アルゼンチン税関は厳しい姿勢を継続

Gard Alert
アルゼンチン税関は厳しい姿勢を継続
こちらは、英文記事「Argentine customs d
emands continue」(2016年4月29日付)の
和訳です。
船舶運航者がアルゼンチンの各港
(特にサンニコラス港)で税関申告書
を提出した際に記載に誤りがあるとみ
なされた場合、引き続き罰金が科さ
れます。
以前のGard Alertで、アルゼンチ
ンの税関当局が同国の税関規
則を厳格に執行していることをお伝えしました1。また、船舶の税関申告書の記載内容と
船内で確認された実際の数量との相違が判明したケースもお伝えしましたが2、引き続き多
額の罰金が課されています。


2015年12月にサンニコラス港に到着したある船が、サンプタンク内の潤滑油量を正確に申告し
なかったかどで罰せられた。税関職員が「通常査察」の実施のために乗船した際、主機はスタン
バイ状態にあり未稼働であった。その税関職員は、検査を実施する間、潤滑油の循環ポンプを
停止させるよう命じた。その命令を受けてポンプを停止したところ、使用中の潤滑油がサンプタン
クに戻り始め、タンク内の潤滑油量が約4,500リットル増加した。税関職員は、その増加分につい
て、申告量と実際の量との相違として記録した。問題の「物品」、すなわち潤滑油は、簡単に押
収できないことから、税関はこれを押収する代わりに、13万5千米ドルにのぼる罰金を科した。同
船は、出港許可を得るために、同金額の一部を(電信送金による)現金預託の形で支払うことを
余儀なくされた。
2016年3月には、同じくサンニコラス港で別のケースが発生した。このケースでは、税関職員
が、申告量と実際の量の相違を3件記録した。1件目の潤滑油ドレンタンクの申告量が3,700リッ
トル過少であったことについては、乗組員がタンクの内容物をスラッジとみなしたことが原因であ
った。2件目の化学洗浄剤の申告量が実際より95リットル過少であったことについては、19個の
容器それぞれに、申告した20リットルではなく実際には25リットル入っていたことが原因であっ
た。3件目の活性炭の申告重量が実際より220 kg過少であったことについては、誤解が原因で
あった。このケースでも、物品を押収する代わりに罰金が科されることになり、(電信送金による)
現金預託の形でおよそ11万米ドルの支払いが求められた。
この2つの事件はまだ解決されておらず、罰金総額が最終的にいくらになったかは、本稿の執筆時点
では判明していません。
アルゼンチンのGardコレスポンデンツからの助言
GardのコレスポンデントであるSigvart G.J.Simonsen & Cia.S.R.Lの最新のニュースレターでは、アル
ゼンチンの税関職員が、船舶の備品目録も、現地で提出が求められている「Store List」の一部と捉
1
2
Gard Alert 「アルゼンチン – 船用品の未申告に対する「自動的罰金」」(2015年10月9日付)
Gard Alert 「罰金はまだ負担に」(2013年4月16日付)
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えるようになりつつあり、それらの間で内容の不一致がないように、また、以下の物品を申告する際に
は特に注意を払うように、船長に注意を促しています。
1.
2.
3.
4.
5.
燃料油、潤滑油、油圧油(サンプタンク内の量を含む)。タンクについては、個々のタンクをその
名称や番号とリットル単位の容量を記載して別々に申告し、実務上可能な限り「使用中」とみな
される油、例えば、エンジン内の油、ウィンドラスやウィンチ、船尾管等に使用される油圧装置、
圧力タンク内の油を含める必要があります。
塗料と化学薬品。例えば、船倉洗浄用、エンジン保守用の化学薬品や原油流出時に使用する
化学薬品。
予備部品と工具(エンジンと甲板の目録)。
タバコとアルコール。
船舶付属の電子機器。 例えば、テレビセット、コンピューター、ファクシミリ、冷蔵庫、携帯用ラジ
オなど。
6.
医薬品と病院備品。
メンバーの皆様には引き続き、アルゼンチンに寄港する船舶の船長に対し、税関申告書と船用品目
録を記入する際には特に慎重を期し、上記の品目に十分注意を払うよう念を押してください。コレス
ポンデントによると、税関職員は申告数量の正確性の検証に相当な労力を費やしているようです。し
たがって、船長には以下の諸点についても注意を促してください。

潤滑油など、装置が使用中か否かによって計測値が異なる可能性がある場合には、計測が行
われたのは装置の稼働時か停止時かを船用品目録に記載する必要があります。3

潤滑油、燃料油、化学薬品、塗料などの数量は、船用品目録の数字を写してはな
りません。これも関税法違反となるおそれがあります。4

税関職員は、上記の事例で示すとおり、引き続き、アルゼンチンの税関規則に従って、不正申
告物品を押収する代わりに電信送金による支払いを求めています。5
コレスポンデンツのニュースレターには、船舶運航者と船長向けの追加情報と有益な助言が掲載さ
れています。こちらからご覧ください。メンバーの皆様には、アルゼンチンに寄港する可能性のあるす
べての船舶に対して上記のニュースレターのコピーを送付されることを推奨いたします。
本アラートは、アルゼンチンにおけるGardのコレスポンデントであるSigvart G.J.Simonsen & Cia.S.R.L.からの情報に基
づいて作成したものです。
3
Gard Alert「アルゼンチン -「使用済み潤滑油」の未申告に対する罰金」
(2015年5月5日付)および
Gard Alert「アルゼンチン‐サンプタンク内の潤滑油未申告に対する罰金」
(2014年3月13日付)をご参照
ください。
4
Gard Alert「Custom fines in Argentina(アルゼンチンにおける税関での罰金)
(英文のみ)
」(2012年11
月9日付)をご参照ください。
5
Gard Alert「Argentina – the importance of accurate customs declarations(アルゼンチン‐正確な税関
申告の重要性)(英文のみ)」(2012年12月21日付)をご参照ください。
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