パニック障害

パニック障害 (Panic Disorder)
◆パニック障 害 とは・・・?
・ パニック障 害 は、子 どもからお年 寄 りまで幅 広 い年 齢 層 の約 100人 に1~3人 の割 合 でみられると
ても多 い病 気 です。
・ 突 然 ,動 悸 が激 しくなり、息 苦 しくなって、心 臓 発 作 を起 こしたのかと思 い、「このまま呼 吸 困 難 にな
ってしまうのではないか」とすごい恐 怖 に襲 われます。(パニック発 作 ) それ以 外 にも、めまいや冷
や汗 、手 足 がふるえる、胃 がむかつく等 の症 状 が現 れる場 合 もあります。
・ その後 、繰 り返 して起 こる「パニック発 作 」と、発 作 が起 こることへの「不 安 」、その不 安 を取 り除 くた
めに外 出 を避 けるようになる「回 避 行 動 」がみられるものです。
・ 初 めて発 作 を起 こしたときはビックリして救 急 車 を呼 び、病 院 で受 診 して検 査 するのですが、身 体
には異 常 がないのが特 徴 です。
◆どうしてパニック障 害 になるのですか?
・ 脳 の機 能 にかかわっている神 経 伝 達 物 資 の中 の“セロトニン”と“ノルアドレナリン”のバランスが乱
れることにより発 症 すると考 えられています。
・ パニック障 害 にみられる理 由 のない不 安 は、身 体 の内 側 から起 こる物 質 的 な内 因 性 不 安 です。
・ カフェイン、炭 酸 ガス(人 ごみ etc)、喘 息 の薬 などによって引 き起 こされます。
・ パニック発 作 の引 き金 として、発 作 を起 こす直 前 から一 年 位 前 に、疲 労 ・ストレスがたまっていた場
合 が多 いようです。
《パニック発 作 を起 こしやすい性 格 》
●几 帳 面 で完 璧 主 義
●神 経 質 で強 迫 的 な不 安 から逃 げられない ●生 真 面 目 で責 任 感 が強 い
●変 化 を好 まない
●人 あたりはいいが、感 情 の起 伏 が激 しい
●潔 癖 主 義
●自 己 中 心 的 でわがまま ●「他 人 の目 」を人 一 倍 気 にする
◆どんな治 療 をするのですか?
薬物療法
精神療法
治 療 の第 一 歩 は発 作 をまず完 全
発 作 がおさまったら、「認 知 行 動 療
に抑 えることです。 そのため に抗 う
法 ・暴 露 療 法 ・森 田 療 法 ・自 立 訓 練
つ薬 や抗 不 安 薬 を用 います。
法 」等 を用 いて不 安 を克 服 します。
◆どんな症 状 があるのですか?
パニック障 害 には「パニック発 作 」、「予 期 不 安 」、「広 場 恐 怖 」の3つの大 きな特 徴 があります。
パニック発 作
恐怖
特 に原 因 もないのに、突 然 激 しい不 安 感 とともに右 下 に示 すような症 状 が
出 現 し、強 い不 安 や恐 怖 をともなうのが特 徴 です。 発 作 は10分 以 内 に
その激 しさがピークに達 し、その後 徐 々に消 失 していきます。
《パニック発 作 の症 状 の特 徴 》
●心 臓 がドキドキする
●めまい、頭 が軽 くなる、ふらつき
●冷 汗 をかく
●非 現 実 感 、自 分 が自 分 でない感 じ
●身 体 や手 足 の震 え
●常 軌 を逸 する、狂 うという心 配
●呼 吸 が早 くなる、息 苦 しい
●死 ぬのではないかと恐 れる
●息 が詰 まる
●しびれやうずき感
●胸 の痛 み、または不 快 感
●寒 気 、またはほてり
●吐 き気 、腹 部 のいやな感 じ
※上 記 の症 状 のうち、4つ以 上 があてはまる場 合 はパニック発 作 の
可 能 性 が大 きいです。
予期不安
予 期 不 安 とは、パニック発 作 を一 度 経
Ex) 電 車 ( 特 に特 急 )に乗 るのが怖 い
験 して、あ の 恐 ろ しい 発 作 が また 起 き る
い・・・
のでは ないか とい う 不 安 感 に とらわ れる
ことです。 パニック障 害 にはこの予 期
広場恐怖
不 安 が必 ず伴 い、発 作 を繰 り返 すごと
に こ の 不 安 が さ ら に 強 く なっ て い き 症 状
広 場 恐 怖 とは、「広 場 」を恐 がると
を悪 化 させていきます。
いう意 味 ではなく、パニック発 作 を
経 験 した人 が、“特 定 の場 所 (発 作
が起 きたときにすぐに助 けを求 めら
また、あの恐 ろしい発 作
が起 きるのでは・・・ ?
れ な か っ た り 、 逃 げ 出 せ ない よ う な
場 所 )や状 況 ”を避 けるようになる
ことです。
◆パニック発 作 を防 ぐために心 がけることはありますか?

「不 安 」に過 敏 になり過 ぎず、考 え過 ぎず、自 分 自 身 を追 いつめないようにしましょう。

肉 体 的 に疲 労 困 憊 すること(長 時 間 の労 働 や緊 張 などで心 身 が疲 労 すること)は避 けましょう。

規 則 正 しい生 活 (早 寝 ・早 起 き)を心 がけましょう。

ストレスをためすぎないようにしましょう。

カフェイン飲 料 (例 :コーヒー)などの刺 激 物 はパニック発 作 を起 きやすくしますので、飲 みすぎは
控 えましょう。
パニック障 害の薬物療法
◆パニック障 害 の治 療 に薬 を用 いるのはどうしてですか?
パニック障 害 の原 因 はあきらかになってはいませんが、脳 内 の神 経 伝 達 物 質 (セロトニンやノルアド
レナリンなど)と関 係 があると考 えられています。 抗 うつ薬 や抗 不 安 薬 は、これらの神 経 伝 達 物 質 の
働 きを助 け、症 状 を改 善 します。
パニック障 害 は、パニック発 作 を起 こすことで、また発 作 が起 こるのではないかという不 安 が出 現 し、
その不 安 のために活 動 範 囲 が狭 められてしまいます。 薬 はパニック発 作 を予 防 すると共 に、そのた
めに生 じる不 安 も軽 減 し、通 常 どおり活 動 できるようサポートします。
パニック障 害 はうつ病 と並 び、薬 物 療 法 が有 効 な疾 患 の一 つです。
◆どのような薬 を飲 むのですか?
パニック障 害 の治 療 に用 いられる薬 は、抗 うつ薬 と抗 不 安 薬 です。
新 しいタイプのもの(※SSRI)と、古 くから用 いられてきたタイプの
ものがあります。 いずれも、ベースとなる気 分 を安 定 させる効
抗 うつ薬
果 があります。 抗 うつ薬 は即 効 性 がありませんが、定 期 的 、持
続 的 に内 服 することで、長 期 的 にパニック発 作 の出 現 を予 防 し、
不 安 を軽 減 し、パニック障 害 を改 善 します。
※ SSRI とは Selective Serotonin Reuptake Inh ibitors の
略 で、新 世 代 の抗 鬱 剤 (こううつざい) の一 群 の意 味 です
即 効 性 はありますが、持 続 性 はありません。 定 期 的 に
抗不安薬
内 服 する場 合 もあれば、発 作 が起 こりそうな出 来 事 の前
にだけ、頓 服 薬 として内 服 する場 合 もあります。
抗 うつ薬 、抗 不 安 薬 は、症 状 に応 じてどちらかだけ内 服 することもあれば、併 用 して内 服 する場 合 も
あります。
◆薬 はどのくらいで効 いてくるのですか?
抗 うつ薬 は、効 果 が出 るまでに2~4週 間 かかると言 われています。 薬 を飲 み始 めてすぐに症 状 が
改 善 するわけではなく、副 作 用 が先 に現 れることが多 くあります。 そのため内 服 を始 めてかえって具
合 が悪 くなったように感 じることがあるかもしれません。 しかし、内 服 を続 けていると効 果 は徐 々に出
てくるので、医 師 、看 護 師 と相 談 しながら内 服 を継 続 しましょう。
抗 不 安 薬 は、即 効 性 がありますが、持 続 性 はありません。 持 続 的 に効 果 が出 るまで、1~2週 間 は
かかると言 われています。
◆副 作 用 にはどのようなものがありますか?
<抗うつ薬 の副 作 用>
SSRI は、飲 み始 めの1週 間 ほど、吐 き気 、嘔 吐 、食 欲 不 振 、下 痢 などがみられる
ことがあります。
古 いタイプの抗 うつ薬 (クロミプラミン、イミプラミン等 )は、口 の渇 き、便 秘 、眠 気 、尿
が出 にくい、かすみ目 、立 ちくらみなどが見 られることあります。 これらの副 作 用 は不
快 な症 状 ではありますが、よほどひどくなければ危 険 性 は低 いものと言 えるでしょう。
いずれの薬 も、アレルギー反 応 (発 疹 、浮 揚 等 )を起 こしたり、重 症 な副 作 用 (不 整
脈 、高 熱 、イレウス、白 血 球 減 少 症 等 )がみられることが、ごく稀 にあります。
<抗不 安 薬の副 作 用>
全 身 倦 怠 感 、眠 気 、めまい、ふらつき、反 射 運 動 能 力 の低 下 などがみられる
ことがあります。 服 薬 中 、車 の運 転 は控 えていただくことをお勧 めします。 一
般 的 には抗 不 安 薬 は依 存 性 が高 いと言 われますが、医 師 の指 示 通 り内 服 して
いれば心 配 ありません。
※抗 うつ薬 、抗 不 安 薬 ともに、突 然 薬 を中 止 すると禁 断 症 状 が出 現 することがあります。
自 己 判 断 せず、医 師 と相 談 しながら使 用 しましょう。
◆薬 を飲 んでいる時 に気 をつけることはありますか?

医 師 の指 示 通 りに内 服 する。

すぐに効 果 が出 ないかといって諦 めない。

症 状 が改 善 しても、しばらくは内 服 を継 続 する。

自 己 判 断 で内 服 を急 に中 断 しない。

不 快 な症 状 や、からだの異 変 に気 づいたら、医 師 に相 談 する。

禁 酒 をする。(内 服 中 の飲 酒 は薬 の効 果 を減 少 させたり、悪 酔 いさせたりします。)

眠 気 のある時 は、車 の運 転 をしない。