packazine 2015年号 製薬編 Tabuk Pharmaceuticals | 同一スペースで能力が3倍に 武田薬品工業 ブラジル工場 | 旧型機のモダナイゼーションにより最新技術を導入 Rottendorf | 受託メーカーにおけるシリアライゼーションの実施 2 | packazine Table of contents | Editorial 目 次 07 10 ニュース 最新情報 04 標的治療薬で癌と闘う より効果的な癌治療を実現する新しい個別療法 お客様紹介と市場傾向 製薬 07 Do Pharma 10 武田薬品工業 ブラジル工場 旧型機のモダナイゼーションで最新技術を導入 12 Solupharm 高精度検査技術 14 Alcon アイケア製品の有効期間が1.5倍に 16 Rottendorf 受託メーカーにおけるシリアライゼーションの実施 19 Tabuk Pharmaceuticals 同一スペースで能力が3倍に 22 Bosch Seminars 総合的な専門知識を提供 「製薬の自立」を目指して イベント 23 2015∼2016年製薬関連イベント 表紙 あらゆる治療領域において、固形剤、液剤(写真参照)にかかわらず、 医薬品生産一貫ラインについてはボッシュにお任せください。 あらゆる製薬プロセスについて、ボッシュは優れたパートナーとして お客様をサポートします www.boschpackaging.com [email protected] packazine | 3 14 はじめに 16 読者の皆様へ お客様が本当に必要とする製品やサービスを提供すること ― 私た ちにとってこれ以上重要なことはありません。新薬の開発、新規ビス ケットラインの導入、従業員への特別な教育訓練や専門技術の提供な ど、お客様のニーズは様々です。ボッシュは技術的専門性、総合的な コンサルティングとサービスでお客様をサポートする、信頼性あるパー トナーです。 今回の packazine においても、その具体的な事例を数多く掲載し ています。そして、当社のソリューションが、世界中で幅広い製品の 生産・加工・充填・包装に使用されていることをご覧いただくことが できます。たとえば、シリアルバーを製造しているドイツのある企業は、 Friedbert Klefenz パッケージング・テクノロジー社長 食品製造・包装における当社の製品ラインナップを全面的に採用して います。ベトナムでは、ボッシュの機械が、企業や農業経営者の持続 的な経営に貢献しています。 また、ヨーロッパ最大の注射剤受託生産企業がボッシュの検査 技術を導入し、サウジアラビアの医薬品メーカーとのプロジェク トでは、私達が提唱する「ラインコンピテンス」を提供しています。 Achema 2015 における当社の展示では、これらを実感していただ くことができます(ホール 3.1、ブース番号 C71)。「お約束通りのプ ロセス、包装、サービス」をモットーに、お客様のご要望に応じた最 適なソリューションと高度な技術により、がん治療薬やインスリン製 剤の開発と生産において製薬企業をサポートしていることをご覧いた だければ幸いです。 新しい packazine をお楽しみください。 Friedbert Klefenz 4 | packazine News Facts & Trends 標的治療薬で癌と闘う より効果的な癌治療を実現する新しい個別療法 「癌」は、様々な悪性の組織形成を指す集合的な用語です。悪性腫 の全般的な健康状態、腫瘍の病期などに基づいて決定されます。ほ 瘍は、DNA 断片における変異に対して、体が対抗できなくなったと とんどの場合に化学療法が行われます。化学療法薬は主に点滴によっ きに発生します。癌は加齢に伴って発生することが多い一方で、発癌 て投与されますが、細胞増殖阻害薬には、経口投与に適したものも のリスクには遺伝的要素、生活習慣、環境からの様々な影響も関与し あります。研究者は、新たな成分を取り入れるとともに、効果が確 ています。 認された有効成分を様々な用量で組み合わせて試験を行っており、 より忍容性に優れた成績が得られています。新興国では化学療法が 化学療法 最前線にありますが、先進諸国では、新たな標的療法の採用が増え 従来の 3 つの方法―化学療法、放射線療法、手術―は実績ある治 る傾向にあります。 療法です。放射線療法では電離放射線を用いて、腫瘍を完全に不活 化あるいは抑制します。また、化学療法では、細胞増殖阻害薬が使 癌治療における革命 用され、細胞の増殖を阻害します。治療計画は、腫瘍の特徴、患者 健康なヒトでは、細胞分裂は厳密に制御されており、細胞はしか packazine | 5 るべき信号を受けたときのみ複製されます。しかし、このプロセス ナル抗体は、細胞増殖(抑止不可な細胞の増殖)を阻害したり、細胞 のバランスが失われると、無秩序な細胞増殖が発生します。細胞毒 死を引き起こしたりします。モノクローナル抗体の標的に対する作 としてはたらく細胞増殖阻害薬とは異なり、最新の治療法では、腫 用と、細胞増殖阻害薬や細胞毒性薬といった細胞毒を組み合わせる 瘍増殖の分子的な基盤を利用します。キナーゼと呼ばれるある種の ことも可能です。トロイの木馬のように、いわゆる抗体薬物複合体は、 酵素は、シグナルの伝達に重要な役割を果たしますが、それに対し、 細胞毒を直接癌細胞に送ります。「チェックポイント阻害」との関連 キナーゼ阻害薬は、低分子薬としてこれらの機能を遮断します。た で、モノクローナル抗体は近年大きな注目を集めています。免疫系 1 とえば、有効成分イマチニブ による慢性骨髄性白血病の治療は、効 には、自己免疫反応に対して機構を保護するコントロールポイント 果が立証され、盛んに研究が行われています。ほとんどのキナーゼ があります。腫瘍はこれらのメカニズムを利用して、免疫系の逆反 阻害薬は経口投与され、一部は極めて複雑な処方に基づいています。 応に対抗します 2。チェックポイント阻害薬は、コントロールポイン その他の標的治療の一例として、腫瘍の増殖に不可欠な血管の発生 トをブロックすることにより、免疫系が癌に対して作用するように を防ぐ血管新生阻害薬が挙げられます。 します。抗体は胃腸管で「消化」される複雑なタンパク質構造を有 することから、このような治療薬は点滴によって投与されます。 癌の免疫療法 免疫療法は、患者自身の免疫系を刺激し、腫瘍細胞に対して独立 した作用を及ぼすようにします。このように、腫瘍表面の特徴的な 構造に結合するモノクローナル抗体が開発されています。モノクロー 最適なオペレータ保護と最高品質の製品―バリアシステムを搭載した無菌充填システム 1 Vasella, Daniel (2003): Magic Cancer Bullet: How a Tiny Orange Pill May Rewrite Medical History 2 http://www.faz.net/aktuell/wissen/medizin/neue-methoden-deronkologie-die-selbstverteidigung-gegen-den-krebs-13405363.html 6 | packazine News Facts & Trends 治療の差別化 癌治療では、個別化治療への傾向がみられます。有効成分の開発 では、治療開始前に個々の患者での有効性を確認するためのコンパ ニオン診断が注目されつつあります。このことは製薬企業と臨床診 断機器メーカーや医療機器メーカーとの関係がさらに緊密になるこ とも意味しています。治療法がより特異的になれば、臨床試験の潜 在患者数も減り、薬剤開発と治療の間の境界はますます不明瞭にな ります。このような「トランスレーショナル医療」は、かつては治 療困難であった癌との戦いに大きなチャンスをもたらします。癌の 標的治療が進展することにより、癌のイメージも、かつての致死的 疾患から、重度ではあるが管理可能な慢性疾患へと変化するでしょ う。 癌治療薬の開発・製造におけるボッシュの技術 ボッシュパッケージングテクノロジーの製品ラインナップは、 ほぼすべての形態での癌治療薬の開発、生産、充填に対応してい ます。例えば、無菌充填ラインとバリアシステムの組み合わせに より、細胞増殖阻害薬などの高生理活性物質からオペレータを保 護しつつ、最高品質の薬剤を生産することが可能です。有効成分 イマチニブのように経口投与される細胞増殖阻害薬は、ボッシュ 製カプセル充填機や打錠機での生産が可能です。これらの機器も コンテインメントシステムと組み合わせることにより、製品の粉 塵からオペレータを保護します。また、ボッシュは液剤・固形剤 用の様々なラボ用機器も提供しています。 モノクローナル抗体や抗体薬物複合体など、バイオ医薬品の生 産機器は、ボッシュの子会社である Pharmatec の主力製品です。 抗体医薬品の生産では、多段階のプロセスが必要となります。まず、 増殖工程で細胞を培養・回収します(上流工程) 。次に様々な技術 を用いて活性成分を分離・精製します。その後、最終製品の注射 剤として製剤化します(下流工程)。 packazine | 7 Dovi-Akué氏(右)と息子。ボッシュの子会社SBMの専門技術者と滅菌機に大いに助けられたという。 「製薬の自立」を目指して 西アフリカにおける製薬企業のパイオニア、Do Pharma社 静注液の製造でボッシュ製滅菌機を採用しています エボラ、エイズ、マラリアといった極めて重い感染症は、西アフリ 校を修了後、ドイツに移住して医学を学び、総合内科・外科での研 カの人々をたびたび苦しめてきました。この地域の人々の余命は世界 修を終えた彼は、ザールブルク(ドイツ)の病院で 10 年以上にわたっ 平均を 15 年下回ります。主な理由は医療の不足です。製薬企業は長 て医長・副院長を務めました。「ヨーロッパで働くアフリカ出身の医 年、主に政情不安定を理由に、これらの国々への投資を控えてきまし 師のほとんどは、故郷に帰りません。 しかし私は、ト ーゴで必要と た。現地での医薬品生産も極めて限定的であるため、解熱剤や鎮痛剤 されていると感じました。私の家族にも、容易に治療できるはずの といった基本的な薬も入手が困難です。 病気で亡くなった者が何人かいます。」と Dovi-Akué 氏。1991 年、 人 々 に よ り よ い 医 療 を 提 供 す る た め、 首 都 ロ メ に Polyclinique 「必要とされている感覚」 Internationale Saint Joseph 病院を設立しました。 このような壊滅的な医療環境を目の当たりにした Guy Dovi-Akué しかし、病院の医薬品の大半はヨーロッパから調達され、非常に 医師は、故郷トーゴ共和国への帰国を決意します。首都ロメで中等学 高額です。Dovi-Akué 氏によれば、 「現地にはジェネリックメーカー 8 | packazine Customers & Markets Pharma が 2,3 社あるだけです。さらに、西アフリカでは偽薬が急増して 道のりが待っていました。特に機械のための資金調達が困難でした。 います。」特に需要の多い医薬品を製造することを視野に、2006 年 「現地銀行の利子は約 12 %です。投資家も投資しようとしません。」 に Do Pharma SA(以下、Do Pharma 社)を設立。同社は西 と Dovi-Akué 氏。彼は数年間、ビジネスパートナーを求めて様々 アフリカ市場向けに静注液の生産を計画しています。この地域には、 な相手と交渉しました。 トーゴの他にブルキナファソ、ベニン、ガーナ、マリ、ニジェール 困難な状況にもかかわらず、彼は必要な生産機器の調達にこぎつ が含まれます。「私が決意したことは、前人未到の領域でした。現在、 けます。ボトル充填と滅菌は、高品質の静注液を確実に生産するた 西アフリカで静注液を生産している企業はありません。」と Dovi- めに決定的な工程であることから、Dovi-Akué 氏は先進国からの機 Akué 氏。 器調達が必須であると考えました。ボッシュの子会社である SBM は、高品質の滅菌機の製造を専門としており、Dovi-Akué 氏も様々 長い道のり な展示会ですでに同社になじみがありました。定評のある高品質の 静注療法は、患者に重要な薬剤や栄養を与えることにより、治癒 機械に加え、メーカーの選定では、人間関係も決め手となりました。 を促します。脱水を伴う病気では点滴が必要です。このような病気 「SBM の専門技術者を大いに信頼しています。」と Dovi-Akué 氏。 として、西アフリカでは、主として下痢、マラリア、エイズがあり SBM は 2012 年初めから、対応可能な価格で高品質を維持しつつ、 ます。Dovi-Akué 氏によれば、「1 人当たり 1 日 1 ∼ 2 リットルの いかにしてその大きな目標を達成できるか、Do Pharma 社に対し 点滴が必要です。しかし西アフリカでは、その 5 分の 1 も手に入り 助言してきました。同年、両社は Achema 展示会で固い握手を交 ません。」しかし、Do Pharma 社の生産開始までには長く険しい わし、滅菌機 SWS 型の導入が決定されました。 packazine | 9 トーゴでは、機械のための資金調達や必要資材の入手が極めて困難です 熱水シャワーによる滅菌 発注し、トーゴに送る必要がありました。 本機は、特に 100 %密栓された容器を熱水シャワーにより滅菌す るために開発された滅菌機です。この熱水シャワー工程には、熱に 間もなく生産開始 敏感な液剤を短いサイクルでやさしく滅菌できるメリットがありま 「プロジェクト全体として長い期間を要しましたが、その主な原因 す。ポリエチレン製ボトルに充填された静注液は、108 ℃で滅菌さ は財政面での高いハードルでした。現在では、必要なことはほとん れます。滅菌機の収容能力は、容量 500mL のボトルで 9,500 本。 ど完了しています。」と Dovi-Akué 氏。今年はラインのクオリフィ ボトルはマニュアルでスタッキングトレーに載せられ、自動ローラー ケーションとバリデーションが完了し、静注液の生産が開始される コンベアで滅菌機に供給されます。 予定です。中期的には、Do Pharma 社は解熱剤や抗生剤の生産も 2013 年末、SBM により機械がトーゴに納入されました。シス 計画しています。Dovi-Akué 氏はプロジェクトを振り返り、「この テムの据付を通じて、プロジェクトチームは、Dovi-Akué 氏と Do プロセス全体を通じて、SBM は優れたサポートを提供してくれまし Pharma 社の人々が日々直面しなければならない困難を実感するこ た。今日に至るまでずっと当社の強い味方です。今後のプロジェク とになりました。単純な資材も手に入らず、あるいは極めて高額で ト拡大においても、SMB を念頭におくことになるでしょう。」と述 した。そのため、緊急に必要となる資材の一部は、ヨーロッパから べています。 10 | packazine Customers & Markets Pharma 旧型機のモダナイゼーションで 最新技術を導入 急速な技術的進歩に対応するため ボッシュパッケージングサービスが武田薬品工業 ブラジル工場のコーティング機 Manesty Premier Coater 500型のモダナイゼーションを実施 最先端の機器は、高い安全性のみならず、使いやすさやスピード、 ティング機を Dramin(制吐剤) 、Venalot(血管疾患治療薬)など 機械停止時間の短縮といった点でも、医薬品生産を成功に導くために の生産に使用しています。10 年以上稼働した同機の制御システムでは、 最も重要な要素のひとつです。このことは、グローバル製薬企業であ 高品質の製品を生産するために必要とする最新技術水準に対応できな る武田薬品工業(以下、武田薬品)にとっても同様です。230 年を超 くなり、スプレーガンと電気キャビネットの交換も必要となりました。 える歴史を誇る同社は、現在 700 製品以上の豊富なラインナップを 「Manesty Premier Coater 500 型の性能には満足していまし 有しています。ブラジル工場(サンパウロ州ジャグァリウーナ)は中 たから、機械の更新ではなく、技術的にアップグレードすることを 南米諸国で最も近代的な施設のひとつであり、抗アレルギー薬、胃腸 決定しました。」と武田薬品ブラジル工場のメンテナンススーパーバ 薬のほか、免疫疾患や呼吸器疾患治療薬の製造設備を備えています。 イザー Luis Lopes 氏は言います。 「そこで、当然ながらサプライヤー であるボッシュに連絡し、サポートをお願いしました。」ブラジルの 技術的アップグレードを短期間で ボッシュパッケージングサービスの技術チームが作成したプロジェ ブラジルでの操業開始当初、武田薬品ブラジル工場はボッシュの製 クト計画は、貴重な生産時間の損失を抑えるため、厳しい時間的制 品ブランドである Manesty(英国 ノーズリー)のコーティング機 約を設けたものでした。ボッシュブランドである Manesty のサー Premier Coater 500 型を引き継ぎました。本機は最大 600L の大 ビスエンジニアと現地ボッシュのエンジニアは現場でプロジェクト 型ロットのハンドリングが可能で、水性コーティング、有機コーティ チームを結成しました。専門知識の結集がモダナイゼーション成功 ング、糖液などの取扱いが可能です。武田薬品ブラジル工場は同コー の鍵となりました。 packazine | 11 ボッシュパッケージングサービスの技術者によって取り付けられた最新型スプレーガン。 コーティング機は新品同様の性能を発揮しています。 使いやすく、より長い生産時間を確保 技術者チームにより、コーティング機の制御技術全体が新しい 中南米:新たな現地サービスサポート m-tec 制御システムに変更されました。オペレータ用操作パネル ボッシュパッケージングサービスは中南米でのアフター は分かりやすく、武田薬品ブラジル工場の医薬品開発者、メンテナ セールスサービス・サポートを拡充し、あらゆるサービスの ンス技術者、そして製造オペレータは、エアハンドリング、コーティ 問い合わせに対する窓口を集約しました。新たに設置された ング液の噴霧、クリーニングなど、コーティング工程におけるすべ 地域サービスセンターはサンパウロにあり、21 名のスタッ ての重要パラメータを正確にコントロールすることが可能となりま フがパナマ以南の中南米諸国からの問い合わせに対応します。 した。Lopes 氏によれば、「すべてのパラメータと生産工程の追跡 が可能となりました。全生産工程を個別に設定、プログラミング、 呼び出しが可能になったため、複合的な生産レシピが構築できます。」 コーティング結果を向上させるトレーニングセッション さ ら に、Manesty Premier Coater 500 型 に は、 最 新 の Manesty Premier Coater 500 型の再バリデーションが問題 OptiCoat スプレーガンが装備されました。その特殊な形状により、 なく完了し、武田薬品ブラジル工場は生産の再開が可能となりまし 液滴スプレーを均等に分布させ、乱流の発生を最小限におさえます。 た。この実施プロセスの最終週に、ボッシュのサービス技術者により、 「新しいスプレーガンのおかげで、必要なメンテナンスが低減され、 武田薬品ブラジル工場のオペレータや技術スタッフ向けの総合的な 清掃のための機械停止時間が大幅に短縮されました。」と Lopes 氏 プロセストレーニングが行われました。「ボッシュのサポートはとて は説明しています。「そのため、貴重な生産時間をより長く確保でき も良かったです。チームのメンバーも皆、献身的なサポートを提供 ます。」 してくれました。」と Lopes 氏。「一言でいえば、あらゆるレベルで、 最高のクオリティを提供してもらいました。」 12 | packazine Customers & Markets Pharma 高精度検査技術 ボッシュ製検査ラインを導入した受託メーカーSolupharm社 検査速度を15%改善 スピード、フレキシビリティ、品質 ― これらは製薬企業が製造/ 検査能力の拡充 充填委託先企業に求める主な要求事項です。患者の安全性を保証し、 Solupharm 社は成長を続けています。従業員数とともに生産量 最高品質の製品を生産するため、無菌医薬品メーカーは細菌や異物が (容器数)は過去 10 年間で 3 倍になりました。最近まで、同社はボッ 含まれない製品を生産することを自らに課しています。Solupharm シュ製 AIM 296 型を含む 8 台の検査機でバイアルおよびアンプル (ゾルファーム)社も高精度の検査機を使用して充填後欠陥製品を確 の検査を行っていましたが、受注の増加に対応するため、生産能力 実に検出し、直ちに排除しています。メルズンゲン(ドイツ)にある を拡充することとなりました。Solupharm 社のオペレーションマ Solupharm 社は局所麻酔薬、ビタミン製剤といった注射剤のトップ ネージャ Hans-Jörg Wattrodt 氏は、「当社の目標は、特にアン メーカーのひとつです。2 つのバイアルラインと 3 つのアンプルライ プルの検査能力を大幅に向上させ、必要なリーク検査機能をすべて ンにより、欧州市場および国際市場向けに様々なバッチサイズの製造・ のラインに搭載することでした。」と述べています。「無菌充填にお 充填・包装を行っています。 けるボッシュとの長年のパートナーシップが、今回の新たな協力関 packazine | 13 係への決め手となりました。」 検査の大幅な加速化 ボッシュはプロジェクトパートナーとして、様々な技術を調和さ 異なる技術を結集 せ、1 年以内にプロジェクトを完了させました。導入以来、新規ラ ボッシュのプロジェクトチームは、新規検査ラインの開発、製造・ インでは様々なアンプルおよびバイアルの外観検査を確実に行うと 据付およびコミッショニングを約 1 年間で行いました。ライン構成 同時に、検査速度(本数 / 時)も 15% 上昇しました。その他に新 は、バイアル・アンプル用異物・外観検査機 AIM 596 型とリーク 規ラインのメリットとしてフレキシビリティが挙げられます。「ボッ 検査機 KLD 1043 型です。とくに課題となったのはボッシュの実 シュは顧客の要望にマッチしたテーラーメードの検査システムを構 績あるリーク検出技術と、最近製品ラインナップに加わった Static 築してくれました。」と Wattrodt 氏。そのため、これらの機械は Division(SD)技術の組み合わせでした。 スタンドアロンでも使用可能で、リーク検査は不要という顧客に対 SD 技術を採用した AIM 596 型は、カメラを内蔵し、多種多様な しても使用可能です。「ボッシュは特定のプロジェクトの仕事の域を 品種に対応。本機は低∼中粘度の液中の異物検査および汚れやキズ 超えて、常に頼れるバートナーでした。総合的なアフターセールス といった容器外観検査を 300 本/分の速度で行います。異物検査後、 サービスのおかげで、スペアパーツや技術的知識もいつでも手に入 KLD 1043 型がコンテナ・クロージャー・インテグリティ(容器閉 ります。このサポートのおかげで、当社も高いレベルを維持するこ 塞完全性)検査を行います。本機は、ボッシュが開発した特殊な高 とが可能となっています。」 電圧システムを用いてアンプルおよびバイアルの気密性を検査しま す。容器を 360 °回転させながら、下方向から電極により容器の電 気抵抗を測定し、電気抵抗の大きな変化によりクラックを検出しま す。 14 | packazine Customers & Markets Pharma アイケア製品の 有効期間が1.5倍に Alcon社とボッシュの協力により実現 Alcon(アルコン;以下 Alcon 社)はアイケア製品を専門とするトッ 界で 180 カ国以上の医療従事者や患者に製品を提供してきました。 プメーカーです。新開発製品により世界中の顧客ニーズにこたえる新 プールス工場(ベルギー)は、同社の最も先端的な生産施設であり、 たなスタンダードを創造する Alcon 社。その成功を支える 2 つの柱は、 規制の厳しい日本市場を含む、最も厳格な品質要求にも対応可能な設 進歩した研究開発プロセスと、時にコンプライアンスの要求水準をも 備を有しています。 超えるハイレベルの生産基準です。同社の主力製品として、点眼剤の 新たな包装設備には、Alcon 社のベストセラーブランド製品を確実 豊富なラインナップが挙げられます。高品質の製品に対する需要が増 に保護することが求められました。この製品は従来仕様の点眼液用ボ 加し、生産量の増加が必要となった同社は、10 年以上にわたる信頼 トルに充填されますが、そのサイズおよび形状は多様です。大量の受 あるパートナー、ボッシュパッケージングテクノロジーにコンタクト 注に対して、品質を損なうことなく期日通りに対応する必要がありま しました。 した。 輸送・保管期間中の製品の安全性と完全性を保証するため、点眼液 エラーの余地なし 中の水分を維持する気密包装が求められました。特に高温/多湿地域 1945 年にフォートノース(米国テキサス州)に設立された Alcon への輸出製品について、包材の非浸透性を保証するためには、丈夫な 社は現在、ヒューネンベルク(スイス)に本社をおいています。全世 素材と気密性の高い包装技術が最も重要でした。 packazine | 15 Alcon 社では、安定した 3 シフト・週 7 日間稼働が可能な機器を 確実な印字・シーリングシステム 提供できるメーカーを検討しました。新規ラインについて、Alcon Alcon 社では、1 ラインで様々なサイズ・形状のボトルを取扱え 社とボッシュはヒートシール技術を採用した横型ピロー包装機 ることが必要でした。そのため、ボッシュは異なる径の楕円形、円形 Sigpack HSL 型がベストソリューションであると合意し、Alcon のボトルのハンドリングが可能なインフィードシステムを採用しま 社は 2013 年初めに本プロジェクトをボッシュに発注。ボッシュは据 した。小型の PE 製または PP 製のボトルはコンベアベルト上で運ば 付完了までのすべての作業を継続して行い、2014 年夏には生産が開 れ、供給システムの分離ユニットを通過します。ここでカメラによ 始されました。 るチェックが行われ、良品ボトルのみがピロー包装機に送られます。 Alcon 社はアルミ PET ラミネートフィルムと熱転写プリンターを使 用し、包材に重要情報を印字しています。Sigpack HSL 型は厚みの あるアルミフィルムに対して長いシーリング時間を確保することによ り、気密包装を行い、製品の完全性を維持します。 再確認ステーションでは包装上に印字された情報を照合し、欠陥が あれば不良排出します。また、第 2 のコントロールシステムにより、 加熱シーリングエリアでの滞留時間をオーバーした製品も確実に自動 不良排出します。これにより、消費者のもとには良品のみが届けられ ます。 Alcon 社パッケージングソリューションマネージャ Gerrit van Buggenhout 氏によれば、「新規ラインでは、当社製品の有効期間 を 2 年から 3 年へ延長することができました。これは、他の地域や 異なる気候地帯へ輸出する際にとりわけ重要となります。」 将来を約束するフレキシビリティ さらに、Sigpack HSL 型は、操作、メンテナンス及び清掃に要す る時間と労力も最小限におさえます。機器の機械的な段取り替えは不 要で、必要なサービスは 1 年に 1 回のみ。ピロー包装機の能力は、様々 な色の 2 通りの直径のボトルで 180 本 / 分。最大で 10 種類のボト ル形状・サイズに対応するフレキシビリティを備えています。 「 新 規 ラ イ ン は す ば ら し い 成 功 を お さ め ま し た。」 と van Buggenhout 氏。「当社はボッシュに頼るところが多く、実際、プー ルス工場では 3 台の Sigpack HSL 型が稼働しています。その他い くつかの工場にも同型機があります。アイケア産業は急速に進歩して いますが、当社は新規ラインのおかげで、変化するニーズに対応する 準備が整っています。」 16 | packazine Customers & Markets Pharma packazine | 17 受託メーカーにおける シリアライゼーションの実施 Rottendorf Pharma社の拡張可能な シリアライゼーションコンセプトの構築を ボッシュがサポートしています 「シリアライゼーション」という語は、いまだ不確実な部分の多い データマトリクスコードを付与することとなっています。例えば、中 用語です。同時に、一部の企業はすでに「シリアライゼーション」の 国、ブラジル、サウジアラビア、ヨルダンでは、すでに実施期間に入っ 実現に向けた活動を行っています。Rottendorf Pharma GmbH ています。欧州連合の指令 2011/62/EU(偽薬に関する指令)では、 (ロッテンドルフファーマ GmbH;以下 Rottendorf Pharma 社) 推定で 2018 年前半までに、すべての処方箋薬に個別のシリアル番号 もそのひとつです。同社はすでに 2013 年からこのテーマに集中的 を付したコード付き包装を行うよう定めています。 に取り組んでいます。ドイツ ミュンスター近郊のエニガーローに本 社を置き、80 年を超える実績を誇る同社は、受託包装業者として顧 決定基準としてのインターフェース 客のニーズを熟知しています。 「ある日、当社のラインにシリアライ 社内プロセスとリスク分析の実施後、Rottendorf Pharma 社は ゼーションモジュールを搭載する、というだけでは不十分です。 」と まず、包装、IT、エンジニアリング、クオリフィケーション・バリ Rottendorf Pharma 社 の パ ッ ケ ー ジ ン グ 部 門 責 任 者 Carsten デーションといったあらゆる組織分野を最初から関与させることが必 Stein 氏は説明しています。「当社の目標は、パートナーであるボッ 要であると考えました。ハードウェア・センサー技術から、ラインマ シュおよび Advanco と協力し、拡張可能なコンセプトを早期に構築 ネジメントやハイレベルでの施設管理に至るまで、すべてのプロセス して、世界中で様々な規制にフレキシブルに対応できるようにするこ がシームレスに、相互につながっている必要があります。したがって、 とです。」 企業 IT とのインターフェースが重要な判断基準となりました。ボッ シュの CPS モジュールは、機械のソフトウェアと企業 IT とをマル 世界各国の要件を満たす チステージでリンクさせ、シリアル番号の付与を確実に行うことがで ド イ ツ、 フ ラ ン ス お よ び 米 国 に 施 設 を 有 す る Rottendorf きます。 Pharma 社は、大手製薬会社と中規模会社の双方から受託してお 「ボッシュは多くのアプリケーションをマーケットで成功させて り、ヨーロッパ・北米を中心に世界中で事業を展開しています。 「シ います。当社からの問い合わせに対する回答もスピーディでした。 」 リアライゼーションの要件については、各国共通の部分と同じくら と Stein 氏。「さらに、時間的に厳しいプロジェクトでしたが、参 い、異なる部分があります。 」と同社のパッケージング技術部門長の 加したすべてのスタッフは柔軟性と高いモチベーションをもってい Muhammet Yavuz 氏は言います。「そのため、私たちはプロジェ ました。 」Rottendorf Pharma 社の目標は、2015 年末までに実 クトの開始時に各国の要件を検討し、当社とサプライヤー用に要件を 施を完了するという野心的なものでした。シリアライゼーションプ まとめた資料を作成しました。」 ロセスのセットアップは、可能な限り少数で行うことが必要です。 ほとんどの国で、処方箋薬には個別のシリアル番号とともに、2D Rottendorf Pharma 社では、工場長がプロセス全体に対応し、す 18 | packazine Customers & Markets Pharma べての発注データを直接包装ラインに転送します。 経験の少ないスタッフでも段取り替えが容易です。」 現場でのユーザー経験 将来的なラインでの青写真 プロジェクトのスケジュールでは、すべての規格を現場でテストし、 一方、技術的なメリットとして最も重要なことは、スタッフの意識 必要であれば調整することが可能でした。このようなユーザー経験ア が確立していることと、モジュールがフレキシビリティであることで プローチに合わせ、Rottendorf Pharma 社とボッシュは、約 6 カ す。「工場に機械を据え付けることと、その機械が長年にわたって確 月間の試用期間中の実際の経験に基づいてユーザー要求仕様を策定し 実に稼働することとは、別問題です。 」と Yavuz 氏は言います。「し ました。 たがって、サービス意識が確立し、モチベーションの高い、頼れるパー 試用ラインでは標準構成の CPS モジュールを使用しており、最終 トナーを持つことは、当社にとって極めて重要です。ボッシュは自社 的な実施までに調整されます。CPS モジュールはラインプロセスに の包装ラインの設計ができるだけではなく、外部のサプライヤーの機 完全に組み込まれており、シリアライゼーションモジュールのライン 械や IT を自社の機器に組み入れて、一貫ラインコンセプトを構築す 管理機能により、より高レベルの IT システムとの通信を行います。 る能力も備えています。」 CPS モジュールはシリアル番号とロットデータの両者を受け取り、 OTC 薬 や 栄 養 補 助 製 品 に ど の 程 度 シ リ ア ラ イ ゼ ー シ ョ ン が 適 これらのデータをソフトウェアが自動で管理します。また、後者は集 用 さ れ る か は ま だ 明 ら か に な っ て い な い の が 現 状 で す。 し か し、 積プロセスを管理します。 Rottendorf Pharma 社のように、すべてのレベルにおけるシリア CPS 0800 型は、折畳みカートンの印字・照合を最大で 400 箱 / ライゼーションの設定を選択する場合は、拡張可能なコンセプトを選 分(800 ㎜長)で行います。本機は、機器の後付けによる拡張が可能で、 択すべきである、ということは確実です。 「このプロジェクトの完了 顧客のニーズにフレキシブルに対応します。例えば、インフィードコ 時には、その他の全ラインについても青写真ができている予定です。」 ンベア、搬送ローラー、秤量モジュール、改ざん防止機能付きラベリ と Stein 氏。「今後、さらなる規制が発効しても対応可能な、様々な ングシステムなどの追加が可能です。HMI によって機械本体と印字・ 国や地域の顧客ニーズに適用できる再現性あるコンセプトを構築する コントロール装置が接続されており、より機能を充実させることも可 ことができました。」 能です。Yavuz 氏によれば、 「分かりやすいナビゲーション付きで、 Rottendorf Pharma社では、プロジェクトの完了時にはその他の全ラインについても青写真ができる予定。 packazine | 19 同一スペースで 能力が3倍に サウジアラビアTabuk Pharmaceuticals社に納入された テーラーメードのバイアル粉末充填ライン ボッシュのラインコンピテンスにより実現しました 「サウジアラビアの製薬企業 Tabuk Pharmaceuticals(タブー Tabuk Pharmaceuticals 社は中東および北アフリカ地域におけ ク・ファーマシューティカルズ;以下、Tabuk Pharmaceuticals 社) る最大の製薬企業のひとつであり、20 カ国以上に子会社を有してい は、抗生剤セファロスポリンを安定性の高い無菌バイアル入り粉末製 ます。ブランドジェネリックやライセンス品の開発、製造および販売 剤として生産しています。セファロスポリンは手術前後や手術中の感 を世界中で行っています。タブーク工場では従来、工程ごとにスタン 染防止に使用されるほか、気道、皮膚その他の細菌感染治療薬として ドアロンの機械により医薬品のプロセスと包装を行っていました。そ も使用されます。粉末として提供することにより、医療現場での保管 のため、従来の設備での粉末充填能力は最大でも 1 日あたりバイアル に便利で、適切な溶媒または注射用水(WFI)を加えるだけで使用可 6 万本。市場での需要増加への対応と、工程品質向上の必要性から、 能となります。 同社は既存機器の変更を決定しました。 20 | packazine Customers & Markets Pharma 大きな変化への決断 にタイトでしたが、ボッシュは機器の統合を完璧に行いました。 」と 「当社プロジェクトの目標は主に 2 つ。全体の能力をアップグレー Hussein 氏は言います。「当社が求めていた通りの充填ラインが完成 ドすることと、製品の品質を改善することでした。 」とタブーク工場 され、プロジェクトマネジメントやエンジニアリングのノウハウも優 の副責任者 Hussein Mahmoud 氏は言います。そのため、ボッシュ れていました。」 2 の専門技術者は、既存機が据付されている 450m の生産スペースに 適合する、テーラーメードのラインコンセプトの策定を依頼されまし 真のラインコンピテンス た。新しい充填ラインの包括的提案とプロジェクト計画を綿密に検討 新規粉末充填ラインには、容器の洗浄、滅菌、パイロジェン除去を した結果、Tabuk Pharmaceuticals 社はこの困難なプロジェクト 行う機器として、洗浄機 RRN 2053 型と滅菌トンネル HQL 3480 の実施を決定しました。 型が使用されています。ラインの心臓部は粉末充填機 AFG 3020 型。 新規ラインは多数の機器で構成されます。洗浄機、滅菌トンネ 本機は真空圧縮空気の原理を採用しています。注射用の無菌バイアル ル、充填・打栓機はボッシュの拠点クライルスハイムで製造されま に、ダストを発生させることなく最高の精度で粉末を充填します。バ す。ピュアメディアシステムおよび滅菌機器はボッシュの子会社であ イアルのゴム栓打栓後は、キャッピング機 VRK 2005 型により確実 る Pharmatec(ファーマテック)および Schoeller-Bleckmann にシーリングします。これらのライン構成機器に加えて、ボッシュは Medinzintechnik(ショーラーブレックマンメディツィンテクニッ 注射用水(WFI)およびピュアスチームの製造・貯蔵・分配用設備も ク;SBM)から供給され、さらに検査機およびラベリング機は他の 提供しました。WFI は洗浄機で使用するほか、一部のフォーマット サプライヤーから供給されます。 「ボッシュは優れたラインコンピテ 部品の洗浄にも使用されます。さらに、ボッシュは同工場にオートク ンスを備えたメーカーです。スペースは限られ、スケジュールは非常 レーブも納入しました。オートクレーブは、コンタミネーション防止 packazine | 21 のため、充填機のフォーマット部品の滅菌に使用されます。WFI 製 でしたが、十分に価値のあるプロジェクトでした。能力の飛躍的な改 造ユニット 250-S4 型はオートクレーブに必要なスチームを発生さ 善に加えて、GMP に適合した最新技術を当社施設で実現することが せます。その特殊な設計により、本ユニットは生産上の必要に応じて、 できました。」 WFI またはピュアスチーム、あるいはその両者を同時に製造するこ 「ボッシュチームの綿密なプロジェクトマネジメントに特に感銘を とができます。充填後のバイアルは、 容器・製品の完全性検査が行われ、 受けました。あらゆる側面について慎重に計画するだけでなく、非常 ラベルが添付された後、二次包装工程に送られます。中央に設置され に要領よく実施していました。 」と Hussein 氏。「とてもプロフェッ たオフィスでは、1 つのスクリーンにすべての工程パラメータが表示 ショナルな仕事ぶりでした。時間的に厳しく、スペースも限られてい され、生産ライン全体を監視することができます。これによって工場 る困難な状況にもかかわらず、完全なソリューションを実現したボッ の責任者は常に充填工程を詳細に確認できると同時に、全工程を慎重 シュは、プロジェクト全体を通じて当社の最善のパートナーでした。」 にコントロールすることも可能です。 このプロジェクト計画の策定中、ボッシュにとって最も困難であっ たのは、生産停止時間を最小限におさえることでした。Hussein 氏 は言います。 「専門技術者たちが詳細なスケジュールを提示してくれ たため、当社では、クリーンルーム技術の計画も含め、全工程を正確 にコントロールできました。これにより、新規ラインへの転換がと てもスムーズになりました。」ボッシュは 2014 年 7 月、最初の機器 の据付に着手。その 4 カ月後、最後のライン機器の現地検収(Site Acceptance Test:SAT)が問題なく完了しました。「このような ラインの据付には、通常はもっと時間がかかることを知っています。 しかし、ボッシュによって、たった 8 週間の生産停止を経て、既存機 からの移行が完了したのです。」と Hussein 氏は強調しています。 専門技術者との作業 2014 年 12 月、Tabuk Pharmaceuticals 社が新規ラインで生 産を開始した当初、最初に問題となったのは特定の製品における重量 偏差の検査であり、一部ではさらなる調整が必要でした。ボッシュの 専門技術者のサポートにより、Tabuk Pharmaceuticals 社は様々 な種類の製品に対して最適な充填オーガーを確認。このような最終調 整の結果、新規ラインでは目標としたバイアル 300 本 / 分の能力が 実現しました。これは以前の設備の 3 倍近い能力です。「驚くべき成 果です。」と Hussein 氏は言います。 「当社施設にとって難しい課題 22 | packazine Customers & Markets Pharma 生産工程を成功に導く 総合的な専門知識を提供 固形製剤に関する幅広いノウハウを提供する ボッシュセミナー 「スケールアップの際、製薬企業が考慮しなければならないパラメー ため、ボッシュパッケージングテクノロジーは、ボッシュパッケージ タは?開発工程では、 Quality by Design をどのように導入可能か? ングアカデミーとして、必要な専門知識を世界中のお客様に提供して カプセル充填工程で遵守しなければならない新しいガイドラインは? います。 ― 効率的で安全な固形製剤生産工程を実現するものは技術のみでは ありません。製薬分野の進歩に対応するためには、定期的なトレーニ ラボから生産へ ングと、業界のトレンドに関する豊富な知識も同じく重要です。その 2008 年以来、ボッシュの子会社 Hüttlin GmbH(ヒュットリン) はショップハイム(ドイツ)の施設でセミナーを開催してきました。 関心が高く、セミナーは年々増設されているものの、ほとんどは短期 間で予約が一杯となる状態です。その理由は、テーマの選択、施設で の親しみやすい雰囲気のほか、プロフェッショナル同士で意見を交換 できることです。参加者は、様々な理論を学べるとともに、ラボでの 実務的なトレーニングを受けることもできます。ボッシュの様々な部 門の専門スタッフのほか、外部の業界有識者や研究者が講師を務めま す。 そのテーマの拡大に合わせて、セミナーの範囲と技術的深さも充実 してきました。このことは、セミナーの構成や幅広いトレーニングの 実施にも反映されています。そのため、ボッシュは様々な剤型の医薬 品に求められる特殊な要件を分析し、ドイツにおけるコンピテンスセ ンターであるショップハイムおよびワイブリンゲン(ドイツ)のほか、 ノーズリー(英国)の施設における経験も取り入れています。獲得し たポイントの評価に応じて、全参加者はボッシュから「オペレーショ ンスペシャリスト」 、「固形製剤エキスパート」 、「固形製剤マスター」 といったタイトルを得ることが可能です。 工程の理解、トレンドの確認 造粒技術やコーティングに焦点を当てたセミナーのほか、ショップ packazine | 23 ハイムのボッシュセミナーでは、統計学的デザインスペースの開発や、 多様なセミナーが提供されています。新たに獲得した知識は、日々の スケールアップといったテーマも提供しています。これらのセミナー 業務で直ちに実践に移すことができます。これまでにショップハイム では、異なる機械や技術の相互関係についても詳細に説明します。例 で開催されたセミナーの参加者は、受講者 500 名以上、講師 60 名 えば、3 日間行われたセミナー「スケールアップ ― 製品の生産への に上ります。このことからも、ボッシュパッケージングアカデミーの 移行」は、スケールアップの可能性に関して、更に深い洞察を提供す コンセプトが固形製剤に関する高水準のトレーニングを提供し、プロ るものでした。各参加者の個々の関心を考慮するために通常、参加者 フェッショナルな知識交換を可能にしていることが分かります。 は最大で 20 名程度に限定されています。 ワイブリンゲン工場は、固形製剤のカプセル充填を専門としていま す。カプセルワークショップでは、ハードカプセルの開発、生産およ び適用や、適した充填技術について説明されます。セミナーにおいて 最も重要な実践セッションでは、参加者は直接カプセル充填機を用い てトレーニングを受けます。 世界中の専門家から学ぶ ノーズリー工場では、製薬企業は打錠機やコーティング機の生産性 向上についてアドバイスを受けることができます。セミナー「錠剤コー ティング」では、新しいコーティング剤や、コーティング対象となる 錠剤の最も重要な特性について、集中的に説明されます。さらに、興 味があれば、ラボスケールおよび実生産スケールの開発において注意 しなければならない工程パラメータについても学習することができま す。 ボッシュパッケージングアカデミーのグローバルネットワークの一 環として、より効率的で安全な固形製剤工程構築の出発点となる多種 2015年∼2016年 製薬関連イベント 日程 2015 年 2016 年 イベント名 開催地 分野 5 月 12 日 ∼ 14 日 FCE Pharma サンパウロ 製薬 5 月 17 日 ∼ 20 日 CIPM Exhibition 青島 製薬 6 月 15 日 ∼ 19 日 Achema フランクフルト 製薬 6 月 24 日 ∼ 26 日 P-MEC China 上海 製薬 7 月 1 日 ∼ 3 日 Interphex Japan 東京 製薬 9 月 28 日 ∼ 30 日 Pack Expo ラスベガス 一般 9 月 29 日 ∼ 10 月 1 日 Fachpack ニュルンベルク 一般 9 月 29 日 ∼ 10 月 1 日 Maghreb Pharma オラン 製薬 7 月 15 日 ∼ 17 日 Propack China 上海 食品 9 月 30 日 ∼ 10 月 3 日 AllPack Indonesia ジャカルタ 一般 10 月 5 日 ∼ 9 日 SupplySide West ラスベガス 製薬 10 月 13 日 ∼ 16 日 Japan Pack 東京 一般 10 月 13 日 ∼ 15 日 P-MEC Worldwide マドリッド 製薬 10 月 20 日 ∼ 23 日 Scanpack ヨーテボリ 一般 10 月 25 日 ∼ 29 日 AAPS Annual Meeting オーランド 製薬 10 月 27 日 ∼ 30 日 CIPM Autumn China 武漢 製薬 11 月 3 日 ∼ 4 日 PDA Universe of Prefilled Syringes ウィーン 製薬 11 月 8 日 ∼ 11 日 ISPE Annual Meeting フィラデルフィア 製薬 11 月 24 日 ∼ 27 日 Pharmtech モスクワ 製薬 Powtech ニュルンベルク 製薬 4 月 19 日 ∼ 21 日 (上記は変更されることがあります。) TEL: 03(5466)2550(代) FAX: 03(5466)2551 本 社 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷 3-12-22 渋谷プレステージ 7F 関西営業所 〒532-0004 大阪市淀川区西宮原 2-1-3 SORA 新大阪 21 18F TEL: 06 (6391) 4641(代) FAX: 06(6391)4640 船橋工場 〒273-0017 千葉県船橋市西浦 2-2-2 ビジョンテクノロジー CoC 〒355-0813 埼玉県比企郡滑川町月輪 1464 番地 4 ホームページアドレス http://www.boschpackaging.jp TEL: 047(435)2571(代) FAX: 047(432)8181 TEL: 0493(81)5068(代) FAX: 0493(81)5094 E-mail [email protected] 2015.6
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