IEC/TC105(燃料電池)パリ会議報告 - JEMA 一般社団法人 日本電機

電機・
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IEC/TC1
0
5(燃料電池)パリ会議報告
社団法人 日本電機工業会
新エネルギー部 課長(燃料電池担当)
井原
卓郎
1. はじめに
2. 全体会議の概要
3. WG 会議の概要
4. おわりに
1.はじめに
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0
7年1
0月2
5日 と2
6日 の 両 日、IEC(International Electrotechnical Commission)の燃料電池
専 門 委 員 会(Technical Committee1
0
5:TC1
0
5)
の第8回全体会議が、パリのエッフェル塔近くにあ
図1 TC105会議状況
る UIC ( Union Internationale des Chemins de
Fer)で開催された。会議には、投票権を持つ P メ
ン バ ー(Participating member)1
5ケ 国 の う ち ア
2.全体会議の概要
メリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イ
タリア、中国、韓国、日本の1
0ケ国が出席した。
全体会議では、始めにホスト国のフランス NC
オブザーバを含む参加者総数は1
3カ国5
3名で前回
(国内委員会)から歓迎の挨拶があり、続いて DKE
(第7回)の東京会議とほぼ同じであった。今回の
(電子技術の標準化などを行うドイツの機関)の
TC1
0
5全体会議は、IEC 総会に合わせて開催され、
Imgrund 氏が副セクレタリに就任したことの紹介
通常の単独開催とは異なり、オープニングパーティ
があった。全体会議は、藤澤議長の巧みな議事進行
はセーヌ川でのクルーズ、farewell party はリドの
により当初のタイムスケジュール通りに進行した。
ショー観劇など、パリらしい演出を交えての開催で
! IEC/本部からのインフォーメーション
あった。
IEC 中 央 事 務 局(ス イ ス・ジ ュ ネ ー ブ)の TC
全体会議では、IEC 中央事務局からの情報連絡、
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5担当 Jacquemart 氏から、最近の IEC 動向、運
各 WG(Working Group)のコンビナによる進捗状
営上の主な変更点について説明が行われた。主な点
況報告、他の委員会、ISO など他機関との連携など
を以下に列挙する。
の ほ か、日 本 と フ ラ ン ス か ら 燃 料 電 池(Fuel
◆投票用委員会原案(Committee Draft for Vote:
Cell:FC)に関するアクティビィティのプレゼン
CDV)で反対国がなかった案件は、コンビナの
テ ー シ ョ ン が 行 わ れ た。ま た、全 体 会 議 の 直 前
判断により、最終国際規格案(Final Draft Inter-
(1
0/2
2∼1
0/2
4)に は、WG1(用 語)
、WG7(ポ ー
national Standard:FDIS)投票を省略して国際
タブル燃料電池)
、WG8(マイクロ燃料電池−互換
標 準(International Standard:IS)を 発 行 で き
性)の会議も開催された。
る。
以下にパリ会議の概要について報告する。
◆IEC、ISO、ITU の間で特許に関する共通のポリ
シーを定めた。
◆各国の投票状況を把握できるようになっており、
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現在1カ国のみ投票に参加していない国がある。
の4つである。
中央事務局から勧告が出される。
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1改定 版、
!IEC/TS6
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2―1、"日本の JISC8
◆2
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7年に新規に発足した TC の紹介があり、各
#米国の SAE
(Society of Automotive Engineers)
国に参加要請が行われた。
J2
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4、 $ FCTESTNET 用語 ( The Fuel Cell
TC1
1
3:ナノテクノロジー、TC1
1
4:海洋エネル
Testing and Standardization NETwork)
"WG2(モ ジ ュ ー ル)
:コ ン ビ ナ Huppmann 氏
ギー(波力、潮力)
◆TISS(技術情報支援サービス)より各種サービ
(ドイツ)
国際標準 IEC6
2
2
8
2―2が既に発行されている。
ス(ツール)の説明が行われた。
! 各 WG の進捗報告
2
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0
7年3月にアメンドメントの発行も終了し、
現在、TC1
0
5は図2に示 す よ う に WG1∼WG1
1
まで計1
1の WG で構成されている。いずれも燃料
電池の種類によらない規格の作成を行っており、
WG3∼WG1
0はシステムの利用形態により分類さ
今後2
0
0
8年にメンテナンス作業を開始する予定
であることが報告された。
#WG3(定置用―安全要件)
:コンビナ Hecht 氏
(米国)
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7年4月に IEC6
2
2
8
2―3―1が発行された。各
れている。各 WG のコンビナより順次進捗状況の
報告が行われた。
国でのこの規格の採用状況(見通し)について議
!WG1(用語)
:コンビナ Hecht 氏(米国)
論があり、以下の説明があった。
用 語(Terminology)の 技 術 仕 様 書(Techni-
E
U:既に EN6
2
2
8
2―3―1として発行済み。
cal Specification:TS)が2
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5年3月 に 発 行 さ
アメリカ:国内規格(CSA America FC2
1)との
れている。この IEC/TS6
2
2
8
2―1は TC1
0
5の他の
調和作業を実施中。カナダとの統一化
WG で使用する用語のみをまとめたものであり、
も視野に、2
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9年1
2月を目標に北米
採用されている用語数が少ない(7
4語)ため、
用規格として発行したい。
2
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5年のフランクフルト会議で、より多くの用
日
本:内容を JIS の中に取り込み済み。但し、
語を取り込むことが決議されている。2
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9年初
現在は PEFC(固体高分子形)のみで
めの改定版発行に向けて、用語のピックアップ、
あり、SOFC(固体酸化物形)につい
定義付けの作業を精力的に進めていることが報告
て作業中である。
された。作業の基本となっている主な資料は以下
$WG4(定置用―性能試験法)
:コンビナ 山本氏
図2 TC105の WG 構成図
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→橋本氏(日本)
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1月に CDV 回覧予定であることが報告された。
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0
6年3月に国際規格 IEC6
2
2
8
2―3を発行済み。
まず、メタノールを対象とした規格を作成し、他
コンビナの山本氏が退任された。日本に定置用
の液体燃料については、多少の手直しで対応する
FC のコンビナが不在となる事態を避けるため、
予定であること、気体燃料については別の規格番
後任に橋本氏(松下電工)を推薦することとし、
号を付ける予定であることなどが説明された。
藤澤議長の計らいもあり、希望通りコンビナの交
(WG1
1(単セル試験法)
:コンビナ 小関氏(日
代が承認された。新コンビナのもとで改定に向け
た作業の準備が既に開始されている(改定版は
2
0
1
0年発行予定)
。
"WG5(定置用―設置要件):コンビナ Huppmann
氏(ドイツ)
FDIS(最終国際規格案)の投票で承認され、
近く国際規格として発行される見通しであること
が報告された(その後、1
1月1
4日に発行済み)
。
#WG6(輸送用)コンビナなし、現在停止中で報
告なし。
$WG7(ポータブル―安全性):コンビナ Wichert
氏(米国)
IEC6
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2
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2―5―1を2
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7年2月に発行。性能に関
しては当面規格化作業は行わないこと、現在の規
格に関する意見を求める文書(DC)を発行する
予定であることが報告された。
%WG8(マイクロ FC―安全性)
:コンビナ Jones
氏(米国)
2
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7年1
0月に CDV(投票用委員会ドラフト)
本)
WG1
1は日本から新規提案を行って2
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7年4
月に発足したばかりの WG である。日本案をベ
ースとしたドラフトの審議を開始し、2
0
1
0年を
目標に、まず、TS(技術仕様書)として発行予
定であることが報告された。
! WG6(移動体用燃料電池、自動車用を除く)
の今後の扱いについて
現在休止中となっている WG6の今後の活動の進
め方について議論が行われた。各国代表からいろい
ろな意見が出され、最終的に以下の結論となった。
・市場動向、将来ニーズなどを調査するためのアド
ホックグループを立ち上げる。
・アドホックグループのコンビナには Tsotridis 氏
(EU Joint Research Center)が就任する
" 各国アクティビィティの紹介
今回は日本とフランスの2カ国が自国でのアクテ
ィビティの紹介を行った。日本からは、小関委員長
が FC 実証事業、マイクロ FC の開発、SOFC のデ
投票で承認され、2
0
0
8年中には規格発行の見通
ータ集積などについて幅広く紹介した。また、これ
しであることが報告された。また、マイクロ FC
らの活動の結果集積されたデータを基に、多数の
では、各国の輸送機関で認めてもらうことが重要
JIS 規格を発行もしくは準備中であることを説明し
であり、WG8のメンバーの多くが規制機関との
た。
交渉に参加していることが強調されていた。また、
# 新規提案
将来燃料の種類等が追加され、規格を分割する場
合 に 備 え て、規 格 の 番 号 を、6
2
2
8
2―6―1か ら
今回、新規提案はなかった。
$ 他の委員会・機関との連携問題(リエゾン)に
6
2
2
8
2―6―1
0
0と変更することが報告された(WG9、
ついて
WG1
0も同様の変更に同意)
。
ISO/TC1
9
7(水 素 技 術)
、ISO/TC2
2/SC2
1(電
&WG9(マイクロ FC―性能試験法)
:コ ン ビ ナ
横山氏(日本)
気 自 動 車)
、IEC/TC1
0
8(Consumer Electronics)
、
IEC/TC3
1/MT6
0
0
7
9―2
9(ガス検知器)など他の委
既に最終案を事務局に送付済みであり、2
0
0
7
員会・機関との連携に関して各々担当から報告が行
年中に規格が発行されることを期待するとの報告
われた。特に現状問題となる事項はなかったが、ほ
が行われた(後日、1
1月1
4日に発行済み)
。規
とんど内容がなかった前回の報告と比べて連携が深
格成立直後ではあるが、反対投票を行った国から
まっている印象は感じられた。
の要請により2
0
0
8年早々に改定審議を開始する
% その他
こととなった。
! CEN / CENELEC ( European Committee Stan-
'WG1
0(マイクロ FC―互換性)
:コンビナ 上野
氏(日本)
CD に対する6
0
0以上のコメント審議が終了し、
dardization / European Committee for Electrotechnical Standardization)の燃料電池ガスヒー
ティング機器規格案に対して IEC を通して日本
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1
からコメントを提出しており、このコメントの扱
作成作業の方針とスケジュール
いについて質問を行ったところ、全て取り入れら
# WG8(マイクロ燃料電池―安全要件)
れなかったとのことであった。その理由が明確で
なく、不満の残る結果であった。
!全体会議予定
第9回:2
0
0
9年 春 韓 国 で 開 催、場 所 は 未 定
アメリカ、カナダ、ドイツ、韓国、中国、エジプ
ト、日本から3
5名が参加。
開 催 日:1
0月2
2日∼2
4日
審議内容:CDV に対する各国コメントへの対応
(ソウルか済州島)
第1
0回:英国開催が決定していたが、立候補を
4.おわりに
取り下げたため未定
今回の全体会議は、藤澤議長、Winkler 幹事のも
3.WG 会議の概要
とでの3回目の会議となり、円滑な進行のもと、ほ
ぼ予定通りのスケジュールで終了し、コンビナの円
全体会議の前に開催された WG の概要を示す。
滑な交代など日本にとっても満足できる内容であっ
開催場所は全体会議と同じ。
た。新規に発足した WG1
1を除いて、提案済みの
! WG1(燃料電池用語)
規格は全て発行済みもしくは発行の目処が立つ状態
アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、スペイ
に達している。但し、これらの規格は、発展途上に
ン、韓国、日本から1
5名が参加。
ある燃料電池の技術開発を妨げないように配慮した
開 催 日:1
0月2
4日
概要規格となっている。今後、これらの規格が有効
審議内容:改定版に収録するためにピックアップさ
に利用されるためには、より詳細な内容を付加して
れた用語の定義付け
" WG7(ポータブル燃料電池―安全要件)
アメリカ、カナダ、ドイツ、エジプト、韓国、日
いく必要があり、各国の利害もからみながら改定作
業が進められていくことになる。
なお、今回のパリ会議参加にあたっては、経済産
本から1
5名が参加。
業省や NEDO からのご支援、多くの企業、団体か
開 催 日:1
0月2
3日
らのご協力を頂いた。心から深く感謝致します。
審議内容:FDIS 以降のコメント審議および改定版