天然酵母と 留学生 朝日堂ベーカリー 森林風致 計画 研究室下 村彰 男教 授 (左)と朝日堂ベーカリ ー二代目店主渡邉和彦 さん 正門の右斜め向かいに ある「朝日堂ベーカリー」 の 和彦さんが見 せてくれ たその秘 蔵レシピ 開業は、昭和 8 年(1933 )8月8日。脚を患い、普通 は、なんと英語で書かれて いた。 の会 社勤めが案じられ た初 代店 主伊 三雄さん に、 20 年ほど前、土 壌学を専攻するハンガ 父親の仲蔵さんがベーカ リー開業を勧めた。 リーの留 学生 がやってきて 敷地にはもともとパン屋 、このレシピ見 があったが、当時は空き家 になってい せながら「どうしてもこの た。仲蔵さんは南千住 パンを作って欲し の朝日堂と縁があったので 、その店の助 い」 と迫 った 。話 を聞 いてみると、自分の子 力を得て昭和 8 年に開業 の運びとなる。以来、伊三 雄さんの息 供たちが日本のパンに馴染 子たちも店を盛り立て、いま めず、母 国に のご主人渡邉和彦さんは、 製パン製 帰りたがっているという。 菓技術を専門に学び、一流 フランス菓子店での修業を 経て店を 和彦さんは力を貸すこ とを約束し、これま 継いだ2 代目だ。 でに確立していた天然酵母 天然酵母をふんだん の基本技術を に使った朝日堂のパンは、 味と香りが違 駆使し、試作を繰り返しなが 留学生が持ち込んだレ う。とくにそれがわかるの らパンの本場の シピ は「げんこつパン」だ。武骨 で、お洒落 レシピに添うハンガリーブ レッドを仕上げた。留学生 ではないが、良く焼けてい は待ちわびて て噛みしめると味わい深い 。初代がこ いたパンを見て喜び、滞在 のパンを出したとき、たま 中、 朝日 堂ベ ーカリーに通いつめた。 たま店を訪れた農学部の教 授が「日本 のちに再会したとき、その でもこんなパンが買えるの 留学 生が「あの時はありがと か」 と感心したという。以来 う」 とい 70 年以上 いながら涙をこぼすので、 も売れ続けている。 「どうしたの?」 と訊くと、「『このパン があるなら帰らなくてもい い』 森 林風 致計 画研 究室 と言った子供たちの言葉を の下 村彰 男教 授も朝日 想い出し 堂のファンで、 た」 とい った 。 学生時代からここによく パンを買いにくる。「種類が 豊富で、値 「世の中には派手なパン 段も手ごろ。おいしいのは もありますが、うちは正直 もちろん、仕事をしながら なパンを一 ほおばれる 所懸命に作っていきたい」 手軽さがいい」 と和 彦さ んは 語る。「お客様が欲しが と話す。 るものを、真直ぐに作ってい 店のもうひとつの自慢は けば、自然と誰にも喜ばれ 「ハンガリーブレッド」だ。 るパンにな ご主 人の るはずです」 農 お問い合わせ 有限会社 朝日堂 ベー カリー 住所: 〒113 -00 23東 京都文京区向丘1-1-16 電話: 03- 3811-3 438 Fax: 03- 3811-3 563 e-mail: Bakeryasahid [email protected] 創業以来のロングセラ ー 「げんこつぱん」 留学生を泣かせた 「ハンガリーブレッド」 7
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