[1] 携帯電話による情報サービス ・2G で携帯電話がディジタル化す

通信工学 後期期末試験対策
[1] 携帯電話による情報サービス
・2G で携帯電話がディジタル化すると, 音声以外のディジタルデータを,端末とネットワーク間で
交換可能になった. これを利用した, 端末間または端末とネットワークの間で文字を交換するシ
ステムが(a メッセージサービスシステム)である. 2G では当時短いメッセージしか送信すること
ができず, のちにもっと長いメッセージを送ることができる(a.)が登場した時に, これらを(b.シ
ョートメッセージシステム)と呼び区別した. (b.) は現在でも端末同士の短いやりとりや, ネット
ワーク側からの通知に利用されている.
・NTT ドコモの(a i モード)や au の(b EZWeb), ソフトバンクモバイルの(c Yahoo!ケータイ)は,
インターネットの WWW と同じようなサービスを提供している. これは基本的に携帯ネットワー
ク内で閉じたサービスであり, 仮に「モバイル Web サービス」と呼ぶことにしよう. (a)は 1999
年に開始された NTT ドコモのサービスで, HTML のサブセットである(d compactHTML)を使用し
ている. HTTP をベースとした(e ALP(Application Layer Protocol))と呼ばれる独自プロトコルを
使用し, セキュリティでは(f SSL)を利用している.(e) の下にあるプロトコルは, (g TLP)と呼ばれ,
TCP/IP に相当する. TCP を転送するのは(h PDC-P)である.
・(a WAP)はプロトコルやページ記述言語を定めた仕様であり, (a) Forum (現 OMA:Open Mobile
Alliance)で策定したものである. 1998 年に公開された(b WAP1.0)では, 2G の回線交換を念頭
に, 低解像度のモノクロ表示, 非力なアプリケーションプロセッサを前提としていた. 専用のプロ
トコルとページ記述言語を採用し, アプリケーションプロトコルには(c WSP/WTP), その下に(d
WDP)を使用した. 2001 年に公開された(e WAP2.0)では, インターネットプロトコルを採用し
た. これは, 転送プロトコルに HTTP と TCP/IP, ページ記述言語に(f XHTML-Basic)を採用して
いる. これは, (b) で専用プロトコルを採用したためにコンテンツ提供者に不評だったからである.
ただし, HTTP や TCP/IP には無線環境向けにパラメータを特定した(g W-HTTP)や, (h W-TCP)
を使用している.
・(a EZWeb)は au のモバイル Web サービスで, WAP をベースに独自開発されたものと,
WAP2.0 に準拠したものがある. 最初に開発された(a)は WAP1.0 を踏襲したもので, HTML の
代わりに(b HDML)を利用している. (b)は WAP の(c WML)をベースにしている. 転送プロトコ
ルには(d HDTP)を使用している. 2001 年 12 月からは WAP2.0 に準拠したものに変更されてお
り, XHTML の簡易版の(e XHTML-Basic)を採用し, セキュリティには(f TLS)を使用している. そ
の下にあるのは(g W-TCP)で, TCP で定められているパラメータなどを仕様の範囲ないで無線向
けにアレンジし, (h split-TCP)(途中のゲートウェイで再転送処理を行う仕様)を必須としたもので
ある.
・ソフトバンクモバイルは, 2004 年に WAP2.0/MMS を標準方式として導入した(a Vodafone
Live!)を開始しており, これは現在の(b Yahoo!ケータイ)の元となっている. 端末は PDC 回線交
換のみの(c C)型(現在では(d SoftBank 4-2 series)と表記, ページサイズ 6KB 未満), PDC 回線
交換およびパケット交換に対応した(e P)型(現在では(f SoftBank 6-5 series)と表記, ページサ
イズ 12-30KB 未満), 3G パケット交換及び GPRS に対応した(g W)型(2008 年をもってモバイ
ル Web サービス終了), WAP/MMS に対応した(h 3GC)型(現在では(i SoftBank 3G series)と表
記, ページサイズ 300KB 未満) がある. コンテンツは基本的には HTML で記述されており, ス
マフォ対応ブラウザ向けに HTML5 をサポートしている.
・(a SMS)は, GSM で規定されたメッセージシステムで, 3G では MMS と共に標準メッセージシ
ステムの一部である. (a) は(b ショートメッセージサービスセンター)がメッセージを一旦蓄積し
宛先端末に対して送信を行う. 日本などの 2 バイト文字には(c UCS-2)を代用しており, 所謂
Unicode と同等である.
・(a MMS)は, WAP Forum(現(b OMA):Open Mobile Alliance) で策定された仕様で, GSM の
2.5G のメールシステムとして普及している. コアネットワーク内の(c MMS Proxy)と呼ばれるサ
ーバがメールサーバとのやりとりを仲介している. WAP2.0 以前のシステムでは, 携帯電話と(c)
間は HTTP で接続する. (c)は, 必要に応じて外部のメールサーバと(d POP) や (e IMAP), (f
SMTP)などのインターネットプロトコルを使って接続する. (a) は(g Push)と呼ばれる動作も可
能である. これは, (c)側が HTTP を使って携帯電話側へメッセージがあることを通知し転送する
機能である. メッセージは, XML をベースにした(h SMIL)により記述された本体とヘッダからな
り, この構造やヘッダには(i RFC822)を拡張したものが利用されている.
・3G 携帯電話には(a GPS)機能を搭載することが義務となっている. これは, 地球を周回する(b
人工衛星)からの信号を使って位置(緯度, 軽度)を測定するシステムである.
[2] 携帯電話によるデータ通信
・携帯電話のデータ通信は, 通信時間で課金する(a 回線交換)と, 送受信するデータ量で課金する
(b パケット交換)がある.
・通信経路が異なると相手にデータが到達する時間も変化する. この時間のことを(a 遅延時間)と
いう.
・通信品質をシステムに対して要求し, システム側ができるだけサービスの品質条件をみたすよう
に制御することを(a QoS 制御)という. (a)では, (b 最大/最少転送速度), (c 遅延時間), (d 優先
度)といったパラメータを通信の特性に合わせて指定する.
・エラーのない通信を実現するための技術として, (a エラー検出)と(b エラー訂正)がある. (a)
は, 送信データにその正当性をチェックするための情報である(a)(c コード)を付加する. 送信デ
ータにエラーの検出と訂正を可能にするために付加するのは(b)(c)である. (b)は(a)を含むことが
多いため, (d エラー検出訂正)とも呼ぶ.
・受信側でエラー検出時, 送信側に同じデータを再送するよう要求する方法を(a 再送信)という.
携帯電話などの通信分野ではこれを(b ARQ)という. 受信側がエラーを検出し, 送信側に対して
(b)を求めるリクエストを送る. 正常だった場合に応答を返す方法(c 正常応答)と, エラーが発生
した場合にだけ応答を返す方法(d 否定応答)の 2 種類がある. (a) の方法のうち, 次の図の A が(e
Stop & Wait), B が(f Selective Repeat), C が(g Go-Back-N)である.
A
B
C
・インターネットへと接続するサービスを提供する企業を(a インターネットサービスプロバイダ
(ISP))という. 通常(a) と携帯電話ネットワークは専用回線だけで接続されており, この接続点
を(b アクセスポイント)といい, (b)を構成するハードウェアを(c ゲートウェイ)という.
・3G 携帯電話では通信プロトコルには TCP/IP が利用されている. コアネットワークである GSM
MAP では, (a トンネリング)という方法を使って TCP/IP を扱う. (a)とは, あるプロトコル
(TCP/IP)のパケットを別のプロトコル((b トンネリングプロトコル))のパケットデータとして転
送する方法のことである.
・GSM MAP が提供するデータ通信機能は, エラーフリーな通信経路を提供するのみで, 上位プロ
トコルについては, 利用者が自由に利用できる. インターネット接続を行う(a ゲ ー ト ウ ェ イ )((b
GGSN))は, インターネット側とは TCP/IP で通信を行うため, 各端末には IP アドレスが割り当て
られる. この各端末とゲートウェイの間を結ぶ GTP というプロトコルが, TCP/IP パケットを転送
する. (c ルーティング)(転送する経路を探すこと)は, (d SGSN)と呼ばれる接続点が行う.
・CDMA2000 系のコアネットワークでは, 直接(a TCP/IP)を扱う.ベアラサービスの上で直接(a)
が動作するため, ハンドオフなどを考慮した(a)の(b ルーティング)を行う必要がある. これには
(c モバイル IP)という技術が使われ, ユーザのホームネットワークにある(d Home Agent)と, 接
続先ネットワークにある(e Foreign Agent)を経由してパケットを転送する.
・PDC 方式は 当初回線交換方式のデータ通信のみであった. インターネット通信など, データ通
信の需要が高まったことで, (a PDC-P)のパケット通信機能を追加した. (a)では, PDC の TDMA
方式で使うタイムスロット単位で端末がパケットを送信する. チャンネルを(b 6)つのタイムスロ
ットに分割して, パケット通信ではタイムスロットを(c 2)つまたは(d 6)つ使う.(c)つの場合は最
大(e 9600)bps の通信速度, (d)つの場合は最大 (f 28.8 )kbps の通信速度となる.
・PDC 方式のパケット送信の制御には, (a ICMA) - (b PE)を使用する. (a)とは, 基地局が上がり
チャンネル状態を監視しており, 使われてない時には, 下りパケットに(c Idle 信号)を入れる. 端
末は, (c) が流れていれば, パケットの送信が可能である. パケットの送信が始まると, 基地局は
(d Busy 信号)を送信し, 他の端末の送信を禁止する. 上りパケットの一部を(b)として送信し, 端
末側に送信が成功したことを通位置する.
・W-CDMA は当初からパケット通信を考慮して設計されている.上り方向には, セル内の端末が共
有する(a 共通チャンネル)と, 各端末が占有する(b 個別チャンネル)を使う. (a)は少量のデータ
通信, (b)は大量のデータ通信時に使う. 下り方向には(c ダウンリンクシェアドチャンネル)を使
う. これは, 高速の共通チャンネルを時分割で使い, 通信量が多い場合には, より多くの時間を割
り合てて転送を行うチャンネルである.
・(a HSDPA )は, W-CDMA を拡張した高速パケット通信の規格で, (b 下り方向)の速度を高速化
する. 変調方式・エラー方式を状況に応じて切り替える.
(c 変調方式),(d QPSK ),(e 16QAM) ,(f エラー訂正)
・GSM のパケット通信方式は(a GPRS)で, (a)を高速化したものが(b EDGE)である. GSM では,
200kHz のチャンネルを 0.577 ミリ秒で(c タイムスロット)に分け, (c)8 つを 1 組にして, これ
を(d フレーム)と呼び, 1(d)を 8 つの端末で利用する.
26(d)を 1(e マルチフレーム)と呼ぶ. 1 つの端末が利用する周波数は固定ではなく, (d)単位で
次々と変化する.これを(f 周波数ホッピング)と呼ぶ. (a), (b)のように, 1(d)内の複数の(c)を使う
方法を, (g マルチスロット)と呼び, その使い方として 13 の(h クラス(型))が定義されている.
各(c)で使われる変調方式やコーディング方式のことを(i MCS)という.
・CDMA2000 の(a 1xEV-DO)は, CDMA2000 の下り部分で使う3つの帯域のうちの一つだけを
利用し, 音声通信を行わずに帯域全てをデータ通信で利用する規格である.下り部分に関しては時
分割で利用し, 通信状態の良い端末に対してタイムスロットを優先的に配分し, 転送速度を上げ
る. また, 通信状態によって変調方式を QPSK, 8PSK, 16QAM に切り替えて転送速度を高める.
HSDPA に似ているが, (a)では変調方式などは端末側で決定し, 基地局側は制御を行わない. これ
を更に高速化した(b 1xEV-DO Rev.A)が 2006 年に登場し, 従来のものは(c 1xEV-DO Rev.0)と
呼ばれるようになった.
・PHS のデータ通信には, 回線交換型の(a PIAFS)や, パケット方式に依る通信, 両方を自動で切
り替える(b フレックスチェンジ)方式がある. PHS は TDD-TDMA であり, 端末は割り当てられた
タイムスロットを利用する. 1 チャンネルあたり, 制御用・通話用に全部で(c 4)つある. 空いてい
るタイムスロットを使うことで, (d 32)kbps ~ (e 256)kbps ((d)kbps * 8)までが可能である. そ
の後, さらなる高速化を行うため, 従来のπ/4 シフト QPSK に加え, 8PSK を採用した(f W-OAM)
方式が導入された. 従来のπ/4 シフト QPSK に比べて倍のビットを同時に送ることが出来るため,
タイムスロットひとつ当たり, (g 51)kbps の通信が可能で, これを 8 つ束ねることで, 最大(h
408)kbps の通信が可能である. また, QAM 変調方式を採用する(i W-OAM Type G)が登場した.
1x 通信当たり(j 63)kbps(16QAM の場合),8x では約 500kbps の通信が可能である. (f)では, 従
来のπ/4 シフト QPSK よりもデータ転送は劣るものの, エラーなどに強い BPSK も採用している.
・WILLCOM では(a OFDMA)の次世代 PHS システムを採用しており, サービス名は WILLCOM
CORE XGP である. 上り下りともに 20Mbps 程度の通信速度である. その後, XGP を更に広帯域
化し MIMO に対応し高度化させた「AXGP」により, 下り最大 110Mbps の最高伝送速度を実現し
た.
・データ通信をメインとした企業として、(a イー・モバイル)と(b アイピー・モバイル)があった.
(a)は定額制によるデータ通信サービスであり, 1.7GHz 帯で HSDPA を使ったデータ通信サービス
を提供している. (b)は 2007 年 10 月 30 日に自己破産している.
・(a TD-CDMA)方式は, 上り, 下りは 1 つのチャンネルを時分割で使い, CDMA で 16 端末同時に
多重化する.
・(a OFDM)は, 複数のキャリアを同時に使って通信を行う方式であり, この場合の変調方式を
(b OFM)という. (b)は無線 LAN でも利用できる. (b)では, チャンネルを複数のキャリアに分割し,
それぞれ個別のデータを送信する. このとき, キャリア周波数と各変調波によるスペクトラムの
谷の部分が一致するようにキャリアを配置する.
・IMT-2000 では, 通信速度として 2Mbps を目標としており, それを超える高速通信技術を(a
3.5G)などと呼ぶ. 次世代携帯電話である(b 4G)は 100Mbps が目標で, それまでの橋渡し的な存
在である.
・コアネットワークは(a IP 化)の方向性で, 携帯電話だけでなく固定電話も(a)の傾向がある.
3GPP ではこのような動きを(b LTE/SAE)と呼び, そのための技術開発グループとして
(c LSTI)を立ち上げた. (c)は, HSDPA, HSUPA の後, OFDM 技術と CDMA 技術を組み合わせた(d
OFCDMA)をベースに, 100Mbps 程度のデータ通信を実現する方法を開発している. NTT ドコモで
はこのような動きを(e スーパー3G)と読んでいる. 3GPP2 では, 4G に向けた動きを(f UMB) と
呼ぶ. 同様に(d)を採用するが, (b)とは違い,以前は(g EV-DO Rev.C)と呼ばれた技術で, CDMA
Development Group が提案元である.KDDI では, このような動きを(h ウルトラ 3G)と呼ぶ.
・4G は, ITU-R において, (a Beyond IMT-2000)という名称で検討が進んでいる. 高速移動時に
100Mbps 程度, 低速移動時に 1Gbps 程度の通信速度が目標であるが, 具体的な数字は未規定であ
る. これは ITU-R M.1645 という文書にあるダイアグラムで大まかな範囲が示されているが, こ
のダイアグラムは自動車のバンに似ていることから(b バンチャート)とよばれる. 4G のコアネッ
トワークは(c IP)ベースで, 音声通信もデータ通信の一つとして扱う.
・無線ブロードバンドのアクセス回線として使われる(a WiMAX)を拡張し, 4G に取り込む方向性
で進んでいる.