図書館通信(2016.10月

<1>
<2>
★ 沖縄から平和を考える ★
2016.10
土浦湖北高校
図書館
§ 2年生は来月沖縄修学旅行ですね §
2年生は,来る 11 月 23 日(水)から 3 泊 4 日の予定で,沖縄への修学旅行が
計画されています。そこで,沖縄関係の本や DVD を紹介したいと思います。
もちろん,3年生は去年を思い出し,1年生は来年に向けて,読んでみてはい
かがでしょうか。
★ 沖縄の歴史や文化を学ぶ ★
◎沖縄関係の本は,他にもたくさんあります。
何か1冊読んでみませんか?
☆こちらは DVD です
<3>
<4>
¨ わたしのおすすめの本 ¨
『イニシエーション・ラブ』
乾
くるみ
著
この本は,途中までは平凡な恋愛小説に感じます
が,最後の数ページで物語が一変します。恋愛小説
というよりもミステリー小説のようです。映画にも
なり,とてもおもしろい小説なので読んでみて下さ
い。
物語は,主人公のタッくんとマユの恋愛から始ま
ります。タッくんが東京へ転勤になりそこから二人
の関係が徐々に崩れていきます。そして最後の2行
ですべてがひっくり返されます。一度読んだら,も
う一度読み返したくなる小説です。
1年4組
『大人ドロップ』
雨貝
樋口
保乃香
直哉
著
彼女と目があった瞬間,脳裏をかすめたのは高校生
の頃の蒼い記憶だった。
あの夏,ぼくは親友のハジメに頼まれて,クラスメ
イトの入江さんと彼のデートをこっそりセッティング
した。ところがその作戦が原因で,入江さんをひどく
怒らせてしまった。ぼくと入江さんの間には微妙な距
離が生まれてしまう。やり場のない気持ちを抱えたま
ま迎えた夏休みのある日,彼女が学校をやめるという
話を,ハジメから聞かされる。
大人でも子どもでもなっかた頃の,みずみずしい記
憶を鮮やかに呼び覚ます青春の物語。
幼稚園の先生が,大きくなるために1粒ずつくれた
肝油ドロップのように,大人になるとは,思い出を1
つずつ作っていくことなんだ。甘酸っぱいきゅんとする物語なので,ぜひ読ん
で下さい。
1年4組 石毛 芽衣
虚
と
と
実
実
その三十三
浅田
光喜
現在、日本で使われている紙幣は、三種類あります。千円、五千円、そ
して一万円です。二千円紙幣もありますが、一部の地域を除いては、あま
り使われていません。紙幣は表に肖像画が用いられているのが普通です。
千円では野口英世、五千円では樋口一葉、そして一万円では福澤諭吉です。
二千円は、表に沖縄の守礼門が描かれ、裏に紫式部と光源氏が描かれてい
ますが、絵巻物からのもので、しかも光源氏は架空の人物です。小説家と
しては、旧の千円紙幣で夏目漱石が用いられていますので、樋口一葉は二
人目です。
五千円の樋口一葉の肖像は、日本髪に和服を着ていますので、日本人形
を思わせます。目は正面を静かに見つめているかのようです。一葉が生ま
れた時、父は八丁堀の同心をしていました。父亡きあと、長男も長女も亡
くなり、一葉が戸主となり一家を支えました。借金に追われ、何度も引っ
越しをしています。最後の頃に住んだ龍泉寺町は有名で、遊郭吉原の近く
です。ここで庶民の喜怒哀楽を実感し、それが名作につながったといわれ
ています。24歳6ヶ月という短い生涯でした。死因は、肺結核です。
代 表作は、『大 つごもり』『たけくらべ』『にごりえ』です。『 大つごも
り』は、年の瀬のある日、お峰という女が、店の金を盗んで逃げてしまい
ます。ところが店の放蕩息子が、自分が盗んだように見せかけ、お峰に罪
がかからないようにします。善悪は別ですが、放蕩息子の情が描かれてい
ます。『たけくらべ』は、吉原の娘、美登利が町の少年と恋をしますが、
少年は寺の息子で、修行のために町を去らなければなりません。美登利も
店に出なければならない年頃なので、二人は別れなければなりません。た
けくらべとは、お互いの思いのたけを比べたものです。『にごりえ』は、
一度はあきらめた女性を、あきらめきれず、恋するあまり殺してしまい、
自らも命を絶つ話です。
樋口一葉は、明治の清少納言とも紫式部ともいわれ、和文を巧みにあや
つる最後の作家とまでいわれた人です。『たけくらべ』冒頭は、次のよう
に始まります。「廻れば大門の見返り柳いと長けれど、お歯ぐろどぶのと
もし火うつる三階の騒ぎも手にとるごとく・・・」確かに名文かも知れま
せんが、現代では何をいっているのかわかりません。現代語訳にすると、
こうなるはずです。「私の家から、ぐるっと廻って吉原の大門へ行くと、
そこに立つ見返り柳は、長々と垂れ下がり、お歯黒どぶに照らし出される
三階の騒ぎも手に取るように見え・・・」。文章の味は原文でないとわか
りませんが、内容をつかむには現代語訳に限ります。
樋口一葉は近代の作家ですが、作品は古典文学です。全文現代語訳では、
小説家の川上未映子が試みていますので、お薦めします。