環境報告 富士フイルムグループ グリーン・ポリシー 環 境 報 告 法規制などに対応する体制の強化 私たちは、「富士フイルムグ 富士フイルムグループ グリーン・ポリシー RoHS指令などの法規制に対応するために、「富士フイルム ループ グリーン・ポリシー」 グループ環境担当者国際会議」( に基づいて地球、人類、企業 64ページ )やイントラ ネット上に構築した「製品環境情報マスターデータベース」 ( の 持続可能な発展 に貢献 できる企業活動を進めていき ます。 72ページ )などを通じて、各国の富士フイルムグループ 富士フイルムグループでは、2002年4月に中期環境方針「富 士フイルムグループ グリーン・ポリシー」を制定し、グループ 全体で、製品・サービス・企業活動における高い「環境品質」 を目指した活動を推進しています。 特定課題推進委員会 体制を整えています。 いただき、化学物質の含有量チェックの結果をウェブ経由でご 報告いただく電子監査の導入など、サプライチェーン全体での 「含有化学物質管理」( 44ページ )体制の確立を強力に推進 していきます。 マネジメントシステム( ・環境配慮設計推進委員会 ・グリーン調達推進委員会 基本方針 ・包装RC推進委員会 ・環境会計推進委員会 持続可能な発展 は21世紀の地球、人類、企業にとっ ・社会・環境レポート編集委員会 て最重要課題である。世界の富士フイルムグループ各社は、 ・省エネ・温暖化ガス削減推進 チーム 環境・経済・社会の全ての面において確実で一歩先行した ・GHS対応推進委員会 取り組みにより先進企業となることを目指す。我々は、製 29ページ )については、環境マ 品・サービス・企業活動における高い 環境品質 を実現 富士フイルム 本社・各工場・各研究所 富士フイルムグループ会社 球、人類、企業にとって最優先で取り組まなくてはならない重要 ネジメントシステムの国際規格ISO14001は2004年までに な課題であるという考え方を基盤として、グループ共通の中期環 ほぼすべての事業所で認証取得を完了していました。品質マネ 境方針「富士フイルムグループ グリーン・ポリシー」を定めて ジメントシステムの国際規格ISO9001の認証取得について います。グリーン・ポリシーのコンセプトは、製品・サービス・ は、工場及び一部の研究・開発部門のみでしたが、2005年 行動指針 企業活動において、高い「製品品質」と「環境品質」を実現する 12月、富士フイルムの本社部門・営業部門とグループ会社9社 ① 環境負荷低減と製品安全確保を次の3項目に留意して推 ことにより、顧客満足を達成し、ステークホルダーの皆様からの がISO14001認証の2004年度版への移行とISO9001認証 信頼を維持向上するとともに 持続可能な発展 に貢献すること を同時に取得しました。これにより、「環境」と「品質」のマ (1)企業活動の全てにわたって実施 としています。 ネジメントシステムを一つに統合することで、今まで以上に高 (2)製品の全ライフサイクルにわたって実施 を踏まえて、2006年4月に「重点実施事項( いレベルでの顧客満足に向けた取り組みを進めていきます。 (3)経済的、社会的効果を総合的に考慮 2.3.4.5.6.8を改訂しました。改訂のポイントは以下のとおりです。 め、施策の目標としています。 富 士 フ イ ル ム グ ル ー プ グ リ ー ン ・ ポ リ シ ー 社 長 委員長 環境・品質マネジメント管掌役員 CSR推進部 環境・品質マネジメント部長 グリーン・ポリシーでは、9項目にわたる重点実施事項を定 することで、顧客満足を達成すると共に、 持続可能な発 展 内部監査委員会 内部監査委員会 に貢献する。 各部門 進する。 各部門 「重点実施事項」の改訂について 事業内容の変化や、化学物質管理を更に強化する社会の動向など 」の 62ページ ) ② 化学物質の管理レベルを高め、リスクを低減する。 成長事業の拡大における環境配慮 富士フイルムグループでは、現在を「第二の創業期」と位置 ③ 法律およびグループ各社の自主規制、基準類、個別に ステークホルダーとの コミュニケーションの推進 同意した要求事項を遵守する。 協力を強化し、地域活動に積極的に参加する。 の向上を目的として、毎年、最新の環境技術、環境配慮製品、環 ⑤ 環境諸課題への取り組み状況とその成果を、地域社会 アーツ、フラットパネル用ディスプレイ材料・電子材料・イン 境改善活動・施策、国内外の法規制対応などへの取り組みについ や行政、グループ各社従業員等の社内外関係者に積極 クジェット用インク材料などの高機能性材料、光学デバイスな て事例発表を行う「環境フォーラム」 ( 的に情報開示し、良好なコミュニケーションを確保 ど、重点事業分野の推進に伴い、新規に工場・研究所の設立、 グループ全体での「環境品質」の更なる向上を図っています。グ 生産設備の増強などを進めています。( ループ会社など、毎年参加者の範囲が広がっていますが、今後は 15ページ ) 配慮・環境保全は企業活動の根幹をなす」に基づいて、「自然環 64ページ )を開催し、 更に範囲を広げ、効果を高めることを計画しています。 する。 点を中心として、地域との「環境対話集会」( 全の確保」を軸に、さまざまな施策を継続して実施しています。 を行政と協力して開催しています。 製品などの環境品質データのグループ会社間での 共有を、機器・包装材料から推進することを明記。 3. 環境負荷低減と 汚染防止 温暖化ガス排出量削減対象事業所を富士フイルム 神奈川工場(足柄サイト、小田原サイト)・富士 宮工場・吉田南工場、富士フイルムオプトマテリ アルズ㈱、富士フイルム九州㈱とすることを明記。 4. 廃棄物管理の レベルアップ 本改訂により「廃棄物管理のレベルアップ」の項 目を新たに設け、 「4-2 廃棄物ガバナンスの強化」 に関する記述を追加。 5. 化学物質管理の レベルアップ 欧州で検討されている新化学物質規制REACHを 含めた、化学物質管理強化の動きに対応する体制 を強化することを明記。 6. 含有化学物質管理 調達先のCSRマネジメントレベルの調査を順次 導入することを明記。 8. 情報開示、 情報提供、 コミュニケーション GHS(化学品の分類及び表示に関する世界調和 システム)に対応したMSDS・安全ラベル提供 を推進することを明記。 ⑥ グループ各社従業員教育の徹底を通じて意識向上を図 り、環境課題に取り組む基盤を強化する。 65ページ ) 今後も社内及び社外とのコミュニケーション活動を積極的に 行っていきます。 改訂のポイント 2. 環境配慮設計 また、情報開示、コミュニケーションの一環として、生産拠 境に対する配慮(人間と自然との調和)」と「化学物質に関する安 グリーン・ポリシーの運用体制 富士フイルムでは、2002年4月にFRC(富士フイルムレスポ ンシブルケア)委員会において「富士フイルムグループ グリー FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 重点実施事項 ④ 協力会社とのパートナーシップと行政、業界活動への 富士フイルムグループ内の環境技術・情報の共有と「環境品質」 付け、医療/ライフサイエンス、ドキュメント、グラフィック このような状況においても、会社創立以来の理念である「環境 60 リーン・ポリシーの改訂を行っています。 FRC委員会 富士写真フイルム㈱ 富士フイルムグループでは、 持続可能な発展 は21世紀の地 動向を先取りし、「FRC委員会」の審議・承認を経て、適宜グ の環境エキスパートが情報を共有し、グローバルに対応できる また、グリーン調達を一歩進め、お取引先に自己監査をして 末松 浩一 ン・ポリシー」を承認し、運用しています。国際的な環境規制の FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 61 富士フイルムグループ グリーン・ポリシー 重点実施事項 環境報告 1 環境報告 環境教育 環境効率の向上 富士フイルムグループは、A〜Fの6つの環境負荷全てにおいて、2010年度の環境効率を2000年度の2倍とすることを目指す。 環境効率= 売上高 環境負荷の値 実績 A. 温暖化ガス排出量 P80 目標 P84 B. 天然資源投入量 2.0 目標 P86 C. 揮発性有機化合物大気排出量 4.0 3.7 2.0 1.4 1.0 2000 1.5 1.4 1.4 目標 1.4 1.5 04 05 1.0 2000 2010 04 05 2010 富士フイルムグループでは、環境活動の基本とな る環境についての基礎知識と「富士フイルムグル 3.2 1.5 サイト 2003 富士写真 フイルム 目標 2.0 ■ 環境教育一般層向けカリキュラム実施状況 ープ グリーン・ポリシー」を、海外を含めた富士 国内 グループ会社 2004 2005 環 境 報 告 完了 (約10,000名) 7社 27社 完了(34社、 約12,000名) 海外 グループ会社 約6,700名 修了、進行中 フイルムグループ全従業員に徹底するため、環境 1.0 2000 04 05 2010 2006 教育を推進しています。 富 士 フ イ ル ム グ ル ー プ グ リ ー ン ・ ポ リ シ ー ■ 6カ国語のeラーニング学習画面 D. 容器包装材料使用量 2.5 2.0 2.0 E. 廃棄物発生量 P85 P85 2.0 目標 F. 水投入量 P84 2.0 目標 1.8 2.1 1.7 目標 1.5 1.5 1.5 一般層向けカリキュラム 1.3 1.3 1.0 2000 04 05 1.0 2000 2010 04 05 2010 1.0 2000 eラーニングを主体とした一般層向け環境教育は、国内につ 04 05 2010 いては2005年秋までに富士フイルム及びグループ会社の従業 日本語版 英語版 中国語版 ドイツ語版 ポルトガル語版 スペイン語版 員全員が学習を修了しています。一方、海外のグループ会社に 2 環境配慮設計 P72 5 化学物質管理のレベルアップ P70 おいては2005年半ばより全員学習をスタートさせ、2006年 全ての新製品、改良品の設計を環境配慮設計基本規則に従って実施する。 世界各国の化学物質規制法を遵守するため、確実な情報収集と法規制に 6月までに約6,700名が学習を修了しました。海外展開の実施 同時に、環境配慮設計を通じて達成した製品などの環境品質データのグ 対応した製品開発と販売が可能な体制を維持強化する。同時に、欧州で にあたっては教材に使用する言語の問題がありましたが、現在 ループ会社間での共有を機器・包装材料から推進する。富士フイルムグ 検討されている新化学物質規制REACHを含めた、化学物質管理強化の ループとしても順次展開する。 動きに対応する体制を強化する。また、安全性試験および法対応試験の 新規技術導入によるレベルアップを図るとともに、富士フイルム化学物 は英語、中国語、ドイツ語、ポルトガル語版、スペイン語を完 成、更にオランダ語、フランス語版を制作中です。 2005年に国内のeラーニングシステムを機能整備のため再 質管理システムに基づく確実な管理を実施する。 構築し、最新情報を盛り込んだ日本語版環境教材の改訂版をこ 3 環境負荷低減と汚染防止 3-1. 温暖化ガス排出量削減 6 含有化学物質管理(原材料、部材、包材、サービス) P44 環境配慮製品実現のために、サプライチェーン・マネジメントを強化し、 P80 の新システムに掲載し、2006年5月より運用を開始しました。 今後は新教材を使用するよう全グループ会社に徹底し、教育内 富士フイルムおよび国内グループ各社の排出量の多い下記生産事業場※1 調達先、調達品およびサービスの調査を継続して実施する。調達先につ 容の充実と教育システムの継続的改善を図っていきます。この においては、エネルギー原単位 ※2を2010年度に対1990年度実績で いては、製品含有化学物質管理体制を調査し、その向上を促進する。ま 教育を通じて全世界の従業員一人ひとりに「環境意識」を徹底 10%改善する。また、CO2原単位※3を2010年度に対1990年度実績 たCSRマネジメントレベルの調査を順次導入する。調達品については調 で20%改善する。上記以外の富士フイルムグループ会社は個別に別途 査を行うと同時に、禁止物質非含有の契約および仕様明確化を実施し、 し、「環境課題」に取り組む基盤を強化していきます。 目標を定める。 さらに検査体制も強化する。 3-2. 環境モニタリングの実施 P89 国内生産会社の法規制等対象物質使用事業場においては土壌・地下水、 7 マネジメントシステムの構築と改善 専門家育成カリキュラム P29 排水、揮発性有機化合物大気排出量のモニタリングを定期的に実施する。 P89 3-3. 配管、ピット、タンクからの漏洩対策 国内生産会社は化学物質漏洩対策として、地上化、二重化、その他早期 富士フイルムグループ各社は、環境および品質マネジメントシステムの 専門家育成カリキュラムは専門的知識や能力を要する業務担 構築を図り、業務との融合を強化するなどのマネジメントシステムの継 当者に対する教育プログラムで、2005年度は、LCA(ライフ 続的改善を実施する。 サイクルアセスメント)、含有化学物質管理、廃棄物管理につ 発見を可能とする施策を継続して順次実施する。 いての講習会を実施しました。実施回数は合計18回、グルー 4 廃棄物管理のレベルアップ 8 情報開示、情報提供、コミュニケーション プ会社を含め、延べ471名が受講しました。2006年度も引き P38 続きLCA関連を主体としたカリキュラムを組み、より多くの専 4-1. ゼロエミッションの継続・改善 P85 企業活動については、富士フイルムグループ各社が発行する社会・環境 国内グループ各社はゼロエミッションを継続する。更に資源リサイクル レポートなどの改善、充実を図る。製品については、GHS※4に対応し の質的な改善を実施する。海外グループ各社は国別の状況に対応して別 たMSDS・安全ラベル提供を推進する。また、製品環境情報開示の充実 途目標を定める。 を図る。社内外関係者との対話などを通じたコミュニケーションの充実 4-2. 廃棄物ガバナンスの強化 門家を育成していく計画です。 を図る。 P85 国内グループ各社は廃棄物関連教育の充実および適正管理の徹底を図る。 9 ※1 生産事業場:富士フイルム 神奈川工場(足柄サイト、小田原サイト)、富士宮工場、 吉田南工場、富士フイルムオプトマテリアルズ㈱、富士フイルム九州㈱。 62 従業員教育の徹底 P63 米国での環境教育風景 (写真上:集合教育、写真下:eラーニング) 富士フイルムグループ各社は従業員に対して、環境および品質に関連す ※2 エネルギー原単位:換算生産量あたりのエネルギー使用量。 る教育・訓練を実施する。また、教育・訓練の内容の充実および教材の ※3 CO2原単位:換算生産量あたりのCO2排出量。 更新など、教育・訓練システムの継続的改善を実施する。 ※4 GHS:化学品の分類及び表示に関する世界調和システム。 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 63 環境報告 環境 コミュニケーション 富士フイルムグループ内での対話 地域での対話 環境フォーラム 2006 環境対話集会 in 富士宮 環 境 報 告 2006年3月、富士フイルム神奈川工場(小田原サイト)に おいて「環境フォーラム 2006」を開催しました。「環境フォー ラム」は、各事業部門・研究部門・生産部門それぞれで行われ ている環境への取り組みを発表することで、富士フイルムグル ープ内での環境技術・情報の共有化を図り、更なる環境品質の 富士フイルムグループでは、より質の高い環境活 動を進めるために、さまざまなステークホルダー 向上を目指すものです。今年で5回目になるこのフォーラムに は、富士ゼロックス㈱や富士フイルムロジスティックス㈱など、 富士フイルムグループ20数社から約300名が参加しました。 との双方向のコミュニケーションに努めています。 ここでは富士フイルムグループ内での技術・情報 の共有を目的として開催された「環境フォーラム 2006」と、地域との信頼関係を更に深めることが できた「環境対話集会 in 富士宮」を紹介します。 環 境 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 今回は6件の口頭発表と46件のポスター発表があり、化学物 質の法規制対応、環境配慮設計、地球温暖化対策、環境効率、 揮発性有機化合物(VOC)、廃棄物対策、包材法対応など、施策 のポイントや技術面について活発な意見交換が行われました。 基調講演では、「Think the Earthプロジェクト」のプロ デューサーである上田 壮一氏を迎えて、「気候変動+2℃」と 題した講演が行われました。聴講した従業員は、気候変動の深 刻さを改めて知り、今後、一層地球温暖化対策を推進していく 2002年度よりCO 2 排出量削減を目的として、 順次導入を進めている天然ガス発電設備 ことの大切さを深めました。 工場敷地内に流れる清水川に沿って整備された遊歩道からは、鯉が生息する池、せせらぎで栽培しているわさび田、湧き水 などを見ることができ、従業員の憩いの場になっています 富士フイルムでは、今後も「環境フォーラム」を毎年開催し、 部門ごとに蓄積した知見や技術の水平展開を図り、相互啓発を 進め「富士フイルムグループ グリーン・ポリシー」の重点実施 事項の達成を目指します。 ■ 「環境フォーラム2006」口頭発表 発表 口頭発表の様子。今回は富士ゼロックス㈱をはじめ6件の発表があり、総勢約300名 の富士フイルムグループ従業員が出席しました テーマ 富士ゼロックス㈱ 富士ゼロックスの国際資源循環への取り組み 富士写真フイルム㈱ 印刷用無処理刷版MT-Vの開発 富士写真フイルム㈱ モバイルプリンターPiviのRoHS指令対応 富士写真フイルム㈱ エネルギーフロー図を使った省エネルギー 推進 富士フイルム ロジスティックス㈱ 富士ゼロックス複写機の動脈/静脈幹線輸送 モーダルシフト開始について 富士フイルム ロジスティックス㈱ 木材廃棄物の再生技術開発 <第10回 富士フイルムグループ 環境担当者国際会議> パネルディスカッション 2006年2月、静岡県富士宮市の富士フイルム富士宮工場に 2005」の説明を行いました。富士宮市長・小室 直義氏のあ おいて「環境対話集会 in 富士宮」が開催されました。富士宮 いさつを交え、パネルディスカッションに移行し、熊本大学法 工場は、富士山の南西に位置し、清澄な空気と豊富な水に恵ま 学部教授・外川 健一氏を進行役に、NPO・地域自治会長・行 れ、敷地内には地域の水源である清水川が流れています。富士 政・化学物質アドバイザー・高校生・富士フイルム担当者など 宮工場では、X線フィルムや液晶用カラーフィルターなどを主 10名のパネラーが、参加された地域住民の方々からの「自家 に生産しています。 発電でどのくらいの電力を賄っているのか?」「地震対策や地 環境対話集会は、静岡県・富士宮市・富士フイルムの共催で 下水の利用状況はどうか?」「PCBの管理にはどのように取り 行われたもので、約100名の地域住民の方々に、自治体や行政 組んでいるか?」などの質問をテーマに率直な意見交換を行い のエキスパートが参加し、中期環境方針「富士フイルムグループ グリー 関係者などの開催関係者を加え、合計147名の方々が参加しま ました。環境対話集会の様子やアンケート結果などは、静岡県 ン・ポリシー」の重点実施事項を中心とした環境諸施策の推進を目的に した。工場長のあいさつ、工場概要の説明の後、5グループに分 のホームページにてご覧いただけます。 2005年11月、富士フイルム東京本社において「富士フイルムグルー プ環境担当者国際会議」を開催しました。この会議は国内外から環境関係 1991年から開催されています。 かれて、天然ガス発電設備、排水処理設備などの環境保全設備 第10回を迎えた今回は、製品中に含まれる化学物質管理と、包装材料 を見学し、清水川に沿って整備された遊歩道を散策しました。 や機器の廃棄・リサイクル対応などを主なテーマとして討議を行いまし た。ワールドワイドに運用を開始した製品の環境マスター情報データベー スを共有ツールとして、今後強化される各国の法規制や、増大しているユ ーザーからの要請に応える体制を構築することを合意しました。 64 排水処理設備の見学 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 後半の対話集会では、静岡県環境森林部生活環境室主任・ 4日間にわたった「環境担当者国際会議」の様子。海外グループ会社16社、 総勢22名、国内からはグループ会社7社、総勢58名が出席しました。 富士フイルムはこれからも各地域で積極的に対話の機会を 持ち、住民、行政、企業で情報を共有し、地域の環境保全や 今後の環境活動に生かしていきたいと考えています。 河村 浩史氏による県内の化学物質排出状況についての講演の 後、富士フイルムから「富士宮工場 社会・環境レポート Web http://kankyou.pref.shizuoka.jp/seikan/seikanindex.htm FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 65 環境報告 事業活動と環境負荷 環 境 報 告 富士フイルムグループでは、「富士フイルムグループ グリーン・ポリシー」に基づき、事業活動を進めていま す。製品の研究・開発、資材調達、製造、販売、お客様 の使用のすべての工程において環境負荷低減を目指し、 また、これらすべての工程に関わる物流分野も含めて環 事 業 活 動 と 環 境 負 荷 境負荷低減に取り組んでいます。 図の数値は、富士フイルムグループ全体での2005年度の資源投入量と、製品の 研究・開発、製造、物流の各段階において発生した排出量を表したものです。 投入 天然資源 「含有化学物質管理 ガイドライン」に基づ いてグリーン調達を 行っています。 エネルギー グループ会社を含む、主 要製造工場のすべての エネルギー の天然ガス 化を実現しています。 容器包装材料 (富士フイルム国内5事業所※1のデータ) 液化 石油ガス プラスチック プラスチック フィルム・シート 成形品 水 銀 ゼラチン 購入電力 A重油 C重油 天然ガス (百万トン) (千トン) (千トン) (百万kWh) (千kL) (千kL) (百万Nm ) 65.1 0.68 3.67 1,328 115 75.7 115 PET TAC アルミ 灯油 風力発電 天然ガス液 軽油 (千トン) (千トン) (千トン) (千kL) 太陽光 発電 (千kWh) (千kL) (千kL) 36.5 54.7 102.4 5.71 1,381 27.7 6.01 3.55 (千kWh) 91.2 3 (千トン) 2.54 0.50 4.12 2.03 紙器 紙材 段ボール (千トン) (千トン) (千トン) 0.76 7.47 物流 「環境配慮設計基本規則」 に基づいて、研究・開発の 段階から製品のライフサ イクル全般にわたり環境 に配慮しています。 物流 NOx排出量(トン) 49.8 資材調達 研究・開発 生産 製造 物流 384.8 廃棄 PM排出量(トン) (千トン) (千トン) (富士フイルムロジスティックス(株)国内物流のデータ) CO2総排出量(千トン-CO2) 金属材料 (千トン) 水系 29.6 大気 水の循環 使用量 水 (百万トン)60.6 (百万トン) 91.3 CO2 VOC (千トン-CO2) (千トン) (トン) 1,531 1.7 394 廃棄物 COD BOD 総窒素 総リン (トン) (トン) (トン) NOx ばいじん (千トン) (トン) (トン) (トン) 84.0 149 110 318 8.3 1,365 28 SOx お客様 排出 CO2排出量削減に向けて、 モーダルシフト、大型車 を使った積載効率のアッ プ、配送計画の合理化を 行い、毎年1パーセント 以上の削減を実現して います。 販売 営業部門でのISO14001の 認証を取得し、営業部門か ら開発部門への環境配慮製 品の提案を進めています。 ※1 富士フイルム神奈川工場(足柄サイト、小田原サイト) 、富士宮工場、吉田南工場、富士フイルムオプトマテリアルズ㈱、富士フイルム九州㈱。 66 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 67 環境報告 サステナビリティ会計 汚染賦課金、エネルギー、原材料、水などは前年との差額 環境保全コスト を計上しています。回収、リサイクルなどは当該年度の実 1. 事業エリア内コスト SOx、VOC、CO2については前年との差額、リサイクルに ついては、当該年度の予想効果金額を計上しています。お 集計しています。また、労働環境の整備や社会貢献 客様への効果は、市場において、同じ目的に使用できる製 集計しています。これらを併せたものを「サステナ 品で旧製品と新製品が混在している場合に、環境に配慮さ れた新製品を使用していただいたことによる当該年度にお ける経済的効果を計上しています。 ①2005年度の状況 設備投資については、2005年度は新規工場及び新規研究所 における公害防止、地球環境保全に関する設備投資が増加した ものの、既存工場の資源循環に関する投資が2004年度までに 一巡したことにより資源循環に関する設備投資が減少しました。 液晶ディスプレイ用フィルムなどの増産で、エネルギー費用 に関する経済効果はマイナスとなりました。今年度から非エネ ルギー由来のCO2を加えたこと及びCO2価格設定を上げたこと などによりCO2排出削減の金額効果のマイナスが増加しました。 社内への経済効果は、液晶ディスプレイ用フィルムの生産増 により約37億円増加しました。 省資源効果の高い製品である製版フィルム不使用の印刷用刷 版や液晶ディスプレイ用フィルムの販売増により、お客様への 効果金額は、増加しています。 労働環境・社会会計 ①2005年度の状況 3,871 ② 地球環境保全 省エネルギー 5,005 に関する費用にはフォトギャラリーの運営経費も入っています。 ②基本事項 (1)労働環境・社会会計の目的 従業員の労働環境の整備及び社会貢献に費やした金額を集計 し、富士フイルムグループとしてこれらの分野での取り組み状 況を把握するため。 (2)対象期間 2005年4月1日〜2006年3月31日 3. 管理活動コスト 生産サイトでの環境 環境保全ISO14000 認証取得、情報開示 4. 研究開発コスト 環境配慮製品の開発、 生産効率向上のため の製造設備研究開発、 素材安全性試験 5. 社会活動コスト 環境保全支援、緑化 (3)集計範囲 6. 環境損傷対応コスト 国内富士フイルムグループ19社 合 計 表中の「主な内容」に該当する当該年度の支出を集計していま た環境情報を提供すること。 (2)対象期間 主な内容 労働安全衛生 従業員の安全衛生の統括担当部署、 健康診断、メンタルヘルス 1,058 1,001 一般教育 学術・技術・技能に関する従業員教育 1,593 1,341 従業員雇用 ① 減価償却費は、3年間の定額償却によって算出しています。 ② 環境保全以外の目的が含まれているコストは、支出目的によ る按分計算により集計しています。 68 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 障害者雇用のためのバリアフリー、出 産育児休業制度、介護休職制度、再雇 用制度、セクハラ防止、ボランティア 休職、社会貢献活動のための出向支援 近隣協調費 地域住民の皆様の電波障害対策、 地域交流イベント 消費者対応 文化芸術振興・ 国際交流 環境省発行の「環境会計ガイドライン(2005年版)」を参考と しています。 (金額単位:百万円) 合 計 2004年度 2005年度 4 8トン VOC排出削減 ※② VOC排出削減量 5,376 4,299 △1,349 5,147 省エネルギー 単位当り原材料削減 水資源削減 5,016 3,160 9,232 1,286 910 9,973 含銀汚泥売却 1,857 1,229 アルミ材料回収 1064 1,301 54 396 2,180 1,894 11,941 10,110 101.1千トン 384 12,823 11,459 82 下取り機器からの部品回収 219 170 2,489 △95 1,287 リユース・リサイクルに よる産業廃棄物削減 ※⑤ 928 廃棄物削減量 高分子材料回収 「写ルンです」回収 サ ス テ ナ ビ リ テ ィ 会 計 17,905 19,258 172 ※⑥ 銀回収 87 165トン △49 △164 △25千トン △43千トン CO2排出削減 ※③ CO2排出削減量 ※④ △683 8,714 11,392 10,131 7,984 2,689 21,185 19,570 液晶ディスプレイ用フィルム 13 18 205 519 33 7 306 135 16,679 16,194 64,933 62,818 ■ お客様への効果 13,343 18,175 詳細は下表に記載しま した。 55,146 65,103 48,821 53,824 67,063 75,090 ※ ② VOC削減に係る費用:525千円/トン ■ お客様への効果 ※ ④ 2005年度は非エネルギー由来も集計 ※ ⑤ 廃棄物埋め立て処理コスト:100円/kg ※ ⑥ 上水 200円/トン、下水 200円/トン (金額単位:百万円) 主な内容 2004年度 2005年度 高密度磁気記録材料※1 18,958 19,954 製版フィルム不使用のPS版 液晶ディスプレイ用フィルム※2 省電デジタルカメラ 省電ミニラボ 合 計 1,533 △46 21 62トン △133トン SOx排出削減 ※① SOx排出削減量 4 8,031 ((社)産業環境管理協会「平成11年環境ビジネス発展 促進等調査研究(環境会計)報告書」) 項 目 国内富士フイルムグループ20社(富士フイルム九州㈱を含む) (4)集計方法 8,169 (2006/3EU排出権取引価格27.48ユーロ/トン) 2005年4月1日〜2006年3月31日 (3)集計範囲 7 ※ ③ CO2削減:3,792円/トン ← 2004年度:1,939円/トン ■ 労働環境・社会会計 2004年度 2005年度 ※ ① SOx削減に係る費用:345千円/トン す。設備投資に関する減価償却費は含まれていません。 ① 社内外の関係者に、物量面、経済面の定量化された正しい環 ② 経営者層及び事業場統括者の意思決定に役立つ、数値化され 2004年度 2005年度 その他リサイクル (1)環境会計の目的 境情報を提供すること。 4,341 にかけた費用は前年と同レベルの53億円でした。文化芸術振興 2. 上・下流コスト 市場からの回収 環 境 報 告 社外への経済効果 汚染賦課金の削減 富士フイルムグループ内で従業員の労働環境改善や社会貢献 (4)集計方法 ②基本事項 社内への経済効果 13,892 12,877 21,701 23,151 ① 公害防止 排水処理・排ガス処 理設備の保全運転管 理、VOC大気排出 量削減 ③ 資源循環 製品製造時に発生す るロスの削減、生産 効率向上、水資源の 削減・省資源設計、 「写ルンです」 ・銀・ 容器・ベースなどの リユース・リサイクル ビリティ会計」と定義し公表しています。 環境会計 費用 2004年度 2005年度 2004年度 2005年度 ④ 社外への経済効果 る投資や経費、その効果などを「環境会計」として などに要した費用を「労働環境・社会会計」として 環境保全効果 設備投資 質効果金額を計上しています。 富士フイルムグループでは、企業の環境保全に関す (金額単位:百万円) ■ 2005年度連結環境会計 ③ 社内への経済効果 7,568 9,810 25,009 34,124 3,557 1,078 54 137 55,146 65,103 ※1 高密度化による使用量減の効果 1,696 ※2 偏光板用保護フィルム使用量減の効果 90 118 お客様コミュニケーションセンター によるお客様対応、情報開示、製品 使用法啓発 305 354 映像文化の振興、スポーツ・音楽・ 文化の振興、国際交流の推進 736 853 5,315 5,363 集計範囲 富士写真フイルム㈱、富士ゼロックス㈱、フジノン㈱、富士フイルムイメージング㈱、富士フイルムオプトマテリアルズ㈱、富士フイルムテクノプロダクツ㈱、 富士フイルムグラフィックシステムズ㈱、富士フイルムビジネスサプライ㈱、㈱富士フイルム人材開発センター、富士フイルムソフトウエア㈱、富士フイルム ロジスティックス㈱、㈱富士フイルムテクノサービス、富士フイルムメディカル㈱、富士フイルムフォトニックス㈱、富士フイルムマイクロデバイス㈱、富士 フイルムエレクトロニクスマテリアルズ㈱、㈱富士フイルムティーピーエックス、富士テクニス㈱、㈱エフエフエムエー、富士フイルム九州㈱ FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 69 環境報告 ① 管理の対象とする化学物質の範囲 基本的な考え方 化学物質管理 GSC(グリーン・サステナブル ケミストリー=人と環境に 富士フイルム 素材試験センターにおいては、「健康影響、生 富士フイルム 素材試験センターで実施している安全性・毒性 やさしい化学技術)の考え方のもと、製品の開発や製造段階な 態系への影響、危険性」などさまざまな観点から、原材料の安 評価は、法対応試験(化審法※2、労働安全衛生法)と、社内安 どの化学物質を取り扱う工程で「リスクの高い化学物質をでき 全性を評価しています。 全性試験(自主的に行う試験)があり、新規化学物質に対して 富士フイルムでは、化学メーカーとして長年培っ るだけ使わない」の考え方を重視しています。化学物質の管理 てきたノウハウのすべてを凝縮し、化学物質の使 レベルを高め、以下の4つの視点で「富士フイルムグループグ リーン・ポリシー」に沿ったグローバルな管理体制のもと、環 用から廃棄まですべての工程においての総合的リ 境負荷の最小化に取り組んでいます。 スク管理を、グループ全体に徹底しています。近 年各国の法規制が強化される中、各国の富士フイ ルムグループの環境エキスパートが情報を共有 安全性試験について 2004年の改正化審法の施行により、年間10トン超使用す 1)富士フイルムグル−プが販売・提供する製品の原材料 化学物質 3)原材料化学物質の製造で使用される溶剤、原料中間体 2006年は、GHS(化学品の分類及び表示に関する世界 4)製造設備や施設の運転、操作、維持に関わる化学物質 (工程・製品試験用、排水・排ガス処理用、イオン交換 水用) 12月に施行されることから、その対応に向けた準備を進めて 適用外 ています。 A. 機器・器具製品及びそのパーツに含まれる化学物質 製造する化学物質に対し、「動物実験倫理規則」に則って、適 ム、六価クロム、臭素化難燃剤PBB、PBDE、ポリ塩化ビ ニル」の削減や使用中止など、特別な管理を行う ③ 化学物質環境安全に関する法規制の多様化、厳格化への対応 て、動物愛護の観点から代替化を進めています。具体的にはモ ② 化学物質の分類と分類の基準 ルモットを用いる方法からマウスを用いる方法に変更します。 化学物質の分類については、内分泌撹乱化学物質(いわゆる 化学物質管理の仕組み 環境ホルモン)など毒性を示す明らかな情報の得られないもの 「化学物質環境安全管理基本規則」において、ハザード、法 規制及び管理方針に基づいて化学物質を分類し、その分類に応 じた管理をしています。 に関しても、リスクが懸念されるものに関しては「特別管理物 データベースを維持・整備し、逐次更新しています。 動物実験は、化学物質の安全性を評価する上で避けては通れ ないものですが、動物実験に代わる代替法の研究や試験回数の 削減に向けた取り組みを継続して行っていきます。 ■ 化学物質の分類 化学物質分類 管理内容 お客様 現在準備作業を進めています。 代替物質の研究を進めています。 ■ 化学物質管理の仕組み 物流 2005年度に技術導入を完了し、2006年以降の導入に向け、 質(S物質)」として分類し、引き続き監視対象にするとともに、 また、化学物質管理用のツールとして化学物質安全管理用 工場 験が適正に行われているかを判断する役割を担い、実験の妥当 現在、社内安全性試験のひとつである皮膚感作性試験につい (内分泌撹乱化学物質、フッ素系化合物PFOS) 素材試験センター 委員会」は、富士フイルムグループで行われるすべての動物実 性の監査や指導、審議、勧告を行っています。 ④ 世の中で懸念されている化学物質管理 原材料 化 学 物 質 管 理 正な動物実験を実施しています。「富士フイルム動物実験倫理 A, Bに含まれる化学物質については「鉛、水銀、カドミウ ② リスクアセスメントに基づいた化学物質管理 の環境省認定を取得しました。 また、素材試験センターでは、富士フイルムグループで開発 C. 製造装置に内蔵され暴露の可能性が低いもの ① ISOの仕組みに沿った化学物質管理 材試験センターは、2005年に上記3種の毒性試験施設として 5)研究開発及び検査用化学物質(10Kg/年以上) B. 包材・梱包材料・機能包材に含まれる化学物質 し、法規制にグローバルに対応できる体制を整え る新規化学物質については従来の毒性試験に加え、ミジンコ、 藻類、メダカの3種の毒性試験が新たに必要になりました。素 2)化成品 調和システム)に対応した労働安全衛生法の改正が2006年 います。 は約1〜1.5年をかけて、安全性を評価していきます。 ■ 管理の対象とする化学物質の範囲 化学物質単体及び 混合物 (化学物質約5,000種) 環 境 報 告 禁止 ■ 毒性評価 C0 C1 C2 C3 C4 ○ − − − − 法対応試験 化審法 労働安全衛生法 社内安全性試験(自主的に行う試験) AIS MSDS イエロー カード 中止または使用量・排出量削減 の計画立案と実施 − ○ − − − 密閉化または限定管理の実施 − ○ ○ − − リスク評価に基づく管理 − ○ ○ ○ − 一般管理 (法及びFMSDSに基づく管理) − ○ ○ ○ ○ 代替化、使用・排出・暴露量低減 などを目標とする研究開始、 保護具などの防護措置 − ※1 製品 安全性試験 研究開発・製造 参照 有害性の 情報 社外情報 化学物質 環境安全情報 データベース 富 士フイル ムグル ープで開発・製造・ 使用する約5,000 種の化学物質の環 境・安全情報を網羅 化学物質の分類・管理 (5ランクに分類) 化学物質 環境安全 管理基本 規則 近年、日本ではアスベストの発がん性が社会問題となり、製 造者の情報開示が求められています。富士フイルムでは、 化学物質分類:S 2005〜2006年にかけて、機器製品に含まれるアスベストの 調査を実施しました。過去の製品(医療機器、印刷関連機器な 登録 富士フイルム の管理方針 製品に含まれるアスベストへの対応 法規制情報 データベース 7万種以上の化学物質につ いて、国内外法規制などの 情報をまとめたもの ■ 化学物質分類の基準 C0 ① 法律により取り扱い禁止(水銀化合物、カドミウム及びその化合物など) ② 管理方針により取り扱い禁止 C1 ① 管理方針により中止、使用量・排出量削減(六価クロム化合物、 ホルマリン、ジクロロメタンなど) C2 ① 法律により届出/認可が必要 ② 作用が著しく強い特定のハザードを有する(発がん性・爆発性など) ③ 管理方針により取り扱い限定(鉛化合物、メチルセロソルブなど) C3 ① 特定の法規制などに該当する ② 特定のハザードを有する C4 C0〜C3 分類化学物質以外 S 内分泌撹乱化学物質など FMSDS データベース 富士フイルム従業員の労働安 全、環境安全管理を目的とし た社内用のMSDS ど)で、アスベストの使用が確認されましたが、現在販売して いる製品については、アスベストは使用されていません。医療 機器については厚生労働省への届出を実施し、その他機器製品 を含めてアスベストに関する情報は、富士フイルムのホーム ページで公表しています。 Web http://fujifilm.jp/information/2006042606/(医療機器) http://fujifilm.jp/information/2006042605/(印刷関連機器) http://fujifilm.jp/information/2006042601/(現像・プリント機器) http://fujifilm.jp/information/2006042604/(情報システム機器) http://fujifilm.jp/information/2006042603/(非破壊検査機材) http://fujifilm.jp/information/2006042602/(OA用品・機器のラミネーター) ※1 イエローカード:化学物質の危険有害性、事故発生時の応急措置、緊急連絡先などを記入した黄色いカードです。危険有害性を有する製品を道路輸送する際に、運送事業者 (運転手)が携行する。事故時の的確かつ迅速な措置に必要な情報が記載されています。 ※2 化審法:「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」 70 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 71 環境報告 環境 環境配慮設計 環境配慮設計基本規則 安全性 富士フイルムグループでは、2003年4月以降の すべての新製品・改良品の設計を「環境配慮設計 基本規則」に従って実施しています。2005年度 含有化学物質管理 (グリーン調達) 3R 環境影響化学物質使用量の削減 グリーン調達基準の遵守(原材料・ 再生資源の利用 使用済み製品の処理の安全性 環 境 報 告 廃棄物の安全性 部品の環境品質を保証)、含有化学物質管理基本規則・含有化学物質管理ガイドラインに基づく管理 製造時・使用時の資源・エネルギーの減量化 長期使用性、修理・部品交換 は2006年7月に施行されるRoHS指令への対応 を重点課題として、環境配慮設計を推進しました。 環境情報提供 物流・包装 環境配慮設計の仕組み 環境ラベル、材料名表示など 包装材の削減、有害物質の回避 再資源化・廃棄のための情報 環 境 配 慮 設 計 収集・運搬・回収容易性、物流効率化、梱包材の繰り返し使用 法令遵守 国内環境関連法・海外環境関連法・業界協定などへの対応 富士フイルムグループの環境配慮設計は、3R(リデュー ス・リユース・リサイクル)、含有化学物質、使用資源、LCA LCA運用規則 LCA(ライフサイクルアセスメント) 環境配慮設計の 要素 原材料の採掘 全ライフサイクルでのCO2排出量、環境影響化学物質含有量、廃棄物量などを評価 (ライフサイクルアセスメント)、省電力、安全性などを考慮し た製品設計で、「環境品質」が審議・承認されなければ製品化 されない仕組みを確立しています。2002年に制定した「LCA 運用規則」は、環境配慮設計を実施する際のLCA手法を定めた もので、LCA評価とは、製品企画から研究・開発、製造・販売、 物流、使用、廃棄までの製品のライフサイクル全体における環 製造 流通 使用 廃棄 これらの要素に基づいて「環境配 慮設計基本規則」を設定している。 境負荷を定量的・客観的に評価するものです。RoHS指令への 対応、WEEE指令への対応も環境配慮設計の中で行っています。 製品環境情報マスターデータベース 2005年度に「製品環境情報マスターデータベース」を構築 し、運用を開始しました。富士フイルムでは、RoHS指令など の製品法規制対応情報や環境品質情報シートなどの製品環境情 製品化の流れ 製品化 計画段階 研究開発 段階 製造タイプ 検討段階 製造・製造条件 変更段階 情報提供 お客様での 使用廃棄 営業部門・ 商品企画部門 研究開発部門 製造タイプ 決定者 製造部門 国内・海外 営業部門 お客様 廃棄業者 環境品質 目標の策定 目標に従った製品開発、 環境品質評価/LCA評価 審議 製造 情報提供 情報使用 報を「製品環境情報マスターデータベース」に登録することを 製造部門へ義務付け、RoHS指令に関わる製品から順次、運用 を進めています。現在はデジタルカメラやイメージング機器製 品のデータベース登録がほぼ終わり、その他の機器及び材料系 製品に関しても順次登録を進めていきます。今後は全製品への 展開を図るため、運用に向けたガイドラインを作成中です。 作成 作成 登録 維持管理 製品環境情報は製造部門にて管理し、富士フイルム営業部門 を窓口にして国内・海外営業部門へ提供しています。 企画書 環境品質 目標シート ※ 環境品質情報 シート LCA 評価シート 環境品質 アセスメントシート ※環境品質情報シート:含有化学物質やリサイクルなどの 製品の環境情報をまとめたシート。 72 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 環境品質 情報シート 環境品質 情報 製品環境情報 マスターデータ ベース 海外グループ会社で登録データ を参照し、海外の法規制対応に 活用できることを確認。運用の ためのガイドラインを作成中。 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 73 環境報告 環境配慮製品 開発に携わった小田 晃央は、「完全無処理を目指しながら、 これと相反する生産性と高品質を維持することは困難でした。 他システムでは生産性を低減したものもあるようですが、私た ちは技術者として、 妥協 印刷業界に向けた 環境負荷低減の提案 を許さずここまできました」と言 います。 商品化を担当する楠 達也は、「お客様はシビアです。何度も 試作品を持ち込んで提案しましたが、生産性と品質以外でも、 作業性などを求めたさまざまな要望をいただきました。これに 対し、研究部門と一体となって取り組んできました」と、作業 富士フイルムは、印刷業界に向けたCTP版材料・ 性の良さもアピールします。 自動現像機による現像処理が不要なため、廃液を出さず、か 機器・システムの開発・製造・販売を担っていま つ省電力化が可能なことから、従来のサーマルCTPシステムと す。印刷機周辺の処理薬品の開発も着手し、印刷 比較して、刷版プロセス全体で環境負荷の指標となるCO2排出 現場の環境対応を促進しています。 量を約40%削減でき、環境負荷が大幅に軽減されます。 また、ほとんどの現行サーマルプレートセッター(830nm LD光源)を使用でき、「FMスクリーン印刷適性」、「高精細印 刷適性」を備えていることから、現行のサーマルCTPプレート 現像工程・処理薬品を不要にしたオフセット 印刷用「サーマル無処理CTPプレート」 と同等レベルの高解像度と印刷パフォーマンスを実現。高品質、 高生産性を維持しながら、環境対応との両立を可能にしました。 印刷業界においては、デジタル化の進展に伴い、印刷用デー タを、フィルムを経由せず直接プレートに出力して印刷版を作 CTPシステムの普及が市場からも期待されています。 富士フイルムが開発した無処理CTPプレートECO&FREE 現像処理を不要とし、直接印刷機にセットして印刷機上で現像 してそのまま印刷できる新たな無処理プレートです。 従来のワークフロー 印刷用 データ 作成 での環境対応は進んでいますが、 プレート メンテナンス薬品 インキローラー メンテナンス 薬品 印刷工程では、一部の印刷周辺薬 給水ローラー メンテナンス薬品 品において、環境対応よりも作業 性・コスト・効果を優先した薬品 給水部 が使用されている場合がありま 湿し水関連 す。特にオフセット印刷分野では 胴部 VOC大気排出量削減対策が求め られています。それは市販されて いる環境対応製品に「作業性が劣 富士フイルム グラフィックシステムズ㈱ る」「コスト高になる」「効果が低 薬品事業部 い」などの理由があるからです。 担当部長 ブランケット メンテナンス 薬品 中村 正雄 ブラン胴 圧 胴 [印刷機全体に関わる薬品・装置] ・印刷機メンテナンス薬品 ・デリバリーメンテナンス薬品 ・廃液不要型湿し水ろ過装置 環 境 配 慮 製 品 圧胴 メンテナンス薬品 市場導入を担当する中村 正雄 は、「印刷現場は、さまざまな薬品を使用するため、非常に複 雑な匂いがします。ぜひともこれを改善したいと思い、このテ <NonVOC湿し水「nonVOC-ECOLITY」> ーマに取り組んできました」と言います。これに対し、開発に NonVOC化で消防法非該当化も実現。PRTR法も労働安全衛生法も消防 携わった服部 英行は、「溶剤を使わないことで差別化を狙って 法にも該当せず、全方位的に環境対応が可能です。特に消防法非該当で 「非危険物」に分類されます。 フィルム 出力 有効に市場に役立て、環境負荷低減を考慮しながら現場の作業 フィルム 現像 フィルム から刷版 に露光 刷版 現像 印刷 性を良化したNonVOC湿し水※1「nonVOC-ECOLITY(エコ リティ)」、新印刷周辺薬品群「ECOLI−CHEMICAL SERIES (エコリ・ケミカルシリーズ)」を発売しました。 フィルム セッター パソコン 現像機 露光機 現像機 印刷機 「これまで構築してきた容器のリユースの仕組みに、薬品そ <新印刷周辺薬品群「ECOLI−CHEMICAL SERIES」 > 印刷機稼動時に必要な薬品にPRTR法非該当品以上の環境対応した36種 類をラインアップ。 のものの環境対応が加わることで、印刷業界の環境への取り組 現行CTPのワークフロー みを前進させることになるでしょう」と、商品化を担当した植 田 昌隆は、展望を述べます。 印刷用 データ 作成 刷版 出力 刷版 現像 印刷 パソコン CTP セッター 現像機 印刷機 この無処理プレートは、富士フイルムが長年にわたる刷版材 料の開発において培ってきた独自技術を融合することで実現し 環 境 報 告 インキング部 富士フイルムグループの持つワールドワイドな開発体制をより 版(プレート)に出力する装置)により直接プレートに出力し て印刷版を作成するCTPプレートです。従来のようなアルカリ 印刷機を稼働させるために、以下のように多くの薬品が使用されています。 印刷業界では、プリプレス工程 2005年は、シリーズ第1弾として、これらの課題に対して ■ ワークフロー比較 SYSTEM「ET-S」は、パソコン上の印刷用デジタルデータを、 プレートセッター(コンピューターで処理した情報を直接、刷 <オフセット印刷機の断面構造と、印刷機稼働に必要な薬品> 研究を進めてきました」と、環境対応への自信を見せます。 成する「CTPプレート」の需要が急速に拡大しています。また、 環境問題への関心も年々高まっており、環境対応型の次世代 印刷機周辺の薬品からVOCを排除 「ECOLI−CHEMICAL SERIES」 ました。 ※1 NonVOC湿し水:Method24(米国環境保護庁によるVOC測定方法)で原 液を測定しVOC成分が5%未満の湿し水。使用液状態では 0.1%未満レベル(2.0%前後の濃度) 。 <独自の 「環境度」 ラベル添付で作業現場の意識向上へ> 「ECOLI−CHEMICAL SERIES」には「環境度」 無処理CTPのワークフロー (富士フイルムグラフィッ 印刷用 データ 作成 刷版 出力 クシステムズ㈱が設定) 印刷 が一目で分かるように 「環境度」を表す写真を製 ■エコリの波紋 ■エコリの芽 PRTR法非該当 PRTR法非該当 有機則非該当 ■エコリの若葉 ■エコリの樹 PRTR法非該当 VOC対策 PRTR法非該当 有機則非該当 VOC対策 消防法非該当 品ラベルに入れました。 CTP セッター パソコン これは、作業現場におい 印刷機 て「環境度」がいつでも、 すぐに分かるようになり、 作業担当者の意識の向上 対応製品 X-001 74 クリオネマークは、環境保護印刷マーク使用規程に則 にもつなげていこうとい って定められた排出基準を満たすと「環境保護印刷推 うものです。 富士写真フイルム㈱ 富士写真フイルム㈱ 進協議会」が認証し、登録された印刷会社・工場・印 富士写真フイルム㈱ 富士写真フイルム㈱ グラフィックシステム事業部 グラフィック材料研究所 刷機による印刷物に表示することができます。無処理 印刷材料研究所 グラフィックシステム事業部 楠 達也 主任研究員 服部 英行 植田 昌隆 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 小田 晃央 CTPの利用は、環境保護印刷の実現に有効です。 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 75 環境報告 環境配慮製品 フルカラーデジタル複合機 デジタルミニラボ ApeosPort/DocuCentre フロンティア500E 環 境 報 告 C7550Ⅰシリーズ 富士ゼロックスは、ドキュメントソリューションの分 「お店プリント」を提供するフロンティアは、写真 野で、常に環境に配慮した製品やサービスを提供して 店で使用するデジタルミニラボ機器です。 2006 います。フルカラーデジタル複合機「ApeosPort/ 年2月に発表した「フロンティア500E」は、シス DocuCentre C7550Ⅰシリーズ」は「高速フリー テム設置面積1.34m と、従来機種「フロンティ ベルトニップフューザー」(高速FBNF)の採用など ア340E」に比べ約20%の省スペース化を実現し、 により大幅な省エネルギーを実現しています。 同時に環境負荷の低減効果を生みました。 連綿と受け継がれてきた開発技術者の 取り組みが、 「省エネ大賞」7年連続受賞に 「お店プリント」が進化し、よりコンパクトに、 環境に優しくなった 「省スペース、コストダウン、高品質が、フロンティア500Eの 1997年、当時の富士ゼロックス㈱の開発技術者は、「市場 お客様の利便性を追求する―― で使われている商品一台あたりの消費電力量を2005年度には それを実現した技術の一つが、「高 開発コンセプトです」と商品開発に携わった小島 健が話します。 半減しよう」というチャレンジングな目標を掲げ、その志を受 速FBNF(トナーの定着部をベル 1995年の発表以来、さまざまなラインアップを拡充しているフ けた開発技術者たちによって省エネルギーへの取り組みがはじ トにし、用紙とロールの接触面積 ロンティアですが、500Eは設置スペースが限られている写真店 まりました。コピー、プリント、スキャン……製品の構成が複 をより広く確保した方式)」です。 にもアピールできる製品にしています。 写機からフルカラー複合機へと進化していく中、2005年度の 従来のFBNFを改良し、加熱効率 フロンティア500Eは、これまで全世界に35,000台以上導入 実績で40%の低減を達成できました。 と高速化に対応。これによりウオ されてきたデジタルミニラボフロンティアの集大成として商品 製品の環境配慮がどのくらいお客様に評価されているかの指 ームアップ時間はこのクラスでは 化すべく、仕様詳細検討の早い時期から、海外、国内の市場担当 標とするため、富士ゼロックスでは、(財)省エネルギーセンタ 最速のわずか2分30秒を実現、消 ー主催の「省エネ大賞」に1999年から応募をはじめました。 費電力量の削減、ひいては環境負 品質本部 以来、毎年連続で「省エネ大賞」を受賞しています。2005年 荷の低減につながりました。 マネジャー 度はフルカラーデジタル複合機「ApeosPort/DocuCentre 環 境 配 慮 製 品 2 計を行っています。また、外部ベンダーとの協力体制によって、 RoHS指令に対応。更に、富士フイルム独自の水洗処理技術 W ブレード方式 を採用したことで、廃液量を15%削減しました。 フロンティアの場合、製品のライフサイクルで最もCO2の排出 量のウエイトが高いのは使用時ですが、コンパクト化・省電力設 計の成果が出て、従来機に比べて約30%の削減を実現。 「性能面 でも環境面でも、市場にインパクトを与えられる製品を今後も 作っていきたい」と、開発者の落合 兼宣は熱い抱負を語ります。 ■ LCA環境負荷比較 340E(従来機) 100.0 100.0 が参画しました。市場ニーズに合った商品を早く市場導入でき 富士ゼロックス㈱ 環境商品安全部 角守 裕 「ライフサイクルでの環境負荷を 40.0 評価チームを編成しました。「実験機作成の前にデジタルモッ 20.0 クアップを使用して、設計開発と並行する形で商品評価を行い、 官賞」を受賞しました。「賞ありきではなく、お客様の利便性 ています」と小林 正和、 「環境配慮については省エネルギーだけ 1年間の商品化完了ができました」。商品評価と市場導入を担 を追求する。それに応えてきた開発技術者たちの地道な努力が、 ではなく、使用済み製品の回収や、リユースできない製品は徹 当した中嶋 雄二は、当時をこう振り返ります。 結果として7年連続の受賞に結びついた」と、環境商品安全部 底的に資源回収するシステムを確立させています」と角守 裕 環境配慮についてもさまざまな進化をとげています。部品点 の小原 常男は言います。 は語ります。富士ゼロックスの環境配慮への挑戦はこれからも 数を従来機(フロンティア340E)より約44%削減し、省電力設 つのかみ 71.2 65.3 60.0 縮するために関連部門で知恵を出し合い、評価関連部門の合同 把握・考慮し、環境負荷の少ないサービスや製品の提供に努め 90.9 80.0 ることを目指し、かつ従来3年近くかかっていた開発期間を短 C7550 Ⅰシリーズ」6機種12製品が、「資源エネルギー庁長 500E (%) 7.1 4.5 7.1 4.5 素材 製造 0.0 -20.0 -5.3 -3.4 0.3 0.4 輸送 使用時 廃棄-リサイクル 合計 ■ CO2 排出量比較 LCAに基づくCO2排出量 340E(従来機) 500E 14,144kg 10,075kg 続きます。 ■ 電力量比較 ■ 総消費電力量※ (kWh/月) 400 (%) 100 90 80 350 100 94 品質本部 部長 環境商品安全部 小原 常男 品質本部 環境商品安全部 82 250 78 72 消 費 電 力 66 60 150 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 (年度) 富士写真フイルム㈱ 富士写真フイルム㈱ 富士写真フイルム㈱ 50 ※市場で使われている商品1台あたりの消費電力。 産業機器システム開発センター イメージング事業部 商品技術部 イメージング事業部 事業企画部 0 小林 正和 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 200 100 統括主任研究員 76 271 87 50 富士ゼロックス㈱ Running ↓20% 90 60 富士ゼロックス㈱ Stand by 338 300 70 40 Heat up 落合 兼宣 主任技師 中嶋 雄二 主任技師 340E(従来機) 500E 小島 健 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 77 環境報告 環境配慮製品 環境報告 3Rを実践する 「写ルンです」 デジタルカメラ FinePix F30 「FinePix F30」は、世界で初めてISO3200の超 No.AP-06-044 「写ルンです」は、部品点数を可能な限り少なくし、他の機 種にも部品が使える設計、リサイクル時に分解しやすいように、 ねじや接着剤を使わないで組み立てられる設計にしています。 環 境 報 告 前カバー、裏カバー、巻き上げノブなどリユースできない部品 は、破砕後にペレット化してから成形する従来の方法に加え、 ペレット化せずに破砕状態で直接成形するペレタライズ方式を 開発しています。これにより、樹脂を再生するための環境負荷 高感度撮影を有効画素数630万画素のフル画素で レンズ付フィルム「写ルンです」は、環境配慮技 実現したコンパクトデジタルカメラです。また、 RoHS指令への対応を更に強化するため、製品や 原料の含有化学物質管理を徹底しました。 を大幅に低減しました。バージン材に対し、ペレット化再生材 はCO 2 換算の環境負荷が64%減、ペレタライズ再生材では 術を駆使し、3R(リデュース・リユース・リサ 90%減となっています。1990年代当時の「写ルンです」が イクル)を実現する富士フイルムの循環生産思想 再資源化重量率36%であったのに対し、現在は95%まで高め を象徴する製品です。 3 R を 実 践 す る ﹁ 写 ル ン で す ﹂ ています。 に使われている材料の、更にその材料に使われている物質……。 高感度・高画質を更に追求 環境配慮はセットメーカーとしての責務 気の遠くなる作業ですが、サプライチェーンの上流にさかのぼ デジタルカメラの進化はめざましく、さまざまな技術革新が 次々と導入されています。FinePix F30は、「人の目にどこま で近づけるか」が開発コンセプト。コンパクトデジタルカメラ では、世界で初めてISO3200の超高感度撮影を、有効画素数 630万画素のフル画素で実現しました。 「(2005年発表の)FinePix F10でISO1600を達成でき 新しい回収方式の採用 「いつでもどこでも誰にでも」気軽に大切な思い出がきれい います」と、品質保証部の花谷 修一が語ります。また、今ま に残せるようにと、1986年にレンズ付フィルム「写ルンです」 製品は、バージン材を前提とした製品に比べると環境負荷は格 で統一したサイズにしていた包装材料を可能な限り減容し、省 が発売されました。誕生以来、皆様にご愛顧いただき、2006 段に軽くなりますが、使用済み「写ルンです」の回収が不可欠 資源化を図り、物流における環境負荷を低減しました。 年7月で20周年を迎えました。現在も、お客様の撮りたいシー です。2006年に、「写ルンです」の回収率、回収効率の向上 ンに合った機能を提供するために、さまざまな高機能を取り入 を目的とした新しい回収プログラムを導入し、現在お店への参 れ、進化し続けています。 加、協力を呼びかけています。 循環生産に向けた20年の取り組み 環境情報の提供 ■ 主な環境負荷(ライフサイクル合計) たので、今度はISO3200に挑戦しました。これなら手ブレ・ 温暖化負荷(CO2換算) 11.3kg 酸性化負荷(SO2換算) 0.0176 kg 被写体ブレに強く、暗い場所でもその場の雰囲気を生かしなが エネルギー消費量 188MJ ら背景まできれいに撮れる」。商品開発に携わった伊賀 雅仁は こう説明します。設計担当の松尾 淳一は「高感度で撮影すると 誕生から20周年 って調査分析することがセットメーカーとしての責務と感じて 「写ルンです」は発売当初より、部品のリユースに取り組み、 ■ 温暖化負荷(CO2 換算) ノイズが発生するのですが、それを徹底的に低減する画像処理 (kg) 技術に苦労しました。結果、F10のISO1600とほぼ同レベル 6 の高画質になり、すべての感度において画質が向上しました」 5 と話します。 4 環境配慮の取り組みとしては、1回の充電で580枚(F10は 500枚)の撮影が可能になり省電力化を実現。加えて、化学物 リーフ環境ラベルやエコマーク※1を積極的に取得し、活用を進 ユース・リサイクル)に本格的に乗り出しました。 めています( メント 72ページ )の評価手法を取り入れるなどをし、一 層の環境性能の向上を目指し、継続的な改良に励んでいます。 3 2.79 「写ルンです」は、お客様へ環境情報をお伝えするため、エコ 1998年には循環生産工場を立ち上げ、3R(リデュース・リ 20年の年月を経て、現在は、LCA(ライフサイクルアセス 5.31 「写ルンです」のようなリユース・リサイクルを前提とした 2.79 。「写ルンです」のエコマークの取 38ページ ) 得カバー率※2は、70%まで達しています。また、エコマーク をパッケージに表示するなど、 お客様への更なる周知を図って いきます。 2 写ルンです 1600 Hi・Speed 1 質の法規制が、製品や原料の含有化学物質の管理を更に強化す 0 る動向を踏まえて、F10からスタートしたRoHS指令への対応 素材製造 製品製造 物流 0.19 0.22 使用 廃棄 ■ 「写ルンです」で実践している循環生産システム(イメージ図) を徹底しました。「自社の工場だけではなく、例えばある部品 富士写真フイルム㈱ 富士写真フイルム㈱ 富士写真フイルム㈱ 電子映像商品開発センター 電子映像事業部 電子映像事業部 主任技師 松尾 淳一 担当部長 品質保証部 花谷 修一 伊賀 雅仁 商品部 ※1 エコマーク:ライフサイクル全体を考慮した環境保全型商品を対象として、 (財)日本環境協会が認定した商品に表示するマークです。 ※2 エコマークの取得カバー率:総出荷本数におけるエコマーク対象商品出荷本数の割合。 78 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 79 環境報告 ② 天然ガスへの燃料転換 ■ エネルギー使用量の推移 地球温暖化防止 富士フイルムグループでは、「2010年度には、 対1990年度実績で、エネルギー原単位を10%、 CO2原単位を20%改善する」という目標を掲げ、 天然ガスへの燃料転換や省エネルギー設備の導入 を積極的に進め、目標達成に向けてグループ全体 TJ(テラジュール) 28,000 26,000 24,000 22,000 20,000 18,549 18,000 16,000 14,000 12,492 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 2000 国内・海外連結 富士フイルム単独 26,200 27,544 12,800 2004年:30% 2010年:100%予定 2003年:100% 富士宮工場 2003年:20% 2007年:50%予定 場(小田原サイト、足柄サイト)へと順次天然ガスへの燃料転 吉田南工場 2007年:90%予定 換を進めてきました。現在、吉田南工場、富士フイルムオプト 富士フイルムオプトマテリアルズ㈱ 2008年:70%予定 マテリアルズ㈱での天然ガスへの導入を進めており、更に各設 富士フイルム九州㈱ 2006年:100%予定 備の省エネルギー及びエネルギーの有効利用施策を推進してい きます。また、2006年12月に稼動開始する富士フイルム 2005 2004 (年度) (千トン-CO2) 1,600 九州㈱でも天然ガスコジェネレーションで省エネルギー化を推 国内・海外連結 富士フイルム単独 1,531 1,470 環 境 報 告 ※ 表中の%は買電以外のエネルギーにおける天然ガスの割合 ③ 全体最適へ向けた省エネ活動 現在、エネルギー消費が最も多い富士宮工場をモデルに位置 進します。 ※ 電力は経年比較を重視し、1kWh=9830KJで換算しました。 ■ GHG※2 総排出量の推移 で取り組んでいます。 神奈川工場(足柄サイト) 神奈川工場(小田原サイト) エネルギーを高効率で使用するため、2003年2月の富士宮 工場への天然ガスコジェネレーション導入に始まり、神奈川工 12,935 ■ 天然ガス導入実績と計画 富士フイルムでは主要工場における自家発電比率は70%以 付け、エネルギーロスの改善ポイントを抽出し、電力や熱を使 上です。そこで、エネルギー利用効率の高い天然ガスを導入す 用する工程において部分最適から全体最適へのシフトに向けた ることにより、効果的にCO2排出量を削減することができます。 解析作業を進めています。 地 球 温 暖 化 防 止 1,400 1,200 1,114 1,000 800 793 751 767 富士宮工場での放熱ロス対策 600 400 200 富士宮工場では、X線フィルムなどのベースとなるPET 0 2000 2004 2005 (年度) ※ 算定方法:日本については環境省発行の「事業者からの温室効果ガス排出量算定 方法ガイドライン」(試案)に、海外事業所についてはGHGプロトコルに準拠し た方法で、過去にさかのぼって算定しました。 ※ エネルギー使用によるCO2排出量を対象に算出しました。 ※ 国内の買電は電事連公表の2004年度実績値を使用、海外はOECD発行のCO2 EMISSIONS FROM FUEL COMBUSTION(2005 Edition)より。 温暖化ガス排出量削減に向けて ① 2005年度の報告概要 可能とする生産方法の合理化、省エネルギー設備の導入などを 進めています。また、エネルギー供給源として、重油から天然 絶対値:TJ(テラジュール) 20,000 18,000 ガスへの燃料転換により、大幅なCO2削減を積極的に進めてい 100 絶対値 100 12,000 12,166 10,238 10,000 ます。 原単位 1990年度比で99%、CO2排出原単位は1990年度比で95% 実施しました。約200トン以上のCO2削減を見込んでいます。 95 92 90 6,000 世界銀行「コミュニティ開発炭素基金」 (CDCF)への出資 85 4,000 2,000 0 となりました。 1990 2000 2005 (年度) 2004 80 ※ 実態をより正確に反映させるため、原単位計算に用いる換算生産数量を見直しま した。 富士フイルムは、世界銀行「コミュニティ開発炭素基金」 (CDCF)に、2005年より総計900万ドルの出資を開始して います。同基金は、地球温暖化ガス削減について京都議定書で 定められた京都メカニズム※3を利用し、開発途上国での小規模 ■ 使用したエネルギーの内訳 ■ 富士フイルムグループ化学系5事業所におけるGHG排出量の推移 富士フイルム単独 国内・海外連結 絶対値:(千トン-CO2) 2005年度 2004年度 2005年度 264.3 251.4 1,215.4 1,327.8 A重油 千kL 101.6 90.8 116.4 115.1 700 C重油 千kL 71.2 74.3 71.9 75.7 600 灯油 千kL 1.6 1.5 5.9 5.7 500 天然ガス液(NGL) 千kL ― ― 26.4 27.7 軽油 千kL ― ― 5.5 6.0 200 千t 0.4 0.4 2.4 2.5 100 百万Nm3 72.1 78.4 113.5 114.9 ※ 天然ガス:国内分は都市ガスを天然ガスとして計上しました。 原単位 原単位(%) 絶対値 1,000 2004年度 百万kWh 天然ガス※ その結果、放熱ロス対策の効果が高い「ペレット乾燥ドライ ヤー」、「押し出し機」、「テンター」部において保温強化対策を 100 14,595 13,714 8,000 2005年度は、化学系5事業所 ※1 でエネルギー原単位は 液化石油ガス(LPG) 吊り板に 保温材を取り付け し、放熱ロスの見直しを行いました。 原単位(%) 99 16,000 14,000 電力(合計) ベースフィルム製造工程におけるエネルギーフロー図を作成 実施後 30〜32℃ ■ 富士フイルムグループ化学系5事業所におけるエネルギー使用量の推移 すべての事業所で、より少ないエネルギーで効率的な生産を 単位 実施前 50〜80℃ 900 100 800 780 812 97 97 851 100 95 95 富士フイルムは、このCDCFの運用方針に共鳴し、出資者の 2000 2004 2005 (年度) エスペランザ水力発電プロジェクト(ホンジュラス)に対し 90 て、世界ではじめて京都メカニズムに基づくクレジットが発行 85 されましたが、これもCDCFのクレジットのひとつであり、こ 300 1990 針を持っています。 一員に加わりました。 620 400 0 プロジェクト実施によって環境と社会に貢献するという運用方 80 ういったプロジェクトを通じて、発展途上国の継続的開発と環 境保全に貢献していきます。 エスペランザ水力発電プロジェクト(ホンジュラス) 富士フイルムはCDCFを通じて資金提供し、地域の持続可能な発展に貢献しています ※ 実態をより正確に反映させるため、原単位計算に用いる換算生産数量を見直しま した。 ※1 化学系5事業所:富士フイルム神奈川工場(足柄サイト、小田原サイト)、吉田南工場、富士宮工場、及び富士フイルムグループの富士フイルムオプトマテリアルズ㈱、 2006年中に稼動する富士フイルム九州㈱の5事業所。エネルギー使用量の多いこれらの事業所を対象として、経団連の自主行動計画に取り組んでいます。 ※3 京都メカニズム:温暖化ガス削減数値目標について、他国の排出量削減を自国の目標に活用できる仕組み。 ※2 GHG:Green House Gases(地球温暖化ガス) 80 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 81 環境報告 物流の環境対策 ■ CO2総排出量の推移 富士フイルムロジスティックスの取り組み (千トン-CO2/年) 60 48.0 50 38.3 40 富士フイルムグループでは物流における環境負荷 49.8 ① 物流分野における環境負荷を削減する モーダルシフトを更に拡大 36.9 30 る削減を目的に、2005年12月より富士ゼロックス㈱の製品 10 である複写機の札幌・福岡への幹線輸送を、トラック輸送から 0 フイルムロジスティックス㈱を通じて、物流の協 2002 2004 2003 2005(年度) 鉄道輸送に切り替え(モーダルシフト)ました。 CO2排出量は、走行距離をもとに協力会社実績ベースの基準燃費及び CO2排出係数(環境省資料)を用い算定しました。 力会社とともに更なる環境負荷低減に取り組んで 12月〜2006年3月)削減しました。 富士フイルムグループ全体の物流におけるCO2排出量の更な 20 を重要な課題として捉え、物流子会社である富士 環 境 報 告 におけるCO2排出量を2005年度実績で約52トン(2005年 従来のトラック輸送では、輸送効率の観点から主に荷台の開 閉口が大きく開くウイングタイプの10トントラックを使用して います。 ■ 輸送効率改善によるCO2排出量削減 実績と削減率 (トン-CO2/年) 1000 1.6 1.6 1.6 1 0.9 789.1 800 700 639.3 物 流 の 環 境 対 策 いました。しかし、現在普及している鉄道用の12ftコンテナ及 CO2削減率(%) 2 900 ウイングタイプのコンテナ 0 618.5 び20ftコンテナは積載量が小さく、輸送効率に欠点があります。 これに対して今回、富士フイルムロジスティックスでは、 10トントラックと同等の輸送効率を持つ、ウイングタイプの 31ft新規コンテナを開発・導入し、輸送効率を低下させずに鉄 600 500 439.7 道輸送への切り替えを実現しました。これにより国内幹線輸送 400 300 2005年度の報告概要 200 100 0 「環境関連法規への対応」と「環境パフォーマンス改善」 2002 2003 2005(年度) 2004 CO2削減率(%) CO2排出削減量 ① 「改正省エネルギー法への対応」と 「モーダルシフトの強化」 CO2削減率(%)= CO2削減量 ストレッチフィルムの巻芯をリユースするなど、包装資材の廃 ■ NOX、PMの排出実績 2003年度 2004年度 2005年度 棄物削減を行っています。また、使用済みのストレッチフィル NOX排出量(トン/年) 289.7トン 374.8トン 384.8トン ムは回収し、サーマルリサイクルしていますが、今回更なる改 PM 排出量(トン/年) 22.3トン 28.8トン 29.6トン 境改善効果の高い専用の鉄道輸送コンテナの開発・導入を行い、 富士フイルムロジスティックスは、富士フイルム包装RC推 進委員会( 61ページ )の一員として活動し、国内外の禁止 化学物質規制に対応した輸送用包装資材を提供しています。ま た、包装資材を見直し、従来のストレッチフィルムによる包装 をエコバンド包装に変え、ストレッチフィルムの廃棄を削減し カーと共同開発しました。このエコバンドの導入により、輸送、 2005年度は、包装資材総重量4,306トン、総削減量128 しによる縮小化、資材のリユース化を継続して推進していきま す。(83ページ Topic③ 参照) 製品を輸出する際の包装設計は、製品の形状・質量以外に、 ■ 包装資材重量削減率の推移(累計) 運送方法や運送条件、輸出先のお客様のご要望などを考慮して 5 4.45 4.23 4.5 2005年度は木箱(写真下左)からパレット包装(写真下右) へ切り替えたことで、約2,410kg/月(2005年10月〜 2006年3月の平均削減重量)の包装資材を削減しました。 を確認し、輸出先のお客様に了承いただくことが必要です。 4.25 4.05 4 3.72 3.45 横浜輸出センターでは包装合理化を進め、2005年には、海 3.2 2.98 3 外工場向け原材料とオフセット印刷用アルミプレート(以下 PS版)の合理化を実施しました。PS版に関しては、2005年 る積載効率の改善、北海道・九州地区への専用鉄道コンテナ導 1 度はインド・韓国への出荷分を木箱からパレット包装に切り替 入によるモーダルシフトの強化推進、事業所移転による輸送距 0 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 を目指します。また、原材料の輸出包装資材に関しては、 決定します。改善についても、運送時に不具合が生じないこと 4.89 4.97 4.71 2 年度の削減に対し44%減の439.7トン-CO2になりました。 82 ③ 輸出包装資材の削減 木箱からパレット包装への切り替え拡大 削減施策として、包装資材重量削減と包装サイズ縮小化によ 離の短縮を行いましたが、結果として、CO2排出量削減量は前 使用後は廃棄物 となるストレッ チフィルム 減施策は2004年度施策の継続が主で、今後も包装資材の見直 6 から、2005年度の総CO2排出量は1.8千トン-CO2増加しました。 保管、リサイクルの各工程でストレッチフィルムが不要となり オリジナルエコバンドによる包装 トン、包装資材重量削減率は2.98%でした。2005年度の削 削減率(%) 2004年度からの物流動線の多様化による輸送物量増加の影響 ストレッチフィルムによる包装 起こさず、保管に向いているオリジナルエコバンドを製造メー 輸出包装資材の削減 ました。(83ページ Topic② 参照) ③ 国内輸送におけるCO2排出量削減の取り組み 善に取り組みました。第一パーツセンターではさまざまなトラ イアルを実施し、コスト面、作業効率で問題がなく、荷崩れを モーダルシフト拡大を進めました。 (83ページ Topic① 参照) ② 「包装資材の禁止化学物質規制対応」と 「包装資材の廃棄物削減」 ていますが、今後、各拠点でも導入していく予定です。 使用しますが、富士フイルムロジスティックスでは、従来から 化(富士フイルムグループに対し、運送に関わる業務のCO2排 出量データの提供)の対応を進めました。輸配送においては環 ます。現在、エコバンドは第一パーツセンターでのみ導入され 製品をパレットに固定する場合には、ストレッチフィルムを CO2総排出量+CO2削減量 富士フイルムロジスティックスでは、2006年4月施行の改正 省エネルギー法による特定荷主のエネルギー使用量の報告義務 ② 包装資材の廃棄物削減 繰り返し使用(リユース)のエコバンド包装へ えたことで、約4,920kg/月(2005年11月〜2006年3月 2005年 4月 6月 8月 包装資材削減率(%)= 10月 12月 2006年 1月 削減重量 3月 の平均削減重量)の包装資材削減につながりました。2006年 度は対象国を今より7カ国増やし、更なる輸出包装資材の削減 原材料包装切り替え前 原材料包装切り替え後 総資材重量+削減重量 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 83 環境報告 省資源 嫌気性排水処理システムの運用 2005年度に神奈川工場(小田原サイト)と、富士フイルム オプトマテリアルズ㈱に導入した嫌気性排水処理システムは、 限りある資源を有効に無駄なく活用していくため、 順調に稼働を続けており、ほとんど無人運転が可能でオペレー 廃棄物の発生量を減らす活動や天然資源投入量の ターにとっても手間の掛からない仕組みが構築されました。 容器包装材料における省資源化 廃棄物に関する取り組み ①2005年度の報告概要 ①廃棄物の削減及びゼロエミッション 2005年度は、デジタルカメラの包装箱やケータイプリンタ 「Pivi」の包装箱の小型軽量化、レンズ付きフィルム「写ルンで す」の紙カード廃止などを進めてきました。 一方連結では、事業拡大に伴って対前年度比約1%の増加と 2002年度より運用を開始している容器包装データベースを なっています。 改正容器包装リサイクル法(以下容リ法)に対応させ、5事業 廃棄物削減に関する具体的な取り組みは、主に有価物化と工 物処理業者に処理を依頼していましたが、排水中の有機成分濃 所の包装材料購入量と排出量の集計を行った結果、業務用製品 程ロス削減です。徹底した社内分別により、有価物の量は連結 銀や投入量の多いアルミに関しては、省資源化・ 度を下げることで嫌気処理できることが判明し、現在では社内 の販売比率が増え、包装材料使用量の多いイメージング材料な で2004年度66.2千トンから2005年度72.3千トンへと約 リサイクルに努めています。生産活動における水 で嫌気処理を行うことで、コストダウンにもつながっています。 どのコンシューマー向け製品が減少しているため、使用包装材 9%増加しています。 料も減少傾向にあります。 の投入量にも配慮し、削減に向けて施策を実施し 委員会( 水の投入量・排出量削減 61ページ )で法規制対応、環境負荷削減などの検 2005年度に改めて第三者の視点より再資源化及び廃棄物管理 のレベルアップについてアドバイスを受けようとの主旨で、外 どの全製品に広げる検討を進めていきます。 部コンサルタントによる診断を実施しました。現在、その結果 ■ 廃棄物発生量の推移 システムを使用したデータ収集を進めています。 事業場でのさまざまな節水努力の成果です。富士フイルムグル ープ全体の水の投入量は、ほぼ横ばいのトレンドを継続してい 嫌気性排水処理システム 写真は神奈川工場(小田原サイト) ます。 (千トン/年) 100 ■ 素材別の容器包装材料排出量の推移 (百万トン) 国内・海外連結 排出量 富士フイルム単独 国内・海外連結 80 60 (千トン/年) 24 天然資源投入量の推移 65.1 63.5 60.5 りです。2005年度は写真感光材料のダウントレンドを反映し 60.6 57.3 てPET、銀、ゼラチンなどが減少し、逆にフラットパネルディ 52.8 46.9 46.2 42.4 45.4 43.8 スプレイ用材料のTACと刷版材料のアルミが大幅に増加してい 40 ます。 サイクルに努めるとともに、投入ウエイトの大きいアルミの省 0 2000 2004 2005 (年度) 紙器 資源化・リサイクルにも努力していきます。 段ボール 21.0 20 写真フィルムの製造にはきれいな水が不可欠です。富士フイ 写真フィルムを製造する神奈川工場(足柄サイト)では、水 源である箱根の外輪山の斜面に約23万m2の山林を涵養林とし TAC 16 14 0 12 100 万m 2の山林の保護に努めています。カラーペーパー原紙を製 80 造する富士宮工場では、水源地に約3万m2の山林を涵養林とし 60 て保有しています。 40 20 方々の生活用水としても重要です。山林の管理は洪水などの災 0 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 2005 (年度) 4 2004年度より開始した「廃棄物処理委託先の調査・評価シス 2 テム」は、2005年度上期までに一巡しました。1年間をかけて 2004 2005 (年度) 本社スタッフと各事業所の廃棄物担当者が協働で調査を実施した ゼラチン 銀 198.0 2006年度の容リ法改正に向けて、事業者としての負担増も 中心に、更なる容器包装材料の使用量削減を進めていきます。 146.3 て定着させることができました。また、調査を進める過程におい て定期的な見直しを行い、継続的な改善を進めています。 2006年度8月現在で約80社の委託契約先を対象としている このシステムの考え方の基本は、廃棄物処理の適正処理を進め ること、委託先とともにレベルアップを図ることです。今後、 128.7 国内のグループ会社にもこの「廃棄物処理委託先の調査・評価 111.1 八都県市容器包装ダイエット宣言に参加 システム」を本格的に展開していく予定です。 ■ これまでに得られた主な効果 水源の保護は、工場の安定稼働とともに近隣にお住まいの 害防止にもなるため、今後も適切な管理を行っていきます。 2004 ②廃棄物処理委託先の調査・評価 6 予想されており、富士フイルムとしては、プラスチック材料を 125.6 120 2000 10 ②容リ法改正への対応 PET 188.3 140 て保有しています。また、同地域で、地元の方々とともに700 26.3 20 ことにより、この評価システムを富士フイルムの共通ルールとし アルミ 160 28.8 27.3 18 2002 180 ルムは従来より水源の保護にも努めています。 57.6 40 18.4 0 単独:富士フイルム単独 連結:国内・海外連結 (千トン/年) 200 84.0 80 60 23.7 ■ 主な製品材料の物質投入量 水源保護に涵養林の保有 国内・海外連結 プラスチック成形品 紙材 8 富士フイルムは、引き続き枯渇資源である銀の省資源化・リ 20 金属材料 22 富士フイルムグループにおける主な物質投入量は以下のとお 54.3 (除刷版製品) プラスチックフィルムシート ■ 水の投入量 排出量 富士フイルム単独 82.6 富士フイルム単独 富士フイルム単独 を踏まえて改善への取り組みを進めています。 のためのデータベースとしてPacknet(パックネット)という 2000年度以来5年連続の削減を達成しました。これは各生産 投入量 おり、また廃棄物管理レベルの向上にも努めてきましたが、 討を進めています。今後、集計対象を業務用製品の機能材料な また、海外の富士フイルムグループでは、包装材料情報管理 2005年度も富士フイルムの水の投入量は前年度を下回り、 省 資 源 富士フイルムでは2003年度にゼロエミッションを達成して 包装材料に関する課題は、隔月で開催している包装RC推進 ています。 84 しており、富士フイルムでは対前年度比約9%減少しました。 従来は有機成分濃度が高いために廃液として外部の産業廃棄 削減に力を入れています。特に枯渇資源にあたる 環 境 報 告 2005年度も廃棄物削減に向けたさまざまな取り組みを継続 富士フイルムは、企業がチャレンジする容器包装の減量化の 事例などを紹介する八都県市容器包装ダイエット宣言に参加 委託先 し、容器包装の減量化に取り組んでいます。 連結 単独 2000 連結 単独 2004 連結 単独 2005 (年度) Web http://www.diet-youki.jp/top.html 富士フイルム ・安全対策及びセキュリティ対策の向上 ・環境マネジメントシステムの改善(取得、拡大) ・富士フイルムグループとのコミュニケーション良化など ・マニフェスト管理のレベルアップ ・廃棄物処理法に対する理解の深化など FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 85 環境報告 化学物質の排出 削減/大気、 土壌・ 水系の汚染防止 化学物質の排出削減 ③ PCBの管理 <溶剤回収の再利用でVOCを大幅に削減> ① 揮発性有機化合物(VOC)の 大気排出量削減実績 神奈川工場(足柄サイト)では、フラットパネルディスプレイの材料 富士フイルムは、製造工程から排出される揮発性有機化合物 である「セルローストリアセテートフィルム」を製造しています。この の適正な処理の推進に関する特別措置法」に基づくPCB含有機 フィルムは、素材を溶剤に溶かしたドープを流延・乾燥させる製膜工程を 器類の処理が日本環境安全事業㈱で始まっており、富士フイル 経て作られます。乾燥時に発生するVOCガスは、活性炭の入った吸着塔 ムでは、これまで厳重に保管・管理していたPCB含有機器類に (VOC:Volatile Organic Compounds)の大気排出量を で回収、冷却され液化した後、蒸留塔で精製して、繰り返し使用してい 「1996年度比で、2002年度までに50%削減する」という目 ます。この工程で溶剤の99.7%以上を再利用しているため、補充する溶 標を掲げ、58%削減を達成しました。その後、更に「2000 ループの環境保全の基本です。化学物質の排出を ついて、早い段階での処理完了を目指しています。 年度比で、2004年度までに50%削減する」という目標を掲 にPCBを使用しており、富士フイルムでも一時期PCBを使用 げて取り組み、2004年度に56%削減を達成しました。 していました。1971年からはPCBを一切使用しない感圧紙に 切り替えましたが、旧感圧紙製造の際に発生したPCBを含む汚 に対応して、法対応の必要な施設を特定し、生産推移を確認し 泥11,520m 3(換算PCB含有量約1.5トン)を富士宮工場が て対応を進めていきます。 保有・管理し、汚泥の処理方法/業者の選定を検討中です。富 化 学 物 質 の 排 出 削 減 / 大 気 ︑ 土 壌 ・ 水 系 の 汚 染 防 止 士フイルムは富士宮市と共同で合わせて年2回、観測用井戸水 抑制するために、規制値より厳しい基準値を設け、 徹底した自己管理・環境調査を実施しています。 環 境 報 告 一方、旧感圧紙(旧ノーカーボン紙)は、発色剤溶解オイル 剤量は全使用量の0.3%未満となりました。 2005年度に施行された大気汚染防止法(VOC排出規制) 「きれいな水と空気を保つ」は、富士フイルムグ 2001年に成立した「ポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物 のPCB調査を実施し、地下水への漏洩がないことを確認すると ■ 削減に取り組んだVOCと大気排気量の削減量 吸着回収設備 写真は神奈川工場(足柄サイト) 富士フイルム単独 物質区分 物質名 PRTR法届け出対象物質 自主管理対象物質 進めています。また地域の皆様には定期的に進捗情報をご報告 削減量(トン) ジクロロメタン 134 メチルアルコール しています。 ■ ベースフィルム製造工程 PCBを含む機器などの保管・管理状況は以下のとおりです。 1,120 酢酸エチル 296 メチルエチルケトン 155 アセトン 原料チップ ■ PCBを含む機器などの保管・管理数量(微量PCB含まず) ドープ仕込み 83 2000年度実績に対する2005年度までの削減量 PCBを含む機器などの区分 添加剤 ■ 揮発性有機化合物(VOC)の大気排出量 ベース製膜 新規溶剤 富士フイルム単独 (千トン) 4 吸着塔 国内・海外連結 3.1 ともに、現在、2006年度中を目途に最適な処理技術の選定を 吸着回収工程 3.3 3 保管・管理数量 富士フイルム単独 国内・海外連結 高圧トランス・コンデンサー 214台 464台 廃PCB油など(汚泥などを含む) 1.6トン 1.7トン 蛍光灯などの安定器 8,216台 15,723台 蛍光灯以外の 低圧コンデンサー・トランス 197個 117,165個 ウエス 2kg 508kg その他の機器 0台 12台 蒸留工程 編成工程 1.9 2 1.7 1.4 回収率((使用量−排出量)/使用量) = 99.7%以上 1.2 1 0 2000 2004 2005 (年度) ② PRTR法対象物質、 自主管理対象物質の排出削減 PRTR法※1(化学物質管理促進法)で届け出対象になってい る物質以外に、日本化学工業協会が定めた自主管理物質を中心 に富士フイルムが自主的に追加した物質を管理の対象とし、グ PCBの管理状況 写真は神奈川工場(小田原サイト) ループ全体での排出量削減に取り組んでいます。また、2006 年度からは、製品原材料だけでなく、研究用などの化学物質に も範囲を拡大し、より厳格な対応を図っていきます。 国内の富士フイルムグループ全体での使用量が1トン/年以 上の物質については、詳細な管理情報(使用量・大気排出量・ 下水への移動量・事業所外への移動量・リサイクル量)をホー ムページに掲載しています。 Web http://www.fujifilm.co.jp/corporate/environment/ activities/chemical/prtr.html ※1 PRTR法:Pollutant Release and Transfer Register。1999年7月に成立した「特定化学物質への排出量の把握などおよび管理の改善の促進に関する法律」の通称。 懸念化学物質の環境への排出量を把握することなどにより、化学物質を製造・使用する事業者が自主的に化学物質管理を改善し、化学物質による環境保全上の支 障を未然に防止することを目的としています。対象となる事業者は2001年4月から対象物質の排出量などの把握、2002年4月から行政へのデータの届け出が 義務付けられました。 86 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 87 化学物質の排出削減/ 大気、土壌・水系の汚染防止 環境報告 大気への排出削減に関する取り組み 調査の結果については「生産事業所を中心とした自主調査の結 ①環境モニタリング 水系への排出削減に関する取り組み 法令で規制されている水質汚染物質の排出について、各事業 環境への化学物質の排出を抑制するため、富士フイルムグ い天然ガスへの転換などさまざまな取り組みを実施し、また、 所で環境調査を実施するとともに、自主管理基準を設けて削減 ループでは、大気質、水質に関して法規制値より厳しい基準値 日常の維持管理を徹底して成果を上げています。最近の主な取 に努めています。また、万が一何らかの理由で規制値を超える を設け、徹底した自己管理を行っています。また、PRTR法の り組みと、今後の計画は以下のとおりです。 排水が発生した場合の対策として、各生産事業所とも緊急予備 届出対象物質を使用している工 ピットを設けています。 場境界及び周辺での該当化学物 大気汚染防止に向けた対策として、硫黄含有量の極めて少な ■ 実績と計画 環 境 報 告 質の大気濃度のモニタリングも 内容 定期的に実施しています。 ■ 水質汚染物質排出量の推移 神奈川工場(小田原サイト)にてボイラー燃料をA重油 から硫黄分の少ない重油へ転換。SOx排出量を削減。 神奈川工場(足柄サイト)で、ばいじん対策として、煙 突への高捕集効率式集塵機を設置。 1995年度 富士宮工場で排煙脱流装置に湿式電気集塵機を設置。 SOx排出量を削減。 1998年度 実 績 果」 (下表)を参照してください。 神奈川工場(小田原サイト)で廃溶剤焼却炉を廃止。 SOx排出量を削減。 2000年度 2002年度 富士宮工場でCO2、SOx排出削減のため天然ガス導入。 2003年度 神奈川工場(小田原サイト)でCO2、SOx排出削減の ため天然ガス導入。 2004年度 神奈川工場(足柄サイト)でCO2、SOx排出削減のため天 然ガス導入。吉田南工場でボイラーに低NOxバーナー導入。 富士フイルム単独 Web 国内・海外連結 COD※1排出量の推移 BOD※2排出量の推移 (トン) 400 (トン) 200 地下水モニタリング Web http://www.fujifilm.co.jp/corporate/environment/ activities/antipollution/cleanup.html ③土壌・地下水汚染の未然防止 200 124 144 162 120 100 2003 2004 149 100 45 0 56 2003 2004 総リン排出量の推移 (トン) 400 (トン) 10 318 322 335 新たな汚染の発生を未然に防止するために、新設配管、タン ②土壌・地下水汚染状況の調査と浄化 53 総窒素排出量の推移 362 110 73 99 2005 (年度) 96 2005 (年度) 9.5 8.3 301 318 300 8.3 6.8 6.5 クなどについては地上化して漏 土壌・地下水汚染に関して自主的な環境調査を実施していま 洩の点検、発見を容易にすると す。生産事業所で使用され、環境基準値が定められている物質に ともに、既設の配管、タンクな ついては、使用・在庫管理及び排水管理を厳重に行うと同時に、 どについても地上化、二重化計 地下水水質の定期的なモニタリングを実施し、万一の事態が発生 画を策定して着実に更新を進め したとしても迅速な対応がとれるような管理を行っています。 ています。 5.7 計 画 2006年度 富士フイルム九州㈱でCO2、SOx排出削減のため天然 ガス導入。 2007年度 吉田南工場でCO2、SOx排出削減のため天然ガス導入。 化 学 物 質 の 排 出 削 減 / 大 気 ︑ 土 壌 ・ 水 系 の 汚 染 防 止 http://www.fujifilm.co.jp/corporate/environment/ activities/antipollution/ 300 0 土壌浄化工事 配管の地上化 5 200 100 ■ 生産事業所を中心とした自主調査の結果 0 富士フイルムオプトマテリアルズ㈱でCO2、SOx排出 削減のため天然ガス導入。 2008年度 2003 2004 2005 (年度) 0 2003 2004 2005 (年度) 事業所名 富士写真フイルム㈱ ■ 大気汚染物質排出量の推移 富士フイルム単独 国内・海外連結 SOx排出量の推移 NOx排出量の推移 (トン) 1000 (トン) 1400 2005年12月、神奈川工場(足柄サイト)から狩川に放流している排 1397 1365 800 400 314 375 371 394 246 271 12月19日、神奈川県足柄上地域県政総合センターより指摘を受け、 1051 1000 600 836 758 600 200 0 2003 2004 2005 (年度) 0 2003 富士ゼロックス㈱ 富士フイルムは即刻狩川への放流を中止し、下水道への排出基準値以下 763 400 200 水に、水質汚濁防止法及び県生活環境保全条例で規定する数値の約38倍 のフェノール類を流出させる事故を起こしました。 1200 800 <フェノール類流出事故のご報告> 2004 2005 (年度) 2003 2005 (年度) A,B 土壌浄化 2002年3月完了 なし 2001年 3月 なし 朝霞地区 2001年12月 なし 東京地区(南麻布) 2004年10月 あり(土壌) 海老名事業所 1998年 5月 なし 岩槻事業所 1996年 3月 あり (土壌/地下水) 揚水処理 2003年3月完了 土壌入れ替え 2001年7月完了 A 揚水処理 浄化中 B 土壌入れ替え 2003年4月完了 なし 2001年 4月 あり(地下水) フジノン佐野㈱ 1997年11月 なし フジノン水戸㈱ 1999年 9月 なし 竹松工場 2002年 4月 なし 岡谷工場 1998年11月 なし 花巻工場 2001年 6月 なし 秋田工場 2001年 3月 なし 2001年11月 なし しています。また、全社的にリスクを低減するための視点から排水管理 フジノン㈱ 富士フイルムテクノプロダクツ㈱ クをすることにより、全社排水管理体制のレベルアップへ向けた更なる 取り組みを進めています。 富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ㈱ CFC-11 舗装による被覆 2001年 3月 宮台地区 本社(さいたま市) 12 2004 未定 吉田南工場 なし 17 0 B なし 2002年 3月 0.1 0.1 0 2002年1月完了 あり(土壌) 1998年 8月 について全社ガイドラインを策定し、事業所間の相互監視によるチェッ 12 土壌入れ替え 2001年 6月 2001年 3月 関係会社事業所(3カ所) などを計画・実施中であり、総合排水系の河川放流を止め、下水処理と 20 B 神奈川工場(小田原サイト) 富士宮工場 中井事業所 富士フイルムは近隣の皆様にお詫びするとともに改善策を検討の上、 採取水質測定のための要員、設備の増強、緊急ピット貯留槽/池の増強 0.5 2002年3月完了 フェノール類が一時的に基準を超える濃度で排出水に混入したものです。 (トン) 1.0 28 浄化状況 土壌入れ替え あり(土壌) 特定フロンの大気排出量 25 浄化方法 B 2000年 7月 (トン) 60 25 物質の種類 竹松事業所 ばいじん排出量の推移 0.6 0.6 汚染の有無 あり(土壌) 原因は、排出水をためておく貯留槽を清掃中に、底部に滞留していた 急時の貯留能力の増強、排水系統用途の明確化などを目的に、サンプル 40 調査完了時期 2001年11月 であることを確認して、下水道への放流に切り替えました。 県環境部に改善計画書を提出しました。対策として監視体制の強化、緊 今後も、各サイトで順次天然ガス導入に より削減を行っていきます。 神奈川工場(足柄サイト) CFC-12 (2005年度) 空調用冷凍機などの一部に冷媒として特 定フロンを使用していますが、順次削減を 進めています。 静岡工場 富士フイルムフォトニックス㈱ (宮城県 黒川郡) 2001年10月 なし 富士フイルムマイクロデバイス㈱ (宮城県 黒川郡) 2001年10月 なし 富士テクニス㈱ (綾瀬市) 富士フイルムイメージング㈱ 2002年 3月 なし 大阪事業所 2001年11月 あり(土壌) その他事業所(9カ所) 2001年 6月 なし A: 揮発性有機化合物 B: 重金属類 ※1 COD(化学的酸素要求量):水の汚れを示す指標です。水中の汚れ(主に有機性汚濁物質)が、酸化剤によって酸化されるときに消費される酸素の量を指します。 ※2 BOD(生物化学的酸素要求量):水の汚れの程度を表わす尺度の一つで、汚れを分解する微生物がどのくらい水中の酸素を使ったかを指し、酸素の減った量で表わします。 88 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 FUJIFILM Group Sustainability Report 2006 89
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