「風」を事業に変える - とうほう地域総合研究所

福
CONTENTS
福島の進路
2
2008.9
№313
【しんろ】
「風」を事業に変える
㈱グリーンパワー郡山布引 代表取締役社長
4
C
O
N
T
E
N
T
S
三保谷
明
【マンスリーレポート】
県内経済は、生産活動が一進一退、公共工事、雇用情勢
等の悪化とともに、原油を始めとする原材料価格高騰の
影響が様々な業態に及び、悪化傾向にある。
12
【調 査】
最近の県内新設住宅の着工状況について
18
【講 演】
日本経済の展望と課題
∼ 踊り場にきた日本経済の先を読む ∼
株式会社日本総合研究所 副理事長
25
高
橋
進
【トピックス】
2
上海便りò
∼ 上海の経済成長とともに増加する上海日本人学校の生徒数 ∼
福島県上海事務所
27
齋
藤
康
【トピックス】
第3回うつくしまものづくり大賞
福島県 商工労働部 産業人材育成課
29
【私の研究】
予防医学からみた健康と産業の連携の視点
神
田
秀
幸
福島県立美術館長
酒
井
哲
朗
元福島県立博物館 学芸課長
懸
田
弘
訓
渡辺健寿法律事務所 弁護士
渡
辺
健
寿
東北税理士会須賀川支部 税理士
益
子
秀
一
福島県立医科大学医学部衛生学É予防医学講座 講師
33
【美を訪ねて】
第70回
38
《野兎と鐘》
【福島の祭り】
第23回
41
バリーÉフラナガン
日山の祭り
【企業法務セミナー】
株主総会の決議の瑕疵について
43
【税務É財務相談 Q & A 】
減価償却制度について
47
地方経済天気図
50
主要経済指標
しんろ
「風」を事業に変える
■
三保谷 明(みほや
㈱グリーンパワー郡山布引
代表取締役社長
[J−POWER電源開発株式会社
「風」を事業に変える
地球温暖化をはじめとする環境問題への社会的
関心が高まりを見せるなか、 CO 2 を排出しない
あきら)
風力事業室長]
山市:65,980 kW)」が運転中であり、田村市並び
に双葉郡川内村において新たに「桧山高原風力発
電所(28,000 kW)」を建設準備中です。
クリーンな再生可能エネルギーであり、また、資
源の乏しい日本にとっては貴重な純国産エネル
国内最大出力の郡山布引高原風力発電所
ギーでもある風力発電に期待が集まっています。
郡山市において2007年2月に運転を開始した国
J−POWERは、多くの水力É火力発電所、
内最大出力の郡山布引高原風力発電所を紹介しま
送電線の建設、運転É保守で永年培った技術Éノ
す。
ウハウをフルに活用し、環境にやさしい風力発電
<発電所の概要>
事業を積極的に展開しています。
所
これまでに日本の大規模ウィンドファームの草
在
地:郡山市湖南町赤津字西岐
発電所出力:65,980 kW
分けである「苫前ウィンビラ発電所(北海道:
発 電 設 備:2,000 kW ×32基
30,600 kW)」をはじめとして、多くの風力発電所
1,980 kW ×1基
の建設É運営に取組んでおり、現在、建設中も含
ロータ直径71m
めて、国内外12件(約32万 kW )のプロジェクト
風車製作者:エネルコン社(ドイツ)
を手掛けております。
発生電力量:約12,500万 kWh
ここ福島県においては、国内最大出力のウィン
ドファームである「郡山布引高原風力発電所(郡
郡山布引高原風力発電所
2
■
福島の進路 2008.9
ロータ取付高64m
(約35,000世帯分の年間消費電力量)
CO 2 削減効果:約53,000トン- CO 2 /年
発電所位置図
しんろ
事 業 会 社:㈱グリーンパワー郡山布引
(電源開発㈱100%出資)
開 発 工 程:2005年5月
工事開始
2007年2月
運転開始
<発電所の特徴>
郡山布引高原風力発電所は、福島県のほぼ中央、
猪苗代湖の南約10㎞に位置する会津布引山(標高
1,082m)を最高地点とした標高1,000m前後のな
だらかな台地上の布引高原に立地しています。布
磐梯山、猪苗代湖と風力発電機
引高原の広さは約230×(東京ドーム49個分)と
広大な敷地であり、年間を通じて豊かな風況に恵
まれており、風力発電事業に適した地形です。
であり、環境影響評価手続きを実施し建設É運転
平成12年に風況調査を開始して以来、地元行政
を開始した国内初の風力発電所です。約2年間に
や地権者による大きな協力、支援により発電所の
亘り発電所周辺の環境調査を実施し、環境影響評
立地ができました。台地上の高原には広大な農地
価書を公告しました。幅広い環境要素について調
が広がり、高原の気候を生かした布引ダイコンや
査し、環境への影響を最小限にする計画としまし
キャベツの栽培が盛んですが、このような農業地
た。
域における大規模風力発電所は、国内でも珍しい
風力発電機に最大級の大型機を採用することで
設置基数を減らすとともに配電線を全長埋設とし
ケースです。
て地上構造物を極力少なくし、景観への影響を低
減しました。発電所から連系点変電所まで約10㎞
の送電線は、景観への配慮から茶色に着色された
コンクリート柱を採用しました。
また、農業生産活動との共存を図るため、風力
発電機を可能な限り高原内の道路に接するように
配置しました。
建設工事期間中も農業生産活動が行われていた
ため、資材置場を最小限に抑え、組立工程に併せ
て部品を搬入する「ジャストÉインÉタイム」方
ダイコン畑と風力発電機
また、発電所周辺は磐梯山や猪苗代湖といった
豊かな自然と観光資源に恵まれています。風力発
式を採用しました。
おわりに
風力発電については、国内で、2007年度末時点
電所の運転開始を契機に「郡山布引“風の高原”
」
で総設備容量、約167万 kW の導入が図られており
として整備が進められ、2007年は、ゴールデン
ますが、2010年度までに300万 kW という国の導入
ウィークから降雪までの半年間で約20万人の観光
目標が掲げられています。J−POWERでは、
客が訪れており、自然エネルギーに関する情報発
風力発電導入拡大に少しでも貢献できるよう、新
信や理解促進が期待されます。
たな地点開発É調査を進めており、これらの実現
<環境への配慮>
に向けて今後とも積極的に事業を展開してまいり
本発電所は福島県環境影響評価条例の対象事業
ます。
福島の進路 2008.9
■
3
マンスリーレポート
マンスリーレポート
県内経済は、生産活動が一進一退、公共工事、雇用情勢
等の悪化とともに、原油を始めとする原材料価格高騰の
影響が様々な業態に及び、悪化傾向にある。
1.平成20年6月の県内経済
消費動向をみると、大型小売店販売額は、全店舗ベースでは5ヵ月連続で前年を上回った。乗用車
新車販売は、大型、中小型乗用車がともに前年を上回ったものの、軽自動車が2桁台の減少となり全
体では2ヵ月連続で前年を下回った。生産活動は、外需に支えられた一般機械、輸送用機械などの業
種は堅調であるが、増勢基調に一服感がみられる。投資動向をみると、公共工事は、県および市町村
などからの発注減により、件数が3ヵ月連続、請負金額が2ヵ月連続でともに前年を下回った。建築
着工(民間É非居住用)は、棟数が3ヵ月連続、床面積および工事予定額がともに2ヵ月連続でいず
れも前年を下回った。新設住宅着工戸数は、貸家、給与住宅がともに増加したものの、持家、分譲住
宅がともに減少し、全体では2ヵ月ぶりに前年を下回った。雇用情勢は、新規求人倍率、有効求人倍
率がともに8ヵ月連続で前年を下回るなど悪化している。
〔消費動向〕 減少:大型小売店販売額(全店舗)は、婦人服などの衣料品や身の回り品などが全体的に低
調だったものの、飲食料品の伸びに支えられ5ヵ月連続で前年を上回った。乗用車新車販売は、大型乗
用車、中小型乗用車は増加に転じたものの、軽乗用車が2桁台の減少となり、全体では2ヵ月連続で前
年を下回った。消費者物価指数は、10ヵ月連続で前年を上回った。個別企業の販売動向をみると、家電
量販店は、デジタルカメラ、携帯電話、洗濯機などは引き続き低調だったが、薄型テレビ、エアコンは
堅調、 DVD レコーダー、冷蔵庫などは動きがみえ始め、全体では前年並みの水準で推移した。ホーム
センターは、家庭用品、園芸用品などが堅調で全体ではほぼ前年並みの水準で推移した。旅行取扱額は、
燃油特別付加運賃の高騰などから国内、海外旅行がともに伸び悩みの傾向が強まった。
〔投資動向〕 減少:公共工事は、県ならびに市町村などからの発注減少により件数が3ヵ月連続、請負金
額が2ヵ月連続でともに前年を下回った。5月の建設着工(民間É非居住用)は件数が3ヵ月連続、床
面積および工事予定額が2ヵ月連続でいずれも前年を下回った。新設住宅着工戸数は、貸家および給与
住宅が増加したものの、持家および分譲住宅がともに減少し全体では2ヵ月ぶりに前年を下回った。
〔生産活動〕 一進一退:5月の鉱工業生産指数(季節調整済指数)は、108.9(前月比+1.8%)と2ヵ月
ぶりに前月を上回った。原指数では、101.6(前年同月比+1.3%)と2ヵ月連続で前年を上回った。大
口電力販売量は、増加基調(前年同月比+7.6%)で推移した。
〔企業倒産〕 悪化:倒産件数が16件となり9ヵ月連続で2桁台の高水準となった。また、倒産金額は2ヵ
月連続で前年を大幅に上回るなど、依然悪化増勢基調で推移した。
〔金融動向〕 低調:6月末の預金残高は16ヵ月連続で前年を上回った。貸出金残高は18ヵ月連続で前年を
下回った。
〔雇用動向〕 悪化:新規求人倍率、有効求人倍率がともに8ヵ月連続で前年を下回った。また、季節調整
値でみた新規求人倍率は1.01倍と平成15年11月(1.03倍)、有効求人倍率は0.72倍と平成16年4月
(0.71倍)の水準まで低下した。
4
■
福島の進路 2008.9
マンスリーレポート
県内経済動向の概要
項
消費動向
投資動向
生産活動
企業倒産
金融動向
雇用動向
良化
目
平成20年4月
5
月
6
月
前年同月比 前 月 比 前年同月比 前 月 比 前年同月比 前 月 比
大型小売店販売額(全店舗)
乗用車新車登録台数
消費者物価指数(総合)
公共工事前払保証取扱保証請負金額
建設着工棟数(民間É非居住用)
新設住宅着工戸数
鉱工業生産指数(総合) 注1
大口電力販売量
企業倒産件数
企業倒産金額
預
金
貸
出
金
有効求人倍率(パート含む)
注2
新規求人倍率(パート含む)
注2
良化傾向にあるがほぼ横這い
注1:季節調整済。
悪化傾向にあるがほぼ横這い
−
−
−
−
悪化
注2:季節調整値。
2.県内経済動向
―― 消 費 動
福島県大型小売店販売額(全店舗)
(%)
20
(前年同月比伸び率)
合計
向 ――
百貨店
スーパー等
大型小売店
6月の県内大型小売店の販売額は、
10
婦人服などの衣料品や化粧品、バッグÉアクセサ
リーなどの身の回り品が全般的に低調に推移した
0
ものの、飲食料品の伸びに支えられ全店舗ベースで
184億97百万円(前年同月比1.7%増)となり5ヵ月
連続で前年を上回った。しかし、既存店ベースでは
、
−10
同1.3%減となり3ヵ月連続で前年を下回った。
業態別に内訳をみると百貨店は、主力の婦人服
などの衣料品、身の回り品、家庭用品などが全般
−20
1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6
的に低調に推移し合計で31億78百万円(同3.5%
減)となり10ヵ月連続で前年を下回った。
19年
スーパーは、衣料品、身の回り品などが全般的
に低調だったものの、主力の飲食料品の伸びによ
り合計で153億20百万円(同2.8%増)となり5ヵ
20年
(資料:経済産業省)
福島県乗用車新車登録台数推移
(台)
20,
000
台数
前年同月比(右目盛)
(%)
20
月連続で前年を上回った。
乗用車販売
6月の乗用車新車登録台数(軽乗用
15,
000
10
10,
000
0
車含)は、合計で5,764台(前年同月比3.5%減)
となり2ヵ月連続で前年を下回った。車種別でみ
ると、大型乗用車は753台(同8.7%増)、主力の
中小型乗用車は2,869台(同3.4%増)となり、と
もに2ヵ月ぶりに前年を上回った。一方、軽乗用
5,
000
−10
車は2,142台(同14.5%減)となり2ヵ月連続で
前年を下回った。
6月の乗用車中古車登録台数(軽自動車は名義
変更を含む)は、合計で9,393台(前年同月比4.1
%減)となり4ヵ月連続で前年を下回った。車種
0
−20
6 7
8
9 10 11 12 1 2 3 4 5
19年
6
20年
(資料:福島県自動車販売店協会)
福島の進路 2008.9
■
5
マンスリーレポート
別にみると大型乗用車は2,737台(同5.6%減)と
4ヵ月連続、中小型乗用車は3,544台(同8.6%減)
福島県中古車販売台数推移
(台)
20,
000
台数
と13ヵ月連続で、ともに前年を下回った。軽乗用
車は3,112台(同3.0%増)となり2ヵ月ぶりに前
年を上回った。
消費者物価指数
(%)
20
前年同月比(右目盛)
15,
000
10
10,
000
0
6月の消費者物価指数は、総合
指数(福島市、平成17年=100)でみると、ガソ
リン価格の高騰、生活必需品などの値上がりによ
り、103.3(前月比+0.5 ポイ
ント )となった。前年同月
ポイ
比では+3.0 ポイ
ント となった。上げ幅が3.0 ント 台に乗る
5,
000
−10
大幅なものとなり10ヵ月連続で上昇した。
費目別の指数動向をみると、「食料」で105.0
(前月比+0.3
ポイ
ント
)と7ヵ月連続、「光熱É水道」
「交通É通
で112.7(同+2.1 ポイ
ント )と4ヵ月連続、
「家具É
信」で106.5(同+2.4 ポイ
ント )と2ヵ月連続、
家事用品」で97.0(同+0.2 ポイ
ント )ならびに「教養É
0
−20
6 7
一方、「被服及び履物」で104.8(同△2.1 ポイ
ント )
と4ヵ月ぶり、
「保健医療」で98.0(同△0.2 ポイ
ント )
と3ヵ月連続で、ともに前月を下回った。
「住居」
9 10 11 12 1 2 3 4 5
19年
6
20年
(注)軽自動車は名義変更台数含む
資料:›日本自動車販売協会連合会 福島支部
›全国軽自動車販売協会連合会
福島県消費者物価指数
娯楽」で97.9(同+0.3 ポイ
ント )と2ヵ月ぶりで、い
ずれも前月を上回った。
8
(総合指数 平成17年=100)
104
104
福島県
全国
103
103
10
2
102
は100.2、「教育」は102.4で前月と変らなかった。
家電量販店
6月の売上は、携帯電話、デジタル
10
1
101
カメラ、洗濯機などは引き続き低調だったが、薄
型テレビ、エアコンは堅調、 DVD レコーダー、
10
0
100
冷蔵庫などは動きがみえ始め、全体では前年並み
99
99
の水準で推移した。
ホームセンター
6月の売上は、家庭用品、DIY
98
98
2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6
商品、園芸用品などが堅調、商品単価の引き上げな
どもあり全体ではほぼ前年並みの水準で推移した。
旅行
19年
6月の旅行取扱額実績は、海外団体以外の
海外個人、国内個人ならびに団体が前年を下回り、
伸び悩みの傾向が強まった。
高速道路
20年
(資料:総務省統計局)
福島県高速道路出入交通量
(千台)
5,
000
交通量合計
(%)
88
前年同月比(右目盛)
6月の県内自動車道通過台数は3,316,854
台(前年同月比5.1%減)となり3ヵ月連続で前
年を下回った。路線別にみると、東北自動車道
(白河 IC∼国見 IC)は2,027,325台(同5.2%減)、
66
4,
000
44
3,
000
22
磐越自動車道(磐梯熱海 IC∼西会津 IC)は
446,913台(同7.0%減)となり、ともに3ヵ月連
続、磐越自動車道(いわき三和 IC∼郡山東 IC)は
2,
000
227,647台(同3.0%減)と2ヵ月連続、常磐自動
車道(いわき勿来 IC∼常磐富岡 IC)は614,969台
1,
000
(同4.3%減)と8ヵ月連続で、いずれも前月に引
0
き続き全路線で前年を下回り、減少幅も拡大した。
福島空港
6
■
6月の福島空港国内定期路線の利用状
福島の進路 2008.9
00
-2−2
-4−4
-6−6
5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5
19年
(資料:東日本高速道路㈱東北支社)
6
20年
マンスリーレポート
況は、32,877人
(前年同月比10.1%減)
となり9ヵ
月連続で前年を下回った。路線別にみると、札幌
福島空港国内定期路線の利用客数推移
(人)
60,
000
利用客数
便は11,120人(同2.6%減)と10ヵ月連続、大阪
(%)
30
前年同月比(右目盛)
20
便は17,736人(同8.3%減)と6ヵ月連続、沖縄
便は4,021人(同13.2%減)と2ヵ月連続で、い
ずれも前年を下回った。一方、国際便の利用状況
40,
000
10
は5,023人(同11.5%減)となり7ヵ月連続で前
0
年を下回った。路線別にみると上海便は107人
(同92.4%減)となり5ヵ月連続で前年を下回っ
−10
20,
000
た。ソウル便は4,916人(同15.2%増)となり5ヵ
−20
月連続で前年を上回った。
−30
0
―― 投 資 動
公共工事
向 ――
6月の公共工事前払保証取扱は、件数
で561件(前年同月比26.0%減)、請負金額で173
億92百万円(同34.7%減)、保証金額で68億67百
2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6
19年
20年
(資料:福島県商工労働部空港交流課)
福島県公共工事請負金額(前払保証取扱)推移
(百万円)
30,
000
請負金額
万円(同32.8%減)となった。件数は県および市
(%)
100
前年同月比(右目盛)
町村などの発注減少により3ヵ月連続で前年を下
回った。請負金額についても、県および市町村な
どの発注減少により2ヵ月連続、保証金額は3ヵ
50
20,
000
月連続でともに前年を下回った。
0
平成20年1月から平成20年6月までの累計は、
件数で前年同期比519件減少し1,987件(前年同期
10,
000
−50
比20.7%減)、請負金額で同174億26百万円減少し
729億76百万円(同19.3%減)、保証金額で同62億
27百万円減少し281億25百万円(同18.1%減)と
−100
0
なった。半年間の動きでは、件数、請負金額、保
証金額がいずれも前年を大きく下回る結果となっ
6
7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5
6
19年
20年
(資料:東日本建設業保証㈱)
ている。
主な発注者別の年間累計請負金額は、国で前年
同期比40億72百万円増加し176億51百万円(同
30.0%増)となっている。一方、厳しい財政事情
から公共事業費の抑制が続く県で同171億94百万
(棟)
300
福島県着工建築物推移(民間・非居住用)
300
300
棟数
棟数前年同月比(右目盛)
床面積前年同月比(右目盛)
250
250
225
200
円減少し210億35百万円(同45.0%減)、市町村で
同63億5百万円減少し243億79百万円(同20.5%
減)となっている。
設備投資
5月の建築着工(民間É非居住用)の
棟数は117棟(前年同月比39.4%減)となり3ヵ
200
150
150
100
150
7550
100
0
0
月連続で前年を下回った。床面積は50,870㎡(同
76.3%減)、工事費予定額は69億14百万円(同
56.9%減)となり、ともに前月より減少幅が拡大
し2ヵ月連続で前年を下回った。
6月の建築物確認件数(計画変更を除く)は、
931件(前年同月比10.0%減)となり4ヵ月連続
(%)
50
−50
-75−100
0
−150
5 6 7
8
9 10 11 12 1 2 3 4
19年
5
-150
20年
(資料:国土交通省)
福島の進路 2008.9
■
7
マンスリーレポート
で前年を下回った。建築物別にみると、1∼3号
建物(一定規模以上の建築物が対象)で187件
福島県新設住宅着工戸数推移
(戸)
2,
000
着工戸数
(同27.2%減)、4号建物(小規模な木造É非木造
住宅などが対象)で744件(同4.2%減)となり、
ともに4ヵ月連続で前年を下回った。「構造計算
(%)
80
前年同月比(右目盛)
参考:全国の前年同月比(右目盛)
1,
500
40
1,
000
0
適合性判定合格件数」は前月比19件増加し32件と
なった。
建築物着工の先行指標である6月の建築物申請
件数は、926件(同8.7%増)となり5ヵ月ぶりに
前年を上回った。建築物別にみると、1∼3号建
500
−40
物で175件(同20.5%減)となり5ヵ月連続で前
年を下回ったが、4号建物では751件(同18.8%
0
-80−80
増)となり4ヵ月ぶりに前年を上回った。「構造
計算適合性判定申請件数」は前月と同数の26件と
なった。
住宅建設
7
8
%減)となり、ともに2ヵ月ぶりに前年を下回っ
3
4
5
6
19年
20年
福島県鉱工業生産指数(全国、東北との比較)
(季調済 平成12年=100)
120
福島県
年を下回った。利用関係別にみると、「持家」は
577戸(同6.3%減)、「分譲住宅」は28戸(同80.1
2
(資料:国土交通省)
6月の県内新設住宅着工戸数は、1,000
戸(前年同月比7.8%減)となり2ヵ月ぶりに前
9 10 11 12 1
東北
全国
115
た。一方、「貸家」は375戸(同15.4%増)と2ヵ
月ぶり、
「給与住宅」は20戸(同566.7%増)と2ヵ
110
月連続で、ともに前年を上回った。
105
―― 生
鉱工業生産指数
産 活 動 ――
5月の鉱工業生産指数は、季節
調整済指数でみると108.9
(前月比+1.8%)となり
2ヵ月ぶりに前月を上回った。原指数は、101.6(前
年比+1.3%)となり2ヵ月連続で前年を上回った
。
100
5
%)、輸送機械工業で120.9(同+9.0%)となり
7 8
9 10 11 12 1 2 3 4
5
20年
※全国値及び東北値は「平成17年=100」とする確報値を掲載
(資料:福島県企画調整部統計調査課)
上昇および低下した主な業種別(季節調整済指
数)では、一般機械工業で135.4(前月比+13.5
6
19年
福島県業種別鉱工業生産指数の推移
(%)
30
(原指数前年比)
9業種が上昇した。
一方、金属製品工業で98.2(同△24.1%)、木
15
材É木製品工業で44.6(同△8.0%)、窯業É土石
製品工業で82.5(同△5.9%)となり9業種が低
下した。
化学
0
6月の食品包装フィルム用合成樹脂の生産
は、国内外からの好調な受注を背景に前年を上回
−15
鉄鋼
る高水準で推移した。金属代替プラスチックや炭
素繊維などについても、堅調な生産となった。6
月の酸化チタン(白色顔料、自動車用塗料向け)、
バリウム化合物(電子部品原料)および電子材料
の生産などは前年をやや下回る水準で推移した。
8
■
福島の進路 2008.9
非鉄金属
金属製品
−30
4 5
6 7 8
9 10 11 12 1 2 3 4
19年
(資料:福島県企画調整部統計調査課)
5
20年
マンスリーレポート
鉄鋼・金属
6月の伸銅品の生産は、自動車向け
端子材は前年をやや上回る水準で、半導体向け電
福島県業種別鉱工業生産指数の推移
(%)
50
(原指数前年比)
子材は前年をやや下回る水準で推移した。建機用
は、海外
(中国、オーストラリア、中央アジア等)
から鉱物資源用などの受注により前年をやや上回
る生産となった。車両用は、新幹線および JR 中
央線É京浜東北線の更新需要および台湾、ドバイ
25
0
など海外からの受注により引き続き好調に推移し
た。陸上プラント用バルブ部品は原子力関連など
の需要増加、船舶用バルブ部品も好調な受注を背
−25
一般機械
景に前年並みの水準で推移した。
輸送用機械
6月の自動車用鋳造品の生産は、国
精密機械
輸送機械
−50
内は一服状態、海外は北米市場でやや持ち直し、
東南アジアや中南米向けなどの輸出は引き続き好
調で前年を上回る高水準で推移した。
電気機械
4 5
9 10 11 12 1 2 3 4
5
20年
(資料:福島県企画調整部統計調査課)
6月の電熱炉、回転機は好調、変圧器、
配電盤、回転機などの生産は、前年を下回る水準
6 7 8
19年
福島県業種別鉱工業生産指数の推移
(%)
50
(原指数前年比)
で推移した。
情報通信機械
6月の携帯電話中継局用マイクロ
波通信機器の生産は、アジアÉ中近東(インド、
トルコ等)などからの受注が堅調で前年をやや上
回る水準で推移した。衛星通信機器関連、OA 関
連機器の生産は、前年並みの水準で推移した。
電子部品・デバイス 6月の LSI(大規模集積回
路)の生産は、産業機器、通信、携帯電話向けな
どがやや低調だったものの、主力の AVÉゲーム
機É家電向け、パソコンÉOA 向け、車載品など
が好調に推移し、全体では前年並みの水準で推移
25
0
−25
電気機械
情報通信機械
電子・デバイス
−50
4 5
した。
精密機械
6 7 8
9 10 11 12 1 2 3 4
5
19年
6月の医療用内視鏡の生産は、安定し
(資料:福島県企画調整部統計調査課)
た需要から前年を上回る水準で推移した。デジタ
ル一眼レフカメラ用レンズは、前年並みの水準で
推移した。
紙・紙加工品
20年
福島県生コンクリート出荷実績
(ã)
200
(%)
20
出荷量
前年同月比(右目盛)
6月の段ボールの生産は、前年並
みの水準で推移した。感熱紙は前年をやや下回る
150
10
100
0
水準で推移がノーカーボン紙、インクジェット紙
の生産は、前年を上回る水準で推移した。
窯業・土石
6月の生コンクリート出荷量は、民
需É官公需が引き続き低迷し全体で110,778Á
(前年同月比17.8%減)となり8ヵ月連続で前年
−10
50
を下回った。
増加地区は民需ではショッピングセンター新築
工事や工場新築工事などによる相双地区、会津地
区、官公需では高速道路工事や河川工事などによ
る県北地区、会津地区、白河地区となった。
0
−20
6 7
8 9 10 11 12 1 2 3 4 5
19年
6
20年
(資料:福島県生コンクリート工業組合)
福島の進路 2008.9
■
9
マンスリーレポート
木材・木製品
5月の素材(丸太など)の入荷量
は、20,187Á(前年同月比4.2%減)、販売量は
福島県5市場の製材品入荷量推移
(ã)
10,
000
入荷量
19,330Á(同8.7%減)となり、ともに4ヵ月連
続で前年を下回った。一方、製材品(合板など)
前年同月比(右目盛)
200
県内材の前年同月比
(右目盛)
県外材の前年同月比
(右目盛)
8,
000
の入荷量は、2,441Á(同12.9%減)、販売量は
1,966Á(同19.9%減)となり、ともに12ヵ月連
(%)
250
150
6,
000
100
続で前年を下回った。
5月の木造戸数は、新設住宅着工戸数896戸の
50
4,
000
うち、592戸(木造率66.1%)となった。
清酒
6月の清酒移出数量は、1,346Å(前年同
0
2,
000
−50
月比5.8%減)となり4ヵ月連続で前年を下回っ
た。
−100
0
タイプ別では、特定名称酒(吟醸酒É純米酒É
本醸造酒)で451Å(同3.2%増)となり3ヵ月連
続で前年を上回った。一方、一般酒(特定名称酒
3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4
19年
20年
(資料:福島県農林水産部)
以外の酒)で895Å(同9.7%減)となり4ヵ月連
続で前年を下回った。
化合繊織物
5
福島県清酒課税移出数量推移
(k
l)
4,
000
6月のナイロンの生産はダウンジャ
課税移出数量
(%)
20
前年同月比(右目盛)
ケット(表地)向けを中心に前年を下回る水準で
推移した。ポリエステルの生産についても、紳士
3,
000
10
2,
000
0
1,
000
−10
服、婦人服の裏地向けを中心に前年を下回る水準
で推移した。
ニット
6月のニットは、消費者の買い控え傾向
から、受注É生産は低調な水準で推移した。
大口電力
6月の大口電力販売量は、607百万È/h
(前年同月比7.6%増)となった。
主な販売先を業種別にみると、「電気機械」で
129百万È/h(前年同月比2.7%増)、「非鉄金属」
で128百万È/h(同39.9%増)、「化学」で57百万
È/h(同1.9%増)、「輸送用機械」で63百万È/h
(同8.2%増)、「一般機械」で31百万È/ h (同
0.03%減)、「紙Éパルプ」で30百万È/h (同4.6
%減)となった。
―― 企
企業倒産
−20
0
5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6
19年
20年
(資料:福島県酒造組合)
(106kw/h)
650 650
福島県大口電力使用量
(%)
2020
販売量
前年同月比
(右目盛)
業 倒 産 ――
6月の企業倒産(負債総額10百万円以
上)における倒産件数は、16件(前年同月比33.3
600
1515
600
1010
550
55
550
%増)となり9ヵ月連続での2桁台となった。負
債金額でも、スキー場経営会社の大型倒産が発生
00
500
500
したことから74億5百万円(同166.9%増)とな
り大幅な増加となった。
平成20年1月から6月までの累計は、倒産件数
で前年同期比21件増加し90件(前年同期比30.4%
増)、負債金額で同373億16百万円減少し504億44
10
■
福島の進路 2008.9
-5−5
450
-10
−10
450
4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5
19年
(資料:東北電力福島支店)
6
20年
マンスリーレポート
百万円(同比42.5%減)となった。
県内企業の倒産状況は、件数では平成19年10月
以来9ヵ月連続で2桁台を続けるなど高水準にあ
る。負債金額の面でも前年同期比での減少は、昨
福島県企業倒産(負債総額10百万以上)件数・金額推移
(億円)
160
160
年4月に発生した負債金額が6百億円を超えるパ
チンコ店の大型倒産発生の反動減によるもので、
100
100
倒産主因の内訳は、受注É販売不振14件、設備
投資失敗1件、その他1件となった。業種の内訳
金額
20
15
8080
10
6060
は、建設業5件、製造業、小売業でともに4件、
4040
運輸É通信業2件、サービス業1件となった。地
2020
区別は、県北7件、会津6件、県南3件となった。
(件)
25
件数(右目盛)
140
140
120
120
依然悪化増勢傾向になっている。
656
5
00
0
2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6
―― 金 融 動
資金需要
向 ――
19年
県内金融機関(全国銀行、第二地銀、
信用金庫、信用組合の県内店舗分)の6月末の預
金残高は、6兆3,556億円(前年同月比1.8%増)
となり16ヵ月連続で前年を上回った。貸出金残高
は、3兆7,799億円(同0.6%減)となり18ヵ月連
続で前年を下回った。
保証協会
6月の保証承諾は、件数で1,134件
(前年同月比17.2%減)、保証金額で126億10百万
円(同9.9%減)となり、ともに5ヵ月連続で前
年を下回った。一方、代位弁済は、件数で75件
(同36.4%増)と前月に引き続き大幅な増加とな
り5ヵ月連続で前年を上回った。金額は、4億33
百万円(同4.3%減)となり4ヵ月ぶりに前年を
下回った。
20年
(資料:帝国データバンク福島支店)
福島県民間金融機関預金・貸出金
(億円)
80,
000
(%)
4
預金
貸出金
預金前年同月比
(右目盛)
70,
000
貸出金前年同月比
(右目盛)
2
60,
000
0
50,
000
−2
40,
000
−4
30,
000
6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6
19年
20年
(資料:日本銀行福島支店)
―― 雇 用 動
雇用動向
向 ――
6月の新規求人数(原数値)は、9,680
人(前年同月比18.4%減)となり8ヵ月連続で前
年を下回った。一方、新規求職申込件数(原数値)
は、9,865件(同6.6%増)となり2ヵ月ぶりに前
年を上回った。
新規求人倍率(季節調整済、パート含)は、
1.01倍(前月比0.08 ポイ
ント 低下)となった。原数値は
0.98倍(前年同月比0.30 ポイ
ント 低下)となり8ヵ月連
続で前年を下回った。有効求人倍率(季節調整済、
パート含)は、0.72倍(前月比0.04 ポイ
ント 低下)と
なった。原数値は0.64倍
(前年同月比0.16 ポイ
ント 低下)
となり8ヵ月連続で前年を下回った。
(倍)
1.
60
福島県求人倍率
(学卒を除きパートを含む季節調整値)推移
新規求人倍
平成19年
平成20年
有効求人倍
平成19年
平成20年
1.
40
1.
20
1.
00
0.
80
0.
60
1
2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12
20年
(資料:福島県労働局職業安定部)
福島の進路 2008.9
■
11
調
査
最近の県内新設住宅の着工状況について
はじめに
県内の新設住宅着工状況は、個人所得の伸び悩み、雇用情勢の悪化さらには原油É資源価格高騰に
よる景気後退懸念の高まりと金利先高観の後退などから厳しいものとなっている。また、耐震強度偽
装事件の発覚を受けて、再発防止のため構造計算を再チェックする「構造計算適合性判定」などを導
入した「改正建築基準法」が施行されて1年が経過した。建築確認事務手続きなどの面で遅れが生じ、
住宅着工が全国的にも下振れしたとされる。
本稿では、各種統計資料をもとに、改正建築基準法施行後の県内住宅着工の状況をまとめてみた。
2
ò
1.改正建築基準法について
1
ò
県内の建築確認申請件数は減少傾向
平成19年4月からの県内建築物申請件数の推移
建築基準法の主な改正点とはなにか
「建築基準法」は、昭和25年に制定された建築
をみると、構造計算適合性判定を必要とするマン
ション、オフィスビル、工場等(1∼3号建築物)
は、改正建築基準法の施行直後の平成19年7月に、
物についての基本的な法律である。
住宅、マンション、事務所などすべての建物の
前年同月比65.7%減と大きく落ち込んだ。もとも
構造、設備É用途等ならびに敷地、道路との関係
と弱い地合いであったが、その後も8月で同37.8
等について詳細な規定を有し、時代の要請に合せ
%減、9月で37.7%減となり3ヵ月連続して前年
その都度改正されてきている。
を大きく下回った。
平成19年6月の改正建築基準法の主な変更点は
2階建等の小規模住宅など(4号建築物)につい
次の通りである。
ても同様の動きとなり、7月に前年同月比36.3%
改正建築基準法の主な変更点
○一定の高さ以上の建築物について指定機関による
構造計算書の2重チェック(ピュアチェック)の
義務付け
木 造:高さ13m超または軒の高さ9m超
鉄筋コンクリート造:高さ20m超
鉄骨造:地階を除く階数が4以上
など
○3階建以上の共同住宅について中間検査の義務付
け
○建築確認審査期間を従来の21日から35日に変更
(最大70日)
構造計算適合性判定が義務化されていない木造
減と大きく落ち込み、その後も、8月で同21.5%
減、9月で24.7%減、10月で30.4%減となり4ヵ
月連続して前年を大きく下回った。
建築物確認申請件数は年末にかけて減少分の反
動増の動きもみられたが、平成20年に入り、個人
所得の伸び悩み、食料品など生活必需品の価格上
昇による家計圧迫、原油を始めとする原材料価格
高騰による景気不透明感の増大などから、減少傾
向を強めてきた。
12
■
福島の進路 2008.9
調
査
建築物(1∼3号)の申請件数推移
(資料:国土交通省、当経済研究所作成)
建築物(4号)申請件数推移
(資料:国土交通省、当経済研究所作成)
2.県内の新設住宅の着工戸数について
1
ò
なる2桁台の大きなものとなり厳しい状況となっ
た。
平成19年の年間新設住宅着工戸数は大幅減
利用関係別にみると、「持家」が前年比588戸減
県内の年間新設住宅着工戸数は9年連続して減
の6,271戸(同、△8.6%)、「貸家」が同472戸減
少していたが、平成18年に13千戸台を回復し10年
の4,413戸(同、△9.7%)、「給与住宅」が同25戸
ぶりに前年を上回った。
減の20戸(同、△55.6%)、「分譲住宅」が同270
しかし、平成19年の県内の年間新設住宅着工戸
戸減の1,017戸(同、△21.0%)、うち「マンショ
数は、前年比1,355戸減の11,721戸(前年比、△
ン」が同144戸減の521戸(同、△21.7%)となっ
10.4%)に止まり、再び前年を下回るなど低迷し
た。いずれの利用関係別でも前年を下回る低調な
た。減少幅は、平成9年(同、△19.5%)以来と
結果となった。
福島の進路 2008.9
■
13
調
査
県内新設住宅着工戸数の推移
総
計
持
家
貸
家
給
与
分
譲
(戸)
前年比
(%)
(戸)
前年比
(%)
(戸)
前年比
(%)
(戸)
前年比
(%)
(戸)
前年比
(%)
(戸)
前年比
(%)
平成18年
平成19年
13,076
11,721
1.7
▲10.4
6,859
6,271
4.1
▲8.6
4,885
4,413
▲3.3
▲9.7
45
20
12.5
▲55.6
1,287
1,017
9.4
▲21.0
665
521
1.8
▲21.7
19年1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
911
726
929
1,076
830
1,085
960
868
892
947
1,151
1,346
▲24.3
▲15.7
35.2
▲23.6
▲29.1
▲12.1
▲11.4
▲22.5
▲7.5
▲10.7
▲4.5
25.0
438
407
469
668
481
616
489
480
546
545
484
648
1.4
▲1.5
6.3
▲9.5
▲28.4
▲3.8
▲17.1
▲24.5
▲9.3
▲6.7
▲18.1
24.6
421
285
262
301
270
325
412
320
261
359
574
623
▲23.6
▲26.4
26.0
▲48.5
▲15.9
▲38.8
30.0
▲22.3
▲13.3
▲1.6
20.6
44.5
0
0
0
10
2
3
1
0
0
2
0
2
▲100.0
▲100.0
−
900.0
100.0
−
▲95.0
▲100.0
▲100.0
100.0
−
−
52
34
198
97
77
141
58
68
85
41
93
73
▲76.1
▲43.3
421.1
14.1
▲56.3
120.3
▲63.1
21.4
46.6
▲63.1
▲32.6
▲42.1
8 ▲94.9
8
−
155
−
62
34.8
46 ▲65.2
102
−
0 ▲100.0
32
300.0
51
−
0 ▲100.0
57 ▲39.4
0 ▲100.0
20年1月
2月
3月
4月
5月
1,000
913
882
825
896
9.8
25.8
▲5.1
▲23.3
8.0
412
371
543
472
498
▲5.9
▲8.8
15.8
▲29.3
3.5
528
311
225
331
259
25.4
9.1
▲14.1
10.0
▲4.1
4
18
1
1
48
−
−
−
▲90.0
2300.0
56
213
113
21
91
7.7
526.5
▲42.9
▲78.4
18.2
0 ▲100.0
160 1900.0
52 ▲66.5
0 ▲100.0
72
56.5
うちマンション
(資料:国土交通省)
2
ò
改正建築基準法施行後からみた年間の新
設住宅の着工状況
る月も増加し減少幅は縮小傾向にあるものの、弱
含みの推移となっている。
平成19年6月に改正建築基準法が施行されてか
利用関係別にみると、「持家」が前年同期比522
らの1年間(平成19年6月∼平成20年5月)の県
戸減の6,104戸(前年同期比△7.9%)、
「分譲住宅」
内新設住宅着工戸数は、前年同期(平成18年6月
が同115戸減の1,053戸(同、△9.8%)、うち「マ
∼平成19年5月)比453戸減の11,765戸(前年同
ンション」が同84戸減の526戸(同△13.8%)と
期比△3.7%)となった。今年に入り前年を上回
なり、いずれも前年同期比で下回った。
福島県新設住宅着工戸数推移
(資料:国土交通省)
14
■
福島の進路 2008.9
調
査
一方、「貸家」が同156戸増の4,528戸(同、+3.6
県内新設住宅の一戸あたりの平均床面積は、国
%)、
「給与住宅」が同28戸増の80戸(同、+53.8
土交通省発表の「平成19年建築着工統計の概要」
%)となり、いずれも前年同期比で上回った。
によると、「持家」で136.2㎡、「貸家」で45.6㎡、
最近1年間の新設住宅着工戸数は、「持家」お
「給与住宅」で86.2㎡、
「分譲住宅」で99.2㎡であ
よび「分譲住宅」での戸数減少を「貸家」と「給
る。持家の一戸あたりの平均床面積からみると貸
与住宅」での戸数増加で下支えする推移となって
家が約3割、給与住宅が約6割、分譲住宅が約7
いる。
割に止まっている。
着工戸数は「貸家」および「給与住宅」で増加
3.着工床面積と県内景気への影響
新設住宅の着工床面積の増減は、着工戸数の増
減とともに県内景気に大きな影響を与える。
したがって、新設住宅着工床面積の動きは、
「福島県景気動向指数」において、景気動向にお
おむね先行して推移する「先行系列(福島県:8
傾向にあるが、一戸あたりの床面積の大きな「持
家」と「分譲住宅」での着工戸数の減少が全体の
着工床面積減少につながり県内景気への下押し要
因ともなっている。
2
ò
平成19年6月以降の着工床面積と工事費
予定額
改正建築基準法施行後の1年間(平成19年6月
∼平成20年5月)の県内新設住宅着工における全
系列)」の1つに位置付けられている。
体の床面 積は、前年同 期比で88,985㎡減 少し
1 「持家」は一戸あたりの床面積で「貸家」
ò
の約3倍
利用関係別にみると、「持家」が同81,695㎡
一戸あたりの平均床面積は、利用関係別にみる
と大きな差異がある。
1,141,399㎡となった。
減の826,252㎡、「分譲住宅」が同13,745㎡減
の104,751㎡となり、減少着工床面積は合計で
県内新設住宅着工床面積の推移
(資料:国土交通省、当経済研究所作成)
福島の進路 2008.9
■
15
調
査
95,440㎡となった。
一方、戸数面では増加した「貸家」が同5,482㎡
内新設住宅着工戸数は、前年同期比で453戸の減
少である。
増の206,080㎡、「給与住宅」が同973㎡増の4,316㎡
1年間の減少住宅着工戸数453戸に194万円を乗
となり、増加着工床面積は合計で6,455㎡に止
じて平成19年6月以降の1年間の個人消費減少金
まった。
額を算出すると、8億7,882万円となる。したがっ
国土交通省発表の「平成19年建設着工統計の概
要」によると、全国の居住専用住宅における木造
の1㎡当りの工事費予定額は15.6万円、非木造の
て耐久消費財購入額と引越費用ベースでは、前年
同期比で約9億円程度下回ったと試算される。
購入する比率の高い品目上位10位
1㎡当りの工事費予定額は17.7万円で、木造、非
順位
木造の全体の平均1㎡工事費予定額は16.5万円で
1
カ
ン
72.0%
14.3万円
ある。
2
ルームエアコン
59.9%
22.9万円
3
照
57.0%
9.1万円
じゅうたん、カーペット 54.0%
3.6万円
これを基に平成19年6月以降の1年間の工事費
4
予定額減少金額を試算すると、県内の利用関係別
5
全体の減少床面積は88,985㎡、全国の居住専用住
6
宅(木造、非木造)1㎡当り平均工事費予定額は
16.5万円であることから146億8,253万円となる。
したがって平成19年6月以降の1年間の工事費予
定額ベースでは、前年同期比で約147億円程度下
7
品
目
ー
テ
明
器
比
具
応 接 セ ッ ト
率
平均購入金額
50.7%
13.4万円
ベッド、ソファーベッド 45.2%
12.7万円
40.7%
11.2万円
ビ
39.3%
17.0万円
9
植木、観葉植物
35.7%
5.3万円
10
ふ
33.6%
5.9万円
8
ダイニングセット
テ
レ
と
ん
(資料:平成15年度公庫融資利用者に係る消費実態調査より)
回ったと試算される。
3
ò
個人消費への影響
個人が一生のうちに購入するものの中で、最も
4.まとめ
高額な買物とされるのが住宅新築É購入である。
県内経済は、生産活動が一進一退、公共工事、
一般的に、住宅新築É購入の際には、カーテン、
雇用情勢等の悪化傾向とともに、原油を始めとす
照明器具、電化製品などが新調されることが多い
る原材料価格高騰の影響が様々な業態に及び、悪
といわれる。
化傾向にある。県内の住宅市場を取り巻く環境に
住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)発表の
「平成15年度公庫融資利用者に係る消費実態調査」
によると、住宅建築É購入の際の1世帯当り耐久
消費財購入額は、平均で173.4万円となっている。
ついても、個人所得の伸び悩み、景気先行き不透
明感の高まり、企業倒産の高水準での推移などか
ら厳しさを増している。
なお、耐震偽装発覚を受けての各種法整備とし
また、住宅新築É購入における引越費用について
て、すでに施行された「改正建築基準法」以外に、
は平均で20.6万円となっている。住宅新築É購入
建築物安全確保や消費者保護の観点からの法律の
の波及効果は、平均耐久消費財購入額と引越費用
施行が今後予定されている。
のみの合計でも194万円になる。
平成18年12月に公布された「改正建築士法」が
平成19年6月に改正建築基準法が施行されてか
本年11月に一部施行され、平成21年5月には新た
らの1年間(平成19年6月∼平成20年5月)の県
に創設された構造設計一級建築士ならびに設備設
16
■
福島の進路 2008.9
調
査
計一級建築士による設計、法適合確認の義務付け
については、構造計算適合性判定が義務化されてな
が開始される。
く(建築基準法第6条の3)、4号特例とされる。
か
し
さらには、瑕疵担保責任の実効性確保のため、
新築住宅の売主や請負業者(不動産業者É建設業
者)に、年間の住宅供給戸数に応じて増加する供託
金や保険への加入を義務付ける「住宅瑕疵担保履
行法」が平成21年10月から施行予定となっている。
県内の新設住宅着工を始めとする建築物着工は、
現在でも弱含みで推移していることから、今後の
法律の施行にあたり、綿密な関連情報等の周知徹
底が望まれる。
É新設住宅…住宅の新築(旧敷地以外への移転を含
む。)、増築、改築によって住宅の「戸」が新たに造
られるもの。
É「戸」とは…居室、台所、便所など独立して居住で
きるよう設備された1棟または区画された建物の一
部をいう。したがって、アパートやマンションは1
棟1戸でなく、1棟の中にいくつかの「戸」が存在
する。
É工事種別
新築…既存の建築物のない新たな敷地に建築物を建
(担当:白石)
てる工事をいう。
増築…既存の建築物のある敷地内において、床面積
の合計が増加する工事をいう。
<用語の説明>
改築…建築物の全部または一部を除却し、または災
É構造計算が必要な1∼3号建築物と4号建築物の特例
害等によって消滅した後に、用途、規模、構造の
一般に、建築物が1号∼4号建築物と表現される
著しく異ならない建築物を建てる工事をいう。従
場合、これは建築基準法の第6条の何号に該当する
前のものと著しく異なる時は、新築または増築と
ものかによる。
なる。
建築基準法第6条は以下の建築物は確認を受けな
É利用関係別
ければならないとしている。
持家…建築主が自分で居住する目的で建築するもの。
1号は「特殊建築物でその用途に供する部分の床面
貸家…建築主が賃貸する目的で建築するもの。
積の合計が100㎡を超えるもの」を、
給与住宅…会社、官公署、学校等がその社員、職員、
2号は「木造の建築物で3以上の階数を有し又は延
べ面積が500㎡、高さが13mもしくは軒の高さが9
mを超えるもの」を、
教員等を居住させる目的で建築するもの。
分譲住宅…建売または分譲の目的で建築するもの。
É建て方
3号は「木造以外の建築物で2以上の階数を有し、
一戸建…1つの建物が1住宅であるもの。
又は延べ面積が200㎡を超えるもの」を、
長屋建…2つ以上の住宅を1棟に建て連ねたもので、
4号は「前3号に掲げる建築物を除く、都市計画区
各住宅が壁を共通にし、それぞれ別々に外部への
域等内の建築物」と規定している。
出入口を有しているもの。「テラス・ハウス」と呼
したがって、1号∼3号建築物とは、不特定多数
の人が利用する特殊建築物(映画館、病院、ホテル、
ばれる住宅もここに含まれる。
共同住宅…1つの建築物(1棟)内に2戸以上の住
共同住宅、学校等)や一定規模の建築物(工場、倉
宅があって、広間、廊下もしくは階段等を全部ま
庫等)が該当する。
たは一部共用するもの。
4号建築物は、木造の建築物で2階建以下É延べ
床面積500㎡以下、木造以外の建築物で平屋建É延
べ床面積200㎡以下が該当する。現在、4号建築物
Éマンション…利用関係別で「分譲住宅」、構造別で
「鉄骨鉄筋コンクリート+鉄筋コンクリート+鉄骨」、
建て方別で「共同住宅」のもの。
福島の進路 2008.9
■
17
講
演
講演
日本経済の展望と課題
∼踊り場にきた日本経済の先を読む∼
■
高橋
進(たかはし
すすむ)
株式会社日本総合研究所
副理事長
本日は、日本経済のお話をさせていただきます
年の半ばごろまでは高い経済成長を持続していた
が、この1年間ぐらいをみてみますと、日本経済
アメリカに投資され、とくにサブプライムローン
を動かしてきたのは実は日本ではなく、世界経済
(信用格付けの低い個人向けの住宅ローン)の証
なのです。去年、サブプライム問題が起きてから
券化商品に世界中のマネーが流入しました。しか
というもの、原油価格の上昇、ドルの暴落、アジ
しながら、昨年後半に住宅バブルの崩壊によって、
ア株の乱高下等々、世界でいろいろなことが起き
サブプライムローンの延滞増加とそれに伴うサブ
て、それがばらばらに日本経済に影響を与えてい
プライムローン証券化商品の価格暴落が起こりま
るようなイメージですが、実は違います。恐らく
した。これによって、マネーのアメリカ離れが起
根幹は一つではないかという気がします。そこで、
こり、それによるドル安傾向が続いています。こ
まずその辺のお話から入らせていただければと思
のため、原油市場や資源市場、穀物市場、あるい
います。
はアジア市場などの新たな市場に過剰流動性が投
1.日本経済を取り巻く環境
1
ò
世界のマネーフロー
機資金となって流入しているのが現在の市場動向
といえます。
2
ò
世界経済の見通し
まず初めに、世界のマネーフローをみますと、
次に、マネーフローによるアメリカの実体経済
現状はマネーが余っている状況、すなわち「過剰
への影響についてみますと、住宅部門の不振に加
流動性」の状態であるといえます。この要因を挙
え、原油É原材料価格の上昇、サブプライムロー
げますと、一つ目が過去10年間に世界の中央銀行
ン問題に端を発した不良債権の増加と銀行の貸し
が実施した金融緩和策があります。二つ目が昨今
渋りがアメリカ景気の下押し要因として挙げられ
の原油高で産油国に蓄積したオイルÉマネーが挙
ます。一方で、ドル安による輸出の増加と減税政
げられます。三つ目が中国などの新興国で輸出が
策が景気の下支え要因となるため、アメリカ経済
大幅に伸びたため、外貨準備高が急激に増えたこ
は、下支え効果が期待される年内は1%を下回る
とがあります。そして、この過剰流動性資金は昨
程度の成長率で推移するものとみられますが、来
18
■
福島の進路 2008.9
講
演
年前半に再び下降することが懸念されます。
こうした状況下で、中国やインド、ロシアなど
の新興国では、内需拡大を背景にして高成長が続
いており、アメリカ経済とデカップリング(非連
動性)の動きがみられています。従いまして、輸
出を牽引力にここ数年間成長を続けてきた日本経
済は、どの程度新興国向けの輸出を伸ばせるのか
が今後の動向を決める鍵になるといえます。
2.日本経済の現状
以上のような世界経済の動向を受けて、日本経
済の現状をみると、内需が回復感に乏しい状態が
も円高になれば、その分相殺してくれます。です
から、国内経済にとっては、今は円高が望ましい
ということだと思います。
続いているものの、新興国を中心にした旺盛な外
ちなみに、日本の輸出入額のうち、どの程度ド
需を背景に輸出が伸びたため、実質 GDP 成長率
ル建てで決済されているのかをみますと、輸出が
では2008年1−3月期は前期比年率で4.0%伸び
約40兆円、輸入が約55兆円となり、輸出で受け取
ています。一方、日銀短観の業況判断DIをみま
るドルよりも、輸入で払っているドルの方が多い
すと、製造業、非製造業とも下降傾向を辿ってお
ということです。ですから、ドル安円高になると
り、日本企業の景況感は悪化しているものとみら
いうことは、このドル建て輸入額が輸出額より多
れます。さらに、景気ウォッチャー調査をみます
い分が助かるということですから、日本経済にとっ
と、消費者マインドも悪化していることが分かり
ては円高の方がいいということになります。
ます。こうしたことから、日本経済の現状を一言
加えて、円高ドル安といいますが、実は円高で
で言うとすれば、輸出の下支えでかろうじて成長
はないということです。確かに、ドルが下がって
を保っているということです。
いますから、円高になっていますが、他の通貨と
では次に、日本経済の動向に影響を与える項目
比べると円は決して高くありません。これを他の
についてみていきます。
通貨との交換比率を総合的に勘案した実質実効為
1
ò
替レートでみますと、円はいまだに歴史的に極め
為替相場の動向
一つ目は為替相場ですが、最近は円高傾向にあ
て安い水準です。ですから、円の輸出競争力は決
ります。新聞はすぐに円高というと「円高不況」
して落ちていないということがいえます。例えば、
といって大変だといいます。なぜならば、海外に
人民元やユーロに対して円は安いわけですから、
輸出している企業は円高になると価格競争力が落
輸出という意味では、ヨーロッパや中国に輸出す
ちるからです。ところが、内需型産業や輸出など
るときには日本の競争力は落ちていないというこ
をしていない中小企業にとっては、円高の方がい
とになります。
いのです。なぜかといえば、これだけ原油価格や
そこで、地域別の輸出をみますと、アメリカ向
資源価格が上がっているときに円安になれば、そ
けは伸び悩んでいますが、中国É香港や EU、そ
の分だけ余計に原油É原材料価格の負担が大きく
の他の地域で非常に伸びています。なお、その他
なります。しかし、原油É原材料価格が上がって
の地域には、ロシアや南アフリカなどの新興国が
福島の進路 2008.9
■
19
講
演
含まれています。
そして、その他の地域向けの輸出を品目別寄与
うしたことから、ドル安を敬遠して金融市場から
逃避した資金が原油市場に投機資金として流れて
度でみますと、輸送機械の割合が非常に大きく
いるという構図がお分かりいただけると思います。
なっています。まさにこれは日本の自動車産業が
では、ドルはなぜ下落するのでしょう。これは
アメリカ以外の国に輸出をして、それで日本の輸
やはり、アメリカ経済が弱くなってきたというこ
出を支えているということだと思います。これだ
とが一番の要因になっていると思います。アメリ
け円高ともいわれ、アメリカ経済が下降している
カ経済は、多分1年ぐらいは回復しないでしょう。
といわれていますが、その他地域向けに日本の輸
ということであれば、ドル安はまだ1年ぐらい続
出、特に自動車が伸びているということが、日本
くということで、原油É原材料価格も1年ぐらい
の景気を支えてくれているのです。
はまだ上がり続けるということになると思います。
2
ò
原油É原材料価格の動向
二つ目は、原油É原材料価格の高騰です。まず、
原油É原材料価格高騰による所得の海外流出を
私どもで試算したところ、2008年度で約17兆円が
原油É原材料価格高騰の要因を考えますと、背景
輸入代金の増加分として日本から産油国などの海
は三つに整理できると思います。
外に出ていくことが予想されています。日本の
第一は需要の増加です。中国やインドなどの新
興国が急成長を遂げておりますので、原油あるい
GDP は500兆円ですから、このままでは GDP は
3%以上も下押しされることになります。
は原材料、食糧に対する需要が供給以上に高まっ
さらに考えなくてはいけないのは、この海外に
ていることが価格上昇に繋がります。そして第二
流出する金額を日本国内で誰が負担するのかとい
には、供給能力です。例えば、原油は過去10年以
うことで、価格転嫁の問題です。そこで、私ども
上にわたって全然需要が増えませんでした。です
がこの価格転嫁について調査したところ、家計の
から、中東の油田などで新しいものが開発されて
負担増になるのは2割ぐらいで、あとの8割は企
おらず、アメリカの製油所なども設備が相当古く
業が負担しなければならないということが予測さ
なっています。つまり、需要が増えても、それに
れています。特に、価格交渉力の弱い中小企業や
対応する供給能力が現状ではないということです。
消費者に近い川下の企業ほど値上げができないと
第三が投機資金の流入です。これは先ほどお話し
いうことだと思います。また、この企業負担によ
しましたように、最初はアメリカに回っていたお
る企業収益への影響を調査したところ、経常利益
金がアメリカに行かずに、原油市場などに入って
が前年比で2割ぐらい減少するものと思われます。
いくようになったということです。つまり、マ
3
ò
ネーフローの変化が、投機資金となり、原油É原
材料価格を押し上げているわけです。
物価の動向
三つ目は物価の上昇です。私どもの消費者物価
の予測では、年内に前年比で1.5%を上回る水準
原油É原材料価格高騰の要因を三つ並べました
まで上がるとみております。そして、その後も原
が、足元だけで見ると一番影響しているのは投機
油価格高騰が続くので、なかなか物価上昇率は前
資金だと思います。ここで、ドル相場と原油価格
年比で1%を切るようなところまでは下がってい
を比べてみますと、ドルの名目実効為替レートが、
かないでしょう。しかし、日本の場合は海外の諸
ここ10年ぐらいでどんどん下落している一方で、
国と違って物価がどんどん上がっていくという展
原油の先物価格が上昇基調で推移しています。こ
望にもなっていません。これは、実は日本は賃金
20
■
福島の進路 2008.9
講
演
が上がらないということです。インフレのときに
すから、個人消費は低調に推移することが予想さ
は物価が上がるだけではなく、賃金も一緒に上が
れます。特に、車社会でガソリンの消費支出に占
り始めます。そうすると、手の付けられないイン
めるウエートが高い地方や、食料品の消費割合が
フレになっていきます。しかし、日本は複合的な
高い低所得層では、所得減少の影響を強く受ける
要因で賃金が上がりません。従って、賃金が上が
ものとみられます。
らないので、恐らく原油É原材料価格が前年比で
5
ò
上げ止まると、日本の消費者物価は上昇幅が下
サブプライムローン問題
がってくると思います。
最後に、サブプライムローン問題です。まず最
初に、サブプライムローン問題がなぜ日本にとっ
ところで、消費者物価を費目別にみますと、上
ても問題なのかということを申し上げたいと思い
昇しているのは食品や石油製品、光熱費などで、
ます。日本の金融機関もサブプライムローン問題
下降しているのは家具É家電となっております。
で大きな損失を出してはいますが、現在の金融機
こうしたことから、比較的高額な家具É家電が消
関の体力と比べると、それほど大きな金額ではな
費者物価全体を押し下げて、前年比で1.5%超の
いので、金融システムが揺らぐということではな
上昇に留めているものとみられます。しかしなが
いのです。また、アメリカ経済が下降しています
ら、購入頻度でみると、家具É家電は、数年に一
が、日本の輸出はそれ以外の地域で伸びています
度ぐらいしか購入しないでしょうが、値上りして
から、これもそんなに大きな問題ではありません。
いる食品やガソリンは日常的に購入しますので、
では、何が最大の問題なのかというと株価に尽
消費者が感じている物価上昇は1.5%よりはるか
きるのではないかと思います。サブプライム問題
に高いのではないかと思われます。
でアメリカの株価が下がると、日本の株価が一緒
4
ò
に下がり、場合によってはアメリカ以上に下がり
所得の動向
四つ目は、所得の動向ですが、企業収益が足元
ます。問題は、アメリカの株価がちょっと持ち直
で悪化していますので、それに伴って、まずボー
しても、日本の株価が反応しないということです。
ナスが減ると思います。特に、今年冬のボーナス
サブプライム問題が続く限りは日本の株価が上が
はかなり前年を割り込むのではないかという懸念
らないということが、日本経済にとって一番苦し
をしています。
い状況ではないかと思います。
従って、消費者にとっては物価が上がる中で、
そこで、シミュレーションをしてみると、サブ
賞与を中心に所得が減少するということになりま
プライム問題が起きる前の日本の株価は日経平均
で約1万8000円で、これが1000円下がる毎に、実
質成長率が0.1ポイント押し下げられます。です
から、これまでに0.5%ぐらい成長率が押し下げ
られた計算になります。従いまして、サブプライ
ム問題が続いているうちは、日本の株価は上がら
ず、経済成長率も押し下げられる状況が続くので
はないかとみております。
6
ò
まとめ
ここで、今まで申し上げた日本経済の動向を総
福島の進路 2008.9
■
21
講
演
括いたしますと、今後の日本経済は景気後退とは
好業績が中小企業や家計、地方に波及していない
申しませんが、調整色が強まっているものといえ
ことです。
ます。なぜ景気後退ではなく、景気調整かといい
こうした格差は、小泉改革によって引き起こさ
ますと、私どもの2008年度国内経済成長率見通し
れたという考え方もありますが、実は最近のこう
は前年度比1.7%とマイナスにはなっておらず、
した格差は日本だけで起きているわけではなく、
プラス成長を見込んでいるからです。
世界中で起きておりまして、その背景にある一番
但し、この1.7%も内訳をみますと、内需はも
大きな要因はグローバリゼーションです。大企業
のすごく弱く、ほとんど0に近い状況が続くので
や製造業は、グローバリゼーションの中でどんど
はないかと思います。では、なぜ内需が弱いのか
ん外に打って出ることができますから、グローバ
と申しますと、要因は二つあります。一つは、原
リゼーションの恩恵を受け、好業績を挙げるとこ
油É原材料価格の上昇が、企業と家計を直撃する
ろも出てきました。ところが、中小企業や非製造
状況が続くということです。二つ目に、サブプラ
業は、グローバリゼーションになると、中国など
イム問題の長期化による世界経済の減速から日本
の新興国から低価格商品がどんどん入ってきます
の株価が低迷することがあります。
から、むしろデメリットを受けてしまいます。
ですから、小泉改革が悪かったのではなくて、
一方で、日本の輸出は新興国向けに伸び続ける
というプラス要因と、住宅着工の反動増が見込ま
改革のやり方が悪かったのです。家計や中小企業、
れることから、何とかマイナス成長にはならない
地方をもっと元気にする政策を構造改革と一緒に
で済むのではないかというのが、私どもの見通し
やらなくてはいけなかったのです。しかし、それ
です。
ができなかったというのが小泉改革の限界なのだ
ところで、成長率には実質と名目があります。
と思います。
先ほど私が申し上げたプラス成長は実質 GDP で
ところで、今後もグローバリゼーションは続く
す。一方の名目 GDP は、物価変動分を削除する
でしょうから、家計や中小企業、地方がグローバ
前の GDP のことですが、2008年度は前年度比
リゼーションの波にどうすれば乗っていけるのか
▲0.2%とマイナス成長となっています。一般に、
について申し上げたいと思います。
私どもが実感として感じるのは、名目 GDP のほ
1
ò
うですから、感覚的には景気後退というべきかも
しれません。
3.日本経済の課題
家計の安心感
一つには家計の安心の確保です。個人消費が伸
びない要因の一つには、年金や介護É医療などの
社会保障制度に対する信頼が落ちて、私ども個人
は所得が減っている以上に将来の先行きに不安を
日本経済は2002年から景気回復を続け、現在に
持ってしまい、必要な消費も控えてしまうという
なって調整局面に差し掛かってきたわけですが、
ことがあると思います。従いまして、個人消費を
この回復局面でどこが恩恵を受けてきたのかと考
増やすには社会保障制度をもう一度立て直して、
えると、実は大企業や製造業です。大企業や製造
国民が将来に抱いている過度な不安感を払拭させ
業はグローバリゼーションの波に乗って、輸出を
ることが第一ではないでしょうか。また、消費税
増やし、世界各地に生産拠点を設けて、業績を伸
率引上げの議論もありますが、家計の所得環境が
ばしてきました。問題は、この大企業や製造業の
低迷している現状では慎重な姿勢で臨むことが必
22
■
福島の進路 2008.9
講
演
要でしょう。
2
ò
中小企業のグローバリゼーション
二つ目は中小企業です。中小企業は体力がない
ので、なかなかグローバリゼーションの波に乗れ
ません。それでも製造業であればアジアに製造拠
点をつくって、グローバリゼーションの恩恵にあ
る程度預かることも可能でしょう。しかし、非製
造業の場合は、海外進出できなかったり、海外の
販売先を見つけることが難しい中小企業が多いの
です。こうしたことから、私は中小企業が今以上
るのです。これからは日本も、1億2000万人とい
に海外進出して、アジア市場を開拓できるような
う単位で経済を考えるのではなくて、1000万人、
サポートを中央政府ではなくて地方自治体がもっ
3000万人といった単位で経済を考えていかなけれ
とやるべきではないかと思います。
ば、日本全体がよくならない時代になってきたと
最近では、一部の地方自治体は自らが海外都市
思います。では、それに必要なものは何かといえ
と提携して、人と物の交流を活発化させるなどの
ば、間違いなく地方分権です。よく道州制の議論
事業を始めています。従来こうした事業に取り組
がありますが、これは単に分権せずにくくり方を
んできたのは中央官庁でしたが、地方の時代にお
変えようというだけの話で、中央の支配が続きま
いては、地元のことをよく知る地方自治体自らが、
すからこれでは意味がありません。そうではなく
自分たちの持っている強みを発揮して、グローバ
て、権限を地方に渡してしまうのです。そして、
リゼーションと付き合っていかなくてはいけない
一政令都市だけで道州をつくってもいいし、10の
のです。
県でつくってもいいし、20集まってもいいのです。
つまり、福島なら福島という地域がグローバリ
ゼーションの恩恵をどうやって引き出せるのかと
要は、地方が自分たちで権限を持って動かすとい
うことが必要な時代になってきているのです。
いうことを自ら考えて、初めて地域活性化が実現
今、地方分権改革推進委員会が地方分権改革を
するということです。中小企業も地方自治体の力
推進していますが、激しい中央省庁の抵抗にあっ
を借りて、海外進出に取り組むようになると、地
ています。中央省庁からしてみれば、権限や財源
方でもグローバリゼーションの波に乗ることは可
を手放すのが嫌なのは当然でしょう。しかしなが
能になってくると思います。
ら、地方分権改革を進める上で、地方が自分で責
3
ò
任を取るには、中央から地方に権限と財源を移譲
地方分権
三つ目は、地方分権です。例えば中国でも、北
京や上海の経済成長が取り上げられますが、東北
部などの地方の人たちが何を考えているかという
と、「うちは北京や上海に頼っていても絶対によ
くならない。経済圏が全然違う」ということです。
することが必須であり、私は日本全体にとって非
常に重要な課題であると思います。
4.福島県および東北地方の経済活性化
最後に、福島県および東北地方の経済活性化に
そして、日本など諸外国との連携を強め、外資を
ついて三つお話しさせていただきたいと思います。
取り込むなどして生き残っていくことを考えてい
一つは、アジアを取り込むということです。最
福島の進路 2008.9
■
23
講
演
近は多くの韓国人が福島県のゴルフ場を訪れてい
に食料品価格が上がっていますので、日本の農産
るわけですが、韓国でその理由を尋ねたところ、
物の価格が相対的に下がってきているといえます。
料金が安いというのが最大の理由となっているよ
例えば、日本の米は高価格で、海外米の約5倍の
うです。韓国でゴルフをやる場合、ゴルフ場が少
価格であるといわれていましたが、今は2倍ぐら
ないこともあり、プレー代は1回で3∼4万円、
いまでに価格差が縮まっています。そして、更に
さらに予約料が取られます。それに比べて、福島
国内米の価格が下がって、海外米と同程度になれ
では平日のプレー代が1万円足らずで、平日5日
ば、国内米の品質の高さが海外で評価されて売れ
間で8万円のゴルフツアーÉパッケージというも
るようになる可能性もあります。
のもあるそうです。こうしたことから、福島に来
また、米以外でも、日本の食品は安全É安心だ
て、ゴルフを十二分に楽しんで、温泉にも入って
という考えが世界で定着しており、日本食ブーム
帰るというのが韓国の人たちに人気らしいのです。
も広がっています。こうしたことから、イタリア
アジアを取り込めというと何となくアジアに出
と同じように、日本の農産物を世界に輸出するこ
ていってものを売るということばかりを考えがち
ともできます。また、国内で地産地消を進めるこ
ですが、このように所得が増えてきているアジア
とで、日本の食料自給率を上げていくことも可能
の人たちを日本に呼び込んで、消費してもらうこ
になってきます。そういう意味では、農業という
とにより、国内の消費マーケットを大きくするの
のは日本にとって、特に地方にとっては、非常に
です。これは別に観光だけでなく、農業でもいい
大きな潜在力を秘めた産業ではないかと思います。
わけですが、私は日本経済および地方経済にとっ
農業と食品加工、農業と観光、農業と飲食業、農
て非常に重要なポイントではないかと思います。
業とエネルギーなど、いろいろな組み合わせを通
二つ目のキーワードは省エネÉ省資源というこ
じて、農業が地域経済振興の核になりうる可能性
とです。日本は、資源を持たざる国である一方で、
世界最先端の省エネÉ省資源技術を持っています。
を持っているということです。
以上のことから、福島県および東北地方の場合
今度、福島にも大手自動車部品メーカーの工場が
は、アジアと省エネÉ省資源、農業の三つをキー
建設されるそうですが、大企業が持っている省エ
ワードにして、経済活性化に取り組むことが将来
ネÉ省資源技術を地方にも還元してもらい、地方
に繋がってくるのではないかということを申し上
全体で省エネÉ省資源技術を磨くことができれば、
げて、私のお話を終わらせていただきたいと思い
それを今度は形を変えてアジアに輸出することが
ます。ご清聴、大変ありがとうございました。
できます。中国などの新興国は、今後も高水準の
資源需要国であり続けるでしょうから、日本の省
エネÉ省資源技術は新興国を中心に売れる見込み
が高いということです。
【おことわり】
本稿は、平成20年7月7日に、福島経済同友会、
三つ目が農業です。たかが農業、されど農業で
財団法人福島県産業振興センター、財団法人福島
す。後継者問題などもあって、日本の農業はどん
経済研究所の共催により開催された定期講演会の
どん衰退しています。そして、原油価格の上昇に
要旨を当研究所の文責でまとめたものです。
伴って、燃料価格も上がっていますので、農業経
営は困難な状況が続いています。一方で、国際的
24
■
福島の進路 2008.9
トピックス
2
上 海 便 り ò
∼ 上海の経済成長とともに増加する
上海日本人学校の生徒数 ∼
福島県上海事務所
齋 藤
康(さいとう
やすし)
近年、目覚ましい経済発展を遂げる中国。特に、経済の中心地である上海は、経済成長に比
例し日本からの投資も駐在する日本人数も増加している。現在、上海日本人学校の生徒数は、
世界一の規模に成長した。しかし、その裏側には海外校ならではの悩みもある。
日本人学校とは、日本国外に住む日本人子女を
対象に日本国内の小É中学校と同等の教育を行う
機関を言い、文部科学省から教員が派遣され、通
常課程とされる平日の毎日6時間程度の授業を行
う全日制の学校のことです。
現在、世界中には、50ヵ国É地域に85校の日本
人学校があります。中でも現在最大の規模を誇る
のが上海市の日本人学校です。現在、上海市には
日本人学校浦東校
開設当時の上海総領
事館内の日本人学校
約4,500社の日系企業が進出し、約5∼6万人の
スタートしました。当時、家族を帯同していたの
日本人が住み、短期滞在者を含めれば常時10万人
は総領事館員と日本航空の社員だけでした。初め
の日本人が滞在していると言われています。
は、総領事館の一部屋で、土曜日の午後だけの補
上海の日本人学校は1976年2月に児童数7人で
修授業校でした。補習授業校とは、現地学校での
授業をカバーするものですが、上海での現地学校
では言葉(上海語)が障害となり、授業のほとん
どを日本人学校に頼らざるを得ない状況でした。
“第1次投資ブーム”
(1980年代半ばから89年頃
まで)時は、中国政府の要請を受けた日本企業が
中国国内に投資を開始したため、日本人駐在員と
その家族も増加し、生徒数も12人から82人に増加
しました。“第2次投資ブーム”
(1992年から97年
頃まで)時は、鄧小平の「南巡講話」により上海
の開発が加速したのを受け、輸出型企業が多く進
上海日本人学校虹橋校
出しました。この頃生徒数は82人から408人に増
福島の進路 2008.9
■
25
トピックス
他の国É地域から上海への投資額
加しました。そして、
“第3次投資ブーム”(2000
他にも、日本や現地の景気、現地の政情、日本
年以降)時は、中国の WTO 加盟、オリンピック
企業の現地化促進、進出企業の不振による拠点の
誘致成功等により投資件数、金額も大きく増加し
閉鎖É撤退などが生徒数の激増É激減に直接影響
ました。生徒数も602人から2,597人と大きく増加
するため、学校運営上の不安要素は尽きないようで
し、2006年には従来の虹橋校では手狭になったた
す。さらには、危機管理の面においても、 SARS
め、浦東校が新たに開校しました。
や鳥インフルエンザ、暴動、テロ等日本国内とは
設備も近代的なものとなり、生徒数も増え、一
比較にならないほど不安要素が多く、皆、神経を
見順調に拡大してきたように見えますが、海外の
尖らせています。海外の日本人学校は、そこが外
学校ならではの苦労もあるようです。今年の2月、
国である以上、常に不測の事態と隣り合わせであ
学校で使う教科書が中国当局により通関を差し止
り、子供達を守る数少ない砦の一つなのです。
められるという事件が発生しました。税関当局は
具体的な説明をしていませんが、関係者筋では
“尖閣諸島を日本領と表示していること”が理由
のようです。中国が主張する通り、“尖閣諸島を
中国領に書き換えない限り日本に送り返すつもり
らしい”との噂もありました。
上海日本人学校生徒数推移
∼ 福島空港ニュース ∼
現在、福島空港から、国内便は札幌É大阪É
沖縄、国際便は上海Éソウルの各都市へ就航し
ています。
※上海便情報
福島空港から上海路線を利用し、中国の団体
等と交流É研修を行った場合は、一人当たり
5,000円の助成が受けられます。ぜひご利用下
さい。
上限額:1団体10万円
人
数:1団体5人以上
期
間:7月1日から来年1月末までの利用
(問い合わせ先:福島県空港交流課
024-521-7127)
26
■
福島の進路 2008.9
トピックス
第3回うつくしまものづくり大賞
福島県 商工労働部 産業人材育成課
優れた機能にうつくしいデザインを兼ね備えた「うつくしいものづくり」の理念に基づく製品開発
を促進するとともに、様々な機会をとらえたふくしま発製品の積極的なPRやマッチング、販路開拓
を支援し、売れるものづくりの推進を図るため、
「うつくしまものづくり大賞」を実施します。
第3回の応募を受け付けていますので、ふるってご応募ください。
「うつくしいものづくり」イメージ
Éつくりだすものがうつくしい
Éつくる過程がうつくしい
Éつくる人がうつくしい
Éつくりだされるものによって実現される「暮らし」がうつくしい
1
募集対象
生活文化を向上させる高品質、高機能なうつくしいものづくりを実現した製品とします。
ただし、平成17年4月1日以降に商品化された最終製品とします。(平成17年3月31日以前に商品化
しているが、改良後3年以内の製品も含みます。
)
2
応募資格
県内の事業者(県内に事業所を有する事業者)またはこれらの事業者で構成するグループ
3
うつくしまものづくり大賞
各賞は次のとおりです。
ò
1
大
賞 …………………… 1点
ò
2
優秀賞 …………………… 1点
ò
3
特別賞 …………………… 1点
ò
4
クリエイティブ賞 ……… 数点
①
入賞製品のカタログ及びチラシを作成し、広く配布します。
②
ホームページ「福島県の産業人材育成」において入賞製品や審査講評を公開するとともに、各
種広報媒体を用いて広くPRします。
③
入賞製品をものづくりに関するイベント等で展示公開します。
☆
上記のほか、入賞製品を製作した事業者(または事業者のグループ)は県産業振興センターが
行う支援メニューを活用し、入賞製品の販路拡大を図るなど、新たなビジネスチャンスの創出に
取り組むことができます。
4
審
査
応募製品は、審査委員が次のような視点で審査を行い、総合評価します。
一次審査は書面で行います。二次審査は応募製品について、審査会場でプレゼンテーションしていた
だき、審査委員が実物を見て審査を行います。
※
一次審査を通過した応募製品については、個別にお知らせします。
福島の進路 2008.9
■
27
トピックス
〔審査の視点〕
ò
1 造形的な美しさ。
ò
2 優れた機能の実現。
ò
3 技術É技能の応用。
ò
4
ò
5
5
環境への配慮。
市場可能性。
美学的にデザイン的に「うつくしい」製品であるか。
優れた機能の実現により21世紀の生活文化を向上させる製品であるか。
使われている技術É技能É材料等に地域特性または先端性がある製品
であるか。
環境に配慮した製品であるか。
市場可能性がある製品であるか。
応募方法
ò
1
応募期間
平成20年8月1日(金)∼10月10日
(金)
(消印有効)
ò
2
提出書類等
①
第3回うつくしまものづくり大賞応募申込書
②
応募製品の写真
※
産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)を保有している(または出願中の)場合は、
その証明書(出願中の場合は出願書等)の写しを添付してください。
※
応募製品全体が分かるカラー写真(六ツ切り以上のサイズでA4の台紙に貼り付けたもの)を1
枚、必ず提出してください。また、応募製品の特長を表す写真(A4サイズの台紙に貼り付けたも
の)があれば、併せて提出してください。
※
提出された応募申込書、写真等は返却しません。
※
応募申込書は、下記からダウンロードすることもできます。
Éホームページ「福島県の産業人材育成」
URL http://www.pref.fukushima.jp/syoko/jinzai/05 _ mono/A01.htm
ò
3
提出方法
下記 ò
5 提出先へ郵送してください。
ò
4
応募手数料
応募手数料は無料です。ただし、応募申込書等の提出にか
かる郵送料は応募者負担となります。
ò
5
提出および問い合わせ先
〒960−8670 福島県福島市杉妻町2−16(県庁西庁舎10階)
福島県商工労働部産業人材育成課
電話
FAX
024−521−7300(直通)
024−521−7932
e–mail jinzai @ pref.fukushima.jp
ò
6
留意事項
①
産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)
第2回大賞「光熱フィルター」
に関する責任は応募者が負うものとします。また、特許
権等の侵害など重大な障害があることが判明した場合は
受賞を取り消すことがあります。
②
書類に不備がある場合は、再提出を求めることがあり
ます。また、指定期間内に書類が整わない場合には無効
になることがあります。
6
発表及び表彰
平成21年1月を予定しています。詳細については後日公表
します。
28
■
福島の進路 2008.9
第2回優秀賞「ファーストシューズ」
私の研究
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予防医学からみた健康と
産業の連携の視点
■
神田 秀幸(かんだ
ひでゆき)
福島県立医科大学医学部
衛生学É予防医学講座
講師
1.衛生学É予防医学講座の紹介
ており、労働者や住民をとりまく種々の社会環
境が病気に与える影響について研究を行ってい
衛生学É予防医学講座では、人々の健康や
ます。講座のモットーは「多様性と総合力」と
QOL (生活の質)の向上を目指した研究方針
し、各教室員は、自分の研究テーマを持ち、講
のもと、産業職場でのフィールド調査や地域社
座内での実験や、地域É産業職場でのフィール
会のニーズに対応した予防医学的研究を行って
ド調査、他大学、外国研究者との共同研究など
います。福島哲仁教授の指導のもと、講師2名、
を精力的に行っています。
助手1名、医療技術員2名のスタッフからなる
2.産業医学との関わり
講座です。福島教授は、環境の様々な化学物質、
金属などの物質による生体への影響(健康状態、
研究分野の大きな柱の一つとして産業医学研
中枢神経系、疾病など)について、生化学的な
究があります。当講座内では産業医の資格を有
視点からのアプローチを行っています。早川岳
する者が3名おります。産業医とは、事業場に
人講師は、疫学手法を用いて、健康寿命、認知
おいて労働者が健康で快適な作業環境のもとで
高齢者の QOL に関する研究や、地域ケアの評
仕事が行えるよう、専門的立場から指導É助言
価など地域社会のニーズに対応した研究を行っ
を行う医師を言います。労働安全衛生法に基づ
ています。私は、産業保健、地域保健の両面か
いて、常時50人以上の労働者を使用する事業場
ら、ライフスタイルと健康に関する研究を行っ
では、業種を問わず産業医を選任しなければな
福島の進路 2008.9
■
29
私の研究
りません。我々産業医は産業医学の実践者とし
を労使ともに理解して頂き、具体的で効果的な
て、産業保健の理念や労働衛生に関する専門的
快適職場づくりが出来るような働きかけを行っ
知識に精通し労働者の健康障害を予防するのみ
ています。
ならず、心身の健康を保持増進することを目指
鉄道会社の職場では、運行部門É駅務部門É
した活動を遂行する任務を負います。従って、
点検部門É補修部門É保線部門É指令部門など
産業医活動を通じて労働者の健康管理という点
業務が多岐にわたっています。産業医として職
から、産業界と当講座の接点を見出せるように
場を見回すと、部門ごと、つまり業務内容に
思われます。
よって予想される健康問題も異なっています。
福島教授は県内唯一の労働衛生指導医の役割
例えば、保線部門は線路の状態を確認É点検す
を担い、県内の事業場の視察を通して労働衛生
る役割があります。夏場の保線作業は屋外の直
活動の向上に携わっています。この労働衛生指
射日光に加え線路からの照り返しもあり、熱中
導医は労働衛生に関し学識経験を有する医師の
症対策が欠かせない部門です。水分補給の具体
うちから、厚生労働大臣が任命した者とされ、
的な摂取法の提案やファン付職務服導入の検討
各都道府県労働局が置いています。福島教授は
を、安全衛生委員会を通じて会社および労働組
福島労働局から委嘱された労働衛生指導医とし
合と一緒に協議し、職場での健康リスクを未然
て、県内各地É各業種の事業場を直接現場に赴
に防ぎ、労働現場での疾病の発生を防ぐ職場づ
き視察し、職場の労働衛生É健康管理の実践的
くりを実践しています。また運行部門において、
な指導をしています。
乗務員の健康状態は乗客の皆さんの安全É安心
また私の産業医経験をご紹介します。これま
に関わってくる重要な点です。JR西日本福知
でに県外にて東証一部上場企業の化学工場やラ
山線脱線事故以来、乗務員(特に運転士)の健
ジエーター工場、その他中小企業の産業医の経
康管理は、会社の内外からその重要性を指摘さ
験を有し、実地に産業医学を学んで参りました。
れることが多くなりました。そこで、定期健康
福島医大赴任後、県内の旅客鉄道会社の産業
診断等を通じて、運転士や車掌の身体面だけで
医を担当させて頂くこととなり、現在まで鉄道
なく、睡眠状態やストレス状態などの精神面に
職員の健康管理や職場の安全管理を中心とした
繋がる項目を問うアンケート調査によって、精
活動を行っております。職場巡視結果や健康診
神面の現状の把握を会社と一緒に行い、問題点
断(健診)およびアンケート調査の結果報告を
の洗い出しとその対策を実行しています。実際
安全衛生委員会で行い、職場での健康管理状態
に、この職場でアンケート調査や仮眠室などの
30
■
福島の進路 2008.9
私の研究
職場巡視を行ったところ、乗務員に快適な睡眠
3.市民の健康増進を支援
の確保がさらに必要で、職場における睡眠環境
の見直しを要するという結果を当方がまとめま
した。そこで、労務担当と協力して仮眠室の改
市民の健康増進という点からも、産業界と当
講座の接点があるように思われます。
善や勤務シフトの見直しを行い、以前に比べて
平成20年度から始まる40歳以上を対象とした
快適な睡眠が保てるよう環境整備や時間的な工
特定健康診断É特定保健指導では、保険者に健
夫を実施しました。
診受診の義務が与えられ、企業としては労働者
幸い、私がこれまでの産業医の期間、大きな
事故や災害が無く無事運行できております。読
者のみなさんの会社でも是非産業医を活用して、
の健康管理をより一層積極的に取り組まなけれ
ばならない状況にあります。
これまでに当講座では、市町村や保健所から
労働者のみなさんの健康管理の向上に役立てて
の依頼による保健医療福祉に関する各種調査や
頂けたら幸いです。
事業を積極的に支援し、市民の健康増進支援の
また、事業場内の産業保健スタッフへの専門
一助をなしています。当講座が担当する市町村
的支援活動として、私は福島産業保健推進セン
では、保健担当課と協力して、健診結果の分析
ターの基幹相談員として、県内のあらゆる業種
や有効な事後指導の方策、あるいは地域の風土
の産業保健スタッフからの相談に対応していま
や風習、文化的特性に配慮した保健活動の展開
す。福島産業保健推進センターは、産業保健活
などを行ってきました。我々が大学から実際に
動に携わる方々(産業医、保健師、看護師、衛
現場に赴いて、健康教育や保健講話を行うこと
生管理者、安全衛生担当者等)からの「産業医
もしばしばです。研究室に閉じこもらず、生活
学、メンタルヘルス、カウンセリング、労働衛
者の立場を踏まえた保健活動を行うことが市民
生工学、労働安全衛生法令」に関する相談につ
の健康増進につながるとの信念から、地域に積
いて、専門スタッフが対応するとともに、これ
極的に足を運んでいます。理論的な学問だけで
らの方々に対する研修を実施しています。同セ
なく、実地活動に関する現実的な助言が出来る
ンターは産業保健に係る書籍、ビデオ等の無料
ことは我が講座の特徴です。
の貸出し等も行い、労働衛生の普及啓蒙活動に
産業保健に関連して、県内の医療圏域ごとに
あたっている拠点です。基幹相談員業務を通し
地域É職域連携協議会が設置されており、当講
て、広く県内の産業保健活動の支援を専門的に
座から学識経験者あるいはアドバイザーの立場
行っています。
で参加し、地域と職域の保健事業の有効な連携
福島の進路 2008.9
■
31
私の研究
への提言を積極的に行っています。今後、こう
て、これらの視点に関わる課題に予防医学的示
した地域É職域における生涯を通した健康づく
唆を提供することができるため、これら分野に
りの連携システムを構築し、特定保健指導の
おける相談対応É助言の要望に対応できると思
ニーズにあった情報提供や健康教育を地域と連
われます。予防医学的評価と共に、歴史、地域
携して展開する基盤整備を行っています。
文化や地域産業との関わりなどの社会調査を行
我々スタッフはこれまでの経験から、集団の
い、研究することで、地域にとって意味のある
特徴をとらえ、それぞれの集団にあった保健事
ものになるよう、全般的な相談対応É助言を行
業の効果的な展開のノウハウを有しています。
う用意があります。この分野に関心のある企業
市民の健康増進を支援する立場から、職域や地
のみならず、地域活性化活動に従事している
域の保健事業を支援することが大学の地域貢献
NPO や市町村など自治体等との共同研究を通
の一つとなり得ると考えております。
じて、当講座から必要な知見を提供し協力して、
4.予防医学からみた産学連携の視点
産業医学É産業保健あるいは健康増進の実践に
関する社会の流れを積極的に変えていきたいと
以上述べてきたように、衛生学É予防医学講
考えています。職種や地域の独自の事情に応じ
座では、予防医学からみた産業と健康の連携の
た相談対応É助言や情報交換をする準備があり
視点として、職場の健康管理や衛生管理、そし
ますので、関心がある企業、団体、自治体等の
て市民や労働者の健康増進を目的とした保健指
ご連絡をお待ちしています。
導が挙げられます。産学共同研究の可能性とし
旅客鉄道会社での職場巡視の様子
32
■
福島の進路 2008.9
美を訪ねて
バリー・フラナガン
《野兎と鐘》
ブロンズ350.5×182.9×274.3㎝
1988年 郡山市立美術館蔵
■
酒井 哲朗(さかい
てつを)
福島県立美術館長
福島市
フラナガンと日本
すさと作品の現代性によるものであろうが、こう
バリーÉフラナガンは、日本では野兎の作品に
よって知られるイギリスの彫刻家である。フラナ
してフラナガンの野兎は、日本各地で跳ね回るこ
とになったのである。
ガンの作品が日本で初めて紹介されたのは、1970
年通称東京ビエンナーレと呼ばれ、
「人間と物質」
想像力と技法
をテーマに開かれた第10回日本国際美術展の時で
フラナガンは1966年にセントÉマーチン美術学
あった。この年フラナガンは29歳、まだ野兎の彫
校を優等で卒業して職業彫刻家としての資格を得
刻家ではなく、オブジェを用いたインスタレーショ
た。指導教官はフィリップÉキングであり、その
ンを制作するため来日した。
前にフラナガンは夜間クラスでアンソニーÉカロ
フラナガンが国際的に広く知られるようになった
にも学んでいる。1960年代のイギリス彫刻の主流
のは、1982年のヴェネチアÉビエンナーレ展のイギ
であった先端的な金属抽象彫刻を学んだのである
リス代表に選ばれ、石彫、ブロンズ、陶器、版画な
が、フラナガンはそれ以前にバーミンガム美術工
ど1973年から82年までの作品をイギリス館に展示
芸学校で建築や塑像、鋳像、彫像の基礎技術を修
したことによる。野兎のテーマは、1979年に《跳
得し、建築現場の手伝いや額縁の塗装など手仕事
ねる野兎》がはじめて制作されたが、ヴェネチア
の実体験をもっていた。
には出品されず、公開されたのはこの年西ドイツ
彼の初期のオブジェによるインスタレーション
のカッセルで開かれた「ドクメンタ」展であった。
は、写真を見る限り、現実的な事物を用いて、折
1985年に東京のフジテレビÉギャラリーで「バ
る、包む、重ねる、並べるなどした手業の痕跡の
リーÉフラナガン」展が開かれた。石彫、ブロンズ
顕著なものである。しかし、それらは即物的であ
の彫刻16、版画16、あわせて32点の作品が出品さ
るとともにある種の象徴性を帯びており、この点
れた。この中に野兎の作品は、《三日月と釣鐘の上
でフラナガンは、概念性,視覚性、物質性を純化
を跳ぶ野兎》《仔象》
《鉄床の上でボクシングをす
した60年代の芸術の主流とはかなり異質である。
かなとこ
る大きな野兎》《野兎と壺》の4点が展示された。
もうひとつ注目すべき点は、60年代前半在学中
これを契機にフラナガンの日本での知名度は高
の詩人たちとの交流である。『ユビュ王』で知ら
まった。当時好景気の日本では、公立美術館の建
れるフランスの詩人アルフレッドÉジャリと彼の
設ラッシュ、野外彫刻ブームという社会現象がお
「パタフィジック(想像力による解決の科学)
」に
こっていたが、その中でフラナガンの彫刻、とり
共感し、オックスフォードのセントÉキャサリン
わけ野兎の作品が注目された。テーマの親しみや
ズÉカレッジでの第2回国際実験詩展に参加し、
福島の進路 2008.9
■
33
美を訪ねて
『無声の詩』を発表している。こういったことは、
象作品は、兎、馬、象、クーガ、一角獣などであ
フラナガンが芸術表現において詩的想像力を重視
る。《ウイルミントンの背高のっぽ》や《鉄床の
したことを意味する。フラナガンの芸術は、手仕
上の巡礼者》のように、人間の形象は記号的に抽
事的な技法と詩的想像力の結合であるといえる。
象化され、動物の表現は具象的である。具象と抽
しかし想像力は、技法をさまざまに改変してまっ
象、人間や動物、モチーフ、素材、技法いずれに
たく新しい表現の世界を開示する。
おいても表現の幅が広い。この表現の多様性は、
フラナガンの豊かな想像力の広がりを示すもので、
芸術の特質
伝統的素材や技法を用いながら、まったく新しい
フラナガンは、石彫は抽象になりやすく、ブロ
豊穣な表現の世界を展開している。
ンズは具象になりやすいという。石という堅固な
たとえば《馬とクーガ》(1984É図2)という
素材に技法は従わないわけにはいかない。一方、
作品がある。馬は野兎のすぐ後に現れた主題で、
可塑性に富むブロンズは自由な形象が表現できる。
発端はヴェネチアのサンÉマルコ寺院の入口屋上
日本の個展に出品された石彫は、「carving No1 」
に置かれた4頭の古代の馬である。フラナガンは
という風に技法そのものを題名とし、各作品を数
果敢にも伝統的な古典的主題に挑戦したわけであ
字によって区別する記号的なもので、作品も抽象
るが、その馬に乗るのはクーガである。端正な馬
的である。しかしそのフォルムは、粘土をひねっ
に対して、騎乗するアメリカライオンは、醜悪な
たような堅さよりも柔らかさを感じさせる曲線的
肉づけで凶暴さをあらわにしている。この意表を
な不思議なかたちで、素材の特質を技法によって
ついた結合のしかた、あるいは調和を求めない分
反転している。
裂のままの統合によって、彫刻の新しい時空を出
ブロンズの作品にも、《ウイルミントンの背高
現させている。
のっぽ》(1981É図1)のような、ピカソやミロ
《ウイルミントンの背高のっぽ》にしても、そ
を連想させる立体ドローイングのような作品もあ
の立体ドローイングのような線にただならぬしか
り、素材や技法の特色を利用して多様である。具
けがある。ブロンズを鋳造するときに空気抜きの
図1
34
■
ウイルミントンの背高のっぽ
福島の進路 2008.9
図2
馬とクーガ
美を訪ねて
ために湯道を設けるが、この線は湯道そのものを
野兎のテーマ
示しているようで、ブロンズ技法の楽屋裏そのも
野兎のテーマについて、フラナガンは次のよう
のを見せているかのようだ、と日本展のカタログ
にいう。「…もし人間の姿を通じて情況や意味や
の中で、峯村敏明が指摘している。
感情を伝えることを考えた場合、その表現の幅、
彫刻というものの根元的な条件の問いという点
動物―特に野兎―に人間の属性を帯びさせる場合
で、台座の問題がフラナガンの芸術の特質を明瞭
に比べはるかに限られています。たとえば、その耳
に示すものである。台座は本来彫像を安定させる
は、人間の横目の視線やモデルのしかめっつらよ
ためのものであるが、現代彫刻は作品のみを自立
りもはるかに多くを伝えることができるのです。
」
させて台座を追放した。だが、フラナガンは逆に、
野兎の大きな耳や柔軟な姿態、さらに神話や物
台座の部分を彫刻として自立させ、上に置く彫像
語、絵本を通じて流布している野兎のイメージ、
との関係そのものを作品化した。
愛らしさだけではなく、狡猾、野鄙など、さまざ
こうかつ
や
ひ
日本展に《仔象》(1984É図3)という作品が
まな深層心理的な意味を含めて、野兎のテーマは
出品された。野兎のシリーズに属するが、釣鐘型
多くのことを物語る。人間の属性を帯びさせた野
の帽子のような形状の台の上に玉乗りのように仔
兎、すなわち野兎は人間の化身なのである。
象が乗り、その上に野兎が立っている。野兎に
それだけではない、野兎は鐘、三日月、鉄床、
とっては象が台座に相当するが、仔象はきわめて
ヘルメットなど台座との関係で異なった存在の様
不安定な足場に立っており、この作品の題名は野
態を示す。標題の《野兎と鐘》
(図4)は、鐘の上
兎ではなく、仔象とされている。
を野兎が跳ねているかたちである。野兎は肢体を最
フラナガンにとって台座とは足場であり、彫像
大限に伸ばしきった跳躍の頂点にあり、腹部の一
と足場の不安定な関係が重要な主題である。フラ
点が鐘の上端と接している。鐘は人々に時を告げ、
ナガンはこうして彫刻の条件を問うことを通じて、
出来事を知らせ、注意を促す機能をもつ。そういっ
存在と場、存在のあり方、つまるところ人間の条
た鐘の上を野兎が跳ね、両者は危機的な状況で結
件を問うのである。
合している。暗示的なファンタジーの世界である
が、広大な波立つ海をイメージしたような石庭に
置かれているため、一層その幻想性を強めている。
跳ねる野兎の作品は隣県の宇都宮美術館の庭園
にもある。
《ホスピタリティ
(歓迎)》というタイト
ルのこの野兎は、特別の台座をもたない跳躍その
ものを主題として単体であるため、低い視点でみ
ることができる。郡山市立美術館の作品を海を渡
る野兎というなら、宇都宮美術館のそれは、緑の
野原を跳ねまわって来館者を歓迎する野兎である。
フラナガンの兎を思いつくままにあげても、野
外に設置されている作品は、箱根彫刻の森美術館
の《ボクシングをする2匹の兎》、名古屋市美術
館のある白川公園に《ボールをつかむ爪の上の野
兎》、福岡市美術館の大濠公園に《三日月と釣鐘
の上を跳ぶ野兎》(図5)があり、箱根の作品の
台座は十字架、名古屋は爪のある手、福岡は三日
月と釣鐘、箱根と名古屋の作品は立ち姿、福岡は
跳躍する兎である。兎と台座の関係はそれぞれに
暗示的であり、三日月と釣鐘の上の兎は、危うい
図3
仔
像
緊張感の絶頂で、人間や世界のあり方にファンタ
福島の進路 2008.9
■
35
美を訪ねて
図4
野兎と鐘
県立近代美術館には《ニジンスキーの兎》がある。
ニジンスキーはロシアの伝説的なバレーダンサーで
あるが、単体の兎を並外れた跳躍力をもった天才
ダンサーの跳躍と重ね合わせている。フラナガンの
兎は、そのしなやかな姿態をさまざまな場面に現
し、現実を脱して想像の世界へ跳躍するのである。
アリスの庭
仙台市の宮城県美術館に「アリスの庭」という
彫刻庭園がある。1981年に創設されたこの美術館
が、1990に佐藤忠良記念館を増設した。本館と西
側の新館との間に大きな壁面をもつ谷間のような
空間ができるため、建築家(大宇根弘司)は、新
館の内壁を凹型のガラスの曲面にし、南北の両端
でふたつの建物をつないで、三日月形の中庭を設
けるプランを考えた。鏡像効果をもつこの不思議
図5
三日月と釣鐘の上を跳ぶ野兎
ジックな問いを投げかける。
な空間をどのように演出するかが、美術館側の課
題となり、当時この美術館に在籍した私は、三上
満良学芸員とともに当事者としてかかわった。
屋内の作品では、名古屋市美術館と和歌山県立
最初に設置が決まったのは、フェルナンドÉボ
近代美術館に三日月と釣鐘に乗る兎があり、徳島
テロの肥満した巨大な猫の彫刻である。子どもた
36
■
福島の進路 2008.9
美を訪ねて
ちがよじ登れる地表に接した大きな塊量に対抗す
るために、垂直に伸び上がったフラナガンの《ヘ
ルメットの上の野兎》(図6)を選んだ。さらに、
(図7)をもつため、『不思議の国のアリス』にち
なんで「アリスの庭」と名づけられた。
この空間の最大の見所は、ボテロの猫とフラナ
トムÉオタネスの《蛙とロボット》というユーモ
ガンの兎の対比効果である。台座としてフラナガ
ラスな作品を加えた。本館の壁面に柳原義達の鴉、
ンはヘルメットを用いたが、ヘルメットは外部か
佐藤忠良のみみずくなどの鳥の彫刻を設置した。
らの衝撃に対する防具であり、戦争や暴力を連想
南の前庭から植栽のある北庭へ通り抜けるこの
させる。放置されたヘルメットは死や廃墟のイ
空間の入口に、小便小僧のような佐藤忠良の《二
メージにつながり、その上に乗る野兎のヴァイタ
歳》、ユーモラスな掛井五郎の《ペエが行く》
、馬
リティを倍加する効果をもつ。「アリスの庭」と
上でサックスを吹く太った男を表した黒川晃彦の
いう人工的空間に出現した猫と野兎は、文明社会
《馬上のあの人》、北の出口に舟越保武《リンゴを
を嘲笑うかのようなヴァイタルな生命感を放射し
もつ少年》を設置した。動物、子ども、愉快な人
ている。フラナガンの野兎のいるこのユニークな
物が配置された三日月形のこの庭園は、視点の移
芸術空間を、仙台に行く機会があれば是非経験し
動とともにさまざまに反映する曲面の鏡像効果
ていただきたいと思う。
図6
ヘルメットの上の野兎É蛙とロボット(部分)
図7
鏡像効果
福島の進路 2008.9
■
37
福島の祭り
æB
Cñ
日山の祭り
■
懸田 弘訓(かけた
ひろのり)
元福島県立博物館学芸課長
二本松市
日山の由来
なった。近年は8日に近い日曜日である。
二本松市と双葉郡¿尾村、それに同郡浪江町の
当日、各組とも午前7時ころに獅子宿を出発し、
境界にそびえる日山は、別名天王山とも旭岳とも
山頂手前でそれぞれの役柄の衣装に着替え、同9
いう。標高は1,057㍍で、阿武隈山系では田村郡
時ころに山頂に着く。¿尾は距離の関係から少し
の大滝根山に次いで高い。山頂には二本松市田沢
遅れて到着する。一行は休むまもなく社殿を開け
と同市茂原、¿尾村がそれぞれ祀る社がある。田
て清掃し、供物を供えて参拝する。同9時半ころ
沢ではもと天王山神社、現在は日山神社、茂原で
から田沢と茂原は、各自の社の前で舞い始める、
は旭神社、¿尾村では日山神社といい、名称は異
¿尾も少し遅れて始まる。この間、互いに他の組
なるが祭神は同じである。伝えによると祭神はス
の神社に行って参拝し、舞の一部を舞う。
みこと
こうへい
サノオの命で、康平5年(1062)に尾張国(愛知
かんじょう
てんじゅ
県)の津島から勧請したという。その後、天授6
三組の獅子舞と特徴
年(1380)に二本松市上長折の四本松城にいた石
1
ò
橋義久が社殿を再建し、天正元年(1573)に同市
田沢の獅子舞
田沢は日山の北東山麓の240余戸の集落である。
百目木の石川弾正が屋根を葺き替えるなど、地元
地名は沢であった地に水田を開いたことにちなむ
の領主らが保護したと伝えられている。また、江
という。獅子舞は、17歳から40歳までを会員とす
戸時代になって初代の二本松藩主丹羽光重が、そ
る「田沢若連」による。同会には1戸から1名加
れまで天王山といっていたのを日山と改め、丹羽
入の義務がある。獅子は太郎獅子、次郎獅子、雌
家の祈願所にしたともいわれている。
獅子の3人に、「ささらすり」と「ひょっとこ」
各1名がつく。小学5年ころから雌獅子を舞い、
祭りの次第
次郎、太郎と進んで中学1年ころで退く。「ささ
山頂の三社の秋祭りは同日で、田沢、茂原、¿
らすり」と「ひょっとこ」は、獅子舞を経験した
尾の三組の獅子舞が奉納される。また8年ごとに
青年があたる。「ささらすり」は「ささら竹」を
は伊達郡川俣町山木屋の獅子舞も加わって、ひと
1本持つ。
きわ賑わう。祭日は旧暦8月18日であったが、一
舞は社殿をまわる「宮入り」に続いて、「舞出
時新暦10月18日になり、昭和54年から同月8日に
し」「花吸い」「六調子」「歌ぎり」「岡崎」「田の
38
■
福島の進路 2008.9
福島の祭り
り」と「ひょっとこ」がつき、「ささらすり」は
「ささら竹」を1本持つ。
種目も田沢とほぼ同じで、社殿をめぐる「宮入
り」のほか、
「舞出し」
「岡崎」
「花吸い」
「六調子」
「歌ぎり」「田の草」「かけや」「とうどのめ」「舞
しまい」「おいともま」ほかで12種あり、さらに
田沢と¿尾の両社を参拝したときに舞う「参詣」
。
もある。これは必ず午前中に舞うことになっている
田沢の獅子舞
3
ò
¿尾の獅子舞
¿尾村は日山の東麓にあり、100戸余である。
草」「すすき分け」
「かけ合い」
「とうどのめ」
「一
地名は室町時代に信州(長野県)の¿尾城主とゆ
の字」ほかで、12種がある。「かけあい」は、い
かりのある松本氏が、相馬中村の領主相馬氏に仕
わゆる「雌獅子奪い」で、太郎と次郎の雄獅子が
えるためにこの地に住んだことにちなむという。
雌獅子を奪い合う。なお、この舞は、ささら竹を
その子孫の屋敷跡や墓が今に残っている。天文年
花にみたてて吸うようなしぐさがあることから、
間(1532∼55)に相馬中村藩主の妹が三春藩主の
「花吸いがかりの獅子」ともいっている。
2
ò
茂原の獅子舞
田村氏に嫁ぐ際に、この地を化粧料として贈った
ために、それ以後は三春藩領になった。明治22年
茂原は日山西麓の集落で、地名は木萱などが茂
から標葉郡に、同29年から双葉郡に属した。
る草原が多かったことによるという。獅子舞は
獅子舞は「日山神社祭典組」による。獅子はこ
「茂原祭典組」による。同組には氏子の男子は義
こでも太郎獅子、次郎獅子、雌獅子の3名で、こ
務教育を修了してから35歳まで加入の義務がある。
れに岡崎といっている道化役1名がつく。獅子は
獅子は田沢と同じく太郎獅子、次郎獅子、雌獅子
小学5、6年の長男で、岡崎は40歳前後の年長者
の3名で、小学4年から舞い始め、中学2年ころ
があたる。ここでは岡崎はささら竹ではなく、梵
で退く。長男に限っていて、祭典組の役員が適任
天状の「幣束」と扇子を持つ。
者の家に行って依頼する。これを「獅子に借りる」
舞は登山口の井戸と、山頂に着いてすぐに社前
といっている。ここでも獅子のほかに「ささらす
で舞う「宮参り」のほか、本舞には「庭入り」
茂原の獅子舞
¿尾の獅子舞
福島の進路 2008.9
■
39
福島の祭り
「庭見」「ごとく立ち」「ちどり」「まきよせ」「岡
元禄年間に同系の獅子舞は県内に伝来しているが、
崎」「歌ぎり」「かかしかり」
「いかりの庭」「岡崎
芸態は田沢や茂原と似ていることから、ここまで
御幣の舞」の10種がある。「まきよせ」は田沢の
さかのぼるのは難しい。
「かけ合い」
、茂原の「かけや」にあたる。
みどころ
獅子舞の伝来
「ささら竹」は長さ220
田沢と茂原の獅子舞は、酷似している。茂原で
前後の丸竹の上部に二
百数十個の孔を開け、ここに「ささら」といって
は幕末に田沢に伝授したと伝えているが、田沢で
いる細い割り竹に色紙を張ったものを差してある。
は田村郡からとか、至近の本宮市和木沢から習い
これに「悪疫退散」「豊年万作」などと書いた短
受けたともいって違いがある。確かに田村郡三春
冊を下げてある。「ささら竹」は、元来「摺りさ
町実沢にも類似した舞があるが、こちらでは茂原
さら」という古い楽器の一種で、多くは長さ30
から習ったといっている。和木沢には現在は伝え
前後の二本が一組になっている。この一方は「子」
られておらず、あったという伝承もない。田沢の
といって、持つところを残して細く割ってあり、
獅子用具の箱には安政2年(1855)に、この箱を
他方は「親」といってやはり把手を残して横に溝
作るにあたって寄進した氏子の名が列記してあり、
を多数つけてあって、これを摺り合わせる。当地
この記録と前述の伝承を考え合わせると、安政2
のささら竹は摺りささらの「親」が極端に大きく
年に田沢は茂原から習い受けた可能性が高い。
なったものである。これを安達地方では「千穂」
一方、茂原では同市長折から習ったとの伝承が
といっているところがあるように、稲穂を模した
ある。長折では「ささら竹」を2本用いているが、
もので、豊作の願いが込められている。また、色
これは伝承の過程で変化したとも考えられる。長
紙の「ささら」は参加者やお祝いを持参した参拝
たきほら
折には3組の獅子舞があり、このうち滝洞の太鼓
者に配る。これは魔除けになるといって、各家で
には天明3年(1783)の銘がある。前述の伝承の
は神棚に供えることが多く、さらに色紙の部分を
とおりとすれば、茂原に伝来したのは天明3年か
煎じて飲むと、頭痛や腹痛に効くとも信じられて
ら安政2年までの間ということになる。
いる。なお、¿尾の岡崎が持つ「御幣」は梵天と
¿尾では元禄年間(1688∼1704)に、地元の松
本氏が舞を再興したと伝えている。確かにすでに
いってもよいが、やはりささら竹の変化したもの
であろう。
この三組の獅子舞のようにささら竹、またはそれ
に近いものを持つのは、県内では二本松市長折É
初森É木幡、相馬郡飯館村比曽、田村郡三春町実
沢、それに前述のように8年ごとに加わる伊達郡
川俣町山木屋など、この一帯に限られている。こ
れらは伝来にあたって深い関係があると思われる。
1,000㍍を超える山で3組、または4組の獅子
舞を競って演じるのはきわめて珍しい。これは太
陽が上る、まさに「日山」の信仰があってのこと
田沢の日山神社に参拝する茂原組
40
■
福島の進路 2008.9
であろう。
企業法務セミナー
株主総会の決議の
瑕疵について
■
渡辺 健寿(わたなべ
けんじゅ)
渡辺健寿法律事務所
弁護士
–ÐÍUŽ–É”åïðJ«A˜vˆªÄ™É¢ĈcðµÜµ½ªA»
質
問
ÌÛA±”·ªc·ð±ßAã\æ÷ðзÍc·Ìc–isÉ]ÁÄcÄÌ
ྙðs¢Üµ½BƱëªA»Ìã–ÐÌè¼ðmFµ½Æ±ëA”åï
Ìc·Íã\æ÷ðзª±ßéàÌƳêĨèA‹ÊIÉè¼ÉήĢ
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1
株主総会の決議の瑕疵を争う訴えの種類
株主総会の決議の手続または内容に瑕疵がある
場合の決議の効力について、会社法は、①決議不
存在確認の訴え(会社法830条1項、以下「法」
といいます)、②決議無効確認の訴え(法830条2
項)、③決議取消しの訴え(法831条)という3種
類の訴えを定めており、決議の瑕疵の重大さの程
度により、提訴権者や提訴期間が異なるものとさ
れています。
2
決議不存在の訴え
株主総会決議が法的には存在していないにもか
かわらず、形式的に存在しているかのような事実
があるときには、決議不存在確認の訴えが認めら
れます(法830条1項)。
例えば、総会が開催された事実もないのに議事
録があるときや(最判昭和45年7月9日、民集24
巻7号755頁)
、決議がないのに決議を前提とした
商業登記がなされているときには(最判昭和38年
8月8日、民集17巻6号823頁)
、総会決議不存在
確認の訴えが認められます。
また、これまでの判例上、取締役会の決議なし
に代表取締役以外の取締役が株主総会を招集した
場合(最判昭和45年8月20日、判時607号79頁)
や、ごく一部の株主にしか招集通知がなされな
かった場合(最判昭和33年10月3日、民集12巻14
号3053頁)などにも、決議不存在確認の訴えが認
められています。
この決議不存在確認の訴えについては、提訴権
者や提訴期間に制限はなく、誰でも、いつでも、
訴えを提起することができるうえ、訴えによらな
くても当該決議の不存在を主張することができま
す。
決議不存在の訴えにかかる請求を認める判決が
確定したときには、その確定判決は第三者に対し
てもその効力を有します(法838条、対世効)
。
民事訴訟の判決は、当該訴訟の当事者に対して
のみその効力を有するのが原則ですが、株式会社の
決議は、その決議の有効性を前提として多数の利
害関係が形成され、その決議の効力は多数の利害
関係者にとって画一的に定められなければならな
福島の進路 2008.9
■
41
企業法務セミナー
いため、上記の対世効が認められているものです。
3
決議無効確認の訴え
株主平等原則に違反する決議など、株主総会の
決議の内容が法令に違反するときには、決議の瑕
疵は、決議無効確認の訴えの対象となります(法
830条3項)。
ただし、決議を行った動機、目的に公序良俗違
反等の違法があるにとどまる場合には、その決議
は無効とはならないとされています(最判昭和35
年1月12日、商事法務167号18)
。
決議無効確認の訴えについては、決議不存在確
認の訴えと同様、提訴権者や提訴期間に制限はな
く、誰でも、いつでも、訴えを提起することがで
きるうえ、訴えによらなくても当該決議の無効を
主張することができます。
決議無効確認の訴えにかかる請求を認める判決
が確定したときには、その確定判決は第三者に対
してもその効力を有します(法838条、対世効)
。
4
決議取消しの訴え
上記の決議不存在の訴え、決議無効確認の訴え
の対象とならない場合でも、①株主総会の招集の
手続または決議の方法が法令もしくは定款に違反
し、または著しく不公正なとき、②株主総会の決
議の内容が定款に違反するとき、または③株主総
会の決議について特別の利害関係を有する者が議
決権を行使したことによって、著しく不当な決議
がされたときには、決議の瑕疵は、決議取消しの
訴えの対象となります(法831条1項)
。
決議取消しの訴えの提訴権者は、通常、株主、
取締役または清算人であり、監査役設置会社にお
いては監査役も提訴権者となります。
また、提訴期間は株主総会の決議の日から3ヵ
月以内に限られます。
そして、上記の①∼③の決議取消事由があった
場合でも、決議取消しの訴えによらない限り、当
該決議の無効を主張することができません。
更に、決議取消しの訴えが提起された場合にお
いて、株主総会の招集の手続または決議の方法が
法令又は定款に違反するときであっても、裁判所
は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議
に影響を及ぼさないものであると認めるときは、
請求を棄却することができます(裁量棄却、法
831条2項)。
以上のように、決議取消しの訴えについて、提
訴権者や提訴期間等が制限的なものとされている
のは、その対象となる決議の瑕疵が重大なもので
ないため、むしろ当該決議の法的安定性が重視さ
42
■
福島の進路 2008.9
れることによります。
決議取消しの訴えにかかる請求を認める判決が
確定したときは、当該決議は遡って無効となり、
その確定判決は第三者に対してもその効力を有し
ます(法838条、対世効)
。
5
濫訴防止のための規定
以上の株主総会の決議の瑕疵に関する訴えにつ
いては、株主などによる訴えの濫用を防止するた
め、会社法上いくつかの規定が設けられています。
まず、株主が決議不存在確認の訴え、決議無効
確認の訴え、決議取消しの訴えを提起した場合、
裁判所は、その者が取締役、監査役あるいは清算
人である場合を除いて、被告である株式会社の申
し立てにより、相当の担保をたてるべきことを命
ずることができます(法836条1項)
。ただし、被
告である株式会社がこの担保提供の申し立てをす
るためには、原告である株主の訴えの提起が悪意
によるものであることを疎明する必要があります
(法836条3項)
。
また、決議不存在確認の訴え、決議無効確認の
訴え、決議取消しの訴えを提起した原告が敗訴し
た場合において、原告に悪意または重大な過失が
あったときは、原告は、被告である株式会社に対
し、連帯して損害を賠償する責任を負います(法
846条)。
6
本件の場合
本件の場合、定款には議長は代表取締役社長が
務めるものと規定されているところ、実際は総務
部長が務めたというものです。これは、株主総会
の不存在とはいえませんし、決議の内容が法令に
違反するものでもなく、決議不存在確認の訴えあ
るいは決議無効確認の訴えの対象となるものでは
ありませんが、株主総会の決議の方法が定款に違
反するものとして決議取消事由に当たるものと考
えられます。
よって、本件の決議は直ちに効力がないという
ものではなく、株主総会の決議の日から3ヵ月以
内に提訴権者から決議取消しの訴えが提起されな
ければ、確定的に有効なものとなると判断してよ
いでしょう。
また、本件の決議について決議取消しの訴えが
提起された場合でも、総会当日の議事運営に特に
問題がなければ、定款に違反するものであっても
その違反の事実が重大でなく、かつ、決議に影響
を及ぼさないものとして裁量棄却がなされる可能
性があるものと思われます。
税務・財務相談Q&A
税務・財務相談
!
減価償却制度について
■
益子 秀一(ますこ
東北税理士会
税理士
ひでかず)
須賀川支部
OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
P
R
P 企業は、それぞれの事業活動を行い、様々な資産を使用して収入を得ています。
R
P
R
P 事業活動を行うにあたり資産を使用する場合には、減価償却制度の知識がとても重要になりまR
P
R
Pす。最近2年間で改正された事項を中心に、信用力のある決算書類の作成という観点から、減価R
P
R
P償却制度を考えてみたいと思います。
R
P
R
QQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQQ
使用に伴い資産価値が減少していきますが、その
〔質問1〕
減価償却とはどんな制度ですか?
価値の減少に応じて取得価額を費用化していくこ
とが減価償却といわれるものです。
〔回
答〕
法人税法上、減価償却資産は、「建物、構築物、
事業活動を営む企業、例えば製
機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器
造業者は工場用の建物や各種の機
具および備品、鉱業権その他の資産で償却をすべ
械を使用しますし、小売業を営む
きものとして政令で定めるものをいう」と定義さ
企業は店舗用の建物や陳列棚等の
れています。すなわち、減価償却資産は、その法
備品を使って商品を販売します。
企業が取得し事業活動に供するこれらの資産は、
人の所有する資産のうち償却をすべき資産ですか
ら、棚卸資産、有価証券等は除かれますし、また
事業に供する資産を時の経過による価値
の減少に応じて、取得価額を各事業年度
において費用化していきます。
福島の進路 2008.9
■
43
税務・財務相談Q&A
事業の用に供していないものや、土地及び書画骨
〔質問2〕
董等、時の経過によりその価値が減少するもので
ない資産も償却を要しない資産ということで、減
減価償却の方法にはどんな方法があるのです
か?
価償却資産からは除かれます。
減価償却を具体的に考えていく場合、資産の取
〔回
答〕
得に要した費用すなわち「取得価額」をどの程度
減価償却の方法としては、毎事業年度均等額を
ずつ各事業年度の費用としていくかが問題となり
償却費とする「旧定額法」又は「定額法」、償却
ます。償却費は、資産の取得価額に、資産の種類
費が逓減していく「旧定率法」又は「定率法」が
に応じた償却の方法により計算した金額を計上す
一般的です。基本的には、個々の資産の使用実態
ることとなります。
にあった形で償却費が毎事業年度に配分される方
法人税法において、各事業年度の所得の金額の
法が適当ということですが、公平性の見地から法
計算上、損金の額に算入できる金額は、法人が償
人税においては、減価償却資産の種類ごとに、採
却費として損金経理した金額のうち、法人がその
用できる償却の方法を限定し、課税の公平を図っ
資産について選定した償却方法に基づいて計算し
ています。
た金額を限度とするということになっています。
また、償却の方法を短期間で変えることは継続
法人税法上の償却費の計上が任意であると言わ
性の見地から問題があり、利益操作にもなりかね
れるゆえんです。
ませんので、法人はあらかじめ資産の種類ごとに
しかしながら、会社法や中小企業の会計指針に
適用する償却の方法を選定して届け出る必要があ
おいては、決算書類の信頼性という観点から、減
るとともに、その変更は税務当局の承認が必要に
価償却は経営状況により任意に行うことなく、毎
なります。
期継続して規則的な償却を行うことを求めていま
なお、適用する償却方法を届け出なかった場合
す。なぜならば、減価償却が規則的に行われない
には次の方法により償却限度額を計算することと
と決算書類に誤った財政状態が示されてしまうか
されています。
らです。これでは信頼性の高い決算書類とは言え
①
なくなってしまいます。
平成19年3月31日以前に取得された減価償却
資産
イ
有形固定資産(平成10年4月1日以後に取
資産の種類ごとに、
償却方法を届け出
て、短期の変更は
極力しないように。
44
■
福島の進路 2008.9
税務・財務相談Q&A
「リース期間定額法」
得した建物等を除く)の場合
償却限度額=(リース資産の取得価額−残価保
→旧定率法
ロ
②
鉱業用減価償却資産及び鉱業権の場合
証 額 )× そ の 事 業 年 度 に お け る
→旧生産高比例法
リース期間の月数÷リース資産
のリース期間の月数
平成19年4月1日以後に取得された減価償却
資産
イ
有形固定資産(建物、鉱業用減価償却資産
〔質問3〕
及びリース資産を除く)の場合
ロ
減価償却制度が改正され、償却可能限度額と
→定率法
残存価額が廃止されたそうですが、どのような
鉱業用減価償却資産及び鉱業権の場合
影響があるのですか?
→生産高比例法
減価償却資産の主な種類ごとの償却方法は、以
〔回
1
ò
下のような区分となっています。
答〕
償却可能限度額とは?
減価償却は、資産の取得価額を償却費として費
表1
資産の種類
平成19年3月31日 平成19年4月1日
以前の取得資産
以後の取得資産
建
旧定額法
旧定率法(平成10
定額法
年3月31日以前の
取得建物)
物
用化していくものですが、この償却後の帳簿価額
がどのくらいになるまで償却を続けることができ
るかというのが償却可能限度額の問題です。
平成19年3月31日以前に取得された資産につい
て適用される償却可能限度額は、代表的な有形減
建物付属設備及び 旧定額法
減価償却資産
旧定率法
定額法
定率法
価償却資産の場合、その取得価額の95%に相当す
無形減価償却資産 旧定額法
定額法
価額の5%になるまでしか償却できなかったとい
資産の種類
平成20年3月31日 平成20年4月1日
以前の取得資産
以後の取得資産
リース資産
リース期間定額法
る金額とされていました。差引き帳簿価額が取得
うことです。
減価償却資産の台帳には取得価額の5%相当額
になった資産が数多く残っているのはそのためで
す。
代表的な償却方法ごとの具体的な計算式は下記
のようになります。
「旧定額法」
償却限度額=(取得価額−残存価額)×旧定額
法の償却率
「定額法」
償却限度額=取得価額×定額法の償却率
「旧定率法」
償却限度額=取得価額(2年目以後は未償却残
価)×旧定率法の償却率
「定率法」
(調整前償却額)≧(償却保証額)の場合
償却限度額=取得価額(2年目以後は未償却残
価)×定率法の償却率
(調整前償却額)<(償却保証額)の場合
償却限度額=改定取得価額×改定償却率
福島の進路 2008.9
■
45
税務・財務相談Q&A
これが平成19年4月1日以後に取得した減価償
忘価額まで均等償却ができることとされました。
却資産については、この償却可能限度額が廃止さ
れ、耐用年数経過時点で備忘価額1円まで償却が
〔質問4〕
可能となりました。
なお、償却可能限度額の廃止に伴いすでに償却
可能限度額に達している資産に関しては残存簿価
少額又は使用可能期間が1年未満である減価
償却資産はどのような処理をすればいいので
しょうか?
につき改正後5年間にわたり均等償却できること
となりました。
2
ò
〔回
残存価額とは?
答〕
使用可能期間が短く、あるいは取得価額が少額
平成19年3月31日以前に取得された減価償却資
の減価償却資産についてまで減価償却費の計算を
産については取得価額に一定の残存割合を乗じて
強制することは必ずしも適当でないと考えられる
計算した金額が残存価額として定められており、
ため、法人がその事業に供した減価償却資産で次
代表的な減価償却資産である、建物、構築物、機
のいずれかに該当する場合には、その減価償却資
械装置、器具備品等の有形固定資産の残存価額は、
産の取得価額相当額をその事業の用に供した事業
取得価額の10%とされ、無形固定資産は0とされ
年度において損金経理をした時は、その金額はそ
ていました。なお、平成19年4月1日以後に取得
の事業年度の損金の額に算入されることとなりま
された減価償却資産については、残存価額が廃止
す。
されました。
1
ò
使用可能期間が1年未満であるもの
従来の残存価額10%を前提とすることを廃止し、
その減価償却資産を取得した時において、通常
残存価額を考慮しない方法に改められたことから、
の管理もしくは修理をしたものとした場合に予測
従来の方法は、旧定額法、旧定率法として整理さ
される使用可能期間が1年未満であるものです。
れました。
2
ò
定率法を採用する場合の償却率は、定額法の償
取得価額が10万円未満のもの
却率(1/耐用年数)を2.5倍した数とし、特定
その減価償却資産の取得価額が10万円未満のも
のです。
事業年度以降は残存年数(耐用年数から経過年数
この場合、その取得価額が10万円未満であるか
を控除した年数)による均等償却に切り替えて備
どうかは、通常1単位として取引される単位、例
忘価額まで償却できることとされました。このこ
えば機械装置については1台または1基ごとに、
とから250%定率法といわれています。
工具、器具等については1個、1組ごと等により
また、平成19年3月31日以前に取得した既存の
資産については、税務上、改正前の償却方法をそ
判定します。
3
ò
中小企業者に対する特例
のまま継続適用するとともに、償却可能限度額ま
中小企業者等が、平成18年4月1日から平成22
で償却した事業年度の翌事業年度以後5年間で備
年3月31日までに取得価額30万円未満の減価償却
資産を取得した場合には、それを事業の用に供し
[法定耐用年数10年の場合の償却例]
たときに損金経理を要件として300万円に達する
までの金額を損金とすることができます。
なお、使用可能期間が1年未満または取得価額
が10万円未満もしくは中小企業者等の場合で取得
価額が30万円未満の減価償却資産であっても、事
業の用に供していないものは一時の損金にできま
せんし、損金経理をしないで資産計上した時は翌
期以降の事業年度では損金にできませんので注意
が必要です。
46
■
福島の進路 2008.9
地方経済天気図
全国地方銀行協会
福
(平成20年7月発表分)から
設備投資、雇用情勢が弱含むなど、
足踏み基調が一段と強まる
●緩やかな回復…沖縄
É沖縄は、個人消費が堅調、観光が好調に推移。
●回復傾向が足踏み…東海、関東、近畿、中国、九州
É東海は、生産活動が増加傾向にあるものの、個人消費、設備投資に一服感。関東は、輸出が増加傾向
にあるものの、設備投資が盛り上がりを欠き、生産活動に一服感。近畿は、輸出が増加を続けている
ものの、住宅建築、雇用情勢が弱含み。中国は、住宅建築が引続き低調、設備投資が盛り上がりを欠
く。九州は、個人消費が軟調、雇用情勢が弱含み。
●足踏み…甲信越、北陸
É甲信越は、生産活動が増勢鈍化。北陸は、設備投資、雇用情勢が弱含み。
●足踏みが続く…四国
É四国は、個人消費が盛り上がりを欠き、雇用情勢が弱含み。
●停滞…東北、北海道
É東北は、個人消費、観光、雇用情勢が弱含み。北海道は、個人消費が低調、設備投資、生産活動が弱
含み。
各 地 の 景 気
北海道
晴 :明るい
晴一部曇:一部に明るさ
曇 :停滞、持ち直し
曇一部雨:不振
東北
雨 :厳しい
中国
近畿
北陸
甲信越
関東
東海
九州
四国
沖縄
福島の進路 2008.9
■
47
地方経済天気図
1.福島県の隣接6県の「現在の景気」
(宮城、山形、新潟、群馬、栃木、茨城)
額の内訳は土木施設被害が約525億円、農林水
産業関係被害が約596億円、経済商工観光関係
被害が59億円などとなっている。被害調査が継
続中であることから被害額は今後さらに増加す
る見込みとなっているが、官民挙げての全力の
取組みにより、一日も早い被災地域の経済、生
活の復旧が期待される。
「山形県」
○荘銀総合研究所の「第8回山形県家計消費動向
調査」によると、消費指数は前回調査時点(2008
年3月)比18.0 ポイ
ント 低下し▲125.3となるなど、
消費マインドの悪化に歯止めがかからない状況。
消費指数の内訳は、景気動向指数が▲69.5、暮
らし向き指数が▲55.8と、ともに前回比低下。
特に、景気と物価に関する認識の悪化がマイン
ド低下につながった状況。今後の見通しは、消
「宮城県」
É現在の景気:全体として、景気は足踏み状態
となっている。
「山形県」
É現在の景気:一部に底固さがみられるものの、
総じてやや弱含んでいる。
「新潟県」
É現在の景気:一部弱含むものの、足踏み状態
が続く。
「群馬県」
É現在の景気:足踏み状態にある。
「栃木県」
É現在の景気:生産活動は堅調なものの、コス
ト上昇などにより収益環境は厳しく、個人消
費は力強さを欠く動きとなっている。
「茨城県」
É現在の景気:減速。
2.隣接6県と北東北3県(青森、岩手、
秋田)、東京都の「スポット情報」
1
ò
隣接6県について
「宮城県」
○県は、
「平成20年6月14日岩手É宮城内陸地震」
費指数が前回調査時点比9.6 ポイ
ント 低下し▲134.9と
なるなど、消費マインドの悪化が続く見込み。
○7月1日に日本銀行山形事務所が発表した「山形
県企業短期経済観測調査結果(日銀短観)
」による
と、県内企業の業況判断DI(「良い」−「悪い」
回答社数構成比)は前回比4 ポイ
ント 低下し▲27と3
期連続で悪化。内訳は、非製造業が前回比2 ポイ
ント
上昇し▲39となったものの、主力の電気機械
を中心に製造業が9 ポイ
ント 低下し▲16と大幅に悪化。
原材料価格の高騰などが景況感を大きく下押し。
○国税庁の公表によると、2008年分の路線価は、
土地の需給緩和や中心市街地の空洞化の進行な
どを受け、平均3.1%下落。9年連続の下落と
なり、下落率も3年ぶりに拡大。県内の路線価
の平均額は、現在の評価方式となった1992年以
来17年連続で全国最低水準。
「新潟県」
○県のまとめによると、2007年度の新潟空港利用
者数は前年度比5.2%減の119万3,000人と1998
年度以来9年ぶりに120万人割れ。国内では神
戸線の廃止や中部国際空港線の減便、国際線で
はチャーター便の減少が影響。ソウル線やウラ
ジオストク線は過去最高。
○県は首都圏などで就職した若者向けに県内への
の県内の被害状況等(7月10日現在)を発表。
Uターンを支援する相談所を県内と都内に設置。
栗原市山間部を中心に最大震度「6強」の大き
新卒者や第二新卒のUターンを促進し、県内の
な地震を観測。死亡者9人、行方不明者8人な
人口減少への歯止めが狙い。
どの人的被害のほか、公共施設の被害総額が約
1,199億円に上るなど甚大な被害が発生。被害
48
■
福島の進路 2008.9
「群馬県」
○群馬経済研究所の県内日帰り温泉施設を対象と
地方経済天気図
べ減少している施設は6割弱を占め、「入場者数
進の国際協力枠組み「国際省エネ協力パート
ナーシップ(IPEEC)」の設立などを盛り込ん
の減少」
、「客単価の低下」
、「競争の激化」などが
だ共同声明「青森宣言」を採択。
したアンケート調査によると、売上が1年前と比
その要因。経営上の問題点では、①売上の停滞É
。
減少、②入場者数の停滞É減少、③設備の老朽化
○県などの2008年春季陸奥湾調査によると、2007
年生まれの陸奥湾産養殖ホタテガイの軟体部
今後の経営方針では、①経費削減、②チラシな
(貝殻を除いた部分)の重量が1985年の調査開
どの宣伝の強化、③食事メニューの充実、④客
始以降過去4番目に低い値。軟体部の重さは成
単価の引き上げ、などとする施設が多い状況。
長の指標で、県は過密養殖や餌となる植物プラ
○7月5日、群馬県の観光振興などの情報拠点とし
ンクトン量の減少が要因と推測。単価の下落に
て、東京É銀座に「ぐんま総合情報センター(愛
称:ぐんまちゃん家<ち>)」が正式オープン。
同日より始まった観光物産展は、上州名物を求
より収入減につながる可能性を懸念。
「岩手県」
○岩手経済研究所が4月に実施した「岩手県内企業
めて訪れた人々で盛況。今後も、尾瀬や富岡製
設備投資計画調査:
、
(回答企業231社)
」によると
糸場など群馬県にちなんだイベントなどを予定。
2008年度の県内企業の設備投資計画額は、前年度
「栃木県」
比8.8%減の170億2,700万円となる見通し。産業
○県は、毎月18日に「けんちょう de 愛ふれあい
別では、非製造業が前年割れを続ける見通しなが
直売所」を県庁内に開設。県庁舎の有効活用と
ら、製造業は電子部品関連の一部大型投資など
地産地消の情報発信が目的。全国的に珍しい試
が寄与し、上期を中心に前年度を上回る見通し。
みで、7月は「高原の風」をテーマに高原野菜
やブルーベリーの販売を予定。
○7月7日午前(日本時間)、カナダのケベック
で開催された国連教育科学文化機関の世界遺産
○東北自動車道佐野サービスエリア内( SA )に、
管内初の宿泊施設(E–NEXCO LODGE 佐野 SA
委員会は、「平泉の文化遺産」について世界遺
店)が7月24日にオープン。長距離ドライバー
勧告を受けて以来、巻き返しを図っていたもの
の利便性向上をはじめ、佐野市内のアウトレッ
の覆らず。日本政府は推薦書を再提出し、2011
ト施設や那須方面に向かう行楽客の利用を期待。
年の登録を目指す。近年、世界遺産は保全管理
「茨城県」
○国土交通省の「平成19年度首都圏整備に関する
産の「登録延期」を決議。2007年に「登録延期」
面から新規登録を抑制する方向にあるとの指摘。
「秋田県」
年次報告」(首都圏白書)によると、北関東の
○一般県民を対象とした新税として秋田県初の導入
工場立地件数が2003年以降急増。県内の立地人
となる森林環境税「水と緑の森づくり税」の徴税
気を支えているものが、陸海空のインフラ整備。
が6月からスタート。県民税(均等税)に上乗せ
道路は、東京に向かう「常磐自動車道」に加え、
し、個人には、年800円、法人には資本金などに
北関東3県の主要都市を結ぶ「北関東自動車道」
、
応じて年1,600円∼6万4,000円を課税。2008年
常磐道É北関東É圏央道と接続して成田空港や
度は全体で3億3,700万円の税収を見込み、杉人
港湾を結ぶ「東関東自動車道水戸線」などの整
工林の混合林化、松くい虫被害対策などに充当。
備が進行。常陸那珂港などの港湾整備も進み、
「東京都」
輸出入を有利にする航路が商業活動のグローバ
○2012年春に開業する第二東京タワーの名称が
ル化を支援。2009年度には茨城空港の開港が予
「東京スカイツリー」に決定。公募名称のなか
定され、陸海空の物流基盤が拡大中の茨城県に
から6つの名称を選び、公開投票で第1位。新
企業から熱い視線が注目。
タワーの建設は7月に開始されるが、最近の資
材価格の高騰により、予算が約600億円と当初
2
ò
北東北3県と東京都について
「青森県」
○6月7É8日、青森市で主要8ヵ国に中国、イ
ンド、韓国を加えた11ヵ国によるエネルギー相
会議が開催。原油価格高騰への懸念や省エネ推
計画より100億円増加した模様。開業初年度の
入場者数は540万人を期待し、2年目には営業
黒字を見込む。地元商店街の地域活性化がいよ
いよ熱を帯びてきた状況。
(出所:全国地方銀行協会地方経済天気図7月分より抜粋)
福島の進路 2008.9
■
49
主要経済指標
県 内
主要経済指標
¶YÖA
項目
年月
平成17年
平成18年
平成19年
19年6月
7
8
9
10
11
12
20年1月
2
3
4
5
6
調査機関
Pは速報、rは訂正、※は年度計
鉱工業生産指数
(季調済)
(総合)注1
12年=
100
103.4
104.8
107.7
107.2
108.8
110.4
109.3
109.3
106.5
108.2
110.8
105.1
107.2
107.0
P 108.9
―
前年比
%
3.9
1.4
2.8
0.2
7.8
6.3
1.8
4.8
0.8
0.1
4.9
1.3
▲ 1.9
1.9
1.3
―
主
要
製 造 工 業
生 産 指 数
機
械
化
12年=
前年比
12年=
前年比
12年=
100
%
100
%
100
103.4
3.9
113.5
8.8
93.1
104.9
1.5
119.4
5.2
90.9
107.9
2.9
127.2
6.5
91.4
107.3
0.3
128.0
4.8
91.4
108.9
7.9
128.6
10.5
93.1
110.6
6.5
131.9
12.7
93.4
109.6
2.0
130.9
8.9
93.5
109.6
5.0
128.8
8.9
92.4
106.8
1.0
123.5
2.9
98.7
108.5
0.3
128.0
3.7
91.5
111.2
5.1
128.9
6.3
95.4
▲ 1.9
105.5
1.4
123.2
93.5
▲ 1.7
▲ 0.2
107.5
128.2
98.0
107.3
2.0
128.8
5.5
83.1
P 109.2
1.4 P 132.8
4.9 P 93.5
―
―
―
―
―
県
企
画
調
整
部
業
種
別
学
繊
維
食料品Éたばこ
前年比
12年=
前年比
12年=
前年比
%
100
%
100
%
▲ 5.0
▲ 9.2
▲ 1.2
70.8
94.1
▲ 2.4
▲ 5.2
▲ 10.7
67.1
84.0
▲ 0.6
0.6
69.5
3.6
83.5
▲ 10.7
0.8
69.7
2.1
82.3
5.2
68.7
5.2
84.9
13.8
1.4
72.0
10.7
88.7
4.5
▲ 4.7
71.1
5.1
89.2
5.6
▲ 0.1
▲ 4.3
73.6
11.3
82.6
▲ 7.0
10.2
74.3
6.4
81.8
▲ 3.5
▲ 0.9
76.0
13.0
84.3
8.0
66.8
5.2
81.0
4.3
11.7
66.3
3.9
84.1
6.6
▲ 10.8
▲ 15.4
5.2
56.8
71.9
r 78.3
▲ 4.5
▲ 18.0
▲ 6.3
54.2
P 76.2
▲ 21.3
▲ 5.8
4.4 P 56.7
―
―
―
―
―
統
計
調
査
課
鉱工業出荷指数
(季調済)注1
12年=
100
109.9
111.5
116.5
116.2
117.9
120.4
115.8
117.9
116.6
117.9
119.1
115.6
114.4
117.9
P 120.6
―
前年比
%
5.2
1.5
4.5
1.8
11.0
8.1
0.1
8.1
4.0
1.7
5.3
1.7
▲ 3.3
4.9
3.1
―
注1.鉱工業生産É出荷É在庫指数の前年比は原指数の増減率。暦年の年平均値は原指数。
月別欄の前年比は前年同月比(以下同様)
¶YEšÝÖA
項目
年月
平成17年
平成18年
平成19年
19年6月
7
8
9
10
11
12
20年1月
2
3
4
5
6
調査機関
鉱工業在庫指数
(季調済)注1
12年=
100
131.1
130.0
138.4
140.7
139.6
142.2
148.5
139.6
134.6
134.0
140.6
127.9
141.0
138.6
P 127.8
―
使
用
総
電
量
力
量
清酒課税
移 出 量
うち大口電力使用量
前年比
前年比
前年比
103 È/h
103 È/h
%
%
%
3.3 ※14,964,550
3.3 ※5,906,501
4.3
▲ 0.8 ※15,433,355
3.1 ※6,386,535
8.1
6.5 ※16,154,916
4.7 ※6,849,270
7.2
10.2
1,229,023
3.4
564,410
5.8
1,269,224
1.6
589,365
6.3
10.3
14.5
1,360,794
3.9
563,853
6.3
20.1
1,349,794
5.0
579,499
8.0
5.0
1,297,725
7.4
579,567
6.9
5.1
1,293,087
3.4
571,312
5.9
3.2
1,355,854
2.9
585,038
7.5
8.7
1,525,091
6.3
575,201
9.2
0.5
1,484,267
10.9
585,974
14.2
1,430,368
4.4
588,772
4.6
1.2
▲ 4.9
1,343,575
3.1
593,381
10.3
▲ 5.1
1,300,941
3.6
581,751
10.1
―
1,273,461
3.6
607,267
7.6
県企画調整部
統計調査課
kl
21,189
20,169
18,926
1,428
1,349
1,122
1,244
1,584
1,963
3,100
1,008
1,505
1,472
1,663
1,297
1,346
東 北 電 力 福 島 支 店
公共工事前払金保証実績
公共工事着工
総 工 事 費
前年比
%
▲ 3.8
▲ 4.8
▲ 6.2
▲ 5.6
▲ 3.5
▲ 10.2
▲ 16.7
▲ 4.5
▲ 5.1
▲ 7.2
▲ 4.2
5.0
▲ 7.5
▲ 3.5
▲ 3.0
▲ 5.8
福島県酒造組合
百万円
※ 205,379
※ 142,583
※ 148,568
20,790
13,616
16,073
17,762
11,194
9,825
13,906
6,076
7,475
26,001
5,756
3,319
―
発 生 件 数
前年比
%
20.7
▲ 30.6
4.2
2.4
▲ 9.5
5.5
2.0
▲ 13.2
▲ 20.6
50.5
2.7
29.2
47.5
232.7
▲ 19.4
―
件
※6,656
※6,458
※6,109
758
717
555
677
612
609
623
384
330
224
235
253
561
国土交通省
保 証 金 額
前年比
%
▲ 6.9
▲ 3.0
▲ 5.4
▲ 2.7
14.0
▲ 5.8
▲ 14.0
▲ 18.0
4.1
8.3
▲ 25.6
▲ 16.9
4.2
▲ 34.9
▲ 2.3
▲ 26.0
百万円
※ 88,529
※ 78,651
※ 73,622
10,219
8,615
6,429
7,379
6,830
4,211
5,335
2,229
3,124
5,467
6,856
3,582
6,867
前年比
%
▲ 5.0
▲ 11.2
▲ 6.4
0.7
1.2
▲ 13.4
▲ 22.4
▲ 14.1
▲ 12.7
26.9
▲ 34.0
23.7
22.9
▲ 0.4
▲ 48.1
▲ 32.8
株 福島支店
東日本建設業保証ò
注1.鉱工業生産É出荷É在庫指数の前年比は原指数の増減率。暦年の年平均値は原指数。
月別欄の前年比は前年同月比(以下同様)
šÝÖA
新
項目
総
戸
年月
平成17年
平成18年
平成19年
19年6月
7
8
9
10
11
12
20年1月
2
3
4
5
6
調査機関
50
■
12,858
13,076
11,721
1,085
960
868
892
947
1,151
1,346
1,000
913
882
825
896
1,000
計
前年比
%
▲ 4.6
1.7
▲ 10.4
▲ 12.1
▲ 11.4
▲ 22.5
▲ 7.5
▲ 10.7
▲ 4.5
25.0
9.8
25.8
▲ 5.1
▲ 23.3
8.0
▲ 7.8
国
設
利
持 家
住
用
関
係
貸 家
分 譲
戸
戸
戸
6,590
6,859
6,271
616
489
480
546
545
484
648
412
371
543
472
498
577
5,052
4,885
4,413
325
412
320
261
359
574
623
528
311
225
331
259
375
1,176
1,287
1,017
141
58
68
85
41
93
73
56
213
113
21
91
28
福島の進路 2008.9
土
宅
別
給
与
戸
着
資
民 間
戸
40
45
20
3
1
0
0
2
0
2
4
18
1
1
48
20
10,379
11,345
10,323
926
827
700
816
843
995
1,184
932
886
798
780
832
929
交
工
金
資 金
前年比
%
▲ 4.9
9.3
▲ 9.0
▲ 12.1
▲ 11.2
▲ 27.2
▲ 8.1
▲ 13.6
▲ 11.5
32.7
11.4
30.5
▲ 5.8
▲ 13.7
8.8
0.3
公
的
戸
2,482
1,731
1,398
159
133
168
76
104
156
162
68
27
84
45
64
71
通
別
資 金
前年比
%
▲ 2.1
▲ 30.3
▲ 19.2
▲ 12.6
▲ 13.1
6.3
0.0
22.4
92.6
▲ 12.4
▲ 8.1
▲ 42.6
2.4
▲ 73.8
▲ 1.5
▲ 55.3
着
工
建築物
建
築
物
床 面 積 工事費予定額
むね
百㎡
百万円
12,397
12,573
10,936
1,090
932
784
851
949
863
1,159
762
740
910
778
786
948
27,856
25,934
23,447
3,137
1,881
1,733
1,166
1,882
1,487
2,587
1,329
1,665
2,818
1,435
1,523
2,035
370,049
356,541
309,139
42,793
27,551
26,135
17,272
23,304
20,282
36,724
17,649
22,567
33,127
20,858
22,463
26,276
省
福
主要経済指標
県 内
ÁïÖA
項目
百貨店売上高
量販店売上高
注1
注2
百万円
年月
平成17年
平成18年
平成19年
19年6月
7
8
9
10
11
12
20年1月
2
3
4
5
6
調査機関
46,650
44,248
43,025
3,293
3,690
3,023
3,027
3,535
3,786
4,487
3,894
3,005
4,006
3,329
3,238
P 3,178
経
前年比
%
▲ 8.9
▲ 5.1
▲ 2.8
▲ 1.4
▲ 5.4
1.1
▲ 3.8
▲ 2.4
▲ 4.7
▲ 3.8
▲ 4.8
▲ 1.9
▲ 1.4
▲ 6.9
▲ 4.6
▲ 3.5
済
産
百万円
179,875
186,292
186,934
14,887
15,348
16,673
14,453
14,911
14,555
19,524
16,545
14,329
15,940
15,502
r 15,946
P 15,320
業
乗用車新車登録台数
温泉旅館(福島、郡山、
会津若松)利用者
前年比
台
%
▲ 0.1
76,099 ▲ 1.9
74,630 ▲ 5.6
70,433 ▲ 6.4
5,973
▲ 16.3
5,190
▲ 5.4
4,148
▲ 0.8
6,886
▲ 5.6
5,331
6,136
1.6
▲ 9.1
4,529
5,508
3.9
6,949
4.9
▲ 2.9
10,456 5,085
8.1
▲ 4.1
4,641
▲ 3.5
5,764
県自動車販売店協会
前年比
人
%
▲ 0.1
※2,988,580
※3,027,075
1.3
▲ 0.1
※3,022,966
252,242
8.8
234,255
3.0
311,690
6.5
244,291
7.2
▲ 5.3
289,032
▲ 5.2
290,191
▲ 1.1
248,477
▲ 5.9
222,780
▲ 2.7
225,893
▲ 5.6
231,259
▲ 8.1
217,925
▲ 0.3
234,937
―
―
当 研 究 所
前年比
%
▲ 2.5
3.6
0.3
▲ 1.5
▲ 4.0
▲ 0.5
▲ 1.6
▲ 0.9
▲ 0.4
0.7
▲ 1.4
3.4
3.7
2.7
2.4
2.8
省
福 島 空 港 利 用 者 数
国
内
線
国
前年比
人
%
▲ 5.9
※ 469,571
▲ 6.9
※ 437,248
▲ 5.1
※ 414,883
▲ 9.5
36,567
▲ 7.0
34,936
▲ 1.3
39,999
39,172
0.6
▲ 11.8
37,607
▲ 4.1
36,283
▲ 4.6
28,167
▲ 10.8
24,542
▲ 9.0
28,189
▲ 7.6
35,258
▲ 6.5
37,076
▲ 7.4
31,936
▲ 10.1
32,877
県 商 工 労 働 部
※
※
※
空
際
線
前年比
人
%
65,127
14.0
77,661
19.2
▲ 9.2
70,501 ▲ 18.6
5,674 ▲ 26.6
5,958 ▲ 11.9
7,508 6,464
5.4
7,433
21.8
6,816
7.8
▲ 10.5
4,666 ▲ 19.6
4,605 ▲ 9.7
4,656 ▲ 1.9
5,238 ▲ 8.2
5,570 ▲ 8.9
4,934 ▲ 11.5
5,023 港 交 流 課
注1.前年
(同月)
比については全店舗
(平成19年7月時点5店舗)
。
注2.前年
(同月)
比については全店舗
(平成19年7月時点74店舗)
。
ÁïÖA
消
項目
総
合
17年=
100
100.0
100.2
100.4
100.3
99.9
100.2
101.2
101.4
101.1
101.3
100.9
101.0
101.5
101.5
102.8
103.3
年月
平成17年
平成18年
平成19年
19年6月
7
8
9
10
11
12
20年1月
2
3
4
5
6
調査機関
※
前年比
%
0.0
0.2
0.2
▲ 0.2
0.3
0.0
0.7
0.8
0.7
1.3
0.7
1.7
1.9
1.6
2.3
3.0
費
食
料
17年=
100
100.0
99.5
100.5
100.0
99.6
100.2
102.0
102.5
100.7
101.2
101.7
102.3
102.9
103.5
104.7
105.0
総
前年比
%
▲ 0.9
▲ 0.5
1.0
0.0
1.2
0.7
2.7
2.9
1.8
2.3
0.7
3.1
3.3
3.7
4.1
5.0
者
住
物
居
17年=
100
100.0
100.2
100.6
100.9
100.5
100.4
100.4
100.0
99.9
99.8
99.8
99.9
99.9
99.6
100.2
100.2
務
価
光熱É水道
前年比
%
0.4
0.2
0.4
1.1
0.5
0.2
0.0
▲ 0.6
▲ 1.1
▲ 1.3
▲ 1.5
▲ 1.4
▲ 1.0
▲ 1.2
▲ 0.4
▲ 0.7
17年=
100
100.0
104.7
105.0
104.5
104.7
105.0
105.0
105.3
106.3
107.8
108.4
108.1
108.5
109.8
110.4
112.7
省
指
被服及びはき物
前年比
%
3.9
4.7
0.3
▲ 0.9
0.2
0.1
▲ 0.4
0.2
1.8
3.4
3.6
3.6
4.1
5.8
6.0
7.8
17年=
100
100.0
100.0
99.4
100.9
93.2
91.4
105.3
106.8
108.9
106.3
95.9
94.1
100.0
105.1
107.0
104.8
統
数
教
育
前年比
17年=
%
100
1.3
100.0
0.0
100.4
▲ 0.6
101.1
▲ 2.5
101.3
▲ 4.4
101.3
▲ 4.2
101.3
2.2
101.3
2.3
101.3
2.4
101.3
3.9
101.3
2.9
101.3
5.0
101.3
4.2
101.3
6.1
102.5
5.2
102.4
3.9
102.4
計
教養É娯楽
前年比
17年=
%
100
0.1
100.0
0.4
98.8
0.7
97.7
0.8
97.5
0.8
98.2
0.8
99.5
0.8
98.1
0.8
97.8
0.8
96.2
0.8
96.9
0.8
95.9
0.7
96.1
0.7
96.8
1.2
97.6
1.1
97.6
1.1
97.9
局
前年比
%
▲ 0.4
▲ 1.2
▲ 1.1
▲ 2.2
▲ 0.5
▲ 0.4
▲ 0.7
▲ 0.4
▲ 1.2
▲ 0.4
▲ 1.0
▲ 1.6
▲ 0.8
▲ 0.3
▲ 0.7
0.4
平成17年3月以降は福島市の消費者物価指数を福島県の消費者物価指数とみなす。
J­sêÖA
項目
年月
平成17年
平成18年
平成19年
19年6月
7
8
9
10
11
12
20年1月
2
3
4
5
6
調査機関
有 効求 職者数
有 効 求 人 数
注1
注1
人
37,072
34,924
34,445
36,322
35,425
34,497
33,903
34,327
33,248
31,098
32,541
33,607
36,423
38,541
37,874
37,853
前年比
人
%
▲ 2.1
29,718
▲ 5.8
31,063
▲ 1.4
30,607
▲ 2.2
29,112
0.0 29,027
▲ 0.3
30,430
▲ 0.9
31,994
0.1 33,132
0.1 29,773
0.1 26,619
0.2 25,961
2.9 27,566
3.7 28,523
4.6 26,959
1.2 25,196
4.2 24,296
福
島
労
前年比
%
2.3
4.5
▲ 1.5
0.7
▲ 1.6
1.0
▲ 1.9
0.8
▲ 7.3
▲ 8.6
▲ 15.3
▲ 12.5
▲ 14.8
▲ 14.5
▲ 16.1
▲ 16.5
働
局
有効
求人
倍率
注2
倍
0.80
0.89
0.89
0.91
0.88
0.89
0.89
0.88
0.82
0.83
0.77
0.79
0.74
0.74
0.76
0.72
職
新規求人数
雇用保険受給者実人員
注1
注1
人
12,143
12,580
12,514
11,860
12,390
13,490
12,819
14,174
11,246
9,163
10,628
11,671
11,696
10,260
9,386
9,680
業
前年比
人
%
3.2 10,455
3.6
9,494
▲ 0.5
9,196
1.2
9,723
0.4 10,175
9.5
9,983
▲ 8.7
9,271
10.6
9,497
▲ 9.9
8,815
▲ 13.7
8,482
▲ 19.0
8,627
▲ 14.8
8,494
▲ 15.8
8,406
▲ 16.3
9,132
▲ 22.2
9,998
▲ 18.4
10,315
安
定
課
前年比
%
▲ 10.4
▲ 9.2
▲ 3.1
▲ 2.2
2.5
▲ 2.5
▲ 1.6
▲ 0.4
▲ 3.1
▲ 2.3
▲ 1.9
▲ 0.3
▲ 1.6
7.6
▲ 0.7
6.1
常用雇用指数
(産業計)
17年=
100
100.0
100.0
102.1
102.7
102.6
102.6
102.4
102.5
102.3
102.4
102.2
101.9
101.8
104.0
104.2
―
実質賃金指数
(産業計)
所定外労働時間
(産業計)
前年比 17年= 前年比
時間
%
100
%
▲ 2.2
100.0
0.2
14.0
0.1
101.5
1.5
14.5
▲ 0.8
2.1
100.7 13.8
▲ 4.7
2.1
148.5 14.0
2.3
112.6
5.1
13.3
2.0
86.9
1.2
13.2
▲ 0.1
1.7
82.3 13.9
▲ 0.1
2.2
83.4 14.1
▲ 5.7
2.2
85.1 14.3
2.0
190.5
1.2
14.3
1.4
85.2
2.4
13.0
▲ 0.6
1.1
83.2 13.6
1.8
85.4
0.6
13.4
▲ 1.9
1.2
84.6 14.1
1.5
81.9
0.6
13.4
―
―
―
―
県企画調整部統計調査課 注3
前年比
%
2.9
3.6
▲ 4.8
▲ 0.7
▲ 6.3
▲ 6.4
▲ 3.5
▲ 3.4
▲ 4.7
▲ 7.7
0.8
▲ 3.5
▲ 6.9
2.2
2.3
―
注1.各年の年計は月平均。
注2.季節調整値。
注3.調査対象事業所の抽出替えに伴い、前年比はギャップ修正されている。
福島の進路 2008.9
■
51
主要経済指標
県 内
àZEà­ÖA
項目
日 銀 券
発行状況
▲ 発行超)
( 民
預
年月
億円
億円
平成17年
平成18年
平成19年
19年6月
7
8
9
10
11
12
20年1月
2
3
4
5
6
▲ 1,756
▲ 1,775
▲ 2,336
▲ 270
▲ 149
▲ 147
▲ 172
▲ 277
▲ 211
▲ 812
323
▲ 175
▲ 289
▲ 316
21
▲ 244
61,253
61,185
62,256
62,412
61,239
61,216
61,326
60,987
61,244
62,256
61,569
61,593
61,590
62,287
62,489
63,556
調査機関
間
金
日
前年比
%
―
▲ 0.1
1.8
2.0
0.9
0.9
1.0
1.5
1.7
1.8
2.0
2.1
0.9
1.4
2.1
1.8
本
金
貸
出
億円
38,873
38,929
38,326
38,018
37,802
37,663
38,030
38,027
37,838
38,326
38,018
37,986
38,238
37,829
37,856
37,799
銀
金
融
機
実質預金
一般預金
関
前年比
%
―
0.1
▲ 1.5
▲ 1.0
▲ 1.8
▲ 2.3
▲ 1.9
▲ 1.4
▲ 2.0
▲ 1.5
▲ 1.6
▲ 1.5
▲ 1.1
▲ 1.0
▲ 0.1
▲ 0.6
億円
億円
61,167
61,098
62,176
62,337
61,205
61,182
61,254
60,943
61,210
62,176
61,538
61,564
61,553
62,251
62,424
63,519
58,143
58,036
59,183
58,552
57,547
57,356
58,052
58,045
57,541
59,183
58,421
58,469
58,394
59,372
59,084
59,542
福
島
行
信
公金預金 金融機関預金
億円
億円
2,607
2,669
2,626
3,341
3,021
3,169
2,772
2,373
2,965
2,626
2,553
2,482
2,561
2,285
2,831
3,449
支
店
用
保
件
件
県
信
申
金
前年比
%
0.8
▲ 10.2
▲ 8.1
▲ 13.6
▲ 10.0
▲ 15.6
▲ 19.4
8.0
▲ 0.4
▲ 15.7
8.4
▲ 6.2
▲ 9.8
▲ 17.8
▲ 15.1
▲ 19.6
416 ※18,538
392 ※16,655
365 ※15,306
442
1,398
636
1,383
655
1,251
430
1,398
525
1,279
703
1,148
365
1,545
562
1,120
611
1,126
596
1,397
592
895
507
995
527
1,124
注1
証
数
用
額
百万円
※175,755
※149,032
※146,996
14,159
13,020
11,926
15,677
12,266
11,165
13,722
10,900
11,022
12,890
8,720
9,963
12,569
保
証
込
協
前年比
%
13.2
▲ 15.2
▲ 1.4
▲ 7.8
▲ 5.0
▲ 4.7
▲ 0.5
9.8
7.9
▲ 15.5
28.7
▲ 2.7
▲ 6.2
▲ 10.8
▲ 4.9
▲ 11.2
会
注1.各年の年計は12月の末残
éÆocÖA
県 内 4 市 手 形 交 換 高
項目
枚
数
千枚
年月
平成17年
平成18年
平成19年
19年6月
7
8
9
10
11
12
20年1月
2
3
4
5
6
調査機関
967
877
803
60
77
67
53
74
64
58
68
60
61
63
56
67
前年比
%
▲ 9.5
▲ 9.3
▲ 8.4
▲ 19.2
5.2
▲ 9.6
▲ 13.5
▲ 6.5
▲ 7.8
▲ 14.5
▲ 9.8
▲ 8.8
▲ 2.0
▲ 6.6
▲ 29.9
12.2
当
金
不
注1
額
前年比
百万円
%
▲ 2.4
930,559 ▲ 3.5
897,527 ▲ 5.3
849,912 ▲ 18.5
78,712 81,551
11.9
▲ 5.3
72,513 ▲ 11.0
49,617 ▲ 4.0
77,522 ▲ 7.7
59,715 ▲ 11.1
65,575 ▲ 2.9
75,099 ▲ 7.6
62,390 64,408
11.6
▲ 8.3
65,286 ▲ 33.6
60,443 79,255
0.7
研
枚
枚
1,419
1,705
1,548
73
109
75
220
229
163
109
123
183
259
249
136
380
究
渡
手
数
形
金
企
注1
額
前年比
前年比
百万円
%
%
▲ 42.9
▲ 62.1
1,339 20.2
2,009
50.1
▲ 9.2
▲ 1.3
1,983 ▲ 18.9
▲ 43.4
63 16.0
126
74.0
▲ 33.0
80
20.2
83.3
378
108.8
▲ 31.8
▲ 37.2
290 ▲ 15.5
254
54.1
▲ 14.2
156
29.3
▲ 23.6
▲ 4.4
219 77.7
159
29.0
232.1
263
144.7
245.8
591
873.4
▲ 12.8
211
84.4
420.5
508
705.5
所
注1.県内4市手形交換所É累計
件
業
数
倒
金
産
信 用 保 証 協 会 代 位 弁 済
額
前年比
前年比
百万円
件
%
%
▲ 31.3 65,483 ▲ 38.0
110 ▲ 3.6 64,617 ▲ 1.3
106 133
25.5 115,648
79.0
12
71.4
2,774
14.8
▲ 36.4
▲ 59.5
7 7,217 ▲ 61.4
15
66.7
3,155 9 350.0
8,134
722.4
▲ 9.1
▲ 32.3
10 5,336 ▲ 35.1
11
10.0
1,913 12
100.0
2,133
177.4
15
7.1
9,227
436.1
13
85.7
4,793
27.0
▲ 11.8 12,123
15 34.3
▲ 83.6
11
10.0 10,755 20
122.2
6,141
25.1
16
33.3
7,405 166.9
帝国データバンク福島支店
件
数
件
※ 579
※ 661
※ 957
55
107
69
64
68
69
119
66
93
184
58
86
75
県
円
※5,519,310
※6,295,557
※7,483,952
452,468
740,628
686,996
657,202
535,081
451,260
1,154,808
397,597
535,149
1,387,794
354,317
780,793
433,204
保 証 協
P印は速報、r印は訂正
マネース
項目 国庫対民間収 トック残高 日銀券
支尻(総計)
(M3) 平均発
▲ 払超) (平
( 残) 行 高
年月
億円
平成17年
平成18年
平成19年
19年6月
7
8
9
10
11
12
20年1月
2
3
4
5
6
調査機関
※377,929
※407,654
※371,981
▲ 34,482
100,819
49,275
▲ 2,036
27,428
49,842
4,210
109,140
50,863
▲ 26,433
28,300
63,571
▲ 65,056
財務省
国内銀行勘定
実質預金
注1
貸出残高
全国銀行 コ ー ル
手形交換高(全国)
貸出約定 レ ー ト
(有 担 保
金
額
平均金利 翌 日 物) 枚 数
前年比 前年比
前年比
前年比
百億円
百億円
年利% 年利%
%
%
%
%
0.5
3.0 52,641
1.5 40,855
1.1
1.623 0.0010
▲ 0.3
1.0 52,867
0.4 41,558
1.7
1.766 0.0990
0.2
1.4 54,504
3.1 41,764
0.5
1.945 0.4200
0.3
1.7 54,022
2.0 41,086
0.6
1.892 0.4520
0.5
1.6 54,023
2.8 40,954
0.0
1.902 0.4490
0.3
1.3 53,737
2.3 41,070
0.2
1.917 0.4390
0.3
1.5 53,915
2.3 41,269
0.0
1.933 0.4540
0.6
1.7 53,765
2.6 40,911
0.1
1.938 0.4510
▲ 0.2
1.938 0.4500
0.6
1.7 54,370
2.9 41,049 0.7
1.7 54,504
3.1 41,764
0.5
1.945 0.4530
0.7
1.5 54,430
3.1 41,548
0.9
1.930 0.4500
0.8
1.1 54,576
3.1 41,621
1.6
1.922 0.4500
0.8
0.8 55,234
2.8 41,942
1.4
1.926 0.4530
0.5
0.6 55,327
2.4 41,630
1.5
1.916 0.4500
0.7
0.7 55,234
2.1 41,705
2.2
1.916 0.4500
P 0.9
0.7 55,742
3.2 41,901
2.0
― 0.4520
日
本
銀
行
注1.国内銀行勘定の各指数は、オフショア勘定を含む数値。
■
千
額
前年比
%
22.3
14.1
18.9
11.5
2.7
7.9
17.7
20.2
▲ 13.6
179.3
▲ 46.6
▲ 9.2
80.4
612.8
79.4
▲ 4.3
会
※平成17年4月から任意整理を除く。
国 内
52
金
前年比
%
17.0
14.2
44.8
37.5
40.8
11.3
12.3
33.3
7.8
124.5
▲ 9.6
78.8
109.1
866.7
50.9
36.4
信 用
福島の進路 2008.9
企業倒産(負債総額千万以上)
件
数
金
前年比
前年比
千 枚 千億円
件
億円
%
%
▲ 12.3 12,998 ▲ 5.0
146,461
5,291 67,035
▲ 9.7 13,245
134,230
4,779 1.9 55,006
▲ 3.1 14,091
123,564
4,633 6.4 57,279
▲ 7.6
9,088
414 1,185
6.7
3,152
12,836
417
5.2 1,215
15.6
3,498
10,145
408
6.8 1,203
2.9
8,705
▲ 8.0
8,159
333 1,047
1.7
4,606
▲ 5.4
11,298
394 1,260
8.1
4,613
▲ 2.0
9,732
355 1,213
11.2
4,926
▲ 8.3
▲ 1.1
9,485
379 1,097 4,413
10,655
373
1.2 1,174
7.6
5,812
▲ 2.7
9,282
343 1,194
8.3
3,652
9,431
410
1.1 1,347
8.0
4,730
▲ 2.0
9,450
365 1,215
8.4
7,181
▲ 22.3
▲ 1.5
8,131
337 1,290 5,498
10,505
427
3.2 1,324
11.7
4,924
全国銀行協会
東京商工リサーチ
額
前年比
%
▲ 14.3
▲ 17.9
4.1
▲ 17.3
12.8
113.6
57.3
▲ 25.2
11.5
▲ 12.7
1.3
26.1
▲ 3.2
16.5
49.2
56.2
主要経済指標
国 内
企業物価指数
項目
消費者物価指数
全国総合
(167都市町村)
(総平均)
年月
平成17年
平成18年
平成19年
19年6月
7
8
9
10
11
12
20年1月
2
3
4
5
6
調査機関
輸出入物価指数
輸 出
17年= 前年同 17年= 前年比
100 月比%
100
%
▲ 0.3
100.0
1.6
100.0 102.2
2.2
100.3
0.3
104.0
1.8
100.3
0.0
▲ 0.2
103.9
1.8
100.2 104.6
1.9
100.1
0.0
▲ 0.2
104.6
1.5
100.6 ▲ 0.2
104.5
1.3
100.6 104.8
2.0
100.9
0.3
105.0
2.3
100.7
0.6
105.4
2.7
100.9
0.7
105.6
3.0
100.7
0.7
106.1
3.5
100.5
1.0
106.7
3.9
101.0
1.2
107.5
3.7
100.9
0.8
r 108.8
4.8
101.7
1.3
P 109.7
5.6
102.2
2.0
日 本 銀 行
総務省統計局
輸
鉱
入
生
工
産
指
数
業
生産者出荷指数
(季調済)注1
生産者製品在庫指数
製造業
稼働率
指 数
17年=100
17年= 前年同 17年= 前年同 17年= 前年比 17年=
(円ベース)
100 月比%
100 月比%
100
%
100
100.0
100.0
100.0
1.3
100.0
1.4
99.2
4.8
100.0
103.1
113.7
104.5
4.5
104.6
4.6
102.7
3.5
102.7
105.4
122.4
107.4
2.8
107.8
3.1
104.0
1.3
103.7
108.7
125.7
106.9
1.3
107.6
2.1
103.1
1.0
102.7
108.4
125.4
107.0
3.1
106.8
2.9
103.6
1.8
101.1
105.0
122.7
109.7
4.6
110.1
4.7
103.7
2.1
106.4
104.0
121.5
107.9
0.2
108.4
1.0
104.2
2.4
104.9
r 104.7
125.5
110.0
5.3
110.1
6.3
104.9
1.8
106.2
101.9
124.7
108.4
3.2
109.1
3.5
105.8
2.7
104.9
102.4
129.8
109.1
1.5
110.6
3.3
105.5
1.3
105.4
99.9
126.8
108.5
2.9
110.0
3.9
105.3
1.9
104.4
r 100.3
128.8
110.2
5.1
111.3
5.8
105.4
2.3
106.3
▲ 0.7
97.3
125.3
106.5 107.0
0.1
105.5
2.1
102.6
99.6
131.4
106.3
1.9
108.0
2.8
104.2
1.0
101.9
r 101.4
137.0 r 109.3
1.1 r 110.2
1.7
104.7
1.5
104.1
P 104.1 P 147.1 P 107.1
▲ 0.6 P 106.0
2.8
―
0.2 P 106.9 日 本 銀 行
経
済
産
業
省
機械受注(280社
分)
船舶«電力除
く民需(季調済)
前期比
%
123,649
7.1
128,537
4.0
▲ 3.6
123,885 ▲ 6.6
9,902 10,949
10.6
▲ 6.1
10,279 ▲ 4.8
9,789 10,644
8.7
▲ 2.0
10,432 ▲ 2.8
10,135 11,893
17.3
▲ 12.3
10,433 ▲ 8.3
9,568 10,094
5.5
11,146
10.4
―
―
内 閣 府
億円
注1.鉱工業の各指数の前年比は原指数の増減率。
建設工事受注(50社分)
(季調済)
項目
総
年月
平成17年
平成18年
平成19年
19年6月
7
8
9
10
11
12
20年1月
2
3
4
5
6
調査機関
額
民
大 型 小 売 店 販 売 額
新設住宅着工戸数
間
百
前年比
前年比
前年比
億円
億円
千戸
%
%
%
138,966
6.4 94,850
3.1
1,236
4.0
▲ 2.0
136,214 98,886
4.3
1,290
4.4
▲ 17.8
137,946
1.3 103,701
4.9
1,061 13,680
26.4 10,649
38.1
121
6.0
▲ 10.4
▲ 6.7
▲ 23.4
6,111 82 8,121 ▲ 14.2
▲ 12.7
▲ 43.3
9,305 6,781 63 ▲ 16.3
▲ 44.0
15,669 12,284
4.0
63 ▲ 22.7
▲ 22.7
▲ 35.0
7,044 5,368 77 ▲ 3.8
▲ 27.0
9,155 7,046
0.3
84 ▲ 3.6
▲ 19.2
12,293
4.7
8,722 87 ▲ 2.5
▲ 11.8
▲ 5.7
9,385 6,789 87 ▲ 5.0
12,212
18.4
7,768
8.9
83 ▲ 15.6
25,513
6.4 18,247
6.0
84 ▲ 8.4
▲ 14.2
▲ 8.7
7,598 5,844 98 ▲ 25.2
▲ 23.2
▲ 6.5
7,829 6,064 91 ―
―
―
―
―
―
国
土
交
通
省
貨
億円
87,629
86,440
84,652
6,961
7,906
5,744
6,028
6,862
7,565
9,592
7,399
5,833
7,231
6,381
6,405
―
経
店
ス ー パ ー
前年比
前年比
億円
%
%
▲ 0.5 125,654
▲ 3.6
▲ 0.7 125,010
▲ 1.6
▲ 0.7 127,336
▲ 1.3
▲ 1.9
5.1 r 10,406 ▲ 4.4
▲ 3.3
10,707 ▲ 0.8
1.1
10,949 ▲ 2.7
▲ 1.5
9,899 ▲ 1.6
▲ 1.8
10,299 0.8
10,559
0.1
▲ 2.2
▲ 0.9
13,083 ▲ 2.1
▲ 2.0
11,400 1.0
9,706
1.4
▲ 1.2
10,472
1.3
▲ 3.4
▲ 1.5
10,431 ▲ 2.5
▲ 1.7
10,546 ―
―
―
済
産
業
省
常用雇用 所 定 外 有 効 求 完全
指数 注 1 労働時間 人 倍 率
失業
乗用車新車登録台数 (製造業)
注2
(未季調)(製造業)(季調済) 者数
前年比 17年
時間
倍
万人
% =100
▲ 0.4 100.0 15.8 0.96
4,748 294
▲ 2.2 101.0 16.5 1.06
4,642 275
▲ 5.2 102.0 16.6 1.04
4,400 257
▲ 8.0 102.4 16.3 1.07
373 241
▲ 9.7 102.4 16.5 1.06
358 234
▲ 2.1 102.2 15.8 1.05
278 249
▲ 5.0 102.1 16.5 1.04
416 269
336
1.1 102.2 17.0 1.02
271
364
0.6 102.3 17.5 1.00
246
▲ 7.7 102.3 17.3 0.98
305 231
320
3.8 102.1 15.0 0.98
256
429
1.0 102.1 16.8 0.97
266
▲ 4.0 102.1 17.2 0.95
614 268
306
5.4 103.6 16.4 0.93
275
▲ 3.6 103.6 15.1 0.92
296 270
P 364 ▲ 2.5
―
―
―
―
注3
注4
厚生労働省
千台
注1.従業員30人以上から5人以上、季調済から未季調に変更
注2.従業員30人以上から5人以上に変更
注3.日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会
登録車種(ナンバー)ベース、但し平成15年まではシャーシーベース。
注4.総務省統計局、各年の年計は月平均。
項目
通
輸
年月
平成17年
平成18年
平成19年
19年6月
7
8
9
10
11
12
20年1月
2
3
4
5
6
調査機関
関
出
輸
入
国 際 収 支 (I M F 方 式)注1
貿易Éサービス収支
所得収支
経常収支
投資収支
前年同
前年同
百万ドル
百万ドル
億
月比%
月比%
598,206
5.9
518,633
14.1
76,929
113,816
182,591
647,286
8.2
579,301
11.7
73,460
137,459
198,488
712,736
10.1
621,081
7.2
98,251
163,267
247,938
59,893
7.7
49,655
2.3
11,444
4,569
15,164
57,447
4.8
51,888
9.4
4,515
15,176
18,515
59,105
11.6
52,857
3.0
6,842
14,794
20,811
▲ 1.6
63,025
7.8
49,030
16,105
14,169
29,259
64,706
15.7
56,115
10.6
8,535
14,444
22,065
63,945
13.9
57,034
17.8
7,935
9,996
17,058
67,264
12.7
59,489
18.5
6,869
10,027
15,891
▲ 1,803 r 14,484 r 11,637
58,252
16.8
58,823
17.8 r 65,239
23.0
56,240
24.7 r 9,298 r 16,755 r 25,142
73,679
16.1
62,929
26.1 r 11,944 r 19,593 r 29,024
68,435
22.0 r 63,754
31.5 P 1,994 P 12,955 P 13,809
65,465
19.3 P 62,012
20.2 P 5,066 P 15,650 P 20,006
―
―
―
―
―
―
―
財
務
省
財
務
▲ 134,578
▲ 119,132
▲ 220,652
▲ 9,643
▲ 14,868
▲ 20,180
▲ 24,213
▲ 17,099
▲ 17,971
▲ 11,425
r ▲ 13,439
r ▲ 26,597
r ▲ 29,576
P ▲ 24,554
P ▲ 19,752
―
省
(東京市場)
外貨準備高 外貨1米ドルあたり
資本収支 (年月末)
円
直物終値
注2
月中最安値
百万ドル
▲ 140,069
▲ 124,666
▲ 225,384
▲ 9,936
▲ 15,042
▲ 20,601
▲ 24,325
▲ 17,203
▲ 18,387
▲ 12,212
r ▲ 13,615
r ▲ 27,305
r ▲ 30,313
P ▲ 24,792
P ▲ 19,993
―
846,897
895,320
973,365
913,572
923,718
932,157
945,601
954,484
970,185
973,365
966,044
1,007,981
1,015,587
1,003,836
996,975
1,001,549
財務省
月中最高値
円
117.48
118.92
113.12
123.48
118.99
116.24
115.27
114.78
110.29
113.12
106.63
104.34
99.37
104.05
105.46
105.33
日
本
121.40
119.80
124.14
124.14
123.67
119.77
116.47
117.83
114.93
114.39
110.10
108.37
104.01
104.82
105.73
―
銀
101.87
109.02
107.29
120.77
118.04
111.60
112.60
113.25
107.29
109.72
105.62
104.27
95.77
99.59
102.58
―
行
注1.発表形式の変更により項目を改定。および単位を円ベースに変更。なお、計数はN及して変更済。
注2.17時時点の気配値ベース。
福島の進路 2008.9
■
53
å
編 集 後 記
å
一般の家庭では、多くの日光を家の中に取り込むために、庭を南側に造ります。
ところが、庭を眺めることに重点を置くならば、南からの陽射しが逆光とならないよう、家の北
側の庭が理想的だという説を聞いたことがあります。なるほど、昔のお殿様などはそこまで考えて
庭造りをしたのかもしれません。
猪苗代湖の南の岸から、湖面越しに磐梯山をご覧になったことがありますか?
陽が西に傾くと
山全体が輝きを増し、感動的な景色となります。
郡山市湖南町の布引高原に立ち並ぶ風力発電の風車たちは、眼下に猪苗代湖、正面に磐梯山とい
う「福島県を代表する景色」を、自分の庭のように楽しんでいることになります。まるでお殿様の
ようですが、風の強い日は「目が回る忙しさ」かも知れませんね。
(若狭)
54
■
福島の進路 2008.9