今回は縁についてお話します。「縁は異なもの味なもの」と言います。私

今回は縁についてお話します。「縁は異なもの味なもの」と言います。私たちが、
人生の中で巡り遭う不思議な縁。えにしとも言いますが、これは一体どういうもの
でしょうか。
一言で言うと、縁とは「つながり」のことです。学校や会社、親戚などでつなが
るわかりやすい縁もあれば、生まれる前からの目に見えない縁もあります。
「袖振り合うも他生の縁」と言うように、私たちは一生の間に、一体何人の人と
すれ違い、出会い、話をして、そして一体どんな人や物から影響を受けて動かされ、
道を選択してきたのでしょうか。私たちの生活はこのように誰かとの縁によって成
り立っています。人だけではなく職場や住む場所など様々な縁によって結ばれ、ま
た、その縁の中で、泣き、笑い、楽しんで、頑張り、ぶつかりあって、いろいろな
ことを学び、成長してきます。それら一人一人の人や出来事、物や土地などとの縁
は、次の縁へと繋がっていくのです。
私たちがこの世で初めて出会う縁は、親との縁です。「人は生まれてくる場所は
選べない」といわれたりもしますが、実際に私たちは皆、生まれてくる親を選んで
来ていると言われています。
胎内記憶研究第一人者の産婦人科医、池川明先生の調査によれば、ある保育園で
アンケートをとったところ、実に3割もの園児に出生時の記憶があり、中には誕生
前や、お母さんのおなかの中に宿る前の記憶について語る子どもが居るそうです。
そのほとんどが一様に「お父さんお母さんを自分で選んできた」と言うんだそうで
す。他の医者たちが「そんなばかな」とまじめに取り合わない中、池川先生はおっ
しゃいます。「たくさんの子供に話を聞いて、その中の多くの子が同じことを言う
という事実を、もちろん信じなくても構いませんが、信じちゃいけない理由があり
ますか?」と。
実際に、「選んで生まれて来た」と言う子どもは、たくさんいるようです。
弥勒寺に来られるお母さんがこういうお話をしてくださいました。
「中学3年の息子の学校問題などで私も息子も苦しい毎日を送っていました。お
互いどうして良いかわからず、感情をそのままぶつけ合うケンカが絶えず、息子を
すごく傷つけてしまう言葉を言ってしまったりと。『何と私はダメな母親なんだろ
う』と落ち込んでいました。
そんな時、母親になる女性たちへ「おなかの中の子はぜんぶ分かっているよ。夫
婦仲良くしなさい」とおさとしされた徐明師のお言葉を聞いた時に、息子が3歳の
時に私に言った言葉を思い出しました。それは「ママ、パパ、ケンカしちゃダメ!
だって僕、自分からこの家の子にして下さいってお願いしてパパとママの子になっ
たんだよ。だから仲良くして!」と。
それを鮮明に思い出した私は、そんな大事な息子を傷付けている申し訳なさでい
っぱいになり、涙が溢れてきました。こんな私を母として選んで生まれて来てくれ
た子どもたち。私のほうが子供に育てられているんだと改めて感謝し、身の引き締
まる思いがしました。」
徐錦泉理事長はおっしゃいます。「どんなかたちにしろ、生まれた子どもには親
の背負った因縁がそのまま現れます。生まれた子本人の業は一分しかなく、あとは、
親や一族の因縁を背負って生まれてきます。子どもは、どの親のところに行くか、
最初から決めて生まれてきます。因縁による引き取り手がなければ、閻魔大王に生
まれさせてもらえないからです。夫婦でも親子でも、因縁とはもつれていくもの。
それを一緒に背負っていくものなのです。それを心にとめて、親子も夫婦も、情愛
を大切にしていきましょう。」
「因縁」と聞くと、何かおどろおどろしたこわいもののように聞こえるかもしれま
せんが、これも「縁」のこと。厳密にいうと、「縁をうみだした原因」のことです。
よく『因縁を付ける』という言い方をしますが、これは「過去の縁によって言いが
かりをつけるにいたったか、または未来の縁となる発端をつくったのか」、ここで
は良くないことの使い方ですが「あなたと自分との間に因縁を作っていく」という
意味です。多かれ少なかれ、私たちは、いろんなものや人に対して「因縁をつけて」
生きています。
原因があって「縁」ができると、その先には結果があらわれます。これを「因果」
といいます。良い行いをすれば良いご縁ができ、未来の幸福へつながります。逆に
悪い行いをすれば、また自分に返ってきて悪い縁ができ、悪い結果が返ってきてし
まいます。これを善因善果・悪因悪果と言います。世の中は、こうした原因と結果
が繰り返される、因果応報の法則の中にあるのです。
私たちは、この目に見えないつながりの中で生活しています。とつぜん起こった
ように見える出来事も、過去に自分がおこなったことによる結果です。それは最近
のことか、それとも生まれる前のことかは分かりません。でも誰でも、そうした見
えない糸をたぐりよせて生活しているのです。
私たちは、自分一人の力で今日あるのでもなく、さまざまな縁によって導かれて
いる存在です。自分を知るためにこうした見えない縁について考え、そしてできる
だけ良い行いを積み重ねて、縁を良いものへと変え、明るい未来にしていくことが
とても大切です。
自分のまわりの人のことを思い浮かべてください。仲の良い人、悪い人。何か嫌
な相手、また、親子や夫婦の関係。人と人とのつながりに悩みはつきものですが、
その裏には必ず自分で選び、自分でつくってきた「縁」があります。
そして、さらにご先祖さまから受け継ぐ縁もあります。身体だけでなく能力や生き
る基盤なども、ご先祖さまの徳と縁がなければ得ることはできません。自分が受け
たご恩に報いて徳をお返ししていくために、私たちは自分の人生で、より良い因縁
をつくっていくよう努力しなければいけません。
もしも今、家族や病気やお金など様々な困難や問題で悩んでいらっしゃったとし
ても、それもまた過去の自分やご先祖さまが、今の私に宿題として与えた磨き砂で
す。今のあなたの人生は、あなたに必要だからあるのです。その問題に向かう姿勢
や行動によって、次に、より良い縁と結果がもたらされてくるのです。
そうして縁を未来に向けて良いほうへ変えていくための鍵は、天の道に沿って生
きることにあります。 天道では、こうした因縁の中で自ら学び、私たちのたまし
いが向上して、本当の救いを得ることを大きな良縁としています。そして私たちを
支えるご先祖さまや家族、周り方々も同じように道を得て、それを善縁として皆で
徳をつんでいただく事。それが最高の良縁吉祥です。
真の道に沿っていけば、どんなに悪い縁にしばられていても、必ず未来に向けて
良い縁へと切り替えることができます。あらゆる縁は結局のところ自分から発して
おり、さらにさかのぼれば、すべて親神さまへとつながり、すべての魂が兄弟なの
です。そう信じられることが、すべての縁を良縁にきりかえる出発点となります。
もちろん萬々年の生まれ変わりのうちで、縁は個人ではほどけないほど複雑に、
あちらの人、こちらの人の因縁とからみあい、どうしようもない状態にもなってい
ます。それは大きなほつれやゆがみとなって、今、社会や世界に大きく現われてい
ます。私たちはこうした世の中のほつれもほどいていかなければいけませんし、ま
た天道にはその方法もあります。まずは自分から。そしてそこから広がって、本当
の良縁を周りから、世の中につなげていきましょう。
7月20日(壬辰歳6月2日)の今日の助言。
「大欲を抱け」人の生き方は、無欲であることが望ましいもの。
欲が深ければ深いほど、人は我が強くなり、因縁を結んでいくこととなります。し
かし、その欲がもっと大きな欲、「大欲」に至ったなら、それは公の欲となり、差
別区別ある個を超えて、方便をさまざまに駆使して尚、目標がぶれることがなくな
ります。大欲は最高の無欲であり、大きな功徳となるのです」