採点基準 地理

第 2 回 9 月東大本番レベル模試地理
第 2 回 9 月 東大本番レベル模試
採点基準
1
(2013 年 9 月 22 日実施)
地理
単答記述問題
誤字,脱字,漢字間違いは0点。
2
論述問題
①「設問別加点基準」に基づき加点する。また,その他各問題の主旨に適した解答にも
適宜加点する。ただし,満点を超える得点は与えない。
②
3
以下の「共通減点基準」に基づき減点する。
共通減点基準
①
加点要素における誤字・脱字および漢字の間違いは1点減点。
②
下線の付け忘れは1点減点。
③
字数オーバーは1点減点。
*減点しなくていい要素,その他の注意
④
地理用語に関して,漢字の新字体/旧字体や,スロヴェニア⇔スロベニア,パキス
タン⇔パーキスターンといったカタカナ表記の通念の範囲内での異体に関しては減
点はしない。
⑤
加点要素以外で誤った記述があった場合,その部分は0点だが,減点はしない。
⑥
加点項目は内容的に整合性が取れていればよく,字句の順序や表現は必ずしも完全
に一致していなくてもよい。
⑦
4
文章が未完のものも減点しない。
採点記号について
1.<□□□□>
加点ポイント
2.□□□□ ×
事実に誤認あり
3.□□□□ ?
文意不明
4.□□✔□□
誤字あり/脱字あり
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5
設問別採点基準
(
)は内容の補足であり,その語句・内容の有無は加点対象ではない。
〔
〕は言い換え・別表現・別解の例示であり,加点対象となる。
第1問 土壌・植生と第1次産業(計 20点)
【配点】
設問A
⑴
3点
⑵ 3点
⑶ 3点
⑷ 2点
設問B
⑴ 1点×3=3点
⑵
3点
⑶
3点
【解答】
設問A
⑴
冷帯湿潤気候区に属し,広大なタイガを背景に林業が盛んであるが,土壌が酸性でや
せたポドゾルであるため,農業は盛んでない。(59字)
以下の3項目について各1点、計3点
1)気候区名⇒冷帯湿潤気候または亜寒帯湿潤気候 ※「Df」は不可
2)土壌・植生⇒ア・イの要素が揃って1点
ア.(土壌として)ポドゾル ※「灰白色の酸性土壌」なども可
イ.(植生として)タイガ
※「針葉樹林」なども可
3)産業について⇒2)と関連させて下のいずれかが書かれていること
● (耕種)農業が盛んでないこと
● 林業が発達していること
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⑵
北風が氷河堆積物から細粒を運んで堆積させたレスを母材として,透水性が良く腐植
に富む,畑作に適した土壌が形成されたため。(59字)
以下の3項目について各1点、計3点
1)母材の由来について
氷河堆積物(氷河末端の堆積土、氷河が削った岩くず…など)から
2)母材の運搬について、ア・イの要素が揃って1点
ア.北風が
イ.細粒を運ぶ(飛ばす)
3)土壌について、ア・イの要素が揃って1点
ア.透水性が高い
イ.腐植に富む(有機分を取り込む…など)
※「レス(氷成レス・黄土)
」の語があってもよいが、指定語句から考えて本問はレスの成
り立ちの説明を求めているので、この用語で上記説明の代替とはならない。
⑶
多雨により養分を洗い流されたやせた土壌ラトソルが分布するため,森林を焼いた灰
を肥料にする移動式の焼畑農業が営まれる。
(58字)
以下の3項目について各1点、計3点
1)土壌の特徴と成因について、ア・イの要素が揃って1点
ア.多雨による溶脱(養分・栄養塩類が洗い流させること)
イ.やせている(肥沃土が低い…など)
※「ラトソル(赤土)」の語があってもよいが、本問は土壌の特徴と成因の説明を求めてい
るので、この用語で上記説明の代替とはならない。
2)伝統的農業の概要について
森林を焼いた灰を肥料にする(焼畑農業)
3)持続的に行うための工夫について
2)の農業を移動しながら(休閑期をとって)行うこと
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⑷
人口増加で移動可能な面積が狭まり,休耕期間が短縮したため。
(29字)
以下の2項目について各1点、計2点
1)背景 以下の各要素のいずれかで1点
● 人口増加(人口爆発)
● 食料不足・飢餓
2)直接の原因 以下の各要素のいずれかで
● 休耕期間(休閑期)の短縮
● 焼畑面積の拡大
● 換金作物(商品作物)の導入による栽培期間延長
設問B
⑴
A-鹿児島
B-沖縄
C-茨城
各1点、計3点
⑵
火砕流堆積物からなるシラス台地の土壌は保水力が乏しく,稲作より甘藷の栽培に適
しており,また,甘藷は豚の飼料になるため。(59字)
以下の3項目について各1点、計3点
1)土壌の性質について、ア・イの要素が揃って1点
ア.火山性堆積物(火山灰の堆積、火砕流堆積物、シラス(白砂)台地…)
イ.保水力が乏しい
2)農業の特徴について、1)と関連させてア・イの要素が揃って1点
ア.稲作(水田耕作)に不適
イ.畑作・畜産に好適
3)養豚について
甘藷が養豚の飼料となること
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⑶
用材に不向きなブナやナラの森は開発により減少したが,落ち葉が腐葉土になると河
川を通じて栄養豊富な水を海に供給するため。(59字)
以下の2項目について1)=1点、2)=2点、計3点
1)森林の減少について、以下の各要素のいずれかで1点
● ブナ・ナラは用材に不向き
● スギ等の針葉樹の植林
● 開発の進行
2)植樹と養殖の関連について、以下の各要素に1点ずつ、2点打ち切り
ア.(落葉樹である)ブナ・ナラの落ち葉
イ.腐葉土の形成
ウ.栄養分が豊富な河川水の形成、流入
エ. 森林が「緑のダム」となって流量を安定させる
オ. 魚付林としての機能
(
「魚付林」の語にウ・エの意味を含むので重ねての加点はしない)
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第2問 世界の貨物輸送(計 20点)
【配点】
設問A
⑴
完答2点
⑵
1点
⑶ 4点
⑷ 5点
設問B
⑴ 4点
⑵
4点
【解答】
設問A
⑴
ア-アメリカ合衆国
イ-ドイツ
ウ-フランス
エ-日本
完答のみ2点
⑵
パイプライン
1点
⑶
旧植民地である北アフリカ諸国から地中海を渡ってもたらされる天然ガスを,需要の
大きい北部の大都市圏や工業地域に移送する。(59字)
⑴の「ウ=フランス」の正解を前提として、計4点
1)輸送される品目について1点
天然ガス(液化天然ガス、LNG)または原油
2)輸入先について、ア・イの要素が揃って1点
ア.フランスの旧植民地
イ.北アフリカ諸国(アルジェリア・チュニジア・モロッコ)
3)
「南北を結ぶルート」の意義について、ア・イの各要素に1点
ア.地中海を渡ってもたらされる、地中海側から(北部へ)移送される
イ.北部の大都市圏(主要工業地域、需要の大きい地域、消費地)へ移送される
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⑷
ア国では五大湖が互いに運河で結合されて外洋とも繋げられ,イ国ではライン川など
の国際河川とそれらを結ぶ運河が整備されて,いずれも資源との結合により主要工業地域
の立地因子となった。
(88字)
⑴の「ア=アメリカ合衆国」
「イ=ドイツ」の正解を前提として、計5点打ち切り
1)ア国について、以下の各要素につき1点ずつ、計2点打ち切り
ア 五大湖の水運
イ 五大湖を結合する運河(スーセントメリー運河、ウェランド運河など)
ウ 五大湖が外洋ともつながっている(セントローレンス海路)
エ 五大湖が河川と運河で結合されている(NYステートバージ運河など)
オ ミシシッピ川(および支流のオハイオ川)の水運
2)イ国について、以下の各要素につき1点ずつ、計2点打ち切り
ア 国際河川
イ ライン川またはドナウ川(ルール川・マイン川などの支流も可)
ウ 河川を結合する運河(マイン=ドナウなど)
3)共通する特徴について、以下の各要素のいずれかで1点
● 資源の輸送に用いられる
(ア=メサビ鉄山・アパラチア炭田等、イ=ルール炭田・輸入資源等)
● 工業地域の立地要因となっている
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設問B
⑴
経済成長の著しい中国では鉄鉱石・石炭等の需要を国産では満たせなくなり,ブラジ
ルやオーストラリアからの輸入が増えたため。(59字)
以下の各要素について1点ずつ、計4点打ち切り
ア 輸入国名=中国
イ 経済成長・工業化の進展・貿易の拡大 など
ウ (品目として)鉄鉱石・石炭
エ (品目として)穀物(トウモロコシ・小麦)
・大豆
※ 本問はばら積み乾貨物船(ドライバルクキャリア)に関する設問であるため、
原油・LNG・穀物以外の農畜産物・工業製品等は不適当である。
加点品目があきらかに不適当な品目と併記されている場合は、その加点を取り消す。
オ 上記品目の需要増(消費量拡大、国産品の不足)
※ 「資源に乏しい」といったニュアンスは不可
カ (相手国名として)ブラジル・オーストラリア・アメリカ合衆国
※
輸入国名として中国以外の国を挙げた場合、内容の整合性によって0〜2点を与える。
⑵
製造業の国際分業体制の下で増加する多種多様な部品や半製品の輸送に適する上,陸
上交通との接続による一貫輸送が容易である。(59字)
以下の3項目について1)=2点、2)=1点、3)=2点、計4点打ち切り
1)背景について、以下の内容に2点
(その内容に触れてはいるものの記述が不十分であれば1点を与える)
製造業の国際分業が進んでいること
2)輸送品目について、ア・イの要素が揃って1点
ア 部品または半製品
イ アの品目数(種類)が多いこと、または一般に小型・軽量であること
3)海陸輸送の接続について、以下の内容に2点
(その内容に触れてはいるものの記述が不十分であれば1点を与える)
陸上交通との接続による一貫輸送が容易である
または、陸上輸送との接続により船舶輸送の欠点(末端の利便性が低いこと)を補完
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第3問 日本の人口と産業(計 20点)
【配点】
設問A
⑴
2点
⑵
2点
⑶
4点
設問B
⑴
完答1点
⑵
3点
設問C
⑴
完答1点
⑵
3点
⑶
4点
【解答】
設問A
⑴
出生率の低下が進んだことで,幼年人口の割合が低下したため。
(29字)
以下の論旨に2点
出生率が低下⇒幼年人口の割合が低下⇒生産年齢人口の(相対的)上昇
(その内容に触れてはいるものの記述が不十分であれば1点を与える)
⑵
定年の引き上げや退職者の再雇用制度の整備が進められている。
(29字)
以下の各要素に1点ずつ、計2点打ち切り
ア 定年の引き上げ
イ 定年制の廃止
ウ 退職者の再雇用制度の整備
エ 若年層への技術・技能・知識伝達
オ 技術・技能・知識のデータベース化、ロボット化
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⑶
高度経済成長期には工業化と都市化の進展とともに第1次産業人口を吸収して上昇し
たが,1980年代以降は,サービス経済化,円高や貿易摩擦を背景とする製造業の海外移転
などの影響で低下した。
(89字)
以下の各項目に2点、計4点
1)
「1970年代以前」について
「
(第2次産業就業人口割合の)上昇」を前提に、以下の各要素に1点、計2点打ち切り
ア
高度経済成長(または工業化の進展・工業の発達)
イ
都市化の進展
ウ
農村人口(第1次産業人口)の吸収(移動)
2)
「1980年代以降」について
「
(第2次産業就業人口割合の)低下」を前提に、以下の各要素に1点、計2点打ち切り
ア
低成長時代
イ
経済のサービス化(金融化)
ウ
円高等による製造業の海外移転(産業の空洞化)※円高と結びつけていること
設問B
⑴
a-沖縄
b-東京
c-福岡
d-青森
e-静岡
完答1点
⑵
地方中心都市が位置するcは,卸売業の集積に加えて,一部の小売業の商圏は県外に
も及んでいるため,卸売業,小売業ともに隣接する東京への依存度が高い埼玉よりも年間
商品販売額が多くなる。
(89字)
⑴の「c=福岡」の正解を前提として、
以下の3項目について各1点、計3点
1)福岡の地位について、以下の内容で1点
地方中心都市(地方中枢都市、九州地方の中心)
2)福岡の商業について、以下の要素のいずれかで1点
● 卸売業の集積
● 卸売業の商圏が広いこと
● 小売業が集積し、かつ商圏が広いこと
※
卸売・小売を弁別しない記述には加点しない。
3)埼玉について、以下の内容で1点
東京に依存(東京の商業の商圏に含まれる)
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設問C
⑴
a-成田
b-名古屋
c-東京
d-横浜
完答1点
⑵
輸入品目の上位に衣類や魚介類等の消費財を含み,それらの輸入額が極めて多いので,
国内最大の市場を後背に持つ東京港となる。
(59字)
⑴の「c=東京」の正解を前提として、
以下の3項目について各1点、計3点
1)貿易額が大きいこと、または輸入超過であること
2)輸入品目の上位が(衣類や魚介類などの)消費財であること
※ 単なる品目の列挙のみでは加点しない。
3)東京が後背に持つ巨大な消費市場
⑶
石油危機以降,鉄鋼業の構造不況などで,隣接する阪神工業地帯の地位が相対的に低
下したことに加えて,1995年の阪神淡路大震災によって他の港湾に取扱いをシフトさせる
動きが加速したため。
(88字)
以下の2項目について各2点、計4点
1)後背地域について、各要素につき1点、計2点打ち切り
ア 石油危機以降の産業構造の変化(高度化・
「軽薄短小」化)
イ 鉄鋼業(または繊維工業)の衰退
ウ 阪神工業地帯の地位低下
2)震災の影響について、各要素につき1点、計2点打ち切り
ア 阪神(淡路)大震災(または兵庫県南部地震)
イ 港湾施設への被害
ウ 他の港湾へのシフト
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