第5章(3)(青年~壮年期:具体取組)

(2)
青年期から壮年期(18~64歳)
基本方針・・・生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底
①
健康的な食事の普及・啓発
〈現状と課題〉
○外食や中食が増えて、家庭での栄養を考えた献立づくりが難しくなっています。
○国は塩分の摂取量を 1 日あたり男性 8g未満、女性 7g未満を推奨していますが、男性は平
均が 11.1g、女性は 9.4gとまだ減らす必要があります。
○野菜の摂取量の目安は 1 日あたり 350g必要ですが、まだ不足しています。特に若い世代
が不足しています。
○食事バランスに気を付けていても、バランスガイドの内容まで理解している人は少数です。
○若いときに比べ体重が大きく増加した人は 3 人に 1 人と多くなっており、特に男性は体重
が増加した人が多くいます。
【塩分摂取量の状況】(g/日)
11.1
【野菜の摂取量の状況】(g/日)
11.8
10.7
10.6
9.4
8.9
8.6
11.0
10.6
10.0
9.5
320
11.3
304
286
9.5
男性
8.7
女性
総数
20~29歳
30~39歳
40~49歳
50~59歳
60~69歳
70歳以上
249
233
245
20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70歳以上
(平成 25 年「国民健康・栄養調査」)
【20 歳の時から体重が 10 キロ以上増加した人の割合(%)】
40.5
36.9
26
男性
28.5
女性
30.5
33.6
南国市
県合計
総計
(平成 25 年度特定健診質問票集計結果)
〈今後の方向性〉
○日常的に主食(ごはんやパン)に主菜(肉、魚、卵、大豆製品)とともに豊富にとれる地
元の旬の栄養豊かな食材を副食(野菜、キノコ、いも、海藻など)として組み合わせて食
事を整えていくことや朝食を抜かないなど、規則正しい食習慣を身につけることを啓発し
ていきます。
○食べ過ぎや過度のダイエットはよくない事や、自分の適正な体重の維持に努めることの大
切さを理解してもらえるように、特定健診や特定保健指導の時また健康まつりや地域での
43
イベントなどの際に啓発活動を行い、自分の適性体重を知り、毎日の体重測定を行う人の
増加に努めます。
○食品の基本的な栄養が理解でき、バランスよい食事ができるように食育 SAT(サッと)シ
ステム※を使い体験学習を行っていきます。
※食育 SAT システム・・・IC タグ内臓フードモデルとパソコンを使った体験型食事栄養教育システム
〈関係団体等の取り組みと連携〉
○食生活改善推進員は農業関係者や食育活動を行っている関係団体と協力し、食育を推進し
ていきます。また薄味で減塩を心がける人を増やせるよう、啓発に努めます。
〈具体的方策と実施事業〉
・食育推進計画の推進(料理教室、研修など)
・食生活改善推進員による活動
伝達講習、味噌汁の塩分測定、特定健診での減塩味噌汁の試飲、ヘルシークッキング
男性のための料理教室、地域食育推進事業(量販店での啓発)など
・食育 SAT システムによる栄養バランス体験
・定期的な体重測定の意義の啓発
②
運動習慣の定着と身体活動量の増加
〈現状と課題〉
○年齢が上がるにしたがい、代謝や身体機能が徐々に低下します。
○日常的に運動することを習慣としている人はまだ少ないです。
○市内は公共交通機関が少なく、自家用車の利用が多くなっています。日常的に歩数の減少
が心配され、意識して歩数を延ばす必要があります。
○運動したくても時間がないなど運動時間が取れない人が多くいます。
○身体活動量を増やすためには、掃除や歩いての買い物など日常生活の中で、1 日 10 分多く
動くことなどを啓発していく必要があります。
【日常生活において歩行又は同等の
58.2
身体活動を 1 日 1 時間以上実施し
56.9
ている人の割合(%)】
57.3
男性
女性
55.0
(平成 25 年度特定健診質問票集計結果)
南国市
高知県
【1 日 30 分以上軽く汗をかく運動を
週 2 回以上、1 年以上実施している
43.9
人の割合(%)】
42.2
男性
40.4
39.4
(平成 25 年度特定健診質問票集計結果)
南国市
44
高知県
女性
【歩数の状況】(歩/日)
(参考)
15,000
7,503
10,000
「健康日本21(第 2 次)」
7,099
7,011
・日常生活における歩数の増加
目標値
女性
男性
5,0006,762
20~64 歳
男性:9,000 歩/日
男性
女性
女性:8,500 歩/日
6,249
5,945
0
平成15年
平成15年平成20年
平成20年
平成25年
平成25年
(平成 25 年「国民健康・栄養調査」)
〈今後の方向性〉
○自ら意識して運動に取り組む環境をつくる重要性の啓発や、気軽に運動に取り組めるよう
な社会的環境づくりを行っていきます。
○働き盛り世代に対し、意識して運動を行い、身体活動量を増やす工夫が日々の生活の中で
必要になっていることの理解を促します。
○中年期以降の女性は骨密度や筋肉量が減ってきますので、維持のために積極的な運動が必
要です。手軽に取り組めるウォーキングなどや運動教室への参加を奨励していきます。
〈関係団体等の取り組みと連携〉
○総合型地域スポーツクラブ、スポーツ推進員や各地区公民館などと協力して、様々なイベ
ントでの市民の活動的な事業を支援していきます。
〈具体的方策と実施事業〉
・手軽に取り組める運動の効果的な普及や啓発
・新たなウォーキングマップの作成
・メタボ予防運動教室
・ウォーキング大会(市、地域主催)
・夏季ラジオ体操
・障害者卓球大会(おながどりカップ)
・南国スポーツフェスティバル
・市民体育大会
・南国フォトロゲイニング
・地区での運動会
・市内一斉清掃や国分川の芝焼きなど地域活動への参加促進
③
十分な睡眠と休養の確保
〈現状と課題〉
○睡眠により休養が十分取れていない人が 5 人に 1 人います。
○ストレスを解消できていない人は 4 人に 1 人います。
○体とこころの健康のためには、睡眠や休養の確保が大事なことを啓発する必要があります。
○うつ病は知っていてもその対処方法について知っている人は 3 割しかいません。
45
【現在の睡眠で休養が十分とれていますか】
全くとれ
ていな
い,
3.1%
【ストレスを解消できている人の割合】
十分とれ
ている,
27.0%
あまりと
れていな
い,
18.6%
十分でき
ている,
16.2%
全くでき
ていな
い,
5.0%
あまりで
きていな
い,
21.4%
まあまあ
とれてい
る,
51.4%
なんとか
できてい
る,
57.5%
(健康増進計画アンケート)
〈今後の方向性〉
○心身の疲労回復やこころの健康を保つためのセルフケアや自分にあったストレス解消法な
どの啓発活動を行います。
○睡眠不足が日常生活に悪い影響を与えるだけでなく、肥満や高血圧、糖尿病などの発症や
重症化、心疾患や脳血管障害を引き起こす原因になっているため、睡眠や休養を十分に確
保することの重要性の理解を促します。
〈具体的方策と実施事業〉
・ストレスチェックの普及(ホームページに「こころの体温計※」開設)
・ストレスのセルフケアの啓発
・精神保健相談の実施
・精神保健ミニデイケア※の開催
・家族会などへの支援、協力
・こころの健康講座の開催
※「こころの体温計」・・携帯やパソコンを使ってセルフメンタルチェックができるシステム
※精神保健ミニデイケア・・地域で自立した生活ができるよう社会参加や日常生活の訓練の場
④
適正な飲酒の啓発
〈現状と課題〉
○毎日お酒を飲む人は全国より多いですが、1 日の飲酒量が 1 合未満の人が多いです。ただ、
3 合以上飲む人の割合は 5.8%で全国の 2.6%より多くいます。
○毎日、飲酒する人は 40 代以上が多く、飲酒による健康被害リスクを下げるためには適正飲
酒・休肝日の啓発がまだまだ必要です。
【毎日、飲酒する人の割合】(%)
【1 日の飲酒量、1合未満の人の割合】(%)
29.7
71.7
27.5
68.9
25.7
南国市
高知県
64.6
全国
南国市
(平成 26 年度特定健診質問票集計結果)
46
高知県
全国
〈今後の方向性〉
○自分のお酒の適量を知り、飲まない人には無理にすすめないなど節度やマナーに気を配る
人が増えるよう理解を促していきます。
○休肝日を設ける事や肝臓などの定期検査の必要性の啓発を行っていきます。
〈関係団体等の取り組みと連携〉
○断酒会は断酒したい人への支援を行い、市は開催への協力と支援を行います。
〈具体的方策と実施事業〉
・健診時の保健指導、健康相談
・健康まつりなどで適正飲酒の指導や啓発
⑤
喫煙対策
〈現状と課題〉
○アンケートによる喫煙率は全国より低い状況ですが、国の目標値にまだ届いていません。
○たばこを吸っている人のうち半数近くは「やめたい」と思っています。
○喫煙の害の理解はすすんでいますが、3 割近くの人はまだ受動喫煙の意味を知りません。
○市内の学校では分煙はできていても、敷地内禁煙になっていない学校があります。
○職場や集会場所など多くの人が集まる公共の場での禁煙・分煙を徹底する必要があります。
○喫煙者には吸わない人への配慮や吸い殻のポイ捨てをしないなどマナーが求められます。
【習慣的な喫煙の状況】(%)
40
32.2
(参考)
30
24.6
10
男性
19.3
20
14.1
8.2
6.8
女性
総数
「健康日本21(第2次)」
・成人の喫煙率の減少
目標値:12%
0
全国
南国市
(南国市データ:健康増進計画アンケート、全国データ:平成 25 年国民健康・栄養調査)
〈今後の方向性〉
○受動喫煙による健康被害をなくす対策として、特に子どもや大勢の人が集まる場所やイベ
ントでの禁煙・分煙の徹底を働き掛けます。
○喫煙者に対し、自らの身体を守り、周囲のみんなの健康を守るためにも禁煙や、喫煙本数
を減らす、喫煙場所を選ぶなどの行動を起こす必要性を理解
してもらうため、イベントなど機会をとらえ禁煙や受動喫煙
防止の啓発を行っていきます。
○禁煙したい人には健診や健康相談の時に
禁煙外来の紹介や禁煙のための助成金の
活用の紹介を積極的に行っていきます。
47
〈関係団体等の取り組みと連携〉
○食生活改善推進員や「とさ禁煙サポーターズ」は活動を通じて、禁煙啓発や地域での受動
喫煙防止活動を行います。
〈具体的方策と実施事業〉
・禁煙外来や禁煙のための助成金の紹介
・受動喫煙の危険性の啓発
・チラシやポスターによる禁煙の呼びかけ
・会議や宴会場での灰皿の撤去の協力要請
・公共施設での敷地内禁煙の推進
・すべての場所での分煙の徹底の啓発
⑥
歯と口腔対策
〈現状と課題〉
○定期的に健診などで歯科医療機関を受診する人はまだ少ないです。
○無料歯科健診も歯周病が心配される 40 代以上は少ないです。
○歯や口の健康状態が体全体の健康に影響を与えていることの理解が不十分です。
○国保や後期高齢者医療費では「歯肉炎及び歯周疾患」の受診件数及び費用額は疾病別では
2 位で多くの医療費が使われています。
【年 1 回以上、定期健診や予防の
ために歯科医院を受診している
70.6%
60.9%
29.4%
39.1%
男性
女性
受診していない
人の割合】(%)
受診している
(健康増進計画アンケート)
【無料歯科施設健診受診者数推移(実績)】
年 度
平成23年度
平成24年度
平成25年度
平成26年度
6月受診者総数
214人
218人
263人
256人
11月受診者総数
75人
42人
46人
135人
※6 月;全年齢対象
※11 月;23~25 年度は 40 歳以上、26 年度より全年齢対象
【6月無料歯科健診年代別受診者数推移(実績)】(人)
平成26年
101
平成25年
97
78
32
80
20代以下
11 17 17
25 11 23
30代
27
40代
平成24年
83
62
平成23年
82
64
23 13 15 22
11 15 19
50代
60代
23
70代以上
0
50
100
150
200
250
300
〈今後の方向性〉
○日頃から気軽に歯や口腔のことで相談でき、メンテナンスが行える、かかりつけの歯科医
を持つことを啓発していきます。
48
○自分自身で行う歯ブラシでの清掃に加え、歯間ブラシや糸ようじなどによるセルフメンテ
ナンスの方法や口腔内を清潔に保つための方法など啓発活動を行っていきます。
○むし歯や歯周病が健康に及ぼす影響を理解し、予防する生活習慣が身に付くよう啓発を行
うなど歯科保健対策を推進していきます。
〈関係団体等の取り組みと連携〉
○歯科医師会と協力して定期的な歯科医療機関での健診が受診できるようにします。
○健康文化都市づくり推進委員会は地域で歯科健診の啓発活動を行います。
〈具体的方策と実施事業〉
・かかりつけ歯科医の普及啓発
・歯週病が全身疾患に及ぼす影響の啓発
・無料歯科健診(6 月・11 月)実施
・総合健診における歯科健診の実施(40 歳以上)
・歯みがき(ブラッシング)指導の実施
・健口体操※の普及
※健口体操・・口腔機能向上にため、口や顔などの筋肉を動かし、飲み込む力、食べる力をつける体操
⑦
健康管理のすすめ
ⅰ 健診の受診と保健指導の徹底
ⅱ 血圧管理の推奨
ⅲ がん検診の受診勧奨
〈現状と課題〉
○特定健診受診率は中央東福祉保健所管内市町村全体が平成 26 年度暫定で 38.4%であるの
に対し、南国市の受診率は 33.2%と他の市町村と比べて低くなっています。
○がん検診の受診率も平成 25 年度で胃がん検診の県平均が 10.2%に対し南国市は 5.5%と肺
がんを除き全てで低くなっています。
○年齢が高くなると高血圧の人も多くなり、脳血管疾患などのリスクが高まります。
○特定健診の質問票によると高血圧で薬を服用している人の割合が毎年増加しています。
○家庭に血圧計があっても、毎日測定している人の割合は低いです。
○特定健診でメタボ、メタボ予備群と診断される割合は高知県、全国と比較して高いです。
【平成 25 年度 がん検診受診率県との比較】(%)
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
26.7
22.4
10.2
胃がん
県
16.5
県
市
19.6
20.9
市
県
9.0
5.5
市
21.9
15.1
市
肺がん
県
市
大腸がん
乳がん
県
子宮がん
(地域保健・健康増進事業報告)
49
【平成 26 年度特定健診検査値メタボ、予備群レベルの割合】(%)
南国市
腹囲
高知県
36.0
54.6
22.4
3.9
1.1
5.9
1.4
7.7
3.9
2.8
1.1
9.1
5.8
男性
女性
BMI
男性
女性
血糖
血圧
脂質
血糖・血圧
血糖・脂質
血圧・脂質
血糖・血圧・脂質
全国
34.3
52.6
20.6
4.6
1.4
6.9
1.0
8.0
3.0
3.1
1.3
8.8
5.5
(国保データベースシステム
30.7
48.3
17.2
4.8
1.8
7.0
0.6
7.4
2.6
2.6
0.9
8.2
4.8
網掛け:全国より割合が高い項目)
【平成 25 年度 特定健診結果による血圧の状況】(%)
南国市男性
南国市女性
70~74才
54.7
70~74才
65~69才
57.2
65~69才
60~64才
52.2
55~59才
48.5
50~54才
43
45~49才
32.6
0
50
46.5
34.9
60~64才
異常なし
要指導
要医療
19.2
40~44才
55.1
55~59才
26.4
50~54才
27.3
45~49才
11.9
40~44才
7.9
0
100
50
異常なし
要指導
要医療
100
(高知県健康づくり支援システム)
【現在、高血圧の治療に係る薬剤を服用している】(%)
40.0
35.0
30.0
25.0
26.8
28.4
30.0
32.8
31.6
34.4
南国市
31.6
21.7
25.2
26.3
34.2
29.0
27.8
29.9
高知県
20.0
平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度
(特定健診質問票集計結果)
50
【血圧を測る頻度】
全 体
19.2%
25.5%
36.7%
18.7%
よくはかる (毎日~週に1回)
女 性
17.0%
25.9%
37.9%
19.2%
ときどきはかる(月に2~3回)
あまりはからない(年に数回)
男 性
22.1%
0%
24.6%
20%
40%
35.0%
60%
18.3%
80%
はからない
100%
(健康増進計画アンケート)
〈今後の方向性〉
○特定健診の受診率を上げるため、受診しやすい環境を整えていきます。
○特定健診の結果を健康的な生活を送るために活かせるように、健診結果説明会や健康相談
を実施していきます。また、生活習慣病の予防のために、特定保健指導対象者に保健指導
を受けるよう勧めます。
○特定保健指導対象外の人にも重症化予防のために保健指導を積極的に行っていきます。
○自分で血圧管理を行うために、毎日家庭で血圧を測定するよう普及啓発を行っていきます。
○がん検診の受診しやすい環境づくりと受診勧奨に努めていきます。そのため、医師会や高
知大学医学部と協力し、健(検)診に取り組んでいきます。
○健康管理のために身近に相談できるかかりつけ医を持つことを勧めていきます。
〈関係団体等の取り組みと連携〉
○医師会は特定健診に協力します。
○高知大学医学部は地域での健康づくり講演会への講師派遣や前立腺がん検診に協力します。
○食生活改善推進員は健康食(減塩食)の普及のため伝達講習を地域で実施し、また減塩味
噌汁の試飲、各家庭の味噌汁の塩分チェックなどを通じて減塩を勧めていきます。
○健康文化都市づくり推進委員会は特定健診の受診勧奨に協力します。
〈具体的方策と実施事業〉
・特定健診と特定保健指導の実施
・特定健診と特定保健指導の個別受診勧奨
・特定健診の未受診者対策(家庭訪問など)
・健診結果説明会の開催
・重症化予防のために訪問や電話による個別の保健指導の実施
・正しい血圧測定の方法の普及(血圧手帳の普及)
・血圧計や塩分測定器の貸し出し
・家庭血圧測定の習慣化の推奨
・各種がん検診の実施と受診勧奨
・健康相談の実施(随時)
51