センターニュース第4号

地域政策研究センターニュース 第 4 号
地域政策研究センターニュース
高崎経済大学 地域政策研究センター
第
0
4号
2014.7.31
〒370-0801 群馬県高崎市上並榎町1300番地 TEL 027-344-6294 FAX 027-343-7103
E-mail [email protected] URL http://www.tcue.ac.jp/c-kenkyu/
1 富岡製糸場(富岡市)
2 田島弥平旧宅(伊勢崎市)
3 高山社跡(藤岡市)
4 荒船風穴(下仁田町)
〈画像提供〉1 富岡市・富岡製糸場/ 2・3・4 大島 登志彦(高崎経済大学経済学部 教授)
2014年6月、世界遺産に登録された「富岡製糸場と絹産業遺産群」。当センターの研究プロジェクトの一つである伊佐准教授の研究部
会では、文化遺産を観光資源として維持・管理し、活用する地域の観光政策について、研究を進めているところである(4〜5頁参照)。
著者インタビュー
…………02
受託研究
…………05-06
第5回地域政策セミナー開催のご案内
…………03
新所員紹介
…………07
研究プロジェクト進捗状況
…………04-05
刊行物
…………08
ラジオゼミナール
…………05
編集後記
…………08
0
地域政策研究センターニュース 第 4 号
■ 著者インタビュー
『景観法と地域政策を考える』
大河原 マーサーズ・ヴィニャード島は、日本ではほとんど知
られていないんですが、わたしの専門である社会言語学の研
究者のラボブ(William Labov)が1960年代、まだ島に飛行
研究プロジェクト代表者
大河原眞美氏(地域政策学部教授)
場がなかった時代に、言語調査を行ったことでも有名な島な
聞き手 佐藤 徹(地域政策研究センター長)
地調査へ行ってみました。日本でいうと軽井沢のようなところ
――これまで地域政策研究センターでは、さまざまな著書を
用機に乗ってくる人がいるような超高級別荘地です。キャロラ
刊行してきましたけれども、
「景観問題」を真正面から取り上
イン・ケネディ駐日大使の別荘もある島です。
げた著書は今回が初めてです。大河原先生の御専門は、法と
――この本のおすすめのところはどこですか。
言語、法と社会、アーミッシュ
大河原 まず役に立つという点で言えば、第7章の「Q&A」
研究などでいらっしゃいます
ですね。景観に関する判例動向や法規について、読者の疑問
が、そもそも、なぜ景観問題を
に答える形で書かれています。これは類書にはあまり見られ
取り上げようと思われたので
ないかもしれませんね。また、第6章の「景観利益、景観権を
しょうか。
めぐる裁判例」は、昭和48年以降の裁判例が網羅的に紹介
大 河原 わたしは研究がら
されています。資料的価値が非常に高いものです。それから、
海外に行くことが多いのです
第5章の「景観に関する今後の課題」は、佐倉市の「地域まち
が、特にヨーロッパなどへ行く
づくり協議会」を事例として紹介しながら、景観形成における
と飛行機の窓から見える中世
官民の協働など、まちづくりを考える上で全体像を提示する
の街並みが美しく、高さなども綺麗に統一されていることに
内容となっています。非常におすすめです。読み方としては、
驚かされます。日本の場合、個々の建物には良いものが多い
第5章から読み進めていくと良いのではないでしょうか。
のですが、
「地域」として見た場合、統一感があまり感じられ
――この本は、どんな人に読んでほしいですか。
ないのが残念だと思っていました。
大河原 自治体職員の方々に読んでいただきたいのはもちろ
――軽井沢でのご経験なども大きかったのでしょうか。
んですが、自分たちのまちの景観について考えていたり、行政
大河原 はい。かつて軽井沢でまちづくりの委員を務めてい
と話し合いをしていたりする地域住民の方々にも、是非手に
たことも執筆の動機です。軽井沢は日本有数のリゾート地で
取っていただきたいですね。
すが、定住者も増えており、固定資産税のおかげで、まちも大
――最後に、読者の方々にメッセージをお願いします。
変裕福です。ですが、ある日突然、これまであった別荘地内の
大河原 都会化し、マンショ
林が伐採されるといった光景に出くわすことがあります。これ
ンが建ち並ぶようになって、い
は、台風の影響などで隣の別荘に木々が倒れ補償が発生する
まや「隣の人は何する人ぞ」と
と地元の業者に煽られて、伐採しなくてもよいのに伐採してし
いう状況になっています。やは
まうのです。景観を守ることを考えるきっかけになりました。
り、景観というのは地域の「共
――海外でご覧になった景観の中で特に印象に残った地域
有財産」だと思うのです。昔は
などありますか。
日本もそうだったのかもしれま
大河原 やはり、第1章で書いたワルシャワの旧市街地です
せんが、ヨーロッパとの違いは
ね。あそこは世界遺産にも登録されています。ふつうは、古い
そこにあるんじゃないかと。景
から世界遺産に登録されるのですけれども、違うんですね。
観というのは地域全体で共有 ・高崎経済大学
ワルシャワの旧市街地は戦争で全部破壊されてしまったので
すけれど、落書きなども含めて復元したものに対して世界遺
しているわけですし、だからこ ・勁草書房 ・2014年3月刊行
そ皆で守れると。この本が、景
産登録されているんです。
観をひとつの切り口として地域づくりを考えるきっかけになっ
― ―本の中で紹介されているアメリカのマーサーズ・ヴィ
てほしいと思っています。
ニャード島についてはいかがですか。
――どうもありがとうございました。
んです。わたしがアメリカ留学時代にこの島の話を授業で聞
いたことがあって、是非訪れてみたいと思い、7~8年前に現
ですが、あちらのほうはスケールがずいぶんと違って、自家
地域政策研究センター 編
地域政策研究センターニュース 第 4 号
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■ 第5回地域政策セミナー開催のご案内
「公共施設のファシリティマネジメント」
—長寿命化・空きスペース活用・施設内環境改善をめぐって—
友岡 邦之(地域政策学部 教授)
地域政策研究センターでは、毎夏恒例の開催となっている
演題 『情報分析と施設整備のプロセス』
講師 堤 洋樹 氏
(前橋工科大学工学部建築学科 准教授)
「地域政策セミナー」を本年度も8月29日(金)に実施する。
本年度のセミナーのテーマは「公共施設のファシリティマネ
ジメント:長寿命化・空きスペース活用・施設内環境改善をめ
ぐって」に決定した。
現在、我が国は過去に建設された大量の公共施設の更新
演題 『公共施設の有効活用
~公共版ファシリティマネジメントの現状~』
講師 小島 卓弥 氏
(総務省行政評価局企画課 専門官)
時期を迎えている一方で、地方公共団体はなお厳しい財政状
況の中にある。またこの状況を踏まえ、2014年4月には総務省
が地方公共団体に対して、公共施設等総合管理計画の策定を
要請した。この喫緊の国家的問題といえる公共施設のファシ
リティマネジメントについて、地方公共団体は具体的にどのよ
堤 洋樹氏
うな問題に直面し、どのように課題解決を図ろうとしているの
小島卓弥氏
か。本セミナーではファシリティマネジメント問題の第一人者
日 時:2014年8月29日(金)10:00〜16:00
をお招きし、公共施設の長寿命化・空きスペース活用・施設内
場 所:高崎経済大学 環境改善等のテーマを中心にご講演いただく。その上で参加
主 催:高崎経済大学 地域政策研究センター
者同士による意見交換会を実施し、参加者の方々の、本テー
対 象:自治体職員をはじめ、公共施設のファシリティ
マに関する実践的知識の拡充をめざす。
マネジメントに関心のある方。
ご講演いただくのはお二人の先生で、お一人は小島卓弥
定 員:50名、先着順
氏である。小島氏は総務省行政評価局企画課所属の専門官
受講料:3,000円(昼食会に参加ご希望の方は昼食代を
で、共著書『公共施設が劇的に変わるファシリティマネジメン
ト―オフィスの効率化・窓口改善から遊休施設・廃校舎・空き
お申込方法:専用の申込書に必要事項をご記入の上、
スペースの活用、災害対応まで』
(学陽書房,2012)により日本
当センター宛に郵便、FAX、Eメールの
ファシリティマネジメント協会・第8回日本ファシリティマネジメ
いずれかでお送りください。
ント大賞奨励賞を受賞しておいでである。もうお一人は前橋工
申込締切:2014年8月15日(金) 科大学工学部建築学科准教授の堤洋樹氏である。堤氏は建
お問合せ:事務局 TEL 027-344-6294
築生産・建築経済が御専門で、建築物の長寿命化に関する論
FAX 027-343-7103 文を数多くご発表なさっている。
Eメール c-kenkyu@tcue.ac.jp
セミナーでは、お二人それぞれにご講演と質疑応答をお引
URL http://www.tcue.ac.jp/c-kenkyu/news/002236.htm
き受けいただき、その後に意見交換会を実施する。意見交換
会は原則としてワールドカフェ形式で行い、人数に合わせ、5
~6名を目安に1グループを構成して討論をする。討論内容と
しては施設長寿命化・空きスペース活用・施設内環境改善の3
つのテーマを設定し、1つのテーマにつき20分を割り当て、各
テーマについて参加者が経験している問題点や解決案を提示
してもらう予定である。
別途徴収いたします)
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地域政策研究センターニュース 第 4 号
■ 研究プロジェクト進捗状況
「環境政策の新展開」
プロジェクト代表
飯島 明宏(地域政策学部 准教授)
2012年度よりスタートした研究プロジェクト「環境政策の
新展開」では、これまでの環境研究が抱えていた閉鎖性の克
服を目指し、自然科学、社会科学といった複数領域の研究者
による環境問題解決へのアプローチを比較分析してきまし
た。また、政府組織や地方自治体、市民団体に属する専門家
による、組織としての環境問題への取り組みの変遷や展望
についても研究を進めてきました。現在、各プロジェクトメン
バーによる研究成果を踏まえて、以下のような目次(案)にて
「観光政策への
学際的アプローチ」
プロジェクト代表
伊佐 良次(地域政策学部 准教授)
(1)第 1回公開研究会(世界遺産登録とまちづくり—現状・
課題・展望—)
2014年6月、
「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界遺産に
登録された。この世界遺産の中心である富岡製糸場は1872年
(明治5年)に操業し現在まで地域に対してどのような影響
を与えてきたのであろうか。その問題意識を踏まえて、世界遺
産登録前の2014年2月
執筆作業を進めています。
19日(水)、髙橋修氏
(富岡市役所世界遺
Ⅰ部:各学術分野における環境研究の動向と展開
産まちづくり部長)を
1.環境法の歴史的変遷
本学にお招きした。
2.我が国における環境研究の動向と展開
髙橋氏はまず、世界
3.環境計測から政策を見る~PM 2.5 研究の軌跡と新展開~
遺産登 録を見据えた
4.社会基盤政策と環境政策
5.再生可能エネルギー利用の経済学的アプローチ
6.人々の行動・心理と環境政策
7.環境問題をマーケティングの視点で捉える-CSV
(共通価値)の形成
8.環境会計と情報開示の新展開~資本概念の拡張
9.地理教育における環境問題の取扱いの変化
10.環境教育の成果と課題
Ⅱ部:各政策セクターにおける環境政策の動向と展開
11.2020年目標に向けた温暖化政策の在り方について
12.環境リスク時代の環境政策
13.東アジアにおける大気環境管理に関する国際的取り組み
の現状と課題
14.環境保護団体によるアドボカシー(政策提言活動)と
環境保護法政策の実現
多様な研究分野に属する専門家の知見・提案等を通じ、環
境問題解決を目指すための政策がどのように在るべきか、考
察を深めていきます。
まちづくりとして、中心
市街地再生計画から街づくり計画への概要を説明された。世
界遺産登録のためには単に富岡製糸場を保存するだけでな
く、その周辺を緩衝地帯(バッファーゾーン)として整備しな
ければならない。具体的には、道路整備、歴史的建造物の保
全活用、駐車場整備そして上州富岡駅の周辺整備などであ
る。それらの整備に先駆け、上州富岡駅の新駅舎が2014年3
月に完成することも紹介された。
つぎに、富岡製糸場の課題と対策について、髙橋氏は「不
易流行」をキーワードにして、防災対策というハード面と同じ
く解説員のさらなる充実というソフト面によって富岡製糸場
の普遍的価値が保存されることを強調された。
今後の展望として、①富岡製糸場の世界遺産登録を見据え
た「まちなか観光」、②富岡製糸場と妙義山との観光連携、
③滞在型の観光振興を挙げ、観光ボランティアの養成や周辺
の観光資源の掘り起こしが重要であると指摘された。さらに
外国人観光客への対応として、Wi-Fi環境の整備やイヤホン
ガイドの拡充が課題であると述べた。
結びに、髙橋氏は世界遺産登録を契機にして、地域資源を
活かした持続可能なまちづくりや絹文化の継承が肝要である
と説いた。
講演後、参加者からは、高崎市の「日本絹の里(シルクの総
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■ 受託研究
合博物館)」や桐生市との連携についての質問や既に世界文
化遺産となった白川郷や石見銀山が観光客に対して行ってい
る交通規制の紹介などがあり、富岡市だけでなく群馬県ひい
ては日本における観光政策のありかたを考える上で示唆に富
む講演会となった。
(2)2014 年度研究会の報告と予定
「渋川市中心市街地活性化の
ための調査業務」
(渋川市)
坪井 明彦(地域政策学部 准教授)
高橋 美佐(地域政策学部 准教授)
本研究プロジェクトの目的は、観光政策に関する研究手
「渋川市中心市街地活性化のための
法・事例を盛り込んだ書籍の出版である。
調査業務」は、平成20年度から受託し今
第2回公開研究会は、7月23日(水)に「観光政策への経済
年度で7年目を迎えた。毎年秋に、中心
学的アプローチ」と題し講演した。講師は本プロジェクト代
市街地の6か所の通行量(歩行者・自転
表の伊佐良次であった。
車)調査を実施してきたほか、まちなか
現在、多くの地方自治体では世界遺産の登録を目指す運
交流広場イベントに参加してきた。その
動が進められており、2013年の「富士山-信仰の対象と芸術
他に、年ごとの事業があり、①中心市街
の源泉」に続き、2014年に「富岡製糸場と絹産業遺産群」が
地ランチマップの作成(平成20年度)、②
世界遺産に登録された。本来、世界遺産の登録は遺産の保
中心市街地小売店マップの作成(平成21
存が目的であることを踏まえれば、文化遺産の維持・管理を
年度)、③渋川市名物「シブめし」の考案のための調査(平
第一義的に考えたうえで、観光資源としての利活用が地域に
成22年度)、④渋川市名物「シブめし」の考案(平成23、24、
求められる。これらの現状を理解する上で、本講演では、主
25年度)、⑤中心市街地空き店舗活用のための企画および実
に環境・資源経済学の観点から文化遺産を活用した観光政
施(平成25年度)を行ってきた。
策の課題を示した。
昨年度の空き店舗活用事業に関しては、3グループが、空
今後は、富岡製糸場の踏査や高崎市における観光政策の
き店舗活用事業の提案をプレゼンテーションし、投票の結
現状・課題について研究会を行う予定である。
果、
「シブめし」を普及させるための「へそカフェ」を実施する
ことになった。2013年10月27日(日)に中心市街地の歩行者
天国のイベントに合わせて、空き店舗で「へそカフェ」を運営
■ラジオゼミナール
(ラジオ高崎FM76.2MHz)
高崎のコミュニティー放送局であるラジオ高崎と地域政策
研究センターが協力し、当センターの地域・社会貢献事業の
一つとして、1999年度(平成11年度)から始まった「ラジオゼ
ミナール」。
本学 教員が出演し、それぞれの専門分野を中心に毎週
様々なテーマで15分間の講義を行う番組です。今年度は4月
26日(土)から16年目の放送をスタートすることになりました。
ラジオを通して気軽に大学の講義を聴講いただけるものとし
て、市民の皆様に好評を得ております。
・放送日 毎週土曜日 9:15~9:30
「週刊高崎新聞」番組中
・再放送 毎週火曜日 19:00~19:15
・パソコンやスマートフォンでも放送をお楽しみいただけます。
(インターネットサイマルラジオhttp://www.jcbasimul.com/、
スマートフォン用アプリをダウンロードしてお聞きください。)
し、平成25年度グランプリの「渋川ギョーザ」と24年度グラン
プリの「渋川豚こんにゃく」、ドリンクを販売した。
今年度は、これまでに考案した「シブめし」の商品化への
取り組みのほか、商店街や市民団体等と連携した賑わい創出
事業の実践、
「まちなかランチマップ」改訂版作成のための
掲載店舗の情報収集を実施する。
昨今の大学教育においては、単に専門知識を習得するだ
けでなく、課題を発見し解決する力を育成することが求め
られるようになっている。そうした力は教室内の授業だけ
では育成することはできない。実際に課題に取り組むPBL
(Project-based Learning)など、
「実践の場」が不可欠であ
り、学生たちにとっても貴重な機会となっている。渋川市商工
観光部商工観光課の皆様、学生の企画プレゼンに対して貴
重な意見やアドバイスをくれる市民の方々に感謝したい。
今までの実施の様子を詳しくご覧になりたい方は下記の渋
川市役所HPをご覧ください。
http://www.city.shibukawa.lg.jp/sangyou/
chuushinshigaichi/supporter1.html
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地域政策研究センターニュース 第 4 号
■ 受託研究
「沼田市域の路線バス案内」
のチラシ作成
「路線バス・デマンド交通研究」
(沼田市)
大島 登志彦(経済学部 教授)
で、生活圏上同市と一体になっている川場村と昭和村の全路
筆者は、沼田市から平成25年度群馬県地域連携モデル事
内の全戸配布と公共施設配布用としてのチラシ25,000部作
業として提案された「沼田市における乗合バス運行事業の見
成することだが、利根沼田全域の市町村や公共施設、高等学
直しの検証と、利根沼田広域圏の連携について」を受託研究
校、駅の案内所などにも配布して、利根沼田地域全体の市民
し、年度末にその成果報告書としての冊子「沼田市域とその
・観光客等に有益に活用していただくことを期待している。ま
周辺における路線バスの現況と今後の課題」を作成した。今
た、筆者は、地方都市圏の路線バス案内のモデルの一つとし
年度、その継続的研究の必要性と、バスの利便性向上に向け
て、今後の研究に生かしていくものである。
た取り組みや利用促進を含めて、沼田市から当センターに次
この作成業務は、ほぼ5月中に終了し、6月9日印刷業者に発
の2つの事業を委託され、筆者大島が担当している。まだ年度
注して6月20日までに納品され、順次配布されている。
線を網羅している。したがって、沼田市の委託事業として、市
の4分の1程度が経過した段階ではあるが、①は年度早期に進
める予定の下で大方が完了しているので、②の研究計画の概
②路線バス・デマンド交通研究
要と併せて、以下の中間報告を行うものである。
年々利用者が減少しつつある沼田市が主導で運行委託し
ている乗合バスに関して、一部地域・路線にデマンド方式を導
①「沼田市域の路線バス案内」のチラシ作成
入することも視野に入れて、バスの運行見直しを検討する事業
群馬県は、長らく車大国と風評され、成人はもちろん、近年
として、取り組んでいく。その際の具体的視点として、次の項目
は高齢者も自家用車による移動一辺倒にシフトしつつある。
を重視していきたい。
そのなかで、地域の路線バスを総合的に閲覧して、バスの運
1.来年度の沼田中央病院の移転(市街地→沼須地区)
行事情を把握して利用してもらうための資料が皆無だった。す
2.利根沼田地域全体の生活交通と観光交通を視野に入れる。
なわち各自治体の担当部課では、自市町村のコミュニティバス
3.高校生の通学の足としての利用を促進させる。
の情報について、コストをかけて詳細な案内を作成する反面、
4.段丘上にある市街地から上越線列車(沼田駅)と段丘上
バス事業者の自主運行路線が欠落している傾向にあった。一
市街地間を連絡するバスの運行時間帯拡大を検討する。
方、バス事業者は、コンパクトにまとめた情報を作りつつも、自
具体的な検討・研究は、今後関係各方面との協議や提案・議
社の経営路線分しか作成しないので、いずれも地域のすべて
論を重ねながら、類似した問題に直面または解決してきた市町
の公共交通を網羅しておらず、使い勝手は悪かった。
村の事例考察を手始めに、進めている。
当事業では、A3版1枚を、
「沼田市域の路線バス案内」
(表:路線図・裏:時刻表)として、上記した25年度群馬県地域
連携モデル事業報告書に添付した路線図をベースに、筆者の
これまでの路線バス研究と知見を生かして、見やすさと乗り易
さに配慮して、最大限有益なものを作成することに主眼を置
いた。そのために、路線図の下地地図は、国土地理院の地形
図利用の承認を取得して、正確な地図の上に全系統の運行経
路が分かるカラー刷りとして、系統番号やバス車両(塗色が分
かる)の写真を挿入した。また、裏面には、沼田市や周辺バス
事業者である関越交通からバス時刻を入手したものを沼田市
の担当部署で、紙面に収まるように編集した全路線の時刻表
を掲載した。
この路線バス案内は、沼田市全域を含めつつ、紙面の関係
地域政策研究センターでは、国、地方公共団
体等の依頼による調査・研究の受託を積極
的に行っております。
ご質問、ご相談などお気軽にお問合せください
【お問合せ先】
高崎経済大学 地域政策研究センター (研究グループ・研究支援チーム内)
〒370-0801
高崎市上並榎町1300番地 TEL 027-344-6294 FAX 027-343-7103
E-mail:[email protected]
地域政策研究センターニュース 第 4 号
■ 新所員紹介
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ルズは「社会正義とは何か」という一つのテーマだけを考察
し続けた特異な哲学者であり、功利主義的な政策(最大多数
佐藤 英人(さとう ひでと)
地域政策学部
地域政策学科 准教授
略歴:京都府出身。立命館大学文学部地理学科卒業、東京
大学大学院理学系研究科修士課程修了、東京大学大学院総
合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。東京大学空間情
報科学研究センター研究機関研究員、助教、帝京大学経済
学部専任講師、准教授などを経て、2014年4月より現職。
専門分野:都市地理学、経済地理学、地理情報システム
の最大幸福)一辺倒であったこれまでの社会の在り方に対し
て、それとは異なる望ましい社会の姿を提示しています。
そして現在はロールズ研究とともに「働くことの意味と所
得保障政策との連関性」という研究を行っています。日本に
おいては非正規雇用者、ワーキング・プア、そして生活保護受
給者が増加し、他方で「ブラック企業」という労働環境が劣
悪な会社が社会問題となっています。労働を取り巻くこのよう
な社会状況を踏まえて、
「働く意味とは何であるのか」「有意
義な仕事への権利というものを人びとに付与することは可能
であるのか」「ベーシック・インカムのような所得保障政策と
勤労の義務は両立可能であるのか」という問題を本研究では
私は現在、住宅とオフィスの立地に関する研究に取り組ん
考察しています。
「働くことは正しく、働かないことは正しくな
でおります。ひとつは「人口減少社会が直面する郊外住宅地
い、不正義である」といえるだろうか、というのが本研究の中
の方向性に関する研究」であり、全国の裁判所で公示されて
心的な問いです。今後ともよろしくお願いいたします。
いる不動産競売物件の地理的特性を手掛かりに、郊外住宅
地の選別化メカニズムを分析しております(日本学術振興会
平成25~27年度科学研究費補助金 基盤研究C(研究代表
者:佐藤英人))。ふたつは「オフィス移転と「企業のライフ
コース」に関する研究」であり、企業の成長あるいは衰退過
程を家計のライフコースに置き換えて、企業がどこで起業し、
どのような成長・衰退を繰り返しながら、現在に至っている
のか、企業の栄枯盛衰と移転行動との関連性を分析しており
ます。今後は自分自身の研究を深めて参りますとともに、高
崎市や群馬県の地域活性化に向けた取り組みにも微力なが
ら参画したいと存じております。浅学菲才の身にて至らぬ点
が多々ございますが、皆様方よりご指導・ご鞭撻を賜りますよ
う、よろしくお願い申し上げます。
森 周子(もり ちかこ)
地域政策学部
地域づくり学科 准教授
略歴:東京都出身。慶應義塾大学文学部人間関係学科社会
学専攻卒業、一橋大学大学院社会学研究科社会問題・政策
専攻修士課程修了、一橋大学大学院社会学研究科総合社会
科学専攻博士後期課程修了。博士(社会学)。西武文理大学
サービス経営学部専任講師、佐賀大学経済学部准教授を経
て、2014年より現職。
専門分野:社会政策・社会保障・社会福祉。具体的な研究
内容は、①戦後ドイツ社会政策・社会保障に関する理論面・
制度面からの研究(特に、戦後ドイツ社会政策の理念である
福間 聡(ふくま さとし)
地域政策学部
地域政策学科 准教授
「社会的市場経済」概念と、関連する諸思想(キリスト教社
会論、新社会主義、オルド自由主義など)が、時代ごとの社会
状況・経済状況とあいまって実際の諸制度の形成・展開に与
えた影響に関心がある)。②ドイツの社会保障制度の生成と
略歴:秋田県出身。明治大学法学部法律学科卒業、東北大
展開に関する研究。③2000年代以降のドイツ福祉国家の展開
学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。日本学術
(「福祉国家」から「規制国家(制御国家)」への転換に関す
振興会特別研究員、東京大学大学院人文社会系研究科特任
る議論)に関する研究。
研究員、立教大学コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学
科助教を経て、2014年より現職。
専門分野:倫理学、社会哲学、応用哲学、死生学
私はこれまでジョン・ロールズ(1921-2002)というアメリカ
の道徳・政治哲学者の研究を学部以来続けてきました。ロー
長らく東京生まれ東京育ちでしたが、佐賀県での6年間の
勤務を経て、日本の様々な地域に対する興味と関心が深まり
ました。高崎での勤務を機に、関東への理解をあらためて深
めたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
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地域政策研究センターニュース 第 4 号
■ 刊行物
地域活性化への新たな視点
『イノベーションによる地域活性化』
イノベーションの創造には「人と人との新たなネットワーク形成」、
「知識と知識の予測不能
な結び付き」を促す仕掛けが となる。本書は地域活性化を導くプライベートセクターとパブ
リックセクターにおけるイノベーションのメカニズムについて、10の事例から検証する。
・高崎経済大学地域政策研究センター 編 ・日本経済評論社 ・2013年3月刊行
新たな「ふるさと」が見えてくる。
『群馬の再発見』地域文化とそれを支えた産業・人と思想
「産業遺産」
「歴史的景観」
「地域遺産」
「民族文化」の側面から、群馬独自の文化とそれらの
遺産や保存の意義、そして先人の築いた群馬に根ざした各種の文化や遺産の事例とその意
義・特性などについて考察した。
・高崎経済大学地域政策研究センター 編 ・上毛新聞社 ・2012年3月刊行
「地域政策学とは何か」
『地域政策学事典』
「地域政策学とは何か」という問いを初学者にもわかりやすく解説。地域政策学の骨格で
ある「基本政策」、必須キーワード「基礎知識」、分野別に整理された「個別領域」により、学問
を体系的に示す。
・増田 正/友岡 邦之/片岡 美喜/金光 寛之 編著 ・高崎経済大学地域政策研究センター 編
・勁草書房 ・2011年3月刊行
事務局よりお知らせ
ホームページのリニューアルについて
地域政策研究センターでは、2 014 年 4月にホームページの
リニューアルを行いました。今後は、本学ホームページのコンテ
ンツの一つとして、情報発信を行ってまいります。
詳細については、当センターサイトをご覧ください。
http://www.tcue.ac.jp/c-kenkyu/
■ 編集後記 ■
センターニュース第 4 号を発刊いたしましたので、皆様のもとにお届け申し上げます。
これまでセンターニュースは年 1 回のみの発刊としておりましたが、今年度から年 2 回の発刊をめざすことになりました(今年度
の後半に第 5 号を発刊予定です)
。
また第 3 号で予告いたしましたように、当センターのホームページを全面的にリニューアルしました。公開講演会、地域政策セ
ミナー、研究出版プロジェクト、ラジオゼミナール、受託研究など、種々の情報を迅速かつ分かりやすく発信して参ります。
今後とも皆様のご支援の程、何卒宜しくお願い申し上げます。
地域政策研究センター長 佐藤 徹(地域政策学部 教授)