagrostis arundinacea
ギョウギシバ Cynodon dactylon
カモガヤ Dactylis glomerata
メヒシバ Digitaria adscendens
(クシゲメヒシバ Digitaria adscendens var. fimbriata )
アキメヒシバ Digitaria violascens
イヌビエ Echinochloa crus-galli
(ケイヌビエ Echinochloa crus-galli var. caudat )
オヒシバ Eleusine indica
カゼクサ Eragrostis ferruginea
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植栽年度
植栽
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植栽
植栽
初年度
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植栽
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初年度
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植栽
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植栽
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植栽
植栽
植栽
帰化
帰化
初年度
初年度
初年度
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逸出
植栽
ニッコウキスゲとして植栽
植栽?
植栽
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植栽
植栽
初年度
初年度
ナツズイセンとして植栽
植栽
植栽
植栽
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初年度
ホトトギスとして植栽
植栽
初年度
99
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備考
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植栽
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植栽
ヒメガマとして植栽
初年度
初年度
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帰化
帰化
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帰化
帰化
帰化
種名
イネ科
ニワホコリ Eragrostis multicaulis
ナギナタガヤ Festuca myuros
ヒロハウシノケグサ Festuca pratensis
ドジョウツナギ Glyceria ischyroneura
チガヤ Imperata cylindrica var. koenigii
チゴザサ Isachne globosa
ネズミムギ Lolium multiflorum
ホソムギ Lolium perenne
(ホソネズミムギ Lolium perenne * multiflorum )
ササガヤ Microstegium japonicum
(ヒメアシボソ) Microstegium vimineum
アシボソ Microstegium vimineum var. polystachyum
トキワススキ Miscanthus floridulus
ススキ Miscanthus sinensis
チヂミザサ Oplismenus undulatifolius
イネ Oryza sativa
ヌカキビ Panicum bisulcatum
オオクサキビ Panicum dichotomiflorum
スズメノヒエ Paspalum thunbergii
シマスズメノヒエ Paspalum dilatatum
タチスズメノヒエ Paspalum urvillei
クサヨシ Phalaris arundinacea
(シマヨシ Phalaris arundinacea var. picta )
オオアワガエリ Phleum pratense
ツルヨシ Phragmites japonica
セイタカヨシ Phragmites karka
ネザサ Pleioblastus chino var. viridis
ミゾイチゴツナギ Poa acroleuca
スズメノカタビラ Poa annua
ナガハグサ Poa pratensis
イチゴツナギ Poa spyhondylodes
ヒエガエリ Polypogon fugax
クマザサ Sasa veitchii
アキノエノコログサ Setaria faberi
キンエノコロ Setaria glauca
エノコログサ Setaria viridis
(ムラサキエノコロ Setaria viridis f. misera )
オオアブラススキ Spodiopogon sibiricus
カニツリグサ Trisetum bifidum
シバ Zoysia japonica
カヤツリグサ科
マスクサ Carex gibba
ヒカゲスゲCarex lanceolata
カサスゲ Carex amplifolia ssp. dispalata
アゼナルコ Carex dimorpholepis
シラスゲ Carex japonica ssp. chlorostachys
ナキリスゲ Carex lenta
アゼスゲ Carex thunbergii
モエギスゲ Carex tristachya
ハマスゲ Cyperus rotundus
チャガヤツリ Cyperus amuricus
クグガヤツリ Cyperus compressus
タマガヤツリ Cyperus difformis
メリケンガヤツリ Cyperus eragrostis
コゴメガヤツリ Cyperus iria
カヤツリグサ Cyperus microiria
マツバイ Eleocharis acicularis
テンツキ Fimbristylis dichotoma var. tentsuki
ヒデリコ Fimbristylis miliacea
ヒメクグ Kyllinga brevifolia
アゼガヤツリ Pycreus flavidus
カワラスガナ Pycreus sanguinolentus
イヌホタルイ Schoenoplectus juncoides ssp. hotarui
フトイ Schoenoplectus lacustris ssp. validus
イグサ科
ホソイ Juncus sethuensis var. effusoides
ヒロハノコウガイゼキショウ Juncus diastrophanthus
イ Juncus effusus var. decipiens
クサイ Juncus tenuis
スズメノヤリ Luzula capitata
ツユクサ科
マルバツユクサ Commelina benghalensis
ツユクサ Commelina communis
イボクサ Murdannia keisak
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備考
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帰化
帰化
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初年度
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帰化
帰化
帰化
植栽、クサヨシの園芸種、植栽?
帰化
ヨシとして植栽
植栽
初年度
帰化
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帰化
帰化
帰化
逸出
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植栽年度
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植栽
初年度
初年度
ノシバとして植栽(播種)
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帰化
植栽
初年度
種名
ツユクサ科
ムラサキツユクサ Tradescantia ohiensis
ウキクサ科
コウキクサ Lemna aoukikusa
サトイモ科
カラスビシャク Pinellia ternata
ショウブ科
ショウブ Acorus calamus
セキショウ Acorus gramineus
ヤシ科
シュロ Trachycarpus fortunei
トチカガミ科
トチカガミ Hydrocharis dubia
オモダカ科
ウリカワ Sagittaria pygmaea
ヒノキ科
ヒノキ Chamaecyparis obtusa
スギ科
スギ Cryptomeria japonica
マツ科
アカマツ Pinus densiflora
イワデンダ科
クサソテツ Matteuccia struthiopteris
コウヤワラビ Onoclea sensibilis var. interrupta
オシダ科
ベニシダ Dryopteris erithrosora
(トウゴクシダ Dryopteris erithrosora var. dilatata )
オオベニシダ Dryopteris hondoensis
ヤブソテツsp. Cyrtomium fortunei
カニクサ科
カニクサ Lygodium japonicum
コバノイシカグマ科
ワラビ Pteridium aquilinum var. latiusculum
イノモトソウ Pteris multifida
ヒメシダ科
イヌケホシダ Thelypteris dentata
ヒメワラビ Thelypteris torresiana
ウラボシ科
クリハラン Neocheiropteris ensata
トクサ科
スギナ Equisetum arvense
トクサ Equisetum hyemale
シャジクモ科
シャジクモ? Chara braunii?
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備考
植栽年度
植栽
98
98
初年度
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植栽
植栽
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帰化
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シロスギとして植栽
初年度
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植栽
初年度
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植栽
初年度
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植栽
ベニシダとして植栽
1998.6.2
初年度
初年度
植栽
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いのちの森植物調査
・タンナサワフタギ(1999.
6.
10)
(コナラ下)
・キツネノカミソリ(1998.
3.
21)
1999年
・ヒメヤシャブシ(1997.
9.
19)
・ヒメヤシャブシ(1997.
9.
19)
・ヤマハッカ(1998.
617)
・クマヤナギ(1998.
6.
17)
・ヤマジノホトトギス(1999.
7.
8)
・チチコグサ
(1997.
10.
17)
(1998年以後未確認))
希少種及び注目すべき少数種
・ヒレタゴボウ(1998.
10.
7)
(1999年未確認)
・ヒノキ
(1997.
12.
12)
・シロバナタンポポ(1999.
4.
11)
・チョウジタデ(1997.
9.
19)
(1998年以後未確認)
・トネリコsp
(2000.
1.
13)
*
()内は発見した日
*●はレッドデーターブック近畿記載種
(関西自然保護機構)
1 ∼1
6
*地図内の数字 は、
きのこ調査対象
の倒木の位置
・カサスゲ(1999.
4.
11)
・マツバイ(2000.
1.
13)
・ミゾハコベ(1997.
4.
19)
(1999年未確認)
・シラヤマギク(1999.
7.
8)
(コナラの下)
・ヒキオコシ(1997.
10.
7)
(1998年以後未確認)
●トチカガミ(1997.
9.
19)
(1999年未確認)
カワセミの池
・ヤマコウバシ(1999.
7.
8)
・トキワススキ(1999.
6.
10)
・ヒメワラビ (2000.
1.
13)
ガマの池
カキツバタの池
●シャジクモ(1997.
5.
30)
(ショウブの池.
1999年未確認)
・トネリコsp(1999.
12.
8)
・ケイヌホシダ(2000.
1.
13)
ショウブの池
15
・ヤマジノホトトギス(1999.
9.
9)
流れ
ミゾソバの池
・シマカンギク(1996.
10.
20)
(コナラの下)
・カラハナソウ(19997.
10.
17)
(ニシキギに)
●ウチワドコロ(1999.
6.
10)
・ホタルブクロ(1999.
4.
10)
サワギキョウの池
12
11
・ナルコユリ(1999.
9.
9)
・オオフサモ(1997.
10.
17)
・ヒカゲスゲ(1999.
6.
10)
10
●ウチワドコロ(1999.
5.
20)
(キハダに)
1
・カンサイタンポポ1997.
6.
26)
4 5
13
6
2
16
7
3
●ウチワドコロ(1998.
6.
17)
(キハダに)
・バイカウツギ(1999.
9.
9)
・ハリエンジュ(1999.
9.
9)
8
9
14
・オトギリソウ(1998.
6.
17)
ヒメスミレ(1999.
4.
11)
・カエデドコロ(1999.
9.
9)
・クロバイ?(1998.
7.
8)
・アマドコロ(1999.
5.
20)
・ヤマグワ(1999.
7.
8)
・アマチャヅル
(1998.
9.
9)
●ヤマユリ(1998.
11.
8)
・マルバアオダモ(1996.
10.
20)
・ヤマウルシ(1997.
11.
4)
・ウド(1998.
2.
9)
・シラスゲ(1997.
4.
19)
・サルスベリ(1999.
6.
10)
(ヤマウコギの下)
・ノジギク(1997.
10.
17)
・アオハダ(1998.
2.
9)
●ウチワドコロ(1998.
6.
17)
(ミズキに)
・タニウツギ(1999.
6.
10)
・タラ(1999.
3)
昆 虫: 陸 生 昆 虫
夏原由博・真田幹雄・真田博子・中村進
チョウは 21 種が確認された。科別ではシジミ
チョウ科が 7 種と最も多く、次いでタテハチョウ科
(5 種)が多かった。コミスジとクロコノマチョウは
今年初めて記録された。このうち、前者の幼虫はフ
ジ、ネムノキ、ケヤキなどの葉を食べ、成虫は林縁
に多い。また、後者の幼虫はジュズダマやススキな
どを食べ、照葉樹林の林間などの薄暗い環境で見ら
れる。ゴマダラチョウは昨年度に成虫が1個体記録
されたが、今年度は冬にエノキの樹下で幼虫も多数
みつかり、いのちの森に定着したようである。その
他、ルリシジミも都市には少なく、比較的良好な自
然を有する緑地でのみ見られる種である。
チョウ以外では、初めて大型のクモであるジョロ
ウグモとナガコガネグモが見られ、倒木でコガタス
ズメバチの越冬が確認された。その他見られた昆虫
は、ツヅレサセコオロギ、ツユムシ、ミツカドコオ
ロギ、シバスズ、マダラスズ、ショウリョウバッタ、
エンマコオロギ、オンブバッタ、ノシメトンボ、ヨ
モギハムシ、ニホンミツバチ、セイヨウミツバチ、ク
マバチである。
表 1999年6月から2000年3月までにいのちの森で見られたチョウ
調査日
種名
6.10
7.8
7.20 8.28
9.9
10.2
あげはちょう科
アオスジアゲハ
○
○
○
○
○
○
アゲハ
○
○
○
クロアゲハ
○
しろちょう科
モンシロチョウ
○
○
○
キチョウ
○
○
○
○
○
モンキチョウ
○
しじみちょう科
ウラギンシジミ
○
○
ウラナミシジミ
○
○
ヤマトシジミ
○
○
ルリシジミ
○
ツバメシジミ
○
○
○
○
○
ムラサキシジミ
○
ベニシジミ
○
たてはちょう科
コミスジ
○
キタテハ
○
ルリタテハ
○
ゴマダラチョウ
○
○
○
○
ツマグロヒョウモン
○
○
○
○
じゃのめちょう科
クロコノマチョウ
せせりちょう科
チャバネセセリ
○
○
イチモンジセセリ
○
種 数
6
8
8
6
10
9
記録者:太字の日付は真田幹雄・博子、それ以外は中村進
10.23
11.9
11.25 1 2 . 1 1
2.26
3.18
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7
4
3
0
0
1
「 い の ち の 森 」 で記録された鳥
中村 進・長谷川美奈子
「いのちの森」は、1996 年 4 月に開園された、都
市の中に産まれてまもない公園である。ただ、他の
公園とちがって、限られた回廊部分のみしか人の立
ち入りができないように配慮されており、園内も薬
剤散布や除草作業などはできるだけ控えるなど、生
き物に配慮した管理が行なわれている。そのため、
植栽された木や草だけでなく、自然に芽生えた植物
もたくさん生い茂っており、京都市内にある同規模
の他の公園に比べて、都市公園に有りがちな人工的
な雰囲気は少ない。この「いのちの森」やその周辺
の環境を評価する指標として、食物連鎖の最上位に
位置する鳥類の生息状況を調べることは、非常に重
要であると考えられるため、1997年度よりフロラ調
査と同時に鳥類の生息状況調査を行った。本年度も
この鳥類生息状況調査及び5月と10月に実施された
観察会での記録、夏原由博氏他の観察記録などを元
に、この「いのちの森」の鳥相について述べてみる。
1.調査方法
4 月よりほぼ毎月 1 回、計 9 回、午前 10 時から 12
時ごろまで、見られた鳥(帰化鳥を含む)の種類と
その行動などを記録した。繁殖の可能性について
は、環境庁(1981)に基づいて判定した。
2.結果
(1) 記録した種類
1997 年度は 15 科 25 種、98 年度は 18 科 33 種、本
年度は 18 科 32 種(帰化鳥であるアヒルは種として
はマガモと同一のため、種数には含めていない)の
鳥を記録した。本年度はカルガモ、コゲラ、カワセ
ミ、アトリの 4 科 4 種を初めて記録した。
・カルガモ(ガンカモ科・留鳥)
4 月 11 日 2 羽を記録した。本種は京都市周辺にも
普通に生息するカモ類であり、隣接する日本庭園で
は繁殖も確認されている。園内や隣接する日本庭園
ではアヒルも繁殖しており、本種が園内で繁殖する
可能性も十分に考えられる。記録した 2 羽は、調査
者に驚いてミゾソバの池から園外に飛び去ったが、
調査終了後、再び 2 羽で飛来した。
・コゲラ(キツツキ科・留鳥)
9月9日に1羽を記録した。本種は主として枯れ木
に穴をあけて、そこで繁殖をする鳥である。シジュ
ウカラやメジロに比べ、さらに広い面積の緑地がな
ければ繁殖しない鳥であるため、京都市内の公園で
もコゲラの繁殖する場所はあまり知られていない。
ただ、本種は近年都市部へ進出しつつあることで注
目されており、今回の記録が繁殖期に近い 9 月初旬
であることや、京都市周辺部の山では普通に繁殖し
ている種であること、そして「いのちの森」が本種
の繁殖できる可能性を秘めていることを考えると、
今後記録が増えることも考えられる。
・カワセミ(カワセミ科・留鳥)
本調査での記録ではないが、昆虫班が 10 月 23 日
に調査をしている時に、ガマの池で本種1羽を観察
したそうである。本種は小魚を食べる水辺の鳥であ
り、農薬の影響からか、一時期個体数が減少してい
たようであるが、近年各地で再び姿が見られるよう
になってきている。本種が営巣する願いを込めて、
園内の崖のある池を「カワセミの池」と名づけたが、
開園4年目にして初めて本種が記録できたことで、
本種の繁殖も夢でなくなったかもしれない。
・アトリ(アトリ科・冬鳥)
1月13日に 12羽の群れを記録した。本種は冬季大
きな群れを作って生活をするが、どちらかといえば
山地で見られることが多い鳥である。この冬はアト
リの渡来数が多い年であったため、記録することが
できたと思われる。
本年度も調査は月 1 回の、しかも鳥類の調査とし
てはかなり遅い時間帯の調査であったため、記録し
た種類数は少なめであった。本年度に記録した鳥の
内訳は、留鳥(帰化鳥のドバトとアヒルを含む)が
22 種(66.7%)、夏鳥が 1 種( 3.0%)、旅鳥が 2(6.1
%)、冬鳥が 8 種(24.2%)であった(アヒルを含め
た 33 種で計算)。須川(1997)で述べられているよ
うに、京都市の平野部では、繁殖期の鳥相はそれほ
ど多様ではないが、越冬期は多様度が高くなり、ま
た、春・秋の渡りのシーズンには最も多くの種が記
録される。ただ、特に旅鳥は、
「いのちの森」に限ら
ず同一場所に短期間しか滞在しないため、本調査の
ような回数の少ない調査では、なかなか記録するこ
とができないのが現状である。逆に言えば、長期間
の調査を行うことで、旅鳥に関してはある程度の種
類数を記録することが可能であると考えられる。本
年度は 2 月に調査を行わなかったため、冬鳥はあま
り記録できなかった。
本年度の結果を含めると、これまでに合わせて21
科43 種の鳥を記録した。記録した鳥の内訳は、留鳥
(帰化鳥のドバトとアヒルを含む)が23種(52.3%)、
夏鳥が 1 種( 2.3%)、旅鳥が 9(20.5%)、冬鳥が 11
種(25.0%)であった(アヒルを含めた44種で計算)。
生息環境別に見てみると、水辺の鳥はコサギ、アオ
サギ、マガモ(アヒルを含む)、カルガモ、イカルチ
ドリ、ジシギ sp.、カワセミ、キセキレイ、ハクセキ
レイ、セグロセキレイの 10 種(23.3%)であった。
このうち、コサギ、アオサギ、カワセミは主として
魚食性の鳥であり、
「いのちの森」内の池でこれらの
鳥が採餌できる餌としては、メダカ、ウシガエルな
どのオタマジャクシ、アメリカザリガニなどが考え
られる。フェンス外側にある池には小魚が住み着い
ているようで、それを狙って鴨川など近くの水辺か
ら飛来したのかもしれない。セキレイ類 3 種は、園
内の水辺で水生昆虫などを食べている。京都市内で
はキセキレイとセグロセキレイは普通に繁殖をして
いる。ハクセキレイは冬鳥であるが、近年繁殖地が
南下しており、大阪でも1983年から繁殖が記録され
るようになった(日本野鳥の会大阪支部,1987)。し
かし、京都市内ではまだ繁殖を行っていないようで
ある。マガモ(アヒルを含む)とカルガモの2種は、
水草やイネ科などの種子を食べているが、アヒルは
本年度も繁殖しており、営巣場所としても園内を利
用している。イカルチドリは周辺地域から飛来し
たものが上空を通過した際に記録したもので、ジシ
ギ sp. は渡りの際に一時的に休息や採餌の場として
園内の池(カワセミの池)を利用したものである。
次に、公園内よりもむしろ、周辺の緑地や上空を
利用している鳥は、トビ、ノスリ、ハヤブサ、ツバ
メ、スズメ、ムクドリ、ハシボソガラス、ハシブト
ガラス、ドバトの 9 種であった。この内、ノスリは
1999年2月29日に上空を飛ぶ1羽を記録した。また、
ハヤブサは 1998 年 12 月 9 日に上空かなり低くを飛
び去る♀ 1 羽を記録した。いずれの鳥もネズミや小
鳥などを食べる猛禽類であり、食物連鎖の最上位に
位置するこういった鳥が記録できたことは注目に値
する。これ以外の 7 種の鳥は全て、いわゆる都市鳥
と呼ばれる鳥で、人家やその周辺で人の生活をうま
く利用して暮らしている鳥である。この7種のうち、
公園内を利用することが最も多かったのはムクドリ
と 2 種のカラスで、木の実を食べたり、植栽された
樹木の茂みで休息していた。カラス類は園内の池に
生息するアメリカザリガニもよく食べていたが、個
体数が多いにもかかわらず、営巣は確認されていな
い。
これ以外の 24 種の鳥は、
「いのちの森」の緑地を
採餌や休息、あるいは繁殖の場として訪れた鳥であ
り、緑地の質が向上するに従って、今後も記録され
る種類は増加すると考えられる。
このリストには含めていないが、1998 年 10 月 11
日の観察会の際、園外日本庭園側の建物付近でメボ
ソムシクイとコヨシキリの新鮮な死体が拾われた。
渡りの途中に建物のガラスにぶつかって死亡したも
のと思われる。メボソムシクイは「いのちの森」で
はまだ未記録の種であるが、ここでの記録も時間の
問題であると考えられる。また、コヨシキリはヨシ
などの茂みの中に潜んでいることが多く、囀らない
限りなかなか記録することは難しい鳥である。本種
は鴨川などでもなかなか記録できない数少ない旅鳥
であるが、この記録も含めると、
「いのちの森」及び
その周辺で3年連続して本種を記録している。この
ことから、本種は本地域を定期的に通過しているこ
とは確実であると考えられる。
(2) 繁殖状況
鳥類では一般に、繁殖に影響を与えずに営巣など
を確認することは困難であるため、繁殖の可能性に
ついては、環境庁(1981)に基づいて観察した行動
などから判定した。
1997 年度に繁殖行動を記録した種類は、キジバ
ト、セグロセキレイ、モズ、シジュウカラの 4 種で
あり、いずれもbランク(繁殖の可能性がある)の
記録であった。また、1998 年度はカワラヒワ、アヒ
ルの 2 種でaランク(繁殖を確認した)
、キジバト、
セグロセキレイ、シジュウカラ、ムクドリの 4 種で
bランクを記録した。本年度は、ツバメ、カワラヒ
ワ、スズメ、ムクドリ、アヒルの5種でaランク、キ
ジバト、シジュウカラ、メジロの 3 種でbランクを
記録した。aランクを記録したのは 5 種とこれまで
で最も多かったが、このうち巣立ちビナを記録した
ツバメ、スズメ、ムクドリの 3 種は、周辺の民家で
繁殖した後に園内に飛来したものと思われ、実際に
園内で繁殖した可能性の高い種は、昨年と同じ 2 種
であった。カワラヒワは 7 月 8 日に巣立ちビナを連
れた家族群を観察しており、本種も園内で繁殖した
と思われる。アヒルは 6 月 17 日に昨年同様巣立ち間
もないヒナ 9 羽をガマの池で記録した。bランクの
3 種の鳥は、いずれも園内での繁殖が考えられる種
であり、3 種全てで囀りを、また、シジュウカラは
若鳥も記録した。キジバトは民家のちょっとした植
え込みでも繁殖をすることから、実際に園内で繁殖
をしたかは不明であるが、他の 2 種は園内での繁殖
が十分に考えられる。シジュウカラは近年市街地へ
の進出が見られる鳥であり、京都市内では冬季には
人家の庭先の小さな植込などでも見ることがある
が、繁殖期には、1997 年度に行った京都市内の孤立
林での鳥類の繁殖状況調査でも、
「いのちの森」より
ずっと規模の大きな緑地でしか記録できなかった。
また、須川(1997)の市街地内の緑地(樹林地)の
規模と営巣鳥類のイメージでも、シジュウカラは1
ha以上の緑地でやっと年によって営巣する種として
示されている。また、メジロはシジュウカラよりも
さらに緑地面積が広い場所で営巣する種として示さ
れており、これらの種の繁殖の可能性をこの1ha足
らずの「いのちの森」で記録できたことは、他の同
規模の公園に比べて「いのちの森」の自然度が高く、
また植生などの多様度が高いためであると考えられ
る。前述したコゲラは、メジロよりもさらに広い緑
地で繁殖する鳥であり、この狭い緑地で本種が繁殖
できるかどうかは不明であるが、可能性はあるので
はないかと思われる。
この 8 種以外では、本年度もヒヨドリの繁殖に関
する行動が全く記録できなかったが、本種は街路樹
などでごく普通に繁殖を行う鳥であり、須川(1997)
でも示されているように、現在の「いのちの森」程
度の樹木があれば、十分に繁殖が可能であると思わ
れる。本種は♂♀の外見上の区別がほとんどでき
ず、目だった囀りも持たないため、短時間の調査で
繁殖行動を観察することが困難であるために繁殖記
録を得られなかっただけと思われる。また、セグロ
セキレイやキセキレイ、モズ、カラス類は、春季か
ら夏季に記録したにもかかわらず、繁殖行動は記録
できなかった。
この他、
「いのちの森」に隣接する日本庭園(1994
年開園)ではカルガモが記録されており、1996 年に
は卵も確認されている。また、1997 年にはヒナを連
れたカルガモも観察されているため、付近で繁殖を
したものと思われる。
(3) 個体数
本調査はフロラ調査と並行して行なっているた
め、本年度も個体数の調査は行わなかった。
※引用文献
・環境庁(1981)日本産鳥類の繁殖分布,環境庁
・日本野鳥の会大阪支部(1987)大阪府鳥類目録,日
本野鳥の会大阪支部
・須川 恒(1997)
「いのちの森」の今後の鳥類調査
に関しての考え,いのちの森 No.1,京都ビオトー
プ研究会:26-29
表1.鳥類の繁殖可能性の区分
=========================================================================
【繁殖可能性の区分及びその判定項目】
ランク 基 準
a 繁殖を確認した。 b 繁殖の確認はできなかったが、繁殖の可能性がある。
c 生息を確認したが、繁殖については、何ともいえない。
=========================================================================
【判 定 項 目】
ランク 観 察 事 項 a 成鳥に 成鳥が巣あるいは巣のあるらしい所にくり返し出入りしている。
ついて 成鳥が抱卵又は抱雛している。あるいはしているようだ。
成鳥が巣のあるらしい所に飛び込むと同時にヒナの乞餌声が聞か
れた。
成鳥がヒナのフンを運搬している。
成鳥が明らかに調査地域周辺にある巣のヒナに餌を運搬している
(餌をくわえたまま観察者を警戒し移動する気配のない場合を含
める。)
巣について 巣立ち後の巣がある。ただし、1997年以後に使用さ
れた巣であること。
卵について 卵のある巣をみた。
成鳥がおちついてすわっている巣の近くで、その種の卵殻が見つ
かった。
ヒナに ヒナのいる巣を見た。
ついて ヒナの声を聞いた。
巣立ちビナ 巣からほとんど移動していないと思われる巣立ちビナを見た。
について
--------------------------------------------------------------------------- b 成鳥に その種が営巣し得る環境で、繁殖期に囀り(キツツキのドラミン
ついて グを含む)を聞いた。ただし、その鳥が冬鳥・旅鳥かもしれない
とき、明確な囀りを持たない鳥(ウ・ヨシゴイとミゾゴイを除く
サギ・カモ・サシバを除くワシタカ・バン・オオバン・シロチド
リ・アマツバメ類・ヤマセミ・カワセミ・スズメ・ムクドリ・カ
ラス)のときを除く。
求愛行動を見た。ただし、その鳥が冬鳥・旅鳥かもしれない時は
除く。
交尾行動を見た。ただし、その鳥が冬鳥・旅鳥かもしれない時は
除く。
威嚇行動・警戒行動により、付近に巣又はヒナの存在が考えられ
る。
巣があると思われる所に成鳥が訪れた。ただし、そこが塒である
場合は除く。
造巣行動(巣穴堀りを含む)を見た。
成鳥が巣材を運搬している。ただし、明らかに調査地域周辺に巣
を構えていると思われる場合に限る。
成鳥がヒナへの餌を運搬しているが、巣が調査地域周辺にあるか
どうかわからない。
巣について 巣を発見したが、卵、ヒナともなく、成鳥がそこに来るのを認め
なかった。ただし、1997年以後に作られた巣であること。
巣立ちビナ かなり移動可能と思われる巣立ちビナを見た。 について 家族群を見た。 =========================================================================
★環境庁(1981)日本産鳥類の繁殖分布 より、一部改変
表2. いのちの森の鳥相
種名
分類
サギ科
留鳥
コサギ Egretta garzetta
アオサギ Ardea cinerea
留鳥
ガンカモ科
冬鳥
マガモ Anas platyrhynchos
カルガモ Anas poecilorhyncha
留鳥
ワシタカ科
留鳥
トビ Milvus migrans
ノスリ Buteo buteo
冬鳥
ハヤブサ科
ハヤブサ Falco peregrinus
旅鳥
チドリ科
留鳥
イカルチドリ Charadrius placidus
シギ科
ジシギ sp. Gallinago sp.
旅鳥
ハト科
キジバト Streptopelia orientalis
留鳥
カワセミ科
留鳥
カワセミ Alcedo atthis
キツツキ科
留鳥
コゲラ Dendrocopos kizuki
ツバメ科
ツバメ Hirundo rustica
夏鳥
セキレイ科
留鳥
キセキレイ Motacilla cinerea
冬鳥
ハクセキレイ Motacilla alba
セグロセキレイ Motacilla grandis
留鳥
冬鳥
ビンズイ Anthus hodgsoni
ヒヨドリ科
ヒヨドリ Hypsipetes amaurotis
留鳥
モズ科
留鳥
モズ Lanius bucephalus
ヒタキ科
ノゴマ Erithacus calliope
旅鳥
ルリビタキ Tarsiger cyanurus
冬鳥
冬鳥
ジョウビタキ Phoenicurus auroreus
冬鳥
シロハラ Turdus pallidus
ツグミ Turdus naumanni
冬鳥
留鳥
ウグイス Cettia diphone
旅鳥
シマセンニュウ Locustella ochotensis
コヨシキリ Acrocephalus bistrigiceps
旅鳥
オオヨシキリ Acrocephalus arundinaceus 旅鳥
センダイムシクイ Phylloscopus occipitalis 旅鳥
コサメビタキ Muscicapa latirostris
旅鳥
旅鳥
ヒタキsp. Muscicapa sp.
シジュウカラ科
シジュウカラ Parus major
留鳥
メジロ科
メジロ Zosterops japonica
留鳥
ホオジロ科
ホオジロ Emberiza cioides
留鳥
冬鳥
アオジ Emberiza spodocephala
アトリ科
アトリ Fringilla montifringilla
冬鳥
留鳥
カワラヒワ Carduelis sinica
シメ Coccothraustes coccothraustes
冬鳥
ハタオリドリ科
留鳥
スズメ Passer montanus
ムクドリ科
コムクドリ Sturnus philippensis
旅鳥
留鳥
ムクドリ Sturnus cineraceus
カラス科
ハシボソガラス Corvus corone
留鳥
ハシブトガラス Corvus macrorhynchos
留鳥
ガンカモ科
帰化鳥
アヒル Anas platyrhynchos
ハト科
ドバト Columba livia
帰化鳥
97
98
99
備考
○
○
○
○
○
97.12.12 1羽
○
○
○
99.2.19 ♂1♀1,4.11♂1♀1
99.4.11 2羽
○
○
○
○
99.2.191羽
○
98.12.9 ♀1
○
97.4.19 1羽
○
b
b
98.4.22 1羽
b
囀り(97.4.19,6.26,98.6.17∼9.19,99.6.10,7.8),求愛(97.4.19),巣材運び(97.5.5)
○
99.10.23 1(ガマの池)
○
○
○
a
○
b
○
○
○
b
○
○
○
○
○
○
○
b
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
巣立ちビナ(99.6.10),若鳥(99.7.8)
囀り(97.4.19,6.26,98.7.17)
97.10.17,98.11.18
求愛(97.4.19)
98.10.11 ♂1
99.2.19 ♂1
97.11.14♂1
1999.2.19
1998.10.11
98.6.17 1羽
97.5.31 1羽,99.10.7 1羽
○
○
○
b
○
○
97.5.5 1羽
97.9.19 1羽
b
b
囀り(97.5.5,98.6.17,9.9,99.4.11),若鳥(98.7.17 2羽,99.6.10,7.8)
○
b
囀り(99.4.11,/5.20,6.10)
○
○
○
○
a
○
○
a
○
囀り(98.4.22,6.17,99.5.20,6.10,7.8),家族群(98.6.17),巣立ちビナ(98.7.17 2羽,99.7.8)
○
○
a
巣立ちビナ(99.6.10)
○
○
b
a
97.4.19♀1
若鳥(98.6.17,99.7.8),巣立ちビナ(99.6.10)
○
○
○
○
○
○
a
a
○
○
○
○
○
99.6.17 ♀1ヒナ9
「きのこ」分野調査報告 - そ の 1 -
下野義人(代表)、岩瀬剛二、小林久泰
田中安代、大薮崇司、川島聡子、普代貴子
1999 年は「いのちの森」が完成してから 4 年目に
当たる.大都会にゼロから作られた公園「いのちの
森」の菌類相はこの 4 年間の森の成熟によって地上
生菌類相で大きく変化し,特に菌根性のきのこの増
加が著しかった.さらに,枯れ木上の菌類相におい
ても大きな変化が見られた.
1 年目に発生したきのこは大部分材上生の木材腐
朽菌であり,2 年目には材上生のきのこが 30 種,地
上生のきのこが7種発生した.3 年目の 1998 年には
全体で 199 種発生し(変形菌 10 種を含める)
,その
うち地上生のきのこが46種と飛躍的に増大した.さ
らに,4 年目の 1999 年には 161 種発生し(変形菌を
含む)
,地上生のきのこが 85 種に増加していた.菌
根性のきのこに関しては 1997 年の3種から 1998 年
16 種,1999 年 30 種に増大している.なお,材上の
ヒダナシタケ目のきのこは 1999 年に減少した.
調査日時および調査参加者
1999年のいのちの森のきのこ調査は,春秋の自然
観察会を含めて 24 回行った.
第 1 回;3 月 27 日;午後 2 時 00 分から午後 4 時 10
分:調査メンバー;岩瀬剛二,下野義人
第 2 回;4 月 11 日;午前 11 時 00 分から午後 0 時
30 分:調査メンバー;岩瀬剛二,小林久泰,大藪崇
司,田中安代,普代貴子,下野義人
第 3 回;4 月 24 日.午前 10 時 30 分から午後 2 時
00 分:調査メンバー;岩瀬剛二,小林久泰,大藪崇
司,普代貴子,川島聡子,山田,下野義人
第 4 回;5 月 3 日.午前 11 時 30 分から午後 0 時:
調査メンバー;岩瀬剛二,大藪崇司,下野義人
第 5 回;5 月 15 日.午後 2 時 30 分から午後 4 時 20
分:調査メンバー;岩瀬剛二,大藪崇司,普代貴子,
下野義人
第 6 回;6 月 19 日;午後 2 時 40 分から午後 4 時 50
調査方法
分:調査メンバー;岩瀬剛二,高松進,加藤真奈美,
1.公園内を所定のコースに従って歩き,野積みの 松田早苗,下野義人
枯れ木,および地表を観察し,発生したきのこを採
第 7 回;6 月 26 日;午後 1 時 40 分から午後 4 時 30
集して同定し,写真に写した.
分:調査メンバー;岩瀬剛二,小林久泰,大藪崇司,
2.比較的太い丸太および組み木 16 本に NO.1- 下野義人
NO.16 の番号を打ち,そこに発生したきのこを記録
第 8 回;7 月 10 日;午後 1 時 40 分から午後 4 時:
した.
調査メンバー;岩瀬剛二,小林久泰,大藪崇司,田
3.NO.9,10,12 の枯れ木上に発生したきのこの 中安代,普代貴子,下野義人
位置(東西南北)を地図上にプロットした.
第 9 回;7 月 17 日;午後 1 時 40 分から午後 4 時 30
とくに,NO.9上に関しては,毎回東西南北の定 分:調査メンバー;岩瀬剛二,小林久泰,田中安代,
点から写真機写真およびデジタルカメラに撮って, 普代貴子,川島聡子,加藤真奈美,下野義人
発生したきのこを記録した.これはきのこの発生位 第 10 回;7 月 31 日;午後 2 時から午後 4 時:調査
置の変化をコンピュータで画像処理を行うことを考 メンバー;岩瀬剛二,小林久泰,大藪崇司,オフェ
えたためである.
リア,普代貴子,川島聡子,下野義人
4.地上生きのこの発生位置を白地図上にマップ 第 11 回;8 月 28 日;午後 1 時 40 分から午後 3 時
して,発生子実体数および近くの樹木名・番号を記 40 分:調査メンバー;岩瀬剛二,小林久泰,普代貴
録した.その際,腐生性のきのこを青色に,菌根性 子,下野義人
のきのこを赤色に区別した.
第 12 回;9 月 23 日;午後 1 時 40 分から午後 3 時
40 分:調査メンバー;岩瀬剛二,大藪崇司,普代貴
子,波部健,下野義人
第 13 回;10 月 2 日;午後 2 時 45 分から午後 4 時
40 分:調査メンバー;岩瀬剛二,小林久泰,オフェ
リア,普代貴子,波部健,下野義人
第 14 回;10 月 10 日;第二回秋の自然観察会 午
前 9 時 55 分から午前 10 時 30 分:調査メンバー;岩
瀬剛二,小林久泰,大藪崇司,普代貴子,下野義人
第 15 回;10 月 16 日;午後 2 時 30 分から午後 5 時:
調査メンバー;普代貴子,下野義人
第 16 回;10 月 23 日;午前 10 時 30 分から午前 12
時:調査メンバー;岩瀬剛二,小林久泰,大藪崇司,
普代貴子
第 17 回;10 月 30 日;午後 2 時 40 分から午後 5 時:
調査メンバー;岩瀬剛二,小林久泰,大藪崇司,川
島聡子,下野義人
第 18 回;11 月 6 日;午後 1 時 30 分から午後 4 時
30 分:調査メンバー;岩瀬剛二,小林久泰,大藪崇
司,川島聡子,下野義人
第 19 回;11 月 13 日;午後 1 時 30 分から午後 4 時
30 分:調査メンバー;岩瀬剛二,小林久泰,大藪崇
司,普代貴子
第 20 回;11 月 20 日;午後 1 時 40 分から午後 4 時
10 分:調査メンバー;岩瀬剛二,小林久泰,大藪崇
司,普代貴子,川島聡子,下野義人
第 21 回;12 月 4 日;午後 1 時 30 分から午後 4 時:
調査メンバー;岩瀬剛二,大藪崇司,川島聡子,亀
田,下野義人
第 22 回;12 月 18 日;午後 21 時から午後 3 時調査
および反省会:調査メンバー;岩瀬剛二,小林久泰,
大藪崇司,田中安代,普代貴子,下野義人
第 23 回;1 月 15 日;午後 1 時 30 分から午後 4 時:
調査メンバー;岩瀬剛二,小林久泰,大藪崇司,田
中安代,普代貴子,川島聡子,波部健,下野義人
第 24 回;2 月 26 日;午後 1 時 30 分から午後 3 時
30 分:調査メンバー;岩瀬剛二,小林久泰,下野義
人
所の枯れ木(No.3,NO.6,No.15)から,それぞれ
14 個体,45 個体,38 個体発生している.NO.15 の枯
れ木では1998年に春と秋の2回発生したにもかかわ
らず材の腐朽が進んだためか,38 個体と少なく,
1999 年にはまったく発生しなかった.
来年度ツキヨタケは,本年の発生状況から判断す
るとNo.6からはまだ少数発生すると思われるが,腐
朽が進んだ材に発生するウラベニガサ属が発生し始
めた No.15,NO.3 には発生しないと思われる.
表1 1999年のツキヨタケの発生時期および発生数
------------------------------------------------------------------ 枯れ木番号/調査日時 11/O6 11/13
------------------------------------------------------------------- No.3
---- --- No.6
5* 6
No.15
---- ---- -------------------------------------------------------------------- ---: 発生せず,*:小型の子実体
表2 4年間のツキヨタケの発生子実体数
-------------------------------------------------------------------枯れ木番号/発生数 1996 1997 1998 1999
-------------------------------------------------------------------No.3
--9
14
--No.6
--- 10
45
6
No.15
90 45
38 --- -------------------------------------------------------------------- ---: 発生せず
2.1999 年に発生したのきのこ
「いのちの森」に 4年間に発生した菌類リスト(変
形菌を含む)を表 3 に,生態群毎の発生種数を表 4
に表す.
結果および考察
また,1999 年度の生態群毎の発生消長を図 1 に表し
1.ツキヨタケの発生
1999 年に発生したツキヨタケの子実体数を表 1 た.1999 年には 139 種が発生し,そのうち,材上に
発生したきのこ(子嚢菌を含む)が67種,地上生(子
に,4 年間の発生総数を表2に表す.
1999 年のツキヨタケは,過去 3 年より 2 週間程遅 嚢菌を含む)が 72 種で,変形菌 22 種を含めて,計
い 11 月中旬に NO.6 の枯れ木から 6 個体発生した. 161 種を発生した.
「いのちの森」では現在までにツキヨタケが,1996年 1999年の大きな特徴は,昨年に引き続き地上生のき
にNo.15で90個体,1997年にはNo.3で10個体,No.6 のこの増加と菌根性のきのこの増加であった.
で 9 個体,No.15 で 40 個体発生し,1998 年には 3 カ
表 3 4 年 間 に 発 生 し た い の ち の 森 の き の こ (真菌門の分類は今関&本郷(1987)、変形菌門の分類は山本(1998)に基づく)
番
号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
61
62
63
64
65
66
67
和名
学名
Pleurotus ostreatus (Jacq. : Fr.) Kummer
ヒラタケ
ウスヒラタケ
Pleurotus pulmonarius (Fr.) Quel.
アラゲカワキタケ
Panus rudis Fr.
マツオウジ
Lentinus lepideus (Fr. : Fr.) Fr.
シイタケ
Lentinus edodes (Berk.) Sing.
スエヒロタケ Schizophyllum commune Fr. : Fr.
ベニヒガサ
Hygrocybe cantharellus (Schw.) Murrill
ウラムラサキ
Laccaria amethystea (Bull.) Murr.
カレバキツネタケ Laccaria vinaceoavellanea Hongo
キツネタケ Laccaria laccata (Scop. : Fr.) Berk. &Br.
キツネタケモドキ
Laccaria ohiensis (Mont.) Sing.
ヒメキツネタケモドキ
Laccaria tortilis (Bolt.) S. F. Gray
ツキヨタケ
Lampteromyces japonicus (Kawam.) Sing.
カヤタケ属
Clitocybe sp.
コムラサキシメジ
Lepista sordida (Schum. : Fr.) Sing.
ナラタケ
Armillariella mella (Vahl. : Fr.) Kast.
ヒダサカズキタケ
Omphalina epichysium (Pers. : Fr.) Quel.
コザラミノシメジ
Melanoleuca melaleuca (Pers. : Fr.) Murr.
ニオイカレバタケ?
?Collybia iocephala (Berk. &Curt.) Sing.
モリノカレバタケ
Collybia dryophila (Bull. : Fr.) Kummer
ワサビカレバタケ?
?Collybia peronata (Bolt. : Fr.) Kummer
モリノカレバタケ属1 Collybia sp1.
モリノカレバタケ属2 Collybia sp2.
モリノカレバタケ属3 Collybia sp3.
サカズキホウライタケ属
Micromphale sp.
クロゲシジミタケ Resupinatus trichotis (Pers.) Sing.
Hohenbuehelia reniformis (G. Meyer: Fr.)
ヒメムキタケ
Sing.
ワサビタケ
Panellus stypticus (Bull. : Fr.) Karst.
ネッタイヌメリタケ
Oudemansiella canarii (Jungh.) Hohnel
ニセホウライタケ近縁種
?Crinipellis stipitaria (Fr.) Pat.
シラウメタケモドキ
Hemimycena delicatella (Peck) Sing.
チシオタケ
Mycena haematopoda (Pers. : Fr.) Kummer
クヌギタケ属1
Mycena sp.
ヒメカバイロタケ属
Xeromphalina sp.
エノキタケ
Flammulina velutipes (Curt. : Fr.) Sing.
テングタケ
Amanita pantherina (DC. : Fr.) Krombh.
ツルタケダマシ
Amanita spreta (Peck) Sacc.
コテングタケモドキ
Amanita pseudoporphyria Hongo
?Amanita citrina (Schaeff.) Pers. var. grisea
?クロコタマゴテングタケ
(Hongo) Hongo
ウラベニガサ Pluteus atricapillus (Batsch) Fayod
ベニヒダタケ
Pluteus leoninus (Schaff. : Fr.) Kummer
ヒメベニヒダタケ
Pluteus nanus (Pers. : Fr.) Kummer
ヒョウモンウラベニガサ
Pluteus pantherinus Courtecuisse et Uchida
ウラベニガサ属1
Pluteus sp.
アカキツネガサ
Leucoagaricus rubrotinctus (Peck) Sing.
コガネキヌカラカサタケ
Leucocoprinus birnbaunmii (Corda) Sing.
キツネノハナガサ
Leucocoprinus fragilissimus (Rav.) Pat.
ミイノヒガサタケ近縁
?Leucocoprinus otsuensis Hongo
Leucocoprinus bresadolae (Schulz.) S.
ツブカラカサタケ
Wasser
クロヒメオニタケ近縁
?Cystoagaricus strobilomyces (Murr.) Sing.
マントカラカサタケ Macrolepiota sp.
ササクレヒトヨタケ
Coprinus comatus (Muiller:Fr.) Pers.
キララタケ
Coprinus micaceus (Bull. : Fr.) Fr.
コキララタケ
Coprinus radians (Desm. : Fr.) Fr.
ムジナタケ Psathyrella velutina (Pers.) Sing.
コムジナタケ
Psathyrella silvestris (Gill.) Konr. & Maulb.
イタチタケ
Psathyrella candolliana (Fr. : Fr.) Maire
コナヨタケ
Psathyrella obtusata (Fr.) A. H. Smith
アシナガイタチタケ
Psathyrella spadiceogrisea (Schaeff.) Maire
ナヨタケ
Psathyrella gracilis (Fr.) Quel.
ナヨタケモドキ Psathyrella caudata (Fr.) Quel.
ナヨタケ属1
Psathyrella sp1.
ナヨタケ属2 Psathyrella sp2.
タマムクエタケ
Agrocybe arvalis (Fr.) Sing.
ツバナシフミズキタケ Agrocybe farinacea Hongo
ヤナギマツタケ
Agrocybe cylindracea (DC. : Fr.) Maire
ニガクリタケ
Naematoloma fasciulare (Hudson: Fr.) Karst.
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68 ニガクリタケモドキ
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Naematoloma gracile Hongo
Naematoloma tuberosum Readhead &
仮称キンカククリタケ Kroeger
ハナガサタケ
Pholiota flammans (Fr.) Kummer
ヌメリスギタケモドキ
Pholiota aurivella (Batsch: Fr.) Kummer
シロトマヤタケ
Inocybe geophylla (Sow. : Fr.) Kummer
アセタケモドキ Inocybe umbrina Bres.
ニセアシボソトマヤタケ
Inocybe casimiri Vel.
コブアセタケ
Inocybe nodulosospora Kobay.
シロニセトマヤタケ
Inocybe umbratica Quel.
カブラアセタケ
Inocybe asterospora Quel.
キヌハダニセトマヤタケ
Inocybe paludinella (Peck) Sacc.
Inocybe lanuginella (Schroet. in Cohn) Konr.
ハイチャトマヤタケ
& Maubl.
アシボソトマヤタケ
Inocybe calospora Quel.
ハリアセタケ
Inocybe calospora f. minor Kobay.
アセタケ属
Inocybe sp.
ヒメワカフサタケ?
?Hebeloma sacchariolens Quel.
トビチャニセフウセンタケ近縁 ?Cortinarius fasciatus (Scop.) Fr.
サザナミニセフウセンタケ
Cortinarius obtusus (Fr.) Fr.
フウセンタケ属1
Cortinarius sp. 1
フウセンタケ属2
Cortinarius sp. 2
ミドリスギタケ
Gymnopilus aeruginosus (Peck.) Sing.
チャツムタケ属
Gymnopilus sp.
ヒメアジロガサモドキ
Galerina helvoliceps (Berk . & Curt.) Sing.
コレラタケ
Galerina fasciculata Hongo
ビロードムクエタケ属
Simocybe sp.
クリゲノチャヒラタケ
Crepidotus badiofloccosus Imai
チャヒラタケ
Crepidotus mollis (Schaeff. : Fr.) Kummer
サケバタケ
Paxillus curtisii Berk. in Berk. & Curt.
ヌメリイグチ
Suillus luteus (L. : Fr.) S. F. Gray
チチアワタケ
Suillus granulatus (L. : Fr.) O. Kuntze
ヤマドリタケモドキ
Boletus reticulatus Schaeff.
コウジタケ
Boletus fraternus Peck
コゲチャイロガワリ
Boletus umbriniporus Hongo
キチャハツ
Russula sororia (Fr.) Romell
ヒナベニタケ
Russula kansaiensis Hongo
カレエダタケ
Clavulina cristata (Holmsk. : Fr.) Schroet.
カレエダタケモドキ
Clavulina rugosa (Bull. : Fr.) Schroet.
Punctularia strigosozonata (Schweinitz)
ケシワウロコタケ Talbot
カミウロコタケ
Lopharia crassa (Leveille) Boidin
チャウロコタケ
Stereum ostrea (Bl. et Nees) Fr.
シワタケ
Merulius tremellosus Schrad. : Fr.
アラゲニクハリタケ Steccherinum rhois (Schw.) Banker
Polyporus alveolarius (DC. ex Fr.) Bond. et
ハチノスタケ
Sing.
アミスギタケ
Polyporus arcularius Batsch. : Fr.
ツヤウチワタケモドキ
Microporus subaffinis (Lloyd) Imaz.
ヒラフスベ Laetiporus versisporus (Lloyd) Imazeki
Oligoporus caesius (Schrad. : Fr.) Gilbn. et
アオゾメタケ
Ryv.
アオゾメタケ(広義)
Oligoporus caesius
オシロイタケ
Oligoporus tephroleucus (Fr.) Gilbn. et Ryv..
オシロイタケ属
Oligoporus sp.
ニッケイタケ
Coltrica cinnamomea (Pers.) Murr.
ヒイロタケ Pycnoporus coccineus (Fr.) Bond. et Sing.
ヒロハノキカイガラタケ
Gloeophyllum subferrugineum (Berk.) Bond.
コゲイロカイガラタケ
Gloeophyllum abietinum (Fr.) Krast.
ニオイヒメアミタケ Daedalea malicola (B. et C.) Aoshima
オオチリメンタケ Trametes gibbosa (Pers. : Fr.) Fr.
クジラタケ
Trametes orientalis (Yasuda) Imazeki
カワラタケ
Coriolus versicolor (L. : Fr.) Quel
アラゲカワラタケ
Coriolus hirsutus (Wulf. : Fr.) Quel.
ウスバタケ
Irpex lacteus Fr.
ニクウスバタケ
Coriolus brevis ( Berk. )Aoshima
フルイカワラタケ近縁
?Coriolus pinsitus (Fr.)Pat.
カイガラタケ
Lenzites betulina (L. : Fr.) Fr.
ハカワラタケ Trichaptum biforme (Fr.) Ryverden
ヤケイロタケ
Bjerkandera adusta (Willd. : Fr.)Karsten
Daedaleopsis tricolor (Bull. : Fr.) Bond. et
チャカイガラタケ Sing.
ウズラタケ
Truncospora ochroleuca (Berk.) Pilat
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和名
Ganoderma lucidum (Leyss. : Fr.) Karst.
Elfvingia applanata (Pers.) Karst.
?Onnia vallata (Berk.) Aoshima
Inonotus xeranticus (Berk.) Imaz. et Aoshi.
Phellinus gilvus (Schw. : Fr.) Pat.
Stereaceae
Antrodiella sp.
Scleroderma areolatum Ehrenb.
Scleroderma verrucosum Pers..
Calvatia craniiformis (Schw.) Fr.
Calvatia boninensis S. Ito et Imai
Lycoperdon hiemale Bull. : Pers. em. Vitt.
Lycoperdon pussillum Batsch : Pers.
Lycoperdon sp.
Pseudocolus schellenbergiae (Sumst.)
サンコタケ
Johnson
キツネノタイマツ Phallus rugulosus (Fisch.) O. Kuntze
シロキクラゲ
Tremella fuciformis Berk.
ハナビラニカワカタケ
Tremella foliacea Pers. : Fr.
キクラゲ
Auricularia auricula (Hook.) Underw.
アラゲキクラゲ
Auricularia polytricha (Mont.) Sacc.
ヒメキクラゲ
Exidia glandulosa Fr.
タマキクラゲ Exidia uvapassa Lloyd
ツノマタタケ
Guepinia spathularia (Schw.) Fr.
クロアシボソノボリリユウ Helvella atra Koenig : Fr.
シャグマアミガサタケ
Gyromotira esculenta (Pers.) Fr.
Trichophaea cuspidata
Trichophaea cuspidata
アラゲコベニチャワンタケ
Scutellinia scutellata (L.) Lambotte
マメザヤタケ
Xylaria polymorha (Pers.) Grev.
チャコブタケ
Daldinia concentrica (Bott.) Ces. et de Not.
ツノホコリ
Ceratiomyxa fruticulosa (Mueller) Macbr.
Enteridium splendens (Morgan) T.Macbr. var.
ジュラドロホコリ
juranum (Maylan) Haerkoenen
マメホコリ
Lycogala epidendrum (L.) Fr.
クダホコリ
Tubifera ferruginosa (Batsch) J. F. Gmel.
シロウツボホコリ
Arcyria cinerea (Bull.) Pers.
ウツボホコリ
Arcyria denudata (L.) Wettst.
ナガホウツボホコリ
Arcyria major (G.Lister) Ing
キウツボホコリ
Arcyria obvelata (Oeder) Onsberg
Hemitrichia clavata (Pers.) Rostaf. var.
ホソエノヌカホコリ
calyculata (Speg.) Y.Yamam.
ヘビヌカホコリ
Hemitrichia serpula (Scop.) Rostaf.
Trichia favoginea (Batsch) Pers. var.
トゲケホコリ
persimilis (Karsten) Y. Yamam.
シロエノカタホコリ
Didymium squamulosum (Alb. et Schw.) Fr.
シロサカズキホコリ
Craterium leucocephalum (Pers.) Ditmar
シロススホコリ
Fuligo candida Pers.
ススホコリ
Fuligo septica (L.) Wiggers
マンネンタケ
コフキサルノコシカケ アズマタケ?
ダイダイタケ
ネンドタケ ウロコタケの仲間
ニカワオシロイタケ属
ヒメカタショウロ ショウロダマシ
ノウタケ
オオノウタケ
ヒメホコリタケ チビホコリタケ
ホコリタケ属1(黄色)
179 キフシススホコリ
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学名
ハイイロフクロホコリ
シロモジホコリ
イタモジホコリ
アカカミノケホコリ
184 ヤリミダレホコリ
185 サビムラサキホコリ
186 スミスムラサキホコリ
187 ムラサキホコリ
188 イリマメムラサキホコリ
189 オオムラサキホコリ
190 スカシムラサキホコリ
191 ツツムラサキホコリ
192 コムラサキホコリ
Fuligo septica (L.) Wiggers f. flava (Pers.) Y.
Yamam.
Physarum cinereum (Batsch) Pers.
Physarum nutans Pers.
Physarum rigidum (G.Lister) G.Lister
Comatricha pulchella (C.Bab.) Rostaf.
Stemonaria longa (Peck) Nann.-Bremek. et
al.
Stemonitis axifera (Bull.) T.Macbr.
Stemonitis axifera (Bull.) T.Macbr. var.
smithii (T.Macbr.) Hagelst.
Stemonitis fusca Roth var. fusca
Stemonitis pallida Wingate
Stemonitis splendens Rostaf.
Stemonitis splendens Rost. var. webberi
(Rex) A. Lister
Stemonitopsis aequalis (Peck) Y.Yamam.
Stemonitopsis hyperopta (Maylan) Nann.Bremek.
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種)
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表4 生態群毎の発生種数
------------------------------------------------------------------- 1996 1997 1998 1999 計
-------------------------------------------------------------------材上のヒダナシタケ目 10 18
33
30
36
材上のハラタケ目 *
4
12
31
37
45
地上生のきのこ *
1
7
46
72
85
菌根性のきのこ
1
3
16
30
34
変形菌
0
1
9
22
26
総数
17
38 119 161 192
------------------------------------------------------------------- *:子嚢菌を含む
材上のヒダナシタケ目
の腐朽が進み,材の性質が大きく変化したためとと
思われる.しかし,コフキサルノコシカケはケヤキ
の生木を含めて5,6カ所から発生していた.生木に
木材腐朽性のきのこが発生しているのは樹木が弱っ
ていることを示しており,
「いのちの森」に移植され
た太い樹木が完全に定着していないことを暗示して
いる.
一方,ハラタケ目(柔らかいきのこ)は 37 種発生
し,新しく発生した種が 11 種あった(マツオウジ,
ヒダサカズキタケ,ヒョウモンウラベニガサ,コレ
ラタケ,ニガクリタケモドキ,ハナガサタケ,エノ
キタケ,クロヒメベニタケ,ヒメカバイロタケ属,ア
材上のハラタケ目等
地上生のきのこ
40
30
発
生
種 20
数
10
0
4/11
5/3
6/19
7/10
7/31
9/23
調査日時
10/10
10/23
11/6
11/20
12/18
2/26
図1 1999年の生態群毎の発生消長
(1)木材腐朽性のきのこ
材上生のきのこは,すなわち,材上のヒダナシタ
ケ目(硬いきのこ)30 種とハラタケ目(柔らかいき
のこ)37 種の合計,67 種発生し,1998 年より 3 種増
えた.新しく発生した種は,それぞれ3,11種であっ
た.
ヒダナシタケ目のきのこで新しく発生したのは,
3 種,サケバタケ,ハチノスタケ,ウスバタケであ
るが,昨年のクジラタケほど多数発生したきのこは
なかった.ハカワラタケ,チャガイガラタケ,ツヤ
ウチワタケモドキ,ニオイヒメアミタケは1999年に
は発生しなかった.このように新しく発生する種が
減り,前年発生していた種が発生しなくなるのは材
ラゲコベニチャワンタケ等).昨年発生し本年発生
しなかった種はナラタケ,クロゲシジミタケ,ヤナ
ギマツタケ,シロキクラゲ,ヒメキクラゲ等であっ
たが,これらの種は小型で,発生子実体数が少なく,
発生期間の短いものが多いので,発生を見逃した可
能性もある.
シイタケは春・秋の 2 回昨年とほぼ同じ時期にい
ろいろな場所から発生したが,昨年多量に発生した
材からの発生数は少なかった.このことも園内の材
の腐朽が進んでいることを表している.
きのこ中毒が多いとされているニガクリタケは本
年も年 2 回,3 月上旬と 12 月以降に発生した.特に
2000 年 3 月に昨年と異なる場所(池 6 の東側)に多
量に発生した.
オゾニウムが 1999 年 2 月 27 日に No.9 付近の組み
木に多数見られたが,それ以降コキララタケは発生
しなかった.オゾニウムが多く観察された木から何
故かハチノスタケが発生していた.ハチノスタケは
細い(5cm 以下)材から発生することが多いようで
ある.
ツキヨタケ,ニガクリタケ以外に新しく毒性きの
こが発生した(コレラタケ,ヒメアジロガサモドキ,
シャグマアミガサタケ).これらは発生子実体数は
少ないが,毒性が強いので,注意する必要がある.
材上のヒダナシタケ目のきのこの発生種数はほぼ
現状維持であるが,ハラタケ目のきのこがやや増え
ていたことから,
「いのちの森」内の材の腐朽が進ん
でおり,今後材上のハラタケ目のきのこがさらに多
く発生すると思われる.
(2)地上生のきのこ
1999年度の特徴は,1998年と同様に地上生のきの
この増加である.地上生のきのこが72 種発生し,そ
のうち,菌根性のきのこが 30 種発生し,1998 年の
16種に比べほぼ倍増した.地上生のきのこは1998年
の 46 種から 72 種に増加し,新たに発生した種は 32
種であった(アカキツネガサ,コムジナタケ,キツ
ネタケモドキ,ヒメキツネタケモドキ,カブラアセ
タケ,ニセアシボソトマヤタケ?,キヌハダニセト
マヤタケ,シロニセトマヤタケ,ハリアセタケ,ハ
イチャトマヤタケ,サザナミフウセンタケ,コテン
グタケモドキ,ツルタケダマシ,シャグマアミガサ
タケ,ヤマドリタケモドキ,ヒトヨタケ,ササクレ
ヒトヨタケ,ショウロダマシ,ノウタケ等)
.
初夏の落ち葉を分解するモリノカレバタケ属のき
のこは,昨年に比べると発生時期がやや短かく,発
生子実体数も少なかった.同様に,コガネキヌカラ
カサタケ,ツブカラカサタケ,キツネノタイマツな
どの富栄養性の土壌に良く発生するきのこも発生期
間が短く,発生子実体数が少なかった.それに対し
て,菌根性のきのこが多数発生し,特にキツネタケ
モドキとヒメワカフサタケが 10 月から 11 月にかけ
て大量に発生した.
次に,コガネキヌカラカサタケ,クリタケ属のき
のこ(仮称キンカククリタケ),マントカラカサタ
ケ,チチアワタケ・ヌメリイグチ,キツネタケモド
キ・ヒメワカフサタケ,菌根性のきのこ,および4
年間の地上生きのこの発生状況について述べる.
1)コガネキヌカラカサタケ
熱帯性のきのこであるコガネキヌカラカサタケは
1997 年 10 月 5 日にガマの池(池 4)とサワギキョウ
の池(池 6)の間で発生を始め,同 10 日まで 10 個体
発生した.1998 年には前年と同じ場所だけでなく,
ミゾソバの池(池 2)と回廊間の植木の根元に多量
に発生した.盛夏を除いて,5 月下旬から 10 月中旬
まで発生し,とくに,10月5日の発生数が多かった.
1999 年には 7 月 10 日に 5 個体,9 月 23 日に 2 個体発
生した.
このきのこは富栄養な土壌に発生するきのこであ
るので,来年度の発生状況がどうなるか興味のある
ところである.
2)クリタケ属のきのこ(Naematoloma tuberosum)
「いのちの森」での発見が,日本で 3例目である菌
核のある仮称キンカククリタケ( N a e m a t o l o m a
tuberosum)が 1997 年から発生している.1998 年で
は 9 月下旬から 10 月上旬にかけ,No.13 の枯れ木付
近,通用門付近,および「緑の館」のアラカシの生
け垣の元から多数発生した.しかし,1999 年では10
月 16 日に NO.13 付近で 3 個体だけの発生であった.
昨年の発生状況から条件さえ合えばいろいろな場所
で発生すると 1998 年の報告書で述べたが,1999 年
の発生子実体数の減少が気象条件に基づくものか,
あるいは土壌の変化に基づくものかは,来年度の調
査結果によって明らかになると思われる.
3)マントカラカサタケ
1998 年および 1999 年のマントカラカサタケの発
生消長をそれぞれ表 5,表 6 に表した.
表5 1998年のマントカラカサタケの発生子実体数
-------------------------------------------------------------------月日 6 / 20 6 / 27 7 / 11 10 / 03 10 / 24
--------------------------------------------------------------------子実体数 1 10 2 20 5
--------------------------------------------------------------------
表6 1999年のマントカラカサタケの発生子実体数
--------------------------------------------------------------------月日
6/26 7/10 10/2 10/10 10/17 10/23
-------------------------------------------------------------------子実体数
5 4 5 4 1 10
------------------------------------------------------------------- マントカラカサタケは 1998 年および 1999 年とも
春と秋の 2 回発生し,両年の発生子実体数はそれぞ
れ 38 個体,29 個体であった.発生場所は池 4 の南側
のクローバーの中からで,1999年度にはやや南側に
移動したようである.
大型のきのこであるので,
子実体を発生させるため
には多くの栄養分が必要であるが,2 年間ほぼ同数
発生した.
「いのちの森」完成後ほとんど施肥されて
いないので,今後も発生が続くのであろうか.
4)チチアワタケとヌメリイグチ
両者ともマツ林に発生する菌根性のきのこであ
る.両者の大きな違いは,ツバがあるかないかおよ
び管孔から乳液が出るかでないかである.チチアワ
タケはツバがなく,乳液がでる.発生環境も少し異
なっている.チチアワタケは庭園,芝生上に多く見
られ,ヌメリイグチはあまり手の入っていない林に
よく発生すると思われる.両者とも1998年よりカワ
セミの池(池 5)側のアカマツの下のほぼ同じ範囲
に発生している.
両者の 1999 年度の発生消長を図 2 に示す.
少数発生し,発生開始日が早かった.
発生場所は,正確な発生位置を記録していないので
明確なことは言えないが,両者ほぼ同じ範囲で
あった.両者の菌糸が地中でどのように分布してい
るのか,菌根がアカマツの根にどの程度の数付けて
いるのか等興味ある事柄が多い.来年度にはぜひ発
生した子実体の位置をプロットして,両者の地上で
の分布を明らかにしたい.
5)キツネタケモドキとヒメワカフサタケ
キツネタケモドキはキシメジ科キツネタケ属のカ
サの径2cm 弱の小型のきのこで,形態がキツネタケ
に非常に似ているが,大きなトゲ状突起のある球形
の胞子を持ち,2 胞子性の担子器を持つ点がキツネ
タケと異なっている.一方,ヒメワカフサタケは 56cmの中型のフウセンタケ科ワカフサタケ属のきの
こである.両者とも菌根性のきのこで,樹木を植栽
したときに初期に発生するきのことして知られてい
35
30
25
発 20
生
子
実
体
数 15
ヌメリイグチ
チチアワタケ
10
5
0
327
424
515
626
717
828
日時
102
1016
1030
1113
1204
図2ヌメリイグチとチチアワタケの発生消長
1999 年にはチチアワタケは 4 月,7 月および 9 月
に少数発生し,10 月 16 日,23 日にそれぞれ 30,25
個体発生した.一方,ヌメリイグチは 10 月 30 日に
2 個体,12 月 4 日に 7 個体発生した.
1998 年にはチチアワタケは 10 月 3 日から 10 月 30 日
まで,ヌメリイグチは 11 月 14 日から 12 月 19 日ま
で発生し,両者の発生時期は明確に分かれ,両者の
発生時期がやや異なるとの結果を得た.本年も昨年
とほぼ同様の結果を得たが,チチアワタケが 7 月に
る.
キツネタケモドキおよびヒメワカフサタケの1999
年の発生消長を図 3 に表した.
キツネタケモドキは 9 月 23 日から 12 月 4 日まで
5081 個体発生し,ヒメワカフサタケは 4 月に 6 個体
発生したが,主に 10 月 23 日から 12 月 19 日間に発
生し,571 個体発生した.キツネタケモドキの発生
開始日はヒメワカフサタケに比べて1ヶ月ほど早く,
ピークに達したのは 10 月 23 日で,ヒメワカフサタ
3500
3000
2500
発
生 2000
子
実
体 1500
数
ヒメワカフサタケ
キツネタケモドキ
1000
500
0
923
102
1010
1016
1023
1030
日時
1106
1113
1120
1204
1218
図3キツネタケモドキとヒメワカフサタケの発生消長
ケの 11 月 16 日より 3 週間早かった.ヒメワカフサ
タケの方が低温時に発生すると思われる.両者の発
生場所(現在データを整理中)はほとんど重なって
いないようである.
6)その他の菌根性のきのこ
樹木と菌根をつくるきのこは 1998 年に 16 種が発
生し,1999 年には倍増して 30 種発生した.
これらの種を科別に表 7 に表し,1999 年の菌根菌の
発生消長を図 4 に示す.
表 7 1999 年に発生した菌根菌の科別内訳
------------------------------------------------------------------- 科別 1996 1997 1998 1999 計
-------------------------------------------------------------------キシメジ科
0
1
3
4
5
テングタケ科
0
0
2
2
4
フウセンタケ科 0
0
5
15
16
イグチ科
0
0
2
5
5
ベニタケ科
0
1
2
2
2
ニセショウロ科 1
1
1
2
2
--------------------------------- ---------------------------------- フウセンタケ科のきのこが15種で,そのうちアセ
タケ属が 10 種と多かった.イグチ科のきのこは 5種
発生し,昨年に比べて倍増した.フウセンタケ属の
きのこを初めて 4 種発生を認めた.
樹木を移植して初期に発生すると言われているア
セタケ属,キツネタケ属,ヒメワカフサタケ属のき
のこが順調に出現していた.
3つの大きな発生ピークが1999年の菌根性のきの
この発生消長にあった.一番目のピークは 6 月 26 日
から 7 月 10 日,二番目のピークは 9 月 23 日,その
後,三番目のピークが 1ヶ月後の 10 月 16 日から 10
月6日に見られた.各ピークにおける発生種数は8ー
10 種であった.
菌根性のきのこの発生種が時期によって異なると
いう興味ある結果が得られた.
一番目のピークを構成している6月26日と7月10
日との間で,共通して発生していた種はキツネタ
ケ,キチャハツとヒメカタショウロであり,それ以
外のきのこは異なっていた.また,一番目のピーク
と二番目のピークである9月23日と共通して発生し
ていた種は,キチャハツ,コブアセタケ,ヒメカタ
ショウロの 3 種であり,一番目のピークと二番目の
ピークの類似度が小さかった.三番目のピークであ
る 10 月 16 日から 10 月6日では連続して発生してい
た種は少なかった.キツネタケモドキ,ヒメワカフ
サタケおよびチチアワタケは連続して発生していた
が,それ以外の菌根性のきのこは 1 週間で発生する
種が異なっていた.
ヨーロッパでは樹木を植えてから何年後にどのよ
うな菌根菌がいつ頃発生するかを調べた報告(Ford
ら ,1980;Last ら ,1984a,b;Mason ら ,1984,等)があ
る.すなわち,移植初期にキツネタケ属のきのこ,ア
セタケ属のきのこ,ワカフサタケ属のきのこが多く
15
10
発
生
種
数
5
0
327
424
515
626
717
828
102
日時
1016
1030
1113
1204
115
図4 1999年の菌根菌の発生消長
発生し,その後,年数が経つとテングタケ属,ベニ
タケ属,フウセンタケ属のきのこが発生する.
「いのちの森」では昨年からアセタケ属,キツ
ネタケ属,ワカフサタケ属のきのこが発生し,ベニ
タケ属のキチャハツ,ヒナベニタケ,ヌメリイグチ
属のチチアワタケ,ヌメリイグチが発生していた.
1999年ではさらにアセタケ属のきのこが増加し,フ
ウセンタケ属のきのこが始めて発生し,イグチ属お
よびテングタケ属のきのこも増加しているので,苗
木からの移植よりはかなり早く菌類の遷移が進んで
いると考えられる.
これは,
「いのちの森」の樹木はまったくのゼロか
らのスタートではなく,移植前の根系から菌糸ある
いは菌根でいのちの森に運ばれ,最初少量根系に存
在していても年数が進むと樹木と菌がなじみ,きの
こが発生し始めたと推測できる.アセタケ属の多く
の種が発生していることから,近くの森(東山)か
ら胞子が風によって伝搬し定着した可能性も含んで
いる.
昨年の結果では「いのちの森」の菌根菌の発生
ピークは10 月にあり,マツ林のそれと一致し,京都
周辺の常緑広葉林(主にコジイ林)とは異なってい
た.コジイ林における菌根菌の発生ピークは 7 月中
旬から8月上旬にあることが多いことが分かってい
る(下野,1995).1999 年の結果では三つの大きな
発生ピーク(6 月下旬ー 7 月上旬,9 月中旬,10 月ー
11 月)が見られ,種構成としてはテングタケ属,フ
ウセンタケ属およびベニタケ属がまだ少ないが,6
月ー 7 月に発生ピークが現れているので,本来のシ
イ・カシ林の菌類組成に順調に近づいていると思わ
れる.9 月に発生ピークが現れたのは,コナラ等の
落葉広葉樹の影響であろうか.今後検討の余地があ
る.
「いのちの森」にはアラカシ,シラカシ,コジイ等
の常緑広葉樹だけでなく,コナラ等の落葉広葉樹,
アカマツが多数移植されているために,将来シイ・
カシ林の菌根菌だけでなくいろいろな林の菌根性の
きのこが生息できる可能性を有している. 6)攪乱地のきのこ
人間が手を加えた場所に発生するきのこがある.
これを攪乱地のきのこと呼んでいる(本郷,1998).
攪乱地のきのこの定義を昨年の報告書で行った.
「いのちの森」でこれに相当するきのこはコガネキ
ヌカラカサタケ,マントカラサカタケ,ツブカラカ
サタケ,タマムクエタケ,キンカククリタケと思わ
れる.キツネノタイマツも腐栄養の土壌で多く発生
するようである.本年はこれらのきのこの発生数が
昨年に比べて少なくなっている.これが気象条件の
影響か土壌中の栄養分の枯渇によるものかは来年度
の調査によって明らかになると思われる.これらの
発生消長を本格的に調べた報告がほとんどないの
で,富栄養の土壌で発生するきのこの発生消長を明
らかにすることは大切である.
3.番号をつけた枯れ木のきのこ
菌根性のきのこの変遷を明らかにするには時間が
かかる(少なくとも 10 年以上).しかし,材上に発
生する木材腐朽菌では太さによって異なるが,比較
的短期間(4,5 年)で腐朽が進むようである.とく
に,ツキヨタケの発生したイヌブナからどの程度の
子実体が,どれほどの期間発生するのか,あるいは
ツキヨタケ以外のきのこがどのくらい発生するかを
知ることは興味深い.
そこで,
「いのちの森」に野積みされている枯れ木
全部を調べることは時間的に無理であるので,ある
程度の太さの枯れ木(腐朽に時間がかかるもの)あ
るいは組んであっても同じ種類の同じ程度の太さの
枯れ木に絞り,計 16 カ所の枯れ木を選び,番号を
打って,それらから発生するきのこを調べることに
した.
枯れ木に番号を打つことによって,誰でもきのこ
の調査ができ,観察会の時に発生しているきのこの
説明を誰でも簡単にでき,きのこの発生の変遷も解
析できる.このような多くの利点がある.
このような目的で1997年7月21日の調査より,野
積みの枯れ木,組み木計15カ所に発生するきのこを
調べ始め,1998年には1組の枯れ木を増やして計16
カ所とした.
12カ所が1本の枯れ木で,4カ所が同じ太さの枯
れ木を組んだものである.前者が No.1,2,3,4,5,
6,7,8,11,13,15,16 で,後者が No.9,10,12,
14 である.組み木のうち,No.9,10,12 は東西南北
に発生するきのこを記録した.そのうち,No.9 に関
しては1998年11月頃から定点からの写真を写して,
データを残している.これはコンピュータを用いて
画像処理を行うためである.
16カ所の枯れ木および組み木の樹種,断面直径およ
び長さに関しては 1998年の報告書に記載してある.
樹種別で見ると,胸高直径 30cm のコナラ NO.1 で
6 種と多く,NO.5,7,8 のケヤキでは 0 − 2 種と少
なかった.ツキヨタケが発生している NO.3,6,15
のイヌブナではそれぞれ 4 種,2 種,1 種と発生種数
が少なく,ヒダナシタケ目のきのこはほとんど発生
しなかった.
図 5 より,単独,組み木に関わらず,6 月頃まで
ヒダナシタケ目のきのこ,カワラタケ,ヒイロタケ,
ネンドタケ,チャウロコタケ,ケシワウロコタケ等
が見られた.しかし,それ以降これらのきのこが分
解されて脱落したので,2000 年 2 月には一番多く観
察された NO.9 でも 3 種であった.新しく発生した
ヒダナシタケ目のきのこは NO.4 および NO.16 のオ
シロイタケのみであり,新しく発生したハラタケ目
のきのこは N O . 1 6 のヒョウモンウラベニガサ,
NO.12 のチシオタケであった.
組み木からのきのこの発生種数は多かったが,老
菌がほとんどであった.それに対して,変形菌の発
生が目立った.シイタケは昨年と同様に NO.1,9,
10,12,14 から発生したが,発生子実体数は減少し
た.
(2)コフキサルノコシカケの成長
NO.8の枯れ木に発生した2個体のコフキサルノコ
シカケの子実体の長径,短径,および厚さをほぼ 1
週毎に測定し,図 6,7 に示す.
コフキサルノコシカケ 1 は 7 月 10 日に発生を認め,
コフキサルノコシカケ2は10月2日に発生を認めた.
それ以降の子実体の各部の大きさ(長径,短径,お
よび厚さ)をほぼ 1 週毎に測定した.
コフキサルノコシカケ 1 の長径は 7 月 31 日に,コ
フキサルノコシカケ 2 では長径,短径,厚さともに
10 月 30 日にほぼピークに達しており,ピークに達
する日数はそれぞれ 3 週間,4 週間であった.一定
の大きさに達する日数がコフキサルノコシカケ1で
(1)枯れ木に発生したきのこ
1 週間短かったのは,発生した時期の気温が高かっ
No.9,No.10,No.12 の 3 組み木上の 1999 年の菌類 たためと思われる.
の発生消長を図 5 に,番号を付けた枯れ木における
番号を付けた枯れ木の 2 年間の総発生種数および (3)組み木上のきのこの変遷
1999 年の発生種数を表8に表した.
1998 年 2 月 28 日から NO.9,No.11,No.12 の組み
1999 年の単独の枯れ木上の発生種数は 0-17 種で 木の東西南北に発生したきのこを調べ,NO.9,No.10
あったが,変形菌の発生を除くと,0-13 種に減り, の結果を1997年および1998年の報告書に報告した.
特に,NO.2,NO.5,NO.6,NO.8,NO.15 では発生 本年は 1999 年度の NO.9,No.10,No.12 の発生消長
数が 0-2種と極めて少なかった.胸高直径40cm 以上 を図で示す.
の NO.4,16 では 8,10 種と多かった.組み木では
No.9 で 13 種,No.10 で 10 種,No.12 で 11 種,NO.14 a.No10 の組み木上のきのこ
で 9 種発生していたが,1998 年に比べると減少して 組み木の 4 方向(東西南北)に,1999 年 4 月 11 日
いた.
から2000年2月まで月毎に発生したきのこの位置を
8
6
発
生
種
数
4
2
0
327
NO.9
NO.10
NO.12
424
515
626
717
828
102
調査日
1023
NO.12
1106
1120
NO.9
1218
図5 3組み木上のきのこの発生消長(1999)
226
材の番号
図 8,9,10,11 に表した.図 8 は東側(東山)から, 1999年には1,9にまったくきのこが発生しなかっ
図 9 は西側から,図 10 は南側から,図 11 は北側か た.2,3,5,10 ではシイタケが数本発生しただけ
ら,みた断面図である.なお,東側から組み木をみ である.過去2年間きのこが発生しなかった 9 の木
て,左側から右に番号を打った.一番下の 1 列目が から1999年もまったくきのこが発生しなかった.こ
1-4,下から 2 列目が 5-7,3 列目が 8-9,最上部のも の材も形態から判断すると腐朽が進んでいるので,
のが 10 である.
きのこを発生しない菌がこの中に生息していたと推
1999年に新しく発生したヒダナシタケ目のきのこ 測できる.
はなく,一昨年,昨年と比べ,発生子実体数も非常 1999 年春の段階で,NO.10 の材は肉眼的にも材の
に少なく,新鮮な子実体を確認したのは,4 月 24 日 表面がぼろぼろになっており,木材腐朽性のヒダナ
に北側でチャウロコタケのみであった.
シタケ目のきのこが減少し,シイタケ,ウラベニガ
材上に発生している子実体が 5 月以降減り,かろう サの仲間,ヒメムキタケ,イタチタケのようなハラ
じて分解を逃れて材に付着している
ようであった.昨年までは,秋から
冬にかけてカワラタケ,クジラタケ 表8 1999年に番号を付けた枯れ木に発生した菌類数(変形菌を含む)
等の幼菌が多く見られたが,本年は
枯れ木番号 総種数*
1999**
1999***
ほとんどなかった.2000 年 2 月の調
NO.1
11
9
6
査では腐朽したケシワウロコタケ,
NO.2
5
2
1
カワラタケが材に少数付着していた
NO.3
11
8
4
だけであった.
NO.4
13
12
10
NO.5
3
0
0
同様に,木材腐朽性のハラタケ目
NO.6
10
5
2
のきのこに関しても,ワサビタケが
NO.7
11
5
4
NO.8
5
2
2
春の限られた時期に多く発生したが,
NO.9
23
17
13
同じ傾向が認められた.シイタケは
NO.10
19
15
10
NO.11
15
8
8
春秋に発生したが,発生数は少なく,
NO.12
19
15
11
2000 年の冬には発生しなかった.本
NO.13
9
7
5
NO.14
17
13
9
年新しく発生した種は,シロウツボ
NO.15
4
2
1
ホコリ,ムラサキホコリ,キフシス
NO.16
12
10
8
スホコリの変形菌だけであった.
*:2年間に発生した総数,**:1999年に発生した種数
***:1999年に発生した種数(変形菌を除く)
長さ(cm)
14
12
10
8
長径
短径
厚さ
6
4
2
0
710
717
731
828
923
1002
1010 1016
調査日
1030
1106
1120
1204
1218
115
図6コフキサルノコシカケ1の成長
タケ目のきのこが多数発生していた.また,本年の
結果より,2 月 26 日に 2 種しか発生していないこと
から,他の 2 組の組み木と比べ早く腐朽が進んでお
り,来年度にはヒダナシタケ目のきのこが発生する
可能性は少ないと考えている.しかし,ハラタケ目
のきのこ,すなわちウラベニガサ属,ナヨタケ属の
きのこ等は継続して発生すると思われる.来年度の
結果を見ないと明確なことが言えないが,ヒダナシ
タケ目のきのこは,
「いのちの森」に設置された直径
20cm ほどのコナラでは最大5年ほど発生し,それ
以降ハラタケ目のきのこに完全に変わると推測され
る.
(b)No.9 の組み木
1999 年 4 月から 2000 年 3 月まで No.9 の組み木の
長さ(cm)
8
長径
短径
厚さ
7
6
5
4
3
2
1
0
1002
1010
1016
1030
図7 コフキサルノコシカケ2の成長
1106
調査日
1120
1204
1218
115
東西南北から発生したきのこの位置を調べ,図 12,
13,14,15 に表した.
この材も NO.10 ほどではないが,腐朽が進んでお
り,新鮮なヒダナシタケ目のきのこの発生はなかっ
た.
ヒイロタケが 7月に無くなり,カワラタケも11 月
頃には完全に腐ってしまった.2000 年 2 月にはネン
ドタケ,ケシワクロコタケ,クジラタケがかろうじ
て付着している状態であった.昨年発生したアラゲ
ニクハリタケ,ウロコタケの仲間は発生しなかっ
た.ツノマタタケが上部の 10 に 7 月から 8 月にかけ
て多量に発生した.ハラタケ目のきのこではシイタ
ケ,Simocybe 属,ナヨタケ属,ミドリスギタケ,ク
ヌギタケ属のきのこが少数発生した.変形菌は 3 種
類発生した.
を占めていた.特に,1999 年には地上生のきのこが
72種発生したために,木材腐朽性のきのこは著しく
減少した.さらに,1999 年にヒダナシタケ目のきの
こは30 種発生したが,新鮮なものが少なく,新しく
発生した種は 2 種と少なかった.それに対して,材
上のハラタケ目のきのこが増加していた.このこと
から,園内に設置された材上の腐朽が進んでおり,
新しく発生するヒダナシタケ目の種は来年度にはさ
らに減少すると思われる.
一方,地上生のきのこは 1996 年に 3 種,1997 年に
7 種,1998 年に 46 種,1999 年に 72 種と増加を続け
ており,特に,1999 年では菌根性のきのこの増加が
著しかった.
昨年,ミゾソバの池南側にコガネキヌカラカサタ
ケ,サワギキョウの池の南西にキツネノタイマツ等
が多量に発生したが,本年はこれらのきのこの発生
(c)NO.12 の組み木
数は少なかった.
1999 年 4 月から 2000 年 3 月まで No.9 の組み木の それに対して,菌根性のきのこは 1999 年には 30
東西南北から発生したきのこの位置を調べ,図 16, 種発生し,キツネタケモドキとヒメワカフサタケが
17,18,19 に表した.
秋に多量に発生した.アセタケ属が10種発生し,フ
NO.9,NO.10の組み木と同様に新しく発生したヒ ウセンタケ属のトビチャフウセンタケ,サザナミフ
ダナシタケ目のきのこはなかった.チャウロコタケ ウセンタケ等,テングタケ属のツルタケダマシ,コ
は 7 月頃まで,クジラタケ,カワラタケは 9 月頃ま テングタケモドキ,イグチ属のヤマドリタケモド
で新鮮な状態であったが,その後腐った状態で付着 キ,コウジタケが,新たに発生した.これらのこと
していた.アラゲニクハリタケが 6 月頃まで出てい から,
「いのちの森」の菌類相が確実に変化している
た.昨年発生したケシワウロコタケ,カイガラタケ ことが明らかになった.
は一度も発生しなかった.6 月頃までシイタケ,ワ 昨年も述べたことであるが,
「いのちの森」林内の
サビタケ,ニガクリタケ,ウラベニガサ,simocybe 菌類相,特に,地上生の菌類相は予想以上に早く変
属のハラタケ目のきのこが出ていた.シロウツボホ 化している.また,設置された材の腐朽の進み方も
コリ,ムラサキホコリ等の変形菌が出た.2000 年 2 早く,材によってはすでに完全に腐朽したものもあ
月にはカワラタケとクジラタケの老菌が見られただ り,材上の菌類組成が 4 − 5 年で大きく変わると推
けであった.
測できる.
「いのちの森」における菌類相の変化は植
4.4 年間に発生したきのこ
生の変化よりも早いと確信した.このことは,
「いの
「いのちの森」に4年間に発生した発生菌類リスト ちの森」の植生は菌類相の変化によって変化してい
(表 3),および生態群毎の発生種数(表 7)より,現 ると考えることができる.この仮説を昨年の報告書
在まで「いのちの森」には 4 年間で変形菌類を含め に書いたが,本年の結果からかなりの確率で言える
てを含めて 192 種発生し,そのうち木材腐朽性のき ようである.これらのことを確かめるためには,来
のこは 81 種で,地上生のきのこは 85 種で,変形菌 年度以降の継続した菌類相の調査が必要である.
は 26 種である.
材上のヒダナシタケ目のきのこは発生種数が減少 おわりに
したが,ハラタケ目のきのこは増加していた.変形 調査を始めた当初は,
「いのちの森」は造成したば
菌も増加が著しかった.
かりの公園であり,面積も狭く夏の乾燥が強かった
木材腐朽性のきのこは,1996 年に 14 種,1997 年 ので,ほとんどきのこは発生しないと考えていた.
に 30 種,1998 年に 64 種発生し,1999 年では 67 種 しかし,1 年目の 1996 年に 17 種,2 年目の 1997 年
になった.しかし,生態群別の種構成は大きく異 に 38 種,3 年目の 1998 年には 119 種,4 年目には 161
なっていた.すなわち,ヒダナシタケ目が減少して 種発生した.2 年目までは材上生のきのこが全体の
ハラタケ目が増加していた.木材腐朽性の全発生種 80%以上を占めていたが,1998年には地上生のきの
数に対する割合はそれぞれ 83%,79%,54%,41% こが新たに46種発生し,そのうち菌根性のきのこが
16 種,変形菌も 10 種発生した.1999 年にはさらに
地上生のきのこが増加して,72 種発生し,菌根性の
きのこが 30 種と倍増した.
これらのことから,
「いのちの森」の地上生菌類の
変遷は予想以上に早いこと,および設置した材は45 年ほどでぼろぼろになり,材上の発生菌類相が大
きく変わると推測される.1999年には調査メンバー
が7人になり,常時 4 人以上が調査に参加できる態
勢がとれたので,多く調査および成果を得ることが
できた.来年度はメンバーのうち 3 名が大学をでる
が,調査項目・内容を精選して,
「いのちの森」の菌
類相の変化を明らかにしたいと考えている.
本年も大きな収穫があった.1999年では地上生の
きのこがさらに多く発生し,特に菌根性のきのこが
30 種発生し,その中でも,キツネタケモドキおよび
ヒメワカフサタケの大発生が秋に見られたことな
ど,多くの新しい知見が得られた.来年度はどのよ
うな知見が得られるのか,今から「いのちの森」の
きのこ調査を楽しみにしている.
今までの調査で得た大きな収穫を書いておく.
1年目の1996年にはブナ帯でしかみられないツキ
ヨタケが多数発生した.1997年には地中に菌核のあ
る非常に珍しいクリタケ属のきのこが発生した.
1998 年には多くの地上生のきのこが突如多数発生
し,6 月下旬から 7 月,10 月から 11 月にかけて大型
のマントカラカサタケが多量に発生したこと,およ
び6月に落葉分解菌のモリノカレバタケ属のきのこ
が多量に発生した.
本年の観察結果から,
「いのちの森」における幾つ
かの菌類研究テーマが浮かんでいる.継続中のテー
マもあるが記しておく.現在の調査メンバーで以下
の調査をすべて行うことは時間的に難しいが,機会
があればぜひ実施したいと考えている.
1.チチアワタケとヌメリイグチの発生時期・場所,
および地中での菌糸のすみわけ
2.枯れ木上の菌類のサクッセションの解明(コン
ピュータを用いて発生場所の変遷を処理し,解析す
る)
3.アカマツ林での外生菌根菌の栽培(マツタケ,ア
ミタケ等)
興味のある学生の方はこれらの研究テーマを卒業
研究に使って下さい.また,継続的に調査できる方
を募集致します.きのこに興味のある方,あるいは
菌類にまったくの初心者の方できのこの発生調査を
したい方がおられましたら,ぜひ協力して下さい.
お待ちしています.
最後に,
木材から発生した硬質菌を同定して頂い
た農林水産省森林総合研究所の服部力博士に感謝い
たします.
参考文献
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鷹村 廣.1998.倒木ブナ上のきのこの遷移につい
て(第一報).広島きのこ同好会会報 17-22.
「きのこ」分野調
査報告− そ の 2 変 形 菌 類
−
類−
調査報告
松本 淳、小林久泰
1.はじめに
境できわめて普通に見られる種なので、今後の調査
ビオトープ「いのちの森」の設立当初から、きの で再確認されるものと考えている。本年度は生育を
こを形成する真菌類の生態学的調査と並行して、変 確認した種数が非常に増加したが、構成種はすべて
形菌類(Myxomycetes)の生育状況を調査してきた。 日本各地で高頻度で確認されている普通種であっ
都市に新たに造成された森林の変形菌類相をその設 た。これら普通種は世界中の温帯域に分布している
立当初から継続的に調査することは新しい試みであ 広布種でもあり、比較的高頻度で大気中等に胞子が
り、新規の環境への変形菌類の侵入や遷移について 存在していると考えられ、容易に新規環境に侵入で
有意義な知見が得られるものと考えている。さら きる種類であると考えられる。
に、変形菌類の大部分の種が土壌や植物遺体(落葉 発生基物に着目すると、1998年度までは変形菌類
落枝、倒木)に生育する細菌類・菌類の捕食者であ の子実体発生が見られたのは倒木上だけであった
ることから、直接的に観察・定量することが困難な が、本年度の調査ではシロエノカタホコリ、シロサ
土壌・植物遺体中の細菌類・菌類の生育状況につい カズキホコリ、ハイイロフクロホコリ、アカカミノ
ても、変形菌類相が間接的な指標になるものと考え ケホコリが落葉上に確認された(表 2)。落葉上に子
ている。
実体形成する変形菌類(落葉種)は、アメーバ状の
2.方法
時期や変形体の時期に土壌中で生育している。した
本年度も1998年度と同様の調査を行った(1998年 がってこのことは、土壌の環境が変形菌類の生育に
度報告書参照)。1998 年度とは調査日数や時期など 好適になってきたことを示唆している。シロエノカ
に若干の違いがあるが、変形菌類子実体形成の季節 タホコリ、シロサカズキホコリ、ハイイロフクロホ
性を考慮して行われたので、ほぼ同様の精度で実施 コリは、路傍や公園等に積まれた落葉などの人の手
できたものと考えてい
る。
表1 いのちの森で確認された変形菌類(1996年度∼1999年度)
3.結果と考察
種名
本年度までの調査で、 1. Ceratiomyxa fruticulosa (Mueller) T.Macbr. ツノホコリ
2. Enteridium splendens (Morgan) T.Macbr. var. juranum (Maylan) Harkoenen ジュラドロホコリ
いのちの森から確認され 3. Lycogala epidendrum (L.) Fr. マメホコリ
た変形菌類は15属26種(5 4. Tubifera ferruginosa (Batsch) J.F.Gmel. クダホコリ
5. Arcyria cinerea (Bull.) Pers. シロウツボホコリ
変種1品種を含む)となっ 6. A. denudata (L.) Wettst. ウツボホコリ
た(表 1)。本年度に確認 7. A. major (G.Lister) Ing ナガホウツボホコリ
8. A. obvelata (Oeder) Onsberg キウツボホコリ
されたものは12属22種で 9. Hemitrichia clavata (Pers.) Rostaf. var. calyculata (Speg.) Y.Yamam. ホソエノヌカホコリ
あり、新たに 19 もの種が 10. H. serpula (Scop.) Rostaf. ヘビヌカホコリ
11. Trichia favoginea (Batsch) Pers. var. persimilis (Karsten) Y.Yamam. トゲケホコリ
加わったこととなる(表 12. Didymium squamulosum (Alb. et Schw.) Fr. シロエノカタホコリ
2)。これは、いのちの森 13. Craterium leucocephalum (Pers.) Ditmar シロサカズキホコリ
14. Fuligo candida Pers. シロススホコリ
が変形菌類の生育に好適 15. F. septica (L.) Wiggers ススホコリ
な環境に変化してきたこ 16. F. septica (L.) Wiggers f. flava (Pers.) R.E.Fr. キフシススホコリ
17. Physarum cinereum (Batsch) Pers. ハイイロフクロホコリ
とを示している。一方、ツ 18. P. nutans Pers. シロモジホコリ
ノホコリ、クダホコリ、ウ 19. P. rigidum (G.Lister) G.Lister イタモジホコリ
20. Comatricha pulchella (C.Bab.) Rostaf. アカカミノケホコリ
ツボホコリ、ススホコリ 21. Stemonaria longa (Peck) Nann.-Bremek. et al. ヤリミダレホコリ
などは1998年度の調査で 22. Stemonitis axifera (Bull.) T.Macbr. サビムラサキホコリ
23. S. axifera (Bull.) T.Macbr. var. smithii (T.Macbr.) Hagelst. スミスムラサキホコリ
は確認されたものの、本 24. S. fusca Roth ムラサキホコリ
年度の調査では見られな 25. S. pallida Wingate イリマメムラサキホコリ
26. S. splendens Rostaf. オオムラサキホコリ
かった。これらの種は日 27. S. splendens Rost. var. webberi (Rex) A.Lister スカシムラサキホコリ
本では全国的に幅広い環 28. Stemonitopsis aequalis (Peck) Y.Yamam. ツツムラサキホコリ
29. S. hyperopta (Maylan) Nann.-Bremek. コムラサキホコリ
表2 変形菌の発生した年とその発生基物
調査年度
発生基物
97 98 99
ツノホコリ
⃝
- 倒木
ジュラドロホコリ
⃝ 倒木
マメホコリ
⃝ ⃝ 倒木
クダホコリ
⃝
- 倒木
シロウツボホコリ
⃝ 倒木
ウツボホコリ
⃝
- 倒木
ナガホウツボホコリ
⃝ 倒木
キウツボホコリ
⃝ 倒木
ホソエノヌカホコリ
⃝ 倒木
ヘビヌカホコリ
⃝ ⃝ 倒木
トゲケホコリ
⃝ ⃝ 倒木
シロエノカタホコリ
⃝ 落葉
シロサカズキホコリ
⃝ 落葉
シロススホコリ
⃝ 倒木
ススホコリ
⃝
- 倒木
キフシススホコリ
⃝ ⃝ ⃝ 倒木
ハイイロフクロホコリ ⃝ 落葉
シロモジホコリ
⃝ 倒木
イタモジホコリ
⃝ 倒木
アカカミノケホコリ
⃝ 落葉、倒木
ヤリミダレホコリ
⃝ 倒木
サビムラサキホコリ
⃝ 倒木
スミスムラサキホコリ ⃝ 倒木
ムラサキホコリ
⃝ ⃝ 倒木
イリマメムラサキホコ ⃝ 倒木
オオムラサキホコリ
⃝ 倒木
スカシムラサキホコリ ⃝ ⃝ 倒木
ツツムラサキホコリ
⃝ 倒木
コムラサキホコリ
⃝ 倒木
○ 子実体発生を確認した. - 子実体発生が確認されなかった.
和名
の加わった環境にも比較的よく見られる種である。
特に、ハイイロフクロホコリは庭園の芝生などにも
発生することが知られている、人為的な環境にも生
育する種である。アカカミノケホコリは倒木と落葉
のどちらからも確認されており、倒木と土壌の両方
に生育ができる種であると考えられる。土壌におけ
る変形菌類の遷移の初期には、人為的な影響にも強
い種や、倒木・土壌と比較的幅広い環境に生育可能
な種が最初に侵入することが示された。
一方、倒木に子実体形成する倒木生の種も大幅に
種類数が増加した。イタモジホコリは倒木生のきの
こを食害することが知られている。倒木中の菌類の
増加に伴って侵入したと考えられる。
変形菌類子実体発生の季節性については 1998 年
度と同様、本年度も 7 月から 8 月にもっとも多くの
種が確認された(表 3)。ケホコリ科(Trichiaceae)の
2 属ヌカホコリ属(H e m i t r i c h i a )とケホコリ属
(Trichia)は春、秋、冬に見られた。
これまでの結果から、
いのちの森の変形菌類相は
年々豊富になっていることがうかがえる。これは、
土壌・倒木の生物相が豊かになったことと関連して
いると考えられる。しかし、構成種はすべて日本各
地で高頻度で確認されている普通種であり、本地域
を特徴づけるような種は確認されていない。いのち
の森の変形菌類相は未だ初期の遷移の途上にあると
考えている。いのちの森の変形菌類の多くは、一部
の落葉種を除き、周辺の二次林から侵入したのでは
ないかと考えられる。しかし、二次林に豊富なアミ
ホコリ属(Cribraria)など針葉樹生の種類は、針葉
樹の倒木が極めて少ないこともあり、いのちの森か
らは確認されていない。今後、いのちの森の変形菌
類相が遷移して成熟するに伴い、二次林と同じ構成
となるのか、あるいは異なったものとなるのか、興
味深い。今後もいのちの森での調査を継続する一方
で、比較のために周辺地域の変形菌類相の調査も必
要であると考えている。
表3 変形菌類子実体発生の季節的変化
4月
5月
6月
7月
8月 10月
11月
12月 1月
11日 24日 3日 15日 19日 26日 10日 17日 31日 28日 2日 23日 6日 13日 20日 18日 15日
ジュラドロホコリ
○
マメホコリ
○
○
シロウツボホコリ
○
ナガホウツボホコリ
○
キウツボホコリ
○
○
ホソエノヌカホコリ
○
ヘビヌカホコリ
○
トゲケホコリ
○
○
シロエノカタホコリ
○
シロサカズキホコリ
○
シロススホコリ
○
○
○
○
キフシススホコリ
○
○
○
○
○
ハイイロフクロホコリ
○
シロモジホコリ
○
イタモジホコリ
○
アカカミノケホコリ
○
○
ヤリミダレホコリ
○
サビムラサキホコリ
○
○
○
スミスムラサキホコリ
○
ムラサキホコリ
○
○
○
○
○
イリマメムラサキホコリ
○
○
オオムラサキホコリ
○
○
○
○
スカシムラサキホコリ
○
ツツムラサキホコリ
○
○
コムラサキホコリ
○
出現種類数
1
1
0
0
0
0
5
13
12
4
8
1
0
0
0
1
1
○ 子実体を確認した. ‐ 確認されなかった.
1999年度調査月日
「 い の ち の 森 」 の景観モニタリング
Aaron Isgar
いのちの森の「樹冠回廊」を
歩き回ると、
時々、少し鳥になった気分がする。
建物の二階から木を見ると高さは
ほぼ同じだけれど、
ここには窓もない。
植物を見ているというより
他の生き物と一緒に散歩している
雰囲気を感じる。
写真 1. 樹冠回廊 96.5.12
春から秋の最初まであふれている
緑の葉っぱが
にこにこ笑っているように
あいさつしてくれる。
木々が握手をしたいように
回廊のレールの上に
枝を伸ばしてくる。
風を通じて、森の声も聞こえる。
「自然はいいなあ」と思っていると、
列車が通り過ぎる。
「そうだ。これは都市のまん中だ。
都市だ。自然だ。
矛盾してはいなかったんだ。」
写真 2. 樹冠回廊 99.5.7
いのちの森の施工直後の写真を今見ると、
びっくりすることがいっぱいある。
たとえば、「カワセミの崖」は
こんなに地肌が出ていた。
土砂崩れがいつでも起きそうだった。
実際、部分的に崩れたことも
あったようだ。
写真 3. カワセミの崖 96.5.12
しかし、崖の素肌が見えなくなった
理由は、
土砂崩れではなく、野草の生命力だ。
この草のおかげで
崖が安定しているのだろうか。
崖の土が目立たなくなっても、
土の存在は忘れられない。
土のおかげで草が生えてきた。
水と太陽とともに土の力で
植物が生きられる。
そして、人々も含めて、
動物が生きられる。
たまに忘れてしまうけれど。
写真 4. カワセミの崖 99.7.9
いのちの森にはせせらぎ、
池、湿地のミニ版がある。
水の循環のおかげで
これだけ緑が茂ってきた。
「ガマの池」は
いのちの森の道からは
あまりよく見えないけれど、
とても重要なところだ。
写真 5. ガマの池 96.5.12
ここでは天気、天候季節の変化を
よく感じることができる。
雨が降らない日がつづくと
水位が低くなり、
そして、降り出すと
雨粒が水面に響く。
特に曇っている日には
空が反射して見えるし、
夏の強い日ざしの下では
影がもっと暗くなる。
いのちの森の生き物にとって
池はとても大切なものだと分かる。
いのちの森は、この池を通じて
天と会話している気もする。
写真 6. ガマの池 99.5.7
写真 7. 洲浜 96.5.12
「ショウブの池」、
「ミゾソバの池」と
せせらぎが
いのちの森の中央部にある。
けれど、季節によって
ほとんど見えなくなる時もある。
せっかく設計した池や
石組みの姿が消えてしまう。
しかし、見えなくなっても、
なくなっているのではなくて、
水の力で育てた植物が
それらを覆っているのだ。
冬の風景を見れば、
植物が少なくなって、
池と石が再び現れてくる。
しかし、夏の盛りでも、
池と石の姿が
はっきり見える時がある。
これは草を
刈っているからなのだ。
この草って、
雑草なのか、野草なのか。
いのちの森って、
庭園なのか、自然なのか。
写真 8. 洲浜 98.8.19
(写真 1,3,5,7 田中泰信氏撮影) 関 連 報 告: 京都市内孤立林における
木本植物の種多様性と
その保全に関する景観生態学的研究
村上健太郎
1. はじめに
孤立林の研究に関しては、孤立林の形態や孤立の
程度などの要因を加味し、景観生態学的な観点から
孤立林の種多様性を評価したものは、少ない。これ
らのことから、京都の都市域の孤立林を対象とし
て、木本種の種数、多様性とそれらに影響を与える
と考えられる面積や形状、孤立の程度などの要因に
ついて、島嶼生物地理学理論を応用し、景観生態学
的な観点からの解析を試みた。
2. 調査地域と調査方法
調査地点は京都市の市街地に見られる39ヶ所の孤
立林である(Fig.1)。調査地点の選定については、空
中写真(平成4年京都市撮影)をもとに行った。その
際、空中写真から、樹冠面積、山林からの距離、孤
立林の周囲長や幅などを計測した。ただし、庭園、街
路樹や竹林及び 1968 年測量の空中写真で確認でき
ない森などは種多様性を評価する上で、同列に比較
できないと考えて調査地点から除外した。
現地調査に関しては、孤立林内に出現する木本種
のリストアップ(フロラ調査)及び孤立林内の木本
種の種組成調査(方形区調査)の2種類の調査を1998
年 10 月∼ 1999 年 11 月までに行った。
3. 調査結果
3.1 種数−面積関係
出現した木本植物の全種数は 161 種であった。各
調査地点に出現した木本種の種数と面積との関係を
Fig.2 に示した。種数(S)と面積(A)の関係は、
S = 11.67 logA + 44.50 ( R2 = 0.84 )
の回帰式で示され、高い正の相関が認められた。こ
れより、種数の増減が面積の大小と対応しているこ
とは明らかである。
いのちの森の木本植物の全出現種数は 139 種(う
ち 112 種が植栽)であり、京都の他の孤立林に比べ
てきわめて高い種数を有している。調査地点内で最
大面積の京都御所(約 60ha)でも植栽木を含めた種
数は 138 種であり、面積で約 100 分の1のいのちの
森は、この種数を上回る。
3.2 種多様性と孤立度
山林からの距離、大緑地からの平均距離を指標と
して、種数との相関を調べた。しかし、これらの指
標と種数や多様度指数との相関は低く、有意ではな
かった。
4. まとめ
孤立林の面積(あるいは形状)
は孤立林の木本植物
の種数や種組成に大きな影響を及ぼす。いのちの森
は約 0.6ha の小面積の敷地であるが、きわめて高い
多様性を有している。開設よりわずか 4 年の森だけ
にいのちの森が他の孤立林に比べて種数が多いこと
に関しては、遷移初期の特徴によるものと考えら
れ、他の孤立林と同列には比較できないが、都市内
の孤立林としては高い評価ができる。
孤立の程度に関しては、木本植物の種数とは明確
な関係を見出せなかった。しかし、このまま山や他
の緑地からの種子の供給が行われない状態が持続し
た場合に、孤立林内で個体群を維持できるとは限ら
ない。山林からの孤立度の高い、いのちの森内に見
られる木本植物の種数のこれからの動向に関しても
同様のことが言える。
Fig1.Location of the investigated forest patches
Number of species
160
140
いのちの森(植栽含む)
120
100
y = 11.53 Ln(x) + 44.36
R2 = 0.84
80
60
40
20
いのちの森
(植栽除く)
0
0.01
0.1
Fig2.Spiecies-area relationship curve
1
10
100
patch size (ha)
関 連 報 告: 市街地の孤立林における
野ネズミの生息状況
堀田浩正
1.はじめに
現在、生物多様性が貧困化する過程において、最
も深刻な要因のひとつに自然的環境の細分化があ
る。これは人間による土地利用改変の結果、大きな
面積で存在していたひと続きの環境が質的に異なる
環境によって分断され、小面積で孤立した複数の生
息地に、分断される現象である。この現象は、種の
多様性に対して影響を及ぼすと考えられる。
本研究では、大阪・京都府の市街地にある 7 個の
孤立した緑地において、野生のネズミ(以下野ネズ
ミ)の生息状況と生息条件と考えられる植生と土壌条
件についての調査を行い、野生生物の生息環境とし
ての市街地内に存在する孤立林の評価を試みた。
2.調査地
調査地は弁天宗大阪本部の裏山(茨木市)、千里緑
地の一部(豊中市)、下鴨神社、双ヶ丘、梅小路公園
内のいのちの森、一条山、船岡山(京都市)の7ヶ所で
あり、調査地は京都市内の主要な孤立林や復元型ビ
オトープを含んでいる。(表 1)
3.調査方法
ネズミ調査は、各調査地で2プロット設置し、1辺
10m の方形の頂点に 30 個(3 × 10)のシャーマン・
トラップ(生け捕り罠)を3晩連続設置して行った。餌
は市販のピーナッツ(煎ったもの)を用いた。捕獲し
たネズミは身体の計測をした後、指を切ってマーキ
ングし、捕獲地点で再び放す記号放逐法を用いた。
土壌調査は各地点の斜面に幅 50cm ×深さ 50cm の
土壌断面を作り、観察をした後、地表と地表から深
さ 10cm ごとに 50cm までの硬度を、山中式硬度計を
用いて測定した。また、表土 100ml を各地点で採取
し、重量等の測定を行った。
4.調査結果
ネズミ調査では調査地 7ヶ所 14 地点のうち、双ヶ
丘 B、一条山 A・B の 2ヶ所 3 地点で野ネズミを捕獲
した。捕獲したのはアカネズミの雌ばかり5個体、延
べ 7 個体であった。但し、双ヶ丘では 1 匹にマーキ
ング前に逃げられてしまったため、合計は4個体、延
べ 7 個体の可能性がある。捕獲した地点での捕獲率
は双ヶ丘 1.11%、一条山 2.78% であった。他の地点
でもネズミの巣穴らしいものを確認したが、大部分
は使われていなかった。また、弁天宗でイタチの糞
と巣穴、一条山と船岡山でタヌキの糞を確認するこ
とができた。
土壌調査による硬度・実容積の結果は表 2 に示す。
表1.調査地
土地面積(ha)
山林からの距離
主要樹種
下鴨神社
12.0
1.8km(東山)
ムクノキ、
ケヤキ、エノキ
弁天宗
51.5
2.5km
コナラ、
アカマツ
双ヶ丘
18.6
900m
リョウブ
シイ
千里緑地
いのちの森
5.5
0.6
2km
3.5km
コナラ、
コナラ、
アカマツ、タケ アラカシ
一条山
5.6
300m
アカマツ、ヒノキ、
ソヨゴ、アセビ
船岡山
6.9
1.2km
アラカシ
表2.土壌の測定結果
場所
下鴨神社
山中式硬度(mm)
真比重
固相率(%)
16.9
水分率(%)
23.8
弁天宗
A
B
20.5
20.9
2.67
2.75
24.8
22.2
15.5
21.7
双ヶ丘
A
B
16.8
12.6
2.51
2.27
19.0
12.5
19.9
28.3
千里緑地
A
B
18.4
14.9
2.63
2.68
26.0
47.7
15.2
11.0
いのちの森
A
B
17.5
17.6
2.67
2.60
40.1
38.1
24.9
23.4
一条山
A
B
14.6
14.5
1.88
2.69
8.4
27.3
30.5
19.4
船岡山
A
B
15.2
20.4
2.44
2.55
19.1
31.6
16.3
16.5
土壌の質は、測定結果を各項目ごとに成熟した森林
土壌を基準として、3 段階で評価した。ここでは硬
度 15.2 以下、真比重 2.5 以下、固相率の低いものな
どを成熟度が高いものとした。これをもとに土壌環
境を評価した結果、ネズミを捕獲した地点の土壌は
その他の地点より成熟しており、森林性のアカネズ
ミの生息に適していると思われた。
ネズミを捕獲した地点と捕獲できなかった地点に
ついて、植生の違いはなかった。
5.考察
以上の結果から、孤立林の面積や孤立性といった
地理的な要因についての考察を行った。
ネズミの捕獲できた孤立林の最小面積は一条山の
5.6ha であった。孤立性を種の供給源となり得る山
林からの距離として考えると、最長距離は双ヶ丘の
900m であった。捕獲できた地点での捕獲率は山林
での捕獲率と比べてかなり低く、生息数も少ないと
考えられるために、種個体群を存続させていくこと
表3.調査結果のまとめ
下鴨神社
アカネズミ
面積条件
土壌適性
孤立度
⃝
⃝ *4
大
⃝
△
大
双ヶ丘
2匹
延べ2匹
⃝
⃝
小
アカネズミ
面積条件
土壌適性
孤立度
△:痕跡あり
⃝:5ha以上
⃝:よく発達
大:1km以上
×:痕跡なし
×:5ha以下
×:やや未熟
小:1km以内
△
*1
弁天宗
△
*2
千里緑地
△
*2
⃝
△
大
は難しいと考えられる。この 2 つの孤立林では、山
林から新しい個体が入ってくることで、種個体群が
存続しているのではないかと考えられた。ネズミの
捕獲できなかった孤立林は、山林から1km以上離れ
ており、孤立度が高かった。
6.まとめ
今回ネズミが捕獲できなかった地点においても、
巣穴や糞が見られたことから、ほぼすべての地点で
かつてネズミが生息していたと考えられる。それが
現在定着していない、あるいは密度が低く捕獲され
なかった理由は、面積も十分に大きくないうえ、移
動してきた個体数が少なかったために、持続的な存
続には至らなかったのではないかと考えられる。孤
立林に野ネズミが定住するためには、植生のタイプ
よりもある程度の面積と成熟した土壌があり、山林
に近いこと、または山林が遠くても移動を可能とす
る環境の存在が重要な意味を持つものと考えられ
る。
いのちの森
×
×
△
大
一条山
3匹
延べ5匹
⃝
⃝
小
船岡山
△ *3
⃝
△
大
*1:7年前、糞と巣穴が見られた。
*2:今回、巣穴を確認した。
*3:今回、糞と巣穴を確認した。
*4:本殿裏
「 い の ち の 森 」 からの発信記録
森本幸裕、田端敬三
◇ 1999 年度、
春の自然観察会
、春の自然観察会
◇朝日新聞
(名古屋本社)紹 介 記 事
聞(
参加者はちょうど 100 名(うち子供 32 名、下野さ
んのところの高校生 4 名を含む)で、スタッフは 8
名、合計 108 名でした。
これ以外にも日本庭園からお金払ってきて、あと
で資料だけとりにこられた方もおられました。大型
連休の中日でご都合の悪いスタッフが多くて、キノ
コと植物しか、解説ができなかったのが残念です。
虫いる?と聞いてくる子供が多いので、観察会のス
タッフには虫やさんは不可欠です。
「よみがえれ、街にみどり」という学芸部が編集し
た家庭欄で、市民と行政が一体となった取り組みの
ひとつとして、いのちの森とモニタリンググループ
が大きく取り上げられました。(1999.8.17 朝)
◇京都新聞、
紹介記事
、紹
きのこグループの大きな写真つきでモニタリング
活動が紹介されました。(1999)
◇関西菌類談話会、
講演会
「ビオトープの
◇関西菌類談話会、講
会「
生態学」
◇ 1 9 9 9 年 度 、秋の自然観察会といのちの森
真(
の写真
(パネル)展
観察会の参加者は大人(学生含む)87 人、子供 14
人でした。パネル展の方もいのちの森の変遷や生き
物の写真と解説があって、フェア期間中は毎日 100
人程度は見に来られたそうです。田端とアロンさ
ん、きのこスタッフは観察会とパネル展に 9 名参加
しました。
◇「昆虫フィールド」
雑誌から依頼があって、夏原さんが紹介記事を書
森本が、「都市における野生生物生息環境の整備 かれました。「いのちの森」No.1 と 2 の内容をもと
について」と題して講演し、いのちの森の紹介をし に、復元型ビオトープの考え方を述べられていま
ました。なお、もうひとつの講演は「身近な生きも す。よくまとまっています。発行は 2000 1/2 と書い
ののすむ環境づくり」- トンボ池の作り方、森の作 てありますがそれよりかなり前にでました。(夏原
り方 - :五十嵐鉄朗((株)関西総合環境センター) 由博:京都山城の自然の復元と活用、昆虫フィール
さんでした。
(6月5日、於:生物環境研究所、宇治 ド No.10、54-61)
市)
◇ NHK 教育テレビ
「たった一つの地球」
ビ「
◇日本緑化工学会大会、
ポスター発表
◇日本緑化工学会大会、ポ
静岡で開かれた大会で、いのちの森の管理につい
て発表しました。
(榎本百利子・佐藤治雄・中村進・
北川ちえこ・宮本水文・芹田彰・田中泰信・森本
幸裕:都市内復元型ビオトープにおける植生モニタ
リングからみた生態系管理に関する事例研究、第30
回日本緑化工学会研究発表会要旨集、2 9 0 - 2 9 1 、
1999.6)
学校ビオトープがテーマとなり、 いのちの森が
大きなひとつのモデルというような意味で取り上げ
られました。協会のほか、岩瀬さん、夏原さん、森
本が協力しました。(1999 年 12 月 9 日ほか放映)
◇ NHK 総合テレビ
「面白学問人生」
ビ「
「都市に古代の森を再現する?」というテーマで
森本が出演し、いのちの森の紹介などをしました。
最も冬枯れの寂しい時期の取材だったのが悔やまれ
ますが、えらい反響があったのに驚きました。
(2000.2.9 ほか放映)
京都ビオトープ研究会
いのちの森モニタリング
グループ 1999 年度名簿
・研 究 者
・専 門 家
者・
岩瀬 剛二 ((株) 関西総合環境センター生物環境研究所)
佐藤 治雄
(大阪府立大学農学部)
島田 泰夫
((財)日本気象協会関西本部)
下野 義人
(大阪府立香里丘高校)
須川 恒
(日本鳥学会)
中村 彰宏
(大阪府立大学農学部)
中村 進
(大阪府立泉南高等学校)
松良 俊明
(京都教育大学教育学部)
夏原 由博
(大阪府立大学農学部)
宮本 水文
(京都市都市計画局緑化推進部)
森本 幸裕
(大阪府立大学農学部):研究会代表
渡辺 茂樹
・市 民
・学 生
・大 学 院 生
民・
生・
Aaron Isgar
(京都大学大学院農学研究科)
大薮 崇司
(大阪府立大学大学院 , 緑地環境保全学研究室)
柏原 一凡 (大阪府立大学 , 緑地環境保全学研究室)
川島 聡子
((株)中外テクノス)
北川 ちえこ
故選 千代子 (京都大学大学院農学研究科)
小林 久泰
(京都大学大学院人間・環境学研究科)
真田 幹雄
真田 博子
田中 安代
(名城大学大学院)
田端 敬三
(大阪府立大学大学院 , 緑地環境保全学研究室)
堤光
濱谷 信介 (大阪府立大学 , 緑地環境保全学研究室)
普代 貴子 (奈良女子大学大学院)
村上 健太郎 (大阪府立大学大学院 , 緑地環境保全学研究室)
森本 淳子
(京都大学大学院農学研究科)
・ 公園整備関係者
杉本 享
( (株)空間創研)
・ 財 団 法 人 京都市都市緑化協会、
梅小路公園担当
京都市都市緑化協会、梅小路公園担当
芹田 彰
稲垣 茂
「いのちの森No.4」2000年4月30日
発行:京都ビオトープ研究会
代表:森本幸裕
大阪府堺市学園町1-1
大阪府立大学農学部緑地環境保全学研究室
TEL&FAX:0722-54-9444
http://rosa.envi.osakafu-u.ac.jp/biotope/
: 問い合わせ先
い の ち の 森
森:
京都市下京区大宮通木津屋橋西入る
財団法人京都市都市緑化協会
TEL:075-352-2500,FAX:075-352-2226