JAC 00会 NEWS LETTER

2016 年 09 月 15 日号
JAC 00会 NEWS LETTER
発行:日本山岳会00会
発行人:佐藤 允信
編集者:本間 正士
4年越しの挑戦!!佐武流山登頂おめでとうございます。
“ついにやった! 佐武流山 2191.5mに登頂!”2016 年 7 月 27 日~29 日 三日間の記録
参加者 6 名 佐藤、三渡、本間、副島、山城、吉田(記)
ッチ数列に並ぶことを後から知った。
自然界は神秘だ。
おかげさまで最初の計画から4年目にしてついに
気をつけて色々観察するとおもしろそうです)
佐武流山登頂出来ました。今回はみなさんの協力で日
切明温泉の宿までは2、3 度行っているので距離は
程にゆとりが持てたのが成功に繋がったのだと思う。
あるが不安は感じない。秋山郷の狭いR405号路を
出発を 2 日もずらせたことにより登山日はまあまあの
難なく通過、明日のためドロノキ平登山口を確認して
天気になり、一番心配な渡渉もクリア出来た。温暖化
4時過ぎ宿に着いた。温泉に入り
の影響か昨今は梅雨明け宣言が
6時の夕食まで懇談する。
出ても天気は安定しないことが
宿の泊客は我々6人の他は女性
多い。そんな中、今年は何とし
客一人のみであった。その女性は
てもやり遂げたい一心で出発し
元気な方で300名山を目指して
た。
いて、明日登る鳥甲山を入れ残り
1日目:テント泊をなしにし
3座と言う。先週は暑い日の一日
たので今日は切明温泉の宿にま
に佐武流山に登ったばかりで鳥甲
で行けばよい。八王子を昨年よ
山に続けて登るつもりだったが疲
り1時間遅く9時 10分に出発
れてしまったので出直したそうな。
した。
高坂SA で山城車と合流、
津南のひまわり畑
そのバイタリティーにびっくり仰
谷川岳 PA では 6 年水を味わい、
天した。渡渉や登山道の様子や注意点などを聞くこと
昼食をとるため湯沢 IC で降りた。
ができた。掛かった時間は恥ずかしいけど14時間だ
国道を探しながら進むと「釜焚きめしや」が見つかり
ったとボソッと言う。我々より10歳位は若い。明日
飛び込む。ここが大当たりで全員が注文した和定食の
の佐武流山は相当手強そう!覚悟せねばと感じた。山
生姜やきとご飯が美味しかった。さすがは米どころ。
城さんも300名山目指してやはり残りわずかなので
幸先がいいぞー!
話が尽きないようだった。
まだ時間に余裕があったの
明朝は3時半には起床、4時
で、津南町の河岸段丘に5
に宿を出ることを決めた。朝
0万本のひまわり畑に行っ
食分のおにぎりも頂けたので
てみることにした。想像以
朝のパッキングとして9時に
上に広い段丘で一面が畑だ。
就寝した。
イベント用に作られた駐車
2日目:登山当日予定通り
場に車を停めてひまわり畑
宿をでてドロノキ平登山口
まで歩く。見晴らし台に上
るとひまわりはみんな見晴
(1120m)を未明の4時半出
らし台(南側)に向いて咲
発した。ライトをつけながら
ドロノキ平登山口(1120m)を未明の4時半出発
いる。太陽に向いていな
登るが林道までは昨年一昨年
い??(ひまわりは成長段階では太陽の方向に首を回
と二度も踏んでいるので心配はなかった。
すが咲ききると動かないらしい。曇りの日が続くと狂
林道三叉路で若い男女 3 人組が食事していた。さっき
いが出て揃わないとか)この畑今年は晴天が続き見事
登山口で行き会った林道回りの人達ではないか、遠回
に揃っていた。
しばらくヒマワリの花を眺め満喫した。 りのはずなのにずいぶん早いなーと感じた。私たちも
明るくて力強く元気にしてくれる花だ。
(種はフィボナ
そこで朝食をとる。
(5 時 17 分~5 時 50 分)左上に
1
を歩く副島さんの足の運び具合が少し気になってきた。
月夜立岩(幾つもの奇岩が遙か上にそそり立つ山)が
足がつるようだ。少し休み、即効の漢方薬飲みながら
見えてくると林道終点、ここまでは一昨年下見してい
も頑張って登っていた。
る。
(6 時 19 分着)
物思い平(1617m)
(8 時 45 分着 )変わった名前だ。
川までの下りは 20 分位、予想していたより歩きや
すい良い道だ。いよいよ課題の檜俣川だ。緩めだがロ
名前の由来を知りたい(物思いにふけった様に黙々と
ひたすら登る?のかな。平らなんて全くないし・・)
ープが張ってあるし、水量は私の短足ではひざ上まで
パン、おかき等と水分補給。前方には原生林がそそり
ありそうだが緩やかな流れだ。昔の川遊びを思い出し
立つ山が見える、あれも超えなくては・・。まだまだ
ながら靴を脱ぎサンダルに履き替え準備しているうち
先は長そうだ。いったん下りまた登る、
に素早い三渡さ
尾根を歩いているようだがロープが何カ
んはさっさと渡
所か有って登ったり下ったり、しかも滑
り終えて大きな
りやすくかなか楽をさせてくれない。
石を転がして、
10 時 40 分やっとワルサ峰(1878m)
足の置き場を作
ってくれている。
に着く。ワルサ峰・名前からして難儀な
ロープにつかま
山なこと・・・。苗場山分岐まで 35 分
りその石を踏ん
と標識板有り。タオルは汗でぐっしょり
で渡りきった。
だ。木の枝に掛けておいて帰りに回収。
山靴に履き
遠くはガスがかってはいるがやっと見晴
替え水分補給を
らしのよい尾根に出てほっとする。カン
課題の檜俣川渡渉
して出発(7 時
カン照りより少しはいいかな。西赤沢源
19 分)ここから
頭(11 時 30 分苗場山、赤倉山への分岐
がいよいよ佐武流山への登り本番だ。やっと、やっと
だ。
)ここまで来ればあとひと踏ん張りだ。しばらく行
第一歩が踏み出せると思うと内
くと徒渉時に追
心わくわくした。
い越して行った
山頂までの標高差 1100m位
中高年男性三人
か・はじめは川に沿ったように
組に行き合う。
緩やかな登りだったが次第に傾
はやいなー・
・。
斜がきつくなって足の置き所に
坊主平に 11
要注意の石コロの道が続く。
時 52~12 時 7
あれ!上から下ってくる人がい
分着。のどが渇
る?朝食時に会ったばかりの若
きお腹もすいて
い 3 人組ではないか、一人具合
力が出ない。こ
が悪くなり撤退するという。
・・
こで休憩するこ
「ああ・やっぱり長丁場の山は
とにして先ず水
ゆっくり行かなくちゃね・・」
分は補給、朝食
と我々年長者は言う。
の残りのおにぎ
山頂に続く尾根道に出て展望が開ける
約 1 時間・蒸し暑くて汗をびっしょり掻いて登る、 り、パン、ゼリーなど食べる。佐藤さんから頂いた梅
一足さきすすむ本間、山城、三渡の 3 氏が休んで待っ
干しは殊に美味しかった。
ていてくれた。
(8 時 10 分)標高差 300 くらいは登っ
後もう少しだ。頑張ろう。予定より遅れてはいるが
たのか。
目指す山頂までは 1 時間は掛からないはずだ。三渡、
兎に角のどが渇く、水分を取り、最初の順番で副島、
本間、山城、三氏が先に進み吉田、そのあと佐藤、副
吉田、三渡、佐藤、山城、本間順で再び登り開始、ス
島氏と続く。上り下りの尾根みちを黙々進む。皆と少
トックは一本にして片手は木の根や岩に捕まりながら
し離れて前後には人はいない。雨粒がぽつぽつ落ちて
よじ登る感じだ。
きた、やばいぞ!大降りにならなければいいがと願い
倒木や滑りやすい木の根の障害物、段差のなど有り過
つつ傘もささずひたすら進む。もう少しで山頂のはず
ぎて一時も気を抜けない急な登りが続く、途中から前
と思っていると、単独行の若い男性に行き会う、もう
2
す
めた。なんと奥深いことか。ワルサ峰 15 時 19 分着、
ぐだよと励まされた。本当に佐武流山頂はそれからす
前方の木の枝の間から苗場山の分かりやすい平らな山
ぐだった。
頂が初めて見えた。随分と回り込んで行くのだ・・。
木の枝で覆われた道の奥のポッカリ開いた穴のよう
ここから先は急な下りが続く。我々の登った後に雨が
な空間に山頂の標識が見えた。あった!やった!と思
降ったらしくとても滑る。木の根も多く段差も大きか
った。嬉しかった 数歩が早足になった。とうとう着
ったりするので更に更に慎重に下る。それでも滑りみ
いたのだ。 思わず柱にタッチして抱きついてしまっ
んな誰もがころび回転する人さえいた。怪我には至ら
た。
ず良かったが。
佐武流山山頂 標高 2192mと書かれた標識柱をじ
遠から雷鳴が聞こえ
っくりながめ時計をみ
た。 川の音が聞こえ
たら 12 時 55 分だった。
てはいるがなかなか着
一足さきの本間、
三渡、
かない。やっと緩やか
山城さんの三氏は 10
な下りになり川までも
分前の 12 時 45 分着い
う少しの階段の所に湿
たそうで腰を下ろし休
原に咲くシラヒゲ草が
んでいる、3 氏に思わ
ず握手を求めていた。
咲いていた。今回初め
佐藤、副島さんは 13
て見つけた花なので思
時 5 分着。やはり握手
わずカメラに。皆さん
してもらった。今少し
を少し待たせてしまっ
若かったら皆さんとハ
たけれど・・
グしていたかもしれな
檜俣川着(18 時 05
い・。なんて・でも正
分) みんな喉が渇き
直な気持ち・・。兎に角、苦しい登りだった。けれど
きっている。水分補給をして靴を脱ぎ、泥を洗い流し
ついに登頂!! 佐武流山山頂(標高2192m)
みんな登頂出来て良かった。見晴らしもまあ良くて知
渡渉準備。川の水は冷たくて、熱っている足にとって
っている山はなかったがあれこれといいながら眺め、
も気持ちいい。なんと S さ
写真を撮ったりして 13 時40分頃まで休む。雨がぱ
んは肩までも浸かってしま
らぱらと落ちてきて降りそうだったが脅かし程度で降
っている。ほてりが取れた
らなかった。
せいかその後俄然調子が良
さてあの長い道を戻らなければ・副島、吉田三渡・・ くなった。水量は朝より少
と最初の順に下山開始、坊主平迄の道はぬかるんでい
し増えているように感じた。
ガスの切れ目に佐武流山山頂から
る。滑らない
渡渉が終わ
よう注意し右
り 30 分の登り
ひだりと水た
で林道終点へで
まりを避けな
た。6 時 30 分、まだ大分掛かりそうだ。宿
がら進む。坊
に連絡をする。林道三叉路からライトをつけ
主平の標識を
ドロノキ平目指して進むがこの道がえらく長
見た途端すっ
く感じた。残りの水を飲みきってもまだ喉の
下りの尾根道は青空が登頂を祝福
てんころり。
渇きは治まらない。ライトの電池が弱って皆
私だけではな
さんに心配をかけてしまった。山城さんが予
く誰もが滑っ
備のライトをさっと出して貸してくれ無事登
ていたようだ
山口にたどり着いた。車に置いてあった温く
った(14 時 15
なっているサイダーを飲みながら宿に向かっ
分着) 。西赤沢源頭・苗場山への分岐(14 時 35 分着)
た。
しばらく見晴らしの良い尾根道が続いたので立ち止ま
予想以上に時間が掛かって宿にも心配かけたが、怪
り、右側の深くたおやかな谷や遙かに続く山々をなが
我もなく無事に帰られて本当に良かった。遅くなった
3
山の水無尾根辺りだったら帰りの渡渉は出来なかった
もしれない。間一髪の幸運だった。
カヤの平から木島平方面に下り竜王スキー場から夜
間瀬へと回って、道の駅「北信州やまのうち」で昼
食をとった。
ここから予定だった志賀高原に上がって行き清水
公園へよる。いつもは静かな公園だが観光バスが何
台も停まり賑やかだった。夏休みに入っているので
仕方ない。名水をペットボトルにつめて渋峠に向か
う。途中の木戸池辺りにはヤナギランがはやくも咲
いていた。小さい山や池もあるのでいつか歩きたい
ところだ。渋峠の手前に志賀方面がよく見えるのぞ
きのパーキングがあったがうっかりしていて通過し
てしまい残念だった。また何時か来ればいいさ・・。
渋峠で一休みし出発、立ち入り禁止になっている草津
白根山を横目に見て下り草津も通り抜け、渋川・伊香
保 IC へ向かう。高速道に乗り高坂SAでやっと休憩、
運転ご苦労様、精算を済ませて練馬方面、八王子方面
に別れ解散となった。三日間本当にお疲れ様でした。
色々協力して頂き
ありがとうござい
ました。
(昨年まで一緒に
行った綿貫さん綾
部さんご一緒出来
なくてほんとうに
3年お世話になった切明温泉「雄川閣」
残念でした)
ので風呂の前に夕食を頂くことになり、ビールと冷水
のお替りを何杯もして喉の渇きを潤した。美味しい夕
食を頂き、温泉に入りさっぱりすると満足感百パーセ
ントの一日と
なった。
佐武流山は標
高 2192mで
も滑りやすい
難路と蒸し暑
さとの戦いで
難行苦行の山
であったった。
木島平村カヤの平 昨日は豪雨で水浸しという
それだけに忘
れられない山の一つになると思う。体力の余る方も最
後まで協力して頂きありがとう。みんな揃って登頂、
帰還出来たことに感謝します。そして何度も一緒に挑
戦して頂いたことにも。
三日目は 志賀高原から渋峠を越えて帰ることにし
た。切明温泉から橋を渡り 1 時間ばかり進んだところ
の三叉路で志賀高原へ回ろうとしたら、なんと入り口
が通行止めになっているではないか。いやー!まいっ
たなー・・仕方ないのでカヤの平高原へまわることに
した。
キャンプ場の管理事務所に寄って聞くと志賀高原方面
は昨日夕方から集中豪雨になり、崖崩れが起きて今朝
から通行停めになったところだと言う。下山中に聞い
た雷鳴は奥志賀だったのだ。もし、少しずれて佐武流
皆の一言
・山城政安:
「老体を 時間で稼ぐ 佐武流山」流石、安心安全爽やか山行を信条の00会。万歳。
・佐藤允信:4年がかりで佐武流山登頂を果たしました。まさに執念ともいえるでしょう。私が前回登頂した時
の記録と比較してみました。それは15年前の2001年10月6日~7日でした。6日ゲート前でテント泊、
朝6時出発し、下降点7:30、ワルサ峰9:30、佐武流山頂11:00、ワルサ峰11:30、下降点14:15、
ゲート15:40に下山。合計タイム9時間40分
今回、ドロノキ登山口4:30、下降点6:38、ワルサ峰10:27、佐武流山頂13:00~13:25、ワルサ峰
15:18、ドロノキ登山口19:40に下山。合計タイム15時間10分
私の前回の登山は季節が秋で涼しかったが、
今回は真夏で湿度がものすごく高かったこともあり体力を消耗した。
また15年分若かったこともあり今回で高齢化による体力の減少を感じた。でも全員落伍者なく完歩できたこと
は評価していいと思います。参加者の仲間に感謝。登山は時間の長短で質を判断すべきでないと思いますし、そ
の内容と無事下山が最も大切なことと再認識したところです。
・副島一義:佐藤会長の粘り強い精神力に助けられて、ヤットコ、サットコ、登頂できました。ドロノキ登山口
を 4:30 出発してから4時間を超えた物思平から先の、蒸し暑い中を道悪の途中で根を上げて「此処までで戻り
たい!」と言い出し、吉田文子姫から激励されながら、2時間後小生がヘロヘロになってワルサ峰に到着。佐藤
会長も体調不良で何時もの様な元気な調子が戻らないようでしたが粘り強い精神力でのネバーギブアップ魂で一
歩一歩上って行く後ろ姿に誘われて、山城氏、三渡氏、本間氏、に 20 分遅れ、吉田文子姫に 10 分遅れで、ヤッ
トコ サットコ 13:20 登頂できました。感謝申し上げます!
4
・本間正士:まさに4度目の挑戦での成功でした。1回目は2013年9月、悪天候で計画中止。後日有志で焼
岳登山。2回目の2014年9月も出発したが上越の山を越えると天気が悪いというので富岡製糸場を見学、榛
名湖湖畔で泊まり、翌日近くの子持ち山に登り、切明温泉へ。3日目渡渉点降下分岐まで偵察して引き返す。3
回目は昨年テントを担いで林道を入り早朝の出発を期したが夜半から雨になり、
撤退し切明温泉の世話になった。
今年は4回目で後はない。
天気予報を見ながら出発を2日間伸ばしたのがよかった。
15時間のきつい山だった。
山頂で雷雲が近づき心配したがそれて良かった。何よりも全員無事に登れたことが幸いでした。
・三渡忠臣:参加くださった方々の佐武流山への情熱に脱帽。怪物の山城さんのファンになりました。
”何事も
先手必勝なるぞ“
涸沢テント泊山行 2016年8月23日~26日
参加者:佐藤(L)
、山城、副島、吉田、本間(記)5名
るというが短期留学では知れたもの・・・日本を歩き
今年の夏の終わりは台風が矢継ぎ早に日本列島を直
まわって実学で日本を知ることの方が意義があること
撃し、雨による甚大な被害を残していった。22日出
発予定の計画を急遽1日延期し、
台風一過の23日朝、 だろと、梓川で泳ぐという元気な若者にエールを送り
徳沢園で分かれた。
夜行バスで翌朝入る山城さんを除いて、各自、高速バ
横尾まではさらに1時間余り、16:10に着いた。
スまたは電車で上高地に12時集合した。晴天で日の
立派な横尾山荘の前にはテント場がいくつかあり10
当たるところはまだ暑い。夏山の最盛期は過ぎたとい
張程度のテントがあった。700円のテント設営代を
えども上高地近辺を散策する観光ツアー客も大勢だ。
払い、佐藤さんと小生は雨のたまらない場所を選んで
準備していた昼食をとり、水を補給して12:40上
テントを張り、まずビールを一杯、山に来て冷たいビ
高地バスターミナルを出発。テントと3日分の食料は
久しぶりの重さだ。
梓川に沿った左岸の広い道を時折、 ールが飲めるとは幸せである。
2日目 24日は山荘泊組の朝食時間に合わせて出
唐松の林の間から全容を見せる明神岳を写真に撮りな
発することにした。4時起床、天気は曇り空、テント
がら1時間ほどで明神館に着く。副島さんと吉田さん
は夜露でしっかり濡れている。簡単に朝食を済ませ、
は山小屋泊と決めているので荷が軽い分だけ身軽に歩
荷物を片付けパッキング、食料分が少し減ったはずだ
くのがうらやま
がテントの濡れた分重くなったようだ。横尾大橋の前
しい。10分ほ
で記念写真を撮って6:20出発した。立派なつり橋で
ど休憩し先の道
ある。横尾谷に沿って少し山道らしくなり、対岸にそ
を歩く。途中サ
そり立つ巨大な屏風岩を半巻きするような形で歩いた。
ルの一団と会っ
昨日は歩くと腰の関節がコキコキ音を感じるので気持
た。母親の背中
ち悪かったが、今日は少し馴染んだのかスムーズに動
に乗っている子
いたので安心した。本谷橋の手前で休憩し、橋を渡っ
供もいた。この
て河原で休憩している人たちの横を通って、急になっ
道は海外の旅行
た登りをはーはー言いながら佐藤さんのペースについ
者も多い。スニ
て登った。2時間余り登り詰めて涸沢ヒュッテに10:
ーカーにテントを担いだ若い男性に会った。イタリ
25到着した。風がほとんどなかったのでヘリコプタ
ア・フェレンツェの出身の留学生で神戸大学で勉強し
ているという。
中山道を歩いて今日は徳沢園で泊まり、 ーが頻繁に物資の運送に当たっていた。
高山に回るという。エンジニアリングの勉強をしてい
5
敷きテントを張
トイレがヒュッテの中なのでごつごつした岩場をヘッ
ドランプを頼りに歩くには細心の注意が必要だった。
夜は少し冷えた。小用でテントの外に出た。満天の星
空だった。久しぶりの暗
闇の星空だった。
25日は4:10起床。
快晴の穂高連峰の連なり
涸沢ヒュッテのベランダで
を見ながら朝食を取る。
まともにテントを張ると
濡れたテントと寝袋をた
ころがない。受付も15
たんでザックに詰め込み
時からと張り紙がしてあ
ヒュッテのベランダで全
るだけだった。しかしよ
員の写真を穂高をバック
く見ると10mm以上の
に写し、副島・吉田組は
厚さのコンパネが受け付
北穂高へ。山城・佐藤・
け小屋の脇に積み重ねて
本間の3人はパノラマコ
あり、1枚500円/日
ースに向かう。道は若干
と貸出料金が書いてある。
登りになり、ところどころロープはあるものの踏み外
この板を岩の上に敷いてテントを張るようだあった。
したら助からないと思う危険な個所をいくつか慎重に
山城さんの分を合わせて3枚の板を運んで場所を確保
通る。高度が上がるにつれて涸沢のカールと穂高連峰
した。石を適当に板の下に入れて高床式の快適な床が
が雲一つない見事な状態で見せてくれた。屏風のコル
できた。濡れたものを乾かす必要もあったのでテント
を過ぎればひたすら下り道になる。トリカブトの花が
を張り一段落したのが12時近くだった。本来は奥穂
高に登る計画だったが、
穂高の山頂は雲の中だったし、 満開だった。はるか下には梓川が見える。林道に出て
しばらくし砂防ダムの河原で一休みした。そこは20
疲れていたので山城さんが登ってくるのを待ちながら
匹以上のサルの集団が一休みするところのようであっ
ゆっくりすることにした。山小屋組は北穂高岳に登っ
た。
刺激しないようにそっと我々も休ませてもらった。
てもう一泊涸沢ヒュッテに泊まって帰るという。行動
新村橋を渡れば徳沢園への広い道で涸沢ヒュッテを
食として持参したおにぎりやパンと副島さんが沸かし
8時に出てきた女性2人に会う。子育てを終えて少し
てくれたお湯でコーヒーを入れてヒュッテの展望ベラ
羽を伸ばそうという松本のご婦人のようだった。我々
ンダで蝶が岳方向に開けた山を見ながらどの山が見え
のコースは2時間以上余計にかかったことになる。
るのか議論が進んだ。
徳沢園でビールとパンで昼食をし、13:00出発。
14:00に山城さんがパノラマコース(徳沢園を過
徳本峠を越え
ぎて新村橋を渡って屏風のコルを通り涸沢に続く)を
て帰る山城さ
重い荷物を担いで登ってきた。地図はこのコースを下
んと明神館の
山向きと記している。朝6時に上高地に着いたはずで
手前で別れる。
到着が少し遅いと心配していたところだった。まさか
峠でテントを
困難なこのコースを登ってくるとは誰も考えていなか
張るという。
った。
すごいパワー
荷物を下ろして祝賀パーティが始まった。ビールと
に脱帽する。
吉田さんが買ってきてくれたおでんをつつきながら山
15:30
屏風のコルより涸沢・穂高連峰を望む
を見ながらの談義は2時間以上続いた。明日、佐藤・
山研に着く。
本間は上高地JAC山研に宿泊予定しているので山に
長い道だった。今晩は2組だけで広い部屋をそれぞれ
は登らず山城さんのガイドでパノラマコースを下山す
朝出発前のメンバー
使わせてもらった。ごはんとみそ汁は頼んであるがお
ることにした。ガスがだんだん下がってくる。テント
かずがない。バスセンターまでバスの予約とおかずの
場に戻り夕食の準備をする。17:00過ぎに雨がパラ
調達に出かけた。コロッケと串焼き漬物など手に入れ
パラ降りだす。各自テントの中で食事をした。雨はす
て戻り、風呂に入りのんびり過ごした。
ぐ止んだがしばらくして時々雨が降ってきて、水場と
4日目 26日も晴れ。7時過ぎに朝食を取り、掃
幕営地はヒュッテから100m程先に広がるカー
ルで、雪が解けた夏はゴ
ロゴロした岩で覆われて
6
除片付けをして9:10山研を出発。10:40発のバス
までゆっくり景色を楽しんで上高地を後にした。
涸沢で待望のテント泊ができてしかも快晴に恵まれ
満足だったが、老体にはきつかった。でも良い夏の思
い出となった。
編集後記
— 今年の夏山はいかが過ごされましたか?佐武流山と涸沢テント泊山行で充実したシーズンを終えました。
— 長年佐武流山の企画を続けてきた吉田さんがしっかりまとめていただきましたので特集号としてまとめま
した。苦しかった分、達成感のある登山でした。企画ご苦労様でした。
— 涸沢は久しぶりのテント山行でした。次回はテントを担ぐ距離の短い山にしたいと思います。
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