2013年度通訳案内士試験第2次口述試験対策 <2012年度第2次口述試験概要> ハロー通訳アカデミー 今年から、第2次試験の形式が変更されますが、昨年、どのような質問がされていたのかと言うことは、受験 者として、是非、知っておくべきことです。そこで、<2012 年度第2次口述試験概要>を以下に整理してま とめましたので、ご覧ください。 ●2012 年度第 2 次試験は、全外国語(10 ヶ国語)共通で実施され、その概要は以下の通りです。 【1】試験実施日: 2012 年 12 月 9 日(午前 10 時~午後6時)(終了時間は試験会場により異なる) 【2】試験会場: 下記の 5 カ所で実施された。 (1)昭和女子大学(東京都) (2)国際交流基金 日本語国際センター(さいたま市) (3)国立京都国際会館(京都市) (4)国際交流基金 関西国際センター(大阪府) (5)九州産業大学(福岡市) 【3】試験官: 試験官は、外国人(ネイティブスピーカー)と日本人の2名1組で実施された。 試験官の担当は次のようなものだった。 (1)外国人試験官:氏名と住所の確認と時間帯別問題群の質問を担当。 (2)日本人試験官:最後の日本語の質問を担当。 外国人と日本人の2名で構成される試験官だが、例年、日本人試験官には、現役通訳ガイドが担当するこ とになっていた。しかし、2012 年度では、現役通訳ガイドが大幅に少なくなった。 これは、通訳ガイドの市場価格を下げたい JTB の要請を受けて、JNTO(観光庁)が、合格者を増やすため に、採点に比較的厳しい現役通訳ガイドが、排除されたものと考えられる。 2011 年度までは、採点の厳しい試験官に対しては、JNTOの担当者が、休み時間にやって来て、「合格者 を増やすように」直接勧告を与えていたということがあった。 【4】試験時間: 受験者一人あたり、約5~8分。(当局の予定では、10 分刻みになっている。) 【5】質問内容の構成: (1)外国人試験官により、受験者の氏名と住所が聞かれた。 (2)外国人試験官により、事前に用意された時間帯別問題群から2~5問の質問をされた。 (3)日本人試験官により、日本語による質問がされた。 【6】時間帯別問題群: 時間帯別に 7 質問 1 組となる6種類の問題群(計 42 質問)が用意され、この問題群から質問がされた。 ●問題群(1)[10:00?11:00] (1)日本には四つの主な島があるが、本州で水泳におすすめの海岸はどこですか。 (2)何故、多くの日本人は富士山に登ることが好きなのですか。 (3)江戸幕府は強い力を持っていたそうですが、例をあげて説明してください。そして、それは人々にどのよ うな影響を与えましたか。 (4)江戸幕府は、何故、鎖国政策をとっていたのですか。 (5)日本人は、どのようにしてクリスマスを祝いますか。 (6)本音と建前について説明してください。 (7)あなたは、何故、通訳ガイドになりたいのですか。 ●問題群(2)[11:00?12:00] (1)琵琶湖以外でおすすめの湖はどこですか。 (2)日本の交通システム(transportation system)について説明してください。 (3)日本の歴史において、何故、明治時代は重要なのですか。 (4)あなたは、日本人の「思いやり」についてどう思いますか。 (5)何故、日本人は新聞をよく読むのですか。 (6)日本のビデオ、コンピューターゲームの歴史について説明してください。 (7)タクシーは、どのようにして拾うことができますか。 ●問題群(3)[13:00?14:00] (1)日本は、山がちの国(a mountainous country)だと言われますが、何故ですか。 (2)富士山以外の日本の山を紹介(説明)してください。 (3)日本は、何故、急速に近代化したのですか。 (4)過去 50 年間で、日本のオフィスワーカーたちの生活はどのように変化しましたか。 (5)日本人は、ホテルやタクシーでチップを支払う習慣がないが、何故ですか。 (7)日本では、率直に話をすることは、何故、失礼なのですか。 ●問題群(4)[14:00?15:00] (1)日本の最も寒い場所と最も暑い場所はどこですか。 (2)8 月の花火大会のおすすめはどこですか。 (3)盆踊りについて説明してください。 (4)仏教と神道の違いは何ですか。 (5)日本人の特質である「和」(harmony)とは何ですか。 (6)10 年前と比べて、現在の日本経済は悪化していますか。 (7)日本人は、何故、集団で働きたいのですか。 ●問題群(5)[15:00?16:00] (1)日本が島国であることの重要性(significance)は何ですか。 (2)川越は「小江戸」と呼ばれていますが、何故ですか。 (2009 年 9 月 6 日にニューヨークタイムズで川越が紹介されてから、川越が海外で有名になったという背 景があります。) http://travel.nytimes.com/2009/09/06/travel/06dayout.html?_r=0 (3)侍と忍者を見たいが、どこに行ったらいいですか。 (4)日本に住んでいる外国人の比率と国籍について説明してください。 (5)日本人は、何故そんなに働くのですか。 (6)日本は輸出立国でしたが、そのメリットとデメリットについて説明してください。 ●問題群(6)[16:00?17:00] (1)日本列島の特徴は何ですか。 (2)日本の人口密度の高さは、社会に対してどのような問題がありますか。 (3)日本人は、何故英語を話すことができないのですか。 (4)日本の歴史に影響を与えた外国人について説明してください。 (5)日本の政治体系について説明してください。 (6)原宿について話してください。 (7)20 世紀の日本と 21 世紀の日本とでは、何が違いますか。 【7】2012 年度の時間帯別問題群の特徴: 質問の内容には、次の二つの特徴が見られ、受験者が答えやすい質問が多かった。 (1)抽象的、観念的、一般的な質問が増えた。 (2)通訳ガイドが必要とされる具体的、実務的な質問が減った。 <2011 年度の具体的、実務的な質問の出題例> ・4 月下旬に桜が見たいのですが、どこで見られますか。 ・東京 23 区内の温泉に行きたいのですが、どこがお勧めですか。 ・東京から富士山へ行きたいですが、どう行けばいいですか。 ・私は広島に一日旅行をする予定です。どこに行けばいいですか。 ・東京からみて、広島の位置、東京から広島に移動する方法について教えてください。 ・京都で、1000 円で食事をしたいという外国人には何を食べさせたらいいですか。 ・初めて旅館に泊まりたいのですが、気をつけなければいけないことは何ですか。 ・日本の伝統的な木造建築にはどのようなものがありますか。どこで見ることができますか。 ・箸の使い方について教えてください。 ・北海道か沖縄に旅行したいのですが、どちらがお勧めですか。またその理由は。 ・日本の新しい流行を見たいのですが、どこに行けば見られますか。 ・魚、肉が食べられないのですが、昼食には何がお薦めですか。 ・都内にある高級日本料理店を紹介してください。 <2012 年度の時間帯別問題群の質問をジャンル別に整理すると概ね下記のようになる> ●日本人のメンタリティー、特性(抽象的、観念的) ・あなたは、日本人の「思いやり」についてどう思いますか。 ・日本人の特質である「和」(harmony)とは何ですか。 ・日本では、率直に話をすることは、何故、失礼なのですか。 ・本音と建前について説明してください。 ・日本人は、何故そんなに働くのですか。 ・日本人は、何故、集団で働きたいのですか。 ・日本人は、何故英語を話すことができないのですか。 ・何故、日本人は新聞をよく読むのですか。 ●自然 ・日本列島の特徴は何ですか。 ・日本が島国であることの重要性(significance)は何ですか。 ・日本は、山がちの国(a mountainous country)だと言われますが、何故ですか。 ・日本の最も寒い場所と最も暑い場所はどこですか。 ・富士山以外の日本の山を紹介(説明)してください。 ・琵琶湖以外でおすすめの湖はどこですか。 ・日本には四つの主な島があるが、本州で水泳におすすめの海岸はどこですか。 ●観光 ・タクシーは、どのようにして拾うことができますか。 ・日本人は、ホテルやタクシーでチップを支払う習慣がないが、何故ですか。 ・8 月の花火大会のおすすめはどこですか。 ・川越は「小江戸」と呼ばれていますが、何故ですか。 ・侍と忍者を見たいが、どこに行ったらいいですか。 ・原宿について話してください。 ・何故、多くの日本人は富士山に登ることが好きなのですか。 ●歴史 ・江戸幕府は強い力を持っていたそうですが、例をあげて説明してください。そして、それは人々にどのよう な影響を与えましたか。 ・江戸幕府は、何故、鎖国政策をとっていたのですか。 ・日本の歴史において、何故、明治時代は重要なのですか。 ・日本の歴史に影響を与えた外国人について説明してください。 ・20 世紀の日本と 21 世紀の日本とでは、何が違いますか。 ●年中行事 ・日本人は、どのようにしてクリスマスを祝いますか。 ・盆踊りについて説明してください。 ●日本のシステム ・日本の交通システム(transportation system)について説明してください。 ・日本の政治体系(political system)について説明してください。 ●産業、経済 ・日本は、何故、急速に近代化したのですか。 ・過去 50 年間で、日本のオフィスワーカーたちの生活はどのように変化しましたか。 ・日本のビデオ、コンピューターゲームの歴史について説明してください。 ・10 年前と比べて、現在の日本経済は悪化していますか。 ・日本は輸出立国でしたが、そのメリットとデメリットについて説明してください。 ●社会 ・日本に住んでいる外国人の比率と国籍について説明してください。 ・日本の人口密度の高さは、社会に対してどのような問題がありますか。 ●宗教 ・仏教と神道の違いは何ですか。 【8】日本語による質問: 2012 年度の日本語による質問は、ほとんどが、次の 3 問で、その質問された割合は、各 45%、45%、10% くらいであった。 (1)(約 45%)通訳ガイドになったら、あなたは、どのようなことに気を付けたいですか? (2)(約 45%)通訳ガイドになったら、あなたは、どのようなおもてなしをしたいですか? (3)(約 10%)あなたは、どのような通訳ガイドになりたいですか? 【9】合格率は上がりそう 下記の二つの理由により、合格率は上がりそうである。 (1)採点に比較的厳しい現役通訳ガイドが、試験官から排除されたこと。 (2)時間帯別問題群の質問が、受験者に答えやすいものが多かったこと。 【9】通訳案内士試験の現状 (1)減少し続ける受験者と合格者 通訳案内士試験ガイドラインが導入された 2006 年度からの受験者数、合格者数、合格率をまとめると下記 のようになる。受験者は、2007年度の 9,245 名をピークにして、年平均で約 1,000 名ずつ減り続け、2013 年 度では、2007 年度の半数以下になりそうな状勢である。 2006 年度:<受験者:8,695 名><合格者:1,137 名><合格率:13.1%> 2007 年度:<受験者:9,245 名><合格者:1,905 名><合格率:20.6%> 2008 年度:<受験者:8,972 名><合格者:1,558 名><合格率:17.4%> 2009 年度:<受験者:8,078 名><合格者:1,225 名><合格率:15.2%> 2010 年度:<受験者:7,239 名><合格者: 932 名><合格率:12.9%> 2011 年度:<受験者:5,485 名><合格者: 894 名><合格率:16.3%> 2012 年度:<受験者:5,000 名><合格者: 713 名><合格率:14.3%> 2013 年度:<まだ公表されていないが、受験者は、4,000~4,500 名程度と見られる> (2)観光庁が「通訳案内士養成セミナー」開催を始めた。 急激な受験者の減少に危機感を持った観光庁(JTB)は、受験者の減少に歯止めをかける目的として、 2012 年 11 月より、全国 20 ヶ所で、「通訳案内士養成セミナー」の開催を始めた。国家試験で、このような 「○○養成セミナー」を所管省庁が開催することは前代未聞のことである。 主任講師である根岸正(ねぎしまさし)氏は、JTB(主にインバウンド部門)に 40 年間勤務した経歴を持つ人 物である。 http://www.tcsa.or.jp/interpretation_guide/index.html 【10】通訳案内士試験に大きな影響力を持つJTB 通訳案内士試験をJNTOから委託を受けて実施している会社は、(株)ICS コンベンションデザインと言う会 社で、JNTOの下記サイトの一番下の<お問い合わせ先>に記載がある。 http://www.jnto.go.jp/jpn/interpreter_guide_exams/index.html (株)ICS コンベンションデザインは、株式会社JTBの 100%小会社です。 http://www.ics-inc.co.jp/ 株式会社 ICS コンベンションデザインによる通訳案内士試験事業の受託状況: (1)平成 21 年、22 年度(2009 年、2010 年)通訳案内士試験事業(93,450,000 円) http://www.jnto.go.jp/jpn/about_us/contracts_bids/bid_result/bid_results_2008.html (2)平成 23 年度(2011 年)通訳案内士試験事業(56,700,000 円) http://www.jnto.go.jp/jpn/about_us/contracts_bids/bid_result/bid_results_2010.html (3)平成 24 年度(2012 年)通訳案内士試験事業(55,650,000 円) http://www.jnto.go.jp/jpn/about_us/contracts_bids/bid_result/bid_results_2012.html (4)平成 24 年度(2013 年)通訳案内士試験事業(55,125,000 円) http://www.jnto.go.jp/jpn/about_us/contracts_bids/bid_result/bid_results_2013.html JTBのグループ会社とJNTOとの結びつき (1)株式会社 JTB グローバルマーケティング&トラベル(随意契約) http://www.jnto.go.jp/jpn/downloads/zuikei_0802.pdf (8,084,700 円) (2)株式会社ジェイティービーコミュニケーションズ(随意契約) http://www.jnto.go.jp/jpn/downloads/zuikei_1103.pdf (9,800,175 円) (3)株式会社ジェイティービー(随意契約) http://www.jnto.go.jp/jpn/downloads/zuikei_0804.pdf (146,575,750 円) http://www.jnto.go.jp/jpn/downloads/zuikei_0904.pdf (146,229,250 円) 以上のように、JTBグループは、JNTOとの密接な関係の中で、通訳案内士試験に大きな影響力を持って いる。 【11】JTBとはどのような会社なのか JTBは、現在、約 180 社(内、海外 81 社)のグループ会社から構成される企業群であるが、従業員数 25,400 人、連結売上高 1 兆 1,369 億 8,000 万円(2012 年 3 月期)を誇る日本では断トツ第一位、世界第四 位の巨大旅行会社である。 親方日の丸、官僚的な企業体質で、経営効率は非常に悪く、2009 年、2010 年には、それぞれ、24 億円、 146 億円の赤字を計上している。業態はいまだに店頭営業への依存度が高く、ITツアー市場に決定的に 出遅れた。非上場企業の為に情報公開も遅れがちである。 <沿革> JTBの名称は、ジャパン・ツーリスト・ビューロー(Japan Tourist Bureau)に由来するが、ジャパン・ツーリスト・ ビューローの創業は、1912 年までさかのぼり、その歴史は 100 年を超える。 ジャパン・ツーリスト・ビューローの生みの親は、当時、鉄道院に属していた木下淑夫(きのしたとしお)という 人物であるが、彼は、鉄道院に入った後、留学した欧米の国々が日本に関して無知・無理解であることを 大いに嘆き、日本のことを各国に理解してもらうために外国訪日客誘致機関の設置を提案した。この提案 は承諾され、ジャパン・ツーリスト・ビューローは 1912 年 5 月に日本で初の本格的旅行斡旋業者として誕 生することになった。 政府の組織の一つとして誕生したジャパン・ツーリスト・ビューローは、その後幾度かの改組や名称変更を 行い、1963 年に、株式会社として旅行斡旋業の認可を所得し株式会社日本交通公社となった。 JTB は、2006 年に分社化し、事業持株会社と事業会社群からなる新グループ体制を開始したが、この事 業会社群のひとつに旅行事業会社群があり、この中に、JTB グローバルマーケティング&トラベル(以下、JT BGMTという)という子会社がある。 JTBGMTは、訪日外国人旅行を主に取り扱っている会社であり、事業内容は、訪日外国人旅行者向けの サンライズツアーをはじめ、個人の観光旅行、企業インセンティブ、国際スポーツイベント、国際会議、国賓 級の VIP の世話に至るまで、インバウンド業務全般を扱っている 2012 年 6 月に、JTB総合研究所に移管されたが、JTBGMT内にあった GMT ツーリズム総合研究所は、 2009 年 6 月~2011 年 3 月に観光庁にて開催された「通訳案内士のあり方に関する検討会」の委員の選考 から資料作成にいたるまで、実質的にすべてのお膳立てをしていたところでもあります。 http://www.hello.ac/exam/pdf/keynote.pdf#zoom=100 「通訳案内士のあり方に関する検討会」は、JTBの要望に基づいて、通訳案内士法を改悪して通訳案内士 の資格を無力化する目的で開催された「検討会」であるが、2011 年 6 月頃に、改悪案が閣議決定までいっ たが、2011 年 9 月頃、改悪法案が内閣法制局で却下され、JTBは通訳案内士法改悪を果たすことはでき なかった。 ここで、JTBの思惑はくだかれたと思われたが、JTBは、観光庁の全面的なサポートのもとで、2011 年 6 月 に成立した「総合特別区域法」(略して、総合特区法)の中で、条件付きながら、特区ガイドという無資格ガ イドを安く使える制度化に成功した。 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/sogotoc/siryou/pamph.pdf そこで、JTBは、2011 年夏頃に、福岡県の福岡・アジア国際戦略特区で、クルーズ船などでやって来る中 国人観光客に中国人留学生を特区ガイドとして使いたいという要望を出したが、これは内閣府にて却下さ れてしまい、無資格ガイドを安く使いたいというJTBの企てが必ずしもうまくいっていないというのが現状で ある。 この件については、2011 年 4 月 27 日の衆議院内閣委員会における日本共産党の塩川鉄也議員による質 疑応答の会議録をご参照いただきたい。 http://hello.ac/guide/kaigiroku.pdf 私自身、2009 年 6 月第 1 回から 2011 年 3 月第 9 回まで、「通訳案内士のあり方に関する検討会」全 9 回 すべてを傍聴して、JTBと観光庁の「通訳案内士制度を崩壊させる企て」を目の当たりにしてきたが、同じ 霞が関の仲間である内閣法制局とか内閣府が、JTBと観光庁のやりたい放題に一定の歯止めをかけてい ることに、さわやかな感動を覚えるとともに、今後、通訳案内士が一致団結すれば、JTBと観光庁によって 汚された通訳案内士業界を正常化することもできるのではないかと考えた次第である。 【12】通訳案内士業界におけるJTB 民間企業(株式会社)としてのJTBグループの目的は利益を上げることであるので、通訳ガイドを安く使うよ うに努力することは、企業として、当然のことである。 JTBグループが、長年に渡り、無資格ガイド(ヤミガイド)を使ってきた理由も、ヤミガイドのほうが有資格ガイ ドよりも安く使えるので、法律違反のことを別にすれば、企業として、これまた、至極当然のことである。 http://www.hello.ac/exam/pdf/china.pdf#zoom=100.pdf ヤミガイドを多く使う旅行会社の上位三社までを、業界では「ヤミの御三家」と呼んで揶揄しているが、JTB グループが長年に渡り「ヤミの御三家の筆頭」として不名誉に浴してきたことは、JTBのヤミガイド使用の実 績からして、いたしかたのないことと言える。 通訳ガイドを安く使いたいJTBグループは、一方では無資格ガイド(ヤミガイド)を低料金で使いながら、長 年に渡り、観光庁(国交省)に対して通訳案内士の合格者数の増加を働きかけてきた。通訳案内士を多数 供給することにより、需要と供給の関係から、通訳ガイド料金を安くするためだが、これも、利益を追求する 企業としては、当然の作為です。 JTBグループは、観光庁と一体となって、一方では、通訳案内士制度を形骸化するためになりふり構わぬ 行為をしつつ、他方では、株式会社JTBの 100%小会社である株式会社 ICS コンベンションデザインを、 2009 年より、通訳案内士試験事業をJNTO(国際観光振興機構)から受託して、年間約 5,000 万円~5,700 万円の売上げを上げるような矛盾に満ちたというか、金儲けのためなら何でもするという企業体質を露わに してきた。 【12】2012 年度第 2 次口述試験の合格率を上げる方策 通訳ガイド(合格者)の人数を増やして、通訳ガイド料金を下げたいJTBグループのために、株式会社 ICS コンベンションデザインが、通訳案内士試験事業を受託している立場を利用して、合格率を上げるように 色々な方策を取ることは容易に推測できるし、具体的に次のような方策を取ったものと考えられる。 (1)時間帯別問題群の質問は、受験者が答えられやすいものを用意した。 (2)採点に厳しい現役通訳ガイドを、日本人試験官から排除した。 「通訳ガイド料金を下げるために、そこまでやるのか?」という感動すら覚えるところだが、観光庁と一体とな ってインバウンド業界を汚してきたJTBに対しては、強い憤りを禁じえないところである。 ●付記:2013 年度の英語第 1 次筆記試験の約 50%が合格の怪! JTB は、通訳ガイド料金の市場価格を下げるために、これまで、国交省と一体となって、ありとあらゆることを してきたが、2013 年度の英語受験者大量合格は、一番需要のある英語通訳ガイドの市場価格を下げるた めと考えられる。 自社のカネ儲けのために、通訳案内士制度を崩壊させてきた JTB だが、総合特区、特例特区以外では、ま だ、法律上は有資格通訳案内士を使う必要がある。 その中に、東京と京都があるのだが、2020 年オリンピック東京開催決定を受けて、この大市場で、英語通 訳案内士の市場価格を確実に下げるおくことは、JTB にとって極めて重大な課題と言うことができる。
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