1年間のセンターの歩みと世界の平和・国際交流関連の主な動き (平成

1年間のセンターの歩みと世界の平和・国際交流関連の主な動き
(平成 26 年 4 月 1 日~平成 27 年 3 月 31 日。太字は本財団関連の事業を示す。)
平成26年(2014年)
4月
1日
○政府は、武器や関連技術の輸出を基本的に禁じてきた「武器輸出三原則」
を47年ぶりに全面的に見直し、新たな輸出ルールとして「防衛装備移転
三原則」を閣議決定。従来の禁輸政策を撤廃し、輸出拡大による安全保障
関係の強化や国際貢献を重視する姿勢に転換した。
○広島市は2014年4月1日から、広島城や平和記念資料館など計12施
設で小・中学生の入場料を無料化した。郷土の歴史文化や芸術に親しみ、
感性を磨いてもらう狙い。
○核兵器廃絶に向けて世界の各都市が連帯する「平和首長会議」(会長・松
井一實広島市長)の加盟数が158カ国・地域の6千自治体に達した。
○本財団第1回評議員会を開催。
4月
2日
○北朝鮮との境界に近い韓国領で国籍不明の無人機が墜落していたことが
分かり、韓国国防省当局者は「北朝鮮が飛ばした可能性が高い」との中間
分析結果を明らかにした。
4月
3日
○政府は2014年3月下旬の北朝鮮による中距離弾道ミサイル「ノドン」
の連射を受け、追加発射に備えた対処方針を決め、小野寺五典防衛相は自
衛隊によるミサイル迎撃を可能とする破壊措置命令を出した。
○被曝体験証言者委嘱状交付式を開催。
4月
4日
○岸田文雄外相は閣議で2014年版外交青書を報告し、了承された。核兵
器やミサイル開発を推進し挑発的言動を繰り返す北朝鮮は東アジアの安
全保障の「最大のリスク要因」と指摘。北朝鮮による拉致問題を「最重要
の外交課題」として、完全解決に向け全力を尽くすとした。
○広島の高校生たちが、米カリフォルニア州のモントレー国際大学不拡散研
究所で開かれた軍縮不拡散教育の会議に参加。地域の核問題や「核兵器の
非人道性」をめぐり、英語による意見発表や、米国とロシアの高校生との
討論に臨んだ。5日まで。
4月
5日
○国際基督教大学留学生一行12人が平和記念公園などで「広島・長崎講座」
現地学習を実施。8日まで。
4月
6日
○米国のヘーゲル国防長官は、小野寺五典防衛相と防衛省で会談し、北朝鮮
をにらんだミサイル防衛強化のため、2017年までにイージス艦2隻を
日本へ追加配備し計7隻態勢へ増強する計画を表明。
○戦時中、広島県東部から中国東北部に渡り、大勢が亡くなった「満州開拓
青年義勇隊」の元隊員が、福山市の備後護国神社にある拓魂碑の前で最後
の慰霊祭を開いた。最年少でも84歳と高齢のため、終止符を打った。
○日米両国の元軍人グループが、広島市の本川小学校で友好ソフトボール大
会を開いた。2007年から交流を続けてきたが、メンバーの高齢化に伴
い今回が最後。会は解散せずに核兵器廃絶を目指す組織に衣替えし、今後
はそれぞれの国で活動する。
4月
7日
○ウクライナ東部ドネツクで、親ロシア派のデモ隊が州庁舎を占拠。
「ドネツ
ク人民共和国」の樹立を宣言、平和維持軍としてロシア軍部隊の派遣を要
181
請した。
○ルワンダで少数派ツチ人や穏健派フッ人約80万人が犠牲になった大虐殺
が始まってから20年。カガメ大統領は首都キガリでの追悼式典で「内戦
が続き、分断国家になる可能性があったが、そうはならず共に歩むことを
選んだ」と演説し、民族間の融和を強調した。
○阿倍晋三首相とオーストラリアのアボット首相は首脳会談で、潜水艦の関
連技術をめぐる共同研究に着手することで合意した。日本の武器輸出三原
則の全面見直しを受けた措置で、防衛装備品の共同開発に関する協定締結
に向けた交渉を開始。
○広島県は、
「核軍縮」
「核不拡散」
「核物質の安全管理」の3分野で、世界3
1カ国を採点した「ひろしまレポート」を発表。前年に続き北朝鮮が全分
野で最低点だった。核兵器保有5カ国では、核軍縮に消極的なロシアと中
国が低迷。日本は核物質の安全管理で17位にとどまった。
○グルジア、タジキスタン、クロアチアの駐日大使が、広島市役所で松井一
實市長と会談し、平和行政の一層の推進を要望した。グルジアのレバン・
ツィンツァゼ大使は松井市長が会長を務める平和首長会議に「核兵器廃絶
に加え、世界中の平和問題に取り組んだほしい」と期待。松井市長は「平
和の思いを共有するのが大切。各国も加盟を呼び掛けてほしい」と応じた。
4月
8日
○米国防総省は、米国とロシアの新戦略兵器削減条約(新START)に従
って、核兵器搭載可能な米戦略爆撃機を約3割削減することなどを内容と
する履行計画を発表した。
○湯崎英彦知事は、キャロライン・ケネディ駐日大使と東京都内の在日米国
大使館で懇談し、オバマ大統領の広島訪問を要請した。会合は非公開。
4月
9日
○広島県と広島市は、米国の原爆投下から復興した広島の歩みを検証した報
告書を発表した。都市整備などハード面だけでなく、当時の報道や医療環
境など市民生活に関わりが深いソフト面にも着目。各分野の専門家15人
が多角的に分析、執筆した。
4月10日
○国連安全保障理事会は、イスラム、キリスト両教徒間の衝突で宗教対立が
激化し、内乱状態が続く中央アフリカ情勢について会合を開き、国連平和
維持活動(PKO)部隊の派遣を承認する決議案を全会一致で採択した。
旧宗主国のフランスが主導。部隊は兵士1万人、警官1800人で構成し、
9月中旬までに現地展開。
○ベルギー南部にある北大西洋条約機構(NATO)の欧州連合軍最高司令
部は、ウクライナ東部との国境地帯に展開した約3万5千~4万人規模の
ロシア軍部隊の様子とする衛星写真を公開した。
○岸田文雄外相は、米紙ウォールストリート・ジャーナルのアジア版に「核
のない世界に向けた日本のコミットメント」と題した文章を寄稿。広島市
で2014年4月11日に開幕する軍縮・不拡散イニシチアブ(NPDI)
の外相会合に臨む決意などを訴えた。
○平和記念資料館「収蔵資料の紹介」コーナーが展示替え。今回のテーマは
「消えた家族」。一家全滅した6家族の形見の品々を紹介。親戚や知人か
ら寄せられた遺品が原爆の悲惨さを物語る。8月31日まで。
4月11日
○核兵器を持たない12カ国でつくる「軍縮・不拡散イニシチアブ(NPD
182
I)」の外相会合が広島市で開幕した。日本では初開催。核兵器の被害の
実態に触れ、核軍縮に向けた政治的なメッセージを発信した。最終日には
核兵器保有国を含む各国首脳に被爆地訪問を呼び掛ける「広島宣言」を採
択し、2日間の全日程を終えた。
○NPDI外相会合に合わせて来日した参加国の新聞記者10人が平和記念
公園を取材。胎内被爆者の三登浩成さんの案内で原爆慰霊碑などを巡った。
12カ国のうち、日本とオランダを除く10カ国の主要紙記者。放射線に
よる健康被害や、母親の被爆体験について英語で語る三登さんの話に耳を
傾けた。
4月13日
○ウクライナ治安当局は、東部ドネツク州スラビャンスクで市庁舎や警察署
を占拠している親ロシア派の強制排除に着手。銃撃戦が発生し、親ロシア
派と治安部隊の双方で死傷者が出た。ウクライナのトゥルチノフ大統領代
行は「全面的な対テロ作戦を行う」と宣言、強制排除を徹底する意向を表
明。
○国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、地球温暖化の深刻な
悪影響を避けるための国際目標の達成には、2050年の温室効果ガス排
出量を10年比で40~70%と大幅に削減する必要があるとした第3
作業部会の新報告書を公表した。
○スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は世界の軍
事支出に関する2014年版報告書を発表した。2013年の世界の軍事
支出は前年比1.9%減の総額1兆7470億ドル(約178兆円)だっ
た。欧米諸国の軍事予算が削減され、2年連続の減少となったが、中国と
ロシアの軍事支出は大幅な伸びを示した。
4月14日
○ロシアが大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を実施。米ロ両国は
ウクライナ情勢をめぐり対立しているが、ロシアは発射実験の通報により、
新STATについては順守する姿勢を示した。
4月15日
○米国防総省は、2016会計年度から米議会が国防費を強制削減した場合
の主要兵器調達と部隊編成への影響を予測した報告書を公表。空軍の最新
ステルス戦闘機F35の調達を見直して計画より計15機減らすと明記。
4月16日
○拉致問題を含む北朝鮮の人権侵害を討議する会合が国連本部で開かれた。
拉致被害者家族会の増元照明事務局長は「国際社会が『このような人道に
対する罪を犯す国は決して許されない』と意思表示することが必要だ」と
訴えた。
○日韓両政府は、従軍慰安婦問題を議題とする外務省局長級協議をソウルの
韓国外務省で開いた。日本側は1965年の日韓請求権協定に基づき「解
決済み」との立場を説明。韓国側は法的責任を含めた解決を求める考えを
表明するなど、双方が従来の主張を展開。
4月17日
○ウクライナ情勢の打開を目指す米国、ロシア、ウクライナ、欧州連合(E
U)の4者は、初の外相級協議を開き、ウクライナ東部で庁舎占拠を続け
る親ロシア派の武装解除や建物の明け渡し、暴力自制などを柱とする緊張
緩和策に合意し、「ジュネーブ声明」として発表した。
○国際原子力機関(IAEA)は、イランの核問題解決に向け、欧米など6
カ国とイランが合意した第1段階の措置(共同行動計画)の履行に関する
183
報告書をまとめた。イランは貯蔵していた濃縮度約20%のウランのうち、
4分の3に当たる約155kgを減らすなど、合意を着実に履行。
4月18日
○米国防総省で開かれた防衛当局による局長級会合で、日本、米国、韓国3
カ国は、北朝鮮の核・ミサイル開発を「国際社会の脅威」と位置付け、日
米韓が挑発行為の抑止のため緊密に連携する必要性を確認する共同声明
を発表。
4月19日
○日中戦争勃発前年の1936年に中国の会社が日本の海運会社に貸した船
舶をめぐる賠償請求訴訟に絡み、上海海事法院(裁判所)は、海運会社の
流れをくむ商船三井が賠償に応じていないとして同社が所有する大型輸
送船を差し押さえた。
4月21日
○南スーダンに展開する「国連南スーダン派遣団(UNMISS)は、油田
地帯の北部ユニティウ州の州都ベンティウで、反政府勢力が特定の住民ら
数百人を殺害したとして強く非難する声明を発表した。
○日本政府は、中国の裁判所が商船三井所有の大型輸送船を差し押さえた問
題を受け、日中戦争時の賠償請求権放棄を盛り込んだ1972年の日中共
同声明の精神に反するとして、中国側に懸念を伝えた。
4月23日
○国がずさんな審査に基づき、原爆症の認定申請を却下したのは違法として、
長崎市で被爆した岡山県の男性が慰謝料など計300万円の損害賠償を
求めた訴訟の判決で、岡山地裁は、「過去は明らか」と認め、国に30万
円の支払いを命じた。男性は提訴後に原爆症と認定されている。
4月24日
○親ロシア派勢力が実効支配するウクライナ東部ドネツク州スラビャンスク
で、政権側が「対テロ作戦」を実施し、親ロ派が設置した検問所3カ所を
破壊、親ロ派5人が死亡した。
○1946~58年の米国の核実験で被害を受けた太平洋のマーシャル諸島
が、核兵器を保有する9カ国に対し、国際法上の核軍縮義務に違反してい
ると確認するための訴訟をオランダ・ハーグにある国際司法裁判所(IC
J)に起こした。新たな核軍縮条約の交渉を早期に始めるよう命じること
も求める内容。
○安倍晋三首相は、来日中のオバマ米大統領と東京・元赤坂の迎賓館で約1
時間半、会談。環太平洋連携協定(TPP)交渉の日米協議が難航して首
脳合意に至らず、会談後に予定されていた共同声明の発表は翌日に持ち越
された。
○国賓として来日している米国のオバマ大統領を招いた天皇、皇后両陛下主
催の宮中晩さん会が、皇居・宮殿の大食堂「豊明殿」で開かれ、天皇陛下
が「両国民は先の戦争による痛ましい断絶を乗り越えて、緊密な協力関係
を築きました。理解を一層深め、進んでいくことを願ってやみません」と
あいさつし、大統領と乾杯された。
○日中戦争前の船舶賃貸契約をめぐる賠償請求訴訟に絡み、中国の上海海事
法院(裁判所)に輸送船を差し押さえられていた商船三井は、賠償金約2
9億円に金利分などを加えた40億円強の供託金を中国側に支払った。中
国の裁判所は、商船三井が判決で定められた義務を果たしたとして差し押
さえを解除。輸送船は中国浙江省の港を出た。
4月25日
○日米両政府は、安倍晋三首相とオバマ大統領による4月24日の首脳会談
184
の成果を盛り込んだ共同声明を発表した。中国が領有権を主張する沖縄
県・尖閣諸島に関し日米安全保障条約に基づく米側の防衛義務を明記。
「米
国は尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行
動にも反対する」と表明。
4月26日
○史上最悪の原発事故となった旧ソ連ウクライナ北部のチェルノブイリ原発
事故は発生から28年を迎えた。ロシアとの対立でウクライナ情勢が緊迫
する中、放射性物質で激しく汚染された両国やベラルーシの各地で人々が
犠牲者を悼んだ。
○日米欧、カナダの先進7カ国(G7)と欧州連合(EU)の首脳らは、ウ
クライナ情勢をめぐり、ロシアに追加制裁を科すため「速やかに行動する」
ことで合意したとの声明を発表。
○アジア4カ国歴訪中のオバマ米大統領は、米韓連合軍司令部のあるソウル
の竜山基地で演説し、「北朝鮮が核兵器開発を続ければ一層の孤立化を必
ず招く」と述べ、4回目の核実験を強行した場合には追加制裁を科すと警
告した。
○米カリフォルニア大学アーバイン校で、長崎県と長崎市などによるパネル
展「長崎へようこそ~世界に誇る遺産、平和・国際都市~」が開かれた。
田上富久長崎市長は講演で「『ノーモア・ナガサキ』だけでなく『ピース・
フロム・ナガサキ(長崎から平和を)』という言葉がある。皆さんと共有
したい言葉だ」と訴え、平和を発信する役割の重要性を強調した。
4月27日
○米国とフィリピンは、フィリピンへの米軍派遣拡大を図る新軍事協定に合
意した。有効期間は10年間で、延長も可能。
4月28日
○2015年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第3回準備員
会が、米ニューヨークの国連本部で開幕した。NPT加盟約190カ国が
5月9日までの会期中、核軍縮や核不拡散をめぐって、課題を整理し、道
筋を探る。初日は各国政府による「一般討論」が行われ、核兵器保有国の
軍縮義務違反を確認する訴訟をオランダ・ハーグの国際司法裁判所(IC
J)に起こしたマーシャル諸島は「核兵器がいかなる状況でも使われない
ことが人類存続に寄与する」として、保有国の軍縮を強く迫った。
○米政府は、ロシアがジュネーブ声明に反し、ウクライナ情勢の緊張緩和に
向けた措置を取っていないとして、ロシアへの追加制裁を発表。プーチン
大統領の最側近らロシア政府当局者7人の在米資産凍結や米国への渡航
禁止のほか、プーチン政権と関係の深い17企業の資産凍結を決めた。
4月29日
○日本政府は、ウクライナ情勢の緊張緩和で合意した声明をロシアが履行せ
ず、ウクライナの主権や領土の一体性を侵害する動きが続いているとして、
ロシア政府関係者ら計23人への査証発給を当面停止する追加制裁を発
表した。
○核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会は、非政府組織
(NGO)セッションを開いた。平和首長会議会長を務める広島市の松井
一實市長や、広島で被爆した日本被団協代表理事の山田玲子さんが被爆の
惨状を伝え、一刻も早い核兵器廃絶へ各国が力を尽くすよう求めた。
○核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会が開かれている
米ニューヨークの国連本部で、被爆地の若者が核兵器廃絶に向けた取り組
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みを発表する「ユースフォーラム」があった。平和首長会議が初めて企画。
「核兵器のない世界」の実現へ国を超えた連携を誓い合った。
4月30日
○公益財団法人ヒロシマ平和創造基金は、新たに取り組む「ヒロシマ情報の
多言語発信」が公益事業として内閣府から認可されたと発表した。広島大
学の協力を得て原爆・平和関連の専用ウェブサイトの多言語化を進めてい
る中国新聞ヒロシマ平和メディアセンター(平和MC)と連携。
○広島県は、核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会が開
かれている米ニューヨークの国連本部で、核兵器の廃絶を呼び掛けるパネ
ル討議を初めて開いた。湯崎英彦知事と広島市の松井一實市長がそろって
出席。被爆地の取り組みを報告し、連携を求めた。
5月
1日
○国連の人権理事会は、国連全加盟国を対象に人権状況を審査する「普遍的
審査」制度に基づき、対北朝鮮の作業部会をジュネーブの国連欧州本部で
開いた。80カ国以上が発言、日本は拉致問題の早期解決に向け具体的な
行動を取るよう北朝鮮に要求した。
○本財団第2回評議員会を開催。
5月
2日
○ウクライナ軍は、親ロシア派の住民らが行政庁舎などを占拠するウクライ
ナ東部ドネツク州スラビャンスクへの攻撃を再開し、親ロ派側の反撃で本
格的交戦に発展した。ウクライナ軍のヘリ3機が撃墜され、一連の戦闘で
ウクライナ軍2人、住民側1人が死亡。また、南部オデッサで、親欧米の
ウクライナ政権支持派と親ロシア派による大規模な衝突が発生、親ロシア
派が集まっていた建物で火災が起きた。計46人が死亡、200人以上が
負傷、20数人が重傷を負った。
○中国が南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島近くで行っている石油掘削
作業をめぐり、現場海域に展開している中国船とベトナム艦船の衝突が5
月2日から7日にかけて複数回発生。
○安倍晋三首相は、日本の首相として初めてポルトガルを訪問し、コエリョ
首相と会談。海賊対策を含む海洋安全保障協力を進めることで一致した。
5月
3日
○2014ひろしまフラワーフェスティバル(FF)会場で6つの姉妹・友
好都市の一つ、「テグの日」記念イベントを開催。5日まで。記念ステー
ジや平和記念資料館ピロティの特設コーナーが設けられ、期間中、600
0人余りの来場者が楽しみながら韓国の文化に触れた。
5月
4日
○平和記念公園から被爆建物の旧陸軍被服支廠まで歩く「ピースウォーク」
が行われた。市民約50人が被爆地の足跡をたどりながら被爆建物の保存
や活用を考えた。
5月
5日
○安倍晋三首相は、フランスのオランド大統領とパリの大統領府で会談。警
戒監視に使う無人潜水機など防衛装備品の共同開発を進めるため協定締
結の交渉開始で合意した。また、原子力エネルギー技術に関する協力強化
や、経済担当閣僚の対話促進を確認。両首脳は会談後、合意事項を盛り込
んだ共同文書を発表した。
○岩国市の米海兵隊岩国基地を一般開放する日米親善デーが、2年ぶりに開
催された。米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイをはじめ、KC1
30空中給油機などが展示され、約5万人が訪れた。
5月
6日
○米国、英国、フランス、ロシア、中国の核保有5カ国は、ニューヨークで
186
中央アジア非核地帯条約の議定書に署名した。カザフスタンなど5カ国に
対して核兵器使用や核による威嚇をしない義務を負うことになる。201
5年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせて署名。
○米東部ニューヨーク州上院は、学校の教科書に「日本海」を記載する際、
韓国が主張する「東海(イーストシー)」を併記するよう義務付ける法案
を賛成59、反対1の圧倒的多数で可決した。
5月
7日
○安倍晋三首相は、ベルギー・ブリュッセルの欧州連合(EU)本部でファ
ンロンパイ大統領、バローゾ欧州委員長と会談した。日本とEUの経済連
携協定(EPA)早期締結を目指す方針を確認。国際的なサイバー攻撃に
対する防政策を検討する対話の枠組み創設で合意した。
○ずさんな審査で原爆症の認定申請を却下したのは違法として岡山県の男性
が国に慰謝料などを求めた訴訟で、国は岡山地裁判決に控訴せず、判決が
確定した。
○平和首長会議が2015年4月に新設するリーダー都市の一つとなるオ
ーストラリア・フリマントル市のブラッド・ぺティット市長が、広島国際
会議場で平和首長会議会長の松井一實広島市長と懇談。地域の平和活動の
推進を約束した。
5月
8日
○小野寺五典防衛相は、アフリカ・南スーダンを日本の閣僚として初めて訪
問。首都ジュバで国連平和維持活動(PKO)を展開する陸上自衛隊に訓
示し「南スーダンは不安定な状況が続いている」として、安全確保に万全
を期すよう指示した。アフリカの安定と発展に向け「自衛隊の活動は極め
て重要だ」と強調、積極的な貢献も求めた。
5月
9日
○米ニューヨークの国連本部で開かれていた2015年の核拡散防止条約
(NPT)再検討会議に向けた第3回準備委員会が閉幕。2015年の再
検討会議の討議テーマや道筋を示す「勧告」については、各国の意見が一
致せず採択を断念。代わりにエンリケ・ロマン・モレイ議長(ペルー)が
各国の主張をまとめ、「核兵器のない世界」実現へ議論を求める「作業文
書」を提出した。
○事実上の内戦状態にある南スーダンのキール大統領は、反政府勢力トップ
のマシャール前副大統領とエチオピアで会談し、停戦協定に署名した。
○ロシアのプーチン大統領は、第2次大戦勝利を祝う「対ドイツ戦勝記念日」
に合わせて、3月にウクライナからの編入を強行したクリミア半島セバス
トポリに入った。編入後、ロシア大統領がクリミア入りするのは初めて。
○通常兵器取引を規制する初の国際ルールとなる武器貿易条約(ATT)の
締結を国会が承認したことを受け、吉川元偉国連大使は国連に受諾書を提
出。これにより、日本は32番目の条約参加国となった。
○2008年に導入した原爆症認定基準で申請を却下された兵庫県の被爆者
2人の遺族が、却下処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は2
人を原爆症と認め、処分を取り消した。国に認定も義務付けた。
5月10日
○青森県八戸市南郷歴史民俗資料館で原爆展を開催。原爆被害の実態を広め
るため1996年度から全国で原爆展を企画しており、青森県では初めて。
7月21日まで。3014人の来場者があった。
○広島の原爆被害と復興の歩みについて理解を深める連続講座「ヒロシマ・
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ピースフォーラム」が、広島市まちづくり市民交流プラザで始まった。7
月まで全6回。被爆体験や市民の平和活動を学ぶ。
○米インディアナポリス大学が平和記念公園などで「広島・長崎講座」現地
学習を実施。14日まで。
5月11日
○東南アジア諸国連合(ASEAN)は、ミャンマーの首都ネピドーで首脳
会議を開き、中国とベトナムの艦船衝突で緊迫する南シナ海情勢などを討
議。関係国に自制と武力の不使用を要請するとした「ネピドー宣言」を採
択した。
5月12日
○安倍晋三首相は、イスラエルのネタニヤフ首相と官邸で会談し、中東地域
の平和と安定に向けて両国が協力を強化していく方針で一致した。今回の
会談を安全保障に関する初の首脳級対話と位置付け、サイバー攻撃への連
携対処や防衛当局間の交流拡大、国家安全保障会議(NSC)での情報交
換などを盛り込んだ共同声明を発表。
○フィリピン南部ミンダナオ島に2016年発足する自治政府の職員候補8
人が、広島市での研修を始めた。広島大学や広島県などの招きで、6月初
旬まで被爆地の復興の歩みや地方行政の実務を学ぶ。
5月13日
○天皇、皇后両陛下は、皇居・宮殿でイスラエルのネタニヤフ首相夫妻と会
見された。首相は「日本とイスラエルには苦難を乗り越えてきた共通点が
ある」と述べ、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)と広島、長崎への原爆
投下を挙げた。天皇陛下も「ホロコーストは大変痛ましいことでした」と
応じられた。東日本大震災発生後、被災地に医療チームを派遣するなどし
たイスラエルの支援に対し、陛下は「ありがたく思います」と謝意を伝え
た。
5月14日
○日本人初の国際宇宙ステーション船長を務めた若田光一さんが、国際宇宙
ステーションでの半年に及ぶ滞在を終え、午前10時58分、ソユーズ宇
宙船で中央アジア・カザフスタンに帰還した。
5月15日
○フィリピン外務省は、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島の暗礁
で中国が埋め立てをして、陸地拡張を進める実態を示す写真4枚を公開し
た。
○沖縄の本土復帰42年。米軍基地周辺を歩き、平和の大切さを訴える「平
和行進」の結団式が那覇市で開かれた。
○ニューヨークの中枢同時テロの現場跡地(グランド・ゼロ)に「9・11
記念博物館」が完成。遺族ら関係者に公開され、オバマ米大統領が現地を
訪れた。オバマ氏は遺族の証言や当時の映像などでテロの悲惨さを克明に
伝える博物館のホールでの演説で、テロを決して許さない姿勢をアピール。
博物館は5月21日から一般公開。
○放射線影響研究所(放影研)が被爆2世の健康追跡調査のため設置した第
三者委員会「被爆二世臨床調査科学倫理委員会」は、第4回会合を同研究
所で開き、受診率が76.3%となり、目標の8割に向け順調に伸びてい
ると報告。倫理委は非公開。
5月16日
○イラン核問題の包括解決に向けた欧米など6カ国とイランはウィーンでの
協議最終日を迎え、合意の枠組みや文書に盛り込む具体的な文言の調整に
入ったが、主な争点のうち、欧米側がイランに認めるウラン濃縮活動の範
188
囲などをめぐり交渉は難航、隔たりが埋まらないまま終了した。共同記者
会見も行われなかった。
5月18日
○ベトナムで相次ぐ反中デモで中国人2人が死亡するなどしたことを受け、
中国外務省は、観光など「両国間の交流計画を部分的に中止する」との声
明を発表した。ベトナムの中国企業で働いていた中国人ら約3千人を帰国
させ、自国民に渡航自粛を呼び掛けたことも明らかにした。
○被爆70年の2015年に合わせ、被爆地広島で核被害の実態を訴える国
際会議を開こうと、広島と長崎の市民団体が実行委員会を結成した。20
15年に「核のない未来を!世界核被害者フォーラム」を開催。世界のヒ
バクシャも呼び寄せ、「核なき世界」の実現に向けた道筋を考える。
5月20日
○中国の習近平国家主席が、中国を公式訪問したロシアのプーチン大統領と
上海で首脳会談を行い、中ロ両国は「歴史の改ざんと戦後秩序の破壊」に
反対するとの共同声明を発表。両首脳は会談後、東シナ海での中ロ海軍に
よる合同軍事演習の開始式にそろって参加し、軍事面での協力の深化をア
ピールした。
5月21日
○中国の習近平国家主席は、上海で開かれたアジア相互協力信頼醸成会議(C
ICA)首脳会議で演説し「アジアの安全はアジア人民が守らなければな
らない」と話し、米国を外した形でのアジアの新たな安全保障秩序構築に
意欲を示した。
5月22日
○中国北西部の新疆ウイグル自治区ウルムチ市内の朝市で爆発があり、39
人が死亡した。中国公安省は「重大なテロ事件」と断定、同自治区で起き
たテロとしては最大規模の惨事となった。ウルムチ市内は厳戒態勢が敷か
れ、習近平国家主席は直ちに「強圧的」な封じ込めを関係部門に指示。
○防衛省は、鹿児島県・奄美群島の無人島、江仁屋離島で、陸上自衛隊の離
島防衛専門部隊、西部方面普通科連隊が、海上自衛隊の艦艇からボートで
上陸する離島奪還訓練を報道陣に公開した。
○広島原爆の投下後に降った「黒い雨」に国の援護対象区域外で遭い、健康
不安を訴える住民向けの2014年度の巡回相談会が、広島市安佐北区総
合福祉センターで始まった。2015年2月まで、市内と広島県安芸太田
町で計13回開かれる。
○ミャンマー仏教界で最高位のエンダパラ三蔵位大長老が、平和記念公園を
訪れ、原爆慰霊碑に花を手向けた。茶色の袈裟姿のエンダパラ大長老は、
同行の僧侶16人と、慰霊碑前で平和を願ってお経を唱えた。
○平和記念公園で、原爆慰霊碑の石室内に納められた計105冊の原爆死没
者名簿を外気に当て、劣化を防ぐ「風通し」の作業があった。
5月23日
○核兵器廃絶を目指す2つの県被団協や県生協連合会など県内6団体が、広
島市で合同の平和集会を開いた。約160人が参加。2015年の核拡散
防止条約(NPT)再検討会議に向けて、廃絶機運を盛り上げる活動強化
を誓い合った。
5月24日
○東シナ海の公海上空で、海上自衛隊のOP3C画像情報収集機と航空自衛
隊のYS11EB電子測定器が、中国軍のSU27戦闘機2機の異常接近
を受けた。防衛省は「自衛隊機と中国軍機は最短で約30mまで接近した」
と発表。
189
5月25日
○東シナ海の公開上空で、中国軍の戦闘機が自衛隊2機に相次いで異常接近
したことに関し、小野寺五典防衛相は、「常軌を逸した近接だ。偶発的な
事故につながる危険な行為だ」と強い懸念を示した。
○広島市とドイツ・ハノーバー市の姉妹都市提携を記念する「ハノーバーの
日」記念イベントが、広島市留学生会館であり、約320人がドイツの食
や文化を楽しんだ。
○英語で伝えようヒロシマセミナー「一般の部」が開講。海外渡航の予定や、
ホームステイなどで外国人を受け入れる機会のある方、また、日頃から英
語で原爆被害についてどのように伝えたら良いか学習したいと考えてお
られた方など、計74人が参加。
5月26日
○ウクライナ大統領選は、中央選管の集計で、開票率約80%の時点で親欧
米の実業家ペトロ・ポロシェンコ元外相が約54%を得票、当選を決めた。
ロシアのラブロフ外相は、大統領選で示されたウクライナ国民の意思を尊
重し、ポロシェンコ氏と対話する用意があると述べた。
○日本と北朝鮮の外務省局長級による公式政府間協議が、スウェーデン・ス
トックホルムで始まった。28日まで。伊原純一外務省アジア太平洋局長
は冒頭で「諸懸案の解決に向け、少しでも前進を図るべく努力したい」と
述べ、拉致被害者らの再調査で合意を目指す考えを強調した。
○気象庁は、日本の南東の太平洋上空などで、大気に含まれている二酸化炭
素(CO 2)濃度の上昇が続き、2014年4月までに初めて400pp
mを超えて、過去最高になったと発表した。
○広島県や広島市、広島大学など10機関でつくる放射線被曝者医療国際協
力推進協議会(HICARE)は、国際原子力機関(IAEA)の「協働
センター」に指定されたのを受け、記念式典を開いた。4年間、被曝者医
療の分野で協力して人材育成に当たる。
○14カ国・地域の若者約70人が、爆心地に近い広島市の本川小学校を訪
れた。校内にある平和記念資料館で原爆投下の悲惨さを学習。交流を深め
た。訪れたのは、市内で開催中のキリスト教メソジスト派の世界大会に参
加している米国や韓国、台湾、ブラジルの大学生たち。
○本財団第1回理事会を開催。
5月27日
○オバマ米大統領はホワイトハウスで演説し、アフガ二スタン駐留米軍を2
016年末までに完全撤退させると発表。戦闘部隊の撤退期限である14
年末以降は当面、アフガン国軍の訓練や対テロ作戦支援を目的に米兵98
00人の駐留を継続し、2年かけて削減、撤退させる。
○広島市の松井一實市長が8月6日の平和記念式典で読み上げる平和宣言に
引用する被爆体験に、昨年より5人多い61人が応募した。最高齢東広島
市の101歳の男性。
5月29日
○安倍晋三首相は、北朝鮮が日本人拉致被害者の全面的な再調査を実施する
ことで北朝鮮側と合意したと発表。北朝鮮が拉致被害者らの再調査を開始
する段階で、人的往来の規制など日本が実施している独自制裁措置を一部
解除する。
5月31日
○小野寺五典防衛相は、訪問先のシンガポールで米国のヘーゲル国防長官、
韓国の金寛鎮国防相と会談。北朝鮮の核・ミサイル問題で引き続き緊密に
190
連携すると明記した共同声明を発表した。
6月
1日
○長崎市で原子爆弾後障害研究会が開かれ、広島大学の鎌田七男名誉教授(血
液内科)や原爆放射線医科学研究所の大滝慈教授(計量生物学)たちの研
究で、広島で被爆した親を持つ被爆2世のうち、原爆投下から1年以降、
15年以内に生まれて白血病を発症したケースでは、父親の被爆と、出生
までの年月の長短が発症に影響していることが分かった。また、広島原爆
の爆心地から半径500m以内で被爆して奇跡的に助かり、今も12人が
健在であることなどが、鎌田名誉教授の追跡調査から分かった。男性2人
と女性10人の69~97歳。しかし、6人が胃や大腸、髄膜などのがん
を患い、うち4人は重複がんを経験。
6月
4日
○日米欧とカナダの先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が、ベルギー
の首都ブリュッセルで開かれた。5日まで。ウクライナ情勢について、2
014年5月の大統領選で勝利したポロシェンコ氏を次期大統領として
歓迎、安定化に向け結束して支援するとの首脳宣言を採択した。
○シリア人民議会(国会)のラハム議長が大統領選挙の開票結果を発表。現
職バッシャール・アサド大統領が得票率88.7%で圧勝した。
○中国で民主化運動が武力弾圧された1989年の天安門事件から25年。
中国当局は北京市内で厳戒態勢を敷き、追悼の動きを封じ込めた。
○長崎、広島両市の市民団体「高校生平和大使派遣委員会」は、核兵器廃絶
を呼び掛ける高校生平和大使に全国から17人を新たに選んだと発表。1
988年から始まった平和大使は今回、既に公表している長崎県の4人を
含めると過去最多の21人となった。
6月
5日
○ナイジェリア北東部ボルノ州で、イスラム過激派ボコ・ハラムが三つの村
を襲撃し、住民ら少なくとも200人を殺害。
○米国防省は、中国の軍事動向に関する年次報告書を公表した。報告書は人
民解放軍の有事戦略に関し、これまで通り台湾海峡に主眼を置きながらも
「南シナ海や東シナ海における潜在有事への準備を進めている」と明記。
6月
6日
○第2次世界大戦の連合国軍によるノルマンディー上陸作戦のDデー(決行
日)から70周年。フランス北西部ノルマンディー地方で記念行事が開か
れた。主催国フランスのオランド大統領はウィストレアムでのメーン式典
で、シリア内戦やウクライナ危機を念頭に「世界の至る所で脅かされてい
る平和を守るため立ち上がらなければならない」と表明した。
6月
7日
○東部での親ロシア派武装勢力と政権側部隊の戦闘など混乱が続くウクライ
ナで、親欧米のペトロ・ポロシェンコ氏が就任宣誓し、大統領に就任した。
戦闘を続ける親ロシア派勢力と政権部隊の停戦に向け、ロシアとの実務交
渉を開始。大統領は「今週中に停戦しなければならない」と述べ、早期安
定化に強い決意を示した。
○パキスタンの最大都市、南部カラチで、機関銃やロケット砲で武装した集
団が国際空港を襲撃し、治安当局との間で銃撃戦となった。軍も掃討のた
め部隊を派遣、警備担当者や航空会社員ら18人と武装集団側10人の計
28人が死亡した。
○ローマ法王フランシスコは、イスラエルのペレス大統領とパレスチナ自治
政府のアッバス議長をバチカンに招き、中東和平を願う「祈りの会」を行
191
った。法王は「平和構築には暴力に反対し、対話する勇気が必要」と呼び
掛け、アッバス、ペレス両氏も「平和を求めている」と訴えた。
○各国が国際原子力機関(IAEA)に毎年行っているプルトニウム保有量
報告で、日本が2012年以降、原子炉に入れたが福島原発事故の影響で
使われなかった燃料内のプルトニウム640kgを含めていないことが
分かった。核爆弾約80発分に相当。
○修学旅行で5月に長崎を訪れた横浜市の公立中学校3年生の男子生徒数人
が、爆心地周辺を案内していた被爆者で語り部の森口貢さんに、「死に損
ない」などの暴言を吐き、森口さんが学校に抗議していたことが判明。
○英語で伝えようヒロシマセミナー「高校生の部」が開講。留学予定の高校
生を対象に。約100人の学生が、原爆被害の概要と英語での説明の仕方
について学んだ。
6月
9日
○放射線医療に携わる医師4人が、広島市で研修を始めた。広島県や市など
でつくる放射線被曝者医療国際協力推進協議会(HICARE)が招き、
13日まで被爆者の援護策や医療の現状を学ぶ。
○平和記念資料館は、展示室の全面改修を前に、遺品などの資料を保管し、
普段は非公開にしている地下収蔵庫を報道陣に公開した。全面改修は19
94年以来。
6月10日
○事実上の内戦状態にある南スーダンのキール大統領と反政府勢力トップの
マシャール前副大統領は、紛争の終結を目指し隣国のエチオピアで会談、
60日以内に移行政権を樹立することで合意した。
○中国外務省の華春瑩副報道局長は、中国政府が国連教育科学文化機関(ユ
ネスコ)に対し、日本が戦時中に関与した南京大虐殺と従軍慰安婦に関す
る資料を、記憶遺産に登録する申請を行ったことを明らかにした。
○広島大学本部跡地に残る被爆建物の広島大学旧理学部1号館について、広
島市は、震度6強以上の大地震で倒壊する危険性が高いとする調査結果を
正式発表。特徴的なE字形の建物の全部保存・活用には40億円の改修費
が見込まれる。
○本財団第3回評議員会を開催。
6月11日
○防衛省は、東シナ海の公海上空で数回にわたり、航空自衛隊のYS11E
B電子測定器と海上自衛隊のOP3C画像情報収集機が、中国軍のSU2
7戦闘機に異常接近されたと発表。防衛省が中国軍機による自衛隊機への
異常接近を公表したのは、5月24日以来2回目。
○広島市は、原爆死没者名簿の記帳を始めた。2014年8月6日以降に亡
くなったり死亡が確認されたりした広島原爆の被爆者の名前を書き加え、
8月6日の平和記念式典で原爆慰霊碑の石室に納める。
6月12日
○広島市を訪れた観光客が2013年、1151万3千人に達し、3年連続
で過去最多を更新した。前年より64万人(5.9%)増。
6月13日
○オバマ米大統領は声明を発表し、「イラクでの戦闘には米軍を派遣しない」
と明言、イスラム過激派「イラク・シリアのイスラム国」が進攻を続ける
イラクに地上部隊を送る考えがないと強調した。
6月14日
○ウクライナ国防省は、東部ルガンスクの空港近くで未明、政権部隊の兵員
を乗せた大型輸送機イリューシン76が、親ロシア派武装勢力に撃墜され
192
たと発表した。ウクライナ検察庁によると、操縦士ら9人と兵員40人の
計49人が搭乗していたが全員死亡した。
○日露戦争(1904~1905年)の山口県内の戦没者を書きとめたとみ
られる1909人分の名簿が、山口市水の上町の洞春寺で見つかった。県
史などでは日露戦争の県内の戦没者は1908人とされているが、具体的
な名前や人数を裏付ける資料は開戦から100年を超える年月を経て失
われ、数字だけが残る。
○広島市内の小学6年生が平和への意見を発表する「こどもピースサミット」
が、南区の区民文化センターであった。8月6日の平和記念式典で「平和
への誓い」を読み上げる大賞2人を決めた。応募1万940点から事前審
査で選ばれた20人が発表。
6月15日
○イラク軍は、北部から中部の首都バグダッドに向けて進撃するイスラム教
スンニ派の過激派「イラク・シリアのイスラム国」の支配地域に空爆など
を実施した。
○パキスタン軍は、北西部の部族地域北ワジリスタン地区で武装勢力の潜伏
先を狙った空爆を実施し、ウズベキスタンの武装勢力メンバーら80人を
殺害したと発表した。
○内戦が続くシリア北西部ラタキア県で15日までに、アサド政権側部隊が
トルコ国境に近いカサブ村を奪回した。国際テロ組織アルカイダ系の過激
派「ヌスラ戦線」などの混成部隊が3月に村を制圧していた。
○米国自治領の北マリアナ諸島のサイパン島で、太平洋戦争での日本敗戦を
決定付けた「サイパンの戦い」から70年の記念式典が開かれた。戦闘に
参加した日米双方の元軍人も出席して激戦の犠牲者を追悼し、平和への思
いを新たにした。
○被爆後の広島に大量の医薬品を届け、治療にも当たったスイス人医師、マ
ルセル・ジュノー博士をしのぶ記念祭が、平和記念公園の顕彰碑前であっ
た。県医師会や日本赤十字社県支部でつくる実行委員会が主催し、約20
0人が功績をたたえた。
6月16日
○スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は、201
4年の核兵器保有数のデータを発表した。2014年1月時点で、世界全
体の数は米国とロシアの削減により推定1万6300個となり、近年の減
少傾向が続いた。北朝鮮の核保有数は6~8個と推定。
○兵器や防衛装備品、災害対策設備などの国際展示会「ユーロサトリ」が、
パリ郊外で開幕、日本の12社が出品した。長らく武器禁輸政策下にあっ
た日本の防衛産業の“国際デビュー”となった。
○北京の天安門前で2015年10月に起きた車両突入事件で、中国新疆ウ
イグル自治区ウルムチ市の中級人民法院(地裁)は、テロを組織し、指導
した罪などに問われた3人に死刑を言い渡した。ほかに1人が無期懲役、
4人が懲役20~5年を言い渡された。全員がウイグル族。
○米国広島・長崎原爆被爆者協会の据石和会長が、広島県庁で湯崎英彦知事
に、北米被爆者健診の継続を要請した。湯崎知事は今後のサポートを約束
した。
6月17日
○ヒマラヤのブータンへ50年前に渡り、農業技術指導者として同国の発展
193
に尽力した故西岡京治氏(1933~1992年)の功績を紹介する記念
館が、西部パロに開館し、国際協力機構(JICA)の田中明彦理事長や
ブータン政府高官ら約100人が出席して式典が行われた。
○広島県を昨年訪れた観光客は6109万人で初めて6千万人を突破し、2
年連続で過去最多を更新した。前年比216万人(3.7%)増。
○県警は、機関誌「いずみ」を再利用し全警察官と職員、家族で折った千羽
鶴を、平和記念公園の原爆慰霊碑にささげた。終戦の年に創刊された「い
ずみ」が2014年7月で創刊800号を迎えるのを機に、平和と治安維
持への願いを込めた。
6月18日
○民間の国際研究機関「経済・平和研究所」
(本部シドニー)は、世界各国・
地域の「平和度」を指数化して比較した2014年版のランキングを発表。
日本は昨年より二つ順位を下げて8位、内戦が泥沼化するシリアが最下位
となった。1位はアイスランドだった。
6月19日
○陸上自衛隊相馬原演習場のある群馬県榛東村村議会は、同演習場での米軍
の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを使用した米軍と自衛隊の共同
訓練や、自衛隊へのオスプレイ配備を容認する決議を賛成多数で可決した。
防衛省によると、同様の決議を可決したのは全国で初めて。
6月20日
○ウクライナのポロシェンコ大統領は、東部の親ロシア派勢力との戦闘で、
6月20日から1週間の一方的停戦を宣言、地方の自治権拡大など15項
目の包括的な和平計画を公表した。
○政府は、従軍慰安婦問題への旧日本軍への関与と強制性を認めた1993
年の河野洋平官房長官談話に関し、有識者チームの検証結果を国会に報告
した。報告書は日本が韓国と水面下で綿密に文言調整し、談話を作成した
経緯を明記。元慰安婦証言の裏付け調査を行わなかったと指摘した。
○韓国海軍は、島根県・竹島(韓国名・独島)沖の日本領海を含む海域で射
撃訓練を実施した。日本政府は韓国側に訓練中止を申し入れたが、韓国側
は「韓国固有の領土である独島周辺で実施するものだ」として、計画通り
に実行。
○医療費の全額支給を定める被爆者援護法の規定が、海外に住む被爆者にも
適用されるかが争われた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は一審大阪地裁判
決を支持し、在外被爆者にも支給を認めるとの判断を示した。
6月21日
○カタール・ドーハで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産
委員会は、各国候補の登録可否を審議、日本政府が推薦した「富岡製糸場
と絹産業遺産群」(群馬県)の世界文化遺産登録を決定した。
○河野洋平元衆院議長は、1993年の河野洋平官房長官談話を検証した政
府の有識者チームの報告書について、日本と韓国が水面下で文言を調整し
たなどとする内容を認めた。
6月23日
○化学兵器禁止機関(OPCW、オランダ・ハーグ)は、シリア化学兵器全
廃計画に基づき、シリア国内に残っていた兵器の材料となる化学物質の国
外搬出が完了したと発表。
○イラクのマリキ首相の安全保障担当報道官は、6月に入り勢力を拡大して
いるイスラム教スンニ派の過激派「イラク・シリアのイスラム国」が率い
る武装集団によって、これまでにイラク兵「数百人」が殺害されたと発表。
194
○沖縄県は、太平洋戦争末期の沖縄戦が終結したとされる「慰霊の日」を迎
えた。69年前に最後の激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念公園では
約4600人が参列して沖縄全戦没者追悼式が営まれ、20万人以上の戦
没者を悼んだ。
○フィリピン南部ミンダナオ島で40年余り紛争が続いた同国政府とイスラ
ム武装勢力の和平推進を考える「ミンダナオ平和構築セミナー」が、広島
国際会議場で始まった。25日までの3日間。自治政府設立に向けた課題
などを議論した。フィリピン政府のテレシタ・デレス和平プロセス大統領
顧問室長官やモロ・イスラム解放戦線(MILF)のムラド・イブラヒム
議長たちも出席。
○岩国市議会は本会議で、沖縄の基地負担軽減を図るための決議案を賛成多
数で可決した。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の返還合意以降、本
土の自治体として初めて、同飛行場から米海兵隊岩国基地(岩国市)への
KC130空中給油機部隊の移転を受け入れるのを前に、「負担軽減は日
本全体で考えるべき課題」とした。
6月24日
○ロシアのプーチン大統領は、上院に与えられたウクライナへの派兵権限を
取り消すよう要請、軍事介入しない姿勢を明確に示した。
○フィリピンのアキノ大統領が、初めて広島市を訪れ、広島市で開かれてい
る同国南部ミンダナオ島の和平促進を考えるセミナーで演説。関係者を前
に「政策決定者は広島、長崎で何が起きたかを忘れてはならない。道を誤
った時、犠牲になるのは罪のない人々だ」と呼び掛けた。また、平和公園
の原爆慰霊碑で献花を行った。
6月25日
○ロシア上院は、プーチン大統領の求めに応じ、ウクライナへのロシア軍派
遣に必要な同意を大統領に与えた2014年3月の決議を取り消した。ウ
クライナのコワリ国防相代行は、ポロシェンコ大統領の和平計画に従って
東部の親ロシア派武装組織と捕虜の交換を始めたことを明らかにした。
○カタールのドーハで開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世
界遺産委員会で、
「富岡製糸場と絹産業遺産群」
(群馬県)など各国の26
件が新たに世界遺産に正式登録された。
○広島の爆心地で原爆の熱線を浴びた路面電車の敷石に、平和を祈る観音像
を刻んだ「祈りの石」の贈呈式が、旧ソ連のアルメニアで行われた。「祈
りの石」が設置された首都エレバンの市庁舎前で行われた式典には、バル
ジャン・ネルシャン大統領補佐官、グラント・ポゴシャン駐日アルメニア
大使のほか、倉井高志駐ロシア(兼アルメニア)公使ら300人以上の政
府関係者や地元の子どもたちが出席した。
○新藤義孝総務相は、日韓両国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)が
属する島根県隠岐の島町を訪れ、住民から1950年代まで竹島周辺で行
われていた漁について説明を受けた。新藤氏は「ここ(隠岐の島)には貴
重な証言や埋もれている事実も多い。何らかの形で残していきたい」と述
べた。
○広島市で開かれていたフィリピンのミンダナオ島の和平促進を考える国際
セミナーは最終会合を開き、自治政府設立に向け決意を込めた「広島宣言」
を採択し、3日間の日程を終えた。
195
○朝鮮戦争後、在韓米軍基地の周辺で米兵を相手に売春をしていた韓国人女
性ら122人が、韓国政府により「米軍慰安婦」として徹底的に管理され
人権を侵害されたなどとして、1人当たり1千万ウォン(約100万円)
の国家賠償を求める集団訴訟をソウル中央地裁に起こした。支援団体によ
ると「米軍慰安婦」による国家賠償訴訟は初めて。
6月26日
○被爆数カ月後の長崎市で、米軍が撮影したとみられる爆心地近くのカラー
写真が、26日までに米国立公文書館で見つかった。2015年の被爆7
0年に向け、長崎市が実施している原爆資料の調査で発見された。
6月27日
○ウクライナのポロシェンコ大統領は、訪問先のブリュッセルで、欧州連合
(EU)諸国の首脳らに、6月27日夜に期限が切れる東部の親ロシア派
勢力との一時停戦期間を3日間延長する考えを表明。
○アフリカ南部モザンビークの首都マプトで開催された対人地雷禁止条約
(オタワ条約)加盟国による第3回再検討会議は、2025年までに条約
が定める地雷の廃棄や除去などの義務履行を求める「マプト宣言」を採択、
閉幕した。
○核兵器廃絶や平和を訴える2014年版の「ヒロシマ・アピールズ」ポス
ターが発表された。東京都のアートディレクター井上嗣也さんが制作した
「記憶」。二世代の生き物を思わせる目には、反核の思いを伝え続けよう
との強い決意がにじむ。
○広島市立基町高等学校普通科創造表現コースの協力を得て、本財団被爆体
験証言者とボランティアの生徒が共同し、証言者の記憶に残る被爆時の光
景を描く「原爆の絵」が完成。基町高等学校展示ギャラリーで完成披露会
が開かれた。
6月28日
○オーストリア皇太子が暗殺され、第1次世界大戦のきっかけとなったサラ
エボ事件から100年を迎えた。ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエ
ボで記念式典が開かれ、当時敵対した国々の首脳らが参加した。シリアや
ウクライナなど世界各地で内戦、紛争が続く中、20世紀の危機を招いた
歴史の教訓を胸に、人類の平和と共存を誓った。
6月29日
○北朝鮮は2回にわたり、日本海側の南東部元山から短距離弾道ミサイル「ス
カッド」の一種とみられるミサイルを1発ずつ日本海に向け発射。
○イラク北部の主要都市を制圧したイスラム教スンニ派の過激派「イラク・
シリアのイスラム国」は、ウェブサイト上に出した声明で、バグダディ指
導者を世界のイスラム共同体を率いる「カリフ(預言者ムハンマドの後継
者)」と仰ぐ政教一致国家の樹立を一方的に宣言した。
7月
1日
○政府は臨時閣議で、従来の憲法解釈を変更し、自国が攻撃を受けていなく
ても他国への攻撃を実力で阻止する集団的自衛権の行使を容認すると決
定した。
○ハワイで開催中の米海軍主催の環太平洋合同演習(リムパック2014)
で、初参加の陸上自衛隊は、米海兵隊のカネオヘ・ベイ基地で離島奪還訓
練を公開した。
7月
2日
○韓国の朴槿恵大統領は、従軍慰安婦問題をめぐる河野洋平官房長官談話の
検証について「談話の精神を破壊することを意図したもの」とした上で「日
本と韓国との信頼関係を壊した」と非難した。大統領自らが談話の検証を
196
批判したのは初めて。
○日本原水協は首相官邸前で、集団的自衛権の行使を可能にする閣議決定に
抗議した。「武力行使には核兵器使用の危険がある」とし、即時撤回を求
めた。
7月
4日
○政府は、北朝鮮に対する独自の経済制裁を一部解除した。閣議で正式決定。
○広島市は、平和記念公園の原爆供養塔に納められている原爆死没者の遺骨
のうち、名前が判明しながら遺族が見つかっていない815人の名簿を全
国の自治体や被爆者団体に発送した。7月16日から10月末まで庁舎な
どに張り出してもらい、名乗り出る遺族を待つ。
7月
6日
○広島市留学生会館で、姉妹・友好都市を市民に紹介する「モントリオール
の日」記念行事を開催。カナダ特産品の展示や、シルク・ドゥ・ソレイユ
の紹介展示などもあり、約250人の来場者は、食や芸術文化を楽しみな
がらモントリオールやカナダへの理解を深めた。
7月
7日
○日中戦争の発端となった1937年の盧溝橋事件から77年。習近平国家
主席は北京市郊外にある盧溝橋近くの中国人民抗日戦争記念館の記念式
典で演説し「侵略の歴史に対する否定や歪曲を中国人民は決して許さな
い」と述べ、安倍政権をけん制した。
○広島県や広島市などでつくる放射線被曝者医療国際協力推進協議会(HI
CARE)が招いた米国のババク・カランタリ医師が、広島市で研修を始
めた。初日は平和記念資料館を見学した。7月11日まで、被爆者の援護
策や放射線医療の現状を学ぶ。
○被爆者健康手帳を持つ被爆者の平均年齢が2014年3月末時点で79.
44歳になったことが分かった。所持者数は初めて20万人を割り、19
万2719人になった。
○ソ連末期のゴルバチョフ政権で外相を務め、東西冷戦を終結に導いた「新
思考外交」の推進役だったエドアルド・シュワルナゼ元グルジア大統領が
死去。86歳。
7月
8日
○イスラエル軍は、イスラム原理主義組織ハマスが支配するパレスチナ自治
区ガザの50カ所以上に空爆などを行い、ハマスへの本格的軍事作戦を開
始した。ガザの当局者などによると、ハマスのメンバーら11人が死亡、
子どもや女性ら一般市民を含む80人以上が負傷した。
○安倍晋三首相とオーストラリアのアボット首相は、防衛装備品移転に関す
る協定と経済連携協定(EPA)に署名し、両協定を締結した。首脳会談
で安全保障と経済分野を柱とする包括的な2国間関係を強化する方針を
確認。
○「ヘイトスピーチ」
(憎悪表現)と呼ばれる人種差別的な街宣活動で授業を
妨害されたとして、朝鮮学校を運営する京都朝鮮学園が「在日特権を許さ
ない市民の会」(在特会)などに損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決
で、大阪高裁は、約1200万円の賠償と学校周辺での街宣禁止を命じた
一審京都地裁判決を支持し、在特会側の控訴を棄却した。
7月
9日
○政府は、北朝鮮が複数の弾道ミサイルを日本海に向けて発射したと発表し
た。発射地点は平壌の南方約100km。北東方向に最大約500km飛
び日本海に落下したと推定。政府は中国・北京の大使館ルートを通じて北
197
朝鮮に厳重抗議した。
○菅義偉官房長官は、中国重慶市の週刊紙「重慶成年報」が広島と長崎の位
置に原爆のきのこ雲とみられるイラストを描きこんだことに対し、北京の
日本大使館が中国外務省に厳重抗議したことを明らかにした。
7月10日
○国が原爆症に認定した被爆者に支給する医療特別手当(月額13万5千円)
の更新審査を厳しくしたのに伴い、広島市は、可否を保留していた434
人(未提出の24人を含む)のうち、153人の申請を却下し、特別手当
(月額5万円)へ切り替えた。
7月11日
○安倍晋三首相は、パプアニューギニア北部ウェワクで、第2次世界大戦の
戦没者の碑に献花し、黙とうした。献花後、記者団に「二度と戦争の惨禍
を繰り返してはならない。アジア、世界の友人と共に世界平和の実現を考
える国でありたいと英霊の前で誓った」と強調した。
○国際人権アムネスティ・インターナショナルは、ウクライナ東部で、この
3カ月間に活動家やジャーナリストら数百人が拉致され、拷問や暴行を受
けたと発表した。大半は親ロシア派武装集団の犯行で、女性に切りつけた
例も確認。一方、政権側部隊も暴力を振るったと批判した。
○ひろしま奨学金決定書交付式が広島国際会議場で開かれた。
7月13日
○政府は、北朝鮮南西部の開城付近から、弾道ミサイル2発が北東方向に向
け発射されたもようだと発表した。防衛省はいずれも約500km飛んだ
後、日本海に落下したと推定。
7月14日
○北朝鮮は午前11時43分、南北軍事境界線の東端に近い江原道の東海岸
付近から日本海に向け多連装ロケット弾などを100発余り発射。
○1972年の沖縄返還をめぐる日米間の密約文書の開示を元毎日新聞記者
西山太吉さんらが求めた訴訟の上告審判決で、最高栽第二小法廷は、一審
の開示命令を取り消した二審東京高裁判決を支持し、原告側の上告を棄却
した。密約そのものの存在と、文書が過去に存在したことは否定せず、政
府が文書を破棄した可能性があるとしたニ審の判断を維持した。西山さん
らの敗訴が確定。
7月15日
○イスラム原理主義組織ハマスが支配するパレスチナ自治区ガザから、イス
ラエルに向けて発射された迫撃砲弾で、イスラエル人男性1人が死亡した。
○パレスチナ自治区ガザの戦闘をめぐり、エジプト政府がイスラエルとイス
ラム原理主義組織ハマスに対し提案した、7月15日からの段階的な停戦
について、イスラエル政府は治安閣議を開き、停戦を受け入れることをい
ったんは決めたが、その後破棄。ガザへの軍事作戦を再開した。
○廿日市市の被爆者、萩本トミ子さんが、被爆死した姉が着ていたブラウス
を平和記念資料館に寄贈した。萩本さんが縫い上げた結婚祝いで、戦後は
形見として家族で大切にしてきた。「ブラウスは姉さんそのもの。離れる
のは寂しいけど、後世の役に立てば」と、記憶の継承を願う。
7月16日
○岸田文雄外相は、キルギスの首都ビシケクで、同国を含む中央アジア5カ
国との外相会合に出席し、安倍政権が掲げる「積極的平和主義」への理解
を求めた。会合では、中国の海洋進出を念頭に「力による威嚇」をけん制
する共同声明を採択。声明は、安全保障分野を含む日本の国際貢献に関し
「高く評価し、支持」すると明記した。
198
○広島市は、姉妹都市の韓国・大邱市に松井一實市長たち5人の代表団を派
遣した。1999年度から続く相互訪問の一環。3日間の日程で記念行事
などに参加する。
○平和記念公園にある原爆供養塔の納骨名簿の掲示が始まった。名前が判明
していながら、遺族が見つかっていない原爆犠牲者815人分。市が自治
体や被爆者団体に依頼し、引き取り手を捜している。
○被爆地広島の復興を取り続けてきた写真家明田弘司さんの写真展が広島市
の泉美術館で始まった。1950年代を中心にモノクロ撮影された約80
点。焼け跡から立ち上がる街の鼓動と市民の活気が伝わってくる。9月7
日まで。
○被爆69年となる原爆の日を前に、平和記念資料館は、閉館後に展示ケー
ス内を掃除した。あの日を証言し続ける被爆者の遺品など資料の周りに積
もった1年間のほこりを取り払った。
7月17日
○マレーシア航空のボーイング777型機が、ロシア国境に近いウクライナ
東部で墜落。オランダのアムステルダム発、マレーシアのクアラルンプー
ル行きで、ウクライナ内務省当局者は乗客280人、乗員15人全員が死
亡したと述べた。
○イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザに侵攻、ガザを支配するイスラム
原理主義組織ハマスの拠点などを攻撃した。イスラエル軍によるガザでの
本格的な地上作戦は2009年以来。ガザの当局者によると、侵攻開始後
のパレスチナ側の死者数は34人、負傷者は200人を超えた。
○政府の国家安全保障会議(NSC)は、関係閣僚会合を開き、米企業への
ミサイル部品輸出を承認した。新たに定めた防衛装備移転三原則に基づく
NSCの承認は初めて。
○広島市出身の漫画家こうの史代さん原作で、被爆70年の2015年公開
を目指すアニメ映画「この世界の片隅に」の複製原画展が平和記念資料館
東館で始まった。爆心地に近い1930年代の中島地区の繁華街など原爆
で破壊された街の在りし日を伝える。8月17日まで。無料。
7月18日
○オバマ米大統領は、ホワイトハウスで緊急記者会見を開き、ウクライナ東
部で墜落したマレーシア機は親ロシア派支配地域から発射された地対空
ミサイルによって撃墜されたと「確信している」と明言。
○イラン核問題の包括解決を目指す欧米など6カ国とイランは、ウィーンで
の協議で、交渉期限としていた7月20日までの最終合意を断念し、期限
を約4カ月延長することを決定。
○東京都在住の被爆者の運動や原爆被害を伝える「東京原爆展」が、都庁4
5階の南展望室で始まった。海外からの訪問客も多い会場を意識し、被爆
2世による英訳の案内板を初めて設置。核兵器をめぐる世界情勢も紹介し
た。23日まで。無料。
○平和に貢献した現代美術作家をたたえる第9回ヒロシマ賞(広島市など主
催)の授賞式が、広島市現代美術館であり、南米コロンビアの芸術家ドリ
ス・サルセドさんに、賞状などが贈られた。松井一實市長から賞状を受け
取ったサルセドさんは「絶望から再生した広島に、大変謙虚な気持ちにさ
せられている」と述べた。
199
○核兵器廃絶を訴えて県内23市町をめぐる「反核平和の火リレー」の最終
走者が、ゴールの平和記念公園に到着した。17日間で813区間の91
4.3kmを、小学生から70歳代まで1313人が走りつないだ。
7月20日
○イスラム原理主義組織ハマスが支配するパレスチナ自治区ガザで地上作戦
を展開するイスラエル軍は、作戦を強化。ガザ市東部の住宅地などに戦車
などによる砲撃を加えた。ガザの当局者によると東部などで子ども多数を
含む80人以上が死亡した。
○国際原子力機関(IAEA)は、イランが核問題の解決に向け、欧米など
6カ国と合意した6カ月間の第1段階の措置(共同行動計画)に関する報
告書をまとめた。イランは濃縮度約20%のウランを核兵器に使えない形
に処理するなど、同措置を完全に履行した。
7月21日
○国連安全保障理事会は、298人が死亡したウクライナ東部のマレーシア
航空機撃墜を非難し、現地を実効支配する親ロシア派組織に現場保存を要
求、関係国に原因調査への協力を求める決議を全会一致で採択した。
○パレスチナ自治区ガザの当局は、イスラエル軍の軍事作戦によるガザ側で
の死者数が520人を超え、約3200人以上が負傷したと明らかにした。
大半はイスラム原理主義組織ハマスの戦闘員ではなく、子どもを含む市民。
○オバマ米大統領は、ホワイトハウスで声明を読み上げ、パレスチナ自治区
ガザへのイスラエルの軍事作戦で市民の犠牲者が増大していることを「深
く懸念している」と表明。ケリー米国務長官に即時停戦の実現に向けて最
大限の努力を尽くすよう指示したことを明らかにした。
○日本の海上自衛隊と米韓両国の海軍による合同海上捜索・救助訓練が、韓
国南方の公海で始まった。2日間の日程で、米海軍横須賀基地(神奈川県)
に配備されている原子力空母ジョージ・ワシントンも参加。
7月22日
○米政府は、ウクライナ東部のマレーシア航空機撃墜をめぐる情報機関の分
析を明らかにした。親ロシア派武装組織がウクライナ軍機と誤ってロシア
製のブク地対空ミサイル(SA11)で撃墜した可能性が高いと説明。親
ロ派に武器を供与し撃墜に至る「環境をつくった」ロシアの責任を指摘し
た。
○武田良太防衛副大臣は、古川康佐賀県知事と県庁で会談し、自衛隊に導入
する垂直離着陸輸送機オスプレイ17機を佐賀空港に配備したいと正式
に要請。知事は安全性確保の必要性などを強調、協議継続で一致した。
○「広島市民平和の集い」が、広島国際会議場であった。被爆者や小学生な
ど約230人が集い、平和について考えた。口田小学校の6年生、藤田彩
香さんと水愛美さんの2人が「戦争をおこさない国にしたい」などと「平
和宣言」を発表。6年生89人全員で、平和を願う曲「折り鶴」を合唱し
た。被爆者による講演などもあった。
○広島市の被爆者、喜馬理陽さんが、被爆死した父が書き残したはがきを平
和記念資料館へ寄贈した。原爆で生き別れた妻子の消息を求める文面。
「原
爆の非情さを後世に伝える役に立てば」と願う。
7月23日
○国連人権理事会(47カ国)は、パレスチナ自治区ガザ情勢をめぐる特別
会合を開き、イスラエルの軍事作戦を「強く非難」する決議を賛成29、
反対1、棄権17の賛成多数で採択した。発展途上国の理事国の多くや中
200
国、ロシアなどが賛成に回った一方、米国のみが反対した。
○平和記念資料館は、原爆に関する1761点の写真を米国立公文書館から
入手したと発表。米軍が1945年秋に撮影した市内の救護所の光景や街
並みなど、資料館になかったり、より鮮明だったりするカットが多数含ま
れる。
7月24日
○広島県と中国・四川省の友好提携30周年記念式典が、広島市のホテルで
あった。四川省の政府関係者たち約50人の訪問団が訪れ、県や広島商工
会議所などの約220人と交流した。
7月25日
○平和記念資料館は、東館地下1階情報資料室で、政治思想史家の丸山真男
氏(1914~1996年)が被爆体験を語った肉声記録の公開を始めた。
中国新聞記者が69年に取材、保存していたインタビュー記録。
○栃木県小山市の小山市立生涯学習センターで原爆展を開催。被爆の実相や
核兵器の現状を伝える写真パネルや被爆資料のほか、市民が描いた原爆の
絵の展示等を行った。29日まで。2525人の来場があった。
7月26日
○パレスチナ自治区ガザの当局は、イスラエルが7月8日に軍事作戦を初め
て以降でのガザの死者数が千人を超え、負傷者が6千人以上に達したこと
を明らかにした。
○北朝鮮西部で朝鮮半島西端にあたる黄海南道長山串付近から短距離弾道ミ
サイルとみられる物体1発が北東に向け発射された。物体は朝鮮半島を横
断して約500km飛行し日本海に落ちた。
7月27日
○イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザへの攻撃を再開した。国連の要請
に応じる形で延長されていた人道目的の一時停戦は崩壊した。
○米国で中高生向けのニュース番組を制作、全米8千校に配信しているチャ
ンネルワンニュース社の記者2人が広島市を訪れ、原爆被害の実態を取材
した。核兵器をテーマにした特集を2015年1月から配信する。
○広島での平和学習プログラムを全国に紹介する広島平和学習セミナーを
千葉県の京葉銀行文化プラザで開催。
7月28日
○イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの戦闘で多数の死者が出ている
パレスチナ自治区ガザ情勢をめぐり、国連安全保障理事会は緊急会合を開
き、即時無条件の人道停戦を呼び掛ける議長声明を発表した。
○イスラエルのネタニヤフ首相は、国民向けにテレビ演説し、パレスチナ自
治区ガザへの軍事侵攻は、イスラエル原理主義組織ハマスの「地下トンネ
ルを破壊するまで終わらない」と述べ、軍事作戦の続行を宣言。「作戦の
長期化」に対する覚悟を国民に求めた。
○米政府当局者は、ロシアが中距離核戦力(INF)廃棄条約に違反したと
米側が結論づけたことを明らかにした。
○政府は、ウクライナでのマレーシア機撃墜に関連し、ウクライナへの主権
侵害が継続しているとして、ロシアへの追加制裁措置を実施すると発表。
○広島市のジャーナリスト研修「ヒロシマ講座」が、広島国際会議場で始ま
った。受講者は全国の地方記者9人。原爆被害の実態や核兵器廃絶に向け
た被爆地の取り組みを学び、8月6日の平和記念式典などを取材する。
7月29日
○ケリー米国務長官は、ロシアのラブロフ外相との電話会談で、ロシアが中
距離核戦力(INF)廃棄条約に違反したとして、対応を話し合うために
201
米ロ高官協議の即時開催に応じるよう要求した。
○オバマ米大統領は、ロシアがマレーシア航空機撃墜後もウクライナ東部の
親ロシア派への支援を続けているとして、ロシアに対する経済制裁の強化
を発表した。欧州連合(EU)も7月30日には個人や企業・団体を対象
にした在欧資産凍結の追加制裁を発動。米欧は連携してプーチン政権への
圧力を強めた。
○福山空襲や原爆被害について学ぶ講座「ふくやまピース・ナビ」が、福山
市人権平和資料館で始まった。戦争を体験した人が高齢化する中、記憶の
風化を防ぎ次世代に継承しようと、同館が初めて企画。初回は約40人が
参加した。
7月30日
○日本を含む先進7カ国(G7)と欧州連合(EU)首脳は、ロシアがウク
ライナの主権侵害を続けていると非難し「重大な懸念」を表明、一層の対
ロ制裁強化の可能性を警告する共同声明を発表した。
○パレスチナ自治区ガザ北部で国連が住民の避難所として開放している学校
に砲撃があり、少なくとも19人が死亡した。ガザの当局は、7月8日に
始まった戦闘によるガザの死者が1300人を超え、負傷者は7千人以上
になったことを明らかにした。
○西アフリカのリベリア政府は、エボラ出血熱の流行を食い止めるため、国
内の全ての学校を一時閉鎖し、基幹業務以外に従事する政府職員に30日
間の出勤停止を命じる緊急対策を発表。
○国内外の学生を対象にした広島市立大学の夏期集中講座「ヒロシマと平和」
が始まった。米国、中国、フランスなど8つの国と地域の21人と、日本
の24人が受講。核問題や平和構築の課題を8月8日まで英語で学ぶ。
○世界的な芸術家で平和活動家のオノ・ヨーコさんを招き、被爆地の若者が
果たすべき役割を考える集い「オノ・ヨーコさんと平和を想う会~被爆7
0年へヒロシマからの発信~」が、広島国際会議場であった。中高生や大
学生でつくる実行委員会が企画。約300人が参加し、「平和へ向けた一
歩を踏み出す」との共同声明に思いを重ねた。
○平和と核兵器廃絶の願いを球場全体で共有するイベント「ピースナイター
2014」が、マツダスタジアムであった。広島東洋カープの選手と、約
2万7千人の観客が参加。チームの赤と、平和を象徴する緑でスタンドを
染めた。
7月31日
○「ヒロシマ平和の灯のつどい」が、平和記念公園であった。子どもからお
年寄りまで約130人が参加。ろうそくの光に、核兵器の廃絶と世界平和
への願いを込めた。広島市女性団体連絡会議が企画し、今回で16回目。
8月
1日
○パレスチナ自治区ガザを支配するイスラム原理主義組織ハマスとイスラエ
ルは午前8時から72時間の人道目的の一時停戦に入った。しかしこの後、
ガザ南部ラファで激しい戦闘が発生し、イスラエルは軍事作戦を再開、一
時停戦はわずか数時間で崩壊した。
○広島市に戦後、少なくとも155カ国の要人が訪れたことが、中国新聞の
調べで分かった。いずれも大使級以上。うち閣僚級以上は4割の82カ国
だった。近年は年間訪問者数も50~60人台。
○政府の総合海洋政策本部は、日本の領海の範囲を決める基点となる離島の
202
うち、沖縄県・尖閣諸島を含む名称のない158の無人島に名前を付け、
同本部のホームページ上で公表した。
○広島、長崎で1947年9月、米スタンフォード大学のウィリアム・グル
ーリック教授(解剖学)が小学生ら約千人を対象に関節のエックス線撮影
をしていたことが、米科学アカデミー・研究評議会(NAS・NRC)や
米エネルギー省核実験公文書館が所蔵する文書で判明。
○広島市は、原爆に遭った人の最期やけがの状況を記した「原爆罹災者名簿」
の公開を広島国際会議場3階研修室で始めた。行方が分からなくなった人
の消息を知る手掛かりにしてもらう。8月6日まで。
○広島市は、原爆ドームなどの前でスマートフォンやタブレット端末をかざ
すと、その場所の被爆前後の写真のスライドショーが見られるサービスを
始めた。爆心地から半径約1kmにある30カ所が対象。2015年の被
爆70年を前に、観光客たちに原爆の悲惨さを、よりリアルに伝える狙い。
○新潟県三条市の三条東公民館で原爆展を開催。5日まで。1231人の来
場者があった。
○広島平和記念資料館資料調査研究会研究報告第10号を発行。広島市内の
図書館で閲覧可能。
8月
2日
○パレスチナ自治区ガザの当局者は、7月8日から続くイスラエルの軍事作
戦による死者が1650人を超えたと明らかにした。負傷者は約9千人。
イスラエル側では兵士ら60人以上が死亡。
○国際シンポジウム「信頼醸成から核廃絶へ―2015年NPT再検討会議
に向けて」が、広島国際会議場であり、日本と韓国、中国の緊張が高まる
中、東アジアの信頼関係の構築と、核兵器廃絶への道筋を話し合った。広
島市立大学と長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)、中国新聞
社の主催。
○国際平和シンポジウム「核兵器廃絶への道 ~原点を見つめ、『核の傘』を
超える~」長崎市の長崎ブリックホール国際会議場で開催。長崎市と公益
財団法人長崎平和推進協会、朝日新聞社の主催、広島市と本財団等の後援。
○小・中学生向けの2泊3日の平和キャンプ「こども平和キャンプ」を開催。
4日まで。
8月
3日
○中国人民解放軍が公式文書で、核戦略の要となる戦略ミサイル部隊の「核
弾頭を適切に増加していく」と明記していることが判明。
○アジア太平洋地域5カ国の外相経験者や研究者が被爆地・広島に集い、核
兵器廃絶の道筋を探る円卓会議「ひろしまラウンドテーブル」が、広島市
のホテルで始まった。広島県の主催。
○広島市の若手芸術家グループ「プロジェクトナウ!」は、原爆の投下目標
とされた相生橋で、市民が一斉に空を見上げる催しを開いた。「あの日」
と同じ時間、同じ場所で、平和への思いを紡ごうと企画。雨が降る中、約
100人が参加した。
○平和記念公園を訪れる人々が事前に申し込むことなく被爆体験を聴くこ
とができる「被爆体験講話会」を開催。8月3日、5日、6日、13日か
ら15日、11月1日の計7日間、全16回の被爆体験講話(うち3回は
英語)と原爆に関するアニメーションの上映を行う。
203
8月
4日
○アジア太平洋地域5カ国の外相経験者や研究者が、核軍縮を議論する広島
県主催の円卓会議「ひろしまラウンドテーブル」は、各国政府に核兵器に
頼らない安全保障の実現を求める提言をまとめ、2日間の日程を終えた。
日本、米国、中国の3カ国には、具体的な行動を取るよう要請。
○原水禁国民会議などの原水爆禁止世界大会の広島大会が、広島グリーンア
リーナで始まった。核兵器廃絶や「脱原発」を3日間の日程で議論。
○原爆で犠牲になった子どもや教職員の慰霊祭が、平和大通り緑地帯にある
「原爆犠牲国民学校教師と子どもの碑」前で営まれた。市内の63小中学
校の児童生徒や、遺族たち計約700人が参列。祈り鶴や花を手向け、平
和への誓いを新たにした。
8月
5日
○日本政府は、ロシア当局者やウクライナの親ロシア派関係者計40人を対
象とした、日本国内資産の凍結が柱の追加制裁措置を閣議で了解し、ただ
ちに発動した。
○朝日新聞は朝刊に、従軍慰安婦をめぐる同紙の過去の報道を検証する記事
を掲載し「済州島(現・韓国)で強制連行した」とする日本人男性の証言
を「虚偽だと判断し(関連の)記事を取り消す」とした。男性は「朝鮮人
慰安婦と日本人」などの著書がある元山口県労務報国会下関支部動員部長
の吉田清治氏(故人)。
○太平洋戦争中の1944年にオーストラリア東部・カウラの日本兵捕虜収
容所で起きた集団脱走暴動「カウラ事件」から70年を迎え、広島市の饒
津神社で豪州カウラ会(戦友会)の慰霊祭が営まれた。遺族ら約20人が
参列。
○原爆胎内被爆者全国連絡会が発足した。広島市であった初会合には広島、
愛媛、香川、奈良、東京の5都県から22人が参加。母親たちの記憶と平
和への思いを次代へつないでいくことを決めた。
○広島市は、市原爆死没公務員追悼式を市役所本庁舎前広場の碑前で開いた。
遺族や職員たち約250人が参列。恒久平和を願った。午前9時に開式、
黙とうをささげた。
8月
6日
○広島の街に米国の原爆が投下されて69年。広島市は平和記念公園で市原
爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)を営んだ。43年ぶりとな
る本格的な雨の中、被爆者や遺族たち約4万5千人が参列。松井一實市長
は平和宣言で、憲法の平和主義のもと69年間、戦争をしなかった事実を
強調し、「平和国家の道」を今後も歩み続けるよう政府に訴えた。
○米ニューヨークの教会で、広島への原爆投下から69年に合わせた集会が
開かれ、核兵器のない平和な世界を願って祈りをささげた。集会には約2
00人が参加。原爆が投下された日本時間6日午前8時15分(米東部時
間5日午後7時15分)に合わせて鐘が鳴らされ、被爆者のウエスト森本
富子さんらの「ノーモア、ヒロシマ」「ノーモア、ナガサキ」の言葉を参
加者が唱和した。
○アフリカ中部ワンダの首都キガリで、広島と長崎の原爆展が始まった。2
0年前の大虐殺を経験し、今は福島市に住むルワンダ人女性らが企画。被
爆地の惨状と復興した姿を伝え、ルワンダの若い世代に平和のありがたさ
を訴える。
204
○若い世代の平和意識の高揚と主体的な取組の促進を図るため、平和記念式
典参列等のために広島を訪れる子どもたちと広島の子どもたちに対し平
和のメッセージを発信する機会を提供する、
「ひろしま子ども平和の集い」
を広島国際会議場で開催。
8月
7日
○西アフリカ・リベリアのサーリーフ大統領は、エボラ出血熱の流行が国家
的な脅威となっているとして、90日間の非常事態宣言を出した。一方、
米疾病対策センター(CDC)は、情報収集に当たる緊急対策センターの
警戒を最高レベルに引き上げた。
○カンボジアの旧ポル・ポト政権による大虐殺を裁く特別法廷は、
「人道に対
する罪」に問われた元最高幹部2被告の判決公判を開き、故ポル・ポト元
首相に次ぐナンバー2だったヌオン・チア元人民代表議会議長とキュー・
サムファン元国家幹部会議長に、それぞれ求刑通り最高刑の終身刑を言い
渡した。
○広島市は、2016年に日本で開かれる主要国(G8)首脳会議(サミッ
ト)の誘致を正式に表明した。広島県や広島商工会議所と「サミット広島
誘致推進協議会を設立。オバマ米大統領たち首脳による、平和記念公園の
原爆慰霊碑への献花など開催計画を示した。
○広島大学の星正治名誉教授(放射線生物・物理学)の研究グループが、同
大での研究会で、米国による1954年の太平洋ビキニ環礁での水爆実験
をめぐり、被曝した第五福竜丸以外に複数の日本船の乗組員が被曝してい
るとみられることを初めて科学的に裏付けた報告を行った。
○米中西部イリノイ州の「シカゴ平和博物館」
(閉館)に寄贈され、長崎の被
爆翌日を伝える貴重な写真約60枚がずさんな保管で冠水、損傷し、数年
前に廃棄されていたことが判明。同博物館では2005年、国立長崎原爆
死没者追悼平和祈念館が海外で初めての原爆展を開いた。
○ルワンダの首都キガリとインターネットのテレビ電話で結び、被爆者とル
ワンダ大虐殺の生存者が体験を語り合う会が、国立広島原爆死没者追悼平
和祈念館であった。キガリでの原爆展の一環。互いに悲惨な歴史を学び、
平和の大切さを確認した。
○原水禁国民会議などの原水爆禁止世界大会は、長崎市に舞台を移し、3日
間の日程で長崎大会を始めた。スイス・ジュネーブの国連欧州本部を8月
17日から訪れる予定の高校生平和大使たちも加わり、世代を超えて核兵
器廃絶や脱原発への思いを一つにした。
8月
8日
○オバマ米政権は、イラク北部を中心に勢力を増している過激派「イスラム
国」に対する限定的な空爆を実施した。米国によるイラクでの本格的な行
動は、2011年末の駐留米軍撤去後、初めて。
○世界保健機関(WHO)は、西アフリカで拡大の一途をたどるエボラ出血
熱の感染について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当す
ると宣言。「さらなる感染拡大が招く結果は極めて深刻だ」と指摘する一
方、現時点で渡航や貿易の全面的規制は必要ないとした。
○西アフリカでのエボラ出血熱の流行を受け、ナイジェリアのジョナサン大
統領は非常事態を宣言。対策として19億ナイラ(約11億9千万円)の
緊急予算を承認した。
205
○イスラエルと、パレスチナ自治区ガザを支配するイスラム原理主義組織ハ
マスによる72時間の一時停戦は、延長合意ができないまま終了した。
○原爆投下時に降った「黒い雨」を今の広島市安佐南区で浴びた住民たちで
つくる「上安・相田地区黒い雨の会」が、会員の健康状態の悪化を示す独
自の健康調査の結果を市へ提出した。2015年の被爆70年までに同地
区を国の援護対象区域に加えるよう、政府への強い働き掛けを求めた。
8月
9日
○長崎は被爆から69年の原爆の日を迎え、長崎市の平和公園で市主催の原
爆犠牲者慰霊平和祈念式典が営まれた。田上富久市長は平和宣言で「集団
的自衛権の議論を機に、安全保障のあり方が議論されている。『戦争をし
ない』という平和の原点が揺らいでいるのではないかとの不安と懸念が、
急ぐ議論の中で生まれている」と述べ、政府にこうした声に真摯に向き合
い、耳を傾けるよう求めた。
○米軍は、イラク北部クルド人自治区の中心都市アルビル近郊で、過激派「イ
スラム国」への航空機による2回の新たな限定空爆を実施した。
○長崎原爆の日。広島市と広島平和文化センターは「長崎原爆犠牲者慰霊の
会」を平和記念資料館東館で開いた。被爆者や市民たち約50人が参加。
亡くなった人たちを悼み、ヒロシマ、ナガサキ両被爆地で手を携えて核兵
器廃絶を目指す決意を新たにした。
8月10日
○イスラエルと、パレスチナ自治区ガザを支配するイスラム原理主義組織ハ
マスは、仲介役のエジプトが提案した72時間の停戦に同意、8月11日
未明から再び一時停戦時間に入った。
○東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会議が、
ミャンマーの首都ネピドーで開かれた。中国とASEANの一部加盟国が
領有権を争う南シナ海問題で、ケリー米国務長官らが中国を名指しして批
判。中国の王毅外相は問題解決に部外者は必要ないと反論。
○岸田文雄外相は、訪問先のミャンマーの首都ネピドーで、北朝鮮の李洙墉
外相と接触。拉致被害者らの安否再調査に関する特別調査委員会での徹底
調査を要求した。核開発や最近の短距離ミサイル発射も取り上げ、自制を
求めた。
8月12日
○世界保健機関(WHO)は、12日までに西アフリカで猛威を振るうエボ
ラ出血熱による死者(疑い例を含む)が4カ国で計1013人に達したと
報じた。WHOは、感染者に開発段階の未承認治療薬を条件付きで投与す
ることを容認すると発表。また、アフリカ以外で初の死者がスペインで確
認された。
○武田良太防衛副大臣は、鹿児島県・奄美大島で奄美市の朝山毅市長、瀬戸
内町の房克臣町長と相次いで会談し、両市町に計約550人規模の陸上自
衛隊警備部隊の配備を正式に要請した。地対空、地対艦誘導弾(ミサイル)
をそれぞれ配備したいとの考えも伝え、双方とも受け入れる考えを示した。
8月13日
○日本外務省幹部は、ロシア軍が北方領土の国後、択捉両島で軍事演習を実
施していることを明らかにし、ロシア側に厳重抗議した。
8月14日
○ロシアのプーチン大統領は、2014年3月に編入を強行したウクライナ
南部クリミア半島のヤルタで演説し、クリミアに個別の軍部隊を創設する
計画を承認したと明らかにした。
206
○沖縄防衛局は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先、名護市辺
野古沿岸部の埋め立てに向け、米軍や工事用船舶以外の航行を禁じた臨時
制限区域を明示するためのブイなどを設置する作業を開始した。
○東条英機内閣の重光葵外相が第2次世界大戦中の1944年5月、日本と
中立条約を結んでいた旧ソ連の仲介で、中国との戦争終結を検討していた
ことが、当時の外交機密の公電で分かった。専門家は「初めて見る史料だ。
追いつめられたこの時期の外交状況がよく分かる」と指摘した。
8月15日
○終戦から69年。政府主催の全国戦没者追悼式が東京都の日本武道館で開
かれた。式典には天皇、皇后両陛下をはじめ、衆参両院議長や各界代表、
全国の戦没者遺族約4600人が参列、先の大戦で亡くなった軍人・軍属
や民間人約310万人を追悼した。天皇陛下は「戦争の惨禍が再び繰り返
されないことを切に願います」とお言葉を述べられた。
○在日大韓民国民団(民団)広島県地方本部で長年、原爆被害者対策特別委
員長を務めた姜文煕さんが死去。95歳。
8月17日
○沖縄防衛局は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先、名護市辺
野古沿岸部の埋め立てに向け、海底ボーリング調査に使う台船を海上に設
置し、海底調査した。
○第2次大戦中にオーストラリア・カウラ収容所で日本人捕虜が集団脱走を
図り、犠牲になった「カウラ事件」から70年。事件を調べている広島経
済大学の学生たちが、生存者たちの証言や講演録を本にまとめて発刊した。
「学生が聞いた
カウラ捕虜収容所
日本兵脱走事件」はA5判、158
ページ。
8月19日
○過激派「イスラム国」は、シリア内戦の取材中に武装グループに拉致され、
行方不明になっていた米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリー氏
とみられる人物を処刑する映像を公開した。
○核兵器廃絶を国際社会に訴えるため、市民団体が選んだ13都道県の「高
校生平和大使」20人が、ジュネーブの国連欧州本部を訪問し、代表で被
爆3世の活水高等学校2年生、小柳雅樹さんがジュネーブ軍縮会議の全体
会議でスピーチした。平和大使の国連欧州本部訪問は17回目だが、メン
バーが軍縮会議でスピーチするのは初めて。
8月20日
○広島市内は未明、局地的に1時間に100mmを超える豪雨となり、安佐
南区と安佐北区で土砂崩れや土石流が発生して多数の住宅がのみ込まれ
た。2歳男児や消防隊員を含む死者74人・重傷者8人・軽傷者36人。
8月21日
○宮内庁は昭和天皇の87年余にわたる激動の生涯を記録した「昭和天皇実
録」を完成させ、天皇、皇后両陛下に提出した。1990年に16年計画
で編さん作業を開始、2回の期間延長を経て24年を要した。内容は情報
公開請求の対象とし、2014年9月に公表。
8月22日
○ロシア外務省は、ウクライナ情勢をめぐって日本がロシアに科した制裁へ
の報復として、特定の日本人の入国を制限する制裁を発動したと発表した。
ウクライナ危機に関連したロシアの対日制裁は初めて。
○広島市の松井一實市長は、豪雨時に市民へ避難を促す方法を見直す考えを
表明した。多くの犠牲者が出た広島土砂災害で、市が避難勧告を出したの
が災害発生後となり、後手に回ったことを踏まえて決めた。
207
○太平洋戦争中の1944年、沖縄から長崎へ向かった学童疎開船「対馬丸」
が米潜水艦の魚雷攻撃で撃沈され、1485人が犠牲になった事件から7
0年を迎え、那覇市の慰霊碑「小桜の塔」で慰霊祭が開かれた。生存者や
遺族らが犠牲者を追悼、平和の象徴とされるチョウのオオゴマダラ数十匹
を放し、不戦の誓いを新たにした。
8月24日
○米国防総省は、中国軍の戦闘機が8月19日、南シナ海上空の国際空域で
米軍の対潜哨戒機P8に「約6m」の距離まで異常接近し、曲芸などの際
に披露される危険な飛行をしていたことを明らかにした。
○アフリカ中部のコンゴのカバンゲ保健相は、北西部の赤道州でエボラ出血
熱の感染者が確認されたと発表した。医療従事者5人を含む13人がエボ
ラ熱で死亡したとみられ、別に11人が発症。
○東京電力福島第1原発事故による健康への影響を調べている福島県は、震
災当時18歳以下の子ども約37万人を対象に実施している甲状腺検査
で、甲状腺がんと診断が確定した子どもは2014年5月時の50人から
7人増え57人に、「がんの疑い」は46人(5月時点で39人)になっ
たと発表した。
8月25日
○ウクライナ国防省は、東部ドネツク州のロシア国境付近で武器を所持した
ロシア軍の空挺部隊員10人を拘束したと発表。
8月26日
○エジプト政府は、イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスが、パレスチ
ナ自治区ガザでの本格停戦に合意した発表した。イスラエルとハマスによ
る戦闘が7月8日に始まってから50日目で本格停戦が実現。双方は攻撃
を停止した。合意は人道物資搬入のためイスラエルがガザ境界封鎖を緩和
するなどの内容。
○ロシアのプーチン大統領とウクライナのポロシェンコ大統領は、ベラルー
シの首都ミンスクで会談し、ウクライナ東部の紛争の早期停戦の必要性で
一致、実現へ向け行程表を作成することで合意した。
○政府は、北海道から長崎まで日本海側の16道府県沿岸を襲う恐れがある
津波の高さに関する推計を初めて公表した。自治体別で最大だったのは、
崖地を含む全海岸線では北海道せたな町の23.4m、平地部に限ると北
海道奥尻町の12.4m。
8月27日
○厚生労働省は、埼玉県在住の10代日本人女性がデング熱にかかったと発
表した。女性には海外渡航歴がなく、海外でウイルスに感染した人を刺し
た蚊を通じ国内で感染したとみられる。国内での感染は1945年以降、
約70年間記録がなかった。
8月28日
○世界保健機関(WHO)は、西アフリカで流行するエボラ出血熱の封じ込
めに向けた対策についてのロードマップ(行程表)を発表、感染者数が最
終的に2万人を超える恐れがあると警告した。
○中国が南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で行っている岩礁の埋
め立て作業が急速に進み、大型の建設用機材が運び込まれ、作業員用の宿
舎設置や植林まで始まっていることが判明。
○岸田文雄外相は、核兵器のない世界に向けた具体的な提言を米外交専門誌
フォーリン・アフェアーズの電子版に寄稿。多国間で取り組む重要性を強
調し、2014年12月にオーストリア・ウィーンで開かれる核兵器の非
208
人道性に関する国際会議に核保有国の参加を呼び掛けた。
8月29日
○西アフリカ・セネガルのセック保健相は、隣国ギニアから入国した同国籍
の男子学生がエボラ出血熱に感染していたことが確認されたと明らかに
した。感染者が出たのはギニア、リベリア、シエラレオネナイジェリアに
次いで5カ国目。
○国連の人種差別撤廃委員会は、対日審査会合に関する「最終見解」を公表
した。
「ヘイトスピーチ」と呼ばれる人種差別的な街宣活動に懸念を表明、
差別をあおる行為に関与した個人や団体を捜査し、必要な場合は起訴する
よう勧告した。
○厚生労働省は、原爆症の医療特別手当(月額約13万5千円)の本年度の
更新審査で、対象者3620人のうち605人が更新を認められなかった
との集計を発表した。
8月31日
○ドイツ政府は、イスラム過激派「イスラム国」の進撃に対抗するイラク北
部のクルド人治安部隊に対する、対戦車兵器や小型携帯火器などの武器供
与に踏み切ることを決定。
9月
1日
○国連人権理事会(47カ国)は、過激派「イスラム国」のイラクでの人権
侵害に関する特別会合をジュネーブの国連欧州本部で開き、イスラム国に
よる「戦争犯罪」を強く非難し、イラクへの調査団の派遣を国連に求める
決議を採択した。
○ローマのオリンピックスタジアムで、サッカーの元アルゼンチン代表マラ
ドーナ氏や元イタリア代表デルピエロ氏ら世界の有名選手たちが参加し、
「平和のための親善試合」が行われた。イラクやウクライナなど各地で戦
闘が続く中、サッカー好きで知られるローマ法王フランシスコが平和を願
い、開催を呼び掛けた。
○平和記念資料館東館1階から3階の展示室の改修工事が始まった。 東館
の展示室を閉室している間は、本館に東館の展示内容を仮設展示する。 新
しい東館の展示は、2016年(平成28年)に公開予定。
9月
2日
○警察庁は、北朝鮮による拉致の疑いが排除できないとして、捜査、調査し
ている行方不明者が23人増え、883人に上ったと発表した。
9月
3日
○ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ東部の正常化に向け、ウクライナ
軍の撤収や親ロシア派武装組織の攻撃停止を含む7項目の和平案を明ら
かにした。
○原爆死した兄と姉が1945年8月6日に身に着けていた衣服など6点
を、広島市の浜田良子さんが平和記念資料館へ寄贈した。「母から託され
た遺品を手放すのは寂しいが役立ててほしい」と願った。
9月
5日
○ウクライナやロシア、親ロ派などの代表者によるベラルーシの首都ミンス
クでの和平協議が合意に達した。停戦や捕虜交換で合意し、和平実現に向
けた12項目の文書に調印した。
○英南西部で開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議は、ウクライ
ナに介入したロシアに対する抑止力を強化するため、有事の際に2日以内
に展開する緊急部隊の創設を柱とする「即応行動計画」を採択し、閉幕し
た。
○オーストラリア、インド両政府は、原発の燃料となるウランなど核物質の
209
輸出入を可能とする原子力協定を締結した。世界最大のウラン埋蔵量を誇
るオーストラリアが、核拡散防止条約(NPT)未加盟国に対するウラン
禁輸を初めて解除。
○世界保健機関(WHO)は、西アフリカのエボラ出血熱の死者(疑い例を
含む)が2105人に達したと発表した。
9月
7日
○米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設への賛否が焦点
の名護市議選(定数27)は7日投開票され、辺野古反対派が16人当選
し、過半数を獲得した。
9月
8日
○ウクライナのポロシェンコ大統領は、紛争の前線に位置する東部ドネツク
州マリウポリを電撃訪問、東部の親ロシア派武装勢力が捕虜のウクライナ
軍兵士ら約1200人を引渡したことを明らかにした。
9月
9日
○宮内庁は、昭和天皇の生涯を記録した「昭和天皇実録」の内容を公表した。
軍部の専横に不快感を抱きながら、戦争に至る事態悪化を止められず、戦
後も戦争責任を問われ続けた「君主」の苦悩を、新資料による事実を交え
ながら浮き彫りにした。
9月10日
○オバマ米大統領は、ホワイトハウスで国民向けに演説し、国際テロ組織ア
ルカイダに代わる「最大の脅威」となった過激派「イスラム国」打倒に向
けた包括戦略を発表、米軍による空爆をシリア領内に拡大する方針を表明。
○ロシアは、同国北西部、白海の原子力潜水艦から極東カムチャッカ半島の
演習場へ向け、核弾頭搭載可能な新型戦略ミサイル「ブラバ」を発射する
実験を行い、成功させた。
9月11日
○サウジアラビア西部ジッダで開催された対テロ地域会議に参加したアラブ
10カ国と米国は、イスラム教スンニ派の過激派「イスラム国」壊滅のた
め、米国が主導する包括戦略の推進に向けた協力を確認する共同声明を発
表した。
○日本人24人を含む約3千人が犠牲になった2001年9月の米中枢同時
テロは、発生から13年。崩壊したニューヨークの世界貿易センタービル
(WTC)跡地(グランド・ゼロ)などで追悼式典が行われた。
○政府は、東京電力福島第1原発事故をめぐり、政府の事故調査・検証委員
会が関係者から当時の状況を聞いた「聴取結果書(調書)」のうち、現場
の指揮を執った吉田昌郎元所長や菅直人元首相ら計19人分を公開した。
関係者を非公開で聴取した政府事故調の調書が公開されるのは初めて。
○朝日新聞社の木村伊量社長は、東京電力福島第1原発の吉田昌郎元所長(2
013年7月死去)が原発事故当時の状況を語った「聴取結果書(吉田調
書)」に関して2014年5月に掲載した朝日新聞の記事を、
「間違った記
事と判断し、取り消す。読者の信頼を大きく傷つけた」と謝罪した。
○モロッコのモハメッド・シェーク・ビアディラ参院議長が、平和記念公園
を訪れた。平和記念資料館を見学。被爆証言も聴き、69年前の被害の実
態に理解を深めた。ビアディラ氏は原爆慰霊碑に花を手向けた後、志賀賢
治館長の案内で資料館を巡った。
9月12日
○ロシア国防省は、東部軍管区(司令部ハバロフスク)で9月11日から行
っている大規模演習で、空挺部隊をクリール諸島(千島列島)の主要な島
に派遣すると発表した。派遣先は国後・択捉両島。
210
○東ティモールの国民議会議員たち7人が、平和記念公園を訪れ、原爆被害
の実態を学んだ。外交・防衛・安全保障委員会のメンバー。平和記念資料
館を見学した後、被爆者の寺本貴司さんから被爆体験を聴いた。
9月13日
○イラクやシリアで勢力を拡大する過激派「イスラム国」は、人質としてい
た英国人デービッド・ヘインズ氏の首を切り殺害したとする映像をインタ
ーネット上に公開した。英外務省は映像が本物だと断定。
○北朝鮮による拉致被害者全員の早期救出と拉致問題の全面解決を求める国
民大集会が、東京・日比谷公会堂で開かれた。被害者家族会の井飯塚繁雄
代表は「北朝鮮の不誠実な報告は許さない。はっきりした結果を出してほ
しいというのが本心だ」と訴えた。
9月14日
○中国が北朝鮮に対する原油輸出を中断し、再開には核開発停止の確約や北
朝鮮核問題をめぐる6カ国協議への復帰表明を条件としていることが分
かった。
○戦時中、庄原市の高暮ダムの建設で過酷な労働を強いられ、犠牲となった
朝鮮人を悼む「高暮平和の集い」が、ダム近くの追悼碑前であった。住民
や広島都市圏の中学、高校、広島朝鮮初中高級学校の生徒、教員たち約1
00人が参加。戦争や差別のない社会の実現を誓った。
○広島市留学生会館で広島市の姉妹・友好都市を紹介する「ボルゴグラード
の日」記念イベントを開催。ロシアの民芸品、ボルゴグラード市の風景、
交流の様子の写真やボルゴグラード市から贈られた記念品などの展示も
あり、約230人の来場者が訪れ、姉妹都市交流の輪を広げた。
9月15日
○米英ロやアラブ諸国など約30の国と国際機関の外相らは、パリで過激派
「イスラム国」対策を協議、イスラム国と戦うイラク政府に「適切な軍事
支援」を提供することで合意した。オバマ米政権が準備するシリア領への
空爆拡大にはロシアが反対するなど一致には至らなかった。
9月16日
○内閣府は、2013年末時点で日本が国内外で保有するプルトニウムの総
量が前年より約2.9t増えて約47.1t(このうち核分裂性は約31.
4t)だったと原子力委員会に報告した。使用済み核燃料の再処理を委託
した英国の割当量2.3tを増やしたほか、国際原子力機関(IAEA)
に対する報告漏れ分640kgを追加した。
9月17日
○政府は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に「長崎の教会群とキリスト
教関連遺産」(長崎、熊本県)の世界文化遺産登録を推薦することを決め
た。2016年夏の世界遺産委員会で登録の可否が審査される。
9月18日
○国連安全保障理事会は、西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱に関する
特別会合を開催し、「エボラ熱の前例のない規模の流行は、国際社会の平
和と安全に対する脅威」と宣言する決議案を全会一致で採択した。潘基文
事務総長は感染封じ込めに向け「国連エボラ緊急対応支援団」(UNME
ER)を設立し現地に派遣すると発表。
○英国からのスコットランド独立の是非を問う住民投票は、即日開票され、
反対55.25%(約200万票)に対し賛成44.65%(約162万
票)で、独立は否決された。
○核兵器と戦争の廃絶を目指す科学者らの国際組織「パグウォッシュ会議」
会長のジャンタ・ダナパラ氏が、長崎市で世界の非核化について講演し、
211
「北東アジアの非核化を若い世代が議論してほしい」と期待を述べた。
9月19日
○フランス大統領府は、フランス軍がイラク北東部で、過激派「イスラム国」
に対する空爆を実施したと発表した。イスラム国に対する仏軍の空爆は初
めてで、主要国としては米国に次ぎ2カ国目。
○1954年に米国が太平洋のマーシャル諸島ビキニ環礁で実施した水爆実
験をめぐり、厚生労働省は、周辺海域で操業していた漁船の放射能検査な
どに関する当時の文書を開示した。乗組員23人が被曝、うち1人が死亡
した静岡県焼津市のマグロ漁船、第五福竜丸以外の船の被曝を裏付ける資
料も含まれる。
9月20日
○第2次大戦後の「シベリア抑留」により、旧ソ連で死亡した日本人推計5
万3千人中、身元が判明した人の約9割に当たる計3万3909人につい
て、厚生労働省が都道府県別に出身地をまとめていたことが分かった。東
京都の1832人を筆頭に、計11都道府県で抑留死者が千人を超える。
9月21日
○イエメンで、イスラム教シーア派系ザイド派の反政府勢力の民兵が、政府
側との戦闘の末、首都サヌアの軍司令部などの中枢施設を制圧した。反政
府勢力は、政府や他の主要政治勢力との間で即時停戦や1カ月以内の実務
型内閣樹立を盛り込んだ合意文書に署名。国連が仲介した。
○国連が定めた「国際平和デー」。広島平和文化センターは平和記念公園で、
核兵器廃絶を訴える記念行事を開いた。2012年から市などが開き、3
回目。二つの県被団協と県生協連合会、平和活動に取り組む高校生たち計
約30人が参加した。
9月22日
○米軍は、シリア領内のイスラム過激派「イスラム国」の拠点を、友好関係
にあるアラブの有志国5カ国と共同で空爆した。8月に開始したイラクで
の空爆に続く武力行使で、シリアでは初めて。
○エボラ出血熱の犠牲者が1400人を超えた西アフリカ・リベリアのサー
リーフ大統領が、9月10日付で安倍晋三首相に書簡を送り、感染者治療
のため自衛隊などからなる緊急医療隊の派遣を要請したことが分かった。
9月23日
○地球温暖化対策について話し合う国連気候変動サミットが、国連本部で開
かれた。潘基文事務総長は「気候変動はわれわれの現在を決定づける問題
だ。われわれの対応が未来を決める」と述べ、全ての国が対策に乗り出す
よう求めた。米国や中国を含む多くの国が2015年年3月までに202
0年以降の温室効果ガス排出量の削減目標案を出すと表明。
○日中両政府は、双方の関係当局が東シナ海での危機管理や協力の在り方に
ついて話し合う「日中高級事務レベル海洋協議」を中国山東省青島市で開
催した。24日まで。沖縄県・尖閣諸島をめぐる対立を背景に緊張が続く
東シナ海での不測の事態発生を回避するため、対話を継続する方針で一致。
9月24日
○国連安全保障理事会は、首脳級特別会合を開き、
「イスラム国」など過激派
の戦闘に参加する外国人の処罰を加盟国に義務付ける決議案を全会一致
で採択した。
○ロシアのセルゲイ・イワノフ大統領府長官が、特別機で北方領土・択捉島
を訪問、9月22日に開港した新空港を視察した。ロシアの閣僚級要人に
よる北方領土訪問は2年ぶり。プーチン大統領の最側近の一人であるイワ
ノフ氏の訪問は北方領土の実効支配を誇示するもので、日本政府はロシア
212
に抗議した。
○政府は、ウクライナ情勢を踏まえ、ロシア最大手銀行ズベルバンクを含む
5つの金融機関による日本での証券発行の制限を柱とする対ロ追加経済
制裁の措置を閣議了解し、同日付で発動した。
9月25日
○安倍晋三首相は、米ニューヨークの国連本部で演説。イラクやシリアで勢
力を拡大する過激派「イスラム国」を「国際秩序に対する重大な脅威」と
位置付け、パレスチナ自治区ガザの復興なども含めて中東全域へ総額5千
万ドル(約54億6千万円)の緊急支援を表明。
○日米など先進7カ国(G7)と欧州連合(EU)は、ニューヨークで外相
会合を開き、イラクやシリアで勢力を拡大する過激派「イスラム国」壊滅
に向け、軍事行動を含めた米主導の包括戦略に支持を表明。イスラム国な
どに対し、日本人を含む、拘束している外国人らの即時かつ無条件の解放
を要求した。
○国連安全保障理事会の常任理事国入りを目標に掲げる日本、ドイツ、イン
ド、ブラジルの4カ国(G4)は、ニューヨークで外相会合を開催した。
国連創設70周年の来年に向け、結束して安保理改革に取り組む方針で一
致した。
9月26日
○安倍晋三首相は、米ニューヨークの国連本部で開かれた国連平和維持活動
(PKO)に関するハイレベル会合で演説。自衛隊のPKO参加について
「さらなる貢献を検討する」と述べ、自衛官を現地司令官など重要ポスト
へ派遣することに意欲を表明。政情が不安定化するアフリカでのPKOを
支援する方針を明らかにした。
○包括的核実験禁止条約(CTBT)に関する外相会合が、ニューヨークの
国連本部で開かれ、CTBTの早期発効と、全ての国に対して爆発が伴う
核実験を実施しないよう求める共同閣僚声明を採択した。岸田文雄外相は
演説で、核爆発を伴う核実験禁止を目指す包括的核実験禁止条約機構の
「賢人会議」について2015年に被爆地・広島での初開催を表明した。
○世界保健機関(WHO)は、西アフリカで感染拡大が続いているエボラ出
血熱による死者(疑いを含む)が9月23日までに3千人を超えたと発表
した。
○英議会は、過激派「イスラム国」に対するイラクでの空爆への参加を求め
る政府の動議を賛成多数で承認した。キプロスの英基地に配備されている
戦闘機6機を派遣。
○国連が初めて定めた「核兵器の全面廃絶のための国際デー」。日本原水協や
ピースボートが東京都内で関連イベントを開いた。日本被団協も声明を出
し、核兵器廃絶への機運を盛り上げた。
9月27日
○香港中心部の政府合同庁舎前で、行政長官選挙制度改革をめぐる中国の決
定に反発する学生や高校生ら数千人が車道などを占拠し、抗議行動を続け
た。多数の警官隊とにらみ合いになり、一部で小競り合いが起きて警官4
人を含む34人が負傷、計74人が逮捕された。
9月28日
○香港の次期長官選挙の制度改革をめぐり、民主派は、金融街「セントラル
(中環)」を占拠する大規模抗議行動の始動を宣言した。中環の隣接地区
で学生ら約5万人(主催者発表)が主要幹線道路を、ほか2万人が政府本
213
部庁舎前を占拠。
○日本とスイスの国交樹立150周年を記念し、スイスの首都ベルンの広場
で、浮世絵などの巨大な映像を床面に映し出す光のイベント「TRANJ
S(トランジス)」が開催された。落ち着いた街並みが幻想的な雰囲気に
包まれた。
○東京都が主催する「原爆犠牲者追悼のつどい」が、葛飾区の区地域産業振
興会館であった。遺族や被爆者、国会議員、都議たち約180人が参加。
69年前に被爆し、亡くなった人たちの冥福を祈った。東京の慰霊式典は
1965年から東友会が続けてきたが、被爆者の高齢化に伴い2013年
から都が引き継いだ。都内の被爆者は2014年3月末現在で6261人。
9月29日
○日本と北朝鮮は、外務省局長級による政府間協議を中国で開いた。拉致被
害者らの再調査の報告時期について合意はなかったが、協議を継続してい
く方針で一致。日本側は、拉致問題は最重要課題として優先的な調査と早
期の報告を要求。北朝鮮側は日本独自の経済制裁の追加解除を求めた。
○スペインの憲法裁判所は、北東部カタルーニャ自治州が分離・独立の是非
を問うため2014年11月9日に実施するとした住民投票について、当
面、差し止めるとの命令を出した。これを受け、自治州政府は9月30日、
住民投票の準備手続きを停止した。
○ロシア東部軍管区は、太平洋戦争の終戦直後に日本軍とソ連軍が激戦を展
開した千島列島北部のシュムシュ島(占守島)を訪れたロシアの戦史調査
団が、日本兵とみられる未埋葬の遺骨5体を発見したと明らかにした。
○広島県や広島市などでつくる放射線被曝者医療国際協力推進協議会(HI
CARE)が招いた韓国の医師や看護師たち14人が、広島市で研修を始
めた。10月1日まで放射線医療の現状などを学ぶ。
9月30日
○米国とアフガニスタンの両政府は、2015年以降の米軍駐留継続を可能
にする「安全保障協定」に署名した。米軍は2014年末までにアフガン
での戦闘任務を終えるが、一部の部隊を引き続き駐留させ、アフガン国軍
の訓練や対テロ作戦の支援に当たる。
○米疾病対策センター(CDC)は、西アフリカのリベリアから米国に渡航
し、テキサス州ダラスの病院の隔離施設に収容中の男性患者が、エボラ出
血熱に感染していることを確認したと発表した。
○軍縮の専門家を育成する目的で国連が主催する「国連軍縮フェローシップ
計画」の研修生が、広島で研修を行った。平和記念公園などで、原爆被害
の実態や核兵器廃絶に向けた市の取り組みを学ぶ。アジア、アフリカなど
を中心にした23カ国の23人。10月2日までの3日間。
10月
1日
○北大西洋条約機構(NATO)の13代目事務総長にノルウェー前首相の
イエンス・ストルテンベルグ氏が就任。ブリュッセルのNATO本部で会
見し、ウクライナ情勢をめぐり「ロシアは依然、ウクライナを不安定化で
きる態勢を保っている」と批判、ロシアに対応を改めるよう求めた。
○政府は、東京電力福島第1原発事故に伴い福島県川内村(人口約2700
人)の東部に設定されている避難指示区域のうち、年間被曝線量が20m
mSv以下の「避難指示解除準備区域」(139世帯275人)について
除染で放射線量が下がったなどとして避難指示を解除した。
214
10月
2日
○トルコ国会は、過激派「イスラム国」に対抗するため、トルコ軍によるイ
ラク、シリアでの越境軍事作戦と、外国部隊の受け入れの許可を求める政
府提出の動議を賛成多数で承認した。
○原水禁国民会議と米国の民間団体「憂慮する科学者同盟」
(UCS)による
核兵器問題の研究会が、東京都内であった。日米の関係者が、核兵器廃絶
に向けた具体的なステップなどについて意見交換した。
○戦後の平和をリードした国際政治学者で東大名誉教授の坂本義和さんが死
去。87歳。
10月
3日
○オーストラリアのアボット首相は、首都キャンベラで記者会見し、イラク
での過激派「イスラム国」に対する有志国連合の空爆に参加すると表明。
○広島県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会(高野正明会長)は、臨時の
代表者会議を安芸太田町で開き、黒い雨被害に対する国の援護対象区域の
拡大を求め、集団訴訟に取り組むことを決めた。
10月
6日
○スペイン保健省は、エボラ出血熱の患者を受け入れたマドリードの病院に
勤務する女性看護師がエボラ熱に感染したことを確認したと発表した。患
者から院内感染した可能性が高い。アフリカ大陸以外が感染場所とみられ
る初のケース。
○ネパールのマヘンド・バハドゥル・パンディ外相が、広島市役所で松井一
實市長と面会した。平和問題に加え、同国で8月に発生した土砂災害につ
いて意見を交わした。パンディ外相は「広島は人類の文明と創造力でよみ
がえった都市だと思う。世界に平和を発信してほしい」と期待。松井市長
はネパールで続いた内戦を踏まえ「広島も苦難を乗り越えて平和を構築し
た」と応じ、協力姿勢を示した。
○本財団第2回理事会を開催。
10月
7日
○オランダ国防省は、同国軍のF16戦闘機が、イラクで過激派「イスラム
国」に対し、初の空爆を実施したと発表した。イラク北部でクルド自治政
府の治安部隊を攻撃していた武装車両を爆撃した。オランダは予備機2機
を含め8機のF16をイラクでの空爆作戦に派遣。
○北朝鮮の警備艇1隻が、黄海の北方限界線(NLL)を超えて南側海域に
侵入。韓国軍が海に向けて警告射撃を行ったのに対し、北朝鮮も海に射撃
し、韓国側が再び射撃した。
10月
8日
○日米両政府は、防衛協力指針(ガイドライン)改定に向け中間報告を決定、
公表した。安倍政権が7月に閣議決定した集団的自衛権の行使容認を踏ま
えた協力を新指針に「適切に反映」させると明記。
○中国共産党中央宣伝部が中国国内の報道機関に対し、香港で続く次期行政
長官選への民主派参加を求める大規模デモの経緯や写真などを「不良情
報」とし、伝えないように通達していたことが判明。
○韓国のソウル中央地検は、産経新聞がウェブサイトに掲載した朴槿恵大統
領の動静に関する記事が朴氏の名誉を毀損したとして、記事を書いた加藤
達也・同紙前ソウル支局長を、インターネットを使った不正行為を規制す
る情報通信網法違反罪で在宅起訴した。
10月
9日
○日本政府は、韓国のソウル中央地検が朴槿恵大統領に関する記事をめぐり
産経新聞の加藤達也前ソウル支局長を在宅起訴したことについて、韓国駐
215
日公使を外務省に呼んで「事態を深く憂慮している」と伝え、抗議した。
韓国側は「日韓関係全体とは無関係だ」と説明。
○香港大規模デモで、政府ナンバー2の林鄭月娥政務官は、10月10日に
予定されていた学生側との正式対話の開催を見送ると発表。これに先立ち、
デモを主導する学生団体などは、政府側が対話に誠意を持って応じなけれ
ば幹線道などの占拠をさらに拡大すると警告していた。
○広島県出身の被爆者で、ポルトガル水泳代表チームの元監督、リスボン在
住の横地森太郎さんが、原爆の熱線で溶けた釘の塊を平和記念資料館に寄
贈した。造船職人だった父があの日、舟入幸町で拾った和船用とみられる。
約半世紀、異国で被爆の実態を伝えるのに役立ててきたが、「非戦の思い
を広めたい」と被爆地に託した。
10月10日
○ノルウェーのノーベル賞委員会は、2014年のノーベル平和賞を、パキ
スタンで女子教育の権利を求め、12年に銃撃されたマララ・ユスフザイ
さんと、児童労働根絶に取り組むインドの活動家の男性、カイラシュ・サ
トヤルティさんの2人に授与すると発表した。
○世界保健機関(WHO)は、西アフリカを中心に流行するエボラ出血熱の
死者(疑い例を含む)が10月8日までに4千人を超えたと発表した。9
月5日に死者2千人を超えてから、わずか約1カ月で倍増。
○政府は、アルカイダや過激派「イスラム国」など国際テロ組織や幹部が、
日本国内で金融や不動産取引をすることを規制し、財産を凍結する新法案
を閣議決定した。
○島根県議会は、日韓両国が領有権を主張する島根県の竹島(韓国名・独島)
について、2005年に独自に制定した「竹島の日」の閣議決定を政府に
求める超党派の意見書を賛成多数で可決した。
○山口県議会は、本会議を開き、従軍慰安婦問題で「国内外に広がったいわ
れなき批判や誤った認識の是正」を国に求める意見書案を、賛成多数で可
決した。
10月11日
○ロシアのプーチン大統領は、ショイグ国防相に対し、ウクライナ東部と国
境を接する南部ロストフ州を含む南部軍管区に展開していたロシア軍部
隊の撤退を開始するよう指示した。
○被爆地広島の戦後の復興過程を研究した、広島県と広島市の連携事業の成
果発表会が、広島県情報プラザであった。2014年3月にまとめた報告
書の執筆者8人が、戦後の都市計画や平和行政の歩みなどについて解説。
約150人が聞き入った。報告書は「広島の復興経験を生かすために
廃
墟からの再生」。内容は広島県のホームページで読むことができる。
10月12日
○米国で初めてエボラ出血熱と診断されたリベリア人男性の治療に関わって
いた南部テキサス州ダラスの病院の医療スタッフ1人が、エボラ熱に陽性
反応を示したと、同州保健当局が発表。
○パキスタンのイスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」分
派グループ「ジャマト・ウル・アハラル」は、マララ・ユスフザイさんの
ノーベル賞受賞が決まったことに関連し「イスラムの敵には鋭いナイフを
用意している」と警告、今後も攻撃を続けることを示唆した。
○香港の梁振英行政長官は、次期長官選挙で民主派を事実上排除した中国の
216
決定撤回は「不可能だ」とあらためて強調、撤回を求めて大規模デモを続
ける学生団体「香港専上学生聯会(学聯)」などに受け入れを迫った。
10月14日
○香港大規模デモで香港警察は、デモ隊の最大拠点であるアドミラリティ(金
鐘)の一部の幹線道で、学生らが設置していた鉄柵を撤去。徹夜のために
デモ隊が使用していた路上のテントなども取り除いて開通させた。
○政府は閣議で、国の機密漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法をめぐり、特
定秘密の指定や解除の在り方を定めた運用基準と、法施行日を2014年
12月10日とする政令を決定。
○8月の広島市の土砂災害を受け、政府は閣議で、土砂災害防止法改正案を
決定した。重点対策を講じる警戒区域の指定を促すため、指定のための基
礎調査の結果公表を都道府県に義務付けるのが柱。
10月15日
○今のまま温室効果ガスの排出が続くと、今世紀末には世界の平均気温が最
大4.8度上昇し、人間社会や生態系に「厳しく、取り戻せない悪影響が
及ぶ可能性が増す」と指摘した国連の気候変動に関する政府間パネル(I
PCC)の統合報告書最終案の全容が判明。
○過激派「イスラム国」は10月15日までに、インターネット上に掲載し
た機関紙で、イラクで拉致したクルド民族少数派ヤジド派の女性や子供を
人身売買していることを認め、「奴隷制の復活」を宣言した。
○韓国と北朝鮮の軍事当局者が、南北軍事境界線がある板門店で非公開協議
を行った。南北の軍事当局間の協議は、2011年2月に高官級軍事会談
の予備会談を行って以来3年8カ月ぶりで、南北の現政権発足後は初めて。
○広島市は、広島県と連名で、被爆70年の2015年に国連軍縮会議を広
島市で開くよう求める要請書を国連へ発送した。開催時期は8月上旬とし、
各国の為政者にも参加を呼び掛けるよう求めた。
10月16日
○旧日本軍の従軍慰安婦を「性奴隷」と表現した1996年の国連報告書に
関し、日本政府が「事実に反する点がある」として、報告書をまとめたク
マラスワミ元報告者に内容の一部撤回を求めたことが分かった。
○沖縄にあった琉球米陸軍司令部が1947年、海兵隊移管前で休止状態だ
った普天間飛行場(現在の沖縄県宜野湾市)について、稼働すれば近接す
る陸軍基地の拡張予定地に「危険と不快な騒音」が生じるとして、陸軍の
航空部門(現空軍)による使用を控えるよう要請していたことが、秘密指
定を解除された米公文書で分かった。
○1964年10月16日、中国が初の核実験に成功した際、台湾総裁だっ
た蔣介石が危機感を抱き、中国核施設への先制攻撃を計画、当時のジョン
ソン米政権に支援を求めていたことが、機密指定を解除された米公文書か
ら明らかになった。
10月17日
○イタリア北部ミラノで開かれたアジアと欧州の約50の国・機関が参加す
るアジア欧州会議(ASEM)の首脳会議は、感染拡大が深刻なエボラ出
血熱や、過激派「イスラム国」への対応など世界的な課題に対する連携強
化を確認し、2日間の日程を終えて閉幕した。
○ナイジェリア軍と大統領府は、イスラム過激派ボコ・ハラムと停戦合意に
達したと発表した。
10月18日
○広島県は、南米5カ国に、現地の被爆者の健康診断をする医師団を派遣し
217
た。県と広島市の職員も同行。原爆症認定や医療費の助成など、援護制度
の利用相談に乗る。帰国は11月1日。
○広島の被爆者の取材を原点に日本の戦後を問い続けてきた報道写真家、福
島菊次郎さんの写真展が、広島市の旧日本銀行広島支店で始まった。23
日まで。「写らなかった戦後ヒロシマの嘘」と題し、写真パネル60枚を
展示。10月23日まで。
10月19日
○米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の垂直離着陸輸送機MV22オスプ
レイ2機が、南海トラフ巨大地震を想定した和歌山県の津波災害対応訓練
に参加した。自治体主催の防災訓練に使用されるのは初。海上自衛隊の護
衛艦に着艦した。
10月20日
○日本やニュージーランドなど155カ国・地域は、核兵器の非人道性を訴
える声明を国連総会第1委員会(軍縮)会合で発表した。同趣旨の共同声
明は5度目。賛同国・地域数は過去最多で、国連加盟国の約8割を占めた。
○日米両政府は、在日米軍基地への環境調査に関する新協定について「実質
合意した」と共同発表した。米軍が日本側関係者の基地内への立ち入りを
認めることを柱とする。
○南米5カ国を巡って現地の被爆者を診る広島県の医師団が、最初の訪問地
であるブラジル・サンパウロ市の病院で健康相談をスタートした。同国に
住む70~90歳代の38人が参加。
10月21日
○香港大規模デモを主導する学生団体と香港政府は、香港島南部の専門学校
で、事態打開に向け正式対話を行った。2017年の次期行政長官選挙へ
の民主派の参加をめぐり対立、双方の意見の隔たりが改めて鮮明になった。
○米政府は、北朝鮮で半年近く拘束されていた米国人男性ジェフリー・ファ
ウル氏が解放されたと発表した。ファウル氏は10月22日に地元の米中
西部オハイオ州に戻り、家族と再会した。
○日本とスイスの国交樹立150年に合わせ、ジュネーブ州政府の公式楽団
ランドベール音楽隊が、平和記念公園を訪れた。被爆後の広島に医療品を
届け、治療にも当たったスイス人医師マルセル・ジュノー博士の功績をた
たえる式典を市と合同で開き、平和への祈りを込めて曲を奏でた。
10月22日
○カナダの首都オタワの連邦議会議事堂で銃撃戦があり、付近で兵士1人が
撃たれた事件について、ハーパー首相はテロとの認識を示し、「カナダを
安全にするためあらゆる措置を取る」と表明した。警察は兵士と実行犯の
男の計2人が死亡したと発表。
○東京電力は、水素爆発で大破した福島第1原発1号機原子炉建屋に設置し
ていた建屋カバーについて、解体に向けた作業に着手したと発表した。解
体後、建屋上部に残るがれきを撤去し、2017年度中に使用済み核燃料
プールに保管されている392体の燃料取り出し開始を目指す。
10月23日
○旧日本陸軍の毒ガス製造工場があった広島県の大久野島で、毒ガス障害死
没者慰霊式があった。遺族たち約160人が参列。故人の冥福を祈るとと
もに、悲劇を繰り返さないと誓った。
○米韓両政府は、韓国軍の有事作戦統制権を米軍主導の米韓連合軍から韓国
軍に移管する時期について、ミサイル開発を続ける北朝鮮の脅威に対処す
る防衛能力が韓国側に整うまで延期することで合意した。
218
10月24日
○米疾病対策センター(CDC)は、エボラ出血熱検査で陽性となりニュー
ヨークの病院で隔離治療中の男性医師について、感染を確認したと明らか
にした。男性は帰国後、地下鉄などの公共交通機関を利用していた。
○エジプト北東部シナイ半島のアリーシュ近郊にある軍検問所で、自動車爆
弾などを使ったテロがあり、少なくとも兵士30人が死亡、28人が負傷
した。軍に対する1度の攻撃による被害としては近年最悪規模。シシ大統
領は国防評議会を緊急招集し、シナイ半島北部に3カ月間の非常事態宣言
を出した。
10月25日
○世界保健機関(WHO)は、西アフリカを中心に流行するエボラ出血熱の
感染者(疑い例を含む)が10月23日までに計8カ国で1万141人に
達したと発表した。うち死者は4922人。マリが新たな感染国に加わっ
た。
○広島市留学生会館で広島市の姉妹・友好都市を紹介する「重慶の日」記念
イベントが行われた。会場内には留学生との交流や中国組み紐の体験がで
きるコーナー等もあり、約200人の来場者は、楽しみながら重慶市や中
国への理解を深めた。
○「ひろしま日本語教室ボランティア研修会」を開講。ボランティアのスキ
ルアップと、関心のある市民が活動を始めるきっかけとなることを目的と
した全3回の講座。
10月27日
○ウクライナの最高会議(議会、定数450)繰り上げ選挙は開票され、ポ
ロシェンコ大統領の「ポロシェンコ連合」、ヤツェニュク首相の「国民戦
線」など欧州統合路線を掲げる親欧米4政党が圧勝した。
○平和構築分野の研究者によるシンポジウムが、広島市立大学であり、学生
たち約50人が世界情勢などを学んだ。平和研究で知られる英国ブラッド
フォード大学のクリストフ・ブルース教授は、台頭する中国は米国との経
済協力を深めている現状を指摘。「軍事上の問題をすぐに起こすとは考え
にくい」と述べ、多角的な視点から安全保障をみる大切さを強調した。
○国連は、北朝鮮の人権問題に関する国連特別報告者のダルスマン氏(イン
ドネシア)の国連総会(193カ国)に対する報告書を公表した。北朝鮮
に対し、全ての拉致被害者やその子供を直ちに出身国に帰国させるよう要
求する内容。
10月28日
○旧日本軍が中国に遺棄した化学兵器による被害者を継続的に支援するため、
日本の弁護士グループと中国の民間団体「中国人権発展基金会」は、黒竜
江省ハルビン市で、被害者の救済基金を年内に設立するとの合意文書に署
名した。日本側によると、遺棄化学兵器で中国側が関与する基金設立は初
めて。
10月29日
○国連総会第1委員会(軍縮)は、日本が主導した核兵器廃絶決議案を16
3カ国の賛成多数で採択した。同様の決議は21年連続。日本の国連代表
部によると、共同提案国は核保有国の米英両国など110カ国を超え、史
上最多となった。
○世界保健機関(WHO)のエイルワード事務局長補は、ジュネーブでの記
者会見で、西アフリカを中心に流行するエボラ出血熱の死者(疑い例を含
む)が5千人を超えたとみられると明らかにした。約1カ月半で倍増、流
219
行はなお拡大。死者を含む感染者数は1万3703人に達した。
○国賓として来日しているオランダのウィレム・アレクサンダー国王夫妻を
歓迎する天皇、皇后両陛下主催の宮中晩さん会が、皇居・宮殿の大食堂「豊
明殿」で開かれた。晩さん会には皇太子ご夫妻、秋篠宮両ご夫妻ら皇族の
ほか、安倍晋三首相夫妻や閣僚ら約160人が出席。
○平壌を訪問中の日本政府代表団は、拉致被害者らの再調査をめぐり、北朝
鮮の特別調査委員会側と協議を行い、徐大河委員長に対し、安否不明の拉
致被害者12人の再調査が最重要と重ねて提起。迅速な調査と報告をあら
ためて求めた。北朝鮮側から新しい情報の提示はなかった。日本人遺骨問
題を担当する分科会責任者は「全面的調査を実施した」として、埋葬場所
などについて説明した。
10月31日
○昭和天皇の戦争責任に言及し、右翼から銃撃された元長崎市長の本島等氏
が死去。92歳。
11月
1日
○西アフリカ・ブルキナファソで、事実上のクーデターを起こした軍は、幹
部らを集めた会議を開催し、大統領警備隊を指揮するジダ中佐が移行期の
トップとして全会一致で支持されたとの声明を発表した。
11月
2日
○国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、地球温暖化の深刻
な悪影響を避けるために、今世紀末に温室効果ガスの排出量をほぼゼロに
する必要があると指摘した統合報告書を発表した。報告書の改定は7年ぶ
り。
○事実上の軍事クーデターがあった西アフリカ・ブルキナファソで、軍によ
って移行政権の指導者に選ばれたジダ中佐と野党指導者らが会談、その後
に軍は声明で挙国一致政府の樹立を約束すると発表した。
11月
3日
○ウクライナ東部2州の親ロシア派組織「ドネツク人民共和国」と「ルガン
スク人民共和国」は、それぞれの「元首」に相当する首長と議員を選ぶ独
自の選挙を実施。各組織で指導者を務める2人がそれぞれの「元首」に相
当する首長選で当選したと発表した。
○ウクライナのポロシェンコ大統領は、東部2州の親ロシア派が「独立国家」
として独自選挙を強行したことを受け、親ロ派の支配地域に「特別な地位」
を付与し大幅な自治権を認める法律を取り消す方針を明らかにした。
11月
4日
○菅義偉官房長官は、サンゴ密漁を狙った多数の中国船とみられる外国船が
小笠原、伊豆諸島沖に押し寄せている問題について「現在も周辺海域で約
200隻を超える外国漁船が確認されている」と明らかにした。政府は環
境保護から治安、対中外交まで見据えた「総合的な対応」に乗り出す必要
があると判断し、関係省庁を通じた取り組みを本格化。
○米エネルギー省傘下の核安全保障局(NNSA)は、少量のプルトニウム
と「Zマシン」と呼ばれる特殊装置で核兵器の性能を調べる実験を、9月
と10月に計2回、ニューメキシコ州のサンディア国立研究所でしていた
と明らかにした。
○国連総会第1委員会(軍縮)は、全ての国に対し「早期の核兵器禁止条約
の妥結」につながる多国間交渉を開始するよう求める決議案を、109カ
国の賛成により採択した。米英両国やロシアなどの核保有国が反対し、日
本は棄権に回った。
220
○米国が核兵器の性能を調べる実験を9月、10月に繰り返していたことを
明かしたことを受けて、広島県や広島市はオバマ大統領に抗議文書を送っ
た。
11月
5日
○世界保健機関(WHO)は、西アフリカを中心に流行するエボラ出血熱の
感染者(疑い例を含む)が2日までに8カ国で1万3042人に達し、う
ち4818人が死亡したとの集計を発表。
○「津波防災の日」。政府は、南海トラフ巨大地震などで、緊急地震速報を企
業や地方自治体に伝える訓練を実施した。全国約千自治体でも、防災無線
や衛星携帯電話を使って住民らに地震の情報を知らせた。政府が中心とな
り同日に津波防災訓練をするのは初めて。
○米国が核兵器の性能を確かめる実験を9月、10月に計2回したのに抗議
し、広島県被団協(坪井直理事長)や連合広島など12団体でつくる核兵
器廃絶広島平和連絡会議は、平和記念資料館前で座り込みをした。
11月
6日
○ロンドンを拠点とする国際環境保護団体「環境調査エージェンシー(EI
A)」は、中国の犯罪集団が、2013年3月の習近平国家主席や中国政
財界幹部によるタンザニア公式訪問を利用し、大量の象牙をタンザニアで
買い付けて不法に持ち出したとする報告を発表した。
○ブラジルなど南米5カ国の被爆者の健康診断のため広島県が派遣した医師
団が、県庁で帰国記者会見をした。被爆者の高齢化が進み、8都市で開い
た健診に訪れた人は過去最少の79人だった。
○被爆者の体験集を出版し、広島市に寄付したNPO法人HPS国際ボラン
ティアが、市から感謝状を贈られた。「ようきんさった
原爆ドームは語
る」の題で、A4判、72ページ。原爆投下直後の惨状や復興に関する被
爆者たち11人の証言を掲載した。
○広島で被爆後にブラジルへ移住し、南米の被爆者運動の先頭に立ってきた
サンパウロ市在住の森田隆さんが、広島国際会議場で、国立広島原爆死没
者追悼平和祈念館による原爆者証言ビデオの収録に応じた。日本国内と在
外との援護格差をなくすための闘いを振り返り、平和への思いを熱く語っ
た。
11月
8日
○ブラジル被爆者平和協会は、結成30周年を機に、証言集「南米在住ヒバ
クシャ
魂の叫び」を発刊した。一時帰国中の森田隆会長たちが、広島市
役所で披露した。A5判、247ページ。亡くなった人も含め同国やパラ
グアイなどに移住した90人による、主に1987年以降の手記を集めた。
○北京訪問中の岸田文雄外相は、中国の王毅外相と会談し、中断状態の閣僚
級「日中ハイレベル経済対話」や外務次官級戦略対話を含む政府間対話を
早期に再開する方向で一致した。また、中国船によるサンゴ密漁問題に関
し遺憾の意を伝えた上で日中連携による対処を要請した。密漁問題につい
て王氏は「必要な措置を取っている」と説明。岸田氏は「取り締まりの実
効性を上げることが大事で、両国の関係当局間の連携を強化したい」と呼
び掛けた。
○米政府は、北朝鮮で拘束されていた米国人男性ぺ・ジュンホ氏とマシュー・
ミラー氏が解放され、帰国の途に就いたと発表した。10月21日には別
の米国人男性ジェフリー・ファウル氏の解放が発表されており、北朝鮮で
221
拘束されていた米国人は全員解放された。
○広島駅南口地下イベント広場で広島市の姉妹・友好都市を紹介する「ホノ
ルルの日」記念イベントを開催。会場内では、ハワイアングッズの展示販
売やリボンレイの制作体験もあり、約500人の市民が、ホノルル市につ
いて楽しみながら理解を深めた。
11月
9日
○冷戦の象徴だった「ベルリンの壁」崩壊から25年を迎えた。かつて壁が
あった場所に光る風船を並べたイベントでは、東西ドイツ統一の象徴のブ
ランデンブルク門を起点に次々と風船を空に放ち再現。大勢の市民が繰り
出し、自由と平和への思いを新たにした。門近くの特設ステージにはメル
ケル首相のほか、冷戦終結の立役者のゴルバチョフ元ソ連大統領らが登壇
した。
11月10日
○広島県や広島市でつくる放射線被曝者医療国際協力推進協議会(HICA
RE)が招いた米国・ハワイ州の看護師2人が、広島市内で研修を始めた。
14日まで、放射線医療の現状などを学ぶ。
○広島市の松井一實市長が会長を務める平和首長会議の第4回国内加盟都
市会議が10日、長野県松本市のホテルで2日間の日程で開幕した。11
日まで。核兵器をめぐる最近の国際情勢を踏まえ、平和首長会議の役割な
どについて議論。
11月11日
○中国・北京で開催していたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会
議は、域内全域を包括するアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想の
実現に向けた「工程表」を承認し「可能な限り早期」の実現を目指すとし
た宣言を採択し閉幕した。
○長野県松本市で開かれていた平和首長会議(会長・松井一實広島市長)の
国内加盟都市会議は、2日間の日程を終えた。被爆70年に向け、日本政
府が核兵器禁止条約の交渉開始を迫る動きの先頭に立つよう、安倍晋三首
相に要請することを決めた。
○ドイツ国内の博物館で青少年教育事業を担当する職員7人が平和記念資
料館を訪問。日独青少年指導者セミナー「博物館における青少年教育」の
一環で来日。
11月12日
○安倍晋三首相は、ミャンマーの首都ネピドーで、日本と東南アジア諸国連
合(ASEAN)加盟10カ国との首脳会議を開き、テロやマネーロンダ
リング(資金洗浄)などの国境を超える犯罪に協力して対処することを柱
とする共同宣言を採択した。
○北京で2日間にわたり行われたオバマ米大統領と中国の習近平国家主席の
首脳会談が終了。オバマ氏は会談後、米国の温室効果ガス排出量を202
5年までに2005年比で26~28%削減する新目標を発表。習氏も国
内のニ酸化炭素(CO 2 )排出量を、30年ごろをピークに減少させる目
標を表明した。
○世界保健機関(WHO)は、西アフリカを中心に流行するエボラ出血熱の
感染者(疑い例を含む)が11月9日までに8カ国で1万4098人に達
し、うち5160人が死亡したとの集計を発表、死者が5千人を超えたこ
とが公式に確認された。
○8月に起きた広島市の土砂災害を受けた改正土砂災害防止法は、参院本会
222
議で全会一致で可決、成立した。広島市の災害現場の多くが対策を重点化
する「警戒区域」に未指定だったことを教訓に、指定に必要な基礎調査が
進まない都道府県には国が是正要求できるようにした。
○政府は、東京電力福島第1原発事故をめぐり、政府の事故調査・検証委員
会が関係者から当時の状況を聞いた「聴取結果書(調書)」のうち、寺田
学元首相補佐官ら56人分を新たに公開した。
○国内外で英語での被爆証言に力を尽くした、「ひろしまを語り継ぐ教師の
会」会長の被爆者、松島圭次郎氏が死去。85歳。
11月15日
○日米欧に中国などの新興国を加えた20カ国・地域(G20)首脳会合が、
オーストラリアのブリスベンで2日間の日程で開幕。世界経済を底上げす
る成長戦略などを協議
11月16日
○安倍晋三首相と米国のオバマ大統領、オーストラリアのアボット首相は、
3カ国首脳会談をオーストラリア・ブリスベン市内で開き、中国の海洋進
出などを念頭に、安全保障分野で連携を強化する方針で一致した。会談後、
領有権紛争の平和的解決の重要性を確認した共同文書を発表。
○任期満了に伴う沖縄県知事選が投開票され、米軍普天間飛行場(宜野湾市)
の名護市辺野古移設に反対する無所属新人の前那覇市長翁長雄志氏が、移
設手続きを進めて3選を目指した無所属現職の仲井真弘多氏ら3人を大
差で破り初当選した。
○公益財団法人ヒロシマ・ピース・センターは、カナダ・トロント市在住の
被爆者で、原爆の悲惨さやヒロシマ歩みを発信してきたサーロー節子さん
に第26回谷本清平和賞を贈った。英語で体験証言を続け、原爆の悲惨さ
を世界に発信してきた功績を評価した。
○国際支援などに取り組む市民や団体が集う「国際交流・協力の日」を、広
島国際会議場、平和大通り緑地帯などを会場に開催。母国ルワンダで原爆
展を開いたNPO法人理事長の永遠瑠マリールイズさんが講演し、悲劇を
伝え続ける大切さを訴えた。
11月17日
○従軍慰安婦問題をめぐり、北海道新聞社は、朝鮮人女性の強制連行を告白
した故吉田清治氏の証言内容は「信ぴょう性が薄いと判断した」として当
時の記事を取り消して1面で謝罪、2ページにわたる慰安婦問題の特集記
事を掲載した。
○カナダ・トロント市に住み、広島での被爆体験を英語で発信しているサー
ロー節子さんが、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館で、証言ビデオを収
録した。被爆者に対する差別や無関心が根深い海外で核兵器廃絶を訴えて
きた戦後を振り返り、「非人道兵器を後世に残さないよう、一人一人が行
動することが大切」とちから強く呼び掛けた。
11月18日
○国連総会第3委員会(人権)は、日本や欧州連合(EU)が提出した北朝
鮮の人権侵害を非難し拉致問題の解決などを求める決議案を賛成多数で
採択した。同種の決議は10年連続。今回は安全保障理事会に対し、人権
侵害の国際刑事裁判所(ICC)への付託を検討するよう初めて促し、こ
れまでで最も厳しい内容となった。
11月19日
○世界保健機関(WHO)は、西アフリカを中心に流行するエボラ出血熱の
感染者(疑い例を含む)が11月16日までに8カ国で1万5145人に
223
達し、うち5420人が死亡したとの集計を発表した。
○原子力規制委員会の有識者調査団は、日本原子力発電敦賀原発2号機(福
井県)の直下を走るD-1断層を「地盤をずらす可能性のある断層(活断
層)」とあらためて認定する評価書の案を取りまとめた。2号機の運転再
開は困難で、原電は廃炉の決断を迫られる。
○広島での被爆体験を英語で証言しているカナダ・トロント市のサーロー節
子さんが、広島市の「ひろしま平和大使」に任命された。市役所で松井一
實市長から委嘱書を受け取り「核兵器は普遍的な問題。一人一人に関心を
持ってもらえるよう活動したい」と意気込みを語った。
11月20日
○オバマ米大統領は、国民向けに演説し、議会の承認を必要としない大統領
権限を行使して移民制度改革に乗り出す方針を表明した。不法移民約10
00万人のうち、一定の条件を満たす者に米国滞在を許容する救済措置。
○74人が亡くなった広島市の土砂災害は、発生から3カ月。被災者は、市
のまとめで8692人に上った。市は同日午後5時、安佐南区八木8丁目
の一部で継続していた避難勧告を解除し、土砂災害による避難勧告の発令
地域はなくなった。家屋の解体が進んだ被災地では、遺族や知人たちが花
を手向け、犠牲者を追悼した。
11月21日
○国際軍事専門誌ⅠHSジェーンズ・ディフェンス・ウィークリーは、中国
が南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島の氷暑礁に建設中の「新た
な人工島」とされる画像を公表した。長さ約3000m、幅200m以上
あり、「南シナ海のおける中国初の滑走路用地」と分析。
11月23日
○中高生による被爆ピアノコンサートが、JR広島駅南口地下広場であった。
平和記念資料館で被爆の実態を学ぶ「中・高校生ピースクラブ」が企画し、
約300人が聞き入った。
11月24日
○広島市原爆被害者の会は、結成30周年の記念式を開いた。核保有国の核
実験に抗議する座り込みや体験記の出版を振り返り、2015年の被爆7
0年に向けて核のない世界の実現へ決意を新たにした。被爆者や被爆2世
たち約40人が集まった。
11月25日
○香港九竜地区の繁華街、モンコック(旺角)で、裁判所の執行官らが車道
上に設置されたバリケードの一部を強制撤去し、警察は抵抗したデモ隊の
強制排除に踏み切った。これに反発したデモ隊数百人が周辺に集まり大規
模な衝突が断続的に続き警官3人が負傷、警官隊が催涙スプレーで制圧し
計80人を逮捕した。
11月26日
○欧州連合(EU)欧州議会が優れた人権擁護活動をたたえるサハロフ賞の
授賞式が、フランス東部ストラスブールの同議会で開かれ、コンゴ東部で
性暴力を受けた女性の治療を続ける産婦人科医ドニ・ムクウェゲ氏に賞が
授与された。
○中国新聞社は、被爆体験に根差したヒロシマの訴えを国内外に発信してい
るヒロシマ平和メディアセンターのウェブサイトに、ロシア語を追加した。
日本語、英語、中国語、フランス語に続く5カ国語目。
11月27日
○パリで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)政府間委員会は、
「和紙
日本の手漉和紙技術」の無形文化遺産登録を決めた。昨年の「和食」に続
く登録。
224
○日韓両政府は、ソウルの韓国外務省で局長級協議を開いた。日本外務省の
伊原純一アジア大洋州局長は、朴槿恵大統領の名誉を毀損したとして産経
新聞の加藤達也前ソウル支局長が在宅起訴された問題を取り上げ「報道の
自由、日韓関係の観点から大変遺憾だ」と述べ、韓国側に抗議した。
○「放射線緊急事態への対応の在り方」をめぐって国内外の研究者が議論す
るフォーラムが、広島国際会議場で始まった。放射線災害からの復興を支
える専門家を育てようと、国際原子力機関(IAEA)と広島大学が初め
て企画。学生や市民を含む約90人が参加した。
○平和首長会議議長の松井一實広島市長は、外務省で宇都隆史政務官と面会
し、核兵器禁止条約の早期実現に向けて日本政府のリーダーシップを求め
る要請文を提出した。要請文は、被爆地の長崎市長と、11月10、11
日に開催した同会議国内加盟都市会議の総会のホストになった長野県松
本市長との連名で、安倍晋三首相宛て。
11月28日
○政府は、西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱対策として、防護服など
の個人防護具2万セットを航空自衛隊輸送機でガーナの首都アクラに輸
送することを決めた。エボラ熱対応で自衛隊派遣は初めて。江渡聡徳防衛
相は防衛会議で、自衛隊に派遣命令を出した。
11月29日
○エジプトの刑事裁判所は、2011年の革命の際に反政府デモ参加者の殺
害に関与した罪などに問われた元大統領ムバラク被告のやり直し裁判で、
起訴手続きの不備を理由に公訴を棄却する事実上の無罪判決を言い渡し
た。
○平和記念資料館の展示や調査内容を考察する「資料調査研究会」の発表会
が、広島市まちづくり市民交流プラザであった。専門家5人の見解を約9
0人が聞いた。
11月30日
○中東オマーンの首都マスカットで、「平和都市広島」写真展を開催。在オ
マーン日本国大使館、広島市、広島・オマーン友好協会等との共催。平和
記念資料館の志賀館長が現地を訪問。大型ショッピングセンターの中央広
場を会場とし、広島の原爆被害の実相を伝える写真ポスターとともに、広
島の戦後の復興、平和都市広島の歩み、現在の広島の観光名所等を紹介す
る写真ポスターを展示。被爆の実態と核兵器廃絶への願いを伝える。
12月
1日
○多くの被爆者が住む韓国・慶尚南道陜川郡の被爆者施設の職員たち5人が、
研修のため広島市を訪れた。5日まで滞在し、原爆養護ホームや健診施設
など援護の現場で学ぶ。陜川原爆被害者福祉会館の職員3人と、同館を運
営する大韓赤十字社の担当者2人。
12月
2日
○国連総会(193カ国)本会議は、日本が中心になって呼び掛けた核兵器
廃絶決議案を賛成多数で採択した。同種決議は21年連続。核保有国の米
英両国やフランスを含む170カ国が賛成し、北朝鮮だけが反対した。
○シリア人権監視団(英国)は、内戦が続くシリアで、2011年3月に反
政府運動が本格化して以降の戦闘などによる死者が20万2354人に
達したと発表した。激戦地など集計が困難な地域もあり、監視団は実際の
死者数はさらに多いとみている。
○香港の大規模デモを提唱した戴耀廷香港大准教授ら3人は、デモ隊と警察
の衝突が激化して多くの負傷者が出ていることを受け、幹線道路の占拠を
225
続ける学生らに撤収を呼び掛けた。3人は政府が「違法」と指摘するデモ
の責任を取り、12月3日に警察に出頭すると表明。
12月
4日
○天皇、皇后両陛下は、平和記念公園を訪れ、原爆慰霊碑に花を手向けられ
た。来年の戦後70年を前にした沖縄、長崎に続く「慰霊の旅」の一環。
○原爆ドームの世界遺産登録18年を祝う集会が、ドームの慰霊碑前であっ
た。連合広島や被爆者団体などでつくる核兵器廃絶広島平和連絡会議が主
催。約80人が恒久平和への誓いを新たにした。
○米国デュポール大学が平和記念公園などで「広島・長崎講座」現地学習を
行った。
12月
5日
○米下院本会議は12月5日までに、第2次大戦中に原爆開発を推進した極
秘プロジェクト「マンハッタン計画」と関係が深い米国内の複数の研究施
設周辺などを「国立歴史公園」に指定する法案を賛成多数で可決した。
○中国人民解放軍の専門家が航空自衛隊を中心に日本の戦力を検討した報告
書で、沖縄県・尖閣諸島周辺をめぐる有事を念頭に「日本による制空権の
確保は困難」と断定していることが分かった。日本は作戦機が少なく作戦
持続能力が低いことなどを理由に挙げた。
○沖縄県の仲井真弘多知事は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先、名
護市辺野古沿岸部の埋め立て工事に向け沖縄防衛局が申請した工法変更
3件のうち2件を承認した。
○朝日新聞社の木村伊量社長は、従軍慰安婦報道や東京電力福島第1原発事
故の「吉田調書」報道の取り消しをめぐって謝罪が遅れたことなどの責任
を取り、辞任した。
○世界遺産の原爆ドームで、劣化状況を把握する健全度調査が始まった。広
島市が1992年度から原則3年ごとにしており、今回で8回目。201
5年4月まで足場で覆われる。
12月
6日
○核兵器の非合法化に向けた方策を各国の非政府組織(NGO)が議論する
市民フォーラムが、オーストリア・ウィーンで始まった。日本からも平和
首長会議(会長・松井一實広島市長)や日本被団協、日本原水協が参加。
7日まで。
12月
7日
○1941年に旧日本軍が米ハワイの真珠湾を攻撃してから73年。犠牲者
を追悼する式典が真珠湾に面した公園で開かれた。攻撃が始まった午前7
時55分に約3千人が黙とうをささげた。
12月
8日
○核兵器が人や地球環境に及ぼす影響を議論する「核兵器の非人道性に関す
る国際会議」が、オーストリアの首都ウィーンで始まった。2日間の日程。
核兵器保有5大国では初となる米国と英国を含め、約160カ国が参加。
○米国のアレン・グリーンバーグ駐大阪・着任後初めて広島市を訪れ、市役
所で松井一實市長と懇談した。市が目指す2016年の主要国首脳会議広
島開催について「決まるよう願っている」と述べた。
12月
9日
○オーストリア・ウィーンで開かれている第3回「核兵器の非人道性に関す
る国際会議」は、最終日、一般討論で、日本被団協の田中煕巳事務局長が
日本政府代表として演説。「原子雲の写真を見る時、その下で何万人もの
人々が殺されたことを想像して」と訴えた。会議は2日間の討議内容をま
とめた議長の総括文書を発表し、閉幕。核兵器の全廃を強く求めつつ、非
226
核兵器保有国が求める核兵器の非合法化と、保有国が有効性を訴える段階
的な核軍縮を両論併記した。廃絶の具体的な道筋は示さなかった。
12月10日
○2014年のノーベル賞授賞式が、スウェーデンの首都ストックホルムの
コンサートホールで開かれ、物理学賞を受賞した、省エネで長寿命の照明
に使われる青色の発光ダイオード(LED)を開発した赤崎勇・名城大終
身教授、天野浩・名古屋大教授、中村修二・米カリフォルニア大サンタバ
ーバラ校教授の3人が、カール16世グスタフ国王からメダルと賞状を授
与された。
○ペルーで開催中の気候変動枠組み条約の第20回締約国会議(COP20)
で、望月義夫環境相が演説し、日本の温室効果ガスの排出について「20
50年までに世界で50%減、先進国で80%減らすとの目標をあらため
て掲げ、貢献していく」と述べた。
○政府の重要情報の漏えい防止を目的とする特定秘密保護法が午前0時に施
行された。行政機関は安全保障に著しい支障を与える恐れがある「特定秘
密」の指定作業に着手し、公務員らによる情報流出に厳罰を科す仕組みが
動きだした。政府は運用状況のチェック体制として、特定秘密の不適正な
指定や管理を監視する内閣府の新設ポスト「独立公文書管理監」に、検事
出身で法務省法務総合研究所研修第1部長の佐藤隆文氏を任命した。
12月11日
○香港当局は、大規模デモの最大拠点である香港島のアドミラリティ(金鐘)
で、学生らが幹線道に設置したバリケードやテントの全面撤去に乗り出し
た。警察は7千人を投入し、デモ隊の強制排除と拠点の全面撤去を夜まで
に完了、交通を復旧させた。デモは開始から約2カ月半で事実上収束した。
12月12日
○12月5日に86歳で亡くなったベルギーの元王妃の国葬が、ブリュッセ
ルのサンミシェル大聖堂で営まれた。日本から、長く交流のあった皇后さ
まが参列された。
○米上院は、第2次大戦中に米国が原爆を開発した「マンハッタン計画」の
研究施設などを「国立歴史公園」に指定する法案を賛成多数で可決した。
下院では12月5日までに同じ法案を可決している。
12月13日
○中国が旧日本軍による南京大虐殺犠牲者の国家追悼日と定めた13日、江
蘇省南京市にある「南京大虐殺記念館」で大規模な追悼式典が行われた。
最高指導者として初めて式典に出席した習近平国家主席が演説し「30万
人の同胞が殺害され、無数の女性がむごい被害に遭った」と強く日本をけ
ん制した。
12月14日
○ナイジェリア北東部ボルノ州で、イスラム過激派ボコ・ハラムとみられる
武装集団が村を襲撃し、32人を殺害、他に女性や子ども少なくとも18
5人を拉致した。
12月15日
○地球温暖化対策の新たな国際枠組みについて話し合うペルーでの気候変動
枠組み条約第20回締約国会議(COP20)は、各国が報告する温室効
果ガス削減目標に盛り込む内容や手続きを定めた基本ルールに合意し、閉
幕した。
○国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は、韓国政府が自
分たちに不利な報道をするメディアを沈黙させる目的で名誉棄損罪を利
用していると非難し、「報道の自由の弾圧」をやめるため法改正をせよと
227
求める声明を発表した。
12月16日
○パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州ペシャワルで、陸軍が運営
する学校を武装グループが襲撃、銃乱射や自爆により生徒ら計141人が
死亡、121人が負傷した。軍当局が明らかにした。死者のうち少なくと
も100人が生徒だった。武装グループは生徒や教師を人質に立てこもり、
軍部隊と銃撃戦になったが、軍が夕方までに制圧。
12月17日
○オバマ米大統領はホワイトハウスで演説し、1961年以来断絶している
隣国キューバとの国交について「正常化交渉を始める」と表明した。キュ
ーバのラウル・カストロ国家評議会議長も演説で、オバマ氏の決断は敬意
と感謝に値すると評価、53年ぶりの関係改善に意欲を示す一方、社会主
義体制の堅持を強調した。
○被爆70年の2015年に、第25回国連軍縮会議が広島市で開かれるこ
とが正式に決まった。8月26~28日の3日間で、各国の外交官や研究
者たち約100人が出席し、核軍縮や不拡散の方策を討議する。
12月18日
○国連総会本会議は、北朝鮮の人権侵害を非難し拉致問題解決などを求める
決議を賛成多数で採択した。総会第3委員会(人権)が2014年11月
に採択したもの。
○日本被団協は、第2次世界大戦中に原爆開発を推進した「マンハッタン計
画」の研究施設などを「国立歴史公園」に指定する法案を米議会が可決し
たのを受け、オバマ大統領に署名しないよう求める要請文を在日本大使館
にファクスで送った。
○韓国の首相や国会議長の経験者ら50人が、戦争放棄をうたう日本の憲法
9条をノーベル平和賞の受賞候補に推薦する韓国での署名集めに賛同。9
条が「東アジアと世界の平和のとりで」の役割を果たしてきたためとして
いる。
12月19日
○米連邦捜査局(FBI)は、北朝鮮の体制をやゆするコメディ映画を製作
したソニーの米映画子会社ソニー・ピクチャーズエンタテイメント(SP
E)へのサイバー攻撃について、北朝鮮の犯行と結論付けたと発表した。
オバマ大統領は北朝鮮を非難し、「相応の対応を取る」と対抗措置に踏み
切る方針を明言。
12月20日
○東京電力福島第1原発で、4号機の使用済み核燃料プールに残っていた燃
料の取り出し作業が終わった。完了まで30~40年かかるとされる廃炉
作業のうち、4号機の工程は大きなヤマを越えた。
○マカオがポルトガルから中国に返還され15周年を迎えた。習近平国家主
席は記念式典で演説し「一国二制度」の下で「中央政府の全面的な『管轄
統治権』が有効に行使され、高度な自治権が十分に保障された」と述べ、
マカオの管轄権は中国政府にあることを強調した。
12月21日
○中国軍が東シナ海の沖縄県・尖閣諸島から約300km北西にある浙江
省・南麂列島で、軍事拠点の整備に着手したことが分かった。最新鋭のレ
ーダーを既に設置、ヘリポートも整備中で、軍用機の滑走路建設計画も浮
上。
○平和記念資料館で被爆の実態を学んでいる「中・高校生ピースクラブ」の
中高生18人が、広島国際会議場で松井一實市長と意見交換した。「平和
228
な世界にするために私たちができること」をテーマに、一人ずつ意見を発
表。
12月22日
○日本原子力研究開発機構は、大量の機器点検漏れにより事実上の運転禁止
命令が出ている高速増殖炉もんじゅ(福井県)で、新たに約6500点の
未点検機器が見つかったと明らかにした。機構は「既に点検などは終わり、
安全管理ができた状態だ」とした。
12月23日
○北朝鮮国営の朝鮮中央通信や、朝鮮労働党の機関紙労働新聞のウェブサイ
トが9時間以上接続できなくなった。同国内のインターネットが一時機能
を停止。原因は不明。北朝鮮のサイバー攻撃に対抗措置を取ると表明して
いた米政府は、関与の有無について明言を避けた。
12月24日
○通常兵器が紛争などに使われないよう規制する初めての国際ルール「武器
貿易条約(ATT)」が発効。締約国は日本を含む61カ国で、最大の通
常兵器輸出国の米国やロシアは未参加。
12月25日
○広島市と広島県は、9月、10月に核性能実験をした米国への抗議に対す
る返書がキャロライン・ケネディ駐日大使から届いたと発表した。ケネデ
ィ大使からの返書は初めて。米国が1992年を最後に、核爆発を伴う実
験を一時停止し、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を上院に働き
掛けていると強調する内容。
○被爆樹木の種や苗木を国内外に広める広島市の市民団体「グリーン・レガ
シー・ヒロシマ・イニシチアブ」の活動が、日本ユネスコ協会連盟の20
15年度の「プロジェクト未来遺産」に選ばれた。
○広島市は、姉妹・友好都市提携を結ぶ海外6市との交流を後押しする「ヒ
ロシマ・メッセンジャー」に12人を選び、松井一實市長から委嘱書を手
渡した。メッセンジャーは1都市につき男女1人ずつ。2015年1月か
ら1年間、交流行事の企画、司会などを担う。
12月26日
○本財団第4回評議員会を開催。
12月27日
○北朝鮮の国防委員会政策局報道官は、
「米国がわが国のメディアにサイバー
攻撃を加えた」と非難する談話を発表した。具体的な根拠は示していない。
12月28日
○アフガニスタンに駐留する国際治安支援部隊(ISAF)の戦闘任務終了
を記念する式典が、首都カブールで開かれた。2001年の米中枢同時テ
ロを受けて始まったアフガンでの「対テロ戦争」は大きな節目を迎えた。
12月29日
○防衛省は、北朝鮮の核・ミサイルに関する日米韓3カ国の防衛機密情報の
共有を取り決めた合意文書を発表した。日韓間で軍事情報包括保護協定
(GSOMIA)が締結されていない事態を補完し、日韓双方が米国を介
して間接的に情報伝達する。
平成27年(2015年)
1月
1日
○新年を迎え、天皇陛下は宮内庁を通じて感想を発表。戦後70年の節目の
年を迎え「この機会に満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今
後の日本の在り方を考えていくことが今、極めて大切だと思っています」
とつづった。
○元日に市民や観光客が花を一輪ずつ生けて原爆犠牲者を追悼する「一人一
輪千人献花」が、平和記念公園の原爆慰霊碑前であった。来園者は被爆7
0年にちなんで70本の青竹を組んで作った花器に菊やバラを挿し、慰霊
229
碑に向かって手を合わせた。
○平成27年追悼平和祈念館企画展「原爆の子
広島の少年少女のうった
え」が始まった。12月28日まで。教育学者で広島大学教授だった長田
新氏が原爆投下から6年後に編纂した『原爆の子
広島の少年少女のうっ
たえ』のなかから、被爆時小学校4年生以上の子どもたちによる被爆体験
記38編を紹介。
1月
2日
○パレスチナのマンスール国連大使は、国際刑事裁判所(ICC)加盟に必
要な文書を国連本部に提出した。大使は「非常に意義深い一歩だ。われわ
れは法的手段を通じて正義の実現を目指す」と述べ、加盟が実現すれば市
民殺害などへのイスラエル側の責任追及を目指す意向を示した。
○オバマ米大統領は、ソニーの米映画子会社に対するサイバー攻撃への報復
措置として、北朝鮮政府や朝鮮労働党の当局者と関係組織に金融制裁を科
すことを認める大統領令に署名した。米財務省はこれを受け、攻撃に関与
した疑いが強い北朝鮮の情報機関、偵察総局を含む3組織と10個人を制
裁対象に指定した。
1月
4日
○米国が第2次世界大戦中に原爆開発を推進した「マンハッタン計画」に科
学者として参加したイザベラ・カールさんは4日までに、
「(原爆が)成功
しないことを願っていた」と証言した。2015年8月で広島、長崎への
原爆投下から70年になるのを前に、米南部バージニア州フォールズチャ
ーチの自宅で共同通信に語った。計画に関わった科学者が日本メディアの
取材に応じるのは珍しい。
○被爆者運動を引っ張ってきた広島県被団協理事長の金子一士氏が死去。8
9歳。
1月
6日
○韓国国防省は、2014年版国防白書を発表し、北朝鮮の核兵器開発で、
弾道ミサイルに搭載する核弾頭の小型化能力が「相当な水準に達している
とみられる」と強調した。
○東京の被爆者団体「東友会」や日本原水協は、被爆70年の年初に合わせ、
東京・浅草の雷門前で核兵器廃絶を訴えた。被爆者たちが「核兵器をなく
す転換の年にしよう」と声を上げた・被爆者35人を含む約70人が参加。
○「子どもたちの平和の絵コンクール」の表彰式を開催。作品展も14日ま
で開催された。子どもたちの平和への意識を高めるために昭和61年度か
ら毎年開催しているもので、今回で29回目。
1月
7日
○パリ中心部の風刺専門週刊紙シャルリエブド本社で、覆面をした複数の男
が自動小銃を乱射し、編集長や風刺画家らと警官2人の計12人を殺害し
て逃走した。編集幹部ら8人が重軽傷を負った。フランス捜査当局は、実
行犯とみられるフランス国籍を持つアルジェリア系の兄弟の2容疑者を
指名手配。
○広島市は、平和記念公園にある「平和の鐘」の鐘楼のペンキを塗り直した
日本塗装工業会広島県支部に感謝状を贈った。市役所での贈呈式に、水原
勲三支部長たち7人が出席。松井一實市長から感謝状を受け取った水原支
部長は「平和記念公園には国内外からたくさんの人が訪れる。いつもきれ
いに見てもらいたかった」と話した。
○広島市は、平和記念公園にある中央参道(長さ74m、幅6m)の舗装改
230
良工事を始めた。2015年8月6日の平和記念式典から会場の全座席を
大型テントで覆うため、設営用の重機が通れる強度へ高める。
1月
8日
○米国防総省は、英国など欧州の米軍基地・施設15カ所を閉鎖、統合し、
駐留を縮小する再編計画を明らかにした。国防予算の大幅削減に対処する
のが目的。10年程度での実施を見込んでおり、年間5億ドル(約600
億円)の削減が可能になると試算した。
○74人が亡くなった広島市の土砂災害で、有識者たちの避難対策等検証部
会は、行政の初動対応の検証結果と今後の改善点を盛り込んだ最終報告書
を設置者の市へ提出した。災害発生後となった避難勧告を「やむを得ない
が、適切ではない」と指摘。危機管理体制の見直しも提言した。これを受
け、松井一實市長は新年度、消防局にある危機管理部門を市長直轄へ移す
考えを示した。
1月
9日
○フランス治安当局は、週刊紙銃撃事件に続きパリの北東ダマルタンアンゴ
エルとパリ東部ポルトドバンセンヌで発生した立てこもりの現場に同時
に強行突入し、容疑者3人を射殺した。検察当局によると、パリ東部の現
場で突入前、人質4人が容疑者に殺害され、警官ら数人が負傷した。
○政府の宇宙開発戦略本部は、首相官邸で会合を開き、宇宙安全保障の確保
を政策の新たな「宇宙基本計画」を正式決定した。宇宙に関わる10年間
の政策の方向性を定めた長期計画。
○政府は、サイバー攻撃の対策強化に向けて行政機関の統括役となる「内閣
サイバーセキュリティセンター」の発足式を内閣府で開いた。2020年
開催の東京五輪・パラリンピックでのサイバーテロ阻止を見据え、中国や
北朝鮮など海外が発信元とされるサイバー攻撃への備えを強める。
○政府は、2014年12月末現在で特定秘密保護法により指定した特定秘
密の件数が、内閣官房や防衛省など10行政機関で計382件に上ったこ
とを明らかにした。防衛や外交に関する秘密が大半。
1月10日
○「被爆体験証言者交流の集い」第1回公開講座として、米国が1946~
58年に核実験を繰り返した、中部太平洋・マーシャル諸島の核被害を考
える講座を広島国際会議場で開催。現地調査を続ける明星大学の竹峰誠一
郎准教授(平和学)が講演。約100人が聞いた。竹峰准教授は、195
4年3月1日にビキニ環礁であった水爆実験「ブラボー」をはじめ、同諸
島で米国の核実験が計67回あったことを紹介。
1月11日
○フランス週刊紙銃撃などの一連のテロ事件で犠牲となった17人を追悼
し、テロに屈しない決意を示そうとパリで120万~160万人、全土で
は計370万人が参加した、フランス史上最大規模のデモ行進が行われた。
国や宗教の違いを超え、言論の自由など普遍的価値の下への結果をオラン
ド大統領が呼び掛け、市民とともに世界各国の約50人の首脳らが肩を並
べた。
1月12日
○韓国の朴槿恵大統領は、ソウルの大統領府で年頭記者会見し、歴史問題を
理由に拒否してきた安倍晋三首相との首脳会談開催には「日本の姿勢の変
化が重要だ」と述べ、旧日本軍の従軍慰安婦問題で安倍政権が早期に対応
することが必要だとの立場をあらためて鮮明にした。
○キューバ政府が米国との国交正常化交渉入りに伴い約束していた政治犯5
231
3人全員の釈放を1月12日までに完了した。53人は米側が指定した。
○峠三吉「原爆詩集」の表紙を手掛けるなど、被爆地から反戦平和の思いを
発信し続けた画家四国五郎さん(2014年3月に89歳で死去)の遺志
を継ごうと市民有志が企画した小作品「わが街ひろしま」が、広島市まち
づくり市民交流プラザで始まった。23日まで。
1月13日
○政府は、旧日本軍による従軍慰安婦問題での日本の前向きな対応が首脳会
談の開催条件になるとの認識を示した朴槿恵韓国大統領について「隣国の
首脳が会うのに前提条件を付けるべきではない」と不快感を表明した。政
府筋は「韓国が対話を求めないなら、日本から会談を急ぐ必要はない」と
強調。
○エジプトの破棄院(最高栽)は、2014年5月にムバラク元大統領を公
金横領罪で禁錮3年とした判決を取り消し、裁判のやり直しを決めた。
○広島市元安川にある船上飲食店、かき船「かなわ」の原爆ドーム南約20
0mへの移転計画で、非政府組織(NGO)の日本ユネスコ国内委員会の
事務局長たち2人が、「再考が必要」との見解を示した。世界遺産である
ドームの「精神的価値を下げる可能性がある」との理由。
○スペイン第2の都市であるバルセロナ市のボルン文化センターで「ヒロシ
マ・ナガサキ原爆展」を開催。広島・長崎の被爆の実相を説明したパネル
や、映像資料等を展示。
1月14日
○政府は2015年度予算案を閣議決定した。10年に1度の被爆者実態調
査の費用や、被爆70年を迎え、広島市などである平和記念・啓発事業へ
の助成費が盛り込まれた。これらを含めた被爆者対策費全体は1405億
円で、2014年度当初から44億円減少した。
○佐賀県の山口祥義知事は、陸上自衛隊が導入を予定する垂直離着陸輸送機
オスプレイの佐賀空港への配備受け入れに前向きな姿勢を示した古川康
前知事の路線を承継せず、判断を白紙に戻すと表明。
1月15日
○佐藤栄作政権が非核三原則を掲げる前年の1966年に、外務省を中心に
国連総会で核兵器の持ち込み禁止に反対する方針を決めていたことが、公
開された外交文書で明らかになった。
○1965年8月に当時の佐藤栄作首相が米国統治下の沖縄訪問時に行った
演説に関し、基地の意義を強調するよう求める米側の圧力で内容を修正し
ていたことが、公開された外交文書で明らかになった。
○在ウィーン国際機関日本政府代表部の北野充大使は、原発事故の国際的な
賠償制度を築く「原子力損害補完的補償条約」に署名、国際原子力機関(I
AEA)に受諾書を渡し、条約を締結した。日本の締結で条約は90日後
の2015年4月15日に発効。
1月16日
○米政府はキューバへの渡航制限や金融制裁を緩和した。特定の目的を持つ
米国人のキューバ渡航を可能にし、送金額の制限などを緩和。人やカネ、
モノの流れを活発化させる。
1月17日
○1954年の自衛隊創設から間もない50年代後半、原爆を使用する日米
共同図上演習が日本国内で実施され、米軍は演習を受け「自衛隊の核武装
を望む」とする見解をまとめていたことが、米解禁公文書から分かった。
1月18日
○ナイジェリアのイスラム過激派「ボコ・ハラム」が、隣国カメルーンに越
232
境し、村を襲って子ども約50人を誘拐した。
○被爆医師として国内外の核被害者に心を砕き、反核反戦の思いを言葉にし
続けた詩人御庄博美(本名:丸屋博)さんが死去。89歳。
○広島市日本語教室座談会が開講。広島市内で外国人市民のための日本語教
室を運営している約20のボランティアグループが参加。全3回。
1月19日
○安倍晋三首相は、イスラエルのネタニヤフ首相とエルサレム市内の首相府
で会談し、アジア太平洋と中東における平和と安定に向けた緊密な協力で
一致した。防衛当局間の交流促進やサイバー攻撃対処の連携も確認。安倍
首相は会談前にホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)記念館を訪れ、今年が
第2次大戦終結から70年になることに触れ「このような悲劇をニ度と繰
り返してはならない」と訴えた。
○広島県や広島市など10機関でつくる放射線被曝者医療国際協力推進協議
会(HICARE)は、国際原子力機関(IAEA)と合同で、放射線医
療の研修会を広島市で始めた。IAEAとの共同開催は2013年以来3
回目で、2014年5月に協働センターに指定されて以来初めて。米国や
中国、タイなど15カ国計27人の医師や研究者が22日まで学ぶ。
1月20日
○シリア、イラクの過激派「イスラム国」とみられるグループが、日本のイ
スラム国対策の拠出額に相当する身代金2億ドル(約235億円)を72
時間以内に支払わなければ「日本人2人を殺害する」と警告するビデオ声
明を発表。映像に映っていた男性2人は、千葉市の湯川遥菜さんと、仙台
市出身のフリージャーナリスト、後藤健二さん。
○安倍晋三首相は、訪問先のイスラエルで記者会見し、日本人2人の殺害警
告を「人命を盾に取った脅迫は許し難いテロ行為だ」と強く非難するとと
もに、2人の即時解放を求めた。
○オバマ米大統領は、上下両院合同会議で一般教書演説を行った。日本人2
人の殺害を警告したとみられる過激派「イスラム国」の勢力拡大に「米国
の指導力が歯止めをかけている」と強調、国際包囲網強化により、イスラ
ム国壊滅に向けた戦いで「われわれは成功を収める」と決意を示した。
○ファロン英国防相は、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)
「トライデント」
として配備してきた核弾頭数を約160から120に減らしたことを議
会で明らかにした。その上で、核抑止力は維持され、今後も更新する方針
だと強調。
○政府観光局は、2014年に日本を訪れた外国人旅行者が推計1341万
3600人だったと発表した。過去最高だった2013年(1036万3
904人)を約300万人上回った。
1月21日
○日英両政府は、両国間で初の外務・防衛閣僚協議(2プラス2)をロンド
ンで開いた。戦後70年を踏まえ、日本は平和国家としての歩みを指摘、
世界の平和と安定に向け日英両国による連携の必要性を強調した。
○1961年に断交した米国とキューバが、キューバの首都ハバナで高官級
協議を開催、国交正常化交渉を正式に開始した。
○米国が原爆を開発、製造した「マンハッタン計画」の関連施設を国立歴史
公園化する動きに絡み、広島市は、被爆の実態を反映させるよう求めた松
井一實市長の要請文に、東京の米国大使館から返書が届いたと発表した。
233
「敬意と誠実さをもって対応する」と記してあったという。
○ボスニア・ヘルツェゴビナの民族紛争(1992~1995年)の激戦地、
南部モスタルで子どものサッカーを通じて民族融和を進めようと、日本政
府は、モスタル市にサッカー場の整備資金約22万6500ユーロ(約3
100万円)を無償供与する文書に署名した。
○神奈川、山梨、静岡3県の生協6団体が、核兵器禁止条約の交渉開始を求
める14万1280人分の署名を平和首長会議に提出した。今春の核拡散
防止条約(NPT)再検討会議に合わせ、米ニューヨークの国連本部へ届
けられる。
1月22日
○日中両政府は、両国間の海洋問題を幅広く話し合う「日中高級事務レベル
海洋協議」を横浜市で開いた。沖縄県・尖閣諸島情勢を踏まえ、海上保安
庁と中国海警局がそれぞれ対話窓口を設け、協力の在り方を議論していく
ことで一致。海保と海警局が正式な対話ルートを開設するのは初めて。
○米国、キューバ両政府は、2日間の日程でハバナで行われた最初の国交正
常化交渉を終えた。米側が「数か月内」の実現を目指す大使館再開をめぐ
っては具体的な合意には至らず、次回協議の日程も決まらなかった。
1月23日
○戦後70年の節目に当たり、天皇、皇后両陛下が戦没者を慰霊し、平和へ
の祈りをささげるため、2015年4月8日から1泊2日の日程で太平洋
戦争の激戦地となった西太平洋の島国、パラオを公式訪問されることが閣
議で決まった。両陛下が「慰霊の旅」で海外を訪れるのは、戦後60年だ
った2005年のサイパン訪問以来2度目。
○広島市の松井一實市長は、東京の在日米大使館にキャロライン・ケネディ
駐日大使を訪ね、オバマ大統領の被爆地訪問を要請した。松井市長は面会
後、2015年の被爆70年を踏まえ、「いろいろな意味で意義ある年に
なる」と実現への期待を示した。
1月24日
○過激派「イスラム国」とみられるグループに拘束された後藤健二さんとみ
られる男性が、湯川遥菜さんは既に殺害されたとの声明を読み上げる画像
がインターネット上に掲載された。
○スイス東部の保養地ダボスで4日間の日程で開催された世界経済フォーラ
ム年次総会(ダボス会議)が主要日程を終えた。直前にフランスで一連の
テロが発生したほか、過激派「イスラム国」とみられるグループが日本人
2人の殺害を予告したため、各国首脳がイスラム過激派によるテロ対策で
「連帯」を表明。
1月25日
○国連安全保障理事会は、湯川遥菜さんがイスラム教スンニ派過激組織「イ
スラム国」に殺害されたとの情報について、「残虐かつ卑劣な行為だ」と
して、イスラム国を強く非難する報道声明を発表。
○欧州債務危機の震源地ギリシャの総選挙(一院制、定数300)は、投開
票され、欧州連合(EU)主導の緊縮策に反対する最大野党、急進左派連
合(SYRIZA)が得票率約36%で躍進し、同約27%で2位の与党、
新民主主義(ND)に大勝した。
1月26日
○ヨルダン下院のバッサム・マナシール外交委員長らが、アンマンで相次い
で会見し、ヨルダン政府が仲介者を通じて過激派「イスラム国」に対し、
ヨルダンで収監中の女性死刑囚と交換する形で、後藤健二さんと同国軍パ
234
イロット、モアズ・カサスベ中尉の2人の一括解放を求めていると述べた。
○「九条の会」呼び掛け人の一人として、護憲の立場から積極的に発言して
きた東大名誉教授で憲法研究者の奥平康弘氏が死去。85歳。
1月27日
○リビアの首都トリポリで、武装勢力が政府高官や外交団が利用する高級ホ
テルを襲撃した。ホテル近くで自動車爆弾が爆発、外国人5人を含む計8
人が死亡。
○ポーランドのアウシュビッツ強制収容所がソ連軍に解放されて70年。収
容所跡があるポーランド南部オシフィエンチムのほか、ベルリンやパリな
ど各地で追悼行事が行われた。ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺の舞台
で、生存者たちは悲劇を繰り返してはいけないと誓った。
○米国がネバダ州で初めて核実験をした「ネバダデー」。核兵器廃絶を訴え
る座り込みが、平和記念公園であった。県原水協と県平和運動センターの
呼び掛けで、被爆者たち66人が参加。
○平和記念資料館の展示見直しに助言する有識者検討会議の会合が、広島国
際会議場であった。事務局が、被爆瓦などの実物資料や原爆ドームの模型
に触れて核の破壊力を感じられるコーナーの設置を提案。
1月28日
○国連総会は、ナチス・ドイツがユダヤ人を大量虐殺したアウシュビッツ強
制収容所の解放70年を記念する式典を開き、元収容者のヨナ・ラックス
さんが収容所で行われた人体実験の様子を証言。「最後の目撃者が他界し
たら、誰が私たちの身に起きたことを説明できるのか」と問い掛け、悲惨
な歴史を語り継ぐ必要性を訴えた。
○核兵器開発に必要な機密情報を提供し、ベネゼエラの核開発を支援しよう
としたとして、米ロスアラモス国立研究所の元研究員ペドロ・マスケロー
ニ被告が、ニューメキシコ州の連邦地裁で禁固5年の有罪判決を受けた。
1月29日
○中東の過激派「イスラム国」を名乗る組織に拘束されたフリージャーナリ
スト、後藤健二さんによるとみられる新声明が、インターネット上に公開
された。犯人側は後藤さんと交換するため、ヨルダンで収監中の女死刑囚
をトルコ国境に連れてくるよう要求。しかし、ヨルダンのモマニ・メディ
ア担当相は、死刑囚はなおヨルダン内におり、イスラム国が拘束している
ヨルダン軍パイロット生存を確認できる証拠が示されるまで釈放には応
じられないとの考えを示した。
○国連加盟国のうちアジアや中東諸国で構成するアジア・太平洋グループ(5
4カ国)は、国連本部で会合を開き、10月の安全保障理事会の非常任理
事国選挙で日本を統一候補として支持することを決定した。
○エジプト北東部のシナイ半島のアリーシュとその近郊にある軍や警察の施
設など十数カ所で、武装勢力が迫撃砲を発射し、自動車爆弾を爆発させ、
少なくとも兵士25人と警察官1人が死亡、60人が負傷した。過激派「イ
スラム国」に忠清を誓うシナイ半島の武装組織が犯行を認める声明を出し
た。
○マレーシア政府当局は、2014年3月に行方不明になったマレーシア航
空機について、墜落事故と正式に認定し、乗客乗員計239人は全員死亡
したとみられると発表。
1月30日
○原爆症の認定申請を却下された兵庫県と京都府の被爆者7人が却下処分の
235
取り消しなどを求めた訴訟の判決で、大阪地裁は、4人を原爆症と認め処
分を取り消した。2013年の新基準についても「内部被曝の影響を考慮
しない点を含め、被曝線量などを過小評価している疑いがある」と指摘。
○パキスタン南部シンド州シカルプールにあるイスラム教シーア派のモスク
(礼拝所)で、大規模な爆発があり、49人が死亡、50人以上が負傷し
た。モスクには当時、金曜礼拝のため多くの信者が訪れていた。
○美術部を中心に、被爆者から聞き取った体験を基に「原爆の絵」を描き続
けている基町高等学校が、平和活動や国際交流に功績のあった団体に贈ら
れる、2014年度の広島ユネスコ活動奨励賞に選ばれた。被爆70年を
前に、同部員は「絵を通じて、平和と向き合う機会が広がれば」と願う。
1月31日
○中東の過激派「イスラム国」を名乗る組織は、人質にした仙台市出身のフ
リージャーナリスト後藤健二さんを殺害したとする映像声明をインター
ネット上で公開した。安倍晋三首相は官邸で記者団に「痛恨の極みだ。テ
ロリストたちを決して許さない」と非難した。
○東京都国立市が、被爆体験を次世代に語り継ぐ伝承者の育成事業を始めた。
参加者は市内の被爆者から体験を聞き取るなど1年間の研修を経て、学校
や市の平和事業で講演活動する。
○ユダヤ人虐殺など過去への沈黙を鋭く批判する演説で戦後ドイツの良心を
呼び起こしたリヒャルト・フォン・ワイツゼッカー元ドイツ大統領が死去。
94歳。
○「被爆体験証言者交流の集い」第2回公開講座を開催。小溝泰義本財団理
事長が講師となり、核兵器開発と軍縮の歴史、核兵器の軍縮・廃絶に向け
た最近の国際社会の動向、平和首長会議の役割と活動、広島の果たすべき
役割等について講演を行った。
2月
1日
○ヨルダン政府のモマニ・メディア担当相は、過激派「イスラム国」を名乗
る組織が後藤健二さんを殺害したとみられる映像を公開したことについ
て、「強く非難する」との声明を発表。
2月
2日
○広島、長崎で小児期に被爆した人は、浴びた放射線量が高いほど甲状腺に
最大1cm以上の大きな結節(しこり)ができやすかった、とする研究結
果を、広島、長崎両市の放射線影響研究所がまとめ、米医学誌で発表した。
○原爆に耐えた被爆樹木に関心を持ってもらおうと、広島東南ロータリーク
ラブが、広島市内で登録されている全約170本分の説明版を作成。樹木
を管理する広島市へ見本と目録を贈った。取り付けは5月下旬。
○平和及び軍縮を推進する中国の全国的組織、中国人民平和軍縮協会の代表
団が広島を訪問。広島平和記念資料館などを見学。3日まで。
2月
3日
○過激派「イスラム国」は、拘束中のヨルダン軍パイロット、モアズ・カサ
スベ中尉の殺害映像をインターネットで公開した。檻の中で生きたまま火
を付けられる場面が含まれ、同国軍報道官は中尉の死亡を確認。ヨルダン
当局は2月4日、報復措置として、イスラム国が釈放を求めていたサジ
ダ・リシャウィ死刑囚ら2人の死刑を執行した。
○中国の習近平指導部は西側の民主主義や基本的人権を否定した「社会主義
の核心的価値観」と、マルクス主義に関する教育を全国の大学でスタート
させた。自由な議論ができる余地が多少残されている大学への締め付けを
236
強めることで、学生らに対する思想統制を徹底する狙い。
2月
4日
○トルコのチャブシオール外相は、過激派「イスラム国」による邦人人質事
件でトルコ政府が「信頼できる仲介者」を通じ、解放に全力を挙げていた
が実らなかったと明らかにした。
○国連の「子ども権利委員会」は、過激派「イスラム国」が、誘拐したイラ
ク人の子どもたちを性奴隷として人身売買しているほか、生き埋めにして
殺害していると報告した。
○国立広島原爆死没者追悼平和祈念館は、所蔵する被爆者証言ビデオでフラ
ンス語、アラビア語など9言語の字幕版をつくり、館内で公開を始めた。
これまで英語、中国語、韓国・朝鮮語の3言語があったが、被爆70年で
外国人の入場者が増えるのを見越し、12言語に広げた。
2月
5日
○国営ヨルダン・テレビによると、ヨルダン軍は、シリアで過激派「イスラ
ム国」の複数の標的に対して空爆を行った。イスラム国に拘束されていた
軍パイロット、モアズ・カサスベ中尉の殺害映像が公開された後、ヨルダ
ン軍による空爆は初めてで、事実上の報復。
○チュニジア議会は、暫定政権で内相を務めたハビブ・シド氏を首相とする
組閣を承認し、新内閣が発足した。これにより、2011年の「ジャスミ
ン革命」でベンアリ政権崩壊後から続いた政権移行プロセスが完了。新生
チュニジアが誕生した。
○衆院は本会議で、中東の過激派「イスラム国」が日本人2人を殺害したと
する邦人人質事件について「非道、卑劣極まりないテロ行為を強く非難す
る」と全会一致で決議した。政府には、中東・アフリカ諸国への人道支援
の拡充を求めた。
○放射線で被曝したマウスにビタミンCを大量に投与すると、急性放射線障
害で死ぬ割合が減ったとする研究結果を、防衛医科大学のチームが5日付
の米科学誌電子版に発表。
2月
6日
○外務省は、過激派「イスラム国」による邦人人質事件を踏まえ、当面の在
外邦人の安全強化策を発表した。日本人学校の警備員増や監視カメラ設置
に対する支援を充実し、テロ攻撃など緊急事態に対するマニュアル作りに、
外務省の警備専門官が協力する。携帯電話を活用した安否確認システムも
導入。
○過激派「イスラム国」が2014年12月に拘束したヨルダン軍パイロッ
ト、モアズ・カサスベ中尉の殺害映像を公開したことに対し、ヨルダンの
アブドラ国王はイスラム国との「容赦ない戦い」を宣言、米国主導の有志
国の軍事作戦に本格復帰して空爆を強化。
○イエメンの首都サヌアを制圧するイスラム教シーア派系ザイド派の反政府
民兵は、議会を解散し、暫定的に政権を掌握すると宣言した。既に辞意を
表明していたハディ暫定大統領が率いた暫定政権の崩壊は決定的に。
○オバマ米政権は、残り任期2年の安全保障政策を包括的に示す「国家安全
保障戦略」を公表した。過激派「イスラム国」の壊滅に向けた国際社会の
取り組みを米国が「主導」する決意を示すとともに「太平洋国家であり続
ける」と宣言、日米同盟強化を含めたアジア重視戦略を推進していく方針
を打ち出した。
237
○政府軍と親ロシア派武装勢力が東部2州で戦闘を続けているウクライナ危
機の政治解決に向け、ロシアのプーチン大統領とドイツのメルケル首相、
フランスのオランド大統領が、モスクワで会談した。ロシアのぺスコフ大
統領報道官は会談後、3首脳は2014年9月の和平合意履行に向けた文
書作成で一致し、2月8日にウクライナを含めた4カ国首脳による電話会
談を行って合意を目指すと明らかにした。
○広島平和学習セミナーを神戸市で開催。兵庫県から17人が参加。
2月
8日
○ヨルダン空軍司令官は、過激派「イスラム国」によるパイロット殺害への
報復として2月5日から3日間実施した集中的な空爆により、イスラム国
の司令部、訓練施設、武器庫など計56拠点を破壊し、所期の目的を達し
たと発表した。
○北朝鮮南東部の元山付近から、短距離ミサイルとみられる物体計5発が北
東方向の日本海に向け発射された。
2月
9日
○米国防省は、過激派組織「イスラム国」が支配していたイラク北部の大都
市モスルの北方にある3拠点について、米国など有志国軍による空爆の支
援を受けたクルド自治政府の治安部隊ぺシュメルガが、奪還に成功したと
発表した。
○山口県の生協、被爆者団体など5団体でつくる県ピースアクション実行委
員会が、核兵器禁止条約の交渉開始を求める7万7024人分の署名を、
平和首長会議に提出した。同会議は4月、5月に米ニューヨークである核
拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせ、国連へ届ける。
2月10日
○政府は、政府開発援助(ODA)の新たな在り方を定めた「開発協力大綱」
を閣議決定した。大綱の見直しは約11年ぶり。他国軍への支援を対象外
としてきた原則を変更し、非軍事目的に限って容認する。経済効果などを
重視し、初めて「国益」との言葉を盛り込んだ。
○トルコのイスタンブールで2月9日始まった20カ国・地域(G20)財
務相・中央銀行総裁会議が、テロ組織の資金遮断へ結束するとの共同声明
を採択し閉幕した。テロ資金に特化した付属文書を公表し、連携強化に向
けた指針を策定することを各国に求めた。
2月11日
○オバマ米大統領は、過激派組織「イスラム国」壊滅に向け、武力行使容認
を正式に求める新決議案を議会に提出した。限定的な地上部隊投入に道を
開く一方、有効期間3年とし、米軍の永続的な戦闘を禁じる内容。
○「建国記念の日」。記念日を祝う式典や、憲法問題をテーマにした集会が広
島市内で開かれた。広島国際会議場では、企業役員や国会議員などの有志
でつくる奉祝委員会が「建国を祝う集い」を開いた。約1500人が出席
した。
○広島市を訪れているミャンマーの女子高生10人が、平和記念資料館を見
学した。交流する広島女学院中・高の生徒14人から英語で案内を受け、
原爆被害の実態に触れた。
○スペインのグラノラーズ市のグラノラーズ博物館において「ヒロシマ・ナ
ガサキ原爆展」を開催。3月8日まで。広島・長崎の被爆の実相を説明し
たパネルやボロボロになった中学生の制服など被爆資料10点を展示。被
曝者の梶本淑子さんの被爆体験証言も行われた。
238
○赤十字国際委員会(ICRC、本部スイス・ジュネーブ)のペーター・マ
ウラー総裁が広島市を訪れ、平和記念資料館を視察した。被爆者の体験証
言にも耳を傾け、核兵器のない世界への思いを新たにした。
2月12日
○ウクライナ危機の収拾を目指すロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの
4首脳は、ベラルーシ首都ミンスクで協議し、キエフ時間2月15日午前
0時からの停戦で合意、共同宣言を発表した。
○国連安全保障理事会は、
「イスラム国」など過激派組織の資金源遮断を狙っ
た決議案を採決する会合を開き、全会一致で採択された。
○安倍晋三首相は衆参両院本会議で施政演説を行った。過激派組織「イスラ
ム国」による邦人人質事件に関し「テロと戦う国際社会において日本とし
ての責任を毅然として果たす」と述べ、テロに屈しない姿勢を強調した。
憲法改正に向けた国民的議論の深化を提起。
○広島県と広島市は、原爆の「黒い雨」に国の援護対象区域外で遭った人た
ちを対象とした巡回相談会を佐伯区湯来町で開き、2014年度の全日程
を終えた。国の委託事業で始めて2年目。2013年度より2回多い13
回ながら、利用者は140人とほぼ半減した。
2月13日
○公益財団法人ヒロシマ平和創造基金は、国境を超え、地道な国際交流・平
和活動を続ける団体や個人に贈る国際交流奨励賞に、広島県内の2団体と
1個人を選んだ。市民グループ「インドチャイ倶楽部ひろしま」と、NP
O法人「ビザサポートセンター広島」、アフガニスタン人の団体職員シャ
ムスル・ハディ・シャムスさん。
2月14日
○2014年末、核兵器の破滅的影響を議論する「核兵器の非人道性に関す
る国際会議」の議長国を務めたオーストリアが、核兵器を非難し、禁止へ
の努力を誓った文書を2015年1月半ばに国連の全加盟国に配布、賛同
を求めていることが分かった。
○デンマークの首都コペンハーゲンで14日午後から15日未明にかけ、イ
スラム教の預言者ムハンマドを風刺した画家らが「表現の自由」を討議し
ていたカフェと、シナゴーグ(ユダヤ教会堂)が相次いで銃撃され、市民
2人が死亡、警官5人が負傷した。両事件の容疑者の男は15日未明、鉄
道駅付近で警官に向かって発砲し、射殺された。
2月15日
○過激派組織「イスラム国」のグループは、リビアで拘束していたエジプト
のキリスト教の一派、コプト教徒21人を殺害したとみられる映像をイン
ターネット上に公開した。エジプト軍は16日、イスラム国への「報復」
としてリビアで同組織の拠点を空爆したと発表。
2月17日
○国連安全保障理事会は、ウクライナ情勢をめぐる緊急会合を開き、2月1
5日に発効した同国東部の停戦合意への支持を表明し、全当事者に合意の
完全な履行を求める決議案を全会一致で採択した。
○政府は、過激派組織「イスラム国」による邦人人質事件を受け、中東・ア
フリカ諸国に計約1550万ドル(約18億3千万円)を拠出することを
柱にした新たなテロ対策を発表した。
2月18日
○ウクライナのポロシェンコ大統領は、東部の要衝デバリツェボで親ロシア
派武装組織に包囲されていたウクライナ軍の完全撤退を命じ、既に8割が
徹底したことを明らかにした。また、ウクライナ国家安全保障防衛会議は、
239
親ロシア派武装組織との紛争が続くウクライナ東部への平和維持部隊の
派遣を国連安全保障理事会に要請することを決めた。欧州連合(EU)に
も警察部隊の派遣を要請する。
○ナイジェリア軍報道官は、イスラム過激派ボコ・ハラムの戦闘員300人
以上を殺害し、支配下にあった11カ所の町や村を奪還したとの声明を発
表した。
○ミャンマー北東部のシャン州コーカン地区で今月に入り、国軍と少数民族
コーカン族の武装勢力との戦闘が相次ぎ、政府が同地区に戒厳令を布告す
る事態に発展した。同地区は中国雲南省と国境を接し、中国から多くの漢
族が流入。
○米国務省は、武装無人機の輸出拡大に道を開く新方針を発表した。オバマ
政権が対テロ作戦で多用する無人機の運用で同盟国との連携を強化する
と同時に、成長が見込まれる無人機市場での主導権を確保する狙い。
○広島市出身の被爆作家、原民喜(1905~51年)が、小説「夏の花」
の下敷きにした原爆被災時の手帳が、平和記念資料館に遺族から寄託され
た。
2月19日
○米政府がワシントンで主催した過激派組織「イスラム国」など過激派対策
に関する閣僚級国際会議は、若者を引きつける過激思想の拡大阻止へ向け
た情報共有の強化や地域社会との協力など8項目の重点行動課題を盛り
込んだ声明を発表し閉幕した。
2月20日
○欧州連合(EU)は、ブリュッセルで臨時のユーロ圏財務相会合を開き、
2月末に期限を迎えるギリシャ金融支援を4カ月間延長することで合意
した。支援がなくなればギリシャは3月中にも財政破綻する恐れがあり、
ユーロ圏離脱の可能性もあったが、ひとまず回避された。
○イラクの国会議員を招いた「イラク広島平和討論会」が、広島国際会議場
であった。国際協力機構(JICA)が企画。広島の研究者たちも参加し、
平和構築の道筋を話し合った。
○米国の下院議員9人が、平和記念公園を訪れた。原爆被害の実態に触れ、
核兵器削減に向けた努力を誓った。60人以上の議員が所属する「米国議
会日本研究グループ」のメンバー。
2月21日
○ウクライナ東部紛争の停戦合意を受け、ウクライナ政府軍と東部の親ロシ
ア派武装勢力が、初の捕虜交換を行った。
2月22日
○島根県が条例で定める「竹島の日」。日韓両国が領有権を主張する島根県の
竹島(韓国名・独島)をめぐり、記念式典が松江市で開かれた。2005
年3月の条例制定後、10回目。政府代表として松本洋平内閣政務官が出
席し、「竹島はわが国固有の領土。国の主催に関わる重要な課題で、平和
的解決に向け全力で取り組む」と述べた。
○日本最西端の沖縄県・与那国島で、陸上自衛隊沿岸監視部隊配備の是非を
問う住民投票が実施され、即日開票の結果、賛成が632票で、反対の4
45票を上回った。中学生以上の未成年者にも投票資格が与えられた。
○広島県福山市内の被爆者や被爆2世たち約500人でつくる福山市原爆被
害者の会は、市内で臨時役員総会を開き、2015年3月末で解散する方
針を決めた。運営を支えてきた役員が高齢化し、組織の維持が難しくなっ
240
たため。
2月23日
○ウクライナ軍の報道官は、同国東部で、親ロシア派武装組織の攻撃により
過去24時間で政府軍の兵士2人が死亡、10人が負傷したと発表した。
完全な攻撃停止が実現しない以上、和平合意の次の措置である前線からの
重火器撤去を始めることはできないと述べた。
2月24日
○中東の過激派組織「イスラム国」は、シリア北東部ハサカ県の村で、少数
民族アッシリア人のキリスト教徒少なくとも90人を拉致した。子どもや
女性も含まれる。
○フランス、ドイツ、ロシア、ウクライナ4カ国の外相は、ウクライナ東部
情勢を協議するためパリで会談した。15日の停戦発効後も一部で戦闘が
やまない状況を受け、和平を監視する欧州安保協力機構(OSCE)の強
化で一致、不安定な状況に陥っている和平合意の厳格な履行を求める声明
を発表した。
○本財団第5回評議員会を開催。
2月25日
○ロシアのナルイシキン下院議長はモスクワで開かれた会議で、広島、長崎
への原爆投下について、「人道に対する犯罪であることは明らかだが、政
治的、法的に適切な評価がなされてこなかった。人道に対する罪には時効
がない」と述べ、米国を暗に批判した。
○国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会で違反事例を調べる専門家パネル
は、2014年に制裁対象となった北朝鮮の船舶運航管理会社が、船舶名
を変えるなどして制裁を逃れ、北朝鮮周辺で運航続けていると指摘した。
この会社の業務には日本や中国、ブラジル、ロシアを拠点にする個人や組
織が関与したとし、日本人1人の名前も挙げた。
2月26日
○ウクライナ軍参謀本部は、東部の前線からの重火器撤去を開始。まず口径
100mmの重火器から撤去を始め、停戦監視を担う欧州安保協力機構
(OSCE)の監視下で実施。
○クラッパー米国家情報長官は上院軍事委員会公聴会で証言し、過激派組織
「イスラム国」の台頭により、2014年1~9月に世界で起きたテロ攻
撃による死者数が約3万1千人に上るとの推計を示し、2014年はデー
タがある過去45年で「最も死者が多かった年になる」と明らかにした。
○天皇、皇后両陛下は、来日したポーランドのコモロフスキ大統領夫妻と皇
居・御所で会見された。大統領夫人は2012年4月、東日本大震災の被
災地を励まそうと、宮城、岩手両県を訪問しており、天皇陛下は謝意を示
した。
2月27日
○天皇、皇后両陛下は、来日した英国のウィリアム王子と、住まいの皇居・
御所で昼食を共にして懇談された。両陛下は玄関で出迎え、王子は「お招
きいただき、ありがとうございます。お会いできてうれしいです。」と笑
顔であいさつした。
○原発のテロ対策など日本の核物質防護の体制を評価するため来日していた
国際原子力機関(IAEA)の専門家チームは、「日本の核セキュリティ
ー体制は全体として強固で、近年、顕著に向上している」との見解を示し
た。
2月28日
○多岐に渡る通訳に対応する人材を育成するため、ボランティア登録者や一
241
般市民を対象に、多文化共生の知識や語学能力の向上等を目的とした研修
会「ボランティア通訳者研修会」を開講。全3回。
3月
1日
○マーシャル諸島ビキニ環礁での米国の水爆実験により静岡県焼津市の第五
福竜丸などが被曝して61年。日本原水協などがつくる実行委員会と原水
禁国民会議がそれぞれ主催するビキニデー集会が開かれた。「米国は全人
類の幸福のためと言って、私たちの土地で核実験を強行した」。中部太平
洋のマーシャル諸島から島民を代表して来日したピーター・アンジャイン
さんは、静岡県焼津市での「ビキニデー」集会で約2千人に向かって訴え
た。
3月
2日
○イラク軍は、北部の主要都市ティクリートを支配するイスラム教スンニ派
の過激派組織「イスラム国」に対する砲撃や空爆などを実施、奪還に向け
た大規模作戦を開始し、郊外の一部地区を制圧した。ティクリートは同組
織のイラク側最大拠点である北部モスル防衛の要衝。
○北朝鮮は、西岸の南浦付近から日本海側に向け短距離弾道ミサイル「スカ
ッドC」とみられる飛翔体2発を発射。日本政府は、これを受け、北京の
外交ルートを通じて北朝鮮に厳重抗議した。安倍晋三首相は関係省庁に米
韓両国などと連携し、緊張感を持って情報収集・分析に努めるよう指示。
3月
3日
○イスラエルのネタニヤフ首相は、米議会の上下両院合同会議で演説し、欧
米など6カ国とイランが進める核協議について「イランの核兵器開発を阻
止することはできない。核兵器を多数保有するのを保証するようなもの
だ」と指摘。「非常に悪い取引だ」と交渉の意義を根底から否定した。
3月
4日
○アジア各国出身の広島大学留学生たちが、原爆ドームを敷地内に入って視
察した。世界遺産の保存技術や考え方に触れ、母国の遺跡や歴史的建造物
の保全に生かす。
○国際基督教大学の留学生9人が平和記念公園などで「広島・長崎講座」現
地学習を実施。6日まで。
3月
5日
○核拡散防止条約(NPT)発効から45年。オバマ米大統領が声明を出し
「米国は核兵器のない世界がもたらす平和と安全を追求する」とあらため
て訴え、4月にニューヨークで開かれるNPT再検討会議の成功に向けて
取り組む決意を表明した。
○ロシア国防省は、ロシアが2014年ウクライナから一方的に編入したク
リミア半島や、グルジアで親ロシア派が一方的に独立を主張しているアブ
ハジア自治共和国と南オセチアなどロシア周辺で計2千人以上を動員し
て軍事演習を開始したと発表した。4月10日まで。
○韓国・ソウル中心部の会議施設で、会合に出席していたマーク・リッパー
ト駐韓米国大使が男に顔などを刃物で切りつけられ大けがをし、約80針
を縫う手術を受けた。犯人は2010年7月に同市で駐韓日本大使にコン
クリートの破片を投げ付けた男と同一人物だった。
○中国の第12期全国人民代表大会(全人代=国会)第3回会議が、北京の
人民大会堂で開幕した。2015年度予算を審議する。李克強首相は政府
活動報告で2015年の国内総生産(GDP)の成長率を14年の7.5%
から7%に引き下げると表明。国防費は前年度実績比10.1%増の88
68億9800万元(約16兆9千億円)を計上した。
242
3月
6日
○イラク観光・遺跡省は、過激派組織「イスラム国」がブルドーザーなどの
重機を使い、北部モスル近郊にある約3千年前のアッシリア帝国のニムル
ド遺跡を破壊したと発表した。文化財に対して繰り返される同組織の犯罪
が「人類に取り返しのつかない損失をもたらす」と強調し、国際社会に早
急な対応を求めた。
○広島市が平和記念公園で進めていた中央参道の舗装改良工事が終わった。
被爆70年となる2015年8月6日の平和記念式典で会場の全座席を
大型テントで覆うため、設営用重機が通れる強度にするのが目的。
○被爆の惨状をいち早く世界に伝えたルポ「ヒロシマ」
(1946年)を著し
米国のジャーナリスト、ジョン・ハーシー(1914~93年)の孫で、
アーティストのキャノン・ハーシーさんが、初めて平和記念資料館を訪れ
た。祖父がのこした仕事を次世代につなぐ表現を模索。
○国立広島原爆死没者追悼平和祈念館が登録を呼び掛けている被爆者の遺
影(名前だけを含む)の数が、2万人に達した。遺族たちから寄せられた
無言の遺影1枚1枚が、核兵器がもたらす悲惨な実態を物語る。
3月
8日
○米インディアナポリス大の学生と大学院生の計12人が、平和記念公園を
訪れ、被爆の実態を学習した。11日までの4日間、平和記念資料館を見
学したり被爆証言に触れたりして、核兵器の悲惨さや平和の尊さを見詰め
る。
3月10日
○ロシア外務省は、欧州通常戦力(CFE)に関して声明を発表、ロシアが
2007年に条約履行をやめた後も応じてきた欧米との協議に3月11
日以降は参加しないと発表した。
○約10万人が一夜で命を落としたとされる1945年3月の東京大空襲は、
70年の節目を迎えた。遺骨が安置されている東京都慰霊堂では追悼法要
が営まれ、遺族らが犠牲者の冥福を祈り、平和を誓った。
3月11日
○東日本大震災から4年。政府主催の追悼式が東京都の国立劇場で開かれ、
岩手、宮城、福島の3県の遺族のほか、安倍晋三首相や天皇、皇后両陛下
ら約1120人が参列した。震災が発生した午後2時46分に黙とうし、
犠牲者の冥福を祈るとともに、教訓を後世に伝え、引き続き復興に取り組
む決意を新たにした。世界各地でも追悼行事が開かれ、被災地への励まし
の言葉が寄せられた。原爆ドームの対岸では、東日本大震災の犠牲者を追
悼し、キャンドル500本に火をともす集いが行われ、被災地への支援の
継続を誓った。
○イラク軍を主体とする治安部隊は、過激派組織「イスラム国」が支配する
イラク北部の要衝ティクリートに進攻し、市北部を制圧した。3月2日に
始まったティクリート奪還作戦は、市内への本格攻勢の段階に入った。
3月12日
○世界保健機関(WHO)は、エボラ出血熱の感染が深刻な西アフリカのリ
ベリア、シエラレオネ、ギニアの3カ国での感染者(疑い例を含む)が3
月10日までの時点で2万4350人に上り、うち死者が1万4人に達し
たと発表した。米国やナイジェリアなどで死亡した15人を加えると、死
者は1万19人となる。
○4月にニューヨークで開幕する核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向
け、オーストリアが核兵器禁止を呼び掛け国連全加盟国に配布した文書に
243
ついて、日本政府が賛同を見送る方針を固めたことが分かった。米国が「核
の傘」への影響を理由に日本を含む同盟国などに不賛同を働き掛けていた。
○香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは、中国新疆ウイ
グル自治区の2カ所で3月6日と9日の夜、爆弾の爆発やウイグル族と公
安当局の衝突事件がそれぞれ発生し、公安側6人、ウイグル族側25人の
計31人が死亡したと伝えた。
○沖縄防衛局は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿
岸部の埋め立てに向け、2014年9月から中断していた海底ボーリング
調査を再開した。
3月13日
○日本とフランス両政府は、外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を東京都内
で開いた。双方は防衛装備品の共同開発に関する協定に署名し、物品役務
相互提供協定(ACSA)の検討開始で合意した。
○オーストリア政府が核兵器禁止を呼びかけ、国連全加盟国に配布した文書
に日本政府が賛同しない方針を固めたのを受け、広島市の松井一實市長は
「政府は市民の願いを受け止めた対応へかじを切ってほしい」と求めた。
○国立広島原爆死没者追悼平和祈念館などで、第15回「ヒロシマ・ガイド」
を開催。広島への来訪者に被爆の実相や核兵器廃絶と世界恒久平和を願う
「ヒロシマの心」を正しく伝えてもらうため、日頃から広島平和記念資料
館や平和記念公園などを案内するバスガイドや観光タクシードライバー
等観光事業従事者の方を対象に。
3月15日
○ロシアのプーチン大統領は国営テレビが放映した特別番組「クリミア、祖
国への道」のインタビューで、ウクライナで2014年2月に親ロシアの
ヤヌコビッチ政権が崩壊し親欧米派が政権を掌握した際、ロシアの核戦力
に戦闘準備を指示していたと明らかにした。
3月16日
○外務省は、沖縄県・尖閣諸島を日本語名で表記した中国の1969年発行
の地図をホームページ(HP)上で公表した。尖閣をめぐる中国の領有権
主張に根拠がないことを裏付け、日本の立場への支持と理解を国際社会か
ら取り付ける狙い。
○1954年に米国が太平洋のビキニ環礁で実施した水爆実験をめぐり、高
知県は、当時周辺海域にいた漁船の元乗組員の健康不安などに対応するた
め、被曝医療の専門家らによる相談会を同県室戸市で始めて開いた。初日
は元乗組員や遺族ら約40人が参加。
3月18日
○仙台市で開かれていた第3回国連防災世界会議は、2030年までに災害
に伴う全世界の死亡率を大幅削減するといった目標を盛り込んだ国際行
動指針「仙台防災枠組」を採択した。国連が具体的な項目や期限を示して
減災目標を掲げるのは初めて。
○北アフリカ・チュニジアの首都チュニスにあるバルドー博物館で、銃で武
装した集団が外国人観光客らを襲撃した。武装集団は観光客を人質に取っ
て博物館に立てこもったが、同集団の2人が治安部隊に殺害された。チュ
ニジア政府は外国人観光客17人を含む19人が犠牲になり、24人が負
傷したと明らかにした。日本政府は、日本人3人が死亡、3人が負傷した
ことを確認。安倍晋三首相は官邸で記者団に「テロは断じて許されない。
強く非難する」と述べた。
244
○ロシアのプーチン大統領がウクライナ南部クリミア半島の一方的な編入を
宣言して1年。ロシア全土で記念集会が開かれた。編入の正当性をあらた
めて主張するとともに、ウクライナ危機で盛り上がった愛国主義を刺激し
国内の団結を図った。
○ウクライナ危機の際に核兵器の使用準備を指示していたと発言したロシア
のプーチン大統領に対し、広島県原水協と県被団協が、抗議文書を送った。
○平和記念資料館で「新着資料展」が始まった。原爆の爆心地そばの学徒動
員先で被爆し、2日後に亡くなった旧制広島二中(現観音高)1年慶徳清
さん(当時13歳)のかばんと小袋などを公開。12月2日まで。
3月19日
○来日中のミシェル・オバマ米大統領夫人と安倍昭恵夫人は、東京都内の会
合にそろって出席し、発展途上国における女子教育の支援強化に向け日米
が努力する方針を表明した。
○日中両政府は、外交・防衛当局が安全保障上の課題について話し合う「安
保対話」を東京都内で開き、対話継続が必要との認識で一致した。年1回
程度の開催を目指す。
○大戦中に三菱重工業広島造船所へ徴用され原爆に遭った韓国京畿道在住の
成世和さんに対し、広島市が「証人」がいなくても被爆者健康手帳を交付
したことが分かった。戦後、三菱重工から未払い賃金の供託を受けた広島
法務局に、成さんの名簿があり「有力な証拠になる」と判断したため。
○核戦争後の世界を舞台にした映画「渚にて」
(1959)の製作関係者たち
の証言で構成したドキュメンタリー映画「フォールアウト」
(2013年)
の無料上映会が、広島市まちづくり市民交流プラザで開かれた。日本では
初公開。
3月20日
○イエメンの首都サヌアで、金曜日の集団礼拝が行われていた2カ所のモス
ク(イスラム教礼拝所)で自爆テロが発生し、保健当局者によると142
人が死亡した。モスクには多くの人が訪れており、300人以上が負傷し
たという。
○韓国やブラジルなどに住む被爆者が、国外居住を理由に健康管理手当の受
給権を認められなかったのは不当として、本人や遺族が慰謝料などを国に
求めた広島地裁の集団訴訟で、原告15人が国と和解した。
3月21日
○先の大戦で激戦地となった硫黄島で、日米合同の慰霊式典が開かれた。中
谷元防衛相や塩崎恭久厚生労働相をはじめ両国の高官、退役軍人、遺族ら
約550が参列し、日米合わせて約2万9千人に上る戦没者を追悼した。
遺族らでつくる硫黄島協会によると閣僚の出席は初めて。
○広島県内の朝鮮人被爆者の子どもたちが、
「朝鮮人被爆者2世の会」を発足
させた。36年前に結成された組織は自然消滅しており、被爆70年に合
わせ、県朝鮮人被爆者協議会(李実根会長)が復活を働き掛けた。
3月22日
○太平洋戦争末期の沖縄戦で半数以上が命を落とした「ひめゆり学徒隊」の
悲劇を伝える沖縄県糸満市の「ひめゆり平和祈念資料館」で、修学旅行生
向けとしては最後となる生存者の講話があった。高齢化のため。
3月23日
○沖縄県の翁長雄志知事は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先、名護
市辺野古沿岸部で進められている海底ボーリング調査を含め「海底面の現
状を変更する行為を全て停止すること」を沖縄防衛局に文書で指示した。
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○東京電力福島第1原発1~4号機の廃炉・汚染水対策に2011年度以降、
国が投じた費用が計1892億円に上ることが、会計検査院の集計で明ら
かになった。
○原爆投下により降った放射性降下物を含む「黒い雨」に国の援護対象区域
外で遭い、健康被害を受けたとして広島市の36人が、広島市へ被爆者健
康手帳の交付を申請した。24日には安芸太田町などの6人が広島県へ申
請。
○広島市の松井一實、長崎市の田上富久の両市長は、外務省に岸田文雄外相
を訪ね、オーストリアが国連加盟国に配布した核兵器禁止を呼び掛ける文
書に賛同するよう要請した。
3月24日
○オバマ米政権は、原子力潜水艦の運用や核兵器製造で生じた軍事分野の高
レベル放射性廃棄物に限定して、地中に埋設する新たな処分場を建設する
方針を明らかにした。
○沖縄防衛局は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先、名護市辺
野古沿岸部で、埋め立てに向けた海底ボーリング調査を続けた。翁長雄志
県知事が出した1週間以内の海底作業停止の指示には応じなかった。防衛
局は対抗措置として行政不服審査法に基づき、指示取り消しを求める審査
請求書と、指示の執行停止を求める申立書を林芳正農相に提出した。
3月25日
○イラク治安部隊などは、過激派組織「イスラム国」から北部の要衝ティク
リートを奪還する作戦を再開した。米軍など有志国が初めて空爆を実施し、
イラク側の攻撃を支援した。
○イエメンで、イスラム教シーア派系の武装組織「フーシ派」の民兵が、同
国南部の空軍基地を制圧した。基地は、ハディ暫定大統領が逃れた南部ア
デンから北に約60kmの地点にあり、フーシ派はアデン掌握に向けさら
に進撃。
○海上自衛隊最大の艦艇で、艦首から艦尾まで貫く甲板を備えたヘリコプタ
ー搭載型護衛艦「いずも」が就役。ヘリ5機が同時発着できるほか、陸自
が導入する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの搭載も可能。
3月26日
○サウジアラビア軍は、イエメンで首都サヌアを掌握しているイスラム教シ
ーア派系の武装組織「フーシ派」掃討のため空爆を開始。フーシ派の防空
システムを破壊し、イエメンの制空権を掌握したと発表した。
○広島県物産陳列館として1915年に完成し4月に100年となる原爆
ドームの歩みを振り返る企画展が、平和記念資料館東館で始まった。7月
15日まで。無料。
○本財団第3回理事会を開催。
3月27日
○国連人権理事会は、北朝鮮の人権状況の改善を求める決議案を賛成多数で
採択した。
○ナイジェリアで行われた大統領選挙で、イスラム過激派ボコ・ハラムとみ
られる武装集団が北東部の投票所3カ所を襲撃。住民ら計14人が死亡し
た。
○沖縄県は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部
で作業を進める沖縄防衛局への作業停止指示の正当性を主張する意見書
を林芳正農相に提出した。
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○韓国の被爆者を広島に招き、無償で治療している在韓被爆者渡日治療広島
委員会が、韓国政府にその功績を認められ、日本の外相にあたる外交部長
官表彰を受けた。駐広島韓国総領事館の徐張恩総領事が事務所を訪ね、表
彰状を手渡した。
○本財団第6回評議員会を開催。
3月28日
○イエメンのハディ暫定大統領は、アラブ連盟首脳会議で、シーア派系武装
組織「フーシ派」への空爆など、暫定政権支援のための軍事介入の継続を
要請した。
3月29日
○チュニジア政府は、日本人3人を含む外国人観光客が犠牲となった博物館
襲撃テロの実行犯が所属していたイスラム過激派の指導者ら9人を治安
部隊が殺害したと発表した。
○アラブ連盟(22カ国・機構)の定例首脳会議は、
「アラブ合同軍」創設を
定めた共同声明を発表して、閉幕した。
○林芳正農相は名護市辺野古沿岸部で、埋め立てに向け作業する沖縄防衛局
に翁長雄志知事が出した作業停止指示の効力を一時停止すると決定した。
3月31日
○太平洋戦争末期の沖縄戦で半数以上が亡くなった「ひめゆり学徒隊」の悲
劇を伝える沖縄県糸満市の「ひめゆり平和祈念資料館」は、生存者が19
89年の開館以来続けてきた館内講話を3月で終えた。沖縄戦から70年。
証言員の減少や高齢化が理由で、今後は戦争を体験していない若手の学芸
員らが引き継ぐ。
○本財団第7回評議員会を開催。
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