創造力・表現力向上のためのワークショップ の実態調査とその手法

禁無断転載複写
創造力・表現力向上のためのワークショップ
の実態調査とその手法に関する調査検討
資料編
平成 15 年 3 月
財団法人
マルチメディア振興センター
目
次
I. CANVAS......................................................................................................3
1)CANVAS 基本方針.........................................................................................4
2)CANVAS フェローとその活動.......................................................................10
II. 国内調査各博物館/ワークショップ・レポート..................................22
1)あいち健康の森.........................................................................................25
2)青森県営浅虫水族館..................................................................................27
3)明石市立天文科学館..................................................................................32
4)赤穂市立海洋科学館..................................................................................36
5)(財)石の博物館(奇石博物館)..............................................................39
6)エネルギー館キャプテン・ジーオ............................................................42
7)大阪科学技術館.........................................................................................44
8)科学技術館(千代田区)...........................................................................48
9)かかみがはら航空宇宙博物館....................................................................59
10)加古川総合文化センター宇宙科学館......................................................61
11)神奈川県立青少年センター....................................................................64
12)キッズプラザ大阪..................................................................................68
13)岐阜市科学館.........................................................................................76
14)岐阜県博物館.........................................................................................81
15)岐阜天文台............................................................................................85
16)CAMP..................................................................................................資料なし
17)京都市青少年科学センター....................................................................87
18)群馬県立自然史博物館...........................................................................93
19)高知県立足摺海洋館..............................................................................103
20)神戸市立青少年科学館...........................................................................105
21)自転車博物館...........................................................................................107
22)仙台市天文台...........................................................................................111
23)千葉県立現代産業科学館.........................................................................114
24)つくばエキスポセンター.........................................................................118
25)TEPIA デジタル・プラザ..........................................................................134
26)でんきの科学館(名古屋).....................................................................140
27)所沢航空発祥記念館................................................................................148
28)内藤記念くすり博物館............................................................................151
29)長坂町オオムラサキセンター.................................................................155
30)中津川市鉱物博物館(夜明けの森きらめきパーク).............................161
31)中谷宇吉郎雪の科学館............................................................................164
32)日本科学未来館.......................................................................................171
33)日本最古の石博物館................................................................................174
34)浜松科学館..............................................................................................176
-1-
35)福岡県青少年科学館................................................................................192
36)三菱みなとみらい技術館.........................................................................197
37)ミュージアムパーク茨城県自然博物館...................................................203
38)未来科学技術情報館(新宿)...................................................................208
39)むつ科学技術館........................................................................................216
40)盛岡市子ども科学館.................................................................................220
41)山梨県環境科学研究所.............................................................................229
42)和歌山県立自然博物館.............................................................................232
43)和歌山市こども科学館.............................................................................239
III. 海外調査博物館レポート..................................................................242
1)デンマーク learning lab........................................................................243
2)デンマーク Experimentarium..................................................................245
3)オーストリア ZOOM Children's Museum...................................................251
4)ギリシャ Hellenic Children's Museum...................................................265
5)ギリシャ Museum of Greek Children s Art..........................................274
6)ドイツ Kinder und Jugend Museum Munchen............................................280
7)ベルギー Le Musee des Enfants..............................................................285
8)オランダ KIT Kindrmuseum......................................................................297
9)ポルトガル Children's Museum in Portugal..........................................301
10)スペイン
Museo del Nino, Albacete.................................................304
11)メキシコ PAPALOTE Children s Museum..............................................306
IV. PPP 議事要旨......................................................................................319
1)ポップカルチャー政策研究参考資料...........................................................320
V. 開発と実証実験資料........................................................................341
1)全国マルチメディア祭 2002in 岡山 まとめ..............................................342
2)クリケット・ワークショップ..................................................................364
3)クリエイティブ・フォト・ワークショップ...................................................382
4)ウェブ作り・ワークショップ......................................................................392
5)ミュージック・プレイショップ..................................................................401
6)ビデオクリップ制作・ワークショップ.......................................................416
7)赤城セミナー(手法)..............................................................................434
8)函館(空間)..............................................................................................444
9)CAMP セミナー(手法、デザイン).............................................................450
VI.普及・啓発手法の検討資料...............................................................455
1)ウェブ掲載記事等............................................................................................456
2)アクセスログ...................................................................................................490
-2-
I.
CANVAS
-3-
CANVAS 基本方針
世界と時代
(1) 多元性の再認識
地球は小さくなりました。輸送技術や通信技術のおかげです。人もモノも情報も、めま
ぐるしいスピードで行き来しています。20 世紀は、科学が進化を押し進めた百年でした。
しかし、21 世紀は、それをあざ笑うかのようなテロで幕を開けました。2001 年 9 月 11
日、科学が積み上げた高層ビルが、科学の粋である旅客機によって崩されました。そので
きごとは、世界がまだまだ広いことを改めて認識させるものでした。地上には、いろんな
人がいる。いろんな暮らしがある。いろんな考え方がある。
技術の進歩で、わたしたちは豊かになったといいます。確かに、今の大人たちは、未来
に輝く夢を抱いてきました。発展し、進化していく先が 21 世紀でした。しかし、今の子
どもたちは、未来に明るいイメージを持っているでしょうか。希望を持っているでしょう
か。戦争と競争の 20 世紀が過ぎました。次の価値は、どうすればみつかるのでしょう
(2) デジタルの千年
いま現出しているグローバルな世の中は、これまでの国際社会とは性格が違っています。
デジタルでつながっている、という点です。ネットワークで連結した社会では、いつも情
報が共有され、交換されていて、お互いのことがより深く理解されるようになります。こ
れまでにない表現や、豊かなコミュニケーションが行き交うことになります。
もちろん、つながって、お互いのことがわかるようになれば、平和が訪れる、というほ
ど単純なものではありません。わかりあってこそ始まる対立もあるでしょう。しかし、地
上の人々が、新しい見方、新しい感じ方、新しい考え方をしはじめることは間違いありま
せん。国や組織の枠を超えて、民族や文化の柵を越えて、一人ひとりが話し、つながり、
ふれあって、新しい世の中を創り出していくことでしょう。
アナログの千年からデジタルの千年への転換期。次のステージに向けて準備することが
大切です。
(3) 担い手としてのこども
デジタルの社会では、新しい作法やルール、新しい権利や義務が求められるかもしれま
せん。デジタルの空間では、映像や造形による新しい表現が生まれてくるでしょう。
そうした多元的で新しい社会を築き、新しい表現を拓くのは、いまの子どもたち以降の
世代です。生まれながらネットを駆使し、生まれながらバーチャルに表現し、生まれなが
らデジタルに暮らす世代が担うことになります。
子どもたちが最大限に活躍できるよう、環境を整える必要があります。子どもたちがフ
ルスイングできる場と技術を与えること。一人ひとりがめいめいの気持ちや考えを表し、
分かち合い、そして創り出していけるように支援すること。
それが大人たちの役割でしょう。
-4-
日本の役割と課題
(1)多元性のプラットフォーム
世界が多元であることは、サッカーのワールドカップでも示されました。決勝はブラジ
ルとドイツ。南米と欧州です。3 位はトルコで 4 位は韓国。世界最大のイベントに熱中する
人々は、この世はアメリカだけではない、さまざまな国から成り立っていることにも思い
をいたしました。そのホスト役は日本と韓国。アジアが多元的な世界のプラットフォーム
になり得ることも示すものでした。
日本は、このグローバルなデジタル社会で、一翼を担うことが期待されています。深い
文化と厚い経済力を持つ文明国として、新しい世界に貢献していくことが求められていま
す。
(2) 失われた百年からの再生
しかし、日本は悩んでいます。失われた十年を取り戻そうともがいています。
いえ、ともすると、失ったのは十年ではなく、百年かもしれません。半世紀前の敗戦と、
今般の長期不況によって、富国強兵の幕が閉じ、一世紀を貫いた国の軸が揺らいでいると
いうことかもしれません。西洋近代の機能主義が問われているということかもしれません。
この百年、日本はキャッチアップを第一としてきました。欧州を模範とし、アメリカに
憧れてきました。いや、遣隋使からこの千年以上、ずっとどこかの後追いをしてきたのか
もしれません。しかし、もはや手本はありません。自分で考えなければなりません。
閉塞を突破するのは、何か。経済の再生でしょうか。科学技術のさらなる進歩でしょう
か。あるいは、百年前の日本がそうしたように、世界との新たな関係を築くことでしょう
か。日本とは何かという自我を見つめることでしょうか。
おそらく、その全てが必要なのではないでしょうか。デジタルの力をまとった若い世代
の手によって。
(3) 強みの発揮と弱みの克服
日本は、国際的な立ち居振る舞いが下手と言われます。コミュニケーションが不得手と
されています。自分を自分の方法で表現し、相手に理解してもらうことが苦手とされてい
ます。言葉の壁や作法の違いはあるでしょう。
一方、日本には、豊かな歴史文化があります。ものづくりに対するこだわりがあります。
営々と養ってきた審美眼があります。アニメやゲームなど、日本が世界をリードしている
表現分野もあります。ケータイでのメールのように、日本独特の発達をみせているコミュ
ニケーションもあります。ポップで楽しい表現力があります。
きっと本来、豊かな創造力と表現力が社会の底を流れているのでしょう。それを支える
のは子どもたちの世代です。その力を世界に発揮していくのも子どもたちです。日本にと
って最大の資産は子どもたちです。
子どもたち一人ひとりがコンテンツを創り、地球のすみずみに発信していく。それをで
きるだけ活発にするのが日本の課題です。
-5-
CANVAS の役割
(1)創造の場
築いていくのは子どもたちです。切り開いていくのは子どもたちです。子どもたちが自
分で考えて、自分で創造していくことが大切です。楽しみながら、苦しみながら。一人で、
みんなで。主体的で自発的な活動が必要です。
与えられた問題を解くには、従来の詰め込み型の教育が効果的だったかもしれません。
しかし、針路の定まらない時代、いったい何が問題なのか、それを探っていくことが課題
です。そして、それを自ら解いていく能力が求められます。もう後追いや模倣だけでは済
みません。
頭の中で想像するだけでは足りません。それをいかに実現するか。実行するか。いかに
創り出していくのか。手で、足で。昔ながらの道具を使ったり、最先端のデジタル技術を
駆使したりして。
CANVAS は、子どもたちが何かを創り出していくための場です。そのための場所、技術、
ノウハウ、道具を提供していきます。
(2) 表現の場
自分の考えをきちんと伝えることが必要です。自分の気持ちを形にすることが重要です。
世界にむけて自分の情報を発信していくことが大切です。
それは、会話で行うのがよいかもしれません。論理的な文章かもしれません。赤や青や
白を使った美しい絵かもしれません。一筆書きのマークかもしれません。歌声かもしれま
せん。笛やピアノかもしれません。手拍子かもしれません。ジェスチャーかもしれません。
ウィンクや笑顔かもしれません。
手紙に書くのがいいかもしれません。電話かもしれません。映画やテレビかもしれませ
ん。パソコンやインターネットかもしれません。ケータイかもしれません。ロボットやね
んど細工で示すのがいいかもしれません。
この国にとって、わたしたち一人ひとりにとって、その目的や場面によって、ふさわし
く心地よい表現やコミュニケーション手段があるでしょう。それを見つけて、それをきち
んと表せるようにしたい。
CANVAS は、子どもたちが世界に向けてアイディア、考え、気持ち、作品などを表現す
る環境を整えます。
(3)共有の場
考え、気持ち、表現は、ぶつかり合って、解け合って、そうしてまた新しいアイディア
や新しい論理や新しい表現が生み出されていきます。いろんな土地の、いろんな文化の、
いろんな人と交流することが求められています。異文化を知り、尊重すること。それは同
時に、自分じしんを知ることでもあります。
出会うこと、語ること、刺激し合うこと。これはネットワークの発達により、技術的に
はずいぶん簡単にできるようになりました。しかし、人と人との交流を可能とする場や活
動を設定し、維持していくのは、相当のエネルギーを要します。汗をかく仕事です。
CANVAS は、こどもたちが、創造し、表現したものを地球規模で共有・交換する場と活
動を整えます。
-6-
業務内容
(1)調査研究
一人で、 新しい技術に立脚した子どもたちの創作・表現活動は、各地ですでに事例が
見られます。しかし、それら活動は未だ面的な展開とはなっていません。その地域だけの
活動にとどまっています。そのような活動を、学校・自治体・企業レベルに普及させるこ
と、全国で共有化することが重要です。
そこでまず、子どもたちの創造力・表現力・コミュニケーション力を向上させるワーク
ショップなどの活動について、国内・海外の実態を調査・分析します。そして、その情報
を各地のワークショップ拠点、学校、研究者、自治体などに共有してもらうとともに、世
界に公開します。
同時に、学術的・政策的な研究を行います。諸外国との比較のもと、わが国の情報産業・
文化・社会の特性をとらえ、包括的な研究を行います。
当面、ポップカルチャーの分野に焦点をあて、日本が競争力を持つ分野(マンガ・アニ
メ・ゲームなど)、デジタル系の新しい表現分野(ケータイ、ウェブ、ロボットなど)等に
関して、産業構造、文化社会、制度、表現技法を内外の有識者とともに研究します。
(2)ワークショップ開発
創造力・表現力を向上させるコンテンツ創造型ワークショップを開発・支援します。特
に日本で行われたことのない先駆的な子ども向けワークショップの開発・支援に重点をお
きます。
時には、海外から輸入して日本に広めます。また、マンガ、アニメ、ゲーム、モバイル
など日本の特性を活かした独自のワークショップの開発も行います。
この推進に当たっては、
「アートとテクノロジーの融合」
「アナログとデジタルの結合」
「バ
ーチャルとリアルの交差」に力を入れます。
●アートとテクノロジーの融合
最先端の技術と、創造・表現とのバランスを重視します。技術偏重を避けます。
●アナログとデジタルの結合
表現したり伝えたりするには最新のデジタル技術を用いることもありますが、
素材は紙でも粘土でも水でも木でもかまいません。
手触りやにおいを大切にします。
●バーチャルとリアルの交差
リアルな空間でワークショップを実施するとともに、
オンラインでの情報提供・交流を重視します。
各地の拠点をブロードバンドで結んだワークショップ同時開催も企画します。
<開発・支援するワークショップのイメージ>
・ デジカメ国際ウェブ交換
・ モバイル映像ウェブ発信
・ ロボット国際ブロードバンド対戦
・ 音楽創作
・ 映像チャット
・ 本作り
・ マンガ作り
・ ゲーム作り
-7-
・ マンザイ作り
・ 華道/書道
(3) 普及啓発
ワークショップ会場での研修やネット中継を通じ、関係者でノウハウを共有します。その
結果を調査研究活動へフィードバックし、ワークショップの改良や普及促進につなげてい
きます。
創造力・表現力を向上させる活動が各地で容易に展開できるよう支援します。研修やネ
ット中継などのほか、ワークショップのパッケージ化・教材化を進め、学校のプログラム
等に組み込みやすいように図ります。
ワークショップの成果(ノウハウ、作品等)は海外にもインターネットで発信・提供し、
その国際的な普及にも努めます。
アメリカ西海岸、メキシコ、ロンドン、イタリア、フランス、シンガポール、インド等
の子ども博物館や研究機関等との連携も推進します。
プレーヤー
(1)産学官の連携
産学官の連携により活動を展開していきます。
各地でワークショップの活動をしている方々、児童館・科学館・博物館関係者、学校・教
育関係者、大学等の研究者、そしてさまざまな分野のアーティストの方々と密に連携しま
す。
IT 系のハード・ソフト関連企業、学習やデザインの分野に関心のある企業、エンターテ
イメントや遊びに関連する企業など、産業界からの支援も重要です。
内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省との連携も不可欠です。この分野に積極的な
取り組みをみせる地方自治体との協調も必要です。
多くの団体・人の英知を集結した運動としていきます。
(2)下支えとしての CANVAS
こうした運動は、あくまで各地域の現場が主体となって進めるものです。ワークショッ
プ会場や学校などの創意工夫と熱意が積み重なることによって、日本全体の底上げが図ら
れます。
CANVAS は、その下支え役です。広い運動場を整え、遊び道具を持ち込み、仲間を集め、
みんなが楽しく真剣に活躍できるよう、気を配ります。
(3)子どもが主役
そして、あくまで主役は子どもたちです。
創り、表現するのは彼ら彼女たちの責務です。
交流し、理解し、抱き合い、笑い、泣き、歌う。あるいは反目し、調整し、そして作り上
げていく。それは彼ら彼女たちの役割です。
CANVAS は、子どもたちのために存在します。
-8-
4 年構想
(1) e-Japan に基づく 4 年間の特別プログラム
CANVAS は、「我が国が 5 年以内に世界最先端の IT 国家になる」という目標を掲げる政
府 e-Japan 戦略に基づいて、2002 年度からの 4 年間で所要の目標に到達することを目指す時
限活動とします。
e-Japan 戦略は、
「国民の持つ知識が相互に刺激し合うことによって様々な創造性を生み育
てるような知識創発型の社会を目指す。ここで実現すべきことの第一は、すべての国民が
情報リテラシー を備え、地理的・身体的・経済的制約等にとらわれず、自由かつ安全に豊
富な知識と情報を交流し得ることである。」としています。そして、情報リテラシーの向上、
コンテンツ・クリエイターの育成を重点政策としています。
一人ひとりの情報発信力を高め、コンテンツ生産力を高める CANVAS の活動は、e-Japan
戦略の求める政策を具現するものです。その成果が広がって、各地の拠点や学校の活動を
促進することにより、全国の子どもたちの取り組みが活性化し、国全体の底上げが図られ
ます。
一人ひとりの創造力と表現力を高めたい。そして、日本を表現大国にしたい。世界のコミ
ュニケーションを活発にしたい。CANVAS の活動は地道な支援ですが、目線はそのような
高さに据えます。
(2)重点事項
本年度 2002 年は、CANVAS の PR 活動及び、国内・海外における先駆的なワークショッ
プの調査に重点を置きます。
2003 年度は、これに基づき得られた情報を元に評価・検討をし、ワークショップ開発に
も力を入れていきます。
2004 年度は、それらワークショップをパッケージ化、教材化することにより、日本全国
に広めると同時に、学校教育プログラムへの組み込み等を検討し、普及啓発を行います。
最終年度 2005 年は、CANVAS 解散後も引き続き、このような活動が自発的に、継続的に
広まるよう、評価・検討する年とします。
-9-
CANVAS フェローとその活動
CANVAS はさまざまな分野の関係者の熱意によって実現したプロジェクトである。各地域
の現場が主体となって、産学官トライアングルの協調によって進められる。
各地でワークショップの活動をしている方々、国内外の児童館・科学館・子ども博物館、
学校・教育関係者、大学等の研究者、そしてさまざまな分野のアーティストの方々と密に
連携する。
IT 系の企業、学習やデザインの分野に関心のある企業、エンターテイメント企業など、
産業界からの参加も重要な要素となる。企業が研究プロジェクトやビジネスのテストベッ
ドとして CANVAS のコミュニティを活用することも考えられる。
内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省との連携も不可欠である。この分野に積極的
な取り組みをみせる地方自治体とも仕事をしていくことになる。
また、この分野の世界的なネットワークも作っていく。アメリカ、ヨーロッパ、アジア、
南米などの大学、博物館、企業等とも連携した運動としていきたい。これら多方面の方々
をフェローとして迎え、プロジェクトを企画・実行していくこととしている。
CANVAS のフェロー及びその活動を紹介する。
①役員及びフェローリスト
②ロゴ
③キャッチフレーズ
④フェローからの一言メッセージ
- 10 -
①役員及びフェローリスト
●理事長
川原正人(NHK 名誉顧問)
●副理事長
山内祐平(東京大学大学院情報学環助教授)
中村伊知哉(スタンフォード日本センター研究所長/MIT 客員教授)
●理事
奥田義行((社)音楽制作者連盟理事長)
田村拓(CSK 経営企画室長)
森由美子(CAMP 総合プロデューサ)
廣瀬禎彦(@Net Home 代表取締役)
菊池尚人(FMP 総研研究員)
●監事
川原和彦(博報堂)
●フェロー
今井賢一
(スタンフォード大学シニアフェロー/一橋大学名誉教授)
青木昌彦
(スタンフォード大学教授、経済産業研究所所長)
近藤等則
(トランペッター)
日比野克彦 (アーティスト)
高城剛
(メディア・クリエイター)
水口哲也
(ゲーム作家)
飯野賢治
(クリエイター
山口裕美
(アート・プロデューサー)
佐々木かをり(イー・ウーマン/ユニカル・インターナショナル代表取締役社長)
宇治橋祐之 (NHK エデュケーショナル教育部チーフプロデューサー)
岸博幸
(内閣府 IT 担当室企画官)
山崎俊巳
(総務大臣秘書官)
瀬戸隆一
(総務省課長補佐)
上田信行
(甲南女子大学教授)
河口洋一郎 (東京大学教授)
武邑光裕
(東京大学助教授)
小栗宏次
(愛知県立大学教授)
美馬のゆり (公立はこだて未来大学教授)
大江建
(早稲田大学教授)
奈良磐雄
(京都造形芸術大学教授)
三宅正太郎 (大分県立芸術文化短期大学教授)
高井崇志
(岡山県企画振興部 IT 戦略推進室情報政策課)
松永直哉
(大和証券SMBC課長代理)
中西寛
(イサオ事業部長)
大原伸一
(大原事務所代表)
石戸奈々子 (MIT 客員研究員)
北川美宏
(大川センター所長)
森秀樹
(CAMP)
菅谷明子
(ジャーナリスト、経済産業研究所研究員)
- 11 -
鶴谷武親
(フューチャーインスティテュート代表取締役社長)
谷脇康彦
(在米日本国大使館参事官)
田島正広
(弁護士、NPO サイバーポール理事長)
中川一史
(金沢大学助教授)
小松左京
(SF 小説家)
境真理子
(日本未来科学館)
島田卓也
(日本未来科学館)
古井祐司
(三菱総合研究所研究員/NPO メディカルブリッジ理事長)
笠井文哉
(NPO 日本キャリア開発協会)
上出卓
((社)音楽制作者連盟顧問)
中植正剛
(スタンフォード大学)
関根千佳
(ユーディット代表取締役)
橋本知子
(文化総合研究所 チーフディレクター)
松浦季里
(ディレクター・CG デザイナー)
森山朋絵
(東京都写真美術館)
水野哲雄
(京都造形芸術大学 情報デザイン学科助教授)
安藤知華
(スタンフォード大学大学院教育デザイン専攻)
福冨忠和
(ジャーナリスト/メディアプロデューサー )
杉山知之
(デジタルハリウッド学校長)
吉岡伸
(文化環境研究所)
山田信夫
(丹青社)
宮田義郎
(中京大学情報科学部認知科学科教授)
ウォルター・ベンダー (MIT メディアラボ所長)
トッド・マッコーバー (MIT メディアラボ教授)
ミッチェル・レズニック(MIT メディアラボ教授)
エリック・シーゲル
(ニューヨーク科学博物館)
モデスト・テームズ
(サンフランシスコ Exploratorium)
ヒレル・ワイントラウブ(はこだて未来大学)
ジョッシュ
(Capital Children's Museum)
- 12 -
②CANVAS ロゴ
ゲームクリエイターとしてご活躍中の飯野賢治さんが CANVAS ロゴやTシャツのデザイン
をして下さいました。
飯野賢治さん
- 13 -
③キャッチフレーズ
フェローの皆様より CANVAS キャッチフレーズを募集し以下の 16 の応募がありました。
そのうち、京都造形芸術大学教授の奈良磐雄さんの「遊びと学びのヒミツ基地」
CANVAS に投票の結果、決定させていただきました。
応募のあったキャッチフレーズ
・こどもが創造力に出会う場所
・ワークショップって何?
・共創体験しませんか?
・いたずらっこ大集合
・あまび(遊び+学び)の体験空間
・おもしろ体験空間
・創造のジャングル体験
CANVAS
決定した CANVAS キャッチフレーズ
「遊びと学びのヒミツ基地」 CANVAS
- 14 -
でおもしろ大発見!!
④理事・フェローからの一言メッセージ
理事とフェローの方々から CANVAS について一言メッセージを頂きました。
順次ウェブ、メールマガジンなどでも紹介していきます。
ア)川原正人さんからのメッセージ
イ)中村伊知哉さんからのメッセージ
ウ)飯野賢治さんからのメッセージ
エ)美馬のゆりさんからのメッセージ
オ)菊池尚人さんからのメッセージ
カ)廣瀬禎彦さんからのメッセージ
キ)松永直哉さんからのメッセージ
ク)山内祐平さんからのメッセージ
ケ)大原伸一さんからのメッセージ
コ)高井崇志さんからのメッセージ
ア)川原正人さんからのメッセージ
こども達は、毎日、忙しい日を送っています。
学校で漢字の読み方を習ったり、九九を覚えたり、
忙しい時間を過ごしています。
しかし、図工の時間になると、のびのびしています。
学校以外の場所になると、ますます自由にふるまいます。
私達の仕事は、こども達をもっと自由にのびのびとさせることでしょう。
こどもは突拍子もないことをしますが、何でも自由にさせておくのがよいでしょう。
青い太陽も、赤い森も結構です。
自由にさせてあげましょう。
ピカソもゴッホも、こうして育っていきます。
イ)中村伊知哉さんからのメッセージ
「創る」こと。
「表す」こと。
この二つだと思うんです。ネット時代は。
デジタルで、誰もが世界に自分の情報を発信できるようになります。
誰かが作った作品やアイディアを見聞きするだけでは足りません。
身近なコミュニティに、多元的な国際社会に、
どう参加するのか。どう貢献するのか。
そのための技術は、準備がととのっています。
理解したり表現したりするための文化の土壌も十分にあります。
デジタルな世代は、それらを使いこなして活躍する力を持っています。
大人がすべきことは、「場」を用意すること。
創造したり、表現したりする機会をふんだんに与えることです。
- 15 -
CANVAS は、そういう場になりたい。
ウ)飯野賢治さんからのメッセージ
飯野賢治です。
中村伊知哉さんからのご紹介で、CANVAS に参加しています。すぐにでも何かお手伝いが
出来たらと思いロゴマークなどブランドデザインをさせていただきました。
僕自身も 4 歳の子どもがおり、また、青森県の子ども文化の委員などもやらせていただい
ておりますが、「子どもと創造」ということに非常に興味を持っています。
僕は子どもの素晴らしい能力は「想像」と「工夫」だと思っています。「想像」と「工夫」
は「創造」の大切な源です。小さな子どもたちは、新聞を剣のようにして遊んでみたり
積み木を飛行機や電車に見立てたり色々な色が付いた小さなおはじきで大きな花を描いて
みたりなどその創造力、工夫する才能は、ものすごいものがあります。サイコロが無くた
って、エンピツをサイコロにしてしまうのが子どもの持っている才能だと思っています。
しかし、そのような才能がやがてこの情報とモノが溢れる社会に育つ中であっという間に
受け手、受動者になってしまい想像や工夫の力を失ってしまうことが多いように思えます。
新聞は丸めるだけで勇者の剣になりますが電子楽器を作ったり、ロボットを作ったりする
には知識や技術が必要です。そして、知識や技術を得、伸ばすには「場」と「仲間」が最
も必要な要素だと思っています。
僕は CANVAS が子どもたち、参加者にとってそういった「場」や「仲間」になれば嬉しい
し、楽しいなと思い参加させていただきました。
そして、そういう思いを込めて、
「初めのお手伝い」としてデザインさせていただいたのが、
このブランドデザインです。
CANVAS は語源を「麻の布」としておりますがそんな布で作った大きなテントを青空と緑
の大地に広げ、みんなが基地のように集まって何かが生まれ、育っていけばいいなと思っ
ています。
さぁ、参加しませんか!
エ)美馬のゆりさんからのメッセージ
「学ぶ」って楽しいことだと思いませんか?
みんなでアイデアを出し合って、手足を動かして。
それが「ワークショップ」です。
一人で「勉強する」のとは大違い。
人間は、生涯、日々、学びつづけているのです。
オ)菊池尚人さんからのメッセージ
ミラノのスフォルツェスコ城にミケランジェロの遺作、ロンダニーニのピエタという未完
の彫刻があります。ミケランジェロは死の間際まで、この作品にのみをふるっていたとい
- 16 -
われています。
ピエタとは死んだキリストを抱く母マリアの絵や彫刻です。しかし、このロンダニーニ
のピエタのキリストとマリアは、彫りかけの無残な姿で、互いに支えあっているだけにし
か見えません。いくどもの彫りなおしで構図が変わったためか、マリアの腕はおかしな位
置にあり、作品を不恰好にしています
はじめて接したときは、これが、ルネッサンス史上最大の芸術家といわれるミケランジ
ェロの作品だろうかと目を疑いました。ミケランジェロのピエタとしては、ほかに若い頃
の有名な三作品があります。そのどれもが、神がミケランジェロをして作らしめたといわ
れているほどの出来ばえです。
ミケランジェロは老いたために、創造力が枯れたのではないといわれています。己の才
能に絶対の自信を持ち、神の姿さえ見えると語っていた天才は、晩年に信仰のゆらぎ、友
人の裏切り、社会の衰退にあい、人生に絶望したといわれています。そのため、神が見え
なくなったとミケランジェロの伝記は書きます。老いた天才が、残された時間がわずかで
あると感じながら、再び神の姿を見るために、死の間際まで懸命にのみをふるったのがロ
ンダニーニのピエタです。
実物のロンダニーニのピエタには、見るものを引き込む、不思議な磁力のようなものが
あります。老いたミケランジェロの叫びをそこに感じます。
ミケランジェロと同じ時代に、マキャベリがいます。マキャベリは、いまでいう官僚で
した。有能ではあるが決して位の高くない外交官として、祖国フィレンツェのために身を
粉にして働いたのが、マキャベリの青壮年期です。
しかし、政変による派閥抗争に巻きこまれ、マキャベリはその職をとかれました。晩年
は、片田舎の場末で安い酒をあおり、無為にすごしていたそうです。
そのマキャベリが、フランスなどの中央集権国家の興隆に脅威を感じながら、政争をく
りかえすイタリアを憂え、その力による統一に思いをよせ、書き上げたのが君主論です。
マキャベリはフィレンツェに捨てられたノンキャリアの外交官です。にもかかわらず、
深夜、外交官時代の正装に着がえ、既に亡きかつての上司や同僚と想像で語らいながら、
背筋をのばして、君主論を執筆したと伝えられています。
ミケランジェロの彫刻であれ、マキャベリの社会思想であれ、すぐれた表現には、それ
を作った人の思いや姿勢が感じられます。同じように、現代のマンガやロックでも、作り
手の思いや姿勢を、受け手は感じとり、共鳴しているのだと思います。
CANVAS は、こどもとデジタルと表現をキーワードとする NPO です。
デジタルの表現は手軽です。また、楽しさや便利さをシェアすることに優れています。
しかし、たかだか数十年の歴史しかないため、従来の表現と比較すると稚拙です。おもし
ろいデジタルの作品はたくさんありますが、悲しさや不自由さを表現しきった作品はまだ
少ないと思います。
今後、デジタルの表現も、作り手の思いや姿勢をあらわすようになると思います。ただ
し、何世代もの積み重ねが必要でしょう。こどものうちからデジタルで表現し、次の世代
のこどもにデジタルの表現を伝えていくのを繰り返すうちに、絶望からの祈りや祖国への
憂いを表現する作品がでてくると思います。
新しい表現は新しい世代とともにやってきます。多分、これからはデジタルによる表現
が広がるでしょう。
- 17 -
私は、表現そのものもさることながら、その表現を生み出す人の思いや姿勢を感じつづ
けていたいと思います。
ロンダニーニのピエタ
カ)廣瀬禎彦さんからのメッセージ
CANVAS も、一年目を終える時期に来ました。
この期間に、少なくとも、メンバーの間での目的意識の共有は進んだと思います。
それを軸にしての社会への還元、それも子供を通じての、還元を行っていくのが使命です。
初めての試みとして、有志をあつめて、岡山のマルティメディアフェスティバルの機会に
デジタルカメラとデジタル環境とインタネットを使った、子供のための写真ワークショッ
プを実施しました。場所、転向、スタッフとその環境に恵まれ、予想以上の効果がありま
した。
それは二つの面に集約されるでしょう。
ひとつは、予想通り、子供のもつ能力の大きさです。これは彼らが写した写真という作品
によって知ることが出来ました。
もうひとつは考えていた以上のデジタルの世界のパワーでした。はっきりいえることはデ
ジタル化によって時間が極端に短くなる、ということを実例として体験しました。
これは、すなわち、コストに大きく影響を与えることも実感できました。まて、デジタル
の世界は単にコンテンツの複製が劣化しない、ということだけでなく、デジタル化された
仕組みは、その仕組みそのものも、劣化させずパッケージ化できそうだ、ということでし
た。
これは、今後、CANVAS の活動を展開する上で、大きな収穫でした。
むかし、寺山修司と言う人が 書を捨てて町に出よう といっていました。
次年度も、まずは行動を起こし繰り返すことによって運動化し、未来を託す子供達に デ
ジタル化のもとでの創造活動 をワークショップのかたちで伝えていきたいとおもってい
ます。
- 18 -
キ)松永直哉さんからのメッセージ
バタフライ効果という言葉がある。北京での蝶の羽ばたきがニューヨークにトルネードを
起こすといった、小さな原因が大きな結果を引き起こすという意味だ。20 世紀は、この
バタフライ効果のような事例が、いくつも見られた時代であったといえよう。自動車、飛
行機、映画など小さな技術の発見が大きな産業へと発展していく過程が前世紀の特徴の一
つであろう。
この小さな原因が大きな変化を生み出すというイメージは、人間の考え方にも影響を与
えたのではないか。日本の場合、大正デモクラシーも 90 年ほど前に始まったものだ。個人
の力は小さいけれども、一人一人が影響を及ぼし合っていくうちに大きな成果を生み出す
可能性があることに気付いたのではないか。
今、教育に関して何ができるだろう。知識ならインターネット上に溢れている。思うに
「好きになる機会」を与えることがこれからの教育のテーマではないだろうか。一時間の
教育が一時間の成果しか生まないのであれば、技術の修練にすぎない。しかし、一時間の
教育でこどもたちが何かを好きになれば、後は寸暇を惜しんで自主的に没頭していくので
はないだろうか。創造する喜びや上達する喜びは、まず好きになり没頭することが必要だ
ろう。そして、幸せな時間とは何かに没頭できる時間のことではないだろうか。
微かな蝶の羽ばたきのような CANVAS という運動が大きなトルネードを引き起こし、多
くのこどもたちが幸せな時間を過ごせたら素敵なことだと思う。
ク)山内祐平さんからのメッセージ
ワークショップは、教育にとって身体(からだ)と感情(こころ)の再発見です。
今までは、学び=知識を覚えることでした。
これからも知識を覚えることがなくなることはないでしょう。
でも、それだけでは足りないのです。
その知識が生きて働くために、子どもたちの身体に埋め込まれていくために
表現したり、ものを作ったりする中で身体をうごかして学ぶこと
おもしろいと胸躍らせたり、難しいなとうなったりしながら学ぶこと
デジタルメディアがあふれる近未来だからこそ、この学びの原点を伝えていく必要があり
ます。
CANVAS が子どもたちの創造のための一歩を支えられるように
ケ)大原伸一さんからのメッセージ
創造力は、何処にでもある。自分の周りを見渡してみる。何かを聴く。何かに出会う。
何かを創る。何かに気づく。「あ!ハーン」と思う。そうした体験が私たち人間をして、人
間らしくしているのだと思う。
私は、昔、子供の相談をしていた事がある。相談室に座っていると、何か違和感があっ
た。そこで、あるキャンプに数年間関わった。夏のテント生活、冬のスキーといった「場」
を通じて、いわゆる普通の子供と相談に来た子供が、一緒の生活体験が出来る事をしてみ
た。とても、不思議な事がいくつもあった。子供の世界では、実力主義が当り前。−テン
トと食料を背負って、森のサイトを見つけてワイルドなキャンプ、そこでは、美味く飯が
炊けるやつが歳に関係なくエライ。食料として生きたニワトリを調理して食べる、気持ち
悪いと言って食べられない子がいると、「ニワトリは僕たちに食べられるために、死んだの
- 19 -
に、食べないなんて失礼だ」と言って怒る子、そして、誰も言わないのに自然にニワトリ
に合掌。−高い山への登山、バスを降りると 2000m 地点、そこから 2 時間の山道、真っ青
な顔の重度の喘息の子が、キャンプサイトに戻ったら、吸引器をデイパックの底にしまっ
ていた。−アルパインガイドの友人に指導してもらって、40mの垂直の崖を下降だけのロ
ッククライミング体験、4 ヶ月学校に行けなかった子が、泣きながら恐怖に勝って地面に足
が着いた瞬間、涙を浮かべながら「やったぜ」と一言。−ゲレンデスキーと歩くキー、雪
の中でテント生活をしてみたら、あまりの寒さに眠れない一夜、でも、病的夜尿症の子が、
ロッジに帰ったら、「おねしょ」がピタリと止まった。
とにかく色々な体験をした。喘息の子は、殆どが治癒。登校拒否児童は、学校での自分を
取り戻す。とにかく、色々な結果があった。でも、本当は治療なんかより、子供たちが自
分を取り戻して、より大きな「何か」に挑む力を、自分自身で見つけ出す手伝いをしてい
たと言うのが、正直な実感だった。人の中で、自分を見つけ出すと言う事は、「自分がある
きっかけで、何かに気づく事」。人間は誰でもがアーティスト。人間には、自分で何かを成
し遂げる力を、生まれながらにして持っているのだ。
普通の生活の中では、人間は完全なんていうことは有り得ない。「想像力」と「気づき」
の能力。これが、毎日の創造の原点なのだと思う。
CANVAS が進める、ワークショップ形式の創造の場は、参加者の体験と実習を中心にした、
広義の体験学習の場の設定である。世の中で行われる事柄全てが、ワークショップの対象
に成ると言っても過言ではない。大人から子供、アウトドアからインドアまで、アイデア
次第で何でもワークショップに成り得る。
一寸難しく言えば、グループで「何か」を自由な環境で体験することで、個人→共同体験
→結果(作品)→個人と言うサイクルの繰り返しが起き、このサイクルがワークショップ
での学習=体験を促進する。これは、体験学習の過程=フィードバック・サークルと呼ばれ
る。 ワークショップのもうひとつ重要な要素は、ファシリテーターの存在である。(トレ
ーナーと呼ぶこともある)ファシリテーターは教師の側面と、指導者の側面、そして何よ
りも、想像力のある個人と言うことが出来る。何だか難しそうだが、決して難しい事では
なく、誰でもがファシリテーターに成れるのである。教育の専門家=教師、または、教育を
学んだ人がファシリテーターに成るだけでなく、何か趣味や特技を持った人が、その得意
分野を伝え教える事も、ファシリテーターなのだ。
体験学習の場の「適切な介助者」、「適切な助言者」、「適切な観察者」、「適切な先達」と
言う 4 つの仕事と能力を持つ人がファシリテーターである。
ワークショップは、子供、成人、老人から健常者、障害者まで誰でも一緒に参加できる。
素敵な場なのだ。これからの生涯学習、最近話題の「ゆとり教育」、心理療法、病院内、ホ
スピスまで応用可能であり、場合によっては、学校の授業にも応用できる。
CANVAS は、多くの人々が関わりながら、実に幅広い多くの事に子供と共に挑む、ひょっ
としたら、CANVAS それ自体が巨大なワークショップなのだと思う。皆さん、一緒にやって
みましょうよ!
コ)高井崇志さんからのメッセージ
昨年 11 月 16 日、17 日の二日間、岡山で開催された全国マルチメディア祭において、C
ANVASに 2 つのワークショップを実施して頂きました。
会場が不便な所であったり、周知不足のため参加人数が定員割れしてしまい、実は無理を
言って参加してもらった小学生が何人かいます。最初はしぶしぶ参加していたこの小学生
達が、ワークショップの終わる頃には目を輝かせており、終了時刻になっても帰ろうとし
- 20 -
ません。
後でこの子供達の親に聞いたのですが、子供達は大変喜んで、「とっても楽しかった」」「私
の創った映像を学校で自慢しよう」「またぜひ行きたい」「他にもこういうのないの」とい
うような感想を話していたそうです。
CANVASが目指すワークショップは言葉ではなかなか説明しにくいのです。こうして
実際体験してもらわないと。こうした体験を通じて広めてゆく、普及してゆくことがCA
NVASの大きな使命の一つだと思ってます。
岡山でも、この開催を機に、来年度は様々なワークショップを実施することにしています。
デジタルカレンダーづくりWS、インターネット放送局WS等、CANVASの活動に刺
激を受けた学校の先生達や地域のビデオクラブの方々による手作りのワークショップを実
施します。
ぜひ、全国の自治体にこうした取組を拡げてゆきたい、そう思ってます。
- 21 -
国内調査各博物館/ワークショップ・レポート
- 22 -
国内調査参考資料一覧表
番号
館名
1
2
3
4
あいち健康の森
青森県営浅虫水族館
明石市立天文科学館
赤穂市立海洋科学館
(財)石の博物館
(奇石博物館)
エネルギー館
キャプテン・ジーオ
大阪科学技術館
科学技術館
かかみがはら
航空宇宙博物館
加古川総合文化
センター宇宙科学館
神奈川県立
青少年センター
5
6
7
8
9
10
11
12
キッズプラザ大阪
13
14
15
16
17
18
19
岐阜市科学館
岐阜県博物館
岐阜天文台
CAMP
京都市青少年科学センター
群馬県立自然史博物館
高知県立足摺海洋館
20
神戸市立青少年科学館
22
23
24
25
自転車博物館
サイクルセンター
仙台市天文台
千葉県立現代産業科学館
つくばエキスポセンター
TEPIA デジタル・プラザ
26
でんきの科学館
27
28
所沢航空発祥記念館
内藤記念くすり博物館
21
ワークショップ 3 件
夏休み日時計工作教室
子ども科学教室
ワーク
ショップ
ページ
レポート
有無
25
○
27
○
32
○
36
体験教室
○
ワークショップ名
39
42
偏光板を使った光の不思議
○
44
48
59
サイエンスショー
○
61
おもしろ実験
○
64
○
68
○
76
81
85
○
○
87
93
103
○
105
○
○
107
キラキラストローで
すうがくあそび
サイエンス広場
なるほど実験ランド
ワークショップ 7 件
おもしろ実験ひろば・
ケミカルワークショップ
手作りおもちゃ教室
自転車乗り方教室
111
114
118
134
電池チェッカー・
アルミはく UFO
飛行機工作教室
夏休み親子教室
- 23 -
○
140
○
○
148
151
29
30
長坂町オオムラサキセンター
中津川市鉱物博物館
31
中谷宇吉郎雪の科学館
32
33
日本科学未来館
日本最古の石博物館
34
浜松科学館
35
36
38
福岡県青少年科学館
三菱みなとみらい技術館
ミュージアムパーク
茨城県自然博物館
未来科学技術情報館
39
むつ科学技術館
40
41
盛岡市子ども科学館
山梨県環境科学研究所
37
42
43
和歌山県立自然博物館
和歌山市こども科学館
オーロラ講演会
水晶のペンダントづくり
「雪と遊ぼう」実験教室
雪の観察会
工作ワークショップ
実験工房
○
○
○
○
○
○
もの作り体験 1・2・3!
ミニサイエンス 1・2・3!
ロボカップジュニア
浜松予選①②
親子ふれ合い講座
ワークショップ
リニアモーターカーを作ろう
○
○
○
○
○
○
155
161
164
170
174
176
192
197
203
かんたん工作教室
科学実験工房
平成 14 年開催イベント一覧
○
○
○
208
216
220
229
串本の磯の生物観察と
化石を探してみよう!
夜の水族館をのぞいてみよう
星座観察会・
冬の星座ウオッチング
- 24 -
○
232
○
○
239
1.愛知県健康の森健康科学総合センター(愛称:健康プラザ)健康科学館
御担当者名 辻 真弓
御記入日
ご住所:愛知県知多郡東浦町東浦町大字森岡字源吾山 1 番地の 1
URL:http://www.ahv.pref.aichi.jp
TEL:0562-82-0211(代)
FAX:0562-82-0239
入場料:大人 500 円、小・中学生 200 円、就学前の子ども無料、障害者減免
開館日・開館時間:火〜日曜日、休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日以降で最初
の平日)、12/29〜1/1・9:30〜17:00(入館は 16:30 まで)
概要
健康の大切さやからだのしくみを見て、ふれて、理解することのできる参加・体験型の科
学館。
からだのしくみを模型や映像、パソコンを通じて学んだり、運動能力や食生活をチェッ
クしたりすることができる。
設立の趣旨、目的
展示や教育プログラムを通じて、健康の大切さを伝え、より健全な生活習慣の実践へ歩
み出すきっかけを提供する。
対象年齢
こどもから大人までを対象。展示物は小学校高学年から
一日の入場者数/平均 224 人(平成 13 年度)
一日の団体入場者数/年間 459 団体(平成 13 年度)
年間入館者数/69,561 人(平成 13 年度)
年間入館者数に占める子供の割合/約 53%(平成 13 年度)
会員の人数
なし
スタッフ数
複合施設の中の健康科学館、科学館担当 5 人
スポンサー
なし
常設展示物紹介
三つの展示室(からだの科学・健康の科学・脳の科学)と、200 インチのハイビジョン映像が楽
しめるヘルスサイエンスシアターを中心に構成され、からだの拡大模型やCGアニメーシ
ョンなどの映像、脳のはたらきをパソコンゲームなどで楽しく学べるよう工夫されている。
詳しくはホームページを参照してください。 (http://www.ahv.pref.aichi.jp )
定期的に行っているイベント
・ 工作ランド
・ パソコン健康教室
・ 土曜おもしろ科学館・健康科学教室
- 25 -
特別に行っているイベント
企画展示(年 1 回)
特徴
展示室をより楽しく学ぶことが出来るよう工夫しています。
体験型のもの
「クイズラリー(8 種類)」「Let’s try(2 種類)」
「チャレンジ Brain」「じっくりさぐろう(5
種類)」等の展示を見ながら行うワークシート。同じ展示でも違った見方が出来るように工
夫している。
ITに絡んだもの
パソコン健康教室:パソコンを通して、自己の生活習慣を振り返ると共に、健康生活の
実践の意欲かを図る健康教育を行う。
ホームページにクイズやシミュレーションを含んだオリジナルの健康教育ソフトを載せ
ている。
「健康クイズ」「健康ゲーム」「健康教育ソフト(喫煙と健康・肥満と健康・生活習慣と
健康・からだのしくみとふしぎ・歯をたいせつに)等
ダウンロードは不可
教育普及活動
小中学校が来館した時に、希望に応じて、健康教育・健康に関する講話を行っている。
平成 13 年度 22 件 平成 14 年度 23 件
お薦めのコンテンツ
- 26 -
2.青森県営浅虫水族館
総務課企画係 原田 洵治
御記入日 15 年 2 月 7 日
ご住所:青森県青森市大字浅虫字馬場山 1−25
URL:http://www.asamushi-aqua.com
E-mail:[email protected]
TEL:017-752-3377
FAX:017-752-3379
入場料:一般・高校生以上 1000 円
小・中学生 500 円
幼児無料
開館日・開館時間: 通年営業(12 月 30・31 日のみ休館)・ 開館時間 9:00 〜 17:00
概要
水族館棟 展示水槽 45 槽(海水 36・淡水 9)
展示水量 720 t(海洋大水槽 429t)
展示生物 600 種 9000 点
展示内容 1 階(海水魚) 2 階(淡水魚・タッチコーナー)
ショープール棟 ショープール 703 t (20×10×4m) 展示内容 イルカショー、映像シアター
いるか館 展示プール 310 t (直径 12×3m)
海 獣 館 ラッコプール 106 t
アシカプール 59t
アザラシプール 24t
ペンギンプール 28t
設立の趣旨、目的
当水族館は、青森県における通年観光の拠点施設として広域観光の振興及び県民の福
祉・社会教育の向上を図るため、昭和 58 年 7 月 23 日に開館しました。
対象年齢
一日の入場者数
(13 年度)
312,677 ÷ 363 = 861 人
一日の団体入場者数 72,891 ÷ 363 = 201 人
年間入館者数 312,677 人
年間入館者数に占める子供の割合 110,668 ÷ 312,677 =
会員の人数
0.354
スタッフ数
34 人
スポンサー
常設展示物紹介
1 階 海水魚ギャラリー
海洋大水槽(トンネル水槽)
暖かい海の生物コーナー
熱帯大水槽
冷たい海の生物コーナー
希少淡水生物コーナー 両生類コーナー (淡水)
2 階 淡水魚ギャラリー
熱帯雨林コーナー
タッチコーナー (海水)
- 27 -
いるか館
海獣館
バンドウイルカ
ラッコ
カリフォルニアアシカ
ゴマフアザラシ
フンボルトペンギン
イワトビペンギン
定期的に行っているイベント
z
夜の水族館見学会
z
イルカ教室
z
水族館裏方見学会
特別に行っているイベント
z
浅虫水族館ジュニアクラブ(小学 5・6 年生対象、会員制体験学習クラブ)イベント
z
浅虫水族館友の会イベント
z
浅虫アクアリウムクラブ(浅虫地域ボランティアグループ)研修会
特徴
ITに絡んだもの
浅虫水族館ホームページから PR ソングがダウンロードできる。
教育普及活動.
浅虫水族館図画展(県内の小・中学生対象)
浅虫水族館版画展(
〃
〃
)
お薦めのコンテンツ
- 28 -
浅虫水族館ジュニアクラブ(年度会員制長期体験学習クラブ)
担当者名 総務課企画係
原田洵治
実施日
場所:青森県営浅虫水族館
主催団体名: 同上
URL:http://www.asamushi-aqua.com
TEL:017−752−3377
FAX:017−752−3379
参加料:1500 円 (年会費)
開館日・時間:通年営業(12 月 30・31 日のみ休館) ・ 開館時間 9:00 〜 17:00
概要
1 年間を通じて、水生生物や水族館について学ぶ、長期体験学習クラブ
対象年齢
小学校 5・6 年生
参加人数
年度会員 45 名限定 (公募・抽選により決定)
企画期間
単年度 (4 月から翌年 3 月まで)
広報(募集について)
浅虫水族館内掲示板、浅虫水族館ホームページ募集情報、
県内各小学校への募集要項の送付
講師の名前・経歴
当館職員を配置
ファシリテイター数
各催事で変動有。概ね各回当館職員 5〜6 名
かかった金額
学校・企業との協力関係
地元漁協・漁業研究会(地引網採集)
年間実施回数
○ 5 月 結成式とバックヤードツアー「水族館の仕組みを見よう」
○ 7 月 地引網採集から水槽展示まで「水族館の仕事を体験しよう」
○ 9 月 ウミガメの引越作業と夜の水族館探検隊「一晩だけの宿直係」(館内宿泊)
○ 11 月 掃除・餌作り・合図でイルカを動かす「イルカトレーナー1 日体験」
○ 2 月 いつもよりじっくり観察してみよう「海獣類観察会」
他に会員は各自自主的な活動の為、年間 6 回まで入館無料。自由研究等自主活動には
当館スタッフによるフォローあり。
ワークショップ内容の詳細
上記参照
使用機材等
ジャンル
長期体験学習クラブ
気づいた点
対象会員が県下全域の為、送迎に関する保護者の負担が大きいようです
こどもの感想
アンケート実施前なので不明。ただし子供たちは毎回元気に参加しています。
- 29 -
浅虫水族館友の会
御担当者名
総務課企画係
原田洵治
実施日
場所:青森県営浅虫水族館
主催団体名
同上
URL:http://www.asamushi-aqua.com
TEL:017−752−3377
FAX:017−752−3379
年会費:一般・高校生以上 2,400 円 小・中学生 1,200 円 (年間 3 回まで入館できます)
開館日・時間:通年営業(12 月 30・31 日のみ休館) ・ 開館時間 9:00 〜 17:00
概要
年齢をこえた、水族館好きな方の集い
対象年齢
小学生以上
参加人数
入会制限無し (催事参加者は、事前応募。応募者多数の場合は抽選で決定)
企画期間
1 年間
広報(募集について)
県内各紙、各 TV ラジオ局に募集情報の掲載依頼。
県内各自治体、広報誌に募集情報の掲載依頼
ホームページ上の募集情報に掲載。館内掲示板に掲載
講師の名前・経歴
原則として当館職員を配置
魚拓講習会は外部講師(釣具店店主)
ファシリテイター数
各催事で変動有。概ね各回当館職員 5〜6 名
かかった金額(可能であれば内訳)
学校・企業との協力関係
年間実施回数
○ 8 月 「イルカ教室」イルカに関する講義とふれあい体験
○ 10 月 「写真撮影講習会」水槽写真の写し方を練習しよう
○ 12 月 「魚拓講習会」カラー魚拓を練習しよう。当館職員にも大好評。
○ 2 月 「水族館談話会」飼育係と生き物について話そう
○ 4〜6 月頃 「イルカウォッチング」陸奥湾のイルカを船上から観察します。
ワークショップ内容の詳細
上記参照
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
カメラ・ビデオカメラ等は各自持参
ジャンル
体験学習会
気づいた点
こどもの感想
写真
- 30 -
浅虫アクアリウムクラブ研修会
担当者名
総務課企画係
原田洵治
実施日
場所:青森県営浅虫水族館
主催団体名
「活き粋あさむし」
URL:http://www.asamushi-aqua.com
TEL:017−752−3377
FAX:017−752−3379
参加料:
概要
地域ボランティア「活き粋あさむし」会員で構成された、サポーターグループに
対する講習会
対象年齢
参加人数
各回 20 名程度
企画期間
広報
「活き粋あさむし」ホームページ上の催事情報に掲載。
講師の名前・経歴
当館職員を配置
ファシリテイター数
各催事で変動有。概ね各回当館職員 5〜6 名
かかった金額(可能であれば内訳)
学校・企業との協力関係
年間実施回数
○
12 月 浅虫水族館の概要と裏方見学会
○
1月
〃 〃 のイルカについて(内容:イルカ教室相当)
○
2月
〃 〃 の海獣類について(内容:海獣類観察会相当)
○
3月
〃 〃 の魚類について (内容:魚類観察会)
ワークショップ内容の詳細
上記参照
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
カメラ・ビデオカメラ等は各自持参
ジャンル
サポーターグループに対する研修会
気づいた点
こどもの感想
写真
- 31 -
3.明石市立天文科学館
担当者名:和澤洋子
記入日:平成 15 年 2 月 8 日
住所:兵庫県明石市人丸町 2―6
URL:http://www.am12.jp
TEL:078‑919‑5000
FAX:078‑919‑6000
入場料:大人 700 円、中高生 400 円、小人 100 円
開館日・開館時間:9 時 30 分〜17 時まで(観覧券の発売は 16 時 30 分まで)
概要
東経 135 度日本標準時子午線の真上に建てられており、地上 54m の時計塔(子午線塔)
はその標識となっている。館内にはプラネタリウムの投影機があり、毎月話題を変えて、
解説をしている。また、天体や宇宙を解説した模型、隕石や時計等の展示がある。
設立の趣旨、目的
明石市では明治 43 年以来、教育関係者の熱意によって、市内を通る東経 135 度日本標準
時子午線の位置に標識が建てられた。この子午線標識を大規模にする計画が進められ、国
際地球観測年(昭和 32、33 年)を契機に、青少年の科学教育及び科学振興事業として天文
科学館が建設され、昭和 35 年 6 月 10 日、時の記念日に開館した。
対象年齢
幼児から大人
一日の入場者数 平均約 330 人
一日の団体入場者数 約 92 人
年間入館者数 97、693 人
年間入館者数に占める子供の割合 約 38%
中高生 4、773 小人 32、271 合計 37、462 人(幼児を除く)
(以上平成 13 年度)
会員の人数
スタッフ数
職員 12 名
スポンサー
なし
常設展示物紹介
z
1階
受付、ミュージアムショップ
z
2階
直径 20m のドーム内にはカール・ツァイス・イエナ社製(旧東ドイツ)の
プラネタリウム投影機があり、前室ではプラネタリウム投影機のしくみ等を
展示している。
z
3階
「時のギャラリー」では子午儀や時計の展示、「天文ギャラリー」では隕石、
また惑星や銀河系、宇宙の広がりについての展示。「観測資料室」では各種
- 32 -
望遠鏡の模型や観測史などの展示がある。
z
4階
6 台のコンピューターや図書があり、入館者が自由に閲覧することができる。
z
13、14 階
明石海峡大橋や六甲山山系の山々等 360 度見渡せる。
z
16 階
天体観測室には口径 40cm の反射望遠鏡がある。
定期的に行っているイベント
天体観望会
定例観望会 年 12 回、
特別観望会 年 8 回
特別に行っているイベント
(平成 14 年度)
z
特別天文教室「日食を楽しもう!」
z
部分日食観望会
z
夏休み日時計工作教室
z
特別天文教室「今年のしし座流星群」
z
月見の夕べ
z
クリスマスコンサート
z
バレンタインコンサート
特徴
ITに絡んだもの
4 階天文サロンには 6 台のコンピューターが設置されており、入館者が自由に利用するこ
とが出来る。内容は「時と天文の図鑑」
「インターネットサーフィン」
「子午線ネット」の 3
種となっており、世界中のホームページに接続することが出来る。
教育普及活動
学社融合授業の実施。その他研修会を設け、学校との連携を深めている。
お薦めのコンテンツ
時計塔は、東経 135 度子午線上に建てられており館内には、経度を測定するために使用
した子午儀や、天文科学館を建設するまでの歴史を展示している。
- 33 -
夏休み日時計工作教室
担当者名:北本章
実施日:2002 年 8 月 23、24 日
場所: 兵庫県明石市人丸町 2―6 明石市天文科学館
主催団体名:明石市
URL:http://www.am12.jp
TEL:078‑919‑5000
FAX:078‑919‑6000
参加料:
時間:
概要:夏休み期間中に「子午線のまち明石」「ときのまち明石」にふさわしい体験活動。太
陽の動きと「時」の関係について理解を深めながら、牛乳パックを利用した日時計工作を
行った。
対象年齢: 小学校 4−6 年
参加人数 : 42 名
企画期間 :1 日×2
広報
新聞
市政だより
学校への案内チラシ配布
ホームページ上での案内
講師の名前・経歴
館職員
ファシリテイター数
4名
かかった金額
学校・企業との協力関係
小学校の教員へ工作のサポートを依頼。
年間実施回数
2 回。
ワークショップ内容の詳細:
z
子午線ってなあに(講義形式)
z
日時計をつくろう
z
日時計をつかって時刻を知ろう
ワークショップのタイムテーブル
受付 9:30〜10:00
工作教室 10:00〜12:00
使用機材等
特になし
ジャンル 工作教室
気づいた点
z
キットを使用しないで牛乳パック等利用したが、児童約 5 名に 1 人の割合でサポート
の教員についてもらったが、やはり工作を行う場合は必要であった。
z
夏休みの宿題用として保護者が申し込み、子どもが何をするか、わかっていないとい
うケースもあった。
- 34 -
こどもの感想
z
牛乳パックが日時計に変身するのがおもしろかった。
z
完成した日時計がくるっていたのが残念だった。
写真・ビデオ
- 35 -
4.赤穂市海洋科学館
担当者名:福本
記入日:平成 15 年 1 月 22 日
住所:兵庫県赤穂市御崎 1891―4
URL:
TEL:0794‑25‑5300
FAX:0794‑25‑1552
入場料:大人 200 円、小中学生 100 円
開館日・開館時間:午前 9 時 30 分〜16 時 30 分
休館日:火曜日 12/28〜1/4
概要
海洋(瀬戸内海)の情報、郷土の風土と塩の科学の情報伝達、及び屋外の塩田施設に
よる塩の文化の伝承。(塩田の維持管理及び塩田作業)
設立の趣旨、目的
海洋科学に関する知識の普及、啓発を図り、市民の科学教育の向上に資する。
対象年齢
なし
一日の入場者数、一日の団体入場者数
ともに季節により大きな変動あり。
(12 月〜2 月は少ない)
年間入館者数 35、000〜40、000 人
年間入館者数に占める子供の割合 3〜4 割
会員の人数
スタッフ数
海洋科学館職員 5 名
塩田作業員 6 名(非常勤で 1 日 2〜3 名で塩田の維持管理に務めている)
スポンサー
なし
常設展示物紹介
z
塩のギャラリー
日本の塩づくりの変遷と、世界各地の塩の分布、製塩法、及び塩の現物を展示し、
塩の正体を物理的、化学的に探りながら、人体での塩のはたらき、用途を解説し
ている。Q&A、図書コーナーもあり。
z
海を知ろう
波のしくみ、進み方、速さ、海中での光や音の変化などを明かにするとともに、
- 36 -
海洋探査、資源利用、未来の海洋開発等を紹介。水槽には赤穂近海の魚を飼育展示。
z
ようこそ赤穂へ
瀬戸内海の生立ち、赤穂の自然、地質、地形、気候、植生、動物を実物標本やパ
ネル映像により紹介。
定期的に行っているイベント
併設している塩の国では、流下式塩田を稼働させて鹹水(かんすい:塩田の濃くなっ
たもの)を作り、塩作りの体験が出来る。(毎日)
日曜日には釜屋(作業棟)の大きな釜で、鹹水を煮詰め塩をつくっている。(公開)
特別に行っているイベント
3 月下旬〜5 月 5 日 企画展
7 月 20 日〜8 月 31 日 特別展を開催している。
特徴
塩づくり体験あり(希望者)
小学校の自然学校や総合学習の時間に、入浜式塩田の作業を学習したいという学校に
は作業体験も実施している。
ITに絡んだもの
教育普及活動
お薦めのコンテンツ
- 37 -
子ども科学教室
担当者名:福本
実施日:
場所: 兵庫県赤穂市御崎 1891―4
主催団体名:赤穂市立海洋科学館
URL:
TEL:0794‑25‑5300
FAX:0794‑25‑1552
参加料:年間 4000 円
時間:土曜日の午前 9 時 30 分〜12 時
概要:
対象年齢: 小学校 4〜6 年
参加人数 : 35 名
企画期間 :6〜2 月
広報
赤穂市内の小学校 10 校に募集要項(申込書)の個人配布を依頼している。
講師の名前・経歴
協力委員(物理、化学、生物、地学などの専門分野の方)
ファシリテイター数
11 名
かかった金額(可能であれば内訳)
学校・企業との協力関係
器具不足の時は、近在の学校から借用している。
年間実施回数
6〜7 回、一年間同じメンバー(子ども)で継続。
ワークショップ内容の詳細:
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
ジャンル 物理、化学、生物、地学、天文学、工作など実験、観察、製作等。
気づいた点 実験室がない(研修室を使用)
こどもの感想
写真・ビデオ
- 38 -
5.(財)石の博物館(奇石博物館)
担当者名:北垣俊明
記入日:平成 15 年 1 月 25 日
住所:静岡県富士宮市山宮 3670 番地
URL:http://www.kiseki‑jp.com
TEL:0544‑58‑3830
FAX:0544‑58‑5061
入場料:大人 700 円、小中高校生 300 円、ただし、第 2 第 3 土曜日とこどもの日は小中高
校生の入館料のみ無料
開館日・開館時間:午前 9 時〜5 時(入館受付は午後 4 時 30 分まで)、休館日水曜日(祝日に
当たる場合はその翌日)
概要
固いと信じていた石がクニャッと曲がってしまったり(コンニャク石)、木槌で叩けばそ
れはまるでお寺の鐘のようだったり(カンカン石)、石の下の文字や絵がその表面に浮き出
したり(テレビ石)、今にも動き出しそうな石のトンボ(立体石化トンボ)、紫外線を当て
ると暗闇で赤や緑の光を放つ石たち(光る石)
。奇石、宝石、化石、岩石、鉱物、隕石……、
石と名の付くものが勢揃い。収蔵標本約 12000 点の内、常時約 1600 点を紹介しています。
設立の趣旨、目的
石の不思議さや面白さを通じて、馴染みにくい地学に興味を持ってもらうこと。
対象年齢
小学生以上
一日の入場者数
一日の団体入場者数
年間入館者数
約 5 万人
年間入館者数に占める子供の割合
全体の約 4 割
会員の人数
スタッフ数
12 名
スポンサー
常設展示物紹介
定期的に行っているイベント
- 39 -
特別に行っているイベント
・ 観察会(年数回、実費負担)
・ 石の肉眼鑑定(随時、無料)
・ 体験教室(黒曜石の矢じりつくり、化石のレプリカつくりなど:不定期、実費負担)
・ 宝石探し体験(3 月下旬〜11 月下旬、1 人 30 分間 500 円)
・ 石ころフェスタ(ゴールデンウィーク、お盆のころ)
特徴
展示:それぞれのケースに展示テーマをあたえ、それぞれの標本のお話を紹介する
「1 ケース、1 テーマ、1 ストーリー」という手法で展示している。
体験型メニュー:(前項参照)
学校との連携:総合学習の流れを受け、地域の小中学校を対象に「出前授業、出前観察
会」を地域企業の援助を受けて行なっている。
博物館との連携:地域の博物館 6 館で「富士山ネットワーク」という集まりを立ち上げ
ている。主に PR 効果を高めるためのもの。
公民館との連携:公民館事業への講師派遣、国立中央青年の家の事業「高等学校の総
合的な学習の時間に向けたプログラム作り」にアドバイザーという形で参加している。
ITに絡んだもの
ホームページの開設
教育普及活動
(前項参照)。ちなみに平成 14 年度は延べ 13 の小中学校で 51 時間の出前授業、出前観
察会を実施しました。
お薦めのコンテンツ
毎月展示が変わる月々に因む石を紹介する「今月の石」、3 ヶ月に一度展示替えを行なう
「新奇石探訪」「出番待ち標本紹介」の各コーナーがあり、毎月どこかしらの展示が変わっ
ています。
屋外施設の体験学習棟では、3 月下旬〜11 月下旬の間、1 人 30 分間 500 円で宝石探し体
験が可能です。人工のせせらぎの中で約 40 種類の宝石を探し持ち帰ることができます。
- 40 -
体験教室
担当者名:北垣俊明
実施日:夏休みの間などに不定期で実施
場所:(財)石の博物館(奇石博物館)
主催団体名:同上
URL:http://www.kiseki‑jp.com
TEL:0544‑58‑3830
FAX : 0544‑58‑5061
参加料:実費負担(約 500〜1000 円)
開館日・時間:博物館は午前 9 時〜5 時(入館受付は午後 4 時 30 分まで)、
休館日:水曜日(祝日に当たる場合はその翌日)
概要:黒曜石の矢じりつくり、化石のレプリカつくりなど
対象年齢:小学生以上
参加人数
企画期間
広報
不定期なのでホームページを確認ください。
講師の名前・経歴
ファシリテイター数
かかった金額(可能であれば内訳)
学校・企業との協力関係
年間実施回数
未定。この事業に関しては単発。
ワークショップ内容の詳細:①黒曜石を砕いて矢じりや石ナイフをつくり、これで肉を切っ
て焼いて食べる。②本物の化石を使ってそのレプリカ(複製)をつくる。紙粘土で型を取
り石膏を流し込んで固め彩色を施す。
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
ジャンル
気づいた点
こどもの感想
写真・ビデオ
- 41 -
6.エネルギー館
キャプテン・ジーオ
担当者名:
記入日:
住所:〒030‑0803 青森市安方 1 丁目 1―40 アスパム 2 階
URL:http://www.cap-geo.gr.jp/
TEL:017-773-2515
FAX:017-732-5704
入場料:大人(高校生以上)200 円、小人(4 才以上)100 円
開館日・開館時間:9:00〜18:00
休館日 毎月第 4 月曜日(祝日の場合は翌日)*1 月は第 4 週月、火、水、
年末年始 12 月 31〜1 月 3 日
概要
東北電力、東京電力等が出資しているエネルギーについての科学館。体験型の展示を通
じてエネルギーの大切さや資源についての知識を深められる様になっている。
設立の趣旨、目的
実際に体験できる展示や楽しい遊びを通して、こども達に科学の目、地球環境に対する
目を養い、エネルギーについての正しい知識を深めてもらうことを目的として誕生した。
対象年齢
全ての年齢を対象
一日の入場者数
一日の団体入場者数
年間入館者数
年間入館者数に占める子供の割合
会員の人数
スタッフ数
スポンサー
東北電力株式会社、東京電力株式会社、電源開発株式会社、日本原燃株式会社
常設展示物紹介
1. エントランスゾーン
入り口の恐竜の手形に触れると、キャプテンジーオからのメッセージが聞ける。
2. 太陽の丘(遊びの広場)
・ランドマスク 古代の遺跡をモチーフにしたフィールドアスレチック。のぼった
り、おりたり、すべったりしながらエネルギー資源を探す遊びが出来る。
・スーパー・ジーオ 21 音と映像と振動でリアルな世界を体験しながらエネルギー
の大切さを学ぶ。
3. まぼろしの村(くらしのテーマゾーン)
太古の世界へタイムスリップして古代人の生活をのぞき、現在の生活と比べる。
4. 光の森(環境のテーマゾーン)
大地・海・空のパノラマで、自然の中の一日の移り変わりを観察できる。地球環境
の大切さと自然の尊さを体験するゾーン。
- 42 -
5.
エネルギーのピラミッド(未来とエネルギーのテーマゾーン)
エネルギー資源、地球環境と人間のくらしの調和を探って行くゾーン。地球環境と
未来のくらしについての展示がある。
6. ハーモニーハウス(コミュニケーションゾーン)
ここは、心と心のハーモニーをテーマにした、コミュニケーション・スペース。コ
ンピューターを自由に使い、環境についてのチャットをしたり出来る。また、ワー
クショップも定期的に開催。
定期的に行っているイベント
1. 2・4 土曜塾
開催例 イチゴジャムをつくろう、らくらく科学
(CD ホバークラフト、電動たわしを作る)等
2. クラブ Teens
開催例 親子エネルギー施設見学バスツアー むつ科学技術館
3. ハーモニーフェスティバル
開催例 Geo てづくり工房
特別に行っているイベント
特徴
ITに絡んだもの
ハーモニーハウス
教育普及活動
お薦めのコンテンツ
Club@Net
- 43 -
7.大阪科学技術館
熊谷 伸吾
11 月 25 日
場所:〒550−0004 大阪市西区靱本町 1 丁目 8 番 4 号
URL:http://www.ostec.or.jp/pop/html/op_1.html
TEL:06−6441−0915
入場料:無料
開館時間:午前 10 時〜午後 5 時
休館日 :日曜・祝日
夏休み 5 日間、年末年始
概要
青少年をはじめ、一般市民に対して科学技術の知識の普及と科学技術が生活向上と社
会発展にいかに役立っているか理解を深めるため、産業界、官庁、団体等の協力を得て、
1963 年に開館する。幅広い分野にわたる最新の科学技術や産業技術を楽しみながら学べ
る参加・体験型の展示を無料公開している。日常生活の中では目にすることの出来ない
先端科学の世界やその未来像を垣間見ることができ、普段の日常に隠された最新科学技
術を発見できる。
様々な展示を体験することにより子ども達が科学や技術への興味と関心を高めるきっ
かけとしてほしい。
対象年齢 一般市民(特に青少年・小学校 3 年生〜中学生)
1 日の入場者数 700〜800 名
団体入場者数 約 12,000 名(H14.4〜H14.11)
会員の人数 科学子どもクラブ「サイエンス・メイト」会員 1100 名
スタッフ数 15 名
スポンサー 関西電力・日本原子力発電・NTN・クボタ・宇宙開発事業団・海洋科学技
術センター・理化学研究所・日本板硝子・三社電機製作所・オルガノ・積水科学工業・日
本原子力研究所・ライオン・三洋電機・東芝・シャープ・日立製作所・松下電機産業・宇
部興産・三菱電機・武田薬品工業・科学技術振興事業団・竹中工務店・
定期的に行っているイベント
祝日や夏休み等長期休暇中には工作教室・野外活動などの活動を行っている。
(例)ホバークラフトをつくろう、らんらん遊覧船(遊覧船を自分の工夫で作り変える)
等
- 44 -
常設展示物紹介
館内は企業(出展者)ごとのブースに分かれている。
各ブースごとのつながりは特に感じられない。
・ 1F
エネルギーネットワークカフェ(関西電力)・静電気のふしぎとパワー(日立造船)・人に、
地球にやさしいスモールカー・ランド(ダイハツ工業)他 3 つ
・ 2F
かけがえのない地球の未来を守る(オルガノ)
- 45 -
未来へ向けた薬づくり(武田薬品工業)
ピラミッド建設の謎にせまる!−ビッグプロジェクトと建設技術―(大林組)、宇宙開発最
前線(宇宙開発事業団)、未来を開くプラズマ技術(三社電機製作所)、これが青色発光ダ
イオードだ!!(科学技術振興事業団)他 19。
- 46 -
特徴
最新の科学技術を紹介することから 2 年に 1 度展示改装を行っています。全体として一
貫したテーマはあるのだろうが、全てのブースが独立して設けられている。
全てのブースが無人で、案内に従って自分で体験するものである。職員はインフォメー
ションセンターの一人しか見受けられなかった。
ブースには各々モニターが設けてあり(例 ライオン)、
それを操作して情報が引き出せるようになっている。他の科学館などとの連携はサイエン
ス・サテライト、きっづ光科学館ふぉとんがある。
ITに絡んだもの
ウェブ上にて「生き物調査」の実施
(全国 10 館との連携により、蝉などの生き物調査を行っている。本年度は調査終了)
こども向けソフトがダウンロードできるなど。
お薦めのコンテンツ
様々な最先端技術が並んでいるので、どれがお薦めかを考えたときにどの分野に興味が
あるかということになってしまう。それを踏まえた上では、今問題の原子力発電所を取り
扱っているブースが気になった(関西電力、日本原子力発電)。全てのブースのレベルが概
して高いように見受けられた。ただ、故障中なのかどうかわからないが、休止中もモニタ
ーがいくつか見受けられて残念だった。
- 47 -
8.科学技術館
レポート担当者名 岩崎 大典
訪問日 2002 年 11 月 30 日
場所:〒102‑0091 東京都千代田区北の丸公園 2−1
R URL:http://www.jsf.or.jp
TEL:03‑3212‑2440
入場料:大人600円、中高生400円、こども(4歳以上)250円
(団体)大人 500 円、中高生 300 円、こども 200 円
開館日・時間:9 時半〜16 時 50 分(入場 16 時) 年末年始 12/29〜1/3 休館
概要
産(経団連など)官(旧文部省、旧通産省など)学の総意によって1964年に開館。一般に
広く産業と科学技術に対する関心と理解を深めてもらうことを目的としている。
近年、理科離れ、科学技術離れが問題になっている中、青少年をはじめ多くの人々にとっ
て、校外学習および生涯学習の場としての役割を果たすことも新たな目的としてあげている。
上野、台場にも科学館が設立されているが、上野が自然科学を、台場が高等教育以上の内容
を対象にしているのに対し、本科学館では主に小学生向けに科学技術情報を発信することで、
少年層の科学技術への興味と理解の底上げを目的としている。そのため見て・触って・体感
する展示とワークショップに力を入れている。順路はエスカレーターで 5F まであがり、その
後階段で下層に下っていく方式。
対象年齢
小学校 4 年〜6 年(大人まで楽しめる)
1 日の入場者数
1500 人/日 年間 55 万人 平日:休日=6:4
団体入場者数
修学旅行、クラス、学年の社会化見学 1 グループ 100 人程度
平日の入場者数の主な部分を占める。団体用の休憩室も完備している。
会員の人数
「友の会」1600人程度 入場フリーなどの特典有り (会員が多すぎると実験
などが混みすぎサービスがいきわたらないため、ほぼ毎年この数を維持している)
スタッフ数
45(科学館にかかわっている人間のみ。財団法人全体の数ではない)
スポンサー
理化学研究所がメインだが、業界団体の参加も多い。スポンサーごとにブースを持つ。
宇宙開発事業団/新エネルギー・産業技術総合開発機構/通信機械工業会/電気事業連合会
/(社)電子情報技術産業協会/(社)日本化学工業協会(イベントのみ)/(社)日本ガ
ス協会/(社)日本建設業団体連合会/(社)日本自動車工業会/(財)日本自転車普及協
会/(社)日本鉄鋼連盟/(社)日本電気工業会/マブチモーター(株)/理化学研究所(50
音順)
- 48 -
定期的に行っているイベント:
会員対象に小学校の休み期間中、工作教室を開催。
その他の定期的に開催されているプログラムは以下のとおり。
プログラム名
階
展示室名
時間・内容
超低温
楽しい科学
5F
5F
ワークス
ワークス
〃
耐震実験
4F
コンストリアム
〃
ワークショップ
3F
〃
マジカルクラスルーム
3F
DENKI
FACTORY
生活と科学
天体ライブショウ
4F
ユニバース
ハイビジョン&ショウスキ 4F
ャン
サイエンスチャンネル
4F
ユニバース
2回/日 液体窒素実験
3回/日身近な材料の化学実
験
5回/日 模型の耐震構造実
験
3回/日電気をテーマに実験工
作
5回/日 気体・燃焼関連の実
験
2回/毎土 アメリカの星空を
インターネットTVで中継
12回/平日 各種映像放映
アトモスシアター
アトモス
科学教室
〃
天体ライブ・映像
〃
〃
ミニシアター
2F
ユニバース
1回/各土・各日 科学専門放
送
5回(7回)/日(土日祝)
放射線の解説
常設展示物紹介
FOREST:5F全フロアと4Fの一部
「遊び・創造・発見の森」をテーマにした8つの展示室「オリエンテーリング」「イリュージ
ョン」「オプト」「メカ」「ワークス」「アクセス」「ゲノム」「ユニバース」から構成さ
れる展示全体を自然の森とみたて「FOREST」という。解説パネル・操作説明がほとんどなく、
見て・触って・体感して科学への関心を高めてもらうことを目的としている。科学館独自の
「遊び心」を各所に施し、空間デザイナーを使用した空間やオブジェ・色彩の他にトイレや
ベンチにも仕掛けをほどこしているなど、飽きが来ず楽しめるつくりになっている。
「アクセス」
通路にも様々な遊び心が
- 49 -
「ワークス」
学校休みには工作教室も。
「メカ」
「イリュージョンA」
鉄球を運ぶ体感アトラクション
5Fのみトイレにも仕掛けが
「イリュージョンB」飛ぶと・・・多角カメラから連続写真のリプレイが
コンストリアム:4F (社)日本建設業団体連合会
建設に関する最先端を含めた技術の解説と体感実験を行っているスペース。体感実験は「ス
ーパー建機シミュレータ」「地震体感ステージ」「耐震実験」の3本が、ほぼ常時行われてい
る。
耐震実験の講義風景
スーパー建機シミュレータ
無限の可能性を求めて:4F 新エネルギー・産業技術総合開発機構
21世紀へ向けた新エネルギーとして研究開発が進められているエネルギー源を体感できるコ
ーナーを設けている。「リニアモーターカー」「マイクロマシン」「体験型太陽光発電模型」
「インフォメーションロボット」など。医療・福祉機器も体感することができる。
- 50 -
宇宙情報ライブラリー:4F 宇宙開発事業団
世界の宇宙ロケットを紹介。データベースのほか、宇宙飛行士ゲームもある。フロアは「宇
宙開発データベース」と「国際宇宙ステーション建設スケジュール」がメイン。NASDAのホー
ムページにアクセスできるパソコンも設置してある。
パソコン道場:4F
教育活動に役立つソフトを約40種用意。パソコンを自由に操作することができる。年間を通
して各種パソコン教室も開催。申し込み制。
Iron World〜すばらしき鉄の世界〜:4F (社)日本鉄鋼連盟
鉄に関する展示がされている。鉄と人類の関係史、鉄が現代の暮らしに貢献している事柄な
どを展示。
サイエンスマルチメディアネット:4F
情報検索・コンピューターグラフィックシュミレーション・映像などを通し、科学技術に対
する理解を深めることができる展示。「バーチャルシュミレーション」「CAN缶」「パソコン
工房」などがある。
- 51 -
「地球を守る」/ビデオコム:3F
温暖化、酸性雨、海洋汚染などをテーマに動物を取り巻く地球環境の変化と人間の関わりに
ついてのビデオを見ることができる。このコンテンツはインターネット
http://kankyo.jsf.or.jpでも閲覧可能。
生活と科学:3F (社)日本ガス協会―ガス・サイエンス・アーケード
ガスに関する体験展示を行っている。「ガス・サイエンス・アーケード」では様々な実験を
通して、パスカルの原理やベルヌーイの定理を学ぶことができる。「マジカル・クラスルー
ム」では気体の性質を学び、その燃焼実験を観察することができる。
みんなのくるま:3F (社)日本自動車工業会
現在車に求められている最も大きな要素である、環境保全技術と安全性技術についての解説
展示がある。実際の車の構造・仕組みを見たり、運転を体感できたりするコーナーもあり、
単なる暗記的学習に留まらない工夫がなされている。
- 52 -
エレクトロホール:3F (社)日本電気工業会 (社)電子情報技術産業協会
通信機械工業会
オーロラの展示。実際の映像や、オーロライメージを作り出す展示など、視覚に訴えた展示
が多い。そのため、解説文はほとんどない。
DENKI FACTORY:3F 電気事業連合会
電気の性質や用途をしめしたものや、電気を使ったものなどを展示し、電気への理解を深め
るフロアになっている。ワークショップも定期的に行っている。
自転車広場・北の丸サイクル:2F (財)日本自転車普及協会
自転車広場では、自転車の歴史の展示を行い、北の丸サイクルでは、自転車の科学と技術に
ついて学ぶ体感型機械が用意され、自転車に対する理解を深めるフロアになっている。
アトモス<原子力>:2F 電気事業連合会 他
原子力の知識を平易に解説。演じ実験ショーでは、放射線についてわかりやすく解説してい
る。バーチャルリアリティの世界で核分裂やオーロラを作り出すことができる展示も。
特徴
参加体験型(ハンズオン)を開館以来多く取り入れる姿勢を貫いている。たとえば5Fは解説
がほとんどなく、ほぼ体感のみの展示。これはまずは見、触れることから興味を持ってほし
いという目的によるもの。大人からは「解説文がない」などのクレームもでるらしいが、子
どもには好評。これは対象年齢上仕方のないこと。参加体験型に対する新展示も積極的に展
開。アメリカのイクスプラトリアム、フランスのラビレット博物館と過去に提携、職員の相
- 53 -
互留学などを行っており、今も交流関係を持つ関係から、海外の新展示の情報の入手が早い
とともに、スポンサーや空きスペースが日本の他科学館より多いことが、積極的に展開でき
る理由。したがっておのずと日本一新しい展示も取り入れることとなり、他の科学館からも
調査がくることが多い。
教育機関との関係については、千代田区教育委員会と共同で、地元の九段小学校に対し「学
校の総合的学習に何ができるか」というテーマでモデルケースとして教育の協力などを行っ
ている。たとえば北の丸公園を使った自然の学習会や、学校でできない実験を見せる、など。
昔は直接学校とこうした交渉をすることもあったが、今はどこも教育委員会を通さないとこ
うした実現は難しいとのこと。
その他の科学館とのコラボレートとしては、所沢の航空科学館、お台場の科学館らと実験
形式を相互援助している。船の科学館、日本科学未来館では「友の会」会員であれば割引が
適応されるようにもしているそうだ。だがこういう関係作りもなかなか難しいと言うこと。
しかし一方で、国からの依頼で、全国の科学館(札幌・青森・大阪・広島・福岡など)と展
示の研究をしているという。TV会議システムを用いた、持ち回りの発表会などを毎月行って
いる。それ以外にも東京都博物館協議会の幹事館として、年間会費を運用運営。各館事業内
容の発信、研修会などを行っている。
地域との交流は、教育以外のところではとくにない。
課題としては、築 38 年の建物なため、バリアフリー対策が難しいところだそうです。(例
えば、現在車椅子の方は業務用エレベータの移動しか上下階移動ができない等)
ITに絡んだもの
「ITをさぐろう」というケータイ、FAXなどの機構、すなわち身近なBLACKBOXを平易に理解
させる企画(中学生向け)展示を開発・検討中。
現在行われているのはアメリカ天文台とのインターネット中継。一般開放ではないが、今
年7月から試験的にフルオート
(シカゴから遠隔操作可能)の天体望遠鏡のネットワーク作りを「日本ハンズオンユニバ
ース」という天文学の任意団体が進めている。
WEBはHPを自作している。リンクも積極的にしている。入場割引券がダウンロードできる仕
組みで、入場者にもかなり浸透しているようだ。
展示との絡みでは、ビデオ・コムの内容がインターネットで外部からも閲覧可能になって
いるほか、パソコン教室も定期的に行われている。
お薦めのコンテンツ
他の階がどうしてもスポンサーの意向が反映されるのに対し、5F「フォレスト」は完全に自
分たちで運営できるため、ひたすら体感型という館の目的がもっとも色濃く出せている。ベ
ンチやトイレにも仕掛けを設けるなど、「遊び心」を館自身が持つことを考えた。室内デザ
イナーも用いている。
- 54 -
偏光板を使った光の不思議
レポート担当者名 岩崎 大典
実施日 2002 年 11 月 30 日
場所:科学技術館(千代田区)
主催団体名 日本化薬株式会社
URL:http://www.jsf.or.jp/
TEL:03‑3212‑2440
参加料:無料
開館日、開館時間:開館 9 時 30 分〜16 時 50 分(入場は 16 時まで)
年末年始(12/29〜1/3)は休館
概要
講義形式で、最後に偏光版を用いた万華鏡(もどき)の製作。講師一人、助手一人による
実験を主にした 40 分程度の講義形式。受講は申し込み制で、1 回につき最大 20 人まで。親
御さんも参加できる(参加者数には含まれない)。講義メニューは毎回スポンサーと科学
館との打ち合わせで決める。
対象年齢 小 4〜小 6
参加人数 30〜40(10〜15×3 回)/日
企画期間 11 月 2 日 11 月 9 日 11 月 16 日 11 月 23 日 11 月 30 日(毎土曜日)
広報
新聞など報道機関66媒体にニュースリリースを送る。科学館HP、「友の会」会員には年6回
の定期案内で告知。教育委員会にもよびかける。入り口で配布されるプログラムに紹介。
講師の名前:中島ヤスタカ氏。当科学館員、総務課。理科大卒で実験には親しんでいる。
助手は青山学院大の院生(特定者)を起用している。
ファシリテイター数
3 人のローテーションで、各回一人ずつ。
かかった金額(できれば内訳)
人件費として講師代 3 万円(全員で)、これですべて。機材は科学館のものを使用、材料
費はスポンサーからの提供なので無料。
学校・企業との協力関係
毎月ワークショップの内容・スポンサー共に変わる。現在は日本科学協会の呼びかけで企
業が月ごとの持ち回りでスポンサーになっている(もともとこの館の設立を主導したのが
旧経団連だったことも影響としているかもしれない、記者考)。先月は住友スリーエム、
今月は日本化薬、来月、再来月は花王がスポンサー。
年間実施回数
11 月のみ毎週土曜日の 5 日×3 回。月ごとに実験テーマが異なる。
ワークショップ内容の詳細
講義は難しい内容のものを、視覚的なものを用いたり、日常的な疑似体験をなるべく例に
とりこんだりと、平易に聞かせる工夫を盛り込んだ内容にするよう腐心している。製作は
底を四角く切った紙コップと偏光版を、子どもに2組張り合わせるもの。その後ファシリテ
イターがプラスチック片を2組の間に注ぎ込むと、光の乱反射が偏光版によってカラフルに
描かれ万華鏡のように見える仕組み。
ワークショップのタイムテーブル
11:00〜11:40
13:00〜13:40
14:30〜15:10
- 55 -
使用機材等
OHP,パワーポイント&プロジェクター
ジャンル
講義、実験、工作
気づいた点
講義→実験→講義→工作 という形式。「偏光」というジャンルに対し集まった生徒は小
学校 3、4 年生といった様子で、生徒にとって少々レベルが高い内容のように見えた。「光
の位相差」という高校レベルの単語も講義中にあった。しかし序盤は説明を難しそうに聞
いていた児童も、実験や工作の場面では眼を輝かせて参加するようすが目立った。ファシ
リテイターの方は講義中、講義後のインタヴューを通して、親切に応対していた。スポン
サーの意向も反映し、少々レベルが高くなる講義もあるらしく、それはファシリテイター
の腕の見せ所。スポンサー先の研究員の方とのめん密な打ち合わせ(説明の簡略化の際ポ
イントがずれていないか、など)を事前に行ったうえで、講義中の子ども達の反応を見な
がら話を進めていくことを心がけている、とのこと。今回の実験では、講義内容は難しい
ものの視覚的効果が高いので関心を持って講義を聞く子どもが多いように見受けられた。
こどもの感想・調査員のコメント
光に偏光版をあてる方向によって物質の色が変わるときに「おおー」「すげぇー」などの
感嘆の声が上がった。講義内容について理解している子どもは少ないようであったが、そ
れでもお土産にもらった偏光版や、自作の工作物をもっていつまでも遊んでいる子ども、
親と偏光の不思議について話し合っているこどもなど、終了後は内容の話に花を咲かせ、
満足した様子であった。
調査員の感想
小学校高学年のみならず一般にも知的レベルが高く楽しみながら講義を聞くことができ
る。親子連れならば、親にも十分楽しめる(一部難解ですらある)内容。子どもたちは体
感型になるとやはり熱中するようで、その姿がほほえましかった。
- 56 -
写真・ビデオ
講義の様子
講義の間に実験を入れる。こどもは興津々。
- 57 -
スライドを用いて偏光の仕組みを説明
最後に、子どもたちに工作をしてもらう
熱中する子ども
偏光版を用いた万華鏡もどきの完成
- 58 -
9.かがみはら航空宇宙博物館
御担当者名 永井
御記入日
ご住所:岐阜県各務原市下切町 5 丁目 1 番地
URL:http://www.city.kakamigahara.gifu.jp/museum
TEL:0583-86-8500
FAX : 0583-86-9912
入場料:大人 1,000 円、小・中学生 500 円、シルバー(60 歳以上)
・高校生 700 円
開館日・開館時間:休館日 火曜日(祝日の場合翌日)、年末年始 9:30〜16:30
概要
STOL 実験機「飛鳥」やブルーインパルス T-2 高等練習機をはじめ、30 機以上の実物機を展示。
飛行体験館のシミュレータでは、迫力あるジェット練習機でのアクロバット飛行や宇宙旅
行が体験できる。
設立の趣旨、目的
大正 6 年に開設されて以来、日本に現存する最古の飛行場として古い歴史を持ち、現在
も我が国の航空宇宙技術開発の中心地である各務原に、日本の航空宇宙技術の歴史と文化
を若い世代の人にも伝えて行く為の、発信基地として平成 8 年 3 月に開館。
対象年齢
特に無し
一日の入場者数/550 人
一日の団体入場者数/190 人
年間入館者数/172,023 人
年間入館者数に占める子供の割合/33%
会員の人数
会員制度無し(ボランティア会員は、約 210 人)
スタッフ数
職員 6 人、嘱託 4 人、その他案内コンパニオン等十数名
スポンサー
各務原市直営
- 59 -
常設展示物紹介
屋外実機展示場
屋内実機展示場
ウエルカムハウス(サルムソン 2A-2)
飛行体験館(宇宙シミュレータ)
テーマハウス(HⅡロケット先端部)
定期的に行っているイベント
夏期・春期イベント、航空スポーツフェア、アイデア水ロケットコンテスト全国大会等
(すべて一年間に 1 回)
特別に行っているイベント
オリジナル水ロケット製作教室
特徴
展示している実物機のうち数機については,常時中に入って見学できるようにしている。
体験型施設を目指し、各種シミュレータを充実、ヘリコプタ操縦装置・紙飛行機製作等
常時行っている。
ITに絡んだもの
宇宙パソコンコーナー・様々な映像装置を設置。
シミュレータによる、バーチャル飛行体験.
教育普及活動
幼稚園・学校での出張講座.(紙飛行機教室・模型飛行機教室等)
お薦めのコンテンツ
- 60 -
10.加古川総合文化センター宇宙科学館
担当者名:北尾浩一
記入日:平成 15 年 2 月 9 日
住所:〒675‑0101 兵庫県加古川市平田町新在家 1224‑7
URL:http://www.city.kakogawa.hyogo.jp/hp/bunka/index.html
TEL:0794‑25‑5300
FAX:0794‑25‑1552
入場料:大人(高校生以上)200 円、小人(4 才以上)100 円
開館日・開館時間:午前 10 時〜17 時(入館受付は午後 16 時 30 分まで)、
休館日 毎週月曜日 (祝日に当たる場合はその翌日)
概要
単に宇宙論を見て学ぶだけでなく、ゲームや遊びの感覚を多く取り入れ、こどもから大
人まで、興味を持ってわかりやすく、しかも効果的に学習できる内容となっている。
設立の趣旨、目的
複合施設としての利点を生かし、諸施設を有機的に関連づけ、子どもたちに宇宙や科学
に対する興味関心を喚起させる。また、当施設が宇宙科学への窓口となり、メディア社会
をふまえた、情報の発信基地としての役割を担う。
対象年齢
全ての年齢を対象
一日の入場者数
一日の団体入場者数
年間入館者数/4、765 人(平成 13 年度)
年間入館者数に占める子供の割合/約 61%
会員の人数
スタッフ数
2名
スポンサー
なし
常設展示物紹介
定期的に行っているイベント
サイエンスショー
特別に行っているイベント
・ 「七夕飾りを作ろう」
地域の伝統の七夕飾りを制作。
- 61 -
特徴
地域に根ざした伝統の天体に関する行事、天文学史上の話題等を積極的に取り上げる。
(現在「陰陽師のゆかりの地」の写真を展示中)
ITに絡んだもの
デジタルスペースショー in
かこがわ (平成 14 年 8 月開催)
教育普及活動
お薦めのコンテンツ
「冬の星座展」(平成 14 年 11 月 23 日〜15 年 3 月 2 日)
当館所蔵の地域の星座に関連する民具(カラスキ、カセ、イカリ、サカマス等)を
展示。
- 62 -
サイエンスショー
担当者名:
実施日:
場所:加古川総合文化センター宇宙科学館
主催団体名:(財)加古川市文化振興公社
URL:http://www.city.kakogawa.hyogo.jp/hp/bunka/index.html
TEL:0794‑25‑5300
FAX:0794‑25‑1552
参加料:無料(別途宇宙科学館への入館料が必要)
開館日・時間:日曜日 14 時 15 分〜15 時 30 分(約 20 分)
概要:3 か月ごとにテーマを決めて開催。3 月からは「超低温の不思議」
対象年齢:小学生以上
参加人数 : 10 名前後
企画期間 :通年
広報
情報ランド、市広報
講師の名前・経歴
中塔貴志 氏
他
ファシリテイター数
かかった金額(可能であれば内訳)
学校・企業との協力関係
年間実施回数
約 50 回。
ワークショップ内容の詳細:
サイエンステーブルにて表示
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
ジャンル 化学を中心に自然科学一般
気づいた点
こどもの感想
写真・ビデオ
- 63 -
11. 神奈川県立青少年センター
レポート担当者名:水向 健太郎
訪問日:2002 年 11 月 23 日
場所:神奈川県横浜市北区紅葉ヶ丘 9−1
URL:http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/02/0230/
TEL:045‑241‑3131(代)
入場料:無料(プラネタリウムのみ、
20 才以上の一般 100 円、
大学・専門学校生および 20 才未満の人 50 円、
それ以外は無料)
開館時間:9:00〜17:00
(但し、第二分館は日曜以外 9:00〜21:00、ホールは 9:00〜22:00)
休館日:月曜日、年末年始(12 月 28 日〜1 月 4 日)
成人の日、子供の日、体育の日、文化の日、勤労感謝の日は開館し、
その翌日が休館となる。
概要
青少年センターは、昭和 37 年の開館以来、青少年の健全育成と県民の教養の向上を
はかる総合施設として、文化・科学・芸術の三つの分野にわたって各種事業を展開し、
広く青少年や県民に親しまれてきた。当センターは学校教育現場では実施困難な天文観
測や科学実験などに取り組むと共に、演劇やダンス・人形劇の講習会・発表大会、さら
には美術・音楽・工作等の創作活動を実施するなど、青少年の総合的な体験学習施設と
して、その使命を果たしてきた。
対象年齢 小学生以上
1 日の入場者数 200〜300 人/日 (年間 10 万人)
会員の人数 なし
スタッフ数 20 名(科学展示のみ)
スポンサー 特になし
定期的に行っているイベント
科学の広場 おもしろ実験
ふれあい科学館
常設展示物紹介 展示物は全て 2Fにある。
ピンスクリーンレーザーアート
てこの原理
- 64 -
←センサーダンシング
中に入って踊ると、
音や光が様々に変化する。
放電球→
手を近づけると、
手に向かって放電が起こる。
←ソーラーカー
胃カメラ
内燃機関→
実際のエンジンが展示してあり、
内燃機関の仕組みが分かる。
←自動車の仕組み
日産のフェアレディZの実物カットが
展示されており、
自動車の仕組みが分かる。
エネルギーの移り変わり→
- 65 -
音のエネルギーに変わることを
実際に体験できるもの。
←真空容器
ボタンを押すとビニールの手袋が
どんどん萎んでいく。
ウェザーセンター→
気象観測衛星ひまわりからの情報を
受信して、気象に関する画像を
表示するもの。
←電話自動交換機の仕組み
特徴
・一時代前の科学館といった感じだった。
・実際に自分でハンドルを回したり、踊ったりすることで展示を楽しめる。
・2Fの実験室の他にも 3Fに実験室があり、毎週様々な実験を無料で体験できる。
・地域の子供たちが沢山やってきていた。
・スタッフは、いかにも地方公務員といった感じでした。
ITに絡んだもの
・IT絡みのものは一切ない。
・ウェブでの紹介は至って簡素。
お薦めのコンテンツ
透明人間…透明な人形が置いてあり、内臓が透けて見えるようになっている。
暗い場所に置いてあり、ボタンを押すとその内臓の説明が聞ける。
この時内臓の部位が赤く光り、とても不気味だった。
- 66 -
おもしろ実験
レポート担当者名
実施日
場所: 2 階展示室 実験コーナー
主催団体名 神奈川県立青少年センター
URL:http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/02/0230
TEL:045‑241‑3131(代)
FAX :
参加料: 無料
開館日・時間: 別紙資料参照
概要
一般来館者むけのサイエンスショー。展示品やさまざまな現象の科学的原理など
を実験を実演しながらわかりやすく紹介する。
対象年齢 全来館者 (こどもからおとなまで)
参加人数 〜100 名程度
企画期間 土、日、祝日を中心に実施。(団体利用のある場合は平日も実施)
広報
実施日をセンター全体のポスター・チラシに掲載、県内の小中高校や公共施設等に配布。
独自のチラシを作成し、館内で配布。
ホームページに掲載。
講師の名前・経歴
当館職員が対応
ファシリテイター数
かかった金額(可能であれば内訳)
学校・企業との協力関係
特になし
年間実施回数
70 回
ワークショップ内容の詳細
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
インターネットには特に対応しておりません。
ジャンル
気づいた点
こどもの感想
写真・ビデオ
- 67 -
12.キッズプラザ大阪
熊谷伸吾
2002・11・16
場所:〒530−0025 大阪市北区扇町 2−1−7
URL:http://www.kidsplaza.or.jp
TEL:06-6311-6601
FAX :
入場料:個人 大人(高校生以上)1200 円 小人(小・中学生)600 円
幼児(3 歳以上)300 円
団体(20 名以上) 大人 960 円 小人 480 円 幼児 240 円
学校団体など 小・中学(市内)200 円 (市外)300 円
幼稚園・保育所(市内)100 円 (市外)150 円
定期券 6 ヶ月 大人 4000 円 小人 2000 円 幼児 1000 円
1年
大人 8000 円 小人 4000 円 幼児 2000 円
開館日・時間:9:30−17:00
(土曜、日曜、休日、夏休み期間は 19:00 まで)
月曜休館・年末年始・9 月初旬
概要
子どもたちが大好きな遊び体験をとおして身近なことがらに新鮮な発見や驚きを感じて
いただく、子どものための楽しい博物館です。
「実際にやってみることによって学びに」と
いう考えに基づき、子供たちの豊かな感性と好奇心を大切にした、展示とワークショップ
を融合させた参加体験型の学習空間です。
対象年齢 主に幼稚園年長から小学校高学年まで
1 日の入場者数 年平均で約 1400 人 多い日で 3000 人以上
団体入場者数
1 月あたり約 10000 人
会員の人数
スタッフ数 32 人
スポンサー 特になし
大阪市から補助金あり
定期的なイベント
・ キラキラストローでスウガクアソビ
毎週/土、日、祝 11:15〜12:00、3:30〜4:15
・ ニュース番組をつくろう
毎日 10:30〜12:00、1:00〜3:00、 3:30〜4:30(延長日は 4:45 まで)
(12 月 5 日(木)10:30〜1:30、
12 日(木)10:30〜11:30 は予約プログラム実施のためお休み)
・ 大豆からできるもの〜ゆばづくりにちょうせん〜
毎週/火、金 10:30〜4:15(最終入室 3:45)
(12:00〜1:00 はお休み)
・ 豆腐づくりにちょうせん
毎週/土、日、祝
10:45〜12:00、2:15〜3:30
- 68 -
・ ロボットステーション〜体験!発見!虫型ロボット競技!〜
毎週/火、水、木
10:00〜12:30、1 :30〜4:30(最終受付 4:00)
その他多数
常設展示物紹介
3Fつくろう階
パソコン広場・創作工房・コンピューター工房など。
・ コンピューター工房
主に小学生以下の子ども向けに様々なゲーム等を用意している。
・ パソコン館
小学生以上の子ども向けに絵を描くソフトを使ってみんなでいろんなものを描いてみ
る。1 日に数回時間を決めて開かれていました。
- 69 -
4F あそぼう階
キッズゆうびんセンター・キッズマートなど
4 階は中央に大きな階段を兼ねた遊具があり、
その周りに社会を体験できるコーナーが充実していました。
5F やってみる階
人が入れるシャボン玉・ワールドボックス・ワークショップスペースなど。
5 階には 30 以上の大小のブースがある。いずれもアトラクションのように楽しめるよう
になっているが、バリアフリーを体験したり、空気の力を実感できるようになっていたり
- 70 -
していて自然と科学を学べるようになっている。
・概観
・ スタジオ
仮想のニュース番組などをつくっている。カメラや音声などのパートを仮体験できる。
- 71 -
・ 自然スペース(?)
仮想的に川などがつくってあり、魚やめずらしい昆虫などがいる。
特徴
展示は参加型の物が多く、いろいろなプログラムがあるため時間が大きくあくこともない。
1 日では全て参加できないほど小学校・幼稚園に案内を送っていて、社会見学などに利用さ
れている。
他の施設とは特に提携はしていないが、最近海外の博物館協会に入会したそうだ(詳細不
明)近隣の祭と連携など行ったりして、地域にたいするボランティアもおこなっている。
ITに絡んだもの
既に紹介済みのパソコン広場が随時開かれている。
お薦めのコンテンツ
設備の数が多く、その中で特にお勧めコンテンツは日常生活では体験しにくいスタジオの
仕組みがわかるスタジオでの仮想番組収録は大人の視点からも感心させられました。
また、人が中に入れるシャボン玉も子どもが空想で思うことを現実にしたようでとても
楽しそうでした。
- 72 -
キラキラストローですうがくあそび
熊谷 伸吾
11 月 17 日
場所:キッズプラザ大阪 大阪市北区扇町 2−1−7
URL:http://www.kidsplaza.or.jp/
TEL:06-6311-6601
参加料:無料
開館日・時間:9:30−17:00
(土曜、日曜、休日、夏休み期間は 19:00 まで)
月曜休館・年末年始・9 月初旬
概要
蛍光色のストローに針金を通して立体図形を作る。
対象年齢 小学生以上
参加人数 各回 20 名
企画期間 2002 年 11 月 17 日以降の毎週土・日・祝
広報
インターネットには公示したが、特にそれ以外の宣伝はしていない。当日キッズプラザ
に来ていただいた子ども達の中から先着で参加。
講師の名前・経歴
経歴は特にこれというものはないようで、子どもが好きな人を採用している。
ファシリテイター数 2 名
かかった金額
学校・企業との協力関係
特になし
年間実施回数
未定
ワークショップ内容の詳細
同じ長さに切った蛍光色にぬったストローに針金を通して様々な立体図形を作る。基本
的な形(正六面体等)は教えるが、あとは子どもの自由にまかせて作らせる。
完成後は暗室に入って自分の作った立体が光る(蛍光塗料なので)をみんなで鑑賞する。
ワークショップのタイムテーブル
11:15−12:00 15:30−16:15
使用機材等
特になし。
強いていうなら最後に使用する暗室。
ジャンル
数学。立体図形。
気づいた点
子どもの参加数に対してファシリテイターが。
こどもの感想・調査員のコメント
・ (立体図形をつくるのが)難しかったけど、楽しかった。
・ (立体図形がちゃんと)できて嬉しかった。
- 73 -
調査員の感想
対象年齢は小学校以上ということであったが、立体図形を作るという作業は小学校低学
年には少し難しいのかもしれません。大部分の子どもは見本どおりに作るのがやっとで、
自分で新しい図形を作っていませんでした。自分で新しい図形を発見するようになれば更
におもしろいものになるかもしれません。
写真・ビデオ
- 74 -
- 75 -
13. 岐阜市科学館
担当者名 阿部美幸
訪問日 2002 年 12 月 28 日
場所:〒500-8389 岐阜県岐阜市本荘 3456−41
JR 西岐阜駅から、無料の送迎バスが出ています。(1 時間に 2 本くらい)
URL:http://www.city.gifu.gifu.jp/event/kagaku/
TEL:058-272-1333
FAX : 058-272-1303
E-mail:[email protected]
テレホンサービス:058-275-2433
入場料:個人 大人 300 円、小人(3 歳以上中学生未満)100 円
団体 大人 240 円、小人(3 歳以上中学生未満)60 円
プラネタリウムを見る場合の入場料は、それぞれ倍になります。
※ただし、岐阜市内の小中学校などの行事で見学する場合、無料になります。
休館日:月曜日(その日が祝日または振り替え休日の場合は、火・水曜日)
祝日の翌日(その日が日曜日の場合は火曜日)
概要
郷土の自然、科学技術、宇宙気象などを中心に、小中学生を対象とした科学館です。参加
型の展示物が非常に多く子供が主体的に興味をもって学習できる科学館となっています。
対象年齢 小中学生
1 日の入場者数 平均 90 人〜100 人くらい
団体入場者数 年間約 7500 人くらい
会員の人数 会員制はありません。
スタッフ数 常時 10 人くらいずつ
スポンサー 岐阜市
定期的に行っているイベント
ワークショップは、ほぼ毎週土日に行われています。サイエンス広場(土日):身近な材
料をつかったサイエンスショー形式の実験、また、身近な材料を使った簡単な工作も行っ
ています。無料(入場料はかかりますが)で参加でき、予約も材料費も必要ありません。
月ごとに 内容が変わります。(今回参加してきたものです。)
サイエンス工房(日曜)
:事前の予約、材料費が必要です。1 回 1 回内容が違い、サイエ
ンス広場より少し規模が大きくなっています。
常設展示物紹介
1Fにはほとんど展示はありませんでした。
2Fには、郷土の自然の展示がされている第 1 展示室、科学技術の展示がされている第 2、
3 展示室、宇宙と気象の展示がされている第 4、5 展示室にわかれて展示がしてあります。
まず、郷土の展示がされています第 1 展示室には、ビデオ博物館形式で、郷土の自然、
植物などについて調べられるようになっています。また、鳴き声当てクイズのようなクイ
- 76 -
ズ形式のものもありました。近くを流れる川に住む生物の生態についても、ボタンを押せ
ば食物連鎖の関係がパネルの矢印が光るという形で、わかりやすくなっていました。
さらに、ハイビジョンウォッチングという、映画館みたいな施設がありました。参加型
の学習ができるよう、肘掛けの部分にボタンがついており、大画面に映し出された問題を
観賞している人々が答えながら、話をすすめていくという形式になっています。
郷土の自然、の一部として、岐阜県の「ギフチョウ」という蝶の生態についても大々的
に展示してありました。
次に、第二展示室ですが、おもに、電気、音、光、熱などをとりあげていました。レー
ザー光を使った「光をゴールまで届けよう!」といった体験型のゲームや、手をたたけば
近づいてくるロボット(やってみましたけど、失敗しました)、声で命令したことを実行し
てくれるロボットや、静電気の実験などがありました。
第三展示室には、コンピュータの体験ゾーンと、地震の体験、滑車をつかって自分で自
分を持ち上げる「自分エレベーター」、ボタンを押すことで銀の玉が転がり始め、その行方
を見ることができるものがあり、ある親子連れが実際に試してみていたので、写真をとら
せてもらいました。
(ウェブにアップする許可もいただいております)第 3 展示室の一部が、
サイエンス広場として使われていました。
第 4 展示室には、宇宙についての展示がしてあり、ここも体験型が多かったです。月を
双眼鏡で見る模型(双眼鏡の中に画面があるというもの)と、パネルから選んだ惑星にい
たときの自分の体重を量ることのできる体重計、それぞれの惑星の公転の速さを体感でき
る(ボタンを押せば、それぞれの惑星の速さで回る円形の台があり、その天井に、すべて
の惑星が公転で回る様子を表現した模型があります)ようになっています。これは結構お
もしろいと思いました。
- 77 -
科学館の屋上にある望遠鏡にて実際にそのとき見えている太陽の様子を、画面を通して
みることができる装置(天気が悪い時用の VTR も用意されています)
、スペースシャトル
の発射体験のできるスペースシャトルの模型等がありました。
(スペースシャトルが揺れる
わけではなく、画面が変わるというもの。スペースシャトルに乗ることにあこがれる子に
は嬉しいかも)
第五展示室には、天気についての展示(これもボタンを押すと・・という形式が多かった
です)、天気と生物の関係なども展示してありました。そのほかに、見学はしてないのです
がプラネタリウムがありました。
特徴
上に書いたように、参加型、特にボタンによって何かがおこる、というものが圧倒的に
多かったです。
市内の学校行事として利用する場合は、入場料が無料となっています。
ITに絡んだもの
インターネットに関連するものはありませんでしたが、パソコンを使って何かを調べる
ことのできる展示や、パソコンゲームなどはありました。
あと、小 5 から中 1 の希望者を対象にしてパソコン教室が行われています。
お薦めのコンテンツ
公転の速さを体験できる展示、音声認識ロボットに命令をする展示、映画館のような体
験型の展示、レーザー光を使ったゲーム。以上の 4 つが一番印象に残っていて、おもしろ
かったと思います。
- 78 -
サイエンス広場
レポート担当者名 阿部美幸
実施日 2002 年 12 月 28 日
場所:岐阜市科学館 第三展示場サイエンス広場
主催団体名 岐阜市科学館
URL:http://city.gifu.gifu.jp/event/sciencesquare.htm
TEL:058‑272‑1333
参加料:無料
時間:土曜日と日曜日の 11:00〜11:20、14:00〜14:20
概要
身の回りにある材料を使った実験や、工作を行う。
対象年齢
子どもから大人まで参加できるようになっています。
参加人数 子ども 3 人 大人 2 人(年末のせいか、参加者はすくなかったです。
)
講師の経歴 科学館の職員 1 人、サポートに、岐阜大学の学生が 1 人いらっしゃっていま
した。
ファシリテイター数 上記
かかった金額(できれば内訳)
学校・企業との協力関係
なし。
年間実施回数
ほぼ毎週土曜日曜に、月ごとにテーマを変えて実施。
ワークショップ内容の詳細
・ペットボトルを 2 つ口のところでつなげたものに水が入っており(写真参照)、その中
の水をどうすればもう一つのペットボトルに早く移動させることができるか?の実演
と、子どもたちの挑戦。→結果は、ペットボトルをまわして中で渦を作るということ。
また、ペットボトルにストローがはいっていたらどのような現象が起こるか?の実演
と子どもたちの挑戦。→結果は噴水が起こる、ということ。
・雲を作る実験。中の空気を出す装置をつけたびんを用意し、びんの中を真空に近づけ
た後に、空気をいれる。これも、ファシリテイターが実演した後実際に子どもたちが
参加していました。
・12 月は音の出る楽器を作ろう!というのがメインで、ストローを使った笛を作りまし
た。ストローの端を切り、つぶして吹く、という簡単で小さな子でも作れる内容にな
っていました。
・
ワークショップのタイムテーブル
11:00〜11:20 14:00〜14:20
使用機材等
特になし。
ジャンル
水の流れを観察、雲を作る、音、など、ジャンルが多岐に渡っておりましたが、全て子
どもの興味を引く内容でした。
- 79 -
気づいた点
ファシリテイターが、子どものすぐ近くに来て、1 対 1 で接しながら教えていることが多
く、また、子どもも興味を持ってファシリテイターが実演しているテーブルに近づいてい
ったりして、少人数の利点を生かしたワークショップとなっていました。
こどもの感想・調査員のコメント
子どもの感想:おもしろかった、なかなか音が鳴らなかった、などがありました。
調査員の感想
おもしろかったと思います。ジャンルをもう少し絞りこんでもまた違った面白さが出る
かもしれません。
例えば工作をする前の実演を、工作に関係するものにすれば、なぜ音がでるか?などの
仕組みまでよく学べるのでは?と思いました。
写真・ビデオ
- 80 -
14. 岐阜県博物館
担当者名
日比野 利弘
記入日
平成 15 年 2 月 12 日
ご住所:岐阜県関市小屋名 1989
URL:http://www.museum.pref.gifu.jp
TEL:0570-28-3111
FAX:0570-28-3110
入場料:一般 320 円、大学生 110 円、小中高無料
(特別展期間中、一般 600 円、大学生 300 円、高校生 200 円、小中生 150 円)
開館日・開館時間:月曜日(月曜日が祝日または振替休日の場合はその翌日)と
12/28〜翌年 1/3 を除く毎日・4/1〜10/31 は 9:00〜16:30、11/1〜3/31 は 9:30〜
16:30
概要
昭和 51 年岐阜県百年公園内に総合博物館として開館。岐阜県に関わりのある歴史・民俗・
美術工芸などの人文関係の展示や、植物・動物・地質にかかわる自然関係の展示をしてい
ます。また、平成 7 年に増設されたマイ・ミュージアムは、ハイパーハイビジョン風土記
「ひだ・みの紀行」や、ハイビジョン静止画制作システムなどの情報機器を整備していま
す。
設立の趣旨、目的
岐阜県に関わりのある人文・自然についての資料・整理・分類・保存、調査研究を重ね、
その成果を常設展示、特別展示、資料紹介展示及び関連した講座や講演会、観察会などの
諸事業を通して普及を図っています。
対象年齢
幼児から大人まで
一日の入場者数(以下平成 13 年度の数値)
平均 239 人
一日の団体入場者数
4 団体
年間入館者数
73,592 人
年間入館者数に占める子供の割合
40%
会員の人数
会員制をとっていません
スタッフ数 31 名
スポンサー
岐阜県教育委員会社会教育文化課の現地機関
- 81 -
常設展示物紹介
本館 3F 人文展示室 1
縄文時代から現代までの岐阜県の歴史を紹介している。
縄文時代の洞穴のくらしや当時の鏃や石斧が展示している。
また、縄文時代から弥生時代にかけての岐阜県各地
から出土した土器もたくさん展示している。
一方、民俗に関わる展示も多数ある。
岐阜県は山村の生活が多く
あり、林業に関わる機具がたくさんある。
また、岐阜県の北には世界遺産に指定された合掌造りで有
名な白川村がある。この合掌造りの 10 分の 1 の模型も館内
に展示してある。野外には徳山村の茅葺き民家が移築して
いる。
本館 3F 人文展示室 2
ここには、郷土の美術工芸を展示しています。仏像・能面・人形浄瑠璃・刀・陶器等、岐
阜県の美術工芸を紹介している。
また、関市は刀剣の逸品が多く槍とともに博物館の重要
な展示品となっている。
本館 2F 自然展示室 1
自然展示室には、岐阜県の自然に関わる展示物が豊富にある。特に化石は岐阜県産が産が
多く、展示物の 4 分の 1 をしめている。2 階ホールには、恐竜の骨格化石が展示され来館者
を圧倒する。また、県内のサンゴ・アンモナイト・フズリナ・珪化木などが展示されてい
る。
- 82 -
本館 2F 自然展示室 2
自然展示室 2 には、貴重な植物や動物が展示してあります。絶滅危惧種にあたるワシ・
タカの仲間やオオサンショウウオ、季節ごとに見られる野鳥、湿原の植物など、今ではな
かなか見ることのできないものである。
定期的に行っているイベント
定期的に行っているイベントはない。
特別に行っているイベント
特別行事:「響け!和太鼓」「化石採集」「写生大会」「グリーンアドベンチャー」等
企画展関連事業:「特別展講演会」「企画展展示解説」等
自然観察会:「山菜ウオッチング」「里山ウオッチング」
「セミの鳴き声や羽化を観察しよう」等
カルチャー講座(大人向け):
「岐阜の歴史講座」「陶芸教室」「もっと知りたいパソコン講座」等
たのしい博物館:「まが玉をつくろう」「化石のレプリカをつくろう」
「パンフラワー教室」「竹でおもちゃをつくろう」
「ストーンペインティング教室」等
特徴
学校団体の受け入れとそのための活動支援を行っています。また、触察コーナーを設置
し、できるだけ五感を通した観察ができるように工夫している。
ITに絡んだもの
マイ・ミュージアム棟は、マルチメディア情報センターとして最先端情報機器を備え、「見
る・創る・貯める」の機能をもっています。特に、ハイパーハイビジョン風土記「ひだ・
みの紀行」は、自分が調べたい岐阜県内の人文・自然事象を自由に選択し学習できます。
4 階には、マルチメディアスタジオがあり、自らの手でマルチメディア作品を制作する設備
があります。
IT 関係の事業として、次の催し物を行います。
・ カルチャー講座「もっと知りたいパソコン講座」年間 3 回
・ たのしい博物館「パソコンでオリジナルカレンダーをつくろう」
「パソコンで写真付き名刺をつくろう」
「パソコンで個性的な年賀状をつくろう」
教育普及活動
・出前講座を実施しています。
化石のレプリカづくり、地域の自然を生かした環境学習、動物の生態などの授業を学校
- 83 -
へ出向いて行っています。
・学校団体が希望される館内授業を実施しています。
火縄銃を用いた歴史、昔のくらし、化石のできかた、植物の検索の仕方等の授業を、担
当学芸員が具体的に物を使って行います。
お薦めのコンテンツ
・ ハイパーハイビジョン風土記から、検索できる県内の歴史・民俗・自然などの資料が
簡単に見られます。
・岐阜県博物館が所蔵している資料が、博物館のホームページで見ることができます。
- 84 -
15. 岐阜天文台
小栗 章孝
2003 年 1 月 30 日
ご住所:岐阜県羽島郡柳津町高桑字藤ノ木 1101
URL:http://www3.ocn.ne.jp/~gifuastr/
TEL:058-279-1850
入場料:無 料 ・ 天文教室受講料 500 円/人
開館日・開館時間:毎月第 3 土曜日 ・ 奇数月の第 1 土曜日 午後 6 時から午後 9 時
概要
国産最大級の屈折望遠鏡(Nikon 製・口径 250 ミリ、焦点距離 3750 ミリ)を備え
る民間の天文台。誰でもこの望遠鏡で天体観察ができる。
設立の趣旨、目的
アマチュア天文家の有志が、天文・宇宙の研究および天文学教育普及のために地域の住
民に開かれた天文台の必要性を強く望んで設立された民間の天文台。また新天体の発見
者に記念メダル(純銀製)を贈呈して功労を称えている。
対象年齢
小学生高学年から大人までを対象としている。
一日の入場者数
一日の団体入場者数
年間入館者数/約 3,000 人
年間入館者数に占める子供の割合/約 50 パーセント
会員の人数
スタッフ数
10 人
スポンサー
なし、地元および近隣の自治体や企業、団体から補助金や寄付金をいただいている。
常設展示物紹介
1階
・ 開架書庫で自由に天文図書を閲覧できる。
・ 天文教室を開催する講堂がある。
・ 太陽黒点の観測スケッチ、天体写真、天体望遠鏡などの展示がある。
2階
・ 図書室、隕石、六分儀、矢橋式日時計、天体写真などの展示がある。
3階
・ ドーム式天体観測室、ベランダ(2 階屋上)にスライディング・ルーフ観測室 2 棟あり
口径 15 センチ対空天体双眼望遠鏡、8 センチ屈折望遠鏡などが設置されている。
定期的に行っているイベント
・ 毎年、文化の日に地域で開催される「柳津ふれあいフェスティバル」に施設参加。
・ 主な天文現象に合わせて特別観望会を年数回開催。
- 85 -
特別に行っているイベント
・ 小学校や青少年自然の家などの要望により、現地に天体望遠鏡を持ち込んでの出張天体
観望会や天文講座を年数回実施。
・ 科学館、学校、団体の例会などに講師を派遣して天文講座を実施。
特徴
・ スタッフは無報酬で事業運営に当っているボランティアで構成されている。
・ できるだけ新しい情報提供ができるように壁面展示を更新している。
・ 地元の公民館講座と連携した子供向けの天文教室を実施している。
・ 実際に望遠鏡を使って天体の観察をするという体験教育を行っている。
・ ペーパークラフトや望遠鏡の工作など特別工作教室を実施している。
ITに絡んだもの
・インターネットを経由して世界各地の天文情報を収集して最新の天文情報を提供。
教育普及活動
お薦めのコンテンツ
- 86 -
17. 京都市青少年科学センター
レポート担当者名 庶務課 小谷
場所:
京都市伏見区深草池ノ内町 13
URL:http://www.city.kyoto.jp/kyoiku/science/
TEL:075‑642‑1601
入場料: 小学生 100 円 中高生 200 円 大人 500 円
(プラネタリウム観覧には別途必要)
開館日・時間: 休館日 木曜日 (祝日の場合は翌金曜日)12 月 26 日〜1 月 4 日
開館時間 9:00〜17:00 (入館 16:30 まで)
概要
科学者精神―科学的なものの見方、考え方、扱い方など「科学の方法」及びこれを活用す
る心構え‑を体得した将来の市民を育てることを目的として運営されている。以下の 3 つの
事業が柱となっている。
・ センター学習 科学センターの施設を利用した理科学習の実施。学校では行いにくい学
習をとおして、児童、生徒に科学者精神に触れてもらう。科学博物館での学習を学校の
授業の一環として行うとういう点で、非常にユニークな試みであり、国内外から注目さ
れている。
・ 教員研修
市立小、中、高等学校の理科教員を対象とし、指導能力など教員としての資質の向上
を図るために様々な教員研修を行っている。科学技術の進歩や教育理論、方法の発達
に対応した理科教育の改善を目的とする。
市民科学事業
広く市民を対象に、各種の催し、理科相談、展示場やプラネタリウムの一般公開を行い
科学を身近なものとして感じさせ科学的事象に関心を持たせることを目的とする。
対象年齢 主に小学校、中学校の児童生徒
入場者数 平成 13 年度入場者数 68,599 人
団体入場者数
会員の人数
スタッフ数 職員数 53 名
内訳 : 市職員 12 名、教員
スポンサー なし
平成 13 年度開館日数 305 日
25 名、嘱託
11 名
臨時
5名
定期的に行っているイベント
1. 市民サイエンティスト育成事業
市民の科学に対する興味、関心の高揚を目指す。
a. 市民サイエンス教室
中学生以上の市民対象の科学実験、工作、野外での自然観察を行う事業と、小中学
生とその親を対象にした科学実験、工作を行う事業を実施。
b. 市民天体観望会
小学生以上の市民を対象に、天文台での天体望遠鏡による天体観測や、プラネタリ
ウムでの天体に関する解説を実施している。
- 87 -
2. サイエンティストジュニア育成事業
児童、生徒に科学の素晴らしさや楽しさを教え、探求心あふれる科学者の卵の育成を
目指す。
a. 子どものための講演会
研究者が直接子どもたちに語りかけ、疑問に答えることにより、子どもたちが自然
の不思議や面白さを感じることができる講演会を実施している。
b. 夏休み理科研究採集相談会
児童、生徒が理科研究や採集を行うにあたり、進め方やまとめ方、植物や岩石など
の同定について各分野の専門講師とセンター主事が相談に応じる。
c. 京都サイエンスコンテスト
児童、生徒が自主的に行った理科研究作品の発表の場を設けている。また、優秀な
作品を表彰している。
3. 理科相談
展示場 1 階に理科相談室をもうけ、資料などを自由に閲覧したり所員に質問したり
できる様になっている。
4. Go! Go! おもしろサイエンス
土曜日、日曜日に市内の小、中、高校生を対象に実施。入場料及びプラネタリウム
観覧料を無料にしたり、科学に興味、関心のもてる事業をおこなっている。
実施実験例: 液体窒素による低温の科学
実施時間帯
(所要時間は約 20 分)
日/祝日 3 月〜11 月
9:50、14:10
12 月〜2 月
11:30、14:10
夏休み(平日)11:10、14:10
春・冬休み(平日)10:30、13:10
常設展示物紹介
展示場には、自主開発した 100 点を超える展示品がある。屋外園には約 200 種類の植物
と約 40 種類の岩石を設置し、沖縄の蝶の一生が見られる「チョウの家」やカブトムシの生
態が観察できる「カブトムシの家」も公開している。貴重な水生植物なども観察すること
ができる水槽などもある。
第一展示場
アジア象全身骨格標本 よみがえる肉食恐竜(ティラノサウルスの動態模型 3/5 縮小モ
デル)、イクチオサウルス全身骨格化石、タルボサウルスの骨格復元模型、磯の環境―海の
中の生命(磯の環境の再現、自然に近い生態系を観察することができる)、ニワトリの発生
(ひよこが生まれる瞬間を観察できる)、地震動体験マシーン(震度 3 まで体験)など。
第二展示場
花火のしくみ(花火の製作方法やファイバーグラスを使った打ち上げの疑似体験ができ
る)、深草谷口町の地層(崖のはぎ取り標本)、くらべてみようマグマからできた岩石(火
成岩の標本に直接触れることが可能。鉱物を顕微鏡で観察)、気候と環境体験ルーム〜くら
べてみよう京の街〜(体感温度と湿度の関係、快適さを追求した生活が環境に及ぼす影響
などについて理解を深める)パラボラアンテナ(離れた 2 台のアンテナを通じて小声で会
話)、翼竜骨格模型、等。プラネタリウム併設。
- 88 -
特徴
おしゃべりするティラノサウルスの動態模型をはじめ、科学に関する 100 点あまりの展
示品を見て、触って、体験することにより、科学の面白さを理解できる。パソコンを使っ
て好きな実験や工作を楽しめる「なるほど実験ランド」や、沖縄の珍しいチョウの一生を
観察できる「チョウの家」
、指導員が展示品や理科に関する質問に答える理科相談室もある。
プラネタリウムでは、天文事象や天文学の最新情報を盛り込んだ、所員による自主製作番
組を生で解説している。
京都市が進めている「環境共生型都市・京都」を築く為の取り組みと共に、環境問題に
目を向けている。 環境に負荷をかけない事務、事業活動を実施するための「新京都市役
所エコオフィスプラン」の率先実行、 環境問題を科学的にとらえる実験教室の実施、環
境について学べる展示品の設置、来館者への公共交通機関の利用の呼びかけなど、いろい
ろな取り組みを行っている。、
平成 12 年に教育施設としては政令指定都市で最初の ISO14001 の認証を取得した。
教員研修を実施している。研修内容は以下のとおり。
1. 小学校理科観察実験講座、中学校理科観察実験講座、高等学校理科研究講座
魅力的な理科授業の展開を目指し、テーマを各回ごとに設定し学習指導に活かす
ことを目的とする。
2. 小学校理科リーダー教員研修
理科教育の充実、推進の為、教材研究や理科教育にかんする環境整備などでリー
ダーとなる専門知識を持った教員の養成をはかる。
3. 主事研修
主事が常に「科学者精神」の心構えを持ち、実践する為に、領域ごとに設定され
たテーマに基づき共同で研究する「共同研究」と個人で設定したテーマを研究する
「個人研究」を行っている。これらの研究は科学賞を受賞するなど、高い評価を得
ている。
ITに絡んだもの
マルチメディアパソコンによる、なるほど実験ランド。パソコンを使って実験や工作が
できる。身近な材料を用いた簡単な実験や工作を通して、科学の楽しさ・面白さが体験で
きる。参加方法は、2 人 1 組(小学校 4 年生以上)で先着 20 組(40 名)まで。
実施例 (14 年度)
・ 飛べ!いきコプター
飛行機の浮くしくみを調べたり,いきをふきかけて飛ばすプロペラのおもちゃをつくっ
たりします。
・ おもさは何グラム?
クリップ一個で、その何倍も重い物をはかることのできるレターはかりを作ります。
・ まわして あれれ
半分白,半分黒のこま。
すこしずつ黒色をぬっていくと,あらま不思議。なんと色が・・・。
・ 簡易風向計 かんたんな風向計をつくって,風の向きを調べましょう。
(その他)
・潜水金魚 ・ポカポカかいろ ・フィルムケースでドレミファソ ・火を起こそう ・
手作り望遠鏡 ・みえる!ピンホールくん ・秘密ペン・手作りカード ・忍法あわ玉の術 ・
色が変わる不思議な紙 ・葉脈のしおり ・ベニバナで染める ・和紙の折り染め・アニ
- 89 -
メーションを作ろう・瞬間押し葉標本 ・けっさく日時計
んけん ・星空をたずねて・とんとん恐竜すもう
お薦めのコンテンツ
ティラノサウルスの動態模型、気候と環境体験ルーム
- 90 -
・化石はっけん
・月世界をた
なるほど実験ランド
担当者名
小谷様
御記入日
場所:京都青少年科学センター
主催団体名
URL:http://www.city.kyoto.jp/kyoiku/science/
TEL:075-642-1601
FAX:0570-28-3110
参加料:無料
開館日・ワークショップ開催時間:
所要時間/約 50 分。
日祝日
3 月〜11 月
夏休みの平日
土曜日・春・
冬休み平日
12 月〜2 月
一回目
11:10
10:00
13:10
二回目
13:10
13:10
15:20
三回目
15:20
15:20
14:00
概要
パソコンを使って、24 種類のテーマの中から選んだ実験ができる。
身近な材料を用いた簡単な実験や工作を通して、科学の楽しさ・面白さを体験することを
目的とする。
対象年齢
小学校 4 年生以上
参加人数
参加方法は、2 人 1 組で先着 20 組(40 名)まで。
企画期間
広報(告知方法など)
ウエブサイトで告知
パンフレットで告知
講師の御名前・ご経歴
パソコンによる実習のため、講師は無し。
ファシリテイター数
主事 2 名及びアルバイト 1〜2 名
かかった金額
学校・企業との協力関係
年間実施回数
日祝日
午前 1 回、午後 2 回
学校休業日 (土曜日・春・冬休み)1 回
(夏休み)2 回
- 91 -
ワークショップ内容の詳細
入館者が自分で選んだテーマの理科実験や科学工作を、実験用パソコン端末による映像や
音声をもとに個別に実習を進めることが出来る実験室。20 台のパソコン端末と 24 テーマの
実験器具をつかい、2 人一組で 40 人が同時に実験することができる。
(以下 14 年度のテーマ)
・ 飛べ!いきコプター/飛行機の浮くしくみを調べたり,いきをふきかけて飛ばすプロペ
ラのおもちゃをつくったりする。
・ おもさは何グラム?/クリップ一個で、その何倍も重いものをはかることのできるレタ
ーはかりをつくる。
・ まわして あれれ/半分白,半分黒のこま。すこしずつ黒色をぬっていくと,あらま不
思議。なんと色が・・・。
・ 簡易風向計/かんたんな風向計をつくって,風の向きを調べる。
(その他)
・潜水金魚 ・ポカポカかいろ ・フィルムケースでドレミファソ・火を起こそう ・手
作り望遠鏡 ・見える!ピンホールくん ・秘密ペン ・手作りカード ・忍法あわ玉の術 ・
色が変わる不思議な紙 ・葉脈のしおり ・ベニバナで染める ・和紙の折り染め ・ア
ニメーションを作ろう
・瞬間押し葉標本 ・けっさく日時計 ・化石はっけん ・月世
界をたんけん ・星空をたずねて・とんとん恐竜すもう
ワークショップのタイムテーブル
上記参照
ジャンル
科学工作、理科実験
気づいた点
こどもの感想
- 92 -
18. 群馬県立自然史博物館
教育普及課 指導主事 三田 照芳 平成 15 年 2 月 14 日
ご住所:〒370-2345 富岡市上黒岩 1674-1
URL:http://www.gmnh.pref.gunma.jp
TEL:0274-60-1200
FAX:0274-60-1250
入場料:大人 500 円 高校生・大学生 300 円(企画展開催中は特別料金)
中学生以下及び障害者とその介護者 1 名:無料
開館日・開館時間:火曜日〜日曜日、ただし月曜が祝日のときは開館。9:30〜17:00
概要
地球や生命の歴史すべてをまとめた『自然史』をテーマとし、生命の進化の歴史や群馬
県の自然を紹介しています。
博物館の中には、「常設展示室」と「企画展示室」のほか、ハイビジョンも見られる学習
室、実験室、自然についての図書の閲覧やコンピューターで楽しめる「情報コーナー」な
ど、いろいろな施設があります。
常設展示は全体を「地球の時代」、「群馬の自然と環境」、「ダーウィンの部屋」、「自然界
におけるヒト」、「かけがえのない地球」の 5 つのコーナーで構成しています。
「地球の時代」におけるカマラサウルスの実物骨格や実物大のティランノサウルスの動
く模型、
「群馬の自然と環境」における壮大なブナ林のジオラマは国内でも有数の展示です。
また、老博物学者のロボットが進化について説明する「ダーウィンの部屋」は、資料に触
れたり、機器を操作しながら標本を観察できる、参加体験型の展示になっています。さら
に、精密な背景画を使って人類の進化や人間性の起源を紹介する「自然界におけるヒト」
も非常にユ二−クな展示となっており、「かけがえのない地球」では環境問題の現状を紹介
しています。
設立の趣旨、目的
自然の生い立ちや郷土の豊かな自然に関する県民の理解を深め、併せて県民の文化活動
を援助し、教育・学術及び文化の発展に寄与するため。
対象年齢 すべて
一日の入場者数
平均 約 520 名
一日の団体入場者数 平均 約 100 名
年間入館者数 約 16 万人
年間入館者数に占める子供の割合 48%
会員の人数
スタッフ数 32 名
スポンサー
なし
- 93 -
常設展示物紹介
導
入
地球の時代
群馬の自然と環境
・導入
展示をイメージした 6 面マルチ映像と、現代人から進化をさかのぼる模型列を進むと
ビッグバンに行きつき、 ここから始まる展示の導入となっています
・地球の時代
地球の生い立ちを自然と生命の歩みとともにたどります。 恐竜の絶滅など、生命の謎
に迫る秘話もたくさん。壮大な進化のロマンを体験してください。
・群馬の自然と環境
緑豊かな群馬の自然を館内に再現。群馬の自然を標高別や地域に分けて、それぞれに
特徴的な動植物を展示しています。 たくさんのジオラマや尾瀬シアターで、自然のすば
らしさを発見しよう。
ダーウィンの部屋
自然界におけるヒト
かけがえのない地球
・ダーウィンの部屋
世界中から収集した動物・植物・鉱物等の標本を間近に見たり、触れたり、装置で調
べる体験ができます。博物学者のロボットによる進化の話もぜひ聞いてください。
・自然界におけるヒト
ヒトも数百万種いる生物の一種です。しかし、直立二足歩行・道具の製作・火の使用・
埋葬・芸術等、他の動物には見られない特徴も持っています。知っているようで知らな
い、私たちヒトの物語を紹介します。
- 94 -
・かけがえのない地球
私たちが暮らす星−地球−は今、人間活動により、かつてないほどの環境破壊にみま
われています。水と緑に包まれたこの美しい地球を守るために、今わたしたちにできる
ことを語りかけるコーナーです。
定期的に行っているイベント
企画展、講演会、自然史講座、ファミリー自然観察会、自然教室、天体観望会、子どもミ
ュージアムスクール、博物館探検隊、指導者講習会、移動博物館、サイエンス・サタデー
特別に行っているイベント
特徴
ITに絡んだもの
教育普及活動
・イベント関係
展示解説。企画展記念講演会。ファミリー自然観察会。天体観望会。自然教室。自然史
講座。指導者実技講習会。ビデオ上映会。博物館探検隊。子どもミュージアムスクール。
サイエンス・サタデー。
・学校教育との連携
総合的な学習の時間への対応。講師派遣。館内授業。職場体験学習。博物館体験学習。
ボランティア体験学習。教育用資料の貸出。調査支援。地域科学館連携事業。
・県民とのつながり
相談指導。講師派遣。寄贈・寄託の受入。ボランティア。友の会。視察受入。研究報告。
お薦めのコンテンツ
- 95 -
講演会
(平成 14 年度実施)
教育普及課 指導主事 三田 照芳 平成 15 年 2 月 14 日
ご住所:〒370-2345 富岡市上黒岩 1674-1
URL:http://www.gmnh.pref.gunma.jp
TEL:0274-60-1200
FAX:0274-60-1250
入場料:大人 500 円 高校生・大学生 300 円(企画展開催中は特別料金)
中学生以下及び障害者とその介護者 1 名:無料
開館日・開館時間:火曜日〜日曜日、ただし月曜が祝日のときは開館。9:30〜17:00
概要 企画展に関係した著名な科学者による講演会
企画展開催を記念して、講演会または教室を開催する。講演会は、自然史に係わる質的
に高い内容を扱い、教室は、一般的に楽しめる内容を扱う。これらを通して、県民の自然
に対する興味・関心を高めることをねらう。
実施日
会 場
テーマ
定員
4月28日(日)
館・実験室 教室「絵筆で遊ぶミュージアム」
30名
5月 4日(土)
館・実験室 教室「はさみで遊ぶミュージアム」
40名
7月27日(土)
館・学習室 講演会「マダカスカルの植物」
100名
9月28日(土)
館・学習室 講演会「マダカスカルのサルたち」
100名
10月20日(日)
館・学習室 講演会「爬虫両生類相から見たマダカ 100名
スカル」
3月30日(日)
館・学習室 講演会
100名
「ハクジラを追って北極海へ」
対象年齢 一般
広報
各種メディア媒体利用
講師の名前・経歴
記入できません
ファシリテイター数
記入できません
かかった金額(可能であれば内訳) 記入できません。
学校・企業との協力関係
なし
ワークショップ内容の詳細
各回まちまち
ワークショップのタイムテーブル 通常の講演会です
使用機材等
ジャンル
気づいた点
記入できません。
こどもの感想
記入できません。
写真・ビデオ
記入できません。
- 96 -
自然史講座(平成 14 年度実施)
教育普及課 指導主事 三田 照芳 平成 15 年 2 月 14 日
ご住所:〒370-2345 富岡市上黒岩 1674-1
URL:http://www.gmnh.pref.gunma.jp
TEL:0274-60-1200
FAX:0274-60-1250
入場料:大人 500 円 高校生・大学生 300 円(企画展開催中は特別料金)
中学生以下及び障害者とその介護者 1 名:無料
開館日・開館時間:火曜日〜日曜日、ただし月曜が祝日のときは開館。9:30〜17:00
概要
県内各地の公民館と共催し、自然をテーマにした講演会を開催している。また、博物館
の学習室を会場とし、当館職員が自分の専門分野についても講演している。特に公民館で
行う時はその教育委員会との共催としている。
実施日
6月 8日(土)
10月13日(土)
11月16日(日)
会 場
テーマ
定員
学習室
昆虫:虫のはなし
100名
実験室
コケの観察入門
25名
沼田市中央公民館 最近わかった大地のあゆみ
82名
-利根・沼田の地形・地質1月26日(日)
高崎市中央公民館 亜熱帯の大海原
114名
-1500万年前の関東平野申し込み:実施日の 1 ケ月前から電話。申し込み順に受講者を決定。
対象年齢 一般
広報
各種メディア媒体利用
講師の名前・経歴
記入できません。
ファシリテイター数
記入できません。
かかった金額(可能であれば内訳) 記入できません。
学校・企業との協力関係
なし
年間実施回数 上記表の通り
ワークショップ内容の詳細
各回まちまち
ワークショップのタイムテーブル 通常の講座
使用機材等
気づいた点
記入できません。
こどもの感想
記入できません。
写真・ビデオ
記入できません。
- 97 -
ファミリー自然観察会(平成 14 年度実施)
教育普及課 指導主事 三田 照芳 平成 15 年 2 月 14 日
ご住所:〒370-2345 富岡市上黒岩 1674-1
URL:http://www.gmnh.pref.gunma.jp
TEL:0274-60-1200
FAX:0274-60-1250
入場料:大人 500 円 高校生・大学生 300 円(企画展開催中は特別料金)
中学生以下及び障害者とその介護者 1 名:無料
開館日・開館時間:火曜日〜日曜日、ただし月曜が祝日のときは開館。9:30〜17:00
概要
県民に群馬県内の自然について理解を深めてもらうため、県内各地を会場として行う自
然観察会。地域に特有な自然を現地で観察しながら解説する内容に加えて、身近な自然を
楽しみながら観察する内容を実施している。
実施日
時 間
場 所
テーマ
5月19日(日)
9:00〜12:00
榛名山
早春の植物・昆虫
6月 2日(日)
9:00〜12:00
富岡市
水生昆虫
8月 4日(日)
9:00〜12:00
榛名山
夏の生き物
10月 6日(日)
9:00〜12:00
六合村
ストロマトライト
申し込み:実施日の 14 日前までに往復ハガキで。多数の場合は抽選。(参加費 100 円)
対象年齢 ファミリー
参加人数 40 名
広報
各種メディア媒体利用
講師の名前・経歴
記入できません。
ファシリテイター数
記入できません。
かかった金額(可能であれば内訳) 記入できません。
学校・企業との協力関係
なし
年間実施回数 4 回
ワークショップ内容の詳細
各回まちまち
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
ジャンル
気づいた点
記入できません。
こどもの感想
記入できません。
写真・ビデオ
記入できません。
- 98 -
天体観望会(平成 14 年度実施)
教育普及課 指導主事 三田 照芳 平成 15 年 2 月 14 日
ご住所:〒370-2345 富岡市上黒岩 1674-1
URL:http://www.gmnh.pref.gunma.jp
TEL:0274-60-1200
FAX:0274-60-1250
入場料:大人 500 円 高校生・大学生 300 円(企画展開催中は特別料金)
中学生以下及び障害者とその介護者 1 名:無料
開館日・開館時間:火曜日〜日曜日、ただし月曜が祝日のときは開館。9:30〜17:00
概要
天体ドームの 40 ㎝反射望遠鏡と移動式望遠鏡を使用して、その季節に見られ る天体
を観測し、天体に対する興味・関心を高める機会としている。
募集人員: 毎回 40 人
実施日
時 間
テーマ
5月 3日(祝)
18:00〜20:00
四大惑星をまとめてみよう
6月 9日(日)
15:00〜17:00
部分日食(6/11)の観測ガイド
8月11日(日)
19:00〜21:00
夏の星座とペルセウス流星群
9月15日(祝)
17:30〜20:00
いて座の星食を観察しよう
11月9日(土)
18:00〜20:00
月と地球照を観測しよう
12月7日(土)
18:00〜20:00
ふたご座流星群観測ガイド
1月24日(金)
18:00〜20:00
冬の星座・星団観望会
2月22日(土)
18:30〜20:30
木星と土星を見よう
申し込み:実施日の 1 ケ月前から電話で。申し込み順に受講者を決定。(参加費 100 円)
対象年齢 一般
広報
各種メディア媒体利用
講師の名前・経歴
記入できません
ファシリテイター数
記入できません
かかった金額(可能であれば内訳) 記入できません。
学校・企業との協力関係
なし
ワークショップ内容の詳細
各回まちまち
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
気づいた点
記入できません。
こどもの感想
記入できません。
写真・ビデオ
記入できません。
- 99 -
子どもミュージアムスクール(平成 14 年度実施)
教育普及課 指導主事 三田 照芳 平成 15 年 2 月 14 日
ご住所:〒370-2345 富岡市上黒岩 1674-1
URL:http://www.gmnh.pref.gunma.jp
TEL:0274-60-1200
FAX:0274-60-1250
入場料:大人 500 円 高校生・大学生 300 円(企画展開催中は特別料金)
中学生以下及び障害者とその介護者 1 名:無料
開館日・開館時間:火曜日〜日曜日、ただし月曜が祝日のときは開館。9:30〜17:00
概要
下記のことねらい、年回 10 回程度のスクールを行っている。
・ 子どもたちに博物館を利用する機会を増やし、魅力的な活動を継続的に提供す
ることで、博物館に対する親近感を育て、体験・探求の楽しさを味わわせる。
・ 系統的な自然体験活動を通して、自然のしくみや群馬の自然をより深く理解し、自
然を大切にする理科好きな子どもを育成する。
実施日
平成 14 年 4 月〜平成 15 年 3 月
対象・定員
小学校 4 年生〜中学校 2 年生
30 人
参加費
年会費 600 円(保険代等)
応募方法
学校に配布する所定の用紙で FAX か郵送で申し込む。
(多数の場合は抽選。)
広報
各種メディア媒体利用
講師の名前・経歴
記入できません
ファシリテイター数
記入できません
かかった金額(可能であれば内訳) 記入できません。
学校・企業との協力関係
なし
ワークショップ内容の詳細
各回まちまち
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
ジャンル
気づいた点
記入できません。
こどもの感想
記入できません。
写真・ビデオ
記入できません。
- 100 -
博物館探検隊(平成 14 年度実施)
教育普及課 指導主事 三田 照芳 平成 15 年 2 月 14 日
ご住所:〒370-2345 富岡市上黒岩 1674-1
URL:http://www.gmnh.pref.gunma.jp
TEL:0274-60-1200
FAX:0274-60-1250
入場料:大人 500 円 高校生・大学生 300 円(企画展開催中は特別料金)
中学生以下及び障害者とその介護者 1 名:無料
開館日・開館時間:火曜日〜日曜日、ただし月曜が祝日のときは開館。9:30〜17:00
概要
博 物館 の展示 室に 宿泊し て、 普段見 られ ない博 物館 のバッ クヤ ードの 施設 や 夜 の
博物館の見学を通して、博物館への興味・関心を喚起する行事として開催する。
実施日
8 月 17 日(土)18:00〜18 日(日)8:00
対象・定員
小学生 4〜6 年
30 名
参加費
1,000 円(夕食代、保険料)
応募方法
返信用封筒を同封し申込用紙を請求して申し込む。
(多数の場合は抽選)
広報
各種メディア媒体利用
講師の名前・経歴
記入できません
ファシリテイター数
記入できません
かかった金額(可能であれば内訳) 記入できません。
学校・企業との協力関係
なし
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
ジャンル
気づいた点
記入できません。
こどもの感想
記入できません。
写真・ビデオ
記入できません。
- 101 -
指導者講習会(平成 14 年度実施)
教育普及課 指導主事 三田 照芳 平成 15 年 2 月 14 日
ご住所:〒370-2345 富岡市上黒岩 1674-1
URL:http://www.gmnh.pref.gunma.jp
TEL:0274-60-1200
FAX:0274-60-1250
入場料:大人 500 円 高校生・大学生 300 円(企画展開催中は特別料金)
中学生以下及び障害者とその介護者 1 名:無料
開館日・開館時間:火曜日〜日曜日、ただし月曜が祝日のときは開館。9:30〜17:00
概要
・ 博物館を利用する学校や社会教育団体等の指導者を対象に、生物・地学分野の内容
で指導者が身につけることができ、次の指導に生かせる研修会とする。
・ 指導者講習会履修者には、本館実験室を利用した学習を館職員とのTTという形で
優先的に提供し、館と学校、館と社会教育団体との連携を図る素地をつくる。
指導者実技講習会
「植物化石をさがそう」
月 日
内
容
8/8(木)
・植物化石を探そう。
14:00
〜16:00
広報
各種メディア媒体利用
ファシリテイター数
記入できません
かかった金額(可能であれば内訳) 記入できません。
学校・企業との協力関係
なし
ワークショップ内容の詳細
各回まちまち
ワークショップのタイムテーブル 通常の講習会です
使用機材等
ジャンル
気づいた点
記入できません。
こどもの感想
記入できません。
写真・ビデオ
記入できません。
- 102 -
定員
30人
講師
三田照芳
自然史職員
19. 高知県立足摺海洋館
御担当者名 京谷 直喜
御記入日 H15・2・15
ご住所:高知県土佐清水市三崎字今芝 4032
URL:http://www.gallery.ne.jp/ manbow/
TEL:0880‑85‑0635
FAX:0880‑85‑0650
入場料:大人 700 円、18 歳未満無料
開館日・開館時間:4 月〜8 月 8:00〜18:00 9 月〜3 月 9:00〜17:00
休館日 12 月第三木曜日のみ
概要
「土佐の海と黒潮の魚たち」をメインテーマに、地元で見られる海洋生物を飼育展示して
います。
設立の趣旨、目的
足摺宇和海国立公園の自然の豊かさと大切さを、海洋生物を媒体に広く知ってもらう。
対象年齢
無し
年間入館者数/約 6 万人
会員の人数
スタッフ数
10 名
スポンサー
常設展示物紹介
当館のメイン水槽で、直径 9m、高さ 6m、水量 380t の水槽に約 50 種の魚を展示しています。
その他、小水槽 25 基、タッチングプールなど。
定期的に行っているイベント
・夏期の企画展示。
・毎月 1 回一般公募による、イベントを行っています。
(海藻押し葉作り、貝殻細工作りなど)
・小中学校を対象に、飼育体験教室、移動水族館を行っています。
- 103 -
特別に行っているイベント
特徴
体験型の展示として、貝やヤドカリ、ウニなどに触れられるタッチングプールがあります。
ITに絡んだもの
ホームページの開設。
教育普及活動
・近くの小学校と連携して、総合的学習の一環で海を題材に環境教育を行っています。
・小中学校を対象に、飼育体験教室、移動水族館を行っています。
お薦めのコンテンツ
- 104 -
20. 神戸市立青少年科学館
レポート担当者名
訪問日
場所:神戸市中央区港島中町 7−7−6
URL:http://www.ksm.or.jp
TEL:078-302-5177
入場料:展示室
大人 600 円 小人 300 円
プラネタリウム 大人 400 円 小人 200 円
小人:小学生以上 18 歳未満
開館日・時間:平日(月曜〜土曜)
9:30〜16:30(入館は 16:00 まで)
日、祝、春・夏・冬休み 10:00〜17:00(入館は 16:30 まで)
休館日は、毎週水曜日(祝日と重なった場合は翌日)
。館内整理日。
年末年始(12 月 28 日〜1 月 4 日)
概要:現代の高度な文化生活を支えている科学技術について、市民とくに次の時代を担
う青少年の認識を深め、豊かな創造性を養うことを目的に建設されたものである。
対象年齢 幼児から成人
1 日の入場者数 約 1,000 人
団体入場者数
122,508 人(13 年度実績)
会員の人数 友の会会員数 46 人
スタッフ数 46 人
スポンサー 神戸市
定期的に行っているイベント
定期的に行っているワークショップ等。
ワークショップの内容に関しては、別途ワークショップレポートフォームにて。
常設展示物紹介
以下については、ホームページを参照ください。
特徴
ITに絡んだもの
お薦めのコンテンツ
- 105 -
おもしろ実験ひろば・ケミカルワークショップ
レポート担当者名
実施日
場所:神戸市立青少年科学館
主催団体名
URL:
TEL:
FAX:
参加料:
開館日・時間:
概要
おもしろ実験ひろば・ケミカルワークショップ
対象年齢
参加人数
企画期間 毎日
広報
講師の名前・経歴 科学館のコンパニオンで対応
ファシリテイター数 館職員(指導主事)1 名、そのほか市内教員(小・中理科部会)
かかった金額(できれば内訳)
学校・企業との協力関係
年間実施回数
単発か継続か
ワークショップ内容の詳細
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
ジャンル
気づいた点
こどもの感想・調査員のコメント
調査員の感想
写真・ビデオ
- 106 -
21. 自転車博物館サイクルセンター
担当者名:古田
記入日:平成 15 年 1 月 28 日
住所:大阪府堺市大仙中町 165―6
URL:http://www.h4‑dion.ne.jp/ bikemuse
TEL:072‑243‑3196
FAX:072‑244‑4119
入場料:大人 300 円、中高生 200 円、3 才〜小学生 100 円、65 才以上 100 円
開館日・開館時間:午前 10 時〜14 時 30 分まで、
休館日 毎週月曜日、祝日の翌日、年末年始
概要
財団法人シマノ・サイクル開発・センターが設立した。創成期の自転車から最新の自
転車までを 200 点余り所蔵し、そのうち 50 点程を展示している歴史博物館。
設立の趣旨、目的
クラシック自転車の収集、及び展示を行うことにより、我国の自転車産業の発展と国
民生活の向上、そして地球環境の改善に寄与することを目的とする。
対象年齢
3 才〜
一日の入場者数 季節、曜日によって変化する。
一日の団体入場者数 季節、曜日によって変化する。
年間入館者数 2001 年度:25、216 人
年間入館者数に占める子供の割合 約 74%
会員の人数
スタッフ数
7名
スポンサー
なし
常設展示物紹介
2 階:「自転車のまち」境コーナー
世界最古の自転車をはじめ、クラシック自転車から最新の自転車までの歴史コーナー
3 階:自転車の仕組みコーナー
世界遺産と地球コーナー
世界の街の自転車コーナー
定期的に行っているイベント
・自転車の乗り方教室(要予約)
・手作りおもちゃ教室
特別に行っているイベント
- 107 -
特徴
z 自転車博物館の 3 階にはブレーキ体験コーナー、変速体験コーナー、自己最高時速体
験コーナーがあり、それぞれのしくみがわかりやすく、理解できる様になっている。
z 泉州地域にある博物館、美術館、資料館など、34 館で運営する「泉州ミュージアム・
ネットワーク」に参加し、ガイドブックの作成、「M ネットかわら版」を年 4 回発行。
又、スタンプラリーも実施。
ITに絡んだもの
教育普及活動
z
昨年 11 回目を迎えた「夏休みこども絵画コンクール」は堺市と堺市教育委員会の後援
コンクールとなり、小学校で夏休みの児童の宿題として認められた。昨年度は約 16、
000 点の応募があった。
z
「自転車広場」では、自転車博物館に展示しているクラシック自転車のレプリカに実
際に試乗することができ、自転車博物館に見学にくる小学校の団体はそのほとんどが
参加する。
z
学校の先生の引率で見学に来る生徒、児童は、博物館の入館料、クラシック自転車の
レプリカ試乗共に無料。
z
土曜日は、小学生と中学生は入館料無料。
お薦めのコンテンツ
特別展「アメリカンバイシクル展」を 2003 年 3 月 9 日まで開催。その後、特別展「デュ
ラエース 30 年の歩み」を一年間開催予定。
- 108 -
手作りおもちゃ教室
担当者名:
実施日:
場所:(財)シマノ・サイクル開発センター
主催団体名:(財)加古川市文化振興公社
URL:http://www.h4‑dion.ne.jp/ bikemuse
TEL:072‑243‑3196
FAX:072‑244‑4119
参加料:入館料のみ(材料、道具、全て用意済)
開館日・時間:毎月 1 回 日曜日 (8 月だけ土曜日)10 時〜15 時 20 分 随時
先着 50 名
概要:毎月 1 回、日曜日に様々な手作りおもちゃの達人に、おもちゃの作り方を御氏得て
もらう。
対象年齢:なし、親子で参加可能
参加人数 : 先着 50 名
企画期間 :
広報
毎月 1 回堺市が発行している「広報さかい」に掲載。
自転車博物館ホームページで告知、次回の予告。
講師の名前・経歴
毎回異なる講師に依頼
ファシリテイター数
2〜3 人
かかった金額(可能であれば内訳)
学校・企業との協力関係
年間実施回数
継続 月 1 回、年計 2 回
ワークショップ内容の詳細:
10:00〜15:30 まで随時受け付け、先着 50 名
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
ジャンル
気づいた点
こどもの感想
写真・ビデオ
- 109 -
自転車乗り方教室
担当者名:
実施日:
場所:(財)シマノ・サイクル開発センター
主催団体名:(財)加古川市文化振興公社
URL:http://www.h4‑dion.ne.jp/ bikemuse
TEL:072‑243‑3196
FAX:072‑244‑4119
参加料:無料
開館日・時間:毎週土曜日、第一、第三、第五日曜日
概要:予約制
対象年齢:5 才以上(身長 100cm 以上)
参加人数 : 毎回 30 名
企画期間 :
広報
毎月 1 回堺市が発行している「広報さかい」に掲載。
自転車博物館ホームページで告知、次回の予告。
講師の名前・経歴
専任指導員
ファシリテイター数
参加人数に応じて対応
かかった金額(可能であれば内訳)
学校・企業との協力関係
年間実施回数
継続、年約 70 回
ワークショップ内容の詳細:
9:20 集合 16:00 頃解散
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
ジャンル
気づいた点
こどもの感想
写真・ビデオ
- 110 -
9:20AM〜4:00PM
22. 仙台市天文台
御担当者名:佐 藤
敏 秀
御記入日:平成 15 年 2 月 6 日
ご住所:〒980-0823 仙台市青葉区桜ヶ岡公園 1 番 1 号
URL:http://www.astro.city.sendai.jp
TEL:022-222-6994
FAX:022-216-4464
入場料:○プラネタリウム 大人 300 円、高校生 200 円、小人 100 円
○展示室・星を見る会のみ
30 円均一
開館日・開館時間:火曜日〜日曜日
概要
1955 年に、全国に先駆けて市民のための天文台として開設された。41cm の反射望遠鏡、
20cm 屈折望遠鏡を搭載した移動天文車 ベガ号 、16m ドームのプラネタリウム館を備え
ており、施設内外を会場とした星を見る会や、利用者の年齢や目的に対応した内容のプラ
ネタリウム投影などを実施し、天文に関する普及活動を行っている。
設立の趣旨、目的
①学校教育との連携、②社会教育支援、③観測研究 の 3 本の柱とし、市民に親しまれ、
市民の要望に応えるための天文科学館として業務を行っている。
対象年齢
幼児から大人(特に限定はしていない)
年間入館者数
68,251 名(平成 13 年度)
年間入館者数に占める子供の割合
52%(中学生以下のプラネタリウム利用者数 35,784 名の割合で、 展示室 及び 星を
見る会 のみの利用者は含まない。 *これ以上の詳細な統計はない。)
会員の人数
*「友の会」のような会はない。
スタッフ数 10 名
スポンサー
なし
常設展示物紹介
1 階展示室
○惑星の動き ○四季の星座 ○日食・月食 ○仙台藩の観測機器 ○季節による太陽
高度の変化 ○星の一生 ○隕石 ○インターネットによる天文情報検索用パソコン
○太陽系の広がり ○探査機による惑星の姿 ○宇宙の姿 ○いろいろな彗星 他
2 階展示室
○太陽風と地球磁気圏
○太陽
○活動する太陽
- 111 -
○月
定期的に行っているイベント
○プラネタリウム投影
① 一般投影 ②「プラネくんとあそぼう!」(幼児向け投影) ③星と音楽の夕べ
④ シニアのための星空コンサート ⑤プレママコンサート
⑥ 稚園・保育所の団体向け投影
○天体望遠鏡の説明
○観望会
①「星を見る会」(当施設にて、毎月第 1・3 金曜日の 19:30〜21:00 に実施)
②「ベガ号による星を見る会」
(20cm 望遠鏡を搭載した車「ベガ号」により、市内の市民
センターや公園などへ出向いて実施。年に 70 回程度)
③ 女性のための天体観望会
(女性を対象とし、宿泊をともなった星を見る会。年に 1 回実施)
○天文の話
(一般市民を対象とした天文に関する講演会)
○親子天文教室 (市内の小学生と親を対象とした天文教室。年に 2 回程度実施)
*学校を対象とした活動は下記に記載した。
特別に行っているイベント
特別な天体現象があるときに観望会を実施している。
特徴
・市内の全中学校を対象に天文台学習を実施している。
・地元の大学と連携し、講演会などを実施している。
・市民センター(公民館)や少年自然の家と連携し、現地に職員が出向いて星を見る会を
実施している。
ITに絡んだもの
ホームページにて、オリジナルの天体写真や天体現象の説明を公開している。
教育普及活動
1 市内の中学校向けの天文台学習(全校悉皆による)
学習内容:天体望遠鏡の説明、プラネタリウムの学習投影、展示学習
2 小学校向けのプラネタリウム学習投影。
(希望校)
3 高校向けのプラネタリウム学習投影。(希望校)
4 教職員を対象とした研修会
お薦めのコンテンツ
○仙台藩の観測機器
江戸時代に使用されていた渾天儀(こんてんぎ)や天象儀(てんしょうぎ)を展示
している。(どちらも仙台市指定文化財)
- 112 -
*画像データ資料
1 階展示室「隕石」
1 階展示室「仙台藩の観測機器」
2 階展示室「太陽風と地球磁気圏」他
41cm 反射望遠鏡
プラネタリウム
- 113 -
23.千葉県立現代産業科学館
レポート担当者名 岩崎 大典
訪問日 2002 年 11 月 10 日午後 14 時半〜16 時
場所:千葉県市川市(最寄駅:JR 総武線本八幡駅〔隣のショッピングモールまで無料送迎
バス有り〕、下総中山駅)
TEL:047‑379‑2000
入場料:無料(映像ホールに限り有料)
開館日・時間:休館日:9 時〜16 時半(入場 16 時) 毎週月曜日、年末年始(12/26〜1/4)
休館、 他 臨時休館日あり
概要
こどもから大人まで、すべての人が産業に応用されている現代の科学技術を体験的に学
ぶことができる場を提供することを目的として設置された。「現代産業の歴史」「先端技
術への招待」「創造の広場」の 3 展示をメインに、映像ホール、科学情報コーナー、体験
学習室/研修室などの各施設から成る。ワークショップなどもあり、現在の産業技術の実
際の様子の見学、工作教室など、参加型の企画が充実している。入場無料で、ショッピン
グモールと併設しているため、買い物帰りまたは途中にこどもを遊ばせている家族も見ら
れた。
対象年齢
小学生〜大人
ただし調査日(日曜日)には幼稚園児も多数。
1日の入場者数
約1000人/日(平日・休日の平均値としてこれくらい。平日は団体、休日は一般客が多い)
団体入場者数
約100人/日(インタビューで「1日の入場者数の1割程度」と答えたことからの概算)
会員の人数
「友の会」会員 300人弱
スタッフ数
49 人
スポンサー
県立なのでもちろん県からの出資。運営団体は社会教育財団
定期的に行っているイベント
サイエンスシネマ・・・年 8 回、広く科学に関する事象を,映像ソフトで提供する。各回
120 人を無料で招待。
身近なサイエンス教室・・・年 6 回、化学現象の実験・観察や科学の原理を応用した工作
を行う。小学校 4 年〜中学生を対象に各 20 名、要予約、有料。会場は体験学習室。
- 114 -
常設展示物紹介
模型や触れることのできる展示物など可視的かつ実際的な展示に重点をおくことで、単な
る展示にとどまらない来訪者の好奇心をうまく喚起する展示を作り出している。
・現代産業の歴史(2F)
千葉県の基幹産業である電力・石油・鉄鋼業の歴史と技術を紹介している。展示物はT型フ
ォード、F1カーなど本格的な展示からその時代や時代背景を捉えるものから、電流の直列・
並列の変換機、石油から作られる香料、石油や鋼板の加工により異なる種類の製品など、
実際に目で見て楽しめるものや触れるものまで幅広く展示・紹介されている。こどもから
大人までのどの層にも楽しめるつくりとなっている。
・先端技術への招待(1F)
こちらのスペースもバイオテクノロジー・エレクトロニクスなどの体感型アトラクション
をそろえ、来訪者の好奇心を上手にかきたてている。ピアノ型キーボードに合わせて画面
に絵が表示されるもの、クイズが出題されるパソコン、積み木合せロボット(11月10日現
在調整中)など多彩なアトラクションがそろう。
・創造の広場(1F)
シャボン玉や人造渦巻き発生装置など体感型アトラクションをそろえる。身近な出来事に
見られる化学現象を体感する展示(アトラクション)から構成され、その数は16に登る。
- 115 -
さらに創造の広場内「サイエンス広場」ではニュートンの万有引力の法則の発見の物語を
人形劇で説明したり、同「放電実験室」では雷を実際に落としその威力と対応の仕組みを
説明するなど、館のスタッフからの説明のついたアトラクションもある(広場では館員は
案内員以外、基本的にいない)
・映像ホール(1F)
シアターを上映。写真撮影不可ということで入らず。席数294で、日に5回上映される。現
在は通年上映作品「パンダ アドベンチャー」、期間限定作品「GRAND CANYON」の2作品
を上映中。ここだけ有料なのはフィルムの版権代など上映に大きな経費がかかるため(広
報担当 森澤様 談)。
・科学情報コーナー(1F)
ライブラリー。文献資料・映像資料がそろい自由に閲覧することができる空間。
- 116 -
特徴
1.渉外に力を入れている
学校団体にパンフレット送付など広報活動を行い、学校教育の一環として館の利用
を促している。その結果として、学校団体の申し込みが増加してきている。県内の多
くの、県外の一部の科学系展示施設との資料交換・リンクなどもある。昨年は海外と
も関係を持ち、韓国の中央科学館と技術提携・交流を行った。
また、地域との交流も行っている。現在(10月下旬〜11月上旬)は隣接の障害者セ
ンター、ショッピングモールとイベント「鬼高さんしゃ祭」を開催、3つの場所それぞ
れで工作、見学などのスペースを用意し、ファミリー層へのアピールをしている。
2.体感型の展示
「創造の広場」で1スペースをまるまる使っていることから見られるように、体感型
の展示に力を入れている。その内容も本格的なものから子供向けの体感型アトラクシ
ョンまで、親子双方に関心を持たせるような展示に努めているように見える。
3.資料
子供用館内案内「科学館探検」には展示物の写真とそれにちなんだ穴埋め問題が用
意されており、こどもの好奇心を発起させるようにつくられている。「現代産業の歴
史」では展示の脇に資料が用意されており、帰宅後も読み物として楽しむことができ
る。
ITに絡んだもの
ライブラリーの検索システム。
お薦めのコンテンツ
放電実験室での雷の実験は本当に雷を落とす装置があり、それを用いるので迫力があっ
た。刺激が強すぎて泣き出す子どももいたが、大人にも十分楽しめるコンテンツであった。
- 117 -
24. つくばエキスポセンター
つくばエキスポセンター
H15 年
つくばエキスポセンター
1月
=つくば科学万博記念財団=
1985 年「人間・居住・環境と科学技術」をテーマとして筑波研究学園都市で「つ
くば科学万博 85」が開催されました。この博覧会は我が国各界各層の協力と世界
各国の参加を得て、開催趣旨である科学技術に対する国民的な理解の向上、科学
技術を通した国際親善への貢献、筑波研究学園都市の育成等において多大な成果
を上げました。
当財団は、この成果をさらに発展させるとともに、
「つくばエキスポセンター」を
拠点として、青少年に対する科学技術の普及啓発、科学技術を通じた国際交流の
促進、産・学・官の連携促進事業を行うことにより、我が国における科学技術の
振興をはかる目的として 1986 年 3 月に設立されました。
現在「つくばエキスポセンター」では、世界最大級のプラネタリウムや数多くの
科学展示を活用し、星座、天文学、宇宙開発に関する状況などを紹介するととも
に、海洋開発、原子力開発、その他科学技術全般について幅広い普及啓発活動を
行っています。また、併せて全国の科学館と協力しながら巡回科学展示等も行っ
ています。
昨今、青少年の科学技術離れが取りざたされていますが、当財団は「つくばエキ
スポセンター」を科学技術の情報発信基地として、また 21 世紀をになう青少年に
とって楽しく、開かれた科学館として運営していきたいと考えています。 幅広
い年齢層の来館者の好奇心を刺激し、科学の楽しさ、おもしろさを体感していた
だきたいと考えています。
<施設>
敷地面積
25,655 ㎡
建物
鉄筋コンクリート 2 階建
建設面積
6,134 ㎡
延床面積
10,123 ㎡
つくばエキスポセンター開館 1986 年 4 月
入場者 100 万人達成
1990 年 11 月
入場者 200 万人達成
1996 年 6 月
入場者 250 万人達成
1999 年 10 月 17 日
インターネットHPアドレス http://www.expocenter.or.jp
- 118 -
つくばエキスポセンタープラネタリウム
1985 年のつくば科学万博の際に、プラネタリウム上映の映像ホールとして建設され
ました。
階段状に配置された 320 席の座席は、20 度の角度をつけたリクライニングシートで、
満天の星空を臨場感豊かに楽しんでいただけます。半球形ドームに低い床上から映
像を投影しますので、視野は足下まで広がり、すばらしい星空が展開されます。
ここ、つくばエキスポセンターのプラネタリウムは、日本で初めて恒星球に一球一
光源のレンズ投映方式を採用したもので、種々の場面・時間における星空を映し出
すことのできるものです。ドームの直径は 25.6m。半球形ドームを持った超大型プ
ラネタリウムで、科学万博の当時は世界最大のプラネタリウムでした。
肉眼では見ることのできない(7.4 等級までの)恒星を含め 23,000 個の星を映し出
し、加えて太陽や星の動きを組み合わせることなどによって、実際の宇宙にいるよ
うな臨場感の演出が可能です。また、 ドーム全面から降り注ぐ音響は一層の臨場
感を与えてくれます。
- 119 -
サイエンスショー・工作教室等
つくばエキスポセンターでは、サイエンスショー、科学教室、宇宙教室、観望会等と銘打っ
て種々のイベントを開催しています。
サイエンスショー
大気や重力に関するサイエンスショーです。大気の力の大きさに驚きます。
- 120 -
宇宙教室
工作教室
クイズや楽しい実験ショーもあります。
風船電話&風船ロケット工作。
楽しい作品が出来上がります。
シャボン玉ショー
ものこわし教室
大きなシャボン玉や、シャボン玉を使った楽 今年の夏休みはコンパクトカメラの分解に挑
しいサイエンスショーです。
戦しました。
- 121 -
観望会
虫型ロボット競技会
虫型ロボットのプログラミングに挑戦!
奇数月および 8 月には観望会を開催していま
す。40cm反射望遠鏡も登場します。
バルーンアート
紙飛行機競技会
- 122 -
つくばエキスポセンターには楽しく学べる設備・展示物がたくさんあります。
そのいくつかを紹介します。
テクノつく丸
プラネタリウム
(エントランス)
(プラネタリウムホール)
子供たちの人気者。おしゃべりロボットです。
「宇宙に浮かぶ雲−星雲の話−」
なかよくして下さいね!
星雲とは星のように点として見えるのでは
なく、ぼんやりと広がって見える天体のこと
…。冬の星空ではオリオン大星雲や馬頭星
雲、かに星雲、バラ星雲などの星雲がありま
す。これらの星雲の観察は単に美しいという
だけでなく、私たちにとって星の誕生や最期
の姿など、星や宇宙に関する知識を得る重要
な手段となってきました。
バラ星雲(散光星雲)
時間はさかのぼることが出来ませんが、星や
星雲を観察することで、宇宙誕生から様々の
段階の天体を同時に観察することになりま
す。地球や太陽系では今からずっと前に起き
た様な現象やこれから何十億年後に起こる
と考えられるような現象も併せて見ること
が出来ます。空の雲を見て天気予報をするよ
- 123 -
サンクルーザー
うに、星や星雲を見ることで星や銀河の一生
(1F展示場)
を予測出来るのです。
種々の星雲や星の姿は、我々の住む地球や太
モーションライド(迫力ある音響と上下左右 陽系がどのように形成され、どのように変わ
の動きに合わせて科学を体験)
って行くのかを天文学的なスケールで予測
3D立体映像で、太陽への冒険宇宙旅行を体験 するための重要な参考資料を提供してくれ
して下さい。大人気のシミュレーターです。
るのです。番組では、冬の代表的な星雲など
を取り上げながら、星の一生や宇宙の成り立
ちなどを解説します。
また北半球からは見ることが出来ず南半球
に足を踏み入れてはじめて見ることの出来
る有名な大マゼラン星雲、小マゼラン星雲、
南十字星等もご覧いただきます。
指紋音楽
アトム号
(1F展示場)
(1F展示場)
新しく登場した展示物です。セキュリティシ モーションライド(迫力ある音響と上下左右
ステム等で使われている指紋センサーで指紋 の動きに合わせて科学を体験)
を読みとり、音楽にします。自分だけの指紋 「ミクロの決死隊」という映画を覚えていま
音楽をお楽しみ下さい。MDディスクをお持 すか?
アトム号では、あなたはがんを治療
ちいただければ自分の指紋音楽を録音するこ する放射線。ガン治療の最前線、重粒子線ガ
とも出来ます。あなたの指紋を基に、12 種類 ン治療を体験して下さい。
のメロディ楽器から 6 つの楽器が選ばれ、音
の長さや高さも自動的に決められてユニーク
な音楽が演奏されます
- 124 -
国際宇宙ステーション 3Dシアター
H2 ロケット打ち上げ
(2F)
(2F展示場)
3Dシアター
ホログラムシアター(不思議なホログラム映
21 世紀、人類が宇宙に向けて大きな一歩を踏 像を交えたミニ劇場です)
み出すことになる国際宇宙ステーションは日 種子島のロケット発射場でのH2 ロケットの
本、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ諸国、ロ 打ち上げがどのように行われているかをホ
シア等が協力して進めている国際協力による ログラム映像を交えて再現します。
ビッグプロジェクトです。国際宇宙ステーシ
ョンは地上 400 km に浮かぶ宇宙空間の研究
室。スペースシャトルで必要な機材等を何回
にも分けて運びあげています。2006 年に全体
が完成の予定です、その完成時の勇姿を一足
お先に 3D立体画像ムービーでお楽しみいた
だきます。
- 125 -
アトムシアター
魔法の森
(1F展示場)
(1F展示場)
ホログラムシアター(不思議なホログラム映 ホログラムシアター(不思議なホログラム映
像を交えたミニ劇場です)
像を交えたミニ劇場です)
太陽が燃え尽きるのではないかと古代エジプ エネルギー資源の乏しい日本にとって原子
トの王様ファラオは心配しています。そこに 力発電に使う核燃料をリサイクルして再利
アインシュタイン博士が登場し、太陽の活動 用することの重要性について説明します。
や太陽のエネルギーについてお話をします。
ホログラムの不思議な映像も併せてお楽しみ
下さい。
- 126 -
タイムカプセル
しんかい 6500
(1F 展示場)
(1F 展示場)
物質のもとになる原子の話から、未来のエ 深海探査船「しんかい 6500」の実物の 3/4
ネルギーに関することまで、原子/原子力の の大きさで作られた模型です。船の中ではロ
世界を探検します。
ボット船長が海の下、6500mの世界へご案内
ギリシャの哲学者デモクリトスは世の中に します。
存在するものはすべて目に見えない無数の微 海の底でどんな生物を発見できるでしょう
少な粒子から出来ていると考えました。この …。楽しみですね。
これ以上分割できないものをアトムと名付け
ました。
原子や原子力に関する過去の話や現在の状
況、更に将来どんな発展が期待できるかにつ
いて考えてみて下さい。
- 127 -
DNAワンダーランド
花を咲かせよう
(1F展示場)
(1F展示場 科学遊園)
ゲノム科学コーナー(生命現象の謎に迫る…) 形状記憶合金って知っていますか?
生命の設計情報を蓄えているDNAに関する
ランニングボードの上で走ると、発電された
新しい展示が登場。
電気が熱に変えられ記憶形状合金が組み込
DNAが長く長く連なってコイル状にまとま
まれた花に熱が加わります。加えられた熱
った染色体。生物の細胞の中に含まれている
で、花が開きます。
ものですが、染色体は顕微鏡で見ることが出
全部の花をきれいに咲かせるためには息が
来ます。実際にご覧になって下さい。
切れるかもしれません・・・。
細胞から取り出したDNAは「白くもやもや
とした物質」として肉眼で見ることが出来ま
す。あなたもつくばエキスポセンターの「D
NAワンダーランド」で見てみませんか?
- 128 -
サイクルゲーム
風に負けるな
(1F 展示場)
(1F展示場 科学遊園)
「もぐらたたき」の要領で、ボタンを押して 風の力を実際に体験してみて下さい。
下さい。どのレベルまで到達できますか?
5−6mの風でバランスを取りながら風の力
を実感します。ふらふら動くバランス盤の上
で風の力に耐えることができますか?
ひたすら回せ
(1F展示場 科学遊園)
力の伝達。道具を使えば大きな力を伝えるこ
とができることを実感します。自転車をこぐ
ようにペダルをふんで下さい。
- 129 -
ギベオン隕石
ランデブー・ドッキングシミュレータ
(プラネタリウムへの廊下)
(2F 展示場)
隕石の大部分は火星と木星の間にある小惑星 日本版スペースシャトル HOPE の国際宇宙ス
帯から来たものです。このギベオン隕石も小 テーションへのドッキングゲームです。
惑星帯の軌道を外れて、たまたま地球に落ち 国際宇宙ステーション側からの操作ですか
てきたものだと考えられています。この隕石 ら HOPE の動きは、操作卓から見える HOPE
(重さ約 9 kg)の成分の大部分は鉄とニッケ と左右が逆になります。うまくドッキングを
ルです。鉄とニッケルが 100 万年以上の長い 成功させるにはあなたも宇宙飛行士なみの
時間をかけて固まった時に見られるウィッド 訓練が必要かも・・・。
マンシュテッテン構造(この構造を地球上で
再現することはできません)と呼ばれる構造
が現れています。隕石の一部をカットしてい
ますので、この構造の網目状の模様を見るこ
ともできます。
隕石は小さなものではありますが、宇宙に行
かなくても人類が実際に触わることのできる
天体です。地球以外で生まれた物質、かつて
は火星と木星の間を回っていた小惑星の一部
にぜひ触ってみて下さい。
太陽系シミュレーター
(2F 展示場)
指定した日の太陽系惑星の位置を計算する
とともに、惑星の動きもシミュレートしま
す。
1986 年 2 月にハレー彗星は太陽に最接近し
ました。また 1987 年 6−7 月頃には地球に最
接近しました。日付をこれらにセットしてハ
レー彗星やそのほかの惑星がどのような位
置にいるかを確認してみてはどうでしょう。
- 130 -
宇宙実験シミュレーションゲーム
鍵盤楽器演奏ロボット
(2F 展示場)
(1F
展示場
Expo85 展示物)
宇宙の無重力空間でコイは上下をどう認識す 「つくば科学万博(EXPO85)」当時の最新鋭の
るでしょうか?
思いますか?
何を手がかりに判断すると 技術を結集して生み出された鍵盤楽器演奏
ロボットで、万博の日本政府館の展示物でし
宇宙実験シミュレーションゲームで確かめて た。
見てください。
楽譜を読みとり、指、腕、足の動きとしてエ
レクトーンを操作し、音楽を演奏することが
出来ました。
当時は 20m離れた場所に大型コンピュター
が設置され、そこからコントロールされてい
ました。
- 131 -
水時計
揺るぎ石
(1F エントランス Expo85 展示物)
(中庭 Expo85 展示物)
昔の人が時間を計るために考えた工夫をトー 巨大な石の彫刻を人の手で動かせます。
レスしてみて下さい。案外現在の技術と共通 「やじろべえ」と同じ原理で、一点で支えら
する考えが利用されている面もあります。
れ、バランスをとって少しの力でゆらゆらゆ
この水時計は「つくば科学万博(EXPO85)」の れます。50 トンのみかげ石で出来た造形で
際に優れた東洋の科学技術の歴史のシンボル す。エキスポ 85 の展示物として作られまし
として作られたもので、11 世紀の中国河南省 た。
の開封に建設された天文時計塔の一部として
組み込まれていた水時計を 2 分の 1 のスケー
ルで復元したものです。同じ長さの時間で時
を刻むため、脱進機と呼ばれる調速機構が用
いられています。
- 132 -
日本刀
(1F
展示場
Expo85 展示物)
この日本刀は、Expo85 の日本政府出展「歴史
館」内の
工芸の広場
で実演、製作された
ものです。
日本刀は硬さ、粘り、靱性の異なった素材を
巧みに組み合わせたものです。刀の各部の硬
さがどう違うかも確認してみて下さい。
- 133 -
25.TEPIA デジタル・プラザ
担当者名:平田
記入日 2003 年 2 月 19 日
ご住所:〒135‑8073 東京都江東区青海 2‑45 タイム 24 ビル 1 階
URL:http://www.tepia‑dp.jp/
TEL:03‑5531‑5210(代)
FAX : 03‑5531‑5215
入場料:無料
開館日・開館時間:火曜日から日曜日(ただし月曜が祝日の場合は翌火曜日)
概要
当施設では、主婦・熟年の方にパソコン体験セミナーを無料で開催しており、パソコン
の基礎知識やタイピングから Excel 体験まで、目的や習熟度に応じて楽しく体験すること
ができます。また、耳の不自由な方にパソコンを体験していただくための、手話による聴
覚障害者向けセミナーも行っています。
その他お子様から幅広い年齢の方々に、気軽に
体験していただけるコーナーとして、体験スペース、インターネット体験コーナー、など 8
つのコーナーと、目の不自由な方がパソコンを利用するためのソフトをインストールした
視覚障害者向けブースが 2 ブースあります。
設立の趣旨、目的
普段パソコンに触れる機会の少ない方々にパソコンに慣れ親しみ、理解を深めていただ
くため
対象年齢
特にありません
一日の入場者数
73.1 人(平成 14 年の平均)
一日の団体入場者数
46.8 人(平成 14 年の平均)
年間入館者数
21,796 人(平成 14 年)
年間入館者数に占める子供の割合
10.3%(全体における 0〜14 歳までのお子様の割合、2002 年 4 月から 12 月)
- 134 -
会員の人数
特になし
スタッフ数
アテンダント 4 名、インストラクター 4 名
スポンサー
なし
常設展示物紹介
体験スペース
常時 18 本のソフトをご用意しました。生活に密着したソフトか
らパソコン学習用のソフトまで幅広くラインナップ。娯楽性豊か
なゲームソフトもありますので、お子様も楽しんでいただけま
す。使い方がわからなくても、スタッフが親切にご指導いたしま
す。(予約不要)
視聴コーナー
TEPIA プラザ(北青山)2F の TEPIA ビデオライブラリー収蔵作品
(一部)を、専用線を通じてご覧いただけます。
デジタル・プラザにいながら、TEPIA ビデオライブラリーでご覧頂
くのと同様の高精細な映像を、25 インチテレビモニタでお楽しみ
いただけます。(予約不要)
ストリーミングコーナー
インターネットを通じた映像配信が視聴体験できます。
(予約不要)※映像作品は、TEPIA プラザ(北青山)の TEPIA
ビデオライブラリー収蔵作品
(http://lib.tepia.jp/stream/index.html)の一部です。
- 135 -
自習コーナー
レベルに応じてマニュアルをもとに自ら取り組んで学習し、
習得していただくためのコーナーです。現在、用意している
ソフトは「キーボード入力」の練習用ソフトから、
「Windows98」や「Windows XP」といった OS を学習できるソ
フト、更に人気の「Excel」「Word」の学習ソフトも取り揃え
ております。これらのソフトは適宜入れ替えていく予定です。(予約制)
ソフトライブラリー
以下のソフトを選択して楽しむことができます。(予約不要)
ソフトライブラリー 使用可能ソフト一覧
現代用語の基礎知識
現代用語をパソコンで検索できます。
2000 年版
特打(とくうち)
ガンマンとキーボードで対決する、タイピング練習ソフト。
ハローキティの
キティと一緒にゲーム感覚で、楽しく覚えるタイピングソフト。
タイピングツアー
ITわか〜る
ストレッチeye
IT の説明から、インターネットやメールなどが学習できます。※制限事項があります。
パソコンの画面を見るだけで、眼精疲労や視力低下を防止できます。
算数戦士
画面に表示される計算問題に答えながら、ゲームを楽しめます。
ブラスター3
CRルパン三世X
簡単なパチンコゲーム。
ピンボール
キーボードを使ってボールを打ち返す、ピンボールゲーム。
アーケード
3D ULTRA
マウスで方向と強弱を決めて、ビリヤードが出来ます。
COOL POOL
- 136 -
視覚障害者向けブース
視覚障害者がパソコンを習得することにより、より多くの
情報収集や幅広いコミュニケーション、そして職業の幅を
も広げるまでに至っています。このような状況の中、学ぶ
場所と機会に恵まれない視覚障害者の方々のために、
TEPIA デジタル・プラザでは平成 14 年 4 月より専用の 2 ブ
ースを設置し、視覚障害者の方々にとって便利なソフトを
組み込み、気軽にご利用いただけるように開設いたしました。(予約制)
IT ホームコーナー
TEPIA プラザ(北青山)と専用回線(100Mbps)で常時ネッ
トワーク接続し、モバイルを使用した双方向遠隔通信によ
る、情報家電製品の操作デモンストレーションを実体験す
る事ができます。(予約不要)
『多機能リモコンロボット・FII‑RII 』、携帯電話などの
端末を使用して、外出先から自宅の家庭電化製品等をコン
トロールし、生活を楽しく便利にする 21 世紀のパートナーロボットや、『ペットフォン』
という、ペットと電話で話しながら餌をあげられる商品が誕生しました。外出先から、ご
自宅に電話をかけ、簡単な操作を行うだけでペットと会話ができ、しかも餌まで与えるこ
とができます。このような商品を展示し、次世代ネットワーク社会の生活の一部を体験し
ていただけます。
定期的に行っているイベント
主婦熟年向けに毎月 30 回程度のセミナーを行っております。普段パソコンにふれる機会
の少ない、主婦・熟年者向けの無料体験セミナーを月 30 回程度、17 種類のコースを開催し
ております。パソコンの基礎知識から表計算体験まで、目的や習熟度に応じて楽しく体験
する事ができます。また、聴覚障害者の皆様にパソコンを体験していただくセミナーも開
催しています。手話での講義に手話通訳と文字通訳が付きますので、安心してご参加いた
だいております。
特別に行っているイベント
年 4 回、季節にちなんだイベントを開催しております。
基本的に、
「バレンタインデーイベント」
「ゴールデンウィークイベント」
「夏イベント」
「ク
リスマスイベント」を開催しております。2 週間程度の期間で、パソコンを使っての作成物
をお持ち帰り、景品付ゲーム大会などを行っております。お子様からお年よりまで幅広い
年齢の方にご参加いただいております。
- 137 -
特徴
運営の仕方、
・・・・
同一組織の北青山とお台場を遠隔地としての条件設定が容易に利用できる有利性で E‑
ラーニングにも取り組んでゆく予定。
体験型の・・・・
各種ソフトが自由にいじれることが体験型
教育機関との連携はない。ただし、国立教育研修所の講習は毎年受け入れている。
他の施設とのコラボレーションは、特になし。
海外との交流があるか
ここ 2 年 JICA(国際交流財団)の東南アジアの視覚障害者関連の体験的な訪問を受け入
れている。
地域との繋がりがあるか
近隣自治体(江東区、港区、品川区、大田区等)の生涯学習担当部門とは連絡を取って
いる。
ITに絡んだもの
『常設展示物紹介』欄でも記載いたしました『IT ホームコーナー』では、TEPIA プラザ
(港区北青山)と専用回線(100Mbps)で常時ネットワーク接続し、モバイルを使用した双
方向遠隔通信による、情報家電製品の操作デモンストレーションを実体験する事ができま
す。ペットフォン、みまもりほっとラインなどを常時展示しております。
前記 IT ホームコーナーガ該当する。
WEB での取り組み
ホームページに多くの情報を記載し、受講者の作品掲載やセミナー応募状況、聴覚障害
者ブース利用状況等常時閲覧できる状態にしてある。クリスマスイベント等にペーパーク
ラフト等のダウンロードで作るものを掲載している。こども向けソフトがダウンロードで
きるなどです。
教育普及活動
平成 13 年 1 月まで、小学生向けにもパソコン体験セミナーを実施しておりましたが、学校
でのパソコン教育が盛んになり、当セミナーへのお申込みが減少し、中止いたしました。
現在は、近隣の保育園、幼稚園、小学校へ、イベントのポスター配布をしております。修
学旅行生の団体に総合学習の一環としての体験学習として 1 時間以内で学校では行わない
セミナーを準備し、積極的に受け入れる態勢を取っている。
- 138 -
お薦めのコンテンツ
視聴コーナー、ストリーミングコーナー、には産業技術としての各種映像が準備してあり理
科(技術)教育に役立つ。IT ホームコーナーは遠隔地からのリモートコントロールという IT
技術の最先端をいく体験ができる。
- 139 -
26.でんきの科学館
レポート担当者名
阿部美幸
訪問日 2003 年 1 月 4 日
場所:〒460‑0008
名古屋市中区栄二丁目 2 番 5 号
1F〜4F
URL:http://www.chuden.co.jp/e‑museum/
TEL:052‑201‑1026(代)
入場料:無料
開館日・時間:9:30〜17:30(入館は 17:00 まで)
休館日:
・毎週月曜日(月曜日が祝日又は振替休日の場合は翌日)
・第 3 金曜日(祝日の場合は第 4 金曜日)
・年末年始
・春・夏休み期間中は無休
外観
概要
「見て、触れて、体験して。」
体験型の展示物や実験・工作などの体験メニューにより電気の世界を子供たちに学んで
もらうことのできる参加、体験型の科学館。
対象年齢
小学校高学年(実際は、小学校低学年の子を連れた親子連れが多い)
1 日の入場者数
1772 人(平成 13 年平均)
団体入場者数 973 件
会員の人数
43128 人(平成 13 年度、年間)。
なし
スタッフ数 26 人(男 5 女 21)
スポンサー
中部電力
- 140 -
定期的に行っているイベント
特別イベント:春休み・夏休み
ワークショップ:毎週土曜日、日曜日(平成 15 年度予定) ふしぎ体験・手作り工作
オリエンテーリングスペシャル:8、10 月以外の第 2 土曜日
こどもくらふとくらぶ;毎月第 4 日曜日
こどもでんきくらぶ:毎月第 2 日曜日
クイズラリー
電気工作教室(応募制)
電気実験教室(応募制)
その他、毎日やっているおもしろ実験や、どこに現れるかわからない、「ワゴン実験」も
やっています。
イベントの内容は、科学館スタッフの手作りです。
(資料参照)
常設展示物紹介
1F:ロビー
2F:
A:電気の発見
エジソン・ファラデー・ボルタなど、電気の発見・発展に貢献した科学者たちの、フォ
ログラフィーや、発見した法則などを使ったレトロな実験器具が置いてあり、操作するこ
とが出来るようになっています。
写真左がフロア全体(人がいてわかりにくいですが)、真ん中が、電磁誘導の法則の実
験で、モーターを手で回している小学生の様子です。右は、交流と直流の電流の違いを、
発光ダイオードやオシロスコープを使って確認できる装置で、写真は、交流のほうです。
さらに、左と真ん中の写真に写っている壁面には、電気の発展の歴史が、描かれていま
す。
このフロア全体を通して思ったことは、少し内容が難しすぎるかな?と思いました。電
磁誘導や放電の実験など、実際に行っていた実験に近づけすぎているような印象で、子供
たちには少し難しいのではないかと感じました。実際の高度な実験と共に、もうすこし易
しく、
「おもしろさ」を強調した実験もあれば、
「土曜日が休みになってその分の理解を助
けるため、興味をひくため」という目的によりかなったものになるのではないか、と思い
ました。電気の分野に興味があり、ある程度理解が出来ている人には本当に興味深いフロ
アだと思います。
- 141 -
B:くらしと電気
クイズやゲームをしながら電気の不思議さや電気機器の原理について紹介しています。
左の写真が、フロア全体、右の写真が、クイズ形式ででんきを理解するゲームになってい
ます。
このクイズ形式のゲームは子供たちに好評みたいで、何人か並んでいました。クイズの
内容は、やはり少し難しいものでした。
このフロアで 1 番面白かったのは、真ん中の写真の、掃除機の仕組みを綱引き形式で確
かめることのできるゲームでした。「掃除機はモーターの力で動きます。だから、ハンド
ルを回してボールを吸い付ける力を起こして綱引きをしましょう!」と、仕組みもわかり、
また、ゲーム形式で楽しいものになっており、こういう展示物が理想かなぁ、と思うよう
なものになっておりました。子供たちも楽しんでやっていました。
やはり、A のフロアと比べて楽しいのか、A のフロアよりもはるかに人(子供たち)が
多かったです。
3F:
C:電気の旅
電気が発電所で作られ、家庭や町で使われるまでの巨大ジオラマや、水力、火力、原子
力発電の仕組みがわかる模型があり、またそれにかわる燃料電池や風力、波の力、太陽光
での発電などの発電の原理と仕組みも紹介しています。
左の写真がフロア全体、真ん中の写真が、新しいエネルギーの発電の仕組み、右の写真
が、電気を配る仕組みの写真です。
このフロアで面白いと思ったのが、真ん中の写真にあります、新しいエネルギーの発電
の仕組みです。燃料電池について言えば、2 つのハンドルをまわして酸素と水素の供給量
を調節し、それによって、発電量が変わる、ということが表現されています。波の力によ
る発電では、バネがついた(おそらく)ボタンを何度も押すことで波が発生し、それによ
って電気がおこる、ということをうまく表現できていると思いました。また、風力発電に
ついては、レバーを引くことで、風力が変わると同時に、風の音がどんどん大きくなり、
風車が速く回り、発電量が増える、という流れになっています。聴覚的にも風が強い、と
いうことを表現していて、わかりやすいなーと思いました。
- 142 -
D:原子力の世界
映像やシミュレーション、クイズにより、原子力の世界の覗くことができます。
写真は、左からフロアの一部、原子炉のシミュレーション、クイズ、となっています。
また、この他に同じ量の電気を発生するために必要なウランと石油の量の比較を、上皿天
秤のような装置で、確認することができ(これは少しわかりにくい)たり、原子爆弾と原
子力発電の違いを、画面に中性子を放出する、というシミュレーション形式で、確認する
ことができる展示がありました。
このフロアでおもしろかったのは、右の写真にあるクイズでした。画面の周りにあるパ
ネルにクイズの答えが載っているので、学びながらクイズで確認することができると思い
ました。これにもまた、ウラン 235 に中性子をぶつけると・・・などのシミュレーション
があり、ウラン 235 と 238 がキャラクターになっていることで、子供たちの興味をそそっ
ているようでした。
4F
E:ふしぎの国
思わず目を疑うような不思議な現象を集めているフロアです。様々なトリックが体験で
きます。このフロアには、電気と直接関係するものではなく、鏡の部屋、森の万華鏡、斜
めの部屋という体験型の展示があり、子供たちが沢山集まっていました。斜めの部屋の中
では興奮しすぎて、また、斜めであることから、壁にぶつかったり、床をすべったりする
など、まさしく体を使った体験型展示物となっています。
F:情報プラザ
2 台のコンピュータで、インターネットを通じ、情報を検索できます。また、電気の資
料室では、産業遺産などが展示してあります。その他に、ビデオブースもあり、小さな図
書館みたいになっていました。その他の部分ですが、全体を通じて、ウォークラリーのよ
うなクイズが用意されていました。小学校 1〜3 年向き、4〜6 年向き、中学生向きの 3 パ
ターンにわかれているもので、館内を見ると答えが書けるようになっています。
リピーターも多いらしく、クイズ問題は、1 ヶ月ごとに変えているそうです。
小学校高学年向けということもあり、内容は少し難しい気がしましたが、それぞれに説明
がよくされていて、わかりやすいと思います。
- 143 -
特徴
展示については、やはり体験型のものが圧倒的に多く、また、ほぼ毎日のようにイベン
トを行っているようでした。話によると、「この科学館に来てもらったからには必ず何か
を体験して帰っていただきたい」とのように、ほぼ毎週土日、春休みや夏休みなど、子供
たちがたくさん集まる日に、イベントを集中させているようです。
また、イベント時には、教育委員会に頼んで学校にチラシを配ってもらうなどしているよ
うです。
第 2 土曜日にある、オリエンテーリングでは、名古屋市科学館と、エコパル(名古屋市環
境学習センター)と 3 館で協力し合ったクイズラリーを行っています。
館内には、各フロアごとに案内所があり、対応も良かったです。
ITに絡んだもの
F のゾーンである、4 階に、インターネットを自由に使えるスペースがあります。
お薦めのコンテンツ
前述の、掃除機の仕組みのゲーム。
また、A と B のゾーンの間にある、プラズマボール。
手を通じて、電気が地面に逃げるという現象を視覚的に体験できる装置です。
- 144 -
電池チェッカー・アルミはく UFO
レポート担当者名
阿部美幸
実施日 2003 年 1 月 4 日
場所:〒460‑0008 名古屋市中区栄二丁目 2 番 5 号
でんきの科学館、中 2F
主催団体名
でんきの科学館
URL:http://www.chuden.co.jp/e‑museum/infomation/1‑6jikken/workshop.html
TEL:052‑201‑1026(代)
参加料:無料
開催日・時間:毎週土曜日、日曜日(平成 15 年度予定)
10:30〜11:30、14:30〜16:30
上記の時間の好きなときに参加可能。
概要
今回は、トムソンリングの実験と、電池チェッカーの製作です。
トムソンリングの実験は、コイルに電流を流すと磁力が発生し、トムソンリングと呼ばれ
る金属の輪が電磁石になったコイルと反発して飛び出す様子を使って実演する実験です。
それに関連付けて、電磁調理器でも同じように、アルミはくを使って実験します。
電池チェッカーは、電気が通ると熱が発生することを利用して、アルミはくとサーモテ
ープを使って作ります。
対象年齢
小学生
参加人数
今回は、推定で 200 人/1 日くらい。(工作の材料の準備量)
企画期間
毎月第 1 土曜日曜
広報
パンフレットやポスターなどは、すべてスタッフの手作りで、夏休みなどのイベントで
は、教育委員会にお願いして各学校にイベント情報を流しています。
講師の名前・経歴
ファシリテイター数
科学館のスタッフが、毎月割り当て制で行っている。
2人
かかった金額(できれば内訳)一人当たり 200 円くらい(平均)
学校・企業との協力関係
夏休みや春休みなどのイベントでは、各学校にイベント情報を流しています。
年間実施回数
毎月 2 回×12 ヶ月。
ワークショップ内容の詳細
トムソンリングの実験は、まず、コイルに鉄の棒を入れ、コイルに電流を流すと鉄の棒
が磁石になることを、子供たちが針金を使って確かめ、また、その後鉄の棒を少し延長し、
- 145 -
そこにトムソンリングをいれ、電流を流すとどうなるか?という実験をしました。→結果
は、トムソンリングが浮き上がったり(電流の量をゆっくり上げていったとき)飛び上が
ったり(電流を急激に流したとき)するということ。
さらに、それに関連付けて、電磁調理器でも同じようなことが起こるのを、アルミはく
を使って確認しました。
(アルミはくUFO)
工作では、電池チェッカーを作りました。中心部分を細くしたアルミはくをOHPシー
トに貼り付け、細くしてある部分に、40℃で色が変わるサーモテープを貼り付けるという
ものです。
ワークショップのタイムテーブル
毎月第 1 土曜日曜 10:30〜11:30、14:30〜16:30
この時間内の好きな時間に参加可能。
使用機材等
鉄の棒(U字型)、コイル、電源装置、電磁調理器、アルミはく、トイレットペーパーの
芯(アルミはくUFOが移動しないようにするため)
ジャンル
電気・電磁誘導(この言葉は説明では出てきませんでした。「電気を流すと磁石になる」)
気づいた点
・トムソンリングの実験:ファシリテイター数、一人
ファシリテイターが、ワゴンで実験を実演していたのですが、子供たちの予想を聞い
たり、子供たちに実験器具を触らせたりしながら、子供たちとしっかり対話しながら実
験をすすめていったため、子供たちも興味を持ち、楽しそうでした。
「はい、コレをやっ
てみたいひと手をあげてー!」と元気も良く、また、ワゴンで実演していたということ
もあり、子供たちの距離が近くすばらしいものでした。
・電池チェッカーの工作:ファシリテイター数、一人
ここにいたファシリテイターの方は、1 度に工作している人数が多いのもあって、あま
り子供たちと積極的にふれあえない様でしたが、最後の電池チェックのときに、やりか
たを子供たちに説明する等、を行っていました。
こどもの感想・調査員のコメント
子どもの感想:「おもしろかった」「不思議だった」など。
電池チェッカーに関してですが、やり方をファシリテイターが説明してから作る、と
いう形式ではなく、机に作り方の紙が置いてあり、それを見て各自作るという形式。そ
のため親子でいっしょになって作っている家族連れも多く見かけました。
トムソンリングの実験に関しては、前述のとおり、単なるサイエンスショーではなく、
子どもたちが実験に参加しながら実験を進めており、とてもよかったと思います。テー
マにも統一性があり、おそらく実験を見た子どもたちは、
「ああ、電磁調理器はコイルな
んだ!」と新しい発見をして帰って行けたのではないかと思います。
- 146 -
調査員の感想
熱で色の変わるサーモテープを利用し、電池チェッカーを作ることで、「電気が通ると熱
が出る」という現象につなげたり、コイルに電流を流したときに起こる現象と電気調理器
のスイッチを入れたときに起こる現象を比較して、同じ原理であることを示したりするこ
とで、うまく子どもの興味を引き出すようなものにつなげながら、何かしら仕組みの発見
が行えるようになっているのがすばらしいと思いました。
写真・ビデオ
工作
実験
- 147 -
27. 所沢航空発祥記念館
御担当者名
稲垣裕介
御記入日
2003/1/30
ご住所:埼玉県所沢市並木 1‑13
URL:http://tam‑web.jsf.or.jp/ (i‑mode 対応)
TEL:042‑996‑2225
FAX:042‑996‑2531
入場料:展示館入館料 大人¥520 小人¥260
大型映像館入館料 大人¥630 小人¥310
共通割引
大人¥830
小人¥410
それぞれ団体料金(20 名以上)あり
小人は小・中学生
小学校就学前児童、65 歳以上の高齢者、障害者は無料
開館日・開館時間:休館日は月曜日(祝日にあたる場合は翌日)、年末年始
9:30〜17:00
概要
航空機の飛行原理や航空技術、歴史などを、迫力ある多数の実機や映像などを交えて、楽し
みながら理解できる施設です。
設立の趣旨、目的
所沢は、日本で最初に飛行場が誕生したことから、「日本の航空発祥の地」と位置付けられ
ており、所沢航空発祥記念館は航空に関する資料を総合的に展示するだけでなく、科学・歴史
教育の視点及びレクリエーション性を兼ね備えた総合的な文化施設を目指して、建設されまし
た。
対象年齢
年間入館者数/約 25 万人
年間入館者数に占める子供の割合/3 割程度
会員の人数
スタッフ数
スポンサー
常設展示物紹介
展示館と大型映像館があります。
展示内容につきましては、Web サイトを参照下さい。
- 148 -
定期的に行っているイベント
毎月、第 2、4 土曜日に飛行機工作教室を開催しています。
内容につきましては、Web サイトを参照下さい。
特別に行っているイベント
特別展を随時開催しています。
特徴
ITに絡んだもの
教育普及活動
上記にある飛行機工作教室は、子どもから大人まで参加できるよう、内容を吟味しています。
お薦めのコンテンツ
- 149 -
飛行機工作教室
担当者名
稲垣裕介
実施日 毎月第 2、4 土曜日
場所:所沢航空発祥記念館
主催団体名
所沢航空発祥記念館
URL:http://tam‑web.jsf.or.jp/
TEL:042‑996‑2225
FAX:042‑996‑2531
参加料:¥200〜¥500 程度
開館日・時間:13:00〜約 1 時間程度
概要
所沢航空発祥記念館ボランティアの指導により、紙飛行機・ゴム動力飛行機等を製作。
天気が良ければ、館の前の公園で飛行のテストまで行う。
対象年齢
参加人数 定員 40 名
企画期間
広報
館内において、実施予定表の配布
Web サイトにおいて、実施予定の告知
講師の名前・経歴
所沢航空発祥記念館の飛行機工作教室担当のボランティア
ファシリテイター数
かかった金額(可能であれば内訳)
学校・企業との協力関係
年間実施回数
定期的に開催
ワークショップ内容の詳細
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
ジャンル
気づいた点
こどもの感想
写真・ビデオ
- 150 -
28.内藤記念くすり博物館
御担当者名 野尻佳与子
御記入日 2003/02/05
ご住所:岐阜県羽島郡川島町竹早町 1
URL:http://www.eisai.co.jp/museum/
TEL:0586‑89‑2101
FAX:0586‑89‑2197
入場料:無料
開館日・開館時間:9 時〜16 時
概要
総合的な薬の博物館。全国からくすりの看板や医学に関する資料を収集し、5 万点余りの
資料と約 5 万 5 千点の図書を収蔵している。展示室は、病除けのお守りや、中国から日本
に伝来した医学の歴史、江戸時代の蘭方医学の伝来に関する展示など多岐にわたっている。
なかでもシーボルトの薬箱、杉田玄白らが著した『解体新書』、江戸時代末期の解剖図や手
術道具、看板や製薬道具など、貴重な展示物がひときわ興味を引く。この他、屋外では約
600 種類もの薬用植物を見学することができる。
設立の趣旨、目的
エーザイ(株)の創業者であり、また内藤記念科学振興財団の設立者でもある内藤豊次
(1889‑1978)は、「日本には欧米のような総合的な薬の博物館がなく、このままでは薬学薬
業の発展を伝える貴重な資料が失われ、後世に悔いを残すおそれがある・・・・・」と考え、多
くの方々のご協力を得て 1971 年 6 月に開館しました。
対象年齢
一般
一日の入場者数
約 150 人
一日の団体入場者数
約 100 人
年間入館者数
約 4 万人
年間入館者数に占める子供の割合
約 15%
会員の人数 −
スタッフ数 13 名
- 151 -
スポンサー
エーザイ株式会社
常設展示物紹介
博物館パンフレットを郵送しました。どうぞご利用ください。
定期的に行っているイベント
夏休み親子教室
特別に行っているイベント
特になし
特徴
常設展示室では、医薬に関連する歴史資料の展示を行っているが、体験コーナーとして、
摂取した栄養バランスやカロリーを計算したり、体脂肪、骨密度、反射神経などを計測で
きる機器の設置コーナーがある。年に 1 回、館蔵品による企画展を開催。平成 12 年度は「鍼
のひびき 灸のぬくもり 〜癒しの歴史〜」、平成 13 年度は、4 月 26 日より 11 月 30 日まで
「くすりを宣伝する 看板・広告・ポスターの世界」を開催する予定。
ITに絡んだもの
○ ホームページとして、「くすりの博物館」(http://www.eisai.co.jp/museum/)を発信、
施設やイベント情報の他、人間と薬の関係史、年表、薬用植物の検索、ペン画を附した
解説、パネルクイズ、ツボ押し体操、館長や学芸員のコラムなどを提供している。
○ 常設展体験コーナーにおいて、PC を使用したカロリー計算、くすりクイズがある。どち
らもタッチパネル形式で、子供から大人まで楽しめる。
教育普及活動
○ 親子で薬や薬草をテーマにした体験型学習をおこなう、夏休み親子教室の開催。小学生
を対象とし新聞などによる一般公募。
○ 各学校から遠足などの受け入れ、対応など。
○ 学芸員資格取得のため学芸員実習の大学生を、大学から受け入れている。
お薦めのコンテンツ
○ 実物資料を見学しながら、薬の歴史について学ぶ常設展示室
○ 薬用植物園。6955 ㎡の敷地に 600 種類の薬草・薬木を見ることができる。
- 152 -
夏休み親子教室
貴館御担当者名 野尻佳与子
実施日 昨年 2002 年 7 月 27 日・28 日
今年
2003 年 7 月 26 日・27 日
場所:内藤記念くすり博物館
主催団体名:内藤記念くすり博物館
URL:http://www.eisai.co.jp/museum/
TEL:0586‑89‑2101
FAX:0586‑89‑2101
参加料:500 円
開館日・時間:9 時〜16 時
概要:夏休みに親子で一緒に薬用植物について学びながら工作を体験する教室。薬草や博
物館の展示資料に親しんでもらうとともに、親子で語り合いながら科学や歴史について興
味を持つきっかけになればと考えています。
2002 年度は、スパイスなどとして用いる丁子をレモンなどの柑橘類に刺して作る「ポマン
ダー(芳香玉)づくり」と、薬草園で摘み取った花や葉や木の実などの薬草のリースづくり、
そして薬用植物園で植物を観察しました。2003 年度の詳細は未定。
対象年齢 小学生とその両親など
参加人数 各日 20 組
企画期間 夏休み 7 月最終土曜日と日曜日
広報
○ 地域(愛知・岐阜)の一般新聞、ラジオ・テレビ局に参加者募集の掲載を依頼。
○ 博物館近郊の市町村で発行している広報誌に参加者募集の記事が掲載。
○ 教育委員会や希望のある小学校へ参加者募集の案内文書を送付
講師の名前・経歴 当博物館学芸員
ファシリテイター数 10 名程度
かかった金額(可能であれば内訳)不明
学校・企業との協力関係 特になし
年間実施回数 2 回開催。7 月の最終土曜日・日曜日(参加者は別で同じ内容を実施)
ワークショップ内容の詳細 薬や薬草をテーマとした体験型学習講座
ワークショップのタイムテーブル 9 時 30 分〜14 時 10 分
使用機材等
開催当日の教室内では、インターネットやデジタルに関連する内容は特になし。
事前の参加者募集と終了後の開催報告は、ホームページでも行っている。
- 153 -
ジャンル 薬学・医学・自然科学・歴史
気づいた点
毎年恒例の夏休み親子教室であるため、教室で指導する内容や日程スケジュールなどは、
非常にスムーズに行うことができ、参加者にも好評である。大人と子供の両方が楽しめる
薬草を利用した工作(リースとポマンダー)を中心に行っているのが喜ばれている。
こどもの感想
「お父さんとお母さんと一緒に、リースやポマンダーを作ることができて楽しかった。」
「いい作品ができて嬉しい。」「夏休みの宿題として提出したい。」「楽しかった。
」など
写真・ビデオ
これまでの開催風景の様子がホームページから見ていただくことができます。
○
2002 年度 夏休み親子教室 http://www.eisai.co.jp/museum/event/muse34.html
○
2001 年度 夏休み親子教室 http://www.eisai.co.jp/museum/event/muse29.html
○
2000 年度 夏休み親子教室 http://www.eisai.co.jp/museum/event/muse24.html
- 154 -
29.
長坂町オオムラサキセンター
御担当者名
御記入日
伊藤
麻実
平成 15 年 2 月 15 日(土)
ご住所:山梨県北巨摩郡長坂町塚川 2812
URL:http://www.yatsu.gr.jp/ngs/oomurasaki/index.html
TEL:0551‑32‑6648
FAX:同上
入場料:大人 400 円(300 円)、小中学生 200 円(150 円) ( )は 20 名以上の団体料金
開館日:毎週月曜日、休日の翌日(月曜日が祝日の場合はその翌日)
年末年始(12 月 28 日〜1 月 4 日)が休刊日となるのでその日を除く毎日。
開館時間:AM9:00〜PM5:00(最終入館は PM4:00 まで)
概要
平成 6 年オオムラサキセンター建設着手、平成 7 年 10 月開館、面積 5.1 ヘクタール(町
有地 1.2 ヘクタール、県有地 3.9 ヘクタール)
年間利用者数 27,498 人(平成 13 年度)
設立の趣旨、目的
国蝶オオムラサキの保護を通じて自然環境を保全し、住民の知識を深め教育の向上を図
り、町の有する歴史、文化、自然資源を活用した地域作りに寄与する。
対象年齢
なし
(平成 13 年度)
一日の入場者数
平均 72.6 人
一日の団体入場者数
20 名
年間入館者数
27,498 名
年間入館者数に占める子供の割合
45%
会員の人数
スタッフ数
6名
- 155 -
スポンサー
常設展示物紹介
長坂町の地形
八ヶ岳南麓の地形や自然を地
形模型で、長坂町の景観を内照
明式写真パネルで紹介します。
長坂町の雑木林の四季
雑木林の自然を、春〜夏、秋〜
冬のシーンで構成。現実感あふ
れるジオラマで、雑木林に暮ら
す生き物の「食べる行為」や「フ
ィールドサイン」を観察カメラ
で見ることができます。
映像室
150 インチハイビジョンシステ
ムを装備。生命の神秘に迫るオ
オムラサキの生態や子供たち
との交歓など大自然の中で繰
り広げられる生命のドラマを
紹介します。
東アジアの蝶
東アジアに広く分布する蝶や、
オオムラサキが日本へ渡って
きたルーなどを紹介します。
- 156 -
オオムラサキのしくみ
長さ 1mのオオムラサキの大型
断面模型で、体の各部と名称や
内部構造を分かりやすく立体
的に紹介します。
オオムラサキの飛翔
近くにいるとその音まで聞こ
えるオオムラサキの力強い飛
翔のメカニズムを、拡大模型で
解説します。肉眼ではわからな
い微妙な羽の動きを観察でき
ます。
日本各地のオオムラサキ
世界最大の「アレクサンドラト
リバネアゲハ」等の珍しい蝶や
世界のクワガタの標本約 5,000
点を展示しています。
びばりうむ長坂(オオムラサキ生態
観察施設)
広さ 1400 ㎡の鉄骨ネット張り
の施設のなかに、自然の生息状
態のままでオオムラサキや八
ヶ岳高原に生息する蝶、カブト
ムシ、クワガタが飼育されてい
て、生きた里山の生物に出会う
- 157 -
森林科学館
オオムラサキの生息地になっ
ている里山の成り立ち、里山で
の農作業や風習を画像ソフト
によって学習できます。この他
に里山での農作業に関する環
境教育のイベント会場として
定期的に行っているイベント
別途添付ファイルに記載。ファイル名「平成 15 年度イベント一覧(予定)」
特別に行っているイベント
平成 15 年 4 月 6 日「里山で唄と映像を楽しむ会」長坂町出身の歌手が自然に関わる唄をう
たい、環境映画も上映する。
特徴
雑木林や棚田がそのまま体験の場として活用でき、里山の仕組みや生態系を自然の状態
で学ぶことができる。1400 ㎡の雑木林をネットで被覆して、オオムラサキなどの生態系を
間近に観察できる施設。
地域の農家や知識者に体験農業や観察会をサポートしてもらう。他の博物館や資料館か
ら情報提供を受け、情報発信もしている。
ITに絡んだもの
平成 15 年 4 月から検索機を導入し、インターネットにも連結する。プラズマディスプレ
イで里山などの情報をディスプレイ。
教育普及活動
地元長坂中学校と連結して、オオムラサキの生息数調査を毎年 7 月に実施。
棚田を使って、種まき、収穫体験を実施。
各小中学校に子供エコクラブを設立して、事務局を担当している。
お薦めのコンテンツ
びばりうむ長坂(生態観察施設)に国蝶オオムラサキが 500 匹〜1,000 匹くらい生育して
いて季節ごとの生態を観察でき、6 月下旬から 7 月には成虫の乱舞が観察できます。
平成 15 年 4 月完成の森林科学館での里山に関する展示は体験型で面白さと学習に重点を
おいている。
- 158 -
オーロラ講演会
いろ
〜その彩と神秘の世界〜
貴館御担当者名
実施日
伊藤
麻実
平成 15 年 2 月 16 日(日)
場所:長坂町オオムラサキセンター
主催団体名:長坂町オオムラサキセンター
URL:http://www.yatsu.gr.jp/ngs/oomurasaki/index.html
TEL:0551-32-6648
FAX:
同
上
参加料:参加料ではありませんが、入館料が必要です。
大人 400 円、子供 200 円(小中学生)
開館日:毎週月曜日、休日の翌日(月曜日が祝日の場合はその翌日)
年末年始(12 月 28 日〜1 月 4 日)が休館日となるのでその日を除く毎日
時間:PM1:30〜4:00
概要:
自然写真家、牛山俊男さんが、天空に広がる美しいオーロラの、一瞬の輝きをとらえた
写真展です。アラスカでの写真を中心に、ニュージーランドのオーロラや、2001 年に長野
県で撮影された極めて珍しい低緯度オーロラの写真も展示します。
対象年齢:なし
参加人数:50 名
企画期間:平成 15 年 2 月 16 日(日)
広報:
県内全報道機関に呼びかけ、県内ボランティアボード・町内保育所・小中学校にイベン
トチラシ配布、ホームページに登録、イベントサイト登録
講師の名前・経歴:
牛山俊男(自然写真家)
ファシリテイター数:3 名
かかった金額(可能であれば内訳)
:20,000 円(謝礼金)
学校・企業との協力関係
町内小中学校へチラシ配布依頼
年間実施回数
単発
ワークショップ内容の詳細
オーロラの話を通じて、大気汚染を考え、環境への関心を高める。
- 159 -
ワークショップのタイムテーブル:
PM1:30〜4:00 までハイビジョン映像を使ってオーロラの解説
使用機材等:ホームページに実施内容を掲載
ジャンル
気づいた点
主催者の目的を講師に理解してもらう事。機材の調達。
こどもの感想:アラスカに行き、実際に見てみたくなった。
写真・ビデオ
- 160 -
30. 中津川市鉱物博物館夜
明けの森きらめきパーク
担当者名:荻野義雄
記入日:平成 15 年 2 月 11 日
ご住所:岐阜県中津川市苗木 639‑15
URL:http://www.city.nakatsugawa.gifu.jp/museum/
TEL:0573‑67‑2110
FAX:0573‑67‑2191
入場料:小中学生 100 円、一般 310 円(別途団体料金あり)
開館日・開館時間:休館日:毎週月曜日(祝祭日は翌日)
、毎月第 3 水曜日、年末年始
概要
・周囲にある「夜明けの森」をフィールドとし、自然観察・散策・アスレチックなどを配
し、博物館と一体的に楽しめるミュージアム。
・博物館は全国でも数少ない鉱物・地学を専門とした施設で、美しい鉱物などで楽しく学
べる場所。
設立の趣旨、目的
・日本三大鉱物産地のひとつ「苗木地方」を紹介する。
・希元素鉱物コレクションとして日本でも有数の長島鉱物コレクションを中核資料として
展示紹介する。
・鉱物・地学の世界を楽しく学ぶ施設。
対象年齢
小中学生から一般
一日の入場者数
50 人(平成 13 年度実績、開館日数 296 日に対する平均人数)
一日の団体入場者数
年間入館者数
14,609 人(平成 13 年度実績)
年間入館者数に占める子供の割合
42%(幼児・小中学生)
会員の人数
鉱物博物館友の会
53 人
スタッフ数
9 人(14 年度)
- 161 -
スポンサー
中津川市立のためなし
常設展示物紹介
導入部:さまざまな水晶
テーマ 1:苗木花崗岩、各地の花崗岩、ペグマタイト、苗木地方産出鉱物など
テーマ 2:花崗岩、玄武岩、化石、岩石など
テーマ 3:立体地質模型、市内の岩石、市内の化石、断層模型、AV
テーマ 4:各種鉱物
テーマ 5:長島鉱物標本
テーマ 6:花崗岩加工サンプル、スズ石と製品、陶土と製品、製品分析サンプル、
AV など
テーマ 7:隕石
定期的に行っているイベント
・ストーンハンティング(水晶探し:持ち帰りあり)
特別に行っているイベント
各教室での対応となります(各年によって内容は変わります)。
14 年度事例
・草花観察としおりづくり、阿寺断層を見て歩く会、ネイチャーゲーム源流探検、チョウ
の採集と標本づくり、石の万華鏡をつくろう、鉱物探偵団(偏光板を使った水晶発見器つ
くりなど)、秋の草花観察とネイチャークラフトづくり、水晶のペンダントづくり、カイロ
をつくろう.
特徴
・常設展示では、参加型を取り入れている。
・ホールなどで、観察コーナー(標本に触れる)、実体顕微鏡観察ができる。
ITに絡んだもの
・ホームページの閲覧
・気象観測衛星「ひまわり」画像の閲覧
教育普及活動
・県立中津高等学校自然科コースの校外実習の場として活用。
・岐阜サマーサイエンススクール中津川の参加者による博物館実習を提供。
・総合学習、地域学習の場として利用される。
お薦めのコンテンツ
- 162 -
水晶のペンダントづくり
担当者名:大林達生
実施日:平成 14 年 11 月 23 日、12 月 21 日
場所:中津川市鉱物博物館
主催団体名
中津川市鉱物博物館
URL:http://www.city.nakatsugawa.gifu.jp/museum/
TEL:0573-67-2110
FAX:0573-67-2191
参加料:300 円
概要
開館日・時間: 実施時間 10:00〜15:00
水晶を磨いてオリジナルペンダントをつくる
対象年齢
小学生以上(4 年生以下は保護者同伴)
参加人数 11 月/36 人,12 月/29 人
企画期間
適時
広報
一般広報:イベント情報「4 館だより(年 4 回発行)」、中津川市広報、ホームページ
学校:市内小中学校へイベント開催チラシの配布
講師の名前・経歴
大林達生(当館学芸員)
ファシリテイター数
かかった金額(可能であれば内訳)
学校・企業との協力関係
なし
年間実施回数
単発(年間行事の開催内容を検討の際に、選択するため不定期に開催)
ワークショップ内容の詳細
約 7 ミリの厚さに輪切りした水晶を、耐水ペーパーで研磨し、針金・ボンド・留金具を使
って固定し、紐をつなぐ。
ワークショップのタイムテーブル
午前:磨き作業
午後:固定作業
使用機材等
詳細に記載した道具及び準備段階で岩石切断機の使用
ジャンル
自然科学
気づいた点
準備での水晶のスライスに時間がかかる。取り付け方法で低学年では難しい部分があった
ため、今後検討する。参加者は磨くのに根気がいったが、出来上がりには満足していた。
こどもの感想
作るのが難しかったが、楽しくてよかった。他の石でもつくってみたい。
- 163 -
31. 中谷宇吉郎雪の科学館
御担当者名:柏田剛明
御記入日:2003.2.17
ご住所:〒922−0411 石川県加賀市潮津町イ 106 番地
URL:http://www.city.kaga.ishikawa.jp/yuki/
TEL:0761‑75‑3323
FAX:0761‑75‑8088
入場料:一般 500 円
団体 420 円(団体は 20 名以上)
高齢者(満 70 歳以上)250 円
高校生以下及び心身障害者
無料
開館日・開館時間:水曜日(祝日は開館)・年末年始は休館
9:00〜17:00 (但し入館は 16:30 まで)
概要
「雪は天から送られた手紙である」
この詩情あふれる言葉をのこした中谷宇吉郎(1900−1962)は、加賀市片山津温泉の出
身で、雪の美しさに魅せられ、北海道大学で世界で初めて人工的に雪の結晶を作り出した
科学者です。
雪や氷に関する科学の分野を次々に開拓し、その活躍の場はグリーンランドなど世界各
地に広がりました。趣味もはば広く、絵をよく描き、とくに随筆では日常身辺の話題から
科学の解説まで、はば広いテーマで多くの著作を世に送り出しました。また、「霜の花」な
ど映画作品も多く、科学映画の草分けとしても知られています。
「中谷宇吉郎
雪の科学館」は、中谷博士の多面的な業績を中心に、雪氷学のその後の発
展も含めて、最新の映像装置や実験・観察装置も使ってわかりやすく展示公開しています。
設立の趣旨、目的
中谷宇吉郎に関する資料等を収集、保存及び展示し、その科学的知識の普及及び学術、文
化の発展に寄与するため、加賀市中谷宇吉郎雪の科学館を設置する。
対象年齢
一日の入場者数
86.36 人(平成 13 年度実績:以下同じ)
- 164 -
一日の団体入場者数
年間入館者数
年間入館者数に占める子供の割合
8.37 人
26,600 人
21.4%
会員の人数
中谷宇吉郎雪の科学館友の会会員数
425 人
スタッフ数
4名
スポンサー
加賀市立
常設展示物紹介
http://www.city.kaga.ishikawa.jp/yuki/naiyo‑j.html をご参照ください。
定期的に行っているイベント
夏休み科学工作ひろば
雪氷実験教室
雪の観察会
特別に行っているイベント
特徴
ITに絡んだもの
教育普及活動
加賀市立錦城小学校に雪氷実験教室を常設し,主に児童生徒へ雪氷に関する実験を提供す
る場としている。
お薦めのコンテンツ
ダイヤモンドダストの実験、チンダル像の実験はお薦めです。
- 165 -
「雪と遊ぼう」実験教室
貴館御担当者名:柏田剛明
実施日:平成 14 年 8 月 9・10 日
場所:中谷宇吉郎雪の科学館
主催団体名:中谷宇吉郎雪の科学館「雪の体験学習実行委員会」
URL:http://www.city.kaga.ishikawa.jp/yuki/
TEL:0761‑75‑3323
FAX:0761‑75‑8088
参加料:無料
開館日・時間:平成 14 年 8 月 9 日 13:00〜14:30、15:30〜16:30
10 日 10:00〜11:30、13:00〜14:30、15:30〜16:30
概要:人工雪づくり、ダイヤモンドダスト、チンダル像の実験
対象年齢:小学生以上
参加人数:約 100 名
企画期間
広報
市内小中学校にチラシ配布、市広報誌に記載
講師の名前・経歴
平松和彦氏(北海道旭川西高校)
ファシリテイター数
かかった金額(可能であれば内訳)100,000 円
学校・企業との協力関係
年間実施回数:年 1 回
ワークショップ内容の詳細
平松方式による人工雪づくり、ダイヤモンドダスト、チンダル像の実験
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
ジャンル:雪氷実験
気づいた点
こどもの感想
写真・ビデオ
- 166 -
雪の観察会
貴館御担当者名:柏田剛明
実施日:平成 15 年 2 月 8・9 日
場所:中谷宇吉郎雪の科学館
主催団体名:中谷宇吉郎雪の科学館「雪の体験学習実行委員会」
URL:http://www.city.kaga.ishikawa.jp/yuki/
TEL:0761‑75‑3323
FAX:0761‑75‑8088
参加料:無料
開館日・時間:平成 15 年 2 月 8 日 13:00〜15:00
9 日 10:00〜12:00
概要:雪の結晶の顕微鏡観察、積雪の観察、雪遊びなど
対象年齢:
参加人数:50 名
企画期間
広報
市広報誌、新聞広報に記載
講師の名前・経歴
神田健三(当館館長)
ファシリテイター数
かかった金額(可能であれば内訳)100,000 円
学校・企業との協力関係
年間実施回数:年 1 回
ワークショップ内容の詳細
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
ジャンル:雪氷実験
気づいた点
こどもの感想
写真・ビデオ
- 167 -
工作ワークショップ
貴館御担当者名:柏田剛明
実施日:平成 14 年 8 月 11 日
場所:中谷宇吉郎雪の科学館
主催団体名:中谷宇吉郎雪の科学館、中谷宇吉郎雪の科学館友の会
URL:http://www.city.kaga.ishikawa.jp/yuki/
TEL:0761‑75‑3323
FAX:0761‑75‑8088
参加料:
開館日・時間:平成 14 年 8 月 11 日 9:30〜16:00
概要:雪、氷、光のほか「エッキー」(地盤液状化現象の実験ボトル)
、「ナダレンジャー」、
「元素のサンプル付き周期律表」など楽しい工作や実験がいっぱい!
対象年齢
参加人数:351 名(当日入館者数)
企画期間
広報
市内小中学校にチラシ配布、市広報誌に記載
講師の名前・経歴
納口恭明氏(防災科学技術研究所)、四カ浦弘氏(金沢高校)、平松和彦氏(北海道旭川
西高校)
ファシリテイター数
かかった金額(可能であれば内訳)175,000 円
学校・企業との協力関係
年間実施回数:年 1 回
ワークショップ内容の詳細
・エッキー&ナダレンジャー
不思議なおもちゃ
ャー
エッキー (地盤の液状化のしくみがわかる)づくり。 ナダレンジ
はなだれの模型です。
・元素のサンプル付き周期表
化学を学ぶ高校生におすすめ。小学生からOK。(小学 3 年生以下は付添いが必要)
・9 時 30 分〜 ・11 時〜
それぞれ小学生〜高校生 20 名。予約が必要です。
- 168 -
・さまざまな人工雪
ペットボトルの中に、カップめんの容器の中に、アイスストッカーの中に、雪の結晶
が成長します。
・雪の結晶万華鏡
雪の結晶の形が次々変わる万華鏡を作ります。予約、材料費 500 円が必要です。
・9 時 30 分〜 ・13 時〜 ・15 時〜 定員、各 20 名。
・グリーンランドの氷
1 万年ほど前の空気が閉じ込められた氷です。気泡の弾ける音を聞きましょう。
・11 時〜14 時〜 それぞれ先着 30 名に中庭で麦茶にオンザロックのサービス。
そのほか・マーブリング・空き缶分光器・ドーナツの雲・ダイヤモンドダスト・
虹を作る・復 氷(ふくひょう)などもおこないます。
場所 中谷宇吉郎雪の科学館
加賀市潮津町イ 106
料金 高校生以下は無料。大人は入館料(一般 500 円、70 歳以上 250 円)が必要です。
予約 「元素のサンプル付き周期表」と「雪の結晶万華鏡」だけは予約が必要です。
ワークショップのタイムテーブル
使用機材等
ジャンル:科学工作、科学実験
気づいた点
こどもの感想
写真・ビデオ
- 169 -
32.
日本科学未来館(MeSci)
永井智哉
平成 15 年 2 月 4 日
ご住所:東京都江東区青海 2−41
URL:http://www.miraikan.jst.go.jp
TEL:03‑3570‑9151
FAX:03‑3570‑9160
入場料:大人 500 円、18 才以下 200 円(団体 8 名以上は 2 割引)
開館日・開館時間:10:00〜17:00(日〜金)、10:00〜18:00(土・7/20‑8/31)
概要
日本科学未来館(MeSci:ミーサイ)は、自分自身で触れ、楽しむことができる参加体験
型の展示や科学者・技術者、インタープリター(展示解説員)との交流を通して、科学を
ひとつの文化としてもっと身近に感じてもらうことをコンセプトにしています。
また、最先端の科学技術に関する情報発信拠点として、国内外のネットワークを広げ、さ
まざまな活動を展開しています。
設立の趣旨、目的
1995 年、科学技術の振興を進めることによって科学技術創造立国を目指すことを目的と
した科学技術基本法が成立したのを受けて、1996 年、総合的・計画的な施策を推進するた
めの科学技術基本計画が定められ、1998 年、文部省、通商産業省、科学技術庁の三省庁が
合同で、臨海副都心地区に「国際研究交流大学村」を建設することが決定しました。その
中で科学技術振興事業団はこの大学村内に、最先端の科学技術の展示、展示手法の開発、
研究者の交流等を通じて、科学技術の情報発信をしていく施設を整備することになりまし
た。これが日本科学未来館です。
対象年齢
中高生を中心に、子供から広く一般までを対象
一日の入場者数/約 1800 人
一日の団体入場者数/約 500 人
年間入館者数/約 58 万人
年間入館者数に占める子供の割合/約 35%(18 才以下)
会員の人数
約 3 万人
スタッフ数
約 200 人
- 170 -
スポンサー
なし
常設展示物紹介
ホームページから転載いただければと思います。
定期的に行っているイベント
・ 展示の前で研究者に会おう
・ 未来にたくす夢
・ 実験工房
・ すばる望遠鏡の研究者と話そう
特別に行っているイベント
・ クリスマス企画
・ 中秋の名月・未来館でお月見!
・ インターネット中継(日食、しし座流星群など)
特徴
・ 運営についての特徴は、インタープリターと呼ばれている展示解説員が展示の説明や実
演を行っていることで、来館者一人ひとりの理解に応じて興味を発展させることに寄与
している。
・ 展示分野は最先端の科学技術研究者の提案や監修によって構成されており、日本科学未
来館の専門知識を持ったスタッフである科学技術スペシャリストが企画・開発を担当し
ている。
・ 展示物全体的に体験・体感できるものが大部分である。
・ 他施設との連携としては、全国科学館連携協議会事務局を担っており、他科学館職員の
研修を行っている。また、未来館で行われた企画展に関して他施設へ巡回を行っている。
・ 海外との交流としては、ノーベル博物館などと MOU を締結、展示物の巡回、交換、共同
開発などを実施。
・ 学校との連携も行っており、文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」
に選ばれた高校の受け入れや、同じく文部科学省「サイエンス・パートナーシップ・プ
ログラム(SPP)」を利用した高校での講義やプログラムを行っている。
- 171 -
ITに絡んだもの
・ 展示として、ITに絡んだものは数多い。情報科学技術と社会の分野を展示している 3
階フロア展示物はもちろん、TRON などITに絡んだものであるが、他にも例えば、シン
ボル展示である GEO‑COSMOS は最新発光ダイオード約 100 万個を使った球体ディスプレ
イで、世界の気象衛星で撮られた雲の準リアルタイムデータをインターネット経由で取
り込み、表示している。VR シアターでは、3 面プロジェクターと ONYX を組み合わせて
バーチャルリアリティの映像体験が可能であり、「脳迷宮」などのコンテンツがある。
ドームシアターGAIAは全天周の映像を 6 台のコンピューターから 6 台のプロジェク
ターによって出力してデジタル映像を見せている。
・ イベントとしては、「すばる望遠鏡の研究者と話そう」ではハワイにある観測所とテレ
ビ電話で結び、研究者や技術者と直接話せるイベントを行っている。「インターネット
電子顕微鏡」では、つくば市の物質・材料研究機構に置かれた走査型電子顕微鏡(SEM)・
透過型電子顕微鏡(TEM)をインターネットで接続し、操作体験できる。また、特別な試
みとして、皆既日食やしし座流星群などの現象をインターネット中継し全世界に向けて
発信している。
ウェブでの取り組みでは、ホームページの MeSci ツールを参照いただきたい。メールマ
ガジンや「MeSci View」という映像コンテンツ集だけではなく、「Compound Eyes」とい
う、定点カメラを使って離れた場所の出来事、異なったスケールで起こる現象、異なる
視点…など、複数の目を同時に使うことで、新しい発見や理解が得られるものや、シン
ボル展示 Geo‑Cosmos に優れたインタラクティブ性を持たせホームページ上に再現した
「Hyper Geo‑Cosmos」等がある。また、「Light on the Net @ MeSci」というインターネ
ットから館のエントランス床の明かりをつけたり消したりできるコンテンツもある。
教育普及活動
・ 「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に選ばれた高校の受け入れや、「サイエン
ス・パートナーシップ・プログラム(SPP)」を利用した高校での講義やプログラムに協
力を行っている。日本科学未来館を利用した体験型展示と対話型解説により、学習プロ
グラムを開発し、最先端科学技術に関する特別講義と実習により、生徒の興味を高め、
自主的な課題発見能力を養うことに協力。
お薦めのコンテンツ
・ これまでにあげたコンテンツはお薦めのコンテンツばかりであるが、あげなかったもの
でワークショップ的なイベントとしては、休日に行っている「ラボツアー」がある。日
本科学未来館には研究棟を併設しており、研究者のプロジェクトチームが常駐し、科学
技術事業団が実施する最先端の研究開発を行う場である。そこに来館者が訪れ、研究の
現場を見学したり、研究者との交流を行うツアーが企画されている。
- 172 -
実験工房
担当者名:中川、渡邊、菅原、宮島
実施日:土日
場所:日本科学未来館
主催団体名:日本科学未来館
URL:http://www.miraikan.jst.go.jp
TEL:03‑3570‑9151
FAX:03‑3570‑9160
参加料:無料
開館日・時間:ホームページを参照
概要:ホームページを参照
対象年齢:ホームページを参照
参加人数:ホームページを参照
企画期間
広報
ホームページでの募集、申し込みは葉書・電話・FAX など。
パンフレットは館内に設置。
講師の名前・経歴
ファシリテイター数
かかった金額(可能であれば内訳)
学校・企業との協力関係
学校など団体での予約も受け付けている
年間実施回数
継続、初年度(2001 年 7 月〜2002 年 3 月)は 168 回
ワークショップ内容の詳細:ホームページを参照
ワークショップのタイムテーブル:ホームページを参照
使用機材等:ホームページを参照
ジャンル:ホームページを参照
気づいた点
こどもの感想
写真・ビデオ
- 173 -
33.
日本最古の石博物館
担当者
七宗町教育委員会
記入日 平成 15 年
山本和弘
2 月 11 日
住所:岐阜県加茂郡七宗町中麻生 1160 番地
URL:http://www.rd.mmtr.or.jp/ nihon315/
TEL:0574‑48‑2600
FAX:0574‑48‑2601
入場料:一般 500 円
高校生・70 才以上 400 円
小・中学生 300 円
開館日・開館時間:休館日 月曜日(休日の場合は開館)年末年始
9:00〜16:30(入館は 16:00 まで)
概要
七宗町で発見された日本最古(20 億年前)の石を中心に、地球の歴史の大部分を占める
先カンブリア時代の資料を数多く展示してある。
地球の誕生から現在に至るまでの歴史を知っていただき、地球環境の変遷や人と自然との
かかわりを学ぶ。
設立の趣旨、目的
日本最古の石を核として地球の歴史を示す資料を収集し、保管展示するとともに、調査
研究およびその成果の普及をとおして町民の教育、学術および文化の発展に寄与し、生涯
学習の場として、広く利用して頂くため。
対象年齢:全般
一日の入場者数
一日の団体入場者数
年間入館者数:15,456 人(平成 13 年度)
年間入館者数に占める子供の割合:2,411 人(15.6%)
会員の人数
スタッフ数
5名
スポンサー
なし
- 174 -
常設展示物紹介
岩石等
・ 上麻生礫岩(20 億年前の石を含む)
・ 地球最古の石(アキャスタ片麻岩)
・ 枕状溶岩
・ ストロマトライト
その他
・ 地球儀
・ 地質模型(七宗町周辺)
・ クイズコーナー
別添パンフレット内容をご覧ください。
定期的に行っているイベント
特別に行っているイベント
館内の企画展示室において、石や地質に関する事や石に関わらず地元地域に関する展示
やその他さまざまな展示を不定期に行っている。
特徴
地球の誕生からの歴史がわかりやすいように、はじめに映像を 15 分間見ていただき、そ
の後、展示室までタイムスリップエレベーターで移動し、展示してある岩石を中心とした
大型標本にふれることによって、地球の誕生から現在に至るまでの歴史と 20 億年前の地球
の雰囲気を感じてもらいながら、岩石、地質及び地球環境の変遷や人と自然とのかかわり
に対する興味学習を深めてもらう。
ITに絡んだもの
教育普及活動
町内の小学校を中心に総合学習の中で、地域学習などとして博物館を利用している。
お薦めのコンテンツ
・ 地球の歴史の映像(15 分間)
・ 20 億何前の石に触れる
・ タイムスリップエレベーター
・ クイズコーナー
- 175 -
34.
浜松科学館
神谷希美
2002/11/17
場所:浜松市北寺島町 256 番地の 3
(JR 浜松駅から東へ歩いて 5 分)
URL:http://www.hamamatsu-kagakukan.jp/top.htm
TEL:053-454-0178
FAX:053-454-0184
入場料:展示とプラネタリウム→大人 900 円
小人(小・中学生)300 円
展示のみ→大人 500 円
中人(高校生)500 円
幼児 100 円
中人 350 円
小人 200 円
幼児無料
*70 歳以上の高齢者・障害者は無料
*30 人以上は団体割り引き有り
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
祝日の翌日・年末年始(12 月 29 日〜1 月 3 日)
観覧時間:午前 9 時 30 分から午後 5 時まで
概要
基本理念:
圏域住民の健全で創造性のあるゆたかな心の育成に資し、青少年の科学する心を育む。
敷地面積:9911.47 ㎡
(内訳
サイエンスパーク 3,020 ㎡
自然観察園 1,742 ㎡
敷地面積 3,373 ㎡)
地元の 20 余の企業からの展示品の寄贈と西遠地区広域市町村から計 1 億円の負担金の拠出
を受け昭和 59 年 8 月に着工された。昭和 61 年 5 月 1 に開館して以来地域に根ざした活動
を行っている。
対象年齢:子供から大人まで
スタッフ数:24 人
スポンサー:財団法人浜松文化協会
展示品の協力企業一覧:安藤兼郷・静岡県・日本ビクター株式会社・NEC・静岡新聞
社・SBS静岡放送・浜松信用金庫NTT・静岡大学電子工学研究所・浜松ホトニクス株
式会社・株式会社河合楽器製作所・庄田鉄工株式会社・浜松ロータリークラブ・科学技術
庁・スズキ株式会社・本田技研工業株式会社・株式会社コクブンリミテッド・中日新聞東
海本社・ミノルタカメラ株式会社株式会社平安コーポレーション・中部ガス株式会社・ヤ
マハ株式会社・株式会社ムトウ・中部電力株式会社・ヤマハ発動機株式会社・ソニー浜松
株式会社・東海銀行浜松支店
- 176 -
定期的に行っているイベント
平成 14 年学校週 5 日制が完全実施されるのをうけ土曜日に以下のようなイベントが行わ
れている。
(1)もの作り体験 1・2・3!
(3)サイエンス講座(こうざ)
対象:小・中学生
対象:小・中学生
実施:基本的に第 1 土曜日
実施:基本的に第 2 土曜日
内容:簡単な工作実習
内容: 「ロボカップジュニア」
費用:無料
(ロボット作りと制御)
(2)ミニサイエンス 1・2・3!
「アイデアバトル」 (市販ブルトーザーキッ
対象:小・中学生
トを改造して行うタイムレース)
実施:基本的に第 3 土曜日
(4)親子ふれ合い講座
内容:簡単な実験
対象:小・中学生の親子
費用:無料
実施:基本的に第 4 土曜日
内容:親子でチャレンジする自然観察
- 177 -
常設展示物紹介
まず入場する前に・・・
浜松科学館の前庭、サイエンスパークには日時計や水
を利用した設備がいくつか展示され公園として市民
に親しまれている。また敷地内の自然観察園ではさま
ざまな自然の環境が再現されている。浜松科学館の建
物の銀色の円筒形の部分には太陽の光によって絵が
浮かび上がる仕組みになっている。
上:サイエンスパークから
左:アクトシティから
館内
科学館の館内はテーマごとに 6 つのフロアに分かれている。
1F:ロビー、自然
M2F:宇宙
2F:音、光、エレクトロニクス、力
3F:プラネタリウム
中 2 階の上部は吹き抜けになっておりそれをぐるりと取り囲むように 2 階の展示がある。
3 階はプラネタリウムとなっている。それぞれのフロアでいくつか展示物を紹介する。
- 178 -
z
自然
浜松 1 万分の 1(右図)
浜松の 1 万分の 1 の模型で地理や地形
を調べることができる。手元のボタン
を押すと模型上のランプが光って公共
施設や河川の位置を調べることができ
る。
また上に見える浜松の産業や歴史など
が映像によって紹介されている。
エッグルーム
さまざまな動物の卵がパネルや模型などで紹介されている。普段見ることのない孵化途中
の卵の内部の写真があり興味深い。
z
宇宙
フーコーの振り子(右図)
振り子のふれる方向が時計回りに少しずつ移動する
ことで地球が自転していることが確かめられる。ひ
もの長さは約 15m。台座に時間の経過が分かる目盛
りが付けられている。
宇宙船シミュレーション
宇宙のなぞにチャレンジ
宇宙飛行士は語る
モニターを活用して宇宙開発や太陽系の仕組みなど
を分かりやすく展示している。
- 179 -
z
音
サウンドタワー(左図奥)
階段を上ったり壁にあるボタンを押したり滑り台を滑ったりするとコンピュータで作っ
た人工的な音を聞くことができる。
エコーチューブ(左図手前)
先のとじた筒の中で音を出すと共鳴の仕方によって音の速さが少しずつ変わるため音が
響いて聞こえる。拍手をしたり声を出したりして体験できる。
ピアノアクション
浜松の産業である楽器の代表格、ピアノの八倍の模型。ピアノの内部でどのように音が発
生するか実際にレバーを押して音を鳴らして調べる。
z
光
原子スペクトル
7 種類の気体が封入された管に実際に放
電して原子スペクトルを見ることがで
きる。分光器にかけた結果も写真で示さ
れ原子スペクトルが原子によって異な
る様子を確認することができる。
エイムズの部屋
実際にはゆがんでいる部屋が、壁や床な
どで遠近感を強調することで正常に見
えるという目の錯覚を利用した展示。種明かしとして部屋を横からのぞくこともできる。
小学生が見入っていたのが印象的だった。また光フロアの入には目の錯覚を利用した展示
としてもうひとつ「不思議あれこれ」というパネルが入り口付近に何枚も展示されている
(上図)。
z
エレクトロニクス
リニアモーターカー
スイッチを押すことでコイルに三相交流を流し移動磁界を発生させる。タイミングよくス
イッチを押すと永久磁石の反発力を利用して車体を走らせることができる。走らせること
ができる。
トムソンリング
スイッチを押して鉄の棒にまいたコイルに電流を流すとそれが磁石になる。そこから出た
磁力線が棒にはめてあるアルミニウムのリングを横切るとリングに電流が流れリングも
- 180 -
磁石の性質を帯びる。磁石になった鉄の棒
とリングが反発しあいリングが飛び上が
るという装置である。誘導電流の分かりや
すい例。
z
力
レバーアクション(右図)
てこの原理を自分で確かめることができ
る装置。てこについている腕に 3 本のロー
プがついている。支点と作用点の間の距離
が長いほど楽に持ち上げることができる。
プーリーアクション
上のレバーアクションと似たような装置
で動滑車のひもを引っ張ると定滑車の 2 分
の 1 の力で持ち上げることができる。どち
らも子供たちに人気があるようだった。
トランスミッション(右図)
自動車の外装が取り払われていて、エンジ
ンの作り出した力が車輪に伝わり回転さ
せる様子が分かる。写真には写っていないが後ろの壁面には自動車の部品がすべて並べて
展示されていてその数の多さに圧倒される。
6 つのフロアの他にも体験学習を行う実験室や自由に読むことができる図書館スペースな
ども設けられている。
プラネタリウムについて
浜松科学館 3 階にはプラネタリウムがある。直径は 20m、定員は 250 人で約 24000 個の星々
で宇宙の様子を再現している。1 年で季節に応じて 4 つのプログラムがあり小・中学生向
けの学習番組も用意されている。投影時間は約 40 分で時間は以下の通り
平日
13:00、15:00
日曜・祝日
11:00、13:00、14:00、15:00
夏休み期間
11:00、13:00、14:00、15:00、16:00
- 181 -
特徴
z
体験型の施設であること
ほとんどの展示で観覧車がなんらかのアクションを
おこすことを求められる。内容もボタンを押したり
穴を覗き込んだりという些細な事から滑り台を実際
に滑り降りるなどの大がかりなことまで様々であ
る。またらせん階段の中央部に子供用のアスレチッ
クが設けられているなど随所に遊びごころがあふれ
た設計がされている。
(右図中央の赤い筒の中がアス
レチックになっている。
)
z
静岡県西部の特徴を生かした展示が行われてい
ること
浜松市は繊維・楽器・オートバイなどでしられる工業都市として発展してきた。静岡県西
部はいくつかの世界的な大企業の発祥の地である。力フロアにはスズキ株式会社提供の自
動車が、音フロアにはヤマハ発動機株式会社提供のピアノの模型が置かれるなど地域の広
い支援を受けていることがうかがえる。また、浜松はテレビの父高柳健次郎が世界に先駆
けてブラウン管テレビを発明した場所でもありその模型も展示されている(下左図)。科
学が自分たちの社会に必要不可欠なものであることが子供たちにも理解しやすいだろう。
z
その他
スタッフの対応・バリアフリー
各フロア−にスタッフが配置されており操作方法に戸惑っている様子を見ると気軽に声
をかけ熱心に説明してくれる。障害者用のトイレ(下右図)や段差のない入り口などバリ
アフリーへの配慮も行われている。バリアフリーへの取り組みはホームページで詳しく紹
介されている。
- 182 -
科学情報システムHAMESⅢ
浜松科学館科学学習情報システム(HAmamatsu Multimedia Educational System)は 1990 年
にはじめて導入された。その後コンピュータ技術の飛躍的な発展を踏まえて最先端の技術
を取り入れて改良されたのが現在のHAMESⅢである。館内には各フロア−に多くの端
末が設置されており多くの観覧者に利用されていた。内容は
z
データベース
遠州地方の自然を中心としたデータベース。ウェブ上で利用する事も可能。
z
サイエンスクイズ
z
ゲームシティ
データベースへのアクセス機能を持ち楽しみながらデータベースの利用ができる。
z
館内案内
など。操作はタッチパネル式で簡単。
入り口付近で 100 円の「グリ夢カード」を購入して個人IDやクイズ・ゲームの進度を記
録するシステムになっている。これによってクイズ・ゲームを前回の続きから再開したり、
クイズをクリアして合格証・認定証を受け取ったりできる。
実際に足を運んでみて
今回科学館に行ったのは約 10 年ぶりであった。開館して 15 年以上経過しているわりに
よく整備されているという印象をうけた。やや展示が古びている部分はあるが普遍的な内
容を扱ったものが多いため大人になった今でも十分に楽しめる。新しい試みもスタートし
ているようだ。これからも子供たちにとって 10 年前の私と同じような新鮮な発見の場で
あることを願っている。
- 183 -
「もの作り体験 1・2・3!」
レポート担当者名
実施日
場所:浜松市北寺島町 256 番地の 3
主催団体名:浜松科学館
URL:http://www.hamamatsu-kagakukan.jp
TEL:053-454-0178
参加料:無料
開館日・時間:午前 9 時 30 分〜午後 5 時
概要:パラシュートやぶんぶんごまなどの簡単なおもちゃ作りを体験
対象年齢:小・中学生
参加人数:定員 60 名
企画期間:?
広報
・ 広報はままつ,教育委員会生涯学習推進課発行の冊子「アクセス」,教育委員会指導課
発行「学校 5 日制だより」などへの情報掲載を依頼
・ 周辺市町村の教育委員会へのイベント情報の提供
・ 当館ホームページへの情報掲載
など
講師の名前・経歴:当館指導員(教員退職者)
ファシリテイター数:?
かかった金額(できれば内訳):年間予算 30,000 円
学校・企業との協力関係:なし
年間実施回数
年間 9 回実実施
単発の事業
ワークショップ内容の詳細:
・ パラシュート(ポリ袋でパラシュートを作り,投げて遊ぼう。)
・ びゅんびゅんごま(厚紙やボタンを使ってびゅんびゅんごまを作ろう)
・ ジィージィーゼミ(回すとジィージィーとセミの鳴き声のような音が出るおもちゃを作
ろう。)
・ 笛(竹でウグイス笛を作り,笛の先を指でふさいだりはなしたりして鳴らしてみよう。)
・ トンボの模型(木や竹ひごを使ってトンボの模型を作ろう。)
・ のぼるおもちゃ(2 本の糸のひっかかりを利用して,のぼったり降りたりするおもちゃ
を作ろう。)
・ コトコト人形(ゴムの弾性を利用して,コトコトとおもしろい動きをするおもちゃを作
ろう。)
- 184 -
・ 風車(ダンバンドを使って日本古来の風車を作ろう。)
・ 野菜のゴム鉄砲(むかしなつかしいゴム鉄砲を作って遊んでみよう。
)
ワークショップのタイムテーブル
9:30〜12:00,13:30〜15:30
使用機材等
ジャンル
もの作り
気づいた点
こどもの感想・調査員のコメント
調査員の感想
写真・ビデオ
- 185 -
「ミニサイエンス 1・2・3!」
レポート担当者名
実施日
場所:浜松市北寺島町 256 番地の 3
主催団体名:浜松科学館
URL:http://www.hamamatsu-kagakukan.jp
TEL:053-454-0178
参加料:
開館日・時間:午前 9 時 30 分〜午後 5 時
概要:簡単な実験や工作体験
対象年齢:小・中学生
参加人数:定員 60 名
企画期間:?
広報
・ 広報はままつ,教育委員会生涯学習推進課発行の冊子「アクセス」,教育委員会指導課
発行「学校 5 日制だより」などへの情報掲載を依頼
・ 周辺市町村の教育委員会へのイベント情報の提供
・ 当館ホームページへの情報掲載
など
講師の名前・経歴:当館指導員(教員退職者)
ファシリテイター数
かかった金額(できれば内訳):年間予算 30,000 円
学校・企業との協力関係:なし
年間実施回数
年間 9 回実実施
単発の事業
ワークショップ内容の詳細:
・ 太陽写真(むかしなつかしい青写真を作ってみよう。)
・ しょうのう舟(プラスチックの薄い板で舟を作り,しょうのうをつけて走らせよう。)
・ 不思議なコップ(サイホンの原理を知って,入れすぎるとこぼれてしまう不思議なコッ
プを作ろう。
)
・ 浮沈子(容器の腹を押したりはなしたりすると,浮いたり沈んだりするおもちゃを作ろ
う。)
・ モビール(いろいろなもののつり合いをとりながらつり下げてモビールを作ってみよ
う。)
・ 楽しいしおり(草花・葉脈・模様などを使って,オリジナルのしおりを作ってみよう。)
・ ベンハムのこま(白と黒の模様を描いて,回すと色が見えるコマを作ってみよう。)
- 186 -
・ 紙飛行機(よく飛ぶ紙飛行機を作ろう。)
・ やじろべえ(ゆれてもゆれても倒れないやじろべえを作ろう。)
ワークショップのタイムテーブル
9:30〜12:00,13:30〜15:30
使用機材等
ジャンル:実験&もの作り
気づいた点
こどもの感想・調査員のコメント
調査員の感想
写真・ビデオ
- 187 -
ロボカップジュニア浜松予選①②
レポート担当者名
実施日
場所:浜松市北寺島町 256−3
主催団体名:浜松科学館
URL:http://www.hamamatsu-kagakukan.jp
TEL:053-454-0178
参加料:無料
開館日・時間:午前 9 時 30 分〜午後 5 時
概要:ロボカップジュニアの規格に合ったキットを組み立て,制御用のプラグラムを組み,
サッカー競技をする事業
対象年齢:小学 5 年〜中学生
参加人数:①②各 10 名
企画期間:
広報
「もの作り体験 1・2・3!」「ミニサイエンス 1・2・3!」と同様
講師の名前・経歴:当館事業係(指導主事)
ファシリテイター数
かかった金額(できれば内訳)
・ 事前研修用のキット代 24,000 円(2 台分)
・ グレースケールセンサー代 1,500 円
・ 赤外線発信ボール代 4,000 円
・ 単 4 乾電池パック代 1,500 円
・ 9v乾電池代 1,000 円
・ 移動式サッカーコート台 59,000 円
・ 名古屋市科学館主催事前説明会参加旅費 10,000 円
など
学校・企業との協力関係
なし
年間実施回数
年間 2 回実施
単発
ワークショップ内容の詳細
・使用ロボットキット→サッカーロボ 915
・ロボット制御プログラム→タイルデザイナー
埼玉大学野村研究室(プログラム:野村泰朗氏
- 188 -
グラフィック長谷川淳)
・浜松予選①への参加者は 12 名
予選総当たりのリーグ戦を実施し,上位 2 チームが東海
大会へ出場
・浜松予選②への参加者は 10 名
予選総当たりのリーグ戦を実施し,優勝チームが東海大
会へ出場。
・予選リーグは,1 チーム 2 名で編成。
・大会ルールは,ロボカップジュニアの規定どおり
ワークショップのタイムテーブル:
1 日目は 10:00〜15:00 まで組み立て
2 日目は,午前中プログラミングの学習及びプログラミング,午後浜松予選を実施。
使用機材等
ジャンル:もの作り体験
体験
気づいた点
こどもの感想・調査員のコメント
調査員の感想
写真・ビデオ
- 189 -
親子ふれ合い講座
レポート担当者名
実施日
場所:浜松市北寺島町 256 番地の 3
主催団体名:浜松科学館
URL:http://www.hamamatsu-kagakukan.jp
TEL:053-454-0178
参加料:無料
開館日・時間:午前 9 時 30 分〜午後 5 時場所
概要:親子で取り組める自然観察や工作等の講座
対象年齢:親子(実施講座により,子どもの対象を絞っている場合がある)
参加人数:基本的に親子 20 組
企画期間:?
広報
「ミニサイエンス 1・2・3!」「もの作り体験 1・2・3!」などと同様
講師の名前・経歴:
実施講座毎に外部講師を依頼(4 回),それ以外は当館指導員(教員退職者)
ファシリテイター数
かかった金額(できれば内訳):
・主に講師謝礼(時間単価 3200 円×時間)と材料及び資料代
学校・企業との協力関係:なし
年間実施回数
年間 8 回実施
単発
ワークショップ内容の詳細
・ 春の小川の生き物を探そう(春の里山に出掛け,炭焼き体験や小川の生き物の観察をし
よう。)
・ 森の中の虫を探そう(森に入り,足の下や樹上にいる虫を探してみよう。)
・ 海の生き物を観察しよう(海の中で生活する動・植物を観察・採集したり,標本を作っ
たりしよう。
)
・ 小鳥のブローチ(木を磨いたり着色したりしてブローチ作りに挑戦しよう。)
・ 電子ロボット(音に反応してゆらゆらと動き出すロボットを作ろう。
)
・ 岩石・化石を探そう(岩石を観察したり化石を採集したりしよう。)
・ デラックス万華鏡(昔ながらの万華鏡をアレンジして,オリジナリティあふれる「デラ
ックス万華鏡(大型)」作りに挑戦しよう。)
・ 七宝焼き(七宝焼きできれいなブローチを作ろう。)
- 190 -
ワークショップのタイムテーブル:
基本的に 10:00〜12:00,13:00〜15:00
使用機材等
ジャンル:自然観察&工作体験
気づいた点
こどもの感想・調査員のコメント
調査員の感想
写真・ビデオ
- 191 -
35.
サイエンスラボフクオカ
担当者名
事業課
岡
記入日
平成 15 年 2 月 1 日
福岡県青少年科学館
摂
所在地:福岡県久留米市東櫛原町 1713
URL:http://www.science.pref.fukuoka.jp
TEL:0942-37-5566
FAX:0942-37-3770
入場料:
展
個
コスモシアター ※「児童・生徒」とは4歳以上高校生ま
示
人 団
体 個
人 団
で、「団体」とは30名以上
体
般
430円
320円
650円
430円 ※4歳未満65歳以上は無料
児童・生徒
220円
160円
320円
220円 ※土曜日は、高校生以下無料
一
※福岡県内の学校・青少年団体等の利
用は、減額・免除の規定あり
開館日・開館時間:毎週月曜日(休日の場合は翌日)
館内整理日…4/22,5/27,6/24,7/15,9/2・3,10/28,11/18,1/27,2/24
年末年始休館
12 月 28 日〜1 月 2 日
概要
「地球」をテーマにした科学館。遊びながら体験し、科学を学べます。宇宙体験や飛行
機の疑似操縦、ロボットとの会話や映像に入ってのゲームなど盛りだくさんです。コスモ
シアターでは、2 万 5 千個の星空や迫力ある全天周映画を楽しめます。
放電実験や科学実験・工作教室も大人気です。
設立の趣旨、目的
県民への科学の普及・振興、特に青少年の科学への興味と関心を高め科学する心を培う
ことにより、科学技術に対する正しい理解と認識を深めるとともに、知性豊かな創造性に
満ちた人材を育成する。
対象年齢
特になし
一日の入場者数
平均
789 人
(平成 13 年度)
一日の団体入場者数
平均
318 人
(平成 13 年度)
年間入館者数
年間入館者数に占める子供の割合
233,455 人
約 64%
- 192 -
(平成 13 年度)
(平成 13 年度)
会員の人数
特になし
スタッフ数
30 人
スポンサー
特になし
常設展示物紹介
○3 階…【地球コーナー】
・【生命の誕生と進化コーナー】・【人間コーナー】・
【コンピュータコーナー】・【生物のからだの不思議コーナー】
○2 階…【乗り物コーナー】・【地球にはたらく力コーナー】
・【宇宙コーナー①】
※「学習室」
(2 階)…パソコン開放(20 台)
○1 階…【宇宙コーナー②】・【郷土コーナー】・
「テーマオブジェ」
○ 参加・体験型を中心とした約 200 点の展示物
[デジタルスクエア]
[フライトシミュレーター]
[ロボットスクエア]
[バーチャルキッズ]
[シーソーバスケット]
[お絵かきロボット]
[コスモシアター…プラネタリウム、全天周映画、学習番組]
- 193 -
定期的に行っているイベント
○科学ステージ…楽しい実験やシミュミレーター体験
○チャレンジ教室…スライムや紙ブーメランなど比較的簡単な実験・工作教室
○サイエンス教室…観察・実験や科学工作などをとおして、科学に親しむ教室
○エンジニア工房…電子キットや身近な素材などを使ったものづくり教室
○パソコン教室…基本操作やメール、インターネットなどの教室
○星と音楽の夕べ…季節の星座解説と生演奏によるコンサート
○トワイライトプラネタリウム…星空解説とCDコンサート
○コスモスクール…季節の星座の探し方や話題の天文現象の紹介
○市民天体観望会…天体望遠鏡での月・惑星・星の観望、プラネタリウムでの星空解説
特別に行っているイベント
○特別展・企画展…最新の科学技術や話題の科学現象等の特別展(年 2 回)、
自主企画の企画展(年 2 回)を期間限定で開催
○作品展…「理科工作作品展」(小・中学生)・
「未来を見つめる高校生の作品展」・
「宇宙の日絵画・写真展」(小・中学生)を開催
○科学講演会…科学の各分野における研究や特別展等に合わせた内容の講演会
特徴
○「展示場」と「コスモシアター」の大きく二つに分けられる。遊びながら体験し、科
学を学べる。コスモシアターでは、2 万 5 千個の星空や迫力ある全天周映画を楽しめる。
○地域や学校等との連携を積極的に図っている。
ITに絡んだもの
○「学習室」…パソコン(20 台)を常時開放
○パソコン教室…基本操作やメール、インターネットなどの教室
教育普及活動
○指導者支援教室…教職員や地域の指導者への実験・工作等のノウハウの提供
○出前科学館…地域行事や学校教育活動への支援、授業援助等
○移動科学館、コスモキャラバン、コスモスクールキャラバン
お薦めのコンテンツ
等
○夏休みと春休みを中心に開催する「特別展」をお見逃しなく。
- 194 -
サイエンスラボフクオカ
福岡県青少年科学館ワークショップ
○科学ステージ…楽しい実験やシミュミレーター体験
○チャレンジ教室…スライムや紙ブーメランなど比較的簡単な実験・工作教室
○サイエンス教室…観察・実験や科学工作などをとおして、科学に親しむ教室
○エンジニア工房…電子キットや身近な素材などを使ったものづくり教室
○パソコン教室…基本操作やメール、インターネットなどの教室
○星と音楽の夕べ…季節の星座解説と生演奏によるコンサート
○トワイライトプラネタリウム…星空解説とCDコンサート
○コスモスクール…季節の星座の探し方や話題の天文現象の紹介
○市民天体観望会…天体望遠鏡での月・惑星・季節の星の観望、プラネタリウムでの星空
解説
担当者名
事業課
実施日
――
場所:福岡県久留米市東櫛原町 1713
主催団体名:福岡県青少年科学館
URL:http://www.science.pref.fukuoka.jp
TEL:0942-37-5566
FAX:0942-37-3770
参加料:
――
開館日・時間:
――
概要
観察・実験教室、工作教室、天体観測教室
対象年齢
幼児〜一般
参加人数
20〜260 名
企画期間
年間を通して実施
広報
○定期発送等にて、県下の小中学校・関連機関等々に送付。
○情報誌や機関誌等の活用、近隣の県への広報。
講師の名前・経歴
――
ファシリテイター数
――
かかった金額(可能であれば内訳)
――
学校・企業との協力関係
○有り
年間実施回数
○「単発」と「継続」有り
- 195 -
ワークショップ内容の詳細
――
ワークショップのタイムテーブル
――
使用機材等
――
ジャンル
科学
気づいた点
――
こどもの感想
――
写真・ビデオ
- 196 -
36.
三菱みなとみらい技術館
レポート担当者名:水向 健太郎
訪問日:2002 年 11 月 23 日
場所:神奈川県横浜市西区みなとみらい三丁目 3 番 1 号
三菱重工横浜ビル
URL:http://www.mhi.co.jp/museum/
TEL:045-224-9031
入場料:一般 500 円、中・高校生 300 円、小学生 200 円、
団体(30 名以上)は各 100 円引き
開館日・時間:午前 10 時〜午後 5 時 30 分
(入館は午後 4 時 30 分まで)
休館日:毎週月曜日、年末年始および特定休館日
(但し、月曜日が祝日の場合は火曜日)
概要
みなとみらい 21 地区
に 1994 年 4 月、三菱重工は新しい技術開発の拠点「本社技術
センター」を設置した。これを機に地域の人々との交流を深め、明日を担う青少年たちが
科学技術に触れ、夢を膨らませる場として同年 6 月に誕生させたのが「三菱みなとみらい
技術館」である。日常生活では触れることの少ない科学技術を親しみやすく紹介し、素晴
らしい技術と触れ合う。そんな産業活動・生活との関係への理解を深める場とすることを願
うものである。
- 197 -
対象年齢
小学生以上
1 日の入場者数
平均 200〜300 人/日
(多いときは 1000 人)
会員の人数
友の会会員が 5000 名
スタッフ数
館長・副館長・その他 12 名の計 14 名
スポンサー
三菱重工業株式会社の企業博物館のため、特定のスポンサーは持たない。
特別イベント
「環境ゾーンリニューアル記念イベント」として、以下のようなものがある。
H−ⅡA ロケット 4 号機の打上げ衛星中継
12 月 14 日(土)に打上げ予定のH−ⅡA ロケット 4 号機の「環境観測技術衛星
(ADEOS-Ⅱ)」を大スクリーンで見るというもの。
定期的に行っているイベント
お話&実験&工作:「なぜリサイクル?水も紙もプラスチックも」
12 月 15 日(日)の 14:00〜16:00
講師は千葉県立薬園台高等学校の中台文夫先生。
対象は小学 4〜6 年生(定員 30 名)
リサイクル工作をしよう
12 月 21 日(土)の 10:00〜12:00 と 13:00〜16:00
牛乳パックで再生紙のはがきを作る。ペレットで塗り絵をする。
常設展示物紹介
1F 環境・宇宙・海洋・建築
<環境>テーマは「環境保全」。ゴミ・大気・水などに関わる地球環境
破壊の実態と、環境保全のために役立つ様々な技術を紹介する。
- 198 -
<宇宙>テーマは「宇宙開発」。H-Ⅱロケットの第一段エンジンLE-7 やJEM、
スペースプレーンなどを技術開発状況も含め紹介する。
<海洋>テーマは「深海技術と海洋開発の未来」。深海潜水調査船「しんかい 6500」の
建造技術と調査活動の姿や、海洋開発の必要性を理解できるよう海底の話題も
交え、紹介する。
<建設>テーマは「インフラストラクチャ建設の新技術」
。横浜に建設された美しい形状
の斜張橋横浜ベイブリッジと、ドーバー海峡トンネルの掘削に使用されたシール
ドマシンの模型を主体に、大きなスケールで紹介する。
- 199 -
2F エネルギー・身近な技術の知恵と工夫
<エネルギー>
テーマは「エネルギーの供給と消費」。現在の発電の主力である
火力発電の仕組みをはじめ、原子力・風力・水力などの発電設備に
ついて技術解説を含め紹介する。
<身近な技術の知恵と工夫>
テーマは「暮らしの中の最先端技術」。日常生活の中に隠れている技術や
仕組みなどを紹介している。
特徴
・「しんかい 6500」や「海底トンネル掘削シールド」などの縮小展示物が多く、
これらは精密に作られていてとても分かりやすかった。
・2Fに「体験コーナー」が設置されていて、ヘリコプターの操縦感覚を体験できる
スカイウォークアドベンチャーがある。また、船と航空機のCADソフトを組み込ん
だコンピューターを使って、自分だけのオリジナルの船や航空機を設計するコーナー
もある。
・他にも、50 名まで収容可能な、映像・音響設備を完備した映像ルームがあったり、
パソコンを利用するクイズやビデオ映像が、それぞれのゾーンに備わっている。
・スタッフの対応がしっかりしていた。
ITに絡んだもの
お薦めのコンテンツ
コンテンツの内容は全て充分興味深かった。
- 200 -
リニアモーターカーを作ろう
レポート担当者名:水向 健太郎
実施日:2002 年 11 月 23 日
場所:三菱みなとみらい技術館
2F 映像ルーム
(神奈川県横浜市西区みなとみらい三丁目 3 番 1 号
三菱重工横浜ビル)
主催団体名:三菱重工業株式会社
URL:http://www.mhi.co.jp/museum/
TEL:045-224-9031
参加料:ワークショップへの参加は無料。
入館料は、一般 500 円、中・高校生 300 円、小学生 200 円
開館時間:午前 10 時から午後 5 時 30 分まで
(ただし、入館は 4 時 30 分まで)
休館日:毎週月曜日、年末年始および特定休館日
(ただし、月曜日が祝日の場合は火曜日)
概要
三菱みなとみらい技術館では、毎月 4 回、工作や実験教室開催している。テーマは日
替わり。身近なものを使って、子供たちに科学技術に親しんでもらおうという趣旨であ
る。毎月、スタッフがテーマを決め、様々な資料を参考に、工作と実験を考案し、参加
者全員に工作と実験をしてもらう。
対象年齢
小学生以上(テーマにより対象はかわる。友の会会員が主体)
参加人数
一回 20 名(回によって違う)
企画期間
月4回
広報
友の会会員に対し、ダイレクトメールを送って知らせる。
次回のワークショップのお知らせは、館のフロントにチラシで置いてある。
講師の名前・経歴
館のスタッフ 2 名が行う。
かかった金額(できれば内訳)
学校・企業との協力関係
三菱重工業株式会社の企業博物館のため、特定の協力関係は無い。
年間実施回数
月 4 回で、テーマは毎月変わる。
ワークショップ内容の詳細
発泡スチロールでレールを作り、レールの上に銅線をひく。磁石をレールの中において、
電流を流しリニアモーターカーを走らせる。
- 201 -
ワークショップのタイムテーブル
最初の 5 分で挨拶。道具や材料を見せながらそれぞれの説明をし、後は順番に
組み立てていく。残り 15 分で、全員で実験を行う。全 2 時間。
【タイムテーブル:例
午前の会】
全工程:約 2 時間
10:00〜11:00 レールの製作
11:00〜11:30 車の製作
11:30〜11:45 走行・調整
11:45〜12:00 磁石の実験
使用機材等
スチレンボード、スチレンペーパー、銅線、電線、アルミの棒、電池、両面テープ、
はさみ、磁石など
ジャンル
科学工作
気づいた点
子どもにもとっつきやすく、面白いワークショップだと感じました。工作に使ってい
る材料はどこでも手に入りやすいもので、子供に科学を楽しんでもらうには十分だと
思いました。
こどもの感想・調査員のコメント
家ではなかなか出来ないことなので、嬉しい。
←親御さんの感想
面白い。
調査員の感想
子供たちがとても楽しそうだった。開始時間を待ちきれずに、急いで部屋に入ろうと
してスタッフに止められていたところなどとても微笑ましかった。工作中も子供たちは
とても真剣で、部屋に入ってこそこそ取材している僕などお構いなしで工作に取り組ん
でいた。このような姿を見る限りワークショップの目的は達成されているのではないか
という感じがする。
- 202 -
37.
ミュージアムパーク茨城県自然博物館
担当者名:企画課
村田太郎
記入日:平成 15 年 2 月 5 日
住所:茨城県岩井市大崎 700
URL:http://www.nat.pref.ibaraki.jp/
TEL:0297‑38‑2000
FAX:0297‑38‑1999
入場料:大人 520 円、高・大学生
320 円、小・中学生
100 円
(企画開催期間中は別途料金)
休館日
毎週月曜日 (月曜日が休日の場合はその翌日)
12 月 28 日〜1 月 1 日
概要
敷地面積 15.8ha を誇り、自然博物館としては日本最大級。宇宙、地球、自然、生命、環
境をテーマにした 5 つの常設展示のほか、茨城の自然をテーマにした展示や観察コーナー
があるディスカバリープレイス、年 3 回程テーマをかえて展示が行われる企画展示室があ
る。又、広大な野外施設には、雑木林や小川の流れ等があり、実際の自然を体験すること
が出来る。
設立の趣旨、目的
自然についての理解を深めること、科学する心を養うこと、自然を愛する豊かな人間性
を育てること、自然愛護の思想の高揚を図ることを目的として、本館と野外施設を一体的
に整備し、利用者が敷地内施設を利用して、自らが気づき、発見し、感動できる場を提供
できるよう計画された。
対象年齢
未就学児から高齢者まで
一日の入場者数
1,450 人(平成 13 年度)
一日の団体入場者数
年間入館者数 437,862 人(平成 13 年度)
内子供入館者数
208,074 人(平成 13 年度)*中学生以下
会員の人数
ミュージアムパーク茨城県自然博物館友の会会員数
家族会員:5,811 人(1,253 家族)
個人会員:132 人
子ども会員:13 人
賛助会員:37 人
計
5,993 人
*平成 15 年 2 月 5 日現在
- 203 -
スタッフ数
職員 29 名 展示解説員 24 名 学芸嘱託員 3 名
臨時職員 2 名
計 58 名
スポンサー
常設展示物紹介
第一展示室
宇宙の誕生(映像)
、真空現象実験装置、さまざまな隕石(実物)など
第二展示室
地球 46 億年の歴史(アニメ)、中生代白亜紀のジオラマ、古生代の海の情景など
第三展示室
森の環境と生物のジオラマ、シアター「生物の四季」
、
土壌動物 100 倍ジオラマ等
第四展示室
ミクロの体内探検、ゲンギス II(可動式動物ロボット)
、動物の五感体験装置等
第五展示室
世界各地の自然現象(映像)、地球気象モニター、半閉鎖生態系モデルなど
ディスカバリープレイス
茨城の地学・動物・植物、茨城の特徴的な自然。観察コーナー
定期的に行っているイベント
z
サンデーサイエンス
毎月テーマを替え、毎週日曜日に実施する参加体験型イベント
z
わくわくディスカバリー
展示解説員が企画する子ども向け参加体験型イベント。原則として 4〜11 月の
第 4 土曜日に実施
z
化石のクリーニング
博物館ボランティアの指導により、岩石をクリーニングして化石を探す。毎週木
曜日と第 4 土曜日に実施。
z
ガイドツアー
展示解説員が常設展示室を案内。毎日 3 回実施。
z
野外ガイドツアー
学芸員が博物館の野外施設を案内。毎日 1 回実施。
(雨天時は中止)
特別に行っているイベント
z
自然講座
自然についての実験実習及び講義を行い、自然の不思議や楽しさを紹介するとともに
より高度な自然観を養うことを目的としている。
- 204 -
z
自然教室
自然観察などを通して、児童生徒の自然に親しむ心を育て、環境教育の場としての役
割を果たしている。
z
自然館雑会
博物館内及び茨城県内の豊かな自然を観察することを通して、郷土の自然についての
理解を深め、自然に親しむことを目的としている。
z
大人&フィールドガイド
茨城県内の多様な自然の観察を、大人及び子どもそれぞれのケースに分かれて、テー
マと内容の差別化を図り実施することにより、郷土の自然についての理解を深め、自
然に親しむことを目的としている。
特徴
z
企画展示
「茨城の風土に根ざした自然に関する総合的な社会教育機関」という当館運営の基本
的な位置づけを全うするための重要な事業の一つである。常設展示のみでは成し得な
いタイムリーな話題を、楽しくわかりやすく、県民に提供するとともに、充実した博
物館資料の収集と情報ネットワークの構築を目指して開催する。
z
常設展示
1.
ストーリー性のある総合展示
宇宙(マクロな自然)から細胞・DNA(ミクロな自然)
、そして環境まで、地球自
然環境の姿を順を追ってわかりやすく展示している。
2.
独立した部門展示
総合展示からフロアを分けて 1F に、茨城の豊かな自然を部門展示として独立さ
せている。
3.
どの展示室からでも見学できる自由動線
各展示室のテーマを、バナーとシンボル展示で、ページをめくる様に吹き抜け部
分に配している。そしてどの展示室からでも自由に見学できるようにルートを設
定している。
4.
来館者とのバリアを廃したオープン展示とジオラマ展示の多用
壁一体の大型ガラスケースによる展示を極力避け、展示物と来館者のバリアを廃
した。また、ジオラマ展示を多用し、生物界の生態をそのまま理解できる展示を
構築している。
5.
来館者が積極的に展示に参加できる参加体験型展示
科学館的な機械装置により展示、映像により分かりやすい解説、各展示室に配し
た検索・クイズなどのコンピューターシステム、聞く・触る・嗅ぐという五感を
使って確かめる展示など、来館者が積極的に展示に参加できるしくみになってい
る。
- 205 -
6.
小学生でも理解できる分かりやすい解説
パネル・ラベルの文字情報は、小学高学年性(5・6 年生)が理解できる文章内容
になっている。
z
教育機関との連携
1.
指導者支援事業
教職員や社会教育指導者を対象として、博物館の展示や資料を有効に活用しなが
ら、環境教育や自然教育についての研修の場を提供する。さらに、博物館の効果
的な利用法についての助言指導や教材の提供を行い、幼児及び児童・生徒、一般
市民がより効果的に博物館を利用できるようにする。(教員研修、インストラクタ
ーズルームの提供、学芸員実習)
2.
学習支援事業
幼児及び児童・生徒を対象とした学習支援プログラムや学習用教材等を開発・提
供し、また、宿泊学習施設との連携を図りながら、博物館における理科学習、環
境学習が効果的に進められる様に援助する。また、中学校の職場体験を積極的に
受け入れ、博物館活動への理解を促進させる。
(学習支援プログラムの開発と提供、
自然教育教材の提供、宿泊学習施設との連携、職場体験の受け入れ、県教育委員
会との連携)
3.
解説・案内事業
来館者全般を対象とし、館内の展示内容及び資料に関する理解を助けるため、学
芸員やミュージアムコンパニオン等が展示解説活動を行ったり、来館者が各自の
興味・関心に応じ自由に見学学習ができるように解説パンフレット等の作成・配
布を行う。また、広い野外を活動し、四季折々の自然の美しさや不思議さを紹介
し、来館者の観察活動を援助するとともに館内展示と野外施設とを結ぶ拠点とし
ての自然発見工房の有効利用を図る。(館内・野外セルフガイドの配布、館内ガイ
ド、自然発見工房での観察指導、自然なんでも相談)
4.
アウトリーチ事業
博物館に来ることが出来ない人々や現地での博物館活動を必要とする人々を対象
に博物館側から手を差し伸べ、直接あるいは間接的に交流することにより、生涯
学習社会における博物館利用の実質的な機械均等を図る。さらに、これらの人々
の博物館に対する理解を深め、博物館の利用度を高める。
(移動博物館、講師派遣、
教育用資料貸出)
5.
体験活動・自然啓発事業
広く一般県民を対象に、博物館が持つ専門的な知識や資料および人的ネットワー
クを活用し、自然にかんする各種講座や観察会等を実施することにより、自然に
ついての興味、関心を高めるとともに、より高い次元での自然観を養う。(観察指
- 206 -
導、自然教室、自然観察会、自然講座、大人&子どもフィールドガイド、作品コ
ンクールなど)
6.
友の会・ボランティア支援事業
ボランティア活動を通して生涯学習を望む人々を対象として、これらの人々にボ
ランティア活動をする場を提供するとともに、活動を通してよりよい自己実現が
図れる様支援する。さらに、来館者と交流することにより、ボランティア自身の
自己開発を促すとともに、あわせて来館者へのサービス向上を図る。
(ボランティ
ア育成、ボランティア活動の援助)
7.
ジュニア学芸員育成事業
博物館に対して興味関心の高い中学生や高校生を対象に、展示資料について学習
する機会と活動の場を提供し、様々な体験活動を通して身に付けた知識を一般来
館者に説明することで自分の学習した事を伝える喜びを実感する。さらに、それ
らの解説活動による来館する子どもたちを中心とした普及効果を図る。
(テーマ別
研修、解説案内活動、博物館のイベント指導者補助としての活動)
8.
飯沼川周辺環境学習プログラムの開発
菅生沼に注ぎ込むシンボル的な河川である飯沼川と、その周辺の田畑や雑木林な
ど、いわゆる「里山」の自然について、流域の小中学校の子ども達や住民が野外
体験活動の一環として調査する方法を平易に解説した環境学習プログラムとして
開発する。(環境学習のプログラム、環境調査補助ツールなど)
z
海外との交流
ロサンゼルス郡立自然史博物館、内蒙古自治区博物館との友好姉妹館締結。
ITに絡んだもの
z
みんなで調べよう茨城の自然
身近な自然に触れ、自然環境に関心を持つきっかけになっていただくことを目的に、
県内の自然についての調査を一般の方々に依頼し、調査結果を博物館ホームページで
記入していただく。集計した調査結果は他の人のデーターと比較や共有ができる。
教育普及活動
お薦めのコンテンツ
z
宇宙、地球、自然、生命、環境とストーリー性を持たせた常設展示。
z
常設展示では成し得ない、来館者のニーズに合わせたタイムリーな話題を提供する企
画展示を、年 3 回程度開催。
z
敷地面積 15.8ha を誇る広大な敷地では、植物、昆虫、野鳥など、実際の自然を観察す
ることができる。
z
未就学児から大人まで楽しみながら自然について学べる多彩なイベントを多く開催。
- 207 -
38.
未来科学技術情報館
レポート担当者名
岩崎
大典
訪問日 2002 年 11 月 16 日
場所:新宿区西新宿 2−1−1
URL:http://www.miraikan.gr.jp
TEL:03‑3340‑1821
入場料:無料
開館日・時間:10:30〜18:00
火曜・年末年始など休館
概要
視覚・触覚といった様々な角度から科学技術を体験し、子供から大人まで楽しみながら
科学技術を知ってもらう情報発信スタイルを持った館。資料は原子力関係が充実しており、
原子力など科学技術についての一般への情報提供をすすめている。
同時に体感型のアトラクションを多くそろえ、子供連れの家族で楽しめる空間をつくり
だしている。
対象年齢
子供(幼稚園児)〜大人
1 日の入場者数
平日 100/日
休日 300/日
団体入場者数
修学旅行のグループ見学で 6 名前後の見学が多い、数は不明
会員の人数
会員制度なし
スタッフ数
12(企画に応じて人員の外注有り)
スポンサー
文部科学省のみ
定期的に行っているイベント
・キラりん実験教室(申込み制) ・・・ひと月につき 2 日(上旬の土日)、身近な材料(11
月はストロー、12 月は空き瓶など)から工作をするイベントを開催している。
・下旬も月に 2 日、イベント名が毎月異なるものの、「作る」理科系の実験(割れないシャ
ボン玉、結晶を作る、など)を行っている(申込み制)。
- 208 -
常設展示物紹介
館内は27つの展示があるサイエンスミュージアムをメインに、コラボレーションスペー
ス、ライブラリー、ネットライブラリーコーナー、パンフレットコーナーから構成されて
いる(館内マップ参)。
ライブラリーコーナー
ネットライブラリコーナー
インフォメーションデスク
常設展示物は体感型のものが多く、こどもが関心を持ちやすいように心がけられている。
特に視覚系(錯覚・視覚・認知に関連したもの)のものが多い。地方の科学館に比べ立地
スペースが十分得られないことを反対にうまく活かしている。
- 209 -
展示物は以下の通り。
1大型ピンレリーフ
2大型シャボン玉装置
3スタンディングウェーブ
4何色に見えるかな
5追ってくる顔
6静電気実験装置
7トムソンリング
8ボイスターン
9たつまき発生装置
10ジャイロの運動
11宇宙線を見る
12つかんでごらん
13ライトスティック
15ゆがんだ部屋
- 210 -
14 しんかい6500模型
16アルゴブロック
17反射神経測定器
18デスクトップトイコーナー
19プラズマボール
20無限トンネル 21真空の面白実験
22H‑2 ロケット模型
23はかるくん 24盲点 25ミルククラウン 26超伝導マイスナーカー
27透けるとん
- 211 -
特徴
体感型のものが多い。
教育機関・他施設・海外・地域との連携などはとくに行っていない。
原子力をメインに一般への情報提供をすすめている為その関係資料を豊富に用意してい
る。
活字(資料が多い)・ビデオ(館内用貸し出し棚あり)※・体感型の3方向からアプローチ。
ワークショップ「かんたん工作」やヤクルトの空きビンや牛乳パックなどから作られた展
示物(下写真参照)に見られるように、生活の身近なものからも科学を体験できることを示
す工夫がなされている。
案内では特に名前はついていなかったが、ビデオライブラリーも完備し、それを当科学館
内で見ることが出来るスペースも備えてある。
ITに絡んだもの
ネットライブラリーコーナーでは、インターネットを自由に使用することができる(7月に
これを利用した悪質な事件があったらしく、メールの使用を禁止する意味でキーボードは
おかれていない)
- 212 -
お薦めのコンテンツ
自分が入ることのできるシャボンカーテン、髪の毛が逆立つ静電気実験などが人気。
- 213 -
かんたん工作教室
レポート担当者名
岩崎
大典
実施日 2002 年 11 月 16 日
場所:未来科学技術情報館 新宿区西新宿2−1−1 新宿三井ビル1F
主催団体名:未来科学技術情報館
URL:http://www.miraikan.gr.jp
TEL:03‑3340‑1821
参加料:無料
開館日・時間: 10:30〜18:00
火曜・年末年始など休館
概要
UV アート、キーホルダー作りや簡単な木工工作などを子どもたちに挑戦させる企画。
対象年齢 子供〜大人
参加人数 100〜200/日
企画期間 2002 年 11 月 16(土),17(日)
広報
・概要を記したリーフレットを館内に設置
・上記リーフレットをDM希望者、23区の小学校の理科の先生、児童館に郵送
・朝日・毎日・読売の各新聞に毎月宣伝、小中学生新聞にも広告
・Web 掲載
講師の名前・経歴
工作企画の業者に委託しており、講師もそこからの派遣。
ファシリテイター数 4,5 名の業者からの派遣+当館スタッフ若干名。
○ フロントに出ているのは常時 2 名ほど(取材日)。ただし取材日が部屋半分のスペーで
開催されていたため、部屋のスペースをすべて「かんたん工作」で使う日(というのも
あるらしい)はフロントに出てくる人員が多くなることも考えられる。
かかった金額(できれば内訳)非公開
学校・企業との協力関係
なし
年間実施回数
継続、毎月土日に 5,6 回開催
- 214 -
ワークショップ内容の詳細
参加希望者は当日インフォメーションデスク(受付)に申し出れば誰でも参加できる。
工作が出来ない幼児は置いてある過去の作品(取材日は磁石を用いた釣り遊び工作がおい
てあった)で楽しむことも出来る。日に 200 人(休日の一日平均の 2/3)が参加すること
もある人気イベント。
ワークショップのタイムテーブル
10:30〜16:30 なら常に参加できる
使用機材等 特になし。
「かんたん工作」教室内に設置されているパソコンコーナーで
クイズやゲームができる。
ジャンル
工作
気づいた点
入試(幼稚園?)の工作の試験に対する対策として子どもを連れてきている親御さんがい
たのは、人によりニーズが異なることをあらためて認識させられた。
1テーブルに10席につきファシリテーターが1人なので、ワークショップの形態によっては
少し手が回らなくなる可能性もあるのではないか、と思った。
こどもの感想・調査員のコメント
「おもしろかった」「またきたい」と笑顔でいう児童がいた。
同室においてあるパソコンゲームに夢中で工作にまったく参加しない子供も。
調査員の感想
活気があり、子どもたちの熱心な様子がうかがえた。子どもたちは走り回ることもせず、
席を立たず工作に取り組んでいた。他方で備え付けのパソコンにかじりつく子どももいた
(パソコンも「かんたん工作教室」のワークショップの一部)が、全体的には子どもたち
の楽しそうな声と集中している様子が印象に残った。体感型という関わり方は、子どもた
ちの関心を誘うという意味で、大いに奨励すべきことと思う。
写真・ビデオ
- 215 -
39. むつ科学技術館
担当者
記入日
インストラクター
川口美幸
平成 15 年 2 月 7 日(金)
住所:〒035−0022
青森県むつ市大字関根字北関根 693 番地
URL:http://www.jmsfmml.or.jp/msm.htm
TEL:0175-25-2091
FAX:0175-25-2092
入場料:大人¥300 高校生¥200 小中学生¥100 幼児無料
有料入館者 20 名以上 1 割引
休館日・開館時間:毎週月曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始 12/28〜1/4
9:30〜16:30(入館は 16:00 まで)
概要
原子動力実験船「むつ」の原子炉室の展示をはじめ、
「むつ」で実際に使用されていた品々
を展示している。また、サンフランシスコにあるエクスプロラトリアムから輸入した、自
然や科学に関する参加体験型の展示があり、幼児から大人まで楽しめる。
設立の趣旨、目的
原子動力実験船「むつ」で使用された貴重な品々を保管・展示し、
「むつ」の活動の軌跡
を知っていただく機会を提供すると共に、青少年やより多くの人々が科学技術の不思議さ、
素晴らしさに触れる事のできるような総合科学技術館として設立された。
対象年齢
幼児から高齢者まで。
一日の入場者数
一日の団体入場者数/年間約 100 件(1 団体 20 名様以上のものをカウント)
年間入館者数/約 2 万人
年間入館者数に占める子供の割合/45〜50%
会員の人数
会員制度無し
スタッフ数(内訳)
館長 1 名、副館長 3 名(内 1 名館長代理兼務)
、技術員 2 名、インストラクター8 名
合計 14 名
スポンサー
- 216 -
常設展示物紹介
要覧参照
定期的に行っているイベント
●科学実験「探求コーナー」
毎週日曜日、第 2・4 土曜日、祝日に開催
・超低温の世界を調べよう
・ミクロの世界を調べよう
・真空の世界を調べよう
・電気の不思議を調べよう
・電子発見の歴史を調べよう
・光の不思議を調べよう
以上 6 項目を時期毎に 2〜3 種行っている。
●その他イベント
別紙参照(平成 14 年度開催イベント一覧)
特別に行っているイベント
●サイエンスクラブ(むつ市少年少女発明クラブ)
むつ市内の小学校 3 年生〜中学生を対象とて、科学実験や科学工作を行なっている。
●親子ロボット工作教室
県内少年少女発明クラブの参加の下に毎年開催される、青森県ジュニアロボコン大会に
出場するためのロボットの製作を行なっている。
特徴
●1 階展示コーナー「自然の不思議な世界」
サンフランシスコ・エクスプロラトリアムから輸入した参加体験型の展示品約 30 点。
●むつ・下北地区校長会でのサイエンスクラブ活動の報告、学校行事での施設利用につい
て説明。
●教員対象の利用見学手引き書の作成・配布。研究会などでの施設・実験機材の提供。
●子供会が館を利用する場合、申込書の提出で無料。
ITに絡んだもの
教育普及活動
●移動科学教室
科学館から離れた場所にあり、来館が難しい小規模小中学校から希望を募り、移動科学
教室の開催。館で行なっている科学実験や、科学工作を行なう。
お薦めのコンテンツ
- 217 -
科学実験工房
担当者名
インストラクター
実施日
川口
美幸
別紙参照
(平成 14 年度開催イベント一覧)
場所:むつ科学技術館
科学実験工房
または
主催団体名:日本原子力研究所・財団法人
2 階休憩コーナー
日本海洋科学振興財団
URL:http://www.jmsfmml.or.jp/msm.htm
TEL:0175-25-2091
FAX:0175-25-2092
参加料:工作教室など各種イベントへの参加は無料
開館日・開館時間:毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始を除く日。
9:30〜16:30
概要
アニメ上映会や工作教室、科学実験などを開催
対象年齢
工作教室参加は中学生以下
参加人数
定員 30 名・先着 100 名・希望者全員
企画期間
1 ヶ月〜2 ヶ月
など各種内容に応じて変更。
広報
ホームページ・ポスター作成(むつ市内大型店舗、幼稚園、保育所、小中学校等の公共施
設へ配布)・看板作成・新聞折り込み広告(下北地区)・ラジオ出演・市政だより
講師の名前・経歴
むつ科学技術館職員(元小中学校校長)・インストラクター
ファシリテイター数
かかった金額(可能であれば内訳)
別紙参照(平成 14 年度開催イベント一覧)
学校・企業との協力関係
全国の小中学校・高等学校の学校行事での利用の場合は無料で対応している。
(幼稚園・保育所を含む)
年間実施回数
別紙参照(平成 14 年度開催イベント一覧)
ワークショップ内容の詳細
別紙参照(平成 14 年度開催イベント一覧)
ワークショップのタイムテーブル
別紙参照(平成 14 年度開催イベント一覧)
使用機材等
顕微鏡・真空ポンプ・誘導コイルなどの実験機材。
工作キット・はさみ・カッター・はんだごてなどの工作器具。
ジャンル
- 218 -
など
気づいた点
●工作教室(定員制)の参加受付を行なう際のトラブル・対処法
→開催 30 分前位に募集を行なうと、かなり前から列ができはじめ、割込み・代理受付
(保護者が複数人数の受付を行なう。)・定員からもれた方からのクレームが多く開
催時間などが遅れるなどあった。開館と同時に受付を行なうよう改善したら、開催
までの時間はかかるものの、クレーム・トラブルなどなくスムーズに行えるように
なった。
●当館では参加する子供にリピーターが多いため毎回違う工作をと考えている。
対象年齢・費用などを考え、マンネリ化しないようなレシピ作りに努力している。
こどもの感想(回収したアンケートより)
●とても面白かった。
●子供が 1 人でも作れるので良い。
まりないので、今後もどんどん開催して行なってほしい。
うな工作教室を企画して欲しい。
写真・ビデオ
- 219 -
●物作りをする機会があ
●いつきても参加できるよ
盛岡市子ども科学館
40.
担当者名
佐々木
瑞穂
記入日平成 15 年 2 月 13 日
ご住所:岩手県盛岡市本宮字蛇屋敷 13−1
URL:http://kilkhor.cc.iwate-u.ac.jp/e-haku/kokabou/
TEL:019-634-1171
FAX:019-635-2561
入場料:展示室
一般…………200 円
一般団体…………160 円
中学生以下(4 歳以上)…………100 円
中学生以下の団体(4 歳以上)…80 円
プラネタリウム
一般…………300 円
一般団体…………240 円
中学生以下(4 歳以上)…………100 円
中学生以下の団体(4 歳以上)…80 円
展示室プラネタリウムともに団体利用は 30 人以上です
開館日・開館時間:毎週月曜日と毎月最終週の火曜日以外・9 時〜16 時 30 分
概要
敷地面積
14,536 ㎡
4,145 ㎡
建築延べ面積
うち
展示室
1,429.75 ㎡
プラネタリウム室 240.63 ㎡
設立の趣旨、目的
子どもたちが楽しみながら科学の原理や応用を学び、豊かな探究心を養うとともに、市
民にも科学技術に関する知識を深めてもらうことをねらいとしている。
対象年齢
子どもを中心とした市民
一日の入場者数/345 人
一日の団体入場者数/93.3 人
年間入館者数/102,165 人
(平成 13 年度、展示室プラネタリウム室合計)
年間入館者数に占める子供の割合/46.8%
会員の人数
会員制度なし
(盛岡市少年少女発明クラブ 30 名、盛岡市子ども科学館科学クラブ 15 名あり)
- 220 -
スタッフ数
職員数 14 名
スポンサー
盛岡市
常設展示物紹介
科学館第 1 展示室「出発の空間」
遊びと工夫の広場
遊びのテーブル
不思議な絵
遊びのテーブル
様々な組み木
や
知恵の輪があります。組み木とは日本に古来から伝わる木を様々な
方法で組み合わせて形を完成させる、日本版の知恵の輪です。
知恵の輪はみなさんご存
じのものです。8〜10 種類ほど取りそろえています。その他に
日本地図のパズルや、ハノ
イの等、組み合わせの絵などがあります。
また、小さな子どもが遊べる遊具もあります。
子どもだけでなく、大人も知恵の輪やハノイの塔に挑戦しており、楽しめる空間です。
夢と不思議の広場
新メカトロン
放電と発光
科学のおもちゃ箱(レーザーホログラフィ)
エームズの部屋
新メカトロン
3 台のロボットが 3 角形の枠の中にいます。枠には何カ所か指令版があり、3 台のロボッ
トと同じ色の棒に触れ、ロボットの名前をマイクに向かって呼ぶとそこへ近寄ってきます。
ちなみに 3 台のロボットは、アポロ、夢来(むっく)、未来(みらい)といいます。平成 14
年の 5 月から、呼ぶと手をあげて返事をして「イチニ・イチニ」とかけ声を懸けながら近
づいて来るようになりました。7 月末には演奏、親ロボット「アポロ」が鍵盤や弦がないの
に、音が出る不思議な楽器「テルミン」を演奏できるように進化しました。10 月末には 3
台それぞれが得意なダンスをスケーターワルツと共に踊り、また、お客様とジャンケンが
できるように成長しました。また、時間になると 3 台のロボットはおたがい向き合い仲良
くダンスを踊り、「星めぐりの歌」を合唱する事ができるようになりました。
レーザーレーザーホログラフィ
タッチスイッチに触れると不思議、円筒形の筒の中に立体的なものが見えてきます。最
近カードやシールなどにも見られる立体画像が誰にでもご覧いただけます。
- 221 -
放電と発光
いわゆるタッチボールと言われるものです。球の中心から放電されて光っている線があ
りますが、球の表面に手を触れると、中心の電極と手で触れた部分との電位差でその線が
手の方に延びてきます。きれいな線が印象的です。
エームズの部屋
箱の中にある球が少しずつ動いていきます。同じ球なので、移動してもその大きさは変
わらないはずですが、見てるとだんだん小さくなっていくように見えます。人間の目って
意外とだまされやすいものかもしれません。
科学館第 2 展示室「 発見の空間」
原理をひもとく
光とプリズム
電波の反射
重力による加速度
波の干渉
永久磁石の力
電磁石のつくる磁界
物体の重心
ウエーブオルガン
光とプリズム
光にはまっすぐ進む性質(直進という)、曲がる性質(屈折)、さらにはね返る性質(反
射)の 3 つがあります。細くて赤いレーザーを 3 角形のガラス(プリズムと言います)に
あてて回転させるとこれらの性質が目で確認できます。スイッチに触れている時間だけプ
リズムが回転しますので、手を離して一定のところで止めることも出来ます。
また、光の 3 原色のライトをつけることにより、どんな色の変化が起きるのかを実際に
試して見ることができます。
電波の反射
放送局やテレビ局の上にはよく巨大なパラボラアンテナがあります。これらの装置は電
波を遠くまで送るため、あるいは遠くからの電波を受信するために必要なのです。このパ
ラボラアンテナを実際に使ってお互いの声を電話のように伝える実験ができます。電波の
代わりに音声でその効果のほどが体験できます。
波の干渉
池などで石を投げると水面に模様ができます。この時に石が何個か、あるいは何カ所か
ではね返ってできた波が互いに重なり合って作り出される模様は実にきれいに見えるもの
です。この水面の波がぶつかり合うことを波の干渉と呼びます。巨大な円形の水槽に水が
入っています。タッチスイッチに触れると、水槽の何カ所から波が発生し、その伝わり方、
模様(波の干渉)を鮮明に見ることができます。ふだんはなかなかうまく見ることができ
ない波の干渉の様子がじっくりと見られます。
- 222 -
永久磁石の力
磁石には大きな力があります。その力は車さえも持ち上げることができるほどです。こ
の展示物では人間ががんばって磁石をくっつけようとするのですが、磁石の反発力でくっ
つけることは出来ません。この時に押しつけるのに使う力のかげんから、磁石の力の強さ
を体験することができます。
物体の重心
物にはつり合いがとれる場所があります。その場所のを物体の重心と呼びます。巨大な
鉄のフレームで作った 4 角柱を 2 つの棒で支えていますが、これをどの様に動かしてもこ
の 4 角柱が傾くことはありません。この支えている棒を実際にハンドルを動かすことによ
って、物には重心があり、その点からはずれなければ物は傾くことはないことを確かめる
ことができます。
重力による加速度
物が落ちるときにはだんだんその速さが増していきます。これは地球が重力を持ってい
るからです。円盤状の大きなコースターを斜面上に置くと転がり始めます。斜面の脇には
円盤が転がっていくと光るランプ、またそのランプの発光とともに音が発せられます。で
すから斜面を転がっていく際に重力によって、速さが増していくことを音や目で観察する
ことができます。
また斜面の最後からしばらく平らな通路があり、そこでの運動から(ランプによる発光
と音)等速運動(速さが一定の運動)の様子も観察できます。
電磁石のつくる磁界
磁石のまわりには見えない力が広がっています(互いに引く力、反発する力)
。これを磁
界といいます。この磁石の力を見ることはできないのでしょうか。教科書などでは、画用
紙の上に砂鉄などを落として磁界を見たりしますが、この磁界は本当は四方八方に、立体
的に出ています。この展示物ではこの磁界を立体的に見ることができます。磁石の周りに、
その力や、互いの極の関係を変えた場合にどんな磁界ができるのか観察できます。
ウェーブオルガン
音を目で見ることができるでしょうか。じつは音の正体は、空気の波なのですが、その
波を見ることができるのがこの展示物です。低い音の時、音量が大きくなった時、音(空
気の波)はどの様に変化するのでしょうか。シンセサイザーを自動で演奏したり、自動で
演奏させたりしながら、正面の透明な筒の中にある小さな発泡スチロールの飛び跳ねる様
子からその音の波を目で見ることができます。
- 223 -
人間の生活と科学技術
パソコンモザイクゲーム
産業用ロボット
地熱発電所と熱水利用システム模型
気象衛星ひまわり受信システム
パソコンコーナー
水圧機
錯覚の壁
自動車のしくみ
つばさのひみつ
パソコンモザイクゲーム
よくテレビなどでモザイクがかかった画面を見ることがあります。パソコンから動物や
昆虫あるいは、植物のモザイク画面が出され、それが何かを 3 つの中から選んで回答する
クイズです。時間とともにモザイクが細かくなっていくので、最後にはそれは何かが分か
りますが、速く回答するほど(答える時間が速いほど)高得点となります。
最後には自分や友達とビデオに向かってその画面にモザイクをかけたものが記念として
プリントアウトできます。科学館でも人気の展示物です。
産業用ロボット
自動車工場などでは産業用のロボットが大活躍。人間の手のように器用に動いて溶接や
塗装を行っています。この展示物では産業用のロボットが、絵を描いたり、お茶をくんだ
り、キーボードを演奏したりしてくれます。産業用ロボットがいかに人間の手と同じよう
に器用に動くことができるのかが実際に見ることができます。
パソコンコーナー
今やコンピュータはなくてはならない物となりました。コンピュータは中に入っている
ソフトによって様々な機能が実現できます。このコーナーでは、コンピュータによるクイ
ズに答えていき得点を競うものや、コンピュータを使ってお絵かきができるコンピュータ
があります。
一番新しい物では、動物や鳥などの鳴き声を聞いて、それがどれなのか、4 つの中から選
んで答える「パソコン鳴き声クイズ」という展示物があります。全問正解すると記念の賞
状が自動的に印刷されます。賞状目指してさあトライ。
地熱発電所と熱水利用システム模型
岩手県にはって地熱発電所があります。これは地熱で発生した熱水を利用して発電する
システムです。この発電がどの様な仕組みで行われ、どんなふうに利用されているのかを
模型と音声の解説で知ることができます。これらで調べたことや、エネルギーに関するパ
ソコンクイズも併設されており、エネルギーと発電に関することを調べるのに役に立つか
もしれません。
- 224 -
水圧機
思い物を持ち上げるの少ない力で行う方法があります。これはパスカルの原理を応用し
た水圧機です。大人や、自分自身が乗ったテーブルを簡単に持ち上げることが、レバーを
押し下げることで出来てしまいます。ふつうはできないことをいとも簡単に出来てしまう
ことでパスカルの原理が体験できる展示物です。
錯覚の壁
人間の目とはだいぶ怪しいものです。同じ長さの物もちょっとした矢印に変えるだけで
長さが違って見えることがあります。壁面に設置された 2 本の矢印は本当は同じ長さので
すがどうしても違う長さに見えてしまいます。人間の錯覚を利用した展示物です。
気象衛星ひまわり受信システム
子ども科学館では、衛星ひまわりの画像を常にダイレクトに受信しています。今ではイ
ンターネットからもひまわりの画像は見ることができますが、このシステムでは受信した
画像を基に、色を変えたり、雲の様子を 3 次元画像として見たり、あるいは 1 週間の雲の
動きをアニメーションで見たりすることができます。画面上のボタンを操作することで誰
にでも今現在の雲の様子や天気の様子を知ることが出来ます。これを使えば明日の天気が
予報出来るかもしれません。あなたも気象予報士?
自動車のしくみ
本物の自動車のエンジンや車軸をカットモデルにして展示しています(駆動部分)。エン
ジン内のシリンダーの動きがどの様に変えられて車軸に伝わっていくのかがよく分かりま
す。自動車ってどの様な仕組みで動くんだろうと思った人はこの展示物をよく見て、どの
様な運動が行われているのかを見ると、その疑問も可決することが出来るかもしれません。
つばさのひみつ
飛行機が空を飛ぶって不思議ですよね。あんな重い物が人を乗せて空を飛ぶんですから
子どもが不思議に思うのも当然です。ではなぜ飛行機は空を飛べるでしょうか。その秘密
は実は飛行機の翼の形にあるのです。形と言っても羽全体の形ではなく、羽を切ったとき
にできる形にその秘密があります。この展示物では、その秘密が風洞実験(風を起こして
筒の中に送る装置)を通して確かめることが出来ます。
- 225 -
科学館第 3 展示室「情報の空間」
自然のしくみ
水はめぐる
VTR コーナー
コンピュータと人間
でじたるこかぼう情報ステーション
水はめぐる
第 3 展示室の壁面にイラストがあります。人間や動・植物と森林、川や海のそれぞれの
相互関係を水の循環を核として描かれています。ふと人間が地球の中の一部として生きて
いることがこのイラストを見るとよく分かります。
環境という視点から自分自身を見つめる、人間を見つめる一つの材料となるかもしれま
せん。
VTR コーナー
大勢で一つのビデオを観覧する大画面コーナーと、カプセルの中のビデオに自分で選ん
だテープを借りて視聴するコーナーの 2 種類があります。大画面コーナーでは 2 つの番組
から選んで、ゆっくりと大勢で視聴できます。
またビデオカプセルコーナーでは、受付より借りたテープをカプセル内に持っていき、
一人でカプセルの中、ゆっくりとビデオをご覧いただけます。
コンピュータと人間
でじたるこかぼう情報ステーション
3 年前に、新しく設置したコンピュータシステムです。8 台のコンピュータが配置され自
由に使用できます。科学館の館内用 HP を閲覧したり、科学館に寄贈された各種 CD-ROM
を見ることができます。常時 8 種類の CD-ROM が登録されており、その中から自由に
CD-ROM を選択してご覧いただけます。登録されている CD-ROM は年に 4 回、2 番組ずつ
入れ替えが行なわれています。スライドカプセルとして、
「盛岡の植物」「盛岡の動物」「盛
岡の岩石」のたくさんの映像を見ることができます。
ただしインターネットには現在はつながっていないために、科学館サイエンスルーム(各
種の科学を学べる HP のリンク集)は工事中となっています。ご了承下さい。
- 226 -
定期的に行っているイベント
平成 14 年度
・ わくわく科学体験教室
第 2 土曜日
・ おもしろ実験広場
第 4 日曜日
・ たのしい工作教室
第 4 土曜日
・ 星と音楽の夕べ
年4回
・ 月刊星空ガイド
第 4 土曜日
- 227 -
特別に行っているイベント
・ ユニバースライブショー
・ 特別展
ダンボールワールド
特徴
本館は「出発の空間」「発見の空間」「情報の空間」をテーマに、順を追って科学の旅がで
きる三つの展示室と、直径 18 メートルのドームに宇宙の神秘を映し出すプラネタリウムと
で構成されています。
ITに絡んだもの
・ 第 3 展示室
情報の空間
でじたるこかぼう
教育普及活動
お薦めのコンテンツ
- 228 -
41.山梨県環境科学研究所
住所:山梨県富士吉田市上吉田字剣丸尾 5597−1
URL:http://www.yies.pref.yamanashi.jp/
TEL:0555-72-6203
FAX:0555-72-6204
入場料:無
料
開館日・開館時間:年末年始を除く毎日
午前 9 時〜午後 5 時(最終入館 4 時 30 分)
概要
設立の趣旨、目的
自然は、私たちの生活や行動によって汚れた空気や水をきれいにしたり、気候を緩和す
るとともに、私たちの心にうるおいややすらぎを与えてくれる。
今日の環境問題を解決し、快適な生活を送るためには、こうした自然の恵みを十分に受
けることができる地域づくりを進めるとともに、私たち自身、環境に負荷をかけない生活
を心がけ、自然と人の生活とが調和した県土を築いていくことが不可欠である。
環境科学研究所は、本県の将来を見据え、予見的・予防的な視点に立った環境行政の展
開を支援することを基本姿勢として、
「研究」、
「教育」、
「情報」、
「交流」の各機能を通じて、
こうした県土の実現を支援する。
対象年齢
一般(幼児〜成人)
一日の入場者数/平成 13 年度平均 129 人
一日の団体入場者数/平成 13 年度平均 36 人
年間入館者数/平成 13 年度 46,200 人
年間入館者数に占める子供の割合
会員の人数
スタッフ数
職員定数 42 人(研究員 18 名を含む)
スポンサー
- 229 -
常設展示物紹介
施設内には、参加体験型の機器があり、環境について子供から大人まで楽しみながら学
ぶことができる。また、屋外には敷地内の自然林の中に生態観察園、自然観察路があり、
設置されたパネルにより、富士山麓の自然について学ぶことができる。
定期的に行っているイベント
特別に行っているイベント
(子供向け・家族向けのイベント)
・こども環境講座…身のまわりのものを題材として、地球環境問題との関連を視野に入れ
た内容で構成する子供を対象とした講座
平成 14 年度実施例
「植物標本作製」
「自然素材を入れた万華鏡作り」
・おやこ環境講座…おやこを対象に体験活動を取り入れながら、身のまわりの自然や環境
に目を向けるための講座
平成 14 年度実施例
・地域環境観察
「竹とんぼ作り」
「雑草からの紙作り」
…自然観察会等を通して、身のまわりの自然や地域環境に興味関心を高
めるための事業
平成 14 年度実施例
「春の自然観察会」「水源の森探索」
特徴
・施設内には、参加体験型の機器があり、環境について子供から大人まで楽しみながら学
ぶことができる。
・屋外には、敷地内の自然林の中に遊歩道があり、中に設置されたパネルにより、富士山
麓の自然について学ぶことができる。
・学校等の団体向けに環境学習プログラムを実施している。
ITに絡んだもの
- 230 -
教育普及活動
本施設では、学校等の団体向けに環境学習プログラム「環境教室」を実施している。「環
境教室」は、本施設を利用して、映像やクイズを取り入れた地球環境学習や、屋外で森林
のでき方や生態系の仕組みを学ぶ自然観察学習などを行う。また、参加体験型の機器を揃
えた学習室や多数の図書やビデオがそろった情報センターなども合わせて利用し、約半日
ほどで、基本的な環境教育のプログラムを受講することができる。「環境教室」は、受講を
希望する学校等の団体に対し、常時受け入れをしている。
「環境教室」を実施するため教育
スタッフがこれに対応している。平成 14 年度(2003.1 月末現在)は、141 団体 10,798 名が
「環境教室」を受講した。
お薦めのコンテンツ
- 231 -
42.
和歌山県立自然博物館
担当者名:東
禎昭
記入日:
ご住所:和歌山県海南市船尾 370 番地の 1
URL:http://www.shizenhaku.wakayama‑c.ed.jp
TEL:073−483−1777
FAX:073−483−2721
入場料:大人 460 円
高校生 340 円
小中学生 210 円
幼児 100 円
開館日・開館時間:火曜から日曜・9:30 から 17:00
概要
万葉の時代からの景勝地として知られる和歌浦の南、和歌浦湾の最奥部に位置する和歌
山県立自然博物館は、1979 年、国際児童年の記念事業として計画立案され、和歌山の自然
を紹介する施設として 1982 年 7 月に開館。山・川・海と豊かな自然に恵まれた和歌山を、
より多くの人々に理解願うと同時に、この自然を貴重な財産として後世に伝えることの大
切さを、常に訴えるよう努力している。また、地域に密着した自然系の博物館として、標
本や模型などだけではなく、地元の水生生物を生きたまま展示する水族館部分もあり、他
にあまり例のないユニークな展示構成となっている。このようにして、設立の主旨からも、
子供にも楽しめる博物館を目指している。
設立の趣旨、目的
昭和 54 年に国際児童年の記念事業として計画立案され、自然科学に関する資料を収集し、
保管し、又は展示して一般公衆に利用していただくとともに、これに関する調査研究及び
事業を行い、学術及び文化の向上に貢献するため昭和 57 年(1982 年)7 月 27 日開館した。
対象年齢
こども
一日の入場者数:平均約 250 人
一日の団体入場者数:平均約 60 人
年間入館者数:約 7 万人
年間入館者数に占める子供の割合:約 40 パーセント
会員の人数
650 人
- 232 -
スタッフ数
22 人
スポンサー
なし
常設展示物紹介
第一展示室
大小 104 の水槽に、600 種あまりの生きものを展示する水族館となっている。外国や他地
域からの珍しいもの・変わったものは無く、あくまでも和歌山県での分布にこだわった内
容のため地味なものに思われがちですが、予想に反し驚くほど豊富な、さまざまな生きも
のに出会うことができる。
はじめに目につく幅 15 メートル高さ 3 メートルの一枚ガラスの大水槽「黒潮の海」は、
全長 1.5 メートルものマダラトビエイや 1 メートルを超えるロウニンアジなど、黒潮流域
にすむ大型の魚を展示している。また、岩場や砂場などそれぞれに適応した生きもの、南
日本の大陸棚に
すむ世界最大のカニ、タカアシガニや、波打ち際の磯(潮間帯)の生きもの、川や池の生
きものなど、地元の生きものの豊富さに改めて驚かされる。
第二展示室
一般的な自然系博物館の部分である。和歌山の自然を、さまざまな手法で紹介している。
那智山の原生林をそのまま切り取って再現したジオラマ「緑こき紀の国」や「森林の動物」、
「池の自然」
、
「川の自然」、
「森林のできるまで」、
「土壌と生物」など哺乳類・鳥類、昆虫・
植物等の標本を豊富に使って紹介している。また、和歌山のすぐれた自然を写真で紹介し、
たくさんの貝類標本も展示している。2000 年からは、地学系の展示も小規模ながら始めた。
定期的に行っているイベント
ホームページ参照
特別に行っているイベント
毎年夏季休業期間(学校夏休み)中特別展を開催
平成 14 年度は「恐竜時代IN和歌山」開催
特徴
県立なので和歌山にこだわっている。
- 233 -
ITに絡んだもの
和歌山県教育ネット http://www.wakayama‑c.ed.jp/ を活用し、館内で当館ホームページ
の閲覧ができる。
教育普及活動
自然博物館は、設置目的を達成するため、次に掲げる事業を行う
(1)自然科学に関する資料を収集し、保管し、又は展示して一般公衆の利用に供するこ
と
・水族館形式の第 1 展示室と博物館形式の第 2 展示室で、和歌山県の自然に関する
資料を公開する
(2)自然科学に関する専門的、技術的な調査研究を行うこと
・紀伊半島とそれに関係する自然について、水生生物の飼育についておよび博物館
の利用についての調査研究の実施
(3)自然科学に関する展覧会、研究会、講習会等の開催及び資料を刊行すること
・特別展、講演会等の開催および資料の刊行、ならびに野外での行事開催
・館内:学校夏季休業中にあわせ開催する特別展の開催
入口ホールを利用した小企画展の開催
講演会および談話会の開催
毎日曜日、学習相談コーナーの開設および自然に関するビデオの上映
「エサやり体験」「夜の水族館体験」(合宿形式)の開催
・野外:自然観察会および紀の国野外博物館の開催
・刊行:自然博物館だより(年 4 回)の発行
(4)自然科学に関する研究会等のための会場の提供をすること
・学校団体等に対する展示解説
主として公共機関が行う観察会や講演会等への講師派遣
自然保護および地域開発に関する委員会や検討会への委員派遣
・学校主催の自然観察会等へのゲストティーチヤーの派遣
・自然を対象とする研究団体等への会場提供
(5)前各号に掲げるもののほか、自然博物館の設置の目的を達成するために必要な事業
に関すること
お薦めのコンテンツ
「冬の星座展」(平成 14 年 11 月 23 日〜15 年 3 月 2 日)
当館所蔵の地域の星座に関連する民具(カラスキ、カセ、イカリ、サカマス等)を展示。
- 234 -
串本の磯の生物観察と化石を探してみよう!
担当者名:吉田
誠
実施日:平成 14 年 7 月 21 日から 26 日
場所:和歌山県西牟婁郡串本町潮岬・県立潮岬青少年の家周辺
主催団体名:和歌山県海南市船尾 370 番地の 1
和歌山県立自然博物館
URL:http://www.shizenhaku.wakayama‑c.ed.jp
TEL:073−483−1777
FAX:073−483−2721
参加料:20000 円
開館日・時間:火曜から日曜・9:30 から 17:00
概要:和歌山県の恵まれた自然とのふれあいをとおして、自然や生物とのかかわりについ
て学習し、県民の生涯学習の推進を図ることを目的としています。
対象年齢: 小学校 5 年生〜高校 3 年生
参加人数 : 18 名(定員 20 名:応募 27 名)
企画期間
:通年
広報
和歌山県広報誌「県民の友」への情報掲載、和歌山県教育委員会記者クラブを通じ、報道
各社への資料提供および県内各子どもセンター情報誌への情報掲載
講師の名前・経歴
当館学芸員
ファシリテイター数
かかった金額(可能であれば内訳)
学校・企業との協力関係
なし
年間実施回数
1 回。
ワークショップ内容の詳細:
ふだん触れることの少ない磯の生きものに触れ、その種類の多さに気づいたり、化石を採
集することにより紀伊半島の大地のなりたちを学ぶことができたり、和歌山県の豊かな自
然を体験することができます。
ワークショップのタイムテーブル
1 日目:オリエンテーション
2 日目:磯の生物観察
3 日目:磯の生物観察
4 日目:化石の観察と採集
- 235 -
5 日目:化石の観察と採集
6 日目:まとめ
使用機材等
たも網・布バケツ・ハンマー・タガネ等
ジャンル
自然観察
気づいた点
学術的にも貴重な化石の発見
こどもの感想
概ね好評を得た。
写真・ビデオ
- 236 -
夜の水族館をのぞいてみよう
担当者名:小阪
晃
実施日:平成 14 年 8 月 1 日から 2 日
平成 14 年 8 月 29 日から 30 日
場所:和歌山県立自然博物館内
主催団体名:和歌山県海南市船尾 370 番地の 1
和歌山県立自然博物館
URL:http://www.shizenhaku.wakayama‑c.ed.jp
TEL:073−483−1777
FAX:073−483−2721
参加料:2500 円
開館日・時間:火曜から日曜・9:30 から 17:00
概要:ふだん観察できない夜の生きもののようすを水槽生物をとおして体験し、昼と夜の
違いを考える。
対象年齢: 小学校 5 年生〜高校 3 年生
参加人数 : 各回 25 名
企画期間
:
広報
和歌山県広報誌「県民の友」への情報掲載、和歌山県教育委員会、記者クラブを通じ、報
道各社への資料提供および県内各子どもセンター情報誌への情報掲載
講師の名前・経歴
当館学芸員
ファシリテイター数
かかった金額(可能であれば内訳)
学校・企業との協力関係
なし
年間実施回数
2 回。継続
ワークショップ内容の詳細:
昼と夜の生きものの行動のちがいを観察していただきます。
夜は館内で合宿となる、1 泊 2 日の観察会です。
ワークショップのタイムテーブル
1 日目:オリエンテーションから昼夜観察
2 日目:朝の観察からまとめ
- 237 -
使用機材等
ジャンル
風呂マット
自然観察
気づいた点
連帯感・感動
こどもの感想
毎回好評を得ている。
写真・ビデオ
- 238 -
43.
和歌山市立こども科学館
担当者名:矢田武雄
記入日:平成 15 年 2 月 6 日
住所:和歌山市寄合町 19 番地
URL:http://www.city.wakayama.jp/kodomo/
TEL:073‑432‑0002
FAX:073‑432‑0004
入場料:小・中学生 150 円、高校生以上 300 円(*プラネタリウム別途料金必要)
開館日・開館時間:午前 9 時 30 分から午後 4 時 30 分まで
休館日: 月曜日、国民の祝日(月曜日と祝日が重なったときは翌日)・
年末、年始(12 月 28 日から 1 月 4 日まで)
ただし、こどもの日、文化の日は開館します。
概要
常設展示
1〜3 階
特別展示
4階
プラネタリウム
4階
設立の趣旨、目的
こどもたちが科学への興味と認識を深め、科学への夢を育てるため、国際児童年を記
して設立。
対象年齢
主に幼・小・中学生
一日の入場者数
92.5 人
一日の団体入場者数 31.6 人
年間入館者数
27,681 人(平成 13 年度)
年間入館者数に占める子供の割合 約 75%
会員の人数
なし
スタッフ数
12 名
スポンサー
なし
- 239 -
念
常設展示物紹介
ウエブサイト参照
定期的に行っているイベント
野外観察会
8回
天体観察会
8回
科学教室
特別展
8 回(昨年)
2回
特別に行っているイベント
ウエブサイト参照
特徴
z
月一回科学館ニュースを発刊し、市内の小・中学校のクラスに配布。
z
HP で館からの情報を発信
z
小・中学校からの講師依頼、指導を引受ける。
z
総合的な学習・選択教科の受け入れ
ITに絡んだもの
HP で本館の案内と成果を発信
教育普及活動
お薦めのコンテンツ
「わかやまの石」の特別展
野外観察会(熱心な市民、こどもが参加している。)
- 240 -
星座観察会・冬の星座ウオッチング
担当者名:津村光則
実施日:2003 年 1 月 25 日
場所:和歌山市岡崎交通センター駐車場で開催
主催団体名:和歌山市立こども科学館
URL:http://www.city.wakayama.wakayama.jp/kodpmo
TEL:073‑432‑0002
FAX:073‑432‑0004
参加料:無料
概要:冬の星座や土星・木星を観察と解説
対象年齢: 一般市民
参加人数
:50 名参加
企画期間
:年間 8 回
広報
市報わかやま・こども市報
科学館ニュース・和歌山県下各こどもセンター広報誌
3名
講師の名前・経歴
ファシリテイター数
(いろんな職業)
2名
かかった金額(可能であれば内訳)5,500 円
×
3名
学校・企業との協力関係
無
年間実施回数
8 回、単発。
ワークショップ内容の詳細:
星座解説と観察
ワークショップのタイムテーブル 19:00 現地集合
使用機材等
HP で成果を発表
星のページ・天体観察会
ジャンル
観察会
気づいた点
こどもの感想
きれいな星に感動していました。
写真・ビデオ
- 241 -
20:00 終了解散
- 242 -
III. 海外調査博物館レポート
- 243 -
Learning Lab Denmark
URL: http://www.lld.dk
1.目的
学びに関する最先端の研究をするために創設され
た研究所。分野を超え、国際的な研究がなされてお
り、従来ある理論、メソッド、経験から、新しい理
論やコンセプト、実用的なツールを開発することを
目的としている。
2.研究テーマ
「知識の体」はすべての活動的な教育方法を開発することを目的としたプロジェクトを
カバーする研究テーマである。ラーニングラボ・デンマークは神経科学と教授法とテクノ
ロジーを融合させ、新しい道の研究と開発をしていく。
「知識の体」はこどもたちに動いて学んでもらうことを仕向ける教育方法である。学び
に動きを取り入れていくことにより、こどもたちの学びの姿勢に刺激を与える。この現象
は神経科学と教授法とテクノロジーの今の学問調査結果に反映している。教育は体を使っ
た新しい方法をとりいれることで大革命を起こせると信じている。
ラーニングラボ・デンマークの学問的ゴールは体を使った教育で遊びと創造力を高める
ことにある。そしてテクニカルゴールとしてこどもたちを動かせる学習ツールを作り上げ
ること。
ラーニングラボ研究室風景:ベースメント
3.E‑Sense 協会:
ラーニングラボ デンマークはメディアラボ ヨーロッパが組織する European E‑Sense 協
会のパートナーである。 E‑sense 協会は感覚や認知について研究、新しいツール・テクノ
ロジーの開発を目的に40以上大企業からなりたっている。
URL: http://www.medialabeurope.org
- 244 -
4.研究プロジェクト
今後ラーニングラボは以下の三つの研究プロジェクトを進めていく。
仮説1.健康はテクノロジーによって悪化している
対応策:モバイル学習とテクノロジーを開発する。
仮説2.座りながらの学習は考え方を固くする
対応策:体全体を動かす学習方法を開発し、その普及活動を行う。
仮説3.ほとんどの人と機械間のインターフェースは動かずにできるもの促進する仮説
対応策:モバイル学習を促進する永続的なインターフェースとモバイルを開発する。
5.ゴール
主要なゴールは体全体を使った学習方法を開発・普及していくことである。それら目的を
早く進展するために上記までにあげているモバイル学習プログラム、ゲーム、インターフ
ェースなどを創っていく。こどもたちが一緒に安全と自信をもてるフィールドを作り上げ
ます。
ラーニングラボの研究室風景:
棚にはラーニングラボで開発されたおもちゃや
ゲームなどが配列されている。
キッチンとミーティングルーム
- 245 -
EXPERIMENTARIUM
1.一般情報
住所:Tuborg Havnevej 7 – DK-2900 Hellerup
電話:45-3927-3333
E-mail: [email protected]
URL:http://www.experimentarium.dk
開館年:1991 年
対象年齢:2−14 歳
運営形態:非営利団体
入館料の有無:有料
年間運営費:7,0632,000 DKK
年間入館者数:292,294 人(2001 年)
年間入館者に占めるこどもの割合:60%
総職員内の常勤務職員数:75 人
総職員内の嘱託・非常勤職員数:45 人
2.設立経緯・沿革史:
1985 年にエグモント財団がデンマークに科学センターの設立が実行可能か調査を始めた。
この背景には、科学的研究および結果が社会の開発においてその重要性が増しているとい
うことがあった。
14 人のメンバーによるプロジェクト・グループが設立された。研究は 1986 年 1 月に「デン
マークの科学センター」と呼ばれる報告書がエグモント財団に提出され、終了した。メン
バーは調査で世界の至る所で科学センターを訪れ、教育面でも一般的な社会的必要性を感
じ取っていた。
3.設立の主旨・目的
・自然科学と技術への関心の促進
・自然科学の方法論および結果の例証
・こどもをはじめとする若い世代から大人までの創造力の向上
・人間と自然および技術の間の相互関係の例証
・市民とデンマークの企業間の新しいインターフェースの設立
・自然環境および最新技術のマネージメントに関する各々の基礎を供給
・人々が学習することができ、それらの背景に関係なく楽しませられることができる社会
と文化的現場を作ること
- 246 -
4.収蔵品・展示内容等
Experimentarium はデンマークで唯一の科学館。
4000 ㎡の面積および 850 ㎡一時的展示エリアを備え
ている。入館者が自然および技術に直接ふれること
ができる 300 の展示物を特色とする。展示物は、入
館者が実際に実験をすることができる 13 のエリア
に分けられる。
当館は展示会場の他にショップ、カフェ、研究所、
インターネット@bc ワークショップセンター、スモールステージ(150 席)、メインステージ
(250 席)などが揃えられています。車椅子も利用可能。
毎年、当館は主要な展示物の重要な補足として、1 つあるいは 2 つの特別展を組んでいま
す。 過去の特別展のテーマは次のとおりである。「スポーツ」、「法則の名前の中で」、「顔
に関して」、「動いているイメージ」、「北欧人調査隊」、「プレーする人間」、「脳」、「恐竜」、
「卵&赤ん坊」、「スポーツと身体」、「解き放たれたロボット」、「将来の身体」。次に考えら
れるテーマは「未来とコミュニケーション」である。
5.運営
Experimentarium の目的は一般の自然科学と技術に関する知識を向上させることである。
この目的は財政的な感じと照らし合わせると Experimentarium が毎年 360,000 人の入館者
をひきつけなければならないことを意味する。そのためには優れた展示物の開発技術、毎
日のオペレーションの質、そして目標を立てたマーケティングが必要となってくる。
収入:(1US$=約7DKK)
入館料
14,341,000
ショップ&カフェ
936,000
サービス料 5,093,000
その他収入 8,326,000
合計収入:28,696,000 DKK
支出:(DKK)
人件費
14,855,000
減価償却費 5,810,000
その他支出
17,076,000
合計支出:37,741,000 DKK
純利益(2001 年度):‑9,045,000 DKK
- 247 -
6.ウェブ
当館のウェブサイトを訪れる数は年々増加している。
1999 年 150,000、 2000 年 220,000、 2001 年 300,000
また当館に訪れる前にウェブサイトを見てくる入館者も増加している。
1998 年 9%、 1999 年 12%、 2000 年 17%、 2001 年 24%
近い将来ウェブサイトは一番重要なマーケティング道具に変わってくると考えている。
7.学校
当館は学校との連携を目指している。当館から直接学校の校長先生、または担当教師へ
プログラム活動内容をダイレクトメールで送っている。2001 年はデンマークで 1038 校、ス
ウェーデン南部の 268 校と連絡をとっている。学校は博物館の出版物を定期購読として生
徒につき年間 17DKK を支払う。出版物の定期購読をとることにより、学校は毎日 2 クラス
当館へ連れてくる権利が与えられる。2001 年では 204 校 68511 名の生徒が定期購読をとっ
ている。
8.展示物
2003 年 1 月現在
特別企画「恐竜展」を開催
リアルに動く恐竜フィギュア
イギリスの博物館から譲り受ける。
乗るところで違う音が出る展示物
音階を探し出すことで音楽を作れる。
- 248 -
館内にある PC を自由に使え、インターネットや館内サーバから調べ物ができる仕組み
ブルーシーツを使い合成画像を体験できる
モニターも自分たち用と観客用と用意されている。
中学校 2 年生のクラスを対象としたアップルサイダー作りワークショップ
- 249 -
ボール落としワークショップ
こどもたちが自由にボールを転がすコースを身近な素材や木やリサイクル道具を組み合わ
せて作っていく。コースはベルを置いて音を鳴らしたり、角度をつけてジャンプさせたり、
MIT メディアラボが開発したクリケット*を使用しモーターの力によってコースの開閉のタ
イミングを調整したり、コースに動きをいれたりして自由にコースを作っていく。
写真(左下)ボールは 2 種類:2cm と 1.5cm ほど。
写真(右下)ホースやチューブもコースの一部になる。
ベルを置いて音を鳴らす。
このベルや色々な音がでるようにコースを作れ
ば音楽コースが出来上がる。
MIT メディアラボが開発したクリケット。
クリケットは簡単に動きや音がプログラムでき
る電池で動くモーターです。
- 250 -
その他
館内ではいたるところで
化学実験教室が行われている。
ファシリテータに気軽に質問ができる。
事務局:
展示物のデザイン画を壁一面に貼り付けている。
いくつもの展示物を自分たちで作成している。
- 251 -
ZOOM Children’s Museum
1.一般情報
住所:Museumsplaz 1 A- 1070 Wien
電話:01-524-79-08
E-mail: [email protected]
URL:http://www.kindermuseum.at
開館年:1994 年
対象年齢:2−14 歳
運営形態:非営利団体
入館料の有無:有料
年間運営費:650,000US$
年間入館者数:40,000 人
年間入館者に占めるこどもの割合:80%
総職員内の常勤務職員数:4 人
総職員内の嘱託・非常勤職員数:32 人
総職員内のキュレータ総数:2 人
2.設立経緯・沿革史
当館は、ウィーン中心部で現代芸術のための美術館施設等を整備する計画の一環として、
1994 年に開館した。
現在の建物は、18 世紀から 19 世紀にかけて使われた皇室の馬屋だったバロック様式の建
物である。
3.設立の主旨・目的
当館は、こどもたちが遊びの中で物事を研究し、体験し、学ぶことができる場所の一つ
として計画された。
また、こどもたちに「よく知っていることの中にある知らない事や、知らないはずのこ
との中にあるよく知っている事を探し出す」楽しい発見の可能性を提供するねらいもある。
4.収蔵品・展示内容等
当館では、常設展は行わず、企画展と特別展の両方を開催している。例えば、過去に行
った展示例をあげると、
「ピカソに出会える場所」では、さまざまなピカソの作品を展示す
るとともに、ワークシート等で作品の特徴や面白いことを紹介し、こどもたちにさまざま
な問いかけを行った。「基本が大事だよーミスター・クラッグ」では、デュッセルドルフの
芸術学校で彫刻を教えながら、制作活動をしているクラッグ氏の作品を紹介した。同展で
は、身の回りにあるさまざまな材料や廃物を利用して芸術作品を制作し、現代の大量生産
- 252 -
社会を比喩するというプログラムが、また「昆虫の目から見た果物」では、我々の普通の
目から見た世界とは異なった世界を作り出して見せるなどのプログラムが行われた。
その他、「空気以外に何も無し」、
「ズーム:街は動く」、
「ここ・そこ・どこかへいっちゃ
った」、
「お金」、
「ラインゴール:こどものための人形劇場」などが開催された。また「So order
SO」では、
「うるさいー静か」、
「いっぱいーからっぽ」、
「大きいー小さい」といった相対的
な事象や現象を「ハンズ・オン」の展示物を使って紹介している。
<現在進行中の展示>
①ZOOM lab
ZOOM lab では、8 歳以上のこどもが、最新技術を駆使したインターフェースによって、リ
アルとバーチャルな空間を体験し、ディレクターやエンジニア,作家や映画俳優になりき
る。この新しいマルチメディアラボでは、想像力、チームワーク、遊び、創造力が培われ
る。ZOOM lab は、uma information technology ag によって設立された。
②ZOOM Ocean
ZOOM Ocean には小学校に入る前のこどもたちが訪れる。海の中の生き物や、船などをお
き、こどもたちはその中に入り込んで遊ぶことができる。
③ZOOM Studio
ZOOM Studio では 3−12 歳のこどもが、若いアーティストと協力して、作品を作りあげる。
ここでの体験が、こどもたちに、自分達の創造力といった才能に気づかせてくれる。
④ZOOM’s exhibition
現在の ZOOM の展示は、世界各国の衣装を集めた、”Ober HouselUnter Rock”と呼ばれるも
の。ここで、こどもたちは、各国の衣装及び文化を学ぶと同時に、布を使って、自ら洋服
をデザインしたり、また各国の衣装を使って劇を演じたりする。
- 253 -
1.ZOOM lab - ZOOM’s Multimedia Lab
対象年齢:8−14 歳
ここでは、こども、親、先生方が、特別の開発された新しいソフトウェア−やハードウ
ェアを通じて、新しいテクノロジーの世界を創造的に発掘する多くの機会が与えられる。
こどもたちは、アニメーションムービーを作成し、3 次元のバーチャルリアリティー空間の
中で、それらを表現する。ここでは、チームワーク、遊び、創造力を身に付けることがで
きる。
ZOOM ラボでは、こどもたちに、様々なレベルにおける抽象概念の理解を促す。ただの
コンピューターゲームと違い、こどもたちは、リアルとバーチャルの世界の間をまたがる
インターフェースを体験できる。このような、ヨーロッパでも稀なユニークなアプローチ
が評価され、ZOOM ラボはスタート当時から国際的に認知されている。
ZOOM ラボは個人で訪れるこどものためだけでなく、学校用のプログラムも開発してい
る。現在使用できるアプリケーションは、2 次元
次元
スナップショットアニメーション
class photograph の2つである。
【2 次元スナップショットアニメーション】
①こどもたちは、粘土や紙などを使って、人形など自分の
好きなオブジェや絵を作成する。
これらを、特別に開発したテクノロジーによって、
バーチャルなオブジェとしてパソコン上に取り込
んでいく。
②青い箱の中にオブジェを置き、その写真をとる。
するとオブジェの部分だけが取り込まれる。
撮影に使用したカメラ
- 254 -
と3
③カメラで撮影したオブジェは自動的にパソコン内に取り込まれる。画像を編集用テーブ
ルの上に映し出す。
取り込まれた画像の簡単な処理をする
下の方にあるのが編集用テーブル。
ソフトウェア。
編集用テーブルに映し出されたオブジェ。
こどもたちが作成したリアルのオブジェが
バーチャルのオブジェとして表現される。
④編集テーブルに映し出されたオブジェとトラッキングディスクを対応させる。その作業
は編集ディスクと連動しているパソコンで行う。
黒いマーカがついた丸い物体が
天井についたカメラでトラッキングを行う。
トラッキングディスク。
ディスクとオブジェが対応づけられたので、ディスクを
動かしたり回転させたりすると、その通りにオブジェも
動く。
- 255 -
背景の絵も入れることが可能。ディスクをいくつも使うことで、複数のオブジェも同時に
動かせる。
⑤オブジェをコマ送りに少しずつ動かして、スナップショットをとっていく。それらを連
続させて見せることで、アニメーションを作成していく。
オブジェを少しずつ動かして、静止画像を取っていく。
編集用テーブルの隅に設置されているスナップショット
作成用ハードウェア。赤いボタンを押すと、編集用テー
ブル全体のスナップショットがとれる。
- 256 -
⑥作成したアニメーションを大きなスクリーンに写して見る。スクリーンも編集用テーブ
ルと連動している。⑤の写真で緑のボタンを押すと、作成したアニメーションがスクリー
ンにうつる。
こどもたちが作成したアニメーションの例。
【3 次元へ拡張】
①同じようにオブジェを作成し、撮影。人間も撮影可能。青い布をまとうと、その部分が
見えなくなるため、顔のみを撮影することもできる。
- 257 -
②編集テーブルの上で写真のような 3 次元空間
ができあがる。
③撮影したものは 2 次元のものと同様に自動的に
パソコン内に取り込まれ、編集用テーブルに写し
出す向き等を設定できる。
④編集テーブルでの操作は 2 次元と同様だが、
ディスクの高さも変更可能。
2 次元のよりも高さの高いディスク⇒
スクリーンに映し出すと下記の写真のようになる。
- 258 -
3 次元の画像はメガネをかけて見る。
3 次元画像を映し出すカメラ。
2 次元のものと違い、カメラが
2 つ付いている。
各々のアプリケーションに参加するこどもの数は 15 人ずつが理想。しかし、実際は 20
人ずつくらいのこどもが参加している。すべての子が、このアニメーション作りのすべて
の行程に携わるわけではなく、アナログのオブジェ作りに熱中する子、背景の絵を書く子、
ストーリーを作る子、オブジェを動かす子、ディレクターのように動きの支持を出してボ
タンを押すだけの子、と自分たちで自然と役割分担をしていく。そこでチームワークも学
んでいく。
これらテクノロジーは、企業や大学など多くの組織の協力で開発されている。
ZOOM ラ ボ で 作 成 さ れ た 作 品 は 、 す べ て ZOOM の ウ ェ ブ サ イ ト で 公 開 さ れ る 。
http://www.zoomlab.at
- 259 -
2.ZOOM Ocean
対象年齢:0−6 歳
こどもたちは、遊びを通して、学んでいく。体を使って周りの環境を探求し、違う景色を
感じ、様々な動き方を体感し、こどもたちは彼ら自身と彼らの周りの環境を学んでいく。
すべての動き、すべての触感から様々なことを発見していく。
これらのことを学ぶために、こどもたちに、彼らがすべての感覚を使って、発見し、体験
するために特別にデザインされた環境を用意している。0−6 歳のこどもために用意された
この環境が ZOOM Ocean である。ちいさいこどもたちに、ユニークな装置やオブジェとい
った遊ぶ場所を提供し、彼らが感覚や運動能力、言語能力を養う手助けをする。これらの
環境はすべてアーティストによって作成されている。
大きな船の錨はこどもたちを船員の気分にさせてくれる。魚を釣ったり、灯台とコンタク
トをとったり。こどもたちを海の中へと引き込ませる。ぴかぴか光る神殿や、永久に続く
鏡のトンネルがこどもたちの探究心をそそる。こどもたちは、海の生き物にドレスアップ
し、海の中の奇妙な生き物に出会う。
- 260 -
3.ZOOM Studio
アートワークショッププログラム
対象年齢:3−12 歳
ZOOM
Studio でのアートプログラムは、若いビジュアルアーティストと共同で開催される。
これらのワークショップは
実験する
ということにフォーカスしている。自由に実験す
ることで、こどもたちは自分の才能、個性、アクティビティに自信を持つようになる。
前提にあるのは、こどもたちが、親や先生を喜ばせるようなアート作品を創ることではな
く、こどもたちが自分自身で試みることにある。
ZOOM での作業はプロセスに重点を置いている。ワークショップでこどもたちは、自分で
作り上げ、色をつけ、振って、かき混ぜて、身にまとって、笑って、隠して、染めて、聞
いて、繰り返して、形作って、壊して、こねて、叩いて、張って、潰して、混ぜて、話し
て、感じて、学んで・・・。
Clay River Deep, Mountain High
現在 ZOOM Studio で行われているワークショップは、粘土で街を作っていくワークショッ
プ。こどもたちは、粘土からまったくの新しい世界を創り出していく。こどもたちは、粘
土から谷を掘り、タワーを建て、道をつくり、トンネルを掘り、皆で一つの夢の景色を創
り出していく。
- 261 -
4.Uber House Unter Rock
衣装に関する展示物
対象年齢:7−12 歳
“Uber House|Unter Rock”は、ちょうど洋服に興味を持ち始める年頃のこどもたちを対象に
した展示である。こどもたちが人との違いを持つけることはとても大切なことである。“Uber
House|Unter Rock”は衣装に焦点をおいた、楽しい展示である。衣装は、我々の体を保護する
だけではなく、自分自身や他人へのメッセージが含まれている。
衣装の展示は、大きなウォークインクローゼットの中に
隠されている。そのクローゼットには 8 個の大きなドアが
あり、反対側は鏡のカベになっている。はじめ、こどもた
ちは、ドアがすべて閉じられている何もないホールに入っ
てくる。はじめ、そのホールで衣装に関する様々な質問が
こどもたちに投げかけられる。 そのセーターはかゆくな
い? 、 誰がそのタイツを買ったの?
あなたの好きな色はなに? 。このような質問が
こどもたちを自然に各々のやり方で、今日のテーマへと近づかせていく。同時にこどもた
ちは、2つの根本的な問いを口にするようになる。 私の洋服は私をどんな風に感じさせる
の?
洋服は私を他の人にどんな風に見せるの? 。その後、クローゼットのドアが自動
的に開かれる。
5つのドアは”Children-Clothes- Continents”と呼ばれ、
各々違う国(ペルー、フィリピン、セネガル、日本、
オーストリア)の洋服棚となっている。こどもたち
は、”Cleaners”と呼ばれる場所から、洋服を引っ張り出
し、空っぽの洋服だなに洋服を閉まっていく。各々の
国に関連する写真やスクール鞄、個人的なアイテムな
どもそこにはある。最後には、5 つの国のカラフルな
こども服でクローゼットは埋められる。
次の扉には、とても大きなジャケットが置いてある。こどもたちは、そこで、袖に入った
り、小さいねずみになった気分で遊ぶことができる。
“DressingRoom”では、こどもたちは好きな国の好きな衣装を着て、俳優となり、劇を演じる
ことができる。こどもたちは、自分でセリフを決め、どのような役割を果たすかを決める。
- 262 -
“Wall of Photographs”では、場所に応じた服装を学ぶ。カベに張られた顔、上着、ズボン等
バラバラになっている写真を組み合わせていく。洋服や制服からこどもたちは職業を当て
る。
“Sewing Studio”では、ボタンを取ったり、布を切ったりして洋服を解体し、自分の好きな洋
服を自分でデザインして作成する。ストーリーに基づいた洋服、匂いのする洋服など、個
性豊かな洋服ができあがる。
こどもたちの洋服のデザイン集。
こどもたちの洋服の作成場所。
たくさんの布や古い洋服が置いてある。
ミシンなどもある。
- 263 -
こどもたちの作品
- 264 -
お薦め展示
ZOOM 入り口においてあった4つの箱。
自分のお気に入りのアイテムを登録し、世界中の人に紹介する、というアプリケーション
である。(まだ作成途中)
白い箱にキーホルダー等、自分のお気に入りのものを入れる。その映像をパソコンに取り
込み、ウェブに登録する。オレンジ色の箱がディスプレイ、紫色の箱が登録するもの(キ
ーボードようなもの)。
最終的には世界中のこどものお気に入りアイテムを見ることが可能になる。
- 265 -
Hellenic Children’s Museum
1.ミュージアムの一般情報
1994 年に地方自治体の協力の下に設立されたこども博物館は、地方自治体のサポートを
受け、ギリシャではじめの唯一のこども博物館を運営している。
住所:14 Kindathineon Street in Plaka, the historical section of Athnes lying at the foot of the
Actopolis
電話:301-331-2995
FAX:301-331-2997
E-mail: [email protected]
URL:
設立:1986 年
対象年齢:0−12 歳
運営形態:理事会運営の非営利団体
入館料の有無:無料
建物
:1900 年に建てられたもともとは個人の家
トータルで 520 平方メートルの広さがあり、4階まである。
パブリック:ミュージアムは、小学校にあがる前のこどもから12歳までのこども、親、
教師、その他すべてのこどもの学びと成長に興味がある人に開かれている。
開館時間
:火曜日から土曜日 10:00-14:00
日曜日
10:00-18:00
月曜日は休み
年間運営費:320,000US$
年間入館者数:32,617 人
年間入館者に占めるこどもの割合:60%
2.設立経緯・沿革史
当館は、ギリシャで初めてのこども博物館の設置を望む博物館教育の専門家であるソフ
ィア・ロク=メラス女史の呼びかけに応じて、準備委員会が 1986 年に発足した。翌 1987
年に、非営利団体として運営組織ができ、ギリシャの著名な作家であるジョン・ネグレポ
ンティスによって所有する建物が無償で提供され、開館した。
この年から、当時ボストンこども博物館の館長だったマイケル・スポックが教育プログ
ラム開発のアドバイザーに招かれ、アテネ市からの教育プログラムに対する助成が行われ
た。1994 年にアテネ市からの助成を受けて、アクロポリスの丘に近い旧市街にある現在の
建物に恒久施設として開館した。
- 266 -
3.設立の主旨・目的
当館は、こどもの潜在的なニーズに応える特別な場所として作られた。ここは、こども
だけでなく、その親と教育関係者のためにも、こどもを育てておく上での支援施設として
機能している。
当館では、すべてのこどもたちが、発見し、理解し、学び、楽しみ、そして、自分たち
が住む世界を、一人一人を尊重し、チームワークを大切にしながら築き上げていくことが
できるようになっている。
教育の専門家の協力で開発された展示と教育プログラムは、こどもの成長、論理的な思
考、自主性、創造性、知識の貯蓄と独立心を養うように設計されている。
4.組織概要
1)メンバー
①ボードメンバー
代表
:Irini Nezi
副代表
:Atamatis Vassiliou
事務局長
:Despina-Eleni Fifi-Toga
会計
:Constantinos Stamatopoulos
メンバー
:Geoge Darintis
Milly Zombanaki
Johny Voutsas
②設立者
Sophia Roque-Melas
③スタッフ
ミュージアムには 15 人のフルタイムスタッフと 7 人のパートタイムスタッフがいる。そ
して、それらを
・約 150 人のボランティア:広報、資金調達、会計、図書館、展示室での監視、各種プ
ログラム、館内にあるリサイクル啓蒙センターでの手伝い
などを行っている。
・ミュージアムによって展示やプログラムの解説を行う
・ギリシャや他の国に精通したエキスパートがサポートしている。
- 267 -
3)メンバーシッププログラム
ミュージアムをサポートしたり、開発したりすることに興味がある人向けのメンバーシ
ッププログラムを設けている。
4)所属組織
・ ICOM(International Council of Museums)
・ Hands on! Europe- Association of Children’s Museums
5)活動内容
過去 15 年間に渡り、ヘレニックこども博物館は教育プログラムを行ってきた。
今まで行ってきた活動は下記のものである。
・ 教育プログラムを開発のための 310 のレサーチプログラム
・ 2700 時間 128 種に及ぶ解説者用トレーニングプログラム
・ ギリシャや海外で 60 回に及ぶスピーチ
・ 130000 人のこども及び 900 の家族が教育プログラムに参加
・ 26 に及ぶテーマの献呈
・ テレビ向けの 6 つの教育プログラム
・ 工場での 200 の教育プログラム
・ 40 のミュージアムや広い意味でのミュージアムスペースにおける教育プログラムの実
施
(数字はすべて設立年〜1997 年までのもの)
1994 年 12 月、ヘレニックこども博物館とアテネの地方自治体が協力して、こども博物館を
設立した。今までに 200000 人を超えるこども、親、教師がミュージアムを訪問し、養育プ
ログラムや他の特別イベントに参加した。
5:展示
コレクションとしては、歴史や社会、経済、自然科学、生活文化、体育などに関する幅広
い領域の 1500 点の資料が収蔵されている。展示品以外に、資料センターやリサイクル・セ
ンターに属する資料も含まれている。
常設展示は、こどもが資料にさわり、試すことができるように構成され、教育普及活動
と密接に関連している。キャプションは展示も併記されている。数学や理科に関する展示
には、幾何学の考え方を学ぶ「こんにちは、ピタゴラス」
、さまざまなシャボン玉の実験が
できる展示、ゲームができるコンピュータ・コーナーがある。生活文化に関する展示には、
アテネの地下鉄について学ぶ展示がある。自然科学に関する展示「自然界の発見」は、定
期的に内容が更新されている。これまでに、自分の体を調べて自然界の法則を発見する「私
- 268 -
の発見」、恒星にはじまり銀河に続く宇宙の仕組みを学ぶ「太陽系の学習」などが開催され
た。就学前児童を対象とする遊び場では、さまざまな教育プログラムや親子の会が実施さ
れ,内容は毎月更新される。
その他、教育資料、口腔衛生の学習センター、図書室で構成される資料センターとリサ
イクル・センターがある。リサイクル・センターでは展示とともに教育普及啓発活動も行
われる。企画展には、専用の美術展示室がある。こどもたちが自分の宝物を公開する「こ
どものコレクション」展なども開催された。
現在ある展示の紹介
1)Hello Pythagoras!
この展示の目的は、幾何学、対称に関する知識を広げ、それら知識をゲームやおもち
ゃといった道具の中で実際に使い、距離や相対関係、光学の概念を理解させることに
ある。
こどもたちは、”geo-board”を用いて、彼ら自身の幾何パターンを創ることができ、彼ら
の論理的、幾何学的考え方をボードで遊びながら訓練できる。また凹凸鏡を使って、
楽しみながら様々な幾何模様も作成できる。
2)Recycling
この展示の目的は、
・ 使えなくなったものを使う経験
・ 産業のリサイクルと創造的なリユースの実例
・ リサイクルのものと触れ合うことと、そこから何かを感じること
・ 創造と想像を伸ばすこと
・ 運動能力を磨くこと
にある。
訪問者はすべてのリサイクルセンターによって提供されているリサイクル品を使って、
クリエイティブな自分自身の作品を創る。
(参考)スポンサー:Amita- Coca- Cola
- 269 -
3)Playspace:”Giants&Dwarfs”(対象年齢:5歳まで)
この展示の目的は、
・ 5歳までのこどもとその家族に、安全に、かつ開けた遊びスペースを提供する
・ 運動神経や、感情表現やソーシャルスキルの向上させるため日常生活にないインタラク
ション可能なオブジェを提供する。
・ こどもとその家族と協力する機会を与える
この展示では、家族は Magnifying Mirrors、Giant’s Kitchen、
Shelf of Discovery、Family Pictures などを使って、様々なロ
ールプレイングを体験する。
4)Bubbles
こどもたちは、シャボン玉と遊ぶ機会を持つ。シャボン玉は、様々な簡単なものを使
って、色々な形や色を提供する。彼らは、できるだけ大きなシャボン玉をつくる、と
いう挑戦もできる。遊んで、作って、観察することで、科学やアートの世界への探求
がはじまる。
5)The Factory: Pavlides Chocolate Factory
この展示を通して、こどもたちは、工場での生産工
程を理解し、親しみを持っていく。
この展示は、10の流れ作業からなり、こどもたち
は、工場での共同作業というものを経験する。
(参考)スポンサー:RSFT FOODS HELLAS
6)The Attic
訪問者は、ミュージアムのコレクションを観察し、
比較し、それらのオブジェを使うことができる。
- 270 -
7)Children’s Collections
このスペースでは、こどもはかれらのコレクションを見せ、展示する機会を得る。こ
のようにして、こどもたちは、ミュージアムが求めるものとコレクションのプロセス
を学ぶ。
8)Collections from other museums and adult collectors
他のミュージアムやコレクターが、こどものために自分のコレクションを紹介できる
特別なスペース。こどもたちは、様々なタイプのミュージアム、コレクション、展示
の仕方を発見する。
9)The Bank
この展示は、こどもが銀行のサービスに触れ合う機会を与える。
(参考)スポンサー:J.F.KOSTOPOULOS FOUNDATION
10)KITCHEN
この展示の目的は、
・ 料理道具と測定道具に触れ合うこと
・ 科学の基本的な役割を体験すること
にある。
(参考)スポンサー:E.J.PAPADOPOULOS.S.A.
- 271 -
11)NUTRITION
この展示は、訪問者に、様々な食べ物やその価値、我々の健康に及ぼす影響を学ぶ。
(参考)スポンサー:ELAIS.S.A. OLEAGINOUS PRODUCTS S.A.
6.リソースセンター
リソースセンターというものがあり、ミュージアムの活動をサポートし、大人向けセ
ミナーや講習を企画したり、ミュージアムの活動や運営に関する情報を提供する。
リソースセンターはこどもたちが自分の研究に使えるようなライブラリーやマテリア
ルも置いてある。
ここでは、こども、教師、親は本を借り、映画を見、セミナーや講習、様々なイベン
トに参加することができる。
7.教育プログラム
教育担当スタッフの研修期間は 2 年で、アメリカのこども博物館への海外研修も行い、良
質の教育プログラムの企画・運営を行っている。開館当時からアテネ地域の学校団体向け
のプログラムを開始し、就学前児童や障害児、病気療養児、外国語などの特別ニーズへの
対応、週末、休日の年齢別の教育プログラムの開発に取り組んできた。
専門家や教育対象の講義やセミナーなども実施し、幼児教育や学校教育、博物館学に関
する基礎的な研究活動を行い、展示や教育普及活動に還元している。アテネ大学幼児教育
学部とアテネ技術学校保育部と協力した学生の職業訓練プログラム、地域の催しや病院で
の教育プログラムの開発が行われた。アテネの 20 以上の博物館や史跡にも教育プログラム
を提供している。アテネ国立美術館の「現代ギリシャ美術におけるこども展」への協力や、
歴史系博物館を見学する学校団体が利用できるパスポート風のパンフレット「古代への旅」
の制作などを行っている。
アウトリサーチ・プログラムとしては、学校などの施設を対象に教育資料の貸出を行っ
ている。シャボン玉、歯、オリンピック大会の3テーマから選択できる。
その他、資料センターでは教育に関する書籍や教材、資料を利用することができる。1996
年から口腔衛生の学習センターも開設された。
8.教育プログラムの種類
教育プログラム開発の基準となるのは、公共性、スペース、マテリアル、時間である。
すべてのプログラムは、 どのように学ぶかを学ぶ
という理念に基づいて、開発されてい
る。この教育プログラムの目的は、
・ こどもたちにミュージアム、ギリシャの伝統的なアート、文化、技術に親しんでもらう
こと
- 272 -
・ こどものニーズと強さに適応した楽しい経験をミュージアムでもってもらうこと
・ ミュージアムの展示を通して、こどもたちが、自然及びテクノロジーの世界を観察し、
研究し、理解する能力を上げること
・ こどもに、継続して、ミュージアムに通うことで、各々が独自の方法で展示を理解する
方法を提供すること
提供されているプログラムは、
1)学校向けプログラム
幼稚園、小学校、中学校、高校向けに毎日開催されている。
2)家族向けプログラム
週末や休日に、家族が、ミュージアムで遊び、学びながら自由時間をクリエイティブ
に使う機会を与える。
3)ワークショップ
アートやクラフトのワークショップが、当館で、4−6
歳、7−12 歳向けに開催されている。
4)障害のあるこども向けプログラム
当館や、他のミュージアム、病院、彼らの学校で毎日開催されている。
5)休日のプログラム
4−6 歳、7−12 歳のこどもに、クリスマス、カーニバル、イースターといった休日に
プログラムを提供している。
6)セミナー、ミーティング
教師や親、その他ミュージアム教育に興味のある人向けに、アテネでセミナーを開催
している。
7)コンサルティング
他のミュージアムや組織が展示やスペースをよりよく使うために開発された教育プロ
グラムやマテリアル。
8)解説者トレーニング
大学生、教育者、親、その他ミュージアム教育に興味のある人が、ミュージアムに関
して、またその教育プログラムを学ぶためのトレーニングプログラム
- 273 -
9)夜のプログラム
8−12 歳のこどもが夜のミュージアムを体験するプログラム。特別なイベント、夕食が
用意され、こどもたちは好きな展示の中で眠る。
10)教育教材
教育プログラムは、キット、本という形でまとめられ、教育者、親がミュージアムの
みならず、家庭や学校でも使用できるようになっている。
11)ミュージアムのガイドブック
ミュージアムのガイドブックは地元の小学校と協力し、こどもたちによって作成さ
れたものである。こどもたちは 6 回もミュージアムを訪問し、その内容を調査し、
ガイドブックを作成した。
9.賛助組織・友の会
会員制度は 1993 年からはじめられた。大人1人とこども1人単位で、300 組が登録して
いる。入館料無料、教育プログラムや特別イベントの参加費割引、ニューズレター送付な
どの特典がある。
企業や組織などからの寄附も歓迎している。高額寄附者・企業を対象とした春の特別イ
ベントも 1995 年から実施している。
- 274 -
Museum of Greek Children’s Art
1.一般情報
住所:9 Kodrou Street, extension Voulis, Plaka, 105 58, Athens, Greece
Tel.:010-3312-621
Fax:010-3313-734
URL:www.childrensartmuseum.gr
E-mail:[email protected]
組織の運営管理:
理事
7 名。
顧問委員会 5 名
スタッフ
9名
2.目的
・こどもアートの保全、及び紹介
・こどもの美術能力、美的センス、創造力を伸ばす
・美術品に対する関心を育み、接する機会を提供する
・世界的なこどもアートコンテストを確立する
・国内外の他団体等と文化交流とイベントを開催する
3.展示物
14 歳までの絵画と立体的な作品が博物館内に展示されている。作品はこのこどもアート
博物館のワークショップで作成されたもので、毎年行われる全国こどもアートコンテスト
にエントリーされる。展示物は定期的に変更している。
4.作品
こどもたちの作品は海、魚、船、人魚、木、花、動物などから「地球の中へ」、
「村と町」、
「ギリシャの祭りの一日」、
「12 ヶ月(ギリシャの有名な話)
」、
「お母さん、お父さんと僕」、
「2004年のアテネ・オリンピック」、「私の一番好きなスポーツ」、「凧」、「生命」、「交
通手段の意味」などのテーマ作品がある。
また「Save the children organization」から寄付されたアフリカのこどもたちがゴミ素材で作
ったおもちゃなどもある。
- 275 -
5.見学者
ギリシャこどもアート博物館は年齢に関係なく訪れるべきである。こどもたちの表現力
と創造力を垣間見ることができる。
6.コンテスト
1987 年にマイルス美術館が始めた定期的なコンテストを 1994 年のギリシャこどもアート
博物館創設から引き続き開催している。毎年秋に行われるこのコンテストは 14 歳までのこ
どもたちの作品を対象としていて、作品は私立と公立の学校、こども博物館、こども図書
館などのワークショップとこの博物館からエントリーされる。7 名メンバー審査員が 120 の
賞を選ぶとともに、エントリーしたこどもたち全員に賞状を送る。
選ばれた作品は Cycladic アート博物館に展示される。またエントリーされた作品はこども
達に返されることはなく、ギリシャこどもアート博物館に寄与される。
7.コラボレーション
2004 年アテネ・オリンピックのポスターやポストカード用にギリシャこどもアート博物
館から 4 点の作品を授与された。
8.ミュージアムショップ
ギリシャこどもアート博物館でこどもたちの作品をポスターやポストカードの印刷物と
して売り出している。商品はこどもたちのアートを促進するためにデザインされたが、親
や美術教師への教育素材としても用いられる。こども達の作品が描かれた T−シャツやマグ
カップも売り出されている。
・こどもたちのための Activity Book
・こどもたちの視点から見たギリシャ神話、歴史、景色、昔の生活、祭の80作品
・その他テーマごとの作品集
・こどものためのアートゲーム
9.スポンサー(2002 年 5 月まで)
The Greek Ministry of Cultural for its symbolic support 1996 1998 1999 2000.
Kraft Jacobs Suchard Company, basic sponsor 1994 - 1998.
The Stavros S. Niarchos Foundation, basic sponsor from 1998.
The J.F. Costopoulos Foundation for its standing annual sponsorship since 1994.
- 276 -
The Panayiotis and Effie Michelis Foundation 1996 1999 2000 2001
The A.G. Leventis Foundation, 1995 1997 2000
The "Alexander S. Onassis" Public Benefit Foundation 1995 1998
The Lillian Voudouri Foundation 1998
The Bodosakis Foundation 1999 2000
The Bank of Greece The Silver & Baryte Ores Mining Co. S.A. 1999 2000 2001
FABER CASTELL 2000 2001
SHELL HELLAS S.A. 1996 - 1998
The ZEUS Stock Exchange Company 2000
Expose Exhibitions and Architecture Company since 1996
The Hellenic Bottling Company 1999
The F.A.G.E. Company 1995
The Warner Lambert Company 1996
ALEXANDROS MATSOUKIS A.E. Grafical Arts 1995 - 1999
ARTEMIDE HELLAS A.E. 2000
10.教育活動
博物館の教育部門は小学生用に下記のプログラムなどを行っている。
・小学校を対象とした活動
・知的障害を持ったこども向けプログラム
・基本的に3ヶ月・8ヶ月期間のワークショップ
・セミナー
教師のためのワークショップ
博物館の教育のプログラムは、こどもの博物館への訪問を楽しく創造的な経験に変えるこ
とを目標とする。こどもたちは視聴覚教材等から様々なゲーム感覚で以下の活動は進める。
・博物館およびその展覧品の探求
・新しい経験
・それらの創造的・芸術的な能力の開発
- 277 -
11.プログラム
次のプログラムが学年 2001-2002 に行われた。
①小学校用プログラム
プログラム実施:火曜日〜金曜日
小学校1年生、2年生向けプログラム
「おせっかいなアリ、海の中への潜水」
以下の 3 つの段階にこどもたちを導く。
・博物館、ファシリテーターを紹介する。
・演出の助けを借りて展覧品を探求する。
・様々な用具、技術を用いて創造的な作品を作ることで自分自身を表現する。
実施時間:1 時間15分
参加者:20名まで。
小学校3〜6年生向けプログラム
以下の4つの段階にこどもたちを導く。
・博物館、ファシリテーターの紹介
・計画的に進めること
・活動冊子をうめること
・自分たちの考えを創造的に表現させること
実施時間:1時間30分
参加者:25名まで
②知的障害を持ったこども向けプログラム
博物館は 1 つの関連施設と協力し年間を通してプログラムを実施。様々な用具、技術
で作品を創る機会を提示する。
プログラム: 週1回で5月から10月まで。
参加者:10名.
博物館は、さらに小学校に通う知的障害を持ったこどもたちにもプログラムを実行する。
プログラムは、博物館の心理学者の監督の下の関連施設の協力で実行される。
実施時間:1時間
参加者:15名
③ワークショップ
博物館のワークショップに参加するこどもは以下の機会を持つことになる
・様々な用具で作業
・様々な技術での実験
・彼らの創造力豊かなで色々なテーマでの作業
- 278 -
プログラムは、有名な芸術家による博物館のコレクションや芸術家の美術品を備えた
スライドショーを含んでいる。アートワークショップは 3 ヶ月か 8 か月の期間で週末に
行われる。
博物館はさらに休日と夏休みにプログラムを組んでいる。博物館は、研究や出版物、
展示でその活動ワークショップ中に作成された美術品を使用する権利を留保する。
④教育ワークショップ・ドラマ
このワークショップの目標はこどもが絵画作品内に隠された物語、人、考え、関係な
どを発見し自分で作成する。
このワークショップ内でこどもと教師は様々な役を演じ、ドラマ中のきまりにしたが
って、ドラマの筋を考える。このユニークな経
験によって、こどもら自身とまわりの
世界に関して学習させる。
セミナー-教師のためのワークショップ
博物館は、主に幼稚園、小学校の美術の教師に以下の 3 つの異なるセミナーを組む。
・用具と技術の演習
・教育でのドラマ
・美術の歴史
セミナーは 5 月から 10 月まで毎週 2 時間開催されます。セミナー参加者の一部が、
博物館によって組織された多くの教育のプログラムおよびアートワークショップを助
ける形になっている。
博物館キット
博物館は、教師がクラスで使用する美術教材・博物館キットを貸しだしする。
・「海を描く」こと
・「木を描く」こと
博物館キットは通常小学校3年生から6年生の生徒に用意している。
(より小さいこ
どもたちにも使用可能です)
博物館キットは次のものを含んでいる。
・教師用の情報
・キットの資料の使用方法に関する提案
・博物館のコレクション写真、有名な芸術家のアート作品写真、有名なこどものア
ート作品写真、自然風景の写真およびスライド
・こども用の活動冊子
・使用する絵画用具リスト
- 279 -
・こどもの各テーマに関するコメント
・音楽テープ
⑤博物館
館全体は2階に別れており、1階は作品展示と作業場、2階は作品展示とグッズ販売を
行っている。展示品についてはすべて商品として取り扱っているため、取材撮影が不可能
となっている。
1階(3部屋)
1.受付とイントロダクションの部屋
2.作品展示
3.作業場と模範アート展示
ここで展示されている作品は4〜12歳のもの
2階(3部屋)
1.作品展示
2.作品展示
3.グッズ販売
ここで展示されているものは6〜14歳のもの
- 280 -
Kinder und Jugend Museum Munchen
1.一般情報
住所:Reichenbachstrasse 12 Munchen 80469
電話:089-260-9208
FAX:089-268-575
E-mail: [email protected]
開館年:1990
対象年齢:3−15歳
運営形態:公益法人「教育活動・遊びの文化協会」
入館料の有無:有料
設立経緯・沿革史:
1987 年にミュンヘン市議会にて「ミュンヘンのための少年少女博物館の設置」が全会一
致で採択された。以降 1990 年に、博物館活動に適した家屋が見つかるまで、移動方式によ
る展示事業を継続していた。
1991 年に公益法人「教育活動・遊びの文化協会」が、市から委託されて、当館の運営に
当たることが決定された。同年 8 月よりかつての路線バスの車両を用いてこども博物館の
活動プログラム「動くミュージアム」を開始し、現在もその活動は活発に行っている。1995
年に新装されたミュンヘン中央駅の1階のスペースを展示ホールとして借り、様々な企画
展示を開催している。
2.設立の主旨・目的
今日のこどもたち、特に大都会で暮らすこどもた
ちは、住居は狭く、いろいろなことを経験したり体
験したりするための空間が非常に少なく、「物事を
真に体験する」ことが難しくなってきている。
ビデオやテレビ、人工的なおもちゃは、「モノに
触れ、試してみて、おして遊ぶ」ことをこどもたち
から奪いつつある。こどもたちはこの「モノに触れ、
試してみて、そして遊ぶ」ことを通して、初めて自
分のこと、そして自分の周りのことが理解でき、そうして育っていく。
従来の博物館の展示ではこのようなことはできないし、例え展示に関する説明が充分に
なされていようとも、「モノに直接触れる」代わりにはならない。
その意味で当館は、「体験・把握・理解」が可能な、手に触れられる実物資料を含んださ
まざまなテーマを用意している。さらに、こどもたちが自分自身で展示を企画・決定・準
備・実行するということも行っている。
- 281 -
当館の一番の特徴は、以前に路線バスとして使用された車両を用いた移動式活動「動く
ミュージアム」である。移動図書館に似たこの活動は、当館の全体構想の中で重要な活動
であり、今後も引き続き行っていく。
3.博物館情報
建築延床面積:600m2
屋内展示面積:400m2
年間運営費:600,000DM
年間入館者数:52000 人
年間入館者に占めるこどもの割合:80%
総職員内の常勤務職員数:3 人
総職員内の嘱託・非常勤職員数:3 人
総職員内のキュレータ総数:0 人
ボランティア数:10−20 人
ボランティア活動の内容:当館に来館するこどもの世話を行っている。
こども評議会等の設置:なし
収蔵品・展示内容等:
当館は、常設展示は行わず、主に企画展示とバスを使った移動展示を開催している。当
館は現在ミュンヘン駅構内に展示ホールが設けられており、そこでは、以下の展覧会が開
催された。「気が狂うような迷宮と物理的実験」
、「遊ぶカジノー昔と現代のコンピューター
ゲーム」、「ものぐさペーターの夢の空間―歩いて通ることのできる絵本の世界」などであ
る。また1998年にはシャボン玉を使った「シャボン玉の夢」を5月17日まで開催し
た。現在は紙をテーマに、自分で紙を作成するところから、紙を使って新聞を作ったり、
折り紙をしたり、ということをワークショップとして行っている。
バスを使った移動展示は、動くミュージアムという意味のミューゼオ・モバイルと呼ば
れ、こどもの知的好奇心、遊び心、想像力、創造力を引き出す目的で、ミュンヘン市内だ
けでなくバイエルン州内の各地の広場や公園、教会等で移動しながら開催している。いず
れもワークショップや劇などが併せて開催されている。今まで開催されたテーマには、仮
面舞踏、化石、彫刻、昔使われた生活用品、粘土遊びなど、さまざまなものがある。
4.教育普及活動
こどもを対象とした教育プログラムは、「ハンゾ・オン」を重視した内容になっており、
いずれもこどもの知的好奇心を刺激し、創造力を育成するものになっている。
教育プログラムは、ミュンヘン駅に設けられた展示施設以外に、ミュンヘン市内各所や
他の地域で行われ、以下のものが開催された。
「空と洞窟の間」、「空に向かってー人類の飛
行100年」、「ディノマニアーディノザウルスが戻ってきた」、「こどもの蚤の市」、「迷っ
- 282 -
ちゃったー気の狂うような迷宮」、「感覚に関するミニ博物館」、「線に忠実にー若い漫画家
たちの展示」などである。
5.現在の展示・ワークショップ
現在は、紙をテーマに様々なワークショップを行っている。はじめに、こどもたちはグ
ループ分けをされ、いくつものワークショップを順番に体験していく。
1.ワークショップ
①紙づくりワークショップ
実際に紙を作成するワークショップ
和紙を作るワークショップ。こどもたちは、紙の
原料に、色を入れたり、葉などで模様を入れたりし
て、自分自身のオリジナルペーパーを作成していく。
こどもたちが作った色とりどりの紙
- 283 -
②新聞づくりワークショップ
自分たちで新聞を作ってみるワークショップ
記者になりきり、新聞を作る。ここで作られたこどもたちの新聞は実際に、ローカル新聞
などに掲載されたりする。
新聞ワークショップにあたって、まずこどもたちは
箱を渡される。その箱の中には 3 つの物が入ってお
り、その3点の物から自分たちで自由に決めて記事
を作っていく。
右下が過去こどもたちが作った新聞作品
③ファッションワークショップ
この春から紙で作る服という
ワークショップを企画している。
- 284 -
④パッケージ化・プログラム
ここで行われているワークショップはパッケージ化さ
れ、企業と提携し 紙作成キット として販売されてい
る。こどもたちは、これを使ってミュージアムを訪問し
なくても、自宅、学校で紙作りを体験できる。
右図は、週末の紙つくりワークショップのスケジュール。
45分おきにグループごとに開催される。
ふだんは学校(小学校・中学校)から授業の一環として
こどもたちが訪問する。
2.展示
①資料室
紙についての資料室があり、様々な紙に関して学ぶことができる。
②作業場
作業場は、とても広く、この開放的な空間の中で、こどもたちは、作品をつくり、飾って
いく。
- 285 -
LE MUSEE DES ENFANTS
HET KINERMSEUM
1.一般情報
住所:rue du Bourgmenstre 15 1050 Bruxelies
電話:02/640-01-07
FAX:02/646-80-07
URL:www.museedesenfants.be
E-mail:[email protected]
楽しみながら発見し、学ぶ
2.ミュージアムの考え方
当館では、25 年以上 4−12 歳のこどもの成長を第一に活動を続けている。
また、こどもたちに展示物やプログラムへの参加を通じて、遊びながら自分と周りの人を
よりよく知り、学ぶ機会を与えることを目的としている。遊びながら学ぶという方法論の
みでなく、目的(self-knowledge)に、より大きな重点をおいている。
ここでのワークは、多くの心理学者や小児精神科医の協力を受け、こどもの心理的発達に
大きな役割を果たすように作成されており、こどもたちがより自分に自信を持ち、その結
果として、他人に対しても寛大でオープンな心をもったこど
もを育成する。
当館では、2つのレベルのプログラムからなっている。一つ
は起こる可能性のある精神的問題を防ぐプログラム、二つ目
は、自分と他人をよりよく知るための教育プログラムである。
また同時に、当館は大人にこどもと共に貴重な体験をする機
会を提供している。
3.ミュージアムの活動
上記目的を達成するために、当館では参加型の遊びに焦点を置いた展示を行っている。参
加する中で、こどもたちは、注意深く他人の話を聞き、他人と協調し、自分を表現するこ
とを学んでいく機会を得る。
展示はテーマ 3 年周期で変えていく。過去に行われた展示は、(1)共生、(2)コミュニ
ケーション、
(3)恐怖、
(4)自信、
(5)五感、
(6)想像力をテーマに行ってきた。
新しい展示に変える際に、過去の展示は他のミュージアムへ売る。
(参考)展示ノウハウのみ:7436 ユーロ、展示+ノウハウ:39663 ユーロ
- 286 -
これら展示は、当館のスタッフによって、作成され、アイディアも当館によるものであ
る。展示を作成するにあたり、民俗学者、精神科医、バイオロジスト、哲学者、歴史家、
アーティストなど様々な分野の人からのアドバイスを受けている。
4.ミュージアムのプログラム
当館には、毎年、45000 人(一般の訪問者:28000 人、学校からの訪問者:16500 人、障
害を持ったこども:500 人)ほどの訪問者がある。平日は毎日学校(普通の学校だけでなく、
障害をもったこどものための学校も受け入れている)のためのプログラムが用意されてい
る。週末や学校の休みの期間には、当館は家族やその他様々なグループのために解放され
ている。
さらに当館は、活動を、病気を持ったこども、非行を犯したこども、教師を目指している
人向けのものへと展開している。
下記は当館が設けているプログラムである。
1)一般の訪問者向けプログラム
ガイドブックを持ち、展示を回る。そして、ミュージアムスタッフのガイダンスに従
って、ワークショップに参加する。これらのワークショップ(料理、演劇、絵画、ス
トーリーテリング、言葉ゲーム、操り人形など)は、決められたテーマに基づいて、
開催される。
2)学校向けプログラム
こどもたちを 15 人以下の小さなグループに分け、1 日かけてミュージアムスタッフと
共に展示を回る(10 時〜3 時)。こどもたちは、このプログラムを通して、体験し、発
見し、展示から影響を受け、与えられたテーマに基づいて自分自身を表現するように
促される。
3)先生向けプログラム
ミュージアムスタッフと共に展示を見て回り、ディスカッションをする。
4)誕生日パーティープログラム
2と同じプログラムだが、土日のみ。
当館が設けている他のプログラム
1)月に2回、ファシリテーターが、2 つのこども病院に行き、<Great Book of Tales>と呼
ばれるゲームを行っている。
2)1 年を通じて、当館では、非行を犯したこどもが社会復帰するように、当館のスタッフ
と働くプログラムを設けている。
3)当館は、教師の手助けもしている。将来教師を希望している学生の研修期間として、
と感で過ごすプログラムが用意されている。
- 287 -
5.現在の展示:<Hello Change>
1) 展示の目的
こどもたちに、変化というものは常にあり、それに適応する必要があることを気づかせ
るきっかけを与えること。
下記はこの展示を作成するにあたって従ったガイドラインである。
-人には、変化に対応する強さがある。
-変化は、学ぶ・成長するよい機会である。
-変化は怖いものである。
-すべての人は、安定するために新しい環境に適応しようとするものである。
-人は各々、変化に対して違う反応をするものである。
-変化に対応するためには、努力・エネルギー・意思・好奇心・時間を必要とする。
-すべての人は、変化に刺激を受ける。
-すべての人は、彼らを脅かす変化を拒否できる。
2)展示
展示は 7 つのパートから成り立つ。
1:Unknown Planet stopover
まったくの新しい環境に適応するために我々は何が必要か?
2:Poland stopover
まったく違う文化での生活はどのようなものか?
3:Evolution stopover
なぜ人は物を創りだすのか?
4:Nature stopover
自然は回りの物に適応できるのか?
5:Growth stopover
自分が変わった後、何が起こるのか?
6:Family stopover
家族が変化する状況でどのように生活しているのか?
7:Magic Forest stopover
誰が問題を解決しようとしている物語のヒーローを助けられるか?
6.ミュージアムのスタッフ
1)マネージメント
2 人のボランティア
1 人の勤務員(給料はミュージアムから)
- 288 -
2)秘書
1 人のボランティア
1 人のパートタイム勤務員(給料はミュージアムから)
3)一般スタッフ
18 人のパートタイム勤務員(給料はミュージアムから)
6 人のフルタイム勤務員(給料は市から)
4)レセプションスタッフ
8 人のパートタイムボランティア
7.ミュージアムの予算
当館の総予算は 371,840 ユーロ。
●収入源
訪問者
37.5%
助成金
37.5%
スポンサー
12.5%
展示販売
12.5%
● 必要経費
展示+ワークショップ
秘書
スタッフ給料
20%
5%
75%
ミュージアムのビルは、地方行政から無料で借りており、そのメンテナンスも提供されて
いる。
スポンサー
- 289 -
8.ファシリテーターの役割に関してのポリシー
Ⅰ当館ではファシリテーターの役割は極めて重要。
1)なぜか?
① ファシリテーターは展示やそのコンセプトを設計する段階から参加しており、
展示に込められたメッセージや、ミュージアムの内容をよく知っているため、
訪問者と展示の間の橋渡しに最適。
② ファシリテーターは、こどもたちが自分自身を表現する手伝いをし、こどもた
ちに、自分の話すことがしっかりと聞いてもらえている安心感を与える。そこ
のことが、信頼と喜びに溢れた雰囲気を作り出す。
③ ファシリテーターは親でも先生でもない、その中間的な役割を担う人である。
そのため、こどもたちは、監視されることなく話を聞いてもらっているという
感覚を持ち、彼ら自信のことや、彼らの感情を表現しやすくなる。
④ スクールプログラムでの訪問時間は 4 時間という長時間にわたるため、そこで
良い雰囲気やよい関係を保つために、ファシリテーターのリードが不可欠。
2)こどもたちは、ファシリテーターのサポートで本当にうまくいくのか?
展示のメッセージが本当にこどもたち、先生、親に届いているかを判断すること
は非常に難しい。しかし、下記のことは確かである。
① こどもたちは自分たちを表現するとてもよい機会を与えられている。こどもた
ちは人にそれを聞いてもらい、時には今まで気づかなかった自分のパーソナリ
ティを発見し、それを表現する。ここではこどもたちは、注意深くなり、努力
をすることを求められ、日常的でないことをじっくりと考えなくてはならない。
② 親はたいてい、当館の展示、特にフレンドリーな雰囲気、様々なワークショッ
プにおけるファシリテーターのサポート、に満足している。彼らはアイディア
や新しいアプローチをここで見つけることを望み、また、ファシリテーターの
ガイダンスのもとに、こどもたちと遊ぶ機会を持ちたがる。
③ 展示やワークショップ、ファシリテーターの対応の質の高さは先生方の間で定
評がある。ここで、先生方は、学校とは違うこどもたちの一面を見る機会を得、
またこどもたちのいつもとは違うパーソナリティを発見する。(こどもたちが
訪問の間に実によく自分を表現する。)
Ⅱファシリテーターのクオリティー、選別、トレーニング
1)クオリティー
良いファシリテーターというのは下記の 2 つを持ち合わせていなければならない。
① ファシリテーターは、当館の倫理を理解し、尊重しなければならない。彼らは、
展示の最終ゴールやメッセージも明確に理解していなければならない。
- 290 -
② ファシリテーターは展示をこどもに伝えるための彼ら自身のスタイルを見つ
けられなければならない。このスタイルが彼らのパーソナリティに合致し、そ
の結果として、
a) こどもたちに、ファシリテーターといることが楽しいと感じさせることが
できる。
b) 信頼と楽しい雰囲気を作り、グループをリードしていくことができる。
c) こどもたちが表現することを聞き、理解することができる。
d) 注意を持続させる時間と遊びの時間のバランスをうまく維持できる。
2)選抜
ファシリテーターの選抜の基準は、
① 他人とのコミュニケーションをうまくとれること
② 人の話を聞けること
③ こどもが好きなこと
④ 騒音にも耐えられること
⑤ 柔軟性
⑥ コミュニケーションをとることを好むこと
⑦ 演技能力
⑧ スマイル、ユーモアのセンス
⑨ なんらかの資格
⑩ 20 歳以上
3)トレーニング
ファシリテーターのトレーニング方法は 3 つ段階に分かれる。
① 観察
他のファシリテーターについて回るトレーニング
② 実行
a) 監督と共に、グループを1つ受け持つ
他のファシリテーターやディレクターの監督のもと、1つのグループをリー
ドしてみる。フィードバックセッションを持ちながら行うことで、展示の中
での自分のスタイルを見つけていく。
b) 1人でグループを受け持つ
- 291 -
③ サービストレーニング
a) 他のファシリテーターの観察を続ける。
b) ミーティングに参加し、経験を共有し、ヒントを交換する。
c) 精神科医や教育の専門家が参加するミーティングに参加する。
d) 他のミュージアムを訪問する。
<現在の展示詳細>
1:Unknown Planet stopover
まったくの新しい環境に適応するために我々は何が必要か?
ここでは、こどもたちにミッション RPX3が与えられる。まだ知られていない惑星
を探索にいくミッションである。はじめにこどもたちは、その惑星で、安全に生活
できるために必要なアイテムを 5 つだけ選択できる。食べ物、テディベア−、サン
グラス、チョコレート、歯ブラシ、本、時計、写真、危険発見装置、薬・・・。こ
どもたちは、知らない惑星での生活を想像し、考える。
その後、スペースシャトルに乗って、惑星に向かう。その惑星はこどもたちにとっ
ても魅力的な遊びの空間となっている。ここでのミッションは、惑星の情報を地球
に持ち帰ることである。ここでこどもたちに課せられる課題は、2つある。一つは、
この惑星には生き物がいるかどうかを考え、もしいると思うならばその生き物の絵
を想像して書く、ということ。もう一つは、この惑星に住みたいか、という質問に
答え、その理由を書くこと。
スペースシャトル
スペースシャトルの前で
話し合うこどもたち
- 292 -
スペースシャトルに乗り込むこどもたち
未知の惑星で遊ぶこどもたち
2:Poland stopover
まったく違う文化での生活はどのようなものか?
ここにはポーランドに向かう電車が置いてある。こどもたちは、まったく知らない
国に、言語もまったく違う国に行くことを想像する。そこで何をするのか?学校に
行くのか?ショッピングをするのか?家に住むのか?ポーランドに住むこどもの名
前や、簡単なポーランドの言葉も同時に学ぶ。
この空間にはキッチンワークショップも用意されている。
ポーランドに向かう列車
- 293 -
キッチンワークショップのスペース
3:Evolution stopover
なぜ人は物を創りだすのか?
すばらしい科学者がタイムマシーンを発明したという想定の元、こどもたちは、現
代から過去にさかのぼっていく。
まず、1200B.C.に行き、北ヨーロッパの Ourg 民族と生活をする。昔の住居の中
に入り、昔の服を着、こどもたちは、火をつける方法等を学ぶ。
次に、8 つの時代を行き来し、食べ物が色々な地域から集まってきていること、昔は
今のように様々な種類の食べ物が手に入らなかったことを学ぶ。
- 294 -
また、水を得る手段を現在の水道ができるまで順に体験したり、writing の技術の進
展を学ぶ。そして最後に皆で未来がどのようになるのかを想像する。
フューチャーワークショップ
4:Nature stopover
自然は回りの物に適応できるのか?
ここでこどもたちはプロの自然科学者の称号を与えられ、様々なミッションをこな
すことを命じられる。
1)公園の改善プロジェクト
当館の目の前に広がる公園をどのように改善していけばよいかを検討する。
(ネ
イチャーワークショップ)まず、公園の中を歩き回り、その後模型を使って、
こどもたちは新たな公園のデザインを考えていく。
2)動物の適応性の研究
動物がどのようにまわりの環境に適応していくかを研究する。
3)公園に捨てられたごみの調査
一日に捨てられるごみの種類、またそれが 1 日後、1 ヵ月後、1 年後どのように
なっているかを調査する。
- 295 -
5:Growth stopover
自分が変わった後、何が起こるのか?
ストーリー作り
予め用意されたストーリーカードをこどもたちに選ばさせて、自分たちで一つの
物語を作っていくワークショップ
こどもたちは各11セクションの一つのセクションを受け持つ。
ストーリーカードは本の形をしたストーリーボードに収められる。
6:Family stopover
家族が変化する状況でどのように生活しているのか?
プレイワークショップ
7:Magic Forest stopover
誰が問題を解決しようとしている物語のヒーローを助けられるか?
こどもたちは、魔女に、おとぎ話の世界に入るために、想像的な物語を作ることを
命じられる。
- 296 -
劇場ワークショップ
こどもたちが自分たちでストーリーから役まで作り、みんなで考えをシェアする。
即興ワークショップでもある。
- 297 -
KIT Kindermuseum
1.KIT こども博物館の歴史
アムステルダムのこども博物館は、KIT Tropenmuseum of
the Royal Tropical Institute(KIT)の一部の民族博物館であり、
個人及び学校の 6 歳から 12 歳のこどもために 1975 年に設立
された。当館の目的は、こどもたちが、他の文化を体験し、
理解すること、そして、彼らが 違い というものを理解す
ることにある。そして、当館は、多様性に関わらず、すべて
の人に同じ機会を与えることを最終目標としている。
展示に置かれているコレクション(オブジェ、楽器、音楽、ダンス、ストーリーテリン
グ)はすべて、こども博物館のために特別の集められたものである。
しかし、これらコレクションにはディスプレイケースも、柵も説明の札もない。3 人のス
タッフと最大 45 人のこどもが、1.5 時間のプログラムの間に、すべてのコレクションを実
際に手にとって使うことができる。このようにこどもたちは、プログラムに積極的に参加
する。ハンズオンの経験は、KIT こども博物館の学びの方法である。スタッフは、できる限
りアムステルダムの文化に詳しい人の中からリクルーティングする。
2.KIT こども博物館のメソッド
KIT こども博物館は、文化に焦点を置いた展示を行っている。ストーリーテリングや歌、
ダンス、アートを含めた言い伝えを、インタラクティブメディアを使って西洋の劇や技術
と融合している。ミュージシャン、ダンサー、アクター(主に、その文化の国から来た人)
が、プログラムを作成し、こどもたちを展示の世界に引き込む。訪問=体験となる。KIT が
民族ミュージアムであるため、KIT こども博物館でも、民族に焦点を当てた展示を行ってい
る。そのためには従来の伝統品の展示だけでは不十分である。熟知し、トレーニングされ
たスタッフと共に、プログラムに参加することではじめて展示が生きてくる。KIT こどもミ
ュージアムは本物をコピーするのではなく、本物を使うように努める。KIT こどもミュージ
アムは、一般的にこどもにとって重要だと思われるテーマだけを選んでいるわけではない。
本来こどもは生活そのものに最も興味を持っている。このようなアプローチをとることで、
こどもたちは、自分たちが真剣に扱われていることを感じ取る。また、KIT こどもミュージ
アムはこどもの世界を事前に予測しようとはしない。こども向けに作られたものではなく、
本物のストーリー、アート工芸品を使ってプログラムを進める中で、だんだんとこどもの
世界を分かろうとしていく。誰にでも、6−12 歳のこどもにとっても理解しやすいような構
成になっている。KIT こどもミュージアムは社会的な立場に関係なくすべてのこどもたちが
平等に、ミュージアムを訪問し、楽しみ、興奮を見出してくれることをのぞむ。
- 298 -
3.KIT こども博物館と KIT
KIT こども博物館は民族博物館であり、KIT の一部である。当館は、熱帯や亜熱帯地方の
民族のコレクションを展示することに焦点を置いている。また展示(教育教材や、訪問者
向けガイダンス等を含む)は、その民族の文化を伝える。
4.展示
Mysteries of Palace:アフリカ:ガーナの Ashanti の宮殿
に関する展示(2000−2003)
2000 年に、KIT こども博物館は、ボリビアのアンデス
原住民に関する”Indianen van het Hoge Land”という展示を
成功のうちに閉じた。その展示では毎年 30000 以上が訪れ
た。そして、
当館は、2000 年12 月より、”Mysteries of Palace”
と呼ばれる新しい展示をスタートした。これはガーナの
Ashanti の宮殿、Ashanti の文化を学ぶための展示である。当館は、この展示のために、アフ
リカの宮殿のように改造された。レセプションルーム、宝物室、ヒミツの部屋、中庭、王
様のクローゼット、ドラムセットのおいてあるドラムの部屋。その宮殿には、Ashanti の宮
殿の様々なコレクションが置いてある。宝石、絵、王様の服、ドラム・・・。スタッフの
ガイドのもと、6−12 歳のこどもたちは、この展示に積極的に入り込む。こどもたちは、王
様のように歌い、踊り、ストーリーを語り、宮殿での生活やヒミツを発見していく。
(1)ただの展示を超えたもの
KIT ミュージアムのスタッフが、Ashanti の宮殿で、コレクションを集めてきた。コレ
クションはガーナにおけるオブジェだけではなく、ストーリーやドラムメッセージ、歌、
ダンス、表現、映像などすべてのものに及ぶ。レサーチやインタビューなども行い、KIT
は、単なる Mysteries of Palace の展示だけではなく、展示の中で行われるプログラムや、
カタログ、ウェブサイト(www.anasiweb.nl)、先生向けハンドブック、CDROM、ビデオ、
アフリカダンスの衣装も作成した。
(2)KOFI A ROYAL CHILD
すべての展示において、
こどもたち用のカタログブックが作成される。
今回の本は KOFI
A ROYAL CHILD。この本は展示 Mysteries of Palace に従い、たくさんの Ashanti の宮殿の
ストーリーや歌、ドラムメッセージ、絵が掲載されている。
- 299 -
(3)イノベーション
KIT ミュージアムは常に革新的方法を探しつづけている。例えば、新しい展示では、こ
どもむけの特別ウェブサイト www.anansiweb.nl も作成した。Mysteries of Palace を訪れた
こどもは、自分自身の表現を使って自分のウェブ展示を作成できるように、ウェブへの
アクセスコードが与えられる。もう 1 つの例は、”fontomfromfanfare”ラップである。これ
は、ガーナのポエムと伝統的な音楽に沿って、オランダで有名なラッパーDefP.によって
作成されたラップである。展示と、ガーナの現在の日常生活をよりリアルに結びつける
ために、ガーナのモダン映像やコレクションを多用して、ラップのサポートビデオも作
成した。
(4)国際性
KIT ミュージアムは、展示のアイディア開発において、国際的な役割を果たしている。
KIT Tropenmuseum は、現在、KIT こども博物館のメソッドをガイドラインとして推進し
ながら、Honduras のラーニングセンター設立のコンサルタントをしている。さらに、KIT
こども博物館は、インドネシアのこども博物館、コペンハーゲンのナショナルミュージ
アムと、過去の展示(アンデス文化)を引き継ぐ可能性に関して話し合っている。また
スペインからも関心を寄せられている。KIT ミュージアムには世界中から常に訪問者があ
り、国内海外のミュージアムスタッフに講義を行っている。KIT こども博物館は、Hands on
Europe の創設メンバーであり、また運営メンバーでもある。
- 300 -
5.次回展示
PARADIJS&Co. :イランの展示
次回は、現代のイランの豊かさと多様性を 6−12 歳のこどもに伝えるための展示を予定
している。この年代のこどもは、まだイランに対するイメージを確立してはいないが、テ
レビでみるイランのイメージは、政治的、宗教的サイドのものだけである。オランダ社会
におけるイスラムの広がりと、最近の進歩は、現代の実際のイラン文化をこどもたちに見
せる必要性を示している。
- 301 -
HANDS ON! EUROPE
Association of Children’s Museums
1.歴史
1993 年にベルリンで、はじめてのヨーロッパミュージアム国際会議が開催された。その
ときから、ヨーロッパのこども博物館のニーズや関心事項を共有するための、ヨーロッパ
組織を設立することに関心が集まった。そのヨーロッパネットワークのアウトラインは、
ベルリンで作成された。1996 年、アムステルダム・ロッテルダムでのハンズオン会議に続
いて、公式な組織を設立するための、非公式な特別委員会が作成された。
Hands On! Europe- Association of Children’s Museums が 1998 年 3 月に設立。この設立に当
たっては、Margarida de Lancastre, Fred Wartna, Kathleen Lippens, Claudia Haas and Sanette
Naeye の 5 人が大きく貢献した。彼らは、下記の設立基金寄附組織の各々の代表である。
-
Museu das Crianças (リスボン、ポルトガル)
-
Enchanted Worlds (ロッテルダム、 オランダ)
-
Musée des Enfants / Het こども博物館(ブリュッセル、ベルギー)
-
Zoom こども博物館 (ウィーン、オーストリア)
-
Het こども博物館(アムステルダム、オランダ)
Hands On! Europe- Association of Children’s Museums は、国際的な非営利なプロフェッショ
ナルな組織として設立された。仮本部は、リスボンの Museu das Crianças に置かれている。
2.ミッション
Hands On! Europe のミッションは、ヨーロッパにあるこども博物館で行われている開発や
運営をサポートし、コーディネートすることである。
主たる目的は、
・ こども博物館間での展示や、運営方法の共有化を推進すること
・ ヨーロッパでのこども博物館の設立、企画、開発等の情報を共有し、議論をする場を提
供すること
にある。
この組織での定期会議は各ミュージアムでのイベントと位置付けられ、こども博物館やこ
の分野の専門家との間の情報共有を促進するために開催される。また、毎年、ニュースレ
ターがすべてのメンバーに送られる。
- 302 -
3.ボードメンバー
代表:Margarida de Lancastre(Museu das Crianças )
副代表:Sabina Cantarelli(Muba – Museo del Bambini)
事務局:Kathleen Lippens(Musée des Enfants – Het Kindermuseum)
会計:Leigh-Anne Stradeski(EUREKA – Halifax, West Yorkshire)
Peter Eatherley(Children’s Discovery Centre)
4.メンバーシップ
Hands On! Europe は3タイプのメンバーシップ制度をとっている。
1)個人会員
非営利でこどもやユース向けの展示の開発や、ミュージアムに関連する活動を行って
いる個人、または、こども博物館や同じような非営利の組織で働いている個人の会員。
年会費:70 ユーロ
2)組織会員
こどもやユース向けに、展示やミュージアムに関連した活動を行っているこども博物
館または非営利団体の会員。
年会費:120 ユーロ
3)企業会員
Hands On! Europe の発展をサポートすることを望む企業や、その他営利目的でこどもや
ユース向けの展示やミュージアム関連活動を行っている団体。
年会費:500 ユーロ
5.メンバーの特典
すべてのメンバーは
・ Hands On! Europe が発行する年に一度のニュースレター(e-mail)とメンバーのミュー
ジアムリストが手に入る。
・ Hands On! Europe のカンファレンスへ特別料金で参加できる
・ Hands On! Europe の発行したものを特別料金で購入できる
組織会員向けの追加特典
・ 一般集会における投票権が与えられる
・ 展示の販売、レンタル、その他サービスの情報が無料で手に入る
・ 職員募集等の情報が無料で手に入る
・ 新しい展示のオープニング情報や、他のプログラム情報がニュースレターとして手に入
る
・ Hands On! Europe のウェブにメンバーとして名前が載り、プロフィールが紹介されると
- 303 -
同時に、ホームページにリンクが張られる。
企業会員向けの追加特典
・ Hands On! Europe のウェブにメンバーとして名前が載り、プロフィールが紹介されると
同時に、ホームページにリンクが張られる
・ 1 ヶ月間無料で企業で取り組んでいるこども博物館のアナウンスサービスを Hands On!
Europe のウェブの 1 ページを使って紹介できる(最大 100kb)
・ ウェブサイトやニュースレターの促進サービスが割引で受けられる
- 304 -
Museo del Nino, Albacete
URL: http://www.ucm.es/info/mupai/
Museo del Nino, Albacete
大学とこども博物
館が連携していて、大学構内にて小学校のクラ
スを呼んでアートワークショップを開催してい
た。しかし、予算の関係上こども博物館が去年
休館となり、現在大学側がこどもの作品をすべ
てデータベース化し、ウェブに掲載する作業を
行っている。今現在システムを構築している段階だが、データベースでは検索機能を充実
させる。例えば、キーワード「ピカチュウ」と入力するとピカチュウに関するこどもの作
品がすべてデータとして個別に見れるシステムになっている。その他に年齢層検索、作品
ジャンル検索などがある。
大学のアート学部全体が作品をデータベースに取り入れる作業が行われている。理由と
して作品の置き場所の問題とデジタルで誰もが見れる環境を整えることを目標としている。
また、小学校から次々と作品がダンボールで送られてくる。こどもたちが自分たちの作
品をウェブ上で見られるようにすべての作品をデータベースに取り入れているが、一日一
人の研究員が行っているので、すべて終了目標は 2,3 年後予定となる。その間ウェブ上に
データベースを掲載するかは未定。
写真:左下
ダンボールに入った作品
- 305 -
写真左下:昨年、大学のホールを借り切ってこどもたち作品の展示会及びアートワークシ
ョップを開催した。
現在データベースに取り込んでいるものは絵がメインであって、オブジェなどはどのよう
にウェブ上で見せていくのかが課題である。
- 306 -
PAPALOTE Children’s Museum
1.一般情報
住所:Av. Constitutenes 268. Mexico CF.11830
電話:05-237-1704
FAX:05-273-0774
E-mail: [email protected]
URL:http://www.papalote.org.mx
開館年:1993
対象年齢:0−18 歳
運営形態:理事会運営の非営利団体
入館料の有無:有料
設立経緯・沿革史:
当館は、こどもの教育と福祉に強い関心を持っていたセシリア・オセリ・デ・セリナス
夫人が、メキシコではじめてのこども博物館の設置を求めた呼びかけに応じた、多くの民
間人と政財界の協力によって誕生した。1990 年に 16 名の若い企業家による運営理事会が設
置され、建設のための 2500 万ドルが、個人、企業、政府機関等から集められた。また、用
地はメキシコ市より無償で提供された。
建物はメキシコを代表する建築家リカルド・レゴッタによって設計され、○・△・□の
形をした3つの棟によって構成されたユニークなデザインをしている。屋外にも 6.632m2
の屋外展示スペースが設けられており、こどもの鑑賞を目的とした彫刻が置かれ、またレ
クリエーション活動の場としての機能も果たしている。
2.設立の主旨・目的
当館では、欧米の著名な教育学者であるジョ
ン・デューイ、マリア・モンテッソーリとジャ
ン・ピアジェの児童教育理論を館の基礎的な考
え方にしている。
これらの先達の理論である、
「ある物を理解す
るには、それにさわることである」、「探すとい
ことは、学ぶことを学習することだ」
、
「実験は、
こどもの教育の中に含まれていなくてはならない」、「こどもの自主性は奨励されなければ
ならない」、「遊びはこどもの環境に現実味を加えることにより、学習に直結せねばならな
い」、
「遊びはこどもの環境に現実味を加えることにより、学習に直結せねばならない」、
「お
もちゃはこどもの発達過程において、最も重要な役割をはたす」を活動の原理にしている。
これらは、インタラクティブな展示と、理解の手助けとなる展示解説員、ガイドまたは
- 307 -
ファシリテイターが、必要不可欠な条件となって、初めて活かされると考えている。とり
わけ、当館ではファシリテイターの役割を重視し、「キュエート」(先住民族のナファトル
族が使う「友だち」の意)と呼ばれるガイドが、インタラクティブな展示とそれを使う利
用者の間の橋渡しの役割を持ち、利用者の質問に応えるなどのコンタクトを通じて、学習
の理解を助けている。
3.博物館情報
建築延床面積:23,939m2
屋内展示面積:10,197m2
年間運営費:5,152,625US$
年間入館者数:1,404,203 人
年間入館者に占めるこどもの割合:57%
総職員内の常勤務職員数:143 人
総職員内の嘱託・非常勤職員数:285 人
総職員内のキュレータ総数:0 人
ボランティア数:0 人
ボランティア活動の内容:
こども評議会等の設置:なし
4.収蔵品・展示内容等
コレクションは、展示品の中心に約 400 点あり、いずれも、こどもに対して「プリーズ・
タッチ」という方針をとっている。デザイナー、電気技師、塗装工、設計士などで構成さ
れる専門チームが常時メンテナンスを行っている。
常設展示は、開館当時から5つのテーマで構成されている。「人間の体」では、人体模型
の組み立てや動物の心臓を解剖する実演が行われ、体の仕組みや機能を学ぶ。「コミュニケ
ーション」では、テレビ電話や地球のジオラマを
通して情報交換の大切さや方法を学ぶ。「世界」
では、実物大の熱帯雨林の樹木や動物の模型や機
織りを通して、世界各国の風土や文化を学ぶ。
「科
学」では、巨大な歯車やシャボン玉、体重が分散
されて痛さを感じない鉄釘のベッドなどで、科学
の実験を楽しく行うことができる。「芸術体験」
では、色彩や構成の感覚を身に付け、さまざまな
素材を使って工作を行うことができる。またメキ
シコの5つの生態系が再現された自然資源の多様性についての展示、インターネットの体
験ができる展示室、大型特殊映像ホールも加えられた。いずれの展示も、展示品は更新さ
- 308 -
れ、関連したワークショップも実施されている。
企画展は、常設展示でカバーしきれない科学、環境、伝統文化、経済などの領域のテー
マで開催している。例えば、経済に関する「物物交換から小切手まで」展は、大型の紙幣
や貨幣を使って為替の仕組みを理解できるように工夫されたものである。
5.教育普及活動
展示室には、目立つ緑色の上着を着たガイド
が待機して、こどもに解説や案内を行っている。
ガイドは 18−22 歳の学生で、来館者と展示を結
びつける役割が期待されている。
展示品は、専門家チームによる研究、政策、
メンテナンスによって質の高さを保っている。
展示の内容は、教育担当スタッフが定期的に学
習到達度評価を行っている。
展示に関連して、凧、手帳作りや色彩感覚のワークショップ、ゲーム、科学実験などを
行っている。また、定期的にあやつり人形のパフォーマンスを行っている。障害者や低所
得者層を対象としたアウトリサーチ・プログラムも積極的に行っている。個人や企業の寄
附を募る来館プログラムは、幼稚園、小学校、特殊学校の生徒を毎月 12000 人を無料で招
待するものである。ホームレスのこどもを対象にしたプログラムでは、数ヶ月で 4000 人が
来館した。
地方や少数民族を対象とした移動博物館も行っている。約 70 点の展示品を運び、さらに
地域ごとの栄養、衛生についての展示を加えて 3 ヶ月程度開催している。関連した講座や
ワークショップも実施され、1 日あたり 1000 人ほどが訪れる。1996 年のメキシコ州を皮切
りに、全国を巡回している。巡回先では現地の青年をガイドとして雇用している。
6.自主企画巡回展等
「あやつり人形:手のひらにいっぱいの魔法」展は、アメリカにも巡回している。人形
や舞台の技術を見せ、芸術として理解してもらう。
来館者は、実際に人形を作ったり、劇の演出や上
演もできる。約 1 世紀前の貴重なあやつり人形の
コレクションも公開されている。
メキシコ市から委託を受けて、メキシコ市の歴史
と文化を全国各地で紹介する巡回展も開かれた。
巡回展記録(右写真)
:各都市の名前、こどもたち
からの手紙などが掲示されている。
- 309 -
7.特別イベント
家族で楽しめるイベントが用意されている。世界環境の日やメキシコ科学週間では、関
連したワークショップを実施している。
8.賛助組織・友の会
寄附を常時歓迎し、館の運営費調達の主要な手段としている。約 360 の企業や個人支援
者、公共団体から援助資金、物資の寄附を受けている。
9.ミュージアム・ショップの商品構成
図書、ビデオ、おみやげ品、教育玩具、メキシコの伝統的なおもちゃなどを揃えている。
10.出版物の内訳
年報、学校向け利用ガイド、教師用利用ガイド、ビデオ、アイマックス劇場のポスター
とチラシ
11.博物館展示物・ワークショップ
パパロテこども博物館入場口
開館時間は午前と午後に分かれて
入場者の入替を行う
入り口すぐにスポンサーの展示が並べられている。
パパロテ=蝶の周りにいろどられた板にスポンサー名が書かれている。
- 310 -
メキシコの伝統文化を伝えるエリア:
項目ごとにメキシコの文化を分けて展示している。
写真(右下)
:各乗り物について小さな模型を展示している。
写真(右下)は各地の文化を紙人形で展示している。
メキシコの伝統的なおもちゃや人形を展示
している。骸骨の人形もメキシコでは有名な昔
話の一つにある。
- 311 -
科学エリア:
科学のエリアでは色々な化学の実験などが行われている。
写真(左下)シャボン玉をつくる広場。様々な大きさのシャボン玉を作れる。
ファシリテーターはなぜシャボン玉ができるのかをこどもに伝える。
写真(右下)博物館内を巨大なレールを使ってボーリング玉が転がり、重心力を学べる。
写真(右下)また屋外でも化学実験を行っていて、
こどもたちは自由に化学実験に参加できる。
自然エリア:
メキシコの生き物、環境について考えるエリア。
メキシコを輪切りにした展示物や各環境(砂漠、海、熱帯林など)に
住む動物の展示がある。
- 312 -
写真(右下)実際に卵から雛を返す展示。毎日違う種類の雛が孵る。
博物館中央に立てられた大樹。木を通してそこに住む動物や虫、植物などを観察する。
ここでは蟻の動きをライブカメラによって映し出している。
こどもたちは蟻の巣の状態や女王蟻の動きなど
色々な視点から観察できるようになっている。
- 313 -
コミュニケーションエリア:
様々なコミュニケーションのとり方を教える。
ここでインターネット、マルチメディアエリアと重なっている。
空気の圧縮をつかい手紙を送る展示物。
写真(左下)こどもは自由にインターネットを使用できる。
写真(右下)ダンス展示物:博物館内で通信バトルができるようになっている。
左は別のダンス展示物:自分のダンスと
同じダンスをコンピュータがする。
- 314 -
デザインワークショップ:こどもたちが自由に好きなモノをデザインする。
そのモノに自分の名前や写真を貼り付け値段をつけてサーバー上に置く。(写真左下)
また他人が作ったモノをプリントアウト(購入)などすることができる。
ラジオワークショップ:こどもたちが自分
たちの声を録音しナレーションなどを
つけていく。
写真(左下)マルチメディアの歴史を表示する電子板。
板を左右にスライドすると歴史が表示される。
写真(右下)光ファイバの説明。
写真下部にあるのが光ファイバでずらすと画面がみえなくなる展示物。
- 315 -
リサイクルエリア:
色々なものを再利用しながら一つの作品を創っていくワークショップ。
自由参加型
別の部屋では和紙作りワークショップが行われている。
ここでは和紙だけを作ってワークショップ完了。
- 316 -
幼児用エリア:
3〜5歳までのこどもを中心としたエリア。
人形劇からボール、積み木、ぬいぐるみなどアナログなものから
画面をつかったマッチングゲームなどが設置されている。
画面をつかったマッチングゲーム。
メキシコの地方文化について学ぶエリア:
地方に実際に住んでいる家を丸ごと博物館屋外へ移動してきた展示。
こどもたちはそれぞれの文化の違いを体験し他民族の考えを理解する。
- 317 -
また、ピラミッドもそのまま再現している。
ピラミッドでは宝堀ワークショップが開催される。
その他エリア:
屋外には乗り物展示があり、色々な乗り物に触ることができる。
また、砂場や滑り台などの遊び場も備えられている。
- 318 -
屋外で行われている紙ワークショップ:
写真(左下)は風車をデザインする。
写真(右下)は凧をデザインする。
- 319 -
IV. PPP 議事要旨
- 320 -
ポップカルチャー政策研究参考資料
(コンテンツ創造に関する調査・分析とネットワークを利用した 新しいワークショップ・
プログラムの開発へのフィードバック)
2002 年 10 月より、メーリングリスト上に本研究に関する研究委員会を開催し、アーティス
ト、研究者などによる議論を行っている。
毎月の議論の議事要旨をここで紹介する
目次
1
2002 年 10 月議事要旨
2
2002 年 11月議事要旨
3
2002 年 12月議事要旨
4
2002 年 1 月議事要旨
5
2002 年2月議事要旨
- 321 -
1
2002 年 10 月議事要旨
1)10 年後のゲーム
−「形態の多様性」
10 年前のアーケードゲーム機のような「機械的な表現」は減っていくのか、それとも、
ソフト開発が一段落つけば、奇抜なハードも再び出てくるのか。
2)ぼくのわたしの POP
ポップカルチャーの定義はあるのか。それぞれの「ポップカルチャー」について。
①「ポップカルチャー」「大衆文化」=「マス・カルチャー(文化)」
、「ポピュラーカルチャ
ー(文化)」の2つの語源を持つが、「ポップ」と略される場合には、あえて高級なものに
対比させて顕在化させるニュアンスがあり、それ自体の文化的な再帰性があるようなもの
を指している。
②「テクスチャ」と「クオリア」と「カルチャー」の関係。 ポップ=「質感」を重視しな
いもの。
3)ニッポンの音楽の国際競争力(プロデューサー不在論)
アニメやゲームは売れるのに、なぜ音楽はだめだったのか。
①自国の音楽産業が発達していない国以外でも、米・英以外はきちんと輸出できていない。
②外国でチャートインしていても、本当にその国で人気があるかはわからない。
③海外で通用するプロデューサーの不在が原因であり、その育成が課題である。また、人
材がいても後方支援としてのシステムが官民ともにできていない。人材育成、課税方法の
変更など。
④教育で培われないもの‑よいものを見分ける能力は、OJT が有効。
⑤日本のコンテンツ産業には映画のファンド化や完成保険のシステムの金融スキームが輸
入されていない。←信頼できるトラックレコードの不在、管理会計が行われていないなど
の理由。
⑥プロデューサーとして優秀でも英語、交渉力不足。
⑦「プロデューサー」の認識についての指摘‑単なる個人のプロデューサではなく、米国に
おけるインディペンデント・プロデューサーを考えるにあたっては、プロダクションカン
パニーがどのような実務を行っているのか、なぜ日本ではそのような実務を行える独立系
の会社がないのか、という視点が重要。また、業界によってもプロデューサーの役割はま
ったく異なり、夫々分けて考えるべきである。
4)メディアの国際化(文化的影響力)
日本のコンテンツ関連の輸出量は伸び続けているにも関わらず日本の文化的な影響力が
弱い。それは、欧米のメディアコングマリッドに比較すると日本のメディア(コンテンツ
産業)は、極めて規模も小さく、国際影響力も少ないことと関連しているのではないか。
- 322 -
①ポップカルチャーの国際競争力とは、データとして示すことができるか。その数値を産
業競争力を指標として捉え、日本のポップカルチャーが海外に与える総合的な影響(たと
えば日本観のようなもの)との相関を考えたい。
②売り上げや、それに関わる産業の収益と、作者や開発者へのリスぺクトやキャラクター
市場での差別性や優位性、それを受容するリージョナルな文化や社会に与える影響などは、
ストレートには相関していない。
③日本のメディアは国際ビジネスを考えない半面、国土と人口の割に発達した日本のマス
メディアに対し、米国のマスメディアはコンテンツの流用や配信に関するノウハウが早め
に作られていた。
④経済的な影響と文化的な影響の強度や伝播力の関係‑経済合理的な現象と、文化の受容に
よる現象が、見た目的には同じに見えることもある。
⑤「エスニック」‑受容する側の、自分との異質性
アジアにおける日本文化の普及(国内産業の成熟のスピンオフ?)‑グローバリゼーション
と技術移転が進むなか、日本のコンテンツ制作における今後の立場はどうなるか。
5)ポップカルチャー/安全保障?
メディア文化の実質的な中心である米国文化が、はたして安全保障として機能している
かどうかをふくめ、ポップカルチャーを安全保障として捉えることはできるか。
①アニメもマンガも作家や制作会社が頑張っているからなんとかなっている。これがすぐ
に世界産業になるとか、
「文化=安全保障」的な有効性を持ちうるかは難しい。
6)日本文化とハリウッド
明治以降「脱亜入欧プラス伝統文化」から変化しない日本の文化政策や、「日本文化の優
越性」のニュアンスを持って、アジアをふくめた非欧米地域の問題が語られることが多い
が、それは日本文化を受容する側にとっては妥当しないのではないか。
①ゲーム、アニメ、マンガに共通するのは、生身の日本人が出ておらず、主人公は白人に
見える。ハリウッドのつくったイメージというのは予想以上に強いのではないか?
②国際展開をイメージする映像作品を作ろうとした場合、登場人物の人種的バランスや宗
教、文化を特定しないようにするのは当然の作業である。
③アメリカ人にとっての日本人観は確実に変化している。→新しいゲームやアニメは日本
から来るということが常識。
④「文化的無臭」「無国籍」な日本のアニメやゲームソフト高尚な文化ではなくて、「柔軟
文化」つまりポップカルチャーとして世界に浸透した。
⑤日本人の「得意分野」の(「写実」の対立概念としての)
「意匠化」
⑥国際的に評価された作品でも、制作者にグローバルスタンダードの意識はあっただろう
か。日本的だからうけるというわけでもないし、日本性にこだわる必要もない。
- 323 -
7)イシューのセット力
なぜ日本のメディアの国際的なイシューセッティング力は弱いのか?
①アジア域内ではどうなのか?一般にアジアでは、自覚的エリート階層はすばらしくアメ
リカ・リスペクトで、自覚的中産階級はなぜか日本大好きという構造。日本は 19 世紀的欧
米文化(文明?)の東アジアへの翻訳者ではないか。
②東南アジア日本を圏外化してのメディアのグロバーライゼーションの波。
③アジア、中近東ふくめて、世界中で影響力が高いと思える日本のメディアはNHK‑情報
チャネルの選択法に関する地殻変動?(2 ちゃんねる)
④ジャーナリストの留学先
−日本のジャーナリズムの閉鎖性と対照的なアメリカシステ
ムの中心性。
⑤日本の業界にメディアの仕事を専門性ととらえる視点がなく、スキルを学ぶところがな
い。
8)フランスモデル
輸入品でも現代文化としてバックアップしてしまうという態度やハイソな文化志向であ
りながら、割と現代文化をコアに考える態度の背景は?
①パトロネージの伝統
→国民の文化的囲い込み、米国文化への抵抗。
②国家行政(放送法など)はでき上がった芸術分野を維持するには有効であっても、ポッ
プな分野を産み育てるには逆効果?抑圧した方が表現が出てくるのでは。
③自発的な動きを、制限したり、安易なかたちで取り込んだりせずにどのように支援する
のかが重要。
9)日本アニメの基礎体力
日本のアニメの60%はマンガが原作、視聴率のTOP15の内12,13はマンガ原
作。日本のアニメの基礎体力はマンガにある。
①アニメのみならず、ゲームや美術(あるいは音楽)でさえもかなりマンガの影響下では?
②アニメ業界にはそういう意識は少ない。映画=アニメ、という系列と、マンガ=テレビ
アニメという系列。 (よりオリジナリティの高い方を重視するという嗜好?)
③コミック=ローコスト、インセンティブの存在(アニメと違い)、スピーディ、コンペティ
ティブ。日本が誇るエンターテイメント文化である。しかし、コクリエイティブと営業的
センスを持ち合わせている作家は少ない。
④コンテンツは、文学から映画(アニメ)、ゲームなど表現方法によってコストがまったく
違うが、マンガは両者をつなぐとてもバランスのよい位置にある。
- 324 -
10)模倣と創造
「アニメやコミックと並んでゲームは世界に誇れる日本の産業である、」。これは一理あ
る論理だが、コンピュータ、テレビゲーム、ゲームのシステムはアメリカ生まれ。日本は
あまりオリジンを生んでいない。そして危機的な現状を抱えるゲーム産業はほんとうに「世
界に誇れる」か?
①ゲーム開発の世界の危機(国内市場の縮小、開発費高騰、採算性)
。
②ゲームクリエイターの廃業 ‑何を作ればいいか、ゲームとは何かという根本がわからな
くなっている。
③現代日本の表現分野は一般的に技術輸入・改良と いう傾向なのか。
④模倣と創造、輸入とオリジナル、のようなフレームワークそのものが日本的。
⑤むしろ、模倣と創造とを分離したいという、この分析の枠組みの裏に隠された欲求が問
題。
⑥起源論的な分析は、その結果、「オリジナリティ至上主義」を採用すれば、その分析結果
は特定の文化の否定とか、賞賛に使われやすい。
⑦複合文化論‑文化アイデンティティの「実体」ではなく「関係」を問題に。
⑧日本のオリジナリティということにあまりにも捉われると問題が見えなくなる。
(←オリ
ジナル=基本的にフィクションで、ハイブリッドが起源に先行しているという CS の立場)
⑨政策に取り込まれるときの違和感‑産業政策上の問題以前に、文化の受容性の問題。
⑩国はゲームに対しある側面では地位を著しく低く見ている、体系的ではなく一貫性がな
い(中古ゲーム問題など)
⑪送り手/受け手の間の「場」
音楽なら「シーン」、ポップカルチャーのシームレスな回
路。
⑫政策の、「ポップカルチャーだけを輸出する考え方」には戦術的な無理。特定のジャンル
に国の資源たくさん投入するよりは、わかりやすい目的と公平で具体的な支援を。
11)変な流行
Japanese Hip Hop。歌詞、服、動き、同じだと安心?カバー曲の流行。日本の大衆音楽
はもう飽和状態を通り越している?
①新しいことのリスクを回避しているのでは。また、一定の枠の中で個性を競いあうのが
流行。
12)ミュージアム・アーカイブ
アートやミュージアム(フローのものをストックにして財を生むための経済システム)
といったとたん、欧米がオリジナルのある種の機構にとりこまれ、PPPが意図している
日本を含めた文化の多様性を保持した新しい枠組みは形成できないのではないか。新しい
枠組みでないと、ポップカルチャーや、「大衆文化」というものをうまく評価できないので
- 325 -
はないか。
①博物館、美術館ふくめた実際のミュージアムに加え、デジタル関係では「デジタルアー
カイブ」があるが、将来の研究などをサポートする意味でも、国などが取り組むべき課題
だが、文化振興や産業育成にはほとんどならない。
②ミュージアム、アーカイブ構想の悪循環。
③日本という国が文化的なイニシアチブを得ようというのであれば、いっそ、アートだけ
じゃなくて、経済効果のあるエンターテイメントを学問にしてしまうようなラジカルな試
みをすべき。
④産業(エンタテイメント)と文化(ポップ)への視点を分離。
⑤誰でも理解できるようなポップ系の文化プロダクツ(根付、春画など)を文化とは認め
なてこなかった風土が産業風土と政策にも影響を与え続け、ポップカルチャーの産業的背
景と同じくらい強い社会的文化的な拘束性を持っているのではないか。
- 326 -
2
2002 年 11月議事要旨
1)ぼくのわたしの POP(再)
それぞれの「POP」の語感、解釈について
①「ポップ」の「かわいい」「キッチュ」「ファンシー」というイメージ。西洋起源の観念
が日本に来るとキッチュに転じる(もの派)、
「萌え」「かわいさ」「危なさ」「エッチ度」
ポップアート、ポップミュージックというニュアンスと、和製ポップス、J−POPのベ
クトルの違い。
②ポップカルチャー=はすっぱなイメージという意見もあるが、「コンテンツ産業研究」に
してしまうとクリエイティビティに関する一番重要な議論が欠落。
③「ポップカルチャー」と総称することへの疑問。
④なにかはじけたものをイメージ。
③ポップカルチャーというニュアンスと、ポップという言葉との間の距離。ポップという
緩やかな形容詞の切り口は、ポップカルチャーという構えた分類よりも、いまの日本を解
釈する道具として有用なのではないか。
④茶気とか、茶目気(岡倉天心「茶の本」)。
⑤「Pop」が持つ「反逆性」‑「正統ではない」という意味、ゆえに「正統ではない」こと
こそが重要。
2)起業家精神
ポップカルチャー産業におけるベンチャー企業やアントレプレナーの果たす役割と、
地域との関係、なぜ日本の新ポップカルチャー産業はベンチャーオリエンテッドなのか?
①日本のポップカルチャーはコミケのおかげ ‑ゲームもアニメも労働集約産業であり、参
入に多額の資本が必要ない。企業体でなく、個人や同人がつくったものでもきちんと流通
するというコミケの影響が実は大きいのではないか。
②90 年代の PC ダウンサイジングとネット化によってプロ/アマの境界(情報の生産・流通
装置を持てるか)が崩れ、表現分野への参入が容易になった反面、コンテンツ制作が大規
模化して、それが入り口を狭めている。
③アニメはまだほとんどが手作業。全作業を日本でやっていくのは予算的に難しく、国内/
海外の分業制になっていくのではないか。
④アニメーション、表現のデジタル化、そのメリット(ソフトウエア、新海誠「ほしのこ
え」)。
⑤アニメーション産業の集積の理由(手作業の工程)。
3)ポップカルチャーの国際競争力
「産業力」が弱い分野では、プロデュース力がないのか、コンテンツの国際性に問題が
- 327 -
あったのか?
①ゲームは大幅な輸出超過だけど、映画も放送も音楽も大幅な入超。その差はどこにある
か?ゲームやアニメに競争力があると言っても、産業規模が数千億円。ハリウッドのメデ
ィア企業群の足下に及ばない。日本はニッチでしかあり得ないのか?
4)製造業より娯楽産業で日本はアジアで発展できる
①インディーズの回路の復活の兆し‑コンテント産業の「才能を発揮し育てるシステム」に
閉塞感がある証拠。
②漫画誌というシステムの老化‑インディーズ市場とメジャー市場の相補関係。
③コミケがどんな流れで出来たか考えると、マンガの(保守?)本流ではなくて傍流から
のような気もする。編集者たちの功績。
4)ドラゴンファンタジー
ゲームソフト大手のスクウェアと、「ドラゴンクエスト」のエニックスが、 来年4月に
合併。
①開発費用が「大規模化」する中での基盤強化。ゲーム業界はもはや「ベンチャー」のテ
リトリーではないのか。ゲームの進化の道か。
②気軽にゲームを作ろうという雰囲気もはやないが、ネットワークの世界にはまだベンチ
ャーが成立すると思う。
③ゲームはマスプロダクションになるとその面白さが減るのではないか、裾野を狭めてし
まうのではないか? (大規模化‑映画の例)
- 328 -
3
2002 年 12月議事要旨
1)政府のポップカルチャー育成策
文化芸術審議会答申を筆頭に、政府が行うポップカルチャーに関わる育成策がいくつか
あるが、それは是か非か。
①文化審議会が、マンガ・アニメ等ポップカルチャー分野の振興を促すと同時に、伝統芸
能の継承や文化財保護の必要性を訴えていることは、日本的な文化・芸術理解の構図。
②上記のように、文化をポップカルチャー、伝統芸能、文化財というような単純な図式を
超えない限り、文化振興の下手さも、根深い文化後進国意識も解消できない。
③補助金を流すような支援政策に長期的な効果はあるか。競争力を削ぐのではないか。(日
本の文化政策はお金の使い方が下手)
④直接的な支援以外の他の方法の方が場合によっては、ローコストでメリットが多いので
は?
【参考 URL】
http://www.bunka.go.jp/frame.asp?fl=list&id=1000000025&clc=1000000001
http://wwwwp.mext.go.jp/
2)マンガ
マンガが溢れる国。国民全員がポップ訓練を組んでいる国が日本。そのオーディエス層
の厚みが国際競争力の源では?
①電車の中でサラリーマンがマンガを読む光景、ヌードが載っている週刊誌は外国の方に
は理解しづらいらしい。
②少年期からのマンガ漬けは刷り込みとして成功。
③趣味や嗜好の多様化のせいで、商業エンターテイメント業界は消極的になり、メガヒッ
トが生まれづらくなっている。ex)J ポップ
④上記は、J ポップのジャンルが成熟した証拠ではないか。その結果として新しさは創出し
にくくなっている。
⑤表現が成熟・閉塞した時には別のメソッドやスタイルや技術が必要。しかし、表現・発
言側のプロセスと需要・消費側のプロセスは単純に相関していない。
⑥コンテクストを理解するための訓練、前提的な了解事項などの過去の作品の知識を必要
とするのは、ファインカルチャーもポップカルチャーも同じ。
⑦ゲームの世界では、初心者向けゲームをつくることがメガヒットの秘訣。
⑧今必要なのは、「現在進行形の文化と多様性を評価しよう」的反省。
⑨日本ではマンガが文章と同じレベルで表現手法として浸透しているところが文化。
- 329 -
3)AOL、タイム・ワーナーとの連携強化
コンテンツからみると出口が少なくなるのはマイナスではないか。
①コンテンツからインフラまでの収穫逓増的な垂直統合なら政府規制もあり、国際市場を
考えても、出口が少なくなる。
②金融不安以降のマクロ経済学的な考え方では、出口は少なくならない。
③チャンネル側の流用効果、ブランド性、ヒットコンテンツの生産能力などが見直されて、
メディアの大規模化が進んでいる。
④日本では水平分理論などがあるが、それだけれでは、日本のメディア産業は戦えないの
ではないか?
【参考 URL】
http://www.mediachannel.org/ownership/
http://www.cjr.org/owners/index.asp
4)千と千尋は成功したか
アメリカにおいて、千と千尋は芸術点は高かったが、ビジネスの側面では失敗したので
は?
①アメリカで評論家の評価はそろって高いことから、限定公開しかしなかった配給会社を
批判する声が高まっている。
②あの高度な作品がタイタニックを抜く興行記録を打ち立てているオーディエンス層の厚
さ高さに日本のカギがあるのではないか?
③この種のコンテンツセールスにおいて、文化拘束はどう考えるべきか?ex)宮崎作品はも
ののけ以降、舞台が日本。
④千と千尋が拡大公開できなかったのは、前作の「もののけ姫」の不評と、日本サイドが
英語版作成時に内容変更をほとんど認めなかったことが理由。
⑤千と千尋は日本では優秀だったが、海外で大衆の心をつかむまでにはいっていなかった。
⑥作品の善し悪しは、その時代の大衆が決めればよい。
【参考 URL】
http://b2o.nikkei.co.jp/contents/news10/evening/20021205e3mi00j505.cfm
http://www.eiga.com/buzz/021029/02.shtml
5)こどもたちがコンテンツを生む
「インフラの整備は進んでも、コンテンツをどうするか。ずっと以前からそんな指摘が
繰り返されている。だが、気が付いた。コンテンツは地域が、みんなが生む。次を担う世
代が生んでいく。そのための環境を整えていきたい。」
http://it.nikkei.co.jp/it/njh/index.cfm?i=20021209s2000s2
①物的インフラが先行しがち。コンテンツのイメージを企画してインフラを設計していく
- 330 -
べき。
②作り出すという癖を若いときから習慣付けることが大切。ex)ワークショップなど
③教える人そのものがクリエーターで無いと、クリエーターのマインドセットが伝わらな
い。
④ブロードバンド料金は世界一安いのに、加入率は15%であるのは、明らかに魅力的な
コンテンツがないから。コンテンツクリエーターの人口を増やすことが必要。
⑤インターネットという場所を通じて、コミケのようなコンテンツ流通機構を作ることが
今後のコンテンツ育成に重要。
⑥コミケのほとんどが既存の漫画のパロディーやエロだったが、目くじらを立てなかった
ことで、漫画やアニメ業界が育った。光ファイバーユーザーの目的である p2p もそうなれ
ば。
⑦啓蒙活動だけでは限界があって、どこかの段階で育成する実践活動が必要。
⑧高速インターネットの分野はインフラを構成する製品群が日本に殆どない。
【参考 URL】
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2002/1209/dark.htm
6)パネルディスカッション「ブロードバンド時代のコンテンツ流通」
Windows と Linux で考えるなら、Linux のオープンソース性のほうがリスペクトに値する
存在
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/237.html
①オープンソースであることは、使用する結果に関しては自己責任ではないか?
②社会インフラの部品と使用するとき、その品質責任を持つところがあいまいな所を危惧。
7)日本映画黄金期の作品守れ
著作権保護20年延長へ
アメリカの動きの後追いで文化庁が著作権保護延長を考えているが、保護強化策を日本
で推進することは是か非か。
①保護強化はクリエイタ−にとっては良いが、過剰保護が産業競争力を弱めるのでは?
②50 年が 70 年になることで、得られる利益と失うものとどちらが大きいか。国際競争力上
どちらが本当に有利なのか。
③この問題は、模倣/創造という極論の間の議論になりがち。
④模倣と創造の境界的なケースを法的に権利として明示してあげる(リメイク権)と源著
作へのリスペクトと再創造の可能性も埋めれ、著作権保護とパブリックドメインをつなぐ
考え方が明確になる。
⑤著作権法に引きずられると、コンテンツの相互関係を見失う。本当にコンテンツが相互
に利用し合っているのはどこか?
⑥リメイク権=コンテンツそのものをより抽象化したところにあるもの、あるいは、
「表現」
- 331 -
と「アイデア」の間にあるもの。
⑦ロンドンのテレビ業界は水平分割されていて、番組制作レイヤーで協業がしやすく、い
ったん協業されたものが、バーティカルに展開されやすい。
⑧強制許諾に近い流通と対価の仕組みを充実させるのが良い。同時に、クリエイタ−がそ
れを差し止める権利も限定的に留保する。
【参考】
http://www.xanadu.com/tco/index.html
http://web.sfc.keio.ac.jp/ yukihiko/transc/
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/1217/ccommons.htm
http://www.creativecommons.org/press‑releases/entry/3476
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/1213/ressig.htm
8)来春日本に
ハリウッド基地
非英語圏の国を対象にした新プロジェクト「ワールドシネマ」が来春、日本を発信基地
にスタート。
①リングに代表されるリメーク権ビジネスが日本映画に及ぼす効果は?
②リングはいろいろな意味で日本映画のよいモデルになる。リメーク権の処理にあたって
も、Part2以降の製作にあたっての許諾権を留保している。
③これで、「とにかく作ろう!」という流れになると、すぐ邦画バブルは崩壊する。
9)「笑っていいとも!」でギネス認定
日本のテレビは面白い??
①日本のテレビは面白い
・欧米に比べ面白い。
②なにが?
・日本のテレビはバラエティとアニメが面白い。
・日本のドラマはレベルは高い。欧米は映画は面白いものが多いが、
ドラマのレベルは低い。
・伝統のSITCOMなど、アメリカのドラマは完成度が高いものもあるが、
お笑いそのもののレベルは低い。一方、日本もそんなにすごいとは言えず、
日本のテレビはほとんどがタレントの技量と人気に頼った番組になっている。
・日本は、スポーツ、ニュース、音楽、映画・ドラマってのには優位性ありそ うにない
③なぜ面白いか?
・「一億総タレント」で、タレントも素人も放っておいてもそれなりのことはやる?
・層の厚さや、いかに金をかけているかで決まる。
金のある所に新たな金と人が集まる
- 332 -
・日本は映像生産量(時間)の 97%をテレビが占める(通信白書)と言うが、
生産時間や金額にテレビが占める割合は海外と比べ高いか。
どこかに比較できるデータないか。
・アメリカと比べ、コンテンツ生産に占めるテレビの位置づけが高いのはなぜ?
・アメリカのコンテンツ生産がハリウッド集中なのは、テレビ局に対する規制が
強かったことが最大要因か。
・対極のフランスも、テレビに対する映画の「格」の優位性のようなものがある。
その点イタリアの方が、インターネット的キワモノ系の海賊テ レビがいっぱい
あって刺激的。
・ポイントは、映像産業全体における映画とテレビのバランス。
テレビ黎明期以来の政府の政策のあり方は重要。
・コンテンツのタネ企画と人材の育成は場数で決まる。
当たらなくてもいい空間を維持できるのは強み。
・流通コストが安いメディアが延びていくことは、コンテンツやコンテンツ要素
の囲い込みでは止められない。
・最強の制作能力をメディア交代 or メディア多様化の中でより伸ばしていくことが、
コンテンツ産業の安定的発展のためには望ましい。
④で、どうする?
・このテレビ集中型を、「活かす」とすればどうなるか。
海外展開を促進?「フォーマット販売」を強化?通信と放送の融合?
・このテレビ集中型を、「潰す」とすればどうなるか。
集中排除の維持強化?国内での一層の分散を図る?
・テレビを BB の世界に進出するようにし向け、テレビを「活かす」方がよい。
- 333 -
4
2002 年 1 月議事要旨
1)日本映画黄金期の作品守れ 著作権保護20年延長へ(12 月からの続き)
アメリカの動きの後追いで文化庁が著作権保護延長を考えているが、保護強化策を日本
で推進することは是か非か。
①政策的な効果はどうなのか?映画は保護産業?伝統文化?
<参考>
著作権法改正案:保護期間延長、被害立証責任の負担軽減、衛星授業でのコピー使用容認。
文化庁がフィルムセンターを強化し、日本映画を全て国が保存する、作品の納入を義務
づける。
②実質ベースでの保護が必要。作り手が儲けること、大富豪になることが最大の活性化。
③これは、産業政策と言うより、どこの先進国でもやっているようなこと。
④ゲームとかCGとかも保存して欲しい。
⑤「納入を義務づける」というのは、制度論としてはやりすぎ。
⑥国会図書館の納本制度は国立国会図書館法による「義務」であったが、納本部数は書籍
年鑑に乗っている出版点数を遙かに下回る→法的に義務とされ、科料が制定されていても、
このような結果になるというのは視野に入れておくべき。このアバウトな運用は、文化的
な民度のようなもの。
⑦論議されている問題は権利、保存、制作資金それぞれ分けて考える必要がある。
●権利について
アメリカでは企業保有の二次利用の権利の占有のために期間延長する傾向がある。日本
の対応はこれに追随したもの。ただし、法人格の権利保有とその延長について、文化保
護やビジネス機会拡大等の効果を具体的に検討するべき。
●保存について
いわゆるアーカイブについて、文化資産としての公的保存と、二次利用のための集積・
ライブラリービジネスが混同されがち。また、デジタル化するということは新たに複製
を作るということで、権利処理等が課題。公的非営利な利用のためのアーカイブでは無
料利用を原則とするため、公的なコスト負担と、ビジネス利用したいコンテンツは公的
に保存・公開されにくいという問題を抱えている。一方、二次利用のためのビジネスラ
イブラリーは、民間各社の足並みがそろわず 1 ヵ所 に集積されないことや、ライブラリ
ー収集・運営コストに対して二次利用収入が少な くビジネスとして成立しないという問
題がある。
●制作資金について
基金運用益、民間出資、助成により映画制作前に融資を行うというのは、良 い制度。た
だし、これによると制作者のみが融資返済の責務を負うこととなり、海外の出資のしく
み、特に個人投資家による資金活用と較べた場合、制作、流通、投資のリスク分散が図
- 334 -
れない。
2)パソコンのデザイン
新しいパソコンのデザインはどうなるか?
①パソコンらしからぬデザインにしてしまい、存在感をなくすというのは面白い。
②PC デザインには、「パトレイバー」が、まだ出ていない。
③これで、「とにかく作ろう!」という流れになると、すぐ邦画バブルは崩壊する。
【参考】
<球体パソコン>
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20021221/ballpc.html
<完全受注生産! ガンダムパソコン登場! >
http://store.yahoo.co.jp/lalabitmarket/02830.html
<ポリタンク PC>
http://www.iminashi.com/goods‑kaden/polytank.html
<NECのゼロハリデザインのLavie>
http://ascii24.com/news/i/hard/article/2001/10/22/630630‑001.html
3)日本のアニメ
海外での日本アニメに対する一般視聴者の正直な感想やコアなファン層は?
①日本と同じような一般、ファミリー、子供が自国ものと同じ感じでみているのか。もっ
と上の年齢にエキゾチックなものとして受け入れられているのか。
②日本のアニメのブランド性は?
③「カルチャーの本質のところは海外に伝わらない」と考えるか、逆に「伝わっている部
分こそポップカルチャーの強度だ」と考えるかで、随分違う。
→最終的に特殊な形にしかならないコアな心性や宗教的な部分は理解不能なものとして残
る。アメリカのポップカルチャーに汎用性があるのは、そういう核のところの理念の理解
抜きに、表層的な形式とかモノとして伝達できるから。
④国内・海外評価や国による受け入れ方の違いが、表層とコアの受容の基準になる。
4)韓国ネットコンテンツ事情
①ネットコンテンツはタダ同然。小学生がネットで宿題。
②e‑Japan 戦略の目標の実質は韓国。
③ブロードバンドインタネットの普及のファクター
1.政府が政策的にブロードバンドインタネットの普及を推進し、
政府高官を民間のテレコム企業のトップに送り込み、普及の先頭を走らせたこと。
2.普及のキラーファクターであるコンテンツについて規制をかけなかったこと。
- 335 -
④この分野への集中度の高さが際だっていた。
供給面
・集合住宅密集でインフラ整備コストが低い
・金融危機によるヒエラルキー崩壊後の突破口と時期が重なった
・徴兵制免除によるベンチャー支援
・情報通信省の設置
需要面
・教育熱と同類意識
・娯楽が少なかった:日本文化禁止、テレビの質など
・普及に伴うゴタゴタにみんなで目をつぶった
【参考】
http://www.rite‑i.or.jp/ 引用先:独立行政法人 経済産業研究所
- 336 -
5
2002 年2月議事要旨
1)日本発の女性文化について
ポップカルチャーの流行を考える場合、マンガやアニメばかりではなく、化粧やファッ
ションなどの日本発「女性文化」の持つ影響力もまた見逃せない一面ではないか。
①日本から海外に出て行った女性が主体となったポップおよびカルチャーは、男性社会の
壁にはばまれてか、なかなかフィードバックが無い。
2)コンテンツ政策
映像産業支援とか、放送規制とか、著作権行政とか、細切れの「施策」はあるが、国家
としてのトータルな政策がないので、それを考えたい。
①どんな政策があり得るか?ためる(アーカイブ)、つなぐ(インフラ)、育てる(人材)
の領域では国の役目は ありそうだが、他にあるか?
②もっとも競争力のあるコンテンツであるアニメ&ゲームのアーカイブセンターをつくり、
それが(on‑line) show case の拠点となるようにしたい。国が整備するのではなく、民間で
やりたいところに支援するような形がいい。→収集・保存・公開それぞれの目的と採算性
が大きな問題。民間といっても企業ではなく、個人や有志のプロジェクトに特権的な権限
と重い責務を与えて、国際的なマーケットセンターとして事業化できるといい。
③人材育成。特にプロデューサーの育成が急務。→国際的スーパープロデューサーを育成
するには、ハリウッドシステムを見習うよりも、ハリウッドのスタジオやプロダクション
等と直接仕事をする方法を確立していく方がより現実的。
④必要とされること
1.実体経済から情報経済へのシフト
2.戦略的なマーケティング
3.想像力産業=コンテンツ生産と流通、公開の関係を転換するユニオン、エージェン
ト、マーケットの仕組み
⑤コンテンツ政策に関してコメント
1.アーカイブそのものは儲からない。
2.文化政策は成功している。
3.人材育成がうまくいかない、というのは嘘。
4.コンテンツそのものは支援したことがないのでは
5.細切れ、ではなく、縦割り:コンテンツはほとんど、なんらかの形でのメディアミ
ックスとして成功している。
⑥欧米の出版社はマルチメディアパブリッシャー化し、各国で出版社の寡占化が進んでい
るが、日本でこれが起きないのは、出版に関しては再販制度による出版業の保護が災いし
ている。→だが、出版業界で寡占化が進まないのは、いいこと。
⑦コンテンツって、そんなに政策支援の余地はない。仮に政策支援するにしても、それ(「つ
- 337 -
なぐ」政策)自体を秘さなければならない。
⑧コンテンツに関しては、 つくる こと
と
ためたり、流通させたり
という二つのレ
ベルを分けて考えた方がいい。「つくる」ことに関しては、「はまる」ことと「金」と「名
声」がポイント。
⑨日本コンテンツの出口をつくり、参加する人材を国際対応で育成し、日本コンテンツを
混血、雑種化する事で国際競争力を向上、さらにこれに国際投資・融資やコンテンツくじ
を絡めて資金調達、金融市場形成と一石十鳥位のメリットプロジェクト案。
1.国内マスメディア資本傘下以外のコンテンツビジネスシーズ100ぐらいを選び、
国際起業プロジェクトとする。
2.このプロジェクトと海外メディアコンテンツ企業とをマッチング。海外メディアコ
ンテンツ企業のメリットは日本国内での流通支援。これにより国内流通の矛盾も改
善。
3.海外メディアコンテンツ企業とくんだ日本コンテンツシーズをビジネス化する国際
起業プロジェクトに対しては海外・国内をまたがる制作と国際契約、海外流通を支
援。
⑩1.国内流通の支援について具体的な策はあるのか?
2.コンテンツは人気のあるなしが全て。
3.極論を言えば、政府がコンテンツを選別したり斡旋する作業は無理が多い。
政策提案:アニメ・ゲーム・マンガの注目を浴びているコンテンツ産業は自宅勤務
が可能であることが共通点であり、社会的弱者の方々に支えて頂いていることが多
い。→工房レベルのスタジオを光のデジタル回線で結びネットワークを構築しパソ
コンを導入しやすいような税制と教育システムを構築する。
⑪ベストセラーしか売れない業界はどこもシュリンクしている。天才じゃない人間がそれ
なりの生活をしていれば、ニューカマーはどんどん来るはず。
⑫死蔵されているコンテンツを別の媒体で再販したり、再発売するための仕組みであれば、
政府マターでも可能。
3)コンテンツ企業、メディアの経営という視点
①コンテンツやメディア関連では、文化=社会系、産業=経済系というマクロな2つのレ
イヤーでとらえられてそれがそのまま政策プランとして落ちてくる。しかし、現場的には、
制作=企業経営系というレイヤーが意識されている。
②垂直統合?水平分離?
③作り手は作品をどのメディアで表現すべきかなど、コミュニケーション全体をデザイン
する必要となってきている。
④メディア企業を横断的に所有してグループ化することの効果は、あまり無い。
⑤メディアのビジネスは、ごく基本的な産業資本主義型の利益追求をしてきたわけで、そ
- 338 -
こから新しいフェーズにいくために、通信の手法がそのまま使えるような気はしない。
4)サミー、セガ合併!!
①セガの吸収合併/エニックスの吸収合併→セガやエニックスの財務や経営に問題があっ
たのではなく、日本のゲーム業界そのものが、斜陽産業になっている。
②この合併により、アーケードビジネスの分野がさらに強化される。
【参考】
http://it.nikkei.co.jp/it/sp/game̲busi.cfm?i=2003021307234we
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030214‑00000004‑wir‑sci
4)日本のグロス・ナショナル・クール
アメリカの外交誌「フォーリンポリシー」に掲載された「日本のグロス・ナショナル・
クール」という論文が話題になっている。
①論文内容:世界の質的な変化を見る時にGNP(グロス・ナショナルプロダクト)では
尺度になりえず、GNC(グロス・ナショナルクール)で測るべきである。
②食文化、アニメ、音楽、ファッション、建築、そして現代アートなどを含めて、新しい
日本の魅力を世界が発見しつつある。
③世界にクールと評価される現代の文化があるのだから、それを押し上げる「思想」と「英
語で世界へ発信する論文」、この2つが重要課題。
④「日本の現代文化を外国語で書いている人が、正確なことを伝えているとは限らない」
問題があって難しい。
⑤村上隆さんの「スーパーフラット」がバイリンガルのカタログと共に、非常にセンセー
ショナルにアメリカ巡回をした。内容:江戸時代の絵画から現在のアニメまですべての二
次的表現は「スーパフラット」である、というアメリカ人もびっくりの新解釈・新提案。
→これは村上さんのいわば国際戦略。もちろんアニメと村上さんの間、村上さんと日本画
の間にはズレがあるが、海外美術界での村上さんの受け取られ方は、村上さんを通して、
美術からアニメへの回路に至る、という線的な見られ方。
⑥理解不能な日本のサブカルチャー的文脈は排斥した上で、消費しやすい部分だけ受容し
ている感。
⑦村上さんみたいに戦略的に動くアーティストがあと10人、20人くらいいないとだめ。
⑧1.「日本→海外
ポップカルチャー/ファインカルチャー」という脈絡と断絶の問題。
2.
「海外経由の日本文化イメージが、ポップを回収しようとしている」というような問
題。
【参考】
Douglas McGray "Japan's gross national cool"
http://www.foreignpolicy.com/issue̲mayjune̲2002/mcgray.html
- 339 -
5)ポップ発信系
PPP の今後の方針は?
①PPP の一つの課題が国際共同研究でして、そのテーマ選定、海外の研究者の人選と協力依
頼に先立ち、日本の考え方の提示や情報発信が必要。
・毎日、「日本のポップカルチャーにからむ」一本小論文またコラムを配信
・既出再録のものと書きおろし依頼の双方で構成
・国内の関連ニュースを1,2本掲載(短め)
・海外で開催される日本ポップ系イベントなどの広報を掲載
・日本語、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語などで配信
・メルマガ&Web形式で、原文を改ざんしない限り再転送などは自由
②日本の POP を考えるとき、イイ意味でも悪い意味でも「オタク」ははずせない。
【参考】
<リアルトーキョー>
http://www.realtokyo.co.jp/
<ヨーロピアンジャーナリズムセンターの media news(日刊メルマガ)>
http://www.ejc.nl
<ル・モンド・プロブレマティークの電子版&日本語版>
日本語版: http://www.netlaputa.ne.jp/ kagumi/
原語版: http://www.monde‑diplomatique.fr/
<Rhizome の RHIZOME DIGEST やNet Art News>
http://rhizome.org/subscribe
<nettime の Announcements>
http://www.nettime.org
<書籍>
「海洋堂クロニクル」
「造形集団海洋堂の発想」宮脇修一(光文社新書)
<東京バイツ【第 108 回】>
竜土町の模型店に磁場が渦巻いていた時代
http://pcweb.mycom.co.jp/column/bytes/bytes108.html
6)こどものワークショップ
どんなワークショップを開発・実施していくのがいいか。
①観点としては、
・ゲーム作り、マンガ作り、アニメ作りなどに集中していくのがいい?たとえばどんな?
・音楽作り、映画作り、あたりは日本のキャッチアップとして実施?それとも強みの発
揮?
- 340 -
・ケータイ表現、どつき漫才など、日本発世界の子ども向けワークショップは企画でき
るか?
など。
②デジカメ ワークショップ:グローコムの豊福晋平さん
(http://www.glocom.ac.jp/users/toyofuku/)
③ゲームとかマンガとかはむしろ禁止されているからいいのであり、やらされると嫌にな
るのでは?生き残っていくための技術を教えるのが本当の教育。
④つづり方教室、あるいは古典の連歌の手法を頂戴してリレー物語教室。→映像制作やデ
ザインなどの表現レベルは非常に高いので、あとはきちんとした「ものがたり」を語れる
ようになれば国際的な競争力は相当高くなる。
⑤NHKの「ようこそ先輩」のいいところは、
「子ども向けのテーマ」という視点をとって
いないところ。専門家が教える中で創造性発揮。→「クリエイターごっこ」をさせてあげ
るのが良い。
⑥「田宮の楽しい工作シリーズ」でのワークショップ
⑦マネースマートという経済ゲーム http://www.masuyama.com/smart/
⑧ゲームデザイナーと一緒にカードゲーム作るワークショップ
⑨新しい漢字を作るワークショップ
⑩ワークショップでは是非とも子供たちを誉め上げる工夫があったらよい。
7)デジタルはモノなのか?
オンラインゲームアイテム「盗み」
不正アクセスで送検
【参考】http://www.asahi.com/tech/asahinews/K2003022100290.html
①デジタルはモノとしては扱われないという見解は続いている。
②どんな高額な価値のデータを持ち出されても、不正アクセス禁止法にしか問われない可
能性がある。少なくとも窃盗にはならない。
【参考】
役所の無線LAN筒抜け
気象庁や都庁、相次ぎ利用停止
http://www.asahi.com/tech/asahinews/K2002122501579.html
- 341 -
V. 開発と実証実験資料
- 342 -
全国マルチメディア祭 2002in 岡山
〜全体レポート〜
- 343 -
目次
1概要
1-1 開催概要
1-2 開催日時
1-3 開催場所
1-4 募集人数
1-5 参加人数
1-6 対象学年
1-7 ワークショップ内容概要
2 開催にあたっての準備
2-1 岡山県庁・マルチメディア祭実行委員会との連絡事項
2-2 緊急措置
2-3 普及啓発
2-3-1 プレスへの対応
2-3-2 参加者募集
事前告知
2-3-3 募集告知についての反省点
3 開催当日の模様
3-1 事前連絡・確認
3-2 受付
3-2-1 カメラ・ワークショップ
3-2-2 クリケットワークショップ
3-3 ワークショップ模様
3-3-1 カメラワークショップ
3-3-2 クリケットワークショップ
3-4 終了後
4 参加者アンケート
5 開催成果と反省点
5-1 普及啓発と参加者募集
5-1-1 チラシの配布
5-1-2 チラシに掲載する内容表現
5-1-3 メディアミックス
5-1-4 地域によって情報に対する反応の格差についての認識がなかった
- 344 -
5-2 ワークショップを開催するために必要なものごと
5-3 こどもの創造力・表現力を引き出すためのコツ
6 今後の展望
6-1 ネットワークの活用
6-2 デジタル機器の利用
6-3 実施したワークショップのパッケージ化
7.協力団体・企業
- 345 -
全国マルチメディア祭 2002in 岡山 CANVAS ワークショップ
レポート
1.概要
1‑1 開催概要
メイン会場・コンベックス岡山で開催された「全国マルチメディア祭 2002 in 岡山」
(総合計来客数:11 万9千人)において、CANVAS 主催初となる小学生を対象にした
2つのワークショップを実施した。
1-2 開催日時:平成 14 年 11 月 16 日〜17 日
1‑3 開催場所:全国マルチメディア祭 2002in 岡山、
コンベックス岡山 会議室【6】【7】(中会議室)
1‑4 募集人数:カメラワークショップ 両日とも 15 名
クリケットワークショップ 両日とも 20 名
1‑5 参加人数:カメラワークショップ
クリケットワークショップ
16 日 9 名
16 日 14 名
17 日 10 名
17 日 19 名
1‑6 対象学年:小 4〜小 6
会場:コンベックス岡山
1‑7 ワークショップ内容概要:(詳細については別紙参照)
プログラム A:クリエイティブ・フォト・ワークショップ
こども自身がデジタルカメラを使って、色々な写真を撮ることで自分なりの表現方法
を探りました。プリントアウトした作品をみんなで見せ合い、ウェブにアップするこ
とで表現の共有化を進める。(http://www.broadspirits.net/canvas/)
- 346 -
プログラム B:クリケット・ワークショップ
マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボが開発した小さなコンピュータ「ク
リケット」やモーターなどに紙や布、木など身のまわりにある様々な素材を組み合わ
せて、自分だけのオリジナルな作品を創り出すワークショップ。動いたり、鳴いたり、
光ったりする「ふしぎな虫」とその世界をつくった。
2. 開催にあたっての準備
岡山県での開催の話が持ち上がったのは、今年の 8 月。同県庁に勤務する高井氏からの
提案により、開催に向けての検討を NPO 設立準備と共に進めることになった。NPO 設立に
あたって、設立メンバーや理事向けのメーリングリストを作成し、以後話し合いはメーリ
ングリスト上で進められることになった。開催までの期間があまりなかったため、1から
の開発は今回は困難であると考えられ、理事メンバーですでにワークショップの経験があ
り、外部との連携により実現できる方法を模索した。一つ目の提案は 8 月下旬にあり、海
外からの学芸員を呼び寄せ、開催するものであり、内容としては CANVAS の方向と合致し
ており、開催するに値するものであったが、開催経費が予算を超過していたため、見送ら
ざるを得なかった。2 つ目の提案は、いくつか候補があがり、その内京都・けいはんなにあ
る大川センターCAMP で開催されているワークショップと、理事メンバーである廣瀬氏か
らの提案によるカメラを使ったワークショップを開催することで大よその方向が決定した
のが、9 月中旬だった。
今回の開催にあたって CANVAS の役割は、会場における手配や、参加者募集や web サイ
トにて情報提供を行うなどの普及啓発、各ワークショップ開催担当者との連絡調整、記録
などの準備である。各ワークショップの開発肯定については後に述べることにする。
2‑1 岡山県庁・マルチメディア祭実行委員会との連絡事項
以下の事柄をマルチメディア祭実行委員会と連絡した。
・会場、控え室の確保
・会場サイドの準備機材の確認
・会場ネットワーク環境の確認
・会場電気容量の確認
・会場電源の場所の確認
・搬入出・会場レイアウトの確認
・参加者の集合場所確認
- 347 -
・参加者募集(小学校、自治体)
・スタッフ証人数分確保
・関係者駐車場の駐車証明証
・NHK、山陽新聞等各メディアに連絡確認
2‑2 緊急措置
全国マルチメディア祭 2002in 岡山・事務局サイドで看護婦を1名常駐
CANVAS はこども全員を損保ジャパンの保険にいれる処置を行った。
・賠償責任保険
建物の瑕疵や運営上の不備により、参加者に損害(死亡や怪我含む)が発生した場合に、
それを賠償するものです。主催側に法的な責任が認められなければ(もし裁判で争った
場合にも負けないようなら)、保険金は出ません。
・傷害保険
ワークショップ中の事故などにより、死亡、入院、通院することになった場合に、お見
舞金の意味合いで支払われるものです。金額もお見舞金程度です。
損保ジャパン:レクリエーション総合補償プラン
2-3 普及啓発
CANVAS にはフェロー制度があり、各方面の著名な方々がフェローに参加している。そ
の多くのフェローに CANVAS の活動状況についての情報を、メーリングリストを作成し、
定期的に発信することにした。
また、一般の人々に CANVAS の存在と活動内容を周知させるために、CANVAS の web
サイトを構築し、11 月より web 上にて情報を発信している。
岡山で開催するワークショップの参加者募集を行うにあたって、10 月中旬に A4 サイズ 1
- 348 -
枚の両面刷りのチラシを 4000 部作成した。10 月 23 日に、コンベックス岡山周辺の公立小
学校6校を訪問し、合計2000部を担当の先生に手渡しした。チラシに掲載した申し込
み方法は FAX で、チラシの裏面に必要情報を記入してそのまま FAX すれば申し込みができ
るよう工夫した。だが、この方法によって得られた参加者数は、8名足らずであり、急遽
追加で小学校に配布することにした。また、岡山県地元のテレビ局や新聞社を通じて情報
発信していただけることになり、わずかずつではあるが応募者は増加しつつあるものの、
定員にはなかなか達することができなかった。最終的には、岡山県庁の職員の方々にご協
力いただいた。
2‑3‑1 プレスへの対応
先に送付した案内状とともに保護者の方には参加者が各マスメディアで放送、ウェブ
にアップされた場合に備えてあらかじめ承諾書を送り、署名してもらいました。ただし、
署名されない保護者のこどもに対してプレスにはその旨を伝え参加者個人が断定でき
ない映像以外は使用しない約束をかわした。
1.テレビせとうち
全国マルチメディア 2002in 岡山全体をまとめたビデオを 1 月下旬にビデオにする。
その中で紹介するとのこと。
2.岡山県知事室広報
(山陽放送)
全国マルチメディア 2002in 岡山の 15 分番組を作成するにあたり、映像として使わ
れた。
3.山陽新聞
18 日の朝刊にて全国マルチメディア 2002in 岡山の特集を掲載するにあたり、とり
あげてもらう。
4.事後、以下のメディア
フジTV、週間アスキー、産経新聞、朝日新聞、読売新聞社に連絡
- 349 -
2‑3‑2 参加者募集
事前告知
・参加募集チラシ 4000 部
・山陽新聞
・他新聞社
朝日新聞岡山支局、朝日新聞倉敷支局、毎日新聞岡山支局、
読売新聞岡山支局、産経新聞岡山支局
上記のメディアに対し掲載はなかったがワークショップ開催の告知を行った。
・NHK
・フューチャーキッズ(こども向けパソコン教室企業)
・ウェブ
1)参加募集チラシ
当初提案されていた事前告知はチラシを配るのみだった。チラシは印刷業者へ 10 月 15
日最終案提出、10 月 21 日刷り上り、10 月 23 日配布となった。配布は会場・コンベック
ス岡山近辺の小学校6校を回り 2000 部を 4 年生から 6 年生へ配布してもらうよう校長先
生へ頼みに岡山県庁の高井課長と行った。
また、図書館、岡山駅周辺の病院などの数件地元企業へチラシを設置。
パンフ表面
パンフ裏面
2)山陽新聞
10 月 8 日山陽新聞の朝刊に募集告知掲載していただいた。
「パソコン楽しもう」の見出
しで全国マルチメディア祭 2002in 岡山にて CANVAS 主催で小学生にパソコンを使って自
分の思いを表現する体験講座を行うといった全体内容に加え両ワークショップの簡単な
説明があった。
- 350 -
山陽新聞
参加者募集記事
山陽新聞
参加募集記事
3)NHK
11 月 12 日 11 時 45 分から 2 分ほど特集を組んでいただけたのこと。(ビデオ未入手)
以前同じように同 NHK 番組でハイキングの告知を行った際には 20〜30 ほどの問い合わせ
と参加者が集まったのにも関わらず、今回の NHK の反響はまったくなかった。放送内容
はとてもよかったと聞くが、理由として考えられるのは放送日時が 12 日と開催 4 日前と
いうこと、「ワークショップ」という言葉が聞きなれていない点が考えられる。
4)フューチャーキッズ
世界 73 カ国に拠点を持つこども向けパソコン教室のフューチャーキッズ岡山支部に頼
み小学校、カメラショップ、スポーツクラブ等に足を運んでもらい募集告知をしてもら
った。
5)ウェブ
CANVAS のウェブページ(http://www.canvas.ws/pr̲okayama.html)にて開催内容と募
集参加チラシを設置。誰でもダウンロードして応募できる形をとる。
2‑3‑3 募集告知についての反省点
チラシでの反省点がいくつかある。まずはワークショップの内容を詳しく記載しなか
ったことにより、後日ワークショップ内容について問い合わせが何件もきた。これはカ
メラワークショップが開催日一週間前まで最終案が決定していなかったことからきてい
る。また、もう少し分かりやすい内容での記載が必要性を感じた。またチラシに使用し
た写真に関しても、CANVAS での蓄積がないため今回は CAMP に借りることとなったがデザ
イン上の問題から縦写真しか使用できなく選択肢がなかったため、少し固めのイメージ
- 351 -
がついてしまった。
市の教育委員会を通じていくつかの市内の全小学校へ配布すべきであった。そこは
4000 部しか刷らなかったという点が問題であり、先着順で配布することであれば大量に
印刷し県内の全小学校に配布するべきであった。ここは参加者募集が容易にできると思
っていた認識不足から来る点である。
図書館、公民館、児童館などの公共の施設はチラシを設置するには子ども対象であり
参加費が無料であれば、無料で何部でも置いてくれるとのこと。
さらにメディアに関して今回は NHK での放映の反響なかったのに対し、新聞からの応
募人数は多くの方が参加・問い合わせが来た。参加募集などは電波よりも紙媒体がよい
ことが分かる。次回は参加募集と普及啓発に関してはメディアの見直しもしていく必要
がある。
他団体、企業との連携。今回フューチャーキッズなど全国と世界 73 カ国展開している
こども向けのパソコン教室企業で岡山支部の方にも参加者の募集をしてもらった。また
それとは別に地元 NPO などともっと有効に協力をしてもらうことが望ましい。
3. 開催当日の模様
3‑1 事前連絡・確認
応募があった参加希望者へ事前に CANVAS の方からの案内状・承諾書を送付。また 15 日
の夜に参加希望者全員に連絡を入れ、人数確認をすると同時に、当日必要なものの、参加
者のお迎え時間などを伝えた。
:ワークショップ案内状
開催日前日に、予め2日間の参加者すべてに確認の電話を午後18時〜19時の間に入
れた。参加申し込みをされた方の中でメールアドレス保持者は全体の約2割程度であった
- 352 -
ため、E-mail での連絡ではなく、電話での連絡を取った。
確認の電話を入れた際に何人かの保護者の方からは、「こどもが参加している間、ずっとつ
いていなければならないのですか?」という質問が出た。この質問は特にカメラワークシ
ョップ参加を申し込みされた保護者からであり、その理由はワークショップの時間が約7
時間(実際には5時間半であったが、募集要項には9時40分〜17時と記載していた)
と長いためであることと思われる。質問に対する回答は、終了時刻近くの16時にお子さ
んを迎えに来ていただければ大丈夫ですということとし、質問いただいた保護者の方はそ
れで了承した。
3-2 受付
3-2-1 カメラ・ワークショップ
開催当日は、カメラワークショップは、9:30に東ゲート側から入ってすぐの1階
にある交流広場に集合と事前に参加者へ通達した。集合場所には、スタッフ2名を配置
し、参加者名の確認と参加者の顔写真などを撮影することの承諾書を回収する。ほぼ全
員が定刻どおり集合し、2階にある開催会場である中会議室に案内した。2階の会議室
入り口では、予め要した名札とこのワークショップのために用意した黄色いカメラマン
ジャケットを配布し着用してもらうこととした。また参加者一人ずつの顔写真を撮影し、
後に web サイトにアップするときに使用するものとした。半数の保護者の方が集合場所
で別れ、半数の保護者の方は同行され、途中まで見学していた。
3-2-2 クリケットワークショップ
12:30にカメラワークショップと同様、交流広場に集合としており、スタッフ2
名を配置し、参加者の到着を待った。交流広場には CANVAS 特設受付を設置したわけ
でも看板を掲げたわけでもなかったので、分かりづらく探されている親御さんも中には
見受けられたが、こちらから声をかけることによって特に集合できないなどの問題は発
生しなかった。こちらから声をかけるきっかけとして、参加者に送付していた黄緑色の
封筒を持参され、手に持っている方が多かったので、参加者であるというおおよその見
当がつけられた。封筒を白ではなく黄緑色にしたことがこの場合には有効であった。
このワークショップへの参加者もほぼ定刻どおりに全員集合し、名前と承諾書の確認
をした上で、2階の会場へと案内した。集合の際に保護者の方にはあらかじめ3:45
からこどもたちが作成した作品の発表があるので、その時間にはご見学にいらしてくだ
さいという旨を伝えた。
会議室入り口での受付は、シールに名前を書いて参加者の胸に張ってもらった。入り
口付近には、以前行われたワークショップの模様を撮影したビデオをモニターに移して
流しており、保護者の方は参加の子供たちが受付を行っている間、その映像を見てこれ
- 353 -
から行われるワークショップについての情報を得ることが可能であった。半数の保護者
の方が集合場所で別れ、半数の保護者の方は同行され、途中まで見学していた。
3-3 ワークショップ模様
3-3-1 カメラワークショップ
参加のこどもたちは最初の説明時はかなり緊張した様子であったが、実際にデジタル
カメラを手渡されて、自由に触れるようになると、徐々に緊張が解け熱中するようにな
った。こどもは飲み込みが早く自ら教えられていない新しい操作を覚える(見つける)
子供もいた。3回の撮影ステップはすべて会議室外で行われた。天候に恵まれたため、
野外での撮影を実現することができた。子供たちは、コンベックス岡山の敷地内で様々
ものを発見し、カメラに収めていった。展示場内にある F1 カーや展示物を撮影する子
や、敷地内にある噴水を撮影する子、カメラを上に向け、空を撮る子、草木を撮る子な
ど様々である。何をどう撮るかという方法を教えるのではなく、撮影する手段・道具を
教えただけで実に様々な作品が生み出された。自分で工夫して撮影する子、他の子の撮
り方を見て真似てみる子色々な道具を自分なりに工夫してテーマまで決めて見る子な
ど、自由な発想・表現力に、大人の方が気づかされる場面も多々見られた。
会議室外に出る際には、こども2人に大人(ファシリテータ)1人が付き添い、危険
な場所には行かないように注意を払うのと、こどもの質問に答えたりなどのコミュニケ
ーションする役割であり指示はしない。開催前の段階では、野外に出ると車通りも多く、
道路に飛び出したりする危険や、多くの人手の中で逸れてしまうのではないかというこ
とも考慮していたが、そのような場面は特に見受けられなかった。
ワークショップ開催中は、保護者外の来場者で会場を覗きに来る方もおり、興味深く
子供たちの様子や作品を眺めていき、このような活動に興味を示してもらえた。
ワークショップのプログラム進行は順調に予定より早く進み、昼食後予定にはなかっ
た出展ブースを見学するなどといった時間も取れたので、時間的には長いと感じられる
ワークショップではあったが、参加のこどもたちは飽きることなく最後までカメラで撮
影することと、それがすぐにプリントアウトして見れることに熱中し楽しんでいた様子
であった。
最後に自分の顔とその日に撮影した作品や感想が web 上にアップされたことにこど
もたちは喜び、ワークショップ終了後も、友達の作品をネットで見て楽しむ子もいた。
3-3-2 クリケットワークショップ
このワークショップは、これまでも CAMP において数多く実施されており、ワーク
ショップ形式としての構成がきれいにまとまっているものである。ワークショップ形式
- 354 -
とは、導入→体験・制作→発表(ふりかえり)という一連のプロセスである。
まず子供たちは今日やることの簡単な説明を受け、グループを作るためのゲームに参
加する。3〜4人のグループを作り、いっしょに作業を行うためである。会議室に入っ
たばかりのこどもたちは緊張した表情で、床に座っていたが、同じグループの人探しゲ
ームが始まると、とたんに緊張がほぐれ、わくわくした表情に変化した。スタッフが子
供たちの背中に様々な色のシールを貼り、それを声を出さずに自分の色を誰かと確認し
て、同じ色の人を見つけてグループになって座るというシンプルなゲームである。およ
そ5分ほどで全員が仲間を見つけて着席することができた。それからクリケットについ
ての少し長い説明が始まった。しかしこの導入(ゲーム)によって子供たちはこれから
自分たちが仲間といっしょに行うことへの興味と期待が膨らんだようで、真剣に説明を
聞いていた。
一通りの説明が終わったら作業開始。ふしぎ虫とその虫たちが住む世界(箱庭)をつ
くるための様々な種類の素材が用意されている。レゴブロック、ピーナッツ、木の枝、
色のついた丸い綿、パスタ、葉っぱなど色とりどりの使いきれないくらいの種類である。
まずは図鑑を見て、どんな虫を作るか考える子、素材を見て、自分の好きな素材を手に
とって見てから何を作るか考える子、みんなと相談するグループなどさまざまである。
それぞれのグループが様々なコミュニケーションをとり、グループ内での役割や動きも
グループによって異なる特徴が見られた。
1時間半ほどの制作時間を終え、出来上がった作品を発表したり、他の人の作った作
品で遊んでみる時間が設けられた。最初のアナウンスにより、過半数の保護者の方が発
表時間に集まった。部屋を暗くして発表に意識を集中させる工夫や、それぞれの作品が
展示されている後ろの壁にこどもたちがポストイットに感想を書き込み貼れるような
仕掛けがなされた。
さまざまなアナログ素材で何かを作ることの喜び、それをデジタルなものと組み合わ
せることの工夫や発見を各々のこどもたちが体験し、中にはあえてデジタル(クリケッ
ト)を使わないとするこどももいた。その子供に直接インタヴューすることはできなか
ったので何故そうしたかの理由については明確ではないが、おそらくデジタルが嫌いな
のではなく、その創造した作品は動かないことに意味がある、テーマがあると判断した
うえでの行動だと思われる。このような光景も大人が予測することとは異なるこどもの
創造力であり表現力なのではないだろうか。
3-4 終了後
カメラワークショップは、帰りに「お土産」を渡した。撮影した作品をプリントアウ
トしたもの、参加時に着用したカメラマンベストもプレゼントした。何かを持ち帰れる
というのは、こどもにとってその後どんな価値があるのだろか。ものを持ち帰ることで
そこでの出来事・体験・感動を忘れずに持って帰れる、お土産はその象徴であり、可視
- 355 -
化されたモノとしての価値があるのかもしれない。
終了時刻には保護者の方に迎えに来てもらい、終了時刻が予定より多少早めだったので
保護者が到着していないこどもには、万が一のことを考え会議室で待機してもらった。
その間こどもたちは、PC を操作して、出来上がったばかりの作品が掲載された web サ
イトを楽しそうに閲覧していた。開始当初は口数の少なかったこどもたちであったが、
終了時には自分から何かを言いたい、伝えたいというように変化し、どうやって作品を
撮影したのかを説明してくれたり、学校でもデジタルカメラを使った授業があるとのこ
とだが、学校でやるよりも数段面白かったことなどの意見を述べてくれた。どの点が面
白かったかについては、フィルターがわりとした落ち葉やダンボールなどの簡単な道具
を使ったことであり、そこには自分なりの表現を見つけられた満足感が感じられた。
クリケットワークショップは、ワークショップは時間通りに終了したので、おおよそ
の保護者が迎えに来て参加の子供を引き渡すことができた。
制作した作品は持ち帰ることができなかったので、残念そうにしているこどもも見受
けられた。しかし、何かを自分で創造したこと、表現したこと、またそれをみんなに発
表したことなど一連の体験には満足しているようであった。遊び足りない様子の子供た
ちも多かった。
4.参加者アンケート
今日のワークショップのことはどこで知りましたか?
ちらし
6
友だちから
3
学校の先生から
0
テレビ
0
新聞
3
その他(お父さん)
7
参加してみてどうでしたか?(複数回答あり)
おもしろかった
15
わかりやすかった
7
ふつう
1
つまらなかった
0
むずかしかった
0
- 356 -
家ではパソコンを使いますか?
よく使う
9
たまに使う
8
今回はじめて使った
1
家では、パソコンはどのようなことに使いますか?(複数回答あり)
メール
インターネット
7
13
ホームページ作り
1
デジタルカメラ
3
デジタルビデオ
0
その他(ゲーム)
4
その他(文章)
1
その他(遊ぶ)
1
またワークショップに参加してみたいですか?
また参加したい
11
たまに参加してみたい
5
もう参加したくない
1
5. 開催成果と反省点
今回の岡山県における2つのワークショップ開催においてはいくつかの成果と反省点を
得ることができた。
1. 普及啓発と参加者募集
2. ワークショップを開催するために必要なものごと
3. こどもの創造力・表現力を引き出すためのコツ
5-1 普及啓発と参加者募集
CANVAS の周知活動(普及啓発)について今回は参加者募集と連動している。開催地
が岡山県で、CANVAS の事務局は東京にあるので、岡山県庁の方の協力を得て、現地に
おけるチラシの配布などを行った。配布方法は、コンベックス周辺の公立小学校を数箇
所訪れ、担当の先生や校長先生に直接ご説明し、お話をうかがうことができた。各小学
- 357 -
校4年生〜6年生の人数分のチラシを持参し、お話させていただいた先生に渡すことに
よって、各担任の先生からクラスの生徒に配布してもらう手順である。各学校において
30分程度話をし、どの先生も興味深く聞いてくださった。2000部配布した上での
応募状況が8名だったため、追加で学校に配布を試みた。最初に配布したのが10月2
3日と開催まで1ヶ月を切っていたことが応募不振の原因であると思われる。なぜなら、
ワークショップの内容にはどの先生も非常に興味を示しており、こどもにも参加するよ
う積極的に呼びかけることを約束いただいたのだが、すでに予定が入ってしまっていた
り、学校としての行事が重なっていたりするという意見も何人かの先生からは出ていた
からである。
その他には、11月に入ってから山陽新聞に掲載、NHK で告知放送、メールマガジン
で呼びかけなどの方法を試みたが、応募者の伸びは芳しくなかった。しかし思いもよら
ずマスメディアで情報を発信する機会を得られたことで、岡山県内ではあるが CANVAS
がマルチメディア祭でこどもを対象としたワークショップを行うという情報を、不特定
多数の方に伝えることができた。
動員は最終的には岡山県庁の職員の方に呼びかけを行い、一部定員には達しなかった
ものの、ワークショップを開催するに十分な参加者を得ることができた。
当日マルチメディア祭会場で配布されている、会場案内図に CANVAS が中会議室
でワークショップを行っていることも掲載していただいたことで、メイン会場から少し
離れている会議室には、参加者とその保護者、また取材・関係者以外は来場しないと思
っていたのだが、保護者以外の一般来場者も予想以上に見学に来ていただくことができ、
「またやらないのか?いつどこでやるのか?ぜひうちの子も参加させたい」などの関心
を持った質問を受けた。
一方で普及啓発と参加者募集についての反省点には以下の点が挙げられる。
a)
チラシの配布が遅かった
b)
チラシに掲載する内容表現
c)
メディアミックス
d)
地域によって情報に対する反応の格差についての認識がなかった
5-1-1 チラシの配布
参加者を募集するに当たって、チラシの配布を行ったのが10月23日からであった。
これは開催1ヶ月を切っており、かなり遅めのスタートであった。予想通り、配布した
先生方からの内容に関する反応はよかったものの、応募の状況は思わしくなかった。次
回チラシの配布は2ヶ月前には始めるべきだと感じた。
5-1-2 チラシに掲載する内容表現
今回配布したチラシの内容について、表面は4色で以前に岡山県で配布していたマル
- 358 -
チメディア祭のパンフレットのカラーを踏襲した。タイトルは見やすく目立つように大
きな文字にしたのだが、今回 CNAVAS として初めてのワークショップ開催ということ
もあり、イメージ写真のストックがなかったため、CAMP から使用可能な写真を1枚ほ
ど借りて掲載することになった。しかしこの掲載した写真が、「勉強するという硬い印
象がある」というコメントも耳にした。チラシを受け取る側にとって見れば、A4 の紙
がすべての情報源になるので(web サイトを利用していない場合)、写真ひとつとって
見ても慎重に考慮すべきであることが今回の反省点である。
5-1-3 メディアミックス
通常何かを告知する際に行われる手法で、複数の媒体から同時に情報を発信するメデ
ィアミックをうまく活用できなかった。というのも当初は web とチラシの配布のみで募
集活動を行う予定であり、偶然テレビや新聞媒体を利用できるチャンスを与えられたが、
ちらしを配布した次の日にテレビや新聞で同じ情報が得られる効果の大きさについて
考えていなかった。今後、普及啓発・参加者募集活動を行う際は、情報発信前にそれら
の複数媒体を同使いタイミングをどのように合わせるかなどの戦略をもって活用すべ
きであることを学んだ。
5-1-4 地域によって情報に対する反応の格差についての認識がなかった
岡山県(地方都市)であることの動員の難しさを熟考していなかったため、動員に苦
労した。東京や都心部で開催する場合には、web とチラシで1日各15-20名の参加者
を募ることはそう難しくないと考えていたが、予想に反した結果の原因は、第一にイン
ターネットの家庭での利用が都心部と比較して低いことであり、第2に交通機関が限ら
れているため、特にコンベックス岡山は駅から離れており、車で15分以上かかるため、
こどもだけでは会場に来るのが困難であると考えられ、保護者も同伴しなくてはならな
いことがあげられる。
これらの理由により、都心部ではインターネット利用者が多く、情報を得る機会が多
く、また交通手段が発達しており、こどもだけでも来場することが比較的容易にできる
のに比べ、地方都市で開催する場合の考慮として、インターネット以外の情報を提供す
る手段を多く用いることの必要性、駅から離れた車でしか来場できない会場で行う場合
は、保護者の負担も考え、ワークショップの開催時間を短くするなどの工夫が必要であ
ることが今回の反省点である。また上記の状況から、特に地方で行う場合は、募集期間
を長めに取ることが望ましいと思われる。
- 359 -
5-2 ワークショップを開催するために必要なものごと
マルチメディア祭でのワークショップ開催は、CANVAS は主催であり、ワークショッ
プの運営は他と協力して開催した。そのような形態でワークショップを開催するための一
連の工程管理方法について今回の開催準備で模索した。
1つの運営者は京都であり、もう1つは東京ではあるが、発案者が多忙でありなかなか
時間が取れなかったため、おおよそのやり取りは E-mail で行われた。
また会場である岡山県サイドとの連絡調整も E-mail や電話によって行っていたが、募集
をかける際には、東京よりスタッフが数回にわたって事前に赴き、同行した。
ワークショップ運営者に開発実施内容、開発スケジュール、概算を提出してもらい、開
発内容は運営側に任せる形で進めた。CANVAS 事務局は、現地での会場の手配、設備の
確認、運営側が会場で必要とする機材、電圧、ネットワークなどの手配、サポートスタッ
フ、開催にあたっての関係者の交通手段・宿泊などの手配を行った。これらのプロセスは
すべてメーリングリスト上に情報開示し、今回は携わらない CANVAS メンバーにも伝わ
るよう心がけた。
今回の一連の作業によって、動員を早めに行うことの重要性を身にしみて感じた。参加
者募集をかけるためには、ワークショップの内容や時間などが確定していなければ難しい
が、今回開発期間が短かったため、確定するまでの十分な時間が取れなかったこと、それ
と共にチラシを制作するのが遅くなったことがあげられる。また、宿泊については、大き
なコンベンションが行われるのと同時開催の場合、周辺ホテルは多くの関係者が宿泊する
ため、まとまった人数の予約は早めの確保が必要であること。また実際に会場やその周辺
を下見し、交通状況や緊急物資調達場所の確認を行ったことにより、当日の進行がスムー
ズに行えたことがある。
5-3 こどもの創造力・表現力を引き出すためのコツ
参加したこどもたちは、会場で初めて出会い、初めての体験で、知らない大人がたくさ
んいる状況に置かれる。みなとても緊張していて、話もできずにいる。このこどもたちの
緊張を解きほぐすことによって、自由な創造や表現が引き出しやすい環境をつくることが
できる。カメラワークショップでは、実際に各自がデジタルカメラを手にとって触ってみ
て、練習してみて始めて緊張がほぐれだした。クリケットワークショップは、ゲームに参
加することでそこにはコミュニケーションが生まれ、緊張が解きほぐされる。
こどもの緊張を解き、豊かな創造力・表現力を引き出すためには、ワークショップの導
入部分で体を使わせたり、他の参加者とコミュニケーションをとる場面を作ることが重要
と考えられる。一方的授業形式では、生徒(参加者)は教師(教える側)と向き合い、参加者
同士の横の関係は生れにくい。その場合緊張は持続し、やがて疲労がやってきて、リラッ
- 360 -
クスして創造や表現を行うことが困難な状況になることも考えられる。この点において、
他者との対話や体験を重視する、ワークショップ形式の創造力・表現力を引き出す効用が
あるのではないだろうか。
またファシリテータの存在は、教師とは異なり、物事を教えるためだけに存在するので
はなく、1つの質問に1つの答えを与えるのでもなく、子供の疑問に対して、ヒントを出
したり、聞き返したり、一緒に考えたりするコミュニケーションの方法によって、子ども
自身の想像力が育まれ、創造や表現に繋がるものと思われる。その際に必要なのは、参加
人数に対する多くのファシリテータで、こども一人一人に十分にケアできる人数がいなけ
れば、このようなコミュニケーションは成立しにくい。
カメラワークショップではこども2人に1人のファシリテータが、クリケットワークシ
ョップでは3〜4人1グループにつき1人のファシリテータが付き、こどもから会話やイ
メージを引き出す役割を果たした。
6. 今後の展望
こどもの創造力と表現力を伸ばすためのワークショップを開催するにあたり、今回の経験
から今後は以下のことについて積極的に取り組んで行きたいと考える。
1. ネットワークの活用
2. デジタル機器の利用
3. 実施したワークショップのパッケージ化
6-1 ネットワークの活用
今回のワークショップにおいて、カメラワークショップでは、撮影したものをその場で
web 上にアップし、参加した子供たちは、ワークショップ後も学校や家などどこでも自分
や一緒に参加した友達の作品も見ることができるようにした。このことが、後にどのよう
な影響を及ぼすかについては今回が CANVAS として初めての試みであり、被験者数も少
ないので定かではないが、参加した子供たちは、翌日学校の友達といっしょに web サイ
トを閲覧して、楽しかった体験を伝えたり、家庭に PC があれば親御さんにも今日の出来
事を web 上に掲載されている情報を伝えることができるであろう。同一の場所における
感情や体験の共有から、ネットワークと繋がった多くの人に感情や体験を伝えることを可
能にする。今回はワークショップ中にネットワークをつないで、外部とコミュニケーショ
ンを行うことは試みなかったが、数箇所で同時開催をすれば、同じ体験やそのときの感情
の共有がその場にいる人プラスネットワーク上でみる他の場所の参加者とも共有するこ
とが可能になる。
- 361 -
カメラワークショップで見られた、ある子供が行っている行為を他の子が真似るという
行動、またそれにより新しい表現方法や創造を獲得するこどもの能力が、複数の場所で繋
がることで、よりその可能性を広げられるのではないだろうか。
複数箇所同時開催ではなく、随時開催した場合におけるネットワークの効用は、参加者
が増加する毎に、ネットワーク上にストックされる作品数も増加し、ギャラリー化が可能
となることが考えられる。一度参加した子供たちは別の参加者の作品と自分の作品を比較
することができ、また体験したいと考えるかもしれない。まだ体験していない子供たちは、
別の子供たちの作品を見て、自分ならこうするという想像を働かせるかもしれない。国外
のこどもたちとネットワークをつなぐことによって、今回のような身の回りの風景を撮影
したものに、文化ギャップを感じ、多くの発見があるかもしれない。また逆に海外の子供
たちの作品を見て、日本の子供たちは、様々な対象に興味の幅を広げる可能性も秘めてい
る。
ネットワークはこのように、その場の体験や感情の共有をその時だけに留めず、ネットワ
ークを通じて、伝えたり感想をもらうような持続的コミュニケーションを可能にし、他の
作品を通して創造性の持続の道具になるのかもしれない。
また今回はネットワークを利用しなかったクリケットワークショップについても今後
の展開としていくつかの方法が考えられる。クリケットワークショップで見られた、こど
もたちが好きな素材を選択する場面において、物質的ものでは、いくらネットワークを共
有しても、物質をトランスポーテーションできる装置でも発明されない限り、素材の共有
はできないが、しかしこの想像力をかきたてる多くの素材が、ビットであったならどうで
あろうか。音楽のフレーズや、デジタル模様など、その物理的場に用意されているものに
加え、ネットワーク上の別の地点にある素材を自由に選択することができれば、創造性や
表現力ももっと膨らむかもしれない。地域によって特性のあるもので、デジタルにできる
ものを各ネットワーク上の場所に置き、自由に交換できる。それぞれのネットワーク上の
地点で見つけた素材を集めて、自分の作品を創造・表現することも可能であろう。また作
成したクリケットの「虫」がネットワークを通じて他の場所と更新できればもっと楽しい
と感じるかもしれない。
上記のようなネットワークがこどもの創造力・表現力の向上にもたらす効用に対する仮
説を、今後のワークショップ開発に取り入れ実践していく。
6-2 デジタル機器の利用
今回使用したデジタル機器は、カメラワークショップでは PC5 台、プリンタ 5 台、デ
ジタルカメラ参加者人数分、クリケットワークショップは、クリケット参加者人数分、PC6
台である。
クリケットワークショップのようにこどもたちが自分で PC を操作してプログラミング
- 362 -
を行う場合、グループに PC が 1 台の場合、一人が使う時間が制限されないよう、グルー
プの人数を少数にする限りにおいては、1 回のワークショップにおける参加人数の限界は
ある程度大きく変動できる可能性があるが、カメラワークショップの今回実施したプログ
ラム・スケジュールにおいて、参加者 2 人に 1 台、ファシリテータがすべての操作を行っ
て、何とか時間内にワークショップを終了することができるという状況においては、参加
人数が増加した場合、プログラム・スケジュールの内、どこか一部を削除してデータの転
送やプリントアウトに使う時間を増やすか、PC とプリンタの台数を増やさないと、現状
のプログラムを所定の時間内で実施することは難しいと思われる。
しかし、ワークショップにおいて使用するデジタル機器の台数を増やすことは、電源や
電圧の確保が場所によっては難しくなることも生じるであろう。様々なデジタル機器の利
用を、今後のワークショップ開発において取り入れて行く際に、このような点については
十分に考慮して設計する必要がある。
6-3 実施したワークショップのパッケージ化
今回開催した2つのワークショップの内、クリケットワークショップについては、準備
段階よりパッケージ化を考慮して開発改良にあたった。その理由はクリケットワークショ
ップは、今回初めて開発実施したものではなく、複数回にわたり、京都・けいはんな地区
の大川センターCAMP で実施されているワークショップであり、通常は場所を固定して開
催しているワークショップを、外部に持ち出して実施するための改良であり、いわば今回
の開催がパッケージ化の第一歩という目的があった。このたびの開催によって、パッケー
ジ化(外部開催)に必要な注意点や準備・方法など多くのことが明確になり、ワークショッ
プそのもについてのことよりも、開催するにあたっての著作権や権利義務など周辺事項に
最も注意すべきことであることが判明した。
カメラワークショップについては、ワークショップ・プログラムを一から開発したので
はあるが、実施してみた結果、同プログラムであれば、多くの機材を必要とせず、使用機
材は特殊なものではなく一般的なものを使用しているので、必要電圧とネットワークを確
保できるところであれば、どこでも開催可能であろうという可能性が見出せた。残る問題
は、プログラムにおける撮影ステップで、教室外で撮影する際において、野外の場合は天
候に左右されることである。しかしこの場合には、予めプログラムを晴れ用と雨用を考え
ておけば対処できると思われる。
こどもたちは抵抗なくデジタル機器に馴染む事ができ、教わらなくてもすぐに使いこな
せるようになる様子を今回目の当たりにし、大人が考えるよりもずっとこどもたちは柔軟
で飲み込みが早く、自分の道具とすることが可能であった。今後さらにネットワークを使
ったワークショップを開発実施する際に、こどもたちが見せる創造力や表現力の可能性に
- 363 -
ますます期待が膨らんだ。
CANVAS の活動趣旨であるネットワークを活用した、こどもの創造力・表現力を向上
するワークショップ開発において、ワークショップ中に利用する電源が必要な機材をどの
程度取り入れるか、開催場所によって調整することは可能なのかということが今後の課題
である。
7. 協力団体・企業
後援:財団法人マルチメディア振興センター
カメラワークショップ制作・運営:アットネットホーム株式会社(@NetHome Co.,Ltd)
カメラワークショップ協賛:キャノン株式会社(Canon Inc.)
クリケットワークショップ制作・運営:株式会社 CSK・CAMP
(Children’s Art Museum & Partk)
- 364 -
全国マルチメディア祭 2002in 岡山
〜クリケットワークショップレポート〜
- 365 -
目次
1 概要
1‑1 WS タイトル
1‑2 開催場所
1‑3 人数
1‑4 対象年齢
1‑5 内容概要
2 スケジュール
2‑1 搬入、設営、撤去、搬出スケジュール
2‑3 ワークショップ詳細スケジュール
3 実際の様子
3‑1 挨拶・自己紹介
3‑2 今日の説明・グルーピング
3‑3 クリケットの説明
3‑4 素材ツールの説明
3‑5 練習問題をグループで解決
3‑4 制作開始
3‑5 観察ノート記入
3‑5 発表
3‑5 他の作品へのコメント
4 岡山における CAMP ワークショップの特徴(改良点)
4‑1 方法論
4‑1‑1 実施者・主催者の責任分界・権利義務
4‑1‑2 設営
4‑1‑3 ワークショップ内容
4‑1‑4 連絡・調整
4‑2 対象
4‑2‑1 けいはんな地区のこどもたちとのワークショップにのぞむ姿勢の違い
4‑2‑2 パソコン、プログラミングの経験度、習得度の違い
4‑2‑3 制作段階での特徴
4‑2‑4 複数回参加しているこどもと初参加のこどもの WS の捉え方・創造方法のちがい
4‑2‑5 けいはんな地区以外のこどもたちが WS で何を創造するか
5 今後の展開
- 366 -
1 概要
1‑1 WSタイトル:ふしぎ虫とその世界
〜クリケットワークショップ〜
1‑2 開催場所:全国マルチメディア祭 2002in 岡山、コンベックス岡山 会議室6
(中会議室)
1‑3 人数:16 日 14 名、17 日 19 名
1‑4 対象学年:小 4〜小 6
1‑5 時間:13:00〜17:00
1‑6 内容概要:
MITメディアラボで研究開発された乾電池式の小型コンピュータ「クリケット」で
動くおもちゃを作るクリケットワークショップを行った。紙や布、木など身のまわり
にあるさまざまな素材とクリケットを使って自分だけのオリジナル作品を制作してい
くワークショップである。今回は、「ふしぎ虫と、その虫が住む世界(=箱庭)」とい
うテーマで、グループごとに1つの作品を制作した。自由な発想や想像力、クリケッ
トと250種類以上の様々な素材を融合し、さまざまな「ふしぎ虫の世界」が完成さ
せた。LogoBlocks という視覚的でわかりやすいプログラム環境により、こどもたちは
コンピュータを表現するためのツールとして使いこなし、より表現の幅を広げた作品
づくりを楽しむことができた。こどもたちは、このワークショップを通してプログラ
ミングやモノ作りを体験するだけでなく、創りたいものを見つけ、様々な素材とツー
ルを使ってデザインしていく力を伸ばしていくことになった。
※クリケットとは・・・
米国マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボで開発された小さなコンピュータ。
本体は 9V 電池で動き、パソコン上でプログラムすることにより、2 個のモーターを制御、
2 つのセンサーからのデータ受信が可能。パソコンからのプログラム送信には赤外線を使
い、またクリケット同士も赤外線で互いにコミュニケーションを行うことができる。
- 367 -
2 経費とスケジュール
2‑1 搬入、設営、撤去、搬出スケジュール
●11/14(木)
16:00
スタッフ in/搬入・設営開始
18:00
終了
●11/15(金)
10:00
スタッフ in/設営開始
昼食<12:00‑13:00>
15:00
リハーサル1
17:00
リハーサル2
18:00
終了
●11/16(土)
10:00
スタッフ in/準備
昼食<11:30‑12:00>
12:00
受付開始
13:00
ワークショップ開始
16:30
〃
終了
17:00
片付け、翌日準備
18:00
終了
●11/17(日)
10:00
スタッフ in/準備
昼食<11:30‑12:00>
12:00
受付開始
13:00
ワークショップ開始
16:30
〃
17:00
撤収開始
21:00
撤収終了
終了
●11/18(日)
10:30
搬出完了
2‑2 ワークショップ詳細スケジュール
13:00
挨拶・自己紹介
13:15
今日の説明 グルーピングゲーム
13:25
クリケット説明
13:35
素材・ツールの説明
13:40
練習問題をグループで解決(文章をみて⇒動きを見て、の2段階)
- 368 -
14:00
制作開始
15:30
制作終了 片付け 箱庭を発表スペースにおいて、観察ノート記入
15:40
発表準備
15:45
発表開始(1グループ5分×5グループ。インタビュー形式)
16:10
ほかの箱庭であそんでみよう(虫眼鏡使用)
感想を書いてみよう(感想記入用メモ使用)
16:20
リフレクション
16:30
終了
3 実際の様子
3‑1 挨拶・自己紹介
自己紹介と岡山の特徴を 1 人づつ話してもらった。CAMP のファシリテイターが京都
弁で話し掛け、リラックスさせようと努力しているものの、こどもたちは緊張のた
めか口数が少なかった。
3‑2 今日の説明
グルーピングゲーム
今日何がこれから行われるかを認識して参加していたこどもは少なく、まずファシ
リテイターからサンプルの作品を見せながら、今日のワークショップ概略の説明が
なされた。その後ゲーム形式で4つのグループに分けられた。
そのゲームとは、ファシリテイターが用意してあった 4 種類のシールをこどもたち
の背中に 1 枚ずつ張り、こどもたちに話をすることなく、同じ色のシールが張られ
たこどもを見つけさせるというもの。こどもたちは無言の状況で相手に色を伝える、
という初めての経験に戸惑いつつも真剣にゲームに参加していた。
- 369 -
3‑3 クリケット説明
クリケットのプログラミングの仕方に関して、プロジェクターを使って簡単な説明
があった。こどもたちからも積極的に質問がでるなど、だんだんと打ち解けてきた
感があった。
3‑4 素材・ツールの説明
使ってよい素材や文房具の説明。こどもたちは色とりどりの素材に興味をそそられ、
実際に手にとって触ってみている子もいた。
3‑5 練習問題をグループで解決(文章をみて⇒動きを見て、の2段階)
クリケットの使い方を学ぶため、簡単な練習問題に取り組んだ。
少々難しかったのか、30 分ほど時間延長があったが、ファシリテイターの助けを借
りながら、最終的にはすべてのグループがクリアした。
- 370 -
3‑6 制作開始
4 人グループで、与えられた箱に収まる 1 つの世界とその中にいれる虫をつくる、と
いうのがテーマ。
制作をはじめると、どの子も部屋中を動きまわって素材を集たり、パソコンと格闘
しながらクリケットの動きを考えたり、と夢中で制作に取り組んでいた。こどもの
集中力には驚かされた。終了時間がきても、終わりにしようとする子はいなかった。
3‑7 観察ノート記入
自分が作った
虫
や
世界
の説明を観察ノートに記載。
虫 にオリジナルの名前をつけたり、 世界 の名前に英語を使ってみたり、と文
章にも豊かな創造力、表現力が発揮された。
- 371 -
3‑8 発表
薄暗くした部屋で、グループごとに作品の発表を行った。おもちゃのマイクを使い、
ファシリテイターの人のインタビューに答える、という発表形式がとられた。見学
者や他のこどもの見ている前での発表に緊張している子が多かったが、自分の作っ
た
虫
や
世界
を自分なりの表現で、一生懸命説明している姿が印象的であっ
た。
3‑9 他の作品へのコメント
最後に他のグループの作った作品で遊び、それらにコメントをつける作業を行った。
他のグループの作品も 1 つずつ動かして観察しているこどもたちにはするどい洞察
力が感じられた。
- 372 -
4 岡山における CAMP ワークショップの特徴(改良点)
クリケットは MIT メディアラボで開発された小型コンピュータで、これを用いてロボッ
トやおもちゃやオブジェを製作するワークショップは日本では唯一 CAMP が実施している。
CAMP では 2001 年 4 月以来、そのための常設会場、資材などを用意し、地元(けいはんな
地区)の子どもたちを対象に、これまでワークショップを実施して来ている。
だが、まだそれを外部に移転する試みをしておらず、したがって、このような取り組み
を全国展開できる見通しも立たなかった。それは、常設会場を離れ、普段の対象と異な
る子どもたちを相手に実行することが一種の大型ワークショップ開発に相当するリスク
を伴うためである。
このため、今回の岡山イベントでは、ワークショップを初めて外に移転することで、そ
の「方法論」
「対象」を外部に拡張し、
「移転プロセスを開発」することに主眼を置いた。
また、異なる地域における子ども(対象)の反応を見るための実験でもあった。
(この点で、ワークショップ「内容」を開発しようとする「デジタルカメラワークショ
ップ」とは狙いを異にした。また、これが同時に同一箇所で複数のワークショップを実
施する理由のひとつである。)
同時に、岡山でのクリケットワークショップのテーマは、
「
秋の虫
を表現する」と題
し、その土地の自然素材とデジタルを組み合わせるという取組みをした。
4‑1 方法論
場所固定で開催していたワークショップをどこでも行えるようにするための移転(動)プ
ロセスの開発。CAMP の岡山 WS は、WS 内容そのものの開発ではなく、WS 周辺事項の調査
実験が主になった。
普段けいはんな地区で行う時との違いを責任分界・権利義務、設営、ワークショップ内
容、連絡調整の4つに分けて書く。
- 373 -
4‑1‑1 実施者・主催者の責任分界・権利義務
今回はじめて CAMP で開発されたクリケット WS を外部に持ち出すこととなり、ワーク
ショップ主催者と実施者が異なることとなった。そこでその責任分界や権利義務を事
前に整理しておく必要が生じた。
ア)著作権
クリケット WS に関する知的所有権、及び制作された作品の著作権が問題となり、下
記のような整理を行った。
1.クリケット WS に関わる知的所有権は、岡山開催後も CAMP のものであり CANVAS
および FMMC には移らない
2.制作された作品(クリケット含む)は、適当に撮影・収録された後、すべて CAMP
にて回収する。
議論された内容の詳細に関しては(参考 1)参照
イ)覚書
また、上記著作権の問題も含め、CAMP クリケット WS を開催するにあたって、CANVAS
とCAMPは開催協力、ワークショップ展示会、知的所有権、部機材の回収、作品の回
収と保管、保管作品の貸し出し、協議に関する覚書を結んだ。
ウ)支払方法
実際に動き出す前に CANVAS から CSK(CAMP を運営している会社)に対して「ワーク
ショップ実施委託」のような名目で覚書を出し、最終的に実費を CSK から CANVAS へ
請求する方法で処理をした。
4‑1‑2 設営
ア)レイアウト等の確認
臨時設定のイベント会場に、最小限の機材を持ち込んで実施する手法を探
り、実行上の問題点を検討した。
事前に実際に岡山まで下見に行き、下記のことを確認した。
・部屋の広さ→レイアウトの決定
・部屋の明るさ→発表の時に部屋を暗くできるかなどの確認。
・コンセントの場所・配線
・プレスの人の立つ位置。
・見学者のスペース
・机の高さ、イス高さ→CAMP が普段使っているようなこども向けの机とイスはな
- 374 -
かったが、実際に行ってみると問題はなかった。
・トイレの位置
部屋のレイアウト:
イ)機材の手配
今回、岡山サイドで用意しておかなくてはいけなかったものの 1 つが機材であっ
た、現地岡山で調達した機材は、通行制御用ポール 10 本、プロジェクター、スク
リーン。
事前に調べておくべき点が今回明らかになった。今後のノウハウとして蓄積して
おきたい。
・ネットワーク環境の確認
IPの問題。固定IPを使うのか、DHCPなのか等も含めたネットワーク
環境の事前確認。
・電気容量の確認
今回電気を使用した機材、及びその使用電気容量は、
●ノートパソコン
●グルーガン
●液晶テレビ+ビデオ
120W
×
15 台
=
1,800W
10W ×
4台
=
40W
1台
=
200W
200W
×
- 375 -
●プロジェクター
240W
×
1台
=
240W
*事前にブレーカーの場所を確認しておく必要もあった。
*テレビ+ビデオは CAMP のプロモビデオをエンドレス上映するために用意
された。今後、このように他の組織とコラボレーションして、WS等を開
催していくことを考えると、このようなことも常に念頭に入れておく必要
がある。
・電源の場所の確認
ウ)搬入、搬出
・荷物量の確認・置く場所の確保
今回 CAMP の荷物量は、空ダンボール箱:およそ30箱+20箱(ノート PC 分)
。
これを搬入から搬出までの4日間、置いておく場所の確保が必要となった。
・荷物の受け取り手配
荷物の受け取り場所、時間等の段取り。
エ)宿泊場所・昼食手配
ファシリテイターの人数確認と、ホテルの確保。
全国マルチメディア祭 2002in 岡山ということで、他の予約客も多かったのか、ホ
テル確保に苦労した。
昼食、昼食を取る場所を手配。こどもにはお弁当を持ってきてもらうようにアナ
ウンス。
4‑1‑3 ワークショップ内容
ア)ファシリテイターの手配
CAMPでは通常、クリケットワークショップは 16−20 人のこどもに対して、3
人のファシリテイターによって開催される。しかし、今回は初めての持ち出しワ
ークショップであるため、また、通常数人いるリピーターの子が 1 人もいないた
め、いつもよりもファシリテイターの数を増やした(5 名)。
イ)素材集め
限られた時間の中で、こどもたちが早く作品の飾り付けをできるように、素材は
通常より大き目のものを用意した。
- 376 -
ウ)グループ分け
クリケットワークショップでは普段は、2 人一組で行っているのだが、今回は、4
人一組で行うこととした。理由は、1つに、部屋がいつもよりも狭く、使用でき
る机の数の関係上そうせざるを得なかったことがあげられる。2つ目の理由とし
ては、できるだけコミュニケーションをとりやすいようにすることがあげられる。
また各グループにおける男女比と学年のばらつきが均等になるように、事前に打
ち合わせを行った。
エ)クリケットの説明・練習問題の作成
ファシリテイターの数がいつもよりも多いため、はじめに行うクリケットの使い
方の説明はいつもよりも簡潔にした。また練習問題もいつもよりも難易度の高い
ものを出した。
オ)テーマの選定
通常 CAMP のクリケットワークショップは、テーマを絞って開催をしている。例え
ば、プログラミングを学ぶことを目的としたクリケットワークショップなど。し
かし今回は場所を変えての1回きりの開催であるため、様々なニーズに応えられ
るようなテーマ設定を行った。創作を楽しむ子、プログラミングを楽しむ子、友
達とのコミュニケーションを楽しむ子、何か1つ持ち帰って欲しい、という願い
を込め、すべての要素を併せ持ったものとした。
また、 虫 というテーマも男女問わず興味を持つもの、という観点で選定した。
4‑1‑4 連絡・調整
今回は実施者、主催、スポンサーなど、関係者が多岐にわたったため、その連絡・
調整が不可欠となった。連絡・調整部分はすべて CAMVAS で担当した。
ア)こども募集方法
CAMPは通常、ウェブ、ポスターのみでこどもに募集をかけているのにも関わ
らず、毎回定員の倍ほどの応募がある。CANVAS ではウェブでの呼びかけの他に、
2000 枚のパンフを作成し、学校を巻き込んだ周知・募集方法を開発した。
しかし、こどもの集まりがとても悪く、今回のワークショップ開催で一番苦労し
たところは、こども集めであった。
募集方法に関しては別紙参照。
イ)緊急措置
緊急処置として看護婦の確保、こどもを保険にいれる、などの処置を行った。
- 377 -
普段、CAMP では賠償責任保険にしか加入していないが、今回はそれに加え、傷害
保険へも加入して、万全を期した。
ウ)こどもへの連絡
応募があった子へ直前に CANVAS の方からの連絡を入れ、人数確認をすると同時
に、当日必要なもののアナウンスを行った。
エ)敷地入り口から会場までの参加者誘導
会場が複雑であるため、誘導役、立ち番のアルバイトを雇い確実にこどもを会場
まで誘導できるように注意を払った。
オ)プレスへの対応
全国マルチメディア祭 2002in 岡山の中での開催であったため、事前に把握するこ
とができない取材が多数入った。ワークショップにおいては、こどもの映像をと
り放映することの許可を事前にとるなどの注意が必要であった。また取材の方へ
の連絡等の対応は CANVAS で行った。
4‑2 対象
創作ワークショップは、対象となる子どもの属性や地域によって大きく左右される。CAMP
は普段けいはんな地区というハイテク研究地域の子女を対象としており、しかも参加者
は常連化してきている。これを、文化・技能・社会背景の異なる地域に持ち出し、初体
験の子どもたちを対象に実施することにより、その効果や問題点を探る。
CAMP でクリケット WS を開催する場合との相違点、影響。
4‑2‑1 けいはんな地区のこどもたちとのワークショップにのぞむ姿勢の違い
緊張をしているせいか、けいはんな地区のこどもよりも、素直に真剣に取り組む子
が多かった。はじめのグループ分けのゲームにおいても、普段は話してはいけない
と言われても話してしまう子、男女一緒のグループになるのは嫌、友達と一緒のグ
ループになりたい、などとブーイングを言う子が普段は必ずいるが、今回は1人も
いなかった。ゲームにもいつもより真剣に取り組んでいた。
4‑2‑2 パソコン、プログラミングの経験度、習得度の違い
けいはんな地区で開催する際、パソコンを使ったことのないこどもはいないが、岡
山ではそのような子もいるであろうと想定していたが、実際に行ってみると、マウ
スの使い方等基本的な操作の仕方でつまずく子は1人もいなかった。
プログラミングに関しては、練習問題に取り組んでいる際はいつもよりも難易度が
- 378 -
高い問題を出したこともあり、通常よりも30分ほど解くのに時間がかかったが、
その分、最終的な作品では難易度の高いプログラミングにチャレンジした作品が多
かった。
4‑2‑3 制作段階での特徴
普段のけいはんな地区で行うワークショップでは、箱のデコレーションにばかり目
がいく子が多く、大抵クリケットを使った作品(今回でいう 虫 )は後回しにされ
るのだが、今回はほとんどの子がクリケットから先に取り掛かっていた。逆に箱の
デコレーションが最後までできないグループが多かった。
4‑2‑4 複数回参加しているこどもと初参加のこどもの WS の捉え方・創造方法のちがい
けいはんな地区ではリピーターの子が多くいる。リピーターは、やはり前提知識が
あるため、参加するときの意気込みが違ってくる。事前に家で何を作るか考えた上
で参加する子も多く、またリラックスしてできるため、良い作品を生み出す。しか
し、初参加の子と違い、緊張感がなく、途中でだらけてしまうことも多々ある。
4‑2‑5 けいはんな地区以外のこどもたちが WS で何を創造するか
(地域の特性が出るのか?)
前述の通り、今回は高度なプログラミングを行った作品が多かったが、全体の作品
をみてみると、地域の特性というものは特になく、個性の問題のみであった。
作品の名前でオリジナルの名前を考えたり、英語を使ってみようとする点なども両
者に共通していた。
5 今後の展開
CAMP クリケットWSに関しては、海外でもその効果は実証済みであり、CAMP でも大きな
成果をあげてきた。デジタルとアナログを融合している点、創造力、表現力という両方
の要素を持ち合わせているという点で、WS自体CANVASの主旨と合い、評価でき
る。このように、CAMP は常に質の高いWSを提供してきたが、未だ京都の大川センター
にとどまっていた。今回の岡山での出張 WS をきっかけに、このクリケット WS をパッケ
ージ化し、全国に普及させることを考える。その役割をCANVASで担っていきたい。
最終的には、パッケージ化したものを、各学校のプログラムに組み込むことも検討して
いる。
- 379 -
(課題)
① コストがかかりすぎる
人件費、運搬費、設営費は下げることができないが、資材(レゴなど)は一度購
入すればそれを使いまわす形で普及啓発を行うことで,最終的には単価もかなり
抑えられると考える。
今回は身の回りにある素材も CAMP ですべて用意し、運搬したが、今後はこども
たちに持ってきてもらったり、現地で集めたるなどして、運搬費削減も可能。
② ファシリテイターの確保
今のところ、ワークショップを開催するファシリテイターには高度な知識・経験
が求められる。日本にはまだ経験者がほとんどおらず、当面 CANP からの出張に
頼らざるを得ない。今後ファシリテイターの確保、養成が大きな課題となる。
(参考1:著作権処理)
● 前提
団体間の関係。
FMMC
総務省の指導により、関係調査を委託する公益法人
CANVAS 関係調査を受託する特定非営利活動法人(設立認証中)
CAMP
関係調査の一環としての WS を開催する団体
したがって、全国マルチメディア祭 2002in 岡山におけるクリケット WS は、公的性格
の資金により、公益を目的とする調査の一環として実施される WS となる。
● 二分
本件を考えるにあたって、「開催される WS」と「WS の作品」に二分して考えることと
した。
● 開催される WS について
(法的考察)
法律で規定された Intellectual property(知的財産権、無体財産権)には、著作
権、工業所有権、その他がある。このほか判例で認められているものに、肖像権
などがある。工業所有権は特許権、実用新案権、意匠権、商標権からなるが、登録審
査が必要で、開催される WS 自体がこれに該当することはない。次に、著作権に関して
は、著作物は著作権法により、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、
学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう、と定義されている。例示としては、
著作権法第 10 条でつぎのものがあげられている。
一
小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二
音楽の著作物
三
舞踊又は無言劇の著作物
- 380 -
四
絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五
建築の著作物
六
地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七
映画の著作物
八
写真の著作物
九
プログラムの著作物
開催される WS は、上記に合致しがたいものであり、日本の現行の著作権法に規定され
る著作物として解することは困難。
(開催される WS を文章化したマニュアルなら、言
語の著作物に該当すると解される。しかし、WS をそのマニュアルを演じた実演(芸能
的な性質が必要)と解することは極めて困難である。)
しかしながら、開催される WS は、創意工夫や経験が結実したものであり、いわゆるノ
ウハウなどの無体財産と解すべきものと考えられる。ただし、この財産は法律又は
判例により規定されたものでなく、あくまで私契約で取り交わされ、定められる性格
のものであって、企業間の NDA(秘密保持契約)で取り交わされる営業上の秘密に類
するものと解すべきである。
したがって、開催される WS に関する CAMP が擁護する財産は、いわゆるノウハウであ
ると考える。
(調査の性格)
ところで、NPO の公益事業は、事業を通じて、不特定多数の人々がその結果を享受で
きなければならない。また、公益法人たる FMMC は調査結果を公共の用に供する性格
を帯びている。事実、FMMC は CANVAS に対して、調査結果の広い公表を調査委託に
あたっての要件としている。そのため、開催される WS の記録(ビデオカメラ等によ
る電磁的記録を含む。以下同じ。)
、分析、考察の公表は調査の性格上、CANVAS とし
て必要となる。
(対応)
問題は、開催される WS のノウハウの擁護と、開催される WS の記録、分析、考察の公
表が相容れない面があるということである。したがって、私的財産としてのノウハウ
と、公的財産としての調査のバランスに配慮し、CAMP と CANVAS が開催される WS につ
いて、記録、分析、考察の公表の度合いを協議し、合意を図るのが、現実的な対応と
考える。
● WS の作品について
(法的考察)
WS それ自体と異なり、開催される WS により生じる作品は、思想又は感情を創作的に表
現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものであるので、著
作権法に規定する著作物に該当する。今回の WS の場合、この著作物の著作者は子供自
身になる。したがって、作品が自動的に CAMP に帰属することはない。作品を CAMP に
- 381 -
帰属させるためには、WS に参加する子供と CAMP との間で、事前の合意が必要。ただ
し、財産権でない著作者人格権は譲渡できないので、CAMP への帰属後であっても、子
供の意に反して、作品の題名、著作者の氏名、作品の内容等を変更することはできな
い。
論点としては、WS の作品を帰属させることにより CAMP が擁護すべき利益が何であり、
その根拠は何かということである。作品を構成するクリケット自体に財産的価値があ
り、その頒布を防止するということであれば、擁護すべき利益(機会)が明確である。
(調査の性格)
調査の性格は、上述と同じである。WS の作品の全部とは言わないまでもいくつかは、
調査の記録自体になりうるものであり、広く公表・公開されるべき性格を有している
と解するべきである。
(対応)
まず、CAMP が作品を帰属させる利益及びその根拠を明確にする必要がある。その上で、
開催される WS の場合と同様に、CAMP の擁護すべき利益(機会)と公的財産としての
調査のバランスに配慮し、0か1かでなく、CAMP と CANVAS が作品の帰属と公表・公
開の度合いを協議し、合意を図る、という対応方策をとることとする。
- 382 -
全国マルチメディア祭 2002in 岡山
〜クリエイティブフォトワークショップ
レポート〜
- 383 -
目次
1. 概要
1-1 ワークショップタイトル
1-2 企画・実行
1-3 開催場所
1-4 参加人数
1-5 参加者の年齢
1-6 ファシリテータ
1-7 サポートスタッフ
1-8 ワークショップ開催時間
1-9 ワークショップ内容
2. スケジュール
3. 開催当日の様子
3-1 会場
3-2 使用機材
4. ワークショップの意義と改良点
4-1 先駆的 WS の開発
4-2 WS のネットワーク化・共同開催
4-3 WS の普及
4-4 成果のコンテンツ化
5. 今後の課題
- 384 -
1. 概要
1-1 ワークショップタイトル:
1-2 企画・実行:
「クリエイティブフォトワークショップ」
アットネットホーム株式会社
1-3 開催場所:
岡山マルチメディア祭会場
1-4 参加人数:
16 日−9 人
1-5 参加者の年齢:
コンベックス岡山
会議室【7】
17 日−10 人
8 歳〜13 歳
1-6 ファシリテータ:
2 人(廣瀬禎彦氏、河野真太郎氏)
1-7 サポートスタッフ: 7 人(アットネットホームより 5 人、CANVAS より 2 人)
1-8 ワークショップ開催時間: 9 時 30 分受付開始
- 16 時終了(17 日は 15 時半終了)
1-9 ワークショップ内容
デジタルカメラを使用し、自分を表現する道具としての写真制作を学ぶ。一人一台ずつ
カメラを持って自由に撮影し、プリンタですぐに出力して作品を発表する。
構成は、カメラの基本的な撮影のしかた、フォトアーティストの手法を参考にして身近
な素材をフィルタとして使用した撮影方法、ファインダーを覗かないで撮ったり、動くも
のを撮影する方法を含めたフリースタイルの 3 部構成。
各セッションごとに、撮影した写真からプリントするものを選び出し、タイトルをつけ、
撮影した理由とともに発表する。
撮影した写真は、一人につき 2 点をコメントともに Web ページにアップし、インター
ネットで閲覧できるようにした。
ぶれたり、フィルタで切り取ったりした様々な写真を撮り、それぞれの作品を見て楽し
むことで、参加した子どもたちは、写真を撮るということが、カメラの機能を習得して記
念写真やきちんとピントが合った写真を撮影するだけでないことを知り、カメラを使って
自分の個性や印象を伝える表現方法として体得した。
2. スケジュール
・ 11 月 15 日
搬入、設置
・ 11 月 16 日
(ワークショップ当日)
分担とスケジュールの確認
- 385 -
9:00
9:30
9:40
スタッフ集合・連絡と分担確認
受付開始(1F:承諾書の記入
2F:バッジ・ジャケット
の配布、写真撮影)
ワークショップの説明、ファシリテータの紹介(河野氏)
「写る?ピンホールカメラ」(廣瀬氏)
9:50
写真の原理とカメラの歴史
ピンホールカメラを使って撮影
10:20
10:30
カメラの使い方
教室内で撮影練習
テーマ1「勝手に写せ!」説明(廣瀬氏)
自由撮影(教室外)
11:00
カメラを回収、プリント(2 枚)
タイトルと撮影した理由を記入
11:15
発表・講評(廣瀬氏、河野氏)
11:30
昼食、展示会場の見学
テーマ 2(フィルタを使用する)の説明(廣瀬氏)
「デビットハミルトン」
(エアパッキン)
12:30
「葉っぱでみどり」(落ち葉)
穴を開けた段ボール
⇒教室内で練習
12:45
13:30
13:45
撮影
カメラ回収、プリント(1 枚)
タイトルと撮影した理由を記入
発表・講評(廣瀬氏、河野氏)
テーマ 3「ぬすみどりのヒミツ」説明(廣瀬氏)
13:50
・ファインダーを覗かずに
・歩きながら
14:10
撮影
カメラを回収、プリント(1 枚)
14:40
タイトルと撮影した理由を記入
アンケート記入
14:55
発表・講評(廣瀬氏、河野氏)
15:10
全体の講評(廣瀬氏、河野氏)
- 386 -
作品が掲載された Web ページを各自確認
15:30
解散
・ 11 月 17 日
基本的なスケジュールは 16 日同様であるが、午後のテーマ 2 の撮影が 30 分短縮となり、
15 時に終了。その後、梱包、搬出作業。
3. 開催当日の様子
3-1 会場
教室のレイアウト
前方)ホワイトボード、講師用机
子ども用長机(1つにつき2名着席、3列2行)
後方)プリンタ・作業用 PC 用机を配置(1列)
保護者、見学者席
室内では、前方の講師と子どもの周囲にサポートスタッフを配置、保護者と見学者はプ
リンタ、PC 作業用机より前には立ち入り禁止とした。また、見学者には子どもたちの作業
中に、使用している機材や作品には手を触れないよう通知を掲示した。
室外での撮影では、イベントの展示会場や戸外で参加者の子どもたちが判別しやすいよ
うに黄色のカメラマンベストを着用させた。また、ワークショップに関わるスタッフも、
カメラクルーも含め全員が同じベストを着用した。撮影の際には、子どもは2人一組、も
しくは一人を1ユニットとし、安全のため、必ずサポートスタッフが1ユニット1人以上
同行した。撮影範囲は、イベント会場であるコンベックス岡山敷地内としたが、屋外通路
でつながったロータリーと公園も撮影場所として含まれた。
3-2 使用機材
カメラ(CANON
プリンタ
CANON
Powershot)20 台
5台
ノートパソコン(IBM Thinkpad)5 台
- 387 -
3-3 タイムテーブル
① 受付
・ 9 時 30 分の受付開始後、すぐに 8 人が集合する。一人が
10 分ほど遅れて参加(16 日)
・ 名前を聞き、リストに番号を記入。(番号はカメラ、写真
フォルダに対応)
・ お弁当を持っていることを確認する。持っていない子ども
については事務局が用意。
・ ジャケットと名札を渡し、写真撮影。
・ 保護者に、16 時に終了の旨通知し、ガイダンスを開始。
(17
日は 15 時終了)
② ガイダンス
・ 写真の歴史、ピンホールカメラの説明。説明を聞いている
ところでは、ピンホールカメラで撮った写真を見たところ以
外ではあまり目立った反応はなかったが、デジカメを手渡さ
れると、とたんに活き活きとし始めた。
・ 説明中、低学年の男の子は少し落ち着きがない様子もあっ
た。用語が難しかったのだろうか。
・ 簡単にボタンやスイッチの説明後、試し撮りをする。
・ 全員がカメラを手に取り、興味深そうにいろいろな部分を
見たり触ったりしていた。
③ ワークショップ
・ 教室の外に出て、好きなところで撮影を開始する。
・ 第一部「勝手に写せ!」では、展示会場、エントランス、
公園などで好きなものを撮る。ほとんどの参加者が 14 枚の CF
カードの容量いっぱいに撮影。積極的にファインダーを覗い
て、撮りたいものを探す。2 人に 1 人以上のサポートがつき、
必要に応じてアドバイスをしていた様子。30 分の撮影の後、
教室に戻り、カメラから写真を取り出して印刷する二枚を選
ぶ。
人気だった撮影対象は、公園の真っ赤なもみじと展示会場の
- 388 -
真っ赤な F1 マシン。
・ 第 2 部では、フィルタを使って撮影。今回は穴を開けた葉
っぱとダンボール、エアパッキンを使用。撮影には 45 分をか
けたが、今回はかなり対象を決めるのに時間がかかり、枚数
はあまり多くない。
・ フィルタの効果が気に入って、悩みつつも面白がる子もい
れば、面倒なので普通に撮りたいという子もいる。
・ 教えられた以外にも、カメラの使い方などについてどんど
んサポートスタッフに聞いていた。
・ 第 3 部では、ファインダーを見ずに撮影する。フィルタな
ど、好きな撮り方でよいことになった。歩きながら撮ったり、
展示会場などの室内では、ぶれが生じたり、意図しないもの
が撮れたようだ。パソコンに写して選ぶ段階でびっくりして
いる子どももいた。
・ 第 2 部、第 3 部の撮影では、撮影するたびに撮れた写真を
見せてくるようになった。
⑤ 発表
・ 写真を印刷(A4 サイズ)後、壁に張り出し、それぞれがタイ
トルと撮影した理由を発表する。
・ タイトルを決めるのに、皆かなり悩んでいた様子。「他の
みんなのを見て決める」という子や、周りの大人に相談する
子も。
・ 第 1 部では、撮影した理由として色に関するコメントが多
い。「色が綺麗だから」など。
・ 第 2 部、第 3 部では、コメントに少しずつ自分の意図や表
現を感じるものがあった。「こう撮ろうと思ったが、とってみ
ると思いがけない効果になった」など。
他の参加者の作品への質問、コメントはない。
・ 17 日は、写真の前に立って、皆の前で発表する形式。
「発
表」となると、言葉遣いが丁寧語を使うようになる。中学生
の参加者がしっかりしたコメントをしたのが手本となったの
かも知れない。
- 389 -
⑥ 振り返り
・ 総評では、ファシリテータがプログラムを振り返り、写真
での表現について説明する。
・ 第 1 部で最初に撮ったものと、フィルタやいろいろな撮影
方法でとったものを比較して、段々と写真がそれぞれの表現
となったことを、全員の作品を見ながら確認した。
・最後に、各自がプリントアウトした作品、記念品、作品が
公開されている WEB ページの案内を持ち帰った。
・ 早めに終了したので、WEB アップ作業を待って、実際に
Web に載った作品を確認することができた。
終了後は、子どもたちは保護者が迎えに来るか、待ち合わせの連絡がとれるまでスタッ
フとともに待機した。
朝 9 時半に集合し、4 時近くまでの長い時間にわたったワークショップであったが、外に
出ての撮影や、当日は予定にはなかった展示会場の見学なども盛り込み、めりはりのある
構成であったため、子どもたちが最後まで飽きている様子はなかった。
4. ワークショップの意義と改良点
以下、クリエイティブカメラワークショップについて、CANVAS の活動趣旨より
・先駆的 WS の開発
・WS のネットワーク化・共同開催
・WS の普及
・成果のコンテンツ化
4 つの観点から、ワークショップ実施の意義と考えられる改良点について示す。
4-1 先駆的 WS の開発
デジタルカメラ、インターネットを体験するだけでなく、創造や表現のツールとして使
う試みである。新しい道具を使いこなすのが目的ではなく、子どもたちの表現の幅を広げ
ることを目的とし、「きちんとした写真」よりも「自分の写真」をとる喜びを感じてもらう
ことに大きな意義があった。
- 390 -
しかし、「デジタルカメラ教室」と捉えていた参加した子どもや保護者も多い。美術館や理
科教室などでは、写真を撮影したり現像したりする教室やワーショップを実施していると
ころもあり、とくに操作や使用方法を体験・習得する「教室」と、表現や創作行為を主眼
とする本 WS との違いを、開催告知や作品発表の場において、はっきりとアピールする必
要があるのではないだろうか。
4-2 WS のネットワーク化・共同開催
制作後、すぐに作品をアップロードするため、発表と評価の部分を複数の開催地で共有
できる可能性が考えられるが、オンラインで相互発表したり、WEB への即時アップをする
場合には、それに対応する回線の配備が必須である。また、同時開催が可能な場合、コミ
ュニケーションを制作に活かすことができるか。また、作品を通して意見や感想をやり取
りできるとよい。
4-3 WS の普及
・ファシリテータに高度で専門的なスキルや個人固有の表現能力などを求めない。(写真の
基礎知識、デジカメ、パソコン、プリンタの一般的な操作)
・人数に応じて機材の数量を調整できるため、予算に応じた開催方法が考えられる。(カメ
ラ、プリンタ、パソコンの台数は人数規模に応じて変更できる)
・特定のロケーションに限定しなくてよい(最低限、説明と発表と作業を行う会場があれ
ばよく、周囲には特定の条件を設定しなくてよい)
以上の点から、パッケージ化して様々な条件下での実施が可能と考えられる。
しかし、そのためには、今回のプログラムの構成では拘束時間が長くなるため、パッケー
ジ化する際には必須部分をコンパクトにまとめて、限られた時間内でアレンジできるよう
にする必要がある。(学校などで、一日全部は使えないが何時限を使ってやる場合、あるい
は何回かに分けるなど)また、今回は当初予定されていたよりも多くのサポートスタッフ
がついていたため、人員の面では、実際に参加者の人数に対して、最低限必要な人員数を
再考する必要がある。(今回は、講師以外に、サポート 5 名、パソコン等の機材作業担当が
2 人参加した。外に出て自由に撮影を行う時には、ほとんど参加者 2 名につき 1 人以上のサ
ポートがついた)
4-4 成果のコンテンツ化
今回のワークショップでは、デジタルカメラを使用したものであったために、成果物が
デジタルデータのため、複製や移動の問題がほとんどないという点と、参加者へは写真を
紙に出力して手渡すが、WS 後には WEB で公開するという複数のアウトプットでの利用が
できるという利点があった。
今後の改良点としては、ネットワーク化、共同開催を視野に入れた展望からは、地域性や
- 391 -
時期、撮影環境や参加者などを考慮し、制作にあたって大まかなテーマを設定して制作し、
比較や意見交換などの材料とすることも挙げられる。
5. 今後の課題
今回、岡山全国マルチメディア祭でのクリエイティブフォトワークショップの実施内容
から、今後の CANVAS のワークショップ調査研究活動において留意すべきポイントを以下
に示す。
・ 表現と創造を目的とした制作活動において、ファシリテータがどこまで参加者を導くか。
単に扱う機材が新しくてものめずらしい、というだけで終わらせないために、操作以外の
ステップアップには、ある程度の創造的ヒントは必要である。それが表現を限定してしま
わないためにはどのような工夫が必要か、または他の WS でなされているか。
・ 今回のように共同制作を伴わず、参加者が個々に作品作りに取り組む場合、その過程や
発表において、ワークショップが場としての役割をどう果たすか。参加者同士のコミュニ
ケーションがどのようになされているか。
・ 学校などへの普及を考えた場合、実際の教育の現場ではどの程度、デジタル表現やイン
ターネット利用の実践が進んでいるかを調査する必要がある。
・ デジタルデータの、様々なアウトプットが可能という利点を活かし、Web で作品を公開
/閲覧する以外にも、制作した写真を通じての参加者同士のコミュニケーション、または他
の媒体での利用の可能性も考えられないか。
※ワークショップで制作された作品と、参加者のコメントは以下の URL で公開されている。
http://www.broadspirits.net/canvas/
- 392 -
CANVAS ウェブトップページ作りプロジェクト
目次
1:概要
2:目的
3:参加者
4:ファシリテイターの数
5:実施日時
6:経費
7:CANVAS トップページ仕様
8:内容詳細
9:効果
10:今後
- 393 -
1:概要
CANAVS ウェブトップページを子どもたちに自由に作成させる。
フューチャーキッズ(株)の協力により実施。
*フューチャーキッズとは
世界 73 カ国で展開されている、世界最大の子ども向けマルチメディアスクール。21 世紀に
世界で活躍できる子どもを育てるスクールを標榜する。
2:目的
1
子どもたちの体験
CANVAS の活動及びその目的を理解した上で、それを自由に表現することを子どもたちに
実践させる。ウェブのコンテンツを自ら作ることによって、IT スキルを同時に体得させる。
その作品を実際に CANVAS のウェブサイトに採用し、公表し、反応を知ることを通じ、表現
することと、それを発信することのリアリティーを体験させる。
2
その評価
このような活動を通じ、子どもがウェブ表現をすること、発信することに関する効
果を分析し、問題点を探る。
3:参加者
中学生
3 クラス
トータル 8 名
4:ファシリテイターの数
各クラス教師 1 人
5:実施日時
70 分授業 3 回で 1 作品を作成。3 つのクラスでトップページ作りを開催した。
①9 月 8、9、10 日
②9 月 15、16、17 日
③9 月 22、24、30 日
6:経費(教師にかかる費用:人件費)
1 クラスにつき 1 万 5 千円
トータルで 4 万 5 千円。
(フューチャーキッズの教室で行ったため、パソコン費、資材費、会場費などを含まない。
)
- 394 -
7:CANVAS トップページ仕様
下記のような仕様を作成し、こどもたちに配布した。
(1) キャッチフレーズを使用すること
キャッチフレーズは「遊びと学びのヒミツ基地」
(2) ロゴがトップページに載っていること
「logo」フォルダーに保存されているロゴマークを使用してください。
(3) 以下のコンテンツをトップページに含むこと
① ニュース
(What
s new にあたるニュースを書き込む欄)
② 今週のイベント
(イベントを紹介する欄)
2,3行の文章を入れられるスペース
③ 今月のイベント
(ミュージアム紹介する欄)
4,5行の文章を入れられるスペース
④ 他のコンテンツとのリンク
ア)〜ケ)までのタイトルをリンク可能な形で入れる
ア)CANVAS 概要(がいよう)
イ)メンバー
ウ)フェローからの一言
エ)ワークショップ紹介
オ)ミュージアム紹介
カ)トップページデザイン集
キ)過去のイベント
ク)定款(ていかん)
ケ)リンク
- 395 -
8:内容詳細
Lesson1
■ イントロ:CANVAS からの依頼があったことの説明
■ トップページとは何か?
様々なトップページを参考に見て、トップページとは何かを考える。
■ 「ホームページ仕様」って何?
CANVAS トップページ仕様を配布し、ホームページ仕様とな何かを考える。
また、満たさなければならない条件を理解する。
■ レイアウトのラフデザイン
下図のような紙を使い、紙面上で、ウェブのレイアウトをデザインしてみる。
Lesson2
■ Html 編集ソフトの利用
Html 編集ソフトである、ホームページビルダーを使用して、実際に作成作業をはじめる。
- 396 -
はじめにいくつかの機能の使い方を説明。
・ ロゴの挿入の仕方
・ 表組みの利用の仕方
・ 文字入力〜書式の設定の仕方
・ 背景色の設定の仕方
■ 画像編集ソフトの利用
ホームページビルダーに組み込まれている画像編集ソフトの使い方を簡単に説明し、画
像の取り扱い方を習う。
・ ボタンやバナーの作成
・ 画像ファイルの特性について説明
・ 画像ファイルの保存の仕方
Lesson3
■ HTML 編集ソフトの利用
トップページを完成させる。
■ クラス内での中間発表
■ トップページの再編集
こどもたちの作品
入江哲朗さんの作品感想
若気の至りで、野暮ったくな
らないように気をつけまし
た。
- 397 -
関翔土さんの作品感想
ちょっと写真を使いすぎたか
な。思ったよりうまくできた。
もう少し時間がほしかった。
あと、もう少し CANVAS につ
いての資料がほしかった。」
残間理央さんの作品感想
じぶんなりにがんばったつもりで
す。くらいです。よろしく。
畑間香織さんの作品感想
たくさんの時間・労力・そして、体
力を使い果たしました。
- 398 -
酒寄智さんの作品
米子祐太朗さんの作品感想
今回のホームページ作りでは、 体調が悪く納
得の行くホームページに至りませんでした。
その上やる気があまりなく、 未完成のまま提
出することになってしまいました。 もし、で
きるのであれば修正したいと思っています。
(と、いうよりあのまま提出したくなかった)
安藤広貴さんの作品感想
もう少し工夫をすればよかっ
たかと思っています。
それ
と、個性が足りなかったかも。
この短時間ではがんばれたと
思います。
ではでは。
- 399 -
粂田光昭さんの作品
9:効果
・ 現実社会との接することでこどものモチベーション向上
フューチャーキッズは普段から、スキルベースではなく、ストーリーベースで授業を進
めている。そのため、今回のような外部組織からの依頼があるということはこどもたちに
とっても、フューチャーキッズ教師にとっても好ましいことのようだ。通常の授業と比較
して、こどもの反応はとてもよく、今回のように CANVAS ウェブのトップページ作り、とい
う具体的な目標があると、こどもたちも取り組みやすいようである。また、実際に使われ
る、現実の世界との接点がある、ということの効果は大きく、授業終了後も、遅くまで残
って真剣に作っているこどももたくさんいた。
・ インターネット環境への理解の深まり
良いホームページ、良くないホームページを議論するうちに、こどもたちは、自然とユ
ーザビリティを考慮したウェブをデザインするようになっていった。実際、どのような人
が CANVAS ウェブにアクセスするのか、アクセスする人の回線速度はどのくらいか、といっ
た質問が多くあった。ユーザーの立場にたって作成することを学ぶ良い機会となったよう
だ。
・ 高度なホームページ作成の技術体得
授業の様子を観察していると、第一回目(Lesson1)では、教師のアドバイスが必要とさ
れているようであったが、2,3回目からはこどもたちのアイディアが次から次へと出て
きた。そして、こどもたちは自分のアイディアを実現させるよう、教師に聞いたり、お互
いに助け合ったりしながら、HTML 技術、画像処理技術などを体得していった。
- 400 -
・ 表現力の向上
ほとんどのこどもたちが、ロゴ・ボタン・バナー作り(デザイン)と、キャッチフレー
ズやコピー作り(文字のデザインを考えるところまで含めて)に多大な時間を費やしてい
た。こどもたちはもっとも創造力と表現力を要するところに興味を持つかが明らかになっ
た。
しかし、今回は CANVAS のロゴやキャッチフレーズが決まっていたため、それがこどもの
創造力・表現力を制限してしまっている可能性が高い。また、こどもの作品をみてみると、
今月のイベント
を
今イベ
と略したり、など、こどもらしさが出てはいるものの、
情報提供をするウェブトップページとして、相応しいものかどうか、疑問点が残るものも
あった。
10:今後
・パッケージ化して他の場所でも開催
現在、CANVAS ウェブトップ作りをパッケージ化し、全国に広がるフューチャーキッズの
他の校舎での実施も計画中である。
・問題点の改善
上記問題点を考慮し、 考え、相談し、作る
というプロセスをこどもが満足できるまで
行えるよう、トップページの他に自由ページ作成という試みを新たにする。
制約が大きいがインパクトの大きいトップページ作りに加え、テーマのみ与えられた自
由度の高いページをこどもたちに作成してもらう。自由ページでは、こどもたちは、絵で
表現をしたり、作文で表現をしたり、デジカメやビデオなどを駆使して作品を作ったりと、
様々な手段を用いて、表現し、ウェブ上で発表する。
- 401 -
参加者の声
Music♪
Playshop
1.概要
音でのコミュニケーションが楽しかった
これからも活かしていきたい
・ 「自分は人とのコミュニケーションをとるのは苦手な方なの
だが、そういう私でも自然とコミュニケーションを楽しむこ
1-1.目的
・ 音での表現を楽しみ、もっとやりたい、と
感じてもらえるように。
・ 今までの経験に捉われず、お互いの音を
聴きあいながら、その場で新しい表現を作り
上げられるように。
とのできたいい機会になった。」
・ 「私がこれから生きていく上でとても役に立つ経験だったと
思います。音楽っていうのは私たちにとって、なくてはなら
ないものだと改めて思いました」
・ 「音があるからこそいろんなことを想像し、感じ、楽しく生
きていく事ができるんだと思います。音を使って自分を表現
できるってすごいっっ」
・ 「音楽プレイショップを終えて、改めて音楽っていいなって
・ 参加者も企画者も「今度は〜をやってみ
たい!」という自らの次の行動につなげる意
実感しました」
・ 「音楽を通して仲良くなりやすかった」
欲をもてるように。
これらの目的のために、次のようなねらい
主体的に関わることで、
をもった活動をデザインした。
・ 抵抗感(人前で音を出す恥ずかしさなど)
をなくし、より自然に音を出して楽しめるよう
に。
・ 「正しい音を出さなくてはいけない」などと
いう先入観や苦手意識をなくして、音を使っ
て自由に表現できるんだ、という経験をして
もらうように。
・ 演奏できる人とできない人という隔たりを
音楽や音に対する観方が変わった
・ 「参加前後での考え方で大きく違ったことがあります。それ
は音楽っていうのは、作られたものをただ聞いたり弾いたり
するだけじゃないってことです。世界のいろいろな楽器を使
って自分なりの音やリズムを作っていったり、身近にある食
器などもうまく使えば楽器になります。参加後ではそういう
風に音楽について考えるようになりました。」
・ 「音楽プレイショップに参加する前までは「音楽を演奏する」
と聞くと、何か楽器ができなくちゃというイメージだったけ
ど、参加してからは、誰でも音楽が演奏できるんだと思った。
」
感じないように、みんなで協力して一つのも
・ 「今回参加して、私の中で「楽器」自体の定義が変わった気
のをつくりあげていこうとする姿勢になるよう
がする。身の回りのものは発想ひとつで全て楽器になること
に。
を発見できた。」
・ 「音を普段何とも思わずに聴いてるけれど、その中にはいろ
・ 様々な楽器に興味をもってもらい、演奏し
んな意味が込められているんだなぁって思いました。感情や
たことのない楽器にも触れてみて、演奏した
状態、自分の存在だって示すことができるし不思議ですね〜」
いと思ってもらえるように。
・ 「プレイショップに参加したことによって、興味の形が『聴
く』音楽ではなく、『やる』音楽というように変わった。」
・ みんなの音が有機的につながり1つの音
楽を奏でる「一体感」を味わうことで、お互い
の距離を近くする。
・ 「自分から行動しないと何も始まらないってことに気付きま
した。その時音楽があったおかげですごく助かりました。
」
・ 「みんなの話し合いのときに、自分も昔よりはるかに意見が
- 402 -
言えるようになったと感じました。
」
1-2. 開催概要
・ 日時:2003年3月8日、3月9日
・ 開催場所: 三重県長島町公民館
・ 募集人数: 約20名
・ 対象者:音楽に興味のある人 (音楽が好
きか、嫌いか。という基準でない)
2. 開催にあたっての準備
・ 予算内訳
スタッフ人件費:¥7,000×10=¥70,000
機材、素材は中京大学より提供した
・ 使用機材
コンピュータ、プロジェクター、B紙、カラーペ
ン、アンプ(スピーカー)、マイク、楽器(ギタ
ー、ピアノ等)、ヴィデオカメラ、デジタルカメ
ラ、スポット照明
・ ファシリテーター数
ファシリテーター5名
・ ファシリテーター以外のスタッフ数
ビデオ撮影、CD作成、照明操作等に約5名
・ 事前準備スケジュール
2月初旬まで・・ファシリテータ、スタッフ決定
2月中旬・・・・・企画打ち合わせ
3月8日午前・・・会場準備
3月8日・・・・・開催 一日目
3月9日・・・・・開催 二日目
・ 募集告知について
ワールドユースから連携してきた高校生や、
他の大学の学生に呼びかけ、それぞれの学
校などで、個人的に参加を募集してもらっ
た。
- 403 -
3.開催当日の模様
3−1.実施詳細スケジュール
3−2.ワークショップ模様
3月8日(一日目)
・
シャツのダッシュ撮り
撮影用カメラへの慣れ、同じものを着る
という一体感、場への引き込み
・
人間知恵の輪
他人との接触、他人との協力、
他人⇒知り合いへ
・
音の世界紀行
音との接触、音への感覚を敏感にする、
メロディとの接触、知り合い⇒仲間へ
● シャツのダッシュ撮り
活動内容
『カメラの向いている向きとは逆の位置に、
参加者の言葉
被写体である参加者に立ってもらう。そして、
カメラのセルフタイマー(12秒)が終わって、
・ 終わってから二日目だけど、
シャッターがおりるまでに、自分の好きな楽
よくプレイショップのこと
器のついたシャツを選び、カメラに向かって
を考えてる自分に気づく。T
シャツをかざして、ポーズをとる』
シャツも何回も読んじゃう
目的
し
「シャツをただ配るよりも、選んでもらいたい」
・ T シャツもみんなに好評だ
という考えから当日突然行った。
自分でシャツを選ぶというものだが、ダッ
ったらしく、すごい嬉しかっ
シュ(奪取)という要素を盛り込んだことで、
た!みんなこの白い T シャ
自分の本当にほしいシャツが取りにくいよう
ツを着ている風景も一体感
にした。
を感じさせるものだった。
このゲームの終了後、自分のほしかった
楽器のついたシャツを他人と交渉し、交換す
・ T シャツ造りを手伝うこと
るために、小さな交流が起こることを狙った。
ができて、ちょっと嬉しかっ
た(^-^)
また、カメラに写すという行為を盛り込
んだのは、今回の企画でたくさん取るであ
ろうカメラへの抵抗をなくすためでもある。
このプレイショップでどんな立場の人も対
等だと参加者に感じてもらうため、ビデオを
取っている人も司会をしている人もファシリ
テーターの人もすべての人に参加を促した。
- 404 -
●人間知恵の輪
活動内容
『2チームに分かれる(シャツに書いてある楽
器ごとにチームに分かれてもらう)。2チーム
に分けることが終わったら、その2チームの
・ 知らない人(高校生)とも知
片方を「絡まる方」、もう片方を「解くほう」と
恵の輪をほどく時に自然に
する。
しゃべれた。「どうなってる
絡まる方は、みんなで手をつないで、中心
んだろう?」とか話しただけ
に向かって円を書くように立ってもらう。
だったけど。ちょっと緊張が
解く方には、制限時間が終わるまで後ろを
ほぐれた。
向いていてもらい、絡まる方は制限時間内
で、できるかぎり、ごちゃごちゃに絡んでもら
・ 今回の一番の収穫は(私の中
う。
時間がきたら、解く方のチームみんなで協
で)初めて出会った人と一緒
力して、絡まる方の絡みを、うまくといていく』
の時間を共有する楽しさを
知った。それは音楽を通して
仲良くなりやすかったのか
・目的
もしれない。
音に関するゲームではないように思える
ので、音楽プレイショップとは関係ないように
・ こういったワークショップ
思われますが、笑い声や悲鳴といった雑音
(プレイショップ)には初め
も音の一種である。という考えで行った。
この人間知恵の輪を使うことで、「知らな
て参加したけど本当に楽し
い人」と接触して、「知らない人」という壁をな
かった。自分は人とのコミュ
くそうという試みで行った。
ニケーションをとるのは苦
手な方なのだが、そういう私
これによって、高校生と大学生が話しやす
くなるという感想も出てきた。
でも自然とコミュニケーシ
ョンを楽しむことのできた
いい機会になった。
- 405 -
●音の世界紀行
活動内容
・ 視覚が使えないので聴覚を
『音の世界に旅行に行ってもらう。参加者は
使ってる自分を発見。
お客として、旅行会社であるファシリテーター
たちの指示に従い、目隠しをしてもらう。対に
なるように音の出る道具を旅行者たちに渡し
・ 「音の世界紀行」日常ではな
て、自分と同じ道具を持っている人を音のみ
い行ったことのない違う世
を判断し、探してもらう。ペアができたら、一
界での冒険のような感じで、
度道具を回収。その間に、旅行者にはペア
本当に聴力がアップしたよ
で一つの音の合図を決めてもらう。その後、
うな気がした。
再び道具をランダムにくばり、先ほどと同じ
ように、同じ道具を持った人を探す。みんな
・ 暗闇の中で同じ音の人を探
がペアになったら、今度は、先ほど決めた音
して歩いたのは凄く怖かっ
の合図をもとに、元のペアのところへもどる』
た。でも同じ音の人を見つけ
た時、ようやく仲間に会えた
みたいで相手に親近感が 沸
目的
きました。
「音の世界」という架空の空間をつくること
で、恥ずかしさを減らして、目隠しによる不安
・ 同じ音の人を探せと言われた
をすくなくしようとした。
時は無理だって思ったけど、
目隠しの不安感から、ペアの人同士の親
不思議なことに他の楽器の音
密感を増やそうと考えて作られた。
があまりしなくなった気がし
さらに、目隠しをすることで音に集中し、音
た。耳が一つの音だけを探し
への感覚を敏感にした。
ていた。会えたときは嬉しかっ
次の日に即興セッションで自分のリズムを
た。
作り上げていくのだが、「音の世界紀行」でペ
アと自分たちの合図を作るといことを行わせ
ることで、即興セッションの時の参加者の様
・ 目を隠したとき、色も光も失っ
子がいったいどのようになるのか?というデ
た真っ暗な世界が自分の前に
モンストレーションの意味もある。
あって、行き場所がわからなく
て不安だった。でも、いろいろ
な音が聞こえてきました。普
段よりも鮮明な音がいくつ
も・・・。怖いながら楽しかった
です。
・ 仲間が見つかったときは、声
には出せなかったが、「やっ
た」と心の中で呟いた。
- 406 -
3月9日(二日目)
・
名前覚えゲーム
他人との接触、他人との交流、場への引
き込み
・
固定セッション
決まった曲の演奏、人と合奏するという
感覚を感じる
・
即興セッション
自らの曲を見つけ出す、他人と自分の
リズムを使って交流する
●名前覚えゲ―ム
『最初に全員が中央で円になる。その後、一
人一人呼ばれたい名前でみんなに自己紹介
をした。
参加者の声
ステップ1 ゆっくりとしたリズムで「タンタン」
と手拍子をみんなで打ち、一人の子から左
・
右自由に回り、隣りの人の名前を呼びなが
みんな名前などを覚えたりす
るのに、かなりいっぱいいっぱ
ら両手でタッチしそれが周っていった。
いでした。しかし、あちこちで
笑いが絶えなかったです。ま
ステップ2 二人の人から同時に逆周りにス
た、みんなで協力するという
タートした。さらに難易度があがり、司会者が
意識が自然に芽生えていまし
肩を叩いた人からどんどん名前を呼び始め
た。
ると、3、4箇所と増えていった。
・
ステップ3 隣りの人に好きな物を聞き、名前
名前を覚えるのに頭が混乱し
てます
の変わりに呼んだ。また、難易度を上げ、名
前と好きな物の二つでスタートした。
・
調子はだんだんとファイティン
グスピリットになってきました
ステップ4 参加者が選んだテーマに血液
型、好きな動物、年齢、好きなアーティストの
名前を聞くことになりました。これらを両隣の
人に聞き出し、同時に4箇所からスタートし
た。
・
おもしろかったね〜
・
何回かやるうちに、毎回隣が
違う人というルールだった
※一回一回場所をシャッフルして全員と隣り
から、ほとんどの人と話せ
になれるようにした。』
た。これでみんなとぐんと仲
良くなれた気がした。
- 407 -
● 固定セッション(グラスハーモニー)
目的:
・
グラスだけをたたいている
のにメロディが聞こえてき
・ 比較的簡単にセッションでの演奏を楽し
たのがきれいでよかった。3
んでもらう。
・ 楽器でなくても音楽ができるという経験
種類のグラスをたたくだけ
で、楽器の固定観念から開放される。
で古時計ができるのが不思
・ もっといろいろな音を出してみたいという
議だった。すっごい夢中でた
たいていた。
興味と意欲をもってもらう。
準備したメディア:
・
・
あらかじめF、C、B♭のコードにチュー
音別グラスを敲きだした。
ニングしたグラスや茶碗、皿など(3個×
メチャきれいな音でビック
6セット)、F(緑)C(青)B♭(赤)とコード
リ&感動した。
ごとに色のシールを貼った。
・
みんなが先生の用意した和
・
ただのグラスが 楽器に変身
和音三兄弟(緑、青、赤のTシャツを着た
してしまったのは驚きでし
3人のスタッフ)
た。身近すぎて、今まで見過
活動内容:
ごしてました。目線を変える
・
中央に円になるように集まり、3つにグ
と、こんなものまで楽器にな
ループ分けをし(今回は、血液型でグル
ってしまうんだって、新しく
ープ分けをした)各グループの中でペア
発見しました。でも一人で音
を作ってもらい2人×6グループ作った。
を鳴らしたってただの雑音
「大きな古時計」の曲のコード進行に合
にしかならないけど、みんな
わせてグラスを叩いてもらった。色のTシ
で合わせると一つの音楽に
ャツを着た和音三兄弟が順番に立ち上
なってしまう。それも新しい
がって、叩くグラスの色を示した。
発見でした。大勢の力って凄
叩くグラスの選択肢を増やしていくこと
いなって感じた。
・
・
で、次第に即興の要素を導入した。
・
・
・
あの不安定なガラスのコッ
次第に多くの人とグラスを共有すること
プの音を寄り集めて、美しい
で「協調」の要素を導入した。
響きを作る。最初にキーボー
グラスの音に集中しやすいように、曲の
ドの位置で聴いた時、思った
1番はグラスだけで演奏し、2番にギタ
以上に和音がきれいで驚き
ー、フルートとキーボードが参加した。
ました。近くで叩くと意外と
分からないものですけどね
1.2 人×6グループで。
(^^;;
・グラスは赤、緑、青1つずつ(選択肢
・
難しいですね、思ったより
・
見ながらというのが大変だった
・赤、緑、青2つずつのグラスから選ん
・
だんだん見なくても叩けた
で叩く。
・
ボールペンだとひびかないか
無)
2.4 人×3グループで(元のグループへ)
ら残念。割れたグラスを叩くの
3.6 人×2グループで
もおもしろいかも
・赤、緑、青3つずつのグラスから選ん
で叩く。
4.時計をイメージしての演奏
・金属性の腕時計をイメージしての演
奏。
・
- 408 -
緑のグラスの音が気持ちいい
●
即興セッション
参加者の様子
・音のKJ法(音のお見合い・結婚)
目的:
「聴くこと」
「音をつくる」を繰り返
どのようにグループができた
か?
しながら、次第に自由な音楽作りができる
・
「打楽器だったから吹く系がい
いかなと思った」
ようになっていく
・「音が合っている」
用意した楽器:
・「なんか引き寄せられた」
木の棒、竹、リコーダー、ハーモニカ、
・「雰囲気が楽しそうだった」
マラカス、カズー、各国の民族楽器、他多
・「おもしろそうだったから」
数
・
「知ってるメンバーがたくさん
内容:
いるから、マラカスが合うかな
1.まずは中央に置いた楽器の中から好き
と思って」リズムを合わせて、
な楽器を選んでもらう。そして自由に音を
シャウトしてという感じで音楽
鳴らしてもらった。
ができた。
2.音を出しながら歩き回り、他の人の音
と合わせてみて(お見合い)、自分に合う
音のパートナーを探した。
3.ペアが決まったら(結婚)、二人で音
を出しながらさらにお見合いをして結婚
して大きなグループになっていった。
4.どのようにしてグループができたかグ
ループごとに音を出しつつ語ってもらっ
た。
ねらい:
・自分の音と他の音を聴きながら、出した
くなった音を捉われずに出してみる
・未経験者でも取り組みやすいように、い
きなり即興演奏をするのでなく、話
し合いながら試行錯誤していく。
・コミュニケーションが生まれやすいよう
に、他の人と関わることで音を作ってい
く。
・思わぬ発見が生まれやすいように、いろ
んな可能性を試せるようにする。
・音つくりがしやすく、集中しやすいよう
に、いきなりたくさんの音を一緒にするの
でなく、少しずつ音を組み立てていく。
- 409 -
参加者の声
●曲作り、発表
目的:その場で自由に即興的に音楽を作り出す楽しさを
・ セッションなんてやったことないし、ましてや
味わい、自分でもできるんだという体験をしてもらう。
即興だなんて^^;でも参加して、ステージの
た。(五線譜ではなく自由形式)
上でセッションを披露するとき、すごくきもち
よかったです。周りのみんなと目配せしながら
内容:
タイミングとかうかがってるときって…なんて
・グループごとに話し合い、自由に曲を作ってもらった。
言うのかな、自分も演奏者の一人だぞっていう
・自分達の曲を表現する「楽譜」を書いてもらった。
(五
か、言葉じゃなくても伝わるってのがすごく楽
線譜ではなく自由形式)
しかった。それに、見てる人が「おおっ」「す
・ステージ上で順番に曲を発表してもらった。
ごい」とか言ってるのが聞こえて、気持ちが高
ぶった!ありゃよかったね。
即興セッションの舞台裏:
・ 演奏発表会!一つ目のグループは民族調ですごく
即興セッションの最初の案では、初めての人にいきな
もうひとつの曲になっててびっくりした。すごいよか
り何も制約のないフリーの即興演奏は難しいだろうか
った。世界ができてた感じがした。二つ目に私たち
ら、「大きな古時計」に合わせた音楽つくりをするとい
の発表!舞台にあがったらすごく緊張した。でも短
うものだったが、総監督の「もっと自由に即興してもら
い間によく作れたなって思う曲ができた。三つ目は
うように曲でなく和音進行だけ決めておいては?」とい
おもしろかったです。
う案で、前日に単純な和音進行を決めておいた。
(Stand
by Meの冒頭4小節)和音進行程度の制約はあったほうが
いいだろう、という判断と、最後に全グループの音楽を
いっしょに奏でたいので、そのために和音進行は統一し
ておこうという意図だった。
ところが音のKJ法が終わってグループができ、それ
ぞれのグループの出会いを語ってもらったときに、KJ
○
企画終了後
法の中でかなり「音作り」だけでなく「音楽作り」をや
りはじめているようにみえた(ここはより具体的に確認
今回企画参加者で演奏した、固定セッション「大
必要)ので、ここで和音進行を与えるという制約はかえ
きな古時計」の曲と、即興セッションでそれぞれの
ってじゃまになりそうだと判断して、急遽監督と打ち合
グループが発表した曲を、撮影していたビデオか
わせて、和音進行もなしでということに決めた。
ら、音データ(wav または、mp3)として抜き出し、
音楽 CD として、それを今回の企画に参加してくれ
また、次の音楽作りの時間では「各グループにギター
が入って和音進行だけを提供する」という予定だった
たみんなに配る予定。
目的:
が、これが必要なくなったので、バンドの仕事は全くな
自分(企画に参加した人)たちが、自分たちが何
くなった。キーボードを弾く予定だった二人は、すでに
をやってきたのか?を振り返りやすいように、音や
グループに入ってどんどん引っ張っていってくれてい
リズムという形で形式化する。
自分の音に触れての、変化や成長を自分自身に気
た。
づいてもらう。
- 410 -
4.開催成果と反省点
ワークショップの成果と意味付け
4-1. 目的は達成したか?
企画段階で目的としてあげた三点について、それぞれどうだっただろうか?より詳しい検討が必要だ
が、次のようにこれらの目的は概ね達成できたようだ。
4-1-1. 音での表現を楽しみ、もっとやりたい、と感じてもらえるように。
参加者の感想には次の例のように、「音でのコミュニケーションが楽しかった」「これからも活かし
ていきたい」という意味のことをそれぞれが書いてくれていた。
・「音楽プレイショップを終えて、改めて音楽っていいなって実感しました」
・「これからもいろんな音と出会い、人と出会って・・・・っていう繰り返しだと思います。私は、その度にいろんな事を考えさせ
られて成長していくんじゃないかな〜って思ってます。」
・「自分は人とのコミュニケーションをとるのは苦手な方なのだが、そういう私でも自然とコミュニケーションを楽しむことのでき
たいい機会になった。」
・「私がこれから生きていく上でとても役に立つ経験だったと思います。音楽っていうのは私たちにとって、なくてはならないも
のだと改めて思いました」
・「音があるからこそいろんなことを想像し、感じ、楽しく生きていく事ができるんだと思います。音を使って自分を表現できる
ってすごいっっ」
・「音楽を通して仲良くなりやすかった」
4-1-2. 今までの経験に捉われず、お互いの音を聴きあいながら、その場で新しい表現を作り上げられるように。
数人を除き、楽器の演奏はほとんど経験がない人だったにもかかわらず、短い時間の間にその場で楽器を工夫して、グル
ープで曲を創作して、立派に発表をしてくれた。
・「演奏発表会!一つ目のグループは民族調ですごくもうひとつの曲になっててびっくりした。すごいよかった。世界ができて
た感じがした。二つ目に私たちの発表!舞台にあがったらすごく緊張した。でも短い間によく作れたなって思う曲ができた。
三つ目はおもしろかったです。」
・「セッションなんてやったことないし、ましてや即興だなんて^^;ステージの上でセッションを披露するとき、すごくきもちよかっ
たです。周りのみんなと目配せしながらタイミングとかうかがってるときって…なんて言うのかな、自分も演奏者の一人だぞっ
ていうか、言葉じゃなくても伝わるってのがすごく楽しかった。」
特に「音楽や音に対する観方が変わった」という発言がたくさんあった。
・「音楽プレイショップに参加する前までは「音楽を演奏する」と聞くと、何か楽器ができなくちゃというイメージだったけど、参
加してからは、誰でも音楽が演奏できるんだと思った。」
- 411 -
・「グラスをたたけば音はするけれど、水を入れて音を調整すればハーモニーができて新しい音ができる。棒と棒をたたけば
音がする。それにタンバリン、笛、紙の筒、竹、手拍子があればすぐに曲を演奏できることも知った。そもそも今回参加して、
私の中で「楽器」自体の定義が変わった気がする。身の回りのものは発想ひとつで全て楽器にあることを発見できた。」
・「参加前後での考え方で大きく違ったことがあります。それは音楽っていうのは、作られたものをただ聞いたり弾いたりする
だけじゃないってことです。世界のいろいろな楽器を使って自分なりの音やリズムを作っていったり、身近にある食器などもう
まく使えば楽器になります。参加後ではそういう風に音楽について考えるようになりました。」
・「プレイショップに参加したことによって、興味の形が『聴く』音楽ではなく、『やる』音楽というように変わった。」
このように、より主体的に音と関わることで、音楽を生み出すことができる、ということに気づいた人が多かった。
また、ある参加者は「音を普段何とも思わずに聴いてるけど、その中にはいろんな意味が込められているんだなぁって思い
ました。」というように新しい観方に気づき、その後カラオケに行ったときに「言葉の中にある気持ちも考えながら歌うようにな
りました。そしたら思わず涙が出てきて、止まりませんでした。あたしにとって、初めて音楽と一緒になったような気がしま
す。」という経験をした。「音」はただの「音」ではなくさまざまなものと繋がって「意味」を持っている、それを感じることができる
ようになった。つまり「音」をメディアとして、自分と世界が繋がったといえるだろう。
4-1-3.参加者も企画者も「今度は〜をやってみたい!」という自らの次の行動につなげる意欲をもてるように。
・「これからは相手の伝えたい事をもっともっと理解していきたいデス♪今回この企画に参加していっぱい学んだような気が
します。」
・「これからもこういうプレイショップに積極的に参加していきたいと思った。」
・「目からの情報ばかりでなく耳から入る音もよく聞いてみようと思います。」
・「私がこれから生きていく上でとても役に立つ経験だった」
・「参加するのはもちろん楽しいけど、企画するのもまた楽しいんだろうなと思う。」
以上のように、三つの目的はそれぞれ一定の成果が得られたようだ。
これらの成果が、実際の活動の過程でどのように得られたのかについては、より詳しく検討中である。
- 412 -
4-2. 創造性、表現力を引き出すためのワークショップデザイン
我々のワークショップは「異文化連携の3段階モデル」(2002 年 11 月、日本デザイン学会大会および体験学習研究会にて発
表)に沿ってデザインしている。このモデルでは第一段階「出会い」フェーズ、第二段階「活動」フェーズ、第三段階「意味付
け」フェーズという流れに沿って創造的活動を促していく。
4-2-1. 出会いフェーズのデザイン
ワークショップの最初の段階では、企画に参加する参加者・企画者ともに、お互いに面識が無い人同士が、「この人はどうい
う人なのだろう?」とお互いに興味を持ち、「この人となにかしてみたい」と思ってもらえるような活動をデザインする。この活
動は、抵抗なく入れるように比較的簡単にでき、頭で考えるだけでなく、心や身体も使って、この後気兼ねなく一緒に活動し
ていける信頼関係を築けるような工夫が必要である。今回のワークショップでは「Tシャツダッシュ撮り」「名前覚えゲーム」
「人間知恵の輪」、目隠しをしての「音の世界紀行」などの中に、出会いの要素を盛り込んだ。
人との出会いと同時に創造活動の素材やメディア(今回は音や楽器)にも同様に、興味を持ち、もっとやってみたい、作って
みたい、という興味を引き出すような出会いのデザインが重要である。今回のワークショップでは「音の世界紀行」や「固定セ
ッション」の中に音との新しい出会いの要素を盛り込んだ。「音の世界紀行」では、目隠しをして音を頼りに自分のパートナー
を見つけるという活動により、音に関する感度を鋭敏にし、普段意識しないような音の違いにも耳を向け、さまざまな音の豊
かさを感じることができるようなデザインとした。さらに自分の音を出すことと相手の音を聴くことのバランス感覚も要求され
る活動とした。また「固定セッション」ではグラスや皿を叩く音という、今まで音楽とみなしていなかった音も、組み合わせるこ
とで美しい音を生み出すことを経験してもらい、「楽器」や「音」というものに対する常識的な観念から開放されることを狙っ
た。
4-2-2. 活動フェーズのデザイン
活動フェーズでは、具体的な制作活動の中で、より深く素材と関わり、いろいろなことを試してみたり、他の人に自分を表現
し、他の人の表現を聴いたりする。素材への感度を保ちながら制作に没頭するような「創造的アイデアが生まれやすい」よう
な状況をつくりだす。今回のワークショップの中では「即興セッション」で、未経験者でも取り組みやすいように、いきなり即興
演奏をするのではなく、話し合いながら試行錯誤して音楽を作っていった。特に、音作りがしやすく集中しやすいように、いき
なりたくさんの音を一緒にするのではなく、少しずつ音を組み立てていくために「音のKJ法」を用いた。そしてさまざまな可能
性が試せるように、「お見合い」セッションで他の人の作ったいろいろな音と組み合わせてみる時間を十分とった。今回は特
に「専門的知識や専門的道具(楽器)が必要」という固定観念から開放されるようなセッティングを工夫した。
4-2-3. 意味付けフェーズのデザイン
意味付けフェーズは企画側で前段階の「活動フェーズ」のどこかで創造的アイデアが生まれたときに、その価値を確認する
ために、それをお互いに共有するような場を用意する。今回のワークショップでは、グループごとの発表という場を用意し、
人に伝えられるような作品として、ステージの上で発表するという非常にライブな雰囲気を設定した。発表という目標のため
に、一つ一つのアイデアが少しずつまとまっていき、一つの作品として仕上げることにより意味付けされた。また、ワークショ
ップの要所要所で感じたこと、考えたことをポストイットに書いたり、Tシャツに書いたり、終了後にも掲示板に書き込んでもら
ったりすることで、このワークショップの中での一つ一つの体験が自分にとてどんな意味があったかについてリフレクションを
- 413 -
促した。それらの記録が企画側にとっても、このワークショップがどんな価値があったのかについてのリフレクションをする材
料になっている。
4-3. ワークショップを開催するために必要なものごと
4-3-1.場の流れを作る「メタ視点」
今回のワークショップでは、企画段階で予定していた活動内容を、当日の場の状況を元に、かなり大胆に変更した。
「固定セッション」の最初の予定では、バンドによる「大きな古時計」のかっこいい演奏によって音の世界に引き込み、徐々に
自分達でもグラスで音を出して入ってきてもらおう、という流れを考えていた。それが、本番では全く逆になった。グラスで色
ごとに鳴らしてみたときに「おー」「きれいな音!」という声がして、予想以上にいい音が出ていた。この時の皆の様子をみて、
グラスの音にかなり引き込まれているようにみえたので、バンドも曲もない方が、グラスの音の世界に集中していけそうだっ
た。そこで「グラスを中心にして、バンドは徐々に入っていく」という次のような流れを考えた。「グラスだけで曲を始める→1番
の途中からベースがこっそり入る→2番からバンドが演奏を静かに始める→次第に盛り上げる」という流れに決め、司会とバ
ンドメンバーにそれを伝えた。やってみると、ベースとギターがうまくこっそり入ってくれた。
即興セッションの最初の案では、初めての人にいきなり何も制約のないフリーの即興演奏は難しいだろうから、「大きな古時
計」に合わせた音楽つくりをするというものだったが、総監督の「もっと自由に即興してもらうように曲でなく和音進行だけ決
めておいては?」という案で、前日に単純な和音進行を決めておいた。(Stand by Me の冒頭 4 小節)和音進行程度の制約
はあったほうがいいだろう、という判断と、最後に全グループの音楽をいっしょに奏でたいので、そのために和音進行は統一
しておこうという意図だった。ところが音のKJ法が終わってグループができ、それぞれのグループの出会いを語ってもらった
ときに、KJ法の中でかなり「音作り」だけでなく「音楽作り」をやりはじめているようにみえた(ここはより具体的に確認必要)
ので、ここで和音進行を与えるという制約はかえってじゃまになりそうだと判断して、急遽監督と打ち合わせて、和音進行も
なしでということに決めた。
また、次の音楽作りの時間では「各グループにギターが入って和音進行だけを提供する」という予定だったが、これが必要な
くなったので、バンドの仕事は全くなくなった。キーボードを弾く予定だった二人は、すでにグループに入ってどんどん引っ張
っていってくれていた。
4-3-2. 参加者の創造性は企画側の創造的な判断から
このように、「できるだけ自由に創造的に即興演奏をしてもらう」という目的のためにその時点で最良と思われるデザインを
決めていった。その結果、企画段階では、参加者が即興的に演奏しやすいようにバンドによるサポートが必要だと予想して
いたのが、実際は参加者はバンドなしでもかなり創造的な動きをしてくれていたため、バンドが必要なくなった。このように参
加者の創造的な動きを引き出す、あるいは邪魔をしないために企画側は、その場の流れをみて創造的に次の動きを決めて
いった。
4-3-3. 企画側の創造的な判断はスタッフの創造的な動きに支えられている
このような活動内容の変更によって、スタッフには予定外の動きが要求されてくる。例えば、固定セッションと即興セッション
- 414 -
の変更の結果、どちらもかなり積極的に演奏をする予定だった楽器メンバーが、必要最小限の音にとどめることになったた
めあまり活躍できなくなってしまった。この楽器メンバーは、メディア科学科の作曲家カール・ストーン先生の研究室などから
参加してくれていた学生メンバーで、プレイショップの企画にはあまり関わっていなかった。このとき彼らにどう動いてもらった
らよいか、ということを二人のスタッフが考え、結局この楽器メンバーはグラスを叩く方に加わってもらった。
この例のように、目的を達成するために企画内容を変更したときに、それに合わせてスタッフも柔軟に動く必要が生じる。こ
のような場面で創造的に動けるスタッフの存在があってはじめて企画側は企画の内容を大胆に創造的に作り出していくこと
が可能になる。
このような企画の中心メンバーとスタッフとの創造的な連携が参加者の創造的な活動を支えている。
4-3-4. 参加者が企画者になっていくデザイン
ワークショップの普及にとっておそらく最も重要なのが「参加者が企画者になっていく」ということである。ワークショップに参
加してくれた人が、自分で自分なりのワークショップを企画できるようになってこそ、新しいワークショップが生まれてくるから
である。
我々のデザインするワークショップでは、参加者と企画者は明確に二つに分かれているわけではなく、一人の人が参加者と
して振舞ったり、企画者的な動きをしたりすることが頻繁におこっている。経験豊富な中心的企画者とワークショップに初め
て参加する参加者の間には、様々な段階があり、一人一人が状況に応じて様々な動きをしている。その中で、初めて参加し
た人が次第に企画者的な経験を積んでいき、いつか自ら独自のワークショップを企画するようになっていく。
今回の企画の発案者であり推進者であった四宮貴之は、昨年 7 月のワールドユースミーティングの中の音楽セッションにゲ
ストアーティスト的な立場で加わり、そこで得た素晴らしい体験を、もっと多くの人と共有したいという思いから、今回の企画
を提案し、研究室の他のメンバーの協力によって実現した。
また、今回のワークショップの中でも、参加者の立場である高校生が、よりワークショップ経験の少ない他の高校生をサポー
トするような動きをしていた。また企画側である研究室の大学生の中でも、経験のある大学生メンバーが、初めての大学生
メンバーと参加者(高校生)のコミュニケーションを促進することによって、この大学生が企画側の役割ができるようにしようと
していた。
- 415 -
5. 協力団体・企業
長島町役場
CANVAS
6.当日の参加者
企画:宮田義郎(中京大学情報科学部メディア科学科教授)
四宮貴之(ミュージックアーティスト)
ファシリテーター:
元島一憲(中京大学情報科学部卒業生)
鶴岡 央(中京大学メディア科学科研究生)
篠原 一(中京大学メディア科学科研究生)
リフレクションサポート:
榊原千眞(中京大学メディア科学科研究生)
スタッフ:
三谷尊洋 (中京大学情報科学部認知科学学生)
松岡亜季 (中京大学情報科学部認知科学学生)
田中久美子(中京大学情報科学部認知科学学生)
加藤正太 (中京大学情報科学部認知科学学生)
参加者:
三重県、愛知県、大阪府の高校生7名
中京大学情報科学部の学生 6 名
他一般参加 4名(商工会、保健所など)
- 416 -
ビデオクリップ制作ワークショップ
目次
01.件名
02.目的
03.開催概要
04.開催対象
05.開催日時
06.開催場所
07.スケジュール
07.1 開催準備期
07.2 開催日(開発実施方法含む)
07.2.1 タイムテーブル
07.2.2 ネイチャーゲーム・ビデオクリップ制作(詳細)
07.3 開催後処理期
08.開催当日の模様
09.開催成果と反省点
10.スタッフ・参加者名簿
11.機材・備品
12.会計
A1.開催案内書
- 417 -
01. 件名
子供によるビデオクリップ制作ワークショップ
02. 目的
・子供達に新しい世界、面白い世界を見せてあげる。
・IT を用いて子供達の創造力・表現力を向上させる。
03. 開催概要
子供達に「ネイチャーゲーム」によって動物の分類を理解させ、
「しぐさビンゴ」によって動物や人間の「Love & Peace」のしぐさを発見させ、
それらを DVCam で撮影させる。
撮影してきた映像を室内に持ち帰り、それを基に「Love & Peace」のビデオクリップとして表
現させる。
・ワークショップ参加費は無料とする。
04. 開催対象
計画:軽度の喘息を患っている小学3年生から6年生(10 名程度)
喘息の子供達が喘息でない兄弟や友達を連れてくることも可能。
保護者も一緒に参加してもよいし、子供だけ参加してもよい。
実績:サンミュージック・アーティスト・アカデミーの生徒さん
(小学2年生から6年生、6 名)
05. 開催日時
2003 年 3 月 22 日(土)
10:30 – 16:00
06. 開催場所
アウトドア:上野動物園・西園
・雨天でもネイチャーゲームを行うことは可能。
・両生爬虫類館は高湿度のため、カメラは使えない。
教室:上野動物園・西園の「動物園ホール」(キャパ 140 人)
・使用可能日時:3/22(土)、 9:00 – 17:00
・上野動物園側ご担当:普及指導係
(03-3828-5178)
・ホールの使用はご厚意により無料。
・スタッフの入園料は事前に申請すれば無料。
・上野動物園側には迷惑をかけない。
- 418 -
07. スケジュール
07.1 開催準備期
・開催日時・場所の確定
・東大病院(小児科医)との調整
・参加者の募集
・健康管理についてお話をしていただく先生の依頼
・教室予約
・上野動物園へ「使用願」(フリーフォーマット)を提出。
・開催案内書の作成
・開催案内書の配布
・健康管理セミナープログラムの作成
・応募者の受付
・普段使っている薬や吸入器などを持参してもらう。
・レクリエーション保険に加入していることを告げる。
・レクリエーション保険(損保ジャパン)加入手続き
・行事遂行に起因して参加者(保護者含む)等の第三者がケガをし、
行事責任者が法律上の賠償責任を負担しなければならない場合に支払われるもの。
ぜんそくの既往症に起因するものは含まれない。
・対象者には我々主催者も含まれる。
・保険対象者名簿を作成する必要があるので、
当日の参加者(保護者を含む)・スタッフを加入手続き担当者へ連絡。
・スタッフの役割分担確認
・メイキング映像のコンセプト確認
・撮影されたくない子供は撮影しない。(編集の段階でのカットは作業量的に困難。)
・スタッフ・参加者は第三者と区別するため黄色いベストを着る。
・患者の撮影・上映は個別に父母の承諾が必要。
・機材・備品準備
・各担当は購入必要な機材・備品とその予想金額を会計担当者に連絡する。
・購入は各自で行い、領収書(宛名は各個人名)をもらっておく。
- 419 -
・弁当準備
・参加人数を弁当担当者へ。
・ビデオクリップ用タイトル、クレジット準備
・「世界 に一つだけの花」の音源。歌詞用意
・リハーサル
・3/15(土)、 12:00 – 15:00
- 420 -
07.2 開催日(開発実施方法含む)
07.2.1 タイムテーブル
09:00 スタッフ集合(職員通用門)
機材・備品搬入
(9:30 以前なら場内車両通行可。
車両:通用門→モノレール乗り場脇の職員用橋→子供動物園脇→
ホール→子供動物園脇駐車場)
動物園ホール開場(エアコンの調整方法を上野動物園担当者から教わる。
)
セッティング開始
スタッフミーティング
10:30 参加者集合・出欠確認
集合場所:上野動物園・動物園ホール
10:45 ワークショップの説明
メイキング映像に関して参加者に同意を取る。
(上映の趣旨・場所・公開範囲・観客など)
ワークショップの模様の撮影開始。
11:05 「私は誰でしょう」実施
11:20 「しぐさビンゴ」カード作成
「世界に一つだけの花」歌唱練習
11:40 昼食(子供はホール内、大人はホール外)
12:20 「しぐさビンゴ」実施&ビデオクリップ撮影
13:30 ビデオクリップ編集開始
石崎先生のコメント撮影
14:00 セミナー:東大病院小児科の先生のお話(健康管理。時刻の変動あり。レジュメあり)
内山先生のコメント撮影
子供達のコメント撮影
15:30 上映開始
16:00 ワークショップ終了・参加者解散
古井氏・持立氏のコメント撮影
17:00 上野動物園から機材搬出・撤収
17:00 以降は車両が園内を走行可。
全入場者数(参加者・スタッフ)を上野動物園担当者へ報告。
18:00 スタッフ反省会
- 421 -
07.2.2 ネイチャーゲーム・ビデオクリップ制作(詳細)
・「私は誰でしょう」実施
・動物の分類を知るネイチャーゲーム。(アイスブレイキング(心の交流)を兼ねる)
子供達やスタッフの背中に動物の絵の描かれたカードを貼り、
相手の人に自分の動物カードを見せて質問し、自分のカードの動物を当てる。
・「しぐさビンゴ」実施
・「親子」「友達」などのシールを用意しておき、子供達に 3 x 3 マスのビンゴカードに好
きに貼らせる。
・中央のマスだけ子供達に考えさせ、カードを完成させる。
・アウトドアに行って、ビンゴゲームをする。
・そろったらビンゴ。
・子供達の見つけた「しぐさ」を DVCam で 10 秒間ずつ、子供達自身で撮影させる。
・最後に子供達全員の集合映像を1カット撮影する。
・子供達に SMAP の「世界で一つの花」の歌詞を歌わせ、録音する。
・映像編集
・教室に戻り、撮影した映像を PC でキャプチャーし、
「世界で一つの花」のメロディに合わせて歌と映像を編集する。
・最後にタイトルとエンドクレジットを付けてレンダリングし、ビデオクリップとして仕
上げる。
- 422 -
07.3 開催後処理期
・レポート作成
・レポート本体
・実施内容
・反省点・注意点・問題点・その改善策・子供達の反応
・経費・タイムスケジュール
・メイキング写真
・ビデオクリップ
・レポート提出(3/23 中にレポート本体を CANVAS 事務局へ、近日中に上野動物園担当者へ)
・著作権処理する。
・ビデオクリップを MB 及び CANVAS のウェブで公開する(承認が得られた場合)。
・ワークショップ開催に係る知的所有権は CANVAS が所有する。
・個人が特定できる映像の公開は参加者の承諾を得る。
・ビデオクリップの CD-R を参加者に配布する。
・経費の精算
- 423 -
08. 開催当日の模様
「私は誰でしょう」のネイチャーゲーム。
石崎先生のネイチャーゲームの説明に
背中に動物カードを付け,相手に質問して
関心を持って聞いている。
自分のカードの動物名を想像している。
「親子」「友達」などの「しぐさシール」を友達
同士協力してビンゴカードを完成させている。
考えながら「しぐさビンゴカード」に貼っている。
互いに相談している。
- 424 -
内山先生の健康管理の話に真剣に耳を
ビデオクリップの BGM の歌を一生懸命歌い,レ
傾けている。
コーディングしている。
動物を注意深く観察して、自分達の作った
動物のしぐさを見つけて、子供達自身の手でビデオ撮影してい
ビンゴカードのしぐさを見つけている。
る。
- 425 -
09. 開催成果と反省点
・参加者募集について
当初参加者には東大病院に通院する軽度の喘息の子供達を想定して募集していたが、
実際には東大病院の患者さんの参加はなかった。原因としては、募集開始から実施までの告知
の日数が少なかったことと、ワークショップをより実りあるものにしようと実施方法をたびた
び修正していて、このことが患者さんの保護者を不安にさせてしまったこと、が挙げられる。
ワークショップのプログラム立案や準備にはより多くの時間を割くことや、ワークショップの
実績を積んで一般からの評判を高めていく努力が今後必要である。
・開催場所の選別について
開催場所の選別では、子供達の興味、雨天でも実施可能、安全な場所、であることが必要であ
る。今回開催場所は上野動物園であったが、これらの条件を全て満たしていて理想的な場所で
あった。更にホールの使用やスタッフの入退場、車両の通行などに上野動物園から多大なるご
協力をいただくことができた。将来また上野動物園の豊な教育資源の中でワークショップを開
催できることが望まれる。
・プログラム内容について
今回のワークショップで行った「私は誰でしょう」や「しぐさビンゴ」はネイチャーゲームの
専門家である石崎先生が参加者の年齢やロケーションを考慮して実施してくださったので、
子
供達の能力や興味に適していて、子供達もイキイキと参加していた。
また「私は誰でしょう」では大人であるスタッフが子供達と一緒に参加したので、子供達とス
タッフの間の距離が早く縮めることが出来たと思う。
大人が子供達と一緒になって参加できるプログラムを用意しておくことは今回だけでなく今
後も必要であろう。
「しぐさビンゴ」では子供達も楽しみながら動物を観察できたようだが、早くビンゴを達成し
たいがために、動物の観察が急ぎ気味になり、折角見つけてきた「しぐさ」が印象に残ってな
いことがあった。
動物園で実施しているのであるからもっと動物をじっくり観察させるやり方の方がいいので、
例えばビンゴで丸をつけたり撮影してきた後に、何故丸を付けたのか、どこを注目してそれを
撮影してきたのか、スタッフが後から質問するような約束にしておけば、よりじっくり観察し
てきたかも知れない。
また主催者側がワークショップの時間を短縮するために、当初別々だった「しぐさビンゴ」と
ビデオ撮影を一緒に行うことにしたが、このことも子供達にとっては動物の観察に集中できづ
らくしていたかも知れない。
- 426 -
将来のワークショップのプログラムとして子供達が興味を示しそうなものには例えば次のも
のがある。
・田舎の子と都会の子がそれぞれの土地固有のものを当てっこするゲーム
・東京と地方でグリーンマップ作る
・大人が作ったプロットを子供達が自由に演じる
・プログラム実施状況について
プログラムの実施は、歌の練習のために多少時間が押したが、ほぼオンタイムで行え、
怪我も事故もクレームもなく、平穏に行えた。子供達は「私は誰でしょう」や「しぐさビンゴ」
カード作りにおいて楽しそうに行っていた。
また普段見られない可愛い動物達に興味を示し、積極的にビンゴゲームと撮影を行っていた。
ビデオクリップの BGM になる歌の練習では、子供達が普段から聴いている好きな曲だったの
で、非常にイキイキと歌っていたのが印象的であった。
・グループ分けについて
参加人数が少なくなかったことによって、当初計画していたグループ分けを行わなかったが、
やはりグループ分けした方がグループ間で競争し、より盛り上がったのではないか。またビン
ゴカードも一人一枚ではなくグループに一枚にすれば子供達同士の協調性が発揮され、ビンゴ
が進んでいること遅れている子に差が生じてしまうことがなかったかも知れない。
・ビデオ撮影について
子供達は生まれた時からビデオカメラのある時代に育ってきているので、ビデオカメラの操作
に関しては何の抵抗もなく、積極的に使っていた。
しかしカメラの構え方にはやはり不慣れで、撮ってきた影像はブレが多かった。安定した映像
を撮らせるために三脚や一脚を与えるべきであった。
また時間がゆるせば撮影を途中で区切って自分達の撮影したものを見返す機会を与えれば、
ブ
レやアングルを反省してよりよい映像が撮れる様になっていたかも知れない。
また特定の子供にビデオカメラが独占されることがあった。
年齢的な差があるとどうしても年長者が主体になりやすいので、これは子供達の主体性に任せ
るのではなく、スタッフが全員にビデオカメラが回るようにアシストすべきであった。
・ビデオ編集について
ビデオの編集には、各カットの中から使う映像を選んだり、音声と映像を合わせたり、レンダ
リングしたりするための多くの時間が必要である。しかしワークショップにおける子供達の参
加時間は体力的にあまり長く取れないので、編集の時間も充分には取れず、ある程度のビデオ
クリップとしては完成し、上映はできたものの、100%完成したものにはならなかった。
映像は子供達にとっても興味のあるものであり、ワークショップの題材としても好適であるが、
時間を掛けないで映像制作できるような工夫が必要である。
- 427 -
・スタッフのアシストについて
今回のワークショップでは参加者の子供達の人数よりスタッフの人数の方が多かったが、普段
子供達に接して子供の扱いに慣れている訳ではないので、
例えば子供達の間でビンゴゲームの
進捗に差が出てしまって、ある子供がおいてきぼりになりがちになった時、なかなかうまくア
シストできずにいることがあった。
こういう場合にはマンツーマンのアシストができる体制を用意すべきだったかも知れない。
ま
たファシリテーターの中には子供の扱いに慣れている人の参加が望まれる。
・参加者の対象について
今回の参加者は 6 人と、当初計画していた 10 人よりも少なくなってしまったが、初回のワー
クショップとして、またスタッフの経験値からしても適当な人数的だった。但し小学3年から
6年という年齢層は動物などに関する知識にばらつきが出やすいので、プログラムについてい
ける子供とついていけない子供が出ないようにする工夫が必要である。
今回の参加者はタレント養成事務所の生徒達であり、プログラム内容に積極的に参加する子供
達ばかりであったが、これを一般の子供達も同様と考えるのは危険だと思われる。引っ込み思
案の子供や協調性のない子供、時間的忍耐力のない子供もワークショップに参加する可能性が
あることを将来の実施計画では考慮する必要がある。
可能ならばリーダーシップを取れる子供を参加者含めるとワークショップがうまく行きやす
いと思われる。
・プライバシーの保護について
子供、特に患者の場合は撮影されたり名前を公開されることを避ける傾向にある。主催側にと
っては成果物の一部として、またメイキング映像として参加者を撮影したい思いがあるが、こ
れが参加者の不利益になることがないようにプライバシーには最大限留意すべきである。
・スタッフについて
ワークショップのスタッフは通常は異なる業種・職種の人間であるので、メールやミーティン
グで頻繁に意見交換したり、リハーサルを行ったりして、スタッフ間でのプログラム内容や役
割分担などを共有することはワークショップを円滑に行うためには重要であり、
実際に行って
きていたが。それでもプログラム内容をよく理解していないスタッフがいたり、役割分担や集
合場所などが伝わっていなかったり、参加するかしないのかさえ分からないメンバーもいた。
幹事は一方的に情報伝達するだけでなく、メンバーのレスポンスを確認しながら準備を進めて
いくべきであった。
・開催成果について
物質的な成果物としては、子供達自身で作ったビデオクリップが挙げられる。撮影対象を自分
達で考え、ビデオカメラを自分達で回し、BGM を自分達で歌ったので、当日会場で上映した
ビデオクリップは「自分達が作った」という創造性と表現の喜びを多く感じられたのではない
だろうか。
- 428 -
精神的な成果物としては、知らない動物の存在を学び、普段見慣れない動物を間近で観察でき、
動物に対するより深い理解が得られたことが挙げられる。
また年齢の異なる人達との共同作業によって協調性を学べたことも、
これから社会の一員とな
る彼女らにとって大切な経験になったと思う。
そして何よりも子供達自身が最後に「楽しかった!」と元気良く答えてくれたことがワークシ
ョップの大切な成果だと思う。
- 429 -
10. スタッフ・参加者名簿
名前
担当
主催
NPO法人メディカル・ブリッジ
NPO法人CANVAS
スタッフ
古井 祐司
亀山 秀一
瀬戸 隆一
宮井 瑞樹
石﨑 一記教授
内山 千登世
竹田 光一
小室 宏志
植田 洋子
中山 元太郎
御手洗 幸子
利井 静子
瀬戸 小百合
後藤 孝也
海老根 郁子
中根 克
城處 朋子
小寺 昭彦
持立 真奈美
竹下 圭太
五十嵐 隆教授
岩田 力助教授
コーディネーター,挨拶
申込者・予算・スケジュール管理
スーパーバイザー,庶務
CANVAS事務局
ネイチャーゲーム
子供達への健康管理のお話
子供達の引率,歌唱指導,ファシリテーター
テクニカルサポート,メイキングビデオ
ファシリテーター
ファシリテーター
ファシリテーター,弁当
ファシリテーター
ファシリテーター
ファシリテーター
ファシリテーター
ビデオクリップ
サポーター
サポーター
ECOVIC代表
BGM演奏
アドバイザー
アドバイザー
協賛
東大病院
ECOVIC
ロケ協力
東京都恩賜上野動物園
- 430 -
11. 機材・備品
カテゴリー
機材・備品
担当
共通
名札
黄色いベスト
文具類
メイキング用DVCam一式
メイキング用デジカメ
SmartMediaリーダー
Life Sliceカメラ
瀬戸,小室,中根
瀬戸,中根
中根
小室
ネイチャーゲーム用カード類
ビンゴカード
鉛筆
石崎
石崎
石崎
DVCam一式
MiniDVテープ
三脚
PC
PCモニタ
1394ケーブル
電源ケーブル
ケーブルタップ
Premiere
Premiereマニュアル
プロジェクタ
スクリーン
スピーカー
アンプ
オーディオミキサー
DATレコーダー一式
DATテープ
「世界 に一つだけの花」の音源.歌詞
瀬戸,小室,中根
中根
瀬戸,小室,中根
瀬戸,中根
中根
中根
中根
小室
中根
中根
瀬戸
ホールにあり
小室
小室
小室
中根
中根
中根
ネイチャーゲーム
ビデオクリップ
- 431 -
12. 会計
項目
謝金
メディカル・ブリッジコーディネーター料(著
上野動物園入場料
高速代
MiniDVテープ,DATテープ,CD‑R
オーディオミキサー
文房具(ペン,カッター,テープ,乾電池)
MIDI制作費
MIDIダウンロード料
Life Sliceカメラ
弁当,ドリンク類
レクリエーション保険
会議費
合計
金額[円]
140,000
40,000
7,200
3,000
9,450
6,825
1,050
5,000
1,000
10,500
42,960
5,250
24,150
296,385
- 432 -
子供のためのワークショップ参加者募集
■日
時
■場
所
■募集人員
■集
合
2003年3月22日(土)10:30〜15:00
上野動物園・西園
小学3〜6年生(10名程度)及び保護者など
10:30 上野動物園・池之端門の前(別紙参照)
■プログラム;雨天開催
1 自然と遊ぼう
「私はだれでしょう?」
ネイチャーゲームで動物の分類を学びます。
「しぐさビンゴ」
愛をテーマに動物のしぐさをみんなで考えて、オリジナルの
ビンゴゲームのカードを作ります。
「ビデオクリップ制作」
動物の愛のしぐさを子供達の感性で見つけて、 子供達自身
の手でビデオ撮影します。撮影した映像を編集して「愛」の
ビデオクリップとして完成させ、みんなで鑑賞します。
2 喘息やアレルギーなどの健康管理について
(東大病院小児科 内山千登世先生のお話)
ネイチャーゲー
ム(イメージ写
■参加費
無料(但し入園される保護者の方は上野動物園の入場料
600 円が必要となります)
*お子様と保護者の方が一緒にワークショップに参加さ
れても、お子様だけが参加されても結構です。
■昼 食 こちらでご用意します。
■持参品 もし普段お使いの薬や吸入器などがありましたらご持参
ください。
■主 催 NPO 法人メディカル・ブリッジ(子育て支援ボランティア団体)
NPO 法人 CANVAS(子どもワークショップ支援ボランティア団体)
※NPO 法人メディカル・ブリッジの方で、ワークショップのレクリ
ビデオクリップ制
エーション保険に加入いたします(ワークショップ参加時に生じた
作(イメージ写真)
障害対応;保険料は主催者が支払います)
。
※ワークショップで制作されたビデオクリップの著作権は主催者の所有となります。
■お問合せ・お申し込み
NPO 法人 CANVAS 事務局
03‑5770‑3952
〒106-0041 東京都港区西麻布 1-4-35 レ・フルール西麻布 401
[email protected]
参加お申し込みの際は次の項目をお知らせください.
参加者名・学年・保護者名・電話番号・携帯番号・ご住所
- 433 -
www.canvas.ws
■集合日時
2003年3月22日(土)10:30
(時間に余裕を持ってお出かけください.
)
■集合場所
上野動物園・池之端門の前
・千代田線根津駅から徒歩 6 分.
・JR 上野駅・公園口から上野動物園・表門を入り,
園内を通って池之端門まで徒歩15分.
■当日の連絡先
090-xxxx-xxxx(かめやま)
090-xxxx-xxxx(せと)
- 434 -
全国教育系ワークショップフォーラム
開催期間:2002 年 11 月 2 日(土)〜4 日(月)2 泊 3 日
開催場所:群馬県国立赤城青年の家
主催:独立行政法人国立青年の家
国立赤城青年の家
全国教育系ワークショップフォーラム実行委員会
参加費用:35,000 円
延べ参加人数:214人(内ゲスト及びスタッフ58人)
プログラム
1 日目
13:00
会場
13:30
開会、オリエンテーション
15:00‑17:30
オープンディスカッション「ワークショップってなんだろう?」
夕食
2 日目
19:00
ワークショップレビュー、参加登録
20:30
ゲスト・パフォーマンス
21:00
夜塾
08:30‑10:00
ワークショップ1(選択制)
10:30‑12:00
ワークショップ2(選択制)
昼食
13:30‑15:00
ワークショップ3(選択制)
15:30‑17:00
ワークショップ4(選択制)
夕食
19:30
3 日目
夜塾(グループ作業)
10:00‑12:00
グループ・プレゼンテーション
12:00‑12:30
振り返り
昼食
13:30‑15:00
全体会 閉会
総合監修
中野民夫(ワークショップ企画プロデューサー
博報堂勤務)
ゲスト
伊勢達郎(フリースクール)
真砂秀朗(音楽)
関口怜子(子ども)
苅宿俊文(デザイン)
高田研(環境教育)
佐藤道代(ダンス)
小原仁(心と身体)
池住義憲(開発教育)
- 435 -
このワークショップフォーラムは、ワークショップとは何かを理解するための、いわばワ
ークショップのためのワークショップを行う
フォーラムである。
フォーラム
導入
全体の流れそのものもワークショップであり、 全体会
全体の構成が箱入れ型になっており、
グループミーティング
その中に個別のワークショップを体験する
体験
制作
方式がとられていた。
対象がこどもではなく大人で、「ファシリテー
タ」について学ぶ機会でもあった。
各ワークショップ
導入
体験・制作
振り返り
司会全体進行は、『ワークショップ』執筆者で
ある中野民夫氏のもとで行われ、全国各方面か
らの参加者が一堂に集い、「導入」である互い
のコミュニケーションを図るためのいくつか
の仕掛が行われた。周囲の人と自己紹介したり、 振り返り
・グループ発表・全体会
2人一組になってステップを踏んだり、布を川
に見立てて「学ぶ」から「引き出す」へジャン
プするような試みが行われた。参加者
参加申込み
は最初は見知らぬ人同士で緊張してい
ただが、そのようなプログラムが進む
につれ、緊張がほぐれ互いのコミュニ
参加者
ケーションが自然に行われるような雰
囲気が作り出された。
今回のフォーラムは仕掛として、事前
に「ホームグループ」という8人単位
0~19番のホームグループ(1 グループ 8 名前後)
のグループがメーリングリスト上で作
られ、参加前に事前のコミュニケーシ
グループごとにメーリングリスト上で事前のコミュニケーション
ョンを促されている。そのホームグル
ープが、会場で実際に会いグループと
当日会場で顔合わせ
してのコミュニケーションを行うこと
になる。
(申込みから当日までの流れは
左記の図)
- 436 -
全体
ゲストによるボードセッション
ホームグループ・ミーティング
1日目
赤城の説話朗読・ダンス鑑賞
ホームグループ・ミーティング
夜塾・談話・個別行動
各ワークショップに参加
各ワークショップに参加
各ワークショップに参加
2日目
各ワークショップに参加
ホームグループ・発表の準備
夜塾・談話・個別行動
ホームグループ・発表の準備
5グループづつに分かれて、ホームグ
ループ単位で発表(20 分)
全体会・ふりかえり
3日目
15 分間一人で振り返りの時間
3−4人でグループになり振り返り
全体
- 437 -
国内における各分野の優れたワークショップ実施者がゲストとして集まり、これからワー
クショップを実施したい人、あるいはより良い方法を模索中の人などを対象に、
『ワークシ
ョップ』の著者中野民夫氏をナビゲータとしてフォーラムが開催され、下記の調査・活動
を目的に参加した。
・CANVAS の普及啓発・周知活動
・国内ワークショップの調査
1.CANVAS の普及啓発・周知活動
「全国教育系ワークショップフォーラム」というテーマのもとに集まった参加者に対して、
CANVAS が子供を対象とした創造力・表現力を伸ばすためのワークショップ開発実施を行っ
ていることの告知をするために、B51 枚程度の概要書を作成し、インフォメーションスペー
スに 100 枚ほど置いた。3 日間ですべて配布することが出来た。興味があると声をかけられ
た参加者数名に本活動の説明を行ったところ、活動スペースはあるがコンテンツがない、
学校教育のプログラムとして活用したいなどの声が聞かれたので、今後の活動において協
力することを話し合った。
2.国内ワークショップの調査
「ワークショップ」という言葉に対する参加者の概念は様々であり、ゲスト(ワークシ
ョップ実施者)の内容も多彩であった。2 日目に行われた90分完結型のワークショップで
は、ダンスや音楽で自己を表現するアート系、街づくりや開発教育など政策系、自分や他
者と向き合い自己を開放するヒーリングあるいはコミュニケーション系、身近なものを使
って身近な題材で行う幼児・親子を対象とするようなもの、コンピュータを使った自己表
現が行われた。実施者によってその方法は様々であるが、全体に共通して言えることは、
全体をグループとして活動する形態のものもあれば、特に最初の方にグループ活動を導入
する形態も見られるなど、必ず参加者がグループになり活動する時間が設けられているこ
とである。なぜワークショップ形式ではグループ活動が取り入れられるのであろうか?
このフォーラムのキーワードが、
「教える」から「引き出す」の通り、ワークショップを
通して参加者から自己を引き出し、それを作品作りや表現活動、意見を述べることにつな
げるためには、これまでの教育スタイルとは違ったさまざまな仕掛が必要であろう。参加
者同士が初対面で緊張状態にある中において、ものごとを始めるにあたって、グループ活
動を取り入れる事によって、緊張を解きほぐすことが出来、リラックスした状態で創作表
現活動に取組むことが出来るのではないだろうか。苅宿氏はワークショップの導入部に、
グループでゲームを行うことを取り入れている。その理由に相手に何かを伝達すること、
- 438 -
その伝達したことが伝わったことによる喜び、喜びはグループ全体に伝わり共感すること
ができ、この共感が自己を見つめることにつながり、自己の表現活動に反映されると見て
いる。また関口氏は、グループで何かひとつの作業に取組むことによって、自分の位置や
役割、他者の模倣と差異性の発見、共同作業によって生れる場の雰囲気(共感)から各自
が自分なりに学ぶきっかけを見出すとしている。
もうひとつワークショップ形式に特徴的なのが、「振り返り」(reflection)である。ほ
ぼ活動の後半に行われる行為で、ワークショップにおける自己の活動について発表を行っ
たり、他者と話し合ったり、再度まとめてみるなどのことが行われる。
ワークショップ形式においてなぜこのような「振り返り」
(reflection)が取り入れられる
のであろうか?明確な答えは見つからなかったが、例えば苅宿氏のワークショップにおい
ては、90分のワークショップ中にスタッフがデジカメで写真をとり、最後にまとめて全
員で参加中のプロセスを見る時間があった。自分がこの 90 分でどんな活動をしたのか、参
加者の表情が変わっていく様子などを改めて客観的に見る体験はとても新鮮であり、体験
した記憶が自己の中に明確にインプットされる思いがした。プロセスを大切にする苅宿氏
のワークショップで使用されている「脳の鏡」というソフトは、コンピュータ上で描いた
自己の作品について、どのように描いたのかそのプロセスも最初から見ることが出来る。
プロセスが可視化され、それを見ることができる重要性について非常に分かりやすく認識
することが出来る体験であった。ワークショップにおけるプロセスの可視化は、今後のプ
ログラム開発において重要な課題になるであろう。
また、3 日間を通しての活動全体もワークショップであったのだが、最終日の活動が「振り
返り」(reflection)であった。ホームグループごとにフォーラム期間中のことを発表する
時間が設けられ、各グループは 20 分以内で様々な方法によって発表を行った。自己の体験
を自分の中だけに留めず、発表するという行為があることにより、自己の体験や思考を他
者に伝達するためにまとめることが必要になる。これによりフォーラム中の体験や出来事、
思考やアイデアが整理され、自分の中にパッケージ化(体系化)されるのである。このよ
うな活動をワークショップ参加中行うことにより、ワークショップ終了後も参加者各自が
思考を継続したり、再度思い出したり、次の発想に繋げる事が容易になると考えられる。
今回の参加で、ワークショップ形式におけるプロセスの可視化と「振り返り」
(reflection)の重要性、またこの 2 点においてネットワークが有効に活用できる可能性
を見出すことが出来た。プロセスの可視化については、苅宿氏のワークショップにおける
体験の通り、デジタルカメラやムービーを利用し、昨今における編集方法の簡易化により
リアルタイムでそれらの情報の共有が可能になる。またネットワークの利用により、物理
的な「場」を共有する以外の人々もプロセスを共有することも可能になるだろう。「振り返
り」(reflection)においては、発表物やその場で出た意見などをインターネット上にまと
めて公開することによって、ワークショップ実施終了後も「振り返り」(reflection)行為
- 439 -
が容易に継続でき、またそういった場をサイバー上に設置することによって、参加者以外
の人も情報の共有や参加していない人が発表や作品を見て感じるような、「新たな目」で意
見を述べることが可能になる。
<全国教育系ワークショップ参加者調査データ>
人数:156 名、および子ども 8 名(5〜8 才)
このフォーラムは、大人を対象として実施されたが、ゲストが行ったワークショップの中
には本来こどもを対象としたものも多く、またそうでないものについてもこともが対象と
なっても実施可能と判断できる。
居住分布:
群馬県で実施されたこともあり、1 都六県からの参加者が 6 割を占めた。沖縄や北海道か
らの参加もあり、ワークショップに対する興味が全国的にあるということが分かる。
東京 50 名
関東(神奈川、埼玉、千葉、栃木、茨城、群馬) 47
名
中国(広島、岡山)
北海道
3%
6名
東北(岩手、宮城、山形、福島)10 名
北陸(富山、新潟、福井)
4名
東海(愛知、岐阜、静岡)
14 名
信越(長野)
信越(長野)
1%
1名
関西(大阪、京都、奈良、兵庫) 18 名
中国(広島、岡山)
四国
0名
九州
1名
沖縄
1名
4名
関西(大阪、京
都、奈良、兵庫)
12%
九州
四国 1% 沖縄
1%
0%
東京
31%
東海(愛知、岐
阜、静岡) 9%
北陸(富山、新
潟、福井) 3%
東北(岩手、宮
城、山形、福島)
6%
北海道
4%
関東(神奈川、埼
玉、千葉、栃木、
茨城、群馬) 29%
居住分布
年齢分布:
20 代 30 代が全体の約 7 割を占める。教育関係者で実践者が多く見られた。
20 代
54 名
30 代
50 名
40 代
37 名
50 代
11 名
不明
50代
7%
不明
3%
20代
34%
40代
24%
4名
30代
32%
- 440 -
参加のきっかけ(重複回答有):
情報源が知人かである参加者が全体の半数以上を占めており、口コミが重要であることが
分かる。ウェブサイトとチラシがほぼ同じくらいの効果があることが伺える。また、メル
マガやメーリングリストの効果は意外と薄い。
ウエブサイト
29
チラシ
25
知人
スタッフ
24(固有名詞記載でわかるもの)
参加者
5
ゲスト
7
その他
54(知人、とのみ記載のもの)
その他 雑誌
1
メーリングリスト
メルマガ
5
4
大学のゼミ 4
職場
1
教育委員会案内
1
大学のゼミ
メルマガ3%
3%
メーリングリスト
雑誌
3%
1%
職場
1%
教育委員会案内
1%
ウエブサイト
17%
チラシ
16%
知人その他(知人、
とのみ記載のもの)
33%
知人ゲスト
4%
知人参加者
3%
知人 スタッフ(固
有名詞記載でわか
るもの) 15%
ワークショップ参加経験の有無:
有り 129 名
無し 27 名
企画運営の経験の有無:
有り
81 名
無し 75 名
全国教育系ワークショップフォーラム 2002・11・2−4 AKAGI SEINEN
- 441 -
NO
IE
受付の様子
約 150 名の参加者を待ち受けるスタッフ。受付 6 名と会
計係 1 名。ピンクのジャケットを羽織った人たちは、赤
城青年の家に登録をしている高校生や大学生ボランテ
ィアスタッフ。
参加者は受付後手渡された紙に、好きな色のペンで、ニ
ックネームとその下にフルネームを書き込む。
開会式が始まって、一通りの説明後、3―4 人で輪にな
り、自己紹介などをする。参加者の表情はやや固く、未
だ緊張気味。
一連のワークショップ導入部終了後、ゲストによるボー
ドセッション。
夕食終了後、ホームグループに分かれて、翌日参加する
ワークショップの相談と、希望ワークショップのところ
に、自分の名前を書いたポストイットを張る場面。
- 442 -
2 日目
各ワークショップの模様
ヒューレスタイル・ワークシ
ョップ
脳の鏡
苅宿俊文氏
90min
身近なものを使ってワークシ
ョップ
大根餅を作る
関口怜子氏
90min
こどものワークショップ
秋の自然素材を集めて「虫」
をつくる
西田真哉(赤城青年の家所長)
終日
音楽ワークショップ
民族楽器を使ってコラボレ
ーション。即興音楽を演奏す
る
真砂秀朗
90min
- 443 -
3日目
発表
リフレクション
各ホーム・グループごと
に、参加したワークショ
ップについて発表。制限
時間 20 郡。発表方法はさ
まざま。
最後の全体会。中野民夫氏の言葉。15分間ひとりで黙って振り返り。3〜4人でふりか
えり。このとき始めて話した人もいる。最後は、赤城青年の家所長、西田氏のことば。
予定が貼りだされているボード。
- 444 -
Feeling HAKODATE
1.開催日時
期間:2002 年 11 月 23 日〜25 日
場所:北海道
函館
市場、公立はこだて未来大学、旭が丘老人養護ホーム、他
参加者:18名
2.目的
1)ワークショップ・プログラム開発実施における空間作用の検証
2)素材・ツールから考えるワークショップデザイン方法
3.概要
11 月 23 日〜25 日に北海道・函館において、CANVAS 関係者、教育工学系の先生方、博
物館エンジニア、デジタル関連企業、こども関連企業の専門家が集いワークショップに
ついて意見を交換することでワークショップの新しい発見と発展を試みた。まず、実際
にワークショップに参加することによって「ワークショップとは何か」について考え、
アイデアを共有することによって今後の活動についての意見交換をした。プログラムは
はこだて未来大学のヒレル教授、美馬教授がワークショップの企画と実行を担当した。
Feeling Hakodate と名づけられたワークショップには2つの目的があると考えられる。
ひとつは函館という地・空間を使った、ワークショップにおける「場・空間」について
考えること。ふたつ目はイカを使い、素材・ツールからワークショップをデザインする
方法について考えること。そして、それらの目的を自分で考え、気づくことがワークシ
ョップを体験する意義であった。
その方法として「函館の市場を活性化する計画案」をテーマにワークショップは進め
られた。2 日間かけて 3 箇所の市場と養護老人ホームを訪れ、現地の人々にインタビュー
やプレゼンテーションすることによりコミュニケーションを介した函館という場・空間
を感じ取るというもの。またワークショップの随所に登場する「イカ」という素材・キ
ーワードツールを使い、ワークショップ全体に一つの軸を置いた。
- 445 -
4.スケジュール
1)11 月 23 日
①ワークショップ説明、ワークショップ全体資料の配布
②函館市場活性化の課題説明、函館市場の資料配布
③自由市場を見学
④中島廉売を見学
⑤路面電車でのアクティビティ
⑥ホテルにてスペシャル・イカ・ディナー
2)11 月 24 日
①朝市を見学
②ホテルに戻り、市場についてインタビュー準備
③特別老人養護ホーム「旭が丘の家」訪問、インタビュー
④公立はこだて未来大学を見学
⑤ホテルにて、市場活性化計画のプレゼンテーション、ワークショップの振り返り
⑥CANVAS についてディスカッション
3)11 月 25 日
①ホテルのチェックアウト
②ワークショップ終了
5.ワークショップの要点
1)ワークショップ・プログラム開発実施における空間作用の検証
ワークショップを実施するに当たって、3つの「P」が重要である。それは、人(people)、
プログラム(program)、場所(place)であり、今回の調査目的はこのうち場所がワー
クショップの効果にどのような影響を及ぼすかについて検討した。
市場
函館の市場を活性化させる課題を与えられることにより、市場という空間を普段と
は違う視点で見ることができる。3 箇所の市場はそれぞれ違う顔を持った市場であり、
自由市場は比較的新しい市場(平成 8 年に火事で一度焼け落ちている)で観光客が集
まってくる場、中島廉売は小さいが地元住民が集まり値段も比較的安い場、そして朝
市では朝市ならではの賑わいと雰囲気がある。
同じ市場でもそれぞれ違う雰囲気や印象を参加者に与える。購買意欲が上がる場所、
- 446 -
落ち着いて分析ができる場所、市場の人々と会話が弾む場所。同じワークショップで
も場所が変われば、ワークショップそのものが変わってくる。ここでは市場を通して
場所の比較を考えるきっかけとなった。
路面電車
函館では 1 両編成の路面電車が頻繁に街を走っている。昭和 23 年製の車両に乗り込
むと、現実(リアル)でありながら非現実(バーチャル)的な奇妙な感覚が味わえる。
ワークショップ参加者は函館の印象、市場での出来事、仕事のことや遊びのことなど
自然に話が弾む。この貸切電車の車内は乗る人の気持ちをホッとさせる独特の雰囲気
があり、自然と会話を誘発する。ワークショップとしてこの路面電車を利用すること
により一緒に何かをしているという場の雰囲気・コミュニケーション空間として感じ
られる。
その場の雰囲気作りはワークショップでも大切な要素であり、その場所が出す雰囲
気は参加者に自然と影響を及ぼすものである。今回は現実と非現実の交差により普段
よりも集中力をあげ自分の考えが素直に出せる場であった。
公立はこだて未来大学
公立はこだて未来大学は、2000 年に開学し、常に人間中心
の立場をとりながら新しい科学技術、情報技術、表現技術を
身につける場として新しく作り出された大学だ。
函館市内から車で20 分程と中心部から少しはなれたとこ
ろに当大学は位置しており、周囲を緑に囲まれた静寂な丘の
外観
中腹部にある。全面ガラス張りの校舎にはふんだんに光が降り注
ぎ、函館市街も一望できる。従来型大学の建物設計とはその構造が大きく異なり、独
自の空間づくりがなされており、その空間に足を踏み入れるだけで何か新しい発想や
勉強意欲が沸いてくる。
はこだて未来大学は空間を狭く区切らず、吹き抜けやオ
ープンスペースにすることで、利用者に開放感を与えてくれ
る。教室や研究室、事務室の壁面までもガラス張りで、中が
見通せるようになっており、そのようなスペースで活動した
ことのないものにとっては違和感があるが、実際に利用
吹き抜け空間/1F
している方は外から見えることに対して特に気にならず、逆に
コミュニケーションのきっかけが生まれ、楽しんで活用しているとの事だった。
丘の斜面に建つ建物は3階が入り口となり、階段を下って1階に行くと、天井まで
吹き抜けの広い空間で、プレゼンテーション・スペースと称される床が丸く凹んでい
る円形空間がある。また学生が集えるようなラウンジが多くあり、自由なコミュニケ
- 447 -
ーションが容易に行えるであろう事が想像できる。
美馬教授によりキャンパスツアーが行われ、説明
を聞き見ているだけでもわくわくするキャンパス
であり、キャンパスツアーのアシスタントをしてく
れた学生さんたちもキャンパスライフを楽しんで
いることが会話から感じられた。
開けた空間は、なぜ創造力を刺激すると感じられ
るのだろうか。この疑問については空間認識論的観
プレゼンテーション・スペース
点から改めて考察する必要がありそうだが、はこだて未来大学を訪問して感じた空間
と創造力、創造力・表現力の関係、空間がそれらに及ぼすことについて、今後のワー
クショップ・プログラム開発において考慮すべき点になるであろう。
また空間設計そのもの以外にも、参考になる点がいくつかあった。教室という箱に
おいて、従来のような教師−生徒が対面式である机の配置ではなく、可動式の机とそ
の自由な配置、スライドやパソコンの位置についても固定ではなく可動式であること
が、場の共有にあたりどのように影響するかということについてまず挙げられる。前
者のような従来型の配置では生じにくい、自由な場の雰囲気作りが後者のような形で
は可能になりやすい。またこの大学の各所にある談話スペースにも、学生達が集まり
いろいろ話し合う機会があるという。学生へのインタビ
ューでこの学校の設備で何が楽しいかとの質問に、
「 囲む スペースがたくさんある。だからみんなで集
まって話がしやすい」という回答があった。全員が同
床から電源が机に繋がっている。
このデスクは固定式
じ方向に向いたような配置ではなく、お互いが顔が見え
るような円形のテーブルを囲むように座ることによっ
て、自然と対話が生れ、アイデアや意見を交換し、共
可動式の机には、電源配線もあり PC
同で作用するきっかけをつかむことが容易になるので
設置が可能
はないだろうか。これはワークショップ・プログラム
開発における空間設計においても重要な視点であろう。問題点は、これだけ自由な設
計がなされている学校でも生じているのだが、やはり PC などの機材を利用するにあた
って電源確保の必要性から、自ずと自由度が制限されてしまう点である。岡山で実施
したワークショップを省みて、電気容量の点が今後の課題の一つとして上がったが、
さらに電気については、電源場所と電機を必要とするものの配置を工夫する必要があ
る。
- 448 -
2)素材・ツールから考えるワークショップデザイン方法
函館中を丸二日間かけて走り回るワークショップを体験するに当たり、その方向性
を見失ってしまう恐れがあった。そこでワークショップの随所に登場する「イカ」と
いう素材・キーワードツールを設けることによって、ワークショップ全体を一つにま
とめていた。
函館の象徴「イカ」
・粘土で作られたイカが載ったメモ帳が配布される。(ワークショップ全体資料)
・一日目の昼食で寿司ネタにイカ
・市場の至る所でイカ刺し
・路面電車内でワークショップのキーワードを書く紙がイカの形
・夕食時にイカを自ら捌くワークショップ
・上記ワークショップで捌いたイカ刺し
・元漁師によるお話
・地元ダンスチームに「函館名物イカ踊り」を教授してもらう
5.考察
ワークショップに限ったことではないが場所・空間がもたらす人への影響は大きい。例
をあげれば 100 円ショップでは同じ商品を置いていても通路が狭い方が商品を探す楽しみ
と発見がつながり購買意欲が大きくなる。高級家具などを売る場合はその逆で、その商品
よりも高い価値があるかのように周りのスペースを空け焦点を商品に当てる必要がある。
ワークショップでは参加者のこどもが集中できたり、開放的になれたりできる環境をその
ワークショップの目的に合わせて変える必要がある。
またキーワード素材を置くことによりワークショップの目的や趣旨から離れないように
する役がある。
そして、このワークショップで「場所」や「素材」以外にもワークショップ開催におけ
る重要なファクターがある。それは市場やゲストで登場してくださった地元の人々、特別
- 449 -
老人養護施設の方々、そして多種多様なバックグラウンドを持った参加者たち、それはワ
ークショップの重要な要素「人」でありコミュニケーションやグループワークである。
「ワークショップとは何か」というテーマに、自らが体験、制作、発表、振り返りをす
ることにより、それぞれの考えや意見を交換できた。しかし、そこにはまだ多くの課題が
残っている。特に空間と創造力、創造力・表現力の関係、空間がそれらに及ぼすことにつ
いて、今後のワークショップ・プログラム開発において重要な要となってくるだろう。
- 450 -
教育工学会 春の特別企画
FEEL THE WORKSHOP
1.開催日時
期間:2003 年 3 月 15 日〜16 日
場所:大川センター(CAMP)
参加者:58 名(スタッフ含む)
2.目的
1)教育工学会におけるワークショップの位置づけと、その学習環境デザインと評価の
方法を探る。
2)CANVAS としてナイトセッションに参加することにより、ネットワーク社会における
ワークショップ開発・普及啓発は政府も推し進める重要な研究テーマであることを
広める。
3.概要
ミュージアムなどのインフォーマルな学びの場で、ワークショップと呼ばれる参加活
動型の学びが注目されている。多様な学びの形態がこどもの能力開発・促進、情操教育
においては効果的である、という観点から、今後ワークショップ・ニーズが増えて行く
可能性は否定できない。それでは、学びの場を提供して行く側である私たちはワークシ
ョップをどのように企画し、実施していけばよいのか。結果を評価し、次に続けていけ
ばよいのか。2003 年度の教育工学会で、ワークショップをどうデザインするかをテーマ
に、ワークショップのワークショップ「学習環境デザインと評価の方法を探る研修会」
を春の特別企画として開催した。関西文化学術研究都市に 2001 年 4 月オープンした子ど
ものためのミュージアム、CAMP(Children's Art Museum and Park)が開催場所となった。。
研修者は、小学生を対象にしたクリケットワークショップに参加して、その経験を振
り返り(リフレクション)、ワークショップという学びの場のデザインを考えていく。こ
の研究領域の先端的実践をしているグループがワークショップをナビゲイトしていき、
その中の一グループとして CANVAS が参加した。今後の教育におけるワークショップの可
能性について研究者や教育関係者とともに考えていく場が
設けられた。
- 451 -
4.スケジュール
3 月 15 日(土)
12:00 ‑ 13:00
受付+オリエンテーション+CAMP 見学
13:00 ‑ 16:30
クリケットワークショップ
16:30 ‑ 18:00
リフレクション
‑‑‑
ホテルチェックイン・夕食 ‑‑‑
20:30 ‑ 23:00
ナイトセッション:ワークショップのデザインと評価
1)学校系ワークショップ(苅宿俊文)
2)ミュージアム系ワークショップ(佐藤優香、CRN、CANVAS)
3)サイエンス系ワークショップ(CAMP)
4)学習科学系ワークショップ(宮田義郎)
3 月 16 日(日)
9:00 ‑ 11:00
前日セッションの報告会とディスカッション
11:00 ‑ 11:45
総括講演
11:45 ‑ 12:00
合宿全体のリフレクション
12:00
解散
5.各ナイトセッションの趣旨説明
以下パンフレットから転記
1)学校系ワークショップ
苅宿俊文
氏
「NPOが取り組む学校でのワークショップ」
今、ワークショップという言葉がさまざまな場面で使われています。世の中には、い
ろいろなワークショップが溢れ始めています。そこで私たちは、自分たちのワークショ
ップを、メディアを利用したワークショップとしてとらえ、そのワークショップを紹介
したいと考えています。
私たちが考えるワークショップとは、コミュニケーションを取りながら、メディアを
利用して表現していく場のことです。
コミュニケーションを取り合うことで、自分が考えていることを外に出していく心地
よさを味わったり、人に伝えることを通して、自分の表現に納得したりしていくことが
できると考えています。そして、人とのかかわりの中で生まれた表現は、自分自身を省
みることを生み出し、自分の意味づけに自分らしさを見つけることができると考えてい
ます。
今回の「ナイトセッション」では、私たちの考えるワークショップの意味をキーワー
ドで、実際の活動しているファシリテーターのビデオを通して仕組みを伝えていきたい
- 452 -
と考えています。
2)ミュージアム系ワークショップ
「ワークショップのつくりかた
佐藤優香
氏・CRN・CANVAS
─デザインと評価のための基本レシピ─」
ワークショップのコンセプトやコンテンツは、どのようにして組み立てていけばいい
のでしょうか。"佐藤/国立民族学博物館+河村・所/CRN+宮井/CANVAS"チームでは、博
物館や社会施設などの「インフォーマルな学びの場」における、ワークショップの企画
や運営について考えます。具体的な事例を紹介しながら、セッションに参加されるみな
さまとワークショップの基本レシピを創っていきます。そして、ワークショップの評価
を見据えた上でのデザイン手法についても、議論していきたいと考えています。また、
ヨーロッパのミュージアムにおけるワークショップ事情も、議論の素材として提供しま
す。話題提供者と参加者がともに考えて創り上げていくスタイルで進めるために、ナイ
トセッションをワークショップとしてデザインし、さまざまな素材を用意しています。
3)サイエンス系ワークショップ
CAMP
「CAMP ワークショップとは?」
CAMP では、 MIT メ ディアラ ボ開発の小 型コンピュ ータ
「Cricket」をはじめ、「LEGOMINDSTORMS」、アラン・ケイ博
士らが開発した新しいプログラミング言語「Squeak」、粘土
でつくるアニメーション「Claymation」など、新しいテクノ
ロジを積極的に取り入れ、様々なワークショップを開催して
きました。このナイトセッションでは、2001 年 4 月の活動開始以来、開催した 120 回に
及ぶワークショップについてビデオ等で内容を紹介していきます。またセッション参加
の皆さんにも、実際に CAMP のワークショップでこどもたちが使用しているこれらのツー
ルを使って、創作体験をしていただき、その可能性についてディスカッション していき
たいと思います。
4)学習科学系ワークショップ
中京大学情報科学部メディア科学科
宮田義郎
氏
「自己の学びの発見としてのワークショップの評価」
人の学びを、人と関わる社会的な文脈の中で起こるものとして捉えると、ワークショッ
プとは、企画者、参加者が共にそのような「社会的学び」を創造的に作り出す場です。
このような学習環境の評価とは、企画者、参加者自身にとってその経験がどのような「意
味」があったのかを評価することと考えています。つまり、活動過程で感じ、考え、行
ったことの中に表現されている、価値観(自分の興味や、大事にしたいこと)や学習観
(自分はどうなりたいか、他の人にどうなって欲しいか)などを意識的に見直すこと、
さらに、それらを吟味した結果から、各人が、自らの未来の学びをダイナミックに変化
- 453 -
させるような発見をすることです。以上のような観点から、我々がこれまで取り組んで
来た、芸術教育場面、国際交流場面における実践を紹介しながら、皆さんと一緒に、
「ワ
ークショップで何を大事にしたいのか」も含め、評価について考えます。
6.考察
教育工学会でワークショップが小学校で受け入れられない理由として以下のようなもの
があがった。
・そもそもワークショップとは何かが分からない。手法が分からない。
・今の教育現場のシステムでは、文部科学省の学習指導要綱にそって授業を進める事
が求められ、教師はどうしても教科書を中心とした教育を行わなければならないと
いう事実がある。またワークショップをどの授業で行うかが問題である。
・ワークショップは準備などに相当な時間がかかる。また学校の授業内にぴったりと
納まるワークショップを自分たちで開発していくことが難しい。
・教師が実施したワークショップの成果を評価しにくい。
(評価基準が固まっていない
/評価を行うことがそもそも無理)
上記の理由からワークショップを実際に授業に取り入れるのは現状のままでは難しい。
それは一教師のやる気にかかっている。しかし、教師としてもワークショップを個人の裁
量で学校の授業に取り入れるのは指導要綱や他のクラスの生徒との機会均等の問題等、
色々とクリアしなければならないことがあり、ついつい二の足を踏んでしまうのではない
だろうか。
またワークショップという言葉にも今はまだ決まった定義がないため、説明するのも一
苦労である。この件に関して、甲南女子大学の上田教授が具体的な提言を行った。教育工
学の分野で、ワークショップの事例をためてパッケージ化していく方法も必要なのである
が、付け加えて「開かれた活動参加型授業」という新しい授業形態のデザインを研究して
いく必要がある。教師と生徒が一緒になにか作り上げていく、といった様な、活動参加型
授業をなんとなく「ワークショップ」として学校に紹介していき、授業の一部として取り
込んでもらう。すなわち、ワークショップという一つの軸を教育工学の分野で率先して作
っていく必要があるのではないだろうか、という内容であった。上記提案はワークショッ
プの普及・啓発を重要な目的のひとつとしている本調査研究と趣旨を同じくしている。今
後更なる共同作業を進めていきたいと思う。
STAGE の可視化
今回の教育工学会は3つのステージに分かれて全体が流れていた。1 つ目が On Stage 実
際にワークショップや協議が行われるステージ。2 つ目が Meta Stage 教育工学からの視点
- 454 -
からワークショップを見るステージ。3つ目が Back Stage 教育工学会の準備から当日の進
行、まとめまでこなすステージ。以上 3 つのステージからなる教育工学会を3つに分けて
長いタイムテーブルを作成し、そこに写真やキーワードなどを貼り付け、うまく全体を可
視化していた。ここで注目するべきところが Back Stage の可視化である。On Stage や Meta
Stage も重要であるが、当日のワークショップ風景だけではなく 2 月の初旬の準備段階から
当日の裏方まですべて記録し続けて、ワークショップのデザインから作り上げていく過程
をそのまま表している。ワークショップのパッケージ化を考えるときに準備(Back Stage)
の可視化は必ず必要となってくると感じた。
- 455 -
VI.普及・啓発手法の検討資料
- 456 -
ウェブ掲載記事
① CANVAS〜NPO と子どもとメディア 変革の世紀2 NHK 出版 中村伊知哉
② 子どもたちがコンテンツを生む(日経ネット時評 2002.12.10)中村伊知哉
③ デジタル世代の創造力と教育改革 (GLOCOM
2002.12.2)中村伊知哉
④ 十年より千年のユビキタス(野村総合研究所 未来創発 2002.7)中村伊知哉
⑤ ポップカルチャーとしてのニッポン(日経ネット時評 2002.6.25)中村伊知哉
- 457 -
①CANVAS〜NPO と子どもとメディア
1
変革の世紀2
NHK 出版
中村伊知哉
創って見せる子どもたち
「思ったより上手に写せたな。」「家でもデジカメ買ってもらおうかな?」「天気や気温、
穴から写したり、角度などを変えることで写真にも個性が出ることが分かった。」「にじが
とれてラッキー。」
2002 年 11 月、岡山で開催された全国マルチメディア祭でのこと。3日間で 11 万人の来
場をみたイベント会場の隅で、カメラワークショップが開かれた。参加した小学生たちの
表情は、みな達成感に満ちている。
初めてシャッターを切る子どもたちが、自分なりの表現方法を探り、発表する。紅葉の
赤や空の青に惹かれる子。噴水の躍動感を切り取ろうとする子。会場に飾られた F1 カーや
コンパニオンのお姉さまを接写する子。大胆で美しいみごとな作品を次々に生んでいく。
映像で考えて、映像で表す。それをその場でプリントアウトする。作品を見せ合い、互
いを発見する。そして、そのままブロードバンドで世界に発信する。
パソコンやインターネットが普及した。デジタルカメラやブロードバンドも浸透してい
る。ピア・トゥ・ピア社会、すなわち一人ひとりがコンテンツの生産者となる時代は、こ
の世代が引っ張っていく。このワークショップは、アットネットホーム社がキヤノンの協
賛を得て実施した。http://www.broadspirits.net/canvas/
となりの部屋では、色あざやかなオブジェたちが床をはっている。併催された「ロボッ
ト作り」ワークショップだ。MIT(マサチューセッツ工科大学)で開発したマッチ箱サイズ
のコンピュータに、モーターやセンサーなどを装着し、さらにスポンジやタワシや松ぼっ
くりといった身の回りのものをくっつけて、自分だけの「虫」を作るというものだ。
心臓部のコンピュータには、子どもが自分でプログラミングして、どのように動き、ど
んな音や光を発するかといった指令を与える。頭を回転させる虫。ガタガタと地面を走る
虫。ふしぎな鳴き声をあげる虫。暗がりで怪しく光る虫。
「プログラミングは、べつにむつかしくなかった。」
「どんな色の虫にするか、まよった。
」
「足を振動させて、前に動かそうと思ったんだけど、後ろに動くようになってしまった。」
「かわいい虫ができたと思う。」
四角四面だったコンピュータは、生き物に姿を変えている。ロボットやペットやおもち
ゃや虫に変身して、わたしたちのともだちになろうとしている。身の回りに溶け込んで、
ユビキタス(どこでもコンピュータ)な空間を創る。
スクリーンから立体の造形へ。そうした姿かたちそのものが、ユビキタス時代のコンテ
ンツだ。このワークショップは、「CAMP」が実施した。CAMPとは京都けいはんな学園都
市にある日本で初めての子どものワークショップ専門センターであり、株式会社 CSK が運
営する。 http://www.camp‑k.com/
これらピア・トゥ・ピア系とユビキタス系の二つのワークショップを主催したのは、
- 458 -
CANVAS という名の NPO だ。子どもの創造力や表現力を高めるための活動を推進している。
政府やマルチメディア振興センターの支援のもと、ブロードバンド時代のコンテンツを生
む土壌を整えていくことを目的として、2002 年の夏に活動を開始したところだ。
総合的学習の時間が学校に導入されたことをはじめ、IT と子どもの関わりを模索する動
きが広がる中、注目を集めている。
2
http://www.canvas.ws
創造力と表現力の底上げ
CANVAS は、子どもの創造力・表現力のための活動について、
「研究」
「開発」
「普及」する
ことを柱としている。
国内・海外における先駆的なワークショップの調査を行い、これに基づき得られた情報
を元に評価・検討をし、新しいワークショップを開発する。
また、それらワークショップをパッケージ化、教材化することにより、学校教育プログ
ラムへの組み込みや自治体・企業での推進策を検討し、全国への普及啓発を行う。
次世代を担う人々が、自分で創り、自分で表現するネットワーク環境の整備を目指して、
アニメ・音楽・ロボット作りワークショップの開発や、海外との連絡調整、調査研究など
を始めたところだ。
これは、「我が国が 5 年以内に世界最先端の IT 国家になる」という目標を掲げる政府
e‑Japan 戦略に沿った施策である。
e‑Japan 戦略はこう記す。「国民の持つ知識が相互に刺激し合うことによって様々な創造
性を生み育てるような知識創発型の社会を目指す。ここで実現すべきことの第一は、すべ
ての国民が情報リテラシー を備え、地理的・身体的・経済的制約等にとらわれず、自由か
つ安全に豊富な知識と情報を交流し得ることである。」そして、情報リテラシーの向上、コ
ンテンツ・クリエイターの育成を重点政策としている。
一人ひとりの情報発信力を高め、コンテンツ生産力を高める CANVAS の成果が広がって、
各地の拠点や学校の活動を促進する。これを通じて、全国の子どもたちの取り組みが活性
化し、国全体の底上げが図られる。
一人ひとりの創造力と表現力を高めたい。そして、日本を表現大国にしたい。世界のコ
ミュニケーションを活発にしたい。CANVAS の活動は地道な支援であり、小さく活動を始め
たばかりだが、目線はそのような高さに据えている。
活動の対象となる「子ども」の範囲には特に限定はないが、ひとまず小中学生を念頭に
置いている。また、ひとまず e‑Japan 期間である 2002 年度からの 4 年間で所要の目標に到
達することを目指す時限活動と位置づけている。
- 459 -
3
産学官連携と国際協調
こうしたことから CANVAS は、政府の協力のもと、(財)マルチメディア振興センターか
ら資金を得てスタートした。しかし、あくまで CANVAS は民間の発意に基づいて発足した運
動であり、さまざまな分野の関係者の熱意によって実現したプロジェクトである。各地域
の現場が主体となって、産学官トライアングルの協調によって進められる。
川原正人 NHK 名誉顧問が理事長を務め、東京大学情報学環の山内祐平助教授と筆者が副
理事長を務めている。各地でワークショップの活動をしている方々、国内外の児童館・科
学館・子ども博物館、学校・教育関係者、大学等の研究者、そしてさまざまな分野のアー
ティストの方々と密に連携する。
IT 系の企業、学習やデザインの分野に関心のある企業、エンターテイメント企業など、
産業界からの参加も重要な要素となる。企業が研究プロジェクトやビジネスのテストベッ
ドとして CANVAS のコミュニティを活用することも考えられる。
内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省との連携も不可欠である。この分野に積極的
な取り組みをみせる地方自治体とも仕事をしていくことになる。
また、この分野の世界的なネットワークも作っていく。アメリカ、ヨーロッパ、アジア、
南米などの大学、博物館、企業等とも連携した運動としていきたい。これら多方面の方々
をフェローとして迎え、プロジェクトを企画・実行していくこととしている。
だが、あくまで活動の主役は、子ども。当面は大人が道筋を作っていくとしても、いず
れ子どもたちが活動の中心を担い、将来は子どもたち自らが運営してくれるとよいと考え
ている。
CANVAS 関係者リスト
(2002 年 12 月現在)
<理事長>
川原正人(NHK 名誉顧問)
<副理事長>
山内祐平(東京大学大学院情報学環助教授)
中村伊知哉(スタンフォード日本センター研究所長、MIT メディアラボ客員教授)
<理事>
奥田義行((社)音楽制作者連盟理事長)
田村拓 (CSK 経営企画室長)
森由美子(CAMP 総合プロデューサ)
廣瀬禎彦(@Net Home 代表取締役)
菊池尚人(FMP 総研研究員)
<監事>
川原和彦(博報堂)
- 460 -
●フェロー
今井賢一
(スタンフォード大学シニアフェロー/一橋大学名誉教授)
青木昌彦 (スタンフォード大学教授、経済産業研究所所長)
近藤等則 (トランペッター)
日比野克彦 (アーティスト)
高城剛
(メディア・クリエイター)
水口哲也 (ゲーム作家)
飯野賢治 (クリエイター)
山口裕美 (アート・プロデューサー)
佐々木かをり(イー・ウーマン/ユニカル・インターナショナル代表取締役社長)
宇治橋祐之 (NHK エデュケーショナル教育部チーフプロデューサー)
岸博幸
(内閣府 IT 担当室企画官)
山崎俊巳
(総務大臣秘書官)
瀬戸隆一
(総務省課長補佐)
上田信行
(甲南女子大学教授)
河口洋一郎(東京大学教授)
武邑光裕
(東京大学助教授)
小栗宏次
(愛知県立大学教授)
美馬のゆり(公立はこだて未来大学
大江建
(早稲田大学教授)
奈良磐雄
(京都造形芸術大学教授)
教授)
三宅正太郎(大分県立芸術文化短期大学教授)
高井崇志 (岡山県企画振興部 IT 戦略推進室情報政策課)
松永直哉
(大和証券SMBC課長代理)
中西寛
(イサオ事業部長)
大原伸一
(大原事務所代表)
石戸奈々子(MIT 客員研究員)
北川美宏
(大川センター所長)
森秀樹
(CAMP)
菅谷明子
(ジャーナリスト、経済産業研究所研究員)
鶴谷武親
(フューチャーインスティテュート代表取締役社長)
谷脇康彦
(在米日本国大使館参事官)
田島正広
小松左京
(弁護士、NPO サイバーポール理事長)
(SF 小説家)
境真理子 (日本未来科学館)
島田卓也 (日本未来科学館)
- 461 -
古井祐司 (三菱総合研究所研究員/NPO メディカルブリッジ理事長)
笠井文哉
上出卓
(SONY ブロードバンドアプリケーション研究所統括課長)
(音楽制作者連盟顧問)
中植正剛
(スタンフォード大学)
関根千佳
(株式会社ユーディット代表取締役)
中川一史(金沢大学助教授)
橋本知子(文化総合研究所)
ウォルター・ベンダー(MIT メディアラボ所長)
トッド・マッコーバー(MIT メディアラボ教授)
ミッチェル・レズニック(MIT メディアラボ教授)
エリック・シーゲル
(ニューヨーク科学博物館)
モデスト・テームズ (サンフランシスコ Exploratorium)
ヒレル・ワイントラウブ
(はこだて未来大学)
ジョッシュ・ムンテン(Capital Children's Museum)
4
場としての運動
筆者との関わりについても触れておこう。
1995 年2月、ベルギーのブラッセルで情報通信 G7 が開催された。当時の米ゴア副大統領、
EU サンテール委員長、日本からは大出郵政大臣・橋本通産大臣らが参加し、情報社会の未
来を語り合った。当時、郵政省に所属していた筆者も会場の隅に控えていた。
席上、民間代表として参加していた故・大川功 CSK 会長が急に発言した。「情報社会は子
どもたちが築く。子どもの声を聞くべきだ。」これが賛同を得て、同年の秋に東京でジュニ
アサミットが開催された。各国の子どもたちが集い、情報社会の行方や問題点を討議した。
そして第2回ジュニアサミットのホスト役を MIT メディアラボが引き受けることとなった。
その過程で、MIT Okawa センターの設立が決定した。教育や学習、音楽や映像、オモチャ
や遊びなど、デジタルと子どもに関する全ての領域を網羅する世界最大級の研究機関を作
ろうという構想だ。筆者は 98 年の第2回ジュニアサミット開催を機会に政府を辞し、MIT
に参加することとした。
しかしやはり問題は日本である。教育の IT 配備はもとより、創造性を育む環境作りに遅
れ、子どもの潜在力を活かす風土に欠けている。
そこで、2001 年4月、京都の南、けいはんな地区に、子どもセンター「CAMP」が設立さ
れた。MIT メディアラボをはじめ、インテルやレゴ、ナショナルジオグラフィック、各国の
子ども博物館などが協力し、CSK が運営している。
CAMP は、日本初のワークショップ専門センターというだけでなく、高品位な活動を続け
ているため、評価も高い。しかし、限界もある。民間企業が営利とは遠い活動を多面的に
- 462 -
続けていくことが至難だという点である。
一方、こうした取組に対する需要は高まっている。総合的な学習の時間の導入を待たず
とも、IT を子どもたちに活用させようとする思いは、教育の現場や自治体・企業に募って
いる。CAMP のような活動を全国化させたい。CAMP 以外にも、各地でさまざまな取組がなさ
れている。熱い気持ちで活動をしている方々がたくさんいる。そのような思いを面的に交
流させたい。
だから、場が必要だ。公的な運動体を作ろう。呼びかけに応え、同様の考えを持ち、悩
み、動き出そうとしている人たちが自然に集まった。それが CANVAS を結成した。
そう、CANVAS は、場である。子どもたちが何かを創りだしていくための場。そのための
機会、技術、ノウハウを提供する。針路の定まらない時代、いったい何が問題なのか、そ
れを探り、それを自ら解いていく。楽しみながら、苦しみながら。一人で、みんなで。頭
の中で想像し、それを実現する。手で、足で。昔ながらの道具を使ったり、最先端のデジ
タル技術を駆使したりして。
そして CANVAS は、表現の場である。自分の考えをきちんと伝え、自分の気持ちを形にす
る。手段は、会話でもよい。文章でもよい。絵でもよい。歌声かもしれない。ジェスチャ
ーかもしれない。ウィンクや笑顔かもしれない。手紙でも電話でもよい。映画やテレビ。
パソコンやインターネット。ケータイ。ロボットやねんど細工で示すのがいいかもしれな
い。
一人ひとりにとって、ふさわしく心地よい表現やコミュニケーション手段がある。それ
を見つけて、きちんと表せるようにしたい。世界に向けてアイディア、考え、気持ち、作
品などを表現する環境を整えること。これも CANVAS の役割だ。
5
開発と普及
CANVAS が開発支援するワークショップは、冒頭に紹介したようなロボット作りや写真造
りのように、「創る」「見せる」ことを要件としている。さまざまな種類のワークショップ
が考えられる。
イメージ例を挙げてみよう。粘土でアニメをつくる「クレイメーション」。シナリオを作
る。キャラクターを描く。絵コンテを描く。粘土をこねて人形を作る。背景のセットを造
る。1 コマずつ撮影する。ナレーションと効果音を入れる。コンピューター画面で編集する。
実はこれは、米ワシントン DC の子ども博物館の活動を輸入して既に CAMP が実践してい
るものだ。アナログとデジタル、アートとテクノロジー、バーチャルとリアルのバランス
をとった優れた活動である。輸入モノとはいえ、アニメで鍛えた日本の子どもたちの手に
かかると、目を見張る作品を仕上げる。世界のみんなで、そのクリップを交換し、再編集
するというのはどうだ?
MIT は、ウェブサイトでお絵かきをすると作曲できるツールを開発している。オンライン
- 463 -
でつながった各国の子どもたちが共同で作曲していく。そうすれば、音楽表現の構造が変
わるのではないか?
アイルランドの子ども博物館では、本作りワークショップを行っている。各国の子ども
たちが同じテーマで絵本を作り、オンラインで交換する。同じテーマなのに、どうしてス
トーリーや色合いが違うのか?それを話し合う。
しかし、より力を入れたいのは、日本ならではのオリジナル・ワークショップの開発で
ある。ゲームやアニメ。ケータイ、着メロ。お茶、お花。マンザイ作りもやってみたい。
どつき漫才のような叩くコミュニケーションを世界に見せたら、どんな反応があるだろう
か?
これらを全国に普及させていきたい。例えば、ワークショップ会場で学校関係者や自治
体職員などの研修を開いたり、ワークショップをネット中継したりして、関係者がノウハ
ウを共有する。小学校へのネット中継は早期に取り組む考えだ。ワークショップのパッケ
ージ化・教材化を進め、学校のプログラム等に組み込みやすいように図ることも課題だ。
大切なのは、世界との協調と情報発信である。ネットを駆使したバーチャルなコミュニ
ティづくりは特に重視する。ワークショップの成果(ノウハウ、作品等)は海外にもイン
ターネットで発信・提供し、その国際的な普及にも努めたい。
CANVAS のウェブサイトのトップページは、子どもたちがデザインしている。フューチャ
ーキッズ社の協力により、デザイン作りもワークショップで実施している。このような普
及啓発の活動も、いずれは子どもたちに運営していってもらいたい。
6
PPP
しかし一体ニッポンの表現やコミュニケーションというのは、どういう特徴があるのだ
ろう。今後どのような方向に進むのだろう。子どもの活動を推進するためには、それを裏
付ける学術的・政策的な検討も必要だ。CANVAS は、わが国の情報産業・文化・社会の特性
をとらえ、包括的な研究を行う。
当面、ポップカルチャーの分野に焦点をあてる。日本が競争力を持つ分野(マンガ・ア
ニメ・ゲームなど)、デジタル系の新しい表現分野(ケータイ、ウェブ、ロボットなど)等
に関して、産業構造、文化社会、制度、表現技法を内外の有識者とともに研究する。
ポップカルチャーは国際競争力のある産業として期待されるとともに、電子商取引や遠
隔教育をはじめ、ネット上のコンテンツを生み出していく土壌をなす。さらに、国のブラ
ンド価値をも左右する。低迷する現状を打破するカギを握るかもしれない。
世界にとって、日本とは。ハラキリ・カミカゼ、すなわち闘う国というイメージは、ト
ヨタ・ホンダ・ソニー、すなわち闘う企業というイメージに変わった。富国強兵で一世紀
を貫いた国のかたちである。そして失われた十年たる 90 年代、経済の元気もなくなって、
日本は軸が揺らいでいる。
- 464 -
だが、いま世界の子どもたちに、日本とは何かを聞いてみればよい。きっと答えは、ポ
ケモン、ドラゴンボールZ、セーラームーン、スーパーマリオブラザーズ、アイボ。そし
て、彼ら彼女たちは、日本のことをカッコいいと思っている。将来の歴史書には、失われ
た十年は、日本がはじめて世界にカッコいいと思われ始めた十年と刻まれているかもしれ
ない。
日本は、国際的な立ち居振る舞いが下手と言われる。コミュニケーションが不得手とさ
れている。自分を自分の方法で表現し、相手に理解してもらうことが苦手とされている。
一方、日本には、豊かな歴史文化がある。ものづくりに対するこだわりがある。営々と
養ってきた審美眼がある。ケータイでのメールのように、日本独特の発達をみせるコミュ
ニケーションもある。
ピア・トゥ・ピア時代にどんな情報を創造し、どう発信していくのか。映像で考えて、
映像で表現する時代をどうリードしていくのか。特にウェブやモバイルでの新しいコンテ
ンツをどう開拓していくのか。
それはきっと、ポップカルチャーを取り巻く産業、文化、社会の背景がカギを握ってい
る。次世代の情報社会を切り開くには、マンガやロボットペットや自販機やラブホに囲ま
れたこの不思議な環境をまずきちんと見つめることが必要である。
このため CANVAS は、スタンフォード日本センターと連携し、「ポップカルチャー政策プ
ロジェクト」(略称:PPP)を発足させた。研究者、アーチスト、オタク、エンタテイメン
ト業界、政府など、この分野で日本を代表する方々が集い、議論を行っている。国際共同
研究に発展させていく考えだ。
http://www.ppp.am
7
デジタルの千年を拓く世代
地球は小さくなったという。輸送技術や通信技術のおかげである。人もモノも情報も、
めまぐるしいスピードで行き来し、20 世紀は、科学が進化を押し進めた百年であった。
しかし、21 世紀は、それをあざ笑うかのようなテロで幕を開けた。2001 年9月 11 日、
科学が積み上げた高層ビルが、科学の粋である旅客機によって崩された。世界が多元的で
あることを改めて認識させるできごとだった。地上には、いろんな人がいる。いろんな暮
らしがある。いろんな考え方がある。
世界が多元であることは、サッカーのワールドカップでも示された。決勝はブラジルと
ドイツ。3位はトルコで4位は韓国。世界最大のイベントに熱中する人々は、この世はア
メリカだけではない、さまざまな国から成り立っていることにも思いをいたした。そのホ
スト役は日本と韓国。アジアが多元的な世界のプラットフォームになり得ることも示した。
いま現出しているグローバルな世の中は、これまでの国際社会とは性格が違う。デジタ
ルでつながっている、という点だ。ネットワークで連結されれば、お互いのことがより深
く理解されるようになる。これまでにない表現や、豊かなコミュニケーションが行き交う
- 465 -
ことになる。
もちろん、つながって、わかりあえば、平和が訪れる、という保証はない。わかりあっ
てこそ始まる対立もあろう。しかし、地上の人々が、新しい見方、感じ方、考え方をしは
じめることは間違いない。戦争と競争の 20 世紀を経て、バーチャルなフロンティアを獲得
した人類は、そこでの対立や協調をいかに次のエネルギーに変えていくのか。
アナログの千年からデジタルの千年への転換期。デジタルの社会では、新しい作法やル
ール、新しい権利や義務が求められよう。デジタルの空間では、映像や造形による新しい
表現が生まれてくるだろう。人の表現や認識のあり方を塗り替えていくだろう。おそらく
それは、数世代かけてできあがっていくものだろう。
多元的で新しい社会を築き、新しい表現を拓くのは、子どもたち以降の世代だ。生まれ
ながらネットを駆使し、生まれながらバーチャルに表現し、生まれながらデジタルに暮ら
す世代が担う。その環境を整えたい。場と技術を与えたい。そして、彼らを信頼したい。
- 466 -
②子どもたちがコンテンツを生む日経ネット時評 2002.12.10)中村伊知哉
さきごろ岡山で全国マルチメディア祭が開催された。毎年持ち回りの国体方式で、今年
で 15 回を数える。セミナーや展示会場は老若男女で熱気に満ち、金・土・日の3日間で 12
万人の来場があったという。12 万人?
知事も市長も財界や官界の関係者もこぞって顔を
見せたとはいえ、この不況にこのにぎわいはどうしたわけか。
IT本番で地域の試みも根づく
15 年前、1回目のイベントは湯布院だった。当時はニューメディア祭と呼ばれていた。
その頃から関わっている者は少なくなったが、名称をニューメディアからマルチメディア
に改め、そしてインターネットが普及して、IT はやっと本番を迎えた。ローカルの取り組
みがようやくしっかりした足音をたてるようになった。会場の熱気は、その証だろう。
同じ会場で、小学生向けの二つのワークショップが開催された。一つは、カメラワーク
ショップ。デジカメで自分を表現するものだ。写すとは何か?表すとは何か?それをブロ
ードバンドで世界に発信するとはどういうことか?
初めてシャッターを切る子どもたちが、自分なりの表現方法を探り、発表する。紅葉の
赤や空の青に惹かれる子。噴水の躍動感を切り取ろうとする子。会場に飾られた F1 カーや
コンパニオンのお姉さまを接写する子。大胆で美しいみごとな作品を次々に生んでいく。
映像で考えて、映像で表す。作品を見せ合い、互いを発見する。一人ひとりがコンテン
ツの生産者となる P2P 社会は、この世代が引っ張っていく。このワークショップは、アッ
トネットホーム社がキヤノンの協賛を得て実施した。
http://www.broadspirits.net/canvas/
もう一つのワークショップは、ロボット作りである。MIT で開発したマッチ箱サイズのコ
ンピューターに、モーターやセンサーなどを装着し、さらにスポンジやタワシや松ぼっく
りといった身の回りのものをくっつけて、自分だけの「虫」を作るというものだ。
心臓部のコンピューターには、子どもが自分でプログラミングして、どのように動き、
どんな音や光を発するかといった指令を与える。頭を回転させる虫。ガタガタと地面を走
る虫。ふしぎな鳴き声をあげる虫。暗がりで怪しく光る虫。
四角四面だったコンピューターは、生き物に姿を変えている。ロボットやペットやおも
ちゃや虫に変身して、わたしたちのともだちになろうとしている。身の回りに溶け込んで、
ユビキタスな空間を創る。スクリーンから立体の造形へ。そうした姿かたちそのものが、
ユビキタス時代のコンテンツだ。このワークショップは、CSK が京都で運営する子どもセン
ター「CAMP」が実施した。
http://www.camp‑k.com/
- 467 -
子どもの創造力を引き出す狙いのNPO活動
これら P2P 系とユビキタス系の二つのワークショップを主催したのは、CANVAS という名
の NPO だ。子どもの創造力や表現力を高めるための活動を推進している。政府やマルチメ
ディア振興センターの支援のもと、ブロードバンド時代のコンテンツを生んでいく土壌を
整えていくことを目的としている。
内外の科学館や教育工学系の研究者、アーティストや自治体、企業らが集うプラットフ
ォームとして活動を開始したところだ。川原正人 NHK 名誉顧問が理事長を務め、東京大学
情報学環の山内祐平助教授と私が副理事長を務めている。総合的学習の時間が学校に導入
されたことをはじめ、IT と子どものかかわりを模索する動きが広がる中、注目を集めてい
る。
http://www.canvas.ws
地域のみんながコンテンツを生む
岡山でのイベントの後、日経デジタルコアの「e‑Japan 戦略と地域の情報化」に関する討
論会が三重県の津市で開催された。三重、岐阜、福岡、岡山など各地の IT 先進自治体の担
当者も参加し、情報化の行方について、夜通し熱く語り合った。
インターネットが普及して、各地で地に足のついた実態が沸き上がり、いよいよ悩みも
深まってきた。CANVAS とはテーマが異なるが、地域からどのようにコンテンツを発信して
いくか、課題は共通している。
その足で、函館に向かった。公立はこだて未来大学、東京大学、甲南女子大学、ソニー、
ベネッセ、CSK、MIT など CANVAS 関係者が集い、IT 系ワークショップの企画をめぐって、
ここでも夜を徹して語り合った。
インフラの整備は進んでも、コンテンツをどうする。ずっと以前からそんな指摘が繰り
返されている。だが、気がついた。コンテンツは、地域が、みんなが生む。次を担う世代
が生んでいく。そのための環境を整えていきたい。…みんなの気持ちが熱くなっている、
そう感じるツアーだった。
- 468 -
③デジタル世代の創造力と教育改革 (GLOCOM 2002.12.2)中村伊知哉
ネットで育てる次世代の表現力
山内
本日は、京都のスタンフォード日本センター研究所長に着任された中村伊知哉先
生をお招きして、情報社会と教育についてお話をうかがいます。まず、はじめに先生の近
況と、日本センターのプロジェクトについてご紹介ください。
中村
去年 9 月 11 日のとき、私はニューヨークにいたんです。ボストンからニューヨー
クに入る用事があって、その橋のところで「ここから先は行けない」と言われて、何だろ
うと思ってボストンに戻りました。ボストンでテレビを見てみたら、あの事件で、近所は
大騒ぎでした。それで日本の人たちに聞くと、みんなリアルタイムで見たというわけです
よ。アメリカの東海岸では朝の通勤時ですし、西海岸は寝ている時間ですから、リアルタ
イムで映像で見ていた人はほとんどいないと思います。
「ああいう事件のリアルタイム性は、
その場所とは全然離れてデジタルでつながっているな」と、そのときすごく実感したので
すが、同時に、そうやってデジタルで世界中がつながって地球が狭くなったといっても、
つながってわかり合うと争いごとが減るかというと、ひょっとすると逆かもしれない。わ
かり合って、違いがはっきりしないと戦争なんて起こらないですからね。そうしたら、そ
れをどう解決すればいいのかというのをずっと考えてはいるんですけれど……。
私が役所を出て MIT(マサチューセッツ工科大学)に渡ったのがほぼ 4 年前です。MIT に
行ったのは、MIT のメディアラボという研究機関がメディアと子どもに関する研究所を作り
たいというので、そのコーディネートのために行ったのですが、結局まだできていなくて
……。そこでの考え方というのは、ツールや技術は大人が提供するけれども、それをどう
使って新しい社会を作っていくのか、どういうふうに自分を表現して相手を理解するのか
というのはデジタルの世代の役割だというスタンスに立っていて、要するに、インフラや
技術のところは大人が準備する、場は準備するとしても、コンテンツは子どもたちが作る
という考え方に基づいて活動しましょうということです。面白いと思って、それをやりた
いと思って行きました。当時、アメリカでインターネットがすごく爆発していたころで、
ネットバブルがどんどん膨れ上がっていって潰れて、というのを目の当たりにしたのです
が、そうした過程でインターネットの質というのがちょっと変わってきたかなと。私が行
ったころ、まだインターネットは情報ハイウェイと言われていて、ハイウェイって道です。
道というのは誰かが作ったものを運ぶもの、誰かが作ったコンテンツを運搬するものです。
だけど、いまインターネットに入ってきている人たちの見方は多分そうではなくて、場と
いうか広場というか。最初インターネットは教会だったかもしれない、誰かお偉い方のあ
りがたい話を聞く所だったかもしれないけど、いまはみんなが店を出す所になってきてい
る。
- 469 -
山内
なるほど。
中村
ネットの本質はそれだろうと。自分のものを、お金かもしれないし、アイデアか
も、刺激かもしれないし、そういうものを持ち寄って交換して共有して、そこで新しい価
値を生んでいくべきもので、やっとそういう状況に来たかなと思っています。それを生か
したいということもあって、子どもの活動というのを始めています。その子どもの活動の
中身をちょっとだけ説明しますと、いま MIT のメディアラボで作っているようなテクノロ
ジーを使って、京都の南のけいはんな学研都市に「CAMP」という名前の子どものセンター
を作りました。その子どものセンターは日本で初めてワークショップを専門にやるところ
で、そのワークショップというのは、子どもが自分で物を作って、世界に向けて表現する
という活動です。たとえば、僕だけの、私だけのロボットを作りましょう。ロボットに自
分でプログラミングして、いろいろ素材を組み合わせて、自分だけの生き物を作るという
ような活動です。それから、粘土でアニメーションを作りましょう。粘土をこねてアニメ
ーションを使って、それをブロードバンドで世界に発信するというコンテンツを作ってみ
ましょうといった活動です。この前は即興音楽ワークショップというのをやりました。自
分で楽器を作って、自分で音を作って、自分で演奏して、みんなに聞かせるという、これ
をトランペッターの近藤等則さんにやってもらったのですが……。技術は MIT やその他国
内の大学とか、協力してくれる人が出してくれるし、各国の子ども博物館の活動を持って
きて、それを紹介するというのをやったりしています。
ただ、それだけだとつまらないので、これからは日本独自のワークショップ、日本の表
現というのをやっていきたいと思っています。たとえばマンガ作りワークショップ、アニ
メ作りワークショップ、お茶でもお花でも何でもいいんです。私は漫才ワークショップを
やりたいと思っていて、吉本興業にやりませんかという話をしに行っているのですが、ど
つき漫才みたいなのをやりたい。
山内
ハッハッハッ。
中村
このやろ、何やっとんや、バーン! みたいに、叩いてコミュニケーションをとる
コミュニケーションのやり方って、多分日本だけだろうと。それを子どもに作らせたい。
日本語でいいから世界に発信する。それを各国の子が見て、「そんなコミュニケーションは
ない。何だ、それは」と言われたら、「じゃあ、君たちはどういうコミュニケーションを持
っているんだ」と話をする。もう少しわかりやすいのは、本を作るワークショップです。
たとえば平和とかお母さんとか、何でもいいから同じテーマで子どもたちにアナログで本
を作らせて、デジタルにしてブロードバンドに載せると、多分、同じテーマでも全然スト
- 470 -
ーリーが違ったり、色合いが違ったりしてきますよね。何で違うのかを子どもたちに議論
させるというワークショップをやりたいと思っています。そういうのをやりだしたのはい
いのですが、結局、点で、その場所だけで止まってしまう。日本でも各地でそういう活動
をいろいろやっている方々がいて、IT と、学習とか教育とか表現というのを組み合わせた
いと思っておられる先生方がたくさんおられるので、そういう場所をつないでいって、情
報を共有して、みんなでできるようにできないかなというための NPO をいま作っています。
その NPO が「CANVAS」という名前で、まだ申請中なので認められるのは年末になると思
いますが、副理事長が私と東大情報学環の山内祐平助教授、理事長は昔 NHK の会長をされ
ていた川原正人氏です。これは、政府の e‑Japan 戦略を推進する一施策としても位置づけ
てもらっていて、e‑Japan にもコンテンツを増やしていくという題目がありますが、これか
らのブロードバンド社会というかピア・ツー・ピアの時代は、ハリウッド型の、プロがお
金をかけて作るコンテンツを増やしていくという政策ではないのではないか。一人ひとり
の表現力とか創造力とか、日本だと 1 億人がどう考え、どう表現するかの底上げ策が必要
なのではないか。では、その活動をやっていきましょうということです。従来のコンテン
ツ政策とか文化政策とはちょっと違ったアプローチかもしれませんが、そういうふうにや
っていきましょうという運動というか、活動の一つとして始めようとしているものです。
これが子ども関連で、いま始めているものです。
山内
ということは、けいはんなに「CAMP」という場所が実際にあって、子どもたちが
デジタル・コンテンツを作っているわけですか。
中村
はい。CAMP は去年の 4 月にオープンしましたので、それから 1 年くらいそういう
活動をやってきています。ここだけではないだろうと、いろいろ調べてみると、各地にい
ろいろな活動をやっている方がおられて、仙台でも、東京でも、どこかの山奥でもやって
いる。ですから、みんなでそのやり方などを持ち寄って、そのあとは小学校や中学校で普
通にやってもらうような、何という授業にしたらいいのか――いまは総合的な学習の時間
ということでやっていますが――デジタル表現とか、国語・算数・社会デジタルみたいな、
そんな感じになっていくと面白いかなと。
「格好いい」日本の文化
山内
GLOCOM の活動の中にも教育関連のものがありまして、日米教育委員会フルブライ
ト記念基金から委託をいただいて、日・米の教員の交流をインターネットの共同授業で支
援するというプロジェクトを 3 年間続けています。フルブライト記念基金では毎年 600 人、
米国の先生方が日本の学校を訪問する、という活動を主催していますが、この中から情報
- 471 -
通信技術の利用に力を入れている学校を選んで共同学習を行う。たとえば環境教育ですが、
アイオワ州の先生が四日市の学校に来て、付近の川で水生昆虫と環境汚染の関係について
野外で実験をする。実際に資料を採って見せて、トビゲラがいたら川の汚染度はこのぐら
いだという話をする。アメリカの学校でも同じ実験をしていて、インターネットを使った
共同授業で、お互いに学校の周りの環境問題を議論するというようなことです。総合学習
の一環として、日本の先生方の取り組みも本格的になっています。
中村
どの自治体も今すごくこういうのに関心を持っていて、ハコものはいろいろ作っ
たのだけれど中身がなくて、IT だとか教育だとか、みんな一緒になって、そこをつなげた
いという需要がたくさんあります。今度 11 月に岡山でマルチメディア祭があって、CANVAS
としてもそこで二つくらいワークショップを出して、そこに知事さんや自治体のみなさん
が見に来るというので、見てもらって、自治体としてこういう分野でどう取り組めばいい
のかということをやりましょうというのが始まっています。この活動は、私としては MIT
でもスタンフォードでもなくて、そのすべてというか、やりたくてやっているのですが…
…。ここからちょっと派生してというか、随分はずれているのですが、ポップカルチャー
の研究会というのをやることになったんです。これはスタンフォード日本センターに絡ん
でいるということかもしれないんですけれども……。一人ひとりが表現を作っていくとい
うときのバックボーンというか、文化的な土壌というか、そういうのをちょっと考えてみ
ませんかという研究会を始めることになりました。よく 90 年代を失われた 10 年と呼んだ
りしますけれど、どうもそれに違和感があります。ちょっと上の世代のアメリカ人に日本
ってどういうイメージだと聞くと、ゲイシャとかハラキリとかカミカゼとか、戦争イメー
ジですね。僕らの世代になってくると、トヨタとかホンダとかソニーというイメージにな
って、競争ですかね。でも、子どもたちに聞くと、全然イメージが違う。アメリカ人の子
どもたち、ヨーロッパ人もそうですけれども、
「日本って知っているか」と聞くと、まずポ
ケモンが出てきて、セーラームーンが出てきて、ドラゴンボール Z が出てきて、スーパー
マリオが出てきて、アイボが出てきて、日本というのは戦争でも競争でもなくて格好いい、
「cool country」だと言うんです。多分、100 年経って 90 年代は何だったかというと、失
われた 10 年ではないんじゃないか。日本が初めて格好いいと世界に思われ始めた 10 年、
そのほうが多分、本質的な動きなのではないか。ではそういう日本の強みというか、いわ
ゆるマンガとかゲームとかいっているような、そういう表現文化って何だと。いろいろ調
べようとしたのですけれど、ちゃんと全部を見て研究しているというのはない。というこ
とで、1 回ちょっと集まってみないかと。いまこれをぼちぼち 10 月から本格化しようと思
っているんですけれども、結局オタクに集まってもらってやり合ってもらわないとわから
ない世界だということがだんだんわかってきて、web の上で人を集めてやろうかと……。
山内
なるほど(笑)
。
- 472 -
中村
マンガとかアニメとかゲームとか、そこに特化するつもりは全然なくて、という
かそれはもう終わった世界で、興味があるのはこれからのコンテンツ、たとえばみんなが
表現し始めるときの web とか、携帯とか、これからのデジタル表現というのは、これまで
の経済、文化、社会の歴史みたいのを土壌にして日本はどう出てくるのか、どこに強みが
あるのかとか、いまコンテンツの分野はハリウッドにやられていると言いますけれど、み
んながブロードバンドになったときに、まだハリウッドなのか。どこが強いのだろうか。
日本のそういう表現が強いのか、人数の多い中国が強いのか、どうなんだろう、みたいな
ことをやりたい。
とりあえず、しばらくそれをやってみて、そこから、じゃあ、いま子どもたちはどうい
う活動をしたらいいんだろうかとか、そういうふうにつながればいいなと思っているんで
すけれど……。来年度になると国際研究をやりたいと思っているんです。スタンフォード
の人たちとも話をしているんですが、こういう研究をやりたいとスタンフォードに持って
いくと、すぐ、じゃあ日本研究をしている人たちに出てきてもらってとなるけれど、それ
はやめて欲しい。日本研究だったら日本のオタクのほうが結局強いから、アメリカのこと
をよく研究している人、たとえばハリウッドの専門家とかジャズの専門家とかに出てきて
もらって、アメリカはこうだ、日本はこうだと、ちょっと戦わないか、ののしりあいをし
たい。フランスならフランスでガチガチの芸術主義者に出てきてもらって、ちょっと「そ
んなんポップちゃうわ」というか、そういうのをやりたいと思っているんです。
不思議なコミュニケーションの能力
中村
コンテンツに限らず、日本にはおもしろいポップなコミュニケーションや表現の
形態がありますよね。携帯でパパッとメールを打ってコミュニケーションをとっているよ
うな、あれって、これまでの速度からすると何か変なコミュニケーションのあり方だとは
思うのですが、ひょっとするとこれからのインターナショナルな、とても大事な能力かも
しれない。そんなことやっているのは、とりあえずいまのところ日本の彼ら彼女たちだけ
だから。それをどう生かせばいいのか。生かし方がわからない。変なやつらと思うのです
が……。デートをして、電車がなくなったらマンガ喫茶店とかに行って、静かに二人別々
のマンガを読んで、しかも携帯でメール打ちながら二人でしゃべっているみたいな、変な
コミュニケーション、それをどう生かせるものか、ちょっと考えているんです。それで、
子どもたちに何かやらせようというのとか、ポップカルチャーのどこかにそんな秘訣があ
るのじゃないかとやっています。
山内
それは経済活動として、そういう能力が生きるのですか?
- 473 -
つまり、産業化の現
在の局面としての情報産業化で生きる能力なのでしょうか、それとも彼らはポスト産業化
という段階に入っているのでしょうか?
中村
どのへんかというとよくわからないのですが、メディアの世界が変わっていって、
みんなが映像で表現ができるようなツールを手に街をぶらつくようになるころの、これか
らの新しいコミュニケーション、新しい表現は多分その世代、日本の彼らが引っ張ってい
くんじゃないかなと。それが世界的にどのくらい広まっていくかというのは、1 世代、2 世
代はかかると思うんですけれど。そういうパソコンのインターネット型の、文字の、とい
うのとはちょっと違う、もっと他の表現の仕方とかコミュニケーションのあり方とかがあ
るような気がします。
山内
そのような社会の在り方は、もうある程度見えているのでしょうか?
中村
私はある程度見えてきているかなと。
山内
それをもう少しお話しください。
中村
具体的な例ですが、粘土でアニメーションを作る。もともとはワシントン D.C.の
子ども博物館でやった活動で、なかなか楽しくてかわいい、いい作品をアメリカの子ども
たちが作る。それで、日本にも持ち込んで CAMP でやってもらったんです。15 人集まって、
3 日かけてアニメを作ったのですが、まずストーリーを決めなさいと。「できました」と、
15 人の子どもたちが持ってきた。それが何かと言えば、
「オカマのどろぼうが女装をしてい
て、プールに落ちて変装がばれてつかまる話」。「おまえたちが作った作品を世界に見せる
んだから、それでいいのか」と言ったら、「いい」と言うんです。
山内
いくつぐらいの子どもたちですか?
中村
小学生と中学生です。それを 3 チームに分けて、ストーリーを書きなさいと言っ
たら、ストーリーをパパッと書いちゃう。今度は、それをコマ割りにして、絵コンテを描
けと言ったら、ササッとたちどころに描いちゃうわけです。4 コマとか 8 コマとか、こうい
う場面で、こう展開して、人物がこう入って、ここはアップでバーンというシーンだとか。
すごいなって。初めてやっても、多分よその国でやる子どもたちに比べてめちゃめちゃう
まい、日々見たり描いたりしているから。それで、粘土をこねて、キャラを作って、作品
を作って……とやったんですけれども、結構そういう土壌はあって、表現力はある。だけ
ど、これまでちゃんとした表現手段を持ってなかったし、そういう手法で考えてもこなか
った。やりだしたら、いろいろ生むだろうなという感じがします。多分それをもう少しや
- 474 -
ってみたら、上手下手の問題ではなくて、各国の子どもたちが違うということが際立って
くると思うんです。それでいいんじゃないかという気もします。
山内
それは、うまくストーリーどおりのアニメになりましたか?
中村
いや、なかなか。3 日べったりかけて 1 分の作品が出来上がるんです。そううまく
はいかなかったが、結構面白い。
山内
ちゃんとプールに落ちましたか?
中村
落ちてた。入れ歯とか、かつらがプールに浮かんでくる。そんなところばかり凝
るんです(笑)。
山内
そういうことが好きな子どもが、たまたまその中に一人いた、というわけではな
いのですか。
中村
みんな、そういうことが好きでしたね。
山内
それは、関西にある小学校から任意に選んだ子どもたちですか?
中村
web で募集するのですが、すぐに集まりました。たまたま CAMP が置かれている地
域がけいはんな学研都市で、あそこにはいろいろな企業の研究所などがあって、親御さん
がすごく熱心なわけですね。その点で、人集めにはあまり苦労しません。
山内
情報化のいっそう進んだ社会について、どのようなイメージをお持ちなのか、も
う少しおうかがいしたいのですが、たとえばインタフェースはどうなるのでしょうか。今
のようなキーボードとかパッドみたいなものですか。それともバイオ技術と融合して、大
脳と直接接続する、などという方向に進むのでしょうか。
中村
インタフェースは千差万別でしょうね。いまみたいな形の四角四面のコンピュー
タもかなり残るとは思いますが、現にいまコンピュータは形を変えている。それこそ私が
やっているメディアラボの基本的テーマですけれど、ウェアラブル・コンピュータという
方向で、もっとバラバラにして身に付けましょうと。それには、コンピュータの進化の方
向を一から変えなくてはいけない。
モバイルとウェアラブルの違いというのは、モバイルは使いたいときにネットにアクセ
- 475 -
スする、いつでもつなぐことができる。ウェアラブルは、ゴーグルというか眼鏡を通して、
バーチャル空間もリアル空間もずっと見ているという世界ですから、いつでもつながるで
はなくて、いつもつながっている。常時 24 時間、寝ているときも起きているときも、ネッ
ト空間とアクセスしているという状態です。そうすると、ずっといつもつながっていてく
れるバーチャル――それはコンピュータでもあり、ネットワークの世界でもあるんですけ
れども――それにかなり自分のことを知ってもらわなければならない。自分自身のデータ
ベースもどこかになければいけないし、次こういう活動に出るぞというときに、いまこう
思っているというのを理解してもらわなくてはいけないので、人工知能というか、知識を
どこまで組み込むかというのが勝負です。そこがずっとうまくいかなくて、インタフェー
スのところだけはずっと改良が進んでいて、大変メディアラボも苦労しているんですけれ
ど……。ただ、インタフェースというかコンピュータ自身の形は産業レベルでいま大変進
んでいて、多分いま一番進んでいるのは日本でしょう。ロボットペットとかああいう世界
で、「アイボ」は高級品ですが、セガトイズの出した「プーチ」にしてもちゃんとしたコン
ピュータのチップを積んでいて、タイガー社の「ファービー」もただ単にちょっとおしゃ
べりをするぬいぐるみですけれども、それでも積んでいるチップの性能は月面着陸したア
ポロが積んでいた全コンピュータより高性能なものですから、もうコンピュータが生き物
の形をとって、人間と一緒に生きる、フレンドリーになって形を変えて出てきたというこ
とだと思うんですね。そういうふうにすべてのものが、服であろうとロボットであろうと
ペットであろうと、机であろうと車であろうと、全部デジタル化されて全部が常時つなが
っている状態になるでしょうから、そういうデジタルなものと人とのつき合い方がかなり
変わるでしょうね。
山内
アメリカ人は、そういうときに人間の体に改造を加えることに反感があります
か?
臓器移植については、日本よりも進んでいるという印象があります。たとえば視覚
障害者のために、視覚野に電極を埋め込んで CCD(Charge Coupled Device)と結びつけて
しまう、といった実験もありましたが‥‥。
中村
あの国は便利で機能的で合理的であればやってしまうというところがありますか
ら、それはあるかもしれないですね。だから、便利、機能主義というか近代テーゼで生ん
だコンピュータみたいなものがその線でずっと行くとすれば、そういうことは十分に考え
られるとは思うのですが、日本はちょっと違うのかもしれない。そういう、スピードが速
くて太くて便利で、というだけの価値観ではないところが、特に今の若い人たちにはある。
それよりもかわいいとか格好いいとか、そっちをいま大事にしてきている。面白いから使
うとか、便利だから使うのではないような、そうでないと説明がつかない変な使い方をし
ているのが結構あります。
- 476 -
山内
たとえば?
中村
携帯で彼らがやっている、不思議なコミュニケーションのあり方なんていうのは、
便利だからやっているわけでもないし、それから携帯にジャラジャラいろいろなものをい
っぱいくっつけているんですが……。便利で合理的だとか、面白いとかいうのではなくて、
何か違う。コミュニケーションをするようなコンピュータロボットが日本ですごく流行る
というのもそうだと思うのですが、そういうのとコミュニケーションとりたいとか、かわ
いいとか、ムダなものと言うか。コンピュータが形を変えてもっと人間のほうに近寄ろう
という、そんな姿は日本のほうが早いのかもしれないですね。
メディアラボ・モデルとプラットフォーム・モデル
山内
MIT のウェアラブル・コンピュータの話をしていただいて、私はインタフェースの
面から特徴づけようとしましたが、中村先生は人間とコラボレーションを行うためのイン
テリジェンスの部分が重要だとおっしゃっています。それでは、MIT では何が面白かったの
か、メディアラボのご経験の中で、これが一番発展しそうだ、といったお話を少しお願い
できますか?
中村
メディアラボでいうと、そういうテクノロジーとか技術開発の方向とかで、実は
「すごい」ってそんなに思わなかったんです。勉強になるなというか、これは持ち込んだ
らいいなと思ったのは、やはり産学連携のあり方ですね。メディアラボは MIT の中でもち
ょっと特殊で、完全にラボとして自立しているんです。
山内
それはやはりニコラス・ネグロポンテ所長の個性?
中村
うん。集金能力、ビジネスモデルの立て方です。メディアラボの話をすると、30
人の教授グループがあって、1 教授あたり 6 人くらいの弟子をとっています。弟子は、
graduate の学生たちで修士、博士課程です。小企業が 30 くらい集まって一つのラボになっ
ているという感じです。学生は全部学費タダで、逆に月給 20 万円くらいをもらえる。そう
いうお金は、教授のお金も学生のそういうのも全部、年間スポンサー料で賄う。スポンサ
ーが全部で 150 社くらいあって、1 社あたりだいたい年間 2,000 万円くらいずつを出してい
ます。150 社の半分がアメリカの企業で、残り 50%の半分がヨーロッパで、半分がアジア
です。最初は日本企業も非常に多かったのですが、だんだん減ってきました。
だいたいそれで成り立ってきているのですが、スポンサーにとってのメリットは、一つ
は知的財産です。スポンサー期間にできた知的財産というのは、その後ずっとタダで使え
- 477 -
ます。知的財産プールに、みんなでどんぶりでお金を出しているという感じです。それが
ベネフィットだということでお金を集めているのですが、多分そこにそんなに魅力を感じ
ているスポンサーはいないんです。第二のメリットは、その教授や学生たちをガンガン使
いこなせる、使い回せるというんですか。使うのが上手な企業は、使うんです。アメリカ
の企業のインテル、モトローラ、IBM、そういったところは、自分たちの研究テーマでうま
くいかないなというのを持ち込んで、ぶつけてブレーンストーミングしたりして、これは
と思った学生を連れて帰って、ガンガン頭の中を使って出して、出たら、ハイさよならっ
て、使うんですよ。日本企業はそこに遠慮があってかうまく使えていないんじゃないか。
それが第二のメリットです。第三の、私が最大のメリットだと思うのが、その企業のコミ
ュニティ、150 社のコミュニティをうまく作り上げたというところで、資産というか、MIT
メディアラボの競争力です。15 年経ってもまだうまくいっているのはそこにあって、年に
2 回、春と秋に大きな会議をやって、スポンサー代表が集まるんです。そこで何か生まれる。
スポンサー同士で何か。
山内
異業種交流みたいなものですか?
中村
はい、そうです。同業種交流でもあるし、異業種交流でもある。デジタルに関心
のある主だったところがだいたい集まってくるじゃないですか。同業の、たとえば研究所
のヘッドが集まる機会ってそんなにないでしょうが、そこだったら集まって普通に話をす
るわけです。ごはんを食べながら、パーティしながら。そこで、これまで口ではああ言っ
ていたけれど、本当は彼らここに関心があったんだというようなことが見えてきたりする
し、あるいは全然違う業種でこことあそこをくっつけて、こういうビジネスをというよう
なことが生まれたりする。私が直接かかわった例でいうと、セガの代表が「ネットワーク
でのゲームを考えたい。世界各国のゲーマーをつないでゲームをやらせるのをどうしたら
いいか。いい知恵はないか」ということを、パーティの時に言ったんです。そうしたらネ
グロポンテが、「あっちのスウォッチを呼んでこよう」と。スウォッチはスウォッチで、世
界で共通の時刻設定みたいのをやろうとしていて、ネットの上でそれぞれの国で時刻が違
っていても不便でしようがないので、ネットの上でパッと共通の時刻設定をして……。
山内
どこかにタイムサーバを置いて、そこで同期しようという……。
中村
そうです。そういうことをやろうとしていて、「じゃあ、そういうのを組み込んで
ゲームを展開したらこうなる」とか、逆にセガがスウォッチに対して「こういうのをスウ
ォッチの時計の中に組み込んで、その時計をどこかにかざしたら、こういうふうに動くと
いうのをやってみたらどうか」とか、話がそこでまとまって、すぐ記者会見。そこで MIT
は前面に出ない。セガとスウォッチで記者会見をして、両社の株がポンと上がって、その
- 478 -
へんのメリットです。それでスポンサーとしては十分、元が取れている。そんなやり方が
あって、そういう場をどうやって作るかが非常に大事になってくる。
山内
なるほどね。スタンフォード日本センターの今井賢一先生は、第三者間の結びつ
きを作り出す場を提供するビジネスとして、「プラットフォーム・ビジネス」を提唱されま
した。インターネットというのは、グループ形成という点からプラットフォーム・ビジネ
スに適していて、中村先生が最初におっしゃったように、インターネットは、実はスーパ
ー・ハイウェイではなくてパブリック・プレースだった。それをバーチャルにやっている
のがネグロポンテ所長だ、ということになりますか?
中村
そうです。そのコミュニティのメンテというのが、とても大変で、かなりエネル
ギーを注いでいて……。
山内
それはシリコンバレー・モデルとも重なりますね。つまりシリコンバレーという
自動車で 1 時間の範囲があって、そこにエンジェルがいて、技術者と起業家を結びつけて
いく、というのが青木昌彦先生のお話でしたが。
中村
そうですね、リージョンとしてつくった。それが成功したのがシリコンバレーだ
と思いますね。メディアラボのやってきたのも一つの例だと思いますし、いろいろなタイ
プのそういう場ができてくると思いますが、それがインターネットを通じてアクセラレー
トされるのか。そうでなければ、もうこれからは成り立たないでしょうね。そういうのを
やっていくうえで、日本はとてもいいポジションにいるだろうと思います。
山内
日本がいいポジションにあるとすれば、どのような点からでしょうか?
中村
たとえば、じゃあ世界の子どもたちをどうこうしましょう、つないでいきましょ
うよということをアメリカから発信しても、あまり説得力がなかったりするんですね。い
まそれを中東に言ってみても……。しようがないですよね、アメリカが自分のやっている
ことを振り返ってみれば。
山内
「次は爆弾か」ってものですね。
中村
だからそういう意味で、日本から発信したほうが、グローバルに巻き込んでいく
ときやりやすい面があっていいんじゃないかと思って見ているのですが。
山内
いまのお話のメディアラボ・モデルは、京都の日本センターでも実践されますか?
- 479 -
中村
うーん、メディアラボのモデルというのは結局、お金をどんと集めてというのが
ついてきますから、そういうことをやってラボ型にやっていこうという感じはいまのとこ
ろないです。
山内
スタンフォードというのは、お金は集めてこなくていいんですか?
中村
集めてくる必要はあるのですが、それ以上に何ていうか、プレーヤがちゃんと外
にたくさんいて、それをつなぐというのをやっていきたいと考えています。それをこっち
へ集めて抱え込んで、そこの場でどうのという感じではないです。
進化しはじめた教育の手法
山内
スタンフォード日本センターの今後の研究領域をどのようにお考えですか?
中村
いまはアントレプレナーシップの研究をスタンフォード大学とかアジア諸国と共
同して始めていて、これがメインですから、しばらくやっていきます。その後、ポップカ
ルチャーの研究もそうですし、子どもの活動もそうですし、遠隔教育のようなもの、スタ
ンフォード大学の資産みたいなものをどう使うかということで、向こうのものをこっちに
紹介するというのもあります。そういうのを1個1個組み立てていくのですが、バックボ
ーンとしてのスタンフォード大学というものがありますから、あそこはやっていることが
広いので、それを少しずつ日本とつなげていくというのが私の役割ではあるんです。ただ
し、これまでやっていたのが今井賢一さんと元通産省の安延申さんで、新理事長が情報通
信審議会委員をやっている林敏彦さん、それに私も IT 系なので、結構デジタルとか IT と
かが中心になっていくと思います。そういうことに関心のある、GLOCOM も含めていろいろ
なところと一緒に何ができるかをこれから考えていこうとしているところです。
山内
「総合的な学習」が始まって、そこでは授業のテーマが設定できるようになりま
したが、今度は教員の方々が、生徒の自主的な学習の意欲に応えなくてはならない。これ
までの教室というのは、極端に言えば、各教科の指導要領に従って、教壇からそれを一方
向的に教える閉じた空間であったわけです。よく言われることですが、これを開かれた教
室というものにしなければならないだろう。「開かれた」という意味の一つは、外の学習資
源と教室の活動をどうやって結びつけるのかということになります。これは教室という一
種の緩やかな組織と、地域や学習産業、NPO や自治体といった外部の組織の協働作業(コラ
ボレーション)を作り出さなければならない、ということです。野中郁次郎先生の言葉を
借りると、知識というのは組織的なダイアローグの中で創造されていくわけで、この場合
- 480 -
もコラボレーションというのは、一種の知識創造(knowledge creation)であろうという
ことになります。少なくとも生徒の一人ひとりにとってはそうであろう。ですからオープ
ン・クラスルームというのは、実は「knowledge creating classroom」でなくてはいけな
い。問題は外部の学習資源と教室を、どのようにして生産的に結びつけるのかということ
です。そこで国立科学博物館や宇宙開発事業団などの専門家にうかがってみると、彼らは
独自の学習用のカリキュラムを持っていて、小学校や中学校で使って欲しいという。とこ
ろが、こういった供給側の思惑がうまく学校の先生のところまで届いていない。
中村
そうですか。
山内
たとえば、県の教育委員会に案内が行くと、それが市に行って、市から学校に通
達が下りて校長のところに行って、さらに先生方に「こういうのがあるよ」となるのだけ
れども、その中で、「今回はこの学校を」などといった、自ずからなる選択というのが入る
らしいのですね。まぁ、学校の先生方は大変お忙しいですから、逆にこういったガードも
大事だと思いますが‥‥。私たちは日米の共同学習の取り組みを 3 年ほど続けてきて、地
域や課題ごとに、学校の活動と連携する情報や知識のネットワークが必要だと感じるよう
になりました。そこで情報プラットフォーム活動、つまり第三者間の結びつきを作り出す
場を提供する活動を、学習資源を持つ外部の組織と教室の間に設置できないか、と考えて
います。こういった協働学習のための情報プラットフォームを作れば、必要に応じて先生
方がやってきて、たとえば理科で環境学習をやりたい、あるいは、その環境学習の教材を
使ってこういう成果があった、というようなことについて、専門家や仲間と情報を交換し
たり、知識を共有化したりできるかもしれない。このような仕組みとして一種の社会的な
グループウェアがうまく使えるのではないか。実際のシステムとして立ち上げるのは、か
なり大変ですが。
中村
大変でしょうね。私たちのこの活動も、学校の熱心な先生方が入ってきてやろう
としているんですが、それをどう広げていったらいいか、まだ始めたばかりでよくわから
ないのですが、ちょっと大変だと思います。MIT のメディアラボで学習とか教育とかをずっ
とやっているシーモア・パパートという教授がいるのですが、そのパパートに言われてア
ッと思ったのが、「学校の教育の仕方、学習活動の仕方はずっと何百年も変わっていない。
たとえば同じ先生と呼ばれている人でもお医者さんだと、150 年前の医者がいまの病院の現
場に立ったら多分、何にもできないはずだ。環境も医療器具も、医療理論も全部変わって
いて、何もできないだろう。が、150 年前の教師を呼んできて教室に立たせたら、全然苦労
せずにすぐ授業できるだろう。教育のメソッド、テクノロジーとか、何にも変わっていな
い。世の中こんなに変わっているのにおかしいじゃないか。そこをどう改革するかをずっ
とやっているんだよね」
。それはわかったのですが、みんな手法をどうしたらいいか、まだ
- 481 -
よくわからない。大変なところだと思います。ただ、それを変えられる一番強いツールが
デジタル技術だとは思うのですが、まだ出てきたばかりで、こなせていないということだ
と思います。
模索が続く「デジタルの次」
山内
パパート教授はロゴ言語を作った人でしたね。まだ、メディアラボでがんばって
おられるのですか?
中村
はい。子どもにこういうロボットを作らせましょう、自分でプログラミングもす
る小さいロボットを作りましょうとかいうのは彼のグループです。
山内
どういう組織や企業が支援しているのでしょうか。
中村
その支援は、特定の企業が付いてというのではないです。それが 150 社集まった
プールの中でやっている感じです。そのなかでもレゴは結構いろいろやらせてもらいまし
たということで、どんとお金を出したりしていますけれども。それを評価して入ってきた
のがレゴであり、日本のおもちゃ会社たちであり、それから CSK/セガの大川功さんですね。
そういう活動をもっとちゃんとやりましょうという柱が 1 本立って、センターをつくろう
となっているんです。だからメディアラボもずっと成功してきたんですけれども、いま、
次をどうもっていっていいのか見えにくくなっている。みんな答を持っていないと思いま
す。できたのが 1985 年で、当時はずっと「世の中がデジタルになる」と言っていた。「世
の中の活動が全部デジタルでバーチャルに置き換わってくる」とネグロポンテが盛んに言
っていて、それは 90 年代にインターネットで実現した。世の中で行われている商業活動に
しろ、医療にしろ、教育にしろ、行政にしろバーチャルにできるようになるよと。そのあ
とネグロポンテが言いだしたのは何かというと、今度はバーチャルがリアルに戻ってくる
番だと。それがユビキタスであり、ウェアラブルであり、バーチャル空間で行われている
ことがリアルの世界でも全部コンピュータを埋め込んでいって、もう一回、引き戻してコ
ンピュータなんかなくしちまえというテーゼですね。もう、それは見えたと。技術的には
できる、作っていけばできる世界だと。じゃあ次どうするのかというのが、いま突きつけ
られている課題で、それは見えない。
山内
有名な「ネグロポンテ・スイッチ」の予言のように、放送が光ファイバになり、
電話が無線になる。それも実現されたわけですね。
中村
それはもう実現する。もう方向は見えた。研究のテーマとか方向性ということで
- 482 -
は、もう終わっているわけですよね。それで、いま多分どこの研究所でもデジタルの次は
どこへ行って何がテーマか、よくわからない状態に入っていて、だからメディアラボも拡
散をしているわけです。技術系の人たちは「ナノテクだ、バイオだ」と言っているし、あ
る人たちは「エクスプレッションだ、アートだ」と言って、音楽とか絵とか右脳を使う世
界に行っているし、ある人たちはこういう子どもだとか、デジタルデバイドだとか、途上
国をどうするんだとか、要するにアプリケーション、デジタルをどう使うのかという、そ
っちのほうの研究にまわっていっている。すごく拡散していて、面白いといえば面白いん
ですけれども、次に何かそこからテーマとかテーゼとか、世界へのメッセージが出てくる
かというと、まだちょっと時間がかかるかもしれない。
山内
たとえば 30 個の小企業である研究室が、さらに 10 個ずつに分かれていくような
感じですか。
中村
そうです。多分しばらくそういうふうになるんじゃないですか。
山内
ネグロポンテ教授というカリスマが、次のテーゼを打ち出さないとすれば、そう
やって試行錯誤する以外ないですね。
中村
ですね。ひょっとしてデジタルってそういうものかもしれないなというのが浸透
して、「これからはこういう時代だ」という感じではなくて、もう当たり前に溶けちゃって
いて、ステージが変わったと言うか、そういう時代に入ってきた証拠かもしれないですね。
場の形成・共有から教育制度の変革へ
山内
GLOCOM も 1993 年ごろは「次はインターネットだ」って言っていればよかったので
すが、そういった牧歌的な時代は過ぎました(笑)。
中村
また、元のスキームに戻るっていうか。インターネットって当時、縦の一つのテ
ーマだったのが、全部溶けるとまた元の縦、法律だとか経済だとか、教育だとか文化だと
か。
山内
それぞれが、課題になってくるわけですね。
中村
結局インフラなので、そうではないかという気がします。私は早くそうなれと、
ずっと待っていたんです。インターネットで縦になっているのは何か変だと。郵政省にい
たころに一番違和感あったのは、情報通信産業が大きくなって、リーディング・インダス
- 483 -
トリーになっていって素晴らしいという、あの論調です。
「何で?」と。通信産業が 10 兆
円になりました、20 兆円になりましたと喜んでいる人がいるけれど、500 兆円になったら
いいことなのかと。逆じゃないかなと思うんです。0 兆円になって、CAN のネットワークの
ように自分たちでインフラを作れて、産業なんてなくなって、みんなが自由にフリーに使
えるようになるのが通信政策の目標とすべきことであって、通信産業が GNP の 90%を占め
るようになりましたといったら、困ったことだろうと。
山内
なんか変ですよね。
中村
だんだんそういうふうになってきて、やっと変わっていく。
山内
逆に言うと、これからはその社会的インフラの上での行政が大事になっていくわ
けですね。
中村
そうです。だから、これまで通信行政とか言っていたのが、縦軸の領域として立
っているのは本当は不健全な姿で、それが全部の分野に入っていって、それを使ってどう
教育やるのか、どう医療するのか、どう行政するのか、それぞれのユーザー官庁のほうの
仕事になっていく。そうすると、旧郵政省とか旧通産省の情報通信を担当していたところ
というのではなくて、経産省でも産業の情報化の人たち、総務省でも行政情報をどうする
んだとか、ユーザーとしての旧総務庁とか旧自治省の系統の IT 行政とか、そっちのほうに
多分シフトしていく。そうするとユーザーでばらばらになってしまうから、共通で何をし
たらいいのかを、もう一つ上の官邸とかのほうでちゃんと仕切らないといけないというの
が出てくる。
山内
それは官邸ですか?
中村
官邸か、どこか別のところかもしれないけれど、全体をじゃあどうするかという
のを見るという……。
山内
この対談シリーズは、ネティズンの政治参加ということですが、市民(シティズ
ン)は、産業社会の中で経済的な力をつけて、やがて市民革命の主体になって新しい国民
国家の担い手になった。この類比が正しいとすれば、産業社会の次の段階においても、情
報産業化の過程で、今、新しい経済的な領域を開拓している社会集団がどこかで連携して、
自分たちの政治的な発言力を増していくことになるだろう。そうでなければ、いつまでた
ってもインカンベント(既存)産業の発言力だけが政治過程に反映されることになる。霞
が関というところは、インカンベントとの間に非常に強いネットワークを持っていて、そ
- 484 -
れが政・官・産のトライアングルの実体である。ここのところにどうやって新しい利害関
係を入れていくのか、それが実はネティズンの政治参加なのではないか、そういう気がす
るのです。
中村
結局、それぞれの官庁をどういうふうにコントロールしていくかというのがテー
マで、それは政治そのものです。だから、みんなで行政問題だとか官庁がどうだこうだと
言っていることの多くは、大事なことは政治問題で、政治家の役割だろうと。それが、い
ま行政官が多くを担っているところがおかしくて、それを直そうと、みんなが要求してい
る相手が行政官だからおかしいのかもしれない。それは政治が意思決定して変えていくべ
きものなので、僕はそういう意味での政治機能の強化というのが日本の政治行政システム
の一番大事な課題になっていると思う。だから、その政治家は誰でどういう意思決定して
というのを選んでいるのは有権者なので、そこの意識の問題に全部帰着すると思う。おっ
しゃるとおりだと思います。
ちょっと話題を変えて、通信でも独立行政委員会とか、独立行政機関を作るべきだ、そ
うでないとうまくいかないというような議論がありますが、あれはそういう意味でいうと
逆だろうと思う。そうではない。そんなのが独立されたら困る。むしろ、政治のコントロ
ール下にどう置くかが課題だと僕は思う。総務省の彼らがけしからんというのであれば、
そのけしからん人たちが独立して勝手にするという話は一番困った結果なのであって、そ
うでなくて、それをどうコントロールするかが大事で、それをコントロールする政治機能
をどう作るのかが大事だろうと思う。みんなが問題だというのなら、みんなでそういうふ
うな行動をするしかないじゃないか。そういう意味でいうと、行政のあり方とか、それを
政治的に市民がどうコントロールしていくのかとか、どういうふうに意思を反映させてい
くのかという面でいうと、なにか逆の方向に議論が流れていることが多いと思います。
山内
今後は、大学も含めて、日本の教育制度についても大きな変化が起こるのではな
いかと思いますが、このような改革の流れに今後参加していくようにお考えですか?
中村
まだそこまでの道筋は私たち全然見えていないのですが、何かそういうふうに変
えていかなければいけないとか、こういうものを取り込んでいかなければいけないとか、
自分たちでやらなければいけないという熱が起こっているなというのは感じるんです。京
都で子どものセンターを作ったときは、あまりそういう意識はなかったんですね。作って
みて面白いからちょっと取り込んでやってみようかとしたら、いろいろなところから問い
合わせがあって、うちでもそういうのをやりたかったんだとか、やりたいと思っているん
だけれども、どうしたらいいのかわからないから教えてくれとかいうのがたくさんあって、
結構みんなが、そういうことをそれぞれの現場で考えているんだなということが、ようや
- 485 -
くわかったところです。だから、じゃあ NPO 的にみんなでやってみませんかということで
やり始めているところで、それが本当に日本のシステムとして組み込まれていくかとか、
制度を変えるようなところまでいくのかというのはまだ見えない。面白いかなとは思って
います。
山内
NPO をお作りになって、おそらく最初にいろいろな方々の意見を一度集めてみて、
方向性を見るべきなのでしょうね。
中村
そうです。ですから、まず調査、声を集めること。来年度くらいに、何か新しい
ワークショップをもう一つやってみて、みんなでパッケージとして使えるようなものを作
っていくのをやってみましょうかと。e‑Japan があと 4 年というのもあって、4 年くらいで
時限措置として目標が達成できるようにしたいと思っているんです。それくらいまで、み
んなで底上げできるようなことをやってみて、あとはそれぞれ現場で自分たちでつながっ
ていくだろうと。間にそういう組織が絡まなくても、やれるようにしないと、ちゃんとし
たものにならないという感じがしているんです。
山内
いろいろな動きを、コンファレンスやワークショップで特徴付けるということで
すね。
中村
そうです。
山内
それは楽しみです。中村先生であれば、いろいろと面白い試みが集まってくるで
しょう。そのなかでネグロポンテ教授のところのように、いろいろな結びつきも生まれる
のではないでしょうか。
中村
そうですね。結びつきは生まれてくると思う。そういうことをやっている先生方
が非常に熱心なので、そういう人たちの熱がちゃんと共有されれば動いていくかなと期待
はしています。
山内
それが最初におっしゃった場の形成ということですね。今日は、どうもありがと
うございました
- 486 -
④十年より千年のユビキタス(野村総合研究所
未来創発 2002.7)中村伊知哉
こどもたちのシンフォニー
ベルリンを訪れている。「トイ・シンフォニー」という、ドイツ交響楽団と地元のこども
50 人による実験コンサートに参加するためだ。音楽を専門家の手から取り戻すこと、誰で
も簡単に演奏できる楽器を作ったり、ネットで参加しながら曲を作れるシステムを開発し
たりする、各国のこどもたちがそれぞれの土着のリズムや音色で表現し、交換して共有す
れば、音楽自体が変わるかもしれない。それがトイ・シンフォニー構想の狙いだ。技術を
アメリカが提供し、資金を日本が提供し、コンテンツを各国のこどもたちが提供する。
この活動は、ヨーロッパからアメリカを経て日本に持ち込まれるが、日本では CAMP
(Children's Art Museum & Park)が拠点となる。CAMP は昨年、京阪奈にオープンしたこ
どもセンターである。
CAMP では、京都ならではの、日本ならではのワークショップを計画している、マンガ作
り、ゲーム作り、ケータイでの映像表現、あるいは、お茶、お花、和菓子、ガングロファ
ッション、漫才。いくらでもネタはある。そして、世界最先端のデジタルの使い手である
日本のこどもたちが情報を発信していってくれるだろう。
デジタルの千年が始まる
ベルリンに来る前に京都に立ち寄り、ついでに母の実家のある西陣を訪れた。初めて呉
服屋で 1 着頼んだところ、反物を広げて選ぶだけ。帯は帯屋がやって来て、選ぶ。羽織の
ヒモは、ヒモ屋がやって来て、また選ぶ。下駄屋、糸屋、仕立屋と、完全分業されている。
集まった旦那衆と茶を飲んだ。彼らはぼやく。「不景気でワヤでっせ」「こんな時はじっ
としてまんねん」「先代の貯めたもん食いつぶしてまんねん」。そう言いつつ、みな楽しそ
うだ。景気がいい時は?「ちょっと祇園行って、あとは貯めときまんねん」。
一人勝ちの法則、M&A(合併・買収)、シェア拡大、IPO(株式公開)、スピード経営、リ
ストラ、売り抜ける。そうやって、打ち勝つ。アメリカのビジネススクールで叩き込まれ
るそんな世界とは空気がずいぶん違う。大きくなったり小さくなったりせず、ずっと同じ
ことを繰り返し、みんなで分けあって、千年生きる。そんなモデルがここにある。
アナログの千年が終わって、デジタルの千年が始まる。その千年は、アメリカ型の近代
主義、進化主義、機能主義で貫かれていくとは思えない。そのためのモデルは、あんがい
身のまわりに転がっているのかもしれない。
でも、失われた十年だという。とりわけ IT の分野では、この十年の負けっぷりは身にし
みる。ネットワークも、コンピュータも、コンテンツもアメリカの一人勝ちだ。アメリカ
発のインターネットが世界を席巻し、コンピュータはハードもソフトもアメリカ製で、コ
ンテンツはハリウッドが地上を制覇した。三冠王と言ってよい。
だがどうだろう。そのアメリカとて今後の十年も万全だとは言えない。たとえばインタ
ーネット。ブロードバンドは頭打ちだ。デジタル放送も失敗した。日本のように光ファイ
バーのサービスが商用化されるメドは立っていないし、モバイルインターネットも当分先
- 487 -
だ。このままではネット後進国になる可能性さえある。
コンピュータもしかり。1 台を数人で使うメインフレームが第 1 世代とすれば、一人 1 台
のパソコンという第 2 世代を経て、一人数台デジタルのユビキタスという第 3 世代にさし
かかろうとしている。モバイル、ウェアラブル、ロボットペット。それはいわば練り上げ
たマルチメディアを解体し、分散していく作業だ。小型化、改良、低廉化。アメリカが今
後も優位とは言い切れない。
そしてコンテンツ。ハリウッドのパワーは当面続くだろう。だが、それはプロのエンタ
ーテイメントの分野。ネットが世界中に広がってピアトゥピアになると、大衆レベルの表
現力が問題となる。この点でもアメリカが長期優位を保つ保証はない。
近い将来、デジカメとケータイの組み合わせで、テレビの中継車並の機能を持ち歩ける
ようになる。日本には 1 億人の歩くテレビ局ができる。映像で考えて映像で表現する時代
になる。その時、世界に何を発信していくのか。ニッポンの次の世代が世界をリードすべ
き分野だ。
ニッポンの土着の価値が貢献する
IT は技術の段階から、利用の段階に入った。国としての競争力は、技術や商品を作り出
す能力以上に、それらをいかに使いこなし、いかに情報を編集できるかという能力にかか
っている。この点、日本は、大人もこどももマンガやゲームやカラオケやケータイに興じ
る国民訓練を積んでいる。特異なポジションにある。それをどう活かすのか。
少し前、このベルリンで宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』が金熊賞を獲得した。八百
万のユビキタス世界を生き抜く少女の物語だ。この秀逸なアニメを生み出す力の源は、こ
の難解なアニメが史上最多の動員をみせてしまうオーディエンス層にある。
そしてその受賞は、ニッポンの土着が普遍的な価値をもっていることもあらためて示す
ものだ。1997 年カンヌの『うなぎ』
(今村昌平)や『萌の朱雀』(河瀬直美)、1998 年ベネ
チアの『HANA‑BI』(北野武)、いずれも現代ニッポンの土着を表現したものが国際評価を得
ている点に注目すべきだ。多元性の一角を日本が占めているということだ。
2001 年 9 月 11 日以降、アメリカでも世の中の多元性が再認識されるようになった。デジ
タルで地球は狭くなるという。だが、ネットが普及して、地上のあちこちが固有の表現を
するようになると、多元性は強化されていくのかもしれない。そしてそれは、あんがい日
本が貢献できるステージなのだろう。
- 488 -
⑤ポップカルチャーとしてのニッポン(日経ネット時評 2002.6.25)中村伊知哉
●マンガやアニメが溶け込んだ国
アナログで恐縮だが、サッカーW 杯で日本戦のテレビ中継が 66%もの視聴率を叩きだし
たという。改めてナショナルというものを考えさせられる。そこでつらつらと視聴率の表
を眺めてみた。すると、
「サザエさん」が 20%台後半の数値を上げているのに改めて気づい
た。
米国では、20%台後半の視聴率を稼ぐレギュラー番組は、お化け番組扱いである。サザ
エさんは、それを 30 年以上も続けている。日曜夕刻という家族団らんのホットスポットを
握り続けているのは驚異だが、もっと驚くべきは、翌日、学校でも職場でも、昨日のサザ
エさんを誰ひとり話題にしないことだ。空気のように日常に溶け込んでいるのだ。
アニメに負けずマンガだって溶け込む。300 種にも及ぶマンガ雑誌が発行され、国民の
15 人に1人が少年ジャンプや少年マガジンを毎週買う。エンタテイメントだけでなく、ビ
ジネスも歴史も科学もマンガで学ぶ。家電のマニュアルも、政府の法令もマンガで解説さ
れる。下着から飛行機までアニメやマンガのキャラクターに占領されている。
不思議な国である。
●千年の庶民文化
八百万の神が棲むユビキタス社会を生き抜く少女の成長物語、宮崎駿「千と千尋の神隠
し」がベルリンでグランプリを獲った。ポップなアーティストが正当に国際評価されるこ
とは喜ばしい。
ただ、そのような作品を生み出す風土は、制作者の水準の高さ以前に、オーディエンス
層の厚さに立脚しているということに注目すべきだ。千と千尋の神隠しのように高度で難
解な作品が「タイタニック」を抜いて興行記録を打ち立てるような、アニメを読み解く層
の厚さである。
90 年代は失われた十年などと呼ばれ、ビジネスマンは元気がないが、実のところ失った
のは国家の軸を産業経済のみに集約したここ百年である。
だが同時に今や日本は歴史始まって以来はじめてカッコいい国という評価を受けている。
ポケモンやドラゴンボールZやセーラームーンのおかげで、世界のこどもたちは日本に憧
れを抱いている。昨今、国際的な賞を受けている邦画はみな現代ニッポンを映像化したも
ので、土着で生身の日本が評価されているところでもある。
マンガにしろアニメにしろゲームにしろ、技術や技法は欧米から輸入したものだ。明治
以降の近代文明である。しかしその表現力や鑑賞力は、12 世紀の絵画から連綿と培ってき
た庶民文化である。現代ニッポンのポップ文化は、千年の土壌の上にいま開花しているも
のだ。
●おとな文化としてのポップカルチャー
マンガやアニメやゲームは欧米ではこども文化だが、日本では大人にも深く浸透してい
る。手塚治虫が確立したこども向けの動的なマンガ表現に対抗して、60 年代後半にガロ系
- 489 -
の作家群が静的で哲学的な劇画表現を模索していったが、そのようなムーブメントが起き
ていくのが日本の特徴だ。
70 年安保当時、白土三平「カムイ伝」は唯物史観に基づくマンガとして学生運動家の必
読書などと評され、その後どんな高等教育機関でも職場でもマンガがある風景が一般化し
た。米国では MIT にしろハーバードにしろスタンフォードにしろ、大学生がマンガを読む
姿はみかけない。アニメも 70 年代に大人向け作品が登場し、宮崎、押井、庵野といったア
ーティスト名だけで観客が動員できるようなジャンルとなっている。
ジャンルの開拓も盛んだ。マンガはヒーローものやギャグだけでなく、ビジネスや料理
やエロといった分野を確立している。ゲームもアクションやスポーツだけでなく、格闘や
育成モノや対話ゲームや歴史シミュレーションや恋愛シミュレーションといった広がりを
みせている。
●政策マターとしてのポップカルチャー
このように、チープなポップカルチャーが広く深く浸透しているというのは、さて良い
ことかイケナイことか議論のあるところだろう。だが今後のネット文明を展望し、次の世
代を支える産業文化を見据えようとするなら、このような状況を正の動力にしていく視点
が必要だ。
IT はようやく開発から利用の段階に入った。それは一人ひとりが世界に向けて表現し発
信していく時代の到来でもある。既にモバイルやユビキタスは現実となり、ケータイ文化
やロボットペットの分野で日本は国際舞台を引っ張っている。
その局面で日本がどのような価値を生んでいくかは、ポップカルチャーを取り巻く産業、
文化、社会の背景がカギを握っていると思う。
このような分野に関する横断的・体系的な分析は皆無に近い。そこでいま私はポップカ
ルチャーに関する政策研究プロジェクトをゲリラ的に立ち上げようと考えている。でも、
強いて言えば、これは国家戦略マターだ。政府に力を入れて取り組んでもらいたい。
- 490 -
アクセスログ分析
本調査の普及・啓発においてウェブサイトを作成し、先駆的なワークショップ紹介やそ
の活動場所、団体などを取り上げて広く活動を普及する手法を行い、その普及啓発活動の
手法を探った。ウェブサイトのアクセス数=普及・啓発活動の効果と安易に考えることは
できないが、一つの要素ではある。
ウェブサイトのトップページにカウンターを設置しただけでは、どのコンテンツがもっ
とも注目されているのか、どの時間帯が最も訪問者が多いのか、などのユーザーの行動の
傾向は分からない。そこでウェブサイトのアクセスログを分析することによってページご
とのアクセス数や日付ごとのアクセス数、検索用語のなどの詳細なデータを理解し、その
データを使用して今後のウェブコンテンツ更新や普及・啓発手法を探っていく。
*データは2002年11月1日〜2003年3月13日まで使用。
月別レポート
下記のアクセスログの数字で全国マルチメディア祭が開催された11月のアクセス数が
多いことが分かる。その後は少し落ち着いたもののその後全体的に着実に増えていること
がわかる。また3月1日にメールマガジンの登録者を350名から1300名に増やした
こともあり、3月13日時点でかなりのアクセス数をあげていることが分かる。
2002 年 11 月 5850
2002 年 12 月 4321
2003 年 01 月 5198
2003 年 02 月 5129
2003 年 03 月 4659
ページ別レポート
下記のページ順にアクセスが多い。
(トップページ含まず)
/people̲jp.html (関係者一覧) 911
/message̲jp.html (フェローからの一言メッセージ) 636
/mission̲jp.html (趣旨)
618
/pr̲okayama.html (全国マルチメディア祭 2002in 岡山報告)
479
/projects̲jp.html (プロジェクト紹介) 436
/activity̲jp.html (活動内容) 428
/arc/okayama̲1.pdf (全国マルチメディア祭 2002in 岡山のチラシ兼、申込用紙) 306
上記のデータでも見て分かるようにやはり関係者関連のページのアクセス数が多い。
しかしここで注目すべきは全国マルチメディア祭 2002in 岡山のチラシ兼申込用紙に
300ほどのアクセスがあったことだ。このチラシにはパンフレット 2000 部をワークシ
- 491 -
ョップ会場のまわりの小学校に配って歩いた。しかし、小学校に配って歩いた 2000 部よ
りも、ウェブでチラシを公開しワークショップに興味をもってくれた人 300 名が見てく
れた方が効率的なのかもしれない。
時間別レポート
時間別データを分析すると、昼間のアクセスが多い。朝の9時から11時にピークを向か
え翌朝0時までコンスタントに1000〜1700の数字がとれている。これは深夜帯に
インターネットを使用する個人ユーザーではなく、法人ユーザーが多いことを示している。
1800
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
アクセス数
0時
2時
4時
6時
8時
10時 12時 14時 16時 18時 20時 22時
日付別レポート
11月3日、1月6日の時点ではメールマガジンの配信数は350程度だが、やはり配
信後のアクセス数を見ると配信後5日ほど普段の3倍ほどのアクセス数が見込める。ウェ
ブアクセス数とメールマガジン配信の連携が非常に強いことが分かる。今後メールマガジ
ンを配信するには毎日のアクセスピークの直前に配信すると、より多くアクセスを増やす
ことができる。また、全国マルチメディア祭 2002in 岡山のワークショップ風景を他のサイ
トでアップされた時のアクセス数も非常に多かった。フェローのメーリングリストに報告
書やイベント情報を投げかけるときの反響も高いことが分かる。フェローや関係者をはじ
め、常に情報発信していくことが大切なことである。
リンク元サイトレポート
ホームページにやってくる訪問者のほとんどは、google や Yahoo!Japan などの検索エン
ジンからのリンクからきている。その他は CANVAS 関係者関連のホームページや日経などの
掲載記事、アーティストのホームページ、全国マルチメディア祭 2002in 岡山のホームペー
ジからのリンクが目立っていた。つまり、ウェブのアクセス数を増やすにはできる限り様々
なホームページからリンクされているのが望ましい。
- 492 -
検索語レポート
検索語レポートを見るとフェローの「飯野賢治」氏の名前で検索してウェブに入ってく
ることが多数を占めており、その後「CAVAS」関連が多く占めている。その他に「ロゴ作り」
や「黄金比」、「マンガ作り」などワークショップ関連のキーワードが入っている。しかい
し全体的に見るとフェロー、関係者の名前の検索が多く、来年度は「ワークショップ」「こ
ども」「創造」「表現」などの検索用語で入ってくるようになるのが望ましい。ウェブサイ
トに更にキーワードを設置していくことが必要となってくる。
- 493 -