第18回日本心エコー図学会学術集会 抄録集

第18回 日本心エコー図学会学術集会
プログラム
会期:2007年4月12日㈭∼14日㈯
会場:軽井沢プリンスホテル西館
会長:里見 元義(長野県立こども病院循環器科)
事務局:長野県立こども病院循環器科
〒 399 − 8288 長 野 県 安 曇 野 市 豊 科 3 1 0 0
TEL:0263−73−6700 FAX:0263−73−5432
目次
●ご挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
●総会のご案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
●交通のご案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
●会場までのアクセス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
●会場案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
●タイムテーブル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
●学術集会参加者へのご案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
●座長、演者へのご案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
●特別企画のご案内・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
●一般演題プログラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
●特別企画抄録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37
●シンポジウムⅠⅡ抄録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
●パネルディスカッション抄録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71
●ビジュアル症例検討会抄録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 79
●新技術紹介セッション抄録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 91
●ランチョンセミナー抄録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・105
●一般演題抄録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・115
ご 挨 拶
日本心エコー図学会第 18 回学術集会
会長 里見 元義
(長野県立こども病院循環器科)
日本心エコー図学会第 18 回学術集会の開催を担当させていただきます長野県立こども病院の里見でございます。
伝統ある本学会の学術集会を主催させていただくことを光栄に思っています。小児科医が会長を担当させていただく
のは本学会の歴史上初めてですが、大部分が内科領域の会員で占められている本学会にあって、小児科医である私を
仲間として認めていただきましたことに心より感謝申し上げます。本学会を開催するに当たりいくつかのことを私な
りに工夫いたしました。
1.開催場所:多くの学会員の皆様から、せっかく私が担当するのであれば長野県でやって欲しい、との要望をいた
だきました。広い長野県の中でも交通のアクセスもよく、皆様に楽しみにして参加していただける場所をと考え、
軽井沢で行うことにいたしました。東京駅から長野新幹線で約 1 時間です。勉強のついでにリゾート気分も満喫し
ていただきたいと思います。
2.テーマ:本学会のメインテーマを『縦長心エコー図学: Longitudinal Echocardiography 』としました。胎児か
ら老人まで心エコー図学を縦に繋げてみようという意味です。シンポジウム I では LV torsion, Tei index, E/A を
選んで、シンポジストに提出してもらったデータを、胎児から老人までヒトの一生で繋げてみたいと思います。い
ままで誰も見たことのなかったことが見えてくるかも知れない、と思っています。またそれぞれの計測値の年齢に
よる変動の意味を、シンポジウムで思う存分ディスカッションしていただきたいと思います。シンポジウム II では
縦長心エコー図学:成人先天性心疾患、と題して診断に苦慮した成人先天性心疾患の心エコー図を会場の皆様と一
緒に判読し解釈してみたいと思います。新生児、乳幼児期に手術を受けた先天性心疾患の患者さんの多くが生存し
て成人領域に達しています。これからは内科領域を担当する医師にもソノグラファーにも成人先天性心疾患の理解
を深めていただきたいと思い企画しました。
3.新技術紹介セッション:第 3 会場の前半部分にステージを設け、代表的な超音波機器メーカー 6 社にお願いして
3 日間を通して、この 1 年間に会社をあげて開発してきた新技術を紹介していただくことを企画いたしました。プ
レゼンテーションの方法はメーカーの自由に、とお願いしてありますので、ハンズオンあり、レクチャーあり、の
聴衆参加型の楽しいプレゼンテーションを期待しています。多くの方に新技術を見ていただくために、プログラム
の中に第 1 会場でのイベントのない空き時間をつくりました。この時間は是非第 3 会場の新技術紹介セッションへ
足を運んでいただきたいと思います。
4.特別講演:Norman H. Silverman 先生には先天性心疾患術後の心エコーについて、Jeffrey Smallhorn 先生には
3D エコーの話を、Asbjørn Støylen 先生には心筋ストレインの話を Shunichi Homma 先生には脳梗塞の原因と心
エコーの話を、Irina Axelrod 先生には胎児心エコー検査の話しをしていただく予定です。
5.ポスターセッションの工夫:史上最多の演題応募をいただきまして、心より感謝申し上げます。多くの方に参加
していただける喜びと同時に、応募してくださった方の期待に沿えるように、と責任も感じています。限られた時
間内に多くの演題を発表し討論していただくために一般口演で応募していただいた方のなかでポスターに回ってい
ただいた方もありますことをお詫びいたします。ポスターセッションにおきましても、おひとりおひとりの発表者
の努力を無にしないようにと工夫いたしました。ポスター発表演題をセッションごとに、領域別エキスパートにモ
デレーター(座長)をお願いし、決められた時間の間に指定のポスターを訪れてもらい、モデレーターとの間でディ
スカッションを行っていただきます。ポスター発表者はその時間帯ポスターの前に立っていただきます。モデレー
ターは自分の担当領域の中で最優秀のポスター発表演題をひとつ選びマークをつけていただきます。1 日目と 2 日
目でマークのついた演題は第 3 日目に一箇所に集めて優秀ポスター発表として継続展示いたします。
6.懇親会:本会は小児科医としては私が初めて会長を努めさせていただくこともあり、演題の応募状況からみても
本学会としては異例に多数の小児科領域の医師やソノグラファーの方の参加が見込まれます。私はこのチャンスを
是非とも小児科と内科の交流の場のきっかけに生かしたいと思っておりそのために、できるだけ多くの方々に懇親
会に参加していただきたいと願っています。アトラクションには、めったに見ることのできない江戸手妻の藤山新
太郎さんの出演を予定しています。是非多数の方の参加をお願いいたします。
そのほかにも恒例の YIA に加えて Asian YIA を募集し優秀演題の 2 人を韓国とフィリピンから招待したことなど、
本学術集会ではこれまでの慣例を踏襲しながらも、いくつかの新しい試みを行いました。皆さまの心に残る、参加し
てよかったと言っていただける学会になるように最大限の努力をしたいと思います。皆様にも積極的な参加と交流を
お願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
-3-
総会のご案内
第 18 回日本心エコー図学会総会を下記の通り開催いたしますので会員の皆様はご出席下さい。
理事長 別府慎太郎
記
日 時:4 月 13 日(金)13:10 ∼ 14:30
会 場:軽井沢プリンスホテル 第1会場
<報告と承認>
<表彰>
・YIA 賞
・海外学会発表優秀論文賞
・名誉会員
・国際交流貢献賞
<認定式>
・日本心エコー図学会認定専門技師
<紹介>
・新評議員
<記念講演>
・吉川純一先生「国際交流:私が米国から学んだこと」
-4-
交通のご案内
お車で
電車で
-5-
会場までのアクセス
シャトルバス
乗り場
シャトルバスのご案内
学会会期中にシャトルバスをご用意しておりますのでご利用下さい。
●JR軽井沢駅 発 →プリンスホテル西館行き(4/12 ∼ 14 運行)
8:20 発 ・ 9:20 発 ・ 9:55 発
(東京方面からの新幹線着時間にあわせております)
●プリンスホテル西館 発 →JR軽井沢駅 行き(4/14 最終日のみ運行)
17:10 発
-6-
会場案内
[西館1階平面図]
[フロア案内図]
-7-
第 18 回日本心エコー図学会学術集会日程表
<新技術紹介セッション>
共催A:株式会社日立メディコ 共催B:GE 横河メディカルシステム株式会社
共催C:アロカ株式会社 共催D:東芝メディカルシステムズ株式会社
-8-
<新技術紹介セッション>
共催A:株式会社日立メディコ 共催C:アロカ株式会社
共催E:持田シーメンスメディカルシステム株式会社
共催F:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン
-9-
<新技術紹介セッション>
共催D:東芝メディカルシステムズ株式会社 共催 B:GE 横河メディカルシステム株式会社
共催E:持田シーメンスメディカルシステム株式会社
共催F:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン
- 10 -
学術集会参加者へのご案内
Ⅰ.当日受付
1.参加受付は会期当日会場にて行います。
プログラムに参加される前に必ず参加受付にて受付をお済ませください。参加受付は軽井沢プリンスホテル西
館メインバンケットホール「長野」前に設置しております。
2.参加費と引き換えにネームカードをお渡しします。ネームカードは会場内では必ずご着用ください。支払いは
現金のみの取扱いとなります。
参加費は下記の通りです。
会員 医師
14,000 円
技師・その他
6,000 円
非会員 医師
16,000 円
技師・その他
7,000 円
3.受付は 4 月 12 日(木)8:00 から開始します。
4.懇親会を下記の通り開催いたします、是非ご参加下さい。
4 月 13 日(金)
18:30 ∼ 20:30
会費 無料
多数の皆様のご参加をお待ちしております。
Ⅱ.学会入会・年会費
1.総合受付では、日本心エコー図学会への入会手続きが可能です。
2.年会費の払い込みも可能です。
Ⅲ.各種会合
1.理事会
2.評議員会
3.YIA 審査会
4.総会
4 月 11 日(水)17:00 ∼ 18:30 にれの木ホール「さくらそう」
4 月 12 日(木)18:00 ∼ 19:00 第 1 会場
4 月 13 日(金)12:00 ∼ 13:00 にれの木ホール「つつじ」
4 月 13 日(金)13:10 ∼ 14:30 第 1 会場
※ YIA 表彰式を行います。
Ⅳ.その他
1.軽井沢プリンスホテル 1F ロビーのクロークをご利用ください。
2.ドリンクコーナーはにれの木ホール「すずらん」と、第3会場内にございます。
3.会期当日問い合わせ先【4 月 12 日(木)∼ 14 日(土)】
TEL:0267-42-1111(代表)
FAX:0267-42-7139
※学会本部 にれの木ホール「やまぼうし」をお呼び出しください。
- 11 -
Ⅴ.査読委員
一般演題は以下の先生方に査読をお願い致しました。
謹んで御礼申し上げます。
大門 雅夫(千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学)
渡邉 望(川崎医科大学循環器内科)
木佐貫 彰(鹿児島大学医学部保健学科)
増山 理(大阪大学大学院医学系研究科病態情報内科)
石塚 尚子(東京女子医科大学循環器内科)
赤石 誠(北里研究所病院内科)
赤土 正洋(大阪市立十三市民病院内科)
伊藤 浩(桜橋渡辺病院循環器内科)
高元 俊彦(草加市立病院循環器内科)
中谷 敏(国立循環器病センター心臓内科)
安 隆則(自治医科大学大宮医療センター循環器科)
林 英宰(河内総合病院循環器科)
竹中 克(東京大学医学部附属病院検査部)
大木 崇(国立病院機構東徳島病院)
尾辻 豊(鹿児島大学循環器科)
穂積 健之(大阪市立大学医学部内科学第1)
瀧聞 浄宏(横浜市立大学附属病院小児循環器科)
谷本 京美(東京女子医科大学循環器内科)
岩瀬 正嗣(藤田保健衛生大学)
佐伯 文彦(東芝病院内科)
村田 和也(山口大学大学院医学研究科器官病態 内科学)
小柳 左門(国立病院機構都城病院)
澤田 準(財団法人心臓血管研究所附属病院)
安河内 聰(長野県立こども病院循環器科)
(順不同、敬省略)
Ⅵ.実行委員
第 18 回日本心エコー図学会学術集会 実行委員は下記の先生方です。
謹んで御礼を申し上げます。
竹中 克(東京大学医学部附属病院検査部)
高元 俊彦(草加市立病院循環器内科)
瀧聞 浄宏(横浜市立大学附属病院小児循環器科)
石塚 尚子(東京女子医科大学循環器内科)
大門 雅夫(千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学)
赤石 誠(北里研究所病院内科)
安河内 聰(長野県立こども病院循環器科)
金子 幸栄(長野県立こども病院循環器科)
(順不同、敬省略)
- 12 -
座長、演者へのご案内
Ⅰ.口演演題 座長へのお知らせ
・セッション開始 20 分前までに各会場内の「座長・演者受付」にお越しください。
・セッション開始 10 分前までに会場内の次座長席にご着席ください。
・開始時間になりましたらセッションを開始してください。時間厳守でお願いいたします。
Ⅱ.口演演題 演者へのお知らせ
・セッション開始 30 分前までに各会場内の「座長・演者受付」にお越しください。
・セッション開始 15 分前までに会場内の次演者席にご着席ください。
・発表は、PC 発表のみとさせていただきます。
【発表時間】
●一般口演・・・発表 8 分、質疑応答 4 分の計 12 分
●一般口演(症例のセッションのみ)・・・発表 5 分、質疑応答 2 分の計 7 分
● YIA ・・・発表 8 分、質疑応答 7 分の計 15 分
【発表にご自分の PC をご使用になる方へ】
ノートパソコンを持ち込まれる方へ
1.
発表予定時間の 1 時間前までに第2会場内「PC 受付」へお越し下さい。
2. 「PC 受付」の試写用モニターにてケーブルの接続を確認してください。
「PC 受付」では D-sub15 ピン(ミニ)のケーブルをご用意いたします。
一部のノートパソコンでは本体附属(別売り)のコネクターが必要な場合がありますので、必ずお持ちください。
D-sub15 ピン(ミニ) 付属外部出力 ケーブル(例)
3.
ノートパソコンの OS は、以下の物を推奨いたします。
Windows − Windows2000 以降
Macintosh − MAC OSX 10. 1. 2 以降
4.
ノートパソコンから外部モニターに正しく出力されるか確認してください。
個々のパソコンや OS により設定方法が異なりますので、事前にご確認ください。
5.
デスクトップ上の分かりやすい場所に発表データのショートカット(エイリアス)を「演題番号 _ 演者名」と
して作成してください。
(例:ol001_ 発表太郎)
6.
画面の解像度は XGA(1024 × 768)推奨です。
このサイズより大きいまたは小さい場合、画質の劣化につながります。
(会場プロジェクターのリアル解像度がXGAになっていますので、最適な画質が得られます。)
7.
動画や音声をご使用になる場合は、機材登録の際に必ずお知らせください。
8.
予め、スクリーンセーバー、省電力設定を解除してください。
9.
起動時にパスワード等を設定している場合は解除しておいてください。
10. 会場にて電源をご用意しておりますので、AC アダプターを必ずお持ちください。
ご発表予定時間の 30 分前位(講演中でもかまいません)に会場内左手前方演台付近の PC デスクまでお越しの
うえ、スタッフに、PC をお渡しください。スタッフが、ケーブルを接続し、外部出力の確認を行います。
11. ご発表時には、演台にセットされている TFT モニター、マウスをご使用ください。
12. 念のため、バックアップデータを必ずお持ちください。
13. 発表会場ではデータの修正はできませんので、予めご了承ください。
14. 先に PC を預けた会場内左手前方演台付近の PC デスクで、PC をご返却いたします。PC デスクのスペースの
- 13 -
関係上、口演終了後出来るだけ速やかに PC のお引取りをお願いします。
【発表にデータのみ持ち込まれる方へ】
1.
お持込いただけるメディアは以下のとおりです。
USB フラッシュメモリー /CD-R
(CD-R の書き込みはハイブリッド(ISO9660)フォーマットをお使いください。パケットライトなど特殊な機
能は読めない原因になりますのでご使用にならないでください。)
2.
データの容量は最大 512 MBまでとさせて頂きます。
3.
OS とアプリケーションは以下のものをご用意します。
OS
Windows XP
アプリケーション Windows 版 PowerPoint 2000/PowerPoint 2003
※ Macintosh は PC 本体持込のみ受け付けます。
4.
フォントは OS 標準のもののみご用意いたします。
5.
発表に使用する PC は全て XGA(1024 × 768)に統一してありますので、ご使用の PC の解像度を XGA に合
わせてからレイアウトの確認をしてください。
6.
動画や音声をご使用になる場合は、データ登録の際に必ずお知らせください。
7.
ファイル名は「演題番号 _ 演者名 .ppt」としてください。
(例:ol001_ 発表太郎 .ppt)
注「.ppt」は拡張子(英数半角)です。
8.
動画などの参照ファイルがある場合は、全てのデータを同じフォルダに入れてください。
*動画ファイルの注意点
Windows の場合 XP(OS)及び Windows Media Player 9 の初期状態に含まれるコーデックで再生できる
動画ファイルをお持ちください。
(動画ファイルは MPEG1 形式を推奨します。)
9.
メディアを介したウィルス感染の事例がありますので、最新のウィルス駆除ソフトでチェックしてください。
10. 発表データ作成後、作成したパソコン以外のパソコンで正常に動作するかチェックしてください。
11. 当日は発表予定時間の 1 時間前までに、
「PC 受付」にて試写用パソコンで発表データの確認を行ってください。
12. 発表会場ではデータの修正はできませんので、予めご了承ください。
13. 試写が終了しましたら、ご発表予定時間の 30 分前位(口演中でもかまいません)に会場内左手前方演台付近
の PC デスクまでお越しのうえ、スタッフに、発表データをお渡しください。スタッフが発表データをお預か
りいたします。
14. 発表時には、ご発表データの1枚目をスライドショー状態でスクリーンに映写しますので、ご自身でデータの
送り・戻しの操作を行ってください。
15. 先に発表データを預けた会場内左手前方演台付近の PC デスクで、発表データをご返却いたします。講演終了
後 PC デスクのスペースの関係上、出来るだけ速やかに発表データのお引取りをお願いします。
16. ご発表データは、
「PC 受付」のサーバと会場のパソコンにご発表データを一時保存いたしますが、これらのデー
タは本学術集会終了後、学会準備室(JCS)が責任を持って廃棄します。
Ⅲ.ポスター演題 座長(モデレーター)へのお知らせ
・ ポスター演題の座長の方は、セッション開始の 10 分前までに第3会場前の「ポスター座長・演者受付」までお
越しください。開始時間になりましたらポスターをご覧いただき、ポスター演者とディスカッションを行って下
さい。その中より各モデレーターは優秀ポスター演題を1題ずつ選びマークをつけて下さい。
Ⅳ.ポスター演題 演者へのお知らせ
・ 各ポスター掲示開始の 15 分前までに、第3会場前の「ポスター座長・演者受付」までお越しください。
・ ポスター発表者は指定された時間帯にポスターの前にお立ちください。
・ モデレーター(座長)が掲示時間内に担当領域のポスターを訪問致しますので、ポスター演者は、モデレーター
- 14 -
とディスカッションを行ってください。
・モデレーターに担当領域内で最も優秀なポスター発表演題をひとつ選びマークをつけていただきます。
1 日目と 2 日目でマークのついた演題は第 3 日目に優秀ポスター発表として継続展示いたします。
・ ポスターの掲示および撤去時間は、下記になります。撤去時間までは、ポスターを貼っておいてください。
4 月 12 日(木)・4 月 13 日(金)両日共
掲示作業 9:00 ∼ 10:00 撤去作業 17:00 ∼ 17:30
午前ポスターディスカッション 11:00 ∼ 12:00 午後ポスターディスカッション 16:00 ∼ 17:00
優秀ポスターの撤去時間は、第 3 日目の下記の時間になります。撤去時間までは、ポスターを貼っておいてくだ
さい。
4 月 14 日(土) 優秀ポスター撤去作業 17:00 ∼ 18:00
・ 撤去時間を過ぎても撤去されないポスターは後日、学会準備室(JCS)が責任を持って廃棄いたします。
優秀ポスターに選ばれ、3 日目夕方の撤去が出来ない場合は必ず学術集会事務局にご連絡下さい。
・ 学術集会事務局で、ポスターパネルの左上角 20cm × 20cm のスペースに演題番号を掲示します。
ご自身で、縦 20cm ×横 70cm 幅に演題名・所属・演者名を、その下の縦 160cm ×横 90cm に発表内容を掲示して
ください。
Ⅴ.個人情報保護法に関して
個人情報保護法に関して本学会の方針として、学術集会等で使用されるスライド、PC プレゼンテーションにお
いて、個人情報(患者名はもとより、病院で利用されている「ID」)が含まれているものは使用を禁止しております。
個人が同定できる部分は、削除ないしマスキングをお願い致します。マスキングの方法につきましては当学会ホー
ムページ Top にリンクを設定しておりますので、ご利用下さい。
日本心エコー図学会ホームページ URL: http://www.jse.gr.jp/
- 15 -
特別企画のご案内
仁村レクチャー ▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
4月12日(木)
1.13:00 ∼ 14:00
座長 坂本 二哉(日本心エコー図学会名誉会員、半蔵門病院)
心臓を視る
田中 元直(東北厚生年金病院)
会長講演 ▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
4月13日(金)
1.15:20 ∼ 15:50
座長 吉川 純一(大阪掖済会病院)
小児科から内科への申し送り
里見 元義(長野県立こども病院循環器科)
特別講演 ▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
4月12日(木)
1.9:00 ∼ 9:50
座長 宮武 邦夫(国立病院機構大阪南医療センター)
Three-dimensional echocardiography: are we ready for routine clinical use?
Jeffrey F. Smallhorn(University of Alberta, Head Section of Echocardiography,
Stollery Children's Hospital)
2.11:00 ∼ 11:50
座長 皆越 眞一(国立病院機構鹿児島医療センター循環器科)
ECHOCARDIOGRAPHY IN STROKE PATIENTS (with emphasis on cryptogenic stroke)
Shunichi Homma(MD, FACC, Columbia University, USA)
3.14:00 ∼ 14:50 EAE-JSE Joint Session 座長 中谷 敏(国立循環器病センター心臓内科)
Echocardiographic evaluation of Myocardial Strain
Asbjørn Støylen(Dept. of Circulation and Medical Imaging, Norwegian University of
Science and Technology, Norway)
4月13日(金)
4.9:00 ∼ 9:50 ASE-JSE Joint Session 座長 松 益德(山口大学医学部器官病態内科学)
Echocardiographic Findings of Postoperative Patients with Congenital Heart Disease
Norman H. Silverman(Lucile Packard Children’
s Hospital, Stanford University, USA)
4月14日(土)
5.13:10 ∼ 14:00
座長 大木 崇(国立病院機構東徳島病院)
Fetal Cardiovascular Program and Protocol for Fetal Echocardiographic Examination at
Lucile Packard Children’
s Hospital
Irina Axelrod(Pediatric Heart Center, Lucile Packard Children’
s Hospital, USA)
- 16 -
Keynote Lecture ▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
4月12日(木)
1.15:30 ∼ 15:50
座長 別府 慎太郎(大阪大学医学部保健学科) 鄭 忠和(鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・代謝内科学)
2 次元断層心エコー図法によって表される左心室の捻転変形;基礎、病理および臨床意義
納富 雄一(葉山ハートセンター循環器科)
4月14日(土)
2.14:45 ∼ 15:00
座長 吉田 清(川崎医科大学循環器内科)
THE APEX
Randolph P. Martin(Emory University Hospital, USA)
記念講演 ▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
4月13日(金)
1.14:15 ∼ 14:30
座長 別府 慎太郎(大阪大学医学部保健学科)
国際交流:私が米国から学んだこと
吉川 純一(大阪掖済会病院)
シンポジウムⅠ ▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
4月12日(木)
15:50 ∼ 17:45
座長 別府 慎太郎(大阪大学医学部保健学科) 鄭 忠和(鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・代謝内科学)
縦長心エコー図学Ⅰ: LV torsion, E/A, Tei index
1.
2D Tissue Tracking 法による胎児左室 torsion 評価の試み――妊娠経過中の胎児左室 torsion の変化
について
安河内 聰(長野県立こども病院循環器科)
2.健常小児の発達段階における左室捻れ運動の相違について―2Dストレイン法を用いて―
瀧聞 浄宏(横浜市立大学附属病院小児循環器科)
3.左室の捻れ、加齢による影響
竹内 正明(多根総合病院循環器科)
4.胎児期から小児期における心機能推移の検討:Tei index による評価
石井 正浩(北里大学小児科)
5.正常小児における左室及び右室流入波形、肺静脈波形、左室及び右室 Tei index の検討
片山 博視(大阪医科大学小児科)
6.Tei index の年代別評価
鄭 忠和(鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・代謝内科学)
7.正常例の E/A 比:胎児領域
前野 泰樹(久留米大学医学部小児科)
8.E/A ratio( 小児期 )
森 一博(徳島市民病院小児科)
9.左室および右室流入血流速波形の E/A と年齢の関係―成人において
山本 一博(大阪大学臨床医工学融合研究教育センター)
- 17 -
シンポジウムⅡ ▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
4月13日(金)
15:50 ∼ 17:20
座長 羽田 勝征(榊原記念クリニック) 里見 元義(長野県立こども病院循環器科)
縦長心エコー図学Ⅱ:成人先天性心疾患「私の困った症例」
1.左室−右房交通症の一例
谷本 京美(東京女子医科大学循環器内科)
2.成人先天性心疾患『私の困った症例』
幸山 佳津美(国立循環器病センター生理機能検査部)
3.心エコーにて妊娠期に初めて診断された無症状の Eisenmenger 化した動脈管開存症の一例
小板橋 俊美(北里大学循環器内科学)
4.左房と交通を有する部分肺静脈還流異常症において、左右短絡により右心不全を来たした一例
佐久間 信子(福島県立医科大学附属病院検査部)
パネルディスカッション ▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
4月14日(土)
8:40 ∼ 10:30
座長 竹中 克(東京大学医学部附属病院検査部)
赤石 誠(北里研究所病院内科) 心エコー図:私の失敗例
1.完全房室ブロックにより発見された心奇形の 1 例
林 英宰(河内総合病院循環器科)
2.心エコー図の失敗例
岩倉 克臣(桜橋渡辺病院循環器内科)
3.心内・心外腫瘤の一例
高元 俊彦(草加市立病院循環器内科)
4.心エコー図所見から無症候性の発作性心房細動が発見された 1 例
山田 聡(北海道大学大学院循環病態内科学)
5.末梢肺動脈圧が主肺動脈圧より高い? 心房中隔欠損
森 一博(徳島市民病院小児科)
ビジュアル症例検討会 ▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
4月14日(土)
15:00 ∼ 17:00
座長 宝田 明(兵庫県立淡路病院内科) 遠田 栄一(三井記念病院中央検査部)
ビジュアル症例検討会
1.脳梗塞発症を契機に発見された 3D 心エコーが有用であった 12 歳女性の左房粘液腫の一例
青木 晋爾(旭川赤十字病院検査部)
2.心嚢液のドレナージ後、その存在が明らかとなった左室流出路起源の乳頭状線維弾性腫の 1 例
越前谷 美和(手稲渓仁会病院臨床検査部)
3.経食道心エコーガイド下にて心筋生検を施行し診断し得た血管肉腫の一例
橋本 光人(大阪労災病院循環器科)
4.重複僧帽弁口の 9 歳男児の自然経過
豊田 直樹(倉敷中央病院小児科)
5.左室流出路狭窄を呈した僧房弁副組織の一例
丹羽 裕子(杉村記念病院循環器科)
6.巨大血栓形成をきたした左室緻密化障害の一例
四方 典裕(京都民医連第二中央病院内科)
7.左室内血栓の遊離をエコーで描出し、迅速に下肢動脈塞栓症の診断ができた1例
浪崎 秀洋(済生会熊本病院中央検査センター心血管エコー室)
8.保存的に治療しえた血栓弁による僧帽弁位人工弁機能不全の一症例
北井 豪(神戸市立中央市民病院循環器内科)
9.稀な合併症である心室中隔欠損症心内修復術に伴う中隔内血腫の 2 例
山澤 弘州(千葉県こども病院循環器科)
10.心筋内 sinusoid 遺残を合併すると考えられた肥大型心筋症成人例
田中 真理子(東京大学保健センター内科)
- 18 -
新技術紹介セッション ▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
4月12日(木)
9:40 ∼ 10:40
共催:株式会社日立メディコ
共催:GE 横河メディカルシステム株式会社
共催:アロカ株式会社
共催:東芝メディカルシステムズ株式会社
10:50 ∼ 11:50
14:50 ∼ 15:50
16:00 ∼ 17:00
4月13日(金)
9:40 ∼ 10:40
10:50 ∼ 11:50
14:15 ∼ 15:15
16:00 ∼ 17:00
4月14日(土)
9:00 ∼ 10:00
10:30 ∼ 11:30
13:50 ∼ 14:50
15:20 ∼ 16:20
共催:持田シーメンスメディカルシステム株式会社
共催:株式会社日立メディコ
共催:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン
共催:アロカ株式会社
共催:持田シーメンスメディカルシステム株式会社
共催:東芝メディカルシステムズ株式会社
共催:GE 横河メディカルシステム株式会社
共催:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン
ランチョンセミナー ▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
4月12日(木)
1.12:00 ∼ 13:00
座長 安河内 聰(長野県立こども病院小児循環器科)
Morphology and Physiology in the development of Heart Disease In Utero
Norman H. Silverman(Lucile Packard Children’
s Hospital, Stanford University, USA)
〔共催:持田シーメンスメディカルシステム株式会社〕
4月12日(木)
2.12:00 ∼ 13:00
座長 中谷 敏(国立循環器センター心臓血管内科)
A Review of Cardiac Resynchronization Therapy
Jing Ping Sun(Cardiology Department, Crawford Long Hospital,
Emory University School of Medicine, USA)
〔共催:日本メドトロニック株式会社〕
4月13日(金)
3.12:00 ∼ 13:00
座長:竹中 克(東京大学医学部附属病院検査部)
東芝製の speckle tracking 法
演者:竹中 克(東京大学医学部附属病院検査部)
スペックルトラッキング法により知りうる局所心筋の歪を臨床に応用する
演者:瀬尾 由広(筑波大学臨床医学系循環器内科)
〔共催:東芝メディカルシステムズ株式会社〕
4月13日(金)
4.12:00 ∼ 13:00
座長 宮武 邦夫(国立病院機構大阪南医療センター)
Tissue Doppler and speckle tracking. Different methods for strain and strain rate imaging.
Different limitations and advantages
Asbjørn Støylen(Dept. of Circulation and Medical Imaging, Norwegian University of
Science and Technology, Norway)
〔共催:GE 横河メディカルシステム株式会社〕
4月14日(土)
5.12:00 ∼ 13:00
座長 長嶋 正實(あいち小児保健医療総合センター)
Three-dimensional echocardiographic assessment of atrioventricular valves: a partnership
between the echocardiographer and surgeon
Jeffrey F. Smallhorn(University of Alberta, Head Section of Echocardiography,
Stollery Children's Hospital)
- 19 -
〔共催:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン〕
4月14日(土)
6.12:00 ∼ 13:00
座長 大手 信之(名古屋市立大学大学院医学系研究科臨床病態内科)
エコーで診る急性心不全
加藤 真帆人(国立循環器病センター心臓血管内科)
〔共催:エーザイ株式会社〕
Young Investigator's Award セッション ▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
4月13日(金)
1.10:20 ∼ 11:50
座長 那須 雅孝(医療法人社団恵仁会三愛病院循環器科)
高元 俊彦(草加市立病院循環器内科) 審査委員 大手 信之(名古屋市立大学大学院臨床病態内科学)
山田 聡(北海道大学大学院循環病態内科学)
芦原 京美(東京女子医科大学循環器内科) 高元 俊彦(草加市立病院循環器内科) 岩永 史郎(慶應義塾大学循環器内科) 村田 和也(山口大学医学部附属病院検査部) 尾辻 豊(産業医科大学第2内科) 山本 一博(大阪大学大学院循環器内科) 皆越 眞一(鹿児島医療センター循環器科) YIA-1 Velocity Vector Imaging を用いて評価した拡張初期非協調運動の意義:特に左室弛緩能との関連につ
いて
増田 佳純(大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学講座)
YIA-2 心臓再同期療法の適応決定における組織ドプラとストレイン法を用いた指標に関する検討
古堅 あずさ(東京女子医科大学 循環器内科)
YIA-3 高血圧症における心房細動への移行を予測する:組織ドプラ法の有用性
杜 徳尚(国立循環器病センター 心臓血管内科)
YIA-4 右室心尖部ペーシングは、心同期と同様に左室心筋捻転運動も増悪させる。
松岡 研(大阪労災病院 循環器科)
YIA-5 心房細動における前負荷増大に伴う心反応性:下半身陽圧負荷および Dual Doppler 法を用いた検討
山田 博胤(徳島大学病院 循環器内科)
YIA-6 Detection of Diastolic Abnormality by Displacement Imaging (DADI) による狭心症の診断:前
向き試験による診断能の検討
大西 俊成(関西労災病院 循環器科)
海外 Young Investigator’
s Award 優秀者発表 ▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
▪
4月14日
(土)
1.11:05 ∼ 11:50
座長 三神 大世(北海道大学医学部保健学科検査技術科学専攻)
増山 理(兵庫医科大学循環器内科)
ASIAN YIA-1 Comparison of the Intima Thickness on Ultrasound Imaging with Histology in
Carotid Artery.
Yun Seok Choi(The Catholic University of Korea, Korea)
ASIAN YIA-2 Left Atrial Volume Index Response during Dobutamine Stress Echocardiography
Neil D. Erquiza(Non-invasive Laboratory, Philippine Heart Center, Philippine)
ASE YIA-3
Serial Changes in Segmental Strain Estimate Depleted Energy Reserves During
Acute Ischemia
Josef Korinek(Mayo Clinic Rochester, USA)
- 20 -
一般演題プログラム
4月12日㈭
一般演題 1(9:00 ∼ 10:00)
心筋症
第 2 会場
座長:石光 敏行(茨城県メディカルセンター内科)
水重 克文(独立行政法人国立病院機構高松東病院)
1
肥大型心筋症における左室心内膜側と心外膜側の捻れ運動の検討
田中 健雄(山口大学大学院 医学系研究科 器官病態内科学)
2
肥大型心筋症患者における Torsion の評価 -2D speckle tracking 法と MRI tagging 法との比較 齋藤 実(愛媛大学大学院 病態情報内科学)
3
肥大型心筋症における左心室収縮能と心筋線維化:心筋サルコメア遺伝子変異肥大型心筋症における検討
舛田 英一(金沢大学 循環器内科)
4
2D speckle tracking 法を用いた肥大心における strain rate の定量評価
長倉 俊樹(多根総合病院)
5
拡張型心筋症患者における左室 Dyssynchrony と僧帽弁閉鎖不全症との相関について:リアルタイム 3 D心エ
コー図による検討
谷 知子(神戸市立中央市民病院 循環器内科)
一般演題 2(10:00 ∼ 11:00)
心不全
第 2 会場
座長:赤阪 隆史(和歌山県立医科大学循環器内科)
山岸 正和(金沢大学大学院医学系研究科血管分子遺伝学)
6
収縮能の保たれた心不全患者の予後予測における組織ドプラ法の有用性
平田 久美子(東住吉森本病院)
7
2D speckle tracking imaging を用いた左室同期不全の評価ー心臓再同期療法の長期効果予測に関する検討
正岡 佳子(土谷総合病院 循環器科)
8
拡張期心不全症例における左室収縮機能障害の評価:ドプラ心エコーによる等容収縮時間計測の有用性
高崎 州亜(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 循環器・呼吸器・代謝内科学)
9
心房細動を伴う心不全患者における左室流入血流開始と拡張期僧帽弁輪運動開始の時間的関係 -dual Doppler
system を用いた検討 和田 靖明(山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学)
10
βブロッカーによる心不全患者の心機能改善効果を予測する―冠血流予備能を用いた検討―
喜多 領一(医療法人橘会 東住吉森本病院 生理検査室)
一般演題 3(11:00 ∼ 12:00)
3Dエコー
第 2 会場
座長:穂積 健之(大阪市立大学大学院循環器病態内科学)
市橋 光(自治医科大学小児科学教室) 11
小児用3D プローブ X7-2(Philips)の使用経験― X3-1 と比較して
梶村 いちげ(長野県立こども病院 循環器科)
12
肥大型心筋症における流出路最小面積と流出路最大血流流速の関連 経胸壁三次元心エコー図による検討
鶴 有希子(榊原記念病院)
13
左室圧負荷に伴う僧帽弁機構の形態変化:リアルタイム 3D 心エコー図による定量解析
山田 亮太郎(川崎医科大学 循環器内科)
14
大動脈弁逆流症例のバルサルバ容積の 3 次元心エコ−図による解析
川久保 幸紀(榊原記念病院 循環器内科)
15
漏斗胸患者における僧帽弁逸脱の検討:三次元 (3D) 心エコ−図を用いた定量解析
岡橋 典子(川崎医科大学附属病院 循環器内科)
- 23 -
一般演題 4(14:00 ∼ 14:49)
症例Ⅰ
第 2 会場
座長:石塚 尚子(東京女子医科大学循環器内科)
佐伯 文彦(東芝病院内科)
16
Echo-Dynamography の臨床応用:僧帽弁形成術、僧帽弁置換術例における左室内血流動態の評価
伊藤 記彦(岩手医科大学 循環器医療センター 循環動態検査室)
17
新しい軸流ポンプ LVAD である JARVIC2000 の術後管理に心エコーが有用であった一例 小林 裕美子(大阪大学 医学部附属病院 循環器内科)
18
バルサルバ洞動脈瘤及び右室穿通を来した感染性心内膜炎の一例
金城 貴士(福島県立医科大学 第一内科)
19
手術と病理の所見で大動脈炎症候群が考えられた大動脈弁穿孔の稀な一例
伊藤 記彦(岩手医科大学 循環器医療センター 循環動態検査室)
20
経食道 3D エコーが診断に有用であった僧帽弁置換術後の paravalvular regurgitation の 1 例
河野 珠美(愛媛県立今治病院 循環器科)
21
たこつぼ型心筋症を発症し左室流出路閉塞を来たした心尖部肥大型心筋症の一例
都築 千枝(藤田保健衛生大学 坂文種報徳会病院 生理検査室)
22
肺動脈原発 intimal sarcoma に対して手術を行った一例
山根 崇史(神戸市立中央市民病院)
一般演題 5(14:50 ∼ 15:39)
症例Ⅱ
第 2 会場
座長:富松 宏文(東京女子医科大学循環器小児科)
高元 俊彦(草加市立病院循環器内科)
23
小児領域における組織ドプラ法を用いた cardiac resynchronized therapy (CRT) 適応につて
奥村 謙一(大阪医科大学 小児科)
24
心雑音と不明熱で心エコー検査し右心系に感染性心内膜炎に伴う疣贅が多発した右室二腔症の1例
西山 裕善(生長会 府中病院 循環器科)
25
修正大血管転位症に対して心室再同期療法を行った一例
井尻 彰子(兵庫県立姫路循環器病センター 検査・放射線部)
26
大動脈解離の術後遠隔期に大動脈縮窄症様の病態を呈した一例
村田 幸栄(済生会山口総合病院 中央検査部)
27
左室内血栓を伴った左室緻密化障害の一例
則定 加津子(神戸大学 大学院 循環呼吸器病態学)
28
心エコーにより診断しえた下壁梗塞に心外膜下心室瘤と心室中隔穿孔を合併した一例
藤井 洋子(神戸市立中央市民病院 臨床検査技術部)
29
診断に苦慮したミトコンドリア病の一例
小島 志乃ぶ(熊本大学医学部附属病院 循環器内科)
一般演題 6(15:40 ∼ 16:40)
弁膜症Ⅰ
第 2 会場
座長:渡辺 弘之(榊原記念病院循環器内科)
増田 喜一(国立循環器病センター生理機能検査部)
30
リアルタイム三次元心エコー図画像による大動脈弁形態の三次元定量解析の試み
Chi-Young Shim(YONSEI UNIVERSITY HOSPITAL CARDIOLOGY)
31
僧帽弁逸脱程度の三次元定量解析
斎藤 顕(川崎医科大学 附属病院)
32
大動脈弁狭窄症における心筋内小動脈血流異常について
土井 泰治(大阪府済生会千里病院 循環器内科)
33
硬化性大動脈弁狭窄症の重症度評価判定に関する基礎的検討
林 健太郎(手稲渓仁会病院 心臓血管センター 循環器内科)
34
組織ドップラーによる高度大動脈弁狭窄症患者の肺動脈楔入圧の推定
中尾 倫子(榊原記念病院 循環器内科)
- 24 -
一般演題 7(16:40 ∼ 17:40)
弁膜症Ⅱ
第 2 会場
座長:大門 雅夫(千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学)
松村 誠(埼玉医科大学病院心臓血管外科) 35
経胸壁 2D 心エコー図より計測された tenting area による非代償性心不全患者の長期予後予測
尾長谷 喜久子(川崎医科大学 循環器内科)
36
機能性僧帽弁逆流に対する弁形成術後患者の予後 - 術前 real time 3D 心エコー図より計測した tenting
volume と術後心不全との関係
尾長谷 喜久子(川崎医科大学 循環器内科)
37
拡張型心筋症における機能性僧帽弁逆流は異常腱索を伴った僧帽弁後尖の tethering と最も関係する。
植村 健(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 循環器、呼吸器、代謝内科学)
38
虚血性僧帽弁逆流に対する僧帽弁形成術後の機能性僧帽弁狭窄は運動により悪化する:負荷心エコーの重要性
窪田 佳代子(鹿児島大学大学院 循環器呼吸器代謝内科学)
39
3D 心エコー図法によるペースメーカリード起因性三尖弁閉鎖障害の診断
中島 英樹(筑波大学附属病院 検査部)
4月13日㈮
一般演題 8(9:00 ∼ 10:00)
心機能Ⅰ
第 2 会場
座長:小柳 左門(国立病院機構都城病院)
藤本 眞一(奈良県立医科大学総合医療学)
40
中国西域少数民族の自然長寿者における心機能の特徴 - 日本人自然長寿者との比較−
太田 昌克(日本大学医学部内科学講座循環器内科部門)
41
左室駆出率が正常で TEI index が異常高値を示す症例の臨床的および心エコー図的検討
福田 大和(国立病院機構 善通寺病院 循環器内科・臨床研究部)
42
左室弛緩動態 -Untwisting 運動の可能性 茅野 博行(昭和大学 医学部 第三内科)
43
左室肥大を伴う高血圧患者の組織ドップラー法における左室長軸方向の収縮能指標としての頸動脈
augmentation index
石川 譲治(自治医科大学 循環器内科)
44
高脂血症におけるスタチンの左室機能および血管弾性改善効果
水口 幸生(独立行政法人 国立病院機構 東徳島病院 内科)
一般演題 9(10:20 ∼ 11:44)
虚血性心疾患
第 2 会場
座長:伊藤 浩(桜橋渡辺病院循環器内科)
高木 厚(東京女子医科大学循環器内科)
45
超急性期心筋虚血における心機能異常について− Tissue Speckle Tracking を用いた検討−
五十嵐 絵里奈(大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学講座)
46
安定狭心症症例における ATP 負荷心筋タリウム SPECT、冠動脈血流速予備能および 2D ストレインの同時評
価についての検討
檜垣 里江子(喜多医師会病院 臨床検査部)
47
冠血流予備能を用いた主要三冠動脈の再狭窄評価−経胸壁心エコードプラ法による検討
吉川 淳一(医療法人橘会 東住吉森本病院 生理検査室)
48
ATP 負荷ストレインエコー法による心筋虚血及び梗塞の評価
神山 哲男(埼玉医科大学 総合医療センター 心臓内科)
49
運動負荷による左房容積の変化は冠動脈疾患患者の心事故予測因子となりうるか。
犬塚 斉(藤田保健衛生大学病院 臨床検査部 超音波センター)
50
心外膜脂肪 Epicardial Fat と冠動脈病変との関連
富澤 英紀(自治医科大学 循環器内科)
51
高脂血症患者における心筋コントラストエコー法による心筋内微小循環障害の評価
渡部 朋幸(医療生協わたり病院 内科循環器科)
- 25 -
一般演題 10(15:50 ∼ 16:38) 新技術Ⅰ
第 2 会場
座長:竹内 正明(多根総合病院循環器科)
長谷山 圭司(札幌医科大学小児科)
52
組織ドプラを用いた川崎病患児の左室拡張機能障害についての検討―川崎病急性期から遠隔期までの経時的変
化ー
奥村 謙一(大阪医科大学 小児科)
53
2D ストレイン法による糖尿病患者における 心筋局所ストレイン値の検討
中井 博美(多根総合病院 生理機能検査部 心エコー室)
54
高血圧症と心筋のねじれの関係―心肥大の有無による影響―
兵頭 永一(東住吉森本病院 循環器科)
55
三次元心エコー図を用いた僧帽弁の Coaptation の評価 ―拡張型心筋症と健常人の比較―
築地 美和子(川崎医科大学 循環器内科)
一般演題 11(16:38 ∼ 17:38) CRT
第 2 会場
座長:神崎 秀明(国立循環器病センター内科心臓部門)
木佐貫 彰(鹿児島大学医学部保健学科)
56
拡張型心筋症における左室 dyssynchrony の規定因子の検討
西村 和久(愛媛大学大学院 病態情報内科学)
57
心臓再同期療法において最適な効果を得るためには左室リードの植え込み位置を収縮最遅延部位に一致させるこ
とが重要である。
豊島 優子(桜橋渡辺病院 内科)
58
CRT における僧帽弁弁輪 dyssynchrony 評価の有用性
梅田 ひろみ(社会保険 小倉記念病院 検査技師部)
59
心臓再同期療法における至適 VV delay 設定の有用性
高橋 勝行(倉敷中央病院 臨床検査科)
60
スペックルトラッキング法による能動的左室収縮遅延の同定は心室再同期療法レスポンダーの予測に有用である
瀬尾 由広(筑波大学臨床医学系循環器内科)
4月14日㈯
一般演題 12(8:45 ∼ 9:45)
カラーカイネシス
第 2 会場
座長:福田 信夫(国立病院機構善通寺病院臨床研究部)
石井 克尚(関西電力病院循環器内科)
61
高血圧症における左室形態分類別の心機能と捻れ運動
吉田 衣江(洛西ニュータウン病院 循環器科)
62
Color kinesis を用いたトレッドミル運動負荷後における虚血性左室局所拡張運動遅延の経時的観察
石井 克尚(関西電力病院 循環器内科)
63
Color Kinesis による拡張動態評価
竹田 泰治(大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学)
64
大動脈弁逆流患者における組織ドップラーを用いた force frequency relationships の評価
清水 美妃子(東京女子医科大学 日本心臓血圧研究所)
65
Dual−Doppler法を用いた僧帽弁口血流速および僧帽弁輪運動速波形の同時記録による心房細動にお
ける左室拡張能の評価
河野 裕美(徳島大学病院 診療支援部)
一般演題 13(9:45 ∼ 10:45)
ストレイン・ストレインレート
第 2 会場
座長:瀧聞 浄宏(横浜市立大学附属病院小児循環器科)
中谷 敏(国立循環器病センター心臓内科)
66
ペーシング部位の違いによる左室 torsion の検討 ∼2D ティッシュトラッキングによる解析∼
有田 祐(和歌山県立医科大学 医学部 循環器内科)
- 26 -
67
Tri-plane Tissue Synchronization Imaging を用いた左室心筋シンクロニーの評価―前壁梗塞、下壁梗塞と拡
張型心筋症の違いー
上田 宏昭(昭和大学 医学部 第三内科)
68
急性心筋梗塞患者の左室 torsion の回復度から心筋虚血左室壁深達度を推定できる
有田 祐(和歌山県立医科大学 医学部 循環器内科)
69
2 次元スペックルトラッキング法による肥大心の右室心筋機能の分析
加賀 早苗(北海道大学病院 検査部)
70
肥大型心筋症における左房機能の評価 −等尺性ハンドグリップ運動負荷を併用した左房 strain rate による検
討−
片岡 俊哉(神戸大学大学院 循環呼吸器病態学)
一般演題 14(10:45 ∼ 11:45) 新技術Ⅱ
第 2 会場
座長:渡邉 望(川崎医科大学循環器内科)
太田 昌克(日本大学医学部附属板橋病院循環器内科)
71
リアルタイム3D 心エコー図による健常人の僧帽弁形状解析値は年齢・体格に関連するか?:幼児から高齢者ま
でを対象とした検討
渡邉 望(川崎医科大学循環器内科)
72
2D strain 法による糖尿病患者における longitudinal strain の検討
中井 博美(多根総合病院 生理機能検査部 心エコー室)
73
2D speckle tracking 法の再現性
宇野 漢成
(東京大学 医学部付属病院 コンピュータ画像診断学/予防医学講座)
74
高血圧心において降圧治療に伴う左室心筋超音波性状の変化:心筋超音波 RF 信号カオス解析を用いた検討
菅原 政貴(兵庫医科大学 循環器内科)
75
心房細動患者の E/E' を用いた拡張能評価における R-R 間隔の及ぼす影響
大杉 拓(福島県立医科大学 第一内科)
一般演題 15(13:00 ∼ 13:36) その他
第 2 会場
座長:林 輝美(大坪会東和病院循環器科)
76
くも膜下出血患者における左室壁運動異常評価の有用性
杉本 恵子(藤田保健衛生大学 衛生学部 衛生技術学科)
77
頸動脈プラーク潰瘍のエコー診断 : 新しい診断基準の提案とその有用性の検証
村木 睦子(特定医療法人柏葉脳神経外科病院)
78
子育て支援イベント「おぎゃっと 21・徳島」における小児心エコー検査 6 年間のまとめ
西尾 進(徳島市民病院 超音波検査室)
一般演題 16(13:40 ∼ 14:40) 成人先天性心疾患・胎児心エコー図
第 2 会場
座長:安河内 聰(長野県立こども病院循環器科)
新垣 義夫(財団法人倉敷中央病院小児科)
79
胎児3D 心エコー法における平行多断面像描写法の臨床的有用性
前野 泰樹(久留米大学医学部小児科)
80
先天性心疾患に伴う流出路狭窄の経時的変化 ―心エコー検査による胎児期からの観察―
竹田津 未生(埼玉医科大学)
81
胎児心エコー図検査で認められた大動脈峡部の逆行性血流の意義
西畠 信(総合病院鹿児島生協病院 小児科)
82
大動脈弁無冠尖逸脱を合併した膜性部心室中隔欠損症の臨床的検討
鶴田 義典(東京女子医科大学付属病院 中央検査部)
83
修正大血管転位成人例の合併症
岩永 史郎(慶應義塾大学 医学部 循環器内科)
- 27 -
一般演題 17(14:40 ∼ 15:52) 心機能Ⅱ
第 2 会場
座長:田内 潤(大阪労災病院循環器科)
長嶋 正實(あいち小児保健医療総合センター)
84
Velocity Vector Imaging による postsystolic thickening の評価:ストレインレート法との比較
澤田 智美(大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学講座)
85
DDD ペースメーカにおける AV delay の変化が左房動態に与える影響:speckle tracking 法を用いた 2D 心エ
コー図による検討
古川 敦子(大阪市立総合医療センター 循環器内科)
86
左室心筋間ストレインミスマッチは BNP 値を上昇させる:右室心尖部ペーシング患者における検討
川西 泰徳(大阪医科大学 第三内科)
87
Acoustic quantification 法を用いた小児の左室機能の加齢による変化
市橋 光(自治医科大学 小児科)
88
肥満が左室拡張能に及ぼす影響
大崎 司(東邦大学医療センター大橋病院 生理機能検査部)
89
閉塞型睡眠時無呼吸症候群患者における持続的気道内陽圧治療の心機能に及ぼす影響
黒羽根 彩子(東京医科大学病院 循環器内科)
一般演題 18(15:55 ∼ 16:43) 心機能Ⅲ
第 2 会場
座長:川合 宏哉(神戸大学医学部附属病院循環器呼吸病態学)
千田 彰一(香川大学医学部総合診療部)
90
Amplatzer Septal Occluder を用いた心房中隔欠損閉鎖術における左室拡張能の変化について
金子 幸栄(長野県立こども病院 循環器科)
91
心房中隔欠損症カテーテル閉鎖術後における左室拡張機能についての検討
岡本 吉生(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 小児医科学)
92
経カテーテル心房中隔欠損閉鎖前後の組織ドプラ法による両心機能変化の検討
石井 治佳(久留米大学 医学部 小児科)
93
左房拡大のない早期高血圧症患者における左房機能の検討
若月 悠(千葉大学大学院 医学研究院 循環病態医科学)
4月12日㈭
ポスター 1(11:00 ∼ 12:00)
ストレイン・ストレインレート
第 3 会場
座長:小山 潤(信州大学循環器内科)
浅沼 俊彦(大阪大学医学部保健学科)
P1
虚血性心疾患患者における負荷後局所拡張障害と心筋シンチグラフィーとの関係
及川 雅啓(福島県立医科大学 第一内科)
P2
Vector Velocity Imaging による糖尿病性心筋障害の検出:動脈硬化指標との比較
高野 真澄(福島県立医科大学 第一内科)
P3
Circumferential strain rate のカラーマッピングによる運動負荷後心筋虚血部位の同定
及川 雅啓(福島県立医科大学 第一内科)
P4
左室同期不全は左室捻れ運動の独立規定因子である
石津 智子(筑波大学 臨床医学系 循環器内科)
P5
2D ティッシュトラッキングで求めた左室 torsion は虚血の検出に有用な指標となる
有田 祐(和歌山県立医科大学 医学部 循環器内科)
P6
ストレイン心エコー法による強皮症における左室拡張障害の検討
平田 真美(東京女子医科大学附属 成人医学センター 循環器内科)
P7
化学療法による心筋障害の評価における心筋ストレインイメージングの有用性
長尾 秀紀(兵庫県立淡路病院 検査・放射線部 生理検査室)
P8
Longitudinal 2D Strain Rate 解析による安静時左室壁運動からの狭心症の診断
柿原 理一郎(柿原クリニック)
- 28 -
P9
急性冠症候群(ACS)における僧帽性 P 波の意義:組織ドプラによる検討
小松 由季(東京女子医科大学 循環器内科)
ポスター 2(16:00 ∼ 17:00)
カラーカイネシス
第 3 会場
座長:上田 宏昭(昭和大学第三内科)
平野 豊(近畿大学循環器内科)
P10
2D speckle-tracking 法を用いた diastolic endocardial color-encoded image のトレッドミル運動負荷心
エコー図法への応用
石井 克尚(関西電力病院 循環器内科)
P11
僧帽弁逆流の存在下では E/E’は偽正常化する?
田中 恵美子(大阪医科大学 中央検査部)
P12
組織ドップラー法を用いた高血圧性心臓病患者における潜在的収縮能低下の検討
西蔭 朋子(多根総合病院 生理機能検査部 心エコー室)
P13
左室内 2 点間パルス組織ドプラ法およびカラー組織ドプラ法を用いた DCM 患者に対する dyssynchrony の評価
佐藤 正岳(市立堺病院 循環器内科)
P14
2D-Tracking (2DT) 法を用いた局所拡張能評価による心筋虚血の診断の新しい指標
郡司 一恵(東京女子医科大学 循環器内科)
P15
血行再建による虚血心筋領域の局所拡張能の改善;2D-Tracking (2DT) 法を用いた検討
郡司 一恵(東京女子医科大学 循環器内科)
P16
心房細動における RR 間隔の変動に伴う僧帽弁輪運動速度の変化
楠瀬 賢也(徳島大学病院 循環器内科)
P17
E/Ea により血清 BNP 値を予測できるか?
長倉 俊樹(多根総合病院 内科)
P18
超高齢者(90 歳以上)における左室拡張能の検討 −心エコー図組織ドプラ法を用いて−
苅草 資弘(中野総合病院 中央検査科)
P19
肺高血圧疾患における BNP 上昇のメカニズム:右心組織ドプラ法による検討
椎名 由美(千葉大学 医学部 循環病態医科学)
P20
Color Kinesis 法による拡張能評価;血中 BNP との比較検討
原田 昌彦(東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部)
P21
組織ドプラ法と血中 BNP 測定の組み合わせを用いた慢性肺血栓塞栓症における予後予測
椎名 由美(千葉大学 医学部 循環動態医科学科)
ポスター 3(16:00 ∼ 17:00)
その他(Ⅰ)
第 3 会場
座長:林 英宰(河内総合病院循環器科)
高木 力(高木循環器科診療所)
P22
3次元心エコー法を用いたドブタミン負荷心エコー中に誘発される左室流出路閉塞の容積変化に関する検討
東 春香(日本医科大学付属病院 循環器科)
P23
小児心エコー図遠隔診断の評価
嘉村 幸恵(岩手医科大学 附属病院 中央臨床検査部)
P24
左室乳頭筋の位置表示方法の一案
坪井 龍生(東京女子医科大学 循環器小児科)
P25
心エコードプラ法による肺動脈圧推定法の比較検討
小宮 陽子(九州大学病院 ハートセンター 生理検査部門)
P26
くも膜下出血症例における左室壁運動所見と心電図、神経ホルモンの検討
藤原 理佐子(秋田県立脳血管研究センター 内科・循環器科)
P27
経食道心エコーにより、サルコイドーシスの左冠尖周囲病変を評価しえた一例
熊坂 礼音(亀田総合病院 循環器内科)
P28
Velocity Vector imaging を用いた心房中隔欠損術前後の左室壁運動の検討
長谷山 圭司(札幌医科大学 医学部 小児科)
P29
Amplatzer Septal Occluder を用いた ASD 閉鎖術後の経胸壁エコー
大西 優子(長野県立こども病院 循環器科)
- 29 -
P30
リアルタイム 3D 心エコー図法による左室心筋重量の測定:M モード法、2D 法との比較
西蔭 朋子(多根総合病院 生理機能検査部 心エコー室)
P31
経食道心エコーでのもやもやエコーの定量化は可能か?
富松 宏文(東京女子医科大学 循環器小児科)
ポスター 4(11:00 ∼ 12:00)
その他・新技術
ポスター会場 2〈にれの木/すずらん〉
座長:菅原 重生(東北厚生年金病院循環器科)
金子 幸栄(長野県立こども病院循環器科)
P32
心房細動に対するカテーテルアブレーション後の再発予測因子 : 経胸壁及び経食道心エコー法による検討
山本 均美(札幌医科大学 医学部 第二内科)
P33
新しい心臓年齢指標の提唱
舛形 尚(香川大学 医学部 総合診療部)
P34
電子カルテと連携した心エコー動画の電子カルテ端末への Web 配信の試み
小幡 篤((財)宮城厚生協会 坂総合病院 循環器科)
P35
左房 emptying fraction:Maze 手術の成功予測因子としての有用性
相川 大(榊原記念病院 内科)
P36
3D エコー法による左房容積算出の基礎検討
神野 雅史(東京都済生会中央病院 臨床検査科)
P37
IVUS Attenuation Imaging による冠動脈深部の音響特性解析
藤田 雅史(みやぎ県南中核病院 検査科)
P38
2D ティッシュトラッキング法を用いた収縮性心膜炎の診断
田中 旬(国立循環器病センター)
P39
左室 transmural torsion:velocity vector imaging を用いて評価した左室短軸断面心内膜・心外膜の速度ベ
クトル角度の差異
天木 誠(国立循環器病センター)
P40
半自動トレースによる左室駆出率計測の妥当性の検討
工藤 明(恵仁会三愛病院 総合検査科)
P41
最新の自動駆出率計測法を用いた coronary care unit 入院例の左室容量・駆出率の自動計測
小川 景太郎(大阪市立大学大学院医学研究科循環器病態内科学)
ポスター 5(11:00 ∼ 12:00)
弁膜症・その他
ポスター会場 2〈にれの木/すずらん〉
座長:上松 正朗(関西労災病院循環器科)
田中 伸明(山口県立総合医療センター臨床検査科)
P42
孤立性心房細動患者における機能的僧帽弁逆流の機序についての検討
山本 克紀(川崎医科大学附属病院 中央検査部)
P43
CAGB 後の高齢者重症大動脈弁狭窄症に対する Apicoaortic conduit(AAC) を施行した一例
紺田 利子(神戸市立中央市民病院 臨床検査技術部)
P44
大動脈弁疾患診断における3D 心エコーの有用性
中村 陽一(愛媛県立中央病院 循環器科)
P45
左室内破裂により心不全をきたした高齢者左バルサルバ洞動脈瘤の 1 例
岡 俊治(土谷総合病院 心臓血管センター 循環器内科)
P46
機能性僧帽弁逆流を呈する左心機能低下患者の予後予測:ドブタミン負荷心エコー図による検討
尾長谷 喜久子(川崎医科大学 循環器内科)
P47
健常例における左房容積の規定因子の検討
村中 敦子(札幌医科大学 医学部 第二内科)
P48
2 型糖尿病を持つ虚血性心疾患症例に対するピオグリタゾン治療は左室充満圧を亢進するか?
永井 宏幸(桜橋渡辺病院 内科)
P49
心エコーによる左房容量の測定− Magnetic Resonance Imaging との比較
宇野 希世子(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 循環器内科)
P50
急性心筋梗塞における左室壁内心筋ストレイン勾配の検討 - 梗塞部の壁深達度を予測できるか 谷本 貴志(和歌山県立医科大学 循環器内科)
- 30 -
ポスター 6(16:00 ∼ 17:00)
心筋症・3Dエコー
ポスター会場 2〈にれの木/すずらん〉
座長:鈴木 真事(東邦大学医療センター大橋病院循環器内科)
田中 信大(東京医科大学第二内科)
P51
肥大型心筋症患者における発作性心房細動の予測と運動負荷誘発性左室拡張障害との関連
水野 麗子(奈良県立医科大学 総合医療学)
P52
嘔吐、食欲不振を主訴に入院し、心臓超音波検査を契機にアミロイド−シスの診断に至った一例
高田 慎吾(宮崎生協病院)
P53
心筋のねじれ評価による肥大型心筋症と高血圧性心疾患の鑑別
村上 未希子(済生会熊本病院 中央検査センター 心血管エコー室)
P54
進行性筋ジストロフィ(DMD)の左室心筋の捩れー乳頭筋レベルでの検討ー
宮崎 達志(独立行政法人国立病院機構徳島病院小児科)
P55
心不全を契機に発見された孤立性左室緻密化障害の 3 成人例:2D ストレイン法による検討
堀田 寛之(札幌医科大学 医学部 第二内科)
P56
孤立性左室心筋緻密化障害の 1 症例
城市 由美子(松江市立病院 中央検査科)
P57
心エコー図検査が診断・経過観察に有用であった、逆たこつぼ型心筋症の一例
薬袋 路子(獨協医科大学越谷病院 循環器内科)
P58
肥大心における壁厚と strain imaging との関係
美濃島 慎(名古屋大学大学院 医学系研究科 病態解析学分野)
P59
虚血性僧帽弁閉鎖不全症におけるリアルタイム 3D 心エコー図を用いた検討
谷 知子(神戸市立中央市民病院 循環器内科)
P60
虚血性僧帽弁閉鎖不全症例における左室 Dyssynchrony の検討:リアルタイム 3 D心エコー図を用いて
谷 知子(神戸市立中央市民病院 循環器内科)
P61
三次元心エコー法および組織ドプラ法による大学生アスリートにおける運動中の左心機能の検討
杉浦 真里(名古屋大学大学院 医学系研究科)
ポスター 7(16:00 ∼ 17:00)
弁膜症
ポスター会場 2〈にれの木/すずらん〉
座長:安 隆則(琉球大学大学院医学研究科薬物作用制御学)
田辺 一明(神戸市立中央市民病院循環器センター)
P62
繰り返す一過性脳虚血発作を契機に発見された両弁置換・左心耳閉鎖後血栓の1例
郡司 一恵(東京女子医科大学 循環器内科)
P63
経弁最大血流速度による経時変化からみた高齢者大動脈弁狭窄症の特徴
島田 恵(北里研究所病院 内科循環器科)
P64
小児期の大動脈二尖弁の形態と臨床像の関連性の検討
佐々木 幸子(岩手医科大学 中央臨牀検査部)
P65
外科的弁輪縫縮術後には虚血性僧帽弁逆流の jet は前方へ向かう傾向があり後尖 tethering と関連がある
桑原 栄嗣(鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・代謝内科学)
P66
著明な左室肥大を認め、うっ血性心不全を呈し、軽快退院した超高齢者患者の一例
湯谷 剛(広島逓信病院 第一内科)
P67
高齢者における軽症・中等症大動脈弁狭窄の進行に関する検討
久米 輝善(川崎医科大学 循環器内科)
P68
当院にて初めて硬化性大動脈弁狭窄症と診断された患者の臨床的背景と経過
村上 弘則(手稲渓仁会病院心臓血管センター循環器内科)
P69
頚動脈病変から大動脈弁狭窄症における冠動脈疾患合併の有無を予測することは可能か?
和泉 多恵子(大阪医科大学 中央検査部)
P70
大動脈弁逆流症における大動脈弁置換術の至適時期の検討
米山 文子(神戸市立中央市民病院 循環器内科)
P71
粘液腫との鑑別診断が困難であった感染性心内膜炎による巨大僧帽弁疣贅の一例
佐々木 隆史(京都民医連 第二中央病院 内科)
- 31 -
4月13日㈮
ポスター 8(11:00 ∼ 12:00)
心機能(Ⅰ)
第 3 会場
座長:田畑 智継(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院循環器内科)
西野 雅巳(大阪労災病院循環器内科)
P72
Real-time 3-dimensional echocardiography による左室内容量変化を用いた心機能評価法の検討
土至田 勉(昭和大学 医学部 第三内科)
P73
左房容積とその変化率を決定する因子:3D 心エコー法を用いた検討
村田 光繁(慶應義塾大学病院中央臨床検査部心機能室)
P74
先天性心疾患における非侵襲的肺高血圧評価:M モードエコーでの検討
木村 純人(北里大学 医学部 小児科)
P75
RV Tei index は高度肺高血圧症の重症度を反映する
嶋田 博光(東邦大学医療センター大森病院 小児科)
P76
肥満者における左房容積係数は非肥満者と比し過小評価となる
渡部 朋幸(医療生協わたり病院 内科循環器科)
P77
3-D エコーによる拡張能評価法における検討
田代 英樹(聖マリア病院 循環器内科)
P78
慢性腎臓病患者における腎機能障害の程度と左室拡張障害との関連
大塚 健紀(東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科)
P79
血液透析症例における心機能評価
黒川 文夫(東京女子医科大学付属病院 中央検査部)
P80
ドブタミン負荷エコーによる左室内血流の運動量に関する検討
種村 正(心臓血管研究所付属病院 臨床検査部)
P81
トレッドミル負荷心エコー図における負荷後 E/E` 高値(E/E` ≧ 15)の予測因子
高木 力(高木循環器科診療所)
ポスター 9(11:00 ∼ 12:00)
症例(Ⅰ)虚血性心疾患
第 3 会場
座長:片山 博視(大阪医科大学小児科)
深谷 隆(西神戸医療センター小児科)
P82
心エコー図検査で偶然発見された右房内粘液腫を合併した左室緻密化障害の1症例
高尾 寿美恵(福岡赤十字病院 検査部)
P83
右室流入路狭窄様を呈した Valsalva 洞破裂の一例
浅川 雅子(JR 東京総合病院 循環器内科)
P84
先天性大動脈弁狭窄症合併妊娠を妊娠中期から産褥期まで経過観察し得た 1 症例
市田 勝(自治医科大学 循環器内科)
P85
大動脈ステント治療後の in stent restenosis の virtual histology と組織像を検討した一例
山村 英司(東京女子医科大学 循環器小児科)
P86
心室中隔まで石灰化が及ぶ高度僧房弁輪石灰化 (MAC) の 1 例
川本 健治(鳥取市立病院 循環器科)
P87
経食道心エコーが診断に有用であった自己大動脈弁血栓症の一手術例
天野 宏(山梨大学医学部第 2 外科)
P88
PHT 法による僧帽弁口面積算出の問題点:左室収縮不全を合併した僧帽弁狭窄2例での検討
森下 智文(国立病院機構善通寺病院 循環器科・臨床研究部)
P89
左房内腫瘤を呈した副腎外褐色細胞腫の一例
小川 晴美(埼玉医科大学病院 心臓内科)
P90
総肺静脈還流異常症(下心臓型)に静脈管無形成を伴った内臓錯位症候群の一例
加地 剛(徳島大学病院 周産母子センター)
- 32 -
ポスター 10(16:00 ∼ 17:00) 心機能(Ⅱ)
第 3 会場
座長:泉 知里(天理よろづ相談所病院循環器内科)
永田 正毅(関西労災病院内科) P91
高齢心不全患者の予後予測における組織ドプラ法の有用性
斉藤 聡男(東住吉森本病院)
P92
左房の 3 次元的な形状変化について;リアルタイム 3D エコーでの研究
砂田 寛恵(大阪掖済会病院 生理機能検査室)
P93
若年健常例における組織ドプラ法による左室拡張の諸指標に対する前負荷の影響
安部 晴彦(国立病院機構 大阪南医療センター循環器科)
P94
左室駆出率自動計測(Auto EF)の信頼性について ; 心電図同期心筋 SPECT(QGS)との比較検討
吉川 浩一(東邦大学 医療センター 大森病院 臨床生理機能検査部)
P95
健常例の左室拡張能における性差は年齢により異なる - パルスドプラ法による検討 大塚 健紀(東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科)
P96
運動負荷による左房機能の変化について ; リアルタイム 3D エコーでの研究
前田 久美子(大阪掖済会病院 生理機能検査室)
P97
3次元心エコー法による左房容積の測定;2次元心エコー法との比較
高田 厚照(関西医科大学附属枚方病院 臨床検査部)
P98
高血圧患者における左室リモデリングおよび左室肥大による左室形態の変化と左房容積を用いた左房の大きさと
の検討
氏野 経士(医療法人寿会 富永病院 心臓病センター 循環器科)
P99
健常者における年齢と心房収縮能の関係についての検討
若月 悠(千葉大学大学院 医学研究院 循環病態医科学)
ポスター 11(11:00 ∼ 12:00) 新技術
ポスター会場 2〈にれの木/すずらん〉
座長:岩倉 克臣(桜橋渡辺病院循環器内科)
高野 真澄(福島県立医科大学医学部第一内科)
P100 Echo-Dynamography における血流方向の検出と流量
大槻 茂雄(医用超音波技術研究所)
P101 Echo-Dynamography による血流の渦検出
大槻 茂雄(医用超音波技術研究所)
P102 陳旧性心筋梗塞患者の壁運動評価における Automated function imaging(AFI) の有用性に関する検討
武田 南美子(愛媛大学医学部附属病院 診療支援部)
P103 初心者における左室駆出率自動計測(Auto EF)の有用性について
緑川 奈美(東邦大学 医療センター 大森病院 臨床生理機能検査部)
P104 経食道エコーと心臓造影 CT を活用した先天性心疾患における心房中隔裂開術
梶山 葉(日本赤十字社和歌山医療センター 心臓小児科)
P105 Auto EF によるフルオートトレース機能を用いた左室容量、駆出率計測の効率化
若月 悠(千葉大学大学院 医学研究院 循環病態医科学)
P106 左室拡張末期圧評価における左房壁ストレインの有用性
若見 和明(名古屋市立大学大学院 医学研究科 臨床病態内科学)
P107 2D トラッキング法の時間容積曲線による左室肥大例での左房容積の検討
田代 敦(岩手医科大学第二内科)
P108 左室流出路内渦流の発生とその役割− Echo-Dynamography による心腔内血流構造の解析−
菅原 重生(東北厚生年金病院 循環器センター)
P109 等容収縮期における左室内渦流の発生とその役割− Echo − Dynamography による心臓腔内血流構造の解析−
中島 博行(東北厚生年金病院 中央検査部)
- 33 -
ポスター 12(11:00 ∼ 12:00) 症例(Ⅱ)
ポスター会場 2〈にれの木/すずらん〉
座長:石井 正浩(北里大学医学部小児科学)
森 一博(徳島市民病院小児科)
P110 不整脈源性右室心筋症に併発した右心耳内血栓を右胸壁アプローチによって評価し得た一症例
福光 梓(熊本大学医学部附属病院 中央検査部)
P111 大動脈弁右冠尖に急性血栓を認めた若年女性の一症例
上石 哲生(国立循環器病センター 心臓血管内科)
P112 経食道心エコーで左心耳に巨大球状腫瘤を認め、診断に苦慮した脳塞栓症の1例
野村 祐介(金沢医科大学 循環制御学)
P113 心エコーにより極早期に発見し得た心筋梗塞に伴う心室中隔穿孔(VSP)の一例
石崎 一穂(東京厚生年金病院 中央検査室)
P114 僧帽弁副組織の 1 症例
山野 倫代(松下記念病院 循環器科)
P115 Sigmoid septum の臨床的意義:HOCM 様の SAM による有意な MR を確認した 4 症例
小野 和重(君津中央病院 生理検査部)
P116 術前エコーにて診断が困難であった、巨大 fenestration および fibrous strand rupture による大動脈弁閉鎖不
全症の一例
石下 晃子(東京ハートセンター 循環器科)
P117 大動脈弁に繊維性索状物を認めた一症例
岡庭 裕貴(群馬県立心臓血管センター 生理検査課)
P118 肺高血圧症精査にて下肢静脈壁石灰化所見を認めた一例
正田 朋子(東京医科大学病院 循環器内科)
P119 経胸壁心エコー図で偶然発見された高齢者の冠動脈瘤の一例
築地 美和子(川崎医科大学 循環器内科)
P120 弁破壊を伴わず高度の大動脈弁閉鎖不全症を合併した非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE)の 1 例
竹田 征治(奈良県立医科大学 第一内科)
P121 左房室間溝に限局した心嚢内血腫の一例
鼠尾 晋太郎(川崎医科大学附属病院 循環器内科)
ポスター 13(16:00 ∼ 17:00) 心不全
ポスター会場 2〈にれの木/すずらん〉
座長:山田 博胤(徳島大学病院循環器内科) 小山 耕太郎(岩手医科大学附属循環器医療センター)
P122 拡張不全の左室形態・左室拡張能障害における貧血の意義―左室組織ドプラ法による検討―
松本 実佳(兵庫医科大学 循環器内科)
P123 心不全症状と左房径との関連
吉田 千佳子(兵庫医科大学病院 循環器内科)
P124 開心術後妊婦において、心エコー上の収縮性心膜炎様の所見は右心不全発症を予測しうる
神谷 千津子(国立循環器病センター 心臓血管内科)
P125 慢性心不全患者における Exercise-induced MR と心室同期不全の関係
鈴木 健吾(聖マリアンナ医科大学 循環器内科)
P126 慢性心不全患者における運動中の左室拡張末期圧と肺動脈圧について
林 明生(聖マリアンナ医科大学 循環器内科)
P127 うっ血性心不全をきたし軽快退院した、超高齢者の心房中隔欠損症の 1 例
湯谷 剛(広島逓信病院 第一内科)
P128 拡張不全患者では急性心不全から回復後も E/E’の上昇は持続する
大平 芳行(河内総合病院 臨床検査部)
P129 任意方向 M モード法による左室内 dyssynchrony 検出に関する検討
酒巻 文子(筑波大学附属病院 検査部)
P130 拡張型心筋症における M モード法を用いた左室内 dyssynchrony 検出と QRS 時間との関連についての検討
酒巻 文子(筑波大学附属病院 検査部)
P131 左室内血流の流体力学的指標は、心不全の重症度を予測できる
佐々木 伸子(心臓血管研究所付属病院 臨床検査部)
- 34 -
ポスター 14(16:00 ∼ 17:00) その他(Ⅱ)
・大動脈
ポスター会場 2〈にれの木/すずらん〉
座長:大滝 英二(おおたき循環器内科クリニック)
大倉 宏之(川崎医科大学循環器内科)
P132 経皮的冠動脈形成術中の左室壁内心筋ストレイン勾配の変化
谷本 貴志(和歌山県立医科大学)
P133 アンギオテンシン変換酵素阻害薬 (ARB) の増量または Ca 拮抗薬 (CCB) の併用による降圧は心肥大を退縮させ
るか:心エコ−図による検討
岡橋 典子(川崎医科大学附属病院 循環器内科)
P134 開発途上国住民の心機能の検討
山近 史郎(長崎大学 循環病態制御外科学)
P135 Amplatzer 閉鎖栓を用いた経カテーテル ASD 閉鎖術の経胸壁心エコーによる適応判定
三原 千博(埼玉医科大学病院 中央検査部心臓病センター)
P136 自施設での 10 年間の感染性心内膜炎症例の臨床像:心エコ−図を用いた DUKE 診断基準による検討
宇多 里恵子(府中病院 中央検査部生理検査科)
P137 左房ストレインレートと左心耳血流速度の関連
福田 信之(富山大学 第二内科)
P138 小児の FMD 計測の現状に関するアンケート調査―計測方法の標準化にむけて―
片山 博視(大阪医科大学 小児科)
P139 高血圧による大動脈基部の形態変化が原因と考えられる大動脈弁逆流の症例
南雲 美也子(独立行政法人 国立機構 埼玉病院 循環器内科)
- 35 -
仁村レクチャー
4月 12 日㈭ 13:00 ∼ 14:00
心臓を視る
田中 元直
東北厚生年金病院
心エコー図診断法は臨床診断法として完成した方法となったかの感があり、日本で開発されたことを知ら
ない若手研究者も増えてきている。また昨年の坂本先生のレクチャーでは「心エコー図の将来」? 向かう
べき方向は? のお話をいただいたと思います。そこで、今回は全くの私見でありますが、断層心エコー図
法開発の背景とこれからの発展の方向の一つをお示しして責を果たしたいと思います。
時は 1950 年代の日本、感染症がしょうけつを極め、死亡率の第一位は結核を始とする感染症であった。そ
の対策として X 線間接撮影による集団検診が行われた。その際、鑑別診断上心疾患による肺鬱血が問題になり、
心臓疾患の診断精度の向上が至上命令となった。手近な方法として心音計の開発実用化と共に心音図法およ
び心機図法の臨床研究が行われた。ところが、心音図の解釈上、音源が何か?、音源の心臓血管内での空間
的位置はどこか? を明確にする必要性に迫られ、その解決法として、生体内を伝わり音源を知るには音波
を利用するしかない、という事から、超音波の導入が図られた。先駆的には、1954 年に Edler が UCG として、
1955 年に阪大の仁村が Doppler 法として応用の展開をはじめていた。しかし、音源探査の目的には超音波走
査による断面表示が必要であるが臨床に使える報告はない。生体用の超音波技術の開発から始めざるを得ず、
東北大通研の菊池教授の指導の下、日本無線医理研の内田、萩原両氏の協力を得て研究を開始し、東大生産
技研の鳥飼教授から振動子の音場計算のご指導を受けて最適な収束音場の理論をまとめパルス反射法に適用
した。1964 年極近接水侵法による扇形走査法で高分解能の心臓断面像の描写に成功した。以後の技術開発に
より機械走査から電子走査へと発展し、走査速度も 66 fram/sec へと操作性も向上し、心臓構造とその動きを
視ることが出来る様になり音源探査も可能になった。一方、心雑音の発生機序を解明するには構造と同時に
心臓腔内血流の状況を流れの断面像として定量的に観察できることが、不可欠であり、血流情報特に血流速
度情報をベクトル量として求めることが出来れば、心臓のポンプ機能を断面像の上から容易に評価できる可
能性があることから、距離分解能を持った超音波速度測定法が必要になり、東工大精研の奥島教授と大槻教
授との共同研究が開始された。
1971 年 M 系列変調ドプラ法と心断層法との併用法の実用化により音源探査に成功し、1976 年にはマルチ
チャネル法により血流断面表示の可能性を示し、1979 年にパルスドプラ法と FFT 方式、1980 年には MTI 処理
方式などによる速度断面表示法を実用化した。他方、1976 年以降、二次元等速度分布、等加速度分布図、面
上速度ベクトル分布、流線分布、流量分布、圧力分布などを求められるソフトを開発し、超音波で得られる
血流速度情報から心臓内の血行動態、血流動態などを画像として表示して、血流構造判断、心臓のポンプ機
能の可視化が出来る様になった。心臓構造と機能の非観血画像化診断法が提供されることになり新しい臨床
心臓病学が展開されることが期待されるに至っている。開発途中で得られた多くの新知見を紹介しつつ超音
波による心臓診断の新しい展開を紹介したい。
- 39 -
会長講演
4月 13 日㈮ 15:20 ∼ 15:50
小児科から内科への申し送り
Sending Words from Pediatrician to Adult Cardiologists
里見 元義
長野県立こども病院循環器科
多くの先天性心疾患は治療法の進歩に伴い小児期の死亡は飛躍的に減少した。その結果としてカテーテル
インターベンション治療後または外科手術後の状態で成人年齢へ移行する患者数は加速度的に蓄積している。
また川崎病などの後天性心疾患においても冠動脈後遺症を持ちながら成人領域へ達した患者の数も増加し続
けている。一方、小児科循環器医の数は少なく、これらの蓄積する患者を小児循環器医のみで、生涯にわたっ
て継続フォローアップすることは不可能である。循環器内科医の多くは虚血性心疾患に特化していると思わ
れるが、これからは循環器内科医にも成人年齢に達した小児循環器疾患患者のフォローアップの協力を依頼
することが必須となることが考えられる。我々小児科医がこれまで循環器内科医との交流と知識の普及を怠っ
た反省をも含めて、小児科から内科医への申し送りを始めなければならない。これまで小児循環器領域で培
われてきた心エコー診断のノウハウを内科医および超音波検査士へ申し送ることは我々小児循環器医の責務
である。
種々の術後先天性心疾患治療後患者に対して実施される治療法と術後フォローアップにさして注意すべき点、
心エコー検査のチェックポイントについて、代表的な疾患をあげてこの機会に内科医へ申し送りたい。
心室中隔欠損症(VSD)
:先天性心疾患の中で最も頻度の高い疾患であるが、フォローアップにおいては、そ
の病型による自然歴の違いや、注意点など熟知されていなければならない。心エコー図による Kirklin 分類、
女子医大心研分類の方法を示し、病型ごとに特徴的な合併症の心エコー図所見を示す。漏斗部中隔欠損(Kirklin
I 型、心研 I & II 型)では年齢を長じるとともに右冠尖逸脱と大動脈弁閉鎖不全の頻度が高くなる。
心房中隔欠損(ASD):我が国でも 2005 年の認可後 Amplatzer Septal Occluder によるカテーテル治療後の患者
数が増加している。したがって、今後心房中隔欠損術後患者に遭遇した場合、人工心肺を用いた心内修復術
によって治療された患者との違いを認識しなければならない。Amplatzer Septal Occluder 後のチェックポイン
トは遺残短絡、器具による心内構造物の変形や障害(大動脈の圧迫、僧帽弁の可動障害など)、脱落などである。
完全大血管転位症(TGA):心室中隔欠損および肺動脈弁狭窄を合併しない本症に対しては時代的に外科的
治療法が異なっている。1970 ∼ 1980 年代には主として心房内血流転換術すなわち Mustard 手術または Senning
手術が行われた。1990 年以降は主として大血管転換術である Jatene 手術が実施された。心房内血流転換術で
は右室が系統動脈側心室、左室が肺動脈側心室となるので心室短軸断面において左室は扁平化するのが普通
である。左室の扁平化の消失または左室が円形を呈する場合には肺高血圧または肺動脈狭窄が疑われる。
Mustard 手術後では上大静脈の通路に、Senning 手術後では肺静脈還流の通路に狭窄を生じやすいことが指摘
されている。肺高血圧の一因として肺静脈通路の狭窄もある。
Jatene 手術後には、通常左室が円形となる。チェックポイントは虚血による左室壁運動異常、冠動脈狭窄、左
右肺動脈の狭窄、大動脈バルサルバ洞拡大、大動脈弁閉鎖不全などである。
ファロー四徴症(TOF)
:現在では本症の手術生存率は非常に良好となり、多くの施設では手術死亡率 5% 以
下となっている。しかしながら、術後の治り方については原疾患の形態や心内修復術の方法の違いによりか
なりの幅があるのが実情である。もともとの肺動脈弁輪径が小さい場合には弁輪拡大術を行い、正常径の場
合には弁輪温存を行う。右室流出路狭窄解除のために用いる流出路パッチの大きさと、術後肺動脈閉鎖不全
と遺残肺動脈狭窄の程度の間には有意の関係が認められている。術後心エコーのチェックポイントとして、
右室圧評価、肺動脈弁閉鎖不全、肺動脈狭窄、右室容量負荷、大動脈弁閉鎖不全、左室壁運動などがある。
ラステリー手術後:ファロー四徴症兼肺動脈閉鎖、両大血管右室起始症兼肺動脈閉鎖などに対してはラステ
- 40 -
リー手術が実施される。右室から肺動脈への通路として用いられる人工血管は術後高頻度に再狭窄をきた
すことが知られている。人工血管狭窄の所見としては、右室圧上昇を示す所見、すなわち心室短軸断面での
左室扁平化、三尖弁閉鎖不全の血流速度からの右室圧推定などが用いられる。右室から肺動脈への人工血管
conduit の石灰化や人口血管内でのモザイクや血流の加速などからも評価される。
修正大血管転位症のラステリー手術後:通常のラステリー手術後に加えて、系統動脈(大動脈)側心室が右室、
肺動脈側心室が左室であることが特徴である。左側にある三尖弁閉鎖不全は正常心の僧帽弁閉鎖不全に相当
し、その程度の評価は管理上重要である。
房室中隔欠損症 AVSD(心内膜床欠損症 ECD):心房レベルの一次口欠損のみの不完全型の場合であっても、
単なる心房中隔欠損(二次口欠損)とは異なり、多少の差はあっても僧帽弁および三尖弁閉鎖不全を遺残す
るのが普通である。弁形成術後に狭窄になっていないか、閉鎖不全が進行していないかチェックポイントで
ある。
心室レベルのシャントも合併する完全型の場合には通常 2 個のパッチを用いて修復術が行われている。この
場合にも不完全型のチェックポイントに加えてパッチの遺残短絡、肺高血圧の有無に注意すべきである。特
にダウン症候群に合併した本症では肺高血圧の有無に注意すべきである。本症では原疾患のために心室中隔
形態からのみでは右室圧推定に誤りを生じやすく、三尖弁閉鎖不全の血流速度からの方が正確である。また
本症では術後であっても左室流出路に狭窄が進行する傾向を有しており、長期フォローアップ中に大動脈弁
下狭窄が認められることもある。
フォンタン術後:もともと三尖弁閉鎖症に対して考案された手術法であるが、その後適応拡大が行われ、右
室性単心室、左室性単心室、右室低形成(純型肺動脈狭窄 / 閉鎖)
、左心低形成症候群などに対して広く実施
されている。フォンタン手術後患者の人口は確実に蓄積増加しているが、原疾患の診断と、術後としての評
価が重要である。また無脾症候群では感染予防にも注意を払うことが必要である。フォンタン術後のチェッ
クポイントは、肺血管抵抗、肺動静脈瘻、房室弁逆流、心機能、側副血行、フォンタンルート内の血栓など
である。酸素飽和度が低下している場合、その原因が肺動静脈瘻や側副血行などの右左短絡の存在によるの
か否かを診断するためには末梢静脈からの用手攪拌コントラストエコーが有用である。房室弁閉鎖不全の有
無と程度の判定にはカラードプラ法が有用である。静脈系のフォンタンルート内の血栓形成が疑われる場合
には経食道エコーを用いると感度が高い。フォンタン手術後患者の運動耐容能は、最大心拍に達した後さら
に持続すると心拍出量はむしろ減少することが知られている。
今回内科医への申し送りを試みるにあたり、われわれ小児科医は説得力のある申し送りを行うための臨床
研究を怠っていたと思われる点も見出された。成人年齢に達した先天性心疾患術後患者の長期フォローアッ
プは、われわれ小児科医にとっても、内科医にとっても未知の部分が多々存在することに改めて気づいた。
ひとりの先天性心疾患患者が成長するにつれて、小児科医が内科医へ申し送り、もしその患者が結婚、妊娠、
出産を希望すれば内科医が産科医へ申し送る。そして次の世代を妊娠・出産すれば産科医は再び小児科医に
申し送る。心エコー図学もこのようにヒトの一生を通じて発展しながら普遍的に繋がっていくものであると
思う。
- 41 -
特別講演 1
4 月 12 日㈭ 9:00 ∼ 9:50
Three-dimensional echocardiography:
are we ready for routine clinical use?
Jeffrey F. Smallhorn
University of Alberta, Head Section of Echocardiography, Stollery Children’
s Hospital
Three-dimensional echocardiography (3D echo) has come of age from a technology that was interesting, primarily
research orientated and laborious. The early systems were primarily mechanically driven utilizing a combination of
two-dimensional slices that were linked together to produce the final 3D image. The data was collected using either a
standard two-dimensional probe mounted on a mechanical arm that rotated around an arc, or later a tranesophageal probe
that was mechanically rotated to acquire the data set. Both of these required ECG and respiratory gating in order to piece
the serial slices together. Investigators experimented with parallel slicing techniques, rotational or fan like acquisition
methods to acquire the data. Due to limited transthoracic windows the rotational method became the technique of choice
for this technology. This data was then volume rendered producing both static 3D and 4D data sets. From the volume
rendered data set the investigator used offline tools to anatomically dissect the heart and provide new views that were
unique to this technology. Color Doppler was integrated into the system such that 3D and 4D color flow jets could
be imaged. Initially the color Doppler information was non transparent which made regurgitant jet site determination
difficult. This was resolved by TomTec and offline 3D and 4D analysis system which provided the investigator with
transparent color Doppler data sets. Despite these advances the system was still limited to a few research centers, with
significant limitations in children due to limited access via the transesophageal route and motion artifacts from respiration
and ECG gating when using transthoracic probes.
Other groups used spatial locators which were attached to a standard two-dimensional probe with the coordinates and
images being stored in a computer that then could piece the images together. This technique was cheaper and simpler
with an application that was mainly limited to left ventricular volume assessment.
The technical breakthrough was in 1990 with the University of Duke’
s development of the matrix array probe that did
not rely on more mechanical technology. This novel system provided a volume of data from a series of elements on the
transducer face. This could provide real-time imaging that did not rely of ECG or respiratory gating. Although it was
“real-time”imaging it still required an offline analysis system to interact with the data sets. As well, the early probe
which was low frequency had a limited number of elements which decreased image resolution. There was an attempt
to add color Doppler to the system utilizing a narrow sector, but again the system had to be interacted with on an offline
system, again with limited application in pediatrics. The next step was the development of a matrix array system that
the investigator could interact with on the actual ultrasound system. This had a increased number of elements which
improved resolution, but again was mainly limited to older children and adults due to the probe being low frequency.
As well, the ultrasound probe is large which limits the application in children. This system which is the current state of
the art, is truly real-time if a narrow sector angle is used to image the heart. In this setting it does not require ECG or
respiratory gating. To obtain a full volume of the heart the system requires 4 cardiac cycles to be patched together with a
breath hold to avoid respiratory motion artifact. Although this takes only a few seconds it is still a limitation in children
less than 4 years of age. This also limits the use of the subcostal approach unless the infant is very quiet. Color Doppler
information can be added to the data set, though again with a narrow sector angle that requires a greater number of
cardiac cycles. One of the unique features is that the investigator can interact with the data set on the system to obtain a
view of the heart from any angle. This ability has made the system user friendly and enhanced the routine clinical utility
of this technique. For those who are interested in exploring the data sets in more detail, the addition of the TomTec
offline system provides an easy interface with sophisticated software that can be used of advanced analysis.
More recently there has been the release of the pediatric Matrix array probe which utilizes a smaller transducer, increased
number of elements, higher frequency (X7-2) and an increase in frame rate. The potential of this probe is still being
realized however early results have produced dramatic results. The probe still requires ECG gating for a full volume and
a breath hold to obtain perfect motion artifact free images. Despite this in the neonate who is asleep or the infant that is
- 42 -
sedated very usable data sets can be obtained. The operator can control the number of cardiac cycles to obtain a full data
set and this probe can be used for the fetus by setting an artificial desired heart rate that matches the fetus being scanned.
For color Doppler acquisition a narrow sector with an increased number of cardiac cycles is required.
This current technology is just the tip of the iceberg, as with faster computers, new transducer technology and virtual
reality for imaging the data sets we have truly entered the 3D and 4D era for cardiac ultrasound imaging.
The next question is can we apply this technology on a routine basis in our echocardiography laboratories. To achieve
this goal the echocardiographer and sonographer require further training in how to acquire a good 3D and 4D data set and
then how best to display it. Unlike two-dimensional imaging there are currently no standard views for displaying 3D and
4D data sets. Many investigators have used enface views for imaging the atrioventricular valves, with the orientation
being in a surgical view with the aorta to the left of the image. This approach makes sense as one of the major impacts
of 3D and 4D echo has been in the area of atrioventricular valve assessment. This technology permits the investigator
to provide an accurate evaluation of the valve leaflets, subvalve apparatus and most importantly commissures. As well,
important functional information can be gleaned from annular function that is intimately related to leaflets and subvalve
appratus. The addition of color Doppler to these data sets completes the picture of detailed analysis prior to surgical
intervention. Indeed, it is now possible to plan surgical atrioventricular valve repair in the echocardiography laboratory
with the surgeon prior to the actual procedure. Although much of this work has been done in adults in our experience
it is possible in the pediatric patient. We have been using the adult matrix array probe and thus far have been happy
with it for older children, but not the neonates and younger infants. That limitation has now been overcome with the
introduction of the pediatric matrix probe.
Ventricular function is a huge area where 3D and 4D technology can have a major impact. Thus far most of the work has
been in the left ventricle, however more recently software programs for the right ventricle have been developed. Despite
these advances limited access to adequate transthoracic windows remains a major limitation of this technology. This is
more relevant in the postoperative patient where this type of information is even more essential. The only way around
this problem is to further develop some of the newer ultrasound technologies that overcome the problem of noise from
surrounding structures. This is the only way that 3D and 4D echocardiography will be able to compete with advancing
MRI technology. The addition of newer technologies such as speckle tracking and tissue Doppler imaging to 3D and 4D
echocardiography is very exciting, as this will permit a complete assessment of cardiac function rather than relying on
assumptions from two-dimensional slices.
A new understanding and appreciation of complex intracardiac anatomy will be possible using the pediatric 3D and 4D
ultrasound probes that will help in planning complex intracardiac tunnel procedures in lesions such as DORV. These
probes can now be used to image extracardiac structures, particularly from the suprasternal window which is one the
pediatric echocardiographers strengths in imaging, particularly in the neonate and young infant.
Monitoring and guiding interventional procedures is another area of potential use for this technology. This will help
to reduce fluoroscopy time for patients and provide an improved understanding of the mechanisms and results of
interventional catheterization. This technology can be used in the intensive care unit to guide catheter placement and
eventually as a method for providing monitoring during the critical first few days after surgical intervention.
In summary we now have the ability to use this new technology on a routine basis and are just beginning to appreciate its
potential and the impact it will have on current and future generations of patients with heart disease.
- 43 -
特別講演 2
4 月 12 日㈭ 11:00 ∼ 11:50
ECHOCARDIOGRAPHY IN STROKE PATIENTS
(with emphasis on cryptogenic stroke)
Shunichi Homma
MD, FACC, Columbia University, USA
Transthoracic (TT) and transesophageal (TE) echocardiography are widely used to visualize potential embolic sources
in stroke patients. Although semi-invasive, when compared to TT, TE echo. has demonstrated an exceptional ability to
detect various lesions associated with embolic stroke. We will review the potential embolic sources that can be detected
with TT and TE echo. These are listed below. Additionally, I will present flow mediated brachial artery dilation (FMD)
measurement (a measure of endothelial function), which may become more widely used in the future.
TT ECHO.
- Left ventricular thrombus
- Dilated cardiomyopathy, dilated left atrium
- Prosthetic valves
- Cardiac tumors
Left ventricular thrombus usually forms at the site of wall motion abnormality such as that follows large anterior wall
myocardial infarction.
Dilated cardiomyopathy is often accompanied by a left ventricular thrombus.
Prosthetic cardiac valves carry a significant risk for embolization. This is particularly the case for mechanical prostheses.
Cardic tumors, particularly large ones can be detected with TT echo.
TE ECHO.
- Left atrial thrombus, particularly in appendage
- Valvular vegetations, particularly those associated with prosthetic valves
- Patent foramen ovale (PFO)
- Atrial septal aneurysm (ASA)
- Spontaneous echo. contrast
- Valvular strands
- Aortic arch atheroma
- Aortic dissection
- Small cardiac tumors
Left atrial thrombus is unlikely to be detected using TT since a large fraction of these are located in left atrial appendage
which is very difficult to visualize through transthoracic window.
Valvular vegetations are often difficult to detect using TT method, particularly when they are found on prosthetic valve in
mitral position.
PFO is associated with cryptogenic stroke (unknown cause of stroke) and is thought to lead to paradoxical embolization,
but is found in over 25% of the general population. This can be detected with injection of aerated saline to document the
presence of intracardiac shunt. There is a controversy as to how we may prevent recurrence in cryptogenic stroke patients
with PFO. Several treatment trials are on-going involving percutaneously placed devices.
ASA is a redundancy of atrial septum, and is often associated with PFO, particularly large PFO.
Spontaneous echo. contrast is a smoke-like appearance, most often found in left atrium due to stagnant blood flow, and is
often associated with the presence of thrombus.
Valvular strands are often found on TE in patients with stroke and these are thought to represent“Lambl’
s
excrescences”found on pathology specimens.
Aortic arch atheroma is a very important source for potential embolic material. Those with thickness of >4mm, mobile,
or ulcerated lesions are thought to carry particularly high risk for recurrent stroke.
Aortic dissection can also cause stroke, but is often difficult to detect using TT methods.
Cardiac tumors particularly myxomas (mostly in atrium, but can be in ventricle), as well as fibroeastomas can embolize
causing stroke. Smaller ones are difficult to detect with TT echo, and TE is often needed.
FMD
This is a measure of endothelial function assessed through the use of ultrasound to measure the dilation of brachial artery
in response to flow mediated sheer stress. Technique, as well as possible implications will be reviewed.
- 44 -
特別講演 3
4 月 12 日㈭ 14:00 ∼ 14:50
Echocardiographic evaluation of Myocardial Strain
Asbjørn Støylen
Dept. of Circulation and Medical Imaging, Norwegian University of Science and Technology, Norway
Background:
Motion imaging: Tracking of the motion of a myocardial region results in displacement or velocity data. The motion of
a region is mainly determined by the function of adjacent myocardium, i.e. tethering. The region itself may be completely
akinetic, and still have a considerable motion. Thus motion imaging does not reflect the function of a region itself. The
longitudinal systolic motion of the base of the ventricle, however, reflects the influence of the whole heart, and remains
very robust measures of systolic global function. Displacement along an ultrasound beam can be measured by M-mode,
both in the longitudinal direction, and in the transverse direction, here limited to the anteroseptal and inferolateral walls.
Thus, M-mode is angle dependent. Derivation of deformation or velocity data requires digitization. Wall thickening
equals transverse strain. Velocity along the ultrasound beam (i.e. angle dependent) can be measured by tissue Doppler,
and the information was available as quantitative curves with fairly high frame rate. Integrating the velocity curve yields
the quantitative displacement curve from the same point.
Deformation imaging: True regional function of a region is reflected in the deformation of the region. In systole
this means longitudinal and circumferential shortening as well as transverse thickening. The latter can be measured by
M-mode, but only in certain segments.
Color tissue Doppler gives near simultaneous velocity measurements along the ultrasound beam, and thus enables the
measurement of velocity differences along the ultrasound beam over a certain length. The velocity difference per length
unit is the velocity gradient. It can be obtained either by simple subtraction of the velocities of the end of a segment,
divided by the length of the segment, or by linear regression. The velocity gradient along the segment is equal to the rate
of length change of the segment, the strain rate. Integration of the strain rate curve yields the strain curve, systolic strain
is equal to the total systolic deformation of the segment. Tissue Doppler is limited to the longitudinal direction in apical
views - longitudinal systolic shortening, and the transmural direction in the anterior and inferior wall. Tissue Doppler is
angle dependent, deformation even more so than motion, as a misalignment between the wall and the ultrasound beam
not only results in lower velocities and velocity gradient, but also incorporates a component of inverse deformation,
detracting further from the measured strain rate and strain. Strain rate is noisy, due to the derivation algorithm, strain
smoothes the noise, but is subject to drift.
Speckle tracking in 2D gray scale images works by tracking the unique speckle pattern of a myocardial kernel by a
recognition algorithm, not limited to a search along the ultrasound beam. The method is angle independent. Motion
of one kernel gives displacement and velocity and deformation can be measured between two kernels, resulting in
strain rate and strain. In principle, deformation can be measured in all three main directions- longitudinal, transmural
and circumferential. The validation as well as the experience with this method, however, is limited compared to tissue
Doppler. The method also has different limitations from tissue Doppler, related to resolution, frame rate (and thus
heart rate) and especially the amount of smoothing that is necessary to obtain robust measurements. So far, most of the
experience related to strain and strain rate has been limited to longitudinal strain, but the longitudinal deformation has
been shown to be closely related to the overall systolic shape change of the left ventricle. Due to the incompressibility of
the myocardium, there is a close relation between the deformations in all three directions. The basic considerations are
the same with longitudinal strain derived from tissue Doppler and from speckle tracking, although normal values may be
somewhat different and
Clinical use of strain and strain rate measurements:
Deformation imaging is useful for assessing regional systolic function. It has not been shown that average strain or
strain rate is better than the global indices of annular displacement or velocity. And for diastolic function, only the global
function has been shown to have clinical value; although strain rate has given new insight into mechanisms of diastolic
function the clinical utility has not been shown. Thus, the method is mainly useful where there is a question of regional
- 45 -
in homogeneity of systolic function. Strain reflects the total systolic deformation of a segment, and is thus heart rate and
load dependent. It is closely related to ejection fraction and stroke volume. Strain rate is the rate of contraction, and as
maximum strain rate is developed early in systole, this is less load dependent, although still heart rate dependent. Thus,
the two parameters yield somewhat different information, although closely related. In addition, delayed contraction,
which is common in ischemia, is evident with this method.
It is also important to realize that all studies have been of incremental value of the measurements. Visual assessment
of function should always be taken into consideration, although visual assessment is often difficult, especially in the
basal pars of the heart. In addition, tissue Doppler has several artifacts, often related to reverberations and drop outs,
as well as to the limited lateral resolution that is necessary to obtain high frame rate. A critical approach to strain rate
imaging should consider these, and discard all segments with evident artefacts. Experience shows that this will result in a
feasibility of about 80% of segments, which is sufficient in more than 95% of patients. A practical approach could be:
- Start with segmental velocity curves. The distance between them reflects the differential motion, which is similar to
-
the strain rate.
Evaluate the strain rate by curved anatomical color M-mode. This will give a quantitative assessment, as well as the
-
timing relation of different segments. In addition, artifacts, especially reverberations are readily identified by this
method. Finally, this method will show the extent of an abnormality, while the curves are only representative for the
small region of interest, and may thus be artificial. A pathological finding is only valid if it has a certain extent.
Strain and strain rate curves should not override the visual impression. If there is obvious discrepancy, a reason
should be sought for this. Visual impression may also have limitations, but if the finding in 2D is unequivocal, this
should be considered the most probable.
So far, deformation imaging has been shown to be useful in
- Myocardial infarction, assessing the amount of contractility loss and extent of infarction, as well as in recovery of
function, and assessing viability in infracted segments.
- Stress echocardiography, strain rate imaging has been shown to give incremental information both for diagnosis and
prognosis.
- Cardiomyopathy, identification of areas of reduced contractility.
- Right ventricular function, where the annular velocity may be largely due to tethering at the apex, while strain rate /
strain shows true contraction.
It has not been shown decisively that deformation imaging is better than global indices in global ventricular function
such as dilated cardiomyopathies or early transplant rejection. It still remains open which approach is best for identifying
asynchrony for purposes of CRT.
Strain by speckle tracking has limited experience so far. Longitudinal strain may be similar to tissue Doppler, but as
the methods are different, a different set of cut off values needs to be established. The robustness and accuracy of
measurements of circumferential and transmural strain needs to be evaluated. Finally, it needs to be established whether
there is incremental information in this, or whether additional strain directions are simply reflections of each other.
Future developments:
As there are two different method for measuring deformation, speckle tracking and tissue Doppler, further evaluation
should be done to emphasize how the two modalities could be used in combination, in order to maximize the information
as well as the robustness of measurements. In addition, as 3D echocardiography is approaching clinical utility,
implementing strain rate in 3D datasets should be explored.
- 46 -
特別講演 4
4 月 13 日(金) 9:00 ∼ 9:50
Echocardiographic Findings of Postoperative
Patients
with Congenital Heart Disease
Norman H. Silverman
Lucile Packard Children’
s Hospital, Stanford University, USA
Introduction
Most studies focus on preoperative diagnosis. At our institution, The Lucile Packard Children’
s Hospital at Stanford
University, we operate on approximately 650 neonates, infants and children every year. Because the overall long-term
surgical mortality at our institution is approximately 2%, the cumulative numbers of patients with repaired congenital
heart disease have increased exponentially. It is now estimated that more adults with repaired congenital heart disease are
alive than children with diagnosed and undiagnosed disease, emphasizing the importance of postoperative assessment.
Methods of Investigation
Evaluation of surgical results begins in the operating room and continues throughout life.
Thus transesophageal as well as transthoracic echocardiography are used. These cross sectional ultrasound modalities are
complemented with Doppler, color flow, tissue Doppler, M -mode and Contrast Echocardiographic techniques. During
intra-operative monitoring, the surgical team is afforded the opportunity of returning to cardiopulmonary bypass and
repairing the lesion rather than returning to the intensive care unit with and subsequent return to re-operation days weeks
or months later.
Septal Defects
The detection of residual trial or ventricular septal defects postoperatively may be determined directly in the operating
room with Doppler color flow or by means of saline contrast echocardiography. Detection of additional defects may
also be valuable in the operating room as such detection leads to repair after return to cardiopulmonary bypass rather
than a stay in the operating room. One of the most valuable instances where this has been helpful is in the detection of
additional muscular ventricular septal defects.
Aortopulmonary shunts.
The assessment of patent ductus arteriosus is mostly preoperative because of the almost total success of surgery. Because
many premature infants undergo operation by general rather than thoracic surgeons, the ligature or clip is occasionally
misplaced. Here the persistence of the ductus shunt together with other measures may follow the diagnosis of ectopic
placement of these ligatures.
Far more important is the postoperative assessment of postoperative aortopulmonary shunts. These are evaluated by
direct imaging of the size of the shunt, the anastomosis and indirect measures, such as retrograde abdominal aortic flow,
and size of the receiving vessels and chambers.
Aortic Repair of Aortic Arch Repair
Our preference is for surgical repair of aortic coarctation in the young. The assessment of aortic arch repair may be
achieved echocardiographically by direct cross sectional imaging or with the aid of Doppler color flow imaging.
Additionally, residual pressure drops across the site of repair may be assessed directly with Doppler as well as indirectly
ay assessing the arterial pulse character in an arterial vessel, usually the abdominal aorta or one distal to the repaired
area.
Assessment of Pulmonary Arterial Banding for Ventricular Retraining
Pulmonary arterial banding as a prologue to ventricular retraining for double switch procedures may require important
echocardiographic input. In some circumstances, because of the small size of the subjects, access for pressure manometry
may be difficult. The surgeon can rely on the pressure drop across the band and the response of the ventricles to assess
the adequacy of the banding.
Assessment of Atrioventricular Valvar Repair.
This is a well-established technique for assessing the early repair of lesions where atrioventricular valvar regurgitation
and stenosis is a problem. In our institution, the assessment of the repair of the atrioventricular valve in atrioventricular
septal defects is routine. We note particularly how the valve appears on the pre-repair studies and where the valve leaks.
Repair of mitral or tricuspid calves with Ebstein’
s malformation can be assessed and the degree of residual valve leaks
presented to the surgeon. Postoperative assessment indicates if the valvuloplasty is too vigorous or associated with the
production of valvar stenosis.
- 47 -
Assessment of Arterial Valvar Repair
Repair of aortic regurgitation, or the performance of valvotomy or sub-aortic resection can be easily achieved after
surgery. The transgastric approach provides an excellent alignment of the transducer beam with the ventricular outflow
tracts for Doppler interrogation.
Assessment of Prosthetic Valves
The use of transesophageal echocardiography has become the standard for evaluating these valves, particularly
atrioventricular valves. Paravalvar leaks can be differentiated from the more usual seating puffs. In children off axis
views such as the subcostal and high suprasternal views make imaging prosthetic valves easier than in adults.
Assessment of Repair of Tetralogy of Fallot and its Variants.
Complete evaluation of the intracardiac consequences of repair can be evaluated. This includes the recognition of
residual additional defects after repair, as well as patch leaks. The critical aspect of infundibular resection and valvotomy
can be evaluated in the operating room with transesophageal echocardiography. In addition the proximal branches can
also be evaluated, and the degree of atrioventricular, semilunar valvar regurgitation and function can also be evaluated.
The distal branch pulmonary arteries are best evaluated by other imaging modalities.
Assessment of the Rastelli Conduits
Conduits can be assessed from their origin to the area of their distal anastomosis and the proximal branch but not the
distal branch pulmonary arteries.
The valve of the conduit, when implanted, can be easily identified early, but the imaging quality tends to decline as the
calcification of the wall builds up over time. The Doppler findings assessing stenosis and regurgitation can, nevertheless,
continue to be evaluated. Pulmonary regurgitation causes progressive right ventricular dilation and this can be assessed
quantitatively.
Assessment of Arterial Switch.
Echocardiography assesses a number of specific features of this lesion. Immediately after bypass, ventricular contraction
may be observed to be symmetrical or dyskinetic. As cardiac flow is enhanced after cardioplegia, coronary flow in the
major coronary arteries can be observed as well. The suture lines of the aortic and pulmonary as well as the coronary
anastomoses may be observed.
The assessment of the main and branch pulmonary arteries remain an important area of assessment. Narrowing of the
new pulmonary trunk and the branches can be assessed by direct measurement and also Doppler velocities. It must
be remembered that because the narrowing is not discrete the Doppler velocities may greatly overestimate the actual
pressure drop that is measured at cardiac catheterization. Pulmonary regurgitation may also accompany the arterial
narrowing in this condition.
The enlargement of the new aorta has been reported and may become an alarming problem if it continues to increase.
Regurgitation of the neo-aortic root may be noted to accompany this feature.
Assessment of Hypoplastic Left Heart Syndrome.
The Norwood operation and its variants using a right ventricular to pulmonary arterial conduit can be assessed
by echocardiography. The proximal anastomosis between the new aorta and the aortic to coronary stump can be
identified. The new arch structure and the presence of distal anastomosis or coarctation can be defined, but not during
transesophageal echocardiography. The shunt and its caliber as well as the pressure drop across the right ventricle
to pulmonary artery anastomosis can be assessed. The function of the right ventricle and the presence and degree of
tricuspid regurgitation can be assessed. Although the atrial septum is widely excised, it sometime can become restrictive
and this area requires assessment.
Assessment of Pulmonary Venous Anomalies
Whereas the repair of pulmonary venous return may be assessed by transesophageal echocardiography at the time of
repair, the probe may interfere with surgical repair and is frequently not inserted. Post repair stenosis at the site of repair
as well as in the individual pulmonary veins can be identified and the velocity of the flows identified. Additionally
Doppler color flow can be used to identify right-sided pressure from tricuspid and pulmonary regurgitation. When this
becomes severe or long-standing right ventricular dilation may occur.
Assessment of Glenn Shunts.
Glenn shunts are easiest to assess using suprasternal echocardiography but can be assessed in small children using
subcostal imaging positions. Doppler flow permits assessment of the usual phasic flow of an abnormal flow at the site
of anastomosis. Saline contrast echocardiography has provided important information about veno-venous collateral and
arteriovenous collateral vessels. Using contrast in an upper limb vessel while observing the inferior vena cava permits
identification of veno-venous collateral vessels. When these are present, the venous pathways from the superior vena
cava flow into normal venous anastomoses between the upper and lower body and then into the inferior vena cava. The
contrast indicators enter in right atrium from below. When there are pulmonary arteriovenous collateral vessels, the
presence of left atrial contrast after Glenn shunt usually indicates the presence of arteriovenous collateral vessels.
In our laboratory, the standard is to perform this test directly in each pulmonary artery during hemodynamic assessment
of the Glenn shunt. Here, if pulmonary arteriovenous malformations are present, there is substantial filling of the left
atrium with these ultrasonic indicators. Such findings hasten the completion of the Fontan anastomosis.
- 48 -
Assessment of the Fontan Operation.
This is one of the more frequent demands of an echocardiography service and also one where it may not be possible to
define all the hemodynamic abnormalities on the basis of echocardiography, particularly with problems such as protein
losing enteropathy and plastic bronchitis. It is clear, therefore, that this test is ancillary to hemodynamic evaluation and
other imaging modalities in the total assessment of these patients.
There are a number of features, which can be assessed echocardiographically which are valuable to assessment. Chief of
these is the evaluation of cardiac performance. This may be difficult form conventional means, because the ventricular
morphology may not lend itself to the more conventional algorithms of volume and function. The biplane Simpson’
s rule method is the method of choice or assessing ventricular volume and ejection fraction although when ventricular
failure in this instance is the problem, it is usually visually obvious. Non-geometric means of assessing systolic function
such as the mean acceleration of the ascending aortic Doppler signal has been valuable for defining dysfunction of
the functionally single ventricle. Whereas the normal mean acceleration of the systemic arterial Doppler in normal
ventricles is greater than 15 m/s/s, in failing single ventricles, it is usually less than 8 m/s/s. Diastolic function indices
that are helpful in some patients may not be of value in others. This also includes a variable pulmonary venous return
signal, although the enlargement of the right atrium in the older Fontan surgical versions could be seen to indent the
adjacent right pulmonary veins.
With regard to protein losing enteropathy the signals in the superior mesenteric and celiac vessels have proven to be of
value. The diastolic runoff, a feature of low vascular resistance in the normal, is absent in patients with a protein losing
enteropathy.
Imaging of the Fontan circuit from the junction with the inferior vena cava to the underside of the pulmonary artery is
possible and flow may be determined in this structure. There are few problems noted with the actual conduit. Most of
the patients with whom I have experience have had a lateral tunnel procedure. Occasionally fenestrations are required
because of the particular hemodynamic considerations. Most of these have not had a fenestration to the pulmonary
atrium. Under these circumstances the site of fenestration can be assessed with Doppler color flow imaging and the
velocity of the fenestration measured.
As Fontan flow is to some measure dependent on respiration, the association of phrenic nerve palsy has a much greater
impact on total pulmonary flow than normal. In this circumstance the flow detected by Doppler velocity in the affected
pulmonary artery is substantially compromised.
- 49 -
特別講演 5
4 月 14 日(土) 13:10 ∼ 14:00
Fetal Cardiovascular Program and Protocol for
Fetal Echocardiographic Examination at
Lucile Packard Children’
s Hospital
Irina Axelrod
Pediatric Heart Center, Lucile Packard Children’
s Hospital, USA
Congenital heart defects are the most common major congenital malformations affecting 8 of 1000 liveborn
infants. Prenatal diagnosis of congenital heart defects has profound effect on postnatal outcome of affected infants
who often need emergent therapy at birth. Fetal echocardiography is a relatively new and rapidly changing and
developing diagnostic field. The indications of fetal echocardiogram include family history of congenital heart disease,
maternal diabetes, obstetrical scan suspicious for congenital heart disease, arrhythmia, maternal rheumatologic
disease, extracardiac congenital anomalies, chromosomal anomaly, exposure to potential fetal teratogen and others.
The most frequent indications that yielded positive findings of congenital heart disease in our series have been
chromosomal abnormalities (47%) and the suspicion by obstetrical sonographers of a cardiac abnormality (42%). Fetal
cardiovascular program at Lucile Packard Children’
s Hospital at Stanford, California have provided comprehensive
fetal echocardiographic evaluation, patient counseling and treatment since 1995. We currently evaluate approximately
650 fetuses per year. Approximately 100 of them have cardiac lesions ranging from hypoplastic left heart syndrome to
fetal arrhythmias. We have developed a team of highly specialized professionals including obstetricians, sonographers,
pediatric cardiologists, cardiac interventionalists and surgeons to provide the most advanced perinatal care for pediatric
patients with congenital heart disease. Most of patients with structural heart disease are born at our institution because
the infants gain immediate access to sophisticated medical and surgical care. The considerable advances made in the
area of fetal echocardiography created a need for specialized skills among diagnostic medical sonographers. These skills
include the knowledge of obstetrical ultrasound, congenital heart disease and fetal cardiac embryology and physiology.
At the Pediatric and Fetal Echocardiography Laboratory at Lucile Packard Children’
s Hospital at Stanford we have
provided training in fetal echocardiography for sonographers and pediatric cardiology fellows for many years. We are
currently in progress of developing a fetal echocardiography training program for community obstetrical sonographers.
In this presentation the indications, technical aspects and comprehensive diagnostic protocol for fetal echocardiographic
examination will be presented. In order to illustrate major teaching points fetal echocardiograms of congenital heart
defects such as hypoplastic left heart syndrome, atrioventricular septal defects, Tetralogy of Fallot, transposition of great
arteries, tricuspid atresia, Ebstein’
s anomaly and fetal arrhythmias will be presented and discussed.
- 50 -
Keynote Lecture
4 月 12 日㈭ 15:30 ∼ 15:50
2 次元断層心エコー図法によって表される左心室の捻転変形;
基礎、病理および臨床意義
納富 雄一
葉山ハートセンター循環器科
16 世紀初頭にレオナルド・ダ・ヴィンチが初めて記したといわれる左心室の回転(捻転)運動は、前世紀
の開胸心臓外科手術が始まって以来、日常の術中に外科医たちはその力強い捻転運動を見てきた。心メカニ
クスを解析する研究者たちにとって、その心筋ファイバー構造と左心室の捻転運動は一層興味を持たれてき
たが、残念ながらその解析はとても複雑であり、また小さなメタルを植え込んでその運動を解析したり、ま
た当初はとても労力を要したタギングMRIを解析しなければならなかった。
膨大なデータの貯蔵および高速解析を可能にしたコンピューター技術の発達は、近年の超音波装置に正確
な心筋の運動・変形解析を可能にさせた。組織ドップラー法により心筋の角運動を推定が可能なことが示され、
近年開発された2Dスペックルトラッキング法は、より容易に直接的に、その捻転運動を含めて、解析を可
能にした。
これら新しく台頭してきた技術は、その高い時間分解能により、詳細な収縮・および拡張の(Twisting and
Untwisting)様子を明らかにしている。新生児から成人に至る過程におけるこの捻転運動の変化は、生理的な
心メカニクスを理解するのに役立つかもしれない。また、左室収縮、左室の Twisting と Untwisting、等容期拡
張期の左室内圧力低下、左室の心室内圧格差による Suction および早期急速流入の様子と関係が、安静時と運
動時の、正常人および肥大型心筋症患者において示される。
左室の捻転運動の臨床での重要性と招来の方向性に可能ならふれてみたい。不全心を持つ患者にとって、
この解析が内科的・外科の診断・治療に役立つことを祈っている。
[キーワード]左心室,心筋ファイバー,変形,メカニクス,および 捻転。
- 51 -
Keynote Lecture
4 月 14 日㈯ 14:45 ∼ 15:00
THE APEX
Randolph P. Martin
Emory University Hospital, USA
The apex is defined in American dictionaries as the highest point - the apex of a mountain or hill, or the point of
culmination. The word, apex, is derived from a Latin word, which does mean the summit, and so it can be defined as the
tip of a pyramidal, or rounded structure, like the lung or the heart. It’
s interesting that the apex of the lung is indeed its
tip - it’
s rounded, most superior portion, but the apex of the heart, while likewise being a tip or a point, is essentially the
most inferior portion of the heart.
I consider my friendship with my many Japanese colleagues as an example of an“apex”or culmination of my
professional career. I have learned immensely from you and your colleagues, as you have made many important
contributions to our knowledge. But, importantly, the ability to share friendships with you and to profess my deep
admiration for you, your country, and your people represents why I have chosen the word apex - culmination or a high
point - to be the topic of this talk. I am deeply indebted to you for your friendship and encouragement.
THE APEX OF THE LEFT VENTTRICLE
The apex of the left ventricle was first brought to my attention when, as a first year medical student, we learned in
Physical Diagnosis to pay attention to the“PMI”, or Point of Maximal Impulse. Over the years, I have come to
understand the importance of the function of the left ventricle, as well as to be able to evaluate many of the abnormalities
that can involve the left ventricle or its apex. The purpose of this talk will be to describe some of those and show the
importance that they play in our understanding of cardiovascular physiology.
1. Left Ventricular Aneurysm.
This may be the most common apical left ventricular abnormality and can be asymptomatic or symptomatic. The
classic presentations of a symptomatic left ventricular apical aneurysm are arrhythmias, signs of heart failure, or even
mural thrombi in a patient with prior myocardial infarction. The classic EKG findings are ST-segment elevation and on
Echocardiography or Left Ventricular Angiogram, there is both systolic and diastolic ballooning of the left ventricular
apex. Usually the walls are thin and fibrous, but, by definition, contain all three layers of the myocardium of the left
ventricular apex. Treatment can encompass medical therapies, electrocardiographic therapies, and surgical intervention.
2. Tako-Tsubo.
The world became aware of this syndrome due to its original description by Dote, et al, in 1991. Since then, it has
become a much investigated and much debated syndrome, which may in part be due to myocardial stunting, due to
intense catecholamine stimulation.
3. Left Ventricular Noncompaction.
While being first described in pediatric patients, this has become a recent focus in
adult patients. It can present with stroke, heart failure, ventricular arrhythmias, and even sudden cardiac death,
with nonspecific ST-T-wave changes on the EKG - unlike those ST-T-wave changes that can be seen in both left
ventricular aneurysms and Tako-Tsubo’
s. Diagnoses have been made historically by Left Ventricular Angiograms or
Echocardiography and its current treatment depends on preventing heart failure, thrombus formation, or arrhythmias.
4. Left Ventricular Apical Hypertrophy.
The clinical presentation can be that of a malignant arrhythmia or pulmonary
congestion, but the EKG is characteristic, showing deeply-inverted T-waves in the precordial leads, classic angiographic
and echocardiographic findings, including the“spade shaped”left ventricle, with a thickened hypertrophy LV from
mid-cavitary to apex are often seen. Therapy can consist of medical therapy and possibly ICD.
- 52 -
記念講演
4 月 13 日㈮ 14:15 ∼ 14:30
国際交流:私が米国から学んだこと
吉川 純一
大阪掖済会病院
日本の心エコー図が未だ M モード中心の時代の1974年に、米国へ約3ヶ月行く機会を得ました。その
米国で、真に素晴らしいものを学んだように思います。
心エコー図関係で言えば、心エコー図の記録はすべてソノグラファーが担当していることは、まさに驚きで
した。ソノグラファーは良く勉強し、心エコー図のみならず、心臓病学もしっかりと勉強しておりました。
米国での学会では、すでに断層心エコー図画像が報告され、新しい時代の登場を予期しておりました。いく
つもの大学・施設を訪問しましたが、その時友人になった人々が私のその後を支えてくれました。「心エコー
図は臨床そのものである」という信念に基づき、坂本二哉先生の庇護のもと、1990年に本学会を設立し
ました。この学会を基盤として、多くのドクターやソノグラファーが育っていくのを見るのは、私の最大の
喜びです。人を育てるためには、他の国の人々と接する機会を与えることが重要だと考えています。今回の
講演では、本学会の歴史を振り返り、国際交流の数々をご紹介したいと思います。
- 53 -
シ
シンポジウムⅠⅡ
シンポジウムI
4 月 12 日㈭ 15:50 ∼ 17:45
縦長心エコー図学I:LV torsion, E/A, Tei index
2 D Tissue Tracking 法による胎児左室 torsion 評価の試み
――妊娠経過中の胎児左室 torsion の変化について
安河内 聰
長野県立こども病院循環器科
里見 元義、金子 幸栄、梶村 いちげ、大西 優子、才田 謙
【背景】左室心筋の捻転運動(torsion)が、3 次元的な心筋筋層の配置に伴う心室収縮・拡張機能の重要な指
標として注目されている。【目的】今回われわれは、2 D Tissue tracking(2DTT)法を用いて胎児の左室にお
ける torsion 評価が可能か否か、また妊娠中の torsion の変化が見られるのか検討を試みたので報告する。【対象】
妊娠 24 週から 40 週の胎児。
【装置】日立社製 EUB8500 と 5-2MHz の Convex probe。解析ソフトは日立社製 US
viewr と Excel 上で解析が可能になった torsion 評価プログラム(macro2)を用いた。
【方法】系統的胎児心エコー
法による診断後、胎児心臓の心基部と心尖部の左室短軸断面像を描出。心内膜と心腔の境界が鮮明となるよ
う Tissue harmonic など用いた画像調整後、Tissue tracking 解析に必要な心電図信号を母体心電図を dummy とし
て利用し、2∼4 心拍の胎児心画像を本体ハードデスク上に記録。US viewer を用いて左室内腔の最大拡張時を
拡張末期として、心基部と心尖部で心室中隔に直角方向とそれに直行する左室内腔径を設定し心周期で計測
した。その後付属解析プログラムで torsion を算出した。【結果】胎児左室において torsion の計測が可能であっ
た。最大ねじれ角は 3.03 ± 0.5 度であった。【結語】2DTT 法による胎児左室 torsion 評価は可能で、胎児左室の
torsion は存在すると思われた。
- 57 -
シンポジウムI
4 月 12 日㈭ 15:50 ∼ 17:45
縦長心エコー図学I:LV torsion, E/A, Tei index
健常小児の発達段階における左室捻れ運動の相違について
―2Dストレイン法を用いて―
瀧聞 浄宏
横浜市立大学附属病院小児循環器科
鉾碕 竜範、中野 裕介、志水 直、西澤 崇、岩本 眞理
【目的】左室の捻れ運動は、収縮における重要なコンポーネントの一つとされている。小児領域での検討はわ
ずかでよく知られていない。また、近年開発された 2D ストレイン法は、方向依存性をもたずに局所壁運動を
測定可能な優れた方法であり、心室の捻れ運動の解析にも適している。本研究ではこの方法を用いて、幼児
期までの健常小児をいくつかの発達段階に分けて左室捻れ運動を測定した。
【対象と方法】対象は、健常小児、0日から6歳までの30例。N群(新生児14例:日齡0−6日、平均3.7
±2.
1日)
、SC群(6例:2ヶ月―1歳、平均0.8±0.4歳)
、C群(10例:3−5歳、平均5.2±0.9
歳)の3群に分け検討した。心エコー装置は、Vivid7 Dimension(GE 社製)を使用した。2Dトラッキング
の解析は、
off line で EchoPac Dimension を用いた。心収縮の指標として、二腔と四腔断面から左室駆出率(EF,%)
を modified Simpson 法で求めた。心尖部、心基部レベルの短軸断面の 2D 画像を取り込み、それぞれの短軸断
面のおける時間―回転曲線を描き、その最大角(PAProt & PBSrot, deg)を測定した。このとき心尖部から見
たとき反時計方向を正とした。捻れ運動の指標として、心基部と心尖部における回転角度の差分から心室の
最大捻れ運動(PVT、deg)を求め、さらに、PVTを四腔断面における左室の長さで除した左室の最大捻
れ勾配(PVT / N、deg/cm)を算出した。
【結果】N群、SC群、C群のそれぞれで、EFは 62.9 ± 4.6 vs 64.5 ± 4.5 vs 65.5 ± 4.2% で有意差はなかった。
PAProt は 10.4 ± 2.9 vs 7.5 ± 3.6 vs 5.3 ± 2.4 deg でN群がC群より有意に大きい反時計回転を示した(p<0.01)。
PBSrot は、-2 ± 2.1 vs -5.1 ± 3.0 vs -0.9 ± 2.9 deg でSC群が他の2群より有意に大きい時計回転であった
(p<0.05)
。結果としてPVTは、11.7 ± 2.8 vs 11.5 ± 5.4 vs 5.5 ± 2.5 deg でC群は他の2群より有意に小さい捻
れ運動を示した(p<0.01)。同様にPVT / Nも、3.8 ± 1 vs 3.0 ± 1.6 vs 1.4 ± 0.5 deg/cm でC群は有意に他の2
群より小さい捻れ勾配であった(p<0.05)。
【結語】新生児期は心尖部の反時計回転が大きいために、1歳前後では心基部の時計回転が大きいために、大
きい左室の捻れ運動を示した。5歳前後にはともに回転が少なくなり捻れ運動が減少していった。新生児期
から幼児期の短い間でも左室の捻れ運動は変化していく可能性がある。
- 58 -
シンポジウムI
4 月 12 日㈭ 15:50 ∼ 17:45
縦長心エコー図学I:LV torsion, E/A, Tei index
左室の捻れ、加齢による影響
竹内 正明
多根総合病院循環器科
心臓が長軸方向に対して、収縮期に捻れ、拡張期にその捻れがほどけていることは古くから知られていた。
捻れの存在自体が心機能に大きな影響を与えていることは容易に直感できるが、これを非侵襲的に評価する
方法は限られていたため、捻れの評価は困難であった。しかし近年登場した 2D スペクルトラッキング法は、
心筋内に存在するスペクルを一周期にわたって、追跡することにより、長軸、短軸方向におけるストレイン、
ストレインレート、回転、移動距離を、非侵襲的に評価し得る新たな方法であり、この方法を用いることに
より、二次元断層心エコー図法から比較的簡単に左室の捻れを評価することが可能となった。捻れは心基部、
心尖部の回転の差をその間の距離で除すことにより算出することが出来るが、二次元断層心エコー図法では、
二断面間の距離の情報を正確に評価することが出来ないために、本来の捻れ(torsion)は計算できず、回転
角度の差である twist を評価していることに留意する必要がある。
健常者においても、心エコー図法より求められる心機能の諸指標、特に拡張能を表す指標(E、A、E' etc)は年齢とともに変化することはよく知られている。それでは加齢の影響とともに捻れはどのように変化
するのであろうか。我々が 118 例の健常成人(平均年齢 : 41 才、16-75 才)より求めた結果を示す。
全体としてみた場合、心基部は収縮早期に反時計方向に回転し、その後時計方向に回転する。一方心尖部
は収縮末期に向かい反時計方向に回転し、その後その捻れがほどけていく。心尖部レベルの回転から心基部
レベルの回転を差し引いて算出した捻れ(twist)は、収縮早期にやや時計方向にねじれた後、大きく反時計
方向に捻れ、拡張早期にその捻れが急速にほどける挙動を呈していることが理解できる。一方捻れの程度を、
若年群、中年群、高齢群に分類して図示すると、捻れのピークは、高齢者群において最も大きく、また拡張
早期の捻れのほどけの程度は、高齢者群でもっとも低値を呈した。また収縮早期の時計方向への捻れの程度
は若年者群で最も大きいことも理解できる。捻れは心内膜側の右手を広げた方向に展開する斜走筋と、心外
膜側の左手を広げた方向に展開する斜走筋の相反する力により決定されるが、通常は半径の大きな外膜側の
斜走筋のトルクが内膜側より生じるトルクを凌駕し、捻れが形成される。加齢により、心内膜側の機能が低
下すると、この相反する力が弱まるために、高齢者群では若年者群に比べ、捻れが大きくなるものと考えら
れる。また心筋の興奮は内膜側の方が、外膜側に比べ早いために、収縮早期の捻れは、内膜側の影響をもっ
とも受け、内膜側の機能が良好な若年者群では収縮早期に捻れが時計方向に生ずるものと考えられる。加齢
による捻れの増大は、重心方向への心筋収縮に大きく、寄与していることが想像される。加齢により長軸方
向の収縮能は低下するが、捻れの増大が、重心方向への収縮能を増大させ、結果的に Teichholz 法等に代表さ
れる、重心方向への駆出能を維持、あるいは軽度増加させると考えれば、高齢者において、重心方向でみた
収縮能が保持されている理由が理解しやすい。このように捻れは加齢とともに変化し、収縮、拡張能に大き
な影響を与えているものと推定される。
- 59 -
シンポジウムI
4 月 12 日㈭ 15:50 ∼ 17:45
縦長心エコー図学I:LV torsion, E/A, Tei index
胎児期から小児期における心機能推移の検討:Tei index による評価
石井 正浩
北里大学小児科
木村 純人、
中畑 弥生
【目的】心収縮能と拡張能を総合的に評価できる心機能評価法である Tei index を用いて胎児期から小児期にお
ける総合的心機能の推移を検討した。
【方法】胎児心機能:在胎 18 週から 40 週の心疾患を認めない 50 人の胎
児の左右心室の Tei index を連続的に評価した。新生児心機能:正常新生児 20 例の左右心室の Tei index を出世
直後より 140 時間まで連続的に評価した。小児心機能: 30 生日から 18 歳までの 161 人の心疾患を認めない小
児の左心室 Tei index および 150 人の右心室 Tei index を評価した。【成績】胎児の左心室の Tei index は在胎 33 週
までは、在胎週数に伴い直線的に減少し、34 週からは加速度的に減少した。胎児右心室の Tei index は、在胎
週数が進むにつれ直線的に少しずつ減少した。これは、妊娠週数が進むにつれ右心室優位の胎児循環から左
心室優位の新生児循環への移行を示唆していると考えた。出生直後は左心室、右心室の Tei index は、上昇し
たが、出生後 24 時間でほぼ一定となった。これは、分娩によるストレスが一過性に左右心室機能へ与えた影
響と考えた。小児期においては、左心室の Tei index は 30 生日から 3 歳までは対数的に減少した。3 歳以降は、
左心室の Tei index は , ほとんど変化しなかった(0.33 ± 0.02)。これは、3 歳までに左心室心筋が成熟していく
過程を示唆していると考えた。右心室の Tei index は、年齢による影響はほとんどなく 30 生日から 18 歳まで、
ほぼ一定であった(0.24 ± 0.04)
。
【結論】Tei index は、
胎児から小児期への総合的心機能へ年齢が与える影響を、
定量的に評価することが可能であった。
- 60 -
シンポジウムI
4 月 12 日㈭ 15:50 ∼ 17:45
縦長心エコー図学I:LV torsion, E/A, Tei index
正常小児における左室及び右室流入波形、
肺静脈波形、左室及び右室 Tei index の検討
片山 博視 1
1
2
3
大阪医科大学小児科、 大阪労災病院 小児科、 済生会吹田病院 小児科
奥村 謙一 1、森 保彦 3、尾崎 智康 1、井上 奈緒 1、川村 尚久 2、玉井 浩 1
【目的】左室(右室)流入血流パターンや両心室の Tei Index などの指標は成人においても小児においても広く
使用されているが、その値は年齢により変化することが報告されている . 今回、我々は正常小児の各指標を年
齢別に比較検討した .
【方法】対象は、2005年∼2006年に心エコーを施行した330例のうち、異常所見を認めなかった
137名(新生児:11名、乳児:32名、1 - 6歳:66名、7 - 12歳:15名、13 - 18歳:13例)
である . 検討項目は左室、右室流入血流(E / A、Deceleration time:DT)、肺静脈血流(S / D)、組織ドプ
ラによる左室、右室の Tei Index である .
【結果】表のごとく、左右心室とも E/A は年齢と共に増大し、DTは長くなる傾向にあった . またいずれの年
齢も右室の Tei Index は、左室より高値となる傾向にあった .
【結語】いずれの指標も、小児期においても年齢に伴い変動を認めた . 心拍、血圧など、各指標に影響を与え
る因子は、加齢とともに常に変化する . 小児期、成人期を通してこれらの指標のデータを共有することは重要
なことである .
- 61 -
シンポジウムI
4 月 12 日㈭ 15:50 ∼ 17:45
縦長心エコー図学I:LV torsion, E/A, Tei index
Tei index の年代別評価
鄭 忠和
鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・代謝内科学
吉福 士郎
【背景】Tei index は収縮能と拡張能を連動させて心機能を総合的に評価する指標であり、簡便に測定できて再
現性も高い。しかも心室の形態に左右されずに測定できるので、左室だけでなく右室の評価が可能である。
したがって、臨床現場において胎児から高齢者までを総合的に評価できる指標として幅広く用いられている。
【目的】基礎心疾患の無い正常例において、各年代の Tei index の値にどの程度の有意差がみられるのか未だ十
分な検討はされていない。今学会のテーマである縦長心エコー図学に応えるべく、正常例における年齢と Tei
index の相関を検討し、Tei index の現状における有用性と問題点を総括したい。
【対象】循環器疾患以外の手術の術前の心臓精査、あるいは健診にて当科を受診した方で、左室壁・左室壁運
動および心内腔に異常を認めず、左室駆出率は正常と診断された連続 119 例である。年齢は 20 代が 15 例、30
代が 12 例、40 代 10 例、50 代 34 例、60 代 19 例、70 代 17 例、80 代 12 例である。連続 3 心拍の左室 Tei index お
よび右室 Tei index を計測しその平均値を値とした。
【結果】Tei index は高齢者ではやや増加傾向にあり、左室 Tei index の値は 0.34 ± 0.1(20 ∼ 60 代)vs. 0.42 ± 0.09
(70 ∼ 80 代)
, P < 0.001 で、
右室 Tei index の値は 0.22 ± 0.77(20 ∼ 60 代)vs. 0.30 ± 0.10(70 ∼ 80 代), P < 0.001]
であった。一方、僧帽弁流入血流速度波形(E, A 波)の E/A は 50 代以降でその比は 1.0 以下となり、加齢に伴
う拡張能異常を示唆した。
【結論】高齢になると Tei index は若干増大する傾向にあるが、20 代から 60 代では有意差は認めない。Tei index
は年齢を超えて正常値と異常値を識別できる。
- 62 -
シンポジウムI
4 月 12 日㈭ 15:50 ∼ 17:45
縦長心エコー図学I:LV torsion, E/A, Tei index
正常例の E/A 比:胎児領域
前野 泰樹
久留米大学医学部小児科
廣瀬 彰子、姫野 和家子、須田 憲治、松石 豊次郎
胎児心エコー図は、心臓が形成されて出生までの間の胎児心臓の発達段階における心形態および心機能の情
報を提供してきた。胎児心臓の三尖弁と僧帽弁の流入波形を経時的に観察することで、それぞれ右心室およ
び左心室の拡張能の発達を評価できる。今回在胎中期後半以降の胎児心拡張能の変化を報告する。
対象と方法:在胎 19 週から 38 週(平均 28 週)の胎児 69 例について、記録ビデオより、三尖弁および僧帽弁
の流入波形における E 波と A 波を後方視的に計測し、経時的な変化について評価した。なお、僧帽弁の流入
波形は 69 例全例で E 波 A 波の観察が可能であったが、三尖弁の流入波形は 10 例で一峰性となり計測できな
かったため 59 例について検討した。
結果:右心室、左心室ともに胎児期には拡張能は低く、三尖弁と僧帽弁の流入波形の E/A 比は1未満であっ
たが、在胎週数が経過するにつれて次第に1に近づき拡張能は良くなっていた。もとめられた近似曲線によ
ると、三尖弁と僧帽弁の E/A 比は在胎 20 週ではそれぞれ 0.66 と 0.56 であったものが在胎 36 週ではそれぞれ
0.79 と 0.89 に上昇した。それぞれの流入波形で E 波と A 波の血流速度を経時的変化をみると、三尖弁では E 波
A 波ともに経時的に上昇していたが、E 波の上昇の方が著しいため結果的に E/A 比が上昇していた。これに対
し僧帽弁では E 波は経時的に上昇していたが A 波は一定しており、結果的に E/A 比は経時的に急峻に上昇し
ていた。
結語:胎児期には右心室、左心室ともに経時的に拡張能が上昇し、心室拡張による流入(E 波)が増加する
ことにより循環を維持、出生後の心機能へ発達していることが示された。
- 63 -
シンポジウムI
4 月 12 日㈭ 15:50 ∼ 17:45
縦長心エコー図学I:LV torsion, E/A, Tei index
E/A ratio(小児期)
森 一博
徳島市民病院小児科
【目的】出生に伴い、胎児期の並列循環は、直列循環へと移行する。生理的肺高血圧の消退により右室の後
負荷は軽減し、胎盤循環の途絶により左室後負荷が増大する。 出生後、心筋細胞内の Ca 制御機構は発達し、
titin をはじめとするサルコメア蛋白の isoform も変化する。これらの変化に伴い、左室・右室の拡張期血流パ
ターンは変化すると推察される。
【対象】生後7日以内の新生児 265 名(新生児群)、生後1か月から 22 歳までの小児 169 名(小児群)の合計
434 名で、三尖弁および僧帽弁血流の急速流入波 (E), 心房収縮波 (A), 両者の比 E/A を検討した。
【結果】(1) 僧帽弁血流 : E 波は生後 24 時間以内では 56 ± 10cm/sec で、それ以後の新生児に比して有意に高値
であった(52 ± 10cm/sec, p<0.001)
。一方、A 波は新生児期には変化を認めなかった(49 ± 8cm/sec)。乳児期
以降 E 波は次第に増大し 98 ± 16cm/sec となり、11 歳以降若干減高した。A 波は乳児期以降に E 波と同様に増
高した後、年長児で年齢と共に低下した(r =-0.59, 小児群平均 47 ± 17cm/sec)
。両群の対比では、A 波に比し
て E 波の年齢による増高が大であった。そのため、E/A は新生児期に 1.1 ± 0.3 であったが、年齢と共に増加し
(r =0.49)
、小児群では 2.4 ± 0.9 に増加した。
(2) 三尖弁血流 : 新生児期には , E 38 ± 7cm/sec, A 49 ± 8 cm/sec, E/A 1.7 ± 0.7 で日齢による有意な変化はなかっ
た。その後 E は乳児期に増高した後は、ほぼ一定となった(55 ± 12 cm/sec)。一方、A 波は1歳以降に年齢と
共に低下し
(r =-0.53)、
小児期は新生児期より低値であった(37 ± 15 cm/sec)
。三尖弁 E/A は新生児期 0.79 ± 0.15
であり、その後は年齢と共に増加し(r =0.59)
、小児群は 1.7 ± 0.7 であった。
(3) 三尖弁血流と僧帽弁血流の対比:新生児期に E 波は左室>右室であったが、A には有意差がなく、E/A は左
室>右室であった。一方、小児群では E 波 , A 波とも左室>右室で、E/A も左室>右室であった。小児群の E/A は、
右室・左室とも新生児群に比して小児群で 2.1 倍に増大した。
【考察】全年齢を通じて E, A 波とも最高流速は左室>右室であり、三尖弁輪面積<僧帽弁輪面積を反映してい
る。乳児期から幼時期早期には両心室の E, A はいずれも増加するが、これは体格の増大による stroke volume
の増加を反映していると推定される。一方、
左室・右室とも E/A は新生児期以降増大し 10 歳でほぼ一定となり、
成長に伴う両心室の拡張能の成熟が示唆された。E/A はいずれの年齢においても左室>右室であり、小児期
には右室よりも左室で拡張能が良好であることが示唆された。
- 64 -
シンポジウムI
4 月 12 日㈭ 15:50 ∼ 17:45
縦長心エコー図学I:LV torsion, E/A, Tei index
左室および右室流入血流速波形の E/A と年齢の関係―成人において
山本 一博
大阪大学臨床医工学融合研究教育センター/大学院医学系研究科循環器内科
小林 裕美子 1、田尾 美智恵 1、坂田 泰史 2、竹田 泰治 2、真野 敏昭 2
1
大阪大学医学部附属病院超音波センター、2 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科
心室に求められる仕事は、左心室であれば大動脈に、右心室であれば肺動脈に血液を駆出することである。
このため、心室機能の評価において駆出に関連する指標に注目が集まりがちである。しかし、心室は心房か
ら受け取った血液量しか駆出することはできず、心房から心室への血液の流入を規定する心室側の主因子が
拡張機能であることから理解できるように、拡張機能は収縮機能と同様に重要な心機能である。パルスドプ
ラ法で記録する心房から心室への流入血流速波形は心室の拡張機能を評価するうえで広く用いられている。
しかしながら、心室への流入動態を表す簡便な指標として広く用いられている E/A は、年齢に影響を受ける
ことが広く知られている。このたび我々は、成人健常者 105 例を対象に、左室および右室流入血流速波形に
加齢がどのように影響を与えるか検討した。左室 E/A および右室 E/A ともに年齢と有意な負の相関を認めた
(左室 E/A r =−0.69、右室 E/A r =−0.42、いずれも p < 0.01)。左室流入血流速波形では E と年齢の相関は r =
−0.42(p < 0.01)、A と年齢の相関は r = 0.69(p < 0.01)と、A の加齢に伴う増高がより E/A と年齢の相関に
強い影響を与えていた。一方、右室流入血流速波形では E と年齢の相関は r =−0.46(p < 0.01)と有意であっ
たが、A と年齢に相関を認めず(r = 0.16)
、E の加齢に伴う減高が E/A と年齢の相関に影響を与えていた。こ
のような年齢と右室および左室の流入血流速波形指標との関係は、男女で同様であった。以上より、左室お
よび右室のいずれにおいても流入血流速波形の E/A は加齢とともに低下するが、その機序は右室と左室で異
なると考えられる。
加齢に伴う E/A の変化の機序はいまだ明らかではないが、加齢による影響を考慮しても E/A の記録は病態
把握に有益な情報を与える。異常値には低値と高値のいずれの場合もあり、また E/A の絶対値ではなく、そ
の呼吸性変動が診断に有用な情報を提供する場合もある。ただし、いわゆる“偽正常化”という現象も起き
るため、臨床現場での E/A の評価には注意を要する。本シンポジウムでは、左室および右室流入血流速波形
の E/A の加齢に伴う変化を機軸とし、異常値を示す症例を提示しながら、E/A の有用性と限界を考えていきた
い。
- 65 -
シンポジウムⅡ
4 月 13 日㈮ 15:50 ∼ 17:20
縦長心エコー図学Ⅱ:成人先天性心疾患「私の困った症例」
左室−右房交通症の一例
谷本 京美
東京女子医科大学循環器内科
石塚 尚子、大森 久子、古堅 あずさ、保坂 元子、郡司 一恵、高木 厚、新井 光太郎、笠貫 宏
現在先天性心疾患患者が外科的手術をうけて成人に達する例も多く認められる。成人域にみられる症例は①
非手術例②姑息的手術後例③根治術後例と大きく三つに分けて考えることが出来る。妊娠出産や不整脈発作
での受診を機に評価を依頼される場合もあり、判断処置に困った症例の心エコー所見診断について述べてみ
たい。
【症例】31 歳女性【主訴】労作時息切れ【既往歴】27 歳;妊娠中絶、28 歳;自然流産
【家族歴】特記すべきことなし【現病歴】生後 3 ヶ月時に心雑音を指摘される。20 歳頃まで近医にて経過観察
されていた。29 歳時 3 回目の妊娠の際、20 週頃から労作時の息切れが出現するようになり 24 週に近医にて心
エコー検査を受け VSD と RVSP;60mmHg の肺高血圧症と診断された。妊娠継続、出産の可否について second
opinion を求め、当院を受診した。当院で行った経胸壁心エコーで右房内に高速血流(4.0m/s)が認められた。
妊娠中のため、非透視下に右心カテーテル検査を施行した。肺動脈圧は正常であったため妊娠は継続しその
後無事出産した。約1年後第2子希望があり、確定診断目的で経食道心エコー検査を施行した。右房内に描
出される血流は約 4.0m/s と 2.0m/s の2種類の速度が記録され、左室 - 右房交通症と診断した。本例は type-d に
相当すると考えられた。【考察】右房内に高速血流が観察される場合、Tr 血流と即断せずに、右室流出路の
VSD 短絡血流を検索し、それが捉えられない場合は左室−右房交通症を考慮にいれ、Tr の血流速度を正確に
記録することが重要と考えられた。
- 66 -
シンポジウムⅡ
4 月 13 日㈮ 15:50 ∼ 17:20
縦長心エコー図学Ⅱ:成人先天性心疾患「私の困った症例」
成人先天性心疾患『私の困った症例』
幸山 佳津美
国立循環器病センター生理機能検査部
増田 喜一
成人における先天性心疾患で困ったことといえば、何だろう。画像が描出しにくく診断に困ることはあるが、
先天性心疾患の知識や経験があれば、それほど、診断に困ることは少ない。Eisenmenger 症候群では短絡血流
の有無、方向性の確認が困難となる症例もなかには存在するが装置条件を設定すればその確認は可能となる。
ではあるが、非典型的な先天性心疾患ではやはりその診断に苦慮することがある。
今回は非典型的であったためにその診断が困難であった症例を呈示してみたいと思う。
症例)当時 22 歳の女性。
主訴:動悸、失神
現病歴:10 歳ごろから走ると 10 分から 15 分の動悸があった。17、18 歳頃から動悸の頻度が 4 − 5/ 年に増加。
この内失神は 3 回出現していた。検診にて心エコー図上三心房心を疑われていたが放置。当センター受診前
には風邪による咳嗽後いつもの動悸を自覚。嘔気がして 1 分ほどで意識消失をした。5 − 10 分で気がついたが、
まだ動悸が持続するため息こらえで動悸を止めた。その後当センターを受診され、精査目的で入院となった。
入院後経過:心電図は洞調律、心室内伝導異常なし。入院後は不整脈発作も一度もなかった。トレッドミル
検査でも不整脈は誘発されなかった。
心エコー検査:三尖弁と下大静脈の間に巨大右心耳のような腔の存在が認められた。
CT検査:三尖弁を介して右房と交通する部屋が 2 つ存在し、1 つは本来の右室でもう 1 つは三尖弁後尖側へ
落ち込んだ盲端状になっていることが認められた。
右房造影検査:右房憩室と考えられた。
電気生理学的検査:盲端状腔は右房圧が認められるにもかかわらず右室電位が測定された。ゆえにこの腔は
右房化右室であり、Ebstein 奇形であると診断された。カテ刺激にて発作性上室性頻拍が誘発され、検査の結
果 AVRT と診断された。5 回のアブレーションにて離断に成功した。
再度心エコー検査:三尖弁は前尖、中隔尖の付着部異常は認めず。後尖は認めることができず。
三尖弁逆流は軽度。下大静脈と三尖弁との間に腔あり(これが右房化右室か)。
再度CT検査:右室はやや拡大し、三尖弁中隔尖、後尖が癒合している。心房化心室は盲端状になっている。
右房の拡大はあまり目立たず、三尖弁逆流はあっても軽度であろう。ゆえに非典型的な Ebstein 奇形か。
という、症例である。診断としては Ebstein 奇形、concealed WPW、発作性上室性頻拍であったが、非典型的
な形態であったために電気生理学的検査ではじめて診断がついた症例である。その困難性をもう一度検証し
てみたい。
- 67 -
シンポジウムⅡ
4 月 13 日㈮ 15:50 ∼ 17:20
縦長心エコー図学Ⅱ:成人先天性心疾患「私の困った症例」
心エコーにて妊娠期に初めて診断された無症状の
Eisenmenger 化した動脈管開存症の一例
小板橋 俊美
北里大学循環器内科学
猪又 孝元、佐藤 伸洋、鎌田 浩稔、水谷 知泰、加藤 伸太朗、和泉 徹
症例は 24 歳中国出身女性。幼少期に心雑音を指摘されたが無症状であった。20 歳時に中国で心エコー検査に
て心拡大を認めたが原因不明のままであった。24 歳時、初回妊娠管理中に心電図異常を指摘され、妊娠 19 週
で当科に紹介となった。身体所見上 2 音亢進と拡張期雑音を聴取し、下肢にのみチアノーゼとばち状指を認
めた。動脈血ガス分析では上肢、下肢の酸素分圧がそれぞれ 75 Torr 、47 Torr であった。心エコー図で右室右
房拡大、心室中隔偏平化、左室圧排、推定肺動脈圧 80mmHg と重症肺高血圧所見を認めたが、心内シャント
を認めなかった。胸骨上窩アプローチで大動脈弓遠位部でのモザイク血流を認め、胸部造影 CT にて大動脈 肺動脈間の交通像がみられた。動脈管開存による Eisenmenger 症候群と診断し、妊娠 20 週で中絶を行なった。
Eisenmenger 症候群はほとんどが症候性である。また、妊娠出産のリスクが高く、本来妊娠を避けるべき病態
である。しかし本症例は無症状であり、原因不明の重症肺高血圧症として妊娠期を迎えた。妊娠中は施行可
能な検査に制限があるが、非侵襲的な心エコー検査が診断および病態把握に有用であった。また、動脈管開
存による Eisenmenger 症候群は心エコー検査においても診断が困難で時に原発性肺高血圧症と誤診を受けるこ
とがある。今回は胸骨上窩のアプローチが診断に有用であった。原因不明の無症候性重症肺高血圧症で妊娠
期に心エコーにより診断に至った Eisenmenger 化した動脈管開存の一例を経験したので報告する。
- 68 -
シンポジウムⅡ
4 月 13 日㈮ 15:50 ∼ 17:20
縦長心エコー図学Ⅱ:成人先天性心疾患「私の困った症例」
左房と交通を有する部分肺静脈還流異常症において、
左右短絡により右心不全を来たした一例
佐久間 信子 1
1
2
福島県立医科大学附属病院検査部、 福島県立医科大学第一内科
高野 真澄 2、二瓶 陽子 1、堀越 裕子 1、国井 浩行 2、大杉 拓 2、
山口 修 2、及川 雅啓 2、小林 淳 2、大竹 秀樹 2、上北 洋徳 2、
佐藤 崇匡 2、鈴木 均 2、矢尾板 裕幸 2、丸山 幸夫 2
【症例】70 才女性【主訴】顔面・下腿浮腫【現病歴】2003 年 5 月頃より労作時息切れが出現していた。2006
年 4 月初旬より顔面・下腿浮腫が出現し、4 月 7 日当科受診。心エコーにて右心負荷を認め、同年 4 月 14 日精
査加療目的に入院となる。
【入院後経過】胸部 X-P 上 CTR 60% で軽度肺うっ血を認めた。心電図は心房細動で、
不完全右脚ブロックであった。肺血流シンチでは明らかな血流欠損を認めず、肺血栓塞栓症は否定的であっ
た。心エコー検査では、右心系は拡大しており、推定右室圧 45mmHg と上昇していたが、血栓および短絡血
流を認めなかった。胸部造影 CT にて左上肺静脈は垂直静脈と交通し、その後左房につながり、さらに垂直静
脈は無名静脈を介して上大静脈に結合していたことより、部分肺静脈還流異常症と診断された。経食道心エ
コー検査にて左房から左上肺静脈へ流出する連続性血流が認められ、左房から左上肺静脈 - 垂直静脈 - 無名静
脈を介して右房へ流入する、左右短絡が存在していると考えられた。心房中隔欠損症の合併は認めなかった。
心臓カテ−テル検査にて同様の所見が確認され、左室拡張末期圧 13mmHg、Qp/Qs 2.4 であり、手術適応と考
えられた。【考案】高齢にて発見された部分肺静脈灌流異常症において、加齢に伴い右心不全症状が出現した
稀な症例を経験した。本症例は、加齢に伴う左心系コンプライアンスの低下が左房圧を上昇させ、左房から
垂直静脈へ流出する連続性左右短絡が増加し、右心不全を引き起こしたという機序が考えられた。
- 69 -
パネルディスカッション
4 月 14 日㈯ 8:40 ∼ 10:30
心エコー図:私の失敗例
完全房室ブロックにより発見された心奇形の 1 例
林 英宰
河内総合病院循環器科
【患者】72 歳、女性
【現病歴】
数年来、高血圧、高脂血症で近医に通院中であった。数年前から労作時に息切れが出現するようになった。
平成 11 年 11 月 16 日、白内障手術のため当院眼科を受診し、術前検査で完全房室ブロックを指摘された。同日、
精査加療のため循環器科に紹介となった。
【身体所見】
身長 147cm、体重 41kg。心拍数 48/ 分 整、血圧 150/90 mmHg。胸骨左縁第 3 肋間から心尖部に収縮期逆流
性雑音(IV/VI)を認めた。 呼吸音 清、肝腫大なし、下腿浮腫なし。神経学的所見は正常であった。
【検査成績】
血液検査では血清クレアチニン値が 2.0 mg/dl と軽度上昇していた以外、異常所見はなかった。胸部レン
トゲン写真では、肺うっ血はなかったが、左 3 弓が突出し、CTR = 63 % と、心拡大を認めた。心電図では、
HR 45 bpm(P 波 100 bpm)の完全房室ブロックを認めた。
まずソノグラファーが経胸壁から心エコー図検査を行った。左室径は拡張末期 40 mm、収縮末期 24 mm と
正常範囲であったが、中隔が 14 mm、左室自由壁が 17 mm と心筋の肥厚を認めた。ドプラ上 3 度の僧房弁閉
鎖不全(圧較差 133mmHg)と 2 度の三尖弁閉鎖不全(圧較差 78mmHg)を認めた。ドプラによる圧較差が
100 mmHg と著明な肺動脈狭窄を認めた。心房・心室とも中隔欠損はなかった。ただし、僧房弁が三尖弁よ
りも心尖側に付着していて、おかしいとの報告がドクターにあった。
次に経食道心エコー図を行った。通常のオリエンテーションと違う画像が描出され、また肺動脈起始部に
腫瘤が認められた。左右心室の観察により、動脈側心室は壁肥厚、肉柱が粗く、また静脈側心室は肉注が細
かかった。大動脈は肺動脈の前方を走行していた。
冠動脈造影検査では有意冠狭窄はなかったが、左右逆転の形成異常があり、左冠動脈は右前方より起始し、
右冠動脈は左後方より起始していた。
【治療経過】
血管拡張剤と利尿剤を投与し、完全房室ブロックに対しは、ぺースメーカ植込み術(DDD タイプ)で心房
同期心室ペーシングを施行した。ペースメーカの植え込み後は労作時の息切れとふらつきは改善した。心機
能と年齢を考慮し、弁置換・弁修復術は施行しなかった。眼科手術も問題なく施行しえた。ペースメーカの
植え込みと薬物治療により症状が改善し、心機能も維持され、平成 12 年 3 月 24 日退院した。
- 73 -
パネルディスカッション
4 月 14 日㈯ 8:40 ∼ 10:30
心エコー図:私の失敗例
心エコー図の失敗例
岩倉 克臣
桜橋渡辺病院循環器内科
循環器救急医療の現場において心エコーの果たす割合は非常に大きく、心電図、胸部エックス線と並んで
初期診断の必須ツールである。しかしながら、救急の場面であるからこそ、しばしば診断に困難な場面に遭
遇し診断に誤る事も稀ではない。
胸痛を訴える症例に対するエコーでまず問題となるのは「急性心筋梗塞か否か」の問題である。胸痛が持
続しており心電図上 ST 上昇がある典型的な急心筋梗塞症例では心エコーが無いと確定診断ができないような
症例は少ない。しかし ST 変化が明らかでない、あるいは ST 低下のみを示すような非 ST 型心筋梗塞ではしば
しば心エコーにおける局所的な壁運動異常の有無が診断の決め手となる事も少なくない。しかし局所壁運動
異常がある症例が全て急性心筋梗塞というわけではなく、他の心疾患による壁運動異常を急性心筋梗塞と誤
認識することも稀ではない。例えば心筋炎でも壁運動異常が局所的に留まることは決して少なくないし、タ
コツボ心筋症も症状・心電図も心筋梗塞でありしばしば鑑別に苦しむ。心筋炎・心筋症の壁運動異常と心筋
梗塞の壁運動を区別する上では左室各領域における冠動脈支配を理解することは大切である。心エコー上で
の壁運動異常が冠動脈支配に一致しない場合や冠血流動態についての理屈に合わないような場合は心筋疾患
の可能性も考えることが大切である。本パネルディスカッションでは診断に苦労した症例を冠動脈血流支配
の解剖学的関係との関係から検討してみたい。ただタコツボ心筋症の場合、どうしても前壁梗塞との鑑別が
困難である上に、左室造影で見られる特徴的な心尖部の拡大 bulging も心エコー図ではしばしば心尖部の壁運
動描出が困難なため、解剖学的知識だけでは鑑別出来ないことも少なくない。
さらに急性期の症例では疼痛のためしばしば頻脈・頻呼吸状態にある。心不全を伴っている症例では臥床
すら困難な場合もある。このような症例では不適切なエコー像しか得られないことが多く、先入観とあいまっ
て不適正な壁運動評価を下すことも実際の臨床では大きな問題である。解離性大動脈瘤の症例に心エコーか
ら急性心筋梗塞の診断を下してしまうことすら珍しくないのが現実である。このような失敗を避ける為には
不利な状況でも壁運動を出来るだけ正確に描出できるような工夫が大切である。これらの工夫についても検
討してみたい。
- 74 -
パネルディスカッション
4 月 14 日㈯ 8:40 ∼ 10:30
心エコー図:私の失敗例
心内・心外腫瘤の一例
高元 俊彦
草加市立病院循環器内科
症 例:41歳、男性、
主 訴:息切れ、易疲労感
現 病 歴:空調設備のエンジニアであるが、工場内で動き回ると息切れがするようになった。
身体所見:浮腫(−)、肝腫大(−)、心音正常、心雑音なし
検査所見:胸部X線:心拡大(−)、心電図:洞調律、
血液一般、生化学検査で異常所見を認めない。
結 語:偶然に心エコー図で検出された腫瘤性病変は、1)自覚症状との関連性、2)組織診断(血栓あ
るいは腫瘍などとの鑑別)が議論となる。さらに治療計画として、放置観察できるものか、ある
いは外科的切除が適切なのかで迷う。この症例ではとくに腫瘤の存在が内腔にあるのか、それと
も心房壁にあるのか診断に苦慮した症例であったが悪性腫瘍も考慮に入れ外科的適応とした。
心エコー図 - 75 -
胸部 CT
パネルディスカッション
4 月 14 日㈯ 8:40 ∼ 10:30
心エコー図:私の失敗例
心エコー図所見から無症候性の発作性心房細動が発見された 1 例
山田 聡
北海道大学大学院循環病態内科学
目に見えないもの,耳に聞こえないものの存在を確信するのは容易ではない.心エコー図では心臓の形態
と機能を評価することができる.形態は当然目に見えるものであるが,機能には,
「動き」として目に見える
機能と目には見えない機能とがある.目に見えるものの評価は簡単だが,目に見えない機能の評価は難しい.
血流や心筋の速度情報から圧を推定するなどして,この見えない機能を推し測る.たとえば,左室拡張機能
が悪化して充満圧が上昇しているか否かを評価するのに,僧帽弁血流と弁輪の速度を利用する.ひとつの指
標だけでは不安なので,ほかの指標もみて保証を得たいと思うことがある.それよりも多くの場合,左室肥
大など充満圧上昇の原因となる所見を目で見える形で見出して,合点が行く.また,充満圧の上昇が慢性的
に続くと左房が拡大するので,そうした目に見える間接所見をいくつか探して確信を深めて行く.このように,
目に見えないものの評価は,あらゆる所見と知識を動員して総合的に行われているように思う.
症例は,高血圧で外来通院中の 70 歳女性.労作時の息切れと下腿の浮腫が出現するようになり入院した.
左室径と収縮は正常であり,左室壁厚も 10 mm と正常であった.左房径は 48 mm と軽度拡大を認めた.左室
流入血流速波形の E/A は 2.5 と高値であった.左室充満圧上昇を鑑別するために他の指標も参考にしたが,総
合的には正常と判定された.心房細動発作後の A 波の一過性減高により E/A が高値となる場合がある.そこ
で心電図モニターを施行したところ,無症候性の発作性心房細動が初めて検出された.心房細動に対する薬
物治療と利尿薬により症状は消失した.退院時サマリーには「心エコー図所見より発作性心房細動が発見さ
れた 1 例」と記された.
ところが退院から数ヵ月後,洞調律が維持されていたにもかかわらず,再び労作時息切れと下腿浮腫が出
現し,体重増加を認めた.再入院時の心エコーでは,左室駆出率 52% の瀰漫性の軽度収縮低下が認められ,
E/A は 3.8 と著明に増大していた.いったい何が起こったのだろう?
- 76 -
パネルディスカッション
4 月 14 日㈯ 8:40 ∼ 10:30
心エコー図:私の失敗例
末梢肺動脈圧が主肺動脈圧より高い? 心房中隔欠損
森 一博
徳島市民病院小児科
[症例]
7歳 体重 20Kg
生下時来心雑音を指摘され、心房中隔欠損(2 次孔型)として当院外来フォロー中であった。レントゲンで
は CTR = 55%, 肺うっ血を認めた。心エコー図では右室容量負荷を認め、欠損孔の直径は 23mm であった。心
臓カテーテル検査を施行したところ、肺体血流量比= 3.1, 右室圧 43/EDP 5 mmHg であった。手術の適応と
考えられ心臓血管外科に呈示したが、以下の点が問題となった。
[診断上の問題点]
右肺動脈および主肺動脈圧 21/10, 右室圧 43/EDP 5 であったが、左肺動脈圧は 38/13 mmHg であった。つまり、
引抜き圧曲線(図上段)で、左肺動脈は主肺動脈よりも 17mm H g 高かった。また、入院時の左右肺動脈ド
プラ波形は全く異なり、左肺動脈では拡張早期に 80cm/sec の逆流波を認めた(図下段 矢印)。外科からは「カ
テーテルが不良品だったのでは?どうして、圧が高い末梢へ血液が流れるの?」
「左肺静脈の狭窄があるので
は?」
「左肺動脈に大動脈から側副血行が入っているのでは?」などの質問が相次ぎ、それらに答えるため
Millar のカテーテルを用いて再度検査を行うことになった。
[この症例から学ぶ事]
この奇妙な圧波形と、肺動脈ドプラ所見をどう解釈するか?
- 77 -
ビジュアル症例検討会
4 月 14 日㈯ 15:00∼17:00
脳梗塞発症を契機に発見された 3D 心エコーが有用であった
12 歳女性の左房粘液腫の一例
青木 晋爾 1
1
旭川赤十字病院検査部 、旭川赤十字病院循環器科 2
國分 真琴 1、星 詠子 1、佐藤 賢哉 1、近藤 えり子 1、
片山 晴美 1、都郷 憲之 1、吉岡 拓司 2、野澤 幸永 2、
土井 敦 2、西宮 孝敏 2
症例は 12 歳女性。生来著患を認めず家族歴も明らかではない。嘔吐・右上肢脱力・視野欠損を認め近医小児
科受診。症状出現 2 日後に症状増悪認め当院脳神経外科を紹介受診。MRI/MRA にて多発性脳梗塞と診断され
同日入院。さらに脳血管造影を施行され多発性塞栓症が疑われた。ヘパリン、オザグレルナトリウムの持続
静注開始し徐々に症状は軽減。入院第 3 病日に心原性塞栓症精査目的に循環器科紹介受診。同日施行した心
エコーにて左房内巨大腫瘍を認めた。リアルタイム 3D 心エコー所見より左房中隔基部から付着発生する表面
不整な可動性腫瘍形状を確認。左房内腫瘍に起因する塞栓症と診断し、心臓血管外科へ紹介。同科にて造影
CT 施行され、同第 5 病日に左房内腫瘍摘出術を施行。病理所見上、左房粘液種と診断された。術後の経過は
良好で軽度視野欠損を認めるが、現在元気に通学されている。また半年後に施行したリアルタイム 3D 心エコー
にて明らかな腫瘍確認されておらず、頭部における再発、神経学的所見の出現も認めていない。左房粘液種
は女性に多く報告されるが、12 歳という若年症例は比較的稀と思われる。当初の診断に時間を要したが、各
科の連携は比較的良好で、診断以降は比較的早期に手術治療を施行し得た症例と思われた。しかし、各科検
査における造影剤使用、放射線被爆は本症例にとって多大であったと思われた。他疾患との鑑別、術式決定
などのため必要な検査と思われたが、検査法については検討する必要性があると思われる。術前の 3D 画像診
断は形状・病態把握及び術後の経過観察にも十分有用であると思われ、特にリアルタイム心エコーは短時間
で施行可能であり、また身体的侵襲も認めず有用と思われた。
- 81 -
ビジュアル症例検討会
4 月 14 日㈯ 15:00∼17:00
心嚢液のドレナージ後、その存在が明らかとなった左室流出路起源
の乳頭状線維弾性腫の 1 例
越前谷 美和 1
1
手稲渓仁会病院臨床検査部 、手稲渓仁会病院心臓血管センター循環器内科 2、
手稲渓仁会病院心臓血管センター心臓血管外科 3
山口 翔子 1、中島 朋宏 1、高橋 亜樹 1、工藤 朋子 1、石川 嗣峰 1、
林 健太郎 2、塙 なぎさ 2、村上 弘則 2、岡本 史之 3
<症例> 76 歳、女性。高血圧と心嚢液貯留にて当院循環器内科外来に通院していた。2006 年 3 月、呼吸苦、
下腿浮腫が出現したため同科に入院となる。経胸壁心エコー図(TTE)で中等量以上の心嚢液貯留、心臓の
振り子様運動、右心系の collapse を認めたため心タンポナーデと診断。心嚢液ドレナージを施行し、900ml の
心嚢液が排出された。心嚢液の性状は淡血性で漏出性。病理検査で悪性所見を認めなかった。心嚢液排液後
の TTE で心嚢液の減少、振り子様運動と右心系 collapse の消失を確認すると同時に、心室中隔左室流出路側に
発生した可動性塊状エコー(7x7mm)が初めて明らかとなった。心嚢液ドレナージ前に施行した TTE の VTR
を見直したところ、この塊状エコーは心室性期外収縮後、RR 間隔が延長した時にのみ僅かに捉えられていた
が、検査時は全く気付かなかった。左室流出路起源の可動性腫瘍のため塞栓症発生の危険性が高いと考え、
腫瘍摘出術と、合併する冠動脈狭窄病変に対する冠動脈バイパス術を併せて施行した。術中、腫瘍は手で触
れると簡単に落下した。腫瘍は病理組織検査にて心室中隔左室流出路由来の乳頭状線維弾性腫と診断された。
<結語>心嚢液貯留により心臓全体が振り子様運動していたことに加え、腫瘍そのものが高速に動いていた
ため、入院直後の TTE 施行時にその存在を認識できなかった。TTE では、たとえエコーの描出が良好であっ
ても、それぞれの描出断面を高速で横切るエコーを見落す可能性がありうることを示した貴重な症例であっ
た。また、心室中隔に発生する乳頭状線維弾性腫は稀でありこの意味でも貴重な症例と考え報告した
- 82 -
ビジュアル症例検討会
4 月 14 日㈯ 15:00∼17:00
経食道心エコーガイド下にて心筋生検を施行し診断し得た
血管肉腫の一例
橋本 光人 1
1
大阪労災病院循環器科 、大阪労災病院生理機能検査部心臓超音波室 2
西野 雅巳 1、山上 喜由 1、松岡 研 1、加藤 弘康 1、江神 康之 1、習田 龍 1、
山口 仁史 1、田中 健二郎 1、田内 潤 1、山田 義夫 1、藤田 晋一 2
症例は 44 歳女性。2006 年 10 月 19 日より胸部不快感が出現。翌 20 日、テニスのウォーミングアップ中に胸部
不快感・冷汗・呼吸困難感が出現したため近医受診したところ、心エコー上心嚢液貯留を認め、ドパミン投
与下に当院へ救急搬送された。胸部 CT では、右房内に経 5cm 程度の腫瘍を認めた。CCU 入院管理とし、心
嚢ドレナージを施行したところ、来院時 100mmHg 以下であった収縮期血圧は 130mmHg 以上に回復した。同
日施行した経食道心エコー(TEE)上、腫瘍は心房中隔より発生し、右房内 2/3 を占拠しており、表面は房状
で、可動性は認めなかった。10 月 23 日、冠動脈造影・右房造影・カテーテルによる腫瘍生検を試みたが血栓
が採取されたのみであった。10 月 25 日、再度 TEE ガイド下にカテーテルによる腫瘍生検を施行したが、前回
と同様に血栓が採取されたのみであった。このため、10 月 30 日、当院心臓血管外科にて心膜開窓術ならびに
開胸下 TEE ガイド下腫瘍生検術を施行した。右房にタバコ縫合をかけた上で、生検用キットを右房内に挿入
し、エコーガイド下に上大静脈方向へ進め、腫瘍組織を採取した。病理組織所見上、結合織・脂肪織・筋組
織と共に、壊死を伴う極めて核異型の強い腫瘍を認め、血管肉腫と診断された。本人告知の上、放射線化学
療法による姑息的治療を行う方針となり、11 月 11 日他院へ転院となった。開胸下生検においても TEE ガイド
が有用で、示唆に富む症例であったので報告する。
- 83 -
ビジュアル症例検討会
4 月 14 日㈯ 15:00∼17:00
重複僧帽弁口の 9 歳男児の自然経過
豊田 直樹
倉敷中央病院小児科
大野 智子、西 恵理子、原 茂登、脇 研自、新垣 義夫、馬場 清
重複僧帽弁口(DOMV)は、まれな先天性の僧帽弁奇形であり、房室中隔欠損(AVSD)など他の先天性心
疾患に合併することが多い。DOMV 単独の例は少なく、多くは僧帽弁狭窄症(MS)あるいは僧帽弁閉鎖不
全症(MR)で発見される。今回、8年間の自然経過を追跡できている無症状の DOMV 単独例の心エコ−図
所見について報告する。症例は9歳の男児で、1 歳半健診で心雑音を指摘された。心エコー検査で重複僧帽
弁口と診断された。他の合併心奇形はなかった。Cascos 分類で central type、Elfenbein 分類で bridge type に属す
る。内側の大きな僧帽弁口からごく軽度の逆流所見を認めた。左室流入血流波形のE/A比は 1.7 でMSパター
ンはみられなかった。若干の文献的考察を含めて報告する。
- 84 -
ビジュアル症例検討会
4 月 14 日㈯ 15:00∼17:00
左室流出路狭窄を呈した僧房弁副組織の一例
丹羽 裕子
杉村記念病院循環器科
梁井 恵子、渡邉 真紀
【症例】57 歳男性。2 年前より軽度の労作時息切れを自覚していた。近医にて心雑音と心電図異常を指摘され
て当院に紹介受診となった。胸部レントゲン写真では心陰影の拡大を認めなかったが、心電図では左室の圧
負荷を示唆する strain pattern の ST-T 変化を認めた。心エコー図上、左室の壁運動は Hyperkinetic であり、僧房
弁前尖に付着する構造物が収縮期に左室流出路に突出するのを認めた。同部位での駆出血流速は 5.1 m/sec
(最
大圧格差 104 mmHg)であり、重度の左室流出路狭窄所見を認めた。外来にてβ遮断剤(bisoprolol 5 mg/day)
を投与された後、精査目的にて入院となった。入院後、Bisoprolol 投与下での心臓カテーテル検査では、左心
室より大動脈への引き抜き圧格差は約 40 mmHg であった。心エコー図でも左室流出路での駆出血流速は、2.46
m/s(最大圧格差 24.2 mmHg)であった。トレッドミル運動負荷後の左室流出路の駆出血流速度は、5 m/s(最
大圧格差 100 mmHg)と運動負荷により左室の壁運動が Hyperkinetic になるに伴って、左室流出路狭窄は重度
となった。【考察】僧房弁副組織は、左室流出路狭窄の原因となりうる稀な疾患とされている。心エコー図法
によって、僧房弁副組織によると考えられる左室流出路狭窄を診断し、治療や血行動態の変化に伴う狭窄の
重症度変化を評価可能であったため報告する。
- 85 -
ビジュアル症例検討会
4 月 14 日㈯ 15:00∼17:00
巨大血栓形成をきたした左室緻密化障害の一例
四方 典裕 1
1
京都民医連第二中央病院内科 、大阪市立大学大学院医学研究科循環器病態内科学 2
佐々木 隆史 1、室生 卓 2
症例は 53 歳、女性。主訴は呼吸困難感。既往歴は 30 歳時に心房中隔欠損症、左室収縮能低下、発作性心房細
動を指摘される。47 歳時に洞不全症候群を指摘され、翌年永久ペースメーカー植え込み。現病歴は入院 1 ヶ
月前から夜間呼吸困難感がみられるようになった。このため通院先の近医へ受診。胸部 X-P にて心拡大、胸
水貯留を指摘され、心不全の加療目的で当院へ紹介入院となる。入院前には近医からジギタリス、フロセミ
ド、カルベジロール、ジソピラミド、ワーファリン、エストロゲン、プロゲステロンなどの処方をうけていた。
入院後利尿剤の追加投薬を行ない、症状は改善、体重も減少傾向となった。また胸部 X-P でも心拡大および
胸水貯留は著明に改善した。心機能評価目的で心エコー図検査を施行。心尖部に直径約 20-30mm で可動性の
ある血栓様の構造物が観察された。塞栓のリスクが極めて高いと判断して近隣の心臓血管外科に転院。人工
心肺下で、血栓除去および左室が極めて低収縮能であったため左室部分切除と縫縮術が施行された。術前心
エコーと術中肉眼所見などから本疾患は左室の緻密化障害症例であると考えられた。術後は大きな合併症も
なく、現在近隣大学病院へ通院中である。左室緻密化障害は本例のように拡張型心筋症との鑑別が極めて難
しく、また予後不良の先天性疾患である。術中の映像および術前、術後の心エコーの対比を示し、この疾患
の特徴を文献的に振り返り報告する。
- 86 -
ビジュアル症例検討会
4 月 14 日㈯ 15:00∼17:00
左室内血栓の遊離をエコーで描出し、
迅速に下肢動脈塞栓症の診断ができた1例
浪崎 秀洋 1
1
済生会熊本病院中央検査センター心血管エコー室 、済生会熊本病院心臓血管センター循環器内科 2
西上 和宏 2、新井 光太郎 2、由解 公子 1、富田 文子 1、志水 秋一 1、那須 ふみ 1、
早川 裕里 1、西冨 恵美 1、村上 未希子 1、金森 多美 1、小郷 美紀生 1
症例は51歳女性。【病歴】既往歴に左網膜静脈血栓を指摘されている。H 16年の職場健診にて心電図異常
を指摘され、当院受診。経胸壁心エコーにて左室心尖部瘤が認められた。冠動脈造影では異常なく経過観察
となった。H 18年5月8日、胸部不快感と嘔吐を主訴に救急外来受診。心電図にて非持続性心室頻拍が認
められ、精査加療目的で入院となる。
【入院時所見】5月8日の経胸壁心エコーにて、左室心尖部瘤内に24×15mm大の血栓を認めた。また、
心室中隔、下壁心筋の一部は菲薄化していた。ACE 活性、血沈は正常範囲内であったが、左眼隅角結節、ツ
ベルクリン反応陰性、胸部 CT にて縦隔リンパ節腫大を認めたことから、心サルコイドーシスと診断された。
【入院経過】心尖部血栓に対して抗凝固療法が開始された。6月16日の経胸壁心エコーでは血栓は消失した
が、8月2日の経胸壁心エコーでは左室内に13×12mm大の血栓を認めた。検査中、上行大動脈へ血栓
の遊離が観察された。神経学的な塞栓症状は認めなかったが、左側足背付近にチアノーゼが出現したため、
下肢動脈エコーを施行した。ドプラ法にて、左側膝窩動脈には異常は見られなかったが、足背動脈と内果動
脈に狭窄後血流波形を認めた。直ちに抗凝固療法が施行され、8月10日の下肢動脈エコーでは足背動脈、
内果動脈の血流波形は改善し、チアノーゼも消失した。
【結語】エコーにて左室内血栓の遊離をリアルタイムで観察し、速やかに下肢動脈塞栓症を診断することがで
きた。
- 87 -
ビジュアル症例検討会
4 月 14 日㈯ 15:00∼17:00
保存的に治療しえた血栓弁による僧帽弁位人工弁機能不全の一症例
北井 豪
神戸市立中央市民病院循環器内科
谷 知子、田辺 一明、山根 崇史、呉羽 布美恵、尾田 知之、江原 夏彦、片山 美奈子、
木下 愼、民田 浩一、加地 修一郎、山室 淳、盛岡 茂文、木原 康樹
症例は 77 歳女性。70 歳時僧帽弁閉鎖不全症にて僧帽弁
(B-S 弁)置換術を施行し、以後近医にて加療を受けて
いた。2005 年 4 月頃より労作時呼吸困難が出現し、6 月の経胸壁心エコー図にて人工弁異常が疑われたが保
存的に加療されていた。2006 年 1 月心不全にて他院に入院となり、精査目的にて当院に転院となった。当院
での経胸壁心エコー図では、僧帽弁位人工弁の開放制限と偏位した僧帽弁流入血流を認め血栓弁による人工
弁機能不全が強く疑われた。経食道心エコー図では僧帽弁及び弁輪に血栓の付着を認め、僧帽弁流入血流速
波形の異常を認めた。血行動態が安定していることなどにより抗凝固療法の強化による内科的加療を行い、2
月 21 日には血栓はほぼ消失。僧帽弁位人工弁の開放制限も改善し、それに伴い僧帽弁流入血流速波形も改善
していた。内科的治療にて血栓弁が合併症なく改善し、また診断に心エコー図が有用であった貴重な症例で
あり報告する。
- 88 -
ビジュアル症例検討会
4 月 14 日㈯ 15:00∼17:00
稀な合併症である心室中隔欠損症心内修復術に伴う中隔内血腫の 2 例
山澤 弘州 1
1
千葉県こども病院循環器科 、千葉県こども病院循環器外科 2
青墳 裕之 1、中島 弘道 1、建部 俊介 1、菅本 健司 1、犬塚 亮 1、藤原 直 2、青木 満 2、内藤 祐次 2、上松 耕太 2
【はじめに】心室中隔欠損症術後中隔内血腫は我々の知る限り 2 例 2 報告と極めて稀な合併症であるが、近年
当施設にて 2 例経験されたので報告する。
【症例 1】9 ヶ月時に心内修復術を施行した。術直後より血圧も低く、
頻脈であった。循環動態が安定したところで心臓超音波検査を施行したところ中隔内に 23 × 13mm の血腫を
認め、心室容積の減少、左室流出路狭窄を引き起こしていたと考えられた。血腫は術後 2 日目には縮小した。
3 歳時に心臓カテーテル検査を施行、前下行枝の遠位で血流が乏しく、心尖部は壁運動に乏しかった。
【症例 2】
3 ヶ月時に心内修復術を施行した。症例 1 同様術直後より血圧は低く、頻脈を認めた。中隔内に図の様な巨大
な血腫を認め、症例 1 と同様の病態が想定された。血腫縮小には 1 週間を要し、術前には認めなかった大動脈
弁逆流を認めたが、血腫の縮小とともに減少した。また中隔の奇異性運動が残存した。今後心筋シンチグラ
フィー、心臓カテーテル検査を予定している。【結語】稀だが心室中隔欠損症術後の重大な合併症として心室
中隔内血腫を認識されたい。
- 89 -
ビジュアル症例検討会
4 月 14 日㈯ 15:00∼17:00
心筋内 sinusoid 遺残を合併すると考えられた肥大型心筋症成人例
田中 真理子 1
東京大学保健センター内科 1、
東京大学医学部付属病院22世紀医療センターコンピュータ画像診断学/予防医学講座 2、
東京大学医学部付属病院循環器内科 3、東京大学医学部付属病院検査部 4
宇野 漢成 2、園田 誠 3、今井 靖 3、海老原 文 4、竹中 克 4
魚類や爬虫類の心臓は心内腔からも血液供給を受ける。胎生初期の哺乳類でも、内腔側の心筋細胞間にあ
る sinusoid の海綿状構造が内腔からの供給路となる。我々は sinusoid 遺残と考えられる肥大型心筋症成人例を
経験したので報告する。【症例】41 歳女性。膠原病重複症候群
(SLE,CREST 症候群 ,Sjoegren 症候群)と肺線維
症を有する。低酸素血症について心血管系の評価目的に入院。経胸壁心エコー検査では心尖部優位の著明な
左室肥大、軽度右室肥大、軽度肺高血圧を認めた。カラードプラにて、拡張期に心外膜側から心室腔に向か
う線状のフローが多数観察され、これらは左冠動脈前下行枝および回旋枝からそれぞれ左室腔へと、右冠動
脈から両心室腔に流入する心筋内の血流と考えられた。冠動脈造影の所見と併せて肥大型心筋症と冠動脈心
室間短絡血流(冠動脈瘻)が明らかとなった。CT にて慢性肺動脈血栓塞栓症を認めた。他の検査では脳や眼
底等の血管に動静脈瘻等の異常は認めなかった。冠動脈瘻について、心筋虚血の所見はなく、左室容量負荷
軽減目的で Angiotensin 受容体拮抗薬が投与され退院となった。
【考察】本例の冠動脈の起始部位は全て正常
であり、心筋内に多数の分岐を介して心室内へ向かう血流を認めたが、虚血を示唆する所見はなかった。こ
の心筋内経路は、その数の多さ、海綿状の形態、及び冠動脈全ての関与から、単一の冠動脈形成異常として
の冠動脈瘻よりも、胎生期心筋内 sinusoid の遺残・拡張と考えた。心筋内 sinusoid が観察される例について成
因はわかっていない。膠原病・肺線維症・肺血栓症の関連を示唆する報告はないが、肥大型心筋症や心室間
短絡のない肺動脈弁閉鎖症との関連が報告されている。
- 90 -
新技術紹介セッション 1
4 月 12 日㈭ 9:40∼10:40
「HI VISION 900の新技術」
長野 智章 1、森 修 2
1
㈱日立メディコ 技術研究所 US グループ、2 超音波マーケティグ本部
A.2D Tissue Tracking 法
2D Tissue Tracking 法は、心エコーの動画像上で心臓の動態を計測する方法である。M モード法や組織ドプ
ラ法を用いた心臓動態計測に比べて、直感的にわかりやすく、自由度の高い詳細な計測が可能である。従来
の 2D Tissue Tracking 法は、対となる 2 点を動画像の全てのフレームで追跡計算させて、その 2 点間距離の変化
を計測する方法であったが、多数の点を追跡することができれば、心筋全体の動態や容積変化など、様々な
対象の計測へ応用することが可能になる。しかし、実際に多くの点を追跡するには、簡便なユーザインター
フェイスを用いて、実用的な時間内に計測を完了させる必要がある。そこで、多数の追跡点を短時間で高精
度に追跡する技術を開発し、このアプリケーションの一つとして心筋全周の壁厚ストレインを計測する Color
Tissue Tracking を開発した。今回はこの追跡技術の原理を説明し、装置へ搭載した計測ソフトの機能について
述べる。
Color Tissue Tracking では、多数の追跡点を短軸像上の内外膜に設定する。ユーザによる設定操作は、短軸
像を表示した画面上で、輪郭トレースツールを用いて内膜と外膜をトレースするのみで良い。追跡点はトレー
スライン上に自動設定されて追跡計算が開始される。なお、これらの追跡点は、ASE16 分画に基づいた分画
に分割される。追跡計算を行うと、内外膜に対向する追跡点間のストレインを計算し、このストレイン値に
応じたカラーをBモード画像に重畳し動画表示する。これにより、心エコーに描出されたストレインの時間
変化を一望でき、異常の有無を一目で察知することができる。また、各分画内のストレイン平均値の時間変
化をグラフ化することにより、分画ごとに心時相とストレインの関係を解析することができ、さらに、全分
画のストレイン平均値を同時に表示しているので全体と各分画のストレインを対比させて観察することも可
能である。
B.ウルトラサウンドコクピット
付加価値の高い操作法を求めて、次世代の GUI (Graphical User Interface) ウルトラサウンドコクピットを開
発した。このコンセプトは「たくさんの機能を画面上で行う」である。超音波検査機器はモニタの大画面化
に伴いワークスペースが広がった。これに伴いポインタを中心とした基本的な操作が行える画面レイアウト
を構築した。少ない視線移動で (モニタから目を離さずに)快適な操作環境を提供する。
快適な操作環境構築の一つとして M-mode Navigation が挙げられる。左室Mモード計測において、計測点を
設定する際のカーソルの移動を補助する機能である。 境界認識ソフトが輝度変化を読み取り、推定計測点に
自動でカーソルを移動させる機能である。従来の方法よりもトラックボールでのカーソルの移動量が低減し、
検査時間の短縮を図ることができる。
またピクチャーインピクチャーはリアルタイムの超音波画像と汎用ビデオカメラの映像を同時に表示する
機能である。リアルタイムキャプチャーを使用することにより、教育用ビデオの作成も簡単になる。下肢浮
腫などの外観所見と超音波画像を記録することにより、治療効果と画像診断の関係がわかりやすくなる。
以上のように日立メディコの新技術について紹介する。
- 93 -
新技術紹介セッション 2
4 月 12 日㈭ 10:50∼11:50
GE Healthcare は心エコー図法の発展に貢献し、心疾患患者の QOL 向上に寄与すべく、ブレークスルー技術
の開発に継続的かつ積極的な投資を続けている。近年弊社が最も注力している 2 大研究テーマは、「リアルタ
イム 3D/4D エコー」と「心機能および左室壁運動の定量化」である。この新技術セッションでは、それぞれ
の分野について最新技術をライブデモも交えて紹介した後、お二人の先生に、GE の最新技術の臨床応用につ
いてご講演をいただく。
2D ストレイン・イメージングによる定量的心機能評価
竹内 正明
多根総合病院循環器科
心エコー図法による心機能の評価は日常臨床で最もよく用いられている方法であるが、その最大の欠点は、
誰が施行し、評価しても同様の値がでるような定量的評価法が確立していないことである。近年登場した 2D
スペクルトラッキング法は、心筋局所のストレイン、ストレインレートを角度依存なく、比較的簡便に計測
できる新たな方法である。今回はこの方法を用いて、日常臨床できわめてよく遭遇する、左室駆出率正常の
高血圧、糖尿病患者において、ストレイン値、それも長軸方向のストレイン値が低下する例があることを紹
介し、この方法が糖尿病心筋症患者の早期発見、あるいは左室駆出率が正常な高血圧患者の中で、拡張型心
不全を引き起こす可能性のあるハイリスク群の予測に有用であることをお話ししたい。
- 94 -
新技術紹介セッション3
4 月 12 日㈭ 14:50∼15:50
心エコー屋と血管エコー屋 1
竹中 克
東京大学医学部付属病院 検査部
心エコー屋の先生 2名
血管エコー屋の先生 2名
血管エコーがどんどん普及しつつあります。
血管エコー技師の学会認定資格試験も来年からは 3 つになるほどの勢いです。
しかし、落ち着いて考えてみると、血管屋と心臓屋には活発な交流があるでしょうか?
「どちらも毎日こなしていますよ」と至極簡単に言う先生がいる一方で、両者の間には、
「黒の舟唄」のよ
うに「深くて暗い川」があるような気もしています。
軽井沢という地での折角の機会ですから、超音波検査に関する考え方や慣習の両者の違いを浮き彫りにし、
「エンヤコラと舟を漕ぎ出してみたい」と思います。
参加者からの意見や質問も頂戴しながら、自由闊達なディスカッションを目指しますので、奮ってご参加
ください。
- 95 -
新技術紹介セッション4
4 月 12 日㈭ 16:00∼17:00
超音波検査室ソリューション
越智 益美
東芝メディカルシステムズ㈱ 超音波開発部 システム開発担当
近年、超音波診断装置のフルデジタル化、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)対応機
種の増加、ならびにハードディスクや DVD などの保存媒体の大容量化や、ネットワークや Web などの情報技
術の急速な進歩により、超音波検査室内の動画像ファイリングシステムが急速に普及し始めた。そして、厚
生労働省が推進している電子カルテシステムの普及に伴い、病院全体として各種の情報を電子化し一元管理
するようになり、これまで手書きであった超音波検査レポートを電子化したいという要求が増加している。
また、患者様に対しては検査時間などの負担低減や、検査に携わっておられる方々に対しては作業時間低減
などの業務効率改善も重要視されている。その状況を鑑み、これまでに納入した弊社製の超音波動画ネット
ワークシステム EchoAgentTM を例にして、超音波検査室ソリューションを検討する場合の留意点や導入した
場合の改善効果などについて以下のような内容で報告する。
(1)
背景
(2)
病院情報システムや部門システムとの連携に関して
(3)
画像ファイリングシステムの運用に関して
(4)
超音波検査レポートシステムの運用に関して
(5)
今後の展開に関して
正確な歪み(Lagrangian Strain)の追求
阿部 康彦
東芝メディカルシステムズ㈱ 超音波開発部
歪み(Strain)は1次元では長さの変化率で定義される。「長さ」は、両端の 2 点の位置を決めることで求まる。
動く心筋で両端の位置を求め続けるのは容易ではない。動きに応じて端点の位置を追跡(Tracking)しなけれ
ばならないからである。このような対象を Tracking して得られる Strain は Lagrangian Strain(LS)と呼ばれる。
組織ドプラ法(TDI)を用いて Strain を得る簡易的な方法に、この Tracking をしない方法がある。両端の位
置を固定して 2 点間の速度勾配を求め、それを時間積分して Lagrangian とは異なる Strain(natural Strain)を推
定し、変換式により natural から Lagrangian に換算するというものである。本法で natural Strain が推定できるに
は、ある瞬時での Strain は空間的に一様という仮定が要る。ところが心筋には境界があり、健常例では壁厚
方向で内膜側は外膜側の約 2 倍伸縮する。すなわち心筋の Strain は空間的に不均一で、本法で正確な Strain を
評価するのは困難といえる。
当社では、TDI を用いた Tissue Tracking 処理により、両端を追跡しながら速度を積分して組織の変位を求め、
LS を直接推定する Tissue Strain Imaging(TSI)を開発した。TSI では角度補正を併用し、ドプラ法の角度依存
の問題を低減して LS を評価できる領域を拡大している。
TSI では様々な壁運動情報を提供可能だが、角度補正に伴う制限があることが知られている。角度補正の
必要が無い方法として、当社では 2 次元画像でのパターンマッチングを用いた 2D Tracking 法(2DT)の研究
開発を進めている。2DT でも対象を 2 次元的に Tracking しており、LS を推定可能である。
- 96 -
新技術紹介セッション 5
4 月 13 日㈮ 9:40∼10:40
CRT をエコーでどう評価するか?
∼超音波テクノロジーの発展と、臨床の実際∼
笠巻 祐二
日本大学医学部内科学講座循環器内科部門
- 97 -
新技術紹介セッション 6
4 月 13 日㈮ 10:50∼11:50
「HI VISION 900の新技術」
長野 智章 1、森 修 2
1
㈱日立メディコ 技術研究所 US グループ、2 超音波マーケティグ本部
A.2D Tissue Tracking 法
2D Tissue Tracking 法は、心エコーの動画像上で心臓の動態を計測する方法である。M モード法や組織ドプ
ラ法を用いた心臓動態計測に比べて、直感的にわかりやすく、自由度の高い詳細な計測が可能である。従来
の 2D Tissue Tracking 法は、対となる 2 点を動画像の全てのフレームで追跡計算させて、その 2 点間距離の変化
を計測する方法であったが、多数の点を追跡することができれば、心筋全体の動態や容積変化など、様々な
対象の計測へ応用することが可能になる。しかし、実際に多くの点を追跡するには、簡便なユーザインター
フェイスを用いて、実用的な時間内に計測を完了させる必要がある。そこで、多数の追跡点を短時間で高精
度に追跡する技術を開発し、このアプリケーションの一つとして心筋全周の壁厚ストレインを計測する Color
Tissue Tracking を開発した。今回はこの追跡技術の原理を説明し、装置へ搭載した計測ソフトの機能について
述べる。
Color Tissue Tracking では、多数の追跡点を短軸像上の内外膜に設定する。ユーザによる設定操作は、短軸
像を表示した画面上で、輪郭トレースツールを用いて内膜と外膜をトレースするのみで良い。追跡点はトレー
スライン上に自動設定されて追跡計算が開始される。なお、これらの追跡点は、ASE16 分画に基づいた分画
に分割される。追跡計算を行うと、内外膜に対向する追跡点間のストレインを計算し、このストレイン値に
応じたカラーをBモード画像に重畳し動画表示する。これにより、心エコーに描出されたストレインの時間
変化を一望でき、異常の有無を一目で察知することができる。また、各分画内のストレイン平均値の時間変
化をグラフ化することにより、分画ごとに心時相とストレインの関係を解析することができ、さらに、全分
画のストレイン平均値を同時に表示しているので全体と各分画のストレインを対比させて観察することも可
能である。
B.ウルトラサウンドコクピット
付加価値の高い操作法を求めて、次世代の GUI (Graphical User Interface) ウルトラサウンドコクピットを開
発した。このコンセプトは「たくさんの機能を画面上で行う」である。超音波検査機器はモニタの大画面化
に伴いワークスペースが広がった。これに伴いポインタを中心とした基本的な操作が行える画面レイアウト
を構築した。少ない視線移動で (モニタから目を離さずに)快適な操作環境を提供する。
快適な操作環境構築の一つとして M-mode Navigation が挙げられる。左室Mモード計測において、計測点を
設定する際のカーソルの移動を補助する機能である。 境界認識ソフトが輝度変化を読み取り、推定計測点に
自動でカーソルを移動させる機能である。従来の方法よりもトラックボールでのカーソルの移動量が低減し、
検査時間の短縮を図ることができる。
またピクチャーインピクチャーはリアルタイムの超音波画像と汎用ビデオカメラの映像を同時に表示する
機能である。リアルタイムキャプチャーを使用することにより、教育用ビデオの作成も簡単になる。下肢浮
腫などの外観所見と超音波画像を記録することにより、治療効果と画像診断の関係がわかりやすくなる。
以上のように日立メディコの新技術について紹介する。
- 98 -
新技術紹介セッション 7
4 月 13 日㈮ 14:15∼15:15
ライブ 3D 心エコー法「最新技術の紹介」
岩本 貢
株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン メディカルシステムズ
マーケティング本部 超音波プロダクト
リアルタイム 3 次元心エコー図装置が世に出され、臨床応用が開始されている。心臓構造物(心腔、心筋
や房室弁)を臨床的に有用な解剖的情報として 3 次元、4 次元として立体的な構造観察が可能である。3 次元、
4 次元の画像構築がリアルタイムで可能になり、瞬時に観察部位を立体構造として画像表示し、従来の2次
元的なアプローチでは困難であった心臓病変の解剖学的構築や機能異常も把握できるようになった。小児循
環器領域における先天性心疾患部位の評価、心臓外科領域における手術前後での外科手技の評価、特に、僧
帽弁機能の評価、成人循環器領域における心機能評価に多く活用されるようになった。しかし、3 次元画像
を構築する上で画像データ収集の画角に制限あり、心拡大のような患者ではすべての解剖学的情報を観察す
ることができなかった。この画角の制限を改善し、奥行き、幅ともに 90°以上の画角で 3 次元、4 次元データ
で構築することが可能になり、フレームレートも大幅に改善された。
3 次元画像の定性的読影評価に加えて、3 次元データからの心機能の定量的評価が最近注目されている。従
来の 2 次元心エコー法に比べて、幾何学的な空間的問題を排除できる点がもっとも優れた点である。2 次元心
エコー法では真の心尖部を含めた断層像を描出するが困難な場合が多く、心機能解析において大きな問題に
なっている。3 次元心エコー法ではすべての心臓構造データを収集しているために真の心尖部を描出するこ
とが可能であり、正確な心機能解析が可能である。
3 次元心エコーから心機能解析の新しい評価指標として、心筋壁運動の同期性を評価するパラメーターを
算出することが可能である。左室心筋壁を 17 セグメントに分割することで局所心筋壁運動の収縮末期時同期
性をグローバル収縮末期タイミングと各局所壁タイミングとの時間差、標準偏差等で評価可能である。最新
バージョンでは各局所壁の収縮末期タイミングと心筋壁運動の程度をブルズアイマップ上に展開し、数値デー
タと同時に視覚的にも評価できる。
3 次元心エコーと最新の断層心エコー装置が融合することで完全かつ正確な臨床情報をルーチン検査で利
用可能である。今後もさまざまな新しい検査モード、技術が開発され装置に搭載されることが予測されるが
実際の検査には目的に応じてその特徴を生かした機能を選択し、利用していくことが肝要である。3DE の新
技術により、心臓超音波検査が臨床現場で診断に役立つ検査として、さらなる発展することを期待する。
- 99 -
新技術紹介セッション 8
4 月 13 日㈮ 16:00∼17:00
心エコー屋と血管エコー屋 2
竹中 克
東京大学医学部付属病院 検査部
心エコー屋の先生 2名
血管エコー屋の先生 2名
血管エコーがどんどん普及しつつあります。
血管エコー技師の学会認定資格試験も来年からは 3 つになるほどの勢いです。
しかし、落ち着いて考えてみると、血管屋と心臓屋には活発な交流があるでしょうか?
「どちらも毎日こなしていますよ」と至極簡単に言う先生がいる一方で、両者の間には、
「黒の舟唄」のよ
うに「深くて暗い川」があるような気もしています。
軽井沢という地での折角の機会ですから、超音波検査に関する考え方や慣習の両者の違いを浮き彫りにし、
「エンヤコラと舟を漕ぎ出してみたい」と思います。
参加者からの意見や質問も頂戴しながら、自由闊達なディスカッションを目指しますので、奮ってご参加
ください。
- 100 -
新技術紹介セッション 9
4 月 14 日㈯ 9:00∼10:00
CRT をエコーでどう評価するか?
∼超音波テクノロジーの発展と、臨床の実際∼
笠巻 祐二
日本大学医学部内科学講座循環器内科部門
- 101 -
新技術紹介セッション 10
4 月 14 日㈯ 10:30∼11:30
超音波検査室ソリューション
越智 益美
東芝メディカルシステムズ㈱ 超音波開発部 システム開発担当
近年、超音波診断装置のフルデジタル化、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)対応機
種の増加、ならびにハードディスクや DVD などの保存媒体の大容量化や、ネットワークや Web などの情報技
術の急速な進歩により、超音波検査室内の動画像ファイリングシステムが急速に普及し始めた。そして、厚
生労働省が推進している電子カルテシステムの普及に伴い、病院全体として各種の情報を電子化し一元管理
するようになり、これまで手書きであった超音波検査レポートを電子化したいという要求が増加している。
また、患者様に対しては検査時間などの負担低減や、検査に携わっておられる方々に対しては作業時間低減
などの業務効率改善も重要視されている。その状況を鑑み、これまでに納入した弊社製の超音波動画ネット
ワークシステム EchoAgentTM を例にして、超音波検査室ソリューションを検討する場合の留意点や導入した
場合の改善効果などについて以下のような内容で報告する。
(1)
背景
(2)
病院情報システムや部門システムとの連携に関して
(3)
画像ファイリングシステムの運用に関して
(4)
超音波検査レポートシステムの運用に関して
(5)
今後の展開に関して
正確な歪み(Lagrangian Strain)の追求
阿部 康彦
東芝メディカルシステムズ㈱ 超音波開発部
歪み(Strain)は1次元では長さの変化率で定義される。「長さ」は、両端の 2 点の位置を決めることで求まる。
動く心筋で両端の位置を求め続けるのは容易ではない。動きに応じて端点の位置を追跡(Tracking)しなけれ
ばならないからである。このような対象を Tracking して得られる Strain は Lagrangian Strain(LS)と呼ばれる。
組織ドプラ法(TDI)を用いて Strain を得る簡易的な方法に、この Tracking をしない方法がある。両端の位
置を固定して 2 点間の速度勾配を求め、それを時間積分して Lagrangian とは異なる Strain(natural Strain)を推
定し、変換式により natural から Lagrangian に換算するというものである。本法で natural Strain が推定できるに
は、ある瞬時での Strain は空間的に一様という仮定が要る。ところが心筋には境界があり、健常例では壁厚
方向で内膜側は外膜側の約 2 倍伸縮する。すなわち心筋の Strain は空間的に不均一で、本法で正確な Strain を
評価するのは困難といえる。
当社では、TDI を用いた Tissue Tracking 処理により、両端を追跡しながら速度を積分して組織の変位を求め、
LS を直接推定する Tissue Strain Imaging(TSI)を開発した。TSI では角度補正を併用し、ドプラ法の角度依存
の問題を低減して LS を評価できる領域を拡大している。
TSI では様々な壁運動情報を提供可能だが、角度補正に伴う制限があることが知られている。角度補正の
必要が無い方法として、当社では 2 次元画像でのパターンマッチングを用いた 2D Tracking 法(2DT)の研究
開発を進めている。2DT でも対象を 2 次元的に Tracking しており、LS を推定可能である。
- 102 -
新技術紹介セッション 11
4 月 14 日㈯ 13:50∼14:50
GE Healthcare は心エコー図法の発展に貢献し、心疾患患者の QOL 向上に寄与すべく、ブレークスルー技術
の開発に継続的かつ積極的な投資を続けている。近年弊社が最も注力している 2 大研究テーマは、「リアルタ
イム 3D/4D エコー」と「心機能および左室壁運動の定量化」である。この新技術セッションでは、それぞれ
の分野について最新技術をライブデモも交えて紹介した後、お二人の先生に、GE の最新技術の臨床応用につ
いてご講演をいただく。
リアルタイム4 D イメージング∼心エコーの新たな次元
太田 剛弘
府中病院循環器内科
Vivid 7 リアルタイム4 D 心エコーは、心臓の解剖構造を動的、立体的に把握し「頭の中で組み立てた」立体
イメージをモニター画面に表示する。ダイナミックに拍動する心臓は「捩じれながら」心尖方向に移動し血
液を効率よく搾り出している。時々刻々変化するので 、 リアルタイムに対応し瞬時に表現する方法が望まれ
てきた。3 次元心エコーはデジタル技術の長足の進歩により開発 、 臨床応用が可能となった。
現在 Vivid 7 では独自の多機能4 D 用プローブが開発され、新しいフルボリュームレンダリング画像の取り込
み方法や多断面を同時表示する方法が盛り込まれ 、 リアルタイムカラー画像が実用化されている。3 次元方向
に動く心筋組織を表現できる4 D 組織ドプライメージもデイスプレイにパラメトリック画像が表示され 、 視
覚的に異常の判定が可能で有望である。リアルタイム4 D エコーの現状と展望 、 課題を考える。
1) リアルタイム 4D 心エコーの実現:
2) リアルタイム 4D 心エコーのシステム:
3) リアルタイム 4D 心エコーの臨床的効果:
4) 毎日の臨床に向けたエコーの問題点と対策:
5) 将来のリアルタイム 4D 発展の方向は:
- 103 -
新技術紹介セッション 12
4 月 14 日㈯ 15:20∼16:20
カラー・キネーシス
(CK)
を用いた左室局所壁運動評価
石井 克尚
関西電力病院
心エコー図検査において左室局所壁運動評価は運動負荷心エコー法など虚血性心疾患の診断において非常
に重要である。最近では、収縮運動のみならず局所拡張運動を評価することにより非発作時において狭心症
が診断可能である事が報告されている。1-3) 定量的な左室心筋の収縮・拡張運動の評価法として、
組織ドプラー
法やストレイン・レートそして 2D ストレイン法などが開発されているが、4) 心内膜運動の定量的評価法とし
ては超音波の角度依存性を受けない color kinesis が最も簡便かつ信頼性があると言える。5) 従来の color kinesis
ではフレームレートの問題やゲイン設定の煩雑さがあったが、iE33 では Native Data Export して検査時の2 D
データをそのまま出力保存できるようになりハイフレームレート CK 解析が可能となっている。また Native
Data の信号処理が容易になり、従来の深さ方向(TGC)、ラテラル方向(LGC)に加えて、トレース信号レベ
ルを変更できる Threshold(Over all Gain)という新たな画像処理機能を追加され、この画像処理機能により
自動境界認識能が向上し画像調整が容易になっている。今回、従来の sonos CK と iE33(new)CK を用い、左室
局所壁運動評価を比較しその有用性と今後の臨床応用について検討を行う。
文献
1. Pislaru C, Belohlavek M, Bae RY, Abraham TP, Greenleaf JF, Seward JB. Regional Asynchrony During Acute
Myocardial Ischemia Quantification by Ultrasound Strain Imaging. J Am Coll Cardiol 2001;37:1141-1148
2. Ishii K, Miwa K, Makita T, Okuda N. Prolonged postischemic regional left ventricular delayed relaxation or diastolic
asynchrony detected by color kinesis following coronary vasospasm. Am J Cardiol 2003;91:1366-1369.
3. Liang HY, Cauduro S, Pellikka P, Wang J, Urheim S, Yong EH, Rihal C, Belohlavek M, Khandheria B, Miller FA,
Abraham TP. Usefulness of Two-Dimensional Speckle Strain for Evaluation of Left Ventricular Diastolic Deformation
in Patient With Coronary Artery Disease. Am J Cardiol 2006;98:1581-1586
4. Ogawa K, Hozumi T, Sugioka K, Matsumura Y, Nishimura M, Kanda R, Abe Y, Takemoto Y, Yoshiyama M,
Yoshikawa J. Usefulness of Automated Quantitation of Regional Left Ventricular Wall Motion by a Novel Method of
Two-Dimentional Echocardiographic Tracking. Am J Cardiol 2006;98:1531-1537
5. Lang RM, Vignon P, Weinert L, Bednarz J, Korcarz C, Sandelski J, Koch R, Prater D, Mor-Avi V. Echocardiographic
quantification of regional left ventricular wall motion with color kinesis. Circulation 1996;93:1877-1885.
- 104 -
ランチョンセミナー 1
4 月 12 日㈭ 12:00∼13:00
Morphology and Physiology in the development of
Heart Disease In Utero
Norman H. Silverman
Lucile Packard Children’
s Hospital, Stanford University, USA
The importance of fetal cardiac imaging sheds light on the development of cardiac disease and function. There are now
many examples of how this occurs and where efforts may be focused in terms of treatment as well as the understanding
of the evolution of this interaction with progressing gestation.
Aortic stenosis.
This area has recently received prominence because of the use of fetal balloon valvuloplasty in utero. The development
of hypoplastic left heart may in some cases be due to ongoing aortic stenosis. Fetal morphology however may be critical
in timing and development. Consider the perfusion of the myocardium in utero. The systolic pressure is substantially
lower than postnatally but the fetal vascular resistance is even lower. The time tension index of Sarnoff: The area under
the systolic pressure curve represents the oxygen demand. The area between the diastolic pressure curve and the left
ventricular pressure represents the oxygen supply. In adults a ratio of about 0.7 represents the area where ischemia
occurs. In the fetus values are more critical There are 3 layers in the myocardium, a layer of excessive perfusion- the
outer third, a layer of appropriate perfusion-the middle third, and a layer of marginal perfusion the inner layer. These
three layers have a reverse in pressure generation and, therefore, oxygen demand. Thus the development of progressive
aortic stenosis with increasing fetal arterial pressure causes subendocardial ischemia and progressive endocardial fibrosis.
This layer then acts to prevent ventricular filling and emptying and fixes the ventricular volume. This certainly explains
some forms of aortic stenosis/atresia, but the causes of this condition may be multifactorial including myocardial.
Differing etiologies may explain the variable results of balloon valvuloplasty.
Ebstein’
s malformation (Atrioventricular valvar regurgitation)
This is another condition where there is progressive worsening with ongoing gestation. Fetal aortic and pulmonary
pressure increases progressively with advancing gestation. As the pressure rises the degree of regurgitation worsens.
The degree of ventricular dilation, which accompanies the progressive insufficiency further prevents tricuspid valvar
coaptation. Additional development of valvar dysplasia is yet another factor causing progressive deterioration. As a
consequence of the lack of propulsive forward flow across the pulmonary valve, there is progressive development of
pulmonary valvar hypoplasia, which is associated with a left to right ductus shunt providing pulmonary perfusion.
Additionally because of the major tricuspid regurgitation there is dilation and dysplasia of the atrial myocardium. The
elevation of the venous pressure on the balance of pressure at the venous capillary drives fluid out of the vascular system
and into the extracellular space leading to hydrops fetalis.
Transposition and the ductus arteriosus.
The nature of the ductus arteriosus and the foramen ovale in aortopulmonary transposition, have already been defined
by Maeno and his colleagues from Toronto. These authors identified aspects of the relationship of flow between the
ductus arteriosus and the foramen ovale in transposition. We have noted similar findings in our practice where a ductus
left to right shunt can be identified. All of these fetuses required urgent balloon atrial septostomy procedures after
delivery. Rudolph has explained this in the following manner: The presence of some ductus left to right shunt supports the hypothesis that the pulmonary vascular resistance is lower
than normal in fetuses with transposition, related to higher oxygen tensions in transposition perfusing the pulmonary
circulation. This is explained as follows:- In lamb studies as well as human fetal echos, the ductus venosus blood
preferentially passes through the foramen to the left atrium and left ventricle. In aortopulmonary transposition this would
mean that well-oxygenated blood is presented to the pulmonary circulation and therefore pulmonary vascular resistance
is lower than in the normal fetus. During systole, the ductus flow is predominantly from the pulmonary trunk to aorta,
but during diastole, because pulmonary vascular resistance is low, the shunt could flow from the aorta to the pulmonary
artery. Rudolph predicted that the ductus would be smaller in diameter than normal.
In these fetuses the ductus is small. There could be less bidirectional shunting through the ductus after birth and
- 107 -
thus less mixing. In this circumstance, when the pulmonary vascular resistance is lower, a large pulmonary blood
flow would be established early and this might close the foramen and interfere with mixing, causing the foramen to
become restrictive. It is my contention that, although the importance of the fossa ovalis is the fundamental issue, it is
more difficult to identify than the arrangement at the ductus level, particularly with the use of Doppler color flow. All
fetuses with transposition we have identified with ductus left to right shunt in the fetus had required urgent balloon atrial
septostomy..
Idiopathic Premature constriction of the ductus arteriosus
This condition can be fatal prenatally due to the development of right ventricular overload and hydrops fetalis.
Survivors may develop pulmonary hypertension in the post-natal period. Maternal non-steroidal anti-inflammatory drugs
(NSAID) ingestion is a commonly identified cause of premature in-utero ductus closure. The mainstay of treatment is
cessation of the NSAIDS with relatively good outcomes. Idiopathic premature in-utero ductus constriction is much less
common and management is not well established; most published cases have resulted in death. We recently managed
a case of idiopathic closure of the ductus arteriosus in a fetus with meconium pseudocyst and suggested that early
diagnosis, referral, and delivery might decrease morbidity and mortality.
Fetal ultrasound at 28 weeks of gestation revealed an abdominal mass and polyhydramnios for which the mother
received a course of betamethasone. A fetal echocardiogram obtained three weeks later showed a dilated and
hypertrophied right ventricle (RV), elevated systolic RV pressures (>70mmHg) and moderate-severe RV dysfunction. The
ductus arteriosus was difficult to visualize and the continuous nature of the color Doppler flow pattern at the aortic end of
the ductus insertion site was consistent with ductus constriction The mother denied ingesting any medications, including
non-steroidal anti inflammatory agents or herbal remedies.
Serial fetal echocardiograms demonstrated continued ductus constriction and worsening RV function. Six days after
the initial echocardiogram, at 32 weeks of gestation, a fetal echocardiogram showed increasing RV pressures (100mmHg),
worsening RV function, worsening tricuspid regurgitation, new onset of pulmonary regurgitation, and a small pericardial
effusion, prompting early cesarean section.
Immediate post-natal echocardiogram confirmed that the ductus arteriosus was closed. RV systolic pressure had
diminished to two- thirds of the systemic pressure. Mild RV dysfunction was present that was significantly improved
from that found in-utero. Right to left shunting through a patent foramen ovale was demonstrated by contrast
echocardiography.
At 3 days of life, the patient underwent surgery for removal of a meconium pseudocyst and was extubated
postoperatively. An echocardiogram at 3 weeks showed mild residual right ventricular hypertrophy and an echogenic
right ventricular endocardium, suggestive of endocardial fibrosis. The right ventricular systolic pressure was normal
with only a trace of pulmonary regurgitation was present. Testing for cystic fibrosis was negative. The child continued
to gain weight and develop well. We concluded that idiopathic premature closure of the ductus arteriosus is an indication
for early delivery
Left isomerism of the atrial appendages, complete heart block, spongy myocardium, atrioventricular
septal defect and outflow obstruction
Isolated ventricular non-compaction results from abnormal embryonic development of the myocardium, affecting
predominantly the left ventricle. Once thought to be rare, this entity is now being recognized with an increased frequency.
Although this cardiomyopathy has been associated with other cardiac anomalies, it has been described previously in
association with abnormalities of atrial arrangement in only 3 instances. We expand on this with a description of 10 cases
of ventricular non-compaction associated with left atrial isomerism and heart block, atrioventricular canal defect and
outlet obstruction. Only one case has survived delivery with 3 operative attempts at repair but died at 6 months of age
and from a failed operation and associated polycystic renal disease (Cuming’
s Syndrome). The association of these severe
and uncommon conditions has a dire prognosis and raises speculation regarding a common etiology. Prenatal recognition
of this association is possible that facilitates appropriate prenatal counseling.
- 108 -
ランチョンセミナー 2
4 月 12 日㈭ 12:00∼13:00
A Review of Cardiac Resynchronization Therapy
Jing Ping Sun, M.D.
Cardiology Department, Crawford Long Hospital, Emory University School of Medicine, USA
There is overwhelming evidence from prospective randomized controlled trials providing consistent support for Cardiac
Resynchronization Therapy (CRT) in patients with heart failure and ventricular dyssynchrony.
However, there are many factors which may influence the results of CRT.
For example: 1. Who are good candidates for CRT? 2. How should candidates be selected? 3. What is the role of
echocardiography in CRT, and which echo predictors are better ? 4. Where is the optimal pacing lead position? 5. How
does one select the optimal AV delay time, and is it important? and 6. What are the benefits of CRT?
For the answers to the questions above, the author reviewed the references and has combined this review with her
personal experience to discuss this topic with the Japanese College. I hope through this communication we can learn
from each other.
- 109 -
ランチョンセミナー 3
4 月 13 日㈮ 12:00∼13:00
東芝製の speckle tracking 法
竹中 克
東京大学医学部附属病院検査部
出来ることなら左室の壁運動評価は装置に任せてしまいたい、という想いは誰でも一度は抱いたことがあ
ると思います。肉眼判断は個人の主観に左右されてしまうからで、装置の持つクールな客観性に期待する気
持ちです。装置が壁運動を評価するにはひとつの点が次にどこに行くかを追随していく能力が必須となりま
す。この tracking という作業は、組織ドプラ法を使うなら計測された速度情報を積分し移動した距離を求め
るという方法により、また speckle tracking 法を使うなら装置が 1 × 1cm の四角の中の speckle pattern を認識し、
次の瞬間にその pattern ともっとも似通った四角を探すという方法により、それぞれなされます。つまり、超
音波法では二つの tracking 手法があるのですが、それぞれに長所と短所があります。Speckle tracking 法の短所
は、心内膜や心外膜などのはっきりした点はよく追随するのですが、心筋内の点は苦手であるということです。
東芝はこの短所にも果敢に挑戦し、speckle tracking 法を作り上げました。その装置を最近話題の心拍再同期
療法(CRT)の適応決定に応用してみるとどんなことになるかという話を瀬尾先生にしていただく予定です。
乞う、ご期待!
スペックルトラッキング法により知りうる局所心筋の歪を
臨床に応用する
瀬尾 由広
筑波大学臨床医学系循環器内科
心室動態の解析の興味は、グローバルな解析から局所の心筋動態の解析へ移りつつあることは、心エコー
図法技術の発展によるところが大きい。
組織ドプラ法によって局所の壁運動速度の解析を可能とし、さらに局所心筋の歪解析に発展したことによっ
て、局所の心筋の収縮性の評価が可能となった。この局所心筋動態の解析は従来の心筋虚血の評価に加えて、
重症心不全症例に行われる心室再同期療法(CRT)の出現によって局所心筋収縮の時間的ずれの評価の重要
性が認められ、臨床上極めて重要な心エコー法の技術の1つとなった。しかし、組織ドプラ法には、ドプラ
角度依存性の問題などの限界があることも事実である。一方、心筋 B モード画像におけるスペックルパター
ンを追跡することによって局所心筋運動を追跡可能なスペックルトラッキング法が近年臨床応用可能となっ
た。この方法の利点は、ドプラを使用しないことで角度依存性の問題が基本的に生じない点にある。また、
この手法は 1990 年代初頭から使用されている MRI tagging 法と似た特徴を持っている。したがって、これま
で MRI tagging で培われた心機能解析を、心エコー図を用いてより簡便に使用可能としたことが最大の利点で
あり、また臨床的な恩恵は極めて大きいと期待される。これまで本手法は MRI と比較し遜色ない局所心筋動
態解析が可能であると報告されおり、我々も独自に開発した MRI tagging ソフトを用いて本手法の validation
を行った。さらに本法による CRT 適応症例の解析を行い、いわゆるレスポンダーの選別に極めて有効な成績
を得ている。また、東芝社製のスペックルトラッキングソフトでは心筋層を心膜側と内膜側の2層に分けて
解析可能であることから、ATP 負荷法による心筋虚血の発生について内膜側を解析する意義について核医学
と比較検討しており、併せて現状の報告をさせていただきたいと考えている。
- 110 -
ランチョンセミナー4
4 月 13 日㈮ 12:00∼13:00
Tissue Doppler and speckle tracking. Different methods for strain
and strain rate imaging. Different limitations and advantages
Asbjørn Støylen
Dept. of Circulation and Medical Imaging, Norwegian University of Science and Technology, Norway
Strain and strain rate are both modalities measuring regional deformation. Regional systolic strain rate is closely
related to regional contractility, while regional systolic strain is closely related to systolic work, i.e. the result of the
whole systole, and thus more closely related to ejection fraction or stroke volume. However, the two are closely related,
and both will give a measure of regional systolic function. The basic concepts are the same, whether strain and strain
rate are measured by tissue Doppler or speckle tracking, but as the two methods are different, normal values and cut offs
between normal and reduced function may differ. In addition, the two methods, due to the differences in how values are
derived, will show different sensitivity to different artifacts.
Tissue Doppler is based on the phase information of the backscattered ultrasound. Tissue velocity is derived by the
Doppler equation. Strain rate is derived as the longitudinal velocity gradient along the ultrasound beam, either as the
velocity difference between two velocity points, divided by the distance between the points, or, more robustly, by a
numerical regression of the velocities along the same distance. Strain is derived by temporal integration of strain rate.
One of the advantages of using the Doppler shift, is that this is amplitude independent. In the case of partial drop outs,
with very weak backscatter, the phase shift may still be measurable, even if there is poor visibility of the 2D echo. In
tissue Doppler it is possible to increase the multiple line acquisition (MLA) factor, resulting in a higher frame rate than
in gray scale 2D imaging, increasing the temporal resolution for measurement of high velocities. However, this may also
lead to new artifacts due to the low lateral resolution.
The main weakness of this velocity gradient method is that it is angle dependent. Velocities are measured along the
ultrasound beam, which may not be identical to the longitudinal direction of the wall motion. The measured velocity is
reduced by the cosine of the angle between the wall and the beam. When the velocities are converted to strain rate, the
angle is even more critical, as not only is there reduced velocities and velocity gradient, but it as the wall shortens, it
thickens, and in case of an angle deviation wall thickening may be included in the measurement, further detraction from
the longitudinal shortening that is to be measured.
Another source of error is random noise. The derivation of strain rate from a velocity gradient, results in a noisier
signal, due to incorporation of measurement errors from all measured velocities. This may result in overestimation
of strain rate values, as peak values may be measured on noise spikes. However, integration of strain from strain rate
eliminates this noise, as long as it is truly random.
A greater problem is thus reverberation artifacts. Strong reverberation artifacts seen as very dense, stationary echoes
will produce an area where there is no measurable deformation. Distal to this, there will be an area of exaggerated strain /
strain rate, as the zero velocities in the reverberation itself affects the calculation of the velocity gradient. Reverberations,
however, may also be more shadowy, where there is a hazy overlay over the 2D picture, but where the 2D picture itself
is clearly visible, including the wall motion. Due to the autocorrelation algorithm that is employed, color tissue Doppler
produces average velocities, affected by these stationary reverberations, even if the image quality is good. This may
lead to severe under- and overestimation of strain and strain rate. Thus, Tissue Doppler has shortcomings that reduce
the feasibility in terms of number of segments that can be analyzed. However, the large number of publications about
strain and strain rate imaging is evidence that the method has been useful in giving additional information about regional
function.
Speckle tracking in 2D gray scale images has just recently become feasible in a clinical setting. The basic principle is
that one or more defined regions, called kernels are defined in the image. Due to the randomness of the speckle pattern,
each kernel will have a unique pattern. In addition, the speckles follow the myocardial motion and remain relatively
stable from one frame to next. Thus, a search region around each kernel can be defined, and the kernel with the closest
corresponding speckle pattern can be identified in the next frame by a search algorithm. The algorithms are quick enough
- 111 -
to be applied in real time. The most used algorithms are the sum of absolute differences, the sum of squared differences
or cross correlation, based on the pixel values within the kernel. From the displacement of the kernel and the frame rate,
the velocity of each kernel can be calculated; resulting in a velocity map completely analogous to the color Doppler
picture can be made. From this, strain rate and strain can be calculated. However, the main data input is displacement,
and thus, the differential displacement between two kernels is in fact the deformation of the segment between. Thus
strain can be measured directly, and strain rate derived by temporal derivation of strain.
The main advantage of speckle tracing is that tracking is not limited to the direction along the ultrasound beam. Thus,
the motion measured is angle independent, strain and strain rate can be measured along the wall, and the errors due
to angle are eliminated. This also means that train rate can be measured across the ultrasound sector, in fact that strain
can be measured in both transverse and longitudinal direction. Documentation that measuring additional strain directions
increases the additional information value is not established, however.
The disadvantage is the frame rate dependency. Too low frame rate results in large changes from frame to frame,
reducing the accuracy of tracking. This is especially important where heart rate is high, resulting in few frames per heart
cycle. 2D imaging is at present limited to a factor of 2MLA, due to artifacts in higher MLA acquisitions. Thus increased
frame rate is mainly achieved by reducing the number of lines, i.e. the lateral resolution. But this reduces the possibility
of tracking crosswise, thus resulting in better quality in tracking along the ultrasound beam than across, and thus in a
degree of angle dependency. This means that at present, the optimal frame rate for speckle tracking is between 30 and 70,
depending on image quality, limiting the temporal resolution.
In addition, robust tracking requires a fair amount of smoothing. This can be obtained either by only measuring one
value per segment, and thus a low spatial resolution, or by spatial interpolation along the wall. This may result in a lower
sensitivity for regional dysfunction, although this remains unclear. In dealing with reverberations, at the outset a strong
reverberation will produce increased strain values below, and reduced values above, as with tissue Doppler. Spatial
interpolation will tend to correct this, although this may be an advantage only in normal cases. Speckle tracking may be
expected to be less sensitive to shadowy reverberations, although this remains to be seen.
So far, only early feasibility and validation studies have been published. Thus the clinical documentation of the method
is still lacking, compared to the large amount of evidence for tissue Doppler. Thus, for clinical use this may be the largest
disadvantage so far, although this will be a transient problem.
For the future, the two methods should be seen as complementary, not competitive methods, and the future research
should be directed at utilizing both methods’advantages for robust measurements.
- 112 -
ランチョンセミナー5
4 月 14 日㈯ 12:00∼13:00
Three-dimensional echocardiographic assessment
of atrioventricular valves: a partnership between the
echocardiographer and surgeon
Jeffrey F. Smallhorn
University of Alberta, Head Section of Echocardiography, Stollery Children's Hospital
Until recently two -dimensional echocardiography (2D echo) has been the main mode of investigation of atrioventricualr
valve (A-V) pathology and function prior to surgical intervention. Indeed, timing for intervention is based not only on
clinical symptoms, but measures of ventricular function, in particular for the left sided systemic atrioventricular valve in
the setting of atrioventricular concordance. Until recently transesophageal echocardiography (TEE) has been considered
the gold standard for pre-operative assessment however this technique has recently been challenged by the introduction
of three-dimensional echocardiography (3D echo). Although 2D TEE echocardiography provides important information,
it has certain limitations that can be overcome by 3D echo. Earlier 3D echo systems relied on mechanical rotation using
a transthoracic or TEE probe with respiratory and ECG gating. Although these systems gave us our first insight into the
value of 3D echo, they were not destined for routine clinical use in most centers. More recently real-time 3D echo has
come of age and indeed in the current era there are systems that permit the evaluation of both adults and pediatric cases.
The echocardiographer has the ability for true real-time 3D evaluation, as well as full volume data sets from 4 cardiac
cycles and a breath hold. As well, there are online analysis tools resulting in a friendly interface between machine and
user. The detection of commissural abnormalities is a weakness of 2D TEE which can be overcome by the use of 3D
echo with a combination of imaging and color Doppler. This has been documented both in the adult with mitral valve
pathology and more recently in pediatric cases with prior repair of atrioventricular septal defect. The extent and site of
regurgitant jets in cases with atrioventricualr valve regurgitation are better elucidated by 3D echo than its 2D counterpart.
By 2D echo it is often difficult to determine the extent of a regurgitant jet, however by 3D echo the size of the vena
contracta can readily be determined. As well, experimental data has indicated that the size of the vena contracta can be
used to obtain an indirect assessment of the severity of A-V valve regurgitation. More recently with real-time 3D echo
it has been possible to exploit some newer Doppler imaging to obtain absolute regurgitant volume in cases with a central
jet of regurgitation. An evaluation of mitral valve prolaspe is ideally suited to 3D echo and indeed is far less complex
than a similar evaluation by 2D TEE. It is possible to obtain a enface view of the mitral valve and then dissect it with on
or offline tools to pinpoint the leaflet(s) involved, as well as the extent of prolapse with some newer offline analysis tools.
More recently we have turned our attention to an evaluation of the mechanisms of tricuspid valve (TV) regurgitation.
The tricuspid valve is more difficult to assess as the commissures and individual leaflet size are more variable, both
in those with a normal and abnormal valve. We have observed that there is a considerable variability of the septal
leaflet that plays an important role when there is associated regurgitation, with change in shape of the tricuspid valve
annulus. The tricuspid annulus is elliptical in shape with the septal leaflet functioning as a doorstop to its anterior and
posterior counterparts. Indeed in the normal heart this shape is maintained by lateral forces from the left ventricle, thus
demonstrating the importance of ventricular-ventricular interaction in normal valve function. In cases where the tricuspid
valve is the systemic A-V valve this interaction is disturbed with resultant A-V valve failure in some patients. Threedimensional echocardiography has also provided us with the ability to understand not only anatomical, but functional
A-V valve abnormalities. This was initially pioneered by those interested in ischemic A-V valve regurgitation and more
recently in the pediatric age group. This has been possible by an evaluation of the interaction between annular, valve
and papillary muscle function. Indeed we have known for a long time the importance of papillary muscle preservation
in patients undergoing A-V valve replacement. This understanding has now lead to potential therapeutic options such as
chordal cutting in cases with ischemic A-V valve regurgitation and leaflet extension in a subgroup of pediatric cases with
a predominant regurgitant lesion.
Although this technology has already had a major impact on the diagnosis and understanding of A-V valve failure, it is
still limited by the adequacy of the transthoracic ultrasound window, which is a challenge in older cases, particularly
those who are obese or have undergone prior surgical intervention. The next step is the real-time 3D TEE probe which
should overcome many of these limitations, particularly in the adult and older child. For the younger child we will be
restricted to the transthoracic approach for a while, with the use of epicardial 3D echo in the operating room.
- 113 -
ランチョンセミナー6
4 月 14 日㈯ 12:00∼13:00
エコーで診る急性心不全
加藤 真帆人
国立循環器病センター心臓血管内科
「急性心不全」とは、様々な原因により血行動態に破綻をきたし、肺水腫もしくは低心拍出状態を呈する「症
候群」である。最近、本邦では「急性心不全」管理についてのガイドラインが改訂され、その病態を細かく
分類し、より個別な治療戦略を立てることが奨められている。その治療においても「急性心不全」の症状だ
けを見ると、肺水腫には「利尿薬」
、低心拍出には「強心薬」と考えがちであるが、その患者の生命予後を考
えたとき、
より fine-tune された治療が求められる時代となってきた。治療戦略を立てる上での土台は、何といっ
ても「病態の把握」である。
病態の評価方法としては、従来から Swan-Ganz カテーテルにより得られる「Forrester の分類」が確立され、
また、汎用されてはいるが、侵襲的な検査方法であり、必ずしもすべての患者に対して適応があるわけでは
ない。
近年、新しく身体所見から得られる「Hemodynamic Profile」による急性心不全の病態の評価方法が報告さ
れてきている。ここに「心エコー」という実に有効な device を追加することによって、より細かな病態の把
握と、
それに基づく治療戦略を構築することが可能となるであろう。特に「Hemodynamic Profile」と「心エコー」
による評価は、すべての患者に非侵襲的に行うことが可能であり、十分細かな病態の把握が可能であると考
えられる。
このセミナーでは、従来の「Forrester の分類」や、最近の「Hemodynamic Profile」による治療戦略について
概説し、さらに、これらと「心エコー」を組み合わせることによる「急性心不全」の病態の把握と治療につ
いての経験例を報告する。
- 114 -
一般演題抄録
YIA-1
Velocity Vector Imaging を用いて評価した拡張初期非協調運動の意義:特に左室弛緩能との関連について
大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学講座
増田 佳純、浅沼 俊彦、五十嵐 絵里奈、澤田 智美、石蔵 文信、別府 慎太郎
背景:Velocity Vector Imaging(VVI)は、心内膜を自動的に追随し、内膜の個々の点における動きを速度ベクトルとして表示する新しい心機
能評価法である。我々は、虚血領域に生じる駆出後収縮を僧帽弁開放(MVO)時の VVI により簡便に可視化できること、また従来の壁厚変
化率で評価できない冠狭窄の同定を可能にすることを報告してきた。この駆出後収縮は左室全体から見れば不均一な弛緩(dyssynchronous
relaxation)となり、左室全体としての弛緩能との関連が示唆される。
方法:麻酔開胸犬 10 頭の左回旋枝の完全閉塞
(15 秒)前後の左室短軸像を Sequoia で記録し MVO 時の速度
(VMVO)を虚血領域及び左室全体で
求めた。左室弛緩能の指標としてパルスドプラー法により等容拡張時間(IRT)を、カテ先マノメーターにより -dP/dt およびτを計測した。
結果:虚血時、心拍数に変化はなく、収縮期最大血圧は軽度低下した。IRT、-dP/dt およびτは有意に増加した。虚血領域の VMVO は IRT、
-dP/dt およびτと良い相関を示した
(r = 0.56, 0.67, 0.66)。また、左室短軸6領域における VMVO の標準偏差値と各指標の間にも良好な相関が
認められた(r = 0.62, 0.69, 0.77)。
結語:急性虚血時における dyssynchrounous relaxation は左室全体の弛緩能低下の一因である考えられる。VVI は従来評価が困難であった拡
張期非協調運動を容易に可視化でき、様々な病態での拡張能評価にも有用となる可能性がある。
YIA-2
心臓再同期療法の適応決定における組織ドプラとストレイン法を用いた指標に関する検討
東京女子医科大学 循環器内科
古堅 あずさ、松田 直樹、志賀 剛、芦原 京美、谷崎 剛平、庄田 守男、石塚 尚子、萩原 誠久、笠貫 宏
心臓再同期療法
(CRT)の患者選択において,心エコーによる様々な指標を用いた心室同期不全評価の有用性が報告されている。最近,
speckle tracking imaging
(STI)による新しい strain 評価法が開発された。今回 STI による検討を含め,どのような指標が CRT 長期効果の予測
においてより有用であるか検討する。【方法】対象は,心室内伝導障害を有する重症心不全 50 例。GE 社製 Vivid7(Echopac PC)を用いて,
中隔と側壁における傍胸骨短軸像基部レベルの circumferential strain と心尖部四腔像の基部レベルの longitudinal strain の時相変化を解析し,
QRS 開始から各領域の peak strain 到達時間を計測した。心室内同期不全の程度は,左室基部中隔と基部側壁における peak strain 到達時間差
を円周方向(difference of time to peak circumferencial strain:CS-SL)と長軸方向(difference of time to peak longitudinal strain:LS-SL)で評価した。
CRT 施行 6 ヶ月後に NYHA 分類が 1 ランク以上改善,かつ左室収縮末期容量の 10%以上減少を認めた症例を CRT 反応群とし,CRT 植込み
前の CS-SL あるいは LS-SL により CRT 反応群を予測できるか検討。従来の方法である SPWMD, 中隔 - 側壁間の Ts, Ts-SD と比較検討した。
【結
果】CRT 反応群は 35 例であった。CRT 反応群の CS-SL 212 ± 92 ms,LS-SL 229 ± 136 msec に対し,非反応群では 85 ± 44ms,114 ± 77ms と
前者で有意に大であった(それぞれ p < 0.01)。CRT 反応群に対する予測感度,特異度は,CS-SL で 91%,79%(cut off 115ms)であり , AUC 0.90
は他の指標に比較し最も良好であった。
【結語】STI による circumferencial strain を用いた心室同期不全の評価は,CRT の患者選択において
有用である。
YIA-3
高血圧症における心房細動への移行を予測する:組織ドプラ法の有用性
国立循環器病センター 心臓血管内科
杜 徳尚、神崎 秀明、中谷 敏、住田 善之、山野 哲弘、大原 貴裕、金 智隆、北風 政史
【背景】高血圧症例の一部は,心房細動に移行し,脳梗塞・心不全などの重篤な合併症を来たす.本研究では,従来から用いられている
左房容積(LAV)の拡大に加え,組織ドプラ指標の併用が発作性心房細動(Paf)合併例の検出に有用であるかを検討した.
【方法】Paf を
合併した高血圧症患者 108 人
(P 群),高血圧症のみの患者 128 人(H 群)
,正常群 128 人(N 群)を対象とした.LAV は modified Simpson 法にて
計測し,パルス組織ドプラ法で僧帽弁輪移動速度(Ea, Aa)を計測した.
【結果】LAV は H 群,P 群と増加し,左房のブースターポンプ機
能を反映する Aa は H 群で増加,P 群で減少していた.LAV を体表面
積で補正した LAVi は Paf 合併例を感度 69% , 特異度 71%で識別した
が,LAV/Aa では,それぞれ 81%,82%であった.【結論】組織ドプ
ラ法を併用すると,心房細動へ移行しつつある例を左房容積のみを
用いた従来の方法より高い精度で識別可能であり,合併症のリスク
マネージメントに有用と思われる.
- 117 -
YIA-4
右室心尖部ペーシングは、心同期と同様に左室心筋捻転運動も増悪させる。
大阪労災病院 循環器科
松岡 研、西野 雅巳、橋本 光人、山上 喜由、玉井 敬人、加藤 弘康、江神 康之、習田 龍、山口 仁史、田中 健二郎、田内 潤、
山田 義夫
【目的】2D スペックルトラッキング法(2DST)で、左室心筋捻転運動(LV torsion)の客観的評価が可能となった。右室心尖部ペーシング
(RVAP)が心同期を悪化させ、死亡率を増加させるという報告があるが、RVAP が LV torsion に与える影響は不明である。RVAP による同期
不全と、LV torsion、左室収縮の関連を検討した。【方法】洞不全症候群に対し DDD ペースメー
カーを植込んだ 18 人を対象とした。GE 社製 vivid7 を使用し、自己房室伝導(AOO mode)と
RVAP(DDD mode)
にて、以下の指標を比較した。LV torsion: 2DST で測定した左室基部と心尖
部の回転運動の差、心同期指標 : 組織ドプラで四腔断面の中隔と側壁基部の最大収縮時間差
(TDD)、心収縮機能指標 : Ejection Fraction(EF)
。【結果】表。LV torsion と TDD、EF に有意な
相関関係を認めた。(TDD: y = -0.085x+18, P = 0.05、EF: y = 0.56x-20, P = 0.004)
【結論】RVAP
は心同期と同様、LV torsion も悪化させ、これが左室収縮不全の一因である。LV torsion 低下の
原因として心基部・心尖部両方の回転運動の低下と心基部の最大回転到達時間の遅延が考え
られた。
YIA-5
心房細動における前負荷増大に伴う心反応性:下半身陽圧負荷および Dual Doppler 法を用いた検討
1
徳島大学病院 循環器内科、2 徳島大学病院 診療支援部
山田 博胤 1、楠瀬 賢也 1、添木 武 1、佐藤 光代 2、河野 裕美 2、平岡 葉月 2
【背景】左室拡張能障害が高度になるとうっ血性心不全を来たしやすいが,心房細動(Af)においては,左室拡張能の評価が困難である.新
しく開発された Dual Doppler 法を用いれば,僧帽弁口血流速波形および僧帽弁輪運動速波形の拡張早期波高(E, Ew)の同時記録が可能で
ある.我々は,Af において下半身陽圧負荷
(LBPP)を用いて前負荷を増大させ,その反応性が安静時の E および Ew により予測できないか
検討した.【方法】非弁膜症性心房細動患者 33 例(71 ± 11 歳)を対象として,日立メディコ社製 EUB-8500 を用い,E および Ew を Dual
Doppler 法により 30 秒間計測した.LBPP 前および施行中の左室流出路血流速波形をそれぞれ 30 秒間記録し,その時間速度積分値の合計と
流出路断面積から心拍出量を算出した.同日に血漿脳性 Na 利尿ペプチド(BNP)を測定した.【結果】全例を,LBPP による前負荷増大に伴っ
て心拍出量が増加した正常反応群と,減少した悪化群の2群に分類した.年齢,左室拡張末期径,左房径,左室駆出率,心拍出量,E は
両群で差を認めなかった.正常反応群と比較して悪化群では,Ew が有意に小(6.5 ± 2.3 vs.11.2 ± 2.3cm/s),E/Ew が有意に大であった(15.4
± 2.5 vs. 7.3 ± 1.9).悪化群の BNP は正常反応群と比べて有意に大であった
(540.7 ± 279.4 vs. 116.7 ± 82.3pg/ml).Stepwise 重回帰分析によ
り,E/Ew および Ew は LBPP に対する反応性を決定する規定因子であった.
【結論】Af においても,Ew が低値,E/Ew が高値であれば,前
負荷増大に対して Frank-Starling 機序が有効に作動せず,うっ血性心不全が生じやすい.各心拍毎の E/Ew を算出することが可能である Dual
Doppler 法は,Af における左室拡張能の評価に有用であった.
YIA-6
Detection of Diastolic Abnormality by Displacement Imaging(DADI)による狭心症の診断:前向き試験に
よる診断能の検討
1
関西労災病院 循環器科、2 関西労災病院 検査科
大西 俊成 1、上松 正朗 1、南都 伸介 1、両角 隆一 1、渡部 徹也 1、粟田 政樹 1、飯田 修 1、世良 英子 1、南口 仁 1、赤堀 宏州 1、矢野 正道 1、
安井 博規 1、永田 正毅 1、小林 直子 2、大野 弥生 2、大畑 早苗 2、山崎 その子 2
【背景】スペクトラル組織ドプラ(TDI)マッピング法を用いて陽性等容性拡張期速度
(VIR)を検出することにより、高度冠狭窄の存在を推
定し得るが、マッピングを要するため検査手技は煩雑である。一方、カラー TDI により VIR に相当する post-systolic shortening(PSS)の存在
を検出することが可能と考えられる。本研究では PSS の存在を断層心エコー図上にカラー表示する方法を考案し、本法を用いて狭心症の
存在を安静時に予測し得るかを前向きに検討した。【方法】胸痛を主訴とし心エコー図上左室壁運動は正常であった 187 症例(男性 / 女性=
98/89、64 ± 11 歳)を対象とした。超音波診断装置は東芝製 Aplio を用い、心尖部四腔断面および二腔断面においてカラー組織ドプラ法を施
行した。心筋速度から displacement を求め、収縮期のピーク時相のずれにより正常(緑色)から遅延
(赤色)までを表示した(DADI)。DADI
を用いて冠動脈支配領域に一致して心筋のセグメントが赤色表示されるものを陽性とした。狭心症は、冠動脈造影上 AHA 分類にて 90%
以上の高度狭窄を認めたものと定義した。
【結果】44 症例に冠動脈造影上高度狭窄を認めた。DADI は感度 61%、特異度 75% で狭心症を
予測し得た。陰性予測率は 86%、陽性予測率は 43% であった。左前下行枝領域に狭窄を有する症例では 71% で予測可能であった。
【結論】
DADI を用いて PSS の局在を画像化し得た。本法は胸痛を訴える正常壁運動例において、高度冠狭窄病変を有する狭心症を診断するための
補助ツールとして有用である。
- 118 -
ASIAN YIA Winner
Comparison of the Intima Thickness on Ultrasound Imaging with Histology in Carotid Artery.
The Catholic University of Korea, Korea
Yun Seok Choi,Youn HJ,Lee DH,Park CS,Oh YS,Chung WS,Kim JH,Choi KB
Background: Measurement of intimal thickness(IT)than IMT of the carotid artery
(CA)is more important to evaluate an early atherosclerosis. The
aim was to elucidate the relation between the IT on ultrasound and the histological IT in
rats. Methods: The IT of right CCA using 40MHz transducer were estimated at 9 WistarKyoto rats(Group I), 28 spontaneous hypertensive rats(SHR)with usual diet(group II)
and 10 SHR with high fat(group III). The histological IT were compared with IT on the
ultrasound imaging. Results: Mean IT on ultrasound was significantly thicker than IT on
histology in all groups(Figure)
. but IT on ultrasound was closely related to IT on
histology in all groups.(r = 0.57, p<0.05)Conclusion: IT on ultrasound strongly reflects
the intimal pathology. So, the measurement of IT on ultrasound may be a promising tool to
evaluate the atherosclerosis of CA.
ASIAN YIA Winner
Left Atrial Volume Index Response during Dobutamine Stress Echocardiography
Non-invasive Laboratory, Philippine Heart Center, Philippine
Neil D. Erguiza,Ronald E. Cuyco,Edwin S. Tucay,Raul D. Jara
This study aims to assess the LA volume index response during Dobutamine stress Echo(DSE)among patients with or without myocardial ischemia and
thus, establish the association of LA volume index with wall motion abnormality.
This is a prospective cross-sectional study with a total of 90 patients who underwent DSE. Each patient had a baseline 2-dimensional echocardiogram
with Doppler studies. LA volume index was determined prior to infusion and at peak dobutamine dose by a biplane area-length method. There was a
significant drop in LA volume index(-4.39 ± 6.01 ml/m2; P = 0.000)at peak dobutamine dose among patients without evidence of myocardial ischemia.
Among patients who displayed segmental wall motion abnormalities indicative of myocardial ischemia, LA volume index remained unchanged and with
a tendency to increase( 1.74 ± 7.79 ml/m2; P = 0.284)with dobutamine infusion. Patients with abnormal wall motion had significantly higher peak LA
volume index(27.2 ml/m2)compared to those with no evidence of wall motion abnormality(15.9 ml/m2).
Therefore, the reduction in LA volume index during DSE can be a tool or parameter in the detection of coronary artery disease.
ASE YIA Winner
Serial Changes in Segmental Strain Estimate Depleted Energy Reserves During Acute Ischemia
Mayo Clinic Rochester, USA
Josef Korinek
Background: Presence of regional postsystolic shortening(PSS)as opposed to dyskinesis has been suggested to differentiate viable from necrotic
myocardium. Energetic mechanisms that are linked with the deformational changes seen during acute ischemia, however, remain inadequately
characterized. We hypothesized that characteristic patterns of segmental deformation curves quantified by strain echocardiography would predict the serial
changes in high energy phosphate metabolism seen during progressive ischemia and also estimates the energy reserves.
Methods: 20 open-chest pigs were randomized into 5 groups of 4 animals each. In the first 4 groups we occluded the left anterior descending coronary
artery successively for increasing time intervals(10, 30, 90 and 180 min.), while the remaining group was used for baseline measurements. Longitudinal
strains(in %)were measured in control(mid posterior)and ischemic(apical anterior)regions. Myocardial biopsies were obtained at the end of each
interval from control and ischemic regions for measuring the ratio of adenosine tri- and di-phosphate(ATP/ADP ratio). Dyskinesis(DK)strain, peak
negative strains(PkS), and postsystolic shortening strain were measured at the same time periods. A mathematical model based on DK and PSS obtained
from 20 animals was evaluated for prediction of the ATP/ADP ratio in the ischemic myocardium.
Results: The ATP/ADP ratio decreased significantly in the ischemic region(from 4.1 ± 0.5 at baseline to 2.7 ± 0.4 at 10 min, 1.5 ± 0.6 at 30 min, 0.7 ±
0.3 at 90 min, and 0.5 ± 0.1 at 180 min; respectively, <0.05 ). Similarly, PkS changed significantly in the ischemic region(from -11.1 ± 1.9 to -6.9 ± 1.2,
-4.1 ± 1.8, -1.6 ± 1.0 and -1.4 ± 0.7; for respective time intervals, <0.05). The ATP/ADP ratio correlated closely with PkS( = 0.81, <0.001), DK
( = 0.73, <0.001)and PSS( = 0.86, <0.0001). The mathematical model(ATP/ADP ratio = -0.97+0.2*DK+0.25*PSS)accurately predicted the
ATP/ADP ratio in acute persisting ischemia.
Conclusions: Quantitative measurements with strain echocardiography closely reflect the serial changes in high energy phosphate metabolism seen
during acute myocardial ischemia. This study provides for the first time a mathematical method for noninvasive estimation of energy reserves of ischemic
myocardium that may be useful for optimizing the therapeutic interventions used during acute coronary syndromes.
- 119 -
一般演題 1
肥大型心筋症における左室心内膜側と心外膜側の捻れ運動の検討
1
山口大学大学院 医学系研究科 器官病態内科学、2 山口大学
田中 健雄 1、村田 和也 2、吉野 敬子 1、岸田 由香里 2、深川 靖浩 1、野瀬 善夫 1、橋本 亮 1、赤川 英三 1、和田 靖明 1、國近 英樹 1、
松 益德 1
【目的】B モード画像上で心筋の任意の点をパターンマッチング法により自動追尾する 2D tissue tracking 法
(2DTT 法)を用いて、肥大型心筋
症(HCM)における左室心内膜側
(Endo)と心外膜側
(Epi)の捻れ運動について検討した。【方法】HCM14 例、健常者(N)14 例を対象とし、
心基部と心尖部の左室短軸断層像を一心周期記録し、2DTT 法
(HITACHI EUB-8500)により左室前壁、側壁、後壁、心室中隔の Endo・Epi
に各々 4 点の関心領域を指定して自動追尾を行った。フレーム毎に 4 点とその中心とのなす角度の平均を自動計算し、心基部と心尖部の回
転角度を求め、その角度差を左室捻れ角度として算出した。また、拡張末期から捻れが最大となるまでの時間(t-PT)を測定し R-R 間隔によ
る補正を行った後、Endo-Epi の t-PT の差
(dt-PT)を求めた。【結果】Epi での左室捻れ角度は HCM 群、N 群で差はみられなかったが、Endo
では HCM 群で N 群より大であった(13.3 ± 4.1 vs 10.3 ± 1.8°, p < 0.05)
。HCM 群の Endo での t-PT は Epi の t-PT よりも短い傾向にあり、dt。【結語】肥大型心筋症では健常群と比較して、心内膜の捻れ角度
PT は N 群よりも大であった(18.8 ± 29.2 vs − 10.6 ± 24.3msec0.5, p < 0.01)
が増加しているとともに、Endo-Epi の最大捻れ角度に達するまでの時間に差がみられた。2DTT により、肥大型心筋症における Endo-Epi 間
に左室捻れ運動の不均一性が存在することが明らかとなった。
一般演題 2
肥大型心筋症患者における Torsion の評価 -2D speckle tracking 法と MRI tagging 法との比較 1
愛媛大学大学院 病態情報内科学、2 喜多医師会病院 循環器科
齋藤 実 1、岡山 英樹 1、西村 和久 1、井上 勝次 2、吉井 豊史 2、日浅 豪 2、住本 巧 2、大木元 明義 1、大塚 知明 1、檜垣 實男 1
背景 : 近年、左心室の捻れ(Torsion)
は 2D speckle tracking
(2DS)法により簡便で正確に解析することが可能となった。肥大型心筋症
(HCM)
は
左心室の安静時の Torsion が正常より亢進している事が報告されている。しかしながら心エコーでは心尖部レベルの短軸像は乳頭筋が消失
するレベルと定義される事が多いため、真の Torsion を過小評価している可能性がある。そこで今回我々は HCM 患者において 2DS 法で求め
た Torsion と MRI tagging 法で求めた Torsion との比較検討を行った。方法 : 肥大型心筋症患者 22 名に Vivid 7 Dimension
(GE)を使用し 2DS 法と
3T MRI による MRI tagging 法を施行した。心基部レベルの短軸像はエコー、MRI ともに僧帽弁が左室内腔の中心に確認できるレベルとした。
心尖部レベルの短軸像はエコーでは乳頭筋がほぼ消失するレベルとし、MRI では拡張末期に左室内腔が確認できる最も心尖部のレベルと
した。Torsion は心基部レベルとそれぞれに定義した心尖部レベルの平均回転角度の差とした。結果 :2DS 法と MRI tagging 法の間で心基部の
平均回転角度に有意差は認められなかった。2DS 法で求めた心尖部の平均回転角度および Torsion は MRI tagging 法で求めたそれらと有意な
相関を認めた(各々 r2 = 0.46, P < 0.01; r2 = 0.49, P < 0.01)
。しかしながら 2DS 法で求めた心尖部の平均回転角度は MRI tagging 法で求めたそ
れに比し有意に低値であり(7.6 ± 5.0 degrees vs 19.7 ± 7.3 degrees, P < 0.01)、結果として Torsion も有意に低値であった(14.7 ± 7.7 degrees vs
27.0 ± 6.8 degrees, P < 0.01)。結語 :HCM 患者における真の Torsion を 2DS 法では過小評価していたが、それは主として心尖部の回転角度を
過小評価していたためと考えられた。
一般演題 3
肥大型心筋症における左心室収縮能と心筋線維化:心筋サルコメア遺伝子変異肥大型心筋症における検討
金沢大学 循環器内科
舛田 英一、井野 秀一、藤野 陽、林 研至、山岸 正和
目的:肥大型心筋症(HCM)症例の多くは左室収縮力を維持しているが、時として心臓超音波検査などで、収縮障害を認め、次第に拡張
相へ移行することを経験する。左室収縮障害を伴った HCM では、心筋の著しい線維化を伴うと考えられるが、近年この線維化が臨床的、
非侵襲的に評価可能となった。本研究では、心臓超音波検査での左室収縮指標と心筋線維化の定量評価値の関連を検討した。方法:心筋
サルコメア遺伝子変異が同定された HCM を対象とした。内訳は、心筋βミオシン重鎖遺伝子変異 1 例、心筋ミオシン結合タンパク C 遺伝
子変異 5 例、心筋トロポニン I 遺伝子変異 19 例の計 25 例であった。全例に心臓超音波検査を施行後、心臓 MR 検査にて、心筋線維化を評
価した。1.5T 超伝導 MR 装置を用い、ガドリニウム遅延造影を撮像後、遅延造影を示した症例において、造影面積の総和から、% delayedenhancement (%DE) を算出した。結果:超音波検査において、心室中隔厚は 14 ± 4mm、左心室内径短縮率は 33 ± 10%であった。遅延造影
が 20 例に認められ、%DE は 10.6 ± 11.9%であった。収縮指標としての左心室内径短縮率と %DE の間には有意な負の相関を認めた
(r = 0.822、
p < 0.001)。総括:サルコメア遺伝子変異による肥大型心筋症患者において、左心室収縮能の低下は、心筋の線維化の進展と密接な関係を
有する。本病型の拡張相肥大型心筋症への移行を考察する上で興味深い。
- 120 -
一般演題 4
2D speckle tracking 法を用いた肥大心における strain rate の定量評価
1
多根総合病院、2 多根総合病院 生理機能検査
長倉 俊樹 1、竹内 正明 1、中井 博美 2、西蔭 朋子 2、大谷 真一郎 1
目的 : 2D speckle tracking 法を用い、肥大心のストレインレートを計測すること。方法:対象は高血圧心臓病
(HHD)患者 21 名、肥大型心筋
症(HCM)20 名、年齢をあわせた健常者 11 名。GE 社製 Vivid7 を用いて、僧房弁、乳頭筋、心尖部レベルの左室短軸 3 断面を記録。各断面を
6 分割し、心筋局所の重心、円周方向の収縮期最大ストレインレート(SrR(S)、SrC(S)
)、拡張期早期最大ストレインレート(SrR(E)、SrC
(E))を計測した。 結果:重心方向 : 全 18 領域平均の SrR(S)、SrR(E)
は健常者に比べ、HHD 群、HCM 群ともに有意に低下していた(SrR(S);
HCM:1.65 ± 0.34, HHD:1.80 ± 0.39, NV:2.18 ± 0.23, p < 0.001, SrR
(E); HCM:-1.06 ± 0.52, HHD:-1.58 ± 0.47, NV:-1.95 ± 0.4, p < 0.001)。 円周
方向 : 全領域平均の SrC(S)は HHD 群で最も低値を呈した(HCM:-1.55 ± 0.20, HHD:-1.33 ± 0.23, NV:-1.88 ± 0.26, p < 0.001)。SrC(E)は、健常
者に比べ HHD 群、HCM 群ともに有意に低下していた(HCM:1.17 ± 0.46, HHD:1.40 ± 0.45, NV:2.35 ± 0.52, p < 0.001)結語 : 健常成人に比べ、
収縮期、拡張早期のストレインレートは重心、円周方向とも肥大心では低下するが、収縮期ストレインレートの低下の度合いは、肥大の
成因により、方向性に差がある可能性が示唆された。
一般演題 5
拡張型心筋症患者における左室 Dyssynchrony と僧帽弁閉鎖不全症との相関について:リアルタイム 3 D心エ
コー図による検討
神戸市立中央市民病院 循環器内科
谷 知子、田辺 一明、北井 豪、山根 崇史、呉羽 布美恵、片山 美奈子、民田 浩一、尾田 知之、江原 夏彦、木下 慎、加地 修一郎、
山室 淳、盛岡 茂文、木原 康樹
【背景】機能性僧帽弁閉鎖不全症(MR)は拡張型心筋症(DCM)にしばしば認められる。最近左室内の dyssynchrony が DCM 症例における
MR の成因であることが示唆されている。今回我々はリアルタイム 3 D心エコー図(RT3D)を用いて DCM 症例における dyssynchrony と MR
との関係について検討を行った。
【方法】DCM20 症例について検討。左室 dyssynchrony は RT3D( iE33 ; Philips Medical System)を用い、左室
(Tmsv-SD)を各症例において算出した。左室拡張末期
17 各セグメントの最大収縮時相(Tmsv)を計測。また、17 セグメントの Tmsv の標準偏差
容量(EDV), 左室収縮末期容量
(ESV)および左室駆出率(EF)は modified biplane Simpson’
s 法を用いて計測した。MR はカラードプラー法よ
り定性的に評価した。【結果】症例を中等度以上の MR を認める DCM 群(Group A:13 例)および軽度 MR 群(Group B:7 例)の 2 群に分類。
EF(35 ± 10 vs. 43 ± 9%, p = 0.09: Group A vs. B)は 2 群にて有意差を認めなかった。EDV(142 ± 46 vs. 99 ± 28ml, p = 0.04: Group A vs. B)お
よび ESV(95 ± 41 vs. 57 ± 25 ml, p = 0.04: Group A vs. B)は A 群において増大していた。各群の標準偏差 Tmsv-SD は Group A において Group
B よりも有意に延長していた(95 ± 35 vs. 47 ± 15 msec, p = 0.003: Group A vs. B)。
【結論】RT3D は DCM 症例において、左室 dyssynchrony お
よび MR 重症度との相関の検討に有用である。
一般演題 6
収縮能の保たれた心不全患者の予後予測における組織ドプラ法の有用性
東住吉森本病院
平田 久美子、兵頭 永一、喜多 領一、広瀬 真、紙森 公雄、斉藤 聡男、吉川 淳一、西田 幸生、瓦林 孝彦
背景:近年、収縮能の保たれた心不全患者は増加しており、その生命予後は不良であるという報告がある。しかしながら、その予後予測
因子に関しては十分な検討がなされていない。本研究の目的は、ドプラ心エコー図が、収縮能の保たれた心不全患者の予後予測に有用か
否かを検討することである。方法:入院中の心不全患者、連続 124 例に対して退院前に臨床的評価およびドプラ心エコーを施行し、心エコー
図の計測値・臨床背景と一年後の心イベント(心不全による再入院または心臓死)との関連を検討した。結果:124 例の心不全患者の中で、
左室駆出率が 40% 以上の症例 61 例について検討した。61 例中 59 例で追跡調査が可能であり(追跡期間:平均 388 日、平均年齢 79 歳、女性
37 例)、22 例に心イベントが発生した。Cox 単変量解析において、左室拡張早期流入血流速度/僧帽弁輪拡張早期速度(E/E’
)、僧帽弁輪
心房収縮速度(A’)
、NYHA class ≧ II、BMI、年齢 75 歳以上および貧血が心イベントの有意な予測因子であった。多変量解析において、A’
は独立した予測因子であった。結論:収縮能の保たれた心不全患者において、A’は退院一年後の心イベントの予測に有用であった。
- 121 -
一般演題 7
2D speckle tracking imaging を用いた左室同期不全の評価ー心臓再同期療法の長期効果予測に関する検討
1
土谷総合病院 循環器科、2 土谷総合病院 循環器科心機能検査室
正岡 佳子 1、岡 俊治 1、上田 浩徳 1、木谷 弘之 2、佐々木 洋子 2、山島 明子 2
【背景】2D speckle tracking imaging
(2DSTI)は超音波スペックルの動きをフレーム毎にトラッキングする新しい方法であり角度依存性や
tethering の影響を受けずに局所壁運動の解析が可能である。
【目的】2DSTI を用いた左室短軸方向の左室同期不全の指標が心臓再同期療法(CRT)の長期効果を予測可能であるかを検討する。
【方法】対象は当院にて重症心不全のため CRT を施行し CRT 施行前と施行 6 ヶ月後に左室基部短軸像を良好に記録可能であった連続 21 例。
GE 社製 Vivid7、EchoPAC PC を使用して画像の記録、解析を行った。左室基部短軸像を 6 分画に分けて各分画の peak radial strain 到達時間(T
− PRS)を測定。T-PRS の前中隔と後壁との時間差、中隔と側壁との時間差を同期不全の指標とした。CRT 後左室収縮末期容積が 15% 以上
減少した症例を有効群(R 群 16 人)
、15% 未満を無効群(NR 群 5 人)とし両群間の同期不全の程度を比較検討した。
【結果】T-PRS の前中隔と後壁との時間差、中隔と側壁との時間差ともに R 群が NR 群に比べ有意に長かった
(227.6 ± 32.0ms vs. 80.8 ±
18.6ms,P < 0.05)、
(256.0 ± 33.05ms vs. 81.27 ± 15.8ms,P < 0.01)
。T-PRS の前中隔と後壁との時間差、中隔と側壁との時間差は CRT 後の
左室収縮末期容積の減少度と有意な相関を認めた(R = 0.55,P < 0.05,R = 0.52,P < 0.05)
。
【結論】2DSTI の radial strain を用いた左室同期不全の評価は CRT の症例選択に有用である。
一般演題 8
拡張期心不全症例における左室収縮機能障害の評価:ドプラ心エコーによる等容収縮時間計測の有用性
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 循環器・呼吸器・代謝内科学
高崎 州亜、吉福 士郎、桑原 栄嗣、植村 健、仲敷 健一、窪田 佳代子、河野 美穂子、浜崎 秀一、木佐貫 彰、鄭 忠和
【背景】正常の左室駆出率で心不全症状と左室拡張障害を認めれば、拡張期心不全(DHF)と診断される。このような DHF 症例において、左
室収縮機能障害が存在するかどうかについては未だ議論の余地がある。DHF 症例はしばしば高血圧性左室肥大を有し、壁応力の減少によ
り左室収縮障害がマスクされる可能性がある。我々は、
「DHF 症例において、左室駆出率が正常であっても心時相解析により左室収縮機能
不全を検出することが可能である」という仮説を立て、この仮説を検討した。
【方法】対象は、DHF 群 11 症例および正常コントロール群
11 例。ドプラ心エコー法を用いて、左室流入血流速波形の流入終了から再開始までの時間
(a)と大動脈駆出血流速波形の駆出時間
(b)を測
定し、左室全体の総合的心機能指標として Tei index =
(a − b)/ b を求めた。また、心電図の R 波より左室流入血流速波形の開始までの時間
(c)、心電図の R 波より大動脈駆出血流速波形の終了までの時間
(d)も計測した。これらより、左室拡張機能指標として等容拡張時間(IRT)
= c − d、左室収縮機能指標として等容収縮時間(ICT)=(a − b)−(c − d)をそれぞれ求めた。
【結果】1)Tei index は、DHF 群において
正常群と比し有意に増大していた(0.61 ± 0.11 vs. 0.38 ± 0.06、p < 0.0001)。2)ICT および IRT は、いずれも DHF 群において正常群と比し
有意に延長していた(ICT: 67 ± 25 vs 33 ± 21ms、IRT: 108 ± 23 vs 75 ± 28ms、p < 0.01)
。【総括】拡張期心不全症例では、拡張機能だけ
でなく収縮機能も障害されていることが示唆された。
一般演題 9
心房細動を伴う心不全患者における左室流入血流開始と拡張期僧帽弁輪運動開始の時間的関係 -dual Doppler
system を用いた検討 1
山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学、2 山口大学医学部附属病院 検査部
和田 靖明 1、村田 和也 2、赤川 英三 1、田中 健雄 1、野瀬 善夫 1、松 益德 1
【目的】心房細動(AF)を伴う心不全患者での左室流入血流開始と拡張期僧帽弁輪運動開始の時間的関係について、同一心周期において左
室流入血流速度
(TMF)と僧帽弁輪速度
(MAV)を同時に記録可能である dual Doppler system
(HITACHI-EUB7500)を用いて検討する。
【方法】
AF 患者 26 例を対象とし、心尖部アプローチにて dual Doppler system により TMF と MAV
を連続 10 心拍同時記録した。心不全の有無により対象を 2 群に分類した [ 心不全
(+)12 例
(HF 群)、心不全(-)14 例(nHF 群)
]。MAV 拡張期最大速度(Ea)および心電図 R 波から E 波
開始点、Ea 波開始点までの時間(t-E、t-Ea)を計測し、t-E, t-Ea は RR 間隔にて補正し、そ
の時間差
(dT)を 算 出 し た。【 結 果 】HF 群 で は nHF 群 と 比 較 し て t-Ea は 延 長 し
(511 ±
(64 ± 22vs11 ± 16ms0.5,p < 0.01)。
66vs458 ± 38ms0.5,p < 0.02)、dT は有意に開大していた
一方、Ea および t-E は両群間で有意差はみられなかった。
【結論】AF を伴う心不全患者
では Ea 波開始点の遅延がみられ、dual Doppler system を用いた TMF と MAV の時相解析
は AF 患者においても拡張機能評価に有用であることが示唆された。
- 122 -
一般演題 10
βブロッカーによる心不全患者の心機能改善効果を予測する―冠血流予備能を用いた検討―
1
医療法人橘会 東住吉森本病院 生理検査室、2 医療法人橘会 東住吉森本病院 循環器内科
喜多 領一 1、平田 久美子 2、兵頭 永一 2、広瀬 真 2、紙森 公雄 2、吉川 淳一 1、西田 幸生 2、瓦林 孝彦 2
背景:βブロッカーは心不全患者の予後を改善することが知られている。しかしながら、その予後予測因子については十分に検討されて
いない。本研究の目的は、心不全患者において、冠動脈予備能(coronary flow velocity reserve: CFVR)が、βブロッカーによる心機能改善
効果の予測に有用か否かを検討することである。方法:心不全患者28例(男性 21 例、平均年齢 65 ± 15 歳)にカルベジロールを投与し、
その投与前と投与6ヶ月後に経胸壁心エコー図検査を施行した。Siemens 社製 Acuson Sequoia 512 を使用し、心機能および CFVR の計測を
行った。CFVR は、左冠動脈前下行枝の血流速度を計測し、安静時と最大冠拡張時(アデノシン三燐酸 0.14mg/kg/min)の平均血流速度の
比から算出した。良好な波形が得られない場合は超音波造影剤(レボビスト)を経静脈的に投与した。CFVR ≦ 2.0 をA群、> 2.0 をB群
とした。結果:全28例において CFVR の計測が可能であった。A 群 11 例、B群 17 例であり、両群間において、カルベジロール投与前の
左室収縮能(EF)
、左室拡張、収縮末期径に差は認められなかったが、6ヶ月後のEFの変化率はB群において有意に高値であった(A 群 :
-2 ± 3.6、B群 : 10 ± 12(%)、p = 0.02)。また、B群であることは、6ヶ月後のEF増加の独立した予測因子であった。結論:経胸壁心エコー
図によるCFVR計測は、βブロッカーによる心不全患者の心機能改善効果の予測に有用であった。
一般演題 11
小児用3 D プローブ X7-2(Philips)の使用経験― X3-1 と比較して
長野県立こども病院 循環器科
梶村 いちげ、安河内 聰、大西 優子、才田 謙、金子 幸栄、里見 元義
【背景】2006 年に Philips 社より高周波対応の小児用3 D プローブ、MATRIX array transducer X7-2 が release された。X7-2 は、従来の X31probe に対して周波数帯域が高く size も小さいため(X3-1 は新生児では肋間からのアプローチが困難)、新生児を含め小児の先天性心疾患
などの 3D 診断において有用と考えられる。
【目的】Philips X7-2 transducer について、X3-1 と 2D 画像、3D 画像及び 3D 心室容積計測につい
て比較検討すること。
【症例】X3-1 及び X7-2probe で画像評価ができた 6 例(年齢 0∼11 才、体重 1.4-45kg)。
【方法】使用機種は Philips iE33。
検査時体重から 3kg 以下を A 群(3 例)、3kg 以上を B 群
(3 例)に分けて以下の項目について検討した。 1)2D-B モード断層像における大動脈
弁(A 弁)
、僧帽弁
(M 弁)の画像の比較。2)Live 3D 画像にける A 弁、M 弁の画像の比較 3)3D volumetric analysis による左室容積の比較。【考
察】1)A 群では 2D-B モード断層像では X3-1 より X7-2 の方が画質が鮮明で、空間分解能が優れていた。B 群でも 40kg 以上を除いては X7-2
の方が画質は鮮明であった。2)Live 3D は両 probe の差は少なかった。3)左室容積は A 群では X3-1 が 1.6 ± 0.6ml で X7-2 は 2.6 ± 1.0ml と X7-2
の方が大きく計測された。B 群では、X3-1 が 36.8 ± 20.7ml で X7-2 は 32.1 ± 11.1ml と両 probe 間で比較的差が少なかったが、40kg 以上では、
X7-2 では 2D 画像が penetration が悪く X3-1 の方が 139%大きく計測された。【結語】X7-2 はより空間解像度と時間分解能が要求される小児
の 3D エコー診断おいて,操作性と画質に優れ有用と考えられた。また、左室容積の正確な 3D 計測においても、より空間分解能に優れた
X7-2 は鮮明で正確な評価が可能であると思われた。
一般演題 12
肥大型心筋症における流出路最小面積と流出路最大血流流速の関連 経胸壁三次元心エコー図による検討
1
榊原記念病院、2 千葉大学 循環病態医科学
鶴 有希子 1、渡辺 弘之 1、相川 大 1、川久保 幸紀 1、大門 雅夫 2、桃原 哲也 1、井口 信雄 1、三須 一彦 1、長山 雅俊 1、浅野 竜太 1、梅村 純 1、
住吉 徹哉 1
背景:近年、経胸壁三次元心エコー図が容易に取得できるようになり、左室流出路の最小断面積(Amin)の計測が可能であることが報告
された。しかしこの最小断面積が血行動態に与える影響は十分に検討されていない。そこで、肥大型心筋症で Amin を測定し、流出路最
大血流速度(Vmax)との相関を検討した。方法:肥大型心筋症の患者 12 名(平均年齢 68 歳、男性7名)を対象に 20 回の測定を行った。な
お、12 例中 5 例ではシベンゾリン静脈内投与の前後で、これらの指標を繰り返し測定した。傍胸骨アプローチにて、左室流出路長軸を含
む三次元データを取得した(Frame rate 16∼20Hz、SONOS7500、Philips、X4 probe)。取得したデータを personal computer 上に展開し、
短軸断面図を描出した。フレームごとに得られた短軸断面図から流出路断面積測定し、最小の面積を Amin と定義した。(TOMTEC 社製 4D
ECHO-VIEW ©)
。Vmax はカラードプラガイド下にドプラ法で計測した。結果:すべての三次元画像より Amin を計測することが可能であっ
、(中央値 0.8cm2)
、Vmax は 1.2m/s から 6.7m/s(中央値 2.35m/s)であった。Vmax は Amin
た(feasibility 100%)。Amin は 0.1 cm2 から 1.5cm2)
2
に良好な二次相関を示した(R = 0.82, P < 0.01)。シベンゾリンを負荷した群では平均 Amin は 0.5 ± 0.4 cm2 から 1.0 ± 0.5cm2 に増大し、平
均 Vmax は 4.1 ± 0.9 m/s から 1.7 ± 0.1 m/s に減少した
(P < 0.01)。結論:肥大型心筋症では左室流出路最小断面積の減少が流出路最大血流速
度の増加に関連している。経胸壁三次元心エコー図を肥大型心筋症に適用すれば、左室流出路の機能的最小断面積を測定可能であり、よ
り多角的な定量的評価が可能である。
- 123 -
一般演題 13
左室圧負荷に伴う僧帽弁機構の形態変化:リアルタイム 3D 心エコー図による定量解析
川崎医科大学 循環器内科
山田 亮太郎、渡邉 望、久米 輝善、築地 美和子、岡橋 典子、豊田 英嗣、根石 陽二、川元 隆弘、林田 晃寛、小山 雄士、大倉 宏之、
吉田 清
【背景】左室圧負荷に伴う機能性僧帽弁逆流
(MR)のメカニズムは解明されていない。本研究では急性左室
(LV)圧負荷モデルにおいて僧帽
弁機構の形態変化及び左房(LA)、LV の容量変化を三次元的に定量解析した。【方法】
LV 圧と大動脈
(Ao)圧をモニタリングした麻酔下開胸犬を用いた。スネアを用いて
上行 Ao を徐々に狭窄させ、LV-Ao 圧較差 60,90,120mmHg の時点で 2D、3D 心エコー
図を記録した。僧帽弁形状解析ソフト RealviewTM を用いて各ステージでの弁輪面積、
tenting volume、
tenting length、
弁輪 - 前後乳頭筋の距離
(tethering length)を計測した。
【結
果】LV 圧上昇に伴い MR は増加した。LA,LV volume は増加、弁輪面積は増大した。
tenting volume は圧較差 90mmHg 以上で増加したが tenting length は増加しなかった。
(グラフ参照)
【結論】急性 LV 圧負荷モデルでは LA、LV 拡大に伴う弁輪拡大が機能
性 MR 発生の主要メカニズムであると考えられた。
一般演題 14
大動脈弁逆流症例のバルサルバ容積の 3 次元心エコ−図による解析
1
榊原記念病院 循環器内科、2 千葉大学 循環病態医科学、3 榊原記念病院 心臓血管外科
川久保 幸紀 1、渡辺 弘之 1、相川 大 1、鶴 有希子 1、大門 雅夫 2、桃原 哲也 1、井口 信雄 1、三須 一彦 1、長山 雅俊 1、浅野 竜太 1、梅村 純 1、
下川 智樹 3、高梨 秀一郎 3、住吉 徹哉 1
【背景】成人における大動脈弁逆流症の主な原因としては、大動脈基部の拡大、先天性
(二尖弁)
、退行性変性がある。しかし、大動脈弁逆
流症におけるバルサルバ洞の容積の影響については十分な評価がなされておらず、手術に際して使用する人工弁のサイズの決定において
も、評価する明確な手段は現時点ではない。そこで、我々は三次元心エコー図を用いてバルサルバ容積(Sinus of valsalva volume:SSV)を
計測し評価を行った。
【方法】症例は中等度から高度の大動脈弁逆流症を有する 15 例(平均年齢 58 ± 19 歳、男性 14 例)
、及び正常 5 例。初
めに胸骨左縁アプローチにて左室流出路から大動脈基部にかけて 3 次元データを取得した(SONOS 7500,X4 probe, PHILIPS)。 得られた
データを personal computer に展開し、multi-discs 法にて拡張早期の SVV を測定した(4D-Echo View, TOMTEC)
。
【結果】大動脈弁逆流症例
は原因別に、大動脈基部拡大 5 例、二尖弁 4 例、退行性変性 6 例。バルサルバ容積は全ての症例で計測可能であり、11.7∼94.3ml であった。
SSVI(SSV/body surface area)は、大動脈基部拡大症例で二尖弁や退行性変性、正常例より有意に大きくそれぞれ 41.8 ± 16.6ml/m2、14.4 ±
【結論】バルサルバ容積の計測は三次心エコー図にて解析可能である。この定量的な
4.7ml/m2、16.0 ± 5.7ml/m2、8.6 ± 1.5 ml/m2 であった。
三次元的解析は、大動脈弁逆流症における解剖学的な変化を把握する新しい評価法であり、治療方針に有用な情報をもたらす可能性が示
唆された。
一般演題 15
漏斗胸患者における僧帽弁逸脱の検討:三次元(3D)心エコ−図を用いた定量解析
1
川崎医科大学附属病院 循環器内科、2 兵庫県予防医学協会 内科、3 川崎医科大学附属病院 中央検査部、4 川崎医科大学 医用工学
岡橋 典子 1、渡邉 望 1、山浦 泰子 2、築地 美和子 1、尾長谷 喜久子 1、齋藤 顕 1、山本 克紀 3、根石 陽二 1、豊田 英嗣 1、川元 隆弘 1、大倉 宏之 1、
小笠原 康夫 4、吉田 清 1
【目的】漏斗胸では、心臓が圧迫され僧帽弁逆流を来すことが知られている。本研究では、漏斗胸に伴う僧帽弁形態変化を三次元的に検
討した。【方法】手術予定の漏斗胸 20 例(12 ± 6 歳), 健常人 24 例
(13 ± 6 歳)を対象に、2D 及びリアルタイム 3D 心エコー図検査(Sonos7500)
を行った。心尖部アプローチにて full volume モードで画像を収集し、3D 画像解析ソフト(Real View®)を用いて僧帽弁輪 , 弁葉をトレースし、
三次元画像を再構築した。再構築画像上にて弁 , 弁輪形
状 , 弁逸脱程度を定量解析し、漏斗胸と健常人とを比較
した。
【結果】漏斗胸では、健常人よりも弁輪径縦横比
が小さく
(0.88 ± 0.06 vs. 0.95 ± 0.06,p = 0.002)、推定弁
輪面からの最大逸脱距離は大きかった
(4.3 ± 3.5mm vs.
0.78 ± 0.83,p < 0.0001)。漏斗胸での弁逸脱程度は年齢に
比例していた
(r = 0.644,p = 0.002)
。【結論】漏斗胸にお
ける僧帽弁形態変化を三次元的に解析できた。漏斗胸で
は弁輪が前後方向に圧迫され、正常よりも弁が左房側へ
逸脱していた。
- 124 -
一般演題 16
Echo-Dynamography の臨床応用:僧帽弁形成術、僧帽弁置換術例における左室内血流動態の評価
1
岩手医科大学 循環器医療センター 循環動態検査室、2 東北厚生年金病院、3 アロカ株式会社、4 岩手医科大学 第二内科、
岩手医科大学 小児科、6 岩手医科大学 臨床検査医学
伊藤 記彦 1、佐々木 幸子 1、嘉村 幸恵 1、中島 博行 2、菅原 重生 2、田中 元直 2、牧田 誉子 3、岡田 孝 3、田代 敦 4、小山 耕太郎 5、
諏訪部 章 6
5
【目的】田中らの開発した Echo-Dynamography により、
心腔内血流速度分布を観測面内流速ベクトル分布図として描出することが可能になっ
た。Echo-Dynamography を用いて僧帽弁形成術(MVP)、僧帽弁置換術(MVR)の左室内血流動態を評価した。【方法】健常者 10 例、
MVP5 例、MVR3 例を対象に、左室心尖部長軸断面における心周期のカラードプラ情報を Echo-Dynamography で解析した。【結果】健常例
では急速流入期に左室中央を通り心尖部に向かう血流がみられた
(図1)。緩徐流入期には心室中隔側に大きな渦流が生じ、心房収
縮期に再び心尖部に向かう平行な血流となり、僧帽弁前尖の背面
には小さな渦流が形成された。MVP では急速流入期に左室後壁に
向かう平行な血流が生じ、心尖部で心室中隔方向へ大きく旋回し
た(図2)
。MVR では急速流入期に心室中隔中央部に向かう平行
な血流が生じ、心尖部で左室後壁へ大きく旋回した(図3)
。【ま
とめ】Echo-Dynamography は僧帽弁手術が左室内血流動態に与え
る影響を評価する有力な手段である。
一般演題 17
新しい軸流ポンプ LVAD である JARVIC2000 の術後管理に心エコーが有用であった一例 1
大阪大学 医学部附属病院 循環器内科、2 大阪大学 医学部附属病院 心臓血管外科
小林 裕美子 1、坂田 泰史 1、山本 一博 1、竹田 泰治 1、田尾 美智恵 1、堀 正二 1、松宮 護郎 2、澤 芳樹 2
症例は 39 歳男性。2001 年心機能の評価及び心筋病変の精査にて脂肪蓄積筋症による二次性拡張型心筋症と診断された。その後、投薬に
て、外来経過観察されていたが、2005 年 3 月、感冒を契機に心不全は増悪、2005 年 5 月当院入院。入院治療施行するも、カテコラミン
離脱できず 2005 年 8 月心移植登録。移植待期までの間左室補助が必要となり、本人の承諾の上、10 月 4 日新しい軸流ポンプ LVAD である
JARVIC2000(心尖部脱血、上行大動脈送血)を装着した。経過順調であったが、術後 7 日目に突然胸痛を訴えた。心電図変化は認められ
なかったが、CPK599U/L、CK-MB37.2ng/ml と軽度心筋酵素の逸脱が認められた。心エコー施行すると、術後より採用した回転数では、心
拍出による大動脈弁は開放は得られず、かつ大動脈弁弁輪部にもやもやエコーを認めたため、同部位の血栓形成による心筋梗塞と推察さ
れた。JARVIC2000 は本来強度の抗凝固療法は必要としない器具であるが、本症例では INR を 2.5 程度にコントロールすると同時に、軸流
の回転数を落とし自己心拍により大動脈弁を開放させて、もやもやエコーの washout を図ったところ、その後胸痛は出現せず、心筋酵素も
速やかに減少し、以後上昇を認めなかった。経過順調にて 12 月 13 日退院となった。本症例は日本で初の JARVIC2000 装着症例であったが、
術後の心エコーによる経過観察の重要性を認識させた症例であったため、今後非拍動流補助人工心臓管理の参考になると考え報告する。
一般演題 18
バルサルバ洞動脈瘤及び右室穿通を来した感染性心内膜炎の一例
福島県立医科大学 第一内科
金城 貴士、高野 真澄、上岡 正志、義久 精臣、及川 雅啓、小林 淳、大杉 拓、中里 和彦、金子 博智、斎藤 修一、矢尾板 裕幸、
丸山 幸夫
【症例】46 歳女性。主訴は発熱、呼吸困難。2006 年 1 月左上肢蜂窩織炎にて近医入院。同年 2 月 11 日、起坐呼吸・下肢浮腫、38 度台の発熱
が出現し、胸部 X 線上心拡大・胸水貯留を認めた。心エコーにて重症大動脈弁逆流と大動脈弁に疣贅付着を認め、IE 疑いにて抗生剤投与
開始され、精査加療目的に 3 月 1 日当科紹介となる。心エコーにて右冠尖の破裂、左冠尖・無冠尖に疣贅の付着と重度大動脈弁逆流を認めた。
右バルサルバ洞壁から連続する多房性の腔を認め、開口部径 15mm、内径 18 × 26mm であり、拡張期の流入血流を認めた。また、右冠尖
付近から右室への流入血流を認めたが、流入部の同定は困難であった。以上より IE 及びバルサルバ洞仮性動脈瘤と診断した。胸部造影 3D
-CT にて右バルサルバ洞は多房性の瘤を形成し、右冠動脈と仮性瘤は近接していたが交通を認めなかった。血液培養は陰性で、抗生剤投与
にて、炎症反応・発熱の改善を認めた。しかし心不全のコントロールが困難であり、またバルサルバ洞動脈瘤破裂の可能性も考慮し、3 月
9 日大動脈弁置換・大動脈壁形成術、および右冠動脈バイパス術を行った。術中所見にて、右冠尖は破壊され、外側前方に仮性瘤を形成し、
瘤下方から右室への穿通を認めた。摘出標本にて大動脈弁弁尖に急性炎症像と血栓の付着を認め、急性潰瘍性心内膜炎の診断であった。
【考
案】IE に伴うバルサルバ洞仮性動脈瘤は稀であるが、その 20-30%程度が心腔や冠動脈へ穿通する。本症例は心エコーにてバルサルバ洞仮
性動脈瘤を診断し、3D-CT にて冠動脈の走行との関係を判断し、術式の決定に有用であった。
- 125 -
一般演題 19
手術と病理の所見で大動脈炎症候群が考えられた大動脈弁穿孔の稀な一例
1
岩手医科大学 循環器医療センター 循環動態検査室、2 三愛病院 循環器内科、3 岩手医科大学 第二内科、4 岩手医科大学 小児科、
岩手医科大学 臨床検査医学
伊藤 記彦 1、佐々木 幸子 1、嘉村 幸恵 1、菖蒲沢 実 1、武田 美香 1、那須 雅孝 2、新沼 廣幸 3、田代 敦 3、小山 耕太郎 4、諏訪部 章 5
5
【症例】61 歳の女性。3 ヵ月前から 38℃の発熱と感冒様症状があり、2 ヵ月前から息切れ、呼吸困難が出現したため近医を受診した。全身
浮腫と胸水を認め、心エコー図で大動脈弁に疣贅様所見と高度の AR がみられたため手術目的で当院入院となった。
【心エコー図】経胸壁
心エコー図では大動脈弁は 3 尖で、いずれの弁尖も接合面が伸延し、弁輪径は 2.4cm と拡大していた。右冠尖の弁腹に瘤状の構造物を認め、
その一部が穿孔して高度の AR が生じていた。大動脈弁に疣贅様の構造物はみられなかった。僧帽弁には明らかな疣贅は認めなかったが、
前尖 A2 が肥厚し中等度の MR を認めた。
【手術所見】大動脈壁は肥厚し大動脈炎症候群を疑う所見であった。大動脈弁尖に疣贅は認めず。
右冠尖の弁腹に直径 5mm 大の穿孔を 2 ヵ所認めた。穿孔部を縫合し心膜パッチで補強する大動脈弁形成術を行った。僧帽弁は前尖 A2 に肥
厚があるものの逸脱はなく、Duran ring による弁輪縫縮を行った。
【病理所見】大動脈壁に軽度のリンパ球浸潤と中膜、外膜の線維性肥厚
がみられた。肉芽腫の形成はなく、活動性の炎症所見は軽度であるが、瘢痕形成期の大動脈炎症候群として矛盾しない所見であった。大
動脈弁は組織の大部分が硝子化した結合織に置換されており、活動性の炎症はなかった。
【考察】大動脈炎症候群は原因不明の非特異的血
管炎である。本例は術後も胸水貯溜と軽度の炎症所見を認めたがステロイドの投与で改善した。造影 CT や頸部血管エコ−で血管の狭窄や
拡張は認めないため、大動脈炎症候群の診断基準を満たさないが、手術と病理の所見から大動脈弁穿孔の原因として本症が考えられた。
一般演題 20
経食道 3D エコーが診断に有用であった僧帽弁置換術後の paravalvular regurgitation の 1 例
愛媛県立今治病院 循環器科
河野 珠美、松岡 宏、川上 秀生、小松 次郎
患者は 63 歳の女性。平成 10 年 10 月 14 日に僧帽弁狭窄症に対し、僧帽弁置換術(Carbomedics 27mm)を施行された。平成 18 年 9 月頃から
全身倦怠感が出現するようになり、10 月 11 日の血液検査で Hb 6.5 g/dl の高度の貧血を指摘された。LDH、Ind-Bil の上昇等も認めたため溶
血性貧血と診断され、原因精査を行ったが溶血性貧血の原因ははっきりしなかった。人工弁による溶血性貧血の可能性を考えたが、経胸
壁エコーでは明らかな異常は指摘されなかった。しかし、経食道エコー検査を行ったところ、人工弁輪の外側から左房内への逆流ジェッ
トが認められた。TOMTEC 4D Echo-View を用いて再構築を行った経食道 3D エコー
では、右図の矢印に示すように人工弁と組織との間に形成された間隙と、そこから
左房に噴出する逆流ジェットが明瞭に描出された。12 月 8 日に再置換術を施行(On-X
25mm)し、その後は貧血の悪化を認めず、自覚症状も改善した。僧帽弁置換術後の
弁周囲の亀裂とそこからの逆流の検出に経食道 3D エコーが有用であった 1 例を経験
したので報告する。
一般演題 21
たこつぼ型心筋症を発症し左室流出路閉塞を来たした心尖部肥大型心筋症の一例
1
藤田保健衛生大学 坂文種報徳会病院 生理検査室、2 藤田保健衛生大学 坂文種報徳会病院 循環器内科
都築 千枝 1、田畑 智継 2、〆田 祐光 1、安東 カヨコ 1、西浦 美代子 1、浅井 崇 1、小西 良光 1、横井 博厚 2、野村 雅則 2
非対称性中隔肥大型心筋症にたこつぼ型心筋症を併発し,左室流出路閉塞を来たしたという報告は散見されるが,心尖部肥大型心筋症で
同様の流出路閉塞を来たしたという症例は稀であるので報告する.症例は 69 歳,女性.糖尿病と肝硬変の治療を受けていたが,路上で眼
前暗黒感が出現したため,低血糖発作を疑い救急外来を受診した.来院時には胸背部痛を伴い,心電図で ST 上昇と異常 Q 波を認めたこと
から,急性心筋梗塞と診断されて循環器内科に入院した.血圧 92/52mmHg,心拍数 98/ 分,整.両側上肺野に湿性ラ音を聴取し,第 4 肋間
胸骨左縁に LevineIII 度の駆出性収縮期雑音,心尖部に LevineII 度の逆流性収縮期雑音を聴取した.血糖値は 127 mg/dl で,心筋逸脱酵素は
軽度上昇し,トロポニン T 陽性であった.また,血中カテコラミンが上昇し,呼吸性アルカローシスであった.冠動脈造影では有意狭窄を
認めず,心エコーで心室中部から心尖部の無収縮と基部の過剰収縮を認めた.また,左室流出路の肥厚と高度の僧帽弁逆流を認め,流出
路で 131 mmHg の圧較差を生じていた.7 病日の心電図では V3-6 に巨大陰性 T 波が出現,14 病日の心エコーでは壁運動異常が消失し,左室
内腔が拡張末期にスペード状を呈する心尖部肥大型心筋症の形態を示した.僧帽弁逆流は消失し,左室流出路の圧較差は 17mmHg に減少
していた.たこつぼ型心筋症は自然経過で巨大陰性 T 波を認めることが知られている.本例は,回復期に実際に心室中隔および側壁心尖部
の肥厚を認めたことから,巨大陰性 T 波は心尖部肥大型心筋症によるものであると考えられた.
- 126 -
一般演題 22
肺動脈原発 intimal sarcoma に対して手術を行った一例
神戸市立中央市民病院
山根 崇史、田邊 一明、片山 美奈子、北井 豪、呉羽 布美恵、木下 愼、尾田 知之、江原 夏彦、民田 浩一、加地 修一郎、山室 淳、谷 知子、
盛岡 茂文、木原 康樹、井内 幹人、庄村 遊、那須 通寛、岡田 行功
症例は 45 歳女性。平成 18 年 4 月より咳嗽出現し、5 月より労作時呼吸困難を自覚、徐々に症状の悪化を認め、近医にて利尿薬を処方され
ていた。同年 6 月 8 日人間ドックの際に心雑音を指摘されたため 6 月 12 日当院循環器内科紹介受診。来院時 NYHA2 度、第 2 肋間胸骨左縁
にて Levine3/6 の収縮期雑音を聴取した。経胸壁心エコーにて肺動脈内の腫瘤に伴う肺動脈狭窄を認め、右室圧 92mmHg と著明な上昇を認
めたため緊急入院となった。入院後の経食道心エコーでは肺動脈本幹から右肺動脈にかけて充実性の腫瘍を認め、一部壁外への浸潤を認
めた。胸部 CT でも壁外への浸潤を認め、Ga シンチでも腫瘍に一致して集積を認めたため悪性腫瘍と考えられた。入院後も症状の進行を認
めたため平成 18 年 6 月 26 日腫瘍切除術を施行した。肺動脈本幹、左右肺動脈、左房壁、左上肺静脈壁に腫瘍の浸潤を認めたため切除し再建、
上行大動脈は置換した。肉眼的にも左冠動脈主幹部と右室流出路の腫瘍の残存を認めた。術後は心エコー上も右室圧 49mmHg まで低下し、
自覚症状も軽快したため同年 7 月 15 日に退院となった。病理組織上は肺動脈原発の Intimal sarcoma の診断であり、同年 8 月より残存腫瘍に
対してカルボプラチンとパクリタキセルによる化学療法および放射線療法を開始した。術後 6 ヶ月後の時点で自覚症状なく経過している。
今回我々は肺動脈原発の Intimal sarcoma に対して手術を行い症状の改善を認めた症例を経験したため文献的考察を加えて報告する。
一般演題 23
小児領域における組織ドプラ法を用いた cardiac resynchronized therapy(CRT)
適応につて
1
大阪医科大学 小児科、2 大阪医科大学 胸部外科
奥村 謙一 1、尾崎 智康 1、片山 博視 1、佐々木 智康 2、根本 慎太郎 2、森本 大成 2、勝間田 敬弘 2、玉井 浩 1
【はじめに】近年、成人では組織ドプラ法(TDI)を用い重症心不全における dyssynchrony の検討が報告されているが、小児領域での報告
は数少ない。我々は、左脚ブロックパターンを呈する小児慢性心不全の1歳女児に対し、組織ドプラ法にて dyssynchrony を評価した後、
CRT を施行し、心不全症状の有意な改善を認めたので報告する。【症例】1 歳 8 ヶ月 女児。左室心筋緻密化障害を伴った拡張型心筋症【現
病歴】1 ヶ月時、左室緻密化障害を伴う拡張型心筋症と診断され、内科的治療開始。1歳 9 ヶ月時、感冒を契機に心不全症状が増悪したた
め、当院緊急入院となった。
【現症】体重 7.2kg。CLBBB(QRS duration: 160msec)BNP 4320pg/ml、NYHA III 度。心尖部四腔断面像(A4C)
および長軸断面像(ALAX)の TDI の収縮期最大速度の時相の差を測定したところ、A4C で 60 m sec, ALAX で 110msec であった。【臨床経過】
心不全治療開始により、入院 3 週間後の BNP は 2060pg/ml に低下した。入院 4 週間目に pacing lead を左室、右室、右房の epicardium に植え
込む CRT 施行。CRT 後 47 日目、TDI による評価で A4C で 26msec、ALAX で 20msec と、dyssynchrony の改善を認め、BNP 940pg/ml、NYHA I
度へ改善した。【結語】今回我々は組織ドプラ法にて CRT 適応を判断し、CRT 施行後心不全症状の有意な改善を認めた。小児領域において
も CRT は慢性心不全治療の有効な手段のひとつとなりうる可能性が示唆されたが、小児領域における組織ドプラ法を用いた CRT 適応基準
はいまだ確立されていない。今回我々は成人領域における適応基準に準じて CRT を選択したが、今後は小児症例のさらなる積み重ねにより、
小児領域における CRT の適応基準を確立すべきである。
一般演題 24
心雑音と不明熱で心エコー検査し右心系に感染性心内膜炎に伴う疣贅が多発した右室二腔症の1例
1
生長会 府中病院 循環器科、2 生長会 府中病院 生理検査科、3 神戸市立中央市民病院 心臓血管外科
西山 裕善 1、太田 剛弘 1、占野 賢司 1、谷川 崇 2、宇多 里恵子 2、金子 みどり 2、酒井 正容 2、坂上 祐司 1、柳 志郎 1、岡田 行功 3
【症例】症例は 57 歳男性。以前から心雑音指摘されていた。主訴は発熱、全身倦怠感。
【現病歴】
平成 18 年 5 月中旬より全身倦怠感と発熱が出現。
その後、徐々に労作時の動悸、息切れも出現し微熱も続くため、7 月中旬に当院を受診。7 月末に採血で炎症反応と腎機能障害、さらに心
エコー図上で右室内に異常筋束、同部位での乱流と加速血流
(圧較差 90mmHg)が観察され右室二腔症と診断した。三尖弁に可動性に富む
異常構造物を認めたため、感染性心内膜炎を疑い精査加療目的にて当院入院。【経過】血液培養で Streptococcus vestibularis が検出され、肺
血流シンチで右上葉 S2 末梢に楔状の defect 認めた。入院後 CTRX + GM の点滴治療を開始。抗生剤の投与下にもかかわらず、発熱の再燃と
CRP の再上昇を認め、経過的心エコー図で三尖弁に加え新たに右室内筋束の部位に vegetation を疑われる所見がみられ、腎障害も進行し早
期の手術必要と判断し外科治療の適応とした。外科にて薬剤性の発熱を考慮し抗生剤を中止したところ解熱し CRP も低下。う歯の抜歯処
置や膵炎、胆嚢炎などの併発あり治療後に手術を施行した。三尖弁の後尖の vegetation を郭清し弁形成を施行。VSD を閉鎖、右室流出路肉
柱切除術を施行した。【まとめ】IE に感染しやすい基礎疾患として左心系の疾患が報告されるが、右室内の異常筋束による右室二腔症も乱
流部位があり感染のリスクが高いとされる。VSD の合併率(70%)が報告される。今回我々は不明熱で発症した右室二腔症と考えられる
症例に多発性の疣贅を認め、手術療法により右室圧較差の解消と感染巣の郭清に成功した一例を経験したので報告する。
- 127 -
一般演題 25
修正大血管転位症に対して心室再同期療法を行った一例
1
兵庫県立姫路循環器病センター 検査・放射線部、2 兵庫県立姫路循環器病センター 循環器科
井尻 彰子 1、水井 麻喜 1、諸根 隆行 1、寺脇 知哉 1、藤本 惠子 1、寺川 仁人 1、都留 正人 1、松本 賢亮 2、谷口 泰代 2
【症例】52 歳男性【主訴】労作時呼吸困難【現病歴】平成 3 年 5 月修正大血管転位症と診断され、平成 17 年 4 月肺炎を契機に重症心不全
を発症し他院に入院。心エコー上解剖学的右室機能の低下、解剖学的右室側で高度の三尖弁逆流(TR)を認め 11 月 25 日弁置換術を目的
に当院紹介。平成 18 年 1 月 11 日精査加療目的で当院入院となり心室再同期療法
(CRT)の適応が検討された。【現症】身長 173cm、体重
82kg、血圧 105/60mmHg、心拍数 72/ 分整、CTR51.5%。【検査所見】心エコーにて RVDd88mm、RVDs75mm、FS15%、RVEF36%、TR 高度。
IVMD75msec、SPWMD175msec。心筋組織ドプラ(TDI)法を用い右室短軸像にて心室中隔・後壁・下壁・側壁に関心領域を設定し時間−
組織移動距離曲線を求めると心室中隔は収縮期に遠心性に移動していた。電気生理学的検査の血行動態評価は、両心室ペーシングで心拍
出量、心係数ともに改善を認め両心室ペーシングは血行動態改善が期待できるものと判断し CRT を施行。CRT 施行 3 ヶ月後、RVDd73mm、
RVDs56mm、FS23%、RVEF43%、TR 中等度。IVMD21msec、SPWMD-46msec。TDI 法では関心領域全てが収縮期に求心性に移動し、収
縮開始から収縮中心側への最大移動時間の心室中隔との時間差は、後壁 0msec、下壁 0msec、側壁 -83msec であった。【結語】今回の
dyssynchrony を有する修正大血管転位症は慢性期に心機能の改善と reverse remodeling を認め CRT が有効であった。
一般演題 26
大動脈解離の術後遠隔期に大動脈縮窄症様の病態を呈した一例
1
済生会山口総合病院 中央検査部、2 済生会山口総合病院 循環器内科
村田 幸栄 1、小野 史朗 2、小野 聡子 2、塩見 浩太郎 2、河端 哲也 2、河原 慎司 2、松本 勝彦 1、縄田 純子 1、安田 優子 1
症例は 60 歳代女性。2006 年 1 月頃より血圧上昇とともに労作時息切れ、浮腫など心不全症状がみられるようになった。利尿薬を追加され
たが、症状の改善なく BNP も 1389.1pg/ml と著明な上昇がみられ、3/20 入院となった。既往歴に大動脈解離(Stanford Type A)があり、弓
部置換されている。経胸壁心エコー図
(TTE)では LVDd 48.7mm, EF 73%と収縮機能
は正常に保たれていたが、Transmitral Flow では E 波の減速時間が 148ms と短縮傾向が
みられ、拡張不全のパターンを呈していた。収縮期雑音の精査のため、経食道心エコー
図(TEE)を施行した。大動脈弓部は人工血管で置換されているが、その遠位側が下行
大動脈の真腔内を遮断するように解離腔側に向かい、その遠位端より真腔に向かっ
て加速血流を認め、人工血管と真腔との約 60mmHg の圧較差を生じているのが観察
された(図1)。大動脈造影にて大動脈弓部∼下行大動脈移行部で狭窄が確認された。
本症例の病態の把握に TEE が有用であった。
一般演題 27
左室内血栓を伴った左室緻密化障害の一例
神戸大学 大学院 循環呼吸器病態学
則定 加津子、川合 宏哉、岡田 真理子、古木 マキ、辰巳 和宏、片岡 俊哉、大西 哲存、田中 秀和、横山 光宏
【症例】56 歳男性.呼吸困難を主訴に他院を受診し心不全と診断され入院加療を受けていたが,非持続性心室頻拍を認めたため当院へ転院
となった.入院時の心エコー図検査では左室・左房の拡大と左室のびまん性壁運動低下が観察され,左室駆出率 13%と著明な収縮能低下
を認めた.さらに左室心尖部の後側壁には肉柱の網目様構造が観察され,左室緻密化障害を疑う所見であったため,心不全に対する加療
とともにワーファリンによる抗凝固療法を開始した.第 8 病日の心エコー図検査では肉柱の網目様構造間に多数の塊状エコーを認め,心拍
動に伴う周囲の肉柱の運動とは異なる動きをしていたため血栓と考えられた.同日よりヘパリンの持続点滴を開始し抗凝固療法を強化し
た.その後,塞栓症を示唆する臨床的徴候や所見無く経過し,第 16 病日の心エコー図検査において左室内血栓の消失を確認した.
【考察】
本例の左室内血栓は入院時から存在していたと考えられ,初回の心エコー図検査時には血栓が肉柱間に固着し同定が困難であったものの,
入院後の抗凝固療法により血栓の一部が溶解し可動性が生じたため 2 回目の検査時には血栓の診断が可能となったと推測する.左室緻密化
障害では,左室収縮能の低下により血流のうっ滞が生じ,網目状の肉柱間に血栓が形成されやすく,高頻度に塞栓症を発症すると文献的
に報告されているが,心エコー図検査において左室内血栓を認める頻度は必ずしも多くない,しかし,本例のように肉柱間の血栓が同定
が困難な症例も存在し,左室内血栓の検出率が低下している可能性が考えられる.今回我々は,左室内血栓を伴った左室緻密化障害の一
例を経験し,若干の文献的考察を加えて報告する.
- 128 -
一般演題 28
心エコーにより診断しえた下壁梗塞に心外膜下心室瘤と心室中隔穿孔を合併した一例
1
神戸市立中央市民病院 臨床検査技術部、2 神戸市立中央市民病院 循環器内科、3 神戸市立中央市民病院 心臓血管外科
藤井 洋子 1、田辺 一明 2、八木 登志員 1、紺田 利子 1、川井 順一 1、角田 敏明 1、山口 一人 1、谷 知子 2、那須 通寛 3、新開 雅彦 3、岡田 行功 3、
盛岡 茂文 2、木原 康樹 2
◆症例:73歳、女性。◆現病歴:2006年1月10日、心不全症状にて近医受診、急性心筋梗塞と診断され同日、当院へ緊急搬送される。
第四肋間胸骨左縁を最強点とする全収縮期雑音を聴取。心電図にて II、III、aVF に異常 Q 波、ST 上昇、WBC16,200/mm、CPK303IU.。◆
経胸壁心エコー所見:下壁領域は心基部から心尖部近くまで akinesis、下壁側に限局した心嚢液の貯留を認めた。左室短軸断面にて心室中
隔下壁側基部に心筋の断裂があり、同部位に 20 × 23mm の心室瘤を認めた。瘤の心外膜側心筋は薄く、明らかな心筋構造を認めなかった。
右室側へ突出した瘤の一部に連続性を欠く部分があり、同部にカラードプラ法にて瘤から右室へぬける短絡血流が認められた。心室瘤か
ら右室への血流は連続波ドプラ法にて peak velocity = 5.2m/sec、圧較差= 107mmHg であった。右心系の拡大はなく、軽度の僧帽弁、三尖弁
の逆流を認めた。心室瘤は心外膜の外方への突出はなく、心外膜下心室瘤と考えられ、瘤の右室側穿孔と判断した。◆心臓カテーテル検査:
♯1に 99%、♯7に 90%の狭窄を認めた。同日、
緊急手術が施行された。◆手術所見:心嚢液は漿液性で少量認めた。右房切開からのアプロー
チで心室中隔三尖弁直下に径 10mm の心筋断裂を認め、下壁は心筋構造が一部消失していた。馬心膜を用いた瘤の被覆術と左前下行枝への
SVG バイパス術が行われた。術中経食道エコーで僧帽弁逆流の重症化が認められ Mosaic 弁 25 mmにて僧帽弁置換術が施行された。◆結語:
稀な疾患である心内膜下心室瘤に心室中隔穿孔を合併した症例を経験した。心エコーが心筋構造の詳細な観察に有用であった。
一般演題 29
診断に苦慮したミトコンドリア病の一例
1
熊本大学医学部附属病院 循環器内科、2 熊本大学医学部附属病院 中央検査部
小島 志乃ぶ 1、福光 梓 2、穴井 聡子 2、堀端 洋子 1
【病歴】34 歳男性。平成 17 年 11 月呼吸困難が出現し、近医を受診。心エコー上、著明な左室肥大(22∼23mm)、左室収縮能低下(EF:45%)、
心嚢液貯留、心筋内部のエコー輝度上昇より、心アミロイドーシスが疑われ当院循環器科へ紹介となった。
【入院時身体所見】身長 153cm、
体重 40kg、血圧 143/98mmHg、脈拍 110/ 分整、意識清明、下腿浮腫・頚静脈怒張あり、心音 3 音を聴取、神経学的所見では両側感音性難聴
あり【既往歴】18 歳∼:難聴 22 歳:腎炎 【家族歴】母:腎不全【検査所見と経過】内科的治療により心不全は軽快したが、腎機能は
増悪傾向で心筋生検は困難と判断した。消化管・腹部脂肪織生検ではアミロイドの沈着は認めなかった。また組織ドプラ法での myocardial
velocity profile も直線状を呈し、心アミロイドーシスには合致しなかった。CK 高値に対し、筋生検を施行したところ、Raggerd-Red Fiber を
認めた。これよりミトコンドリア病の疑いでミトコンドリア DNA 診断を行い、MELAS(mitochondrial myopathy, lactic acidosis and strokelike episodes)と診断した。
【まとめ】ミトコンドリア病は非常に希な疾患で、本邦での推定患者数は数百人程度である。骨格筋や中枢神経
系の障害が中心だが、心筋症を認めることもある。Oki らは心肥大を呈する患者において myocardial velocity profile の検討を行い、心アミロ
イドーシスにのみ特徴的な鋸歯状を呈することを報告した(Am J Cardiology 92:864-869,2004)。我々は著明な左室肥大を呈したミトコンド
リア病の一例を経験した。高度の腎機能不全のため心筋生検施行は困難であったが組織ドプラ法が心アミロイドーシスとの鑑別に有用で
あった。
一般演題 30
リアルタイム三次元心エコー図画像による大動脈弁形態の三次元定量解析の試み
1
YONSEI UNIVERSITY HOSPITAL CARDIOLOGY、2 川崎医科大学 循環器内科、3 川崎医科大学 中央検査部、4 川崎医科大学 医用工学、
兵庫県予防医学協会 循環器内科
Shim Chi-Young1、渡邉 望 2、築地 美和子 2、山本 克紀 3、岡橋 典子 2、根石 陽二 2、川元 隆弘 2、豊田 英嗣 2、山浦 泰子 5、大倉 宏之 2、
小笠原 康夫 4、吉田 清 2
5
【背景】大動脈弁逆流(AR)に対する新しい手術法である大動脈弁形成術成功のためには術前の詳細な形態把握が不可欠である。リアルタ
イム3 D 心エコー図画像から大動脈弁三次元形状の定量解析を試みた。
【方法】AR 患者 5 名と健常人 3 名に経胸壁3 D 心エコー図検査を行っ
た。AR の成因は弁変性・硬化 2 名、大動脈弁輪拡張症 2 名、二尖弁 1 名であった。
心尖部アプローチにて 3D full volume image を記録した。新しく開発した三次元大
動脈弁形状解析ソフトを用い、大動脈弁輪・弁葉形態の三次元再構築を行い、弁
輪周長・弁輪面積・弁輪前後径左右径・左室側弁葉表面積を三次元的に測定した。
【結果】三次元再構築画像にて、三つのカーブをなす大動脈弁輪と、左室側に凸の
弁葉が観察され、個々の患者での三次元的大動脈弁形状解析をすることができた
(図・表)
。【結論】新しく開発した弁形状解析システムにより、大動脈弁の立体形
状を非侵襲的に表示し定量解析することができた。本解析システムは、様々な成
因の AR 患者の術前の形態評価に貢献すると思われる。
- 129 -
一般演題 31
僧帽弁逸脱程度の三次元定量解析
川崎医科大学 附属病院
斎藤 顕、渡邉 望、築地 美和子、岡橋 典子、根石 陽二、豊田 英嗣、川元 隆弘、大倉 宏之、吉田 清
【背景】従来僧帽弁逸脱の評価は 2 次元の断層心エコー図により行われていた。しかし僧帽弁弁輪は saddle-shape を呈しており、弁輪レベル
がそれぞれの view で異なってしまいため評価が困難であった。【目的】新しい3次元画像解析システムを用いて再構築した僧帽弁葉・弁輪
の3次元データより、僧帽弁逸脱例における弁輪レベルからの弁逸脱の程度を正常例と比較し評価すること。
【方法】対象は僧帽弁形成術
を予定された僧帽弁逸脱患者 13 人(前尖 6 人、後尖 7 人)と正常例 30 人。心房細動例及び、三次元エコー画像不良例は除外した。超音波診
断装置は Sonos7500 で X4 プローブを用いて心尖部アプローチにて full volume mode により心臓全体の画像を取り込んだ。Real View を用いて
収縮末期の僧帽弁輪・僧帽弁葉を manual trace し三次元画像構築及び解析を行った。
【結果】僧帽弁逸脱患者における僧帽弁輪面積に対す
る逸脱弁葉面積の割合は 20.9 ± 5.8%(前尖 22.5 ± 7.3%、後尖 19.4 ± 4.0%)であった。三次元的僧帽弁輪面からの最大逸脱距離は 8.4 ± 5.8
mm(前尖 5.7 ± 2.7 mm、後尖 10.7 ± 6.9 mm)であった。正常例でも、前尖の一部は弁輪面からの逸脱していた。正常例での逸脱弁葉面積
の割合は 8.61 ± 9.2%(p < 0.001)、最大逸脱距離は 1.7 ± 1.6 mm(p < 0.001)であった。【結語】リアルタイム三次元心エコー図用画像解析
システムにより、僧帽弁逸脱程度の定量解析が可能であった。正常例でも前尖の一部に弁輪面からの逸脱が認められ、今後三次元的観点
からの新しい病的逸脱の基準設定が必要と思われる。
一般演題 32
大動脈弁狭窄症における心筋内小動脈血流異常について
1
大阪府済生会千里病院 循環器内科、2 市立柏原病院 検査科、3 兵庫医科大学 循環器内科
土井 泰治 1、鶴永 知万 2、増山 理 3
【目的】大動脈弁狭窄症では左室 - 大動脈圧較差を反映して冠循環が変化することが知られている。本研究では、経胸壁心エコードプラ法
を用い大動脈弁狭窄症における心筋内小動脈血流異常につき検討した。
【方法および成績】心精査のため心エコ−図検査を施行した大動脈弁狭窄症 10 例
を対象とし、高血圧性肥大心 10 例を対照とした。使用超音波診断装置は Philips 社
製 HDI5000 である。通常の心エコードプラ検査の後、高周波探触子を用い、カラ
−ドプラガイド下にパルスドプラ左室心筋内小動脈血流速波形を記録した。大動
脈弁狭窄症では高血圧性肥大心に比し心筋内小動脈における収縮期逆流波および
拡張期波ピーク血流速が有意に増大しており(それぞれ p < 0.05)、かかる心筋内
小動脈血流動態の異常は連続波ドプラ法により計測した左室 - 大動脈圧較差と関
連していた。
【総括】経胸壁心エコードプラ法による心筋内小動脈の血流計測は大動脈弁狭窄
症におけ病態把握の一助となり得る可能性が示唆された。
一般演題 33
硬化性大動脈弁狭窄症の重症度評価判定に関する基礎的検討
手稲渓仁会病院 心臓血管センター 循環器内科
林 健太郎、村上 弘則、中島 育太郎、武藤 晴達、浅野 嘉一、宮本 憲次郎、大本 泰裕、山口 康一、広上 貢、塙 なぎさ、田中 繁道
【背景】ACC/AHA practice guideline の重症度評価には心エコーでの大動脈弁口面積
(AVA)、大動脈弁圧較差
(AVPG)、平均大動脈弁圧較差
を用いる。これらのうち AVA は連続の式、AVPG は CW 法にて測定するが、AVA は最高流速の捕捉が誤差となり、AVPG は心収縮能が修飾
要因となる。【目的】AVA と AVPG の正確度と硬化性大動脈弁狭窄(AS)の重症度評価の手順を検討する。【方法】2003 年 11 月から 2006 年
8 月に当院で施行された全心エコー検査中、AVA1.5cm2 以下または AVPG25mmHg 以上を示す硬化性 AS380 例 605 件を対象とした。うち 3 ヶ
月以内に 2 回以上、別の検者が検査を施行した 67 例 95 件を抽出し AVA、AVPG の検者間相関関係と誤差を解析した。また、左室駆出率(EF)
を 60%以上、60%未満 40%以上、40%未満の 3 群に分け、それぞれにおける EF と AVPG の関係を AVA 別(1.2cm2 < AVA、0.7 < AVA ≦ 1.2、
0.7 ≧ AVA)に検討した。【結果】AVPG の相関関係(r = 0.95)は AVA(r = 0.89)より良好であったが、検者間誤差は Blunt-Altman 解析で AVA より AVPG の誤差が大きかった。また、AVA 別での AVPG 値はいずれの群でも EF60%未満 40%以上群、40%以下群が EF60% 以上群に
比し有意に低値であった
(P < 0.05)。【考案】AS の重症度評価は AVA を優先し、AVPG は EF が 60%以上あればそのまま採用できるが、EF
が 60%未満の症例ではドブタミン等の負荷にて EF を上昇させ、AVPG の再評価を行う必要がある。
- 130 -
一般演題 34
組織ドップラーによる高度大動脈弁狭窄症患者の肺動脈楔入圧の推定
1
榊原記念病院 循環器内科、2 榊原記念病院 心臓血管外科
中尾 倫子 1、渡邊 弘之 1、相川 大 1、桃原 哲也 1、井口 信雄 1、三須 一彦 1、浅野 竜太 1、長山 雅俊 1、梅村 純 1、下川 智樹 2、高梨 秀一郎 2、
住吉 徹哉 1
【目的】左室急速流入期最大血流速度(E 波)と拡張早期僧房弁輪速度(E,波)の比
(E/E,)はさまざまな症例において、肺動脈楔入圧(PCWP)
や左室拡張末期圧と良好な相関関係を認めることが報告されている。しかしながら、高度大動脈弁狭窄症患者でも同様に E/E,は左室拡張
末期圧と相関を認めるかは不明である。そこで、われわれは、E/E,を用いて、高度大動脈弁狭窄症患者の PCWP を推定できるか検討した。
【方法】2005 年 1 月から 2006 年 8 月まで当院で大動脈弁狭窄症に対し、大動脈弁置換術前の両室カテーテル検査を施行した連続 66 症例(男
性 37 名、平均 70 ± 11 歳)を対象とした。他の弁膜症に対する同時手術を必要とした症例は除外した。パルスドプラー法にて、E 波および
心房収縮期最大血流速度(A 波)を測定した。また、組織ドプラー法にて、E,波を測定した。また、右心カテーテルで PCWP を測定した。【成
績】E/A および DT と PCWP の相関(それぞれ r = 0.40, p = 0.002, r = 0.14, p = 0.29)は弱かったのに対し、E/E,は PCWP と強い相関(r = 0.53,
p < 0.0001)を示した。PCWP18mmHg 以上を推定する E/E,のカットオフ値は 24.7 で、感度 82%、特異度 99%であった。【結論】高度大動脈
弁狭窄症患者でも E/E,を用いて、PCWP を推定することは可能であった。しかしながら、PCWP 高値を推定するカットオフ値は他疾患と
比較して高値であった。大動脈弁狭窄症患者で E/E,を用いて左室充満圧を推定する際には注意が必要である。
一般演題 35
経胸壁 2D 心エコー図より計測された tenting area による非代償性心不全患者の長期予後予測
川崎医科大学 循環器内科
尾長谷 喜久子、渡邉 望、岡橋 典子、築地 美和子、根石 陽二、川元 隆弘、豊田 英嗣、大倉 宏之、吉田 清
【背景】機能性僧帽弁逆流(MR)は虚血性心筋症、拡張型心筋症といった左室機能低下を有する患者の予後不良因子であるが、心不全と長
期予後との関係は明らかではない。今回我々は、機能性 MR の主因である僧帽弁 tethering を反映する tenting area の心不全の治療前後の変化
と長期予後との関係を検討した。【方法】対象は心不全にて当科に入院した患者 40 名。治療前後に記録された経胸壁 2D 心エコー図から
tenting area を計測し、改善の見られる群(Group A, 21 名)
と改善の見られなかった群(Group B, 19 名)
の 2 群に分け、退院後の心不全発症と死
亡との関連について Kaplan-Meier 法を用いて検討した。【結果】退院後の心不全発症率は B 群において有意に高く(p = 0.0048, Figure 1), 死
亡率についても同様に B 群で有意に高かった(p = 0.0035, Figure 2)。平均観察期間は 803 ± 461 日であった。【結論】心不全の治療前後での
tenting area の改善は心不全患者の予後予測因子となる可能性が示唆さ
れた。
一般演題 36
機能性僧帽弁逆流に対する弁形成術後患者の予後 - 術前 real time 3D 心エコー図より計測した tenting volume
と術後心不全との関係
川崎医科大学 循環器内科
尾長谷 喜久子、渡邉 望、山本 克紀、岡橋 典子、築地 美和子、根石 陽二、川元 隆弘、豊田 英嗣、大倉 宏之、吉田 清
【背景】機能性僧帽弁逆流
(MR)に対する外科的治療は効果的であるとされるが、弁形成術後の MR、心不全の再発をみる例があり、手術
適応、術式選択については議論を残すところである。我々は術前の3 D 心エコー図を用いた僧帽弁形態の3次元計測データにより、機能
性 MR に対する弁形成術後患者の心不全発症の予測が可能であるかを検討した。【方法】対象は機能性 MR を呈し、弁形成術を施行された
虚血性心筋症または拡張型心筋症患者 11 名。術前に記録した経胸壁3 D 心エコー図画像から、僧帽弁三次元解析ソフト(Real View®)を用い
, 4cm3 未満の群(Group B, 7 名)
の2群
て計測した tenting volume が 4cm3 以上の群(Group A, 4 名)
にわけ、術後の心不全発症との関係を検討した。平均観察期間は 441 ± 264 日。
【結果】観察
期間中 A 群の患者では心不全発症を認めなかったのに対し B 群では 15 ヵ月後には 7 名中 6 人
に心不全再発が見られた(p = 0.015)
。観察期間中 3 名が死亡、いずれも B 群であった。【結論】
術前の3 D 心エコー図による tenting volume は機能性 MR に対する弁形成術後の予後予測に有
用であることが示唆された。
- 131 -
一般演題 37
拡張型心筋症における機能性僧帽弁逆流は異常腱索を伴った僧帽弁後尖の tethering と最も関係する。
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 循環器、呼吸器、代謝内科学
植村 健、吉福 士郎、高崎 州亜、桑原 栄嗣、仲敷 健一、窪田 佳代子、水上 尚子、木佐貫 彰、鄭 忠和
背景 拡張型心筋症
(DCM)における機能的僧帽弁逆流(MR)が生じる機序、要因については明らかにされていない。仮説 DCM における
機能性 MR では左室拡大に伴う弁 tethering が認められる。弁 tethering は左室外方(乳頭筋方向)に向かうため位置的に前尖よりも後尖の
弁閉鎖を妨げていると考えられ、後尖 tethering が機能性 MR に重大な影響を与えている可能性がある。目的 連続する DCM 38 例に対し
て経胸壁心エコーを用いて左室、左房および僧帽弁の形態、左室収縮能および拡張能、左室 asynchrony の観点から機能性 MR に及ぼす影
響を検討した。左室拡張末期容積
(LVEDV)
、左房収縮末期容積、収縮中期僧帽弁輪面積
(MAA)、僧帽弁 tenting area、収縮中期における前
尖−僧帽弁輪角度(α1)、収縮中期における後尖−僧帽弁輪角度(α2)、左室駆出率
(LVEF)
、左室等容拡張時間(IRT)、弁輪部組織ドプラ
法による中隔−側壁間の収縮波差異時間を測定し、僧帽弁逆流率との関係をみた。結果 1)単回帰分析では MR 率と相関があったのはα2
(r2 = 0.56)、MAA(r2 = 0.25)、僧帽弁 tenting area
(r2 = 0.25)、LVEDV(r2 = 0.23)、であった。 2)重回帰分析ではα2 が最も MR 率を決定
する因子であり、重症 MR を来たす 18 例においては左室から直接後尖につながる aberrant tendinous chords が後尖の閉鎖不全に関与してい
た。結論 DCM における機能性 MR の機序は左室拡大を伴う僧帽弁複合体の変化と関係しているが、とりわけ異常腱索による後尖の閉鎖
不全(tethering)が重要な決定因子である。
一般演題 38
虚血性僧帽弁逆流に対する僧帽弁形成術後の機能性僧帽弁狭窄は運動により悪化する:負荷心エコーの重要
性
1
鹿児島大学大学院 循環器呼吸器代謝内科学、2 産業医科大学 第二内科、3 鹿児島大学大学院 循環器呼吸器消化器疾患制御学、
鹿児島大学病院 検査部
窪田 佳代子 1、尾辻 豊 2、上野 哲哉 3、吉福 士郎 1、桑原 栄嗣 1、高崎 州亜 1、仲敷 健一 1、植村 健 1、河野 美穂子 1、寺岡 幸美 4、水上 尚子 4、
木佐貫 彰 1、坂田 隆造 3、鄭 忠和 1
4
【目的】虚血性 MR では tethering により拡張期にも弁尖開放が制限され、弁輪形成術により弁尖開放はさらに制限され、機能性 MS となり
うる。収縮期 tethering は運動で増悪するため、拡張期の機能性 MS の運動による変動を検討した。
【方法】
虚血性 MR に弁輪形成術を施行した 7 名に運動負荷エコーを施行。拡張期僧帽弁口面積(MVA)
[MVA ×
弁流入血流のVTI=弁流入血流量= LVEDV ― LVESV]
、弁尖開放角度(α1,α2)
(図)
、僧帽弁圧較差
を測定。【成績】運動により、最大および平均圧較差が共に有意に増加し(5.9 ± 3 to 1.7 ± 1 および 18.8
± 8 to 6.8 ± 4 mmHg, p < 0.01)
、α1 およびMVAが有意に減少し(56 ± 2 to 44 ± 8 度 , p < 0.01 および 2.1
± 0.5 to 1.4 ± 0.2 cm2, p < 0.05)
、LVEDV、ESV は増加傾向だが有意差はなかった
(110 ± 13 to 135 ± 18
および 58 ± 12 to 82 ± 16 ml, n.s.)
。【結論】虚血性 MR に対する弁輪形成術後の機能性 MS は運動により
有意に増悪する。
一般演題 39
3D 心エコー図法によるペースメーカリード起因性三尖弁閉鎖障害の診断
1
筑波大学附属病院 検査部、2 筑波大学臨床医学系 循環器内科
中島 英樹 1、瀬尾 由広 2、飯田 典子 1、酒巻 文子 1、稲葉 武 1、河村 龍 2、宇野 希世子 2、石津 智子 2、青沼 和隆 2
【背景】ペースメーカ(PM)および植込み型除細動器(ICD)リードによる三尖弁閉鎖障害により高度の三尖弁閉鎖不全(TR)を生じる
ことがあるが、2D 心エコー図法(2 DE)ではリードの走行と三尖弁位の関係を評価するには限界がある。【目的】PM または ICD リードの
三尖弁通過位置と三尖弁閉鎖障害の診断における 3D 心エコー図法(3DE)の有用性を検討すること。【方法】対象は、PM および ICD の植
込みを行われた 48 症例(心室再同期療法:24 例、徐脈性不整脈:16 例、心室性不整脈:8 例)。超音波診断装置 Vivid7、探触子 3V、および
off-line 解析装置として EchoPac PC を使用した。傍胸骨短軸断面像大動脈レベル、四腔断面像、右室流入路断面像の各断面よりフルボリュー
ム画像を記録し、off-line 解析にて三尖弁位におけるリードの走行位置とリードによる三尖弁閉鎖障害の有無について評価した。【結果】3
DE によるリード走行の評価は 43 例(89%)で可能であった。5 例はリードによるアーチファクトのため解析不可であった。3DE 評価可能症
例において、軽度(28 例)または中等度(10 例)TR と評価された症例における弁輪部のリード通過位置は、後尖と中隔尖間が 18 例、前尖と
後尖間が 14 例、前尖と中隔尖間が 6 例と全例弁尖間を通過していた。一方、高度 TR を認めた 6 例中、3DE 像の評価可能であった 5 例にお
いてリードによる弁の圧排と弁閉鎖障害(中隔尖 2 例、後尖 2 例、前尖 1 例)を認めた。【結論】3DE は PM または ICD リードの三尖弁位通
過位置を確認でき、リードによる弁閉鎖障害とこれに起因する高度 TR の診断に有用である。
- 132 -
一般演題 40
中国西域少数民族の自然長寿者における心機能の特徴 - 日本人自然長寿者との比較−
1
日本大学医学部内科学講座循環器内科部門、2 日本大学医学部内科学講座腎臓内分泌内科部門、
日本大学医学部先端医学講座分子診断学部門、4 日本大学医学部先端医学講座
太田 昌克 1、笠巻 祐二 1、進藤 敦史 1、泉 洋一 2、中山 智祥 3、小沢 友紀雄 1、小林 絵利 1、齋藤 穎 4、平山 篤志 1
3
【背景】我々は、以前より中国西域少数民族を対象として自然長寿を取り巻く諸因子に関する前向き調査を行っている。自然長寿を規定す
る心臓生理学的要因のうち、心機能の詳細については不明な点が多い。
【目的】自然長寿者における心機能の特徴を明らかにし、さらに心
機能の特徴に民族差があるのか否かを明らかにすること。【方法】中国新彊ウイグル自治区ホータン居住の 90 歳以上のウイグル族自然長寿
者(UL 群)113 名と 90 歳以上の日本人自然長寿群
(JL 群)56 名を対象とし、経胸壁心エコーによる左室計測および経胸壁ドプラおよび組織ド
プラ法を用い、左室拡張機能、左室拡張末期圧の非侵襲的指標である E/e’
について比較検討した。【結果】両群ともに収縮機能の指標であ
る EF、FS は正常範囲内であった。左室心筋重量は UL 群で男女とも正常より大であったが、JL 群では、男女とも正常であった。一方、拡
張機能は、両群ともに E 波、A 波は弛緩障害のパターンを示していた。(E/A 値 0.7 ± 0.2 vs. 0.9 ± 0.7, p = n.s.)
。また、E/e’
は UL 群では、E/e’
(中隔側)9.3 ± 3.3、E/e’
(側壁側)7.2 ± 2.5 であり、いずれもほぼ正常範囲内に近い値であったが、JL 群では E/e’
(中隔側)15.3 ± 6.1、E/e’
(側壁側)13.2 ± 5.3 で左室拡張末期圧の上昇が示唆された。
【結語】両群に認められた左室収縮機能正常かつ軽度拡張機能低下は自然長寿
者の心機能を規定する条件と思われる。しかし、左室心筋重量、左室拡張末期圧については民族差が存在する可能性が示唆された。
一般演題 41
左室駆出率が正常で TEI index が異常高値を示す症例の臨床的および心エコー図的検討
国立病院機構 善通寺病院 循環器内科・臨床研究部
福田 大和、福田 信夫、篠原 尚典、森下 智文、酒部 宏一、田村 禎通
【背景と目的】TEI index は等容拡張時間(IRT)と等容収縮時間(ICT)の和を駆出時間(ET)で除して求められる総合的な心機能の指標である.
心収縮能の代表的な指標は左室駆出率(EF)であるが,EF が正常値を示す症例の中に TEI index が異常高値を示す例が見られる.それらの
例の心エコー所見について,EF と TEI index がともに正常値を示す症例と比較検討した.
【方法】2006 年 1 月より6ヶ月間に心エコー検査を施行した症例のうち EF ≧ 60% で,かつ弁膜症,先天性心疾患,心房細動,pacemaker 植
込例を除いた 227 例のうち TEI index ≧ 0.50 を示した連続 35 例(平均年齢 70 ± 10 歳)を対象とした.対照として基礎疾患を持たず EF ≧
60% かつ TEI index < 0.50 で,年齢を整合した 21 例(平均年齢 71 ± 7 歳)を用いた.両群間で IRT,ICT,左房容量(LAV)
,左室流入血流の
E 波,A 波,E/A,僧帽弁輪運動の Ea,Aa,Ea/Aa を比較した.
【結果】TEI index 高値群の基礎疾患は高血圧 24 例,肥大型心筋症 3 例,陳旧性心筋梗塞 3 例,糖尿病 3 例で,2 例を除き何らかの心血管疾患
を有した.TEI index 高値群は対照群に比べ,IRT 延長(114 ± 20 vs. 82 ± 13msec,p < 0.01)
,ICT 延長(57 ± 11 vs. 35 ± 9msec,p < 0.01),
Ea 低値(p < 0.01),Aa 高値(p < 0.05),LAV 増大(95 ± 24 vs. 82 ± 11ml,p < 0.05)を示した.
【結論】EF が正常値を示す例の中で TEI index 高値の群は何らかの心血管疾患を有し左室拡張能の低下が顕著なことが判明した.また,TEI
index は EF では捉えられない軽微な左室収縮能の低下を反映しうる可能性も示唆された.
一般演題 42
左室弛緩動態 -Untwisting 運動の可能性 昭和大学 医学部 第三内科
茅野 博行、上田 宏昭、川又 朋章、土至田 勉、
片桐 敬
【背景】左室の Untwisting 運動(Tor-U)は左室弛緩能を鋭敏に反映すると報告されているが、臨床研究報告は少ない。【目的】Tor-U, 組織ド
プラ法の Ea 波(TDI-Ea)
, 左室流入血流の E 波(TMF-E)の開始時間を計測し、等容性弛緩時間(IRT), Q 波から IRT 終了までの時間
(Q-IRT)と
観血的指標(τ)を比較すること。【方法】対象は虚血性心疾患 50 例(EF:45 ± 27%)
。左室圧計測(τ)と心エコ−検査は同時に施行。Tor-U は
speckle tracking imaging 法を用い記録し開始時間と最大回転速度
(degree/sec)を計測、TDI-Ea, TMF-E も開始時間を計測。計測時間は心電図
の Q 波開始(ms)から計算した。Tor-U 開始時間が Q-IRT より遅れる A 群(5 例)と遅れない B 群
(45 例)に分け比較した。
【結果】1. 全例の IRT
(416 ± 56), TDI-Ea(460 ± 51), TMF-E(485 ± 50)の順で早く、順番の異なる例はなかっ
は 83 ± 30, Q-IRT は 479 ± 56 だった。開始時間は Tor-U
た。2. 全例のτと Tor-U の開始時間に軽度の相関
(r = 0.44, p < 0.05)を認めたが、TDI-Ea, TMF-E の開始時間には認めなかった。 3. 全例の
Tor-U の最大回転速度とτに強い相関(r = 0.76, p < 0.01)
を認めた。4. A 群は B 群に比べ IRT(44 ± 38 vs. 87 ± 27)は有意に
(p < 0.01)短縮 , 最
大回転速度(47 ± 9 vs. 108 ± 46)は有意に(p < 0.01)低下 , τ(71 ± 4 vs. 44 ± 11)は有意に(p < 0.01)延長していた。【考察】左室弛緩は Tor-U
から始まり心筋壁の伸展、そして血流へと力が伝わる。Tor-U は弛緩能の良好例ほど等容性弛緩早期から始まり、等容性弛緩時間内に始ま
らない例は高度の弛緩能低下があった。開始時間より最大回転速度の方が弛緩能を正確に反映した。【結語】Tor-U は開始時間、最大回転
速度とも左室弛緩能評価に有用であった。
- 133 -
一般演題 43
左室肥大を伴う高血圧患者の組織ドップラー法における左室長軸方向の収縮能指標としての頸動脈
augmentation index
自治医科大学 循環器内科
石川 譲治、星出 聡、江口 和男、市田 勝、山本 啓二、島田 和幸、苅尾 七臣
背景:左室拡張障害は左室スティッフネスと動脈スティッフネスとのカップリングの障害であると報告されており、左室肥大患者では組
織ドップラー(TDI)法における左室長軸方向の収縮能の低下も報告されている。我々は TDI 法および Strain Rate Imaging
(SRI)法による指
標と動脈スティッフネスの指標との関連を検討した。方法:左室駆出率の保たれた左室肥大を伴う高血圧患者 46 名(年齢 71.4 ± 8.4 歳、男
29 名女 17 名)において、僧帽弁流入波形の急速流入波(E)、TDI 法により左室長軸方向の僧帽弁弁輪部の拡張早期波(Ea)
、僧帽弁弁輪部
収縮期波(Sa)
、拡張早期 peak strain rate(SRdia)
、頸動脈 augmentation index(cAIx)
(脈波における反射波成分の指標)、上腕足首脈波伝播
速度(baPWV)の記録を行った。結果:ステップワイズ回帰分析における、有意な Sa の予測因子は cAIx(beta =− 0.412、P = 0.007)であっ
たが、E/Ea の予測因子は推定糸球体濾過率(beta =− 0.29、P = 0.024)と高血圧の治療期間であり(beta = 0.51、P < 0.001)、SRdia の予測因
子は年齢であった(beta = 0.540、P < 0.001)。c AI xが最低 3 分位値(T1)であった患者に比べて、c AI x値が 3 分位の中間(T2)であった
患者の Sa は、交絡因子で補正した後も有意に低値であった(T2 対 T1:5.1 対 6.8 cm/sec、P = 0.010)。cAIx が最高 3 分位(T3)の患者の Sa は
他の 2 群の患者と比較して有意差は認めなかった(5.6 cm/sec)。結論:左室肥大を伴う高血圧患者において、組織ドップラー法で測定され
た左室長軸方向の収縮能は、脈波の末梢からの反射波成分(cAIx)と関連しているが、cAIx の値が高い患者においてはその関連が弱くな
る傾向が見られた。
一般演題 44
高脂血症におけるスタチンの左室機能および血管弾性改善効果
独立行政法人 国立病院機構 東徳島病院 内科
水口 幸生、大石 佳史、三好 宏和、石本 武男、長瀬 教夫、大木 崇
背景:近年、血流および組織ドプラ法の急速な普及により、左室の収縮および拡張機能を詳細に評価することが可能となってきた。また、
頸動脈エコー法を用いて動脈硬化度を容易に評価することが可能である。今回我々は、strain imaging および頸動脈エコー法を用いて高脂
血症(HL)患者におけるスタチン投与による左室機能および動脈硬化の改善効果の有無について検討した。方法:HL 患者 15 例(男性 9 例、
女性 6 例、平均年齢 54 ± 9.6 歳)に対し、ピタバスタチン 1∼2mg/day を 1 年間投与し、心エコー・ドプラ検査にて投与前後における左室機
能の変化について検討した。strain imaging は左室短軸像における後壁および下壁の radial strain および strain rate を計測した。また、頸動脈
エコー法を用いて内中膜厚(IMT)および stiffness parameterβの計測を行った。結果:スタチン投与前に比し、投与後において、総コレス
テロール(223 ± 35mg/dl vs 188 ± 18mg/dl, p < 0.01)、LDL- コレステロール(144 ± 29mg/dl vs 126 ± 22mg/dl, p < 0.05)、後壁 systolic strain
(39
± 16% vs 53 ± 18%, p < 0.01)、下壁 systolic strain
(46 ± 12% vs 58 ± 10%, p < 0.01)、後壁 early diastolic strain rate
(-6.5 ± 2.9s-1 vs -9.5 ± 2.8s-1,
p < 0.01)、下壁 early diastolic strain rate
(-6.5 ± 2.5s-1 vs -9.1 ± 2.7s-1, p < 0.01)に有意な改善がみられた。また、頸動脈の弾性指標 stiffness
parameterβ(5.6 ± 2.5 vs 4.1 ± 0.8, p < 0.05)に有意な改善がみられた。結論:高脂血症患者においてはスタチンの投与により左室機能およ
び血管弾性の改善がみられ、その評価に対しては strain imaging および頸動脈エコー法が有用であった。
一般演題 45
超急性期心筋虚血における心機能異常について− Tissue Speckle Tracking を用いた検討−
大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学講座
五十嵐 絵里奈、浅沼 俊彦、澤田 智美、増田 佳純、石蔵 文信、別府 慎太郎
【背景】Tissue speckle tracking は角度依存なく局所壁運動を評価できる。しかしながら、超急性期心筋虚血において局所壁運動異常を検出
可能かは明らかではない。本研究の目的は心筋虚血発症直後において tissue speckle tracking によりリスクエリア内に局所壁運動異常が検出
できるかを明らかにすることである。
【方法】麻酔開胸犬6頭を用い GE 社製 Vivid 7 にて左室短軸像を描出し、安静時、左回旋枝
(LCx)10 秒完全閉塞時、60 秒完全閉塞時にて画
像を取得した。LCx 閉塞によるリスクエリアはリアルタイム心筋コントラストエコー法(MCE)にて求め、左室心筋に占める割合を算出し
た。安静時にて駆出期の peak radial strain rate
(SR-ET)、等容性拡張期の後半の radial strain rate の最大振幅値
(SR-IRT)を短軸全周より求め、
それぞれの平均値と標準偏差(SD)を算出し、2SD の範囲外の値を異常値とした。リスクエリア内をそのサイズにより 17 から 27 点に分割し、
SR-ET と SR-IRT を局所的に評価し異常値を示す割合を算出した。
【結果】LCx 閉塞時、MCE により求めたリスクエリアは 30 ± 4%であった。虚血の中心領域における SR-ET は、60 秒閉塞時には著明に低下
したが 10 秒閉塞時にはほとんど変化しなかった。一方、SR-IRT は 60 秒閉塞時だけでなく 10 秒閉塞時にも顕著に増加した。リスクエリア
内での SR-ET の異常値の範囲は 10 秒閉塞時 38%、60 秒閉塞時 72%である一方、SR-IRT の異常値は 10 秒閉塞時 90%、60 秒閉塞時 86%であっ
た。
【結論】心筋虚血の超急性期には収縮期の壁運動には殆ど異常は見られず異常範囲も正確でない。しかし tissue speckle tracking により求めた
SR-IRT を用いることで診断感度も高く異常領域も正確に検出できる。
- 134 -
一般演題 46
安定狭心症症例における ATP 負荷心筋タリウム SPECT、冠動脈血流速予備能および 2D ストレインの同時評
価についての検討
1
喜多医師会病院 臨床検査部、2 喜多医師会病院 循環器内科、3 愛媛大学大学院 循環器内科
檜垣 里江子 1、井上 勝次 2、日浅 豪 2、吉井 豊史 2、山田 忠克 2、住元 巧 2、和氣 大輔 1、河内 好子 1、西尾 静子 1、永尾 彰子 1、斎藤 実 3、
西村 和久 3、岡山 英樹 3、檜垣 實男 3
【背景】2D Speckle Tracking Imaging 法は心筋局所機能を定量評価する有用な方法である。【目的】安定狭心症症例において ATP 負荷心筋タ
リウム SPECT、冠動脈血流速予備能(CFVR)および 2D ストレインを同時評価し、その臨床的意義について検討すること。
【方法】対象
は狭心症が疑われた連続 28 症例である。心エコー装置は GE 社製 Vivid 7 を用いた。ATP 負荷心筋タリウム SPECT 検査時に左前下行枝遠位
部の CFVR および左室心尖部三断面像における 2D raw data を同時記録した。2D ストレインは Echo Pac software(GE)を用いて longitudinal
systolic strain を定量評価し、ATP 負荷時の収縮後収縮(PSS)の有無を検討した。
【結果】冠動脈造影の結果、12 症例に AHA 75% の中等度
狭窄を認め、7 例に 90% 以上の高度狭窄を認めた。左前下行枝領域の CFVR と ATP 負荷心筋タリウム SPECT の洗い出し率の間には有意な正
の相関関係を認めた(r = 0.537, p < 0.01)。PSS は左前下行枝近位部に高度狭窄を有する 6 例に認められ、PSS 陽性群の CFVR は 1.3 ± 0.2 と
低値であった。
【結論】2D Speckle Tracking Imaging 法は ATP 負荷時の PSS の評価が可能であった。PSS 陽性例は CFVR が低値で高度狭窄を
有する可能性が示唆された。
一般演題 47
冠血流予備能を用いた主要三冠動脈の再狭窄評価−経胸壁心エコードプラ法による検討
医療法人橘会 東住吉森本病院 生理検査室
吉川 淳一、兵頭 永一、平田 久美子、広瀬 真、紙森 公雄、西田 幸生、瓦林 孝彦
【背景】左前下降枝と右冠動脈の心エコー法による冠血流予備能(CFR)を用いた冠動脈形成術後の再狭窄評価は報告されているが、左
回旋枝を含めた三枝における検討はされていない。今回の研究の目的はCFRを用いて三枝すべての再狭窄評価が可能か検討すること。
【方
法】対象は2005年に冠動脈形成術を施行した患者60人であった(男性46人、女性14人、平均年齢68歳±10歳)
。そのうち
左前下降枝31枝、左回旋枝20枝、右冠動脈21枝の合計72枝で半年後の血管造影施行直前に病変枝のCFRを測定した。使用機器
は持田シーメンス社製 Sequoia512、探触子は4MHzと7MHzのセクタ型探触子を用いた。描出困難例では適宜超音波造影剤を用いた。
【結果】血管造影で20枝に再狭窄を認め(A群)
、52枝で再狭窄を認めなかった(B群)。A群のCFRは 1.78 ± 0.31、B群のCFRは
2.83 ± 0.77(P < 0.01)であった。ROC曲線より求めた Cut off 値 2.1 を用いると感度は85%、特異度は90%であった。各枝別では左前
下降枝(A群7例、B群 24 例)では、検出率97%で感度86%、特異度88%であった。左回旋枝(A群5例、B群15例)では検出率
83%で感度100%、特異度80%であった。右冠動脈(A群8例、B群 13 例)では、検出率84%で感度75%、特異度92%であっ
た。【結語】心エコー法によるCFRを用いた冠動脈形成術後の再狭窄の評価は左前下降枝と右冠動脈だけでなく左回旋枝を含め3枝全て
において有用である可能性が示唆された。
一般演題 48
ATP 負荷ストレインエコー法による心筋虚血及び梗塞の評価
埼玉医科大学 総合医療センター 心臓内科
神山 哲男、金田 亜紀、湯原 幹夫、伊藤 博之、一色 亜美、外山 堅太郎、佐藤 俊一、井上 芳郎、桐村 正人、佐々木 修、西岡 利彦、
丸山 義明、吉本 信雄
【背景】ストレインエコー法は心筋収縮を定量的に評価できる方法であるが薬物負荷エコーへの応用としては、ドブタミンによるものが多
く報告されている。今回われわれは ATP 負荷ストレインエコー法による心筋虚血及び梗塞診断に対する有用性を検討した。【方法】冠動脈
疾患を有する 15 例に対し心尖部方向より左室中部 6 分画の長軸方向ストレインを安静時、ATP 負荷時(140μg/kg/min)に計測した。ピー
クストレイン(PS)及び心電図の R 波の頂点から PS までの時間を RR 間隔で補正したものを corrected time to peak strain
(TPSc)とした。負荷
心筋シンチグラフィーにより各分画を 3 群に分類した。【結果】シンチグラフィーにより計 90 分画を正常群(N)、虚血群(ISC)、梗塞群
(INF)に分類した。N 群と INF 群の比較では ATP 負荷前、負荷中ともに INF 群で PS が有意に小、TPS cが有意に大であった。N 群と ISC 群
では ATP 負荷前、負荷中ともに PS に有意差を認めなかった。一方 TPS cは負荷前には両者で有意差を認めないものの(341.7 ± 48.7ms vs
344.2 ± 63.2ms, P = 0.84)、
負荷中は ISC 群で有意に大であった(345.6 ± 40.7ms vs 418.1 ± 77.7ms, P < 0.01)
。ATP 負荷後の TPSc の変化率(%
TPS c)は ISC 群で有意に大であった(2.0 ± 10.2% vs 24.1 ± 28.1, P < 0.001)
。% TPS c>7%を cutt off 値とすると心筋虚血を感度 65%、
特異度 80% で診断可能であった。
【結語】ストレインエコー法は梗塞心筋の診断に有用であり、ATP 負荷ストレインエコー法は心筋虚血の
診断に有用であると考えられた。
- 135 -
一般演題 49
運動負荷による左房容積の変化は冠動脈疾患患者の心事故予測因子となりうるか。
1
藤田保健衛生大学病院 臨床検査部 超音波センター、2 藤田保健衛生大学 医学部 循環器内科、
藤田保健衛生大学短期大学 医療情報技術学科
犬塚 斉 1、山田 晶 2、加藤 美穂 1、杉本 邦彦 1、梶原 克祐 1、鈴木 仁 2、庄司 啓介 2、松山 裕宇 2、岩瀬 正嗣 3、菱田 仁 2
3
左房容積(LAV)は、冠動脈疾患患者の心事故予測因子の一つとされている。今回、我々は運動負荷による LAV の変化を評価し、心事故発
生との関連を検討した。運動負荷心エコー図法施行前後で LAV が計測可能であった連続 54 例を対象とした(平均年齢 59.5 ± 10.8 歳 , 男性 38
例)。心房細動と高度な僧帽弁弁膜症は除外した。追跡期間は平均 754 ± 378 日。心事故
は不安定狭心症 , 心筋梗塞 , 心不全による入院と心臓死とした。追跡期間中 8 例に心事故が
発生した(グループ E)。LAV は左室収縮末期における心尖部二方向 Simpson 法により計測
を行い、体表面積で除した値を LAVI とした。運動による LAVI の変化率(r LAV)を算出
した。運動前の LAVI は、グループ E とその他のグループでは有意な差は認めなかった(31.6
± 10.1vs31.1 ± 13.2 ml/m2)。しかし、r LAV はグループ E において有意に高値であった
(32.2 ± 21.6vs4.2 ± 16.2%、p < 0.01)。r LAV のカットオフ値を 9.1%とした場合、心事
故発生の感度は 100%、特異度は 59%であった。r LAV は、運動負荷心エコー図法で心
事故発生の予測因子となりうると示唆された。
一般演題 50
心外膜脂肪 Epicardial Fat と冠動脈病変との関連
自治医科大学 循環器内科 富澤 英紀、山本 啓二、西村 芳興、市田 勝、勝木 孝明、島田 和幸
【背景・目的】内臓脂肪過剰蓄積を基盤とするメタボリックシンドロームは,強力な動脈硬化の危険因子で,虚血性心疾患との関連が報
告され注目されている.今回,我々は心外膜脂肪 Epicardial Fat とメタボリックシンドローム,さらに冠動脈病変との関連を検討した.
【方
法】対象は,胸痛の精査目的に入院した連続 30 例(男性 22 例,女性 8 例,平均 61 ± 13 歳).1 週間以内に心エコー図検査と心臓カテーテル
検査を施行した.心エコー図検査にて右室前面の Epicardial Fat の厚みを胸骨左縁長軸及び短軸像で計測した.冠動脈硬化の重症度は病変
指数,Gensini 指数
(GS)を用いて評価した.【結果】Epicardial Fat は非メタボリックシンドローム群(5.1 ± 1.9 mm,n = 14)に比べ,メタ
ボリックシンドローム群(7.9 ± 1.6 mm, n = 16)で有意に厚かった
(p < 0.001).また,冠動脈に有意狭窄のない群
(4.0 ± 1.4 mm, n = 9)に比べ,
1 枝病変以上の群(7.7 ± 1.4 mm, n = 21)で有意に厚かった
(p < 0.001).さらに,冠動脈病変を質的,量的に評価する GS を用いた検討でも
Epicardial Fat は GS 0 群(3.6 ± 0.9 mm, n = 8)に比べ,GS 1∼30 群(7.5 ± 2.4 mm, n = 5, p < 0.005), GS > 31 群(7.7 ± 1.1 mm, n = 17, p < 0.001)
で有意に厚かった . しかし , 腹囲と Epicardial Fat の厚さには有意な相関はみられなかった.
【結論】Epicardial Fat はメタボリックシンドロー
ム群で有意に厚く , 冠動脈硬化の重症度と関連がみられた.本研究より , 心エコー図検査によって計測した Epicardial Fat の厚さは冠動脈病
変の有無を反映する , 非侵襲的な有用な指標となる可能性が示唆された .
一般演題 51
高脂血症患者における心筋コントラストエコー法による心筋内微小循環障害の評価
1
医療生協わたり病院 内科循環器科、2 福島県立医科大学 第一内科
渡部 朋幸 1、高野 真澄 2、義久 精臣 2、矢尾板 裕幸 2、丸山 幸夫 2
【目的】今回我々は高脂血症(HL)患者において経静脈性心筋コントラストエコー法
(MCE)を用いて冠微小循環障害を評価可能か否かを検
討した。また経胸壁ドプラー法による冠血流速予備能(CFVR)と MCE の相違について検討した。
【対象と方法】対象は高脂血症患者 18 名(HL
群)で、対照を健常者 11 名(対照群)とした。安静時及び ATP による反応性充血時において MCE を施行し、心室中隔中部においた関心領域
の心筋輝度を指数関数 : y = A(1-e-βt)にあてはめ、心筋内血流速度βを算出した。安静時と反応性充血時のβの比をβ比とした。また ATP
持続静注による CFVR を測定した。2 群間におけるβ比及び CFVR を比較し、その関連について検討した。【結果】HL 群における LDL コレ
ステロール
(LDL-C)値は対照群に比し有意に高値だった(161 ± 25 vs 108 ± 21mg/dl, p < 0.001)
。2 群間において安静時および反応性充血時
のβ値に有意な差は認められなかったが、β比及び CFVR は HL 群において対照群に比し有意に低下していた
(β比 : 1.4 ± 0.3 vs 1.7 ± 0.4;
CFVR: 2.8 ± 0.6 vs 3.3 ± 0.5, 各々 p < 0.05)。LDL-C 値はβ比との間に有意な相関を認め(r = -0.55, p < 0.01)
、CFVR との間には弱い相関を
認めた(r = -0.49, p < 0.01)。しかしβ比と CFVR との間には有意な関連はみられなかった。【結語】高脂血症患者において MCE を用いて心
筋内微小循環障害を評価可能であり、心外膜冠動脈及び心筋内微小循環障害を評価する CFVR とは異なる手法である可能性が示唆された。
- 136 -
一般演題 52
組織ドプラを用いた川崎病患児の左室拡張機能障害についての検討―川崎病急性期から遠隔期までの経時的
変化ー
1
大阪医科大学 小児科、2 大阪労災病院 小児科
奥村 謙一 1、岡本 直之 2、梶浦 貢 2、吉川 聡介 2、西野 淳司 2、川村 尚久 2、尾崎 智康 1、片山 博視 1、玉井 浩 1
【背景】川崎病急性期において、左室拡張機能に着目した報告は少ない。近年、非侵襲的な心筋壁運動の部位別評価に組織ドプラ(TDI)
が注目されてきており、拡張早期血流速度(E)と拡張早期僧帽弁弁輪移動速度(Em)の比(E/Em)が左室拡張末期圧に相関することが
知られている。【目的】川崎病急性期から遠隔期までの左室心機能の経時的変化を、TDI を用いて評価する。【対象】再発例を含む川崎病
患児 29 名(男 20 名、女 9 名)
、age-matched control 群 11 名(男 7 名、女 4 名)
。【方法】川崎病罹患中、急性期(第 3-9 病日)
、亜急性期(第
12-20 病日)、回復期(第 30-40 病日)、遠隔期(第 105-360 病日)に、心臓超音波検査を施行し、超音波ドプラ法にて左室流入血流速度、
TDI にて僧帽弁弁輪移動速度を測定し、急性期に BNP 値を測定した。
【結果】
(1)急性期における E/Em は、亜急性期、回復期、遠隔期そ
れぞれに対して、有意に上昇していた(9.4 ± 2.9 vs 7.8 ± 2.0(p < 0.001), 7.3 ± 1.7(p < 0.001), 7.1 ± 1.8(p < 0.001)
)。(2)急性期における
E/Em は、正常群より有意に上昇していた(9.4 ± 2.8 vs 7.1 ± 1.0、p < 0.01)
。(3)亜急性期、回復期および遠隔期における E/Em は、正常群
と有意な差を認めなかった。
(4)急性期の BNP が 20 以上の群(high 群、n = 25)と 20 以下の群(low 群、n = 4)の2群では、high 群の E/Em は
low 群に対して有意に高値を示した
(9.8 ± 3.0 vs 6.9 ± 2.0, p < 0.05)。【結語】川崎病急性期において、E/Em は有意に上昇し、亜急性期、回
復期および遠隔期には正常群の値にまで回復していた。川崎病急性期における BNP の上昇は、川崎病急性期の心筋障害で起こる左室拡張
機能障害を反映している可能性が示唆された。
一般演題 53
2D ストレイン法による糖尿病患者における 心筋局所ストレイン値の検討
1
多根総合病院 生理機能検査部 心エコー室、2 多根総合病院 内科
中井 博美 1、竹内 正明 2、西蔭 朋子 1、長倉 俊樹 2、大谷 眞一郎 2
背景 : スペクルトラッキングを用いた 2D ストレイン法は、角度依存性なく心筋局所のストレイン値を測定できる。目的 : 左室駆出率(LVEF)
が正常な糖尿病(DM)患者において 2D ストレイン法により longitudinal, radial, circumferential strain(LS, RS, CS)を測定し、潜在的収縮能低下
がどの方向に生じるかを検討すること。方法 : 健常成人 17 人
(平均年齢 63 才)、DM 患者 31 人
(62 才 , LVEF:67 ± 6%)
において、2D echo によ
り短軸 3 断面、心尖部 3 断面を記録。各断面を 6 分割し、speckle tracking 法により、各領域におけるストレイン値を、LS は心尖部断層像より、
RS,CS は短軸像より測定した。結果 : 心基部(-14.2 ± 3.3 vs. -18.1 ± 2.2, p < 0.001)、中央部
(-16.1 ± 3.0 vs. -19.7 ± 1.3, p < 0.001)、心尖部(-20.3
± 3.8 vs. -23.3 ± 1.9, p < 0.005)6 領域の平均 LS 値は、DM 患者群が健常成人に比べ、有意に低値を呈した。CS は心尖部短軸断面のみ、平
均ストレイン値(-25.3 ± 6.2 vs. -30.5 ± 4.9, p < 0.01)
が DM 患者群で有意に低値を示した。一方平均 RS 値には , どの短軸断面でも両群間に有
意差は認められなかった。結論 : DM 患者の潜在的収縮能低下は長軸方向のストレイン値の低下が最も鋭敏に反映し、短軸断面、特に重心
方向のストレイン値は保持される傾向がある。
一般演題 54
高血圧症と心筋のねじれの関係―心肥大の有無による影響―
1
東住吉森本病院 循環器科、2 大阪市立大学大学院循環器病態内科学
兵頭 永一 1、平田 久美子 1、斎藤 聡男 1、広瀬 真 1、紙森 公雄 1、西田 幸生 1、瓦林 孝彦 1、葭山 稔 2
背景)心エコー図を用いたスペックルトラッキング法により心筋のねじれの計測が可能となった。高血圧症患者において左室心筋のねじ
れとほどけを計測することは病態の把握に重要であると考えられる。目的)高血圧症患者の心肥大の有無に応じて左室心筋のねじれとほ
どけがどのように変化するか検討すること。方法)対象は心肥大をともなった高血圧症例(A 群 n = 10)、
心肥大を伴わない高血圧症例(B
群 n = 10)、およびコントロール群(C 群 n = 10)。全症例で左室心尖部・心基部レベルの傍胸骨短軸像を記録した。左室のねじれ(Tor-v)
とほどけ(Unt-v)の最大速度は心尖部と心基部レベルの回転速度の差から導いた。また収縮期の間隔を 100% と定義し、ねじれ(Ttor-v)
とほどけ(Tunt-v)の最大速度までの時間を算出した。またねじれの最大回転角度(D)を心尖部と心基部レベルの回転角度の差から導いた。
さらに収縮能、および拡張能の各指標を求めた。結果)患者背景は 3 群間で差はなかった。Tor-v、Unt-v は A 群においてのみ有意に低下し
ていた。A 群、B 群の両群では C 群に比して D は有意に大きく(A 群 16.4 ± 6.4 度 , B 群 16.0 ± 4.4 度 , C 群 10.4 ± 5.3 度)
、Tunt-v は低下して
いた(A 群 131.0 ± 10.5%, B 群 125 ± 8.6%, C 群 115.2 ± 8.7%)。Tunt-v は拡張能の指標 E/E’と有意な相関関係を示した(R = 0.4, R < 0.05)。
(結論)肥大を伴わない高血圧症例でも、左室のねじれは大きくなり、左室のほどけの遅れが認められた。また、左室のほどけの遅れは拡
張能低下が関与している可能性が示唆された。
- 137 -
一般演題 55
三次元心エコー図を用いた僧帽弁の Coaptation の評価 ―拡張型心筋症と健常人の比較―
1
川崎医科大学 循環器内科、2 川崎医科大学 医用工学科、3 兵庫県予防医学協会 内科
築地 美和子 1、渡邉 望 1、小笠原 康夫 2、山浦 泰子 3、山本 克紀 1、尾長谷 喜久子 1、岡橋 典子 1、根石 陽二 1、豊田 英嗣 1、川元 隆弘 1、
大倉 宏之 1、吉田 清 1
【背景】左室拡大に伴う機能性僧帽弁逆流では、僧帽弁の coaptation の評価が重要であるが、coaptation の程度を定量評価することは困難で
あった。【方法】リアルタイム三次元(3D)
心エコー図を用い、20 名の拡張型心筋症患者および 20 名の健常人の volumetric images を得た。僧
帽弁弁尖が最初に接合するフレーム(the onset of leaflet closure:O)と最も深く接合するフレーム(the
timing of maximum closure of leaflet:M)において、3D 画像解析ソフトを用いて三次元画像を再構築し、
僧 帽 弁 の tenting surface area を 計 算 し た。coaptation ratio を、[
(3D tenting surface area in O - 3D tenting
surface area in M)/ 3D tenting surface area in O] と定義した。【結果】拡張型心筋症における coaptation
ratio は、健常人と比較し有意に小さかった(11 ± 4.1 vs. 18 ± 8.0, p = 0.004)
。【総括】リアルタイム 3D
心エコー図を用い、拡張型心筋症患者における僧帽弁の oaptation の定量評価が可能であった。拡張型
心筋症における coaptation ratio は、健常人と比較し有意に小さかった。
一般演題 56
拡張型心筋症における左室 dyssynchrony の規定因子の検討
1
愛媛大学大学院 病態情報内科学、2 喜多医師会病院 循環器内科
西村 和久 1、岡山 英樹 1、齋藤 実 1、吉井 豊史 2、井上 勝次 2、日浅 豪 2、住元 巧 2、大木元 明義 1、大塚 知明 1、檜垣 實男 1
【背景】心不全患者において左室 dyssynchrony はしばしば認められる所見であり、予後を予測する重要な因子である。しかし、左室
dyssynchrony を規定する因子については明らかにされていない。本研究の目的は拡張型心筋症における左室 dyssynchrony を規定する因子に
ついて検討することである。
【方法】
66 名の拡張型心筋症患者(男性 52 名、平均年齢 62 ± 14 歳)を対象とした。Vivid 7 Dimension
(GE 社製)
を用いて、Tissue Doppler Imaging(TDI)
法にて心尖部 3 断面(左室四腔像、二腔像、長軸像)の 12 セグメントに ROI を設定し、QRS 開始か
ら収縮期最大速度に至るまでの時間の標準偏差(Ts-SD)を左室 dyssynchrony の指標とした。
【結果】単変量解析では Ts-SD と左室拡張末期
容積係数(LVEDVI : r = 0.51, P < 0.0001)、左室収縮末期容積係数(LVESVI: r = 0.54, P < 0.001)
、左室駆出率(LVEF: r = -0.48,P < 0.0001)、
拡張早期僧帽弁輪運動速度(e’
: r = -0.35, P < 0.05)、拡張早期の左室流入血流速度 / 僧帽弁輪運動速度(E/e’
: r = -0.34, P = 0.005)、左房容量
(r
= 0.26, P < 0.05)
、QRS 幅(r = 0.53, P < 0.0001)に有意な相関が認められた。多変量解析では LVESVI が Ts-SD に対する唯一の独立した規
定因子であった(standard coefficient = 0.50, P = 0.0005)。
【結論】拡張型心筋症において LVESVI が LV dyssynchrony を規定する因子であった。
一般演題 57
心臓再同期療法において最適な効果を得るためには左室リードの植え込み位置を収縮最遅延部位に一致させ
ることが重要である。
桜橋渡辺病院 内科
豊島 優子、伊藤 浩、岩倉 克臣、川野 成夫、岡村 篤徳、黒飛 俊哉、小山 靖史、伊達 基郎、井上 耕一、藤井 謙司
【目的】心臓再同期療法(CRT)において non-responder の存在が問題となっている。その理由として、dyssynchrony の有無が注目されているが、
左室リード位置も重要である。我々は左室リードを収縮最遅延部位に植え込むことにでより良い CRT 効果が得られるか検討した。
【方法】
対象は mechanical dyssynchrony を認め CRT を施行した 33 症例。術前に組織ドップラー法(TDI)を用いて心尖部像の 3 断面で分割した各 12
セグメントの time-to-peak velocity(Ts, ms)を測定し、その中から収縮最遅延部位を同定した。術後 1 週間目にも同様に Ts を測定した。ま
た血清 BNP(pg/ml)を術後 1,3,6 ヶ月目に測定した。
【結果】左室リードの植え込み位置が収縮最遅延部位に一致した 20 例を一致群と定義
した。術後 1 週間目の 12 セグメントの Ts の最大差、標準偏差、中隔―側壁の Ts の差はそれぞれ 128 +/- 56 vs. 70 +/- 33, 49 +/- 21 vs. 27 +/- 14,
79 +/- 39 vs. 44 +/- 29
(不一致 vs. 一致)と不一致群で高値であった(p < 0.01)
。6 ヶ月後の左室拡張末期容積(244 +/- 99 vs. 160 +/- 67 ml)
及び収縮末期容積(196 +/- 105 vs. 108 +/- 65 ml)
も不一致群で有意に大であった。術後 1,3,6 ヶ月での BNP はそれぞれ 554 +/- 456 vs. 335 +/438, 658 +/- 519 vs. 233 +/- 255, 700 +/- 409 vs. 310 +/- 409 と不一致群で有意に高値を示した。術後心不全増悪による再入院例は 62% vs. 25%
と不一致群で多かった。【結論】CRT において左室リードの植え込み位置が収縮最遅延部位に一致しているとよりよい臨床結果が得られる。
TDI は左室リードの最適な植え込み位置を決定するのに有用である。
- 138 -
一般演題 58
CRT における僧帽弁弁輪 dyssynchrony 評価の有用性
1
社会保険 小倉記念病院 検査技師部、2 社会保険 小倉記念病院 循環器科
梅田 ひろみ 1、安藤 献児 2、有田 武史 2、海野 哲治 1、工藤 珠実 1、西村 恵美子 1、阿部 信子 1、杉田 国憲 1
【目的】慢性心不全患者の治療として行われている心臓再同期治療(以下 CRT)において、当院のデータにて術後 1week 後の僧帽弁逆流量
減少程度と中長期の心機能改善に有意な相関があるという結果が得られた。そこで今回 CRT 後の心機能改善が、術前の心筋 dyssynchrony
以外に僧帽弁弁輪の dyssynchrony に相関がみられないか検討を行った。
【方法】2006 年 9 月から 12 月の間に CRT を施行した患者を対象とした。
(n = 21) 機種は GE Vivid7 を使用。術前の TVI 波形から得られた
Time to peak を用い僧帽弁弁輪部の delay を算出した。Apical 4CH の心室中隔弁輪と側壁弁輪の差を1群とし、このとき側壁弁輪の peak が遅
い場合をプラス、早い場合をマイナスで表した。また、Apical 2CH の下壁弁輪と前壁弁輪の差を2群とし、下壁弁輪の peak が遅い場合を
プラス、早い場合をマイナスとした。さらに1群・2群のより大きな値を3群とした。これらの delay 値が心エコーデータの改善と相関が
みられるかどうか検討を行った。心エコーデータは、CRT 術前と術後 1week(n = 21)、1M(n = 10)の LVDd・LVDs・LVEDV・LVESV・EF
それぞれの差の5項目とした。
【成績】術後 1week においてはすべての群において有意な相関はみられなかった。術後 1M では1群の LVDd 差(p = 0.01)
・LVEDV 差
(p = 0.01)
に有意な相関がみられた。2群・3群においては有意な相関はみられなかった。
【結論】CRT における心機能改善の術前指標として、心筋 dyssynchrony 評価のみならず Apical 4CH での僧帽弁弁輪 dyssynchrony 評価の検討
も必要であると考えられた。今後、長期にわたる検討を行っていきたい。
一般演題 59
心臓再同期療法における至適 VV delay 設定の有用性
1
倉敷中央病院 臨床検査科、2 倉敷中央病院 循環器内科
高橋 勝行 1、小橋 裕子 1、山本 けいこ 1、中井 樹里 1、三宅 ひとみ 1、筑地 日出文 1、清水 速人 1、三宅 賢一 1、井石 充洋 1、中條 広美 1、
神崎 美佐 1、三宅 美枝 1、菊地 由美 1、福 康志 2、前川 祐子 2
【背景】最近の CRT デバイスは VV delay の設定が可能となっているが、至適 VV delay による更なる血行動態の改善が期待されている。【目
的】至適 VV delay の設定による左室駆出率と左室内同期不全の改善について検討した。【方法】対象は、CRT を施行し、至適 VV delay 設定
が行われた 20 症例。至適 VV delay の設定は、至適 AV delay を設定後に、左室駆出波形の時間積分値
(TVI)が最大となるように VV delay を
設定した。左室駆出率
(EF)は、modified Simpson 法を用いて評価した。左室内同期不全の評価については、組織ドプラー法
(TDI)にて、左
室 base の中隔と側壁の収縮期最大速度までの差
(TDI IVS-LAT)を用いる方法と、12 領域
(各領域それぞれの base と mid)での収縮期最大速度
の差が最大となる値(TDI MAX-MIN)を用いる方法の 2 通りの方法で評価した。
【結果】至適 VV delay の変更が必要なかった症例
(VV delay 0)
は 4 例であった。VV delay の変更が必要であった 16 例では、EF 31.2 土 13.9% → 32.7 土 13.9%(P < 0.01)
、TDI IVS-LAT 47.0 土 36.4ms → 30.0
に改善した。【考察とまとめ】EF、TDI IVS-LAT、TDI MAX土 28.1ms(P < 0.05)
、TDI MAX-MIN114.3 土 45.1ms → 99.5 土 45.2ms(P < 0.01)
MIN のすべての指標で有意な改善を認めた。至適 VV delay 設定により CRT responder を増やせる可能性があるため、今後も更なる検討を加
えていきたい。
一般演題 60
スペックルトラッキング法による能動的左室収縮遅延の同定は心室再同期療法レスポンダーの予測に有用で
ある
1
筑波大学臨床医学系循環器内科、2 筑波大学附属病院 検査部
瀬尾 由広 1、吉田 健太郎 1、酒巻 文子 2、中島 英樹 2、飯田 典子 2、稲葉 武 2、川村 龍 1、宇野 希世子 1、石津 智子 1、関口 幸男 1、河野 了 1、
渡辺 重行 1、青沼 和隆 1
【背景】心室再同期療法(CRT)の有用性は、能動的左室収縮遅延(delay of active myocardial movement: DAMM)を改善させることである . こ
のため CRT レスポンダーを予測する上で能動的左室収縮と受動的な左室壁運動を区別することが重要であり、スペックルトラッキング
法が有効であると考えられる。【目的】スペックルトラッキング法による DAMM 検出の CRT レスポンダー予測における有用性を検討する
こと。【方法】CRT を行った 35 例において CRT 前と 3 ヶ月後に超音波診断装置 Vivid7 を使用し心エコー図検査を施行した。Off-line 解析装
置(EchoPac PC)を用い、左室中部短軸断面においてスペックルトラッキング法により radial strain 解析を行った。対象 6 セグメントの radial
strain カーブの最早期ピークと最遅延ピークの時間差を DAMM と規定した。また、心尖部組織ドプラ像の左室 12 セグメントにおける QRS
開始から駆出期最大速度までの時間の標準偏差(Ts)を求めた。CRT レスポンダーは 3 ヵ月後に左室収縮終期容量 15% 以上の減少したも
のと定義した。【結果】22 症例(62.8%)が CRT レスポンダーと診断された。CRT 前の DAMM と Ts は CRT レスポンダー群が有意に高値で
あった
(DAMM; 295.6 ± 133.1 vs.116.1 ± 68.3ms, p = 0.001, Ts; 54.1 ± 23.0vs. 35.0 ± 19.4 ms, p = 0.01). 一方、受信者動作特性
(ROC)解析で
は DAAM が Ts に比較し CRT レスポンダーをより正確に予測した(DAMM > 221.0ms; AUC 0.875, 感度 0.818, 特異度 0.923, Ts > 38.1ms; AUC
0.750, 感度 0.636, 特異度 0.923)
。【結論】CRT レスポンダーの予測において , スペックルトラッキング法による DAMM の検出は、心尖部組
織ドプラ像解析に比較し有用である。 - 139 -
一般演題 61
高血圧症における左室形態分類別の心機能と捻れ運動
1
洛西ニュータウン病院 循環器科、2 関西医科大学心臓血管病センター
吉田 衣江 1、高山 康夫 1、正木 元子 1、湯山 令輔 1、五十野 剛 1、松原 恵子 1、岩坂 壽二 2
【目的】高血圧症において左室壁厚と LV mass が収縮能および拡張能に関与することを Strain rate(SR)imaging を用いて報告した。本研究
では、Strain rate(SR)imaging を用いた心機能と 2D スペックルトラッキング法を用いた左室捻れ運動について左室形態分類別に検討した。
【方法】対象は高血圧症 67 例である。左室形態は Relative wall thickness と LV mass index を用いて Normal(Nor)
、Concentric remodeling
(CR)、
Eccentric LVH
(E-LVH)、Concentric LVH
(C-LVH)の4群に分類した。心尖部アプローチの長軸 3 断面から各壁における peak systolic SR およ
び early diastolic SR を求め、それぞれの平均値で心機能を評価した。また 2D スペックルトラッキング法を用い、収縮期に心尖部と心基部の
回転角度差から Torsion を求めた。さらに拡張早期の心尖部と心基部の回転速度差から Untwisting velosity を求めた。【成績】Systolic SR は、
Nor の 1.6 ± 0.3/s に対して E-LVH では 1.3 ± 0.3/s(p < 0.05)、C-LVH では 1.1 ± 0.3/s(p < 0.001)
と有意に低下していた。Early diastolic SR は、
Nor の 2.1 ± 0.5/s と比較して CR で 1.5 ± 0.4/s(p < 0.05)、C-LVH で 1.4 ± 0.3/s(p < 0.001)と有意に低下していた。捻れ運動では、C-LVH で
Nor と比較して有意に Torsion の増加(Nor vs C-LVH;5.1 ± 3.7 vs 8.2 ± 2.6degrees, p < 0.05)と Untwisting velosity の低下(Nor vs C-LVH;146 ± 33
vs 115 ± 33degrees/s, p < 0.05)
を認めた。【結論】左室壁厚と LV mass がともに増加している C-LVH では、SR で評価した収縮能および拡張能
の低下を認めた。この C-LVH では、拡張能の指標とされる Untwisting velosity の低下を認めたが、収縮期のねじれ運動(Torsion)は亢進して
いた。
一般演題 62
Color kinesis を用いたトレッドミル運動負荷後における虚血性左室局所拡張運動遅延の経時的観察
関西電力病院 循環器内科
石井 克尚、櫻井 隆弘、片岡 一明、今井 真、宮坂 千鶴、寺村 京子、増田 まち子、干場 裕子
【目的】労作性狭心症患者において demand ischemia 後の虚血性左室局所拡張運動遅延の経時的変化を color kinesis
(CK)を用いて明らかにす
る。【方法】冠動脈に有意狭窄
(≧ 75%)を有する狭心症患者 36 名を対象とし、トレッドミル運動負荷前後での CK 画像より経時的に左室局
所拡張運動を観察。左室局所拡張運動遅延は CK 画像を ICK ソフト(YD Ltd)で解析し、拡張早期 30%時間における左室局所拡張度(CK
diastolic index:CK-DI)で評価し、運動 20 分後、1 時間後、および 24 時間後に観察。
【結果】33 名(92%)の患者において運動負荷 20 分後
に左室局所拡張運動遅延(CK-DI ≦ 40%)を認め、そのうち 20 名(56%)では 1 時間後
においても左室局所拡張運動遅延が観察された。有意狭窄を有する領域では CK-DI は運
動負荷 20 分後に 55%± 7%から 20%± 9%に低下(P < 0.001)し、1 時間後においても
38%± 10%と有意に低値であった。【結論】狭心症患者において虚血性左室局所拡張運
動遅延がトレッドミル運動負荷 1 時間後においても CK で捕らえることができ、diastolic
stunning が長時間持続する事が示唆された。
一般演題 63
Color Kinesis による拡張動態評価
1
大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学、2 大阪南医療センター臨床検査科、3 兵庫医科大学循環器内科
竹田 泰治 1、坂田 泰史 1、真野 敏昭 1、西尾 まゆ 1、大谷 朋仁 1、小林 裕美子 1、田尾 美智恵 1、梅川 成子 2、増山 理 3、山本 一博 1、
堀 正二 1
【目的】拡張早期 30% 時間以内に拡張した面積を全拡張期時間で変化した面積で除した値を color kinesis(CK)法により求め(diastolic color
kinesis: CK-DI)、拡張機能評価法としての有用性を検討した。【方法・結果】対象は、
高血圧性拡張不全モデル(6 週齢より高食塩食(8% 食塩)
を与えたダール食塩感受性ラット)およびコントロール(普通食(0.3% 食塩)で飼育したダール食塩感受性ラット、N 群)
。研究 1:代償
性肥大期(HT 群、15 週齢、n = 14)、心不全期(HF 群、約 20 週齢、n = 9)の高血圧性拡張不全モデルと N 群(n = 7)において左室時定
数(Tau)と CK-DI は有意に相関した(R = 0.44, p < 0.05)。HF 群では E/A は偽正常化し(N 2.9 ± 1.1, HT 1.2 ± 0.3, HF 2.9 ± 1.4)、CK-DI は
偽正常化を認めなかった(N 54 ± 9 %, HT 29 ± 7 %, HF 32 ± 6 %)。研究 2:薬物治療効果判定における CK-DI の有用性を検討するため、高
血圧性拡張不全モデルを降圧効果のない低用量の angiotensin II receptor blocker(ARB; telmisartan 0.1mg/kg/ 日)投与群(ARB
(+)、n = 9)と
非投与群(ARB(-)、n = 14)に分け、N 群(n = 7)とともに、15 週齢で心エコー、心カテーテル検査を施行した。Tau は N 群に比し ARB(-)
で延長し、ARB 投与にて延長は抑制された(N 18 ± 4 msec, ARB(-)25 ± 5 msec, ARB(+)21 ± 3 msec)
。CK-DI も投薬にて有意に改善した(N
54 ± 9 %, ARB(-)29 ± 7 %, ARB(+)36 ± 7 %)が、E/A や DT はこの差を検出できなかった。【結論】CK-DI は左室弛緩能を反映し、偽正常
化を認めず、薬物治療による左室弛緩障害の改善を反映した。よって、CK-DI は非侵襲的左室拡張機能評価法として有用と考えられる。
- 140 -
一般演題 64
大動脈弁逆流患者における組織ドップラーを用いた force frequency relationships の評価
1
東京女子医科大学 日本心臓血圧研究所、2 トロント小児病院 循環器科
清水 美妃子 1、Cheung Michael2、Smallhorn Jeffrey2、Redington Andrew2
大動脈弁逆流(AI)
の至適手術時期は不明確である。force frequency relationships(FFR)は潜在的心不全の診断に有用である。しかし、FFR の
非侵襲的な評価は難しいとされてきた。今回我々は、組織ドップラー(TDI)を用いて術前 AI 患者の FFR の評価を行ったので報告する。方法:
対象は中等 - 重度の AI 患者7名。仰臥位バイクによる運動負荷中経胸壁エコー心尖部四腔断面像僧帽弁直下での TDI を用いた。Isovolumic
accerelation
(IVA)
, systolic wall velocity(SWV)を安静時から心拍数 10/ 分増加毎に計測、安静時の左室駆出率も併せて評価した。正常値は年
齢相同の健康児のデータを用いた。 結果:全例安静時の左室駆出率は正常。健児に
比して患児の IVA-FFR(p < 0.0001, 2-way ANOVA)および SWV は患児で有意に低かっ
た。(p = 0.0013)しかし、2例では運動負荷による心拍増加に対する収縮力の反応は
良好であった。結論 : FFR は術前の AI 患者に於いて有意に低下していた。TDI を用い
てこの潜在的な心不全診断の可能性が示唆された。FFR の低下が外科的介入の指標
となる可能性があると考えられた。
一般演題 65
Dual−Doppler法を用いた僧帽弁口血流速および僧帽弁輪運動速波形の同時記録による心房細動
における左室拡張能の評価
1
徳島大学病院 診療支援部、2 徳島大学病院 循環器内科
河野 裕美 1、山田 博胤 2、楠瀬 賢也 2、添木 武 2、平岡 葉月 1、佐藤 光代 1、永峰 康孝 1
【背景】僧帽弁口血流および僧帽弁輪運動速波形の各拡張早期波高の比(E/Ew)が心房細動
(Af)においても左室充満圧の評価に有用である
という今までの報告では,E および Ew は異なる心拍において測定されている.我々は,同時に 2 点でのドプラ波形を測定できる Dual
Doppler 法を用いて,Af において同心拍における E および E wを測定し,その臨床的有用
性を検討した.【方法】非弁膜症性心房細動患者 33 例(年齢 73 ± 13 歳)において,Dual
Doppler 法にて僧帽弁口血流および僧帽弁輪運動速波形を 30 秒間記録した.また,同日の
血漿脳性 Na 利尿ペプチド
(BNP)を測定した.
【結果】各例において,同時に測定された E
と Ew は直線回帰を示した.その回帰直線の傾きと,血漿 BNP 値は正相関を示した.傾き
9.50 をカットオフ値とすると,感度 90.9%,特異度 86.4% で BNP 値≧ 200 を予測しえた.【結
論】Af においては E と Ew の回帰直線の傾きが大きくなるほど BNP 値が高値であり,左室
充満圧の上昇を反映していると思われた.Dual Doppler 法を用いた E および Ew の同時計測
は,左室拡張能の評価に有用であると考えられた.
一般演題 66
ペーシング部位の違いによる左室 torsion の検討 ∼2 D ティッシュトラッキングによる解析∼
和歌山県立医科大学 医学部 循環器内科
有田 祐、山野 貴司、池島 英之、大河内 啓史、辻岡 洋人、谷本 貴志、松尾 好記、財田 滋穂、久保 隆史、赤阪 隆史
背景:2D ティッシュトラッキング(2DTT)
心エコー法によって計測した左室 torsion は収縮能の鋭敏な指標として注目されている。しかし、
今まで pacing 部位を変えることで左室の torsion が変化するかどうかは検討されたことがない。今回われわれは、torsion と pacing 部位との間
の関連性について検討した。方法:今回は電気生理学的検査を施行した症例のうち完全房室ブロックを除く 20 人の患者を対象に調査した。
各々の患者に対して、右心房(RA)、右心室心尖部(RVA)、右心室流入路(RVOT)に pacing リードを置き 80bpm で刺激した。その pacing
中と洞調律時(SR)すべてに対して、Vivid7(GE healthcare)を用いて傍胸骨左縁短軸像(心尖部レベル、僧帽弁レベル)で左室壁運動
を記録した。これらの記録を用いて2 DTT 法で左室 torsion を計測した。結果:傍胸骨左縁短軸像心尖部レベルでの左室 torsion の最大値は
SR、RA pacing、RVA pacing、RVOT pacing ともに有意な違いはなかった( SR: 4.9 +- 3.1°
, RA: 5.0 +- 3.7°
, RVA: 5.2 +- 2.1°, RVOT: 5.7 +- 3.0°
)。
しかし僧帽弁レベルにおける左室 torsion の最大値は SR、RA pacing のほうが RVA pacing、RVOT pacing と比べて有意に高値であった( SR: 9.9
, RVOT: 7.7 +- 3.0°
)。さらに僧帽弁レベルでは RVOT pacing の方が RVA pacing と比べて左室 torsion
+- 2.1°
, RA: 9.4 +- 1.7°vs. RVA: 5.4 +- 2.0°
の最大値が高値であった。結論:左室 torsion は右室 pacing に比べて右房 pacing 時により洞調律時の状態に近く、生理的であると考えられた。
また右室 pacing のなかでも RVOT pacing の方が RVA pacing にくらべて左室 torsion が良好であると考えられた。
- 141 -
一般演題 67
Tri-plane Tissue Synchronization Imaging を用いた左室心筋シンクロニーの評価―前壁梗塞、下壁梗塞と拡
張型心筋症の違いー
昭和大学 医学部 第三内科
上田 宏昭、茅野 博行、川又 朋章、土至田 勉、片桐 敬
『目的』Tri-plane TSI を用いて前壁梗塞、下壁梗塞と拡張型心筋症での左室心筋シンクロニーの評価を検討した。『対象および方法』対象は、
正常群:23 例、前壁梗塞群:8 例、下壁梗塞群:9 例、拡張型心筋症群:7 例とし、心房細動を除外した。Tri-plane TSI は GE 横河メディカ
ル社製 Vivid 7 Dimension、3V プローべを用いた。心尖部 4 腔、2 腔、5 腔像を同一心拍で描出し、左室心筋基部、中央部の 12 ポイントに用
手的にロイを置き、TSI calculated index [Septal Lat delay(SLD)
、Septal Post delay(SPD)、Basal max delay(BMD)
、Basal stdev(BS)
、All
seg. max delay(ASMD)、All seg. Stdev(ASS)]を自動計測し、TSI calculated index を比較し左室心筋シンクロニーの評価を検討した。『結果』
SLD は正常群と前壁梗塞群(< 0.001)、下壁梗塞群(< 0.001)および拡張型心筋症群と前壁梗塞群(< 0.05)、下壁梗塞群(< 0.05)のそ
れぞれに有意差を認めた。SPD は正常群と前壁梗塞群(< 0.05)
、下壁梗塞群(< 0.05)に有意差を認めた。BMD は拡張型心筋症群と正常
、前
群(< 0.001)、前壁梗塞群(< 0.05)、下壁梗塞群(< 0.05)のそれぞれに有意差を認めた。BS は拡張型心筋症群と正常群(< 0.001)
壁梗塞群(< 0.05)、下壁梗塞群(< 0.05)のそれぞれに有意差を認めた。ASM は正常群と下壁梗塞群(< 0.05)、拡張型心筋症(< 0.001)
および前壁梗塞群と拡張型心筋症群(< 0.05)のそれぞれに有意差を認めた。ASS は正常群と拡張型心筋症(< 0.001)および前壁梗塞群
と拡張型心筋症群(< 0.05)のそれぞれに有意差を認めた。
『結語』Tri-plane TSI は心筋シンクロニーの評価に有用であると考えられた。
一般演題 68
急性心筋梗塞患者の左室 torsion の回復度から心筋虚血左室壁深達度を推定できる
和歌山県立医科大学 医学部 循環器内科
有田 祐、山野 貴司、池島 英之、大河内 啓史、辻岡 洋人、谷本 貴志、財田 滋穂、久保 隆史、今西 敏雄、赤阪 隆史
背景:2D ティッシュトラッキング(2DTT)心エコー法で計測された左室 strain や torsion が急性心筋梗塞患者においてどのように変化する
かは十分検討されていない。そこで、1)急性心筋梗塞後の気絶心筋の回復度は 2DTT 法で計測した radial strain(rad-s)と circumferential
strain(cir-s)と torsion に反映されるか2)遅延造影 MRI(deMRI)で測定した心筋虚血左室壁深達度(TEI)が 2DTT で計測したこれら
の指標に反映されるかを検討した。方法:経皮的冠動脈形成術が成功した連続 20 例の急性心筋梗塞の患者に対して以下の検討をした。
Vivid7(GE healthcare)を用いて左室壁運動を発症 24 時間以内と 2 週間後に記録し、それぞれの心筋梗塞部位に一致した部位の rad-s、cir-s、
torsion を計測した。さらに発症 2 週間後に deMRI を施行し TEI を測定した。結果:rad-s、cir-s、torsion のピーク値は発症直後より 2 週間後
の方が有意に改善していた(rad-s :20.5 ± 10.5% → 32.7 ± 13.2%,cir-s: 16.3 ± 8.8% → 23.0 ± 10.2%,torsion: 4.9 ± 2.1°
→ 9.0 ± 3.6°
,p < 0.01)。
また、max creatin phosphokinase(maxCPK)と TEI とには有意な相関が見られた(r = 0.75,p < 0.01)。さらに rad-s、circ-s 、torsion の回復
度と TEI にはそれぞれ有意な相関が認められた(r =− 0.73,− 0.58,− 0.81,それぞれ,p < 0.01)。特に、torsion の回復度と TEI との相関
係数の絶対値は maxCPK と TEI との相関係数の絶対値よりも高値であった。結論:2DTT で計測したストレインと torsion の回復度は急性心
筋梗塞の心筋虚血左室壁深達度を反映することがわかった。またその中でも特に、torsion の回復度はもっとも鋭敏な指標であると考えら
れた。
一般演題 69
2 次元スペックルトラッキング法による肥大心の右室心筋機能の分析
1
北海道大学病院 検査部、2 北海道大学 医学部 保健学科、3 北海道大学 大学院医学研究科 循環病態内科学
加賀 早苗 1、三神 大世 2、小野塚 久夫 3、井上 真美子 1、横山 しのぶ 1、西田 睦 1、北村 忠代 1、清水 力 1、千葉 仁志 1、小松 博史 3、岡田 昌子 3、
山田 聡 3、筒井 裕之 3
【目的】高血圧や肥大型心筋症の右室心筋機能には、いまだに不明の点が多い。最近開発された 2 次元スペックルトラッキング(2DST)法
では、超音波ビーム方向に依存しないストレイン / ストレインレートの計測が可能である。本研究の目的は、2DST 法を用いて、肥大心に
おける右室心筋の収縮・拡張機能評価を試み、その有用性を検討することである。【方法】対象は、肺高血圧症がない高血圧性左室肥大(HT)
10 例、肥大型心筋症(HCM)7 例および健常 10 例である。GE 社製 Vivid7 を用いて心尖部四腔像を記録し、EchoPac PC を用いて、2DST 法
により長軸方向のストレインレート(SR)を絶対値で求めた。右室自由壁の心尖部、中央部および心基部側で、収縮期、拡張早期および
心房収縮期の長軸方向ピーク SR(SSR、ESR、ASR)をそれぞれ計測した。【結果】心尖部の SSR は、HCM 群で健常群より有意に低値(p = 0.03)
であったが、他の部位の SSR には群間差を認めなかった。一方、HCM 群の ESR は、健常群および HT 群より、心尖部(p = 0.004、p = 0.001)、
中央部(p = 0.0004、p = 0.003)および心基部側(p = 0.02、p = 0.03)のすべてで有意に低値をとった。健常群と HT 群間には、ESR に有意
差がなく、ASR については、3 群間に有意差を認めなかった。【結論】高血圧性左室肥大では、右室心筋の長軸方向の収縮・拡張機能に明ら
かな異常を認めなかった。肥大型心筋症では、心尖部を除き収縮機能に低下はなかったが、拡張早期の伸展速度は、健常および高血圧性
左室肥大より低下した。2DST 法による拡張早期右室長軸方向伸展速度の計測は、肥大型心筋症の右室心筋病変の評価と肥大型心筋症と高
血圧性左室肥大との鑑別に有用である可能性がある。
- 142 -
一般演題 70
肥大型心筋症における左房機能の評価 −等尺性ハンドグリップ運動負荷を併用した左房 strain rate による
検討−
神戸大学大学院 循環呼吸器病態学
片岡 俊哉、川合 宏哉、岡田 真理子、則定 加津子、古木 マキ、辰巳 和宏、大西 哲存、田中 秀和、横山 光宏
【目的】肥大型心筋症
(HCM)における左房機能は左室充満圧上昇の代償機構として重要である。等尺性ハンドグリップ運動(HG)は交感神
経を賦活化し、末梢血管抵抗を上昇させ、左室・左房の後負荷を増加する。本研究では組織ドプラ心エコー図法を用いて HCM における左
房機能を、HG 負荷に対する左房 strain rate(SR)の反応性により評価した。
【方法】HCM17 例および健常対照 13 例を対象として HG 負荷前後に心エコー図検査を施行した。パルスドプラ法により拡張早期・後期左室
流入血流速度比
(E/A)を測定し、組織ドプラ心尖部四腔像にて心房中隔全体を囲む関心領域を設定、左房 SR 曲線を作成し、左室収縮期お
よび拡張後期の左房 SR(SLASR・ALASR)を測定した。左房容積は心尖部二腔・四腔像より修正シンプソン法を用いて測定し、心周期における
最大値と最小値の差を最小値で除した左房貯留能指数を算出した。
【結果】対象全例において SLASR は左房貯留能指数と有意な正の相関関係を示した。両群の E/A に有意な差は認めなかったが、HCM 群の
SLASR、ALASR は健常群に比し有意に小、最大左房容積は有意に大であった。HG 負荷により両群の平均血圧は有意に上昇した。HG 負荷によ
り両群の E/A、健常群の SLASR、ALASR には有意な変化を認めなかったが、HCM 群の SLASR、ALASR に有意な低下が認められた。
【結論】SLASR は左房貯留能を評価する指標として臨床応用が可能であることが示された。また HG 負荷を用いた左房 SR の評価により、
HCM における左房貯留能およびブースタポンプ機能の低下が示唆された。
一般演題 71
リアルタイム3 D 心エコー図による健常人の僧帽弁形状解析値は年齢・体格に関連するか?:幼児から高齢
者までを対象とした検討
1
川崎医科大学循環器内科、2 川崎医科大学中央検査部、3 兵庫県予防医学協会循環器内科
渡邉 望 1、築地 美和子 1、齋藤 顕 1、山本 克紀 2、岡橋 典子 1、山浦 泰子 3、尾長谷 喜久子 1、根石 陽二 1、川元 隆弘 1、豊田 英嗣 1、大倉 宏之 1、
吉田 清 1
【背景】リアルタイム3 D 心エコー図画像から三次元的に僧帽弁形状を定量解析することが可能となった。幅広い年齢層を対象として、健
常人における僧帽弁形状解析値と年齢・体格との関連につき検討した。
【方法】健常小児・成人計 61 名(4-80 歳、平均 38 ± 23 歳、男 38 名)
に経胸壁3 D 心エコー図検査を行った。装置は Sonos 7500®, IE33®(Philips)を用い、X4, X3-1 探触子で心尖部アプローチにて 3D full volume
®
image を記録した。三次元僧帽弁形状解析ソフト RealView(YD)
を用い、僧帽弁輪・弁葉の形態および乳頭筋先端位置の三次元再構築を行
い、弁輪周長・弁輪面積・弁輪高・弁 tenting volume・前後乳頭筋 - 前弁輪間距離を三次元的に測定した。これらの計測値を年齢、体表面積
と比較した。
【結果】弁輪サイズは、20 歳前後まで徐々に増加し、成人では横ばいとなった。弁輪の曲がり具合を示す弁輪高や弁葉の左房
側への偏位を示す tenting volume は、いずれの年齢においても個人間のばらつきが大きく年齢・体表面積いずれとの相関も見られなかった。
弁輪サイズは体表面積と有意に相関していた(面積 r = 0.84、周長 r = 0.85)。前弁輪と前後それぞれの乳頭筋との距離も体表面積と有意な
相関を示した(前乳頭筋 r = 0.72、後乳頭筋 r = 0.74)
。【結論】成長とともに弁輪は大きく、乳頭筋は弁輪から離れる傾向であり、成人後
は横ばいであった。これらの解析値は体表面積に比例しており、体格と比例する僧帽弁形状解析値の個人間比較では体表面積による補正
が望ましいと考えられた。
一般演題 72
2D strain 法による糖尿病患者における longitudinal strain の検討
1
多根総合病院 生理機能検査部 心エコー室、2 多根総合病院 内科
中井 博美 1、竹内 正明 2、西蔭 朋子 1、長倉 俊樹 2、大谷 眞一郎 2
背景 : 糖尿病性心筋症の早期発見は臨床的に重要である。目的 : 左室駆出率
(LVEF)が正常な糖尿病(DM)患者において 2D strain 法により
longitudinal strain(LS)を測定し、潜在的収縮能低下が生じているか否かを検討すること。方法 : 健常成人 17 人(平均年齢 63 才)、DM 患者 31
人(62 才 , LVEF:67 ± 6%)において、心尖四腔(二腔 , 長軸)像を記録、各断面を 6 分割し、speckle tracking 法により、それぞれの領域におけ
る LS を測定した。結果 : 心基部、中央部、心尖部の全ての領域で、LS は糖尿病患者群が健常成人に比べ、有意に低値を呈した。DM 群を
網膜症の有無、HbA1c > 7%、FBS > 200mg/dl で群分けしても LS に差は認められなかったが、
LVH を有する DM 群は LS が有意に低値を示した。結論 : 2D strain 法により DM 患者の潜在的収縮
能低下を評価できることが示唆された。
- 143 -
一般演題 73
2D speckle tracking 法の再現性
1
東京大学 医学部付属病院 コンピュータ画像診断学/予防医学講座、2 東京大学 医学部付属病院 検査部、
東京大学 医学部付属病院 循環器内科
宇野 漢成 1、海老原 文 2、木村 公一 3、袁 麗君 2、佐々木 賀津乃 2、小室 貴子 2、千明 真弓 2、竹中 克 2
3
【目的】2D speckle tracking(2DST)法は、ドプラ法のような角度依存性が少ないため、任意方向の運動を評価可能である。 本研究は東芝
製 2DST 法の再現性を評価し、臨床応用の可能性を検討する。
【方法】健常成人 11 名に対し、左室短軸断面の B モード動画像を avi 形式で記
録し、off-line で試作品ソフトを用いてその内の 1 心拍を解析した。使用機種は東芝 Aplio で、動画の frame 数は平均約 60fps である。解析は、
拡張末期と収縮末期を手動で決め、収縮末期の心内膜と心外膜を手動でトレースした。収縮末期の左室壁厚が自動的に心内膜側
(inner)と
心外膜側
(outer)に mid-line により2等分され、さらに円周方向で 6 等分され、各 segment の radial strain
(RS)と circumferential strain
(CS)が自
動計算された。各指標の intra- 及び inter-observer の差を比較した。心尖部長軸断面と四腔断面においても心筋全層に対し同様の解析を行った。
【結果】左室壁の mid-line と inner の CS は再現性が高く、次に左室壁全層と inner 半分の RS の再現性が高かった。anterior と lateral segment の
再現性が他の部位よりも劣っていた。心尖部長軸断面と四腔断面では、RS のバラツキが大きく、longitudinal strain はバラツキが比較的小さ
かった。【結論】新しい 2DST 法は、左室短軸断面における CS の再現性が高く、今後臨床応用が期待される。
一般演題 74
高血圧心において降圧治療に伴う左室心筋超音波性状の変化:心筋超音波 RF 信号カオス解析を用いた検討
1
兵庫医科大学 循環器内科、2 大阪大学大学院 循環器内科学、3 アロカ研究所
菅原 政貴 1、中尾 伸二 1、合田 亜希子 1、弓場 雅夫 1、大塚 美里 1、吉田 千佳子 1、松村 有記 1、李 正明 1、辻野 健 1、坂田 泰史 2、山本 一博 2、
園山 輝幸 3、原田 烈光 3、増山 理 1
【目的】超音波 RF 信号を用いた心筋組織性状指標として最も代表的な指標である RF 信号の強さ(超音波 integrated backscatter, IB)は線維化
を鋭敏に反映するが、経胸壁アプローチによる計測には較正法に問題がある。そこで、我々は超音波 RF 信号のカオス性(不規則性)の評
価を試みてきた。本手法による指標である相関次元は心筋線維化を反映し減少し、一方心筋肥大では増大することを示してきた。本研究
では高血圧心例において降圧治療でこの指標の変化を観察した。
【方法】対象は高血圧心例 11 例(平均年齢 62 歳、女性 3 名、男性 8 名)
。ア
ンジオテンシン 2 受容体拮抗薬(ARB)またはカルシウム拮抗薬(CCB)による半年間の治療前後で超音波計測を行った。超音波性状評価
にはアロカ社製 SSD-6500 を用い、拡張末期の左室後壁の超音波 RF 信号の不規則性の定量的指標として相関次元を求めた。
【結果】全例に
おける相関次元は、治療前 3.01 ± 0.34、治療後 2.95 ± 0.13 と、平均値に差を認めなかったが、治療によりばらつきが減少した。この傾向
は ARB 投与群(n = 5)と CCB 投与群(n = 6)の間に差を認めなかった。また、治療に伴う相関次元の変化量は左室重量係数の変化量と
の間に正相関がみられた(r = 0.64, p < 0.05)。すなわち、左室肥大の退縮の大きい例で相関次元はより低下する傾向が見られ、左室肥大の
退縮は相関次元の減少を伴うと考えられた。治療により相関次元が大きくなった症例は心筋線維化の改善が示唆された。
【結語】高血圧心
において左室心筋の超音波性状は異常であり、これは降圧治療に伴い正常化した。
一般演題 75
心房細動患者の E/E’
を用いた拡張能評価における R-R 間隔の及ぼす影響
1
福島県立医科大学 第一内科、2 医療生協わたり病院 内科循環器科、3 日立メディコ
大杉 拓 1、高野 真澄 1、渡部 朋幸 2、及川 雅啓 1、矢尾板 裕幸 1、森 修 3、十亀 里 3、丸山 幸夫 1
【背景】心房細動患者の収縮能評価において、測定心拍における先行 R-R 間隔および先先行 R-R 間隔が影響することが報告されている。一
方、心房細動患者の左室拡張能評価において、E/E(E:
; 僧帽弁輪部左室拡張速度)の測定が有用であること
’ 拡張早期左室流入血流速度、E’
が報告されているが、E/E’
計測に対する R-R 間隔の及ぼす影響については検討されていない。【目的】心房細動患者の E/E’
測定時における
R-R 間隔の及ぼす影響を検討する。
【方法】対象は心房細動患者 20 例(平均年齢 70 ± 8 才)。新しく開発された dual Doppler system(EUB
7500, 日立メディコ)を用い、同一心拍にて拡張早期左室流入血流速度(E)および 僧帽弁輪部左室拡張速度
(E’
)を連続 10 心拍測定し、同
一心拍における E/E’
を求めた。また、測定心拍における R-R 間隔(RR1)および先行間隔
(RR2)から、RR1/RR2 を求めた。E、E’
および E/E’
と RR1/RR2 の関係について検討した。また、RR1/RR2 = 1 となる心拍における E/E’
の測定値
(E/E’at RR1/RR2 = 1 )と、連続 10 心拍の E/E’
は明らかな変化を示さなかった。その結果、E/E’
の平均値
(平均 E/E’
)を比較検討した。【結果】E は RR1/RR2 の上昇に伴い上昇し、一方 E’
は RR1/RR2 と有意な相関関係を示した(E: R = 0.72, p < 0.001; E/E’
: r = 0.95, p < 0.0001)。さらに、E/E’at RR1/RR2 = 1 は平均 E/E’
と有意な
正の相関関係
(r = 0.95, p < 0.0001)を認めた。【結語】E/E’
を用いた左室拡張能評価において、R-R 間隔と先行 R-R 間隔が等しい心拍にて E
と E’
の同時測定を行うことにより、心房細動患者における不整 R-R 間隔の影響を除外できる可能性が示唆された。
- 144 -
一般演題 76
くも膜下出血患者における左室壁運動異常評価の有用性
1
藤田保健衛生大学 衛生学部 衛生技術学科、2 藤田保健衛生大学 短期大学 医療情報技術学科、
藤田保健衛生大学 医学部 循環器内科
杉本 恵子 1、岩瀬 正嗣 2、山田 晶 3、渡邊 英一 3、平光 伸也 3、菱田 仁士 3
3
【目的】急性期のくも膜下出血(SAH)患者において、疾患の重症度と虚血性心電図異常、心エコーによる左室壁運動異常の関係を検討し、
さらに急性期の予後との関連性を検討すること。【対象】2003 年 7 月から 2004 年 3 月の間に当院救命救急センターに入院した発症 24 時間以
内の急性 SAH 患者 56 例であり、陳旧性心筋梗塞 2 例を除外した 54 例(男性 17 例、女性 37 例)で検討を行った。年齢は 15∼83 歳(59 ± 17
歳)であった。【方法】SAH 患者は WFNS 分類を用い Gread1∼5 の 5 段階に分類した。入院時に心電図と心エコー図検査を施行した。心電
図検査では ST 異常の認められる誘導で上昇および低下電位を加算したΣSTを算出した。心エコー図検査では ASE による左室 16 分割法に
て Wall Motion Score Index(WMSI)を算出した。心電図・左室壁運動とも正常な
(A)群、心電図のみ異常な
(B)群、両者とも異常な(C)群
に分類し発症60病日までの予後を追跡した。【結果】1. ST 異常は 41%、左室壁運動異常は 27%(ST 異常を認めたうちの 59%)で認めら
れた。2. B 群とC群のΣ ST に有意差は認められなかった。また C 群におけるΣ ST と WMSI の間に有意な相関関係は認められなかった。3.
A 群、B 群、C 群の順で累積生存率は有意に低下した(p < 0.0001)。4.Gread4 と 5 において、生存群では左室壁運動異常を認めなかったが、
死亡群では有意に高率に認められた(それぞれ、80%、62%)。【結語】左室壁運動異常の存在がくも膜下出血患者の予後を左右する一因
になるとと考えられた。
一般演題 77
頸動脈プラーク潰瘍のエコー診断 : 新しい診断基準の提案とその有用性の検証
1
特定医療法人柏葉脳神経外科病院、2 北海道大学医学部保健学科、3 北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学
村木 睦子 1、三神 大世 2、吉本 哲之 1、北口 真弓 1、白坂 智英 1、藤本 真 1、善積 威 1、菅原 智子 1、金子 貞男 1、柏葉 武 1、山田 聡 3、
小野塚 久夫 3、筒井 裕之 3
【背景】
頸動脈のプラーク潰瘍は、血栓形成や塞栓により脳梗塞をきたす。頸動脈エコー法はその有力な診断法のひとつだが、その感度
に疑問を差し挟む意見もある。従来の診断基準は、陥凹サイズが 2 × 2mm 以上であることと陥凹底の明瞭な同定などを条件としてきたが、
この基準が近年の装置の性能向上に釣り合わない可能性がある。
【目的】頸動脈プラーク潰瘍のエコー診断基準を見直し、新たに作成した
基準の有用性を検証する。
【方法】対象は、2002 年 1 月から 2006 年 12 月までに頸動脈内膜剥離術を行い、術前のエコー所見を手術・病理
所見と対比しえた連続 75 側の頸動脈である。初期の 50 側ではプラーク陥凹の有無と陥凹底部の境界エコーの輝度などを分析し、新基準作
成に用いた。後期の頸動脈 25 側では、従来基準と新基準の診断精度を prospective に比較検討した。【結果】[ 初期 ] 従来の基準では、感度
44%、特異度 88%、正診率 66%であった。陥凹サイズが小さいための偽陰性が 4 個あり、偽陽性の陥凹 3 個は潰瘍底部エコーが周囲内膜と
同等であった。以上から、
明瞭な陥凹の描出と陥凹底部境界エコーが周囲の内膜より弱いことのみを条件とする新しい診断基準を考案した。
新基準では、感度 60%、特異度 100%、正診率 80%と診断精度が改善した。[ 後期 ] 頸動脈 25 側において、従来基準では、感度 46%、特異
度 75%、正診率 60%であったのに対し、新基準では感度 92%、特異度 100%、正診率 96%であった。【結論】頸動脈プラーク潰瘍の診断には、
明瞭な陥凹の描出と陥凹底部境界エコーが周囲の内膜エコーより弱いことのみを条件とすべきである。
一般演題 78
子育て支援イベント「おぎゃっと 21・徳島」における小児心エコー検査 6 年間のまとめ
1
徳島市民病院 超音波検査室、2 徳島市民病院 小児科
西尾 進 1、松岡 優 2
【はじめに】徳島県では、2001 年より 5 月 3 日・4 日の両日に子育て支援イベント「おぎゃっと 21」を開催している。このイベントは、出
産や育児に夢の持てる社会づくりを推進する目的で、乳幼児とその家族を対象としている。会場はいくつかのゾーンに区切られており、様々
な職種の人や学生がボランティアで参加している。我々は、小児科医・臨床検査技師・看護師がチームとなって、心エコー・皮下脂肪測定・
骨密度測定・アレルギーパッチテスト等を行っている。今回、開催されて 6 年を経過したが、この間の心エコーの検査数・有所見数につい
て報告する。【検査件数および有所見数】2001 年 検査数 686 人(有所見数 11 人)、2002∼2006 年 516(10)、669(19)、805(15)
、803
(13)、993(12)
。6 年間の全検査件数 4472 人、有所見数 80 人、有所見率 1.8% であった。専門の医療機関で再検を必要とされた疾患の内容
は、心房中隔欠損症(16), 動脈管開存症(15)が最も多く、次いで心室中隔欠損症(5), 肺動脈狭窄症(5), 僧帽弁逆流(3), 冠動脈−肺動脈瘻
(2), 大動脈弁逆流(2)などであった。【考察】心雑音が明らかでない BWG 症候群や大動脈二尖弁の早期発見は、その後の治療指針に役立っ
た。また、マススクリーニングとして雑音を呈しない心房中隔欠損症や、動脈管開存症を発見するには心エコーを行うことが有用である
と考えられた。
【まとめ】少子高齢化社会において、このような子育て支援イベントは有意義なものである。我々は、心エコーを通して参
加しているが、乳児健診では発見できないレベルで先天性心疾患を指摘できた。
- 145 -
一般演題 79
胎児3 D 心エコー法における平行多断面像描写法の臨床的有用性
1
久留米大学医学部小児科、2 久留米大学医学部産婦人科 前野 泰樹 1、廣瀬 彰子 1、姫野 和家子 1、須田 憲治 1、野々下 晃子 2、堀 大蔵 2、嘉村 敏治 2、松石 豊次郎 1
胎児の超音波診断法においても3 D エコー法が普及し始めている。しかし、胎児の心臓は小さく心拍もあり、データ集積法や解像度、立
体3 D 画像の描写など臨床応用には制限も多い。今回、3D 画像描写法として、平行な多断面像を作成する方法で胎児心血管構造を評価し、
この描写方法による胎児3 D 心エコー法の臨床的な有用性を検討した。
方法:3 D エコー機器とその平行多断面像の描写法としては、MEDISON 社製 ACCUVIX(5例、26w-34w)ではマルチスライスビューを、
GE 横河社製 Voluson730(9例、32w-36w)では TUI を使用した。データ集積は Voluson730 では STIC 機能により心拍を同期した。
結果:いずれの機種でも施行全例に短時間のデータ集積が可能で、平行多断面像を作成できた。この断面にて、心内構造や血管の起始が
判断できた。この特色より、四腔断面像、三大血管像、と三大血管気管像の3断面とその繋がりを確認でき、スクリーニングとして有効
と考えられた。特に心拍を同期しない ACCUVIX ではデータの集積が1∼3秒と短時間であり、胎動の影響が少なくより簡便であった。複
雑心奇形の評価では、無脾症候群症例での複雑な動静脈と心臓の位置関係、肺動脈弁欠損症症例での拡大した肺動脈と大動脈や気管との
位置関係の評価が可能であった。特に心拍を STIC で同期する Voluson730 では、縦断面など他の角度の平行多断面が作成評価でき、特に有
用であった。
結語:胎児3 D 心エコー法において、平行多断面像の描写法は、1)スクリーニング2)複雑心奇形に置ける心内構造血管走行の評価、
の2点で特に有用であった。
一般演題 80
先天性心疾患に伴う流出路狭窄の経時的変化 ―心エコー検査による胎児期からの観察―
埼玉医科大学
竹田津 未生、岩本 洋一、石戸 博隆、松永 保、先崎 秀明、小林 俊樹
先天性心疾患に伴う流出路狭窄は進行性である場合が多く、近年の超音波機器の発達によりそれらの病変の観察が胎児期から可能となり、
それに伴い病変の進行が出生後のみならず出生前から起こっていることが知られるようになってきている。胎児期から観察しえた症例に
おける、流出路狭窄の経時変化を報告する。【方法】1998 年以降、当院で経験した胎児心疾患症例のうち、初診時、あるいは出生後を含め
た経過中に流出路狭窄を生じた 17 例を対象とし、胎児心エコーによる流出路狭窄の初回検出時期と、胎児期、生後に観察された進行過程
を検討。【結果】初診時在胎週数は 22∼40(中央値 30)週、大動脈弁・弁下狭窄を伴うもの(AoS)
は 6 例、肺動脈弁・弁下狭窄を伴うもの(PS)
は 11 例。AoS では 27∼33 週の初診時に形態的な狭窄を認め、3 例で出生前にさらに進行、全例新生児期に AoS に応じた外科的治療を要す
状態であった。PS で、ファロー四徴を基礎疾患とするものでは 3 例とも 28 − 40 週の初診時には PS が明らかではなく、出生前に 1 例、2 例
で乳児期以降に PS へ進行した。他の複合心奇形に伴うものでは 1 例を除いて初診時より形態的 PS が認められ、うち 3 例で在胎 30 週前後か
ら、3 例で生後 1 ヶ月以内に急速に PS が進行し、いずれもシャント術を要した。初診時に PS が明らかではなかった 1 例では、出生後も PS
の進行が緩徐であったため、肺動脈こう絞術を施行、術後肺動脈弁下狭窄が急速に進行した。
【結語】進行性流出路狭窄では胎児期にすで
に流出路狭窄を生じている例が多く、胎児診断が可能である。出生前後に狭窄の進行する例も多く、胎児期からの心エコー検査により流
出路狭窄進行の過程を観察できる。
一般演題 81
胎児心エコー図検査で認められた大動脈峡部の逆行性血流の意義
総合病院鹿児島生協病院 小児科
西畠 信
【背景】正常胎児では動脈管と大動脈峡部の収縮期血流はいずれも心室から下行大動脈に向かう順行性血流である。しかし峡部の低形成を
伴うような疾患群では逆方向に向かうことがあり、主なものに左心低形成症候群(HLHS)
、大動脈縮窄(CoA)、卵円孔早期狭小化または
閉鎖(RFO)がある。前 2 者は出生後に ductal shock を起す可能性があり胎児診断は重要である。
【目的】胎児期に大動脈峡部での逆行性血
流を診断することの臨床的意義を考察する。
【対象と検討項目】1997 年 1 月∼2006 年 12 月の 10 年間で胎児診断した先天性心疾患 75 例中、
HLHS、CoA、RFO の症例を対象に、出生後の診断、転帰と大動脈峡部での逆行性血流のパターン、出現時期等を検討した。【結果】HLHS 9 例、
CoA 6 例、RFO 4 例の計 19 例で検討した。HLHS では峡部から上行大動脈全体で逆行血流があり、9 例中 8 例では全収縮期で、1 例では拡張
期まで認められた。この 1 例は出生後に reversed coarctation を認めた。これに対し CoA と RFO では多くが収縮後期に峡部で逆行性血流を認
めた。峡部の逆行性血流で CoA を疑った例で、出生後に CoA を認めなかった例が 2 例あった。
【考察と結語】大動脈峡部の逆行性血流は左
室からの駆出血流を欠くか減少するとき生ずる。左室からの順行性血流がほとんどない HLHS では全収縮期に逆行性血流が、左室からの血
流がある CoA や RFO では左室からの駆出血流が低下する収縮後期に逆行性血流を認めた。CoA や RFO では逆行性血流が増強した時には娩
出を考慮する。
- 146 -
一般演題 82
大動脈弁無冠尖逸脱を合併した膜性部心室中隔欠損症の臨床的検討
1
東京女子医科大学付属病院 中央検査部、2 東京女子医科大学 循環器小児科、3 東京女子医科大学 循環器内科
鶴田 義典 1、富松 宏文 2、菊池 典子 1、椎名 哲彦 1、寺山 敏子 1、志和 清隆 1、黒川 文夫 1、神田 かおり 1、網倉 由子 1、高野 一成 1、
高橋 奈菜子 1、林 哲朗 1、石塚 尚子 3
【背景】膜性部心室中隔欠損(m-VSD)における大動脈弁逸脱は漏斗部心室中隔欠損に比し頻度は少ない。しかし、m-VSD に合併する
無冠尖の逸脱
(NCCP)についてはその発症頻度や発症時期などについてまだ十分に解明されているとは言えない。【目的】NCCP を生じ
る m-VSD の頻度、時期、形態的特徴を明らかにすること。【方法】
‘00 年から‘06 年までに当院で心エコー検査を施行した m-VSD433
例。NCCP を合併していたものを NCCP 群、合併していないものを normal 群とした。NCCP の有無については、超音波検査士と超音波専
門医とで肉眼的に判断した。2 群について心エコー像のビデオテープを再生し計測した。計測方法は大動脈短軸断面で大動脈弁の中央部
を回転中心とし三尖弁中隔尖付着部位を 0 度とし、時計方向に無冠尖と右冠尖の境目がなす角度(dT-N)を計測した。【結果】NCCP 群 10
例、normal 群 423 例だった。その頻度は 2.4 %だった。検査時年齢は NCCP 群;平均 12 歳 7 ヶ月、normal 群;平均 12 歳 7 ヶ月だった。d
T-N は NCCP 群で 44 度(39∼51 度)、normal 群で 7.8 度(0∼36 度)だった。
【結論】検査時年齢には 2 群間で差がなかった。dT-G は NCCP
群が normal 群に比し大きい傾向にあった。これは無冠尖が欠損孔に接する面積が大きいことを意味していると考えられる。したがって、
m-VSD では dT-N が大きいほど NCCP をきたす可能性が高いことが予想される。今後、dT-N で NCCP の発生を予測できるかどうか症例を経
時的に観察していく必要があると考えられた。
一般演題 83
修正大血管転位成人例の合併症
1
慶應義塾大学 医学部 循環器内科、2 慶應義塾大学病院 中央臨床検査部 心機能室
岩永 史郎 1、村田 光繁 2、団 真紀子 2、中嶋 和子 2、冨山 久美子 2、羽鳥 泰子 2、岡本 明美 2、近藤 麻紀子 2、篠原 純子 2、松本 幸子 2、
小川 聡 1
修正大血管転位(L 型大血管転位)は先天性心疾患の約 1% を占める比較的稀な病態であるが、複雑心奇形の中では成人まで生存する可能性
が高い。成長後に種々の合併症を起こすため、成人領域での治療が患者の生命予後を左右する。最近 5 年間に本院で心エコー検査を施行し
た修正大血管転位 11 例(22∼51 歳、女性 3 例)を対象として、その合併症について調べた。心室中隔欠損を伴うものが 6 例あったが、2 例は
小欠損孔、4 例は大きな欠損孔を有していた。心房中隔欠損は 4 例に、Ebstein 奇形は 1 例に合併していた。中等度以上の左側房室弁逆流は
4 例に認められ、内 2 例が機械弁に置換された。中等度以上の右側房室弁逆流は 5 例に認められ、内 1 例が機械弁に置換された。完全房室
ブロックは 4 例に発症し、小児期の 8 歳から成人後の 33 歳までに 3 例に永久ペースメーカが挿入された。心房細動・粗動、発作性上室性頻
拍症などの上室性不整脈が 3 例に認められ、3 例に脳梗塞が合併した。右室収縮機能低下による心不全が 3 例にみられた。また、2 例にバル
サルバ洞の拡大がみられた。11 例中、2 例が死亡したが、1 例は心不全死、1 例は突然死であった。従来、完全房室ブロック、房室弁逆流、
右室不全が修正大血管転位の合併症として重要視されていたが、これらに加え、頻脈性上室性不整脈や心房内血栓に由来する脳塞栓症が
認められるようになった。以上から、修正大血管転位の成人例では、心房・心室中隔欠損の合併についての評価に加えて、心エコー検査
で房室弁逆流、右室収縮機能、心房内血栓、上行大動脈径を経時的に観察する必要があると考えた。
一般演題 84
Velocity Vector Imaging による postsystolic thickening の評価:ストレインレート法との比較
大阪大学大学院 医学系研究科 機能診断科学講座
澤田 智美、浅沼 俊彦、五十嵐 絵里奈、増田 佳純、石蔵 文信、別府 慎太郎
【背景】Postsystolic thickening は心筋虚血の鋭敏な指標である。Velocity Vector Imaging(VVI)では、虚血部位において等容性拡張期に収縮方
向へのベクトルが見られるが、両者がどの程度対応しているのか不明である。
【目的】VVI による等容性拡張期の収縮方向のベクトルが postsystolic thickening を表しているか、ストレインレート法と比較し検討すること。
【方法】麻酔開胸犬 6 頭を対象とし、持田シーメンス社製 Sequoia、GE社製 Vivid 7 を用い、それぞれ左室短軸像をベースラインと左回旋枝
15 秒閉塞後に取得した。虚血領域の中心とその対側の非虚血領域において、VVI による radial velocity、2D strain による radial strain rate を
算出した。虚血領域は心筋コントラストエコーでの灌流欠損領域とした。Peak systolic velocity(Vps)
、peak negative diastolic velocity(Vpd)、
僧帽弁開放(MVO)時の velocity(Vmvo)をそれぞれ peak systolic strain rate(SRps)
、peak negative diastolic strain rate(SRpd)
、MVO 時の strain
rate(SRmvo)と比較した。
【結果】冠動脈閉塞中、VVI では虚血領域が MVO 時の収縮方向へのベクトルとして表され、同領域で 2D strain でも postsystolic thickening が
観察され、Vmvo と SRmvo は良好な相関を示した(r = 0.88、p < 0.05)。また、Vpd と SRpd も良い相関を示した(r = 0.61、p < 0.05)。Vps
と SRps には相関は見られず、心臓の translation が VVI の収縮期における velocity に影響していることが考えられた。
【結論】VVI による MVO 時の収縮方向へのベクトルは postsystolic thickening を反映し、心筋虚血の指標となる。
- 147 -
一般演題 85
DDD ペースメーカにおける AV delay の変化が左房動態に与える影響:speckle tracking 法を用いた 2D 心エ
コー図による検討
1
大阪市立総合医療センター 循環器内科、2 大阪掖済会病院、3 大阪市立大学 循環器病態内科学
古川 敦子 1、阿部 幸雄 1、柳下 大悟 1、白井 直哉 1、中川 英一郎 1、中村 友之 1、柚木 佳 1、大橋 潤子 1、小松 龍士 1、成子 隆彦 1、伊藤 彰 1、
土師 一夫 1、吉川 純一 2、葭山 稔 3
【背景】DDD ペースメーカが植え込まれた患者では AV delay(AVD)の適正化が重要だが,AVD の変化が心房動態に与える影響に関して
は十分に知られていない.
【目的】2D 心エコー図の新手法である speckle tracking 法で作成した左房の時間容量曲線を用いて,AVD の変化
が左房動態に与える影響を調べること.【方法】完全房室ブロックに対して DDD ペースメーカを植え込んだ 10 例で,Siemens 社製 Acuson
Sequoia 512 を用いた心エコー図検査下に AVD の適正化を行った.左室流入血流速波形(LVIF)の時間速度積分(TVI)が最大となる AVD
を至適 AVD とし,長(180 msec)および短(40 msec)を加えた 3 種の AVD で LVIF や肺静脈血流速波形を比較した.また,心尖四腔像で
speckle tracking 法を用いて作成した左房の時間容量曲線も比較した.
【結果】至適 AVD は 111 ± 33 msec(幅:60∼160 msec)だった.LVIF
の TVI と LVIF の A 波の TVI は至適 AVD で最大だったが(p < 0.05),肺静脈血流速波形の a 波の TVI は至適 AVD で最小だった(p < 0.05).
作成した左房の時間容量曲線の全てで,reservoir volume(RV)と conduit volume(CV),booster pump volume(BPV)を評価できた.RV と
CV は 3 種の AVD 間で有意な差はなかったが,BPV は短い AVD で最小,長い AVD で最大となった(短:13.3 ± 7.9 ml,至適:19.5 ± 9.3 ml,
長:25.0 ± 13.6 ml;p < 0.05).【総括】短い AVD では心房収縮および左室充満が小さく,肺静脈への逆流が大きい.長い AVD では心房収
縮は大きいが肺静脈への逆流も大きく,左室充満が小さい.従来のドプラ指標に加え,speckle tracking 法で作成した左房の時間容量曲線を
用いることで,AVD の変化が左房動態に与える影響を評価できた.
一般演題 86
左室心筋間ストレインミスマッチは BNP 値を上昇させる:右室心尖部ペーシング患者における検討
1
大阪医科大学 第三内科、2 北摂総合病院 循環器センター
川西 泰徳 1、伊藤 隆英 1、奥田 信昭 1、諏訪 道博 2、北浦 泰 1
【目的】本研究では、左室心筋間の不均等なストレイン勾配(収縮のタイミング)が BNP 値の上昇を促すとの仮説をたて、右室心尖部ペー
シング(RVP)患者をモデルとして心筋ストレイン解析を行った。【方法】長期 RVP 患者 34 名および健常者 12 名を対象とした。心室中隔
中部および左室後壁中部におけるストレイン曲線より、大動脈弁開放時(AVO- ε)と大動脈弁閉鎖時(AVC- ε)のストレイン値を計測し、
収縮のタイミングのずれを RVP 患者と健常者、および中隔側と後壁側において比較し
た。【結果】図参照。健常者では中隔側、後壁側とも AVO- εはベースライン(0%)
付近に、AVC- εはストレイン曲線のピークにほぼ一致する。RVP 患者では AVO- εは
高値を、AVC- εは低値をとる傾向にあり、中隔側においてより顕著であった。中隔
側における AVO- εと AVC- εとの差は BNP 値と有意な相関を示した(r = 0.33, p<
0.05)。【結論】左室心筋間の不均等な収縮パターンは BNP の分泌を促進させる可能性
が示唆された。
一般演題 87
Acoustic quantification 法を用いた小児の左室機能の加齢による変化
自治医科大学 小児科
市橋 光、白石 裕比湖
【目的】Acoustic quantification
(AQ)法は、血液と組織の境界を自動的に検出し、断層心エコー上から心腔の断面積を real time に解析できる
方法であるが、小児領域での報告は僅かである。われわれは、小児期における AQ 法を用いた正常計測値を求めた。また、肥大型心筋症
の1乳児例における計測値についても報告する。【対象および方法】対象は当院小児科で心エコーを行った患者のうち、現在ほぼ正常な循
環動態を有している 40 例(無害性心雑音 9 例、冠動脈病変のない川崎病 9 例、心電図異常 8 例、mild MR4 例、胸痛 4 例、small VSD および
ASD それぞれ 3 例)で、年齢は 0.1∼18 歳であった。心エコーは HP 社製 6500 を用い、左室短軸断面を描出し、AQ 法を用いて心腔の断面積
の変化を解析した。
【成績】拡張末期面積
(EDA)と収縮末期面積
(ESA)は、年齢とともに増加した。面積変化率
(FAC)はほぼ一定で、年齢
による変化はなかった。収縮期最大面積変化速度
(PER)と急速充満期最大面積変化速度
(PRER)は、加齢とともに減少した。左室流入にお
ける心房収縮期波の割合(AFF)は、加齢とともに減少した。【結論】乳幼児期ではそれ以降と比べ、収縮期・拡張期ともに左室の変化量は
大きい。また、拡張期では能動的心室拡張よりも心房収縮への依存が大きい。
- 148 -
一般演題 88
肥満が左室拡張能に及ぼす影響
1
東邦大学医療センター大橋病院 生理機能検査部、2 東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科
大崎 司 1、鈴木 真事 2、土田 貴子 1、大塚 健紀 2、井上 琢也 2、杉 薫 2
【目的】肥満が左室拡張能に及ぼす影響を年代ごとに検討すること【方法】対象は 30 から 89 才までの健常例、30 代 45 例、40 代 38 例、50
代 60 例、60 代 104 例、70 代 87 例、80 代 41 例の合計 375 例である。高血圧、糖尿病、弁膜症、左室壁運動異常例、心筋症、心房細動など器
質的心疾患例は除外した。通常の心エコー法により左房径、左室拡張末期径、左室収縮末期径、左室内径短縮率、左室重量係数を計測し、
ドプラ法によりE波、A波、E/A、組織ドプラ法による拡張早期僧帽弁輪部運動速度(Ea)も計測し、BMI(body mass index)との関連を
年代毎に検討した。
【成績】得られた各指標と BMI
の関連について、いずれも高い相関は認めていな
いが E/A とは 30∼50 代において、左房径は 30∼60
代において有意な相関を認めた。70 代 80 代の高齢
世代では BMI と有意な相関を認める指標はほとん
どなかった。また左室重量係数と BMI の間には全
ての年代で有意な相関は認められなかった。
【結論】
従来より肥満が左室拡張能におよぼす影響は報告
されているが、今回の検討で BMI との関連は若年
者でより顕著であることが示された。
一般演題 89
閉塞型睡眠時無呼吸症候群患者における持続的気道内陽圧治療の心機能に及ぼす影響
東京医科大学病院 循環器内科
黒羽根 彩子、田中 信大、木島 勇人、高橋 のり、相川 奈穂、後藤 知美、正田 朋子、武井 康悦、高澤 謙二、山科 章
背景:閉塞型睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome:OSAS)は、無呼吸時の覚醒反応や低酸素血症により、
交感神経が活性化し、
高血圧症や虚血性心疾患、慢性心不全と深く関与している。中等度以上のOSASは、高血圧の合併とは関係なく左室拡張能障害を生じ、
左房径拡大、左房容積係数が増加する事を報告した。しかし持続的気道内陽圧(CPAP)治療により、左室拡張能障害が改善するかは不
明である。目的:CPAP治療開始後 6 ヶ月∼24 ヶ月後(平均 9 ヶ月)施行の心エコー図検査にて、左室拡張能、左房径、左房容積係数
を計測し、CPAP治療の心機能に及ぼす影響を検討した。方法:対象は重症OSASと診断され、CPAP治療導入となった患者で、
基礎心疾患を有さない26症例。左室流入血流速波形 E/A、左房径、左房容積係数を算出し、治療前後における変化を検討した。結果:A
HI(68 ± 22 → 5 ±4)
、
睡眠時最低SPO2(75 ± 11 → 89 ± 5)はCPAP治療により著明に改善を認めたが、
E /A(1.1 ± 0.3 → 1.0 ± 0.3、
p=NS), 左房径(36 ± 3 → 3 7±4、p=NS)
、左房容積係数(21 ± 55 → 25 ± 68、p= 0.08)は、治療前後で有意差は認めなかった。
結語:今回の追跡期間にて、重症OSAS患者に生じた左室拡張能障害は、CPAP治療後も変わらず潜在し、一度生じた左室拡張能障
害は容易には改善が得られない可能性が示唆された。
一般演題 90
Amplatzer Septal Occluder を用いた心房中隔欠損閉鎖術における左室拡張能の変化について
長野県立こども病院 循環器科
金子 幸栄、安河内 聰、梶村 いちげ、大西 優子、才田 謙、里見 元義
【目的】Amplatzer Septal Occluder(ASO)を用いた心房中隔欠損(ASD)
閉鎖術前後における左室拡張能の変化について検討すること。【方法】
対象は当院で ASO を施行した 18 例中心エコー検査で拡張能を評価できた 13 例。検討項目は肺体血流比(Qp/Qs)、左室拡張末期径
(LVDd)、
左室収縮(LVFS)、三尖弁輪径(TVD)、左室流入血流波形(E/A)、肺静脈血流波形(S/D)、拡張早期僧帽弁輪最大移動速度(Ea)
、E/Ea、E
波減速時間
(DT)。術前 , 術後 1 日目
(POD1), 3日目(POD3),1 か月後(1m)の計測値の推移を比較した。
【結果】Qp/Qs は平均 2.3 であった。
LVDd は 35.5(術前)
、35.8(POD1)、36.9(POD3)、35.7(1m)と急性期に軽度増加した。LVFS は 40、39、40、39%と変化はなかった。TVD は
31.6、26.1、25.9、24.9mm と低下した。E/A は 2.0、2.5、2.0、2.3 であった。S/D は 1.1、1.1、0.9、0.82 と POD3 から<1であった。E/Ea は 8.2、
9.0、8.8、9.6 であった。DT は 131、140、160、130msec と急性期に延長した。【考察】LVDd は術後に軽度増加したが LVFS に変化は認めなかっ
た。TVD の低下(p < 0.001)より右室容量負荷の軽減が確認された。DT は POD1、POD3 で延長(p = 0.05)した後、1m で術前に戻っており一
時的な拡張障害が疑われた。また E/A の低下がなく、S/D の軽度低下を認めたことより左室流入血流は pseudonormal pattern を呈している可
能性が示唆された。【結語】ASO を用いた小児の ASD 閉鎖術では術後の左室収縮能は保たれていたが、左室容量負荷による軽度拡張障害
をきたす可能性があり、術後管理において経時的な観察が必要であると考えられた。
- 149 -
一般演題 91
心房中隔欠損症カテーテル閉鎖術後における左室拡張機能についての検討
1
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 小児医科学、2 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器疾患治療部
岡本 吉生 1、大月 審一 1、森島 恒雄 1、赤木 禎治 2
【背景】ASD のカテーテル閉鎖術では人工心肺の影響をうけない心血行動態変化を作り出すことを可能としたが治療後の前負荷増大に伴う
左室拡張不全が危惧されてきた .【目的】閉鎖術前後の左室拡張機能の検討【方法】2006 年12月までにカテーテル治療を実施した 41 例中
拡張機能評価が可能であった 14 例 . 治療時の年齢、Qp/Qs, 使用デバイス径の中央値は各々 33 歳、2.4、20mm であった . 閉鎖前、直後、閉鎖
24 hr 後の各時点で左室流入血流波形
(E/A), 肺静脈血流波形(S,D,S/D)、左室収縮力
(LVFS)、を計測 . また閉鎖前と24 hr 後には左室 Tei
index(呼吸による影響を避けるため5拍以上の平均値使用)を計測した . 閉鎖前後では経食道エコー
(TEE)と胸壁エコー(TTE)、閉鎖24
hr 後では TTE を使用した .【結果】左室流入血流波形(E/A)は 1.9,2.1,2.0(前、直後、24 hr 後)
と有意な変化を認めなかったが、肺静脈血流
波形(S/D)では閉鎖前後では 1.1,0.70 と全例有意に変化していた . 24 hr 後では閉鎖前と比較して 14 例中 10 例
(71%)は有意な変化を認めな
かった。LVFS は40%と閉鎖前後、24hr 後で保たれていた . 左室 Tei index は 0.30,0.32(閉鎖前、24 hr 後)と正常値であった .【考察】ASD
のカテーテル閉鎖術では左室収縮力は保たれていたが、閉鎖直後では左室拡張機能障害が生じている可能性が考えられた . しかし24 hr 後
では 71%が拡張機能障害を示す所見がなく、左室 Tei index も正常値を示していることから、24 hr で大部分の症例では正常に Adaptations
している可能性が示唆された . また拡張機能の評価として特に TEE においては左室流入血流波形より肺静脈血流波形の方が鋭敏である可能
性が示唆された .
一般演題 92
経カテーテル心房中隔欠損閉鎖前後の組織ドプラ法による両心機能変化の検討
1
久留米大学 医学部 小児科、2 久留米大学 循環器病センター、3 聖マリア病院 小児循環器科、4 聖マリア病院 検査部
石井 治佳 1、須田 憲治 1、工藤 嘉公 3、池上 新一 4、棚成 嘉文 3、籠手田 雄介 1、岸本 慎太郎 1、伊藤 晋一 1、西野 裕 1、家村 素史 2、前野 泰樹 1、
松石 豊次郎 1
【目的】経カテーテル心房中隔欠損閉鎖術前後の心エコーによる心機能変化を検討する。
【対象】2006 年 6 − 12 月まで ASO を施行された 18
名中、データ分析可能であった 17 名。全例中等度欠損で平均 Qp/Qs = 2.7。年齢 11 − 44 歳、中央値 18 歳。【方法】カテーテル閉鎖前、後
(3
日以内)の 2 ポイントで比較。パルスドプラ法(PDI)で僧帽弁流入波形 E, A, 大動脈駆出時間(Ao ET)
, 左室流出路速度時間積分値(LV VTI)を、
組織ドプラ法
(TDI)により、四腔断面像で三尖弁輪部での収縮期波形(S’
)と拡張期波形(E’
,A’
)を測定し、左室二腔断面による僧帽弁輪部で
の収縮期波形(S’
)と拡張期波形(E’
,A’
)
を測定。E/A, LV Tei index, E/E’
, TDI 法による LV と RV の Tei index を計算した。四腔断面像で右室拡張
末期径(RVDd)と、短軸像で左室内腔面積(LVA)を計測した。【結果】経カテーテル閉鎖後で全例遺残シャントは無い。左室流出路 VTI と
LVA は増加したが RVDd は減少した
(RVDd 34.7 ± 4.7 vs. 30.8 ± 3.9mm, p < .001; LVA 12.3 ± 1.7 vs. 13.9 ± 2.2cm2, p < .003; VTI 18.7 ± vs. 20.4
± 3.9cm/s, p < .05)。LVA の増加に伴って TDI による LV E’
は減少し(0.22 ± 0.04 vs. 0.19 ± 0.03, p < .002)、LV TDI Tei index も減少した(0.35
± 0.05 vs. 0.32 ± 0.05, p < .05)
。逆に、TDI による RV S’
は減少し
(0.18 ± 0.03 vs. 0.15 ± 0.03, p < .01)、TDI RV Tei index は増加した(0.36 ± 0.05
vs. 0.40 ± 0.06, p < .001)。治療前後で心拍や他の PDI 法測定値に有意差は無かった。【考察】経カテーテル心房中隔欠損閉鎖術前後の左心、
右心機能の変化の評価において、PDI 法よりも TDI 法がより鋭敏であった。血行動態の正常化が、両心室に反対方向の心機能変化を起こす
と考えた。
一般演題 93
左房拡大のない早期高血圧症患者における左房機能の検討
千葉大学大学院 医学研究院 循環病態医科学
若月 悠、大門 雅夫、李 光浩、椎名 由美、船橋 伸禎、小室 一成
【背景】左房の拡大、機能低下は心血管イベントと関連すると報告されている。一方、高血圧症患者では次第に左房の拡大、機能低下を来
たすことが知られているが、左房拡大を来たす以前の早期段階での左房機能については明らかにされていない。
【目的】我々は、左房拡大
を認めない早期段階高血圧症患者における左房機能について検討した。【方法】左房拡大を認めない高血圧症患者群(HT)42 名(男性 21
例、61 ± 12 歳)、健常群 31 名(男性 13 例、57 ± 11 歳)に対し、経胸壁心エコー図法を施行した。心尖部四腔像を用い、modified Simpson
法にて最大および最小左房容量(LAV)および左房駆出率(LA EF)を求めた。【結果】血圧は HT 群が健常群と比較し、有意に上昇していた。
(収縮期血圧;140 ± 13 vs 120 ± 12 mmHg、p < 0.001、拡張期血圧;83 ± 11 vs 73 ± 6 mmHg、p < 0.01)また、年齢、LAV、左室駆出率(LV
EF)、E/A のそれぞれは両群で有意な差は認めなかった。一方で、早期段階高血圧症患者群では、健常群に比べ LA EF(66 ± 4 vs 62 ± 5 %、
p < 0.001)、左室心筋重量(151 ± 41 vs 125 ± 32 g、p < 0.01)、左室拡張末期容積(98 ± 29 vs 85 ± 21 ml、p < 0.03)、左室収縮末期容積(36
± 17 vs 30 ± 9 ml、p < 0.05)と有意な差を認めた。【結論】正常 LAV での高血圧症患者では、左房収縮能が増大していた。これは、高血圧
症による前負荷に対する代償的な左房収縮能亢進と考えられ、左房負荷を反映すると考えられた。
- 150 -
P1
虚血性心疾患患者における負荷後局所拡張障害と心筋シンチグラフィーとの関係
福島県立医科大学 第一内科
及川 雅啓、高野 真澄、大竹 秀樹、金子 博智、杉本 浩一、山口 修、矢尾板 裕幸、丸山 幸夫
【背景】心筋虚血による局所拡張能低下は負荷後残存することが報告されているが、心筋シンチグラフィーによる虚血診断との関連につい
ては明らかでない。【目的】心筋虚血による負荷後局所拡張障害を定量化し、心筋シンチグラフィー所見と比較検討すること。【方法】対
象はエルゴメーター負荷 Tc- 心筋シンチグラフィーを行った 24 例(男性 14 例、女性 10 例、66 ± 10 才)。運動負荷前、負荷後 10 分に TDI 法
(東芝社製 Aplio80)により胸骨左縁短軸像(乳頭筋レベル)の画像収集を行い、TDI-Q を用いて解析を行った。後側壁心内膜側に ROI を設
定して左室心筋拡張早期後退速度(Em’
)を測定した。負荷前後における Em’
変化率を算出し、心筋シンチグラフィーによる虚血所見の有無
と比較検討した。
【結果】心拍数および収縮期血圧が負荷後有意に増加した(76 ± 14 to 87 ± 10 bpm, p < 0.01, 134 ± 22 to 148 ± 27 mmHg, p
< 0.01)。心筋シンチグラフィーにて 19 例に虚血所見を認めず、5 例に下壁および側壁領域の虚血を認めた。全症例において、負荷後収縮
期壁運動低下認めず、また胸痛の出現も認めなかった。虚血陰性群において、Em’
は安静時に比べ負荷後に有意に上昇(77 ± 15 to 87 ± 6
mm/sec, p < 0.01)し、Em’
変化率は 36 ± 9%であった。一方、虚血陽性群では Em’
は負荷後に安静時に比べ低下(66 ± 5 to 54 ± 10 mm/sec,
p < 0.05)し、Em’
変化率は -28 ± 6%であった。【結語】Em’
は、非虚血例では負荷 10 分後に上昇を示した。一方、虚血例では心筋シンチグ
ラフィー所見と一致して Em’
は低下した。心筋虚血により惹起された局所拡張能低下は負荷後 10 分においても存在し、Em’
により定量評価
可能であると考えられた。
P2
Vector Velocity Imaging による糖尿病性心筋障害の検出:動脈硬化指標との比較
1
福島県立医科大学 第一内科、2 済生会福島総合病院 内科
高野 真澄 1、仲野 淳子 2、及川 雅啓 1、大杉 拓 1、矢尾板 裕幸 1、丸山 幸夫 1
【背景】糖尿病患者において、左室流入血流速波形(E/A)と脈波伝搬速度
(PWV)との関連が報告されているが、糖尿病性心筋障害におけ
る局所心機能障害と動脈硬化症の進行度との関係については明らかでない。
【目的】無症候性糖尿病性心筋障害を有する患者において、局
所心筋障害を定量化し、global な左室機能障害及び局所収縮・拡張障害と、動脈硬化症の進行度との関係を検討すること。
【方法】対象は
運動負荷心電図及び冠動脈造影にて虚血性心疾患が否定的であった NIDDM 患者で、心エコーにて左室駆出率 50% 以上であった 23 名(DM
群)。対照は健常者 6 名(対照群)
。心エコー検査にて左室駆出率、E/A と局所心機能の指標として Velocity Vector Imaging による心室中隔の
strain と strain rate(SR)を求めた。さらに DM 群において、PWV および頸動脈エコーによる maxIMT を動脈硬化指標として測定した。上記
指標および FBS、HbA1c、との関係について検討した。【結果】DM 群では対照群と比べ、E/A(0.82 ± 0.28 vs 1.12 ± 0.33, p < 0.05)
、peak
strain(-18.0 ± 4.7 vs -26.4 ± 6.9, p < 0.05)
、peak SR(systolic SR: -0.99 ± 0.36 vs -1.32 ± 0.24 /s, early diastolic SR; 0.90 ± 0.45 vs 1.43 ± 0.28 /s,
each p < 0.05)は有意に低下していた。また、
DM 群では E/A は年齢(r = 0.68, p < 0.001)
、PWV(r = -0.43, p < 0.05)、HbA1c(r = 0.46, p < 0.05)
と有意な相関を認めたが、maxIMT とは関連を示さなかった。一方、strain 及び SR は年齢、PWV、maxIMT、HbA1c のいずれとも関連を示
さなかった。
【結語】無症候性糖尿病性心筋障害において、局所収縮・拡張能は低下しており、動脈硬化指標や年齢とは独立した指標であ
る可能性が示唆された。
P3
Circumferential strain rate のカラーマッピングによる運動負荷後心筋虚血部位の同定
福島県立医科大学 第一内科
及川 雅啓、高野 真澄、大竹 秀樹、金子 博智、杉本 浩一、山口 修、矢尾板 裕幸、丸山 幸夫
【目的】虚血性心疾患における負荷後局所拡張障害部位を 2D tracking 法による strain rate を用いて検出し、虚血部位を画像表示可能か否か
検討した。
【方法】虚血性心疾患を疑った 24 例において、東芝社製 Aplio 80TM を用い、安静時及び運動負荷 10 分後に胸骨左縁短軸像の 2D
画像収集を行った。2D tracking 法を用いて左室短軸の circumferential strain rate
(SR)
を求め、拡張早期最大 SR(max-SRe)
を算出、これをカラー
マッピングした。安静時及び負荷後の画像を比較し、虚血の検出が可能か否か、Tc- 心筋シンチグラフィーによる虚血所見の有無と比較検
討した。
【結果】心筋シンチにて虚血陰性例
(n = 19)において、安静時に比べ負荷 10 分後
には max-SRe は増加傾向を認めた。一方、心筋虚血を認めた患者 5 例において、虚血部位
に一致して負荷後 max-SRe は低下し、カラーマッピングにて虚血部位の広がりを表示可能
であった。【結語】2D tracking 法による円周方向の max-SRe のカラーマッピングにより、心
筋虚血部位を表示可能であることが示唆された。
- 151 -
P4
左室同期不全は左室捻れ運動の独立規定因子である
1
筑波大学 臨床医学系 循環器内科、2 筑波大学附属病院 機能検査部
石津 智子 1、瀬尾 由広 1、飯田 典子 2、酒巻 文子 2、中島 英樹 2、稲葉 武 2、川村 龍 1、宇野 希世子 1、河野 了 1、渡辺 重行 1、青沼 和隆 1
【目的】拡張型心筋症
(DCM)における dyssynchrony と torsion との関連を明らかにすること【方法】対象は dyssynchrony を有する DCM 群(n
= 13、EF31 ± 12%)、dyssynchrony を有さない DCM 群(n = 15、EF 31 ± 7%)および健常群(n = 46、EF 69 ± 5%)
。Dyssynchrony は、左室
短軸像6セグメントにおける QRS 開始から radial strain ピーク時までの標準偏差値
(Ts)> 100ms と定義した。心基部と心尖部の回転角度の
最大差 torsion、および拡張期捻れ速度 untwisting rate を算出した。【結果】
Dyssynchrony 群では torsion は低値であり(図)、torsion と Ts との間に負の相
関 を 認 め た(r = -0.77、P < 0.001)。 ま た、Torsion と untwisting rate の 間 に
有意な相関
( 図 r = 0.84、P < 0.001)を 認 め た。【 結 論 】DCM に お い て
dyssynchrony は torsion と untwisting rate の独立規定因子である。
P5
2D ティッシュトラッキングで求めた左室 torsion は虚血の検出に有用な指標となる
和歌山県立医科大学 医学部 循環器内科
有田 祐、山野 貴司、大河内 啓史、池島 英之、辻岡 洋人、谷本 貴志、財田 滋穂、久保 隆史、今西 敏雄、赤阪 隆史
背景:2Dティッシュトラッキング(2DTT)心エコー法は、角度依存性にとらわれることなく任意の左心室収縮動態を計測することが出
来る。今回われわれは 2DTT で計測された左室 strain や torsion が心筋虚血による左室収縮力低下でどのように変化するか、またこれらの指
標の中でより鋭敏な虚血の指標はどれであるかを検討した。方法:左室壁運動異常がなく左前下行枝(LAD)に対して経皮的冠動脈形成
術を行う安定狭心症患者20名を対象にした。15秒間 LAD に対して balloon occlusion(BO)を行い、解除後の再灌流の15秒間とあわ
せて30秒間の傍胸骨左縁短軸像左室壁運動を Vivid7( GE healthcare)に記録し、この間の経時的な radial strain(rad − s)と circumferential
strain(cir − s)と torsion の変化を計測した。結果:BO 前と比較した BO による rad-s と torsion の低下率は cir-s のそれと比べて有意に大き
かった(43.7 ± 8.3 vs. 46.6 ± 7.2 vs. 28.2 ± 9.1 %, p < 0.01)。また torsion は rad − s、cir − s と比べてより早く BO によって低下し、開始前の
80%に達した時間は有意に torsion で小さかった(torsion vs. rad − s vs. cir − s; 4.9 ± 1.6 vs. 6.7 ± 1.8 vs. 9.0 ± 1.7 sec, respectively, p < 0.01)。
さらに、再灌流した際も torsion は rad − s、cir − s と比べてより早く回復し、開始前の80%まで回復した時間も有意に torsion で小さかった
(torsion vs. rad − s vs. cir − s; 20.2 ± 1.6 vs. 22.0 ± 1.9 vs. 23.4 ± 2.8 sec, respectively, p < 0.01)。結論:2DTT で計測した torsion は radial strain や
circumferential strain にくらべて左室収縮力の低下に対してより鋭敏な指標であることがわかった。
P6
ストレイン心エコー法による強皮症における左室拡張障害の検討
1
東京女子医科大学附属 成人医学センター 循環器内科、2 東京女子医科大学病院 循環器内科、
東京女子医科大学附属 青山病院 循環器内科
平田 真美 1、高木 厚 2、島本 健 3、渡辺 裕太 1、小池 夏葉 1、川名 正敏 3
3
【背景】強皮症(Systemic Sclerosis: SSc)は結合組織の繊維化、閉塞性血管障害などを特徴とする全身性の疾患であり、心臓はその予後を
左右する標的臓器の一つである。SSc の多くの症例では左室拡張障害を認め、心不全を呈するものもある。ストレイン心エコー法は早期に
正確な心機能障害を検出できる方法である。【目的】ストレイン心エコー法にて SSc における左室拡張障害を検出すること。【方法】対象は
壁運動異常を認めない SSc 患者 25 名と健常者 30 名。GE 社製 VIVID 7 を用い、全例において組織ドプラ法にて得られる心室中隔中部のスト
レインカーブを表示し、ストレイン収縮ピーク値(A)、拡張期 30% 時間(大動脈弁閉鎖から次期Q波開始時間の初めの 30% の時間)にお
けるストレイン値(B)を測定し、ストレイン拡張指数(A−B)/A× 100(%)を算出した。
【結果】二つの群のストレインカーブは
異なるパターンを示し、SSc 群のストレイン拡張指数は健常群の指数に比べて有意に低値であった(SSc 群 : 25.0 ± 10.2 vs. 健常群 : 44.7 ±
18.2, p < 0.01)
。【結論】ストレイン心エコー法は SSc における左室拡張障害を検出できる有用な方法であると考えられる。
- 152 -
P7
化学療法による心筋障害の評価における心筋ストレインイメージングの有用性
1
兵庫県立淡路病院 検査・放射線部 生理検査室、2 同 内科、3 独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 血液腫瘍科
長尾 秀紀 1、枦山 雅子 1、西垣 久実代 1、福長 明子 1、小松 万姫 1、近平 佳美 1、岩崎 敏明 1、小池 祐三 2、野村 哲彦 2、宝田 明 2、
濱田 信 3
【目的】心筋ストレインイメージング法(ストレイン法)を用い、化学療法による心筋障害における収縮機能障害を定量化し、従来の心エコー
指標と比較検討すること。
【対象および方法】2005年6月から2006年12月の間に当院にて化学療法を受けた造血器腫瘍(悪性リ
ンパ腫、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、骨髄異型性症候群)患者30例(男性22例、女性8例、平均年齢61歳)。
東芝社製 Aplio 80(SSA −770 A)
、探触子 PST- 30 BT(中心周波数3 MH z)を用い左室短軸像を記録した。装置搭載のアプリケーショ
ン TDI-Q を用い、左室短軸像乳頭筋レベル後壁6時方向に関心領域を設定し、その部位の心筋ストレインの M モード像を描出した。収縮
末期における心筋ストレインの最大値(strain peak value : StPV)と、StPV を示した位置の壁厚に対する心内膜側からの割合をストレインピー
ク位置(strain peak position : StPP)として百分率により測定した。
【成績】化学療法前後で% FS 36→33と不変、StPV 1.50→0.86
と最大ストレイン値は低下、StPP は27%→92%とストレインピーク位置は心外膜側へ偏移した。従来の指標にて明らかな壁運動低下
を認めない段階から StPV の低下および StPP の心外膜側への偏移を認めた。
【結論】ストレイン法は簡便かつ鋭敏に化学療法による心筋障
害を検出しうる有用性の高い方法であることが示唆された。 P8
Longitudinal 2D Strain Rate 解析による安静時左室壁運動からの狭心症の診断
柿原クリニック
柿原 理一郎
【目的】安静時左室壁運動から狭心症を診断できないか longitudinal 2D strain rate 法で解析した。【症例】正常冠動脈 108 例(LAD38 例
An,RCA36 例 Bn,LCX34 例 Cn),75% ≦ 狭 窄 71 例(LAD26 例 As,RCA24 例 Bs,LCX21 例 Cs)。
【 方 法 】Ap2ch view の 前 壁、 下 壁 の 中 央 を 各 々
LAD,RCA 領域 ,ApLAX view の後壁中央を LCX 領域とし , ROI は心内膜下に幅細く設定した。Longitudinal 2D strain rate
(1/s)の 100msec
値 ,200msec 値 ,100∼200msec 間最小値 ,100∼200msec 間平均値について比較した。【結果】100msec: An -1.004 ± 0.543 As -0.295 ± 0.473 P
< 0.001; Bn-1.248 ± 0.487 Bs-0.495 ± 0.675 P < 0,001;Cn -1.151 ± 0.597 Cs -0.410 ± 0.679 P < 0.001。200msec;An-0.963 ± 0.396 As -0.150 ±
0.395 P < 0.001; Bn -1.122 ± 0.447 Bs -0.657 ± 0.380 P < 0.001;Cn-1.071 ± 0.442 Cs -0.370 ± 0.504 P < 0.001。 最 小 値 : An -1.293 ± 0.256 As
-0.520 ± 0.384P < 0.001; Bn -1.541 ± 0.375 Bs-0.986 ± 0.547 P < 0.001; Cn -1.531 ± 0.436 Cs -0.816 ± 0.470P < 0.001。平均値 : An -1.019 ± 0.225
As -0.252 ± 0.318 P < 0.001; Bn -1.250 ± 0.305 Bs -0.626 ± 0.291 P < 0.001; Cn -1.177 ± 0.346 Cs -0.356 ± 0.453 P < 0.001。【 総 括 】100msec
値 ,200msec 値 ,100msec∼200msec 最小値 ,100msec∼200msec 平均値の 4 因子は良好な有意差を示し、この 4 因子による 75% ≦狭窄の判別関
数:Z = 4.913+1.021x(100msec 値)
+1.225x(200msec 値)
-0.460x(最小値)
+4.827x(平均値)から Z > 0 のとき 75% ≦狭窄と診断しそのときの判
別確率は 87.01% となった。
【結語】安静時左室壁運動を longitudinal 2D strain rate 法で解析し判別関数を使えば良好な確率で狭心症を診断で
きると考える。
P9
急性冠症候群(ACS)における僧帽性 P 波の意義:組織ドプラによる検討
東京女子医科大学 循環器内科
小松 由季、高木 厚、保坂 元子、郡司 一恵、芦原 京美、石塚 尚子、笠貫 宏
【背景】ECG 上の僧帽性 P(MP)は、左房負荷を示唆する所見だが、ACS における拡張障害を示唆するかは不明である。
【目的】我々は、
ST 非上昇 ACS の入院時 ECG と組織ドプラ所見を比較した。
【方法】対象は、
ST 非上昇 ACS 連続 49 例。CCU 入室時に ECG と心エコー(Vivid7)
を施行し、V1 誘導の MP の有無、僧帽弁流入波形の E/A、DcT と、組織ドプラ法による E/e を測定した。
【結果】MP は 9 例に認めた。MP の
有無で分けた 2 群間では、E/A、DcT に有意差はなかったが、E/e は有意に MP 陽性群に大きく、E/e ≧ 15 の頻度が高かった。【結語】ST 非
上昇 ACS の入院時 MP は、拡張障害を示唆する有用な所見と考えられた。
- 153 -
P10
2D speckle-tracking 法を用いた diastolic endocardial color-encoded image のトレッドミル運動負荷心エ
コー図法への応用
関西電力病院 循環器内科
石井 克尚、櫻井 隆弘、片岡 一明、今井 真、宮坂 千鶴、寺村 京子、増田 まち子、干場 裕子
【目的】Speckle-tracking 法を用いた心内膜拡張運動の color-encoded image
(CEI)を作成し、トレッドミル運動負荷後の虚血性左室拡張運動
遅延を検出する。
【方法】東芝社製 Aplio を用い、狭心症患者 30 名(62 ± 10 才)を対象とした。2D 画像の所定の心拡張時相にて乳頭筋や
腱索を含まない初期輪郭を設定し、speckle-tracking 法による心内膜の追跡を行い、各時相
での面積重心から心内内膜の変位を補正し CEI を作成した。負荷前および 10 分後におい
て拡張早期 30%時間における左室局所拡張度(CK diastolic index:CK-DI)を比較した。【成
績】New CEI を用いた心内膜拡張運動の可視化率は 97%(range, 93% to 100% )であった。
運動負荷 10 分後、有意狭窄(≧ 75%)を有する領域では CK-DI は運動前に比し有意に低
下した(64 ± 8% vs 20 ± 11% p < 0.001)。【結論】Speckle-tracking 法を用いた CEI は乳頭
筋や腱索の影響を受けず、また心臓の translation を補正した画像を得ることができ、運動
負荷心エコー検査において正確な虚血性左室拡張運動遅延の検出が可能であった。
P11
僧帽弁逆流の存在下では E/E’は偽正常化する?
1
大阪医科大学 中央検査部 、2 大阪医科大学 第三内科
田中 恵美子 1、伊藤 隆英 2、川西 泰徳 2、竹内 淑恵 1、和泉 多恵子 1、北浦 泰 2
【目的】拡張早期の左室流入血流速度と僧帽弁輪速度との比 E/E’は、左室充満圧の非侵襲的評価に用いられている。E’
は load-independent
とされているが、preload に依存するとの実験的研究報告もある。そこで、本研究では左室の preload が増大する僧帽弁逆流(MR)の存在
下において E/E’が偽正常化する可能性について検討した。
【方法】対象は拡張型心筋症患者 26 名(女性 7 名、56 ± 15 歳)
。ドプラ法にて計
測した E/E’を同時期に測定した BNP 値と対比した。【結果】中等度以上の MR を認めた患者(MR 群)は 7 名であった。全患者での解析では、
E/E’と BNP 値(対数表示)は有意な正相関を示したが(r = 0.57、p < 0.01)、MR 群を除外した 19 名での解析では両者の相関性は増強した(r
= 0.75、p < 0.001)。MR 群では 6 名が E’
≧ 7.0 cm/s を示したのに対し、
非 MR 群では E’≧ 7.0 cm/s であったのは 3 名であった(p < 0.05)
。【結
論】E’を用いた左室拡張能の解釈において、MR による前負荷の影響を考慮する必要がある。
P12
組織ドップラー法を用いた高血圧性心臓病患者における潜在的収縮能低下の検討
1
多根総合病院 生理機能検査部 心エコー室、2 多根総合病院 内科
西蔭 朋子 1、竹内 正明 2、中井 博美 1、長倉 俊樹 2
目的 : 心不全の既往のない高血圧
(HT)患者において、潜在的収縮能低下が存在するか否かを検討すること。方法 : 対象は健常成人 35 人、左
室駆出率(LVEF)が正常な HT 患者 66 人。HT 患者は心不全の既往のない、左室肥大
(LVH)−群、LVH+ 群、及び拡張不全型心不全(DHF)群
に分類した。心尖部アプローチからパルスドプラー法を用いて、中隔、側壁、下壁、前壁側の僧帽弁輪速度を記録し、収縮期波(S’)、拡
張早期波
(E’
)、心房収縮期波(A’)の平均値を算出した。結果 :LVEDVI
には有意差を認めなかったが、LVH+ 群は DHF 群に比べ、LVESVI は有
意に低値、LVEF は有意に高値を呈した。S’
は健常群に比べ LVH+ 群、
DHF 群で有意に低値を示した。E’
は健常群に比べ、全ての患者群で有
意に低値であり、E/E’
は LVH+ 群、DHF 群で有意に高値を呈した。結論 :
LVEF 正常かつ LVH を認める高血圧性心臓病患者では長軸方向の拡張能
のみならず、収縮能も低下している場合があり、拡張不全型心不全を
呈するハイリスク群と考えられた。
- 154 -
P13
左室内 2 点間パルス組織ドプラ法およびカラー組織ドプラ法を用いた DCM 患者に対する dyssynchrony の評価
市立堺病院 循環器内科
佐藤 正岳、谷和 孝昭、塚本 幸資、小原 章敏、青木 隆明、河本 巖
【背景】心臓再同期療法
(CRT)により心不全に対する新しい治療法が加わった.しかし,20−30% の患者は CRT に反応しない. このため,
心エコー図検査を用いた左室内非協調運動の適切な評価方法が望まれている.【目的】本研究の目的は中隔−側壁 2 点間組織パルスドプラ
法とカラー組織ドプラ法を同時に施行することで両者の有用点を明らかにすることである.【方法】我々は 25 名の非虚血性拡張型心筋症患
者(男性 17 名 , 女性 8 名 ; 平均年齢 65 ± 11 歳)と 21 名の健康者(男性 18 名 , 女性 3 名 , 平均年齢 61 ± 14 歳)を対象として,左室中隔壁と側
壁の非協調性に対する評価を行なった.パルス組織ドプラ法を用いて中隔と側壁基部にサンプルボリュームを置き,それぞれ QRS の始ま
りから peak systolic velocity までの時間を測定,2 点間での差を中隔−側壁遅延時間とした . 同時にカラー組織ドプラ法を用いて中隔と側壁
基部それぞれの時間変化曲線のピーク差から中隔−側壁遅延時間を計測し,心室内非協調運動を評価した.
【結果】パルス組織ドプラ法を
用いて計測した中隔−側壁遅延時間ならびにカラー組織ドプラ法による時間変化曲線から計測したピーク時間差は,それぞれ 26 ± 21ms と
22 ± 23ms(P = 0.23)
であった . 健康者における時間差はそれぞれ 10 ± 7ms と 13 ± 24ms(P = 0.39)
であった .【結論】拡張型心筋症患者の心
室内非強調運動を評価するにあたりパルス組織ドプラ法を用いて計測した中隔−側壁遅延時間とカラー組織ドプラ法を用いた中隔と側壁基
部時間変化曲線のピーク時間差に有意差は認められなかった.
P14
2D-Tracking(2DT)
法を用いた局所拡張能評価による心筋虚血の診断の新しい指標
東京女子医科大学 循環器内科
郡司 一恵、高木 厚、保坂 元子、小松 由季、谷本 京美、石塚 尚子、笠貫 宏
【背景】Doppler 法による Strain rate(SR)に比して 2DT による SR はノイズなどの影響が少ない。我々は、ATP 負荷 SR の測定が虚血診断に
有用かを検討した。【方法】対象は経皮的冠動脈形成術(PCI)予定患者 16 例。ATP 0.14mg/kg/min 負荷前・後で GE 社製・Vivid7 を用いて
2DT 法を行い、大動脈弁閉鎖から ESR までの時間(TAC-ESR)
、ESR、ESR/ASR を測定した。【結果】ESR と ESR/ASR は 2 群間での優位な差は認めな
かった。ATP 負荷前においても虚血領域の TAC-ESR は非虚血領域より長かったが、ATP 負荷により虚血領域の TAC-ESR は延長し、非虚血領
域との差が顕著になった
(p = 0.0002)。【 結 論 】2DT
法で測定する ATP 負荷後の
TAC-ESR の延長は局所心筋
虚血の定量的診断に有用で
あると考えられた。
P15
血行再建による虚血心筋領域の局所拡張能の改善;2D-Tracking(2DT)
法を用いた検討
東京女子医科大学 循環器内科
郡司 一恵、高木 厚、保坂 元子、小松 由季、谷本 京美、石塚 尚子、笠貫 宏
【目的】冠動脈形成術(PCI)施行後に虚血心筋領域の局所拡張能が改善するかを 2DT 法を用いた定量的な拡張能評価による診断について
検討した。
【方法】対象は PCI を施行した 13 例。PCI の前・後(平均 1 日)に GE 社製・Vivid7 を用いて 2DT 法を行い、大動脈弁閉鎖から
ESR までの時間(TAC-ESR)、ESR を測定した。【結果】非虚血領域では、PCI 前・後で ESR、TAC-ESR は変化しなかった。 虚血領域では PCI 前
の TAC-ESR は非虚血領域に比して長かったが、PCI 後短縮し(p = 0.02)非虚血領域と同等となった。【結論】2DT 法により測定する TAC-ESR
は血行再建後に速やかに短縮し、PCI 施行後に虚血心筋領域の局所拡張能が速やかに改善することを示唆した。
- 155 -
P16
心房細動における RR 間隔の変動に伴う僧帽弁輪運動速度の変化
1
徳島大学病院 循環器内科、2 徳島大学病院 診療支援部
楠瀬 賢也 1、山田 博胤 1、添木 武 1、佐藤 光代 2、河野 裕美 2、平岡 葉月 2
【背景】心房細動においては心拍毎に RR 間隔が変動するため,正確な左室収縮能および拡張能の評価が困難である.我々は心房細動患者
において,組織ドプラ(TDI)法を用いて僧帽弁輪運動速度波形の波高と先行 RR 間隔(RRp)および先々行 RR 間隔(RRpp)との関係を検討し
た.【方法】非弁膜症性の慢性心房細動患者 29 例(平均年齢 71 ± 11 歳)において左室流出路血流速波形(LVOT)および僧帽弁輪運動速度波
形を 30 秒間記録し,収縮期第1波高(Sw1),収縮期第 2 波高(Sw2),拡張早期
波高
(Ew)を計測した(左図).【結果】1)LVOT から算出した一回拍出量は RRp/
RRpp と curved-linear な相関を示した.2)Sw1 および Sw2 は RRp/RRpp と curvedlinear な相関を認めたが,Ew は相関を認めなかった(右図).3)Sw1 は Sw2 よ
り大であった.4)Sw1 および Sw2 は,いずれも EF との間に有意な正相関を示
したが,その傾きは Sw1 のほうが大であった.【結語】Sw1 は心房細動におけ
る左室収縮能を鋭敏に評価できる指標と考えられた.Sw1 と RRp/RRpp の関係
を評価することにより,心房細動における左室収縮能を詳細に評価できる可
能性が示された.
P17
E/Ea により血清 BNP 値を予測できるか?
1
多根総合病院 内科、2 多根総合病院 生理機能検査
長倉 俊樹 1、竹内 正明 1、中井 博美 2、西蔭 朋子 2、大谷 真一郎 1
【背景】組織ドップラー法を用いた E/E’
及び血清 BNP 値は左室充満圧を予測する有用な非侵襲的方法である。【目的・方法】E/Ea の値から
BNP 高値を予測しえるか否かを検討することである。対象は経胸壁心エコーと血清 BNP 値測定を同日に施行しえた連続 153 名(平均年齢 70
歳、男 : 100 名、平均左室駆出率(LVEF)
: 54%)
。E’
は組織ドップラー法を用い、心尖四腔像を描出。僧房弁輪部の中隔側で PW 法を用いて
計測した。【結果】平均血清 BNP 値は、400 ± 535pg/ml(最小値 4pg/ml、最大値 2748pg/ml)であり、E/E’
と血清 BNP 値との間には r = 0.47 の
弱い正相関が認められた。BNP > 100pg/ml を心不全診断のカットオフ値とした場合、E/E’
≧ 15 により BNP > 100pg/ml であることを診断す
る感度は 60%、特異度 78%、正診率 67% であった。E/E’
≧ 17 の場合、正診率は変わらなかったものの(67%)
、特異度が 91% に増加したため、
陽性的中率は 91% と高値を呈した。心機能良好群
(LVEF ≧ 50%、98 名)における E/E’
≧ 15 の BNP > 100pg/ml で有ることを診断する感度は
≧ 15 の感度は 72%、特異度 89%、正診率 75%
50%、特異度 76%、正診率 62% であった。心機能不良好群(LVEF < 50%、55 例)における E/E’
であり、陽性的中率は 97% と高値を呈した。【結語】E/E’
は BNP 高値を予測する一助となりえるが、ばらつきは大きい。しかし心機能不良
例において、E/Ea ≧ 15 を呈した場合、BNP > 100pg/ml であることを高率に予測し得る。
P18
超高齢者(90 歳以上)における左室拡張能の検討 −心エコー図組織ドプラ法を用いて−
1
中野総合病院 中央検査科 、2 中野総合病院 内科、3 草加市立病院 循環器内科
苅草 資弘 1、黒崎 弥生 1、石部 有里 1、土肥 まゆみ 2、高元 俊彦 3
【目的】左室拡張能は加齢とともに低下することが知られているが、超高齢者に関する報告はいまだ少ない。そこで 90 歳以上の超高齢者
における左室拡張能について組織ドプラ法を用いて検討した。【対象と方法】外来にて心エコー図検査を行った 90 歳以上の連続 119 例を対
象とし、パルスドプラ法より僧帽弁口血流速波形の拡張早期波(E)を、組織ドプラ法より左室側壁における僧帽弁輪運動速度波形の拡張
早期波(E’)を測定し、E/E’
を算出した。
【結果】技術的問題で E’
計測不能例 21 例、心房細動 25 例、検査時に弁膜症や心不全などの心疾
患を認めたもの、またはその治療歴の有るもの 21 例、胸水貯留を認めたもの 14 例、末期腎不全 2 例、肺血栓塞栓症 1 例を除外し、加齢に
よる拡張能の変化が検討できると思われた残り対象症例は 35 例、男性 6 例、女性 29 例、年齢 93.2 ± 2.6(mean ± SD)歳であった。E’
は 7.2 ±
1.9cm/s で Oki らの報告した健常参考値(16.7 ± 1.9cm/s、平均年齢 29 ± 6 歳)より低値だった。E/E’
は 9.5 ± 5.5 で、内訳は E/E’
< 8(正常)
:
および E/E’
19 例、8 ≦ E/E’
≦ 15(境界域)
:14 例、E/E’
> 15(左室拡張期圧上昇)
:2 例であった。【考察】Tighe らの報告した健常人年代別 E’
値と比較するため、35 例から更に高血圧および糖尿病の 19 症例を除外すると、残り 16 例の E’
は 8.0 ± 2.0cm/s、E/E’
は 8.9 ± 3.3 と報告に近
似しており、拡張能の低下が加齢によるものであることが示唆された。また、高血圧群 17 例の E’
は 6.4 ± 1.7cm/s と更に低下しており(p
< 0.05)、高血圧は拡張能低下の増悪因子と考えられた。
【結語】明らかな心疾患を認めず健常と思われる 90 歳以上の超高齢者において左
室拡張能の低下は顕著であった。
- 156 -
P19
肺高血圧疾患における BNP 上昇のメカニズム:右心組織ドプラ法による検討
1
千葉大学 医学部 循環病態医科学、2 千葉大学付属病院 検査科
椎名 由美 1、大門 雅夫 1、関根 泰 1、長谷川 玲 1、李 光浩 1、高橋 章予 2、斉藤 真理子 1、山口 千晴 2、若月 悠 1、船橋 伸禎 1、小室 一成 1
【背景】右心不全は肺高血圧疾患の予後に密接に関係しており、血中 BNP
(brain natriuretic peptide)の上昇は予後不良を示すことが知られて
いる。しかし、肺高血圧疾患における BNP 上昇の詳細なメカニズムは不明である。組織ドプラ法は左心拡張能評価に汎用されており、右
心評価にも応用できると考えられる。
【目的】我々は肺高血圧疾患において、組織ドプラ法を用いた右心機能の指標と血中 BNP との関係を
検討した。【方法】肺高血圧患者連続 77 症例(慢性肺血栓塞栓症 55 例、原発性肺高血圧症 13 例、膠原病による肺高血圧症 9 例)において経
胸壁心エコー法を施行した。三尖弁輪部の組織ドプラ波形により収縮波(Sw 波)、早期拡張波(Ew 波)、後期拡張波(Aw 波)、血流ドプラ
法により早期および後期右室流入波形(E 波、A 波)を測定した。これらより RV E /Ew を右室拡張能の指標として算出した。さらに推定肺
動脈収縮期圧(PASP)、心拍出量、血中 BNP を測定した。【結果】観察症例において平均 PASP(63 ± 27mmHg)
と平均 BNP(189 ± 244pq/dl)
は
上昇していた。RV E/Ew、Aw、PASP のそれぞれにおいて BNP との相関を認めたが(r = 0.47,p < 0.001, r = 0.37, p < 0.001, r = 0.35, p < 0.01)、
その他の項目では相関がなかった。ステップワイズ法による重回帰分析では、RV E/Ew が BNP 上昇の最も強い予測因子であった
(p < 0.01)。
【結語】肺高血圧疾患における BNP 上昇と組織ドプラ法を用いた右心拡張能は相関関係を示した。肺高血圧患者における BNP 上昇は右室
拡張機能低下と関連していることが示唆された。
P20
Color Kinesis 法による拡張能評価;血中 BNP との比較検討
1
東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部、2 東邦大学医療センター大森病院 循環器内科
原田 昌彦 1、吉川 浩一 1、煙草 敏 1、寶田 雄一 1、林 京子 1、原 文彦 2
【背景】血中 BNP は心不全のマーカーとして臨床的に有用である中、最近は収縮能の保たれたいわゆる拡張不全の診断にも応用されている。
【目的】Color Kinesis 法(CK 法)による拡張能評価と血中 BNP 値との関連について検討すること。
【方法】対象は CK 法による拡張能評価
と同日に血中 BNP 測定が行えた連続 42 例(62 ± 15 歳)
、左室駆出率(EF)により収縮能保持群(A 群;EF50%以上)17 例(EF;57 ± 6%)
と収縮能低下群(B 群;EF50%未満)25 例(EF;32 ± 8%)に分類した。使用装置は Philips 社製 Sonos7500、左室短軸像乳頭筋レベルで拡
張期 CK 画像を記録、CK の解析は YD 社製 ICK ソフトを用いた。左室を6分割し各領域における拡張早期 30%時間までの左室拡張率の平
均を CK-diastolic index(CK-DI)とし拡張能の指標とした。また、ドプラ法で左室急速流入血流速度(E)と拡張早期僧帽弁輪速度(Ea)
より E/Ea を計測した。
【結果】BNP と EF の相関は、A 群;r = -0.38、B 群;r = -0.37、BNP と E/Ea の相関は、A 群;r = 0.16、B 群;r = 0.38
であったのに対し、BNP と CK-DI の相関は、A 群;r = -0.71(P < 0.001)、B 群;r = -0.54(P < 0.005)と、B 群よりも収縮能の保持された
A 群において最も良好な負の相関を示した。【結語】CK 法を用いた拡張能評価は、左室収縮能が保持された場合の心不全評価に応用可能と
考える。
P21
組織ドプラ法と血中 BNP 測定の組み合わせを用いた慢性肺血栓塞栓症における予後予測
千葉大学 医学部 循環動態医科学科
椎名 由美、大門 雅夫、関根 泰、長谷川 玲、豊田 智彦、川田 貴之、李 光浩、若月 悠、船橋 伸禎、小室 一成
【背景】慢性肺血栓塞栓症患者では右心機能が生命予後に大きく影響することが知られており、BNP(brain natriuretic peptide)の上昇が予後
不良因子と報告されている。一方、組織ドプラ法は心不全における左室機能障害の評価に汎用されているが、右心機能不全の予後予測に
有用であるか不明である。【目的】肺高血圧を伴う慢性肺血栓塞栓症患者において、組織ドプラ法における右心機能評価と BNP の組み合わ
せが予後予測に有用であるか検討した。【方法】慢性肺血栓塞栓症に伴う肺高血圧患者連続 55 例において経胸壁心エコー法を施行し、右
室流入波形E波 / 三尖弁輪部の組織ドプラ波形E a 波=E /Ea を右室拡張能の指標として算出した。さらに推定肺動脈収縮期圧、心拍出量、
BNP を測定した。
【結果】観察期間 283 ± 282 日において 10 人に心血管イベント(心不全による再入院 9 人 , 心不全死 1 人)を認めた。心血管
イベント有無にて 2 群に分けたところ、BNP、心拍出量においては 2 群間に有意差は認めなかった。しかし推定肺動脈収縮期圧と右室拡張
能E /Ea はイベント群で有意に高値であった(87 ± 23 vs 66 ± 29 p< 0.05, 8.3 ± 1.2 vs 5.6 ± 2.3 p < 0.05)。また、右室拡張能E /Ea = 7.0 また
は BNP > 300pg/dl という基準を用いると、感度 80% , 特異度 69%で心血管イベントを予測することが可能であった。【結語】右心系におけ
る組織ドプラ法と血中 BNP を組み合わせることによって、肺高血圧を伴う慢性肺血栓塞栓症患者の予後を高感度に予測することが可能で
ある。
- 157 -
P22
3次元心エコー法を用いたドブタミン負荷心エコー中に誘発される左室流出路閉塞の容積変化に関する検討
1
日本医科大学付属病院 循環器科、2 日本医科大学付属病院 生理機能センター
東 春香 1、大野 忠明 1、藤本 啓志 1、横島 友子 1、安武 ひろ子 1、福間 祐美子 1、伊藤 恵子 1、松崎 つや子 2、本間 博 1、高野 照夫 1
ドブタミン負荷心エコー(DSE)により誘発される左室流出路閉塞について 3 次元心エコー法を用いてその容積変化、収縮期僧帽弁前方運動
との関連について検討した。<方法>対象は DSE 中に左室流出路閉塞が誘発された 6 例(LVOT
(+)群)と、
年齢(67.8 ± 8.2 vs 65.8 ± 9.2 歳)、
性をマッチさせた、流出路閉塞の誘発されなかった 6 例(LVOT
(-)群)とした。DSE は通常の方法に従い施行、各ステージで 2 次元心エコー
と併せて 3 次元心エコーも施行した。左室流出路閉塞は左室心尖 4 腔像の左室流出路
で測定した。<結果>表に示す如く左室拡張末期容積
(EDV)、収縮容積(SV)、左室
駆出率(EF)が LVOT(+)群で減少、左室収縮末期容積(ESV)では差がみられなかった。
<結論> DSE 中に出現する左室流出路閉塞では左室容積の減少も一因とされている
が、本検討では流出路閉塞出現時の ESV に差はみられず、流出路閉塞の出現には僧
帽弁の形状や弁輪径、陽性変力作用等、左室容積以外の原因が大きな影響を及ぼす
と考えられた。
P23
小児心エコー図遠隔診断の評価
1
岩手医科大学 附属病院 中央臨床検査部、2 岩手医科大学 小児科、3 岩手医科大学 第二内科、4 岩手医科大学 臨床検査医学
嘉村 幸恵 1、佐々木 幸子 1、伊藤 記彦 1、菖蒲沢 実 1、武田 美香 1、高橋 信 2、佐藤 陽子 2、小山 耕太郎 2、田代 敦 3、諏訪部 章 4
【目的】岩手県では小児医療の地域格差是正のために、小児救急医療遠隔支援ネットワークシステム(小児救急ネット、通信規格 H323、通
信速度 384 Kb/ 秒)と医療情報ネットワークシステム(医療情報ネット、MPEG 2、4Mb/ 秒)を運用している。今回、両システムによる心
エコー図遠隔診断の診断能を検証し、遠隔診断における超音波検査士の役割を検討した。【方法】新生児危急的疾患を含む先天性心疾患 14
例と、僧帽弁と大動脈弁の逆流性疾患 6 例の計 20 例、88 断層動画像を 2 つのシステムにより同時配信し、画像情報と臨床診断を知らない
先天性心疾患に習熟した超音波検査士 2 名が独立して評価した。先天性心疾患では B モードとカラー断層像について、判読できない(poor)、
おおよそ判読できる(fair)、明瞭に判読できる(good)の 3 段階で評価し、最も考えられる所見または診断を記載した。弁逆流の重症度を、
なし、軽度、中等度、重度の 4 段階で評価した。先天性心疾患例と弁逆流例の年齢、体重、心拍数はそれぞれ生後 3 日∼12 歳と 1∼53 歳、2.8
∼40kg と 10∼75kg、172∼77/ 分と 105∼63/ 分であった。【結果】画像評価は検者間でほぼ一致し、
小児救急ネットでは fair ないし good であり、
poor はなかった。医療情報ネットでは全例 good であった。両システムにおける所見・診断は、検者間で一致し、臨床診断とほぼ一致した。
弁逆流評価では、大動脈弁閉鎖不全で 1 段階の過小評価があったが、検者間でほぼ一致した。
【結語】両システムによる小児心エコー図遠
隔診断は可能である。習熟した超音波検査士が遠隔診断に参加することも可能である。
P24
左室乳頭筋の位置表示方法の一案
東京女子医科大学 循環器小児科
坪井 龍生、富松 宏文、豊田 智彦、石井 徹子、篠原 徳子、山村 英司、森 善樹、中西 敏雄
背景:先天性心疾患では僧帽弁の状態が治療方針を決定する上で重要である。しかし、心房で短絡がある場合など血行動態だけで評価す
ることが困難なことが多く、形態的評価が重要となる。しかし、乳頭筋の位置を客観的に表記する方法についての報告は少なく、まだ確
立されているとは言い難い。目的:左室乳頭筋の位置を客観的に表示する方法を確立すること。対象:正常コントロールとして合併症の
ない川崎病患者 10 例。左室容量負荷群として VSD 10 例。右室圧上昇群として TF 10 例。右室容量負荷群として ASD 10 例。方法:心エコー
画像のビデオテープから、左室短軸断面、乳頭筋レベルの収縮末期像で下記の方法で計測した。前後側の右室自由壁、左室自由壁および
心室中隔の 3 者の交点を結ぶ線の中点を回転中心と設定し、時計方向に前室間溝側を 0 度、後室間溝側を 180 度と規定した。前乳頭筋(APM)
と後乳頭筋
(PPM)の位置を角度表示し、更に2つの乳頭筋のなす角度(dA-P)も計測した。結果:APM は正常群、VSD 群、TF 群、ASD 群
それぞれ 64.0 ± 7.4 度、63.5 ± 4.7 度、77.5 ± 6.7 度、70.5 ± 8.3 度。PPM はそれぞれ 123.5 ± 7.5 度、128.5 ± 9.1 度、142.5 ± 6.3 度、136.0 ± 9.7 度。
dA-P はそれぞれ 59.5 ± 6.4 度、65.0 ± 9.7 度、64.5 ± 4.3 度、65.5 ± 10.7 度であった。いずれもそれぞれ正常群との有意差を認めなかった。結語:
左室乳頭筋の位置を客観的に表示する方法として、我々の方法は比較的簡便で各種負荷のある状態でも適応でき有用であると考えられた。
- 158 -
P25
心エコードプラ法による肺動脈圧推定法の比較検討
1
九州大学病院 ハートセンター 生理検査部門、2 九州大学 循環器内科
小宮 陽子 1、河原 吾郎 1、船越 公太 2、長澤 志麻子 2
【目的】心エコードプラ法による肺動脈圧推定は、肺高血圧の診断において有用であり、いくつかの推定法が提唱されている。近年の肝移
植手術前の心エコー検査では、心機能に加えて肺動脈圧評価が依頼目的である。肺高血圧症が移植術後の重要な予後規定因子であり、場
合によっては治療方針が変わるためである。我々は各種肺動脈圧推定法を比較検討し再評価した。
【方法】平均肺動脈圧 PAPm 推定法とし
て(1)肺動脈弁逆流のピーク圧較差を用いる方法、(2)右室流出路血流速波形の加速時間(AcT)から推定する方法、収縮期肺動脈圧 PAPsys
推定法として
(3)三尖弁逆流の最大圧較差と下大静脈径から推定する方法を用いた。各推定値を同日施行した右心カテーテルによる測定値
と比較検討した。【結果】(1)
(3)による推定値は、心カテの圧データと有意な相関を認めたが、
(2)では有意な相関を認めなかった(相関
係数:(1)0.916、
(2)0.405、
(3)0.878)
。(1)
が最も良い相関を示したが、重症肺高血圧ではやや過小評価の傾向にあった。また、PAPm ≧
25mmHg, PAPsys ≧ 40 mmHg を cut-off とした定性スクリーニングでは、正診率は(1)91%、
(2)48%、
(3)92%であった。(1)+(3)でスクリー
ニングを行えば、感度は 100% となった。TR, PR を認めない症例では(2)を用いたが正診率は低下した。【結語】肺動脈圧推定法としては、
(3)が最も普及しているが、(1)も非常に有用であり、
(1)と(3)を組み合わせた定性スクリーニングを行えば肺高血圧を感度 100% で検出可
能であった。
P26
くも膜下出血症例における左室壁運動所見と心電図、神経ホルモンの検討
1
秋田県立脳血管研究センター 内科・循環器科、2 きびら内科クリニック
藤原 理佐子 1、泉 学 1、小野 幸彦 1、鬼平 聡 2
【目的】くも膜下出血発症や、くも膜下出血に併発することもあるたこつぼ型心筋症等の心筋症にはカテコールアミン等交感神経系ホルモ
ンの関与が示唆されている。そこで、当院にくも膜下出血を発症し入院した症例において、経胸壁心エコーにおける左室壁運動低下所見
の有無と交感神経系ホルモン、また HANP、BNP との関連を検討した。また心電図での QTc 値との関連も検討した。
【結果】22症例(男
性 8 名、女性 14 名、平均年齢 63.4 ± 10.3 歳)において、3例に左室壁運動低下所見が認められ、典型的なたこつぼ型心筋症は見られなかっ
たが瀰漫性に低下した2症例、後下壁低下1例であった。心駆出率は壁運動低下症例で有意に低かった(p = 0.002)。神経ホルモンは入院
時から2日目まで(症例によっては3日目)までの比較でアドレナリンが壁運動低下が無い例で有意に高かった(p = 0.02)。ノルアドレ
ナリン、ドーパミン、レニン、HANP、BNP は有意差はないものの壁運動低下症例で高い傾向にあった。また QTc は有意差は認められなかっ
た。【結論】くも膜下出血発症時に心機能低下、左室壁運動低下を呈する症例においては増加したカテコールアミン等交感神経ホルモンの
関連が考えられた。
P27
経食道心エコーにより、サルコイドーシスの左冠尖周囲病変を評価しえた一例
1
亀田総合病院 循環器内科、2 東京医科歯科大学 循環制御学
熊坂 礼音 1、岩塚 良太 1、水上 暁 1、一原 直昭 1、長堀 亘 1、宮地 浩太郎 1、大野 正和 1、荒川 鉄雄 1、眞崎 暢之 1、鈴木 誠 1、松村 昭彦 1、
橋本 裕二 1、磯部 光章 2
症例は 62 歳女性。2004 年 10 月、持続する背部痛を主訴に受診。CT 上縦隔の陰影を認め、組織型は不明のまま、悪性リンパ腫の診断にて
CHOP(Cyclophosphamide,doxorubicin,vincristine,prednisolone)を施行された。背部痛は消失し、CT 上陰影も軽
快した。2006 年 1 月から咳嗽出現し、胸部 CT 上、左肺門部の異常影を認め、リンパ腫の再発が疑われ、9 月
当院血液腫瘍内科入院となった。PET 上、肝臓、脾臓、腹腔動脈周辺の異常集積を認めた。開腹リンパ節生検
の術前検査にて経胸壁心エコー施行。左房周囲の高輝度病変を認めた。経食道心エコーを施行した。左冠尖か
ら左冠動脈を含み無冠尖周囲に広がる高輝度の充実性病変を認めた。リンパ節生検病理組織から非乾酪性肉芽
腫性病変を認め、サルコイドーシスと診断された。心サルコイドーシスに特徴的とされる所見は認められな
かった。prednisolone 投与を行い、加療開始5週にて経食道心エコーを施行、病変の評価を行ったところ、縮
小傾向を認めた。興味深い症例を経験したため、画像と文献的考察も含めて報告する。
- 159 -
P28
Velocity Vector imaging を用いた心房中隔欠損術前後の左室壁運動の検討
札幌医科大学 医学部 小児科
長谷山 圭司、高室 基樹
【目的】右室容量負荷のある心房中隔欠損における左室壁運動の術前術後の変化を、
Vector velocity imaging
(VVI)を用いて検討すること。【方
法】対象は当院で心房中隔欠損と診断し、手術を行った3例(すべて男性、10 歳から 15 歳)と正常コントロール2例(男性1名、女性1名)。
超音波装置は SIMENS 社 ACUSON Sequoia で、8V3c、4V1c プローブを使用し、傍胸骨短軸(乳頭筋レベル)、心尖部左室長軸の 2D 動画像
をハードディスクに保存し、off-line で VVI を用いて左室壁運動の解析を行った。【結果】1. 心尖部左室長軸での解析:術前にみられたいわ
ゆる奇異性運動は、術後には改善し、VVI 上正常コントロールと同様のパターンを示した。2. 傍胸骨短軸での解析:乳頭筋レベルでは、拡
張期には正常コントロールと同様の時計回りのねじれが見られたが、収縮期には正常コント
ロールでみられるような反時計周りのねじれは乱れていた。
【結語】容量負荷のある心房中
隔欠損では、収縮期に短軸方向への左室壁運動異常があり、その評価には VVI が有用であっ
た。
P29
Amplatzer Septal Occluder を用いた ASD 閉鎖術後の経胸壁エコー
長野県立こども病院 循環器科
大西 優子、里見 元義、安河内 聰、金子 幸栄、梶村 いちげ、才田 謙
【背景と目的】Amplatzer Septal Occluder
(ASO)は我が国でも 2005 年より開始されたが、この閉鎖器具の長期予後については未不明であり、
今後長期にわたる経過観察が必要である。我々も 2006 年 6 月から ASO を用いたカテーテル閉鎖術を開始したが、術後長期にわたって継続
して観察すべきチェックポイントを定めることを目的として、種々の計測を行った。
【対象】2006 年 6 月から同年 12 月末日までに ASO 閉
鎖術を行った 18 例(年齢 6∼16 歳、男 6 例、女 12 例、 体重 18.1∼50.8Kg)。閉鎖術から検査までの期間は術直後∼6 ヶ月であった。
【方法】
断層心エコー図を用いて、閉鎖器具のそれぞれ右房側と左房側 disk の端から種々の心内構造物までの距離計測、左右 disk 間の最大距離、全
心房中隔長に対する disk 径の比率、器具の固定性の評価、弁の可動域制限の有無、血流障害の有無につき評価した。
【結果】両 disk 間の最
大距離は術直後 15.5mm ± 6.2mm,最大 follo w up 期間で 13.6mm ± 3mm 減少していた。器具の固定不良,弁の可動域制限はなかった。また,
術直後 6 例に TR を認めたが,最大 follow up 期間では 2 例に減少していた。
【考案】現時点においては、これらの計測値の持つ意味は未知で
あるが、前方視的に長期観察を継続することにより明らかにされることと思われる。
【結語】今後術後患者の成長に伴ってこれらの計測項
目がどのように変化するか、それらの中で弁の可動域や血流を障害する例の出現がないかなど、長期にわたる観察が必要である。
P30
リアルタイム 3D 心エコー図法による左室心筋重量の測定:M モード法、2D 法との比較
1
多根総合病院 生理機能検査部 心エコー室、2 多根総合病院 内科
西蔭 朋子 1、竹内 正明 2、中井 博美 1、長倉 俊樹 2
背景:左室心筋重量
(LVM)は予後決定因子の一つである。3D 心エコー図法(3DE)を用いれば正確な LVM を測定できる。目的:3DE により
測定した LVM を、従来の M モード法や 2D 法から求めたそれと比較し、その正確性を検討すること。対象:3DE を施行した 150 症例(平均年齢:
61 才)。方法:データセットより、心尖四
(二)腔像を抽出し、心尖部 1 点、弁輪部 4 点を決定。解析ソフト
(QLab 4.2)を用い、自動的に心
内(外)膜面を3次元的にトレースし、拡張末期の左室心外膜面容量から、左室心内膜面容量を差し引いて心筋容量とし、それに心筋密度 1.05
を乗じたものを 3DE による LVM とした。M モードは Devereux の式を用い、2D 法は biplane 法(B 法)を用いて求めた心筋容量に心筋密度 1.05
を乗じて LVM を算出した。結果:M モード法による LVM は 3DE より得られた LVM と相関する
(r = 0.76)ものの、有意に過大評価した(M モー
ド:176 ± 64g, 3DE:123 ± 39g)
。2D 法から得られた LVM(125 ± 42g, 58∼267g)は 3DE と r = 0.91 の相関を示した。一方 3DE のデータセッ
トから適切な心尖四
(二)腔像を切り出し、B 法を用いて求めた LVM
(119 ± 36g, 60∼240g)が 3DE による LVM と最もよく相関(r = 0.95)し、
バラツキも少なかった。総括:M モード法から求めた LVM は拡大心ほど過大評価し、3DE データセットから適切な心尖四(二)
腔像を抽出し、
B 法を用いて求める LVM が最も正確かつ実用的な測定方法と考えられた。
- 160 -
P31
経食道心エコーでのもやもやエコーの定量化は可能か?
東京女子医科大学 循環器小児科
富松 宏文、豊田 智彦、篠原 徳子、石井 徹子、池田 亜希、藤田 修平、山村 英司、森 善樹、中西 敏雄
背景:心エコー検査におけるもやもやエコー(spontaneous echo contrast SEC)は血栓形成の可能性を示す所見として知られている。しか
し、その評価は定性的なものであり、装置の設定や周波数などによっては健常人でも認められることがあり、その評価に主観も入るため
病的状態との鑑別が重要になることがある。目的:SEC を客観的に評価すること。方法:フィリップス社製心エコー装置に搭載されている、
QLAB システムを用い経食道心エコー(TEE)で得られた右房と左房の画像のピクセル信号強度(D)を測定し(dB 法)、肉眼的に評価した
SEC と比較した。関心領域(ROI)の設定は 5mm 四方の正方形とし、両心房に置いた。同時に複数の検者により肉眼的に SEC の有無を判
定した。対象:2006 年 4 月から 12 月までの間に TEE を施行した、2 心房 2 心室を有する先天性心疾患患者 17 例。8 例は不整脈や人工弁のた
めにワーファリンを服用していた。また、7 例は洞調律でなかった。結果:肉眼的に右房に SEC 陽性は 2 例、陰性は 15 例だった。SEC 陰性
例での右房の D は 3.7d B
(3.7 ± 2.6)、左房の D は 1.9dB
(1.9 ± 2)
、左右心房の比は 3.5(3.5 ± 2.4)であった。SEC 陽性例での右房の D は 6.9d
B(6.9 ± 4.1)、左房の D は 1.2dB(1.2 ± 1.0)、左右心房の比は 7.3(7.3 ± 3.1)であった。結語:SEC の評価において dD 法での右房の D はば
らつきが大きく一定の傾向はなかったが、右房左房比は肉眼での評価とほぼ近い印象であった。今後さらに症例数を増やし検討する必要
がある。
P32
心房細動に対するカテーテルアブレーション後の再発予測因子 : 経胸壁及び経食道心エコー法による検討
1
札幌医科大学 医学部 第二内科、2 札幌医科大学 医学部 機器診断部、3 帯広厚生病院 第 2 内科、4 手稲渓仁会病院 循環器科
山本 均美 1、湯田 聡 2、櫻井 聖一郎 1、下重 晋也 1、村中 敦子 1、金子 尚史 1、藤井 咲子 1、藤井 徳幸 1、永原 大五 3、若林 剛 1、宮本 憲次郎 4、
橋本 暁佳 1、土橋 和文 1、島本 和明 1
【背景】近年、心房細動(AF)に対するカテーテルアブレーション(PVI)の有用性が報告されるようになったが、PVI 後の AF 再発予測因
子に関する検討は十分にはされていない。
【目的】経胸壁(TTE)及び経食道心エコー法(TEE)の各指標を用いて、PVI 後の AF 再発の予
想が可能か否かを検討すること。
【対象と方法】AF に対し 2001 年 12 月から 2006 年 3 月までに PVI を施行された連続 49 例(男性 37 例、平均
年齢 53 ± 12 才、発作性 AF42 例、持続性 AF7 例)を対象とした。全例に PVI 前 1 週間以内に TTE、TEE を施行し、左房径、左室拡張末期径
(LVDd)
、左室駆出率(LVEF)、僧帽弁血流速波形から急速流入期波の最大速度(E)、心房収縮期波の最大速度(A)及びその比(E/A)を
求めた。心尖部四腔断面像より左房横径、縦径を計測し、既報に準じ左房容積を計算した。TEE では肺静脈血流速波形より、収縮期、拡
張期波最大速度とその比、心房収縮期波の最大速度を計測し、左心耳血流速波形より最大速度を求めた。
【結果】15 例(31%)において、
PVI 後 6 ヶ月以内に AF を再発した。2 群間において年齢、薬物療法や高血圧、糖尿病の有無には差を認めなかったが、AF の罹病期間が再
発群で長い傾向を認めた(5.5 ± 4.2 vs. 7.9 ± 4.7 年、p = 0.08)
。TTE 指標に関しては、2 群間において LVDd、LVEF、E、A、E/A は差を認
めなかったが、左房径(36 ± 6 vs. 39 ± 4 mm、p = 0.10)と左房容積(26 ± 11 vs. 33 ± 7ml/m2, p = 0.08)が再発群で大きい傾向を認めた。
一方、TTE の各指標は 2 群間において有意な差を認めなかった。
【結論】左房拡大が PVI 後の AF の再発に関与し、TTE による左房の形態評
価が、PVI 後の AF 再発の予測に有用である可能性が示唆された。
P33
新しい心臓年齢指標の提唱
1
香川大学 医学部 総合診療部、2 香川大学 医学部 循環器・腎臓・脳卒中内科
舛形 尚 1、千田 彰一 1、合田 文則 1、樋本 尚志 1、宮下 浩明 1、奥山 浩之 1、山上 あゆむ 1、田中 絵理子 1、河野 雅和 2
【背景】抗加齢医療では脈波速度による動脈硬度や血管エコーによる内膜中膜複合体厚が動脈硬化指標として血管年齢評価に用いられ、心
血管病発症リスクマーカーとして確立されている。しかし心エコーにはこれらに匹敵する心臓年齢指標や動脈硬化指標は少ない。本研究
では加齢による S 状中隔変形と心室中隔基部肥厚を定量評価することにより新しい心臓年齢指標を簡便に計測する方法を提唱する。【方法】
対象は正常血圧群 109 例(62 ± 14 歳)、高血圧群 42 例(65 ± 10 歳)。心エコー傍胸骨左室長軸断面図拡張末期像において左室流出路の心室中
隔基部壁厚
(VSot(mm))、大動脈起始部と心室中隔のなす角度
(VS-AO)を計測し、心臓年齢指標= VSot/[ 体表面積×
(VS-AO)/100] として
算出した。左室流入血流速波形から E/A を計測した。脈波速度は VaSera 1000 を用いて上腕―足首間の脈波速度を計測した。
【結果】心臓年
齢指標は実年齢と良好な相関を示し(r = 0.62, p < 0.001)、脈波速度と実年齢の相関(r = 0.63, p < 0.001)と同程度であり、E/A と実年齢の相
関(r = -0.56, p < 0.001)よりも良好であった。心臓年齢指標は脈波速度と良好な正相関(r = 0.56, p < 0.001)を示した。心臓年齢指標は高血
圧群(8.7 ± 3.4)で正常血圧群(6.8 ± 2.6)に比較して有意に高値であったが
(p < 0.001)
、
実年齢は両群間に有意差は認めなかった。
【総括】我々
が提唱する心臓年齢指標は心臓の加齢性変化を定量評価でき、かつ末梢動脈硬化進展度をも反映し、その異常値出現には高血圧の関与が
示唆された。本指標は誰でも簡単に既存の装置で計測できるため心血管疾患のリスクマーカーとなる可能性がある。
- 161 -
P34
電子カルテと連携した心エコー動画の電子カルテ端末への Web 配信の試み
(財)宮城厚生協会 坂総合病院 循環器科
小幡 篤、渡部 潔、渋谷 清貴、佐々木 伸也、田澤 寿子、宮沼 弘明
当院では 02 年導入の電子カルテに加え、05 年 11 月より PACS システム・心電図ファイリングシステム・動画ファイリングシステムを導入し、
電子カルテと連携して全ての情報が参照可能なシステムを構築し、完全フィルムレス・ペーパーレスのデジタル化システムとした。動画ファ
イリングシステムはカテックス社製 Cardiac Station で、心カテの動画とともに GE 社製 Vivid 7と Vivid 3の心エコーの動画を DICOM で取り
込みファイリングし、同時に MPEG ファイルに変換され Web サーバーにも保存され、すべてソフトウエアサービス社製電子カルテと連携
し病院・附属診療所の全ての電子カルテ端末から Web 参照可能なシステムを構築した。その結果、無線 LAN のノート PC 電子カルテ端末
にて病棟内のどこでもカテ・エコー動画も含めた全ての画像を提示しての説明が可能となった。他科医師からのコンサルト時は、電話相
談のみで電子カルテから X 線・心電図・心カテ・心エコー動画を参照し即時対応可能となった。カンファレンス時はプロジェクターで投
影した電子カルテにて心エコー動画を含めた全ての画像参照しながら検討可能で、各症例の所見の共通理解が進んだ。心エコー読影担当
医以外も動画参照による病態把握が可能となるとともに、研修医の心エコーへの理解・関心の深まりから描出技術習得意欲の向上にもつ
ながった。検査技師はオーダー情報の連携により心エコー装置への患者情報入力不要となり前回検査時動画参照下の検査が容易となった。
心エコー動画の電子カルテへの Web 配信はこれまで実績があまりないが、技術的には容易で、診療の質の向上・効率化に貢献することが
期待でき導入の効果は大きい。
P35
左房 emptying fraction:Maze 手術の成功予測因子としての有用性
1
榊原記念病院 内科、2 榊原記念病院 外科
相川 大 1、渡辺 弘之 1、井上 完起 1、高見澤 格 1、関 敦 1、桃原 哲也 1、井口 信雄 1、三須 一彦 1、長山 雅俊 1、浅野 竜太 1、梅村 純 1、
下川 智樹 2、高梨 秀一郎 2、住吉 徹哉 1
【背景】近年、心房細動に対して maze 手術が積極的に施行されている。術後慢性期洞調律維持の予測因子として左房サイズが報告されて
いるが、左房機能については十分に検討されていない。【方法】持続性心房細動に対し maze 手術を施行した連続 32 例(年齢 63 ± 11 歳、男
性 29 例)を対象とした。持続性心房細動は術前経胸壁エコー検査から手術までの間に洞調律が一度も確認されず、心房細動が持続してい
た場合と定義した。追跡期間は術後 3.1 ± 4.3 年で、その間に心房細動が確認された症例を不成功群、それ以外を成功群とした。ガイドラ
インに基づき術前エコー検査を解析し、各計測値を連続 3 心拍で平均し両群間で比較した。左室・左房容積は心尖部 4 腔像 single plane で
method of discs を用いて測定し体表面積で除した。左房機能の指標としては左房 emptying fraction((左房最大容積−左房最小容積)÷左房
最大容積)を用いた。
【結果】成功群 17 例・不成功群 15 例であった。左房 emptying fraction が成功群で有意に高値であった
(29.9 ± 7.6% vs.
23.1 ± 10.2% , p = 0.0394)。左房径、左房最大・最小容積指数、左室拡張・収縮末期容積指数、左室駆出率は両群間で有意差がなかった。
ROC 曲線を用いた解析では左房 emptying fraction > 26%にて感度 76.5%、特異度 73.3%の慢性期洞調律維持を予測できた。
【結論】術前経
胸壁エコー検査で計測される左房 emptying fraction は持続性心房細動に対する maze 手術の適応決定に極めて有用である。
P36
3D エコー法による左房容積算出の基礎検討
1
東京都済生会中央病院 臨床検査科、2 同 循環器内科
神野 雅史 1、国広 祟 2
【背景および目的】断層心エコー法にて左房の大きさを計測する方法は、通常傍胸骨左縁長軸断面から径を計測する方法と、直交する2
断面から心内膜をトレースし容積を算出する Modified Simpson 法(MS 法)がある。左房の大きさを反映する方法は MS 法とされる。今回、
Philips 社製 iE33 を用い 3 次元心エコー法(3DE 法)にて左房容積算出を試み、MS 法との相関および検者間誤差に関する検討を行った。【対
象および方法】平成 18 年 2 月∼3 月に同一検者が施行した描出良好例 243 例を対象に MS 法と 3DE 法で左房容積(LAV)を測定し比較した。
また、10 例を 3 名の検者が MS 法、3DE 法で LAV を 3 回計測し各測定法における検者間誤差を比較した。【結果】MS 法と 3DE 法を LAV で比
較すると r^2 = 0.72 と正相関性を認めた。平均値の比較では 3DE 法で有意に低値となった(65.7 ± 23.3ml vs 51.8 ± 20.5ml p < 0.0001)。検
者間誤差について MS 法は差を認めたが、3DE 法では差を認められなかった。【考察】3DE 法は MS 法と同等に左房の大きさを評価できるが、
両測定法の差が明らかとなった。3DE 法は MS 法と比較し画像の解像度が低く、実際の心内膜より内側をトレースするため LAV が低値と
なったと考えられる。しかし、心内膜を自動トレースするため、MS 法と比較し検者の目視による検者間誤差が少ない優れた方法であると
いえる。3DE 法は MS 法と比較し測定値に差はあるものの、検者間誤差の少ない精度の高い測定法であると考えられる。
- 162 -
P37
IVUS Attenuation Imaging による冠動脈深部の音響特性解析
1
みやぎ県南中核病院 検査科、2 みやぎ県南中核病院 循環器科、3 福島大学 共生システム理工学類、4 東北大学 加齢医学研究所
藤田 雅史 1、高山 沙織 1、塩入 裕樹 2、小山 二郎 2、堀口 聡 2、井上 寛一 2、田中 明 3、西條 芳文 4
【目的】外膜側の炎症や Vasa vasorum の発達など、冠動脈深部の病態は不安定プラークの進展に寄与している。本研究の目的は、石灰化に
よる音響陰影の影響を排除した IVUS Attenuation Imaging(AI)の開発により、冠動脈深部の音響特性を明らかにすることである。【方法】
中心周波数 40MHz の IVUS の RF 信号を 400 メガサンプル / 秒でパーソナルコンピュータに保存した。RF 信号の 1 ライン上に基準長さのセグ
メントを設定し、各セグメントに同一パワーの超音波が入力されたと仮定したときの各セグメントでの反射を計算した結果を AI と定義し
表示した。【結果】図は RF 信号から構築した通常の IVUS 画像(左)
および AI(右)である。AI では画面 12 時側の暗いプラークおよび 6
時側の外膜の小さな血管(矢印)が鮮明に描出されている。
【総括】
AI は外膜側の病態を明らかにする上で有用な手法である。
P38
2D ティッシュトラッキング法を用いた収縮性心膜炎の診断
国立循環器病センター
田中 旬、中谷 敏、天木 誠、神谷 千津子、杜 徳尚、吉牟田 剛、加藤 真帆人、山野 哲弘、神崎 秀明、北風 政史
背景:2D ティッシュトラッキング法
(2DTT 法)はパターンマッチング法を用いて局所心筋組織の動きを追跡する新しい方法である。2DTT
法が MRI tagging 法同様、収縮性心膜炎
(CP)による心膜癒着の評価に有用か否かを検討した。方法:健常者 13 例、CP10 例において、日立
EUB-8500 を用いて剣状突起下四腔像、傍胸骨左縁長軸像で評価した。右室自由壁と左室後壁において、基部と腱索レベルに ROI を設定し、
一心周期における最大移動距離を算出した。結果:最大移動距離は健常者に比し CP では右室自由壁(2.1 ± 1.5 mm 対 6.5 ± 1.7 mm, p <
0.001)、左室後壁(4.2 ± 2.2 mm 対 8.4 ± 2.8 mm, p < 0.001)
の両者において短縮した。右室自
由壁において最大移動距離 5 mm 以下のとき、感度 90%、特異度 92%、左室後壁において 8
mm 以下のとき、感度 90%、特異度 73%で CP の診断が可能であった。結語:2DTT 法を用い
れば簡便かつ非侵襲的に CP の心膜癒着の評価が可能であり、臨床上有用な方法であると思
われた。
P39
左室 transmural torsion:velocity vector imaging を用いて評価した左室短軸断面心内膜・心外膜の速度ベク
トル角度の差異
国立循環器病センター
天木 誠、中谷 敏、神崎 秀明、田中 旬、神谷 千津子、北風 政史
【目的】心筋線維は心内膜層と心外膜層で走行方向が異なるため、二層間で収縮運動方向の差を生じ、そのため左室壁内で捻れを来すと考えられる。
我々はVelocity Vector Imaging
(VVI)
を用いこの捻れを計測した。【方法】健常者 10 例と左室収縮能保持高血圧例 10 例を対象とし、VVIを用いて最
大収縮速度時相における左室短軸基部像の内膜と外膜をトレース(下壁中隔と前壁中隔を中隔壁、それ以外を自由壁)した。収縮速度ベクトル角度
を計測し(反時計方向を正)
、内外膜の差を左室壁内捻転とし
て求めた。【結果】健常心の自由壁では心内膜側より心外膜側、
中隔壁では心外膜側より心内膜側でベクトル角度が大きかった。
すなわち外膜は内膜に対して、自由壁で反時計方向(11.5±
15.9 ゜
)の、中隔壁で時計方向(-14±7.4 ゜
)の壁内捻転を示し
た。高血圧例では壁内捻転は正常心と比べて少ない傾向を認め
た(自由壁 4.1±7.6 ゜
、中隔壁 -0.9±5.4 ゜
)。【結論】心内膜と
心外膜では収縮速度ベクトル方向が違い、壁内捻転を生じてい
る。高血圧例では収縮能が保持されていても壁内捻転は障害さ
れていた。
- 163 -
P40
半自動トレースによる左室駆出率計測の妥当性の検討
1
恵仁会三愛病院 総合検査科、2 恵仁会三愛病院 循環器科
工藤 明 1、村田 徹 1、那須 雅孝 2
【目的】左室容積の計測は Simpson 法が推奨されているが、本法は心内膜の同定に検者の熟練度が影響していることが指摘されている。近年、
2D トラッキング法を応用した Simpson 法による半自動左室駆出率の計測法(Axius Auto EF 法)が登場し、左室容積計測の自動化や簡易化
が期待されている。しかし、その計測値の信頼性を検討した報告は少ないことから、本法による左室容積、左室駆出率計測の妥当性を検
討した。【方法】持田シーメンス社製 Acuson Sequoia 516 を用いて、心尖部四腔像、二腔像をデジタル保存した。保存された画像で、熟練
者と初心者が独立して Auto EF 法(Auto)、用手的トレースによる方法
(Manual)により左室容積、左室駆出率を計測した。
【対象】当院で心
エコ−図検査を受けた連続 40 症例(男 24 例、平均年齢 71.3 歳)を対象とした。【結果】同一画像で Auto EF 法による左室容積、左室駆出率
は熟練者、初心者とも全く同一であったが、熟練者および初心者による Manual 法に比較して容積は有意に低値を示した。視覚的に心内膜
面を補正して自動計測する(補正 Auto 法)と熟練者では Manual 法と容積には有意な差は消失した。熟練者および初心者では、いずれの方
法によっても左室駆出率は有意の正相関が認められたが、熟練者による左室駆出率は補正 Auto 法と Manual 法との間には有意な差はなかっ
た(p = 0.871)ものの、初心者ではなお有意差が認められた。
【結語】Auto EF 法による左室容積、左室駆出率の計測は検者にかかわらず
再現性が高いものの、信頼性を確保するには心内膜同定の補正が必要である。また、初心者による左室心内膜同定のトレーニングに有用
である。
P41
最新の自動駆出率計測法を用いた coronary care unit 入院例の左室容量・駆出率の自動計測
1
大阪市立大学大学院医学研究科循環器病態内科学、2 大阪掖済会病院心臓血管内科
小川 景太郎 1、穂積 健之 1、杉岡 憲一 1、岩田 真一 1、麻植 浩樹 1、大塚 亮 1、葭山 稔 1、吉川 純一 2
背景 : 最近開発された自動駆出率計測法(Auto EF, Siemens)は心内膜トレースが完全に自動化され、心尖部二断面を記録するだけで左室容量
及び駆出率(LVEF)が自動計測できる方法で、幅広い臨床応用が期待される。研究の目的は coronary care unit(CCU)緊急入院例に対し左
室容積・LVEF 計測に Auto EF が適用できるか検討することにある。方法 :CCU 入院連続 63 例に対し心エコー図(Siemens, Sequoia)を行い、
心尖部四腔像と二腔像を記録した。二断面からの modified Simpson 法にてマニュアトレース法と Auto EF 法で左室拡張末期・収縮末期容量
(LVEDV, LVESV)
・LVEF を計測し、両法で比較検討した。結果 :63 例中 60 例
(95%、壁運動異常例 43 例)
において、LVEF 解析ができる画像
が得られた。60 例中 59 例(98%)において Auto EF による自動内膜トレースが可能であった。Auto EF により計測された LVEDV・LVESV は、
マニュアル法と良好な相関が認められた(LVEDV r = 0.95, y = 0.89x-5.6, LVESV y = 0.82x-1.8, r = 0.97)。LVEF においても良好な相関が示
された(y = 0.92x+7.0, r = 0.95)。LVEF 計測時間は Auto EF 法では 54 ± 7 秒でマニュアル法(75 ± 12 秒)に比べて短時間で施行可能であっ
た(P < 0.001)。結語 :CCU 入院例にて、Auto EF を用いて正確で迅速に左室容量・LVEF の計測が可能であった。Auto EF は CCU 入院例での
左室容量・LVEF 計測において有用と考えられる。
P42
孤立性心房細動患者における機能的僧帽弁逆流の機序についての検討
1
川崎医科大学附属病院 中央検査部、2 川崎医科大学 循環器内科
山本 克紀 1、渡邉 望 2、泉 礼司 1、中務 二規子 1、宮井 智子 1、若狭 ちさと 1、永禮 裕子 1、梶谷 敦子 1、岡橋 典子 2、大倉 宏之 2、
吉田 清 2
慢性心房細動(Af)例のほとんどは , 左房および僧帽弁輪の拡大を認め , しばしば機能的僧帽弁逆流(FMR)を合併している。しかし ,Af 例に
おける左房および僧帽弁輪の拡大と ,FMR への影響を詳細に検討した報告は少ない。そこで今回我々は , 孤立性心房細動
(lone Af)患者にお
いて , 左房および僧帽弁輪の拡大が FMR の発生におよぼす影響を検討した。
【対象と方法】対象は , 当院にて経胸壁心エコー図検査を施行した lone Af 患者(EF > 50%)
連続 66 例(男性 47 例 ,74 ± 9.4 歳)で ,FMR 以外の器
質的心疾患例は除外した。なお合併した FMR の重症度の内訳は , 軽度 46 例 , 中等度 9 例 , 高度 5 例であった。また健常人 22 例も合わせて検討
した。胸骨左縁長軸断層像にて , 左房径 , 僧帽弁輪径 ,tenting length を計測し , 同時に僧帽弁尖 tip 間の弁接合のズレ(coaptation gap)
の有無を観
察した。また左房径に関しては , 心尖部四腔断層像でも計測し左房容積係数を Ellipsoid 法にて算出した。なおすべての計測は収縮末期の時
相にて計測した。
。僧帽弁輪径は , 健常群に比し
【結果】左房容積係数は , 健常群に比し lone Af 群で優位に増大していた
(17 ± 5.1 vs.49 ± 16ml/m2,p < 0.01)
lone Af 群で優位に拡大していた
(23 ± 2 vs.29 ± 4mm,p < 0.01)
。tenting length に関しては両群間に有意差を認めなかった
(5.2 ± 1.3 vs.5.1 ±
1.1mm,p = 0.99)
。coaptation gap は ,lone Af 群中 , 中等度 FMR 合併例で 66.7%, 高度 FMR 合併例では 100% に認められたが , 軽度以下の FMR 合
併例および健常群では認められなかった。
【結語】lone Af 患者では , 弁輪拡大に伴う弁尖の接合不良が生じることで , 弁尖の心尖方向への変位なしでも FMR が発生すると考えられた。
- 164 -
P43
CAGB 後の高齢者重症大動脈弁狭窄症に対する Apicoaortic conduit
(AAC)を施行した一例
1
神戸市立中央市民病院 臨床検査技術部、2 神戸市立中央市民病院 循環器内科、3 神戸市立中央市民病院 心臓血管外科
紺田 利子 1、田辺 一明 2、八木 登志員 1、藤井 洋子 1、加地 修一郎 2、谷 知子 2、庄村 遊 3、那須 通寛 3、岡田 行功 3、木原 康樹 2
〔症例〕80 歳、男性。〔主訴〕胸痛、呼吸困難。
〔既往歴〕1983 年狭心症にてバイパス術、1986 年胃癌にて胃亜全摘術を施行される。〔現病歴〕
バイパス術後、近医通院中であったが近年、心不全を繰り返すようになり大動脈弁狭窄と診断された。2006 年 3 月胸痛出現。心不全と呼
吸困難を伴う重症大動脈弁狭窄にて当院に入院。
〔検査所見〕血液検査にて特発性血小板減少性紫斑病。胸部レントゲン検査にて、上行大
動脈の石灰化を認め、胸部 CT においても上行大動脈に全周性石灰化(Porcelain aorta)を認めた。心エコー図検査では、EF = 63%、大動
脈弁は三尖共著明な石灰化を認め、弁尖の可動性は著しく低下していた。大動脈弁の peakPG = 85mmHg、meanPG = 50mmHg、弁口面積=
〔経過〕重症大動脈弁狭窄でかつ狭小弁輪、Porcelain aorta と診断し、通常の大動脈
0.3cm2、弁輪径= 1.8cm、軽度大動脈弁逆流を認めた。
弁置換術は困難と判断し、左第 5 肋間開胸にて AAC を行った。術後心エコー図検査では、EF = 64%、AAC の人工弁の可動性は良好であっ
た。大動脈弁からも順行性に駆出血流を認め peakPG = 36mmHg、軽度大動脈弁逆流を認めた。術後徐脈と心房細動にて 35 日目にペースメー
カー植え込み術を施行した。四肢筋力低下から長期リハビリを要し、術後 72 日目に独歩軽快退院された。〔結語〕特殊な術式を用いた重症
大動脈弁狭窄の術前、術後の血行動態評価に心エコー図検査が有用であった。
P44
大動脈弁疾患診断における3 D 心エコーの有用性
愛媛県立中央病院 循環器科
中村 陽一、森 あい子、佐伯 秀幸
【背景】大動脈弁疾患の弁性状を経胸壁心エコーで評価することは困難であることが多い。近年3 D 心エコーの臨床応用がなされるように
なった。今回3 D 心エコーにより詳細な観察が可能であった大動脈弁疾患 2 例を経験したので報告する。【症例1】66 歳、女性。平成 18 年
1 月より発熱が持続していたが原因は不明であった。6 月下旬より息切れを自覚した。7 月 20 日には呼吸困難が増悪し当院に救急搬送された。
来院時の心エコーにて、高度の大動脈弁逆流を認めた。大動脈弁は無冠尖が逸脱しており、その部分から高度逆流を認めた。感染性心内
膜炎による弁破壊が疑われ経食道心エコーを施行したが明らかな疣贅はみられなかった。3D 心エコーでは、無冠尖弁尖の肥厚部が逸脱し、
右冠尖の左室面には逆流血により振動する小突起物が観察された。第 5 病日に大動脈弁置換術を施行した。組織学的には右冠尖と左冠尖の
弁尖は線維性肥厚を認め 2 尖の接合部にはびらんがみられ erosive endocarditis と考えられた。また、右冠尖の左室面にはびらんとともにフィ
ブリン血栓がみられ、3 D エコーで観察された小突起と考えられた。
【症例2】30歳、女性。27歳頃より労作時呼吸困難を自覚し慢性
心不全のため利尿剤の投与を受けていた。経胸壁心エコーでは大動脈2尖弁が疑われた。逆流点に関しては同定が困難であった。3 D 心
エコーでは弁腹の大きさの異なる 2 尖が幌状に可動し、raphe の部位には正円の逆流孔を認めた。弁置換術施行時には3 D 心エコーと同一
の所見が得られた。【結論】3 D 心エコーにより2 D 心エコーでは観察し得なかった像を 4 次元情報として得ることが可能であり、詳細な
大動脈弁疾患の病態把握に有用と考えられた。
P45
左室内破裂により心不全をきたした高齢者左バルサルバ洞動脈瘤の 1 例
1
土谷総合病院 心臓血管センター 循環器内科、2 土谷総合病院 循環器科 心機能検査室
岡 俊治 1、正岡 佳子 1、上田 浩徳 1、木谷 弘之 2、佐々木 洋子 2、山島 明子 2
【症例】82 歳、男性【主訴】呼吸困難【現病歴】平成 17 年 3 月より食欲不振、嘔吐を訴え前医入院。呼吸困難が次第に増強し4月7日当院
転院。【入院経過】経胸壁及び経食道エコー図にて大動脈弁逆流と左室流出路に左バルサルバ洞から繋がる袋状の異常構造物と拡張期に左
室内へ向かう血流を認め、左バルサルバ洞動脈瘤左室内破裂と診断された。心不全に重症肺炎、DIC を合併しており肺炎、DIC 改善後 6 月
20 日バルサルバ洞動脈瘤縫合閉鎖術、大動脈弁置換術を施行。 左バルサルバ洞にバルサルバ洞動脈瘤に交通する 2 箇所の孔、バルサルバ
洞動脈瘤左室側に破裂孔を認めた。病理組織でバルサルバ洞動脈瘤の壁の菲薄化、炎症細胞浸潤、肉芽組織の増生を認め破裂急性期の感
染性心内膜炎の合併が疑われた。術後経過良好で療養型施設へ転院した。
【結語】左バルサルバ洞動脈瘤左室内破裂の 1 例を経験した。左
バルサルバ洞動脈瘤は非常に稀な症例であり報告する。
- 165 -
P46
機能性僧帽弁逆流を呈する左心機能低下患者の予後予測:ドブタミン負荷心エコー図による検討
川崎医科大学 循環器内科
尾長谷 喜久子、渡邉 望、山本 克紀、岡橋 典子、築地 美和子、根石 陽二、川元 隆弘、豊田 英嗣、大倉 宏之、吉田 清
【背景】ドブタミン(Dob)は左心機能低下を呈する患者の機能性僧帽弁逆流(MR)を改善させることが知られており、虚血性心筋症、拡張
型心筋症といった左心機能低下の見られる患者において機能性 MR は予後不良因子である。今回我々は左心機能低下患者において、Dob 負
荷前後での MR の改善と予後との関連について検討した。【方法】対象は機能性 MR を呈する虚血性心筋症または拡張型心筋症患者 25 名。
Dob 負荷心エコー図を施行し、負荷前後で逆流口面積
(ERO)を計測した。負荷前、後をそれ
ぞれ EROrest, EROdob とし、Dob 負荷前後での ERO の改善率を % Δ ERO =
(EROrest-EROdob)
/EROrest X100
(%)
として算出した。% Δ ERO < 80 の群 14 名、% Δ ERO ≧ 80 の群 11 名の 2 群
に分けて心事故発生との関連を Kaplan-Meier 法を用いて検討した。平均観察期間は 221 ± 231
日であった。【結果】Dob 負荷にて 25 名全員で MR の改善がみられた。心事故の発生率は、
% Δ ERO < 80 の群において有意に高かった
(p = 0.039)。【結論】Dob 負荷前後の MR の改善
率により機能性 MR を呈する左心機能低下患者の予後予測が可能であることが示唆された。
P47
健常例における左房容積の規定因子の検討
1
札幌医科大学 医学部 第二内科、2 札幌医科大学 医学部 機器診断部
村中 敦子 1、湯田 聡 2、山本 均美 1、金子 尚史 1、藤井 咲子 1、桜井 聖一郎 1、下重 晋也 1、若林 剛 1、橋本 暁佳 1、土橋 和文 1、
島本 和明 1
【背景】心不全例において、左房容積を体表面積で補正した左房容積係数(LAVI)は左室収縮能、拡張能と相関するが、健常例における
LAVI の規定因子は不明である。【目的】健常例における LAVI の規定因子を検討すること。【方法】糖尿病、高血圧、不整脈、冠動脈疾患
を有さず、心エコー図法にて壁運動異常、有意な弁膜症を認めない正常健常例 64 例(男性 27 例、平均年齢 47 ± 18 才)を対象とした。GE
社製 Vivid7 を用いて、M-mode 法により左室拡張末期径、左室壁厚、左室駆出率、心筋重量係数(LVMI)を求め、左室流入血流速波形より
拡張早期(E)波、心房収縮期(A)波の最大速度とその比(E/A)を求めた。カラー組織ドプラ法により僧帽弁輪中隔の収縮期(Sm)
、拡
張早期(Em)、心房収縮期(Am)の最大速度を求め、E/Em を算出した。左房容積は心尖部四腔、二腔像より modified Simpson 法を用いて
計測した。
【結果】健常例における LAVI は 22 ± 5 ml/m2 であり、男女間に差は認めなかった。LAVI は年齢(p = 0.01,r = 0.32)、収縮期血圧
(p = 0.01,r = 0.37)、拡張期血圧(p < 0.05,r = 0.32)、左室拡張末期径(p < 0.05,r = 0.28)、中隔壁厚(p < 0.01,r = 0.36)、後壁壁厚(p < 0.05,r
= 0.30)、LVMI(p < 0.001,r = 0.49)
、A (p < 0.01,r = 0.38)、E/A(p < 0.05,r = -0.30)
と有意な相関を認めたが、Sm、Em(p = 0.07)
、Am
(p = 0.05)、E/Em(p = 0.11)とは有意な相関は認めなかった。年齢、収縮期血圧、LVMI、E/A で重回帰分析を行うと、LVMI(p < 0.01)の
みが LAVI の独立した規定因子であった。
【結論】健常例において、LAVI に年齢、血圧、拡張能、LVMI が関与しており、特に LVMI の増加
が LAVI の増加に強く関与することが示唆された。
P48
2 型糖尿病を持つ虚血性心疾患症例に対するピオグリタゾン治療は左室充満圧を亢進するか?
桜橋渡辺病院 内科
永井 宏幸、伊藤 浩、岩倉 克臣、川野 成夫、岡村 篤徳、黒飛 俊哉、小山 靖史、伊達 基郎、井上 耕一、藤井 謙司
経口血糖降下剤の中でもピオグリタゾンは心血管系事故を抑制することが示され、first line 治療になりうるものとして注目されているが、
浮腫が出現する場合があり、心不全症例への投与は控えられてきた。今回、我々は心エコードプラ法を用い、ピオグリタゾンにより左室
充満圧が亢進するか検討した。【方法】対象は冠疾患を有する2型糖尿病患者 120 例である。ピオグリタゾン投与前および後
(平均 16 ヶ月)
で心エコードプラ検査を行った。Chamber dimension の計測とともに、僧帽弁血流速波形からE(m/s), E/A、DT(ms)、組織ドプラによる僧
帽弁輪移動速度から拡張早期成分 e’
(cm/s)
を左室長軸方向の拡張能の指標、E/e’
を左室充満圧の指標として算出した。【結果】ピオグリタゾ
ンにより HbA1c は低下した(7.8 vs. 7.2 %, p < 0.0001)。左室径や 駆出率は投与前後で変化なかった。容量負荷の指標である左房径(34 vs.
35 mm)、右室径(27 vs. 28 mm)
、下大静脈径(12 vs. 12mm)
も変化なかった、また、E/A
(0.92 vs. 0.90)、DT(218 vs. 220 ms),E/e’
(11 vs. 12)
も
変化は認められなかった。LVEF ≦ 40%の低心機能 14 例に限って同様の検討を行っても、ピオグリタゾン投与前後で DT(208 vs. 232ms)、
E/e’
(9.8 vs. 8.7)と、拡張能の低下や左室充満圧の亢進は認められなかった。【総括】2 型糖尿病を有する虚血性心疾患症例にピオグリタゾ
ンを投与しても、明らかな容量負荷の所見は認められず、左室充満圧の亢進も認められなかった。ピオグリダゾンは心疾患症例において
安全に使用できる。
- 166 -
P49
心エコーによる左房容量の測定− Magnetic Resonance Imaging との比較
1
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 循環器内科、2 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 放射線科
宇野 希世子 1、瀬尾 由広 1、石津 智子 1、小宅 康之 1、酒井 俊 1、大塚 定徳 1、田中 優美子 2、南 学 1、渡辺 重行 1、青沼 和隆 1
【背景】左房径(LAD)あるいは左房容量(LAV)は臨床上重要な指標であるが,心エコーによる LAV の測定には様々な方法が存在し結果も
一定していない.
【目的】現在用いられている測定方法により心エコーで測定した LAV を Magnetic resonance imaging(MRI)の結果と比較検
討する.【方法】MRI を行った 34 例を対象として同日に心エコーを行い LAD と LAV を測定した.MRI は短軸像を用い,各断面像から得ら
れた容積を加算し算出した
(Simpson 法).心エコーは
Biplane area-length
(AL)法,Prolate ellipse
(PE)法 及 び
Modified Simpson
(MS)法を用いて測定し,MRI 結果と比
較した.計測はすべて収縮末期に行った.
【結果】表に
結 果 を 示 す.MRI に よ る LAV と,UCG に よ る LAD,
LAV 間にはいずれも有意な相関関係
(P < .0001)が認めら
れた.PE 法により算出された LAV は他の結果
(MRI,AL
法,MS 法)と比較し有意に小さかった(P < .0001).
【結語】
現在用いられている心エコーの LAV 測定方法は,いずれ
も左房容量を反映するが,Proliate ellipse 法は全体に小さ
く評価している可能性が示唆された.
P50
急性心筋梗塞における左室壁内心筋ストレイン勾配の検討 - 梗塞部の壁深達度を予測できるか 和歌山県立医科大学 循環器内科
谷本 貴志、久保 隆史、山野 貴司、松尾 好記、北端 宏規、財田 滋穂、今西 敏雄、津田 和志、友渕 佳明、赤阪 隆史
【背景】急性心筋梗塞において梗塞領域の壁深達度を評価することは臨床上重要であるが、従来の心エコー図による壁深達度評価について
は限界がある。近年、組織ドプラー法の M モードから左室壁内心筋ストレイン勾配を定量評価出来るようになってきた。
【目的】心エコー
心筋組織ストレイン法で求めた左室壁内ストレイン勾配から、急性心筋梗塞の壁深達度を評価できるか否かを検討すること。【方法】再
灌流療法に成功した急性心筋梗塞患者 20 名を対象とした。発症約 2 週間目に遅延造影 MRI を行い、壁深達度を A 群:造影心筋が全壁厚の
0-25%、B 群:26-50%、C 群:51-100% の 3 群に分類した。また同時期に組織ドプラー心エコー図(東芝社製 Aplio)にて左室短軸像を記録
し、解析ソフト TDI-Q を用いて梗塞部の心筋内ストレイン勾配を求めた。心筋内のストレインのピーク値と、心内膜からピークをとる部
位までの距離(壁厚における心内膜側からの距離を % 表示)を 3 群で比較検討した。
【結果】壁深達度は遅延造影 MRI の結果から A 群 7 例、
B 群 7 例、C 群 6 例に分類した。ストレインのピーク値は A 群、B 群に比し C 群で有意に低かった(A 群:0.72 ± 29.4、B 群:0.61 ± 0.12、C
群:0.40 ± 0.24、p < 0.01)。また心内膜からピークをとる部位までの距離は C 群で有意に心内膜から離れていた(A 群:34.2 ± 9.3%、B 群:
49.6 ± 6.5%、C 群:69.0 ± 12.0%、p < 0.01)
。【結論】急性心筋梗塞において壁深達度が深いほどストレインのピーク値は低く、ピークを
形成する位置は心内膜から離れていた。組織ドプラー心エコー図にて梗塞領域の壁深達度を推定できる可能性が示唆された。
P51
肥大型心筋症患者における発作性心房細動の予測と運動負荷誘発性左室拡張障害との関連
1
奈良県立医科大学 総合医療学、2 奈良県立医科大学 第一内科学
水野 麗子 1、藤本 眞一 1、斎藤 能彦 2、中村 忍 1
目的:無症候性肥大型心筋症患者において運動負荷時に出現する左室拡張障害が発作性心房細動(Paf)の予測因子となりうるかを検討し
た.対象と方法:Paf の既往がなくかつ安静時の心エコー図検査で心機能異常が認められない無症候性肥大型心筋症患者 23 例を対象とし,
11 年間の前向き調査を施行した.調査開始時に全例に対してトレッドミルテストを施行し,安静時とピーク時に心エコー図検査を施行し
た.通常の心エコー図指標に加えて心尖四腔断層像および二腔断層像における左室の心室中隔側,前壁,側壁,および下壁の各部位での
長軸 M モードより拡張期における左室心筋の弛緩開始遅延(D-dia)を計測した.結果:11 年間の調査期間中に9例において Paf が認められ
た.調査開始時の安静時と運動負荷ピーク時の通常の心エコー図指標および安静時の D-dia は,Paf が出現した群(Paf(+)群)と出現しなかっ
た群(Paf(-)群)において差がなかったが,運動負荷ピーク時の D-dia は Paf(+)群では Paf
(-)群に比して有意に高値を示した.結論:無症候
性肥大型心筋症患者において運動負荷により誘発される左室拡張期弛緩開始遅延は Paf の予測因子となり得る.
- 167 -
P52
嘔吐、食欲不振を主訴に入院し、心臓超音波検査を契機にアミロイド−シスの診断に至った一例
宮崎生協病院
高田 慎吾、遠藤 豊
【はじめに】 腹満、嘔吐の消化器症状が持続するため精査目的で当院に紹介され入院し、心エコー図所見から本疾患を疑い診断すること
ができた症例を経験したので報告する。【症 例】76 歳 女性 主訴:腹部膨満、持続する嘔気、嘔吐 現病歴:2005 年春頃より起きあが
りにくさを感じていた。同年 12 月頃より全身の浮腫、心嚢液の貯留が出現したため利尿剤が開始された。2006 年 1 月はじめに腰椎圧迫骨
折発症し 1/19∼2/9 まで近医入院した。その時の入院中に嘔気、嘔吐出現した。3/10 に胃拡張、胃充満を指摘され精査目的で 3/15 当院入院
した。【入院時現症】身長 143.3cm 体重 35.5kg 血圧 106/50 mmHg 脈拍 105/min 整 体温 36.7 ℃ 理学的所見:意識)清明 胸部)肺音
清 S4 聴取 心雑音なし 腹部)soft & flat 腹鳴正常 脛骨前浮腫(-)
出血傾向(-)
入院時検査:検尿)尿蛋白(±)尿糖(-)尿潜血(+)ウロ
ビリ(±)生化学)TP 6.8 T-Bil 0.9 AST 27 ALT 35 ALP 304 LDH 276 ChE 3314 γ-GTP 36 CPK 50 T-Cho 182 HDL-C 51 TG 97 BUN 17.0 Cr 0.63
Na 135 K 3.7 Cl 94 BS 120 CRP 0.05 【腹部エコー検査】胃壁肥厚 膀胱壁肥厚 一部乳頭状肥厚 右腎水腎症 【内視鏡検査】胃)胃粘膜
浮腫、びらん、胆汁逆流。十二指腸 2nd. Portion まで観察し狭窄病変無し。直腸・S状結腸)発赤と粘膜浮腫 【経胸壁心エコ−図検査】僧
帽弁、三尖弁、右室壁、心房中隔の浮腫状肥厚 心室中隔に granular sparkling pattern 様の輝度上昇 心エコー図所見からアミロイドーシス
を疑い大腸生検を行いアミロイドーシスの診断が得られた。画像は当日供覧します。
P53
心筋のねじれ評価による肥大型心筋症と高血圧性心疾患の鑑別
1
済生会熊本病院 中央検査センター 心血管エコー室、2 済生会熊本病院 心臓血管センター 循環器内科
村上 未希子 1、西上 和宏 2、新井 光太郎 2、由解 公子 1、富田 文子 1、志水 秋一 1、浪崎 秀洋 1、那須 ふみ 1、早川 裕里 1、西冨 恵美 1、
金森 多美 1、小郷 美紀生 1
【目的】肥大型心筋症
(HCM)と高血圧性心疾患
(HHD)は、心エコー断層図での鑑別が困難である場合が少なくない。HCM は肥大部分の心
筋配列の錯綜により、心筋のねじれが低下している可能性があるが、HHD は心筋肥厚が主体でねじれの障害は少ないと想像される。本研
究では、HCM と HHD の心筋のねじれの違いと両者の鑑別における有用性について検討した。
【方法】良好な左室短軸断面像が得られ、壁運動異常を認めない HHD8 例
(62.6 ± 9.9yr.)、HCM 患者 6 例(52.2 ± 20.8yr.)を対象とした。HCM
と HHD の診断は家族歴、現病歴と心電図を含めて総合的に判断した。2D スペックルトラッキング法を用いて、腱索および心尖部レベルの
短軸像における回転角度を計測し、両者の差から左室心筋のねじれを求めた。診断装置は GE 製 Vivid7、解析は GE 製 EchoPAC を用いた。
【成績】HCM では心尖部の回転は 8.4 ± 2.0°、心基部の回転は -6.0 ± 1.9°であり、HHD では心尖部の回転は 16.8 ± 3.5°、心基部の回転は
-8.6 ± 4.6°であった。心筋のねじれは HCM で 13.6 ± 1.9°、HHD で 24.7 ± 4.0°と有意に HHD で大であった
(p < 0.05)。心筋のねじれにお
いて HCM は 17°未満、HHD は 17°以上とした場合、HCM と HHD の鑑別における診断能は感度 100%、特異度 100%であった。
【結論】HHD は HCM に比し、左室のねじれが有意に増加していた。HHD と HCM を鑑別する上で、心筋のねじれを評価することは有用と
考えられた。
P54
進行性筋ジストロフィ(DMD)の左室心筋の捩れー乳頭筋レベルでの検討ー
1
独立行政法人国立病院機構徳島病院小児科、2 徳島大学発生発達医学講座小児医学分野、3 徳島市民病院小児科
宮崎 達志 1、多田羅 勝義 1、森 一博 2、香美 祥二 2、井上 美紀 3
【背景・目的】DMD では左室短軸断面で異常な回転運動がしばしば観察される。本研究は、健常者の乳頭筋レベルでの心筋の捩れの正常
値を明らかにすると共に、DMD での特徴を明らかにした。
【対象】DMD 17 名(年齢 15.2 ± 3.3 歳、SF 27.0 ± 7.3%)、年齢をマッチさせた
健常者 22 名【方法】日立 EUB6500 を用い、左室短軸乳頭筋レベルで回転角度(4部位の平均値)と、その1次微分である回転速度を算出
した。更に、24 時間心電図による心臓自律神経機能との関連を検討した。【結果】(1)健常者と DMD とも、収縮期は反時計回転(2.6 ± 1.5
vs. 3.5 ± 1.7 度)、拡張期は時計回転を認め(2.6 ± 1.6 vs. 2.9 ± 1.9 度)、両群で有意差を認めなかったが、総回転角は DMD の方が大きかっ
た(5.2 ± 1.3 vs. 7.3 ± 1.4 度 P < 0.05)
。(2)収縮期反時計回転の最大速度は DMD で大であった(-16.3 ± 8.5 vs. -30.3 ± 15.8 度 / 秒 P < 0.005)。
(3)拡張期時計回転の最大速度には有意差はなかったが、反時計回転の最大速度は DMD が大であった(-16.0 ± 8.0 vs. -25.7 ± 13.2 度 / 秒
P < 0.05)。(4)拡張期開始から反時計最大速度に達するまでの時間は DMD で長かった。
(5)左室の部位別回転角は両群共に下壁が他の
部位より大きかったが DMD では後壁が健常者と比べて小さい傾向にあった。
(6)
心臓自律神経機能との関連では、副交感神経機能(%RR50)
が低下している例で総回転角が大きい傾向にあった
(r = 0.7 p < 0.05)。【考察】DMD では、乳頭筋レベルの総回転角および回転速度が増大
している事が判明した。DMD では心機能低下を回転運動の増大で代償している可能性が考えられ、相対的な交感神経機能亢進がその機序
のひとつであると推察された。
- 168 -
P55
心不全を契機に発見された孤立性左室緻密化障害の 3 成人例:2D ストレイン法による検討
1
札幌医科大学 医学部 第二内科、2 札幌医科大学 医学部 機器診断部
堀田 寛之 1、湯田 聡 2、矢野 俊之 1、下重 晋也 1、若林 剛 1、橋本 暁佳 1、土橋 和文 1、島本 和明 1
【背景・目的】孤立性左室緻密化障害(IVNC)は壁運動の低下を特徴とし、近年心エコー図法の診断精度の向上により、IVNC の成人例
の報告が増加してきているが、その壁運動を定量的に評価した報告は少ない。今回我々は心不全を契機に発見された IVNC3 例において、
定量的に心機能を評価可能な 2D ストレイン法を用いて、長軸、短軸、円周方向の心機能を評価したので報告する。
【方法】心エコー図法
にて IVNC と診断された 3 例(男性 2 例、平均年齢 69 ± 4 才)と、年齢を一致させた健常例 20 例(男性 8 例、平均年齢 68 ± 6 才)を対象に、
GE 社製 Vivid7 を用いて、左室長軸三断面の心基部、中部 12 領域(長軸方向)及び僧帽弁レベル左室短軸像の 6 領域(短軸と円周方向)に
おいて、収縮期最大ストレイン値を計測し平均化した
(各々 Ls、Rs、Cs)。【結果】IVNC の Ls、Rs、Cs は、健常例に比べ全例とも低下を認
めた(表)。緻密化部位(n = 7)と非緻密化部位(n = 29)の Ls には有意差を認めなかった(− 6.4 ± 7.8 vs. − 5.3 ± 6.0 %、p = NS)
。【結論】
IVNC において、長軸、短軸及び円周方向ともに収縮能の低下を認めた。
P56
孤立性左室心筋緻密化障害の 1 症例
1
松江市立病院 中央検査科、2 松江市立病院 循環器内科、3 松江市立病院 心臓血管外科、4 松江市立病院 小児科
城市 由美子 1、太田 哲郎 2、広江 貴美子 1、清水 弘治 3、角 瑞穂 1、角 隆 1、井上 慎一 2、岡田 清治 2、石原 研治 1、村上 林兒 2、
小西 恭子 4
三次元心エコー図法は立体的な構造を評価するのに有用であるが、今回、われわれは左室心筋緻密化障害の症例にコントラストエコー法
を併用して三次元心エコー図法による観察を行ったので報告する。症例は 46 歳男性。不整脈の自覚があり近医を受診。不整脈の精査のた
め当院循環器内科に紹介された。心電図は I,II,a V L,V5,V6 で陰性T波と胸部誘導で高電位、心室性期外収縮の散発が認められた。胸部レ
ントゲンは CTR47%、肺うっ血の所見は認められなかった。経胸壁心エコー図(2DE)は LVDd70mm、LVDs63mm、LVEF22% と左室拡大
と左室壁運動の低下が認められた。僧帽弁閉鎖不全、大動脈弁閉鎖不全を認めず、短絡疾患などの先天性心疾患は認められなかった。左
室心尖部から側壁の肉柱が著明で、カラードプラ法では肉柱間へ流入する血流が観察され、左室
心筋緻密化障害が疑われた。三次元心エコー図法では心尖部から側壁に網目状の肉中構造が認め
られ、レボビスト投与を行うと拡張末期に左室内腔から肉柱にコントラストが充満するのが観察
された。
P57
心エコー図検査が診断・経過観察に有用であった、逆たこつぼ型心筋症の一例
1
獨協医科大学越谷病院 循環器内科、2 獨協医科大学越谷病院 臨床検査部
薬袋 路子 1、山口 千尋 1、善利 博子 1、長瀬 衣代 1、市原 美知子 1、小林 さゆき 1、酒井 良彦 1、高柳 寛 1、白沢 吏加 2、佐々木 伸二 2、
小沼 善明 2、木村 紀子 2
症例は 44 歳、女性。平成 18 年 8 月 26 日膀胱腫瘍に対し、局所麻酔下に経尿道的生検を施行中胸痛が出現。心電図上V 2∼V 4 にてST低
下を認めたため当科コンサルトとなった。胸痛時の心エコー図検査上左室基部にて全周性の壁運動低下、および心尖部での過収縮を認め、
逆たこつぼ型心筋症が疑われた。同日施行の緊急冠動脈造影では冠動脈の有意狭窄はなく、左室造影にて心エコー図と同様の左室壁運動
異常が認められた。以上より逆たこつぼ型心筋症と診断した。左室壁運動異常は第 7 病日の心エコー図検査では消失、正常壁運動に改善し
た。第 13 病日の心臓カテーテル検査において左室造影では壁運動障害は認めず、アセチルコリン負荷にて冠攣縮が誘発された。11 月 20 日
全身麻酔下にて膀胱部分切除術が施行され、膀胱腫瘍の病理組織所見は褐色細胞腫であった。今回我々は膀胱腫瘍生検中に発症し、カテ
コラミン誘発性または冠攣縮の関与が疑われた逆たこつぼ型心筋症を経験た。その際、心エコー図検査にて病初期より逆たこつぼ型の特
異な壁運動異常を確認し、経過を観察し得た。ストレス状況下の胸痛症例において、心エコー図検査は診断、その後の検査・治療方針を
考える上で有用であると考えられ、報告とした。
- 169 -
P58
肥大心における壁厚と strain imaging との関係
1
名古屋大学大学院 医学系研究科 病態解析学分野、2 名古屋大学 医学部 保健学科、3 名古屋大学医学部附属病院 循環器内科、
名古屋大学医学部附属病院 検査部、5 愛知学院大学 歯学部
美濃島 慎 1、野田 明子 2、宮田 聖子 1、原 祐樹 1、杉浦 真里 1、西澤 孝夫 3、浅野 展行 3、井澤 英夫 3、永田 浩三 2、飯野 重夫 4、室原 豊明 3、
横田 充弘 5、古池 保雄 2
4
【目的】肥大型心筋症(HCM)では心筋血流や冠予備能の低下が報告されている。今回、HCM における心内膜側および心外膜側心筋 strain
imaging について検討した。
【方法】対象は HCM 患者 7 例(67.0 ± 6.2 歳 : HCM 群)、高血圧性左室肥大患者 9 例(55.0 ± 10.4 歳 : H-LVH 群)および健常成人 15 例(59.5 ±
13.9 歳 : control 群)であった。従来の心エコー法に加えて、組織ドプラ法により左室乳頭筋レベル短軸断面像における左室後壁と心室中隔
の radial strain および strain rate(SR)を解析した。
(1.05 ± 0.19
【結果】左室後壁において、心内膜側心筋 strain の最大値(ε endo)は control 群に比し、H-LVH 群および HCM 群で有意に低下した
vs. 0.74 ± 0.22, 0.54 ± 0.19, p < 0.05)。収縮期および拡張早期の心内膜側心筋 SR(SRsys および SRdia)は control 群に比し、HCM 群で有意に低下
した(SRsys:4.62 ± 1.44s-1 vs. 2.85 ± 0.59s-1, SRdia:7.51 ± 3.23s-1 vs. 3.17 ± 1.74s-1, p < 0.05)。ε endo は左室拡張早期最高血流速度と心室中隔側僧
帽弁輪部運動速度の比(E/Ea)との間に有意な相関関係を示した(r = -0.43, p < 0.05)。一方、心室中隔において、ε endo および SRdia は control
。Strain および SR は、
群に比し、HCM 群で有意に低下した(ε endo:0.48 ± 0.15 vs. 0.28 ± 0.14, SRdia:3.10 ± 1.29s-1 vs. 1.51 ± 0.62s-1, p < 0.05)
HCM および H-LVH の疾患群において壁厚との間に有意な相関関係を示さなかった。
【結論】HCM および H-LVH の疾患群において、strain および SR は有意に低値を示したが、壁厚との間に有意な相関関係は認められなかった。
心内膜側および心外膜側心筋 strain imaging は HCM の病態生理の把握に有用と考えられた。
P59
虚血性僧帽弁閉鎖不全症におけるリアルタイム 3D 心エコー図を用いた検討
神戸市立中央市民病院 循環器内科
谷 知子、田辺 一明、北井 豪、山根 崇史、呉羽 布美恵、片山 美奈子、民田 浩一、尾田 知之、江原 夏彦、木下 慎、加地 修一郎、
山室 淳、盛岡 茂文、木原 康樹
【背景】僧帽弁(MV)の tethering は虚血性僧帽弁閉鎖不全症(IMR)において認められ、予後に影響する。我々は IMR 症例にてリアルタイ
ム 3D 心エコー図(RT3D)および 2 D心エコー図を施行し、MR の重症度および各パラメーターについて検討した。
【方法】陳旧性心筋梗塞症
後に IMR を合併した 19 名を対象とした。心房細動例、僧帽弁疾患合併例は除外した。RT3D(Vivid 7, GE Yokogawa Medical)を用いて心尖
部3断面像より MV の tenting area および tenting volume を計測した。経胸壁心エコー図
にて左房径(LAD), 左室拡張末期径(LVDd)
, 収縮末期径(LVDs)を計測した。また、
Modified Simpson’
s method にて左室駆出率
(EF)を計測した。MR はカラードプラー法
に分類した。
にて定性的に評価し、3 群(Group A:mild, Group B:moderate, Group C:severe)
【結果】Table に結果を示す。【結論】IMR において、MR の重症度は LA 径よりも RT3D
における tenting volume ならびに tenting area と相関を示し、RT3D の有用性が示唆され
た。
P60
虚血性僧帽弁閉鎖不全症例における左室 Dyssynchrony の検討:リアルタイム 3 D心エコー図を用いて
神戸市立中央市民病院 循環器内科
谷 知子、田辺 一明、北井 豪、山根 崇史、呉羽 布美恵、片山 美奈子、民田 浩一、尾田 知之、江原 夏彦、木下 慎、加地 修一郎、
山室 淳、盛岡 茂文、木原 康樹
【背景】虚血性僧帽弁閉鎖不全症(IMR)は陳旧性心筋梗塞症例(OMI)にしばしば認められる。今回我々はリアルタイム 3 D心エコー
図(RT3D)を 用 い て OMI 症 例 に お け る dyssynchrony と IMR と の 関 係 に つ い て 検 討 を 行 っ た。
【 方 法 】OMI15 症 例 に つ い て 検 討。 左 室
dyssynchrony は RT3D( iE33, Philips Medical System)
を用い、左室 17 各セグメントの最大収縮時相(Tmsv)
を計測。また、17 セグメントの Tmsv
の標準偏差
(Tmsv-SD)を各症例において算出した。左室拡張末期容量(EDV), 左室収縮末期容量(ESV)および左室駆出率(EF)は modified
biplane Simpson’
s 法を用いて計測した。MR はカラードプラー法より定性的に評価した。【結果】症例を中等度以上の MR を認める OMI 群
(Group A:9 例)および軽度 MR 群(Group B:6 例)の 2 群に分類。EF(34 ± 8 vs. 36 ± 10%, p = 0.57: Group A vs. B), EDV(162 ± 42 vs. 118
± 43ml, p = 0.09: Group A vs. B)および ESV(109 ± 35 vs. 78 ± 39 ml, p = 0.15: Group A vs. B)は 2 群間で有意差を認めなかった。各群の標
。【結論】RT3D は
準偏差 Tmsv-SD は Group A において Group B よりも有意に延長していた(74 ± 18 vs. 48 ± 10 msec, p = 0.02: Group A vs. B)
OMI 症例において、左室 dyssynchrony および IMR 重症度との相関の検討に有用である。
- 170 -
P61
三次元心エコー法および組織ドプラ法による大学生アスリートにおける運動中の左心機能の検討
1
名古屋大学大学院 医学系研究科 、2 名古屋大学 医学部 保健学科、3 名古屋大学 医学部附属病院 杉浦 真里 1、野田 明子 2、宮田 聖子 1、美濃島 慎 1、原 祐樹 1、足立 由希 2、伊藤 理恵子 3、飯野 重夫 3、永田 浩三 2、古池 保雄 2
【目的】三次元(3D)心エコー法および組織ドプラ(TDI)法により、信頼性の高い一回拍出量(SV)や詳細な左心機能情報を得ることが
できると考えられている。今回これらの方法により大学生アスリートの運動中の左心機能を評価することを目的とした。
【方法】対象は健
常人男性 25 例[日常的に運動を行っている 11 例 : アスリート群(A 群)、運動を行っていない 14 例 : 非アスリート群(NA 群)
]とした。自
転車エルゴメーターにより運動負荷を行い運動中の一回拍出量係数(SVI)、心係数(CI)を 3D 心エコー法により測定した。また SV を M モー
ド法、パルスドプラ(PW)法、二次元法、3D 法の 4 法で測定し同一者間および他者間変動を検討した。さらに PW 法により左室流入血流
速波形の最高血流速度(E)を、TDI 法により心室中隔側僧帽弁輪部運動速度の拡張早期ピーク値(Ea)を計測し E との比(E/Ea)を算出
した。【結果】SVI および CI は心拍数が 100 bpm 以下では A 群と N 群の間で有意差を認めなかった。心拍数が 101∼110 bpm のとき SVI は A
群 63.0 ± 10.0 ml/m2、NA 群 52.5 ± 8.1 ml/m2、CI は A 群 6.6 ± 1.0 l/min/m2、NA 群 5.6 ± 0.9 l/min/m2 となり心拍数が 100 bpm を超えると A 群
の SVI および CI は NA 群と比し有意に増大した(p < 0.05)。同一者間および他者間変動はいずれも 3D 法が最も小さかった。E/Ea は安静時、
運動中のいずれも両群の間で有意な差は認められなかった。
【結論】3D 心エコー法と TDI 法の両法の併用は運動中の壁運動のみならず左室
収縮および拡張機能評価に有用であると考えられた。
P62
繰り返す一過性脳虚血発作を契機に発見された両弁置換・左心耳閉鎖後血栓の1例
1
東京女子医科大学 循環器内科、2 東京女子医科大学 心臓血管外科
郡司 一恵 1、谷本 京美 1、古堅 あずさ 1、保坂 元子 1、小松 由季 1、高木 厚 1、石塚 尚子 1、笠貫 宏 1、小林 豊 2、川合 明彦 2、黒澤 博身 2
症例は 77 歳、女性。2006 年 9 月 29 日、大動脈弁狭窄症・僧帽弁狭窄症に対し大動脈弁・僧帽弁人工弁置換術、MAZE 手術、左心耳閉鎖術
を施行した。術後 14 日目に視野障害を主症状とした一過性脳虚血発作(TIA)が出現、以後同様の TIA を繰り返すようになった。頚動脈エ
コー・経胸壁心エコーでは、プラーク・血栓など TIA の原因となり得る有意な所見は認めなかった。心腔内血栓を疑い術後 15 日目に経食
道心エコーを施行した。閉鎖した左心耳と左房に僅かな交通が認められ、左心耳内から左房腔に 15 × 6mm の可動性のある血栓が突出して
いた。抗凝固療法施行としては Warfarin Potassium 内服投与(PT-INR 2.15)を行っており、βTG・PF4 などの凝固関連検査の異常はなかった。
Heparin Sodium の持続静注を開始し術後 31 日目には経食道心エコーにて血栓の消失を確認した。血栓の原因としては、1. 左心耳閉鎖が不充
分で左房との交通がみられたこと、2. 術後一時的に洞調律となったものの、再度心房細動となっていたことが考えられた。左心耳閉鎖部
に血栓を生じた稀な症例であり、血栓の検索に経食道心エコーが有用であったため報告した。
P63
経弁最大血流速度による経時変化からみた高齢者大動脈弁狭窄症の特徴
1
北里研究所病院 内科循環器科、2 北里研究所病院 臨床生理検査室
島田 恵 1、小平 まさみ 2、中島 純子 2、山田 洋子 2、木村 さゆり 2、木村 有里香 2、志賀 洋史 2、馬場 彰泰 1、高橋 路子 1、赤石 誠 1
【目的】近年高齢化社会に伴い、大動脈弁狭窄症の症例が増加し、特に高齢者の治療には難渋することが多い。しかし、日本人において心
エコーで詳細に検討した報告は少ない。本研究では経弁最大血流速度による経時変化から高齢者大動脈弁狭窄症の特徴を検討した。
【方法】
症例は当院の心エコーデータベースから大動脈弁経弁最大血流速 3m/s、左室大動脈間最大圧較差 35mm Hg以上の患者の中でエコーを 6 ヶ
月以上の経過で 2 回以上施行した 47 例を対象とした。80 歳以上の高齢者群 25 例(H 群、平均年齢 86.3 ± 4.3 歳、男 8 女 17、硬化性 24、リ
ウマチ性1)と 80 歳未満の群 22 例(N 群、65.5 ± 8.8、男 19 女 3、硬化性 14 リウマチ性 1、二尖弁 3、透析患者 4)の 2 群に分け、ドプラ法
により求めた大動脈弁最大血流速、簡易ベルヌーイ式を用いて算出した最大圧較差の年変化量を算出した。この解析に用いたデータは心
エコー施行の最初と最後のデータを使用した。また各群の予後についても検討した。【成績】平均経過期間は H 群 3.00 ± 1.75(0.82∼8.07)
年、N 群 2.30 ± 1.31(0.84∼5.42)であった。最大血流速、最大圧較差は H 群で 0.27 ± 0.15m/s/ 年、8.62 ± 4.69mmHg/ 年、N 群で 0.40 ± 0.25、
13.37 ± 9.21 で、N 群が進行が速かった(p < 0.05)。予後は、H 群で大動脈弁置換術(AVR)施行 1 例、死亡 8 例(32%、突然死2、心不全
死6)
、N 群で AVR 施行 6 例、死亡 4 例(18%、突然死0、心不全死4)であった。
【結論】高齢者の大動脈弁狭窄症では経弁最大血流速度
の進行は少ないが、AVR が実施できない場合が多く、予後不良であった。
- 171 -
P64
小児期の大動脈二尖弁の形態と臨床像の関連性の検討
1
岩手医科大学 中央臨牀検査部、2 岩手医科大学小児科、3 三愛病院循環器科、4 岩手医科大学臨床検査医学
佐々木 幸子 1、伊藤 記彦 1、嘉村 幸恵 1、菖蒲沢 実 1、武田 美香 1、佐藤 陽子 2、高橋 信 2、小山 耕太郎 2、那須 雅孝 3、諏訪部 章 4
【目的】大動脈二尖弁は先天性心疾患のなかでもっとも頻度が高く、若年者、高齢者の大動脈弁膜症の主因のひとつであるが、小児から成
人への臨床像の推移は明らかでない。また、大動脈弁形成術の開発によって小児期∼青年期における手術治療の可能性が広がっている。
今回、小児の大動脈二尖弁の形態と臨床像の関連を検討した。
【方法】小児科で経過観察中の大動脈二尖弁 62 例(男性 43 例、女性 19 例)
を対象とした。最終検査時点の年齢は生後 3 週から 22 歳(中央値 11 歳)であった。二尖弁の形態を、心エコー図で癒合している弁尖から、
右冠尖−左冠尖型(RL)、右冠尖−無冠尖型(RN)、左冠尖−無冠尖型(LN)および分類不能(UN)の 4 群に分け、合併症の有無、AS、
AR の有無と経時的変化を検討した。【結果】二尖弁の形態は RL 27 例、RN 15 例、LN 4 例、UN 16 例であった。合併症は心内短絡を伴わな
い大動脈縮窄 10 例、心内短絡を伴う大動脈縮窄(CoA 複合)9 例、大動脈弓離断 2 例、VSD 8 例、PDA 5 例、ASD 2 例等であり、23 例には
合併病変がなかった。感染性心内膜炎の合併はなかった。CoA 複合では他の群に比べて RL が多く(9 例中 7 例)みられた。左室−大動脈
最大圧較差 30 mmHg 以上の AS は 18 例であったが、経過観察中に増強する例はなかった。中等度以上の AR は 13 例でみられ、11 例は 10 歳
以上であり、経過観察中に進行する例がみられた。二尖弁の形態と AS、AR の合併との間に関連はなかった。
【結論】二尖弁の形態と CoA
複合の発生の間に関連が示唆された。小児期に AS が増強することはまれであるが、AR は 10 歳台に進行する例があった。
P65
外科的弁輪縫縮術後には虚血性僧帽弁逆流の jet は前方へ向かう傾向があり後尖 tethering と関連がある
1
鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・代謝内科学、2 産業医科大学第 2 内科、3 鹿児島大学大学院循環器・呼吸器・消化器疾患制御学、
鹿児島大学病院検査部
桑原 栄嗣 1、尾辻 豊 2、井畔 能文 3、上野 哲哉 3、吉福 士郎 1、窪田 佳代子 1、高崎 州亜 1、仲敷 健一 1、植村 健 1、水上 尚子 4、木佐貫 彰 1、
坂田 隆造 3、鄭 忠和 1
4
【背景】虚血性僧帽弁逆流(MR)の逆流 jet は左房中央ないし後方へ向かう。
【仮説】弁輪縫縮術
(MAP)後には、後尖 tethering は増強し、
前尖は相対的に逸脱し、後尖に平行かつ前方へのMR jet が出現しうる。【目的】MAP 前および後の弁尖形態と逆流 jet 方向の検討。
【方法】
MAP 未施行の虚血性MR 32 例と MAP 後の虚血性MR残存 10 例において、弁尖 tethering(α1 およびα2)と MR jet 方向(θ)を検討。
【結果】
1)MAP(-)群に比べ MAP(+)群は、前尖 tethering は同程度であったが、後尖 tethering は高度で(α2:
57 ± 9 vs. 111 ± 13 度 , p < 0.0001)、相対的前尖逸脱を呈した。2)MAP(+)群では MAP(-)群と比
べて、jet 方向はより前方へ向かい(θ: 64 ± 10 vs. 85 ± 9 度 , p < 0.05)、後尖 tethering の増強と関
連があった(r = 0.67, p < 0.05)
。【結語】虚血性MRに対する MAP 後には、後尖 tethering は増強し、
MR jet は前方へ向かう。
P66
著明な左室肥大を認め、うっ血性心不全を呈し、軽快退院した超高齢者患者の一例
広島逓信病院 第一内科
湯谷 剛
症例:96歳女性 . 主訴:呼吸困難 , 両下肢浮腫 . 現病歴:以前より労作性呼吸困難を認め , 2006年2月近医受診 . 両下肢の浮腫を認め ,
利尿剤の内服投与を受けていた . 胸部不快感と下肢浮腫の増悪を認め , 3月24日近医受診し当院へ3月25日紹介入院となる . 現症:意識
は清明 , 血圧110 / 62 mmhg, 脈拍は整で70 bpm,SpO2 91 %、聴診上胸骨左縁第二肋間に収縮性駆出性雑音 Levine 4 / 6を認め , 両側
下肢に高度の浮腫を認めた . 胸部レントゲン : 両側胸水 ,CTR 60 %. 心電図:洞調律で , 左室肥大 . 経胸壁心エコー図:左室は求心性肥大で
壁厚は , 20 mm. 大動脈弁は著明な硬化性変化を認め , 左室 - 大動脈の最大圧較差は約80 mmhg であった . 入院経過 : 利尿剤の静注を行い ,
胸水はほぼ消失し , 4月11日軽快し , 独歩で退院した .
- 172 -
P67
高齢者における軽症・中等症大動脈弁狭窄の進行に関する検討
川崎医科大学 循環器内科
久米 輝善、大倉 宏之、渡辺 望、根石 陽二、岡橋 典子、吉田 清
背景:これまで、高齢者ほど大動脈弁狭窄の進行が速いことが報告されているが、軽度・中等症大動脈弁狭窄症例における大動脈弁狭窄
の進行に関する検討は少ない。そこで本検討の目的は、軽症から中等症大動脈弁狭窄症例を対象に、加齢の大動脈弁狭窄の進行速度に及
ぼす影響について検討することである。方法:大動脈弁口面積が 1.0 cm2 以上の軽症・中等症大動脈弁狭窄を対象に 80 歳以上の 20 症例(男
性 12 例,女性 8 例,年齢 84 ± 4 歳)と 80 歳未満の 21 症例(男性 10 例,女性 11 例,年齢 66 ± 6 歳)との間に大動脈弁狭窄の進行速度に差
があるかどうか検討した。経過観察期間は 27 ± 11 ヶ月であった。経胸壁心エコー図を用いて左室拡張末期径、左室駆出率、大動脈弁口面積,
大動脈弁通過最大血流速度を測定し、大動脈弁口面積の経年変化を大動脈弁口面積減少率(cm2/year)として算出した。結果:80 歳以上と
80 歳未満の群で、大動脈弁通過最大血流速度の増加率には有意な差は認めなかったが(0.11 ± 0.13 vs 0.11 ± 0.14 m/sec/year, p = 0.932)、大
動脈弁口面積減少率は 80 歳以上の群で有意に高値であった(0.05 ± 0.06 vs 0.10 ± 0.08 cm2/year, p = 0.014)。両群間にスタチンなどの投薬
状況に有意差を認めなかった。大動脈弁口面積と年齢との間に有意な正相関を認め(r = 0.309, p = 0.049)、大動脈弁口面積減少率を目的変
数とした重回帰分析では、年齢が大動脈弁口面積減少率に関与する最も重要な因子と判定された
(r = 0.342, p = 0.002)。結語:80 歳以上の
軽症・中等症大動脈弁狭窄症例は、80 歳未満の症例と比較し大動脈弁狭窄の進行速度が速く,注意深い経過観察が必要であると考えられた。
P68
当院にて初めて硬化性大動脈弁狭窄症と診断された患者の臨床的背景と経過
手稲渓仁会病院心臓血管センター循環器内科
村上 弘則、林 健太郎、中島 育太郎、武藤 晴達、淺野 嘉一、宮本 憲次郎、大本 泰裕、山口 康一、廣上 貢、塙 なぎさ、田中 繁道
【目的】初めて硬化性大動脈弁狭窄症(AS)と診断された患者の臨床的背景と経過を調査。
【対象と方法】2000 年 1 月 1 日から 2006 年 10 月
12 日に心エコー図で硬化性 AS と初めて診断された 321 例(男 125 例、女 196 例)を対象とし、経過を観察した。硬化性 AS の定義は 65 歳以
上で大動脈弁圧較差
(AVPG)25mmHg 以上、且つ、他の AS 発症要因がない患者とした。AVPG は CW 法、大動脈弁口面積は連続の式より求
めた。ACC/AHA ガイドラインに従い、AVPG ≧ 64mmHg を重症群(1 群、86 例)、これ未満を非重症群(2 群、235 例)に分類して検討した。
【結果】初回診断数は 2003 年以後急増した。1 群の平均年齢は男性 76 歳、女性 82 歳、2 群では男性 80 歳、女性 81 歳であった。無症状患者
は 1 群で 16%、2 群で 32% であった。両群で糖尿病、高脂血症、虚血、脳血管疾患、腎障害、肝障害、肺疾患、認知症の合併率に差はなく、
心不全発症率も差はなかったが、高血圧と癌は 2 群に多かった。1 群の 39 例(45%)と 2 群の 19 例(8%)が経過観察中大動脈弁置換(AVR)
を施行された。1 群の AVR 未施行 47 例のうち、手術リスクの無い例は 6 例のみであった。死亡は 1 群で AVR 施行の 3 例を含め 14%、2 群で
は 11% で AVR 施行患者に死亡はなかった。【考察】硬化性 AS の初診断時年齢は非常に高齢で、重症患者でも無症状例があるため、有症状
を手術適応基準の一つとせず、より早期に手術を決断すべきである。しかし、硬化性 AS 患者は虚血、腎障害、認知症、癌など様々な疾患
の合併が多く、手術の可否判定には患者の全体像の把握が重要である。
P69
頚動脈病変から大動脈弁狭窄症における冠動脈疾患合併の有無を予測することは可能か?
1
大阪医科大学 中央検査部、2 大阪医科大学 第三内科
和泉 多恵子 1、伊藤 隆英 2、川西 泰徳 2、田中 恵美子 1、竹内 淑恵 1、北浦 泰 2
【目的】大動脈弁狭窄症(AS)において冠動脈疾患(CAD)の合併はまれではない。本研究では、AS 患者において施行した頚動脈エコー
より IMT およびプラークの有無を評価し、これらの所見から CAD の合併が予測できるか否か検討した。
【方法】
対象は連続 42 症例の AS 患者。
女性 25 名、透析患者 8 名、大動脈弁圧較差 89 ± 30mmHg。総頚動脈の IMT は左右各 3 点の平均とした。【結果】術前の冠動脈造影にて CAD
合併を認めたのは 9 名であった。年齢は CAD 群と非 CAD 群には差異がなかった(77 ± 7 歳 vs. 74 ± 7 歳)
。冠危険因子は、高血圧 67% vs.
42%(CAD 群 vs. 非 CAD 群)
、糖尿病 44% vs. 15%(以下同様)、高脂血症 67% vs. 27%、喫煙 33% vs. 30%であった。頚動脈病変については、
IMT ≧ 1.0 mm を示した患者の割合は 67% vs. 24%、プラークを認めた患者の割合は 89% vs. 45% であった(いずれも有意差なし)
。高血圧
および高脂血症を合併した患者において、いずれかの頚動脈病変が存在した場合、71% の患者に CAD を認めた。【結論】AS 患者において、
頚動脈エコーの動脈硬化所見のみによる CAD の合併予測は困難であり、冠危険因子の存在を加味する必要がある。
- 173 -
P70
大動脈弁逆流症における大動脈弁置換術の至適時期の検討
1
神戸市立中央市民病院 循環器内科、2 神戸市立中央市民病院 臨床検査技術部、3 神戸市立中央市民病院 心臓血管外科
米山 文子 1、田辺 一明 1、山口 一人 2、谷 知子 1、八木 登志員 2、藤井 洋子 2、紺田 利子 2、川井 順一 2、角田 敏明 2、盛岡 茂文 1、岡田 行功 3、
木原 康樹 1
【背景】大動脈弁逆流
(AR)患者において、大動脈弁置換術
(AVR)後の左室収縮能を予測する指標に関して、日本人を対象とした報告は少
ない。本研究では、術前の心エコー検査で AVR 後の左室収縮能低下を予測可能か検討した。
【方法】対象は、AVR を施行した重症 AR 患者 64 例(平均年齢 58 ± 12 歳)。AVR 前、後(14.3 ± 1.8 ヶ月)に心エコー検査を行い、術前の左室
拡張末期径(LVDd)
、左室収縮末期径(LVDs)
、左室駆出率
(LVEF)、体表面積
(BSA)で補正した LVDs/BSA を、術後の LVEF と対比検討した。
【結果】術後左室収縮能低下(LVEF < 50%)は 26%に認められた。術後左室収縮能低下を予
測する至適カットオフ値は、LVDd 61mm
(感度 65%、特異度 62%)、LVDs 47mm(感度 76% ,
2
82%、特異度 70%)
であった。
特異度 72%)に対して、LVDs/BSA は 26mm/m(感度
【結語】AR の手術タイミングを考える際、術後の左室収縮能を保つためには術前の LVDs/
BSA も考慮する必要がある。
P71
粘液腫との鑑別診断が困難であった感染性心内膜炎による巨大僧帽弁疣贅の一例
1
京都民医連 第二中央病院 内科、2 大阪市立大学大学院医学研究科循環器病態内科学
佐々木 隆史 1、四方 典裕 1、室生 卓 2
症例は 55 歳、女性。既往歴は糖尿病。主訴は発熱、全身倦怠感。現病歴は入院 3 週間前から発熱、全身倦怠感をみとめるようになり当院受診。
血液検査にて WBC7000、CRP21 と炎症所見の高値をみとめ、抗生剤(点滴・内服)投与にて CRP2.0 へ低下。全身倦怠感が持続するため再診。
CRP の再上昇をみとめ、精査加療入院となる。入院時体温 38.6℃、心尖部に収縮期雑音を聴取。入院時血液培養は2セットとも陰性。そ
の後抗生剤投与にて CRP は次第に低下した。心雑音があったため心エコー図施行。僧帽弁前尖に可動性のある直径約 15mm の異常構造物
が観察された。繰り返す炎症反応から、血培は陰性であったが、感染性心内膜炎を疑った。塞栓のリスクが極めて高いと判断して近隣の
大学病院に転院。準緊急に左房内腫瘤摘出術施行。直径 21mm の僧帽弁前尖に付着したゼリー状で黒褐色調の不整形腫瘤を摘出後、最終的
には人工弁置換術が施行された。病理診断では Bacterial endocarditis, with organized verrucous vegetation and colonies of Gram-positive cocci で
あった。グラム染色により病変部に陽性球菌のコロニーを確認するも、紡錘形細胞は粘液腫で高頻度に陽性になるカルレチニン染色は陰性。
このため当初は腫瘤の大きさや血液培養が二セットとも陰性であったことなどから粘液腫も鑑別に挙げていたが、上記の病理結果から粘
液腫の存在の可能性は低く、感染性心内膜炎による疣贅形成のみの可能性が高いと考えられた。以上から心エコーにおける形態からは粘
液腫との鑑別診断が困難であったが、病理診断から最終的に感染性心内膜炎であった症例を経験した。心エコー図と病理標本の対比を示し、
文献的考察を加え報告する。
P72
Real-time 3-dimensional echocardiography による左室内容量変化を用いた心機能評価法の検討
昭和大学 医学部 第三内科
土至田 勉、上田 宏昭、茅野 博行、平野 雄一、川又 朋章、片桐 敬
【背景・目的】Real-time 3-dimensional echocardiography
(RT3DE)は左室全体の容積変化を連続的に計測することが可能である。本研究の目
的は、心周期での容積の変化から算出した心機能指標の有用性を心臓カテーテル検査による指標と対比して検討すること。
【方法】心臓カテーテル検査を施行した虚血性心疾患 15 例に対し RT3DE を施行。Philips 社製 iE33、Matrix array X3-1 Probe を用い、心拍同
期させフルボリュームモードから得られた 3D 画像を装置内臓のハードディスクに記録し、QLAB-3DQ adv.-prug-in を用いて解析した。一心
周期のボリュームデータから左室容量変化曲線を求め、一次微分し得られた左室内容積勾配曲線から左室最大駆出速度 peak -dV/dt, 左室最
大充満速度 peak +dV/dt を算出、
それぞれ RT3DE での収縮能、拡張能の指標とした。また、RT3DE による左室駆出率 EF(EFRT3DE)も計測した。
心臓カテーテル検査では、収縮期の指標として最大収縮期左室内容圧勾配(max +dp/dt)、左室駆出率(EFLVG)を、拡張期の指標として最大
拡張期左室内圧勾配(max -dp/dt)、時定数
(τ)
を計測し、RT3DE での指標を対比検討した。
(54 ± 7%)と EFLVG(53 ± 9% ; r = 0.74, p < 0.01)は良好な相関が得られ、peak -dV/dt(-247 ± 62 ml/sec)と
【結果】収縮能指標では、EFRT3DE
max +dp/dt(2124 ± 598mmHg/sec; r = 0.66, p < 0.01)との間にも良好な相関を認めた。拡張能指標では、peak +dV/dt(199 ± 75 ml/sec)は
max -dp/dt(1864 ± 285 mmHg/sec; vs. r = 0.72, p < 0.01)とτ(42.6 ± 7.3 sec; r = 0.66, p < 0.01)ともに良好な相関が得られた。
【結語】RT3DE による心機能評価は非観血的に評価できる有用な新しい方法であると考えられた。
- 174 -
P73
左房容積とその変化率を決定する因子:3 D 心エコー法を用いた検討
1
慶應義塾大学病院中央臨床検査部心機能室、2 慶應義塾大学医学部循環器内科
村田 光繁 1、岩永 史郎 2、団 真紀子 1、冨山 久美子 1、羽鳥 泰子 1、岡本 明美 1、近藤 麻紀子 1、篠原 純子 1、松本 幸子 1、中嶋 和子 1、
田村 雄一 2、小川 聡 2、村田 満 1
【背景】左室拡張能の低下は左房容積を増大させることが報告されている。しかし、従来の計測法では、形状が複雑な左房の容積を正確に
計測し容積の変化を評価することは困難であり、左房の容積変化と左室拡張能との関連を検討した報告は少ない。
【目的】左室拡張機能障
害が左房容積に及ぼす影響を明らかにする。【方法】僧帽弁膜症を除く洞調律 68 症例を対象とした。対象を僧帽弁流入血流速度波形で正
常群(N 群、n = 18)、弛緩障害群(A 群、n = 30)、偽正常化群(PN 群、n = 15)及び拘束型群(R 群、n = 5)に分類した。Phillips 社製
iE33 を使用し心尖部像の full volume 記録を行い、3D 解析ソフト(Advanced QLab)を用いて解析した。左房容積の経時変化を計測し、体表
面積で標準化した左房容積(LAVi)及び左房容積変化率((最大 LAVi- 最小 LAVi)/ 最大 LAVi)を求めた。さらに、Tissue doppler 法を用い
て僧帽弁輪移動速度(e’)を測定し左室拡張末期圧の指標である E/e’
と左房機能との関係を検討した。【結果】最大 LAVi は E/e’
と正の相関
を認めた(r = 0.40, P = 0.007)。一方、
左房容積変化率は E/e’
と良好な負の相関関係を認めた(r = -0.59, P < 0.0001)。左房容積変化率は N 群、
A 群間では有意差は認めなかったが、PN 群、R 群では左房容積変化率が有意に低下した(A 群 vs. PN 群:P = 0.0003、PN 群 vs. R 群:P =
0.0007)。【結語】左室拡張機能障害では、左室拡張末期圧の上昇によって左房の容積変化が低下した。3 D 心エコー法によって左房容積の
評価が可能であった。
P74
先天性心疾患における非侵襲的肺高血圧評価:M モードエコーでの検討
北里大学 医学部 小児科
木村 純人、中畑 弥生、石井 正浩
目的:成人領域において、肺高血圧症の重症度に応じた心室中隔の運動パターンの変化が報告されている。今回、先天性心疾患において
肺高血圧患児に同様の傾向が認められるか検討を行った。方法:心臓カテーテル検査を施行した先天性心疾患 25 例に対し検査前日に心エ
コーを施行した。心室中隔の運動パターンを拡張末期基線からの動きによって収縮早期急速前方移動群(11 例)と拡張早期一過性後方移
動群(14 例)に分類した。対象となる心疾患は心室中隔欠損 9 例(術後 3 例)
、心房中隔欠損症 4 例、ファロー四徴症 2 例(術後1例)
、動
脈管開存症 1 例、心内膜床欠損症 3 例(術後1例)、完全大血管転移症術後 1 例、大動脈狭窄 3 例(術後1例)、総肺静脈還流異常症術後 1 例、
僧帽弁閉鎖不全症 1 例であった。結果:収縮早期急速前方移動群は拡張早期一過性後方移動群に対して右室拡張末期圧(6.9 ± 1.65mmHg
vs 5.7 ± 1.35mmHg)、肺平均動脈圧(33.5 ± 20.0mmHg vs 22.3 ± 11.9mmHg)、肺血管抵抗値(3.36 ± 2.64 vs 1.91 ± 0.71)であった。2 群間
において有意差は認めなかったが、肺血管抵抗値は収縮早期急速前方移動群に高い傾向を示した。結論:先天性心疾患において心室中隔
運動に対しMモードエコーにて検討を行った。有意差は認められなかったが、肺血管抵抗値は収縮早期急速前方移動群に高い傾向を示し
ており、今後症例を重ね更なる検討としたい。
P75
RV Tei index は高度肺高血圧症の重症度を反映する
東邦大学医療センター大森病院 小児科
嶋田 博光、池原 聡、高月 晋一、中山 智孝、松裏 裕行、佐地 勉
【目的】心エコーにおける特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)の重症度と予後を予測するために有用な指標について検討した。
【対象】
1998 年から 2006 年 9 月までにエポプロステノール(PGI2)持続静注療法または経口シルデナフィルを開始した 6∼15 歳の 40 例(年齢:
10.8 ± 2.6 歳、男:23、女:17)。NYHA クラスは II:16、III:17、IV:7。開始治療は PGI2:27 例、シルデナフィル:13 例。【方法】後方
視的にエコーの左室拡張末期径、両心室の Tei index、心機能指標と NYHA クラス分類および他の検査所見を比較した。【結果】左室拡張末
期径、両心室 Tei index、E / A、TR による推定右室圧は有意に心不全の重症度を反映していた。RV Tei index は心胸郭比(r = 0.46、p = 0.004)、
心カテーテルの平均肺動脈圧(r = 0.67、p < 0.001)、および肺血管抵抗(r = 0.63、p < 0.001)と高い正の相関を示していた。死亡した 8
例はいずれも治療開始時の RV Tei index が 0.8 以上であった。RV Tei index > 0.8 および BNP > 100pg / ml が死亡、肺移植、原病悪化のリス
ク因子であった(p = 0.008)
。【結論】小児では年齢や体格の影響があるため形態的な指標での重症度判定は困難である。RV Tei index は右
心機能評価が可能で年齢、体格、心拍数の影響が少なく、心不全の重症度を反映し、心カテーテル指標と強い相関があることから重症度
判定に最有用であると考えられた。特に治療開始時に 0.8 以上であるときは注意が必要である。
- 175 -
P76
肥満者における左房容積係数は非肥満者と比し過小評価となる
1
医療生協わたり病院 内科循環器科、2 福島県立医科大学 第一内科
渡部 朋幸 1、高野 真澄 2、及川 雅啓 2、小林 淳 2、大杉 拓 2、矢尾板 裕幸 2、丸山 幸夫 2
【目的】肥満に伴う体表面積(BSA)の増加が左房容積係数
(LAVI)に与える影響を検討すること .【対象と方法】対象は明らかな心疾患のな
い 392 例(平均年齢 69 ± 12 歳). 肥満(BMI ≧ 25)と冠リスクにより 4 群に分類した . 健常群 : 健常かつ非肥満例(n = 121), 単純肥満群 : 冠リス
クのない単純肥満例(n = 43), 有リスク非肥満群 : 冠リスクをもつ非肥満例(n = 163), 有リスク肥満群 : 冠リスクを有しかつ肥満例
(n = 65)
で
ある . 4 群間における左房容積(LAV)及び LAVI の相違を検討した .【結果】4
群間に年齢及び身長の差を認めなかった . 単純肥満群及び有リスク肥満群は健
常群及び有リスク非肥満群に比し有意に BMI 及び BSA が高値だった . LAV は
単純肥満群において健常群に比し有意に高値を示したが
(43.8 ± 14 vs 33.9 ±
10, P < 0.05), LAVI における差を認めなかった . また , 有リスク肥満群における
LAV は有リスク非肥満群と比し有意に高値を示したが(47.1 ± 17 vs 38.4 ± 16,
P < 0.05), LAVI における差を認めなかった .【結語】肥満者では LAVI は過小
評価となる可能性があり , LAVI の評価には肥満の有無を考慮する必要がある .
P77
3-D エコーによる拡張能評価法における検討
1
聖マリア病院 循環器内科、2 聖マリア病院 検査室
田代 英樹 1、池上 新一 2
【目的】3-D エコーおよびその解析ソフトの進歩により左室容積変化を簡便に測定することが可能になった。拡張期における左室容積の
変化をどのように解析すれば左室拡張能評価が可能か検討することとした。【方法】心エコーはフィリップス社製 SONOS 7500 を使用し
3-D にて心尖部より左室全体を撮像した。解析は QLAB 3DQ ADVANCE を用いて左室の心腔容積の変化を計測した。拡張末期と収縮末期
の容積の差をもとめ、それに 1/4, 1/2, 3/4 をかけた値に収縮末期の容積を加えた値を求めた、収縮末期からそれら値に達するまでの時間
の拡張期全体の時間に対する割合を D1/4, D1/2, D3/4 とした。左室拡張期の容積変化率の平均変化率
(mean)、最大変化率
(max)を計算し
た。通常の左室拡張末期径(LVDd)
、左室収縮末期径
(LVDs)
、EF、左房径(LAD)、心室中隔と後壁壁厚の計(IVS+PW)
、Vp、E/A、E/E’、
Decereration time
(DT)を測定し左室拡張期容積変化の各指標と比較した。また、左心カテーテルを施行し得た 12 名では LVEDP を測定しそ
れらの指標と比較した。【結果】D4/1 は E/A(p = 0.021)E/E’
(p = 0.023)と D1/2 は E/A(p = 0.01), E/E’
(p = 0.004), DT(p = 0.003), LVEDP(p =
0.032)と D3/4 は E/A(p < 0.001), DT
(p = 0.04), VP(p = 0.032)と mean は DT(p = 0.007), IVS+PW(p = 0.003)と max は E/A(p = 0.047)と有意
な相関が得られた。【結論】各指標ともさまざまな心エコー上の拡張機能の指標と相関が得られた。D1/2 のみが LVEDP と有意な相関が得
られた。
P78
慢性腎臓病患者における腎機能障害の程度と左室拡張障害との関連
東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科
大塚 健紀、鈴木 真事、大崎 司、土田 貴子、井上 琢也、杉 薫
【目的】慢性腎不全患者を腎機能障害の程度により分類し、左室拡張障害との関連性を評価すること。【方法】対象は 40 人の健常人と 202
人の慢性腎不全患者、年齢は 40 歳から 89 歳である。Modification of Diet in Renal Disease Study
(MDRD)法による糸球体濾過量(e-GFR : ml/
min/BSA )推算式により 5 群に分類した。1 群は e-GFR 90 以上の健常群、2 群は 60-89、3 群は 30-59、4 群は 15-29、5 群は 14 以下とした。左
室収縮能低下例、心筋梗塞、心筋症、心臓弁膜症は除外した。【成績】左室内径短縮率は全ての群間で有意差はみられなかった。拡張早
期僧帽弁流入血流速度(E)は、5 群は 1 群から 4 群と比較して有意に高値であった(p < 0.01-0.02)。心房収縮期波速度
(A)は、2 群から
5 群において1群と比較すると有意に高値であった
(p < 0.01-0.04)。E/A は 1 群は 2 群から 5 群までと比較すると有意に高値であった(p <
0.02-0.05)
。拡張早期僧帽弁輪最大速度(Ea)は1群
(9.1 ± 2.5)を 2 群
(7.9 ± 1.7)から 3 群
(7.9 ± 1.6), 4 群(7.5 ± 2.1)、5 群(7.6 ± 2.0)までと
比較して有意に高値であった(p < 0.01-0.04)。E/Ea は腎機能障害の進行に伴い有意に高値であった(p < 0.02)。A, E/A, Ea は早期慢性腎不全
【結論】ドプラ法により、腎機能障害が及ぼす左室拡張障害の早期の微妙な
患者である 2 群と健常群である 1 群との鑑別に有用であった。
変化を検出することができた。
- 176 -
P79
血液透析症例における心機能評価
1
東京女子医科大学付属病院 中央検査部、2 東京女子医科大学 循環器内科
黒川 文夫 1、高野 一成 1、石塚 尚子 2、椎名 哲彦 1、菊池 典子 1、寺山 敏子 1、志和 清隆 1、神田 かおり 1、網倉 由子 1、鶴田 義典 1、
高橋 奈菜子 1、林 哲朗 1、谷本 京美 2、古堅 あずさ 2
【目的】血液透析症例において左室流入血流パターンの解析に加え、僧帽弁輪速度
(e’)の測定を行い心機能評価を行う。
【方法】‘05 年 5 月
∼’
06 年 12 月に心エコー検査を施行した血液透析症例 366 例、平均年令 54 ± 14 歳(男性 247 例、女性 119 例)を対象とし、収縮能と LVH の有
無により、A 群:収縮能正常、LVH
(−)、B 群:収縮能
正 常、LVH
(+)
、C 群: 収 縮 能 低 下、LVH
(−)
、D 群:
収縮能低下、LVH
(+)
の 4 群に分類し、DcT、E、e’
、E/e’
を測定した。心房細動、僧帽弁輪石灰化、心嚢液貯留、
asynergy( +)例は除外した。基礎疾患のない年齢、性別
をマッチさせた正常 30 例を対照とし検討した。
【成績】
表【結論】Pre-load が変化しやすい透析例における心機能
評価法として、高度の僧帽弁輪石灰化例などでは限界は
あるが、DcT や E よりも e’
や E/e’
の測定は有用な方法であ
る。
P80
ドブタミン負荷エコーによる左室内血流の運動量に関する検討
1
心臓血管研究所付属病院 臨床検査部、2 医用超音波技術研究所、3 東北厚生年金病院、4 アロカ株式会社
種村 正 1、佐々木 伸子 1、片岡 容子 1、上嶋 徳久 1、澤田 準 1、大槻 茂雄 2、田中 元直 3、岡田 孝 4、原田 烈光 4
目的:エコーダイナモグラフィーで求めた左室内血流の運動量(M)が、ドブタミン負荷エコーによりどう変化するかについて検討した。
方法:虚血性心疾患が疑われた 13 例、および健常ボランティア 2 例の 15 例(男性 12 例、年齢 32∼86 歳)を対象とした。心尖左室長軸断像
を描出し、エコーダイナモグラフィーを用いて、ドブタミン負荷前、5γ、10γ投与時の M を次の計算式から求め、収縮中期、拡張早期そ
れぞれで比較した。M =Σ(血流速度×ピクセル面積×流速ベクトル) また、M を左室断面積(LVA)で補正した M / LVA も比較した。負
荷前に左室内径短縮率(FS)が 25%以下であったのは 3 例で、その 3 例に壁運動異常が認められた。結果:結果を表に示す。負荷後の FS は
5γで全例、10γで 13 例が増加した。拡張早期波速度(E)は 5γで 13 例、10γで 9 例が増加した。負荷によって新たに左室壁運動異常が認
められた例はなかった。結語:左
室内血流の運動量は収縮期では
5γ、10γ共に増加した。拡張早
期 の 運 動 量 は 5γ で 増 加 し た が、
10γでは差が認められなかった。
P81
トレッドミル負荷心エコー図における負荷後 E/E` 高値(E/E` ≧ 15)の予測因子
高木循環器科診療所
高木 力、川上 祥一
【目的】左室流入血速波形E波速度と僧帽弁弁輪部拡張期速度 E` との比、E/E` ≧ 15 は左室拡張末期圧上昇を示唆する指標である。本研究の
目的はトレッドミル負荷後の E/E 高値(E/E` ≧ 15)の予測因子について検討することである。
【方法】対象は 2004 年 5 月から 2006 年 12 月ま
での期間にトレッドミル負荷検査を実施した症例のうち、非洞調律症例、明らかな安静時左室壁運動異常を有する症例、中等度以上の弁
疾患を有する症例、40 歳未満の症例を除外した 205 例である。年齢は 68 ± 10 歳であった。トレッドミル負荷直後の断層心エコー図の記録
に引き続いてドプラ心エコー図でEを、組織ドプラ心エコー図で中隔側 E` を計測し、E/E` を求めた。負荷後 E/E` と年齢、身長、体重、体
格指標、脈拍、血圧、負荷前安静時心エコー図における各種計測値などとの関係について検討した。P < 0.05 を有意とした。【結果】負荷
後 E/E`15 未満の正常群が 151 例、E/E` ≧ 15 の高値群が 54 例であった。負荷後 E/E` 高値群では正常群と比較して年齢が大
(p = 0.0003)
、身
長が小(p = 0.0224)
、左室中隔壁厚が大
(p = 0.0153)、左房径が大
(p = 0.0092)、左房容積インデックスが大(p = 0.0008)
、負荷前 E` が小(p
< 0.0001)、負荷前 E/E` が大(p < 0.0001)であった。多変量解析では負荷前 E/E` が負荷後 E/E` の最もよい予測因子であった。対象を年齢が
65 歳以上の 142 例にかぎると、負荷後 E/E`15 未満の正常群が 95 例、E/E` ≧ 15 の高値群が 47 例で、多変量解析では同様に負荷前 E/E` が負荷
後 E/E` の最もよい予測因子であった。【結語】安静時 E/E` 高値がトレッドミル負荷後 E/E` 高値(E/E` ≧ 15)の最もよい予測因子であった。
- 177 -
P82
心エコー図検査で偶然発見された右房内粘液腫を合併した左室緻密化障害の1症例
1
福岡赤十字病院 検査部、2 同 循環器科、3 同 心臓血管外科
高尾 寿美恵 1、矢壁 聡子 1、近藤 亜希子 1、平田 和子 1、山口 順司 1、坂本 隆史 2、河野 博之 3、目野 宏 2
【症例】69 歳女性【主訴】労作時息切れ【既往歴】高血圧、不整脈(心室性期外収縮)
【現病歴】2006 年1月頃から約半年間で体重が 10Kg
近く減少し、同年7月頃より労作時の息切れを自覚した。同年8月、徐々に症状が増悪してきたため近医を受診、著明な心拡大を伴う心
不全を認めたため、精査加療目的にて当院入院となった。入院時心エコー図検査で左室緻密化障害が疑われる所見および右房内腫瘍が観
察された。
【入院時現症】
(理学所見)脈拍 80/ 分、整、血圧 144/92mmHg、心音 3音(+)
、下肢・顔面浮腫(+)
、(胸部 X 線)CTR71%、
肺うっ血(+)
、(心エコー図検査)LVD d /Ds = 58/54mm、EF(biplane 法)= 19%、FS = 7%、LAD = 45mm、IVC = 20mm、AR1/4 度、
MR2/4 度、TR1/4 度(peak PG = 59.5mmHg)、Pr mild 左室は著明に拡大しており、壁運動は全周性に低下し、posterior-lateral 領域を中心に
壁の菲薄化および肉柱の著明な発達を認めた。カラードプラで肉柱間隙に血流を認め緻密化障害が疑われた。右房内の腫瘍は直径 30mm 程
度で、心房中隔に広茎性に付着しており内部に石灰化を認めた。
【経過】入院後薬物治療で徐々に心不全症状は改善したが、右房腫瘍は手
術適応とされ 2006 年 9 月右房内腫瘍全摘術が施行された。術後経過良好で退院した。
【まとめ】孤立性左室緻密化障害に右房内粘液腫を合
併した症例を経験した。本症例の診断および経過観察に心エコー図検査は有用であった。
P83
右室流入路狭窄様を呈した Valsalva 洞破裂の一例
1
JR 東京総合病院 循環器内科、2JR 東京総合病院 心臓血管外科、3JR 東京総合病院 臨床検査科
浅川 雅子 1、桐谷 博巳 3、佐藤 倫彦 1、碓井 伸一 1、杉下 和郎 1、高橋 利之 1、石谷 晴信 3、上野 克仁 2、竹田 誠 2
症例は 42 歳男性。既往歴はなし。2005 年 12 月上旬労作時胸痛を感じたあと、胸部不快感が持続し、近医にて CT 上結核を疑われ、12/15 当
院呼吸器内科転院。当院来院時、起座呼吸、胸水、駆出性雑音を聴取したため、当科に精査依頼。心エコーでは左室収縮は正常、1 度 MR。
大動脈から右心系に血流シグナルを認め、右室流入路は三尖弁と思われる組織に可動制限があり、三尖弁狭窄様に見えた。右室流入路の
血流速度 Vmax は 4m/s だったが、右心系拡大は軽度、肺動脈拡大や肺血流増加は認めず。異常血流の流入流出先は、描出困難。Qp/Qs =1
程度と算出された。シャント血流パターンから Valsalva 洞破裂も念頭に、経食道心エコー施行。無冠尖の瘤形成とそこから右房への血流を
確認。また可動制限のある三尖弁中隔尖と思われた組織が瘤であることが判明した。血行動態が安定していたため、待機的に心カテ施行。
肺動脈圧 55mmHg、Qp/Qs = 3。当初待機的手術を予定されていたが、徐々に肝不全が進行し、12/28 緊急手術施行。手術直前の心エコーで
は心膜液が貯留していたが、重度の右心負荷所見は記録できなかった。術中所見は、無冠尖から右房への血流を認めた。三尖弁そのもの
に肉眼的変化は認めなかった。考察:Valsalva 洞破裂は緊急性の高い疾患であるが、本症例では、無冠尖の瘤そのものが右室流入血流を障
害したために、右室系への容量および圧負荷が軽減されていた可能性もある。経胸壁心エコーでは手術直前でも右心負荷を捉えられなかっ
たが、経食道心エコーは短絡や瘤の描出に優れ、本症の診断に有用だった。結果的に瘤の形態によっては心エコーによる短絡の評価に限
界があり、教訓的かつ貴重な症例と考え、報告した。
P84
先天性大動脈弁狭窄症合併妊娠を妊娠中期から産褥期まで経過観察し得た 1 症例
1
自治医科大学 循環器内科、2 自治医科大学 小児科、3 自治医科大学 産婦人科、4 自治医科大学 麻酔科、5 自治医科大学 心臓血管外科
市田 勝 1、山本 啓二 1、保科 優 2、森松 由佳子 3、泉 章雄 3、蛭田 昌宏 4、小西 宏明 5、島田 和幸 1
【症例】無症候性の 18 歳女性。先天性大動脈弁狭窄症(Shone’
s Anomaly の亜型)にて小児科から当科に紹介受診となり、当科受診後に妊
娠 26 週であることが判明した。各科で検討を行い、31 週に帝王切開術を施行した。術後経過は良好で、母子ともに健康である。【術前経
過】17 歳時心エコー検査では、大動脈弁における最大圧較差(AV-PG)は 50mmHg であった。当科初診時(妊娠 20 週)、左室駆出率(EF)は
正常であったが、軽度左室肥大(IVS12mm)を認め、AV-PG は 78mmHg、連続の式による大動脈弁弁口面積(AVA)は 0.6cm2 であった。経過中、
EF は正常範囲であったが、帝王切開直前の 31 週で、AV-PG は 108mmHg に上昇し、左室径
(LVd)も 40/22 から 48/30mm に拡大した。【術中
経過】全身麻酔下に帝王切開術を行った。術中、心拍数は安定していたが、平均 2.5l/min/m2 あった心係数は全身麻酔により平均 1.9l/min/m2
へと低下し、麻酔から覚醒後も、心係数低下は遷延した。帰室後のエコー検査から推定される心係数は 3.5l/min/m2 に回復していた。【術後
経過】術後経過は良好で、術後 2 週間で退院となった。術後 16 週までの経時的エコー検査において、EF、AVA は大きな変化はなかった。
エコー検査の推定心係数は約 3.5l/min/m2 を維持しているが、LVd は 46/26mm を維持し、AV-PG は徐々に低下したが 76mmHg と妊娠前より
高値となった。【考察】大動脈弁狭窄症に妊娠を合併すると、経過と共に AV-PG は上昇し、出産後も妊娠前に比較して高値となった。また、
全身麻酔により、心係数の低下が認められ、術中、胎児への影響が心配された。今回、先天性大動脈弁狭窄症を合併した妊娠を出産前から、
出産後まで経過観察し得た貴重な症例を経験したので報告する。
- 178 -
P85
大動脈ステント治療後の in stent restenosis の virtual histology と組織像を検討した一例
東京女子医科大学 循環器小児科
山村 英司、富松 宏文、西田 純子、藤井 隆成、工藤 恵道、中西 敏雄
virtual histology(VH)は冠動脈病変の組織像との検討から組織診断を推定する方法であるが、その他の血管組織との相関性は検討され
ていない。一方、血管の性状はカテーテル治療において重要である。カテーテル治療を要する大血管(体静脈、肺動脈、大動脈)に対し
て VH による評価を 5 例に行った。うち 1 例に組織像との関連性を検討したので報告する。方法:Volcano 社製 In-Vision Gold 4.X を用いて、
Eagle Eye Gold(Volcano 社製)20MHz で狭窄病変を観察した。後方散乱から推定される病変組織を fibrous, fibro-fatty, dense calcium, necrotic
core の4タイプに分類した。症例:大動脈炎症候群により mid-arotic syndrome を呈した女児。狭窄に対してステントを留置したが、ステン
ト内の狭窄をきたしたため、atherectomy を行った。採取組織像は線維芽細胞と間質の蓄積が主体で限局した線維化を認めた。VH では均質
な fibrous と診断される部分に、限局した necrotic core が散在していた。necrotic core は繊維化した部位と一致すると推定された。結論:冠動
脈以外では組織所見と一致しないことがある。他の血管でも組織との関連を研究する必要である。
P86
心室中隔まで石灰化が及ぶ高度僧房弁輪石灰化(MAC)の 1 例
鳥取市立病院 循環器科
川本 健治
症例は 81 歳の女性で、既往歴として高血圧と脳梗塞がある。主訴は労作時呼吸困難で NYHA 2 度である。胸部レントゲン写真上は CTR =
65% と心拡大を、心電図上は洞調律で軽度左軸偏位を認めるのみで、冠動脈造影検査上は冠動脈に有意狭窄を認めない。心エコー上、高
度僧房弁輪石灰化
(MAC)
に加え、心室中隔に高輝度エコーで acoustic shadow を伴う異常所見を認めた。左室流入血流速波形の E/A 比は 0.64、
E 波減速時間は 298msec と拡張障害を認めたが、僧房弁閉鎖不全や狭窄症などの弁膜症はなく EF 65% と心収縮能は良好であった。3D- 心
臓 CT 検査より僧房弁輪から心室中隔に連続する高度石灰化像を認め、以上より心室中隔まで石灰化が及ぶ高度 MAC と診断した。BNP は
599pg/ml と非常に高く、心不全の原因として左室心筋まで及ぶ MAC による拡張障害が考えられた。石灰化の原因として、膠原病や代謝疾
患、内分泌、血液疾患、結核などについて精査したがすべて正常で、高齢・高血圧が一つの原因と考えられた。MAC が重度になると僧房
弁閉鎖不全や僧房弁狭窄症を合併するという報告はあるが、心室中隔まで及ぶ MAC による心不全の報告はなく、非常に珍しい症例であり、
今回報告する。
P87
経食道心エコーが診断に有用であった自己大動脈弁血栓症の一手術例
山梨大学医学部第 2 外科
天野 宏、窪田 健司、小島 淳夫、吉井 新平
はじめに心原性塞栓の診断には経食道心エコーが有用であるが比較的稀である自己大動脈弁血栓症の一手術例を経験したので報告する。
症例は 61 歳 男性で右下肢疼痛、冷感を主訴に来院。下肢血管造影にての右膝窩動脈の途絶を認めた。血栓塞栓症の診断にて全身麻酔下に
膝窩動脈の血栓除去術を行った。術中に塞栓源の検索のため経食道心エコーを施行したところ、大動脈無冠尖上に約 1.5cm の腫瘤影を認
めた。腫瘤の内部は比較的均一で可動性はなく、また腫瘤による弁の可動制限や大動脈閉鎖不全などの所見は認めなかった。大動脈弁の
腫瘍性病変を疑い手術となった。大動脈弁は三尖であり、無冠尖上に血栓を認めた。血栓は容易に摘除可能で内部より粘調な血液の流出
を認めた。付着部の内膜はやや粗造であり小さな動脈硬化性プラークを認めたが、弁の構造は非常によく保たれており大動脈弁置換術は
行わず血栓摘除術のみとし術後抗凝固療法を厳重に行うこととした。術後経過は良好であった。考察自己弁大動脈血栓症は大動脈弁疾患、
心臓カテーテルに伴う内膜損傷や血栓性素因に起因する稀な病態であるが、本症例は特発性と考えられた。診断には経食道心エコーが有
用であった。
- 179 -
P88
PHT 法による僧帽弁口面積算出の問題点:左室収縮不全を合併した僧帽弁狭窄2例での検討
国立病院機構善通寺病院 循環器科・臨床研究部
森下 智文、福田 信夫、福田 大和、酒部 宏一、篠原 尚典、田村 禎通
【背景と目的】Pressure half time(PHT)法は簡便な僧帽弁口面積(MVA)算出法であるが,血行動態や心拍数によって影響されることも事
実である.本報告では,僧帽弁狭窄(MS)に左室(LV)収縮不全を合併し心不全時と改善時で PHT 法による MVA(PH-MVA)が著明に
変化した2例を呈示し,PH-MVA 計測の問題点を明らかにする.
【症例】症例 1 は 78 歳男.初診時心拍数 90/ 分の心房細動で,胸部X線上
心拡大(CTR64%)と肺うっ血を認めた.心エコー上 LV 機能低下(Dd49mm,
EF50%),
左房拡大(50mm)およびトレース法の MVA(Tr-MVA)
1.7cm2 と MS を認めた.左室流入血流(LVIF)の E 波は 1.52m/sec,DT = 98msec と短縮し,PH-MVA は 4.6cm2 と算出された.治療により
CTR52%, Dd46mm, EF60% と改善し,LVIF の E 波は 1.36m/sec と減少,DT = 288msec と延長,PH-MVA は 2.3cm2 と減少した.症例 2 は 68 歳女.
初診時心拍数 100/ 分の洞性頻脈で,胸部X線上心拡大(CTR68%)と肺うっ血を認めた.心エコー上 LV 機能低下(Dd58mm,EF33%),左
房拡大(48mm)および Tr-MVA2.4cm2 と MS を認めた.LVIF の E 波は 1.45m/sec,DT = 68msec と短縮し,PH-MVA は 10cm2 と算出された.
治療により CTR54%, Dd54mm, EF45% と改善し,LVIF の E 波は 0.90m/sec と減少,DT = 196msec と延長,PH-MVA は 3.0cm2 と減少した.【考
察と結論】PHT 法による僧帽弁口面積は左室収縮不全合併例では左室流入血流減速脚の急峻化によって過大評価されるため,臨床応用の
際に注意する必要がある.
P89
左房内腫瘤を呈した副腎外褐色細胞腫の一例
1
埼玉医科大学病院 心臓内科、2 埼玉医科大学病院 心臓外科、3 埼玉医科大学病院 心臓病センター
小川 晴美 1、松村 誠 2、許 俊鋭 2、数野 直美 3、中島 淑江 1
症例は 24 歳、女性。頻脈、高血圧、発汗過多にて褐色細胞腫を疑われ、当院へ入院となった。腹部 CT で明らかな腫瘤を指摘できず、副腎
髄質 131I シンチで縦隔への集積が疑われた。胸部 CT、MRI で気管分岐下に 5cm 大の腫瘤を認め、経胸壁心エコーでは左房を後方より圧排
する腫瘤を認めた。左室腔の拡大、左室肥大を認めず、左室駆出率 61% と心機能は良好であった。経食道心エコーでは後縦隔から左房に
浸潤し、左房内の大半を占める腫瘤を認めた。内部エコーは均一で低輝度エコーはみられず、微小血流は観察されるが大きな栄養血管は
みられなかった。術中所見では左房後壁に癒着する腫瘍を認め、左肺静脈も左房へ流入する部位で腫瘍の浸潤を認めた。気管、肺動脈に
は浸潤なく、腫瘍切除術、左房・左肺静脈再建術を施行した。術後1年を経過しているが、血
液検査、尿検査、各種画像検査にて再発の徴候は確認されていない。左房内腫瘤を呈した副腎
外褐色細胞腫の一例を経験した。
P90
総肺静脈還流異常症(下心臓型)に静脈管無形成を伴った内臓錯位症候群の一例
1
徳島大学病院 周産母子センター、2 徳島大学 発生発達医学講座小児医学分野
加地 剛 1、森 一博 2、鈴木 光二郎 2、須藤 真功 1、中山 聡一朗 1、三谷 龍史 2、中川 竜二 1、早渕 康信 2、前田 和寿 1、西條 隆彦 1、苛原 稔 1、
香美 祥二 2
内臓錯位症候群(右側相同)に総肺静脈還流異常症(下心臓型)と静脈管無形成を伴った症例を経験したので報告する。症例は 33 歳 G2 P2(第
1子は両大血管右室起始にて Fontan 手術施行)自然妊娠し近医にて健診を受けていたが、妊娠 32 週に羊水過多を指摘され、35 週 3 日当科
を初診。超音波検査にて AFI:25、胃は正中にあり、脾臓は同定できず、対称肝が疑われた。心臓は単心室、共通房室弁、両大血管右室起始症、
肺動脈狭窄を認めた。4 本の肺静脈
(PV)はすべて左心房背側の共通肺静脈腔に戻っており、そこから垂直静脈(VV)となり横隔膜を貫き拡
張した門脈に合流していた。PV および VV は一峰性の順行性血流で、明らかな狭窄部位も認めなかったが、静脈管が確認できず側副路も
認めなかったため、出生後の高度肺静脈うっ血が予測された。新生児管理のため 38 週 5 日誘発分娩を行った。児は 2818g 、女児、Ap8/8 で
超音波検査にて上記診断が確認された。また VV の血流は 45cm/s と遅く、胎内とは異なり定常波を呈した。出生後直ちに挿管され N2 ガス
を流し、FiO2 0.18 として管理し、当日に共通肺静脈腔 - 左房吻合および動脈管結紮術を行ったが翌日に死亡となった。解剖の承諾を得るこ
とはできなかった。
(まとめ)出生前に総肺静脈還流異常症(下心臓型)を伴った右側相同と診断することができた症例を経験した。本症
例では静脈管の無形成が肺うっ血を助長しさらに予後を悪くしたと推察された。
- 180 -
P91
高齢心不全患者の予後予測における組織ドプラ法の有用性
東住吉森本病院
斉藤 聡男、平田 久美子、兵頭 永一、喜多 領一、吉川 淳一、広瀬 真、紙森 公雄、西田 幸生、瓦林 孝彦
背景:心不全患者の予後を検討した報告は数多く認められるが、高齢心不全患者の予後を十分に検討した報告は少ない。本研究の目的は、
心エコー図による心機能評価が、高齢心不全患者の予後予測に有用か否かを検討することである。方法:70 歳以上の高齢心不全患者、連
続 82 例に対し、退院前にドプラ心エコー図検査および臨床的評価を行った。心エコー図により、収縮および拡張機能を測定し、退院一年
後の心イベント(心不全による再入院・心臓死)の発生との関連を検討した。結果:82 例の患者のうち 71 例で追跡可能であり(観察期間:
平均 374 日、平均年齢 84 歳、女性 60%)
、41 例で心イベントが認められた(再入院 28 例、心臓死 13 例)。Cox の単変量解析では、左室拡張
早期流入血流速度/僧帽弁輪拡張早期速度
(E/E’
)≧ 15、僧帽弁輪心房収縮速度(A’
)
、NYHA ≧ classII、糖尿病、貧血は心イベントの有意な
予測因子であった。多変量解析では、E/E’
≧ 15、NYHA ≧ classII、貧血が心イベントの独立した予測因子であった。結論:高齢心不全患者
において、E/E’
≧ 15、NYHA ≧ classII 及び貧血は心イベントの独立した予測因子であることが示された。
P92
左房の 3 次元的な形状変化について;リアルタイム 3D エコーでの研究
1
大阪掖済会病院 生理機能検査室、2 ベルランド総合病院 循環器内科、3 大阪掖済会病院 循環器内科、
大阪市立大学大学院 医学研究科 循環器病態内科学
砂田 寛恵 1、川崎 俊博 1、福田 祥大 2、前田 久美子 1、田中 秀昌 3、實正 哲 3、吉田 健 3、島田 健永 3、吉川 純一 3、葭山 稔 4
4
【背景】様々な心疾患において正確な左房容量の計測は重要である。しかし、左房拡大後に起こる左房の 3 次元的形態は十分評価されてい
ない。【目的】リアルタイム 3D 心エコーを使用して、左房容量と左房の 3 次元的リモデリングの関連について検討した。
【方法】リアルタ
イム 3D 心エコーを受けた 65 名で GE 社製 Vivid7 を使用し心尖部から画像を取得した。Echopac を用いて左房の容量を測定した。4 方向の短
軸径(前壁側と後壁側(A − P)、前側壁側と後壁中隔側(AL − PS)、中隔側と側壁側
(S − L)、前壁中隔側と後側壁側(AS − PL))と長軸径
を計測した
(図 A)
。【結果】測定した 5 方向の左房径すべてが左房容量と中等度の相関を示した
(r = 0.54∼0.62、p < 0.001)。左房の拡大に
伴い AL − PS 径、S − L 径、AS − PL 径は徐々に拡大を示
した(図 B)。A − P 径と長軸径は左房容量 60ml 未満におい
て比較的一定であったが、60ml 以上に拡大した左房では
増加傾向を示した(図 C)。【考察】60ml 未満の左房では左
房が側方に拡張していることが確認できた。60ml 以上の
左房では A − P 径と長軸径の 2 方向にも拡大を認めた。
P93
若年健常例における組織ドプラ法による左室拡張の諸指標に対する前負荷の影響
国立病院機構 大阪南医療センター循環器科
安部 晴彦、服部 進、田中 教雄、入野 宏昭、安岡 良典、赤松 義樹、橋本 克次、佐々木 達哉、宮武 邦夫
【背景】組織ドプラ法による拡張の指標 E′
は従来前負荷に依存しない指標とされてきた。一方、収縮が保たれていて充満圧の高くないと
きは前負荷の影響を受けるという動物実験での報告もある。本研究ではチルト台を用いて前負荷を変えながら、組織ドプラ法による左室
拡張の諸指標の変化について調べた。
【方法】健常例 14 例を対象とした。平均年齢は 26 歳、血圧は 118 ± 18/65 ± 12mmHg、心拍数は 73 回 / 分であった。水平仰臥位、70 度頭上げ、
30 度頭下げを行い、それぞれの体位で、心エコー検査を施行した。カラードプラ法による拡張期の指標(E 波、A 波、E/A、DcT)
、組織ド
プラ法による拡張期の指標(E′
、A′
、E/E′
)を計測した。
【結果】体位により血圧や心拍数は有意な変化を示さなかった。70 度頭上げによって E′
は 12.0 ± 2.6cm/ 秒から 8.0 ± 2.0cm/ 秒へ、A′
は 7.6 ± 2.1cm/ 秒から 5.2 ± 2.7cm/ 秒へ有意
に低下し、それにあわせて E/E′
は 6.6 ± 2.6 から 9.2 ± 3.0 へ有意に増加した。
【結論】健常例では、組織ドプラ法による左室拡張の諸指標は前負荷に対して鋭敏に変
化する可能性が考えられた。
- 181 -
P94
左室駆出率自動計測(Auto EF)の信頼性について ; 心電図同期心筋 SPECT(QGS)との比較検討
東邦大学 医療センター 大森病院 臨床生理機能検査部
吉川 浩一、原田 昌彦、緑川 奈美、宮坂 匠、煙草 敏、寳田 雄一、林 京子
【背景】Automated Ejection Fraction(Auto EF)は心内膜をオートトレースし心機能計測を行う新しいアプリケーションとして、臨床での実
用性が期待されている。しかし、内膜面のオートトレースが不完全な場合があり、トレース面の補正を加えることでより正確な計測機能
を発揮するものと思われる。【目的】オートトレース面の補正前および補正後で計測した左室駆出率(EF)を心電図同期心筋 SPECT(QGS)
の EF と比較し、Auto EF の信頼性を検討する。【方法】心エコー検査で心内膜の描出が良好で Auto EF による EF 計測と同時期に QGS を施行
し得た 22 例(平均年齢;63.6 ± 15.5 歳)を対象に、ACUSON Sequoia(Mochida Siemens Medical Systems 社製)で、心尖二腔および四腔断
層を描出、Auto EF を用いて Biplane 法(disk 法)により EF を計測した。1. オートトレース面の補正なしで計測した EF(補正前 Auto EF)と、
2. オートトレース面をマニュアル補正して計測した EF(補正後 Auto EF)を、それぞれ QGS 解析による EF(QGS EF)と比較した。【結果】
補正前 Auto EF と QGS EF の相関は r = 0.85(P < 0.0001)、補正後 Auto EF と QGS EF の相関は r = 0.92(P < 0.0001)と、マニュアルで補正
を加えた EF 値の方がより良好な相関を示した。
【結語】Auto EF で自動計測された EF 値の信頼性は高く、さらにオートトレースされた内
膜面の補正を加えることで、より正確な EF の計測が可能であると考える。
P95
健常例の左室拡張能における性差は年齢により異なる - パルスドプラ法による検討 東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科
大塚 健紀、鈴木 真事、大崎 司、土田 貴子、井上 琢也、杉 薫
【目的】左室拡張様式に性差が見られることが報告されているが詳細には検討されていない。本研究の目的は健常例において左室拡張能が
男女別に異なるか年齢ごとに検討すること。
【方法】対象は 20 歳から 90 歳までの成人健常例であり男性 467 例、女性 455 例の計 922 例であ
る。パルスドプラ法を用い、僧帽弁流入血流速波形を記録し、急速流入波(E 波)と心房収縮期波(A 波)
、及びその比である E/A を求めた。
また通常のエコーを用い、左房径(LAD)、心室中隔厚(IVST)、左室後壁厚(PWT)
、左室拡張末期径(LVDd)
、左室収縮末期径(LVDs)、
左室内径短縮率
(FS)を計測し、これらについて男女間で差があるかを年齢ごとに検討した。【成績】E 波は 40 代以下にて女性は男性と比較
すると有意に高値であった(20 代 : 83.9 ± 16.3 vs 74.7 ± 12.9 p < 0.009、30 代 : 82.0 ± 16.3 vs 70.1 ± 11.8 p < 0.0001、40 代 : 74.2 ± 16.6 vs 63.8
± 13.8 p < 0.0002)。A 波は 50 歳以上で女性は男性より有意に高値であった(50 代 : 67.3 ± 17.9 vs 58.1 ± 13.5 p < 0.0003、60 代 : 78.5 ± 16.1 vs
69.9 ± 15.4 p < 0.0004、70 代 : 83.6 ± 16.5 vs 78.1 ± 17.5 p < 0.03、80 代 : 89.4 ± 16.4 vs 79.0 ± 16.9 p < 0.005)。E/A は全ての年代において男
【結論】 健常例における左室拡張様式は、男女間に差を認め、その差は各年代ごとに異なる。心エコー法を用
女間に差を認めなかった。
いて左室拡張能を評価する場合、性差及び年代を考慮する必要がある .
P96
運動負荷による左房機能の変化について ; リアルタイム 3D エコーでの研究
1
大阪掖済会病院 生理機能検査室、2 ベルランド総合病院 循環器内科、3 大阪掖済会病院 循環器内科、
大阪市立大学大学院 医学研究科 循環器病態内科学
前田 久美子 1、川崎 俊博 1、福田 祥大 2、砂田 寛恵 1、田中 秀昌 3、實正 哲 3、吉田 健 3、島田 健永 3、吉川 純一 3、葭山 稔 4
4
【背景】左房機能は様々な心疾患で運動耐用能と関連のあることが示されているが、負荷中の左房容量の変化と機能は十分評価されてい
ない。【目的】リアルタイム 3D 心エコーを用いて、安静時と運動負荷直後の左房容量を定量的に測定した。
【方法】冠動脈疾患を疑う患者
6 名と、健常者 5 名を対象として GE 社製 Vivid7 で運動負荷リアルタイム 3D 心エコーを施行した。左房容量の定量化には EechoPac を使用し
た(図)。最大左房容量と最小容量から左房駆出率(LAEF)
、また左房収縮前と最小容量から左房の能動的収縮能を求めた。
【結果】安静時
の LAEF は患者群と健常者群で差を認めなかった(61.3 ± 5.9% 対 49.0 ± 14.8%,p = NS)
。しかし患者群の能動的収縮能は健常者群より高かっ
た(41.2 ± 8.7% 対 19.0 ± 9.2%,p = 0.003)。 負 荷 直 後、 健 常 者 群 の LAEF は 増 加 傾 向
(49.0 ±
14.8%∼60.6 ± 11.5%,p = NS)にあったが、患者群は変化を認めなかった(61.3 ± 5.9%∼57.0 ±
7.5%,p = NS)
。【考察】リアルタイム 3D 心エコーによって運動負荷による左房機能の変化を定
量的に評価できた。
- 182 -
P97
3次元心エコー法による左房容積の測定;2次元心エコー法との比較
1
関西医科大学附属枚方病院 臨床検査部、2 関西医科大学附属枚方病院 循環器内科
高田 厚照 1、宮坂 陽子 2、佐藤 裕司 1、平山 優子 1、青田 泰子 2、拝殿 未央 2、高橋 伯夫 1、岩坂 壽二 2
【背景】2 次元(2D)心エコーによる左房容積は心血管イベント・予後の重要な予測因子とされる。近年、心臓立体構築がより観察可能な
3次元(3D)心エコーが利用可能となった。しかし、3D 心エコーによる左房容積の有用性は確立していない。【方法】正常洞調律 21 人(平
均年齢 53 歳)の左房容積を 3D 解析ソフト (Phillips) を用い 2 方法 (QLab ver4.2;Area-length) で計測し、従来の 2D 心エコー法 (2D-Area-length)
と比較検討した。【結果】3D 心エコーによる左房容積(3D-Area-length, 61.4 ± 37.7 mL;3D-QLab, 62.8 ± 39.0 mL) は 2D 心エコーによる左房
容積(55.4 ± 39.9 mL)とよく相関した(3D-Area-length, r=0.93, P < 0.0001;3D-QLab, r=0.92, P < 0.0001)。3D 心エコーによる左房容積は2 D
心エコーに比し有意に大きかった(3D-Area-length, 6.1 ± 11.0mL ; 3D-QLab, 7.4 ± 11.0 mL; P < 0.0001)( 表 )。3D 心エコーを用いた 2 つの計測
法間(3D-Area-length vs. 3D-QLab)はよく相関した(r =0.99, P < 0.0001)。
【結論】3D 心エコーによる左房容積は 2D 心エコーよりも大きく計測さ
れ、よく相関している。
P98
高血圧患者における左室リモデリングおよび左室肥大による左室形態の変化と左房容積を用いた左房の大き
さとの検討
1
医療法人寿会 富永病院 心臓病センター 循環器科、2 医療法人寿会 富永病院 検査科
氏野 経士 1、森田 伸幸 2、坂井 麻以 2、三宅 淳平 2、八田 久絵 2、一井 重男 2、坂井 陽祐 1、濱田 英明 1、高橋 英介 1
【背景】左室形態または左房容積と心血管イベント発生について、それぞれ報告があるが、両者の関連性についてあまり報告はない。
【目的】
高血圧患者において、左室リモデリング、肥大による左室形態の変化と左房の大きさを検討すること。
【方法】対象は明らかな心疾患を有
さない高血圧患者 751 名(65.4 ± 9.7 歳、男性 354 名)。左室形態は相対壁厚(RWT)による左室リモデリング(LVRM +:RWT > 0.45)、
左室重量係数(LVMI)による左室肥大(LVH +:LVMI > 110(男性)
(106(女性)
)g/m2)のそれぞれを用いて、左室形態を以下の 4 群に
分類した。正常(LVRM − , LVH −)
、求心性再構築(LVRM +、LVH −)
、遠心性肥大(LVRM −、LVH +)
、求心性肥大(LVRM +、
LVH +)。左房の大きさは左房径、Area-length 法で求めた最大左房容積を体表面積で除した左房容積係数で比較検討した。
【結果】表のと
おり左房の大きさは左室肥大の有無により有意差を認めたが、求心性の変化では明らかではなかった。
【結論】高血圧患者において左房の
大きさは、左室リモデリングではなく、左室肥大との関連が示唆された。
P99
健常者における年齢と心房収縮能の関係についての検討
千葉大学大学院 医学研究院 循環病態医科学
若月 悠、大門 雅夫、李 光浩、椎名 由美、船橋 伸禎、小室 一成
【目的】我々は、心疾患を有しない正常例において、左房・右房の両房収縮能が加齢によりどのように変化するのかを検討した。
【方法】
正常左房容積である健常群 31 名(男性 13 例、57 ± 11 歳)において、経胸壁心エコー図法を施行した。心尖部四腔像を用い、modified
Simpson 法にて左房駆出率(LA EF)、右房駆出率(RA EF)を求めた。【結果】LA EF、RA EF はそれぞれ年齢と有意な相関を認めた(いず
れも p < 0.03)。一方、左房、右房容量は年齢と有意な相関を認めなかった。
【結論】加齢により左房、右房の双方で収縮が亢進していた。
加齢に伴う左室コンプライアンス低下に対して、心房収縮は
心房容量よりも鋭敏に反応している可能性が示唆された。
- 183 -
P100
Echo-Dynamography における血流方向の検出と流量
医用超音波技術研究所
大槻 茂雄
【はじめに】心臓内血流はカラードプラ画像として観測されています。この画像による血流情報を元に心機能を明らかにする有用な情報を
引き出す研究を 田中元直 東北大学名誉教授と共同研究を20数年にわたり進めてきました。この超音波の応用分野を Echo-Dynamography
と名づけることにしました。現在、この研究の基本原理はほぼ確立しました。この Echo-Dynamography は、超音波による心機能を解明し、
広く臨床に役立つ新技術であり、工学的内容は次世代医用超音波技術の基盤のひとつとなると予測されます。この新技術について流体力
学や信号処理という工学的な視点から原理の理解しやすい構築を試みました。
【新技術の基礎原理】超音波のドプラ効果は超音波探触子(超音波送受波器)に血液(反射体)が近づくとき超音波の周波数が高くなり、遠ざ
かるとき低くなることはよく知られている。この周波数の増減を赤と青で表示したものがカラードプラ画像である。ここで、血液のよう
な流体では隣り合う流体同士が影響しあい、流れのようすに反映されます。この様子は(ドプラ)流量で表現できます。等流量線を観測す
ると血流方向がわかります。これが、面内血流推定原理のひとつです。
【むすび】Echo-Dynamography は、次世代医用超音波技術であり、今後、医学と工学の研究者が協力することにより、新しい診断情報が開
発されることが期待できます。
P101
Echo-Dynamography による血流の渦検出
医用超音波技術研究所
大槻 茂雄
【はじめに】Echo-Dynamography は、次世代医用超音波技術の基盤となる新技術です。この新技術の特徴のひとつは血流の渦を検出しやす
いことです。これを工学的な視点から理解しやすい原理の構築を試みました。
【新技術の渦流検出原理】カラードプラ画像では、超音波探触子
(超音波送受波器)に血液が近づくとき赤色で、遠ざかるときは青色で表示
されます。ここで、観測面内の渦は赤で表示される血流量と青で表示される流量とが同じであり、この二つの流れを超音波ドプラ法では
検出できないビーム直交方向の流れが繋いでいます。この超音波ビームと直交する方向の流れをコンピュータの計算により補い渦流を認
識できるようにします。これが、渦流についての面内血流推定原理です。渦は心臓内の血流では必ず発生するものであり、心機能を解明
するのに重要な役割を果たすと思われます。
【むすび】現在、Echo-Dynamography の理論的背景は進化しており、血流の諸現象をより詳細に扱えるようになっております。今後、この
原理を背景に、有用な装置の開発が進み、臨床にも有効な情報を蓄積していくことが期待されます。
P102
陳旧性心筋梗塞患者の壁運動評価における Automated function imaging
(AFI)の有用性に関する検討
1
愛媛大学医学部附属病院 診療支援部、2 愛媛大学大学院 病態情報内科学、3 喜多医師会病院 循環器科
武田 南美子 1、齋藤 実 2、西村 和久 2、宮崎 真紀 1、大野 由香理 1、井上 勝次 3、大木元 明義 2、大塚 知明 2、岡山 英樹 2、檜垣 實男 2
(背景)
左室壁運動の視覚的評価は、検者間でばらつきが大きく、心エコーに習熟していない検者間では再現性が乏しい。最近、局所
壁運動の自動評価アプリケーションの 1 つとして Automated function imaging
(AFI)が開発された。今回我々は視覚的壁運動評価と AFI に
よる定量値との比較検討を行った。(方法)
31 名(平均年齢 69 歳、男性 27 名)の陳旧性心筋梗塞患者を対象とし、Vivid 7 Dimension(GE
Healthcare)にて左室長軸 3 断面を撮像した。得られた画像を ASE の提唱する方法で 16 分割し、心エコーに習熟した循環器医師 2 名により、
視覚的壁運動を 5 段階
(normal 1 点、hypokinesis 2 点、akinesis 3 点、dyskinesis 4 点、aneurysm 5 点)でスコア化した。また同画像は心エコー
機に搭載された AFI で壁運動を半自動的に定量化し、壁運動スコア
(LVWMS)と比較検討を行った。
(結果)
全 496 セグメントのうち 442
セグメント
(89%)において評価可能であった。評価可能領域において LVWMS が 3 点以上の領域は 43 セグメント
(9.7%:左前下行枝領域 18
セグメント、左回旋枝領域 17 セグメント、右冠動脈領域 8 セグメント)に認められた。ROC 曲線より得られた LVWMS が 3 点以上の領域に
関する AFI の至適 cut‐off 値は -8.5 %(感度 , 83.3%; 特異度 , 86.7%; area under curve, 0.86)であった。
(結語) AFI は左室の局所壁運動を半自
動的に短時間で評価することが可能であり、客観的な壁運動評価に有用であると考えられた。
- 184 -
P103
初心者における左室駆出率自動計測(Auto EF)の有用性について
東邦大学 医療センター 大森病院 臨床生理機能検査部
緑川 奈美、原田 昌彦、宮坂 匠、吉川 浩一、煙草 敏、寳田 雄一、林 京子
【背景】Automated Ejection Fraction(Auto EF)は心内膜をオートトレースし心機能計測を行う新しいアプリケーションとして、臨床での実
用性が期待されている。【目的】心エコー検査経験の浅い初心者技師における Auto EF の有用性について検討する。【方法】対象は、心エコー
検査で心内膜の描出が良好であった連続 22 例(平均年齢;64 ± 16 歳)。使用装置は ACUSON Sequoia(Mochida Siemens Medical Systems 社製)
で、心尖二腔および四腔断層を描出し、Auto EF を用いて Biplane 法(disk 法)で左室拡張末期容積(EDV)
、左室収縮末期容積(ESV)
、左
室駆出率(EF)を計測した。オートトレース面が不完全な場合にはマニュアル操作で一部補正を加えた。心エコー経験年数 1 年未満の初
心者技師と経験年数 7 年以上のベテラン技師でそれぞれ独立して計測を行い、両検者間での計測値を相関係数および Bland and Altman 法(BA
法)を用いて比較した。【結果】両検者間における計測値の相関は、EDV;r = 0.93、ESV;r = 0.94、EF;r = 0.90 と、いずれも良好な相関であっ
た。また、検者内の各測定値の相関も良好(r = 0.94∼0.98)で、BA 法での変動も少なかった。【結語】Auto EF ガイド下での EF 計測はマニュ
アルトレースが簡略化され、心内膜の描出が良好であれば、心エコー経験の浅い初心者においても正確な EF 計測に役立つものと考える。
P104
経食道エコーと心臓造影 CT を活用した先天性心疾患における心房中隔裂開術
日本赤十字社和歌山医療センター 心臓小児科
梶山 葉、芳本 潤、福原 仁雄、豊原 啓子、中村 好秀
【背景】心房中隔裂開術(AS)は、カテーテルアブレーション治療(CA)で左房側に不整脈器質が存在する場合にも行われる。一方で先天
性心疾患患者では心房中隔の形態が正常と大きく異なることがあり、AS が困難である。【目的】今回我々は 2 例の小児先天性心疾患患者
に対し術前に心臓造影 CT を施行、術中に経食道エコー(TEE)を用いて安全に AS を行うことが出来たので報告する。【症例 1】10 歳男児、
体重 27kg。診断は {SLL} DORV PS。5 歳時に Senning+Rastelli 手術を行っているがその頃より心房粗動が頻発。CA 目的にて当院紹介となっ
た。術前に心臓造影 CT にて心房中隔を 3 次元的に構成し穿刺部位を確認した。電気生理検査で心房粗動に対し左房側からの CA が必要と
判断し、TEE にて CT で予定した部位にカテーテルを誘導、AS を行って CA を成功させた。
【症例 2】2 歳女児、体重 10.3kg、診断は {SLX}
DORV PS PLSVC で 0 歳、1 歳時に BT シャント術を施行しているがその後 PSVT を頻発。CA 目的にて紹介。症例1と同様に造影 CT にて両
側房室弁輪と心房中隔の形態を確認した。電気生理検査で左側房室弁に副伝導路を持つ WPW 症候群と診断。TEE にて CT で予定した位置
から AS を行い CA を成功させた。
【考察】CA での AS はカテーテルを左房に入れるのみではなく、目的部位にカテーテルが位置しやすいよ
うにカテーテル走行を考慮して行う必要がある。心房中隔の大きさ、傾き、房室弁や肺静脈との位置関係を CT 画像で 3 次元的に確認し穿
刺部位を定め、TEE で確実に誘導することで安全に施行できたと考える。
P105
Auto EF によるフルオートトレース機能を用いた左室容量、駆出率計測の効率化
千葉大学大学院 医学研究院 循環病態医科学
若月 悠、大門 雅夫、大門 道子、李 光浩、椎名 由美、船橋 伸禎、小室 一成
【背景】心エコー図による左室容量および駆出率(EF)の計測に通常用いられる Simpson 変法では、心内膜のトレースがやや煩雑で計測
者の習熟度によって左右されることがある。最近、アンカーポイントの設定が不要な完全オートトレース法(Axius Auto Ejection Fraction;
Auto EF)が開発された。
【目的】Auto EF を用いた左室容量、EF 計測に要する時間をマニュアル計測と比較すること。
【方法】対象は心
疾患患者 15 例(62 ± 18 歳、EF 範囲 36 − 77%)
。Siemens 社製 Sequia512 を用いて心尖 4 腔像を記録。マニュアル計測による Simpson 変法、
Siemens 社製 Auto EF のそれぞれを用いて LVEDV および LVESV を計測し、計測に要した時間を測定した。AutoEF による心内膜トレースに
は必要に応じて修正を加えた。また、同様の測定を習熟者(経験 10 年以上)、初心者(経験 6 ヶ月未満)の両者で行った。
【結果】マニュ
アル計測時間は習熟者(74 ± 24 秒)が有意に初心者(96 ± 22 秒)より早かった(p < 0.001)。AutoEF を用いた計測では、習熟者(49 ± 17 秒)、
初心者(60 ± 15 秒)とも有意に計測時間が短縮した(p < 0.001)
。習熟者のマニュアル計測と、習熟者および初心者の Auto EF による計測
それ以外は有意な差を認めなかった。
を比較した場合、
習熟者の Auto EF による LVEDV がやや小さかった(96 ± 31 vs 84 ± 29ml, p < 0.01)が、
【結語】Auto EF による左室容量、EF 計測は、マニュアル計測に比べて迅速であり、習熟者のマニュアル計測とほぼ同等の測定値が得られる。
- 185 -
P106
左室拡張末期圧評価における左房壁ストレインの有用性
1
名古屋市立大学大学院 医学研究科 臨床病体内科学、2 名古屋市総合リハビリテーションセンター
若見 和明 1、大手 信之 1、成田 ひとみ 2、木村 玄次郎 1
【背景】左房機能は左室拡張能を良好に反映する。2 D スペックルトラッキング法(2 D-STI)を用いて左房壁のストレインの評価が可能
となった。【目的】左房ストレインの有用性を、侵襲的に求めた左室拡張期パラメータと比較して検討すること。【方法】心臓カテーテル
検査を行った連続 30 症例(陳旧性心筋梗塞 16 例、労作性狭心症 5 例、運動負荷検査異常 3 例、PCI 後再造影 6 例)を対象に、左室拡張末期
圧(LVEDP)を計測し、同日の心エコー図検査で左房壁ストレインを4腔像および2腔像から求めた。
【成績】LVEDP は左室収縮期にお
ける左房ストレインピーク値(r=− 0.74、p< 0.0001)および心房収縮期における左房ストレイン値(r=− 0.66、p< 0.0001)と有意
な負相関を認めた。【結論】2 D − STI 法で求めた左房ストレインの左室
拡張能評価における有用性が示唆された。
P107
2 D トラッキング法の時間容積曲線による左室肥大例での左房容積の検討
1
岩手医科大学第二内科、2 臨床検査部、3 循環器医療センター
田代 敦 1、伊藤 紀彦 1、嘉村 幸恵 2、佐々木 幸子 2、小山 耕太郎 3、新沼 廣幸 1、那須 雅孝 1、中村 元行 1
【目的】高血圧で左室肥大例では心房細動のリスクが高く予後も不良である。最近心エコ−での 2D トラッキング法で時間容積曲線の解析
が可能になった。今回われわれは左室肥大例で、左房の時間容積曲線から時間的な左房負荷の有無についての検討を行った。
【方法】洞調
律で弁膜症がない高血圧の左室肥大群 7 例(女性 1 例、男性 6 例、平均 68 歳)と、洞調律で弁膜症や高血圧がなく左室肥大もみられない 8
例(女性 5 例、男性 3 例、平均 60 歳)を対照群として比較検討した。40 歳未満と 80 歳以上の例は除外した。日立メディコ社製 EUB-8500
で、通常の計測とともに心尖部 2 腔像と 4 腔像の動画像をデジタル保存した。PC 上でのオフラインの 2D トラッキング法で左房の内腔をト
レースして、bi-plane の modified Simpson 法により左房の時間容積曲線を作成した。【成績】従来の M モード法での左房径係数は左室肥大群
23mm/m2、対照群 22mm/m2 と有意な差はなかった。しかし心尖部 2D ストレイン法での収縮末期最大左房容積係数は左室肥大群 31.9ml/m2、
2
2
< 0.05)
と左室肥大群で大きく、さらに心周期の平均左房容積係数では左室肥大群 22.5ml/m2、対照群 14.5ml/m(p
< 0.05)
対照群 20.2ml/m(p
と左室肥大群では時間容積的にも大きい傾向があった。【結論】心尖部2 D トラッキング法による解析で、高血圧の左室肥大例では肥大が
ない例に比較して心周期平均左房容積係数は有意に大きく、時間容積的にも左房負荷が生じていることが示唆された。
P108
左室流出路内渦流の発生とその役割− Echo-Dynamography による心腔内血流構造の解析−
1
東北厚生年金病院 循環器センター、2 東北厚生年金病院 中央検査部、3 医用超音波技術研究所
菅原 重生 1、田中 元直 1、片平 美明 1、中島 博行 2、大槻 茂雄 3
【目的】左室流出路では大動脈基部バルサルバ洞内に駆出時に渦流が発生するといわれているが、臨床的に流出路部血流を観察する適切な
手段が無かったことから大動脈基部に発生する血流の構造と渦流の詳細については殆ど不明である。そこで echo-dynamography の方法を用
い、特に渦流に注目しその解析を行い臨床的意義を検討した。
【方法】対象は健常者 10 例、高血圧、大動脈弁疾患例である。心尖部アプローチによる長軸断層図上で得られた心臓腔内血流の2次元速度
分布データを echo-dynamography ソフトで解析した。
【結果及び考察】1)バルサルバ洞内には収縮期と等容拡張期とに渦流が生成されることが確認された。
2)健常者の収縮期渦流は初期から出現し、ベクトル分布は駆出の主流から弁尖先端で剥離して洞内に回り込むように示され、直径約 5 mm
で最大回転速度は約 39cm/sec であった。
3)駆出中期までは回転速度は最大約 38∼40cm/sec を示すが末期には約 6∼7cm/sec 程度に低下し、直径は増加する。
4)この時期の渦の規模は弁狭窄・高血圧例では径が大きくなり、洞内血流の確保と弁機能の円滑な遂行に貢献すると考えられた。
5)等容拡張期には大動脈壁に沿って左室方向へと下行し閉鎖した弁尖部で反転して大動脈中央へ向う流れが生じ基部中央に円形配列のベ
クトルが示され、渦流を形成する。直径約 8∼10mm、回転速度約 39cm/sec であった。高血圧例では直径は減少するが弁閉鎖不全例では大
きくなり、この時期の渦の規模は後負荷の程度に影響されると考えられた。
【結論】echo-dynamography によってバルサルバ洞と大動脈基部の血流状況はよく解析でき、その渦流の性状は後負荷の影響の評価に役立ち
うると考えられた。
- 186 -
P109
等容収縮期における左室内渦流の発生とその役割− Echo − Dynamography による心臓腔内血流構造の解析−
1
東北厚生年金病院 中央検査部、2 東北厚生年金病院 循環器センター、3 医用超音波技術研究所
中島 博行 1、田中 元直 2、菅原 重生 2、片平 美明 2、大槻 茂雄 3
【目的】等容収縮期は流入血流の方向を効率よく 180 度転換させ、高加速度、高圧力の駆出血流を生じさせる前準備の時期で、血流動態は
複雑で殆ど解明されていないのでその解明を図った。
【方法】健常者 10 例と代表的心疾患例の心腔内血流構造と血流動態を echo-dynamography を用いて追求した。
【結果および考察】1)長軸断面上の血流速度ベクトル分布の特徴は左室腔内の心基部域に大きな円形配列のベクトルが示され、渦流が生じ
ることであった。
2)ベクトルは心尖域で極めて小さく、僧帽弁前尖背面に接する領域で最大であった。
3)短軸断面上では、渦の中心軸が僧帽弁の弁尖接合線に平行に現れ、中心軸を境として前方と後方とに向うベクトル群に分離表示された。
前方へ向う群は心室中央に集中するベクトルと、その両側に二個の小円形配列のベクトルが示され、後壁に沿って下行する血流は前後の
乳頭筋によって大部分の血流は前方へと方向転換するが、一部は乳頭筋間を通過後小渦流を形成することを示した。
4)渦は直径は約 33mm、円周回転速度は約 38cm/sであった。心基部血流量の約 80%が加わった、平均流量約 50∼60cm 2/secの渦流であった。
5)この時期の心室動態との関連から、心尖域の圧力増加と乳頭筋の前方変位および僧帽弁後尖側弁輪面の下行運動の開始による力によっ
て渦流が生じると考えられた。
【結論】1)この時期の渦流はその回転力によって血液を効果的に 180 度方向転換させるのに有効に働く。
2)その回転により生ずる弁尖背面の流れの方向と遠心力とが弁尖を押し上げ、弁尖接合を完全にさせるように働く。
3)この時期の渦の発生は駆出時の加速流発生の前準備として重要である。
P110
不整脈源性右室心筋症に併発した右心耳内血栓を右胸壁アプローチによって評価し得た一症例
1
熊本大学医学部附属病院 中央検査部、2 同 循環器内科
福光 梓 1、穴井 聡子 1、本巣 智子 1、稲津 絢子 1、氏家 真美 1、寺本 弘二 1、小島 志乃ぶ 2、堀端 洋子 2、永田 四郎 1、安東 由喜雄 1
【はじめに】右房内血栓は左房内血栓に比べて稀であるが、肺塞栓症を高率に合併するため、その臨床的意義は大きい。しかし、右房内、
特に右心耳内血栓は通常のアプローチでは描出困難な場合が多く、診断には心エコー図検査よりも造影 CT 等の検査が優先される。今回我々
は、不整脈源性右室心筋症(ARVC)に併発した右心耳内血栓を右胸壁アプローチによって描出し、
評価し得たので報告する。【症例】47 歳、
女性【主訴】動悸【既往歴】1998 年 4 月:他院にて ARVC と診断。心室頻拍のため高周波カテーテルアブレーション術施行。6 月:ICD 植
え込み術施行。【現病歴】2006 年 9 月 18 日、入浴後に動悸を自覚し、近医を受診したとろ心室頻拍であった。ICD は作働するも停止できず、
除細動器によって停止した。9 月 20 日、精査加療のため当院循環器内科に紹介入院となった。【心エコー図所見】右心系は著明に拡大し、
収縮は低下、右房は高度の血流鬱滞を認めた。右側臥位にて胸骨右縁上位肋間からアプローチすると、右房壁前面に付着する血栓を認めた。
さらに探触子を体表面に傾けると、右心耳周囲に付着する血栓を認めた。
【入院後経過】抗凝固療法を開始し、心エコー図検査によって経
過観察した。血栓縮小後は右心耳内構造物との鑑別に難渋し、経食道心エコー、造影 CT を併行した。血栓消失を確認後、心臓カテーテル
検査による精査を行い、治療方針を決定することとなった。【まとめ】右心系が拡大している場合、右胸壁からアプローチすることで観察
領域が広がり詳細な評価が可能となる。本症例は右胸壁アプローチによって右心耳内血栓を評価し得た。同時に造影 CT による被曝を最小
限に抑えることができた。
P111
大動脈弁右冠尖に急性血栓を認めた若年女性の一症例
1
国立循環器病センター 心臓血管内科、2 国立循環器病センター 生理機能検査部、3 岸和田徳州会病院 生理検査部、
岸和田徳州会病院 循環器内科
上石 哲生 1、大原 貴裕 1、中谷 敏 1、神崎 秀明 1、住田 善之 2、仲宗根 出 2、増田 喜一 2、山田 香織 3、塩谷 慎治 4、北風 政史 1
4
生来健康な 34 歳女性。安静時に突然持続性の前胸部痛を認め、近医を受診し同日経過観察目的で入院となったが、翌日の心電図で V1-4 の
陰性 T 波出現、採血で心筋逸脱酵素上昇を認めた。急性冠症候群の疑いで総合病院に緊急転院となった。搬送先病院救急外来で施行した
経胸壁心エコー図で、大動脈右冠尖に異常構造物を認めたため、緊急冠動脈造影検査は中止され、造影 CT が施行された。造影 CT では右
冠尖に陰影欠損を認め、右冠動脈起始部の閉塞所見が疑われた。大動脈右冠尖部の急性血栓症およびそれに伴う急性冠症候群が疑われ、
抗凝固療法が開始された。経食道心エコー図では大動脈弁右冠尖に同様に可動性のない血栓様エコーを認めた。大動脈壁に異常を認めず。
その後胸痛は再燃なく経過し、発症 2 週間後の造影 CT では同部位の血栓様構造物を認めず、経食道心エコー図でも血栓様エコーはほぼ消
失していた。更なる精査加療のために発症 3 週間目に当院入院となった。抗凝固療法を継続し、経胸壁心エコー図、経食道心エコー図、ま
た造影 CT のいずれでも異常を認めず。動静脈系の血栓症、血栓素因について精査し、前医でのワーファリン内服前のプロテインS活性値
が 59% と低下していた以外には異常を認めず。血栓形成にプロテインS活性低下の関与が疑われた。若年女性に発症した大動脈右冠尖の
急性血栓は世界的にも稀有である。原因として先天的凝固因子異常・原因不明例が多い。若年発症、女性が多いとの報告もあり、各冠尖
でも発症報告があるが、左冠尖に血栓形成した例では左主幹部閉塞による急性冠症候群での死亡例もみられる。急性期の適切な病態診断・
治療に心エコー図が有用であった一症例でありここに報告する。
- 187 -
P112
経食道心エコーで左心耳に巨大球状腫瘤を認め、診断に苦慮した脳塞栓症の1例
1
金沢医科大学 循環制御学、2 金沢医科大学病院中央臨床検査部、3 金沢医科大学脳脊髄治療学、4 金沢医科大学心血管外科学
野村 祐介 1、藤岡 央 1、梶波 康二 1、世戸 弘美 2、三島 一紀 2、山崎 桂子 2、中西 恵美 3、永吉 靖弘 4、坂本 滋 4
症例は 65 歳男性。約 3 年前から心房細動を指摘され近医で抗凝固療法を開始されたがコンプライアンスは不良であった。平成 18 年 11 月 17
日昼にいつもより応答がおかしいと妻に連れられ近医を受診、脳梗塞疑いにて当院入院となった。入院時の頭部 MRI にて左中大脳動脈領
域に新鮮梗塞が認められ塞栓症が疑われた。凝固系血液検査は有意な変化認めず、経胸壁心エコーは左房径 59mm MR1+ 左房内血栓は認め
なかった。12 月 1 日に経食道心エコーを施行、もやもやエコーを認め左心耳に 3.5 × 2.2cm の浮遊する無茎性・辺縁整の内部均一な腫瘤性
病変を認めた。塞栓源と考えられため 12 月 4 日に心臓血管外科にて左房内腫瘤摘除術を施行、病理にて新鮮血栓と診断された。無茎性で
はあるが球状腫瘤であり、経食道心エコーでは血栓と粘液腫の鑑別に苦慮した。
P113
心エコーにより極早期に発見し得た心筋梗塞に伴う心室中隔穿孔(VSP)の一例
東京厚生年金病院 中央検査室
石崎 一穂
【症例】56 歳・女性【既往歴】糖尿病【現病歴】2004/6/11,9:00 頃強い胸痛が出現したためかかりつけ病院を受診し,心電図上,前壁中隔
急性心筋梗塞と診断された.16:00 に本院へ転送され直ちにLAD #6 の 90%狭窄に対してPCIを施行した.
【入院時検査所見】心電図所
見 V1∼4QS パターン V1~6ST-T 上昇 , 血圧 101/50,心雑音聴取せず ,CPK1410iu/l であった .【心エコー所見】PCI後 19:00,前壁から心尖部
にかけて壁運動低下,心室瘤なし.3日後の 6/14,前壁中隔の菲薄化を認め,小さな心室瘤と短絡血流を発見した.はっきりした裂け目
はなく , 筋組織が崩れるように,壁実質像が粗になった中隔の隙間を流れる血流が描出された.6/15 短絡血流が明瞭となった.短絡部の最
高血流速度はは 4m/s であったが,心雑音の指摘はなかった.6/16 短絡が更にはっきり描出された.6/17 心雑音聴取.2006/2/3 まで著変なし.
【入院後経過】6/15 のエコーの結果より心室中隔穿孔と診断された.7/5 心臓カテーテル検査を施行し冠動脈治療部位の確認,左室造影で
Seg.2∼4の壁運動低下と心室瘤およびLVからRVへの短絡血流を確認.EFは 38%であった.内科的治療が選択され経過観察となっ
た.退院後再入院もなく,2006/12 現在 2 ヶ月に1回の頻度で来院されている.
【考察】VSPは急性心筋梗塞の1∼3%に発症する合併症
であるが,通常収縮期雑音の聴取から心エコーが施行され発見される場合が多い.今回の経験から,心筋梗塞発症早期からの心エコーに
よる綿密な観察が,VSPの早期に発見に有効であると考えられた.
P114
僧帽弁副組織の 1 症例
松下記念病院 循環器科
山野 倫代、赤壁 佳樹、川崎 達也、三木 茂行、神谷 匡昭、杉原 洋樹
【症例】29 歳男性 . 高校時代に動悸の精査で心エコー検査を施行され , 弁の形態異常を指摘されるも経過観察を指示されていた . 再び動悸
を自覚するようになり当科受診となった . 24 時間心電図では心室期外収縮を認めたが , 症状とは合致していなかった . 心エコー検査では僧
帽弁直下に可動性の索状物を認めた . 僧帽弁副組織と考えられ , 収縮期には左室流出路に突出していたが , 明らかな左室 - 大動脈圧較差は認
められなかった . 本症例に対し薬物負荷心エコーを行った . ISDN では変化を認めなかったが , 高容量のドブタミンを負荷することで peak
PG = 30.3mmHg の圧較差を生じた . また運動時の評価のためにエルゴメーター負荷を行い , 150watt まで負荷し peakPG = 25mmHg の圧較差
を認めた . 圧較差の程度より経過観察することとした . 【考察】僧帽弁副組織は左室 - 大動脈圧較差を生じる原因となりうる . 安静時では
圧較差を認めない症例に対し負荷心エコーは治療方針を決定するうえで有用であると考えられた .
- 188 -
P115
Sigmoid septum の臨床的意義:HOCM 様の SAM による有意な MR を確認した 4 症例
1
君津中央病院 生理検査部、2 君津中央病院 循環器科
小野 和重 1、村田 尚行 1、国金 正宏 1、関根 泰 2、森野 知樹 2、田中 秀造 2、芳生 旭志 2、松戸 裕治 2、藤本 善英 2、山本 雅史 2、
氷見 寿治 2
心エコー図で目にする高血圧性変化として Sigmoid Septum があるが、病的な意義があるという報告は少ない。我々は Sigmoid Septum によ
り閉塞性肥大型心筋症様の僧帽弁前尖収縮期前方運動
(SAM)を来たし、中等度以上の僧帽弁閉鎖不全
(MR)を認めた症例を経験した。同様
の機序による MR を他に3例経験したので合わせて報告する。症例は 75 歳女性。高血圧で
前医通院中、肺水腫のため入院。利尿薬投与で軽快。心不全の原因精査のため当院紹介受診。
心エコー図上安静時収縮能は正常
(EF70%)。心室中隔基部 12mm(Sigmoid septum), その他左
室壁厚は 10mm。僧帽弁に器質的変化はなく左室流出路に SAM を認め中等度の MR が生じて
いた。左室流出路血流速 2.5m/s。他の 3 例は 77 歳、75 歳、58 歳で、全て EF は 70% 以上。左
室流出路血流速は 1.5m/s,4.5m/s,4.0m/s で MR は軽度、中等度、軽度であった。今回の4例の
共通点としては Sigmoid septum 以外に心内膜構造が目立つ印象を受けた。
P116
術前エコーにて診断が困難であった、巨大 fenestration および fibrous strand rupture による大動脈弁閉鎖不全
症の一例
1
東京ハートセンター 循環器科、2 東京ハートセンター 臨床検査部、3 心臓血管研究所付属病院 循環器科、
東京ハートセンター 心臓血管外科
石下 晃子 1、柿澤 祥子 1、山田 綾子 1、大道 近也 1、上野 秀樹 1、田中 健 1、石井 康宏 1、長嶋 浩貴 1、上松瀬 勝男 1、長谷川 天妙子 2、
中村 久美子 2、三宮 剛 2、黄田 理恵子 2、上嶋 徳久 3、遠藤 真弘 4
4
症例は血液透析歴 9 年の 56 歳女性。ECG にて ST-T 変化を認めたため精査を行ったところ、冠動脈造影にて三枝病変と診断され、血行再建
目的に当院に紹介された。経胸壁心エコー図検査では、大動脈弁は三尖で、肥厚、石灰化などの弁尖の異常は指摘できなかった。中等度
の大動脈弁逆流を認め、逆流は、RCC と NCC の接合部から生じていた。経食道心エコー図検査では、三尖とも弁尖はやや肥厚しており辺
縁が不整であった。穿孔は認められなかった。LCC の交連に長さ 7mm の可動性のある紐状付着物を認めた。また、カラードプラ法では、
短軸像で NCC と RCC の接合部だけでなく、LCC の辺縁にも逆流信号を認めた。長軸像では、吸い込み血流は弁尖からやや NCC 側に認め、
逆流ジェットは中隔方向にやや偏位していた。
冠動脈バイパス術と同時に大動脈弁置換術も施行した。大動脈弁 NCC に 17x3mm の大きな fenestration があり、LCC には 11mm の断裂した
弁の断端が付着していた。疣贅の付着などの感染性心内膜炎を示唆する所見は認めなかった。病理学的検討でも、大動脈弁に炎症性細胞
の浸潤を認めなかった。
巨大 fenestration および fibrous strand rupture による大動脈弁閉鎖不全症の一例を経験したので報告する。
P117
大動脈弁に繊維性索状物を認めた一症例
群馬県立心臓血管センター 生理検査課
岡庭 裕貴、戸出 浩之、樋口 ルミ、丸山 裕子、上田 正徳
【症例】74 歳男性.
【既往歴】心房細動,心不全.
【現病歴】他院にて内服加療中.以前より BNP が高く,精査目的にて当院紹介となった.
心エコー図検査にて,左室は軽度の壁肥厚を伴って拡大し,全体に壁運動が低下していた(EF45%).大動脈弁は,RCC 弁尖部に肥厚と逸
脱を認め,AML 側へ偏在する中等度の AR を生じていた.また,弁尖に付着し,拡張期に左室流出路で振動するヒモ状構造物と,LCC 弁
尖部とバルサルバ洞壁を結ぶヒモ状構造物が付着していた.【経過】平成 18 年 11 月,AR に対し弁置換術を施行.術中所見では,RCC およ
び NCC に付着する繊維性索状物(fibrous band)を認め,そのうち RCC に付着
するものが断裂していた.これにより弁尖の逸脱が生じ,逆流を生じたもの
と推測された.【考察】fibrous band は,大動脈二尖弁に合併することが多く,
三尖を有する大動脈弁では極めてまれとされる.大動脈弁逆流の原因検索や
大動脈弁異常構造物の鑑別の際には,本疾患も念頭におく必要があると考え
られた.
- 189 -
P118
肺高血圧症精査にて下肢静脈壁石灰化所見を認めた一例
東京医科大学病院 循環器内科
正田 朋子、田中 信大、木島 勇人、相川 奈穂、後藤 知美、黒羽根 彩子、武井 康悦、高沢 謙二、山科 章
症例は 71 歳女性。CABG 術後にて当院外来通院していたが、定期的フォローにて施行した経胸壁心エコー図検査にて上大動脈内に浮遊す
る石灰化を指摘されていた。数ヶ月前より両下肢浮腫、歩行時息切れを自覚、徐々に症状増悪するために外来受診した。診察時に両下肢
の著明な浮腫、動脈血ガス上低酸素血症を認め、また経胸壁心エコー図上著明な右心負荷所見、肺高血圧症を呈していたため肺血栓塞栓
症疑いにて緊急入院となった。胸部レントゲン・CT 上は低酸素血症をきたす肺野病変を認めなかった。下腿血管エコーでは明らかな静脈
血栓の所見はみられなかったが、動脈壁及び静脈壁にも石灰化所見が認められた。造影 CT・肺血流シンチグラム上にも肺動脈に造影欠損
はみられず、肺動脈血栓塞栓症は否定的であった。その後の精査にて手指硬化性病変、Raynaud 症状がみられていたこと、また抗セントロ
メア抗体陽性から CREST 症候群に伴う肺高血圧と診断された。CREST 症候群は変性と線維化による皮膚の硬化性病変を主体とする全身性
強皮症
(systemic sclerosis)の限局型に属し、血管病変に関しては動脈病変の報告は散見されるが、静脈に関しての報告はない。肺高血圧症
精査にて血管エコーより静脈壁石灰化を認め、最終的に CREST 症候群と診断された一例を経験した。
P119
経胸壁心エコー図で偶然発見された高齢者の冠動脈瘤の一例
川崎医科大学 循環器内科
築地 美和子、渡邉 望、林田 晃寛、尾長谷 喜久子、岡橋 典子、根石 陽二、豊田 英嗣、川元 隆弘、大倉 宏之、吉田 清
胸部違和感を主訴に来院した 73 歳の男性。スクリーニングの経胸壁心エコー図にて、右房室間溝に石灰化を伴う管腔構造を認めた。冠動
脈瘤を疑い 16 列マルチスライス造影 CT を施行したところ、両側冠動脈内径は拡大しておらず、血管腔周囲に全周性の low intensity lesion を
認めた。冠動脈造影では、左冠動脈入口部および右冠動脈近位部では一部軽度の冠動脈拡張を認めたが、その他著明な冠動脈拡大所見は
なかった。血管内超音波検査(IVUS)では、外膜で囲まれる全血管面積は著明に拡大していたが、血管壁部分が全周性に肥厚しており、血
管内腔面積は正常であった。肥厚部分は、やや低輝度であり、intima-media complex の増大または血栓の可能性が考えられた。川崎病の冠
動脈瘤は成長とともに退縮する症例があるとされているが、冠動脈造影上正常冠動脈所見であっても、本症例のように血管壁の組織変化
をきたしている場合も考えられる。本症例では経胸壁心エコー図検査およびマルチスライス CT が診断に有用であり、冠動脈造影時の
IVUS により詳細な観察をすることができた。
P120
弁破壊を伴わず高度の大動脈弁閉鎖不全症を合併した非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE)の 1 例
1
奈良県立医科大学 第一内科、2 奈良県立医科大学 神経内科、3 奈良県立医科大学 総合診療科
竹田 征治 1、妹尾 絢子 1、斎藤 こずえ 2、水野 麗子 3、藤本 眞一 3、斎藤 能彦 1
【症例】55 歳、女性。平成 16 年 9 月より IgA 腎症と診断されて当科外来に通院していた。通院を自己中断していた平成 17 年 11 月初旬から
下血を認めていたが、痔による出血と自己判断し放置していた。平成 18 年1月下旬より食欲不振と排便困難が進行し、2 月 9 日に当科を受
診した。来院後より見当識障害が出現し、精査を目的として緊急入院した。頭部 MRI では多発性脳塞栓症の所見であり、経胸壁心エコー
図では高度の大動脈弁閉鎖不全症を認めた。発熱と CRP 高値(11.6)を示したために感染性心内膜炎を疑い実施した経食道心エコー図所見
では、高度の大動脈弁閉鎖不全症を認めたものの明らかな弁破壊はなく、大動脈弁尖部にそれぞれ 1 cm大の疣贅が認められた。腹部CT
では直腸癌と転移性肝腫瘍が認められた。第3病日に敗血症によると考えられるショックを来たして死亡した。病理解剖所見では大動脈
弁に細胞浸潤を伴わない疣贅を認め、非細菌性血栓性心内膜炎(NBTE:Nonbacterial thrombotic endocarditis)による脳塞栓症と診断された。
さらに、直腸癌は中心部に壊死を来たしており、敗血症の原因となった感染源は弁ではなく直腸癌の壊死部と考えられた。大動脈弁は弁
破壊を認めず、弁尖部の疣贅同士が拡張期にぶつかり合うことで大動脈弁閉鎖が妨げられ、高度の大動脈弁閉鎖不全症を来たしたと考え
られた。【結語】われわれは、非細菌性血栓性心内膜炎に高度の大動脈弁閉鎖不全症を合併した稀な 1 例を経験したので報告する。
- 190 -
P121
左房室間溝に限局した心嚢内血腫の一例
川崎医科大学附属病院 循環器内科
鼠尾 晋太郎、岡橋 典子、林田 晃寛、小山 雄士、根石 陽二、豊田 英嗣、川元 隆弘、渡邉 望、大倉 宏之、吉田 清
78 歳男性。胸痛を主訴に来院。心電図では I,aVL で ST 上昇、心エコー図にて側壁に壁運動異常を認めた。CK:312IU/l・CK-MB:48IU/l と
心筋逸脱酵素の上昇を認め、急性心筋梗塞と診断し、緊急冠動脈造影検査を行った。その結果、右冠動脈(#1)
に 90%狭窄、左回旋枝(#11・
#13)に 99%病変を認め、同部位に対して冠動脈形成術(PCI)を行った。左回旋枝(#11)インターベンション中、血管外への造影剤の染み
出しを認めた。病変部での冠動脈穿孔の可能性を考え、穿孔部位をバルーンで圧迫し、造影剤漏出の停止を確認後、PCI を終了した。PCI
直後の心エコー図検査では右室前面に少量の心嚢液を認めるのみであったが、徐々に貧血が進行し、第 3 病日の心エコー図検査では、左房
室間溝付近に限局する 2 × 2cm 大の内部均一な腫瘤を認めた。造影 CT 検査においても同様の所見を認め、心嚢内血腫が疑われた。その後、
腫瘤の増大はなく、外来にて経過観察した。1 ヵ月後の心エコー図および CT 検査において、心嚢液は減少、腫瘤も縮小しており血腫と診
断した。急性心筋梗塞に対しインターベンションを施行中にガイドワイヤー操作にて冠動脈穿孔をきたし限局性の心嚢内血腫を形成した
稀な症例を経験したので報告する。
P122
拡張不全の左室形態・左室拡張能障害における貧血の意義―左室組織ドプラ法による検討―
兵庫医科大学 循環器内科
松本 実佳、李 正明、辻野 健、中尾 伸二、合田 亜希子、大塚 美里、弓場 雅夫、吉田 千佳子、内藤 由朗、増山 理
目的:最近、貧血が心不全の予後を規定する独立した因子であることが明らかにされたが、心不全発症における貧血の意義については未
だ不明である。本研究では、拡張不全の左室形態および拡張能障害における貧血の意義を検討した。方法:対象は、2005 年 4 月から 2006
年 12 月まで、当院に慢性心不全の増悪で入院した連続 89 症例(女性 35 名 , 男性 54 名)、年齢は 28 歳∼92 歳(平均 72 歳)。入院時の左室駆
出率(EF)≧ 40 % の 42 例を拡張不全(DHF)群、EF < 40 % の 47 例を収縮不全(SHF)群とし、各群において貧血
(ヘモグロビン(Hb)< 12.0
g/dl)の関与を検討した。左室形態の求心性変化には左室拡張末期径(LVDd mm)
を、左室拡張能はパルスドプラ拡張早期左室流入血流速(E
cm/s)と組織ドプラ法により求めた拡張早期僧帽弁輪運動速(E’
cm/s)の比(E/E’
)を用いて評価した。結果:血漿 BNP 値は、両群間に差はな
は貧血の有無で
かった。Hb 値は、SHF 群より DHF 群で低値であった(11.0 ± 2.1 g/dl vs 12.6 ± 2.2, p < 0.01)。SHF 群において、LVDd・E/E’
差を認めなかった . 一方 DHF 群においては、貧血を有さない例に比べ有する例の方が LVDd は低値(50 ± 7 vs 55 ± 9 mm, p < 0.05)、E/E’
は高値(22 ± 40 vs 15 ± 15, p < 0.01)であった。さらに Hb 値 と LVDd の間には DHF 群においてのみ有意な正相関が認められた(r = 0.38, p
< 0.05)。結語:収縮不全より拡張不全で貧血の頻度が高かった。貧血に伴う神経体液因子の活性化が左室求心性変化と左室拡張能障害に
関与することが示唆された。
P123
心不全症状と左房径との関連
兵庫医科大学病院 循環器内科
吉田 千佳子、中尾 伸二、合田 亜希子、弓場 雅夫、下敷領 美保、江口 明世、李 正明、辻野 健、増山 理
目的:従来、心不全症状は、左室収縮能よりも左室拡張能と密接な関係があると考えられていた。しかし、収縮不全、拡張不全例を含め
て心不全症状発現に関わる因子についての検討はまだ無い。本研究では、心不全症状の有無と左室・左房の形態・機能との関連を解析した。
方法:対象は 2005 年1月から 10 月までに兵庫医科大学病院で心臓超音波検査を受けた連続 7180 例のうち、三尖弁逆流血流速から求めた肺
動脈収縮期圧が 35mmHg 以上で、かつ局所壁運動異常、先天性心疾患・弁膜疾患・開心術の既往を有さない 716 例(男性 411 例、女性 305 例、
年齢 21∼96 才)。検査により得られた左室径、左房径、左室流入血流速波形指標を用いた。また、心不全症状の有無は診療録により調査した。
結果:(1)全例を左室駆出率(EF)55% 未満の収縮障害群と EF55% 以上の正常収縮能群の2群に分類した。(2)収縮障害群 203 例において、
心不全症状は 128 例に認められた。無症状例に比し有症状例において左室駆出率は有意に低く
(39+11 vs 45+8 %, p < 0.05)、
左房径が大きかっ
た(45+8 vs 39+11 mm, p < 0.05)。また左室流入血流指標は症状の有無で差異を認めなかった。(3)
正常収縮能群 513 例においては、心不全
症状は 140 例にみられた。左室駆出率、左室流入血流指標では症状の有無で差異を認めなかったが、左房径は有症状例で大きかった(47+10
vs 40+8 mm, p < 0.05)。結論:安静時に肺動脈圧が上昇した例の多くが無症候であり、その頻度は正常収縮能例に高かった。心不全症状発
現については左室拡張能との関連は薄かったが、有症候例では左房拡大の強い例に多かった。心不全の症状発現に関連する因子として左
房拡大の重要性が示唆された。
- 191 -
P124
開心術後妊婦において、心エコー上の収縮性心膜炎様の所見は右心不全発症を予測しうる
1
国立循環器病センター 心臓血管内科、2 国立循環器病センター 生理機能部、3 国立循環器病センター 周産期科
神谷 千津子 1、中谷 敏 1、増田 喜一 2、祷 純子 3、神崎 秀明 1、池田 智明 3、北風 政史 1
【背景】妊娠中、循環血液量は徐々に増加し、通常の 1.5 倍となる。このような容量負荷が、開心術後の妊婦においてどのような影響をも
たらすかはあまり知られていない。我々は、開心術後妊婦において、妊娠中期から後期の心エコー検査上、しばしば収縮性心膜炎様の所
見をみとめることから、これらの所見が心不全発症を予測しうるかどうかを検討した。
【方法】開心術の既往を持ち、1998 年 1 月から 2006
年 4 月の間に当院で妊娠・出産を経験した連続 89 症例 115 出産について後ろ向き研究を行った。妊娠経過中の心エコー検査上、収縮性心膜
炎様所見(心窩部アプローチでの心膜癒着サイン、心室中隔の bounce、右室や左室流入血流の呼吸性変動の増大)を認めた群(A 群)と、認
めなかった群(B 群)に分け、両群での心不全発症率を比較検討した。
【結果】28 症例 32 出産(対象患者の 31.5%)で収縮性心膜炎様の所見
を認めた。所見の内訳は、心膜癒着 12 人、心室中隔 bounce27 人、左室流入血流 E 波の呼気時 25%以上の増大が 14 人、右室流入血流 E 波の
吸気時 40%以上の増大が 17 人であった。全症例中 14 出産で、妊娠∼出産後 24 時間以内に中心静脈圧の上昇や下腿浮腫などの右心不全所
見が発症し、利尿剤投与などが必要であった。A 群では 32 出産中 7 出産
(21.9%)
、B 群では 83 出産中7出産
(8.4%)で、右心不全が出現し、
A 群で有意に多かった(p = 0.048)。【結論】開心術後妊婦において、心エコー上の収縮性心膜炎様の所見は経過中の右心不全発症を予測し
うる。このような所見を認めたときは慎重に経過観察をしていく必要がある。
P125
慢性心不全患者における Exercise-induced MR と心室同期不全の関係
聖マリアンナ医科大学 循環器内科
鈴木 健吾、長田 尚彦、田村 政近、林 明生、出雲 昌樹、中川 貴文、三宅 良彦
【背景】僧帽弁の Tethering を原因とする僧帽弁逆流(MR)は慢性心不全(CHF)患者においてしばしば認められる合併症である。この MR
は運動により増大し(Exercise-induced MR:EMR)、CHF 患者の労作時呼吸困難の原因と考えられている。【目的】今回我々は CHF 患者に対
して運動負荷中に心エコーを実施し EMR を評価した。さらに 3D エコー法により運動中の心機能、左室同期不全評価も同時に行い両者の
関係を調査した。
【方法】CHF 患者 20 名に運動負荷心エコー検査を施行。心エコー装置には Philips 社製 iE33 を使用。3 次元心エコー法を用
いて左室容量、左室駆出率(EF)を計測した。また左室同期不全の評価として心内腔を16セグメントに分割し、各セグメントの容積変
化から収縮期最小容積時間(Tmsv)を算出し同期性指標とした。また、2D エコー法にて PISA 法による MR 定量評価(RV、ERO)、三尖弁逆
流から推定する肺動脈収縮期圧(PASP)の測定も行った。【結果】運動負荷により MR が増大した EMR 群は 6 名、不変もしくは減少した Non
EMR 群は 12 名であった(2 名は MR 定量評価困難)。安静時においては両群間に血圧、左室容量、EF、ERO、RV、Tmsv、PASP に有意差を
認めなかった。しかし運動時においては血圧、左室容量、EF において両群間に有意差を認めないにも関わらず、EMR 群において Tmsv の
有意な上昇を認めた(p < 0.01)。運動中の RV、ERO は Tmsv と有意な相関関係を認めた
(r = 0.68、0.66、p < 0.01)。さらに EMR 群において
運動中の RV は PASP と有意な相関関係を認めた(r = 0.72、p < 0.01)
。【結論】EMR の原因として運動によって誘発される左室同期不全の存
在が疑われ、CHF 患者の労作時呼吸困難の一因である可能性が示唆された。
P126
慢性心不全患者における運動中の左室拡張末期圧と肺動脈圧について
聖マリアンナ医科大学 循環器内科
林 明生、鈴木 健吾、田村 政近、出雲 昌樹、中川 貴文、長田 尚彦、三宅 良彦
【目的】今回我々は慢性心不全(CHF)患者における運動中の左室拡張末期圧(LVEDP)と肺動脈圧について調査した。
【背景】CHF 患者
において LVEDP の過度な上昇は労作時呼吸困難の重要な要因である。拡張早期の左室流入血流速度と僧帽弁輪移動速度との比
(E/E’)
は LVEDP と高い相関関係にあることが知られており、E/E’
> 15 では明らかに LVEDP が高いとされている。【方法】CHF 患者 20 名に対し
て運動負荷心エコー検査を施行した。運動負荷は症候限界性の Ramp プロトコールを用い、半座位エルゴメーターである三菱電機社製
StrengthErgo240 を約 20°傾斜させて行った。心エコー装置には Philips メディカル社製 iE33 超音波診断装置を使用。本機器の特性である 3
次元心エコー法を用いて左室容量(LVEDV、LVESV)、左室駆出率(EF)の計測を行った。また、従来の2次元心エコー法にて PISA 法に
よる僧帽弁逆流(MR)の定量評価(regurgitated volume :RV)、E/E’
、三尖弁逆流から推定する肺動脈収縮期圧
(PASP)、左房容積係数(LAVI)
の測定を行った。
【結果】安静時と運動中の LVEDV、ESV、EF の有意な変化は認めなかった。しかし LAVI は安静時と比較し有意に上昇
(RV:p < 0.05、E/E’
:p < 0.05、PASP:p < 0.01)。運動中の RV は E/E’
や
していた(p < 0.01)。RV、E/E’
、PASP も安静時より有意に上昇した
PASP と有意な相関関係を認めた
(r = 0.52、r = 0.40)。また、MR の変化量
(Δ RV)は PASP と E/E’
の変化量(Δ PASP、Δ E/E’
)との間にも
有意な相関関係を認めた(r = 0.49、r = 0.40)。【結論】これらの結果より CHF 患者における運動誘発性 MR は、LVEDP の上昇と PASP の上
昇に関連することが推測された。
- 192 -
P127
うっ血性心不全をきたし軽快退院した、超高齢者の心房中隔欠損症の 1 例
広島逓信病院 第一内科
湯谷 剛
症例 : 89歳男性 . 主訴 : 呼吸困難 . 現病歴:心房細動、貧血等にて近医に通院中であった . 2006年10月頃労作時呼吸困難が増悪したた
め、近医より当院に紹介され、10月12日入院となる . 血圧は90 / 56 mmhg、脈拍は56 bpm、不整 .SPO2 93 % であった . 現症:聴
診にて胸骨第二肋間に収縮期雑音 Levine3/6 を聴取し、両下肢に浮腫を認めた . 胸部レントゲン上両側胸水と、肺水腫、心拡大を認め、CTR
は67 . 4%であった . 心電図は心房細動で、心拍数は56 bpm. 経胸壁心エコー : 心房中隔欠損症を認め、左房、右房の拡大と、下大静脈の
拡張を認めた . 入院後経過:輸血と利尿剤の静注を行い、速やかに胸水と下肢の浮腫は軽減したため、11月6日独歩にて退院となる .
P128
拡張不全患者では急性心不全から回復後も E/E’の上昇は持続する
1
河内総合病院 臨床検査部、2 河内総合病院 心臓センター内科
大平 芳行 1、林 英宰 2、市川 稔 2、岩田 昭夫 2、林 隆文 2、名方 剛 2、三嶋 正芳 2
【背景】拡張不全の診断が確立していないことから、拡張不全の病態は必ずしも明らかではない。一方、組織ドプラ法から得られた指標で
ある E/E’
は左室拡張能の評価に有用と提唱されている。【目的】E/E’
の持続的上昇は拡張不全患者の特徴的な病態のひとつであることを明
らかにする。
【方法】対象は 2003 年 1 月から 2006 年 4 月までに急性うっ血性心不全のために入院した 89 例(急性冠症候群は除く)
。入院時
左室駆出率が 45%以上あって、その後外来で 6 ヶ月以上安定した状態で治療されているものを拡張不全
(DHF)群(n = 20)とした。心症状の
ない左室駆出率が 45%以上の高血圧患者連続 29 例をコントロール(C)群とした。パルスドプラ法による拡張早期左室流入血流のピーク流
速(E)、組織ドプラ法による僧帽弁輪拡張早期ピーク速度(E’
)とその比(E/E’
)を入院から 6 ヶ月後の慢性期に測定した。同時に他のエコー
指標(左室径、左室壁厚、E/A 比、DT 、TEI など)と血清 BNP 値を測定した。
【成績】両群で左室壁厚には差はなかったが、E/E’
は C 群よ
りも DHF 群で高かった(14.5 ± 2.9 vs.10.9 ± 2.0, p < 0.01)。BNP レベルは DHF 群で高い傾向にあった(209 ± 120 pg/ml)。左室径や他のエコー
指標には差はなかった。【結論】持続的な E/E’
の上昇は、左室肥大の程度とは関係なく、拡張能低下による急性心不全発症の診断およびリ
スク評価の指標になりうる。
P129
任意方向 M モード法による左室内 dyssynchrony 検出に関する検討
1
筑波大学附属病院 検査部、2 筑波大学 臨床医学系 循環器内科
酒巻 文子 1、瀬尾 由広 2、飯田 典子 1、中島 英樹 1、稲葉 武 1、川村 龍 2、宇野 希世子 2、石津 智子 2、河野 了 2、渡辺 重行 2、青沼 和隆 2
【目的】左室内 dyssynchrony 評価における任意方向 M モード法 omni-directional M-mode echocardiography system
(OMES)の有用性を、従来
の M モード法による Septal-to-posterior wall motion delay
(SPWMD)と比較検討すること。
【方法】対象は左脚ブロックを呈する拡張型心
筋症
(DCM)27 例(58 ± 16 歳、QRS 156 ± 17ms、EF 29 ± 11%)。超音波診断装置 Vivid 7 を用いて心エコー検査を施行し off-line 解析装置
EchoPac PC にて解析を行った。OMES による計測は従来の SPWMD を基準に M モード走査線を回転させ、中隔における収縮期最早期ピー
クが得られる部位で方向を決定した。また、スペックルトラッキング法を用いて左室短軸像 6 セグメントでの radial strain curve 解析を行い、
peak radial strain の最早期、
最遅延セグメントを決定し、その時間差(Td)
を計測した。【結果】SPWMD を測定できた症例は 16 例
(59%)に対し、
OMES 法では 24 例(89%)と有意に高率であった(p = 0.02)。また OMES 法における非同期部位は前壁中隔または下壁中隔と、側壁または後
壁間で認められ、従来法に比較しスペックルトラッキング法で検出された最早期部位と高率に一致した(従来法 50%、OMES 法 88%、p =
0.007)。最遅延部位は OMES 法 79%、従来法 63% と OMES の一致率が高いものの有意差は得られなかった
(p = 0.26)。さらに dyssynchrony
の時間差は、従来法に比し OMES 法による SPWMD と Td との間に強い相関が認められた(OMES 法 ;r = 0.86, p < 0.001, 従来法 ;r = 0.49, p <
0.001)。【結論】従来法 SPWMD が前壁中隔と後壁間に限局した評価であるのに対し、OMES 法は下壁中隔と側壁間においても評価が可能
であり、dyssynchrony 評価に有用であることが示唆される。
- 193 -
P130
拡張型心筋症における M モード法を用いた左室内 dyssynchrony 検出と QRS 時間との関連についての検討
1
筑波大学附属病院 検査部、2 筑波大学 臨床医学系 循環器内科
酒巻 文子 1、瀬尾 由広 2、飯田 典子 1、中島 英樹 1、稲葉 武 1、川村 龍 2、宇野 希世子 2、石津 智子 2、河野 了 2、渡辺 重行 2、青沼 和隆 2
【目的】拡張型心筋症(DCM)例において、M モード法の Septal-to-posterior wall motion delay
(SPWMD)を用いた左室内 dyssynchrony 検出率
と QRS 時間との関連を評価すること。【方法】対象は DCM46 例で、QRS > 130ms を wide QRS 群(W 群 25 例;QRS 156 ± 17ms、EF 29 ±
11%)、それ以下を narrow QRS 群(N 群 19 例;QRS 101 ± 14ms、EF 31 ± 11%)とした。SPWMD 計測は従来法と任意方向 M モード法(OMES)
法(SPWMDOMES)で測定した。OMES 法は基準の M モード走査線を中隔における収縮期最早期ピークが検出できる部位で方向を決定した。
また、スペックルトラッキング法を用いて左室短軸 6 セグメントにおける peak radial strain
(Rs)の最早期と最遅延部位での時間差(Td)を
計測した。正常 30 例
(QRS 92 ± 9ms、EF 68 ± 8%)における Td の平均 +2SD は 90ms であり、それ以上を dyssynchrony ありと定義した。【結
果】従来法 SPWMD は 32 例(73%)で、SPWMDOMES は 41 例(93%)で測定可能であった(p = 0.01)。Td は 3 群間で有意差が認められ
(W 群;
384 ± 96ms, N 群;221 ± 179ms,C 群;30 ± 30ms, p < 0.001)、dyssynchrony ありと診断された症例は、W 群 25 例
(100%), N 群 14 例(74%)
であった。従来法による dyssynchrony の正診率は W 群 11 例(73%)
, N 群 7 例(41%)と N 群で低下傾向
(p = 0.07)が見られ、SPWMDOMES では
W 群 22 例(96%), N 群 10 例(56%)と有意に N 群において正診率が低値であった
(p = 0.002)。また、N 群における従来法と OMES 法による
dyssynchrony の正診率には有意差は認められなかった。【結論】narrow QRS を呈する DCM 症例においては、OMES 法を含めた M モード法
による dyssynchrony 検出に限界があることが示唆された。
P131
左室内血流の流体力学的指標は、心不全の重症度を予測できる
1
心臓血管研究所付属病院 臨床検査部、2 医用超音波技術研究所、3 東北厚生年金病院、4 アロカ株式会社
佐々木 伸子 1、種村 正 1、上嶋 徳久 1、澤田 準 1、大槻 茂雄 2、田中 元直 3、岡田 孝 4、原田 烈光 4
【目的】エコーダイナモグラフィー(EDG)で求められる流体力学的指標と、心肺運動負荷試験(CPX)で求められる心不全の重症度指標
との関係を明らかにする。【方法】対象は、左室内径短縮率 6∼52% の心疾患患者 37 例(拡張型心筋症 10 例、肥大型心筋症 3 例、虚血性心
疾患 20 例、薬剤性心筋症 2 例、高血圧性心疾患 2 例)。心尖部長軸断面を描出し、駆出期および拡張早期のカラードプラ情報を EDG により
解析した。左室内血流の総運動量を求め、各時相のピーク値をそれぞれ MS、MD とした。左室断面積で補正した値を MSc、MDc とした。
これらと CPX で求めた最大酸素摂取量(peak VO2)と、換気効率指標(VE/VCO2 slope)との相関を求めた。
【結果】peak VO2 と MS の間
に相関関係があった(r = 0.57, p = 0.0002)。VE/VCO2 slope と MS、MSc、MD、MDc の間に有意な相関関係を認めた(それぞれ r = 0.50, p
= 0.002; r = 0.56, p = 0.0004; r = 0.37, p = 0.02; r = 0.58, p = 0.0002)
。駆出期と拡張早期の補正運動量を組み合わせると(MSc+MDc)、相関
が更に良好となった(r = 0.61,p < 0.0001)。MS は、peak VO2 14ml/min/kg 以下の症例を感度 88%、特異度 64% で予測できた(カットオフ
。【結論】
値 419g/s)。また、MSc+MDc は、VE/VCO2 slope 35 以上の症例を感度 100%、特異度 86% で予測できた(カットオフ値 27.7g/s/cm2)
EDG で求められる流体力学的指標は、CPX で求められる心不全の重症度指標を予測できる。
P132
経皮的冠動脈形成術中の左室壁内心筋ストレイン勾配の変化
和歌山県立医科大学
谷本 貴志、久保 隆史、山野 貴司、松尾 好記、北端 宏規、財田 滋穂、今西 敏雄、津田 和志、友渕 佳明、赤阪 隆史
【背景】正常心筋におけるストレイン分布は一様でなく、収縮期ストレイン値は心内膜側で高く心外膜側で低いことが知られている。組織
ドプラー法にて左室壁内心筋ストレイン勾配を定量評価できるようになってきたが、心筋虚血によりストレイン勾配がどのように変化す
るかについての報告は少ない。
【目的】経皮的冠動脈形成術中に心エコー図を施行し、冠血流遮断・解除時に左室壁内心筋ストレイン勾配
が経時的にどのように変化するかを観察した。
【方法】対象は待機的に右冠動脈に対し経皮的冠動脈形成術を施行した安定狭心症患者 10
名。心エコー図は東芝社製 Aplio を用い、組織ドプラー法にて乳頭筋レベルの左室短軸像を経時的に記録し、解析ソフト TDI-Q を用いて下
壁の心筋内ストレイン勾配を求めた。冠血流遮断前後の心筋内のストレインのピーク値と、ピークを形成する位置(壁厚における心内膜
側からの距離を % 表示)を比較した。
【結果】収縮期ストレインのピーク値は血流遮断前と比べ遮断後に有意に低下した(前:1.34 ± 0.56
vs 遮断後:0.45 ± 0.16、< 0.01)。また、心内膜からピーク部位までの距離は遮断後に有意に心内膜から離れた(前:15.7 ± 5.0% vs 遮断後:
41.7 ± 7.6%、< 0.01)
。これらの変化は血流再開後すみやかに改善した。
【結論】心筋虚血による左室壁内心筋ストレイン勾配の変化を経
時的に観察できた。心筋虚血によりストレインのピーク値は低下し、ピークをとる位置は心内膜側から心外膜側に移動した。
- 194 -
P133
アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ARB)の増量または Ca 拮抗薬(CCB)の併用による降圧は心肥大を退縮さ
せるか:心エコ−図による検討
1
川崎医科大学附属病院 循環器内科、2 川崎医科大学附属病院 中央検査部
岡橋 典子 1、渡邉 望 1、林田 晃寛 1、尾長谷 喜久子 1、泉 礼司 2、小山 雄士 1、根石 陽二 1、豊田 英嗣 1、川元 隆弘 1、大倉 宏之 1、
吉田 清 1
【目的】心肥大は高血圧患者の予後を規定する因子のひとつであり、十分な降圧は心肥大の退縮に重要と考えられる。今回、我々は、心肥
大を合併した新規高血圧患者において、降圧による心肥大に及ぼす効果を検討した。【方法】心電図にて左室高電位
(SV1+RV5 ≧ 4.0mV)ま
(ARB: バルサルタン 40mg/ 日)投与に
たは心エコー図にて左室肥大(LVMI ≧ 110g/m2)を示し、低用量のアンギオテンシン変換酵素阻害薬
よっても収縮期血圧 140mmHg 以上、または拡張期血圧 90mmHg 以上である患者を対象とした。降圧目標を 140/90mmHg 未満に設定し、降
圧療法を ARB 増量群とカルシウム拮抗薬(CCB)併用群に層別し、6 ヶ月間の血圧変化を観察、治療開始 3 ヶ月 ,6 ヶ月後に心電図・心エコー
図検査を施行した。
【結果】開始時血圧は 157 ± 12/98 ± 7mmHg であったが、6 ヵ月後には 129 ± 12/84 ± 12mmHg と有意に低下し(p = 0.001)、
LVMI は 134.1 ± 18.2g/m2 から 110.1 ± 22.4 g/m2(p = 0.001)と減少した。ARB 増量群と CCB 併用群を比較すると、両群ともに 6 ヶ月後に十
分な降圧を認めたが、LVMI の減少に関しては CCB 併用群が ARB 増量群を上回る傾向が認められた
(p = 0.002 vs. p = 0.305)
。【結論】ARB
増量または Ca 拮抗薬の併用による降圧で、心肥大の退縮を認めた。また、作用機序の異なる降圧薬の併用は、心肥大の退縮においてより
有効な可能性がある。
P134
開発途上国住民の心機能の検討
1
長崎大学 循環病態制御外科学、2 倉富眼科
山近 史郎 1、江石 清行 1、倉富 彰秀 2
【目的】開発途上国住民の心機能に関して心エコーを用いて検討した。
【方法】バングラデッシュ国カナパリ村における白内障ボランティ
ア手術(POSA アイキャンプ)を施行した 35 例を対象に、術前に身長、体重、心拍数、血圧を測定し、携帯型心エコー装置を用いて心エコー・
ドプラ検査を施行した。
【成績】
:1)リウマチ性弁膜症や心筋症が示唆される例は認められなかった。2)肥満度は男性に比し女性が高
値の傾向を呈した。3)左房、左室の内腔はむしろ狭小で、高血圧例の心筋肥厚も軽度であった。4)1 例に軽度の局所壁運動低下を認め
たが、左室収縮力は概ね良好であった。5)加齢に伴う大動脈弁硬化は認めるものの、AS および AR は各 1 例のみであった。MR はあって
も軽度であった。6)心房細動は1例であったが、唯一、緑内障による眼圧上昇を呈していた。【結論】高血圧例でも心筋肥厚は軽度で、
むしろ hypovolemic な印象であり、食生活習慣との関連が示唆された。弁の加齢変化は認めても、心機能は比較的保たれており心筋虚血は
少ないことが示唆された。
P135
Amplatzer 閉鎖栓を用いた経カテーテル ASD 閉鎖術の経胸壁心エコーによる適応判定
1
埼玉医科大学病院 中央検査部心臓病センター、2 心臓血管外科、3 小児心臓科
三原 千博 1、松村 誠 2、三村 優子 1、三村 弘司 1、山本 哲也 1、諸貫 孝久 1、数野 直美 1、小林 俊樹 3
【目的】経胸壁心エコー(TTE)による経カテーテル的 ASD 閉鎖術(Amplatzer 閉鎖栓)の適応判定の妥当性について経食道心エコー(TEE)
あるいは手術所見を基に検討した。【方法】対象は経カテーテル ASD 閉鎖術目的で当院を紹介され来院した孤立性 ASD の 39 例(男性 10 例、
女性 29 例、年齢 4∼69 歳(平均 28 歳)
)。TTE で ASD の部位診断と最大欠損孔径(ASD径)、心房中隔リム長の計測を行い、ASD 閉鎖術
の適応を評価した。1. 卵円窩型、2.ASD 径< 25mm(小児では< 20mm)、3. 心房中隔リム長(前方リムを除く)≧ 6 mm、4. 単孔欠損 1∼
4 の全てを満たす場合を標準的な適応と判定した。【結果】TEE の判定結果を基準にすると適応判定に関する TTE の感度は 100%(26/26 例)、
特異度は 77%(10/13 例)、TTE と TEE の一致率は 92%(36/39 例)であった。不一致例の 3 例は全て TTE で適応とされたが最終的に TEE で
非適応とされた偽陽性例であった。評価不一致項目はいずれも心房中隔リムに関するもの(長さ及び形状)であった。【結語】TTE は TEE
に比して心房中隔リムの評価において特異度は低いが、総合評価としての診断感度は高く、経カテーテル ASD 閉鎖術の適応例の選別ある
いは一次判定法として妥当である。
- 195 -
P136
自施設での 10 年間の感染性心内膜炎症例の臨床像:心エコ−図を用いた DUKE 診断基準による検討
1
府中病院 中央検査部生理検査科、2 府中病院 循環器科
宇多 里恵子 1、太田 剛弘 2、谷川 崇 1、山口 良子 1、荒木 希依子 1、川井 小百合 1、占野 賢司 2、坂上 祐司 2、柳 志郎 2
【背景】感染性心内膜炎(IE)は時に致死的な疾患だが診断遅れ重篤となる例が多い。不明熱例は IE を疑い確定診断は心エコー所見に基づい
た DUKE 診断基準が有用とされ、IE の臨床的特徴の理解が的確な診断に重要。
【目的】最近 10 年間の自施設の IE 症例を検討し心エコー図
による診断基準を用い、有用な臨床的特徴、疾患での発生頻度を検討。
【方法】1997 年から 2006 年の心エコー図検査 30520 例中で IE 疑い例
を DUKE 診断基準と旧基準で比較検討し疾患別の臨床的特徴を検討。【結果】10 年間の心エコー検査 30520 例中で 20 例(0.065%)が IE と診
断(平均 62.2 才)。うち DUKE 基準で 17 例
(85%)、
剖検 3 例を含め旧基準の診断率(68%)
に比べ有意に改善。感染巣は大動脈弁 9/20 例
(45%)、
僧房弁 10/20 例
(50%)で罹患部位に差はなかった。右心系も 2 例(10%)。全例で自己弁感染は中等度以上の弁膜症に有意に多く 16/2324 例
(0.51%)、大動脈弁 6/1087 例
(0.55/%)
、僧房弁 5/1058 例(0.47%)に発症。弁膜手術後は 6 例(30%)
に IE 認め人工弁感染は大動脈弁置換(AVR)
に3例
(15%)発症。AVR 全体で 3/113 例(0.27/%)。基礎疾患有する例が有意に多かった
(18/20 例)。透析患者の IE は 3 例、全体で 3/619 例
(0.48%)。弁輪膿瘍は AVR 例 3 例に、疣腫 10 例
(50%)弁穿孔弁膜瘤 3 例
(15 %)に認めた。合併症は心不全 9 例(45%)、脳塞栓など 4 例(20%)
に認めた。誘引はう歯治療 7 例(35%)、創感染 3 例(15%)が高率だが不明例
(5 例)もあった。6 例(30%)が死亡、弁置換 2 例が IE 再燃し再手
術となった。【結語】長い不明熱例は IE を念頭に心エコ−検査し DUKE 基準で確定する。感染巣は血流が内膜障害する部位に多く弁膜症、
人工弁術後、透析患者など基礎疾患例は心エコー繰り返し早期診断治療が望まれる。
P137
左房ストレインレートと左心耳血流速度の関連
富山大学 第二内科
福田 信之、大原 一将、中川 圭子、平井 忠和、能沢 孝、井上 博
【背景】局所心筋機能の定量的評価法として心筋ストレインレート法の有用性が報告されているが、左房ストレインレートが左心耳機能を
評価しうるかは不明である。【目的】左心耳機能の指標である左心耳血流速度と、左房ストレインレートとの関連を検討した。【方法】経
食道心エコー図検査を施行した洞調律例14例(発作性心房細動3例、正常洞調律 11 例、平均年齢65±12(SD)歳)で、東芝社製
AplioSSA770A を用い、経胸壁心エコー図で心尖部から3断面で心房中隔、前壁、側壁、後壁、下壁の 5 セグメントの左房ストレインレー
トを測定した。心房収縮期ストレインレートのピーク値を A 波(SR-A)とし、経食道心エコー図の左心耳血流速度との関連を検討した。【結
果】対象14例の左心耳血流速度は左室収縮能(LVEF)や左房径とは明らかな相関はなかったが、僧帽弁心房収縮期ピーク血流速とは弱
い相関を認めた(r=0.582、P <0.029)。SR-A を評価した5セグメントにおいて前壁、側壁、後壁、下壁の SR-A は左心耳血流
速度(平均47.5±18.0cm/s)とそれぞれ正の相関を認め(前壁r=0.62;P <0.01、側壁r=0.68;P <0.01、後
壁r=0.71;P <0.01、下壁r=0.57;P <0.05)
、さらに5セグメントの総和(平均 - 9.31±5.22/s)は左心耳血流
速度と強い正の相関を認めた(r=0.77、p<0.001)
。【結論】経胸壁心エコーの左房ストレインレートによる左房機能の評価は
左心耳機能評価の一助となる可能性が示唆された。
- 196 -
P138
小児の FMD 計測の現状に関するアンケート調査―計測方法の標準化にむけて―
1
大阪医科大学 小児科、2 日本大学 小児科、3 都立広尾病院 小児科、4 北里大学 小児科、5 東京女子医科大学 心臓病センター 循環
器小児科、6 東京女子医科大学 東医療センター 小児科
片山 博視 1、森 保彦 1、奥村 謙一 1、尾崎 智康 1、岡田 知雄 2、能登 信孝 2、原 光彦 3、石井 正浩 4、中西 敏雄 5、伊藤 けい子 6、高谷 竜三 1、
玉井 浩 1
【背景】Flow mediated dilatation
(FMD)は、動脈硬化の初期段階の異常である血管内皮機能異常の評価法として広く用いられている . しかし
本法は様々な要因に影響を受け、施設間のばらつきが大きい . 欧米では本法の計測方法のガイドラインが作成され、成人では本邦でも標
準化が検討されている . しかし小児の計測の標準化はされていないのが現状である . 小児では(1)ベースラインの血管径が年齢で大きく異な
る(2)
.
安静が保ちにくい(3)
. 二次成長の影響を考慮する必要がある(4)
.
NTG 負荷時の至適投与量が成人と異なる . などの問題点がある . 従っ
て小児の FMD の計測方法の標準化は重要である .
【方法】標準化にあたり、現在、FMD 計測を行っている主要6施設にその現状をアンケートにて調査した .
【結果】表のごとく、一致していない項目も多く認められた .
【結語】基本的な計測方法を定め、小児特有の問題を解決しつつ、欧米のガイドラインから逸脱せず、本邦成人のガイドラインとも整合性
をもった計測方法の標準化が重要である .
P139
高血圧による大動脈基部の形態変化が原因と考えられる大動脈弁逆流の症例
1
独立行政法人 国立機構 埼玉病院 循環器内科、2 独立行政法人 国立機構 埼玉病院 心臓血管外科
南雲 美也子 1、真鍋 知宏 1、高橋 正彦 1、森谷 学 1、穂坂 春彦 1、鈴木 雅裕 1、茂呂 勝美 2、後藤 哲哉 2、新堀 立 2
【背景】大動脈弁逆流(AR)の原因は、近年では、リウマチ性弁膜症の減少と高齢化社会を反映して変性による AR が増加している。AR の
原因となる大動脈弁輪拡張症は、大動脈中膜の変性によることが知られているが、その発症機序は不明な点も多い。我々は、高血圧で経
過観察中に急性心不全を合併し、精査の結果、左室機能低下と大動脈基部拡大に伴う AR II 度の 2 症例を経験した。
【症例 1】69 歳、男性。
既往歴に高血圧。67 歳時より労作時息切れを自覚し、経過中に急性心不全を合併。心エコー検査で、大動脈基部拡大に伴う中等度 AR、左
室径拡大と左室機能低下を認めた。心臓カテーテル検査の結果、正常冠動脈、LVEF 48.4 %、EDVI 260.8 ml / m2、LVEDP 26 mmHg、AR II
度であった。【症例 2】67 歳、男性。既往歴に高血圧。66 歳時、急性心不全合併。心エコー検査で、症例 1 同様の所見を得た。心臓カテー
テル検査は、正常冠動脈、LVEF 41.8 %、EDVI 244.3 ml / m2、LVEDP 31 mmHg、AR II 度であった。2 症例とも NYHA II 度の有症状で、左
室機能低下の原因が高血圧と大動脈基部拡大に伴う中等度 AR と診断し、大動脈弁置換術および症例 1 では上行大動脈縫縮術を施行した。
【結論】2 症例とも AR は、大動脈基部拡大による大動脈弁の tethering が原因であった。症例 1 の大動脈病理所見は、動脈硬化性変化に嚢状
中膜壊死を伴い、中膜の脆弱性が大動脈弁輪拡張を来したと考えられた。いずれも AR II 度のみでは、左室機能の低下の原因になるとは考
え難く、大動脈基部の形態変化の機序および左室機能低下の原因に高血圧の関与が示唆された。高血圧症例では、心エコーで大動脈の観
察を行うことも重要であると考えられた。
- 197 -