6 0 4 精 神 経誌 ( 2 0 0 7)1 0 9巻 6号 第1 3回専門医制度委員会企画 向 精 神 薬 上 島 国 利 (国際医療福祉大学 ・医療福祉学部) は じめに 精神医学や精神医療 は向精神薬の登場 により飛 抗精神病薬 は大別す ると 2種類 に分類 され る. ( 1 )定型抗精神病薬 躍的進歩 を遂 げ,現在の精神科臨床 は薬物療法が その化学構造 か ら, フェノチアジン系,プチロ その治療 の基本 となっている.同時 に薬物 の作用 フェノン系,ベ ンザ ミド系 などに分類 される. こ 機序や ヒ トに及ぼす影響 な どの薬理作用か ら,精 D2受容 れ らの薬物 は共通 して ドパ ミン受容体 ( 神 障害の病因 に迫 る知見 も得 られている. 体)の遮断作用 を有 してお りこれが抗精神病作用 専門医 を目指す精神科医に とり,精神薬理学の と関連 す る.その一方錐体外路症状 としてアカシ 基礎か ら臨床応用 まで に通暁 し,適切 な薬物療法 ジア, ジス トニア,筋強剛,寡動な どが認 め られ を行 うことは必須 の ことといえよう. る. ( 2)非定型抗精神病薬 ( 第二世代の抗精神病薬) 【 向精神薬】 タロザ ピンを暗矢 として,幾つかの非定型薬が 人間の精神 に作用す る薬物の総称 で中枢神経系 開発 されたが,わが国で使 用 されて い るの は, にその主要な作用の場があ り,精神活動や行動 に 1 9 9 6年 に導入 された リスペ リドンその後 の クエ 変化 をもた らす.大別す ると精神治療薬 と催幻覚 チアピン,オランザ ピン,ペ ロスピロン,ア リピ 薬 に分かれ,精神治療薬 としては,抗精神病薬, DA プラゾ‑ル な どがあ る.薬理学的特徴か ら S 抗 うつ薬,気分安定薬,抗不安薬,睡眠薬,精神 ( セロ トニ ン ドパ ミン括抗薬) ともいわれ, ドパ 刺激薬 な どがある. これ らの薬物 の常用量では, ミン D2受 容体 の括 抗作用 に加 えて セ ロ トニ ン 意識状態の変化 を起 こす ことな く,感情,思考, 5 HT2 受容体括抗作用 を有す る. この 5 HT2 受容 意欲 な ど人間の心の働 きに作用す る. 体遮断作用 は,異質線条体路の ドパ ミン放出 を促 進 し, それが異質線条体遮断を緩和 して,パーキ 1. 抗精神病薬 ンソン症状 などの錐体外路性副作用 を少な くして 統合失調症,非定型精神病,操病,症状精神病 いる.非定型抗精神病薬の特徴 として( ∋効果 は定 な どの急性期,慢性期 にみ られ る幻覚や妄想 な ど 型 とほぼ同 じかやや まさる,( 参陽性症状 よりも陰 の異常体験や病的な精神運動興奮 を催眠作用 を持 性症状 に効果が高い,@錐体外路症状 は少ないか, たず に特異的 に軽快,鎮静 させ る薬物 をい う. こ な い場 合 もあ る,( 参認 知 機 能 を改 善 す る,( 9 れ らの薬物 は共通 して神経伝達物質である ドパ ミ QOLも改善する,⑥抗不安 ・抗 うつ作用 もある, D2) ンの受容体 を遮 断す るが とくに ドパ ミン ( ⑦ クロザ ピン ( 本邦未発売) ,オ ランザ ピン, ク 受容体への遮断作用が強 く, これが陽性症状 を消 エチア ピンな どでは,体重増加,糖尿病の惹起, 退 させ るが,一方錐体外路症状 を惹起する. 脂質代謝異常が出現する ( 表 1は受容体遮断 とそ 6 0 5 上 島 :向精神薬 表 1 抗精神病薬の受容体遮断 とそれに伴 う副作用 に作用す る ものや,NA受容体 に選択性 を持 つ も 副作用 の ( マプロチ リン),更 に ミア ンセ リン,セチプ D2 ヒスタ ミン H 錐体外路症状 .プロラクチ ン上昇 鋲静 .体重増加 チ リンの ように NAシナプス前部 神経 終末 に存 α1ア ドレナ リン ムスカリン 頻脈 .宕視 .尿閉 認知機能低下 .口渇 .便秘 受容体 l 在 し, 自己受容体 として働 く α2ア ドレナ リン 受容体 を遮断 し,NA作用 を増強す る薬剤 もある. その効果 は第‑世代の抗 うつ薬 を凌駕す るもので はなかった. ( 3) 第三世代の抗 うつ薬 れに伴 う副作用である). 現代,軽症か ら中等症の うつ病 に世界各国で第 ‑選択薬 とされ るのは,選択的セロ トニ ン再取 り 2. 抗 うつ薬 抑 うつ気分 を正常化 し,思考力や集中力の減退 や意欲の低下 を改善 し,不安感や焦燥感 を鎮静 さ 込 み阻害薬 ( SSRI ),セロ トニ ン ・ノル ア ドレナ リン再取 り込み阻害薬 ( SNRI )である. 第‑及び第二世代 の抗 うつ薬 には抗 アセチ‑ル せ るうつ病 な らび抑 うつ状態の治療薬 をい う. う コ リン作用 が あ り,使 い難 い側面 が あ った が, つ病の寛解後 も用いることにより再燃,再発 を防 SSRIや SNRIにはほ とん どな く使 い易 い とい う 利点がある. しか しなが ら投与初期 の約 2週間以 ぐことも可能である. ( 1)早‑世代の抗 うつ薬 内にみ られ る消化器症状 としての噴気,心胃部不 炭素環が 3個連絡 した化学構造 を有する三環系 快感,下痢 な どの症状 のため早期脱落例 もみ られ 抗 うつ薬イ ミプラ ミンを嘱矢 として幾つかの薬剤 が含 まれ る. る. 治療効果 に関 しては,第一,第二世代 の抗 うつ ( 5 HT)そ して ノル ( NA)の作動性神経 シナプスにお HTお よび NAの トランスポー ター に結 いて,5 薬 を凌駕す るものではないが,副作用の少なさを 合 し,それ らの神経伝達物質が, シナプス前部神 れ る焦燥,不安,パニ ック発作,衝動性,不眠, 経終末への再取 り込みを阻害する. その結果 シナ t i vat i o ns yndr omeとよばれる 易刺激性 な どは ac プス後部神経細胞上 の 5 HT・NA受容体 に結 合 中枢刺激作用である.なお SSRIの急激 な中止 に す る神経伝達物 質 の量 を増加 させ 5 HTお よび s co nt i n uat i ons yndr omeが 出 現 す る こ 伴 い,di 作 用機序 は,セ ロ トニ ン ア ドレナ リン 大 きな特徴 とす る.効果発現 に関 して も他世代 と 同様 に 2週間程度 を要する. なお治療初期 にみ ら NA情報伝達の効果 を増強 させ る.三環系抗 うつ とがある.中止後 1 ‑3日以 内に, めまい,噴気, 薬 は,アセチ‑ル コリン受容体, ヒスタ ミン受容 倦怠感,不眠,抑 うつ,焦燥な どがある. 体,α1受容体 の遮断作用 を合わせ持つので, こ わが国で は,SSRIとして は, フル ボ キサ ミン, れ らの作用 は副作用 として出現す る.アセチ‑ル パ ロ キ セ チ ン,セ ル トラ リ ンの 3剤 が, また コリン受容体遮断は, 口渇,排尿障害,便秘, 冒 SNRIとしては, ミルナシプランが臨床使用 され の調整障害 として出現 し, さらに高齢者で は知 的 ている. また これ らの薬剤 は, うつ病以外 に もパ 能力 にも悪影響 を及 ぼす.α1受容体遮 断 は低血 ニ ック障害 ( パ ロキセチ ン ・セル トラ リン),強 圧 をはじめ とす る心循環系障害 を もた らす. 迫性障害 ( パ ロキセチ ン ・フル ボキサ ミン),社 ( 2) 第二世代の抗 うつ薬 会不安障害 ( フル ボキサ ミン) な どの不安障害 に 1 9 8 0年以 降 に導入 され た三 ( 四)環 系抗 うつ も適応 を有 してい る. 薬 をいい,質‑世代の抗 うつ薬 と比較 し,即効性 のあるものがあ り,副作用 も全般的 に軽減 されて いる.作用機序 も 5 HT受容体 ,NA受容体双 方 3. 気分安定薬 moods t a bi l i z er s 抗操作用 と操 うつ予防効果 を持つ薬剤 を総称 し 606 精 神経誌 ( 200 7)1 09巻 6号 て気分安定薬 という.その使用 により,急性期 に に確認 され,世界的にも認められるところとなっ は操状態が鎮静化 され,維持投与 を行 うことによ た. り,再発 し易い操 うつ病 ( 双極性障害)の再発予 防効果 を持つ. 用量依存性 に生 じる副作用 として眠気,めまい, ふ らつ きが多いが,減量 によって改善 した り,一 ( 1 )炭酸 リチウム ( Li 2C O 。) 過 性 の こ と も 多 い.重 篤 な 副 作 用 と し て リチウム塩 は機能性精神病 に対 して予防効果 を St e ve ns ‑ J o hns o ns yndr o meがある.皮疹が生 じ 持つ ことが知 られた最初 の化学物質である.効果 た ら直 ちに本剤 を中止することが大切である. の発現 は緩徐で即効性はないが, より自然 な鎮静 効果 を示す.抗 うつ薬の効果が十分認 められない 気分安定薬 3剤の抗操作用に顕著な差 はないが, 難治性 うつ病に対 して,本剤を付加する強化療法 パルプロ酸やカルバマゼピンはリチウム抵抗性患 の効果が認 められている.副作用 としては投与初 者に用いて有効 な例 もある. 期の下痢,振戦,多尿な どがある.有効量 と中毒 4. 抗不安薬 性 の幅が狭 く,血 中濃度が 2. OmEg/Lを超 える とリチウム中毒 とな り,発熱,構語障害,意識障 害, けいれん等を起 こし死亡す る. また慢性投与 により甲状腺機能低下症がみられることがある. 向精神薬のうち病的な不安,緊張を軽減 させ る 薬物の総称である. ( 1 )ベ ンゾジアゼ ピン ( BZ)系抗不安薬 作用機序 としては,神経伝達物質が受容体に結 1 9 60年代初頭 に,最初 の BZ系抗不安薬 とし 合 したあ との細胞の中での情報伝達系に影響 を及 てクロルジアゼポキシ ドが導入 されて以降, ほぼ ぼす. とくにイノシ トール リン脂質‑ 類似の構造及び薬理作用を持つチエノジアゼ ピン カルシウ ム動因経路 に影響す る. 誘導体 を含 めれば 1 8種類の抗不安薬 が主 として ( 2)パルプロ酸 神経症 ( 不安障害)や心身症 を中心に用いられて 単純側鎖 を持つカルボキシル酸で,抗けいれん いる. これ らの薬物は抗不安作用,筋弛緩作用, 作用 を有することか ら,わが国では,各種 てんか 抗 けいれん作用を有 している. ん,てんかんに伴 う性格障害 ( 不機嫌易怒性)の 軽度の精神および身体依存があるため,欧米で 治療薬 として長年用いられてきた. ところが諸外 はその依存や乱用 を危供 して これ らの薬物の使用 国で双極性障害の操状態患者 に有意な改善がみ ら に関 しては控 え目であるが,わが国では殆ん ど問 れることが証明され,欧米では,抗繰薬 としての 題 とされていない.近年では統合失調症の急性増 認可が された.わが国で も 2 0 02年 に抗操薬 とし 悪の際や うつ病治療の初期 にも用いられることが ての適応が認められた. 多い. 副作用 として用量依存性の高アンモニア血症 に は注意が必要である. 作用機序 として,神経細胞のナ トリウムチャン ネルの働 きを抑 えて,神経細胞の過剰興奮 を抑制 する作用が推測 されている. ( 3) カルバマゼ ピン イ ミプラ ミンに類似 した三環系化合物であ り, 副作用 としては,ふ らつき,めまい感,ねむけ 等である. ( 2)セロ トニン ( 5HTIA) 受容体アゴニス ト タン ドスピロンは,5 HTI A受容体の部分アゴニ ス トであ り,不安 を形成すると考 えられる海馬な どの神経活動 を抑制す る. その作用機序は,大脳辺縁系に存在するシナプ わが国での適応は,てんかん,てんかん性格に伴 ス後膜 5 HTI A受容体 に選択的 に作用 し,抗不安 う精神障害,統合失調症の興奮状態,操病 ・操 う 作用 を示す. つ病の操状態,三叉神経痛である.本剤の抗操作 用 と病相予防効果は本邦の Okumaらによ り最初 上島 :向精神薬 607 5. 睡阪薬 果が高かった. 中枢神経 系 に抑制 的 に働 く薬剤 の うち睡眠へ の 導入 と維持 が選択 的 かつ強力 な薬剤 の総称 であ る. 非ベ ンゾジアゼ ピン受容体 作動薬 とベ ンゾジア ゼ ピン受容体作動薬 に分類 され,昨今 よ く使 わ れ るの は,後 者 で ある. がある. C.非定型抗精神病薬 のなかには内分泌系の副作用 の惹起がみ られる薬物 もある. d .非定型抗精神病薬最大の欠点 は錐体外路症状の 惹起である. その作用機序 はベ ンゾジアゼ ピン受容 体 に直接 結 合 し,GABA の作 用 を増 強 し,GABA に よ る C1 チ ャンネル開 口頻度 を増加 させ る.血 中半減 期 の長短 に よ り,超 短時間作 用型 か ら長 時間作用 型 まで あ るので患者 の不 眠のパ ター ンに よ り適 切 な薬剤 を選択 す る. 文 b.定型抗精神病薬では悪性症候群が発症す る危険 献 1 )上島国利編著 :精神科薬物療法入門.金剛出版, e .非定型抗精神病薬 には我 国 に導入 され 1 0年以 上経つ薬剤 もある. 間 4. 非定型抗精神病薬について誤 りはどれか. a.肥満や糖尿病を惹起す る薬がある. b.高プロラクチン血症はどの薬剤で も呈 さない. C.認知機能 に与 える影響 は定型薬 より少ない. d.セロ トニン受容体 にも作用する. e .今後 も新 しい非定型抗精神病薬 の導入 は続 く予 定がある. 東京,2 0 0 5 2 )渡辺雅幸著 :こころの病に効 く薬.星和吉店,栄 戻,2 0 0 4 間 5. 選択的セロ トニ ン再取 り込み阻害薬 ( SSRI ) について,誤 りはどれか. a.わが国に導入 されているのはたった‑種類であ る. 空 試 し閉店 間 1. 向精神薬のわが国への導入 について,それぞ れ最初 に臨床使用が認可 された薬物 は どれか,誤 っ ているのをあげよ. a.抗精神病薬 クロルプロマジン b.三環系抗 うつ薬 イ ミプラミン C .ベ ンゾジアゼピン系抗不安薬 クロルジアゼポ キシ ド d.ベ ンゾジアゼピン系睡眠薬 e.気分安定薬 炭酸 リチウム リスペ リドン 問2 . わが国の向精神薬使用の実態 を,他 の先進諸 国に比べた とき,誤っているものはどれか. a.多剤併用が多い. b.抗不安薬の使用頻度が高い. C .抗不安薬の長期漫然投与が多い. d.抗精神病薬のデポ剤の使用が多い. e .選択的セロ トニ ン再取 り込 み阻害薬 ( SSRI ) のフルオキセチ ン ( プロザ ック) を用いること ができない. b.社会不安障害にも効果がある. C .a c t i vat i ons yndr o meが出現す ることがある. d.1 8歳未満への投与 は禁忌ではないが,慎重 に行 うべ きである. e .パニ ック障害にも適応があるもの もある. 間6. 抗 うつ薬について誤 りはどれか. a.三環系抗 うつ薬は抗 コリン作用が強い. b.三環系抗 うつ薬の大量服用 は心循環系に影響 し, 時に致死的 となる. C .遅発性 ジスキネジアの発症 は極 めて少ない. d.我国に最初 に導入 された SSRIはフルボキサ ミ ンである. e .薬効 に主 として関連するのは,神経伝達物質セ ロ トニンとドパ ミンである. 問 7. 気分安定薬 について,誤 っているのはどれか. a.炭酸 リチウムは即効性である. b.パルプロ酸で高アンモニア血症がみ られ ること がある. C .カルバマゼピンでは発疹が副作用 として出現す ることがある. 間3. 次の項 目のうち誤 りはどれか. a.定型抗精神病薬 は,陰性症状 より陽性症状 に効 d.炭酸 リチウムの血 中濃度 が 2. OmEg/L以上 で 生命の危険を伴 う副作用が生 じる. Powered by TCPDF (www.tcpdf.org) 6 0 8 精神経誌 ( 2 0 0 7)1 0 9巻 6号 e .双極性障害が主たる適応症である. 間8. ベ ンゾジアゼ ピン誘導体 系抗不安薬 について 誤 ってい るのはどれか. a.筋弛緩作用がある. b.抗 けいれん作用がある. C. 身体 的お よび精神的依存 は全 くない. d.GABA受容体 の働 きを助 ける. e .わが 国で は 10種類以上 の薬剤が用 い られて い る. C. 非定型抗精神病薬‑ 肥満 ・糖尿病惹起 d.気分安定薬 ( カルバマゼ ピン)‑ スティーブ ンジ ョンソン症候群 e.三環系抗 うつ薬‑ 口渇 間1 0. 次の精神障害の治療 に用いる薬剤 との組 み合 わせで正 しい ものは どれか. a.強迫性障害‑ SSRI 間 9. 次 の薬剤 と副作用の組 み合わせで誤 ってい る b.双極性障害‑ 抗不安薬 C. 全般性不安障害‑ 抗精神病薬 d.パニ ック障害‑ 精神刺激薬 ( メチル フェニデ ー ト) ものはどれか. e .社会不安障害‑ 気分安定薬 a.選択 的セ ロ トニ ン再 取 り込 み阻害薬 ( SSRI ) ‑ 薬物依存 【 腕試 し問題の解答は次号以降 に掲載 します】 b.ベ ンゾジアゼ ピン誘導体系抗不安薬‑ ねむ け 2回専門医制度委員会企画 ・腕試 し問題解答】 【 第1 間 1.個々の精神科医療施設が自発的 に行 う救 急診療 の対 象ケースを精神科 ミクロ救急ケース と呼ぶ. 間2.精神科三次救急ケースは,緊急措置入院,措置 入院,応急入院を要す るケース と定義される. 間 3.精神科マクロ救急 システムは,必ず しも措置入 院 を主体 とす るわけではな く,精神科一 次,二 次救急を主体 とする初期救急施設の設置 も要請 されている. 間 4.受診意思 を欠 き, しばしば拒否 する精神科救急 ケースを堅い救急 と呼ぶ.警察経由で も受診意 志が あれば,柔 らかい (ソフ トな)救急 である. 間 5.移送制度 ( 精神保健福祉法 3 4条)の新設 に よ って,精神科救急ケースの搬送 における行政 の 責任 は増大 したが,警察官職務執行法 は依然 と して有効であ り,措置入院該当ケースの保護 と 搬送の主力 は警察 と考 えられる. 問 6.消防法には,精神科救急ケースの搬送 を拒否で きる との規定 はない. 間 8.2 007年 4月末 現在,わが国 の精神科病棟 で最 も医療費給付の高い病棟 は,医療観察法指定入 院医療機関の当該病棟である ( スーパ ー救急病 棟の約 2倍) .
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