2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧

公益財団法人 内藤記念科学振興財団 設立趣意書
今日、日本の科学技術は、欧米先進国なみといわれるが、それはただ表面的あるいは部分的なことで、
真の意味での国際的水準とは言いがたいのが実情ではなかろうか。日本独自の科学的発明や発見が少な
く、産業界が欧米先進国にいかに多額の技術導入料を支払い、これにたいし、日本が受ける特許料がい
かに少ないかという一事からも明らかである。欧米に比して近代科学の歴史が浅いとはいうものの、明治
維新後100余年が過ぎた今日、科学研究の面においても、それを利用する産業界においても、日本にオリ
ジナリティをもつ独創的な発明や発見が貧困で、底の浅さが強く指摘されている。これは、外国で基礎
研究されたものをそのまま採り入れ、これを応用することにかけては長じているけれど、基礎研究そのも
のを軽んじてきた日本の学界および産業界の盲点がしからしめたところであるといっても過言ではない。
また、応用面の研究には高率の資金が投下されるが、基礎面の研究には、きわめて低率なことにも問
題がある。医薬品ひとつを例にとってみても、現在日本で売られている医薬品の大半は、欧米の研究者
の手で研究され、その息のかかったもので占められており、日本人の手で研究されたものは、きわめて少
ない。近時、日本製品の海外輸出が興隆をきわめているなかに、ひとり日本製医薬品の輸出のみが貧困で、
ほとんど見るべきものがないのも、一にこれに起因する。これは医薬品にかぎらず、人類の疾病の予防と
治療に関する自然科学のあらゆる分野についても同様であり、この面の基礎研究の振興が叫ばれている。
資本も貿易も、広く世界に門戸を開いた今日、これら欧米先進国に負けず劣らず日本の科学技術水準
を進歩向上させるためには、まず自然科学の基礎的研究の発展が要望される。しかるに、自然科学の基
礎的研究に携わる者にとっての悩みは、これに要する研究費の不足である。自然科学の基礎的研究の振
興なくして、すぐれた応用科学品を産み出すことは、木によって魚を求めるにひとしいたとえのとおりで
あって、より多額の研究資金が渇望されるゆえんである。
これらの現状にかんがみ、国または個人たるとを問わず、自然科学、なかんずく人類の疾病の予防と
治療に関する研究の助成に重大なる関心を示し、すすんでその資金を提供することが、わが国の科学技
術が、真の意味での国際的水準に達する一助ともなりうるであろうと信ずる。
さて、エーザイ株式会社の創業者たる内藤豊次から、人類の疾病の予防と治療に関する自然科学の助
成のために役立てたいと、その所有する株式50万株の提供があった。同氏は、中学中退後、苦学力行し、
薬業界に身をおくこと50余年、国産医薬品の研究開発を目的とした桜ヶ岡研究所、日本衛材株式会社、
エーザイ株式会社を創立し、日本における最初のビタミンC合成をはじめ、ビタミンA、D、Eなどの企業
化、国産医薬品の研究開発とその育成普及など、医薬品を通じて人類の健康増進に大きな業績をあげたが、
かねがね、外国品の模倣追従に明け暮れている業界の現状を不満としていたが、このたび、私財の一部
を広く自然科学振興助成のために提供したいとの申し出があった。
さらに、エーザイ株式会社から、創業25周年を記念して、社業収益の一部を社会還元して科学振興に
役立てるべく、1億円を提供する旨、申し出があった。
よってここに、財団法人内藤記念科学振興財団を設立し、人類の疾病の予防と治療に関する自然科学
の研究を奨励し、もって学術の振興と人類の福祉に寄与せんとするものである。当財団の事業が、これ
ら研究者の研究の一助になりうるならば、発起人一同の喜びは、このうえもないところである。
昭和44年2月26日
設立発起人 緒方知三郎 内藤 豊次 石橋 長英 内藤 祐次 高木 誠司
田辺 普 森 高次郎
設立年月日 昭和44年4月7日 内藤財団時報 第91号 目次
内藤記念科学振興財団 設立趣意書
69
巻頭言 ─ 若い研究者のために ─ ○
ライフワークを探して
濱田 博司……………………………………………………………………… 2
2012年度事業活動
1) 1 年の歩み… …………………………………………………………………… 4
2)トピックス… …………………………………………………………………… 6
3)助成事業 … …………………………………………………………………… 7
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧 ……………………… 8
内藤記念科学振興賞受賞者一覧 ………………………………………………… 28
助成金受領から10年を経て
〜 2003年度内藤記念科学奨励金・研究助成受領者からのメッセージ 〜 …… 32
石井 功
小川 英知
久保 健雄
大利 徹
原田 彰宏
稲垣 昌樹
片岡 孝夫
久保 義弘
高木 淳一
深見希代子
井上 邦夫
蒲池 雄介
桑野 良一
徳永 文稔
星 美奈子
大野 博司
康 東天
駒田 雅之
南部 篤
宮崎 敏樹
緒方 正人
清田 洋正
鈴木 利治
秦野 伸二
柚㟢 通介
2012年度内藤コンファレンス開催報告
第33回内藤コンファレンス「酸素生物学」
… ………………………………………
プログラム…………………………………………………………………………
組織委員長(山本 雅之)報告…………………………………………………
参加印象記…………………………………………………………………………
45
46
49
58
… ………………………………
第34回内藤コンファレンス「感染・炎症・免疫」
プログラム…………………………………………………………………………
組織委員長(笹川 千尋)報告…………………………………………………
参加印象記…………………………………………………………………………
63
64
67
77
安保 真裕
武田 憲彦
上原 孝
冨田 修平
小林 匡洋
西田 基宏
澤 智裕
山口奈美子
田口 恵子
山本 雄広
伊藤 利洋
篠田 健太
金谷 高史
鈴木 信弘
河本 新平
中尾 龍馬
桑江 朝臣
中川 竜介
佐々木 潤
安田 好文
内藤コンファレンスの歩み ……………………………………………………… 82
2013年度内藤コンファレンス ……………………………………………………… 86
2013年度助成事業 …………………………………………………………………… 89
ご寄附者名簿 ……………………………………………………………………… 98
ご寄附をお寄せくださる方に …………………………………………………… 101
2013年度役員および評議員・選考委員・名誉理事 ……………………………… 102
(敬称略)
巻 頭 言
若 い 研 究 者 の た め に 69
ライフワークを探して
大阪大学大学院 生命機能研究科 濱田 博司
ライフワークとなる研究テーマを見つけるこ
で掴む場合も多いのではないでしょうか。
とは、これから独立した研究者を目指す人、あ
とは言え、ライフワークのテーマに至る経
るいは研究室を主宰して間もない人にとって、
緯を無理やり 4 つのタイプに分けてみました
たいへん重要な問題です。では、ライフワーク
(図 1 )
。どのタイプが良いという議論は、意
に値するテーマを、どのように探せば良いので
味がありません。
しょうか?私には、とても普遍的なことなどは
言えませんから、自分の経験に沿った勝手な見
①『垂直型』:初志貫徹型です。キャリアの早
い時期(大学院〜ポスドク)で研究したテー
方を書かせてもらいます。
マがあまりにも面白かったので、生涯に渡り
1 )テーマの“良し悪し”
:
直線的に深めるタイプです。数は少ないと思
どのようなテーマを選ぶべきか?
いますが、畏敬の念を持たざるをえません。
当然ですが、自分が『面白い!』と思うテー
②『水平型』:ある重要な発見をしたとき、そ
マでなければ、長続きしません。何を面白い
れを水平に拡げます。たとえば、ある生物で
と感じるかは十人十色ですから、
『これは面白
見つけた現象を、広く他の生物種へ広げる、
い!』と思えることが先決です。さらに、
『こ
あるいは、ある遺伝子の機能を種々の局面へ
と広げる。広い視野と知識が必要です。
れは重要な問題だ!』
と信じることができれば、
最強です。直感ですぐに面白いと思う場合もあ
③『分岐型』:従来の研究から得られた結果に
りますが、研究をしていて徐々に面白みが増し
沿って、必要であればテーマを変えます。往々
て来ることも多いはずです。一方で、実はどん
にして、予 期しなかったデータ( 副 産 物 )が
なテーマも面白いのかもしれません(私は、あ
元来の目的よりも重要な意味を持っている場
るテーマを面白いと感じることができない場
合があります。このタイプで必要となるの
合、そのテーマを理解できていないのが原因だ
は、副産物を見逃さないことと、どちらが重
と思っています)
。
『面白い!』だけではテーマ
要かを見抜く力です(どちらが重要だったか
にできない状況は理解できますが、優先順位の
は、判る術も無いですが)。これを間違うと、
1 番であることは間違いありません。
middle of nowhereへ行ってしまいます。
④『ひらめき型』
:過去の研究・実験系を捨て
2 )テーマを選ぶ経緯
去って、全く新しいテーマへと変換します。
そもそも研究テーマは、頭で考えて選ぶもの
泥沼の状況を打開するためもありますが、1
でしょうか?机上で文献を検索しながら必死に
分野を開拓した人が新たな分野へジャンプす
なってONLY ONEのテーマを探す場合もあり
るケースもあります。若い人にとっては、大
ますが、得られた研究結果に沿って自然の流れ
きなリスクを伴い、綿密な戦略が必要と思い
─2─
巻頭言 ─若い研究者のために─ 69 (図1)
ますが、何よりも挑戦する姿勢が大切です。
強いて言えば、最初に独立した時は人生の大
勝負ですから、私なりに研究テーマについて頭
3 )筆者の例
をひねりました。
私は特別の成功例ではないので偉そうなこと
は言えませんが、振り返ってみると全体的には
私がNIHでポスドクをしていた頃(1979〜
『分岐型』です。学部生時代の癌への興味→→
84)、周辺でたくさんのセミナーが催されてお
大学院(当時徳島大学〜癌研の村松正實先生の
り、今から思うと歴史的なセミナーも数多くあ
研究室)でのRNAの構造解析→→NIHのポス
りました。ある時から私は(アメリカで独立し
ドク時代の遺伝子クローニング→→カナダの田
ようと思い立った頃)
、セミナーを聴く際に実
舎の大学で独立して、培養細胞を使ったエンハ
験結果などの話しの内容よりも、研究者の方に
ンサートラップの開発→→エンハンサートラッ
興味を持つようになりました。この人は、どの
プ法を利用して、細胞分化を制御する転写因子
ような背景・経緯・動機でこの研究に至ったか、
の単離→→マウス個体を用いた胚発生研究へと
ということです。また少し分野が異なる論文を
転換→→転写因子の研究の副産物としてLefty
読む際でも、この論文に至る経緯の方が気にな
を同定→→以来、非対称性が生じる機構をライ
ります。Pubmedで簡単に論文検索ができるよ
フワークとして研究。最初の20年は分岐型、残
うになってからは、興味のある人の研究の歴史
りの20年弱は垂直型という、良くある例です。
を探ることもできます。その人が、それぞれの
たくさんの分岐点がありますが、どれも日々の
研究の分岐点で何を考えたのかを想像すること
研究結果(運)に沿った自然な選択で、悩んだ
が、自分の研究方向を見極めるために役立つか
記憶はありません(それがいけなかったという
もしれません。
反省もあります)
。
─3─
2012年度事業活動
2012年度事業活動
1)1 年の歩み
2012年(平成24年)
4月 4日
20日
第36回内藤コンファレンス第 1 回組織委員会
第35回内藤コンファレンス第 1 回組織委員会
5 月14日
21日
28日
30日
監査報告会
若手研究者海外派遣助成金(夏季)および講演助成金(夏季)募集締切
第34回内藤コンファレンス第 4 回組織委員会
第 1 回理事会および定時評議員会
6月 1日
科学奨励金・研究助成、科学奨励金・若手ステップアップ研究助成、
女性研究者研究助成、海外学者招聘助成金(前期)募集締切
18日
若手研究者海外派遣助成金(夏季)審査会および講演助成金(夏季)
審査委員会
20日
第 1 回選考分担割当会議
25日〜 7 月13日 第 1 回選考書面審査
26日〜29日
第33回内藤コンファレンス開催
28日
特定研究助成金(ポスター)選考委員会
7 月17日
27日
31日
第 1 回資産運用委員会
第35回内藤コンファレンス第 2 回組織委員会
第 1 回選考委員会
8 月20日
24日
若手研究者海外派遣助成金(秋季)および講演助成金(秋季)募集締切
科学奨励金・若手ステップアップ研究助成面接選考会
9月 5日
7日
第 2 回理事会、内藤財団時報(第90号)発行
若手研究者海外派遣助成金(秋季)審査会および講演助成金(秋季)
審査委員会
第36回内藤コンファレンス第 2 回組織委員会
13日
─4─
2012年度事業活動
10月 1 日
10日
16日〜19日
18日
内藤記念科学振興賞推薦および海外研究留学助成金、海外学者招聘
助成金(後期)、女性研究者研究助成( 3 年目継続)募集締切
第 1 回内藤コンファレンス新規テーマ選定委員会
第34回内藤コンファレンス開催
特定研究助成金(ポスター)選考委員会
11月 1 日
20日
20日
21日
8 日〜30日
第 2 回選考分担割当会議
第35回内藤コンファレンス第 3 回組織委員会
若手研究者海外派遣助成金(冬季)および講演助成金(冬季)募集締切
第 2 回内藤コンファレンス新規テーマ選定委員会
第 2 回選考書面審査
12月14日
20日
第 2 回資産運用委員会
第 2 回選考委員会
2013年(平成25年)
1 月10日
25日
第 3 回理事会
第35回内藤コンファレンス第4回組織委員会
2 月20日
若手研究者海外派遣助成金(春季)および講演助成金(春季)
募集締切
内藤記念科学振興賞受賞記念科学講演会
22日
3 月19日
2012年度(第44回)内藤記念科学振興財団贈呈式
内藤財団時報(第91号)発行
─5─
2012年度事業活動
2)トピックス
2−1)助成金事業の見直し
2012年度は、財団の設立趣意に則り、わが国における自然科学の発展に一層の貢献を期
すとともに、公益財団法人として求められる「収支の相償」を果たすために、助成金事業
の拡大に取り組みました。
科学奨励金・研究助成は、採択件数を昨年度80件から100件へと増やしました。女性研
究者研究助成金についても、採択件数を昨年度10件から20件へと倍増させました。海外研
究者留学助成金は、一件あたり100万円の助成を、今年度より300万円に増額することにい
たしました。
2−2)内藤コンファレンスの開催
2012年度の内藤コンファレンスは、計画どおり 6 月と10月に 2 回開催され、成功裡に終え
ることができました。それぞれのコンファレンスで組織委員長をつとめられた、山本雅之先生
ならびに笹川千尋先生からいただいた開催報告を本誌に掲載しております。また、コン
ファレンスに参加された方々から、コンファレンス参加印象記としてそれぞれの思いをお
寄せいただいております。来年度に開催を予定する35回および36回コンファレンスは、組
織委員を中心にその概要が決定され、着々と準備が進んでおります。2014年度に計画する
第37回ならびに38回のコンファレンスも、組織委員会が編成され、開催に向けて第一歩を
踏み出しました。また、2015年から2017年にかけて開催を計画する 6 回の内藤コンファレ
ンスについても、取り上げる研究テーマならびに組織委員長候補者を決定いたしました。
2−3)財団運営面での改善活動
財団の活動内容をよりわかりやすく、タイムリーに情報発信するために、財団ウェブ
ページのリニューアルを行いました。研究助成の申請を希望する方々や、内藤コンファレ
ンスへ参加をお考えの研究者等、閲覧者の皆様にとって、必要とする情報にアクセスしやす
く、より利便性が高いウェブページへと衣替えをいたしました。今後も公益財団法人とし
て、適正な情報開示とともに透明性高く公正な財団運営を行っていく所存です。
─6─
2012年度事業活動
3)助成事業
2012年度(平成24年度)は、各種助成金の募集に対して、科学振興賞10件、科学奨励金・
研究助成334件、科学奨励金・若手ステップアップ研究助成20件、特定研究助成金130件、
海外研究留学助成金74件、女性研究者研究助成金70件、海外学者招聘助成金 7 件、若手研
究者海外派遣助成金35件、講演助成金17件の応募がありました。
選考委員会、審査会、審査委員会および各組織委員会で厳正な選考が行われ、理事会に
おいて2012年度の研究助成が決定いたしました。2012年度(継続分を含む)に採択され
た助成の内訳は下記のとおりであり、総件数237件、助成金総額 5 億65万円が贈呈されま
した。
1969年(昭和44年)の財団設立以来、科学振興賞をはじめとする今年度までに贈呈した
各種助成の累計は5,208件、総額61億7,896万円となり、我が国の自然科学の基礎研究の振
興に役立ててまいりました。
内藤記念科学振興賞・助成金一覧
第44回内藤記念科学振興賞
1 件
1,000万円
100件
3億円
第 2 回内藤記念科学奨励金・若手ステップアップ研究助成
3 件
1,400万円
2011年度からの継続分
3 件
800万円
第 7 回女性研究者研究助成金
20件
4,000万円
2010年度からの継続分
15件
3,500万円
第44回内藤記念海外学者招聘助成金
7 件
410万円
第29回内藤記念海外研究留学助成金
15件
4,500万円
第12回内藤記念若手研究者海外派遣助成金
26件
805万円
第40回内藤記念講演助成金
17件
850万円
第41回内藤記念特定研究助成金
30件
2,800万円
第44回内藤記念科学奨励金・研究助成
合 計
237件
─7─
5億65万円
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
(敬称略)
第44回(2012年度)内藤記念科学振興賞
(万円)
研 究 者
研 究 テ ー マ
兵庫県立大学大学院生命理学研究科 X線結晶構造解析による生体超分子の構造形成
特任教授
つきはら
とみたけ
月原 冨武 と作動機構の研究
褒賞額
1,000
第44回(2012年度)内藤記念科学奨励金・研究助成
(万円)
研 究 者
研 究 テ ー マ
東京医科歯科大学難治疾患研究所
准教授
あいざわ
熊本県立大学環境共生学部
准教授
あお き
とも こ
あお き
まさひろ
把握運動の左右非対称における課題特異性と
マウス生体を用いた新規大腸がん転移抑制因子の
青木 正博 探索
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
講師
手綱核によるストレス感受性の制御機構
青木 朋子 利き手形成機序の探索
愛知県がんセンター研究所
部長
ひのでり
相澤 秀紀
い ざわ
よし こ
伊澤 佳子
霊長類高次脳は行動を如何に制御するか
奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科 標的細胞中で発現しない遺伝子をランダムに
准教授
いし だ
やすまさ
石田 靖雅 破壊する手法の開発
九州大学生体防御医学研究所
准教授
昭和薬科大学
教授
いしたに
とおる
いし ど
さとし
石谷 太 制御機構の解明
い とう
ふみ こ
伊東 史子
東京大学大学院総合文化研究科
助教
うえはら
りょう た
腫瘍血管内皮細胞、リンパ管内皮細胞においてTGF-βシグナル依存的に発現が変動
する分子群の役割を探索し、腫瘍血管・リンパ管新生を調節する細胞間・分子間相互
ネットワークを解明して、腫瘍増殖・転移抑制につながる新規抗腫瘍薬の開発を目指す
細胞質分裂における微小管動態制御による
上原 亮太 分裂面制御機構の研究
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
教授
ユビキチン化による膜タンパク質の輸送・分解
石戸 聡 制御機構の物理モデルの構築とシステム解析
東京薬科大学生命科学部
准教授
器官構築を支えるWntシグナルの時空間活性
う どのへいいちろう
鵜殿平一郎
FcγRI/HSP受容体に関する研究
─8─
助成額
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
(万円)
研 究 者
香川大学医学部
研 究 テ ー マ
う やま
とおる
新規脂質代謝酵素群PLA/ATファミリーの
宇山 徹 生物学的機能の解析
助教
熊本大学大学院生命科学研究部
お いけ
ゆういち
エピゲノム解析によるがんの発症・進展に
尾池 雄一 関わる慢性炎症の分子基盤解明
教授
九州大学大学院薬学研究院
おおしま
たか し
触媒的アミド結合切断反応を基軸とする
大嶋 孝志 環境調和型触媒反応の開発
教授
東京医科歯科大学歯と骨のグローバルCOEプログラム アゴニスト選択性腸管上皮間リンパ球の
おおほら
まさつぐ
おく の
たか し
大洞 将嗣 分化制御機構と生理的機能の解明
特任准教授
山形大学理学部
奥野 貴士 がん細胞浸潤の制御機構の解明
准教授
東北大学大学院医学系研究科
おちあい
きょう こ
名古屋大学大学院工学研究科
かし だ
ひろむ
東海大学工学部
かたやま
ひでかず
帯広畜産大学原虫病研究センター
か とうけん た ろう
特任准教授
造血幹細胞を用いたマラリア原虫の
加藤健太郎 赤血球感染レセプターの解析
金沢医科大学医学部
教授
か とう
のぶ お
うつ病・アルツハイマー病発症連関に関する
加藤 伸郎 基礎的研究
東京大学大学院薬学系研究科
特任准教授
か とう
まさる
かなざわ
いっぺい
光開裂性ナノ粒子を用いた細胞内タンパク質の
加藤 大 機能解析
島根大学医学部
エネルギー代謝調節因子AMPKは骨代謝を制御し、
金沢 一平 骨と糖代謝を結ぶ重要な因子となりうるか?
岡山大学大学院自然科学研究科
かなやま
なお き
抗体遺伝子の多様化におけるスプライシング
金山 直樹 因子SRSF1の新規機能の解明
山口大学大学院理工学研究科
か み じょう
しん
3 次元分子構造の構築を高効率化する
上條 真 次世代型クロスカップリング反応の開発
長崎大学熱帯医学研究所
准教授
ダニ唾液由来の糖タンパク質Evasin-1の
片山 秀和 化学合成
講師
准教授
塩基欠失多型を高感度に検出する
樫田 啓 蛍光性核酸プローブの開発
講師
准教授
動的エピジェネティクスから解明する
落合 恭子 細胞分化のダイナミクス
助教
助教
細胞膜表面のアクチン繊維による
ゲノミックスを用いたマラリアワクチン候補
カレトン リチャード 分子の同定
─9─
助成額
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
(万円)
研 究 者
研 究 テ ー マ
静岡大学創造科学技術大学院
教授
かわぎし
同志社大学高等研究教育機構
准教授
ひろかず
河岸 洋和
かわぐち
しん や
かわむら
いずる
きたがわ
だいじゅ
北川 大樹
群馬大学生体調節研究所
教授
固体NMRによる細胞膜環境中でのレチナールを発色団
川村 出 とする7本膜貫通型-光受容膜タンパク質の立体構造解析
情報・システム研究機構国立遺伝学研究所
特任准教授
小脳皮質神経回路における運動学習痕跡の
川口 真也 可視化法開発
横浜国立大学大学院工学研究院
助教
食用キノコによる急性脳症発症の分子機構解明
きたむら
ただひろ
中心小体複製ライセンス化の分子機構の解明
膵α細胞の視点から2型糖尿病の病態を分子レベルで解明する
北村 忠弘 ~新規開発グルカゴン測定系を用いて~
東京工業大学大学院理工学研究科 アミノグリコシド抗生物質生合成における
准教授
く どう
ふみたか
工藤 史貴 特異修飾酵素の機能解明と応用
北海道大学大学院薬学研究院
准教授
く
ぼ
た たかあき
久保田高明 炭素鎖伸張メカニズムの解明と利用
早稲田大学理工学術院
教授
渦鞭毛藻のポリケチド生合成における特異な
く る み ざ か ひと し
染色体異数性を防ぐセントロメア領域の形成
胡桃坂仁志 および維持機構に関する研究
産業技術総合研究所幹細胞工学研究センター 糖尿病下での幹細胞およびニッチ細胞の
主任研究員
くわばら
とも こ
桑原 知子 制御機構の解析
大阪大学微生物病研究所
助教
こ だま
とし お
児玉 年央 エフェクターの役割解析
弘前大学農学生命科学部
准教授
腸炎ビブリオの腸管感染におけるT3SS2
こばやし
かず や
扁形動物プラナリアに含まれる有性化因子の単離・同定:
小林 一也 無性生殖から有性生殖への転換機構解明のために
松本歯科大学総合歯科医学研究所 骨吸収を制御するWnt5aシグナルネットワークの
准教授
こばやし
やすひろ
小林 泰浩 解明と炎症性骨疾患の治療法の開発
千葉大学真菌医学研究センター
特任准教授
さいじょう
奈良県立医科大学医学部
教授
さいとう
よしひこ
サイトカインによる生体恒常性維持機構の解明
心腎連関分子機序の解明とそれを用いた
斎藤 能彦 新しい医療法の開発
北海道大学大学院医学研究科
教授
しのぶ
西城 忍
さ
さ
き ひでなお
ゲノムコピー数多型解析による多系統萎縮症の
佐々木秀直 発症素因遺伝子解明に関する研究
─ 10 ─
助成額
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
(万円)
研 究 者
研 究 テ ー マ
東京大学大学院総合文化研究科
准教授
さ とう
さ とう
けんいち
佐藤 賢一
慶應義塾大学理工学部
専任講師
小胞輸送システムによる
佐藤 健 生体分子選別輸送機構の解析 宮城県立がんセンター研究所
部長
けん
さ とう
たかあき
人工がん幹細胞の作製と微小環境による制御
アルコキシアミド基を用いた含窒素化合物の
佐藤 隆章 短段階合成法の開発
大阪府立大学大学院理学系研究科 骨格筋における糖取り込み誘導メカニズムの
教授
山形大学農学部
教授
さ とう
たか や
さ とう
ひで よ
佐藤 孝哉 解明とその応用
佐藤 英世 トランスポーター(xCT)の役割の解明
東京大学大学院理学系研究科
助教
さ とう
まさみつ
さわ
しんいちろう
澤 新一郎
北海道大学遺伝子病制御研究所
准教授
微小管形成メカニズムの解明および
佐藤 政充 新規細胞分裂マテリアルとしての応用
東京大学大学院医学系研究科
助教
癌幹細胞におけるシスチン・グルタミン酸
じ ぬし
まさひさ
マウス腸管免疫系形成機構の解明
ミエロイド細胞の自然免疫活性制御機構に着目した、
地主 将久 あらたな生活習慣病発症予測マーカーの開発
長浜バイオ大学バイオサイエンス学部 腸管由来IgA抗体による腸内細菌制御機構の
教授
しんくら
れい こ
新蔵 礼子 解明と炎症性腸疾患治療への応用
京都府立医科大学大学院医学研究科 新規抗がん剤を目指したヒストン脱メチル化
教授
浜松医科大学医学部
准教授
すず き
たかよし
すず き
ゆう こ
鈴木 孝禎 酵素阻害剤の創製研究
鈴木 優子 内因性線溶活性増強機構の解明
国立長寿医療研究センター研究所
室長
すみおか
あき お
AMPA型グルタミン酸受容体のシナプス外型補助
住岡 暁夫 サブユニットによるシナプス可塑性の制御機構
千葉大学大学院融合科学研究科
助教
血管内皮細胞における
たか の
かずのり
心疾患の病因となる筋原線維形成異常の機序の
高野 和儀 解明
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 ワンポット環状化合物合成法を鍵段階とする
助教
たかはし
東北大学大学院薬学研究科
准教授
けいすけ
高橋 圭介 創薬リード天然物の合成研究
たかはし
のぶゆき
ニコチンアミドとその関連物質の
高橋 信行 妊娠高血圧腎症治療における役割
─ 11 ─
助成額
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
(万円)
研 究 者
研 究 テ ー マ
神戸大学大学院医学研究科
講師
たかはし
ゆたか
高橋 裕 作用と臨床応用
京都大学ウイルス研究所
教授
たけうち
おさむ
昭和大学薬学部
准教授
自然免疫活性化における
竹内 理 転写後調節メカニズムの解析
東北大学加齢医学研究所
助教
成長ホルモン、IGF-Iの肝臓における新たな
たけうち
ひかる
た なか
のぶただ
有酸素運動の認知訓練が起こす可塑性に対する
竹内 光 効果に関する研究
ホスミドマイシン標的酵素の精密立体構造
田中 信忠 解析に基づく新規抗マラリア薬開発
長岡技術科学大学産学融合トップランナー養成センター 細胞機能の人工操作のための局在性リガンドの
特任准教授
つき じ
しん や
築地 真也 開拓
産業技術総合研究所バイオメディカル研究部門 RNAウイルスゲノムの複製・転写における
研究グループ長
鳥取大学医学部
教授
とみ た
こうぞう
とみ た
しゅうへい
富田 耕造 宿主因子の役割の全解明
冨田 修平 その応用
北九州市立大学国際環境工学部
教授
腫瘍血管を正常血管に転換する因子の同定と
なかざわ
こう じ
マイクロパターニング培養を利用した
中澤 浩二 スフェロイド間相互作用の解析
島根大学大学院総合理工学研究科 不斉エステル化反応を鍵工程とする
助教
なか た
けん や
中田 健也 生理活性化合物の二方向性合成
東京大学大学院新領域創成科学研究科 生合成できない栄養素の栄養要求性に依存する
准教授
なが た
しん じ
永田 晋治 本能的な選択性摂食行動に関わる基礎研究
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 光制御分子を用いた神経細胞極性形成の
教授
徳島文理大学薬学部
教授
なか た
たか お
ながはま
まさひろ
中田 隆夫 in vivo biochemistry
永浜 政博 対する作用と病原性発現のストラテジー解析
名古屋市立大学大学院薬学研究科
教授
なかむら
筑波大学生命環境系
准教授
せいいち
中村 精一
和歌山県立医科大学医学部
教授
低分子量G蛋白質修飾毒素の細胞骨格ダイナミクスに
にし お
ま
ち
こ
抗腫瘍性サポニン類の化学合成と活性評価
ウイルス感染によりおこる宿主細胞の
西尾真智子 アポトーシスを阻害するウイルス側の対抗機構
に
わ
りゅうすけ
ステロイドホルモン生合成を調節する液性因子
丹羽 隆介 ネットワークとその個体発育における役割の解明
─ 12 ─
助成額
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
(万円)
研 究 者
東京大学生産技術研究所
特任助教
ね ぎし
筑波大学医学医療系
准教授
ひで お
は
せ
こう じ
は せ が わ
ひろし
長谷川 潤
はら だ
ようすけ
ひ
だ
きょう こ
濾胞性ヘルパーT細胞(TFH)におけるIL-4産生機構
がん微小環境における腫瘍血管内皮の
樋田 京子 異常性獲得機構の解明と新しいがん治療法への応用
名古屋大学生物機能開発利用研究センター
教授
神経軸索再生を標的とした創薬シーズの探索
原田 陽介 および抗体産生に対するTFH細胞の役割の解明
北海道大学大学院歯学研究科
特任准教授
粘膜免疫恒常性を維持する上皮バリアの
長谷 耕二 構築メカニズム
東京理科大学生命医科学研究所
助教
ウイルス感染によるTLRシグナルを介したI型
根岸 英雄 IFN誘導の抑制機構の解明
東京大学医科学研究所
特任教授
研 究 テ ー マ
ひ
び
まさひこ
日比 正彦
小脳神経回路形成の分子機構の解明
国立循環器病研究センター研究所 スフィンゴシン1-リン酸の血管系における
室長
ふくはら
しげとも
福原 茂朋 生理的および病的役割の解明
大阪大学大学院医学系研究科
助教
北里大学薬学部
助教
ふじわらゆういちろう
電位依存性チャネルの膜電位感知機構の
藤原祐一郎 統合的理解
ふじわら
りょういち
薬物代謝酵素UDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)を中心とする
藤原 亮一 メタボロソーム形成の解明およびそのUGT酵素活性への影響
東京医科歯科大学生体材料工学研究所 生物発光プローブによる新しい一酸化窒素
教授
ほそ や
東京大学大学院医学系研究科
講師
たかみつ
細谷 孝充 検出系の開発
ほそ や
のり こ
細谷 紀子 開発
福井大学テニュアトラック推進本部
特命助教
DNA損傷応答機能の特性に基づいたがん治療の
ほん だ
しん じ
アカパンカビにおけるヘテロクロマチンの
本田 信治 境界を制御する新規蛋白質DMM-3の解析
東京都医学総合研究所ゲノム医科学研究分野 核内染色体高次構築の制御による胚性幹細胞の
センター長
まさ い
ひさ お
正井 久雄 未分化状態/全能性維持のメカニズムの研究
東京工業大学バイオ研究基盤支援総合センター
准教授
ます だ
しん じ
増田 真二
遺伝子発現を光で制御する技術の開発
広島大学原爆放射線医科学研究所 紡錘体作動薬剤抵抗性腫瘍の合成致死性を
教授
まつうら
しん や
松浦 伸也 利用した新規標的薬剤の開発
─ 13 ─
助成額
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
(万円)
研 究 者
研 究 テ ー マ
大阪府立母子保健総合医療センター研究所 細胞外微小環境による哺乳動物初期胚細胞の
部長
まつ お
いさお
松尾 勲 運命制御機構の解析
北海道大学大学院薬学研究院
教授
まつ だ
まつばら
りょうすけ
み その う ひろあき
むらかみ
まさあき
もり た
ひろゆき
新規生理活性物質の創出を目指した
森田 洋行 インドールプレニル基転移酵素の超精密機能解析
理化学研究所基幹研究所
副チームリーダー
交感神経の活性化を介した血液脳関門への
村上 正晃 免疫細胞の侵入口の人為的形成
富山大学和漢医薬学総合研究所
教授
神経細胞におけるイオンチャネル
御園生裕明 輸送メカニズムの包括的解明
大阪大学大学院生命機能研究科
准教授
フロキサン構造を有するNOドナー医薬品の
松原 亮介 開発
同志社大学大学院脳科学研究科
教授
炎症・免疫応答シグナルにおける
松田 正 新規アダプター蛋白の重要性
神戸大学大学院理学研究科
准教授
ただし
やま だ
よういち
PET診断薬開発を志向した
山田 陽一 瞬間的マイクロフロー触媒システムの開発
東京大学大学院新領域創成科学研究科 酵素標識抗体およびマトリックス前駆体を用いた
教授
やまもと
かず お
山本 一夫 新規質量イメージング手法の確立
名古屋大学大学院創薬科学研究科 ユビキタス小分子の高度活用を基盤とする
教授
やまもと
順天堂大学大学院医学研究科
教授
よこみぞ
よし だ
よし だ
きよつぐ
腫瘍悪性化の分子機構解明と診断・治療への
ともゆき
ヒトの老化現象を解明するための類人猿を用いた
吉田 友教 老化関連遺伝子機能の解明と応用に関する研究
兵庫医科大学先端医学研究所
教授
12-HHT産生阻害を介した非ステロイド性
吉田 清嗣 応用展開
京都大学霊長類研究所
特定助教
たけひこ
横溝 岳彦 消炎鎮痛剤の新しい作用機序の解明
東京慈恵会医科大学医学部
教授
よしひこ
山本 芳彦 生理機能分子迅速構築触媒システムの開発
よしもと
ともひろ
アレルギー性鼻炎発症機序の解明と
善本 知広 新規治療薬の開発
自然科学研究機構基礎生物学研究所 髄鞘化による神経回路情報処理の効率化と
助教
わ
け
ひろあき
和氣 弘明 その破綻による精神・神経疾患
岡山大学大学院自然科学研究科
助教
わたなべ
かずのり
熱ストレス誘導によるtRNA凝集体の
渡邉 和則 形成機構の解明
─ 14 ─
助成額
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
300
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
第 2 回(2012年度)内藤記念科学奨励金・若手ステップアップ研究助成
(万円)
研 究 者
東京大学医科学研究所
きむ
研 究 テ ー マ
み ん す
金 玟秀
特任准教授
京都大学iPS細胞研究所
さいとう
特定准教授
ひろひで
病原細菌感染における宿主応答の解明
人工RNAの細胞内導入による
齊藤 博英 遺伝子操作技術体系の確立
九州大学大学院薬学研究院
にし だ
准教授
もとひろ
脂質活性化型TRPCチャネルによる
西田 基宏 心循環ホメオスタシス制御機構の解明
助成額
1,000
1,000
1,000
第 1 回 内藤記念科学奨励金・若手ステップアップ研究助成( 2 年目 2011年度からの継続)
研 究 者
研 究 テ ー マ
千葉大学大学院薬学研究院
あら い
みどり
荒井 緑
准教授
天然物基盤神経幹細胞モジュレーターの探索と創製
東京医科歯科大学難治疾患研究所 概日リズムによる生理機能制御における時計蛋白質の
ひらやま
じゅん
平山 順 翻訳後修飾の役割
准教授
微生物化学研究会微生物化学研究所 細胞の運命を決める、RNA結合蛋白質と
ふじわら
としのぶ
藤原 俊伸 シグナル因子が制御する翻訳ネットワークの解明
主席研究員
第 7 回(2012年度)内藤記念女性研究者研究助成金
(万円)
研 究 者
研 究 テ ー マ
食塩感受性高血圧による腎障害の病態解明とL型脂
いけもり
あつ こ
肪酸結合蛋白(L-FABP)に注目した新規腎疾患治
池森 敦子 療薬の開発
200
血小板因子CLEC-2を介した骨髄ニッチの制御機構
石津 綾子 の解析
200
聖マリアンナ医科大学医学部
講師
慶應義塾大学医学部
特任助教
いし ず
あや こ
東京大学大学院理学系研究科
准教授
い とう
助教
新潟大学脳研究所
助教
おおはし
きょうこ
伊藤(大橋)恭子
京都大学化学研究所
助成額
植物の維管束initial cell形成機構の解明
200
転写因子様ドメイン「TALE」のDNA結合様式解
今西 未来 明と細胞時計制御への応用
200
セロトニン神経系における神経栄養因子ニューレグ
岩倉百合子 リン1とセロトニンの相互作用機序の解明
200
いまにし
いわくら ゆ
み
り
き
こ
─ 15 ─
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
(万円)
研 究 者
甲南大学理工学部
研 究 テ ー マ
おお た
あかね
動物の温度適応に関わる分泌性因子の分子生理機構
科研研究員
太田 茜
滋賀医科大学医学部
コピー数多型が関与する家族性突然死症候群の
大野 聖子 発症メカニズム解明
特任助教
おお の
せい こ
助成額
200
200
理化学研究所発生・再生科学総合研究センター 脊索動物におけるシグナル誘導型始原生殖細胞形成
くらばやし
ま き
研究員
倉林 麻貴 の分子機構解析
200
新規生理活性物質SCGB3A2の肺線維症治療薬とし
ての応用を目指した基盤研究;肺線維症改善効果の
黒谷 玲子 検証と作用機序の解明
200
Gタンパク質共役型受容体へテロ多量体形成による
新規体内時計制御機構:アデノシン受容体・P2Y受
すず き
と き こ
鈴木登紀子 容体の多量体形成の体内時計及び睡眠相後退症候群
(DSPS)との関与の解明
200
山形大学大学院理工学研究科
助教(テニュアトラック)
くろたに
れい こ
東北大学大学院薬学研究科
助教
同志社女子大学薬学部
新規治療薬の開発を目指したアルツハイマー病治療
高鳥 悠記 薬の神経保護作用機序の解明
たかとり
特別任用助教
ゆ
九州大学大学院薬学研究院
助教
き
大麻成分のがん細胞に対する細胞死誘導活性および
田畑(佐々木)香織 がん転移抑制活性に関する研究
た ばた
さ さ き
か おり
北海道大学遺伝子病制御研究所
助教
男性不妊症の原因因子としてのヘルペスウイルス前
富岡 幸子 初期蛋白質の機能解析
とみおか
ゆき こ
群馬大学生体調節研究所
研究員
冬眠による生体保護作用の分子メカニズム:冬眠モ
橋本 美穂 デルの確立と利用
はしもと
み
ほ
大阪大学大学院生命機能研究科
200
200
200
200
生細胞におけるヒストン修飾のダイナミクスの追跡
林 陽子 とゲノム安定性維持機構の解析
200
埼玉医科大学ゲノム医学研究センター Tysnd1欠損マウスを用いたペルオキシソームの機
みず の
ゆ み
特任研究員
水野 由美 能低下と神経変性疾患の発症についての解析
200
特任研究員
はやし
よう こ
千葉大学大学院医学研究院
特任研究員
ポリコーム複合体による造血機能制御とその破綻に
望月 牧子 伴う造血器腫瘍発症機構の解明
もちづき
まき こ
北海道大学大学院医学研究科
200
視交叉上核に存在する概日時計の複振動体システム
吉川(仲村)朋子 の解析
200
理化学研究所発生・再生科学総合研究センター 染色体移植技術の開発による死滅動物染色体を有す
わかやま
さや か
研究員
若山 清香 るマウスES細胞作成の試み
200
特任助教
よしかわ
なかむら
とも こ
─ 16 ─
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
(万円)
研 究 者
研 究 テ ー マ
岐阜大学大学院医学系研究科
小児における大豆イソフラボンの代謝と生活習慣病
和田 恵子 に関する研究
わ
助教
だ
けい こ
助成額
200
第 6 回 内藤記念女性研究者研究助成金( 2 年目 2011年度からの継続)
(万円)
研 究 者
研 究 テ ー マ
大阪大学大学院医学系研究科
助教
いけ だ
むらまつ
り
え
こ
池田(村松)里衣子
東京大学分子細胞生物学研究所
200
乳用雌子牛の将来の泌乳と繁殖能力に関与する
IGF-1産生能決定要因の解明〜胎子期の母牛の
川島 千帆 栄養代謝状態と遺伝形質解析からのアプローチ〜
200
ゆ
き
帯広畜産大学畜産フィールド科学センター
かわしま
助教
ち
大阪大学微生物病研究所
筑波大学医学医療系
講師
ほ
組織マクロファージの分化誘導機構、
香山 雅子 およびその生体内における機能の解析
こうやま
特任研究員
まさ こ
Hes-1による骨髄性白血病幹細胞の発生・維持の
坂田(柳元)麻実子 機構の解明
さか た
やなぎもと
ま
み
こ
新潟大学大学院医歯学総合研究科
200
200
臨界期におけるホメオ蛋白質の新しい役割
200
うつ病治療におけるセロトニン 4 型受容体
(5-HT4R)の寄与の解明
瀬木(西田)恵里
200
すぎやま
京都大学大学院薬学研究科
せ
さや か
杉山 清佳
テニュア・トラック准教授
准教授
200
In vitro組織培養系を用いた精子幹細胞移植と
岡田 由紀 ライブセルイメージング技術の開発
おか だ
特任准教授
酸素供給促進による脳神経症状の改善
助成額
ぎ
にし だ
え
り
首都大学東京大学院理工学研究科 可視光増感性金属錯体を用いた二酸化炭素の
たか お
あき こ
高尾 昭子 触媒的光分子変換反応の開発
特任准教授
200
北海道大学大学院先端生命科学研究院 生細胞相関分光法を用いたゴルジ体酵素の
ながほり
のり こ
特任助教
長堀 紀子 機能的複合体形成のダイナミクス解析
200
東北大学大学院医学系研究科
助手
まつ い
み
き
松井 美紀
ヘムをシグナルとする形質細胞分化調節機構の解明
─ 17 ─
200
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
第 5 回 内藤記念女性研究者研究助成金( 3 年目 2010年度からの継続)
(万円)
研 究 者
研 究 テ ー マ
東京農業大学応用生物科学部
お ばた
尾畑やよい
准教授
北海道大学大学院理学研究院
300
イネ及びソルガムにおけるカドミウム蓄積機構の
分子遺伝学的解明とファイトレメディエーション
永澤奈美子 への応用
300
秋田県立大学生物資源科学部
ながさわ な
助教
300
Y染色体退化と雄性機能維持メカニズムの解明
黒岩 麻里 −精子機能低下に着目して−
くろいわ
准教授
哺乳類生殖細胞におけるゲノム刷込み機構の解明
助成額
あさ と
み
こ
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 真珠腫性中耳炎に対する抗角化細胞増殖因子抗体療
ふく だ
とも み
講師
福田 智美 法の開発:新動物モデルを用いて
300
大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター システムイメージングを用いたマウス外胚葉の細胞
よし だ
ち はる
研究員
吉田 千春 運命制御機構の解明
300
第44回(2012年度) 内藤記念海外学者招聘助成金
───── 前 期 ─────
受入代表者
研 究 テ ー マ
(万円)
招聘学者
アメリカ
グリア細胞
ロチェスター大学
か とう
た だ ふ み 2013.6.19-6.23
シニアチームリーダー 加藤 忠史 Neuro 2013 プレナリー招待講演 Professor
Maiken Nedergaard
理化学研究所
脳科学総合研究センター
光イメージングの臨床応用と展望 アメリカ
2013.5.28-6.2
ハーバード大学医学部
こんどう
しな え
第 8 回日本分子イメージング Professor
近藤 科江 学会年会 基調講演
John V. Frangioni
東京工業大学
大学院生命理工学研究科
教授
助成額
60
60
アメリカにおける睡眠医学の
実際について
愛媛大学
大学院医学系研究科
2013.5.14-5.18
たにがわ
たけし
谷川 武 日本産業衛生学会総会国際
教授
シンポジウム招待講演
アメリカ
ブリガムアンドウィメンズ病院
Professor and Chair,
Charles A. Czeisler
60
リボソームの構造と機能
2013.5.25-5.30
やま ね
たかし
第
4 回回折構造生物国際シン
上席研究員 山根 隆
ポジウム2013 ノーベル賞講演
アメリカ
エール大学
Sterling Professor
Thomas A. Steitz
60
名古屋産業科学研究所
研究部
─ 18 ─
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
(万円)
受入代表者
研 究 テ ー マ
招聘学者
アメリカ
Riboswitch contol
エール大学医学部
やまもと
とも こ
2013.3.18-3.20
学府長・教授 山本 友子 第86回日本細菌学会総会招待講演 Professor
Eduardo A. Groisman
千葉大学
大学院薬学研究院
───── 後 期 ─────
受入代表者
研 究 テ ー マ
助成額
60
(万円)
招聘学者
助成額
腸内細菌と粘膜免疫の相互作用 アメリカ
コロンビア大学メディカルセンター
2013.12.10-12.15
きよ の
ひろし
Assistant Professor
第42回日本免疫学会学術集会
清野 宏
Ivaylo Ivanov
招待講演
60
アメリカ
Orphan GPCRs
カリフォルニア大学アーバイン校
こ じま
ま さ や す 2013.7.10-7.16
教授・所長 児島 将康 第31回内分泌代謝学会サマー Professor & Chair,
Department of Pharmacology
セミナーにおいての講演
Olivier Civelli
50
東京大学
医科学研究所
教授
久留米大学
分子生命科学研究所
第29回(2012年度)内藤記念海外研究留学助成金
(万円)
研 究 者
留学研究機関
カナダ トロント大学
Professor
いずみ か わ
とも み
特別契約研究員 泉川 友美 Jorge Filmus
2013.4.1-2015.3.31
神戸薬科大学薬学研究科
研究テーマ
前立腺がんにおける
glypican-6の役割の解明
助成額
300
アメリカ カリフォルニア大学サンディエゴ校
嗅覚神経回路の可塑性にお
Assistant Professor
いまよし
いたる
ける成体脳新生ニューロン
特定准教授 今吉 格 Takaki Komiyama
が果たす役割の解明
2013.10.1-2015.9.30
300
アメリカ メイヨークリニックジャクソンヴィル
順天堂大学大学院医学研究科 Associate Professor
おおがきこう た ろう
大学院生
大垣光太郎 Owen A. Ross
2013.4.1-2015.3.31
次世代シークエンサーを用
いたパーキンソン病と本態
性振戦の新規原因遺伝子探
索と病態解明
300
アメリカ ノースカロライナ大学
薬剤耐性菌の分子疫学と医
東北大学東北メディカルメガバンク機構 Professor, Director
かなもり
はじめ
療関連感染症の感染制御に
助教
金森 肇 William A. Rutala
関する研究
2013.4.1-2015.3.31
300
カナダ アルバータ大学
Professor
こ いずみ
あきひこ
客員研究員 小泉 晶彦 Todd L. Lowary
2013.5.1-2014.4.30
300
京都大学ウイルス研究所
理化学研究所基幹研究所
─ 19 ─
結核関連糖鎖の化学合成と
その生物学的活性評価
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
(万円)
研 究 者
留学研究機関
研究テーマ
アメリカ 国立衛生研究所分子イメージング部門
PET分子イメージング法を
Branch Chief
こ ばやし
まさ と
用いた精神神経疾患の病態
小林 正和 Robert B. Innis
解明と早期診断
2013.7.1-2015.6.30
金沢大学医薬保健研究域
助教
カナダ マギル大学歯学部
千葉大学大学院医学薬学府 Assistant Professor
すず き
みやこ
鈴木 都 Laura S. Stone
大学院生
2013.4.1-2014.3.31
助成額
300
骨折のない骨粗鬆症由来疼痛(骨粗
鬆性疼痛)への薬物治療の基礎的検
討 −in vivo, in vitroによる骨粗鬆性
疼痛の機序解明を含む−
300
中胚葉からの造血幹細胞発
生に必須なRunx1が制御する
転写因子コアネットワーク
の解析
300
ドイツ ハイデルベルグ大学分子生物学センター
腫瘍抑制シグナルHippo経路
東京医科歯科大学難治疾患研究所 Professor, Director
はた
しょう じ
による中心体制御機構の解
特任助教
畠 星治 Elmar Schiebel
明
2013.5.1-2016.3.31
300
ドイツ マックスプランク研究所
有機触媒を用いた不斉反応
名古屋工業大学大学院工学研究科 Professor, Managing Director
ひょう ど う
けん ご
開発と生理活性物質への
大学院生
兵藤 憲吾 Benjamin List
展開
2013.4.1-2014.3.31
300
アメリカ カリフォルニア大学アーバイン校
富山大学大学院生命融合科学教育部 Professor
も りおか
え り
博士研究員 森岡 絵里 Todd C. Holmes
2013.4.1-2014.6.30
キイロショウジョウバエ体
内時計ニューロンにおける
概日pHリズム形成過程の解
明
300
イギリス ケンブリッジ大学
自然科学研究機構分子科学研究所 Professor
や ぎ
ま ほ
特任助教
矢木 真穂 Christopher M. Dobson
2013.4.1-2014.3.31
アルツハイマー病における
糖脂質膜環境に応じたアミ
ロイドβの超分子構造形成
メカニズムの解明
300
ガン治療を個別化医療へ:ケミカ
ルゲノミクスを基盤とした小分子
プローブの探索と作用機構解明に
基づく新規ガン治療薬の創製
300
スイス スイス連邦工科大学ローザンヌ校
理化学研究所免疫アレルギー科学総合研究センター Professor
やく し じ
かみなつ い
な ゆ た
特別研究員 藥師寺(上夏井)那由他 Denis Duboule
2013.10.1-2015.9.30
四肢を形造るHox 遺伝子群の
制御機構の解明:クロマチ
ン高次構造解析からのアプ
ローチ
300
アメリカ カリフォルニア大学バークレー校
大阪大学大学院生命機能研究科 Head and F. Williams Professor
やまざき
ゆう じ
准教授
山崎 裕自 Michael Levine
2013.4.1-2015.3.31
中胚葉細胞シートにおける
Snail同調的転写と多細胞間
協調運動のインターフェイ
ス解析
300
イギリス ケンブリッジ大学ケンブリッジ医学研究所
Professor
た なか
ようすけ
田中 洋介 Bertie Gottgens
2013.4.1-2014.3.31
理化学研究所神戸研究所
研究員
アメリカ ハーバード大学
Morris Loeb Professor
やく し じ ふみ か
薬師寺文華 Stuart L. Schreiber
2013.5.1-2014.4.30
東京薬科大学薬学部
助教
─ 20 ─
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
第12回(2012年度)内藤記念若手研究者海外派遣助成金
───── 夏 季 ─────
派 遣 学 者
派 遣 先 ・ 期 間
筑波大学
39th COSPAR Scientific Assembly
大学院生命環境科学研究科
おお た ま ゆ み
インド 2012.7.17-7.22
研究生
太田真由美
東京工業大学
大学院生命理工学研究科
しもやま
あつ し
下山 敦史
助教
京都大学
霊長類研究所
つじ
や ま と
なか い
ひろゆき
辻 大和
助教
新潟大学
農学部
中井 博之
助教
大阪大学
微生物病研究所
ふくはら
たかすけ
福原 崇介
助教
ひろゆき
森田 洋行
教授
第24回 国際霊長類学会学術大会
メキシコ 2012.8.10-8.19
30
26th International Carbohydrate Symposium
スペイン 2012.7.21-7.28
35
American Society for Virology Meeting
アメリカ 2012.7.21-7.27
30
XXVIth International Conference on Polyphenols
イタリア 2012.7.21-7.27
45th Annual Meeting of the Society for Invertebrate
Pathology
やながわ
あや
柳川 綾 アルゼンチン 2012.8.4-8.16
京都大学
生存圏研究所
助教
静岡県立大学
大学院薬学研究科
大学院生
やまぐち
ま
ほ
山口 真帆
International Carbohydrate Symposium(ICS2012)
スペイン 2012.7.20-7.29
───── 秋 季 ─────
派 遣 学 者
大阪大学
大学院工学研究科
講師
あきやま
派 遣 先 ・ 期 間
よしたけ
秋山 佳丈
20
35
International Primatological Society XXIV Congress
Mexico 2012
ふ せ み え こ
地域連携研究員 布施未恵子 メキシコ 2012.8.11-8.18
もり た
助成額
26th International Carbohydrate Symposium
スペイン 2012.7.21-7.28
神戸大学
地域連携推進室
富山大学
和漢医薬学総合研究所
(万円)
International Conference on Biofabrication 2012
イギリス 2012.10.27-11.2
─ 21 ─
30
35
35
35
(万円)
助成額
35
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
(万円)
派 遣 学 者
派 遣 先 ・ 期 間
Oligonucleotide Delivery: Biology, Engineering and
Development
あさ い
ともひろ
浅井 知浩 オーストリア 2012.10.6-10.13
静岡県立大学
大学院薬学研究院
講師
東京大学医学部附属病院
ASN Kidney Week 2012 Annual Meeting
アメリカ 2012.10.31-11.5
特任臨床医 池田 四葉
いけ だ
し よう
熊本大学
大学院生命科学研究部
助教
2012年電気化学日米合同大会
上田 義勝 アメリカ 2012.10.7-10.11
25
うえ だ
お
の
よしかつ
あや こ
小野 綾子
川崎医科大学
腎臓・高血圧内科学
大学院生
かど や
ひろゆき
角谷 裕之
第63回 国際宇宙会議
イタリア 2012.9.30-10.7
35
米国腎臓学会議
アメリカ 2012.10.31-11.4
25
VII International Symposium on Natural Products Chemistry
and its Applications
し みず
くによし
清水 邦義 チリ 2012.11.1-11.10
九州大学
大学院農学研究院
助教
名古屋大学高等研究院
特任助教
CHEST 2012 Annual Meeting
アメリカ 2012.10.20-10.25
進藤有一郎
30
The 98th Scientific Assembly and Annual Meeting
of the Radiological Society of North America
田中 利恵 アメリカ 2012.11.24-12.1
30
た なか
り
え
東京工業大学
大学院総合理工学研究科
大学院生
てい
めいけつ
丁 明杰
2012 IEEE International Ultrasonics Symposium
ドイツ 2012.10.5-10.12
広島大学
大学院医歯薬学総合研究科 CHEST 2012
み すみ
け い ぞ う アメリカ 2012.10.20-10.26
大学院生
三隅 啓三
横浜市立大学医学部
助教
35
しんどうゆういちろう
金沢大学医薬保健研究域
助教
25
25
やすひろ
泉家 康宏
東北大学
大学院医学系研究科
大学院生
35
AHA Scientific Sessions 2012
アメリカ 2012.11.3-11.7
いずみ や
京都大学生存圏研究所
助教
助成額
2012 ACR/ARHP Annual Meeting
アメリカ 2012.11.10-11.15
吉見 竜介
よし み
りゅう す け
─ 22 ─
35
30
30
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
───── 冬 季 ─────
(万円)
派 遣 先 ・ 期 間
助成額
東京大学
International Conference on Mechatronics
大学院新領域創成科学研究科
あお き
も と の ぶ イタリア 2013.2.25-3.3
大学院生
青木 元伸
35
派 遣 学 者
───── 春 季 ─────
派 遣 学 者
東京大学
大学院医学系研究科
大学院生
く
の しんいちろう
久野慎一郎
(万円)
助成額
派 遣 先 ・ 期 間
Plastic Surgery Research Council 58th annual Meeting
アメリカ 2013.5.1-5.5
The 5th Conference on Computational Methods for Coupled
Problems in Science and Engineering(COUPLED 2013)
つぼ た
けんいち
坪田 健一 スペイン 2013.6.15-6.20
千葉大学
大学院工学研究科
准教授
2013 ASBMB Annual Meeting
(Experimental Biology 2013)
み うら
なつ こ
教務補佐員 三浦 夏子 アメリカ 2013.4.19-4.26
京都大学
大学院農学研究科
25
35
30
第40回(2012年度)内藤記念講演助成金
───── 夏 季 ─────
開催責任者
会 議 名
岡山大学異分野融合先端研究コア
コア長
しし ど
まさひこ
宍戸 昌彦
奈良先端科学技術大学院大学
バイオサイエンス研究科
教授
たかまつ
てつろう
つ たに き いちろう
助成額
北海道
2012.9.10-9.14
50
第15回国際分子・植物・微生物相 京都府
互作用学会
2012.7.29-8.2
50
第14回国際組織細胞化学会議
京都府
2012.8.26-8.29
50
日本薬史学会柴田フォーラム
東京都
2012.8.4-8.4
50
高松 哲郎
東京大学
大学院薬学系研究科
特任教授
こう
島本 功
京都府立医科大学
大学院医学研究科
副学長、教授
しまもと
第14回赤堀コンファレンス
(万円)
開催場所
津谷喜一郎
─ 23 ─
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
───── 秋 季 ─────
会 議 名
開催責任者
東北大学
大学院理学研究科
教授
(万円)
開催場所
The 1st International Symposium on
京都府
Chemistry of Natural Products: Target
うえ だ
みのる
2012.10.31-11.1
上田 実 ID and Regulation of Bioactivity
50
第10回 RCGM フロンティア国際シン
埼玉県
ポジウム ゲノム情報と細胞システム
おかざき
やす し
2012.11.2-11.3
岡﨑 康司 ~疾患制御に向けた新展開~
50
埼玉医科大学
ゲノム医学研究センター
所長
東京大学
大学院医学系研究科
東京都
2012.10.22-10.27
50
3rd International Symposium on Health
Hazards of Arsenic Contamination of
宮崎県
Groundwater and Its Countermeasures
しおもりこういちろう
2012.11.22-11.24
塩盛弘一郎 (第3回宮崎大学国際砒素シンポジウム
~ 持続可能な社会の発展を目指して ~)
50
かどわき
たかし
門脇 孝
教授
宮崎大学
工学部
准教授
理化学研究所播磨研究所
主任研究員
キーストン・シンポジア
(Aging and Diseases of Aging)
チトクロムP450発見50周年記念
城 宜嗣 シンポジウム
しろ
よしつぐ
福岡県
2012.12.2-12.3
京都大学
大学院医学研究科
教授
50
第 2 回国際シンポジウム アディポメディ
京都府
シンのトランスレーショナルサイエンスと
なか お
かず わ
2012.10.13-10.14
中尾 一和 臨床疫学 −脂肪萎縮症から肥満まで−
50
国際シナプス研究会 神経疾患に
愛知県
おけるシナプス病態の包括的理解
ひら い
ひろかず
2012.11.8-11.9
平井 宏和 に向けて
50
群馬大学
大学院医学系研究科
教授
大阪大学
第6回 オートファジーに関する
大学院生命機能研究科・医学系研究科(兼)
よしもり
たもつ 国際会議
教授
吉森 保
沖縄県
2012.10.28-11.1
───── 春 季 ─────
開催責任者
慶應義塾大学
医学部
教授
50
第 8 回国際3Rシンポジウム
兵庫県
(International Symposium on DNA
すがさわ
かおる
2012.11.25-11.28
菅澤 薫 Replication, Recombination and Repair)
神戸大学
自然科学系先端融合研究環
教授
助成額
会 議 名
6th International Workshops
of Kyoto T Cell Conference
こ やす
しげ お
(KTCC2013)
小安 重夫
─ 24 ─
50
(万円)
開催場所
京都府
2013.6.3-6.7
助成額
50
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
(万円)
開催責任者
開催場所
助成額
4th UK/Japan Conference
宮城県
in Catalytic Asymmetric Synthesis 2013.4.19-4.20
50
長崎県
2013.5.12-5.15
50
21世紀のフッ素医薬を指向する
東京都
国際ワークショップ
み かみ
こういち
2013.4.13-4.14
三上 幸一 International Fluorine Workshop, Tokyo
50
東北大学
大学院理学研究科
てら だ
会 議 名
まさひろ
寺田 眞浩
教授
長崎大学
大学院医歯薬学総合研究科
はたけ や ま
第23回日仏医薬精密化学会議
すすみ
畑山 範
教授
東京工業大学
大学院理工学研究科
教授
第41回(2012年度)内藤記念特定研究助成金
テーマ:ユビキチン−プロテアソームシステム:メカニズムから病態まで
(万円)
研 究 者
東京都医学総合研究所
たな か
研 究 テ ー マ
けい じ
次世代プロテアソーム研究:作動機構と動態解析
300
かずひろ
直鎖状ポリユビキチン鎖によるシグナル伝達制御
150
田中 啓二
所長
京都大学大学院医学研究科
いわ い
岩井 一宏
教授
九州大学生体防御医学研究所
なかやま
けいいち
次世代プロテオミクスを駆使したユビキチン
中山 敬一 システムの網羅的解析基盤の創出
主幹教授
北海道大学大学院医学研究科
はたけやま
しげつぐ
畠山 鎮次
教授
東京大学大学院薬学系研究科
むら た
しげ お
TRIM型ユビキチンリガーゼの基質同定と機能解析
高等動物におけるプロテアソームの動態制御機構
村田 茂穂 の解明
教授
テーマ:分子からみたエネルギーバランスと摂食行動の制御
研 究 者
産業医科大学医学部
教授
うえ た
教授
宮崎大学医学部
教授
研 究 テ ー マ
よういち
視床下部における生体のエネルギー・
上田 陽一 体液バランス恒常性維持機構の解明
東北大学大学院医学系研究科
助成額
かたぎり
ひで き
なかざと
まさみつ
臓器間神経ネットワークによる個体レベルでの
片桐 秀樹 代謝制御機構の解明
肥満におけるエネルギー代謝調節ペプチドの
中里 雅光 病態生理学的意義の解析
─ 25 ─
150
150
150
(万円)
助成額
300
150
150
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
(万円)
研 究 者
研 究 テ ー マ
自然科学研究機構生理学研究所
みのこし
やすひこ
箕越 靖彦
教授
群馬大学大学院医学系研究科
もり
まさとも
視床下部AMPKによるエネルギー代謝調節機構
食欲抑制分子Nesfatin-1 precursor NUCB2の
森 昌朋 生理作用解明
教授
助成額
150
150
テーマ:酸素生物学-酸素濃度に対する生物応答とその制御破綻による疾患
(万円)
研 究 者
九州大学大学院医学研究院
博士研究員
あ
ぼ
研 究 テ ー マ
まさひろ
過酸化水素検出蛍光プローブの開発と
安保 真裕 その生物応用
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 PTENのS-ニトロシル化を介したPI3-キナーゼ
教授
うえはら
東北大学大学院医学系研究科
大学院生
たかし
上原 孝 -Aktシグナルに対するオン・オフ調節機構
こばやし
まさひろ
小林 匡洋 およびBach2による転写制御機構
熊本大学大学院生命科学研究部
准教授
さわ
た ぐち
鳥取大学医学部
教授
のりひこ
慶應義塾大学医学部
助教
Keap1-Nrf2シ ス テ ム とPten-PI3K-Aktシ グ ナ ル
とみ た
しゅうへい
HIF-αスイッチングはマクロファージ活性化と
武田 憲彦 その終息に重要である
アンジオテンシンII誘導性血管リモデリングにおける
冨田 修平 血管平滑筋細胞の低酸素応答性転写因子HIF-1αの役割
にし だ
もとひろ
システイン修飾によるGタンパク質活性化の分子制御
西田 基宏 基盤と心臓におけるその病態生理学的意義の解明
東京大学大学院薬学系研究科
大学院生
けい こ
たけ だ
九州大学大学院薬学研究院
准教授
ニトロ化環状ヌクレオチド8-nitro-cGMPと
田口 恵子 のクロストークは肝臓の増殖や分化を制御する
東京大学大学院医学系研究科
特任助教
ともひろ
澤 智裕 蛋白質S-グアニル化によるROSシグナル制御
東北大学大学院医学系研究科
助教
赤血球分化におけるヘム結合転写因子Bach1
やまぐち な
み
こ
ALS病因としての変異型SOD1に共通する
山口奈美子 構造変化
やまもと
たけひろ
一酸化炭素(CO)を介したアルギニンメチル化
山本 雄広 制御による糖代謝リモデリング機構の解明
─ 26 ─
助成額
50
50
50
50
50
50
50
50
50
50
2012年度内藤記念科学振興賞受賞者・助成金受領者一覧
テーマ:感染・炎症・免疫
研 究 者
研 究 テ ー マ
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 エピジェネティクスを介したインフルエンザ
講師
い とう
としひろ
伊藤 利洋 ウィルス感染症への新たな治療戦略
理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター Etsファミリー転写因子Spi-Bは腸管M細胞の
研究員
かな や
たか し
金谷 高史 分化に必須である
理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター 抑制性受容体PD-1は免疫グロブリンAの選択を制御する
基礎科学特別研究員
かわもと
しんぺい
河本 新平 ことにより腸内細菌制御に関与している
北里大学大学院感染制御科学府
講師
くわ え
さ
さ
き
しの だ
すず き
山梨大学医学部
准教授
のぶひろ
なか お
りょうま
CD69は記憶ヘルパーT細胞の形成を制御する
植物病原糸状菌のヴァイロコントロール因子と
なかがわ
りゅうすけ
歯周病の免疫病理におけるPorphyromonas
中尾 龍馬 gingivalisの外膜ヴェシクルの役割
中川 竜介
兵庫医科大学免疫学・医動物学
講師
アイチウイルス(ピコルナウイルス科)複製部
鈴木 信弘 してのウイルス
国立感染症研究所細菌第一部
主任研究官
けん た
篠田 健太
岡山大学資源植物科学研究所
教授
じゅん
佐々木 潤 位へのACBD3を介したPI4KBのリクルート
千葉大学大学院医学研究院
特任助教
ボルデテラはIII型エフェクターBopCによって宿主シグ
桑江 朝臣 ナル伝達経路をコントロールして貪食運動を阻害する。
藤田保健衛生大学医学部
講師
あさおみ
やす だ
こうぶん
IL-17によるNH細胞と食物アレルギー制御
腸管寄生線虫感染マウスにおける好酸球集積に
安田 好文 対するIL-33とナチュラルヘルパー細胞の働き
─ 27 ─
(万円)
助成額
50
50
50
50
50
50
50
50
50
50
内藤記念科学振興賞 受賞者一覧
内藤記念科学振興賞 受賞者一覧
(敬称略)
受賞年度
(回)
受 賞 者
研 究 テ ー マ
東京大学薬学部 教授
1969年
(第 1 回)
浮田忠之進
名古屋大学理学部 教授
岡崎 令治
1970年
(第 2 回)
九州大学歯学部 教授
1971年
(第 3 回)
東京大学医学部 教授
1972年
(第 4 回)
岡山大学医学部 教授
1973年
(第 5 回)
京都大学理学部 教授
1974年
(第 6 回)
東京大学理学部 教授
1975年
(第 7 回)
東北大学医学部 教授
1976年
(第 8 回)
九州大学医学部 教授
1977年
(第 9 回)
福島県立医科大学 教授
栗山 熙
山崎 英正
岡田 節人
向山 光昭
菊地 吾郎
大村 裕
小島 瑞
須田 正己
城西大学薬学部 教授
山田 俊一
1979年
(第11回)
DNA複製の分子機構に関する研究
内臓平滑筋細胞の電気生理学的研究
複合糖脂質とその先天代謝異常症
山川 民夫 (リピドーシス)の生化学的研究
愛媛大学医学部 教授
1978年
(第10回)
核酸および関連物質の生物化学的研究
大阪大学医学部 教授
山村 雄一
ヒスタミンの遊離および代謝に関する研究
細胞分化と細胞分化転換の研究、高等動物
における細胞分化の転換
生理活性物質の新合成法に関する研究
グリシンとその関連物質の代謝に関する研究
摂食調節の神経機序
細網内皮系統の細胞病理学的研究
高等動物におけるバイオリズムに関する研究
アミノ酸を用いる光学活性生物活性物質の
合成研究
免疫異常とその制御−結核菌及びその菌体
成分を用いた免疫機構の人為的制御−
─ 28 ─
内藤記念科学振興賞 受賞者一覧
受賞年度
(回)
受 賞 者
研 究 テ ー マ
名古屋大学農学部 教授
1980年
(第12回)
後藤 俊夫
国立がんセンター研究所 部長
tRNAに含まれる超修飾ヌクレオシドQの
化学的・生化学的研究
西村 暹
1981年
(第13回)
1982年
(第14回)
岡山大学 名誉教授
水原 舜爾
該当者なし
1983年
(第15回)
群馬大学医学部 教授
1984年
(第16回)
熊本大学医学部 教授
1985年
(第17回)
京都大学理学部 教授
高木 貞敬
林 秀男
大西 俊一
帝京大学薬学部 教授
1986年
(第18回)
野島 庄七
北海道大学理学部 教授
正宗 直
1987年
(第19回)
京都大学薬学部 教授
山科 郁男
名古屋大学理学部 教授
1988年
(第20回)
新含硫アミノ酸の発見と代謝異常の研究
野依 良治
帝京大学医学部 教授
藤井 儔子
1989年
(第21回)
東京大学薬学部 教授
1990年
(第22回)
大阪大学医学部 教授
大沢 利昭
濵岡 利之
嗅覚の神経生理学的研究
炎症における白血球遊出の分子病理学的機構
スピンラベル法の開発と生体膜の動的構造
及びウイルス細胞内侵入機構の解明
生体膜脂質の代謝および機能に関する研究
ダイズシスト線虫ふ化促進物質に関する研究
細胞膜糖タンパク質糖鎖の生化学的研究
有機金属化学を基盤とする生理活性物質の合成
妊娠中の母体環境要因により子孫に発現する
継世代的機能異常の基礎的研究
レクチンの生化学と細胞生物学的応用
免疫応答におけるヘルパーT細胞機構の解明と
細胞性免疫制御への応用
─ 29 ─
内藤記念科学振興賞 受賞者一覧
受賞年度
(回)
受 賞 者
研 究 テ ー マ
1991年
(第23回)
東京大学応用微生物研究所 教授
1992年
(第24回)
ハーバード大学 教授
水島 昭二
岸 義人
九州大学理学部 教授
1993年
(第25回)
岩永 貞昭
大阪大学基礎工学部 教授
柳田 敏雄
1994年
(第26回)
東北大学農学部 教授
1995年
(第27回)
東京都臨床医学総合研究所 副所長
1996年
(第28回)
名古屋大学大学院理学研究科 教授
1997年
(第29回)
徳島大学医学部 教授
安元 健
矢原 一郎
山田 靜之
山本 尚三
東北大学医学部 教授
1998年
(第30回)
丹治 順
東京大学医科学研究所 教授
野本 明男
1999年
(第31回)
東京大学大学院総合文化研究科 教授
2000年
(第32回)
東京大学大学院理学系研究科 教授
2001年
(第33回)
東京大学大学院薬学系研究科 教授
2002年
(第34回)
名古屋大学大学院理学研究科 教授
浅島 誠
若林 健之
柴﨑 正勝
郷 通子
細菌の細胞表層の構造と機能に関する研究
複雑な天然有機化合物の全合成および構造に
関する研究
血液凝固の分子機構に関する研究
1分子解析法の開発と生物分子モーターの
動作原理に関する研究
海洋毒の化学構造、作用及び動態に関する
研究
細胞骨格とストレス蛋白質の機能的研究
特異な生物活性を有する天然物質に関する
化学的研究
アラキドン酸カスケードの生化学的・分子
生物学的研究
大脳皮質高次運動野の機能に関する研究
ポリオウイルスの複製および病原性の分子
生物学的研究-小児マヒ制御への応用-
試験管内での臓器形成と遺伝子発現の制御の
基礎的研究
筋収縮の分子機構の三次元構造に基づく研究
革新的不斉触媒の創製を基盤とする医薬合成・
天然物合成・生物有機化学に関する研究
タンパク質のモジュール構造とゲノム構造の相関に
見るタンパク質デザインの原理に関する研究
─ 30 ─
内藤記念科学振興賞 受賞者一覧
受賞年度
(回)
受 賞 者
研 究 テ ー マ
2003年
(第35回)
東京都臨床医学総合研究所 副所長
プロテアソームの構造と機能及び病態生理に
関する包括的研究
2004年
(第36回)
神戸大学大学院医学系研究科 教授
2005年
(第37回)
東京大学医科学研究所 教授
2006年
(第38回)
早稲田大学理工学術院 教授 2007年
(第39回)
学習院大学理学部 教授、大阪大学 名誉教授
田中 啓二
清野 進
竹縄 忠臣
木下 一彦
花岡 文雄
慶應義塾大学理工学部 教授
2008年
(第40回)
上村 大輔
理化学研究所脳科学総合研究センター グループディレクター
御子柴克彦
2009年
(第41回)
東京大学大学院医学系研究科 教授
2010年
(第42回)
東京大学医科学研究所 教授
2011年
(第43回)
大阪大学大学院生命機能研究科 教授
2012年
(第44回)
谷口 維紹
河岡 義裕
濱田 博司
兵庫県立大学大学院生命理学研究科 特任教授
大阪大学 名誉教授
月原 冨武
インスリン分泌の分子機構とその破綻に
関する研究
イノシトールリン脂質による細胞骨格、
細胞運動制御
光学顕微鏡を用いた一分子生理学の創成
高発がん性遺伝病細胞を用いた遺伝性維持
機構の解明
生物現象に着目した生物活性天然物の
探索研究
中枢神経系の発生と分化
-IP3受容体の発見とその機能の解明-
サイトカインを基軸とした自然免疫系調節
機構の研究
インフルエンザ制圧に関する研究
体の非対称性が生じる機構
X線結晶構造解析による生体超分子の構造
形成と作動機構の研究
─ 31 ─
助成金受領から10年を経て
この10年の変遷
慶應義塾大学薬学部
准教授
助成金受領から10年を経て
~2003年度内藤記念科学奨励金・
研究助成受領者からのメッセージ~
石井 功
内藤記念科学奨励金をいただいた2003年当時
は小平市にある国立精神・神経センター神経研究
所に勤務しておりましたが、その後、群馬大学医
学部(前橋市)
、慶應義塾大学医学部(新宿区)
、
そして同薬学部(港区)へ移って参りました。多
数のマウスを伴う頻繁な引越の中で、助成対象の
「てんかんモデルとしてのスフィンゴシン 1リン酸受
容体欠損マウスの解析」の研究は中断を余儀なく
されましたが、最近ようやく初期解析に続く成果を
論文にまとめた所に財団時報への寄稿案内が届
き、少しほっとしている所であります。
現在、主に行っている研究は「含硫アミノ酸代
謝異常による病態解析」になります。哺乳類では
必須アミノ酸のメチオニンから生合成されるシス
テインは非必須アミノ酸ですが、その生合成過程
(MethioninecycleとTranssulfuration)の異常が
各 種 病 態 の 発 症と関 連 することが 解ってきま
した。私達はTranssulfurationの必須酵素であり、
かつNO(一酸化窒素)やCO(一酸化炭素)に
次ぐ第三の生理活性ガスとしてその多彩な生理作
用が注目されるH 2 S(硫化水素)の産生酵素でも
あるCBS(cystathionine beta-synthase)とCSE
(cystathionine gamma-lyase)の二つに着目し、
その遺伝子欠損マウスの解析を通して、各種病態
(筋萎縮、肝炎、酸化ストレス障害、高ホモシステ
イン血 症など) 発 症 への関 与を調 べています。
今後は薬学部の若い学生の力を借りて、アミノ酸
代謝に関わる新たな研究展開を目指したいと考えて
います。御支援ありがとうございました。
前列右が筆者
─32─
助成金受領から10年を経て
内藤科学財団へのお礼
10年の歩み
愛知県がんセンター研究所
部長
神戸大学大学院理学研究科
教授
稲垣 昌樹
2003年度に内藤記念科学振興財団からの御支
援を頂きましてから、早いもので10年が経ちました。
当時、頂戴致しました御支援は、研究を進めてい
く上で本当にありがたく、また、大変研究の励みと
なりました。
我々の研究室では、一貫してがんの基礎研究を
行っています。細胞のがん化は、内的な要因(加
齢や遺伝的な問題など)と外的な要因(喫煙や紫
外線など)が複雑に絡み合って起こります。これら
は種々の遺伝子に異常(変異や制御異常)を引き
起こしますが、特に細胞の増殖サイクル(細胞周
期)やその監視システム(チェックポイント)を制御
する遺伝子群の異常はがん化に強く影響を及ぼし
ます。また、がん化過程においては、上皮の組織
構築が破綻して無秩序な増殖へ向かうことも知られ
ています。そこで我々は、 1 )細胞周期・チェック
ポイントを制御する新規リン酸化シグナル伝達機構
の解明および、 2 )上皮組織において分化(正
常細胞)と増殖(がん細胞)を決定する因子群
を同定し、その分子基盤を明らかにすることを大き
な研究目標として掲げています。そして最終的に、
「どうしてがんが起こるのか?」という根本的な問題
を解決することで、全てのがんが共通して持つ基
本的な弱点を明らかにしたいと考えています。
どうか今後ともがんの基礎研究を含めた様々な分
野の研究に変わらぬ御援助をして頂けますよう、宜
しくお願い申し上げます。
井上 邦夫
私は2003年に、それまで在籍していた奈良先
端科学技術大学院大学から神戸大学理学部の
助教 授に着 任し、新たな研究 室を立ち上げま
した。この年の内藤財団からの研究助成が、私
を大きく勇気づけてくれたことはご想像に難くな
いものと思います。
助成を受けた研究課題は「脊椎動物における
組織特異的スプライシングの制御機構」というも
のです。遺伝子が働く際、遺伝子DNAの配列情
報がRNAに写し取られ、RNAの情報に従ってア
ミノ酸が連結された蛋白質が生成しますが、高
等生物の遺伝子にはイントロンという不要な配列
があり、RNA中からイントロンを取り除くスプライ
シングというステップを踏む必要があります。この
際、イントロンの取り除き方を変化させて単一の
遺伝子から細胞種などに応じて異なる蛋白質をつ
くり出す巧妙な仕組みが働いており、その仕組み
に迫ろうという研究でした。
その後のRNA分 野は、ノーベル賞に輝いた
RNA干渉の研究に代表されるように、めざまし
く進展しました。例えばヒトゲノムでは蛋白質を
コードする領域は全体の 2 %程度に過ぎません
が、それ以外のジャンクと思われる領域から多彩
なRNA(蛋白質の情報を持たない非コードRNA)
が転写され、さまざまな重要な役割を果たしてい
ることが明らかとなってきました。
日々未知なるものと出会えることは研究者とし
ての大きな喜びです。研究活動を支えてくださる
方々に心より御礼申し上げます。
2 列目右から 3 人目が筆者
─ 33 ─
助成金受領から10年を経て
M細胞との出会い
体外の脅威から体内の脅威へ
理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター
チームリーダー
三重大学大学院医学系研究科
教授・副学長
私は大学院で免疫学を学びました。その後の
早いもので、自分の研究室を持って10年にな
米国留学で細胞生物学、特に細胞内物質輸送の
りました。研究室の立ち上げに苦労していた時
研究に取り組み、帰国後も細胞内輸送の研究を
期に、内藤記念科学奨励金を頂戴し、大変に助
続けていました。その頃に「輸送小胞形成・積み
かりました。あらためて御礼申し上げます。
荷蛋白質選別の分子機構とその高次機能におけ
奨励金を頂いた当時は、細菌やウイルスに対
る役割」という研究課題で内藤記念科学奨励金
して免疫系がどのように体を守るかについて、
を頂き、お陰様でその後数年間に細胞内輸送に
MAPキナーゼという分子を中心に研究してい
関する論文を 9 編報告できました。
ました。この研究のため、正常なMAPキナー
一方その頃から、免疫学と細胞生物学を融合
ゼを持たない遺伝子改変マウスを作製しまし
したユニークな研究テーマを模索していました。
た。期待に違わず免疫系に異常が現れたのです
そこで着目したのがM細胞です。腸は管状になっ
が、よく見ると、マウスの体が少し小さい(肥
ており、管の内壁は粘膜上皮細胞で覆われてい
りにくい)ことに気づきました。肥満は生活習
ます。腸管内には膨大な数の共生細菌群や飲食
慣病とかかわるので、よく調べてみると、この
物に混入した病原性細菌などの外来抗原が存在
マウスは確かに高血糖になりにくく糖尿病にな
しています。これら外来抗原から体を守るために、
りにくいことが分かりました。当初は、なぜな
腸管免疫系という特殊な免疫組織が発達してい
のかずいぶん頭を悩ませましたが、今では、血
ます。免疫反応を起こすためには、どのような抗
液細胞による慢性炎症が生活習慣病にかかわる
原が存在するか知る必要があります。M細胞は特
ことがよく知られるようになっています。私た
殊に分化した粘膜上皮細胞で、細胞内物質輸送
ちも、今や慢性炎症による生活習慣病の研究を
大野 博司
緒方 正人
系が発達しており腸管内の外来抗原を積極的に
行っていますが、健康を脅かす脅威が、体の外
取り込んで腸管免疫系に受け渡すことで腸管免
(細菌やウイルス)から内(肥満やそれに由来す
疫反応を開始させます。M細胞の物質輸送のメカ
る代謝産物)に変わっただけで、どちらも同じ
ニズムはほとんど不明でしたが、内藤記念科学
免疫細胞による病気の研究だと思っています。
振興財団の援助もありM細胞の物質輸送のメカニ
しかし、少なくとも10年前は、まさか生活習慣
ズムを世界に先駆けて明らかにすることができま
病に関する研究になるとは考えてもおらず、思
した。本研究の成果により、感染症に対するより
いがけない研究結果が、思いがけない新しい世
有効な粘膜ワクチンや疾患の免疫療法の開発が
界を見せてくれることが研究の面白さだと改め
期待できます。
て思う次第です。
後列左から 4 人目が筆者
─ 34 ─
助成金受領から10年を経て
「絆」を結ぶ
小さな発見を継続的に育てる努力
情報通信研究機構未来ICT研究所
主任研究員
京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科
准教授
早いもので内藤財団より研究助成を受けて10
2003年度に研究テーマ「デス受容体による細
年近くの歳月が過ぎました。当時、転写因子複
胞死シグナルの制御機構」で内藤記念科学振興
合体の精製を行っておりましたが、その精製に
財団からのご支援を頂いたとき、東京工業大学
は 1 回に20Lの培養液を用います。しかしこの
バイオ研究基盤支援総合センターの任期付きの
大量培養には大きな社会問題が障害となりまし
助教授として研究室を立ち上げてから 3 年目で
た。それは、牛海綿状脳症BSEです。細胞培養
した。当時、通常の教育研究に加え、それまで
にはウシ血清を用いる必要がありますが、BSE
に経験のなかった実験動物の管理業務や次のポ
の影響で、もともと高価な血清の価格が通常の
スト探しに奮闘していました。数多くの公募に
2 〜 3 倍以上に高騰したために、私の研究は財
応募し、幸い、2007年 5 月から京都工芸繊維大
政的にかなり困難を強いられたのです。そんな
学に移ることができました。今振り返ると、そ
ときに、内藤記念財団研究助成を受領すること
の後、学内外の引越を何度も経験し、この10年
ができ、必要な血清を購入し研究を進めること
間はとても慌ただしい日々でした。
ができました。あのとき実験が滞っていたら、
私の研究室は、修士課程の大学院生と学部生
その後の10年の研究は無かったのではないかと
が主体です。最近では就職活動が長期化し、大
思います。このようにこの助成金には研究成果
学院生の研究が途中でストップしてしまうのが
という点で本当に助けていただいたのは間違い
現状です。しかし、デス受容体に関する「小さ
ありませんが、それに加えて、財政的に苦しい
な発見」を 3 世代に渡る大学院生と継続的に育
状況下でなんとか工夫しながら協力していただ
てることができ、数年ぶりに、投稿論文として
いた人達との「絆」を築いていくのにも貢献し
まとめられるデータが揃ってきました。
てもらいました。この研究の重要性は権威ある
私は、農芸化学の出身であり、学生時代か
団体からちゃんと認めてもらっているのだか
ら「化学と生物」に軸足をおいた研究を行って
ら、とにかく頑張って実験をしようとその当時
います。現在の主な研究テーマは、サイトカイ
のテクニシャンやポスドク、大学院生と志を一
ンレセプターの情報伝達や遺伝子発現を阻害す
つにしてがんばれたものでした。お金は使って
る小分子化合物の探索と作用メカニズムの解明
しまえば無くなってしまうかも知れませんが、
です。今後も、大学院生と一緒に「小さな発
そのときに得た成果と絆は10年経っても色あせ
見」を継続的に育てていく努力をしながら、少
ること無く私の中に持ち続けております。
しでも生命科学研究の発展に貢献できるように
小川 英知
片岡 孝夫
頑張って行きたいと思っています。
前列中央が筆者
─ 35 ─
助成金受領から10年を経て
研究手法の変遷もまた矢のごとし
新しいミトコンドリア像の創造へ
大阪大学生命機能研究科
准教授
九州大学大学院医学研究院
教授
蒲池 雄介
康 東天
2003年度に研究奨励金としてご支援をいただ
平成15年度に 「ミトコンドリアDNAヌクレオ
いてから、早いもので10年近くが経過しました。
イド解析」 と言う研究課題に対して助成を受け
この原稿の執筆依頼を受けて、まさに「光陰矢
て10年近い歳月が経った。この間は継続してこ
のごとし」と実感する次第です。当時は、研究
の課題、つまりミトコンドリアDNAという、進
対象の中心となるモデル生物を、ニワトリから
化論的に言えば我々の細胞が抱える異種生物ゲ
ゼブラフィッシュへと変更した頃であり、助成
ノムを追究して来たことになる。当時は懐疑的
金が研究を進展させる上で大きな力となりま
に見られていた「ヒトミトコンドリアDNAも核
した。助成していただいた研究テーマは、転写
DNAと同様に高次構造をとっている」という
因子が生体内において標的とするゲノム上の配
概念も今やすっかり常識となった感がある。そ
列を効率よく見いだす手法の開発に関するもの
の概念の最も初期の時代から研究に携わり、基
でした。このような手法は当時広まっておらず、
本概念の形成に寄与できたことは大きな喜びで
この研究テーマではそれをクロマチン免疫沈
あり、まさにその初期の研究のスタートを支え
降法(ChIP:転写因子に対する抗体を用いて
ていただいた本助成には大変感謝している。
結合ゲノム配列を精製する手法)
、トランスポ
このテーマの研究対象であるTFAMと言う
ゾン、ゼブラフィッシュという道具立てで計画
分子はミトコンドリアDNA高次構造を形成す
したものでした。残念ながらこのテーマは論文
る基本かつ主要成分である。その機能の解析の
へとは結実しておらず、計画の甘さを反省する
過程で、心不全、糖尿病、神経変性、癌、老化
と共に、実験技術の発展の早さを痛感させられ
などの非常に一般的な疾患や病態におけるミト
もしました。この頃を境にして、ゲノム上に
コンドリアDNAとミトコンドリアそのものが
おける転写因子の結合部位の同定法は、ChIP-
果たす重要性に出会うことが出来た。現在のミ
chip(マイクロアレイ法によるゲノム配列の検
トコンドリア像は、単純なATP合成エネルギー
出)
、さらにChIP-seq(次世代シーケンサーの
産生機関という古典的イメージから生物の「生」
利用)へと大きく変化してきました。しかし、
と「分化・成長」と「死」までを制御するマス
転写因子が結合したゲノム配列の機能を調べる
ター機関へと変貌している。活性酸素産生の研
プロセスは未だにボトルネックとなっており、
究から始めた私のミトコンドリア研究も30年に
そこに助成テーマが発展した形で貢献する余地
なろうしている。今後もこの新しいミトコンド
があるものと考えております。
リア像に更なる 1 ページを加えることを目標と
している。
最後列中央が筆者
─ 36 ─
助成金受領から10年を経て
思いもよらなかったこと
蜂球形成時のミツバチの神経興奮
東北大学大学院農学研究科
准教授
東京大学大学院理学系研究科
教授
清田 洋正
久保 健雄
私は、興味深い生命現象の解明に、鍵となる
私たちは以前に、攻撃的なミツバチの脳から
天然物の化学合成を通じて貢献することを目標
新規なウイルス(Kakugoウイルスと命名)を
に研究を行っています。動植物や微生物などの
同定し、2003年に研究助成をいただいた。今回
生命体から極微量しか得られない天然物を「大
は、標記の研究課題についてご紹介させていた
量に」化学合成し、生物学者と共同で現象解明
だきたい。オオスズメバチがニホンミツバチの
を進めてゆく中で、時として全く意図しなかっ
巣に侵入すると、数百匹の働き蜂がスズメバチ
たことに遭遇しました。
を取り囲み、飛翔筋を震わせて約46℃の熱を出
稲作最大の病害を引き起こすイネいもち病菌
し、スズメバチを蒸し殺す(Ono et al., 1995)
。
では、直鎖の化合物が順に酸化を受けて毒素類
この特異な攻撃行動を産み出す脳の働きとはど
が生産(生合成)されます。いもち病対策を目
のようなものだろうか。私たちは以前にセイヨ
指して、この経路の特定や毒素の合成を行いま
ウミツバチから初期応答遺伝子(神経興奮に
した。意外なことに、上流からの変換では、次
伴って、一過的にその神経細胞で発現上昇する)
第に酸化されてゆくだけでなく、途中で一部還
を同定した(Kiya et al., 2007)
。今回はそのホ
元が起きていることがわかりました。また振盪
モログをニホンミツバチから同定し、その発現
培養で生産される毒素は光学活性体であったの
をマーカーとして蜂球形成中の働き蜂の脳の神
に対し、通気攪拌培養で生じるのはラセミ体で
経興奮を調べた。その結果、脳の高次中枢(キ
した。酸化−還元が同時に起きていたり、培養
ノコ体)の一部の神経細胞が興奮していた。興
条件によって誘導される酵素の性質が全く異
味深いことに、同様な神経興奮は働き蜂を単に
なったりと、化学的思考からは思いもよらぬ生
虫籠の中で46℃に熱しても誘導された。このこ
物反応の複雑さを目の当たりにし、科学には謙
とはこの神経興奮が過剰な熱発生を抑制し、蜂
虚であらねばと痛感しました。
球内の温度を一定に保つ「サーモスタット」の
役割を担う可能性を示している(Ugajin et al.,
2012)。ミツバチは尻振りダンスという記号的
コミュニケーション能力を有する唯一の昆虫で
もある。ミツバチの脳は、動物の行動進化の最
先端の「実験室」なのかもしれない。
右から 2 人目が筆者
─ 37 ─
助成金受領から10年を経て
あっというまの10年
芳香環の触媒的不斉水素化
自然科学研究機構生理学研究所
教授
九州大学大学院理学研究院
教授
久保 義弘
桑野 良一
2003年度に内藤記念科学奨励金(研究助成)
アルケンやケトンのような二重結合の触媒的
を賜りました久保義弘です。当時、研究室の立ち
不斉水素化は、医薬品などの原料になる光学活
上げ期にありましたので、研究助成は、研究を進
性化合物の合成に広く利用されています。一方、
めていく上で、財政的にも精神的にも大きな支え
アルケンと同様に不飽和な芳香環は熱力学的に
となりました。改めて内藤記念科学振興財団にお
安定なために水素化されにくく、その不斉水素
礼申し上げます。
化は困難と考えられていました。有機化学が大
私たちの研究室では、脳神経系などの細胞膜
いに進歩した現在でも、限られた基質でしか触
上に存在して生体機能に重要な役割を果たして
媒的不斉水素化の成功例がなく、この反応は未
いる、イオンチャネルや受容体の機能発揮のメカ
開であるといえます。
ニズムに興味を持って研究を進めています。精妙
私たちの研究室では、10年前から芳香環の触
に作られた分子器械の優れたデザインやからく
媒的不斉水素化の開発に向けた研究を行ってき
りと、状況依存的に示す不思議な柔軟性に魅せ
ました。これまでに、光学活性ルテニウム錯体
られてきました。そのひとつとして、採択課題で
を不斉触媒とすることにより、インドール、ピ
は、ATP受容体チャネルP2X2を対象として、細
ロール、イミダゾール、オキサゾールといった
胞膜上発現密度に依存するチャネルポアの性質の
含窒素芳香族複素環の触媒的不斉水素化で95%
変化、膜電位センサーと思われる領域を有しない
eeを超える高い立体選択性を世界に先駆けて達
のに示す膜電位依存性といった、想定外の興味
成してきました。最近では、芳香族複素環だけ
深い現象のメカニズムについての研究を進めてい
でなく、ベンゼン環のような炭素原子のみで構
ます。研究の進展につれてまた次の課題が浮上す
成される芳香環の触媒的不斉水素化の開発にも
るということの繰り返しで、本当に、あっというま
着手しています。その最初の成果として、高立
の10年でした。
体選択的なナフタレンの触媒的不斉水素化に有
自身の目で現象を観察して、考えたり何かに気
効な触媒系の開発に成功し、最近、論文として
づいたりすることは、実験科学者にとって、特に
報告することができました。こうした研究が
生理科学分野では重要なことだと思います。次第
継続できるのも、初期段階であった私たちの研
に自身で現象観察できる時間が減ってきています
究に対して財団から援助して頂いた研究資金が
が、ラボヘッドとしての役目を果たすだけでなく、
あったからこそであり、大変感謝しています。
一実験科学者としての創造的な営みを大切にし続
今後も、この分野のフロントリーダーとして
けていきたいと願う今日この頃です。
活躍できるように一層精進致します。
右端が筆者
─ 38 ─
助成金受領から10年を経て
細胞に魅せられて(見せられて?)
研究費という名の教育費
東京工業大学大学院生命理工学研究科
准教授
北海道大学大学院薬学研究院
教授
駒田 雅之
鈴木 利治
20数年前、大学院修士課程を終えた私は肝
写真は研究室員である。 4 人のスタッフ以外
細胞増殖因子HGFについて研究していました。
は院生と学生。
「見かけ」はBig Lab.だ。海外の
培養した上皮細胞にHGFを添加し翌朝に顕微
関係者に「研究のほぼ全てを学生が行った」と
鏡で観察すると、細胞同士が接着して島状の形
話すと、応答は「私の所にポスドクでよこせ」
態をしていた細胞群が細胞間接着を失い、繊維
だ。大リーグに選手を取られるプロ野球監督の気
芽細胞様に変化しています。この劇的変化を前
分。その大学院生の研究費(運営費交付金)は、
に、私は一晩の間に細胞の中で何が起きたのか
1人あたり博士課程でも10万円ちょいである。年
強い興味を抱きました。この体験が私と細胞
額だ。これで日本の将来を担う研究者を育てる、
生物学を結びつけた出会いでした。研究の結
無理。当然、
「いわゆる」外部資金が肥料だ。研
果、HGF刺激で強くチロシンリン酸化される
究成果を出し外部資金を獲得、その成果でさら
新規タンパク質を発見することができました。
に研究を発展、これは良い。研究室員の大部分
HGFによってリン酸化される基質、Hrs(HGF-
がポスドクであれば、具体的なテーマに向けて
regulated substrate)と命名しました。Hrsを
戦略・戦術を組める。米国の「真正」Big Lab.は、
調べればHGFの作用機構がわかるだろうと期
30人いればポスドクは20人はいる。米国システ
待が膨らみましたが、この発見は研究を予期せ
ムの形式導入、私は親米派だから、それも良し。
ぬ方向に導くことになりました。細胞膜上の増
さて、私は日本の普通の大学の普通の研究室に
殖因子受容体は、増殖因子により活性化される
いる。外部資金で研究成果を出す前に、まず、
とリソソームという細胞内小器官に運ばれて分
科学的に戦えるように学生に戦闘(実験)方法、
解されます。これは活性化受容体から細胞増殖
武器(機器)の使い方、論理的な考え方(戦術
シグナルが出続けて細胞の過増殖・癌化を引
論)を教える。戦闘が出来ないと戦術も戦略も
き起こすのを防ぐ機構です。活性化された増
組めない。そう、外部資金は、貴重な教育費で
殖因子受容体はユビキチン化という化学修飾を
ある。博士前の学生が国際学会で、海外ポスド
受け、Hrsはそのユビキチンを認識して活性化
クより良い成果も発表する。内向き志向といわれ
受容体をリソソームに運ぶ因子だったのです。
る若い学生も捨てたものじゃない。かといって、
2003年に貴財団からご支援をうけた頃から、ユ
あまりに養分が少ないと、将来の日本を背負う
ビキチンによる細胞制御機構が私の研究テーマ
研究者は育たない。自分よりも出来の悪い研究
となっています。
者を輩出するわけにはいくまい。科学が進歩し
ない。
最前列右から 4 人目が筆者
─ 39 ─
助成金受領から10年を経て
独創性を追い求めて
北海道大学大学院工学研究院
教授
「構造生物学」との出会い
大阪大学蛋白質研究所
大利 徹
高木 淳一
微生物は土壌 1 グラム中に108個も存在すると
私はもともと蛋白質化学と細胞生物学的手法
言われ、ヒトに役立つものが多くいます。例えば
を用いて、インテグリンと呼ばれる細胞同士が
お餅に生える青かびは、かつてペニシリンという
互いに「くっつく」際に必要な蛋白質の機能を
世界初の抗生物質の生産に用いられました。
調べていましたが、なぜ細胞同士が「くっつ
筆者は、微生物がこれら抗生物質を作りあげ
く」(これを細胞接着と言います)のか、なぜ
る際に使う酵素触媒やその設計図となるDNAを
細胞があるときは接着し、あるときは接着しな
詳細に解析・改変、あるいは組み合わせることで、
いでばらばらに居るのか、といった疑問に答え
より有用な抗生物質の生産を試みています。内藤
るのが、細胞を顕微鏡で見ているだけでは困難
財団の助成を頂いた当時は、抗生物質の構造か
であることに気づきました。なぜなら、実際に
ら設計図を推定し生合成遺伝子を取得することに
「のり」に相当するインテグリンなどの蛋白質
時間を割いていました。具体的には、当時植物
分子は、小さすぎて顕微鏡では決してその姿を
やカビしか作らないと思われていたイソプレノイド
捉えることができないからです。蛋白質ひとつ
という化合物が微生物も生産する事実に着目し、
ひとつがどんな姿をして、どんな風に形を変え
ひたすらPCRという手法で設計図のDNA断片の
ながら相手の細胞や基質を捕まえるのか、それ
取得を試み、上手く取得できれば周辺領域をさら
を直接知ることが真のメカニズムに迫るために
に取得し、塩基配列を解析するという数か月のス
はどうしても必要だと思い、構造生物学の世界
パンで研究を進めていました。
に飛び込んだのです。構造生物学とは、蛋白質
しかし現在では、微生物一匹分の設計図が一
などの分子の形を原子レベルで正確に決定し、
週間もかからないうちに解き明かされる時代にな
それを通して生体反応のメカニズムを解明した
り、まずはゲノム解析からスタートし、勝負はそ
り、あるいは新しい薬を開発したりすることを
の後のアプローチの仕方で決まる時代に大きく変
目指す学問分野です。普通の化学や生物学で
化しました。言い方を変えれば特定の遺伝子を釣
は、分子の性質というのは集団の平均値として
り上げる職人的なテクニックが必要とされた時代
考えるのですが、構造生物学の手法を使えば、
は終わり、万人が設計図をどう料理するか独創性
あたかも 1 匹 1 匹の昆虫でも眺めるように個々
が問われる時代になってきています。筆者は 3 年
の分子を「見る」ことができます。生物学を研
前に北大に移りましたが、新転地でも独創的な
究する上でのアプローチを30代半ばで大きく変
視点を失わず研究を展開していきたいと思ってい
えた私は、その後構造生物学の世界にどっぷり
ます。
つかっていったのです。
2 列目中央が筆者
─ 40 ─
助成金受領から10年を経て
上州名物、かかぁ天下と、
真のオリジナリティとは?
群馬大学生体調節研究所
教授
自然科学研究機構生理学研究所
教授
徳永 文稔
南部 篤
私は台風が毎年数個は訪れるという奄美大島
私は1982年に京大医学部脳研の大学院に入学
で生まれ、高校時代を鹿児島市で、大学は福岡、
した。佐々木和夫教授が主宰しておられ、視
助手を姫路で過ごした。10年前に内藤記念科学
床から大脳皮質への連絡が研究室のテーマで
奨励金をいただいた際は、助教授として大阪に
あった。高次機能を担っている大脳皮質は大脳
移った直後であり、新しいラボで日夜、苦悶・格
の表面にあり、そこへの連絡は中心部にある視
闘している頃であった。主催教授の慧眼や激励に
床が中継している。この連絡に大脳皮質の浅い
より論文発表を行うことができ、2011年から群馬
層に行くものと、深い層に行くものとの 2 種類
大学にてラボを構えさせて頂いている。
があるというのが佐々木先生の仮説で、研究室
西日本の人間にとって北関東三県のなじみは非
のメンバーはこの仮説を証明しようとしたり、
常に薄く、全国的な都道府県魅力度ランキングで
これを前提とした研究を行っていた。私もこの
も残念ながら最下位から群馬-茨城-佐賀-栃木-と
仮説に関わる実験を始めた。
いう順になっている。こちらに来て、群馬県には
しかし、国内はもとより海外でも興味を持つ
独自の文化があり、子供達は「上毛かるた」で遊
研究者は少なかった。つまり、視床から大脳皮
ぶことで県の名所・偉人を記憶し、群馬県を「鶴
質への連絡に 2 種類あるという主張は無視され
舞う形」と認識していること(県の輪郭をよく見て
たと言っても良い。それでも佐々木先生をはじ
頂きたい)
、
「焼きまんじゅう」という、まんじゅう
め研究室のメンバーは、このテーマに取り組み
とは到底思えないソウルフードをこよなく愛してい
続けた。その後、佐々木先生はいくつもの役職
ることなど初めて知ったことも多い。夏は奄美よ
を経られた後、研究の第一線からは退かれ、研
り暑く、冬の赤城おろしの空っ風は強烈で、台風
究室のメンバーも私も「最新」のテーマを追う
以上のド迫力に驚かされた。
のに忙しく、掘り下げることはなかった。
群馬大医学部教授であった七杜節瑯氏の「女
しかし、10年ほど前から神経解剖学の泰斗で
の死体−君よ、女の死体に聞け−」に今ではそ
あるE. G. Jones教授が、別の発想から視床と大
の情景が分かるのだが、次のような一節があ
脳皮質の連絡には 2 種類あるとか言い出し、ま
る。
「鬱積した気分を全て吹き飛ばしてくれる
た最近 2 種類の連絡を担当する神経細胞が顕微
空っ風や心に活を入れてくれる雷、いつでも、
鏡で観察されるなど、仮説でしかなかったもの
いつまでも頼れるかかぁ天下が昔ながらに息づ
が実体として証明され脚光を浴びつつある。研
いている街、前橋」
。上州名物に私たちの研究
究のオリジナリティとか、先見性とは何かを考
が加わるよう、これから研鑽を積みたい。
えさせられる話である。
中央が筆者
中央が筆者
─ 41 ─
助成金受領から10年を経て
研究のグローバル化と「人」
研究の節目と奨励金
東海大学医学部
教授
大阪大学大学院医学系研究科
教授
秦野 伸二
原田 彰宏
卒検ゼミから数えると、研究と呼ばれる活
私は2001年に群馬大学生体調節研究所の教授
動を続けて、今年でちょうど30年の年月が過
となり独立しました。2003年度ということは、
ぎた。その間、時代は大きく変遷し、時代の流
とにかく独立したてでお金がない。それまでマ
れに大きく影響されながらも、何とか研究活動
ウスを作製してその解析という仕事をやってい
を続けてきた。 2 年ほど前から漸く自身の研究
ましたが、まずはマウスを作る所から始めてい
室を持ち、最近では特に中国との繋がりを重視
たため、まだ出せる結果がない、ということで
した共同研究を推進している。私自身は、1996
とにかく色々な財団に応募している最中でし
年から約 3 年間カナダに留学して、そこで多国
た。その時は貴財団の科学奨励に、アルツハイ
籍メンバーからなる研究室を経験した。研究室
マー病のモデルマウスになる可能性が高いと考
員総勢約30名の大型研究室で、日本人は私を含
えていた異常な蛋白を発現するマウスの作製と
めて 2 人であったが、その他のメンバーの出身
解析に関する内容で申請し、大変有難いことに
は13カ国に及んだ。当然、母国語、文化、宗教
奨励金を頂きました。お陰でマウスはちゃんと
も異なった 「人」 の集合体であった。考え方
出来ましたが、異常な蛋白の発現量が低すぎた
の相違、偏見、差別、その中での協調、協力
り高すぎたりで、残念ながらヒトの症状を呈す
等、短期間ではあったが、
「人」について深く
るものを作ることが出来ませんでした。ただマ
考えさせられる時期を過ごすことができた。最
ウスはいますので、この文を見て興味のある人
近、日中関係があまり好ましくない方向に進ん
は私までご連絡ください。幸運なことに平行し
でいる。私は、毎年何回か中国を訪れるが、中
て行っていた細胞の形づくりのメカニズムを解
国の研究者は皆いたって友好的である。人は噂
明するプロジェクトが当たり、2008年度にその
やバイアスのかかった情報を基にその国民性と
プロジェクトの内容で再度奨励金を頂いて、そ
かを評価する傾向にあるが、少なくとも研究活
れを2009年に大阪大学に異動する際の機器や試
動を進める限りにおいては、きちんと「人」と
薬の購入に充てさせて頂きました。このように
関わり合って、密接な協調・信頼関係を構築す
貴財団にはこれまでの節目節目でお世話にな
ることが大切であると考えている。グローバル
りっぱなしで、誠に感謝の申し上げようもあり
化が叫ばれている昨今、こと生命科学において
ませんが、今後更に研究を発展させることでこ
は、現在の日本より中国の方がよりリベラルな
の御恩に報いようと思います。 5 年後また内藤
姿勢で国際標準へと突き進んでいるような気が
財団時報に書かせて頂く時に多分ご報告出来る
してならない。
と思いますのでご期待頂ければ幸いです。
─ 42 ─
助成金受領から10年を経て
リン脂質代謝が創る生命のしくみ
Creative Agingを目指して
東京薬科大学生命科学部
学部長・教授
京都大学大学院医学研究科
特定准教授
深見希代子
我々は、イノシトールリン脂質代謝という細
胞膜直下の情報伝達系に着目しています。細胞
内のカルシウム動員を主な役割とするリン脂質
代謝は、細胞骨格や膜輸送、チャネルの制御等
を介して、細胞増殖・分化・ホルモン分泌など
の広汎な生理機能に関与しています。しかしな
がら、個体での機能は明らかではなかったため、
我々は種々な遺伝子改変マウスを作製し検討を
行ってきました。
リン脂質代謝の要の酵素がホスフォリパーゼC
(PLC)です。我々はPLCδ4の遺伝子欠損(KO)
マウスのオスからは仔が生まれない事、PLCδ
1KOマウスは毛のないマウスで、ヌードマウス原
因遺伝子Foxn1によりPLCδ1の発現が制御され
る事、更に皮膚でPLCδ1を欠損したマウスは、
乾癬様皮膚炎と同時に顆粒球増加など全身的な
異常を誘導する事、PLCδ1/PLCδ3両遺伝子欠
損マウスは、胎盤の形成不全で胎生致死になる
事等を明らかにしてきました。これら一見異なる
表現形に共通する異常の原因は、カルシウム動
態不良です。カルシウム動員に携わるイノシトー
ルリン脂質代謝が種々な生命の基本的な現象に
深く関与することの証であると思います。
内藤記念科学振興財団からの研究助成は、研
究室を立上げた 3 年目にいただきました。まだ
諸費用が足りなかった時にサポートしていただ
いた有り難さを思い出します。改めて心よりお
礼申し上げます。
星 美奈子
ご支援を賜ってから10年が経過しました。私
はアルツハイマー病の脳でどうやって神経細胞
死が起きるかを研究してきたのですが、その中
から治療薬のシーズが生まれ、今は大学で基礎
研究をしながら、新たに立ち上げたバイオベン
チャーにおいて創薬開発を指導しております。
この10年はまさに 「人生は小説より奇なり」 だ
と感慨深く思います。
この奨励金は、当時さきがけが 9 月末で終
わってしまうため(今は年度末まで人件費を出
せますが)人件費に困っていたところに本当に
助けられました。それ以来、もう手詰まりかと
思うと助けてくれる方に出逢い、まるで何かに
導かれているかのように今に至っております。
そのことに、深い感謝の思いを持っております。
昨今、accountabilityという言葉が聞かれる
ようになりましたが、私が本当に実感を持っ
て理解したのは、2003年の時でした。文部科
学省で記者会見をしたのですが、 4 大紙を始
め全社が揃うことは珍しいことだそうで、し
か も 地 方 紙 も 含 め 全 紙 が 取 り 上 げ ることも
珍しいのだそうです。これは大変なことを見
つ け て し ま っ た、 言 い 出 し た 以 上 は 最 後 ま
でやらないといけないと心から思った次第です。
その思いの実現に向けて、自分の全てをかけて
基礎研究と臨床応用の双方を進めております。
研究は、一人だけでは出来ず、研究者だけで
も出来ません。今後ともこういう制度が続くこ
とを心から祈っております。
前列左から 4 人目が筆者
左から 2 人目が筆者
─ 43 ─
助成金受領から10年を経て
失敗から学ぶこと
ホームランは狙って打つものか?
九州工業大学大学院生命体工学研究科
准教授
慶應義塾大学医学部
教授
私は、体の疾患の治療や再生を助ける生体適
野球において、ホームランは狙って打つもの
合性材料を創り出す研究を行っています。例え
なのか、あるいはヒットの中で当たりが良いも
ば、整形外科・歯科用材料として、骨や歯を修
のがホームランになるのか、という議論が昔か
復するためのリン酸カルシウム系セラミックス
ら存在する。学問の世界におけるホームラン
や、これらを複合化したチタン金属及び生分解
は、最近では2012年のノーベル医学生理学賞を
性高分子が挙げられます。さらに、β線や熱を
受賞した山中伸也博士のiPS細胞研究であろう。
放出して、体内深部のがんを放射線あるいは温
この研究は、失敗を繰り返しながらも狙いに
熱治療できる、金属酸化物からなるセラミック
狙って打ったものである。一方、たまたま打っ
ス微粒子に関する研究も進めています。
たホームランのような研究も数多く存在する。
最近感じるのは、予想しなかった結果や失敗
例えば、フレミングによるペニシリンの発見な
から学ぶことが多いということです。日常的に
どは、瓢箪から駒のような研究である。野球に
十数名の大学院生や学部生と協力しながら研究
おけるホームランの打ち方の議論に決着がつか
を進めています。その中で、研究テーマを学生
ないということは、おそらくどちらの打ち方も
に提示したときに想定したものとは異なる結
正解なのだろうと思う。最近、大学や研究所の
果が、学生の研究報告から得られることがあり
中ではNature, Cell, Scienceなどの超一流誌に
ます。そのような結果こそ、研究の新たな進展
載るような研究成果のみを求める風潮があると
や知見の構築につながると考えています。学生
聞く。もちろん失敗を繰り返しつつもホームラ
は予想通りの結果や、実用材料としての有用性
ンを狙い続ける研究は素晴らしい。しかし、多
を示す結果が出ないといけないと思い込んでい
くの人が見逃してしまうような現象を注意深く
ることも多く、それが却って実験結果の幅広い
観察してホームランに持って行く才能も同じ
考察を妨げていることもあります。そのため、
く尊い。この 2 つの研究タイプについては仮説
失敗することを悪く思わないで、なぜそのよう
主導型(hypothesis-driven)研究と発見主導型
な結果になったかの道筋を考えるようにしなさ
(Discovery-based)研究と呼ばれている。一発
いと学生に指導するよう心がけています。ま
狙いのバッターばかりでは強い野球チームは出
た、なぜ予想と異なる結果が出たのかを深く考
来上がらない。仮説主導型と発見主導型のどち
えることによって、論文などの研究成果も豊か
らも支援するような研究費と研究体制を設計す
な内容になります。今後も失敗を恐れず研究を
ることが重要と考える次第である。
宮崎 敏樹
柚㟢 通介
進めていきたいと考えています。
前列左から 3 人目が筆者
中央が筆者
─ 44 ─
第33回内藤コンファレンス
酸素生物学:酸素濃度に対する生物応答とその制御破綻による疾患
Oxygen Biology: Hypoxia, Oxidative Stress and Diseases
生物にとって酸素はエネルギー代謝に必須な分子であるが、活性酸素の発生は生体成分の酸化に
よる劣化反応を惹き起こす有害な分子でもある。生物は環境の酸素濃度の変化を巧妙に感知し、遺
伝子発現を変化させることにより応答して、環境に適応するメカニズムを進化させて、地球環境の
変化を生き延びてきた。低酸素環境に対して、センサーとカップルして働く転写因子はHIFと呼ばれ
る一群の因子であり、活性酸素のセンサーと共役して働く転写因子はNrf2である。近年、これらの
転写因子は暴露される低酸素、高酸素の状態に応答して、タンパク質レベルでの安定性を変化させ
ることによって、脱抑制制御機構を活用して、酸化・低酸素ストレスに即応して標的遺伝子の発現
を調節する精緻な分子メカニズムのもとに働くことが明らかになってきた。なお、これらの転写因子
は、環境応答転写因子群と総称される。各環境応答転写因子が制御する生体制御系は多岐に渡り、
この転写因子群の失調は多くの病態を惹起する。例えば、がんの転移、血管梗塞による病的状態な
どにおける血管新生や赤血球の増産に、これらの環境応答転写因子が主要な因子として働くことが
明らかにされている。さらに、その制御機能の異常ががんや生活習慣病などの病態と密接に関係し
ていることも解き明かされつつある。環境の酸素濃度の変化に対する生物のホメオスタシス維持の
分子メカニズムについて、これまでの研究成果をまとめ、議論を深めることは、今後の研究の発展
のみならず、創薬の観点からも大きな収穫をもたらすものと考える。
実際に、このような観点から、2004年にはノーベル財団が「第41回Nobel Conference on Oxygen
Biology」 国 際 シン ポ ジ ウムを ストックホ ル ムで 開 催し、またGordon ConferenceやKeystone
Meetingにおいても定期的に本領域の会合がもたれている。したがって、今回、第33回内藤コンファ
レンスを開催することは、本邦の酸素生物学研究者を大きく激励するものと考える。なお、本コンファ
レンスの重要課題の一つは、次世代を担う若手・中堅研究者の育成にある。本コンファレンスには、
参加者募集の段階から多くの応募があり、研究領域の成熟に向けての熱気が強く感じられた。運営
においては、選ばれた参加者のうち10名の方にショートトークを行って頂くこととし、また、ポスター
発表を重視して、十分な時間をかけてポスターを閲覧できるようにプログラムを組んだ。世界第一線
の研究者と本邦の若手研究者が本コンファレンスにおいて切磋琢磨することを楽しみにしている。
2012年5月
組織委員 山本 雅之 東北大学大学院医学系研究科 教授(組織委員長)
赤池 孝章 熊本大学大学院生命科学研究部 教授
一條 秀憲 東京大学大学院薬学系研究科 教授
井上 正宏 大阪府立成人病センター研究所 部長
深水 昭吉 筑波大学生命領域学際研究センター 教授
顧 問 藤井 義明 日本学術振興会
ストックホルム研究連絡センター センター長(財団理事)
─ 45 ─
第33回内藤コンファレンス
第33回内藤コンファレンス プログラム
第1日 2012年6月26日(火)
開会挨拶
東北大学大学院 医学系研究科 山本 雅之
基 調 講 演
Epigenetic regulatory mechanisms underlying the cellular response to hypoxia
Lorenz Poellinger
Karolinska Institute, Sweden
第2日 2012年6月27日(水)
セッションA
酸化ストレスに対する細胞応答
座長:山本 雅之、T. W. Kensler
1 Keap1-Nrf2 制御系:レドックスシグナル伝達系のマスター制御因子
東北大学大学院 医学系研究科 山本 雅之
2 Genetic determinants of acute cardiopulmonary injury induced by exposure to hyperoxia in adult and neonatal inbred mice
National Institutes of Health, USA Steven R. Kleeberger
3 酸化ストレス応答のエピゲノム制御
東北大学大学院 医学系研究科 五十嵐和彦
4 骨髄由来細胞の Nrf2 は高脂肪食による動脈硬化症形成を促進する
弘前大学大学院 医学研究科 伊東 健
5 Keap1-Nrf2 signaling: targets for disease prevention
University of Pittsburgh, USA Thomas W. Kensler
ショートトークセッション A
山本 雅之
Steven R. Kleeberger
五十嵐和彦
─ 46 ─
伊東 健
Thomas W. Kensler
第33回内藤コンファレンス
セッションB
1
低酸素ストレスに対する細胞応答
座長:井上 正宏、G. L. Semenza
Hypoxia-inducible factors: the yin and yang of cardiorespiratory homeostasis
Johns Hopkins University, USA Gregg. L. Semenza
2 低酸素応答転写因子 HIF-2alpha ノックダウンマウスにおける赤血球造血
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 大根田 修
3 低酸素誘導転写因子 HIF 活性を有する細胞のイメージングとターゲティング
東京工業大学大学院 生命理工学研究科 近藤 科江
4 Regulation of homeostasis via the HIF isoforms
University of Cambridge, UK Randall Johnson
5 低酸素下での癌細胞の休眠
大阪府立成人病センター研究所 井上 正宏
ショートトークセッション B
ポスターセッション[Ⅰ]
Gregg. L. Semenza
大根田 修
近藤 科江
Randall Johnson
井上 正宏
第3日 2012年6月28日(木)
セッションC
酸素と細胞内シグナリング 座長:一條 秀憲、Z. Ronai
1 The ubiquitin ligase Siah2 in ER stress, hypoxia and tumorigenesis
Sanford-Burnham Medical Research Institute, USA Ze'ev Ronai
2 Regulation of mTORC1 by the p38 pathway in response to stresses
Xiamen University, China Jiahuai Han
3 蛍光プローブの精密設計に基づく、生細胞・動物のリアルタイム機能イメージング
東京大学大学院 医学系研究科 浦野 泰照
4 VCP による細胞内 ROS レベルの新規制御機構
京都大学大学院 生命科学研究科 垣塚 彰
5 細胞内亜鉛濃度の恒常性維持機構としての SOD1 分子スイッチ
東京大学大学院 薬学系研究科 一條 秀憲
ショートトークセッション C
Ze'ev Ronai
Jiahuai Han
浦野 泰照
─ 47 ─
垣塚 彰
一條 秀憲
第33回内藤コンファレンス
セッションD
酸素と代謝
座長:深水 昭吉、B. M. T. Burgering
1 メチオニン代謝とアルギニンのメチル化
筑波大学 生命領域学際研究センター 深水 昭吉
2 老化に伴う腎障害における SIRT1-autophagy 系の意義
金沢医科大学 糖尿病 ・ 内分泌内科 古家 大祐
3 Small molecules and natural products that suppress protein aggregation and slow aging
Buck Institute for Research on Aging, USA Gordon. J. Lithgow
4 The role of FOXO transcription in cellular redox maintenance
University Medical Center Utrecht, The Netherlands Boudewijn M. T. Burgering
5 Keap1-Nrf2 制御系による酸化ストレス応答と代謝改変機構
東北大学大学院 医学系研究科 本橋ほづみ
ショートトークセッション D
ポスターセッション[Ⅱ]
深水 昭吉
古家 大祐
Gordon. J.
Lithgow
Boudewijn M. T.
Burgering
本橋ほづみ
第4日 2012年6月29日(金)
セッションE
酸化ストレスと病態
座長:赤池 孝章、B. A. Freeman
1 親電子シグナル分子:ニトロ環状ヌクレオチドによる Ras 依存的細胞老化とオートファジー制御
熊本大学大学院 生命科学研究部 赤池 孝章
2 Redox-derived anti-inflammatory Iipid mediators
University of Pittsburgh, USA Bruce A. Freeman
3 活性酸素生成酵素 Nox ファミリー NADPH オキシダーゼの調節機構
九州大学大学院 医学研究院 住本 英樹
4 Structural and functional interrogation of protein cysteine S-nitrosylation
University of Pennsylvania, USA Harry Ischiropoulos
5 自己抗体の標的となる酸化由来ダメージ関連分子パターン
赤池 孝章
Bruce A.
Freeman
住本 英樹
閉会挨拶
名古屋大学大学院 生命農学研究科 内田 浩二
Harry
Ischiropoulos
内田 浩二
熊本大学大学院 生命科学研究部 赤池 孝章
─ 48 ─
第33回内藤コンファレンス
内藤コンファレンス 報告
酸素生物学:酸素濃度に対する生物応答とその制御破綻による疾患
東北大学大学院医学系研究科
教授
組織委員長 山本 雅之
第33回内藤コンファレンス「酸素生物学:酸
応答して適応することができる。よって、酸素
素濃度に対する生物応答とその制御破綻による
に対する生体の分子機構を解明し、その制御破
疾患」は、2012年 6 月26日から29日までの 4 日
綻がもたらす疾患を理解することによって、新
間、シャトレーゼ ガトーキングダム サッポロに
たな治療法の提案につながると考えている。
て開催された。初夏の北海道に、国外より11名、
本コンファレンス開催にあたり、ご参加頂い
国内より15名の研究者を迎え、若手研究者58名
た内藤財団理事の藤井義明先生はじめ、理事・
による発表も行われた。コンファレンスは、カロ
評議員・選考委員および事務局の皆様に心より
リンスカ研究所のPoellinger博士の基調講演に始
御礼申し上げたい。(山本記)
まり、 1 )酸化ストレス、 2 )低酸素、 3 )シグ
コンファレンス内容の要約
ナル伝達、 4 )代謝、 5 )疾患、の 5 セッショ
ンより構成された。今回、内藤コンファレンスの
Plenary Lecture
テーマに「酸素生物学」を取り上げて頂いたこ
座長:山本 雅之
とに対して、委員一同、光栄に感じている。
Lorenz Poellinger博士(スウェーデン・カロ
酸素は、Priestleyが1774年に、燃焼が物質と
リンスカ研究所)による基調講演では、低酸素
「酸素」の結合であると説明し、生物の生存に
環境下での遺伝子発現調節機構に関する最新の
必須の物質として知られるようになった。酸素
知見が紹介された。Poellinger博士は、ダイオキ
は生体エネルギーであるATP産生を促進する
シン受容体AhRや低酸素誘導性因子HIFなどの
と同時に、活性酸素種(ROS)産生基質として
bHLH-PASファミリー転写因子の機能解析に造
働くことで毒性を示す。酸素が示すこのような
詣が深く、ストレス誘導的転写制御の研究から
生物学的な両義性に対応するため、生体は体内
酸素生物学の分野に参画した研究者の第一人者
に入り込む酸素分圧を鋭敏に感知し、組織への
である。
「酸素生物学」をテーマとして掲げた本
酸素供給を厳密に制御する必要がある。酸素の
シンポジウムでは、転写制御機構は異分野とな
過不足はレドックスバランスを破綻させ、本コ
る研究者も多く参加していたが、低酸素下でも
ンファレンスでも取り上げられた新生児気管支
細胞が恒常性を維持する際には、転写制御機構
肺異形成症や睡眠時無呼吸症候群のような病態
が中心的役割を担っていることが簡潔に概説さ
を引き起こす原因となる。一方で、アンデスの
れた。転写制御の研究分野では、ここ数年で急
ような標高4,000mに及ぶ高地に居住する人々
激に「エピジェネティクス」が隆盛を極めている
は、低酸素環境への適応能力を獲得している。
が、Poellinger博士は低酸素誘導的転写制御の分
酸素が過剰に供給されると、その強い酸化力で
子機構研究にエピジェネティクスの観点を導入
生体高分子が「酸化」され、ROSの産生が亢進
しており、その最先端の成果が発表された。
して細胞は障害されてしまう。このような酸素
まず、これまでの低酸素応答研究の概要が年
障害に対して、生体は抗酸化能を有しており、
代を追って解説された。本コンファレンスの趣
─ 49 ─
第33回内藤コンファレンス
旨では、酸素生物学を低酸素応答系と酸化スト
行った。その結果、G9a欠損ES細胞では血管新
レス応答系に二分して捉えているが、 2 つの応
生抑制遺伝子群の発現が増加しており、それを
答系は共通して転写因子の脱分解制御を基盤と
マウスに移植すると野生型ES細胞よりも小さ
しており、この点から酸化ストレス応答系の研
なテラトーマを形成した。一方、JMJD1A欠損
究 者 か ら も 理 解 し や す い 内 容 で あ っ た。
ES細胞では大きなテラトーマを形成した。す
Poellinger博士のオリジナリティーの高い研究
なわち、腫瘍低酸素環境は特定の遺伝子のヒス
成果として、HIFのユビキチンリガーゼとして
トン修飾状態を変化させ、腫瘍の性状に大きな
のpVHLの同定やHIF抑制性因子IPASの発見な
影響を及ぼす。エピジェネティクス研究は、解
どが紹介された。また、細胞未分化性の維持に
析手技や解釈が日々改訂される研究分野である
おいてHIFがNotchシグナルの影響下にあるこ
が、酸素生物学研究に新しい風を吹き込み、生
とが示された。最近の研究から、低酸素以外の
命と酸素の関わりについて理解が一層深まるこ
刺激によってもHIFが活性化される局面が知ら
とが期待された。(山本記)
れるようになっており、今後、低酸素応答系の
多岐にわたる生理機能が続々と明らかになると
期待された。
Session A
HIFが生体の恒常性維持や個体発生に幅広く
酸化ストレスに対する細胞応答
座長:山本 雅之、Thomas W. Kensler
関連していることを示しつつも、Poellinger博士
コンファレンスは酸化ストレスのセッション
の関心は転写制御の分子基盤であり、講演は自
からスタートした。酸素過剰あるいは酸化スト
然とエピジェネティック制御系の話題に移行
レス状態を感知し、生体防御機構を発動する転
した。これまでの研究では、低酸素刺激によっ
写応答機構や病態に関する最新の研究内容の講
てHIFが活性化されるまでの分子機構研究がほ
演があった。いずれの研究も、世界の最先端で
とんどであり、活性化したHIFが標的遺伝子を転
切磋琢磨するものであり、たいへん興味深いも
写活性化するメカニズムについては理解が進ん
のであった。また、講演は互いに関連しており、
でいない。この問題を解決する糸口として、クロ
シンポジウムは冒頭から熱気を帯びて始まった。
マチン構造変換やヒストン修飾を中心としたエ
山本雅之(東北大学)は、酸化ストレス応答
ピジェネティック制御系に期待が集まっている。
機構であるKeap1-Nrf2システムの分子メカニ
Poellinger博士は、次いで、HIFの活性化に
ズムの解明に遺伝子改変マウスを用いてアプ
より標的遺伝子の転写開始点近傍のクロマチン
ローチしている。Nrf2は抗酸化応答と解毒に働
構造が変化することを示した。転写活性化領域
く生体防御群遺伝子群の誘導を制御する転写因
では、一般的にDNAがヒストンと結合しない
子であり、酸化ストレスに曝露されると核内の
Nucleosome Free Region(NFR)が認められ
Nrf2レベルは急速に増加し、生体防御遺伝子
るが、HIF標的遺伝子のなかには転写開始点近
群を活性化する。この一連の応答機構を司るの
傍においてHIF活性依存的にNFRを形成するも
は、センサータンパク質Keap1である。肺がん
のがあり、その反応は可逆的であった。
を 中 心 と す る 固 形 腫 瘍 に お い て、KEAP1 や
さらに、低酸素環境でのヒストン分子のメチ
NRF2 の体細胞性変異が見いだされ、Nrf2の恒
常的安定化が発見された。現在、これらの遺伝
子変異を導入したマウスの解析が行われてお
り、実際にin vivo でKeap1-Nrf2機能が変化す
ることが明らかとなった。今後は、がんをはじ
めとする疾患とKeap1-Nrf2に関連する研究が
盛んに行われていくことが予想される。
Steven Kleeberger博士(米国・NIEHS)は、
出生後 1 日目のマウスを72時間100%の酸素に
ル化修飾について、ゲノムワイド解析を取り入
れた研究成果が発表された。G9aはヒストンH3
の 9 番目のリジン残基(H3K9)のメチル化を触
媒する酵素であり、JMJD1A(KDM3A)はそ
の逆の反応(脱メチル化)を触媒するが、両酵
素の発現は低酸素曝露によって亢進する。この
点に注目し、それぞれを欠損した胚性幹(ES)
細胞のテラトーマ形成活性を指標とした解析を
─ 50 ─
第33回内藤コンファレンス
曝露して、新生児気管支肺異形成症(BPB)様
制御している。一方、酸化ストレス刺激時には、
の 表 現 型 を 再 現 し た。 よ り 強 い 障 害 を 示 す
MafK-Nrf2複合体が結合しHO-1 の転写が活性化
C3H/HeJ系統と、耐性を示す129S1系統を用い
されるが、MATIIaによって周辺のDNA配列が
てハプロタイプ関連性マッピング(HAM)解
適切にメチル化されていないと、過剰な転写活
析を行い、量的形質遺伝子座(QTL)を見いだ
性化を引き起こしてしまう。すなわち、MafK-
した。その中で、Chrm2(Cholinergic receptor,
Bach1複合体は通常状態における積極的な転写
muscarinic 2, candidate)遺伝子の第 1 エクソ
抑制に貢献するだけではなく、適切な量の転写
ン中に遺伝子点変異(SNP)を発見した。この
調節にも関係する。通常状態における転写抑制
SNP変異を持つ129S1系統は、高酸素曝露によ
制御に焦点を当てた画期的な研究成果であり、
る肺障害がおこりにくいが、その原因はChrm2
今後は転写活性を受ける遺伝子や発生・分化に
の245番目のアミノ酸置換によるChrm2の活性
伴って制御される遺伝子の転写抑制機構の解析
低下であった。さらに、Chrm2 欠損マウスで
に広く受け入れられていくと予想される。
は高酸素曝露による肺血管透過性の亢進や浮腫
伊東健博士(弘前大学)は、Nrf2が動脈硬化
の形成が著明に減少していた。このように、
の病態促進に働くことを明らかにした。ApoE
Chrm2は高酸素(酸化ストレス)に対して感
欠失マウスにおいて発症する動脈硬化はNrf2の
受性をもたらす遺伝子であることが明らかと
同時欠失によって改善された。この改善効果は
なった。同様に、Nrf2 欠損マウスを高酸素に曝
動脈硬化巣形成の早期には観察されず、後期に
露したところ、
期待通りに酸素毒性が増悪した。
おいて有意であり、Nrf2は動脈硬化巣形成の後
特に、Nrf2 欠損によるGpx2とMarcoの発現減
期においてその促進に働くと考えられた。さら
少が、BPB様の症状を悪化させる原因であると
に骨髄移植実験により、動脈硬化巣形成には骨
予想された。このように、順方向遺伝学と逆方
髄由来細胞におけるNrf2が関与していた。免疫
向遺伝学を組み合わせ、BPBの病態発現の原因
活性化に働くM1タイプのマクロファージが産生
分子に迫るアプローチは非常に斬新で、ヒトに
するサイトカインの発現が、ApoE単独欠失マ
おけるBPBの早期診断に広く用いられていくも
ウスに比べてApoEとNrf2の二重欠失マウスに
のと期待される。
おいて減少したことから、同タイプのマクロ
五十嵐和彦博士(東北大学)は、sMafがそ
ファージの機能変換を通して、Nrf2が動脈硬化
のパートナータンパク質との組み合わせにより
巣形成に重要な役割を担うことが予想された。
転写抑制にも転写活性化にも作用するという点
Thomas Kensler博士(米国・ピッツバーグ
に着目し、sMaf因子の1つであるMafK複合体
大学)は、環境衛生学や化学発がん予防学の権
に含まれるタンパク質群を同定した。定常状態
威であり、これまでNrf2の疾患予防に関わる研
において、MafKは抑制性転写因子Bach1に加
究を発展させてきた。特に、様々な環境ストレ
えて、S-アデノシルメチオニン合成酵素アイソ
スに対する防御におけるKeap1-Nrf2システム
ザイムの一つであるMATIIの触媒サブユニッ
の重要性を明らかにしたことは良く知られてい
トのMATIIaと相互作用していた。MATIIa遺
る。さらには、Nrf2誘導剤が様々な疾患に対し
伝子をノックダウンしたところ、ヘムオキシゲ
てNrf2を介した保護効果があることを明らか
ナーゼ(HO-1)の転写抑制が解除され、発現
にした。特筆すべきは、カビ毒である突然変異
が上昇した。また、酸化ストレスによりHO-1
誘発物質アフラトキシンB1に曝露されている
遺伝子の転写が誘導されるが、MATIIa遺伝子
中国のある地区において、多発する肝がんはオ
のノックダウンによりこの転写誘導も増強され
ルティプラッツ投与によって改善されることを
た。従って、通常状態において、HO-1 のエン
報告したことである。さらに、スルフォラファ
ハンサーにはMafK-Bach1複合体が結合してお
ンを高濃度に含有するブロッコリー新芽をお茶
り、そこにMATIIaを動員することで、周辺の
として地区住民に摂取させて、Nrf2活性化の発
ヒストンのメチル化を促進し、積極的に抑制を
がん予防効果を、バイオマーカー解析を通して
─ 51 ─
第33回内藤コンファレンス
明らかにした。実際に予防性食品としての応用
する。一方、HIF-2αはスーパーオキシドジス
が実現化できることを示したことは、非常に意
ムターゼ 2 (SOD2)の発現を上昇させ、ROS
義深い。
を解消する。すなわち、IHの病態には、HIF-1
森泰生博士(京都大学)はイオンチャネル
αとHIF-2αのバランスによるレドックス恒常
TRPA1が呼吸器における酸素の過剰や不足を
性の破綻が関与している。
感知する酸素センサーとして機能していること
大根田修博士(筑波大学)は、造血における
をつきとめた。酸化還元状態を感知する一群の
HIF-2αの機能について遺伝子部分破壊(kd)
TRPチャネルが存在するが、その中でもTRPA1
マウスと完全破壊(null)マウスを用いた解析
は最も高い酸化感受性を示し、細胞質側に存在
を発表した。これらのHIF-2α遺伝子改変マウ
するシステイン残基が酸素によって酸化される
スの解析から、kd/nullマウスよりもkd/kdマ
ことがチャンネル活性化の引き金となる。一方、
ウスの方が強い貧血を呈した。EPOの発現は
低濃度酸素においてもTRPA1は活性化するが、
両者で差はなかったが、kd/nullマウスでは貧
この場合の酸素感知は細胞に存在する酸素感受
血のために脾臓ではむしろHIF-2αが高くな
性因子を介している可能性があり、プロリン残
り、血管内皮数が増える。脾臓の血管内皮の
基のリン酸化酵素が重要である。野性型マウス
VCAM-1発現が上昇し、これが造血前駆細胞を
の迷走ニューロンや感覚ニューロンに高濃度お
支持しているものと考えられる。
よび低濃度の酸素処理を行ったところカチオン
近藤科江博士(東京工業大学)は、HIFの活
電流が確認されたが、Trpa1遺伝子破壊マウス
性をマウスでイメージングする方法について発
から単離したニューロンではイオン電流は有意
表した。プローブはペプチドで、細胞内導入法
に減少した。プロリン水酸化酵素の遺伝子破壊
としてHIV TATシークエンスを利用し、HIF
マウスから単離したニューロンでは低濃度酸素
内のVHLによる蛋白質分解の認識配列を利用
に対する応答は有意に減少していた一方、高濃
することにより、HIF蛋白が安定化する場での
度酸素に対する応答は正常であった。この研究
みプローブが安定化するシステムを確立した。
は、酸素に対する生物学の理解を大きく進める
検出系として生体でのイメージングを可能にす
ものと思われる。
(山本記)
るために近赤外蛍光や、BRETを応用してバッ
クグラウンドを下げる試みなどを紹介した。こ
Session B
れらHIFイメージング法を用いることによっ
低酸素ストレスに対する細胞応答
座長:井上 正宏、Gregg L. Semenza
て、病態におけるHIFの動態がイメージングで
きることを示した。
本セッションでは低酸素応答の分子メカニズ
Randall Johnson博士(英国・ケンブリッジ
ムについて 7 題の発表とディスカッションが行
大 学 ) は、 転 移 成 立 に お け る 血 管 内 皮 で の
われた。低酸素応答は生体における複雑な反応
HIF-1αとHIF-2αの機能分担について発表し
であるが、いずれの発表者もマウス個体や初代
た。転移臓器の血管内皮でHIF-1αをノックア
培養を用いることによって、より生体に近い状
ウトすると転移が抑制され、HIF-2αをノック
態での低酸素応答に切り込んだ研究を紹介した。
アウトすると転移が促進する。転移先臓器の血
Gregg Semenza博士(米国・ジョンズホプキ
管内では、がん細胞による微小塞栓形成に引き
ンス大学)は、睡眠時無呼吸症候群のような慢
続いて小梗塞がおこり、血管内皮が低酸素に陥
性的間歇的低酸素(IH)の病態メカニズムにつ
る。HIF-1αはiNOSを介してNOを産生し、さ
いて発表した。IHはcarotid bodyを介した交感
らにVEGF発現を上昇させる。そのために血管
神経の活性化を介して高血圧を引き起こす。IH
を通したがん細胞の移動が促進される。逆に
はcarotid bodyのHIF-1αを活性化し、HIF-2α
HIF-2αはNO産生を抑制し、転移に抑制的に
を不活性化する。HIF-1αはNADPHオキシダー
作用する。
ゼ 2 (NOX2)の発現を上昇させ、ROSを産生
井上正宏(大阪府立成人病センター)は、がん
─ 52 ─
第33回内藤コンファレンス
細胞の低酸素応答、特にがん細胞が低酸素で休
伝達研究から、シグナルとがん、神経変性疾患
眠するメカニズムについて発表した。井上らの
との関連にまでおよび、さらには治療へのアプ
開発した患者腫瘍組織からの培養法によって、
ローチについても報告された。
7 日間以上にわたり細胞死せず、増殖せず、可
Ze’
ev Ronai博士(米国・サンフォード・バー
逆的な状態を維持する休眠状態を再現できる。
ナム医学研究所)は、E3ユビキチンリガーゼ
休 眠 状 態 で は 代 謝 状 態 が 低 下 し て い る こ
Siah2とHIF1αのフィードフォワード制御機構、
と、c-MycやmTORなどがんの成立に重要な遺
ERストレス下でのSiah2の発現制御、及びSiah2-
伝子産物の活性が低下していることから、がん
HIF1経路の、前立腺の神経内分泌腫瘍形成にお
細胞の高度な可塑性が示された。
ける役割に関しての研究成果を報告した。Siah2
鈴木教郎博士(東北大学)は、低酸素応答遺
は低酸素に応答し、PHD1および 3 を分解するこ
伝子発現におけるクロマチンリモデリングにつ
とで、HIF1αを安定化する。今回の発表では、
いて発表した。HIFの標的遺伝子のプロモー
Siah2が逆にHIF1αによって転写レベルの制御を
ター上には、ヒストンが結合していないnaked
受けることが示された。また、Siah2がERストレ
DNA(NFR) が 存 在 す る。NFRの 形 成 に は
ス誘導性の転写因子によっても発現制御を受け
HIFが必要であり、この領域にHIFとCBPが結
ることも示された。さらに、Siah2によるHIF1α
合する。再酸素化すると、短時間に転写抑制因
の制御に加え、神経内分泌組織特異的な転写因
子SIN3Aを介して、NFRとHIFの複合体は解離
子であるFoxA2がHIF1αと相互作用し、協調的
する。つまり、低酸素応答遺伝子発現では、ダ
にHIF1α標的分子の転写活性を増強すること、
イナミックにクロマチンリモデリングが起こる。
及びこれら標的分子が腫瘍形成に重要であるこ
武田憲彦博士(東京大学)は、炎症における
とも報告された。
HIF-αアイソフォームの機能分担について発
Jiahuai Han博士(中国・厦門大学)は、p38
表 し た。M1, M2マ ク ロ フ ァ ー ジ は そ れ ぞ れ
MAPキナーゼ経路が異なるストレス環境下にお
Th1, Th2サイトカインで誘導されるが、それ
いて、mammarian Target Of Rapamycin Com-
らサイトカインに応答してHIF-1αとHIF-2α
plex 1(mTORC1)の異なる制御因子をリン酸
がそれぞれ誘導されることを示した。特にマク
化すること、それによりmTORC1の活性を正
ロファージのNO産生において、M1はHIF-1α
にも負にも制御しうることを報告した。p38
を介してiNOSの発現を亢進させることによっ
MAPキナーゼ経路は多様なストレスで活性化
てNOを 産 生 し、 一 方M2はHIF-2α を 介 し て
することが知られている。今回の発表では、
arginase1の発現を亢進させNO産生を阻害す
p38β が 酸 化 ス ト レ ス を 誘 導 す るArseniteに
る。つまりHIF-αアイソフォームの機能分担
よっても活性化され、mTORC1の制御因子の
によって、NO産生の恒常性が維持されること
1 つであるRaptorをリン酸化し活性化するこ
を示した。
と、それにより、mTORC1の活性化を促すこ
以上の演者らの講演では、生体における低酸
とが示された。一方でグルコース飢餓時には、
素応答、特にHIF-1αとHIF-2αのバランスに
p38βはmTORC1の活性化を抑制することが示
よる機能分担に関する最近の進歩が印象的で
された。これは、p38βの下流のキナーゼであ
あった。
(井上記)
るPRAKによって、mTORC1の制御因子であ
るRas homolog enriched in brain(Rheb)がリ
Session C
ン酸化されることによる。
酸素と細胞内シグナリング
座長:一條 秀憲、Ze’
ev Ronai
electron transfer(PeT、光誘起電子移動)と
このセッションは、低酸素、酸化ストレスな
いう概念を用いた、目的に沿った蛍光プローブ
どによって誘導されるシグナル伝達がテーマで
の論理的な設計法の確立、さらにはがん組織を
あった。発表は、分子レベルの詳細なシグナル
可視化するための蛍光プローブの開発に成功し
浦野泰照博士(東京大学)はphoto-induced
─ 53 ─
第33回内藤コンファレンス
たことを報告した。フルオロセインなどの代表
ROS依存的なカタラーゼの細胞質局在が抑制
的な蛍光分子が、蛍光団部位であるキサンテン
され、VCPの酸化によるATPase活性の抑制が
環と電子供与体であるベンゼン環部位に分けら
カタラーゼの細胞質局在に重要であることが示
れることを発見した。さらにこれら代表的な蛍
唆された。
光分子から誘導体を作製し、ベンゼン環部位の
一條秀憲(東京大学)は、筋萎縮性側索硬化
HOMOエネルギーが閾値よりも高い誘導体は
症(ALS)の原因遺伝子として報告されている
PeTにより分子はほぼ無蛍光であること、低い
Cu/Znスーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)
誘導体はPeTが起こらないために強い蛍光を発
が、亜鉛枯渇を感知して小胞体ストレスを誘導
することが明らかとなった。以上の発見に基づ
するという新規機能を持つことを発表した。 3
いたプローブ設計法を確立し、各種ROSを選択
種 類 の 変 異 型SOD1がERAD構 成 因 子 の 1 つ
的に検出する蛍光プローブの開発に成功したこ
Derlin-1と結合し、小胞体ストレスを介して運
とが報告された。さらに、pHの変化によって
動神経細胞死を引き起こすことを見出し、さら
蛍光を発する蛍光分子と、がん抗体が結合した
に132種類の変異型SOD1のほとんどにおいて、
プローブを開発した。このプローブは、がん細
Derlin-1結合領域(DBR)の露出という共通の
胞にエンドサイトーシスにより取り込まれた
構造変化が生じていることを証明した。野生型
後、リソソーム内の酸性pH環境を感知して蛍
SOD1は通常、このDBRを隠した構造を取るが、
光を発する。これによりがんを可視化すること
血清飢餓刺激下ではDBRを露出し、Derlin-1と
に成功した。またγ-グルタミルトランスペプ
結合して小胞体ストレスを誘導する。通常の状
チダーゼ(GGT)が、いくつかのがん細胞に
態において、野生型SOD1のDBR露出を抑制し
おいて高い酵素活性をもつという発見をもと
ている血清中の因子として、亜鉛が同定され
に、GGTの酵素活性により切断されることで、
た。このように、SOD1が亜鉛枯渇状態を感知
強い蛍光を発するγGlu-HMRGという蛍光プ
して、小胞体ストレスを誘導するという生体の
ローブを開発し、より素早くがんを可視化する
恒常性維持に重要な分子スイッチとして働くこ
ことに成功した。
とを報告した。(一條記)
垣塚彰博士(京都大学)は、AAA ATPase
ファミリーの 1 つであるVCPがROSを感知し、カ
タラーゼの細胞内局在を制御することでROSの
量を制御するという新規フィードバック機構を報
Session D
酸素と代謝
座長:深水 昭吉、Boudewijin M. T. Burgering
告した。過剰量のROSはROS消去システムによ
主に代謝と転写因子が関わる生物学につい
り分解されるが、哺乳類においてこの機構に関
て、アルギニンメチル化、リジン脱アセチル化、
わる酵素の 1 つがカタラーゼである。また哺乳
タンパク凝集、レドックス制御、Pten-PI3K-Akt
類においては、カタラーゼがペルオキシソーム
経路、S-ニトロシル化およびリジン脱メチル化
と細胞質を行き来する現象(shuttling)が見ら
などの修飾制御に関する発表で構成された。
れる。そこで、カタラーゼのshuttlingに対する
タンパク質のアルギニン残基のメチル化は、
VCPの寄 与を、ノックダウン実 験 およびVCP
アルギニンメチル化酵素(PRMT)によって触
のATPase活性欠損体の発現により検討した。そ
媒される。以前から、酵母、哺乳類やショウ
の結果、カタラーゼの細胞質局在が促進され、
ジョウバエにPRMT遺伝子ファミリーが存在
VCPのATPase活性がカタラーゼのペルオキシ
することが知られていたが、深水昭吉(筑波大
ソームへの輸送において重要であることが示さ
学)は、線虫にもPRMTが存在し、prmt-1 変異
れた。さらに、VCPのノックダウンは細胞内ROS
体が短寿命を示すことを明らかにした。また、
prmt-1 の過剰発現変異体では、転写因子daf-16
の過剰発現バックグラウンドで寿命が有意に延
長することも判明した。以上から、非対称性ア
の量を抑制した。また、VCPのATPase活性は、
ROSによる酸化を介して抑制されることから、酸
化抵抗性VCPの 効 果 を 検 討 し た。 そ の 結 果、
─ 54 ─
第33回内藤コンファレンス
ルギニンメチル化反応は、転写因子を介して線
遺伝子群がNrf2により直接活性化されること
虫の寿命制御に関与することが示された。
を明らかにし、Nrf2がプリンヌクレオチドの新
古家大祐博士(金沢医科大学)は、抗老化分
規合成とグルタミン代謝を促進することを見い
子SIRT1に 着 目 し、 カ ロ リ ー 制 限 に よ っ て
だした。さらに、こうしたNrf2による代謝制御
NAD依存性脱アセチル化酵素SIRT1活性化を
は、Pten-PI3K-Akt経路の活性化状態において
介してミトコンドリア機能が制御された結果、
増強されることを示した。以上のことから、酸
老化に伴う腎障害が改善されることを見出し
化ストレス応答の鍵因子である転写因子Nrf2
た。そのメカニズムは、カロリー制限による
は、増殖シグナルによりその機能が拡大するこ
SIRT1の活性化が転写因子Foxo3aをアセチル
とで、増殖に有利な代謝環境を実現していると
化/脱アセチル化のバランスを制御し、オート
いえる。
ファジー機構を維持してミトコンドリアを制御
上原孝博士(岡山大学)らは、NOと神経細
することが示された。
胞死との関係について、濃度依存的に作動する
Gordon Lithgow博士(米国・バック老化研
メカニズムを解明した。特に、特異的に反応す
究所)は、タンパク質の恒常性と個体寿命との
るタンパク質を抗体アレイ法で網羅的に解析
関係を、興味深い観点から解明している。彼ら
し、脱リン酸化酵素PTENの同定に成功したこ
は、線虫を利用して、アルツハイマー病で脳内
とは特筆に値する。この発見は、非常に低濃度
に沈着するアミロイド線維に結合する色素であ
のNOはPTENをS-ニトロシル化し、アロステ
るチオフラビンT(ThT)を作用させることで、
リックに活性を調節していることの証明につな
老化が遅延し、寿命が延長したことを明示し
がっている。下流に位置するAktシグナルの
た。さらに、寿命に影響を与える低分子化合物
on/offに関わるスイッチ分子として作用し、NO
をスクリーニングした結果、ハルミンというモ
濃度に依存してシグナル経路が巧妙に制御され
ノアミン酸化酵素Aの阻害剤がその候補となる
ていることが明らかとなり、この機構が神経細
ことも言及された。このような低分子化合物が
胞死/防御に深く関与することが示された。
個体寿命に影響するという結果から、大変大き
南学正臣博士(東京大学)は、低酸素下にお
なインパクトが感じられた。
ける遺伝子発現を制御するマスターレギュレー
近年、ROSシグナルが分子内、あるいは分子
ターとして知られる転写因子HIFによる標的遺
間のシステイン-チオールジスルフィド結合を導
伝子の発現調節機構を、ヒト臍帯静脈血管内皮
くシステイン残基の酸化によって仲介されてい
細胞を用いて検討した結果を報告した。ChIP-
ることが示されている。Boudewijn Burgering
seqや3C(chromosome conformation capture)
博士(オランダ・ユトレヒト大学)は、ROSに
assayなどの解析により、HIFのターゲット遺伝
よって分子間システイン-チオールジスルフィ
子であるグルコーストランスポーター 3 の発現
ド結合依存的に転写因子Foxo4とp300の相互作
調節には、HIF依存性に起きる抑制性のヒスト
用が誘導され、このヘテロダイマーやp300に
ン修飾の解除というエピジェネティックな変化
よるFoxo4のアセチル化は、ジスルフィド還元
と、クロモソームの立体構造の変化が関与して
酵素チオレドキシンが制御していることを明ら
いるという最新の情報が示された。
(深水記)
かにした。本研究で示されたp300とFoxo4の新
規分子間相互作用は、癌や老化研究において
大きな意義を持つ研究として興味深いもので
あった。
Session E
酸化ストレスと病態
座長:赤池 孝章、Bruce A. Freeman
本橋ほづみ博士(東北大学)は、がん細胞に
本セッションでは、酸化ストレスを、活性酸
おける転写因子Nrf2の標的遺伝子を調べたと
素によるレドックスシグナルと恒常性制御の破
ころ、ペントースリン酸経路を触媒する酵素群
綻という新たな視点から捉え、生体の酸化スト
と、NADPH産生に関わる酵素群をコードする
レス応答やレドックスシグナル伝達の制御と異
─ 55 ─
第33回内藤コンファレンス
常、酸化ストレスの関わる疾患の分子病態につ
デ ー タ が 報 告 さ れ、p22phox、p47phox、p67phox、
いて最先端分野で活躍する第一線の研究者によ
Racなどの制御タンパク質の各Noxとの結合様
る研究成果発表と討論が行われた。
式や、各Noxの活性酸素産生の際の酵素学的分
赤池孝章(熊本大学)は、活性酸素の2次シ
子メカニズムについての詳細な考察が行われ
グナル分子として発見された8-nitro-cGMPの生
た。また、各Noxの細胞内局在や産生される
成機構と標的分子の同定・機能解析を通じた下
ROSの種類(スーパーオキシドおよび過酸化水
流のシグナル伝達経路の解明について報告し
素)の違いについて解析と考察が行われるとと
た。特に、最近新規標的分子として同定された
もに、各Noxの機能的な差異についても議論さ
H-Rasは、8-nitro-cGMPの鋭敏なセンサーとし
れた。
て機能するだけでなく、活性酸素シグナルのエ
Harry Ischiropoulos博士(米国・ペンシルバ
フェクターとして、下流のシグナル経路の強力
ニア大学)は、一酸化窒素(NO)による可逆的
な活性化をもたらし、細胞老化やオートファ
翻訳後修飾であるタンパク質S-ニトロソ化につ
ジーを誘導することにより、レドックスシグナ
いて、構造的および機能的な役割についての最
ルによる細胞機能制御に関与することが明らか
近の研究進展について報告した。質量分析を用
となった。さらに、8-nitro-cGMPの代謝機構の
いた各種臓器におけるS-ニトロソ化タンパク質
主たる制御系として硫化水素産生系が同定さ
の網羅的解析の結果やS-ニトロソ化における血
れ、硫化水素関連化合物が生体内でレドックス
管内皮型NO合成酵素の役割が示された。また、
シグナルの重要な制御因子であることが提案さ
ミトコンドリアを対象とした網羅的解析の結果
れ、レドックスシグナルの分子制御機構につい
をもとにS-ニトロソ化タンパク質の機能的な分
て議論がなされた。
類解析を行い、細胞のエネルギー代謝制御にお
Bruce A. Freeman博士(米国・ピッツバーグ
けるタンパク質S-ニトロソ化の役割について考
大学)は、レドックスシグナル伝達におけるセ
察が行われた。さらに、部位特異的なS-ニトロ
カンドメッセンジャーとして、不飽和脂肪酸が
ソ化を介する酵素活性制御と病態との関わりに
酸化・ニトロ化されて生成するケト脂肪酸およ
ついて動物モデルを用いた実験的データが紹介
びニトロ脂肪酸が親電子性を有するユニークな
され、タンパク質S-ニトロソ化の生理的、病態
脂質であることを報告した。これら親電子性脂
生理的機能についての詳細な議論が行われた。
質に見出された新しい生物活性として、タンパ
近年、酸化ストレスの亢進に伴い、様々な生
ク質システイン残基に対する脂質付加による翻
体分子(核酸、タンパク質、脂質など)の酸化
訳後修飾(脂質付加)と、それによるストレス
修飾体が生成し、それらの生理機能(特にレ
応答シグナルの活性化機構を示した。低濃度の
ドックス活性)や病態生理機能の発現メカニズ
親電子性脂質は、強力な抗炎症作用を有してお
ムが注目されている。内田浩二博士(名古屋大
り、これら親電子性脂質の炎症・代謝制御メカ
学)は、脂質過酸化の代謝物(ノネナールなど)
ニズムと、その治療への応用について議論した。
がタンパク質システイン残基やヒスチジン残基
住本英樹博士(九州大学)は、感染防御をは
に付加修飾すること、さらにこれら付加修飾さ
じめ様々な生理機能を有する活性酸素産生酵素
れ た タ ン パ ク 質 が、 自 己 抗 体( 主 と し て 抗
NADPHオキシダーゼの活性制御メカニズムに
DNA自己抗体)と強力な交差反応性を示し、
ついて最新の知見を報告した。Noxファミリー
パターン認識レセプターを介して炎症反応を誘
に 属 す る 7 つ のNADPHオ キ シ ダ ー ゼ(Nox1
発 す るDAMPs(damage-associated molecular
〜5、およびDuox1, 2)について、タンパク質
patterns)として働くことを報告した。これに
の一次構造および活性酸素産生の制御機構の違
より、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫
いが概説された。Nox1-5について、構造ドメ
疾患の進展における、酸化ストレス病態の新し
インを入れ替えた各種キメラタンパク質の作成
い分子機構の可能性を提唱した。(赤池記)
とこれらを用いたROS産生制御に関する解析
─ 56 ─
第33回内藤コンファレンス
基調講演:Dr. Lorenz Poellinger
組織委員長:山本 雅之 先生
─ 57 ─
第33回内藤コンファレンス
第33回内藤コンファレンス参加印象記
札幌でのコンファレンスの印象
九州大学大学院医学研究院
博士研究員
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
教授
安保 真裕
2012年初夏の北海道にて第33回内藤コンファ
レンス「酸素生物学:酸素濃度に対する生物応
答とその制御破綻による疾患」が開催されまし
た。学会期間中、札幌市街地の中心部から程
よく離れた場所のホテルに、酸化ストレス応
答、活性酸素シグナル伝達あるいは低酸素生物
学などの研究者の先生方が一堂に介し、朝から
晩まで議論と交流が行われました。濃密なスケ
ジュールでの学会でしたが、招待講演者の方々
は各分野の一流研究者ばかりでその講演はいず
れも興味深く、知的興奮を掻き立てるものでし
た。私はポスター発表者として参加させていた
だきました。私の研究内容について少し紹介し
ますと、活性酸素の一種である過酸化水素の可
視化技術の開発研究を行っています。過酸化水
素は細胞内シグナル伝達に関与すると考えられ
ており、これを可視化する手法は生物学におけ
る有力な手法となることが期待できます。私の
研究は有機合成化学を利用して機能性蛍光色素
を開発する手法に基づいており、一般の生物学
とは少し異なるスタンスをとっているのです
が、実用に耐える手法を確立するためには、対
象となる生命現象についても詳しく知る必要が
あると常々感じています。その点で今回のコン
ファレンスに参加することができて大変有意義
な経験をすることができました。組織委員会の
先生方、内藤財団の関係者の皆様には深くお礼
申し上げます。
上原 孝
この度は、第33回内藤コンファレンス「酸素生
物学:酸素濃度に対する生物応答とその制御破綻
による疾患」に参加する機会を頂きまして有り難
うございました。
私の研究テーマは一酸化窒素なのですが、演題
には酸素や硫化水素関係もあり、今後研究を推進
するに当たり非常に参考になりました。プログラム
にゆとりがあるおかげで、各セッション終了時のフ
レッシュなうちに、意見を交換できたことは良かっ
たと思いました。研究者間で今後の進め方やデー
タの解釈に関しても活発にディスカッションし、普
段の学会では経験しないような時間を過ごすこと
が出来ました。
また、これまで面識のない冨田修平先生(大
変失礼しました)と一緒の部屋でしたが、年齢も
同じで、勤務地も近く、また同じ薬理学研究室に
所属していたので、すぐに打ち解けました。夜中
まで、ラボの立ち上げや研究の話などをしていま
した。私が助手に採用された年(1995年)に岐阜
県で開催された第 5 回内藤コンファレンスの際も、
まったく面識のなかった先生方と数日同じ場所で
過ごし、色々と見聞を深めたことを思い出していま
した。普段の大学での仕事から解放?されて、研
究にまつわる多くの話が出来たことは非常に有意
義でした。
最後になりましたが、このような素晴らしいコン
ファレンスに参加させて頂きましたこと、ならびに、
第41回内藤記念特定研究助成金を賜りましたこと
に厚く御礼申し上げます。
右から 2 人目が筆者
─ 58 ─
第33回内藤コンファレンス
内藤コンファレンスに参加して
More oxygen please!
東北大学大学院医学系研究科
大学院生
熊本大学大学院生命科学研究部
准教授
小林 匡洋
この度、第33回内藤コンファレンス「酸素生物
学:酸素濃度に対する生物応答とその制御破綻
による疾患」に参加させていただきました。
私は酸素運搬体であるヘモグロビンに着目して
赤血球分化の研究を行っており、ヘムを起点とし
たグロビン遺伝子等の転写制御機構について発
表させていただきました。
酸素生物学がテーマではあるものの、実際の
抄録を見てみると、酸素の運搬体である赤血球
系についての発表は少数であったので、学会参
加前は、自分の発表にはあまり関心を持ってもら
えないのではないかという不安がありました。し
かし、実際に発表をしてみると、ヘモグロビンに
ついても多くの方が非常に興味を持ってくれてい
ることが分かりました。予想より多くの方から質
問を頂くことができて、ありがたく思います。研究
意欲が今まで以上に刺激されたと思います。
多くの発表は、低酸素応答に対するHIFや酸
化ストレスに対するNrf2の役割についての発表
で、ヘモグロビンや赤血球分化を研究する自分に
とっては少し慣れない箇所もあったのですが、宿
泊施設で同室であった鳥居暁さんをはじめ、低
酸素応答や酸化ストレスの専門家から多くのこと
を教えていただきました。
最後になりましたが、組織委員会の先生方、内
藤記念科学振興財団の皆様には深く感謝し、お
礼申し上げます。今後も科学の発展に貢献してい
けるよう、研究を進めたいと思います。
澤 智裕
「Chardonnay」「Semillon」
「Riesling」「Muscadet」
「今日は白ワインですか。」と思った方。残念
でした。これは、今回(第33回)の内藤コンファ
レンスが開催された会場の名前なんです。札幌
駅からバスでおおよそ30分。周りを自然に囲ま
れた素晴らしい環境の中で「酸素のバイオロ
ジー」について非常に密度の濃い 4 日間を過ご
すことができました。
O原子が 2 つくっついただけの簡単な分子
を、生体はとても複雑なシステムを駆使して利
用している様子があらゆる角度から議論された
今回の会議は非常に勉強になりました。
美味しい夕食のあとには、再びポスターセッ
ションで熱いdiscussionが続き、さらにその後
に は、「Hospitality room」 へ。 そ の 日 の セ ッ
ションでactivateされた参加者による喧々囂々
の熱い討論はまだまだ続くのでした…(スタッ
フの皆様。毎晩遅くまでスイマセンでした)。
そして疲れきった頭で部屋に帰って。「もっ
と酸素を!」
最後になりましたが、発表の機会を与えてい
ただきましたOrganizing Committeeの山本雅之
先生、赤池孝章先生、一條秀憲先生、井上正宏
先生、深水昭吉先生ならびに多大なるご支援を
いただきました内藤財団と関係者の皆様に厚く
御礼申し上げます。
左端が筆者
─ 59 ─
第33回内藤コンファレンス
内藤コンファレンスに参加して
第33回内藤コンファレンスに参加して
東北大学大学院医学系研究科
助教
東京大学大学院医学系研究科
特任助教
田口 恵子
2012年 6 月末に札幌で開催された第33回内藤
コンファレンスに参加させて頂きました。本コン
ファレンスの「生物応答とその制御破綻による疾
患」という内容は私の研究に正に合致しており、
演題採択のメールが届いたときは大変嬉しかっ
たです。当日、意気込んで札幌駅を出ると、期
待に反して本州よりも暑い北海道で、また、綿毛
が街中を浮遊している光景に驚きました(後にポ
プラだと教えてもらいました)
。札幌駅からの送
迎バスは顔見知りの先生方との再会の場になりま
した。シンポジウムでは国内外の著名な先生が一
堂に会し、講演を拝聴することができました。大
変嬉しかったのは、ポスター発表の時間になると
私の発表を聞きたいと 2 人の先生が揃って訪ねて
きてくれたことでした。その後も、熱心に質問し
てくださる先生がおり、その 1 人はAkt/PKBの
発見者だと後に知り驚きました。同室となった先
生とは昨年の大震災に話が及び、いま十分な研
究環境で研究に従事できることの有り難さを思い
起こしました。
本コンファレンスに参加させて頂いただけで大
変満足だったのですが、加えて優秀ポスター発
表として採択頂き、組織委員の先生方に深く感謝
致します。これを励みにさらに研究を進めたいと
考えております。また、 4 日間を通して最高のホ
スピタリティーで迎えて下さった内藤記念科学振
興財団の皆さまに厚く御礼申し上げます。
武田 憲彦
2012年 6 月26日より29日までの 4 日間、札幌
にて開催された第33回内藤コンファレンスに参
加する機会を頂きました。今回のコンファレン
スは「酸素生物学」と言うテーマでした。酸素
欠乏による低酸素だけでなく、酸化ストレス、
代謝、シグナル伝達から病態に至るまで世界中
の第一線で活躍されている先生方と、わくわく
しながらディスカッションをさせて頂くことが
できました。
今回のコンファレンスでは、低酸素応答に関
わる主要な転写因子HIF-1α の低酸素環境下お
よび炎症性サイトカイン刺激下の挙動につき発
表させて頂きました。非常にレベルの高いコン
ファレンスと伺っていたので、まだまだ未完成
の研究データをお話することに大きな不安を抱
きながらの発表でしたが、これまであまりお話
することが出来なかった、エピゲノム、バイオ
インフォマティクス研究をされている方々から
大変貴重なアドバイスを頂く事ができ、ほっと
すると同時に本コンファレンスに参加して本当
に良かったと思いました。
素晴らしい講演と熱いディスカッションの 4
日間はあっという間に過ぎ去ってしまいました
が、今回頂いたご助言と刺激を糧に、これから
も熱意を持って研究に精進したいと思います。
最後になりましたが、このような貴重な機会
を与えて下さった山本雅之先生、組織委員の先
生方、ならびに内藤記念科学振興財団の皆様に
深く感謝申し上げます。
中央が筆者
─ 60 ─
第33回内藤コンファレンス
酸素と鉄と生物と
第33回内藤コンファレンスに参加して
鳥取大学医学部
教授
九州大学大学院薬学研究院
准教授
冨田 修平
この度の第33回内藤コンファレンスでは、札
幌のリゾートホテルで、酸素生物学に関する分
野のトップサイエンティストと昼夜を通して交
流するという、大変贅沢で貴重な 3 泊 4 日間を
過ごす機会を頂きました。本コンファレンスへ
の参加は、同じコミュニティーに属する研究者
が海外のトップサイエンティストと交流する場
を日本で設けることにより、十分な時間をかけ
て自身の研究を海外に発信する絶好の機会を得
られる大変貴重で有り難いものであると感じて
おります。また、今回の参加を通して知り合っ
た新しい研究者仲間と、共同研究を通して、今
後のこの分野の発展にも微力ながら貢献したい
と思っています。「太古より鉄と酸素と共存し
てきた我々生物だから、酸素生物学では、まだ
まだ未知で重要な現象があるに違いない」と信
じて研究活動を継続してきた甲斐があったと素
直に喜んでいる次第です。
また、本コンファレンスの開催直後に鳥取大
学医学部分子薬理学分野に異動する予定であっ
たこの時期に、酸素生物学をもう少し広い研究
学問として理解することができ、更には、この
度応募した研究内容にて内藤記念特定研究助成
金を頂くこととなり、心に残るコンファレンス
となりました。このような貴重な機会を与えて
くださった組織委員長の山本雅之先生をはじめ
組織委員の諸先生ならびに内藤記念科学振興財
団の皆様に心より深く感謝申し上げます。
西田 基宏
「酸素生物学」という言葉に惹かれ、大学院生
と一緒にダメもとで当コンファレンスに応募した。
ありがたいことに 2 人そろって採択され、私に
至っては口頭発表のチャンスまでいただいた。ホ
テルの会場受付には複数の大きな国旗が並べら
れてあり、サミットのような高貴な雰囲気の中でコ
ンファレンスが開催された。実際、一流国際誌で
幾度か目にしたことがある名高い研究者と厳選さ
れた若手研究者だけが集い、ポスター会場から
懇親会会場、温泉に至るまで、多くの研究者と研
究交流する場所を提供していただいた。Hipoxia
Inducible Factor(HIF) 研 究の功 績 者である
Poellinger先生やSemenza先生、Johnson先生ら
の迫力ある講演を目の当たりにし、酸素酵素学
がどのように発展してきたかを感じ取ることがで
きた。しかしその一方で、薬理学の私にとっては
リガンドと受容体の結合・解離がシグナル応答の
中心であり、多くの講演に感動しながらも「酸素
センサー分子がいつどのように酸素を受容するの
か」というセンシングの基本動作原理については
まだ研究する余地があることも実感できた。漠然
とではあるが、自分の培ってきた専門知識・技術
を酸素酵素学に展開できる可能性が見え、高い
モチベーションで帰路につくことができた。
今年 6 月16日付で新設分野に異動し、水もガ
スも電気も十分に通っていない部屋で新たなス
タートを切った。研究のモチベーションだけで
なく、研究室立ち上げの一助となる特定研究助
成金まで与えてくださった内藤記念財団ならびに
山本雅之組織委員長・組織委員会の先生方に、
心から深く感謝致します。
新しいラボのベランダで(後ろは中海)
─ 61 ─
第33回内藤コンファレンス
内藤コンファレンスで得たもの
第33回内藤コンファレンスに参加して
東京大学大学院薬学系研究科
大学院生
慶應義塾大学医学部
助教
山口奈美子
山本 雄広
4 月に博士課程に進学した私にとって、今回
2011年の12月はじめ、東北大にいる後輩T君
が 2 度目の学会発表ということで、初日はとて
からメールが。「今度の内藤コンファレンスは
も緊張して会場入りしました。今となってはそ
酸素生物学と代謝です。山本さんも分野が被っ
れが信じられないほど、アットホームな雰囲気
ているからぜひ参加しませんか?」財団のホー
のなか、多くの刺激をいただいた 4 日間でした。
ムページを見ると確かに、学会・研究会等で以
専門からは少し離れた「酸素生物学」の分野に
前お話をを聞いたことがある超有名な先生方が
触れられたほか、私自身の研究対象であるSOD1
招待演者。参加以前に、自分の演題が果たし
やALSについても実りある討論を行うことがで
て採択されるのかどうかがすこぶる不安であっ
きました。
た。会場はガトーキングダムサッポロ。以前は
SOD1は家族性ALS(筋萎縮性側索硬化症)
バブル期の全天候型健康ランドで、学生時代は
という神経変性疾患の原因遺伝子の 1 つで、現
裏の茨戸湖で釣りに興じたのを良く覚えてい
在までに132種類もの遺伝子変異が報告されてい
る。さて、今回のコンファレンスのように朝か
ます。私たちはそのほとんどがERAD(小胞体
ら晩まで同じ会場でどっぷりサイエンスに浸か
関連分解)の構成因子であるDerlin-1と結合し、
る機会は中々ない。最近のhot topicはもちろん、
小胞体ストレスを介して運動神経細胞死を引き
非常に興味深い講演が多く、休憩時間にも他の
起こす、という共通の機構を持つことを報告し
ラボの方々と議論や意見交換もでき、 6 月の北
ています。ALSは発症後 1 〜 5 年で死に至る非
海道の素晴らしい気候の後押しもあり、非常に
常に重篤な疾患であるにも関わらず、現在まで
実り多く、密度の濃い充実した 4 日間であっ
に病態分子メカニズムに基づく根本的な治療法
た。また、夜の部での熱い(?)議論のおかげ
が開発されておりません。そこで私は、変異型
で同世代の近い研究分野の先生方とも多数ネッ
SOD1-Derlin-1の結合阻害を標的とした治療薬の
トワークが繋がったことも私にとっては大きな
開発に取り組んでおり、その現状と課題をポス
収穫であった。
ターにまとめました。至らない説明のなか、多
最後に、山本雅之先生はじめ組織委員の先生
くの先生に「これは面白い研究だね」というお
方、内藤記念科学振興財団の方々には、このよ
言葉をいただき、とても励みになりました。
うな素晴らしい会に参加させていただき感謝申
本会議を運営してくださいました内藤記念科
し上げます。今後もこの分野の研究発展に多少
学振興財団の皆様、組織委員の先生方に、心よ
なりとも貢献できるよう精進してまいりますの
り感謝申し上げます。
で、よろしくお願いいたします。
─ 62 ─
第34回内藤コンファレンス
第34回内藤コンファレンス
感染・炎症・免疫
Infection, Immunity and their Control for Health: Mucosal Barrier, Pathogen and Vaccine
感染症と免疫の研究は近年益々大きなインパクトをもって展開されており、特に病原体感染戦略
と宿主防御戦略間での攻防システム理解、癌や自己免疫疾患等の重篤な疾患と炎症との関係、ミク
ロビオータと腸管免疫および疾患、感染、共生、免疫を起点としたワクチン開発、そして創薬・治療
等の制御に関する研究が飛躍的に進んでいる。今回これらの研究の進展状況を、基礎から臨床まで、
あるいは関連する開発研究について討論し、今後の研究動向を模索することは、感染・免疫・炎症・
制御の領域の研究の更なる発展と、新たな領域の再編成・創成に深く貢献すると考える。
感染において粘膜上皮は、皮膚とともにバリアーとして生体防御の最前線で重要な機能を担って
いる。腸管腔を覆う粘膜上皮は、栄養、水、電解質の吸収と同時に、外界に通ずる管腔と生体との
間でさまざまなクロストークのインターフェースとして働く器官でもある。粘膜上皮は、食物由来の
外来抗原とミクロビオータに曝され、また外来の病原微生物の感染の足場として利用されるために、
免疫系による生体防御機能が幾重にも備えられている。これに対して、病原微生物は高度に進化し
た感染システムを有し、粘膜上皮バリアーを巧みに回避・克服して感染局所に炎症や組織破壊を引
き起こす。またあるものは粘膜上皮を突破し細胞性・液性免疫を回避して全身に感染を広げ重篤な
疾患を引き起こす。一方、腸管内に共生するミクロビオータは、病原体に対するバリアーとなるが、
同時に腸管免疫系に作用して免疫器官の分化誘導や不必要な免疫過剰反応を抑制し生体恒常生維持
機構の一翼を担う。生体では免疫が、外来抗原や病原体成分に加えて、自己成分を抗原や異物とし
て認識し持続的に反応するとさまざまな自己免疫性疾患が引き起こされる。すなわち腸管において
は、粘膜免疫、ミクロビオータに加えて、病原菌の排除と自己免疫反応の適切な制御が行われ、そ
の結果として我々の生体維持機構が正常に保たれる。
本コンファレンスは以上を踏まえて、主題を「Infection, Immunity and their Control for Health」
とし、副題を「Mucosal Barrier, Pathogen and Vaccine」として、オープニングおよびそれに続く
5つセッションを設けた。オープニングの二つの講演では、免疫系の生体調節機構に関するトピッ
クスを取り上げる。また5つのセッションでは、1. Bacterial Infection、2. Viral Infection、3. Host
Defense、4. Barrier and Regulation、5. Vaccine、の討論を行う。また一部ポスター発表者のショー
トトークも行う。さらに今回は、ポスター発表者60名の枠内に6名の「アジア枠」を作り、卓越した
若手研究者を韓国、中国、インドから招く。これにより急速に発展するアジアの研究動向に触れ、ま
た若手研究者がアジアおよび海外招待講演者との親睦を深めることを期待している。
2012年5月
組織委員 笹川 千尋 日本生物科学研究所 常務理事(組織委員長)
石井 健 医薬基盤研究所創薬基盤研究部 プロジェクトリーダー
清野 宏 東京大学医科学研究所 所長
竹田 潔 大阪大学大学院医学系研究科 教授
松浦 善治 大阪大学微生物病研究所 教授
顧 問 竹田 美文 国立感染症研究所 名誉所員(財団評議員)
濵岡 利之 大阪大学 名誉教授(財団評議員)
─ 63 ─
第34回内藤コンファレンス
第34回内藤コンファレンス プログラム
第1日 2012年10月16日(火)
開会挨拶
日本生物科学研究所 笹川 千尋
オープニングセッション
1
Differentiation and function of regulatory T cells
Alexander Rudensky
Memorial Sloan-Kettering Cancer Center, USA
2
制御性 T 細胞の発生におけるジェネティック及びエピジェネティック制御
坂口 志文
大阪大学 免疫学フロンティア研究センター
第2日 2012年10月17日(水)
セッションA
細菌感染
座長:笹川 千尋、S. Hultgren
1 赤痢菌による消化管粘膜バリアーの回避
日本生物科学研究所 笹川 千尋
2 Interactions of Salmonella and Listeria with the autophagy system of host cells
Hospital for Sick Children, Canada John Brumell
3 The molecular logic of UPEC pathogenesis and targeted therapies
Washington University, USA Scott Hultgren
4 ボルデテラ属細菌の III 型分泌装置を介した免疫回避機構
北里大学大学院 感染制御科学府 阿部 章夫
5 ビフィズス菌が産生する酢酸による腸管出血性大腸菌感染の予防:マルチオーミクス手法による解析
理化学研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター 大野 博司
ショートトークセッション A
笹川 千尋
John Brumell
Scott Hultgren
─ 64 ─
阿部 章夫
大野 博司
第34回内藤コンファレンス
セッションB
ウイルス感染
座長:松浦 善治、T. S. Dermody
1 The Nogo-66 receptor is a neural receptor for mammalian reovirus
Vanderbilt University, USA Terence S. Dermody
2 Complex interactions in the gut: enteric viruses, bacteria, mucosa, and immunity
UT Southwestern Medical Center, USA Julie K. Pfeiffer
3 H5N1 鳥インフルエンザウイルスのフェレットにおける空気感染研究の論文発表に至るまでの経緯
東京大学 医科学研究所 河岡 義裕
4 C 型肝炎ウイルスの増殖と病原性発現に関与する宿主因子
大阪大学 微生物病研究所 松浦 善治
5 パラミクソウイルスの細胞侵入と膜融合
九州大学大学院 医学研究院 柳 雄介
ショートトークセッション B
ポスターセッション[Ⅰ]
Terence S. Dermody
Julie K. Pfeiffer
河岡 義裕
松浦 善治
柳 雄介
第3日 2012年10月18日(木)
セッションC
感染免疫
座長:竹田 潔、V. Papayannopoulos
1 Neutrophil extracellular traps in immunity and disease
National Institute for Medical Research Council, UK Venizelos Papayannopoulos
2 IL-17A および IL-17F の感染防御ならびに腸管腫瘍における役割
東京理科大学 生命医科学研究所 岩倉洋一郎
3 自然免疫と炎症
大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 審良 静男
4 Dendritic cells and host defence
Cancer Research UK London Research Institute, UK Caetano Reis e Sousa
5 Prospects for universal influenza and AIDS vaccines
National Institutes of Health, USA Gary Jan Nabel
ショートトークセッション C
Venizelos
Papayannopoulos
岩倉洋一郎
審良 静男
─ 65 ─
Caetano
Reis e Sousa
Gary Jan Nabel
第34回内藤コンファレンス
セッションD
免疫制御
座長:石井 健、A. Radbruch
1 記憶 CD4 T 細胞の形成と機能維持機構
千葉大学大学院 医学研究院 中山 俊憲
2 Molecular adaptations of proinflammatory Th memory/effector cells to chronic inflammation
A Leibniz Institute, Germany Andreas Radbruch
3 脳梗塞後の炎症における IL-23-IL-17 軸の役割
慶應義塾大学 医学部 吉村 昭彦
4 Learning to tolerate our microbial self
California Institute of Technology, USA Sarkis K. Mazmanian
5 PD-1 は腸管における免疫グロブリン A の選択を制御することにより腸内細菌叢の構成の変化に関わる
理化学研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター シドニア ファガラサン
ショートトークセッション D
ポスターセッション[Ⅱ]
中山 俊憲
Andreas
Radbruch
吉村 昭彦
Sarkis K.
Mazmanian
シドニア
ファガラサン
第4日 2012年10月19日(金)
セッションE
ワクチン
座長:清野 宏、R. Rappuoli
1 自然免疫系による腸管炎症の制御機構
大阪大学大学院 医学系研究科 竹田 潔
2 Vaccines and immunity against infections
Novartis Vaccines and Diagnostics, Italy Rino Rappuoli
3 蠕虫が持つ自然アジュバントの働きで肺好酸球症がおこる
4 細胞外核酸の免疫認識機構と創薬への応用
兵庫医科大学 中西 憲司
医薬基盤研究所 創薬基盤研究部/大阪大学 石井 健
5 粘膜ワクチン開発への新展開
東京大学 医科学研究所 清野 宏
ショートトークセッション E
竹田 潔
Rino Rappuoli
中西 憲司
閉会挨拶
石井 健
清野 宏
東京大学 医科学研究所 清野 宏
─ 66 ─
第34回内藤コンファレンス
内藤コンファレンス 報告
感染・炎症・免疫
一般財団法人日本生物科学研究所
常務理事
組織委員長 笹川 千尋
第34回内藤コンファレンス「感染・炎症・免
に15分のショートトークをお願いした。この結
疫」
(Infection, immunity and their control for
果、今回のコンファレンスでは、海外招待講演
health)は、2012年10月16日から19日までの 4 日
者11名(イギリス、イタリア、カナダ、ドイツ、
間、札幌市郊外のシャトレーゼ・ガトーキングダ
米国)
、およびポスター発表者10名(アジア枠
ムで開催された。ガトーキングダムは、石狩川
6 名および海外一般参加者4名を含む)が海外
河口付近で分岐し大きく蛇行して流れる茨戸川
から参加し、全参加者(87名)の約 4 分の 1 が
の河畔にあり、ホテルから美しい田園風景が一
国外参加者となった。アジアの若手研究者が、
望でき、また札幌市の背後の山や手稲の山々も
国際的に著名な研究者とともに質疑応答にも
眺望できる素晴らしいところであった。さて今回
積極的に参加した結果、会議場は国際的な雰囲
のコンファレンスは、清野宏(東大医科研所長)
、
気に満ち、またサイエンスのレベルも極めて高
松浦善治(阪大微研教授)
、竹田潔(阪大医学系
いものであった。同時に、アジアからの参加者
研究科、免疫フロンティア教授)
、石井健(医薬
に向けて、我が国の感染・免疫の研究レベルの
基盤研、阪大免疫フロンティア)の各先生ととも
高さを改めて示す良い機会ともなった。さら
に組織委員会を立ち上げ、事務局との緊密な連
に、国内外の招待講演者の質の高い発表ととも
携のもとに企画・運営を行った。
に、アジア研究者による熱のこもった発表は、
免疫学は、我が国が世界をリードしている数
若手参加者にはよい刺激となった。組織委員一
少ない分野の一つであり、特に近年の自然免
同、今回のアジア枠に格別のご配慮をいただい
疫学における我が国の貢献は著しい。最近で
た、内藤記念科学振興財団に心より謝意を表し
は、2003、2005、2007年に、審良静男教授によ
たい。
る自然免疫をテーマとして、第16回、第18回、
1996年のToll様受容体の発見を契機とした自
第20回の内藤コンファレンスが行われた。今回
然免疫研究の進展、また新興・再興感染症の脅
はそれ以来実に 5 年ぶりに、感染・免疫をテー
威、アレルギーをはじめとする自己免疫疾患の
マとしてコンファレンスが開催され、関係者の
顕在化、そして粘膜免疫と腸内共生細菌(ミク
一人としても大変喜ばしいことであった。本企
ロビオータ)研究のあらたな展開等により、感
画を提案された、内藤財団評議員の竹田美文先
染と免疫の研究は近年益々大きなインパクトを
生および濱岡利之先生には、この場をおかりし
もって展開されている。事実、癌や自己免疫疾
て謝意を表したい。
患等の重篤な疾患と炎症、ミクロビオータと自
また内藤コンファレンスの歴史で初めて、竹田
然免疫、ワクチン・アジュバンドと免疫制御、
美文先生の提案による「アジア枠」として、一
そして創薬と免疫制御との関係等に関する研究
般参加定員内に 6 名の特別枠を設け、中国、韓
が飛躍的に進み、その結果、感染・免疫領域は
国、インドから若手研究者各々 2 名を招いた。
関連領域を絶えず取り込み新陳代謝しながら、
これら 6 名の招待者には、ポスター発表ならび
依然として「サイエンスとしても旬を保ちつづ
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第34回内藤コンファレンス
けている」(濱岡先生のお言葉)のは、一般の
生命科学のなかでも驚異的なことと言って過言
ではないであろう。したがってこれらの現在の
コンファレンス内容の要約
Opening session
座長:笹川 千尋、清野 宏
先端的研究の動向を俯瞰し、同時に今後の研究
方向を展望することは、感染、免疫、炎症のみ
本セッションでは、感染免疫応答の制御に重
ならず、それらが関係する多様な疾患の予防・
要な役割を担う制御性T細胞の研究で世界を
治療に関わる領域の発展と、また新たな領域の
リードする 2 名の研究者が講演した。
再編成・創成、さらには先端的ワクチン・創薬
Alexander Rudensky博士(Memorial Sloan-
等の開発研究にも深く貢献すると思われる。
Kettering Cancer Center)は、制御性T細胞
本コンファレンスでは以上のような背景によ
に関する様々な最新知見を紹介した。制御性T
り、
「感染・炎症・免疫」と題して、これらの研
細胞は胸腺で発生分化するだけでなく末梢でも
究の進捗状況および今後の展望について、基礎
発生分化する。胸腺由来の制御性T細胞の発生
から臨床まで、あるいは関連する開発研究につ
に必須でなく末梢の制御性T細胞の発生に必須
いて発表が行われた。さらに副題として、
「粘膜
の、CNS1と呼ばれるFoxp3遺伝子のエンハン
バリアー・病原体・ワクチン」を掲げたように、
サーを削除したマウス(末梢の制御性T細胞が
感染と免疫に加えてミクロビオータ、および粘膜
欠失するマウス)を用いて、妊娠時に胎盤で発
ワクチンとワクチン・アジュバンドに関する最近
生する制御性T細胞が胎児の妊娠維持に必須で
の話題を積極的に取りあげたことは、本コンファ
あることを報告した。また、Foxp3が制御性T
レンスの特徴となった。したがって、本コンファ
細胞の機能発現に寄与する分子機構を解析し、
レンスは、
「細菌感染」
、
「ウイルス感染」
、
「生体
制御性T細胞におけるFoxp3誘導性遺伝子群の
防御」
、
「バリアーと制御」
、
「ワクチン」の 5 本の
エンハンサー領域には、T細胞受容体刺激依存
セッションを設けた。各々のセッションでは講演
性にFoxp3の共役因子が先に会合し、引き続き
者の専門とする立場、即ち病原体あるいは宿主
Foxp3が会合し、制御性T細胞特異的遺伝子発
側からの視点で、関連するテーマについて活発な
現が誘導されることを示した。そして、その
発表と討論が行われた。さらに、本コンファレン
共役因子としてFoxo1が機能していることも示
スの第一日目の夜には、Alexander Rudensky博
した。
士(Memorial Sloan-Kettering Cancer Center)
、
坂口志文博士(大阪大学免疫学フロンティア
および坂口志文博士(大阪大学免疫学フロンティ
研究センター)は、制御性T細胞を発見し、さ
ア研究センター)をオープニングレクチャーにお
らに制御性T細胞のマスター転写因子Foxp3も
招きして、制御性T細胞に関する基調講演をお
発見し、制御性T細胞研究で世界をけん引する
願いした。因みにお二人は、本年いずれも米国
研究者である。今回は、制御性T細胞の発生分
科学アカデミーの会員に推戴され、誠に時宜を
化機構について最新の成果を報告した。現在、
得た招待となった。
Foxp3陽性細胞を制御性T細胞と一般的に呼ん
今回の内藤コンファレンスは、2010年に「感
でいるが、決してFoxp3陽性細胞=制御性T細
染・免疫・炎症」と題した企画提案をいただ
胞ではないことも知られている。近年、細胞系
き、組織委員が準備委員会を重ねプログラムを
譜がエピジェネテックス情報により制御されて
立案した。この間には、内藤財団の理事長、理
いることが明らかにされてきている。そこで、
事、評議員、事務局からも、貴重なご助言を数
全ゲノムにわたる制御性T細胞のDNAメチル
多くいただいた。また三井常務理事、菱沼事務
化パターンを解析し、制御性T細胞には制御性
局長、佐藤氏には、会期中参加者すべてにきめ
T細胞特異的なDNAメチル化パターンがある
細やかな対応をしていただいた。この紙面をお
ことを示した。さらに、この制御性T細胞特異
かりして、組織委員会一同心より感謝する次第
的DNAメチル化パターンはFoxp3発現誘導と
である。
(笹川記)
は独立してT細胞受容体刺激により誘導され、
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第34回内藤コンファレンス
制御性T細胞の機能発現、全遺伝子発現パター
(Hospital for Sick Children, Toronto, Canada)
ンの形成、制御性T細胞の維持安定に必須であ
は、オートファジーによる菌の認識機構について
ることを示した。これらの結果から、制御性T
サルモネラとリステリアを例にして最新の研究成
細胞の分化には、Foxp3の発現と制御性T細胞
果を報告した。サルモネラはラッフル膜を誘導
型のエピゲノム形成の二つの独立した要素が必
して細胞内へ侵入する。侵入直後には細胞内で
要であり、この両者がそろって初めて完全な制
SVCと呼ばれる膜胞に包まれそのなかで増殖す
御性T細胞となることを報告した。
(竹田記)
るが、増殖に伴い菌はSCVを溶解して細胞質に
移行する。一方リステリアもエンドサイトーシス
を誘導して細胞内へ侵入し、直後にはエンドソー
Session A
細菌感染
座長:笹川 千尋、Scott Hultgren
ムに取り囲まれるがLLO(リステリア細胞膜融解
毒素)を分泌し、膜を溶解して細胞質へ移行す
本セッションでは、細菌の視点に立脚して、
る。いずれの菌も細胞質へ移行に伴い破砕され
病原細菌の感染と宿主免疫応答、およびミクロ
た膜断片と菌体は、異物としてユビキチン(Ub)
ビオータの病原体感染制御に関する最新の研究
化される。それにNDP53等のUb結合タンパク質
成果について講演が行われた。
が繋がり、さらにLC3が結合するとAtg5やAtg12
笹川千尋(一般財団法人日本生物科学研究
が集合して最終的にはオートファゴソームが菌
所)は、赤痢菌をモデルに病原細菌の腸粘膜バ
の周囲に形成される。サルモネラはさらにオート
リアーに対する克服・回避戦術に係る最近の知
ファゴソームでも増殖するが、リステリアはオー
見を報告した。赤痢菌はM細胞直下の常在マク
トファジーの認識を巧みに回避して細胞内で運
ロファージに細胞死を誘導する。この菌によ
動しながら周囲の細胞へ拡散する。いずれもオー
る細胞死誘導は、Ⅲ型分泌機構(T3SS)を通
トファジーを回避する複数のシステムを備えてお
じて分泌されるエフェクターの一つ、IpaH7.8
り、細胞内で生存・増殖する。
(E3ユビキチンリガーゼの一種)によりNLRC4
尿路原性大腸菌(UPEC)は、病原性大腸菌
およびNLRP3活性化を通じて行われることを
の一つとして知られているが、実際には腸管に常
報告した。また、それに続く菌の上皮細胞侵入
在する大腸菌の一つでもある。UPECは、宿主の
に伴い形成されるラッフル膜は、DAMPs(危
免疫系が一時的に低下した状況、あるいは性行
険信号)として自然免疫により認識され、そ
為等で尿路上皮が一過性に炎症性傷害を受ける
の結果ジアシルグリセロール−CMB複合体−
と、尿路から侵入した菌は尿路上皮に感染・定
TRAF6-NK-kB経 路 が 活 性 化 さ れ る こ と を 示
着する。さらに菌の排除が不十分な状況では、菌
した。さらに赤痢菌はこれに対する対抗手段
の一部は膀胱へと逆行性に感染を拡大し、粘膜
としてT3SSより新たにOspIと称するエフェク
上皮表面および上皮細胞内に定着する。薬剤投
ターを分泌する。OspIはTRAF6の活性化に必
与により大部分の菌は一旦除去されたように見
須なUBC13を標的にして脱アミド化酵素とし
えるが、一部の菌は粘膜上皮内に潜伏して、宿
てUBC13の活性を阻止する結果、上述の経路
主の免疫応答が沈静化するのをうかがい、再び
を通じて誘導される炎症応答を感染早期に遮断
粘膜上皮で増殖して膀胱炎を再燃する。Scott
することを示した。病原細菌の高度な感染戦略
Hultgren博士(Washington University, St. Louis,
の一端がさらに明らかになった。
USA)は、UPECの病原性、潜伏感染機構、宿
多くの病原細菌は宿主細胞へ侵入しマクロ
主免疫応答を長年研究してきた世界の第一人者
ファージや上皮細胞内で増殖するが、オートファ
である。博士は、UPECによる再発性の膀胱炎
ジーはそれを異物として認識し分解する。しか
は、初感染を起こした菌が、膀胱上皮でクロー
し赤痢菌やリステリアモノシトゲネス等をはじ
ナルに再び増殖して引き起こされることを、患
めとする一部の菌は、オートファジーを巧みに
者検体およびマウスモデル実験により明らかに
回避して細胞内に定着する。John Brumell博士
した。また菌は粘膜表面にバイオフィルムを形
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第34回内藤コンファレンス
成して薬剤に抵抗性を示す一方、細胞内に残存
善玉菌として広く知られているビフィズス菌に
した菌はフィラメント状の休眠状態で長く生存
よる、O157感染およびベロ毒素による腸上皮
する能力を有していることを示した。また博士
細胞傷害に対する予防効果とその作用機序につ
らは、UPECの上皮細胞への付着を司るIV型線
いて、マウスモデルで行った詳細な結果につい
毛の先端にあるタンパク質の結晶構造から、付
て発表した。大野博士らは、予防効果のあるビ
着に係る部分に特異的に結合し付着を阻害す
フィズス菌(予防株)と、その効果を示さない
る 低 分 子 化 合 物(Mannosides) を 同 定 し た。
ビフィズス菌(非予防株)を、マウスに経口投
Mannosidesと抗菌剤を、マウス膀胱内へ同時投
与した後の腸内細菌叢、およびO157感染にお
与すると、薬剤単独投与に比べて、UPECの感
ける腸上皮の免疫応答を、マルティオミックス
染を一層効率よく制御できることを示した。
手法により比較・解析した。その結果、予防株
ボルデテラ属菌の一つ、百日咳菌は上気道上
はO157感染と毒素による腸上皮細胞死を間接
皮へ付着・定着して特有の痙攣性の咳発作、即
的に阻止した。またその予防効果は、予防株で
ち百日咳を引き起こす。百日咳は再興感染症
は果糖トランスポーター遺伝子を通じて酢酸が
として近年猛威を振いつつある。阿部章夫博士
効率よく産生されることに起因していることを
(北里大学、北里生命科学研究所)は、ボルデ
明らかにした。博士は、感染モデル動物とマル
テラ属菌のT3SS構造と機能を概説し、また本
ティオミックス手法を駆使することで、複雑な
菌 のT3SSか ら 上 気 道 粘 膜 上 皮 へ 分 泌 さ れ る
腸内細菌同士の相互作用、および菌と腸粘膜と
エフェクターの網羅的解析結果の一端を紹介
の相互作用の解明が可能となったことを明快に
した。エフェクターの一部として新たに同定し
示した。(笹川記)
たBopC, BopN, BspRについて、それらの宿主
細胞に対するさまざまな生物活性を解明した
結果について述べた。例えば、BopCは、菌が
マクロファージの貪食作用を回避する機能を担
Session B
ウイルス感染
座長:松浦 善治、Terence S. Dermody
い、一方、BopNは宿主核内へ移行して、NF-
本セッションでは、ウイルスの増殖や病原性
κBの核内移行を抑制する結果、抗炎症性サイ
に関わるウイルス側および宿主側の因子につい
トカインの一つ、IL-10産生誘導を高めている
て、様々なウイルスをテーマに講演いただいた。
ことを示した。博士は、BspRが核内に移行す
Terence S. Dermody博士(Vanderbilt Univer-
るエフェクターであることをすでに見出して
sity School of Medicine, USA)は、レオウイ
いたが、今回、BspRは、菌体内で環境中の鉄
ルスの臓器親和性を規定する 2 種のレセプター
濃度に応答するグローバルな制御因子としても
分子の役割について発表した。レオウイルスは
機能していることを示した。即ちBspRは、菌
10分節の 2 本差RNAをゲノムとする非エンベ
体内と宿主内の両方で各々異なる機能を発揮す
ロープウイルスである。レオウイルスには 3 種
る「多機能性エフェクター」であることが示さ
の血清型が存在するが、これらは経口的に宿主
れた。
動物に侵入し、小腸でウイルスが複製する。そ
腸内常在細菌は、健康に対して様々な改善
の後、 1 型レオウイルスは腸管の付属リンパ節
(場合によっては逆の)効果を発揮する。した
を経てウイルス血症を引き起こし、血行性伝
がって、腸内細菌叢(ミクロビオータ)を制御
播により中枢神経系や心臓などに感染拡大す
することで、腸管病原細菌の感染も予防できる。
る。中枢神経系においては上皮細胞が標的細胞
このようなミクロビオータによる感染予防効果
となるが、神経細胞への感染性は持たない。そ
は、古くから経験的には認識されていたが、そ
れに対して 3 型レオウイルスは、血行性伝播に
の詳細な機序については不明な点が多く残さ
加え神経向性伝播により中枢神経系に侵入して
れていた。大野博司博士(理化学研究所、免
神経細胞に感染する。リアソータントウイルス
疫・アレルギー総合研究センター)は、大腸の
を用いた解析により、この血清型による臓器
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第34回内藤コンファレンス
親和性の違いは、S1遺伝子にコードされるσ1
ことが多いが、このようにウイルス感染が起こ
タンパク質に依存することが示された。σ1タ
る周囲の環境に焦点を当てた研究は少なく、大
ンパク質は先端に球状のヘッドドメインを持つ
変興味深い発表であった。
シャフト状のタンパク質で、本発表ではσ1タ
河岡義裕博士(東京大学 医科学研究所)は、
ンパク質がヘッドドメインを介してJunctional
高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の哺乳類
adhesion molecule-A(JAM-A)と結合するこ
への感染に必要なウイルス側の変異を明らかに
とを示し、マウス感染モデルを用いてJAM-A
した。A型インフルエンザウイルスにおいて、
との結合がウイルスの血行性伝播に必要であ
宿主域を決定する要因として、ウイルスのHA
ることを示した。また、神経向性伝播に関連
タンパク質とレセプターであるシアロ糖鎖の結
するレセプターとして、siRNAライブラリー
合が重要であると考えられている。A型インフ
を用いたスクリーニングによりNogo-66レセプ
ルエンザウイルスのレセプターは、シアル酸を
ターを同定した。Nogo-66レセプターは神経細
末端に持つ糖鎖で、鳥由来のウイルスはシアル
胞に発現するGPIアンカー型の膜タンパク質で
酸がガラクトースにα2,3結合したもの(α-3)
ある。レオウイルス非感受性のハムスター卵巣
を、ヒト由来のウイルスはα2,6結合したもの
由来CHO細胞にNogo-66レセプターを発現させ
(α-6)をレセプターとして認識する。すなわ
ると、レオウイルスに感受性を示した。また、
ちウイルス侵入部位である上部気道に存在する
Nogo-66レセプターを発現しているCHO細胞や
シアロ糖鎖の違いによって鳥由来ウイルスとヒ
初代神経細胞へのレオウイルス感染が抗Nogo-
ト由来ウイルスの宿主域の違いが規定されて
66抗体で中和されることを示し、神経伝播にお
いる。2009年のH1N1のパンデミック以降、高
けるNogo-66レセプターの重要性を報告した。
病原性H5N1鳥インフルエンザウイルスのヒト
ウイルスの臓器親和性とレセプターの関連を示
への適応変異の可能性が示唆されている。博士
した興味深い研究成果であった。
らはランダム変異導入によるPCRスクリーニン
Julie K. Pfeiffer博士(University of Texas Sou-
グおよびフェレットを用いた継代により、HA
thwestern Medical Center, USA)は、腸管系
タンパク質の 4 つのアミノ酸に変異を導入する
ウイルス感染における腸管細菌叢の役割を明ら
ことで、H5N1インフルエンザウイルスがヒト
かにした。腸管細菌叢は宿主の腸内環境を整え
型レセプター(α-6)を介してフェレットにお
るとともに、病原細菌の増殖を抑制する。しか
いて感染を成立させることを示した。この 4
し、腸管細菌叢の腸管系ウイルスに対する影響
つのアミノ酸変異によってHAタンパク質のレ
についてはまだ明らかにされてはいなかった。
セプターへの結合が可能になるとともに、HA
博士らは抗生物質を投与したマウスに腸管系ウ
タンパク質自身の安定性も向上する。この結果
イルスであるポリオウイルスを感染させると、
は、高病原性H5N1鳥インフルエンザウイルス
非投与群マウスに比べて病態の軽減および腸管
がヒトへ感染拡大を起こす可能性を示唆してお
内ウイルス量が低下することを見いだした。こ
り、野外におけるウイルス変異のモニタリング
の腸内細菌叢によるポリオウイルスの感染抑制
とパンデミックへの危機意識の重要性を再認識
には細菌壁の成分であるLPSやペプチドグリカ
されられた。
ンといった多糖類が重要で、これら多糖類がウ
松浦善治(大阪大学、微生物病研究所)は、
イルス粒子の安定性や宿主細胞への接着を促進
C型肝炎ウイルスの病原性およびウイルス複製
していることを明らかにした。他の腸管系ウイ
に重要な 2 つの宿主因子について発表した。C
ルスであるレオウイルスの感染においても同様
型肝炎ウイルスの感染によって起こる肝炎は慢
な現象が認められ、腸管系ウイルスは腸内細菌
性肝炎から肝硬変、最終的には肝がんへと進行
叢を利用して効率よく感染を成立させているこ
する。これまでにC型肝炎ウイルスのコアタン
とが示された。ウイルス研究の多くはウイルス
パク質が肝がん発症に重要であることが遺伝子
と宿主細胞との関係について着目して行われる
改変マウスを用いた実験によって明らかにされ
─ 71 ─
第34回内藤コンファレンス
ている。博士らはこのコアタンパク質と相互作
用する宿主因子としてProteasome activator 28γ
質内に送り込むことが必要である。麻疹ウイル
スはSignaling lymphocyte activation molecule
(PA28γ)を同定し、このPA28γとの相互作用
(SLAM; CD150)をレセプターとして利用し、
によってコアタンパク質は核内でプロテアソー
単球などの免疫系細胞に感染する。麻疹ウイル
ム依存的に分解を受けることを明らかにした。
スのヘマグルチニン(Hタンパク質)はN末端
さらに、コアタンパク質発現マウスからPA28
から、細胞内ドメイン、膜貫通ドメイン、ス
γを欠損させると、コアタンパク質は肝細胞の
トークドメイン、およびヘッドドメインを形成
核内に蓄積するが肝がんを発症しないことか
し、ストークドメインで膜融合活性をもつFタ
ら、PA28γによるコアタンパク質の分解が肝
ンパク質と結合し、ヘッドドメインでSLAMと
発がんに重要であることが示唆された。さらに、
結合する。博士はHタンパク質-SLAM複合体の
PA28γを欠損させた細胞では、ウイルス粒子の
結晶構造解析より、両者の複合体は二量体が会
産生が低下することから、PA28γはウイルス
合する四量体(二量体の二量体)であることを
の病原性だけでなくウイルス増殖にも重要な宿
示し、さらに二量体間の結合部位の違いにより
主因子であることが示された。もう一つの宿主
2 種類の異なる複合体構造をとることを明らか
因子は肝臓特異的なmiRNAであるmiR-122であ
にした。また、Hタンパク質変異体の解析によ
る。本来、miRNAは標的とするmRNAの翻訳
り、SLAMとの結合に重要なアミノ酸残基を同
を抑制するが、C型肝炎ウイルスはmiR-122を
定するとともに、Hタンパク質-SLAM複合体の
ウイルスゲノムの5’領域に結合させてゲノム
形成が、Hタンパク質と相互作用するFタンパ
複製を亢進させる。博士らはこのmiR-122を各
ク質の膜融合活性の惹起に必須であることを明
種細胞株に発現させると、肝臓由来細胞株だけ
らかにした。これらの結果は、ウイルスレセプ
でなく非肝臓細胞株でも、効率よくウイルスゲ
ター結合部位を標的とした抗ウイルス薬の開発
ノムが複製することを明らかにした。しかしな
がら、非肝臓細胞株では感染性ウイルス粒子が
に向けて重要な基盤となることが期待された。
(松浦記)
産生されず、C型肝炎ウイルスの肝臓親和性を
規定する因子として、脂質代謝系、特にVLDL
産生系が重要であることを示した。実験系が制
Session C
限されているC型肝炎ウイルス研究において、
感染免疫
座長:竹田 潔、Venizelos Papayannopoupos
miR-122の発現による新しい感受性細胞株の樹
本セッションでは、ウイルス、細菌感染病原
立は有用なツールとなるだけでなく、C型肝炎
体の侵入に対する宿主の生体防御機構につい
ウイルスの肝外病変の解明にもつながることが
て、特に自然免疫応答に焦点をあて講演をいただ
期待される。
いた。
柳雄介博士(九州大学大学院、医学研究科)
好中球は、生体防御の最前線で微生物を貪
は、麻疹ウイルスの細胞内侵入メカニズムにつ
食、殺菌する細胞として機能することが知られて
いて発表した。麻疹ウイルスはパラミクソウ
いる。この好中球が細胞外で微生物を捕捉し殺菌
イルス科モルビリウイルス属に分類され、マ
する新たな機構として、neutrophil extracellular
イナス鎖RNAをゲノムとして持つエンベロー
traps(NETs)が発見されている。NETは核内の
プウイルスである。一般的に、このようなエ
クロマチンが抗菌ペプチドを有して細胞外に網を
ンベロープウイルスが標的細胞内に侵入する
張るように放出され、細胞外で微生物を捕捉殺菌
ためには、まずウイルス粒子が細胞膜上に存
する。Venizelos Papayannopoupos博士
(National
在するレセプター分子を介して標的細胞に吸
Institute for Medical Research Council, UK)
着し、次にウイルスエンベロープを標的細胞
は、NETの生成機構として、好中球内でH2O2の
の細胞膜あるいはエンドソーム膜と膜融合さ
作用によりリソゾーム内の好中球エラスターゼ
せ、ウイルス粒子内のヌクレオカプシドを細胞
(neutrophil elastase: NE)が細胞質内に放出さ
─ 72 ─
第34回内藤コンファレンス
れ、核内に移動し、ヒストンを分解することによ
Trrible1は組織在住型のM2型マクロファージ
りクロマチン構造を脱凝縮し、細胞外に放出され
の分化を司り、この細胞が脂肪組織での炎症を
るきっかけを作ることを紹介した。
抑制し、脂肪組織恒常性維持に関与しているこ
岩倉洋一郎博士(東京理科大学、生命科学研
とを紹介した。
究所)は、生体防御に重要な機能をもつサイト
Caetano Reis e Sousa博士(London Research
カインIL-17A, IL-17Fの機能を、ノックアウト
Institute, UK)は、樹状細胞の生物学で数々の
マウスを用いて解析している。両サイトカイ
業績を挙げている。博士は、樹状細胞上に発
ンは同じ受容体に会合するサイトカインであ
現するパターン認識受容体の中でC型レクチン
り、共通の生理機能を有するものと考えられて
受容体の機能解析を紹介した。そのなかでも
いた。しかし、ノックアウトマウスを用いて自
死細胞の認識(danger signal認識)に関わる
己免疫疾患や真菌感染症に対する感受性を解
DNGR-1(CLEC9A)が、樹状細胞において死
析すると、IL-17A, IL-17Fノックアウトマウス
細胞を認識し、CD8陽性T細胞へのクロスプラ
で感受性が異なることを見出した。また、IL-1
イミングを司っていることを紹介した。さらに、
受容体アンタゴニストのノックアウトマウスで
DNGR-1が実際に認識するリガンドを同定し、
発症する関節炎の原因には、高産生されるIL-1,
それが酵母から人まで進化的に広く保存されて
IL-23により活性化されるγδ型T細胞受容体を
いるF-actinであることを見出した。このことか
有するT細胞(γδT細胞)から産生されるIL-
ら、DNGR-1が細胞障害により放出される細胞
17Aが深く関与していることも紹介した。
骨格成分をdanger signalとして認識し、自然免
審良静男博士(大阪大学、免疫学フロンティ
疫応答を惹起させることを紹介した。
ア研究センター)は、マクロファージサブセッ
Gary Jan Nabel博士(米国NIH)は、NIHの
トの分化に関わる 2 種の遺伝子のノックアウト
ワクチン研究センター(VRC)の設立当時か
マウスを用いた研究について最新の知見を紹介
らの所長であり、HIVやエボラウイルス、イン
した。マクロファージは、感染細菌の排除や
フルエンザウイルスに対するワクチン開発研究
炎症反応に関わるM1型マクロファージと、寄
の世界的リーダーの一人である。最近発表され
生虫感染防御、炎症収束や創傷治癒に関わる
た多くの研究成果の中で、今回は特にHIVとイ
M2型マクロファージのサブセットが存在して
ンフルエンザウイルスの構造生物学的な解析か
いる。マクロファージでTLR刺激によりきわめ
ら得られたBroad neutralizationを可能にする
て早期に誘導される遺伝子として、Jmjd3遺伝
抗体、およびその抗原との相互作用の詳細と、
子に注目し、Jmjd3遺伝子欠損マウスを作成し
ワクチンへの応用に関するデータを発表した。
たところ、寄生虫由来成分(chitin)刺激によ
そしてこれらの抗体の誘導をゴールとするワク
るM2型マクロファージ分化が障害されていた。
チンの科学的デザインの提唱を行い、インフル
Jmjd3は ヒ ス ト ンH3 lys27を 脱 メ チ ル 化 す る
エンザDNAワクチンと季節性の三価ワクチン
活性を有していて、この脱メチル化を介して
を組み合わせたPrime-Boost vaccineでの非常
IRF4遺伝子の発現を制御していることを見出
に有望なデータを紹介した。(竹田記)
した。そこでIRF4遺伝子欠損マウスを解析す
ると、Jmjd3遺伝子欠損マウスと同様に、M2
型マクロファージの分化誘導に障害を認めた。
Session D
続いて、Tribble1遺伝子欠損マウスの解析を紹
免疫制御
座長:石井 健、Andreas Radbruch
介した。このマウスでは脂肪組織に存在する別
本セッションでは、ウイルス、細菌感染病原
のタイプの組織在住型のM2型マクロファージ
体の侵入に対する宿主の生体防御機構につい
の数が激減していることを見出した。またこの
て、特に獲得免疫応答に焦点をあて、先進的
マクロファージサブセットの減少と相まって好
な研究を展開する研究者に前半ご講演をいた
酸球が減少し、
さらに脂肪組織の減少を認めた。
だき、続いて共生細菌と宿主の相互作用につい
─ 73 ─
第34回内藤コンファレンス
て国内外の研究者にご講演いただいた。
こと、さらに全身ではTh1細胞などの免疫応答
中山俊憲博士(千葉大学、医学研究院)は、
を制御していることなど、この分野で先進的な
感染免疫やワクチン免疫で非常に重要なメモ
成果をあげている研究者である。本セッション
リーCD4T細胞の誘導とその維持の研究の第
では、PSAが、直接Foxp3陽性制御性T細胞に
一人者であるが、Th2細胞のメモリー機能に
TLR2を介し作用し、腸管への定着を促進する
関しても最近すばらしい成果を出されている。
新規メカニズムを紹介した。TLRは、病原細
今回は、Sox遺伝子群のひとつであるSox4が、
菌に対して自然免疫応答・炎症を惹起すること
GATA3と競合することによりTh2の誘導やそ
が知られているが、共生細菌はTLRを介し炎
の機能を抑制することを明快に示し、またTh2
症ではなく細菌自身の定着を促すという成果で
は 4 つのサブポピュレーションにわかれること
興味深い。また、B. fragilis が腸管に定着する
を示した。さらにIL-5産生メモリーTh2細胞は、
ために必要な遺伝子についての解析結果につい
アレルギー性肺炎症における病態形成に重要な
ても紹介した。
細胞であるとの最近の知見を紹介した。
腸管におけるIgA産生誘導機構を明らかにし
Andreas Radbruch博士(Leibniz Institute,
てきているSidonia Fagarasan博士(Research
Germany) は 慢 性 炎 症 に お け る、
‘restless’
Center for Allergy and Immunology, RIKEN)
T細胞に関する最新の知見を発表した。特に
は、IgA欠損により腸内共生細菌叢の割合や数
Twist1, Hopxといった遺伝子の各種Th細胞に
が変化することから、IgAが腸内共生細菌の
与 え る 影 響 に 焦 点 を 絞 り、Twist1はmiRNA
制御に深く関わる分子であることを見出して
によるBCL2の活性阻害作用を持つBim1を抑
いる。今回博士は、免疫応答の負の制御分子で
制すること、またHopxはTh1メモリー機能に
あるPD-1の遺伝子欠損マウスを用いて興味深
必須であることなどを明快に示した。さらに
い成果を紹介した。PD-1欠損マウスでは、IgA
miRNAのmiR148aが 慢 性 炎 症 に お け るTh1の
産生細胞への分化に関与する濾胞ヘルパーT細
誘導、維持に重要であることを示し、miR148a
胞の機能障害により、正常機能をもったIgAが
をターゲットとした新たな免疫療法の可能性も
産生できないことを見出した。そしてその結
示した。
果、腸内細菌叢に著明な変化をきたし、自己抗
吉村昭彦博士(慶應義塾大学、医学部)は、
体も血清中に検出されるようになる。PD-1欠
脳虚血後の脳組織障害が、脳組織に浸潤してく
損マウスは、自己免疫疾患を発症することが知
るgdT細胞がIL-23により活性化され、IL-17A
られている。博士はこれらの結果より、PD-1
を産生することによりおこる炎症により誘導さ
欠損によるIgA機能障害によって腸内細菌叢が
れることを見出した。さらに、IL-23の産生さ
変化し、これが自己免疫疾患の発症のトリガー
れる細胞として、拘束後初期に浸潤するマク
となることを提唱した。(石井記)
ロファージを同定し、さらに、虚血壊死に陥っ
た脳細胞から放出されるperoxiredoxin(Prx)
ファミリータンパク質が浸潤したマクロファー
ジをTLR2、TLR4 依存的に活性化してIL-23を
Session E
ワクチン
座長:清野 宏、Rino Rappuoli
誘導することを見出した。このように、脳虚血
本セッションでは、細菌感染、ウイルス感
後の組織障害が一連の免疫応答により誘導され
染、生体防御、粘膜などのバリアーとその制御
ることを紹介した。
に関するセッションの後、これらをまとめる形
Sarkis Mazmanian博士(California Institute
としてワクチンに焦点を当てた研究に関する講
of Technology, USA)は、ヒトの共生細菌の
演が行われた。
一つ、Bacteroides fragilis の細胞膜の構成成分
竹田潔博士(大阪大学、医学系研究科)は、
であるpolysaccharide A(PSA)が、腸管免疫
炎症性腸疾患と自然免疫との関わりについての
応答を司る腸管制御性T細胞の分化を誘導する
研究を紹介した。炎症性腸疾患は近年日本でも
─ 74 ─
第34回内藤コンファレンス
患者数が急増している疾患であるが、その病
権威の研究者である。今回博士は、特に腸管や
因・病態が不明の難病である。マウスモデルを
肺の粘膜の免疫システムにおいて寄生虫感染の
用いた解析から、自然免疫系の異常が炎症性腸
際にIL-33が重要な役割を担っており、その産
疾患の発症と深く関わっていることが明らかに
生機構として肺胞 2 型上皮細胞を同定し、さら
なってきている。腸管には、特有の機能をもっ
にそのターゲット細胞であり、最近同定され
た自然免疫担当細胞が存在していて、腸管特有
たNatural Helper Cells(NH)
(もしくはInnate
の免疫応答を演出していることを紹介した。さ
Lymphoid Cells(ILCs)とも)の役割を明快に
らに、その中で、T細胞の増殖を直接抑制し、
示した。
腸管炎症を制御する新規自然免疫細胞サブセッ
石井健博士(医薬基盤研究所)は、核酸の自
トとして、制御性ミエロイド細胞の発見につい
然免疫認識機構を研究している。今回博士は、
て紹介した。
そのなかで、核酸の受容体、シグナル伝達経路、
ワクチンの開発研究は、基礎研究者が一つ
そしてその生体での役割に関する研究を紹介し
のラボで行えるものではないのは明らかであ
た。特に、核酸アジュバントの第 2 世代の開発
るが、Rino Rappouli博士(Novaritis Vaccines
としてベータグルカンとCpGDNAの複合体の
and Diagnosis, Italy)は、これを世界的な製薬
開発研究や、インフルエンザワクチンの臨床研
企業であるNovartisのワクチン部門の長として
究におけるバイオマーカーとしてのmiRNAの
行っている世界でも数少ない研究者である。し
役割、そしてアルミニウム塩のアジュバント効
たがって今回、博士の講演を直接聞くことが
果では、誘導される細胞死、DNAの放出といっ
できたことは、内藤コンファレンスの聴衆に
た 2 次的な反応が重要であるとの新たな知見を
とって貴重な機会であった。博士は、今までの
紹介した。
経験則的なワクチン開発研究から最新の科学
清野宏(東京大学医科学研究所)は、粘膜免
に基づいた開発の方向を目指した、
“Reverse
疫の研究者であるが、今回の発表では、最近特
vacciniology”という概念を近年提唱した。そ
に重点を置いているコメワクチンの開発の経
の実践版ともいえる研究を、おもにインフルエ
緯、対コレラワクチンとしての前臨床試験の成
ンザワクチンなどを中心に紹介した。そのほか
果、そして今後の展望などを紹介した。さらに
Virus Like Particleやコンジュゲートワクチン、
はこのコメによる蛋白発現、デリバリーシステ
そしてオイルベースのアジュバント、MF59に
ムなどを利用した新たなコンセプトの抗体医薬
(Rice based nano-antibody)の開発研究などを
関する研究成果の概要も紹介された。
中西憲司博士(兵庫医科大学)は、寄生虫免
示した。(清野記)
疫やサイトカインバイオロジーにおける世界的
─ 75 ─
第34回内藤コンファレンス
オープニングセッション1:
Dr. Alexander Rudensky
オープニングセッション2:
坂口 志文 先生
─ 76 ─
組織委員長:笹川 千尋 先生
第34回内藤コンファレンス
内藤コンファレンスに参加して
内藤コンファレンスに参加して
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
講師
理化学研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター
研究員
伊藤 利洋
金谷 高史
今回、初めて内藤コンファレンスに参加させ
この度は第34回内藤コンファレンスにおいて
ていただきました。会場は札幌駅から45分離れ
私どもの研究成果を発表する機会を与えていた
た雄大な北海道の大地を一望できるリゾートホ
だきありがとうございました。この場をかりて
テルで、都会の喧騒から離れ、コンファレンスに
内藤財団および本コンファレンスの組織委員の
集中できた貴重な 4 日間となりました。
先生方に感謝申し上げます。
感染症や免疫学において、世界で活躍なさる
今回私はワクチンのセッションにおいて、腸
著名な先生方のご講演を拝聴させていただく機
管免疫系において重要な役割を果たす特殊な上
会のみならず、このような著名な先生方と沢山
皮細胞、M細胞の分化機構に関する研究成果を
交流する機会があったのは小規模なコンファレ
発表しました。M細胞はパイエル板などの免疫
ンスならではの醍醐味だと思います。また、ポス
誘導組織に抗原を取り込むことから、これを標
ターセッションでは、熱意ある参加者の皆様か
的としたワクチン開発への応用が期待されてい
ら、いろいろとディスカッションでき、自身のポ
ます。同セッションの最後を締めくくった東京
スターに対してもいろいろ質問やアドバイスを頂
大学医科学研究所の清野教授は、長年M細胞の
くことができ、今後の研究活動に大きなヒントな
性状とワクチン開発の研究を行っており、今回
らびにモチベーションを得ることができました。
の発表においても臨床応用を目指した様々なア
実際気付けば、ポスターディスカッションの 2 時
プローチを紹介されていました。その他のセッ
間を大きく過ぎていました。さらに皆様とは夜遅
ションにおいても各分野の第一線で活躍してい
くまでお酒を酌み交わしながら、またはホテル内
る先生方が最新の研究成果を発表されていま
の大浴場の中で、研究のことのみならず、研究
した。感染という現象に関して、生体の細胞機
者としての将来のことやプライベイトのことま
能もしくは病原体の性質に着目するかで考え方
で話すことができました。そして何よりも、コ
や研究のアプローチが全く異なるので、今後の
ンファレンスで知り合えたたくさんの方々とコ
研究を続けていく上で参考になりました。
ンファレンス後でも交流ができていることは、
コンファレンスが行われた札幌は、既に関東
私にとって非常に大きな財産となりました。
の冬に相当する気温でした。この寒さと発表の
末筆になりましたが、この度このような素晴ら
緊張から解放されたせいもあったのか、帰宅直
しいコンファレンスに参加する機会を与えて下さ
後急性咽頭炎を患いました。札幌でのコンファ
いました先生方ならびに事務局の皆様に厚く御
レンスに参加する際は体調管理に十分気をつけ
礼申し上げます。
てください。
左端が筆者
─ 77 ─
第34回内藤コンファレンス
内藤コンファレンスに参加して
夜の円卓ディスカッション
理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センター
基礎科学特別研究員
北里大学大学院感染制御科学府
講師
「感染・炎症・免疫」
という第34回内藤コンファ
「桑江君、内藤コンファレンスに参加しませ
レンスのタイトルに惹かれ、私は本コンファレ
んか?」とボスである阿部先生に声をかけられ
ンスへの演題登録をしました。幸運にもポス
たのが 4 月のことです。阿部先生から「このコ
ター発表をする機会を頂き、各分野において最
ンファレンスの素晴らしいところは、夜に円卓
先端の研究をされている先生方から最新の研究
を囲みながら濃密なディスカッションができる
トピックスを聞く機会に恵まれました。私は、
ことです。
」と聞きました。それならば是非!
主に免疫学を専門としていますが、免疫学以外
と参加申請しました。
の他の領域、例えば今回のコンファレンスで取
今回の内藤コンファレンスには「感染、免疫、
り上げられた感染症やワクチンに関しては未熟
それらの制御」そしてサブタイトルとして「粘
であるため、本コンファレンスに参加すること
膜バリア、病原体、ワクチン」というテーマが
で免疫学を含めた非常に広域な研究分野の最新
掲げられました。口頭発表の内容は非常にレベ
の知見を得ることができて非常に有意義であっ
ルが高く、細菌感染、ウイルス感染、自然免疫、
たと感じています。講師の先生方と直接お話し
獲得免疫、粘膜免疫、そしてワクチンといった
する機会にも恵まれ、自身の研究に関してさま
様々な分野の最先端の研究内容を聴くことがで
ざまなアドバイスおよびコメントをいただけた
きました。私は細菌学が専門で細菌学会での活
のもとてもよい経験でした。何より、自身の専
動が多く、細菌学領域内の先生方との交流にと
門のみにとらわれていては見落としがちな新た
どまってしまいがちです。今回のコンファレン
な観点からの指摘もいただくことができ、自身
スでは様々な分野の先生方と(もちろん夜は円
の研究をもう一度再考する大変よい機会であっ
卓を囲んで)議論することができました。私の
たと思います。学会期間中は、自分と同世代の
研究内容に関して多くのご指摘をいただき、課
若手研究者の方々と、研究のこと、それぞれの
題が山積していることを改めて認識しました。
研究室のこと、将来の夢などさまざまなお話を
発表した研究内容がまだまだ未完成ながらも、
することもできました。それぞれの環境で一生
今回優秀ポスター発表者に選出していただきま
懸命頑張っている同世代の「ライバル」である
した。選考委員の先生方から「もっと精進しな
研究者たちに負けないために、本コンファレン
さい!」と背中を押された思いです。大変良い
スで得た貴重な経験をもとに、自分の研究を楽
刺激を受けました。内藤コンファレンスに参加
しみつつより一層の努力をしなくてはならない
する機会をいただいたことに深く感謝申し上げ
と感じました。
ます。ありがとうございました。
河本 新平
中央が著者
─ 78 ─
桑江 朝臣
第34回内藤コンファレンス
内藤コンファレンスに参加して
第34回内藤コンファレンスに参加して
藤田保健衛生大学医学部
講師
千葉大学大学院医学研究院
特任助教
佐々木 潤
篠田 健太
このたび、第34回内藤コンファレンス「感染・
この度は、第34回内藤コンファレンスに参加
炎症・免疫」に参加しました。参加の機会を与
させて頂き、ありがとうございました。今回のコ
えてくださった組織委員の先生方と内藤記念科
ンファレンスは「Infection, Immunity and their
学振興財団の皆様に心から感謝申し上げます。
Control for Health」というテーマで細菌感染や
私はRNAウイルスのゲノム複製機構の解明を
ウイルス感染時における生体防御の分子機構を
目的とした研究を行っています。今回のコンファ
先端の手法を用いて解析した研究が発表されま
レンスは、病原微生物と宿主との関係を総体的
した。国内外からの著名な研究者の講演は圧倒
に考えるのに絶好のテーマだと言えます。それ
されるものでした。今回のコンファレンスに参加
も、ウイルス、細菌、免疫、およびワクチン開
し、この分野での研究の動向や最先端の知見を
発と応用など様々なテーマに関して、各分野で
肌で感じることができたことは非常に有意義で、
世界的にトップの研究者の講演を聞くことがで
研究の面白さを再認識するとともに、自身のモチ
きるのですから、非常に贅沢な体験でした。
ベーションの向上につながりました。
ただ、他分野の講演については知識不足から、
招待講演同様に本コンファレンスで強く印象
深く理解するに到らなかった点もあり、これま
に残ったのはポスター発表のレベルの高さです。
での視野の狭さ、今後は広い視野をもってウイ
データの質、量もさることながら、各所で白熱し
ルス感染症について研究をしていく必要性を痛
たディスカッションが展開され、割って入るのが
感しました。
難しい程でした。また、いわゆる大きな学会で
ポスターセッションでは、説明を聞きに来て
は、よほど積極的でなければ海外のスピーカー
くださった方々と討論を通して有益なアドバイ
の方と直接お話する機会を得にくいものですが、
スを頂きました。発表を聞く立場としては、発
本コンファレンスの濃密な形式のおかげで普段
表者と十分な時間をかけて有意義な討論できた
論文でしかお目にかかることのない世界の第一
のも貴重でした。できることなら、私がもっと
線にいる研究者の方と向かい合って食事を囲み、
若いころ、研究者を志して間もない時期に、こ
研究のこぼれ話や各国研究者の情報についてお
のようなコンファレンスに参加できたなら、と思
話を伺うことができました。
います。きっと、今以上の貴重な体験になった
最後になりましたが、このような素晴らしい
ことでしょう。若い研究者にはぜひ自身の関心
機会を下さいました組織委員の先生方と、企画、
のあるテーマのコンファレンスに積極的に参加
運営に携われた内藤記念科学振興財団のスタッ
して欲しいと、今回の体験を通して感じました。
フの皆様に心より御礼申し上げます。
─ 79 ─
第34回内藤コンファレンス
ブドウの城でのブートキャンプ
初参加、有意義な 4 日間でした
岡山大学資源植物科学研究所
ユニット長・教授
国立感染症研究所細菌第一部
主任研究官
鈴木 信弘
中尾 龍馬
第34回内藤コンファレンスに参加して、 2 つ
2012年10月に内藤コンファレンス「感染・炎
の点で圧倒された。 1 つ目は、コンファレン
症・免疫」が札幌で開催されました。参加は有
スをとりまく雰囲気である。これが日本のホ
意義な経験となりましたので、私見ながらこの
テルかと思わせるような瀟洒な広々とした会
学会の独特かつ秀逸な点を述べたいと思います。
場(シャトレーゼガトーキングダム札幌)で、
本学会は早朝から夜遅くまでスケジュールが
朝から晩まで研究成果発表あるいはセミナーを
組まれ、参加者約100名が 4 日間どっぷりと研究
聞く機会に恵まれた。プログラムは時間的には
に浸かります。第一線研究者の発表の質は高く、
ゆったりしていて、コーヒーブレイクではその
多くの刺激を受けます。様々な分野の研究者と
直前の講演者とさらに議論を深めることもでき
の意見交換は、新しい視点で自分の研究を見直
た。また、休憩時には、もう既に綺麗に色づい
すきっかけとなります。一日の終わりには、ホテ
た中庭の木々を眺めることができ、改めて北国
ルの温泉で疲れを癒します。塩サウナでインキュ
に来たことをしらされた。何とも贅沢な時間を
ベーションされる裸の第一線研究者と再遭遇で
札幌郊外で過ごすことができた。
きるのも、本学会ならではだと思います。そして
2 つ目はやはり大変濃密で、豊かなプログラ
学会終了後は、創成川沿いを南進する無料送迎
ムの内容である。私はウイルスを研究している
バスに揺られながら、ラボに戻った後の実験計
関係で、ウイルス学関連の講演やポスター発表
画に思いを巡らします。新しいアイデアは生ま
は特に興味深く拝聴した。世界第一線で活躍し
れるでしょうか?
ている著名なウイルス学者の最先端の講演には
私は、細菌が産生する外膜ヴェシクルについ
感銘を受けた。レオウイルスの中枢神経系に感
ての研究を発表し、光栄にも特定研究助成金に
染するためのレセプター(論文として未発表の
採択していただきました。外膜ヴェシクルは病
成果を含む)
、腸内細菌により感染が促進され
原因子や抗原の輸送担体として宿主と相互作用
るポリオウイルスおよびレオウイルス、インフ
し、病態形成や免疫誘導に関与します。外膜ヴェ
ルエンザの水平伝搬を規定する因子、麻疹ウイ
シクルの総合的な理解は、感染症における病態
ルスの侵入・複製の最新の成果には圧倒された。
進展機序の解明やワクチン開発に示唆を与えて
最後に、組織委員長の笹川先生、委員の松浦
くれるものと考えています。内藤財団と本学会
先生、さらには行き届いたコンファレンスの運
組織委員の先生方にこの場を借りて御礼申し上
営に当たられた内藤記念科学振興財団関係者の
げます。財団および内藤コンファレンスの益々の
皆様に深謝いたします。
ご発展をお祈り申し上げます。
─ 80 ─
第34回内藤コンファレンス
第34回内藤コンファレンス参加によせて
第34回内藤コンファレンスに参加して
山梨大学医学部
准教授
兵庫医科大学免疫学・医動物学
講師
中川 竜介
10月の札幌は夕日が沈むのが早く、秋から冬
に移りつつある感じがしました。ホテルに到着
してすぐに初日のセッションが始まりました。会
場を見渡すと、若い研究者が多いのと、大きな
学会では話しかけることも難しい大御所の先生
方がすぐ近くにおられるのが印象的で、どちら
も少しプレッシャーに感じました。
Rudensky、坂口両先生によるセッションが終
わると、安心したこともあって、空腹をおぼえま
した。Welcome Receptionでは様々な料理が用
意され、皆さんの会話を盛り上げるのに効果的
でした。私は食事も早々に切り上げ、シャトレー
ゼ自慢のケーキをいくつもいただきました。
コンファレンスの要旨集にあらかじめ目を通し
ていて、沢山の興味深い話題があり、中でも
審良、竹田両先生の研究内容はとても気になっ
ていました。これまでの自分の研究とこれから
の発展方向を考えた場合、どうしても聞いてお
きたいことがありました。大変恵まれていること
に、コンファレンスでは 2 日間、夜のポスター発
表時間が設けられており、ここで両先生に自分
の仕事の紹介と質問をすることができました。
大変ありがたかったです。
ありがたいことがもう一つ。ホテルには温泉と
大浴場があったことです。露天風呂で星空を見
上げながら一日の疲れをいやすことができるの
は最高の一日の終わり方でした。おかげで、翌
日も朝から気持ちを引き締めてセッションを聞く
ことができました。
安田 好文
今回参加致しました内藤コンファレンスで
は、感染症や免疫学の国内外の著名な先生方に
よる講演と、若手研究者によるポスター発表が
朝から晩まで行われ、まさにサイエンス一色の
日々でした。私の研究内容は、今回のポスター
発表者のなかで、おそらく唯一の寄生虫感染に
ついての内容であったにもかかわらず、多くの
先生に話を聞いて頂き、皆様には大変感謝して
おります。ただ、感染症がテーマでしたので、
ウイルスや細菌感染が主になるのはよくわかる
のですが、寄生虫関連の発表が他になかったこ
とは残念でした。寄生虫研究の重要性や面白さ
をより多くの方々にわかって頂けるように、よ
り一層の努力が必要と感じました。また、今回
のコンファレンスでは、顧問に私の大学院時代
の恩師である濱岡利之先生が来られており、今
回の私の研究内容について聞いて頂く機会を得
られましたことは非常に嬉しいことでした。
本コンファレンスでは会場のホテルに泊まり
込みになることによって日常から開放され、サ
イエンスに没頭でき、研究に対する自らの姿勢
を反省する良い機会となりました。もちろん札
幌での開催ですので、会場への道中にはラーメ
ンやお寿司など北海道ならではの食事も楽しむ
ことができました。末筆ながら、このような貴
重な機会を与えてくださった組織委員の先生
方、ならびに、内藤記念科学振興財団の皆様に
心より御礼申し上げます。
─ 81 ─
内藤コンファレンスの歩み
内藤コンファレンスの歩み
回数
開催期
テ ー マ
参加者数
組織委員長
(敬称略)
第 1 回 細胞における蛋白質移行
1991年10月 Protein Translocation in the Cell
講演者
20名
水島 昭二
ポスター発表者 51名
第 2 回 細胞における蛋白質移行[Ⅱ]
1992年10月 Protein Translocation in the Cell[Ⅱ]
講演者
21名
大村 恒雄
ポスター発表者 50名
第 3 回 細胞における蛋白質移行[Ⅲ]
1993年11月 Protein Translocation in the Cell[Ⅲ]
講演者
22名
水島 昭二
ポスター発表者 61名
第 4 回
1994年11月
神経 ・ 免疫 ・ 内分泌ネットワーク[Ⅰ]
Neuro-Immuno-Endocrine Networks[Ⅰ]
講演者
27名
堀 哲郎
ポスター発表者 60名
第 5 回
1995年10月
神経 ・ 免疫 ・ 内分泌ネットワーク[Ⅱ]
Neuro-Immuno-Endocrine Networks[Ⅱ]
講演者
25名
田平 武
ポスター発表者 53名
第 6 回
1995年11月
形態形成プログラム:多細胞生物のパターン形成
Morphogenesis Program: Patterning of Multicellular
Organisms
講演者
27名
江口 吾朗
ポスター発表者 57名
糖脂質 ・ スフィンゴ脂質の構造と機能
第 7 回 T h e G o r d o n - N a i t o R e s e a r c h C o n f e r e n c e o n 講演者
54名
永井 克孝
1996年9月 Structure and Biological Function of Glycolipids and ポスター発表者 60名
Sphingolipids
第 8 回 神経 ・ 免疫・内分泌ネットワーク[Ⅲ]
1996年10月 Neuro-Immuno-Endocrine Networks[Ⅲ]
講演者
25名
中尾 一和
ポスター発表者 60名
天然生物活性分子とその活性発現機構[Ⅰ]
第 9 回 海洋生物活性物質−構造と活性の多様性
1997年10月 Bioactive Natural Products and Their Modes of Action[Ⅰ]:
Chemical and Biological Basis for the Diversity of Marine Life
講演者
25名
北川 勲
ポスター発表者 58名
第 1 回開催の1991年以前にも、多様な国内学術会議や国際学術会議を開催いたしておりました。
─ 82 ─
内藤コンファレンスの歩み
回数
開催期
テ ー マ
参加者数
組織委員長
(敬称略)
第 10 回
1998年10月
難病の分子生物学[Ⅰ]
講演者
25名
金澤 一郎
Molecular Biological Approaches for Intractable
ポスター発表者 60名
Diseases[Ⅰ]
第 11 回
1999年10月
構造ゲノム科学 : 創薬への新しい道
Structural Genomics: Passage to Drug Development
第 12 回
1999年10月
天然生物活性分子とその活性発現機構[Ⅱ]
植物生活環制御の分子機構
講演者
26名
高橋 信孝
Bioactive Natural Products and Their Modes of Action[Ⅱ]: ポスター発表者 74名
Regulation of Plant Life Cycle at Molecular Level
第 13 回
2000年11月
難病の分子生物学[Ⅱ]
25名
講演者
金澤 一郎
Molecular Biological Approaches for Intractable
ポスター発表者 48名
Diseases[Ⅱ]
講演者
21名
京極 好正
ポスター発表者 57名
天然生物活性分子とその活性発現機構[Ⅲ]
第 14 回 昆虫生物活性物質とその活性発現の分子機構
講演者
25名
鈴木 昭憲
2001年10月 Bioactive Natural Products and Their Modes of Action[Ⅲ]: ポスター発表者 59名
Insect Bioactive Molecules and Their Modes of Action
第 15 回
2002年10月
難病の分子生物学[Ⅲ]
24名
講演者
金澤 一郎
Molecular Biological Approaches for Intractable
ポスター発表者 48名
Diseases[Ⅲ]
第 16 回 自然免疫の医学 ・ 生物学[Ⅰ]
2003年10月 Innate Immunity in Medicine and Biology[Ⅰ]
講演者
25名
審良 静男
ポスター発表者 59名
幹細胞の維持と分化の分子基盤[Ⅰ]
第 17 回
講演者
26名
浅島 誠
Molecular Basis of Maintenance and Differentiation
ポスター発表者 64名
2004年11月
of Stem Cells[Ⅰ]
第 18 回
2005年10月
自然免疫の医学 ・ 生物学[Ⅱ]
Innate Immunity in Medicine and Biology[Ⅱ]
─ 83 ─
講演者
26名
三宅 健介
ポスター発表者 38名
内藤コンファレンスの歩み
回数
開催期
テ ー マ
参加者数
組織委員長
(敬称略)
第 19 回
2006年11月
幹細胞の維持と分化の分子基盤[Ⅱ]
講演者
24名
阿形 清和
Molecular Basis for Maintenance and Differentiation
ポスター発表者 62名
of Stem Cells[Ⅱ]
第 20 回
2007年10月
自然免疫の医学 ・ 生物学[Ⅲ]
Innate Immunity in Medicine and Biology[Ⅲ]
講演者
25名
稲葉 カヨ
ポスター発表者 60名
第 21 回
2008年6月
細胞核ダイナミクスと RNA[Ⅰ]
Nuclear Dynamics and RNA[Ⅰ]
講演者
25名
加藤 茂明
ポスター発表者 64名
第 22 回
2008年9月
ケミカルバイオロジー[Ⅰ]天然物化学からの展開
講演者
25名
Chemical Biology[Ⅰ]
磯部 稔
ポスター発表者 61名
-An Emerging Field Inspired by Natural Product Chemistry-
幹細胞の維持と分化の分子基盤[Ⅲ]
第 23 回
講演者
24名
岡野 栄之
Molecular Basis for Maintenance and Differentiation
ポスター発表者 63名
2008年11月
of Stem Cells[Ⅲ]
第 24 回 細胞核ダイナミクスと RNA[Ⅱ]
2009年6月 Nuclear Dynamics and RNA[Ⅱ]
講演者
26名
石井 俊輔
ポスター発表者 60名
ケミカルバイオロジー[Ⅱ]天然物化学からの展開
第 25 回
講演者
24名
Chemical Biology[Ⅱ]
長田 裕之
ポスター発表者 59名
2009年9月
-An Emerging Field Inspired by Natural Product Chemistry-
第 26 回
2009年11月
オステオバイオロジー
Osteo Biology
講演者
25名
松本 俊夫
ポスター発表者 49名
第 27 回
2010年6月
生体膜ダイナミクスと脂質生物学[Ⅰ]
Membrane Dynamics and Lipid Biology[Ⅰ]
講演者
26名
五十嵐靖之
ポスター発表者 60名
─ 84 ─
内藤コンファレンスの歩み
回数
開催期
テ ー マ
参加者数
組織委員長
(敬称略)
第 28 回
2010年7月
糖鎖の発現と制御[Ⅰ]−機能から病態まで−
Glycan Expression and Regulation[Ⅰ]:
Functions and disease mechanisms
講演者
27名
谷口 直之
ポスター発表者 60名
第 29 回
2010年10月
グリアワールドから見た脳
GLIA WORLD
-Dynamic Function of Glial Cells in the Brain-
講演者
27名
高坂 新一
ポスター発表者 60名
第 30 回
2011年6月
生体膜ダイナミクスと脂質生物学[Ⅱ]
脂質ドメイン、脂肪滴、疾患
Membrane Dynamics and Lipid Biology[Ⅱ]:
Domains, Droplets and Diseases
講演者
26名
平林 義雄
ポスター発表者 60名
糖鎖の発現と制御[Ⅱ]
第 31 回 代謝物、ストレス応答、マイクロドメインと展望
講演者
25名
鈴木 明身
ポスター発表者 60名
2011年9月 Glycan Expression and Regulation[Ⅱ]:
Metabolites, Stress Response, Microdomains, and Beyond
第 32 回
2011年10月
こころの機能と疾患の分子機構
Biological Basis of Mental Functions and Disorders
第 33 回
2012年6月
酸素生物学:酸素濃度に対する生物応答とその制御
26名
講演者
破綻による疾患
山本 雅之
Oxygen Biology: Hypoxia, Oxidative Stress and ポスター発表者 58名
Diseases
感染・炎症・免疫
第 34 回
Infection, Immunity and their Control for Health:
2012年10月
Mucosal Barrier, Pathogen and Vaccine
─ 85 ─
講演者
25名
西川 徹
ポスター発表者 58名
講演者
27名
笹川 千尋
ポスター発表者 60名
2013年度開催の内藤コンファレンス
内藤コンファレンスとは
内藤コンファレンスとは、国際的視野に富む研究者の育成、ひいては我が国のライフサイ
エンスの将来を担う人材が輩出されることを目的として開催される国際学術会議です。内藤
コンファレンスは、3 泊 4 日の合宿形式で行われ、世界各国から招いた第一線の研究者によ
る講演と、公募の中から選考されたポスター発表によって構成されています。
テーマ領域の最新研究成果を知ることができるだけでなく、非公式のディスカッションや
情報交換の時間が充実しており、研究者間の国際的なネットワークが構築される貴重な機会
となっています。
Information
内藤コンファレンスでは、60名のポスター発表者を公募いたします
日 程 3 泊 4 日
交
通
費 参加者負担
宿泊費・食費 財団負担
使 用 言 語 英語
参 加 方 法 開催予定日の約半年前より、HP上にて募集をいたします。
詳細は、財団ホームページをご参照ください。(http://www.naito-f.or.jp/)
助成金の贈呈 若手ポスター発表者の中から、特に優秀なテーマ10件に各50万円の特定研
究助成金を贈呈いたします。 *参加登録費は不要です。
2013年度開催の内藤コンファレンス
● 第35回
内藤コンファレンス
The Ubiquitin-Proteasome System: From Basic Mechanisms to Pathophysiological Roles
(ユビキチン−プロテアソームシステム:メカニズムから病態まで)
日 時 2013年 7 月 9 日
(火)~ 12日
(金) 場 所 北海道札幌市
● 第36回
内藤コンファレンス
Molecular Aspects of Energy Balance and Feeding Behavior
(分子からみたエネルギーバランスと摂食行動の制御)
日 時 2013年 9 月10日
(火)~ 13日
(金) 場 所 北海道札幌市
─ 86 ─
─ 87 ─
─ 88 ─
2013年度助成事業
2013年度の内藤記念科学振興財団は一部助成金事業拡大を行います。科学奨励金・研究助
成および女性研究者研究助成金につきましては応募状況に伴って採択件数を柔軟に対応いた
します。
◆ 科学振興賞(P90)
人類の健康の増進に寄与する自然科学の基礎的領域において、進歩発展に顕著な功績の
あった研究者に対して授与されるほう賞です。
正賞(金メダル)と副賞1,000万円を継続し、受賞件数を 1 件とします。
◆ 科学奨励金・研究助成(P91)
人類の健康の増進に寄与する自然科学の基礎的研究に独創的・意欲的に取り組んでいる
若手研究者を対象とした助成金です。
助成額300万円を継続し、採択件数を80件以上とします。
◆ 科学奨励金・若手ステップアップ研究助成(P92)
人類の健康の増進に寄与する自然科学の基礎研究に携わる若手研究者に対し、科学奨励
金・研究助成を終了した研究テーマの中から、将来有望なものを選抜し、研究費の一部を
継続的に補助する助成金です。
助成額 3 年間総額1,000万円以内で採択件数 3 件以内を継続します。
◆ 女性研究者研究助成金(P93)
出産・育児によって研究が中断した際の研究現場への復帰と研究業績を挙げることを支
援する目的で、研究に必要な経費を補助する助成金です。
助成額年間200万円を 3 年間(総額600万円)で採択件数を10件以上とします。
◆ 海外学者招聘助成金(P94)
2014年 1 月〜12月の間に日本国内で開催する学会へ海外から研究者を招聘する際の渡航
費および滞在費を助成します。助成額は招聘する地域によって異なります。
◆ 海外研究留学助成金(P95)
若手研究者が海外の大学等研究機関に長期間留学する渡航費、留学に伴う経費ならびに
研究費を補助する助成金です。
助成額300万円を継続し、採択件数は15件を継続します。
◆ 若手研究者海外派遣助成金(P96)
2013年 4 月〜2014年 3 月の間に海外で開催される学会で口頭発表を行う若手研究者の渡
航費および学会参加費の一部を助成します。助成額は学会が開催される地域によって異な
ります。
◆ 講演助成金(P97)
2013年 4 月〜2014年 3 月の間に日本国内で開催される国際会議について開催にかかる費
用の一部(上限50万円)を助成します。
◆ 特定研究助成金
第35回・第36回内藤コンファレンスにおいてポスター発表の演題を公募し、その中から
優秀な演題(各コンファレンスにつき10件)には50万円を贈呈します。
─ 89 ─
2013年度助成事業
第45回 内藤記念科学振興賞候補者推薦要領
趣
旨
人類の健康の増進に寄与する自然科学の基礎的領域において、進歩発展に顕
著な功績のあった研究者に対して褒賞を授与するものである。
1)人類の健康の増進に寄与する自然科学の基礎的研究において、独創的テー
マに取り組み、進歩発展に顕著な功績を挙げた研究者。
候補者資格
2)候補者は単独とするが、異なる研究グループによる共同研究の場合には、
連名であっても良い。
3)候補者の再度の推薦は差支えない。
1)下記27学会の代表者
推
薦
者
高 分 子 学 会
日 本 獣 医 学 会
日本農芸化学会
日 本 遺 伝 学 会
日本植物生理学会
日本発生生物学会
日本ウイルス学会
日本神経科学学会
日本ビタミン学会
日本栄養・食糧学会
日本神経化学会
日 本 病 理 学 会
日 本 解 剖 学 会
日 本 生 化 学 会
日 本 物 理 学 会
日 本 化 学 会
日本生物工学会
日本分子生物学会
日 本 癌 学 会
日本生物物理学会
日 本 免 疫 学 会
日 本 細 菌 学 会
日 本 生 理 学 会
日
日本細胞生物学会
日 本 動 物 学 会
日 本 薬 理 学 会
本
薬
学
会
2)当財団の理事、監事および評議員
推薦件数: 1 推薦者につき 1 件
推 薦 方 法
締
切
日
選 考 方 法
当財団ホームページ「助成金事業」に記載の手順に従い推薦する。
2013年10月 1 日(火)(財団必着)
選考委員会で審査し、理事会で決定する。
採否の結果は、2014年 2 月に候補者および推薦者に通知する。
受賞者には内藤記念科学振興賞<正賞:金メダル、副賞:1,000万円>を贈呈。
顕彰・贈呈式
受賞者夫妻は2014年 3 月に行う贈呈式にご出席いただきます。
贈呈式の詳しい日時は決定次第当財団ホームページに掲載いたします。
そ
の
他
1)学会推薦の場合は、学会の公印を捺印する。
2)当財団の理事、監事または評議員推薦の場合は、私印を捺印する。
詳しい内容は当財団ホームページをご覧ください。URL http://www.naito-f.or.jp/
─ 90 ─
2013年度助成事業
第45回 内藤記念科学奨励金・研究助成 申請要領
旨
人類の健康の増進に寄与する自然科学の基礎的研究に対し、研究費の一部を
補助するものである。
申請者資格
1)
人類の健康の増進に寄与する自然科学の基礎的研究に独創的・先駆的に取
り組んでいる若手研究者(年齢制限は無い)
2)
日本の研究機関に所属する研究者であること(ただし、国籍は問わない)。
3)
当財団の選考委員(ホームページ参照 URL http://www.naito-f.or.jp/)と
同一の教室(講座)に所属する者は申請することができない。
4)
本助成金を受領した 3 年未満の研究者(2010~2012年度の受領者)は、申
請することができない。
5)
海外で行う研究は対象外とする。
推
者
※財団ホームページのQ&A「推薦者の欄」を確認のこと。
1)
大学関係 ①大学院:研究科長、②学部:学部長、③研究所:研究所長、
④大学病院:医学研究科長(又は医学部長)
①②③④以外の大学組織(研究センター、研究施設等)
:学長
た
だし、同一専攻の研究科(大学院)と学部(大学)の両方からは申請でき
ない。どちらか一方の推薦者から 1 名の申請とする。
注)センター長、施設長、病院長は推薦者となることができない。
2)
大学以外の研究機関:当財団の理事会が承認した基礎研究機関の代表責任者
※該当する研究機関には関連書類を送付する。
3)
当財団の理事・監事及び評議員(ホームページ参照 URL http://www.naito-f.or.jp/)
推薦件数: 1 推薦者につき 1 件
申 請 方 法
推薦者が 1)
、2)の場合:申請者 ⇒ 大学・研究機関事務 ⇒ 財団
3)の場合:申請者 ⇒ 当財団の理事・監事・評議員 ⇒ 財団
※ 3 )の場合のみ、財団への申請書類の送付は、申請者・推薦者のどちらからでも
良い
当財団ホームページの「助成金事業」に記載の手順に従い申請する。
趣
締
薦
切
日
選 考 方 法
採 択 件 数
2013年 6 月 3 日(月)(財団必着)
選考委員会で審査し、理事会で決定する。
採択件数:80件以上
採否の結果は、2013年10月に申請者および推薦者に通知する。
助 成 額
送 金 時 期
300万円
2013年12月
報告の義務
1)
研究成果報告書及び使途報告書について:2015年 9 月末日までに所定用紙
にて報告する。
2)
外部発表について:本研究に関して外部発表する場合は、当財団(英文:
The Naito Foundation)の助成によるものであることを明記する。なお、
別刷りを一部送付する。
詳しい内容は当財団ホームページをご覧ください。URL http://www.naito-f.or.jp/
─ 91 ─
2013年度助成事業
第 3 回 内藤記念科学奨励金・若手ステップアップ研究助成 申請要領
旨
人類の健康の増進に寄与する自然科学の基礎研究に携わる若手研究者に対し、
科学奨励金・研究助成を終了した研究テーマの中から、将来有望なものを選抜し、
研究費の一部を継続的に補助するものである。
申請者資格
1)
人類の健康の増進に寄与する自然科学の基礎的研究に独創的・先駆的に取り
組んでいる若手研究者であること。
2)
過去の科学奨励金・研究助成の受領者であり、報告書を提出済みであること。
但し、2012年度内藤記念科学奨励金・研究助成の採択者は対象外とする。
3)
1973年 4 月 1 日以降に出生の者(満40歳以下)
4)
科学奨励金・研究助成申請時のテーマ、あるいはそれから派生したテーマに
基づく申請であること。
5)
当財団の選考委員と同一の教室(講座)に所属する者であっても、申請する
ことができる。
6)
海外で行う研究は対象外とする。
7)
内藤記念科学奨励金・研究助成及び内藤記念女性研究者研究助成金と同時に
申請することはできない。
推
※財団ホームページのQ&A「推薦者の欄」を確認のこと。
1)
大学関係 ①大学院:研究科長、②学部:学部長、③研究所:研究所長、
④大学病院:医学研究科長(又は医学部長)
①②③④以外の大学組織(研究センター、研究施設等)
:学長
注)センター長、施設長、病院長は推薦者となることができない。
2)
大学以外の研究機関:当財団の理事会が承認した基礎研究機関の代表責任者
※該当する研究機関には関連書類を送付する。
3)
当財団の理事・監事及び評議員(ホームページ参照 URL http://www.naito-f.or.jp/)
科学奨励金(研究助成)採択時の推薦者と同一の推薦者である必要はない。
推薦件数: 1 推薦者につき複数の推薦可
趣
薦
者
申 請 方 法
推薦者が 1)
、2)の場合:申請者 ⇒ 大学・研究機関事務 ⇒ 財団
3)の場合:申請者 ⇒ 当財団の理事・監事・評議員 ⇒ 財団
※ 3 )の場合のみ、財団への申請書類の送付は、申請者・推薦者のどちらからで
も良い
当財団ホームページの「助成金事業」に記載の手順に従い申請する。
締
切
日
2013年 6 月 3 日
(月)
(財団必着)
選 考 方 法
採 択 件 数
第 1 回選考委員会での審査により面接対象者を選出し、面接対象者のみにメール
で通知する。面接担当選考委員による面接選考会は、 8 月中旬から下旬に実施を
予定し、面接対象者の中から助成対象者を選出する。理事会で最終決定する。
選考は以下のポイントから行う。
財団からの助成期間中、ならびに終了後の科学奨励金(研究助成)申請
1. 当
時のテーマ、あるいはそれから派生したテーマの研究進捗実績
2. 今後の 3 ~ 4 年間に研究をどのように発展させるかについての展望
3. 研究テーマの独創性について
4. 他の競合的研究資金の取得状況
採択件数: 3 件以内
採否の結果は、2013年10月に申請者および推薦者に通知する。
助 成 額
送 金 時 期
助成金額: 3 年間で総額1,000万円以内とする。
1 年目:2013年12月 2 年目:2014年12月 3 年目:2015年12月
報告の義務
究成果報告書及び使途報告書について: 1 年目2015年 9 月末日、 2 年目
1)
研
2016年 9 月末日、 3 年目2017年 9 月末日までに所定用紙にて必ず報告する。
部発表について:本研究に関して外部発表する場合は、当財団(英文:
2)
外
The Naito Foundation)の助成によるものであることを明記する。なお、別
刷りを一部送付する。
詳しい内容は当財団ホームページをご覧ください。URL http://www.naito-f.or.jp/
─ 92 ─
2013年度助成事業
第 8 回 内藤記念女性研究者研究助成金 申請要領
旨
人類の健康の増進に寄与する自然科学の基礎的研究を行う女性研究者に対して、
出産・育児によって研究が中断した際の研究現場への復帰と研究業績を挙げるこ
とを支援する目的で、研究に必要な費用を補助するものである。
申請者資格
然科学の基礎的研究に独創的・先駆的に取り組んでいる一定以上の研究実
1)
自
績をあげた博士号を持つ研究者
2)
日本国内の研究機関に所属している者(国籍は問わないが、申請書は日本語
で作成すること)
3)
出産日から復帰日までが60ヵ月以内の女性研究者
①今後職場復帰する場合
復帰日と復帰場所が明確になっていること。復帰日までが出産日より60カ
月以内であること。
②応募以前に職場復帰している場合
出産日から助成金締切日までが60ヵ月以内であれば応募することができる。
4)
当財団以外から同期間(申請年度を含む助成期間(2013年度~2015年度)
)
に同様(同類)の助成金を受けることはできない。
5)
当財団の選考委員(ホームページ参照 URL http://www.naito-f.or.jp/)と同
一の教室(講座)に所属する者は申請することができない。
推
※財団ホームページのQ&A「推薦者の欄」を確認のこと。
1)
大学関係 ①大学院:研究科長、②学部:学部長、③研究所:研究所長、
④大学病院:医学研究科長(又は医学部長)
①②③④以外の大学組織(研究センター、研究施設等)
:学長
注)センター長、施設長、病院長は推薦者となることができない。
2)
大学以外の研究機関:当財団の理事会が承認した基礎研究機関の代表責任者
※該当する研究機関には関連書類を送付する。
3)
当財団の理事・監事及び評議員(ホームページ参照 URL http://www.naito-f.or.jp/)
推薦件数: 1 推薦者につき 1 件
趣
薦
者
申 請 方 法
締
切
日
推薦者が 1)
、2)の場合:申請者 ⇒ 大学・研究機関事務 ⇒ 財団
3)の場合:申請者 ⇒ 当財団の理事・監事・評議員 ⇒ 財団
※ 3 )の場合のみ、財団への申請書類の送付は、申請者・推薦者のどちらからで
も良い
当財団ホームページの「助成金事業」に記載の手順に従い申請する。
2013年 6 月 3 日
(月)
(財団必着)
選 考 方 法
採 択 件 数
採択件数:10件以上
採否の結果は、2013年10月に申請者および推薦者に通知する。
助 成 額
送 金 時 期
200万円/年の 3 年間。
ただし、 3 年目の助成については 2 年目迄の研究結果を評価して継続の可否を決
定するため、 2 年目迄の研究成果報告書を2015年 9 月末日までに送付する。
1 年目:2014年 1 月 2 年目:2015年 1 月 3 年目:2016年 3 月
注 意 事 項
1)
出産日を証明する書類(母子手帳の写し又は出生証明書等)を添付する。
2)
旧
姓を使用し、出生証明書と名前が異なる場合は同一人物である事を証明す
る書類を添付する。
報告の義務
1)
研
究成果報告書及び使途報告書について: 2 年目2015年 9 月末日、 3 年目
2016年 9 月末日までに所定用紙にて必ず報告する。
部発表について:本研究に関して外部発表する場合は、当財団(英文:
2)
外
The Naito Foundation)の助成によるものであることを明記する。なお、別
刷りを一部送付する。
詳しい内容は当財団ホームページをご覧ください。URL http://www.naito-f.or.jp/
─ 93 ─
2013年度助成事業
第45回 内藤記念海外学者招聘助成金 申請要領
趣
旨
候補者資格
人類の健康の増進に寄与する自然科学の基礎的研究を行う外国の研究者を招聘
する際の費用を補助するものである。
1)
人
類の健康の増進に寄与する自然科学の基礎的研究に独創的・先駆的に取り
組み、国際的に高い評価を得ている外国の研究者を招聘する際の当該学術集
会(日本国内で開催される定例的な年会や季会)組織委員長(ただし当財団
の理事・監事・評議員・選考委員は申請できない)
2)
同一年度の同一学術集会に招聘する場合の申請は 1 件とする。
3)
招聘時期が下記の期間内であること。
招聘時期
2014年 1 月 1 日~2014年 6 月30日
2014年 7 月 1 日~2014年12月31日
申請区分
前期
後期
4)
当
財団の選考委員(ホームページ参照 URL http://www.naito-f.or.jp/)と同
一の教室(講座)に所属する者は申請することができない。
推
薦
者
申 請 方 法
締
切
日
選 考 方 法
採 択 件 数
助 成 額
送 金 時 期
※財団ホームページのQ&A「推薦者の欄」を確認のこと。
1)
大学関係 ①大学院:研究科長、②学部:学部長、③研究所:研究所長、
④大学病院:医学研究科長(または医学部長)
、
①②③以外の大学組織(研究センター、研究施設等)
:学長
ただし、
同一専攻の研究科(大学院)
と学部(大学)の両方からは申請できない。
どちらか一方の推薦者とする。
注)センター長、施設長、病院長は推薦者となることができない。
2)
大学以外の研究機関:当財団の理事会が承認した基礎研究機関の代表責任者
※該当する研究機関には関連書類を送付する。
財団の理事・監事及び評議員(ホームページ参照 URL http://www.naito-f.or.jp/)
3)
当
4)
当財団の指定した学会の代表者(※該当学会には関連書類を送付しています)
推薦件数: 1 推薦者につき 1 件(前期・後期 各々 1 件)
推薦者が 1)
、2)
、4)の場合:申請者 ⇒ 大学・研究機関事務 ⇒ 財団
3)の場合:申請者 ⇒ 当財団の理事・監事・評議員 ⇒ 財団
※ 3 )の場合のみ、財団への申請書類の送付は、申請者・推薦者のどちらからで
も良い
当財団ホームページの「助成金事業」に記載の手順に従い申請する。
前期:2013年 6 月 3 日
(月)
後期:2013年10月 1 日
(火)
(いずれも財団必着)
選考委員会で審査し、理事会で決定する。
採択件数:前期・後期各10件以内(予算範囲内)
採否の結果は、前期:2013年10月、後期:2014年 2 月に申請者および推薦者に通
知する。
エリア
中東・アフリカ
米国・カナダ(西海岸除く)
、ヨーロッパ、南米
米国・カナダ西海岸、オーストラリア、ニュージーランド
東南アジア、インド
中国、台湾、韓国
助成額(万円)
80
60
50
30
20
前期:2013年12月、後期:2014年 3 月
注 意 事 項
1)
組
織委員長及び招聘学者が明記されている書面(当該学術集会の開催趣意書
(必須)及びプログラム・サーキュラー等)を、申請書と共に必ず提出する。
2)
来
日の中止について:招聘学者が来日中止の場合は助成を辞退していただき
ますので財団事務局へ必ず連絡下さい。
報告の義務
1)
ス
ポンサーについて:当該学術集会で海外学者による招待講演が行われる場
合は、プログラム等に当財団(英文:The Naito Foundation)の助成による
ものであることを明記する。なお、プログラム等を一部送付する。
2)
学
会成果報告書及び使途報告書について:組織委員長は学会終了後 1 ヶ月以
内に所定用紙にて必ず報告する。
詳しい内容は当財団ホームページをご覧ください。URL http://www.naito-f.or.jp/
─ 94 ─
2013年度助成事業
第30回 内藤記念海外研究留学助成金 申請要領
趣
旨
我が国の自然科学の将来を担う国際的視野に富む研究者を育成することを目的と
し、人類の健康の増進に寄与する自然科学の基礎的研究を行うために、若手研
究者が海外の大学等研究機関に長期間留学する際の渡航費、留学に伴う経費な
らびに研究費を補助するものである。
申請者資格
1)
博士号を持つか、出発日までに取得見込みの研究者(出発日までに博士号取
得見込みの大学院生は対象とする)
2)
学生として海外の大学・大学院への留学は対象外とする。
3)
1979年 4 月 1 日以降に出生の者(満34歳以下)
4)
留
学先研究機関の責任者または受入研究室の責任者の承諾を得ている者
(受入先承諾書(サイン付)を添付する)
5)
2014年 4 月 1 日~2015年 3 月31日の間に出発し、 1 年以上留学する者
留学先から一時帰国し、再度上記の期間に出発する者は対象にならない。
6)
当財団の選考委員(財団ホームページ参照 URL http://www.naito-f.or.jp)
と同一の教室(講座)に所属する者は申請することができない。
推
※財団ホームページのQ&A「推薦者の欄」を確認のこと。
1)
大学関係 ①大学院:研究科長、②学部:学部長、③研究所:研究所長、
④大学病院:医学研究科長(又は医学部長)
①②③④以外の大学組織(研究センター、研究施設等)
:学長
注)センター長、施設長、病院長は推薦者となることができない。
2)
大学以外の研究機関:当財団の理事会が承認した基礎研究機関の代表責任者
※該当する研究機関には関連書類を送付する。
財団の理事・監事及び評議員(ホームページ参照 URL http://www.naito-f.or.jp/)
3)
当
4)
科学奨励金(研究助成)採択時の推薦者と同一の推薦者である必要はない。
推薦件数: 1 推薦者につき 1 件
薦
者
申 請 方 法
締
切
日
選 考 方 法
採 択 件 数
推薦者が 1)
、2)の場合:申請者 ⇒ 大学・研究機関事務 ⇒ 財団
3)の場合:申請者 ⇒ 当財団の理事・監事・評議員 ⇒ 財団
※ 3 )の場合のみ、財団への申請書類の送付は、申請者・推薦者のどちらからで
も良い
当財団ホームページの「助成金事業」に記載の手順に従い申請する。
2013年10月 1 日
(火)
(財団必着)
採択件数:15件以内
採否の結果は、2014年 2 月に申請者および推薦者に通知する。
助 成 額
送 金 時 期
300万円
2014年 3 月
注 意 事 項
1)
受
入先承諾書に必須記入項目(留学先からの給与支給の有無、研究テーマ、
留学受入年月日、留学期間、受入先責任者のサイン)が記載されていること
を確認し、和訳を添付し提出する。
※必須記入項目が一項目でも記載されていない場合は受付できません。
学中止、留学先の変更または「申請者資格 5 )
2)
留
」に記載の期間内に出発で
きなくなった場合は、助成を辞退していただきますので財団事務局へ必ず連
絡下さい。
報告の義務
息について:留学先に到着および帰国時に、住所及びE-mailアドレス等を
1)
消
必ず報告する。また、
留学先が途中で変更になる場合には、
速やかに報告する。
2)
研
究成果報告書及び使途報告書について:帰国後 1 ヵ月以内に所定用紙にて
報告する。研究成果報告書の内容については、事前に留学先に外部公表の了
解を得ておく。
部発表について:本研究に関して外部発表する場合は、当財団(英文:
3)
外
The Naito Foundation)の助成によるものであることを明記する。なお、別
刷りを一部送付する。
詳しい内容は当財団ホームページをご覧ください。URL http://www.naito-f.or.jp/
─ 95 ─
2013年度助成事業
第13回 内藤記念若手研究者海外派遣助成金 申請要領
旨
我が国の生命科学の将来を担う国際的視野に富む研究者を育成することを目的と
し、人類の健康の増進に寄与する自然科学の基礎的研究を行う若手研究者が海
外で行われる国際会議(学会・シンポジウム等)で、自己の成果を口頭発表する
場合の渡航費を補助するものである。
申請者資格
1)
日本の大学、研究施設に籍をもつ研究者(大学院生を含む)
2)
人類の健康の増進に寄与する自然科学の基礎的研究に取り込んでいる若手研
究者で1973年 4 月 1 日以降に出生の者(満40歳以下)
3)
日本国内で行った研究成果が海外で開催される国際学会やシンポジウムで口
頭発表として採択された者
ポスター発表者は対象外とする。
なお、①海外留学中または、海外で行った研究の発表には適応しない。
②年 1 回に限り申請することができる。
4)
本助成金受領者は、隔年の申請はできるが次年度の申請はできない。
推
※財団ホームページのQ&A「推薦者の欄」を確認のこと。
1)
大学関係 ①大学院:研究科長、②学部:学部長、③研究所:研究所長、
④大学病院:医学研究科長(又は医学部長)
①②③④以外の大学組織(研究センター、研究施設等)
:学長
注)センター長、施設長、病院長は推薦者となることができない。
2)
大学以外の研究機関:当財団の理事会が承認した基礎研究機関の代表責任者
※該当する研究機関には関連書類を送付する。
3)
当財団の理事・監事及び評議員(ホームページ参照 URL http://www.naito-f.or.jp/)
推薦件数: 1 推薦者につき夏季・秋季・冬季・春季 各々 1 件
趣
薦
者
申 請 方 法
推薦者が 1)
、2)の場合:申請者 ⇒ 大学・研究機関事務 ⇒ 財団
3)の場合:申請者 ⇒ 当財団の理事・監事・評議員 ⇒ 財団
※ 3 )の場合のみ、財団への申請書類の送付は、申請者・推薦者のどちらからで
も良い
当財団ホームページの「助成金事業」に記載の手順に従い申請する。
学会の開催月により、年 4 回の受付を行う。
締
切
日
選 考 方 法
採 択 件 数
助 成 額
送 金 時 期
申請区分
学会等開催月
夏季
秋季
冬季
春季
7 月〜 9 月
10月〜12月
1 月〜 3 月
4 月〜 6 月
申請書受付期間
(期間中財団必着)
4 月 1 日~ 5 月20日
5 月21日~ 8 月20日
8 月21日~11月20日
11月21日~ 2 月20日
採否通知
6 月中旬
9 月中旬
12月中旬
3 月上旬
・選考担当理事、選考委員長で構成される審査会(年 4 回、6・9・12・3月開催)
で選考し決定する。
・採択件数は、年間予算の範囲内。
・採否の結果は、上記の時期に申請者および推薦者に通知する。
渡航先
助成額(万円) 助成区分
中東・アフリカ
40
Ⅰ
ヨーロッパ各国、トルコ、南米
35
Ⅱ
米国・カナダ(西海岸除く)
、メキシコ
30
Ⅲ
米国・カナダ西海岸、オーストラリア、ニュージーランド
25
Ⅳ
東南アジア、インド
20
Ⅴ
東アジア(タイ、フィリピン、中国)
15
Ⅵ
韓国、台湾
10
Ⅶ
出発時期を勘案し送金する。
注 意 事 項
1)
プログラム、サーキュラー及び口頭発表採択証明を申請書と共に郵送する。
2)
口頭発表採択証明等添付資料も受付期間必着とする。
報告の義務
研究成果報告書及び使途報告書について:帰国後 1 ヶ月以内に口頭発表を行っ
た学術集会の概要と助成金使途内訳について所定用紙にて必ず報告する。
詳しい内容は当財団ホームページをご覧ください。URL http://www.naito-f.or.jp/
─ 96 ─
2013年度助成事業
第41回 内藤記念講演助成金 申請要領
趣
旨
国際会議の開催において、自然科学の基礎的研究に関する国内で開催される国際
会議の開催に対し、費用を補助するものである。
申請者資格
大学、研究機関に所属する者が主催する自然科学の基礎的研究に関する国内で
開催される国際会議(シンポジウム、講演会)の開催責任者(主催者)
国際会議とは、参加者総数が50名以上で、かつ参加国が日本を含む 2 カ国以上
を占める会議をいう。
なお、下記の申請者は対象外とする。
①国内で開催される学術集会の定例的な年会や季会
②当該年度に既に当財団が採択した助成金と同一のシンポジウム、講演会
当財団の理事・監事・評議員及び選考委員に対する推薦は基本的に行わない。
但し、助成金を個人のために使用しないことが明白な場合にはこの限りではない。
推
1)
当財団の理事・監事及び評議員(自薦は対象としない。
)
2)
当財団の指定した学会の代表者(※該当学会には関連書類を送付する。
)
推薦件数:当財団の理事・監事および評議員の場合 1 推薦者につき年間 2 件
当財団の指定した学会の代表者の場合 1 推薦者につき年間 1 件
薦
者
推薦者が 1)の場合:申請者 ⇒ 当財団の理事・監事・評議員 ⇒ 財団
(財団への申請書類の送付は、申請者・推薦者のどちらからでも良い)
申 請 方 法
2)の場合:申請者 ⇒ 学会事務 ⇒ 財団
当財団ホームページ「助成金事業」に記載の手順に従い申請する。
国際会議の開催月により、年 4 回の受付を行う。
国際会議開催月
申請書受付期間
(期間中財団必着)
夏季
7 月〜 9 月
4 月 1 日〜 5 月20日
6 月中旬
秋季
10月〜12月
5 月21日〜 8 月20日
9 月中旬
冬季
1 月〜 3 月
8 月21日〜11月20日
12月中旬
春季
4 月〜 6 月
11月21日〜 2 月20日
3 月上旬
申請区分
締
切
日
採否通知
選 考 方 法
採 択 件 数
常務理事、選考担当理事、選考委員長全ての承諾により採択する。
採択件数は、年間予算の範囲内
採否の結果は、上記の時期に申請者および推薦者に通知する。
助 成 額
送 金 時 期
上限は 1 件50万円
当該国際会議の開催日を勘案し、送金する。
注 意 事 項
開催趣意書及びプログラム・アブストラクト等会議の概要が分かるものを各1部
添付すること。
同一年度の同一学術集会への複数助成はしない。
報告の義務
果報告及び使途報告書について:助成対象の行事終了後 1 ヶ月以内に概要
1)
成
を所定用紙にて必ず報告する。
2)
外
部発表について:当該学術集会のプログラム等に当財団(英文:The
Naito Foundation)の助成によるものであることを明記する。
詳しい内容は当財団ホームページをご覧ください。URL http://www.naito-f.or.jp/
─ 97 ─
ご寄附者名簿
ご寄附者名簿
2012年3月1日より2013年2月28日までに次の方々よりご寄附をいただいております。ご支援
に心より感謝し、謹んで御礼申し上げます。
法 人
エーザイ株式会社(2)
(単位:万円)
3,000
富国生命保険相互会社 高橋電業株式会社
10
岩渕薬品株式会社 株式会社錦光社(2)
20
株式会社小田島 株式会社東幸
5
アルフレッサ日建産業株式会社 2
10
5
10
日本硝子産業株式会社
10
株式会社セノン 筑波家田化学株式会社
10
エーディア株式会社 30
新村印刷株式会社
10
純正化学株式会社 20
5
野村證券株式会社 50
株式会社南江堂
100
エーザイフード・ケミカル株式会社
50
株式会社スズケン沖縄薬品 エーザイ生科研株式会社
40
サンノーバ株式会社 50
エルメッドエーザイ株式会社
30
株式会社マルタケ 5
エーザイ物流株式会社
50
明祥株式会社 20
赤門ウイレックス株式会社 20
株式会社サンプラネット 100
5
川津産業株式会社 30
第一生命保険株式会社 株式会社ほくやく 20
株式会社埼玉りそな銀行(2)
株式会社東京都民銀行春日町支店 20
フィオーレIS21株式会社 8
株式会社サンキ 10
株式会社フレット 5
酒井薬品株式会社 10
株式会社太平エンジニアリング 25
株式会社日本テクノ開発 10
近藤工業株式會社
10
株式会社新生堂 タマ生化学株式会社 5
100
5
100
株式会社セイエル 10
アルフレッサ株式会社 株式会社ひでじま 10
東邦薬品株式会社 20
3
株式会社よんやく 10
仰星税理士法人 ─ 98 ─
100
ご寄附者名簿
クレコンリサーチアンドコンサルティング株式会社 10
岩井化学薬品株式会社 20
株式会社茂木薬品商会
10
ラペックス小石川 20
kmホールディングス株式会社 10
株式会社ケーエスケー 20
株式会社シロキ 5
株式会社じほう 30
株式会社翔薬 30
クオリカプス株式会社 30
協同廣告株式会社 50
日清ファルマ株式会社 10
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
20
株式会社池田理化 20
須賀工業株式会社 100
サン インテルネット株式会社 15
株式会社矢沢科学 10
株式会社損害保険ジャパン 20
合同東邦株式会社 5
株式会社アスティス 5
四国アルフレッサ株式会社 10
中北薬品株式会社 20
株式会社ニッコクトラスト 25
TMI総合法律事務所 20
高砂香料工業株式会社
100
芙蓉総合リース株式会社 3
株式会社アイピーエス 15
千代田テクノエース株式会社 30
株式会社スズケン 50
千代田化工建設株式会社 100
中澤氏家薬業株式会社 10
株式会社バイタルネット 15
株式会社三菱東京UFJ銀行 30
株式会社トーエネック 50
成和産業株式会社 10
株式会社幸燿 みずほ証券株式会社 株式会社メディパルホールディングス
5
30
100
コーア商事株式会社 30
首都圏リース株式会社 株式会社モロオ 10
株式会社コスモス 株式会社常陽銀行 20
兼松エレクトロニクス株式会社 株式会社畑鐵工所 10
大成設備株式会社 株式会社野村総合研究所 50
高砂熱学工業株式会社 5
10
5
20
100
富田薬品株式会社 5
株式会社トラヤ 10
クロマトリサーチ株式会社 3
ナカノ薬品株式会社 10
高圧化工株式会社 5
鹿島建設株式会社 イワキ株式会社 10
300
東京海上日動火災保険株式会社 20
─ 99 ─
ご寄附者名簿
三井住友海上火災保険株式会社 20
株式会社クリニックマガジン
5
大成建設株式会社 株式会社ドラッグマガジン
5
300
株式会社シーエーシー 10
株式会社関電工
50
株式会社CSIソリューションズ 50
東洋熱工業株式会社
日本生命保険相互会社
20
丸三証券株式会社
30
150
田中紙業株式会社
12
鍋林株式会社
10
明光産業株式会社
10
税理士法人アルタ東京会計事務所
10
株式会社インテージ
株式会社アステム
50
三菱UFJ信託銀行株式会社
40
エーザイマシナリー株式会社
10
株式会社電通
50
公益社団法人日本監査役協会
3
戸田建設株式会社
株式会社文祥堂
100
100
株式会社みずほコーポレート銀行*
100
12
個 人
(敬称略)
出口 宣夫(2)
岡田 真勝
中嶋 大地
髙梨睦郎・幸子
有賀 学
渡邉 宏男
舘 美智子
髙梨 直子
有賀 泉
小館 裕彦
渡辺 隆一
内藤 邦子
増田 宏一
佐々木一仁
石井 三郎 内藤 輝夫
佐藤めぐみ
中村 典起
菱沼 宇春 匿名希望
( 1 名)
星野 秀一
堀井 美代
箱根 操子
原 典子
磯 絢子
長尾榮次郎
長谷川喜一
三雲 隆
山本 哲生*
(単位:万円)
※掲載の順序はご寄附を賜った日付を基本にいたしております。
法人
128件
7,011
※個人名義によるご寄附は、金額の表示を略しております。
個人
30件
480
※( )内の数字は今年度の寄附回数です。
合計
158件
7,491
*印は 2 月28日以降入金予定
─ 100 ─
ご寄附をお寄せくださる方に
当財団は、人類の疾病の予防と治療に関する自然科学の研究を奨励し、もって学術の振
興と人類の福祉に寄与することを目的としております。具体的には、研究者に対する研究
助成、若い研究者の海外留学の助成、国内・海外の研究者が研究成果の発表をベースにし
た情報交換のための援助等です。
この事業を推進するに当たっては、保有株式の配当金と皆様からの寄附金ならびに財産
の運用による利息収入により行われています。
当財団は、公共法人、公益法人等のうち教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉
への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定められた公益財団法人
(特定公益増進法人)に該当します。当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金は、
個人・法人ともに税法上の優遇措置が与えられます。
優遇措置の概略
個 人
1.所得税:
「所得控除」
・
「税額控除」のいずれかを選択することができます。
「所得控除」1年間に支出した特定寄附金合計−2,000円=寄附金控除対象額
*但し、総所得金額等の40%を限度とする
「税額控除」
(寄附金−2,000円)×40%=控除対象額(所得税から控除)
*但し、控除対象額は、所得税額の25%を限度とする
2.住民税:上記に加え、地域により個人の住民税が控除されます。
例)東京都在住個人
都民税(寄附金額−2,000円)×4%=控除対象税額
区市町村民税(寄附金額−2,000円)×10%=控除対象税額
*詳しくは、所轄の税務署もしくは各地方自治体にお問い合わせください。
法 人 「特定公益増進法人に対する寄附金の特例」により、一般の寄附金の損金算入限度
額と別枠で損金算入できます。
当財団の研究助成事業にご賛同くださる方々からのご寄附をお待ちしております。
詳しいことをお知りになりたい方は、財団事務局までお問い合わせください。
お問合せ先 TEL:03-3813-3005 FAX:03-3811-2917
E-mail:[email protected]
─ 101 ─
2013年度役員および評議員・選考委員・名誉理事
2013年度役員および評議員・選考委員・名誉理事
2013年 4 月 1 日より
理 事 長(代表理事)
常務理事(業務執行理事)
内藤 晴夫
エーザイ株式会社 顧問
三井 博行
大阪大学免疫学フロンティア研究センター
教授・拠点長
審良 静男
日本生物科学研究所 常務理事
東京大学 名誉教授
笹川 千尋
日本学術振興会 理事
東京大学 名誉教授
浅島 誠
大阪バイオサイエンス研究所 所長
京都大学 名誉教授
中西 重忠
早稲田大学 教授
慶應義塾大学 名誉教授
池田 康夫
東京大学大学院 特任教授
東京大学 名誉教授
廣川 信隆
神奈川大学 教授
名古屋大学 名誉教授
上村 大輔
日本学術振興会ストックホルム研究連絡センター
センター長
東北大学 名誉教授
藤井 義明
国際医療福祉大学 教授・大学院長
東京大学 名誉教授
金澤 一郎
名古屋大学大学院創薬科学研究科
兼 細胞生理学研究センター 特任教授
藤吉 好則
エーザイ株式会社 顧問
小林 精一
仰星税理士法人 代表社員
野村 典正
微生物化学研究会 常務理事
同研究会 微生物科学研究所 所長
柴﨑 正勝
エーザイ株式会社 代表執行役社長
理
監
事
事
評議員会会長(議長)
先端医療振興財団 理事長
京都大学 名誉教授
井村 裕夫
評議員
情報・システム研究機構 理事
名古屋大学 名誉教授
お茶の水女子大学 名誉教授
郷 通子
理化学研究所 研究顧問
東京大学 名誉教授
永井 克孝
安田女子大学 教授
京都大学 名誉教授
佐藤 公道
日本臓器移植ネットワーク 理事長
九州大学 名誉教授
野本亀久雄
日本臨床内科医会 会長
慶應義塾大学 名誉教授
猿田 享男
理化学研究所 理事長
名古屋大学 特別教授
野依 良治
東京大学 名誉教授
秋田県立大学 名誉教授
鈴木 昭憲
大阪医専 校長
大阪大学 名誉教授
濵岡 利之
野口英世記念会 副理事長
竹田 美文
東京大学 名誉教授
静岡県立大学 名誉教授
廣部 雅昭
─ 102 ─
2013年度役員および評議員・選考委員・名誉理事
選考委員
慶應義塾大学医学部 教授
伊藤 裕
理化学研究所脳科学総合研究センター 副センター長
田中 啓治
京都大学 物質−細胞統合システム拠点
教授
上杉 志成
慶應義塾大学医学部 教授
戸山 芳昭
東北大学大学院医学系研究科 教授
大隅 典子
東京大学創薬オープンイノベーションセンター
特任教授
長野 哲雄
東京大学大学院医学系研究科 教授
小室 一成
東京大学大学院理学系研究科 教授
濡木 理
大阪大学免疫学フロンティア研究センター
教授
坂口 志文
がん研究会 常務理事・がん研究所 所長
野田 哲生
札幌医科大学医学部 教授
佐藤 昇志
大阪大学微生物病研究所 教授・副所長
松浦 善治
東京工業大学大学院理工学研究科 教授
鈴木 啓介
自治医科大学 教授
東京大学大学院医学系研究科 特任教授
間野 博行
名古屋大学大学院医学系研究科 教授
髙橋 雅英
京都大学大学院理学研究科 教授
丸岡 啓二
京都大学大学院理学研究科 教授
高橋 淑子
神戸大学大学院理学研究科 教授
三村 徹郎
京都大学大学院医学研究科 教授
髙橋 良輔
東京大学医科学研究所 教授
三宅 健介
台湾・國立清華大学 教授
名古屋大学 名誉教授
磯部 稔
サントリー生物有機科学研究所 顧問・名誉理事
東京大学 名誉教授
中嶋 暉躬
理化学研究所脳科学総合研究センター 特別顧問
東京大学 名誉教授
伊藤 正男
農業生物資源研究所 顧問
東京大学 名誉教授
名取 俊二
化学及血清療法研究所 顧問
九州大学 名誉教授
岩永 貞昭
東京大学 名誉教授
野島 庄七
京都大学 名誉教授
宇野 豊三
横浜薬科大学薬学部 教授
北海道大学 名誉教授
野村 靖幸
熊本大学 名誉教授
総合研究大学院大学 名誉教授
江口 吾朗
大阪バイオサイエンス研究所 理事長
京都大学 名誉教授
早石 修
介護老人保健施設すみよし 施設長
東京大学 東北大学 名誉教授
遠藤 實
東京大学 名誉教授
廣澤 一成
富山国際学園 理事長
北海道大学 名誉教授
金岡 祐一
東京大学 名誉教授
お茶の水女子大学 名誉教授・元学長
藤巻 正生
北海道対がん協会 会長
札幌医科大学 名誉教授
菊地 浩吉
函館国際水産・海洋都市推進機構 機構長
東京大学 名誉教授
伏谷 伸宏
大阪大学 名誉教授
北川 勲
東京大学 名誉教授
水野 傳一
理化学研究所播磨研究所 客員研究員
京都大学 名誉教授
郷 信広
熊本大学 名誉教授
森 正敬
東北大学 名誉教授
志村 憲助
東京大学 名誉教授
東京薬科大学 名誉教授
山川 民夫
京都大学 名誉教授
髙木 博司
熊本大学 名誉教授
吉永 秀
東京大学 名誉教授
高橋 信孝
名誉理事
─ 103 ─
への アクセス
消防署
都営大江戸線
春 日 通 り
バス停(湯島4丁目)
メト
ロ丸
郷
三
サンクス
の内
丁
目
5番出口
線
内藤記念
科学振興財団
三菱東京UFJ銀行
〒
湯
島
東京
本
本富士警察署
本郷三丁目
3番出口
湯島天神
セブンイレブン
署前
通り
りそな銀行
消防
ローソン
日本サッカー協会
文京区湯島総合センター
本郷
通り
蔵前橋通り
サンクス
ローソン
順天堂大学
順天堂医院
東京医科歯科大
付属病院
東京医科歯科大学
〒
御茶ノ水
至新宿
御茶ノ水
JR中央
〒113-0033
線・総武
線
東京都文京区本郷3-42-6 NKDビル8階
TEL 03-3813-3005 / FAX 03-3811-2917
Eメール [email protected]
交通機関のご案内
東京メトロ
丸の内線 本郷三丁目駅 徒歩6分
千代田線 湯島駅 徒歩8分
都営地下鉄
大江戸線 本郷三丁目駅 徒歩5分
J R
中央線 御茶ノ水駅 徒歩10分
都 バ ス
湯島四丁目 徒歩1分
※冊子内の挿し絵は、
故内藤祐次理事長が描いたイラストから転載しました。
第91号
編集発行
2013年3月19日 発行
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