生活習慣病の予防に野菜の力を

News Letter
05/20/2010
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生活習慣病の予防に野菜の力を
~コレステロールを下げる様々な働き~
メタボリックシンドロームや、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病を予防して健康に過ごす
ためには、適切な食事や運動の習慣を生活に取り入れることが重要です。その習慣として考
えたいことの1つが、野菜を長期にわたってきちんと食べること。野菜には、脂質の改善や、
がんや生活習慣病の予防などの効果があることが、多くの研究から示されています。
このニュースレターでは、特に、動脈硬化に直接かかわるコレステロールへの野菜の働き
について取り上げます。
-目次-
1.食事のバランスの乱れ
2.その先は動脈硬化
3.野菜の力でコレステロールを下げる
4.野菜をたくさん取るための工夫
1.食事のバランスの乱れ
私たちの体が健康を保つためには、炭水化物、脂質、タンパク質など、様々な栄養素
を食事からバランスよく取り込むことが必要です。しかし、食生活の西洋化が進むにつれ
て、1日あたりのカロリーには大きな変化がないにもかかわらず、脂質の量は増加してき
ています。このことは、血中コレステロールの上昇や、肥満、老化の加速などを徐々に引
き起こし、気付かぬうちに私たちの体を蝕んでいきます。
図: 国民1人・1日あたりの供給熱量および脂質量の変化
(食料需給表 平成 20 年度 より)
脂質量
90
80
70
60
50
40
熱量(kcal)
3000
2500
2000
1500
年
年
成
20
平
成
17
平
平
昭
和
60
年
年
和
50
昭
和
40
昭
成
7年
0
年
0
脂質(g)
熱量
2.その先は動脈硬化
その先の大きな問題となるのは動脈硬化です。動脈硬化とは、血管の内側に余分な
コレステロールなどが溜まって、血管の壁がもろく硬くなって、血管が傷んだ状態のこと
で、そのリスクが高くなるのは 40 代からです。動脈硬化が進むと、血液の流れが悪くなっ
たり、止まったりします。それが心臓の周りの血管で起これば心筋梗塞や狭心症、脳なら
脳卒中、脚なら閉塞性動脈硬化症、大動脈なら大動脈瘤や大動脈解離につながるので
す。
動脈硬化は自覚症状なく進行するので、まずは血液中の LDL-コレステロール(悪玉コ
レステロール)の量に注意して、健康管理することが大切です。
図:LDL-コレステロールが血管の壁に入り込んで動脈硬化が始まる
3.野菜の力でコレステロールを下げる
血液中の LDL-コレステロールの値が気になる方は、まず、食事のバランスを見直して
みる必要があります。カロリーや脂質の量、そして野菜の量も大切です。野菜は比較的、
脂質やカロリーが少ないので、野菜をたくさん食べて脂っこくてカロリーの高い料理を減
らすように心掛ければ、満腹感はそのままに、日ごろの食生活で取り過ぎがちな脂質や
カロリーを少なくすることができます。
また、野菜には動脈硬化を防ぐ効果があることが明らかになってきており、コレステロ
ールに対しても次のような効果があると考えられています。
① LDL-コレステロールの酸化を防ぐ
LDL-コレステロールが酸化されると、これが動脈硬化を促進させます。野菜は、大切
な栄養素であるビタミンやミネラルなどの供給源。β-カロテンやビタミンC、ビタミンEと
いった代表的な抗酸化ビタミンも含んでおり、LDL-コレステロールが酸化するのを防ぐと
考えられています。
② 野菜の食物繊維がコレステロールの排出を助ける
野菜に多く含まれる食物繊維は、吸収や消化はされませんが、腸で様々な働きをして
いることがわかってきました。その1つがコレステロールの排出。コレステロールが腸内
で食物繊維と結びつくと、吸収されにくくなってそのまま排出されてしまいます。また、体
内でコレステロールから作られて腸内へ分泌される胆汁酸も、食物繊維があると結びつ
き、再吸収されずに排出されてしまいます。胆汁酸が少なくなると、体は新たにコレステ
ロールを使って胆汁酸を作りますので、血液中のコレステロールが減少します。
③ 野菜には様々な機能成分が含まれている
最近の研究から、野菜は様々な機能成分も含んでいることがわかってきています。今、
特に注目されているのがブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科の野菜。ブロッコリー
やキャベツに含まれる天然アミノ酸「SMCS」は、コレステロールが胆汁酸に変わるのを促
進し、胆汁酸として体外へ排出されるコレステロールの量を増やします。
図:コレステロールの排出
コレステロール
コレステロール
コレステロール
SMCS
SMCS
肝臓
促進
SMCS
胆汁酸
胆汁酸
胆汁酸
分泌
食物繊維
食物繊維
コレステロール
コレステロール
食物繊維
食物繊維
食物繊維
コレステロール
体外へ排出
胆汁酸
食物繊維
胆汁酸
4.野菜をたくさん取るための工夫
生活習慣病を防いで健康を保つためには、野菜を1日に 350g 取ることが推奨されて
います。しかし、実際に日本人の成人が1日に食べている野菜は 295g です(平成 20 年
国民健康・栄養調査)。野菜が食べにくい理由の1つには、噛みごたえがあって、かさが
高く、量が多いと感じることが挙げられます。野菜をおいしく食べるためには、蒸したり、
ジュースにしたりするのがお薦めです。
*蒸す
電子レンジやタジン鍋など、短時間に手軽に蒸し野菜ができる調理器具があります。
蒸し野菜は調理に油を使わないので、脂質の量を減らすことにもつながります。
野菜は加熱することで、やわらかくなり食べやすくなります。また、葉っぱ物の野菜な
どはかさが少なくなるので、たくさんの量が食べられます。
*ジュースにする
ミキサーを使うと、野菜と水だけで、手軽にフレッシュ野菜ジュースを作ることができま
す。ジュースにすることで、普段は食べにくい野菜も取り入れやすく、生の野菜の栄養や
繊維質をそのままに手軽に取ることがでます。また、冷たい野菜ジュースは食欲が衰退
しがちな夏場でも飲みやすく、調理にも火を使う必要がありません。苦味が気になったり、
少し甘味がほしい場合には、果物も入れれば、砂糖を加えることなくおいしいジュースを
作ることができます。果物も、野菜と同様に、1日に食べられている量が目標の 200g に
達していません。季節の野菜と果物を上手に組み合わせると良いでしょう。
<まとめ>
現代の食生活では不足しがちな野菜ですが、動脈硬化などの生活習慣病を予防する
ためには欠かせません。食事のバランスを取り戻して健康を保つために、自分の生活ス
タイルに合った方法を取り入れながら、野菜を少しでも多く取るように心掛けましょう。
<このレターに関するお問い合せ先>
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