NEDO成果報告会用 事業詳細技術進捗 - 技術研究組合 FC

2016年度NEDO成果報告会 事業詳細技術進捗(ポスター形式)
全体
P2
サブテーマA 電極触媒基盤技術開発
P3‐12
サブテーマB 電解質材料基盤技術開発
P13‐24
サブテーマC‐①~⑤ MEA基盤技術開発
P25‐33
サブテーマC‐⑥ MEA劣化機構解明
P34‐36
サブテーマC‐⑦ 触媒層形成機構解明
P37‐38
サブテーマD セル評価・解析技術開発
P39‐42
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触媒・電解質・MEA内部現象の高度に連成した解析、セル評価
委託先:技術研究組合FC-Cubic、上智大学、北海道大学、東京工業大学、京都大学、
東北大学流体科学研究所、東京大学、物質・材料研究機構、電気通信大学、名古屋大学、
自然科学研究機構、日産アーク、日本自動車研究所 (再委託先:静岡大学、茨城大学、
理化学研究所放射光科学総合研究センター、山梨県)
〇プロジェクト全体会議、サブテーマ内、サブテーマ間の技術連携、知見の拡大のための検討会を実施し、各開発技術の進捗状況を確認
○セル評価・解析に関し、他NEDO事業実施者と具体的実施内容を調整し、技術開発支援の推進と、前事業で使用した装置の移設を完了
○専用ビームラインの活用に関し、スキームの構築と具体的実施課題の選定プロセスを決定し、今後の効果的な運用のための土台を構築
○アドバイザリー会議、技術交流会、シンポジウムを通じ、産業界のニーズを把握し、各サブテーマ内の課題優先度の整理・再設定を実施
□プロジェクト全体目標
セル、MEAの性能を的確に評価するための内部構造および発生現象の解析技術
開発、ならびに要素材料の構造形成過程でのMEAの性能支配因子を明らかにする
ことを目的とし、最終目標、中間目標を設定する。
①中間目標(平成29年度末)
1 最終目標を満たすためのセル、MEAにおける性能設計因子を把握
2 燃料電池性能、耐久性能の向上を可能とする技術確立の方向性の明示
3 必要な評価、解析手法開発への着手
□研究開発体制
②最終目標(平成31年度末)
1 触媒表面の反応点における反応機構や物質移動性を論じるための高感度、
高精度な評価・解析技術、開発サイクル促進につながる実使用条件を反映した
加速耐久評価法の開発
2 加速耐久評価法等に基づくセル、MEA設計指針の提示
3 確立した要素技術の産業界の技術開発への展開
□研究開発スケジュール
サブテーマ
平成27年度
平成28年度
A
電極触媒
基盤技術
開発
性能評価、その場構造・周
辺構造計測・解析技術、電
子状態推定技術探索
性能評価、その場構造・周辺
構造計測解析技術、電子状
態推定技術トライアルと改良
性能評価、その場構造・周
辺構造計測解析、電子状
態推定
平成29年度
活性発現要因推定・解析準
備・試行・課題抽出
モデル材料による活性発現
要因解析および計算科学手
法による推定手法の改良
活性発現要因解析
劣化機構
解析試験の
施行
劣化機構解析に対する各種解析技術の活用方法検討
C MEA基盤技術開発
① MEA性能発現要因解析技術開発
② MEA構造解析技術開発
③ MEA内部現象定量化技術開発
④ MEA劣化要因解析技術開発
⑤ MEA性能発現機構解明
⑥ MEA劣化機構解明
⑦ 触媒層構造形成現象解明
D セル評価・解析技術開発
① 燃料電池セル評価技術開発
② セル評価による新規MEA・材料
開発支援
③ 放射光活用による新規MEA・材料
開発支援
A 電極触媒基盤技術開発
① 電極触媒構造解析技術開発
② 電極触媒周辺構造解析技術開発
③ 電極触媒性能評価技術開発
④ 電極触媒活性発現要因解析技術開発
⑤ 電極触媒電子状態推定技術開発
⑥ 電極触媒活性発現要因解明
⑦ 電極触媒劣化機構解明
⑧ 複数の活性点が混在する複合電極触媒
の設計基盤技術の確立
B 電解質材料基盤技術開発
① 電解質特性評価技術開発
② 電解質物性評価・解析技術開発
③ 電解質状態・構造解析技術開発
④ 電解質特性支配・制御要因解明
⑤ 電解質劣化機構解明
B
電解質材
料基盤技
術開発
電解質特性(機械、化学劣化)・
物性評価・解析技術調査および
試行による課題抽出
実験計算科学手法及びモデル材料等を用いた電解質構造・
特性・物性評価・解析技術試行・改良
構造制御因子検討
C
MEA損失要因(反応/拡散/
MEA基盤 ①
泳動)、劣化要因解析、
技術開発 -⑤
構造定量化技術検討と
課題抽出、準備
⑥
③
MEA損失要因(反応/拡散/
泳動)劣化要因解析、構造
定量化試行
BL36XUの各種最先端分析手法を用いた
MEA内その場現象解析手法の整備・試行
MEA損失要因(反応/拡散/
泳動)構造定量化、劣化
要因解析手法決定、性能
表現法仮設定
手法整備および各種運転条件、環境・材料要
因に伴うMEA構造・状態等のその場観察試
行と機構解明上の技術課題抽出・対策
インク形成過程計測・評価技
術システム構築と、塗布乾燥
工程の挙動計測技術検討
触媒層構造を支配する
インク物性要素の明確化
塗工・乾燥における構造
解析技術
プロトコル調査・セル評価
基盤構築
課題整理・トライアル基盤
構築
プロトコル拡充・改定
評価装置移設・基盤構築
NEDO事業連携・支援
新プロトコルトライアル
インク・触媒層形成過程の
⑦ 構造・状態計測技術調査・
試行・課題抽出
D
①
セル評
価・解析
技術開発 ②
構造制御
ビームライン活用ルール
検討・要望調査・準備
ビームライン活用:NEDO事業連携・支援
研究成果
◆プロジェクト全体の課題
目標
燃料電池スタッ
>4kw/L
ク出力密度
動作圧力
~3kW/L
課題(低コストシステム構成において)
MEA内酸素輸送性向上
触媒活性向上
プロトン輸送性向上(膜・アイオノマ)
~2.0
MEA内酸素輸送性・活性向上
動作最高温度 >100℃
>80℃
材料耐熱性、耐久性向上
MEA内酸素輸送性向上
起動最低温度
←
耐久性(電極触媒層構造、界面)
耐久性
<1.2気圧
◆プロジェクト全体進捗
現状技術(推定値)
-30℃
>50,000時間、起動回
数 600,000回 (商用
車向)
*100万km走行後に所 >5,000時間、起動
定の性能を満たすこと
回数60,000回(@貴
金属使用量>0.4g/
>5,000時間、起動回 kW)
数 60,000回(乗用車)
*10万km走行後に所定
の性能を満たすこと
出力設定
定格電流: >3A/cm2 ~2A/cm2
定格電圧
>0.65V
Pt使用量
<0.1~0.03g/kW
(耐久性能とのトレードオ ~0.4g/kW
フ)
材料コスト
スタック製造原価 <10
00円/kW(<10万円/ >100万円/100kW
100kW)を見通せること
触媒貴金属の溶解・凝集抑制
触媒担体の腐食抑制
不純物耐性向上
電解質耐久性向上(熱・化学・機械)
界面の耐久性向上(機械)
触媒層構造の耐久性向上(熱・化学・機械)
電解質膜クロスリーク量低減
サブテーマ内のみならずサブテーマ間の情報共有を
進め、評価・解析方法の共有、評価サンプルの共用に
より、燃料電池内部での各現象解釈の確度の向上に
つながる取り組みを進めた。セル評価・解析による技
術開発支援機能については、前事業で使用した装置
の移設を完了するとともに、NEDO燃料電池専用ビー
ムラインの活用に関しても推進体制を構築し、平成28
年度前期の実施課題を選定した。
またアドバイザリー会議、技術交流会、シンポジウム
を通じ、産業界の第一線の技術者のニーズを把握し、
技術開発の進捗状況に応じた各サブテーマ内の課題
優先度の整理・再設定を行った。また、これらの場を通
じ、最新の評価・解析に基づく技術情報を産業界に展
開した。
◆サブテーマ進捗
~0.6V
MEA内酸素輸送性向上MEA内酸素輸送性
向上(新規アイオノマ、構造)
触媒活性向上(新規材料、構造)
プロトン輸送性、電子伝導性向上
プロジェクト事務局: 青木、金坂(技術研究組合FC-Cubic 副所長)、東京都江東区青海2-3-26 ☎03-3599-2357
サブテーマA~Dについては、全体構想の下、性能・耐久性とその要因との関係性の
想定に基づいて反応機構解明及び劣化機構解明につながる要素(電極触媒、電解質
膜、触媒アイオノマー、MEAの構造や状態)の評価方法、解析手法開発に着手、試行
を行い、それぞれの技術課題を明確にするとともにその解決手段の検討を進めた。さ
らに今後の低コスト化技術を想定し、低担持触媒等の評価に対応した性能評価条件
や耐久条件を設定し、改良型解析用セルを設計した。また、複数の実施者による評
価・解析結果解釈の確度の向上のため、各機関における評価手法と参照材料を統一
した。
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A.電極触媒の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【A-①-1】 実使用条件下での電極触媒構造の
解析手法の開発
技術研究組合 FC-Cubic
(再委託)静岡大学
○ SAXS用電気化学セルの設計と散乱X線プロファイル解析手法の開発により、ラボ装置による触媒層白金粒子径分布In-situ
解析の実現に見通しが立った
□ 背景
□ 実施項目・研究スケジュール
H28年度
H27年度
・電極触媒設計指針の提示するには様々な構造パラメータ(粒子径、結晶子径、
結晶構造、露出結晶面、外形、粒子間距離)と活性や耐久性の定量的関係を
そのメカニズムと合わせて明確にすることが必要
・活性発現メカニズムや劣化メカニズムの明確化するには実使用条件下での
構造を知ることが必要
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
A-①-1 実使用条件下での電極触媒構造の解析手法構築
In-situ 溶液系条件下での
実使用条件下での
SAXS、XRDの構造解析
手法の構築
SAXS、XRDの構造解析
手法の構築
A-①-1-1 モデル触媒材料合成と触媒構造パラメー
タの簡便な評価解析法の開発(静岡大学 再委託)
□ 目的
実使用条件下
での電極触媒
構造の簡便な
解析手法を構
築し、産業界に
展開する
モデル触媒提供
モデル白金ナノ粒子触媒の合成とキャラクタリゼーション
実使用条件下での電極触媒構造の簡便な解析手法の構築し、産業界に展開する
白金ナノ粒子触媒の構造パラメータの簡便な評価解析法の開発
研究成果
実使用条件下での電極触媒構造の簡便な解析手法の構築に向けたアプローチ
産業界への展開が容易なラボ装置を用いた実使用条件下での触媒構造解析
手法の構築
方針
サブテーマ A-①-1の立ち位置
In-situ 溶液系
A-①-1 -1 モデル触媒材料合
成と触媒構造パラメータの簡便
な評価解析法の開発(静岡大
学 再委託)
・ TEM、XRD、TG、比表面積細
孔分布測定を用いたEx-situ で
の構造パラメータ(粒子径(分布)、
粒子間距離)の簡便な評価解析
手法の構築
A-①-1 実使用条件下での電極触媒構造
の解析手法構築
・ SAXS、XRDを用いたIn-situでの電極触媒
構造 パラメータ(粒子径、粒子径分布、結晶
構造)の簡便な解析手法の構築
・ 検証には高度に構造制御されたモデル白金ナ
粒子 触媒を活用(A-①-1-1)
結果
①
セル設計・作製
In-situ 溶液系での
★SAXS
XRD
実使用条件下での
電極触媒解析手法
の確立
電極触媒解析手法
の確立と実使用条件
下適用への構想
データ解析技
術の検討
実使用条件下で
の電極触媒解析
手法の構築
結果
② ★SAXS:粒子径(分布)
XRD:結晶子径
結果
③
Ex-situ での構造パラメータの簡便な評価
★モデル触媒の合成・評価
解析手法の構築
結果① ラボスケールで測定可能なIn-situ SAXS用溶液系電気化学セルの設計・作製
SAXS 装置のIn-situ 化改造
In-situ 溶液系セル機能の確認
In-situ SAXS用溶液系電気化学セル
CE
● 現有装置の測定感度が十分であることを確認した
RE WE
SAXS測定におけるX線散乱強度の確認
● X線透過部の溶液厚みを薄くすること(<2 mm)
● 電極電位の印加だけでなく、サイクリックボルタ
ンメトリーなどの電気化学測定や電位サイクル
I0
試験も実施可能なこと
● 電極セッティングや溶液の注入が容易であること
In-situ 溶液系セルの特長
光路長の調整を可能にした可動式構造
電気化学セルとしての機能性の確認
X線散乱スペクトルを取得できたが、測定に
時間を要する
In-situ 溶液系セル設計条件の設定
触媒層内のプロトン伝導抵抗が大きく、
電位制御が困難
⇒ 測定時間を短縮する為セルを改造中
⇒ 触媒層内プロトン伝導抵抗を低減する方法を検討中
測定サンプル:触媒層付きGDL
0.35 mgPt/cm2
I
測定サンプル:触媒層付きGDL
0.05 mgPt/cm2
SAXS測定条件
可動部
Electrolyte
(参考文献)
Takahiro Kaito, et al., Rev. Sci. Instrum, 85, 084104 (2014)
CV測定条件
スリット(mm)
【1st -2nd -3rd 】
0.4 - 0.2 - 0.6
電位走査範囲
(V)
ビームストッパー
径(mm)
Φ4
初期電位(V)
0.5
500
走査速度(V/s)
0.05、0.01
カメラ長(mm)
測定法
透過法
In-situ 溶液系セルを用いたSAXSデータ
< 2 mm
In-situ 溶液系セルを用いたCV測定
結果② SAXSの散乱X線プロファイルによる粒子径分布解析技術の検討
触媒層付きGDLのX線散乱
C担体のバルクの散乱
C担体の小さい細孔(相関長 1)からの散乱
C担体の大きい細孔(相関長 2)からの散乱
Pt粒子のバルクの散乱
Pt粒子表面の散乱
Carbon
C2I q
Pt
C担体のみで測定した
散乱プロファイル
I q
C1I q
Carbon
GDLのみで測定した
散乱プロファイル
+ C2I q
Pt
+ C3I q
C担体の散乱の寄与
GDLバルクの散乱
GDLの細孔(相関長 3)からの散乱
試料以外の散乱(BG定数)
C3I q
(参考文献)
D.A. Stevens, et al., Carbon, 41 (2003) 2769-2777.
Jozsef Speder, et.al., J. Power Sources, 261 (2014) 14-22
触媒層付きGDLのX線散乱モデル式
C1I q
∶固定スリットからの散乱の寄与
G∶ Pt粒子表面の散乱の寄与
σ∶ 標準偏差
C4
R0∶ 平均粒子径
Ci :const.
フィッティングパラメータ:
+
(ln
2 6
ln
2/2 2
I Rq dR
Pt 粒子サイズの対数正規分布
*I Rq ∝ sin qR - cos
半径Rの球の形状因子
調製したモデル触媒のTEM像と粒子径分布
2
モデル式による計算プロファイルと測定プロファイルの残差二乗和
が最小となるようにフィッティング
触媒構造の解析技術開発のためのモデル触媒材料の合成・キャラクタリゼーション
面積平均径: 2.5 nm
標準偏差: 0.4 nm
Pt粒子径: 2.5 nm、標準偏差: 0.5 nm 以下に制御したモデル触媒調製法を確立した
+ C4
粒子径分布
結果③ モデル触媒の合成・キャラクタリゼーション (静岡大学再委託)
■ 平均粒子径 2.2~3.5 nm ,標準偏差 0.5 nm 以下の白金ナノ粒子触媒(OA-Pt/CB)調製法の検討
GDL
BGの寄与
F :Pt粒子のバルクの散乱の寄与
GDL
-0.1~1.4
計算プロファイルと測定プロ
ファイルはほぼ一致
モデル式を用いた粒子径分布解析
手法を開発 した⇒検証中
白金ナノ粒子触媒(OA-Pt/CB 触媒)の粒子サイズ・形状を保持したオクチルアミン (OA)除去法の開発
■ Ptの粒子サイズ・形状を保持したままOAを除去する方法を検討 ⇒ 酸及び熱による除去
酸処理でOAの残留および酢酸の吸着が認められた
○ 熱処理によりOA 除去は可能。一方で酸素存在下での40℃以上の加熱において
カーボン燃焼が生じる
⇒ 昇温速度を上げることによりカーボン燃焼を抑制可能にした
調製した触媒の熱重量(TGA)-示唆熱量(DTA)曲線
□まとめ
• ラボスケールで測定可能なIn-situ SAXS用電気化学セルを設計した
• SAXSの散乱X線プロファイル解析手法の開発により触媒層白金粒子径分布のIn-situ 解
析の実現に見通しが立った
• Pt粒子径: 2.5 nm、標準偏差: 0.5 nm 以下に制御したモデル触媒調製法を確立した
モデル式による粒子径分布解析結果
□今後の方針
In-situ 溶液系条件下でのSAXS、XRDの構造
解析手法の構築後、実使用条件下での電極 触
媒構造の簡便な解析手法の構築を目指す
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A.電極触媒の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
京都大学
大学院人間・環境学科研究科
【A-①-2】 電極触媒構造解析技術開発
○回転電極を用いた温度可変ORR活性評価と、それと同じ条件でのoperando XAFS計測手法の開発を行った。それにより、厳密
なORR活性評価から得られた電気化学パラメータとPt触媒の電子構造・局所構造の相関関係の解明に見通しが立った
□ 実施項目・研究スケジュール
□ 背景
• 電極触媒(貴金属系触媒)において触媒活性の発現メカニズム、活性劣化メカ
ニズムを明らかにするためには、反応場である電極触媒表面構造を評価・解析
し、電気化学パラメータとの相関を明らかにすることが必要
H27年度
H28年度
温度可変RDE電
気化学評価システ
ムの確立
□ 目的
• 厳密な電気化学計測による交換電流密度、移動係数、反応中間体の吸着
Gibbsエネルギー、被覆率等の電気化学パラメータの計測と、それと全く同じ電
極でのoperando解析による触媒の電子構造、局所構造との相関を明らかにす
る手法を確立する。それにより、ORR活性の支配因子の解明を行う。
温度可operando
XAFSシステムの
確立
H29年度
H30年度
電気化学パラメー
タとPt触媒の電子
構造・局所構造の
相関関係
H31年度
ORR活性支配
因子の解明
適用系の拡大(コアシェル
触媒、イオノマー等)
目標成果
高性能な電極
触媒の設計指
針
ORR活性の
支配因子の解
明
研究成果
実使用条件下での電極触媒構造の解析手法の構築
サブテーマ A-①-2の方針
operando 硬X線XAFS
電位 温度 酸素分圧 特異吸着 etc
RDEによる厳密な電気化
学活性評価
発電時の
白金原子の電子構造、dバンド空孔数、
白金原子の周囲にある元素の種類、配
位数、白金-白金原子間距離、局所歪
み etc
電位 温度 酸素分圧 特異吸着 etc
触媒構造
粒子径 分散度 etc
これまでの結果
(大量の触媒を用いたXAFS計測と、RDEによって評価し
た電気化学測定結果)
厳密な相関
交換電流密度、移動係数、反応中間体
の吸着Gibbsエネルギー、被覆率 etc
解析手法
の産業界
への展開
高性能な電
極触媒の
設計指針
の提示
今回構築した実使用条件下での電極触媒構造解析セル
FC-Cubic、日産アークとの共同研究
通常の触媒担持量の回転電極をそのままXAFS計測可能にする
温度可変(室温~100℃)
O2飽和 25℃ におけるPt L3-edge XANES
異なる面上で、Pt-Pt結合距離は
配位数の大きさに従って変化
→配位数依存に由来する構造収
縮が定量的に示された
Pd単結晶(111)上のPtML 原子の
構造モデルはPtML シェルのフィッ
ティングに利用できる
PdコアのPtコアシェル触媒におけるPt-Pt結合長と比活性の関係
電位による白金の電子構造変化をとらえている。電位操作方向により、白金酸化物の存
在によるヒステリシスがみられる
O2飽和 25℃, 60℃ におけるPt 5d軌道空孔数の電位依存性
XANESより求めたPt 5d軌道空孔数:温度による白金酸化物の還元速度を反映
□まとめ
• 温度可変回転電極測定系を構築した
• 通常の触媒担持量の回転電極をそのままXAFS計測可能にする
温度可変(室温~100℃)計測系を確立した
□今後の方針
厳密なORR活性評価から得られた電気化学パラメータとPt触媒の電子
構造・局所構造の相関関係を明らかにして、高活性触媒設計指針を提
示する
4/42
A.電極触媒の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
国立研究開発法人
物質・材料研究機構
【A-②-2】 電極触媒電子状態推定技術開発
○酸素還元活性に強く影響を及ぼすと考えられる、触媒の電子状態を実験室レベルで測定可能な新規分光法を開発に成功した
○本手法の有用性を検証する必要はあるが、触媒の電子構造、特にd-bandの位置情報を得ることが出来、触媒の活性との関係を
調べることで出来るようになった
○今後、燃料電池の触媒の活性を評価するうえで、本手法は大きく貢献できると考えている
□ 背景・目的
燃料電池触媒の反応を詳細に理解するためには、電面電子移動に大
きな影響を与えると考えられる界面電子構造の理解が重要となる。し
かし、水環境下ではXPSやUPSのような光電子をプローブとする手法
を適用出来ないことから、水環境下で電子構造を決定可能な手法が限
られていた。そこで、水環境下でも電子構造を調べることが可能な、二
重共鳴和周波数発生分光法を新たに開発した。本手法を用いることで
界面電子構造(d-バンド)の位置を推定することが可能となり、燃料電
池の酸素還元触媒の反応活性の要因をd-バンドの位置から検討し、高
活性触媒の設計に貢献することを目的とする。
□ 実施項目・研究スケジュール
H27年度
H28年度
DR-SFG分光法の開発
H29年度
H30年度
H31年度
実触媒への適用
薄膜電極への適用
ORR触媒とd-バンド位置との関連を探る
本手法の有効性を探る
目標成果
各種触媒の電
子構造と反応活
性との関係をよ
り詳細に調べる
ことが出来る解
析技術の開発し、
産業界へ貢献
する。
研究成果
◆ 界面電子構造をプローブする二重共鳴和周波発生(Double Resonance Sum Frequency Generation: DR-SFG)分光法の開発
二重共鳴和周波発生分光法
DR-SFG過程のエネルギーダイアグラム
赤外と可視光のエネルギーが表面に存在する
準位(振動準位+電子準位)と等しくなったとき
に共鳴的にSFG強度が増大する。
DR-SFG強度の電極電位依存性
従来のSFG分光法は、界面の情報を選択的に
得ることが可能な分光法であり、赤外光の波長
を変化させることで、界面の振動スペクトルを得
ていたが、DR-SFG分光法では、可視光の波長
も変化させることで、界面の電子構造の情報を
得ることが可能になる。
白金単結晶電極上に1層だけ吸着した
一酸化炭素(CO)の電子構造の測定
に適用する。
入射可視光の波長
フェルミ準位とCO吸着によって
形 成 さ れ る 5σa 軌 道 と の 間 で
SFGの共鳴増強が起こっている。
吸着COによって形成され
る界面の電子準位のプ
ローブに成功
白金薄膜電極のDR-SFG強度の電極電位依存性
◆ 白金薄膜触媒への適用
上記の研究でプ―ロブした 5σa軌道は、 白金
のd-バンドとの総合作用により、界面に形成さ
れたものである。つまり、今回開発した手法に
よって、プローブ分子としてCOを吸着させるこ
とによって間接的ではあるが、白金(触媒)の
d-バンドの情報が得られる。
金電極の上に白金薄膜を作成し、今回は
表面吸着COの電気化学酸化による、触媒
活性を評価。
バルク白金電極にくらべ、白金薄膜電極で
は、COの酸化活性が低下する(高電位側
へシフト) 。つまりバルク白金に比べ、金上
の白金薄膜は電子状態の変化がCOの酸
化活性に影響をお呼びしていることが推測
される。
上記の測定でプローブしている電子軌道。
この軌道はPtのd-バンドとの混成によって形成される。
□まとめ
• 実験室レベルで運用可能な新規分光法を開発し、金属触媒の電子構
造(d-バンドの位置)情報を得ることに成功
• 触媒の活性要因のひとつとされるd-バンドの位置を調べ、高活性触媒
の設計に活用することで、産業界に貢献
よりエネルギーの高い
可視光でSFGが増強
する。
DR-SFG分光法の適用により、電位に対する
SFG強度の変化を追跡すると、バルク白金と
同様の変化が観測されたが、白金薄膜では、
バルクに比べ、より高電位側でSFGの増強が
観測された。
金上の白金
薄 膜 の d- バ
ンドはバルク
白金に比べ
高い位置に
ある
□課題
・酸素還元触媒へ適用し、本手法の有効性を他の手法で確認する必要
性がある
(他のチームで行われているシンクロトロン放射光を利用するオペラ
ンド計測法(直接d-バンドの情報が得られる)との整合性の確認)
5/42
A.電極触媒の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【A-②-3】電極触媒周辺構造解析技術開発(XAFS)
北海道大学
○ Ptナノ粒子の電子状態・局所構造の電位・偏光依存や基板との結合状態解明にむけ、背面照射型蛍光XAFS
法と分光結晶を組み合わせることで、HOPG (Highly Oriented Pyrolytic Graphite) 上の数原子層程度のPtナノ
粒子の原子レベル構造でのin-situ条件下観察が数時間程度で実現した
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
固体高分子形燃料電池システムを用いた燃料電池車のさらなる普及・実用
化には、技術開発において依然多くの克服すべき課題があり、そのブレイク
スルーにはマクロ的な電気化学的アプローチに加えて、燃料電池触媒その
もののミクロ的構造反応情報が重要である。高感度偏光XAFS法基盤技術
開発と触媒系へ適用することで、触媒ナノ粒子の性能劣化機構、電極触媒
表面での酸素還元反応過程やアイオノマーとの結合状態を、局所的・三次
元的・元素選択的に明らかにし、燃料電池車の低コスト化・高信頼性化を可
能とする電極触媒の革新的材料・要素技術開発への指針を提示する。
H27年度
H28年度
H29年度
H30年度
H31年度
偏光背面照射高感度EXAFS法によるPtナノ粒子の立体構造解明
偏光背面照射高感度EXAFS
法の高度化・技術確立とHOPG
上のPtナノ粒子系への適用
in-situ条件
下のPtナノ
粒子と表面
吸着種や炭
素との結合
状態を三次
元的に解明
コアシェル系・耐久劣
化試験下への適用
目標成果
In situ条件下における
Ptナノ粒子立体構造と
その劣化過程の解明
し、局所構造から触媒
設計指針を与える
研究成果
◆. 背面照射XAFS法と分光結晶を組み合わせた超希薄Pt ナノクラスターの観察
⽩⾦微粒⼦
電解質⽔溶液
電位、雰囲気により、Ptの化学状態およびPt-基板、Pt-Pt、Pt-アイオノマー、Pt-吸着種の相互関係の変化を
知ることで触媒の劣化の支配要因の理解と原理解明を行う
これまでの問題点:基板/アイオノマ-/吸着種との相互作用を原子レベルで解明するには、表面積が大きい
Ptナノ粒子をHOPG上に1原子層程度の濃度で展開することが必須であるが、低濃度故に動作条件下での
吸着種立体構造観測は困難
vs.
炭素電極
I0
背面照射型蛍光XAFS法 + ラウエ型湾曲分光結晶 (BCLA)
1.8
1.0
0.9
0.8
5
背⾯⼊射配置
11250
11500
11750
12000
photon energy / eV
実験セットアップとin-situセル
ダイフロン製電気化学セル
μt × 10‒4
μt × 10‒1
1.1
6
4
Uehara, H. et al., Phys. Chem. Chem. Phys 2014, 16, 13748
2.0
全反射配置
電解質溶液
物質拡散
従来法では、溶液からの散乱を除けない・・・
1.2
7
ポリマーフィルム
唯一使用されている偏光全反射蛍光XAFS法では、
1. 溶液層を薄層にするため、実際の動作環境とは様子が異なる
2. HOPGのような軽元素でマクロな平坦性がない基板では全反射条件が困難
μt × 10‒3
⼊射X線
分光結晶無し
11550
11580
11610
photon energy / eV
⾼フラックス・
⼩ビームサイズ
1.6
1.4
1.2
BCLA
分光結晶有り
I0
11550
11580
11610
photon energy / eV
If
I
半導体検出器
0
If
BCLA
BCLAの2次元
精密位置調整
⾼感度化を⽬指した⾃作BCLAの開発
梁(ログスパイラル形状)
AuPt試料を用いた
25素子SSDによる比較
市販品
Moソーラースリット
自作
Si (111)単結晶
分光結晶によりバックグラウンドシグナルを下げ、HOPG上の原子密度
1×1015 cm-2 程度のPtナノ粒子EXAFS測定がin-situ条件下で2時間程で実現
より多くの素子でPt蛍光X線を分光している
□まとめ
• 背面入射型蛍光XAFS法と分光結晶を組み合わせることで、正確な電気化学ポテンシャル制御のもとモデル触媒のより実環境下に近いin-situ
EXAFS測定法を数時間で実現
• 今後は自作BCLAや大型検出器を用いてさらなる高感度を行い、Ptナノ粒子の電子状態・局所構造の電位・偏光依存や基板との結合状態解明を
行う
□ 協力先 電気通信大学、高エネルギー加速器研究機構、自然科学研究機構 分子科学研究所、東京医科歯科大学
6/42
A.電極触媒の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
北海道大学
(再委託)理化学研究所
【A-②-4】 電極触媒周辺構造解析技術開発
○酸素還元反応進行時の実触媒における酸素種の状態および分布計測技術として、軟X線吸収/発光分光法による測定用電気
化学セルの改良および検出器の高感度化を行った
○粒子形状の簡便な評価実現のためのテラヘルツラマン分光装置を導入した
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
固体高分子形燃料電池のカソードにおける酸素種の状態および分布を酸
素還元反応進行時に計測することができれば、触媒反応機構や実触媒の劣
化機構が解明でき、より高活性かつ高耐久性を示す触媒層の設計および開
発が可能になると期待される。しかしながら、大気圧下で反応進行時の電極
界面における酸素種の状態および分布計測手法は未だ確立されていない。
本研究テーマでは実触媒における酸素種の状態および分布計測技術の開
発を目指し、軟X線吸収/発光分光法測定用電気化学セルの開発および検
出器の高感度化を行った。また、粒子形状を簡便に評価するための新しい手
法として、テラヘルツラマン分光による評価を試みる。
H27年度
H28年度
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
モデル触媒界面にお
ける酸素種の状態計
測技術開発
実触媒の性能評価と
劣化機構の解明
形状制御触媒の分光
学的評価と耐久性評
価への応用
研究成果
電位印加状態で観測された電極上での空間分布、
時間変化
実験装置
軟X線吸収、発光分光の原理
• 内殻励起による吸収、発光
• 価電子状態の観測
空間的不均一性
O1s FYマッピング
0.2V
0V
窓材の
薄膜部分
0.3×3
mm
対極
作用極
参照極
• 元素を選別して観測可能(元素選択性)
• 分子構造による吸収スペクトルの違いを利用して分
子内の特定の構造の近傍の電子状態観測が可能
• 多成分系での測定が可能
• 150nmの薄膜窓材の上に電極を
形成
• 窓材を通して軟X線を照射
• 軟X線の低い侵入長を利用して
電極近傍(数百nm)を観測
真空側
徐々に増加
電子増倍管を用いた検出器
• フォトンカウントによるS/N向上
• 軟X線検出の高感度、高速化
 測定回路の組み立て中
 検出器の試験を10月に行う
• 時間変化が異なる成分が
観測されている
これらの現象をきちんと観測するには実験装置の
改良が不可避
• FY検出器の改良によるマッピング、および吸
収測定の高速化
• 電極の配置による不均一性が生じないような
セルの構造への改良
大気側
50 nm
軟X線吸収測定用検出器の高感度化
既存の検出器
• フォトダイオード
• 真空内プリアンプによる高感度化
• 測定は電流出
電位印加後徐々に増加
⇒ 反応生成物
テラヘルツラマン分光装置の導入とナノフレーム触媒評価
軟X線分光測定用電気化学セルの改良
設計
• 参照極を中心に対称になるように設計⇒セルの内
部構造による空間的不均一性の発生を防ぐ
• 試料液体をため込む形に改良
• 対極の面積を増加(Ptリボン)
電位印加で急速に増加、
その後減少
⇒ 発光測定により酸素
と判明
エタノール 0.6 M、H2SO4 0.5 M
• 不均一な分布は電位印加によっ
て生じる。
• 電位印加を止めると徐々に元に
戻る
⇒電極反応による生成物
SiC薄膜 150nm
窓の開口 0.3x3mm
時間変化
Pt : Ni = 6 : 1
これ以上の高感度化は困難
測定の高速化も難しい
PtxNiナノフレームをモデル系と
して評価する.
THzラマン分光計(785 nm励起)が組み上がり,動作確認を行った.
→まずはPtxNiナノフレームのフォノンを観測予定
□まとめ
• 実触媒を測定するための軟X線分光測定用電気化学セルの製作を完了し、動作確認を行った
→放射光を用いた測定試験を10月に行う予定
• 高感度軟X線吸収測定用検出器として電子増倍管を用いた検出器に着目し、製作を開始した
→10月までに製作を完了し、動作試験を行う予定
7/42
A.電極触媒の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【A-③-1】 MEAでの電極触媒活性を予測可能な
担体評価技術の開発
技術研究組合FC-Cubic
○ RDE-MEAの触媒活性ギャップ要因の明確化に先立ち、RDE評価の再現性向上を優先課題として掲げ、活性評価のばらつき要因
として物質移動補正の不足、触媒層品質のばらつき、触媒担持量のばらつきを抽出した
□ 背景
□ 実施項目・研究スケジュール
RDE触媒解析法は白金使用量が少なく評価も短時間で行う事ができるため簡便な
触媒解析手段であり新規触媒を用いて作成したMEAの触媒活性測定にも非常に有
用な解析法である。ところが触媒をMEA化した際の評価ではRDEで見られるほどの
活性が得づらいという課題があるためその主要因を見極め解決する必要がある
H28年度
H27年度
RDEによる再現性の優れたプロ
ジェクト標準活性評価条件の決定
□ 目的
H29年度
RDEによる活性解析値・触媒構造
の評価条件感度データ取得
この課題を解決するため技術・環境に依らない再現性の優れたプロジェクト標準
RDE活性評価条件を決定する。また電極触媒をMEA化した際の活性をRDEを用
いて正確に予測が可能となる評価技術を確立し産業界に展開を行う
H30年度
H31年度
中間目標
RDE、MEAで評価した電極触媒活性の違いの要因を明確にして
RDE等による単体電極触媒評価技術を確立する目途を立てる
評価技術詳細条件の検討
及び検証
触媒層構造の活性解析値
への影響の明確化
目標成果
電極触媒を
MEA化した際
の活性をRDE
等により単体で
予測できる電極
触媒評価技術
を確立する
研究成果
本課題の立ち位置
活性評価結果ばらつき要因の解析
-1
(電極触媒設計因子)
700
(触媒層設計因子)
理論電圧
is / µA cm-2Pt
i / A cm-2
-2
A-③
電極触媒性能評価技術開発
-3
-4
-5
泳動による損失
(オーム損失)
-6
反応による損失
(活性化過電圧)
-8
理論限界電流密度
400
0.2
拡散による損失
(濃度過電圧)
RDE
MEA
• 短時間で評価が可能
• 少量の触媒でよい
• 装置が比較的安価
且つシンプル
• 触媒以外の部材の影響
が少ない
電流密度
性能評価・新規材料開発の両面にお
いて最大の損失要因である活性化過
電圧を正確に測定する事が特に重要
0.4
0.6
0.8
E / V vs. RHE
1.0
対流ボルタモグラム(2500 rpm)の比較
• 解析に時間がかかる
• 触媒を大量に使用する
• 装置の保守・精度管理
に手間がかかる
• 他の部材の影響を抑
制・補正する必要がある
RDEは触媒の評価に優れているが、MEAでの活性評価結果と必ずしも一致しない
ギャップ要因を明確にしてMEAでの活性を予測できるRDE評価技術を確立する
600
500
-7
6.0
6.5
7.0
7.5
iL @ 2500 rpm / mA cm-2
8.0
限界電流密度と面積比活性の関係
限界電流が理論値と乖離するほど面積比活性解析値が低い
1.0
E / V vs. RHE
電圧
800
0
理論限界電流密度
電極触媒機能
0.9
0.8
RDE-MEA触媒活性ギャップ要因明確化の方針
活性
測定値
ギャップ
0.7
0.0001
評価条件
触媒層構造
触媒構造
データ処理
・解析法
真値
真値
ギャップ要因を評価条件、
触媒層構造、触媒構造、
データ処理・解析法に
分類し、それぞれの違いと
その影響を定量化する。
測定値
RDE
MEA
基準となるRDE評価条件の設定と再現性の確認
電解液
0.1 M HClO4
温度
25℃
500
µg(carbon)/cm2
触媒担持量
20
初期電位
0.05 V
質量活性のばらつきの要因は
ほぼ面積比活性のばらつき
従来例を参考に評価条件設定したが、
評価結果にばらつきが見られた
im / A gPt-1
物質移動補正 Koutecky-Levichプロット
限界電流が低い電極では、KouteckyLevichプロットによる物質移動の補正が
不十分なため、活性が過小評価されている
目標値
6
400
800
300
600
200
400
100
200
4
2
触媒インク
白金担持量1.68 μg
10 μL質量
6.47 ppb
9.48 mg
0
ink / mg
Pt濃度 / ppb
触媒インク塗布時規定量(10 µL)に
含まれる触媒・白金量のばらつき
RDE上触媒層のレーザー顕微鏡像
(乾燥条件: 60℃, 30分)
同様に作製した触媒層でも
品質にばらつきが見られる
限界電流のばらつきは、
触媒層品質ばらつきが
要因と考えられる
担持量もばらついている可能性がある
0
0
N1 N2 N3 N4 N5 N6 N7 N8
再現性の良好なRDE評価条件の設定が
優先課題として浮上
面積比活性のターフェルプロットの比較
高電位ほど面積比活性のばらつきが小さい
8
1000
(TEC10V30E使用時8.6 µg(Pt)/cm2)
電位走査速度 10 mV/s
0.01
10
is / µA cm-2Pt
条件
0.001
is / A cm-2Pt
im is
TEC10V30E活性評価結果のばらつき
□まとめ
• RDE-MEAの触媒活性ギャップ要因の明確化に先立ち、基準とな
るRDE評価の再現性向上が重要な優先課題として浮上した
• RDE評価のばらつき要因として、物質移動補正の不足、触媒層品
質のばらつき、触媒担持量のばらつきが抽出された
活性評価の再現性向上を図るには、物質移動補正方法の
改善、触媒層品質の安定化、正確な担持量の計測が必要
□今後の方針
・物質移動補正方法、触媒層品質向上のための塗布・乾燥条件、触媒
担持量の計測手法等の検討によるRDE評価再現性向上
・活性解析値と触媒・触媒層構造の評価条件感度データ取得による
ギャップ要因解析の開始
8/42
A.電極触媒の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【A-④-1】 電気化学的手法を主とした
電極触媒活性要因解析技術の開発
リレーションシップ ID rId6 のイメージ パーツがファイルにありませんでした。
技術研究組合FC-Cubic
○電極触媒活性を決定する電気化学的特性パラメータの電気化学測定による解析手法を立案した
□背景
高活性電極触媒を設計するためには、触媒活性とそれを直接
決定する特性パラメータとの相関を把握する必要がある
□ 実施項目・研究スケジュール
H27年度




□目的
電極触媒活性を決定する電気化学的パラメータの解析技術を
確立する
H28年度
H29年度
H30年度
目標成果
電気化学的 手法によ
る電極触媒活性要因
の解析可能限界の明
確 化 と 補完 技 術候補
の選定
電気化学的特性パラメータの選定
解析手法の立案
解析手法案の課題・解析限界の明確化
補完技術の検討・有効性の確認
 電気化学的手法の改良
 補完技術の検証
 手法統合と解析手順まとめ
電極触媒比活性決
定パラメータの解
析技術の確立
研究成果
◆本研究の位置づけ
◆電気化学的パラメータの解析手法の検討
従来の研究
m
1
100 rpm
(5)
直線の傾き = m(0.9V)
400 rpm
log
log
900 rpm
(3)と(5)より
log 1
log
1600 rpm
(6)
2500 rpm
触媒活性とdバンドセンターの相関1)
log 1
触媒活性と結合距離の相関2)
ORR測定結果
θ
※ORRとの同時測定が必要
※θPtOであると仮定3,4)
酸素還元電流
密度
・交換電流密度
・反応次数
・白金被覆率etc.
・dバンドセンター
・dバンド空孔
・仕事関数etc.
不明
Shielding Technique
酸素飽和条件下の白金被覆率が測定可能4)
・結晶構造
・粒子間距離
・原子間距離etc.
Scan from
Constant at low potential
0.05 V to 1.2 V (0.4 V)
Scan from
0.05 V to 1.2 V
触媒活性の予測ができず、高活性電極触媒の設計につながらず
Disk
Ring
Disk
Ring
本研究
ORRと白金被覆率の同時解析4)
目的: 電極触媒活性と電気化学的パラメータの相関を
解析する技術の開発
1) V. Stamenkovic, et al., Nature Mater., 6 (2007) 241.
2) S. Mukerjee, et al., J. Electrochem. Soc., 142 (1995) 1409.
O2
3) N.M. Marković, et al., J. Electroanal. Chem., 467 (1999) 157.
4) S. Sugawara, et al., Electrocatal., 2 (2011) 60.
O2
i0
α
1
exp
log
exp
γr
◆解析対象とする電気化学的パラメータの選定
先行研究におけるバトラーボルマー(BV)式
log 1
log
log
(比較のため記号を統一)
log 1
log
log
log 1
(7)
最も一般的なもの
exp
(1)
(5)と(7)より
log
log 1
式(8)が表現する三次元空間
log 1
白金被覆率と吸着エネルギーを考慮
log
1
exp
exp
(8)
(2)
酸素還元電流
RRDE測定データを上図の空間にプロットして得られた
平面の傾き及び切片より、i0、α、γrを導出。
電気化学的なパラメータの解析案
(3)
(2)と(3)より策定した比活性表現式
1
(白金担持密度と比表面積の項は省略)
exp
exp
・CVによるHupd電気量測定
・COストリッピング法
(4)
・回転ディスク電極(RDE)による
ORR測定(飽和酸素条件)
解析するパラメータ
i0 : 交換電流密度
m: 反応次数
θ : 白金被覆率
α : 移動係数
得られるデータ及びデータ解析で明瞭になるパラメータ
電気化学測定法
γr: 定数
・回転リングーディスク電極(RRDE)
によるORR測定(飽和酸素条件)
□まとめ
• プロジェクト用バトラーボルマー式を決定
• 解析対象パラメータを選定
• 反応次数と白金被覆率は電気化学測定により直接解析可能
• その他のパラメータについて、ORR測定データ処理により解析可能
Q
SA
i
iK
iS
目標達成
iL
m
i0
QPtO
θ
α
iD,ORR
γr
iL
□今後の方針
• 電気化学的手法による特性パラメータ解析手法の課題・解析限界の
明確化
• 電極触媒の比活性を決定する特性パラメータの解析技術の確立
9/42
A.電極触媒の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
京都大学
大学院人間・環境学研究科
【A-④-2】 電極触媒活性発現要因解析技術開発
○電極特性に大きな影響を及ぼす電極触媒表面に吸着したイオノマーの構造(スルホ基の電子構造等)を解明するために、軟X線
XAS測定用のチャンバー、セルを開発した
○スルホ基の電子構造は基板への塗布条件や含水状態で大きく変化することを明らかにした
スルホ基 □ 実施項目・研究スケジュール
□ 背景
• 電極触媒の活性発現要因を本質的に明らかにするた
めには、燃料電池作動条件下で、電極触媒界面に吸
着する含酸素種(水、スルホ基等)の状態を解析する
必要がある。
H27年度
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
電極触媒活性
発現要因解析
技術開発
測定法の開発
白金
□ 目的
H28年度
酸素
• 燃料電池用のoperando軟X線XAS解析セルを試作し、電極触媒界面に吸着する
ナフィオンの含硫黄種(スルホ基等)の電子状態の電位依存性を評価する
電極触媒活性
発現要因の解
析・評価
解析
研究成果
先行研究に基づくパラメータの検討
C, Au, Pt基板上のNafion膜へのGISAXS測定
軟X線XAS測定
軟X線XAS用の測定系を開発し、ナフィオンのスルホ基のS K-edge XASを測定
膜厚の異なるNafion膜を塗布したPt電極の電気化学測定
XAS測定配置
(高真空中)
蛍光X線
検出器
70°
入射X線
・検討したパラメータ
基板 : Pt, Au, C
Nafion膜厚 : 10, 50, 200 nm
アニール : 無, 有(150°C, 60 min under N2)
角度 : 30, 60, 90°
測定雰囲気 : 乾燥(大気), 水含浸
膜厚増加に伴いPt表面へのNafionの吸着が強くなり、
触媒活性を阻害
基板/膜界面での相互作用によるNafion膜の
結晶性・配向性への影響を観測
触媒/Nafion膜界面の構造が触媒活性に影響
Kusoglu, A.; Kushner, D.; Paul, D. K.; Karan, K.; Hickner, M. A.; Weber, A. Z.,
Adv. Funct. Mater. 2014, 24 (30), 4763-4774.
Normalized absorbance (a.u.)
5
4
4
Pt_Nafion_200nm_90o
C_Nafion_200nm_90o
Au_Nafion_200nm_90o
2482.4 eV
3
2
2472.6 eV
膜厚依存性
基板:Pt
膜厚:200nm
10
Pt_Nafion 200nm 90 degree
Pt_Nafion 200nm 60 degree
Pt_Nafion 200nm 30 degree
2480.4 eV
角度:90°
膜厚:200nm
2480.4 eV
Normalized absorbance (a.u.)
角度依存性
Normalized absorbance (a.u.)
基板依存性
6
軟X線XAS測定装置概略図
Subbaraman, R.; Strmcnik, D.; Paulikas, A. P. Stamenkovic, V. R.; Markovic, N. M., ChemPhysChem 2010, 11, 2825–2833.
2482.8 eV
3
2
2472.6 eV
1
基板:Pt
角度:90°
Pt_Nafion_200nm_90o
Pt_Nafion_50nm_90o
Pt_Nafion_10nm_90o
8
6
4
2
0
1
0
-2
0
2460
2460
2470
2480
2490
2500
2470
2480
2510
2500
2460
2510
2470
Farideh Jalilehvand , Chem. Soc. Rev., 2006, 35, 1256–1268
・Pt, Au, Cでスペクトルの形状が異なり、スルホ基の電
子状態に基板依存性が見られた
・2473 eVのピークは基板に特異吸着したスルホ基由
来のものと考えられる
基板:Pt
膜厚:200nm
2480
2490
2500
2510
Energy (eV)
Energy (eV)
Energy (eV)
含水状態
2490
・30度では各ピーク強度比とピーク位置が変化
し、偏光依存性が見られた
・膜厚によってスルホ基の電子状態に変化が
見られた
・スルホ基はPt基板上で配向性を有している
アニール処理, 含水状態
基板:Pt
膜厚:200nm
電極塗布時
含水時
CF2主鎖
R-SO3-
R-SO3H
含水
Pt
・含水させることで、RSO3H由来のピークが
減少し、RSO3-由来のピークが増加
→含水させることでスルホ基からH+が脱離
・アニール処理ではスペクトルに大きな変化は
見られないが、含水時のスペクトルの変化が小
さくなった。これは、アニールによる相分離構造
変化の影響と考えられる。
→アニール処理をすることでスルホ基からH+の
脱離を抑制
□まとめ
• 電極表面に吸着した含酸素種の電子構造分析用の軟X線の測定系を開発した
• 基板、膜厚など種々のパラメータを制御した際のナフィオンのスルホ基の電子
構造変化を軟X線XASにより捉えることに成功した
• ナフィオンのスルホ基は電極表面では特異吸着によりバルクとは異なる電子状
態になっている可能性が示唆された
・電極塗布時、ナフィオン中のスルホ基は電極表面に特異吸着し、
配向している。配向性は基板によって変化する。
・含水時にはスルホ基が溶媒和されH+が脱離する。アニール処理
によりH+の脱離は抑制される
Sの軟X線XAS測定により、塗布条件や含水状態によって、電極
表面上のナフィオンのスルホ基の電子状態は大きく変化すること
が明らかとなった。
□今後の方針
operando 条件下でSの軟X線XASを行い、実使用条件下
(Pt上での酸素の被覆率変化や電位の効果等)での電極
表面に吸着したナフィオンのスルホ基の電子構造の解明を
目指す
10/42
A.電極触媒の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【A-⑤-2】電極触媒電子状態推定技術開発(XANES・Raman)
北海道大学
○XANES理論計算と偏光全反射蛍光XAFSを組み合わせることで、Pt表面における水素の吸着種サイトを示唆
〇燃料電池触媒系における軽元素、特にPtナノ粒子に結合した軽元素の電子状態をin-situ条件下で観測するため、多元素共鳴
X線ラマン法の実証実験を行い、その可能性を確認
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
固体高分子形燃料電池システムを用いた燃料電池車のさらなる普及・実用化
H28年度
H27年度
H29年度
H30年度 H31年度
にむけ、燃料電池電極触媒の研究、特にPt触媒の高度化が重要となっており、
このためには電気化学的条件下でPt触媒やその周囲の軽元素の挙動を調べ
モデル系によるPtの電子状態・構造・触媒活性の探求
吸脱着による
る必要がある。本研究では既定されたモデル表面系において電位変化に対し
モデル系Pt表面の電子状態解析 表面電子状態 耐劣化試験下への適用
水 素 や 酸 素 、 ア イ オ ノ マ ー が ど の よ う に 吸 脱 着 す る か 、 XAFS 法 に よ る
変化の観察
XANES観測から,基礎的な電子状態を明らかにする。またX線ラマン法の実
多元素共鳴X線ラマン法の開発と燃料電池触媒への適用
証実験を行い、基盤技術として確立、燃料電池触媒系に適用することでPtと
多元素共鳴X線
多元素共鳴X線ラマン法の
多元素共鳴X線
実証実験
ラマン法の実証・ ラマン法の燃料
結合した軽元素に対してin-situ条件下で電子状態をとらえる。これらにより電
確立
電池系への適用
極触媒の革新的材料・要素技術開発への指針を提示する。
目標成果
Ptナノ粒子触媒性能の
劣化原因の解明
燃料電池触媒Pt近傍
軽元素の局所電子状
態・構造情報の取得
研究成果
◆モデル系Pt表面の電子状態解析(XANES理論計算+偏光全反射蛍光XAFS)
If
Pt表面における水素吸着サイトを計算・実験により調べる
atop
FEFF8によるXANES
シミュレーション
E//[211] (S-pol.)
Bare
surface
fcc
fcc(√ ×√ )
fcc
fcc(
全反射偏光XAFS
(表面敏感な測定が可能)
E//[111] (P-pol.)
Bare
surface
fcc
I0
S-pol.
-0.11 V
fcc(√ ×√ )
P-pol.
0.01 V
0.01 V
atop
atop
fcc - bare
)
-0.11 V
FEFF :
atop – fcc(√ ×√ )
atop - bare
Exp. : E-0.11 V - E0.01 V
atop - bare
fcc - bare
atop – fcc(√ ×√ )
FEFF : atop – fcc(√ ×√ )
atop – fcc (√ ×√ )
Exp. : E-0.11 V - E0.01 V
0.01 V (H/Pt = 1/3): fcc (√3×√3), -0.1 V (H/Pt = 1): atop
とした場合、計算と合わない。atopと3-foldの対応が逆の傾向
◆多元素共鳴X線ラマン法の開発
Ptに結合した軽元素(炭素・酸素・硫黄など)のin-situ条件下における電子状態・
局所構造を取得し、軽元素側から触媒劣化の支配要因の理解・原理解明を行う
通常のX線ラマン法
多元素共鳴X線ラマン法
問題点:
1.軽元素のXANES測定に必須である軟X線はin-situ測定が困難
2.Ptと非結合の軽元素が大量に存在
多元素共鳴X線ラマン法(硬X線入射・硬X線発光計測、結合選択性)
TaNによる実証実験
共鳴・非共鳴におけるラマンスペクトル
共鳴的増大
2D detector
Crystal
analyzer
(Ge (660))
Ta L3吸収端
He pass box
励起エネルギーがTa L3吸収端
以上においてラマンスペクトルの
共鳴的増大
Sample
他の系でも再現す
るか、さらなる検証
が必要
□まとめ
・モデル系Pt表面における偏光全反射蛍光XAFSとFEFF XANES計算から水素吸着サイトに関する情報を示唆
・TaNを用いて多元素共鳴X線ラマン法の可能性を確認。今後さらなる実証実験を行い、燃料電池電極触媒系への適用につなげる
□ 協力先 電気通信大学、FC-Cubic、高エネルギー加速器研究機構、自然科学研究機構 分子科学研究所、東京医科歯科大学
11/42
A.電極触媒の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【A-⑧】 複数の活性点が混在する複合電極触媒の
設計基盤技術の確立
○酸素還元反応(ORR)の、反応の内訳を定量的に解析できる手法を新規に開発した
○上記手法を用いて非白金カソード触媒を解析したところ、4電子還元の過大評価(max電流値の17%程度)を解消することができた
○非白金カソード触媒をサブテーマD(JARI)に提供し、単セル試験を実施し、非白金触媒として世界最高クラスの性能を確認した
□ 背景・目的
PEFCのカソードにおいて、白金使用量の大幅な低減を達成するために
は、従来のPt系触媒だけでなく、カーボン系触媒や酸化物系触媒などの
非貴金属系触媒の利用、ないしは貴金属系と非貴金属系の材料の複合
化など、複数の活性点を協奏的に作用させる触媒設計も重要であると考
えられる。
本研究では、下図に示すような酸素還元反応スキームにおいて、(a) k1
やk2が共存する触媒層の、反応の内訳を定量的に解析する手法の確立
すること、(b) 上記手法により、様々な触
媒材料やその複合系触媒層を解析し、複
k1 1.23 V
数の活性点の複合化による酸素還元電
k2 0.67 V
k3 1.77 V
極触媒の活性向上の見通しを得ること、
O2 *
H2 O 2 *
H2 O
および(c) 開発した触媒をサブテーマDに
k4
H2 O 2
提供し、非白金触媒が含まれる単セルの
評価解析手法を確立こと、を目的とする。
□ 実施項目・研究スケジュール
H27年度
H28年度
k1/k2共存系の解析1
H29年度
H30年度
H31年度
・解析手法確立
本発表
・Pt系/カーボン系の
協奏効果の見極め
・k3促進触媒作製法
の見通しを得る
k1/k2共存系の解析2
k3モデル触媒作製法1
k3モデル触媒作製法2
k2/k3共存系の解析
本発表
セル評価用触媒作製1
目標成果
セル評価用触媒作製2
セル評価用触媒作製3
・作製法の確立
・活性点の複合化に
よるORR活性向上
・MEA作製法の確立
(JARI、山梨県)
・触媒提供10 g
・活性点の複合化に
よる単セル性能向上
研究成果
◆ 触媒作製
Nabae et al., Scientific Reports, 6, 23276 (2016).
ポリイミド合成
O
◆ RRDE測定
Nabae et al, J. Mater. Chem. A, 2014, 2, 11561.
NH2
N, A, Z2の決定
実験手順
多段熱処理
γ
O
O
O
400 rpm
900 rpm
1600 rpm
2500 rpm
3600 rpm
60
0.369
0.383
0.388
0.388
0.386
80
0.375
0.383
0.383
0.382
0.385
100
0.358
0.375
0.379
0.379
0.384
120
0.372
0.406
0.386
0.394
O
Fe(acac)3
Dispersant
Aceton
HO
NH2
NH
O
OH
N
O
O
240 C
N
O
γ
A / cm2
Fe(acac)3
OH
400 rpm
900 rpm
1600 rpm
2500 rpm
3600 rpm
/ cm s-1/2
60
0.340
0.332
0.327
0.322
0.318
6.50
80
0.352
0.344
0.340
0.338
0.334
6.36
100
0.357
0.353
0.349
0.349
0.349
6.87
120
0.359
0.354
0.356
0.359
0.349
6.84
O
Fe(acac)3
N
酸素還元(ORR)ボルタモグラム
O
300
200
100
-1
-2
-3
-4
-5
-6
-7
0.5
0.0
-0.5
-1.0
100 rpm
400
900
1600
2500
3600
-1.5
-2.0
-2.5
-3.0
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
Potential (V) vs. RHE
◆ 改良Damjanivic法
H2O2還元ボルタモグラムとKLプロット
1.0
-2
100 rpm
400
900
1600
2500
3600
400
i / mA cm
-2
-2
iD (mA cm )
◆ JARIに触媒提供
iR (mA cm )
n
0.390
Z2 ×10-4
/ μg cm-2
NH n
o
O
C: 88.3%, H: trace, N: 2.6%, Fe: 1.7%,
BET: 1360 m2 g-1
N
/ μg cm-2
O + H2N
Damjanovicモデル
-3.5
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
Potential (V) vs. RHE
◆ 擬似4電子還元を補正するモデル
新モデル
I1/(I1+2I2) vs γプロット
非白金触媒として世界最高クラス
の性能を確認
◆ 従来のDamjanivic-Hsueh法
・複数の回転数のデータを上記2式
でフィッティングするのでノイズが大
きい。
・物質供給による分極を考慮してい
ないので電流値が実測値と解離。
・k3はH2O2ボルタンメトリーにより直接決定。
・1600 rpmのORR結果を直接上記5式に代入。
・ノイズ大幅減。電流値も実測値と一致。
・k1/k2が担持量に依存。
→速度定数が分離しきれていない。
・上記モデルの補正を適用。
・k1の過大評価が解消。
・k1/k2が一定。
□まとめ
・酸素還元反応(ORR)の、反応の内訳を定量的に解析できる手法を新規に開発した
・上記手法を用いて、ポリイミド由来のカーボン系カソード触媒を解析したところ、過酸化水素を経由する擬似4電子還元を分離し、4電子還元の過
大評価を解消することができた
・今後、上記手法を用いて、カーボン系以外も含めて様々な材料の触媒作用を調べ、複数の活性点を複合化することによりPt使用量を大幅に低減
するための、触媒設計指針を検討する
・カーボン系カソード触媒をサブテーマD(JARI)に提供し、単セル試験を実施した。非白金触媒として世界最高クラスの性能を確認した
12/42
B.電解質材料の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【B-①-1】 電解質特性評価技術開発
技術研究組合FC-Cubic
○反応ガスの湿度を制御した過酸化水素暴露試験システムを構築して試験を開始し、分解生成物の分析条件の最適化を推進中
○機械的劣化を微小領域の力学的特性から把握する手法としてAFMによる粘弾性マッピングの適用を検討し、伝導度などの同時
マッピングを行うことで、数十nmのドメインの特性の帰属と力学的特性の変化を追跡できる見通しを得て、温度や湿度可変測定へ
の拡張を検討している
□ 実施項目・研究スケジュール
□ 背景・目的
本課題は運転環境に対応した電解質材料の物質輸送性や耐久性と
いった材料特性を評価する技術開発を行う。
物質輸送性については、触媒層のプロトン輸送特性評価技術開発を
実施する。
耐久性に関しては、電解質膜の劣化現象として認められる化学的劣
化と機械的劣化の機構を解明するために、それぞれの影響因子を把
握するための評価技術を開発する。
H27年度
H28年度
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
触媒層プロトン伝導度測定法開発
触媒層プロトン伝導
度測定法の確立
化学的劣化評価技術開発
湿度制御下の評価
手法確立
機械的劣化評価技術開発
機械的劣化の評価
手法確立
研究成果
化学的劣化
湿度制御過酸化水素暴露試験
背景=低湿度でのF-放出速度の上昇
→ 新しい装置を作製し湿度制御下で劣化試験を実施
ラジカル種の選択的生成
化学的劣化の開始反応に関わる活性化学種と
アイオノマーの反応性を調べる
電子線照射の利用(既往研究)
水の放射線分解
活性種
が生成
現状
特徴1
過酸化水素蒸気の湿度を制御
特徴2
模擬セルで膜の両側に異なるガスを流通
反応ガス組成(H2O2濃度)が維持
できることを確認し試験を開始
回収液でのF-検出確認(IC)
ICの分析条件の検討中
(F-の定量性向上=テーリングの
低減)
機械的劣化
想定される
機械的劣化の機序
湿潤/乾燥に伴う膨潤/収縮サイクル
⇒機械的エネルギーが特定の分子鎖に集中
⇒結合切断
⇒膜やせetc
⇒マクロな破壊(膜破断、ピンホール形成)
捕捉剤を添加し
特定の活性種を残す
フェントン試験
Fe2++ H2O2  Fe3+ + OH + OHOH + H2O2  H2O + HO2
HO2  H+ + O2-
水中での入射深さよりも下に膜を置き、
電子線の直接作用を回避
本プロジェクトでの実施内容
既往文献での分解生成物の帰属および想定された
分解反応機構の妥当性の検証
・モデル化合物水溶液のガンマ線照射試験
照射試験:量研機構高崎研で実施
IC、NMR、LC-MSによる生成物分析
・化学反応モデルシミュレーション
半結晶性の高分子の無定形部分の結合切断の概念図
湿度に伴う構造変化(模式図)
膨潤収縮に伴う機械的な結合切断が主鎖(または側鎖)で
起これば、それ以降は化学的劣化の機構を参照しうる
側鎖の伸縮
非晶質部分の主鎖の伸縮が起こりうる
検討すべき課題
どこで機械的な結合切断が起きているか?(分子鎖レベル)
結合切断がどのようにマクロな破壊につながるか?(化学的劣化の場合との関連)
乾湿サイクル試験(案)
顕微振動分光で分子鎖レベルの構造変化を追跡
AFMによる粘弾性マッピング
構造と粘弾性のナノスケールでの空間分布を
可視化し、破壊に至るまでの局所的な力学的
特性の変化を把握する
測定原理
Dry
Wet
通常の振幅変調(AM)に周波数変調(FM)を重畳
→FM成分の周波数および振幅変化から粘弾性の情報を得る
・温度(湿度)依存性やプロトン伝導度との同時マッピングでドメイン
の帰属(疎水/親水)を明らかにし、機械的劣化に伴う力学的特性
の変化を明らかにする
□まとめ
・電解質膜劣化の評価手法技術開発として、化学的および機械的劣化の評価手法を検討した
・反応ガスの湿度を制御した過酸化水素暴露試験システムを構築して試験を開始し、分解生成物の分析条件の最適化を進めている
・機械的劣化を微小領域の力学的特性から把握する手法としてAFMによる粘弾性マッピングの適用を検討し、伝導度などの同時マッピングを行うこ
とで、数十nmのドメインの特性の帰属と力学的特性の変化を追跡できる見通しを得て、温度や湿度可変測定への拡張を検討している
13/42
B.電解質材料の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【B-①-2】 モデル電解質(膜、アイオノマー)を用いた
物質輸送性・耐久性評価技術
上智大学
○高度な評価技術を実証することが可能なモデル電解質材料として、触媒移動型重縮合反応を利用 する ことで、分子量と分散度を制御した
電解質材料の合成を可能にした
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
電解質特性評価技術開発の深度化には、高度な評価技術とともに
それを実証することが可能なモデル電解質材料が必要とされる。
分子量と分散度を制御可能な合成手法をもとに、酸強度(酸、強酸、
超強酸)、IEC、親水・疎水組成、分子量等の化学構造因子を適宜調
整したジブロック・トリブロック型のモデル電解質を用い、化学構造(一
次構造)と物質輸送性または耐久性の関係を系統的に調査する。こ
れらの検討は、化学構造に対する電解質特性または耐久性の相関図
を完成させるとともに、特性評価技術の検証、高度化に繋がる。
H27年度
H28年度
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
・物質輸送性評価技
モデル電解質(膜、アイオノマー)を用いた物質輸送性・耐久性評価技術
術 の 高度 化 、お よび
化学構造と物質輸送
性の相関性の解析
化学構造と物質輸送性・耐久性
の相関性の解析
・劣化評価技術の高
度 化 、お よび 化 学構
造と劣化耐性の相関
性の解析
研究成果
◆ 触媒移動型重縮合反応の適用
R
R
L
R
R
L
L
R
Ni
L
R
Cl
L
Ni
Br
Br
Br
R
R
OC6H13
Br
i
Br
Br
OC6H13
PrMgCl·LiCl
Br
r.t. or 40 ºC or 60 ºC
THF
5h
C6H13O
M2
Ni(dppe)Cl2
MgCl
THF
r.t., 5 h
C6H13O
G2
Temperature
Mn a of P2
for Grignard reaction / kg mol-1
Entry [iPrMgCl]/[M2]
R
Monomer
Conversion b /%
R
2.0
r.t.
2.47
1.91
6
2
1.0
r.t.
19.5
1.36
45
3
0.5
r.t.
21.1
1.20
48
4
0.9
r.t.
16.3
1.11
37
5
0.9
40 ºC
27.0
1.15
62
6
0.9
60 ºC
17.7
1.16
41
R
Br
L
Ni
Br
Br
分子量と分散度を
制御した芳香族高
分子の合成が可能
R
OC6H13
Br
H
n
C6H13O
70000
2.5
60000
・ グリニャール試薬量と反応温度の最
適化により、分子量と分散度を制御
・ 1ブロックユニットの最大分子量は、3
万程度に拡大
Calculated with a
L
50000
2.0
40000
30000
1.5
20000
Mw/Mn
1
b
Br
R
P2
dppe: 1,2-Bis(diphenylphosphino)ethane
Mw/Mn a
a Estimated by GPC of polymers based on polystyrene standards (eluent: THF).
molecular weight of P2.
ClMg
R
R
R
◆ 触媒移動型重縮合反応の最適化
L
Ni
n
R
Br
L
R
R
Br
R
R
-1
Cl
Ni
Br
R
Mn/g mol
ClMg
L
ClMg
10000
0
0
50 100 150 200 250
[monomer]/[Ni(dppe)Cl2]
1.0
◆ ジブロック・トリブロック体の合成
R1
OC3H6
Br
SO3CH2C(CH3)3
OR1
Ni(dppe)Cl2
MgCl
r.t., 5 h
R1O
OC6H13
ClMg
Ni(dppe)Br C6H13O
m
r.t., 5 h
R1O
P1(m)
Mn a
Mn
Mw/Mna
P1
21,400
-
1.06
P1-P2
54,100
32,700
1.18
P1-P2 (35-157)
P2
25,000
-
1.11
P2-P1
46,900
27,500
1.18
Br
R1 O
シーケンス制御
・ ジブロック、ABAトリブロック体の合成に成功→ミクロ相分離による高
OR1
OC6H13
次構造の制御
n
m
・ ABCトリブロックの合成に着手
C6H13O
疎水部の設計
P1-P2(m-n)
・ π共役系疎水部の合成とジブロック化に成功→電子伝導性の付与
・ エーテル側鎖の導入に成功→溶解性の向上
親水部の設計
・ 超強酸基の導入→低湿度領域における高プロトン伝導性
・ 親水基近傍のアルキル側鎖導入→ガス透過性の向上
P2-P1(100-43)
a
Determined by GPC (THF eluent).
□まとめ
・電解質特性評価技術の深度化を目指し、必要となるモデル電解質材料の合成を行っている
・触媒移動型重縮合反応の最適化により、分子量と分散度を制御したジブロック、トリブロック型電解質の合成に成功し、組成、シーケンスを変えた
系統的合成を続けている
・ガス透過性、溶解性、結晶性と疎水部側鎖の関係を調べるために、新たにエーテル側鎖を導入したジブロック型電解質の合成を行った
・さらに、白金への吸着性を検討するために、超強酸基、アルキル側鎖を導入したマルチブロックとジブロック型電解質に着手した
14/42
B.電解質材料の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【B-②-2】 物質輸送の異方性解析技術
上智大学
○電解質材料のプロトン伝導度の異方性評価技術を向上し、各種の異方性を有するモデル材料においてその異方性を評価した結果、それぞれ
の電解質材料の特徴を評価することが可能なレベルの評価手法であることを確認した
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
B-②-2 物質輸送の異方性解析技術
今までの研究の多くは、MEAの物質輸送の方向とは異なる方向また
は等方的材料として評価が行われていた。これらの物性値のみでは、
電解質物性と燃料電池性能の関係を明確に示すことが困難であり、物
性値の限界から性能向上の限界が近いうちにおとずれることになる。
そこで、本課題では物質輸送異方性の測定の精度向上のために、標
準物質として物質輸送の異方性が高いモデル電解質を提供すること
で、測定の高精度化を図る。また、異方性発現のメカニズムを解明す
ることで、電解質材料の設計因子とその感度を提示する。
H27年度
H28年度
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
・高い物質輸送異方性
を有するモデル電解質
物質輸送の異方性解析技術
を構築する。
・膜厚方向の物質輸送
解析法を確立し、化学
構造と物質輸送異方
化学構造と異方性の相関性の解析
性の関係を明らかにす
る。
研究成果
◆ プロトン伝導性の異方性評価
R2
高次構造とIn-planeプロトン伝導性の関係
体積当たりの含水率
相対湿度依存性
-1
-2
10
-1
-3
10
-4
10
-5
10
l
R2O
10
30 40 50 60 70 80 90
Relative humidity / %
C6H13O
OR2
-2
Br
H
R2O
n
Br
m
C6H13O
H
SP1-P2
-3
-4
0
5
10
15
1 / Xv
20
25
l
R2O
OC6H13
block
m
C6H13O
OR2
OC6H13
C6H13O
OR2
block
H
n
P2-SP1-P2
block
R2O
-6
m
OC6H13
OR2
block
SP1-P2-SP1
-5
-6
OC6H13
SO3H
block
-1
log ( / S cm )
-1
Br
0
10
Conductivity  / S cm
OC3H6
n
Br
R2O
OC6H13
ran
m
H
C6H13O
n
SP1-r-P2
・ ジブロック型電解質は,ランダム型電解質より高い導電性
を示した。
・ ジブロック型電解質は、ランダム型電解質より導電率の湿
度依存性が低い。
・ ジブロック型電解質は、導電率のIEC依存性が低い。
高次構造制御により、プロトン伝導性と水の有効利用性を向上
5
10
-2
10
-3
10
-4
throgh-plane
in-plane
30 40 50 60 70 80 90
Relative humidity / %
3
P2-SP1-P2 through-plane
P2-SP1-P2 in-plane
2
SP1-P2 through-plane
SP1-P2 in-plane
1
0
SPP
Conductivity  / S cm
-1
10
SP1-P2-SP1 through-plane
SP1-P2-SP1 in-plane
4
SP1
-P2
SP1-P2
P2-S
P1-P
2
Conductivity  / mS cm
-1
0
-1
10
SP1
-P2SP1
異方導電性の評価
SPP through-plane
SPP in-plane
・ ジブロック、トリブロック型電解質では、プロトン伝導性に異方性が観察された
・ ジブロック、トリブロック型電解質のプロトン伝導性の異方性は、ランダム型電解質に対して逆の関係にあり、膜厚方向のプロトン伝導性の方が
膜面より高い値を示した
・ ジブロック型電解質におけるプロトン伝導性の異方性が最も高く、約二倍になった
・ 異方性の度合いは、高次構造の結果と整合性を示した
・ 水の自己拡散係数の異方性を測定するために、三軸方向に磁場がかけられるイメージングプローブを有するNMR装置を導入した
□まとめ
・電解質材料の物質輸送性測定における深度化を目指し、モデル電解質を用いたプロトン伝導性の異方性測定を行った
・フェニレン骨格を有するランダム型電解質は、液晶性を反映して膜面方向に高いプロトン伝導性を示す
・一方、ジブロック、トリブロック型電解質は、ミクロ相分離構造を反映して膜厚方向に高いプロトン伝導性を示した
・シーケンスと組成の双方が、プロトン伝導性の異方性に寄与することから、高次構造とその配向性と配向度が異方性の支配因子と推察される
15/42
B.電解質材料の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【B-②-3】 電解質材料物性計測・解析技術開発
東北大学流体科学研究所
○電解質膜の粗視化モデルを構築し、従来のMDと比較してより大規模(数十~数百nm程度)の構造を解析することが可能になった
○粗視化Nafionモデルを用いて含水率増加に伴う密度および水チャンネル構造変化を計算し、実験値と比較することでモデルの妥
当性を検証した
○分子動力学法を用いて電解質膜の圧力とひずみの関係を計算できるシミュレータを構築した
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
電解質膜やアイオノマー内部の水チャンネル構造は電解質膜材料や
含水率などによって大きく異なり,それらの構造変化がプロトン輸送特
性や酸素透過特性に大きな影響を与えることが知られている.これらを
解析するためには、大規模な構造を模擬できるシミュレータの開発が必
要不可欠である。
本研究の目的は,粗視化MD法を用いることで,より大規模(数百nm程
度)の電解質膜およびアイオノマー内部の水チャンネル構造を解析でき
るシミュレータを構築することである.また、電解質膜の機械的特性につ
いても評価可能なMDおよび粗視化MDを用いたシミュレータも構築する.
H27年度
H28年度
H29年度
H30年度
H31年度
妥当性の検証および
シミュレータの修正
シミュレータの
プラットフォーム構築
目標成果
粗視化法に構造評価シ
ミュレータの構築
MD法シミュレータの 妥当性の検証および
プログラム改良 シミュレータの修正
妥当性の検証および
シミュレータの修正
機械的特性評価シミュ
レータの構築
MD法シミュレータの
プラットフォーム構築
研究成果
◆粗視化法による電解質膜内水チャンネル構造評価シミュレータの構築
粗視化モデルの構築
MARTINI force fieldsをベースに各分子モデルを構築
粗視化により数十~数百nmオーダーの時空間スケールにおける構造解析が可能
Marrink et al., J. Phys. Chem. B.,111, 7812 (2007).
粗視化アイオノマーモデル
粗視化粒子へのマッピング
ビーズ間相互作用
• 原子群(2-6原子)を1つの粗視化ビーズとして取り扱う.
• 分子内にはBondおよびAngleポテンシャルを用
いる.
• apolar(赤,緑)およびcharged(黄)の2種類のビーズで構成
Angleポテンシャル
Bondポテンシャル
LJポテンシャル
平均最⼤クラスタサイズ68.0
平均最⼤クラスタサイズ39.9
粗視化ジブロックモデル
(Nafionモデルベース)
粗視化Nafionモデル
• 分子間力にはLJおよびクーロンポテンシャル
を用いる.
クーロンポテンシャル
粗視化粒子の種類
• モデルをより単純化するため,主なビーズの種類は,
「polar(P)」「nonpolar(N)」「apolar(C)」「charged(Q)」の4種
類のみ.
• 各種のビーズはさらに極性の強さなどの特性により5段
階に分けられる.
粗視化水モデル
• 様々な系におけるpartitioning free energies(溶質
および溶媒の化学ポテンシャルの差)の実験値を
再現するようにLJポテンシャルのεを10段階(ε
= 2.0-5.6 kJ/mol)で調整.
• 5つの水分子を1つのビーズとする.
• ビーズ内に双極子モーメントを導入し,水
の誘電率を再現.
Riniker et al., J. Chem. Phys.,134, 084110 (2011).
粗視化モデルの妥当性検証
Nafion膜(T = 300 K, P = 1 atm)
Properties
Simulation
Experiment
Density [g/cm3]
0.995
0.997
Dielectric constant
73.7
78.4
Surface tension [mN m-1]
51.2
71.6
Compressibility [10-5 atm-1]
8.4
4.58
Heat capacity [J mol-1 K-1]
80.7
75.32
密度の含水率依存性
各含水率における相分離構造(一辺約10 nm)
3.0
Our model
Experiment
2.5
Density [g/cm3]
バルク水(T = 300 K, P = 1 atm)
2.0
1.5
1.0
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
λ = 3 (~5 wt %)
Water content 
実験における傾向をよく再現.
(15 nsのアニーリング後に算出)
双極子モーメントの導入(従来モデルはLJのみ)によって,より正
確に水の特性を再現.
λ = 14 (~20 wt %)
λ = 7 (~10 wt %)
直径約2nm前後の水チャンネル構造を確認(実験と一致).
→今後,クラスターの解析を用いてより定量的な評価を行っていく.
◆分子動力学法および粗視化法による電解質膜機械的特性評価シミュレータの構築
100
100
含水率 5
60
40
20
温度300 K の状態で、圧力を
0, 10, 20, 50, 100 MPaと変化
0.0
0.1
0.2
ΔL*-1
0.3
ひずみ量 (-ΔL) (Å)
L+ΔL
60
40
20
0
0
-0.1
含水率 12
80
80
圧力 (MPa)
P
ある温度、圧力での膜の体積か
ら、ひずみ量を測定
前プロジェクトで構築した
高分子電解質膜内プロトン
輸送評価シミュレータを改
良し、電解質膜の機械的
特性を評価するシミュレー
タを構築
圧力 P(MPa)
分子動力学法による機械的特性評価シミュレータの構築
0.4
0.5
-0.1
0.0
0.1
0.2
0.3
ΔL*-1
0.4
0.5
0.6
ひずみ量 (-ΔL) (Å)
・圧力の増加とともにひずみ量が減少(圧縮)していることを再現
・含水率5の時にばらつきがある。圧力が10 Mpaの時のデータが膨張している
今後データの再現性、妥当性の検証を行う必要あり
□まとめ
電解質膜およびアイオノマーにおけるより大規模な水チャンネル構造を再現し、構造特性および機械的特性を評価できるシミュレータの構築するこ
とを目的として,アイオノマーの粗視化モデルの構築を検討した
•各種ビーズの化学ポテンシャルが実験値と一致するように最適化されたMARTINI力場を用いて,アイオノマーおよび水分子の粗視化モデルを構築
•粗視化によって数十から数百nmの構造内におけるアイオノマー相分離構造を確認 →今後,より定量的に水チャンネル構造の解析を進めていく
•圧力と膜のひずみ量の関係を計算できることを確認 → ただし、ばらつき大。今後,データの再現性、妥当性の検証を行う必要あり
16/42
B.電解質材料の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【B-③-1】 アイオノマー構造・分子間相互作用の
階層横断的解析技術開発
技術研究組合FC-Cubic
○溶液中のアイオノマーの分散状態を解析し、溶媒種による凝集構造の変化を確認した
○炭化水素系ジブロックアイオノマー電解質膜の相分離構造形成を低温凍結TEMで確認した
○溶液中AFMによりフッ素系アイオノマーの基板上への付着凝集過程が観察できることを確認した
□ 背景・目的
プロトン伝導膜では疎水部と親水部の相分離構造が高伝導性をもた
らしており、一層の性能向上にはその形成過程の理解が必要なことか
ら、原料溶液中の粒子構造と分散状態の解析を行い、膜形成過程に
おける構造変化を追跡し、膜における性能発現機構を考察する。
炭化水素系ジブロックアイオノマーでは、電解質膜のクライオTEM観
察の結果の対応関係を検討する。
フッ素系アイオノマーでは、溶液中AFM観察により基板上への付着凝
集過程を観察し、触媒層形成過程との関連を考察する。
□ 実施項目・研究スケジュール
H27年度
H28年度
H29年度
H30年度
アイオノマー溶液の粒子構造・分散状態解析
H31年度
目標成果
アイオノマーの溶液
中の粒子構造およ
び分散状態の把握
溶液中AFMによる基板上付着凝集過程観察
乾燥成膜工程にお
ける構造変化の理
解
クライオTEMによる電解質膜相分離構造観察
研究成果
ナフィオンの分散状態の溶媒による変化
熱処理によるナフィオンの分散状態変化
TEM
サイズ排除クロマト
従来の解釈
オートクレーブ処理により分
子量が小さくなり、分布も均
一になる
=既往文献結果を再確認
< 3.5 nm
< 3.5 nm
凍結溶液試料の観察
最近の解釈(LANL)
JEM-ARM300F
棒状粒子の分散を確認
SAXS
ビームライン
(BL15A2 at PF)
溶媒の種類によって
劇的に変化
膜の力学的特性と
も相関がある
溶液測定用セル
高濃度側=粒子間相関
低濃度側=粒子形状
水アルコール溶液中の分散状態は従来のモデルと大きく異なる→検証が必要
水アルコール系での分散状態の変化
水/1-プロパノールおよび
水/エタノール系
DLS、SAXS、NMRによる検討
粒子は基本的に棒状構造
(SAXS)
熱処理
粒子の配向相関でμmオーダーの濃
度不均一構造(DLS)
AFM
アルコールによる主鎖近傍の溶媒
和の進行(NMR)が凝集状態に影響
未処理
HOPG上への付着凝集過程の液中観察
付着形態が熱処理の有無で大きく変化=粒子形状を反映
配列構造の形成が特徴的
熱処理
棒状粒子が付着
未解決の問題
ナフィオンの基本的な構成粒子の構造とサイズは?→熱処理の影響検討
□まとめ
• フッ素系アイオノマーの水溶液中の分散状態への熱処理の影響を検討した。熱処理により棒状粒子の絡み合いがほどけ、粒子間
の規則構造も変化し、基板への付着凝集過程にも変化をもたらすことがわかった
• 今後は付着凝集過程における粒子構造の詳細な分析を行い、膜形成過程における構造変化の解析を進める
17/42
B.電解質材料の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
技術研究組合FC-Cubic
(再委託)茨城大学
【B-③-1-1】 電解質状態・構造解析技術開発
○斜入射小角散乱計測を触媒層電解質のモデル系である白金層上のアイオノマー薄膜(ナフィオン薄膜)に適用し、膜厚方向、膜面方
向の構造の観察を可能にした
○実触媒の構造に近いモデル試料(ドット状白金薄膜)を作成し、FE-SEMと反射率法より膜厚方向の構造が、場所に依存することを
明らかにした
□ 実施項目・研究スケジュール
□ 背景・目的
自動車用燃料電池の実用化・本格普及・市場拡大には大幅なコスト削減と高性能化、
耐久性能の向上が課題となっている。
H28年度
H27年度
H29年度
H30年度
H31年度
中性子小角散乱と電気化学の同時計測
による構造解析技術の確立
高性能・高耐久な燃料電池の実現には、燃料電池内部での発電現象・劣化現象を支配
する要素を解明すること、そのための観測・解析・評価技術を確立することが求められる。
小角散乱+電気化学手法
による触媒層の評価と解析
触媒層微細構造と水分布評価
プロトン伝導特性の関係を解明
本サブテーマでは、中性子小角散乱(SANS)と電気化学を利用した同時測定手法を
開発し、発電状態におけるその場計測を実現し、触媒層・界面での電解質膜のミクロ構造
および水分布の関係を解明する。
さらに高耐久な新材料設計の指針を示すことを最終目標としている。
目標成果
その場電気化学手法の開発
モデル試料によるデータ取得
小角散乱による電解質膜
の連結性評価と解析
電解質膜のミクロ構造評価
水チャンネルの連結性の定量評価
電解質の構造的因子とプロトン 小角散乱+電気化学手法
伝導特製の関係を解明
による実触媒試料の評価
研究成果
燃料電池触媒(カーボンブラック&ナフィオン)
なぜ基板モデルか?
微細構造
乾燥状態
マルチスケールの底
Model Catalyst on Si substrate
含水触媒粉末の
小角散乱プロファイル
Catalyst (Carbon&Pt) 厚み200m
Pt Microspheres
内部構造
iMATERIA(J-PARC)
ヒーター
B
Carbon Powder
スリット
上下
(1軸)
0.01
1 nm
0.1
大気環境容器
スリット
パルス
中性子
煽り(2軸)
40°
40°
q (A-1)
波数
スイベル
ステージ
電気化学用端子
モデル基板の構造解析
白金とカーボンのモデル電極基板
反射率
反射率
反射率
高角度領域
が重要
結晶ドメイン アイオノマーピーク無し
Pt 36.5nm
白金構造は
X線反射率
で決定
[Å]
第一原理分子動力学
シミュレーション
構造と物性の
相関性
入射中性子
斜入射散乱
H26
膜面方向
H2O 0.3nm
膜面方向
ナフィオン/ 白金/
シリコン基板
Nafion (10nm) / Pt (Ti) / Si [10-6Å-2]
Nafion 9.4nm
反射中性子
斜入射
斜入射小角
中性子散乱
SLD
室温
100%RH
Air
H26,27
ナフィオン薄膜の作製
3~10nm
ガス吸排口
加湿器
斜入射小角散乱 膜面方向(白金基板)
解析結果 (加湿後)
膜厚方向
溶媒組成:
エタノール/水 4:1(v/v)
製膜条件:
スピンコート
反射率 膜厚方向 (白金基板)
膜厚方向
白金・カーボン・白金微粒子分散カーボン電極
散乱
中性子
温度湿度計
白金表面との関係
Karren. L. More, Oak Ridge National Laboratory,
DOE Hydrogen Program FY 2005
ガス雰囲気下
A
アイオノマー薄膜
(膜厚、含水率など)
5 nm
100 nm
Electrochemical
Method
H27
手動4象限スリット
(B4C焼結体)
H28
コントラスト変調
混合水(軽水/重水)
散乱強度
2e-
2H+
中性子線を用いた斜入射小角散乱実験装置
カーボンブラック
オフセット有り
プロトン伝導度
&
酸素拡散性計測
薄膜試料
Q [Å-1]
厚み
加湿前
白金近傍の高分子構造へのアプローチ
スペクトル測定
表面構造観察
Si
含水率
9.4 nm
3%
+14%
+0%
加湿後
〜10 nm
17%
ナフィオン薄膜(10nm)に水クラスタードメイン
が形成されていないことを確認
実触媒構造へのアプローチ
モデル触媒:実触媒に近い構造へ (ドット状白金薄膜の準備)
白金表面のスルホン酸配置は中性子反射率で観測可能か?
1-3nm 白金粒を
目標に作成
FE-SEM観察 試料No.1
層構造から実触媒(ドット状)構造へ
シリコン基板試料
Nafion
Pt
Si
白金薄膜 No.4
参考文献:Jerzy Chlistunoff and Bryan Pivovar
Jounal of The Electrochemical Society, 162(8) F890-F900 (2015)
H28
試料コード
10
白金/シリコン
中央部
間(中央より10mm外)
端(中央より22mm外)
10
No.3
10
10
No.2
反射率
10
ドット状白金 No.1
10
10
アークプラズマ法の導入
・分散した白金粒、粒径 1.5 nm ・白金粒確認、密度小
10
・白金粒は観察できず
10
X線反射率観察 試料No.1 (場所依存)
シリコン臨界反射
X線反射率比較 試料No.1−No.4
10
白金臨界反射
シリコン臨界反射
ナフィオン薄膜 無
-2
-4
-5
-6
-7
-9
白金臨界反射
反射率
試料No.1では、ナフィオン薄膜が反射率
に及ぼす影響が大
10
10
10
10
10
10
実触媒試料の作動状態の高分子ミクロ相分離構造変化の
その場測定手法の確立につながる
ドット状白金試料のサイクリックボルタモグラム試験
[ドット状白金試料の電気化学特性の観察]
H2O
従来の描像
6 7 8
ドット状白金試料のSEM観察
[チャージアップ効果を用いた導電パス観察]
白金近傍の高分子ミクロ相分離構造
[電位・加湿条件と発電特性の相関関係]
中性子斜入射小角散乱と
電気化学の同時計測手法の開発
iMateria@J-PARC
白金近傍
ナフィオン層
Model A
2
3
4
5
6 7 8
0 .1
1
ナフィオン
10
PEFC内部の三相界面と
水分布を解明するために
基板上に触媒層を模擬
5
H28
10
PEFC高性能化に向け
て
4
[H2O 0.1nm]
側鎖 0.6nm
主鎖 0.3nm
側鎖 0.6nm
[H2O 0.1nm]
側鎖 0.6nm
主鎖 0.3nm
白金遠方
ナフィオン層
波数 q( A^ -1 )
10
白金がドット状であるため、シリコン基板の臨界
反射角が観察され、場所依存性も確認できる
3
0 .0 1
ナフィオン薄膜 有
Pt
乾燥状態
-8
6.1nm
H28
Mo del A シ ミ ュ レ ーシ ョ ン
Mo del B シ ミ ュ レ ーシ ョ ン
-3
シリコン臨界反射
白金臨界反射
10
2H+ + O2 + 2e- → H2O
Model A
Model B
乾燥状態( 含水無し )
2
H28
カソード電極反応
ナフィオン
0
-1
0
Model A
Model B
-1
加湿状態( H2 O含水)
Mod el A シ ミ ュ レ ーショ ン
Mod el B シミ ュ レ ーシ ョ ン
-2
-3
-4
PtO
6.1nm
[H2O 0.1nm]
側鎖 0.6nm
主鎖 0.6nm
側鎖 0.6nm
主鎖 0.3nm
側鎖 0.6nm
[H2O 0.1nm]
白金遠方
ナフィオン層
白金近傍
Nafion層
-5
Model B (酸化皮膜有)
-6
-7
軽水加湿
-8
-9
2
0 .0 1
3
4
5
6 7 8
2
0 .1
3
4
5
6 7 8
1
ナフィオン側鎖(スルホン酸)の配置を反射率実験で
観察が可能!加湿<乾燥でより顕在化
波数q [ A^ -1 ]
□まとめ
・電極上のアイオノマー(薄膜状)の膜厚方向の構造を明らかにした⇒ 触
媒層アイオノマーの構造・物性予測を可能とする計測技術に展開可能
・アークプラズマ法を導入することにより粒径1~3nmのドット状白金薄膜の
試料を得、FE-SEM、反射率法より白金薄膜の場所依存と膜厚方向の構
造の違いを明らかにした⇒実触媒とモデル触媒を比較する際の重要な知
見で有り、今後の試料作成手法の一助となる
18/42
B.電解質材料の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【B-③-2】 電解質状態・構造解析技術開発
上智大学
○電解質膜:ナノからセミマイクロオーダーの構造解析としてシンクロトロンSAXS-WAXSの同時測定を可能とし、電解質材料の熱処
理は、そのミクロ相分離構造の明瞭化と相変化に寄与することを明らかにした
○電解質溶液:シンクロトロンSAXSを用い、高濃度域において30-40nm程度電解質材料の凝集が観察され、触媒層形成過程の一
部が明らかになった
□ 実施項目・研究スケジュール
□ 背景・目的
B-②に示した物質輸送異方性の発現には、異方的物質輸送を支持するナノからマ
イクロオーダーの高次構造が不可欠である。この広い空間領域における電解質材
料の高次構造解析の確立と、その形成メカニズムの解明を目的とし、以下の技術開
発を実施する。
(1)高次構造解析技術
SANS、シンクロトロンSAXS、X線散乱、AFMを組み合わせた解析技術による電解
質材料の高次構造解析技術を構築する。
(2)高次構造形成過程の解析
確立した高次構造解析手法を用い、電解質材料における高次構造形成メカニズム
を解明する。
(3)アイオノマー分散・高次構造の解析
触媒インクや触媒層中の分散状態、上述の高次構造の解析を系統的に行うことで、
アイオノマー分散・高次構造の解析技術を確立する。
H27年度
H28年度
H29年度
H30年度
H31年度
高次構造解析技術・高次構造形成過程の解析
高次構造と異方性の相関性の解析
アイオノマー分散・高次構造の解析
アイオノマー分散・高次構造の制御因子の探求
目標成果
・モデル電解質にお
ける化学構造と高次
構造の関係を明ら
かにする。
・モデル電解質にお
ける高次構造の形
成過程を明らかにす
る。
研究成果
◆ 高次構造解析技術(シンクロトロンSAXS)
Detector
PILATUS3 200K
ジブロック体のシンクロトロンSAXS-WAXS
Sample folder
SP1-P2(168 / 74)
SP1-P2(168 / 74)
X-ray
Detector
PILATUS3 2M
ミクロ相分離構造
結晶相
二つのディテクターを用い、SAXS
とWAXSの同時測定を可能にした。
ミクロ相分離構造、イオンクラス
ター、結晶相まで観察することが
可能になった。
◆ 高次構造形成過程の解析
トリブロック体の熱処理とシンクロトロンSAXS 加熱→1℃毎分徐冷
SP1-P2-SP1 (14-111-11)
pristine
HT 1-90ºC
HT 1-120ºC
HT 1-150ºC
log I(q) / a.u.
log I(q) / a.u.
SP1-P2-SP1 (14-89-13)
pristine
HT 1-90ºC
HT 1-120ºC
HT 1-150ºC
HT 1-180ºC
0.1
1.0
-1
q/nm
・ 熱処理-徐冷により、ミクロ相分離構造が明瞭化
した。
・ 熱処理-徐冷により、二次の散乱ピークが高q値
へシフトした。
シリンダー構造からラメラ構造への相転移
熱処理による高次構造制御の可能性
HT 1-180ºC
0.1
1.0
-1
q/nm
◆ アイオノマー分散・高次構造の解析
トリブロックTHF溶液のシンクロトロンSAXS
log I(q) / a.u.
SP1-P2-SP1 (14-143-16)
-1
30 mg ml
-1
1 mg ml
-1
0.5 mg ml
-1
0.05 mg ml
0.1
・ 30 mg ml-1の濃厚溶液は、構造因子に寄
与した散乱プロファイルをした。
・ SPr-H-SPr(14-143-16)の1 mg ml-1、0.5
mg ml-1、0.05 mg ml-1 THF溶液のSAXS
プロファイルから求めた慣性半径Rg は、
それぞれ37 nm、39 nm、40 nmであった。
・ ランダムコポリマーの場合、溶液中でポリ
マー凝集体が周期構造をとらないことが
わかった。
1.0
-1
q/nm
□まとめ
・電解質材料の状態・構造解析技術の深度化を目指し、系統的にシンクロトロンSAXSによる検討を行った
・電解質膜においては、シンクロトロンSAXS-WAXSの同時測定が可能になり、ナノからセミマイクロオーダーの構造解析を行った
・ミクロ相分離構造から結晶相の観察ができ、熱処理がミクロ相分離構造の明瞭化と相変化に寄与することがわかった
・電解質溶液においては、高濃度域で電解質材料の30-40nm程度の凝集が観察され、触媒層形成過程の一部が明らかになった
19/42
B.電解質材料の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【B-③-3】 電解質状態・構造解析技術開発
北海道大学
○Pt単結晶電極を作製、Nafionを塗布したPt単結晶電極の電気化学挙動観察を行い、分散媒が吸脱着挙動に及ぼす影響を把握
○アイオノマーの動的挙動を追跡するための振動分光装置としてTHzラマン分光装置の構築を完了
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
電気化学VSFG分光法やTHzラマン分光法により、Pt表面に吸着している
アイオノマーの分子配向評価や動的挙動計測を行うことを目的とし、モデル
電極の作製やTHzラマン分光装置の構築などを行った。
H27年度
H28年度
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
超高感度界面振動分光法
によるアイオノマーの動的
挙動追跡
界面振動分光法によるア
イオノマー分子間相互作
用の解明
また、Nafion以外のアイオノマーとして、炭化水素系アイオノマーのVSFG
による配向評価も実施する。
超高感度界面振動分光
法による炭化水素系ア
イオノマー配向評価
THzラマン分光法により高分子間相互作用を評価可能かどうか電解質膜
で試験的実験を進め、アイオノマー薄膜へと展開する。
研究成果
Pt単結晶電極作製
In situ VSFG分光の検討
Nafion/Pt(111)電極作製
従来のin situ VSFGにおける問題点
Pt wire
Pt crystal
bead
a. 外部反射
b. 内部反射
⾚外線が液相で吸収 可視光が⾦属で吸収
(111)ファセットに合
わせて切断後、切
断面を研磨
Ar雰囲気下でNafion薄膜調製
赤外線の液相での吸収
を厚みで減らす。
単結晶電極でのin situ
VSFGにはこの方法で
進める。
Clavilier法によりPt単結晶電極
を調製。Pt以外にもAu、 Pdなど
の電極調製。
→コアシェルモデルにも適用可
CVs of a Pt(111) electrode in 0.1 M
H2SO4 soln.
半固体電気化学セルにおける
Nafion被覆Pt(hkl)電極の計測
へ展開
CVs of bare Pt(111) and HFIP-cast 35
CVs of a HFIP-cast 10 nm
Nafion/Pt(111) electrode in 0.1 M nm Nafion/Pt(111) electrodes in 0.1 M
HClO4 soln.、 scan rate: 50 mV/s.
HClO4 soln.、 scan rate: 50 mV/s.
Nafion超薄膜塗布条件によって、スルホ基の吸脱
着に帰属される擬似容量ピークの顕れ方に違いが
あることがわかった。
今後、触媒層と同等になる成膜法の検討が必要。
THzラマンによる電極/アイオノマー界面のin situ計測
van der Ham et al. J. Opt. Soc. Am.
B、 16、 1146–1152 (1999).
W.-T. Liu、 & Y.R. Shen、 PNAS、
111、 1293–1297 (2014).
電気化学界面に特化したVSFG分光法の開発
THzラマン分光装置の構築
THzラマン分光計(785 nm励起)が組み上がり、動作
確認を行った。
→まずはNafion膜を用いて測定を行う予定
□まとめ
• アイオノマー/Pt単結晶電極の電気化学測定を行い、分散媒の影響を明確化した → アイオノマー薄膜/溶液界面VSFG計測
• 炭化水素系アイオノマー/Pt界面における分子配向評価を行う予定
• THzラマン分光装置を構築した → アイオノマー超薄膜/Ptへの応用の可能性検討
20/42
B.電解質材料の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【B-④ー2】 電解質特性支配・制御要因解明
上智大学
○水チャンネルの連結性の支配因子として親水部の体積分率によるミクロ相分離構造の評価を行い、ミクロ相分離構造は、体積分率
以外に熱処理や膜形成過程の影響を受けることが明確になり、単純な親水部の体積分率では制御できないことが明らかとなった
○モデル電解質を用いたMEAの評価により、触媒層中のアイオノマーのガス透過性とPtに対する吸着の解明を試みた。触媒層中の
アイオノマーはNafionと同等のガス透過性を示したが、触媒Ptへの吸着を示唆する結果が得られた
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
電解質材料特性の支配因子である水チャンネル連結性の定量化と制御技術は確立
できていない。また、触媒層中のアイオノマーの挙動やその支配因子の解明とその制
御要因の解明が望まれる。
(1)水チャンネル連結性の解明
高次構造と水チャンネル連結性の相関関係を解析し、水チャンネル連結性の定量化
を実現する。
(2)ガス透過性現象の解明
運動性の異なる疎水性側鎖を導入し、自由体積、β緩和とガス輸送性の関係を調査
する。
(3)アイオノマー吸着の解明
親水性ブロックまたは疎水性ブロックと触媒金属との吸着をモデル電解質を用いて系
統的に行う。
H27年度
H28年度
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
化学構造とガス透過
性の関係を明らかに
する。
水チャンネルの定量
的解析とアイオノ
マー吸着の現象を明
らかにする。
水チャンネル連結性の解明・形成機構の解析
ガス透過性現象の解明・制御因子の探求
アイオノマー吸着の解明・制御因子の探求
研究成果
◆ 水チャンネル連結性の解明
Heat treating
10
10
8
10
Lamellar
Cylinder
Cubic
Disorder
-1
100
150
熱処理
150℃
50
0
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
Mn / kg mol
Mn / kg mol
-1
150
1.0
fs
100
log I(q)
親水部体積分率とミクロ相分離構造の関係(ジブロック体)
Lamellar
Cylinder
Cubic
Disorder
4
10
2
10
0
10
0.1
1.0
SP1-P2(28-262)
SP1-P2(44-178)
SP1-P2(34-141)
SP1-P2(44-141)
SP1-P2(62-141)
SP1-P2(74-164)
SP1-P2(26-112)
SP1-P2(34-112)
-1
q/nm
現状では、ミクロ相分離構造を親水部体積分
率で整理できない。熱処理や膜形成過程の影
響が大きく、整理にはそれらの影響を除外す
る必要がある。
50
0
0.0
6
10
0.2
0.4
0.6
0.8
fs
1.0
SP1-P2アイオノマーの発電特性
◆ ガス透過性現象の解明・アイオノマー吸着の解明
膜のガス透過性
Membrane, 80 ºC
触媒層(CL)中の酸素移動抵抗
CLs, 80 ºC, 90%RH
○
△
●
▲
H2
H2
O2
O2
□ SP1-P2
■ Nafion
SP1-P2
Nafion
SP1-P2
SP1-P2
・ SP1-P2 を ア イ オ ノ マ ー に 用 い た カ ソ ー ド 触 媒 層 は 、
Nafionを用いた触媒層と同程度の酸素輸送性を示した。
・ SP1-P2を用いた触媒層の低電流密度下の性能は、
Nafion®を用いた触媒層に比べ低下した。
触媒層の空孔分布
厚みや空孔径分
布 は SP1-P2 と
Nafionでは違い
が見られない。
Pt触媒への吸着の影響
□まとめ
・電解質特性支配・制御要因解明のために、水チャンネルの連結性の支配因子として親水部の体積分率によるミクロ相分離構造の評価を行った
・体積分率以外に、熱処理や膜形成過程が影響を与えるため明確な相関が得られなかった
・一方、触媒層中のアイオノマーのガス透過性とPtに対する吸着を解明するために、モデル電解質を用いたMEAの評価を行った
・触媒層中のアイオノマーはNafionと同等のガス透過性を示したが、触媒Ptへの吸着が示唆された
21/42
B.電解質材料の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【B-④-3】 電解質特性支配・制御要因解明
東北大学流体科学研究所
○同様の含水率でも、特異な水チャンネル形状を有する電解質膜は通常の電解質膜よりプロトン輸送特性がよいことがわかった
○ジブロック系炭化水素の分子構造の変化に伴って内部の水チャンネル形状が変化する現象をシミュレーションすることができた
○担持カーボンが疎水性の強くなると、アイオノマーのプロトン輸送特性が向上することがわかった
○散乱後の酸素のエネルギー分布はMaxwell分布とはならず、従来の計算手法では触媒層の酸素輸送抵抗を求められないこと
がわかった
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
電解質膜やアイオノマー内部の水チャンネル構造は電解質膜のプロト
ン輸送特性や酸素透過特性に影響を与えることが知られている。またア
イオノマー表面での酸素散乱現象は触媒層の酸素輸送抵抗に影響を
与えることが知られている。
本研究の目的は、電解質膜およびアイオノマー内部の水チャンネル構
造が、電解質膜のプロトン輸送特性、酸素透過特性にどのような影響を
与えるのかを分子動力学法により解析し、その支配・制御因子を特定す
る。また、アイオノマー表面の酸素散乱過程についても解析を行い、そ
の拡散挙動に関する知見を得る。
H27年度
H28年度
シミュレータの構築
H29年度
H30年度
構造パラメータの抽出
計算および現象解析
計算および現象解析
計算および現象解析
シミュレータの構築
H31年度
目標成果
特異な水チャンネル構造
内のプロトン輸送特性に
関する知見
支配要因の特定
支配要因
の特定
実験との比較検証
マルチブロック炭化水素
の自己組織化性とプロト
ン輸送特性
実験との比較検証
支配要因
の特定
モデリングおよび実装
モデルの改良
アイオノマーのプロトン輸
送・酸素散乱性能
アイオノマー表面での酸
素散乱メカニズムの知見
研究成果
◆アイオノマーのプロトン輸送特性/酸素透過特性発現メカニズムの解明
・ プロトン輸送メカニズムの解明
◆プロトン伝導特性を支配する水チャンネルの形状特性の解明
計算の詳細
ll
a
w
c
i
b
o
h
p
o
r
d
y
h
h
g
i
H
1
l
l
a
w
c
i
b
o
h
p
o
r
d
y
h
w
o
L
l
l
a
w
c
i
b
o
h
p
o
r
d
y
h
h
g
i
H
2
1
0
1
8
.
0
2
1
0
1
8
6
4
2
1
0
.
0
water contents 
2
1
0
1
8
6
4
2
0
(d)
0
0
2
(c)
(b)
0
0
4
(a)
最大クラスターサイズ
0
0
6
water contents 
壁面の疎水性が強い場合
連結性が良く,大きいクラスターが
形成される
壁面の疎水性が強い場合
層構造が形成される
壁面の疎水性が強い場合
プロトンの輸送性が向上する
・ 酸素透過特性発現メカニズムの解明
親⽔部の割合fa = NC/(NC+NP)
• ①②の比較(fa依存性)より,クラスター形状の変化を確認.
• ②③の比較(長さ依存性)より,クラスタ連結性の変化を確認.
今後,クラスター解析を用いたより定量的なチャンネル形状の解析を行っ
ていく.
長さ依存性
NP = 10
in= 60 [deg.]
in= 0.447 kcal/mol
1.0
in= 0.894 kcal/mol
0.8
in= 1.79 kcal/mol
in= 1.34 kcal/mol
diffuse model (300K)
0.6
0.4
0.2
0.0
0
2
4
6
8
translational energy [kcal/mol]
λ = 11
λ増
アイオノマー内部の酸素密度分布
in= 60 [deg.]
in= 0.447 kcal/mol
in= 0.894 kcal/mol
0.030
in= 1.34 kcal/mol
in= 1.79 kcal/mol
0.025
Cosine distribution
0.020
0.015
0.010
0.005
0.000
0
15
30
45
60
75
scattering angle f[deg.]
90
散乱角度分布
反射分子エネルギー分布
アイオノマー表面における酸素分子散乱特性
4.8
residence time [ps]
NC = 30
λ=3
◆触媒層における酸素分子散乱機構の解明およびモデリング
③fa=20/80=0.25
(②とは⻑さが異なる)
NP = 20
アイオノマー各領域の酸素透過性
アイオノマーの構造について調べた
含水率の増加により
酸素透過経路の数が減少する
この領域の酸素透過性が低下する
probability distribution function [1/deg.]
含水率一定(λ=7)の条件で疎水部,親水部の比率を変化させ,異なる膜構造を再現.
Ionomer/Pt界面の酸素透過性
が最も低かった
Ionomer/Pt界面の透過性が
全体の透過性に最も影響 している
probability density function [mol/kcal]
◆ジブロック炭化水素系電解質膜の自己組織化メカニズムの解明
NC = 60
(d)
cos
6
0
0
8
• ①②ではクラスター中央にも比
較的多くのプロトンが存在.
⇨拡散性の高い自由水領域の
DH+が大きく貢献
NC = 40
1
0
1
-
1
0
1
-
プロトン分布
②fa=20/80=0.25
(Nafionと同⽐率)
4
0
.
0
0
.
0
• 束縛水領域では,クラスターサイ
ズ増加に伴いDH+は減少.
• 自由水領域では,クラスターサイ
ズ増加に伴いDH+は増加.
プロトン分布が総合的なDH+に大きく
影響していることを示唆.
①fa=40/80=0.5
water contents 
1
.
0
1
.
0
スルホ基の周囲には半径約0.44 nmの溶媒和殻が形成されている.
⇨外殻/外層0.44 nmを束縛水領域,それ以外を自由水領域と定義.
fa 依存性
(b)
含水率 (λ) によるアイオノマー各領域の
酸素透過性の変化について調べた
各領域における拡散性
NP = 40
2
.
0
2
.
0
• 一定のクラスターサイズでDH+は極大
値を持つ.
(c)
2
3 6 1
= = =
3
.
0
3
.
0
• ランダム構造と比較して,拡散性は最
大で4倍高い.
→水を一か所に集めることで,拡散性
が大きく向上.
親水部の数NP



cos
いずれのクラスターモデルでも・・・
疎水部の数NC
0.
4
.
0
0
4
0.
.
0
0
(a)
親水基が上向きに配向
プロトンの自己拡散係数
クラスターの連結性
l
l
a
w
c
i
b
o
h
p
o
r
d
y
h
w
o
L
1
.
0
1
.
0
各水チャンネル形状におけるプロトン拡散係数
側鎖
2
.
0
2
.
0
プロトン拡散
2
0 0 0 0 0 0 0
6 5 4 3 2 1
3
.
0
3
.
0
実験データをもとにクラスターサイズを設定.
4
.
0
4
.
0
親水基が下向きに配向
水クラスター構造
壁面の疎水性が弱い場合
1
親水基の配向
壁面の疎水性が強い場合
4.4
• 散乱角度分布は拡散反射モデルと一致
4.0
3.6
3.2
= 3
= 7
= 11
2.8
2.4
0.0
0.4
0.8
1.2
Ein,n [kcal/mol]
1.6
酸素分子の表面滞在時間
2.0
• 反射エネルギー分布は不一致
→入射エネルギー依存性を示す
散乱過程を一回衝突と複数回衝突過程に分類
→入射エネルギーが増加するにつれ,
アイオノマー表面での滞在時間は増加
□まとめ
・シリンダーやラメラ構造のように水を一か所に集めることで,自由相領域が確保されプロトンの拡散性が大きく向上(ランダム構造比で約5倍)
・ジブロック構造における疎水部・親水部の比率だけでなく,アイオノマー長さによっても構造が異なる
・カーボンの疎水性が増加すると、カーボンの表面に水が滞在しにくくなり、アイオノマー中央に理想的な水チャンネルを構成しプロトン輸送性が向上
・Pt近傍のアイオノマーには酸素が通過する空隙(酸素透過経路)が存在、含水率の増加につれて、この経路が水分子でふさがれ酸素透過性は減少
・アイオノマー表面で散乱した酸素のエネルギー分布は、完全にはアイオノマー表面の温度に適応しておらず、散乱前のエネルギー分布の影響を受
けている
22/42
B.電解質材料の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【B-⑤-1】 各種解析技術の活用による
電解質劣化機構解明
技術研究組合FC-Cubic
○過酸化水素暴露試験後の鉄イオン交換ナフィオン膜中に硫酸鉄化合物を検出し、化学的劣化による側鎖の脱離と分解を確認した
○ラジカル種による化学的劣化の開始反応を同定するため、反応障壁を密度汎関数法計算により比較検討した
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
フッ素系電解質膜の化学的劣化は過酸化水素やラジカル種により進行
すると考えられているが、その機構は十分にはわかっていない
最近の過酸化水素暴露試験の結果は、主鎖の切断が起こり、そこから主
鎖の分解が進行する機構を支持している
また側鎖の脱離を示す実験結果も報告されていることから、側鎖の脱離
によって主鎖の切断が引き起こされ劣化が進行する機構が考えられる
想定される開始反応の妥当性を検証するため、以下を実施した。
・側鎖脱離反応生成物の検出
・側鎖脱離反応障壁の計算
H27年度
H28年度
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
過酸化水素暴露試
験でのフッ素系電解
質膜の化学的劣化
機構の解明
過酸化水素暴露試験
開始反応のDFT計算
MEA劣化試験
MEAの化学的劣化
機構の解明
劣化反応の分子動力学計算
研究成果
ナフィオンの分解機構:既往研究
想定した分解機構と課題
側鎖の解離を裏付ける
更なる証拠は?
分解反応経路のDFT計算
開始反応
主鎖と側鎖を含む
モデル化合物
顕微振動分光による
暴露試験後の膜の分析
H2O2暴露試験の結果は
主鎖切断が進行しUnzipping
が加速されることを示す
RF + H  R + HF
何かどのように
側鎖の解離を起こすのか?
想定される開始反応の
障壁の計算化学的検討
H原子のF引抜き反応の障壁はFの位置による差が小さい
=側鎖の根元で選択的に進行するとは考えにくい
側鎖末端が攻撃され
主鎖切断に至るモデル
主鎖切断の機構はまだはっきりしない
後続反応(主鎖根元のF引抜きの場合)
ナフィオン膜のH2O2暴露試験
試験装置
主鎖切断
※前プロジェクト成果
HOCF2-CF(CF3)-O-CF2CF2-SO3-
側鎖解離生成物
旭硝子法に準拠
後続反応の障壁は開始反応よりも低い
HOOC-CF(CF3)-O-CF2CF2-SO3-
鉄イオン交換膜(NR212):F-放出速度
暴露試験後のナフィオン膜のATR-IRイメージング
120℃
ATR-IR
イメージング
システム
90℃
交換率/反応温度が高いほど劣化が進行
ピクセルサイズ
最小1.6μm
ナフィオン膜:分解生成物のMS
結晶はロンボクレース (rhomboclase)
(H5O2)Fe(SO4)2•2H2Oと同定
HOCF2-CF(CF3)-O-CF2CF2-SO3- ?
側鎖が根元から脱離している
CF伸縮ピークは
残っている
側鎖は分解したが主鎖は残っている
□まとめ
・フッ素系電解質膜の過酸化水素による化学的劣化における側鎖の脱離と主鎖の切断の反応機構を明らかにするため、劣化試験後の鉄イオン交
換ナフィオン膜の顕微赤外分光分析と、ラジカル種による開始反応のモデル化合物による反応障壁のDFT計算を行った
・劣化後の鉄イオン交換ナフィオン膜では、主鎖は残っているが側鎖の分解が著しく進行し、硫酸鉄化合物の結晶が同定された
・Hラジカルによるフッ素引き抜き反応の障壁はフッ素原子の位置による差が小さく、側鎖の根元から脱離した分解生成物の生成の説明が難しいこと
がわかった
・今後は湿度制御での過酸化水素暴露試験を行い、分解生成物のLC-MSやNMRによる同定を試みるとともに、DFT計算による開始反応機構の検
討を引き続き進める
23/42
B.電解質材料の性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【B-⑤-3】 電解質劣化機構解明
東北大学流体科学研究所
○劣化状態の高分子電解質膜に混在する分子種を特定し、そのモデリングを行ってシミュレータを構築した
○シミュレーションで得られた水とプロトンの拡散係数は実験結果の傾向を定性的には再現しているが、定量的には1桁程度の値
のずれがある
○プロトンの拡散係数は、劣化度が10%程度のところで極小値をとるという結果が得られた
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
電解質膜が化学的劣化を引き起こすと、その機械的特性やプロトン輸
送特性が変化し、燃料電池の性能低下やガスリークなどを起こす可能
性が指摘されている。
本研究では、電解質膜が劣化した状態を分子動力学法および粗視化
法により再現し、その電解質膜のプロトン伝導特性および機械的特性を
シミュレーションする。また、得られた知見から、プロトン伝導特性および
機械的特性が変化するメカニズムを解明し、その支配・制御因子の特定
を行う。
H28年度
H27年度
膜の劣化状態の特定(MD)
H29年度
H30年度
H31年度
計算および現象解析(MD)
支配要因
の特定
目標成果
膜の劣化のプロトン伝導
特性への影響の解明
CGMD法によるモデリング 計算および現象解析(CGMD)
計算および現象解析
(MD)
計算および現象解析
(CGMD)
支配要因
の特定
膜の劣化の機械的強度
への影響の解明
研究成果
◆膜の劣化状態の特定
◆劣化状態の膜におけるプロトン伝導特性の解明
計算条件
文献調査により、膜の劣化状態と混入している分子種を特定
Radical
Reference
Chain
Fragments
side
SO2, •OH, C2F4, CF3OCF3
Therm. stab.
Nnaf
4
•OH
main
CO2, HF , H2O
ex situ
EW
847, 1143
•OH, •OOH
main, side
CO2, HF, H2SO4
in situ + ex situ

•H
main
CF3COOH, HF, H2O
-SO3•
side
CO2, HF, SO3
Exp. + DFT
Deg. Level [%]
Samms et al. [1]
Curtin et al. [2]
Cipollini [3]
Coms [4]
Ghassemzadeh et al. [5]
Yu et al. [6]
Ghassemzadeh et al. [7]
Condition
•OH, •H
side
CO2, HF, SO3, H2O
•OH
side
HOC2F4OH, HSO4-
•H
side
DFT
CO2, HF, H2O, HSO3-, CF2OCF2,
ex situ
CF2CF2, CFOCF3, •OC2F4SO3-
•OH
side
•OH
side
CO2, HF, H2O, HCF3,
FCOCF3, HOC2F4SO3-
•H
side
HF, •CF2CF2SO3-,
•CF2COCF3 , XCF2COCF3
Ghassemzadeh et al. [8]
3, 6, 9, 12, 15, 18, 21
0
10
30
50
70
# HF, CO2, CF3,
0
4
12 20 28
HOC2F4SO3
Nnaf: Nafion本数, EW : 等価質量,  : 含水率
ex situ
HF, •C2F4SO3-
劣化していない側鎖:
Temp. [K]
300
Pres. [MPa]
0.1
劣化状態の側鎖:
・現在のところ、劣化反応は最終段階まで到達していることを仮定
劣化状態の膜における、含水率に対するプロトンおよび水の拡散係数
ex situ
Diffusion coef. D [cm2/s]
[1] Samms et al., J. Electrochem. Soc. 143(5), 1498-1504(1996). [2] Curtin et al., J. Power Sources 131,
41-48 (2004). [3] Cipollini, ECS Trans. 11(1) 1071-1082(2007). [4] Coms, ECS Trans. 16(2) 235255(2008). [5] Ghassemszadeh et al., J. Phys. Chem. C 114, 14635-14645(2010). [6] Yu et al., J. Am.
Chem. Soc. 133(49), (2011). [7] Ghassemzadeh et al., J. Am. Chem. Soc. 135, 8181-8184 (2013). [8]
Ghassemzadeh et al., J. Am. Chem. Soc. 135, 15923-15932 (2013).
劣化レベル(劣化プロセス)の調査
10-5
10-5
10-6
10-6
deg [%] oxo
0
30
50
70
Exp.
10-7
10-8
0
5
10
15
Water content  [-]
20
deg [%] wat
0
30
50
70
Exp.
10-7
10-8
0
5
10
15
Water content  [-]
20
・含水率に対する拡散係数の変化の傾向は、全体的に劣化していない
状態での膜における実験結果の傾向と不変。ただし値としてはDeg=0%
と実験値で1オーダー以上異なる
要モデルの妥当性検証
膜の劣化度に対するプロトンおよび水の拡散係数
劣化度10%近傍で拡散係数が極小
値をとる
Diffusion coef. D [cm2/s]
10-5
分子の形状・電荷をDFTにより計算してモデリング
側鎖劣化
H
C
O
F
10-6
10
-7
 [-] oxo wat
10-8
3
6
12
S
0
様々な含水率や劣化レベルを想定してシミュレーションを行う
20
40
60
80
・劣化度30%近傍で密度の増大
Vehicle機構を抑制
・水クラスター数は劣化が進むにつ
れて増加
Grotthus機構を抑制
今後、水チャンネルの構造と輸送特
性の関連性を解析することが必要
Deg. level [%]
□まとめ
・文献調査により、劣化後の膜の状態を特定し、そのモデリングを行った
・含水率を変化させ、劣化状態の膜のプロトンおよび水の拡散係数を計算した結果、含水率に対する拡散係数の変化の傾向は、全体的に劣化して
いない状態での膜における実験結果の傾向と一致するものの、値としては1オーダー以上異なる結果となり、更なるモデルの検証が必要である
・膜の劣化度を変化させてプロトンの拡散係数を計算した結果、拡散係数は劣化度10%近傍で極小値をとることが分かった。この原因を調べるため、
今後は水チャンネルの構造と輸送特性の関連性を解析することが必要である
24/42
C.MEAにおける性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【C-①-1】 定常・過渡応答解析による
MEA発電損失要因解析技術の開発
技術研究組合FC-Cubic
○白金酸化物被覆率を考慮し、複数条件での測定結果を解析に取り込むことで、発電損失要因解析の信頼性が向上し
た。これにより、EISはアイオノマー抵抗を過大評価している可能性が高いことがわかった
□ 背景
□ 実施項目・研究スケジュール
高性能、高耐久性MEAの設計指針を得るためには、
各種損失要因の大きさと発生部位の特定が不可欠。
H28年度
H27年度
従来の損失分離手法の問題点
• 活性化過電圧の概算方法の信頼性が不十分 ※白金酸化物を未考慮
• 濃度過電圧の内訳(発生部位)が不明であり、設計への活用が限定的
H29年度
反応/拡散/泳動損失の
分離手法の確立
拡散/泳動損失の発生
部位特定手法の確立
 白金酸化物を考慮した定常IV
曲線の解析
(活性化過電圧の正確な評価)
□ 目的
中間目標
H31年度
目標成果
 劣化要因
解析への適合
MEA設計指針
提示のための
損失解析技術を
提供
 運転条件(温度、湿度、圧力、  解析技術の実
酸素濃度、希釈ガス種)の変
用における課
化に対する濃度過電圧の応答
題抽出・解決
の解析
 定常計測による決定が困難な
物性、特性の非定常計測解析
電気化学計測手法を用いた定常・過渡応答解析による
反応/拡散/泳動損失の分離および、拡散/泳動損失の発生部位特
定のための実験的解析手法の確立。
H30年度
 MEA発電損失分離技術の確立
 損失発生部位の特定手法の策定
全体構成案の提示
研究成果
近年の解析手法:
 高カソード電位における白金酸化物被覆の影
響を考慮した活性化過電圧の記述[1]
·
·
◆ 実験手順
log (current density) / arb. units
i0: 交換電流密度、γ : 反応次数、θ : 酸化物被覆率、
ω : Temkinパラメータ、α : 対称因子、η : 過電圧
セパレータ
ガス拡散層
触媒層 高分子電解質膜 シール材
(GDL)
(CL)
(PEM)
近年のIV曲線解析[3]
 触媒層内の物質移動抵抗(H+、O2)による
電位分布を一次元伝送線モデルにより考慮[2]
Intrinsicな
活性化過電圧
 酸化物、物質移動抵抗を考慮した伝送線モデル
未知パラメータを実験データのフィッティングによ
り決定[3]
GDL : SIGRACET 28BC
PEM : Nafion XL
CL : Anode 0.35 mgPt/cm2
Cathode 0.34 mgPt/cm2
I/C = 1.0, D2020, TEC10EA50E
白金酸化物に
由来する損失
CL内プロトン輸送
Experimental
i0, ω, 触媒層中の酸素透過率(tO )
[2]T. E. Springer et al., J. Electrochem. Soc. 140, 3513 (1993).
0.4
プロトン伝導抵抗(RH )
/ Ω cm2
電子伝導抵抗 (Re‐)
/ Ω cm2
Ⅰ
1.2 × 10-5
16
2.6 × 10-11
5.0 × 10-3
0
1.1 × 10-5
18
1.5 × 10-10
4.0 × 10-2
0
パラメータセットⅠ
パラメータセットⅡ
1.0
0.4
0
60
ガス種 (A/C):
流量:
背圧:
セル温度:
湿度:
120 180
time / min
OK?
0.7
0.6
0.5
0.01
0.5
0.01
0.1
1
10
100
Current density / A cm-2
1.0
H2 / (O2 + N2)*
5 L/min
150 kPa
80°C
40, 60, 80%RH
0.8
0.7
RH = 0.32 Ω cm2
0.6
0.5
0.01
0.4
0
100
RH = 0.04 Ω
0.4
0.1
1
10
100
Current density / A cm-2
1.2
0.7
150 kPa
50 kPa
20 kPa
0.1
1
10
100
Current density / A cm-2
Voltage / V
0.8
80%RH
0.9
OK?
0.04
0.02
0.8
0.7
0.6
0.06
ZIm / Ω cm2
1.0
NG
H2/N2
150 kPa
5 L/min
E = 0.45 V
酸素分圧に対する反応次数
Resistance of Ionomer / Ω cm-2
0.08
Voltage / V
60
90
time / min
ガス種 (A/C):
流量:
背圧:
セル温度:
湿度:
120
H2 / N2
5 L/min
150 kPa
80°C
80%RH
白金還元の電気量から
被覆率を算出
0
150 kPa
50 kPa
20 kPa
0.5
0.01
0.1
1
10
100
Current density / A cm-2
• 良いパラメータセット(Ⅱ)ではi0のみを変化させて
良好なフィッティングが可能
交換電流密度(i0)
/ kJ mol-1
1.1×10-5
Temkinパラメータ (ω)
/ kJ mol-1
18
酸素透過率 (tO2)
/ mol s-1 cm-2 Pa-1
1.5×10-10
電子伝導抵抗 (Re‐)
/ Ω cm2
0
 相対湿度とアイオノマー抵抗
EISによる概算値との比較
② 異なる酸素分圧で得たIV曲線解析
0.5
0.01
30
• アイオノマー抵抗のみの変化で各データを良く再現可能
0.6
0.8
1.0
Potential / V
• 1測定条件のフィッティングではパラメータ決定が恣意的
i0のみ変数とし、被覆率は酸素分圧に依存しないと仮定
cm2
RH = 0.10 Ω cm2
0.6
0.2
0.1
1
10
Current density / A cm-2
80%RH
60%RH
40%RH
150 kPa PO2
0.9
0.8
0.8
0.6
0.6
0
異なる相対湿度でIV曲線を取得
1.0
Coverage
0.7
OK?
0.9
Voltage / V
0.8
80%RH
240
 プロトン伝導抵抗のみを変数としたフィッティング
被覆率の電位依存性
1.0
0.9
0.6
③ 相対湿度変化とアイオノマー抵抗
Ⅱ
1.0
0.8
[3]S. Sugawara et al., Electrochemistry 79, 404 (2011).
① モデルフィッティング例
交換電流密度(i0) Temkinパラメータ(ω) 酸素透過率(tO2)
/ A cm-2
/ kJ mol-1
/ mol s-1 cm-2 Pa-1
Voltage / V
0.6
掃引速度
50 mV/s
活性化過電圧の解析(酸化物形成を考慮)
80%RH, PO2: 150 kPa
0.9
0.8
Ex.) 0.9 Vの場合
1.0
測定条件(PO2, 相対湿度)の異なるIV曲線を取得し、酸化物被覆・触媒層内の物質移動の
影響を考慮した一次元伝送線モデルにより損失解析
問題点 未知パラメータの決定に恣意性
◆ 結果
酸化物被覆率の測定
各15 min保持
1.0
*カソード混合ガス組成を変化させPO2を制御
CL内酸素輸送
Model fitting
2
[1]N. P. Subramanian et al., J. Electrochem. Soc. 159, B531 (2012).
IV曲線の測定
濃度
過電圧
0
0.02
0.04
0.06
ZRe / Ω cm2
• i0のPO2依存性は実験から見積
もった反応次数と良く一致
反応次数が小さいのは被覆率に酸素分圧
依存性があるためか
□まとめ
定常計測手法で得たIV曲線を酸化物被覆率の影響を考慮して解析
様々な酸素分圧で測定したIV曲線のフィッティングによって未知パラ
メータ決定の恣意性を低減でき、尤もらしいパラメータ決定が可能
0.08
EIS
IV Fitting
0.5
0.4
0.3
3
REIS / RFIT
∗
·
 実験的にパラメータを決定するための定常・過渡応答計測手法の探索・開発
活性化
過電圧
Voltage / V
·
 パラメータ決定における恣意性の低減; 様々な測定条件による実測データの解析
理論電圧
Potential / V
用いたTafel式近似を外挿し活性化過電圧を概算
◆ 解決策
従来の損失分離方法
iR-free Voltage / arb. units
従来手法: 低電流密度域(高電圧域)のデータを
Potential / V
◆ 活性化過電圧の算出方法と課題
0.2
2
0.1
0
1
0
0 20 40 60 80 100
Relative humidity / %
20
40
60
80
100
Relative humidity / %
• アイオノマー抵抗は非発電時と発電時で異なる可能性
特に高電流密度が得られる高相対湿度下で、EISは抵抗を過大評価
⇒ 生成水が影響か?
• 発電環境における種々のパラメータの計測手法が求められる
□ 今後の方針
• より精確な解析を目指し、発電状態における未知パラメータを
実験的に決定するための新たな定常・非定常手法を探索・開発
・プロトン伝導抵抗 ・酸化物被覆率 ・酸素透過率
25/42
C.MEAにおける性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【C-① -2 】 MEA性能発現要因解析技術開発
京都大学大学院工学研究科
○触媒層内の分布を考慮した反応工学的モデルの構築のため、酸素還元反応速度と物質輸送抵抗を分離した本質的ORR速度の
定式化を実施中
⇒3 µm程度に触媒層を薄くしても物質輸送抵抗の影響を排除できなかった
⇒酸素が白金上のアイオノマーを透過する抵抗の測定に先立ち,穿孔平板アルミニウムを作製してアイオノマー塗布を行った
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
セルの数値シミュレーションのためには物質移動抵抗の影響を排した本
質的電気化学反応速度の定式化が必要であり、これら物質移動抵抗の
影響を排した理想的反応場で酸素還元反応速度を測定する手法を開発
する。
H28年度
H27年度
H29年度
H30年度
H31年度
解析
本質的電気化
学反応速度の
測定
解析
酸素のアイオ
ノマー透過抵
抗の測定
測定法の開発
Pt近傍アイオノマー中の物質輸送を明らかにするために,アイオノマー
被覆厚さが酸素還元反応速度に与える影響を評価する手法を開発する。
また,酸素透過抵抗を定式化し,実験的に除去困難な,面内方向のプロ
トン輸送抵抗の影響を計算により補正する方法を提出する。
目標成果
測定法の開発
研究成果
◆酸素還元反応の本質的電気化学反応速度測定法の開発
◆酸素のアイオノマー透過抵抗測定法の開発
薄層化MEAを作製し,I-V測定および高周波インピーダンス測定を行った。
反応速度解析し,カソードの白金表面における酸素還元反応速度を温度,
湿度,酸素分圧,プロトンと電子の界面電位差(カソード起電力)の関数
として定式化する。
穿孔平板白金を用いたモデル触媒層の作製手法を確立し,酸素のアイ
オノマー透過抵抗のアイオノマー被覆厚さ依存性の測定を可能にする。
アルミニウムスリット
40
5
触媒層厚さがORR速度に与える影響
触媒層厚さ
Cathode
PEM
薄
Cathode
PEM
Pt
Ca.
e-
H+
5
10.25
Cathode emf
O2
PEM
0
0.7
0.75
0.8
0.85
IR補正セル電圧 [V]
0.9
0
5.6 μm
3.3 μm
0.75
0.8
0.85
触媒層厚
[μm]
®
NEDO先⾏PJ
Nafion
18.6, 10.1,
テーマf
NRE-211
8.7
共通MEA
厚さ25.4 μm 5.6, 3.3
Pt/C
[wt%]
I/C
(重量⽐)
50
(GKB)
0.9
Nafion®
NRE-212
厚さ51 μm
50
(Vulcan®
XC-72)
0.4~1.3
PEM
市販MEA
(英和製)
11
8.5
3.0
電極⾯積 2 cm×2 cm
GDL: Toray carbon paper TGP-H-060 厚さ190 μm
0.5
1
1.5
2
2.5
O2分率100%d.b.
An d.p./Ca d.p. 75/75
8.5 μm
40
3.0 μm
0
0.9
⽩⾦スリット
11.0 μm
5
0.7
0.9
0.75
0.8
0.85
IR補正セル電圧 [V]
0.9
触媒層厚さ3.0 μm
0.8
0.7
0.6
0.5
I/C=0.4
I/C=0.73
I/C=1.0
I/C=1.3
0.4
0.3
超音波霧化法(周波数
2.4 MHz,振幅0.07 µm)
にて塗布
5%Nafion:MeOH=1:100
推定厚さ29 nm
超音波霧化法(周波数2.4
MHz,振幅0.07 µm)法に
て塗布
5%Nafion:H2O=1:100
推定厚さ32 nm
市販MEA
10
IR補正セル電圧 [V]
250 µm
Platinum loading s
is
proportional to thickness.
0
15
11.4 μm
5014-I
[kg/cm2]
20
O2分率100%d.b.
An d.p./Ca d.p. 60/50
0.7
18.6 m
5012-I
10.1 m
40
単位
[mm]
2-φ4
16 1 16 1 16
0.5
<側⾯>
18.6 μm
5010-I
3.3 m
電流密度, i [A/cm2]
共通MEA
10
8.7 m
高圧放電スチーマー
(消費電力290 W)にて
5%Nafion液塗布
推定厚さ31 nm
スリット 0.5 mm
ピッチ 1.0 mm
スリット数 50 ×3ブロック
⽩⾦表⾯積 50.3 cm2
*PEM,GDL接触⾯込。外側⾯除く。
* 触媒層厚11 ㎛の市販MEAのECSAの約1/20
0.5
5
0.84
IR補正 セル電圧, Ec [V]
5
5.6 μm
0.8
アイオノマー塗布アルミニウムスリットの表⾯観察
5.6 µm
0.5
3.3 μm
0.76
0.72
金属加工はケイネックス(株)に依頼
*王水等の酸でケミカルエッチング
49.5
-rOm [mol/(kg·s)]
10
10–6
0.7
O2分率100%d.b.
An d.p./Ca d.p. 80/73
15
18.6 m
10–5
共通MEA
20
5.6 µm
10.1 µm
5
10.25
Potential
IR補正セル電圧, Ec [V]
GDL
O2
カソード
1
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
3.3 µm
-rOm [mol/(kg·s)]
PEM
10–4
-rOm [mol/(kg·s)]
O2
8.7 µm
IR補正セル電圧 [V]
反応速度定数, km [mol/(kg・s・Pa)]
10–3
H+
⼊⼿,加⼯が容
易なアルミニウ
ムより検討。
GDL
触媒層厚さ ≒ 0のとき
pO2 ≒ pO2,GDL
5
10.25
H+ potential
スリット 0.25 mm
ピッチ 0.5 mm
スリット数 100
アルミニウム表⾯積 75 cm2
*PEM,GDL接触⾯込。外側⾯除く。
*触媒層厚11 ㎛の市販MEAのECSAの約1/13
・アイオノマーの塗布状態の観測
プロトン,酸素の輸送経路の確保
・アイオノマー層厚分布の計測
・アイオノマー層厚のNafion濃度依存性
・スリット変形の有無確認
O2
e– potential
e-
<側⾯>
10
2-φ4
49.75
厚
PEM
単位[mm]
0.5
40
0
0.5
1
1.5
電流密度 [A/cm2]
2
キーエンス VK-X160
*白金スリットの表面
淵がやや粗い
□まとめ
・カソード触媒層を薄層化したMEAを用い,I-V測定と高周波インピーダンス測定を行い,反応速度解析を行った。
3 µmの触媒層でも低湿度では物質輸送抵抗の影響を排除することができず,カーボンペーパーに白金を直接スパッタ製膜する方法によりMEAを
作製し,反応速度解析を行う。
・アルミニウムおよび白金の穿孔平板をカソード電極として用いた。アイオノマー塗布法として超音波霧化法,スチーマー法を試みた。
今後穿孔白金平板にアイオノマー塗布を行い,酸素のアイオノマー透過抵抗の測定を試みる。
26/42
C.MEAにおける性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
京都大学
大学院人間・環境学研究科
【C-①-3】 MEA性能発現要因解析技術開発
○実際のMEAのoperando XAFS計測・電気化学特性と回転電極を用いたoperando XAFS計測・ORR活性評価とを併せて議論する
ため、実使用条件下でのMEAのoperando測定を可能とした
□ 実施項目・研究スケジュール
□ 背景
• 電極触媒(貴金属系触媒)において触媒活性の発現メカニズム、活性劣化メカ
ニズムを明らかにするためには、反応場である電極触媒表面構造を評価・解析
し、電気化学パラメータとの相関を明らかにすることが必要
H27年度
H28年度
温度可変MEA評価
システムの立ち上げ
□ 目的
• これまで実現されてこなかったoperando反応分布測定手法を開発し,電極触媒
(貴金属系触媒)における触媒活性の発現メカニズム,活性劣化メカニズムにつ
いて検討を行い,回転電極を用いたORR活性評価と実際のMEAにおける特性
解離の原因について考察する。
温度可operando
XAFSシステムの
確立
H29年度
H30年度
H31年度
MEAにおける電気化学
特性とPt触媒の電子構
造・局所構造の相関関係
回転電極との比較による、MEA
における特性解離要因の解明
適用系の拡大(コアシェル
触媒、イオノマー等)
目標成果
回転電極を用
いたORR活性
評価と実際の
MEAにおける
特性解離の原
因の解明
研究成果
電極触媒構造解析とMEA解析の連携
回転電極中のPt触媒とMEA中のPt触媒の電子構造・局
所構造を厳密に比較した例はない(operando測定)
サブテーマ C-①-3の方針
C-① MEA性能発現要因
解析技術開発
相関を明らかにする
MEAを用いたORR活性評価
A-① 電極触媒構造
解析技術開発
回転電極を用いたORR活性評価
触媒性能や劣化特性が大きく異なることが非常に多い
電極触媒,MEA,測定セルを共通化して,相互に利用可
能な解析技術を構築
回転電極測定による電極触媒性能とMEA性能の差異を
解析できる技術を開発
連携して解析技術の確立を加速する
電極触媒の主要設計因子の解析技術を確立
実使用条件下でのMEAにおける電極触媒の活性を単体で
評価可能な範囲を明確にする
A-③電極触媒性能評価技術開発 (FC-Cubic)
MEAでの電極触媒活性を予測可能な単体評価技術の開発
実使用条件下でのMEAのoperando測定
FC-Cubic、日産アークとの共同研究
実験室で発電しているセルと同じ構造のものでXAFS計測
できるように日産アーク・FC-Cubicと共同でセルを開発した
試料濃度が高い時の透過法と、コアシェル触媒のように
希薄試料用の蛍光法どちらにも対応するセルを設計
Cathode: N2 、Anode H2 60℃XANES_電位依存性
温度ムラのシミュレーションを行い、本セルを用いた場合は温度ムラが発電試
験に影響をないことを確認した
シミュレーションの結果、面方向の反応分布も無いことを確認した
Cathode: O2 、Anode H2 XANES_電位依存性
Cathode: O2 、Anode H2 60℃XANES_電位依存性
温度が高い方が電圧走査
に対するPtの酸化状態の
変化が小さい
電圧走査方向でPtの酸化状態が異なる
□まとめ
• 面方向の反応分布・温度分布の発生しないMEA operando XAFS計
測系を設計した
• SPring-8 BL01B1における透過法計測により、計測系の作動確認を
行った
□今後の方針
厳密なMEA活性評価から得られた発電特性とPt触媒の電子構造・局
所構造の相関関係、さらに、回転電極における電気化学特性とPt触媒
の電子構造・局所構造の情報を総合して、実使用条件下でのMEAに
おける電極触媒の活性を単体で評価可能な範囲を明確にする
27/42
C.MEAにおける性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【C-②-1】 運転環境下での触媒層構造
パラメータ計測技術開発
リレーションシップ ID rId14 のイメージ パーツがファイルにありませんでした。
技術研究組合FC-Cubic
○触媒層構造パラメータのうち空隙率/屈曲度(ε/τ)を、運転環境を模擬した温湿度で計測する技術を確立した
○触媒層構造は湿度の影響を受け、乾燥条件で観察される構造は必ずしも運転時の構造と一致しないことが明らかになった
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
H28年度
H27年度
触媒層構造は発電性能に影響する因子の一つであるが、それらの関係が十
分に理解されていない。その一因として触媒層の構造パラメータは実験室環
境や乾燥さらには真空下で計測されており、実運転時の構造と大きく異なる点
が考えられる。
本研究では運転環境下における触媒層構造パラメータを計測する技術開発
を実施するともに性能との相関並びにその影響度を定量的に解明していく。
H29年度
H30年度
運転環境下空隙率/屈曲度計測技術確立
○計測手法の立案
・ガス拡散現象に基づ
いた解析
○装置立上げ
○標準触媒層計測・
課題抽出(温度感度)
○標準触媒層計測・
課題抽出(湿度感度)
H31年度
目標成果
データベース化
○課題対策・高度化
○各種触媒層に適用
運転環境下空隙率計測技術確立
最終目標:
運転環境下での触
媒層構造
パラメータの
計測手法確立
データベース化
○装置導入/立ち上げ
○計測手法の立案
・かさ,真体積による解析 ○標準触媒層計測・
課題抽出(温度感度)
○課題対策・高度化
○各種触媒層に適用
○標準触媒層計測・
課題抽出(湿度感度)
屈曲度計測/解析技術確立
○計測手法の立案
・超音波屈曲度計測装置
データベース化
○標準触媒層計測・
課題抽出(温度感度)
○課題対策・高度化
○各種触媒層に適用
研究成果
◆触媒層構造パラメータ計測・解析技術開発
○原理
有効拡散性の圧力感度から触媒層の空隙率/屈曲度()と細孔径(d)を解析(1),(2)
(1)
(3)
8
(5)
/
,
① セパレータ
② キャピラリープレート,
③ サンプル ④ ガスケット
(6)
Circulator
図2 ガス拡散抵抗計測装置概略
1/Deff /m2 s‐1
Eq.(6)
1
傾き:
Co
Non linear
,
は既知)
1
切片:
3
1
K
8
2
:分子拡散係数[m2/s],
:有効拡散係数 [m /s],
:クヌーセン拡散係数 [m2/s],
:参照分子拡散係数 [m2/s],
,
:空隙率,  :屈曲度, P :圧力 [kPa], Pref :参照圧力 [kPa],
d :代表細孔直径 [m], R :気体定数[J/(K・mol)], T:温度 [K], m:分子量 [g]
□ 触媒層構造特性の温度依存性
①
2
②
1
0
0
1
2
3
4
0.003
0.0004
0.002
0.0002
0.001
0.0000
0.000
0
5
P/Pref
1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
20 40 60 80 100
Temperature T /C
温度 : 25, 40, 60, 80 ℃
湿度 : 0%
圧力 : 105, 201, 301kPa
60
80 100
1
K
(7)
(8)
0
⊿
,
,
,
(9)
,
,
(10)
有効拡散係数
Deff
(11)
3
2
20 40 60 80
Temperature T /C
0.001
Temperature:60 C
0.0000
0
1
2
3
P/Pref
4
1.5
0.000
0
5
1
0.5
Temperature:60 C
0
20 40 60 80 100
Relative humidity /%
0
20 40 60 80 100
Relative humidity /%
3
,
0.15
Temperature:60 C
0
20
40
60
80 100
Relative humidity /%
(a) Porosity/tortuosity ( 
図7 触媒層構造パラメータの湿度依存性
図6 触媒層構造パラメータの温度依存性
8
60
40
20
Temperature:60 C
0
0
(b) Pore diameter (d)
K
80
0.1
Relative humidity:0 %
20 40 60 80 100
Temperature T /C
1
100
0.05
0
○触媒層の と細孔直径は温度25-80℃に対して変化しない(0%RH)
→触媒層材料の熱膨張係数から考えても妥当な結果.
0.0002
温度 : 60 ℃
湿度 : 0, 40, 60, 80%
圧力 : 105, 201, 301kPa
0
(a) Porosity/tortuosity ()
0.002
1
40
100
0.0004
表3 実験条件
60
② クヌーセン拡散成分
0.003

d /nm
Relative humidity:0 %
0.00
⊿
⊿
ln ⊿
サンプルの拡散抵抗
Rsample Rtotal ‐ 2Rcell
0.0006
8
80
0.10
4
20
TEC10V30E
1.0
0.35 mgPt /cm2
15m
,
①分子拡散成分
● 80 %RH
● 60 %RH
● 40 %RH
● 0 %RH
From Eq.(1) and Eq.(5)
100

白金担持カーボン
アイオノマー/カーボン
白金担持量
厚み
40
3
0.05
表2 触媒層仕様
20
Temperature T /C
From Eq.(1)
0.15
図5 全酸素拡散抵抗
○ 実験データ
5
0
0
,
表1 実験条件
⊿
N2
Rtotal :全拡散抵抗[s/m], N :平均モル流速 [mol/m2·s], Q:O2 流量 [m3/min]
A: サンプル面積 [m2], Co2,cell :対数平均濃度差 [mol/m3],
Co2,in 入口の酸素濃度差[mol/m3], Co2,out :出口での酸素濃度差 [mol/m3],
Rsample :サンプル酸素拡散抵抗 [s/m], RCell :セル酸素拡散抵抗 [s/m], t :厚み [m]
1/Deff 10-6 /s m-2
3
,
Q
□ 触媒層構造特性の湿度依存性
Dm,ref /m2・s-1
4
Dm /m2 s-1
1/Deff  10‐6 /s m‐2
0.0006
● 25 °C
● 40 °C
● 60 °C
● 80 °Cz
RSample
Rcell
② クヌーセン拡散成分
①分子拡散成分
DK  106 /m2 s‐1
○ 実験データ
5
out
2-
⊿
Sample
図4 セル内部での酸素濃度変化
プロファイル
③ 式(5)と②で得たから細孔直径dを導出。
P /Pref
Co
ΔCo :logarithmic mean
concentration difference
O2
Rcell
in
2-
2
②傾きの分子拡散からを得る。(
,
図1 有効拡散係数の逆数の
圧力/参照圧力依存性
計測装置概略図
①実験データを(1/Deff) 圧力に対してプロット
し、分子拡散(傾き) とクヌッセン拡散に(切片)に
分離。
,
図3 セル概略
全拡散抵抗
⊿
DK 106 /m2 s-1
/
1
3
(2)
d /nm
1
Dm,ref /m2 s-1
1
(4)
,
Dm /m2 s-1
1
○実験
従来の酸素拡散係数計測技術(3) に加湿ガス供給ライン、セル温度制御機構、排出
ガスの露点制御機構を付与し、温度湿度制御下での計測を実現
0
20
40
60
80 100
Relative humidity /%
(b) Pore diameter (d)
○触媒層の は湿度変化(0-80%)に対して低下した(60℃).
→アイオノマーの膨潤に伴い空隙構造が変化したことが示唆される結果。
○ 代表細孔径は湿度変化に対してほとんど変化しなかった
→代表細孔径dは空隙容積の1/3乗に比例であるため、解析にはより高い計測精度が必要。
□まとめ
・ガス拡散抵抗計測装置の改造により、空隙率/屈曲度()の温湿度依存性を計測する技術を確立した
・触媒層構造は温度の影響はほとんど受けないが、湿度の影響を受け、高湿度ほどが低下することが明らかになった
□今後の方針
○本手法で得た空隙率/屈曲度()が発電損失に与える影響を定量的に評価する
○温湿度環境での触媒層構造パラメータ変化をさらに理解するため、空隙率の計測技術を確立し、空隙率と屈曲度の分離技術開発に取り組む
参考文献
1) W. G. Pollard et al., Phys. Rev. 73 (1948) 762-774.
2) M. Sharma et al., Appl. Catal.B:Environ.188 (2016) 177-188.
3) K. Yokoyama et al., State-of-the-art Fuel Cell and Hydrogen Technology in Japan (2014) 145-150.
28/42
C.MEAにおける性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【C-②-2】 MEA構造解析技術開発
東京大学
○ FIB-SEM像の画像処理アルゴリズム改良により三次元構造の人為的異方性を低減し,より正確な触媒層構造の解析を可能とした
○ ESEMによる構造観察により,触媒層は水蒸気雰囲気下で液水のラプラス圧に起因して顕著に変形することを明らかにした
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
MEAにおける性能発現メカニズムを明らかにするためには,内部のナノ
構造を正確に把握し,その構造情報に基づいて物質移動解析を行う必
要がある.しかし,微細な細孔構造を持つ触媒層に関しては,アイオノ
マーを含めた構造の正確な取得がいまだ困難である.
H27年度
連続断面画像から三次元構造モデルを構築するアルゴリズムの改良
と,水蒸気雰囲気での構造変形の解析技術を発展させることにより,運
転環境下での触媒層構造をナノスケールまで決定できる評価技術の開
発を目指す.
H28年度
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
中間:数値モデル構
築技術の精度向上.
水蒸気雰囲気の構造
解析技術の構築.
三次元実構造数値モデル構築用
画像処理アルゴリズムの改良
低温度・高湿度環境における解析技術の開発
高温度・高湿度環境における解析技術の開発
MEA内部現象定量化技術開発への構造データ提供
最終:運転環境下で
の触媒層構造をナノ
スケールまで決定で
きる評価技術の確
立.
研究成果
三次元実構造数値モデル構築技術の精度向上
水蒸気雰囲気下における触媒層の構造観察
集束イオンビーム-走査電子顕微鏡(FIB-SEM)装置による
触媒層の連続断面画像
環境制御型SEM(ESEM)を用いた
水蒸気雰囲気下での構造変形の観察
課題
• 二次電子像と反射電子像により
三次元構成する従来の手法では
構成した構造に異方性
• 奥行方向の変化を考慮した
画像処理が必要?
連続断面画像
計測条件
三次元構造
1 m
•試料ステージ温度:
2oC  1oC
•水蒸気圧力:
700 Pa
前後の画像間の比較を取り入れた新たな断面抽出アルゴリズム
構造
空孔
前後の画像で低相関
空孔
空孔
前後の画像で高相関
構造
構造
空間的に一様な輝度分布
液水のラプラス圧
による構造変化
(大領域と小領域の検出を行うために
二種類の閾値を用いる)
2500
構築した構造の等方性評価
従来手法
構造
コード長
number of chords
2000
X
Y
Z
1 m
1500
1000
構造の変形
500
0
表面張力
0
3000
20
40
新手法
•改良後のアルゴリズムにより構築した
三次元構造モデルは,コード長分布の
等方性に改善が見られた.
number of chords
2500
•FIB-SEMによる触媒層の連続断面画像
から三次元構造モデルを構築する
画像処理アルゴリズムを改良した.
60 80 100 120 140 160 180 200
chord length [nm]
X
Y
Z
液水
2000
•液水のラプラス圧による構造変化を確認
1500
•触媒層構造の変形をモデル化する上での課題
 複雑形状に対する適用法
 流体・構造連成問題としての取り扱い
 材料・幾何学的非線形性
1000
500
0
0
20
40
60 80 100 120 140 160 180 200
chord length [nm]
□まとめ
• FIB-SEMによる触媒層の連続断面画像から三次元構造モデルを構築する画像処理アルゴリズムの改良を行い,画像処理に起因する人為的な
構造異方性が低減されていることを確認した
• ESEMを用いた触媒層材料の構造観察の結果、触媒層は水蒸気雰囲気下において顕著な変形が生じ、これは液水のラプラス圧に起因すること
を明らかにした.定量的評価および数値構造モデルへの反映が今後の課題である
29/42
C.MEAにおける性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【C-③-1】 MEA内部現象定量化技術開発
○触媒層内の水の動きを高精度に可視化することを狙い、コーンビームX線から平行X線にX線源を改良し、高分解能化(分解能が
2倍)を実現した
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
燃料電池の発電性能・劣化挙動に大きな影響を及ぼすMEA内水分輸送現
象を詳細に解明するため、平行X線イメージング技術(透過X線による可視化)
の開発に取り組む。
本技術開発では、実験室ベースの平行X線イメージング技術を開発し、薄膜・
薄層および構成層界面を含めた水分布の高分解能可視化を実現する。更に、
高輝度X線源と高速カメラの採用により実運転条件下における水分挙動のリア
ルタイム可視化を実現し、MEA内水分輸送現象の基礎的解明を行うと共に、
同技術を3次元計測へと発展させ、MEA内水分布の3次元解析へと展開する
ことで、水分制御技術の確立に向けた基礎的知見を獲得する。
H28年度
H27年度
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
平行X線導入による水
分布高分解能可視化
水分挙動のリアルタイ
ム可視化(高速化)
3次元技術・高感度化
水分布が性能に与え
る影響の明確化
研究成果
◆MEAのX線可視化による水分布像
◆サンプルと検出器の距離が透過像に与える影響を検証
コーンビームによる従来像
Anode
MPLなし
GDL
CCM
GDL
CL/GDL界面液水
Cathode
界面の水分布を更に明確にしてゆくために装置の改良を実施
近
遠
検出器
検出器
リブ
◆平行X線ビーム化= 高分解能化
従来
検出器
距 強
カメラ 離 度
位置
0
2 遠 小
02 遠5 小
24000
24000
サンプル
5
10
10 15
15 20
20 25
近 大
25 30
近32大
30
32
X線源
Intenisty
新規
X線源
Intenisty
18000
18000
短い
MEA
12000
12000
6000
0
6000
0
長い
500
左リブ端部を拡大
500
1000
1000
1500
1500
Position (pxiel)
Position (pxiel)
2000
2000
右リブ端部を拡大
1534
X線源とサンプルと距離は長い
サンプルと検出器距離は短い
20000
遠
377
1516
25
10000
32
2
1400
15000
遠
32
2
1513
1450
22
1500
512
10000
1550
1600
Position (pxiel)
ボヤケ幅
X線源とサンプル間の距離を長くすることで透過像の鮮明化を実現
13
1538
近
15000
499
近
20000
18
Intenisty
X線源とサンプルと距離は短い
サンプルと検出器距離は長い
新規:平行X線ビーム
0.54um/pixel 3300x2500
Intenisty
従来:コーンX線ビーム
~0.73um/pixel 1024x1024
300
350
399
400
450
500
550
Position (pxiel)
上図右のボヤケ幅を計測
サンプルと検出器の幅
32mm
2mm
22 pixels
13 pixels
(5.9μm)
(3.5μm)
サンプルとカメラの距離は近いほどボヤケは減少するが、
13ピクセル程度は残る
□まとめ
・X線光源を平行X線に改造することで、分解能は、2倍に向上することができ鮮明な画像が得られた
・一方、完全な平行にはなっていないためにボヤケが13pixels(3.5μm)程度残ることもわかった
・今年度は、カメラをCCDからC-MOSにすることで現状比1/30程度の高速化を狙ってゆく
30/42
C.MEAにおける性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【C-③-2】 MEA内部現象定量化技術開発
委託先:東京大学
○ MPL・触媒層内において水蒸気の凝縮により生じる液水分布を求めるシミュレータを構築し、検証計算を行った
○ 液水が分布するMPL・触媒層内の酸素拡散抵抗を評価するシミュレータを構築した
○ MPL・触媒層内の酸素拡散抵抗を解析するための計算負荷の少ない新たなシミュレーション手法を構築した
□ 背景・目的
MEAの多孔質材料におけるガス拡散特性の改善のためには,構造因
子との関係を明らかにする必要がある.しかし細孔径の小さい触媒層で
は拡散抵抗の実測値と理論予測値の乖離が問題である.また,実運転
下で存在する液水による拡散抵抗への影響も定量化する必要がある.
□ 実施項目・研究スケジュール
H27年度
H28年度
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
中間:酸素移動現象
と水分布評価用のシ
ミュレータの開発.現
象の支配要因の解
明.
最終:酸素・水移動現
象の各種支配要因の
感度を定量化し、高
性能・高耐久なMEA
の設計指針を提示.
酸素移動現象の解析技術の開発
酸素移動現象の解析技術の解析および各種要因の感度定量化
水分布の解析技術の開発
三次元実構造数値モデルに基づいて,実際の触媒層内部における酸
素および水の移動現象をミクロ・メソスケールシミュレーションにより定
量化する技術を開発する.また,実験との比較により,実際の移動現象
の理解を促進し,最適な材料と構造のMEAの設計指針を提案する.
水分布の解析および各種要因の感度定量化
酸素・水移動の連成解析
酸素・水移動の連成解析に基づく
各種要因の感度定量化,設計指針提示
研究成果
触媒層・MPL内の酸素移動現象解析
モンテカルロ直接法シミュレーション(DSMC)
平均場格子気体モデルに基づく相対湿度(RH)に
依存した液水分布の解析
吸着等温線(T* = 1, α = 1)
• 分子の移流と衝突現象を直接解くシミュレーション
25
1.0
Exp.
DSMC
x
y
5
0
0
z
0.0
0.0
触媒層における
酸素拡散抵抗
• 表面拡散モデルの導入
• 平均場格子気体モデルによる
液水分布を考慮した計算
• 計算アルゴリズムの変更
0.8
1.0

RH = 0.71
RH = 0.81
固体(白色)
• 狭い領域で優先的に凝縮
 気孔率から予想される以上に気体輸送が阻害される可能性
簡略化したDSMC
• 今後の課題 : モデルパラメータ(T*, α)を用いて実際の吸着等温線を再現
分子を個別に
扱えるため,
並列計算が不要
25
New DSMC
DSMC
Experiment
液水で一部閉塞したMPL内部の
酸素拡散抵抗の評価
25
DSMC法による解析
20
(1) Dry条件
気孔率:63%
(2) 相対圧力60%
実効気孔率:58.6%
10
5
300
新たに構築した計算手法は従来のDSMC法によって
得られたMPLにおける酸素拡散抵抗を再現
• i = O2, N2
⁄4
• 液水部は壁と
して扱う
Diffusion resistance
per 45.8 µm (s/m)
O2 Diffusion Resistance [s/m]
0.6
• 相対圧力増加に伴い,直径の小さな細孔から順に液水が生成
 実効気孔率の低下
• 分子数密度が空間的に一定であることを利用
• 事前に衝突確率を割り当て
100
200
Pressure [kPa]
0.4
5.8 μm
気体分子間衝突の取り扱いの簡略化
0
0
0.2
RH = 0 (Dry)
シミュレーションの高速化
15
気
体
0.2
100
200
300
Pressure [kPa]
解決方法の指針
20
液
体
0.4
10
• 触媒層における酸素拡散抵抗の
過小評価,異方性
• 液水による影響の評価
• 計算負荷の軽減
平衡状態にある
気体分子群を仮定
Adsorption
Desorption
0.6
15
解析の課題
通常のDSMC
密度
0.8
20
MPLにおける
酸素拡散抵抗
:流体-流体間相互作用εff
:固体-流体間相互作用εsf

5.7 μm
Diffusion resistance [s/m]
30
窒素と酸素を境界から流入
 正味の流束から
酸素拡散抵抗を計算
固体 流体
大規模数値解析による
触媒層・MPL内の液水分布評価
Experiment @ Dry
DSMC @ Dry
(porosity 63%)
DSMC @ 
(apparent porosity 58.6%)
15
10
5
0
0
50
100
150
200
250
300
Pressure (kPa)
相対圧力の増加に伴い,酸素拡散抵抗が増加
□まとめ
• MPL・触媒層内において水蒸気の凝縮により生じる液水分布を求めるシミュレータを構築した。本シミュレータをMPLの数値構造モデルに適用し、
水蒸気圧力の増加に伴って、直径の小さな細孔が優先的に液水によって埋まる様子が再現されることを確認した。実際の材料の吸着等温線を
再現するようにモデルパラメータを決定することが今後の課題である
• 液水の存在するMPL・触媒層内における酸素拡散抵抗の増大を定量的に評価するシミュレータを構築した
• 酸素拡散抵抗を評価するための計算負荷の少ない新たなシミュレーション手法を構築し,従来のDSMC法によって得られたMPLにおける酸素
拡散抵抗が再現されることを確認した
31/42
C.MEAにおける性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【C-⑤-1】 MEA性能発現機構解明
京都大学大学院工学研究科
○カソード触媒層の等温1次元モデルを無次元化することによって、系の自由度を下げ、無次元モジュラスを提案した
⇒自由度が12個あった有次元の系を、無次元化することにより自由度を5に下げることができた
○触媒有効係数に及ぼす影響を検討し、支配的モジュラスを明らかした
(c)
⇒主として反応と輸送の比である MO(c)
m と Mpm で有効係数が決定されることを明らかにした
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
酸素還元の本質的電気化学反応速度を定式化し組み込むことのできる
MEAのマクロモデルを開発する。MEA性能を決定する各因子の寄与
を理論的定量的に解析し,MEA性能発現機構を定量的に検討する。
H28年度
H27年度
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
MEAのマクロモデル開発
MEA性能発現
機構解明
MEA性能を決定する因子の定量的解明
数個の無次元モジュラスで決まる反応速度分布によってカソードの性能
を表現することに取り組む。このアプローチをMEA全体に拡張して,装
置形状などに起因する個体差を吸収し,MEA性能を統一基準で定量的
に比較できるようにする。
カソード動作状態表示法の開発
無次元モジュラ
スによるMEA性
能表示法の開発
MEA性能表示法の開発
研究成果
◆無次元モジュラスによるカソード動作状態表示法の開発
輸送抵抗がカソード反応速度に与える影響
kvc
pOm
PEM 側
zm
N O  0 at z m
i
Np 
at zm
F
pO
pOc
zc
 4rvc
dz
dE
FN p  σ ep c
dz
 E 
dN O
  k vc exp  c  p
dz
 bc 
B.C. O = 0
yO = yOc
反応速度
B.C. p = i/F
dEc/dz = 0
@ z = zm
@ z = zc
rvc  k vc pO
@ z = zm
@ z = zc
酸素とプロトンの反応量論関係
 E  Ecm 
 E 

k vc  k vc exp  c   k vcm exp  c
bc


 bc 
O2
N p  4( N O  N Oc )
酸素流束
0
O 
zc
N p  0 at zc
4 H + + 4 e- + O 2 → 2 H 2 O
N O (C)
Cg DeO yOc
d O
 PO(C)m O  1  yOc O  O
d
2
d c
  M p(C)m e   O
d 2
2
c
1
0
0.5
PEM side
c 
Ec  Ecm
bc
2
B.C. O = 0
O = 1
c = 0
@=0
@=1
@=0
反応と酸素拡散輸送の⽐
MO(C)m   (C)
1
c 
無次元酸素流束より算出
Fe(C) 
 N Oc
 (C ) k vcm pOc

 Oc
M O( Cm)
2
無次元プロトン流束より算出
PO(C)m = 0.1, yOc = 0.62
0.1
k vc pO
 e  c  O
k vcm pOc
1
Mp(C)m
 ep dEc
10
(C)
e
F
対流が有効係数に与える影響
10

4 F dz
zm
 (C ) k vcm pOc

d c
d
zm
2
M p(mC )
10
16
μm
Increase
thickness
6.5
μm
1
4.5
μm
1
 (C) N A(M)
Cg DeO
CL-GCL境界での酸素モル分率
yO c 
Ec カソード起電⼒ [V]
Cg 全ガス濃度 [mol/m3]
DeO 酸素の有効拡散係数 [m2/s]
σep 有効プロトン伝導度[S/m]
kvc 触媒層体積基準の1次反応速度定数 [mol/(Pa・m3・s)]
1
GDL側

実際の反応速度
プロトンと酸素の輸送抵抗が
ない場合の本質的反応速度
Fe(C)    c d
MO(C)m = 5
0.1
0.01
(C)
Mpm
酸素の対流輸送と拡散輸送の⽐
Fe(C) =
0
反応とプロトン輸送の⽐
4 Fk vcm pOc
 epbc
0
PEM側
1
MO(C)m = 1
kvcm P
Cg DeO
M p(C)m   (C)
⾯積 = 有効係数
0
GDL side
MO(C)m = 0.1
電気化学反応・酸素拡散・プロトン輸送の相対的速さによる整理
点でカソードの状態が表現できる
線でカソードの状態の経時変化が表現できる
0.5

1
無次元反応速度より算出
カソード起電⼒
(C)
d c M p m

( O  Oc )
2
d
M O(C)m
PO(C)m 
10
0.5
10
無次元位置 
1
酸素分圧
p
O  O
pOc
2
d O
  M O(C)m e  c  O
d
0.4
0.2
0/1
0.8
0.6
0.4
0.2
0
0
有効係数の推算
1次元等温モデルの無次元形
GDL 側
dEc
dz
dN p

Fe(C)  f yOc , PO(C) m , M O(C) m , M p(C) m
無次元カソード起電⼒ c
PEM カソード GDL
Ec
Ecc
Ecm
N g  N A(M)  N O
dyO
dz
プロトン輸送遅い
(C) = 0.411 (b) M(C) = 1 (c) M(C) = 4.11
(a) Mpm
pm
pm
1
3
0.8
2
0.6
(C)
Mpm
O2
N O  N g yO  Cg DeO
無次元反応速度 無次元酸素分圧
O
rvc / (kvcmpOc)
e-
H+
プロトンの収⽀式と輸送速度式
酸素の収⽀式と輸送速度式
有効係数, Fe(C)
カーボン アイオノマー
ブラック (導電性⾼分⼦) Pt 粒⼦
反応と⽐べて
プロトン輸送速い
無次元反応速度
rvORR/(kv,ORRmpOc)
等温条件を仮定して単純化した解析を行い,湿度,酸素分圧,カソード
起電力ならびにカソード触媒層の立体構造がカソード動作状態に与え
る影響を定量的に整理し,カソード動作状態を示すことのできる無次元
モジュラスを提案する。
有次元モデル
pOc
P
Decrease
thickness
0.1
0.1
1(C)
MOm
10
PO(C)m = 0での有効係数(対流なし)
NO 酸素の流束 [mol/(m2・s)]
Nt 全ガス流束 [mol/(m2・s)]
Np プロトン流束 [mol/(m2・s)]
NA(M) ⽔分透過流束 [mol/(m2・s)]
P 全圧 [Pa]
pO 酸素分圧 [Pa],yO 酸素のモル分率
0.1
0.1
1(C)
MOm
10
PO(C)m = 1での有効係数
bc Tafel勾配 [V]
(C) 触媒層厚 [m]
Ecm PEM側境界におけるカソード起電⼒(≒IR補正セル電圧) [V]
pOc GDL側境界における酸素分圧(層内の最⼤値) [Pa]
kvcm PEM側境界における触媒層体積基準のORR速度定数
(層内の最⼤値) [mol/(Pa・m3・s)]
□まとめ
・輸送抵抗の増大に伴い有効係数は減少する。 Mpm(c)が大(プロトン輸送抵抗=大)のときカソード起電力が増加し、その結果ORR速度が低下
する。反応律速下では有効係数は1に近い値をとる。プロトン輸送律速下では反応場はPEM側に寄り、酸素輸送律速下ではGDL側に寄る
(c)が0.1より大きい条件では対流の影響を無視することはできない。 M (c)の方が M (c)よりも有効係数に与える影響はやや大きい
・ POm
Om
pm
・今後は実測した分極曲線データから無次元モジュラスを推定する手法の開発を行う
32/42
C.MEAにおける性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【C-⑤-2】 MEA性能発現機構解明
京都大学 大学院人間・環境学研究科
○MEA電極サイクル劣化に伴い、中ー長距離における構造変化が見られ、質量活性および面積比活性との相関があることを、放射光
X線回折測定により明らかにした
□ 背景
□ 実施項目・研究スケジュール
これまでの触媒解析では、EXAFS解析による短距離の局所構造の解析や
TEM観察が行われてきているが、それだけでは触媒特性の理解が不十分であ
る。そこで、放射光X線回折測定と二体相関関数(PDF)解析により、結晶周期
性をもたない触媒層構造の中長距離にわたる差異を明らかにして、電極特性・
劣化特性、Ptの電子構造・局所構造と合わせてRDEとMEAの両者の差の本質
を解明する。
H27年度
H28年度
放射光X線回折測
定系の確立
H29年度
H31年度
目標成果
高性能な電極
触媒の設計指
針
適用系の拡大と解
析
二体相関関数
(PDF)解析
□ 目的
・MEA電極の構造を放射光X線回折測定により解析する手法の確立を行う。さらに、
電極特性と電極構造との相関を明らかにする
H30年度
MEA性能発
現機構の解
析・評価
PDF解析と電気化学特性
との相関
各種白金試料作製
研究成果
パラメータの検討
放射光X線回折測定
試験プロトコル
MEA仕様
IV
エージング
GDL
種類
-
Pt/C
-
I/C
アノード
-
Pt担持量 mgPt/cm2
Pt/C
-
I/C
カソード
-
Pt担持量 mgPt/cm2
電極面
cm2
-
積
CL
PEM
種類
Sigracet 28BC
GKB(Pt:50%)
1
0.35
TEC10V30E
1
0.34
Annealing Sample
TEC10V30EをN2雰囲気下で200ºC, 400ºC, 600ºC,
800ºCでそれぞれAnnealing
Cycle試験 Sample
MEAを作製し、0,100,200,400,800回のCycle試験
IV
負荷変動試験
COパルスボルタンメトリー
負荷変動試験
測定方法
キャピラリー
キャピランリー中の触媒に放射光を入
射し、生じた散乱光を検出器で測定
1
検出器
,,
-
入射スリット
検出器を2θ方向に移動させること
で、各角度ごとの散乱光を測定
触媒
アニーリング試験前後の試料の二体分布関数
ピーク位置と面積比活性との相関
10
200℃
400℃
600℃
800℃
untreated
8
6
4
10
0
0
2
0
-10
-2
-10
0
10
20
30
40
-20
15.1 15.2 15.3 15.4 15.5 15.6 15.7
50
20.3 20.4 20.5 20.6 20.7 20.8
r/Å
r/Å
・Annealingすることによって、遠い距離でもピークが観ら
れた
→サンプルの規則性が向上している可能性を示唆
15.415
20.7
15.405
20.6
15.400
20.5
15.395
15.390
20.4
15A付近のピーク
35
r/Å
40
45
50
55
4
20.8
20A付近のピーク
15.410
15.385
-4
-20
6
60 65
70
12.70
200℃
400℃
600℃
800℃
untreated
0
-2
-4
-6
12.69
12.68
-8
20.3
-10
12.4
ECSA /m2Pt gPt-1
12.5
12.6
12.7
12.8
12.67
12.9
480
r/Å
520
560
IS / A cmPt-2
600
13 Å付近のピーク位置が増加するのに伴い
面積比活性が増加
・15 Å付近のピーク位置が減少するのに伴ってECSAが増加
・20 Å付近のピーク位置が増加するのに伴ってECSAが減少
13 Åに存在する原子同士の原子間距離が面
積比活性に大きく寄与していると考えられる
逆モンテカルロ法によるモデリングを行いピークを同定す
ることで活性因子について今後検討する
・Annealing温度に伴ってG(r)の強度が増加
→配位数、真密度、Debye-Waller因子が変化している可
能性を示唆
2
G(r)
200℃
400℃
600℃
800℃
untreated
Peak position / Å
20
10
G(r)
G(r)
30
20
Peak position / Å
200℃
400℃
600℃
800℃
untreated
Peak position / Å
ピーク位置と質量活性との相関
40
サイクル試験前後の試料の二体分布関数
40
G(r)
20
ピーク位置と面積比活性との相関
ピーク位置と質量活性との相関
cycle 0
cycle 100
cycle 200
cycle 400
cycle 800
aging
30
10
0
-10
50
・Cycle試験によってG(r)の強度が増加
→配位数、真密度、Debye-Waller因子が変化している
可能性を示唆
・逆モンテカルロ法によるモデリングを行いピークを同定
することで活性因子について検討可能
6.201
6.200
6.199
6.198
6.197
6.196
8.316
8.314
8.312
8.310
8.308
8.306
8.304
8.302
8.300
120 130 140 150 160 170 180 190
Im /A gPt-1
7.329
7.328
7.327
7.326
4.801
7.325
7.324
4.800
7.323
7.322
7.321
4.799
7.320
7.319
7.318
4.798
7.317
120 130 140 150 160 170 180 190
Im /A gPt-1
4.802
・5 Åから 8 Åのピーク位置と高い相関性
・27 Åから30 Å付近のピークとも高い相関性
近傍だけでなく、遠く離れた原子の影響も受けることを示唆
□まとめ
• 放射光X線回折測定を行うことによって、それぞれの触媒の中長距離に渡る原子間距離を求め
ることができた
• アニーリング試料とサイクル試験後の試料において、中長距離の構造に大きな違いがあること
を明らかにした。サイクル試験後の試料について、質量活性は近くに存在する原子の原子間距
離だけでなく、遠くに存在する原子の原子間距離とも高い相関性を示した。一方、面積比活性
は、近くに存在する原子よりも長距離側に存在する原子の影響をより強く受けることが示唆され
た
29.84
10.7505
10.7500
10.7495
10.7490
10.7485
10.7480
10.7475
10.7470
10.7465
12.075
12.070
12.065
12.060
12.055
12.050
320 360 400 440 480
IS /A cmPt-2
20.5
29.83
20.4
29.82
20.3
29.81
20.2
29.80
29.79
20.1
20.0
Peak position / Å
6.202
Peak position / Å
・Cycle 0のSampleと比較してより遠い距離でもピーク
が観られた
→サイクルによってサンプルの規則性が向上している
可能性を示唆
Peak position / Å
40
Peak position / Å
30
r/Å
Peak position / Å
20
Peak position / Å
10
Peak position / Å
0
Peak position / Å
-20
29.78
320
360
400 440
IS /A cmPt-2
480
・中距離(10 Å~12 Å)の原子とも相関性を示す
・30 Å付近のピークと最も高い相関性を示す
近傍ではなく、中長距離に存在する原子の影響を大きく受ける
□今後の方針
・逆モンテカルロ法を用いて、MEA触媒のより
定量的な構造を行う
・合金系の触媒に対して放射光X線全散乱回
折を適用し、触媒活性と電極構造との相関を
明らかにする
33/42
C.MEAにおける性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
電気通信大学
【C-⑥】
MEA劣化機構解明
【C-⑥- 1】 時間空間分解XAFS等計測技術を用いた燃料電池触媒構造反応解析
○ 放射光計測用JARI標準型燃料電池セルを開発し、低担持量触媒における時間分解XAFS/XRD計測や3次元CT-XAFS計測が可能になった
○ in-situ CT-XAFS計測システムを高精度化し、触媒層の境界・内部を100 nm分解能で観察可能にした
○ 集光ビームを用いた走査型CT-XAFS計測を開発し、希薄に分布する金属種の3次元イメージングに成功した
○ SiNメンブレンセルを開発し、水蒸気飽和・常圧下におけるMEA切片のXAFS・TEM/STEM-EDSの同視野測定に成功し、真空下のカソード亀裂
生成や電子線照射による白金種の移動を抑えた測定を可能にした
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
燃料電池の性能・耐久性の⼤幅増⼤と各段の低コスト化のためには、MEA内触媒を直接観察し活性構造、劣化
の因⼦やメカニズムを明らかにすることで、次世代燃料電池触媒設計の理解と開発を加速するものと期待される。
H27年度
H28年度
H29年度
H30年度
H31年度
(a) In-situ PEFC全系評
価分析システムを利用し
た触媒反応・劣化機構の
高精度解明
システムの再構築とMEA
電極触媒の構造・形態・
化学状態計測
MEA 機 能 最 大 限 化 と 長
期劣化機構解明
(b) BL36XUの各種最先端分析手法の有効、効率的
かつ高精度な利活用の展開
(c) ナ ノ XAFS-STEM/ MEA電極触媒の同視野
EDSの 同視 野計 測法 に 空間解析法を改良・確立
よるMEA劣化機構解明
MEA電極触媒の空間化
学状態・構造変化と空間
劣化機構解明
(d) 実 地 運 転 モ ード 下 の MEA電極 触媒の 働きの
PEFC の リ ア ル タ イ ム 実態・挙動を直接計測・
XAFS計測によるMEA劣 解析
化機構解明
実地運転モード下のMEA
機能最大限化と劣化機構
解明
in-situ CT-XAFS計測により、PEFC内構成要素(触媒層、電解質膜層)の形態、触媒の3次元化学状態分布を明
らかにする。電位過渡応答に対する時間分解XAFS/XRD計測により、触媒の構造変化と反応素過程を明らかにす
る。各電位下での発光分光計測により、触媒粒⼦表⾯の吸着原⼦種の同定を⾏う。得られた全データを解析する
ことにより、精度よくPEFC機能最⼤化、劣化機構解明を遂⾏する。
平成29年度中間⽬標︓BL36XUで開発した各分析⼿法をより有効、効率的かつ⾼精度に利活⽤できるよう整備
し、他の解析法では得ることが困難なMEA触媒⾃⾝の反応・劣化機構の⾼精度解明のための計測・解析法を確⽴
し、MEA劣化挙動・実態と電気化学的劣化との関係と特徴を提⽰する。
平成31年度最終⽬標︓XAFS法を中⼼とする最先端放射光分析⼿法および、in-situ PEFC全系評価分析システム
を駆使し、MEA劣化機構を解明し、⾼活性・⾼耐久性燃料電池触媒開発の設計指針を提⽰する。
研究成果
燃料電池解析専⽤XAFSビームラインBL36XU
新ビームラインBL36XUの特徴と性能
 燃料電池のリアルタイムナノ計測に最適化されたXAFS計測法の構築1)
 エネルギー範囲: 4.5 ~ 35 keV
 時間分解能: 100 μs (エネルギー分散XAFS法)
2 ms (クイックXAFS法)
 空間分解能: 100 nm (2D: ⾛査型顕微XAFS法、3D︓⾛査型CT-XAFS法)
1 μm (3D: 投影型CT-XAFS法)、50 nm (3D: 結像型CT-XAFS法)
計測法
10 msクイックXAFS
分解能
時間
平⾯
100 nm
-
〇
×
BL36XUの基盤計測法
-
〇
○
⾼速計測に特化
DXAFS
100 μs
100 μm
-
×
×
モデル試料, 超⾼速計測
時間分解QXAFS/XRD計測
100 ms
100 nm
-
〇
×
XAFS, XRDの同時計測
⾛査型顕微XAFS
30 min
100 nm
-
〇
〇
希薄試料, ⾼速2次元計測
透過型イメージQXAFS
10 s
1 μm
-
×
○
In situ⾼速2次元計測
3D-ラミノグラフィXAFS
2h
1 μm
1 μm
〇
○
⾮破壊3次元計測
投影型CT-XAFS
2h
1 μm
1 μm
〇
○
In situ⾮破壊3次元計測
In situ⾼分解3次元計測
結像型CT-XAFS
3h
50 nm
100 nm
〇
○
⾛査型CT-XAFS
5h
100 nm
100 nm
〇
〇
希薄元素3次元計測
1 min
100 μm
-
〇
○
吸着化学種同定
1.5 h
100 μm
-
〇
○
吸着化学種同定
10 min
10 μm
-
〇
○
試料雰囲気制御, ⾼速計測
共鳴X線発光分光(RIXS)
雰囲気制御型HAXPES
キャピラリ
コンデンサ
ダイヤフラム
試料
セル
フレネルゾーン
プレート(FZP)
⾼分解能X線
イメージング検出器
回転軸
KBミラー
X線
ビーム
ストップ
300-400 mm 30-75 mm
ピンホール
燃料電池セル
4素⼦SDD
2000-2500 mm
in-situ 結像型CT-XAFS計測システム概念図
⾼剛性⽯定盤
50 nm パターン
2次元X線
イメージ検出器
XAFS・TEM/STEM-EDSの同視野測定2)
in-situ 3次元⾛査型CT-XAFS計測システム
MEA内で希薄に分布する⾦属種(劣化過程で⽣ずる不純物元素や溶出触媒⾦属など)の3次元イメー
ジングの実現
 透過型CT法︓希薄に分布する⾦属種に対する検出感度が不⼗分
 ⾼検出感度をもつナノビーム⾛査型蛍光X線CT法を導⼊
フィードバック
Xステージ
ステッピングモーター
Zステージ
2) S.Takao, et al., J. Phys. Chem. Lett., 6, (2015) 2121-2126.
XAFS・TEM/STEM-EDSの同視野測定により、相補的な情報を得る⼿法の開発
 ナノXAFSによる化学状態変化や凝集・溶解の空間分布
 TEM/STEM-EDSによるカーボン担体やアイオノマー、⽩⾦粒⼦の空間分布
⽔分が失われ、アイオノマーが
収縮するなどにより元の構造が壊れる
TEM/STEM-EDSも⽔蒸気飽和・常圧で
測定する必要性がある。
Nano X-ray
MEAの2次元蛍光X線顕微像
蛍光X線CT計測
 試料を±80°回転(⾓度制限計測)
 2°ステップで2次元蛍光X線顕微像を計測
Electron beam
ディフューザ
特徴
100 nm
1) O. Sekizawa, et al., J. Phys. Conf. Ser., 712 , 012142 (2016).
X線
新規
開発
2 ms
⾼エネルギー分解XANES
in-situ 3次元結像型CT-XAFS計測システム
希薄
試料
適応
10 ms
2 msクイックXAFS
触媒層内部や電解質膜境界などのナノスケールの3次元イメージングを実現
 透過型CT法(分解能︓1 µm)では、触媒層内部・界⾯を⾼精度に観察することが困難
 結像光学素⼦を利⽤した50 nm分解能を有する3次元イメージング計測
深さ
Nano XAFS
EDS
TEM/STEM
真空パス
ディフューザー
ピンホール
X線
FZP
キャピラリ
コンデンサー
ビームストップ
燃料電池セル
2次元X線結像イメージ
試料︓X線チャート
Ta 200 nm on SiN
最⼩パターン︓ 50 nm
ガス拡散層
アノード
触媒層
カソード
触媒層
電解質膜
カソード
触媒層
電解質膜
耐久試験後の電極膜断⾯像
 カソード︓PtNi触媒
 アノード︓Pt触媒
 ⼊射X線︓11.659keV
Pt Lα蛍光X線CT
 Pt分布像
Ni Kα蛍光X線CT
 Ni分布像
透過X線CT
 セル内部モルフォロジー
ガス拡散層
カソード
触媒層
ガス拡散層
アノード
触媒層
結像型CT 再構成像 10 μm
投影型CT 再構成像
電解質膜
アノード
触媒層
100 μm
ガス拡散層
100 μm
100 nm
 結像型CTにより電極膜内触媒層を⾼分解能に可視化
 発電下で触媒層の境界領域、内部構造を明瞭に観察可能
 触媒の凝集過程やナノスケールの空隙の⽣成過程を可視
1 m
化可能
再構成像(MEA断⾯)@蛍光CT
 ⾛査型CTにより電極膜内のPt/Ni分布、モルフォロジーを可視化
 投影型CTと⽐べてGDLなどの影響が少ない
 測定したい元素のみを直接観察することが可能
 カソード・アノードのPtを区別して再構成可能
□まとめ
• PEFC動作下3次元イメージング計測法の安定利用に向けた整備
• CT計測法の高精度化により100 nm分解能3次元イメージングが可能に
なった
• 大気圧飽和水蒸気下のXAFS・TEM/STEM-EDS同視野計測に成功し、
Ptの酸化溶出または脱落の制御因子を抽出できた
4
脱落
□今後の課題
• 産業界の要望に応える放射光分析計測法の高度化
• ニーズに対応した試料と課題解決のためのビームライン利活用に関
わる整備
• 長時間要する計測の迅速化による試料ダメージの軽減
• 大容量データ解析の高効率化
34/42
C.MEAにおける性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【C-⑥】
MEA劣化機構解明
【C-⑥-2】 In-situ時間分解XAFS・イメージングXAFSに
よるPEFC電極触媒の反応機構・劣化機構の可視化
名古屋大学
○BL36XUの硬X線を用いたin situ(その場)時間分解XAFS・イメージングXAFS (コンピューティッド・トモグラフィーXAFS: CTXAFS) 計測法・解析法を整備した
○PEFC発電条件下で、MEA内の電極触媒の時間分解・空間分解XAFS構造解析を行った。特に、加速劣化試験前後におけるカ
ソード電極触媒のMEA内部での劣化(溶出・凝集)を3次元的に可視化することに成功。その際の反応速度の変化も明らかにした
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
これまでにBL36XUにおいて開発してきたin situ時間分解XAFS法、in
situイメージングXAFS法を改良・確立し、固体高分子形燃料電池電極触
媒の反応・劣化に関わる各種構造因子を可視化する。特に、3次元イ
メージングXAFS法であるコンピューティッド・トモグラフィーXAFS (CTXAFS) のin situ計測法と解析法を整備することで、PEFC発電条件にお
けるMEA中の電極触媒の3次元的な分布や酸化状態、局所構造の違い
を非破壊で直接的に可視化することを目指した。また、in situ時間分解
XAFS法により、加速劣化試験前後での各種反応の速度定数を算出し、
触媒劣化に伴う反応性の違いを明らかにすることを目指した。
H28年度
H27年度
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
In situイメージングXAFS計測法・解析法の確立
In situ時間分解XAFSによる反応・劣化機構可視化
In situイメージングXAFSによるMEA内の触媒劣化可視化
研究成果
In situ 3次元イメージングXAFS (CT-XAFS) 計測法・解析法の整備と
MEA中のカソード触媒劣化の可視化
CT法により再構成したMEA3次元像
X
CT-XAFSセットアップ
Si(111)
monochromator
試料を回転させて
各回転角度で
透過像群を撮像。
TC slit
Sample
Z
0
X
Y
High-spatial
resolution
X-ray image
detector
CT-XAFSデータイメージ
5 μm
20 μm
燃料電池の発電条件下で
非破壊でMEAの各部材における
触媒分布やその化学状態の違いを
可視化できる。
40 μm
85 μm
85 μm
X-ray
energy
Pt LIII-edge XANES (Energy: 184 points, measurement time: 2.5 h)
ADT前は、カソード触媒層の部分に
Ptが分布している様子が観察された。
Nafion膜にはPtは見られない。
Z
Y
0
85 μm
85
584 μm
0
6
e
r
r
o e
f
t
e
f
b a
Cathode catalyst layer
Around the interface
of cathode and nafion
Nafion membrane
After ADT
Cathode
t
P
1
g
2
m
/
A
S
C
E
Before ADT
X
647 μm
0
8
ADT後は、カソード触媒層の部分から
Nafion膜の位置にまで、Ptの分布が
広がっている様子が観察された。
また、特定の箇所にPtが凝集している
様子が可視化された。
PEM
0
4
Anode
0
0
0
0
2
0
0
0
5
1
0
0
0
0
1
0
0
0
5
0
0
2
MEA prepared by Eiwa Co. Ltd.
 Cathode catalyst: TEC10E50E
(50 wt%-Pt/C, 0.5 mg/cm2, 10-20 m)
Anode catalyst : TECPd(ONLY)E50E
(50 wt%-Pd/C, 0.5 mg/cm2, 10-20 m)
 Membrane: Nafion NR212 (thickness = 50.8 μm)
 GDL: TGP-H-030 (d ≃ 110 μm)
CTの再構成で、各部材の
モルフォロジーが鮮明に画像化。
CT-XAFS法により再構成したPtカソード触媒の3次元分布
得られた透過像群を
コンピュータ上で
再構成して3次元像を得る。
加速劣化試験前後での
同一のMEAでの観察を実施。
測定試料と加速劣化試験
Gas
diffusion
layer
(GDL)
Y
584 μm
View field: 666 × 666 μm
Spatial resolution: 0.325 μm
X axis
Anode
Pd/C cat.
85 μm 〜20 μm
-
1600
angles
Cathode
Pt/C cat.
〜20 μm
Nafion
Z
Measure at 1600 angles
Angle: ±80° (Δ = 0.1°)
Time: 16 s/energy (100 Hz)
Z axis
I (E)
image
0 μm
-
Undulator
647 μm
Rotation axis
Rotating
diffuser
Gas
diffusion
layer
(GDL)
Z
e
l
c
y
c
T
D
A
In situ 3次元イメージングXAFS (CT-XAFS) 計測法・解析法の整備と
MEA中のカソード触媒劣化の可視化
(0.4 V→1.0 V)
Pt/C
As prepared
ADT 2k
ADT 17.5k
ke1
Charge
測定試料と加速劣化試験
Pt, Pt3Coを用いた
MEAで検討。
XANES, EXAFSを測定
Anode (H2): 150 mL min-1
Cathode (air or N2): 600 mL min-1
Cell temp.: 353 K
Humidity: 93% (351 K)
ADTの回数に応じて、
0.4 – 1.0 Vの電圧サイクルに
おける速度定数を算出。
ke1
kPt
Pt valence
ΔPt valence
ΔCNPt‐Pt
ΔCNPt‐O
kPt
kPt‐Pt
kPt‐O
ke2
CNPt‐Pt
0.4 V→1.0 V (k)
1.0 V→0.4 V (k’)
kPt‐Pt
kPt‐O
Pt LIII端EXAFS
フーリエ変換
r ‐1
(TEM)
ECSA
ke2
Pt LIII端XANES
MEA prepared by Eiwa Co. Ltd.
 Cathode catalyst: TEC10E50E, TEC36E52
(50 wt%-M/C, 0.5 mg/cm2)
Anode catalyst : TECPd(ONLY)E50E
(50 wt%-Pd/C, 0.5 mg/cm2)
 Membrane: Nafion NR212
100 ms毎にPt LIII端の
 GDL: TCP-900
Pt/C
ADT回数に対する各パラメータをプロット。
CNPt‐O
Pt3Co/C
ECSA
(1.0 V→0.4 V)
As prepared
ADT 2k
r ‐1
(TEM)
ΔPt valence
ΔCNPt‐O
ΔCNPt‐Pt
ADT 17.5k
ke1
0.4 V→1.0 V (k)
1.0 V→0.4 V (k’)
kPt
kPt‐Pt
kPt‐O
ke2
Pt/C : ADTの進行に応じて、粒子の凝集は進行して、表面の反応サイト数は
減少するが、個々の反応性には大きな変化は見られなかった。
Pt3Co/C : ADTの進行に応じて、Pt-Co合金粒子からCoの溶出が進行し、
それとともに、表面のPtの反応性も低下していく傾向がみられた。
□まとめ
・BL36XUで開発したin situ時間分解XAFS法、in situイメージングXAFS法により、PEFCの発電条件下での、カソード電極触媒の反応性や空間分布を
直接可視化することに成功した
・CT-XAFSでは、加速劣化試験の進行に伴って、カソードPt触媒が電解質層にまで広がっていく様子を発電条件下、非破壊で観察することができた
・カソード触媒層のドメイン毎に、粒子凝集やイオンの凝集が進行している様子が観察され、加速劣化試験によって、合金系カソード触媒の反応性が
変化していく過程も明らかにした
・今後は、様々な発電条件、使用条件における電極触媒の劣化過程の解明を実施する予定である
35/42
C.MEAにおける性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【C-⑥】
MEA劣化機構解明
【C-⑥-3】 雰囲気制御型硬X線光電子分光法を用いた
燃料電池触媒のin-situ状態解析電極触媒構造解析技術開発
分子科学研究所
○雰囲気制御型硬X線光電子分光装置の改良を行い、0.5気圧のガス雰囲気下での光電子分光測定に成功した
○時間分解能100msの時間分解光電子分光測定システム開発した
○光電子分光法による非接触での物質の電位測定を行い、電圧印加時の電極物質の電位分布を解明した
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
実走行モードに近いMEA動作条件下での硬X線光電子分光観測により、
さまざまな大気圧環境下、急激な変動を伴う環境下、触媒被毒が生じる
環境下等での電極触媒挙動を解析し、長期劣化メカニズム、被毒劣化メ
カニズム解明のための解析技術を確立する。そのためにSPring-8ビー
ムラインBL36XUにおいて大気圧環境下でも動作可能な雰囲気制御型
光電子分光装置を開発する。また同時に時間分解測定が可能な光電子
分光測定システムを開発し、MEA動作時の急激な条件変化に対応する
電極触媒の挙動を直接観測する。これらの測定により得られたデータを
解析し電極触媒の劣化メカニズムを解明する。
H27年度
H28年度
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
大気圧光電子分光装
置の開発
時間分解光電子分光
測定システムの開発
大気圧環境下での触
媒の劣化機構の解明
変動環境下での触媒
挙動解析
研究成果
小径アパーチャーと差動排
気によりガス雰囲気下での
光電子分光を可能にする
アパーチャー
アナライザー
特徴
・φ50 µmアパーチャー
・CCDによる試料位置の観測
・精密xyzステージ (精度0.5 µm)
・高精度ロータリーステージ(精度0.001°)
・キャパシタンスゲージによる圧力計測
・コンパクトな測定槽
・アパーチャー交換の簡易化
Intensity
測定室
1mm
50μm
φ50µmアパーチャー
SPring-8 BL36XUに設置
50 kPa
1.5
1
0
0.5
-1
90
88
86
84
82
Binding Energy (eV)
90
80
1000
時間 / s
Intensity
5805
200s
5805
5825
5810
5815
5820
Kinetic Energy / eV
5805
5810
5815
5820
Kinetic Energy / eV
5825
5805
5805
5825
5810
5815
5820
Kinetic Energy / eV
5825
5810
5815
5820
Kinetic Energy / eV
5810
5815
5820
Kinetic Energy / eV
5825
5805
5810
5815
5820
Kinetic Energy / eV
2122.36 eV
アイオノマ―
(Nafion)
5805
1.2V
1.0V
白金触媒
(Ptナノ粒子)
1.4V
0.8V
1.2V
0.6V
0.4V
1.0V
0.8V
0.2V
0.4V
V
2115 290
2125
2120
Binding Energy / eV
O1s
285
Binding Energy / eV
・・・ Pt 3d
・・・ C 1s
・・・ F 1s
・・・ O 1s
カソード側を接地
280
1.4 V
1.0V
1.2 V
0.8V
1.0 V
0.6V
0.8 V
0.6 V
0.4V
0.4 V
水蒸気
0.2V
540
150 s
10 s
5s
0s
50 s
5805
5825
5810
5815
5820
Kinetic Energy / eV
5810
5815
5820
Kinetic Energy / eV
-5 s
アノード電極
(H2+H2O:4200 Pa)
0.8
Cathode
F1s
0.8
5805
5825
Anode
0
C1s
Pt3d
-0.4
F1s
O1s
-0.8
0.4
0.6 0.8
Voltage / V
1
1.2
1.4
0.2
Pt3d
0
C1s
-0.2
C1s
F1s
-0.4
0
0.2
0.4
0.6 0.8
Voltage / V
1
1.2
O1s
-0.6
Pt3d
-1.6
0.2
O2 flowing
0.6
0.4
0
0
5825
カソード電極
(O2+H2O:6000 Pa)
0.8
0.4
O1s
0.4
5810
5815
5820
Kinetic Energy / eV
電圧上昇時は酸化ピークが現れるのに時間がかかり、
電圧下降時は変化速度が速い
5825
-0.8
1.4V
光電子ピークのシフ
トより電極内の各要
素の電位を測定
5000
1.4
-0.8
0
0.2
0.4
0.6 0.8
Voltage / V
1
1.2
1.4
F1s
1.2V
白金触媒
担持体
アイオノマー
水
1.4 V → 0.4 V (25回積算)
-1.2
0.2V
2130
50 kPa(0.5 気圧)下での
光電子スペクトルの取得に成功
15 s
-0.4
0.6V
両極間に電圧を印加
1000h
200 s
カソード電極
(H2O:4000 Pa)
C1s
1.4V
担持体
(カーボン
ブラック)
80
300 s
5825
5810
5815
5820
Kinetic Energy / eV
5825
Peak shift / eV
Pt3d
100h
0s
5805
電圧印加によるカソード電極の
各スペクトルの変化 (H2O:4000 Pa)
カソード電極 高分子膜 アノード電極
10h
100 s
◆電池動作時における電極内の電位分布の非接触測定
水
82
Intensity
5810
5815
5820
Kinetic Energy / eV
Intensity
MEA
1h
50 s
Intensity
100s
CE
RE
WE
0.1h
250 s
-3
2000
1500
Intensity
電気化学アナライザ
PC
Intensity
5805
84
5000
電圧の印加を繰り返
し、各時間を積算する
ことでS/Nの良いスペ
クトルを取得
Intensity
H2
86
Binding Energy (eV)
Peak shift / eV
500
Intensity
H2O 50℃
88
Intensity
0
0
0s
0.01h
Pressure (Pa)
Intensity
-2
加湿
0.001
0.4 V → 1.4 V (25回積算)
電流 / mA
電圧 / V
1
15 sccm
光電子
検出器
0.01
20 kPa
3
2
H2O 50℃
4000 Pa
0.1
Pt/C触媒 の電位ステップした時の XPS データの時間依存性
燃料電池型セル
Scroll Pump
40 kPa
10 kPa
◆時間分解光電子分光測定システムの開発
ポテンショスタットと光電子検出器を
PCで同期し、データを取得
30 kPa
Intensity
差動排気部
30 kPa
40 kPa
50 kPa
1
Peak shift / eV
試料
Intensity
雰囲気制御型光電子分光装置
< 1 Pa
1 kPa
5 kPa
10 kPa
20 kPa
30 kPa
40 kPa
50 kPa
ピーク強度の圧力依存性
d=φ50 µm
hν=7.94 keV
Au(111)/Micaの酸素ガス雰囲気下のAu 4f スペクトル
Intensity (arb. unit)
◆大気圧光電子分光装置の開発
535
530
Binding Energy / eV
0.2 V
525
695
690
685
Binding Energy / eV
・カソード電極の白金触媒と担持体は一定、アイオノマーと水はアノード電極に
印加した電圧と同じ値だけシフト
⇒両極間の電位差は触媒とアイオノマーの電気二重層でほとんど消費される
・酸素雰囲気下では発電時のみ白金触媒と担持体の電位がシフト
⇒発生電流に対する抵抗により電位差が生じる
680
□まとめ
・φ50 µmのアパーチャーを使用することにより0.5 気圧のガス環境下で光電子分光測定が可能となった
・さらに測定時の圧力を引き上げ大気圧下での光電子分光測定を達成するにはφ20 µm程度のアパーチャーが必要と予想される
・時間分解光電子分光システムを構築した、100 ms程度の時間分解能を達成できると想定している
・電極内の各物質の電位をピークシフトにより求め、水蒸気雰囲気下および酸素導入(発電)時の電極内の電位分布を測定した。カソード側の白金
触媒・担持体とアイオノマー(ナフィオン)・水の間に電気二重層が生じ、水蒸気雰囲気下では電極間にかかる電位のほとんどがそこで消費されて
いることが分かった。一方、発電時では白金触媒・担持体中を通る電流にかかる抵抗により、わずかな電圧の消費がみられた
36/42
C.MEAにおける性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【C-⑦】 触媒層構造形成現象解明-1
○インクの構造については、インクの原料であるナフィオン溶液を計測できた「エタン凍結+TEM」法が有望と判断した。ロッド状のナ
フィオンが観察できた。この形態はシミュレーションとも一致した
○インク溶媒の乾燥工程を追えるGIWAXS、GISAXS、ATR-FTIR、顕微ラマン、X線可視化、光学顕微鏡といった時間分解能のある
計測技術を活用
○アイオノマーのカーボン被覆はNMR,TEMによる疑似時系列計測測定の有効性を判断してゆく
○インクの乾燥の時系列変化に伴って、GISAXSでは構造体の大きさが、ATRでは溶媒組成変化が計測された
□ 背景・目的
□ 実施項目・研究スケジュール
触媒層作製プロセスであるインク→塗工→乾燥により、触媒層構造形
成するが、このプロセスの過程で触媒層がどのように形成されてゆく
のか機構解明がいまだに不十分であるために、触媒層の構造制御因
子や耐久/高出力化などの燃料電池の性能発現のメカニズムも解き明
かされていない。そこで、まずは、触媒層の形成機構解明をこのプロ
ジェクトでは実施する。中間評価までに解明に求められる計測技術を
確立する
H27年度
H28年度
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
インク形成過程
計測技術確立
触媒層構造を決める
インク要素の明確化
塗工・乾燥過程
構造解析技術確立
塗工・乾燥機構を含む
触媒層構造形成明確化
研究成果
◆触媒層形成プロセスと計測技術
触媒凝集
(アグロメレート)
空間サイズ
インク
塗工
アイオノマー
凝集
アイオノマー被覆率
デカール
乾燥
ATR-FTIR/顕微ラマン1)
μm
100nm
10 nm
nm
(化学組成)
透過X線可視化(内部観察)
光学顕微鏡2) (表面観察)
GISAXS3) (構造形成)
GIWAXS (構造形成)
時間分解能のある
計測技術
NMR/MRI 4) (アイオノマー被覆率)
擬似時系列計測技術
FIB-SEM
(直接観察)
空間サイズ
凍結TEM5) (直接観察)
シミュレーション技術
μm 連続体(触媒層の構造)
100nm
CGMD法6) (アイオノマーの凝集状態)
10 nm
7)
MD法
nm
(分子レベルの構造)
◆ 1) ATR-FTIR,顕微ラマン分光法
(顕微ラマンは H28年度導入予定)
<ATR-FTIR測定系>
<顕微ラマン測定系>
励起光
ラマン散乱光
・塗布層内の化学構造(組成)変化を測定
時間分解能
厚み方向計測位置
ATR-FTIR:
5秒間隔
基板近傍で固定
顕微ラマン:
20mSec間隔 可変(塗工表面~基板近傍 )
塗工層
モデル
塗布層
Dp: 測定部位
プリズム
(基板)入射光 θ
<ATR-FTIR解析例>Nafion分散液,混合溶媒のみの
25℃乾燥における溶媒組成変化
(基板から約2μm)
反射光
基板
◆ 2)光学顕微鏡観察
左下図の「吸収ピーク高さ」と「経過時間」との関係に書き直かと右下図
インク可視化結果
測定部位
可変
光学顕微鏡の下で触媒インクを塗布し,
マクロな乾燥過程を観察
溶媒が蒸発
C/Pt粒子表面に露出
肉眼観察ではCL表
面に艶が無くなる
100 μm
0 sec
推定図
アイオノマー
C
インク溶媒中のプロパノールと水の蒸発に差異がある
乾燥温度 25℃
3.5 wt% Nafion分散液
(水:NPA=50:50(v/v))
2 min
4 min
6 min
乾燥
Pt
溶媒,水,
アイオノマー
□まとめ
・インクの乾燥工程が最も触媒層構造に影響すると考え、形成機構を解明を目指す
・従来になかった時間分解能をもつ計測技術を活用し、触媒凝集/アイオノマー凝集を同定してゆく
: GIWAXS、GISAXS、透過X線可視化、光学顕微鏡、顕微ラマン、ATR-FTIR
・アイオノマー被覆率の計測のために技術開発を行ってゆく:NMRの強度変化, 凍結TEM
・その他: インクの作り方の共有、湿度を含む乾燥方法の統一 など
37/42
C.MEAにおける性能発現および耐久劣化機構の解析に基づく設計基盤技術の確立
【C-⑦】 触媒層構造形成現象解明ー2
研究成果
◆ 3) GISAXS (ビームラインBL45XU)
<時分割GISAXS解析例>
触媒インク 乾燥工程(25℃)
<時分割GISAXS解析例>
Nafion分散液 乾燥工程(25℃)
<放射光X線散乱測定系>
アプリケーター
3nmの構造体は固化後
も残る
インクを塗工直後
からのGISAXS測定
インク乾燥中の時系列でGISAXS計測の構造体が変化
◆ 4) NMR/MRI Nafionの凝集/吸着と分散
Nafion推定形態
A:良分散
19F‐NMRピーク強度
A:良分散
B:凝集
C:吸着
B:凝集
C:吸着
ピークが減衰
形態によるNMRのスペクトル変化
Pt/Cなし
19F‐NMRピーク強度
Nafion濃度とNMRのNafionピークの関係を把握して、
形態が変化するNafion濃度を同定してゆく
NMRの測定結果
推測: 乾燥進行とともにNafion濃度upと形態変化
カーボンor Nafionの凝集体か?
B
分散
A
Nafion濃度
Pt/Cあり(インク)
B+C
A
Nafion濃度
凝集/吸着でNMRピーク減衰する事を利用してNafionの吸着/凝固を判断検討中
TEM写真: Nafion希釈溶液中のNafion分散形態
0.05wt% Nafion溶液
希釈溶媒:水425.wt%, NPA 55wt%, エタノール2.5wt%
TEM
Rodsの結合
Liquid Nitrogen
‐O‐CF2 ‐CF(CF3 )‐O‐CF2 ‐CF 2 ‐SO3 H
‐O‐CF2 ‐CF(CF3 )‐O‐CF2 ‐CF 2 ‐SO3 H
‐O‐CF2 ‐CF(CF3 )‐O‐CF2 ‐CF 2 ‐SO3 H
‐O‐CF2 ‐CF(CF3 )‐O‐CF2 ‐CF 2 ‐SO3 H
or
‐O‐CF2 ‐CF(CF3 )‐O‐CF2 ‐CF 2 ‐SO3 H
‐O‐CF2 ‐CF(CF3 )‐O‐CF2 ‐CF 2 ‐SO3 H
‐O‐CF2 ‐CF(CF3 )‐O‐CF2 ‐CF 2 ‐SO3 H
‐O‐CF2 ‐CF(CF3 )‐O‐CF2 ‐CF2 ‐SO3 H
Pt/C
CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF-CF2
Ethane
約3nm
CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF-CF2
Nafion diluted solution
インク中のアイオノマーの形態は未確認
1.2〜3.6nm
CF2 -CF 2 -CF2 -CF2 -CF 2 -CF2 -CF2 -CF 2 -CF2 -CF2 -CF 2-CF2 -CF-CF2
CF2 -CF2 -CF 2 -CF2 -CF2 -CF 2 -CF2 -CF2 -CF 2 -CF2 -CF2-CF2 -CF-CF2
CF 2 -CF2 -CF2 -CF2 -CF 2 -CF2 -CF2 -CF 2 -CF2 -CF2 -CF 2-CF2 -CF-CF2
CF 2 -CF2 -CF2 -CF 2 -CF2 -CF2 -CF 2 -CF2 -CF2 -CF 2 -CF2-CF2 -CF-CF 2
CF2 -CF2 -CF 2 -CF2 -CF2 -CF 2 -CF2 -CF2 -CF 2 -CF2 -CF2-CF 2 -CF-CF2
CF2 -CF2 -CF 2 -CF2 -CF2 -CF 2 -CF2 -CF2 -CF 2 -CF2 -CF2-CF 2 -CF-CF2
エタン凍結
インクの初撮影
推測:Nafion束のRod構造
16nm (Entangled Length)
H27年度導入
16nm (Entangled Length)
◆ 5) 凍結TEM
‐O‐CF2 ‐CF(CF3 )‐O‐CF2 ‐CF 2 ‐SO3 H
H2O+NPA
無染色で分散液中Nafionの形態観察に成功
触媒層形成現象解明のための数値シミュレーション技術の検討
◆ 6)CGMD法 によるアイオノマー凝集体(数⼗nm)の構造特性
計算条件
混合溶液内におけるアイオノマー評価
単鎖アイオノマーの構造(N= 1)
アイオノマーモデル︓
疎⽔性および親⽔性の
2種類のビーズで構成
アイオノマー凝集体の構造(N = 4,8 & wp = 0.5)
• wp増加に伴い,Rgも増加.
→MDと同様の傾向を確認(モデル妥当性)
wp = 0.2
25
30
Average aggregation size [Å]
アイオノマー濃度 = 10 wt%
NPA(1-プロパノール)濃度⽐
wp = 0.2, 0.5, 0.8(質量分率)
• アイオノマー鎖数N= 1, 4, 8
• 温度T = 300 K, 圧⼒P = 1 atm
単鎖(NPT1ns緩和→NVT1nsサンプリング)
複数鎖(NPT50ns緩和→NVT10nsサンプリング)
•
•
wp = 0.8
wp = 0.5
Rg
20
• ⼒場にはMARTINI FFを採⽤
15
Cylindrical radius
Cylindrical length (L/2)
25
10
5
0
4
5
Marrink et al., J. Phys. Chem. B.,111, 7812 (2007).
NPAモデル︓1bead =1分⼦
⽔モデル︓ 1bead = 4分⼦
0.2
0.4
0.6
0.8
N=8
15
10
5
0.0
N=4
20
6
7
Nionomer
8
凝集体をシリンダー形状と仮定して各軸
(円柱座標)⽅向の平均値を算出(主鎖のみ)
1.0
NPA content [mass fraction]
・球状よりもシリンダーに近い凝集形状(バンドル構造)
・ N増加に伴う半径方向変化は小さい→バンドルは直径約2nm(側鎖含む)で安定である事を示唆
◆ 7) MD法による分⼦レベル(数nm)の構造・輸送特性
NPA混合溶液(アイオノマーなし)の評価
NPA分⼦周りの⽔分⼦構造
5
5
4
4
wp = 0.5
2
wp = 0.8
1
0
2
4
6
8
溶媒分⼦の輸送特性
10
wp = 0.8
2
1
0
0
2
4
6
8
10
•
2.5
1.5
1.0
•
Simulation
Experiment
2.0
Dwater/DNPA
Diffusion coefficient [10-5 cm2/s]
3
r [Å]
NPA (Simulation)
Water (Simulation)
NPA (Experiment)
Water (Experiment)
2.0
wp = 0.5
Li et al., J. Phys. Chem. B, 118, 10156 (2014).
3.0
2.5
wp = 0.2
•
1.5
•
0.5
0.0
0.0
0.2
0.4
0.6
wp
0.8
1.0
1.0
0.0
0.2
0.4
0.6
wp
0.8
1.0
Simulation
Misawa et al.
Li et al.
12
25
•
10
20
8
6
Rg [Å]
wp = 0.2
r [Å]
P
単鎖アイオノマーの構造
16
Average hydration number
3
0
N
混合溶液内におけるアイオノマーの評価
・⽔
14
RDF (NPApropyl-Water)
アイオノマー濃度 = 10 wt%
NPA(1-プロパノール)濃度⽐
wp = 0, 0.2, 0.5, 0.8, 1(質量分率)
• 温度T = 300 K, 圧⼒P = 1 atm
(NPT1ns緩和→NVT1nsサンプリング)
• アイオノマー構造(N7P)5
RDF (NPAhydroxyl-Water)
計算条件
•
•
4
2
0
0.0
15
wp = 0.2
10
0.2
0.4
0.6
wp
0.8
wp増加に伴い,回転半径Rg(重⼼位
置からの平均距離)も増加.
→NPAによる分散効果を⽰唆.
wp = 0.5
wp = 0.8
1.0
NPAの親⽔基(hydroxyl)周り
に明確な溶媒和殻を形成.
疎⽔基(propyl)周りには強い
⽔の構造は⾒られない.
NPA分⼦周りの溶媒和数は実験
値とよく⼀致.
拡散係数の絶対値は過⼤評価し
ているが,各濃度における拡散
係数の⽐は実験値と良く⼀致.
5
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
wp
1
主鎖(カーボン)のみ表⽰
単鎖アイオノマーはNPA濃度増により
広がる(分散)
38/42
D.燃料電池セルの評価・解析手法の確立と研究開発への展開
【D-①-1】 燃料電池セル評価技術開発
一般財団法人日本自動車研究所
○幅広い試験条件で材料性能の評価を行うために、面内での各種条件が均一なセルを設計・製作し、評価に活用した
○普及期の作動条件(車種拡大、使用時間の長期化)を反映した耐久性評価法を開発するための課題を明らかにするために、負
荷応答試験の劣化要因の影響を調査した。カソードに酸素があることで試験時間が短縮できる可能性は低いことを確認した
□ 背景・目的
前事業・セル評価解析プロジェクトで開発したプロトコル(既存プロトコ
ル)を発展させ、 2025年度以降の普及期の燃料電池作動条件にも
対応可能な性能・耐久性評価技術に拡充する必要がある。
□ 目標
□ 実施項目・研究スケジュール
H27年度
H28年度
目標成果
H29年度 H30年度 H31年度
・均一場セルの開発
・性能測定手法の設定と
適用、課題の明確化
・新規材料評価データ
・現象ごとの劣化要因の
影響
・拡充プロトコルによる試
験時間短縮の可能性
(中間) 普及期の燃料電池作動条件を反映したセル評価法を開発す
るための課題を明らかにする。
(最終) 普及期の燃料電池作動条件での発電性能(IV特性)評価法
の設定、単セルの開発、加速耐久試験法の開発を行う。
研究成果
◆性能評価技術の開発
・材料性能を詳細に調査するためには、面内での反応ガスの濃度や温度などの分布が小さい均一なセルで、性能の試験条件依存
性を明確に測定する必要がある。流れ場の各種分布が小さく、高い電流密度を目指した性能評価においても温度分布や温度上昇の
小さいセルを設計製作し、評価に活用した。
100
3.0
1.2
12
2A/cm2の発電でも温度上昇
はなく,分布も均一
セル電圧
⑨
7.5
形状:54本パラレル流路
溝幅:0.4mm,溝間隔:0.2mm,溝深さ:0.2mm
図1 温度測定位置(JARI 1×3cmセル)
④
②
⑤
15
⑧
0.6
1.5
0.4
1.0
0.2
0.5
75
0.0
0.0
70
50
100
150
8
85
6
セパレータ温度①~⑨
80
4
0
30
⑥
⑪
⑫
9
9
集電板
セパレータ
締付板
2.5
0.8
2.0
0.6
1.5
0.4
1.0
0.2
0.5
75
0.0
0.0
70
図4 温度測定位置(JARI標準セル)*
10
20
30
時間 [min]
40
50
12
締付板温度
90
⑬
8
6
80
4
2
最大温度差
0
60
10
セパレータ温度
(①~⑨)
⑫
85
10
20
30
40
50
0
60
時間 [min]
図6 I-V測定時のセル温度分布
(JARI標準セル)*
図5 I-V測定時の電流/電圧の時間変化
(JARI標準セル)*
◆耐久性評価技術の開発
150
約1.2A/cm2以上で
セル温度が上昇した
95
1.0
0
絶縁パッキン
120
100
3.0
3
12
90
図3 I-V測定時のセル温度分布
( JARI 1×3cmセル)
⑬
⑩ 7
⑨
60
時間 [min]
1.2
4
③
2
最大温度差
図2 I-V測定時の電流/電圧の時間変化
( JARI 1×3cmセル)
セル温度80℃, Uf/Ua=5/5%@2A/cm2
15
10
90
0
時間 [min]
⑪⑫ ⑬
⑦
2.0
セル各部の温度 [℃]
15
①
95
0.8
0
セル電圧 [V]
15
セパレータ各部の温度 [℃]
④
⑤
⑧
7.5
電流密度 [A/cm2]
③
2.5
電流
電流密度 [A/cm2 ]
7.5
セル電圧 [V]
⑦
7.5
1.0
10 mm
⑥
②
2.5 2.5 2.5 2.5
①
最大温度差 [℃]
流路方向
最大温度差 [℃]
30 mm
*「自動車用固体高分子形燃料電池システム普及基盤整備」成果報告書
・燃料電池の使用時間の長期化を想定した場合、耐久性評価のための試験時間が長期化する可能性があり、試験時間の短縮を目指した加速試験法の検討が重要と
考えられる。また、車種拡大に伴う燃料電池の使われ方の多様化を想定した場合には、負荷の割合や保持時間など、負荷変動のパターンが材料劣化に及ぼす影響を
調査することも重要と思われる。白金の酸化還元の繰り返しによる劣化に影響することが考えられる酸素の有無、低(高)電位の保持時間(サイクル周期の短縮)、温
度などの試験条件が、負荷応答試験における触媒劣化に及ぼす影響を調査し、試験時間短縮の可能性を調査している。
10000cycle後 ECA維持率
水素-窒素_N1
水素-窒素_N2
水素-窒素_N3
水素-空気_N1
水素-空気_N2
40
20
酸素による顕著な影響
は観察されなかった
120
100
100
80
57
60
45
1
10
100
1000
サイクル数 [ - ]
10000
図7 負荷応答試験における酸素の影響
(1cm角セル, 0.6V(3s)-0.9V(3s))
94
40
0
0
③
96
60
20
① NO. ②
94
80
20
初期
0
50
40
120
100
維持率[%]
60
100000cycle後 電圧@1A/cm 2 維持率
10000cycle後 カーボン維持率
120
維持率[%]
80
維持率[%]
ECA維持率 [%]
100
91
95
90
①
②
③
80
60
40
20
0
初期
①カーボン ②
③
初期
図8 負荷応答試験における低(高)電位保持時間の影響(JARI標準セル)
保持時間: ① 0.6(3s)-1.0V(3s);FCCJプロトコル,② 0.6(3s)-1.0V(1s),③ 0.6(1s)-1.0V(3s))
FCCJプロトコルに対し、電位保持時間による各維持率の顕著な差は認められず、サイクル数依存性
が高い様子が観察された。サイクル周期を短縮することで試験時間を短縮できる可能性がある
□まとめ
・燃料電池の高性能化に伴った性能評価にも適用可能な均一な流れ場を有するセルを作製し、酸素濃度や加湿条件などの試験条件を変えて高い
電流密度を目指した発電性能の測定を行った。今後、適用可能範囲や信頼性についても調査する
・負荷応答試験におけるカソードの上/下限電位の保持時間が同一サイクル数での劣化挙動に顕著に影響しなかったことから、サイクル周期を小さ
くする等で試験時間を短縮できる可能性がある。引き続き現象ごとの劣化要因の影響を調査し、試験時間の短縮の可能性についてのデータ取得
を進める
39/42
D.燃料電池セルの評価・解析手法の確立と研究開発への展開
【D-② -1】 セル評価による新規MEA・材料開発支援
一般財団法人日本自動車研究所
・開発材料の目的に応じた発電評価・解析を行うため、発電装置の機能・MEA化手法などの評価・試作能力を増強した。
・当該事業などで開発されたMEA材料についてMEA化と発電評価・解析を行い、材料開発の支援を開始した。
□ 目的
□ 実施項目・研究スケジュール
NEDO事業等で開発された新規材料の発電性能・耐久性を客観的
に評価し、得られた結果(MEA仕様・作製方法、MEA性能・耐久性)
と解析結果から評価材料の立ち位置、及び技術課題を提示し、材
料開発者と開発方向性を議論、材料開発を支援すること。
H27年度
H28年度
H29年度
H30年度
H31年度
目標成果
・装置移設・発電・
MEA化能力増強
・既存プロトコルで
の評価
□ 目標
・拡充プロトコル
素案の適用と
課題把握
(中間) 開発材料の目的に応じた適切な性能評価を第三者的な
中立公正な立場で実施する。
・拡充プロトコルで
の評価
(最終) 2025年度以降の普及・実用化のための課題を提示する。
研究成果
1. 装置移設・発電・MEA化能力増強
・第三者機関として開発材料の目的に応じた適切な評価を実施する環境を整備した。
・前PJ(セル評価解析プロジェクト)までに導入した装置に加え、大同大学から以下の装置群を移設し、発電評価能力(発電評価装置台数の増加、対
応電極面積の拡張)・MEA化能力(作製サンプルのサイズ、触媒層形成方法の多様化等)を増強した。
○MEA化能力増強
・電極作製用ホットプレス(1台)
・触媒スプレー塗布装置(1台)
○発電評価能力増強
・単セル発電評価装置(12台)
・空気精製装置(1台、新設)
・電気化学測定装置(5台)
・恒温水循環装置(4台、新設)
○その他
電気・ガス等のインフラ整備、
JARI発電評価エリアに適合し
た仕様への装置安全機構の
改良により、第三者評価機関
としての能力増強を図った。
○基本分析・解析能力の増強
・粒度分析装置(1台)
・粘弾性測定装置(1台、新設)
図2 JARIへの設置状況
図1 大同大学からの設備搬出
2. 新規材料のMEA化と性能評価
・サンプルの特性や量(触媒重量数十mgから数g)に対応した
CCM作製手法の適用が可能。
(a) 電極面積25 cm2
(b) 電極面積1 cm2
図3 スプレー塗工機
図4 粒度分析装置
図5 粘弾性測定装置
3. 新規材料評価スケジュール
表1 評価中のNEDO開発材料と計画
図6 JARIで作製したCCM
プロジ ェクト名
300
セル電圧 [V]
1.0
酸素 5%/窒素バランス
酸素 10%/窒素バランス
酸素 15%/窒素バランス
空気
250
0.8
200
0.6
150
サンプル量の限られ
た材料でも1cm角の
均一場セルで評価が
可能
0.4
100
0.2
50
0.0
0
セル抵抗 [mΩ・cm2]
セル温度 80℃
湿度 RH89%
酸化剤流量 665 mL/min
(Ua=5%@2000 mA/cm2)
常圧
固体高分子形燃料電池利用高度化技術開発
1.2
普及拡大化基盤技術開発
カーボン系複合電極触媒
東京工業大学
(B) セルスタッ
クに関わる材
料コンセプト創
出
先進低白金化技術開発
同志社大学他
500
1000
1500
2000
電流密度 [mA/cm2]
図7 1 cm角MEAの発電特性評価例(酸素濃度依存性、H2/Air)
(MEA仕様: Pt/C(TEC10E50E, 0.3/0.3 mg/cm2), NR-211)
H28
H29
H30
H31
△(4/11)
△(7/27)
△(8/22)
△(7/5)
△(8/3)
△(9/30)
プロセス実用化技術開発
コアシェル触媒の大量生産技術開発
H27
中間評価用材料評価 最終評価用材料評価
(A) PEFC解析
技術開発
革新的センシング機能を有するCCM量産製造装置開発
0
計画と実績
委託先
試作材料評価
石福金属興業株式会社
株式会社SCREENホールディングス
△(1/18)
△(3/10)
△(2/5)
△(結果の報告と打合せ)
・これまでにカーボンアロイ触媒(東工大)、コアシェル触媒(同志社大、石福金
属興業)、膜直塗工CCM(SCREENホールディングス)等の新規材料について
性能評価を実施し、開発元へのフィードバックを行っている(継続中)。
まとめ
・平成27年度は、前事業であるセル評価解析プロジェクト等で不要となった大同大学の装置の一部をJARIに移設することでNEDO資産の利活用を
進めた。再委託先である山梨県も含めて、セル評価解析プロジェクトと同等以上のMEA評価が可能な体制を構築した。
・1 cm角MEAの作製および性能評価に関する要素技術を確立し、少量のサンプルにも対応した新規材料評価が可能な体制を構築した。
・構築したMEA評価体制により新規材料のMEA化と発電特性評価を開始し、関連するNEDOプロジェクト内の開発元へのフィードバックを行った。
40/42
D.燃料電池セルの評価・解析手法の確立と研究開発への展開
【D-②-1-1】セル評価による新規MEA・材料開発支援
一般財団法人日本自動車研究所
(再委託) 山梨県
○第3者評価機関としての基本的発電評価・解析機能、及びその評価エリア(MEA製作・燃料電池評価)を整備した
○日本自動車研究所と性能クロスチェックを行い、発電評価装置・手順等を含めた発電評価データの信頼性を確認した
□ 目的
□ 実施項目・研究スケジュール
NEDO事業等で開発された新規材料の発電性能・耐久性を客観的
に評価し、得られた結果(MEA仕様・作製方法、MEA性能・耐久性)
と解析結果から評価材料の立ち位置、及び技術課題を提示し、
材料開発者と開発方向性を議論、材料開発を支援すること。
H27年度 H28年度
H29年度
H30年度 H31年度
目標成果
・評価機関としての環境整備
□ 目標
・既存プロトコルでの評価
(標準的材料)
(中間) 既存プロトコルによるMEAの性能耐久性評価を実施し、
第三者的に中立・公正な性能評価を行う機関としての
機能を自立的に果たしている。
・既存プロトコルでの評価
(新規材料)
(最終) 材料開発者から日本自動車研究所を通して提供される
MEAの評価を実施して開発の支援を行うことで、2025年度
以降の大量普及期の実用化のための課題を提示する。
・拡充プロトコルでの評価
研究成果
◆ 評価機関としての環境整備
・第3者評価機関としての基本的発電評価機能を構築
○ 発電評価基本能力の確保
・発電評価装置
・回転リングディスク電気化学測定装置(RRDE)
・電気化学測定システム
16基
2基
5基
○ MEA作製基本能力の確保
・MEA作製装置(転写法)
一式
図 2 RRDE装置
○ 基本分析・解析能力確保 (既存設備で補完する)
・フッ素イオン測定装置(液クロ)
・細孔分布測定装置 (水銀圧入法)
・その他
図 3 電気化学
測定システム
図 1 発電評価装置
図 5 分析
・解析装置
・水素安全、ガス供給システム・電気供給などのインフラを
構築し、MEA製作室・燃料電池評価室を整備
図 4 MEA作製装置
◆ 既存プロトコルでの評価(標準的材料)
・日本自動車研究所(JARI)と既存プロトコルによる、セル性能評価クロスチェックを実施し、発電性能評価技術の信頼性を確保
表 1 性能クロスチェック仕様
電解質膜
NR211
JARI
JARI製
標準セル 電極 25cm2 (30μm)
触媒
図 6 テスト方案
I/C
1
アノードPt担持量 カソードPt担持量 電極面圧 初期性能
0.3
mg/cm2
17
kgf/cm2
0.3
mg/cm2
山梨測定値ーJARI測定値
性能比較
山梨にて
コンディショニング後
IV性能測定
ガスケット
TEC
SGL
PTFE
10E50E 28BC (210μm)
山梨にて
セル組立 & 慣らし運転
& IV性能測定
JARIにて
コンディショニング後
IV性能測定
GDL
1.0
25
15
目標: 各測定電流密度において
電圧差が±25 mV以内の事
5
‐5
‐15
性能低下なし
0.63 V
@ 1A/cm2 (1A/cm2 x 100 hrs.)
発電条件: セル温度 80℃、アノード RH88%, カソード RH42%
H2利用率 70%, Air利用率 40% (セル評価プロトコルによる)
0.6
JARI 測定 IV性能
0.4
山梨 測定 IV性能
0.2
‐25
100時間耐久.
0.8
セル電圧 [V]
MEA
2機関間の電圧差 (mV)
セル
抵抗過電圧
0.0
電流密度 (A/cm2)
図 7 性能クロスチェック結果
0.0
0.2
図8
0.4
0.6
0.8
電流密度 [A/cm2]
1.0
1.2
IV性能比較
□まとめ
・第三者的に中立・公正な発電性能評価機関をめざし、発電評価装置、MEA作製装置、分析・解析能力等の基本的発電性能評価機
能を導入した
・その有効性確認のため、セル性能評価クロスチェックを実施し、発電評価機関としての信頼性を確保した
・今後は、MEA作製技術、耐久評価技術の確立を目指す
41/42
D.燃料電池セルの評価・解析手法の確立と研究開発への展開
【D-③】 放射光活用による
新規MEA・材料開発支援
日産アーク、
電気通信大学
名古屋大学、
分子科学研究所
〇セル・前処理技術の整備として、電気化学計測セル、MEAセルの設計、試作を行った
○利用支援として、参画機関のBL36XU、BL14B2などでのXAFS、HAXPES測定について支援を行った
□ 背景・目的
・NEDO燃料電池専用ビームラインにおいて開発されている利用可能な
高速時間分解XAFS、時間分解XAFS/XRD、AP-HAXPES、ラミノグラフィ
XAFS等の各種測定手法を広くNEDOプロジェクト実施者、企業の研究・
開発に役立てるために必要な対策を行う。
・適切なセル等の周辺技術を整備し、測定および解析手順の標準化を
実施。
・種々の材料・MEAに対し、2025年度以降の大量普及期での実用化の
ための課題を提示。
①放射光の特徴を最大限活かし、ラボ計測手法では困難なデータを
取得する。材料およびMEAの構造と性能の関連付けが可能な解析方
法を提示する。
(HAXPES、XAFS、イメージング、その他)
□ 実施項目・研究スケジュール
事業項目
平成27年度
平成28年度
平成29年度
平成30年度
平成31年度
1
1
1
1
1
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
2
3
4
D-③ 放射光活用による新規 MEA ・材料開発支援
D-③-1 放射光活用による新規 MEA ・材料開発支援
【株式会社 日産アーク】
放射光活用による新規 MEA ・材料開発
支援
標準的放射光解析技術の提供とそれを
活用したビームライン利用者開発技術
の評価支援
D-③-2 ビームライン BL36XU の先端分析システムによる触媒・MEA 開発の支援
【国立大学法人 電気通信大学】
放射光活用による新規 MEA ・材料開発
支援
D-③-2 in-situ時間分解XAFS・イメージングXAFSによる触媒・MEA 開発の支援
②MEA試験条件下での計測手法、または、MEA試験後サンプルのex
situ評価手法の提示と提供。
【 国立大学法人名古屋大学 】
放射光活用による新規 MEA ・材料開発
支援
D-③-4 硬X線光電子分光法による触媒・ MEA 開発の支援
③産業界、他NEDOプロジェクト実施者への解析技術提供と支援。そ
のための周辺技術の開発と提供。
【大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 分子科学研究所】
放射光活用による新規 MEA ・材料開発
支援
実施内容
利用計画個別相談
BL36XU 運営体制図
JASRI(ビームライン全体管理・成果管理・安全管理)
契約
BL36XU事務局:電通大(JASRI申請済)
運営責任者:電通大 岩澤 / 現場責任者:宇留賀
 BL36XU運用連携機関:
電通大(運用責任機関)
名大、分子研
 利用連携: NEDO
 BL36XU安全運用・成果最大化・最先端性能維持に向けた運営
 JASRI中間評価・最終評価等契約事項への対応
 JASRIへの協力(SPring-8施設公開・SPring-8シンポジウム等)
NEDOプロジェクトBL36XU利用委員会
電通大
NEDO
FC-Cubic
BL36XU支援Gr
BL36XU運営Gr
電通大
名大
 NEDOプロジェクトでのBL36XU
利用成果最大化推進/産業界
への貢献
電通大
分子研
 BL36XUの維持・管理・運営・高度化
 NEDOテーマ:C-⑥「MEA劣化機構解
明」実施に関わるBL36XU運用全般
(テーマ実施、課題選定、ビームタイム
配分、成果報告等)
名大
分子研
 BL36XUでの測定に関する支援






日産アーク
FC-Cubic
委託先A
課題申請支援
課題選定委員会
採択課題実験準備支援
実施課題解析支援
成果報告支援
実施課題評価・助言委員会
委託先C
・
・
課題募集説明会(4~5月頃)
オフライン事前テスト
実験計画個別相談
ビームタイム実施(9~12月)
課題申請書作成
データ解析
実施課題評価・助言委員会
課題選定委員会(7月上旬)
ビームタイム日程調整(7月中旬)
JASRI向け正式課題申請(8月中)
 支援側担当者の選定
 実験計画内容により、適当な担当者を選定する
 BL36XUビームライン担当者を、少なくともサブ担当者とする
ビームラインでの課題選定・実施の日程は、
SPring-8の課題選定・ビームタイムスケ
ジュール調整の日程に合わせて設定。
実験準備個別相談
 BL36XUのPEFCセルを用いたin-situ計測を行う場合
 利用者にBL36XUのPEFCセルを貸与する
 利用者は、自身のラボで入念な電気化学計測等を行い、必要な性能をもっていることを確認する
 ラボでのテスト評価実験の実験条件を、支援側と確認し、BL36XUの測定環境と同様であることを確
認する
 持込み装置(PEFCセル等)を使⽤する場合
 利⽤者は、持ち込み装置とBL36XU側装置類の接続⽅法および制御⽅法について、BL36XU担
当者と相談・確認を⾏う
 PEFCセルを⾃作する場合、デザインについて測定⼿法により制限があるため、BL36XU担当
者と相談する
 利⽤者は、⾃⾝のラボで、⼗分なテスト評価実験を実施する
 利⽤者は、ラボでのテスト評価実験の実験条件を、⽀援側と確認し、BL36XUの測定環境と
同様であることを確認する
 BL36XU測定準備室の利用
 試料によっては、利用実験前にBL36XU測定準備室で試料準備できる場合がある
 利用希望者は、事前にBL36XU担当者およびBL36XU運営責任機関(電通大)と使用法について相談
した後、利用する
ビームタイム中の実験の流れ
課題申請書作成
 支援側より、課題申請書の記載方法の要点を伝える
⇒ 支援:BL36XU運営Gr、日産アーク (FC-Cubic、NEDO)
 課題選定委員が、内容をクリアに理解できるような記載の仕方(書式)をある程度定める
ことも検討している
 参考記載例を、メール等で情報提供する
 申請書下書きファイル: https://user.spring8.or.jp/?p=1499
 計測技術に関わる項目(実験手法・シフト数の算出等)については、支援側である程度記載
を行う
 課題選定委員が実験の妥当性(内容、実験量等)が理解しやすい記載の仕方にする
 個別面談後の個々のやり取り
 メールで行うことを基本とする
 共用BLでの実施可能性についても併せて検討する
 共用BLでの実施が推奨される課題は、共用BLへの申請を推奨することも検討する。
(共用BLもそれぞれ特徴があり、実験内容によっては共用BLのほうが適している
ケースもある。)
成果報告
共用BL課題選定委員会
 課題申請希望機関と、支援側(BL36XU運営Gr・日産アーク)とが、以下の項目について、相談
を行うことによりクリアにし、課題申請書記載内容を検討する。
 得たい情報は何か
 それはBL36XUの計測技術で可能か
 実験準備は何を行えばよいか
 実験準備・実験実施・データ解析・成果報告作成は、誰がどのような分担で行うか
 共同研究体制はどのようにするか
 どの程度、予備実験を進めているか(十分な予備実験ないと実施可能性判断困難)
委託先B
BL36XU 利⽤に向けたスケジュール(2016B期の場合)
課題申請(6月中旬)
 個別相談の目的
 課題選定に向け、実験計画がよく練られた申請書を策定することが必要
 実験テーマが重要な課題でも、課題申請書からそれが読み取れるような内容である
ことが、課題選定において成果が挙げられるかどうか判断する上で必須
 課題申請書の策定を通して、成果報告を含む研究計画全体について、支援側・利用側の
双方が入念に検討を行う
 相互理解を行うため、一度は、直接面談を行うことが必要
 可能であれば、一度はBL36XUで相談することが望ましい
 課題実施体制(共同研究等)・成果報告の形態取り決め
 課題申請書策定の段階で、目的とする解析結果が得られるように可能な限り完成度の高い
ものを策定する
 課題申請書の作成中に、必要に応じ、Fu-Cubic、NEDOが申請書内容を確認し、コメント
するケースもある
 ビームタイム開始前確認作業 ⇒ 支援:BL36XU担当者、BL36XU支援Gr
 ビームタイム開始前に、実験実施事項の再確認を行う
 ビームタイム前のラボ実験結果や試料準備状況により、実験計画の変更がある場合、利用者はで
きる限り迅速に、支援側に連絡し、善後策を相談する
 BL36XU担当者による実験準備作業
 実験に合わせたBL36XUの光学素子セッティング
 実験ハッチ内使用装置類のセッティング
 放射光X線を用いた計測システムの位置調整
 標準試料を用いた計測システム類の動作テスト
 ユーザー持ち込み装置類の動作テスト、試料の設置、テスト計測
 測定データを簡易解析し、データの質に問題がないことを確認する
 安定な測定が確認された後、利用者による実験実施モード(ルーティン計測モード)へ移行
 利用者による実験実施モード ⇒ 支援:BL36XU担当者、BL36XU支援Gr
 可能なケースについては、日産アーク支援員が実験の支援を行う
 日産アーク支援員が技術習得するまでの期間は、BL36XU担当者が補助を行う
 高度な装置操作技術を要するものについては、装置担当者が操作を行う
 利用者は、必要な支援を受けながら、測定データに関して可能な限りその場で簡易解析を行い、問
題のないデータが計測できていることを確認しながら、計測を進める
 利用者(および支援者)は、計測データを吟味し、計測を継続するかどうか随時確認を行う(特に電
気化学計測データに問題ないか、試料にX線照射によるダメージは起こっていないか等)
 測定を続ける意味がない状況に陥った場合、善後策を支援者と協議をする
実験データ解析
 課題申請手続き
 電通大BL36XU事務局より、申請手順をメール等で連絡する
 既存ソフトウェアによるデータ解析
 日産アークが支援を行う
実験準備
 MEA劣化機構解析Grが開発したソフトウェアによるデータ解析
 今後のルール策定が必要であるが、共同研究の場合は基本的にソフトウェアの利用が可能になる
方向と思われる
 使用法などに関する支援は、共同研究者または日産アークが行う
 実験実施にあたり必要な準備項を行う ⇒ 支援:BL36XU支援Gr
 利用者は、課題申請書記載の実験計画に基づいた準備を行う
 BL担当者・装置担当者は、BL側で必要な準備を行う
まとめ
放射光解析の特徴と期待されるアウトプット
計測・解析手法
吸収・共鳴・発光
分光
XAFS
HAX-PES
イメージング
Laminography
Tomography
散乱・回折
元素選択性構造、電子
状態解析
In situ 反応劣化解析
高精度イメージング
粉末回折
反射率
小角散乱
etc.
× 動作環境
電気化学セル評価
MEA評価試験
湿度・温度制御
雰囲気制御
触媒 担体
電解質膜
構造・組成・電
子状態
材料特性
材料が本来持つ
ポテンシャルを把握
材料使用条件
MEA
放射光
ラボ分析装置で困
難な解析
要素材料
電極・界面 触
媒層
MEA構造・状
態変化
MEA特性
MEA最適化
使用条件最適化
MEA特性変化
MEA使用条件
劣化現象の把握
高耐久性能発現の
ための指針
セル・前処理技術整備
計測標準化
①本来性能を発現する条件の検討と計測手順の標準化
ー均一条件下での計測
開発者のサンプルに最適な電極構造、セルの設計・試作と計測条件の提示
ー適切な測定前処理条件の設定
開発者サンプルに合わせた前処理条件の提示とセルの設計と提供
②計測データの解析
解析法の標準化
―複雑な構造体のモデル化 (触媒(コアシェル、表面溶解状態等))
―不均一状態の評価法(粒子径分布、組成分布の取り扱い)
MEAの解析
MEA構造・材
料の状態
H28実績と計画
放射光計測に関わる技術課題(産業利用視点)
要素材料の解析
H27
目標マイルストー
ン
①セル・前処理技
術の整備
開発者自身よる放射光計測へ向けた整備
①高度な解析手法の汎用化
ルーティン化、マニュアル化等、計測・解析支援
②標準的測定および解析法、ソフトウエアの整備
XAFS、HAXPESデータ等の前処理簡略化、多量データ一括解析等
利用支援
5
6
7
8
H29
9
10
11
12
H30~
最終年
度
NEDO燃料電池専用ビームラインで利用可能な各種計測技術を用いて、産業界
やNEDOプロジェクト実施者の活用支援を開始する
電気化学計測セル
設計 試作
改良設計
試作
改良設計
試作
還元処理セル
MEAセル
セル・前処理技術整備
計測標準化
①均一条件での計測(MEA性能の最適化)
ー開発者のサンプルに最適な電極構造、セルの設計・試作と計測条件の提示
②不均一状態の計測(MEAの構造、性能評価)
ー開発者へ最適な解析手法の提示と、チューニング(マイクロビーム利用、イメージング利用な
ど、)
H28
4
設計 試作
HAXPES前処理セル
②解析法標準化
設計
試作
XAFSデータ処理ツール開発
XAFSデータ解析法確立
コンセプト
実証データ
完成・提供
③利用支援
参画機関A
参画機関B
BL14B2(XAFS)
BL14B2(XAFS)
BL36XU(XAFS)
BL14B2(XAFS)
参画機関C
BL36XU (HAXPES)
参画機関D
解析法の標準化
参画機関E
BL36XU(XAFS)
BL04B2(X線散乱)
BL01B1(XAFS)、BL37XU(XAFS)
BL27XU(XAFS)、BL40B2(X線散乱)
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