粉末X線回折装置 講習会 - 大阪大学 産業科学研究所

粉末X線回折装置
講習会
講習会テキスト
主催:材料解析センター
http://www.sanken.osaka-u.ac.jp/labs/mac/
2008年5月20日~23日
担当:田中高紀(8528)
目
次
1.はじめに
2.装置予約、時間外利用について
3.X 線発生準備
4.X 線の発生準備が整いました(X 線の発生)
5.標準測定
6.データ処理(ピークサーチ)
7.データ処理(定性分析)
8.参考データ
9.アスキー変換
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粉末 X線 回折 装置 講習 会 2008 年 5 月( 大阪 大学 産業科 学研 究所 材料 解析 セン ター )
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X線の取扱い注意
< X 線の人体への障害>
人体に有害この上ない X 線を我々は全く感知できないから,X 線使用者は被爆しない
様,細心の注意を払って実験しなければならない.
(1)一次 X 線進路付近を鉛 5mm 厚の鉛板でさえぎって,X 線を吸収させているが,わ
ずかのすき間からでも漏れるので,進路方向には極力位置しないように心がける.
(2)防 X 線カバー扉の開閉は.試料交換時のみにする.
X 線シャッターのオープン
時(警告打点灯中)には,決して防 X 線カバーの扉を開けないこと.
(3)必ずフィルムバッジを着用し,被爆線量報告書に注意を払う.
(4)一次,二次 X 線から身を守るため,むやみにⅩ繰回折室に滞在しないようにする。
1:「BATT」で規定のバッテリー量があるかの
チェックを行う。
2:「H V」で規定の検出器電圧がかかるかをチ
ェックする。
3:「スピーカマーク」で漏れ X 線が無いかをチ
ェックする。
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1.はじめに
この度、株リガク社 RINT2500 シリーズの広角横型ゴニオメータ(右ゴニオ)、小角散
乱測定用ゴニオメータ(左ゴニオ)が設置され、従来同様自主分析装置として開放されま
す。本装置の特徴はX線発生装置の最高出力が 60kV、300mA と従来の装置に比べ 1.5 倍
の出力が発生できます。また、小角散乱測定を用いればナノ粒径など多くに情報をもたら
します。
ルール:当面X線出力は最高
管電圧50kV、管電流200mA とさせて頂きます。
(小角散乱測定は50kV、250mA)
2.装置予約、時間外利用について
*装置予約方法(MACWeb システム)は従来どおりです。
*右ゴニオを広角側2θが100度超える測定でも右ゴニオの予約のみとなりました。
(左ゴニオが2θ20度を超える測定を行わないため)
*時間外手続き(時間外実験手続き)も従来どおりです。
装置の構成
扉
内
左側(小角散乱測定用)
左側(小角散乱測定用)
右側ゴニオメータ部
右側ゴニオメータ部
ゴニオメータ部
ゴニオメータ部
制御用コンピュータ部
制御用コンピュータ部
確
X
線発生装置部
X線発生装置部
認
X 線発生装置が真空状態にあることを確認!
「X 線発生装置」前面パネル「VACUUM パネル」の「POMP」黄色、
「OPERATE」緑色で点灯していることを確認する
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3.X線発生準備
* X線発生装置は終夜真空排気を行っております。従って、利
用される方々は X 線発生からの作業となります。
①.計数装置部の電源を入れる。
* X 線発生装置部の裏側にある計数装置部
の電源を入れる。
②.制御用コンピューターの電源を入れる。
*①、②の順番が決まっております。必ず計数装置部からの電源投入を行って下さい。
③.「タスクバー」上の「通知領域」に「理学測定サ
ーバ」アイコン
が青色で表示されていることを
確認する。立ち上げ時には緑色と赤色で点滅します。
4.X線の発生準備が整いました
通常測定を行う電圧 50kV、電流 200mA まで自動的
に出力を上げて行きます。
④.上記確認の後「 XG 操作」アイコン
をクリックすると「XG 操作」画面が表示さ
れます。
をクリックすると「XG 操作」画面が
下に変わります。
引き続き「オプション」、
「プロパティ」
を選択すると次項のような画面が表示
されます。
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ここでは、
「エージングデータ」を選択します。
下の画面に変わるので
「現状維持」を確認
(1)「プルダウンメニュー」の、
(2)「毎日使用」を選択し、
(3)「OK」を押す。
注:メニュー内の数値等の変更は絶
対に行わないで下さい。
「フライパン」
マークをク
リックすれば「エージング」が開始
されます。
*エージングが開始されると「フラ
イパン」マークが加熱中の様に表示
されます。
*約30分ほどで「エージング」が終了します。「ファイル」、「終了」を選択し「XG 操
作画面」を閉じて下さい。
測定・実験終了後 は再び「 XG 操作」画
面の「オプション 」、「プロパティ 」、「エ
ージング」にて「プルダウンメニュー」、
「 帰りましょ う」を選択しエージング終
了条件が「X 線 OFF」になっていること
を確認の後「OK」を選択します。
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測定に関しての注意
* X 線発生中は「X-RAY」
が赤く点灯しています。
*サンプル等へ X 線照射中
は 「 OPEN」 が 赤く点灯 し
ています。
(右ゴニオ:2番、
左ゴニオ:1番)
* X 線発生中に扉を開ける
(1)「DOOR」ボタンを押す
( 2)「 OPEN-SAFETY」が数秒
後に緑色点滅に変わり、「ピー
ッ、ピーッ」の連続音がする。
X 線発生装置ゴニオメータ部の X 線照射中ランプ及び
「SHUTTER」パネルの X 線照射中ランプ「OPEN」が消えたのを確認した後「妨 X 線扉」
を開ける。
*妨 X 線扉を閉めるときには反対
側の扉に手を添えながら静かに閉め
る。(強く閉めると、反動で反対側
の扉が開き、X 線発生が停止します)
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5.標準測定
従来の右ゴニオと殆ど同じです。主な変更点を紹介します。
*制御コンピュータディス
クトップ上にある「 DATA
へのショートカット」フォ
ルダーにデータ類を保存し
て下さい。
「標準測定」、「ピークサー
チ」、「アスキー変換」等は
必要なファイルは、ディスクトップ上にある「Rigaku」の中にあります。以下に「Rigaku」
の中身の紹介を行います。
「ユーティリティ」
「右測定」
「Rigaku」
「アスキー変換」
「スクリーンアップ」
「ファイル管理」
「物理定数表」
「標準測定」
「マニュアル測定」
「残留応力測定」
「正極点測定」
「基本データ処理」
「ピークサーチ」
「積分強度計算」
「多重記録」
「応用データ処理」
「結晶化度解析」
「三次元極点解析」
「残留応力分析2」
「正極点分析」
「長周期解析」
「動型分布解析」
「粒径解析」
*各自で必要なプログラムを各自のフォルダーへコピーして利用して下さい。
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*「標準測定」画面でフォルダー内の
「***.mcd」ファイルを読み込みます。
* 初めての測定 で「 ***.mcd」ファイル存
在しないときには、下記の画面のように一
度だけ「フォルダ名」、「測定条件」を入力
後「ファイル 」、「名前を付けて保存」で
「 ***.mcd」ファイルを作成して下さい。
*「測定条件」の条件設定番号(1 ~ 100)をダブルクリックす
ると下の「条件設定」画面 A、画面 B が表示されます。
注:制御用コンピュータで電圧、
画面 A
電流はコントロールされています
ので通常測定(エージング条件に
あった)の電圧 50( kV) ,電流 200
(mA)なっていることを必ず確認し
て下さい。
*測定軸、測定方法、計数単位な
画面 B へ
どは従来どおりです。
*スリットは自動制御されます。
画面 B
発散スリット、散乱スリットは 1 °
受講スリットは 0.15mm で設定し
て下さい。
*新たに「発散縦スリット」が設
けられました。通常 10mm を選択
して下さい(本スリットは手動で
画面 A へ
す)。引き続き「ファイル」、
「終了」
で「標準測定」画面を閉じます。
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*(1)の
をクリックすると
測定が開始されます。
「現状維持」を確認
・標準データー処理に関しては殆ど変わりませんので、ここでは説明を行いません。
・制御用コンピュータはネットワークに現在接続されておりません。暫くの間は USB メ
モリなどでデータ吸い上げを行って下さい。
お勧め通常測定では、
*測定方法=連続測定、測定軸=2θ/θ
・リートベルト法=FT測定、単結晶=2θ、θ
*測定範囲
無機試料、開始角度=10,終了角度=90
有機試料、開始角度=5
,終了角度=60
*サンプリング角度=0.01°~0.02°(2θ)
*スキャン速度(2θ)
4~16
走査角/毎分
*発散スリット(DS)=1°
*散乱スリット(SS)=1°、受講スリット(RS)=0.15 mm
*縦散乱スリット=10mm(アルミホルダー使用時には注意)
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6.データ処理(ピークサーチ)
基本的な処理
は矢印方向に
向かい、デー
タ、平滑化、
ピークサーチ
の各データ処
理を行う
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「平滑化」
手動の場合
:測定デー
タのサンプ
リング間隔
に応じて平
滑化点数を
指定する
お勧め平
滑化点数は 7
~ 11 点
「BG除去」
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「Kα2除去」(通常は行わない)
「ピークサーチ」
ピークサーチ自
動にてピークの
検索を行う
ピーク検索さ
れた結果の表示
殆どの粉末結晶
は半価幅が
*無機結晶=
0.10°以上
*有機結晶=
0.20°以上
条件入力で半価幅の変更を行う殆どのピークが検索される
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*マニュアル操作で未検索等のピークを指定
マウス機能の「拡大」を用いてスペクトルを拡大し、引き続きマウス機能の「マニュア
ル操作」にてサーチされなかったピークの追加、及びサーチされた不要なピークの削除(カ
ーソルに近いピークから削除される)を行う。
7.データ処理(定性分析)
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サンプリング間隔=0.002°
80000
70000
60000
強度=cps
50000
速度=2
速度=4
速度=8
速度=12
40000
30000
20000
10000
44
44
44.1
44.1
44.1
44.1
44.2
44.2
44.2
44.2
44.3
44.3
44.3
44.3
44.4
44.4
44.4
44.4
44.5
44.5
44.5
44.5
44.6
44.6
44.6
44.7
44.7
44.7
44.7
44.8
44.8
44.8
44.8
44.9
44.9
44.9
44.9
45
45
0
角度=2θ
サンプリング間隔= 0.002 °で1点を測定するのに用いた時間、0.01
0.01、
、0.015
0.015、
、0.03
0.03、
、0.06
0.06sec
サンプリング間隔=0.006°
70000
60000
強度=cps
50000
40000
速度=2
速度=4
速度=8
速度=12
30000
20000
10000
45
45
44.9
44.9
44.9
44.8
44.8
44.8
44.8
44.7
44.7
44.7
44.6
44.6
44.6
44.5
44.5
44.5
44.5
44.4
44.4
44.4
44.3
44.3
44.3
44.2
44.2
44.2
44.2
44.1
44.1
44.1
44
44
0
角度=2θ
サンプリング間隔= 0.006 °で1点を測定するのに用いた時間、0.03
0.03、
、0.045
0.045、
、0.09
0.09、
、0.18
0.18sec
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サンプリング間隔=0.01°
70000
速度=2
60000
速度=4
速度=8
強度=cps
50000
速度=12
40000
30000
20000
10000
3
.0
6
44
.0
9
44
.1
2
44
.1
5
44
.1
8
44
.2
1
44
.2
4
44
.2
7
44
.3
44
.3
3
44
.3
6
44
.3
9
44
.4
2
44
.4
5
44
.4
8
44
.5
1
44
.5
4
44
.5
7
44
.6
44
.6
3
44
.6
6
44
.6
9
44
.7
2
44
.7
5
44
.7
8
44
.8
1
44
.8
4
44
.8
7
44
.9
44
.9
3
44
.9
6
44
.9
9
44
.0
44
44
0
角度=2θ
サンプリング間隔= 0.01 °で1点を測定するのに用いた時間、0.05
0.05、
、0.075
0.075、
、0.15
0.15、
、0.3
0.3sec
サンプリング間隔=0.02°
70000
60000
強度=cps
50000
40000
速度=2
速度=4
速度=8
速度=12
30000
20000
10000
0
44
44.08
44.16
44.24
44.32
44.4
44.48
44.56
角度=2θ
44.64
44.72
44.8
44.88
44.96
サンプリング間隔= 0.02 °で1点を測定するのに用いた時間、0.1
0.1、
、0.15
0.15、
、0.3
0.3、
、0.6
0.6sec
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サンプリング間隔=0.04°
70000
60000
強度=cps
50000
40000
速度=2
速度=4
速度=8
速度=12
30000
20000
10000
45
44
44
.0
4
44
.0
8
44
.1
2
44
.1
6
44
.2
44
.2
4
44
.2
8
44
.3
2
44
.3
6
44
.4
44
.4
4
44
.4
8
44
.5
2
44
.5
6
44
.6
44
.6
4
44
.6
8
44
.7
2
44
.7
6
44
.8
44
.8
4
44
.8
8
44
.9
2
44
.9
6
0
角度=2θ
サンプリング間隔= 0.04 °で1点を測定するのに用いた時間、0.5
0.5、
、0.3
0.3、
、0.6
0.6、
、1.2
1.2sec
12.その他
「バイナリ・ASCII変換」
Sample
Comments
Filename
Goniometer
Attachment
Monochromater
ScanningMode
ScanningType
X-Ray
発散スリット
散乱スリット
受光スリット
Start
Stop
Step
44
44.002
44.004
TEST SAMPLE
半19文字,全9文字
C:\DATA\MAC\TT\0002-8.RAW
RAD広角ゴニオメーター
RAD標準試料ホルダ
RAD湾曲結晶モノクロメータ
2theta/theta
Continuos Scanning
0kV/0mA
1.0deg
1.0deg
0.15mm
44
45
0.002
600
400
466.667
「区切り文字」は各自使用されるコンピュータに合わせてください。
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・質問等に関しては担当者までお問い合わせ下さい。
メールアドレスは:
*本説明書に対してのご意見をお待ち致します。
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