第10節 保健室の管理と運営

第 10 節
保健室の管理と運営
1 保健室の機能と役割
「学校には,その学校の目的を実現させるために必要な校地,校舎,校具,運動場,図書館又は図書室,
保健室その他の施設を設けなければならない。
」とある。
(学校教育法施行規則第 1 条)
この規定をうけて「学校には,健康診断,健康相談,保健指導,救急処置その他の保健に関する措置等
を行うため,保健室を設けるものとする。
」とされている。
(学校保健安全法第7条)
養護教諭は,学校保健活動の推進に当たって中核的な役割を果たしており,現代的な健康課題の解決に
向けて重要な責務を担っている。子どもの健康づくりを効果的に推進するためには,学校保健活動のセン
ター的役割を果たしている保健室の経営の充実を図ることが求められている。そのためには,養護教諭は
保健室経営計画を立て,教職員に周知を図り連携していくことが望まれる。
(中央教育審議会答申 2008.1)
2 保健室の条件
学校の施設設備については,文部科学省が,校種別に学校施設整備指針を定めている。
保健室の広さは,保健室の機能が充分発揮できる広さが必要である。休養や救急処置・発育測定等のコー
ナーに加え,児童生徒の自治的活動や健康相談・個別の保健指導コーナーも設けることが望ましい。
また,保健室の位置は日当たりがよく,通風,採光,換気等の条件がよく,救急処置の観点からも,1
階で運動場,体育館,トイレ等に近いなど,児童生徒がもっとも利用しやすい場所がよい。
3 保健室に必要な備品及び医薬品等
保健室の備品等については,昭和 61 年4月文部省体育局長通達にて,次の通り示されている。
一般設備品
机(救急処置用,事務用)
いす(救急処置用,事務用)
ベッド・脱衣かご
寝具類及び寝具入れ
救急処置用寝台及び枕
長いす(待合用)
・ついたて
薬品戸棚・書類戸棚
器械戸棚・器械卓子
万能つぼ
洗面器及び洗面器スタンド
健康診断票格納庫
湯沸器具
ストップウォッチ
懐中電灯・温室時計
黒板・冷蔵庫
各種保健教育資料
健康診断・健康相談用
身長計・体重計・座高計
巻尺・遮眼器・照明灯
国際標準式試視力表
及び照明装置
視力検査用指示棒
色覚異常検査表
オージオメータ
額帯鏡・捲綿子・消息子
耳鏡・鼻鏡・舌圧子
耳鼻科用ピンセット
咽頭捲綿子
歯鏡・歯科用探針
歯科用ピンセット
ツベルクリン反応測定板
聴診器・打診器
肺活量計・握力計
背筋力計・血圧計
救急処置・疾病の予防処置用
体温計・ピンセット
ピンセット立て
剪刀・膿盆・ガーゼ缶
消毒盤・毛抜き
副木・副子
携帯用救急器具・担架
マウストゥマウス用マスク
松葉杖
救急処置用踏み台
洗眼瓶・洗眼受水器
滅菌器・汚物投入器
氷のう・水枕
電気あんか
環境衛生検査用
アスマン通風乾湿計
カタ温度計
黒球温度計
照度計
ガス検知器
塵埃計
騒音計
黒板検査用色票
水質検査用器具
プール用水温計
プール水質検査用器
具
なお,保健室の医薬品の購入に際しては,同通達において「医薬品は,学校医・学校歯科医及び学校薬剤
師の指導のもとに購入する。
」ことが示されている。保健室の機能の多様化に伴い,救急処置コーナー,休養
コーナー,測定コーナー,相談コーナー,執務コーナーなど,目的に応じて必要な設備・備品・資料を備え
る必要がある。
以下に,保健室の施設設備や備品を参考にしたレイアウトを示す。
- 213 -
【中学校の例】
校
庭
外線電話
ソファー
書類戸棚
洗濯機
事務机
事務机
流し台
処置用ベッド
湯沸器
収
納
コンロ
式
ベ
冷蔵庫
ッ
机
ド
本棚
救
収納
検診器具
薬 品 庫
布団
【相談スペース】
急
トイレ
箱
関係消耗品
ソファー
掃除用
具入れ
内線電話
相談室
身 長 計
下
体 重 計
衝立
廊
トイレ
談話室(畳)
◆ ポイント
・ 保健室前にトイレ(バリアフリー,洋式)と相談室があるため,対応がしやすい。
また,畳の談話室も来室者が多い時は活用している。
・ 収納式ベッドは,保健室内が広く感じ,健康診断等でも活用できる。
・ 足洗い場は保健室の近くにほしい。さらに,流し台の高さは足も洗えるように低くなっていると,室
内でもスムーズに処置ができる。
・ 現在,薬品庫隣りのソファーを相談スペースとして利用しているが,保健室来室者から容易に見えて
しまうため,きちんと仕切られた空間を作りたい。
・ エアコンによる空調完備。
・ 保健室に外線・内線電話がある。パソコン(プリンター一式,インターネット対応)が設置されている。
・ 小中学校でも保健室内や近くにシャワー室があるとよい。
- 214 -
【特別支援学校の例】
保健室
ケアルーム
7600mm
棚
柱
水道
柱
可動衝立
汚水槽
柱
出入口
柱
高床
畳スペース
水道
水道
AED
(車イス対応)
【トイレ】
パソコン
10700mm
洗濯乾燥機
温水シャワー
仰臥位身長計
洋式便座
車イス用体重計
洗濯乾燥機
記録用机
机 内線電話
机
机
収納庫
折りたた
み型ベッド
出入口
滅菌器
身長計
可動衝立
手すり付体重計
共有ドア→
薬品庫
冷蔵庫
IH
冷蔵庫
机
畳スペース
キャスター・ギャ
ッジ付ベッド
診察台
救急搬送車用
一般車駐車禁止
清掃用具
7600mm
座高計
外線内線電話
柱
自動血圧計
視力計
診察台
収納型
ベッド
キャスター・ギャ
ッジ付ベッド
テーブル
身長体重同時測定計
清掃用具
柱
書庫
流し
薬品庫
ベッド
ベッド
薬品庫
(床暖房)
机
製氷機
堀込み
椅子型体重計
救急カート
流し
収納型
ベッド
身長計
プリンター
パソコン
IH
布団乾燥
柱
足洗場
◆ ポイント
・ 水道は3カ所とも車イスのまま,手洗いができるようになっている。
・ ベッド(保健室2台,ケアルーム2台)は,キャスター,ギャッジ付きである。
・ 保健室前は,救急車対応用に駐車禁止スペースとなっている。
・ 不審者対策として,ネットランチャーと防護板がある。
・ 保健室内にAEDが設置されている(校内6カ所)
。
・ 保健室とケアルームは共有ドアで行き来できる。
・ トイレは双方から利用できる。洋式で,暖房便座,おしり・ビデ洗浄・乾燥付きである。
・ エアコン空調完備で,エアコン吹出口にはファンが付いている。
・ 保健室に外線・内線電話が,ケアルームには内線電話がある。
・ パソコン(プリンター一式,インターネット対応)が設置されている。校内LANを組んでおり,職員
会議もこれを利用して実施している。打合せ事項をアップされているので,保健室で常に確認すること
ができる。
- 215 -
4 保健室経営計画
〈学校経営〉
① 関係法規〔日本国
憲法,教育基本
法,学校教育法,
学校保健安全法
等〕
② 学習指導要領
③ 都道府県・市町村
教育委員会の教
育方針
④ 今日的な教育課題
・学校教育目標
・教育課程の編成
・学校保健目標
・学校保健計画
〈保健室経営〉
○保健室の機能
学校保健活動のセンタ
ー的機能
(場としての機能)
① 学校・地域社会の
実態
② 児童生徒の実態
心身の健康課題
等
③ 保護者・地域社会
のニーズ
・保健室経営目標
○養護教諭の主な職
務内容(専門領域)
① 保健管理
・心身の健康管理
・保健室経営計画
( 救急処置・健康診
① 健康診断
断・健康問題把握・疾
○保健室経営計画
② 健康相談
③ 保健指導
④ 救急処置
(休養を含む)
⑤ 発育測定
⑥ 保健情報センター
⑦ 保健組織活動のセ
ンター
保健室経営計画とは,
当該学校の教育目標
及び学校保健目標な
どを受けて,その具現
化を図るために,保健
室の経営において達
成されるべき目標を立
て計画的・組織的に運
営するために作成され
る計画である。
病予防と管理 等)
・学校環境の管理
② 保健教育
・保健指導
・保健学習*
・啓発活動 等
③ 健康相談
・心身の健康課題へ
の対応
・支援関係者との連携
④ 保健室経営
⑤ 保健組織活動
⑥ その他(研究など)
具体的な活動の展開
計画(Plan) ・ 実施(Do) ・ 評価(Check) ・ 改善(Action)
- 216 -
*ここでいう保健学
習とは,各教科等に
おける健康に関する
すべての学習を意味
する。
図 10-1 保健室経営の構造図(例)
(1) 保健室経営計画作成のねらい
保健室の機能を効果的に果たすためには,計画的,組織的に進めることが大切であり,そのために,
保健室経営計画を作成し,これをすべての教職員に周知させておく必要がある。
(2) 保健室経営計画作成上の留意点
保健室経営計画を立案するに当たっては,学校の実態を踏まえて実践可能なものでなければならない。
そのためには,次のような基本的なことがらを踏まえて計画する必要がある。
ア 学校教育目標,学校保健計画等と整合性を図ったものであること。
学校教育目標を達成するための役割を果たすものであり,学校経営全体のなかの一つの保健室経営
という観点にたった計画でなければならない。
イ 児童生徒の健康課題の解決及び健康つくりの観点から目標及び方策を立てたものであること。
その年度の保健室経営目標を立て,重点化した課題等に対して養護教諭として行う対応策を考え,
何を行うか分かる具体的な実施計画を立てる。
ウ 自己評価と他者評価を取り入れて計画的に行うものであること。
前年度の評価の結果及び教職員,保護者,学校医等の関係者の意見も踏まえて作成する。
エ 保健室の利用方法等の基本的事項については,保健室経営計画とは別立てとすること。
保健室の利用方法,健康観察の方法,救急体制,災害共済給付の手続き方法,感染症発生時の対
応及び出席停止措置などの基本的事項は,毎年大きく変化するものではなく,必要時に適宜,見直
しが図られるものである。これらは別に作成し,年度当初に説明や指導の機会を設けて共通理解を
図っておくことが必要である。
《保健室経営計画の作成手順(例)》
① 学校教育目標を確認する。
② 児童生徒の健康課題等を的確に把握する。
③ 学校保健目標及び学校保健計画の重点目標を確認する。
④ 保健室経営計画の原案を作成する。(Plan)
⑤ 原案を保健部等の関係組織等に提案し,意見を求める。
⑥ 保健室経営計画(案)について職員会議に提案し,校長の決裁を得る。
教職員に周知を図り,共通理解を図る。
⑦ 計画に基づいて実施する。(Do)
⑧ 評価をする。(Check)
⑨ 次年度の計画に評価の結果を生かし,改善を図る。(Action)
- 217 -
(3) 保健室経営計画の様式例
資料 10−1 保健室経営計画の様式例と作成方法の解説
平成○○年度 ○○○学校 保健室経営計画
養護教諭
○○○○
学校教育目標
○ 学校の教育目標を記載する。
学校保健目標
児童生徒の主な健康課題
○ 学校保健目標を記載する。
○ 児童生徒の健康課題について記載する。
・ 教育目標を受け,児童生徒の健康課題の解決に向け
・ 学校保健計画の重点目標との整合性を図る。
て,達成しなければならない目標を立てる。(長期的目標)
〈視点〉
重点目標
○ 学校保健目標における年度の重点目標
を記載する。
1 統計的(調査を含む)にとらえている児童生徒の健
・ 学校保健目標を達成するために,児童生徒の健
3 保健室利用状況 等
康状況及び課題
2 学校生活における日常的な健康観察
康課題の解決に向けて,年度において重点的に取り
組む事項について目標を立てる。
保健室経営目標
保健室経営の目標達成のための方策
評価計画
○ 学校保健目標等との整合
性を図り,保健室経営の達
成目標を記載する。
○ 学校保健目標等との整合
性を図るためには,学校保
健目標の重点目標と関連を
図った保健室経営目標を立
てる。
○ 保健室経営の目標達成のために
その年度,重点的に取り組む具体
的な方策・手だてを記載する。
○ 養護教諭の職務(役割)や保健室
の機能を十分考慮する。
○ 保健室経営の目標や方策
について振り返って,今後(次
年度)の課題を明らかにする
ために,どのような観点・指標
で,誰が,いつ,どのように評
価するかについて明確にして
おく必要がある。
〈作成に当たっての留意点〉
・ 各目標に対しての,養護教諭としての取
り組み事項を記載する。
〈作成に当たっての留意点〉
〈作成に当たっての留意点〉
・その際,養護教諭の職務(保健管理,保健
・ 保健室経営の目標に対する達成
・ 児童生徒の主な健康課題の中
教育,健康相談,保健室経営,保健組織
の状況について「結果・成果評
で,より緊急度やニーズの高い課
活動)に沿った枠組みで整理すると分かり
価」及び「経過評価」を行う。
題を優先する。
やすい。(方策に 5 項目すべてを書き込
・ 今年度,特に重点的に取り組む
むという意味ではない。)
・ 養護教諭の役割や教職員との連
携における評価の観点を明確に
ものを取り上げるということであ
・保健室経営計画は,年度の計画であること
しておく。
り,目標としてあげている事項だ
から,養護教諭が 1 年の間に実施できる
・ 自己評価だけでなく他者評価
けを実施するという意味ではな
範囲で,何を行うかが具体的に分かるよう
(保健主事・教職員・児童生徒等)
い。
に記入する。
も取り入れる。
(財)日本学校保健会「保健室経営計画作成の手引」より
- 218 -
◇小学校の例
平成○○年度 ○○○立○○小学校 保健室経営計画
養護教諭
○○○○
学校教育目標
知・徳・体の調和の取れた人間性豊かな子どもの育成
〈 生命第一 児童主体 〉
・自ら学び考える子(知) ・思いやりのある子(徳) ・最後までがんばる子(体)
学校保健目標
児童の主な健康課題
自主的に身長を測定するなど自分自身の成長に
興味を持っている児童が多い。
う歯完治率は県平均に及ばないが,歯みがきの実
施など歯の健康への意識は高まってきている。ただ
その格差は大きい。
「早寝早起き朝ごはん」を呼びかけ基本的な生活
習慣の確立を図っているが,朝食欠食の児童が低学
年でもみられる。
けがが多い。
健康で安全な生活を自ら進んで実践しようとする子
・健康の大切さを知り,自分の健康に関する課題を解
決しようと努力する子
・自他の生命を大切にし,豊かな心で生活できる子
〈重点目標〉
① 歯・口の健康づくりの推進
② 生活リズムの確立
①
校内救急体制に基づく迅速な対応とけがの
防止
評価
歯みがきの習慣化を図る。
『保健の日』を活用し,保健委員が健康つくり
のリーダーとなるように働きかける。
1
2
3
4
担任
児童
聞き取り
カード
1
2
3
4
教職員
保護者
聞き
取り
1
2
3
4
教職員
保護者
聞き
取り
1
2
3
4
教職員
児童
アンケ
ート
1
2
3
4
教職員
児童
聞き
取り
- 219 -
意見・助言等
給食後の歯みがきチェックを実施することで,
他者評価
方法
休業前にも発行し,事後措置の徹底を図る。
だれから
う歯等の治療勧告を検診後だけではなく,長期
なぜそうなったのか/
介することで意欲の高揚を図る。
今後に向けて 等
健全歯者や完治療者を表彰し,保健だよりで紹
まったくできなかった
の健康つくりに関する学級指導を行う。
あまりできなかった
給食後の歯みがき一〇〇%、う歯完治率
五〇%以上を目指し、歯の健康への意識
を高める。
学級担任と連携し,年間計画に沿って,歯・口
ほぼできた
よくできた
保健室経営目標
具体的な方策
自己評価
評価
他者評価
方法
2
3
4
教職員
児童
聞き
取り
学級担任と連携し,年間計画に沿って,基本的
1
2
3
4
担任
児童
聞き取り
カード
1
2
3
4
教職員
児童
聞き
取り
1
2
3
4
教職員
児童
聞き
取り
1
2
3
4
教職員
保護者
聞き
取り
1
2
3
4
教職員
児童
聞き
取り
1
2
3
4
教職員
児童
聞き
取り
1
2
3
4
教職員
児童
アンケ
ート
1
2
3
4
教職員
聞き
取り
1
2
3
4
教職員
聞き
取り
生活習慣に関する学級指導を行う。
保健室利用カードを利用し,児童に生活習慣を
振り返らせ,個別指導を実施する。
『保健の日』を活用し,保健委員が健康つくり
のリーダーとなるように働きかける。
学校保健委員会で取り上げ,話し合いの結果を
全職員・全家庭に知らせる。
救急処置の機会に,けがの原因等を児童に考え
させられるように工夫する。
けがをしたら水で洗うなど救急処置の基本を児
童自身が身につけられるようにする。
日常の校内巡視とともに,保健委員会でけがの
多い場所などを伝え,けがの予防を図る。
校内救急体制や養護教諭不在時の対応について
周知徹底を図る。
保健室の様子を保健日誌や通信等で全職員に伝
え,事故防止に努める。
- 220 -
意見・助言等
だれから
校内救急体制を確立し、けがの防止に向けた
指導の充実を図る。
1
健康診断や学期初めの発育測定,生活アンケー
なぜそうなったのか
/今後に向けて 等
まったくできなかった
あまりできなかった
﹁早寝早起き朝ごはん﹂の生活リズムが身に
つくようにする。
トから児童の実態を把握する。
具体的な方策
ほぼできた
よくできた
保健室経営目標
自己評価
◇中学校の例
平成○○年度 ○○○立○○中学校 保健室経営計画
養護教諭
○○○○
学校教育目標
豊かな心を持ち,たくましく生きる生徒の育成
・明るく楽しい学校
・清潔できれいな学校
・安全な学校
学校保健目標
生徒の主な健康課題
・昨年度の年間欠席率は全校で 3.6%,長欠生徒の
割合は 2.0%と高かった。一日平均欠席者は 14.5 人
である。
・保健室利用状況は,
一日平均 7.7 人,
年間のべ 1500
人であった。
・欠席理由や保健室利用者の症状には,慢性的な疲
労感による体調不良や睡眠不足から頭痛を訴える
生徒が多く,基本的生活習慣の定着や適度な運動に
よる体力の向上が,本校生徒の健康上の課題であ
る。
自ら進んで健康で安全なライフスタイルの
確立を目指す生徒の育成
〈重点目標〉
①「早寝早起き朝ご飯」の定着
② 運動する場や機会の充実
③ 健康安全に関する実践的な指導
評
価
他者評価
﹁早寝早起き朝ご飯﹂の定着を図る。
健康観察,健康診断から生徒の健康上の
課題を把握する。
1
2
3
4
教職
員
聞き
取り
基本的生活習慣に関する実態調査から課
題を把握する。
1
2
3
4
教職
員
アンケ
ート
1
2
3
4
教職
員
聞き
取り
保健室来室者に対し,生活習慣の個別指
導を実施する。
1
2
3
4
生徒
アンケ
ート
生徒保健委員会でヘルスアップ集会を開
催し,健康生活への意識を高める。
1
2
3
4
教職員
生徒
アンケ
ート
健康課題から学級指導を行う。
- 221 -
意見・助言等
方法
だれから
なぜそうなったのか
/今後に向けて 等
まったくできなかった
あまりできなかった
具体的な方策
ほぼできた
よくできた
保健室経営目標
自己評価
評
価
運動する場や機会の
充実を図る。
健康安全に関する実
践的指導を行う
生活習慣形成には適度な運動が必要であ
ることを理解させる。
1
2
3
4
生徒
アンケ
ート
保健体育科教師と協力し,休み時間の過
ごし方を検討する。
1
2
3
4
教職
員
聞き
取り
運動中の熱中症やけがの防止について周
知し,予防を図る。
1
2
3
4
生徒
アンケ
ート
性に関する学級指導,保健指導,講演会
等の系統性を図る。
1
2
3
4
教職
員
聞き
取り
薬物乱用防止教育をライフスキル学習と
連携して実施する。
1
2
3
4
生徒
アンケ
ート
日常の環境衛生,安全点検を生徒保健委
員会と共に実施する。
1
2
3
4
生徒
聞き
取り
- 222 -
意見・助言等
他者評価
方法
だれから
なぜそうなったのか
/今後に向けて 等
まったくできなかった
あまりできなかった
ほぼできた
よくできた
保健室経営目標
具体的な方策
自己評価
◇高等学校の例
平成○○年度 ○○○立高等学校 保健室経営計画
養護教諭
○○○○
学校教育目標
至誠・剛健・快活の校訓に基づき自主自律の誠心を育んだ気風を大切にして,教育課程に単位制を導入し
地域に期待される学校づくりを進めるなかで,次の教育方針の具現化に努めて自らの将来を切り拓くたくま
しい人間を育てる。
1.立志の青年の育成
2.個に応じた教育
3.骨太の進学校づくり
学校保健目標
児童の主な健康課題
自らの心身の健康に関心を持ち,主体的に健
康な生活を送ることができる能力を養う。
・ 新型インフルエンザや麻しん等の感染症に対
する意識を高め,
将来にわたって感染症に対す
る適切な対応ができる能力を養う必要がある。
・ 遅刻や早退,
保健室利用者の増加等から学校生
活にうまく適応できない生徒が増えている。
〈重点目標〉
② 感染症予防の意識を高める。
③ 学校生活不適応生徒への対応
評
接種率の
調査・聞き
取り
4
保健体育
担当教員
聞き
取り
4
教職員
聞き
取り
2
3
4
1
2
3
1
2
3
意見・助言等
方法
だれから
他者評価
生徒
担任
1
- 223 -
なぜそうなったのか
/今後に向けて 等
C)教職員の感染症に対する理解を深め
るため,様々な場面で情報を入れてい
く。
まったくできなかった
B)保健の授業(1.2年)で教科書の
感染症の内容に合わせて身近な感染症
の予防と対応について考えさせる。
あまりできなかった
感染症予防の意識を高める。
A)麻しんの予防接種率を高めるため
保健だより等を通じた啓発活動に取り
組む。
ほぼできた
よくできた
保健室経営目標
具体的な方策
自己評価
価
学校生活不適応生徒への対応
A)教育相談部会で各学年の教育相談部
員との情報交換を定期的に行う。
B)各担任との情報交換を行い,不適応
生徒の早期発見・早期対応ができるよう
にする。
C)徒たちに相談体制を広く知らせてい
くために相談便りの発行や心の健康に
ついての講演会を行う。
1
2
3
4
教育相
談部員
1
2
3
4
生徒
担任
1
2
3
4
生徒
- 224 -
聞き
取り
聞き取
り
アンケ
ート
聞き
取り
◇特別支援学校の例
平成○○年度 ○○立○○特別支援学校 保健室経営計画
養護教諭
○○○○
学校教育目標
一人一人の教育的ニーズに応じて個性を尊重しつつ,
適切な指導及び必要な支援を行い,その可能性の伸長に
努める。また,自立を目指して主体的に学ぶ力を育み,心豊かに生きることのできる人間育成に努める。
学校保健目標
児童の主な健康課題
心身の健康の保持増進と安全な生活ができる児童生徒
・知的に障害のある児童生徒では,学年が上がるに
従って,肥満傾向の児童生徒が増えている。
・心身の不調を訴え保健室への頻回来室者が増加し
ている。
・保護者からの相談は,児童生徒のパニック時の対
応・思春期の性に関する内容が多い。
・肢体不自由児童生徒については,心身の異常や苦
痛を自覚できなかったり,明確に訴えることがで
きない児童生徒が多い。
・医療的ケアの必要な児童生徒が増加しており,
内容が複雑・多様化している。
を育てる。
〈重点目標〉
① 食事・運動・休養等の基本的な生活習慣を
身に付けさせる。
② 障害や発達段階に応じた性に関する指導の
充実を図る。
③ 心の健康問題解決に向けて,校内連携の充
実を図る。
④ 医療的な配慮やケアが必要な児童生徒の学
校生活の充実を図る。
評価
3
聞き取り
4
1
2
3
4
教職員
児童生徒
1
2
3
4
担任
保護者
1
2
3
4
聞き取り
の様子を把握する。
肥満に関する個別の指導計画を作成し,担任・
保護者の共通理解の下に適度な食事や運動につ
いて指導する。
個別懇談の機会を利用し,保護者に栄養・運動
に関して継続的な指導を行う。
保護者
- 225 -
聞き取り
アンケート
意見・助言等
2
方法
だれから
他者評価
教職員
1
休み時間を利用し,発達に応じた栄養指導・運
動指導を行う。関係職員と協力し食生活や運動
なぜそうなったのか
/今後に向けて 等
まったくできなかった
向を数値化する。
あまりできなかった
肥満傾向の児童生徒に対し肥満の
解消に向け個別の保健指導を充実
させる。
定期的に体重測定を実施し,肥満児童生徒の傾
ほぼできた
よくできた
保健室経営目標
具体的な方策
自己評価
評価
性に関する指導を充実させる。
個々に抱えている心の問題の対応を充
実させる。
医療が必要な児童生徒の対応の充実を図る。
教職員
聞き取り
担任
聞き取り
担任
聞き取り
4
教職員
保護者
アンケート
4
教職員
児童生徒
聞き取り
3
教職員
聞き取り
2
3
4
2
3
4
教職員
児童生徒
聞き取り
1
学校医(精神医)から,関係者がどのように対
象児童生徒に関われば良いか助言を受け,適切
な対応がとれるようにする。
2
3
4
教職員
学校医
聞き取り
1
医療機関への受診が必要な児童生徒には,受診
指導や医療機関の紹介等,学校医と連携を密に
する。
3
4
教職員
学校医
聞き取り
1
保健調査票や主治医からの指示書により,医療
が必要な児童生徒の障害や健康状態を把握す
る。
3
4
教職員
保護者
聞き取り
1
4
学級担任
看護職員
各学部の性に関する指導計画の立案に参画す
る。
学級担任と連携し,性に関する保健指導や保健
学習の授業をティームティーチングで実施する。
発達段階や障害により,個別の指導が必要な場
合は,学級担任と連携して指導を行う。
1
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3
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1
保護者と共通理解を図るため,性に関する教育
1
懇談会を開催する。
児童生徒が落ち着いて相談できるように,保健
室の環境を整備する。
保健室への頻回来室者に対して,学級担任及び
教科担任と連携して,問題の背景の把握に努め,
支援する。
定期的に健康相談が実施できるようにする。
医療的ケアの必要な児童生徒に,学級担任・学
校看護職員・養護教諭が役割分担を明確に
して連携し対応にあたる。
学級担任・学校看護職員と連携して,健康観察
を行い,疾病や異常の早期発見・早期対応を図
る。
保護者の了解を得て,担任とともに主治医から,
児童生徒の対応や支援について指導・助言を受
ける。
緊急時の対応については,緊急医療訓練を実施
し,連絡・記録・搬送について課題をまとめ、
対策の検討に参画する。
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学級担任
看護職員
保護者
学級担任
保護者
主治医
教職員
看護職員
保護者
聞き取り
聞き取り
聞き取り
アンケー
ト
意見・助言等
方法
だれから
他者評価
なぜそうなったのか
/今後に向けて 等
まったくできなかった
あまりできなかった
ほぼできた
よくできた
保健室経営目標
具体的な方策
自己評価
5 保健室経営の実際
(1) 救急処置の場として
ア 校内救急体制の確認事項
◇ 学校における救急処置は,あくまでも医療機関に行くまでの,または行く必要のない範囲の傷病に
対する応急の処置である。
・ 医師の診断を阻害するような処置,特に投薬などは行わない。
・ 保健室のベッドの利用は短時間の休養(1時間程度),または観察に限られ,それ以上のことは
医療機関または家庭に委ねる。
◇ 救急処置は,迅速,的確な判断と処置を必要とする。
・ 養護教諭(保健室)への連絡,学校から医療機関への連絡,学校から保護者への連絡は,緊急時
においても迅速に行えるように,事前の周到な準備が必要とする。
・ 全職員が救急処置体制について共通理解していることが必要である。したがって,学級担任や部
活動顧問も救急処置に関する必要最小限度の知識と技術の習得が必要である。
・ 救急処置は原則として養護教諭,またはその指導下で行うが,養護教諭不在時の対応を明確にし
ておく必要がある。
イ 休養に対する基本的な考え方
保健室は応急的に一時利用されるものであり,また経過観察の目的も考慮し,休養時間は原則として
1時間程度とする。休養による観察の結果をみて,教室へ帰し学習を継続させるかそれとも家庭(施設)
へ帰すかを判断する。
保健室で児童生徒を休養させた場合は,
「健康連絡票」等を用いて,保健室→学級担任→保護者と連
絡し,学校での処置状況等について理解を得るようにする。また帰宅後の健康状況についても同じ連絡
票を用いると把握しやすい。
【体温・脈拍を参考とした一般的対応の基準】
体温
37.0℃ 未満
37.0∼37.4℃
37.5℃以上
脈拍
99回/分以下
100∼119回/分
120回/分以上
対応の目安
教室で観察する
保健室で休養させる
早退させる
※ 主訴や観察,担任からの情報,発症・対応の時間帯,気温等の諸条件を総合的に検討し,対
応する。
【校内救急体制の例】
保健室の利用の仕方
○ 児童生徒は,担任,教科担任,顧問等へ報告後,来室する。
(救急処置連絡票等の活用)
○ 処置は養護教諭または担任等が行う。
(児童生徒は薬品等は勝手に使用しない)
○ 記録用紙(
「病気やけがの記録」
「個人カード」等)に記入する。
けが人
病人 発生
【医療を要しない場合】
保健室へ
養護教諭
不在時は
学級担任
学年主任
○ けがの場合
保健室の薬品で手あて
○ 内科的な訴えの場合
短時間の安静で軽快すると思
われるものは休養させる。軽快
しないときは早退させる。
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軽快次第
教室へ戻る
帰宅させる
【早退させる場合】
・早退させる場合は必ず保護者との連絡をとる。
帰宅後,電話
で学校に報告
養護教諭
担任
不在時は
学年主任
保
護
者
徒歩下校可能な場合
下校
徒歩下校不可能な場合
迎えに来て
もらう
【医療を要する場合】
救急車
タクシー
校長・教頭
事
故
発
生
保健室
医療機関
学級担任
教科担任
部活動顧問 等
保護者
自宅・勤務先
AED→保健室
担 架→階 段下 の
担架入れ
○ 保護者への連絡
学校管理下で発生した事故については詳細を的確に連絡する。言葉づかいなどで感情的なトラブル
をまねくことも予想されるため,誠意を持って丁寧に対応したい。
○ 救急車の要請
児童生徒の生命尊重を優先し,速やかに行う。同時に校長(教頭)に報告する。
○ 医療機関への移送
生命に危険がある場合以外は,原則として保護者の来校を待ち病院へ行く。また保護者と連絡の
上,病院へ移送する。利用交通機関は原則としてタクシーとする。タクシーで移送する場合は,
養護教諭や関係職員が付き添う。保護者が病院へ連れて行く場合でも,養護教諭や関係職員も病院へ
向かう。
医療機関の選択は保護者に確認する。予め,かかりつけの医療機関を確認しておくとよい。
○ 報告・連絡・相談・確認の徹底
事故の程度にかかわらず,学年間,管理職との連絡を密に行う。特に,事後の確認を怠らない。
○ 事故の記録
担任,教科担任,部活動顧問は事故発生について詳細に記録をとっておく。必要に応じて,教頭は
教育委員会へ事故報告を行う。
○ 日本スポーツ振興センターの手続き
学校の管理下での災害で治療に要した総額が 5000 円以上(医療機関・薬局等の窓口での支払いが
保険証を使って,1500 円以上)が対象となる。事故の記録をもとに,速やかに手続きをする。
【養護教諭不在時の対応】
保健主事が保健室の管理者になる。
○ 校内緊急医療体制は養護教諭在校時に準ずる。
○ 養護教諭不在時は,救急処置は職員室の救急箱を使用する。
(内服薬は与えない。
)
○ 児童生徒だけの保健室利用はしない。やむを得ず休養させる場合は,関係職員が必ず付き添う。
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(2)健康診断の場として
健康診断は単なる疾病の有無をみる疾病診断という意味ではなく,個々の児童生徒の健康度を評価す
ることが大きなねらいである。また,個々の児童生徒に関する情報は学級学年,学校単位でまとめるこ
とによって,それぞれの集団の健康状態の評価となる。
ア 事前指導
健康診断の意義,目的,内容等を十分に理解させ,積極的に参加する態度を養う。健康診断を通し
て自分の健康,集団の健康に関心をもたせる。役割の分担,係活動を通してお互いに協力する態度を
養う。
イ 保健調査
健康診断を的確に,円滑に実施するために行うが,保健指導や個別指導に必要な情報収集の手段と
しても活用する。
ウ 検査・検診
それぞれの検査・検診の意義や目的,内容等を理解させ,それらを通して健康に関心をもたせる。
エ 総合判定
個々の健康評価を行い,健康のための次の段階へのステップとする。
オ 事後措置
事後措置は健康診断の結果から,健康状態についての把握と評価をし,問題解決のための指導や管
理を行うためのものである。問題をもたない児童生徒に対しても健康の保持増進への手立てを講じる
とともに,単に結果の通知に終わることなく,教育的事後措置と医学的事後措置を関連させ実施の具
体化を図る。
(3)健康相談の場として
ア 心身の健康課題への対応
健康診断の結果,何らかの疾病・異常がある者,またはその疑いがある者,日々の欠席状況や健康
観察結果から必要とされる者,児童生徒・保護者の希望があり,必要と認める者等に対して,健康問
題を多面的に捉えて,早期に発見し,対応する。そのためには,日頃から,入りやすく相談しやすい
開かれた保健室経営を心がける。
また,児童生徒を取り巻く諸問題(不登校,自殺,いじめ,摂食障害,虐待,事件事故や災害にお
ける心のケア等)についても健康相談は重要な要素を持っている。日常の教育活動の中で,予測・予
知に努め,未然に防止し,適切・的確に対応することが重要である。
イ 児童生徒の支援に当たっての関係者との連携
児童生徒を支援するに当たっては,日頃から教職員との信頼関係を密にし,適切な関係を築き,校
内だけでなく,校外(保護者・医療機関・相談所等)との連携が重要である。養護教諭はそのコーデ
ィネーター的な役割を担っている。
(4)保健指導の場として
ア 随時的指導
(ア)救急処置の際の指導
指導のねらい
・ 救急処置の目的を理解させる。
・ 同じ疾病の再発防止に努める。
・ 再発時に適切な処置ができるようにする。
・ 合併症の予防や疾病が悪化しないように努める。
・ 健康に対する知識と理解を深め,実践態度を育てる。
(イ)保健室来室者で指導が必要と思われる児童生徒に対する指導(保護者も含む)
。
(ウ)日常の健康観察の結果,指導が必要と思われる児童生徒に対する指導(保護者も含む)
。
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イ 継続的指導(健康要注意者に対する指導)
慢性疾患をもつ児童生徒,病後回復期の児童生徒に対し適宣指導し,相談内容,指導内容は記録簿
に記録する。必要に応じ校医や専門医に相談する。
また,食に関する指導は学校教育全体を通して行われる。肥満や痩身傾向,生活習慣の乱れ,食物
アレルギーなどの健康課題をもつ児童生徒への対応や関係者との連携は非常に重要で,養護教諭の専
門性を発揮できる。なお,栄養教諭または学校栄養職員が配置されている場合は,その連携が重要で
ある。
ウ 集団を対象とした保健指導
養護教諭が保健指導に関わる場合の特徴は次のように考えられる。
・ すべての子どもたちを対象に発達段階を踏まえた指導が可能である。
・ 専門的な知識や技能を生かすことができる。
・ 保健室経営の中で得た情報を生かすことができる。
・ 個別指導と集団指導との相互の関連を図った指導ができる。
これらの機能を生かして指導にあたりたい。
(5)その他の保健に関する活動を行う場として
ア 発育測定の場として
成長期である子どもたちにとって,保健室は成長の喜びを感じ,自己肯定感を高める場でもある。
児童生徒がいつでも発育測定ができるように検査器具を設置する。また,定期的に身長・体重測定を
実施することで,肥満や痩身傾向,生活習慣の乱れの見られる児童生徒の管理と指導を行う。さらに,
掲示物等にも工夫を施し,自分自身の成長に興味を持たせ,健康つくりを推進する。
イ 保健情報センターの場として
保健調査や定期健康診断結果,保健室利用状況,健康観察状況,感染症発生状況,学校環境衛生検
査結果,校医や地域保健センターからの情報など,様々な保健情報を所有する保健室は,保健情報の
センター的役割を果たしている。これらの情報の収集にあたっては,計画的・意図的に行い,的確に
分析し,校内で情報を共有することが重要である。
保健情報を分析することで,学校の特長や健康課題が明らかになり,問題解決の糸口となり,学級
経営,学校経営にも反映される。また,各種年間計画,健康相談や保健指導,学校保健委員会等の欠
かせない資料となり,児童生徒の健康増進や将来に向けての健康つくりに役立つものとなる。
ウ 学校環境衛生活動の場として
児童生徒の健康の保持増進や学習能率の向上を図るために,学校薬剤師と相談して,学校環境衛生
の維持・改善を図る。日常点検については全職員が実施できるよう計画をする。
また,学校環境衛生活動を通して,児童生徒が環境問題に興味を持たせるなど,環境教育の教材・
資料にも発展させることが可能である。
エ 保健組織活動のセンターの場として
学校保健活動を効果的に進めていくためには,校内組織体制の充実を図るとともに,家庭や地域の
関係諸機関との連携を推進していくことが重要である。保健管理センターであるとともに,保健情報
センターでもある保健室は,学校内外の関係者を統合し,調整しながら組織活動を推進していく重要
な役割を果たしている。
(ア)児童(生徒)保健委員会の指導
児童(生徒)保健委員会活動は特別活動の児童(生徒)会活動の一つである。これは自分たちの
学校生活を向上させるために,自発的・自治的に行う活動である。児童生徒が主体的に活動できる
よう達成感や成就感を感じるような取り組みをさせたい。そのためには,常時活動に取り組む重要
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性を理解させ,学校の健康づくりのリーダーになるという意識を持たせるのも一方法である。
(イ)学校保健委員会の企画・運営
学校・家庭・地域社会という立場の異なるメンバーで構成される学校保健委員会は,学校におけ
る保健に関する諸問題を協議し,問題解決への活動を展開推進する組織である。より活性化させる
ためには,具体的な問題をテーマにし,わかりやすい資料を提供し,協議の視点を絞ることが大切
である。
《 参考文献 》
1)財団法人日本学校保健会「保健室経営計画作成の手引」2009
2)財団法人日本学校保健会「養護教諭の専門性と保健室の機能を生かした保健室経営の進め方」
2004
3)財団法人日本学校保健会「養護教諭が行う健康相談活動の進め方―保健室登校を中心に―」2001
4)三木とみ子編集代表:四訂 養護概説,ぎょうせい 2009
5)三木とみ子編集代表:保健室経営マニュアル その基本と実際,ぎょうせい 2008
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