平成 25 年度補正予算 「廃炉・汚染水対策事業費補助金 (原子炉格納

図書番号 : RPD-FJ-6088
改訂番号 : 0
平成 25 年度補正予算
「廃炉・汚染水対策事業費補助金
(原子炉格納容器内部調査技術の開発)」
地下階状況調査装置の
放射性物質飛散防止装置の設計・製作
仕様書
平成 27 年 10 月 14 日
日立 GE ニュークリア・エナジー(株)
改訂履歴
改訂
改訂内容
番号
0
初版発行
年月日
承認
審査
作成
H27.10.14
高橋
岡田/石澤
福本
目 次
1.件名
・・・・・
1
2.適用範囲
・・・・・
1
3.格納容器内部状況調査の概要・目的
・・・・・
1
4.地下階状況調査装置の概要・所掌範囲
・・・・・
3
5.放射性物質飛散防止装置の要求仕様
・・・・・
4
6.放射性物質飛散防止装置の製作員数
・・・・・
7
7.地下階状況調査装置の機能試験実施区分
・・・・・
7
8.実施期間
・・・・・
8
9.納入物
・・・・・
8
10.納入場所
・・・・・
8
11.特記事項
・・・・・
8
1.件名
地下階状況調査装置の放射性物質飛散防止装置の設計・製作
2.適用範囲
本仕様書は、原子炉格納容器内部調査における地下階状況調査装置のうち、放射性物質飛散
防止装置の設計・製作を規定するものである。
3.格納容器内部状況調査の概要・目的
平成 23 年 3 月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震により引き起こされた東京電力福島第
一原子力発電所の事故を収束させるために、安定した炉心冷却システムを構築し、安全な停止状
態を継続する努力が行われている。
福島第一原子力発電所 1~3 号機では、炉心が溶融し、核燃料が炉内構造物の一部とともに燃
料デブリとして原子炉圧力容器(RPV)内及び原子炉格納容器(PCV)内に存在していると考えられ
る。燃料デブリは、RPV 底部から RPV を支持するペデスタル内に落下した後、ペデスタル底部の開
口からペデスタル外まで広がり、PCV 底部に分布していると考えられる。
PCV 内部の状況については1号機において X-100B ペネトレーションから、2 号機において
X-53 ペネトレーションからそれぞれ PCV 内部へアクセスし、ペネトレーション周辺の遠隔目視映像、
線量、及び温度の情報が取得され、高線量、高湿度の過酷環境であることに加えて、暗闇の中で
蒸気や滞留水が存在するため視界が制限されることが確認されている。また、事故によって想定外
の干渉物が発生している可能性もある。
このPCV内部の調査を可能にする技術開発の一つとして、ペデスタル外へアクセスする技術が
あり、PCV内の1階グレーチング上を調査する装置(1階グレーチング上調査装置)と、PCV内の
地下階を調査する装置(地下階状況調査装置)の開発を行う。
尚、地下階状況調査対象の概略(PCV内のイメージ,使用予定の貫通口(ペネトレーション)等)
を図1に示す。
本業務の目的は、地下階状況調査装置のうち、放射性物質飛散防止装置の設計・製作を行うこ
とである。
地下階状況調査装置の放射性物質飛散防止装置の設計・製作 1
図1 地下階状況調査対象の概略
地下階状況調査装置の放射性物質飛散防止装置の設計・製作 2
4.地下階状況調査装置の概要・所掌範囲
地下階状況調査装置の概要・本仕様書の所掌範囲について表1に示す。
表1 装置概要・所掌範囲
№
カテゴリ
概要
所掌
① 調査装置本体
カメラ、計測ユニット、制御センサを搭載し、ガイドパイプ内
およびグレーチング上を移動する。ガイドパイプ内走行と
グレーチング上移動を両立させるために形状変形機能を
有する。
1
調査装置
② 制御装置
△
調査装置本体、一部のカメラ、制御センサの動作を制御する。
③ 複合ケーブル②
調査装置本体、カメラ、計測ユニット、制御センサのケーブルを
複合化したケーブル。調査装置本体および制御装置の手前で
分岐する。
① 計測ユニット
PCV 内部調査を実施するためのカメラおよび線量計が
一体となったもの。
2
計測ユニット
② 制御装置
-
計測ユニットの記録、制御を行う。
③ 複合ケーブル①
計測ユニットのケーブルを複合化したケーブル。
① 調査時に、PCV 内の放射性物質の飛散を防止する装置。
放射性物質
3
飛散防止装置
調査装置を内包する。既設ガイドパイプと取り合う。
② 調査装置がガイドパイプ内移動および形状変形する際に
○
助勢するための治具を有する。
③ 調査装置のケーブルを送出す/巻戻す機能を有する。
4
付帯設備
5
機能検証設備
① PCV 内部調査中の PCV 内部状況を確認するためのカメラ。
② その他、PCV 内部調査における付帯設備。
① 調査装置、計測ユニット等の機能を検証するための試験設備。
[備考]
○:設計・製作・試験・改善を含む。
△:別途開発メーカとの取合い調整業務を含む。
-:所掌範囲外とする。ただし、必要に応じて取合い調整業務に情報提供、協力のこと。
地下階状況調査装置の放射性物質飛散防止装置の設計・製作 3
△
-
5.放射性物質飛散防止装置の要求仕様
放射性物質飛散防止装置のシステム構成図を図 2、製作対象を表 2 に示す。また要求仕様を表
3 に示す。
図 2 放射性物質飛散防止装置のシステム構成図
表 2 製作対象
製作対象
No.
品 名
概 要
○:対象
-:非対象
1
シールボックス
調査装置を PCV 内へエントリする際に PCV 内の放射性物質の飛散を防止する装置。
装置内に調査装置を内包する。既設構造物と取り合う。
○
2
ケーブルドラム
調査装置の複合ケーブルおよびパンチルトカメラのケーブルをそれぞれに巻きつけるドラム。
調査装置の複合ケーブルのドラムは、遠隔での自動送り/戻しを可能とする。
○
3
送り治具
調査装置本体のガイドパイプ内の走行、形状変形を助勢するための機能および
各種治具をガイドパイプ出口部まで送り出す機能を有した治具。
○
4
カメラ治具
ガイドパイプ内およびガイドパイプ先端の状況を確認するための治具。
カメラは汎用品とし、操作ユニット込みとする。
○
5
掴み治具
掴み/はなし動作をする先端部を有し、各種治具、ケーブル類の掴み/はなしをするた
めの治具。
○
6
パンチルトカメラ
調査装置本体の形状変形確認、グレーチング走行状態の確認のためのカメラ。
X-100B の鉛直位置に設置する。調査装置本体の走行に合わせた追随はしない。
-
7
回収ガイド
調査装置回収時にガイドパイプ先端に設置し、回収作業を補助するための治具。
○
8
シールボックス内部
確認用カメラ
シールボックス内部の状況を確認するためのカメラ。カメラは汎用品とし、操作ユニット
込みとする。
○
9
運搬用台車
シールボックスを大物搬入口から X-100B まで運搬する台車。
○
地下階状況調査装置の放射性物質飛散防止装置の設計・製作 4
表 3 放射性物質飛散防止装置の要求仕様
No.
1
区 分
要 素
シールボックス
内部収納
機構
要求仕様,前提条件
調査装置本体を装置内部に設置可能であること。
調査装置設置時の仕様(計画値)
・寸法:φ100mm 以下,長さ 690mm(カバー含む)程度
備 考
・質量:12kg 程度
2
① 複合ケーブルを装置内部に収納可能であること。
複合ケーブルの仕様(計画値)
・寸法:外径φ15mm 以下,収納長さ 40m 程度(製品長さ 50m),曲げ R100mm 程度
・質量:15kg 程度(製品長さ 50m 時)
② 複合ケーブルはシール性を確保しながら装置本体を貫通し、外部機器との接続が可能であること。
3
以下の機器・治具をシールボックス内に収納可能であること。
・ケーブルドラム
・送り治具
・カメラ治具
・掴み治具
・パンチルトカメラ
・回収ガイド
・シールボックス内部確認用カメラ
パンチルトカメラ仕様(計画値)
・カメラヘッド寸法:外径φ70mm 程度,長さ 330mm 程度 ・カメラヘッド質量:2.0kg 程度
・ケーブル収納長さ:15m
4
装置形状
要求
① 既設ガイドパイプ,既設 X-Y ステージと取り合うこと。
② X-100B(R/B1階より 4.5m 上)設置場所へ設置,撤去のための吊り金具を設けること。
一度に吊上げ,吊り降ろす装置本体の質量は 250kg 程度(目標)とすること。
5
内部ガス
調整機構
シールボックス内のガスの加圧,排気が可能なラインを設けること。
6
調査装置,
パンチルトカメラ
のエントリ機構
① 調査装置が既設ガイドパイプへ挿入可能なガイド機構を設けること。
② パンチルトカメラが既設ガイドパイプへ挿入可能なガイド機構を設けること。
7
シール性確保
装置本体を貫通する複合ケーブル,送り治具等の装置本体を貫通する箇所については
シール性を確保すること。 耐圧仕様:5kPa
8
シールボックス
内部確認
機構
① シールボックス内の状況がシールボックス外から確認できるよう確認窓(鉛ガラス)を複数箇所設けること。
② 内部に照明等を設け、認識程度の向上を図ること。
9
パンチルトカメラ
用ケーブル
送り込み,
引き戻し
機構
10
複合ケーブル
送り込み,
引き戻し
機構
11
撤去時対応
①
②
③
④
カメラの降下,引き戻しに合わせ装置内のケーブルを送り込み,引き戻し可能であること。
送り込み,引き戻し作業は直接作業による運用とする。
カメラ設置位置(X-100B 直下,空中)の任意の位置にて設置可能な機構を設けること。
ケーブル送り込み,引き戻し時に必要に応じて外部よりケーブルを直接作業にて整線可能なガイド機
構を設けること。
①
②
③
④
調査装置の降下,移動に合わせ装置内のケーブルを送り込み,引き戻し可能であること。
送り込み,引き戻し作業は直接作業,及び遠隔操作の両運用が可能であること。
遠隔操作用の操作装置を設けること。装置本体と操作装置間のケーブル長さは約 60m とすること。
複合ケーブル送り込み,引き戻し時に必要に応じて外部よりケーブルを直接作業にて整線可能な
ガイド機構を設けること。
取合寸法:
図 3,4 参照
既設ガイドパイプのフランジ取合い部にて取外し後、閉止板を取り付け可能とすること。
12
送り治具
-
① 調査装置本体、パンチルトカメラ、各種治具をガイドパイプ内にて送り出し,引き戻し可能であること。
② 調査装置本体、パンチルトカメラ、各種治具との取合いを設けること。
13
カメラ治具
-
① ガイドパイプ内の状況を確認可能であること。
② カメラ本体は汎用品で可とし、シールボックスと操作ユニットのケーブル長さは 20m 程度とすること。
14
掴み治具
-
① 複合ケーブルを掴んで PCV 内への送り操作が可能であること。
② 各種治具を掴んでガイドパイプ内の送り/戻しが可能であること。
15
回収ガイド
-
調査装置回収時にガイドパイプ先端に設置し、回収作業の補助が可能であること。
16
シールボックス内
部確認用カメラ
-
① シールボックス内部確認用カメラでシールボックス内部の状況が確認可能であること。
② カメラ本体は汎用品で可とし、シールボックスと操作ユニットのケーブル長さは 60m 程度とすること。
17
運搬用台車
-
シールボックスを大物搬入口から X-100B まで運搬可能であること。
18
環境耐性
-
① PCV 内部環境を元にした環境耐性を設計に反映のこと。
② PCV 内部環境にて、10[h]以上の使用に耐えられること。
PCV 内部環境:
表 4 参照
19
留意事項
-
上記内容の設計・製作を行うにあたり留意事項を考慮のこと。
留意事項:
表 5 参照
地下階状況調査装置の放射性物質飛散防止装置の設計・製作 5
図 3 寸法制約(設置スペース)
6×M16
6×M16
175
175
430
ガイドパイプ
フランジ方向
ガイドパイプ(フランジ)
XYステージ
図 4 取合い寸法
表 4 PCV 内部環境
No.
項 目
PCV 内部環境(想定)
1
雰囲気線量率
気中 : 15 [Sv/h]
2
雰囲気温度
気中 : 20 [℃]
地下階状況調査装置の放射性物質飛散防止装置の設計・製作 6
表 5 設計・製作時の留意事項
№
1
項目
仕様
備考
SB内部の装置の
放射性物質飛散防止装置(SB)内に格納される装置
エッジ処理
のエッジは極力R加工(少なくとも面取り)を行い、
作業性向上のため
引っ掛かりにくいように配慮すること。
PCV内部への行き側/SBへの戻り側の両側を加工のこと。
SB外側のコネクタ
2
SB外のコネクタ部については、運搬/複数の繋ぎ込み
運搬時、エントリ時
作業/ケーブル送出し時のねじれ等に対して耐久性を
の破損防止のため
持たせた構造とすること。
3
4
操作性
多重の手袋を装備した状態で操作可能なこと。
操作性向上のため
タッチパネル等は不可とする。
締結物
結束バンドを用いる場合は勘合部が可能な限り
作業性向上のため
回転物近傍や最外形に位置しないよう配慮のこと。
6.放射性物質飛散防止装置の製作員数
6.1 製作員数
放射性物質飛散防止装置の製作員数は以下とする。
(1) シールボックスおよびそれに内包される各種治具 : 2組 (※1)
+検証試験用に必要な員数
(2) 制御装置類 : 1組
※1)一連の作業中においてシールボックス外(PCV バウンダリ外)に設置され、かつ号機間で
合理的に共有可能な部位(部品)については1組とする。
6.2 支給品
無し。
7.地下階状況調査装置の機能試験実施区分
地下階状況調査装置の機能試験実施区分を表5に示す。
表 6 地下階状況調査装置の機能試験実施区分
装置名称
単体試験
組合せ試験
調査装置
○
計測ユニット
○
放射性物質飛散防止装置
○
-
付帯設備
○
-
全体組合せ試験
○
○
[備考]
(1)○:実施する
-:実施しない
(2)各装置の単品または組合せ状態において、発注者の受入れ検査を実施する。
地下階状況調査装置の放射性物質飛散防止装置の設計・製作 7
8.実施期間
契約後から 2016 年 3 月 10 日 迄
9.納入物
(1) 装置
:一式
(2) 提出図書
:各2部
(a) 工程表(進捗報告含む)
(b) 機器設計仕様書
(c) 図面(構造図,配線図含む)
(d) 納入品明細書
(e) 試験要領書
(f) 試験結果報告書
(g) 操作要領書
(h) 議事録
(3) 電子データ(CD-ROM)
:1 部
10.納入場所
(1) 装置
宛先:日立 GE ニュークリア・エナジー株式会社 BWR 予防保全技術センター(RPM)
住所:〒319-1221 茨城県日立市大みか町 5-2-2
(2) 図書,CD-ROM
宛先:日立 GE ニュークリア・エナジー株式会社 日立事業所
原子力資材調達部 原子力調達グループ
住所:〒317-0073 茨城県日立市幸町 3-1-1
11.特記事項
11.1 一般責任事項
本仕様に関わる一切の作業は、全ての工程において、十分な品質管理を行うこととする。
11.2 適用法規及び規格
(1) 電気事業法
(2) 原子力基本法
(3) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律
(4) 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律
(5) 労働安全衛生法
(6) 労働基準法
(7) 日本工業規格(JIS)
(8) 日本電機工業会標準規格(JEM)
(9) 日本電気規格調査会標準規格(JEC)
地下階状況調査装置の放射性物質飛散防止装置の設計・製作 8
(10) 日本電線工業会規格(JCS)
(11) 国際標準化機構規格(ISO)
(12) その他、関係する諸法令、規格・基準
11.3 確認事項
(1) 発注者と受注者の間で打合せを行った際には、受注者側で議事録を作成し、発注者
及び受注者双方の署名又は押印を付し、各々1 部保有するものとする。議事録の提出
がない場合は打合せの決定事項は発注者の解釈を有効とする。
(2) 発注者からの文書又は口頭による質問事項に対しては速やかに回答するものとする。
回答は文書によることを原則とするが、急を要する場合には口頭でも良いものとする。
ただし、口頭により回答した場合は一週間以内に必ず文書にて提出するものとする。
文書の提出がない場合は回答に対する発注者の解釈を有効とする。
11.4 保証及びアフターサービス
(1) 保証期間は検収後 1 年とする。保証期間内に受注者の責任と認められる故障または
欠陥が生じた場合は、速やかに補修または新品との交換を行うこと。
(2) 製品納入後、不具合により改造または部品交換を行った場合の保証期間は、改造また
は部品交換を行った時点から再起算するものとする。
(3) 保証期間完了後であっても、発注者の要請により受注者は誠意を持ってアフターサー
ビスを実施するものとする。
11.5 知的所有権
納入品またはその使用もしくは販売が第三者の知的所有権を侵害しないものであること。
万一、侵害しているか、その恐れがある場合は、発注者へ速やかに通知するとともに、受注
者の責任と負担において処理・解決すること。
11.6 その他条件
(1) 本件の実施者は、「格納容器内部地下階状況調査」全体の取りまとめに協力する。
(2) 実施者が海外企業である場合は、日本の代理店を仲介させること。
(3) 本事業は、国からの補助金事業であることから、支払いに当たっての記録を保管する。
(4) 受注者は発注者と緊密な連絡を取りつつ設計・製作を行うこと。
(5) 受注者は、発注者から提示する検討資料、情報を本契約以外の目的で第三者に提供
するときは、予め書面による許可を求め、発注者の承認を得なければならない。
(6) 本仕様に関して疑義が生じた場合は、双方協議の上、発注者が指示するものとする。
(7) 本事業は補助事業であるため、元請業者は日立 GE ではなく、発注先となる。従い、発
注先は建設業法、労働安全衛生法、労働者派遣法、その他法令に基づき適切な管理
体制を組成するものとする(総括安全衛生責任者の選任・管理技術者の選任)。また、
発注先が別業者に請負発注する際には、有期労災加入義務が生じる場合があるので、
適切に有期労災保険に加入すること。
地下階状況調査装置の放射性物質飛散防止装置の設計・製作 9