グローバルな従業員安全管理 日産自動車㈱ CEO オフィス 亀井 類 チーフセキュリティーオフィサー 安全管理のグローバル化 日産自動車(以下、日産)では、 「グローバル」 の主要拠点があるアジア、北米などと、ルノー の主要拠点がある欧州、アフリカ、南米などには、 それぞれ、その国のセキュリティ責任者がいる。 を単に日本から海外に進出しビジネスするとい 日産、ルノーどちらの従業員でも、駐在・出張 うことではなく、グローバルでマネジメントす などで緊急事態が発生した場合には、その国の ることと捉えている。これは 1999 年のルノー セキュリティ責任者が安全管理を実施する。 とのアライアンスが始まって以降、カルロス・ ゴーンが明確に方向性を示したことである。 緊急時の会社指示は One Voice 日産とルノーの自動車販売台数合計は世界第 緊急時には、日産とルノーで統一した One 4位。グローバルで 42 の生産拠点を有し、日 Voice(同一内容での情報発信)の緊急出張禁止 産だけでカバーできない国・地域もルノーと連 や制限を徹底している。One Voice の最終決定 携してカバーしている。経営が日本中心から外 は日本で行うが、ルノーおよび日産の3つの 資系のグローバルなマネジメントになり、 駐在・ リージョンと調整をするため、時差の関係で若 出張も日本人中心から、母国外で活動している 干の時間を要する。しかし、同じ国にいながら 従業員全員が対象となった。また高リスクな国 出身国によって受ける指示が違わないようにす への事業進出が増加し、リスクも多様化した。 ることが重要である。 24 時間対応のセキュリティ体制 緊急国外避難の場合、社内基準に基づいて判 断するが、従業員の出身国によって政府通達が 日産のグローバルセキュリティ体制は、 「ア 違う場合、ある出身国の従業員のみ避難する ジア」 「アメリカ」 「欧州・アフリカ・中東・イ ケースがある。そのような場合には、その違い ンド」の3リージョン制であり、各リージョン が出る理由を透明性を持って従業員に周知する にはセキュリティ責任者がいる。グローバルの ことが重要である。 責任者は私だけだが、全てを日本がコントロー ルするのではなく、リージョン単位でマネジメ ントしている。たとえば、メキシコでの緊急時 従業員安全管理諸施策 1.一元化した出張者管理システム には、初動はメキシコとアメリカのリージョン 日産とルノーでは、世界各国の提携旅行代理 で自律的に対応し、24 時間対応ができる体制 店からの出張者情報を一元化した「出張者管理 を敷いている。 システム」を構築している。緊急時の初動の対 また日産とルノーの連携も行っている。日産 30 Kamei, Rui 2014年10月号 象者の把握や第一報は、このシステムを活用す
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