尼崎市女性センター・トレピエ DV 防止パネル① 被害者はなぜ逃げない

尼崎市女性センター・トレピエ DV 防止パネル①
DVってなに?
DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、夫婦や恋人など親密な関係にあるパートナー
からの暴力のことをいいます。
Q 夫婦げんかとは違うの?
普段から対等な関係の2人が、何かの理由で争うのが夫婦げん
かです。それに対してDVは、日ごろから一方が言葉や暴力に
よって相手を支配している、上下の関係です。
暴力をふるわれる方に原因があるの
Q
では?
Q なぜ暴力をふるうの?
男性が女性に対して暴力を振るうことの根底には「女性は男性
に従うもの」という考え方があります。また、パートナーを自
分の所有物とみなす支配者意識がひそんでいます。
Q 暴力をふるうのはどんな人なの?
加害者は力によってパートナーを支配するために、暴力という
DVの加害者に一定のタイプはなく、年齢、学歴、職種、年収
手段を選んでいるのです。「言うことを聞かなかった」「口答
えをした」など、どんな理由であっても暴力は許されるもので
はありません。
に関係がないといわれます。外では穏やかで人望もある人が、
家で暴力をふるっていることもあります。
考えてみよう
被害者はなぜ逃げないの?
★あなたならどうする?
もし、あなたが次のような状況だったら、かんたんに何もかも捨てて
新しい生活をはじめられますか?
□円満な家庭と、親や周囲から思われている
□頼れる人もおらず貯金もない
□子どもにさみしい思いをさせる
□やりがいのある仕事についている
□介護の必要な親がいる
暴力を受け続けることで、被害者は心身が傷つき逃げる気力や体力も失ってしまいます。また、経
済的な不安、自分の親兄弟へ被害が及ぶのではという恐れなど、さまざまな理由があげられます。
尼崎市女性センター・トレピエ DV 防止パネル②
DVは身近な問題です 1
データから見るDV<全国>
DV は身近におこる問題です
内閣府の調査によると平成 21 年 4 月から平成 22 年 3 月までの 1 年間で、配偶者暴力
相談支援センターによせられた相談件数は 72,792 件にのぼります。
DVは決して特別な場所で、特別な人に起こっている問題ではありません。
女性の約3割がDV被害にあっています
■配偶者からの被害経験
身体に対する
暴行を受けた
精神的な嫌がらせや
恐怖を感じるような
脅迫を受けた
性的なl行為を
強要された
女性
5.9
男性
11.8
1.5
10.6
7.3
3.9
0.0
計24.9
計16.6
計8.8
4.7
0.4
1、2度あった
計13.7
6.0
女性
男性
19.0
1.9
女性
男性
女 男
女 男
何度もあった
11.1
計15.8
計4.3
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
30.0(%)
調査対象人数 女性 1,358人 男性 1,077人
内閣府 男女間における暴力に関する調査(平成20年)
女性の約20人に1人が命の危険を感じる暴力を受けています
■命の危険を感じた経験
感じた
女性(1,358人)
男性(1,077人)
感じなかった
4.4
25.1
0.8
0.0
14.7
5.0
計29.5
計15.5
10.0
女性の約20人に1人が配偶者からの
暴力で命の危険を感じたことがある
15.0
20.0
25.0
30.0(%)
尼崎市女性センター・トレピエ DV 防止パネル③
DVは身近な問題です 2
データから見るDV<尼崎>
尼崎市においては平成19年10月に意識調査を行いました。調査によると女性の約5人に1人
が身体的な暴力を受けています。
女性に比べると数は少ないですが、男性もDV被害にあっています。
■DVの被害経験
0
1.身体に対する暴力
2.脅迫
3.暴言や無視
4.性的行為の強要
20
60
13.5
5.6
7.0
80.6
15.9
2.7
10.0
70.1
4.7
9.2
75.9
77.2
5.経済的な暴力
2.6 3.8
82.9
6.社会的な暴力
2.3
何度もあった
0.7
3.7
5.9
81.7
全くない
3.7
配偶者や恋人がいない
■DV被害の相談
0
1.相談機関や窓口、警察等に相談した
10
5.2
6.6
2.1
2.家族や友人に相談した
3.職場や学校で相談した
4.その他の機関(人)に相談した
1.8
2.2
1.1
2.5
2.2
3.2
5.どこ(誰)にも相談しなかった
6.その他
7.無回答
20
30
40
50
60
70
4.4
15.0
6.1 4.1
79.2
1、2 度あった
4.1
14.5
6.4
3.9
3.9
13.5
6.1
3.7
4.1
13.5
6.2
80.1
0.7 1.5
女 男
3.7
3.6
13.2
6.1
66.1
0.7 3.9
女 男
4.2
77.7
7.9
100%
6.7
69.9
0.2 4.9
0.2
80
70.7
11.8
1.0
2.3
40
80%
35.0
37.2
29.5
54.9
52.2
60.0
4.6
5.3
3.2
3.7
4.4
2.1
調査では、被害を受けた半数以上(54.9%)が、誰にも相談しなかったと回答しています。 国の調査でも同様の結果が出ており、一人で悩む被害者の姿が浮き彫りになっています。
15.0
無回答
尼崎市女性センター・トレピエ DV 防止パネル④
暴力の形はさまざま
DV は身体的な暴力だけでなく、さまざまな種類があります。
多くの場合、1 種類だけでなくいくつかの暴力が重なり合って起こります。
身体的暴力
精神的暴力
平手で打つ 足でける 髪を引っぱる 首をしめる 大声でどなる バカにする
被害者の大切なものを捨てる 無視する 物をなげつける
性的暴力
経済的暴力
性行為を強要する 避妊に協力しない ポルノビデオや雑誌を無理やり見せる 生活費を渡さない お金の使い道を細かくチェックする 仕事を辞めさせる
社会的暴力
子どもを巻き込んだ暴力
交友関係を細かくチェックする 実家との付き合いを制限する 外出させない
子どもに暴力を見せる 子どもの前で被害者をバカにする
DVが子どもに及ぼす影響
暴力を間近に見て育った子どもは、深く傷つき、心身に緊張を強いられて育ちます。言葉の遅れや学業不振、摂食障害、
自傷行為、トラウマなど、さまざまな形で暴力の影響が現れることがあります。さらに、感情表現や問題解決の手段
として暴力をふるってもよいと学習してしまうおそれがあります。
平成 16 年に改正された児童虐待防止法では、DVを子どもに見せることも心理的虐待にあたると定義されています。
尼崎市女性センター・トレピエ DV 防止パネル⑤
暴力はくり返される
DV のサイクル
加害者はいつも暴力的というわけではなく、優しくふるまったりもします。そのため、被害
者は「もう一度、信じてみよう」と期待して、関係を続けてしまうことがあります。しかし、
関係を続けるうちに、暴力の周期は短くなり、エスカレートしていく場合がほとんどです。
一般的に、DV には3つの周期があるといわれています。
・開放期
加害者……別人のように優しくなる 謝って許しを乞う プレゼントを贈る
被害者……今度こそ大丈夫、相手は変わったなどと期待を持つ
・緊張形成期
加害者……ささいなことで怒りっぽくなる 怒鳴る 小さな暴力があらわれる
被害者……パートナーの怒りを予感し、それを防ぐ努力をする 暴力を自分のせいと考える
・爆発期
加害者……怒りのコントロールができなくなる 激しい暴力をふるう
被害者……重いケガをすることもある 強い恐怖を感じ無力感にさいなまれる
開放期
(ハネムーン期)
緊張形成期
(張りつめた期間)
爆発期
(爆発が起る)
『知っていますか?ドメスティック・バイオレンス一問一答』第4版
日本DV防止・情報センター 編著 2008年 解放出版社
尼崎市女性センター・トレピエ DV 防止パネル⑥
若者間のDV デートDV
DVは、大人だけの問題ではありません。若い恋人同士にも暴力はひそんでいます。
親密な関係にある若者間の暴力を、デート DV といいます。
愛しているから・・・?
■高校生の「デートDV」に関するアンケート調査
対象:県立高等学校 2年生19校〈抽出〉(男子299人、女子420人、計719人)(平成21年度 兵庫県教育委員会)
加えた
からだへ
の暴力
受けた
男子
3.0
男子
女子
4.0
女子
交際経験
6.4
男子
2.9
ない
言葉の
暴力
男子
14.4
男子
女子
14.8
女子
3.3
男子
心への
暴力
男子
性的な
暴力
男子
3.3
男子
女子
2.9
女子
女子
0.0
14.0
20
40
60%
0.0
45.8%
18.3
女子
ない
6.4
女子
6.9
ある
54.2%
ある
56.0%
44.0%
12.1
1.7
8.3
20
40
60%
※参考:経済的な暴力を加えた男子2.0%、女子1.0%、受けた男子2.0%、女子1.4%
束縛は愛ではありません!
次のような行為はDVにあたります
○相手の考えを否定する
○彼女(彼氏)の携帯をチェックする
○自分以外の異性と話をさせない
○部活やバイトに行かせない
○性行為を強要する
制限
強制
支配
合意
対等
2人の関係を大事に
尊重
尼崎市女性センター・トレピエ DV 防止パネル⑦
あなたにできること
DVでは?と思ったら
声かけ 「何か困ってる?」と声をかけてください。
DVは、これまで「夫婦げんか」「身内の恥」として見過ごされ、
隠す傾向にありました。そのため取り返しのつかない事態になって
しまうこともありました。また、一人で悩んでいる被害者も多くい
ます。DVが疑われる場合は、声をかけてみてください。
傾 聴 じっくりと耳を傾けて話を受けとめてください。
DVの苦しみを誰かに相談することは、たいへんに勇気のいる行動
です。内容がどのようなものであれ、否定したり疑ったりせず、あ
りのままを受け止めてください。
共感ワード ○あなたは悪くないよ ○つらかったね ○暴力を受けていい人なんていないわ
NGワード ×男はそういうものよ ×あなたも悪いところがあるのでは ×子どものために我慢したら
情報提供 専門機関へ相談するよう伝えてください。
DV問題は、とても複雑で解決までに長い時間がかかります。重大
な場合は、個人で解決しようとせず、専門機関へ相談してください。
DV は社会全体で解決すべき問題です。
支援の輪を広げていきましょう。
尼崎市女性センター・トレピエ DV 防止パネル⑧
DV防止についての取り組み 1
DVは「犯罪となる行為」をも含む重大な人権侵害です。DVの被害者を保護し、
支援するため、平成13年4月に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関す
る法律」(DV防止法)が成立しました。その後、平成16年、平成19年の二度に
わたり改正されています。
DV防止法は、配偶者からの暴力の防止と、被害者の保護を目的としています。
DV 防止法の概要
配偶者からの暴力<定義>
●配偶者 男性、女性を問いません。事実婚や元配偶者※も含まれます。
※離婚前に暴力を受け、離婚後も引き続き暴力を受ける場合
●暴力 身体的暴力のみならず、精神的、性的暴力も含まれます。
(保護命令は、身体に対する暴力または生命等に対する脅迫のみ対象)
配偶者暴力防止法の概要(チャート)
被 害 者
相談
援助
保護
保護命令の申し立て
○被害者の配偶者からの身体
に対する暴力
国 民
(医師等)
警 察
○被害者の配偶者からの生命
等に対する脅迫
情報提供努力義務
①発見した者による通報の
努力義務
②医師等は通報することが
できる(被害者の意思を
尊重するよう勤める)
○暴力の防止
○被害者の保護
○被害発生防止のために必
要な措置・援助
連携
裁判所に申し立てると、加害者に
対し、保護命令が出されます。
※暴力により、生命又は身体に重大な危害を受ける
おそれが大きいときに限ります。
地方裁判所
保 護 命 令
加害者が近寄って
こないようにしたい
地裁の請求に基づく
書面提出等
期間は6か月
期間は6か月
電話等禁止命令
被害者に対する一定の電
話・電子メール等を禁止し
ます。
期間は6か月
退去命令
被害者とともに住む住居か
ら退去することを命じます
期間は 2 か月
命令に違反すれば、1 年以下の懲役又は
100 万円以下の罰金です
(民 間 シ ェ ル タ ー、母 子
生活支援施設、婦人保護
施設 等)
○カウンセリング
保護命令発令の通知
○緊急時における安全の確保
保護(施設入所)
○一時保護(婦人相談所)
(婦人保護施設)
○自立支援・保護命令利用・シェルター
の利用についての情報提供・助言・関
係機関との連絡調整・その他の援助
被害者の子又は親族への
接近禁止命令
被害者の子又は親族などの
身辺をつきまとったり、そ
の住居、勤務先等の付近を
はいかいすることを禁止し
ます。
一時保護委託先
保 護 命 令
発令
相手方
申立人の配偶者・元配偶者
(事実婚を含む)
連携
福祉事務所
○自立支援
母子生活支援施設への入所、
保育所への入所、生活保護の
対応、児童扶養手当の設定 等
入所
連携
民間団体
被害者の身辺につきまとっ
たり、住居、勤務先等の付
近をはいかいすることを禁
止します。
委託
○相談又は相談機関の紹介
保護命令は以下の種類があります
被害者への接近禁止命令
配偶者暴力相談
支援センター
尼崎市女性センター・トレピエ DV 防止パネル⑨
DV防止についての取り組み 2
被害者支援
●一時保護 とにかく加害者から逃れたい
婦人相談所 各都道府県に設置
各種相談業務を行うとともに、配偶者からの暴力を受けた被害者の一時保護業務を行っています。
子どもと一緒に、しばらく安全に生活することができます。
民間団体
民間団体が運営するDV被害者のためのシェルター(一時避難施設)があり、
こちらに一時保護を委託する場合があります。
●自立支援 自立して生活がしたい
配偶者暴力相談支援センター 各都道府県に設置
配偶者暴力相談支援センターで、自立支援のための情報を提供しています。
就業の促進 住宅の確保 援護(生活保護、児童扶養手当の支給等) カウンセリング
県内には、兵庫県立女性家庭センター、神戸市配偶者暴力相談支援センター、伊丹市DV相談室が
あります。(2011年5月現在)
●相 談 DVについて相談がしたい
・各種相談機関(公共施設・警察・民間団体等)で相談を受けつけています。
尼崎市では、被害者の相談やカウンセリングを行っています
尼崎市女性センター・トレピエ 女性の悩み相談 相談専用電話 06-6436-8636
尼崎市福祉事務所家庭児童相談室 電話 06-6489-6291
その他DV対策として、DV防止マニュアルの作成、DV防止ネットワーク会議を設置、職員
の研修、講座などのDV防止のための事業を行っています。
警 察 ・尼崎南警察署 生活安全課 06-6487-0110
・尼崎東警察署 生活安全課 06-6489-0110
・尼崎北警察署 生活安全課 06-6426-0110
・兵庫県警察ストーカー・DV相談電話 078-371-7830
*緊急の場合はためらわず110番に通報してください
民間団体
・ウィメンズネット・こうべ DV被害者サポートライン 電話 078-731-0324(月・水・金 10時∼16時)
・W・Sひょうご DV相談 電話 078-251-9901(木 12時∼17時)
・フェミニストカウンセリング神戸 電話相談 078-360-5030(月祝日をのぞく13時∼16時)
毎年11月12日∼25日の2週間は、国や地方公共団体、女性団体などが連携協力して
「女性に対する暴力をなくす運動」を推進しています。
尼崎市女性センター・トレピエ DV 防止パネル⑩
尼崎市女性センター・トレピエのご案内
尼崎市女性センター・トレピエ(尼崎市立女性・勤労婦人センター)は、
女性の自立と社会参加を指示し男女共同参画社会づくりを進めるため
総合的に施策を展開する拠点施設です。
女性が直面する様々な問題について、専門相談員、専門家が無料で相談に応じます。
女性の悩み相談
・電話相談 相談専用電話 06-6436-8636
水・木・金曜日(祝日・年末年始を除く平日)10時∼12時・13時∼16時・18時∼20時
・面接相談(要予約・託児付)
火・木曜日 10時∼12時・13時∼16時・18時∼20時(木曜日は第3のみ 祝日・年末年始を除く平日)
法律相談
要予約・託児付。事前に女性の悩み相談を受けてください。
グループ・カウンセリング
DVやこころの回復についての連続講座を実施しています。
ほかにも次のような事業を行っています
■講座 男女の生き方や自立を考える講座、男女をとりまく課題についてのセミナーなどを開催します。
■情報資料室 男女共同参画に関する書籍、雑誌、資料、ビデオ、DVDなどを収集しています。閲覧・貸出もできます。
また、情報アドバイザーによる情報相談を行っています。
■情報発信 ホームページや冊子などで、男女共同参画に関するさまざまな情報を発信します。
■貸室 ホール、学習室、フィットネスルーム、料理教室などを利用していただけます(有料)。
●開館時間 火∼日曜日 9時∼21時(日曜日 9時∼17時)
●休館日 月曜日・祝日・年末年始(日曜日が祝日の場合は開館)
〒661-0033 尼崎市南武庫之荘3丁目36-1
Tel 06-6436-6331 / Fax 06-6436-5757
至三宮
阪急電車
至梅田
武庫之荘駅
尼崎市女性センター
トレピエ
大井戸公園
北図書館
口腔衛生センター
医療センター
※愛称の“トレピエ”は、フランス語で「三脚(trepied)」のことで、1975年の国際婦人年のテーマ「平等・発展・平和」
になぞらえています。この‘三脚’は、トレピエが男女共同参画社会実現に向けての羅針盤になるような活動をしていくこと
を、意味しています。