2016 年 10 月 13 日 プレスリリース AGV(無人搬送車)市場に関する調査を実施(2016 年) 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内の AGV(無人搬送車)市場の調査を実施した。 1.調査期間:2016 年 7 月~9 月 2.調査対象:国内の AGV メーカやその技術開発に取り組む企業、関連団体、関係省庁等 3.調査方法:当社専門研究員による直接面談を中心に、電話・e-mail によるヒアリング、文献調査併用 <AGV(Automated Guided Vehicle)とは> 本調査における AGV(無人搬送車)とは、レールを敷設しない無軌道式の AGV をさし、荷物積載タイプや荷 物牽引タイプの AGV とともに、無人フォークリフト(AGF:Automated Guided Forklift)も対象に含む。また、AGV 単体の他、搬送システムの一部構成機器や駆動キットなどで利用される AGV も対象とするが、有軌道式 AGV に ついては含まない。 【調査結果サマリー】 2015 年度の AGV 市場規模は 94 億 2,700 万円、前年度比 22.3%増と大きく伸長 国内 AGV(無人搬送車)市場規模(メーカ出荷金額ベース)は、景気回復とともに拡大する傾向に あり、2015 年度は 94 億 2,700 万円で前年度比 22.3%増、2016 年度も 102 億 5,700 万円と同 8.8%増 の見込みである。この要因は、国内の景気回復に伴い AGV の需要が拡大したことにあり、特に 2015 年度は一部のユーザでまとまって導入されたことが市場を押し上げている。2016 年度も拡大傾向にあ るが、円高傾向も見られるなど不安材料もある。 AGV 新規需要開拓には用途に応じた安全対策がカギに 今後の AGV 需要拡大のカギを握るのは、これまで AGV 未導入の新規ユーザ開拓となる。主流を 占める FA 向けから物流・倉庫向け、小売業向けの用途に新たな期待が集まるが、新規ユーザではこ れまで AGV の使用経験が無いだけに、どのように AGV を応用させるかの判断はできにくく、この点で 技術者もいて AGV の応用を自社で検討できる製造業のユーザとは大きく異なる。安全対策は規格化 されているが、新規需要開拓には用途に応じた、細やかな安全対策が求められている。 市場予測:2019 年度の AGV 市場規模を 112 億 9,000 万円と予測 FA 向け需要が徐々に伸び悩む中で、AGV メーカの新規需要開拓が少しずつ顕在化することで、新 規需要が徐々に立ち上がり、2019 年度の国内 AGV(無人搬送車)市場規模(メーカ出荷金額ベース) は 112 億 9,000 万円になると予測する。新規需要を開拓するためには、AGV メーカからのユーザへの積 極的な働きかけと採用現場に即したメリットのある提案が求められ、製造現場以外をターゲットとする AGV メーカの新規展開がカギを握ると考える。 ◆ 資料体裁 資料名:「AGV 市場の現状と将来性 2016」 発刊日:2016 年 9 月 29 日 体 裁:A4 判 124 頁 定 価:150,000 円(税別) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 10 月 13 日 プレスリリース 【 調査結果の概要 】 1. 市場概況 国内の AGV(無人搬送車)市場規模(メーカ出荷金額ベース)は、景気回復とともに拡大する傾向 にあり、2015 年度は 94 億 2,700 万円で前年度比 22.3%増、2016 年度も 102 億 5,700 万円と同 8.8% 増の見込みである。(図 1 参照) この要因は、国内の景気回復に伴い AGV の需要が拡大したことにあり、特に 2015 年度は一部のユ ーザでまとまって導入されたことが市場を押し上げている。2016 年度も拡大傾向にあるが、円高傾向も 見られるなど不安材料もある。また、需要用途別に 2015 年度の AGV 市場を見ると、自動車や食品・飲 料、医薬品などの FA(Factory Automation)向けが全体の 90%程度と大きなウェイトを占め、AGV の需 要を支えている。 2. 注目すべき動向 2-1.5 つに分類できる AGV メーカの事業への取り組み AGV 市場への参入メーカを、基本的な事業の取り組み指向から判断すると、システム指向、オーダメ イド指向、量産指向、地場・特定用途指向、新規需要開拓指向の 5 タイプに分類できる。 いずれのタイプの AGV メーカにおいても、いかに機能を高め、用途を拡大しユーザを増やしていくか が最終的に問われてくる。新たな動きの少ない業界の中では、特に用途を限定する地場・特定用途指 向タイプやこれまでに無い機能を採用する新規需要開拓タイプの AGV メーカの市場展開が、これから の AGV 需要拡大の契機となる可能性は高いと考える。 2-2.大きな変化はない要素技術~誘導方式、蓄電池 AGV の誘導方式では磁気誘導方式が最も幅広く採用されており、この傾向は近年大きな変化はない。 新規参入メーカが磁気誘導方式以外を採用し差別化を図ったり、限定用途に適した誘導方式として磁 気誘導方式以外の方式を採用したりする程度であり、磁気誘導方式が中心であることに変わりはない。 また、蓄電池の種類では、充放電特性やエネルギー密度、寿命ではリチウムイオン二次電池(LiB)に 勝るが、価格の高さを嫌う AGV メーカも多く、鉛蓄電池で充分というメーカも存在する。 ただ、ユーザの使用条件や要望により誘導方式や蓄電池が選択される側面もあり、性能がよければ いい、価格が安ければいいというものでもない。新製品や新規参入メーカでは新技術を積極的に採用 する動きもあるが、市場全体で新たな技術に移行するという傾向は見えてきていない。 2-3.製造現場(FA 向け)以外に応用を図るには、安全対策も必要 今後の AGV 需要拡大のカギを握るのは、これまで AGV 未導入の新規ユーザ開拓となる。FA 向けが これまでは主流であったが、新たな用途としては、物流・倉庫向けや小売業向けの用途に期待が集まる。 但し、これらの新規ユーザではこれまで AGV の使用経験がないだけに、どのように AGV を応用させる かの判断はできにくく、この点で技術者もいて AGV の応用を自社で検討できる製造業のユーザとは大 きく異なる。 例えば、AGV 車体に採用されている主な安全対策は、基本的には JIS D6802(無人搬送車システム 安全通則)規格に対応している。しかしながら、現状ではオプション扱いの AGV もあることから、ユーザ の判断により規格を採用しないこともあり得る。製造現場(FA 向け)以外への AGV の応用を広げるため には、AGV の性能向上とともにその使用環境にあった安全対策が求められていくと考える。 3. 将来予測 国内の AGV(無人搬送車)市場規模は、2017 年度以降も伸び率こそ低下するが拡大傾向を維持す ると予測する。これを支えるのは FA 向け以外の新規需要で、AGV メーカの需要開拓が少しずつ顕在化 してくると考える。数字だけでは判断できない需要構造の変化が顕在化してくる中、FA 向け需要が伸び 悩むが新規需要が徐々に立ち上がることで、2019 年度の AGV 市場規模(メーカー出荷金額ベース)は 112 億 9,000 万円になると予測する。 AGV はその用途拡大を図る過程で、限られた空間で限られた人が使用する使用環境を打破すること が求められ、そのためには一つ一つ普及への課題を克服したうえで新たな提案が必要となる。そして、 少しずつ人の生活環境に入り込むことで用途の拡大も進み、最終的には AGV の枠を超えたサービスロ ボットに進化する道が開けていく。まずは製造現場ではない需要を開拓することが AGV の用途拡大の 第一歩となる。新規需要を開拓するためには、AGV メーカからのユーザへの積極的な働きかけと採用 現場に即したメリットのある提案が問われてくると考える。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd. 2016 年 10 月 13 日 プレスリリース 図 1.AGV(無人搬送車)市場規模推移と予測 (単位:百万円) (前年比:%) 16,000 122.3 108.8 14,000 105.2 101.9 102.7 100.0 12,000 市場規模 10,000 前年度比 10,257 10,790 10,990 11,290 9,427 8,000 7,705 50.0 6,000 4,000 2,000 0 0.0 2014年度 2015年度 2016年度 (見込) 2017年度 (予測) 2018年度 (予測) 2019年度 (予測) 矢野経済研究所推計 注 1:メーカ出荷金額ベース 注 2:2016 年度は見込値、2017 年度以降は予測値 注 3:レールを敷設しない無軌道式の AGV を対象とし、荷物積載タイプや荷物牽引タイプの AGV とともに、無人フォーク リフト(AGF)も含む。また、AGV 単体の他、搬送システムの一部構成機器や駆動キットなどで利用される AGV も対象とす るが、有軌道式 AGV については含まない。 Copyright © 2016 Yano Research Institute Ltd.
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