株式会社ライトオン

SAP Customer Success Story
Retail
株式会社ライトオン
徹底した現場主義による PDCA サイクルで
データ活用のプロセスを最適化
概要
「全体を把握した上で、服種の
大きな分類から最終的には品番まで
ドリルダウンする、あるいは逆に全体に
戻るといった作業が迅速にできるように
なった効果は大きいと思います」
梅田泰弘氏
株式会社ライトオン 取締役 経営企画部長
会社概要
•
•
•
•
社名:株式会社ライトオン
本社:茨城県つくば市
業種:小売
導入ハイライト
• “現場主義”に基づく基幹系・情報系システムの全
面刷新
• KPI や推奨ロジック、レポートのひな型を設計
事業内容:ジーンズを中核としたカジュアルウェア • データ活用のための業務マニュアルを整備
• データ活用レベルの向上を目指した新プロジェク
の小売
• 売上高:1,042 億 3,500 万円(2008 年 8 月期)
トを発足
• 従業員数:987 人(2008 年 8 月 20 日現在)
SAP 選択の理由
• Web サイト:www.right-on.co.jp
• 分析対象となる情報の一元管理
• レポート機能の DB 連携における優位性
課題
• 事業規模拡大への対応
• ユーザーにとっての自由度の高さ
• さまざまな業務のシームレスな連携
導入メリット
• KPI の把握や対応の正確化 / 迅速化
• バックストックの解消
• 適量供給による回転率アップ
導入目的
• “現場主義”のビジネスモデルを支える情報基盤 • 店頭・流通在庫削減
• 意思決定のスピードアップ
の整備
• MD 計画、業務実行、情報分析を有機的に連携し • 計画値と実績値との迅速な乖離調整
た PDCA サイクルの確立
既存システム
• マニュアルだけでは限界がある業務や処理のバッ
• Red Brick Warehouse
クアップ
• Brio Intelligence
• どのような事態でも最善の結果を出せる “負けな
サードパーティ・インテグレーション
い仕組み”の整備
• データベース:Oracle8i Database
SAP ソリューション / サービス
• ハードウェア:HP PloLiant DL 140(x7)
• SAP® BusinessObjects™ XI
• OS:Windows 2003 Server SP1
• SAP ERP
• SAP NetWeaver®
ジーンズを中心としたカジュアルウェア販売の専門店として、
国内で 480 店舗(2009 年 2 月末現在)
を展開するライトオンでは、
成長戦略を描く上で組織的な情報共有・活用が不可欠と判断し、
既存の基幹系・情報系システムを全面的に刷新。約 30 万点にも及ぶ
取扱いアイテムを対象とした PDCA サイクルを確立し、
全社的なデータ活用を推進しています。この PDCA サイクルを支える
情報分析・アラートシステムとして活用されているのが、
SAP が提供するビジネスインテリジェンス(BI)プラットフォーム、
SAP® BusinessObjects™ XI です。
“現場主義” の徹底を目指して
既存システムを全面刷新
2002 年以降、従来の垂直型機能のビジネスモ
譲や店舗別・部門別予算の設定を行ったほか、 悪の事態の中でも、適正在庫の維持といった最
店舗の作業軽減を図る一括物流センターを稼
テムの役割です。私はこれが “負けない仕組み”
ネスモデルを構築しました。
であると考えています」
“現場主義”に基づく店舗中心のビジ
デルから、
ネスモデル構築に取り組んできたライトオンが、 その後も、現場主義に基づく経営戦略のバック
独自のグランドデザインに基づいて、基幹系・
情報系システムの全面的な刷新に着手したの
善の結果を出せるような情報提供も、情報シス
働するなど、店舗中心の水平型組織によるビジ
グランドデザインで対象としたのは、会計や人
アップシステムを “売れる仕組み”と位置付け、 事 などの 基 幹システムと、売 れる仕 組みの
その構築を推進。売れる仕組みとは、店舗の力
PDCA サイクルを支援する情報系システム。さ
は、翌 2003 年のことです。新たな事業基盤の (売れる場所に店舗を構え、売れるハウジングを
らには取引先と店頭情報をリアルタイムで共有
と)
、販売の力
(商品を売る力)
という 3 つの力を
略を描く上で、従来のシステムでは事業規模拡
構築にあたって同社が重視したのは、意思決定
を個人の裁量に委ねるのではなく、経営計画と
マーチャンダイジング
(MD)
構成、取引先を含め
施すこと)
、商品の力
(売れる商品を仕入れるこ
する情報基盤も含まれています。同社は成長戦
有機的に結合し、
「適時」
「適品」
「適量」
「適所」 大への対応や、さまざまな業務のシームレスな
た仕入計画、販売計画を有機的に連携させる、 「適価」の 5 適を指標として設計されたものです。 連携が困難だと判断。広範囲に及ぶ情報システ
データ共有・活用の仕組みです。
取締役・経営企画部長の梅田泰弘氏は、
この現
ムの全面刷新を決断しました。
ライトオンのこうした IT 戦略のベースとなって
の役割を明確にし、グランドデザインを描いた
Crystal Reports® の優位性と
分析の自由度を高く評価
いるのが “現場主義”。商品戦略や出店戦略、販
場主義に基づく経営戦略における情報システム
と語ります。
売戦略、販売促進活動、商品供給など、国内
480 の店舗をあらゆる戦略・施策の起点とする 「5 適の達成には、意思決定や業務遂行に携わ
経営戦略です。同社は 2002 年に中核のビジネ る人の判断力、スキルといった人間系の要素が
スモデルを、自ら商品の開発・製造も手がける
SPA(Speciality Store Retailer of Private
Label Apparel)から、仕入中心の品揃え専門
店に転換。同時に商品決定権限の店舗への委
重要であり、情報システムはそのバックアップの
ための手段と理解しています。つまり、人間の力
だけでは限界がある業務の効率化、正確性、迅
速性に、
その第一の役割を求めました。また、最
こうした経緯から 2004 年、
グランドデザインの
実現に向け、具体的な手段の検討を本格化しま
した。基幹システムでは、規模や変化に対応で
きる柔軟性と実績ある標準プロセスの優位性
から SAP ERP を、基幹システムと他システムと
の連携の柔軟性から SAP NetWeaver® の導
「分析機能を徹底的に活用し、
売上を前年比で約 120%まで
向上させた店舗もある。
“負けない仕組み” としての効果が
確認できた点は、これからの
企業経営における非常に重要な
要素です」
梅田泰弘氏
株式会社ライトオン 取締役 経営企画部長
入を決定しました。並行して検討が進められた 「あらゆるデータベースとの同時接続が可能な 「あるべき姿に対して、ユーザーの要望をどこま
のが、売れる仕組みの PDCA サイクルを支援す
る情報系システムです。そこでは、次のような目
的が掲げられました。
MD 計画システム
• 経営層による全社的な意思統一
• 計画立案業務の負荷軽減
• 計画承認プロセスの短縮とビジュアル化
• プレシーズン、インシーズンで在庫修正の迅
Crystal Reports の優位性は、社内でも一致し
た評価でした。また、操作性や多様な分析機能
だけではなく、
一般ユーザーが独自の判断でデー
タを抽出し、分析できる SAP BusinessObjects
で取り入れるかという判断が最も難しかった」
と梅田氏は語りますが、こうした試行錯誤を経
て、SAP BusinessObjects XI で構築した分
析・アラートシステムは、2005 年 12 月に稼働
Web Intelligence の自由度の高さにも着目。 を開始しました。
最初から制約があるよりも、運用上の工夫で情
報活用の可能性を探っていきたいと判断から導
急成長を支えるだけではなく
入を決定しました」
(梅田氏)
“負けない仕組み”としての効果も創出
新たな KPI に基づく
商品動向への迅速な対応
稼働開始後、ライトオンでは売れる仕組みの
• GM の最大化
業務実行システム
SAP BusinessObjects XI を中核とした情報
や初心者向けの Web サイトの開設などにより、
と並行しながら 2004 年に開始されました。作
なかでも同社が重視したのは、実際の業務に役
速化
• 売上の最大化
• 在庫の最適化
• 事業拡大・商品動向変化などへの迅速な対応
• 計画とのシームレスな連携
• アラートの自動実行
• 単純業務のシステムによる自動化
情報分析・アラートシステム
• KPI の把握や対応の正確化 / 迅速化
• 現場のアクションにつながる柔軟な情報加工
• 計画・実行業務への必要情報の連携・蓄積
• 情報基盤の統合化、一元化
• 課題発見・迅速なアクションのためのモニタ
分析・アラートシステムの構築は、複数システム
業の中心となったのは、次のアクションにつな
型の設計です。特に商品供給の高効率化や商
品動向への迅速な対応などを重視し、自社に必
現場へのデータ活用の定着を図っていきました。
立つマニュアルの整備でした。
商品の動向を把握しながら、売上向上を目指す
うえで必要なものは、ツールの操作マニュアル
要な基本形を見極めていきました。たとえば、 ではなく、そうした商品動向の分析などに役立
商品供給の高効率化というテーマに対しては、 てられる、現場の業務に直結したマニュアルで
在庫数量の変動や現在の売上状況、過去の売
す。ところが分析作業は定型業務とは異なるた
上状況に応じて補充数量を算出するといった
め、さまざまなパターンを用意しなければなら
最適な補充ロジックを設定できる環境を整えま
一般ユーザーへの幅広い定着を図るには不可
新たな方法を導入。店舗や商品特性に応じて、 ない。実際の作業負担も大きなものでしたが、
した。
また、商品動向への迅速な対応というテーマに
対しては、発売後に短期間で売れる商品を示す
“ファーストセル”や、ある時期から突然売れな
XI です。同社は、データの一元管理や他システ くなる“サドンデス”といった新たな KPI を設定。
ムとのスムーズな連携といった機能を一番の その KPI を活用して、迅速な好調商品の追加仕
条件として、複数製品を比較・検討。中でも、 入や不調商品の早期発見を可能にする“消化
Crystal Reports や SAP BusinessObjects シミュレーション”や、売れていない店から売れ
Web Intelligence® などのレポートツールが提 ている店へ商品を移動する “店間移動推奨”、
供する自由度の高い分析手法を評価し、導入を 売価の設定とタイミングを最適化する“売価変
決定しました。
更推奨”などのロジックを設計しました。
ムとして選択したのが SAP BusinessObjects
ザー教育を積極的に推進。定期的な集合教育
がる KPI や推奨ロジック、レポートなどのひな 「たとえば、ディストリビューターが自分の担当
リング
この中で、
ライトオンが情報分析・アラートシステ
PDCA 確立に向けたデータ活用を促すユー
欠だと判断し、
時間をかけて整備していきました」
(梅田氏)
同時に全社レベルでも、各店舗やバイヤーに対
してレポートを配信することで、活用を促進。経
営層も含め、SAP BusinessObjects XI をベー
スとしたデータ活用は確実に全社へと定着して
いきました。
そして、
その結果は PDCA サイクルの確立、バッ
クストックの解消や適量供給による回転率アッ
プ、
店頭・流通在庫削減、
意思決定のスピードアッ
SAP ジャパン株式会社
本社 〒 100-0004
東京都千代田区大手町 1-7-2 東京サンケイビル
TEL 03-3273-3333(代表)
http://www.sap.com/japan/
プ、計画値と実績値との迅速な乖離調整といっ ライトオンでは 2009 年 3 月に、データの活用レ
た効果につながり、ビジネスモデルを転換した ベル向上を目的とした新たなプロジェクトを発
2002 年以降の急速な成長を支援しています。
足し、活動を開始。ここでは幅広い層を対象とし
終的には品番までドリルダウンする、
あるいは逆
立ったマニュアルの改訂、経営ダッシュボードの
「全体を把握した上で、服種の大きな分類から最 たユーザー教育のほか、よりユーザーの視点に
に全体に戻るといった作業が迅速にできるよう インタフェース改良などを推進しています。
になった点は大きい。従来のように、情報システ
ム部門に情報提供を依頼し、それを Excel に取 また、社内の基幹系・情報系システムに加え、ラ
り込んで作業するのでは、時間がかかるだけで イトオンでは「RORING」
と名付けた、取引先と
はなく、約 30 万に達する取扱いアイテムを分析 VPN 経由で商品計画データや販売計画データ、
するのは事実上困難です。これまでにないデー 販売実績データなどの店頭情報を共有する環
タの迅速なフィードバックは、さまざまな効果を 境も整備。SAP ソリューションを含め、さまざま
生み出しています」
(梅田氏)
なシステムが有機的に連携し、組織的なデータ
活用を可能にする情報基盤は今後も進化を遂げ、
売上高の推移で見ると、2002 年度の 526 億円 ライトオンの現場主義を徹底したビジネスモデ
から 2007 年度の 1,066 億円へと、ライトオン ルを支援していこうとしています。
の急成長に大きく貢献してきた新たな情報系シ
ステム。同社は、2008 年後半以降の急速に悪化
した経済状況の中でも、その効果を認識してい
ます。
「全体の売上高が前年比で低下している中で、粗
利を確保し、適正在庫を維持できているのは、
SAP ERP も含めたデータ活用の大きな効果だ
と思っています。また、分析機能を徹底的に活用
し、売上を前年比で約 120%まで向上させた店
舗もある。この“負けない仕組み”としての効果
が確認できた点は、これからの企業経営におけ
る非常に重要な要素です」
(梅田氏)
49009279(SE/09/04)
© 2009 by SAP AG.
All rights reserved. SAP, R/3, SAP NetWeaver, Duet, PartnerEdge,
ByDesign, SAP Business ByDesign, and other SAP products and
services mentioned herein as well as their respective logos are
trademarks or registered trademarks of SAP AG in Germany and
other countries.
Business Objects and the Business Objects logo, BusinessObjects,
Crystal Reports, Crystal Decisions, Web Intelligence, Xcelsius, and
other Business Objects products and services mentioned herein as
well as their respective logos are trademarks or registered
trademarks of Business Objects S.A. in the United States and in
other countries. Business Objects is an SAP company.
All other product and service names mentioned are the trademarks of
their respective companies. Data contained in this document serves
informational purposes only. National product specifications may vary.
These materials are subject to change without notice. These materials
are provided by SAP AG and its affiliated companies(“SAP Group”)
for informational purposes only, without representation or warranty
of any kind, and SAP Group shall not be liable for errors or omissions
with respect to the materials. The only warranties for SAP Group
products and services are those that are set forth in the express
warranty statements accompanying such products and services,
if any. Nothing herein should be construed as constituting an
additional warranty.