Project: Tölzer Model

Project: Tölzer Model (テルツァー・モデル) 難民認定申請者たちの就職活動支援 る南ドイツにある。Bad Tölz は、12 世紀ご
ろから、その存在が記録されている、現在
人口 18,000 人のバイエルン州の文化歴史
のある古く美しい街で、保養地としても有
名なところである。
Setsuko Schwarzer 難民受け入れの現状 様々なオーガニゼーションに「Refusee: 難
民」についての取材を申し込むと、断られ
る場合が多い。難民たちのドイツ国内での
日々の生活に関わる法的制約、支援する
人々の忙しさ、そして、何よりも、戦火を
はじめとするただならぬ困窮状況から、必
死に逃れ、未知の生活環境に適応しようと
奮闘する難民たちをそっと見守り支援する
べきだという人権尊重からの観点が、主な
理由である。 Tölzer Model(テルツァー・モデル) そのような状況下、Mr. Manfred Schmid を
とおし、取材を快諾してくれた Asylplus e.V.Tölz を 3 月 7 日午後、訪問した。運営
のイニシアティヴをとる Mrs. Waltraud Haase(以下、氏名への敬称略)とエジプ
ト出身 31 年間エンジニアとしてドイツ在
住の通訳 Mr. Hassan Mohamed‐Omar 氏が、
ボランタリーとしての運営状況、チャレン
ジしている点、今後の展望を情熱を持って
語ってくれた。 Asylplus e.V は、ドイツ連邦共和国大統領
Joachim Gauck の伴侶、Daniela Schadt が、
パトロンとなり、難民たちが、ドイツ社会
で独り立ちして生活できるよう連邦内各地
のボランタリー活動の支援をおこなってい
る。「e.V.: 公益法人」とはドイツ語の
eingetragene Verein(略して e.V.)。公共
の目的のために設立された法人で、利益の
追求を行なわないかわりに、税的優遇措置
を受けることが出来き、Asylplus e.V.は、
慈善組織である。 Bad Tölz は、München の南約 65Km(写真右
上)のアルプスの山並みが美しく展望でき
多忙にもかかわらず、Haase は、Bad Tölz
駅まで車で、迎えに来てくださった。開口
一番、「ようこそ!当地には、約 300 名
の難民がいます。是非私たちの PC Configuration Project:“Tölzer Model“の展開
状況を視察してください!私たちは、ボラ
ンタリーですが、最近は、長続きせず、閉
鎖を余儀なくされてゆくプロジェクトも、
たくさん出てきています。難民の波が押し
寄せ半年経ち、これからが、正念場です。
私たちの Project は、ドイツに到着した
人々が、一日も早く自立してゆけることを
目的に活動しています。Bade Tölz の市長
も、深い理解を示し、Networking の支援
をしてくれています。」と明るい表情で、
事業を展開しているセンターへとむかった。 長く困難な行程を経て、まったく見知らぬ
土地にたどり着いた難民たちのすべてが、
期待に胸を膨らませ、ドイツで毎日を生活
しているわけではない。様々なプロジェク
トが用意されていても、心理的に鬱になり、
ベットにふせきっている難民のほうが多い
のも事実である。Asylplus e.V.Tölz のオフ
ィースに到着してすぐに、ドイツ語を難民
の母と子供に教えようと待機していたボラ
ンタリーの婦人が、「宿泊しているところ
の入り口まで迎えにもいってみたのだけど、
お母さんのほうは、今日もこないわ」と
Haase に報告する場面に出くわした。「で
も、さっ、時間を無駄にしないで、早くド
イツの学校で勉強できるようにアルファベ
ットの練習をしましょう!」かわいらしい
黒髪のポニーテールの女の子も軽くうなず
いてさっそくドリルを始める。そこには、
暗い雰囲気はない。 ェアーのセッティングサービスを行い、少
額であるが、報酬を受けられるように展開
している。 http://www.asylplus.de/の公式サイト、ここから、さらに
ドイツ語学習のサイトにに入れる 「お母さんは、これなくても、あなたは、がんばるのよ!」
と励ますボランタリーの婦人 Project: Tölzer Model の活動の焦点は、コン
ピュータ、情報技術。難民たちのほとんど
が、スマートフォーンを所持、特に Bad Tölz に到着したシリア出身者の中に優秀な
IT 機器の専門家がいることに注目。大規模
な資本金なしで、寄付されたコンピュータ
機器を元手に、 ① インターネットを通し、ドイツの
社会に融合するために必須のドイ
ツ語学習をおこなう ② IT 機器に興味があり、情報技術を
使いこなせる難民がいれば、サポ
ートし、IT 分野での活動をできる
だけ早く実行する ③ ホテルサービス業、パン焼き職人
など、実習の機会が比較的多い職
種への斡旋 あまり、多くのテーマに手をつけずに、じ
っくりと“コンピュータ“を Working Tool と
して、語学を習得しなければならない難民
たちのモティベーションを促進、さらに、
PC 関係のクライアントを探し出し、コン
ピュータ自体のハードウェアー、ソフトウ
Mrs. Haase と Mr. Omar は、笑顔でサイトを逐次チェック、
アップデートし、使用しやすいようにメインテしている ドイツ語をマスターすることは、必須であ
るが、現在、各難民収容機関で、おこなっ
ている学習コースは、少数の講師に対して、
多数の受講者が狭い教室につめこまれ、効
果があまりでていない。 Tölzer Model では、ただテキストを見てい
るだけでなく、最低限のドイツ語表現を言
えるようになったら、コンピュータの前に
座り、インターネット、Skype を通し、ド
イツ語での会話を開始する。 初級者は、Goethe Verlag: http://www.goethe‐verlag.com/のウェブサ
イトを利用し、ドイツ語を即、学ぶのでは
なく、逆に、例えば、アラビア語をドイツ
語でどのように指導しているか体験しなが
らドイツ語を学習する。
Deutsche Welle は、直訳すると「ドイツの波」
となる。 Deutsche Welle は BBC ワールドサー
ビス、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)、及び
ラジオ・フランス・インターナショナル(RFI)
などの国際放送事業体と類似している。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82
%A4%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BB%E3%83
%B4%E3%82%A7%E3%83%AC より引用 上級では、ドイツ語習得を超え、IT 機器に
強い人々には、コンピュータについての各
セッティングをしてもらい、実際に PC Shop レベルの職業活動を展開。訪問した
3 月 7 日には、シリア出身の Mustafa は、
München 郊外 Grünwald 地区の中小企業に
10 台コンピュータを設置して、ちょうど
戻ったところ。 Mustafa は、Haase 宅に下宿しながら、戦火がおさまれば、
シリアに戻り、コンピュータの会社を設立することを考え
ている Goethe Verlag(ゲーテ出版社のサイト)を活用し、かなり
の速度で、ドイツ語をマスターするシリアからの家族 中級以上は、Deutsche Well*で、最新ニュ
ースを聞き、最新情報につき、Skype をと
おし、初級で出会ったゲーテ出版の教材を
使ってドイツ語学習をしている各地の人々
と交流しながら、ドイツ語に慣れるように
する。 *:ドイチェ・ヴェレ(ドイツ語:Deutsche Welle)は、ドイツ連邦共和国の国際放送事業
体。ラジオ、テレビ、インターネットでサー
ビス提供を行っている。ラジオは 29 の言語で
サービスを展開している。 大変落ち着いた雰囲気でドイツ語を語る
Mustafa。クライアント先に用意された新
しい機器の Configuration をすることもあ
れば、企業から寄付される中古の機器をク
リーン‐アップし、新しいソフトウェアー
をいれ、他の難民たちの学習に利用できる
ようにセットする。Mustafa の場合は、非
常に IT 理解レベルが、高いので、報酬を
受けるビジネスとして、まもなく展開でき
る見通しもできている。 Haase と Omar は、長い間築き上げてきた
Network をフルに活用し、バイエルン州内
の大手・中小企業から、2 桁あるいは 3 桁
にのぼる中古のコンピュータの寄贈をうけ
ている。中古といえど、4 年ぐらい使用し
た、どれもきれいな機体で、Mustafa をは
じめとするチームが、SAP の難民たちへの
Open Server System やミュンヘン工科大学
の情報学部などの支援を受け、新規ソフト
を入れ、難民施設あるいは、普通のオフィ
ースに配送している。(顧客が普通のオフ
ィースの場合は、価格見積もりを立てて、
ビジネスとして処理し始めている。) IT 機器の専門でなくとも、Mustafa の率い
るチームのアシスタントとしてこれらの作
業を行い、いろいろな企業訪問をする機会
も増え、訪れた先のホテルやパンの製造業
に実習生として活動のチャンスを見つける
若いエリトリア出身者もいる。 2015 年 1 月からドイツ連邦内に導入され
ている最低賃金法(雇用者等支払う側が、
社会福祉積み立てができる額を最低支払わ
なければならない。具体的には、最低
8,50Euro/hour。 下図 )に比較すると、現在、
難民が「難民認定申請者」のステータスで
得られる賃金は、1,05Euro/hour と、非常
に低い。 しかし、一日中何もせずに、潜在的雇用チ
ャンスを逃すのは、あまりにももったいな
い。連邦失業対策本(Bundesarbetsagentur)
とも連絡をとりながら、Tölzer Project は、
活発に展開している。 めだたないが、難民への支援金で儲ける セクター Bade Tölz では、難民の宿泊施設として、
同地方行政がコンテイナーを提供、難民救
済の様々な方策が採られているが、さばき
きれない難民の人数を、最近まで使用され
ていなかった古い小さなホテルを難民宿泊
施設に収容するケースもある。約 20 名の
難民を収容している某ホテルは、地方行政
から、光熱費等をはじめとする難民収容に
かかる費用、さらに警備員の派遣を受けて、
宿泊施設として建物を提供しているが、1‐
2 年後には、現在滞在している難民を退去
させ、難民支援金として得ている金額を資
金とし、改築工事を行い、新しいホテル業
を行う計画をたてている。また、プライベ
ートレベルでの、部屋・家屋の難民への賃
貸料は、税金優遇処置があり、難民一人当
たりに部屋を提供すると、約 700Euro/月、
市から得ることが出来る。難民自身が支払
うのではなく、最終的には、公の予算から
支払うこととなっており、滞在施設提供者
側にとっては、かなりの収入源となってい
る。 さらに、欧州での生活に慣れない難民たち
は、子供たちのちょっとした熱、風邪など
でも、すぐに医療機関に行き、処方箋つき
の高価な医療品を購入するため(実際の支
払いは、今回の場合、Bade Tölz 行政単位
予算から負担)、結局は、製薬会社が、沈
黙の中、大幅に売り上げをも場している。 難民一人ひとりのチャレンジ Bade Tölz という比較的おっとりとした風
土のせいか、ドイツの東側の都市 Leipzig、
Dresden で見られる難民受け入れへの抗議、
暴力、犯罪は、見られない。しかし、すで
にふれたとおり、難民たちの心理は、様々
である。これからの生活への不安で鬱病に
なる人々は、多い。 Haase は、Bade Tölz の一地区にある写真撮
影が禁ぜられているコンテナーに滞在中の
人々を紹介してくれた。シリア、イラン
(イラクではない)からの 32 名の難民た
ちが、静かに生活している。ここでも、IT
機器取り扱い経験のある男性は、PC のセ
ッティングにすでに活躍していた。また、
この 1 月にドイツに到着したばかりの、
Aleppo で薬剤師として薬局経営をしてい
た Shaban という男性は、「Frau Haase、
私は、給料などは、どうでもいいです。実
習生としてでもいいから、とにかく、製薬
会社 Roche で、体を動かして、働きたい
のです。チャンスをアレンジしてくださ
い!」と懇願しに来た。ドイツに来て 2
ヶ月もたっていないのに、ほぼ完全なドイ
ツ語を使いこなしているのには、びっくり
した。同製薬会社は、Bade Tölz から比較
的近い Penzberg にバイオ製薬品部門のプ
ラントをもっている。Shaban は、しっか
りと、今、自分のいるポジションを確認し、
出来る限りのことをし、自立を急ぐ意気込
みでいっぱいのようであった。彼自身が
Asylplus のウェブサイトで勉強しているド
イツ語のノートを見せてくれたが、その情
熱には、圧倒されてしまった。Haase は、
「約束は出来ないけど、とにかく、Roche
の人事にコンタクトはとってみましょう。」
と対応。 Mustafa、Shaban たちのように、早く独り
立ちしてがんばりたいというモティベート
した人々、ブルカを脱ぎ捨て、明るくスマ
ートフォーンを使うシリアからの女性、い
や、逆に写真にとられることを極度にさけ
る女性・・・。いうまでもなく、どの心模
様も、様々である。(写真下) Haase いわく、「私たちの PC 中心の
“Tölzer Model“を北ドイツでも試したので
すが、なかなか上手く行かずに Give‐up し
ました。必ずしも、あるモデルが、どこで
も、上手く行くとは、限りません。根気よ
く、難民たちの心理状況を察しながら、コ
ミュニケーションすること!古着を与える
など初歩レベルでの救済段階は、終わりま
した。彼らが、独り立ちして働けるように
準備することが、今後の大きな課題です。
優秀でモティベートしている難民ほど、は
っきりといいます:今は、ドイツにお世話
になりますが、故郷に帰って、今学んでい
ることを必ずや、役に立てるようにがんば
りたい!と。」 ちょうど、このレポートを作成中に、ドイ
ツの TV チャンネル ARD の経済番組
“PlusMinus“で、シリアの建築エンジニア
のドイツでの状況が、放映されていた。
Mustafa や Shaban 同様、ドイツ語をしっ
かりと習得し、ドイツ人が経営する建築事
務所で実習生として謙虚にはたらいている
ケースである。製図等の設計基礎技術は非
常に高度にマスターしているが、ドイツの
建築基準法をマスターしなくてはならず、
かなり苦戦。後援する建築事務所のオーナ
も、出来る限りの支援を惜しまないスタン
スをとっているが、高度な技術をもってい
る難民ほど、その背後にあるドイツの法規
を勉強しなくてはならず、チャレンジしな
ければならない課題が、たくさん出てきて
いる。ドイツ人でさえも時間をかけて技術、
専門知識を習得する高度な分野では、難民
たちが、ドイツの環境に慣れ、技術を使い
こなして行けるのに、どんなに短距離でも、
5 年は、かかると専門家がコメントしてい
た。 難民問題は、けっして、短期間で解決でき
るものではない。長い目でじっくりと将来
を考えながら、進めてゆかなければならな
い、忍耐力が、非常に要求されるテーマで
ある。 (09.032016) (参考引用資料) https://www.google.de/maps/place/Bad+T%C
3%B6lz/@47.6585572,10.9981691,136839m/
data=!3m1!1e3!4m2!3m1!1s0x479d94490fd2
6e55:0x5f031a0b2eb1fdc0!6m1!1e1 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3
%82%A4%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%B
B%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AC https://de.wikipedia.org/wiki/Mindestlohn#/
media/File:Mindestlohn_vertrag_verguetung_
deutschland.jpg ARD の経済番組“PlusMinus“