News JIKEN CENTER 自研センターニュース 6 Jun 2005 平成17年6月15日発行 毎月1回15日発行(通巻357号) 昭和51年5月27日 第三種郵便物認可 C O N T E N T S テクノセミナー ・・・・・・・・・・・・・・・・2 ボデー骨格から外皮までフルカーボン製モノコックボデー 指数テーブルマニュアル作業項目の解説_ 65 _ ・・5 リペアリポート ・・・・・・・・・・・・・・・・6 トヨタマークX(GRX121 ) 、ホンダ オデッセイ (RB1) のレーダ センサ脱着または取替および光軸調整作業について 「構造調査シリーズ」新刊のご案内 ・・・・・・・・9 リペアインフォメーションS ・・・・・・・・・・10 外板パネルの素材は何 2005年度「一般提案」会社別応募件数 ・・・・・・12 調査・研究報告 ・・・・・・・・・・・・・・・13 先進安全自動車ASV(Advanced Safety Vehicle) 〈その1〉 リサーチング ザ スケルトンズ ・・・・・・・・・・18 トヨタ ヴィッツ (90系) お客様相談室レポート ・・・・・・・・・・・・・20 お客様相談室の近況 日本アウダテックス社 指数テーブル 「2005年 6月号」発刊のご紹介 ・・・・・・・・22 アウダネオⅡ活用塾 ・・・・・・・・・・・・・23 ワークシートの印刷機能を活用する 編集後記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 1 ∼□ 8 別冊 新型車情報 ・・・・・・・・・・・・・・・・□ ホンダエアウェイブ(DBA-GJ1/GJ2系) ●アンケートのお願い TECHNO SEMINAR テクノセミナー ボデー骨格から外皮まで フルカーボン製モノコックボデー 1.はじめに 1993年に登場した「マクラーレンF1」に採用されてから10年がたちましたが、ポルシェ・カレラGT、メルセデ スベンツSLRマクラーレンなど、最近登場したスーパースポーツカーに採用されています。目的は軽量化(同 じ強度の場合スチールと比較して50%、アルミと比較しても30%の重量軽減) とボデー剛性の向上です。また 衝撃吸収性においても、金属材料の4∼5倍も優れ、卓越した衝撃吸収能力が実証されています。F1レース の世界ではこのCFRPの特性を何年も前からクラッシュ構造に利用しその結果、高速衝突時の死傷事故の危 険性が著しく減少しました。 以下にCFRPの特長と製造法等を紹介します。 2.CFRPの特長 大きな特長は強度、弾性率の力学的特性と単 位重量ですが、金属と異なり力学的特性の方向 依存性が非常に大きく力のかかる方向により繊 炭素繊維(高強度系)/エポキシ ● 炭素繊維(高弾性系)/エポキシ ● 高い アラミド繊維/エポキシ ● 比 強 度 低い ガラス繊維/エポキシ ● チタン ● ○ スチール ● アルミニウム 力学的特性のほかにも多くの優れた特性があ ります。 ボロン樹脂/エポキシ ● 高い 維の方向配列に工夫がいります。 ●優れた耐疲労性 ●クリープ安定性 ●優れた振動減衰性 ●摩擦特性、優れた耐摩耗性 低い 比弾性率 ●小さい摩擦係数 ●熱的寸法安定性 横軸に比弾性率、縦軸に比強度をとったグラフ ●耐薬品性、耐海水性 ●導電性を有するが非磁性 3.使用されているCFRPの成形法 (1)プリプレグ/オートクレーブ法 自動車のボデー (シャシ) をCFRPで作る場合に、も 大掛かりな装置で加圧・熱を加えるため、たいそう っとも一般的に使われている製法がオートクレーブ法 な温度にしていると思いがちですが、樹脂を硬化さ です。簡単に言えば、型の上にプリプレグを貼り込み せるための温度は120∼170℃ほどに過ぎません。そ (図2) 、耐熱フィルムなどのバッグで覆い (図3) さらに れよりも圧力(6∼8hPa) を高めていることが、この製法 バッグとプリブレグの間に樹脂の吸収材を仕込み、 「オートクレーブ」装置に入れてバッグを真空引きしな 2 がら加圧・加熱し、硬化させるというものです (図1) 。 自研センターニュース 2005年 6月号 の強度が高いCFRPを作ることができるポイントです。 カーボン繊維の密度が高まり、強度も高まります。 TECHNO SEMINAR オートクレーブ法は成形性、強度といった面でバ ーブで加圧・加熱する時間は数時間から一日がか ランスのとれた製法であり、レーシングカーのシャシ りとなってしまい生産コストがあがってしまうため大 を作るのにも採用されています。ただし、オートクレ 量生産には向いていない面もあります。 図2 図1 貼り込み オートクレーブ 図3 バッグ プリプレグ(pre−impregnation) カーボン繊維に樹脂を含浸させ、フィルム上にし たもので、樹脂には主にエポキシ系が使用され、生 一方向 乾きの状態で保持されています。室温では1ヶ月も すると乾燥(硬化) してくるので一般的には冷凍庫 (−18℃)で保管されます(図4)。プリプレグは繊維 の状態によって区別され、一方向、平織、綾織の3種 織 物 類が主流です (図5)。 図4 図5 (2)レジントランスファーモールディング法 (Resin Transfer Molding) またはレジンイン 際の圧力だけでカーボン繊維に含浸するため、オー ジェクション法(Resin Injection) トクレーブ法に比べ、樹脂の比率が大きくなってしま その頭文字をとってRTM法と呼ばれる製法で、そ い、強度の面では劣ってしまいます。そのため力を の最大の目的は品質の均一化にあります。つまり作 受ける部位に使用するのには向いておらず、アウタ 業者の技術による品質の差をなくすための製法であ パネルのように応力を受けない部位の成形法として り、大量生産を前提においた製法といえます。 知られています。ただし最近では樹脂の改良により、 オス・メスのふたつの型でカーボン繊維をはさみ、 強度を上げた製品を作ることも可能になったと言わ そこに樹脂を注入し、加熱・硬化させるというもので れています。それでもオートクレーブ法で作られた す。そのためオートクレーブ法のような一つの型だけ CFRPパーツに比べれば強度面では及びません。 の製法では型に接している面しか滑らかにできませ 樹脂注入 んが、RTM法では両面とも滑らかな表面処理ができ 型 るのが特長です。但し、RTM法ではふたつの型で 挟むため、あらかじめカーボン繊維を大まかな製品 の形にする必要があります(図6) 。 樹脂については、型を閉じた状態で注入するた め、含浸性に優れたものでなければなりません。つ まり粘度が低いということです。また樹脂は流し込む 繊維をカット 加熱 図6 自研センターニュース 2005年 6月号 3 TECHNO SEMINAR (3)フィラメントワインディング法(Filament Winding) 数あるFRP製法の中で、もっとも強度を活かせる のがこのFW製法です。 たマンドレルに対する、繊維の巻きつけ法にも種類 があり、繊維をクロスさせて巻きつけ、より強度を高 めるといった工夫も可能です。 さらに、この工程においては機械化(自動化)が可 そもそも樹脂と繊維から構成されるFRPの強度を 能であり、生産性も高いです。ただしマンドレルに 生み出しているのは繊維部分で、RTM法では繊維 巻きつけるという製法のため、製品の形状は回転体 を細かく切断してマット状にしていますが、この製法 (円柱や円錐など) に限られてしまい、そのため自動 では繊維を切断せずに、連続した状態で成形する 車のパーツとしては使用範囲が限られてしまいます。 ため、高強度を実現することができます。通常は繊 しかし、連続した繊維が生み出すFRP最強の強度 維を織りクロス (布) にしたものを切り貼りするため、 は魅力であり、自動車としてはクラッシャブルゾーン どこかで繊維は切断されてしまいますが、この手法 の構成部材として期待されるCFRP製法です。 は、例えるならまさに毛糸でマフラーを編むようなも 図7 ので、他の製法は小さな布を繋ぎ合わせたパッチワ ニップローラ ークのようなものです。 具体的には、一本の糸状にまとめられたカーボン 繊維に樹脂を含浸させ、マンドレル(芯型) に巻きつ ファイバー けて成形するというものです (図7) 。そして加熱する 台車 樹脂浴槽 ことで硬化させ、型と分離することで完成します。ま オートクレーブ法、RTM法 アルミ鋳造製 4.使用部位 CFRP FW法 (1)メルセデスベンツSLR マクラーレン (2)ポルシェ・カレラGT *前後衝撃吸収部分はステンレス・スチール溶接構 造 A&B部 *キャビン部分はCFRP製モノコック (オートクレーブ A C D 製法) C部 B *リヤサブフレームは上下2分割(オートクレーブ製 法) D部 5.おわりに ゴルフクラブのシャフト、テニスラケットの フレーム、釣竿などにはCFRP製品がつかわれて いることはよく知られています。 ガラス繊維による複合材料を自動車ボディ、 スト対性能の要求が激しい自動車用途ではまだ 本格的ではありませんが、今後、各繊維の価格 の低下、設計・成形技術の進歩とともに改善さ れ益々重要な材料となると予想されます。 参考資料: (株)学習研究社オートジャンブル誌 Vol.52.56 外装部品、バンパビームなどに使用した事例は 数多く紹介されている一方、炭素繊維やアラミ ド繊維、ケプラー繊維などを用いた事例は、コ 4 自研センターニュース 2005年 6月号 (研修部/清水文男) 指数テーブル マニュアル作業項目の解説 −65− 今回は指数テーブルマニュアル(2004年10月発行) を基本に、ボデー系の作業項目『B340 片側リヤフ ロアサイドメンバ取替』について解説します。 (図1) ②アスファルトシート貼り付け後ではシーラ塗布がで きない部位 ・リヤフロア取替時のアスファルトシート貼付部等 ③クォータパネル取替作業でパネルを取付けると塗布 1.前提条件および作業内容 *ボデーロワバックパネルを取外した状態から行う できなくなる部位 ・クォータパネルとホイールアーチ部内側間のシー 作業 ラ塗布部位 2.指数に含まれる主な作業 *リヤフロアサイドメンバリヤに取付いている付属 *防錆剤の塗布に関して ・パネル切り継ぎ部については「脱着・取替」指数 品の脱着または取替 に含まれています。 主な付属品 ・ブラケット類 ・ヒートインシュレータ *アスファルトシート取替に関して *必要範囲の付属品の脱着または取替 ・リヤフロアに貼り付けられているアスファルトシ *必要範囲のアスファルトシート取替 ートについては再使用ではなく、取替作業として *アンダーコート塗布(必要な車種) います。 ・リヤフロアとセンタフロアの接合部上面に貼り付 補足 けられているアスファルトシートについてはリヤ *パネル接合部のシーラ塗布に関して 当該作業は、損傷パネル取替作業時に行う場合と フロア取替作業に必要な範囲の剥離作業と再使用 補修塗装作業工程時(プライマーサーフェイサー ではない補給部品の貼り付け作業を含んでいます。 塗布後)に行う場合があります。 *事故歴が有りの一度修理を行った部位の再修理は、 「脱着・取替指数」に含まれるシーラ塗布部位は 指数はそのまま適用できない場合がありあます。 次の通り その理由は、リヤフロアサイドメンバ等の溶接状 ①アンダコート塗布後ではシーラ塗布のできない部位 ・フロントサイドメンバとダッシュパネル、センタ 態がカーメーカの新車出荷溶接状態と異なる場合 が多いためです。 フロアとの溶接接合部等 図1 B340 片側リヤフロアサイドメンバリヤ取替 片側 網掛けの部品は当該作業範囲 前提条件および作業内容 *ボデーロワバックパネルを取外した状態から行う作業 指数に含まれる主な作業 *リヤフロアサイドメンバリヤに取付いている付属品の脱着または取替 主な付属品 ・ブラケット類 ・ヒートインシュレータ *必要範囲の付属品の脱着または取替 *必要範囲のアスファルトシート取替 *アンダーコート塗布(必要な車種) (指数部/島田東一) 自研センターニュース 2005年 6月号 5 REPAIR REPORT リペア リポート トヨタ マークX(GRX121)、ホンダ オデッセイ (RB1) のレーダセンサ脱着 または取替および光軸調整作業について はじめに 近年、各自動車メーカーでは、事故の未然防止や緊急時の危険回避等、安全運転をサポートする技術・装 備を開発しています。これらの知能化技術に前方障害物衝突防止支援システムがあります。このシステムは レーザレーダやミリ波レーダにより車間距離を検出し、自車進路前方の車両に対して追突事故にいたりそうな 状況で、警報(音+表示) とブレーキ制御を行うことにより運転者へ認知、回避行動の支援、または追突時の 被害軽減を目的としているシステムです。 今回、トヨタ マークX(GRX121)のレーザレーダセンサおよびホンダ オデッセイ (RB1)の車間距離レー ダ(ミリ波レーダ)脱着または取替、光軸調整作業について紹介します。 1.取付け位置 トヨタ マークXのレーザレーダセンサは、フロントバンパ右下部のフロントバンパマウンティングリインホー スメント先端にブラケットを介してフロントバンパリインホースメントと共締めされて取付きます(写真1) 。 ホンダ オデッセイの車間距離レーダはラジエータグリル中央内部フロントバルクヘッドアッパおよびバル クヘッドセンタステーにブラケットを介して取付きます(写真2) 。いずれも脱着または取替時にはフロントバン パの取外しを伴います。 写真1 トヨタ マークX 写真2 ホンダ オデッセイ レーザレーダセンサ 車間距離レーダ 拡大図(フロントバンパ取外し状態) 6 自研センターニュース 2005年 6月号 拡大図(フロントバンパ取外し状態) REPAIR REPORT 2.脱着または取替作業 図1 トヨタ マークXのレーザレーダセンサおよびホンダ オデッセイの 車間距離レーダは以下の手順で脱着または取替作業を行ないます。 (1)トヨタ マークXの作業手順 ①ラジエータグリル取外し ②フロントバンパカバー取外し ③フロントバンパリインホースメント取外し ④レーザレーダセンサ取外し(図1) ⑤各部品取付け(取外しと逆の手順) ※レーザレーダセンサは取付けブラケットの単品補給はなく、 レーザレーダセンサ Assy部品の補給設定のみ。 部品価格は¥133,000。 図2 また、レーザレーダセンサは分解不可の旨、修理書に記載されて います。 (2)ホンダ オデッセイの作業手順 ①フロントバンパフェース取外し ②車間距離レーダ(Assy)取外し(図2) ③ブラケット取外し(取替) ④各部品取付け(取外しと逆の手順) 車間距離レーダ(Assy) ※スクリュグロメットを車間距離レーダに取付けて、ブラケットのボル ト3本を2回転ほど交互に少しずつねじ込み、車間距離レーダとブ ラケット間の寸法が10.5∼11.5mmになるよう取付ける。 (図3) 図3 ※補給部品は、それぞれ単品で設定されておりAssy部品の設定はあ りません。ただし、ブラケットはスクリュグロメット (3個)が付いた状 態で補給されます。 部品価格は以下のとおり。 車間距離レーダ ¥210,000 ブラケット 10.5−11.5mm ¥12,500 スクリュグロメット (1個) ¥450 また、ブラケットを取外した場合は必ずスクリュグロメットを新品に 取替えることおよび車間距離レ―ダは分解不可の旨、修理書に記 載されています。 車間距離レーダ ブラケット スクリュグロメット 3.光軸調整作業 光軸調整作業はタイヤ空気圧を規定値に調整 したうえ、水平かつ車両前方に反射物がない場 所で行ないます。また、車両前方の見通しエリ ア指定があり、トヨタ マークXでは車両前方 (1)トヨタ マークXの作業手順 光軸調整にはSST(リフレクタおよびTaSCAN) を使用します。 ①光軸調整エリアに車両設置、センター出し 9m、幅3m程度、ホンダ オデッセイでは車両前 車両前後にて中央部に下げ振り錘を垂らし、 方10m、幅4m、高さ1.5mとなっています。 マーキングします。 (写真3) 自研センターニュース 2005年 6月号 7 REPAIR REPORT 写真3 ③リフレクタの設置 車両中心から5m前方にマーキング、その位置か ら右方向494mm直角に測定し、リフレクタを設置 します。 (写真4) 写真4 ②リフレクタの高さ調整 5m 車両のレーザレーダセンサ発光部中心の高さを計 測、その計測値+48mmにリフレクタ中心の高さを 494m 調整します。 (図4) ④光軸調整 図4 TaSCANを車両に接続し、修理書の指示に従い レーザレーダセンサ リフレクタ 光軸調整作業を行ないます。 (写真5) 写真5 Ymm Xmm TaSCAN Ymm=Xmm+48mm (2)ホンダ オデッセイの作業手順 光軸調整にはSST(レーダエーマセット、トランス ポンダセットおよびHDS) を使用します。 ②光軸調整エリアに車両設置、センター出し ①上下光軸調整 水準器(市販品) を車間距離レーダ上A位置に置 車両前後にて中央部に下げ振り錘を垂らし、マーキ き、ブラケット左側の上下調整ボルトBを回して傾 ングします。 (写真7) きを調整します。 (写真6) 写真6 写真7 A B マーキング位置 8 自研センターニュース 2005年 6月号 REPAIR REPORT ③レーダエーマセット、トランスポンダセットの 図5 高さ調整 車両の車間距離レーダ発光部中心の高さにトラン トランスポンダセット スポンダセットのロッド先端を合わせてセットしま す。 (図5、写真8) ※今回は調整用スタンドのレーダエーマセット レーダエーマセット を使用せずジャッキやリフトパッド等で代用 しました。 ④トランスポンダの設置 写真8 車両中心から5m前方にマーキング、その位置に トランスポンダを設置します。(写真9) ⑤光軸調整 HDSを車両に接続し、修理書の指示に従い光軸 調整作業を行ないます。(写真9) おわりに 近年、各自動車メーカーで採用している知能化技 術装備には、車両前面の損傷しやすい位置に取付 いていることが多くなっています。自研センターでは 写真9 これらの損傷性や修理性に影響する取付け位置や 構造、補給形態等に関して改善提案活動を行なっ ています。 なお、今回の光軸調整作業に使用しているトヨタ 車両前方5m地点 車両前方5m地点 のTaSCANおよびホンダのHDSは、ディーラーのみ 入手可能なツールとなっています。したがって一般 修理工場、整備工場ではレーダ光軸調整作業を行 HDS なうことが出来ません。BP作業終了後にディーラー での作業となります。 (技術部/宇都宮勝洋) 「構造調査シリーズ」新刊のご案内 自研センターでは新型車について、損傷した場合の復元修 No. 車 名 型 式 404 マツダ プレマシー CREW、CR3W系 理の立場から見た車両構造、部品の補給形態、指数項目と その作業範囲、ボデー寸法図など諸データを掲載した「構造 ハイエーススーパーロング 405 案内しますので、ぜひご利用ください。定価は1,120円です (税込み、送料別)。 220W、220K系 レジアスエーススーパーロング 調査シリーズ」を発刊しておりますが、今月は右記新刊をご お申し込みは自研センター総務企画部までお願いします。 TEL 047-328-9111 FAX 047-327-6737 自研センターニュース 2005年 6月号 9 REPAIR Information S リペア インフォメーション S 外板パネルの素材は何 最近の自動車に関するテーマとしては、より安全でより軽量な車は如何にあるべきかが大きくクローズアッ プされています。軽量化を追求する上では、今でも鉄(スチール)が主たる素材であることには変わりがあり ませんが、適材適所というべきか自動車の様々な箇所に様々な素材つまり、プラステックや樹脂を使用する ケースが増加しているようです。 写真1 今回ご紹介する日産 ラフェスタ (B30)の場合、 バックドアの表側(バックドアアウタ)がポリプロピレ ン (PP)で、裏側(バックドアインナ)がポリプロピレ ン (PP) とグラスファイバー (GRF) を混ぜ合わせた 樹脂が使用されています。 (写真1) バックドア 従来バックドアはスチールと言った観念を捨てな ければならない状況になって来つつあります。 メーカーは損傷した場合、修理不可能としていま す、恐らく修理は難しいと思われます。特に割れた 場合は不可能と思いますが、擦過痕といった軽損傷 の場合は最近の樹脂製品の修理技術も大きく向上し ており、修理も可能ではないかと考えております。 補修塗装に関しては当然のことながら表側は上塗 りの指示がメーカーから出ていますが、裏側は全車 同一色のため塗装する必要はありません。 (写真2) 10 自研センターニュース 2005年 6月号 写真2 REPAIR Information S 部品補給はバックドアAs syでの補給しかなく、更 バックドアヒンジ 写真3 にヒンジ及び配線一式が取り付いて補給されます。 配線についてはバックドアから外すことができない ため、取替る際は補給通り一体の取替となります。 (写真3) なおバックドアAs syの価格は¥53,300とな っています。 ガラスの単独損害によるバックドアガラスの脱着 作業や素材の関係でバックドアの修理が出来ない ケースが増すということは、バックドアガラスの脱着 作業が多くなりますので、併せてここでご紹介してお きます。 1、脱作業 写真4 表側または裏側からバックドアガラス上部及び下 部の接着剤をウィンドウシールドナイフ(L型カッ ター) を使用し切断します。 写真4の黄色線部は、バックドアトリム・リヤデフォッ ガー・リヤワイパー取外した状態。 ウィンドウシールドナイフで切断できない部位はピ アノ線を使用して接着剤を切断します。ピアノ線と ガラスの間に下敷きを差し込んでおくとガラスの傷 付き防止になります。 (写真5) 写真5 下敷き 2、 着作業 バックドアガラスに残った接着剤をカッター等で平 滑に削り取り、新品のホルダー及びスペーサーを取 付けます。 (写真6) <注意> ピアノ線 バックドアガラスに残った接着剤を削り取る際、セラミック 部に傷が付くケースがありますが、ガラス用プライマーを塗 布することで上手く補修が出来ます。またバックドアが新品 写真6 の場合にもバックドアにボデー用プライマーを塗布すること をお薦めします。これは塗装面とガラスの接着効果を高める ホルダー ために有効と思われます。なおメーカーの修理書にも同様の 指示が掲載されています。 スペーサー 自研センターニュース 2005年 6月号 11 REPAIR Information S 写真7 モールディング(アッパーモール・サイドモール2 本) をバックドアガラスに取付け(写真7黄色線部)、 モールディング 全周囲に接着剤を塗布します。 (写真7水色線部) 2人作業でガラスを取付け、接着剤が硬化したら 水密検査をして作業終了となります。 <注意> バックドアガラス脱着作業事例はバックドア取替時の作業 ガラス接着剤 を紹介しました。ラフェスタのバックドア樹脂製のためピアノ 線を使用するとバックドアが傷付く可能性が大きくなります。 メーカーでは「バックドア側のガラス接着面の素地が露出し た場合As sy取替となります」 と修理書には記載しており、バ ックドアを再使用するガラス脱作業にはピアノ線を使用せず、 カッターかウィンドウシールドナイフの使用をお薦めします。 (事務局/奥本智行) 2005年度 「一般提案」会社別応募件数 本年度も多くの損害調査会社から多数のご応募を頂き誠にありがとうございました。当社の一般提案制度 も回を重ね、今年で18回目を迎えることとなり、これもひとえに全損害調査会社から積極的なご支援とご協力 を頂けたからこそと感謝しております。 今年度は昨年度を大きく上回る258件もの応募件数となりました。昨年度から従来の入賞に加え、アイデア賞、 努力賞、メーカー改善提案賞を新設し、様々な観点からのご提案に対応できるよう工夫を凝らしております。 今後、厳正な社内審査を経て優秀提案については7月中には該当者ご本人と所属会社に直接ご連絡する 予定としております。またJKCニュース紙面にも掲載いたします。 会 社 名 あいおい損害調査(株) 36 共栄火災損害調査(株) 1 (株)損保ジャパン調査サービス 25 東京海上日動調査サービス (株) 42 日新火災損害調査(株) 1 ニッセイ同和損害保険調査(株) 72 日本興亜損害調査(株) 31 富士損害サービス (株) 5 三井住友海上損害調査(株) 45 合 計 12 第18回 自研センターニュース 2005年 6月号 258 調査・研究報告 先進安全自動車 ASV (Advanced Safety Vehicle)<その1> はじめに 車両が一旦事故を起こすと、 「電子部品だから衝撃 現在、電子技術の進歩により昔では考えられない が加わると内部が壊れているから取替」 「傷がある ような事が可能になりました。身近な所では、携帯 から取替」と安易な部品取替が横行するようになる 電話、パソコン、デジタルカメラなどに使用されてい と、システム自体が高額なため、修理費や部品費の ます。一方、自動車では、エンジン、トランスミッショ 高騰につながる恐れがあります。これについては、 ン、ブレーキシステムなどの制御、車両挙動の検知、 部品自体が高額な他、部品補給の状態、取替え要 SRSエアバッグ、ナビゲーション、ヘッドライトなど 否の判断基準についての修理書の記載状況なども 様々な箇所に使用されているのは周知のとおりです。 影響するものと考えられます。 近年ではレーダーセンサー、CCDカメラなどが捉え た情報をコンピュータが認識し、現在の車両の状況 1.ASVに対するメーカの取組み に対してどう対処すればより安全かをコンピュータ 現在、各メーカがASVに関する研究開発が行わ が判断し、この判断をもとにドライバーを積極的に支 れています。この中にはすでに、実用化されている 援し、予防安全技術、事故回避、衝突安全技術の向 技術もありますが、各メーカが研究開発に取組んで 上に役立っています。現在の自動車においては、電 いるASVのシステムは以下のようになります。 (太枠 子技術は切り離せない状況になっています。 は、道路インフラストラクチャーが必要なシステム) しかし、このように電子技術を多数装備している 表1 ASV研究開発 システム名称 トヨタ ニッサン ホンダ 三菱 ○ ○ 1 居眠り警報装置 2 配光可変型前照灯 3 夜間前方歩行者情報提供装置 4 後側方・側方情報提供装置 ○ 5 車線逸脱防止支援システム ○ 6 緊急制動情報提供装置 ○ 7 ブレーキ併用式車間距離制御機能付定速走行装置(全車速域制御) ○ ○ ○ 8 車線維持支援装置 ○ ○ ○ ○ マツダ ダイハツ 富士重 スズキ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 9 カーブ進入危険速度防止支援システム ○ 10 前方障害物衝突防止支援システム ○ ○ 11 車両死角部障害物衝突防止支援システム 12 車両前面突入軽減装置 13 被追突予知むちうち傷害低減システム 14 歩行者傷害軽減ボディ&歩行者保護エアバッグ 15 全席シートベルト着用勧告装置 ○ 16 前方障害物衝突防止支援システム ○ 17 車線逸脱防止支援システム 18 カーブ進入危険速度防止支援システム ○ ○ 19 一時停止支援システム ○ ○ 20 出合い頭衝突防止情報提供装置 ○ ○ ○ ○ 21 右折衝突防止情報提供装置 ○ ○ ○ ○ ○ 22 横断歩道歩行者衝突防止情報提供装置 ○ ○ ○ 23 路面情報活用車間保持等支援システム ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ (自動車総合安全情報からの抜粋) 自研センターニュース 2005年 6月号 13 調査・研究報告 (1)主な構成部品取付け位置 2.実用化されているASVシステムの概況及び構 表2のシステムの内、車両フロント部に取付けられ 成部品 ている構成部品は図のようになります。 現在、乗用車に採用されている主なシステムは表 2のようになります。 表2 No 1 No.3、No.4、No.5用レーダーセンサ No.2用近赤外線カメラ No.5、No.6用CCDカメラ 実用化されているシステムと主な構成部品 システム名称 主な構成部品 No.1配光可変型前照灯 配光可変型前照灯 ヘッドライト、舵角センサー 2 夜間前方歩行者情報提供装置 近赤外線カメラ、近赤外線投光機、 ディスプレイ 3 ブレーキ併用式車間距離制御 機能付定速走行装置 レーダーセンサー、ブレーキ関 連部品 No.2用近赤外線投光機 No.7用CCDカメラ No.3、No.4、No.5用レーダーセンサ 4 前方障害物衝突防止支援シス テム レーザーセンサー、車速センサー、 ブレーキ部品、シートベルト 5 車線維持支援装置 レーダーセンサー、CCDカメラ、 電動ステアリングギヤボックス 6 車線逸脱防止支援システム CCDカメラ 7 後側方、側方情報提供装置 CCDカメラ 構成部品取付け位置イメージ 車両前部に主な構成部品が取付けられており、前 面衝突のケースでは部品費の高額化が懸念されま す。これらの部品の内、No.3、No.4、No.5に使用さ れているレーダーセンサが特に高額(10∼20万円) と なっています。 3.車両安全技術採用年 安全 技術 採 用 年 01 02 03 04 セルシオ03年8月∼ ハリアー03年2月∼ クラウン03年12月∼ クラウンマジェスタ04年7月∼ 配 光 可 変 型 前 照 灯 シーマ03年8月∼ ランドクルザー02年8月∼ クラウン03年12月∼ クラウンマジェスタ04年7月∼ レジェンド04年10月∼ 30系03年8月∼ クラウン03年12月∼ クラウンマジェスタ04年7月∼ セルシオ(20系)00年8月∼ 14 マークX04年11月∼ エルグランド04年8月∼ フーガ04年10月∼ オデッセイ03年10月∼ エリシオン04年5月∼ ステップワゴン03年6月∼ レジェンド04年10月∼ 夜 間 歩 行 者 情 報 提 供 装 置 ブ レ ー キ 併 用 式 車 間 距 離 制 御 機 能 付 定 速 走 行 装 置 05 アルファード02年5月∼ シーマ01年1月∼ 自研センターニュース 2005年 6月号 セドリック01年12月∼ グロリア01年12月∼ ステージア01年10月∼04年8月まで(04年8月MC後設定無くなる) エルグランド02年5月∼ フーガ04年10月 インスパイア02年5月∼ アコード02年10月∼ オデッセイ03年10月∼ エリシオン04年5月∼ レジェンド04年10月 調査・研究報告 安全 技術 採 用 年 01 02 03 前 方 障 害 物 衝 突 防 止 支 援 シ ス テ ム 04 05 ハリアー03年2月∼ クラウンマジェスタ04年7月∼ セルシオ03年8月∼ フーガ04年10月∼ シーマ03年8月∼ オデッセイ03年10月∼ エリシオン04年5月∼ インスパイア03年6月∼ レジェンド04年10月∼ シーマ03年8月∼ 車 線 維 持 支 援 装 置 インスパイア02年5月∼ クラウンマジェスタ04年7月∼ アコード02年10月∼ 車 線 逸 脱 防 止 支 援 シ ス テ ム カルディナ02年9月∼ レジェンド04年10月∼ イプサム03年10月∼ アルファード02年5月∼ レガシー03年10月∼ アコード02年10月∼ アコードワゴン02年10月∼ インスパイア03年6月∼ ハリアー03年2月∼ 後 側 方 、 側 方 情 報 提 供 装 置 プレサージュ03年6月∼ フーガ04年10月∼ エルグランド04年8月∼ ムラーノ04年9月∼ 01 02 03 04 05 採 用 年 4.配光可変型前照灯(AFS) させるシステムで、走行状態に応じて最適なヘッド 配光可変型前照灯はAFSと呼ばれています。AFS は、ロービームヘッドランプの左右方向の光軸を、ス テアリングの操作や車速などに応じて自動的に変化 メーカ システム呼称 インテリジェント トヨタ ランプの配光を行います。 現在AFSを設定している車種は以下のようになり ます。 (AFS:Adaptive Front-lighting System) 車 種 備 考 セルシオ 2003年8月以降全車標準装備。 クラウン ロイヤルサルーンG、ロイヤルサルーンi−Foreの Uパッケージ、アスリート系全車に標準装備。 AFS ハリアー ハリアー(MCU31W、MCU36W)AIRSに標準装備。 システム クラウン 全グレードに標準装備。 マジェスタ マークX シーマ エルグランド ニッサン アクティブAFS フーガ ホンダ AFS 300Gプレミアムに標準装備。 全車に標準装備。 XL、ハイウェイスターに標準。X、VGにメーカオプション。 (52, 500円) 350スポーツパッケージ、350GT、350XVVIP、350XVに 標準装備、他グレードはメーカオプション。 (84, 000円∼) エリシオン VZに標準設定。VG、VXにメーカオプション。 (VSA+AFSのセットオプションで126, 000円) オデッセイ M、L、アブソルートにメーカオプション。 (52, 500円) ステップワゴン (スパーダ)24L、24Tに標準装備。 レジェンド 標準装備。 自研センターニュース 2005年 6月号 15 調査・研究報告 (1)構成部品配置図 (2)主要構成部品と主な役割 各社で機構が多少異なるため、構成部品にも違い 構成部品 がありますが、車室以外に取付けられている部品は ヘッドライト レベリング アクチュエータ AFSコンピュータからの制御信号により、ロービー ムヘッドランプを上下方向に駆動し光軸の向きを制 御します。 ヘッドライト スイブル アクチュエータ AFSコンピュータからの制御信号により、ロービー ムヘッドランプを左右方向に駆動し光軸の向きを制 御します。 車輪速センサー 車輪速を検出し、スキッドコントロールコンピュータ に出力します。 スキッド コントロール コンピュータ フロント車輪速センサーからの信号を入力し、車輪 信号としてAFSコンピュータに出力します。 おおよそ図のようになります。 スキッドコントロール コンピュター 車輪速 センサー ヘッドランプ レベリング アクチュエーター ヘッドランプスイブル アクチュエーター 役 割 車輪速センサー ヘッドランプレベリング アクチュエーター 構成部品取付け位置(参考図トヨタセルシオ) (3)部品補給形態 下図はトヨタセルシオ、クラウンマジェスタ、ホンダエリシオンの部品補給形態になります。 メーカ、車種により部品補給形態が異なることが確認できます。 同じトヨタでもセルシオとクラウンマジェスタの部品補給形態を比較すると、クラウンマジェスタの方が部品 を細分化しているのが確認できます。 AFS主要構成部品で紹介したヘッドランプを動かすアクチュエータを部品として設定しているのは、トヨタ ハリアー、マークX、ホンダ車だけでその他のメーカ、車種は部品としての補給は有りません。 (2005年4月現在) セルシオ エリシオン 16 自研センターニュース 2005年 6月号 クラウンマジェスタ 調査・研究報告 (4)補給部品形態と価格 部品補給形態 メーカ 車 種 ヘッド ランプ ユニット ランプ内 AFS関連 単品補給 ○ ○ ― セルシオ トヨタ クラウン ○ ― ― ハリアー ○ ○ ○ クラウンマジェスタ ○ ― ― マークX ○ ― ○ シーマ ○ ○ ― ニッサン フーガ ○ エルグランド ○ ○ エリシオン ○ ○ ― レジェンド ― ○ ― ステップワゴン ― ○ ― オデッセイ ホンダ ヘッドランプ価格 ヘッド ランプ ASSY ○ ○ ― ○ ○ ○ 上段:ヘッドランプASSY 下段:ヘッドランプユニット ASSY 102,000円 ユニット 89,100円 ASSY 105,000円 ユニット補給無し ASSY 108,000円 ユニット 64,800円 ASSY 101,000円 ユニット補給無し ASSY 101,000円 ユニット補給無し ASSY 109,000円 ユニット 92,000円 ASSY 104,000円 ユニット 60,500円 ASSY 96,300円 ユニット 48,000円 ASSY補給無し ユニット 46,000円 ASSY補給無し ユニット 43,000円 ASSY補給無し ユニット 40,000円 ASSY補給無し ユニット 63,000円 (5)AFSヘッドランプ取り扱い上の注意点 トヨタ ヘッドランプ取替え または脱着時に発生 する作業 ホンダ 中立点の記憶注1が必要と記載ある車種と 記載なき車種あり 無し AFSコントロールユニットの学習 自動または手動による中立点記憶 無し 学習させる方法により異なる 無し 無し 一部車種は必要 *以下の場合、必要 作業方法 メーカ専用故障診断 機の必要性 その他 ニッサン バッテリまたはバッテリターミナルを外 した場合、取付けた後にステアリングセ ンサー中立点の記憶注2や車高が変化する 作業を行った場合注3システムの初期化が 必要となる。 AFSC/U、舵角センサー、ステアリング 構成部品、サスペンション構成部品、タ イヤの脱着を行った場合、中立点調整が 必要。 必要 AFSコントロールユニット取替、ヘッドライ トアジャスタレベリングセンサーの取替、取 外し、リンク部分の取外し、舵角センサー取 外し、取替、ヘッドライトの取替え、AFSギ ヤボックスの取替、などを行った場合AFS コントロールユニットの学習が必要 注1:トヨタ中立の記憶について:ハリアー以降の車種には中立点記憶についての記載はなし。 注2:ハリアーのみに記載、以降の車種については初期化必要なシステムあり。 注3:マークXのみ、車高が変化する作業やAFSC/U取替え後は初期が必要。この場合専用SSTが必要となる記載あり。 (6)修理書記載状況 (入力時の使用可否について) 修理書記載状況 AFSC/U 作動用アクチュエータ トヨタ 記載は見られない 記載は見られない ニッサン 記載は見られない 記載は見られない ホンダ 記載は見られない 記載は見られない 次号(7月号)の調査・研究報告は、<その2>とし てASVシステムにおいての「夜間前方歩行者情報提 供装置」について掲載致します。 (技術部/出町孝治) 自研センターニュース 2005年 6月号 17 Researching The Skeletons リサーチング ザ スケルトンズ トヨタ ヴィッツ(90系) この「Researchin The Skeletons」では外部から確 インホースメント」および「フロントサイドメンバブラ 認することができないフロントサイドメンバおよびリ ケット」で効率良く衝突エネルギーを吸収し、冷却ユ ヤフロアサイドメンバ内側のリインホースメント等の ニットを保護する事で修理費の低減化を図る構造と 位置や板厚を分かり易く紹介していくもので、データ しています。 は実際に自研センターで調査した内容を転記したも リヤフロアサイドメンバは左右共にリヤサスペン ションコイルスプリング取付け部に「リインホースメン のです。 今回はトヨタ ヴィッツ (90系) を取上げます。 このフロントサイドメンバの左側にはエンジンマウ ント取付け用の「リインホースメント」が取付けられて ト」が取付けられています。 この車のフロントサイドメンバおよびリヤフロアサ イドメンバには差厚鋼板は採用されていません。 います。フロントサイドメンバ先端部にはボルトで脱 フロントサイドメンバおよびリヤフロアサイドメンバ 着可能な「フロントサイドメンバブラケット」が取付け のカット位置はトヨタのボデー修理書に記載されてい られています。これは軽衝突時に「フロントバンパリ るカット位置です。 フロントサイドメンバ左外側 1.8mm 1.8mm 1.8mm 1.2mm フロントサイドメンバ右外側 1.2mm 1.4mm 1.4mm フロントサイドメンバ左内側 カット位置 1.8mm 18 自研センターニュース 2005年 6月号 1.8mm フロントサイドメンバ右内側 カット位置 1.8mm Researching The Skeletons リヤ正面(ボデーロワーバックパネル取付状態) 〈2WD〉 リヤ正面(ボデーロワーバックパネル取外し状態) 〈2WD〉 リヤサイドメンバリヤ リヤサイドメンバリヤ リヤ上側(リヤフロアパン取付状態) 〈2WD〉 リヤ上側(リヤフロアパン取外し状態) 〈2WD〉 1.4mm 1.4mm カット位置 カット位置 1.8mm 1.8mm リヤ下側〈2WD〉 (指数部/古屋圭一) 自研センターニュース 2005年 6月号 19 Customer Relations Department REPORT お客様相談室レポート お客様相談室の近況 当社から発表される技術資料について、お客様のご質問、ご照会が数多く寄せられています。なかでも 指数に関する質問が多く寄せられていますので最近の状況と併せてご紹介します。 2.脱着・取替指数関係の相談内容 1.総受付件数 脱着・取替指数についての相談件数687件中の 2004年度受付件数は年間1500件(月平均125件) 614件を作業項目別に分類したものが表1で、2004 と昨年とほとんど変わりません。その中身は、 年統計では、 「B040」ヘッドランプAssy脱着または取 W/T 前年比 687件( 46%)(△ 2%) 533件( 35%)(+ 3%) 30件 ( 2%)(△29%) 16件 ( 1%)(+23%) 234件( 16%)(△14%) ①脱着・取替指数関係 ②補修塗装指数関係 ③内板骨格修正指数関係 ④外板板金修正指数関係 ⑤指数以外 替、 「B210」フロントまたはリヤドア取替、 「B270」クォ ータパネル取替、 「B290」ボデーロワバックパネル取 替、 「B020」フロントバンパ取替、 「M040」フロントサ スペンション片側脱着・分解・点検・組立・調整に関 計1500件(100%)(△ 3%) する相談が多い状況にあります。 内容については「作業範囲・条件」 についてが最も となっており、指数に関するものが84%で 多く39%占めております。次に 「指数未設定の問合せ」 、 そのほとんどを占めております。 表1 2004年度脱着・取替指数・項目別件数内訳 614件/687件/総受付件数1500件 (件数) 60 02年度 03年度 50 04年度 56 41 40 31 30 29 30 24 20 17 24 21 17 17 13 12 10 11 9 7 9 5 4 2 1 0 M010 M020 M040 M050 4 6 7 5 M060 M070 6 15 7 M140 M230 7 6 5 M240 4 6 6 5 4 2 13 13 11 10 8 8 9 8 6 12 10 6 5 4 6 6 7 8 6 6 5 0 M255 M260 B010 B020 B040 B100 B110 B130 B140 B170 B190 (作業項目) (件数) 70 60 02年度 03年度 04年度 58 52 51 50 48 45 40 38 36 33 30 26 24 21 20 22 20 17 13 1213 10 5 1 0 B210 10 5 5 7 8 5 6 5 6 B216 B230 B240 B250 3 3 5 B260 B270 B290 B310 5 20 自研センターニュース 2005年 6月号 8 2 4 3 B326 B330 M010:クーラコンデンサAssy脱着または取替 M020:ラジエータ脱着または取替 M040:フロントサスペンション片側脱着・分解・点検・組立・調整 M050:エンジン・トランスミッション&フロントサスペンションAssy脱着 M060:エンジン・トランスミッション&フロントサスペンションAssy脱着 サスペンション片側分解・点検・組立・調整 M230:インストルメントパネル脱着 M240:テールパイプAssy脱着または取替 M255:リヤサスペンションAssy脱着、片側分解・点検・組立・調整 B020:フロントバンパ取替 B040:ヘッドランプAssy脱着または取替 18 16 12 11 9 8 0 B215 22 16 4 B390 5 8 4 4 B410 12 12 8 B420 B430 G010 6 7 G030 10 5 G040 B110:フロントフェンダ取替 B190:フロントピラーAssy取替 B210:フロントまたはリヤドア取替 B216:スライドドア取替 B260:ルーフパネル取替 B270:クォータパネル取替 B290:ボデーロワーバックパネル取替 B390:バックドア取替 B420:リヤバンパ取替 G010:ウインドシールドガラス脱着または取替 (作業項目) Customer Reletions Department REPORT 「指数値の内訳」、 「使い方」、 「指数での作業方法」 が続いております。 4.内板骨格修正指数についての相談内容 内板骨格修正指数の質問、照会は「条件・範囲」 に関するものがそのほとんどなっております(表3) 。 3.補修塗装指数関係の相談内容 補修塗装についての相談件数をその内容に応じ 表3 2004年度内板骨格修正指数の内訳 30件/受付件数1500件 分類したものが表2です。 塗り数値、付加数値、加算基礎数値、樹脂バン その他 7% パ補修塗装指数に関するもので533件中の65%を 占めております。内容については「塗り数値」では修 正塗り指数、作業範囲・条件について、 「付加数値」 使い方 20% ではブース加算と低隠ぺい性塗色について、 「樹脂 条件・範囲 57% バンパ補修塗装指数」では使い方について、 「加算 基礎数値」ではぼかし範囲と指数値内訳となってい ます。また「その他」が35%ありますが、材料代を含 むかどうか、カラーNo.の塗膜の種類、耐スリ傷塗 形状修正指数 13% 基本指数 3% 装等についての照会が多く寄せられております。 表2 2004年度補修塗装指数の内訳 533件/受付件数1500件 5.指数以外についての相談内容 構調シリーズ関係、資料等有無で72%(170件) と大半を占め、指数の有無、指数テ−ブル購入に 塗り数値 20% ついては28%(64件) となっております(表4) 。 表4 2004年度その他 234件/受付件数1500件 以外 35% 加算基礎数値 15% 指数の有無 20% 付加数値 15% 樹脂バンパ 11% 内板骨格 補修塗装指数 4% 指数テーブル購入 8% その他 72% 自研センターニュース 2005年 6月号 21 Customer Reletions Department REPORT 6.相談者の所属する組織を業界別(表5)に分け てみますと割合は、 ご理解とご支援をお願い致します。 W/T ①修理工場 いやすい指数となるよう努めて参ります。今後とも、 前年比 表5 775件 52% △ 5% 900 ②自動車ディーラー 72件 5% +13% 800 445件 30% △ 3% 25件 1% +19% 124件 8% +28% 59件 4% △31% ③損保関係 ⑤ソフト会社 ⑥その他 02年度 03年度 04年度 (2002年度総受付件数 1484件) (2003 〃 1545件) (2004 〃 1500件) 820 700 ④各共済 2004年度業界別内訳 775 694 600 500 486 458 445 となっております。修理工場、その他からの照会 が減少しております。 400 300 以上がお客様相談室で受付けたご相談につい 200 て分類・整理した結果です。 129 お客様相談室に寄せられた照会質問事項は、当 社の主要業務の一つである指数作成業務や指数 の作業範囲を図を用いて解説している「構造調査 100 81 37 0 修理工場 124 97 64 72 ディーラー 損保 シリーズ」の中にも生かし、より分りやすく、より使 85 57 59 21 25 共済 ソフト会社 その他 (お客様相談室/船越繁子) 日本アウダテックス社 指数テーブル「2005年6月号」発行のご紹介 ※「2005年 6月号」のみの単独販売は行っておりません。 ●2005年6月号 国産車・指数テーブル (4メーカー・8車種) メーカー名 トヨタ マツダ ダイハツ スズキ 車 名 型 式 ヴィッツ 90系 クルーガーハイブリッド MHU28系 ハリアーハイブリッド MHU38系 プレマシー CREW、CR3W系 キャロル HB24S系 ミラ ジーノ L650S、L660S系 【2005年版】 ZD11・21S系 アルト HA24S系 (1メーカー・1車種) メーカー名 車 名 型 式 BMW 318i touring(E46) AY20 《ご注意》 2004年度版より、指数テーブルは「国産車」セ ット、 「輸入車」セット、 「国産車・輸入車」セットと別けて取り 自研センターニュース 2005年 6月号 ・国産車セット<商品番号:2005価格:¥18,000> ・輸入車セット<商品番号:3005価格:¥4,000> ・国産車・輸入車セット <商品番号:4005価格:¥20,000> ※バックナンバーは、2004年版の「国産車・輸入車セット」 「国 産車セット」 「輸入車セット」 と 「2003年版」 となります。なお、 在庫がなくなり次第販売を終了させていただきますのでご ●2005年6月号 輸入車・指数テーブル 22 をお求め下さい。 ZC11・21S、 スイフト 扱うようになりました。 購入を希望される方は下記「2005年版セット」 (年間購読) 了承ください。 ※ご購入の際のご不明な点は、下記にお問い合わせください。 ◆「指数テーブル」のご注文およびお問い合わせ◆ 日本アウダテックス株式会社 TEL:03-5351-1900(代) FAX:03-5350-6305 アウダネオⅡ 活用塾 3 ワークシートの印刷機能を活用する アウダシステムに於けるワークシート (展開図) は、システムの重要な要素となっております、ネオⅡのVer2.3 からこのワークシートを印刷する機能が付加されました、今回は、この印刷機能の活用方法について紹介し ます。 モバイル型パソコンであれば、現車を前にしてネオⅡを操作することができます。 しかしディスクトップ型パソコンの場合は、事故車の損傷状態の記録(メモ) を基にネオⅡに入力することと なり、ワークシートを印刷すれば記録用紙としてはベストです。 小ダメージであれば、損傷箇所をデジタルカメラで撮影して、ネオⅡの画面に取り込んで損傷箇所を確認 しながら、事故車の見積を積算する方法もあります。 【アウダネオⅡのトップ画面】 ワークシート印刷のアイコンをクリックして、車 種と該当部分を選択して印刷します。 【明細画面】 損傷部位の入力は明細画面に直接部品コード番 号を入力します 効率的な入力方法として 例えば、部品コード番号 0200の取替ならば部品コ ード番号の入力 ⇒ 200+Enter (部品コード番号の前0は省略できる) 修理方法コードの入力 ⇒ Enter (取替えのコード番号”0”はEnterキーで代用できる) 低年式の車種では、ワークシートが電子化されていないものがあり、ワークシートを印刷して上記の手順で ネオⅡに入力が必要となります。さらに低年式の車種では部品コード番号が3桁で構成されている場合は、部 品コード番号の後に”0”を付けて4桁の部品コード番号で入力してください。 (日本アウダテックス) 自研センターニュース 2005年 6月号 23 http://jikencenter.co.jp/ ●編集後記● 「会社への忠誠心は日本が世界最低」だそうです。米国世論調査会社のギャラップが調査をして明らかになり ました。それによると会社への帰属意識や仕事への熱意が「非常にある」 と判定された日本人は僅か9%で14 カ国中最下位、シンガポールと同数でした。一方4人に1人が「まったく無い」 とされ職場に反感や仕事に不満を 感じているというのです。これはフランス (31%) に次いで2番目に多くなっています。 「非常にある」の数値が最 も高かったのは米国で29%と日本の約3倍強という結果が出たそうです。調査を行なった会社は「米国は不満 があれば転職する。日本は長期雇用の傾向が強いこともあって、相当我慢しているのでは」 と分析しています。 そうだろうか、12項目ある質問の内いくつかを見てみると、調査会社が分析した「相当我慢」 というよりは、会 社に所属している日本人は我慢より疎外感や閉塞感を感じている人が多いのではなかろうかと感じます。 「自分 の得意なことを行なう機会が毎日無い」 「自分が何を期待されているかわからない」 「自分に意見が考慮されて いるとは思わない」 「成長を励ましてくれる人がいない」 となると 「職場で相当我慢しているのではないか」では 済まされないのではないでしょうか。もしこれが日本全体の企業における最大公約数として認識されるのであ れば、経営者は何をさて置いてもこの問題に即刻取り組まなければなりません。 一方「相当我慢」が最大公約数として認識されるなら、日本人的発想からすれば「我慢も努力の内」 と我慢を もっと積極的に理解することもできるのではないか。つまり仕事はそんなに楽しいことばかりあるはずが無い。我 慢をしながら日常業務に真面目に取り組み努力することが重要なんだと思える日本人がイメージできるなら日 本の職場はまだ捨てたもんではないと思いますし、今回の調査結果も多少冷静に受け止められるのでは。 皆さまには今の日本の職場はどのように見えますでしょうか。 自研センターニュース 2005.6(通巻357号)平成17年6月15日発行 昭和51年5月27日 第三種郵便物認可 定価336円(消費税込み、送料別途) C 発行所/株式会社自研センター 〒272-0001 千葉県市川市二俣678-28 Tel(047)328-9111(代表) Fax(047)327-6737 発行人/鈴木 稔 編集人/八束重宣 ⃝ ※乱丁、落丁の場合はお取り替えいたします。 本誌の一部あるいは全部を無断で複写、複製、あるいは転載することは、法律で認められた場合を除き、著作者の権利の侵害となりますので、その場合に は予め、発行人あて、書面で許諾を求めてください。JKCニュースの掲載記事に関するお問い合わせ先はニュース編集事務局までご連絡ください。
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