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2016 年 11 月号
No.24
Joyo New York Report
CONTENTS
1.調査レポート
-米国における健康保険のしくみについて- .............................................................. 1
2.トピックス
-JAPANESE FOOD & RESTAURANT EXPO について-............................................ 3
3.NYライフ
ー ニューヨークでチャレンジ!ー .................................................................................... 4
4.マーケットレポート(米国市場 10 月) .................................................................................................. 5
5. ニュース一覧 ............................................................................................................................................. 6
常陽銀行ニューヨーク駐在員事務所
th
712 Fifth Avenue, 8 Floor, New York, NY 10019
tel :+1 347 686 8420 Fax : +1 347 686 8430
本レポートの内容につきましては、弊行の信頼し得る先からの情報に基づいて作成しておりますが、その
正確性、信頼性を保証するものではありません。具体的に法律上、会計上、税務上の助言を必要とされる
場合は、それぞれの専門家にご相談下さいますようお願い致します。
1.調査レポート
-米国における健康保険のしくみについて-
米国と日本では健康保険の仕組みが大きく異なります。日本では国民皆保険制度を導入していますが、米国
の公的健康保険制度は基本的に 65 歳以上の高齢者と特定の重度障害者を対象としたメディケアと低所得者を
対象としたメディケイドのみとなっており、これらの対象外の人々は民間の健康保険を利用することになりま
す。今回は、米国における民間健康保険の仕組みについてご紹介します。
1.健康保険の基本用語と仕組み
まず、米国の健康保険を理解するうえで必要な基本用語と仕組みについてご説明します。
①ディダクティブル(Deductible)・・・
ある「一定の金額まで」の自己負担額(免責額)です。これは 1
回ごとの治療に対する自己負担額ではなく、通常 1 年単位で設定されていて、この額の支払いが終わらないと
保険会社によるカバーは始まりません。例えば、ディダクティブルが 500 ドルでその年度内にまだ他に医療費
を使っていない場合、手術を受けて 5,000 ドルの費用がかかっても、500 ドルを支払わないと、保険が適用さ
れません。ただし、全てのサービスにディダクティブルが適用されるとは限りません。
②コーペイ(Co-Payment)・・・ネットワーク内の医師の診察を受ける度に「ある一定額」を医療機関に対
して支払う自己負担額のことです。例えば、診療所の受診料が 150 ドルであったとしてもコーペイが 15 ドル
の場合、保険加入者の支払いは 15 ドルのみで済みます。
③コーインシュランス(Co-Insurance)・・・ディダクティブルを満たした後、医療費の「一定の割合」を自
己負担する割合のことです。例えば、コーインシュランスが 20%の場合、発生した医療費が 10,000 ドルの時
に、治療費の 20%(2,000 ドル)が自己負担となり、残り 80%
(8,000 ドル)を保険会社が負担することになります。また、デ
ィダクティブルを満たした後の自己負担額が「コーペイ」になる
か「コーインシュランス」が適用になるかは、診察や治療によっ
て異なります。
④自己負担限度額(Out-of-Pocket Maximum)・・・コーペイ、
ディダクティブル、コーインシュランスなど(保険料は含まれな
い)、契約者が年間に支払う自己負担の最高額のことです。自己
負担額がこの金額に達すると、保険加入者はそれ以上の支払いを
する必要はありません。
2.医療機関ネットワーク(PPO)について
米国の健康保険には利用できる医療機関や保険金の給付内容等で幾つかタイプがありますが、ここでは保険
加入者の約 6 割が利用している PPO(Preferred Provider Organization)についてご説明します。
PPO とは保険会社と医療機関の間で医療費のディスカウント契約を結んでいるネットワークを指します。そ
のネットワーク内(In-Network)で受診した場合、基本的に保険加入者は医療費を立て替える必要はありません。
また、特殊な病気でない限り、保険加入者がネットワーク内の医者に通院した場合は、コーペイの支払いのみ
で済みます。
1
PPO のネットワーク外(Out-of-Network)の医療機関の診察を受けることも可能です。ただしこの場合は、
保険加入者が医療費をいったん全額立て替えなければならず、負担額もネットワーク内に比べて大きくなるの
が一般的です。これは保険会社が医療費総額抑制のために保険加入者にディスカウントの利くネットワーク内
の医療機関利用を促しているためです。
以上のことから、医療機関を利用する際は、その医療機関が自分の健康保険のネットワークに加入している
かどうかを事前に確認することが大切です。また同じ病院内でもネットワークに加入している医師と非加入の
医師が混在しているため診療予約を入れる際は、医師本人の名前を出して確認することも必要です。
3.歯科保険の仕組み
米国の歯科保険は、通常 ディダクティブルと Maximum Benefit(年間保険給付限度額) が設定されていま
す。毎年最初にかかる治療費のうちディダクティブル分(一般的に $50 ~ $100) は患者の自己負担額とな
ります。 また一年間に支払われる保険の限度額(Maximum Benefit。1,000~2,000 ドルが一般的)が決ま
っており、それ以上は保険によってカバーされません。
治療には Preventive Treatment(予防歯科)、Basic Treatment(基本治療)、そして Major Treatment
(主要治療) の 3 つ区分があります。 Preventive Treatment は初期診察、クリーニング、レントゲンなど
が含まれ 80~100% カバーされるのが一般的です。 Basic Treatment は簡単な虫歯治療や神経治療などが含
まれており、一般的に 80% ~100%カバーされます。Major Treatment はクラウンやブリッジ等といった治
療が含まれ、これも一般的に 50%程度カバーされます。
ただし気を付けないといけないところは保険会社のプランによっては独自の Fee Schedule(価格表)を持
っており、その値に対して何パーセントの支払いをするといった事を行っています。例えば、クリーニングの
実際の価格が $95 でも、保険会社の Fee Schedule のクリーニング(カバー率 100%)の価格が $89 になっ
ている場合、保険会社はこの $89 に対してカバー率 100% の $89 を支払います。したがって実際の患者の
自己負担額は $95-$89=$6 ということになります。
4.視力矯正保険の仕組み
視力矯正保険は、視力矯正のための検査やメガネに対しての保険です。目の疾患や傷害による治療は、医療
保険の補償対象となります。補償対象は視力検査、メガネのレンズもしくはコンタクトレンズ、メガネのフレ
ームに対して、一定額までの支払いが保険会社からなされます。
5.まとめ
米国ではオバマケアにより健康保険への加入が義務付けられていますが、日本の健康保険組合等(国民健康
保険は不可)はオバマケアの基準を満たした医療保険と看做される旨、米国政府から見解が示されていますの
で、上記保険の加入者は米国の健康保険に加入しないという選択肢もあります。しかし、盲腸の手術でも
10,000 ドル以上掛かると言われるように米国の医療費は非常に高額で、しかも完全に自由化されているので、
同じ種類の治療でも利用する医療機関によって医療費が異なります。医療機関から法外な請求を受けたり、診
療内容でトラブルが発生した場合の対応を考えると加入しておくことが望ましいと言えます。米国の健康保険
は日本に比べると仕組みが複雑で保険料も高額ですが、保険料に応じて様々なプランが提供されています。保
険の仕組みを良く理解してニーズに合う保険プランに加入することが重要かと思われます。
以上
【ニューヨーク駐在員事務所
2
首席駐在員
川原井
司】
2.トピックス
-JAPANESE FOOD & RESTAURANT EXPO について-
9月24 日、ニューヨーク市マンハッタンの展示場において、日本の食材やレストランを紹介する
「Japanese Food & Restaurant Expo」が開催されました。内容についてレポートします。
1.展示会の概要
展示会は 1926 年に創業した共同貿易(英語名:Mutual Trading)
社が主催しています。同社は日本食やレストラン用品を海外に向けて輸
出する業務を中心に行っており、海外では販売代理店として日本食や用
品の普及を図っています。
この展示会は毎年秋に開催され、今回で 23 回目を迎えました。今回
は 110 社の出展があり、日本の食材や飲料、新たな台所用品などが展
示されました。食材や飲料などは試食が可能なものも多く、40 社以上
の酒造メーカーが参加した日本酒、焼酎を始め、団子、刺身、ラーメン
【会場の様子】
など日本ならではの食材が並びました。
2.日本食の評価
既にニューヨークでの日本食の知名度は高く、お寿司も地元のスーパ
ーに並んでいます。また、ラーメン店も近年更に増え、行列が出来るお
店もあり人気の程が伺えます。また、日本食と共に日本酒の知名度も向
上しており、ワイン店などに日本酒が置かれています。
今回の展示会からお酒のコーナーは独立して設けられました。ほのか
【日本酒を振舞う月の井酒造様】
に暗い照明と濃紺を基調とした垂れ幕やテーブルクロスなどで、日本酒
の高級感や瀟洒な雰囲気を際立たせていました。日本では居酒屋という
イメージの強い日本酒ですが、ニューヨークでは高級レストランや、バ
ーなどで供されることも多く、食通好みのおしゃれな飲み物というイメ
ージもあります。ある酒造メーカーでは日本酒を使ったカクテルなど当
地の嗜好に合わせた飲み方を提案するなど、日本酒を海外に広げようと
する努力が伺えました。
【まんじゅう、団子を振舞う森永牛乳配給様】
3.終わりに
来場者は一部日本人に加え、米国人やアジア人など多岐に渡り、国際都市ニューヨークで日本食が受け入
れられている様子が伺えました。ニューヨークでは最近「つるとんたん」(うどん店)と「一蘭」(ラーメ
ン店)がオープンしたほか、「いきなりステーキ」(ステーキ店)などが年内オープンを予定しており、日
本食ブームに乗って商機をモノにしようとする日系企業の進出がより過熱している印象です。
当事務所では引き続き米国での日本食シーンをウォッチしてまいります。
【ニューヨーク駐在員事務所
3
以上
吉田
圭佑】
3.NYライフ
ー ニューヨークでチャレンジ!ー
エンターテイメントの街、金融の中心、ニューヨークを世界に類のない魅力的な街にしているひとつがそ
の多様性にあると思います。人種、言語、経済的、社会的、文化的に様々な背景を持った人々が集まり共存
しています。他人との違いを受容して、理解して、尊重し共存することには、難しさもありますが、共存が
生み出す多様性が多くの人を惹きつけるのだと思います。ニューヨークのアクティビティは千差万別です。
ニューヨークにいる間、新しいことにチャレンジしてみたり、地元のアクティビティグループに入ってみた
りすると、新しい世界が開けてその魅力に触れることができると思います。今回は、ニューヨークで体験し
たアクティビティをご紹介します。
【テニス】
マンハッタン内にもいくつかテニスコートがあり、セントラルパーク
内の公営屋外テニスクラブや、グランドセントラル駅構内 4 階の屋内テ
ニスコートなど知る人ぞ知る驚きの場所にコートがあります。今回は日
本でもお馴染みの Groupon でテニスクラス5回分 199 ドル(1 時間、
グループレッスン 6 人)を利用して参加しました。クラスはオンライン
で空いているクラスを予約します。単発で参加できるため行く度に新し
いメンバーでレベルも様々。いろんな人がいるので自分の調子が悪くて
も調子がよくても気楽にプレーできます。夏が終わると途端に予約がと
りにくくなったのは恐らく夏の間マンハッタンを離れていたクラブメン
バーが街に戻ってきたからでしょう。今回行ったテニスクラブの1つは、高級住宅街の看板も目印もないマ
ンション 2 階の一室でドアを開けると、そこに屋内コート 2 面が広がっていました。
【ヨガ・バークラス】
上記のテニスに行ったときに一緒に参加していた方が教えてくれたアプリ
Class Pass のベーシックプラン初回一ヶ月 19 ドル、通常 75 ドル(加盟し
ている施設で1ヵ月 5 クラス参加可能なメンバーシップ)を利用しました。
バレー未経験者ですが参加してみた人生初のバー(barre)クラス(バレーを
基礎としたトレーニング)では、周りは男女共に動きの美しいバレーダンサ
ーばかりでしたが親切に皆さんフォローしてくださいました。他には、アッ
パーイースト地区のマディソンアベニューにある高級スポーツクラブでヨガ
クラスに参加しました。近所のマダムやカップルで参加している人など土地
柄雰囲気がとてもよかったです。このエリアは高級スポーツクラブが多く入会審査や年会費が一般の人に分
かりにくくなっているところも多いため、富裕層のスポーツライフを垣間見るよい機会になりました。
まだまだ知らないニューヨークの魅力に触れるため引き続きいろいろな体験をしてみたいと思います。
以上
【ニューヨーク駐在員事務所現地職員
4
小布施
有香子】
4.マーケットレポート(米国市場 10 月)
○マーケット情報
市場
株式
債券
為替
商品
指標
10月末
9月末
月間
騰落額
月間
騰落率
NYダウ
18,142.42
18,308.15
-165.73
-0.9%
ナスダック
5,189.135
5,312.002
-122.867
-2.3%
10年債利回り
1.8255
1.5944
+0.231
+14.5%
ドル/円
104.82
101.35
+3.47
+3.4%
ユーロ/ドル
1.0981
1.1235
-0.0254
-2.3%
原油先物(WTI)
46.86
48.24
-1.38
-2.9%
1,273.10
1,313.30
-40.20
-3.1%
金先物
(出所:bloomberg)
○米国市場の概況
【株式市場】金利の上昇を受け、弱含みで推移。
株式市場は、金利の上昇に加え、冴えない企業決算が嫌気され、月
前半は売りが優勢となった。しかし、原油価格の上昇や、利上げのペ
ースが想定より緩やかになるとの見方が強まったことで、徐々に持ち
直すと、その後はレンジ内の動きとなった。
【債券市場】日欧中銀の思惑を背景に、大幅金利上昇。
債券市場は、ECB(欧州中央銀行)が量的緩和策の縮小を検討して
いるとの報道を受け、月前半に大きく売られた(金利上昇)。また、
月後半には、日銀が長期金利の上昇を許容しているとの観測や、米国
の 7-9 月期 GDP が予想を上回る伸びを示したことなどで売りが加速
し、一時 5 月以来の水準まで金利が上昇した。
【為替市場】主要通貨に対し、ドルが大きく上昇。
ドル円相場は、米国における利上げ期待の高まりを受け、一時 105
円台前半までドル高が進んだ。また、ドルはその他の主要通貨に対し
ても大きく上昇し、ユーロドル相場では、一時 3 月以来の水準までド
ル高・ユーロ安が進んだ。
【商品市場】原油・金ともに大きく下落
原油相場は、OPEC(石油主出国機構)の減産合意に対する楽観的
な見方が広がり、一時約 1 年ぶりの水準まで上昇した。しかし、月末
の会合では減産合意の詳細がまとまらず、また、先行きに対する不透
明感も強まったことで、下落した。金相場は、米国の利上げ観測を受
け、安全資産である金市場から高利回り資産への資金シフトが起こ
り、大きく下落した。
【ニューヨーク駐在 篠崎 孝行】
5
5. ニュース一覧
(2016/10 からのニュースを抜粋)
●経済
・米ISM製造業総合景況指数:9月は緩慢な拡大-雇用は縮小圏続く(10/3)
・米ISM非製造業総合景況指数:1年ぶりの高水準、前月からの反動(10/5)
・9月は失業率5%に上昇-雇用者数 15.6 万人増(10/7)
・FOMC議事録:幾人かのメンバー、「早い時期」の利上げが適切(10/12)
・米小売売上高:9月は前月比 0.6%増、コアは予想下回る 0.1%増(10/16)
・米新築住宅販売:9月は年率 59.3 万戸に増加、市場予想は下回る(10/26)
・米GDP:7-9月は 2.9%増、大豆輸出や在庫が寄与-個人消費減速(10/28)
●金融
・ECB、QEテーパリングの必要性でコンセンサス形成-関係者(10/4)
・BofA7-9月、7.3%増益-債券トレーディング収入が大幅増(10/17)
・サウジアラビアが条件提示、国際市場で初の国債発行で-関係者(10/18)
・5大米銀のトレーディング収入が急増-トレーダー減が響く気配なし(10/19)
・ドラギECB総裁:唐突なQE購入停止は恐らくない-期間延長を示唆(10/20)
・黒田日銀総裁:超長期金利もう少し上がってもおかしくない(10/26)
●政治
・メイ英首相:来年3月までにEU離脱を通告-保守党大会で演説(10/2)
・ライアン議長、トランプ氏擁護しないと共和党下院幹部会で発言(10/10)
・クリントン氏支持率 47%でリード、トランプ氏 38%-全米世論調査(10/26)
・クリントン氏の支持率低下し僅差に、FBIがメール問題調査再開で(10/30)
●企業
・ドイツ銀株が急反発、54 億ドルで米司法省と合意に近いと報道(10/2)
・ツイッター株急落、一時 15%安-買い手候補いずれも撤退と関係者(10/10)
・米アルコア:7-9月利益、市場予想下回る-11 月に会社分割へ(10/11)
・メーシーズなど百貨店の既存店売上高見通し引き下げ-JPモルガン(10/16)
・米IBM:7-9月期利益は予想上回る-新事業の成長加速(10/17)
・米AT&Tがタイムワーナー買収へ、総額 854 億ドル-現金・株式(10/23)
・米キャタピラー:7-9月の機械売上高は 18%減-6~8月は 17%減(10/24)
・米GE、ベーカー・ヒューズと石油・ガス事業統合へ(10/31)
●その他
・英製造業の拡大ペースが加速、9月は2年ぶり高水準-ポンド安追い風(10/3)
・ポンドが対ドルで 1985 年来の安値、「ハードな」EU離脱を懸念(10/4)
・プーチン大統領:ロシアはOPECと協調の用意、増産凍結や減産検討(10/10)
・中国:7-9月GDPは 6.7%増、予想と一致-引き続き安定示す(10/19)
・OPECと非加盟国、生産調整で合意に至らず-加盟国の足並み乱れ(10/30)
(出所:各種新聞、ブルームバーグ)
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