「 平 成 2 6 年 度 高 等 学 校 ICT 活 用 研 究 協 議 会 ( 県 南 地 区 )」 教諭 1.目 的 髙橋 潤 情報化の進展に対応し、教員や生徒の情報活用力を育成するため、本 県 高 等 学 校 の 授 業 に お け る ICT の 活 用 を 図 る 。 2.期日・会場 平 成 2 6 年 1 0 月 3 0 日 (木 ) 3.日 1 開 会 行 事 2 全 体 説 明 3 研 究 授 業 10:00~10:15 10:15~10:40 10:50~11:40 4 研 究 協 議 11:50~12:40 5 昼 食 6 講話・演習 7 閉 会 行 事 12:40~13:20 13:20~15:50 15:50~16:00 4.概 程 要 雄物川高校 2「全体説明」では高校教育課指導主事の佐藤 貢先生から、文科省よ り出された、平成25年度における教育の情報化の実態に関する調査結 果(平成26年9月発表)を報告していただいた。 3「研究授業」では雄物川高校 教諭 佐藤 美起雄先生によるデジタル 教 科 書 を 用 い た Communication 英 語 Ⅱ の 授 業 を 参 観 さ せ て い た だ い た 。 4「研究協議」では参加者がグループに分かれ、研究授業で提示された 授業に関する協議が行われた。 6「講話・演習」は「情報モラル教育の推進について」をテーマにした 講話等があったが、授業の都合で参加できなかった。 5.感 想 2014 年 9 月 8 日 に 放 送 さ れ た 、 NHK ・ ク ロ ー ズ ア ッ プ 現 代 「 学 び を 変 え る ? ~ デ ジ タ ル 授 業 革 命 ~ 」 で は 、 日 本 に お け る ICT 教 育 に 危 惧 さ れ る 事が存在すると警鐘を出していたように感じた。この放送では、昨年度 文科省が研究指定校とした佐賀県立佐賀東高等学校のインフラ状況や実 践例を紹介していた。その中から問題と感じた事を紹介したい。 英語と数学の研究授業が紹介された。まずは英語の授業で生徒一人一 人 に 無 線 LAN で 繋 が れ た タ ブ レ ッ ト 型 端 末 が 配 布 さ れ る 。 実 際 に 端 末 を 起動させ教師のパソコンからデータが一斉に送信されると、生徒が一斉 に「おーっ!」と“新しいもの”への感激の響めきが起きた。しかしソ フトを操作し始めると、普段からスマホを使いこなしており、同じよう な端末機器なので大丈夫だろうと思われる高校生が「先生、使い方わか んなーい」とか、さらには「これ、イライラする!」という生徒まで出 てくる始末。もはや授業どころではなく、操作に手間取って授業時間が いたずらに過ぎていく様子が流されていた。数学の方では、授業で使う ソフトを作成・調整していく教師が映し出された。そのソフトが、授業 1時間用なのか1単元用なのかは不明だが、その調整時間は数日間、夜 かなり遅くまで学校に残って教材準備をする姿があった。而して、その 数学の研究授業では「わかりやすい!」という声があちこちから出てい た 。 こ れ ら 2 つ の 事 例 か ら は 、 授 業 で ICT を 活 用 す る の に は 次 の 点 が 重 要視されるべきだと感じた。 1つには学習者が直感的に「簡単に操作できる」ソフトであること。 2つ目はソフトの作成は専門の業者に依頼することだと思った。自分の 思い入れで作ったソフトの操作性が、必ずしも他人には容易とは受け入 れてくれないことが予想される。また、作成・調整にそれ程の教材研究 の時間を要するのであれば1つの授業に対する実益としてはあまりにも 乖離しており、教員の負担は相当なものになる。 さらに心配されるのが韓国の現況である。韓国は日本より4年程前か ら こ の ICT 教 育 に 国 家 プ ロ ジ ェ ク ト と し て 数 十 億 円 を 注 ぎ 込 み 取 り 組 ん でいるのだが、近頃、教育現場の教員から「子どもの学習意欲に影響を 及 ぼ す 」 と し て ICT 推 進 に ブ レ ー キ が か か っ て い る 。 察 す る に 、 与 え ら れるもの(教材)をこなすだけで、生徒自身が主体的に勉強する習慣が 削がれてきたのであろう。 今回の雄物川高校での研究授業でも、この研究授業のために特別に教 科書準拠の指導ソフト(相場は十数万円らしい)を購入してもらい、そ れを使いこなす練習をした上での研究授業であった。スクリーンに映さ れる教科書の英文は、色々工夫を凝らしたソフトのお陰で見栄え良く、 効果的に授業を展開してくれた。しかしながら、その時のパソコンの調 子が悪かったようで、一時的に操作に手間取り授業がとまってしまった。 会場にいるみんなが早急の復旧を祈る視線が指導教師に送られていた。 こ の よ う に 、 韓 国 の 事 例 は こ れ か ら 取 り 組 も う と す る 日 本 の ICT 教 育 に 重 要 な 事 を 示 唆 し て く れ て い る と 思 わ れ る 。「 ICT あ っ て 学 力 向 上 な し」では困る。週刊文春で特集された「学力№1の秋田県」の根拠とし て、地元教員のコメントが掲載されていた。それは「過去問の研究」と 「徹底した反復練習」だそうだ。やはり学力向上には、地道な生徒自身 の 努 力 と 教 師 の 指 導 に 工 夫 が 要 さ れ る の で あ っ て 、 盲 目 的 に ICT 教 育 を 進めてはならないと強く思う。
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