この試薬は研究用ですので診断用には使用しないでください 。
Pwo Master
Cat.No. 3789403
100 回反応
バージョン 1 2003 年 11 月
保存温度; 2∼8℃
1.
商品概略
内容
バイアル
1
Pwo Master
内容
・2x conc.のマスターミックス、 10 反応分のバイアルが 10 本
・それぞれの バイアルに 25U の PwoSUPER YIELDDNA ポリメラ
ーゼ、4mM MgCl2 の反応用バッファー、 PCR-Grade dNTPs
( 各々0.4mM dATP, dCTP, dGTP, dTTP)が含まれており 、
250μl。
2
PCR-grade Water
・4 本(各 1ml)
Pwo Matser は 2 倍濃度のプレミックスで、Pwo SUPER YIELD DNA ポリメラーゼ、最適化さ
れたバッファーシステム 、PCR-grade dNTPs を含んでいます 。そのため、反応溶液調製は、
テ ン プ レ ー ト DNA とプ ラ イ マ ー を加え た後、 最終反応液量が 50μl になるように
PCR-gradeWater を加え、そのままサーマルサイクラーにセットできます。
この Ready-To-Use ミックスは、最大3kb までの長さの断片を 、高い正確性を維持しなが
ら増幅する事ができ、個々の試薬調製の煩わしさがないため 、簡便に反応溶液の調製を行う
事ができます。
その他の利点として、このキットは 2∼8℃で保存ができ、溶液の溶解の手間がありません。
Pwo Masterの主成分はプルーフリーディング活性を持つポリメラーゼである Pwo DNA ポ
リメラーゼです。
Pwo DNA ポ リ メ ラ ー ゼは も と も と超 好 熱 菌 ( hyperthermophilic arceon) で あ る
Pyrococcus woesei から分離されています。この酵 素は高い 5’- 3’DNA ポリメラーゼ活性が
あり、3’-5’エキソヌクレアーゼ活性も持っています 。この酵素がもともと持っている 3’- 5’
エキソヌクレアーゼ プルーフリーディング活性によって DNA 合成反応での正確性は 、
Taq DNA ポリメラーゼと比較すると約 18 倍に向上しています。
Pwo SUPER YEILD DNAポリメラーゼは Pwo DNA ポリメラーゼと最適化されたバッファーシ
ステムの構成になっています。この新しいバッファーシステムは酵素活性を高め、その結果
もともと酵素が持っている高い正確性に影響を 与え る事無しに増幅産物 の収量を向上させ
ます。
DNA 合成の正確性は PCR を行う上で最も重要なものの一つです。多くのアプリケーション
で、増幅された DNA のホモロジーがあるかどうかの解析(例;ダイレクトシークエンスや
制限酵素処理)を行ってみて、PCR 反応中に酵素によって変異が導入 される可能性はほと
んどありません 。
しかしながら、テンプレートとして使用する DNA 量がかなり少ない場合や、PCR 反応後
その増幅産物一分子の解析が必要な場合、 PCR の正確性は大変重要になってきます。この
ように PCR の正確性が特に必要となるアプリケーションとして;
・PCR 増幅産物のクローニング
・個々の RNA 転写産物の多 形解析”Allelic polymorphism “
・シングル細胞の” allelic stage ”の解析(5)、またはシングル DNA 分子の解析(6), (7)。
・組織中でのレア・ミューテーションの解析等
こ の Pwo SUPER YEILD DNA ポ リ メ ラ ー ゼ によって増 幅さ れ た PCR 産物は 平滑末端
(blunt-end )なので、別途増幅産物に対して何の処理無しに直接、平滑末端ライゲーショ
ンを行なう事ができます 。
酵素の特性
活性
標準的な酵素濃度
プルーフリーディング活性
エラー率*
0.1 U/μl
2.5 U/ 50μl
有り
Pwo SUPER YEILD DNA ポリメラーゼは Taq DNA ポリ
メラーゼと比較すると正確性は、約 18 倍向上しています。
72℃
2 mM
最適な伸長温度
最終 Mg 2+濃度
PCR 増幅産物サイズ
最大 3 Kb
PCR クローニング
平滑末端( Blunt cloning )
修飾ヌクレオチドの取り込
不可能
み(DIG-dUTP 等)
保存・安定性
ラベルに表記されている有効 期限まで 2∼8℃で安定
*
lac I アッセイ(1)によって正確性は確認されています。
品質管理
Pwo Master の各ロットは PCR によって機能テストされています。通常クオリティコント
ロールでは ヒトゲノム DNA と、tPA に対するプライマーを使用して 1.7k の増幅産物を確
認しています。
2.
DNA 増幅用の標準プロトコール
一般的に
最適な条件(反応温度、反応時間、テンプレート DNA 濃度)は使用するシステムに依存す
るので、個々に最適化する必要性があります(2) 。
開始時のポイントとして下記のガイドラインに従ってください。
・Pwo Master は最終反応溶液に 2 mM の MgCl 2 、0.2 mM の dNTPs 濃度になります。
この反応条件を使用し、ヒトゲノム DNA の様々な異なる断片( 1.1∼3 kb )が増幅されて
います。すべての増幅産物が高い特異性と高い収量を示しています。
・プライマーデザイン:
この酵素の 3’- 5’エキソヌクレアーゼ活性は、 dNTP の存在下、非存在下に関わらず一本鎖
DNA にも作用します(例;プライマー)。この活性は通常 PCR 反応に影響を与えませんが 、
プライマーデザインではこの点を考慮しなけれ ばなりません。プライマーのゆっくりとした
分解を防ぐために、ヌクレアーゼ耐性 dNTPs をプライマー 合成に使用する事もできます。
またその他の方法として最大限に GC 含量を最大限にしたより長いプライマー の使用や 5’
側の相補性を考慮する事も利点となる場合があります。
・アップストリーム &ダウンストリームプライマー:
個々のプライマーの推奨濃度は 0.4μM(最終濃度)です。最適化が必要な場合、0.1∼ 0.6μM
範囲で行なう事を推奨します。
・テンプレート DNA 用の最適なバッファー は、滅菌再蒸留水、PCR グレードの水(関連
商品欄参照)、5 – 10 mM Tris( pH 7∼8)を推奨します。テンプレート DNA を TE バッファ
ーに溶解する事は避けてください。理由は TE バッファー中の EDTA が Mg2+をキレートし
てしまうためです。
・テンプレート DNA の量;
・ゲノム DNA;5∼500 ng
・プラスミド DNA;100 pg∼10 ng
反応ミックスの調製
ステップ1
氷上で滅菌された thin-well PCR チューブ中でマスターミックスを調製します。
試薬
容量
最終濃度
400 nM
ダウンストリームプライマー
×μl
400 nM
アップストリームプライマー
×μl
5 – 500 ng*
テンプレート DNA
×μl
PCR-grade Water
25μl になるよう加える
最終液量
25μl
*最大量はゲノム DNA の場合 500ng, プラスミド DNA の場合 10 ng
溶液を良く混和し、簡単に遠心分離を行ない、溶液をチューブの底に集めます。
ステップ2
試薬
容量
最終濃度
Pwo Master
25μl
2.5Unit / 反応
Note:
別途マスターミックスを調製する事で、酵素の 5’-3’エキソヌクレアーゼ活性によるプライ
マーやテンプレートの部分分解を防止する事ができます 。
ステップ 1 で調製したマスターミックス に Pwo Master を 25μl 加えます。必要であれば
30μl のミネラルオイルを重層します(使用するサーマルサイクラーによります)。
サイクル
ステップ
方法
1
サンプルの入ったチューブをサーマルサイクラー にセットし、下記のパラメー
ターをセットします。
2
サイクリングプロファイル
温度
時間
サイクル数
最初の変性
94℃( 92 – 95℃ )
2 分間
1x
変性
アニーリング
伸長反応
94℃( 92 – 95℃)
50 – 68℃ (a)
72℃
30 秒
30 秒
30−4 分間 (b)
20 – 30x
1x
最終伸長反応
72℃
5 分間
後日使用する場合、反応後、反応溶液を凍結させ保存する事ができます。
その他;
アガロースゲル電気泳動を行い、適切なサイズマーカーを使用して増幅産物の
サイズと特異性をチェックします。
(a);最適なアニーリング温度は使用するプライマーとそのシステムに依存します。
(b);伸長反応時間は増幅するターゲットの長さに依存します(∼1 分間/kb を目安にします )。
3
3.
結果
PCR 産 物
がほとん
ど、または
まったく
ない
プライマーデザイン
が最適でない
・別のプライマーをデザインします。
プ ラ イ マ ー濃度が 最
適でない
・プライマー対の濃度は同じにします 。
・プライマー濃度を 0.1∼0.6μM の範囲で変えてみ
ます。
ア ニ ー リ ン グ温度 が
最適でない
・アニーリング温度を下げます。
・タッチダウン PCR で最適なアニーリング温度を決
定します。
プ ラ イ マ ーの特 異 性
が最適でない
・ネスティド PCR を行ないます。
品 質 ま た は保 存 問
題
・コントロールプライマーとテンプレートでコント
ロール実験を行なってみます 。
・プライマーが分解されていない事を確認します 。
・プライマーの保存温度が-15∼−25 度である事を
確認します。
プライマーダイマ
ー形成
・プライマー濃度を落とします。
・FastStart Taq DNA ポリメラーゼを使用してみま
す(関連商品参照)。
DNA テンプレート
の問題
テンプレートの品質と濃度を確認してみます。
・分解の可能性を確認するために溶液の一部をアガ
ロースゲルで確認してみます。
・確実なプライマー でコントロール実験を行なって
みます。
・テンプレートをチェックし、再度精製してみます。
・アニーリング温度を落とします。
・サイクル数を増やします。
・最後の伸長反応ステップが行なわれているかを確
認します。
サイクル条 件が 最
適でない
複数の バ
ンドま た
はス メ ア
ーなバ ッ
ク
図1
a : 3’-mismatched primer correction assay のフ ロ ー チ ャ ー ト; Bsi EI の 認識配列 は
CGRYCG
b: 完全にマッチしたプライマーと部分的にミスマッチのプライマーと Pwo DNA ポリメラ
ーゼを使用して、λ DNA から 200bp の断片を PCR により増幅。
Lane 1
:
DNA MWM V
Lane 2,3 : プライマー I ( G:C マッチ)
Lane 4,5 : プライマー II( A:C ミスマッチ)
Lane 6,7 : プライマー III ( T:C ミスマッチ)
Lane 8,9 : プライマー IV ( C:C ミスマッチ)
Lane 10,11: プライマー V ( AT:CG ミスマッチ)
Lane 12,13: プライマー VI ( GAT:AGC ミスマッチ )
Lane 2,4,6,8,10,12 ( −):制限酵素処理をしていない 200bp 増幅断片
Lane 1,3,5,7,9,11,13 (+):BsiEI による処理を行なった断片( 175bp + 25 bp 断片)
ヒトゲノム DNA からの異なるターゲット の増幅
ネガティ
ブコント
ロ ー ルで
増幅産物
がある
ア ニ ー リ ン グ温 度
が低すぎる
・プライマーの長さに応じてアニーリング温度を上
げます。
プライマーデザイ
ン またはプ ラ イ マ
ー 濃 度が最 適で な
い
・プライマーデザインを再度チェックします。
プライマー濃度を 0.1- 0.6μM の範囲でふってみ
ます。
・プライマー対の濃度とアニーリング温度が同じか
どうか確認します。
・ネスティドプライマーを使用してネスティド PCR
を行なってみます。
例えば GC リッチテ
ン プ レ ー ト 等の 難
しいテンプレート
DNA テンプレート
問題
・GC-Rich PCR System の使用をしてみます(関連
商品参照)。
キャリーオーバー
コンタミネーショ
ン
可能性のある PCR 阻害物質の影響を避けるために
テンプレートの希釈系列を作成して PCR を行なっ
てみます。
・すべての試薬を交換してみます。特に水を交換し
ます。
・エアロゾルピペットを使用します。
・PCR 産物を解析している所から隔離されたエリア
で PCR 反応を行ないます。
5. 参考文献
1 Frey, B. and Suppmann, B. (1995) Biochemica 2, 8-9.
2 Erlich, H.A. (ed.) (1989) PCR Technology: Principles and Application for DNA Amplification,
Stockton Press, New York.
3 Lacy, M. J. et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86, 1023–1026.
4 Frohman, M. A. et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 8998 9002.
5 Li, H. et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 4580–4584.
6 Jeffreys, A. J. et al. (1990) Cell 60, 473–485.
7 Ruano G. et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 6296–6300.
8 Cha, R. S. et al. (1992) PCR Methods Applic. 2, 14–20.
6. 関連商品
弊社では幅広い PCR 関連商品または RT-PCR 商品を取り揃えていますので、それらの関連
商品に関しましては下記のアドレスにアクセスしてください。
http://www.roche-applied-science.com/PCR
図 2: 最適化なしに、Pwo Master によって個々ターゲットが増幅されています。
結果として、高い収量と高い特異性を持った 3Kbp までの増幅産物が得られています。
Lane 1: 1.1kb コラーゲン断片
Lane 2: 1.7kb tPA 断片
Lane 3: 2.8kb p53 断片
トラブルシューティング
問題点
可能性のある原因
PCR 産 物
ピペッティングエ
がほとん
ラー
ど、または
例えば GC リッチ
まったくな
テンプレート 等の
い
難しい テンプレー
ト
プライマーの問題
推奨方法
・すべての試薬の濃度と保存温度をチェックします。
・DMSO を添加します(最大 8%まで)。しかしなが
ら DMSO の添加は反応の正確性を落とす可能性が
あります。
・GC-Rich PCR System の使用(関連商品参照)。
PCR 関連商品選択ガイド
方法
標
準
サイズ
3kb まで
C.O.C1 ) .防止
正確性 2 )
Yes
1
商品
包装
100 U
500 U
4×250 U
10×250 U
20×250 U
1146165
1146173
1418432
1596594
1435094
Yes
1
1
1
6
PCR Core kitP l u s
PCR Core kit
PCR Master
Expand High Fidelity
Plus PCR System
1 kit
1 kit
1 kit
125 U
2×250 U
10×250 U
No
3
Expand High Fidelity
PCR System
100 U
2×250 U
10×250 U
1585541
1578553
1636103
3300242
3300226
3300234
1732641
1732650
1732078
No
5kb まで
最大限
の 特異
性
Cat.No.
Taq DNAPolyme rase
PCR
3
High Fidelity PCR
Master
1 kit
2140314
3kb まで
Yes
1
FastStartTaq DNA
Polymerase ( Hot Start)
100 U
500 U
4×250 U
10×250 U
20×250 U
2032902
2032929
2032937
2032945
2032953
5kb まで
Yes
4
FastStart High Fidelity
PCR System (Hot start)
125 U
2×250 U
10×250 U
3 553 426
3 553 400
3 553 361
1)C.O.C 防止;キャリーオーバーコンタミネーション防止の略
2)正確性;TaqDNA ポリメラーゼと比較した場合の正確性の倍率
方法
高収量
PCR
サイズ
3kb ま
で
5kb ま
で
C.O.C1 ) .防止
困難 な
テンプ
レート
&チ ャ
レンジ
ングア
ッセイ
商品
18
Pwo DNA Polymerase
No
18
3
Pwo Master
Expand High Fidelity
PCR System
3
High Fidelity PCR
Master
FastStart High Fidelity
PCR System (Hot start)
Yes
Long
Templ
ate
PCR
正確性 2 )
No
4
包装
100 U
2×250 U
Cat.No.
1644947
1644955
1 kit
100 U
2×250 U
10×250 U
3789403
1732641
1732650
1732078
1 kit
2140314
125 U
2×250 U
10×250 U
3553426
3553400
3553361
6
Expand High Fidelity
Plus PCR System
125 U
2×250 U
10×250 U
3300242
3300226
3300234
No
3
Expand Long Template
PCR System
150 U
2×360 U
10×360 U
1681834
1681842
1759060
>20kb
No
2
1811002
Yes
1
Expand 20 KbPLUS
PCR System
FastStartTaq DNA
Polymerase ( Hot Start)
200 U
3kb ま
で
100 U
500 U
4×250 U
10×250 U
20×250 U
2032902
2032929
2032937
2032945
2032953
5kb ま
で
Yes
4
FastStart High Fidelity
PCR System (Hot start)
125 U
2×250 U
10×250 U
No
No
3
3
GC-RICH PCR System
Expand Long Template
PCR System
100 U
150 U
2×360 U
10×360 U
3553426
3553400
3553361
2140306
1681834
1681842
1759060
5
∼
20kb
5
20kb
∼
Expand and FastStart are trademarks of a member of the Roche Group.
Notice to p urchaser
NOTICE TO PURCHASER: LIMITED LICENSE: A license under U.S. Patents 4,683,202, 4,683,195,
and 4,965,188 or their foreign counterparts, owned by Roche Molecular Systems, Inc. and F.
Hoffmann-La Roche Ltd ("Roche"), has an up -front fee component and a running-royalty
component.
The purchase price of this product includes limited, nontransferable rights under the
running-royalty
component to use only this amount of the product to practice the Polymerase Chain Reaction
("PCR") and related processes described in said patents solely for the research and development
activities of the purchaser when this product is used in conjunction with a thermal cycler whose
use is covered by the up-front fee component. Rights to the up- front fee component must be
obtained by the end user in order to have a complete license to use this product in the PCR
process. These
rights under the up- front fee component may be purchased from Applied Biosystems or
obtained by purchasing an Authorized Thermal Cycler. No right to perform or offer commercial
services of any kind using PCR, including without limitation reporting the results of purchaser's
activities for a fee or other commercial consideration, is hereby granted by implication or
estoppel. Further information
on purchasing licenses to practice the PCR Process may be obtained by contacting the Director
of
Licensing at Applied Biosystems, 850 Lincoln Centre Drive, Foster City, California 94404 or the
Licensing Department, Roche Molecular Systems, Inc., 1145 Atlantic Avenue, Alameda, California
94501.Pwo DNA Polymerase is licensed by New England Biolabs (NEB) under US patents Nos
5.322.785, 5.352.778, 5.500.363 and foreign counterparts.
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