渋谷区基本構想等審議会答申(案)参考資料付(PDF 2751KB)

渋谷区基本構想等審議会答申
(案)
渋谷区基本構想等審議会
目
次
渋谷区基本構想改定のための基本的方向について
新たな渋谷区長期基本計画に盛り込むべき施策について
2
1
14
渋谷区基本構想改定のための
基本的方向について
1
目 次
1 基本構想とは何か
2 基本構想をつくりなおす背景
3 基本構想のもとになる価値観
4 渋谷区の未来像
5 分野別基本構想
6 区政運営の基本姿勢
2
1
基本構想とは何か
この基本構想とは、これからの渋谷区がどんなことを大切にし、どんな方向へ
進んでゆこうとしているのか、そのおおもととなる考え方のことです。そして、
20 年後の渋谷区はこうでありたい、というビジョンを描くものです。
2
基本構想をつくりなおす背景
なぜ今この基本構想をつくりなおす必要があるのか。
今から 20 年前に作られた旧基本構想の時代から、社会は大きく変化してきまし
た。日本経済は低迷を続け、格差社会が進行し、少子高齢化が急激に進んでいま
す。一方で、スマートフォンや携帯電話が爆発的に普及し、今やインターネット
は、我々の生活に欠かせない社会のインフラになりました。そして社会は、新た
な課題を生みながら、今でも加速度的に変わり続けています。
未来を正確・精緻に予測することはとても難しいことですが、この社会の変化
を踏まえて、渋谷区がどんな 20 年後を目指したいかをあらためて語りなおすこ
と、それが、今この基本構想をあらためる主旨です。
東京オリンピック・パラリンピックを4年後に控えた 2016 年現在、渋谷区は、
成熟した国際都市になるために急激に進化・成長する必要があります。この先も
引き続き、世界を惹きつける魅力的な都市であり続けるために、渋谷にしか掲げ
られない基本構想としたい、と考えています。
インフラ…「 インフラストラクチャー」
(infrastructure)の略。
「 下部構造」
。社会的経済基盤と社会的生
産基盤とを形成するものの総称。ここでは 通信基盤」を指す。
3
3
基本構想のもとになる価値観
基本構想の策定にあたって、これからの渋谷区は何を大切だと考えるのか。つ
まり、20 年後を見据えた渋谷区の価値観が、この基本構想全体を貫くことになり
ます。
① 渋谷区はどこへ向かうのか
渋谷区が目指すのは、規模こそ異なるものの、ロンドン、パリ、ニューヨーク
などと並び称されるような『成熟した国際都市』です。ここでいう成熟とは、高
度な国際競争力と強烈な地域性とを兼ね備えてゆくこと。そして、区民自身が
誇りをもってそこで暮らせること。これらはすべて、世界から注目され愛され
る街の条件だと考えます。
② 渋谷区はどうやって向かうのか
成熟した国際都市へと進化してゆくために、渋谷区は「ダイバーシティとイ
ンクルージョン」という考え方を大切にします。
この地上に暮らす人々のあらゆる多様性(ダイバーシティ)を受け入れるだ
けにとどまらず、その多様性をエネルギーへと変えてゆくこと(インクルージ
ョン)。人種、性別、年齢、障害を超えて、渋谷区に集まるすべての人の力を、
まちづくりの原動力にすること。
つまり「街の主役は人」だというのが、この考え方の本質なのです。
③ 渋谷区には何が必要か
どんなに技術が進歩しようとも、つながりを求める人の心と、お互いに支え
あうことの必要性は普遍なものと考えます。誰もが誰かと助け合える。そうし
た「共助」の人間関係を不可欠なものと考えます。
また、渋谷区にかかわる人々の人生の豊かさを、永続的に続いてゆくものに
したい。そのため、全編において「サステナビリティ」の視点を大切にします。
サステナビリティ(sustainability)…
持続可能性」または
4
持続することができる」という意味。
4
渋谷区の未来像
ちがいを ちからに 変える街。渋谷区
渋谷は世界を変える。
いや、「渋谷が」世界を変える。
本気でそう信じてみよう。
この街に存在する
ありとあらゆる人間を、仕事を、価値観を、
ドラマを、チャンスを、祝福しよう。
それらがさまざまであることを、
それゆえに生まれる熱を、愛そう。
ちがっている、ということは、かけがえない。
それは未来を動かす力になる。
それぞれの成長を、一生よろこべる街へ。
あらゆる人が、自分らしく生きられる街へ。
思わず身体を動かしたくなる街へ。
人のつながりと意識が未来を守る街へ。
愛せる場所と仲間を、誰もがもてる街へ。
あらたな文化を生みつづける街へ。
ビジネスの冒険に満ちた街へ。
街にかかわる人がひとり残らず、
自分の人生を謳歌できる。
そんな渋谷区を、あなたといっしょにつくりたい。
混ざり合って生まれる価値こそが
それを可能にするのだと、この街で証明してゆこう。
5
5
分野別基本構想
A 子育て・教育・生涯学習
それぞれの成長を、一生よろこべる街へ。
あらゆる人は、
「育つ人」であると同時に「育てる人」になり得ます。人生のど
んなステージにおいても、です。
人種・性別・年齢・障害の有無を問わずすべての人が一生を通じて、育つこと
と育てること、教わることと教えること、そのそれぞれに喜びを感じられるよう
に。渋谷区は、ダイバーシティ&インクルージョン教育の先進都市を目指します。
■ 子どもはつまり、未来です。
この街で子どもを産みたい、育てたい。そう思えるほどの安心と喜びを約束し
ます。出産前から、子どもが成長した後に至るまで、子育てを切れ目なく支援す
る街になりたい。
また、子どもたちのなかに眠っている多様な可能性は、社会の希望そのもの。
その可能性を最大限に引き出すために、乳幼児の時期からの先進的教育を追究し
ていきます。
育児も教育も、この国の未来を育てることにほかならないのです。
■ この世界は、学びであふれています。
さまざまな彩りに満ちたこの世界を、そして人間の多様性を、誰もが学び愛せ
るように。学校でも学校以外でも、多彩な人材を教育に巻き込む機会と仕組みを
つくっていきます。できるだけさまざまな人に、教えるチャンスと教わるチャン
スの両方を提供してゆくこと。これは、生涯学習をより多様で豊かにしてゆく考
え方でもあります。
ダイバーシティ&インクルージョン教育…子どもが一人ひとりちがい(個性)を持った唯一無二の存在で
あることを当たり前の前提として、すべての子どもを包み込み、その中で子どもたちがそれぞれの個性、
考え方を発揮しながら参加できる教育の実践。
6
B 福祉
あらゆる人が、自分らしく生きられる街へ。
どんな人をも、社会から孤立させないこと。児童、高齢者、障害者、生活困窮
者、認知症の人など、誰もがこの社会にとって大切な一人ひとりだからです。
すべての人々が支え合い、どんな人でも自分らしく生きていける共生の街をつ
くる。そのために、生活支援サービスをこれまで以上にととのえつつ、渋谷区は
福祉のあらたな仕組みをつくっていきます。
■ 福祉は、創造力を秘めています。
ひとつめの鍵になるのは、福祉という概念に対する人々のイメージを変えるこ
と。
「こころのバリアフリー」にとどまらず、社会を進化させる福祉とは何か、未
来を明るくする福祉とは何か、産業や文化をつくるヒントになる福祉とは何か。
それらを渋谷区が率先して追求、実践していきます。
■ つながりをつくる、という福祉。
ふたつめの鍵として、
「共助ネットワーク」を提唱します。人種・性別・年齢な
どの壁を越え、人と人が助け合いやすい地域環境や仕組みを、民間企業や NPO
などとも手を組みながらととのえていきたい。こうしたつながりは、あらゆる個
人や家族を支える基盤として機能させていきます。
バリアフリー「
(barrier free)…高齢者や障害者が社会生活を送るうえで,障壁となるものを取り除くこと。
7
C 健康・スポーツ
思わず身体を動かしたくなる街へ。
長生きできる街であると同時に、長生きしたくなる街になりたい。
運動の習慣が人々の生活の一部になり、誰もが楽しみながら健康を保っていけ
るように。渋谷区は、渋谷区自身を「15 ㎢の運動場」と捉え、日常的な運動も、
楽しみで行うスポーツも、すべてが暮らしに溶け込むようなまちづくりを進めて
いきます。
■ 暮らすことは、動くことだから。
運動することを、特別な行為ではなく、生活習慣の一部にしたい。そのために、
渋谷区独自の起伏に富んだ地形や多彩な街並、さまざまな公共空間などを、住む
人・訪れる人の運動の機会として、つまりは健康の機会として整備していきます。
また、医療機関同士の連携をもっと強める、健康面での危機管理の仕組みを充
実させるなど、地域の保健・医療の基盤を確かなものにすることで、すべての人
がより安心して暮らせる街にしていきます。
■ スポーツにかかわれない人は、いません。
できるかぎり多様な種類のスポーツを受け入れ、応援する街を目指します。種
目のメジャーかマイナーかを問いません。
誰もがプレイヤーとして、あるいは観客として、なんらかの形でスポーツに参
加できる機会をつくりたい。これによって渋谷区を、祝祭性と高揚感の絶えない
街にしていきます。
メジャー(major)な種目…広く知られている種目の意。
マイナー(minor)な種目…あまり知られていない種目の意。
8
D 防災・安全・環境・エネルギー
人のつながりと意識が未来を守る街へ。
住む人や訪れる人に、等しく安心と安全を約束するためにも。そして快適な都
市環境を、無理なく維持するためにも。渋谷区は、
「しなやかでタフ」な街になり
たいと考えています。柔軟で、丈夫で、そして長続きする都市です。
このとき問われるのは、人々の意識や知見や技術の力。多様な人間で満ちてい
ることが、都市の強度や、環境のサステナビリティに結びついてゆく。そんな街
を目指すのです。
■ つながりの強さこそ、街の強さです。
防災をいかに強化するかだけでなく、災害時に、いかに柔軟に都市を回復させ
るか。犯罪などの危険から、いかに一人ひとりを守るか。
安心や安全のもとになるのは、人と人の連携です。それぞれの地域における「他
人」同士が日頃からどれだけつながっているか、がものをいうのです。渋谷区は、
災害や犯罪に強い都市基盤整備だけでなく、こうした日常的なつながりをととの
えていきます。
■ サステナビリティを、一人ひとりの問題に。
持続可能な環境を実現するいちばんの力は、一人ひとりの日々の暮らしを愛す
る気持ち。そしてそれを守りたいというモチベーションです。
ごみについてもエネルギーについても、渋谷区にかかわるすべての人が、自分
の生活と街の環境を地続きのものとして考えられるように。まずは毎日のごみを
減らす、エネルギーを節約するといった身近な取り組みを盛り上げたい。さらに
低炭素のまちづくりを通して、渋谷区は人々の意識をひとつにしていきたいと考
えています。
モチベーション(motivation)…ものごとに取り組む意欲・動機のこと
9
E 空間とコミュニティのデザイン
愛せる場所と仲間を、誰もがもてる街へ。
住む人、働く人、訪れる人、これから訪れるかもしれない人、いずれにとって
も、かかわりたくなる「場所」と「仲間」がある街。それこそが、末永く世界に愛
される街だと考えます。
渋谷区は、区内にあるさまざまな空間を、さまざまなコミュニティの拠点とし
て開発していきたい。渋谷区にかかわる多様な人々と手を組みながら、既存の空
間にあらたな価値を見出したり、まだなかった場所をつくり出したり。目指すの
は、コミュニティの多様化と成長です。
■ 渋谷区には、いくつもの渋谷がある。
区内には、多彩な表情をもった地域が共存しています。東京の最先端を象徴す
る地域、ファッションをリードする地域、昔ながらの人情味あふれる地域、閑静
な住宅地域など、地域にも多様性があるのです。それぞれの魅力を再発見し、最
大限に引き出す空間づくりを行います。
コミュニティ活性化のためには、移動のしやすさ、滞在のしやすさを担保する
交通環境の整備もすすめていきます。
■ 渋谷区のコミュニティは、世界のコミュニティへ。
ゆくゆくは区内のすべての地域に対して、世界中にファンができるように。そ
のためにはそれぞれの空間における多様なコミュニティ活動の様子が、全世界に
開かれていることが大切です。渋谷区は、各地域、各コミュニティからの絶え間
ない「発信」を可能にする仕組みをととのえます。
10
F 文化・エンタテイメント
あらたな文化を生みつづける街へ。
渋谷という街でなければ生まれ得なかった文化潮流があります。自由でとらえ
どころがなく、だからこそ可能性に満ちた渋谷のこの文化的多様性そのものを、
渋谷カルチャーと呼びたい。いわば「文化を生みつづけるという文化」です。
世界中の人々がかつてなく東京に集まってくるなかで、文化の掛け算はいっそ
う加速するはず。渋谷区はその掛け算を誘発する、文化のスクランブル交差点と
してのまちづくりをすすめます。
■ ファッションと、音楽と、その先へ。
「ファッション」と「音楽」は、かつて渋谷区が大きな潮流を生み、また牽引し
てきた分野です。このDNAをあらためて進化させ、渋谷を世界で最も活気のあ
る「ファッションの街」
「音楽の街」に育てていきます。それ以外の分野において
も、常にさまざまな文化的可能性を見出し、応援し、育てる街でありつづけます。
■ 渋谷区すべてを、エキシビションと考える。
表現・創作にかかわるすべての人にとって、いつまでも刺激的な街でありつづ
けられるように。この街でおこなわれる文化活動の現在を、世界に向けて絶えず
発信していかねばなりません。そのことで、渋谷はエンタテイメントシティとし
ても発展してゆくのです。伝統文化・伝統芸能などにも、これによって新たな角
度から光が当たることになります。
エキシビション(exhibition)…公開。展示。陳列。展示会。展覧会。品評会。
エンタテイメントシティ…区民、来街者など、人々を楽しませる施設、文化、芸術などに満ちた街。
11
G 産業振興
ビジネスの冒険に満ちた街へ。
渋谷区は、大きなビジネスと小さなビジネスが、理想的に協働する街を目指し
ます。ビジネスの種類、規模、顧客が多様であればあるほど、世界を変えるイノ
ベーションは生まれやすくなるからです。
どんなビジネスにも冒険のチャンスがあります。一歩目を踏み出す勇気と、何
度でも挑める意欲を与えつづけたい。そんな考えのもと、あらゆる産業人を支援
する体制をととのえていきます。
■ 新しいビジネスといえば渋谷、になる。
これからあらたなビジネスを立ち上げようと思った人が、その拠点の第一候補
地に挙げる場所。そんな街になるために渋谷区は、まだ誰も試みたことのないビ
ジネスや、実験的なプロジェクトを積極的に後押ししていきます。もちろん国内
だけでなく、世界中からの参入を歓迎します。
そしてこうしたビジネスの自由を目指せばこそ、どこよりも「消費者が安心で
きる街」にしていきます。
■ 観光地として新鮮でありつづけること。
中小企業や個人商店がのびのびと活動できる街でありつづけたい。また、業種
や規模を問わず、渋谷独自の地域性に密着した産業、会社、商店をいっそう応援
していきたい。
そのなかから、「渋谷に来なければ体験できないこと」が次々に生まれてくる。
それらをあらたな観光資源とし、観光産業じたいをも、かつてなく充実させてい
きます。
イノベーション(innovation)…革新、または新機軸を打ち出すこと。
12
6
区政運営の基本姿勢
この基本構想で描かれたビジョンを実現するために、渋谷区は「長期基本計画」
をつくります。そして各施策を確かなものにしてゆくために、渋谷区は以下のこ
とを目指します。
■ 「基礎体力」がしっかりした自治体であること。
各施策を実現するための大前提として、安定した財政基盤を確保し、持続可能
な行財政運営の構築を行います。
■ 区民や多様な人々と力を合わせること。
この街を支えているのは区民一人ひとりの力です。区民が主体的に区政に関与
できること、さらには区民以外の多様な人々や民間企業、NPO などとも積極的に
連携し、ともに街の課題に取り組むことで、より多くの声が反映されるまちづく
りを進めていきます。
■ すばやく動ける集団であること。
時代の変化とともに変わり続けていく多様なニーズ。それらに的確にこたえて
いくために、柔軟さと機動性を兼ね備えた組織をつくっていきます。
■ 既成概念にとらわれない職場であること。
より創造的な職場環境をつくるために、国際的視座からも、仕事のありかたを
見直していきます。最先端技術を積極的に活用したり、既成概念にとらわれない
ワークスタイルや、オフィスデザインを導入することも視野に入れていきます。
ワークスタイル…どのように仕事をするかという方法、流儀。働き方。
オフィスデザイン…オフィスを最適空間にするためのオフィスのデザイン・レイアウト・設計等。
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新たな渋谷区長期基本計画に
盛り込むべき施策について
14
1
はじめに
渋谷区は新たな基本構想に掲げた 20 年後の将来ビジョンの実現を目指し、10
か年の中長期的な施策プランとしての長期基本計画を策定することとしています。
その新たな長期基本計画においては、基本構想で掲げる将来ビジョン及び政策分
野別の7つのビジョンを確実に具現化させるため、最上位の行政プランとして、
効果的な施策の選択とともに、その体系を明らかにさせていく必要があると考え
ます。
そして、その長期基本計画を今後の区政運営の基本的指針とし、区民と共有し
ていくことが、長期基本計画を策定する主旨であると考えます。
ここでは、基本構想で掲げる政策分野別のビジョンに込められた目指すべき街
の姿や理念を踏まえ、それぞれのビジョンの実現に向けて、具体的施策を形成し、
推進していくために、留意すべき基本方針となる施策の方向性を示すこととしま
す。
2
政策分野別ビジョンの実現に向けた施策の方向性
基本構想で掲げる 7 つの政策分野別ビジョンの実現に向けて、基本となる施策
の方向性を以下の事項とし、今後 10 か年の具体的施策の形成を進めていくべきと
考えます。また、施策の実施にあたっては、政策ごとに重点施策を選定し、限ら
れた財源を効果的・効率的に活用するという戦略的経営視点を持つことが重要と
考えます。
15
A それぞれの成長を、一生よろこべる街
【政策の柱1】あらゆる家庭が安心して子育てができる環境整備
(施策の方向性)
○
子育て支援の充実【重点】
・保育環境の整備・充実
・産む前からの切れ目のない子育て支援の充実
・子どもを産みやすく育てやすい環境づくりの推進
・子どもの外遊びに対する理解向上への取組推進と遊び場の整備充実
○
配慮を必要とする子どもと家庭への支援の充実
・虐待、発達障害等配慮を要する子どもと家庭への一体的支援
・児童相談所の移管を踏まえた地域の児童相談体制の強化
○
子育てを地域で見守り支える仕組みづくり
・地域子育てコーディネーターの活用
・子育て家庭に対する地域のサポートの充実(こどもテーブル等)
・情報連携を含む、児童虐待の発生予防・早期発見につながる環境の
整備
・地域の相互理解・相互協力による子育て支援ネットワークの構築
【政策の柱2】子どもたちの多様な可能性を育む教育の充実
(施策の方向性)
○
幼児教育の充実
・幼児教育から保育までを統合的に支援する就学前教育の充実
・子育てと学校教育が円滑につながるための、両者の連携支援(就学前オ
ープンスクール等)
○
学校教育の充実
・グローバル社会を生き抜く「知恵を身につけた社会人」の育成の推進
・教育相談体制の充実
・学校施設・設備の充実
・ICT(*1)を活用した教育環境の強化
*1…情報・通信に関する技術の総称。
(Information and Communication Technology)
16
○
ダイバーシティ&インクルージョン教育の推進【重点】
・学校教育によるダイバーシティ&インクルージョンの理念の普及
・家庭、地域、教職員等教える側へのダイバーシティ教育の推進
・特別支援教育の充実
・多様な「個」を尊重する先進的メソッドの研究推進
・不登校対策を含む多様な学びの場の支援(フリースクール等)
・外国人及び帰国児童生徒の教育の充実
○
学校・家庭・地域の連携
・地域ボランティア等を通じた社会貢献の精神を育む教育の推進
・いじめやひきこもり等の問題における学校や家庭、地域、関連機関が連
携した支援
・学校への地域人材の参画の推進(コミュニティ・スクール(学校運営協
議会制度)等)
・教職員と地域との交流連携の推進
・職業体験など、社会人としての素養を身につけるための教育の推進
【政策の柱3】あらゆる世代が学び続けられる学習の推進
(施策の方向性)
○
生涯学習活動の推進
・民間企業や NPO などとの連携による新たな学習機会の創出
・郷土「しぶや」に対する誇りと愛着を育む活動の推進
・大学等との連携による生涯学習活動の推進
・読書環境の充実
17
B あらゆる人が、自分らしく生きられる街
【政策の柱1】地域における共生型社会の実現
(施策の方向性)
○
高齢者、障害者、児童等への新たな地域包括支援体制の構築【重点】
・多世代がつながり、相互に相談や支援ができる共助ネットワークの整備
・高齢者、障害者、児童等を総合的に支える地域の支援拠点の整備
・福祉分野の横断的なコーディネート人材の育成・確保
・地域ケア会議の推進
・障害者の社会参加拡大のための移動支援・就労支援の充実
○
福祉人材と共助を支えるボランティアの育成強化
・福祉専門職の育成やキャリアアップの支援
・ボランティア活動活性化のための多面的支援
・高齢者がボランティアとして活躍できるような環境の整備
・介護施設等における研修制度の充実
○
福祉に対する新たな価値観の創造
・ダイバーシティ&インクルージョンの普及によるこころのバリアフリ
ー施策の推進
・テクノロジーやデザインの力による福祉の価値の創造
・民間の活用による介護ビジネスの推進(福祉でまちづくり)
【政策の柱2】生活支援サービスの充実
(施策の方向性)
○
在宅サービスの充実【重点】
・在宅介護を支援する地域拠点施設の整備・充実(システムを活用した医
療と介護の連携)
・高齢者・障害者(児)の在宅生活支援の充実
・障害者の地域移行・地域定着の推進
○
介護サービスの基盤の整備
・ショートステイ等短期入所の充実
18
・ミドルステイ施設の充実
・特別養護老人ホームや高齢者向け住宅等の多様な住まい方の支援
○
生活の安定と向上
・多様な人々の就労機会の充実
・生活困窮者への総合的支援の充実
・高齢者、障害者等の社会参加機会の充実
○
自立生活支援の推進
・ICT やロボット技術等の活用の推進
・リハビリ訓練等日常生活動作(ADL)改善のための支援推進
【政策の柱3】高齢者、障害者等が安心して暮らせる環境の整備
(施策の方向性)
○
認知症に対する地域支援体制の充実【重点】
・認知症の予防施策と早期発見できる仕組みの充実
・認知症の進行状況に応じた多様な支援の実施
○
介護予防の推進
・介護予防施策の充実
・高齢者の生きがいづくり事業の推進
○
バリアフリーの推進
・バリアフリー基本構想の策定
・バリアフリーマップの作成
19
C 思わず身体を動かしたくなる街
【政策の柱1】生涯を通じた健康づくりの推進
(施策の方向性)
○
日々の暮らしに健康習慣が溶け込んだ環境づくり【重点】
・健康習慣が生活の一部となるような環境整備と健康政策の一体化の推
進(ヘルシーロード等)
・地域ぐるみの健康づくりの推進
・地域の産業との連携による健康づくり支援体制の強化
・疾病の予防・早期発見のための健診や支援の推進
・様々な健康に関する情報提供の充実(アレルギー対応、タバコの影響等)
○
ICT の活用による医療サービスの向上
・健康保険・介護保険・学校保健等、ビッグデータ解析による保健医療施
策の展開
・ICT を活用した保健医療連携の推進
・データ活用による区民の自主的な健康づくり支援の充実(健康とスポー
ツのデータ連携等)
○
地域医療構想に基づいた連携体制の充実
・区内基幹病院とかかりつけ医・歯科医・薬剤師との連携の強化
・地域の中核医療機関と在宅医療との連携の充実
・患者、家族等への地域生活支援体制の整備
○
健康危機管理体制の整備
・感染症・食中毒・危険ドラッグ対策の推進等の健康危機管理体制の強化
・住民・来街者のさらなる多国籍化に対応するための体制の整備
・災害時の保健医療体制の整備
【政策の柱2】生涯スポーツ活動の振興
(施策の方向性)
○
生涯にわたる多様なスポーツの総合的推進【重点】
・誰もが生涯を通じてスポーツに参画できる機会の創出(スポーツイベン
20
トの開催や地域スポーツ団体に関する情報提供等)
・学校体育活動の充実
・指導者育成と青少年のスポーツ活動の推進
・障害者スポーツの振興
・マイナースポーツの普及支援
・著名なスポーツ選手との交流を通じたスポーツ振興の推進
・公共空間を活用した運動機能の向上の推進
○
「見る」スポーツを楽しむ環境の整備
・東京オリンピック・パラリンピックを契機としたさらなるダイバーシテ
ィの浸透
・「見る」楽しみから「する」楽しみへと導くための環境の整備
・区ゆかりのトップアスリートに対する応援活動の推進
○
スポーツを通じた地域コミュニティの活性化の推進
・楽しみながら多世代交流ができる場の創出(地域運動会等)
・子どもから高齢者まで全世代が利用できるスポーツ施設の充実
・競技スポーツの地域密着化の推進
21
D 人のつながりと意識が未来を守る街
【政策の柱1】自助、近助、共助、公助の連携による防災対策の推進
(施策の方向性)
○
地域防災力の向上【重点】
・防災のための共助ネットワークの整備
・災害時の応援協定の推進
・Wi-Fi 環境の区内全域への整備・普及
・ICT を活用した災害時の情報提供システムの整備
・来街者も含んだ参加体験型防災訓練の実施
・自主防災組織の育成等の推進
・防災意識の醸成のための教育の強化
○
災害に強いまちづくりの推進
・災害時医療体制の充実
・本部要員等の確保および防災活動の一元化
・情報収集・伝達手段の強化(ドローンの活用・防災無線の改良等)
・公共施設・民間建築物の耐震性の向上(緊急輸送道路周辺等)
・木造密集地域における都市基盤の整備促進
・防災拠点・施設の整備(電源の供給の多重化等)
・避難所運営体制の強化
・食品・生活必需品等(ペット用含む)の備蓄の充実(アレルギー対応等)
・業務継続計画(BCP)の策定
・段階(減災・事前準備・応急対応・復旧/復興)を意識した防災対策の推
進
○
帰宅困難者対策の推進
・帰宅困難者施設の整備・充実(条例に基づく帰宅困難者施設設置等)
・区内帰宅困難者対策協議会との連携強化
・ICT の活用による帰宅困難者向け情報共有サービスの整備
22
【政策の柱2】街の安全確保と快適性の向上
(施策の方向性)
○
区民や来街者の安全・安心の確保【重点】
・区内全域をカバーできる防犯システム(防犯カメラ等)の導入
・公共の場における客引き・悪質なスカウト行為等の防止の啓発
・地域の見守りによる防犯の推進(地域ネットワークの構築・活用等)
○
快適な生活環境の整備
・分煙対策の推進
・落書き対策の推進
・ビルの緑化・都市施設スペースにおける緑化の推進
・生活環境の保全(大気環境の測定、騒音、振動、悪臭等への対策強化)
○
緑と水辺空間の創出
・魅力的で質の高い緑の創出
・宮下公園・玉川上水緑道の再整備
【政策の柱3】環境と共生する持続可能な都市の実現
(施策の方向性)
○
分別の徹底と3Rの促進【重点】
・リデュース・リユースを軸とした 3R(発生抑制(Reduce)・再使用
(Reuse)・再生利用(Recycle))への意識改革
・東京オリンピック・パラリンピックを契機とした分別ラベルの統一等の
取組の推進
・事業系ごみ対策の強化
・食品ロスの削減
○
低炭素型都市の実現
・低炭素まちづくりの推進(スマートエネルギーネットワーク(*2)の構築
等)
*2…省エネ・省CO2「・省資源の実現を目的とした、エネルギーのベストミックスを図るため、ICT を活
用した分散型エネルギーシステムのネットワーク。
23
・省エネルギー対策の推進(HEMS(*3)・BEMS(*4)への誘導等)再生可能
エネルギーの活用
・水素社会への取組(燃料電池自動車や家庭用燃料電池の普及等)
・環境教育の推進
*3…Home Energy Management System の略。ヘムス。家庭内のエネルギー監理をするシステム。
*4…Building Energy Management System の略。ベムス。ビル内の配電設備、空調設備、照明設備、換
気設備、OA 機器等の電力使用量のモニターや制御を行うためのシステム。
24
E 愛せる場所と仲間を、誰もがもてる街
【政策の柱1】誰もがめぐり歩いて楽しい魅力ある街の基盤整備
(施策の方向性)
○
渋谷駅周辺地域のまちづくり【重点】
・多層にわたる広場・デッキ・通路及びそれらを結ぶ立体的な縦軸空間「ア
ーバン・コア」を活用した都市基盤の整備
・回遊性を確保する歩行者ネットワークの強化
・交通円滑化に向けたフリンジパーキング(*5)や荷捌き施設の整備
・渋谷に関わる多様な人々による協奏のまちづくりの推進
・外国人等多様な来街者にもわかりやすい標識(サイン)の環境整備
・渋谷川の環境整備
○
特徴を活かした地域の整備
・都市マスタープランの改定等による都市機能・都市基盤の整備
・地域拠点の形成による地域活性化の推進
・地域ごとの特性、地形を生かしたエリアマネジメントの推進
【政策の柱2】コミュニティが育つまちづくりの推進
(施策の方向性)
○
人と人とのつながりができる空間づくり【重点】
・区内外の多様な人々が、協働・交流し、街の魅力をつくり、発信できる
場の整備(歩行者天国、カウントダウンイベント等の推進)
・地域の特性に合わせた「魅力」を引き出す地域コーディネーター(タウ
ンマネジャー)の育成
・地域のコミュニティイベントの実施支援(スポーツを通じたイベント等)
・コミュニティスペースとして活用できる公園、緑道を含めた公共スペー
スの整備(搭乗型移動支援ロボット(セグウェイ等)の活用等)
○
コミュニティを育む住生活環境の整備
・総合的な住宅施策の確立(住宅マスタープランの改定)
*5…中心部の自動車交通の円滑化や中心部への自動車交通量の縮減を図るため、中心部の外周に駐車場を
整備し、そこから徒歩やバスなど公共交通機関で中心部にアクセスするようコントロールすること。
25
・マンションの老朽化対策や空き家対策の推進
○
人々がつどい、憩いの生まれる空間づくり
・地域の特性にあった魅力的な都市景観をつくり維持するためのルール
の整備(渋谷版アーバンデザインセンター)
【政策の柱3】快適な交通環境の整備
(施策の方向性)
○
安全・安心に移動できる空間づくり【重点】
・安全で快適な道路空間の整備(安心して歩けるバリアフリー空間の確保)
・電線地中化の効果的な推進
・まちづくりにおけるユニバーサルデザインの推進
・走行性を確保する自転車ネットワークの整備の推進
○
誰もが快適に移動できる手段の強化
・コミュニティサイクル(自転車シェアリング)等の取組の推進
・ハチ公バスの運行体制の充実(新ルート開発の検討・検証)
【政策の柱4】まちづくりの情報発信による街の活性化の推進
(施策の方向性)
○
まちづくり情報の「見える化」推進
・統合化された渋谷区全域のまちづくり情報の活用促進(地域のまちづく
りを推進するための整備と整理)
・街の更新状況(道路工事や建築)をリアルタイムであらゆる人に発信す
る仕組みづくり
26
F あらたな文化を生みつづける街
【政策の柱1】渋谷カルチャーの支援と世界への発信
(施策の方向性)
○
多彩な文化との融合による渋谷カルチャーの進化【重点】
・異なる分野のコラボレーションによる新たな文化の創造の場の創出
・ファッション・音楽等の分野に携わるアーティストへの支援(ファッシ
ョンインキュベーション(*6)、活動の場の提供支援等)
・音楽やアート、スポーツ等のイベントを通じた文化振興
・民間企業との連携による文化振興活動の推進
・文化・エンタテイメントに関する情報や空間(劇場等)の連携の推進
・文化・エンタテイメントの拠点の創出を推進
・多様な食文化の発信の強化
○
渋谷に関わる多様な人々との連携によるエンタテイメントシティの実現
・歩行者天国の復活によるストリートカルチャー(*7)の振興
・民間企業との連携によるイベント等の実施(カウントダウン等)
・国内外への発信等来街者(インバウンド(*8)含む)を増やす取組の促進
・渋谷カルチャーの観光・産業分野への戦略的活用の推進
・区内文化施設の連携の支援
・世界中のクリエイティブクラス(*9)を惹きつけるまちづくりや場の創出
*6…ファッションデザイナー及びアーティストなどに対するオリジナルブランド創業等への支援。
*7…路上文化。代表的にはスケート、スケートボード、HIPHOP、ダンス、グラフィティなどを指し、そ
のファッションや音楽、ライフスタイルなども含む。
*8…外から中へ入り込むこと。特に外国人の訪日旅行のことで、別称は訪日外国人旅行。対義語はアウト
バウンド(outbound)で日本からの海外旅行者のことをいう。
*9…価値を新しく作り出す人々。
27
【政策の柱2】歴史、伝統の継承と文化が息づく環境の整備
(施策の方向性)
○
区民の文化芸術活動の支援
・あらゆる世代が多彩な文化に親しむ機会の創出
・高齢者、障害者を含めた文化活動への参加機会を促進
○
文化を通じた地域交流・国際交流の促進【重点】
・国際文化交流の推進(児童・生徒の派遣、渋谷在住外国人の参画等)
・地域に根差した固有の文化の振興によるコミュニティの形成
・文化関連人材との交流の機会の創出(アーティスト・イン・レジデンス
(*10)等)
○
文化遺産の保全と活用
・文化遺産の保全・継承、活用の促進(新たな視点の創造と発信)
・歴史的建築物の保全と活用(旧朝倉家住宅による茶席の開催等)
○
渋谷ゆかりの伝統文化の継承
・伝統文化継承事業の推進(伝承ホール寺子屋等)
・伝統文化に触れる機会の創出(日本舞踊、能楽鑑賞、将棋等)
*10…国内外からアーティストを一定期間招聘して、滞在中の活動を支援する事業。
28
G ビジネスの冒険に満ちた街
【政策の柱1】新たなビジネス展開のための環境整備
(施策の方向性)
○
創業・新規事業展開への支援【重点】
・ファッション、デザイン等の若手人材の育成のためのインキュベーショ
ン(*11)の拡充
・創業支援の拡充
・産学官の連携によるビジネスマッチング(*12)等の場の整備
・スモールビジネス(*13)等への支援強化(福祉を活用したビジネス支援等)
・イノベーションが生まれやすい環境整備(ルール緩和や特区等の活用に
よる支援)
○
産業の集積の促進
・ファッション、ICT 分野等をはじめとする様々な産業が集積するための
情報提供等の推進
・ブランディングによる産業の活性化
・事業者間のエコシステム(*14)への支援
【政策の柱2】世界へ発信する観光の振興
(施策の方向性)
○
観光産業の支援充実
・渋谷観光協会による世界に向けた情報発信の推進(観光案内所等の活用)
・多言語に対応した観光マップの充実(ICT の活用)
・地域に配慮したルールに基づく民泊・バケーションレンタル(*15)の推進
*11…設立して間がない新企業に国や地方自治体などが経営技術「
・金銭「
・人材などを提供し、育成すること。
*12…企業の事業展開を支援する等の目的で、事業パートナーとの出会いをサポートするサービスのこと。
*13…ニューサービス「
(人材派遣など)
、ベンチャービジネス「
(ソフトハウス・新テク商品など)の登場で、
これまでの大企業「・中堅企業「・中小「(零細)企業といった規模分類だけでは優劣判定ができなくなったの
に対応して、優良中小、ベンチャーを合わせて呼んだもの。
*14…複数の企業が商品開発や事業活動などでパートナーシップを組み、互いの技術や資本を生かしなが
ら、共存共栄していく仕組み。
*15…一軒家やリゾートマンションのようなコンドミニアム等を貸し切って余暇を過ごす仕組み。
29
【政策の柱3】街の魅力を高める地域産業の振興
(施策の方向性)
○
地域に根差した中小企業の経営安定化
・経営相談・融資制度の充実(金融機関に対し低利で融資が受けられるよ
う斡旋するなど)
・雇用確保・人材育成の支援(優秀な人材のマッチング等)
○
商店街の活性化支援による地域の魅力づくり【重点】
・民間企業との連携事業の推進
・商店街の魅力向上のための環境整備(街路灯 LED 化等)
・地域コミュニティの形成のためのイベントの充実
○
多様な働き方を支える環境整備
・離職者対策事業(職業紹介、情報提供等)の推進
・職業技能の修得支援(研修の充実等)
・福利厚生対策の充実(渋谷区勤労者福祉公社の活用)
・若者・女性就業者等への就業支援(わかものハローワーク及びマザーズ
ハローワークとの連携等)
【政策の柱4】安心できる消費環境の整備
(施策の方向性)
○
安心な消費生活の実現
・賢い消費者の育成のための施策の充実
・消費活動に関する意識啓発のための情報提供
・消費者相談窓口の充実(被害防止・相談活動の充実)
30
3
長期基本計画の推進に向けた区政運営のあり方
長期基本計画の施策の推進にあたり、区政運営のあり方について以下の方策を
推進していくべきと考えます。
計画の実現と持続可能な行財政運営
【視点1】持続可能な行財政運営の実現
(方策の方向性)
○
経営戦略的行財政運営の実践【重点】
・歳入確保のための取組の推進(収納チャネル(*16)の拡大等)
・公民連携による行政サービスの提供(S-SAP(*17)、SIB(*18)等)の推進
・組織の垣根を超えた柔軟で機動的な組織体制の構築
・プロアクティブ型(*19)、ダイバーシティ対応型職員や ICT 人材の育成
○
公共施設等の総合的かつ計画的な管理
・固定資産台帳の利活用による施設老朽化の把握
・施設の更新・統廃合・長寿命化等の計画的実施
・廃止施設等の有効活用による新たな財源の確保
【視点2】時代の変化に即応できる行政サービスの提供
(方策の方向性)
○
区政運営のオープン化と区民参画の推進
・オウンドメディア(*20)戦略の推進
・オープンガバメントへの取り組み(オープンデータ、IT ダッシュボード
(*21)の導入)
・コワーキング(*22)・公民連携セッション等による区民等の区政参画
*16…収納の経路。手段。
*17…シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー制度のこと。公民連携による地域社会の課題解決を推
進するための制度。
*18…ソーシャルインパクトボンドのこと。民間事業者が行政サービスを提供し、成果に応じて行政が元
本などを償還する成功報酬型の官民連携モデル。
*19…先を見越した行動をとること。
*20…企業等が消費者に対して発信するメディア(owned media)
。ここでは渋谷区が区民等に対して発信
するメディアを指す。
*21…IT 投資の状況を、一覧表示により誰でも把握することができる機能や画面。
*22…事務所スペース、会議室、打ち合わせスペースなどを共有しながら独立した仕事を行う共働ワーク
スタイル。
31
○
ICT 利活用等による行政運営の効率化【重点】
・電子申請業務の拡大による来庁不要な手続きの拡充(24 時間・365 日)
・機械学習および人工知能等による、推論(シミュレーション)型政策の
導入
・各種センサーの導入と、IoT/IoE(*23)の展開に対応した情報収集・解析
・自律型ロボットやドローン等の積極的活用
・時間・場所・手段を限定しないユニファイド・コミュニケーション(*24)
の実現
〇
質の高い行政サービスの提供
・マイナンバー利活用による区民の利便性向上と行政運営の効率化
・総合窓口システム等による迅速かつ正確な総合行政サービスの提供
・ICT を活用したコミュニケーション(意思疎通)補助の推進
・行政サービスのパーソナライズ化(*25)の推進(認知型・提案型 AI の導
入を含む)
・双方向通信メディア等を用いた居宅訪問型サービスの提供
〇
ワークスタイルの変革による生産性の高い組織の実現
・官民横断(混合)等のフレキシブルワークスタイルの導入
・在宅勤務(テレワーク)の導入
・トップマネジメントや職員間の情報共有の仕組みの構築
*23…IoT(Internet of Things:モノのインターネット)/IoE(Internet of Everything:すべてのインタ
ーネット)
。
*24…様々な通信手段を 1 つのシステム上で統合して利用できるようにする技術や仕組み。
*25…利用者一人ひとりの属性や行動に基づいてその利用者に最適化されたサービスを提供すること。
32
参考資料
33
渋谷区基本構想等審議会委員名簿
(委員 20 名)
氏
地
域
団
体
推
薦
公
募
委
員
名
岩田
利延
渋谷区民生・児童委員協議会代表
新實
晃
渋谷区青少年対策地区委員会会長
福田
和男
渋谷区町会連合会前会長
丸山
多喜子
渋谷区婦人団体連合会会長
森下
利江
渋谷区人権擁護委員会幹事長
リー
啓子
渋谷区医師会副会長
渡邊
功
東京商工会議所渋谷支部副会長
越後
大作
公募区民
大西
岳之
公募区民
川邊
真代
公募区民
財津
宜史
公募区民
住井
美由紀
公募区民
吉田
翔子
公募区民
伊香賀
学
識
経
験
者
所属団体等
俊治
慶応義塾大学工学部システムデザイン工学科教授
市川
一宏
ルーテル学院大学大学院総合人間学研究科教授
○市川
宏雄
明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授
乙武
洋匡
作家
神長
美津子
國學院大學人間開発部教授
河原
和夫
東京医科歯科大学大学院医療政策学教授
為末
大
スポーツコメンテーター
※敬称略・50 音順
東京都教育委員
※○は会長
34
㈳アスリートソサエティ代表理事
渋谷区基本構想等審議会開催経過
回
開催年月日
第1回
平成 27 年 11 月 17 日
審議事項等
委嘱状交付式
審議会の趣旨説明
現在の構想の説明
今後の進め方等
第2回
平成 27 年 12 月 22 日
区民意識調査の結果について
政策分野別将来ビジョンの検討等
第3回
平成 28 年 1 月 12 日
政策分野別将来ビジョンの検討等
第4回
平成 28 年 2 月 23 日
政策分野別将来ビジョンの検討等
第5回
平成 28 年 3 月 15 日
渋谷区基本構想素案策定に向けた整理
第6回
平成 28 年 4 月 26 日
渋谷区長期基本計画策定に向けた整理
第7回
平成 28 年 5 月 17 日
渋谷区長期基本計画策定に向けた整理
第8回
平成 28 年 6 月 28 日
渋谷区基本構想等審議会答申(素案)について
第9回
平成 28 年 8 月 30 日
渋谷区基本構想等審議会答申について
35
渋谷区基本構想等審議会条例
(会議)
(平成 27 年 6 月 26 日 条例第 27 号)
第6条 審議会は、会長が招集する。
2
(設置)
第1条
審議会は、委員の半数以上の出席がなけ
れば、会議を開くことができない。
区政を取り巻く社会経済状況の変
化等を見据えた渋谷区基本構想の必要な
3 審議会の会議は、原則として公開とする。
改定及び渋谷区長期基本計画の策定のた
ただし、審議会が公開することを不適当と
め、区長の附属機関として、渋谷区基本構
認めたときは、この限りでない。
想等審議会(以下「審議会」という。)を置
4
審議会は、必要があると認めたときは、
関係者の出席を求め、説明を聴くことがで
く。
きる。
(所掌事項)
第2条 審議会は、区長の諮問に応じ、渋谷
区基本構想の改定及び渋谷区長期基本計
(庶務)
第 7 条 審議会の庶務は、経営企画部におい
て処理する。
画の策定について必要な事項を審議し、答
申する。
(委任)
第 8 条
(組織)
この条例の施行に関し必要な事項
は、区規則で定める。
第3条 審議会は、学識経験者及び区民のう
ちから、区長が委嘱する委員二十人以内を
附
もって組織する。
則
1 この条例は、公布の日から施行する。
2
(任期)
を失う。
第4条 委員の任期は、第二条の規定による
答申をした日(以下「答申日」という。
)ま
この条例は、答申日の翌日に、その効力
3
第 6 条第 1 項の規定にかかわらず、この
条例の施行の日以後最初の審議会は、区長
でとする。
が招集する。
4
(会長)
第5条 審議会に会長を置き、委員の互選に
会長は、審議会を代表し、会務を総理す
(次のよう略)
る。
3
弁償に関する条例(昭和 29 年渋谷区条例
第 8 号)の一部を次のように改正する。
よりこれを定める。
2
渋谷区附属機関の構成員の報酬及び費用
会長に事故があるとき、又は会長が欠け
附
則(平成 28 年条例第 13 号抄)
たときは、あらかじめ会長の指名する委員
(施行期日)
がその職務を代理する。
1 この条例は、平成 28 年 4 月 1 日から施
行する。
36
写
渋企企発 第 4 号
平成27年11月17日
渋谷区基本構想等審議会会長 殿
渋谷区長
長谷部 健
渋谷区基本構想等審議会条例第2条の規定に基づき、下記の
事項について、諮問いたします。
記
《諮問事項》
1 渋谷区基本構想改定のための基本的方向について
2 新たな渋谷区長期基本計画に盛り込むべき施策について
《趣
旨》
現在の渋谷区基本構想(以下「基本構想」という。)は、21 世紀を展望し、区
民生活と区の将来像を明らかにするとともに、これを実現するための計画的な
行財政運営の基本的かつ総合的な指針として、平成 8 年に策定いたしました。
その後、策定から 20 年が経過し、人口構造の変動、渋谷駅周辺の整備や 2020
年の東京オリンピック・パラリンピック開催を契機とした国際化の進展等、区政
を取り巻く環境は大きく変化しています。
渋谷区は、このような社会情勢の変化を踏まえ、将来に渡って区政を発展させ
ていくために、
「基本構想」を改定し、中・長期的に必要な施策と事業の重点を
示す渋谷区長期基本計画(以下「長期基本計画」という。)を新たに策定するこ
とといたしました。
渋谷区を日本だけではなく、ロンドン・パリ・ニューヨークと並ぶ世界に誇れ
る都市にしていくために、一人ひとりの「違い」を個性として尊重し、多様性を
受容する社会(ダイバーシティ&インクルージョン)の実現が重要であると考え
ております。
これからも、子どもからお年寄りまで、都心でいきいきと暮らし続けていただ
くために、また、渋谷区で働く人や訪れる人にとっても、より魅力的なまちにな
るような将来像を描きたいと考えます。
今後の渋谷区が目指すべき方向を定める「基本構想」改定のための基本的方向
及び「長期基本計画」に盛り込むべき施策につきまして、ご審議賜りますようお
願い申し上げます。
37