レポートを書くための5つの方法 この講義の2つの目標 • 情報リテラシー • 日本語で論理的な文章を書く。 「正しく考えるための八つの方法」 • • • • • • • • 情報源を確認する。 複数の情報源を確認する。 反対の事例・反対意見を常に探す。 常に具体例を探す。 理由や根拠を考える。 いきなり結論に飛びつかない。 「他人事」にしない。 自分の「論理」そのものを疑う。 + レポートの書き方 • どこかで得た情報の「単なる要約」になってい るレポートが多い。 例:「ハイブリッド車とは、異なる二つ以上の動 力源・エネルギー源を持つ自動車のことで、 通常のエンジン車よりも燃費がいいといわれ ている。」 →どこで得た情報なのか? →だれが言っているのか? 情報源は引用と出典で明記する • Wikipediaによると、「ハイブリッド車とは 異なる二つ以上の動力源・エネルギー源を持 つ自動車のこと」で、「総合効率が電気自動 車や燃料電池自動車と同程度であり、環境 負荷の低い実用車として注目されている」と いう(Wikipedia「ハイブリッドカー」 の項目)。 注:Wikipediaは、 • このあいだの「佐藤信淵と渡部崋山の師弟関 係」のように、信用のできない記述を含むこと があります。 • とはいえ、どんな参考文献であれ、まちがっ ていることはあります。 • 「複数の情報源を確認すること」、具体的には、 Wikiであれ書物であれ、記述の「出典」が示 されているはずですから、それを確認してみ ることが必要でしょう。 なぜ要約で満足してしまうのか? • 情報源が一つしかないから。 • 複数の情報源を参照すれば、矛盾する点な ども見つかり、単に要約しただけではすまなく なる。 • 「複数の情報源を確認すること」の重要性。 • 一面的・一方的な議論にならないようにする。 「論じるべきこと」を見つける • 情報源の間での矛盾点や対立点を見つけた ら、それが「現在問題になっている点」だ! • その「問題」を論じるべし! たとえば・・・ • Aという論者は「ハイブリッドカーは燃費がよく CO2排出量が少ない」 • Bという論者は「ハイブリッドカーは製造時か ら廃車までのCO2排出量を考えると、通常の 車より多い」 両者の主張は対立している。 • その点を問題にして、どちらが正しいか考え よう。 ただし、 • 自分で勝手に考えるのではなく、両方の陣営 にある論者の主張を調べて比較する。 • 両陣営の主張を比較している論者もいるはず。 • そうした主張を調べた上で結論を出す。 なお、「結論」としては・・・ • 「難しい問題なので、真剣に考えなければな らない」などはNG。 • 「真剣に考えなければ」と書くなんて、真剣 に考えていない証拠!!! →この場で真剣に考えて結論を出そう。 • 「よく知らなければならない」「しっかり学ぶことが重 要だ」なども同様にNG。 →書くときによく学びよく知り結論を出そう。 また、「結論」として、 「○○に賛成だ/反対だ」などと書く人も多いが、 • 複雑な事態や複雑な説について、単純な「賛 成・反対」は言えない。 • 「○○という点についてはもっともだが、 ××の点では問題があるので、△△のよう に改善すべきだ。」などのような形になるは ず。 引用と剽窃の違い • 情報源を明記せずに単に要約したり、そのま ま写したりするのは「剽窃」(盗作・いわゆる 「レポートのコピペ問題」)。 • なぜ「剽窃」(盗作)をしてしまうのか? • 大学生のモラルが低下しているから? なぜ剽窃(盗作)してしまうのか? • 小、中、高校で、「調査学習」は、「単に調べて きたことをそのまま発表して終わり」という形 で行われることが多いのではないか? • 「正解」をどこからか探してきて報告すれば褒 められる、と学習してしまっている。 • 調査した文献や資料を「引用」することと、「丸 写しすること」の違いが教育されていない。 • これから大学で学んでください。 →「剽窃」と言われないためには・・・ 「~といわれている」などの 受身表現は避ける。 • 「通常のエンジン車よりも燃費がいいといわれ ている。」 • まあ、これぐらい一般に言われていることなら いいが。 • でもいちおう具体的にどれぐらいいいのか、ト ヨタのHPなどで確認しよう。 • 代表的なハイブリッド車であるトヨタ「プリウ ス」の燃費は、トヨタのHPによると38km/ lで、これは排気量が同じ1.8リットルのカロー ラの燃費16.8km/lの約2倍である。 それに対して、 • 「ハイブリッドカーの製造時には、通常の車の 二倍近いCO2が発生するといわれている。」 • これは「誰が言っているのか」、出典が必要で しょう。 受身形で書いてしまったら、 「~といわれている」を消して、 • 『ハイブリッドカーの虚実』という本に よると、「ハイブリッドカーの製造時には、通 常の車の二倍近いCO2が発生する」ので ある(山口裕之『ハイブリッドカーの虚実』徳 島書房, 2009, p.122)。 など、主語(出典)を明記しましょう。 *書名やCO2排出量などはフィクションです。 *出典の書き方 1)『ハイブリッドカーの虚実』という本によると、「ハイブリッド カーの製造時には、通常の車の二倍近いCO2が発生する」 のである(山口裕之『ハイブリッドカーの虚 実』徳島書店, 2009, p.122)。 2)『ハイブリッドカーの虚実』という本によると、「ハイブリッド カーの製造時には、通常の車の二倍近いCO2が発生する」 のである (山口裕之2009, p.122)。 →2)の場合、文末に「文献一覧表」を付け、 そこに1)と同様の情報を記入する。 「~と思う」と書いてしまったら、 それを消して「根拠」を考える。 • 「ハイブリッドカーは、完全な電気自動車が開 発されるまでの過渡的技術だと思う」。 • なぜ「思う」と書いてしまうのか? • 「思う」と書くと、「理由・根拠」を書かなくても 違和感を感じない。 「思う」を消してみよう。 • 「ハイブリッドカーは、完全な電気自動車が開 発されるまでの過渡的技術だ」。 • ほら、なにか気分が落ち着かないでしょう。 • 「思う」を消したら、「理由・根拠」を書こう。 たとえば・・・ たとえば、 • 「ハイブリッドカーは、通常のガソリン 車と比べて燃費はよいものの、まだ まだ大量のガソリンを消費している ので、ハイブリッドカーは、完全な電気自動 車が開発されるまでの過渡的技術なのだ。」 というわけで、 正しいレポートを書くための5つの方法: • 情報源は引用と出典で明記する。 • 複数の情報源を調べて、 – 一面的な議論にならないようにする。 – 現在問題になっているテーマをつかむ。 • 結論をきっちり出す。 • 受身表現は避ける。 • 「思う」は避ける。 いままでのをまとめると、 Wikipediaによると、「ハイブリッド車と は異なる二つ以上の動力源・エネルギー源を 持つ自動車のこと」で、「総合効率が電気自 動車や燃料電池自動車と同程度であり、環 境負荷の低い実用車として注目されている」 という(Wikipedia「ハイブリッドカー」 の項目)。 一般に、ハイブリッド車は通常のエンジン 車よりも燃費がいいといわれている。 たとえば、代表的なハイブリッド車であるト ヨタ「プリウス」の燃費は、トヨタのHPによ ると38km/lで、これは排気量が同じ1.8リット ルのカローラの燃費16.8km/lの約2倍である。 この事実からは、走行中のCO2排 出量が格段に少ないということがで きるだろう。 こうしたことから(=だから)、多くの 人がハイブリッドカーを使えばCO2 排出量が減るのではないかと思える。 しかし、『ハイブリッドカーの虚実』という本 によると、「ハイブリッドカーの製造時には、通 常の車の二倍近いCO2が発生する」のである (山口裕之『ハイブリッドカーの虚実』 徳島書店, 2009, p.122)。 つまり、製造段階で発生する余分なCO2 が相殺されるためには、長年乗り続ける ことが必要、ということである。 結局、物を大切に使う、という基本が、環 境保護のためには重要なのだ。 (=明確な結論) ☆青字で書いた部分が大事。 ☆ピンクの接続詞にも注目。 では • 「哲学的に考える8つの方法」「レポートを書く ための5つの方法」をもとにして、レポートを 書いてみてください。
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