製薬 - ボッシュパッケージングテクノロジー

packazine
2013年号
製薬編
C.A.F-D.C.F. 赤十字社向け高度精製水
Vetoquinol 動物薬用コンテインメント設備
Schwabe
スペアパーツの納期短縮
packazine_01_13_Pharma_jp.indd 1
13/06/19 14:37
2 | packazine Table of contents | Editorial
目 次
04
packazine | 3
14
18
はじめに
22
読者の皆様へ
どのような業界で仕事をしていても、包装は私たちの日常生活の一部です。コーヒーからインスリンに
至るまで、包装は食品や医薬品を保護するものです。その意味で、顧客である皆様とプロセス・包装設備
のプロバイダーである私たちは、製造者であると同時に消費者でもあります。
ニュース
製品の品質、安全性や有効期間について、常にさらなる向上を求めているのは
最新情報
私たち自身です。これらの要求事項を反映して、医薬品産業および食品・製菓
04
最高の品質 医薬品の汚染から患者を守る
07
プレフィルドシリンジ
医薬品ハンドリングの高速化と充填精度の向上
産業に導入される規制も厳しさを増しています。資源を節約し、何百万人もの
人々に対する食品供給状況を改善する方法としての包装への認識も高まってい
Friedbert Klefenz
ロバート・ボッシュGmbH
ます。“ Invented for life”― 包装は命/生活のために発明されたものです。そ
パッケージング・テクノロジー社長
お客様紹介と市場傾向
こで、今回のPackazineでは製品の保護と品質に焦点を当てました。医薬品お
よび食品は、顧客が期待する品質を維持した上で顧客のもとに届かなければなり
10
Nuova Ompi
改造プロジェクトの成功と迅速なライン納入
12
エーザイ
最高水準のカプセル充填
15
C.A.F-D.C.F.
赤十字社向け高度精製水
18
Vétoquinol
動物薬生産における高度な安全性
as promised”(約束通りの製品・包装)― 消費者と私たちが期待する製品・品質の実現です。
20
Penn Pharma
真のコンテインメントを実現したカプセル充填設備
2012年に行われた買収は、この考え方を反映しています。エーザイマシナリー社の買収により、医薬
22
Schwabe
新規工場に導入された新しい在庫最適化ソリューション
品産業における検査技術分野へと当社の能力が拡大されました。その結果、充填レベルや異物汚染の検査
ません。私たちは、当社が提供する革新的なプロセスや包装技術により、メーカー企業がこの目的を果た
すことをお手伝いしています。そのため、常に既存の技術を進歩させ、新たな方法を開発して、製造段階
から消費者の元に届くまでの製品品質の最適化をはかっています。目的は、“Produced and packaged
により、お客様の製品の安全性向上に貢献することができます。今後、全自動検査技術は、重要な技術的
イベント
24
テーマの一つとなるでしょう。ボッシュがエーザイマシナリーを通じて製品検査の分野に参入したことは、
2013年製薬関連イベント
さらなる技術的展開に向けた基盤となります。また、Ampack(アムパック)社の買収により、乳製品や
ベビーフードなどの繊細な食品のカップ/ボトル充填機も製品ラインナップに加わりました。ここでも私
たちの技術には、一貫したモットーである“Invented for Life”が反映されています。
今回のPackazineでは、成功したプロジェクトを通じて、日常生活で皆様が出会う製品に通じる、興味
深い話題を取り上げています。当社のプロセス・包装技術によって、顧客企業の製品が安全に消費者のも
とに届けられる過程をご覧いただければと思います。
新しいPackazineをお楽しみ下さい。
表紙
半自動検査ユニットETAC Easy View型
バイアル、アンプル、シリンジ、カートリッジの
異物汚染/容器外観異常の検査を行います
Friedbert Klefenz
www.boschpackaging.com [email protected]
packazine_01_13_Pharma_jp.indd 2-3
13/06/19 14:37
4 | packazine News Facts & Trends
packazine | 5
最高品質の医薬品
生産能力の増強、製造工程の複雑化、生産の高速化によって、製薬の状況は世界中で変化し
つつあります。同時に、安全性に関する規制は厳しさを増していますが、医薬品生産はそのよ
うな規制の基礎となっています。これにより、製品の最高品質が規定され、医薬品の汚染から
患者が保護されています。未来志向の検査技術を採用することにより、製薬企業はこの課題
を克服することが可能です。
バイアル、アンプル、シリンジおよびカート
ればなりません。高度な検査技術は、例えばバイ
製品の汚染は、微粒子や異物が医薬品内に混入
欠陥は、元々存在していたか、あるいはハンドリ
軽減されるため、検査担当者は容器の品質管理に
うになりました。PAT とは、「最終製品の品質
リッジに充填された非経口製剤では、品質や安全
オ医薬品や抗癌剤の開発において使用されていま
することにより発生します。汚染された医薬品成
ングの過程で生じたものです。適切な検査技術の
集中することができます。
保証を目標として、原材料、中間製品/中間体の
性に関する最も厳格な規制に適合することが特に
す。これらの技術では、リアルタイムで工程を評
分、異物、包材などが製造や充填作業中に製品に
選択は、主に製品の一貫性、容器の形状やサイズ
人では確認できないレベルの微粒子を検出で
重要な品質や性能特性および工程を適時に、すな
重要です。その他の液剤や錠剤およびカプセル
価し、工程や原材料に起因する欠陥を検出して定
混入する恐れがあります。シリンジのフランジの
に基づいて行います。製品由来の汚染または容器
きる自動検査器もあります。例えば、“Static
わち製造中に計測することによって、製造の設
などの固形製剤に対しても十分な検査を行わなけ
量化し、是正措置を取ることが可能です。
ヒビ、アンプルの熔閉不良など、容器の外観上の
外観の欠陥、あるいはその両者に対して、マニュ
Division ”( SD )技術では、液を通して光学
計、分析、管理を行うシステム」です。
アル、半自動および全自動の検査システムが使用
SDx センサーに光を照射し、動いているものと
PAT の主眼は、製品の製造後に品質検査を行
されます。
静止しているものを判別します。自動化されたカ
うのではなく、「製品に品質をつくりこむこと」
メラをベースとしたシステムは、微粒子の検出と
にあります。例えば、X線技術を搭載した機械は
マニュアルから全自動へ
外観検査の両者に使用されます。容器をスピンさ
この目的に適しています。これらの機械では、例
The United States Pharmacopeial
せて360°以上回転させると、カメラが高解像度
えばカプセルの総合的な品質および重量管理が可
Convention, Inc (USP社)は、目視可能な微
で連続撮影を行います。これらの画像を比較する
能です。新たなソフトウェアの開発と画像処理性
粒子および他の異物が存在しないことを求めてい
ことにより、容器側壁に押し付けられた微粒子を
能によって、これらの技術は急速に進歩していま
ます。人による検査では、50 μ m の全微粒子の
確認し、さらに巻締やシーリングの欠陥を検出し
す。最近開発された検査ユニットでは、重量、異
うち50% を検出できます。検査担当者は各容器
ます。
物、上下カプセルの変形と長さを同時に、高速生
をスピンさせて内容液を回転させ、液と混入して
packazine_01_13_Pharma_jp.indd 4-5
産中にリアルタイムで検査することができます。
いる可能性がある異物を動かしてから、個別の容
製品品質の作り込み
器について注意深く検査します。半自動検査シス
2004 年の米国食品医薬品局による工程分析
マニュアル/半自動/全自動の組合せ
テムでは、マニュアルによるハンドリングの必要
技術( Process Analytical Technology:
通常、非経口製剤は注射投与され、直接血
性を最小限にしています。自動供給、ソーティン
PATii)ガイダンスの発行を機に、まったく新し
液中に入るため、汚染や異物によって有害反
グおよび排出の機能によって検査担当者の作業が
い検査技術が特に固形製剤の分野で開発されるよ
応 が 生 じ る 可 能 性 が あ り ま す 。E U の G o o d
13/06/19 14:37
6 | packazine News Facts & Trends
packazine | 7
Manufacturing Guideline(GMP)ガイド
能です。最も信頼性あるアプローチは、医薬品と
ライン付録1iiiでは、「非経口製剤では、充填後
容器のサイズや種類に応じた、自動検査とマニュ
の各容器に対して外来性の汚染その他の欠陥の検
アル検査の組み合わせとなることは確実であると
査を実施すること」と記載され、さらに、目視検
思われます。
査以外の方法を使用する場合はバリデーションが
検査機を最善の状態で稼働させるため、メー
必要であると強調されています。
カーはバリデーションの必要性に注意し、定期的
全自動検査機のバリデーションプロセスでは、
なメンテナンス活動を実施しなければなりませ
動的条件下においても検査機がバリデートされた
ん。また、工程を慎重に監視し、新しい規制やガ
状態を維持できることを保証するため、サンプル
イドラインとともに、新技術の導入可能性につい
が極めて重要となります。マニュアルおよび半自
ても常に確認する必要があります。検査技術の可
動検査器は特にこれらのサンプルの検査に適して
能性は計り知れません。したがって、製品の品質
います。これらのシステムは主として小規模バッ
を高め、最高水準の患者の安全性を確保するため
チ、ラボにおける分析、不合格品の再処理、全自
には、高品質の機器を提供するメーカーから頑健
動機の基準設定に使用されます。
で信頼性ある技術を導入することが最善の選択と
なります。
医薬品品質の鍵
非経口製剤、特にジェネリック医薬品の増加に
伴い、メーカーはより多くの生産量に対応した、
より高速の機械を求めています。そのため、マ
ニュアルの検査は急速に限界に近づいています。
最高レベルのトレーニングを受けた検査担当者で
ボッシュ インスペクションテクノロジー
ボッシュインスペクションテクノロジー
は、日本、中国、米国および欧州に拠点
を有し、マニュアル、半自動および全自
動の検査システムを幅広く提供していま
す。これらのシステムは、アンプル、プ
レフィルドシリンジ、カートリッジまたは
バイアルなどの液剤や、錠剤などの固形
剤の分野で使用されています。2012 年
4 月より、エーザイマシナリーがボッシュ
グル ープの 一員となりました。エーザイ
マシナリーが 1975 年に開発した SD 技
術は、現在世界 50 カ国以上で多くの非
経口製剤(澄明溶液)の検査に用いられ
ています。
これからの
プレフィルドシリンジ製造
も、全種類の高速生産形態ついていくことは不可
プレフィルドシリンジは利便性と精度をもたらしました。
取扱いが容易で、常にすぐ使用できるプレフィルドシリンジ。
その市場規模が二桁の成長を遂げているもう一つの原動力は、
バイオテクノロジーの登場です。
設備メーカーにとって、この市場の成長は、今後のシリンジの製造工程、
なかでもシリンジの充填および打栓工程において大きな意味があります。
packazine_01_13_Pharma_jp.indd 6-7
隙間商品から主要な容器の選択肢に成長した
に貢献するプレフィルドシリンジには、大きな
る中長期的なトレンドをいくつか見てみたいと
プレフィルドシリンジ。従来の包装形態と比較
メリットが認められます。ボッシュは 30 年以
思います。
した場合のメリットは、使いやすさだけではあ
上にわたってシリンジ市場に従事し、今日では
りません。現在のプレフィルドシリンジでは、
アンプル、バイアル、カートリッジおよびシリ
プレフィルドシリンジ製造工程への影響
バイアルで必要となる過剰充填が低減されてい
ンジの無菌充填用機械の製造における世界的な
主なトレンドとして、現在も続くバイオテク
ます。開発費がかさむ生物製剤の登場に伴い、
リーディングカンパニーとなっています。ここ
ノロジーの急成長が挙げられます。この市場分
ムダを低減し、投与過誤の危険なリスクの排除
では、プレフィルドシリンジの製造工程におけ
野では、高品質で高価な、高度に個別化された
13/06/19 14:37
8 | packazine News Fakten & Trends
packazine | 9
製品が小規模ロットで生産されています。一般
す。プレフィルドシリンジのさらなる品質向上
して、原材料、寸法、その他タブの接続やスト
を用いた新たなコーティングが現実的な選択肢
充填工程:単回使用に対する需要の高まり
使用されています。ただし、一部の生産ライン
に、バイオテクノロジー応用医薬品や化学薬品
では、工程内管理が重要な役割を果たしていま
レッチシートなどが挙げられます。
として可能となるかもしれません。
シリンジ充填では、バイオ医薬品で使用され
は極めて高能力ですが、滅菌済みシリンジは小
は、液剤としてシリンジに充填された状態で提
す。そのため、最新の機器では、充填重量のみ
PAT の観点からみれば、シリコン塗布状態
先進工業国では、バッグ・タブの開梱は全自
る接液部品の清掃やバリデーションが極めて高
規模バッチを想定しており、廃棄の問題は重要
供されるのが最適です。そのため、シリンジそ
ならず、閉塞に関わる要素やシリコン塗布など
の確認は、充填前に実施する必要があります。
動化する傾向にあり、この傾向は拡大しつつあ
コストであることから、単回使用充填システム
視さ れていません。おそらく、この特定の分野
のものが市場として急成長しています。また、
の変数に対しても適用できる工程内管理を提供
フレキシブルなハンドリングユニットを搭載し
ります。競争が 激しく、新たなソリューション
について幅広く議論されています。その意味
で異なる進展があると思われますが、現時点で
保存性を向上させるための凍結乾燥は、しばし
することにより、品質向上の可能性を切り開く
た、高度に自動化された充填機では、指定され
の開発が急速に進展しています。バッグ開梱に
で、充填対象となる製品との接触がないペリス
はまだ確認できません。
ば必要ではあるものの、工程がより複雑となる
ことが最低条件として求められます。規制当局
たシリンジをネストから取り出すことが可能と
ついては、半自動のプロセスも一部受け入れら
タルティックポンプが再び注目されています。
ことから第二の選択肢とみなされています。生
は、今後より広く PAT の採用を求めるものと予
なっているため一層このことが求められます。
れつつありますが、無菌室へのタブの移送、特
通常、充填量は 50μL~3mLです。
プレフィルドシリンジへの確実な流れ
産の自動化により、菌の混入の主たる原因であ
想されます。
これにより、ラインに組み込まれた制御ステー
にクリーンルーム C から A へのゾーン間移送に
高価な薬剤を充填する前のシリンジでは、ど
全体として、プレフィルドシリンジへの流れ
ションへの個別シリンジの供給が容易となりま
ついては、状況が異なります。現在、タブ表面
のような検査が可能でしょうか。検査しうる
という方向に変化はありません。今後、バイ
るマニュアルによる介入を最小化できる可能性
があるため、自動化は今後も進展すると思われ
工程における今後の発展の可能性
す。打栓では、シリコンの混入を最小限にとど
を滅菌する電子線滅菌トンネルが議論の中心と
パラメータとして、ネストの完全性、チップ
オテクノロジーがこの包装形態の展開を左右
ます。自動化された設備への需要は高まりつつ
すべてのシリンジが、すべての機械で製造で
めつつ、自動注射装置におけるスライド機能を
なっており、アイソレーターを採用した高能力
キャップの有無、針折れのチェックが挙げられ
するでしょう。このことは、機器メーカーに
あります。例えば、滅菌シリンジ包装の開梱に
きることが必要となります。したがって、メー
満たす必要があり、現在ではシリンジ内部のシ
生産ラインでは標準的となりつつあります。
ます。充填機器のコントロールシステムに対す
とって、製品の個々の特徴に対して、個別のソ
おける全自動化は、かなり以前から新規充填ラ
カーにかかわらず、最重要のパラメータは共通
リコン層の厚みや分布状態を確認する方法があ
る需要は以前からありますが、各社は技術的ま
リューションを開発することを意味していま
インに対する標準的な要求事項となっていま
でなければなりません。これらのパラメータと
ります。長期的には、例えばプラズマ技術など
たはビジネス上の理由から、そのようなシステ
す。また、 PAT に基づくより深い工程理解も必
ムを使用していません。しかし、検討されてい
要となります。その意味するものは、品質の向
る他のトレンドと比較すれば、上記のシステム
上と生産量の増大です。滅菌済みシリンジの成
は、実現する可能性が最も高いと思われます。
功を考えれば、業界として、滅菌済みバイアル
やカートリッジの検討も始まる可能性がありま
様々な打栓方法
す。現在では「隙間製品」であるかもしれませ
充填完了後、従来の打栓方法は押出し式打栓
んが、ネスト式シリンジも当初は「新奇な」製
です。スリーブ内にストッパーがセットされ、
品であったことを忘れてはなりません。
その後シリンジ内へ挿入されます。ロッドがス
トッパーをスリーブから押し出し、ストッパー
がシリンジをシールします。一方、バイオテク
ノロジーの急成長により、コーティングを組み
入れたストッパーの使用が増加すると考えられ
ますが、これらの多くは繊細であるためスリー
ブ式打栓には使用できません。そのため、別の
打栓方法として、真空打栓があります。各シリ
ンジ内に真空引きを行い、それによってストッ
パーをシリンジ内へ導入します。真空打栓で
は、押出し式打栓と比較してストッパーに圧力
がかかりません。ただし、真空打栓のほうが変
動要因が多く、打栓位置の精度も低下します。
バルクシリンジとネスト式シリンジ
市場では、すでに答えが出ています。バルク
シリンジで開始される新たなプロジェ クトはほ
とんどありません。滅菌済みのシリンジが広く
packazine_01_13_Pharma_jp.indd 8-9
13/06/19 14:37
10 | packazine Customers & Markets Pharma
packazine | 11
改造プロジェクトの成功
ボッシュは改造プロジェクトを成功させ、
Nuova Ompi社へのライン納期を短縮しました。
可能な限り早期に生産増を実現する必要が
Nuova Ompi社によれば、ボッシュチームの専
パーツ数セットをボッシュに発注しました。
あった同社は、バイアルとカートリッジを兼用
門技術と経験により、プロジェクトは当初から
すべてのサイズに対して適切な性能が発揮さ
できるフレキシビリティを備えたラインを短期
成功裏に進められました。
れるよう、ボッシュパッケージングサービスで
は、トンネルについて詳細なメカニカルチェッ
間で提供できる、ボッシュパッケージングサー
ビスのようなパートナーを必要としていまし
段階的な改造作業
クを実施。実際に充填を実施するのは Nuova
た。
EZ-fill™ 製品ラインが製薬基準を満たすため
Ompi 社の顧客企業であるため、バイアルの打
の条件として、Nuova Ompi社は、容器のシリ
栓は不要であり、Nuova Ompi社のタブネスト
パーフェクトな組み合わせ
コン塗布を完璧に行うことの重要性を強調しま
機へ直接搬送されます。カートリッジについて
Nuova Ompi(ヌオバ・オンピ)社は、ガラ
新ブランドの高度な要求を満たすため、
した。そこで、プロジェクトの開始前に、詳細
は、同社はボッシュのMRD 1010型充填・シー
ス製品の取扱いにおいて60年以上の歴史をもつ
Nuova Ompi社はボッシュの洗浄機RRN 3063
なシリコン塗布テストが実施されました。第 1段
ル機(ただし、充填ステーションなし)を導入
専門メーカー。同社は、医薬品用のガラス管容
型と滅菌トンネルHQL 3680型で構成された、
階として、ライン全体をボッシュの工場に移送
しました。カートリッジは MRD 充填・シール
器のトップメーカーである世界的なStevanato
スムーズなハンドリング技術を採用したライン
の上、ボッシュの専門技術者が洗浄機を完全に
機で片側をストッパーまたはキャップで閉塞さ
グループの一員です。Nuova Ompi社は北イタ
の一部を購入しました。このラインは元々別の
解体し、バイアルの洗浄を可能にするためのグ
れ、その後タブネスト機へ搬送されます。ボッ
リアに拠点を有し、注射剤のガラス容器への一
顧客に販売されたものの、ラインの設計対象で
リッパー回転ユニットのレトロフィットを行い
シュは顧客の特殊な要求に応じるため、機械の
次包装に特化しています。同社の標準的な製品
あった製品の生産が上市前に断念された経緯が
ました。さらに、一次包装材料であるガラス容
カスタマイズを実施しました。
として、インスリン、麻酔薬、その他幅広くバ
ありました。これらの機械は高度な技術を採用
器の洗浄機への供給と洗浄機内での搬送を安全
イオ医薬品に使用される、多様なシリンジ、バ
し、多様な容器の間で迅速な製品替えが可能と
に行うよう設計したスリーブを使用して、イン
優れたチームワークが早期に成果を生む
イアルおよびカートリッジがあります。豊富な
なるフレキシビリティを備えていたため、改造
フィード部分全体の改造を行い、丁寧な搬送を
ボッシュ社工場での出荷検収では、 Nuova
経験と深い知識を有するNuova Ompi社は、世
により Nuova Ompi社の要求にこたえるベース
確実にしました。 Nuova Ompi社は、ready-
Ompi 社から、ボッシュチーム全体によって、
界規模で展開する製薬会社のニーズにこたえる
として最適でした。
to-fill容器を複数の顧客企業に提供しており、そ
このカスタマイズされたプロジェクトが速やか
設備を備えています。
プロジェクトのスケジュールは厳しく、 6 カ
れぞれ要求事項が異なります。したがって、バ
に、成功裏に実施されたとの評価をいただき、
月以内にバイアルとカートリッジの両者のハン
イアルとカートリッジの間での迅速な製品替え
「一緒に仕事がしやすい」とのお言葉をいただ
トレンドに合わせて
ドリングを可能にする必要がありました。元の
のみならず、様々なサイズの容器のハンドリン
きました。特に、バリデーションおよびクオリ
過去数年間、製薬産業ではすぐに使える
ラインはカートリッジのみを対象に設計された
グが可能であることも重要な要求事項でした。
フィケーションの過程では、 Nuova Ompi 社
(ready-to-use)ガラス容器の需要が伸びを示
ものでした。この改造プロジェクトの全般的な
バイアルは最大サイズとして 10R 、カートリッ
とボッシュはともに同じ高水準の基準を設けて
しています。その要因として、多くのメーカー
条件について合意した後、 Nuova Ompi社と
ジは 3mL ~ 20mL を取扱い、ハンドリングに
いました。両社チームがプロフェッショナルと
が直面している、製造に要する面積の問題が
ボッシュパッケージングサービスは、緊密に連
求められるフレキシビリティを実現するため、
して開発プロセス全体にわたって協力したこと
あります。限られたスペースで多くの技術を取
携したプロジェクトチームを立ち上げました。
Nuova Ompi 社は洗浄機とトンネルのサイズ
により、プロジェクトは大きな成功をおさめま
り入れる必要があるのです。滅菌された、直接
した。改造され、製品フォーマットに対するフ
充填可能な容器を用いることにより、製薬企業
レキシビリティを備えた機械は短期間で Nuova
は、生産ラインに洗浄機や滅菌トンネルを組み
Ompi社に納入され、同社は新規EZ-fill™ライン
入れることが不要となり、製品の充填工程へと
での大量生産を開始しています。
直接進むことが可能となります。さらに、追加
人員やトレーニングも省略可能となります。
www.nuovaompi.com, www.ez-fill.com
このような流れを受け、 Nuova Ompi社はバ
イアルやカートリッジなどの滅菌された“ready
to fill”容器用ラインとしてEZ-fill™製品ライン
の立ち上げを計画。市場における強い需要を認
識していた同社は、生産量の増加を決定し、適
Courtesy of Nuova Ompi
packazine_01_13_Pharma_jp.indd 10-11
切なライン技術導入の検討を開始しました。
13/06/19 14:37
12 | packazine Customers & Markets Pharma
packazine | 13
最高水準のカプセル充填
エーザイは翌年、ボッシュに発注。ボッシュは
厳しいスケジュール
追加に伴ってエーザイ英国工場に納入される同
高速カプセル充填機GKF 2500 ASB IPK型2台
このプロジェクトの成功後まもなく他のプロ
種の設備としては 1 号機でした。同機は部分発
を初めて川島工園へ納入しました。
ジェクトが開始されました。英国ハットフィー
作の治療に用いられる抗てんかん剤「ゾネグラ
ルドの Eisai EMEA Knowledge Centre
ン」の充填に使用されます。本剤は様々な力価
1台あたり4億カプセル/年
( EKC )が固形製剤の製造および包装を開始
の製剤が生産されます。
GKF 2500 ASB IPK型は、エーザイのセル
します。新規カプセル充填機 GKF 1400 ASB
エーザイ社プロセスエンジニアJames
ベックスのような取扱いが難しい繊細な製品に
100% 型は、製品ラインナップへの固形製剤の
Woodhall 氏によれば、「多くのプロジェク
特に適しています。「セルベックスは粘着性が
あり取扱いが難しい一方で、充填工程では空カ
ボッシュパッケージングテクノロジーとエーザイ株式会社には多くの共通点があります。両社
プセルの発生を避けなければなりません」(村
ともに製薬産業における経験豊かな企業として国際的に知られ、多くの共同プロジェクトを成
上氏)。工程内管理( IPC )により統計的評価
功させてきました。ワイブリンゲン(ドイツ)で製造されるカプセル充填機GKF型は、世界各
に基づく重量管理が可能であり、自動トラブル
国のエーザイ社の施設に導入されています。
シューティングシステム( ASB )が変形カプセ
ルを自動で検知・排出します。さらに、 cGMP
対応の生産キャビンはアクセス性に優れ、操作
および清掃が容易な仕様です。これらの特徴に
より、スムーズな生産工程を実現し、機械停
止を最小限におさえ、生産性を最適化していま
す。機械の更新前、エーザイではカプセル充填
機 4 台でセルベックスの充填を行っていました
が、「現在はGKF機2台のみが稼働し、1機あた
り年間 4 億カプセルを生産しています」と村上
エーザイ株式会社(本社:東京)は、固形
ジェクトを成功させており、なかでもGKF 型カ
イは lights-out-management (LOM) によ
氏。設備は省スペースのため、2区画分の生産ス
剤、無菌液剤などの研究開発医薬品、OTC薬、
プセル充填機は、2007年以来エーザイ社の施設
る稼働を目指していました。「当社の目標はシ
ペースが空き、別のプロジェクトに使用するこ
ジェネリック薬を生産するグローバルな製薬企
に5台以上が導入されています。
ンプルでした。夜間に可能な限り長時間、オペ
とが可能となりました。村上氏によれば、「生
レーターなしで機械を稼働させることです。」
産工場を拡大することができないため、これは
業です。「患者様とその家族を第一に考える」
という企業哲学に従い、またベネフィットを向
川島工園における完全自動生産
と川島工園カプセル生産部門のマネージャ村上
必要不可欠」であるとのこと。バッチサイズは
上させるため、エーザイ社は「ヒューマン・ヘ
エーザイ川島工園では、錠剤、カプセルおよ
秀雄氏は述べています。
720 万カプセル、生産に 3 ~ 4 日を要します。
ルスケア」( hhc )という使命を果たすべく
び顆粒剤などの固形製剤が生産されています。
エーザイは 2006 年、ボッシュ船橋工場で自
「以前の4台の機械では、バッチあたりの中断回
邁進しています。同社は新規機械に対して継続
胃炎・胃潰瘍治療薬セルベックスは毎年 8億カプ
社製品を用いたGKF 1400型によるトライアル
数は60回でした。新規GKF 2500型2台のおか
的な投資を行っているため、最先端技術による
セルが同工場で生産されます。2007年、エーザ
を実施していました。「このトライアルの目的
げで、わずか3回/バッチまで低減することがで
生産が可能です。ボッシュパッケージングテク
イは所要スペースの低減と設備全体の実効稼働
は、連続 8 時間シフトにおける機械のチョコ停
きました。どれだけ OEEが向上したか、また、
ノロジーは、エーザイにとって長年にわたる信
率( OEE)の向上を目的として、カプセル充填
の頻度や充填精度をチェックすることでした」
どれだけ当社にとって喜ばしいものであるか分
頼あるパートナーです。両社は多くの共同プロ
機の更新を順次開始しました。さらに、エーザ
と村上氏。他のサプライヤーも検討した上で、
かるでしょう。」
packazine_01_13_Pharma_jp.indd 12-13
13/06/19 14:37
14 | packazine Customers & Markets Pharma
packazine | 15
トと同様、最大の課題は、機械の製造、コミッ
くおさえられています。」また、「全数計量に
填に使用されており、2012年末にはGKF 702
ショニング、据付に対する厳しいスケジュール
より、極めて高水準の品質保証が実現していま
型機が研究開発用として川島工園に納入されま
でした。」「発注の時点で、非常に短いリード
す。」同機は全カプセルを個別に計量し、充填
した。グローバル企業であるエーザイとボッ
タイムで機械を製造する必要がありました。幸
量が不正確なカプセルを取り除き、不良カプセ
シュの共同プロジェクトは、これら 5 台の GKF
いにもボッシュは納期どおりに機器を納入して
ルコンテナに排出します。さらに、エーザイで
型カプセル充填機にとどまらず、今後も確実に
くれました。」この GKF 1400型プロジェクト
は、新規機器のバリデーションドキュメンテー
継続していくことでしょう。
は、2011年3月の機器発注により正式に開始さ
ションについて極めて厳しい要件を設定してい
れ、同年7月にはボッシュワイブリンゲン工場に
ます。ボッシュはこれらの要件に対応すること
て出荷検収(FAT)が、8月にはエーザイ社工場
ができました。
にて現地検収(SAT)が行われました。
「ボッシュは極めて柔軟に対応し、当社のス
ケジュールを十分に理解してくれたため、プロ
未来へ続く協力関係
ジェクト全体を通じて、私たちはボッシュと
GKF シリーズのすべてのカプセル充填機と同
の良好な協力関係のもとで仕事をすることがで
様、エーザイ社の GKF 1400 ASB 100% 型
きました。」と Woodhall 氏は強調します。
は間欠動作を採用し、実績あるタンピングピン
「ボッシュの技術者は、今まで一緒に仕事をし
方式により粉末の充填を行います。製品替えや
た中で最も優秀な技術者に数えられます。」
清掃の時間を最小限におさえ、生産性を最大限
エーザイ川島工園の村上秀雄氏はさらに「カプ
に向上させています。 James Woodhall氏に
セル充填プロジェクトといえば、ボッシュにコ
よれば、「現在まで、GKF の稼働状況は驚異的
ンタクトします。」と述べています。エーザイ
です。充填精度は良好で、不良品率は極めて低
美里工場でも別の GKF 1400型機がペレット充
赤十字社向け高度精製水
ブリュッセルに本部を置くベルギー赤十字社血漿分画センター(C.A.F-D.C.F.)は、ベルギー
国内市場に血漿蛋白製剤を供給し、同時に受託製造者として活動しています。同社は、洗浄およ
び製造に用いる高度精製水を生産しています。この医薬品品質を有する製品は注射用水としての
使用に適しています。Pharmatec社は、水のプロセスに対する多様な顧客要求を満たす高度精
製水製造設備の構築と据付という技術的課題に取り組みました。
packazine_01_13_Pharma_jp.indd 14-15
C.A.F-D.C.F.はブリュッセルにあるベルギー
ができ、製造工程のいくつかの段階で注射用水
C.A.F-D.C.F.は、プロセスエンジニアリングの
赤十字社の独立部門です。ベルギー国内に血漿
( WFI )の代替として、特に洗浄工程で使用さ
専門技術で知られるPharmatec(ファルマテッ
製剤を供給するのみならず、 C.A.F-D.C.F.は従
れます。HPWとWFIは純度について同じ要件を
ク)社に同プロジェクトを発注しました。
業員 200 名を有し、血液凝固因子、免疫グロブ
満たしていますが、WFIの代替としてHPWを使
Pharmatec GmbHはボッシュパッケージン
リン、アルブミン溶液の受託製造者としても活
用できる状況は限定的です。
グテクノロジーの子会社であり、プラントエン
動しています。高度精製水(Highly purified
HPW の生産能力拡充のため、洗浄機および
ジニアリング・プラント建設から配管工事まで
water: HPW )はより経済的に生産すること
定置洗浄(CIP)用HPW製造設備を求めていた
あらゆる業務を提供しており、このターンキー
13/06/19 14:37
16 | packazine Customers & Markets Pharma
packazine | 17
プロジェクトでは一貫分配システムを提供しまし
方法に関してもフレキシブルに対応しなければな
に水に溶解する気体の量が不足するリスクが生じ
た。
りません。これは、オゾン化、熱水殺菌、加圧水
ます。この問題は、オゾン化水をタンク内に供給
殺菌の間で切替を可能にすることを意味します。
する配管をタンク全体と同じ長さまで延長するこ
プロジェクト全般にわたって C.A.F-D.C.F. と
ボッシュが緊密に協力した結果、プロジェクト
は成功裏に完了しました。
とにより解決されました。
純水の製造
飲料水からの高度精製水の製造には、前処理、
新奇な組み合わせ
処理、最終精製の3つの処理段階があります。前
オゾン化では、気体はタンク内の冷水に溶解さ
分岐配管洗浄用二重バルブ
処理では、最初に水は粗ろ過され、その後、軟水
れ、タンクからループ全体に供給されます。熱
ループの殺菌では、水使用機器までの分岐配管
装置内を流れます。次いで処理段階では、まず逆
殺菌法は、使用される温度が異なり、熱水殺菌で
の殺菌も必要となります。ここで、Pharmatec
浸透を行い、最後に電気再生式イオン交換を行い
は85℃、加圧水殺菌では121℃です。後者でも
社は二重バルブ方式を選択しました。各分岐配管
ます。逆浸透は、水から塩を取り除きます。その
タンクを外気に対して閉じ、システムに加圧しま
の始点に圧空バルブ、終点に通常のバルブを設置
後、残留塩は1%~5%のみとなりますが、さらに
す。タンクの内容物は殺菌前に規定のレベルまで
しました。この方式により、分岐配管内の残留水
電気再生式イオン交換により低減されます。この
排出されるため、タンク内の自由表面が大きくな
を排出し、機器を切り離した後、配管を乾燥させ
ように製造される純水(purified water:PW)
ります。気体を用いない両方法では、表面の殺菌
ることが可能となり、配管の微生物汚染を防止す
は、限外ろ過によりさらに高度精製水(HPW)
にスプレーノズルを使用する必要があります。
ることができます。
となります。
ループの戻り配管に取り付けられたステンレス製
プラントのノズルも特殊仕様でした。デッドス
HPW は一時的に容量 25,000L のタンクに貯
のスプレーノズルから定期的にタンクに噴霧され
ペースを最小化する設計で、必要な配管を低減
蔵され、その後分配システム(ループ)を通じて
ます。ただし、戻り配管内の水にオゾンが含まれ
したことにより、細菌汚染のリスクも低減されて
プロジェクトの目的達成
リングマネージャーのKris Raspoet氏。さら
施設全体の各機器に供給されます。分配システム
ているとスプレーヘッドによる圧力損失のため、
います。熱水および冷水の除去についても、独自
これらの特殊な問題がありましたが、顧客個
に、プロジェクトマネージャーEric Hoogenes
は、高い微生物学的品質の水を維持するため、定
オゾンが流出します。このことは、水にオゾンが
のソリューションが構築されました。HPWの基
別のソリューションによって効果的に対応した
氏によれば、「Pharmatec社の経験あるチーム
期的に殺菌しなければなりません。この段階に対
溶解しなくなることを意味します。したがって、
本的な循環温度は 20 ℃ですが、洗浄機のような
結果、C.A.F-D.C.F.の特殊なニーズに合わせて
は、プロジェクトの目的を達成するために、品
して、C.A.F-D.C.F.の顧客から、ループの殺菌
熱水とオゾンの組み合わせは、極めて珍しいもの
一部の機器ではより高温の水が必要です。そのた
構築された高度精製水製造設備の完成に至りま
質とプランニングに真剣に取り組んでくれまし
方法について様々な要求が提示されています。通
です。
め、熱交換器を経由して水を供給する、追加のサ
した。従業員7名からなるチームはプロジェクト
た。」この共同プロジェクトが成功したことに
常、同社では効果の高いオゾン化法を好んで使用
工場の状況から、C.A.F-D.C.F.プロジェクト
ブループが構築されました。
をスケジュール通りに実施し、 1 年余りでプラ
より、今後の Pharmatec社とのプロジェクトへ
しています。同時に、C.A.F-D.C.F.は自社の血
には水平タンクを使用する必要がありました。タ
ントは稼働を開始することができました。「プ
の道が開かれています。
漿製剤の生産のみならず、個別に要求された殺菌
ンク内の水柱の高さを低くすれば、オゾン化の際
ラントの稼働状況は、完全に満足できるもので
す。」とC.A.F-D.C.F.アシスタントエンジニア
高度精製水は、飲料水からわずか3段階の処理で
製造されます。高度精製水は、血漿製剤、凝固因
子製剤、免疫ブログリン製剤およびアルブミン溶
液の製造において、いくつかの工程段階で使用さ
れています。
packazine_01_13_Pharma_jp.indd 16-17
13/06/19 14:37
18 | packazine Customers & Markets Pharma
packazine | 19
動物薬製造の安全性向上
Vétoquinol社に選んだボッシュのコンテインメントソリューション
動物薬の製造では、高活性物質が扱われま
す。国際的企業 Vétoquinol (ベトキノール)
社がフランス・ルール工場での生産能力拡大に
向けてテーラーメードのコンテインメントシス
テムを求めたのも、それが理由でした。ボッ
て動物薬およびアニマルヘルスケア製品の開
発、生産および販売に携わってきました。家族
経営企業である同社は、世界に6カ所の生産拠点
と 700 もの自社製品ブランドを有しています。
同社の動物薬は主として、イヌ、ネコ、ウシお
理活性物質のプロセスを目的とする、個別要求に
燥時間が大幅に短縮されました。バッチタンク
Hüttlin社システムの結果は極めて良好でした。
応じたコンテインメントソリューション」でし
とチューブを継続的にクリーニングするため、
また、昨年には現地検収( SAT )が行われ、そ
た。この工程では、クリーンルーム内で物質と人
Vétoquinol社はWIP(washing in place)
の結果、 2012 年 10 月には新建屋での業務が開
員を絶対的に隔離することが極めて重要でした。
ステーションを用いた洗浄システムを使用してい
始可能となりました。 10 名からなるボッシュの
問題は、すべての機器を完全に同期化して制御機
ます。
強力なプロジェクトチームは、Vétoquinol社の
構をリンクさせることにより最適なワークフロー
スタッフとともに2年にわたって集中的に作業を
を構築すること、さらに、一貫したコンテインメ
SMEPAC試験で性能を確認
行いました。「プロジェクト全体を通じて、ボッ
のもとで粉末の造粒・乾燥を行う新規の「オー
ント条件のもとで確実に粉末を移送することでし
このフレキシブルシステムでは、造粒品 60 ~
シュスタッフの言語スキルは大きなメリットをも
ルインワン」ソリューションを求めていまし
た。新規システムの主な構成機器は、高せん断ミ
240 ㎏のプロセスが可能です。生産工程はコン
たらしました。彼らはオペレーションおよびメン
た。「ボッシュは当社の要求を受け入れ、生産
キサー、流動層システム、共同開発されたクロー
テインメントシステム内で実施されます。二重
テナンスのトレーニングもフランス語で実施して
条件に応じた最善の技術的提案をしてくれま
ズドループ洗浄システムです。高せん断ミキサー
バルブを用いた本システムでは、充填・排出間の
くれました。」とOlivier Vermot-Desroches
した。」と Vétoquinol 社の技術マネージャー
HBG 600型の中核となるのはGentlewing ミ
インターフェースから発生する粉塵を最小限に
氏はプロジェクトを振り返っています。
おさえ、作業者は個人用保護具なしに作業する
シュパッケージングテクノロジーの一員である
よびブタに使用されています。
Olivier Vermot-Desroches氏は説明してい
キシングツール。そのZ型の形状によって最善の
Hüttlin GmbHは、Vétoquinol社の特殊な要
着実な需要増加に伴い、 Vétoquinol 社は
ます。
混合結果が得られます。また、壁面とのクリアラ
ことができます。隣国スイスの独立的な環境研
求事項に正確にこたえるソリューションを設計
2010 年、ルールにあるフランス工場の生産機
ンスを縮小することにより、排出後の製品残留を
究機関が「医薬品製造機器の粒子封じ込め(コ
しました。
器の更新を決定。その際、工程全体に求められ
最適な混合品質
最小限におさえました。粉末は搬送チューブに
ンテインメント)性能評価」(Standardized
る粉末のコンテインメント(封じ込め)が重要
その目的は、通常の生産のみならず、研究目
よって吸引され、流動層システムHDG 200型に
Measurement of Equipment Particulate
Airborne Concentration:SMEPAC)を
実施してシステムの機能性を確認したところ、
新たな「オールインワン」ソリューション
視されました。開発を継続的にた確実に行う
的や小規模バッチにも使用できるシステムの設
移送されます。Hüttlin Diskjetの接線方向のエ
Vétoquinol グループは、80年以上にわたっ
め、同社は最高レベルのコンテインメント要件
計でした。最も重要な基準のひとつは、「高生
アー出口により、成分の混合が最適化され、乾
packazine_01_13_Pharma_jp.indd 18-19
13/06/19 14:37
20 | packazine Customers & Markets Pharma
packazine | 21
真のコンテインメントを実現した
カプセル充填設備
サウスウェールズの Penn
安全性とフレキシビリティの融合
ロジェクトとなりました。「この重要プロジェ
安全性、規制への適合、再現性あるバッチのス
「最も重要なことは、ボッシュの革新的な洗浄
クトでボッシュとパートナーとなったことを喜
ケールアップを設計の考え方の中心とするエン
技術により、製品切り替え時の洗浄に信頼性が
んでいます。機器は革新性に満ち、世界レベル
ジニアリングソリューションの導入が必要でし
あり、交叉汚染を防止できることです。」と
の技術となっています。安全性、フレキシビリ
た。」と Penn Pharma社COO Mark Dean-
Penn Pharma社CEO Richard Yarwood
ティを備え、世界市場における規制要求にこ
Netscher氏。「ボッシュは革新的な洗浄技術と
氏は強調します。製品やバッチを頻繁に切り替
たえることができます。ボッシュの機器で提
強力なプロジェクトマネジメント力を兼ね備え
えるため、十分な洗浄プロセスが求められま
供する新たなサービスは、当社のお客様に喜
ており、魅力的なサプライヤーでした。」
す。ボッシュ製カプセル充填機では、洗浄中も
ばれることと確信しています。」と Richard
作業者保護のレベルを維持するシステムが組み
Yarwood氏。さらにMark Dean-Netscher氏
十分な洗浄プロセス
込まれています。複数のスプレーノズルによっ
は、「高活性の経口錠剤やカプセルの開発、治
GKF HiProTect型は、粉末、錠剤、ペレッ
て機械全体の洗浄を行います。プログラム可能
験薬製造または商業生産の委託を計画されてい
トやそれらの混合物など、幅広い充填オペレー
な洗浄システムでは、洗浄プロトコルの保存・
る方は、当社施設(英国)へご来場ください。
ションに適しています。モジュラー設計のコン
呼び出しが可能です。これにより 、完全にバ
是非、稼働中の GKF HiProTectをご覧いただ
セプトを採用し、追加ステーションの使用によ
リデートできる、再現性ある WIP ( Wash-in-
きたいと思います。」と述べています。
り、顧客の用途に的確に対応することができま
Place )プロセスが保証されます。さらに、
す。本カプセル充填機は様々な段階での秤量が
Penn Pharma 社は、ボッシュの新規 GKF
可能で、空カプセル、充填済みカプセルの両段
HiProTect型にカプセル用インラインWIP仕様
階での重量測定を行います。 Penn Pharma社
粉取り機の組み合わせを選択した最初の顧客と
向けにカスタマイズされたGKF HiProTect型
なりました。
が採用されています。秤量ステーションから充
稼働中のGKF HiProTect型
填ステーションへ自動でフィードバックが行わ
ボッシュとPenn Pharma社にとって、この
れ、充填レベルが自動調整されます。さらに自
協力関係は重要なステップとなります。 Penn
動プロセスを取り入れたことにより、操作、メ
Pharma 社は最先端のコンテインメント製造
ンテナンス、清掃において、研究者や作業者を
用施設を開設し、両社にとって初めての協力プ
当局と仕事をした豊富な経験があります。Penn
Pharma (ペン
Penn Pharma社は、製薬サービスにおいて
Pharma社の重要な成功要因として、最高水準
ファーマ)社にコンテインメント生産設備GKF
最も長い歴史を有する大手企業のひとつであり、
を有する最新機器の使用があります。このこと
HiProTect 型を納入しました。このカプセル
国際的なヘルスケア産業における医薬品の開発、
は、最先端のコンテインメント製造作業に新規カ
充填機では高生理活性物質のプロセスを行い、
製造およびサポートサービスの提供において30
プセル充填機を導入する際の要求事項の一つでも
Penn Pharma社は安全でフレキシブルな生産
年以上の経験を有しています。同社は研究と商業
ありました。本施設は、錠剤・カプセルの研究
により、顧客へのサービスを提供することが可
生産の両レベルで活動する私企業です。国際的
開発および商業生産を目的とした約1,350m の
能となりました。
なプロジェクトで英国医薬品庁(MHRA)や米
施設です。この3階建の多品種用施設では、1 ~
国食品医薬品局( FDA )を含む世界各国の規制
120 ㎏のバッチの生産が可能です。「当社は高
packazine_01_13_Pharma_jp.indd 20-21
活性物質から完全に隔離することができます。
には、統計データに基づく IPK による重量制御
Penn Pharma社が選んだ
ボッシュGKF HiProTect型カプセル充填機
ボッシュパッケージングテクノロジーは、
生理活性の薬物分子を取り扱うため、従業員の
2
カプセル充填機GKF HiProTect型は、粉
末、錠剤、ペレット、これらの混合物のカ
プセル充填が可能であるのみならず、最高
レベルの安全性基準に適合しています。
13/06/19 14:37
22 | packazine Customers & Markets Pharma
packazine | 23
新工場に導入された
新しい在庫最適化ソリューション
ボッシュパッケージングサービスによる在庫最適化ソリューションを導入した
Schwabe North America社
製薬企業Schwabe North America
(NA)社はユタ州からウィスコンシン州への製造工場移転に伴い、生
産ライン用スペアパーツの保管/整理状態を全面的に再編する必要に迫られました。ボッシュパッケージング
サービスによる在庫最適化分析(Stock Optimization Analysis)
により、Schwabe NA社では今後のス
ペアパーツの必要性が予測可能となり、
リードタイムが最大90%短縮されました。
部品供給の問題を解決するため、Schwabe NA
工場に在庫すべき部品を特定しました。「以前
社のニーズに合わせて設定しました。それによ
社は長年のパートナーであるボッシュに対し、
は、今後どの部品が必要となるかは考えず、必
り、ボッシュは顧客が今後必要とするスペアパー
ウィスコンシンの新工場の在庫および納品プロ
要な時に部品を発注していただけでした。その
ツを予測でき、それらの納期を短縮することがで
セスについて新たなソリューションの構築を依
ため納期が長くなることもありました。現在で
きるようになりました。 Schwabe 社側では、
頼しました。「通常は移転後に、影響があるす
は、自社での在庫と、ボッシュに発注する部品
上記分析結果をもとに、ウィスコンシン新工場で
新しいスペアパーツ戦略
プリングビル(ユタ州)の“Natureʼs Way”社施
た。しかし、使用頻度が低いものや特注のスペ
べての要因について、より詳細に検討する必要
で、バランスが取れたシステムができていま
個別状況に応じた効果的な在庫・発注プロセス
Schwabe(シュワーベ)NA社は“Natureʼs
設から、新たに取得したグリーンベイ(ウィス
アパーツはドイツへの発注が必要となり、納期
があります。 Schwabe NA社についても、そ
す。」と Schwabe社Dave Hoffmann氏は振
が構築されました。「当社の要求に合致し、最小
Way ” “ Boericke & Tafel ” “ Enzymatic
コンシン州)の“Enzymatic Therapy”社施設
が最長4週間となることもありました。
のように分析を行いました。」とボッシュパッ
り返ります。
限の在庫で最大の有用性を実現した、スペアパー
Therapy”の名称で植物系製品ブランド、栄養補
へと移転しました。この移転に伴い、物流面で
ケージングサービスのアフターセールスマネー
この新しい積極的な在庫最適化ソリューショ
ツ在庫システムの運用が可能となりました。」
助食品やビタミン剤を製造し、世界中で販売し
の問題のほか、スペアパーツ調達についても再
個別の在庫ソリューション
ジャーDave Bethel氏。
ンは、ボッシュパッケージングサービスの E-
とDave Hoffmann氏も述べています。その結
ています。 Schwabe 社はカールスルーエ(ド
検討する必要が生じました。
Schwabe NA社の保守・修繕・運転用購入担
ボッシュが提案した在庫最適化分析により、
ポータルというオンライン発注サービスに支え
果、リードタイムは 90%短縮されました。「特
イツ)に本社を置き、医薬品開発において 140
Schwabe NA社のユタ工場ではボッシュの
当者Dave Hoffmann氏によれば、「生産のた
す ぐ に 改 善 の 可 能 性 が 示 さ れ ま し た 。 Dave
られています。
に、所要時間が最大 4 週間から 1 ~ 2 日になった
年以上の歴史を有しています。この 10 年間、
カプセル充填機GKF型10台を使用していました
めの貴重な時間をロスすることなく、いかにし
Bethel 氏によれば、「まず、 2009 年 3 月~
Schwabe NA社のDave Hoffmann氏とス
ことについて、特に満足しています。」
同社では米国における販売・生産量が倍増し、
が、ボッシュのスペアパーツ倉庫が近郊のリン
てスペアパーツを入手するかが問題となりまし
2011年7月のSchawbe社の購入履歴を分析し
タッフはすでに上記システムに慣れており、現
Schwabe 社ウィスコンシン工場では、現在
生産能力および機械設備も大幅に増強されまし
ドンにあるため立地上のメリットがあり、多く
た。最も近いミネアポリスのボッシュ施設でも
ました。」ボッシュからの在庫品供給情報のほ
在では、最適化された在庫・発注方法と組み合
も改善プロセスが進行しています。個別の顧客
た。Schwabe NA社は2010年、製造工場をス
のスペアパーツはその日のうちに入手可能でし
300 マイル以上離れていました。」このような
か、定期的に発注される部品の詳細、発注頻度に
わせることにより、以前にもまして効率的に使
の状況に応じて設定された現地在庫と E- ポータ
基づき、ボッシュは特別に開発したソフトウェア
用されています。「 E- ポータルは、当社のスペ
ル経由の発注のバランスにより、計画プロセスが
を用いて Schwabe 社のスペアパーツプロファ
アパーツ戦略をサポートしています。」とDave
改善し、機械停止のリスクも低減しました。「当
イルを作成。「問題は、常に在庫しておくスペア
Hoffmann 氏は言います。「いつでもスペア
初、再編のためには相当な学習期間が必要でし
パーツの量を見極めることだけではなく、発注
パーツのコストと入手可能状況を確認すること
た。最も重要なスペアパーツは何か、いつ発注す
頻度が低い部品に対する解決策を見出すことで
ができます。」 Dave Hoffmann 氏にとって
る必要があるかを見極めなければなりませんで
した。」とDave Bethel氏は説明しています。
は、週7日間、1日24時間使用できる点が最大の
した。今では、情報はすべて社内に取り入れら
「分析に基づき、 Schwabe 社が今後定期的に
メリットです。発注プロセスでは、見積の取得
れたため、当初の作業は十分な成果をあげてい
購入する必要がある部品を提案しました。」
時間が短縮され、必要な時に必要な部品を発注
ます。」とDave Hoffmann氏は総括していま
することができます。
す。「ボッシュの在庫最適化分析は、移転後のス
スペアパーツの必 要性を満たす
ため、Schwabe NA 社とボッ
シュは、Schwabe 社の 在 庫と
ボッシュへの発 注を組み合わせ
た、バランスのとれ たシステム
を構築しました。
ペアパーツの取扱いにおいて、個別状況に応じた
24時間発注可能
packazine_01_13_Pharma_jp.indd 22-23
海外調達による納期の長期化を避けるため、
両社における改善
Schwabe 社とボッシュは、ミネソタ州のボッ
ボッシュは、在庫最適化分析の結果をもとに、
シュ倉庫に在庫可能な部品と Schwabe 社の
ミネソタの施設における在庫品をSchwabe NA
システム構築に大きく貢献しました。」
13/06/19 14:37
2013年 製薬関連イベント
日程
2013 年
イベント名
開催地
分野
6月6~7日
European Lab Automation
ハンブルク
製薬
6 月 12 ~ 15 日
ProPak Asia
バンコク
一般
6 月 18 ~ 21 日
EXPO PACK Mexico
メキシコシティ
一般
6 月 25 ~ 27 日
CPhI, P-Mec China
上海
製薬
6 月 25 ~ 28 日
Fispal Tecnologia
サンパウロ
一般
7 月 10 ~ 12 日
INTERPHEX JAPAN
東京
製薬
9 月 23 ~ 25 日
PackExpo International
ラスベガス
一般
9 月 24 ~ 26 日
FachPack
ニュルンベルク
一般
10 月 7 ~ 8 日
PDA Visual Inspection Forum
ベセスダ
製薬
10 月 15 ~ 17 日
A3P Congress
ビアリッツ
製薬
10 月 22 ~ 24 日
CPhI, P-Mec Worldwide
フランクフルト
製薬
10 月 29 ~ 11 月 1 日
China Pharm
上海
製薬
10 月 30 ~ 11 月 2 日
Allpack Indonesia
ジャカルタ
一般
11 月 5 ~ 6 日
PDA Pre-filled Syringes & Injection
Devices
バーゼル
製薬
11 月 10 ~ 14 日
AAPS Annual Meeting
サンアントニオ
製薬
11 月 14 ~ 15 日
SupplySide West
ラスベガス
製薬
11 月 25 ~ 28 日
PharmTech
モスクワ
製薬
12 月 3 ~ 5 日
CPhI, P-Mec India
ムンバイ
製薬
TEL: 03(5466)2550(代) FAX: 03(5466)2551
本 社
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷 3-12-22 渋谷プレステージ 7F
関西営業所
〒532-0004 大阪市淀川区西宮原 2-1-3 SORA 新大阪 21 18F TEL: 06
(6391)4641
(代) FAX: 06
(6391)4640
船橋工場
〒273-0017 千葉県船橋市西浦 2-2-2
本庄工場
〒367-0048 埼玉県本庄市南 2-3-14
ホームページアドレス
http://www.bosch.co.jp/jp/pajp
TEL: 047(435)2571(代) FAX: 047(432)8181
TEL: 0495(23)3135(代) FAX: 0495(23)3152
E-mail [email protected]
2013.6
packazine_01_13_Pharma_jp.indd 24
13/06/21 17:09