ひょうほん 標本をつくろう! なまえ 標本をつくるわけ がくじゅつてき けんきゅうざいりょう ほかん ①学術的な研究材料として保管するため しら 名前を調べたり、からだのしくみを調べたりするのに使います。 ばしょ こんちゅう しょうこ また、その場所にその昆虫がいた証拠になります。 しゅみ かんしょう ②趣味や鑑賞のため こんちゅうばり さ 昆虫針を刺す場所 いがい 標本に刺さっている細い針を昆虫針といいます。この針以外は昆虫のからだに 刺しません。 では、体のどこに刺すのでしょうか? てんしばん むね ま なか チョウ・ガ・トンボなど、展翅板を使う昆虫は胸の真ん中に、 みぎがわ はね コウチュウ・カメムシなどは右側の翅に刺します。 さゆうたいしょう なぜ右側に刺すかというと、昆虫はたいてい左右対称な形をしている かんぜん ので、右か左のどちらかを完全な形で残すためです。また、コウチュ ウは真ん中に刺すと翅が開いてしまいます。 美しい標本を作るには? かんそう ●虫が死んだらすぐにつくる ( 時間がたつと乾燥して、からだがかたくなります ) さゆうたいしょう ●左右対称につくる てんしばん てんそくばん すいちょく ●昆虫針を虫の体と直角に刺し、展翅板・展足板にも垂直に刺す。 くさ ●すばやく、腐らないように乾燥させる ●上手な標本をよく見てまねをしてみる なんど ●何度もつくる チョウ てんしばん はり さ じゅんび ①展翅板の準備 いち 針を刺す位置 てんし 下のように展翅テープを作り見 こてい 本のように展翅板に固定します。 こんちゅうばり ②チョウに昆虫針を刺し展翅板に刺す ちょっかく 図のようにチョウの胸の真ん中を体と直角に刺します。展 すいちょく 翅板に刺すときも針が展翅板に対して垂直になるようにさし ます。 ととの ③ハネの形を整える ずかん 見本の展翅板のチョウや図鑑をよく見よう! しょっかく はら ちが ④触角や腹(ここで違いが出る!) 触角は展翅テープに挟み込んだり、触角用のテープで止め たりして、ていねいにそろえます。 わた 腹は下がってこないように下に綿をつめたり、針でささえ たりします。 トンボ ひょうほん 生きたまま三角紙につ つんで餓死させる エノコログサのくき × 針を刺す位置 × ①標本づくりの前に はら くさ トンボは腹が腐りやすいので、標 本にするときは生きたまま三角紙な つつ がし から どに包 み、餓 死させ、お腹を空 っぽ にします。 がし 餓死させたトンボにエノコログサ え とお の柄 などをしっぽの先まで通 し、腹 ほきょう を補強します。 形を整えた見本 ②ハネをひろげない場合 こんちゅうばり 昆 虫針を刺さなくても、かまいま せ ん。 刺 す 場 合 は、 図 の × 印 の あ たりに刺します。 てんそくばん ととの ③展足板で形を整える ハネと足をそろえて、見本のような形にします。 かんそう ④乾燥 すばや トンボは素早く腐らないように乾燥させないと色が悪くなって しまいます。 そこで、形を整えたら・・・ かんそうざい タッパーなどにシリカゲル(乾燥剤)を入れて、その中へトン う れいぞうこ ボを埋め、冷蔵庫で乾燥させたりします。 ため みなさんも、いろいろ試してみてください。 もっと より素早く乾燥させることがトンボの標本づくりで最も大切な ことです。 コウチュウ(カブトムシ、クワガタムシなど) はり さ いち 針を刺す位置 ひょうほん ①標本づくりの前に 昆虫針は、ハネ の向かって右 上に刺します。 ふで みずあら よご 筆や歯ブラシ、水洗いなどできれいに汚れ お を落とします。カブトム シなどの大形のム てんそくばん あし とうぶ シは展足板に刺す前に脚や頭部をゆっくり動 ととの かして形を整えるときれいに作れます。 針 は、 ま っ す ぐ にさしましょう。 こんちゅうばり さ ②昆虫針を刺す たい ちょっかく ムシの体に対して直角に刺します。 この一撃が標本のできを左右します。針は慎重にていねいに刺しましょう。 いちげき てんそくばん しんちょう はっぽう いたじょう ③展足板(発泡スチロールを板状に切ったもの)に刺す へいこう なか 展足板とムシが平行になるようにきっちり刺します。お腹が出ていて足が しゅるい そろえにくい種類は、お腹の下の発泡スチロールをけずるときれいにできま す。 かたち ととの ④足や体の形を整える の さゆうたいしょう ととの 足の先まできれいに伸ばし、左右対称に整えます。 うつく ずかん より美 しく作るためには、図 鑑や他の人の標本を見て、かっこいい形を けんきゅう 研究しよう! しょっかく かお ととの ちが ⑤触角やアゴ、顔の向きを整える(ここで違いが出る!) とうぶ かく しんちょう 頭部に隠れている触角は針の先で慎重に出し、まち針で止めて、ていねい にそろえます。クワガタなどのオオアゴは『グワッ』というように左右へ広 はくりょく ひょうほんばこ げ、迫力をだすと、かっこいいという人もいます。頭は標本箱をのぞいた時 めせん うわうき に目線があうようにやや上向きにします。( 最後は個人の趣味と感性です ) バッタ、カマキリ、ナナフシ ひょうほん バッタの場合、図のように背中側 から内臓を取り出します ①標本づくりの前に 大きなバッタ、カマキリ、ナナフシ なか くさ ないぞう はお腹がとても腐りやすいので内臓を ととの 取り出してから形を整えます。 ないぞう お腹と背中の間に切り目を入 ②内臓のだしかた はら せ さかいめ 腹と背の境目を1㎝ほど切って内臓 をピンセットで取り出します。バッタ るい とうぶ きょうぶ さかいめ せがわ 類は頭部と胸部の境目(背側)からピ ンセットを入れて内臓をとることもで たまご きます。また、ナナフシのメスは卵を できるだけ取り出します。でも、やり ふくぶ すぎると腹部の色までとれてしまうの れる場合もあります 針を刺す位置 バッタやキリ ギリスは胸の 横から刺す コオロギのように平たい虫は背 中から刺す でほどほどに。 しゅるい 小さな種類は内臓を出さずに、その れいぞうこ かんそう まま冷蔵庫などで乾燥させて標本にし ます。 ③形を整える ずかん じょうず ひょうほん 図鑑や上手な人の標本をまねします かんそう ④乾燥 トンボと同様、腐らないように、かつ、素早く乾燥させます。 どうよう くさ すばや もしくは、冷蔵庫でしっかり乾燥させます。 虫が死んだら、素早く処理、乾燥させることが重要です。 なかま 小さなムシ ( テントウムシ、カメムシの仲間など ) だいし こんちゅうばり 昆虫針が刺せない小さなムシは、 木工用ボンドで写真のように、 だいし は 台紙に貼りつけます。 台 紙 大きな虫も、台紙に貼る場合があります。 へいきんだい 平均台 かんたん これを使うと台紙の高さを簡単にそろえ ることができます。 かなら 標本に必ずつけよう! ラベル さいしゅう 採集した場所 採集した 日時 採集した人の名前 この三つを書きます ラベルの例 縦1㎝、横2㎝ぐ らいの画用紙程度 の厚さの紙に、必 要なことを書い て、虫といっしょ に保管します。 石川県 白山市 八幡町 2010 年7月 4 日 黒井 甲 せっかく作った標本もこ かんそう れがなければ「乾 燥した 虫」にすぎません。 かなら 標本には必 ずラベルをつ けましょう! だいはっけん ラベルがないと、大 発見 まぼろし お も幻に終わりますよ。 かんそう 乾燥のさせかた ととの こんちゅう かしばこ ぼうちゅうざい 形を整えた昆虫を、菓子箱やタンスなどへ、防虫剤といっしょに入れ、 いか ちゅうい 以下のことに注意して3~6週間ほどそのまま置いておきます。 ここに注意! ちょくしゃにっこう ・直射日光にあてない しっけ すず ・湿気の少ない、涼しい場所に置く ぼうちゅうざい ・ゴキブリやシバンムシにかじられないように防虫剤を入れる。 乾燥したら むね こんちゅうばり しんちょう のぞ こわ 胸 に刺した昆 虫針以外を慎 重に取り除 きます。乾燥した昆虫は壊 れやすいので、 じゅうぶんちゅうい かんせい 十分注意しましょう。このムシにラベルをつけて、標本の完成です。 ほかん 保管 ひょうほんばこ 完成した標本は標本箱(ドイツ箱など)に入れて、直射日光の当たらない、涼しい場 所で保管します。 あし 脚がとれたら・・・ 木工用ボンドでくっつけます。 カビが生えたら・・・ ふで ぬぐ やわらかい筆にアルコールをつけ、そっと拭い、よく乾燥させます。 はっせい ムシが発生したら さくさん さっちゅうざい だっしめん 酢酸エチルなどの殺虫剤を脱 脂綿にしみこませてフィルムケースの中などに入れ、 めば さらに標本箱の中に入れて目張りをして、ようすをみます。 ハネが油で黒くなったら・・・ だっし みっぺい ようき アセトンや漂白剤で脱脂します。タッパーなどの密閉できる容器に脱脂するムシを どうたい 入れ、ハネだけならば 10 分間。胴体も脱脂する場合は1日ぐらい置いておきます。 すぐに標本にできない時は れいとうほぞん 死んだ昆虫をタッパーに入れ、乾燥しないように冷凍保存します。 メモ 石川県ふれあい昆虫館 電話 076-272-3417 e-mail [email protected]
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